平成17(行ウ)102 納税告知処分等取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年2月29日 大阪地方裁判所
ファイル
hanrei-pdf-36337.txt

判決文本文40,844 文字)

- 1 -主文 A税務署長が平成16年7月9日付けで原告に対してした原告の平成14年6月分の源泉徴収に係る所得税の納税告知処分及び不納付加算税賦課決定処分をいずれも取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実 及び理由第1請求主文1項と同旨第2事案の概要本件は,原告の設置するB高等学校及びB中学校(名称はいずれも当時のもの)の各校長であったC(以下「C」という)が各校長を退職し,原告の設置するD。 大学(名称は当時のもの)の学長に就任するに当たり,原告が同人に対して同高等学校の就業規則及び退職金規程に基づく退職金として4802万1353円(以下「本件金員」という)を支払い,その支払の際,本件金員に係る所得は所得税法。 30条1項にいう「退職所得」に該当するとして所得税を源泉徴収し,これを国に納付したところ,A税務署長が上記所得は同法28条1項にいう「給与所得」に該当するとして原告に対し納税告知及び不納付加算税賦課決定併せて以下本,,(,「件各処分」という)をしたことから,原告が本件各処分の各取消しを求めた取消。 訴訟である。 なお,本判決において,学校教育法は,平成18年法律第80号による改正前の同法を,学校教育法施行規則は,平成18年文部科学省令第11号による改正前の同規則を,教育職員免許法は,平成15年法律第117号による改正前の同法を,私立学校法は,平成16年法律第42号による改正前の同法を,大学設置基準(昭和31年文部省令第28号)は,平成18年文部科学省令第11号による改正前の同基準を,高等学校設置基準(昭和23年文部省令第1号)は,平成16年文部科学省令第20号による廃止前の同基準をさす。 - 2 - 法令の定め等( )所得税法等 ア所得税法28条1項は,給与所得 ,高等学校設置基準(昭和23年文部省令第1号)は,平成16年文部科学省令第20号による廃止前の同基準をさす。 - 2 - 法令の定め等( )所得税法等 ア所得税法28条1項は,給与所得とは,俸給,給料,賃金,歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与に係る所得をいうと規定する。 同法30条1項は,退職所得とは,退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与(以下「退職手当等」という)に係。 る所得をいう旨規定する。 同法は,退職所得の金額は,その年中の退職手当等の収入金額から退職所得控除額を控除した残額の2分の1に相当する金額とする(同法30条2項)とともに,上記退職所得控除額は,政令で定める勤続年数に応じて増加することとして(同条),。 ,3項課税対象額が一般の給与所得に比較して少なくなるようにしているまた同法は,税額の計算についても,他の所得と分離して累進税率を適用することとして(同法22条1項,同法201条,退職手当等に係る税負担の軽減を図ってい)る。 イ所得税基本通達(昭和45年直審(所)第30号)30-1は「退職手当,等とは,本来退職しなかったとしたならば支払われなかったもので,退職したことに基因して一時に支払われることとなった給与をいう。したがって,退職に際し又は退職後に使用者等から支払われる給与で,その支払金額の計算基準等からみて,他の引き続き勤務している者に支払われる賞与等と同性質であるものは,退職手当等に該当しないことに留意する」とし,同通達30-2は「引き続き勤務する役。 ,員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち,次に掲げるものでその給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条 役。 ,員又は使用人に対し退職手当等として一時に支払われる給与のうち,次に掲げるものでその給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われるものは,30-1にかかわらず,退職手当等とする」とするところ,同通達30-2が引き続き勤務す。 る者に支払われる給与で退職手当等とするものとして掲げるものは,別紙1のとおりである。 - 3 -( )学校教育法及び私立学校法等 ア(ア)学校教育法35条は,中学校は,小学校における教育の基礎の上に,心,,,身の発達に応じて中等普通教育を施すことを目的とすると規定し同法41条は高等学校は,中学校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とすると規定する。 同法40条によって中学校に,同法51条によって高等学校に,それぞれ準用される同法28条3項は,校長は,校務をつかさどり,所属職員を監督すると規定する。同法8条は,校長及び教員(教育職員免許法の適用を受ける者を除く)の資。 格に関する事項は,別に法律で定めるもののほか,文部科学大臣がこれを定めると,,(。)規定し学校教育法施行規則8条は校長学長及び高等専門学校の校長を除くの資格は,①教育職員免許法による教諭の専修免許状又は一種免許状(高等学校及び中等教育学校の校長にあっては,専修免許状)を有し,かつ,同項1号イからヌまでに掲げる職(以下「教育に関する職」という)に5年以上あったこと(1。 号,②教育に関する職に10年以上あったこと(2号)のいずれかに該当する)ものとすると規定し,同規則9条は,私立学校の設置者は,同規則8条の規定により難い特別の事情のあるときは,5年以上教育に関する職又は教育,学術に関する 以上あったこと(2号)のいずれかに該当する)ものとすると規定し,同規則9条は,私立学校の設置者は,同規則8条の規定により難い特別の事情のあるときは,5年以上教育に関する職又は教育,学術に関する業務に従事し,かつ,教育に関し高い識見を有する者を校長として採用することができる旨規定し,同規則9条の2は,国立若しくは公立の学校の校長の任命権者又は私立学校の設置者は,学校の運営上特に必要がある場合には,同規則8条及び9条に規定するもののほか,同規則8条各号に掲げる資格を有する者と同等の資質を有すると認める者を校長として任命し又は採用することができる旨規定する。 ,(,,教育職員免許法3条1項は教育職員学校教育法1条に定める小学校中学校,,,,,,高等学校中等教育学校盲学校ろう学校養護学校及び幼稚園の教諭助教諭養護教諭,養護助教諭及び講師をいう。教職員免許法2条1項)は,同法により授与する各相当の免許状を有する者でなければならないと規定し,同法は,その2章において免許状の種類,区分等について,その3章において免許状の失効及び取上- 4 -げについて,それぞれ規定している。 (イ)学校教育法52条は,大学は,学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専門の学芸を教授研究し,知的,道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とすると規定する。 同法58条3項は,学長は,校務をつかさどり,所属職員を統督すると規定し,同条5項は,学部長は,学部に関する校務をつかさどると規定し,同法59条1項は,大学には,重要な事項を審議するため,教授会を置かなければならないと規定する。 学校教育法に学長の資格に関する事項についての規定はなく,大学設置基準13条の2は,学長となることのできる者は,人格が高潔で,学識が優れ,かつ,大学 ため,教授会を置かなければならないと規定する。 学校教育法に学長の資格に関する事項についての規定はなく,大学設置基準13条の2は,学長となることのできる者は,人格が高潔で,学識が優れ,かつ,大学運営に関し識見を有すると認められる者とすると規定する。 大学設置基準14条は,教授となることのできる者は,同条各号のいずれかに該当し,かつ,大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者とするとし,同条各号は,①博士の学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む)を有し,研究上の業績を有する者(1号,②研究上。 )の業績が1号の者に準ずると認められる者(2号,③学位規則5条の2に規定)する専門職学位(外国において授与されたこれに相当する学位を含む)を有し,。 当該専門職学位の専攻分野に関する実務上の業績を有する者(3号,④大学に)おいて教授,助教授又は専任の講師の経歴(外国におけるこれらに相当する教員としての経歴を含む)のある者(4号,⑤芸術,体育等については,特殊な技能。 )に秀でていると認められる者(5号,⑥専攻分野について,特に優れた知識及)び経験を有すると認められる者(6号)を掲げる。 イ私立学校法35条2項は,理事のうち1人は,寄附行為の定めるところにより,理事長となると規定し,同法36条は,学校法人の業務は,寄附行為に別段の定めがないときは理事の過半数をもって決すると規定する。同法37条1項は,理事は,すべて学校法人の業務について,学校法人を代表するが,ただし,寄附行為- 5 -をもってその代表権を制限することができると規定し,同法37条2項は,理事長は,同法に規定する職務を行い,その他学校法人内部の事務を総括すると規定する(なお,原告の寄附行為9条1項は,理事長は,原告を代 ってその代表権を制限することができると規定し,同法37条2項は,理事長は,同法に規定する職務を行い,その他学校法人内部の事務を総括すると規定する(なお,原告の寄附行為9条1項は,理事長は,原告を代表し業務一切を総括し,法令及び同寄附行為の規定する職務を行う旨規定し,同寄附行為10条は,理事長以外の理事は,原告の業務について,原告を代表しないが,ただし,原告と理事長又は理事長が代表する他の法人との利益相反する事項については,理事会の議決により,他の理事に原告を代表させることができる旨規定する。甲4。 )私立学校法38条1項は,理事となる者は,同項各号に掲げる者とするとし,同,(。)(),項各号は当該学校法人の設置する私立学校の校長学長及び園長を含む1号当該学校法人の評議員のうちから寄附行為の定めるところにより選任された者寄,(附行為をもって定められた者を含む(2号,同項1号及び2号に規定する者の。))ほか,寄附行為の定めるところにより選任された者(寄附行為をもって定められた者を含む(3号)を掲げ,同条2項は,学校法人が私立学校を2以上設置する場。)合には,同条1項1号の規定にかかわらず,寄附行為の定めるところにより,校長(学長及び園長を含む)のうち,1人又は数人を理事とすることができると規定。 し,同条3項は,同条1項1号及び2号に規定する理事は,校長又は評議員の職を退いたときは,理事の職を失う旨規定する。 前提事実以下の各事実は,当事者間に争いがないか,掲記の証拠(特記しない限り,各枝番を含む)によって容易に認定することができる。 。 ( )原告について ,,,原告はCの父Eが昭和10年に開校したF学校を淵源とする学校法人でありB学院大学,B学院大学高等学校,B学院大学中学校,B学院G幼稚園及び することができる。 。 ( )原告について ,,,原告はCの父Eが昭和10年に開校したF学校を淵源とする学校法人でありB学院大学,B学院大学高等学校,B学院大学中学校,B学院G幼稚園及びB学院大学歯科衛生学院専門学校を設置,運営している。 前記F学校を前身とするL学校は,昭和23年4月,いわゆる学制改革によって新制高等学校に転換し,G高等学校と称していたが,昭和37年10月にB高等学- 6 -校に改称し,さらに,平成15年4月に現在のB学院大学高等学校に改称した(同校を,以下「本件高校」という。 。)原告は,昭和23年4月に新制中学校としてG中学校を開校したが,昭和27年3月以降は生徒の募集を停止し,昭和63年6月に同校を廃止した。原告は,平成12年4月にB高等学校(当時)に併設する形でB中学校を開校し,その後,平成15年4月,同校は,現在のB学院大学中学校に改称した(同校を,以下「本件中学」という。 。)原告は,昭和30年4月,G幼稚園を開園したが,その後,同園は,平成4年3月にI大学G幼稚園に改称し,さらに,平成16年4月,現在のB学院G幼稚園に改称した(同園を,以下「本件幼稚園」という。 。)原告は,昭和62年4月,大阪府旧a町(現堺市a区。旧a町と堺市との合併の前後を区別することなく,以下「旧a町」という)にI大学を開学し,平成10。 年4月には,同所に4年制大学であるD大学を開学した。D大学は,平成15年4月に現在のB学院大学に改称し(同大学を,以下「本件大学」という,他方,I。)大学は,平成16年3月をもって廃止された。 原告は,昭和59年4月,M専門学校を開校し,同専門学校は,平成4年3月にI大学歯科衛生学院専門学校に改称し,さらに,平成16年4月,現在のB学院大学歯科衛生学院専門学校に改称した って廃止された。 原告は,昭和59年4月,M専門学校を開校し,同専門学校は,平成4年3月にI大学歯科衛生学院専門学校に改称し,さらに,平成16年4月,現在のB学院大学歯科衛生学院専門学校に改称した。 (甲4,甲42,乙4,原告代表者)( )Cの経歴等 C(昭和3年2月2日生まれ)は,N大学工学部卒業後の昭和25年4月,本件高校の数学教諭として原告に採用された。 ,,,,,()Cは昭和26年3月原告の理事に就任しさらに昭和29年7月父親Eの後任として原告の理事長に就任し,その後,Cの母(H)が理事長を務めていた昭和32年3月から昭和36年11月までの間を除き,現在に至るまで原告の理事長の職にある。 - 7 -Cは,昭和30年3月,本件高校の校長に就任し,平成12年4月には,その設置に伴って本件中学の校長にも就任し,その後,平成14年3月31日,定年により,本件高校校長及び本件中学校長(特に区別する必要がある場合を除き,併せて以下「本件校長」という)の各職を退いた。 。 Cは,昭和30年4月から昭和36年3月までの間,昭和58年11月から昭和59年4月までの間,本件幼稚園の園長を務め,さらに,昭和62年4月に同園長に就任し,現在に至るまでその職にある。 Cは,平成12年4月1日施行の学園長規程により,同日,原告の初代学園長に就任し,現在に至るまでその地位にある。 Cは,平成14年4月1日,本件大学の学長(以下「本件学長」という)の職。 に就き,現在に至るまでその職にある。 以上によれば,Cは,平成14年3月31日まで,原告理事長,原告学園長,本,,件校長及び本件幼稚園園長の地位にあったが同年4月1日から現在に至るまでは原告理事長,原告学園長,本件幼稚園園長及び本件学長の地位にある。 (甲5,甲42,乙7,乙8,原告代表者 告学園長,本,,件校長及び本件幼稚園園長の地位にあったが同年4月1日から現在に至るまでは原告理事長,原告学園長,本件幼稚園園長及び本件学長の地位にある。 (甲5,甲42,乙7,乙8,原告代表者,弁論の全趣旨)( )本件金員の支払と本件訴え提起に至る経緯 原告は,上記のとおり,Cが平成14年3月31日をもって本件校長の職を退いたことから,同年6月10日,Cに対し,本件高校の就業規則及び退職金規程に基づく退職金として4802万1353円(本件金員)を支払うこととし,その際,Cから,本件金員に係る所得は所得税法30条1項にいう「退職所得」に該当するとして151万8000円を源泉徴収し,これを国に納付した。 A税務署長は,平成16年7月9日付けで,原告に対し,本件金員に係る所得は所得税法28条1項にいう「給与所得」に該当するとして,原告の平成14年6月分の源泉所得税について,納税告知(納税告知額1504万7322円。以下「本件納税告知という及び不納付加算税賦課決定不納付加算税額150万4000」。)(円。以下「本件賦課決定」という)をした。 。 - 8 -原告は,平成16年8月23日,A税務署長に対し,本件各処分について異議申立てをしたが,A税務署長は,同年11月19日付けで,これを棄却する旨の決定をし,同月22日,同決定に係る異議決定書謄本が原告に送達された。 原告は,同年12月20日,国税不服審判所長に対し,上記異議決定につき,審査請求をしたが,同請求がされた日の翌日から起算して3月を経過しても裁決がされないとして,平成17年6月21日,当庁に対し,本件訴えを提起した。 国税不服審判所長は,平成17年9月22日,原告に対し,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした。 (甲1から3まで,甲8,甲29,甲42,乙11,乙20,顕著な事 1日,当庁に対し,本件訴えを提起した。 国税不服審判所長は,平成17年9月22日,原告に対し,上記審査請求を棄却する旨の裁決をした。 (甲1から3まで,甲8,甲29,甲42,乙11,乙20,顕著な事実) 争点及び当事者の主張本件における争点は,本件金員に係る所得が所得税法30条1項にいう「退職所得」に該当しないかどうかであり,この点に関する当事者の主張は,以下のとおりである。 (被告の主張)( )退職所得該当性の判断基準等について 退職所得について,所得税の課税上,他の給与所得と異なる優遇措置が講ぜられているのは,一般に,退職手当等の名義で退職を原因として一時に支給される金員は,その内容において,退職者が長期間特定の事業所等において勤務してきたことに対する報償及び同期間中の就労に対する対価の一部分の累積たる性質をもつとともに,その機能において,受給者の退職後の生活を保障し,多くの場合いわゆる老後の生活の糧となるものであって,他の一般の給与所得と同様に一率に累進税率による課税の対象とし,一時に高額の所得税を課すこととしたのでは,公正を欠き,かつ社会政策的にも妥当でない結果を生ずることになることから,このような結果を避ける趣旨に出たものと解される。そして,退職所得該当性については,その名称にかかわりなく,退職所得の意義について規定した所得税法30条1項の規定の文理及び退職所得に対する優遇課税についての上記立法趣旨に照らし,これを決す- 9 -るのが相当であるこのような観点から考察するとある金員が上記規定にいう退。 ,「,」,職手当一時恩給その他の退職により一時に受ける給与に当たるというためにはそれが,①退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること,②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労 手当一時恩給その他の退職により一時に受ける給与に当たるというためにはそれが,①退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること,②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること,③一時金として支払われること,の各要件を備えることが必要であり,また,上記規定にいう「これらの性質を有する給与」に当たるというためには,それが,形式的には上記各要件のすべてを備えていなくても,実質的にみてこれらの要件の要求するところに適合し,課税上,上記「退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とするものであることを必要とすると解すべきである最高裁昭和53年行ツ第72号同58年9月9日第二小法廷判決・(()民集37巻7号962頁,最高裁昭和54年(行ツ)第35号同58年12月6日第三小法廷判決・裁判集民事140号589頁。 )( )本件金員が「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」 に該当しないことア退職金の功労報償的かつ賃金後払的性質及び退職後の生活保障という機能にかんがみ,特別に税負担が軽減され,優遇措置が図られた前記立法趣旨を踏まえると「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」該当性の前記①,の要件にいう「退職」という観念は,雇用契約又は委任契約の終了というような私法上の法律関係に即した観念として理解すべきではなく,雇用関係又はそれに準ずる関係の終了ないしはそれらの関係からの離脱を意味するところの社会的観念として理解すべきであり,上記「退職」に該当するためには,雇用主等との勤務関係からの離脱という実質を備えることが必要であると解される。 イそこで,本件について検討するに,私立学校は,学校法人が設置する組織体の一教学部門にすぎず(学校教 該当するためには,雇用主等との勤務関係からの離脱という実質を備えることが必要であると解される。 イそこで,本件について検討するに,私立学校は,学校法人が設置する組織体の一教学部門にすぎず(学校教育法2条,私立学校法2条3項,このような法人)の構成部分は,法人と離れた独自の権利能力を有しない。したがって,Cについて(),所得税法上の退職勤務関係の終了の事実があるか否かを検討するに当たっては- 10 -原告の組織体の一教学部門にすぎない本件高校における職務だけでなく,原告及び原告が設置する学校(教学部門)において同人が担当するすべての職務を総合的に勘案すべきである。 ,,,そうであるところCは本件校長の職を退いた後の平成14年4月1日以降も原告の代表役員たる理事長に継続して就任して学校法人の経営に従事するとともに,原告の学園長や原告が設置する私立学校たる幼稚園の園長を継続して兼任し,そして,本件校長から同日付けで本件学長に就任した上,原告から多額の報酬を受け続けていることんなどの事実からすると,Cが原告を「退職」したと認めることは到底できない。 この点について,原告は,学校法人の役員が私立学校の教職員を兼務し,かつ常勤の職員として勤務していた場合は,学校法人との間に役員としての契約関係(委任契約)と教職員としての契約関係(雇用契約)とが別個に成立し,それぞれの契約関係ごとに勤務関係の終了すなわち退職が認められるべきである旨主張する。しかしながら,理事長は,使用人を指揮監督する立場にあり,使用人としての立場と両立し得ない職制上の地位にあるから,使用人としての職責に属する仕事に従事している場合,それは役員(理事長)としての業務遂行と認識すべきものであり,使用人としての地位を兼ねていると解することはできない。そもそも,原告の主張 にあるから,使用人としての職責に属する仕事に従事している場合,それは役員(理事長)としての業務遂行と認識すべきものであり,使用人としての地位を兼ねていると解することはできない。そもそも,原告の主張するように原告が部門別会計を採っているとしても,本件高校に権利能力はなく,権利能力を有するのは学校法人たる原告であるところ,Cが原告を退職した事実が認められないことは前述のとおりであるから,原告の上記主張は失当である。 また,原告は,原告において理事長に賞与を支払う根拠となる規定はなく,本件金員は本件高校校長を退職したことによって本件高校の退職金規程に基づいて支払われたものである旨主張するが,前述のとおり,ある金員が退職所得に該当するかどうかは,その名目にかかわらず判断されるべきでものあるから,原告の上記主張は,その前提を欠く。 ウ以上より,本件金員は,前記①の要件を満たさず,所得税法30条1項にい- 11 -う「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に該当しない。 ( )本件金員が「これらの性質を有する給与」に該当しないこと ア前記( )で述べたところからすれば,退職所得に該当するためには,厳密な 意味での退職の事実は必ずしも要求されていないと解される。しかしながら,所得税法上,退職所得を著しく優遇する措置が採られている前記趣旨が妥当するのは,,,原則として社会実態に照らし実質的に退職に当たる事実が認められる場合であり実質的に退職したとみるべき事実が認められないにもかかわらず,上記著しい優遇措置を採らなければ公正でなく,社会政策的にも妥当でない場合というのは,ごく。 ,「」限られると考えられるしたがってある金員が上記これらの性質を有する給与に当たるというためには,およそ何らかの社会的必要性に基づいていわゆる 社会政策的にも妥当でない場合というのは,ごく。 ,「」限られると考えられるしたがってある金員が上記これらの性質を有する給与に当たるというためには,およそ何らかの社会的必要性に基づいていわゆる打切り支給(その給与が支払われた後に支払われる退職手当等の計算上その給与の計算の基礎となった勤続期間を一切加味しない条件の下に支払われることをいう。以下同じ。所得税基本通達30-2参照)がされ,それが一般的合理性を有すると認められるという程度では足りず,従前の勤務関係が終了した場合と実質上同視し得る場合か,そうではなく実質的に退職したとみるべき事実が認められない場合は,新たな退職給与規程の制定又は相当な理由によるその改正により,退職金の給付に関して抜本的な変動があり,その際従前の勤続期間に対する退職金についての精算支給を相当とする事態が生じた場合など極めて限定された特別の事実関係があることを要すると解すべきである(東京高裁昭和51年(行コ)第74号同53年3月28日判決・訟務月報24巻10号2116頁。 )課税実務においても同旨の考え方が採られており,所得税基本通達30-2が引き続き勤務する者に支払われる給与で退職手当等とするものとしてその( )から( ) までにおいて規定しているのは,( )の場合を除けば,いずれも,引き続いて勤務 しているといっても,勤務関係の性質,内容,処遇等において根本的な性格の相違があり,勤務関係の実体において退職したとみるべき実質がある場合であり,( ) の場合は,退職金の給付に関して抜本的な変動があり,その際従前の勤続期間に対- 12 -する退職金についての精算支給を相当とする事態が生じた場合である。 したがって,退職手当等として支払があったとしても,社会的実態に照らし実質的に退職に当たるとみられる事 前の勤続期間に対- 12 -する退職金についての精算支給を相当とする事態が生じた場合である。 したがって,退職手当等として支払があったとしても,社会的実態に照らし実質的に退職に当たるとみられる事実がない場合には,原則として,退職所得として課税上,著しい優遇措置を採るべきではなく,例外的に特別な事実関係があるなどのため優遇措置を採らなければ公正を欠き,かつ,社会政策的にも妥当でない結果を生ずる場合に限り,優遇措置を認めるのが相当というべきである。 イそこで,本件について検討するに,以下のとおり,Cの原告における勤務関係の性質,内容,処遇等において根本的な性格の相違があるというべき特別な事実関係はなく,また,依然として年間約1800万円の報酬を収受している実態等からすると,実質的に退職に当たるとみられる事実を認めることはできない。 (ア)原告におけるCの地位Cは,本件校長の職を退いた後も,依然として原告の代表役員たる理事長及び学園長として原告の経営上,運営上の最上位の地位にあり,法的にも最高責任を負う立場にあって,原告を代表し,業務一切を総括する広範な権限を有していることに変わりはない。しかも,Cは,学校法人たる原告が設立された数年後に理事長に選任されて以来,一時期を除き,現在まで40数年間にわたり,理事長として原告の最上位の地位にあったものであり,Cは,原告において単なる法人代表役員以上に枢軸的役割を果たしているものと認められる。Cの原告における地位は,平成14年4月1日以後も,理事長,学園長及び幼稚園園長については従前と同様であり,その兼務する職務のうち,本件校長という役職が本件学長に変わったにすぎない。 (イ)Cに対する報酬の支給状況Cは,原告から平成14年3月31日までは月額合計149万6255円の報酬(幼稚園園長の給与5万 務する職務のうち,本件校長という役職が本件学長に変わったにすぎない。 (イ)Cに対する報酬の支給状況Cは,原告から平成14年3月31日までは月額合計149万6255円の報酬(幼稚園園長の給与5万円を含む)を受け取っており,同年4月1日以降は,月。 額合計117万9330円(同上,他に年間約400万円の賞与の支給により,)年間約1800万円の報酬を原告から受け取っている。仮に勤務内容が激変するなどして,退職したと同様の事情があるのであれば,Cの報酬は,年功賃金制の下,- 13 -勤務内容の激変に伴って必然的に激減するなど,実態に即し退職と同様の事情を反映した支給金額になるはずであるしかしながらCは依然として月額合計100。 ,,万円を超える高額な報酬を原告から収受し,役員報酬の金額にも変動がないのみならず,職務手当を含めれば前任学長の退職時の支給額よりも多い金額を,学長の報酬として就任当初から収受しているのであって,退職と同様の事情があるということは到底できない。 (ウ)高等学校の校長及び大学の学長の職務の内容高等学校の校長は,校務をつかさどり,所属職員を監督する(学校教育法28条3項51条とされ大学の学長は校務をつかさどり所属職員を統督する同,),,,(法58条3項)とされていることからも,校長及び学長の職務内容は本質的に同様であり,Cが兼務する職務のうちの一つが,本件校長から本件学長になったことをもって,Cの地位及び職務の内容が激変したということは到底できない。 これに対し,Cは,高等学校の校長と大学学長の仕事につき,高等学校では生徒への教育指導という大きな使命と義務を負っているが,大学では学長が直接教員の指導に当たることがなく,大いに相違するなどと供述するが,Cの挙げる根拠は,いずれもCの原告にお 事につき,高等学校では生徒への教育指導という大きな使命と義務を負っているが,大学では学長が直接教員の指導に当たることがなく,大いに相違するなどと供述するが,Cの挙げる根拠は,いずれもCの原告における勤務関係が激変したに足りる事情とは認められないし,給与の支給状況からも勤務関係の変化が反映されていないことは既に述べたとおりである。 また,Cは,校長の仕事と理事長の仕事とでは9対1で,理事長の職務はわずかである旨供述するが,それ自体根拠がないのみならず,給与等の支給状況からしても理事長の職務は軽視できるものではないから,勤務関係に著しい変動が存在することを裏付けるに足りるものでない。そもそも,Cの理事長としての職務は,原告を代表し,業務一切を総括することにあり,その中には当然,高等学校及び大学の,,運営に関する事項も包含されるのであるから高等学校の職を退いたからといってCが本件高校の運営に関する職務を行わなくなったというものではないし,本件学長になって初めて大学の運営に関する職務を行うようになったわけでもない。 - 14 -ウ以上のとおり,本件において,社会的実態に照らし実質的に退職に当たるとみられる事実は認められないところ,そうであるにもかかわらず本件金員を退職所得として特別な税の減免措置を講じなければならない事情も認められないから,本件金員に係る所得は,所得税法30条1項にいう「これらの性質を有する給与」に該当しない。 エこれに対して,原告は,O退職金財団(以下「退職金財団」という)から。 退職資金の給付を受けたことをもって,本件金員につき精算すべき高度の必要性があったなどとして,本件金員が「これらの性質を有する給与」に該当すると主張する。しかしながら,退職金財団においては,学校法人内の異動により再度加入資格を得ることもある につき精算すべき高度の必要性があったなどとして,本件金員が「これらの性質を有する給与」に該当すると主張する。しかしながら,退職金財団においては,学校法人内の異動により再度加入資格を得ることもあることから,実際に退職する際に退職給付金として支給することが可能なように,資格喪失の間,掛金の納付を中断する中断の手続について規定し,また,掛金を返還した場合については,学校法人内に留保することを許さない規定,,等はないからCが本件大学に異動したことをもって退職金財団の給付金を精算し本人に支給しなければならない事情があったといえないことは明らかである。したがって,原告の前記主張は,失当である。 ( )本件各処分の適法性 ア本件納税告知について以上のとおり,本件金員に係る所得は退職所得には該当しない。そうとすれば,,「」()本件金員に係る所得は所得税法28条1項にいう給与所得賞与に係る所得に該当するというべきである(法人税法35条4項参照。 )そうであるところ,Cは,本件金員の支払を受けた平成14年6月10日当時,給与所得者の扶養控除等申告書(所得税法194条1項,2項)をA税務署長に提出していなかった。また,Cは,平成14年4月以降は本件校長としての職を失っており,本件高校において,Cに対する給与の支払がされたのは平成14年3月までとなっていることから,本件金員の支給された月の前月に当たる平成14年5月中には,本件高校がCに対して支払った又は支払うべき通常の給与等はなかった。 - 15 -以上の事実関係によれば,本件金員は,給与所得者の扶養控除等申告書の提出がなく,前月中に通常の給与等がない場合(所得税法186条1項2号ロ)に該当するから,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法 所得者の扶養控除等申告書の提出がなく,前月中に通常の給与等がない場合(所得税法186条1項2号ロ)に該当するから,経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号)の「別表第一(平成11年4月1日以())」。 ,後の給与所得の源泉徴収税額表月額表の乙欄を適用することになるそこでこの税額表を適用し,源泉徴収税額を計算すると,別紙2のとおり,差引き納付すべき源泉徴収税額は,源泉徴収すべき税額1674万6900円から原告が納付した金額151万8000円を控除した金額である1522万8900円となる。 したがって,同金額の範囲内でされた本件納税告知は,適法である。 イ本件賦課決定について本件納税告知に係る税額ただし1万円未満の端数を切り捨てたもの1522(,)万円に100分の10の割合を乗じて計算した金額(国税通則法67条1項,同法118条3項)は,152万2000円であるから,同金額の範囲内でされた本件賦課決定は,適法である。 (原告の主張)( )本件金員が「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」 に該当すること被告は,権利能力を有するのは学校法人である原告であり,本件においてCが原告を退職した事実は認められないとして,本件金員が上記「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」該当性の要件のうち,退職すなわち勤務関係()。 の終了という事実によって初めて給付されることとの要件①を欠くと主張するしかしながら,以下のとおり,Cが本件高校の校長を退職したことにより,退職すなわち勤務関係の終了という事実があったものと認められるから,本件金員は,上記要件を満たし,所得税法30条1項にいう「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」 職したことにより,退職すなわち勤務関係の終了という事実があったものと認められるから,本件金員は,上記要件を満たし,所得税法30条1項にいう「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に該当する。 ア理事長と校長とでは,契約関係が別個独立のものであること- 16 -以下のとおり,原告の理事長としての職務と本件高校の校長としての職務とは,法律上明確に区別されており,また,定年の有無,資格要件の存否等,理事長の地位と校長の地位とには重大な相違点が存在するから,理事長としての職務執行と校長としての職務執行とを一体としてとらえることは不可能である。したがって,Cと原告との間には,原告の理事長としての役務提供に係る委任契約と本件高校の校長としての役務提供に係る雇用契約とが,それぞれ別個の契約として成立していたといわざるを得ない。 (ア)理事長の権限と校長の権限との相違学校教育法,学校教育法施行規則は,高等学校の校長の権限を,校務をつかさどり,所属職員を監督すること(同法51条,28条3項)とした上で,入学,転学の許可(学校教育法施行規則59条1項,61条1項,留学の許可(同規則61)条の2第1項,休学・退学の許可(同規則62条,全課程の終了の認定(同規則))63条の2,他の高等学校における履修等についての単位の認定(同規則61条),,),(,),の2第2項63条の363条の4卒業証書の授与同規則28条65条生徒の指導要録の作成(同規則12条の3第1項,生徒の出席簿の作成(同規則)12条の4)など,職務内容を具体的かつ詳細に定めている。そして,これら校長の職務は,校長自らが執行しなければならず,理事長には校長に代わってこれを執行する権限はない。 したがって,学校法人の理事長が同法人の設置する高等学校 を具体的かつ詳細に定めている。そして,これら校長の職務は,校長自らが執行しなければならず,理事長には校長に代わってこれを執行する権限はない。 したがって,学校法人の理事長が同法人の設置する高等学校の校長を兼任する場合であっても,法定された校長の職務は,理事長としての職務とは峻別された校長固有の職務ということができる。 この点に関連して,被告は,理事長は使用人としての立場と両立し得ない地位にあるから,使用人としての職責に属する仕事に従事しているとしても,それは役員としての業務遂行と認識すべきであると主張する。しかしながら,被告の上記主張,,によれば学校法人の役員がその設置する私立学校において教鞭を取ったとしてもそれは,教員としての職務ではなく,役員としての業務遂行と認識すべきというこ- 17 -とになるが,このような考え方は,一般常識からは到底理解し得ないものであり,学校法人の組織運営を無視した強弁というべきである。そもそも,学校法人の理事,(。),となる者は①当該学校法人の設置する私立学校の校長学長及び園長を含む②当該学校法人の評議員のうちから,寄附行為の定めるところにより選任された者(寄附行為をもって定められた者を含む,③これらの者のほか,寄附行為の。)定めるところにより選任された者(寄附行為をもって定められた者を含む)とさ。 れ(私立学校法38条1項,上記①及び②の理事は,校長又は評議員の職を退い),(),,たときは理事の職を失うものとするとされており同条3項原告においてもその寄附行為6条1項により,理事は,本件学長(同項1号,B学院大学歯科衛)生学院専門学校学院長(2号,本件高校校長(3号,評議員のうちから評議員会))において選任した者,2人又は3人(4号,学識経験者のうち理事会において 事は,本件学長(同項1号,B学院大学歯科衛)生学院専門学校学院長(2号,本件高校校長(3号,評議員のうちから評議員会))において選任した者,2人又は3人(4号,学識経験者のうち理事会において選),(),,,,任した者2人又は3人5号とされ上記1号2号3号及び4号の理事は学長,学院長,校長又は評議員の職を退いたときは,理事の職を失うものとするとされている(同条2項。このように,学校法人という組織体の制度設計において)は,現場の状況をよく把握し得る校長を理事とし,もって適切な学校運営に資することが図られているのであって,役員であるから校長になれるということはないか,(),ら役員の立場で現場学校において業務執行をするという被告の上記考え方は本末転倒である。 (イ)Cが従事していた現実の職務内容について現に,Cが平成14年3月31日までに,本件高校の校長として行ってきた職務と原告の理事長として行ってきた職務は,それぞれ以下のとおりであり,両者は明確に峻別される。 a本件高校の校長としての職務Cは,大阪府大東市d丁目e番f号にある本件高校に,月曜日から土曜日まで毎日,午前8時には出勤し,概ね午後7時ころまで勤務し,①毎日の職員朝礼,生徒朝礼での訓示,②職員会議,部長会,学年主任会議,学科長会議,教科主任会- 18 -議,運動部長会議,奨学金委員会,単位認定会議,補導会議等の生徒指導に関する会議,同和教育に関する会議,入試選考委員会,中高入試対策委員会,中高入試判定会議といった各種会議・委員会への出席,③体育祭,文化祭,野外研修,オリエンテーション,保護者会(教育後援会,修学旅行等の各種の行事への参加,④)生徒に対する退学・停学・訓戒等の処分,単位認定や入試における合否判定についての最終 ,③体育祭,文化祭,野外研修,オリエンテーション,保護者会(教育後援会,修学旅行等の各種の行事への参加,④)生徒に対する退学・停学・訓戒等の処分,単位認定や入試における合否判定についての最終的な判断,決定,⑤教務日誌,教具購入計画書等のチェック,決済,教職員の出張等について決裁,⑥校内巡回,生徒指導,⑦大阪府私立中学校高等学校連合会,近畿工業高等学校長協会等の外部団体の会議への出席,等の職務を行ってきた。 b原告の理事長としての職務これに対し,Cは,原告の理事長として,①理事会,評議員会への出席,②学校の新設・統廃合,組織の改編の方針の決定,③学校用地の購入や新校舎の建設等の方針の決定,④教職員人事,財務の決済,等の職務を行ってきた。 (ウ)定年の存否本件高校の就業規則2条にいう「職員」には校長も含まれるところ,同就業規則46条1項は,職員の定年は満63歳とし,満年齢63歳に達した直後の学年度末を定年満限日とする旨規定し,同条3項は,定年に達した者でも,理事会が特に必要と認めた場合には,定年を延長することができる旨規定している。本件高校の校長選任規程においても,校長に就業規則の定年に関する規定が適用されることが明らかにされている。 他方,原告の理事長については,その寄付行為において,任期は定められているが,定年の規定は設けられていない。 (エ)資格要件について学校教育法施行規則8条1号は,高等学校の校長の資格について,教育職員免許法による教諭の専修免許状を有し,かつ,教育に関する職に5年以上あったこととしている(なお,同規則8条2号,9条,9条の2は,それぞれ,上記免許状を有- 19 -しない者でも校長になれることを規定しているが,これらは,いずれもごく例外的な場合であり,ほとんどの高等学校の校長は,上記免許 同規則8条2号,9条,9条の2は,それぞれ,上記免許状を有- 19 -しない者でも校長になれることを規定しているが,これらは,いずれもごく例外的な場合であり,ほとんどの高等学校の校長は,上記免許状を有している者が就任している。 。)これに対し,私立学校法は,理事長についての資格要件を設けていない。 イ本件高校の校長の退職と本件大学の学長への就任が職務分掌の異動にとどまらないこと,,,以下のとおり本件高校と本件大学とではその目的及び教育内容が全く異なり人的要素,物的要素,経済的基盤において別個独立性を有しており,また,所轄庁も異なり,それぞれの学校がそれぞれの所轄庁から強い監督を受けており,被告が,。 主張するようにこれを会社の場合の支店や営業所と同視することは到底できないまた,本件高校の校長としての職務と本件学長としての職務との間には根本的な相違があり,本件高校の校長としての職務執行と本件学長としての職務執行は全く別個の契約関係(勤務関係)であると評価することができるから,本件高校の退職と本件学長への就任をもって単なる職務分掌の異動にすぎないととらえることはできない。 (ア)本件高校と本件大学とが全く別個独立の組織であることa教育機関としての目的の相違高等学校は「中学校若しくはこれに準ずる学校を卒業した者若しくは中等教育,学校の前期課程を修了した者又は文部科学大臣の定めるところにより,これと同等以上の学力があると認められた者(学校教育法47条)を入学資格者とし「中学」,校における教育の基礎の上に,心身の発達に応じて,高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とする(同法41条)ものである。 」これに対し,大学は「高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による12年の学校教育を終了した者(括弧 高等普通教育及び専門教育を施すことを目的とする(同法41条)ものである。 」これに対し,大学は「高等学校若しくは中等教育学校を卒業した者若しくは通常の課程による12年の学校教育を終了した者(括弧書き省略)又は文部科学大臣の定めるところにより,これと同等以上の学力があると認められた者」を入学資格者とし(同法56条1項「学術の中心として,広く知識を授けるとともに,深く専),- 20 -門の学芸を教授研究し,知的,道徳的及び応用的能力を展開させることを目的とする」ものである(同法52条)から,本件高校と本件大学とでは,その目的や提供する教育内容において全く異なる。 b人的要素の別個独立性高等学校においては,教諭及び講師は高等学校の教諭の免許状を有しなければならない(教育職員免許法2条1項,3条1項)のに対し,大学の教授は,博士の学位を有し研究上の業績を有する者や,研究上の業績がこれに準ずると認められる者などで,かつ大学における教育を担当するにふさわしい教育上の能力を有すると認められる者(大学設置基準14条)とされている。本件高校の教員は,いずれも高等学校の教諭の免許状を有しているのに対し,本件大学の教授は,他の大学の博士号を有している者が大半であり,本件高校の教員と本件大学の教授,講師を兼ねる者も存在せず,本件高校の教員が本件大学の教授に異動することも本件大学の教授等が本件高校の教員に異動することも全くなかったものである。 本件高校の生徒と本件大学の学生とは,年齢及びその前提とする教育内容において全く異なるものであり,当然のことながら,本件高校の生徒と本件大学の学生の地位を同時に有する者は存在しない。 ,,,,,また本件高校本件大学はそれぞれ別個独立の組織を有し固有の就業規則退職金規程等を定めていたのであるから,その 高校の生徒と本件大学の学生の地位を同時に有する者は存在しない。 ,,,,,また本件高校本件大学はそれぞれ別個独立の組織を有し固有の就業規則退職金規程等を定めていたのであるから,その人的要素は全く別個のものであるということができる。 c物的要素の別個独立性小学校,中学校,高等学校,大学,幼稚園等の学校教育法1条に規定する学校については,学校の種類に応じ,文部科学大臣の定める設備,編制その他に関する設置基準に従って設置しなければならないとされており(学校教育法3条。この設置基準として,大学設置基準,高等学校設置基準等が定められている,本件高校は),,高等学校設置基準に本件大学は大学設置基準にそれぞれ従って校舎やグラウンド校具などの物的設備を備えている。 - 21 -また,本件高校は大阪府大東市d丁目e番f号に校舎を有するのに対し,本件大学は旧a町b番cに校舎を有しており,その物的要素は全く別個・独立であるといえる。 d経済的基盤の別個独立性原告は,国と大阪府その他の自治体から補助金の交付を受けているが,これらの補助金については使途が定められており,国からの補助金については大学である本件大学及びI大学の運営にのみ使用することができ,大阪府からの補助金については本件高校,本件中学,本件幼稚園等の運営のみに使用することができることとされている。また,当然のことながら,本件高校の生徒から納付された入学金,授業料は本件高校の運営にしか使用してはならず,本件大学の学生から納付された入学金,授業料も本件大学の運営にしか使用してはならず,双方の収入を流用することは禁じられている。 原告は,私立学校振興助成法14条により,文部科学大臣の定める基準(学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)に従い,会計処理を行わなければな) ず,双方の収入を流用することは禁じられている。 原告は,私立学校振興助成法14条により,文部科学大臣の定める基準(学校法人会計基準(昭和46年文部省令第18号)に従い,会計処理を行わなければな)らなかったところ,学校法人会計基準13条1項,14条1項,24条1項は,学校法人に対して作成を義務付ける計算書類のうち,資金収支内訳表,人件費支出内訳表及び消費収支内訳表については,①学校法人(次の②から⑤までのものを除く,②各学校,③研究所,④各病院,⑤農場,演習林その他③及び④の。)施設の規模に相当する規模を有する各施設の各部門ごとに区分して記載するものとしており,原告は,学校法人部門と各学校とを区分して会計処理をすることを義務付けられている。このような部門別会計によって経理面についても各学校の独立性が担保されているといえる。 e所轄庁の違い(,学校の設置廃止等については教育基本法4条1項各号に定める者文部科学大臣),,都道府県知事等の認可を受けなければならず学校に法令違反等がある場合には,(),これらの者は学校閉鎖命令を発することができるものとされており同法13条- 22 -学校について強い監督権限を有している。また,上記のとおり,原告は,私立学校振興助成法に基づく補助金の交付を受けていることから,年度ごとに収支予算書を作成し,貸借対照表,収支計算書等とともに,私立学校法4条に規定する所轄庁にこれを届け出なければならず(私学振興助成法14条2項,所轄庁は,当該学校)法人の予算が助成の目的に照らして不適当であると認める場合において,その予算について必要な変更をすべき旨を勧告することができる(同法12条3号。 )平成14年3月当時原告が設置していた学校のうち,本件大学及びI大学の教育行政上の所轄庁は文部 と認める場合において,その予算について必要な変更をすべき旨を勧告することができる(同法12条3号。 )平成14年3月当時原告が設置していた学校のうち,本件大学及びI大学の教育行政上の所轄庁は文部科学大臣であり(私立学校法4条1号,I大学歯科衛生学)院専門学校,本件高校,本件中学及び本件幼稚園の教育行政上の所轄庁は大阪府知事(同条2号)であり,原告の法人運営上の所轄庁は文部科学大臣(同条5号)であった。 上記のとおり,所轄庁が学校に対して極めて強い監督権限を有していることからすると,本件大学と本件高校とで所轄庁が異なることは,重大な意味を有する。 (イ)本件高校の校長の地位と本件学長の地位とが全く異なるものであることa職務の内容の相違高等学校の校長の職務内容は,前記ア(ア)のとおりである。これに対し,校務をつかさどり,所属職員を統督すること(同法58条3項)のほかに法定されている学長の具体的な職務内容は「学生の入学,退学,転学,休学及び卒業の決定(同,」規則67条)といった程度である。しかも,学長がこれらの決定をするには「教授会の議を経る」ことが必要であるとされており(同条,本件高校の校長としての)職務内容と比較すると,その権限の内容は限定されているといわざるを得ない。 そして,Cが,本件高校の校長として行っていた職務の内容は,前記ア(イ)aのとおりである。これに対し,本件大学の学長就任後,Cは,旧a町b番cの同大学の学長室に週2,3回出勤し(滞在する時間も一定ではない,①教授会(週1)回)への出席,②入学式,学位授与式といった行事への参加,③教授会の議を経た上での学生に対する退学,停学,訓告等の処分,④学務書類の決裁,⑤日- 23 -本私立大学協会等本件大学が加盟している外部団体の総会等への出席,などの職務を 行事への参加,③教授会の議を経た上での学生に対する退学,停学,訓告等の処分,④学務書類の決裁,⑤日- 23 -本私立大学協会等本件大学が加盟している外部団体の総会等への出席,などの職務を行っている。なお,Cが本件学長に就任すると同時に,Cよりも大学の運営に関,(「」。)(「」し知識・経験を有するCの長男J以下Jという及び次男K以下Kという)が,それぞれ副学長,学長補佐に就任したことから,Cは,学長就任後。 も,同人らにその実質的な判断をゆだねることが多い。 このように,本件高校校長在職時と本件学長就任後では,勤務形態も実際に従事する職務の内容も全く異なっている。 b資格要件の相違高等学校の校長の資格については,前記ア(エ)のとおりであるのに対し,大学の学長の資格については,学校教育法施行規則には定めがなく,大学設置基準に抽象的な定め(同基準13条の2)がされているにすぎない。 このように,本件高校の校長と本件大学の学長については,その資格要件において大きな相違点が存在する。 c定年齢の相違本件高校の校長の定年については,上記ア(ウ)のとおりであるのに対し,同大学の学長は,同大学定年規程に定められた満68歳で定年となる(同規程2条1項1号。このように,本件大学の学長は,本件高校の校長よりも定年が5歳高く設定)されており,両者の間には定年齢における相違点も存在する。 d給与の相違Cが本件高校校長に在職していた平成13年度に,Cに対して支給された給与・報酬は,①本給93万7000円(内訳:本俸85万1820円,研究補助2800円,住宅手当2万5200円,調整手当5万7180円,②役職手当11)万9255円,③役員報酬39万円であった。これに対し,Cが本件大学学長に,,,就任した平成 20円,研究補助2800円,住宅手当2万5200円,調整手当5万7180円,②役職手当11)万9255円,③役員報酬39万円であった。これに対し,Cが本件大学学長に,,,就任した平成14年度にCに対して支給された給与・報酬は①本給68万円②職務手当5万9330円,③役員報酬39万円である。 平成13年度の給与のうち,本件高校校長としての労務の提供の対価に当たるの- 24 -は,①本給93万7000円と②役職手当11万9255円との合計105万6255円であり,平成14年度の給与のうち,本件大学の学長としての職務執行の対価にあたるのは,①本給68万円と②職務手当5万9330円との合計73万9330円であり,両者を比較すると,金額において31万6925円の減額となっており,役員報酬を除いた減額率は,約30パーセントとなっている。 また,平成13年度の研究補助,住宅手当,調整手当,役職手当といった諸手当はすべて本件高校の給与規程に根拠を有するのに対し,平成14年度の職務手当は本件大学の指定職に関する規程に根拠を有しており,給与面においても,両者の間には根本的な相違がある。 ( )本件金員が「これらの性質を有する給与」に該当すること 「これらの性質を有する給与」という概念は,一義的には明確ではなく,その該当性判断に当たっては,所得税法30条1項の趣旨等に照らし,実質的に判断する必要がある(前記最高裁第二小法廷判決昭和58年9月9日,同第三小法廷判決昭和58年12月6日。そして,その判断に当たっては,当該給与が,①長年の)勤務に対する報償,②給与の一括後払,③退職後の生活保障といった経済的実質を有するかどうかに加え,精算支給の必要性があるかどうか,当該金員を支給される者の勤務関係の変動の程度,内容等が総合的 )勤務に対する報償,②給与の一括後払,③退職後の生活保障といった経済的実質を有するかどうかに加え,精算支給の必要性があるかどうか,当該金員を支給される者の勤務関係の変動の程度,内容等が総合的に考慮されるべきである。 この点について,被告は「これらの性質を有する給与」に当たるというために,は,およそ何らかの社会的必要性に基づいて打切り支給がされ,それが一般的合理性を有すると認められるという程度では足りず,従前の勤務関係が終了した場合と実質上同視し得る場合か,そうではなく実質的に退職したとみるべき事実が認められない場合は,退職金の給付に関して抜本的な変動があり,その際従前の勤続期間に対する退職金についての精算支給を相当とする事態が生じた場合など極めて限定された特別の事実関係があることを要すると主張するが,勤務関係の変動と退職金の精算支給の必要性とを別個独立の要件とし,それぞれを関連付けない点で厳格にすぎ,相当でない。 - 25 -そうであるところ,Cの本件高校校長を退職したことに伴う前記勤務関係の変動に加え,以下のとおり,本件金員が退職金としての経済的実質を有し,また,その際に退職金を精算する必要があったことなどを総合的に考慮すると,本件金員については「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」と同一に取,り扱うのが相当である。したがって,本件金員は「退職手当,一時恩給その他の,退職により一時に受ける給与」に該当しないとしても「これらの性質を有する給,与」に該当するというべきである。 ア本件金員が退職金としての経済的実質を有すること本件金員は,Cが本件高校校長を退職したことにより,本件高校の就業規則21条の退職金として支払われた金員であり,同校退職金規程に基づきその金額が算定された。上記退職金規程3条1項は,退 を有すること本件金員は,Cが本件高校校長を退職したことにより,本件高校の就業規則21条の退職金として支払われた金員であり,同校退職金規程に基づきその金額が算定された。上記退職金規程3条1項は,退職金は退職時の本俸に研究補助費の月額を加えた額に勤続年数に応じて別表(本件判決添付別紙3の退職金支給率表)の率を乗じた額とする旨規定するところ,この支給率は勤続年数に比例して支給率が高くなるよう設定され,また,本件高校の給与体系においては,年功序列的賃金体系が採用され,勤続年数に従って本俸の金額が上昇するよう定められていた。本件金員は,このような退職金規程の定めに基づいて算定,支給されたのであるから,長年の勤務に対する報償,給与の一括後払といった経済的実質を有していたことは明らかである。 さらに,本件金員が支給された際のCの年齢は74歳であり,本件高校の就業規則の定年に達し,かなりの高齢であったことからすると,本件金員については,老後の生活の糧といった経済的実質もまた認めることができる。 したがって,本件金員は,①長年の勤務に対する報償,②給与の一括後払,③老後の生活の糧という所得税法30条1項が前提とする退職金の経済的実質をすべて備えているということができる。 イ退職金精算の必要があったこと原告は,平成14年3月31日当時,退職金財団に加入していた。退職金財団に- 26 -おいては,事業の対象となる学校法人から負担金を徴収し,学校法人の教職員が退職した場合に,当該学校法人に対し,退職者又は遺族に支給する退職金に充当する資金である「退職資金」を給付する制度を運用しているところ,大学,短期大学に勤務する者には同制度への加入資格を認めていない。したがって,大阪府内の私立の幼稚園,小学校,中学校及び高等学校に勤務する教職員が,当該学校を退職 を給付する制度を運用しているところ,大学,短期大学に勤務する者には同制度への加入資格を認めていない。したがって,大阪府内の私立の幼稚園,小学校,中学校及び高等学校に勤務する教職員が,当該学校を退職した場合は,その後,同一学校法人の設置する大学に勤務したとしても,退職金財団への加入資格を失うこととなる。 Cは,平成14年3月31日に本件高校の校長を退職したため,退職金財団の加入資格を喪失した。そのため,原告は,Cについて資格喪失手続をし,その結果,,,。 退職金財団は原告に対しCの退職資金として1972万1200円を支給した退職金財団から学校法人に給付された退職資金については,退職金財団の運営規則においても,退職する教職員の退職金に充てるものとされ,本件高校の退職金規程においても,同様の定めがされている(同規程6条。なお,被告は,掛金の返還)や掛金納付の中断の手続に言及するが,これらの手続は「同一法人内の私立学校,を移ったことによる資格喪失」のうち,当該教職員が再度退職金財団の加入資格を取得する可能性がある場合を想定しており,Cのように高等学校の校長を定年退職し,その後大学の学長となり,再度加入資格を得る可能性がない場合は対象としていないことが明らかである。 したがって,原告としては,退職金財団からCの退職資金として給付された上記金員については,これを学校法人内に留保しておくことは許されず,退職金としてCに交付すべき法律上の義務があったということができる。 そもそも,Cについては,本件高校の校長を退職したことにより,その就業規則21条,退職金規程により,同校の教職員としての在職期間等に基づき算定された金額の退職金請求権を取得すると解される。 以上より,本件においては,極めて高度の精算の必要性があったということができる。 - 27 職金規程により,同校の教職員としての在職期間等に基づき算定された金額の退職金請求権を取得すると解される。 以上より,本件においては,極めて高度の精算の必要性があったということができる。 - 27 -( )原告において理事長に賞与を支給することはできないこと ,。 ,本件各処分は本件金員が賞与に該当することを前提としているしかしながら学校法人の理事については無報酬が原則であり,ただし,理事のなり手を確保する観点から,理事会に出席して学校法人の経営に携わる場合についてのみ報酬を支払うとするのが一般的であり,原告においても,理事長に賞与を支給する根拠となる規定はない(原告の寄附行為14条は,役員は,その地位について報酬を受けることができないと規定し,役員報酬規程にも賞与に係る規定はない。なお,同規程5条1項は「理事長は,毎年度毎に学園の業績により,理事会,評議会に諮って,,非常勤以外の役員に特別手当を支給することができる」とするが,支給の実績は。 ない。したがって,本件金員は,理事長であるCに対する賞与ということはでき。)ず,Cが本件校長を退職したことによる退職手当等に該当するというほかない。 ( ) 結論 以上のとおり,本件金員は「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受,ける給与」又は「これらの性質を有する給与」に該当し,本件金員に係る所得は,退職所得に該当するから,これを給与所得であるとしてされた本件各処分は,いずれも違法である。 第3当裁判所の判断 「退職所得」の意義前記法令の定め等記載のとおり,所得税法が,退職所得を「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与」に係る所得をいうものとし,これについて所得税の課税上他の給与所得と異なる優遇措置を講じているのは,一般に 所得を「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与及びこれらの性質を有する給与」に係る所得をいうものとし,これについて所得税の課税上他の給与所得と異なる優遇措置を講じているのは,一般に,退職手当等の名義で退職を原因として一時に支給される金員は,その内容において,退職者が長期間特定の事業所等において勤務してきたことに対する報償及び同期間中の就労に対する対価の一部分の累積としての性質をもつとともに,その機能において,受給者の退職後の生活を保障し,多くの場合いわゆる老後の生活の糧となるものであって,他の一般の給与所得と同様に一律に累進- 28 -税率による課税の対象とし,一時に高額の所得税を課することとしたのでは,公正を欠き,かつ社会政策的にも妥当でない結果を生ずることになることから,このような結果を避ける趣旨に出たものと解される。そうとすれば,従業員の退職に際して退職手当又は退職金その他種々の名称のもとに支給される金員が同法30条1項にいう「退職所得」に当たるかどうかについては,その名称にかかわりなく,退職所得の意義について規定した前記同法30条1項の規定の文理及び退職所得に対する優遇課税についての前記立法趣旨に照らし,これを決するのが相当である。このような観点から考察すると,ある金員が,同項にいう「退職手当,一時恩給その他の退職により一時に受ける給与」に当たるというためには,それが,①退職すなわち勤務関係の終了という事実によって初めて給付されること,②従来の継続的な勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払の性質を有すること,③一時金として支払われること,との要件を備えることが必要であり,また,同項にいう「これらの性質を有する給与」に当たるというためには,それが,形式的には上記各要件のすべてを備えていなくて ること,③一時金として支払われること,との要件を備えることが必要であり,また,同項にいう「これらの性質を有する給与」に当たるというためには,それが,形式的には上記各要件のすべてを備えていなくても,実質的にみてこれらの要件の要求するところに適合し,課税上,上記「退職により一時に受ける給与」と同一に取り扱うことを相当とするものであることを必要とすると解すべきである(前記最高裁第二小法廷判決昭和58年9月9日,同第三小法廷判決昭和58年12月6日。 ) 認定事実前記前提事実に加え,証拠(甲4から9まで,甲16から32まで,甲36,甲,,,,,,39から43まで乙1から5まで乙7乙10から16まで乙19乙23原告代表者)及び弁論の全趣旨によれば,以下の各事実が認められる。 ( )原告における学校設置の経緯等 ア原告による各私立学校の設置,運営の経緯は,前記前提事実( )記載のとお りである。 原告は,学校法人としての設立以来,建学の精神を具現化する場として,本件高校における教育に重点を置いており,本件高校の生徒数は,昭和60年ころには- 29 -2200名程度であり,平成14年ころには1200名程度であった。 原告がI大学を開学したのは昭和62年4月であり,本件大学を開学したのは平成10年4月である。平成14年4月の本件大学への新入学生の数は,143名程度であった。 イ原告は,国や大阪府その他の地方公共団体から私立学校振興助成法4条1項及び同法9条に規定する補助金の交付を受けているところ,同法14条1項は,同法4条1項又は同法9条に規定する補助金の交付を受ける学校法人は,文部科学大臣の定める基準に従い,会計処理を行い,貸借対照表,収支計算書その他の財務計算に関する書類を作成しなければならない旨規定し,この 条1項又は同法9条に規定する補助金の交付を受ける学校法人は,文部科学大臣の定める基準に従い,会計処理を行い,貸借対照表,収支計算書その他の財務計算に関する書類を作成しなければならない旨規定し,この規定に基づき定められた学校法人会計基準は,学校法人に対し,資金収支計算書及びこれに附属する内訳表(資金収支内訳表,人件費支出内訳表,消費収支計算書及びこれに附属する消費)収支内訳表並びに貸借対照表及びこれに附属する明細表(固定資産明細表,借入金明細表,基本金明細表)の作成を義務付け(同基準4条,このうち,資金収支内)訳表,人件費支出内訳表及び消費収支内訳表については,①学校法人(次の②から⑤までのものを除く,②各学校,③研究所,④各病院,⑤農場,演習。)林その他③及び④の施設の規模に相当する規模を有する各施設の各部門ごとに区分して記載するものとしている(同基準13条1項,14条1項,24条1項。 )( )Cの経歴等 アC(昭和3年2月2日生まれ)は,原告の創設者(E)の子であるところ,大学卒業後の昭和25年4月に22歳で本件高校の数学教諭として採用された。 イCは,昭和26年3月に23歳で原告の理事に,昭和29年7月に26歳で原告の理事長に就任し,その後,Cの母(H)が理事長を務めていた昭和32年3月から昭和36年11月までの間を除き,現在(79歳)に至るまで原告の理事長の地位にある。 なお,原告の理事は,その寄附行為6条1項により,本件学長(同項1号,B)学院大学歯科衛生学院専門学校学院長(2号,本件高校校長(3号,評議員のう))- 30 -ちから評議員会において選任した者,2人又は3人(4号,学識経験者のうち理)事会において選任した者,2人又は3人(5号)とされ,上記1号,2号,3号及び4号の理事は,学 のう))- 30 -ちから評議員会において選任した者,2人又は3人(4号,学識経験者のうち理)事会において選任した者,2人又は3人(5号)とされ,上記1号,2号,3号及び4号の理事は,学長,学院長,校長又は評議員の職を退いたときは,理事の職を失うものとするとされている(同条2項。そのため,Cは,平成14年3月31)日に本件高校校長の職を退いたことにより理事の職を失い,したがって,理事長の職も失ったが,同年4月1日の本件学長への就任により,改めて理事となった。Cは,同日以後も理事長の職務を遂行していたところ,Cは,平成14年3月31日に理事長の職も失ったのであるから,本来は,理事会による理事長選任決議が必要であったが,この手続は失念されていた。平成14年10月19日開催の理事会において,Cの理事長としての3年の任期が満了するとして,Cを理事長に再任する決議がされ,その後,平成16年10月2日開催の理事会で理事長選任手続に係る上記不備が報告され,Cを理事長として承認する決議がされた。 ウCは,前記のとおり,昭和25年4月に本件高校の数学教諭として採用された後,昭和30年3月に27歳で本件高校の校長に就任したが,校長就任後も,昭和60年ころまで数学の授業等を担当し,クラス担任をするなどしていた。Cは,その後,平成12年4月にその設置に伴って本件中学の校長を兼任することとなっ。 ,,,,たその後平成14年3月31日74歳で本件校長の職を退き同年4月1日本件学長に就任した(Cの本件高校における勤続年数は52年間である。なお,。)本件高校及び本件中学の職員の本来の定年は63歳であるが,Cが64歳になった後の平成4年11月28日に開催された理事会で,Cの定年を平成9年3月31日まで延長する旨の決議がされ,さらに,平成8 。)本件高校及び本件中学の職員の本来の定年は63歳であるが,Cが64歳になった後の平成4年11月28日に開催された理事会で,Cの定年を平成9年3月31日まで延長する旨の決議がされ,さらに,平成8年11月30日に開催された理事会で,Cの定年を平成14年3月31日まで延長する旨の決議がされていた。 また,Cは,昭和30年4月から昭和36年3月までの間,昭和58年11月から昭和59年4月までの間,それぞれ本件幼稚園の園長を務め,さらに,昭和62年4月に同園長に就任し,現在に至るまでその職にある。 エCは,平成12年4月1日施行の原告の学園長規程により,同日,原告の初- 31 -代学園長に就任し,現在に至るまで学園長の地位にある。 ( )Cの職務内容等 ア(ア)Cは,平成14年3月31日以前及び同年4月1日以後を通じ,原告の理事長として,①理事会及び評議員会(いずれも1年間に5回程度開催)への出席と議事の進行,②学校の新設,統廃合,組織の改編等に関する方針決定,③学校用地の購入や新校舎建設等の方針決定,④教職員人事,財務の決済等の職務を行っている。ただし,長男Jが,平成7年4月に原告副理事長に就任したほか,原告の学園企画室の室長を兼務し,次男Kも同室次長に就任しており,上記②から④までの職務については,同人らが主導的な役割を果たしている。 (イ)学園長はいわゆる名誉職であって(原告の学園長規程3条は,学園長は,建学の理念に基づく教育活動を推進するために,各部門を統督し,学園の教育活動の充実活性化を図ることを職務とすると規定するのみである,Cは,平成14年。)3月31日以前及び同年4月1日以後を通じ,学園長としては,具体的な職務や権限を有していない。 (ウ)本件幼稚園においては,昭和62年4月にCが園長に就任するに際し,副 ,Cは,平成14年。)3月31日以前及び同年4月1日以後を通じ,学園長としては,具体的な職務や権限を有していない。 (ウ)本件幼稚園においては,昭和62年4月にCが園長に就任するに際し,副園長の職が設けられ,同園の実務は副園長が統括している。したがって,平成14年3月31日以前及び同年4月1日以後を通じ,Cの本件幼稚園園長としての職務は,入園式,卒園式といった重要な式典や宿泊保育,運動会といった各種行事に参加するといった程度で,Cが本件幼稚園に定期的に出勤するということはない。 イCは,平成14年3月31日まで,本件校長として,本件高校及び本件中学(いずれもd丁目e番f号所在)に月曜日から土曜日まで,毎日午前8時ころから午後7時ころまで勤務し,①職員朝礼,生徒朝礼における訓辞,②職員会議,,,,,,,部長会学年主任会議学科長会議教科主任会議運動部長会議奨学金委員会単位認定会議,補導会等の生徒指導に関する会議,同和教育に関する会議,入試選考委員会,中高入試対策委員会,中高入試判定会議といった各種会議・委員会への出席,③体育祭,文化祭,野外研修,オリエンテーション,保護者会,修学旅行- 32 -等の各種行事への参加,④生徒に対する退学・停学・訓戒等の処分,単位認定や入試における合否判定についての最終的な判断,決定,⑤教務日誌,教具購入計画書等学務書類の決裁,教職員の出張等についての決裁,⑥生徒指導(問題を起こした生徒に対する個別の面会・指導を含む,校内巡回,⑦大阪府私立中学校。)高等学校連合会,近畿工業高等学校長協会等の外部団体の会議等への出席などの職務を行っていた。なお,本件中学は,各学年の定員が80名程度であり,Cが本件中学の校長に在職した平成12年4月から平成14年3月までは開校当初の 工業高等学校長協会等の外部団体の会議等への出席などの職務を行っていた。なお,本件中学は,各学年の定員が80名程度であり,Cが本件中学の校長に在職した平成12年4月から平成14年3月までは開校当初のため生徒数も少なく,Cの本件校長としての職務のうち,本件中学の校長としての職務の割合は小さいものであった。 ウCは,平成14年4月1日以降,本件学長として,本件大学(旧a町b番c),(),所在の学長室等において①教授会への出席と議事の進行1週間に1回開催②入学宣誓式,学位記授与式への出席,③学生に対する退学,停学,訓告等の処分についての最終的な判断,決定,④学務書類の決裁,⑤日本私立大学協会等本件大学が加盟している外部団体の総会等への出席,などの職務を行っている。 もっとも,Cが本件大学(学長室)に出勤するのは,1週間に2,3回程度の頻度ではあるが,不定期であり,出勤した場合の滞在時間も一定ではない。 平成10年4月から,Jは,I大学の学長の職に,Kは,同大学の学長補佐の職にあったため,同人らは,Cよりも大学運営についての知識,経験が豊富であったところ,Cが本件学長に就任すると同時に,Jが本件大学の副学長に,Kが本件大学の学長補佐にそれぞれ就任し,学長としての職務について実質的な判断の一部をゆだねられるなど,Cの学長としての職務の多くを助けている。 ( )Cに対する給与の明細等 アCが,平成13年度(本件校長在職時)に原告から支給されていた1か月の給与明細及びその支給根拠は以下のとおりでありその合計額は149万6255,,円である。 (ア)理事長の職務に対する報酬39万0000円- 33 -原告の理事長の報酬は,その役員報酬規程(なお,同規程の名称は,平成17年7月2日開催の理事会で役職手当規程に変更された)2 である。 (ア)理事長の職務に対する報酬39万0000円- 33 -原告の理事長の報酬は,その役員報酬規程(なお,同規程の名称は,平成17年7月2日開催の理事会で役職手当規程に変更された)2条により,25万円から。 40万円までの間とされている。 なお,原告の寄附行為14条は,役員は,その地位について報酬を受けることが,,,,できない旨規定するがこれは役員の報酬については勤務実態に即して支給し役員の地位にあることのみによっては支給しないという趣旨であると解される(甲12,乙23参照。 )(イ)幼稚園園長の職務に対する給料5万0000円本件幼稚園には園長が非常勤の場合の給料についての定めがなかったことから,他の非常勤職員の給料等を勘案して,上記金額とされた。 (ウ)a高校校長の職務に対する本給93万7000円(内訳)本俸85万1820円研究補助費2800円住宅手当2万5200円調整手当5万7180円本件高校においては,平成11年ころ,校長の給料をいわゆる人事院勧告による指定職俸給表(事務次官,外局の長,大学の学長,試験所又は研究所の長,病院又は療養所の長その他の官職を占める職員で人事院規則で定める者に適用される俸給表)を用いて算定することとし,平成13年度のCの本給は同表における6号俸の俸給月額と同額(93万7000円)とされた。 b本件校長の職務に対する役職手当11万9255円本件高校においては,校長,教頭,部長,主任等の地位にある者に対し,役職手当給与規程2条4項の職務手当を支給することとしているところ平成13(「」),年度の校長の役職手当は,大規模の大阪府立の高等学校の校長の場合に準じて,本俸の14パーセントとされ,これにより,上記金額とされた。なお,平成14年度の校長(C るところ平成13(「」),年度の校長の役職手当は,大規模の大阪府立の高等学校の校長の場合に準じて,本俸の14パーセントとされ,これにより,上記金額とされた。なお,平成14年度の校長(Cの後任)の役職手当は,普通規模の大阪府立の高等学校の校長の場合に- 34 -準じて,本俸の12パーセントとされた。 (エ)前記のとおり,学園長は,具体的な職務,権限を有しない名誉職であり,これに対する給与は支給されていない。また,Cは,本件高校校長と本件中学校長とを兼務していることなどから,本件高校校長としての上記本給及び役職手当の他に,本件中学校長としての職務に対する給与は支給されていない。 イCが,平成14年度(本件学長在職時)に原告から支給された1か月の給与明細及びその支給根拠は,以下のとおりであり,その合計額は117万9330円である。 (ア)理事長の職務に対する報酬39万0000円支給の根拠は,平成13年度と同様である。なお,理事長選任手続については,前記( )イのとおりである。 (イ)幼稚園園長の職務に対する給料5万0000円支給の根拠は,平成13年度と同様である。ただし,平成13年1月1日から同,(,)年12月31日までの給料・賞与の合計額は60万円うち源泉所得税3万円であるのに対し,平成14年1月1日から同年12月31日までの給料・賞与の合計額は,63万3333円(うち,源泉所得税3万3333円)である。 (ウ)a本件学長の職務に対する本給68万0000円うち,本俸59万3260円本件大学においては,指定職に関する規程により,学長,学部長,事務局長等の俸給表(指定職俸給表)を定めているところ,平成14年度のCの号俸は4号俸とされ,上記金額が決められた(なお,同規程4条は,指定職俸給表の適用を受ける に関する規程により,学長,学部長,事務局長等の俸給表(指定職俸給表)を定めているところ,平成14年度のCの号俸は4号俸とされ,上記金額が決められた(なお,同規程4条は,指定職俸給表の適用を受ける職員の該当号俸は,理事長が決定する旨規定する。 。)b本件学長の職務に対する職務手当5万9330円これは,上記本俸59万3260円の10パーセントに相当する額であるが,指定職に関する規程5条は,指定職の適用を受ける職員は,管理職手当(役職手当,職務手当等,研究補助費,住宅手当及び家族手当は,支給されないとしており,)- 35 -上記5万9330円の職務手当は,同規程上は,支払われないはずのものであり,前学長(Z)も,職務手当の支給は受けていなかった。 ウ以上によれば,Cが平成13年度に原告から支給を受けていた1か月の給与の合計は149万6255円であり,そのうち,本件校長としての職務に対する給与は105万6255円である。これに対し,Cが平成14年度に原告から支給を受けていた1か月の給与の合計は117万9330円であり,そのうち,本件学長としての職務に対する給与は73万9330円である。そうすると,Cの平成14年度の給与月額は,平成13年度に比べて,約21パーセント減少しており,本件学長としての職務に対する給与は,本件校長としての職務に対する給与に比べて,約30パーセント減少している。 ( )本件金員の支払とその算定根拠 ア原告は,Cが本件校長の職を退いたことから,平成14年6月10日,Cに対し,本件高校の就業規則及び退職金規程に基づく退職金として4802万1353円(本件金員)を支払うこととし,その際,Cから,本件金員に係る所得は所得税法30条1項にいう「退職所得」に該当するとして151万8000円を源泉徴収し,これを国に く退職金として4802万1353円(本件金員)を支払うこととし,その際,Cから,本件金員に係る所得は所得税法30条1項にいう「退職所得」に該当するとして151万8000円を源泉徴収し,これを国に納付した(なお,原告が,同日,現実にCに支払ったのは,本件金員から上記所得税のほか地方税等を控除した残額4511万2035円である。 。),,イ本件金員の額は平成14年3月31日当時のCの本俸85万1820円に本件高校の退職金規程が勤続年数41年の普通退職の場合の支給率として定める56.375を乗じて算出された。なお,本件高校の退職金規程3条1項は,退職金は退職時の本俸に研究補助費の月額を加えた額に勤続年数に応じて別表(本件判決添付別紙3の退職金支給率表)の率を乗じた額とする旨規定するところ,同別表には勤続年数が41年以上の場合の支給率が規定されていないことから,本件金員。 ,の額の算出には勤続年数41年の普通退職の場合の支給率が用いられたもっとも本件記録によっても,平成14年3月31日当時のCの研究補助費(2800円)- 36 -が算出の基礎として加算されなかった根拠は明らかでなく,また,同規程3条2項が同条1項により算出された金額に10円未満の端数がある場合はこれを切り上げる旨規定するにかかわらず,本件金員の額の算出に当たって10円未満の切上げがされなかった根拠もまた明らかでない。 ウ退職金財団は,大阪府内に私立学校を設置している学校法人その他の設置者及び私立学校関係団体に対し,当該学校法人等に勤務する教職員の退職金支給に必。 ,要な資金を給付することを事業目的とする財団法人である退職金財団においては事業の対象となる学校法人等から負担金を徴収し,学校法人等の教職員が退職した場合に,当該学校法人等に対し,退職者又は遺族に支給 要な資金を給付することを事業目的とする財団法人である退職金財団においては事業の対象となる学校法人等から負担金を徴収し,学校法人等の教職員が退職した場合に,当該学校法人等に対し,退職者又は遺族に支給する退職金に充当する資金である「退職資金」を給付する制度を運用している。原告は,昭和43年4月に退職金財団の事業の対象となったところ,Cが本件校長の職を退いたことから,Cに対して本件金員を支払った後,同財団に対し,同財団事務要領の定めに従って算出されたCに係る退職資金1972万1000円を請求し,その後,同金員が同財団から原告に対して給付された。 ( )学長及び理事長に係る退職金 ア本件大学の退職金規程3条は,退職金は,退職時の本俸に勤続年数に応じて別表の率を乗じた額とする旨規定するところ,上記勤続年数は,本件大学における勤続年数を意味し,Cが,今後,本件学長の職を退く際には,平成14年4月1日から退職までの期間が退職金算出の基礎とされる。 イ原告の役員報酬規程には,理事(理事長)を退任する際に退職金を支給する旨の定めはなく,原告において,これまで退任する理事に退職金を支払ったことはない。 検討( )ア前記認定の本件金員の算定方法等からして,本件金員がCの本件高校で の勤続期間(52年間)における勤務に対する報償ないしその間の労務の対価の一部の後払として支払われたこと,本件金員が一時金として支払われたことは,いず- 37 -れも明らかであるから,本件金員は「退職手当,一時恩給その他の退職により一,時に受ける給与」に当たるための前記3要件のうち,②,③の各要件を満たすということができる。 イそこで,①の要件について検討する。 確かに,前記認定事実によれば,Cは,本件校長の職を退く前後を通じて学校法人である原告の理事及び理事 3要件のうち,②,③の各要件を満たすということができる。 イそこで,①の要件について検討する。 確かに,前記認定事実によれば,Cは,本件校長の職を退く前後を通じて学校法人である原告の理事及び理事長の地位にとどまっていたのであり,同人が同学校法人の創設者の後継者として若年期から同学校法人の事業展開に主導的役割を果たしてきた中心的人物であることを併せ考えると,本件校長からの退職及び本件学長への就任という勤務関係の異動は,同一の学校法人の設置する内部組織としての教育機関の代表者,最終責任者の職間の異動にすぎないとみられなくもない。 しかしながら,そもそも,同一の学校法人の設置する教育機関であっても,高等学校(及び中学校)と大学とでは,その教育機関としての目的,性格が基本的に異なるものであり,その差異に応じて学校教育法その他の関係法令によりその組織及び運営の両面にわたって種々の規制がされているのであって,同一の学校法人との間に雇用等の法律関係にある者であっても,少なくとも教員については,その設置する高等学校(及び中学校)及び大学相互間の異動は一般的に考え難く,原告においても,このような観点から,本件高校及び本件大学についてそれぞれ別個の就業規則を定めるのみならず,その退職金規程もそれぞれ別個とした上勤続年数に関する通算規定等を設けていないものと解される。また,私立学校法及び学校教育法の規定によれば,学校法人における理事及び理事長の権限は,当該学校法人の組織及び運営の基本的事項に関するものにとどまり,教育に関してはその設置する各学校の校長ないし学長にその多くがゆだねられており,しかも,後記のとおり,高等学校(及び中学校)の校長と大学の学長とでは,その教育機関としての目的及び性格の相違から,所属職員に対する指揮監督権の内容等において差が設けられて の多くがゆだねられており,しかも,後記のとおり,高等学校(及び中学校)の校長と大学の学長とでは,その教育機関としての目的及び性格の相違から,所属職員に対する指揮監督権の内容等において差が設けられているのである。 そうであるところ,前記認定事実によれば,Cの平成14年3月31日までの原- 38 -告における職務のうち主要なものは,常時勤務を要する本件校長としての職務であったということができ,その余の理事長としての職務及び園長としての職務は,いずれも常時勤務を要しないものである上,J若しくはK又は副園長にその職務の一部又は大部分をゆだねていたというのであるから,これらの職務は,Cの原告における職務のうちのごく一部にすぎなかったというべきであり,原告代表者尋問の結果によれば,C自身も,本件校長としての職務に要する時間,労力等と理事長としての職務に要する時間,労力等との比率は9対1程度であるといった感覚を有していたことが認められる。他方,平成14年4月1日以降については,本件学長としての職務が主要なものであったということができるものの,Cが本件大学(学長室)に出勤するのは1週間に2,3回の頻度であって,理事長としての職務,園長としての職務と同様,常時勤務を要するものではなく,さらにその多くを副学長であるJや学長補佐であるKにゆだねていたというのである。 また,Cは,平成14年3月31日まで,本件校長として,自ら本件高校及び本,(,,件中学の校務をつかさどり所属職員を監督する学校教育法40条同法51条同法28条3項)のみならず,校内を巡回し,生徒朝礼で訓辞を述べ,さらに生徒指導にも直接当たるなど,実際の教育現場における教師のうちのひとりとしてその職責を果たしていたということができる(学校教育法は,中学校又は高等学校の校長の職務として生 徒朝礼で訓辞を述べ,さらに生徒指導にも直接当たるなど,実際の教育現場における教師のうちのひとりとしてその職責を果たしていたということができる(学校教育法は,中学校又は高等学校の校長の職務として生徒の教育をつかさどる旨の明文の規定を置いていないが,中学校及び高等学校の教育機関としての目的(同法35条,41条,性格並びに中学校)又は高等学校の校長の資格に関する学校教育法施行規則の定め等に照らせば,学校教育法等は校長が直接生徒の教育,指導に当たることをその職務から殊更除外しているとは解されず,社会通念上も,必要に応じて生徒に対する教育,指導に当たることは校長の通常の職務の一部であると認識されていると考えられる。これに対。),,(),,し大学においてはその教育機関としての目的同法52条性格にかんがみ学長は,校務をつかさどるとされているものの(同法58条3項,学部に関する)校務は各学部長がつかさどることとされている(同条5項)ほか,重要事項につい- 39 -ては教授会で審議することとされており(同法59条1項,また,学長は所属職)員を「統督」するとされ(同法58条3項,所属職員に対する指揮監督関係は,)中学校又は高等学校等の校長のそれに比べて包括的,大局的なものにとどまっている。前記認定事実によれば,平成14年4月1日以降のCの本件学長としての職務内容も大学の代表者最終責任者としての対外的事務決裁事務がほとんどであっ,,,て,所属職員を直接監督したり,学生を直接教授,指導したりすることはないというのである(そもそも,前記大学設置基準の定め等によれば,学長には主に大学運営に関する識見が求められており,学生を教授し,その研究を指導し,又は研究に従事する教授(学校教育法58条6項)に求められるような研究上の業績等 ,前記大学設置基準の定め等によれば,学長には主に大学運営に関する識見が求められており,学生を教授し,その研究を指導し,又は研究に従事する教授(学校教育法58条6項)に求められるような研究上の業績等を備え,,,,ている必要はなくしたがって学校教育法等において学長が学生に対する教授指導等をすることは予定されておらず,社会通念上も学生に対する指導等に当たることは学長の通常の職務の一部とは認識されていないと考えられる。 。)以上によれば,Cの本件学長就任後の職務は,本件校長在職時の職務に比べ,その量において相当軽減されたものであるだけでなく,勤務形態自体が異なるとともに,その内容,性質においても,学校の代表者,最終責任者としての職務という点では本質的な相違はないものの,具体的な職務内容や自らのかかわり方については相当程度異なるところがあるというべきである。 そうであるところ,前記認定のとおり,Cの本件学長就任時の給与月額は,本件校長退職時に比べ,約21パーセント減少しており,本件学長としての職務に対する給与は,本件校長としての職務に対する給与に比べて,約30パーセント減少したというのであり,給与面にも前記のような職務の量,内容,性質の変動が一応反映されているということができる。 以上に認定,説示したところからすれば,Cの本件校長からの退職,本件学長への就任という勤務関係の異動は,社会通念に照らし,単に同一法人内における担当業務の変更(単なる職務分掌の変更)といった程度のものにとどまらず,これにより,Cの勤務関係は,その性質,内容,処遇等に重大な変更があったといわなけれ- 40 -ばならない。 以上に加えて,原告においては,その設立以来,建学の精神を具現化する場として本件高校における教育に重点を置いており,その規模等に照らしても,本件 な変更があったといわなけれ- 40 -ばならない。 以上に加えて,原告においては,その設立以来,建学の精神を具現化する場として本件高校における教育に重点を置いており,その規模等に照らしても,本件高校が学校法人である原告の中心的な教育機関として位置付けられていたこと,Cが2回の定年延長を経て52年間もの長期間にわたって本件高校に教員として勤務し,本件校長の職を退いたときの年齢が74歳と高齢であったこと,Cが,今後,本件学長を退職する際には,学長就任から退職までの期間のみが退職金算出の基礎とされ,本件高校における勤続期間は加味されない予定であることなどをも併せかんがみれば,Cの本件学長就任後の勤務関係を,その本件校長在職時の職務関係の単なる延長とみることはできない。 そうすると,本件金員については,本件校長を退職した前後において,Cの理事長,園長としての勤務関係が継続していることなどからして「退職手当,一時恩,給その他の退職により一時に受ける給与」該当性の前記①の要件を満たすとまでいうのは困難であるとしても,実質的にみて,上記要件の要求するところに適合し,少なくとも,課税上,これと同一に取り扱うのが相当というべきである。 ( )これに対し,被告は,Cは,本件校長を退職した前後において,理事長及 び学園長として原告の経営上,運営上の最上位の地位にあり,法的にも最高責任を負う立場にあって,原告を代表し業務一切を総括する広範な権限を有しており,本件校長を退職しても,本件高校及び本件中学の運営に関する職務を行わなくなったわけでないなどと主張する。 確かに,前記認定のCの経歴等にかんがみれば,Cは,本件校長退職の前後を通じ,さらに現在に至るまで,理事長として原告を代表し,学校法人内部の事務を総,,括する立場にあるというにとどまらず原告にお 確かに,前記認定のCの経歴等にかんがみれば,Cは,本件校長退職の前後を通じ,さらに現在に至るまで,理事長として原告を代表し,学校法人内部の事務を総,,括する立場にあるというにとどまらず原告において多大な影響力を有する中心的。 ,,象徴的な存在であるということができるしかしながらCが原告における中心的,,象徴的存在として原告との間の法律関係を維持持続しているからといって直ちに本件金員に係る所得を「退職所得」として扱うのが相当でないということはできな- 41 -い。そもそも,学校法人における理事及び理事長の権限は,当該学校法人の組織及び運営の基本的事項に関するものにとどまり,教育に関してはその設置する各学校の校長ないし学長にその多くがゆだねられていることは,前記説示のとおりである上,Cの場合,理事長としての職務が本件校長在職時のCの職務のうちのごく一部にすぎなかったことは既に認定,説示したとおりであるところ,学校教育法,私立学校法等の定めや前記認定のCの職務内容の変動等に照らせば,Cは,本件校長退職後,理事長として学校法人の運営に関する方針決定等をするほかは,本件高校及び本件中学の校務に関する権限を失ったものといわざるを得ず,少なくとも,社会,。 通念上は本件高校及び本件中学における教育の現場から引退したというほかないしたがって,Cが,本件校長退職の前後を通じて理事長として広範な権限を有している旨の被告の主張は,少なくとも本件においては,本件金員に係る所得が退職所得に該当しないことの根拠としては当を得ないものといわざるを得ない。 また被告は本件校長の職務内容と本件学長の職務内容とは本質的に同様であっ,,て,Cが兼務する職務のうちの一つが本件校長から本件学長になったからといってCの地位及び職務内容が激変したということはでき た被告は本件校長の職務内容と本件学長の職務内容とは本質的に同様であっ,,て,Cが兼務する職務のうちの一つが本件校長から本件学長になったからといってCの地位及び職務内容が激変したということはできない旨主張するが,本件校長からの退職,本件学長への就任によってCの勤務関係に重大な変更があったというべきことは既に認定,説示したとおりであるから,被告の前記主張は,採用することができない。 さらに,被告は,勤務内容が激変したのであれば,給与も激減するはずであるのに,Cは本件校長退職後も原告から月額100万円以上の給与の支給を受けているなどと主張する。しかしながら,既に認定,説示したとおり,Cの勤務関係の変更は,一応その給与額に反映されているということができるから,被告の前記主張は採用することができない。なお,前記認定のとおり,Cは,本件校長退職後も原告から月額117万9330円の給与の支給を受けていることが認められるが,前記認定のとおり,Cが本件学長を退職する際には同人の本件高校在職期間は退職金額の算定における勤続年数に算入されず,また,同人が理事を退任する場合には退職- 42 -金の支給は予定されていないというのであるから,本件金員は退職後の生活保障の趣旨をも含むものということができる。 ( )以上により,本件金員に係る所得は,所得税法30条1項にいう「退職所 得」に該当するというべきであるから,これを所得税法28条1項にいう「給与所得」に該当するとしてされた本件各処分は,いずれも,その余の点について判断するまでもなく,違法である。 結論 よって,原告の請求は,理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官岡田幸人裁判官森田亮- よって,原告の請求は,理由があるから,これを認容することとし,主文のとおり判決する。 大阪地方裁判所第2民事部裁判長裁判官西川知一郎裁判官岡田幸人裁判官森田亮- 43 -

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る