平成15(行ウ)10 保険医登録取消処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成17年3月24日 東京地方裁判所 警察関係
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判決文本文58,543 文字)

主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 被告が平成13年6月6日付けで原告に対してした,同月14日をもって原告の開設するα医院に係る保険医療機関の指定を取り消す旨の処分を取り消す。 2 被告が平成13年6月6日付けで原告に対してした,同月14日をもって原告の保険医の登録を取り消す旨の処分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,健康保険法の規定によりその開設する診療所について保険医療機関の指定を受けるとともに,保険医の登録を受けていた原告が,被告から,原告が上記診療所をして診療報酬を不正に請求させたことなどを理由に,これらの指定及び登録を取り消す旨の処分を受けたため,かかる不正請求の事実はないからこれらの処分は違法であるなどと主張して,これらの処分の取消しを求めている事案である。 1 法令の定め等(1) 健康保険法(平成13年法律第101号による改正前のもの。以下同じ。)等の定めア保険医療機関の指定の取消し保険医療機関が次のいずれかに該当する場合には,厚生労働大臣は,保険医療機関の指定を取り消すことができるものとされている(43条ノ12本文)。 a 当該保険医療機関において診療に従事する保険医が,同法43条ノ6第1項の規定に違反したとき(1号)。 b 上記aのほか,当該保険医療機関が,同法43条ノ4第1項の規定に違反したとき(2号)。 c 療養の給付に関する費用の請求について不正があったとき(3号)。 d 健康保険法以外の医療保険各法による療養の給 ,同法43条ノ4第1項の規定に違反したとき(2号)。 c 療養の給付に関する費用の請求について不正があったとき(3号)。 d 健康保険法以外の医療保険各法による療養の給付又は老人保健法による医療に関し,上記aないしcのいずれかに相当する事由があったとき(6号)。 イ保険医の登録の取消し保険医が次のいずれかに該当する場合には,厚生労働大臣は,保険医の登録を取り消すことができるものとされている(43条ノ13本文)。 a 同法43条ノ6第1項の規定に違反したとき(1号)。 b 健康保険法以外の医療保険各法又は老人保健法による診療に関し,上記aに相当する事由があったとき(3号)。 ウ上記ア及びイで引用されている健康保険法の規定等a 保険医療機関において診療に従事する保険医は,厚生労働省令で定めるところにより,健康保険の診療に当たるべきものとされている(43条ノ6第1項)。 b 保険医療機関は,当該保険医療機関において診療に従事する保険医をして,同法43条ノ6第1項の規定による厚生労働省令で定めるところにより診療に当たらせるほか,厚生労働省令で定めるところにより療養の給付を担当すべきものとされている(43条ノ4第1項)。 c 厚生労働大臣は,健康保険法に規定するその権限の一部を政令をもって地方社会保険事務局長に委任することができるものとされているところ(10条1項),健康保険法施行令(平成14年政令第43号による改正前のもの。以下同じ。)1条1項13号の規定により,保険医療機関の指定の取消し及び保険医の登録の取消しに係る厚生労働大臣の各権限は,地方社会保険事務局長に委任されている。 エ保険医 改正前のもの。以下同じ。)1条1項13号の規定により,保険医療機関の指定の取消し及び保険医の登録の取消しに係る厚生労働大臣の各権限は,地方社会保険事務局長に委任されている。 エ保険医療機関及び保険医療養担当規則(以下「療担規則」という。)の定め健康保険法43条ノ4第1項及び43条ノ6第1項の規定に基づいて定められた療担規則では,次のとおり規定されている。 a(a) 保険医療機関は,その担当する療養の給付に関し,療養の給付に関する費用の請求に係る手続を適正に行わなければならないものとされている(2条の3)。 (b) 保険医療機関は,その担当する療養の給付に関し,健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならないものとされている(2条の4)。 b(a) 保険医は,診療に当たっては,健康保険事業の健全な運営を損なう行為を行うことのないよう努めなければならないものとされている(19条の2)。 (b) 保険医は,その行った診療に関する情報の提供等について,保険医療機関が行う療養の給付に関する費用の請求が適正なものとなるよう努めなければならないものとされている(23条の2)。 (2) 老人保健法(平成13年法律第153号による改正前のもの。以下同じ。)等の定めア老人保健法の定め保険医療機関及び保険医は,同法30条1項の医療の取扱い及び担当に関する基準に従い,医療を取り扱い,又は担当しなければならないものとされている(26条)。 そして,同法30条1項の規定によると,医療の取扱い及び担当に関する基準並びに医療に要する費用の額の算定に関する基準については,厚生労働大臣が中央社会保険医療 れている(26条)。 そして,同法30条1項の規定によると,医療の取扱い及び担当に関する基準並びに医療に要する費用の額の算定に関する基準については,厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会の意見を聴いて定めるものとされている。 イ老人保健法の規定による医療並びに入院時食事療養費及び特定療養費に係る療養の取扱い及び担当に関する基準(以下「老人療担基準」という。)の定めa(a) 保険医療機関は,その担当する医療に関し,医療に要する費用の請求に係る手続を適正に行わなければならないものとされている(2条の3)。 (b) 保険医療機関は,その担当する医療に関し,老人保健事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならないものとされている(2条の4)。 b(a) 保険医は,診療に当たっては,老人保健事業の健全な運営を損なう行為を行うことのないよう努めなければならないものとされている(19条の2)。 (b) 保険医は,その行った診療に関する情報の提供等について,保険医療機関が行う医療に要する費用の請求が適正なものとなるよう努めなければならないものとされている(23条の2)。 (3) 「保険医療機関等及び保険医等の指導及び監査について」(平成12年5月31日保発第105号都道府県知事及び地方社会保険事務局長あて厚生省保険局長通知による改正後の平成7年12月22日保発第117号各都道府県知事あて厚生省保険局長通知)の別添2の「監査要綱」(以下「監査要綱」という。)の定め(乙6,7)監査要綱は,地方社会保険事務局長等が診療報酬の請求等について行う監査に関する基本的事項を定めたものであるが(第1),監査後の行政上の措置について,上記(1)の保険 の定め(乙6,7)監査要綱は,地方社会保険事務局長等が診療報酬の請求等について行う監査に関する基本的事項を定めたものであるが(第1),監査後の行政上の措置について,上記(1)の保険医療機関の指定の取消し,保険医の登録の取消し並びに保険医療機関及び保険医に対する戒告及び注意を挙げ,不正又は不当の内容によってそのいずれにするかを決すべきものとして,その基準を定めている(第6の1)。 そして,上記各取消処分について,地方社会保険事務局長は,保険医療機関又は保険医が次のいずれか1つに該当するときは,当該地方社会保険事務局に置かれる地方社会保険医療協議会に諮問して,保険医療機関の指定の取消処ページ(1)分又は保険医の登録の取消処分を行うものとしている(第6の1(1))。 「① 故意に不正又は不当な診療を行ったもの。 ② 故意に不正又は不当な診療報酬の請求を行ったもの。 ③ 重大な過失により,不正又は不当な診療をしばしば行ったもの。 ④ 重大な過失により,不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行ったもの。」 2 前提となる事実((2)の事実以外の事実については,いずれも当事者間に争いがない。)(1) 原告は,平成6年4月20日にα医院(東京都品川区β21番1号所在)を開設した者であり,同医院は,同年6月1日付けで保険医療機関に指定された。 また,原告は,昭和50年9月1日付けで保険医として登録された。 (2) 被告は,α医院に関し,平成11年12月以降,国民健康保険等の被保険者らから,受診した事実がないのに受診したとして医療費通知を受けた旨の申立てが相次いだため,α医院に対し,診療報酬の不正請求の疑いを抱いた。 そこで, 12月以降,国民健康保険等の被保険者らから,受診した事実がないのに受診したとして医療費通知を受けた旨の申立てが相次いだため,α医院に対し,診療報酬の不正請求の疑いを抱いた。 そこで,被告は,東京都福祉局と共に,α医院により診療報酬請求の対象とされている健康保険又は国民健康保険の被保険者らから事情を聴取し,α医院における受診の有無,その時期,内容などについて確認したうえ,α医院による診療報酬請求の内容と照合し,その結果,α医院に対する診療報酬の不正請求の疑いを強めた。 そして,α医院が平成11年10月26日にも診療報酬の不正請求の疑いで事故調査,個別指導を受けていたことから,被告は,α医院及び原告について,監査を実施することとした。(乙8,15ないし41)(3) 被告は,平成13年3月29日,東京都庁において,α医院及び原告に対する監査を行った(以下「本件監査」という。)。 その結果,被告は,別紙1記載の患者18名中,P1,P2,P3,P4及びP5の5名(以下「P1ら5名」という。)について,原告がα医院において,診療の事実がないのに診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,α医院が当該診療録に基づき,診療報酬を不正に請求した事実を認定するとともに,その余の13名についても,原告が診療録に前同様虚偽の記載をし又は必要事項の記載を怠り,α医院が当該診療録に基づき,診療報酬を不正又は不当に請求した事実を認定した。 そこで,被告は,α医院及び原告のそれぞれについて,健康保険法,療担規則,老人保健法,老人療担基準の違反があるものと認めた。さらに,被告は,α医院について,監査要綱第6の1(1)の規定する保険医療機関の指定の取消処分の基準である「④ 重大な過失により,不正又は不当な診療報酬の請求をしばし 担基準の違反があるものと認めた。さらに,被告は,α医院について,監査要綱第6の1(1)の規定する保険医療機関の指定の取消処分の基準である「④ 重大な過失により,不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行ったもの。」に該当するものと認め,また,原告について,同じく保険医の登録の取消処分の基準である「③ 重大な過失により,不正又は不当な診療をしばしば行ったもの。」に該当するものと認めた。 そのために,被告は,原告に対し,原告開設に係るα医院の保険医療機関の指定を取り消す旨の処分及び原告の保険医の登録を取り消す旨の処分を行うこととした。 (4) 被告は,行政手続法13条1項の規定に基づき,原告の意見陳述のための聴聞手続を執ることとし,平成13年4月20日付けで,原告に対し,予定される不利益処分の内容,根拠となる法令の条項及び不利益処分の原因となる事実などを記載した聴聞通知書を送付した。 そして,当該聴聞手続は,同年5月7日,東京社会保険事務局会議室において,東京社会保険事務局総務部企画課長の主宰により,原告及び被告所部職員らが出席して行われた(以下「本件聴聞」という。)。 (5) 被告は,平成13年5月21日付けで,健康保険法43条ノ14第2項の規定に基づき,原告開設に係るα医院の保険医療機関の指定を取り消す旨の処分及び原告の保険医の登録を取り消す旨の処分を行うことについて,東京地方社会保険医療協議会に諮問したところ,同協議会は,同月28日付けで,被告に対し,上記各処分を行うことについて適当と認める旨の答申をした。 (6) 被告は,平成13年6月6日付けで,原告に対し,健康保険法43条ノ12第1号ないし第3号及び第6号所定の事由があるとして,同月14日をもってα医院に係る保険医療機関の指定を取り消す旨の (6) 被告は,平成13年6月6日付けで,原告に対し,健康保険法43条ノ12第1号ないし第3号及び第6号所定の事由があるとして,同月14日をもってα医院に係る保険医療機関の指定を取り消す旨の処分(以下「本件指定取消処分」という。)をするとともに,同法43条ノ13第1号及び第3号所定の事由があるとして,同月14日をもって保険医の登録を取り消す旨の処分(以下「本件登録取消処分」といい,本件指定取消処分と併せて「本件各取消処分」という。)をした。 なお,本件各取消処分は,いずれも書面で行われたが,理由の提示について,本件指定取消処分に係る書面には,「健康保険法第43条ノ12第1号,第2号,第3号及び第6号の規定に基づき,平成13年6月14日をもって保険医療機関の指定を取り消す。」と,本件登録取消処分に係る書面には,「健康保険法第43条ノ13第1号及び第3号の規定に基づき,平成13年6月14日をもって保険医の登録を取り消す。」と,それぞれ記載されている。 3 当事者の主張(被告の主張)(1) 本件各取消処分の経緯ア本件監査実施の経緯a 被告は,健康保険法43条ノ7,43条ノ10,10条1項及び同法施行令1条1項14号の規定に基づき,保険医療機関及び保険医に対し,適正な指導又は監査を行う職務を担うものであるが,原告が開設し,保険医を務める保険医療機関α医院に関し,平成11年12月以降,国民健康保険等の被保険者らから,受診の事実がないのに診療報酬請求がされている旨の申立てが相次いだため,α医院に対し,診療報酬不正請求の疑いを抱いた。 b そこで,被告は,東京都福祉局と共に,健康保険法9条ノ2第2項,10条及び同法施行令1条1項7号等の規定に基づき,α医院により診療報酬請求 対し,診療報酬不正請求の疑いを抱いた。 b そこで,被告は,東京都福祉局と共に,健康保険法9条ノ2第2項,10条及び同法施行令1条1項7号等の規定に基づき,α医院により診療報酬請求の対象とされている国民健康保険等の被保険者らから事情を聴取し,α医院における受診の有無,その時期,内容等について確認した上,α医院による診療報酬請求の内容と照合し,その結果,α医院に対する診療報酬不正請求の疑いを強めた。 c 以上の経緯から,被告は,α医院及び原告について,監査を実施することとした。 イ本件監査実施の状況a 被告所部職員らは,平成13年3月29日,東京都庁において,東京都福祉局の職員らと共に,α医院及び原告に対する本件監査を行った。 b 被告所部職員ら及び東京都福祉局の職員ら(以下,併せて「被告側」という。)は,原告からα医院の経営状況等について事情聴取したほか,原告に対し,別紙1記載の患者ら18名の氏名を具体的に挙げ,各人ごとに,受診の事実がないのに診療報酬請求がされている旨の申立てがなされていることなどを告げたうえ,診療の有無,その時期,内容等を問い質した。 これに対し,原告は,別紙1記載の患者ら18名中,一部の者については診療報酬不正請求の事実を認めたが,その余の者については,診療した旨主張し,あるいは記憶が不鮮明のため診療したか否か判然としないとして,これを認めなかった。 しかし,原告が診療報酬不正請求の事実を否定した患者らについても,原告は,診療録を提示しなかったり,提示するも記載がなく,あるいは記載内容が診療報酬請求内容と齟齬するなどし,結局,診療報酬請求が適正であることを明らかにするには至らなかった。 いても,原告は,診療録を提示しなかったり,提示するも記載がなく,あるいは記載内容が診療報酬請求内容と齟齬するなどし,結局,診療報酬請求が適正であることを明らかにするには至らなかった。 c なお,原告は,被告の担当者が原告に印鑑の交付を執拗に要求し,内容の確認をさせないまま,監査調書(乙1)に原告の印鑑を押捺した旨主張する。しかし,監査調書の原告の押印は,被告側が原告からその印鑑を借用して押捺したものであるうえ,契印として押捺されたものにすぎないから,原告の主張が失当であることは明らかである。 ページ(2)さらに,原告は,「申出書」と題する書面2通(甲41,42)について,被告側から監査への出席及び監査終了確認の文書であると言われ,その旨誤信して署名押印したものである旨主張する。しかし,これらの書面はいずれも既払いの診療報酬の返還手続に関するものにすぎず,本件各取消処分の証拠資料ではないから,原告の主張はこの点で既に失当である。この点をおくとしても,原告は,これらの書面を作成する際,併せて「診療報酬の不正請求についての返還方法の確認事項」と題する書面(乙74)をも作成しており,これら3通の書面がいずれも既払いの診療報酬の返還手続に関するものであることは,その文面から明らかである。かかる3通もの書面をいずれも監査への出席及び監査終了確認の文書と誤信することなどおよそあり得ず,原告の主張は明らかに虚偽である。 ウ本件各取消処分をする方針を決めた経緯a 上記ア及びイの経緯から,α医院については,別紙1記載の患者ら18名に関し,診療の事実がないのに,前後600回にわたって診療報酬を不正に請求した事実が認められ,さらに,うちP6,P1及びP7に関しては,α医院の保険医である原告が,診療の事 ,別紙1記載の患者ら18名に関し,診療の事実がないのに,前後600回にわたって診療報酬を不正に請求した事実が認められ,さらに,うちP6,P1及びP7に関しては,α医院の保険医である原告が,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実が認められた。 かかる事実は,健康保険法43条ノ12第1号ないし第3号及び第6号,療担規則2条の3及び2条の4並びに老人療担基準2条の3及び2条の4に当たると判断された。 さらに,かかる事実は,監査要綱第6の1(1)所定の保険医療機関の指定の取消処分の基準である「④ 重大な過失により,不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行ったもの。」に該当すると判断された。 b また,原告については,別紙1記載のP6,P1及びP7に関し,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実が認められた。 かかる事実は,健康保険法43条ノ13第1号及び第3号,療担規則19条の2及び23条の2並びに老人療担基準19条の2及び23条の2に当たると判断された。 さらに,かかる事実は,監査要綱第6の1(1)所定の保険医の登録の取消処分の基準である「③ 重大な過失により,不正又は不当な診療をしばしば行ったもの。」に該当すると判断された。 c そこで,被告は,原告に対し,健康保険法43条ノ12本文の規定に基づき本件指定取消処分をするとともに,同法43条ノ13本文の規定に基づき本件登録取消処分をする方針を決めた。 エ本件聴聞の状況a 被告は,行政手続法13条 文の規定に基づき本件指定取消処分をするとともに,同法43条ノ13本文の規定に基づき本件登録取消処分をする方針を決めた。 エ本件聴聞の状況a 被告は,行政手続法13条1項の規定に基づき,原告の意見陳述のための聴聞をすることとし,平成13年4月20日付けで,原告に対し,予定される不利益処分の内容,根拠となる法令の条項及び不利益処分の原因となる事実等を記載した聴聞通知書を送付した。 b 本件聴聞は,平成13年5月7日午後1時30分から,東京社会保険事務局会議室において,東京社会保険事務局総務部企画課長主宰,原告及び被告所部職員ら出席のもとで行われたが,原告は,本件聴聞の開始に先立ち,同日午後1時前ころ,東京社会保険事務局保険部保険医療課の窓口を訪れ,行政手続法18条1項の規定に基づき,応対した同課職員P8及びP9(以下「P8ら」という。)に対し,予定される不利益処分の原因となる事実を証する資料の閲覧を申請した。 そこで,P8らは,その場で,原告に対し,監査調書1通(乙1),開設者・管理聴取書1通(乙2)及びP6を除く別紙1記載の患者ら17名に関する患者実態調査票計17通(乙24,26ないし41)の各書類を閲覧させた。 なお,原告は,その際にP8らが監査調書(乙1)及び「申出書」と題する書面2通(甲41,42)等を閲覧させなかったとし,このことは行政手続法18条1項に違反する旨主張する。しかし,P8らが監査調書(乙1)及び患者実態調査票(乙24,26ないし41)を閲覧させたことは上記のとおりであり,また,「申出書」と題する書面2通(甲41,42)は,上記イcのとおり,いずれも既払の診療報酬の返還手続に関するものにすぎず,本件各取消処分の証拠資料ではないから,同 させたことは上記のとおりであり,また,「申出書」と題する書面2通(甲41,42)は,上記イcのとおり,いずれも既払の診療報酬の返還手続に関するものにすぎず,本件各取消処分の証拠資料ではないから,同項に基づく閲覧の対象とはならないものである。したがって,原告の主張は失当というほかない。 c 本件聴聞においては,まず,被告所部職員らが,原告に対し,口頭で,予定される不利益処分の内容のほか,根拠となる法令の条項及び不利益処分の原因となる事実を告げ,次いで,原告が,陳述書のほか,別紙1記載のP10に関するMBC総合報告書(甲7)及び同じくP7に関するレントゲン写真(甲8)を提出し,これらに基づき口頭で意見を陳述するとともに,被告所部職員らに質問し,反論した。 しかし,別紙1記載のP10については,α医院で受診したのは本人ではなくその娘であるから,上記MBC総合報告書もP10のものではなくその娘に関するものであり,また,別紙1記載のP7についても,上記レントゲン写真は平成11年7月24日付け撮影のものであったが,被告が診療報酬不正請求の事実を認定した期間は平成12年3月以降であり,したがって,被告の事実認定に疑義は生じなかった。 被告所部職員らがその旨を原告に告げ,これに対する原告からの更なる反論,反証は何らなされることなく,本件聴聞は終了した。 なお,原告は,本件聴聞の際,被告所部職員らに不当な言動があった旨主張するが,そのような言動はない。 d 原告は,被告提出の聴聞報告書(乙11)について,被告所部職員が正規の聴聞報告書を改ざんして作成したものである旨主張する。 しかしながら,被告提出の聴聞報告書(乙11)は,正規の聴聞報告書その の聴聞報告書(乙11)について,被告所部職員が正規の聴聞報告書を改ざんして作成したものである旨主張する。 しかしながら,被告提出の聴聞報告書(乙11)は,正規の聴聞報告書そのものであって,被告所部職員が正規のものを改ざんして作成したものではない。これに対し,原告提出の「聴聞報告書」と題する文書は,正規の聴聞報告書を基に,その1枚目のみを差し替えて作成されたものであって,正規のものではない。 同様に,被告提出の聴聞調書(乙10)は,正規の聴聞調書そのものであるのに対し,原告提出の「聴聞調書」と題する文書(甲11)は,正規の聴聞調書を基に,その1枚目のみを差し替えて作成されたものであって,正規のものではない。 オ東京地方社会保険医療協議会の答申を経て本件各取消処分をした状況a 被告は,以上を踏まえ,平成13年5月21日付けで,健康保険法43条ノ14第2項の規定に基づき,本件各取消処分を行うことについて,東京地方社会保険医療協議会に諮問した。 そこで,原告は,同月25日,被告に対し,地域住民らの署名した嘆願書(甲33)を提出し,さらに,同月28日,被告に対し,原告作成の「陳述書第2部」と題する書面(甲70)を提出したが,これらはいずれも,その内容にかんがみて,本件各取消処分をするとの方針を妨げるものではなかった。 b 東京地方社会保険医療協議会は,同月28日に開催され,被告は,その際,上記嘆願書(甲33)に署名した地域住民らの意思を尊重し,同協議会に対し,地域住民ら107名の署名のある嘆願書が提出されている旨報告した。 しかし,同協議会は,同日付けで,被告に対し,本件各取消処分をすることについて適当と認める旨の答申を 会に対し,地域住民ら107名の署名のある嘆願書が提出されている旨報告した。 しかし,同協議会は,同日付けで,被告に対し,本件各取消処分をすることについて適当と認める旨の答申をした。 c 被告は,これを受けて,いずれも平成13年6月6日付けで,原告に対し,本件各取消処分を行った。 (2) 別紙1記載の患者ら18名に関し,診療報酬の不正請求等の事実が認められることア別紙1記載の各患者ごとの検討aP11について(別紙2-1)P11に関しては,別紙2-1のとおり,平成11年7月から平成12年8月までの間,計7回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 ページ(3)しかし,P11は,「平成11年及び平成12年には,α医院には全く行ったことがない。この間,γ医院とδ医院で受診しており,その他にも他地区の医院では受診しているが,品川区内の医院では,γ医院とδ医院以外に行っていない。」旨陳述している(乙24)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計7回にもわたって毎回投薬を受けた事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP11を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 bP6について(別紙2-2)(a) P6に関しては,別紙2-2のとおり,平成11年11月から平成12年4月までの間,計6回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし, P6に関しては,別紙2-2のとおり,平成11年11月から平成12年4月までの間,計6回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P6は,平成11年9月13日に死亡している(乙25)から,上記期間に原告がP6を診療したことはあり得ない。 この点,原告は,死去後も(その死を知らずに)採尿試験管と薬を送付した可能性があるが,このことは,意図的な診療報酬の不正請求とは,全く別次元の問題である旨主張する。しかし,上記診療報酬請求の内容は,既に死亡しているP6に対し,計6回にわたって毎回投薬及び検査をし,うち5回は更に注射もして診療したというものであって,原告の主張は何ら合理的説明になっておらず,失当である。 したがって,上記診療報酬請求は,診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 (b) 本件監査の際に原告からP6の診療録の提示がなかったため,被告はその記載内容を確認できなかったが,その際,原告は,P6に関する診療報酬請求書について,原告又はその従業員がP6に関する診療録に基づき記載した旨申し立てた。このことから,P6に関する診療録には,同人に関する診療報酬請求書の記載に対応する記載があるものと認められた。 他方,P6に関しては,原告は,上記(a)のとおり,診療の事実がないのに,平成11年11月から平成12年4月までの間,計6回にわたって診療報酬を不正に請求したものである。 したがって,原告は,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実が認められる。 cP したがって,原告は,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実が認められる。 cP10について(別紙2-3,4)P10に関しては,別紙2-3及び4のとおり,平成10年2月から平成12年12月までの間,計35回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P10は,「α医院については,娘が友人宅に遊びに行ったとき,具合が悪くなって受診したことがあるが,自分はこれまで1回も受診していない。」旨陳述している(乙26)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計35回にもわたって毎回投薬を受けるなどした事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 この点,原告は,対象者をP10とする平成10年2月27日付けのMBC総合報告書(甲7)の存在を指摘し,診療の実態があったことは明らかである旨主張するが,上記MBC総合報告書がP10本人ではなくその娘を対象とするものであることは,P10の上記陳述から明らかであるから,原告の指摘は何ら意味をなさないものである。 また,原告は,上記診療報酬請求につき,P10本人とその娘を取り違えたにすぎない旨主張するようであるが,同請求の内容は,計35回にわたって毎回投薬し,さらに,うち32回は検査,うち30回は注射もして診療したというものであって,原告の主張は何ら合理的説明になっておらず,明らかに失当である。 したがって,上記診療報酬請求は,診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 dP12について(別紙2 的説明になっておらず,明らかに失当である。 したがって,上記診療報酬請求は,診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 dP12について(別紙2-5,6)P12に関しては,別紙2-5及び6のとおり,平成7年2月から平成12年12月までの間,計39回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P12は,東京食品販売国民健康保険組合に対し,α医院では受診していないため調査願いたい旨申し立てた(乙22)ほか,α医院では受診しておらず,α医院の診療報酬請求は明らかに不正である旨をも申し立て(乙23),被告及び東京都福祉局による調査においては,「α医院については,平成7年1月3日に扁桃腺治療のために受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙27)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計39回にもわたって毎回投薬を受けるなどして受診した事実があれば,同人がかかる申立てや陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP12を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 eP13について(別紙2-7)P13に関しては,別紙2-7のとおり,平成8年4月から平成9年3月までの間,計9回にわたり,毎回投薬して診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P13は,「α医院については,弟のP12が受診した平成7年1月3日の2,3日後,風邪の治療のために自分も受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙 る。 しかし,P13は,「α医院については,弟のP12が受診した平成7年1月3日の2,3日後,風邪の治療のために自分も受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙28)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計9回にもわたって毎回投薬を受けた事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP13を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 fP14について(別紙2-8,9)P14に関しては,別紙2-8及び9のとおり,平成8年4月から平成12年12月までの間,計55回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P14は,「α医院については,開設から1年ほど経った平成7年4月ころに3回ほど受診したが,以後全く受診していない。」,「医療費通知にα医院の名称が記載されていたが,受診していないため,疑問に思って区に連絡した。」旨陳述している(乙29)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計55回にもわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP14を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 gP3について(別紙2-10,11)P3に関しては,別紙2-10及び11のとおり,平成8年6月から平成12年12月までの間, 請求であることは明らかである。 gP3について(別紙2-10,11)P3に関しては,別紙2-10及び11のとおり,平成8年6月から平成12年12月までの間,計50回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P3は,品川区に対し,α医院では受診していないため調査願いたい旨申し立て(乙15),被告及び東京都福祉局による調査においては,「α医院については,開設から平成7年4月ころまでの1年間に,風邪の治療のために数回受診したが,診療日が少なく,診療時間も短く,必要なときに受診できないため,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙30)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計50回にもわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる申立てや陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP3を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報ページ(4)酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 なお,P3の診療録には,平成7年3月から平成13年1月までの間,診療した旨の記載がないが(乙43の別紙2-7),原告は,この点につき,その部分を別綴りにしていたところ盗難に遭って紛失したためである旨主張する。しかし,原告がP3の診療録を盗難に遭って紛失したこと自体は被告も積極的に争うものではないが,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるとの被告の判断は,P3の申立てや陳述を根拠とするものであって,同人の診療録に診療した旨の記載がないことを根拠とするものではない。したがって,かかる記載のない原因がいかなるものであ ない不正請求であるとの被告の判断は,P3の申立てや陳述を根拠とするものであって,同人の診療録に診療した旨の記載がないことを根拠とするものではない。したがって,かかる記載のない原因がいかなるものであるかは,結論を何ら左右するものではなく,原告の主張は失当というほかない。 hP4について(別紙2-12,13)P4に関しては,別紙2-12及び13のとおり,平成8年5月から平成12年12月までの間,計51回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P4については,夫のP3が,品川区に対し,α医院では受診していないため調査願いたい旨申し立てた(乙15)ほか,本人が,被告及び東京都福祉局による調査において,「α医院については,開設から1年ほど経った平成7年4月ころに2回ほど風邪の治療のため受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙31)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計51回にもわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる申立てや陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP4を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 iP5について(別紙2-14,15)P5に関しては,別紙2-14及び15のとおり,平成8年4月から平成12年12月までの間,計44回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P5については,父親のP3が,品川区に対し,α医院では受診していないため調査願いた ,計44回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P5については,父親のP3が,品川区に対し,α医院では受診していないため調査願いたい旨申し立てた(乙15)ほか,本人が,被告及び東京都福祉局による調査において,「α医院については,開設から1年ほど経った平成7年4月ころに3回ほど風邪の治療のため受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙32)。 同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計44回にもわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる申立てや陳述をすることはあり得ない。 また,原告は,対象者をP5とする平成7年11月14日付けのMBC総合報告書(甲90)の存在を主張するが,これは同人が平成7年11月14日に検査を受けたことをうかがわせるものにすぎず,その他,上記期間に原告がP5を診療したことを示す客観的証拠は皆無である。したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 jP15について(別紙2-16,17)P15に関しては,別紙2-16及び17のとおり,平成8年11月から平成12年12月までの間,計48回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P15は,品川区に対し,α医院では受診していないため調査願いたい旨申し立て(乙17),被告及び東京都福祉局による調査においては,「α医院については,平成8年6月から同年夏にかけて3回受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙33)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計48回にもわ ,「α医院については,平成8年6月から同年夏にかけて3回受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙33)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計48回にもわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる申立てや陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP15を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 kP16について(別紙2-18,19)P16に関しては,別紙2-18及び19のとおり,平成8年4月から平成12年12月までの間,計54回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P16は,「α医院については,開設された平成6年4月ころに受診したが,以後全く受診していない。」,「医療費通知が来て不審に思い,区役所に電話した。」旨陳述している(乙34)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計54回にもわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP16を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 lP17について(別紙2-20,21)P17に関しては,別紙2-20及び21のとおり,平成8年4月から平成12年12月までの間,計52回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし 7に関しては,別紙2-20及び21のとおり,平成8年4月から平成12年12月までの間,計52回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P17は,「α医院については,開設から1年ほど経った平成7年冬に1回受診したが,以後全く受診していない。」,「医療費通知にα医院の名称が記載されていたが,受診していないため,疑問に思って区に連絡した。」旨陳述している(乙35)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計52回にもわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP17を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 mP18について(別紙2-22)P18に関しては,別紙2-22のとおり,平成8年4月から平成12年12月までの間,計23回にわたり,毎回投薬して診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P18は,「α医院については,健康診断を受けたことはあるが,診療を受けたことは一度もない。」,「医療費通知にα医院の名称が記載されていたが,α医院がどこにあるかも分からない。」旨陳述している(乙36)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計23回にもわたって毎回投薬を受けた事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP18を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかで ことはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP18を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 nP19について(別紙2-23,24)P19に関しては,別紙2-23及び24のとおり,平成8年5月から平成12年12月までの間,計47回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P19は,東京食品販売国民健康保険組合に対し,α医院では受診していないため調査願いたい旨申し立てた(乙16)ほか,α医院では受診しておらず,α医院の診療報酬請求は明らかに不正である旨をも申し立て(乙19),被告及び東京都福祉局による調査においては,「α医院については,平成7年に1回受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙37)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計47回にもわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる申立てや陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP19を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 ページ(5)oP20について(別紙2-25,26)P20に関しては,別紙2-25及び26のとおり,平成7年6月から平成12年12月までの間,計57回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P20の診療録には,平成7年1月に3回,同年2月に2回診療した旨の記載はあるが,同年 計57回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P20の診療録には,平成7年1月に3回,同年2月に2回診療した旨の記載はあるが,同年3月から平成12年12月までの間,診療した旨の記載は全くない(乙43の別紙2-15-1・2)。 そして,P20は,東京食品販売国民健康保険組合に対し,α医院では受診していないため調査願いたい旨申し立てた(乙16)ほか,α医院では受診しておらず,α医院の診療報酬請求は明らかに不正である旨をも申し立て(乙20),被告及び東京都福祉局による調査においては,「α医院については,平成7年に2回ほど受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述している(乙38)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において計57回にもわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる申立てや陳述をすることはあり得ない。 加えて,上記期間に原告がP20を診療したことを示す客観的証拠は皆無であり,したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 pP2について(別紙2-27)P2に関しては,別紙2-27のとおり,平成11年4月から同年7月までの間,計3回にわたり,毎回投薬して診療したとして,診療報酬請求がされている。 しかし,P2の診療録には,平成7年2月に2回,平成8年2月に1回診療した旨の記載はあるが,同年3月から平成13年1月までの間,診療した旨の記載は全くない(乙43の別紙2-16)。 そして,P2は,「α医院については,手のかぶれのために一度受診したが,平成11年及び平成12年 ら平成13年1月までの間,診療した旨の記載は全くない(乙43の別紙2-16)。 そして,P2は,「α医院については,手のかぶれのために一度受診したが,平成11年及び平成12年には,全く行ったことがない。」旨陳述している(乙39)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において平成11年中に計3回にもわたって毎回投薬を受けた事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 また,原告は,対象者をP2とするMBC総合報告書(甲25ないし28)の存在を主張するが,これは同人が平成8年11月22日,同月29日,平成10年3月27日及び同年4月1日に検査を受けたことをうかがわせるものにすぎず,その他,上記期間に原告がP2を診療したことを示す客観的証拠は皆無である。したがって,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 なお,P2の診療録に,平成8年3月から平成13年1月までの間,診療した旨の記載がないこと(乙43の別紙2-16)について,原告は,その部分を別綴りにしていたところ盗難に遭って紛失したためである旨主張する。しかし,上記gのP3の診療録の場合と同様,P2の診療録についても,上記記載のない原因がいかなるものであるかは,結論を何ら左右するものではないのであって,原告の主張は失当というほかない。 qP1について(別紙2-28)(a) P1に関しては,別紙2-28のとおり,平成12年3月から同年12月までの間,計10回にわたり,毎回投薬及び検査をして診療したとして,診療報酬請求がされている。 ところで,本件監査の際に原告から提示されたP1の診療録の記載内容は,別紙3-1の の間,計10回にわたり,毎回投薬及び検査をして診療したとして,診療報酬請求がされている。 ところで,本件監査の際に原告から提示されたP1の診療録の記載内容は,別紙3-1のとおりである。 しかしながら,P1は,「α医院については,平成12年2月に風邪の治療のために受診し,その際に血液検査及び心電図検査を受け,2週間分の薬をもらい,その2週間後に再度受診し,再度2週間分の薬をもらった。それ以後は全く受診していない。」旨陳述している(乙40)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において平成12年3月以降も計10回にわたって毎回投薬や検査等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 これに対し,原告はP1に関する平成12年2月22日付け心電図(甲20)及び同日付けMBC総合報告書(甲21)の存在を主張するが,これらはいずれも同人が平成12年2月22日に生化学検査及び心電図検査を受けたことをうかがわせるにすぎない。また,原告は,患者名を「P1」とする同年4月7日付けの薬袋(甲22)の存在も主張するが,他方,原告は,診療終了後,必ず自ら口頭で患者に説明しながら薬剤を薬袋に入れて渡すようにしてきたとか(原告準備書面(4)の57頁),P1については,本人からたびたび,仕事がありなかなか受診できないので,後でもらいに行くから薬を調合しておいてほしいとの電話があったため,一つの薬袋(甲22)が残っていたのである旨主張していることからすれば,上記薬袋がP1に交付されずにα医院に残存している事実は,同人が平成12年4月7日に投薬を受けたことではなく,逆にこれを受けていないことを示すものである。 結局,原告が指摘する上記 がP1に交付されずにα医院に残存している事実は,同人が平成12年4月7日に投薬を受けたことではなく,逆にこれを受けていないことを示すものである。 結局,原告が指摘する上記心電図,MBC総合報告書及び薬袋は,上記期間に原告がP1を診療したことを示すものではなく,その他,このことを示す客観的証拠は皆無であるから,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 (b) 上記(a)のとおり,本件監査の際に原告からP1の診療録の提示があったが,その記載内容は,別紙3-1のとおりである。 他方,P1に関しては,原告は,上記(a)のとおり,診療の事実がないのに,平成12年3月から同年12月までの間,計10回にわたって診療報酬を不正に請求したものである。 したがって,原告は,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実が認められる。 rP7について(別紙2-29)(a) P7に関しては,別紙2-29のとおり,平成12年3月から同年12月までの間,計10回にわたり,毎回投薬するなどして診療したとして,診療報酬請求がされている。 ところで,本件監査の際に原告から提示されたP7の診療録の記載内容は,別紙3-2のとおりである。 しかしながら,P7は,「α医院については,平成12年2月5日と同月12日の2回受診し,その際,血液検査,尿検査及び便検査を受け,風邪薬3種類1週間分等の薬をもらった。それ以後は全く受診していない。」旨陳述している(乙41)。同人について,仮に上記診療報酬請求 同月12日の2回受診し,その際,血液検査,尿検査及び便検査を受け,風邪薬3種類1週間分等の薬をもらった。それ以後は全く受診していない。」旨陳述している(乙41)。同人について,仮に上記診療報酬請求の内容どおり,α医院において平成12年3月以降も計10回にわたって毎回投薬や注射等の診療を受けた事実があれば,同人がかかる陳述をすることはあり得ない。 これに対し,原告は,対象者をP7とする平成11年7月24日付けのレントゲン写真(甲8)及び同日付けのX線検査診療情報提供書(甲65)の存在を主張するが,これらは同人が平成11年7月24日に受診したことをうかがわせるにすぎない。 すなわち,原告が指摘する上記レントゲン写真,X線検査診療情報提供書及びMBC総合報告書は,上記期間に原告がP7を診療したことを示すものではなく,その他,このことを示す客観的証拠は皆無であるから,上記診療報酬請求が診療の事実に基づかない不正請求であることは明らかである。 (b) 上記(a)のとおり,本件監査の際に原告からP7の診療録の提示があったが,その記載内容は,別紙3-2のとおりである。 他方,P7に関しては,原告は,上記(a)のとおり,診療の事実がないのに,平成12年3月から同年12月までの間,計10回にわたって,診療報酬を不正に請求したものである。 したがって,原告は,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実が認められる。 イ原告提出に係る陳述書の検討ページ(6)原告は,別紙1記載の患者ら18名中,P18,P1,P14,P17,P15, 診療報酬を不正に請求させた事実が認められる。 イ原告提出に係る陳述書の検討ページ(6)原告は,別紙1記載の患者ら18名中,P18,P1,P14,P17,P15,P2及びP16の7名について,同人らの各陳述書(甲75ないし80)を根拠に,同人らに関し診療の事実がない旨の被告の認定は誤りであると主張するようである。 しかし,上記各陳述書の内容はいずれも,陳述書作成時において,受診時期については記憶が不鮮明であるというにすぎず,被告が本件各取消処分の資料としたP18ら7名の従前の陳述内容(P18につき乙36,P1につき乙40,P14につき乙29,P17につき乙35,P15につき乙17及び33,P2につき乙39,P16につき乙34)を何ら否定するものではない。 したがって,原告の提出するP18ら7名の上記各陳述書は,同人らに関し診療の事実がない旨の認定を妨げるものではなく,原告の上記主張は失当である。 (3) 本件各取消処分の根拠事実及び根拠法令等ア本件指定取消処分についてa 根拠事実上記(2)のとおり,α医院については,別紙1記載の患者ら18名に関し,診療の事実がないのに,別紙2記載のとおり前後600回にわたって診療報酬を不正に請求した事実が認められ,さらに,うちP6,P1及びP7に関しては,α医院の保険医である原告が,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載を行い,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実が認められた。なお,各患者ごとの診療報酬請求に係る療養の給付等の種別は,別紙1の「診療報酬請求に係る療養の給付等の種別」欄記載のとおりである。 b 根拠法令 不正に請求させた事実が認められた。なお,各患者ごとの診療報酬請求に係る療養の給付等の種別は,別紙1の「診療報酬請求に係る療養の給付等の種別」欄記載のとおりである。 b 根拠法令(a) P11ら4名(別紙1番号1,16ないし18の患者)に関する診療報酬の不正請求は,①健康保険法43条ノ12第3号に当たるほか,②療担規則2条の3及び2条の4の各規定に違反し,したがって,同法43条ノ4第1項の規定に違反するため,同法43条ノ12第2号にも当たる。 また,P10ら13名(別紙1番号3ないし15の患者)に関する診療報酬の不正請求は,国民健康保険法による療養の給付に関するものであるから,①健康保険法43条ノ12第6号及び3号に当たるほか,②前同様に療担規則2条の3及び2条の4の各規定に違反し,したがって,同法43条ノ4第1項の規定に違反するため,同法43条ノ12第6号及び2号にも当たる。 さらに,P6に関する診療報酬の不正請求は,老人保健法による医療に関するものであるから,①健康保険法43条ノ12第6号及び3号に当たるほか,②老人療担規準2条の3及び2条の4の各規定に違反し,したがって,同法43条ノ4第1項の規定に違反するため,同法43条ノ12第6号及び2号にも当たる。 (b) 原告が,P1及びP7に関し,診療録に虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬の不正請求をさせたことは,療担規則19条の2及び23条の2の各規定に違反し,したがって,健康保険法43条ノ6第1項の規定に違反するため,同法43条ノ12第1号に当たる。 また,原告が,P6に関し,診療録に虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬の 保険法43条ノ6第1項の規定に違反するため,同法43条ノ12第1号に当たる。 また,原告が,P6に関し,診療録に虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬の不正請求をさせたことは,老人療担基準19条の2及び23条の2の各規定に違反し,したがって,健康保険法43条ノ6第1項の規定に違反するため,同法43条ノ12第6号及び1号に当たる。 c 監査要綱への当てはめ上記aの事実は,保険医療機関の指定の取消処分の基準である監査要綱第6の1(1)の「④ 重大な過失により,不正又は不当な診療報酬の請求をしばしば行ったもの。」に当たる。 d 被告は,以上を踏まえて,健康保険法43条ノ12本文の規定に基づき,本件指定取消処分をした。 イ本件登録取消処分についてa 根拠事実上記(2)のとおり,原告については,別紙1記載のP6,P1及びP7に関し,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実が認められた。 b 根拠法令原告が,P1及びP7に関し,診療録に虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬の不正請求をさせたことは,療担規則19条の2及び23条の2の各規定に違反し,したがって,健康保険法43条ノ6第1項の規定に違反するため,同法43条ノ13第1号に当たる。 また,原告が,P6に関し,診療録に虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬の不正請求をさせたことは,老人療担基準19条の2及び23条の2の各規定に違反し,したがって,健康保険法43条ノ6第1項の P6に関し,診療録に虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬の不正請求をさせたことは,老人療担基準19条の2及び23条の2の各規定に違反し,したがって,健康保険法43条ノ6第1項の規定に違反するため,同法43条ノ13第3号及び1号に当たる。 c 監査要綱への当てはめ上記aの事実は,保険医の登録の取消処分の基準である監査要綱第6の1(1)の「③ 重大な過失により,不正又は不当な診療をしばしば行ったもの。」に当たる。 d 被告は,以上を踏まえて,健康保険法43条ノ13本文の規定に基づき,本件登録取消処分をした。 (4) 本件各取消処分が理由の提示(行政手続法14条)を欠くものでないことア本件各取消処分に係る書面には,前記「前提となる事実」(6)のとおり記載されている。 イ不利益処分,殊に聴聞手続の実施を要する不利益処分については,行政庁の恣意抑制機能及び相手方の不服申立便宜機能を果たし得る事前手続が十分に設けられており,相手方は,処分時において理由提示を受ける以前に,そうした事前手続により,既に具体的な処分理由の説明を受けているのである。 そうすると,理由提示に期待されるべき機能は,行政庁の恣意抑制機能及び相手方の不服申立便宜機能ではなく,むしろ,相手方に対し,行政庁が事前手続段階で浮き彫りになった争点に関する考慮事項から逸脱することなく処分内容を決定したことを保障することにあるというべきである。 したがって,不利益処分,殊に聴聞手続の実施を要する不利益処分については,申請に対する処分と異なり,理由提示の程度はさほど厳格である必要はなく,そうした保障機能を果たし得る程度のもの,すなわち,行政庁が事前手続段階で 処分,殊に聴聞手続の実施を要する不利益処分については,申請に対する処分と異なり,理由提示の程度はさほど厳格である必要はなく,そうした保障機能を果たし得る程度のもの,すなわち,行政庁が事前手続段階で浮き彫りになった争点に関する考慮事項から逸脱することなく処分内容を決定したことを明らかにし,そのことを相手方に認識させ得る程度のもので足りると解される。 ウa これを本件についてみるに,本件各取消処分は,聴聞手続の実施を要する不利益処分であるから,行政庁の恣意抑制機能及び相手方の不服申立便宜機能は,聴聞手続によって果たされることが予定されている。 そして,本件各取消処分については,処分基準が監査要綱第6の1(1)として設定,公表されているほか,上記(1)エのとおり,法令の規定に従った本件聴聞手続が実施され,被告は原告に対し,聴聞を行うに当たって,予定される不利益処分の内容,その根拠となる法令の条項及び不利益処分の原因となる事実を書面により通知し,また,本件聴聞期日の冒頭において,予定される不利益処分の内容,その根拠となる法令の条項及び不利益処分の原因となる事実を説明しており,原告も,本件聴聞に先立ち,不利益処分の原因となる事実を証する資料を閲覧し,さらに,本件聴聞期日においては,陳述書のほか,反証として,血液生化学検査データなどの証拠書類等を提出し,これらに基づき口頭で意見を述べるとともに,被告所部職員らに対して質問し,反論した。 さらに,本件聴聞の主宰者は,本件聴聞の審理の経過を記載した調書を作成し,当該調書において,不利ページ(7)益処分の原因となる事実に対する当事者等の陳述の要旨を明らかにするとともに,不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載 該調書において,不利ページ(7)益処分の原因となる事実に対する当事者等の陳述の要旨を明らかにするとともに,不利益処分の原因となる事実に対する当事者等の主張に理由があるかどうかについての意見を記載した報告書を作成し,被告は,本件各取消処分の決定に当たり,これらの調書の内容及び報告書に記載された主宰者の意見を十分に参酌してこれを行ったものである。 そうすると,本件各取消処分について,行政庁の恣意抑制機能及び相手方の不服申立便宜機能は,聴聞手続によって十分に果たされているといえるから,理由提示の程度は,被告が聴聞手続で浮き彫りになった争点に関する考慮事項から逸脱することなく処分内容を決定したことを明らかにし,そのことを原告に認識させ得る程度のもので足りると解される。 b そして,被告は,本件各取消処分を行うに当たり,その根拠となる法令の条項及び不利益処分の原因となる事実のすべてが,聴聞に当たって原告に告知した内容に一致していたことから,重複を避けるため,不利益処分の根拠となる法令の条項部分を抜粋し,理由として提示したものであるが,被告は,本件聴聞において,不利益処分の根拠となる法令の条項及びその原因となる事実について,従前の内容の撤回も新たな内容の追加もせず,本件聴聞に当たって原告に告知した内容を一貫して維持しており,このことは,本件聴聞に出頭し,陳述書のほか,証拠資料も提出して反証を行い,さらに,口頭で意見を述べ,被告所部職員らに対する質問や反論を行った原告において,十分に認識していたものである。 そうすると,原告は,本件各取消処分について,被告が提示した不利益処分の根拠となる法令の条項の記載のみによって,被告が本件聴聞で浮き彫りになった争点に関する考慮事項から逸脱することなく,聴聞に そうすると,原告は,本件各取消処分について,被告が提示した不利益処分の根拠となる法令の条項の記載のみによって,被告が本件聴聞で浮き彫りになった争点に関する考慮事項から逸脱することなく,聴聞に当たって原告に告知した内容そのままに処分内容を決定したことを,明確に認識したものと認められる。 c したがって,本件各取消処分について,被告が聴聞手続で浮き彫りになった争点に関する考慮事項から逸脱することなく処分内容を決定したことの保障としては,被告が理由として提示した不利益処分の根拠となる法令の条項の記載で十分であって,本件各取消処分が理由提示を欠くものでないことは明らかである。 (原告の主張)(1) 本件各取消処分が中立・公平性を欠いていること本件監査から本件各取消処分に至る一連の過程において,被告は,審査の対象を明らかにせず,原告に適切な弁明の機会を与えておらず,また,ことさらに原告の不利益になるように資料を恣意的に操作し,原告の弁解を全く考慮していない。このように,本件各取消処分に至る過程において,被告は中立かつ公平な見地で対処しておらず,このような経過からすれば,東京地方社会保険医療協議会の答申は適切な資料・根拠に基づくものではなく,その結果を踏まえた本件各取消処分は,当然に取り消されるべきである。 ア原告は適切な弁明の機会を与えられていないことa 本件監査及び本件聴聞では審理対象の患者が5名であったこと(a) 平成13年3月29日に行われた本件監査では,原告は監査に呼ばれた理由について「分からない。友人から,5年に1度くらいは監査にあたると聞いていたのでそのつもりで来た。」と回答しているが,この回答内容からも分かるように,本件監査の当初,原告には監 告は監査に呼ばれた理由について「分からない。友人から,5年に1度くらいは監査にあたると聞いていたのでそのつもりで来た。」と回答しているが,この回答内容からも分かるように,本件監査の当初,原告には監査を受ける心当たりが全くなかった。 そして,原告は,平成11年8月29日の集中豪雨による床上浸水の被害で診療録の一部の廃棄を余儀なくされ,また,平成13年1月23日に診療録を入れていた袋を路上でひったくられたため,手元に診療録がないという著しく不利な状況で監査を受けなければならなかった。原告は,何の準備もしておらず,1か月に100人以上の患者を診察しているのであるから,個々の患者について,資料なしで回答をすることなど到底不可能である。さらに,本件監査において,被告の職員は,原告が不正を行ったと決めつけ,非常に横柄な態度をとったため,原告と被告の職員との間に感情的な対立があり,そのことも災いして原告に不利な取扱いがなされている。 本件監査の際に,問題があると指摘されたのは,P1ら5名に関するものであり,これら以外に数名の患者の名前が挙げられたが,聞き取り調査の対象はP10に関するものが主で,他の患者らについては1人につき2,3分も要していない(患者の名が出されて,被告職員から一言聞かれ,返答しただけである。)。18名の患者が不正診療の審理の対象になっていることは,本件監査の時から原告が平成14年3月28日に患者電話実態調査票を閲覧するまで,全く原告に示されたことはなかった。このように,原告は監査の対象を認識し得なかったのである。 (b) また,被告が原告に対して送付した平成13年4月20日付けの聴聞通知書(乙9)の不利益処分の原因となる事実の記載は,抽象的で具体性に欠けており,行政手続 なかったのである。 (b) また,被告が原告に対して送付した平成13年4月20日付けの聴聞通知書(乙9)の不利益処分の原因となる事実の記載は,抽象的で具体性に欠けており,行政手続法15条1項2号の規定に違反する。 (c) そこで,原告は,平成13年5月7日の本件聴聞の開始前に,東京社会保険事務局保険部保険医療課において,行政処分の原因となる資料及び本件監査時の書類の閲覧を求めたが,同課職員P9は,原告に対し,「問題とされたのはこれだけです。」と言って,P1ら5名の診療報酬明細書類のみしか開示しなかった。原告は,開示された患者5名分すべての記録を藁半紙に鉛筆で写し取ったが,この5名分については,既に本件監査時に反論してあったので,被告には理解され,解決済みと考えていた。なお,被告は,上記閲覧請求に対し,監査調書(乙1),患者実態調査票(乙24,26ないし41)及び原告作成の「申出書」と題する書面等(甲41,42,乙74)を閲覧させなかったが,これは行政手続法18条1項の規定に違反する。 また,原告が被告から平成13年6月19日付けで写しの送付を受けた監査調書(乙1)においても,事故例は上記5名分のみしか記載されておらず,原告は,この5名分について押印させられている(なお,原告は,監査調書に押印しているが,単に記憶が定かでないということを認めただけのつもりであって,不正請求を認めたものではない。)。さらに,本件各取消処分後,被告は,原告の平成14年5月7日付け内容証明郵便(甲13)に対する同年6月14日付け回答(甲14)において,「不正請求に基づく行政処分は,上記文中のP1以下5名分で足りるものと判断いたしております。」と明言している。 (d) このように,本件監査及 月14日付け回答(甲14)において,「不正請求に基づく行政処分は,上記文中のP1以下5名分で足りるものと判断いたしております。」と明言している。 (d) このように,本件監査及び本件聴聞を通じて,審理の対象がP1ら5名の患者に関するものであったことは,客観的な資料からも明らかである。 それにもかかわらず,被告は,その後,診療報酬の不正請求に係る患者の数を別紙1記載の患者18名に増やし,次のbのとおり改ざんした聴聞報告書(乙11)の内容を盛り込んだ審議資料を東京地方社会保険医療協議会に提出して,その答申を得た。 b 聴聞報告書等の内容の恣意的な改ざん原告が,平成14年4月9日付けでした聴聞調書及び聴聞報告書の閲覧請求に係る閲覧許可に基づいて閲覧謄写した聴聞報告書(甲12)と,被告が提出した聴聞報告書(乙11)との間には相違点がある。すなわち,聴聞報告書1枚目の「当事者及び参考人の主張に理由があるかどうかについての主宰者の意見」欄について,甲12では,「不利益処分の原因となる判明した事実に対する当事者としての主張は,・・・いずれも処分原因とした以外の不正請求とされていない患者分での主張や確認及び事故に対する反省であり,処分原因を覆す具体的な反証及び証拠の提出はなかった。」と記載されているのに対し,乙11では,上記甲12の「患者分」が「部分」と記載されている。甲12の「不正請求とされていない患者分」という表現だと,少なくともP10,P7,P6らは不正請求の対象患者には入らないことになるが,乙11の「不正請求とされていない部分」という表現では,これら3名も含め,それ以上の人数を不正請求であると主張することが可能となる。このように,被告は,「患者分」を「部分」とすること いことになるが,乙11の「不正請求とされていない部分」という表現では,これら3名も含め,それ以上の人数を不正請求であると主張することが可能となる。このように,被告は,「患者分」を「部分」とすることによって,不正請求の対象患者数を増加させているのである。本件聴聞における関係者のやり取りを録音したテープの反訳書(乙48,51)の内容を考え合わせても,甲12が本来の聴聞報告書であり,乙11は改ざんされたものである。 c 東京地方社会保険医療協議会の答申を得る段階で原告の反論文が意図的に無視されたことページ(8)原告は,平成13年5月28日の東京地方社会保険医療協議会の開始前,原告作成の「陳述書第2部」と題する書面(甲70)を提出したが,被告は,これを協議会に提出せず,原告の有利になるべき事実をことさら隠蔽している。 d 被告担当者の言動等被告の一部の担当者は,本件監査や本件聴聞において,常識では考えられないような不当で横柄な対応をとった。 すなわち,原告が本件監査の際,原告がP1ら5名分を含め全件について不正請求はない旨説明し,診療録に基づく確認ができていないから押印できないと言ったにもかかわらず,被告の担当者は,原告に対し,「それなら「記憶が定かでない。」と書けばいいんだ。」と申し向けるとともに,印鑑の交付を執拗に要求し,架空の診療報酬請求等を自認したかのような内容の監査調書(乙1)に,原告に内容の確認をさせないまま,原告の印鑑を押捺した。また,被告の担当者は,原告が不正請求を自認した内容となっている「申出書」と題する書面2通(甲41,42)について,本件監査への出席及び監査終了確認の文書であるから署名押印するようにと申し向け,原告をその旨誤信させ 当者は,原告が不正請求を自認した内容となっている「申出書」と題する書面2通(甲41,42)について,本件監査への出席及び監査終了確認の文書であるから署名押印するようにと申し向け,原告をその旨誤信させて,上記書面に署名押印させた。 さらに,原告が本件聴聞の際,P10に関するMBC総合報告書(甲7)を提出したのに対し,被告の担当者は,「あんた,あのときは認めたじゃないのよ。」,「P10の娘が行ったのよ。」などと怒声を発するなどした。 なお,東京都福祉局保険部医療保険課課長補佐であるP21は,本件聴聞に出席していなかったにもかかわらず,本件聴聞の聴聞議事録(乙12)では出席したことになっているが,これは,何者かが参加人として,P21になりすまして,本件聴聞に出席したことを意味するものであり,行政手続法17条1項の規定に違反し,また,行政手続としての公正さ及び信頼性を欠いていることを意味する。 イ事故例の統計処理が恣意的にされていること東京地方社会保険医療協議会においては,本件監査及び本件聴聞の結果をもとに答申がされる。ところが,同協議会に提出された監査調書(乙1)には,患者実態調査件数(社会保険)として「件数78 事故件数78」と記載されているところ,これはP1及びP2の2名に関するものであるが,被告は,原告を恣意的に処分するため,このわずか2例について,不可抗力で診療録がなくなったものはすべて不正であると決めつけて体裁を整えたものであり,いかにも原告の不正率が高いかのように作為的な統計処理をしたものである。 (2) 診療報酬の不正請求等の事実がないことア診療録が提出できなかったことには合理的な理由があること原告は,別紙1記載の患者 な統計処理をしたものである。 (2) 診療報酬の不正請求等の事実がないことア診療録が提出できなかったことには合理的な理由があること原告は,別紙1記載の患者のうち,P2,P3,P4及びP5の4名に係る診療録の一部を提出できなかったが,これは,上記(1)アa(a)のとおり,水害(集中豪雨による床上浸水)や路上引ったくりに遭ったという事情によるものである。なお,原告は,本件聴聞の際に,客観的資料等に基づいて上記事情を説明したが,被告は,上記の説明を意図的に度外視した。 このように,原告が診療録を提出できなかったことには合理的な理由がある。 イ原告が患者に対して診療を行っていたこと原告は,別紙1記載の患者18名について,別紙2のとおり診療報酬請求をしたが,行っていない治療や検査を行ったとして診療報酬請求をしたことは一度もないし,診療録に虚偽の記載をしたこともない。 aP6について検尿をする場合には,医学的見地から受診時早朝尿が最適とされているところから,α医院では患者にあらかじめコップと試験管を渡して尿を採取するよう指示したケースもあり,また,α医院では,通院が困難な場合には,患者からの希望があれば採尿試験管や薬剤を送付するケースもあったが,P6もそのようなケースであった。 同人は,原告がε病院在勤時に10年以上にわたって診てきた骨粗しょう症,軽度の糖尿病等に罹患した患者であり,原告がε病院退職後にはα医院に通院していた。 同人は死亡例であるが,遺族から速やかに死亡した旨の連絡がなかったため,死去後も,同人に対して採尿試験管と薬を送付した可能性があった(また,診療報酬の請求に 院に通院していた。 同人は死亡例であるが,遺族から速やかに死亡した旨の連絡がなかったため,死去後も,同人に対して採尿試験管と薬を送付した可能性があった(また,診療報酬の請求に際し,生前の請求漏れ分を後月に請求したか,あるいは生前に数か月から6か月分の薬や採尿試験管を渡し,それについて後月に請求した可能性もある。)。 このように,患者の要望に応じて数か月分の投薬や検尿をあらかじめ渡していたとしても,死亡の事実を知らされないまま投薬済み分について診療報酬請求をしていただけであって,これは意図的な診療報酬の不正請求とは全く別次元の問題であるから,この点をもって不正診療と断定することはできない。 bP10についてα医院では,患者から受付窓口で保険証を受け取り,患者本人であるかどうか確認のうえ,診療録の表紙に保険者番号,患者名等を書き込み,診察券に患者のフルネームを書いて患者に手渡し,その後に,順番に沿って診察室から患者のフルネームを呼んで診察室に入れている。 このように,原告は,保険証を持参した患者本人の確認の義務を十分果たし,その上で診療報酬の請求を行っている。すなわち,P10の保険証を持参した患者を確認のうえ,P10として診察し,その診療報酬の請求を行ったものである。 仮にP10の保険証を持参した患者がP10本人でなかったとしても,上記のように保険証持参者の本人確認を十分に行い,同患者を実際に診療した証拠として,平成10年2月27日付けのMBC総合報告書(甲7)がある以上は,診療実態が存在したことは明らかであるから,原告の診療及び診療報酬請求において過失はなく,これを不正請求とする被告の主張は失当である。 27日付けのMBC総合報告書(甲7)がある以上は,診療実態が存在したことは明らかであるから,原告の診療及び診療報酬請求において過失はなく,これを不正請求とする被告の主張は失当である。 なお,原告がP10の娘の存在を知り得たのは,被告から知らされてからである。 cP3,P4及びP5について上記3名は,家族で通院していた患者であり,いずれも初診は平成7年である(肩こり等の症状は3名に共通していたが,P4については骨粗しょう症の治療もしていた。)。 いずれも初診時の診療録は現存し,P5については平成7年11月14日付けのMBC総合報告書(甲90)があるが,上記アのとおり,別綴りにした診療録が盗難によりなくなってしまった。原告は,いずれについても症状,治療内容,一部診療録がなくなった事情などを詳細かつ具体的に申述することができるのであるから,これらを強引に事故例とした断定は極めて不当である。 dP2についてP2については,平成7年2月8日の初診時の診療録は現存しているが(甲24),上記アのとおり,別綴りにした診療録がなくなってしまった。しかし,原告が同人を診療していることは,次のとおり明らかである。 P2の病名は,慢性アレルギー性皮膚炎の出没,高脂血症,胸痛・肩痛の出没であった。同人は,「自分は,有限会社ζという町工場の経営者である。両手の皮膚炎はかなり頑固で,薬を中止すると再発するので,α医院からもらった塗布剤等を常備薬として使用している。」と述べており,原告は,同人に対し,機械作業をするときは手袋をすること等の指示を出していた。 P2については,平成8年11月22日から平成10 剤等を常備薬として使用している。」と述べており,原告は,同人に対し,機械作業をするときは手袋をすること等の指示を出していた。 P2については,平成8年11月22日から平成10年4月1日までの間のMBC総合報告書(甲25ないし28)や平成10年3月27日の蛋白分画検査報告書(甲29)などの客観的資料がかなりあり,原告が同人を診療していた事実は明らかである。 これに対して,被告は患者実態調査票(乙39)を提出しているが,同調査がされたのは平成13年2月であり,ページ(9)診察から1年半以上経過しており,記憶が暖昧であることがうかがわれる。このような患者実態調査票のみをもって,水害等により診療録がなくなってしまった期間の請求が,即不正請求であるなどという断定は極めて不当である。 eP1についてP1については,不正請求とされる部分の診療録がすべて揃っており(甲18,19),その原本を被告に渡している。 被告は,監査調書においては,P1について,初診の平成12年2月から事故があったかのごとく記していたが(乙1),原告が同月22日付け心電図(甲20)及び同日付けMBC総合報告書(甲21)を提出したため,2月分を不正請求からはずさざるを得なかったのである。 ところで,α医院には患者名を「P1」とする同年4月7日付けの薬袋(甲22)も残っているが,P1から,たびたび,「仕事があり,なかなか受診できない。後でもらいにいくから薬を調合しておいて下さい。」との電話があったため,たまたま薬袋(甲22)が残っていたのである。これは,同人が再診のため通院していたことを示す重要な事実の一つである。また,同人の診療録(甲18)の同年3月4日の欄 いて下さい。」との電話があったため,たまたま薬袋(甲22)が残っていたのである。これは,同人が再診のため通院していたことを示す重要な事実の一つである。また,同人の診療録(甲18)の同年3月4日の欄には,「ビール1~2合/日」飲用するとの記載があるから,同人が3月4日に受診したことは明らかである。 なお,監査調書(乙1)には,平成12年7月に「麻毒」を投与した旨記載があるが,原告は「麻毒」を購入したことも使用したことも全くなく,診療報酬明細書(乙54の5)にも,「麻毒」を投与した旨の記載はないし,P1も「麻毒」を投与されたことはないと述べている(甲23)。このように,監査調書の内容は,診療報酬明細書と食い違っており,「麻毒」との記載は,原告を保険医登録取消処分に持ち込むために,原告についてことさら悪印象を抱かせる戦術の一つとして意図的に記されたものとしか考えられず,監査調書の内容自体,極めてずさんなものであるといわざるを得ない。 fP7について(a) 平成10年7月3日付けのMBC総合報告書(甲74)があるから,P7は,平成10年7月3日からα医院へ通院中の患者である。同人は,α医院の近くの医院へ慢性尿蛋白で通院中,体調が悪くなり,母親から勧められてα医院を受診したものである。 また,原告は,P7が従前通っていた医院による投薬内容から感染症を考え,平成11年7月24日に,η診療所へレントゲン撮影(甲8,65)を依頼した経緯がある。 (b) ところが,患者実態調査票(乙41)では,初診日は平成12年2月となっており,また,レントゲン撮影を行ったことになっていない。次に,上記調査票では,血液検査を毎月1回行ったことになっているが,α医院では,こ ,患者実態調査票(乙41)では,初診日は平成12年2月となっており,また,レントゲン撮影を行ったことになっていない。次に,上記調査票では,血液検査を毎月1回行ったことになっているが,α医院では,このような定期的な検査は行っていない。さらに,上記調査票では,P7は平成12年2月に2回受診したと記載されているが,実際には2月5日に1度受診したのみである。 そして,原告は,本件聴聞において,P7の通院の証拠として,上記レントゲン撮影の証拠を示したところ,被告の担当官は,後日,P7に確認したところ,レントゲン撮影を行ったことを認めたので,上記撮影日の月分の診療報酬請求は,不正請求分から削除すると,伝えてきた。 (c) このように,患者実態調査票の記載は,不正確でかつ明確な根拠を欠くものであるから,証拠としての価値は全くない。 g 患者作成の陳述書等について別紙1記載の患者のうち,上記dのP2及び上記eのP1のほか,P14,P15,P16,P17及びP18の合計7名は,陳述書(甲75ないし80)で,α医院を受診した月日の詳細についての記憶がなく,診療内容の詳細についての記憶も不確かであると述べている。 また,P6を除く患者に係る患者実態調査票(乙24,26ないし41)には,上記fの例からも明らかなとおり,信ぴょう性がない。 (3) 本件各取消処分は理由の提示(行政手続法14条)を欠く違法なものであること本件各取消処分に係る書面には,前記「前提となる事実」(6)のとおり,処分の理由として,本件各取消処分の根拠条文が示されているのみで,いかなる事実が取消事由に該当するのかが全く示されておらず,不利益処分の理由が原告に明らかにされ 前記「前提となる事実」(6)のとおり,処分の理由として,本件各取消処分の根拠条文が示されているのみで,いかなる事実が取消事由に該当するのかが全く示されておらず,不利益処分の理由が原告に明らかにされていない。しかも,原告には,本件聴聞において,不利益処分の原因となる具体的事実が明らかにされておらず,そのため,原告は,本件聴聞手続での議論の対象,争点の具体的対象が分からず,同手続における議論はかみ合っていなかった。 したがって,本件各取消処分は,処分の理由の提示を欠き,行政手続法14条に違反するものである。 4 争点以上によれば,本件の争点は,次のとおりである。 (1) α医院において,別紙1記載の患者ら18名に関し,診療していないにもかかわらず,別紙2記載のとおり診療報酬を不正に請求した事実があるか否か。 また,そのうちP6,P1及びP7に関し,原告が,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実があるか否か。(争点1)(2) 本件各取消処分に至る過程において,本件各取消処分の取消事由となるような違法があったか否か。(争点2)(3) 本件各取消処分は理由の提示(行政手続法14条)を欠く点において違法なものであるか否か。(争点3)第3 争点に対する判断 1 争点1について(1) P11について(別紙2-1 平成11年7月から平成12年8月までの7回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙24)によれば,P11は,平成13年2月21日,被告らの行った事情聴取に対し,「平成11年から平成12年にかけては,γ医院とδ医院を受診しており,その他にも他地区の医院を受診しているが,品川区内の医院では,上記2つの医院以外には行っ 2月21日,被告らの行った事情聴取に対し,「平成11年から平成12年にかけては,γ医院とδ医院を受診しており,その他にも他地区の医院を受診しているが,品川区内の医院では,上記2つの医院以外には行っておらず,α医院には全く行ったことがない。」旨陳述していることが認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成11年7月から平成12年8月までの間,前後7回にわたり,再診,指導,投薬,検査をしたというものであるが,仮にP11がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P11に対する診療の有無について,「前の人と間違えたかも知れない。」とあいまいな供述をし,次いで,P11はα医院に通院していないと述べているが,診療の事実はあるのかと重ねて問われたのに対し,何らの返答もしなかったことが認められる。 さらに,原告が平成11年7月から平成12年8月までの間にP11を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (2) P6について(別紙2-2 平成11年11月から平成12年4月までの6回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙25)によれば,P6は平成11年9月13日に死亡したことが認められる。 他方で,上記診療報酬請求の内容は,同人が死亡した後の同年11月から平成12年4月までの間,前後6回にわたり,再診,指導,投薬,注射(5回),検査(6回)をしたというものである。 イa この点について,原告は,P6の死去後も,その旨の連絡がなかったので,採 ら平成12年4月までの間,前後6回にわたり,再診,指導,投薬,注射(5回),検査(6回)をしたというものである。 イa この点について,原告は,P6の死去後も,その旨の連絡がなかったので,採尿試験管と薬を送付した可能性がある旨主張する。 しかし,上記診療報酬請求の内容は,上記アのとおり,既に死亡しているP6に対し,6回にわたって毎回投ページ(10)薬と検査をし,うち5回については更に注射もしたというものであるし,また,証拠(乙3,12)によれば,原告は本件監査及び本件聴聞のいずれの際にも,P6が死亡する前に6か月分の薬を渡していたと供述するのみで,同人の死亡後にも採尿試験管や薬を送付した可能性があるとは述べていないことが認められるから,上記主張は理由がないものといわざるを得ない。 また,仮にP6の死亡を知らずに採尿試験管等を送付していたとしても,同人が診療を受けていないことに変わりはなく,かかる事態が生じたことについて,原告には重大な過失があるものといわざるを得ない。 b また,原告は,P6の生前に,数か月から6か月分の薬や採尿試験管を渡し,それについて後月に請求した可能性もある旨主張し,本件監査及び本件聴聞において,上記aのとおり,P6の死亡前に6か月分の薬を渡して,その分を後に請求していた旨供述をするほか,薬だけを渡したことになってしまうのを避けるため,診療報酬請求書では来院したことにして,投薬以外の欄も記入したと供述している。 しかし,来院を装うにしても,上記アのとおり,原告は6回の請求のうち5回については,注射もしたとして診療報酬請求をしていることに照らすと,原告の上記供述を直ちに信用することはできず,他に上記主張を認めるに足りる証拠はない。 原告は6回の請求のうち5回については,注射もしたとして診療報酬請求をしていることに照らすと,原告の上記供述を直ちに信用することはできず,他に上記主張を認めるに足りる証拠はない。 なお,仮に上記主張のような措置がとられたとしても,P6の死亡により,交付された薬等の全部又は一部のほか,来院を装った診療について,実際には同人が診療を受けていないことに変わりはなく,かかる事態が生じたことについて,原告には故意又は重大な過失があるものといわざるを得ない。 c さらに,原告は,P6の生前の請求漏れ分を後月に請求した可能性もある旨主張するが,かかる事実を証する証拠はなく,死亡後の診療報酬請求が上記アのとおり6回もされており,しかも,これが死亡から半年以上経った後の平成12年4月に至るまで行われていることからみても,上記主張は理由がない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 また,証拠(乙3)及び弁論の全趣旨によると,α医院では,診療録の記載に基づいて診療報酬明細書を作成していることが認められ,P6に関する上記診療報酬請求に係る診療報酬請求書も同様に作成されたものと認められる。 そうであるとすれば,上記診療報酬請求の基になった診療録には,同請求に対応する診療を行った旨の記載があったものと認められるところ,同記載は事実に反するものであり,原告は,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させたものと認められる。 (3) P10について(別紙2-3,4 平成10年2月から平成12年12月までの35回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙26)によれば,P10は,平 を不正に請求させたものと認められる。 (3) P10について(別紙2-3,4 平成10年2月から平成12年12月までの35回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙26)によれば,P10は,平成13年1月29日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,3年ほど前に,娘が友人宅に遊びに行ったとき,具合が悪くなって一度受診したことがあるが,自分はこれまで一度も受診していない。」旨陳述していることが認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成10年2月から平成12年12月までの間,前後35回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP10がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P10に対する診療の有無について,「「P22」と取り違えた。」と述べ,「P22」はどこに住んでいるのかと問われると,「神奈川県の人。それ以上は言えない。」とあいまいな供述をし,さらに,診療実態の有無を問われたのに対し,「間違ったということでよいと言っている。」と述べたことが認められる。 さらに,対象者をP10とする平成10年2月27日付けのMBC総合報告書(甲7)について,同人の上記アの陳述に照らせば,これは同人の娘のものと認められ,原告が平成10年2月から平成12年12月までの間にP10を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウ原告は,仮に診療した相手がP10でなかったとしても,原告は同人名義の保険証等で本人確認を行ったのであるから,原告の診療及び診療報酬請求について過失はない旨主張する。 しかしながら,証拠(乙 ,仮に診療した相手がP10でなかったとしても,原告は同人名義の保険証等で本人確認を行ったのであるから,原告の診療及び診療報酬請求について過失はない旨主張する。 しかしながら,証拠(乙3)によれば,P10とその娘とは相当の年齢差があることが認められるから,原告がP10の娘をP10本人と誤認したとは認め難く,仮にかかる誤認があったとしても,原告には重大な過失があったものと認められるし,また,P10の上記アの陳述によると,同人の娘も1回しかα医院を受診していないものと認められるから,別紙2-3及び4のうち,P10の娘の診療に係るものと推認される平成10年2月の1回を除いて,そもそも何らの診療実態もなかったものと認めざるを得ないから,上記主張は理由がない。 エこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (4) P12について(別紙2-5,6 平成7年2月から平成12年12月までの39回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙22,23,27)によれば,P12は,東京食品販売国民健康保険組合に対し,平成12年7月19日,「平成7年2月以降はα医院を受診していないので,調査願いたい。」旨申し立て,次いで,平成12年8月20日,「平成7年1月3日に扁桃腺治療のためにα医院を一度受診したが,それ以後は一度も治療に行ったことはなく,α医院の診療報酬請求は明らかに不正である。」旨申し立てたこと,P12は,平成13年1月25日,被告らの行った事情聴取に対し,上記平成12年8月20日付けの申立てと同趣旨の陳述をしていることが,それぞれ認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成7年2月から平成12年12月までの間,前後39回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたと 同趣旨の陳述をしていることが,それぞれ認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成7年2月から平成12年12月までの間,前後39回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP12がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような申立てや陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P12及びP13に対する診療の有無について,「P12とP13を取り違えての請求もあるかもしれない。」と述べ,次いで,二人とも最近はα医院を受診していないと言っているが,もしそうであれば取り違えようがないではないかと問われると,「昨年(平成12年)1,2回は来ていたと思うが,取り違えたのかも知れない。」などとあいまいで,別紙2-6記載の平成12年の診療報酬請求内容ともかけ離れた弁明をし,さらに,診療を確認しないまま診療報酬請求をしたのではないかと問われたのに対し,「そちらでそう考えるならどうぞ。」と述べたことが認められる。 さらに,原告が平成7年2月から平成12年12月までの間にP12を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (5) P13について(別紙2-7 平成8年4月から平成9年3月までの9回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙28)によれば,P13は,平成13年1月25日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院には,弟のP12が受診した平成7年1月3日の2,3日後に,風邪の治療のために1回だけ受診したが,その後は全く受診していない。 ここ5年は,歯科を受診したのみで,診療所や病院には 情聴取に対し,「α医院には,弟のP12が受診した平成7年1月3日の2,3日後に,風邪の治療のために1回だけ受診したが,その後は全く受診していない。 ここ5年は,歯科を受診したのみで,診療所や病院にはかかっていない。」旨陳述していることが認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年4月から平成9年3月までの間,前後9回にわたり,再診,指導,投薬をしたというものであるが,仮にP13がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,原告は本件監査の際,P13に対する診療の有無について,上記(4)イのとおり述べた。 さらに,原告が平成8年4月から平成9年3月までの間にP13を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (6) P14について(別紙2-8,9 平成8年4月から平成12年12月までの55回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙29)によれば,P14は,平成13年1月23日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,ページ(11)開設から1年ほど経ってから(5ないし6年前)3回くらい受診した。」,「医療費通知にα医院の名称が記載されていたが,受診していないため,疑問に思って区に連絡した。」旨陳述していることが認められる。なお,P14作成の平成14年3月19日付け陳述書(甲77)には,「α医院に行った日は分かりません。」との記載があるが,これは,事情聴取における上記陳述内容を否定するものとは認められない。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年4月から平成12年1 α医院に行った日は分かりません。」との記載があるが,これは,事情聴取における上記陳述内容を否定するものとは認められない。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年4月から平成12年12月までの間,前後55回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP14がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P14及びその夫であるP17に対する診療の有無について,「一家で来ており,誰が誰なのか分からない。」と供述し,P14の診療録がないことを問われたのに対し,「最近来ていないのではないか。」と,上記請求内容とも矛盾する供述をしていたことが認められる。 さらに,原告が平成8年4月から平成12年12月までの間にP14を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められ,原告の本件監査における「P14を診察したはずだ。薬については患者の希望でやった。」旨の供述を信用することはできない。 (7) P3について(別紙2-10,11 平成8年6月から平成12年12月までの50回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙15,30)によれば,P3は,平成11年12月22日,品川区に対し,「α医院には平成8年4月から受診していないのに,医療費通知が来たので,調査願いたい。」旨申し立て,また,平成13年1月24日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,開設から1年間くらいの間に,風邪の治療のために数回受診したが,診療日が少なく,診療時間も短いため,必要なと 旨申し立て,また,平成13年1月24日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,開設から1年間くらいの間に,風邪の治療のために数回受診したが,診療日が少なく,診療時間も短いため,必要なときに受診できないので,以後全く受診していない。」旨陳述していることが認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年6月から平成12年12月までの間,前後50回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP3がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような申立てや陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P3とその家族であるP4及びP5に対する診療の有無について,「薬の前渡し分の繰越しでこうなっているとしか言えない。」,「1年に最低2回は来ているはず。」などとあいまいで,別紙2-10ないし別紙2-15記載の診療報酬請求内容ともかけ離れた弁明をし,遂には,「だいたい,医療機関の経営の厳しさが分かっているのか。1日でタクシーのワンメーター分の収入しかない。そういうことを勉強した上で質問してくれ。」と発言したことが認められる。 さらに,原告が平成8年6月から平成12年12月までの間にP3を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (8) P4について(別紙2-12,13 平成8年5月から平成12年12月までの51回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙15,31)によれば,P4は,平成11年12月22日,品川区に対し,上記(7)アのP3と同様の申立てを行い,また,平成13年1 平成12年12月までの51回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙15,31)によれば,P4は,平成11年12月22日,品川区に対し,上記(7)アのP3と同様の申立てを行い,また,平成13年1月24日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,開設から1年ほど経ったころ,2回くらい風邪の治療のため受診したが,その後は受診していない。」旨陳述していることが認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年5月から平成12年12月までの間,前後51回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP4がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような申立てや陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,原告は本件監査の際,P4らに対する診療の有無について,上記(7)イのとおり述べた。 さらに,原告が平成8年5月から平成12年12月までの間にP4を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (9) P5について(別紙2-14,15 平成8年4月から平成12年12月までの44回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙15,32)によれば,P5は,平成11年12月22日,品川区に対し,上記(7)アのP3と同様の申立てを行い,また,平成13年1月24日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,開設から1年ほど経ったころに2回くらい風邪の治療のため受診したのみである。」旨陳述していることが認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年4月から平成12年12月までの間,前後44回にわたり,再診, 2回くらい風邪の治療のため受診したのみである。」旨陳述していることが認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年4月から平成12年12月までの間,前後44回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP5がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような申立てや陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,原告は本件監査の際,P5らに対する診療の有無について,上記(7)イのとおり述べた。 さらに,対象者をP5とする平成7年11月14日付けのMBC総合報告書(甲90)は,同人が同日に検査を受けたことをうかがわせるものにすぎず,原告が平成8年4月から平成12年12月までの間にP5を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (10) P15について(別紙2-16,17 平成8年11月から平成12年12月までの48回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙17,33)によれば,P15は,平成12年3月28日,品川区に対し,「α医院では受診していないため調査願いたい。」旨申し立て(なお,同申立書(乙17)は,P15の了解を得て,同人の妻が記載したものである(乙75)。),次いで,平成13年1月17日及び同年3月28日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,平成8年6月から同年夏ころにかけて3回受診したが,その後受診していない。」旨陳述していることが認められる。なお,P15作成の平成14年4月9日付け陳述書(甲78)には,「α医院へ通院した月日及びその詳細は覚えておりません。」との記載があるが,これは,事情 診していない。」旨陳述していることが認められる。なお,P15作成の平成14年4月9日付け陳述書(甲78)には,「α医院へ通院した月日及びその詳細は覚えておりません。」との記載があるが,これは,事情聴取における上記陳述内容を否定するものとは認められない。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年11月から平成12年12月までの間,前後48回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP15がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような申立てや陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P15に対する診療の有無について,「前もって出した薬を後の日付で書いたと思う。診察はしていない。いつから診察していないかは覚えていないが,患者がそう言うならそれでいい。」,「この人については,患者の言うとおり来ていないということでいい。」と診察していないことを認める供述をしていた。 さらに,原告が平成8年11月から平成12年12月までの間にP15を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (11) P16について(別紙2-18,19 平成8年4月から平成12年12月までの54回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙34)によれば,P16は,平成13年1月24日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,開設されたばかりのころに受診したが,その後全く受診していない。」,「医療費通知が来て不審に思い,区役所に電話した。」旨陳述していることが認められる。なお,P16作成の平成14年3月19 については,開設されたばかりのころに受診したが,その後全く受診していない。」,「医療費通知が来て不審に思い,区役所に電話した。」旨陳述していることが認められる。なお,P16作成の平成14年3月19日付け陳述書(甲80)には,「α医院へ通院しておりましたが,何月何日に受診したか,詳しいことは記憶が確かではありませんので,P23先生に一任します。」との記載があるが,これは,事情聴取における上記陳述内容を否定するものとは認められない。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年4月から平成12年12月までの間,前後54回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP16がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶をページ(12)誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P16に対する診療の有無について,P16は少なくとも平成10年10月に引っ越してからは,α医院を受診していないと言っていると問われたのに対し,「はっきりといつ来たという確証はないが,患者が言っているなら,患者の言うとおりにして下さい。」と,同人の引越し後には同人を診察していないことを認める供述をしていた。 さらに,原告が平成8年4月から平成12年12月までの間にP16を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (12) P17について(別紙2-20,21 平成8年4月から平成12年12月までの52回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙35)によれば,P17は,平成13年1月23日,被告らの行った事情聴取に対 P17について(別紙2-20,21 平成8年4月から平成12年12月までの52回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙35)によれば,P17は,平成13年1月23日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,開設から1年ほど経ってから,冬に1回受診した。」,「医療費通知にα医院の名称が記載されていたが,受診していないため,疑問に思って区に連絡した。」旨陳述していることが認められる。なお,P17作成の平成14年3月19日付け陳述書(甲77)には,「α医院に行った日は分かりません。」との記載があるが,これは,事情聴取における上記陳述内容を否定するものとは認められない。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年4月から平成12年12月までの間,前後52回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP17がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,原告は本件監査の際,P17らに対する診療の有無について,上記(6)イのとおり述べた。 さらに,原告が平成8年4月から平成12年12月までの間にP17を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (13) P18について(別紙2-22 平成8年4月から平成12年12月までの23回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙36)によれば,P18は,平成13年1月23日及び同月24日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,何年か前に,生命保険に加入する前の検査で,一度だけ連れて行かれたことはあるが,診療を受けたことは ば,P18は,平成13年1月23日及び同月24日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,何年か前に,生命保険に加入する前の検査で,一度だけ連れて行かれたことはあるが,診療を受けたことは一度もない。」,「医療費通知にα医院の名称が記載されていたが,α医院がどこにあるかも分からない。」旨陳述していることが認められる。なお,P18作成の平成14年4月9日付け陳述書(甲75)には,「α医院のことについては,記憶が確かでございません。」との記載があるが,これは,事情聴取における上記陳述内容を否定するものとは認められない。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年4月から平成12年12月までの間,前後23回にわたり,再診,指導,投薬,検査をしたというものであるが,仮にP18がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P18に対する診療の有無について,「往診した覚えがある。」と供述するのみであったことが認められる。 さらに,原告が平成8年4月から平成12年12月までの間にP18を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (14) P19について(別紙2-23,24 平成8年5月から平成12年12月までの47回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙16,19,37)によれば,P19は,東京食品販売国民健康保険組合に対し,平成12年1月14日,「同組合が作成した平成11年4月分から同年11月分までの受診状況に関し,α医院では受診していないので,調査願いた ,37)によれば,P19は,東京食品販売国民健康保険組合に対し,平成12年1月14日,「同組合が作成した平成11年4月分から同年11月分までの受診状況に関し,α医院では受診していないので,調査願いたい。」旨申し立て,次いで,平成12年7月10日,「数年前の春,花粉症の治療のため,一度だけα医院を受診したが,それ以後は全く受診していない。α医院の診療報酬請求は明らかに不正である。」旨申し立てたこと,P19は,平成13年1月25日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,平成7年に花粉症の治療のために一度受診しただけである。 」旨陳述していることが,それぞれ認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成8年5月から平成12年12月までの間,前後47回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP19がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような申立てや陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P19に係る診療報酬の不正請求について,格別の反論をしていないことが認められる。 さらに,原告が平成8年5月から平成12年12月までの間にP19を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (15) P20について(別紙2-25,26 平成7年6月から平成12年12月までの57回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙16,20,38)によれば,P20は,東京食品販売国民健康保険組合に対し,平成12年1月14日,「同組合が作成した平成11年4月分から同年11月分までの受診状況 る診療報酬請求)ア証拠(乙16,20,38)によれば,P20は,東京食品販売国民健康保険組合に対し,平成12年1月14日,「同組合が作成した平成11年4月分から同年11月分までの受診状況に関し,α医院では受診していないので,調査願いたい。」旨申し立て,次いで,平成12年7月10日,「α医院について,平成9年3月20日に乳癌による治療のため,ε病院への紹介状をもらう目的で訪問した以後は全く訪れたことはない。α医院の診療報酬請求は不正である。」旨申し立てたこと,P20は,平成13年1月25日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,平成7年ころ2回受診したが,以後全く受診していない。」旨陳述していることが,それぞれ認められる。なお,P20の診療録(乙43の別紙2-15)には,平成7年1月20日を初診とし,その後同年2月24日までに4回再診した旨の記載がある。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成7年6月から平成12年12月までの間,前後57回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP20がこれだけの診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような申立てや陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P20に対して注射,投薬,検査が毎月のように出ていることを指摘されたのに対し,「6か月分まとめて出すのはいけないと反省している。」と答えたものの,注射や検査に係る報酬請求も頻繁にされていることについては,何らの弁明もしなかったことが認められる。 さらに,原告が平成7年6月から平成12年12月までの間にP20を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと, ,何らの弁明もしなかったことが認められる。 さらに,原告が平成7年6月から平成12年12月までの間にP20を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (16) P2について(別紙2-27 平成11年4月から同年7月までの3回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙39)によれば,P2は,平成13年2月21日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,手のかぶれのために一度受診したが,平成11年及び平成12年には受診していない。」旨陳述していることが認められる。 なお,P2作成の平成14年3月18日付け陳述書(甲79)には,「α医院をいつ受診したのか,また,その内容については,記憶が確かでありません。α医院受診に関しては,P23先生に一任します。」との趣旨の記載があるが,これは,事情聴取における上記陳述内容を否定するものとは認められない。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成11年4月から同年7月までの間,前後3回にわたり,再診,指導,投薬をしたというものであるが,仮にP2がこのような診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 イまた,証拠(乙3)によれば,原告は本件監査の際,P2に対する診療について,「平成12年には来ている。 」,「検査の請求を落としたのを後の月に記入して請求したということはあった。」旨弁明するにとどまったことが認められるが,これらの供述は,平成11年4月から同年7月までの間の再診,指導,投薬の有無とは関係のない事柄である。 ページ(13)さらに,対象者をP2とする平成8 とどまったことが認められるが,これらの供述は,平成11年4月から同年7月までの間の再診,指導,投薬の有無とは関係のない事柄である。 ページ(13)さらに,対象者をP2とする平成8年11月22日,同月29日,平成10年3月27日及び同年4月1日付けの各MBC総合報告書(甲25ないし28)及び同年3月27日付けの蛋白分画検査報告書(甲29)は,同人が平成8年11月22日ないし平成10年4月1日の間にこれらの検査を受けたことをうかがわせるものにすぎず,平成11年4月から同年7月までの間に,原告がP2を診療したことをうかがわせる証拠はない。 ウこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められる。 (17) P1について(別紙2-28 平成12年3月から同年12月までの10回にわたる診療報酬請求)ア証拠(甲18,19,乙43の別紙2-17)によれば,原告が本件監査の際に提示したP1に係る診療録には,別紙3-1のとおりの記載がされていたことが認められる。 イところが,証拠(乙40)によれば,P1は,平成13年2月14日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,平成12年2月に風邪の治療のために受診し,その際に血液検査及び心電図検査を受け,2週間分の薬をもらい,その2週間後に再度受診し,再度2週間分の薬をもらった。それ以後は受診していない。注射は受けていない。」旨陳述していることが認められる。なお,P1作成の平成14年3月18日付け陳述書(甲76)には,「α医院を何月何日に受診したのか,また,その内容については,記憶が確かでありません。α医院受診に関しては,P23先生に一任します。」との趣旨の記載があるが,これは,事情聴取における上記陳述内容を否定するものとは 何日に受診したのか,また,その内容については,記憶が確かでありません。α医院受診に関しては,P23先生に一任します。」との趣旨の記載があるが,これは,事情聴取における上記陳述内容を否定するものとは認められない。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成12年3月から同年12月までの間,前後10回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP1がこのような診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 ウa また,対象者をP1とする平成12年2月22日付け心電図(甲20)及び同日付けMBC総合報告書(甲21)は,同人が平成12年2月22日に上記各検査を受けたことをうかがわせるものにすぎない。 さらに,患者名を「P1」とする同年4月7日付けの薬袋(甲22)が原告から提出されたが,弁論の全趣旨によれば,上記薬袋がP1に交付されずにα医院に残っていたのは,同人が前同日に投薬を受けていなかったことを示すものと認められる。 その他,平成12年3月から同年12月までの間に,原告がP1を診療したことをうかがわせる証拠はない。 b なお,監査調書のP1に係る事故例の一覧表の備考欄(乙1)には,平成12年7月に「麻毒」を投与した旨の記載があるが,同一覧表の診療内容欄の記載と対比すれば,これは単なる誤記であると認められ,これが原告に保険医登録取消処分を課するために,意図的に記されたものであると認めることはできない。 エこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められ,原告の本件監査における「P1は毎回診察に来ていた。薬も包んで渡している。」旨 とはできない。 エこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められ,原告の本件監査における「P1は毎回診察に来ていた。薬も包んで渡している。」旨の供述を信用することはできないし,同人の診療録(甲18)の平成12年3月4日の欄にある「ビール1~2合/日」飲用するとの記載も,原告が実際にP1を診察したうえで記載されたものと認めることはできない。 また,上記のとおりであるとすれば,別紙3-1の診療録の記載のうち,平成12年3月4日から同年12月1日までの記載は事実に反するものであり,原告は,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させたものと認められる。 (18) P7について(別紙2-29 平成12年3月から同年12月までの10回にわたる診療報酬請求)ア証拠(乙43の別紙2-18)によれば,原告が本件監査の際に提示したP1に係る診療録には,別紙3-2のとおりの記載がされていたことが認められる。 イところが,証拠(乙41)によれば,P7は,平成13年1月23日,被告らの行った事情聴取に対し,「α医院については,平成12年2月5日と同月12日の2回くらい受診し,その際,血液検査,尿検査及び便検査を受け,風邪薬3種類1週間分等の薬をもらった。それ以後は受診していない。」旨陳述していることが認められる。 他方,上記診療報酬請求の内容は,平成12年3月から同年12月までの間,前後10回にわたり,再診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP7がこのような診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見 診,指導,投薬,注射,検査をしたというものであるが,仮にP7がこのような診療を実際に受けたのであれば,同人が記憶を誤ることは考えにくく,他に同人が事実を偽って上記のような陳述をする合理的な理由は見出し難い。 なお,証拠(乙43の別紙2-18)によれば,P7は平成12年2月よりも前からα医院に通院しており,また,同月中にP7がα医院を受診したのは同月5日のみであったと認められるにもかかわらず,同人は上記事情聴取に対し,初診は同年2月ころであると述べ,また,同月12日にも受診した旨陳述しているが,同人の陳述にこの程度の診療録との食い違いがあるからといって,「それ以後は受診していない。」旨の陳述部分の信用性までもが否定されるものとは認められない。さらに,原告は,平成11年7月24日にレントゲン撮影を行っている(甲8,65)にもかかわらず,患者実態調査票(乙41)では,これを行ったことになっていないとか,同調査票では,血液検査を定期的に毎月1回行ったことになっているが,これは事実に反する旨主張するが,P7は上記事情聴取において,主に平成12年2月以降のことを念頭において供述したものと推測され,血液検査欄に毎月1回と記載されているのも,同月に上記陳述のとおり血液検査を受けたことを指しているものと認められるから,同調査票のこれらの記載も,「それ以後は受診していない。」旨の陳述部分の信用性を何ら左右するものではない。 ウまた,対象者をP7とする平成11年7月24日付けのレントゲン写真(甲8)及び同日付けのX線検査診療情報提供書(甲65)は,同人が平成11年7月24日に上記検査を受けたことをうかがわせるものにすぎず,平成12年3月から同年12月までの間に,原告がP7を診療したことをうかがわせる証拠はない。 エこれらの事情に照らす 人が平成11年7月24日に上記検査を受けたことをうかがわせるものにすぎず,平成12年3月から同年12月までの間に,原告がP7を診療したことをうかがわせる証拠はない。 エこれらの事情に照らすと,上記診療報酬請求は診療の事実に基づかない不正請求であるものと認められ,原告の本件監査における「P7は勤め帰りに定期的に来ている。」旨の供述は,上記診療報酬請求に係る期間に関する限り,信用することはできない。 また,上記のとおりであるとすれば,別紙3-2の診療録の記載のうち,平成12年3月4日から同年12月1日までの記載は事実に反するものであり,原告は,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させたものと認められる。 (19) 以上のとおりであるから,α医院において,別紙1記載の患者ら18名に関し,診療の事実がないにもかかわらず,別紙2記載のとおり診療報酬を不正に請求した事実が認められ,これに加えて,P6,P1及びP7に関し,原告が,診療の事実がないのに,診療録に診療した旨の虚偽の記載をし,当該診療録に基づき,α医院をして診療報酬を不正に請求させた事実が認められる。 そして,これらの事実は,前記「被告の主張」(3)のとおり,保険医療機関の指定の取消処分及び保険医の登録の取消処分の各根拠ないし基準を定めた健康保険法等の法令及び監査要綱の規定に該当するものと認められる。 2 争点2について(1) 弁明の機会の付与についてア原告は,本件監査及び本件聴聞において取り上げられていた診療報酬の不正請求に係る患者はP1ら5名のみであって,別紙1記載の18名もの患者に係る診療報酬請求が問題とされていたことは,原告に示されていなかった旨主張する。 聴聞において取り上げられていた診療報酬の不正請求に係る患者はP1ら5名のみであって,別紙1記載の18名もの患者に係る診療報酬請求が問題とされていたことは,原告に示されていなかった旨主張する。 a しかし,証拠(乙3,44)によれば,本件監査において,原告は,患者29名分(これらは,いずれもP1ら5名以外の患者である。)の診療録を提示しなかったところ,被告の担当者から,かかる診療録の提示がない理由についても問い質されており,また,別紙1記載の18名の患者の名前を個別に挙げられて,診療実態の有無等について事情を聴かれたことが認められる。なお,監査調書(乙1)には,事故例として,P1ら5名に関するものしか記載されていないページ(14)が,これが,本件監査あるいはこれに引き続く手続において,P1ら5名に係る診療報酬請求のみが問題とされることを意味するものでないことは,明らかである。 また,証拠(甲7,8,乙10ないし12,46)によれば,原告は本件聴聞に先立ち,東京社会保険事務局保険部保険医療課において,監査調書(乙1),開設者・管理聴取書(乙2)のほか,P6を除く別紙1記載の患者ら17名に関する患者実態調査票計17通(乙24,26ないし41)の各書類を閲覧したこと,原告は本件聴聞において,診療実態があることを裏付ける資料として,P1ら5名には含まれないP10に関するMBC総合報告書(甲7)及びP7に関するレントゲン写真(甲8)を提出し,これらに基づき口頭及び陳述書で意見陳述をしたこと,被告の担当者は,本件聴聞において,平成7年2月分から平成12年12月分として請求のあった診療報酬明細書は社会保険及び国民健康保険の患者を合わせて108名であったが,本件監査においてそのうち79名の患者の診療録しか提示されず,これは療担規則8 2月分から平成12年12月分として請求のあった診療報酬明細書は社会保険及び国民健康保険の患者を合わせて108名であったが,本件監査においてそのうち79名の患者の診療録しか提示されず,これは療担規則8条,9条等の規定に違反する旨の説明をし,また,P10及びP7の診療実態に関する原告の言い分に対して反論を加えていたこと,本件聴聞では,P6に対する診療実態の有無についても議論されたことが,それぞれ認められる。 なお,原告の平成14年5月7日付け内容証明郵便(甲13)に対する被告の同年6月14日付け回答(甲14)には,「不正請求に基づく行政処分は,上記文中のP1以下5名分で足りるものと判断いたしております。」と記載されているが,上記のような本件監査及び本件聴聞の状況のほか,東京地方社会保険医療協議会でも,別紙1記載の18名の患者に係る診療報酬請求を前提に協議がされたものと認められること(甲91の1・2)に照らせば,上記回答書の記載が,本件監査から本件各取消処分に至る過程で,P1ら5名に係る診療報酬請求のみが問題とされていたことを意味するものであるとは認め難い。 b(a) 上記aの認定に関連して,原告は,聴聞通知書(乙9)の不利益処分の原因となる事実の記載は,抽象的で具体性に欠けるから,行政手続法15条1項2号の規定に違反する旨主張する。 しかし,証拠(乙9)によれば,本件指定取消処分に関する聴聞通知書には,「行政処分の事実」欄に,「平成13年3月29日に実施した監査の結果,聴聞通知書別紙に記載のある原因となる事実が判明した。」旨記載され,その別紙には,「監査の結果認められた事実」として,「1 診療録の記載及び整備状況」,「2 診療報酬等の請求に関する事項」のそれぞれについて,不実記載や不正請求の態様等が 実が判明した。」旨記載され,その別紙には,「監査の結果認められた事実」として,「1 診療録の記載及び整備状況」,「2 診療報酬等の請求に関する事項」のそれぞれについて,不実記載や不正請求の態様等が,関係法令と共に具体的に記載されていること,本件登録取消処分に関する聴聞通知書には,「行政処分の事実」欄に,本件指定取消処分に関する聴聞通知書の同個所と同じ記載があり,その別紙には,「監査の結果認められた事実」として,「1 診療録の記載及び整備状況等」について,不実記載の態様等が,関係法令と共に具体的に記載されていることが,それぞれ認められ,上記aのとおり,原告は本件監査において,別紙1記載の18名の患者について,個別に診療実態の有無等について事情聴取されていることを考慮すれば,聴聞通知書の上記記載によって,原告としては不利益処分の原因となる具体的な事実を認識することが可能であって,原告の防御権の行使に支障を生じさせるおそれはないものと認められるから,聴聞通知書の上記記載が行政手続法15条1項2号の規定に違反していると解することはできない。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (b) また,原告は,本件聴聞開始前に,P1ら5名の診療報酬明細書類のみしか開示されず,監査調書(乙1),患者実態調査票(乙24,26ないし41)及び原告作成の「申出書」と題する書面等(甲41,42,乙74)を閲覧することはできなかったが,これは行政手続法18条1項の規定に違反する旨主張する。 しかし,原告が本件聴聞開始前に,監査調書(乙1)やP6を除く別紙1記載の患者ら17名に関する患者実態調査票計17通(乙24,26ないし41)の各書類を閲覧したことは,上記aのとおりであり,また,「申出書」と題する書面等(甲4 に,監査調書(乙1)やP6を除く別紙1記載の患者ら17名に関する患者実態調査票計17通(乙24,26ないし41)の各書類を閲覧したことは,上記aのとおりであり,また,「申出書」と題する書面等(甲41,42,乙74)は,いずれも本件監査により不正請求と判明した既払の診療報酬の返還手続に関するものであって,本件各取消処分の原因となる事実を証する資料に当たるとは認められないから,行政手続法18条1項の規定する閲覧の対象にはならないものと解される。 したがって,原告の上記主張は理由がない。 (c) さらに,原告は,被告提出の聴聞報告書(乙11)は,被告が本来の聴聞報告書(甲12)を改ざんして作成したもので,この内容を盛り込んだ審議資料が東京地方社会保険医療協議会に提出された旨主張するが,かかる事実を認めるに足りる証拠はない。むしろ,証拠(乙64)によれば,原告の平成14年4月9日付けの閲覧請求に基づいて閲覧許可された聴聞報告書は,被告提出の聴聞報告書(乙11)であったことが認められるのであって,このことからすれば,原告が上記閲覧許可に基づいて閲覧謄写したものであるとして提出した「聴聞報告書」と題する文書(甲12)は,正規の聴聞報告書の1枚目を差し替えて作成されたものと認められる。 c 以上の検討によれば,本件監査及び本件聴聞において取り上げられていた診療報酬の不正請求に係る患者はP1ら5名に限られていたわけではなく,別紙1記載の18名の患者に係る診療報酬請求が問題とされていたのもであり,このことは原告にも示され,原告も十分これを認識していたものと認められる。 したがって,原告の主張は理由がない。 イ原告は,東京地方社会保険医療協議会の答申を得る段階で,原告作成の「陳述書第2部」と 原告も十分これを認識していたものと認められる。 したがって,原告の主張は理由がない。 イ原告は,東京地方社会保険医療協議会の答申を得る段階で,原告作成の「陳述書第2部」と題する書面(甲70)が意図的に無視された旨主張する。 しかしながら,証拠(甲90の1・2)によれば,上記書面は被告及び東京社会保険局事務局総務部企画課長あての書面であるうえ,その内容は,上記協議会に提出された審議資料中に記載されている原告の意見や審議資料に含まれている原告作成の陳述書とほぼ同趣旨のものであること,他方で,被告の担当者は,上記協議会において,α医院の近隣住民107名の署名による同医院を閉鎖しないで欲しいという内容の嘆願書が原告から提出されたことを報告していることが,それぞれ認められ,かかる事情に照らすと,被告が上記書面(甲70)を上記協議会に提出しなかったからといって,被告がこれを意図的に無視したとか,原告の有利になるべき事実をことさら隠蔽したなどと認めることはできない。 ウ原告は,被告の一部の担当者が,本件監査や本件聴聞において,不当で横柄な対応をとったとして,るる主張するが,かかる事実を認めるに足りる証拠はない。 ことに,監査調書(乙1)については,証拠(乙1,3)及び弁論の全趣旨によれば,被告の担当者が原告の印鑑を用いて押捺したのは契印であって,原告は,本件監査の終わりに,被告側から監査結果をとりまとめたので,確認のうえ署名押印して欲しい,意見があれば記入して欲しいと言われ,監査調書の「監査に対する開設者の意見」欄及び「監査に対する保険医の意見」欄に署名押印しているほか,P1ら5名に係る事故例一覧表の「保険医の弁明」欄に,「投薬あとでとりに行くので,処方しておいてください事実に反することあり 設者の意見」欄及び「監査に対する保険医の意見」欄に署名押印しているほか,P1ら5名に係る事故例一覧表の「保険医の弁明」欄に,「投薬あとでとりに行くので,処方しておいてください事実に反することあり」,「記憶不明」などと自ら記載したうえ,当該各欄に逐一押印していることが認められ,かかる事実に照らせば,原告に監査調書の内容の確認をさせないまま,被告の担当者によって押捺がされた旨の原告の主張は,理由がないものといわざるを得ない。 また,「申出書」と題する書面2通(甲41,42)の作成状況についてみると,これらの書面はいずれも既払の診療報酬の返還手続に関するものにすぎないところ,証拠(乙1,3,74)及び弁論の全趣旨によれば,原告はこれらの書面を作成する際,併せて「診療報酬の不正請求についての返還方法の確認事項」と題する書面(乙74)をも作成していること,本件監査において,原告は診療報酬の不正請求の事実を一部認めていたのであり,これら3通の書面は,かかる原告の弁明を前提に作成されたものと認められるから,被告の担当者において,敢えて原告を誤信させなければ原告に署名捺印してもらえないような性質の文書ではないことが,それぞれ認められ,これらの事実や上記3通の書面の文面等に照らしても,原告がこれらの書面の内容を本件監査への出席等の確認文書と誤信したとは認められない。 なお,原告は,東京都福祉局保険部医療保険課課長補佐であるP21は本件聴聞に出席していなかったにもかページ(15)かわらず,聴聞議事録(乙12)では出席したことになっている旨主張するが,同人が本件聴聞に出席していなかったことをうかがわせる証拠はない。 (2) 事故例の統計処理について原告は,監査調書(乙1)における事故例の統計処理が恣意的にされている旨主 張するが,同人が本件聴聞に出席していなかったことをうかがわせる証拠はない。 (2) 事故例の統計処理について原告は,監査調書(乙1)における事故例の統計処理が恣意的にされている旨主張するが,P1については,本件監査の際に,原告から欠落のない診療録が提示されたのであるから(乙43),その限りで原告の主張は前提を欠くものであるし,統計処理が恣意的にされたことを認めるに足りる証拠は全くない。 (3) 原告は,東京地方社会保険医療協議会の答申は適切な資料・根拠に基づくものではない旨主張するが,上記(1)及び(2)で検討したところに照らしても,かかる事実を認めることができないことは明らかである。 その他,本件各取消処分に至る過程において,被告のとった措置等に本件各取消処分の取消事由となるような違法があったと認めるに足りる証拠はない。 3 争点3について保険医療機関の指定の取消処分及び保険医の登録の取消処分については,前記「法令の定め等」(3)のとおり,処分基準が監査要綱第6の1(1)として定められ,公表されている。 そして,上記2(1)アで検討したところによれば,本件監査において,原告は別紙1記載の18名の患者の名前を挙げられて,個別に診療実態の有無等について事情聴取されたこと,行政手続法15条1項及び2項所定の事項が記載された聴聞通知書が原告に送付されたこと(乙9。なお,これにより,原告において不利益処分の原因となる具体的な事実を認識することが可能であったと認められることは,上記のとおりである。),原告は本件聴聞に先立ち,監査調書(乙1)のほか,P6を除く別紙1記載の患者ら17名に関する患者実態調査票計17通(乙24,26ないし41)の各書類等を閲覧したこと,本件聴聞において,被告の担当者は,手続の冒頭に に先立ち,監査調書(乙1)のほか,P6を除く別紙1記載の患者ら17名に関する患者実態調査票計17通(乙24,26ないし41)の各書類等を閲覧したこと,本件聴聞において,被告の担当者は,手続の冒頭に,不利益処分の原因となる事実等を説明し,原告も,MBC総合報告書等の証拠書類を提出したうえ,口頭及び陳述書で意見陳述をするなどし,両者の間で,P10,P7及びP6に対する診療実態等について議論がされたことが,それぞれ認められる。 本件各取消処分は,上記の経過を踏まえてされたものであり,これらの経緯を併せれば,本件各取消処分に係る書面による理由の提示の内容が前記「前提となる事実」(6)のようなものであったとしても,原告において,いかなる具体的な事実が処分事由に該当するのかを知り得る程度の記載がされているものと認めることができるから,本件各取消処分は,行政手続法14条の規定に違反するものとはいえない。 第4 結論よって,原告の請求はいずれも理由がないから,これらを棄却することとし,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官市村陽典裁判官石井浩裁判官矢口俊哉ページ(16)

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