平成29年3月30日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成28年(ワ)第12829号不正競争行為差止等請求事件口頭弁論の終結の日平成29年1月17日判決 原告株式会社東京精匠 同訴訟代理人弁護士岡崎士朗 同鰺坂和浩 同寺下雄介 同柳本高廣 同水野秀一 同訴訟復代理人弁護士塚原朋一 被告鈴友株式会社 同訴訟代理人弁護士鮫島正洋 同和田祐造 同杉尾雄一 同訴訟代理人弁理士小出俊實 同幡茂良 同補佐人弁理士蔵田昌俊 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由 第1 請求 1 被告は,原告の取引先その他第三者に対し,原告がNICINDUSTRIES社製のセラコート塗料を輸入する行為は商標権侵害であるとの虚偽の事実を告知又は流布してはならない。 2 被告は,原告に対し,770万円及びこれに対する平成28年5月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し 告知又は流布してはならない。 2 被告は,原告に対し,770万円及びこれに対する平成28年5月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 被告は,原告に対し,別紙謝罪広告目録記載1⑴ないし⑶の各ウェブサイトに,同目録記載2の謝罪広告を,同目録記載3の条件で1か月間掲載せよ。 第2 事案の概要本件は,原告が,米国会社の製造販売に係るセラコート塗料の真正商品を並行輸入しているところ,原告の当該輸入行為を商標権侵害行為であると告知・流布している被告の行為が不正競争防止法2条1項15号に該当する旨主張して,被告に対し,①同法3条1項に基づき,上記告知・流布の差止めを,②民法709条に基づき,損害賠償金770万円及びこれに対する不法行為の日の後である平成28年5月11日(訴状送達の日の翌日)から支払済みまで民法所定の割合による遅延損害金の支払を,③不正競争防止法14条に基づき,謝罪広告の掲載を,それぞれ求める事案である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実及び証拠上明らかな事実)(1) 当事者等ア原告は,エアガンの販売及び塗料を用いたエアガンへの塗装を主たる業とする株式会社である。 イ被告は,塗料の輸入販売,塗料の加工及び塗料を用いたエアガンへの塗装を主たる業とする株式会社である。 ウ被告の代表取締役は,甲(以下「甲」という。)である。 ⑵ セラコート塗料に関する商標権ア NICINDUSTRIES社の有する商標権 米国のNICINDUSTRIES社(以下「NIC社」という。)は,次の米国商標権を有している(甲4。枝番を含む。)。 登録番号第4068382号出願日平成22年9月24日登録日平成23年12月6日登録商標 C社」という。)は,次の米国商標権を有している(甲4。枝番を含む。)。 登録番号第4068382号出願日平成22年9月24日登録日平成23年12月6日登録商標 商品及び役務の区分・指定商品第1類工業用途金属基質用無機ポリメリック組成物,商業及び工業製品の製造に使用するポリマー組成物,樹脂又は繊維複合材料の製造に使用するポリマー樹脂第2類火器,スコープ,関連火器付属品用のセラミック系シーラント及びコーティングイ甲の有する商標権甲は,次の商標権(以下「本件商標権」といい,本件商標権に係る登録商標を「本件商標」という。)を有している(甲2,3)。 登録番号第5651327号出願日平成25年9月19日登録日平成26年2月21日登録商標 商品及び役務の区分・指定商品第2類セラミックを主成分とした合成樹脂製塗料⑶ 独占販売店契約の締結 被告は,平成27年4月頃,NIC社との間で,NIC社製品につき,独占販売店契約を締結した(乙8。以下「本件独占販売店契約」という。)。 ⑷ ウェブサイトへの投稿等平成27年7月以降,次のアないしオのとおり,TwitterやFacebookへの投稿等がされた(以下,順に「本件発言等1」ないし「本件発言等5」といい,これらを総称して「本件各発言等」という。)ア本件発言等1被告は,平成27年7月9日,自己のTwitterに,「錦糸町とまた取引をすると言う噂聞きました。私が生きている限り絶対にありません!商標権侵害するものは,賠償請求を徹底的に追及します。正規総代理店として本部からの要請でFC認定加盟店を展開し,それに反する行為は営業妨 すると言う噂聞きました。私が生きている限り絶対にありません!商標権侵害するものは,賠償請求を徹底的に追及します。正規総代理店として本部からの要請でFC認定加盟店を展開し,それに反する行為は営業妨害,風評被害賠償など億単位の賠償請求となります。」と投稿した(甲7)。 イ本件発言等2被告は,同年11月18日頃,Facebookに,「日本総代理店として凄~くバカにされてる感じ。告知します。国内商標権も敢えて行使します。平行輸入もそうですが,セラコート(Cerakote)の名前使用の場合はまず鈴友株式会社へご連絡ください。」と投稿した(甲8)。 ウ本件発言等3同日頃,甲名義のアカウントから,Messenger(Facebook社が提供するアプリケーション)を利用して個人に対し,「ムーブにはセラコートの許可を下ろしてません。」「今は法的手段で対処中です。 これは凄く不快です。」「一旦NICセラコートを輸入禁止にしようと思っている程です。」「うちに権利があるのはご存知ですよね?」「こちらは警察を送り込む権利もあります。」「とりあえず彼等の悪行に良いねはよしてください」「まぁFBに報告したので,削除されると思いますが, それでもよろしくお願い致します。」「そしてセラコートの注文はしないでください。」「(真正商品の並行輸入の)この項目一つも満たしておらず,真正商品ではありません。」とのメールが送信された(甲9)。 エ本件発言等4(ア) 同日頃,甲名義のアカウントからFacebookの運営者に対し,原告がセラコート塗料を用いてエアガンの塗装を行うサービスを行っている旨の原告掲載に係るコンテンツについて,商標権侵害に関する申立てがされた(以下「本件発言等4の1」という。)。なお,Facebookの運 ラコート塗料を用いてエアガンの塗装を行うサービスを行っている旨の原告掲載に係るコンテンツについて,商標権侵害に関する申立てがされた(以下「本件発言等4の1」という。)。なお,Facebookの運営者は,その頃,商標権を侵害しているとの報告があったことを理由に,Facebook上の上記コンテンツを削除した。(甲12の1,2)。 (イ) 甲名義のアカウントから,ミリタリーブログの運営者に対し,原告がセラコート塗料を用いてエアガンの塗装を行うサービスを行っている旨の原告掲載に係る記事について,商標権侵害に関する申立てがされた(以下「本件発言等4の2」といい,本件発言等4の1と総称して本件発言等4という。)。 オ本件発言等5同年12月頃,Facebookの「セラコートQ&A日本用スレ」と題する掲示板に対し,甲名義のアカウントから,「弊社と米国NICは並行輸入を一切認めてません。某ショップが弊社宛に内容証明を送って参りましたが,送り主は真正商品の証明もできず,弊社の返答にお答えもしていません。弊社も次の段階に入る事を願わくは望みませんが,未だに違法行為を止める事もなく,施工のクレームも絶えないので,弊社も断固として許す事はできず,対処の方向に進む事をご報告いたします。」「日本と米国連邦警察に違法者に対して対処もお願いできます。その場合,違法行為に関わっている製品の押収やその他の対処も要求できますのでご注意お 願いします。」などの内容が投稿された(甲11)。 2 争点⑴ 本件各発言等が,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知・流布する行為に当たるか。(争点1)具体的な争点は,次のとおりである。 ア本件発言等1,2及び5は,「原告」に関する告知・流布であるか。 イ本件発言等3 偽の事実を告知・流布する行為に当たるか。(争点1)具体的な争点は,次のとおりである。 ア本件発言等1,2及び5は,「原告」に関する告知・流布であるか。 イ本件発言等3ないし5は,「被告」の行為であるか。 ウ本件発言等3及び4は,「事実」の告知・流布であるか。 エ本件各発言等の内容は,「虚偽」であるか。 ⑵ 本件各発言等は,正当な権利行使として違法性が阻却されるか。(争点2)⑶ 本件各発言等につき,被告の故意・過失があるか。(争点3)⑷ 差止め及び信用回復措置の必要性の有無(争点4)⑸ 損害額(争点5) 3 争点に関する当事者の主張⑴ 争点1(本件各発言等が,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知・流布する行為に当たるか。)について(原告の主張)被告は,平成27年7月9日以降,本件各発言等を行った。本件各発言等は,次のとおり,原告の顧客や第三者に対し,原告が商標権侵害をしている旨の原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布に該当する。 ア本件発言等1,2及び5は,いずれも原告に関するものであること(ア) 本件発言等1は,「錦糸町」に関する発言等であるが,「錦糸町」付近でガンの塗装サービスを行うのは原告のみである。また,被告は,平成25年頃から原告に対する嫌がらせをはじめ,例えば,同年7月頃には,原告を愛顧する顧客が自主的に作成したコミュニティ「MOVE友の会」において,虚偽の事実を含むメールを送信して原告を誹謗中傷 したが,上記コミュニティにおいても原告が「錦糸町」と示されている。 このように,需要者である一部かつ熱烈な愛好者であるガンの愛好者は,「錦糸町」が原告を意味するものと認識しているから,本件発言等1は,原告に関する ュニティにおいても原告が「錦糸町」と示されている。 このように,需要者である一部かつ熱烈な愛好者であるガンの愛好者は,「錦糸町」が原告を意味するものと認識しているから,本件発言等1は,原告に関する発言等である。なお,従前,錦糸町付近には,原告以外に「ジョークショップ」というガンショップがあったが閉店したところ,仮に,上記需要者が「錦糸町」を原告又はジョークショップのいずれかであると認識していたとしても,本件発言等1は,両者に関する告知であるといえる。 (イ) 本件発言等2は,本件発言等1に続くものであり,ガンの愛好者において,原告がセラコートを用いた塗装サービスを行っていることは周知であるから,原告ないし原告を含む者らに関する発言等である。 (ウ) 本件発言等5は,「某ショップ」に関する発言等であるが,本件発言等1及び2に続くものであり,被告のFacebookの記事の読者とされるガンの愛好者において,上記(イ)のとおり,原告がセラコートを用いた塗装サービスを行っていることは周知であるから,ガンの愛好者は「某ショップ」を原告と認識できるので,原告に関する発言等である。 イ本件発言等3ないし5は,被告の行為であること本件発言等3ないし5は,甲名義のアカウントからされているが,甲は被告の代表取締役であり,本件に直接利害関係を有する者である。そして,本件発言等3には「ムーブにはセラコートの許可を下していません。」という内容があるが,原告を意味する「ムーブ」と競合するのは被告である。 また,本件発言等5は,自らを「弊社」と表現し,原告のビジネスを妨害する内容であるが,原告のビジネスと利害関係があるのは甲ではなく被告である。 よって,本件発言等3ないし5は,いずれも被告の発言等である。 ウ本件発言等3及び4 のビジネスを妨害する内容であるが,原告のビジネスと利害関係があるのは甲ではなく被告である。 よって,本件発言等3ないし5は,いずれも被告の発言等である。 ウ本件発言等3及び4は,事実の告知・流布に当たること本件発言等3及び4に「思う」との表現が用いられているとしても,本件発言等3はその受信者に対して,本件発言等4はFacebook及びミリタリーブログの各運営者に対して,それぞれ商標権侵害であるとの事実を含む内容を告げるものであるから,事実を告知・流布するものである。 エ本件各発言等の内容は「虚偽」であること原告は,米国及び日本の協力業者(以下,順に「米国協力業者」,「国内協力業者」という。)を介してNIC社製のセラコート塗料を輸入しているが,次のとおり,当該輸入行為は,①「当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであること」(以下「第1要件」という。),②「当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが,同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより,当該商標が,我が国の登録商標と同一の出所を表示するものであること」(以下「第2要件」という。),及び,③「我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価されること」(以下「第3要件」という。)のいずれの要件も充足する真正商品の並行輸入であるから,商標権侵害行為に当たらない。このことは,証拠(甲23ないし28,37ないし40)から明らかである。 よって,本件各発言等の内容は虚偽である。 (ア) 第1要件を充足する 品の並行輸入であるから,商標権侵害行為に当たらない。このことは,証拠(甲23ないし28,37ないし40)から明らかである。 よって,本件各発言等の内容は虚偽である。 (ア) 第1要件を充足することaNIC社製のセラコート塗料は,米国では,NIC社のウェブサイトやその他のサイトで自由に購入することができ,原告の米国協力業者は,NIC社のウェブサイトから購入したセラコート塗料を 注文し,国際航空貨物運送業者を介して当該セラコート塗料を国内協力業者に送付して輸出している。そして,原告は,国内協力業者から当該セラコート塗料を購入して輸入している。 また,原告の取り扱うセラコート塗料のボトルのラベルにはNIC社の一部門が販売するセラコート塗料と同じ形式の図柄及び文字や「Cerakote」の文字が記載されている。さらに,セラコート塗料は,NIC社のみが販売するものであり,ライセンス許諾を受けた者もおらず,焼付けの窯などの塗装設備と塗装技術を有するプロないしプロ級の愛好者が購入する製品であって,その塗装や仕上がりが問題となる製品であって外観からは分からない性能が重要な製品であり,真正品でないものが出回る余地はなく,物理的に模倣も困難であり,非真正品が流通しているとの情報もなく,そもそも,原告には,非真正品を購入する必要性はない。 以上のとおり,原告の輸入したセラコート塗料に付された「Cerakote」の標章は,外国における商標権者であるNIC社が適法に付したものであるから,原告の輸入行為は第1要件を充足する。 b なお,NIC社のウェブサイトに,被告が日本でのセラコートの輸入及び販売を許可されているとの記載が表示されることがあるが,当該記載は,単に被告が日本における総販売代理店であることを表示しているにすぎず,米国協力業者 ェブサイトに,被告が日本でのセラコートの輸入及び販売を許可されているとの記載が表示されることがあるが,当該記載は,単に被告が日本における総販売代理店であることを表示しているにすぎず,米国協力業者が米国で購入したセラコート塗料を日本に持ち込むことまで禁じたものではない。 (イ) 第2要件についてa 本件商標権を保有する我が国の商標権者は甲であるが,甲は被告の代表者であり,本件独占販売店契約を締結した被告のために当該契約の一環として本件商標の登録を受けたので,甲個人に独自の利益はなく,甲と被告は経済的に同一である。また,仮に,両者が経済的に同 一とはいえないとしても,甲は,実質上,被告の代表者又は代理人として,被告のために自己の名義を使用して本件商標の登録を受けたにすぎない。そして,被告は,NIC社の総販売代理店であることからすると,我が国の商標権者と外国の商標権者は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得る関係にあるといえ,原告の輸入行為は第2要件を充足する。 b なお,被告は,①リブランド権があること,②セラコート塗料に自己の名称を積極的に使用していることなどから,第2要件を欠く旨主張する。しかし,①については,被告は,被告製品に,NIC社と同様の装飾化した「CERAKOTE」の文字を使用しているから,購入者は,被告製品をNIC社製のセラコート塗料であると理解する。また,②については,被告は,被告製品に自らを「セラコート・ジャパン」などと「CERAKOTETM」(NIC社の一部門)の日本支社のように表示し,むしろ被告がNIC社と一体であることを示している。よって,被告の主張は理由がない。 (ウ) 第3要件についてNIC社製のセラコート塗料は,常温で管理する程度の管理が求められているにすぎず,原告の輸入経路は IC社と一体であることを示している。よって,被告の主張は理由がない。 (ウ) 第3要件についてNIC社製のセラコート塗料は,常温で管理する程度の管理が求められているにすぎず,原告の輸入経路は上記(ア)のとおりであるから,原告の取り扱うセラコートの品質は真正品と差異もない。 よって,原告の輸入行為は第3要件を充足する。 なお,第3要件の品質保証の問題は,並行輸入業者と我が国の商標権者が流通に置いた商品の品質の差異によってブランドに対する業務上の信用や需要者の利益が損なわれることを問題としているが,原告は,セラコート塗料を自ら使用して塗装サービスを提供しているだけで,販売による流通をさせていないから,品質保証の差異は問題とならない。 (被告の主張) 本件各発言等は,次のとおり,いずれも原告の営業上の信用を害する虚偽の事実の告知・流布に該当しない。 ア本件発言等1,2及び5は,原告に関するものとはいえないこと(ア) 本件発言等1では,対象者は「錦糸町」と示されるにとどまる。この点,「錦糸町とまた取引をする」との内容から,「錦糸町」が被告と取引関係にあった者と解することはできるが,錦糸町には,原告以外にもジョークショップというモデルガンの取扱店が存在しているから,「錦糸町」を原告と特定することはできない。 (イ) 本件発言等2には,対象者を特定又は推知する表現はなく,原告に関する発言等であるとはいえない。なお,本件発言等1は,本件発言等2の4か月以上前のFacebookではないTwitterにおける発言等であるから,本件発言等2との関連性はない。 (ウ) 本件発言等5では,対象者は「某ショップ」と示されるにとどまり,「某ショップ」が原告であると特定することはできない。 イ本件発言等3な であるから,本件発言等2との関連性はない。 (ウ) 本件発言等5では,対象者は「某ショップ」と示されるにとどまり,「某ショップ」が原告であると特定することはできない。 イ本件発言等3ないし5は,被告ではなく甲の行為であること本件発言等3ないし5は,いずれも,甲名義のアカウントでされた投稿等であるから,甲の行為であって被告の行為ではない。 ウ本件発言等3及び4は,主観的な見解・判断の告知であること(ア) 本件発言等3は,甲が,自己の顧客に対し,Messengerを利用してプライベートな内容を送信したものであり,告知事項や告知状況を全体とすると,並行輸入の要件を満たさないとの主観的見解ないし判断を述べたものにすぎないから,「事実」の告知ではない。 (イ) 本件発言等4は,甲が,Facebook運営者及びミリタリーブログ運営者に対し,原告の掲載していたコンテンツの削除に係る申立てをしたものであるが,当該申立ては,各運営者の判断を促すための抽象的な法律的見解に基づく申立てであり,商標権侵害であると思うとの自 己の主観的見解ないし判断を述べたものにすぎないから,「事実」の告知ではない。 エ本件各発言等の内容は虚偽ではないこと(ア) 第1要件を充足しないことa 被告は,NIC社の独占販売店であり,日本国内でNIC社を通じて同社製のセラコート塗料を直接購入できる唯一の者である。NIC社のウェブサイトには,日本国内を発送先とする注文内容は被告に通知されると表示されており,被告は,日本国内からのNIC社製のセラコート塗料の注文を全て把握することができる。また,上記ウェブサイト上の取引条件によれば,日本国以外を発送先として注文した購入者は,NIC社に対し,日本国内に同社製セラ 本国内からのNIC社製のセラコート塗料の注文を全て把握することができる。また,上記ウェブサイト上の取引条件によれば,日本国以外を発送先として注文した購入者は,NIC社に対し,日本国内に同社製セラコート塗料を持ち込まない義務を負うことになり,上記ウェブサイト以外から日本以外を発送先としてNIC社製のセラコート塗料を購入した者も,同社に対して同様の義務を負うことになる。 そうすると,日本国内において,NIC社を通じて同社製セラコート塗料を購入する場合,常に被告を通じて購入することになるから,仮に,日本国内において,被告がNIC社から購入していないセラコート塗料が存在する場合,当該塗料はNIC社ではなく同社以外の第三者が製造したものといえる。そして,原告の取り扱うセラコート塗料は,被告を通じて購入されておらず,NIC社製のものであるとの裏付けもないから,当該塗料が「商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたもの」とはいえない。 よって,原告の輸入行為は第1要件を充足しない。 b なお,原告は,自らの輸入行為が真正商品の並行輸入であることを示す証拠として,内容点検確認書等(甲16,23ないし28,37ないし40)を提出する。しかし,これらは3つの別個の輸入行為 (①甲23,24,37に係る輸入行為,②甲16,25ないし28に係る輸入行為,③甲40に係る輸入行為)に係る資料であり,①及び③に係る証拠は,いずれも本件各発言等後に作成されたものであるから本件とは関連性がない。また,①に係る証拠によっても,原告がNIC社製のセラコート塗料を入手したことは明らかではなく,②に係る証拠によっても,原告の米国協力業者と称する者が国内協力業者と称する者に発送した荷物の内容がNIC社製のセラコ 拠によっても,原告がNIC社製のセラコート塗料を入手したことは明らかではなく,②に係る証拠によっても,原告の米国協力業者と称する者が国内協力業者と称する者に発送した荷物の内容がNIC社製のセラコート塗料であることや原告がこれを入手したことは明らかではなく,③に係る証拠によっても,取引対象が上記塗料であることは明らかでない。さらに,少なくとも,NIC社製のセラコート塗料のCシリーズは,連邦危険物規制所定の危険物に該当し,発送者は梱包物に危険警告ラベルを貼り付け,危険物に関する宣誓書を提出する等の義務を負うが,②に係る証拠(甲26,27)によってもこれらの義務は果たされていない。 よって,上記各証拠をもって,原告がNIC社製のセラコート塗料を輸入したとは認められない。 (イ) 第2要件を充足しないこと我が国の商標権者は,被告ではなく甲であり,また,仮に,被告と甲を同一人であると解するとしても,被告は,NIC社の独占販売店ではあるが,外国商標権者と常に同一の出所となる総販売代理店ではなく,同社とは別個独立の当事者であるから,本件において「外国の商標権者と我が国の商標権者とが,同一人又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係がある」とはいえない。 また,外国商標権者の「商標が,我が国の登録商標と同一の出所を表示するもの」といえるためには,上記各商標のいずれもが外国商標権者が出所であることを表示する必要がある。この点,被告は,NIC社の許諾を得て同社製のセラコート塗料をリブランドし,被告及び「Cer akote」や「セラコート・ジャパン」の表示を付して販売しているが(乙12ないし14),「セラコート」の表示がNIC社を示し,「セラコート・ジャパン」の表示をもって被告がNIC社と同一又は同社の支社である 」や「セラコート・ジャパン」の表示を付して販売しているが(乙12ないし14),「セラコート」の表示がNIC社を示し,「セラコート・ジャパン」の表示をもって被告がNIC社と同一又は同社の支社であることを示すとはいえない。加えて,被告は,NIC社が主として行っていない部品の販売や塗装サービスに係る業務においても,「セラコート」の商標を使用している。さらに,被告は,独自に開発したセラコート塗料にNIC社の名称を付すことなく被告の名称及び「セラコート」の商標を付して販売している。 これらの事情に照らせば,我が国の商標権者の商標がNIC社を表示しているとはいえず,「当該商標が,我が国の登録商標と同一の出所を表示するもの」とはいえないから,原告の輸入行為は,第2要件を充足しない。 (ウ) 第3要件を充足しないことNIC社製のセラコート塗料は,その性質上,保管条件として厳格な温度及び湿度管理が求められ,NIC社が定める保管条件に違反すると,セラコート塗料の性質が変化して不良品となるから,被告は,大容量の容器を用いて航空便で輸入し,輸入後は24時間温度管理を行う保管庫で保管し,厳格な温度及び湿度管理を行っている。仮に,原告が,NIC社製のセラコート塗料を輸入しているとしても,内容点検確認書によれば,小瓶で輸送されているようであり,品質変化が生じる可能性があるところ,当該品質について被告のコントロールは及んでいない。また,仮に,原告が,NIC社製のセラコートを輸入しているとしても,上記(ア)のとおり,危険物として発送されておらず,違法に輸入されているから,適法に入手された真正商品の品質を有しない。 よって,原告の輸入行為は,第3要件を充足しない。 ⑵ 争点2(本件各発言等は,正当な権利行使として違法性が阻却されるか。) れているから,適法に入手された真正商品の品質を有しない。 よって,原告の輸入行為は,第3要件を充足しない。 ⑵ 争点2(本件各発言等は,正当な権利行使として違法性が阻却されるか。) について(被告の主張)特許権者が競業者の取引先に対する訴訟提起の前提としてなす警告については,事実的,法律的根拠を欠くことを知らず,かつ容易に知り得ない場合であり,かつ,社会通念上必要と認められる範囲を超えない内容,態様である場合,正当な権利行使として認められる。被告の行為は,正当な権利行使の一環であるから,違法性が阻却される。 この点,被告は,独占販売店の地位及びNIC社からの委託に基づき,NIC社製のセラコート塗料の模倣品,違法な並行輸入品に該当するとの疑いが強い商品を発見した場合,本件商標権を適切に行使し,当該商品が日本国内に流通することを防止する責務を負っている(なお,本件商標の商標権者は甲であるが,同人は被告の事業のために本件商標を独占的に使用していたから,被告は,甲と同様に本件商標権を権利行使する立場にある。)。 原告の取り扱うセラコート塗料は被告を経由しておらず,NIC社製であるとは通常考えられなかった上,被告の品質に対するコントロールが及んでいない疑いが強かったこと,被告がリブランドや独自開発したセラコート塗料の販売等を行っていたことなどから,被告には,原告の輸入行為が真正商品の並行輸入ではないと信じるにつきやむを得ない事情があった。 したがって,仮に,原告の輸入行為が真正商品の並行輸入であるとしても,被告は,本件各発言等に当たって,事実的,法律的根拠を欠くことを知っていた又は容易に知り得たとはいえず,本件各発言等の内容及び態様は,社会通念上必要と認められる範囲を超えた内容,態様のものではないから,本件 本件各発言等に当たって,事実的,法律的根拠を欠くことを知っていた又は容易に知り得たとはいえず,本件各発言等の内容及び態様は,社会通念上必要と認められる範囲を超えた内容,態様のものではないから,本件各発言等は正当な権利行使の一環であり,違法性がない。 (原告の主張)争う。上記⑴(原告の主張)のとおり,原告の輸入行為は真正商品の並行輸入であり,真正商品の並行輸入は,我が国においてごく一般的に行われて いるから,被告が独占販売店であることをもって,原告の真正商品の並行輸入でないという疑いを強く抱くことにはならない。 ⑶ 争点3(本件各発言等につき,被告の故意・過失があるか。)について(原告の主張)被告は,原告によるセラコート塗料の輸入行為が真正商品の並行輸入であることについて何ら疑いがないにもかかわらず,本件各発言等を行った。 よって,被告には,本件各発言等につき,故意又は重過失がある。 (被告の主張)争う。上記⑵(被告の主張)のとおり,被告は,客観的に,原告の輸入行為が違法であるとの疑いが強い状況において,本件商標権の行使として本件各発言等を行ったのであり,被告に故意及び過失はない。 ⑷ 争点4(差止め及び信用回復措置の必要性の有無)について(原告の主張)本件では,差止めの必要性が認められる。 また,本件各発言等によって,原告の営業上の信用は著しく害され,現在又は潜在的な原告の顧客に対し,混乱と原告に対する不信感を与えた。原告の営業上の信用を回復するためには,本件各発言等に利用された媒体であるFacebook,並びに,被告が運営するブログ及びウェブサイトに謝罪広告を掲載することが必要不可欠である。 (被告の主張)争う。 ためには,本件各発言等に利用された媒体であるFacebook,並びに,被告が運営するブログ及びウェブサイトに謝罪広告を掲載することが必要不可欠である。 (被告の主張)争う。 ⑸ 争点5(損害額)について(原告の主張)被告は,本件提訴の約1年前から,原告の顧客に対し,原告によるセラコート塗料の輸入行為が商標権侵害である旨の虚偽の事実を告知等し,原告のFacebook及びミリタリーブログの記事を削除させており,これによ り,原告の業務は著しく妨げられ,大きな損害を被った。セラコート塗料の取扱いによって1か月当たりに得られる利益は60万円を下らないから,原告の損害額は,少なくとも720万円(月額60万円×12か月分)である。 (被告の主張)争う。 第3 当裁判所の判断 1 争点1(本件各発言等が,原告の営業上の信用を害する虚偽の事実を告知・流布する行為に当たるか。)について⑴ 本件発言等1,2及び5は,原告に関する告知・流布であるか。 本件各発言等が原告の営業上の信用を害するものであるといえるためには,需要者が本件各発言等を原告に関する告知・流布であると認識することができる必要があるので,この観点から検討する。 ア本件発言等1について本件発言等1の内容は,第2の1(前提事実)⑷アのとおりであり,その対象者は「錦糸町」と表現されているところ,本件発言等1が原告に関する事実の告知・流布であると認めるに足りる証拠はない。 この点,原告は,「錦糸町」付近でガンの塗装サービスを行うのは原告のみであり,原告を愛顧する顧客が作成したコミュニティにおける平成25年7月頃のやり取りでも認識されているとおり,需要者であるガンの愛好者は「錦糸町」が原告を意味す ガンの塗装サービスを行うのは原告のみであり,原告を愛顧する顧客が作成したコミュニティにおける平成25年7月頃のやり取りでも認識されているとおり,需要者であるガンの愛好者は「錦糸町」が原告を意味すると認識することができるなどと主張する。 しかしながら,上記コミュニティ内でのやりとりは本件発言等1がされた時点(平成27年7月9日)の約2年も前のものであるし,そもそも,その内容(甲5,19)を見ても,「錦糸町」が原告を意味すると認識されていたとは認めるに足りない。また,錦糸町付近には,従前から原告以外にも「ジョークショップ」というガンショップが存在しており,一時閉 店したことはうかがわれる(甲43)が,現在も錦糸町付近で営業を継続している(乙34,51)ことが認められる。したがって,原告の上記主張は,その前提を欠き,採用できない。 イ本件発言等2について本件発言等2の内容は,第2の1(前提事実)⑷イのとおりであるところ,本件発言等2が原告に関する事実の告知・流布であると認めるに足りる証拠はない。 この点,原告は,本件発言等2は,原告に関する本件発言等1に続くものであり,また,原告がセラコート塗料を用いた塗装サービスを行っていることが周知であるから,原告に関する発言等である旨主張する。 しかしながら,上記アのとおり,そもそも本件発言等1が原告に関する発言等であるとは認めるに足りないし,また,原告がセラコート塗料を用いた塗装サービスを行っていることが周知であると認めるに足りる証拠もない。したがって,原告の上記主張は,その前提を欠き採用できない。 ウ本件発言等5について本件発言等5の内容は,第2の1(前提事実)⑷オのとおりであり,当該発言等の対象者は「某ショップ」と表現されているところ,本 主張は,その前提を欠き採用できない。 ウ本件発言等5について本件発言等5の内容は,第2の1(前提事実)⑷オのとおりであり,当該発言等の対象者は「某ショップ」と表現されているところ,本件発言等5が原告に関する事実の告知・流布であると認めるに足りる証拠はない。 この点,原告は,本件発言等5は,原告に関する本件発言等1及び2に続くものであり,また,原告がセラコート塗料を用いた塗装サービスを行っていることが周知であるから,原告に関する発言等である旨主張する。 しかしながら,上記ア及びイのとおり,本件発言等1及び2が原告に関する発言等であることや,原告がセラコート塗料を用いた塗装サービスを行っていることが周知であることを認めるに足りないから,原告の上記主張は,その前提を欠き採用できない。 エ以上のとおり,本件発言等1,2及び5は,原告に関する告知・流布と は認められない。 ⑵ 本件発言等3及び4は,被告の行為であるか。 被告は,本件発言等3及び4は,甲名義のアカウントからされており,その告知事項や告知状況などを全体として評価すると,被告ではなく甲個人の行為であるといえる旨主張する。 しかしながら,甲は,被告の代表取締役であり,本件商標は被告の業務内容に関するものであるから,甲は,被告のために本件商標の登録を受けたものと推認される。そして,本件発言等3は,セラコート塗料の販売という被告の業務に関する内容である上,原告を示す「ムーブ」に「セラコートの許可を下ろしてません」との内容によれば,セラコート塗料に関する利用許諾の主体が発言等の主体であると解されるところ,NIC社製のセラコート塗料に係る日本国内での利用許諾をなし得るのは甲ではなく,NIC社と本件独占販売店契約を締結した被告である。また,本件 する利用許諾の主体が発言等の主体であると解されるところ,NIC社製のセラコート塗料に係る日本国内での利用許諾をなし得るのは甲ではなく,NIC社と本件独占販売店契約を締結した被告である。また,本件発言等4のうち,Facebookの運営者に対する申立て(本件発言等4の1)は,原告のコンテンツについて商標権を侵害している旨の,本件発言等3と同じ頃にされた報告であり,当該運営者によって当該コンテンツが削除された(甲12の1及び2)ところ,本件発言等3には「まぁFBに報告したので,削除されると思いますが」という本件発言等4の1との関連性を示す内容が含まれている。 また,Facebookにおいて,商標権侵害の報告は,当該商標の保有者が行うことが前提とされている(乙7の6)。 そうすると,本件発言等3及び4の1は,いずれも,甲が,被告の代表取締役として行った行為というべきであり,被告の行為であると認めるのが相当である。 他方,ミリタリーブログの運営者に対する申立て(本件発言等4の2)については,本件全証拠によっても,当該申立てがされた時期や具体的な申立ての内容は明らかではなく,その告知内容や告知事項,告知状況はいずれも 不明であるから,上記申立てを被告の行為であると認めることはできない。 ⑶ 本件発言等3及び4の1は,事実の告知・流布であるか。 被告は,本件発言等3及び4の1は,事実の告知等ではなく,甲個人の主観的な見解・判断を述べたものにすぎない旨主張する。 しかしながら,本件発言等3については,甲名義のアカウントからMessengerを利用して個人に対してメールが送信されているが,上記⑵のとおり,これは,甲個人ではなく被告の行為であるというべきである。また,その発言内容は前記第2の1(前提事実)⑷ウのとおりで essengerを利用して個人に対してメールが送信されているが,上記⑵のとおり,これは,甲個人ではなく被告の行為であるというべきである。また,その発言内容は前記第2の1(前提事実)⑷ウのとおりであり,原告(本件発言等3において「ムーブ」と表現されている。)の取り扱う「セラコート」が「真正商品ではありません」というものである。このような告知内容,告知事項や告知状況等を考慮すると,本件発言等3は,単なる主観的な見解や判断を述べるものではなく,事実を告知したものと認めるのが相当である。 他方,本件発言等4の1についてみると,Facebookの運営者は,一般的に,Facebook上のコンテンツが商標権侵害であるとの申立てを受けると,当該申立てを検討して当該コンテンツを削除するか否かを判断する(乙7の6)ことになる。また,Facebookの運営者は,本件発言等4の1を「商標権を侵害しているという報告」(甲12の1及び2)と扱っているが,Facebookで商標権に関する報告に使用されているフォームの記載内容に照らせば,本件発言等4の1の具体的な内容は,「私の商標権を侵害していると思われるコンテンツを見つけた」(乙7の7)というものであったと推認されるにとどまり,これを超えて何らかの具体的な事実の告知があったことを認めるに足りる証拠はない。これらの事情に照らせば,本件発言等4の1は,未だ抽象的に主観的な見解を述べたものにとどまるというべきであり,事実の告知であるとまでは認めることができない。 ⑷ 本件発言等3は「虚偽」の事実の告知・流布であるか。 ア商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は,許諾を受けない限り,商標権を侵害するが(商標法2 ア商標権者以外の者が,我が国における商標権の指定商品と同一の商品に つき,その登録商標と同一の商標を付したものを輸入する行為は,許諾を受けない限り,商標権を侵害するが(商標法2条3項,25条),そのような商品の輸入であっても,①当該商標が外国における商標権者又は当該商標権者から使用許諾を受けた者により適法に付されたものであり(第1要件),②当該外国における商標権者と我が国の商標権者とが,同一人であるか又は法律的若しくは経済的に同一人と同視し得るような関係があることにより,当該商標が,我が国の登録商標と同一の出所を表示するものであって(第2要件),③我が国の商標権者が直接的に又は間接的に当該商品の品質管理を行い得る立場にあることから,当該商品と我が国の商標権者が登録商標を付した商品とが当該登録商標の保証する品質において実質的に差異がないと評価される場合(第3要件)には,いわゆる真正商品の並行輸入として,商標権侵害としての実質的違法性を欠くものと解するのが相当である(最高裁判所平成15年2月27日第一小法廷判決・民集57巻2号125頁)。 イ原告は,NIC社製のセラコート塗料を購入した米国協力業者から国際航空貨物運送業者を介して同塗料の送付を受けた国内協力業者から購入しており,このことは証拠(甲23ないし28,37ないし40)から明らかであるから,原告の輸入行為は第1要件を充足する旨主張するので,検討する。 なお,本件発言等3は平成27年11月18日頃にされたものであるから,ここで第1要件を充足することが立証されるべき原告の輸入行為は,上記時点より前のものであることは当然であり,かかる観点から検討を行うこととする。 まず,上記各証拠は作成時期が1年以上異なるものも含まれているから, が立証されるべき原告の輸入行為は,上記時点より前のものであることは当然であり,かかる観点から検討を行うこととする。 まず,上記各証拠は作成時期が1年以上異なるものも含まれているから,これらを一体として一連の輸出入等に関する証拠であると解することはできない。 そして,証拠(甲23,24)及び弁論の全趣旨によれば,米国に所在する氏名不詳の者(以下「A」という。)が,平成28年4月,NIC社に同社製のセラコート塗料を注文してこれを購入したこと,及び,米国に所在する氏名不詳の者が,同年5月5日,品名「PAINTS.VARNISHES & SOLUTIONS,N.E.S」について,日本に所在する氏名不詳の者に対する輸入許可を受けたことが認められる。しかしながら,これらは,そもそもいずれも本件発言等3より約4月以上も後の事実であるから,本件発言等3の内容が虚偽であるか否かの点に直接関係を有しない上,輸入許可を受けた主体がAであるかは不明であり(甲24は公正証書〔甲39〕の確認対象になっていない。),輸入許可に係る貨物がNIC社製のセラコート塗料であるかも不明であり,原告が上記の日本に所在する氏名不詳の者から上記荷物を受領したと認めるに足りる証拠もない。 次に,証拠(甲25ないし28,39)及び弁論の全趣旨によれば,Aが,平成27年7月25日付けで,日本に所在する氏名不詳の者(以下「B」という。)に対し,品名「塗料」,総個数「3」を内容とする国際航空貨物(運送状番号808486953648)を発送して同月27日に輸出し,同月30日付けで,品名「液体入りプラスチック容器 Cerakote」「0.8kgH-168×1pce」とする内容点検確認を受けたことが認められる。しかしながら,上記輸出入に係る荷 7日に輸出し,同月30日付けで,品名「液体入りプラスチック容器 Cerakote」「0.8kgH-168×1pce」とする内容点検確認を受けたことが認められる。しかしながら,上記輸出入に係る荷物がNIC社製のセラコート塗料であるかは不明であり,原告がBから上記荷物を受領したと認めるに足りる証拠もない。 さらに,証拠(甲39,40)によれば,原告が,平成28年5月25日付けで,Bから品名を「セラコート」とする代金の請求を受けたことは認められるが,これは本件発言等3より約6月も後の事実であり,上記代金の対象が本件発言等3より前の取引に係るものであることも認めるに足 りないから,本件発言等3の内容が虚偽であるか否かの点に直接関係を有しないし,そもそも,当該「セラコート」がNIC社製のセラコート塗料であるか自体も不明である。 そうすると,原告の提出する上記各証拠をもって,原告が,本件各発言等の前から,米国協力業者及び国内協力業者を介して,NIC社製のセラコート塗料を継続的に輸入したと認めることはできず,他に当該事実を認めるに足りる証拠はない。加えて,本件全証拠を検討しても,日本国内において流通するセラコート塗料にNIC社製ではない非真正品が存在しないと認めるに足りる証拠もない。 以上によれば,原告の輸入行為が第1要件を充足すると認めることはできない。 ウしたがって,本件発言等3を「虚偽」の事実の告知・流布であると認めることはできない。 ⑸ まとめ以上のとおり,本件各発言等は,いずれも不正競争防止法2条1項15号に該当するとは認められない。 2 結論よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の本件請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文の いずれも不正競争防止法2条1項15号に該当するとは認められない。 2 結論よって,その余の点について判断するまでもなく,原告の本件請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 (なお,原告は,平成29年2月28日付及び同年3月13日付で弁論再開を求める上申書を当裁判所に提出したところ,その中には,前記第1要件について「追加証明は十分可能,かつ,容易であると考えている」とか「この点について,さらに的確な立証活動を予定している」との記載がある。しかしながら,攻撃防御方法について適時提出主義が採られていることはいうまでもないところ(民訴法156条),原告は,自らの行為がいわゆる真正商品の並行輸入として適法である旨主張して,平成28年4月20日に本件訴訟を自ら提起 したものであり,かつ,訴訟の当初から上記主張の成否は重要な争点となっていたのであるから,原告は早期に必要な立証活動を十分に行うことが当然できたはずである(原告が上申書で述べるように,この点の証明が容易であるならば,尚更である。)。しかも,原告は,同年10月4日の第3回弁論準備手続期日において「次回までに主張及び立証を尽くす」と述べ,同年12月1日の第4回弁論準備手続期日において「並行輸入の第1要件について,他に主張及び立証はない」と述べている。さらに,上記各上申書の内容を見ても,本判決の結論を左右するに足りるような記載はない。これらの事情に照らして,当裁判所は,本件口頭弁論を再開しないこととしたものである。)東京地方裁判所民事第47部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官廣瀬達人 裁判官村 井 美喜子 (別紙)謝罪広告目録 部 裁判長裁判官沖中康人 裁判官廣瀬達人 裁判官村 井 美喜子 (別紙)謝罪広告目録 1 ウェブサイト⑴ 被告のFacebookページタイトル:鈴友株式会社 (鈴友株式会社 SuzutomoCo., Ltd.)URL:(URLは省略)⑵ 被告の運営するブログタイトル:鈴友株式会社職人技の表面加工業者URL:(URLは省略)⑶ 被告の運営するウェブサイトタイトル:セラコートジャパンURL:(URLは省略) 2 謝罪広告株式会社東京精匠殿弊社は,Facebook及びTwitterにおいて,貴社が,弊社の商標権を侵害していることを示す記事を複数回にわたり掲載し,また,Messengerアプリ等によって,貴社の顧客に対し,貴社が弊社の商標権を侵害している旨の告知をしました。実際は,貴社が弊社の商標権を侵害した事実はなく,弊社の記事及び告知は,貴社の営業上の信用を大きく低下させるものでした。貴社に多大な迷惑をおかけして大変申し訳ありませんでした。弊社の記事が事実に反することを認め,ここに謹んで謝罪いたします。 平成年月日(掲載の日付を記載すること)鈴友株式会社 (以下省略) 3 条件場所・方法:1⑴のFacebook,及び,1⑵のブログについては,謝罪広告を掲載した記事を投稿することによる。1⑶のウェブサイトについては,トップページに謝罪広告を掲載することによる。 フォント: MS明朝体フォントサイズ: 14 以上 フォント:MS明朝体フォントサイズ:14
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