平成12刑(わ)3574 逮捕監禁,暴力的行為等処罰に関する法律違反

裁判年月日・裁判所
平成14年6月3日 東京地方裁判所
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判決文本文43,250 文字)

平成12年刑(わ)3574号等逮捕監禁,暴力的行為等処罰に関する法律違反 主文 被告人を懲役3年に処する。 未決勾留日数中250日をその刑に算入する。 訴訟費用は全部被告人の負担とする。 理由 (認定事実)第1 犯行に至る経緯 1 被告人は,当時(以下の身上関係はいずれも当時のものを指す。)インターネット及びコンピュータを利用した音楽の販売システムの開発及び販売等を目的とする株式会社A1の取締役であった者,Bは被告人の友人であった者,CはBの知人であった者,DはCに対して連帯保証債務を負っておりCと行動を共にしていた者,EはCの知人であった者,FはCの幼なじみであった者,GはFがCに紹介した者,Hは広告・宣伝に関する企画及び制作等を目的とする株式会社A2及びA1両社の代表取締役であった者,I(当時31歳)はA2及びA1両社の取締役であった者である。 2 被告人は平成8年5月ころにA2に入社し,同年12月ころまでA2の社長室長を務めたが,その後も,Hの傘下企業の代表取締役を務めるなどしてA2に関係する仕事を続けていた。 Iは,同年ころにHと知り合い,その後A2の取締役となったが,A2の仕事に関与をし始めたのは,被告人のほうがIよりも先であった。 その後平成10年7月にA1が設立された。これに伴って被告人,IがA1の取締役に就任し,Hが同社の代表取締役に就任した。 A2はA1の大株主であり,A1の実質的な運営母体はA2であった。 3 被告人は,Iが仕事上のトラブルが多く,A2及びそのグループ会社の役員として不適切だと思い,Iに対して悪感情を抱いていたが,平成11年1月ころ,Iに前 ,A1の実質的な運営母体はA2であった。 3 被告人は,Iが仕事上のトラブルが多く,A2及びそのグループ会社の役員として不適切だと思い,Iに対して悪感情を抱いていたが,平成11年1月ころ,Iに前科があることを知り,同年4月ころ,当時A1の株式の店頭登録が検討されていたことから,IをA2グループから早急に排除しなくてはならないと考えるに至り,同年5月ころ,Bに対し,「ぶん殴ってでもいいから乱暴してくれる人はいないか。」などと言って,Iに危害を加えることを依頼し,これを受けて,そのころ,BはCに同様Iに危害を加えることを依頼した。 第2 逮捕監禁の事実(平成12年11月14日付け起訴状記載の公訴事実について) 1 犯行に至る経緯(1) 被告人は,Hが,A1の第三者割当て増資に関して同社の株主である米国のA3社と交渉するため,Iを伴って平成11年6月10日に渡米する予定であることを知り,このIの渡米を阻止しようと考え,同月上旬ころ,Bに対しIを米国に行かせないようにあちこち連れ回してほしいと指示し,そのころ,Bもその旨Cに指示した。 (2) Cは,渡米予定日の同月10日にIを監禁してしまえば渡米できるはずもないと考え,確実を期すために渡米予定日の前日から渡米予定日の翌日までIをどこかに監禁することにし,G,E,Dから,Iを逮捕監禁することを手伝うことについて了解を得た。 (3) C,D,E,Gは,同月9日午後1時ころ,A2のあるビルから出てタクシーに乗ったIを普通乗用自動車2台に乗って尾行し,Iが東京都渋谷区ab丁目c番d号所在のJ病院に入ったことを確認すると,Gが同病院内に入っていってIを同病院本館前駐車場まで呼び出した。 2 罪となるべき事実被告人は,B,C,D,E及びGと共謀の上,平成11年6月9日午後1時30分ころ, 入ったことを確認すると,Gが同病院内に入っていってIを同病院本館前駐車場まで呼び出した。 2 罪となるべき事実被告人は,B,C,D,E及びGと共謀の上,平成11年6月9日午後1時30分ころ,前記J病院本館前駐車場において,Gが,Iに対し,いきなりその背部を手拳で数回殴打するなどの暴行を加えて,Iを同所に停車中の普通乗用自動車の後部座席に押し込み,Iの両手首をIのネクタイで緊縛すると共に,C及びGがその身体をIの身体に乗せてIを押さえ込むなどした上,同車両を発進させて,東京都内,千葉県内,神奈川県内,山梨県内等を疾走させ,その間,Iを神奈川県津久井郡e町fg番地所在のラブホテルK客室に連行して,Iに両手錠を掛け,GがIを見張るなどし,同月11日午後8時30分ころ,山梨県北都留郡h町ij番地付近山林において,Iを解放するまでの間,Iを前記車両内及び前記ラブホテル客室内等に閉じ込めるなどしてIの脱出を不能にし,もって,Iを不法に逮捕監禁した。 第3 暴力行為等処罰に関する法律違反の事実(平成12年12月5日付け追起訴状記載の公訴事実について) 1 犯行に至る経緯(1) 被告人は,前記第2,2の犯行によってもIを完全にA2グループから排除するという当初の目的が達成できなかったため,再度Iに対して危害を加える必要があると考え,平成11年6月中旬ころ,Bに対し,Iが懲りていないので危害を加えるよう依頼し,これを受けてBはCに同趣旨の依頼をした。 被告人は,その後同年7月7日までの間に2,3回,Bに犯行を催促する旨の電話をかけ,Bはその都度Cに対して犯行を催促する旨の電話をかけた。 (2) Cは,F及びEに犯行に協力するよう依頼し,Iを再度襲撃する機会をうかがった。 (3) 同年7月7日,CはE,Fらと共に朝からIを尾行し,いったんはI して犯行を催促する旨の電話をかけた。 (2) Cは,F及びEに犯行に協力するよう依頼し,Iを再度襲撃する機会をうかがった。 (3) 同年7月7日,CはE,Fらと共に朝からIを尾行し,いったんはIを見失ったものの,東京都港区kl丁目m番n号所在のLビルヂングの北側にある駐車場にIの車を発見し,Iを再び逮捕監禁しようとの計画を立てた上で同駐車場付近でIを待った。 2 罪となるべき事実被告人は,B,C,F及びEと共謀の上,平成11年7月7日午後1時ころ,前記Lビルヂングの北側にある駐車場及び同所付近路上において,C及びFが共同して,Iに対し,CがIの背後からIの襟首をつかみ,C及びFが前記Lビルヂングのコンクリート製外壁にIの顔面を押し付け,FがIの頭部を手拳で殴打し,下半身を足蹴にし,C及びFがIの腕部や肩をつかんで引っ張るなどの暴行を加え,もって,Iに対し,数人共同して暴行を加えた。 (証拠の標目)〔省略〕(補足説明)弁護人は,被告人がIの逮捕監禁をBらと共謀した事実はなく,また,Iに対する暴行をBらと共謀した事実もないので,本件各公訴事実につき被告人は無罪である旨主張し,被告人も捜査段階及び当法廷でこれに沿う旨の弁解をしている。そこで,当裁判所が,前記のとおり本件各公訴事実につき被告人を共同正犯であると認定した理由を以下補足して説明する。 第1 関係証拠によれば,以下の事実が動かし難いものとして認められる(なお,判示第2の逮捕監禁の事実を以下「本件逮捕監禁」と,判示第3の暴力行為等処罰に関する法律違反の事実を以下「本件共同暴行」という。)。 1 被告人ら関係者の当時の身上関係は,判示のとおりであって,要するに,被告人はA1の取締役であった者,Bは被告人の友人であった者,CはBの知人であった者,DはCに対して連帯保証債務を いう。)。 1 被告人ら関係者の当時の身上関係は,判示のとおりであって,要するに,被告人はA1の取締役であった者,Bは被告人の友人であった者,CはBの知人であった者,DはCに対して連帯保証債務を負っておりCと行動を共にしていた者,EはCの知人であった者,FはCの幼なじみであった者,GはFがCに紹介した者,HはA2及びA1両社の代表取締役であった者,IはA2及びA1両社の取締役であった者である。 2 被告人は平成8年5月ころにA2に入社し,同年12月ころまでA2の社長室長を務めた後,A1の会社立ち上げ作業に携わるなどし,平成10年1月ころには,Hがオーナーであった株式会社A4(A5株式会社から商号変更された会社である。)を買い取り,代表取締役となったが,この買い取り資金はHから被告人に貸し付けられたものであり,被告人はこの資金を返済したり金利を支払ったりはしていなかったことから,同社の名目上,実質上のオーナーは被告人であるもののHの意向も働くという状況にあった。 Iは,平成8年ころにHと知り合い,平成9年ころからA2の事務所で仕事をするようになり,その後同社の取締役となり,平成10年5月26日付けで同社の取締役に就任したとの内容で登記された。A2の仕事に関与し始めたのは,被告人のほうがIよりも先であった。 その後同年7月にA1が設立された。これに伴って被告人,IがA1の取締役に就任し,Hが同社の代表取締役に就任した。 A2はA1の大株主であり,A1の実質的な運営母体はA2であった。 3 Iは,A2の関連会社であるA6での仕事の中で,キャラクターについての権利を実際には取得していないにもかかわらず取得したという話で商品を勝手に作らせてしまい,その件が損害賠償請求に発展するという事態を招いたことがあった。また,売り先がないのに印刷物 クターについての権利を実際には取得していないにもかかわらず取得したという話で商品を勝手に作らせてしまい,その件が損害賠償請求に発展するという事態を招いたことがあった。また,売り先がないのに印刷物やティーシャツを発注してしまったこともあった。被告人は,Iは役員として不適切だと思っており,Iに対して好感を持っていなかった。被告人は,一時期会社が損害を被ったときに,Iに対して,感情的になって殴ってやりたいと思ったことがあった。 4 平成11年1月ころ,Hが調査会社にIの身元調査を依頼した結果,Iに前科があることが判明し,被告人もそのころその身許調査報告書を読んだ。 5 Hは,当時,A2グループの1社の株式を上場しようと考え,そのことについてA7證券の担当者と打ち合わせていたが,同年4月ころ,A7證券の担当者から,A1は業歴と売り上げは全くないが,将来爆発的に伸びる可能性がある会社だなどと言われ,A1の株式を上場する方向で検討に入った。このころは,A1の株式は店頭登録の形で上場することが予定されていた。 6 このころ,前記身元調査の結果を受けて,Iは,A1の役員を,同社の株式の店頭登録が決まる前提で辞めるが,A2に関しては役員のまま残って一緒に仕事をしていきたい旨Hに対して述べていた。被告人も,IがA1の役員を株式の店頭登録前には辞める話になっていることを同年6月よりも前に知っていた。 7 被告人は,同年春ころ,Iが,窓ガラスに黒色フィルムを張った暴力団関係者のように見える人物らが乗っている車から降りるところを見たとHに話し,ナンバープレートから車がどんな持ち主かということを調査し,車が株式会社A8の所有であることを突き止めた。被告人はHにA8が地上げ屋の一種ではないかという旨報告した。 8 Iは,対外的に,A1のCOOを名乗っており, 車がどんな持ち主かということを調査し,車が株式会社A8の所有であることを突き止めた。被告人はHにA8が地上げ屋の一種ではないかという旨報告した。 8 Iは,対外的に,A1のCOOを名乗っており,これに対する被告人の心情は,COOというのは基本的には代表権を持っているのが常識であり,それで仕事がうまくいくのであればグループのためであるが,Iの場合はうまくいかないことも多々あったので,複雑な思いであり,余り好ましいとは思わない,というものであった。 9 HとIは,同年6月10日に,A1の第三者割当て増資に関して,同社の株主である米国のA3社と交渉するため,渡米する予定であった(この点について,弁護人は,HとIの渡米は同年6月10日に確定的に予定されていたものではない旨主張し,Hも当法廷で「平成11年6月10日にアメリカに行くことは,多分決まってなかったと思うが,その週末の予定がなければ行こうかなというくらいの感覚だったと思う。」「そもそも6月10日に行くということが確定的に決まっていたわけではなく,多分前日にも決まっていなかった。ただ,10日か11日ぐらいにどちらか行くことができればな,というように思っていた。たまたま10日の日は自分のスケジュールも合わなかったので,翌日行こうかなというぐらいの認識だった。」などと述べている。しかし,Hのこの点に関する法廷供述はあいまいで信用性が乏しく,Iが捜査段階で,「平成11年6月9日に私は風邪気味であり,翌日から渡米を控えていたこともあって,午後1時過ぎころにJ病院に向かった。」「私とH社長は平成11年6月10日から渡米する予定だった。」旨述べていることからすれば,判示のとおりであると認められる。)。 Hが渡米するときに大体Iを連れて行っていたことは被告人も知っていたし,会社内では通常の行為 年6月10日から渡米する予定だった。」旨述べていることからすれば,判示のとおりであると認められる。)。 Hが渡米するときに大体Iを連れて行っていたことは被告人も知っていたし,会社内では通常の行為であったので,皆不思議には思っていなかった。被告人も,H及びIが同年6月10日に渡米する予定があることを事前に知っていた(なお,被告人は当法廷でHらの前記渡米予定を知らなかった旨述べるが,被告人がA2の取締役であり関連企業の代表取締役であってHらの渡米予定を当然知り得る立場にあったことに照らせば,被告人が述べるところはいかにも不自然であり,被告人がこのような立場にあることに加え,被告人が検察官に対し「Iが平成11年6月10日にアメリカに行く予定であったことを多分知っていたと思う。Iが行くと言うより,Hが行くという認識をしていた,Hの行動については把握するようにしていた。」旨述べているところ(平成11年11月10日付け検察官面前調書(乙6号証))を総合すれば,判示のとおりであると認められる。)。 10 被告人は,平成6年ころから,輸入車の販売等をしていたA9という会社で働いていたが,平成7年春ころにやはり同社で働くようになったBと知り合った。 その後被告人もBもA9を退社したが,平成9年ごろにJRo駅付近で会ってから継続的に付き合うようになり,喫茶店で会い,一緒に酒を飲みに行き,被告人がBの自動車を買い取り,被告人が住居を借りる際にBが不動産屋を被告人に紹介するなどして交際し,Bの家族と,被告人及び被告人の交際相手の女性との間での付き合いもあった。また,Bの経営する株式会社A10の取締役として被告人を登記したということもあった。被告人はBに対し,平成10年10月ころに1000万円を貸し付けており,この貸し付けに関しては,最初の数か月間利息が返済 ,Bの経営する株式会社A10の取締役として被告人を登記したということもあった。被告人はBに対し,平成10年10月ころに1000万円を貸し付けており,この貸し付けに関しては,最初の数か月間利息が返済されただけで,元本は返済されていなかった。平成10年ころ,被告人は大人のおもちゃのインターネット販売をしようとして,Bに依頼して大人のおもちゃを仕入れてもらったということもあった。また,同年暮れから平成11年にかけて,被告人が資金を出したいわゆるファッションヘルスにつき,Bが知人を店長として被告人に紹介し,B自身もこの営業を手伝ったということもあった。 Bは,2人でプライベートな話をするときは被告人に対し,「Mちゃん」と呼び,また被告人のことを知っている親しい者の前では,被告人のことを「Mちゃん」と呼ぶことがあった。 また,当時Bは,A2グループとは直接の関係がなく,Iとは面識もなかった。 Cは,A10で公共事業の下水道工事を立ち上げるに当たって,一度被告人に紹介されたことがあったため,被告人と面識があり,被告人がどこで働いていたのかを本件当時知っていたし,Bが被告人を「Mちゃん」と呼んでいることも知っていた。 11 平成11年5月ころに,BはCに対してある人物をぶん殴るなど危害を加えてくれる人間がいないかという趣旨のことを述べた。その際Cの知り合いの中国人のグループに頼むことが話題に上り,頼む相手に払う報酬の額についても話がされた。 12 その後,BはCに対して,Iの顔写真やIの住所・使用車両のナンバーが記載されたメモを渡し,pのクラブにIと男女の仲にある女性がいるかもしれないなどと話した。また,BはCに対し,報酬として現金を渡した(報酬額につき,当法廷で,Bは100万円と述べるが,Cは50万円と述べている。)。 13 BはCに対 と男女の仲にある女性がいるかもしれないなどと話した。また,BはCに対し,報酬として現金を渡した(報酬額につき,当法廷で,Bは100万円と述べるが,Cは50万円と述べている。)。 13 BはCに対し,Iに危害を加える目的について,Iの会社でIが邪魔になってIを辞めさせることだと理解できるような話をした(Cが,当法廷で,BからIを懲らしめて会社を辞めさせたいとの依頼を受けた旨述べるのに対し,Bは,当法廷で,相手をぶん殴ってもいいから暴行を加えてくれる人はいないかと依頼したもので,Cに対する依頼内容としてはIを会社から辞めさせたいということではなかった旨述べるのであって,両者の供述が相違している。しかし,他方,Bは,当法廷で,B自身がなぜIをそういうふうに被告人がしなければいけないのかという疑問を持ったのと一緒に,Cも必要以上にBに聞いてきたので,BとCで,やり取りの言葉があり,会社を辞めさせたいとか,辞めさせたいのかなとか,邪魔なのかなとか,2人で話したことはあったとも述べるのであり,少なくとも,BはCに対し,Iに危害を加える目的について,Iの会社でIが邪魔になってIを辞めさせることだと理解できるような話をしたものと認めるのが相当である。)。 14 Cは,BからIの写真やIの住所等が書かれたメモを受け取った後,Iの自宅付近で張り込みをし,Iを尾行するなどして,Iの妻がテニスクラブに通っていること,Iの2人の子供が小学生と幼稚園生であること,上の子供が通っている小学校,Iの出勤時刻,退社時刻,よく利用する飲食店等を調べた。 15 その後同年6月上旬ころ,BはCに電話をして,Iが同月10日に渡米する予定であることを伝え,渡米できないようにあちこち連れ回してほしいと指示した。 16 このころ,Cは,Fの事務所を訪れた際に,「ある会社の役員 上旬ころ,BはCに電話をして,Iが同月10日に渡米する予定であることを伝え,渡米できないようにあちこち連れ回してほしいと指示した。 16 このころ,Cは,Fの事務所を訪れた際に,「ある会社の役員を会社から追い出すために,その男を監禁するよう依頼を受けている。」などと述べた上でFからGの紹介を受け,GからIの逮捕監禁を手伝う旨の了解を得た。 17 Cは,BからIの渡米を阻止するよう言われていたことから,渡米予定日の同年6月10日にIを監禁してしまえば渡米できるはずもないと考え,確実を期すために渡米予定日の前日から渡米予定日の翌日までIをどこかに監禁することにした。 Cは,同月8日にGに電話をし,翌日の午前中にo駅前に来てほしいと言ってGを呼び出し,翌9日になってE及びDにも電話してo駅前に呼び寄せた。Eは,o駅前でCから「この会社で働いている男をさらって,連れ回すのを手伝ってほしい。そいつは,明日アメリカに行くんだが,絶対にアメリカに行かせないようにしなければならない。」などと言われ,Cに手を貸すことを承知した。DもEに「このビルにある会社の人間が,明日からアメリカに行く予定なんだが,それを行かせないようにするため,2,3日くらいそいつを連れ回さなければならないんだ。」などと言われ,Iを逮捕監禁することを承知した。 18 同月9日,C,G,E及びDは,普通乗用自動車2台に分乗してIを尾行し,Iが東京都港区所在のJ病院に入ると,GがIを同病院内から連れ出し,EがCを後部座席右側に同乗させた普通乗用自動車を運転して同病院本館前駐車場にいるGとIのそばに移動させた。 そして,Eが運転する普通乗用自動車のドアが開くと同時にGがいきなりIの背部を手拳で数回殴打するなどの暴行を加え,Iを同自動車の後部座席に押し込み,Iの両手首をIのネクタイ Iのそばに移動させた。 そして,Eが運転する普通乗用自動車のドアが開くと同時にGがいきなりIの背部を手拳で数回殴打するなどの暴行を加え,Iを同自動車の後部座席に押し込み,Iの両手首をIのネクタイで緊縛すると共に,C及びGがその身体をIの身体に乗せてIを押さえ込むなどした上,同自動車を発進させた。同自動車の車内で,G及びCが,Iの所持品を取り上げ,また,CがIに対して,「お前はどこに住んでいるんだ。」と聞き,Iが「世田谷です。」と答えると,Cが「そうだよな,昨日は夜の10時まで洗濯物を干してあったよな。」と言い,CがIに対して「お前,子供がいるのか。」と聞き,Iが「はい。2人います。」と答えると,Cが「そうだよな,N小学校に通っているよな。あんたは,セルシオに乗っているよな。」などと言った。Dと合流したCらは,Iを監禁したまま普通乗用自動車2台で東京都内,千葉県内等を移動し,千葉県内で,先にIから取り上げた所持品の中にあったA2グループのクレジットカードを使用して腕時計をだまし取るなどした後,引き続きIを監禁しながら普通乗用自動車で千葉県内,東京都内,神奈川県内等を移動し,その晩はIに手錠を掛けたまま,Gが監視する中で神奈川県内のラブホテルKに宿泊させて監禁を続けた。C,E及びDは,Iから取り上げた前記クレジットカードを使って,ホテルに宿泊し,東京都八王子市の貴金属店で貴金属類をだまし取るなどした。Cらは同月10日夕方から翌朝未明にかけてIを普通乗用自動車に乗せて,神奈川県内,埼玉県内等を移動し,埼玉県大宮市内及び同県和光市内のディスカウントショップでIから取り上げた前記クレジットカードを使って商品をだまし取るなどした後,再びIに手錠を掛けたまま,Gが監視する中でKに宿泊させて監禁を続けた。Cらは,同月11日夕方Iを普通乗用自動車 ショップでIから取り上げた前記クレジットカードを使って商品をだまし取るなどした後,再びIに手錠を掛けたまま,Gが監視する中でKに宿泊させて監禁を続けた。Cらは,同月11日夕方Iを普通乗用自動車に乗せて山梨県内まで連れて行き,同日午後8時30分ころ解放した。 この逮捕監禁中に,実行犯は,Iが同年6月10日に渡米する予定であったことを知っており,Iに対して,「ちょくちょく海外に行っているのか。だいぶ出世しているらしいな。いい暮らしをしてるな。人にねたまれるような暮らしをしているからこんな目に遭うんだ。」などと言い,Iを解放する直前には,「依頼者はお前の顔を見たくないと言っている。会社を辞めて,家も引き払って田舎に帰れ。」「おまえがすべて忘れるというなら命だけは助けてやる。」などと言い,Iにその旨約束させた上,Iの顔面を足蹴にするなどした。 19 同月11日午後8時30分ころないし午後9時ころ,IはHに電話をかけ,J病院にいたところを何者かによって連れ去られて,何日間か閉じ込められた,qのところで今回は許してやるぞということで釈放された,ということを,泣きながら話した。被告人もそのころIがらちされていた旨A2グループの者から電話で聞いた。 20 同月14日ころから16日ころまでの間に,BはCに電話をして,Iは全然懲りていないなどと述べて再度の犯行を指示し,Cは中国人にやらせる旨答えた。 21 Cは,同月15日か16日ころに,Fの事務所を訪れ,Fに,「会社を辞めさせるためにIというやつをさらって監禁したが,まだ懲りずに会社に出ているらしい。クライアントから,再度Iをさらうように言われた。もう1回やらなくてはならないので,手伝ってほしい。」などと言い,FからIを襲撃することを手伝う旨の約束を取り付けた。 Cは,同月半ば過ぎころから同年 ライアントから,再度Iをさらうように言われた。もう1回やらなくてはならないので,手伝ってほしい。」などと言い,FからIを襲撃することを手伝う旨の約束を取り付けた。 Cは,同月半ば過ぎころから同年7月7日までの間に,5,6回はIの自宅前で張り込みをした。この際FやEに張り込みを一緒にやってもらったことも,それぞれ2,3回ずつあった。Cは,同年6月半ば過ぎにIの自宅前で張り込みを始めたばかりのころ,Eと共に張り込みをしていた際に,「Iは全然懲りておらず,会社も辞めていないらしい。依頼者から手ぬるいと言われたからもう一度さらう。それで,またIの家を張り込んでいるんだ。お前も暇だったら手伝ってくれ。」などと言って,Iの家の張り込みやIを再度襲うことについてEに協力を頼んだ。 22 その後同年7月7日ころまでの間,BはCに対して2,3回犯行を催促する趣旨の電話をかけた。 23 同年6月17日から20日にかけてHはIを伴って渡米したが,その滞米中,HとIとの間で,A1の株式の店頭登録を目指しているところ,これ以上トラブルが起きると困るということで,Iが会社を辞め,Hが金を出資して,Iが子会社の社長のような形で関わっていくほうがいいのではないかという内容の話がされた。HとIの話合いの結果,IはA2及びA1の両社の役員を共に辞任するということになった。その後,Hは,Iの会社に出資するよりも出資相当分を貸し付けたほうがいいのではないかという周りからのアドバイスもあり,資本金分の1000万円をIに貸し付けることにした。 被告人は,Hから,IがA2及びA1の役員を辞任すると共に両社から退社するに当たっての誓約書の原案を,弁護士と相談して作ってほしいと指示され,その作成を弁護士に依頼し,同月21日及び22日に弁護士から誓約書の原案を電子メールの添付文書 員を辞任すると共に両社から退社するに当たっての誓約書の原案を,弁護士と相談して作ってほしいと指示され,その作成を弁護士に依頼し,同月21日及び22日に弁護士から誓約書の原案を電子メールの添付文書として受け取った。そして,Iは同月23日,この添付文書をプリントアウトしたものにHの指示で訂正を加えて作成された退任及び退職に伴う誓約書に署名押印をした。このころ,被告人も,Iが前記の誓約書に署名押印をした事実を知り,IがA2及びA1を退職する方針であるということを知った。その後,IがA2及びA1の役員を同月30日付けで辞任した旨の登記がされた。 24 同年7月7日,CはE,Fらと共に朝からIを尾行し,いったんはIを見失ったものの,港区kにあるビルの駐車場にIの車を発見し,Iを再び逮捕監禁しようとの計画を立てた上で同駐車場付近でIを待った。 同日午後1時ころ,Iが同駐車場に入っていったのに続いてC及びFも同駐車場に入り,C及びFが共同して,Cが背後からIの襟首をつかみ,C及びFがビルの外壁にIの顔面を押し付け,FがIの頭部を手拳で殴打し,下半身を足蹴にし,C及びFがIの腕部や肩をつかんで引っ張るなどの暴行を加えた。しかし,Iがしゃがみ込み,歩道上の石柱にしがみつくなどして抵抗したため,Cらは,Iを逮捕監禁するには至らず,Iに対して前記の暴行を加えたにとどまった。 25 本件共同暴行の後である同年8月下旬ころ,Bは,被告人から,Iがうちの会社の車に乗っていて返してくれないので取ってきてくれと依頼を受けて車のかぎを受け取り,これを受けてCに車の回収を依頼し,C及びFがIの了解なくIの使用車両をIのマンションから持ち出したことがあった。 26 被告人は,同年10月下旬ころ,A2グループの1社であるA6社のOから依頼を受けて,Bに対し,同社の取引先 し,C及びFがIの了解なくIの使用車両をIのマンションから持ち出したことがあった。 26 被告人は,同年10月下旬ころ,A2グループの1社であるA6社のOから依頼を受けて,Bに対し,同社の取引先の担当者の上司であるPのスキャンダルの証拠となるような写真を撮るように依頼し,その後,これを受けたBがPを逮捕したことがあった。 27 前記のとおり,A1では株式を店頭登録することを予定していたが,その後Q証券取引所の新市場Rが創設されることになったことから,同年12月22日にA1はRに株式を上場した。 28 被告人は同年11月15日付けでA1の代表取締役に就任したが,平成12年9月27日に辞任した。 以上の各事実が認定でき,これに反する証拠は採用できない。 第2 以上に認定した各事実を前提にして,以下検討する。 1 前認定のとおり,本件逮捕監禁及び共同暴行の各犯行は,いずれもBがCに依頼し,Cが人手を集めて実行したものであるが,BがIに対する怨恨等個人的な動機から本件各犯行に出たと疑わせるような事情は見当たらず,本件各犯行の態様,BのCに対する依頼の内容及び経過,Cの他の実行共犯者らに対する依頼の内容及び経過,本件逮捕監禁時のCら実行犯のIに対する言動,本件逮捕監禁の犯行後再び本件共同暴行の犯行が敢行されたという経過等についての前認定の各事実によれば,本件逮捕監禁は,A2グループを率いるHがA1の第三者割当て増資に関して同社の株主である米国のA3社との交渉のためにIを伴って渡米する予定になっていたところ,このIの渡米を阻止してHの渡米に支障を生じさせ,Iの個人的なトラブルによって業務に支障が生じたとしてIのA2グループでの立場を悪化させ,かつ,Iに危害を加え畏怖させることによってIをA2グループから排除することを狙ったものであると推認 させ,Iの個人的なトラブルによって業務に支障が生じたとしてIのA2グループでの立場を悪化させ,かつ,Iに危害を加え畏怖させることによってIをA2グループから排除することを狙ったものであると推認され,また,本件共同暴行も同様の意図に出た一連のものと推認される。 そして,このことは,本件各犯行当時,A2グループ内において,同グループからIを排除しようとの動きが出るのも十分あり得るような事情があったことからも裏付けられる。すなわち,前認定のとおり,A2グループではIの身元調査によってIに前科があることを知るに至り,当時,グループ会社であるA1の株式の店頭登録を目指していたところから,IにA1の役員からの退任を求めていたが,そうした身上のIにはA1にとどまらずA2グループ自体から去ってもらいたいと考える者が出るのも不自然ではない。また,前認定のとおり,A2グループにおいて,Iは仕事上のトラブルが多く同グループに迷惑を掛けることがあり,かつ,対外的に独断でCOOとして振る舞うなどの行為があって,被告人を初めとしてA2グループの者らの中には,Iに対し悪感情を持つ者があっても不自然ではなかったからである(なお,前認定のとおり,本件逮捕監禁の犯行後である平成11年6月末にIはA1及びA2の役員を辞任したものの,その際のHとIとの話合いでIはHから資本金分1000万円の出資ないし融資を受けて会社を経営することとなっており(加えて,Iはその後もA2グループの車を使用しており,本件共同暴行の犯行後,被告人の依頼を受けたBがCに依頼し,CらがIの了解なくIのマンションから車を持ち出している。),Hが率いるA2グループからIが排除されたとはいえない状況であるから,本件共同暴行の犯行の動機に欠けるところはない。)。 ところで,本件各犯行の動機はIをA2グル ションから車を持ち出している。),Hが率いるA2グループからIが排除されたとはいえない状況であるから,本件共同暴行の犯行の動機に欠けるところはない。)。 ところで,本件各犯行の動機はIをA2グループから排除しようとの意図に出たものであると推認されるのであるが,BはA2グループに所属する者でも同グループに利害関係を持つ者でもなく,Iとは面識すらないのであって,B個人がIをA2グループから排除しようと考えるに至るような事情は見当たらない上,Iの住所等の個人情報や,Iの渡米の予定,本件逮捕監禁後のA2グループにおけるIの状況等を直接知り得る立場にもない。したがって,Bは,A2グループに所属するか利害関係があってこうしたIの個人情報や渡米の予定等を知り得る立場にある者から本件各犯行の依頼を受けたのではないかと考えるのが自然である。 そして,Bは,当法廷で,当時A1の役員であった被告人から本件各犯行の依頼を受けCに同様の依頼をした旨述べているのである。 2 そこで,以下,Bの法廷供述の信用性について検討するが,また,Cの法廷供述及び検察官面前調書の中にも被告人の本件各犯行への関与を示す供述が含まれるので,Cのこれら供述の信用性も併せて検討する。 (1) Bは,当法廷において,おおむね以下のとおり供述している。 本件逮捕監禁について被告人から犯行の依頼があったのは,平成11年の5月半ばごろである。電話で相談があるからと言われ,その日にJRo駅近くにあった喫茶店Sで会った。「実はさ,うちの会社にIというやつがいるんだけど。このIをぶん殴ってでもいいから,乱暴してくれる人はいないかな。300万くらいでできないか。」と言われた。私は,即答はせずに,聞いてみるよと返事をした。Sでの被告人との会話は今述べた程度のものである。なぜIにそのようなことをする ,乱暴してくれる人はいないかな。300万くらいでできないか。」と言われた。私は,即答はせずに,聞いてみるよと返事をした。Sでの被告人との会話は今述べた程度のものである。なぜIにそのようなことをするのか理由を尋ねたが,被告人からは言えないと言われた。Iを襲う理由について,個人的な恨みか,男女のもつれなのか,自分なりに色々考えた。300万円の金額については,高いなと思った。個人的な動機にしては,金額が高いということは考えた。自分の勝手な考えかもしれないが,ひょっとしたら会社,組織ぐるみなのかなという気も少しはした。 その日のうちにCに電話をして被告人から聞いた話をし,また,喫茶店でCと会って話をした。相手をぶん殴ってでもいいから,暴行を加えてくれる人間はいないかなとCに聞いた。Cは,中国人のTという名前を出して,いるよと答えてくれた。Cから,中国人グループのほうに聞いてみるという回答をもらった。Tについては,以前,Cと雑談をしていたときに,横浜の中国人グループで自動車窃盗や宝石強盗のグループがいるということを聞いていた。Cは,中国人たちは貧乏人なんで,2,30万でやらせますよと言った。一応聞いてみるとも言っていた。2,30万と聞いて,自分は,安いな,と思った。自分で金が着服できると思ったから,被告人から300万円という金額を言われていることを,Cに対しては教えていない。Cから150万という金額が出たことはない。 私は,なぜIをそういうふうに被告人がしなければいけないのかという疑問を持ったのと一緒に,Cも必要以上に私に聞いてきたので,私とCで,やり取りの言葉があった。会社を辞めさせたいとか,辞めさせたいのかなとか,邪魔なのかなとか,2人で話したことはあった。 Cと話したその日か,その翌日に,被告人に連絡を入れた。Iの件について,私 ,やり取りの言葉があった。会社を辞めさせたいとか,辞めさせたいのかなとか,邪魔なのかなとか,2人で話したことはあった。 Cと話したその日か,その翌日に,被告人に連絡を入れた。Iの件について,私の知り合いから中国人に頼んでくれるみたいだと言った。被告人は分かったとだけ言った。 被告人に連絡を入れた時期と前後するかもしれないが,何日か後にCとSで会った。Cに,頼んだ中国人の件だけど,大丈夫かなと聞いた。Cは,大丈夫だと言ってくれた。 同年5月下旬の,本当の月末ごろに被告人から電話があって,その日にSで2人きりで会った。そこで,現金300万円と,Iの写真と,メモをもらった。金の入っている封筒の上に重ねるようにして置いてもらったと思う。300万円は封筒に入っており,すべて1万円札だった。新札ではなかったと思う。封筒の色ははっきり覚えていないが,白っぽい色だったような記憶があり,銀行の封筒ではなかったと思う。B5が入るくらいの大きさだった。現金に帯は付いておらず,封筒にも封はされておらず,折り曲げて包んだような状態になっていた。折り畳んだ封筒の厚みは4,5センチメートルくらいだった。もらった写真などを自分で中に入れたので,封筒の中身はぱっとは見たが,中身の確認は,そこを出てから自分の車の中でした。被告人から受け取った300万円は犯行の報酬として受け取ったもので,それ以外に理由はない。Iの写真は,ほとんど顔だけが写っており,切り抜いたような写真で,大きさは500円玉くらいだったと思う。メモにはIの住所と車のナンバーが書いてあった。車種については口頭で説明を受けていたと思う。また,Iがよく飲みに行く飲み屋があるということを聞いた。pのクラブだということは聞いていた。クラブに,Iと男女の仲に当たるような女性がいるかもしれないということを聞いた 頭で説明を受けていたと思う。また,Iがよく飲みに行く飲み屋があるということを聞いた。pのクラブだということは聞いていた。クラブに,Iと男女の仲に当たるような女性がいるかもしれないということを聞いた。 rに別宅のマンションを持っているかもしれない,それはそのpのクラブの女性の自宅かもしれないが,はっきりしないというようなことも言っていた。pのクラブの名前は,Uだったと思う。被告人がpのクラブや別宅のマンションについて話したのは,Iの行動を確認しやすいためだと思う。 その日か,その翌日に,Cと2人きりでVという店で会い,被告人から受け取った300万円から事前に分けていた100万円と,被告人から受け取ったIの写真とメモをCに渡した。Cに金を渡したはっきりした日にちは分からないが,5月の下旬であることは間違いない。金を渡したときに,Cから,調査に1週間ぐらいかかるということを言われた。 Cには,被告人から聞いていた,Iがpのクラブによく飲みに行っている話や,そこに男女の仲にある女性がいるかもしれない,rに別宅があるかもしれないなどということを言い,頼むよ,とも言った。Cのほうからは,なぜIをそういうふうにしなくてはいけないのかということについて,執ように,どうしてだ,どうしてだと聞かれた。私は,最初はしどろもどろでごまかしていたが,Iの勤め先の会社を聞かれたときに,被告人と同じビルに勤めているということがCにばれてしまって,私が犯行を頼まれた人が被告人だということがばれてしまった。 被告人から携帯電話に電話がかかってきて,Iが近いうちに飛行機でアメリカに行くということを言われ,Iをアメリカに行かせないよう,1日でもいいから,あっちこっち連れ回してくれと言われた(この被告人からの電話の時期について,Bは,当初「6月9日よりも2,3日くらい前だ カに行くということを言われ,Iをアメリカに行かせないよう,1日でもいいから,あっちこっち連れ回してくれと言われた(この被告人からの電話の時期について,Bは,当初「6月9日よりも2,3日くらい前だと思う。」と述べていたが,後に「9日から1週間くらいさかのぼってですかね。6月上旬だと思う。はっきりした日にちまでは覚えていない。」などと述べている。)。連れ回してくれというのは体を拘束するということである。Iがアメリカに行く具体的な日取りは同年6月10日だったと思う。被告人からのこの連絡を聞いて,私は,飛行機に乗せないようにするに当たって,ただ単に暴力を振るうということではなくて,短時間でも体を拘束しなければいけないなとは思った。私は被告人からの申出を引き受けた。 その後,Cにすぐ電話を入れた。Iが近いうちアメリカに行くんだけど,その前に襲ってくれというようなことを伝えた。Cに詳しい指示はしなかったが,Iが飛行機に乗れないようにあっちこっち連れ回してくれとは言った。その際,Cに,Iがアメリカに行く日にちを教えた。私の説明を聞いたCは,10日にアメリカに行くんなら,アメリカに行かせないようにすればいいんだろというふうに言った。 同年6月9日の午前中に,Cから,今からやらせますよという電話が入った。Cからはその程度のことしか言われず,私は分かったとだけ言った。 Cからは,何をやらせるのかの説明はなく,私は,以前から私が頼んでいた,Iを飛行機に乗せないようにするためのことだと思っていた。同年6月10日よりも前だということで,確実なものにするために,前日から接触するんだなと思っていた。最低でも丸1日以上は拘束しなければいけないなとは思っていたが,それでも私は分かったと返事をした。 Cから連絡を受けたその日のうちに,私は,被告人に,今からやらせま から接触するんだなと思っていた。最低でも丸1日以上は拘束しなければいけないなとは思っていたが,それでも私は分かったと返事をした。 Cから連絡を受けたその日のうちに,私は,被告人に,今からやらせますよという同じような連絡を入れた。何をやらせるのかについては私は被告人に説明をしていない。私が今からやらせますよと言ったのに対して被告人は分かったとだけ言った。それ以外の話は被告人としていない。被告人は,何の件について私が電話をしているのか分かっている様子だった。 その後私はCと連絡を取ろうとしたが,丸3日ぐらい連絡が取れなかった。その間私が銀行に残高照会をしたところ,会社の口座と私個人の口座から合計で約300万円くらい引き出されていた。私は,電話で最初に依頼をしたときに,Tというグループを聞いていたので,Cに連絡を取ろうとしていた当時,Cが自らIを監禁しているとは思っておらず,Tという中国人グループが監禁していると思っていた。その後,実際に監禁事件が起きるまで,Cのほうから中国人グループに依頼ができなかったことやCが自らIを監禁するということについても全く聞いていなかった。 同月12日の昼にA10でCと会って話をし,Cは,自分たちでIをあっちこっち連れ回して解放した後だということを答えた。また,Iのクレジットカードを使ったことを自分で言った。クレジットカードを使った件と,中国人にやらせると言っていたのに自分たちでやった件,私や会社の金を勝手に引き出した件で私は頭にきて,目の前にあったスタンガンでCの顔を殴ったところCは謝っていた。Cは,Eも一緒にIを連れ回していたと言った。Iを連れ回したのがCたちだったことをC以外の人から聞いたことはない。 Cたちが連れ回したという話は被告人にはしていない。被告人に後でカードを使ったでしょうと言われた にIを連れ回していたと言った。Iを連れ回したのがCたちだったことをC以外の人から聞いたことはない。 Cたちが連れ回したという話は被告人にはしていない。被告人に後でカードを使ったでしょうと言われたし,中国人がやるのを被告人に伝えていたので,まさかこれから公共事業で一緒にやっていくというCを紹介しているにもかかわらず,Cがやったと言えなかった。 週が明けて同月14日か15日に被告人から連絡をもらった。Iが普通に出社しているよと言われた。Cからは口がはれて歯が折れているというようなことまで聞いていたので,被告人が言うこととCが言うこととのギャップがあり,どちらが正しいのかなという気になった。被告人から連絡をもらうまで私はCの言っていることを信用しており,被告人からの話を聞いて驚きはあった。 被告人から,カードを使ったでしょうともうそのとき言われた。全然懲りていないようだからぶん殴ってでもいいから脅して懲らしめてくれと言われ,私は分かったと言って被告人の依頼を引き受けた。 再度の犯行に及ぶに当たって,追加の報酬の話はなかった。私のほうからも,それだったらもう少し報酬をくれという話はしなかった。1回目の事件の流れというか,延長線上にあると思っていたからである。1回目の犯行が失敗というふうに受け止めていた。結果が出るまでは一連の依頼だと理解した。 被告人との電話を終えてからその日か翌日にCに電話を入れた。このとき私はIが普通に会社に出社してきているよと伝えた。Cはえっと言って驚いていた。私は,Cに,全然懲りていないようだから脅して懲らしめてくれるよう頼んだ。Cは分かったとだけ言った。Cは,1回目の金を中国人に支払っていて連絡が取れなくなったので,自分たちでやったという話だったので,2回目は間違いなく中国人にやらせるということを話していた。 頼んだ。Cは分かったとだけ言った。Cは,1回目の金を中国人に支払っていて連絡が取れなくなったので,自分たちでやったという話だったので,2回目は間違いなく中国人にやらせるということを話していた。 Cとの電話でのやり取りの後,同年7月7日まで,2,3度,被告人から,まだやっていないでしょうというような内容の電話をもらっている。何をやっていないのか,ということは言っていない。私としては,Iを再度懲らしめる件だと思っていた。 被告人からの電話に対して,私はその都度Cに連絡を入れていた。Cには,被告人から連絡があったということを連絡していた。Cに対して3回目ぐらいに電話をかけたときに,2回目の犯行はそんなに簡単にできないよと言われた。私は被告人に対しても,2回目は簡単にできないよと言った。それに対して被告人はそうか,分かったと言っていた。 Cたちが2回目の犯行に及ぶ前の時点で,Iが渡米することになっているかもしれないというようなことをCに伝えたことはない。私のほうからCに,Iがアメリカに行ったということを話したことはない。Cが,私に,Iがアメリカに行った事実を確認しろと言われたと供述していることに対して思い当たるところはない。 同年7月7日の夕方か夜にCから電話をもらった。kで,中国人がIに接触しようとしたところ,ギャーとかという声をあげられて,ボディーガードみたいな連中もいて接触できなかったと言われた。反対車線の車の中で,Cはその犯行を見ていたということをCから聞いている。私はその話を信じていた。この事件のときは,事前に今からやらせるという話はCからなかった。 Cから事後報告を受けた後,その日のうちに被告人に電話を入れた。中国人がIに接触しようと思ったところ,ギャーとかいう大声をあげられて接触できなかったということを伝えた。それに対し Cからなかった。 Cから事後報告を受けた後,その日のうちに被告人に電話を入れた。中国人がIに接触しようと思ったところ,ギャーとかいう大声をあげられて接触できなかったということを伝えた。それに対して被告人はそうか,分かったというような返事をしていた。被告人にこの連絡を入れた時点で,私は,2回目の犯行について中国人がやったと思っていた。 本件を通じて手にした200万円は,自分の家族と自分の両親の5月分,6月分の2か月分の生活費と,自分のロレックスの腕時計がWという質屋に入っていたのでそれを受け戻すのに使った。結局200万円の報酬は全部使ってしまった。 ロレックスの腕時計を質入れしたのは平成11年5月26日で,50万円調達した。その50万円は生活費や会社の経費に使った。ロレックスの腕時計を受け戻したのは同年6月下旬だったと思う。受戻しに使った金額は,1か月分の利息を入れて52万5000円だったと思う。 自分の家族の生活費としては,妻に100万円くらい渡している。自分の父親はそのときは入院しておらず,リハビリで通院していたが,私は遅れていた入院費も含め両親の生活費として母親に2か月分で50万円くらい渡している。父親の入院費は,サラ金などで借りて払っており,遅れていた入院費とはそのサラ金の支払いという意味である。借りたのはA11とA12のo支店である。自分の名前で借りた。その場その場で足りないときに補充して借りていて,合計では100万円を超えていると思う。返したのは母親に頼んだときもあるし,自分で払いに行ったときもある。当時,借入金は4,50万円くらいは残っていたと思う。母親に渡した50万円のうちサラ金に返したのは,生活費を引いて20万円くらいではないか。2社に振り分けて返している。両方とも母親が返しに行っている。 (2) Cは,当法 らいは残っていたと思う。母親に渡した50万円のうちサラ金に返したのは,生活費を引いて20万円くらいではないか。2社に振り分けて返している。両方とも母親が返しに行っている。 (2) Cは,当法廷及び検察官面前調書でおおむね以下のとおり述べている。 Bとはo駅近くのSという喫茶店で打合せしたことが2回あった。 私が初めてBから犯行の依頼を受けた時期が平成11年4月下旬ころ,ゴールデンウィークに入る前であったかについては,記憶はその辺がちょっと薄いが,大体時期がそれぐらいだったような記憶である(なお,この打合せの時期につき,Cは,平成12年10月11日付け検察官面前調書謄本(甲11号証)では「平成11年4月下旬か5月上旬ころのことだった。」旨述べ,同月27日付け検察官面前調書謄本(甲15号証)では「私が最初にBから今回の件を依頼されたのは,平成11年4月下旬ころだった。ゴールデンウィークに入る直前ころのことだった。」旨述べている。)。 最初Sで打合せをしたときには,Bから,会社のためにならないのでこの男を懲らしめて会社を辞めさせたいという依頼を受け,仕置き人グループの外国人グループがいることを話すと,Bが,そのグループに払う費用は幾らぐらいかかるんだ,2,3日ぐらい相手をさらって脅して会社を辞めさせる仕事があるんだがと聞いてきたので,150万ぐらい,と答えると,じゃあそのグループに頼んでくれるか,と言ってきた。 1回目のSでの打合せの数日後に,SでBと打合せをして,BからIの顔写真や住所などを書いたメモをもらった。それは,ゴールデンウィーク前だったかについては,ちょっと記憶が薄いが,時期的には初めて頼まれてからそんなに離れていなかったと思う(なお,この打合せの時期につき,Cは,平成12年10月11日付け検察官面前調書謄本(甲11号 前だったかについては,ちょっと記憶が薄いが,時期的には初めて頼まれてからそんなに離れていなかったと思う(なお,この打合せの時期につき,Cは,平成12年10月11日付け検察官面前調書謄本(甲11号証)では「さらに,その数日後,同じ喫茶店でBと会ったとき」である旨述べており,同月27日付け検察官面前調書謄本(甲15号証)では,「最初にBから依頼を受けてから数日たって,やはりゴールデンウィークに入るよりも前だったと思う。」旨述べている。)。 写真やメモは,私のほうから,1回目に喫茶店で頼まれたときに,被害者がどういう人だか確認できないので,その材料として欲しいということで頼んだ。 BからIという人の名前を初めて聞いたときについて,はっきり覚えているのは2回目である。会社の名前を聞いたときは,1回目か2回目か,どちらかは覚えていないが,会社の名前はA2で,その会社だけだった。Iは,その会社で管理職,役員であったとしか聞いていない。それ以外にIに関係する会社のことは聞いていない。 2度目に会ったときは,会社を辞めさせる具体的な方法の指示を受けたという記憶がある(なおCは,当法廷で,辞めさせ方について具体的な方法を示されたのは,4月下旬のときか,2回目か,ちょっと忘れた旨述べている)。多少手荒くしてもいいからというぐらいしか覚えていない。手荒いことと言ったら,殴ったりするというたぐいのことだと思う。暴力を振るってもいいという趣旨だと私はとった。 メモに記載されていたのは,車のナンバーだったと思う。住所は書いてあったかもしれないが,はっきり覚えていない。会社の名前は書いてなかったと思う。年は書いてあったと思う。Iのフルネームは書いてあった(なお,Cは,このメモの記載事項について,平成12年10月11日付け検察官面前調書謄本(甲11号証)では い。会社の名前は書いてなかったと思う。年は書いてあったと思う。Iのフルネームは書いてあった(なお,Cは,このメモの記載事項について,平成12年10月11日付け検察官面前調書謄本(甲11号証)では,Iの住所を書いたメモであった旨述べ,同月27日付け検察官面前調書謄本(甲15号証)では,Iの氏名,年齢,住所,使用車両のナンバーなどを書いたメモであった旨述べている。)。それ以外に,そのとき,頼まれたことを遂行するに当たって不足するものがあった。もう2年も前なのではっきりと思い出せないが,行きつけの店とかそういうたぐいだと思う。メモには書かれていなかった。 2回目のとき,写真とメモを渡されて,だれか他人にやらせるということで請け負った。具体的に,Bに対して,私の知り合いにやらせるということで説明している。その資料をもらって,行動調査をすると言っている。現実に会ったことがないので,多少時間が掛かるということで,一応1か月と言った。調査するために1か月と言ったのではなく,最初は含めての予定であった。Fとたまたま2人で行ったときもあるが,ほとんどは自分1人でやっていた。張り込みに近いことも何度かある。家族関係,通っている学校,女性関係も調べようとしている。相手がどういう人間か分からないので,会ったときに1つ理由がなければ話合いにならないと思う。相手の落ち度がある理由を見付けるために1か月必要だった。穏便にとは思っていなかったが,単純に手荒なことと言ってもいろいろある。頼まれた内容は,Iを辞めさせるためのネタを探してくれというような趣旨ではない。 打合せをしていて,私は,この事件の真の依頼人は,はっきりは分からなかったが,Bではないと思った。Iに恨みを持つ会社関係か友人,そのぐらいにしか思わなかった。会話の中にニックネームは出ていたが,はっきり被 をしていて,私は,この事件の真の依頼人は,はっきりは分からなかったが,Bではないと思った。Iに恨みを持つ会社関係か友人,そのぐらいにしか思わなかった。会話の中にニックネームは出ていたが,はっきり被告人だというふうには思わなかった(なお,Cは平成13年5月30日付け検察官面前調書(甲60号証)では,「私は,今回の事件の本当の依頼主は被告人なのだなと思った。」旨述べている。)。2回目にSで打合せをしていたとき,Bがかけていた携帯電話でしゃべっていた会話の中に「Mちゃん」という言葉は入っていた。被害者の資料をもらったが,それが足りなかったので,何かは忘れたがその不足分をもらうのに電話をかけてもらった。電話をどこにかけたかは分からない。「Mちゃん」という言葉が出てきた文脈は覚えていないが,会話の相手方がMちゃんという人だったと思う。私自身は「Mちゃん」という言葉を聞いて被告人だと思ったが,直接にはしゃべっていないので(なお,Cは当法廷において,電話の相手が被告人ではないのかと質問されて,「はっきりそう言われてない。そこまでは分からない。」とも述べている一方,平成13年5月30日付け検察官面前調書(甲60号証)では,「その電話では,Bは電話の相手のことを「Mちゃん」と呼んでいたので,電話の相手が被告人であることは間違いない。」旨述べている。)。Bが本当の依頼主がだれかについて私に頻繁に話したようなことはない。 足りなかったものについては言葉で聞いたような記憶がある。 Bから金を受け取った日ははっきり覚えていない(なお,Cは,Bから金を受け取った日について,平成12年10月11日付け検察官面前調書謄本(甲11号証)では「Iの顔写真などをBから受け取って,更に数日たったころ」である旨述べ,同月27日付け検察官面前調書謄本(甲15号証)では,「ゴ ついて,平成12年10月11日付け検察官面前調書謄本(甲11号証)では「Iの顔写真などをBから受け取って,更に数日たったころ」である旨述べ,同月27日付け検察官面前調書謄本(甲15号証)では,「ゴールデンウィークが開けた平成11年5月上旬から中旬にかけての時期」である旨述べている。)。Vは,たまに行くところだったので,私が指定したのかBが指定したのか覚えていない。たまたまBといつも会うかたちで会ったときに金をもらったということである。現金は裸で渡された。何にも入っていなかった。現金を直接Bから手渡しされたが,テーブルの上か下か覚えていない。封筒には入っていなかったと思う。Bが金額を言ったかは覚えていない。私はその場では数えず,喫茶店を出てから数えた。トイレで大体の確認はしたかもしれない。受け取った金はバッグに入れた。トイレにはバッグを持っていった。バッグを開けて確認した。トイレの中ではざっとしか見ていない。喫茶店を出てから,車の中で金を数えたら50万円だった。 現実にもらったのは私の記憶では50万だと思う。100万円だということを裁判で言われたので,私の記憶違いかもしれないので,一応,100万円というのは第一審で認めた。自分の裁判では,Bが私に100万円を渡したと言っていることに関して,特別争わなかったということである。ただしそれは,事実を認める以上,細かいところを争って心証を悪くするよりも認めた方がいいだろうという判断の下でしたのであり,自分のしっかりした記憶としては50万円しかもらっていない。 100万円足りないが取りあえず,自分自身がやるつもりはなかったので,先方に連絡を取って大体の話はした。残りの100万はもらえるかもらえないか分からなかった。 私は今回の1回目の犯行の前にIを尾行しているが,これは滞在地を確認するため がやるつもりはなかったので,先方に連絡を取って大体の話はした。残りの100万はもらえるかもらえないか分からなかった。 私は今回の1回目の犯行の前にIを尾行しているが,これは滞在地を確認するためである。滞在地を確認する必要があった訳は答えたくないが,より正確にするためには何回も同じことを繰り返すのと同じである。本人に接触するため,被害者がどこに寄るのかという行動確認のようなものである。Bから監視するとかそういう細かい具体的なことは言われてなかった。Bから本件の犯行依頼をされたとき,調査に1か月ぐらいかかると言った。最初の段階では,Iを会社から辞めさせるというのが目的だったので,そのための調査である。Iを尾行してつかんだ情報は,1回や2回は話したことはあると思うが,一々Bには報告していなかった。会社に在籍していたので,Bとは会ってはいた。 尾行を始めたのは,Bから写真や住所のメモを受け取ってからすぐに,例えば次の日に尾行を始めたということはない。1週間以内ぐらいだと思う。Iを尾行するに当たって,最初は自宅,会社関係から始めた。Iの自宅に行って,行き先を追い掛けたりした。すぐにIの見分けは付かなかった。これがIだと分かったのは,はっきりは覚えていないが,尾行を始めて2,3日だったと思う。 犯行当日の平成11年6月9日,Gだけには写真を見せて,これがIだと示した。E,DはIの顔は知らなかったと思う。1回目の犯行の共犯者のE,G,Dは,1回目の犯行の前には一緒にIの尾行はしなかった。Dが5月の終わりごろからかなり一緒にいたと言っていることについて,終わりごろというのがいつごろだったかは覚えていないが,Dとは別の件で1週間に半分以上は一緒にいた。 Iのrのマンションが分かったことについて,何か情報をもらったのか,自分で行動確認したのか覚えて 終わりごろというのがいつごろだったかは覚えていないが,Dとは別の件で1週間に半分以上は一緒にいた。 Iのrのマンションが分かったことについて,何か情報をもらったのか,自分で行動確認したのか覚えていない。Bがマンションの名前や場所を私に言っていないと言っているのであれば,私がIを尾行してrのマンションを突き止めたのかもしれない。Iはマンションに毎日のように行っていたかについては,全然その辺は覚えていないが,毎日ということはないと思う。Iの家にFと一緒に行って,rのマンションに行ったのがいつかは覚えていない。Fとrのマンションに行った後に,再度FにIの自宅の様子を見に行くように頼んだのが,rのマンションを見に行った日から何日ぐらいしてからかは覚えていない。次の日ということもあり得ると思う。Iの尾行は1週間に1,2回くらいだと思う。 6月の初めころにBからまだやらないのかという電話を受けたときかどうか覚えていないが,Iのアメリカ行きを阻止するよう言われたということはあった。その電話があって,Iをアメリカに行かせないよう連れ回そうと思ったときには,もうIの子供の学校であるとか,rのマンションであるとか,そういう情報は集めていた。中国人に頼むという話が最初あったが,自分で実行してしまったのは,アメリカ行きが分かってから,時間がなくなったからである。最初は私は別の人間に頼む予定で行動確認をして情報を集めていたが,急きょアメリカ行きが決定し,連絡が取れなかったもので私が人を集めて監禁した。 Iをアメリカに行かせないようにする目的は,何か契約というふうに聞いている。契約を結ばせないようにということだと解釈した。 アメリカに行くのは6月10日だったと思う。それを聞いたのは2,3日前だったと思う。中国人に頼めなかったのは,急すぎたからである。最初頼ま いている。契約を結ばせないようにということだと解釈した。 アメリカに行くのは6月10日だったと思う。それを聞いたのは2,3日前だったと思う。中国人に頼めなかったのは,急すぎたからである。最初頼まれてから1か月以上は間が空いてしまったが,その間に,たまたま急にそういうふうになってしまったので,先方と連絡が取れなかった。 6月上旬,アメリカ行きの阻止をしてくれという依頼は,Bから電話で受けた。 Bは,だれかに頼まれて私にそういうふうに連絡したのだと思う。Bに頼んだ人が,4月の下旬ないし5月の上旬にBに頼んだ人と違う人物であるとはそのときは思わなかった。確信はない。同じ人物か違う人物か考えていなかった。 BにA10の事務所でスタンガンで殴られたのは13日だと思う。12日ということはないと思う。A10では,Bに会うなり「なぜA2のカードを使って商品を買ったんだ。」と怒鳴られた。Bがクレジットカード使用の事実を知ったのは,依頼者から連絡があったのだろうと思う。私の認識では,依頼者というのはA2内部の人だと思う。被告人の可能性もあるが,分からない。Bが,会社のだれがそう言ってきているということを言っていたかはっきり覚えていない。被告人が言ってきたという意味のことを言っていたかもしれない。Bは,このとき,「嫌みを言われた。おれのメンツは丸つぶれだ。」と言っていた。だれに嫌みを言われたかは言ってなかったと思う。言っていたかもしれないが,覚えていない。「Xさん」という言葉は出なかったと思う。「Mちゃん」は出たかもしれない。嫌みを言ってきた人が依頼主であるという認識は私はあった。それしかあり得ない。A1は知っている。自分で分かる範囲では音楽配信の会社である。被告人との関係はそのときは全然分からなかった。嫌みを言ってきた人間として,「Mちゃん」とか「X う認識は私はあった。それしかあり得ない。A1は知っている。自分で分かる範囲では音楽配信の会社である。被告人との関係はそのときは全然分からなかった。嫌みを言ってきた人間として,「Mちゃん」とか「Xさん」とBが言っていたかもしれないとは検察官の前で話したが,断定はしていないと思う(なお,Cは,平成12年12月3日付け検察官面前調書謄本(甲38号証)では,「Bは,このとき,自分に嫌みを言ってきたり,カードで100万円くらい使われたと言ってきた人間として,『Mちゃん』だったか『Xさん』と言っていた。」「私もI襲撃の元々の依頼主が被告人であることは察しが付いていたが,この6月13日ごろにA10の事務所でBから殴られたときにははっきりとBから被告人の名前を言われたので,Bも被告人からの依頼,指示を受けていることがはっきりと分かった。」旨述べている。)。 1度目の事件が終わって2度目の事件の間に,BからIがアメリカに行っているかもしれないので調べてくれと言われ,調べた。航空会社などに電話して搭乗者名簿を拾おうと思った。なぜBがそういうことを頼んできたのか分からないが,疑問には思わなかった。アメリカに行く目的は,前のだめだった契約のためだと思う。 会社関係という認識である。私の認識で,依頼人は会社関係の人だが,別におかしくはない。依頼人とBが話をしてなかったかもしれない。もしかしたらアメリカに行っているかもしれないということで,本人の思いつきではないか。私にはわからない。 (なお,Cは,平成12年12月3日付け検察官面前調書謄本(甲38号証)で,Bからスタンガンで殴られるなどした後のこととして,「その1日か2日後だったと思うが,Bから私の携帯電話に電話が入り,『Iは会社を辞めると言ったというが,まだ辞めてないじゃないか。全然懲りてないじゃないか。こ ンガンで殴られるなどした後のこととして,「その1日か2日後だったと思うが,Bから私の携帯電話に電話が入り,『Iは会社を辞めると言ったというが,まだ辞めてないじゃないか。全然懲りてないじゃないか。このうそつき野郎が。ぴんぴんしているぞ。仕事は最後までやれ。Iが会社を辞めるまでやれ。あんたの器量でIが会社を辞めるようにしろ。方法はあんたに任せる。』などと言われた。」「私は,大変驚き,『えっ,本当か。』などと言って聞き返した。しかし,Bは,本当にIが懲りずに会社に出てきているということを言い,今度こそIが会社を辞めるように襲って懲らしめろと言ってきた。」「なお,再度Iを襲うことに関する報酬については,Bからは特に何も言われなかった。」「監禁事件の報酬として要求した150万円の残りの100万円については,支払ってもらえなかった。私としては,その100万円は,私がIから奪ったA2のカードを勝手に使ったことに対する謝罪の意味で,相殺になり,支払ってもらえないものと思った。私の考えとしては,最初にもらった50万円が,Iが会社を完全に辞めるまで何度も襲うことに対する報酬だと思った。」旨述べている。)平成11年7月7日の暴行事件は,最初の依頼の継続である。Bから一番最後にやるように言われたのがいつかは,はっきり覚えていない。その都度催促のようなことは頻繁には言われていない(なお,Cは,平成12年12月3日付け検察官面前調書謄本(甲38号証)で,「Bから,電話で何度か『おい,まだやらないのか。早くやれ。何をしているんだ。中国人はどうなっているんだ。』などと言われ,再度Iを襲うことをせかされた。その度に私は,Bに『中国人とは連絡が取れています。大丈夫です。』などと言ってうそをついていた。」旨述べている。)。 実際にまだ会社は辞めていないと思っていた。7 われ,再度Iを襲うことをせかされた。その度に私は,Bに『中国人とは連絡が取れています。大丈夫です。』などと言ってうそをついていた。」旨述べている。)。 実際にまだ会社は辞めていないと思っていた。7月に入ってから催促は受けたと思う。催促は会社を辞めさせるようにというもので,具体的には最初の依頼と同じだったと思う。その時点で,Iが会社を辞めているのを知らなかった。Bからそういうことは一切聞いていない。Iが退任届を出しているのは一切聞いていない。 (3) まず,以上のようなB及びCの供述を全体として比較検討してみると,BがCに対してIに危害を加えることを依頼した時期,依頼の内容,報酬とIの写真等の交付の先後,報酬の額,CがIの所持していたクレジットカードを無断使用したことについてのBとCとのやりとり等について,BとCの供述に相違するところがあるが,BがCに対し,概ね平成11年5月ころ,ある人物に危害を加えてくれる者がいないかとの趣旨の依頼をし,その後報酬とIの写真やIの住所・使用車両のナンバーが書かれたメモを交付し,また,その間,Iを会社から辞めさせることが目的だと理解できるような話をし,同年6月に入り,Iの渡米の予定を告げ,その阻止を依頼して本件逮捕監禁の犯行に至り,その後,同月中旬ころ,BがCに対し,Iが懲りていないようだとして再度Iに危害を加えることを指示した上,その後も催促して本件共同暴行の犯行に至ったとの中核部分は合致していてその信用性に疑いはない。B及びCは,いずれも1年以上前の出来事について述べているのであるから,記憶の希薄化,混同等が生ずることは無理もないことであり,両者の供述が相違する部分の多くは,比較的細部の事項や事柄の詳細であって,こうした記憶の希薄化,混同等に起因し,両者のいずれか又は双方が記憶違いをしていたり 混同等が生ずることは無理もないことであり,両者の供述が相違する部分の多くは,比較的細部の事項や事柄の詳細であって,こうした記憶の希薄化,混同等に起因し,両者のいずれか又は双方が記憶違いをしていたり,いずれかが忘れてしまっていたりしているものとみることができる。 そして,BとCの合致する中核部分の供述によれば,前記第1で認定したとおり,①Iと面識すらないBがIに危害を加えることをCに依頼し,かつ,危害を加える目的につきIの会社でIが邪魔になってIを辞めさせることだと理解できるような話をしたこと,②Iの個人情報を直接知り得る立場にないBがIの写真やIの住所・使用車両のナンバーの記載されたメモを入手してCに交付し,Iの渡米の予定を把握してこれをCに告げたこと,③A2内部の事情を直接知り得る立場にないBが本件逮捕監禁後のIの状況を把握してCに再度危害を加えることを指示したことの各事実が動かし難いのである。 (4) そこで,さらに,Bの法廷供述をみると,Bは,前記のとおり,被告人からIに危害を加えることを依頼され,被告人からIの写真や住所の個人情報を入手し,Iの渡米の予定や本件逮捕監禁後のA2グループにおけるIの状況等を聞き知り,これをCに伝えて本件各犯行を指示した旨述べるところ,その法廷供述は,依頼の内容,状況及び経過,報酬の授受及びその使途について具体的であり,報酬の使途の一部については裏付けもある(Bが警察の取調べにおいて,平成11年5月下旬に一時しのぎのためロレックスの腕時計を質入れし,同年6月下旬に,報酬の一部である50万円を使ってこの腕時計を質屋から受け戻した旨述べたところから,平成12年11月17日,警察官において裏付け捜査をしたところ,Bが平成11年5月26日にロレックスの腕時計を質入れし,同年6月24日に質屋からこの腕 腕時計を質屋から受け戻した旨述べたところから,平成12年11月17日,警察官において裏付け捜査をしたところ,Bが平成11年5月26日にロレックスの腕時計を質入れし,同年6月24日に質屋からこの腕時計を50万円で受け戻しているとの裏付けが得られている。)。そして何より,被告人は,前認定のとおり,当時株式の店頭登録を目指していたA2グループのA1の役員で,Iの前科を知り,Iと地上げ屋との交際関係を調査してHに報告し,Iの仕事上のトラブル等からIがA2グループの役員としてふさわしくないと考えるとともにIが独断で対外的にCOOとして振る舞うことからもIに対し悪感情を抱いていた者であり,また,Iの写真や住所・使用車両のナンバーの個人情報を容易に入手し得る立場にあり,かつ,Iの渡米の予定を知っており,本件逮捕監禁後のA2グループにおけるIの状況を知り得る立場にあった者である。しかも,被告人は,前認定のとおり,当時Bとは親密な交際があって,本件共同暴行の犯行後,BにIが使用しているA2グループの車の回収を依頼したり,更には,A2グループの取引先の社員であるPのスキャンダル写真を手に入れるようにBに依頼するような間柄にあった者である。したがって,Bの供述は,このような立場及び関係にある被告人から本件各犯行の依頼を受けたという点において,極めて自然な内容であり,しかも,Bがことさら被告人を罪に陥れなければならないような事情が見当たらないことにも照らすと,Bの供述の信用性は高いと認められる。 (5) 次に,Cは,前記のとおり,当法廷で,①2回目のSでの打合せの際,Iの資料の不足分をもらうのにBに電話をしてもらったとき,Bが「Mちゃん」と呼ぶ相手に電話をしたので被告人だと思ったが直接しゃべっていないのでとか,(電話の相手が被告人か)はっきりそう言われ の際,Iの資料の不足分をもらうのにBに電話をしてもらったとき,Bが「Mちゃん」と呼ぶ相手に電話をしたので被告人だと思ったが直接しゃべっていないのでとか,(電話の相手が被告人か)はっきりそう言われていない,そこまで分からない旨(検察官面前調書は,「その電話では,Bは電話の相手のことを「Mちゃん」と呼んでいたので,電話の相手が被告人であることは間違いない。」というのである。),②6月13日だと思うが,Bに会うなり「なぜA2のカードを使って商品を買ったんだ。」と怒鳴られた,A2内部の人から連絡があったのだろうと思う,誰がそう言ってきているということを言っていたかはっきり覚えていない,被告人が言ってきたという意味のことを言っていたかもしれない,Bは,このとき,「嫌みを言われた。おれのメンツは丸つぶれだ。」と言っていた,だれに嫌みを言われたかは言ってなかったと思う,言っていたかもしれないが覚えていない,「Mちゃん」は出たかもしれない(検察官面前調書は,「Bは,このとき,自分に嫌みを言ってきたり,カードで100万円くらい使われたと言ってきた人間として,『Mちゃん』だったか『Xさん』と言っていた。」というのである。)旨述べる。 まず,①についてみると,前認定のとおり,Bは被告人のことを「Mちゃん」というニックネームで呼ぶことがあり,Cもそのことを知っていたのであるから,Bの会話の相手が被告人だと思うのは誠に自然である。Cの法廷供述は「Mちゃん」という言葉から会話の相手を被告人と思った旨述べるものの,その点につきなお曖昧なところや動揺がみられ,被告人への配慮がうかがわれるのであり,これと対比し,電話の相手が被告人であることは間違いないとする検察官面前調書のほうがより自然な内容であって信用できる(なお,Bの法廷供述中にはこれに符合する内容の供述は 配慮がうかがわれるのであり,これと対比し,電話の相手が被告人であることは間違いないとする検察官面前調書のほうがより自然な内容であって信用できる(なお,Bの法廷供述中にはこれに符合する内容の供述はないが,記憶に残っていないということは十分考えられる。)。そして,Cにはことさら被告人を罪に陥れなければならないような事情は見当たらないから,Cの前記検察官面前調書の信用性は高く,これによれば,本件逮捕監禁の犯行前の打合せにおいて,Cの求めに応じてBが被告人に対しIの資料の不足分を求める電話をかけたことがあったとの事実を認めることができる。したがって,この事実は,被告人がBに対し本件各犯行を依頼した旨を推認させる有力な事実ということができる。 次に,②についてみると,前記のとおり,Bは,当法廷で,Cの方からIが所持するクレジットカードを使ったと言った旨述べており,前記Cの法廷供述と相違する。もっとも,Bも当法廷で,被告人から「カードを使ったでしょう。」と言われたとも述べていて,そのこと自体を隠そうとしているような様子はみられず,BとCとの間でどちらがクレジットカードの無断使用を言い出したかについては,両者のいずれについてもことさら虚偽を述べなければならないような理由は見当たらない。したがって,この点に関する両者の供述の相違は,両者のいずれかの記憶違いによるものと思われる。そして,HはIからクレジットカードを取られて不正に使用されたと聞いていた(Hの法廷供述参照)というのであって,BがA2の関係者からこれを知り得ることが可能な状況にあったこと,CにとってIが所持するクレジットカードを無断で使ったことはBに隠しておきたいと思いこそすれ,自らBに告げるというのは不自然であることからすると,クレジットカードの無断使用についてBの方からなじられた旨 ってIが所持するクレジットカードを無断で使ったことはBに隠しておきたいと思いこそすれ,自らBに告げるというのは不自然であることからすると,クレジットカードの無断使用についてBの方からなじられた旨のCの法廷供述のほうが信用できる。そして,Cの法廷供述によっても,Bが本件逮捕監禁の犯行後に,A2グループに関係する者からIの所持するクレジットカードの無断使用の情報を得たとの事実を認めることができる。さらに,Bにクレジットカードの無断使用の情報を伝え,嫌みを言った者についてのCの供述をみると,法廷供述は,被告人が言ってきたという意味のことを言っていたかもしれないとか,「Mちゃん」が出たかもしれないとか述べるものの,その点につきなお曖昧なところや動揺がみられ,被告人への配慮がうかがわれるのであり,これと対比し,嫌みを言ってきた人として「Mちゃん」だったか「Xさん」と言っていたとする検察官面前調書のほうが自然な内容であって信用できる。そして,これによれば,本件逮捕監禁の犯行後,Bは,被告人から実行犯がA2グループのクレジットカードを無断で使用した旨の連絡を受けて嫌みを言われたことがあったとの事実を認めることができる。したがって,この事実も,被告人がBに対し本件各犯行を依頼した旨を推認させる有力な事実ということができる。 そして,これらの各事実は,被告人から本件各犯行の依頼を受けた旨述べるBの法廷供述の信用性を強く裏付けるものといえる。 以上のとおり,被告人から本件各犯行の依頼を受けた旨述べるBの法廷供述はその信用性が極めて高いというべきであり,これに反する被告人の弁解は採用できず,Bの法廷供述によれば被告人がBらと共謀の上本件各犯行に出たものと認めることができる。 第3 弁護人の主張について 1 弁護人は,おおむね以下のような主張の組み立 に反する被告人の弁解は採用できず,Bの法廷供述によれば被告人がBらと共謀の上本件各犯行に出たものと認めることができる。 第3 弁護人の主張について 1 弁護人は,おおむね以下のような主張の組み立てにより,被告人からBに報酬が交付された事実がない旨主張する。 「Bが5月の末に被告人から報酬等を受け取ったと供述しており,Bが平成11年5月26日に腕時計を質に入れて50万円を借り入れていることからすれば,Bが被告人から300万円を受領した事実が存するとしてもそれは最も早くて5月27日となる。Bは被告人から報酬,Iの顔写真,メモを一緒に受け取った旨述べているから,メモ等を含めた報酬等全ての受領が5月27日以降でしかあり得ない。 Cは,BからIの顔写真及びメモを受け取った後,Iを尾行し,Iの行動やIの家族について調べ上げている。Cは,Iの顔写真とメモを受け取ってからすぐ,例えば次の日に尾行を始めたことはない,Iを尾行したのは週に1,2回だと思う,すぐにIの見分けは付かず,2,3日でIがこの人だと分かった,などと述べており,また,CはIの愛人宅であるとされるrのマンション前で張り込みをしているが,CがIを尾行することによって初めてこのマンションの場所を突き止めることができたのであり,Iは愛人宅に毎日通っていたわけではない。これらを考え合わせると,CがIの行動を調査するのに1か月かかるとみるのが当然である。Bが5月末以降にCに報酬を渡したのであれば,本件逮捕監禁前に,Iの情報収集を完了することは不可能である。したがって,BからCへの報酬等の交付時期は,4月下旬から5月上旬であり,BがCに交付した報酬等は被告人から受領したものではない。」しかし,Bが被告人から報酬を受領した時期について述べるところは,前記のとおり,腕時計の質入れと受け戻しに関す 月下旬から5月上旬であり,BがCに交付した報酬等は被告人から受領したものではない。」しかし,Bが被告人から報酬を受領した時期について述べるところは,前記のとおり,腕時計の質入れと受け戻しに関する捜査によって裏付けられており,そのまま信用してよい。そして,前述のとおり,B及びCは,いずれも1年以上前の出来事について述べているのであるから,比較的細部の事項や事柄の詳細については,記憶の希薄化,混同等が生ずることは無理もないことであり,報酬等の交付の時期についてのBとCの供述の相違はそうした記憶の希薄化や混同等によって生じたものとみることができる。すなわち,Cが当法廷でIの尾行等の調査を開始した時期,その頻度,I本人を同定した時期,Iが愛人宅に通っていた頻度等について述べているところは,その具体的詳細な事項となると,やはりCの記憶の希薄化や混同等により不正確な内容となっている可能性が多分にあるものである上に,CがIについて調査した事項が前記第1で認定したようにIの妻がテニスクラブに通っていること,Iの2人の子供が小学生と幼稚園生であること,上の子供が通っている小学校,Iの出勤時刻,退社時刻,よく利用する飲食店等であって,さほどの期間を要せず調べることが不可能な内容ではないから,Cがこれら調査に要した期間につき記憶違いをしている可能性がある。また,他方,BがCに対しIの写真等と報酬とを同時に交付したかどうかについても比較的細部の事項と言えるのであり,BがIの写真等をあらかじめ被告人から入手してCに交付し,その後しばらくして被告人から報酬を受領してその一部をCに交付したことを記憶違いしているということもあり得る。いずれにせよ,Bが意図的に虚偽の供述をしたと疑わせるに足りる事情とはいえない(仮に,Bが被告人から報酬等を入手した旨虚偽の供述 てその一部をCに交付したことを記憶違いしているということもあり得る。いずれにせよ,Bが意図的に虚偽の供述をしたと疑わせるに足りる事情とはいえない(仮に,Bが被告人から報酬等を入手した旨虚偽の供述をしようと考えたとしても,そのために報酬等をCに交付した時期についてことさらCの述べる時期よりもこれを繰り下げて述べなければならない事情は見当たらず,報酬等の交付時期についてのBとCの供述の相違は,Bが被告人をことさら引き込む意図で虚偽の供述をしたことによって生じたものとは考えられない。)。 以上のとおりであり,この点に関する弁護人の主張は採用できない。 2 弁護人は,報酬の使途に関するBの供述は信用できないから,被告人から300万円の報酬を受領した旨のBの供述は信用できず,被告人がBに報酬を交付した事実はない旨主張する。 しかし,前記のとおり,Bは,既に警察の調べにおいて,被告人から受領した報酬の一部の50万円でロレックスの腕時計を質屋から受け戻した旨述べており,この供述は,平成12年11月17日の警察の捜査の結果裏付けられている。弁護人は,平成11年5月の末に被告人から報酬を受領したことが真実であるのなら,Bが同月26日に質に入れたロレックスの腕時計をすぐに受け戻さず,同年6月24日まで放置しておいた点に不自然さがあると述べているが,Bは当法廷で,「1か月単位の利息で区切っていたので,特別急いで出すことは,その時は考えなかったのだと思う。」旨述べており,このBの供述は格別不自然とはいえないことから,Bが同年6月24日に腕時計を受け戻していることが不自然であるとはいえない。 また,Bは,被告人から受領した報酬の使途につき,当法廷で,「自分の家族の生活費として妻に100万円くらい渡している。自分の父親はそのときは入院しておらず,リハビリで が不自然であるとはいえない。 また,Bは,被告人から受領した報酬の使途につき,当法廷で,「自分の家族の生活費として妻に100万円くらい渡している。自分の父親はそのときは入院しておらず,リハビリで通院していたが,私は遅れていた入院費も含め両親の生活費として母親に2か月分で50万円くらい渡している。父親の入院費は,サラ金などで借りて払っており,遅れていた入院費とはそのサラ金の支払いという意味である。 借りたのはA11とA12のo支店である。自分の名前で借りた。その場その場で足りないときに補充して借りていて,合計では100万円を超えていると思う。返したのは母親に頼んだときもあるし,自分で払いに行ったときもある。当時,借入金は4,50万円くらいは残っていたと思う。母親に渡した50万円のうちサラ金に返したのは,生活費を引いて20万円くらいではないか。2社に振り分けて返している。両方とも母親が返しに行っている。」などと述べているところ,Bは既に警察の調べにおいて,被告人からの報酬の一部を父親の入院費用に補充した旨述べ,警察の捜査照会に対するY大学病院長の平成12年11月1日付け回答書によって,Bの父親が平成9年5月23日から同年7月1日に品川区内のY大学病院呼吸器内科に入院し,その治療費が合計73万2680円で,これが支払われていたこと,その後,同年7月4日から月平均1回のペースで通院していたことが裏付けられている。弁護人は,Bは,当法廷で,被告人から受領した報酬の一部を父親の入院費用に充てたと述べ,父親の入院時期と符合しない点を指摘されてサラ金への支払いに充てた旨言い訳をしたものでその信用性は極めて疑わしい旨主張する。なるほど,Bが父親の入院費用をサラ金で借りたかどうかについては直接の裏付けがないが,Bは,当法廷で,報酬の一部を入院費用に充 いに充てた旨言い訳をしたものでその信用性は極めて疑わしい旨主張する。なるほど,Bが父親の入院費用をサラ金で借りたかどうかについては直接の裏付けがないが,Bは,当法廷で,報酬の一部を入院費用に充てたというのはサラ金への支払いの意味であることは警察でも話した旨述べており,警察の前記捜査において,入院費用が平成9年の入院時に支払い済みであることが判明しながらBの供述の裏付けが得られたとされていたことに照らしても,Bの同法廷供述に疑問があるとはいえず,Bが法廷で急に言い訳をしたとの弁護人の主張は当たらない。さらに,弁護人は,平成11年5月末と6月にはA11に通常と異なる額の返済がされていない旨主張してBの供述に信用性がない旨主張するが,Bもサラ金への返済を母親に委ねており,返済額自体必ずしも明確に把握しているわけではなく,株式会社A11o支店の照会回答書写しによれば,同年5月28日に4万円の返済(同年6月27日には5万円の返済)がされていることも認められるから(A12o支店については返済状況に関する証拠はない。),Bの供述の信用性を否定するには至らない。 なお,弁護人は,同年6月21日に被告人が代表取締役を務める株式会社A4からBが小口金融で集金用に使っていた株式会社A13名義の口座に300万円が振り込まれ,同月23日にこの300万円が引き出されており,このうちからロレックスの腕時計を質屋から受け戻し,A11に同年7月6日合計65万円の返済をしたものと推測されるから,Bは,この300万円の使途を被告人からの報酬の使途であるかのように述べていると主張するが,Bは,当法廷で,被告人に依頼され,A4からA13の口座に振り込まれた金を下ろして被告人に手渡していた,同年6月ころ被告人から300万円を借り入れたり,A13の口座に振り込まれた金を使 主張するが,Bは,当法廷で,被告人に依頼され,A4からA13の口座に振り込まれた金を下ろして被告人に手渡していた,同年6月ころ被告人から300万円を借り入れたり,A13の口座に振り込まれた金を使い込んだりしたことはない旨述べており,株式会社A14銀行o支店支店長作成の捜査関係事項照会回答書謄本によれば,A13名義の口座にはA4から多数回にわたり数十万円以上の入金があってその都度全額引き下ろされている事実が認められるから,Bの同法廷供述も特に疑問はなく,弁護人の主張は当たらない。 3 動機の不存在弁護人は,①被告人のIに対する感情があくまで「気に入らない。」「好ましくない。」という程度のもので,深い感情を抱く関係にはなかったのであるから,被告人にはIに本件のような危害を加える利益が存しない,②本件逮捕監禁の犯行については,Hですら決めていないH及びIの確定的な渡米日程を被告人が知るはずもないから,Iの平成11年6月10日の渡米を阻止するために被告人がその犯行を依頼することはない,③本件共同暴行の犯行については,被告人は,IがA2及びA1を辞めることを遅くとも同月21日には知っていたのであるから,被告人がIを辞めさせるためにその犯行を依頼し,犯行日である同年7月7日まで数回にわたって督促することなど考えられないとの主張を前提として,被告人にはBに対し本件各犯行を依頼する動機が全くないと主張する。 しかしながら,①前認定のとおり,被告人は,A2グループの一つであるA1が株式の店頭登録を目指していた時期において,前科があり,かつ仕事上のトラブルが多いなどの理由から役員として不適切だと思い悪感情を抱いていたIをA2グループから早急に排除しなくてはならないと考えていたのであるし,②被告人がIの平成11年6月10日の渡米予定を知っていたこ ルが多いなどの理由から役員として不適切だと思い悪感情を抱いていたIをA2グループから早急に排除しなくてはならないと考えていたのであるし,②被告人がIの平成11年6月10日の渡米予定を知っていたことについては前記第1,9で認定したとおりである。また,③本件共同暴行の犯行については,これまでみたとおり,被告人は,IがA2及びA1を退職したものの,Hから多額の援助を得ようとするなどIがA2グループから依然として離れようとしなかったことから,IをA2グループから完全に排除するために及んだのである。 したがって,被告人が本件各犯行に及んだ動機として何ら欠けるところはないから,弁護人のその主張は採用することができない。 4 Cの検察官面前調書の信用性の弾劾弁護人は,BがCに対し①本件逮捕監禁の犯行前の打合せの際,Bが電話をかけた相手について「Mちゃん」と述べていた,②Iの所持していたクレジットカードを勝手に使用したことにつき,Bが嫌みを言われた人物として「Mちゃん」か「Xさん」と述べていた,とするCの検察官面前調書について,まずその信用性に問題があると指摘した上で,仮にそうした供述どおりのことがあったとしても,①については,被告人が,Iと暴力団関係者との交際をおそれて,BにIの行動調査を依頼したことがあり,そのことでBからの求めに応じてIの車のナンバー等を電話で教えたことがあるとの主張を前提として,Cがその際の被告人とBの電話でのやりとりを聞いていた可能性が十分考えられるから,被告人がBに本件を依頼したことを示すものではない,②については,Cが直接被告人と会話をしていない以上,被告人が本件を依頼したとするBの法廷供述の信用性を担保するものにはなり得ないなどと主張する。 しかしながら,①②のCの検察官面前調書が信用できるものであって,これに 接被告人と会話をしていない以上,被告人が本件を依頼したとするBの法廷供述の信用性を担保するものにはなり得ないなどと主張する。 しかしながら,①②のCの検察官面前調書が信用できるものであって,これに沿う事実が,被告人がBに対し本件各犯行を依頼した旨推認させる有力な事実であることは既に2(5)で認定したとおりである(Cが被告人と直接会話をしていないことで左右されるものではない。)。 さらに,①についてこれを弾劾する弁護人の前記主張をみると,確かに被告人は,当法廷で,Iが暴力団関係者と交際しているのではないかとおそれたので,Bに対し,Iの行動調査を依頼した旨供述している。しかしながら,B自身は,当法廷で,被告人からIの身辺調査を頼まれたことはない旨述べている。また,被告人は,当法廷で,その後Bから調査結果の報告はなかったが,自分からその報告を求めたことはない旨述べ,その理由として,それほど真剣に頼んだわけではなく,悪い方の結果であったら対応に困る,そうこうしているうちにIが辞めることが決まってしまったのでうやむやになった旨述べているが,Iと暴力団関係者との交際というA2グループにとって重大な問題について調査を依頼しておきながら被告人が述べるような理由でその後報告を求めないというのは余りに不自然である。そうすると,BにIの行動調査を依頼したとの被告人の前記公判供述は,被告人からIの身辺調査を頼まれたことはない旨のBの前記公判供述に対比して信用できないというべきであるから,①に関する弁護人の前記主張はその前提を欠く。 以上のとおり,弁護人の前記主張はいずれも採用することができない。 5 Bが被告人とは無関係に本件を犯した可能性(Bの犯行動機)弁護人は,本件はBが被告人とは無関係に犯した事件であるとの主張を前提として,Bの犯行動機について はいずれも採用することができない。 5 Bが被告人とは無関係に本件を犯した可能性(Bの犯行動機)弁護人は,本件はBが被告人とは無関係に犯した事件であるとの主張を前提として,Bの犯行動機について,①Bが,被告人からIの行動調査を依頼された際,その目的を被告人らがIをA2グループから追い出すことにあると勝手に考えた上,被告人に対し金銭を要求する材料とするなど将来的にも利用し得る立場を捻出しようとして本件各犯行に及んだ可能性がある,②Bが被告人以外の第三者から本件各犯行の依頼を受けた可能性がある,ことなどを挙げる。 しかしながら,①については,そもそもBにIの行動調査を依頼したとする被告人の公判供述が信用できないことは前記のとおりである上,当時被告人と親密な交際があったBが,なにゆえ事を荒立ててまで被告人を利用しなければならないのか理解に苦しむし,本件各犯行後Bが被告人に対し本件を材料として金銭等を要求したとの事情も見当たらないのである。また,②については,先にみたように,Bは,Cに対し,本件逮捕監禁の犯行の前後に,電話の相手を「Mちゃん」と述べたり,嫌みを言われた人物として「Mちゃん」とか「Xさん」と述べていたのであり,こうした事実と整合しない。仮に被告人以外の第三者が依頼主であったとすると,これらのBの発言はCの面前で真の依頼者をかばい被告人を依頼主にでっちあげるための演技であったことにならざるを得ないが,Bが「Mちゃん」などと発言した際のそれぞれの状況に照らし,そうした事態を想定することは到底できない。 したがって,この点に関する弁護人の主張はいずれも採用できない。 6 Bが虚偽の供述をする動機(根拠)弁護人は,Bが虚偽の供述をする根拠として,①Bは,被告人を主犯格と位置づけることによって自己の刑事責任を軽減できる,②Bは, の主張はいずれも採用できない。 6 Bが虚偽の供述をする動機(根拠)弁護人は,Bが虚偽の供述をする根拠として,①Bは,被告人を主犯格と位置づけることによって自己の刑事責任を軽減できる,②Bは,友人である被告人が上場企業の社長となったのを聞いて,資金援助等が増えるのではないかと期待したことが容易に推測されるが,実際には借金の申込みを被告人から断られており,このようにあまり相手にされなかったことで被告人に対するねたみや恨みといった悪感情を抱いた可能性がある,③Bは,被告人に対して多額の借金を抱えているが,被告人が平成12年9月に上場会社の社長を辞任しその収入が減ることで,Bの返済義務が現実化したため,これを免れるため,あるいは督促を受けたことに立腹した,などの点を挙げる。 しかし,仮に弁護人の主張するように,Bが,被告人の依頼に基づかずに本件各犯行をCに依頼し,これに基づいて本件各犯行が行われながら,その後Bが自己の罪責の軽減を図るなど①ないし③で挙げた理由から,捜査段階及び当法廷において被告人が本件各犯行の首謀者であると供述するに至ったとすると,先にみたとおり,BがCに対し本件逮捕監禁の犯行の前後に電話の相手等について「Mちゃん」,あるいは「Xさん」と述べていたことの説明が付かない。 したがって,弁護人のこれらの主張は採用することはできない。 7 Bの法廷供述の信用性の弾劾弁護人は,平成13年2月20日の第3回公判期日において,被告人に不利な供述をするのは心苦しいと述べるBが,正直に話す気持ちになった動機の一つとして,妻が妊娠中なので心配を掛けたくないからであると供述しながら,同年1月末の出産予定日を約3か月も経過した後に開かれた同年4月24日の第4回公判期日において,Bが,妻に精神的な面で負担を掛けたので出産が遅れていると述 心配を掛けたくないからであると供述しながら,同年1月末の出産予定日を約3か月も経過した後に開かれた同年4月24日の第4回公判期日において,Bが,妻に精神的な面で負担を掛けたので出産が遅れていると述べ,依然として妻の妊娠を信じているという非常識きわまりない供述をしているとおり,Bには虚言傾向があって,正直に話す動機として述べられた妻の妊娠の事実自体やそれを信じている旨のBの供述が虚偽である以上,Bの法廷供述全体が虚偽であることは明々白々であると主張する。 しかしながら,Bは,正直に話すことにした動機について,自分の弁護人からその旨忠告があったこと,周りの方に迷惑と心配を掛けたこと,家族を思う気持ちがあったこと,Iとの接点のない自分が被告人をかばい切ることは難しいと思ったことを挙げており,それらは十分納得のいく信用できるものである。そもそも妻の妊娠の点は検察官から「ほかにも何か理由はあるのか。」と問われたのに対して挙げたもので,やや付随的な理由として述べられているのであり,その点に関しては不合理と思われる供述もあるが,そのことが,それ以外に種々挙げた動機についてのBの供述の信用性に影響を及ぼすものではない。 したがって,Bに虚言傾向があるとの弁護人の前記主張は当を得ず,採用することはできない。 8 その他弁護人の主張する諸点を考慮して検討しても,これまでの認定を覆すに足りるものはない。 (法令の適用)〔省略〕(量刑の理由) 1 本件は,当時A2グループのA1の取締役であった被告人が,親しい友人のBに依頼して,(1)当時A2及びA1の取締役であったIに対し,Cら4名の共犯者を実行犯として,病院の駐車場で暴行を加えて普通乗用自動車に押し込み,同自動車内及びラブホテル等に閉じ込めるなどして不法に逮捕監禁し,(2)その後両社を退職したも であったIに対し,Cら4名の共犯者を実行犯として,病院の駐車場で暴行を加えて普通乗用自動車に押し込み,同自動車内及びラブホテル等に閉じ込めるなどして不法に逮捕監禁し,(2)その後両社を退職したもののHから1000万円の出資ないし融資を受けようとするなどして依然A2グループと関係のあったIに対し,さらに,Cら3名の共犯者を実行犯として,東京都港区内の駐車場及び付近路上で実行犯のうち2名が共同して暴行を加えたという事案である。 2(1) 被告人は,これまでみたとおり,A1が株式の店頭登録を目指す大事な時期において,前科があり,仕事上のトラブルも多いなど役員として不適切だと思い悪感情を抱いていたIをA2グループから早急に排除しなくてはならないと考えていたところ,Iの渡米を阻止することでA2グループを率いるHの渡米に支障を生じさせ,IのA2グループ内での立場を悪化させ,かつ,Iに危害を加え畏怖させることによってIをA2グループから排除することを狙って本件逮捕監禁の犯行に及んだ。そして,被告人は,IがA2及びA1を退職したものの,前記のとおり,Hから多額の援助を得ようとするなどIがA2グループから依然として離れようとしなかったことから,IをA2グループから完全に排除するために本件共同暴行の犯行に及んだものである。 A2グループのためを考えて本件各犯行に及んだという一面があるにせよ,暴力的手段に訴えることが許されないことは当然のことである。 結局,被告人は,他人の身体の自由,安全に配慮することなく,暴力等違法な手段に訴えて手っ取り早く目的を達成しようとしたものであって,身勝手な犯行というほかない。 したがって,本件各犯行の動機に,酌量すべき余地はない。 (2) 本件逮捕監禁の犯行においては,4名の実行犯らは,病院内からIを呼び出す役,I うとしたものであって,身勝手な犯行というほかない。 したがって,本件各犯行の動機に,酌量すべき余地はない。 (2) 本件逮捕監禁の犯行においては,4名の実行犯らは,病院内からIを呼び出す役,Iを連れ込む普通乗用自動車を運転する役,自動車の車内でIの身体を拘束する役等に役割を分担した上で,白昼,病院の駐車場内で,Iに対し暴行を加えて逮捕し,目隠しや手錠をするなどした状態で約55時間にわたって監禁し続けたのである。 また,本件共同暴行の犯行においては,実行犯のうち1名が犯行現場付近において車で待機し,うち2名が共同して,Iに対し,その頭部を手拳で殴打し,下半身を足蹴にするなどの暴行を加えたのである。 そして,実行犯らは,Iについて綿密な行動調査を行い,具体的な犯行計画を立てた上でそれに従って本件各犯行に及んでいる。 以上のように,本件各犯行は,いずれも計画的かつ組織的であり,粗暴かつ大胆な手段によるものである上に,同一の被害者に対し,短期間のうちに2度にわたって敢行された,強固な犯意に基づくしつような犯行であって,極めて悪質といわざるを得ない。 (3) 被告人は,前記の目的を達成するために,Bに対して本件各犯行を依頼することで,自らは手を汚すことなくCら実行犯に本件各犯行を実行させたもので,本件各犯行の首謀者である。また,Bに対し多額の報酬を与えただけでなく,対象者の特定や犯行を容易にするための情報を提供したほか,本件各犯行の実行を度々催促するなど,本件各犯行の実行に不可欠かつ重要な役割も果たしている。 したがって,本件での共犯者らの中にあって被告人の責任は,最も重いといわなければならない。 (4) 本件各犯行によって生じた結果も重大である。 Iは,本件各犯行を甘受すべき落ち度がないにもかかわらず,いずれも白昼,突然暴行を受け あって被告人の責任は,最も重いといわなければならない。 (4) 本件各犯行によって生じた結果も重大である。 Iは,本件各犯行を甘受すべき落ち度がないにもかかわらず,いずれも白昼,突然暴行を受けて襲われており,特に本件逮捕監禁の犯行においては,普通乗用自動車に無理やり押し込まれ,両手を縛られるなどして身体の自由を奪われ,車内でI自身のみならずその家族にも危害を加えかねない脅迫文言等を浴びせられ,手錠を掛けられるなどして合計で約55時間にわたって身体の自由を拘束され続けたのである。Iの受けた精神的・肉体的苦痛は計り知れない。 (5) そして,被告人は,Iに対し,謝罪や弁償の措置を全く講じていない。 (6) これらの事情等に照らすと,被告人の刑事責任は重いといわなければならない。 3 以上の諸事情を総合考慮すると,被告人にはこれまで前科前歴がないことなど,その他被告人のために酌むべき諸般の事情を最大限考慮しても,なお,被告人に対しては,主文の実刑を科するのが相当であると判断した。 よって,主文のとおり判決する。 (求刑懲役3年)平成14年6月3日東京地方裁判所刑事第7部裁判長裁判官小川正持 裁判官浅香竜太 裁判官三上潤

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