平成15(行ケ)408 特許取消決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成16年5月26日 東京高等裁判所
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判決文本文2,643 文字)

平成15年(行ケ)第408号特許取消決定取消請求事件(平成16年5月12日口頭弁論終結)判決 原告北越製紙株式会社訴訟代理人弁理士鴇田將被告特許庁長官今井康夫指定代理人山崎勝司同鈴木公子同高橋泰史同伊藤三男 主文 特許庁が異議2002-72915号事件について平成15年7月24日にした決定を取り消す。 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求主文と同旨第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯(1) 原告は,名称を「チップ状電子部品用キャリアテープ台紙」とする特許第3289244号発明(平成13年4月13日特許出願,平成14年3月22日設定登録,以下,この特許を「本件特許」という。)の特許権者である。 本件特許につき,特許異議の申立てがされ,特許庁は,これを異議2002-72915号事件として審理した結果,平成15年7月24日,「特許第3289244号の請求項1及び2に係る特許を取り消す。」との決定をし,その謄本は,同年8月11日,原告に送達された。 (2) 原告は,上記決定の取消しを求める本訴を提起した後,平成16年2月19日,本件特許出願の願書に添付した明細書の特許請求の範囲の記載等の訂正を求める訂正審判の請求をした。特許庁は,これを訂正2004-39035号事件として審理し,平成16年3月26日,本件明細書を訂正審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正す の範囲の記載等の訂正を求める訂正審判の請求をした。特許庁は,これを訂正2004-39035号事件として審理し,平成16年3月26日,本件明細書を訂正審判請求書に添付された訂正明細書のとおり訂正することを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」といい,本件訂正審決に係る訂正を「本件訂正」という。)をし,その謄本は,同年4月7日,原告に送達された。 2 特許請求の範囲の記載(1) 本件訂正前の特許請求の範囲の記載【請求項1】 チップ状電子部品の運搬に用いるチップ状電子部品収納台紙において,前記台紙は多層板紙であり,該多層板紙の各層の繊維原料は実質的に古紙パルプ又は機械パルプを含有せず,主として無塩素漂白化学パルプであり,該多層板紙のJISP8133で規定される冷水抽出pHは6以上であり,前記繊維原料に添加する硫酸バンドは無添加又は冷水抽出pHが6未満とならない範囲内で少量添加するとともに,前記多層板紙は,水溶性塩化物含有量が50ppm以下であって,前記繊維原料である無塩素漂白化学パルプは,ECF(ElementaryChlorineFree)漂白パルプであることを特徴とするチップ状電子部品用キャリアテープ台紙。 【請求項2】 前記多層板紙は,発生するアウトガス量が該多層板紙0.1gを不活性ガス気流中で40℃30分間加熱する条件にて,200ng/g以下であることを特徴とする請求項1記載のチップ状電子部品用キャリアテープ台紙。」(2) 本件訂正後の特許請求の範囲の記載(注,訂正部分を下線で示す。なお,請求項2は削除された。)【請求項1】 チップ状電子部品の運搬に用いるチップ状電子部品収納台紙において,前記台紙は多層板紙であり,該多層板紙の各層の繊維原料は,パルプが古紙パルプ又は機械パルプを含有しない,無塩 。)【請求項1】 チップ状電子部品の運搬に用いるチップ状電子部品収納台紙において,前記台紙は多層板紙であり,該多層板紙の各層の繊維原料は,パルプが古紙パルプ又は機械パルプを含有しない,無塩素漂白化学パルプであるECF(ElementaryChlorineFree)漂白パルプのみを用い,硫酸バンドを無添加又は少量添加すると共に,紙力向上剤として両性澱粉及び/又は両性ポリアクリルアマイドを一種類以上を添加したものであって,該多層板紙のJISP8133で規定される冷水抽出pHが6.0から中性近辺までの範囲であり,全塩素含有量が200ppm以下であり,水溶性塩化物含有量が50ppm以下であり,該多層板紙から発生するアウトガス量が200ng/g以下であり,且つ,該多層板紙の加速負荷回が200回以上であることを特徴とするチップ状電子部品用キャリアテープ台紙。 3 決定の理由決定は,本件特許の特許請求の範囲の請求項1及び2に係る各発明(以下,併せて「本件発明」という。)の要旨を,本件訂正前の特許請求の範囲の記載のとおり認定した上,本件発明は刊行物1(特開2000-203521号公報,甲1)に記載された発明並びに刊行物2(「防錆管理 31巻11号」昭和62年11月1日日本防錆技術協会発行,甲2)及び刊行物3(「紙パ技協誌 54巻9号」2000年9月1日紙パルプ技術協会発行,甲3)に記載された事項に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件発明についての特許は,特許法29条2項の規定に違反してされたものであり,同法113条2号に該当し,取り消されるべきものとした。 第3 原告主張の取消事由本件訂正審決の確定により,本件特許の特許請求の範囲の記載は,出願時に遡って,上記第2の2(2)のとおりとなったか 113条2号に該当し,取り消されるべきものとした。 第3 原告主張の取消事由本件訂正審決の確定により,本件特許の特許請求の範囲の記載は,出願時に遡って,上記第2の2(2)のとおりとなったから,決定がした本件発明の要旨認定は結果的に誤りであったことに帰する。この誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,決定は違法として取り消されるべきである。 第4 被告の主張本件訂正審決の確定により,本件特許の特許請求の範囲の記載が上記第2の2(2)のとおり訂正されたことは認める。 第5 当裁判所の判断本件訂正審決の確定により,特許請求の範囲が出願時に遡って上記のとおり訂正されたことは当事者間に争いがなく,本件訂正によって特許請求の範囲が減縮されたことは明らかである。 そうすると,決定がした本件発明の要旨認定は結果的に誤りであったことに帰し,この誤りが決定の結論に影響を及ぼすことは明らかであるから,決定は,瑕疵があるものとして取消しを免れない。 よって,原告の請求は理由があるから認容することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所知的財産第2部裁判長裁判官篠原勝美裁判官古城春実裁判官岡本岳

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