令和6(行ウ)112 拒否処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
令和7年5月15日 大阪地方裁判所
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判決文本文5,080 文字)

令和7年5月15日判決言渡令和6年(行ウ)第112号拒否処分取消等請求事件主文 1 本件訴えを却下する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求 1 大阪市長が令和6年7月5日付けで原告に対してした、大阪市営住宅附帯駐車場使用料減免申請を「手続きすることができません」との処分を取り消す。 2 大阪市長は、原告の減免申請を審査・応答せよ。 第2 事案の概要本件は、原告が、大阪市長に宛てて、別紙1記載の駐車場(以下「本件駐車場」という。)の使用料の減免を求める申請書(以下「本件申請書」という。)を提出したところ、大阪市都市整備局住宅部管理課から、「お手続きすることができませんので、ご返却いたします。」として本件申請書を返却 された(以下「本件措置」という。)ため、被告を相手に、①本件措置の取消しを求めるとともに、②本件申請書による申請(以下「本件申請」という。)について審査・応答することの義務付けを求める事案である。 1 関係法令等の定め①地方自治法、②大阪市営住宅条例(平成9年大阪市条例第39号。以下 「市営住宅条例」という。甲10)、③大阪市営住宅条例施行規則(平成9年大阪市規則第61号。以下「市営住宅規則」という。甲11)、④大阪市財産条例(昭和39年大阪市条例第8号。乙1)、⑤大阪市財産規則(昭和39年大阪市規則第17号。甲16)、⑥公営住宅法及び⑦公営住宅法施行規則の規定のうち、本件に関係するものは、別紙2の1記載のとおりである。 また、⑧大阪市営住宅附帯駐車場使用料の減免及び徴収猶予実施要綱(以下 「使用料減免等要綱」という。甲5)及び⑨市営住宅附帯駐車場を使用した介護者等月極駐車場管理要綱(以下「介護等駐車場要綱」 た、⑧大阪市営住宅附帯駐車場使用料の減免及び徴収猶予実施要綱(以下 「使用料減免等要綱」という。甲5)及び⑨市営住宅附帯駐車場を使用した介護者等月極駐車場管理要綱(以下「介護等駐車場要綱」という。甲8)の定めのうち、本件に関係するものは、別紙2の2記載のとおりである。 2 前提事実(当事者間に争いがないか、掲記の証拠又は弁論の全趣旨により容易に認められる事実。なお、証拠番号は特記なき限り枝番号を含む。) (1) 当事者等原告の実母であるAは、大阪市(住所省略)に所在する市営住宅(市営住宅規則別表第1記載の公営住宅)の入居者であり、原告は、Aの介護等のため、大阪市長の許可を受けて本件駐車場を使用している者である。 (2) 本件駐車場の使用許可処分等 ア原告は、令和5年1月26日付けで、大阪市長に対し、以下のとおり、本件駐車場の使用許可を求める行政財産使用許可申請書を提出した(甲7)。 使用期間令和5年4月1日から令和6年3月31日まで使用目的 Aの介護又は生活援助のための駐車場が必要なため イ大阪市長は、令和5年3月頃、原告に対し、上記アの使用期間につき、地方自治法238条の4第7項に基づき、本件駐車場の使用を許可する旨の行政財産目的外使用許可処分をした。 ウ原告は、令和6年2月20日付けで、大阪市長に対し、引き続き本件駐車場の使用許可を受けるため、使用期間を同年4月1日から令和7年3月 31日までとして、行政財産使用許可申請書(本件申請書)を提出した。 エ大阪市長は、令和6年3月28日付けで、原告に対し、地方自治法238条の4第7項に基づき、以下のとおり本件駐車場の使用を許可する旨の行政財産目的外使用許可処分(以下「本件使用許可処分」という。)をした(甲8)。 用 日付けで、原告に対し、地方自治法238条の4第7項に基づき、以下のとおり本件駐車場の使用を許可する旨の行政財産目的外使用許可処分(以下「本件使用許可処分」という。)をした(甲8)。 用途市営住宅条例53条の3第1項に定める条件を具備しない者 が使用する月極駐車場の用に供するものとする使用期間令和6年4月1日から令和7年3月31日まで(3) 本件申請原告は、令和6年4月30日付けで、大阪市長に宛てて本件申請書を提出し、本件駐車場の使用料の減免を求める旨の本件申請をした。本件申請書 は、使用料減免等要綱が定める市営住宅附帯駐車場使用料減免(更新)申請書(様式第1号)を用いて作成されている。(甲1、5)(4) 本件措置大阪市都市整備局住宅部管理課は、令和6年7月5日付けで、原告に対し、「(本件申請書)につきましては、お手続きすることができませんので、 ご返却いたします。」と記載された書面を交付し、本件申請書を返却した(甲3)。 (5) 本件訴えの提起原告は、令和6年7月24日、本件訴えを提起した(顕著な事実)。 3 本件の本案前の争点及び当事者の主張 本件の本案前の争点は本件措置の処分性であり、この点に関する原告の主張は別紙3記載のとおりであり、被告の主張は別紙4及び5記載のとおりである。 第3 当裁判所の判断 1 公営住宅に附帯する駐車場の使用関係について(1) 公営住宅の使用関係における事業主体と入居者との間の法律関係は、基本 的には私人間の家屋賃貸借関係と異なるところはない(最高裁昭和59年12月13日第一小法廷判決・民集38巻12号1411頁参照)。そして、このことは、公営住宅に附帯する駐車場(公営住宅法2条9号の共同施設としての駐車場〔公営住宅法施行規 ろはない(最高裁昭和59年12月13日第一小法廷判決・民集38巻12号1411頁参照)。そして、このことは、公営住宅に附帯する駐車場(公営住宅法2条9号の共同施設としての駐車場〔公営住宅法施行規則1条6号〕。以下「附帯駐車場」という。)の使用関係における事業主体と使用者との間の法律関係についても同 様というべきであって、その法律関係は、基本的には私人間の土地賃貸借関 係と異なるところはないものと解される。このように解すべきことは、公営住宅法の委任に基づく市営住宅条例が、附帯駐車場の使用関係につき、「賃貸借関係」という用語を用いていること(53条の9第1項)からも明らかである。 (2) 市営住宅条例上、附帯駐車場の使用者資格を有する者は、市営住宅の入居 者又はその同居者(以下「入居者等」という。)に限定されている(53条の3第1項1号)。 他方で、被告(大阪市)は、入居者等以外の者による附帯駐車場の使用について、介護等駐車場要綱を定め、介護の必要など一定の場合に、「(市営住宅条例)53条の3の使用者資格を具備しない者で、要介護等入居者のた めに訪問する親族や介護事業者に対して、地方自治法第238条の4第7項の規定に基づく行政財産の使用許可により駐車場を使用させる」(介護等駐車場要綱1条)という運用を行っている。 この介護等駐車場要綱による附帯駐車場の使用関係は、地方自治法238条の4第7項に基づく行政財産目的外使用許可(行政処分)に基づくもので あり、私法上の賃貸借関係ではなく、地方自治法に基づく公法上の関係である(同条8項参照)。 (3) 市営住宅条例に基づく附帯駐車場の使用については、使用者(入居者等)は、当該附帯駐車場の使用料を納付しなければならない(市営住宅条例53条の9)。ただし、 の関係である(同条8項参照)。 (3) 市営住宅条例に基づく附帯駐車場の使用については、使用者(入居者等)は、当該附帯駐車場の使用料を納付しなければならない(市営住宅条例53条の9)。ただし、大阪市長は、附帯駐車場の使用者が身体障害者であるこ とその他の事由により特に必要があると認めるときは、当該使用者の申請により、使用料を減免することができるものとされており(市営住宅条例53条の12、市営住宅規則28条の8)、使用料の減免等の実施に必要な事項については、使用料減免等要綱に定められている。 他方、介護等駐車場要綱に基づく附帯駐車場の使用についても、上記と同 様、使用許可の相手方(入居者等以外の者)は、当該附帯駐車場の使用料を 納付しなければならない(介護等駐車場要綱12条)。ただし、大阪市長は、原則として当該相手方の申請により、大阪市財産条例7条4項に基づき、使用料の減免をすることができるものとされている(行政財産目的外使用許可等・普通財産貸付に係る減免指針・甲17)。 このように、市営住宅条例に基づく附帯駐車場の使用(入居者等による使 用)の場合と、介護等駐車場要綱に基づく附帯駐車場の使用(入居者等以外の者による使用)の場合とは、使用料の納付義務やその減免等の仕組みにおいて類似するが、前者は私法上の関係(賃貸借関係)であるのに対し、後者は公法上の関係であるということになる。 2 本件措置の処分性 (1) 本件駐車場は公営住宅に附帯する駐車場(附帯駐車場)であるところ、大阪市長が令和6年3月28日付けで原告に対してした本件使用許可処分は、介護等駐車場要綱により、地方自治法238条の4第7項の行政財産目的外使用許可(行政処分)として行われたものである(甲8)。 しかし、本件申請は、使用料減 けで原告に対してした本件使用許可処分は、介護等駐車場要綱により、地方自治法238条の4第7項の行政財産目的外使用許可(行政処分)として行われたものである(甲8)。 しかし、本件申請は、使用料減免等要綱が定める申請書の様式を用いて行 われており、本件申請書の理由欄には、市営住宅条例53条の12第1項所定の減免事由(原告が身体障害者であること)が記載されている(甲1。なお、大阪市財産条例7条4項各号や大阪市財産規則16条の3各号は、身体障害者であることを減免事由として列挙していない。)。しかも、原告は、自身が市営住宅条例53条の12に規定する減免申請書を提出できる者であ ると主張していること(訴状5頁等)も踏まえると、本件申請は、大阪市財産条例7条4項に基づく使用料の減免を求めるものではなく、市営住宅条例53条の12に基づく使用料の減免を求めるものといわざるを得ない。 (2) そうすると、本件申請は、私法上の使用料の減免を求めるものであり、本件申請書を返却する本件措置は、そのような私法上の使用料の減免の求めを 拒否する行為であって、その性質上、行政庁が優越的な地位に立って行うも のではない(公権力性がない)から、行政処分には該当しない。 したがって、本件措置は、行政事件訴訟法3条2項の処分の取消しの訴えの対象となる「処分」に該当しないから、本件措置の取消しの訴えは不適法である。 なお付言するに、原告は、使用料の減免を求めたいのであれば、市営住宅 条例53条の12に基づく使用料の減免を求める方法(本件申請)ではなく、大阪市財産規則16条の3第4号の「特別な理由」があるとして、大阪市財産条例7条4項3号に基づく使用料の減免を求める申請をすべきと考えられる(行政財産目的外使用許可等・普通財産貸付に係る減 はなく、大阪市財産規則16条の3第4号の「特別な理由」があるとして、大阪市財産条例7条4項3号に基づく使用料の減免を求める申請をすべきと考えられる(行政財産目的外使用許可等・普通財産貸付に係る減免指針〔甲17〕参照。ただし、そのような申請により本件駐車場の使用料の減免が実際に認め られるかどうかは、本件訴訟における判断対象ではなく、申請を受けた大阪市長が別途判断すべき問題である。)。 3 義務付けの訴えについて原告は、本件申請をしたにもかかわらず大阪市長が審査や応答をしないとして、行政事件訴訟法37条の3第1項1号に基づき、本件申請に対する審査・ 応答の義務付けの訴えを提起しているものと解される。 しかし、上記2で説示したとおり、本件申請は、私法上の使用料の減免を求めるものといわざるを得ず、これを審査し応答することが「処分」に該当するとはいえないから、当該義務付けの訴えは、義務付けの訴えの対象とならない行為を対象とするものであって、不適法である。 第4 結論よって、本件訴えは不適法であるからこれを却下することとし、主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第7民事部 裁判長裁判官徳地淳 裁判官三木裕之 裁判官中村雅人 (別紙1、別紙2-1、2、別紙3~5省略)

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