平成18(行ウ)38 帰化申請不許可処分取消等請求事件

裁判年月日・裁判所
平成20年3月12日 名古屋地方裁判所
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判決文本文17,719 文字)

平成20年3月12日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成18年(行ウ)第38号帰化申請不許可処分取消等請求事件口頭弁論終結の日平成19年12月27日判決主文 本件帰化の許可の義務付けを求める訴えを却下する。 原告のその余の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 処分行政庁が原告に対し平成17年12月15日付けでした帰化不許可処分を取り消す。 処分行政庁は,原告に対し,平成17年4月20日付け帰化の許可申請に基づき帰化を許可せよ。 第2事案の概要本件は,原告が,国籍法(以下「法」ともいう。)に基づいて帰化の許可申請(以下「本件帰化申請」という。)をしたところ,法務大臣(処分行政庁)から不許可処分(以下「本件不許可処分」という。)を受けたため,その取消しを求めるとともに,法務大臣に対し帰化の許可の義務付けを求める事案である。 なお,本判決に引用する国籍法の内容は,別紙関係法令のとおりである。 前提事実(争いがないか,証拠上明らかである。)(1) 当事者原告は,1957年(昭和32年)▲月▲日生まれのパキスタン・イスラム共和国(以下「パキスタン」という。)国籍を有する外国人男性であり,平成2年▲月▲日に日本人のA(昭和35年▲月▲日生。)と婚姻し,いずれも日本国籍を有する長男B(平成3年▲月▲日生),二男C(平成7年▲月▲日生),三男D(平成9年▲月▲日生),四男E(平成13年▲月▲日生)をもうけた。 原告は,昭和59年12月13日,自動車並びに自動車部品,家庭用電気製品,コンピューター,複写機の輸出入及び国内販売等を目的とするI有限会社(資本金800万円。本店所在地は原告肩書地と同じ。以下「I社」という。)を設立し,その代表取締役を務めており,A及び実弟F(1 ,コンピューター,複写機の輸出入及び国内販売等を目的とするI有限会社(資本金800万円。本店所在地は原告肩書地と同じ。以下「I社」という。)を設立し,その代表取締役を務めており,A及び実弟F(1962年▲月▲日生。)がその取締役を務めている。 また,原告は,宗教法人Jの代表役員を務めている。 (2) 本件不許可処分及び本訴の提起法務大臣は,原告が平成17年4月20日付けで名古屋法務局長を経由してした本件帰化申請に対し,同年12月15日付けで本件不許可処分をし,同月20日ころ原告にこれを通知した。 原告は,平成18年5月31日,本件不許可処分の取消し及び帰化の許可の義務付けを求める本件訴えを提起した。 (3) 法5条1項1,2,4~6号の条件ア原告は,昭和61年9月24日に上陸許可を受けて本邦に上陸してから現在まで日本に住所を有しており,平成8年7月17日に永住者の在留資格を取得した。 イ原告は,現在20歳以上であり,本国法によっても行為能力を有する。 ウ原告は,I社から取締役報酬を得ており,また,原告肩書地所在の土地(宅地170.89㎡)及び同土地上の建物(鉄骨造3階建居宅・事務所・車庫総床面積406.87㎡。平成11年8月築)をFと共有し(共有持分は各2分の1),その一部をI社に賃貸して賃料収入を得ており,これらの給与所得及び不動産所得の合計額(申告額)は,平成14年分が約1562万円,平成15年分が約1564万円,平成16年分が約1562万円である。Aも,平成16年度にI社から取締役報酬として290万円の支払を受けている(ただし,事業により生じた損失を申告し,取締役報酬の源泉徴収税分9万3000円の還付を受けている。)。 原告は,上記のとおり肩書地所在の土地及び同土地上の建物の共有持分を有しているほか,Aと共にI社の株式を86 により生じた損失を申告し,取締役報酬の源泉徴収税分9万3000円の還付を受けている。)。 原告は,上記のとおり肩書地所在の土地及び同土地上の建物の共有持分を有しているほか,Aと共にI社の株式を86.25%保有し,本件帰化申請時において,原告名義の預金残高が約770万円,A名義の預金残高が約500万円であった。 エパキスタンにおいては,同国人が外国に帰化することによって国籍を自動的に喪失するという制度又は外国への帰化前に国籍を離脱することができるという制度を採っていないが,原告は,日本人であるAと婚姻関係にあり,本件帰化申請の手続において,日本に帰化したときはパキスタン国籍を即時に放棄することを宣誓した平成17年8月29日付け「即時放棄宣誓書」を作成して提出した。 オ原告は,日本国憲法又はその下に成立した日本政府を暴力で破壊することを企て,若しくは主張し,又はこれを企て,若しくは主張する政党その他の団体を結成し,若しくは加入したことがない。 カ以上の事実に照らせば,原告は,法5条1項1,2,4~6号の条件(5号の条件につき,同条2項により許可条件が認められる場合を含む。)を満たし,又は満たす蓋然性が高い。 争点 本件の争点は,本件不許可処分の違法性の有無であり,これに関する当事者の主張は,次のとおりである。 (原告の主張)(1) 帰化不許可処分の違法性の判断の在り方ア法務大臣は,外国人に対して帰化を許可するか否かにつき広範な裁量権を有しており,被告が問題としている法5条1項3号の「素行が善良であること。」との条件(以下「素行条件」という。)の該当性を判断するに当たっても,裁量権を有していることは認めざるを得ないが,裁量権の行使として行われた処分であっても,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があった場合は違法となり,訴訟により取り 。)の該当性を判断するに当たっても,裁量権を有していることは認めざるを得ないが,裁量権の行使として行われた処分であっても,裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があった場合は違法となり,訴訟により取り消すことができる。 素行条件該当性の判断に当たっては,当該外国人を日本の国民共同体の一員とすることによって,何らの支障を来さない者であるか否かにより決し,日本の社会における通常人の素行を標準として,それに劣らないことを必要とし,かつ,それで足りると解すべきである。そして,ここで問題となる裁量は,判断の根拠とした事実の評価の点だけであるから,何ら専門技術的,政策的,政治的及び外交的な判断を要さないため,その裁量の幅は自ずと限定される。 イしたがって,素行条件該当性の判断について法務大臣に裁量が認められるとしても,本来最も重視すべき諸要素,諸価値を不当,安易に軽視し,その結果,当然尽くすべき考慮を尽くさず,又は本来考慮に入れるべきでない事項を考慮に入れ,若しくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し,これらのことにより法務大臣の判断が左右されたものと認められる場合には,当該判断は,とりもなおさず裁量判断の方法又はその過程に誤りがあるものとして,違法となるものと解すべきである。 ウまた,仮に本件では上記イの基準が当てはまらないとしても,その判断の基礎とされた重要な事実に誤認があること等により,当該判断が全くの事実の基礎を欠くか,又は事実に対する評価が明白に合理性を欠くこと等により,当該判断が社会通念に照らし著しく妥当性を欠くことが明らかな場合は,当該判断は裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものとして違法であると解すべきである。 (2) 本件不許可処分の違法性の有無についてア(ア) 被告は,第3回口頭弁論期日において,本件不許可処分の理由 判断は裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものとして違法であると解すべきである。 (2) 本件不許可処分の違法性の有無についてア(ア) 被告は,第3回口頭弁論期日において,本件不許可処分の理由は,原告が代表取締役を務めるI社の銀行取引及び労務関係が問題となり得ることを指摘した。 しかし,I社の銀行取引については,何ら社会的に非難されるべき部分はなく,銀行取引に何らかの問題があるという主張は全くの事実誤認であって,素行条件を満たさないことの根拠とはなり得ない。 また,I社の労務関係について,被告は,労働基準法15条1項,32条1項及び89条(平成15年法律第104号による改正前のもの。以下同じ。)違反や不法就労助長行為があったと主張するが,法務大臣は,本件不許可処分をした時点においてこれらの事実を認識していなかったことが強く推認される(被告が指摘する不法就労助長行為の事実は,原告が本件訴訟で提出した陳述書に記載したものである。)。 (イ) したがって,法務大臣は,本件不許可処分当時,I社の銀行取引又は労務関係に何らかの問題があると判断していたのではなく,他の理由に基づいて本件不許可処分をしたものといわざるを得ない。 この点,原告は,本件不許可処分当時,イスラム教に帰依し,宗教法人であるJの代表役員を務めていたが,当時,我が国はイスラム教国であるイラクやアフガニスタンで戦争を推し進めるアメリカを支持支援していたから,法務大臣は,原告がイスラム教信者として活動しているとの一事をもって,本件不許可処分をしたものと容易に推測できる。 しかし,我が国において信教の自由は外国人にも保障されているし,「素行」とはその語義からして当該外国人の私生活上の言動を対象としているから,当該外国人の宗教は,素行条件該当性の判断において決して考慮に入れてはならな おいて信教の自由は外国人にも保障されているし,「素行」とはその語義からして当該外国人の私生活上の言動を対象としているから,当該外国人の宗教は,素行条件該当性の判断において決して考慮に入れてはならない事柄である。 そうすると,法務大臣は,本件不許可処分をするに当たり,原告の宗教という本来決して考慮に入れてはならない事柄を考慮に入れたことによりその判断が左右されたものといえるから,本件不許可処分は,裁量判断の方法又はその過程に誤りがあるものとして,違法である。しかも,考慮の対象が原告の宗教である以上,その違法性の程度は非常に高いものといわざるを得ない。 イ次に,仮に法務大臣が,本件不許可処分当時,労働基準法15条1項,32条1項及び89条違反や不法就労助長行為に係る具体的事実を認識した上で原告が素行条件を満たさないと判断したものとしても,次に述べるとおり,本件不許可処分は違法である。 (ア) I社に係る労働基準法違反についてI社は,平成14年6月6日,名古屋西労働基準監督署長から,労働基準法15条1項,32条1項及び89条違反について監督指導を受け是正勧告(以下「本件是正勧告」という。)を受けたが,その違反は,意図的なものではなく,過失に基づいた軽微な内容にすぎない。そして,多数の人員を抱える大企業ではなく,I社のような中小企業では,労務担当専門の従業員を置いたり,従業員に労働法の専門知識を持たせることは困難であり,I社が当該違反をしたのはやむを得ないことというべきである。 原告は,I社の労務関係を最古参の従業員であるHに任せていたが,外国人である原告としては,労務関係が労働基準法に即しているかについては,日本人である担当従業員に任せることも十分に合理性があるし,法規違反に気付かないまま継続するのもやむを得ないといえるし,労働基準法違反 る原告としては,労務関係が労働基準法に即しているかについては,日本人である担当従業員に任せることも十分に合理性があるし,法規違反に気付かないまま継続するのもやむを得ないといえるし,労働基準法違反の反社会性の程度は,刑法及び租税法違反とは明らかに異なる。 また,平成14年当時,全国で実施された定期監督等の件数は13万1878件に上り,事業場に対して是正勧告が行われたのはその約63%に当たる8万2744件であり,特に,I社が該当する商業では,この違反割合は68.8%もの高割合に及ぶ。その具体的な内容を見ると,労働条件の明示(労働基準法15条),労働時間(同法32条,40条),就業規則(同法89条)に関しては,それぞれ8712件,2万9351件,1万7509件という相当数の是正勧告がされ,特に,商業では,労働条件の明示について約14.8%,労働時間について約35.5%,就業規則について約24.7%もの違反が認められる。 I社の所在地を管轄する愛知労働局作成の「平成18年監督実施状況及び措置状況」によれば,その違反割合は,全国統計を上回り,商業に限ると,労働条件の明示については約16%,労働時間については実に40.32%(ただし,これについては,同法32条以外に34条,35条,40条を含めた統計であるが,平成14年の全国の違反状況から分かる32条,34条,35条の割合からすると,そのほとんどが32条,40条違反であると考えられる。),就業規則については約30.56%もの割合で是正勧告がされているから,これらの違反は典型的かつ一般的なものにすぎず,I社の労務関係が通常の会社に比べて劣るとは到底いえない。 (イ) I社に係る不法就労助長行為についてI社は,一時期Gという「短期滞在」の在留資格しか有していない外国人を雇っていたが,これは,Fから,G の労務関係が通常の会社に比べて劣るとは到底いえない。 (イ) I社に係る不法就労助長行為についてI社は,一時期Gという「短期滞在」の在留資格しか有していない外国人を雇っていたが,これは,Fから,Gは将来日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を取得する予定であると説明を受けたため,信頼して雇い入れたのであって,その後も原告はFに何度も注意しており,原告は積極的に雇用に関与したものでないし,雇用期間も短いから,原告の違法性は軽微であるというべきである。 (ウ) その他の事情a原告の前科・前歴関係原告は,来日してから現在まで刑法違反行為は一切行っておらず,道路交通法違反についても,平成16年7月12日に時速20㎞以上25㎞未満の速度超過違反を1回行ったのみであり,強い遵法精神を有している。 b原告の納税等の関係原告は,所得税(平成14年分が173万3300円,平成15年分が215万0900円,平成16年分が215万0600円),市・県民税(平成15年度が113万2800円)をそれぞれ納期限内に全額納付しており,日本に居住する者として,十分な社会的義務を果たしている。 c原告の職業,経営する会社の状況原告は,昭和59年11月12日に設立したI社の代表取締役である。 I社は,中古自動車輸出業,英語学校及びトルコ料理のファストフード店「K」を営んでいるところ,I社は,古物営業許可及び飲食店営業許可をいずれも取得しており,取扱業務内容及び業務の遂行態様ともに法に適わない部分はなく,経営状況も順調である。なお,I社は,平成14年5月事業年度に若干の過少申告加算税,延滞税及び延滞金を課されたものの,納付すべき金額を納期に納めており,納税義務の遵守に欠けるところはない。このように,I社は,法律に基づいた健全な企業活動を行っている。 d原告 の過少申告加算税,延滞税及び延滞金を課されたものの,納付すべき金額を納期に納めており,納税義務の遵守に欠けるところはない。このように,I社は,法律に基づいた健全な企業活動を行っている。 d原告の家族関係・日常生活原告は,平成2年▲月▲日,Aと婚姻して4人の子供をもうけ,家族と共に日本で生活し,平成11年には原告及びFが共有する土地上に両名の共有名義の3階建居宅・事務所・車庫を建築し,同建物3階で原告夫婦,4人の子供及び原告の実母の7人が,同建物2階でFが生活している。原告は,神奈川県横須賀市在住のAの両親と,家族ぐるみの親密な交際を続けている。 このように,原告は,日本において良好かつ安定した日常生活を送っている。 (エ) 以上のとおり,原告は,日本において遵法精神に富み,社会的義務を十分に果たし,日本社会に根ざした良好かつ安定した生活を送っており,原告は素行条件を満たすものである。 被告が主張する労働基準法違反の事実は,過失に基づく,軽微かつありふれた違反にすぎない。しかも,会社とその代表者とは別人格であるから,会社の労働基準法違反をもって,直ちに代表者個人の素行が不良であるとは認められない。 したがって,当該労働基準法違反をもって,原告が素行条件を満たさないとした法務大臣の判断は,本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し,これらのことにより法務大臣の判断が左右されたものであり,裁量判断の方法又はその過程に誤りがあるというべきであるし,また,上記のとおりI社の違法性が軽微であることからすると,法務大臣が原告の素行が通常人より劣るとして素行条件を欠いていると判断することは,事実に対する評価が明白に合理性を欠き,社会通念に照らし著しく妥当性を欠いているというべきであるから,本件不許可処分が違法であることは明らかである。 (被告の主張 条件を欠いていると判断することは,事実に対する評価が明白に合理性を欠き,社会通念に照らし著しく妥当性を欠いているというべきであるから,本件不許可処分が違法であることは明らかである。 (被告の主張)(1) 帰化不許可処分の違法性の判断の在り方について帰化は,国家という一つの共同体が,本来その共同体に属さない個人を新たにその共同体の構成員として認め,国籍を付与することである。国籍は,国家の主権者の範囲を確定し,国家の属人的統治権の範囲を限定する高度の政治的事項であって,これを付与するための要件,付与を求める申請の方式,付与された場合の効果等についてはもちろん,その要件や方式が一応具備されている場合にこれを付与するかどうかについても,当該国家が自由に決定することができるものと解すべきである。 我が国は法5~9条に帰化の条件を規定しているところ,帰化の許否は,当該外国人の一切の行状,国内の政治・経済・社会等の諸事情,国際情勢,外交関係,国際礼譲など諸般の事情をしんしゃくしなければ,適切かつ的確な判断をすることが到底できないものであるし,また,国益の保護の観点からみた場合には,国内はもとより国際的にも広範な情報を収集しその分析の上に立ち,その時々に応じて,的確な判断をすることが求められている。 このような帰化の許否の判断の性質からすれば,帰化許可申請に対し許可を与えるかどうかは,法務大臣の極めて広範な裁量にゆだねられており,しかも,その考慮事項に制約はないというべきである。 以上のとおり,法務大臣が帰化を許可することができるためには,法5条1項各号の条件を具備することを要し,かつ,その上でも,帰化の許否に関する判断については,法務大臣に極めて広範な裁量があり,その判断に当たって考慮すべき事情には制約がないというべきであるから,その裁量権の行使に 件を具備することを要し,かつ,その上でも,帰化の許否に関する判断については,法務大臣に極めて広範な裁量があり,その判断に当たって考慮すべき事情には制約がないというべきであるから,その裁量権の行使に当たって恣意が許されないことは当然であるにしても,法務大臣の帰化の許否に関する判断が裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものとして違法であるとされるのは,極めて限定された例外的な場合であることは明らかである。 そして,帰化の不許可決定の違法性を主張してその取消しを求める者は,処分の違法性,すなわち,法務大臣が裁量権の範囲を逸脱し又はそれを濫用して決定を行ったことを基礎付ける具体的事実について主張,立証責任を負うと解すべきである。 (2) 本件不許可処分の違法性の有無についてア法務大臣は,本件不許可処分に当たり,原告の素行条件(法5条1項3号)など諸条件の充足性等を考慮したものであり,その際,原告が代表取締役を務めるI社が,平成14年6月6日,名古屋西労働基準監督署長から監督指導を受けた上,労働基準法15条1項,32条1項及び89条の規定に違反したことにより本件是正勧告を受けた事実や,原告が出入国管理及び難民認定法73条の2第1項1号に定める不法就労助長に該当する行為を行った疑いがある事実も考慮されたものである。 したがって,本件不許可処分について,法務大臣が裁量権の範囲を逸脱し又はそれを濫用した事実がないことは明らかであるから,取消訴訟については理由がなく,原告の請求は棄却されるべきであり,その違法性を前提とする義務付けの訴えについては,訴訟要件を欠き不適法であり却下されるべきである。 イ原告の素行条件の有無に関わる主張のうち,I社の労働基準法違反及び不法就労助長に係る主張について,次のとおり反論する。 (ア) 原告は,I社の労働基準法違 を欠き不適法であり却下されるべきである。 イ原告の素行条件の有無に関わる主張のうち,I社の労働基準法違反及び不法就労助長に係る主張について,次のとおり反論する。 (ア) 原告は,I社の労働基準法違反の程度は軽微であると主張するが,そもそもI社が違反した労働基準法15条1項,32条1項及び89条は,いずれも罰則をもって担保されている使用者に課された法令上の義務であり(32条1項違反につき119条1号,15条1項及び89条の各違反につき120条1号),当該各違反事実をもって,その違反の程度が軽微であるとは到底いえない。 (イ) 原告は,愛知労働局作成の「平成18年監督実施状況及び措置状況」を根拠として,I社の労務関係が通常の会社に比べて劣るとは到底いえないと主張するが,定期監督等の実施対象は,過去の監督指導結果や労働者からの通報等の各種情報等に基づき選定されていることからすれば,これをもって「通常の」会社と比較したものとして論ずるのは,そもそもその前提を誤るものである。そして,すべての業種のうち,労働基準法15条違反が認められた割合は8.2%,同法32条等労働時間関係の違反が認められた割合は28.2%,同法89条違反が認められた割合は17.3%であるから,単純計算ではあるが,これら3種の義務すべてに違反が認められた割合は0.4%となるのであり,I社の労務関係が通常の会社と比較して劣るとは到底いえないなどという主張は成り立ち得ない。 (ウ) 原告は,I社の労務関係について,最古参の従業員であるHに任せていたことは,外国人である原告としては十分に合理性があり,法規違反に気が付かないまま継続するのもやむを得ず,直ちに原告の素行と結びつけることはできないと主張するが,労務関係の事務をその従業員に分担させることはともかくとしても,労働基準法15条1項 あり,法規違反に気が付かないまま継続するのもやむを得ず,直ちに原告の素行と結びつけることはできないと主張するが,労務関係の事務をその従業員に分担させることはともかくとしても,労働基準法15条1項,32条1項及び89条に基づく義務の名あて人は使用者であるから,従業員にその事務を分担させたことにより生じた同法違反の結果については,使用者である当該会社の代表者がその責任を負担すべきものである。 また,我が国において,事業を営もうとする以上,我が国の労働関係法規を遵守することは当然のことといえ,I社の労働基準法違反の事実をもって,直ちに原告の素行と結びつけることはできないなどとは到底いえない。 (エ) 原告は,労働基準法違反の反社会性の程度は,刑法及び租税法違反とは明らかに異なると主張するが,そもそもその主張の根拠が不明な上,労働基準法は,労働条件の最低基準や使用者が遵守すべき職場規範を設定する法であって,その主たる目的が,労働条件や職場のルールに関する使用者の単独決定に枠をはめ,それを通じて労働者の健康,安全,人間に値する労働条件の実現を図ることにあることからすれば,原告が主張するように労働基準法違反の反社会性の程度が,刑法や租税法違反とは明らかに異なるとは到底いえないのである。 (オ) I社は,「短期滞在」の在留資格しか有していないGを雇用していたところ,原告は,Gの不法就労について,I社の取締役であるFが独断で雇い入れたものであるなどと主張するが,原告において,Gに就労資格がないことを認識したにもかかわらず,FやGからいずれ就労資格を得られるとの説明を受けたことにより,雇い入れることを受け入れ,むしろGの不法就労を容認していたのである。もとより,原告は,I社の代表取締役で,資本の過半数を有する実質的なオーナーでもあることからすれば,資格外 明を受けたことにより,雇い入れることを受け入れ,むしろGの不法就労を容認していたのである。もとより,原告は,I社の代表取締役で,資本の過半数を有する実質的なオーナーでもあることからすれば,資格外活動を行おうとする外国人の不法就労を打ち切ることが可能な立場にありながら,あえて4か月もの間,不法就労を継続させたことには何らの合理的な理由は見いだせず,この点についても,原告の「素行が善良である」とはいえない。 (カ) 原告が提出した平成18年11月29日付け陳述書(甲60)には,I社が本件是正勧告を受けた事実が記載されていないが,同陳述書中に,雇用契約書を作成して雇用条件を明示していること,就業規則を作成,変更して名古屋西労働基準監督署長に届け出ていること,就業規則には労働時間として1週間に平均42時間,土曜日も勤務と規定されていたが,平成15年10月からは週40時間とし週休2日制に変更していることなどを記載している上,I社の労務関係については,原告に報告される体制であったとのことであるから,原告が上記陳述書を作成した時点で,労働基準法違反の事実を認識していたにもかかわらず,これを記載しなかったことが明らかである。 第3当裁判所の判断 帰化不許可処分の違法性の判断の在り方について国籍法は,外国人は帰化によって日本の国籍を取得することができ,帰化をするには法務大臣の許可を得なければならないとした上(4条),法務大臣が帰化の許可をするための条件を定めている(5~9条)。ところで,国籍は,国家の主権者の範囲を確定する高度の政治的事項であり,それぞれの国の歴史的事情,伝統,環境等の要因によって左右されるところが大きいことから,これを付与するための要件,付与を求める申請の方式,付与された場合の効果等をどのように定めるかについてはもちろん,その の国の歴史的事情,伝統,環境等の要因によって左右されるところが大きいことから,これを付与するための要件,付与を求める申請の方式,付与された場合の効果等をどのように定めるかについてはもちろん,その要件や方式が一応具備されている場合にこれを付与するかどうかについても,当該国家が広範な裁量権を有しているものと解される。したがって,法務大臣が国籍法に基づく帰化の許可申請に対する判断をする際にも,広範な裁量権を有しており,法5条1項各号の条件を備える外国人に対しても,なおその帰化を許可するか否かについて,当該外国人の一切の行状,国内の政治,経済,社会的事情,国際情勢,外交関係等の諸般の事情を総合的に考慮して決することができるものと解するのが相当である。 そうすると,法務大臣の帰化の許否に関する判断が違法とされるのは,上記の広範な裁量権を前提にしても,なお裁量権の範囲を逸脱し又はそれを濫用したものと認められる場合に限定され,帰化の不許可処分の違法性を主張してその取消しを求める者は,法務大臣が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用して処分を行ったことを基礎付ける具体的事実について主張,立証責任を負うものと解される。 本件不許可処分の違法性の有無について(1) 法5条1項1,2,4~6号の条件について前記前提事実(3)記載のとおり,原告は,法5条1項1,2,4~6号の条件(5号の条件につき,同条2項により許可条件が認められる場合を含む。)を満たし,又は満たす蓋然性が高いものと認められる。 (2) 法5条1項3号の素行条件についてア原告が代表取締役を務めるI社は,平成14年6月6日,名古屋西労働基準監督署長から,労働基準法15条1項,32条1項及び89条違反について監督指導を受け本件是正勧告を受けた(調査嘱託回答書)。本件訴訟において,I社が交付を 社は,平成14年6月6日,名古屋西労働基準監督署長から,労働基準法15条1項,32条1項及び89条違反について監督指導を受け本件是正勧告を受けた(調査嘱託回答書)。本件訴訟において,I社が交付を受けた本件是正勧告に係る勧告書は提出されておらず,その内容は明らかではないものの,後掲各証拠によれば,次の事実が認められる。 (ア) I社は,平成14年6月当時,15人程度の従業員を雇用しており,そのうち9人についての雇用契約に係る文書が存在するものの,他の者についての雇用契約に係る文書が存在しておらず,I社は,これらの者のうち少なくとも4人について,雇用契約書によって労働条件を明示することなく雇用した(甲65の6,68~76,105,証人A,原告本人)。 (イ) I社は,平成14年6月当時の勤務時間が,平日が午前9時~午後6時(内1時間が休憩時間)の8時間であったが,土曜日の午前9時~午後4時(内1時間が休憩時間)の6時間についても,従業員が交代で電話番のために勤務しており,土曜日の勤務については時間外手当を支払っていなかった(甲104~106,証人A,原告本人)。 (ウ) I社は,平成14年当時常態として10人以上の従業員がいたにもかかわらず就業規則を作成していなかったところ,本件是正勧告を受けたことを契機として,就業規則を作成し,従業員の代表者と労働基準法36条1項に基づく時間外労働に関する協定をした上,平成14年9月10日,名古屋西労働基準監督署長に対し,従業員の代表者の意見書を添付した同就業規則と,時間外労働に関する協定書を届け出た。I社は,その後,就業規則の一部を変更し,同年12月2日,従業員の代表者の意見書を添付した同就業規則を同監督署長に届け出た(甲57の1~3,58,59の1~3,60,65の1~12,105,106,原告本人) の後,就業規則の一部を変更し,同年12月2日,従業員の代表者の意見書を添付した同就業規則を同監督署長に届け出た(甲57の1~3,58,59の1~3,60,65の1~12,105,106,原告本人)。 イI社が本件是正勧告を受けたのは,労働基準法15条1項違反につき上記ア(ア)の事実関係を,同法32条1項違反につき上記ア(イ)の事実関係を,同法89条違反につき上記ア(ウ)の事実関係を理由とするものと認められる。 この点,愛知労働局は,過去の監督指導結果,各種の情報,労働災害の報告等を契機として定期監督等を行っているところ(乙2の1),同労働局作成の「平成18年監督実施状況及び措置状況」(甲64,乙2の2)によれば,同労働局が平成18年に定期監督を実施した件数はすべての業種の合計で6145件,商業につき615件であるところ,このうち,労働基準法15条違反が認められたのはすべての業種につき507件(8.2%),商業につき98件(15.9%),同法32条等労働時間関係の違反が認められたのはすべての業種につき1738件(28. 2%),商業につき248件(40.3%),同法89条違反が認められたのはすべての業種につき1066件(17.3%),商業につき188件(30.5%)であることが認められる。これらの割合は,愛知労働局が管轄する地域に存するすべての事業場を基にしたものではなく,上記のとおり,過去の監督指導結果,各種の情報,労働災害の報告等により定期監督等の必要性が認められてこれが実施された事業場を基にしたものであるから,すべての事業場を基にすれば,上記の違反が認められた割合は極めて小さくなることが明らかであるし,I社のように労働基準法15条1項,32条1項及び89条の3種の法規違反が認められる事業場の割合を算出すれば,その割合が更に小さくなる の違反が認められた割合は極めて小さくなることが明らかであるし,I社のように労働基準法15条1項,32条1項及び89条の3種の法規違反が認められる事業場の割合を算出すれば,その割合が更に小さくなることは明らかである。 したがって,I社の上記労働基準法違反は,すべての事業場を基にした割合でみれば決して軽微かつありふれた違反とはいえないし,I社が平成16年1~4月に「短期滞在」の在留資格しか有していないチリ人のGをKの従業員として雇用し4か月間にわたり不法就労活動をさせたことが認められること(甲60,証人A,原告本人)を併せ考慮すれば,I社の労働関係法規の違反は,我が国の事業場が通常行っている同法規の遵守の程度に照らしても,悪質なものであるということができる。そして,I社の同法規違反の事実は,その代表者である原告の素行条件の該当性について疑問を抱かせる十分な理由となり得るものと解される。 なお,原告は,I社の労務関係について,最古参の従業員であるHに任せていたことは外国人である原告としては十分に合理性があり,法規違反に気が付かないまま継続するのもやむを得ないし,「短期滞在」の在留資格しか有していないGを雇用したことについて,FからGは将来日本人と結婚して「日本人の配偶者等」の在留資格を取得する予定であると説明を受けたため信頼して雇い入れたのであって原告は積極的に雇用に関与したものでないから,これらの事実を直ちに原告の素行と結びつけることはできないと主張する。しかし,I社は従業員が十数人程度の会社であるから,その代表取締役である原告は,雇用契約の締結,就業時間の設定,就業規則の作成等の状況を把握していたはずである上,原告は労働基準法上の使用者(同法10条)として同法を遵守すべき義務を負っていたのであるから,原告の上記主張を前提としても,I社の 就業時間の設定,就業規則の作成等の状況を把握していたはずである上,原告は労働基準法上の使用者(同法10条)として同法を遵守すべき義務を負っていたのであるから,原告の上記主張を前提としても,I社の労働基準法違反及び不法就労助長の事実が原告の素行と結びつかないものであるとは到底いうことができない。 (3) そうすると,原告は法5条1項3号の素行条件の該当性に疑問を抱かせる十分な理由が認められることに加え,法務大臣が法5条1項各号の条件を備える外国人に対しても,なおその帰化を許可するか否かについて,上記1のとおり,諸般の事情を総合的に考慮して決することができる広範な裁量権を有していることにかんがみれば,原告が素行が善良であるとして主張する前記第2の2(原告の主張)(2)イ(ウ)の事情を考慮してもなお,法務大臣が本件不許可処分をするに当たり裁量権の範囲を逸脱し又はその濫用があったものとは認められない。 (4) なお,原告は,本件訴訟の進行の経緯に照らして,法務大臣が本件不許可処分当時I社の銀行取引又は労務関係に何らかの問題があると判断したのではなく,他の理由に基づいて本件不許可処分をしたものであって,裁量判断の方法又はその過程に誤りがあるといわざるを得ず,法務大臣は原告がイスラム教信者として活動している一事をもって本件不許可処分をしたものと容易に推測できる旨主張する。 本件訴訟における被告の主張,立証経緯についてみると,被告は,平成18年9月6日付け第1準備書面において,法務大臣は原告の素行条件など諸条件を勘案した結果本件不許可処分をした旨主張し,同月13日の第2回口頭弁論期日及び同年10月27日の第3回口頭弁論期日において,原告の素行条件該当性に関してI社の銀行取引や労務関係等が問題となり得ることを指摘したが,その具体的内容には何ら言及しなか 3日の第2回口頭弁論期日及び同年10月27日の第3回口頭弁論期日において,原告の素行条件該当性に関してI社の銀行取引や労務関係等が問題となり得ることを指摘したが,その具体的内容には何ら言及しなかった。その後,名古屋西労働基準監督署長から提出された平成18年4月9日付け(平成19年4月9日付けの誤記と認める。)の調査嘱託回答書に,同監督署長が平成14年6月6日にI社に対して監督指導を実施し,労働基準法15条1項,32条1項及び89条の違反について本件是正勧告をした事実が記載され,また,原告が平成18年12月15日の第4回口頭弁論期日に提出した同年11月29日付け陳述書(甲60)に,I社が観光ビザしか有していないGを雇用した事実が記載されていた。被告は,平成19年5月18日付け第3準備書面において,I社の労働基準法違反や不法就労助長の事実を初めて具体的に主張したが,その内容は,上記の調査嘱託回答書や原告の陳述書(甲60)に基づいたものとなっている。 以上の被告の主張,立証の経過に照らせば,被告が本件訴訟においてI社の労働基準法違反や不法就労助長として主張する具体的な事実関係は,本件訴訟提起後に提出された証拠に基づいているものと認められ,法務大臣が本件不許可処分時にこれらの具体的な事実関係を把握していたか否か疑問の余地がないではないものの,被告は,第2回口頭弁論期日において,原告の素行条件該当性については,I社の銀行取引や労務関係が問題となり得ることを指摘しており,法務大臣は,本件不許可処分時において,少なくともI社の労務関係の問題性を把握していたものと認められる。 このことに加え,法務大臣が帰化の許否の判断をするに当たっては,上記1のとおり,諸般の事情を総合的に考慮して決することができる広範な裁量権を有していること,原則として国家がいっ ものと認められる。 このことに加え,法務大臣が帰化の許否の判断をするに当たっては,上記1のとおり,諸般の事情を総合的に考慮して決することができる広範な裁量権を有していること,原則として国家がいったん与えた国籍は後にこれを一方的に剥奪することができないこと,帰化の許可申請に対し,何らかの不安要素があれば今しばらく当該外国人の生活状況を観察することとして当該申請を不許可にすることも許されると解すべきことを併せ考慮すれば,仮に,法務大臣が,本件不許可処分時において,本件訴訟で明らかになったI社の労働基準法違反や不法就労助長の具体的な事実関係を把握していなかったとしても,そのことから,直ちに,本件不許可処分が,その裁量判断の方法又はその過程において誤りがあるとはいえない。また,法務大臣が原告のイスラム教信者としての活動を根拠に本件不許可処分をした旨の原告主張も,これを認めるに足りる証拠はない。 (5) したがって,本件不許可処分は違法であると認めることができないから,本件不許可処分の取消請求は理由がない。 そして,法務大臣に対し本件帰化申請に係る許可の義務付けを求める訴えは,本件不許可処分が取り消されるべきものであるか無効若しくは不存在であるときに限って提起することができるものであるから(行政事件訴訟法37条の3第1項),その要件を欠いて不適法である。 結論 以上によれば,法務大臣に対し本件帰化申請に係る許可の義務付けを求める訴えは不適法であるから却下し,原告のその余の請求は理由がないから棄却することとして,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部松並重雄裁判長裁判官前田郁勝裁判官片山博仁裁判官(別紙)関係法令【国籍法の定め】(帰化)4条日本国民でない者(以下「外国人」という。)は,帰化 民事第9部松並重雄裁判長裁判官前田郁勝裁判官片山博仁裁判官(別紙)関係法令【国籍法の定め】(帰化)4条日本国民でない者(以下「外国人」という。)は,帰化によつて,日本の国籍を取得することができる。 2項帰化をするには,法務大臣の許可を得なければならない。 5条法務大臣は,次の条件を備える外国人でなければ,その帰化を許可することができない。 1号引き続き5年以上日本に住所を有すること。 2号20歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。 3号素行が善良であること。 4号自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。 5号国籍を有せず,又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。 6号日本国憲法施行の日以後において,日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て,若しくは主張し,又はこれを企て,若しくは主張する政党その他の団体を結成し,若しくはこれに加入したことがないこと。 2項法務大臣は,外国人がその意思にかかわらずその国籍を失うことができない場合において,日本国民との親族関係又は境遇につき特別の事情があると認めるときは,その者が前項第5号に掲げる条件を備えないときでも,帰化を許可することができる。 6条次の各号の一に該当する外国人で現に日本に住所を有するものについては,法務大臣は,その者が前条第1項第1号に掲げる条件を備えないときでも,帰化を許可することができる。 1号日本国民であつた者の子(養子を除く。)で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有するもの2号日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し,又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの3号引き続き10年以上日本に 以上日本に住所又は居所を有するもの2号日本で生まれた者で引き続き3年以上日本に住所若しくは居所を有し,又はその父若しくは母(養父母を除く。)が日本で生まれたもの3号引き続き10年以上日本に居所を有する者7条日本国民の配偶者たる外国人で引き続き3年以上日本に住所又は居所を有し,かつ,現に日本に住所を有するものについては,法務大臣は,その者が第5条第1項第1号及び第2号の条件を備えないときでも,帰化を許可することができる。日本国民の配偶者たる外国人で婚姻の日から3年を経過し,かつ,引き続き1年以上日本に住所を有するものについても,同様とする。 8条次の各号の一に該当する外国人については,法務大臣は,その者が第5条第1項第1号,第2号及び第4号の条件を備えないときでも,帰化を許可することができる。 1号日本国民の子(養子を除く。)で日本に住所を有するもの2号日本国民の養子で引き続き1年以上日本に住所を有し,かつ,縁組の時本国法により未成年であつたもの3号日本の国籍を失つた者(日本に帰化した後日本の国籍を失つた者を除く。)で日本に住所を有するもの4号日本で生まれ,かつ,出生の時から国籍を有しない者でその時から引き続き3年以上日本に住所を有するもの9条日本に特別の功労のある外国人については,法務大臣は,第5条第1項の規定にかかわらず,国会の承認を得て,その帰化を許可することができる。

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