令和6年10月18日判決言渡同日原本領収裁判所書記官令和5年(ワ)第15294号損害賠償請求事件口頭弁論終結日令和6年7月26日判決 主文 1 原告の主位的請求をいずれも棄却する。 2 原告の予備的請求のうち地位確認請求に係る訴えを却下する。 3 原告のその余の予備的請求を棄却する。 4 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求⑴ 主位的請求被告は、原告に対し、379万円及びこれに対する令和5年2月13日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 ⑵ 予備的請求ア被告は、原告に対し、26万8000円及びこれに対する令和5年7月22日から支払済みまで年3分の割合による金員を支払え。 イ原告と被告との間において、原告が降級点を持たずに順位戦のクラスであるC級1組に在籍する地位にあることを確認する。 第2 事案の概要本件は、棋士である原告が、鼻を露出した態様でのマスク着用(以下「鼻マスク」という。)を行い、対局に臨んでいたところ、被告はこれが臨時対局規定に違反するとして、原告を3度にわたり反則負けとする処分をし、更には3か月の対局停止とする懲戒処分(以下「本件懲戒処分」という。)を行ったが、被告は臨時対局規定の解釈を誤っており、本件懲戒処分は違法であると主張し て、被告に対し、主位的に不法行為による損害賠償請求権に基づき、支払を受けられなかった対局料合計26万8000円、降級点が付いたことにより減少した参稼報償金19万2000円、降級点が付いたこと等による精神的損害300万円、弁護士費用33万円の合計379万円及びこれに対す られなかった対局料合計26万8000円、降級点が付いたことにより減少した参稼報償金19万2000円、降級点が付いたこと等による精神的損害300万円、弁護士費用33万円の合計379万円及びこれに対する本件懲戒処分の日である令和5年2月13日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払を求め、予備的に本件懲戒処分が無効であるとして、上記未払対局料26万8000円の支払及び訴状送達の日の翌日である令和5年7月22日から支払済みまで民法所定の年3分の割合による遅延損害金の支払並びに原告が降級点を持たずに順位戦のクラスであるC級1組に在籍する地位にあることの確認をそれぞれ求める事案である。 1 前提事実(証拠等を掲記しない事実は当事者間に争いがない。以下、引用の際には「前提事実⑴ア」などと表記する。)⑴ 当事者ア原告は、被告の正会員の地位にある棋士である。原告は、本件懲戒処分の時点でC級1組に在籍していた。 イ被告は、将棋の普及発展と技術向上を図り、我が国の文化の向上、伝承に資するとともに、将棋を通じて諸外国との交流親善を図り、もって伝統文化の向上発展に寄与することを目的とする公益社団法人である。 ⑵ 臨時対局規定の制定及び施行被告は、令和4年1月26日、臨時対局規定(以下「本件規定」という。)を制定し、同年2月1日、同規定を施行した。本件規定には、以下のような定めがある。(甲2)ア第1条対局者は、対局中は、一時的な場合を除き、マスク(原則として不織布)を着用しなければならない。ただし、健康上やむを得ない理由があり、かつ、あらかじめ届け出て、常務会の承認を得た場合は、この限りではない。 イ第3条対局者が第1条の規定に反したときは、反則負けとする(本文)。 ウ第4条 むを得ない理由があり、かつ、あらかじめ届け出て、常務会の承認を得た場合は、この限りではない。 イ第3条対局者が第1条の規定に反したときは、反則負けとする(本文)。 ウ第4条前条の反則負けの判定は立会人が行う。この判定に不服がある対局者は、判定後1週間以内に、その内容を常務会に提訴することができる。 ⑶ 原告の反則負けア原告は、令和5年1月10日、第81期順位戦C級1組9回戦・A七段(以下「A七段」という。)戦において、鼻マスクで対局を行い、本件規定1条に違反するものとして反則負けとなった(以下「本件反則負け処分1」という。)。 イ原告は、令和5年2月1日、第49期棋王戦コナミグループ杯・B七段(以下「B七段」という。)戦において、前記アと同様の理由により本件規定1条に違反するとして反則負けとなった(以下「本件反則負け処分2」という。)。 ウ原告は、令和5年2月5日、ABEMAトーナメント2023・D六段(以下「D六段」という。)戦において、前記ア及びイと同様の理由により本件規定1条に違反するとして反則負けとなった(以下「準公式戦での反則負け」という。甲9、乙17)。 エ原告は、令和5年2月7日、第81期順位戦C級1組10回戦・E六段(以下「E六段」という。)戦において、前記ア、イ及びウと同様の理由により本件規定1条に違反するとして反則負けとなった(以下「本件反則負け処分3」といい、本件反則負け処分1及び本件反則負け処分2と合わせて「本件各反則負け処分」という。)。 ⑷ 原告の懲戒処分ア被告は、令和5年2月13日、本件各反則負け処分及び準公式戦での反則負けが、原告の実質的な対局の放棄でもあり、これらの行為が本件規定 1条並びに対局規定第3章9条3項及び第2章1条に違反 ア被告は、令和5年2月13日、本件各反則負け処分及び準公式戦での反則負けが、原告の実質的な対局の放棄でもあり、これらの行為が本件規定 1条並びに対局規定第3章9条3項及び第2章1条に違反し、倫理懲戒規程5条1項1号及び5号に該当するとして、原告に対し、倫理懲戒規程5条2項1号に基づき、令和5年2月13日から同年5月12日までの3か月間の対局停止の懲戒処分(本件懲戒処分)を行った。 イ被告の対局規定には、以下のような定めがある(甲11、20)。 ㋐第2章(総則)第1条(棋士・女流棋士の公務)公式棋戦の対局は棋士・女流棋士の第一の公務であり、定められた公式棋戦には全て出場しなければならない。 ㋑第3章(対局の進行)第9条(立会人)対局者は、立会人の裁定及び処置に従うものとする(3項)。 ウ被告の倫理懲戒規程第5条(懲戒)は、以下のように定める(甲13)。 ㋐会員が、被告の名誉を毀損し又は被告の目的に反する行為をしたときや被告の諸規定に違反したときは、倫理委員会の提案を受け、理事会の決議によって当該会員を懲戒することができる(1項1号、5号)。 ㋑懲戒の種類は、無期又は一定期間の対局の停止(1号)、無期又は一定期間の被告主催・共催催事への参加停止(2号)、制裁金の賦課、対局料・催事謝金の一部又は全部の没収(3号)、書面又は口頭による戒告(4号)とする(2項)。 ⑸ 本件懲戒処分に伴う対局料の不払原告は、本件懲戒処分により、①令和5年2月22日に対局予定であった第73回NHK杯戦(対F六段)、②同年3月1日に対局予定であった第73期ALSOK杯王将戦(対G五段)、③同月7日に対局予定であった第81期C級1組順位戦(対H七段)について、それぞれ不戦敗となり、これら3局 杯戦(対F六段)、②同年3月1日に対局予定であった第73期ALSOK杯王将戦(対G五段)、③同月7日に対局予定であった第81期C級1組順位戦(対H七段)について、それぞれ不戦敗となり、これら3局の対局料合計26万8000円が不払となった。 ⑹ 参稼報償金の減少原告は、令和4年度(令和4年6月9日から令和5年3月14日まで)中 に実施された第81期C級1組順位戦の成績が1勝9敗となり、降級点を取った(なお、降級点を2つ取るとC級2組に降級するところ、原告は令和5年度中に実施された第82期順位戦でも降級点を取ったため降級し、令和6年5月27日の時点でC級2組に在籍している〔原告本人20頁〕。)。令和5年度に実施された順位戦における原告の参稼報償金月額は9万6000円であり、仮に前年度に降級点を取らなければ月額11万4000円であった(弁論の全趣旨)。 2 争点及びこれに対する当事者の主張の要旨⑴ 争点⑴(主位的請求に係る訴えが裁判所の司法審査の対象となるかどうか)(被告の主張)本件懲戒処分は、被告内部における懲戒作用として、実質的に対局を放棄した原告に対し、被告団体内部における権利行使を3か月間の対局停止という形で一時的に制限したものにすぎない。また、原告の棋士としての地位に影響がないこと、原告に与える経済的不利益が比較的少額にとどまること、既に対局停止期間が終了していることからすると、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分は、原告の一般市民法秩序における権利利益に直接影響を与えるものではなく、被告内部の自治的、自律的な解決に委ねるのが適当であり、裁判所の司法審査の対象とはならないから、これを前提とする原告の主位的請求に係る訴えは、却下されるべきである。 (原告の主張)被告の主張を争う。 ⑵ な解決に委ねるのが適当であり、裁判所の司法審査の対象とはならないから、これを前提とする原告の主位的請求に係る訴えは、却下されるべきである。 (原告の主張)被告の主張を争う。 ⑵ 争点⑵(本件各反則負け処分及び本件懲戒処分が不法行為といえるかどうか)(原告の主張)原告と被告との間には、少なくとも対局に関して、原告を被用者とし、被告を使用者とする雇用契約類似の法的関係が認められ、本件各反則負け処分 及び本件懲戒処分について、懲戒権濫用法理(労働契約法15条)が類推適用される。したがって、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分が、将棋の普及発展と技術向上という目的達成との関係で、客観的に合理的な理由を欠き社会通念上相当であると認められない場合には、被告がその権利を逸脱濫用したものとして違法・無効となる。また、上記相当性を判断するに当たっては、被告には、社会通念上、対局に関連して、棋士の人格的尊厳を侵してはならず、その実力を発揮することに重大な支障を来す事由が発生することを防ぎ、棋士が十分に実力を発揮できる環境を保つよう対局運営するという注意義務があることに留意されなければならない。 本件規定1条は、マスクの具体的な着用方法等について定めておらず、かかる規定から、必然的に「常に鼻を覆う状態でマスクを着用し続けなければならない」ことを読み取ることはできない。また、マスク着用は場面によっては飛沫感染対策として一定の合理性がある一方で、エアロゾル・空気感染の防止効果は極めて限定的であることを踏まえると、社会通念上、上記のような読み方をすることが相当ともいえない。そうすると、マスクから鼻を露出していたにすぎない原告は本件規定1条に違反しておらず、対局規定第3章9条3項及び第2章1条にも違反しているとはいえない 記のような読み方をすることが相当ともいえない。そうすると、マスクから鼻を露出していたにすぎない原告は本件規定1条に違反しておらず、対局規定第3章9条3項及び第2章1条にも違反しているとはいえないから、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分は根拠を欠く。 仮に本件規定1条が上記のように読み取られるとしても、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分は、①原告が被告の方針に反対する姿勢を示していたことを踏まえた狙い撃ちであること(平等原則違反)、②「本人の意に反してマスクの着脱を無理強いすることにならないよう」にとの政府の注意喚起に反するものであること、③マスク着用による弊害には個人差があり、原告がマスクから鼻を露出させていたことにはパフォーマンス低下や健康に対するリスクを低減するという合理性があったにもかかわらず、一律に鼻まで覆う形でのマスク着用を義務付けてしまっていることからすると、社会通念上 相当であるとは認められず、裁量の逸脱濫用により違法・無効である。また、本件懲戒処分は、順位戦を含んだ3局を不戦敗とするもので、原告に与える不利益は甚大である。 以上によると、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分は、根拠なく原告の権利を侵害するものであり、不法行為を構成する。 (被告の主張)原告の主張を争う。本件懲戒処分は、被告の各規定に従い適正手続に則って行われている以上、違法であるとの評価を受ける余地がない。また、各棋士は労働者ではなく個人事業主であり、被告と棋士が雇用関係にあるとは評価できないため、懲戒権濫用法理の類推適用の余地はない。 本件規定1条には、マスクの着用方法の定めまではないが、全ての運用を規定にすることは現実的ではなく、被告にはその具体的な運用に関して裁量があり、対局中は対局規定第3章9条が定める立会人が はない。 本件規定1条には、マスクの着用方法の定めまではないが、全ての運用を規定にすることは現実的ではなく、被告にはその具体的な運用に関して裁量があり、対局中は対局規定第3章9条が定める立会人が裁定を行う。そして、被告は、マスクを鼻まで覆うという政府の方針に従って本件規定1条を解釈・適用しており、立会人もこの方針に従って裁定を行っているところ、被告は、原告に対してマスクを鼻まで覆うよう要請し、立会人の指示に従わないと反則負けになる旨も予告するなどしてきたので、原告も上記解釈・適用について当然理解していたはずである。本件規定は、コロナ禍でも適切に棋戦を運営するため、常務会にて慎重に審議の上、理事会で決定し、制定施行された。また、本件規定1条によると、マスクを苦しく感じる者は、席を立って周りの人と2メートル以上の距離を確保してマスクを外すことが可能であり、そのことは被告の会員に対して周知されていた。したがって、被告による本件規定1条の解釈・適用には合理性があり、原告に本件規定1条違反があることは明らかである。 ①原告は、立会人から複数回にわたり事前に注意と反則負けになる旨の予告をされているにもかかわらず、故意に従わなかったため、本件各反則負け 処分を受けたのであり、原告を狙い撃ちにしたような事実はない。②原告は、新型コロナウイルス感染症対策に関する政府の方針から「本人の意に反してマスクの着脱を無理強いすることにならないよう」にとの記載を殊更に取り上げるが、上記方針においても「屋内で他者と身体的距離(2メートル以上)が取れない場合等はマスク着用が推奨」されている。③プロ棋士は、対戦相手と同じ対局ルールに従い、同じ条件下で実力を発揮することが強く求められており、離席するなどルールに従ってマスクを外すことは可能であること等に鑑みれば、 着用が推奨」されている。③プロ棋士は、対戦相手と同じ対局ルールに従い、同じ条件下で実力を発揮することが強く求められており、離席するなどルールに従ってマスクを外すことは可能であること等に鑑みれば、対局時に正しいマスクの着用を求めることに合理性がある。 そうすると、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分には、合理的な理由があり、被告に裁量の逸脱濫用はない。 ⑶ 争点⑶(原告の損害)(原告の主張)被告の不法行為により原告が被った損害は、本件懲戒処分により不払となった対局料合計26万8000円、本件反則負け処分1及び本件反則負け処分3並びに本件懲戒処分に起因して第81期C級1組順位戦で降級点が付いたことにより逸失した1年分の参稼報償金の差額である19万2000円、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分により降級点が付いたこと、思わぬ形で世間の注目を浴びたこと、被告から「実質的な対局の放棄を行った」などと揶揄されたこと等により被った精神的損害を金銭に換算した額である300万円及び弁護士費用に相当する33万円の合計379万円である。 (被告の主張)原告の主張を争う。原告が降級点を取ったのは、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分の結果ではなく、これらの処分以前の1勝6敗という原告の成績に原因があるので、因果関係がない。また、次年度以降の成績次第で降級点を消すことができたのであり、原告の精神的損害についても本件各反則負け処分及び本件懲戒処分と因果関係はない。 ⑷ 争点⑷(予備的請求の成否)(原告の主張)被告に不法行為責任が成立しないとしても、本件懲戒処分は違法・無効であることから、原告は、被告に対する対局料支払請求権に基づき、不戦敗となった3局の対局料合計26万8000円の支払を求める。 被告に不法行為責任が成立しないとしても、本件懲戒処分は違法・無効であることから、原告は、被告に対する対局料支払請求権に基づき、不戦敗となった3局の対局料合計26万8000円の支払を求める。 また、本件反則負け処分1及び本件反則負け処分3並びに本件懲戒処分を原因として、第81期C級1組順位戦において、原告に降級点が付いた。これにより、原告の参稼報償金が減少し、被告の正会員として正当な対価の支払を受けて公務である対局を行う法的地位が侵害され、最下位のクラスで強制引退の可能性があるC級2組に降級する可能性を生じさせるという重大な不利益を原告に与えるものである。したがって、原告が降級点を持たずに順位戦のクラスであるC級1組に在籍する法的地位にあることの確認の訴えの利益が認められるところ、被告による上記各処分は違法・無効であり、原告の成績が4勝6敗となって降級点が付かなかった可能性は否定できないから、上記確認請求が認められる。 (被告の主張)争点⑴の(被告の主張)のとおり、裁判所の司法審査の対象とならないため、予備的請求に係る訴えについても却下されるべきである。また、本案に関する原告の主張は争う。 第3 当裁判所の判断 1 認定事実(以下、引用の際には「認定事実⑴ア」などと表記する。)証拠(各項末尾に掲記したもの)及び弁論の全趣旨によると、以下の事実が認められる。 ⑴ 本件規定が制定された経緯ア被告は、会員に対し、令和2年2月10日に「新型コロナウイルス感染拡大防止の対応について」と題する通知で新型コロナウイルス感染拡大防 止のための措置を周知して以降、マスク着用の奨励等の感染拡大防止策を順次策定して、定例報告会や会報等で周知してきた。大多数の棋士等はこれらに応じたものの、原告を含む一 コロナウイルス感染拡大防 止のための措置を周知して以降、マスク着用の奨励等の感染拡大防止策を順次策定して、定例報告会や会報等で周知してきた。大多数の棋士等はこれらに応じたものの、原告を含む一部の棋士が対局中や将棋会館内でマスクを着用しないことがあり、対局相手、同室の対局者、事務局などからの苦情が相次ぎ、直接注意をするなどしても状況の改善がみられなかったため、被告の理事会は、顧問弁護士とも協議しつつ、取り得る対策を検討し、その結果として、令和4年1月26日に本件規定の制定を決議した。(乙3の1及び2、10、11、15、16、原告本人6、7頁)イ新型コロナウイルス感染症対策分科会は、令和3年6月16日、「変異株が出現した今、求められる行動様式に関する提言」において、「マスクを鼻にフィットさせたしっかりとした着用を徹底すること。その際には、適切な方法で着用できることを第一とした上で、感染リスクの比較的高い場面では、できればフィルター性能の高い不織布マスクを着用すること。」などを求められる行動様式として示した(乙19)。また、新型インフルエンザ等対策特別措置法18条に基づく、日本政府の新型コロナウイルス感染症対策本部の令和3年11月19日付け(令和4年5月23日変更)「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」(以下「基本的対処方針」という。)では、「「マスクの着用」については、屋内において、他者と身体的距離(2m 以上を目安)がとれない場合、他者と距離がとれるが会話を行う場合、屋外において他者と距離がとれず会話を行う場合は、マスクの着用を推奨する。」との記載がある一方で、「屋内において他者と身体的距離がとれて会話をほとんど行わない場合は、マスク着用は必要ない。」、「本人の意に反してマスクの着脱を無理強いすることにな マスクの着用を推奨する。」との記載がある一方で、「屋内において他者と身体的距離がとれて会話をほとんど行わない場合は、マスク着用は必要ない。」、「本人の意に反してマスクの着脱を無理強いすることにならないよう、丁寧に周知する。」との記載もあった(乙6)。 ⑵ 本件規定の内容の周知等ア被告の常務会は、令和4年1月27日、定例報告会において、本件規定 を制定したこと及びその内容を説明し、以後に開催された定例報告会においても、対局中のマスク着用要請を継続した。また、被告の常務会は、全ての棋士等に対し、同月28日、本件規定の記載されたPDFファイルを添付して、本件規定を制定した旨、本件規定のマスクを外す「一時的な場合」とは、食事をしているとき、飲み物を飲むとき、周りに人がいない(2メートル以上離れているとき)等を想定していること、その他のケースについては対局規定第1章2項に基づいて常務会の判断となること等を記載した電子メールを送信した。本件規定は、同年2月初め以降、将棋会館4階と5階の対局室出入口付近にも掲示された。(乙4、15、16)イ原告は、被告の総務部や被告の理事に対し、令和4年中に複数回にわたり、新型コロナウイルス感染症対策のためのマスク着用に科学的根拠がないことや本件規定を廃止すべきことを伝えた(甲40・2、3頁)。 ⑶ 本件反則負け処分1に関する事実経過ア原告は、令和5年1月10日、第81期順位戦C級1組9回戦A七段戦において、対局開始時から鼻マスクをしていた。A七段は、原告に対し、鼻も覆う態様でのマスクの着用を求めたところ、原告は、これを拒絶したため、A七段は、対局室を退室して事務局に向かった。立会人であるI七段(以下「I七段」という。)は、原告に対し、同日午前10時10分、午前10時 のマスクの着用を求めたところ、原告は、これを拒絶したため、A七段は、対局室を退室して事務局に向かった。立会人であるI七段(以下「I七段」という。)は、原告に対し、同日午前10時10分、午前10時25分、午前10時40分の合計3回、鼻も覆う態様でのマスクの着用を求めたが、原告は、これらをいずれも拒絶した。I七段は、上記三度目の注意の際、立会人の注意に従わないようなら反則負けにする可能性がある旨を伝えたが、原告は、鼻も覆う態様でのマスクの着用を拒絶した。そこで、I七段は、被告の理事とも相談の上で、原告に対し、同日午前10時48分、鼻マスクが本件規定1条に違反するものとして、本件規定3条及び4条に基づき、反則負けの裁定をした(本件反則負け処分1)ところ、原告は、「裁判にします。」と発言した。(甲40・3、4頁、 乙17、原告本人10~12頁)イ原告は、被告に対し、令和5年1月16日、本件反則負け処分について不服申立てを行った。 ⑷ 本件反則負け処分2に関する事実経過ア原告は、令和5年2月1日、第49期棋王戦コナミグループ杯B七段戦において、鼻マスクで対局していた。立会人であるJ八段(以下「J八段」という。)は、原告に対し、同日午前10時8分、鼻も覆う態様でのマスクの着用を求めたが、原告はこれを拒絶した。J八段は、原告に対する二度目の注意の際、鼻マスクのまま対局を継続する場合、反則負けにする可能性がある旨を伝えたが、原告は、鼻も覆う態様でのマスクの着用を拒絶した。そこで、J八段は、原告に対し、同日午前10時30分、鼻マスクが本件規定1条に違反するものとして、本件規定3条及び4条に基づき、反則負けの裁定をした(本件反則負け処分2)。(乙17、原告本人12、13頁)イ原告は、被告に対し、令和5年2月6日 クが本件規定1条に違反するものとして、本件規定3条及び4条に基づき、反則負けの裁定をした(本件反則負け処分2)。(乙17、原告本人12、13頁)イ原告は、被告に対し、令和5年2月6日、本件反則負け処分2について不服申立てを行った。 ⑸ 準公式戦での反則負けに関する事実経過ア被告は、原告に対し、令和5年2月3日、棋戦運営部担当理事名で、正しいマスクの着用を求める要請書を送付した(乙2、17)。 イ令和5年2月5日正午より実施されたABEMAトーナメント2023・エントリートーナメントの一斉対局前に、被告事務局は、対局者に対し、鼻も覆う態様でのマスクの着用を求めた。しかしながら、原告が鼻マスクを直さないことから、被告事務局は、対局者全員に対し、同日午前11時58分に再度、鼻も覆う態様でのマスクの着用を求めたが、原告は、D六段戦において、対局開始後も鼻マスクを継続した。立会人であるK八段(以下「K八段」という。)は、原告に対し、鼻も覆う態様でのマスクの 着用を求めたが、原告は、これを拒絶した。K八段は、反則負けにする可能性がある旨を伝えたが、原告は「構いません」と答え、鼻も覆う態様でのマスクの着用を拒絶した。そこで、K八段は、原告に対し、同日午後0時1分、鼻マスクが本件規定1条に違反するものとして、本件規定3条及び4条に基づき、反則負けの裁定をした(準公式戦での反則負け)。(乙17、原告本人13頁)⑹ 本件反則負け処分3に関する事実経過ア原告は、令和5年2月6日、当時の被告会長であるL(以下「L会長」という。)及び被告常務であるM(以下「M常務」という。)と面談した。 L会長及びM常務は、原告に対し、このままの状態だと反則負けが続いてしまうため、原告の不服申立ての結論が出るまでは、鼻と口 会長」という。)及び被告常務であるM(以下「M常務」という。)と面談した。 L会長及びM常務は、原告に対し、このままの状態だと反則負けが続いてしまうため、原告の不服申立ての結論が出るまでは、鼻と口を覆う態様でのマスクの着用をするよう求めたが、原告は、「お断りします。」、「とにかくスポンサーから手を引いてもらってね、将棋連盟が大損害を起こしたほうがよいと思っていますから。」、「こんな団体さぁ、潰れたほうが世の中のためだと思う。支部会員も皆辞めればいいと思う。僕は結構蓄えがあるから、将棋連盟が潰れても大丈夫だから。」などと述べ、上記要請を強く拒絶した。(乙17)また、原告は、同日、被告が前記⑶イ及び⑷イの不服申立てに対する裁定を行うことを目的とする意見聴取のため、N法律事務所を訪問し、弁護士らに対し、マスク着用に新型コロナウイルス感染防止効果がないこと等を伝えた。 イ原告は、令和5年2月7日、第81期順位戦C級1組10回戦E六段戦において、鼻マスクで対局していた。立会人であるО九段は、原告に対し、同日午前10時1分、午前10時3分、午前10時5分の合計3回、鼻も覆う態様でのマスクの着用を求めたが、原告は、これを拒絶した。О九段は、上記三度目の注意の際、鼻マスクのまま対局を継続する場合、反則負 けにする可能性がある旨を伝えたが、原告は、鼻も覆う態様でのマスクの着用を拒絶した。そこで、О九段は、原告に対し、同日午前10時5分、鼻マスクが本件規定1条に違反するものとして、本件規定3条及び4条に基づき、反則負けの裁定をした(本件反則負け処分3)。(乙17、原告本人13頁)⑺ 本件懲戒処分に至る経過ア被告の常務会は、令和5年2月10日、原告の前記⑶イ及び⑷イの不服申立てを採用しないとの裁定をした。 反則負け処分3)。(乙17、原告本人13頁)⑺ 本件懲戒処分に至る経過ア被告の常務会は、令和5年2月10日、原告の前記⑶イ及び⑷イの不服申立てを採用しないとの裁定をした。 原告は、同日、被告の倫理委員会において、マスク着用の強制は人権侵害であるなどと主張した。 イ被告の常務会は、被告の倫理委員会に対し、令和5年2月7日付けで、原告の処分に関する諮問をしたところ、同委員会は、同月10日、原告の処分について、倫理懲戒規程5条2項1号に基づき、一定期間の対局を停止するとの処分が相当であり、その期間は先例等も踏まえて理事会で定めるべきであるとの答申をした(乙17)。これを受けて被告は、同日、臨時理事会を開催し、本件懲戒処分を決定した(甲9)。 ⑻ 本件規定が廃止された経緯被告は、令和5年2月10日付けの日本政府の新型コロナウイルス感染症対策本部によるマスク着用の考え方の見直し等を受けて、同年3月13日付けで本件規定を廃止することとし、同年2月28日付けでこれを公表した(甲23、乙13、弁論の全趣旨)。 2 争点⑴(主位的請求に係る訴えが裁判所の司法審査の対象となるかどうか)について被告は、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分は、原告の一般市民法秩序における権利利益に直接影響を与えるものではなく、被告内部の自治的、自律的な解決に委ねるべき事柄であるから、司法審査の対象にならない旨主張する。 しかしながら、被告の正会員たる棋士(被告定款〔甲1〕5条1項1号、会員規程〔甲12〕2条1項1号)は、定められた公式棋戦に全て出場しなければならないという義務(対局規定第2章1条〔前提事実⑷イ㋐〕)等を負う一方で、被告から棋戦への参稼に応じた報償金等(賞金、対局料、その他謝金)が支 1項1号)は、定められた公式棋戦に全て出場しなければならないという義務(対局規定第2章1条〔前提事実⑷イ㋐〕)等を負う一方で、被告から棋戦への参稼に応じた報償金等(賞金、対局料、その他謝金)が支給されるものとされ(被告定款〔甲1〕36条)、これら報償金等は、棋士にとっての生活基盤になっているものということができる。 原告は、本件各反則負け処分を受けて、3か月間の対局停止を内容とする本件懲戒処分を受けたことにより、その間の報償金等を受け取ることができなくなっているのであり、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分は、被告の内部的事項にとどまらず、原告の生活基盤である報償金等に具体的な影響を生じさせるものであり、一般市民法秩序に関わるものというべきである。 また、被告には、各種棋戦の自律的な運営のために合理的な裁量が認められるところ、上記各処分が違法・無効であるといえるかどうかという本件の争点については、上記各処分の前提となる本件規定や被告の倫理懲戒規程の解釈・適用において、被告に裁量の逸脱が認められるかどうかにより判断することができるものであるから、司法判断になじむものであるということができる。以上によると、原告の主位的請求に係る訴えは、裁判所の司法審査の対象となる。 3 争点⑵(本件各反則負け処分及び本件懲戒処分が不法行為といえるかどうか)について⑴ 本件各反則負け処分の当否ア本件規定1条の解釈について本件各反則負け処分は、原告の対局における鼻マスクが本件規定1条に違反するとしてされたものである。本件規定1条は、「対局者は、対局中は、一時的な場合を除き、マスク(原則として不織布)を着用しなければならない。」と定めているが(前提事実⑵ア)、マスクの具体的な着用方法については明示されていない。しかしながら、政 対局者は、対局中は、一時的な場合を除き、マスク(原則として不織布)を着用しなければならない。」と定めているが(前提事実⑵ア)、マスクの具体的な着用方法については明示されていない。しかしながら、政府は、当時、鼻まで覆 う態様でのマスクの着用を推奨しており(認定事実⑴イ、乙3の1及び2)、新型コロナウイルスに対する専門的知見を有するわけでもない被告において、本件規定1条にいうマスクの着用とは、鼻まで覆う態様でのマスクの着用をいうものと解釈することが不合理であるということはできない。原告は、マスク着用による新型コロナウイルス感染防止効果が限定的であることから、本件規定1条におけるマスクの着用が、鼻まで覆う態様でのマスクの着用を意味するものとはいえないと主張するが、マスクの着用方法に関する感染防止効果の有無について見解が分かれる中で、政府の推奨する着用方法をもって、本件規定1条にいうマスクの着用と解釈することには相応の理由があるから、原告の主張を採用することはできない。 イ本件規定1条の適用について認定事実⑶ア、⑷ア及び⑹イのとおり、本件各反則負け処分に際して、原告は、対局の立会人から複数回にわたり、鼻まで覆う態様でマスクを着用するように事前に注意を受け、反則負け処分となる可能性がある旨を告知され、本件規定1条におけるマスクの着用方法に関する被告の解釈を事前に承知していたのであるから、被告における本件規定1条の解釈を前提として原告に適用することが同人に対する不意打ちとなるものではなかった。 原告は、本件各反則負け処分が原告への狙い撃ちで行われたものであると主張する。しかしながら、被告が、原告に対してだけ鼻まで覆う態様でのマスクの着用を求めたことを裏付ける証拠はない。かえって、被告は原告の対局以外の対局 け処分が原告への狙い撃ちで行われたものであると主張する。しかしながら、被告が、原告に対してだけ鼻まで覆う態様でのマスクの着用を求めたことを裏付ける証拠はない。かえって、被告は原告の対局以外の対局の立会人に対しても、鼻と口を覆うことをマスク着用の基準として示していることが認められ(乙12)、原告の対局以外の対局においても、本件規定1条は、鼻まで覆う態様でのマスク着用を求めるものとして解釈・適用されていたことが認められる。 原告は、政府が「本人の意に反してマスクの着脱を無理強いすることに ならないよう」との注意喚起をしているにもかかわらず、被告は本件規定1条を適用して、原告にマスクの着用を無理強いしたと主張し、認定事実⑴イのとおり、基本的対処方針に上記記載がある。しかしながら、これらはあくまでも、政府の基本的対処方針の中での指針にすぎず、被告に対して拘束力を有するものではない。また、将棋の対局においては、対局者同士が、対局中に会話を行うことは想定し難いものの、長時間にわたって、屋内において互いが比較的近接した距離に置かれるのであるから、上記基本的対処方針の内容(屋内において、他者と身体的距離をとれない場合は、マスクの着用が推奨されている。認定事実⑴イ)に照らしても、被告が対局者に本件規定1条を適用することが、不合理であったということもできない。 さらに、原告は、パフォーマンス低下や健康被害といったマスク着用による弊害は個人差があるところ、これらの弊害が大きい57歳の原告にまで一律に本件規定1条を適用することに合理性はないと主張する。しかしながら、対局においては、その性質上、対局者双方に対して同一のルールを課すべきものであって、被告及びその理事会は、新型コロナウイルス感染拡大の防止が求められていた状況下で、円 ないと主張する。しかしながら、対局においては、その性質上、対局者双方に対して同一のルールを課すべきものであって、被告及びその理事会は、新型コロナウイルス感染拡大の防止が求められていた状況下で、円滑な棋戦運営を行うために、その権限において(被告定款〔甲1〕27条4号)、本件規定を定めたのであり、疾病等の理由によりマスクの着用が困難であるといった特別の事情があるような場合を例外として(本件規定1条ただし書参照)、対局者に原則一律に本件規定1条を適用することが不合理であったということはできず、本件において、原告に本件規定1条を適用することが相当でないといえる事情があるとも認められない。 ウ以上のとおり、被告による本件規定1条の解釈・適用に不合理な点があったとは認められず、被告が、本件規定1条を適用して、原告に対し、本件各反則負け処分をしたことはいずれも被告の裁量の範囲内の行為である ということができるのであり、同各処分が違法であるとは認められない。 ⑵ 本件懲戒処分の当否原告は、上記のように違法とは認められない本件各反則負け処分に係る対局及び準公式戦での反則負けの際の対局の合計4回の対局において、複数回にわたる事前の注意や反則負けの予告にもかかわらず、鼻マスクを是正しなかったことから、本件懲戒処分を受けている(認定事実⑶ないし⑹)。上記のとおりの事前の注意や反則負けの予告があった経過からすると、原告が本件規定1条違反による反則負けとなることを承知の上で鼻マスクを是正しなかったことは明らかであるから、この点を捉えて原告が実質的に対局を放棄したものとする被告の評価に不合理な点があるとはいえない。また、その判断は、倫理委員会の答申を受けて先例等を踏まえて行われており(前提事実⑷ア、認定事実⑺)、その過程にも不備がある 質的に対局を放棄したものとする被告の評価に不合理な点があるとはいえない。また、その判断は、倫理委員会の答申を受けて先例等を踏まえて行われており(前提事実⑷ア、認定事実⑺)、その過程にも不備があるとは認められない。さらに、3か月という対局停止期間が、原告の違反行為の内容・態様等に照らし、原告の棋士としての活動を不当に制約する過酷なものであるということもできない。そうすると、本件懲戒処分の判断過程や内容等に不合理な点は認められず、被告が本件懲戒処分を行ったことは裁量の範囲内の行為であるということができるのであり、同処分が違法であるとは認められない。 ⑶ まとめ以上によると、本件各反則負け処分及び本件懲戒処分は、いずれも被告の裁量の範囲内の行為であり、違法性はないから、同各処分が原告に対する不法行為を構成するということはできず、争点⑶について判断するまでもなく、原告の損害賠償請求は認められない。 4 争点⑷(予備的請求の成否)について⑴ 未払対局料の請求(前記第1⑵アの請求)について原告の予備的請求のうち、対局停止期間中の対局料の支払を求める部分は、本件懲戒処分が違法・無効であることを前提とするものであるところ、前記 3のとおり、本件懲戒処分が違法であるとはいえないから、原告の同請求は理由がない。 ⑵ 確認請求に係る訴え(前記第1⑵イに係る訴え)について原告の予備的請求である確認請求に係る訴えは、本件反則負け処分1、本件反則負け処分3及び本件懲戒処分が違法・無効であることを前提として、原告が降級点を持たない状態で順位戦のクラスであるC級1組に在籍する地位にあることの確認を求めるものである。 しかしながら、C級1組において棋士が降級点を取るかどうかは、棋士の年間の戦績に基づいて決定される(4 たない状態で順位戦のクラスであるC級1組に在籍する地位にあることの確認を求めるものである。 しかしながら、C級1組において棋士が降級点を取るかどうかは、棋士の年間の戦績に基づいて決定される(4.5人につき1名の割合で成績下位者が降級点を取る。)ものであり(甲21、乙9)、原告が降級点を取ったのも、本件反則負け処分1及び本件反則負け処分3並びに本件懲戒処分の前に既に1勝6敗という戦績であったことを前提とするものである。このような状況にあった原告が降級点を持たない状態で順位戦のクラスであるC級1組に在籍する地位にあるといえるためには、上記各処分の当否についてだけでなく、C級1組の他の棋士の対局成績との対比における原告の対局成績を評価する必要があり、更にその前提として、上記各処分の対象となった対局において原告が勝利すると評価されるべきであったかどうかについても判断する必要がある。そして、このような評価が司法判断の対象とならないことは明らかであるから、原告が降級点を持たずにC級1組に在籍する地位にあることの確認を求める訴えは、「法律上の争訟」(裁判所法3条1項)とは認められないというべきである。 そうすると、同訴えは不適法なものとして却下を免れない。 第4 結論以上の次第で、原告の主位的請求はいずれも理由がないから、これらを棄却することとし、原告の予備的請求のうち地位確認請求に係る訴えは不適法であるから、これを却下し、その余の予備的請求は理由がないから、これを棄却す ることとして、主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第37部 裁判長裁判官杜下弘記 裁判官味元厚二郎 裁判官髙岡遼大 裁判長 裁判官 杜下弘記 裁判官 味元厚二郎 裁判官 髙岡遼大
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