令和3(ワ)1514 地位確認請求事件

裁判年月日・裁判所
令和4年4月21日 札幌地方裁判所
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判決文本文11,902 文字)

1 判 決 主 文1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由第1 請求1 原告と被告とは、原告が平成30年10月1日付けフランチャイズ加盟契約に基づく契約上の地位にあることを確認する。 2 原告と被告とは、原告が平成30年10月1日付けユニットFC契約に基づく契約上の地位にあることを確認する。 3 被告は、原告に対し、1328万7189円及びこれに対する令和3年10月22日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要等1 事案の概要本件は、被告との間でフランチャイズ加盟契約等を締結し、「ほっともっとα店」(以下「本件店舗」という。)を経営していた原告が、被告から上記フランチャイズ加盟契約等の期間満了後の再契約(更新)を拒絶されたこと(以下「本件更新拒絶」という。)に関し、本件更新拒絶は、やむを得ない事由を欠き無効であるとして、原告が上記フランチャイズ加盟契約等に基づく契約上の地位にあることの確認を求めるとともに、本件更新拒絶は、債務不履行又は不法行為に当たるとして、逸失利益及び慰謝料等の合計1328万7189円の支払を求める事案である。 2 前提事実以下の事実は、当事者間に争いがないか、後掲括弧記載の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる。 2 ⑴ 当事者等ア 被告は、「ほっともっと」「やよい軒」の名称で飲食業のフランチャイズ事業を営む株式会社である。 イ 原告は、平成21年3月1日、被告との間で、本件店舗に係る経営委託契約を締結し、平成24年10月以降は、フランチャイズ加盟契約及びこれに付帯するユニットFC契約を締結して、被告の加盟店として本件店舗を経営していた。 月1日、被告との間で、本件店舗に係る経営委託契約を締結し、平成24年10月以降は、フランチャイズ加盟契約及びこれに付帯するユニットFC契約を締結して、被告の加盟店として本件店舗を経営していた。 ⑵ 原告と被告との間の契約原告は、被告との間で、以下のとおり、本件店舗に関する契約を締結した。 ア 平成21年3月1日 経営委託契約イ 平成22年1月1日 経営委託契約ウ 平成23年1月1日 経営委託契約エ 平成24年1月1日 経営委託契約オ 平成24年10月1日 フランチャイズ加盟契約及びユニットFC契約カ 平成27年10月1日 フランチャイズ加盟契約及びユニットFC契約キ 平成30年10月1日 フランチャイズ加盟契約及びユニットFC契約⑶ 前記⑵キのフランチャイズ加盟契約(以下「本件加盟契約」という。)には、契約期間等に関し、以下の定めがある(甲6)。 ア 第7 条(契約の期間)本契約は、本契約を締結した日から効力を生ずる。本契約の期間は、開店日または再契約期間開始日(平成30年10月1日)から3年間が経過する日(平成33年9月30日)に満了する。 イ 第8条(再契約)契約期間満了に際して両当事者が再契約を希望する場合は、期間満了の3ヶ月前に本部にて両当事者の意思確認を行い、記名押印した書面を取り交わすものとする。 3 ⑵ 契約内容については、社会及び経済事情の変化等により現契約書と異なる場合がある。 ⑶ 再契約の期間は、契約期間満了の翌日から3年間とし、加盟者は再契約の際、つぎの再契約料を本部に支払わなければならない。 再契約料 金150,000円也(消費税別途)⑷ 再契約料は、理由の如何を問わず一切返還されな 間満了の翌日から3年間とし、加盟者は再契約の際、つぎの再契約料を本部に支払わなければならない。 再契約料 金150,000円也(消費税別途)⑷ 再契約料は、理由の如何を問わず一切返還されないものとする。 ⑸ 本部は、経済事情の変化等により、再契約料を変更することがある。 ウ 第23条(契約の終了)本契約が終了した場合には、加盟者は、本部に対し以下の各号の義務を直ちに履行するものとする。 ① 加盟者は、有償無償にかかわらず、事業を行うために本部から貸与されている物品等すべてのもの(写しを含む)を直ちに返還しなければならない。 ② 加盟者は、本部に対する未払い債務の期限の利益を喪失し、直ちにその全額を弁済しなければならない。 ③ 加盟者は、第3条に定める標章等の使用並びに店舗運営に関し本部から貸与されたマニュアルの内容その他ほっともっとチェーン運営に関して知り得た一切の情報の使用を直ちに中止し、以後使用してはならない。 ④ 加盟者は、加盟者が本部の運営するフランチャイズチェーンと何らかの関連性を有すると疑われるいかなる行為も行ってはならない。 ⑷ 前記⑵キのユニットFC契約(以下「本件ユニットFC契約」といい、本件加盟契約と併せて「本件契約」という。)には、契約期間等に関し、以下のような定めがある(甲7)。 ア 第11条(契約期間)本契約の契約期間は、加盟契約に準ずるものとする。 イ 第12条(契約の更新) 4 1 本契約の更新は、加盟契約が再契約されることを前提とするものであり、加盟契約が終了したときは、その理由の如何を問わず本契約も当然に終了する。尚、加盟契約が再契約された場合といえども、本契約は更新されない場合がある。 再契約されることを前提とするものであり、加盟契約が終了したときは、その理由の如何を問わず本契約も当然に終了する。尚、加盟契約が再契約された場合といえども、本契約は更新されない場合がある。 2 本契約の更新契約は、現契約と異なる条件となる場合がある。 3 加盟者は、本契約の更新を望む場合、加盟契約の再契約を申し入れる前までに本部に対し、書面でその旨を届けなければならない。 ⑸ 原告は、令和2年2月5日、被告に対し、平成24年10月から令和元年12月までに原告が被告に対して支払った広告宣伝費等のうち月額7万5000円(消費税別)を超えるチラシ折込費用等は原告に支払義務がないとして不当利得の返還又は債務不履行による損害賠償を求める訴訟を札幌地方裁判所苫小牧支部に提起した(この訴訟は、その後、当庁に回付された(当庁令和2年(ワ)第2015号事件)。以下「別件訴訟」という。)。 また、原告は、同日、被告が原告に対して行った値引きの強制等が独占禁止法に抵触するものであるとして、公正取引委員会北海道事務所第一審査課に対して申告を行った。 ⑹ 原告代理人小野寺信勝、同長野順一、同桝井妙子及び本件店舗の従業員であるBは、同日、別件訴訟を提訴したこと及び公正取引委員会に申告を行ったことに関し、記者会見(以下「本件記者会見」という。)を行った。 ⑺ 被告は、令和3年4月22日、原告に対し、原告が一方的に本件記者会見を行い被告の名誉又は信用を毀損したこと等によって、原告と被告との信頼関係は致命的に破綻したとして、同年9月30日をもって本件契約を終了させること、契約終了の翌日以降速やかに本件店舗から退去することを求める旨を通知した(甲36)。 ⑻ 原告は、同年6月21日、被告に対し、本件記者会見は被告の名誉及び信用を毀損するもので を終了させること、契約終了の翌日以降速やかに本件店舗から退去することを求める旨を通知した(甲36)。 ⑻ 原告は、同年6月21日、被告に対し、本件記者会見は被告の名誉及び信用を毀損するものではないから本件更新拒絶にはやむを得ない事由が存在せず 5 無効であるとして、本件加盟契約8条1項に基づき、再契約の希望を表明するとともに、本件更新拒絶の撤回を求める旨通知した(甲38)。 ⑼ 原告及び被告は、同年9月30日、「確認書」と題する書面(乙38、以下「本件確認書」という。)を作成した。 本件確認書の記載内容は、要旨、以下のとおりである。 なお、本件確認書においては、「甲」は被告を、「乙」は原告を、「本件加盟契約」は平成30年10月1日付け本件加盟契約及び本件ユニットFC契約を、「本件付帯契約」は上記本件加盟契約に関連して締結された一切の契約その他の合意を指す。 ア 冒頭部分甲と乙は、本件店舗に関する本件加盟契約及び本件付帯契約につき、以下のとおり確認し、かつ、合意する。 イ 第1条(契約の終了)甲と乙は、本件加盟契約及び本件付帯契約が令和3年9月30日(以下、「満了日」という。)をもって、期間満了により終了することを確認し、本件加盟契約の終了と同時に終了しない本件付帯契約については、満了日をもって解約することに合意した。 ウ 第2条(再契約)甲と乙は、本件店舗の経営につき、本件加盟契約に基づく再契約を締結しないものとする。 エ 第3条(店舗の明け渡し)1.乙は、甲に対し、本件加盟契約及び次の二項の定めに従い、本件店舗を明け渡す。 2.乙は、満了日の22時をもって本件店舗の営業を停止し、その後速やかに、甲に対し、下記事項に従い、明渡を 1.乙は、甲に対し、本件加盟契約及び次の二項の定めに従い、本件店舗を明け渡す。 2.乙は、満了日の22時をもって本件店舗の営業を停止し、その後速やかに、甲に対し、下記事項に従い、明渡を行う。 ①乙は、甲に対し、本件店舗内の在庫食包材等について、甲の立合いの 6 下で棚卸しを行い、甲が定める現時点での価額にて売り渡すこととし、甲は、乙に対し、その売買代金として、同価額の金員支払義務を負うものとする。 【買取り対象品】在庫食包材等(ただし、仕掛り品等については、甲の定める棚卸計算の基準に準ずる)②乙は、甲に対し、本件店舗の営業に必要な顧客情報などを提供する。 ③乙は、甲に対し、本件店舗の鍵を全て渡す。 (3.省略)オ 第4条(清算)(1.~3.省略)4.乙は甲に対し、第1次清算及び最終清算により甲に対する一切の債権債務がなくなること並びに本確認書締結後に本件店舗の現状を変更しないことを保証し、万一、本件店舗の運営中に発生した本件店舗に係る修繕費その他の代金が発覚した場合は、これらの費用または代金を自己の負担と費用で支払うものとする。 カ 第7条(清算条項)甲と乙は、相手方に対し、本確認書に定めるもののほか互に他に一切の債権債務がないことを確認する。 ⑽ 原告は、令和3年9月30日、被告に対し、本件店舗の鍵を引き渡し、本件店舗を明け渡した。 第3 争点及びこれに対する当事者の主張1 争点本件の争点は、①原告は本件契約上の地位にあるか、②被告が原告との間で再契約をしなかったことが債務不履行又は不法行為となるか及び③原告の受けた損害の額である。 7 2 原告が本件契約上の地位にあ は、①原告は本件契約上の地位にあるか、②被告が原告との間で再契約をしなかったことが債務不履行又は不法行為となるか及び③原告の受けた損害の額である。 7 2 原告が本件契約上の地位にあるかについて(原告の主張)⑴ フランチャイズ契約の加盟店は何年もかけて投下資本の回収を予定していること、加盟店は営業実績により顧客を獲得しており営業を保護する必要性があること、加盟店が本部との取引に経済的に依存していることなどに照らせば、フランチャイズ契約の再契約の拒絶には、契約を終了させてもやむを得ない事由が必要である。かかる事由が存在しないにもかかわらず再契約を拒絶した場合、更新拒絶は信義則違反又は権利濫用により無効である。 ⑵ 本件契約では、本件加盟契約8条で再契約が予定されており、原告と被告との本件加盟契約及び本件ユニットFC契約が2度にわたって同じ条件で再契約されていることや、これまで原告と被告との間で平成21年3月1日に経営委託契約を締結してからは12年間、平成24年10月1日に本件加盟契約及び本件ユニットFC契約を締結してからは9年間もの間、原告と被告との間では契約関係が継続していたことから、原告には再契約への期待が生じていた。 また、原告は被告との契約のために多額の投資をしているところ、これを回収するには至っておらず、原告の収入は本件店舗からの収入しかないため、本件契約が終了すると一切の収入を失うことになるなど、原告の生活は被告に依存している。また、本件加盟契約により契約終了後2年間は持ち帰り弁当事業を営むことが禁止されるため、経済的に大きな不利益を被る。 ⑶ 被告は、再契約しない根拠として、記者会見を開いて被告の名誉又は信用を毀損したこと等を主張するが、別件訴訟や記者会見における原告の広告 むことが禁止されるため、経済的に大きな不利益を被る。 ⑶ 被告は、再契約しない根拠として、記者会見を開いて被告の名誉又は信用を毀損したこと等を主張するが、別件訴訟や記者会見における原告の広告宣伝費等についての主張は正当なものであり、いずれもやむを得ない事由には該当しない。 被告による本件更新拒絶は、別件訴訟の提起や記者会見を行ったことに対する意趣返し又は嫌がらせ目的であることは明らかである。 ⑷ 本件確認書について 8 ア 被告担当者であるDオペレーション・フィールド・カウンセラー(以下「DOFC」という。)は、令和3年9月28日、原告に対し、本件確認書に署名しなければ、①本件店舗の従業員を被告において再雇用しないこと、②本件店舗の在庫食包材を買い取らないので、原告において同月30日までに処分すること、③保証金は返金しないことを伝えて、本件確認書に署名することを求めた。 原告は、本件確認書に署名すれば、本件訴訟において不利に働くと考え、原告代理人らと相談し、本件確認書1条及び2条について削除することを求めた。これに対し被告は、同条項を削除するなどの修正には一切応じられないと返答したため、本件契約に基づく契約上の地位にあることの確認を求める権利は放棄しない旨の意思を表示し、本件確認書に署名した。 また、本件確認書は、本件店舗の明渡しのために作成されたものであり、本件訴訟の対象となる請求権も含めた債権債務を対象としたものではない。 したがって、本件確認書1条、2条及び7条に関する部分については、原告と被告との間で合意が成立していない。 イ 仮に、本件確認書への署名をもって、合意が成立するとしても、原告は、本件確認書へ署名しないことによる多大な不利益を避けるため する部分については、原告と被告との間で合意が成立していない。 イ 仮に、本件確認書への署名をもって、合意が成立するとしても、原告は、本件確認書へ署名しないことによる多大な不利益を避けるため署名したものであり、原告の真意としては、本件確認書1条、2条及び7条に対応する意思がなかった。被告代理人も本件確認書について本件訴訟で主張しない旨を述べており、このような原告の真意を知り、または知ることができたのであるから、本件確認書は心裡留保により無効である。 ウ また、原告は本件確認書に署名したとしても、本件訴訟に影響を与えないとの認識をもっていたのであり、この認識の錯誤は、本件確認書の目的及び取引通念に照らし重要なものであるから、原告は、本件確認書による意思表示を錯誤により取り消す。 エ 本件確認書により原告が受ける不利益は甚大である一方、本件確認書に署 9 名しないことにより原告が受ける不利益も甚大であって、原告には本件確認書に署名する以外に選択肢はなかった。このような原告の窮余に乗じて本件確認書に署名させた行為は極めて悪質であり、本件確認書は民法上又は民事訴訟法上の信義則に反し無効である。 (被告の主張)⑴ 本件契約は、契約期間の満了によって終了するため、予告期間内にされた更新拒絶は原則として有効であり、その更新拒絶が信義則に反し又は権利の濫用に該当する場合には例外的に更新拒絶の行使が許されないと解すべきであって、やむを得ない事由がない限り契約関係が終了しないというものではない。 ⑵ 原告は、被告による本件更新拒絶は、やむを得ない事由を欠くものであり信義則違反又は権利濫用に当たると主張する。 原告は、新聞等に、被告が劣悪な契約条件のもと利益も上げられずまともな生活費も得られないような る本件更新拒絶は、やむを得ない事由を欠くものであり信義則違反又は権利濫用に当たると主張する。 原告は、新聞等に、被告が劣悪な契約条件のもと利益も上げられずまともな生活費も得られないような過酷な仕事をフランチャイジーに強制しているかの如き否定的な印象を与える報道をさせ、被告の社会的評価を低下させたほか、本件記者会見を行うなどして、被告が独占禁止法に違反しているかの如き否定的な印象を不特定多数の者に与えて被告の社会的評価を低下させた。また、原告は、新聞等に対し、本件更新拒絶が意趣返しであり違法であるなどと報道させ、被告が意趣返しで契約の更新を違法に拒絶するような企業であるとの否定的な印象を不特定多数の者に与え、被告の社会的評価及び信用を低下させた。 原告のこれらの行為は、マスコミを悪用して一方的に自己の主張又は事実認識の正当性のみを社会一般に流布するものである。 また、原告は、広告宣伝費等につき7万5000円を超えて支払う義務がないと主張し、被告の企画するキャンペーンに参加しないことにより、本件加盟契約第15条③号に違反し、令和2年1月27日から同年3月18日にかけて、被告が、原告に対し本件加盟契約19条1項に基づき提出を求めた書面の提出を拒絶するなど、原告による本件加盟契約違反が認められる。 10 したがって、被告と原告との本件契約上の信頼関係は決定的に破綻しているものといわざるを得ない。 ⑶ また、原告及び被告は、令和3年9月30日、本件確認書を作成しており、本件確認書1条及び2条によれば、原告と被告との間の本件契約は終了しており、被告に再契約の義務はないといえる。 本件確認書に関する原告の主張はいずれも争う。 3 債務不履行又は不法行為の成否について(原告の主張) 告と被告との間の本件契約は終了しており、被告に再契約の義務はないといえる。 本件確認書に関する原告の主張はいずれも争う。 3 債務不履行又は不法行為の成否について(原告の主張)⑴ 被告には、信義則又は原告との間の黙示の合意に基づいて、本件契約を再契約する義務がある。そして、本件契約はフランチャイズ契約であって継続的契約であるから、信義則上、再契約せずに契約を更新しないためにはやむを得ない事由が必要である。前記2で主張したとおり、本件契約について再契約しないことについてやむを得ない事由は存在しないのであるから、被告には、本件契約の再契約義務の不履行がある。 ⑵ 仮に、被告に本件契約の再契約義務がないとしても、原告と被告との間で本件契約が2度更新され、9年間継続していたことや、原告の初期投資の回収が未了であること、本件店舗の賃貸借期間は15年であること等に照らせば、原告には、本件契約の再契約について合理的期待が認められ、本件更新拒絶は、かかる合理的期待を正当な理由なく侵害するものであって、不法行為が成立する。 ⑶ 損害についてア 逸失利益 908万7189円被告による再契約の拒絶によって、原告は、少なくともあと3年間本件店舗を運営することができるという合理的期待を侵害されたのであり、この3年間に得られたであろう利益を失った。その額は、過去9年間の所得金額に照らし、908万7189円となる。 11 イ 慰謝料 300万円被告による再契約の拒絶により、原告は合理的期待を侵害され、精神的苦痛を被ったのであり、これに対する慰謝料は300万円を下らない。 ウ 弁護士費用 120万円エ 合計 1328万7189円⑷ 本件確認書7条には清算条項が定められている 神的苦痛を被ったのであり、これに対する慰謝料は300万円を下らない。 ウ 弁護士費用 120万円エ 合計 1328万7189円⑷ 本件確認書7条には清算条項が定められているが、原告は、本件確認書への署名をもって、被告に対する損害賠償請求権を放棄したものではない。 (被告の主張)⑴ 否認する。 本件更新拒絶は、不法行為にも債務不履行にも当たらない。 また、原告と被告は本件確認書を作成しており、原告の請求は理由がない。 ⑵ 損害についてはいずれも争う。仮に逸失利益が認められるとしても、損益相殺すべきである。 第4 当裁判所の判断1 認定事実前記前提事実、後掲括弧記載の各証拠及び弁論の全趣旨によれば、次の事実が認められる。 ⑴ア 原告は、令和3年9月29日午前11時頃、原告代理人らに対し、本件確認書に署名することについて助言を求め、原告代理人小野寺信勝は、原告に対し、本件確認書に署名することにより本件訴訟及び今後予定している損害賠償請求が棄却されるおそれがあるので、本件確認書には署名しないよう助言した(弁論の全趣旨)。 イ 同月30日午前頃、原告代理人小野寺信勝及び同大和田貴史は、本件店舗に赴き、DOFCとの話合いに参加し、本件確認書1条及び2条は、本件訴訟に影響を与えるおそれがあるため本件確認書には署名できないこと、確認書の作成が必要なのであれば、1条及び2条を削除するよう修正することを 12 求めた(弁論の全趣旨)。 ⑵ 原告代理人らは、同日午後1時15分頃、被告代理人に対し、「ご連絡」と題する書面(以下「ご連絡①」という。)をFAXで送信した(乙43)。 ご連絡①には、「確認書には、依頼人とプレナスが再契約しない旨の条項が含まれており 分頃、被告代理人に対し、「ご連絡」と題する書面(以下「ご連絡①」という。)をFAXで送信した(乙43)。 ご連絡①には、「確認書には、依頼人とプレナスが再契約しない旨の条項が含まれておりますが(1条、2条)、依頼人とプレナスとの間で地位確認の本案訴訟が係属するなかで、確認書に署名した場合、訴訟において、確認書を根拠として、依頼人が再契約をしないことに同意している旨主張をされることを懸念しております。そこで、DOFCには第1条及び第2条を削除するよう求め、仮に削除できない場合は訴訟に影響を与えないような特約を付するよう求めておりました。ところが、DOFCは貴職からの助言として、本日中に確認書の第1条及び第2条の削除も、特約の記載もできないと回答があり、確認書への署名ができない場合は、前述のとおり、従業員の再契約はできないなどという主張を繰り返しました。そこで、改めて貴職に対し、確認書第1条及び第2条を削除することを求めます。仮に、第1条及び第2条を削除できない場合には、第2条に但書として「ただし、乙は、札幌地方裁判所令和3年(ワ)第1514号事件において本件加盟契約等の契約上の地位にあることの確認を求める権利を放棄するものではない」など、本案訴訟に影響を与えないような文言を加えてください。仮に、第2条への但書などへの付記も拒否する場合には、貴職において依頼人が確認書に署名したことを、本案訴訟において主張しない旨の文言を当職らに差し入れてください。」という記載がある。 ⑶ 原告代理人らは、同日午後4時4分頃、被告代理人に対し「ご連絡」と題する書面(以下「ご連絡②」という。)をFAXで送信した(乙44)。 ご連絡②には、「依頼人は、確認書に署名することに不安はありますが、札幌地方裁判所令和3年(ワ)1514号事件において本件 題する書面(以下「ご連絡②」という。)をFAXで送信した(乙44)。 ご連絡②には、「依頼人は、確認書に署名することに不安はありますが、札幌地方裁判所令和3年(ワ)1514号事件において本件加盟契約等の契約上の地位にあることの確認を求める権利を放棄するものではないという意見を付したうえ、確認書に署名することとします。」との記載がある。 13 ⑷ 被告代理人は、同日、原告代理人らに対し、回答書を送付した(乙45)。 同回答書には、「確認書第1条及び第2条は、そのとおり事実であり、削除することはできません。また、「但書」の提案については、本案訴訟の効力の問題であり、Aさんが「放棄するものではない」というのはAさんの一方的意思表示でもあり、他に方法もあるものと思われるので、応じられません。」との記載がある。また、確認書に署名したことを本案訴訟において主張しない旨の文書を差し入れることについても応じられるものではない旨記載がある。 2 判断⑴ 本件確認書に原告の署名・押印があることに争いはないから、本件確認書は原告の意思に基づき作成されたものと推定される。また、本件確認書には、令和3年9月30日をもって本件契約が終了することを確認する旨の記載(本件確認書1条)及び本件店舗の経営につき、本件加盟契約に基づく再契約を締結しないことを確認する旨の記載(本件確認書2条)があるから、原告と被告は、上記各事項を合意したものと推定される。 ⑵ 原告は、本件契約に基づく契約上の地位の確認を求める権利は放棄しない旨の意思を表示した上で本件確認書に署名していることや本件確認書は、本件店舗の明渡しのために作成されたものである旨指摘して、本件確認書1条、2条及び7条に関する部分については、原告と被告との間で合意が成立してい 示した上で本件確認書に署名していることや本件確認書は、本件店舗の明渡しのために作成されたものである旨指摘して、本件確認書1条、2条及び7条に関する部分については、原告と被告との間で合意が成立していないなどと主張する。 しかし、前記認定事実によれば、本件確認書原案について、原告代理人らが被告に対し、第1条及び第2条の削除や、文言の付加を求めたが、被告がこれら提案を受け入れなかったものと認められるから、原告が主張する上記留保が当事者間で合意がされたと認めることはできない。 また、本件確認書は、本件店舗の明渡しのために作成されたものであるとの原告の主張も、本件確認書の冒頭部分で本件確認書の合意対象が本件契約と明記されていること及び本件確認書の他の記載内容と明らかに矛盾する主張で 14 あり、採用できない。 ⑶ したがって、原告と被告は、本件確認書により、原告と被告との間の本件契約は令和3年9月30日の満了をもって終了したこと及び本件契約が再契約されないことを合意したものと認められる。 ⑷ 原告は、本件確認書記載の合意が認められるとしても、①本件確認書への署名は原告の真意ではなく心裡留保により無効である、②本件確認書が本件訴訟に影響を与えないものと認識していたのであるから錯誤により取り消す、③被告代理人が本件確認書の内容を本件訴訟で主張しない旨約束していた、④本件確認書は、その作成経緯に照らし、民法上又は民事訴訟法上の信義則に反するなどと主張する。 しかし、前記認定事実によれば、原告は、原告代理人から、本件確認書に署名することによって本件訴訟に係る請求が棄却されるおそれがある旨伝えられたことが認められ、原告は、本件確認書が本件訴訟に係る請求に与える効果を認識した上で本件確認書に署名したものと推認されるか に署名することによって本件訴訟に係る請求が棄却されるおそれがある旨伝えられたことが認められ、原告は、本件確認書が本件訴訟に係る請求に与える効果を認識した上で本件確認書に署名したものと推認されるから、原告の上記主張①及び②は理由がない。また、原告の上記主張③については、これを的確に裏付ける証拠はないし、原告の上記主張④は、前記認定した本件確認書作成の経緯に照らし、採用できない。 ⑸ 以上によれば、原告と被告との間の本件契約は令和3年9月30日の満了をもって終了したこと及び本件契約が再契約されないことを合意したと認められるから、原告が本件契約に基づく契約上の地位にあることの確認を求める請求は理由がない。 また、原告と被告の上記合意に照らせば、被告が再契約に応じないことが債務不履行又は不法行為に当たるとはいえない。加えて、本件確認書7条の清算条項により原告と被告は相互に本件確認書に定める事項以外に一切の債権債務がないことを確認しているのであるから、原告の債務不履行又は不法行為に基づく損害賠償請求は、その余の点について検討するまでもなく理由がない。 15 第5 結論よって、原告の請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第3部 裁判長裁判官中 野郎 裁判官水 野 峻 志 裁判官田 中 大 地

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