平成24(ワ)557 正規労働者と同一の雇用契約上の地位確認等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年12月10日 大分地方裁判所 その他
ファイル
hanrei-pdf-84203.txt

判決文本文46,943 文字)

平成25年12月10日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成24年(ワ)第557号正規労働者と同一の雇用契約上の地位確認等請求事件口頭弁論終結日平成25年10月18日判決 主文 1 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,平成25年5月25日から本判決確定の日まで,毎月25日限り月16万5270円の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,50万円及びこれに対する平成25年3月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 被告は,原告に対し,149万5837円及びこれに対する平成24年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告は,原告に対し,11万2983円及びこれに対する平成25年9月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 6 原告のその余の請求をいずれも棄却する。 7 訴訟費用は,これを2分し,その1を原告の負担とし,その余を被告の負担とする。 8 この判決は,第2ないし第5項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1 請求 1 原告が,被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 2 被告は,原告に対し,平成25年5月25日から本判決確定の日まで,毎月25日限り月29万0438円の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,平成25年6月30日から本判決確定の日まで,毎年6月30日及び12月31日限り,各27万5000円を支払え。 4 被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成25年3月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告が,被告に対し 月31日限り,各27万5000円を支払え。 4 被告は,原告に対し,100万円及びこれに対する平成25年3月23日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 原告が,被告に対し,被告の正規労働者と同一の雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 6 原告が,被告に対し,賃金の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,被告の正規労働者と同一の待遇を受ける雇用契約上の権利を有する地位にあることを確認する。 7 被告は,原告に対し,262万2921円及びこれに対する平成24年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 8 被告は,原告に対し,11万8578円及びこれに対する平成25年9月25日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 被告は,原告に対し,52万5963円及びうち51万7040円に対する平成25年3月27日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 被告は,原告に対し,6万4630円を,平成25年4月25日限り支払え。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,使用者である被告との間で期間の定めのある労働契約を反復して更新していた労働者である原告が,被告が契約期間満了前の更新の申込みを拒絶したこと(以下,更新の申込みを拒絶したことを「更新拒絶」,それによって賃金を得られなかった期間を「更新拒絶期間」ということがある。)は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であると認められず,被告は,従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなされたと主張して(労働契約法19条),被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め(前記第1,1),更新拒絶期間中の月額賃金(前記第1,2), 件で当該申込みを承諾したものとみなされたと主張して(労働契約法19条),被告に対し,雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め(前記第1,1),更新拒絶期間中の月額賃金(前記第1,2),更新拒絶期間中の賞与(前記第1,3),更新拒絶による慰謝料(前記第1,4)を請求するとともに,被告が原告に対 して短時間労働者の雇用管理の改善等に関する法律(以下「パートタイム労働法」という。)8条1項に違反する差別的取扱いをしていると主張して,同項に基づき,正規労働者と同一の雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認(前記第1,5),被告の正規労働者と同一の待遇を受ける雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認を求め(前記第1,6),同項に違反する差別的取扱いによる不法行為に基づく損害賠償を請求している(前記第1,7ないし10)事案である。なお,原告は,正規労働者と同一の雇用契約上の権利を有する地位にあることの確認請求(前記第1,5)の理由として,準社員として3年間勤務した後に正社員として雇用するという約束が被告との間で成立したことも主張しており,また,パートタイム労働法8条1項の要件を充足する場合には,期間の定めがあることによる不合理な労働条件を禁止した労働契約法20条も充足すると主張する。 2 前提となる事実(1) 当事者ア被告は,石油製品,同副製品その他の保管及び搬出入作業,貨物自動車運送事業,貨物利用運送事業等を目的とする株式会社である(当事者間に争いがない。)。 被告の従業員は,就業規則等により,期間の定めのない労働契約を締結した正社員,期間の定めのある労働契約を締結した準社員,冬期需要増に対する業務遂行のために採用された,期間の定めのある労働契約を締結した期間社員などに分類されている(乙10,11,12 働契約を締結した正社員,期間の定めのある労働契約を締結した準社員,冬期需要増に対する業務遂行のために採用された,期間の定めのある労働契約を締結した期間社員などに分類されている(乙10,11,12)。被告におけるドライバー(運転手)中の正社員とその他の社員の比率(平成24年7月1日現在)は,別紙1(別紙1は,乙16の4枚目と同じ内容である。)のとおりであった。 イ原告(昭和38年2月8日生)は,被告と労働契約を締結し,被告九州支店大分事業所で運転手として稼働していた者である(弁論の全趣旨)。 (2) 原被告間の労働契約ア原告は,平成16年10月15日,被告との間で,同日から平成17年4月14日までを期間とする労働契約を締結し,期間社員として被告に雇用された(乙1)。 イ原告は,被告との間で,平成17年10月1日から平成18年3月31日までを期間とする労働契約を締結し,期間社員として被告に雇用された(当事者間に争いがない。)。 ウ原告は,被告との間で,平成18年4月1日,同日から平成19年3月31日までの1年間を期間とする労働契約を締結し,準社員として被告に雇用され,以後,原告と被告はこの契約を更新し,平成24年4月1日には,同日から平成25年3月31日までの1年間を期間とする労働契約に更新した(当事者間に争いがない。)。 (3) 原告の業務期間社員,準社員であった原告の職務は,貨物自動車の運転手として,タンクローリーによる危険物等の配送及び付帯事業に従事することであり,正社員の職務と同じであった(当事者間に争いがない。なお,後記第3,5(2)のとおり,被告は,転勤等,役職への任命等の点において,準社員は正社員と異なると主張する。)。 (4) 就業規則被告の就業規則には,主に正社員に適用される就業規則 ない。なお,後記第3,5(2)のとおり,被告は,転勤等,役職への任命等の点において,準社員は正社員と異なると主張する。)。 (4) 就業規則被告の就業規則には,主に正社員に適用される就業規則(乙10,以下「正社員就業規則」という。),準社員に適用される準社員就業規則(乙11),期間社員に適用される期間社員就業規則(乙12)があった。 (5) 労働時間,賃金ア被告の正社員の1日の所定労働時間は8時間であり,勤務日数は年258日であった(乙10,28)。 被告の準社員には,1日の所定労働時間が7時間の者と8時間の者がい たが,平成24年7月1日以降は8時間に統一された(乙11,28)。そして,平成24年6月30日までの準社員の1年の勤務日数は291日であった(乙28)。 イ原被告間の,平成16年10月15日ないし平成17年4月14日を期間とする労働契約(期間社員,前記(2)ア)は,1日の所定労働時間が1日7時間,賃金の基本日額(以下,基本日額は,1日の基本給を指す。)が6800円であった(乙1)。 平成18年4月1日ないし平成19年3月31日,同年4月1日ないし平成20年3月31日を期間とする労働契約(準社員,前記(2)ウ)は,所定労働時間が1日7時間,基本日額が6600円であった(乙2,3)。 平成20年4月1日ないし平成21年3月31日,同年4月1日ないし平成22年3月31日,同年4月1日ないし平成23年3月31日,同年4月1日ないし平成24年3月31日,同年4月1日ないし平成25年3月31日を期間とする労働契約(準社員,前記(2)ウ)は,1日の所定労働時間が7時間,基本日額が6850円であった(乙4ないし8)。 (6) 就業規則の変更ア被告は,平成24年7月1日,準社員就業規則,準社員賃金規程を変 (準社員,前記(2)ウ)は,1日の所定労働時間が7時間,基本日額が6850円であった(乙4ないし8)。 (6) 就業規則の変更ア被告は,平成24年7月1日,準社員就業規則,準社員賃金規程を変更し,準社員の契約期間を7月1日から翌年の6月30日までとし,従前は,準社員のうちに1日の所定労働時間が7時間の者と8時間の者がいたところ,準社員の1日の所定労働時間を8時間に統一し,従前は,準社員の勤務日数は年291日であったところ,これを,正社員と同じ年258日とした。また,準社員の基本日額を6850円から7870円に変更した。 (乙28ないし31,弁論の全趣旨)。 イ被告の原告以外の準社員は,変更された準社員就業規則,準社員賃金規程に則り,期間を平成24年7月1日から平成25年6月30日とし,1日の所定労働時間を8時間とし,基本日額を7870円とする新たな雇用 契約書(乙30)に全員署名押印したが,原告は,新たな雇用契約書には署名押印しなかった(弁論の全趣旨〔被告作成の平成25年3月9日付け第3準備書面〕)。 (7) 原被告間の労働紛争ア原告は,職務の内容(業務の内容及び業務に伴う責任の程度)が正社員と同一であるにもかかわらず,準社員(短時間労働者)であることを理由として処遇に差があるのは,パートタイム労働法8条1項に違反すると主張し,被告に対して労働条件の改善を求め,その紛争の解決につき,平成23年2月24日,パートタイム労働法21条に基づいて大分労働局長に援助を求め,大分労働局長は,同年4月26日,被告に対し,指導を行った(甲6)。 イ原告は,平成23年11月7日,前記アの紛争についてパートタイム労働法22条に基づいて調停の申請を行い,大分紛争調整委員会は,平成24年1月24日,被告に対し,調停案受諾の勧告を た(甲6)。 イ原告は,平成23年11月7日,前記アの紛争についてパートタイム労働法22条に基づいて調停の申請を行い,大分紛争調整委員会は,平成24年1月24日,被告に対し,調停案受諾の勧告をしたが(甲8),被告はこれを受諾しなかった(甲1)。 ウ原告は,平成24年5月1日,当庁に労働審判を申し立て,同年8月2日,労働審判が行われ,被告は,同月9日,異議を申し立てた(当裁判所に顕著な事実)。 (8) 更新拒絶ア被告は,平成25年3月23日,原告に対し,同月31日をもって労働契約を終了し,労働契約の更新をしないことを通知した。その通知書には,労働契約の更新をしない理由として,原告が本件訴訟において様々な点において事実と異なることを主張していること,本件訴訟と無関係の第三者である被告の従業員を多数本件訴訟に巻き込んでいることが記載されていた(甲27,28,原告本人〔前半22頁〕)。 イ原告は,平成25年3月25日,労働契約の更新をしないとの通知(前 記ア)の撤回を求めたが(甲28),被告は,同日,原告に対し,撤回の意思はない旨回答した(甲29)。 ウ原告は,平成25年3月27日,被告に対し,同月25日の撤回の要求(前記イ)は,労働契約法に定められた有期労働契約の更新の申込みである旨を通知した(甲30)。 (原告が平成25年3月25日に行った労働契約の更新をしないとの通知の撤回の要求〔前記イ,甲28〕は,労働契約法に定められた有期労働契約の更新の申込みに該当し,それに対して被告が同日行った撤回の意思はない旨の回答〔前記イ,甲29〕は更新拒絶に該当し,被告は更新拒絶による労働契約の終了を主張しているものと認められる。) 3 主な争点(1) 期間の定めのない労働契約の終了との同一性,更新の合理的期待(2 記イ,甲29〕は更新拒絶に該当し,被告は更新拒絶による労働契約の終了を主張しているものと認められる。) 3 主な争点(1) 期間の定めのない労働契約の終了との同一性,更新の合理的期待(2) 更新拒絶の相当性の有無(3) 労働契約の更新に基づく請求の成否(4) 平成24年7月1日に変更された就業規則の原告への適用(5) パートタイム労働法8条1項違反の有無(6) パートタイム労働法8条1項に基づく請求の成否(7) パートタイム労働法8条1項に違反したことによる不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効(8) 準社員として3年間勤務した後に正社員として雇用するという約束の有無第3 争点に関する当事者の主張 1 争点(1)(期間の定めのない労働契約の終了との同一性,更新の合理的期待)(1) 原告の主張原被告間の有期労働契約は,「当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって,その契約期間の満了時に当該有期労働契約を 更新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが,期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できる」(労働契約法19条1号)と認められ,仮にそうでなくとも,少なくとも,「労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるもの」(労働契約法19条2号)であると認められる。その理由は,以下のとおりである。 アすなわち,原告は,前記第2,2(2)のとおり被告に勤務してきたものであり,平成17年10月1日に期間社員として勤務を再開したときには,契約書も作成しなかったから,原告が期間社員として勤 。 アすなわち,原告は,前記第2,2(2)のとおり被告に勤務してきたものであり,平成17年10月1日に期間社員として勤務を再開したときには,契約書も作成しなかったから,原告が期間社員として勤務を再開することは当然に予定されていたといえる。また,原告は,平成18年4月1日以降は,期間を1年とする有期契約を更新し,7年間にわたり準社員として勤務してきた。 イ被告は,①面接を伴う労働契約の更新手続を行っており,雇用継続について合理的期待を抱かせるような言動もしていないこと,②実際に更新拒絶をしたこともあること,から,期間を1年とする準社員としての労働契約を終了させることは,期間の定めのない労働契約を終了させることと同視することはできず,また,更新の期待に合理的な理由があるとは認められないと主張する。 しかし,契約更新の際に必ず面接が行われていたわけではないし,行われたとしても形式的なものであった。また,更新拒絶が行われたことはほとんどなかった。したがって,被告の主張は理由がない。 (2) 被告の主張原被告間の有期労働契約は,「当該有期労働契約が過去に反復して更新されたことがあるものであって,その契約期間の満了時に当該有期労働契約を更 新しないことにより当該有期労働契約を終了させることが,期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることにより当該期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できる」(労働契約法19条1号)とは認められず,「労働者において当該有期労働契約の契約期間の満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるもの」(労働契約法19条2号)であるとも認められない。 すなわち,期間を1年とする準社員としての労働契約は,有 満了時に当該有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるもの」(労働契約法19条2号)であるとも認められない。 すなわち,期間を1年とする準社員としての労働契約は,有期労働契約であって,被告は,面接を伴う労働契約の更新手続を行っており,雇用継続について合理的期待を抱かせるような言動もしておらず,また,実際に更新拒絶をしたこともあるから,それを終了させることは,期間の定めのない労働契約を終了させることと同視することはできないし,更新の期待に合理的な理由があるとは認められない。 2 争点(2)(更新拒絶の相当性の有無)(1) 原告の主張被告による更新拒絶は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められない(労働契約法19条柱書き)。その理由は,以下のとおりである。 ア更新拒絶の通知書に記載された更新拒絶の理由は,原告が本件訴訟において様々な点において事実と異なることを主張していること,本件訴訟と無関係の第三者である被告の従業員を多数本件訴訟に巻き込んでいることの2点である。 しかし,本件訴訟において,原告が被告と異なる主張をしているとしても,原告が虚偽の事実を主張していることにはならない。また,原告は,本件訴訟において被告の労働条件等を明らかにするために,任意に同僚の協力を得たにとどまり,それは更新拒絶の正当な理由にはならない。原告は,同僚にできるだけ迷惑をかけたくないと考えているので,これまで, 同僚の名前を伏せて陳述書を提出したり,アンケートを無記名にするなどの配慮をし,負担にならない範囲で任意の協力を得てきた。 イ原告が「ある親しい正社員から,『大分事業所長から,乙21の4頁6に記載されている内容とほぼ同じ趣旨の陳述書の作成を依頼され,事実と異なるため署名 ,負担にならない範囲で任意の協力を得てきた。 イ原告が「ある親しい正社員から,『大分事業所長から,乙21の4頁6に記載されている内容とほぼ同じ趣旨の陳述書の作成を依頼され,事実と異なるため署名できないと拒否した。』という話を聞いている。」(原告作成の平成25年1月24日付け準備書面の4頁4ないし6行目。乙21は,被告の九州支店大分事業所長C作成の陳述書であり,その4頁6に記載された内容は,別紙2のとおりである。)という主張の内容は,以下のとおり,真実である。 すなわち,Cらから陳述書の作成を依頼されたとの情報を原告に提供した同僚は2名おり,そのうち1名(以下「従業員A」という。)は,「陳述書の内容が事実と異なるから署名押印できないと言った。」旨原告に述べた。 もう1名(以下「従業員B」という。)は,「裁判にかかわりたくないから署名押印を断ったと言った。」旨述べた。原告の上記主張は,原告が従業員Aから聞いたことを内容とするものである。 Cが原告の主張について事情を聞いた後記(2)アの従業員Xは,上記の従業員Bのことであり,従業員Bは,従業員Aが原告に話した内容を知らなかったので,「自分が原告に言ったことと異なることを原告が主張している」旨Cに述べた。原告は,そのことについて従業員Bから問い質され,事情を説明したところ,従業員Bは納得し,従業員Bの誤解も解けている。 (2) 被告の主張被告による更新拒絶は,客観的に合理的な理由があり,社会通念上相当である。その理由は,以下のとおりである。 ア(ア) 原告の「ある親しい正社員から,『大分事業所長から,乙21の4頁6に記載されている内容とほぼ同じ趣旨の陳述書の作成を依頼され,事実と異なるため署名できないと拒否した。』という話を聞いている。」(原 告作成の平成25年1月24 事業所長から,乙21の4頁6に記載されている内容とほぼ同じ趣旨の陳述書の作成を依頼され,事実と異なるため署名できないと拒否した。』という話を聞いている。」(原 告作成の平成25年1月24日付け準備書面の4頁4ないし6行目)という主張の内容は虚偽である。その理由は,以下のとおりである。 被告の専務執行役員Dは,平成24年11月24日,Cとともに,大分事業所のグループ長3名から,準社員であった頃と正社員に登用された後の仕事や気持ちの違い,グループ長に任命された前後の仕事や気持ちの違い等について聴取を行い,後日裁判所に提出する陳述書の作成を依頼した。Dは,平成24年12月12日午後8時頃,大分事業所の2階の会議室で,原告の親しい友人である従業員(以下「従業員X」という。)に対し,同年11月24日にCとともに聴取した内容をまとめた陳述書案を示し,「事実と異なる部分があれば訂正するので,どんな細かいことでも遠慮なく申し出てほしい。」と説明した。従業員Xは,「事実と異なるところはない。先日自分が話した内容と同じであるが,裁判にかかわりたくなく,何よりも原告にかかわりたくないので,陳述書の提出は勘弁してほしい。」旨懇請した。そのため,Dは,従業員Xの意向を斟酌し,同従業員作成の陳述書の提出を断念した。また,Dが平成24年12月12日に面談できなかった他の2名のグループ長については,Cが,後日,陳述書案を提示し,内容の確認を得た上,署名押印を求めたが,それらの者も,陳述書の内容は自分達の話したとおりであるが,裁判と原告にかかわりたくないので,陳述書を裁判所へ提出することは勘弁してほしいと懇請した。そのため,DとCは,グループ長が作成した陳述書を裁判所に提出することを断念し,Cの陳述書の中に,グループ長から聴取した内容を記載して裁判 ,陳述書を裁判所へ提出することは勘弁してほしいと懇請した。そのため,DとCは,グループ長が作成した陳述書を裁判所に提出することを断念し,Cの陳述書の中に,グループ長から聴取した内容を記載して裁判所に提出することとした。 Cは,平成25年2月5日,原告の上記主張について,従業員Xに事情を聞いたところ,従業員Xは,「『会社から陳述書にサインをお願いできないかと言われたが,自分は裁判に一切かかわりたくないので,勘弁してくださいと言った。』と原告に話した。」旨述べた。Cが,「原告は, 『陳述書の内容が事実と異なるのでサインしなかった』と主張している。」旨説明すると,従業員Xは,「自分は,『裁判に巻き込まれたくないから勘弁してくださいと会社にお願いした。』と原告に言った。原告に腹が立つので抗議する。」旨述べ,強く憤慨していた。後日,Cが,従業員Xに対し,原告に抗議したか尋ねると,従業員Xは,「抗議しました。原告は『ごめん,ごめん,(裁判に)巻き込むつもりは全然なかった。』と答えました。」と報告した。 (イ) 原告の前記(1)イの主張は,従業員Xが裁判に巻き込まれたくないと言っているのを知りながら,同僚の気持ちや迷惑を全く考慮することなく,自分の立場を有利に導くために,事実を歪曲して主張しているものである。原告のこのような言動は,職場の規律を著しく乱すとともに,会社・上司・同僚との信頼関係に重きを置くという,危険物輸送を専門とする被告の社風や気質,社会的使命や責任と全く相容れないものであり,原告と被告・上司・同僚との信頼関係を完全に破綻させた。 このような原告の言動は,準社員就業規則4条(服務心得)5号「職場の秩序,風紀をみださないこと」に違反し,同規則48条(譴責・減給および出勤停止)8号「職場の秩序をみだし,またはみだそう させた。 このような原告の言動は,準社員就業規則4条(服務心得)5号「職場の秩序,風紀をみださないこと」に違反し,同規則48条(譴責・減給および出勤停止)8号「職場の秩序をみだし,またはみだそうとしたとき」,同10号「社内の風紀または規律をみだしたとき」,同12号「そのほかこの規則によって遵守すべき事項に違反し,または前各号に準ずる程度のふつごうな行為があったとき」に該当するものである。 イ(ア) 原告は,平成24年4月23日に京都府で発生した交通事故(登校中の小学生の列に自動車が突っ込んで小学生等が死傷した事故)のニュースを見て,タンクローリーで突っ込んだらどうなるんだろうと話し,被告大分事業所幹部が警戒感を抱かざるを得ないような発言をし,同幹部との間の信頼感を損ねた。 (イ) 前記(ア)のような原告の行為によって被告大分事業所幹部と原告との 間の信頼感を損なわれると,点呼,特に乗務後点呼の際の業務内容の確認が十分にできなくなり,混油事故の発覚が遅れるなど大きな弊害が生ずる。 このような原告の言動は,準社員就業規則4条(服務心得)5号「職場の秩序,風紀をみださないこと」に違反し,同規則48条(譴責・減給および出勤停止)8号「職場の秩序をみだし,またはみだそうとしたとき」,同10号「社内の風紀または規律をみだしたとき」,同12号「そのほかこの規則によって遵守すべき事項に違反し,または前各号に準ずる程度のふつごうな行為があったとき」に該当するものである。 ウ原告には,前記ア,イのとおり,就業規則に反する行為があり,原告を引き続き勤務させることは,危険物の安全輸送・安全作業に差し障りを生ずることから,契約更新を行わず,更新拒絶を行うこととした。 3 争点(3)(労働契約の更新に基づく請求の成否)(1) 原告の主張 続き勤務させることは,危険物の安全輸送・安全作業に差し障りを生ずることから,契約更新を行わず,更新拒絶を行うこととした。 3 争点(3)(労働契約の更新に基づく請求の成否)(1) 原告の主張ア契約の更新前記2(1)のとおり,被告が原告による有期労働契約の更新の申込みを拒絶したことは,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められないから,被告は,平成25年3月31日までの労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で原告による申込みを承諾したものとみなされる。 イ地位確認原被告間の有期労働契約は更新されたものとみなされるにもかかわらず,被告は更新拒絶による契約の終了を主張してこれを争っているから,原告は,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める。 ウ月額賃金 (ア) 原告の平均月額賃金は25万4166円であり,支払日は,毎月末日締め翌月25日払(支払日が休日に当たる場合はその前日)である。 (イ) 労働契約が更新されたとみなされるにもかかわらず,原告は平成25年4月分以降の月額賃金の支払を受けていない。 (ウ) 平成25年4月以降の月額賃金は,平成23年の年間総支給額(363万5263円,甲3)から年間賞与合計15万円を控除して12か月で除することにより求められる。平成24年7月1日に就業規則が変更され,それによって平成24年の年間支給額は平成23年の年間支給額よりも減額されたから,平成25年4月以降の賃金の算出においては,平成23年の年間総支給額を基準とすべきである。 そうすると,平成25年4月以降の月額賃金は29万0438円((363万5263 円-15 万円)÷12 月=29 万0438 円)であり,原告は,被告に対し,平成25年5月 準とすべきである。 そうすると,平成25年4月以降の月額賃金は29万0438円((363万5263 円-15 万円)÷12 月=29 万0438 円)であり,原告は,被告に対し,平成25年5月25日から本判決確定の日まで,毎月25日限り月29万0438円の割合による賃金の支払を求める。 エ賞与(ア) 原告は,正社員と同様に,毎年6月30日及び12月31日限り,少なくとも各27万5000円の賞与を得ることができた。 また,そうでなくても,原告は,毎年6月30日及び12月31日限り,少なくとも各7万5000円の賞与を得ることができた。 (イ) 労働契約が更新されたとみなされるにもかかわらず,原告は平成25年4月分以後の賞与の支払を受けていない。 (ウ) したがって,原告は,被告に対し,平成25年6月30日から本判決確定の日まで,毎年6月30日及び12月31日限り,各27万5000円の賞与の支払を求める。 オ慰謝料被告による更新拒絶は不法行為を構成し,原告は,被告が更新拒絶を行 ったことにより精神的苦痛を受けたものであり,その慰謝料は100万円を下らない。 したがって,原告は,被告に対し,慰謝料100万円及びこれに対する,被告が労働契約の更新をしないことを原告に最初に通知した日である平成25年3月23日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (2) 被告の主張ア契約の更新原告の主張は争う。更新拒絶により原被告間の有期労働契約は終了した。 イ地位確認原告の主張は争う。 ウ月額賃金原告の主張は争う。 仮に更新拒絶期間中の賃金を請求し得るとしても,平成23年の支給額を基準とする理由はないし,請求し得るのは基本給の部分にとどまる。 エ賞与原告の う。 ウ月額賃金原告の主張は争う。 仮に更新拒絶期間中の賃金を請求し得るとしても,平成23年の支給額を基準とする理由はないし,請求し得るのは基本給の部分にとどまる。 エ賞与原告の主張は争う。 賞与,手当は,実際に就労していない期間については請求できない。 オ慰謝料原告の主張は争う。 4 争点(4)(平成24年7月1日に変更された就業規則の原告への適用)(1) 原告の主張平成24年7月1日の就業規則の変更は,準社員の1日の所定労働時間を8時間としてパートタイム労働法の適用を免れ,時間外手当を含む準社員の賃金を大幅に減少させるものであり,労働者の意見を聞かず一方的に行われたものであるから,変更に同意していない原告には適用されない。 (2) 被告の主張原告の主張は争う。 平成24年7月1日の就業規則の変更により,準社員の勤務日数は年33日減少したが,これらの日に勤務した場合には,従前であれば通常の勤務日の賃金しか得られなかったのに対し,就業規則変更後は,休日の割増賃金を得られることになり,上記の就業規則変更後も実際に休日の勤務があり,勤務日数は減少していないから,上記の就業規則変更によって原告の賃金が減少することはない。 5 争点(5)(パートタイム労働法8条1項違反の有無)(1) 原告の主張ア通常の労働者と同視すべき短時間労働者への該当性原被告間の労働契約は,前記第2,2(2)のとおりであり,このような契約の態様に照らせば,反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約(パートタイム労働法8条2項)に該当するといえる。 被告の正社員の1日の所定労働時間は8時間であるが,準社員である原告の1日の所定労 することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約(パートタイム労働法8条2項)に該当するといえる。 被告の正社員の1日の所定労働時間は8時間であるが,準社員である原告の1日の所定労働時間は1日7時間であったから(前記第2,2(5)),原告は,一週間の所定労働時間が正社員の一週間の所定労働時間に比し短く,短時間労働者(パートタイム労働法2条)に該当する。そして,原告の職務は,正社員の職務と同じであったから(前記第2,2(3)),原告は,「業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度が被告に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者であって,被告における慣行その他の事情からみて,被告との雇用関係が終了するまでの全期間において,その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの」(パートタイム労働法8条1項)に該当する。 正社員は実際に転勤を命じられることはないから,転勤の有無の点では,準社員も正社員と同じである。準社員賃金規程には,準社員がチーフ,グループ長,運行管理者になることを前提とした規定があり,実際にも準社員には,チーフ,グループ長,運行管理者,運行管理補助者の職務を行っている者がいた。したがって,転勤等,役職への任命等に関して,正社員と準社員は差がない。 イ賃金の決定その他の待遇についての差別的取扱い原告の賃金は,本件訴訟提起時において,基本給,賞与を含めて約360万円程度であり,被告の正社員に比べて少なくとも40万円少ない。また,原告は,年間休日日数が正社員に比べて31日少ない。さらに,準社員である原告は,正社員のように退職金を受け取ることができない。 したがって,原告は,短時間労働者であることを理由として,賃金の決定,教育訓練の 間休日日数が正社員に比べて31日少ない。さらに,準社員である原告は,正社員のように退職金を受け取ることができない。 したがって,原告は,短時間労働者であることを理由として,賃金の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,差別的取扱いを受けた。 (2) 被告の主張原告の主張は争う。 就業規則上,正社員は転勤,出向があるのに対し,準社員には転勤,出向がないから,この数年大分事業所で正社員の転勤がなかったとしても,転勤,出向の有無の点で正社員と準社員は人材活用の仕組みが異なる。 また,チーフ,グループ長,運行管理者,運行管理補助者は,一般ドライバーに対する指示連絡,指導などを職務としており,その責任は,一般ドライバーよりも重いものである。そのため,正社員は,チーフ,グループ長,運行管理者,運行管理補助者に任命されるのに対し,準社員は,これらの役職には任命されない。 準社員ドライバーは,正社員ドライバーと異なり,新規業務,事故トラブルへの対応など,緊急の対処が必要な業務,対外的な交渉が必要な業務には 従事しない。 また,正社員ドライバーの中には,事務職に職系転換して主任,事業所長又は課長に任命された者があるのに対し,準社員には,そのように事務職に職系転換した者はいない。 このように,正社員と準社員は,人材活用の仕組み,運用等が同一であるとはいえないから,準社員である原告は,業務の内容及び当該業務に伴う責任の程度が被告に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者(パートタイム労働法8条1項)には該当せず,被告における慣行その他の事情からみて,被告との雇用関係が終了するまでの全期間において,その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込 せず,被告における慣行その他の事情からみて,被告との雇用関係が終了するまでの全期間において,その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(パートタイム労働法8条1項)にも該当しない。 6 争点(6)(パートタイム労働法8条1項に基づく請求の成否)(1) 原告の主張ア地位確認パートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いがある場合には,正規労働者と同一の労働契約上の権利を有する地位にあることの確認,正規労働者と同一の待遇を受ける労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めることができる。 イ損害賠償(ア) 不法行為の成立パートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いがある場合には,その差別的取扱いは不法行為を構成するから,不法行為に基づく損害賠償を請求することができる。 期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を定めた労働契約法20条は,パートタイム労働法8条1項よりも要件が緩やかである から,パートタイム労働法8条1項に該当する場合には,労働契約法20条にも該当し,その違反は不法行為を構成する。 (イ) 平成21年4月1日から平成24年3月31日までの賃金の差額a 原告を含む準社員は,正社員との間で,年間賞与額の差が年間40万円以上あった。 また,準社員は,正社員よりも休日日数が年間31日少なく(原告は,損害との関係では,休日日数の差が31日であると主張する。),その分の休日の割増賃金を得ることができなかった。 b 平成21年4月1日から平成24年3月31日まで3年間における正社員と準社員の賃金の差額は,次のとおり合計142万2921円であった。 (a) 賞与の差額120万円(40 万円× b 平成21年4月1日から平成24年3月31日まで3年間における正社員と準社員の賃金の差額は,次のとおり合計142万2921円であった。 (a) 賞与の差額120万円(40 万円×3 年=120 万円)(b) 休日の割増分の差額賃金の基本日額は6850円であり,休日1日当たりの割増分は,その0.35倍の2397円(6850 円×0.35=2397 円)である。 そうすると,休日日数の差である31日の休日の割増分は22万2921円(2397 円×31 日×3 年=22 万2921 円)である。 (c) 合計賞与の差額(前記(a))と休日の割増分の差額(前記(b))の合計は142万2921円(120 万円+22 万2921 円=142 万2921 円)である。 (ウ) 平成24年4月1日から同年6月30日までの賃金の差額平成24年4月1日から同年6月30日までの正社員と準社員の賃金の差額は,次のとおり合計11万8578円であった。 a 賞与の差額 9万9999円(40 万円÷12 月×3 月=9 万9999 円)b 休日の割増分の差額1万8579円(6850 円×0.35×31 日÷12 月×3 月≒1 万8579 円)c 合計賞与の差額(前記(a))と休日の割増分の差額(前記(b))の合計は11万8578円(9 万9999 円+1 万8579 円=11 万8578 円)である。 (エ) 平成24年7月1日以降の賃金の差額a 原告は,平成24年7月1日の準社員就業規則,準社員賃金規程の変更により,年間の賃金が37万5558円減少した。 すなわち,平成24年6月30日まで,原告の基本日額は6850円,勤務日数は年290日であったが,同年7月1日の準社員就業規則,準 金規程の変更により,年間の賃金が37万5558円減少した。 すなわち,平成24年6月30日まで,原告の基本日額は6850円,勤務日数は年290日であったが,同年7月1日の準社員就業規則,準社員賃金規程の変更により,基本日額は7870円,勤務日数は年259日に変更された(原告は,損害との関係では,勤務日数が290日から259日に変更されたと主張する。)。原告の労働時間を1日平均10時間とすると,平成24年6月30日までの原告の賃金は,日額1万0519円(6850 円+6850 円÷7 時間×1.25×3 時間≒ 1 万0519 円),年額305万0510円(1 万0519 円×290 日=305万0510 円)であったが,変更後の原告の賃金は,日額1万0328円(7870 円+7870 円÷8 時間×1.25×2 時間≒1 万0328 円),年額267万4952円(1 万0328 円×259 日=267 万4952 円)となったから,準社員就業規則,準社員賃金規程の変更により,原告の賃金は年37万5558円(305 万0510 円-267 万4952 円=37 万5558 円)減少した。 b 原告を含む準社員は,正社員との間で,年間賞与額の差が40万円あったから(前記(イ)a),原告と正社員との間の年間の賃金の差額は,上記40万円と前記aの準社員就業規則,準社員賃金規程の変更によ る減少分37万5558円との合計77万5558円となった。そのため,原告と正社員との間の月額の賃金の差額は,6万4630円(77万5558 円÷12 か月≒6 万4630 円)であった。 (オ) 慰謝料原告は,被告によるパートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いにより精神的苦痛を受け,その慰謝料は100万円を下らない。 (カ) 弁 か月≒6 万4630 円)であった。 (オ) 慰謝料原告は,被告によるパートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いにより精神的苦痛を受け,その慰謝料は100万円を下らない。 (カ) 弁護士費用被告がパートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いをしたことによる不法行為と相当因果関係のある損害としての弁護士費用は20万円である。 ウ請求(ア) 平成21年4月1日から平成24年3月31日までの損害平成21年4月1日から平成24年3月31日までの損害は,その期間の賃金等の差額142万2921円(前記イ(イ)b(c)),慰謝料100万円(前記イ(オ)),弁護士費用20万円(前記イ(カ))の合計262万2921円である。 原告は,不法行為に基づき,262万2921円及びこれに対する平成24年3月31日までの賃金の支払期日(平成24年4月25日)の後であり不法行為の後である平成24年9月19日(訴状に代わる準備書面送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (イ) 平成24年4月1日から同年6月30日までの損害平成24年4月1日から同年6月30日までの損害は,その期間の賃金等の差額11万8578円(前記イ(ウ)c)である。 原告は,被告に対し,不法行為に基づき,11万8578円及びこれに対する平成24年6月30日までの賃金の支払期日(平成24年7月 25日)の後であり不法行為の後である平成25年9月25日(平成25年9月19日付け請求の拡張申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (ウ) 平成24年7月1日以降の損害平成24年7月1日以降の原告と正社員との間の月額の賃金の差は,6万4630円(前 )から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める。 (ウ) 平成24年7月1日以降の損害平成24年7月1日以降の原告と正社員との間の月額の賃金の差は,6万4630円(前記イ(エ)b)であり,同年8月25日から平成25年3月25日までに支払期日の到来する差額(平成24年7月分から平成25年2月分までの賃金の差額)の合計及び各支払期日の翌日から商事法定利率年6分の割合による遅延損害金は,別紙3未払い時間外労働・休日労働手当遅延利息計算書(別紙3未払い時間外労働・休日労働手当遅延利息計算書は,平成25年4月4日付け請求の拡張の訂正申立書の別紙と同じ内容である。)記載のとおりであり,平成25年3月26日の時点における差額の合計は51万7040円,同日までの利息の合計は8923円であり,それらの合計は52万5963円である。また,平成25年4月25日に支払期日の到来する差額(平成25年3月分の賃金の差額)は6万4630円である。 したがって,原告は,被告に対し,不法行為に基づき,平成24年8月25日から平成25年3月25日までに支払期日の到来する差額(平成24年7月から平成25年2月までの賃金の差額)の合計52万5963円及びうち51万7040円に対する平成25年3月27日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による遅延損害金の支払を求め,また,平成25年4月25日限り,同日に支払期日の到来する差額(平成25年3月分の賃金の差額)6万4630円の支払を求める。 (2) 被告の主張原告の主張は争う。 7 争点(7)(パートタイム労働法8条1項に違反したことによる不法行為に基づ く損害賠償請求権の消滅時効)(1) 被告の主張アパートタイム労働法8条1項に違反したことによって不法行為が成 点(7)(パートタイム労働法8条1項に違反したことによる不法行為に基づ く損害賠償請求権の消滅時効)(1) 被告の主張アパートタイム労働法8条1項に違反したことによって不法行為が成立するとすれば,その損害は,通常の労働者の賃金と短時間労働者の賃金の差額である。賃金請求権の消滅時効期間は2年であるから,パートタイム労働法8条1項に違反したことによる不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効も2年と解すべきである。 イ被告は,原告に対し,平成24年10月29日の本件の第1回弁論準備手続期日において,被告作成の同月24日付け第1準備書面を陳述することにより,前記アの2年の消滅時効を援用した。 (2) 原告の主張被告の主張は争う。 8 争点(8)(準社員として3年間勤務した後に正社員として雇用するという約束の有無)(1) 原告の主張原被告間には,原告が準社員として3年間勤務した後に被告が原告を正社員として雇用するという約束があった。 原告は,準社員として3年以上勤務したから,上記の約束に基づき,正規労働者と同一の労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める。 (2) 被告の主張原告の主張は争う。 原被告間には,原告が準社員として3年間勤務した後に被告が原告を正社員として雇用するという約束はなかった。 第4 判断 1 原被告間の雇用関係の実態後掲各証拠によれば,原被告間の雇用関係の実態は,次のとおりであったも のと認められる。 (1) 準社員の労働契約の更新の手続についてア(ア) 労働契約の更新について,準社員就業規則37条には,次のように定められていた(乙11)。 「① 第30条により採用された者と雇用契約を締結する。なお,雇用契約書には契約更新の有無を必ず明示 ア) 労働契約の更新について,準社員就業規則37条には,次のように定められていた(乙11)。 「① 第30条により採用された者と雇用契約を締結する。なお,雇用契約書には契約更新の有無を必ず明示する。 ② 契約期間満了時における契約の更新および退職の判断基準は次による。ただし,第1項により予め雇用契約の更新を行わない旨定めた準社員を除く。 1.契約期間満了時以降の業務量2.勤務成績・勤務態度3.職務遂行能力4.会社の経営状況5.そのほか前各号に準ずる事項③ 前項に基づき契約更新を行う場合は,契約期間満了の前までに本人と面談の上,過去の勤務状況等に基づく新雇用条件を提示し,再契約の有無を確認する。」(イ) 被告の人事労務グループ作成名義の平成24年5月付けの「準社員『就業規則』『賃金規程』の改訂について」(乙28)には,雇用契約期間,契約更新について,次のとおり記載されていた。 「(5)雇用契約期間『4~3月』から『7~6月』に変更します。(2012年7月より実施)・変形労働時間制を,1か月単位から1年単位に変更する際に,起算日を正社員と統一する必要があることから,雇用契約期間を変更するものです。 【注】(NBP 人事労務編より)*契約更新の有無は,契約期間満了時の業務量や勤務成績・能力,会社の経営状況等を考慮して判断するものであり,自動更新ではありません。 *契約更新の際は,必ず面談を実施し,更新の有無とその理由,次回更新時の判断基準を明確に伝えて下さい。 *契約更新に期待を持たせるような言動はしないで下さい。」(乙28の7頁)(ウ) 契約更新について,原被告間の,平成16年10月15日ないし平成17年4月14日を期間とする労働契約の契約書(乙1),には 新に期待を持たせるような言動はしないで下さい。」(乙28の7頁)(ウ) 契約更新について,原被告間の,平成16年10月15日ないし平成17年4月14日を期間とする労働契約の契約書(乙1),には,「雇用契約については,上記契約期間満了をもって終了とする。」と記載されており,平成18年4月1日以降の各1年を期間とする労働契約の契約書(乙2ないし8)には,「契約更新の有無については,契約期間満了時の業務量,乙の勤務成績・能力,会社の経営状況等を考慮のうえ,決定する。」(上記の「乙」とは,原告を指す。)と記載されていた。 イ(ア) 前記ア(イ) の被告の人事労務グループ作成名義の平成24年5月付けの「準社員『就業規則』『賃金規程』の改訂について」(乙28)は,その作成日付及び内容からすると,平成24年7月1日の準社員就業規則,準社員賃金規程の変更に備えて作成されたものと認められ,そこに契約更新に当たっての注意事項等が記載されていたとしても,それより前の平成18年4月1日以降の原被告間の労働契約の更新の際に面談や説明が行われていたことを裏付けるとはいえない。 (イ) 被告の人事労務グループの副部長であるEは,その証言において,各事業所に対し,契約更新に当たり面接をするように指示し,その指示が遵守されているとの認識である旨述べるが(証人E〔6,7頁〕),その根拠として,事業所監査において事業所長に確認をしていることを挙げ るのみであり(証人E〔7頁〕),契約更新をした従業員に対して面接の有無を確認するなどの裏付け調査を行ったとは認められないから(証人E〔22頁〕),Eの上記証言によって,契約更新に際して面接が行われていることが立証されるとはいえない。 (ウ) また,Cは,その証言において,契約更新の際に,毎回,「契約更新の有無 いから(証人E〔22頁〕),Eの上記証言によって,契約更新に際して面接が行われていることが立証されるとはいえない。 (ウ) また,Cは,その証言において,契約更新の際に,毎回,「契約更新の有無については,契約期間満了時の業務量,乙の勤務成績・能力,会社の経営状況等を考慮のうえ,決定する。」との契約書記載の事項(前記ア(ウ))を従業員に説明すると述べる(証人C〔6,7頁〕)。 しかし,原告は,その本人尋問(原告本人〔前半10,11頁,後半10,33頁〕)において,契約更新の際に面接があったことを否定している上,証人Cの証言によっても,「正直言いまして,今の職場は,移転後はしっかりした会議室がありますので,以前の職場の場合,しっかりとした会議室というのがありませんでしたので,従業員控室で,ちょっと座りなさいといって座らせて対面で話するのが主です。だけど,準社員の中には,済みません,ちょっと忙しいんですよという人もいますので,立ち話でしながら,こうこうこうと。でも幾ら立ち話しでも給与の問題と,それから期間の問題,期間の途中で場合によっては相談することもあると,これは,必ず言うようにしております。」(証人C〔7頁〕)というのであり,面接の予告もせず,十分な時間も確保せず,いきなり従業員に対し,期間の限定について述べるというのであり,その説明の内容も,期間の途中で場合によっては相談することもあるという,必ずしも内容が明確でない説明をしているというにとどまっており,仮に上記のCの証言のように従業員に説明をしていたとしても,労働期間の制限があることについて従業員の理解を得られるような説明をしていたとは認められない。 (エ) したがって,就業規則に,契約更新の際に面談すべきことが記載され ていたとしても(前記ア(ア)),原告の労 ことについて従業員の理解を得られるような説明をしていたとは認められない。 (エ) したがって,就業規則に,契約更新の際に面談すべきことが記載され ていたとしても(前記ア(ア)),原告の労働契約の更新に際して必ず面接が行われていたとは認められない。また,準社員の労働契約の契約書に,契約更新の有無について考慮すべき事由が記載されており(前記ア(ウ)),仮に何らかの形により面接が行われたとしても,前記(ウ)のとおり,労働期間の制限があることについて従業員の理解を得られるような説明をしていたとは認められない。 (2) 準社員の更新拒絶の件数について準社員ドライバーの有期労働契約についての更新拒絶の件数(更新拒絶された者の人数)は,別紙4(別紙4は,乙16の3枚目と同じ内容である。)のとおりであり,全国でも少なく,大分事業所では平成19年ないし平成24年の6年間に2件(2人)あったのみであった。別紙1に示された正社員以外の社員(シニア社員,準社員,パート社員)のうちでは,準社員が大きな割合を占めていたものと推認され,その準社員の総数と比べると,更新拒絶された者の割合は少なかったものと認められる。実際には,ほとんどの準社員が契約を更新していた(証人E〔19ないし21頁〕,証人C〔23頁〕)。 (3) 転勤,役職への任命等の点における正社員と準社員の差の有無についてア転勤,役職への任命等(ア) 転勤・出向a 正社員就業規則40条1項は「会社は,業務のつごうにより社員に就業の場所または従事する業務の変更を命ずることがある。」と定め,同条2項は「前項の場合,本人の意志を努めて考慮するが,正当な理由がないときはこれを拒むことができない。」と定めている(乙10)。 また,正社員就業規則47条1項は「会社は,業務のつごうにより社 め,同条2項は「前項の場合,本人の意志を努めて考慮するが,正当な理由がないときはこれを拒むことができない。」と定めている(乙10)。 また,正社員就業規則47条1項は「会社は,業務のつごうにより社員を関連会社に出向させることがある。」と定め,同条2項は「前項の場合,本人の意志を努めて考慮するが,正当な理由がないときは,これを拒むことができない。」と定めている(乙10)。正社員就業規則 3条によれば,正社員就業規則のうち準社員に適用されるのは,第5章(安全および衛生),第6章(災害補償)のみであり,上記の40条,47条が規定されている第4章(人事)は準社員には適用されず,正社員に適用される(乙10)。 他方,準社員就業規則38条は「会社は,準社員に転居を必要とする就業場所の変更を命ずることはない。」と定め,準社員就業規則39条は「会社は,準社員に転居を必要とする関係会社等への出向を命じることはない。」と定める(乙11)。 b 正社員ドライバーの転勤・出向の実績は,別紙5(別紙5は乙16の2枚目と同じ内容である。)のとおりであった(乙16,証人E〔6,30頁〕)。これによれば,全国で,管外転勤は,平成18年2名,平成19年3名,平成20年3名,平成22年2名であり,いずれも九州管外における異動であった。他社出向は,平成21年に5名あった他はなかった。そして,九州管内の異動は,平成10年8名,平成11年11名,平成12年14名,平成13年9名で,これらの理由は,いずれもドライバー余剰のためであり,平成14年以降,九州管内では転勤・出向はなかった。 なお,上記の別紙5の記載以外には,北海道で平成24年10月1日付けの転勤(同年9月26日通知)があり(乙22),関東支店管内で,出向先から戻る同年2月1日付け(同年1月31日 ・出向はなかった。 なお,上記の別紙5の記載以外には,北海道で平成24年10月1日付けの転勤(同年9月26日通知)があり(乙22),関東支店管内で,出向先から戻る同年2月1日付け(同年1月31日通知),及び同年5月1日付け(同年4月27日通知)の異動があった(乙23,24)。別紙1に示された正社員ドライバーの総数と比べると,転勤,出向をした者の数は少なかったものと認められる。 他方,準社員には,転勤・出向した者はいなかった(証人E〔2,3頁〕)。 (イ) チーフ,グループ長,運行管理者,運行管理補助者への任命 a 被告において,グループ長は,5ないし7名の運転手からなるグループの責任者であり,チーフは,複数のグループ長を監督する立場にある(乙20,21,証人E〔11,12頁〕,証人C〔19頁〕)。 運行管理者は,貨物自動車運送事業法に基づき,一般貨物自動車運送事業者が,事業用自動車の運行の安全の確保に関する業務を行わせるため,選任を義務づけられているものであり,運行管理者の選任,解任は,国土交通大臣に届け出なければならないとされている(貨物自動車運送事業法18条)。 運行管理補助者は,運行管理者の履行補助者であり,点呼に関する業務の一部などを行うことができるが,選任,解任について監督官庁への届出は必要ない(乙17)。 b(a) 被告の準社員賃金規程には,準社員がチーフ,グループ長になった場合の職務手当,準社員が運行管理者,整備管理者,毒物・劇物取扱主任者,自動車整備主任者等の法規管理者になった場合の法規管理者手当を定めた規定があったが(乙13の4条,5条),平成24年7月1日の準社員賃金規程の変更の際に削除された(乙31,証人E〔13頁〕)。 (b) 被告においては,平成20年4月1日以前は,準社員の労 を定めた規定があったが(乙13の4条,5条),平成24年7月1日の準社員賃金規程の変更の際に削除された(乙31,証人E〔13頁〕)。 (b) 被告においては,平成20年4月1日以前は,準社員の労働条件を定めた準社員就業規則,準社員賃金規程は,各支店で独自に定めて運用管理しており,労働時間や賃金の計算方法等が支店や事業所により異なっていた。そして,1日の所定労働時間が7時間の準社員がおり,準社員がチーフ,グループ長や運行管理者,運行管理補助者(運行管理代務者)に任命されていることもあった。 (c) 平成20年4月1日,準社員就業規則,準社員賃金規程,それらの運用管理を規定上全国統一基準としたが,準社員の就業状況等を考慮し,1日の所定労働時間については当面7時間と8時間を併用 するが順次8時間に統一すること,準社員がチーフ,グループ長や運行管理者となっている場合は速やかに解任することとした。その後,多くの支店・事業所では,全国統一基準による運用管理がされたが,一部の支店・営業所では,1日の所定労働時間が7時間の準社員がおり,準社員がチーフ,グループ長や運行管理者,運行管理補助者を務めていた。 (d) チーフ,グループ長に任命されているドライバーは全国で410名余りいるが,平成24年3月の時点で,準社員のチーフは1名,グループ長は4名存在した。この準社員のチーフは,四日市事業所で定年前からチーフに任命されており,平成18年10月の定年後,シニア社員として再雇用され,平成21年10月,準社員として再雇用されたものであり,平成24年6月末にチーフを解任された。 また,上記グループ長4名は,隠岐事業所1名,福岡事業所2名,鹿児島事業所1名であったが,平成24年7月1日付けでいずれも正社員に登用された。平成24年3月の時点で,運行 月末にチーフを解任された。 また,上記グループ長4名は,隠岐事業所1名,福岡事業所2名,鹿児島事業所1名であったが,平成24年7月1日付けでいずれも正社員に登用された。平成24年3月の時点で,運行管理者に任命されていた準社員はおらず,運行管理補助者に任命されていた準社員は大分事業所に3名存在したが,これらの者は,同年4月7日,同年5月28日,同年6月18日に解任された。平成24年7月1日に準社員就業規則,準社員賃金規程の変更を行い,準社員の1日の所定労働時間を8時間に統一し,全国統一基準の実施を徹底した。 (上記(b)ないし(d)につき,乙18,27,34,35,証人E〔13,14,16,25ないし29,31,32頁〕,証人C〔18,19頁〕,弁論の全趣旨〔被告作成の平成25年3月9日付け第3準備書面〕。 なお,Eは,その証人尋問〔14頁〕において,準社員は運行管理者になれない旨証言するが,上記(a)記載のとおり,被告の準社員 賃金規程には,準社員が運行管理者,整備管理者,毒物・劇物取扱主任者,自動車整備主任者等の法規管理者になった場合の法規管理者手当を定めた規定があったことからすると,従前は,準社員が運行管理者を務める場合があったものと推認される。)イ転勤等,役職への任命等に関する差の有無(ア) 就業規則上,転勤・出向は,正社員にはあるが,準社員にはなく(前記ア(ア)a),実際にも,正社員には転勤・出向の実績はあるが,準社員には,転勤・出向した者がなかった(前記ア(ア)b)。しかし,正社員の転勤自体,少なく,九州管内では,平成14年以降,転勤・出向はなかった(前記ア(ア)b)。 被告の準社員賃金規程には,平成24年7月1日の準社員賃金規程の変更の際に削除されるまで,準社員がチーフ,グループ長になった場合の では,平成14年以降,転勤・出向はなかった(前記ア(ア)b)。 被告の準社員賃金規程には,平成24年7月1日の準社員賃金規程の変更の際に削除されるまで,準社員がチーフ,グループ長になった場合の職務手当を定めた規定があった(前記ア(イ)b(a))。平成20年3月31日までは,準社員をチーフ,グループ長や運行管理者,運行管理補助者に任命することが行われており,同年4月1日以降,準社員について,チーフ,グループ長や運行管理者から解任することとされたが,依然として準社員がチーフ,グループ長や運行管理者に任命されている例があった(前記ア(イ)b(b),(c))。平成24年3月の時点で,運行管理者に任命されていた準社員はいなかったが,運行管理補助者に任命されていた準社員は大分事業所に3名存在した(前記ア(イ)b(d))。運行管理補助者は,運行管理者の履行補助者ではあるが,点呼の一部を行うことができる(前記ア(イ)a)など,事業用自動車の運行の安全の確保に関して重要な業務を担当しているものということができる。 そうすると,正社員と準社員との間には,転勤・出向の点において,大きな差があったとは認められない。また,正社員と準社員は,チーフ,ループ長,運行管理者,運行管理補助者等への任命の点において,平成 20年3月31日までは差はなく,同日の後,準社員のチーフ,グループ長や運行管理者は減少したが,平成24年3月の時点で,運行管理補助者に任命されていた準社員は大分事業所に3名存在したから,チーフ,ループ長,運行管理者,運行管理補助者への任命の有無によって,正社員と準社員の間で,配置の変更の範囲が大きく異なっていたとまではいえない。 (イ) なお,被告は,準社員ドライバーは,正社員ドライバーと異なり,新規業務,事故トラブルへの対応など,緊 よって,正社員と準社員の間で,配置の変更の範囲が大きく異なっていたとまではいえない。 (イ) なお,被告は,準社員ドライバーは,正社員ドライバーと異なり,新規業務,事故トラブルへの対応など,緊急の対処が必要な業務,対外的な交渉が必要な業務には従事しないと主張し(前記第3,5(2)),Eは,その旨証言する(証人E〔3,4,23ないし25頁〕)。 しかし,これらの業務は,その性質に照らすと,営業や庶務を主に担当する支店や事業所の事務職の職責に属するものと解され,正社員ドライバーがそれに関与することがあるとしても,ドライバーという職務上の地位に鑑みれば,責任者を補助する立場で関与するにとどまると解される。また,これらの職務を行うドライバーは,経験が長く交渉等の能力のある者であり,正社員の中でもそのような職務に就く者は少なく(証人E〔23ないし25頁〕,証人C〔25頁〕),ドライバーがそのような業務に関与する頻度も明らかでないことからすると,仮に,ドライバーのうちでそのような業務にかかわる者が正社員のみであったとしても,それをもって,正社員ドライバーと準社員ドライバーの職務内容の相違点として重視することはできない。 (ウ) また,正社員ドライバーの中には,事務職に職系転換して主任,事業所長又は課長に任命された者があるのに対し,準社員には,そのように事務職に職系転換した者はいない(乙45)。しかし,正社員ドライバーの中で事務職に職系転換した者の人数は,全国で,平成15年4名,平成16年2名,平成17年2名,平成19年3名,平成21年3名,平 成23年2名,平成24年1名,平成25年1名であり(乙45),その人数は,正社員ドライバーの総数に比べて非常に少なく,事務職への職系転換は,正社員ドライバーにとってもごく例外的な扱いで 成23年2名,平成24年1名,平成25年1名であり(乙45),その人数は,正社員ドライバーの総数に比べて非常に少なく,事務職への職系転換は,正社員ドライバーにとってもごく例外的な扱いであると認められ,正社員の通常の配置とは認められない。したがって,事務職への転換の点をもって,正社員ドライバーの配置の範囲が準社員ドライバーと異なるとはいえない。 2 争点(1)(期間の定めのない労働契約の終了との同一性,更新の合理的期待)について(1) 原被告間の労働契約は,前記第2,2(2)のとおりであり,期間の定めのある有期労働契約であったが,平成18年4月1日以降,継続して更新されていた。原告の業務は,前記第2,2(3)のとおりであり,正社員の業務と同じであり,原告の労働時間,賃金は,前記第2,2(5)イのとおりであった。そして,準社員就業規則には,準社員の労働契約を更新する際に面談すべきことが記載されていたが,原告の労働契約の更新に際して必ず面接が行われていたとは認められず,また,準社員の労働契約の契約書に,契約更新の有無について考慮すべき事由が記載されており,仮に何らかの形により面接が行われたとしても,労働期間の制限があることについて従業員の理解を得られるような説明をしていたとは認められない(前記1(1)イ(エ))。また,準社員の有期労働契約についての更新拒絶の件数は,少なかった(前記1(2))。そして,正社員と準社員との間には,転勤・出向の点において,大きな差があったとは認められず,チーフ,グループ長,運行管理者,運行管理補助者への任命の有無によって,正社員と準社員の間で,配置の変更の範囲が大きく異なっていたとまではいえない(前記1(3)イ(ア))。さらに,準社員ドライバーが,正社員ドライバーと異なり,緊急の対処が必要な業 の任命の有無によって,正社員と準社員の間で,配置の変更の範囲が大きく異なっていたとまではいえない(前記1(3)イ(ア))。さらに,準社員ドライバーが,正社員ドライバーと異なり,緊急の対処が必要な業務,対外的な交渉が必要な業務に従事しないことは,正社員ドライバーと準社員ドライバーの職務内容の相違点として重視することはできず(前記1(3)イ(イ)),正社員ド ライバーの中には,事務職に職系転換して主任,事業所長又は課長に任命された者があるのに対し,準社員に,そのように事務職に職系転換した者はいないとしても,この点をもって,正社員ドライバーの配置の範囲が準社員ドライバーと異なるとはいえない(前記1(3)イ(ウ))。 (2) 前記(1)のような原被告間の労働契約の実情に鑑みると,原被告間の有期労働契約は,過去に反復して更新されたことがあるものであって,その契約期間の満了時にその有期労働契約を更新しないことによりその有期労働契約を終了させることが,期間の定めのない労働契約を締結している労働者に解雇の意思表示をすることによりその期間の定めのない労働契約を終了させることと社会通念上同視できると認められ(労働契約法19条1号),仮にそうでなくとも,原告において,その有期労働契約の契約期間の満了後にその有期労働契約が更新されるものと期待することについて合理的な理由があるものであると認められる(労働契約法19条2号)。 3 争点(2)(更新拒絶の相当性の有無)について(1) 被告が原告に対して労働契約の更新をしないことを通知した通知書に記載されていた更新拒絶の理由は,「本件訴訟において様々な点において事実と異なる主張をしていること」,「裁判と無関係の第三者である被告の従業員を多数裁判に巻き込んでいること」の2点であり(前記第2,2(8)ア) た更新拒絶の理由は,「本件訴訟において様々な点において事実と異なる主張をしていること」,「裁判と無関係の第三者である被告の従業員を多数裁判に巻き込んでいること」の2点であり(前記第2,2(8)ア),被告は,更新拒絶の理由として,さらに,原告が,交通事故のニュースを見て,被告大分事業所幹部が警戒感を抱かざるを得ないような発言をしたことを主張する(前記第3,2(2)イ)。 (2) 事実と異なる主張をしているとの点についてア(ア) 被告は,原告の「ある親しい正社員から,『大分事業所長から,乙21の4頁6に記載されている内容とほぼ同じ趣旨の陳述書の作成を依頼され,事実と異なるため署名できないと拒否した。』という話を聞いている。」(原告作成の平成25年1月24日付け準備書面の4頁4ないし6 行目)という主張の内容は虚偽であると主張する(前記第3,2(2)ア(ア))。 そして,その理由として,大分事業所のグループ長3名から聴取した内容に基づいて作成した陳述書を,そのうちの1名にはDが示し,そのうちの2名にはCが示して陳述書の作成を求めたところ,3名はいずれも,陳述書の内容は自分達の話したとおりであるが,裁判と原告にかかわりたくないので,裁判所へ提出することは勘弁してほしいと懇請し,DとCは,グループ長が作成した陳述書を裁判所に提出することを断念したと主張する(前記第3,2(2)ア(ア))。Dは,その陳述書(乙32)で同旨を述べ,Cは,その陳述書(乙33),証人尋問(証人C〔11ないし13頁〕)で同旨を述べる。 (イ) これに対し,原告は,Cらから陳述書の作成を依頼されたと述べていた同僚二人のうちの一人からは,「裁判にかかわりたくないから署名押印を断ったと言った。」旨聞いていたが,もう一人からは,「陳述書の内容が事実と異なるから署 らから陳述書の作成を依頼されたと述べていた同僚二人のうちの一人からは,「裁判にかかわりたくないから署名押印を断ったと言った。」旨聞いていたが,もう一人からは,「陳述書の内容が事実と異なるから署名押印できないと言った。」旨聞いていたと主張し(前記第3,2(1)イ),原告本人尋問(原告本人〔前半23ないし26頁,後半25ないし27,34頁〕)でそれに沿う供述をする。 イ(ア) 被告は,前記ア(ア)のとおり,大分事業所のグループ長3名はいずれも,陳述書の内容は自分達の話したとおりであるが,裁判と原告にかかわりたくないので,裁判所へ提出することは勘弁してほしいと懇請したと主張するが,仮にそれが真実であるとしても,その3名が,それと同じことを原告に対して述べたかどうかは明らかではなく,DとCに対してはDとCに迎合することを述べ,原告に対しては原告に迎合することを述べた可能性もある。Cは,その陳述書(乙33〔6頁〕)において,「同僚も,F氏から声を掛けられると,表面上はそれとなくF氏と言葉を交わしたりして大人の対応をしていますが,できるだけ接触しないで,自分に任せられた業務に専念したいというのが,大分事業所で働いている 者の本音です。」と述べるが,原告の同僚の心情がそのようなものであるとすれば,原告に対しては,原告に迎合することを述べた可能性は相当程度あったと考えられる。 このようなことを考慮すると,原告の「ある親しい正社員から,『大分事業所長から,乙21の4頁6に記載されている内容とほぼ同じ趣旨の陳述書の作成を依頼され,事実と異なるため署名できないと拒否した。』という話を聞いている。」との主張の内容が虚偽であると認めるに足りる証拠があるとはいえない。 (イ) また,原告の本件訴訟における主張中に,被告の主張と異なる点があると 署名できないと拒否した。』という話を聞いている。」との主張の内容が虚偽であると認めるに足りる証拠があるとはいえない。 (イ) また,原告の本件訴訟における主張中に,被告の主張と異なる点があるとしても,その故に,原告が事実と異なる主張をしているとはいえない。 そうすると,被告が更新拒絶の理由として主張する「本件訴訟において様々な点において事実と異なる主張をしていること」との事実を認めることはできない。 (3) 被告の従業員を多数裁判に巻き込んでいるとの点について原告は,本件訴訟において,同僚の陳述書(甲18の1ないし8)やアンケート(甲26の1ないし8)を提出しているが,陳述書は作成者の氏名を秘して提出しており,アンケートは無記名であるから,陳述書の作成者やアンケートの回答者が,陳述書やアンケートを作成したことによって不利益を受けるものとは認められない。 その他に,原告が被告の従業員を多数本件訴訟に巻き込んでいる事実は認められない。 したがって,被告が更新拒絶の理由として主張する「裁判と無関係の第三者である被告の従業員を多数裁判に巻き込んでいること」との事実を認めることはできない。 (4) 交通事故のニュースを見て,被告大分事業所幹部が警戒感を抱かざるを得 ないような発言をしたとの点について被告は,原告が,平成24年4月23日に京都府で発生した交通事故(登校中の小学生の列に自動車が突っ込んで小学生等が死傷した事件)のニュースを見て,タンクローリーで突っ込んだらどうなるんだろうと話し,被告大分事業所幹部が警戒感を抱かざるを得ないような発言をし,上司との間の信頼感を損ねたと主張し(前記第3,2(2)イ),Cは,その証人尋問(証人C〔14頁〕)で同旨を述べる。 しかし,原告が「タンクローリーで突っ込んだらどうなるん を得ないような発言をし,上司との間の信頼感を損ねたと主張し(前記第3,2(2)イ),Cは,その証人尋問(証人C〔14頁〕)で同旨を述べる。 しかし,原告が「タンクローリーで突っ込んだらどうなるんだろう」と話したとしても,その意図は,これを聞いただけでは明らかでなく,それが安全性に対する認識の欠如を示すもの又は被告との信頼関係を破壊するものであるとは直ちには認められない。そして,仮にCが原告の上記の発言を聞いて,原告の安全性に対する認識に問題があり,それが,更新拒絶の理由となるほどに被告との信頼関係を破壊すると考えていたのであれば,その直後に,原告に対して安全に関する指導をするなどしたはずであるが,その後にCが原告に対して安全に関する指導などをしたことは窺われないから,そのことに照らすと,Cも,原告の発言によって被告との信頼関係が破壊されるとは考えていなかったものと推認される。このような事実を踏まえると,原告の発言は,安全性に対する認識の欠如を示すもの又は被告との信頼関係を破壊するものであったとは認められず,更新拒絶を裏付ける客観的に合理的な理由の存在を裏付けるものであるとは認められない。 (5) 更新拒絶の相当性被告は,平成25年3月23日,原告に対し,同月31日をもって労働契約を終了し,労働契約の更新をしないことを通知した(前記第2,2(8)ア)のに対し,原告は,平成25年3月25日,上記通知の撤回を求め(前記第2,2(8)イ),原告は,平成25年3月27日,被告に対し,同月25日の上記の撤回の要求は,労働契約法に定められた有期労働契約の更新の申込み である旨を通知した(前記第2,2(8)ウ)から,原告は,契約期間が満了する日までの間に有期労働契約の更新の申込みをしたものと認められる。 そして,被告が更新拒 労働契約の更新の申込み である旨を通知した(前記第2,2(8)ウ)から,原告は,契約期間が満了する日までの間に有期労働契約の更新の申込みをしたものと認められる。 そして,被告が更新拒絶の理由として挙げる「本件訴訟において様々な点において事実と異なる主張をしていること」,「裁判と無関係の第三者である被告の従業員を多数裁判に巻き込んでいること」は,いずれも事実として認めることができない(前記(2),(3))。被告における原告の職務は,石油製品という危険物の輸送であるが,職務の遂行について原告に過誤があったことは認められず(証人C〔33頁〕),本件訴訟における原告及び被告の主張立証の内容,訴訟活動の態様に照らして,原被告間で本件訴訟が係属していることにより,被告における原告その他の従業員による職務遂行の安全が害されるとは認められない。 また,原告が交通事故のニュースを見て,被告大分事業所幹部が警戒感を抱かざるを得ないような発言をしたとの点についても,原告の話は,安全性に対する認識の欠如を示すもの又は被告との信頼関係を破壊するものであったとは認められず,更新拒絶を裏付ける客観的に合理的な理由の存在を裏付けるものであるとは認められない(前記(4))。 したがって,被告が原告による有期労働契約の更新の申込みを拒絶したことは,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められない。 4 争点(3)(労働契約の更新に基づく請求の成否)について(1) 前記3(5)のとおり,被告が原告による有期労働契約の更新の申込みを拒絶したことは,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められないから,被告は,平成25年3月31日までの労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で原告による申込みを承諾したものとみなされ は,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められないから,被告は,平成25年3月31日までの労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で原告による申込みを承諾したものとみなされる。 (2) 地位確認 被告は,原告が労働契約上の地位にあることを争っているから,原告は,労働契約上の地位にあることの確認を求めることができる。 (3) 月額賃金ア基本給前記(1)のとおり,労働契約が更新されたとみなされるが,原告は平成25年4月分以後の賃金の支払を受けていない(弁論の全趣旨)。 賃金の支払日は,毎月末日締め翌月25日払(支払日が休日に当たる場合はその前日)である(乙1ないし8)。 平成25年2月及び3月の基本給は,いずれも16万5270円であることから(甲44,45),同年4月以降の基本給は,月額16万5270円であると認められる。 したがって,原告は,被告に対し,労働契約に基づき,基本給として,平成25年5月25日から本判決確定の日まで,毎月25日限り月16万5270円の割合による金員の支払を求めることができる。 イ手当等平成25年3月分まで,原告に支給されていた月額賃金には,基本給(基本月額)の他,通勤手当,トレーラー手当,無事故表彰金,時間外手当(普通残業手当,深夜作業手当)が含まれていた(甲44,45)。 これらのうち,通勤手当は,その支給の根拠である準社員賃金規程12条(乙13)が,実際に通勤に要する費用に応じて支給額を定めていることから,通勤に要した実費を補償するものであると認められる。トレーラー手当は,その支給の根拠である準社員賃金規程6条(乙13)により,トレーラー車に乗務した場合1日(暦日)につき600円と定められているから,実際にトレーラーの運転に のであると認められる。トレーラー手当は,その支給の根拠である準社員賃金規程6条(乙13)により,トレーラー車に乗務した場合1日(暦日)につき600円と定められているから,実際にトレーラーの運転に従事したことに対して支給されるものと認められる。無事故表彰金は,その性質に照らし,実際に無事故であったことを表彰するために支給されるものと認められる。したがって,上記 の通勤手当,トレーラー手当,無事故表彰金は,更新拒絶がされて実際に就労していない期間については請求できないものと解される。 時間外手当は,準社員就業規則12条が「会社は業務のつごうにより,必要があるときは,就業時間外あるいは休日に勤務させることがある。」(乙11)と定めていることから,原告が被告から時間外勤務を命じられて現実に就労した場合に発生するものであると認められるので,更新拒絶がされて実際に就労していない期間については請求できないものと解される。 ウ賞与平成25年4月1日以降,原告に賞与を支給するとの査定がされたことは認められないから,原告は,賞与を請求することはできない。 エ慰謝料更新拒絶の経緯は前記第2,2(8)のとおりであり,前記3(5)のとおり,被告が原告による有期労働契約の更新の申込みを拒絶したことは,客観的に合理的な理由を欠き,社会通念上相当であるとは認められず,違法であると認められる。そして,①原告は,職務の遂行について過誤があったとは認められないこと(証人C〔33頁〕),②被告は,更新拒絶の理由として,本件訴訟における原告の主張や訴訟活動に関連することを含めた事情を主張するが,更新拒絶の理由として主張したことは事実として認められないこと(前記3(1)ないし(3)),③被告は,原告との間の本件訴訟を追行中に,本件訴訟における原告の に関連することを含めた事情を主張するが,更新拒絶の理由として主張したことは事実として認められないこと(前記3(1)ないし(3)),③被告は,原告との間の本件訴訟を追行中に,本件訴訟における原告の主張や訴訟活動に関連することを理由として更新拒絶しており,更新拒絶をするに当たって弁護士等の法律専門家の助言を得ようとすれば容易に得られたにもかかわらず,そのような助言を得た上で更新拒絶を行った形跡は窺われないこと,なども考慮すると,違法な更新拒絶を行うにつき,被告には故意又は少なくとも過失があったものと認められる。そうすると,被告による更新拒絶は不法行為を構成するものと認められる。 被告による違法な更新拒絶により,原告は精神的苦痛を受けたものと認められ,その損害は,雇用契約上の権利を有する地位にあることが確認され,賃金が支払われることによっては賄うことのできないものと解され,その慰謝料は50万円と認めるのが相当である。 したがって,原告は,被告に対し,慰謝料50万円及びこれに対する不法行為時である平成25年3月25日(被告が更新拒絶をした日)(前記第2,2(8))から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 5 争点(4)(平成24年7月1日に変更された就業規則の原告への適用)について被告は,平成24年7月1日,準社員就業規則,準社員賃金規程を変更し,被告の原告以外の準社員は,変更された就業規則,賃金規程に則った新たな雇用契約書に全員署名押印したが,原告は,新たな雇用契約書には署名押印しなかった(前記第2,2(6))。そこで,就業規則の変更が労働契約法10条を充足し,変更された就業規則が原告に適用されるかについて検討する。 (1) 各要件ア必要性被告は,原告がパートタイム かった(前記第2,2(6))。そこで,就業規則の変更が労働契約法10条を充足し,変更された就業規則が原告に適用されるかについて検討する。 (1) 各要件ア必要性被告は,原告がパートタイム労働法8条1項違反を主張して大分労働局長に援助を求め,同法22条に基づいて調停の申請を行い,更に労働審判を申し立てるなどした後に,上記のとおり準社員就業規則,準社員賃金規程を変更したものであるから,被告は,1日の所定労働時間が7時間の準社員がいることはパートタイム労働法に反するとの原告の指摘を受け,これを改めるために,準社員の1日の所定労働時間を,正社員と同じ8時間に統一したものと推認され,就業規則の変更の必要性はあったものと認められる。 イ賃金の変化 (ア) 被告は,労働時間が7時間から8時間に変わる準社員について,1か月の総労働時間を一定にした場合に1か月の総賃金額が変わらないように,準社員就業規則,準社員賃金規程を変更したものと認められる(乙28,証人E〔15.16頁〕)。 (イ)a ところで,準社員就業規則,準社員賃金規程の変更前の原告の1日の所定労働時間は7時間,基本日額は6850円であったから,1日10時間労働したとすると,1日の賃金は1万0519円(6850 円+ 6850 円÷7 時間×1.25×3 時間=1 万0519 円)であったのに対し,変更後の原告の1日の所定労働時間は8時間,基本日額は7870円であったから,1日10時間労働したとすると,1日の賃金は1万0329円(7870 円+7870 円÷8 時間×1.25×2 時間=1 万0329 円)であり,これのみを比べると,変更後は1日の賃金が減少したように見られる。 b しかし,1年の勤務日数も変更されたから,基本日額に1年の勤務日数を乗じた基本給は 5×2 時間=1 万0329 円)であり,これのみを比べると,変更後は1日の賃金が減少したように見られる。 b しかし,1年の勤務日数も変更されたから,基本日額に1年の勤務日数を乗じた基本給は,変更前は199万3350円(6850 円×291日=199 万3350 円)であったのに対し,変更後は203万0460円(7870 円×258 日=203 万0460 円)であり,変更により増額している。時間外労働の長短は景気の動向等によって左右され,それに伴って時間外手当等は増減するが,そのような増減のない基本給が増額されたことは,原告にとって有利な面があるといえる。 また,変更前は,勤務日数が年291日であったのに対し,変更後は勤務日数が年258日で,勤務日数が年33日減少した。この33日において勤務した場合には,変更前であれば,通常の勤務日の賃金しか得られなかったのに対し,変更後は,休日の割増賃金を得ることができる。そして,変更後にも休日勤務があることが認められるから(甲38ないし甲44),変更後においても休日に勤務したことにより その分の割増賃金を得ることができたものと認められる。 変更前の原告の平成23年の1年間の賃金総額は363万5263円(甲3),1か月当たりの賃金は30万2938円(363 万5263 円÷12 か月=30 万2938 円)であり,変更前後を含む平成24年の1年間の賃金総額は353万9713円(甲33),1か月当たりの賃金は29万4976円(353 万9713 円÷12 か月=29 万4976 円)であり,変更後の平成25年1月ないし3月の原告の賃金総額は107万4645円(甲34),1か月当たりの賃金は35万8215円(107 万 4645 円÷3 か月=35 万8215 円)である。1か月当た ,変更後の平成25年1月ないし3月の原告の賃金総額は107万4645円(甲34),1か月当たりの賃金は35万8215円(107 万 4645 円÷3 か月=35 万8215 円)である。1か月当たりの賃金は,平成23年を基準にすれば,平成24年には7962円減額したものの,平成25年には5万5277円増額した。これらの賃金額は時間外手当等を含むものであり,その多寡は,時間外労働の長短等によっても左右されていると考えられるが,これらの原告が実際に得た賃金額に照らしても,準社員就業規則の変更によって原告の賃金が減少したとは認められない。 (ウ) そうすると,前記(イ)aを考慮しても,平成24年7月1日の準社員就業規則,準社員賃金規程の変更によって原告の賃金が減少したと認めることはできない。 ウ手続(ア) 準社員就業規則及び準社員賃金規程の変更については,被告において,平成24年5月9日に2回,同月10日に2回に分けてWeb 会議を開催し,被告本社の人事労務グループの担当者が,全国の支店の管理職,事業所長,主任等108名に対し,説明用の資料を配付し,就業規則,賃金規程の変更の趣旨,経緯,内容等を説明するとともに,事業所長が同様の内容を準社員に直接説明するように指示した。大分事業所では,事業所長であるCと主任であるGが,平成24年5月10日の1回目の Web 会議に参加した。 (乙28,弁論の全趣旨〔被告作成の平成25年3月9日付け第3準備書面〕)(イ) 大分事業所では,会議室において,平成24年5月21日月曜日の午後4時30分から午後5時まで第1回目の説明会が開かれ,8名のドライバーが参加し,平成24年5月22日火曜日の午後4時30分から午後5時まで第2回目の説明会が開かれ,10名のドライバーが参加した。 各説明 30分から午後5時まで第1回目の説明会が開かれ,8名のドライバーが参加し,平成24年5月22日火曜日の午後4時30分から午後5時まで第2回目の説明会が開かれ,10名のドライバーが参加した。 各説明会においては,「準社員『就業規則』『賃金規程』の改訂について」(乙28),及び各人宛の「基本日額の変更について」(乙29)の書面を配布し,就業規則,賃金規程の変更の趣旨,内容,所定労働時間の変更に伴う基本日額の変更の考え方が説明された。説明会の最後には質問等が受け付けられたが,質問等はなかった。原告は第2回目の説明会に参加したが,質問等をすることはなかった。説明会の後においても,就業規則,賃金規程の変更について,準社員から質問や意見等はなかった。 (乙28,29,弁論の全趣旨〔被告作成の平成25年3月9日付け第3準備書面〕)(ウ) 被告の人事労務グループは,平成24年6月25日,全国の事業所に対し,準社員就業規則,準社員賃金規程の変更内容を記載した書面を掲示板に2週間掲示して変更の内容及び趣旨を周知するように指示し,大分事業所では,人事労務グループによる指示後約3週間,同書面を掲示板に掲示した。これらの掲示の最中及びその後において,被告に対し,準社員就業規則,準社員賃金規程の変更について質問や苦情等はなかった。 (乙31,弁論の全趣旨〔被告作成の平成25年3月9日付け第3準備書面〕)(2) 変更後の就業規則の適用 前記(1)アないしウの事情に照らすと,被告は,変更後の準社員就業規則,準社員賃金規程を労働者に周知させたものと認められ,準社員就業規則の変更は,労働者の受ける不利益の程度,労働条件の変更の必要性,変更後の就業規則の内容の相当性その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであると認められる。したが められ,準社員就業規則の変更は,労働者の受ける不利益の程度,労働条件の変更の必要性,変更後の就業規則の内容の相当性その他の就業規則の変更に係る事情に照らして合理的なものであると認められる。したがって,原被告間の労働契約の内容である労働条件は,変更後の準社員就業規則に定めるところによるべきものと認められる。 そうすると,平成24年7月1日以後は,変更後の準社員就業規則,準社員賃金規程により,原告の1日の所定労働時間は8時間,勤務日数は年258日,基本日額は7870円となったものと認められる。 6 争点(5)(パートタイム労働法8条1項違反の有無)について(1) 短時間労働者への該当性原告は,平成24年7月1日,準社員就業規則の変更の適用を受け,1日の所定労働時間が,7時間から8時間に変更され,正社員と同じになったから,同日以降は,短時間労働者(パートタイム労働法2条)には該当しなくなったものと認められる。そのため,パートタイム労働法8条1項違反の有無は,平成24年6月30日までについて検討されるべきものと解される。 (2) 通常の労働者と同視すべき短時間労働者への該当性前記2(1)のような原被告間の労働契約の実情に鑑みると,原被告間の労働契約は,反復して更新されることによって期間の定めのない労働契約と同視することが社会通念上相当と認められる期間の定めのある労働契約(パートタイム労働法8条2項)に該当するものと認められる。そして,原告は,「事業の内容及び当該業務に伴う責任の程度(以下「職務の内容」という。)が当該事業所に雇用される通常の労働者と同一の短時間労働者であって,当該事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているもののうち,当該事業所における慣行その他の事情からみて,当該事業主との雇用関係が終了するまで れる通常の労働者と同一の短時間労働者であって,当該事業主と期間の定めのない労働契約を締結しているもののうち,当該事業所における慣行その他の事情からみて,当該事業主との雇用関係が終了するまで の全期間において,その職務の内容及び配置が当該通常の労働者の職務の内容及び配置の変更の範囲と同一の範囲で変更されると見込まれるもの(以下「通常の労働者と同視すべき短時間労働者」という。)」(パートタイム労働法8条1項)に該当したものと認められる。 (3) 賃金の決定その他の待遇についての差別的取扱いの有無ア賞与額原告を含む準社員は,毎年6月30日と12月31日に各7万5000円の賞与が支給され,年間賞与額は15万円である(甲5,原告本人〔前半15頁〕)。他方,原告が平成21年4月1日に正社員に登用されたとした場合に受領し得る年間賞与額は,平成21年は55万0305円,平成22年は55万1287円,平成23年は55万3525円,平成24年は58万9609円であり(弁論の全趣旨〔被告作成の平成25年6月24日付け第6準備書面〕),準社員の年間賞与額15万円とは40万円以上の差があることが認められる。そのため,この点において,準社員は,賃金の決定について,正社員と比較して差別的取扱いを受けているものと認められる。 前記(2)のとおり,原告は,通常の労働者と同視すべき短時間労働者に該当すると認められ,年間賞与額について正社員と準社員に40万円を超える差を設けることについて合理的な理由があるとは認められず,このような差別的取扱いは,短時間労働者であることを理由として行われているものと認められる。 イ週休日正社員,準社員のいずれについても,休日は,就業規則により,日曜日,年末年始(12月31日ないし1月3日),国民の祝日,週休日と であることを理由として行われているものと認められる。 イ週休日正社員,準社員のいずれについても,休日は,就業規則により,日曜日,年末年始(12月31日ないし1月3日),国民の祝日,週休日とされている(乙10の14条,乙11の11条)。しかし,週休日の日数が,平成23年7月1日から平成24年6月30日までにおいて,正社員は39日で あるのに対し,準社員は6日であり,30日を超える差がある(乙10の14条,乙11の11条)。 この差の日数について,準社員が勤務した場合は通常の賃金しか得られないのに対し,正社員が勤務すれば時間外の割増賃金を得ることができるから,この点において,準社員は,賃金の決定について,正社員と比較して差別的取扱いを受けているものと認められる。 前記(2)のとおり,原告は,通常の労働者と同視すべき短時間労働者に該当すると認められ,週休日の日数について正社員と準社員に差を設けることについて合理的な理由があるとは認められず,このような差別的取扱いは,短時間労働者であることを理由として行われているものと認められる。 ウ退職金正社員には退職金が支給されるのに対し(乙10の34条),準社員には退職金が支給されず(乙11の29条),このような差を設けることについて合理的な理由があるとは認められず,この点において,準社員は,賃金の決定について,正社員と比較して差別的取扱いを受けているものと認められる。 前記(2)のとおり,原告は,通常の労働者と同視すべき短時間労働者に該当すると認められ,退職金を正社員に支給し,準社員に支給しないことについて合理的な理由があるとは認められず,このような差別的取扱いは,短時間労働者であることを理由として行われているものと認められる。 (4) パートタイム労働法8条1項への違反 員に支給しないことについて合理的な理由があるとは認められず,このような差別的取扱いは,短時間労働者であることを理由として行われているものと認められる。 (4) パートタイム労働法8条1項への違反以上によれば,正社員と準社員である原告の間で,賞与額が大幅に異なる点,週休日の日数が異なる点,退職金の支給の有無が異なる点は,通常の労働者と同視すべき短時間労働者について,短時間労働者であることを理由として賃金の決定その他の処遇について差別的取扱いをしたものとして,パートタイム労働法8条1項に違反するものと認められる。 7 争点(6)(パートタイム労働法8条1項に基づく請求の成否)について(1) 正規労働者と同一の地位にあることの確認原告は,パートタイム労働法8条1項に基づいて,原告が被告の正規労働者と同一の労働契約上の権利を有する地位にあることの確認,原告が,賃金の決定,教育訓練の実施,福利厚生施設の利用その他の待遇について,被告の正規労働者と同一の待遇を受ける労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を請求する。 しかし,上記の確認の対象である権利義務の内容は明らかではない上,パートタイム労働法8条1項は差別的取扱いの禁止を定めているものであり,同項に基づいて正規労働者と同一の待遇を受ける労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求めることはできないと解されるから,上記の地位確認の請求はいずれも理由がないものと解される。 なお,原告は,平成24年7月1日から,変更後の準社員就業規則,準社員賃金規程の適用を受け,1日の所定労働時間が正社員と同じ8時間となり,1年の勤務日数も正社員と同じ258日となったから(前記5(2)),パートタイム労働法2条の短時間労働者に該当しなくなったものと認められ,平成24年7月1日 所定労働時間が正社員と同じ8時間となり,1年の勤務日数も正社員と同じ258日となったから(前記5(2)),パートタイム労働法2条の短時間労働者に該当しなくなったものと認められ,平成24年7月1日以降については,同法8条1項の適用の前提を欠くことになり,この点からも,同項に基づく地位確認の請求はできない。 したがって,原告の上記地位確認の請求は,いずれも理由がない。 (2) 損害賠償アパートタイム労働法8条1項に違反する不法行為パートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いは不法行為を構成するものと認められ,原告は,被告に対し,その損害賠償を請求することができる。 (ア) 平成21年4月1日から平成24年3月31日までの賃金等の差額a 賞与の差額 前記6(3)アのとおり,原告は,その年間賞与額が正社員に比べて40万円少ない点において差別的取扱いを受けており,それによる損害は,平成21年4月1日から平成24年3月31日までの3年間における賞与額の差の合計120万円(40 万円×3 年=120 万円)であると認められる。 b 休日の割増分の差額前記6(3)イのとおり,原告は,週休日の日数が正社員に比べて少ない点において差別的取扱いを受けている。 平成21年4月1日から平成24年3月31日までの各年の正社員,準社員の週休日の日数及びその差は,次のとおり認められる(乙10,乙11,弁論の全趣旨〔被告平成25年1月28日付け第2準備書面5頁〕)。 平成21年4月1日ないし平成22年3月31日正社員37日,準社員8日,差29日平成22年4月1日ないし平成23年3月31日正社員37日,準社員7日,差30日平成23年4月1日ないし平成24年3月31日正社員39日,準社員7日,差32日上記に 員8日,差29日平成22年4月1日ないし平成23年3月31日正社員37日,準社員7日,差30日平成23年4月1日ないし平成24年3月31日正社員39日,準社員7日,差32日上記によれば,差の合計は91日(29 日+30 日+32 日=91 日)と認められる。 週休日は,法定外休日であるから,その割増率は0.25である。 そして,原告の賃金の基本日額は6850円であった(前記第2,2(5)イ)。 そうすると,原告が準社員であることにより週休日が少ないことによって被った割増分の損害の額は,15万5837円(6850 円×0.25×91 日=15 万5837 円)であると認められる。 c 合計賞与の差額(前記a)と休日の割増分の差額(前記b)の合計は135万5837円(120 万円+15 万5837 円=135 万5837 円)である。 (イ) 平成24年4月1日から同年6月30日までの賃金の差額a 賞与の差額前記6(3)アのとおり,原告は,その年間賞与額が正社員に比べて40万円少ない点において差別的取扱いを受けており,平成24年4月1日から同6月30日までの3か月間における賞与額の差は9万9999円(40 万円÷12 か月×3 か月=9 万9999 円)であると認められる。 b 休日の割増分の差額平成21年4月1日から平成24年3月31日までの3年間の,正社員と準社員の週休日の差は合計91日であったから(前記(ア)b),1か月当たりの週休日の差は2.5278日(91 日÷3 年÷12 か月=2.5278 日)である。そうすると,1か月当たりの割増分の損害の額は,4328円(6850 円×0.25×2.5278 日=4328 円)であると認められる。 したがって,平成24年4月1日か .5278 日)である。そうすると,1か月当たりの割増分の損害の額は,4328円(6850 円×0.25×2.5278 日=4328 円)であると認められる。 したがって,平成24年4月1日から同年6月30日までの3か月の割増分の損害の額は,1万2984円(4328 円×3 か月=1 万2984円)であると認められる。 c 合計賞与の差額(前記a)と休日の割増分の差額(前記b)の合計は11万2983円(9 万9999 円+1 万2984 円=11 万2983 円)である。 (ウ) 平成24年7月1日以降の賃金の差額前記6(1)のとおり,原告は,平成24年7月1日からパートタイム労 働法2条の短時間労働者に該当しなくなったものと認められるから,平成24年7月1日以降については,同法8条1項の適用の前提を欠くことになり,同項に違反したことを理由とする不法行為は成立しないものと解される。 (エ) 退職金を支給しないことによる損害なお,前記6(3)ウのとおり,準社員である原告は,退職金の支給を受けられない点で,退職金の支給を受けられる正社員に比べて差別的取扱いを受けているが,原告は,被告からの退職を主張しておらず,前記4(1)のとおり,被告は,平成25年3月31日までの労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で原告による申込みを承諾したものとみなされ,原被告間には労働契約が存在するものとみなされるから,退職金を支給しないことによる損害は認められない。 (オ) 慰謝料被告によるパートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いの内容は前記6(3)のとおりであり,金銭賠償によってその損害は回復されるものと認められ,慰謝料は認められない。 (カ) 弁護士費用前記(ア)cの135万5837円と前記(イ)cの11 取扱いの内容は前記6(3)のとおりであり,金銭賠償によってその損害は回復されるものと認められ,慰謝料は認められない。 (カ) 弁護士費用前記(ア)cの135万5837円と前記(イ)cの11万2983円の合計は146万8820円であり,この金額を考慮すると,パートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いによる不法行為と相当因果関係にある損害としての弁護士費用は14万円と認めるのが相当である。 (キ) 遅延損害金を含めた認容額a 原告は,平成21年4月1日から平成24年3月31日までの損害については,同日までの賃金の支払期日(平成24年4月25日)の後であり不法行為の後である平成24年9月19日(訴状に代わる準備書面送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合に よる遅延損害金の支払を求めているから(前記第3,6(1)ウ(ア)),原告は,被告に対し,不法行為に基づき,前記(ア)cの135万5837円及びこれに対する平成24年9月19日(訴状に代わる準備書面送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 b 原告は,平成24年4月1日から同年6月30日までの損害については,同日までの賃金の支払期日(平成24年7月25日)の後であり不法行為の後である平成25年9月25日(平成25年9月19日付け請求の拡張申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めているから(前記第3,6(1)ウ(イ)),原告は,被告に対し,不法行為に基づき,前記(イ)cの11万2983円及びこれに対する平成25年9月25日(平成25年9月19日付け請求の拡張申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払 基づき,前記(イ)cの11万2983円及びこれに対する平成25年9月25日(平成25年9月19日付け請求の拡張申立書の送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 c パートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いによる不法行為は同年6月30日までであったと認められ(前記(イ)),その不法行為と相当因果関係にある損害としての弁護士費用については,平成24年9月19日からの遅延損害金が請求されているから(前記第3,6(1)ウ(ア)),同弁護士費用14万円(前記(カ))については,前記aと同様に,不法行為の後である平成24年9月19日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求めることができる。 d したがって,パートタイム労働法8条1項に違反する差別的取扱いによる不法行為に基づく損害賠償の認容額は,前記(ア)cの135万5837円と前記(カ)の14万円の合計149万5837円及びこれに 対する平成24年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員,並びに11万2983円及びこれに対する平成25年9月25日から支払済みまで年5分の割合による金員となる。 イ労働契約法20条に違反する不法行為(ア) 原告は,労働契約法20条に違反する不法行為も主張しているところ(前記第2,1),期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止を定めた労働契約法20条は,その違反が不法行為を構成すると解されるが,その施行日は平成25年4月1日であるから,同条の違反に関しては,同日後の不法行為及び損害の成否が検討されるべきである。 (イ) 原告により労働契約法20条違反の損害として主張されている平成25年4月1日以降の損害は,原告の,平成24年7月1日以降の賃 しては,同日後の不法行為及び損害の成否が検討されるべきである。 (イ) 原告により労働契約法20条違反の損害として主張されている平成25年4月1日以降の損害は,原告の,平成24年7月1日以降の賃金の差額の主張(前記第3,6(1)イ(エ))に含まれているものと解される。 原告は,平成24年7月1日以降の賃金の差額を算出するに当たり,同日の準社員就業規則,準社員賃金規程の変更による原告の賃金の減少を主張するが(前記第3,6(1)イ(エ)a),前記5(1)イ(ウ)のとおり,その変更によって原告の賃金が減少したと認めることはできないから,その点に係る原告主張の損害は,認めることができない。 また,原告は,平成24年7月1日以降の賃金等の差額を算出するに当たり,準社員と正社員の年間賞与額の差を主張するが(前記第3,6(1)イ(エ)b),労働契約法20条が施行された平成25年4月1日以降の賞与については,支給の査定が行われていないから,原告は,被告に対して賞与を求める権利はなく,平成25年4月1日以降の賞与の差額について損害が生じているとは認められない。 (ウ) そうすると,労働契約法20条の施行日である平成25年4月1日以降について,原告主張の損害が発生しているとは認められず,労働契約法20条に違反する不法行為に基づく損害賠償請求は理由がない。 8 争点(7)(パートタイム労働法8条1項に違反したことによる不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効)について被告は,パートタイム労働法8条1項に違反したことによって不法行為が成立するとすれば,その損害は,通常の労働者の賃金と短時間労働者の賃金の差額であるとした上で,賃金請求権の消滅時効期間は2年であるから,パートタイム労働法8条1項に違反したことによる不法行為に基づく損害賠償請 すれば,その損害は,通常の労働者の賃金と短時間労働者の賃金の差額であるとした上で,賃金請求権の消滅時効期間は2年であるから,パートタイム労働法8条1項に違反したことによる不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効も2年と解すべきであると主張する(前記第3,7(1))。 しかし,パートタイム労働法8条1項に違反したことによる不法行為に基づく損害の額が賃金の差額と同額となるとしても,不法行為に基づく賠償請求権の消滅時効は,民法724条により3年と解すべきであり,被告の上記主張は,採用することができない。 9 争点(8)(準社員として3年間勤務した後に正社員として雇用するという約束の有無)について(1) 原告は,被告から,準社員として3年勤務した後に正社員として雇用するという説明を受けたと主張し(前記第3,8(1)),原告が同僚の準社員から署名押印を得たと主張する陳述書(甲18の1ないし8)には,その旨記載されており,原告は,その陳述書(甲1)及び本人尋問(原告本人〔前半3,4頁,後半2頁〕)において,同旨を述べる。 (2) しかし,原告提出の陳述書(甲18の1ないし8)は,「私が,同社と雇用契約をする際にも,準社員で3年経過すれば,正社員になれるという説明は,受けていました。」と不動文字で記載されており,作成者が住所,氏名を記載し押印するだけのものであり,それによっても,作成者がいつ被告の誰からどのように説明を受けたかは明らかではなく,信用性が高いとはいえない。 また,原告と面接をしたCは,その陳述書(乙14)及び証人尋問(証人C〔2,3頁〕)において,そのような説明をしたことを否定している。 その上,原告が作成して大分労働局長に提出した平成23年11月7日付けの調停申請書(乙9)には,調停を求める事項及びその理由とし 3頁〕)において,そのような説明をしたことを否定している。 その上,原告が作成して大分労働局長に提出した平成23年11月7日付けの調停申請書(乙9)には,調停を求める事項及びその理由として「私は,一年契約の準社員ですが,連続して5年以上働いており,正社員と同待遇にしてほしい。」と記載されており,同調停申請書の別紙には,正社員と同待遇にしてほしい旨の要請が記載されているが,準社員として3年間勤務した後に正社員として雇用するという約束があったことは何ら記載されていない。 準社員として3年間勤務した後に正社員として雇用するという約束があり,正社員と同待遇にしてほしいという強い希望があったのであれば,正社員と同待遇を求めることの根拠として,上記のような約束があったことは当然に主張されるはずであると解されるが,調停申請の際にそのような主張はなかった。このようなことからすると,原告自身も,準社員として3年間勤務した後に正社員として雇用するという約束があったとの認識を有していなかったものと推認される。 したがって,準社員として3年間勤務した後に正社員として雇用するという約束があったとは認められず,そのような約束に基づいて正規労働者と同一の労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を求める原告の請求は,理由がない。 結論 以上によれば,原告の請求は,被告に対し,労働契約上の権利を有する地位にあることの確認を請求すること(前記4(2)),平成25年5月25日から本判決確定の日まで,毎月25日限り月16万5270円の割合による金員の支払を求めること(前記4(3)ア),50万円及びこれに対する平成25年3月25日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求めること(前記4(3)エ),149万5837円及びこれに対する平成 支払を求めること(前記4(3)ア),50万円及びこれに対する平成25年3月25日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求めること(前記4(3)エ),149万5837円及びこれに対する平成24年9月19日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払を求めること(前記7(2)ア(キ)d),11万2983円及びこれに対する平成25年9月25日から支払済みまで年5 分の割合による金員の支払を求めること(前記7(2)ア(キ)d)の限度で理由があるから認容し,その余は理由がないからいずれも棄却する。 大分地方裁判所民事第1部 裁判官中平健

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る