主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人舟木友比古,同安田好弘,同馬場亮の上告趣意のうち,憲法31条,36条違反をいう点は,死刑制度がこれらの規定に違反するものでないことは当裁判所の判例(最高裁昭和22年(れ)第119号同23年3月12日大法廷判決・刑集2巻3号191頁)とするところであるから,理由がなく,その余は,単なる法令違反,事実誤認,量刑不当の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。 なお,所論にかんがみ記録を調査しても,刑訴法411条を適用すべきものとは認められない。付言すると,記録によれば,本件各犯行時における被告人の完全な責任能力を肯定した原判断は,正当として是認することができる。また,本件は,被告人が,知人のA方を訪問するうちに,Aが多額の現金等を自宅に置いているものと考え,A夫妻を殺害して金品を強取することを企て,A方において,A(当時82歳)の頭部等を用意していた鉄筋等で数回殴打し,電気コードで首を絞め付けて殺害し,その後帰宅したAの妻B(当時75歳)の頭部等を上記鉄筋で数回殴打して殺害した上,定額郵便貯金証書等を強取し,被害者両名の死体を松林内に遺棄したという事案である。本件は,金銭的利欲にかられた計画的犯行であって,罪質が極めて悪質であり,動機及び犯行に至る経緯に酌量の余地はなく,犯行態様も冷酷,非情,残虐である。何ら落ち度のない2名の生命を奪ったという結果は非常に重大で,遺族の被害感情は厳しく,社会に与えた影響も大きい。以上の諸事情に照らすと,被告人に前科がないことなど被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人の罪責は誠に重く,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑はやむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 - 告人に前科がないことなど被告人のために酌むべき事情を十分考慮しても,被告人の罪責は誠に重く,原判決が維持した第1審判決の死刑の科刑はやむを得ないものとして,当裁判所もこれを是認せざるを得ない。 - 1 -よって,刑訴法414条,396条,181条1項ただし書により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり判決する。 検察官井内顯策公判出席平成17年9月26日最高裁判所第二小法廷裁判長裁判官今井功裁判官滝井繁男裁判官津野修裁判官中川了滋裁判官福田博は,退官につき署名押印することができない。 裁判長裁判官今井功- 2 -
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