令和6年11月12日宣告令和4年(わ)第279号殺人、銃砲刀剣類所持等取締法違反被告事件主文被告人を懲役18年に処する。 未決勾留日数中350日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、A、B及びCと共謀の上、第1 Dを殺害しようと考え、法定の除外事由がないのに、令和2年1月24日午後6時58分頃、不特定若しくは多数の者の用に供される場所である群馬県桐生市(住所省略)駐車場において、前記D(当時51歳)に対し、殺意をもって、所携の自動装てん式拳銃を用いて弾丸2発を発射し、これを同人の胸部及び頭部に命中させるなどし、よって、同日午後8時5分頃、同市(住所省略)所在のE病院において、同人を頭部及び胸腹部への射撃に基づく多臓器損傷からの外傷性ショックにより死亡させて殺害した第2 法定の除外事由がないのに、前記第1記載の日時・場所において、自動装てん式拳銃1丁を、これに適合する実包3発と共に携帯して所持したものである。 (量刑の理由) 1 本件犯行全体について見ると、被告人らは、事前に拳銃等の凶器や、目出し帽、犯行現場へ向かうための車等を用意し、各人の役割分担を決めるなど、被害者を拳銃で殺害するための準備をした上で犯行に及んでおり、計画的な犯行である。 そして、拳銃という殺傷能力の高い凶器を使用し、被害者の胸部を撃った後、さらに近距離から被害者の後頭部を撃って被害者を死亡させており、確実に被害者を殺害する意図で行われたものである。また、住宅街で拳銃を発砲するという近隣住民を巻き込む可能性があった危険な行為であって、一般予防の見地からも厳 しい非難に値する。 本件犯行に至る経緯についてみると、共犯者Aと被害者との間には、本件以前に金銭等のトラブルがあったことは認 性があった危険な行為であって、一般予防の見地からも厳 しい非難に値する。 本件犯行に至る経緯についてみると、共犯者Aと被害者との間には、本件以前に金銭等のトラブルがあったことは認められるが、そもそも暴力団関係者同士のトラブルである上、殺害されるほどの落ち度が被害者にあったともいえず、被告人に対して酌むべき事情とはいえない。 2 被告人の役割についてみると、被告人は、共犯者Aの指示に従って車を運転して実行役の2名を犯行現場付近へ連れて行っている上、拳銃発射役の共犯者に対して拳銃の扱いを助言したり、被害者を待ち伏せする場所を実行役2名とともに考えたりするなどしており、単なる運転手役ではなく、被害者の殺害という計画を実行するために相応の役割を果たしている。 被告人の動機についてみると、被害者が、被告人の所属する暴力団組織の総長を連れ去るなどの無礼な行為をしたことに対する報復が主な動機であり、拳銃を用いて被害者を襲撃する計画であることを分かってもなお、本件を実行することにためらいがなかったことからすると、被告人自身にも本件犯行に対する積極性が認められる上、自分の組織の上位者が無礼な行為をされたら報復するという暴力団的な発想に酌量の余地は全くない。 3 以上の犯情を前提に、被告人の行為に見合った責任の重さを考えると、同種事案(殺人、共犯、銃器類を用いたもの、処断罪と同一又は同種の罪の件数1件)の中で、本件は軽い部類に位置付けられるものではない。 4 加えて、被告人が、近隣住民や被害者の子等に対する謝罪の言葉を述べるものの、被害者に対する謝罪の言葉は一切なく、真摯に反省しているとはいえないことや、累犯前科を含む複数の前科があるにもかかわらず本件犯行を行っており、規範意識が鈍麻しているといわざるを得ないことも考慮すると、長期の 対する謝罪の言葉は一切なく、真摯に反省しているとはいえないことや、累犯前科を含む複数の前科があるにもかかわらず本件犯行を行っており、規範意識が鈍麻しているといわざるを得ないことも考慮すると、長期の実刑は免れないというべきである。 なお、弁護人は、確定裁判に係る前科と同時処理の可能性があったことを被告人に有利に考慮すべきである旨主張するが、被告人が確定裁判に係る前科の裁判 等の際には本件に関する話をせず、本件で勾留された後に初めて本件への関与を認めたという経緯からすると、大きく考慮することはできない。 他方、被告人が本件犯行を認めて捜査に協力したことなど被告人に酌むべき事情もあるので、被告人に対しては主文の刑に処するのが相当であると判断した。 (求刑懲役20年)令和6年11月14日前橋地方裁判所刑事第2部 裁判長裁判官山下博司 裁判官黒田真紀 裁判官小川 梢
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