【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を東京地方裁判所に差し戻す。 理 由 本件控訴の趣意は、検事田中万一作成名義の控訴趣意書と題する書面記載のとお りで
主文 原判決を破棄する。 本件を東京地方裁判所に差し戻す。 理由 本件控訴の趣意は、検事田中万一作成名義の控訴趣意書と題する書面記載のとおりであつて、茲にこれを引用する。 <要旨第一>仍つて按ずるに業務上横領の所為は被害法益が単一であり、それが単一若しくは継続意思の発動に基き敢行</要旨第一>された場合においてはたとえ行為が数箇であつてもこれを包括して観察し、一罪と認むべきを相当とする。 ところで本件起訴状記載の公訴事実は、第一、第二に特別に区別して書き分けられて居り、而も第一の事実たるや数ケ月に亘るものである。従つて該起訴状の記載からすれば、検察官は第一と第二の事実を別個の犯罪事実と認めて起訴したものの如く認められないことはなく、これを併合罪としての起訴と認めた原判決の判断もあながち無理からぬ点もないではない。然し乍ら、これを仔細に検討すれば、第一の事実は、昭和二五年二月中旬から八月中旬までの間の行為であり、第二の事実は、同年八月二一日の行為であり、両者はその全部を通じ、日時が接続して居り、又第一、第二の事実ともA貯蓄組合長Bの為め業務上保管中の現金の費消横領行為でありその被害法益は単一であることが看取される。検事の控訴趣意によれば、本件起訴状記載の公訴事実は全部を通じて単一の犯罪であると主張するが、それはその主張全体から見て始めて判明さ<要旨第二>れるのであつて、本件起訴状の公訴事実の記載自体からは極めて不明確な誹を免れない。従つてかかる場合、</要旨第二>原審裁判所としては須らく、検察官をして公訴の趣旨を釈明させ、然る後審判すべきであつたに拘らず、原審裁判所はこれを釈明することなく、直ちに第一の公訴事実につき訴因の明示を欠くものとして、これを棄却したのは、畢竟審理不尽の違法 察官をして公訴の趣旨を釈明させ、然る後審判すべきであつたに拘らず、原審裁判所はこれを釈明することなく、直ちに第一の公訴事実につき訴因の明示を欠くものとして、これを棄却したのは、畢竟審理不尽の違法があつたものであり、その違法は判決に影響を及ぼすこと極めて明白であるから、結局検事の本件控訴はその理由あることに帰し原判決は、此の点において到底破棄を免れない。 仍つて刑事訴訟法第三九七条第四〇〇条本文に則り、主文のとおり判決する。 (裁判長判事中野保雄判事尾後貫莊太郎判事渡辺好人)
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