昭和30(ネ)46 約束手形金請求事件

裁判年月日・裁判所
昭和31年7月9日 札幌高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      原判決を取消す。      被控訴人は控訴人に対し金三十万円およびこれに対する昭和二十八年一 月十五日より完済に至るまで年六分の金員を支払え。      訴訟費用は第一、二審と

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判決文本文3,583 文字)

主    文      原判決を取消す。      被控訴人は控訴人に対し金三十万円およびこれに対する昭和二十八年一 月十五日より完済に至るまで年六分の金員を支払え。      訴訟費用は第一、二審とも被控訴人の負担とする。      この判決は控訴人において金十万円の担保を供するときは仮りに執行す ることができる。          事    実  控訴代理人は、主文第一ないし第三項と同趣旨の判決ならびに仮執行の宣を求 め、被控訴代理人は、控訴棄却の判決を求めた。  当事者双方の事実上の主張は、  控訴代理人において、「控訴人は、本件約束手形の満期の日から一年内である昭 和二十九年一月十五日、被控訴人に対し本件約束手形金支払の催告をなし、更にそ の後六カ月内である同年七月十四日、釧路地方裁判所に、(イ)本件手形金債権の 内金十万円の執行保全のため、被控訴人の有する電話加入権釧路電話局第一〇八二 番の仮差押命令申請(同地方裁判所昭和二十九年(ヨ)第四三号事件)、(ロ)本 件手形金債権の内金十万円の執行保全のため、被控訴人に対する有体動産仮差押命 令申請(同裁判所昭和二十九年(ヨ)第四四号事件)、(ハ)本件手形金債権の内 金十万円の執行保全のため、被控訴人所有の釧路市a町b番原野五畝歩(土地台帳 上宅地百五十四坪五合とあるもの)の仮差押命令申請(同裁判所昭和二十九年 (ヨ)第四五号事件)、をなし、右各申請はいずれも認容せられ、昭和二十九年七 月十六日各差押決定あり、(イ)の申請による電話加入権差押決定はその頃第三債 務者および被控訴人に送達せられ、(ロ)の申請による有体動産仮差押決定に基ず く執行は同年七月二十二日釧路地方裁判所執行吏A代理Bにより執行せられ、 (ハ)の不動産仮差押決定に基ずすく仮差押の登記手続は同月十七日完了し右各仮 差押はいずれも現にその効力を有するもので 決定に基ず く執行は同年七月二十二日釧路地方裁判所執行吏A代理Bにより執行せられ、 (ハ)の不動産仮差押決定に基ずすく仮差押の登記手続は同月十七日完了し右各仮 差押はいずれも現にその効力を有するものである。したがつて、控訴人が昭和二十 九年七月十四日本件債権全額について仮差押命令の申請をなしたことにより、同年 一月十五日の催告は時効中断の効力を生じたものであるから、控訴人の時効の抗弁 は理由がない」と述べ、被控訴代理人において、「控訴人の再抗弁事実中その主張 の日時にその主張とおりの各仮差押命令申請、決定、登記、送達およびその主張の 日時に仮差押の執行があつたことならびに右各仮差押はいずれも現にその効力を保 有することは認めるが、被控訴人が昭和二十九年一月十五日、本件約束手形金の支 払催告を受けた事実は否認する。右催告を受けたのは同月十七日以後のことであ る。なお、仮りに控訴人の主張する日に催告したものとしても、控訴人は右催告後 民法第百五十三条に定める期間内に、仮差押命令の執行に着手しなかつたから、右 催告によつて時効中断の効力を生じなかつたものである。」と述べたほか、原判決 事実らんに記載するところと同一であるから、ここにこれを引用する。  証拠として、控訴代理人は甲第一ないし第三号証を提出し、当審証人C、同Fお よび同Dの各供述を援用し、乙第一号証の一、二の成立を認め、被控訴代理人は乙 第一号証の一、二を提出し、原審証人Eの証言および当審における被控訴本人の供 述を援用し、甲各号証の成立を認めた。          理    由  訴外Eが昭和二十七年十一月二十七日、被控訴人に宛て額面金三十万円、満期昭 和二十八年一月十五日、振出地および支払地釧路市、支払場所株式会社北海道銀行 釧路支店の約束手形一通を振出し、被控訴人は同日、拒絶証書作成の義務を免除し て右手形を控訴 訴人に宛て額面金三十万円、満期昭 和二十八年一月十五日、振出地および支払地釧路市、支払場所株式会社北海道銀行 釧路支店の約束手形一通を振出し、被控訴人は同日、拒絶証書作成の義務を免除し て右手形を控訴人に裏書し、控訴人がその所持人となつた事実は当事者間に争がな い。しかして当審証人Fの供述によると、控訴人が満期に支払場所である自己の営 業所において右手形を所持し、何時でも支払のため呈示しうる準備を整えで、振出 人である訴外Eの来店を待つたが、遂に同人において来店しなかつたため、その支 払を受けることができなかつた事実を認めることができ、右認定をくつがえすに足 りる証拠はない。したがつて、かかる事実の下においては本件手形は、満期にその 支払のため有効に呈示されたものと解するを相当とする。  被控訴人は、本件手形の振出当時、控訴人において被控訴人に対しては右手形金 の請求をしないことを約したものであることを主張するが、その主張にそう当審に おける被控訴本人の供述は原審証人Eおよび当審証人Fの各証言に照してたやすく 信じ難く、他に右事実を認めるに足りる証拠がないから、右主張は採用することが できない。  次に、被控訴人の時効の抗弁について考えるに、成立に争ない甲第二、三号証な らびに当審証人Cおよび同Dの各証言を総合すると、控訴人が本件約束手形の満期 の日から一年内である昭和二十九年一月十五日債権の実現を欲求し、被控訴人に対 して本件手形要件などを記載した書面(甲第二号証)を以て右手形金支払の請求を した事実を認めることができる。右認定に反する原審における被控訴人の供述は前 顕証拠に照し信用できないし、他にこれをくつがえすに足りる証拠はない。もつと も、右請求をなすに当り控訴人は被控訴人に対し本件手形を呈示していないことは 前記証拠上明白であるから、右請求は時効中断の効力を生ぜし 照し信用できないし、他にこれをくつがえすに足りる証拠はない。もつと も、右請求をなすに当り控訴人は被控訴人に対し本件手形を呈示していないことは 前記証拠上明白であるから、右請求は時効中断の効力を生ぜしめ<要旨第一>る催告 とはいわれないとの解釈も成り立ちうるわけであるが、しかし、いやしくも控訴人 が前認定の方法によ</要旨第一>る請求によつて本件手形の権利行使の意思を客観的 に明確にした以上、たとえその手形を呈示しなくとも、右請求を消滅時効中断の効 力を生ぜしめるいわゆる催告と解するのが相当である。しかして、控訴人が昭和二 十九年七月十四日、その主張とおりの各仮差押命令の申請をなし、その主張の時、 これに対する決定およびその送達があつたことならびに控訴人主張の日時、その主 張のような仮差押の執行がなされ、且つその主張とおりの登記がなされ、右各仮差 押がいずれも現にその効力を保有する事実は当事者間に争がない。したがつて、右 事実の下では、前記の催告は、その後六カ月内になした右各仮差押命令の申請によ り、時効中断の効力を生じたものといわなければならおい。  ところが、控訴人は、催告が時効中断の効力を生ずるためには、催告後六カ月内 に仮差押命令の執行に着手<要旨第二>することを要する旨を主張する。しかし仮差 押の申請、即ちその申請書を裁判所に提出した時に時効中断の効</要旨第二>力を生 じ、もし、その命令が実施されなかつた場合においては時効中断の効力を生じない ものと解するを相当とする。けだし、もし仮差押による時効中断の時期をもつてそ の執行があつた時と解するにおいては、裁判所、または、執行機関の手続の遅速に よつて、債権者をして不測の結果を招かしめ、権利者保護に欠くるところがあるば かりでなく、時効中断の時期を訴提起の時とする裁判上の請求と、これを別異に解 すべき実質的な理由も は、執行機関の手続の遅速に よつて、債権者をして不測の結果を招かしめ、権利者保護に欠くるところがあるば かりでなく、時効中断の時期を訴提起の時とする裁判上の請求と、これを別異に解 すべき実質的な理由もないからである。それゆえ以上いずれの点よりするも、被控 訴人主張の時効の抗弁はこれを採用することができない。 以上説示のとおりであ るから、被控訴人は、控訴人に対し本件手形金二十万円およびこれに対する満期で ある昭和二十八年一月十五日から完済に至るまで手形法所定の年六分の法定利息を 支払うべき義務あること当然である。  よつて、右と異る原判決は失当であるからこれを取消すべきものとし、民事訴訟 法第三百八十六条、第九十六条、第八十九条、第百九十六条を適用して主文のとお り判決する。  (裁判長裁判官 猪股薫 裁判官 臼居直道 裁判官 安久津武人)

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