平成16年12月22日判決言渡平成16年(少コ)第1878号(通常訴訟移行)受講料等返還請求事件口頭弁論終結日平成16年12月1日判決主文 1 被告は,原告に対し,金40万5000円及びこれに対する平成16年3月26日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 2 原告のその余の請求を棄却する。 3 訴訟費用は10分し,その9を被告の,その余を原告の負担とする。 4 この判決は第1項に限り,仮に執行することができる。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告に対し,金46万6000円及びこれに対する平成16年3月26日から支払済みまで年5パーセントの割合による金員を支払え。 第2 事案の概要 1 請求原因の要旨(1) 原告は,被告に対し,平成16年3月26日,被告が経営するリフレクソロジースクール「○○○スクール」に入学のため,受講料46万2000円と損害賠償責任保障制度金4000円の総額46万6000円を納入した。 (2) 原告が,初回授業を受けたのは,同年4月22日であるが,そのときには指先の状態に対する指導があり,2回目,同年5月6日に登校すると,担当インストラクターから指先がリフレクソロジーには不向きなので1回分の授業料を引いた全額を返すから退学するよういわれた。この時は,このまま続けたいと申し出たが受け入れられなかった。 その後,同年5月27日,被告の担当者から電話で,1回分の授業料1万6000円のほか事務手数料5万2500円,教材費2万1000円も控除した37万2500円が返金する金額である旨通告があった。 (3) 原告と被告との契約は在学契約という準委任契約(被告経営のスクールにて受講後,被告が「プロ 5万2500円,教材費2万1000円も控除した37万2500円が返金する金額である旨通告があった。 (3) 原告と被告との契約は在学契約という準委任契約(被告経営のスクールにて受講後,被告が「プロのセラピストとしての活躍を徹底バックアップ」して,直営サロンに勤務したり,様々な求人が数多く寄せられている被告による求人情報の公開により就職したり,独立開業をバックアップしてもらう契約)であり,被告の原告に対する退学処分はこの準委任契約の一方的解除である。被告が入学前に爪に関する何らの説明もなく,原告の爪の形状を理由に原告との準委任契約を一方的に解除した事実は債務不履行を構成する。 (4) よって,原告は,被告に対し,債務不履行に基づく損害賠償として,総額46万7570円(受講料の振込料金290円及び通学交通費1280円を加算)の内46万6000円及びこれに対する受講料を振り込んだ同年3月26日から支払済みまで年5パーセントの割合による遅延損害金の支払を求める。 2 被告の「紛争の要点」に対する認否及び主張(1) 原告が,平成16年3月26日,被告の経営するリフレクソロジースクール「○○○スクール」に入学のため,受講料46万2000円(教材費等を含む。)を被告に納入したことは認める。 ただし,原告が賠償責任保障制度金4000円を被告に納入したという主張は否認する。 (2) 原告は,同年5月6日,Aインストラクターから退学するようにいわれと主張するが,その時,Aは,原告に対し,「前回も指の状態を見せていただきましたが,リフレクソロジーは指先をしっかり使う技術なので,Bさんの今の指の状態ではしっかりした技術を習得するのは難しいと思われます。」と説明をした上で,現段階では,爪を切っても深爪となってしまう懸念があるが,ある程度の時間をかけて爪を短く う技術なので,Bさんの今の指の状態ではしっかりした技術を習得するのは難しいと思われます。」と説明をした上で,現段階では,爪を切っても深爪となってしまう懸念があるが,ある程度の時間をかけて爪を短くし続ければ,指先の肉が自然に盛り上がってきて,リフレクソロジーに適した形に変化していくことから,指先をリフレクソロジーに適した状態に作ってから,改めて受講することを勧める趣旨で,「受講を継続できないことはありませんが,いったん指を作った上で,受講をお勧めします。3ヶ月,6ヶ月たって指先の肉が盛り上がってきたら,改めて受講することも可能ですよ。」と話をしたものであり,指先の状態が不向きなので退学するようにといった事実はない。 (3) 原告と被告との間で締結された契約は,被告が,原告に対し,リフレクソロジーに関する知識や技術を習得するための教材を提供し,講義や実習,それに関連しての役務提供を行い,原告としては,その対価として,受講料を支払うという無名契約である。原告としては,全講義を受講した上で,資格認定試験に合格すれば,日本リフレクソロジー協会よりセラピストの資格認定を受けることができる対価として,46万2000円を納入したものである。原告は,被告に納入した金額は,46万6000円と主張するが,差額の4000円は保険料であり,原告が,△△△保険会社に支払ったもので,被告が受領したものではないし,原告が自ら解約手続をすればいくらかは返金されるものである。 (4) 原告は,同年3月15日に受講申込みをした上で,同月26日に受講料を支払っているところ,受講申込書(乙15号証)の確認事項欄には,「納付した受講料については,原則として受講生の都合による返金のご請求は行われないことを確認致します。」 と 日に受講料を支払っているところ,受講申込書(乙15号証)の確認事項欄には,「納付した受講料については,原則として受講生の都合による返金のご請求は行われないことを確認致します。」 という記載があり,原告としては,入金前に,この確認事項を確認した上で,署名捺印をして,入校の申込みをし,被告は,入校の承諾をしている。また,甲2号証の募集要項は,入校前に渡されるもので,(ご注意)欄に「ご入金後の受講生のご都合による返金のご請求は原則としてお受けできませんので,予めご了承ください。」と記載してあることから,いずれにしても,原告,被告間には募集要項の内容である入金後の返金はできない旨の特約があるというべきである。 これは,被告の運営するスクールでは,受講生は,入校すれば,教材一式を取得することができ,講義については,仮に欠席をしても,授業の振替や補講により予定された全講義を受講することが可能であり,資格認定試験についても,合格するまで,回数制限なく受験機会を与えられるという地位を得られる一方,被告としては,受講生がそれらの地位を放棄して,休学や中途退学をしても,新たな受講生の補充ができないことから,受領した受講料全額が,受講生に退学時までに与えた利益の対価及び被告に発生した損害として構成されるからである。 原告は,希望すれば,受講を継続することはできたが,自らの選択で中途退学を決意し,受講料の対価として得ていた地位を放棄し,受講を中途で取りやめることにしたものである。 したがって,納入した額の全額の返還を求める原告の請求は理由がない。 (5) 仮に,中途退学の場合に,被告が受領した金員全額が,損害と認められないとしても,①原告は,教材を既に受領しており,その教材の代金は2万1000円である 原告の請求は理由がない。 (5) 仮に,中途退学の場合に,被告が受領した金員全額が,損害と認められないとしても,①原告は,教材を既に受領しており,その教材の代金は2万1000円であること,②開講準備から始まるスクールの事務内容については,「スクール事務」及び 「インストラクターの事務」記載のとおりであり,人件費等を勘案すると,少なくとも5万2500円以上の事務手数料がかかっていること,③被告は,特定商取引法上の特定継続的役務提供取引を行っているいるわけではないが,英会話学校等においても, サービス開始後は,既に受けたサービスの対価のほか,中途解約金として5万円又は1ヶ月あたりの授業料のいずれか低い額を取得できると定められていることからすれば,事務手数料が少なくとも5万2500円かかるという被告の主張の合理性が裏付けられること,④原告は,授業を1回受講しており,1回分の授業料については,1万6000円になることから,少なくとも被告の既履行の対価及び費用だけで8万9500円になる。これは,被告同種事業者としても,中途退学者が生じた場合に被る平均的な損害額であるから,原告としても返還請求できる根拠はない。なお,1回分の授業料の計算式は次のとおりである。 {入金額-保険料-(教材費+事務手数料)}÷講義回数=1回の授業料 {46万6000円-4000円-(2万1000円+5万2500円)}÷24≒1万6000円(6) ×××サポート制度における保険契約は,加入者である受講生と引受保険会社である△△△保険会社との間の直接の契約であり,△△△保険会社の代理店である□□□有限会社がすべての事務処理を行 (6) ×××サポート制度における保険契約は,加入者である受講生と引受保険会社である△△△保険会社との間の直接の契約であり,△△△保険会社の代理店である□□□有限会社がすべての事務処理を行っている。甲3号証の「保険契約者」欄には,日本リフレクソロジー協会」と記載されているが,これは,△△△保険会社が,保険制度上の団体割引を適用するために団体名を表示する趣旨で記載したもので,被告が契約当事者であることを示すものではない。×××サポート賠償責任保険は,被告が,△△△保険会社と共同で開発した独自のセラピスト保険であり,受講生が個人として賠償責任を負ったり,自分が怪我をしたときに備えて加入するものである。 原告が被告に対し,その返金を求めることは理由がない。 4 争点(1) 原告は,自主退学したのか,退学処分になったのか。 (2) 1回分の受講料返還義務の有無(3) 教材費返還義務の有無(4) 事務手数料返還義務の有無(5) 保険料の返還義務の有無第3 当裁判所の判断 1 争点(1)について証拠によれば,本件契約は,被告が,原告に対し,リフレクソロジーに関する知識や技術を習得するための教材を提供し,講義や実習,それに関連しての役務提供を行い,原告としては,その対価として,受講料を支払うという無名契約であることが認められ,さらに,この契約には,納付した受講料については,原則として,原告の都合による退学の場合には返金しない旨の,逆にいえば,被告による退学処分の場合には,返金する旨の特約があるとことが認められる。被告はこの特約に関して,本件においては,原告の都合による退学であり,返金の請求には応じられない旨主張する。そこで,本件が原告の都合による退学か,被告によって辞めさせられたのか,すなわち自主退学したのか,退学処分 に関して,本件においては,原告の都合による退学であり,返金の請求には応じられない旨主張する。そこで,本件が原告の都合による退学か,被告によって辞めさせられたのか,すなわち自主退学したのか,退学処分になったのかを判断する必要がある。 原告は本人尋問において,第2回授業開始10分前に,Aインストラクターから「1回目のレッスンの後,他のインストラクターと話をしましたが,Bさんの指先の状態では,教えることができません。既に,受講された1回分を差し引いた金額を返しますので,このままレッスンを受けることは無理と考えて下さい。いったんは,お金をお返しし,学校は退学ということになります。」といわれたという供述は信用でき,これに反する被告側の証人A及び同Cの各証言は信用できない。 したがって,原告は,被告によって退学させられたと認めるべきであり,被告は原告の受講料全額の返還請求には,原則として応じなければならないというべきである。 2 争点(2)について前述したように,被告は原告に対し,受講料全額を返還すべきであると考えるが,原告は,授業を1回受けており,公平の見地から,その分の授業料は支払うべきである。その額については,被告は,次の算式を主張するが,相当の範囲内の金額であると考える。 {入金額-保険料-(教材費+事務手数料)}÷講義回数=1回の授業料{46万6000円-4000円-(2万1000円+5万2500円)} ÷24≒1万6000円 3 争点(3)について教材一式の費用についても,本来,被告は原告に対し,返還すべきであると考えるが,その性質上,返還しても被告において他に流用することは困難であり,これも公平の見地から返還請求できないというべきである。 教材費2万1000円についても,相当の範囲内の金額であ きであると考えるが,その性質上,返還しても被告において他に流用することは困難であり,これも公平の見地から返還請求できないというべきである。 教材費2万1000円についても,相当の範囲内の金額であると考える。 4 争点(4)について事務手数料についても,本来,被告は原告に対し,全額返還すべきであると考えるが,これも公平の見地から,本件契約が特定商取引上の特定継続的役務提供取引には該当しないものの,当該取引の英会話学校等に類似したものとして,2万円程度の手数料を認めるべきであると考える。 5 争点(5)について甲3号証(加入者証)によれば×××サポート制度における保険契約は,加入者である受講生と引受保険会社である△△△保険会社との間の直接の契約であることが認められる。同号証の「保険契約者」欄には,日本リフレクソロジー協会」と記載されているが,これは,△△△保険会社が,保険制度上の団体割引を適用するために団体名を表示する趣旨で記載したものと認められる。したがって,原告が被告に対し,その返金を求めることは理由がないというべきである。 6 結論よって,被告は,原告が納入した受講料等46万6000円から,1回分の授業料1万6000円,教材費2万1000円,事務手数料2万円,保険料4000円を差し引いた40万5000円を返還すべきである。 東京簡易裁判所少額訴訟6係裁判官岡田洋佑
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