平成12(ワ)652 売買代金等請求

裁判年月日・裁判所
平成13年11月30日 神戸地方裁判所 尼崎支部
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判決文本文11,298 文字)

判決平成13年11月30日神戸地裁尼崎支部平成12年(ワ)第652号売買代金等請求事件 主文 1 被告は,原告に対し,金152万円及び内金52万円に対する平成12年5月11日から支払済みまで年6分の割合による金員を支払え。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 3 この判決は仮に執行することができる。 事実 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨主文同旨 2 請求の趣旨に対する答弁(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 当事者の主張 1 請求原因(1) ユーポス尼崎店こと訴外Aの責任ア原告は,平成12年2月1日,ユーポス尼崎店ことAとの間で,中古車1台(クライスラー社製グランドチェロキー,以下「本件中古車」という。)を代金100万円で売り渡す旨の売買契約を締結し,これと同時に,Aに対し,本件中古車についての原告の日本信販株式会社(以下「日本信販」という。)に対するローン残債務159万1086円の一括弁済を依頼し,その弁済のための費用として,Aに57万円を交付するとともに,本件中古車の売買代金100万円を上記一括弁済の費用とすることを約した(以下「本件契約」という。)。 原告は,Aに対し,同日,57万円を交付し,前日である同年1月31日,本件中古車を引き渡した。 イところが,Aは,原告から弁済費用として預かった57万円及び売買代金100万円の合計157万円を日本信販に支払わなかった。 ウ本件契約のうち,Aが日本信販に一括弁済するとの部分は準委任契約であり,Aはこれを怠った上,自己のために消費したのであり,債務不履行及び民法647条に基づき,157万円及びこれに かった。 ウ本件契約のうち,Aが日本信販に一括弁済するとの部分は準委任契約であり,Aはこれを怠った上,自己のために消費したのであり,債務不履行及び民法647条に基づき,157万円及びこれに対する消費の日以後の利息支払義務を負う。 (2) 被告の責任(名板貸人としての責任)ア被告は,Aが被告の商号を使用して中古車買取業を営むことを許諾していた。 イ原告は,本件契約当時,Aの店舗(以下「本件店舗」という。)が被告の一支店であると信じており,営業主体は被告であると誤認して,本件契約を締結した。 ウしたがって,被告は,商法23条に基づき,本件契約によりAに生じた債務を連帯して支払う義務がある。 (3) 平成12年3月7日,原告宅の門扉内に現金5万円が投げ入れられることがあり,原告はこれをAによる一部弁済であると理解し,前記57万円のうち5万円の弁済に充当した。 (4) よって,原告は,準委任契約の債務不履行及び民法647条並びに商法23条に基づき,被告に対し,152万円の損害賠償及び内金52万円に対する消費の日の後であることが明らかな平成12年5月11日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による利息の支払を求める。 2 請求原因に対する認否(1) 請求原因(1)ア,イの事実は不知。ただし,特に争わない。 同ウは争う。 (2) 請求原因(2)アの事実は否認する。被告がAに使用を許諾していたのは「ユーポス」という商標にすぎず,「株式会社ユーポス」という被告の商号ではない。 同イの事実は否認する。次の諸事情からすれば,原告は,ユーポス尼崎店ことAが被告の一支店ではなく,独立した営業主体であることを知っていたというべきである。すなわち,①本件店舗は,Aの父の代から「カープラザ塚口」 否認する。次の諸事情からすれば,原告は,ユーポス尼崎店ことAが被告の一支店ではなく,独立した営業主体であることを知っていたというべきである。すなわち,①本件店舗は,Aの父の代から「カープラザ塚口」の屋号で中古車販売店を営んでいたものであり,原告は過去にもAと取引があったこと,②今日,ローソンやセブンイレブン等のコンビニエンスストアをはじめとするフランチャイズの加盟店がそれぞれ独立の営業主体であることは公知の事実であること,③原告は,今回,Aのほかガリバーなど他の中古車買取店も回っているところ,中古車を下取りに出す者にとって中古車買取専門店の大半がフランチャイズシステムであることは周知の事実であること,④本件中古車の売買契約書(甲1)の買主欄には,本件店舗の住所と電話番号,「ユーポス尼崎店」,「代表者A」との記載や,Aの個人印による押印があり,被告の本社の住所や商号,代表取締役の記載などはないこと,⑤原告に交付された領収証(甲4)も,市販の領収証用紙に「ユーポス尼崎店」のゴム印を押したにすぎず,被告の本社の住所等の記載はないこと,⑥原告に交付されたAの名刺(甲5)も,右上に小さく「ユーポス尼崎店」と記載され,その下に大きく「A」と記載されていること,⑦一般に支店の場合であれば,「尼崎支店」と表示され,A自身の役職も「支店長」と表示されるべきであること,⑧本件契約当時,テレビで集中的に放映されていたコマーシャルには,「加盟店募集中」と表示されており,ユーポスがフランチャイズであることが示されていることなどからすれば,原告が,ユーポス尼崎店ことAを被告の一支店であると誤認したということはあり得ない。 同ウは争う。 (3) 請求原因(3)の事実は認める。 3 抗弁(1) 合意解除(請求原因(1)に対して)原告は,平 被告の一支店であると誤認したということはあり得ない。 同ウは争う。 (3) 請求原因(3)の事実は認める。 3 抗弁(1) 合意解除(請求原因(1)に対して)原告は,平成12年2月28日,Aから本件中古車の返還を受け,Aとの間で本件契約を合意解除した。 したがって,Aは,本件契約上の債務を負わない。 (2) 重過失(請求原因(2)に対して)前記2(2)の諸事情に加え,⑨本件店舗の正面には,黄色の看板に赤字で「車買取専門チェーン」と大きく記載されており,チェーンすなわち独立の営業主体の集合体であることが示されていること,⑩店舗内には「認定証」が掲げられており,この記載内容からすれば,本件店舗がA個人の店舗であることが容易に知り得うること,⑪Aが本件契約当時ユーポスから支給されたジャンパーを着ていなかったことなどからすれば,原告が被告を営業主体と誤認したことには重大な過失がある。 (3) 損害拡大防止義務違反原告には,適切な時期に本件中古車を処分して損害の拡大を防止すべき義務があるところ,Aが破産申立てをして本件契約の履行不能が確定したのであるから,損害の拡大を防止すべき時期は到来したといえる。したがって,被告は,それ以降の本件中古車の価値減少分について責任を負わない。 4 抗弁に対する認否(1) 抗弁(1)(合意解除)について原告がAから本件中古車の返還を受けていることは認めるが,その余は否認する。原告が本件中古車の返還を受けたのは,本件契約の履行の担保のためであり,合意解除の趣旨ではない。 (2) 抗弁(2)(重過失)について争う。 (3) 抗弁(3)(損害拡大防止義務違反)について争う。 5 再抗弁(信義則違反-抗弁(2)(重過失)に 解除の趣旨ではない。 (2) 抗弁(2)(重過失)について争う。 (3) 抗弁(3)(損害拡大防止義務違反)について争う。 5 再抗弁(信義則違反-抗弁(2)(重過失)に対して)被告とAとの間のフランチャイズシステムに適用されるべき報償責任や危険責任の法理,本件の外観作出に対する被告の関与の重大性などからすれば,被告が原告の重過失を抗弁として主張することは信義則に反し許されない。 理由 1 Aの責任について(1) 請求原因(1)ア,イの事実は,証拠(甲1,2,4,7,原告本人)及び弁論の全趣旨により認められる。 上記事実によれば,Aは,原告から預かった57万円及び売買代金100万円により,原告の日本信販へのローン残債務を一括弁済する準委任事務を引き受けたが,これを怠ったものであり,債務不履行に基づき原告に生じた損害を賠償する義務を負う。そして,Aが支払不能に陥ったこと(乙4,Aから倒産手続を受任した弁護士の通知)により,Aの受任事務の履行不能が確定しているから,原告には日本信販のローン残債務が消滅しないことによる損害が生じており,157万円の損害をいう原告の主張は相当と認められる。なお,利息支払義務については,証拠(甲2,7,原告本人)によれば,Aは,平成12年2月10日までに日本信販への支払をしなければならなかったが,これを怠り,原告から預かった57万円を自己のために消費したことが認められるから,57万円に対する平成12年2月11日以降の利息支払義務があるものと認められる。 (2) そこで進んで,Aの責任に関する抗弁(1)(合意解除)について検討する。 この抗弁は,Aが債務不履行に陥った後の合意解除を主張するものであるから,Aの損害賠償義務に消長を来すものであるか (2) そこで進んで,Aの責任に関する抗弁(1)(合意解除)について検討する。 この抗弁は,Aが債務不履行に陥った後の合意解除を主張するものであるから,Aの損害賠償義務に消長を来すものであるか疑問なしとしないが,この点をさて措くとしても,合意解除の事実は次のとおりこれを認めるに足りる証拠がない。 すなわち,原告がAから本件中古車の返還を受けたことは当事者間に争いがないところ,証拠(甲2,7,10,原告本人)によれば,Aは,日本信販への一括弁済を怠ったため,平成12年2月28日,本件店舗を訪れた原告から,日本信販への支払をするように求められ,これを約束したこと,その際,原告から,約束どおり日本信販への支払がされるまでは本件中古車を預かると言われ,本件中古車を原告に返還するとともに,念書を差し入れたこと,この念書(甲7)には,日本信販への残債務を平成12年3月3日に支払い,原告にその確認をしてもらい,本件中古車を返してもらう旨の記載があることが認められる。 これらの事実関係からすれば,原告がAから本件中古車の返還を受けたのは,準委任契約上のAの義務の履行を確保する趣旨であったと解されるから,この返還の事実をもって,本件契約が合意解除されたものと評価することはできず,他に本件契約の合意解除を認めるに足りる証拠もない。 以上から,抗弁(1)は理由がない。 (3) そして,請求原因(3)の事実は当事者間に争いがないから,Aには,152万円及び内金52万円に対する消費の日の後である平成12年5月11日から支払済みまで商事法定利率年6分の割合による利息の支払義務が認められる。 2 被告の責任(名板貸人としての責任)について(1) 請求原因(2)ア,イについて検討するに,証拠(甲1,5,10,14,乙1ないし3,5,7,8,11な 割合による利息の支払義務が認められる。 2 被告の責任(名板貸人としての責任)について(1) 請求原因(2)ア,イについて検討するに,証拠(甲1,5,10,14,乙1ないし3,5,7,8,11ないし13(乙5,11につき各枝番を含む),証人B,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア Aは,その父の代から「カープラザ塚口」の屋号で中古車販売店を営んでいたものであり,中古車のオークションを行う大阪南港中古自動車協同組合と取引があった。 イ大阪南港中古自動車協同組合は,平成7年ころ,オークションの関連事業として,中古車買取店のフランチャイズチェーンを展開することになり,子会社である株式会社南港カーシティ(以下「南港カーシティ」という。)を本部として,ユーポスの名称によるフランチャイズチェーンの加盟店を募集するようになった。 ウ Aは,平成8年7月10日,南港カーシティとの間で,加盟店基本契約を締結し,ユーポスの加盟店となった。 この加盟店基本契約書(乙1)には,次のような約定がある。すなわち,南港カーシティは,Aが本契約の条項を守ることを条件として,南港カーシティが定めた商号,商標,マーク等を使用することを許可する(2条),南港カーシティは,Aが営む営業のため加盟店地域を定め,この地域においては他の加盟店の営業を許可しない(3条),Aは独自の店舗装飾,広告などの催事及び広告宣伝を行うことができない,これらは加盟店全体で行う(4条),Aは,店舗の内外装,従業員のユニフォームその他の方式については,南港カーシティの指定のとおり実施しなければならない(9条),契約が終了した場合,Aは商号,商標,マーク等の使用をしてはならず,これらの表示物件は,即時に撤去しなければならない,撤去しない場合は南港カーシテ ィの指定のとおり実施しなければならない(9条),契約が終了した場合,Aは商号,商標,マーク等の使用をしてはならず,これらの表示物件は,即時に撤去しなければならない,撤去しない場合は南港カーシティが強制撤去する(14条)などの定めがある。 また,ユーポス規約書(乙2)には,顧客との契約締結方法や商品の売却方法(6条ないし8条),営業日や営業時間(9条),日報による報告義務(10条),広告宣伝費の分担としての会費の納入義務(14条)などの定めがある。 エ平成11年10月1日,被告が設立され,同年12月1日,南港カーシティは,その代表者を同じくする被告に,ユーポスに関する営業を譲渡した。 なお,被告の商号は「株式会社ユーポス」である。 オ平成12年1月ないし2月ころの本件店舗の外観は,おおむね,次のとおりであった。 ① 店舗建物は平屋建てであり,建物に向かって左側に,高さ4ないし5メートルのポールの上に一辺が2メートル前後の正方形状の看板が取り付けられていた。この看板には,ローマ字の「U」をかたどった赤,緑,青,黄色の配色によるカラフルなマークと,その下に黒字の片仮名で「ユーポス」と記載されていた。この看板は,店舗建物の敷地のうち道路に近い位置に設置され,道路を走行する自動車に相対する向きに立っていた。なお,この看板に「A」の表示はなかった。 ② 店舗建物に向かって右側に,道路と平行した向きで黄色地の看板があり,そこには,赤字で「車買取専門チェーン」,青字で「無料査定 TEL06-○○○-△△××」の記載があった。この看板にも「A」の表示はなかった。 ③ 店舗建物に向かってさらに右側には駐車スペースがあったが,その右端にも,道路を走行する自動車に相対する向きで,高さ2ないし3メートル,幅3ないし4メー この看板にも「A」の表示はなかった。 ③ 店舗建物に向かってさらに右側には駐車スペースがあったが,その右端にも,道路を走行する自動車に相対する向きで,高さ2ないし3メートル,幅3ないし4メートル程度の横長の看板が立っていた。この看板には,青色のローマ字で「UPOHS」,その下に黒字の片仮名で「ユーポス」,さらにその右側に黒字で「尼崎店」との記載があった。この看板にも「A」の表示はなかった。 ④ 店舗建物の内部には,「認定証」が掲示されていた。この「認定証」はA4版の大きさであり,認定証という表題のもと,「カープラザ塚口代表者A殿」,「貴社をユーポス尼崎店として認定致します」,「平成8年7月10日ユーポス本部株式会社南港カーシティ代表取締役C」と記載されていた。 カ原告は,平成12年1月ころ,本件中古車を売却しようと考え,数軒の中古車店を回った後,同月31日,本件店舗を訪れた。その際,応対したAから名刺を渡されたが,その名刺には,左上に,前記オ①のポールの看板と同様のローマ字の「U」をかたどったマークが記載されており,その右に,ゴシック体の太字で「ユーポス尼崎店」,中央に明朝体で「A」,その上に小さく「ショップマネージャー」と記載されていた。また,右下には,本件店舗の住所,電話番号が記載されていた。 なお,この名刺は,被告が作成し,Aにおいて買い取ったものである。 キ原告は,ユーポス尼崎店が本件中古車の買取り価格として最も高い100万円を提示したため,同店に本件中古車を売却することに決め,同日,本件中古車を本件店舗に置いて帰った。 ク翌2月1日,原告は,Aから,電話で,本件中古車についての日本信販のローン残債務が159万余円であり,2万余円はサービスするので,57万円を現金で用意してほしいと言わ 件店舗に置いて帰った。 ク翌2月1日,原告は,Aから,電話で,本件中古車についての日本信販のローン残債務が159万余円であり,2万余円はサービスするので,57万円を現金で用意してほしいと言われ,同日,原告宅を訪れたAに対し,現金57万円を交付するとともに,Aから提示された売買契約書に署名した。この売買契約書(甲1)は,売主欄以外の部分はすでに記入されており,買主欄には,本件店舗の住所,「ユーポス尼崎店」の名称,電話番号が記載され,その右に「ユーポス尼崎店」の角印が押捺されており,さらにその下の担当者欄に「代表者A」の記名印が押され,その右に「A」の三文判が押されていた。 ケなお,Aは,被告に対する会費の不払等があったため,被告から,平成12年1月17日付け内容証明郵便により,同月31日付で加盟店基本契約を解除する旨通知され,同年2月28日,被告の従業員により本件店舗の看板のうち前記オの①及び③が撤去された。 (2) 請求原因(2)ア(商号を使用して営業することの許諾)について上記事実関係によれば,Aは,平成12年1月ないし2月当時,本件店舗の外装において,ポールの上に載せた大きな看板に,ローマ字の「U」をかたどったマークのほか,「ユーポス」の文字を表示し,店舗右端の横長の看板にも,ローマ字の「UPOHS」のほか「ユーポス」の文字を表示して本件店舗を営業していたのであり,原告に渡した名刺においても,上記ポールの看板と同様のマークのほか,ゴシック体の太字で「ユーポス尼崎店」という表示があり,また,本件中古車の売買契約書にも,「ユーポス尼崎店」の名称が用いられていたのである。これらからすれば,Aは「ユーポス」あるいは「ユーポス尼崎店」の名称を使用して中古車店を営んでいたものと認められる。 そして,Aがこのような名称 ユーポス尼崎店」の名称が用いられていたのである。これらからすれば,Aは「ユーポス」あるいは「ユーポス尼崎店」の名称を使用して中古車店を営んでいたものと認められる。 そして,Aがこのような名称を使用するに至った経緯についてみると,名刺については,被告が自ら作成したものであり,また,上記各看板についても,Aと被告との間に引き継がれた加盟店基本契約等の内容(Aは独自の店舗装飾を行うことができず,内外装等は被告の指定のとおり実施しなければならないとされていたことなど),他の加盟店においても同様の看板が設置されていたこと(乙7,証人B),Aと被告との加盟店基本契約の解除後,被告の従業員が上記看板を撤去したことなどに照らせば,これらの看板も被告の指導に基づいて設置されたものと認められる。以上からすれば,被告は,Aが「ユーポス」あるいは「ユーポス尼崎店」の名称を使用して中古車店を営むことを許諾していたものと認められる。 そして,被告の商号は「株式会社ユーポス」であるところ,Aが使用していた「ユーポス」は,被告の商号の固有名称の部分であり,また,「ユーポス尼崎店」という名称は,この固有名称に営業の一部門であることを示す「尼崎店」を付加したものにすぎないから,被告が,Aに対しこれらの名称を使用して営業することを許諾していたことは,被告の商号を使用して営業することを許諾していたことにほかならない。 これに対し,被告は,被告がAに使用を許諾していたのは,「ユーポス」という商標であって,「株式会社ユーポス」の商号ではないと主張する。 しかしながら,商法23条の趣旨が名義人の帰責性を前提として,営業主を誤認して取引した第三者を保護する点にあることからすれば,同条の「自己の商号」とは,営業主を誤認してもやむを得ない程度に類似した名称であれば足 ,商法23条の趣旨が名義人の帰責性を前提として,営業主を誤認して取引した第三者を保護する点にあることからすれば,同条の「自己の商号」とは,営業主を誤認してもやむを得ない程度に類似した名称であれば足り,商号と全く同一であることを要しない。そして,「株式会社ユーポス」という商号のうち,「株式会社」の部分は会社の種類を表示したにすぎず,被告を他と識別するのための商号の主要部分は「ユーポス」という固有名称の部分であるから,「ユーポス」あるいは「ユーポス尼崎店」という名称が被告を営業主と誤認してもやむを得ない程度に類似した名称であることは明らかである。 したがって,この点に関する被告の主張は採用しがたい。 (3) 次に,請求原因(2)イ(原告の誤認)について検討すると,原告は,本件店舗が被告すなわち株式会社ユーポスの一支店であり,営業主体は被告であると信じていたと主張し,原告本人の供述中にもこれに沿う部分がある。そして,前記事実関係によれば,本件店舗を訪れた一般の顧客は,本件店舗がユーポスという営業主体のうち,尼崎の地区を担当する一部門であると考えるのがむしろ自然であるから,原告の上記供述は信用することができる。 これに対し,被告は,前記請求原因に対する認否(2)のとおり,①ないし⑧の諸事情からすれば,原告は,本件店舗が独立した営業主体であることを知っていたというべきであると主張する。 しかしながら,これら諸事情のうち,①については,証拠(甲10,原告本人)によれば,確かに,原告は本件以前にも本件店舗において中古車を下取りに出したことが認められるが,それは平成10年10月であって,Aが南港カーシティとの間で加盟店基本契約を締結し,ユーポスの加盟店となってからすでに2年を経過した後であるから,この当時に1回取引したという事実をもっ 認められるが,それは平成10年10月であって,Aが南港カーシティとの間で加盟店基本契約を締結し,ユーポスの加盟店となってからすでに2年を経過した後であるから,この当時に1回取引したという事実をもって,直ちに,原告が本件店舗の営業主体がAであると認識していたことを基礎付けるものとはいえない。⑦については,いわゆる支店や営業所など営業の一部門であっても,必ずしも「支店」という名称が付加されるとは限らず,むしろ業種によっては,「店」という名称が付加される場合もあるから(例えば,百貨店や大型スーパーなどでは,「○○店」と表示されることが多く,「○○支店」と表示されることはまれである),この点の主張も当を得たものとはいいがたい。そして,⑧については,このテレビコマーシャルは,約15秒間のうち,最初の約12秒間は,電車内の通路に立っているサラリーマン風の男性2人のうち,1人が,「車売るならお電話下さい」と言った後,もう1人の男性の頭髪に息を吹きかけながら「フリーダイヤルはよみろわれ」と言うことを3回繰り返し,その間,下段に白い文字で「0120-○○-××△△」という電話番号が表示され,その後2ないし3秒間,上段に「車買取専門チェーン」,中央に大きく前記ポールの看板と同様の「U」をかとだったマークとその下に黒字で「ユーポス」の文字,下段に青字で「加盟店募集中」と表示され,女性の声で「車売るならユーポス」という音声があるというものである。このように,最初の約12秒間は,問い合わせ先として単一の電話番号が表示されていること,最後の2ないし3秒間の女性の音声も固有名称としては「ユーポス」のみを言うものであることからすると,むしろ営業主体が「ユーポス」であるとの印象を与える面が強く,「車買取専門チェーン」や「加盟店募集中」の文字は,その表示されている時 も固有名称としては「ユーポス」のみを言うものであることからすると,むしろ営業主体が「ユーポス」であるとの印象を与える面が強く,「車買取専門チェーン」や「加盟店募集中」の文字は,その表示されている時間が短い上,表示された位置からして,一般の視聴者には印象に残りにくい。したがって,一般の視聴者の通常の注意力をもって,このテレビコマーシャルを全体としてみても,市中の「ユーポス」の各店舗の営業主体が被告でないことを認識するのは容易でないといわざるを得ない。さらに,②及び③についても,これらが公知あるいは周知の事実であるとは断定しがたい。 その余の④ないし⑥の事情を総合しても,前記認定のような本件店舗の外観等に関する諸事情に加え,看板にはAの名称が記載されていた形跡がないこと,一般の顧客が店舗の営業主体を識別する最も有力な情報源は看板に表示された名称であること,原告が本件中古車を売るために本件店舗を訪れてから,契約書に調印するまでは一両日であり,繰り返し時間をかけて協議を重ねるなどした形跡はなく,契約書の作成手続も比較的短時間で終了したことがうかがわれることからすると,本件店舗の営業主体が被告であると誤認したという原告の前記供述の信用性を否定するのは困難である。したがって,この点の被告の主張が前記認定を左右するものではない。 以上からすれば,請求原因(2)の事実はいずれも認められる。 (3) そこで,さらに抗弁(2)(重過失)について検討するに,この点に関して被告が主張する事情は上記(2)と共通であるほか,前記抗弁(2)の⑨ないし⑪のとおりである。そして,これら諸事情のうち,⑪についてはこれを認めるに足りる証拠がなく,その余の④ないし⑥に⑨及び⑩の事情を総合しても,前記認定の外観等に関する諸事情等のほか,「認定証」についてはこれがA4版の 。そして,これら諸事情のうち,⑪についてはこれを認めるに足りる証拠がなく,その余の④ないし⑥に⑨及び⑩の事情を総合しても,前記認定の外観等に関する諸事情等のほか,「認定証」についてはこれがA4版の大きさで必ずしも顧客の目を引くものとは認めがたいことからすれば,本件契約当時,原告や一般の顧客にとって,本件店舗の営業主体が被告でないことを識別するのが容易であったとは認められず,原告において,営業主体が被告であると誤認したことについて重大な過失があったとは認められない。 (4) 抗弁(3)(損害拡大防止義務違反)についてみると,前記事実関係によれば,原告は,本件契約を解除したとは認められないから,本件中古車を自由に処分しうる地位にはなく,また,証拠(甲2,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,本件中古車には日本信販のために所有権留保が設定されているところ,本件中古車を処分するにはローン残債務を弁済してこの所有権留保を解除する必要があり,一方,本件契約上,ローン残債務を弁済する義務はA及び被告にあったのである。したがって,原告に本件中古車を処分すべき義務があるとは認められず,この点の被告の主張も採用の限りでない。 3 以上によれば,請求原因事実はいずれも認められ,抗弁はいずれも失当である。 よって,原告の本訴請求は理由があるからこれを認容し,訴訟費用につき民訴法61条を,仮執行宣言につき同法259条1項をそれぞれ適用して,主文のとおり判決する。 神戸地方裁判所尼崎支部裁判官吉田純一郎

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