主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求処分行政庁が原告に対して平成21年9月30日にした障害程度区分を区分1と認定する処分を取り消す。 第2 事案の概要 1 事案の要旨本件は,処分行政庁から,障害者自立支援法(ただし,平成22年法律第71号による改正前のもの。以下「支援法」という。)21条1項に基づき障害程度区分を区分1と認定する処分(以下「本件処分」という。)を受けた原告が,上記区分認定を不服として,被告に対し,本件処分の取消しを求めた事案である。 2 関係法令等の定め(1) 本件に関係する法令等の定めは,別紙1「関係法令等の定め」のとおりである。 (2) 支援法によると,介護給付費,特例介護給付費,訓練等給付費又は特例訓練等給付費(以下「介護給付費等」という。)を支給する旨の決定(以下「支給決定」という。)を受けようとする障害者又は障害児の保護者(以下,障害者及び障害児を併せて「障害者等」という。)は,厚生労働省令で定めるところにより,市町村に申請(以下「支給申請」という。)をしなければならず(20条1項),市町村は,支給申請があったときは,政令で定めるところにより,市町村審査会が行う当該申請に係る障害者等の障害程度区分に関する審査及び判定の結果に基づき,障害程度区分の認定を行う(21条1項)ものとされている。 (3) 支援法における障害程度区分とは,障害者等に対する障害福祉サービスの必要性を明らかにするため当該障害者等の心身の状態を総合的に示すものとして厚生 労働省令で定める区分をいうものとされており(4条4項),これを受けて,障害程度区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成18年厚生労働省 総合的に示すものとして厚生 労働省令で定める区分をいうものとされており(4条4項),これを受けて,障害程度区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成18年厚生労働省令第40号。ただし,平成24年厚生労働省令第40号による改正前のもの。以下「基準等省令」という。)は,障害福祉サービスの必要性が低い順に,障害程度区分を区分1から区分6までの6つの区分とし,同省令所定の79の調査項目に関する調査結果から算定した障害程度区分基準時間(以下「基準時間」という。)を基に,これに同省令所定の「行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目」や「その他の精神面等に関する調査項目」の結果,医師の意見書等を勘案する方法で上記各区分の判定を行う旨を規定している。 (4) 支援法によると,市町村は,支給申請に係る障害者の障害程度区分,当該障害者等の介護を行う者の状況,当該申請に係る障害者等の障害福祉サービスの利用に関する意向その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して介護給付費等の支給の要否の決定(以下「支給要否決定」という。)を行い(22条1項),支給決定を行う場合には,障害福祉サービスの種類ごとに月を単位として厚生労働省令で定める期間において介護給付費等を支給する障害福祉サービスの量を定めなければならない(同条4項)ものとされている。 3 前提事実(証拠等の掲記のないものは,当事者間に争いがない。)(1) 当事者等ア原告は,昭和▲年▲月▲日生の女性であり,生後間もなくから両眼に視覚障害(全盲)を有していたが,平成17年頃,突発性難聴(左聾)を発症した。原告は,身体障害者福祉法4条に基づき身体障害者手帳(総合等級1種1級,障害名「無眼球視力障害」)の交付を受けており,支援法4条1項所定の「障害者」に該当する。 年頃,突発性難聴(左聾)を発症した。原告は,身体障害者福祉法4条に基づき身体障害者手帳(総合等級1種1級,障害名「無眼球視力障害」)の交付を受けており,支援法4条1項所定の「障害者」に該当する。(乙2,6,7,13,弁論の全趣旨)イ被告は,原告の居住地の市町村として,原告に対する支援法に基づく支給決定等に係る権限を有する地方公共団体である(支援法19条2項,21条)。処分行政庁は,政令指定都市である被告が地方自治法252条の20に基づき設置した α区の事務所の長であり,同法153条1項及び区長委任規則(昭和25年名古屋市規則第52号)2項28号に基づき,被告から,支援法に基づく障害程度区分の認定に係る事務の委任を受けている。(弁論の全趣旨)(2) 平成18年に行われた前回の障害程度区分認定ア原告は,平成18年4月1日の支援法施行後,処分行政庁に対し,同法20条1項に基づき,介護給付費等の支給申請をした。(乙11)イ処分行政庁は,支援法所定の手続を経た上で,平成18年10月11日,原告の障害程度区分を区分4(有効期間は同月1日から平成21年9月30日まで)と認定し(以下「前回処分」という。),これを原告に通知した。(乙17,弁論の全趣旨)(3) 本件処分に至る経緯等ア原告は,平成21年7月30日,処分行政庁に対し,支援法20条1項に基づき,介護給付費等の支給申請をした。(乙5)イ処分行政庁は,障害程度区分認定及び支給要否決定を行うため,支援法20条2項後段に基づき,社会福祉法人a(以下「a」という。)に対し,原告についての同項所定の面接調査(以下「認定調査」という。)を委託した。aは,平成21年8月27日,同条3項に基づき,同項所定の「障害者等の保健又は福祉に関する専門的知識及び技術を う。)に対し,原告についての同項所定の面接調査(以下「認定調査」という。)を委託した。aは,平成21年8月27日,同条3項に基づき,同項所定の「障害者等の保健又は福祉に関する専門的知識及び技術を有するものとして厚生労働省令で定める者」(以下「認定調査員」という。)に該当するb(以下「b調査員」という。)を原告の自宅に派遣し,原告に対する認定調査(以下「本件調査」という。)を実施した。 これと並行して,処分行政庁は,c医師に対し,原告に関する意見書の作成を依頼した。c医師は,平成21年8月3日に原告を診察した上で意見書(以下「本件医師意見書」という。)を作成し,同月11日,これを処分行政庁に提出した。 (乙6,15,16,弁論の全趣旨)ウ b調査員は,支援法4条4項を受けて定められた基準等省令1条,別表第1所定の認定調査票や,地方自治法245条の規定に基づく技術的な助言として定め られた「障害程度区分認定の実施について」(平成18年3月17日障発第0317005号各都道府県知事宛厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知。以下「本件実施通知」という。)所定の概況調査票を用いて本件調査を行い,平成21年9月1日,処分行政庁に対し,本件調査の結果を記入した認定調査票(以下「本件認定調査票」という。)及び概況調査票(以下「本件概況調査票」という。)を提出した。処分行政庁は,本件認定調査票を基に,国から提供された一次判定用ソフトを用いて障害程度区分の一次判定を行ったところ,プロセスⅠでは非該当と判定されたものの,これに続くプロセスⅡで一段階上の区分1に変更されたため,一次判定の結果を区分1とした。(乙7,8,15)エ処分行政庁は,平成21年9月29日,支援法21条1項,障害者自立支援法施行令(平成18年政令第10号。以下「施 上の区分1に変更されたため,一次判定の結果を区分1とした。(乙7,8,15)エ処分行政庁は,平成21年9月29日,支援法21条1項,障害者自立支援法施行令(平成18年政令第10号。以下「施行令」という。)10条1項に基づき,名古屋市障害程度区分認定等審査会第九審査部会(以下「本件認定審査会」という。)に対し,原告の障害程度区分の認定に関する審査及び判定を求めた。本件認定審査会は,本件調査の結果,一次判定の結果及び前回処分の基礎となった判定結果(以下「前回判定結果」という。)等が記載された「市町村審査会資料」と題する書面,本件概況調査票,本件認定調査票中の特記事項が記載された部分,本件医師意見書等を基に審査を行い,二次判定の結果を区分1と判定した上,これを処分行政庁に通知した。(乙8,9,15)オ処分行政庁は,平成21年9月30日,本件認定審査会の審査判定の結果に基づき,原告の障害程度区分を区分1(有効期間は同年10月1日から平成24年9月30日まで)と認定する旨の本件処分をし,平成21年10月13日,原告に対してこれを通知した。(乙1,9,弁論の全趣旨)(4) 本件訴えに至る経緯ア原告は,平成21年12月8日,愛知県知事に対し,本件処分を不服として審査請求をしたが,これに対する裁決がないまま3か月が経過したため,平成22年4月2日,本件訴えを提起した。(乙14) イその後,愛知県知事は,平成23年3月24日,原告の審査請求を棄却する旨の裁決をした。(乙14) 4 当事者の主張(1) 原告の主張ア本件調査の結果では,原告の心身の状態について,調査項目のうち「移乗」が「できる」,「移動」が「見守り等」,「片足での立位」が「できる」,「食事摂取」が「見守り等」,「排尿」が「できる」,「 ア本件調査の結果では,原告の心身の状態について,調査項目のうち「移乗」が「できる」,「移動」が「見守り等」,「片足での立位」が「できる」,「食事摂取」が「見守り等」,「排尿」が「できる」,「排便」が「できる」,「上衣の着脱」が「できる」,「ズボン等の着脱」が「できる」,「薬の内服」が「できる」,「金銭の管理」が「できる」,「聴力」が「普通」,「掃除」が「見守り,一部介助」,「入浴の準備片付け」が「見守り,一部介助」にそれぞれ該当すると判定されているが,上記各判定は,実際の原告の心身の状態を反映していない。また,原告は全盲の夫と同居しているのであるから,概況調査票のⅧ「介護者の健康状況等特記すべきこと」の欄には,夫が視覚障害を有することを記載すべきであるにもかかわらず,本件概況調査票にはその旨が記載されていない。本件処分は,このような誤った本件調査の結果を基にして行われたものであるから,違法というべきである。 イ前回処分から本件処分までの間に,原告の心身の状態に変化はなかったにもかかわらず,本件調査の結果は,前回処分の際に実施された調査の結果とは異なる内容となっており,その結果,本件処分では,前回処分で認定された障害程度区分よりも3段階も低い区分1と認定されたものである。原告の心身の状態に変化がない以上,前回処分とは異なる区分を認定した本件処分は,違法というべきである。 ウ本件処分は,前年までの原告のサービス利用が少なかったことから,原告の障害程度区分を変更しようという不当な意図をもって行われたものであり,また,原告が被告のヘルパー派遣事業廃止の是非を問う訴訟を提起したことに対する報復の目的で行われたものである。本件処分は,このような本来考慮すべきでない事柄を考慮してされたものであるから,違法というべきである。 パー派遣事業廃止の是非を問う訴訟を提起したことに対する報復の目的で行われたものである。本件処分は,このような本来考慮すべきでない事柄を考慮してされたものであるから,違法というべきである。 エ原告と同程度の障害を有する他の視覚障害者は,区分1よりも高い障害程度区分に該当すると認定されており,原告の障害程度区分を区分1とする本件処分は,これと比較して低きに失する。したがって,本件処分は,平等原則に違反し,違法というべきである。 (2) 被告の主張ア障害程度区分の認定については,支援法4条4項を受けて定められた基準等省令において,調査項目や障害程度区分に関する審査判定基準等が定められ,さらに地方自治法245条の規定に基づく技術的な助言として定められた本件実施通知,「市町村審査会の運営について」(平成18年3月17日障発第0317006号各都道府県知事宛厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部長通知。以下「本件運営通知」という。)及び「障害程度区分における『認定調査票記入の手引き』及び『医師意見書記載の手引き』について」(平成18年3月17日障企発第0317001号各都道府県障害保健福祉主管部(局)長宛厚生労働省社会・援護局障害保健福祉部企画課長通知。以下「本件手引き通知」という。)において,具体的な審査方法や運用方法等が定められている。被告においても,本件運営通知や本件手引き通知に準拠して「名古屋市障害程度区分認定等審査会委員マニュアル」(以下「本件審査会マニュアル」という。)や「認定調査員マニュアル」(以下「本件調査員マニュアル」という。)を定めた上,これに基づいて障害程度区分の認定を行っている。本件調査は,これらの法令,通知やマニュアルに従って実施されており,その結果は,調査時における原告の心身の状態を的確に反映した ル」という。)を定めた上,これに基づいて障害程度区分の認定を行っている。本件調査は,これらの法令,通知やマニュアルに従って実施されており,その結果は,調査時における原告の心身の状態を的確に反映したものであり,本件医師意見書の内容等に照らしても問題とすべき点は見当たらない。したがって,本件処分は,適法というべきである。 イ認定調査は,調査当日の状況と調査対象者及び介護者等から聞き取った日頃の状況を総合的に勘案して判断するものとされており,調査対象者が有する障害そのものに変化がない場合であっても,調査時点における調査対象者の状況によっては,前回調査と異なる調査結果が出ることもあり得る。したがって,本件調査の結 果が前回調査の結果と異なっているからといって,その内容に誤りがあるということはできないし,本件処分が前回処分と異なる障害程度区分を認定するものであるからといって,本件処分が違法であるということもできない。 ウ本件処分に当たっては,原告のサービス利用量は考慮していない。また,本件処分が不当な意図や目的で行われたという事実はないから,本件処分が他事考慮によって行われた旨の原告の主張は,その前提を欠くものである。 エ障害程度区分は,障害者等に対する障害福祉サービスの必要性を明らかにするため当該障害者等の心身の状態を総合的に示すものとして定められた指標であるから,重い障害を有する障害者であっても,比較的自立した生活を営むことができる状態にある場合には,障害程度区分は低く認定されることになり,他方,比較的障害が軽い障害者であっても,障害を有するようになって間もないなどの理由から,多くの介助がなければ生活を営むことができない場合には,障害程度区分が高く認定されることになる。このため,障害の軽重が同一であるからといって,必ず ,障害を有するようになって間もないなどの理由から,多くの介助がなければ生活を営むことができない場合には,障害程度区分が高く認定されることになる。このため,障害の軽重が同一であるからといって,必ずしも障害程度区分が同一となるとは限らないのであるから,他の視覚障害者の障害程度区分との相違をいう原告の主張は,失当である。 第3 当裁判所の判断 1 前記前提事実に,証拠(甲12,15,乙4,6ないし9,12,15,16,18ないし20,証人d,証人b,原告本人)及び弁論の全趣旨を総合すると,次の事実が認められる。 (1) 支援法制定の経緯等ア障害者福祉サービスについては,平成15年4月に施行された社会福祉の増進のための社会福祉事業法等の一部を改正する等の法律によって,行政がサービス提供の可否や種類等を決定する従来の措置制度から,利用者がサービスを選択し,事業者と直接契約する支援費制度への転換が図られた。ところが,上記支援費制度の下では,障害の程度やサービスの必要度を客観的に測る指標が設けられていなかったこともあって,地域によってサービスの利用量に大きな差違が生じ,必ずしも 障害の程度や支援の必要性に応じたサービスの利用とはなっておらず,支給決定の過程も不透明であるといった問題点が指摘されるようになった。そこで,平成18年4月1日に施行された支援法においては,障害者等が支援の必要度に応じて障害福祉サービスを公平に利用することができるように支給決定の透明化,明確化を図る観点から,市町村に障害保健福祉の学識経験者からなる市町村審査会が置かれ,障害者等の障害福祉サービスの必要性を明らかにするため,障害者等の心身の状態を総合的に示す障害程度区分の制度が設けられた。 イ障害程度区分の制度導入に当たっては,障害者の介護ニーズを判定 かれ,障害者等の障害福祉サービスの必要性を明らかにするため,障害者等の心身の状態を総合的に示す障害程度区分の制度が設けられた。 イ障害程度区分の制度導入に当たっては,障害者の介護ニーズを判定する指標に関する調査研究として,介護保険の要介護認定基準(介護保険法27条参照)の有効性の評価が行われた。その結果,上記基準は,介護給付に相当するサービスの必要度を測定する上で,障害者においても有効であるものの,障害者に対する支援においては,機能訓練や生活訓練,就労支援等も重要であり,これらの支援の必要度の判定には,介護給付に相当するサービスの判定に用いられる基準とは別のロジックが必要であると指摘された。 そこで,厚生労働省では,このような調査研究を踏まえて,障害程度区分認定基準を策定するため,平成17年6月から,全国60の市において,約1800人の障害者を対象として,障害程度区分判定等試行事業を実施した。上記事業では,要介護認定の調査項目79項目に27項目を追加した合計106項目を用いて調査が行われた。追加された調査項目は,①行動面に関する項目(多動やこだわりなど),②精神面に関する項目(話がまとまらない,働きかけに応じず動かないでいるなど)及び③日常生活面に関する項目(調理や買い物ができるかどうかなど)等であり,いずれも障害者の特性をよりきめ細かく把握することができるようにするという観点から加えられたものであった。 ウその後,前記イの障害程度区分判定等試行事業で得られたデータの分析結果や有識者等から得た意見を踏まえて,障害程度区分認定基準の策定作業が進められ,支援法の施行に伴い,支援法4条4項を受けて基準等省令が定められ,本件実 施通知,本件運営通知及び本件手引き通知が発せられた。支援法や基準等省令等の定める障害程度区分は の策定作業が進められ,支援法の施行に伴い,支援法4条4項を受けて基準等省令が定められ,本件実 施通知,本件運営通知及び本件手引き通知が発せられた。支援法や基準等省令等の定める障害程度区分は,支給決定手続の透明化・公平化を図る観点から,①身体障害,知的障害及び精神障害の各特性を反映できるよう配慮しつつ,上記3障害共通の基準とすること,②調査者や判定者の主観によって左右されにくい客観的な指標とすること,③判定プロセスと判定に当たっての考慮事項を明確化すること,という3点を基本として設計されたものである。 (2) 支援法における障害程度区分認定制度の概要ア障害程度区分の認定については,支援法4条4項を受けて定められた基準等省令において,調査項目や障害程度区分に関する審査判定基準等が定められ,さらに支援法を受けて定められた施行令や障害者自立支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号。以下「施行規則」という。),地方自治法245条の規定に基づく技術的な助言として定められた本件実施通知,本件運営通知及び本件手引き通知において,具体的な認定調査や審査判定の方法,基準等が規定されている。全国の市町村では,これらに準拠して認定調査や審査会の運用を定めたマニュアルを作成しており,被告においても,これらに準拠して本件審査会マニュアルや本件調査員マニュアルが定められている。 イこれらの法令,通知,マニュアルの規定によると,市町村における障害程度区分認定の手続は,次のとおり,①認定調査員による認定調査,②コンピューターによる一次判定,③市町村審査会による二次判定,④市町村による障害程度区分認定という順序で進められるものとされている。 (ア) 認定調査員による認定調査まず最初に,認定調査員が申請に係る障害者等と面接し,心身の状況 審査会による二次判定,④市町村による障害程度区分認定という順序で進められるものとされている。 (ア) 認定調査員による認定調査まず最初に,認定調査員が申請に係る障害者等と面接し,心身の状況等に関する合計106の調査項目について認定調査を行う。上記調査項目は,前記(1)イのとおり,介護保険の要介護認定に用いられる79項目に,行動面に関する項目(多動やこだわりなど),精神面に関する項目(話がまとまらない,働きかけに応じず動かないでいるなど),日常生活面に関する項目(調理や買い物ができるかどうかな ど)等,27項目を加えたものである。認定調査には認定調査票が用いられ,認定調査員は,上記調査項目のそれぞれについて認定調査票の「できる,見守り等,一部介助,全介助」等の選択肢の中から当てはまるものを選択し,当該項目に関して特記事項がある場合にはこれを所定の欄に記載する。 また,認定調査員は,これと併せて,支給決定の段階においてサービスの種類,量などを決定する際に障害程度区分とともに勘案するため,本人及び家族の状況や現在のサービス内容,家族による介護の状況,地域生活(外出,社会活動の参加,入所・入院等),就労(就労状況,就労経験,就労希望等),日中活動(日中活動の場等),居住(生活の場等),その他の事項(障害状態の特徴,家族状況等)を調査し,その結果を概況調査票に記載する。 (イ) コンピューターによる一次判定一次判定は,次のとおり,プロセスⅠとプロセスⅡの2段階からなるが,いずれも認定調査の結果を基準等省令の定めに従って数値化する方法で行われる。市町村は,国から,この作業を行うための一次判定用ソフトの配布を受けており,これに前記(ア)の認定調査の結果を入力し,一次判定を行う。 a プロセスⅠプロセスⅠは,前記( る方法で行われる。市町村は,国から,この作業を行うための一次判定用ソフトの配布を受けており,これに前記(ア)の認定調査の結果を入力し,一次判定を行う。 a プロセスⅠプロセスⅠは,前記(ア)の106の調査項目のうち,要介護認定調査項目と同じ79項目(A項目群)の調査結果を用いて,基準時間を算出する方法によって行われる。基準時間は,基準等省令1条,別表第2から第9までの算定方法により算定される時間を合計する方法によって,1日当たりの介護や家事援助等の支援に要する時間を推計したものであるが,障害程度区分認定の過程で用いられる指標にすぎないから,実際の介護サービスに要している時間やこれに要すると見込まれる時間と一致するものではない。 プロセスⅠでは,算出された基準時間の長さに応じて,非該当(基準時間が25分未満),区分1(基準時間が25分以上32分未満),区分2(基準時間が32分以上50分未満),区分3(基準時間が50分以上70分未満),区分4(基準 時間が70分以上90分未満),区分5(基準時間が90分以上110分未満),区分6(基準時間が110分以上)のいずれかに分類される。 なお,一次判定用ソフトでは,認定調査の結果を入力する際,複数の調査項目において同時に出現することがまれな組み合わせがあった場合には,入力ミスを確認するために警告コードが表示される仕組みになっており,警告コードが表示された場合には,認定調査員に対する確認等が行われる。 b プロセスⅡプロセスⅡは,プロセスⅠの算出結果では上記各区分の基準時間に満たないものの,行動障害及び手段的日常生活動作(IADL)に関する調査項目の結果を勘案することで基準等省令が定める各障害程度区分に該当するかどうかを判定するために行われるものである。具体的には,① たないものの,行動障害及び手段的日常生活動作(IADL)に関する調査項目の結果を勘案することで基準等省令が定める各障害程度区分に該当するかどうかを判定するために行われるものである。具体的には,①プロセスⅠでは用いられなかった調査項目中の日常生活面に関する項目(B1項目群)に関する調査結果からIADLスコアを,行動障害に関する項目(B2項目群)に関する調査結果から行動障害スコアをそれぞれ算出した上,②IADLスコアについて回帰分析をした結果,得られる変数が1以上1.5未満の場合は,障害程度区分を1段階重度に,1.5以上の場合は,2段階重度に変更し,③IADLスコアが1.28以上又は行動障害スコアが0.07以上の場合は,非該当から区分1に変更する。 (ウ) 市町村審査会による二次判定障害保健福祉の学識経験を有する委員で構成される市町村審査会は,①認定調査の結果と認定調査票中の特記事項及び主治医又は指定医から提出された医師意見書の内容との間に矛盾や不整合がないか確認し,②矛盾等がない場合には,一次判定の結果を確定し,③矛盾等がある場合には,再調査を指示するか,必要に応じて医師及び認定調査員に照会した上で認定調査の結果の一部修正が必要と認められるときには,認定調査の結果の一部修正を行う。次に,確定した一次判定の結果を原案として,認定調査票中の特記事項,医師意見書及び一次判定において用いられなかった調査項目を検討し,その結果を二次判定とする。 (エ) 市町村による障害程度区分認定市町村は,市町村審査会の審査判定に基づき障害程度区分認定処分を行い,これを申請者に対して通知する。 (3) 認定調査における判断基準等ア本件手引き通知や本件調査員マニュアルには,認定調査の実施方法等のほか,全ての調査項目について,認 区分認定処分を行い,これを申請者に対して通知する。 (3) 認定調査における判断基準等ア本件手引き通知や本件調査員マニュアルには,認定調査の実施方法等のほか,全ての調査項目について,認定調査に当たっての着眼点や留意点,選択肢の判断基準等が詳細に定められており,認定調査員は,これらに従って認定調査を実施している。 イ調査項目のうち,「移乗」,「移動」,「片足での立位保持」,「食事摂取」,「排尿」,「排便」,「上衣の着脱」,「ズボン等の着脱」,「薬の内服」,「金銭の管理」,「聴力」,「掃除」及び「入浴の準備片付け」についての着眼点,留意点及び選択肢の判断基準は,別紙2「本件調査員マニュアルの記載(抜粋)」のとおりである。 (4) 二次判定における判断基準等ア本件運営通知や本件審査会マニュアルには,市町村審査会における審査判定に当たっての留意事項,審査判定の具体的な方法や手順,判断基準等が詳細に定められており,市町村審査会は,これらに従って二次判定を行っている。 イ本件運営通知や本件審査会マニュアルによると,概況調査票及び過去の審査判定資料の取扱い,認定調査の結果の一部修正,区分の変更は,以下のとおりの留意事項や判断基準等に従って行うものとされている。 (ア) 概況調査票及び過去の審査判定資料の取扱い概況調査票に記載された内容(単身・同居の別や家族等の介護者の状況,日中活動の場,就労状況,サービス利用の状況等)や過去に用いた審査判定資料については,対象者の一般的な生活状態等を把握するために参照することは差し支えないものの,これを理由として二次判定をすることは適当ではない。 (イ) 認定調査の結果の一部修正 認定調査の結果の一部修正については,認定調査では得られなかった状況が特記事項又は ないものの,これを理由として二次判定をすることは適当ではない。 (イ) 認定調査の結果の一部修正 認定調査の結果の一部修正については,認定調査では得られなかった状況が特記事項又は医師意見書の内容(市町村審査会における認定調査員及び医師の発言を含む。)等によって新たに明らかになった場合は,必要に応じて行うことができるが,既に当初の一次判定の結果で勘案された心身の状況(認定調査の結果と一致する特記事項や医師意見書の内容)や,根拠のない事項(特記事項又は医師意見書の記載内容に基づかない審査対象者の状況)に基づいて行うことはできない。 (ウ) 区分の変更二次判定では,特記事項,医師意見書及び調査項目中のB項目群並びに障害の特性を補足的に捉えるために設定されている項目(C項目群)の内容から,通常に比べてより長い(短い)時間の介護を要するかどうかを判断し,トータルの介護の必要時間が長くなる(短くなる)と判断される場合には,障害程度区分の変更の要否を区分変更の例を参考にしながら,これを決する。 その際,A項目群については,既に一次判定で評価されているので,これに基づき二次判定において区分変更をすることはできない。また,一次判定のプロセスⅠで区分1以上と判定された場合,B1項目群については,既に一次判定で評価されているので,これのみに基づき重度の区分に変更することはできない。さらに,プロセスⅠで非該当となった場合,B1及びB2の項目群については,既に一次判定で評価されているので,これらのみに基づき重度の区分に変更することはできない。 審査対象者の年齢や行為に要する時間(ある行為について時間がかかっていること)のように,介護に要する時間とは直接的に関係しない事項に基づいて一次判定の結果の変更をすることはできない。また,① 。 審査対象者の年齢や行為に要する時間(ある行為について時間がかかっていること)のように,介護に要する時間とは直接的に関係しない事項に基づいて一次判定の結果の変更をすることはできない。また,①施設入所・在宅の別,住宅環境,家族介護者の有無,②抽象的な介護の必要性,③審査対象者の希望,④現に受けているサービスのような心身の状況以外の状況については,障害程度区分の認定後,支給決定の段階において,障害程度区分とともに,サービス量等について検討する際に勘案されることになる事項であるから,これを理由として一次判定の結果の変更 を行うことはできない。 なお,C項目群に分類されている調査項目は,①話がまとまらない,働きかけに応じず動かないなど精神面に関する項目,②言語以外の手段を用いた説明理解など行動障害に関する項目及び③文字の視覚的認識使用に関する項目である。 (5) 本件調査の経緯等ア本件調査は,処分行政庁から委託を受けたaの職員で,同会の運営するα区障害者地域生活支援センターに勤務するb調査員によって行われた。b調査員は,支援法20条3項,施行規則10条所定の研修を受けた認定調査員であり,支援法の施行当初から認定調査に従事しており,原告に対する前回処分時の認定調査を担当したほか,これ以外にも全盲の視覚障害者に対する認定調査を担当した経験を有していた。 イ b調査員は,平成21年8月27日午後2時頃,本件調査のため,原告の自宅を訪問した。その際,b調査員は,原告から,障害の状態に変化はないので前回と同じように判定してくれればよい旨告げられたため,本件調査は前回調査とは全く関係がなく,改めて認定調査を実施することになっている旨説明した。b調査員は,認定調査の際には,本件調査員マニュアルの縮小コピーを見ながら聞き取りを よい旨告げられたため,本件調査は前回調査とは全く関係がなく,改めて認定調査を実施することになっている旨説明した。b調査員は,認定調査の際には,本件調査員マニュアルの縮小コピーを見ながら聞き取りを行い,その内容を各調査項目の余白部分に逐一書き込み,職場に戻ってから一,二時間かけてこれを整理して認定調査票や概況調査票を作成する方法をとっており,本件調査においても,すべての調査項目について同様の方法で調査を進めた。 ウ本件調査は,1時間弱程度で終了した。なお,原告が本件訴訟において問題としている調査項目について,b調査員と原告との間で行われたやりとりは,次のとおりであった。 (ア) 「移乗」の調査項目b調査員が「移乗は大丈夫か。」と質問したのに対し,原告は,移乗とは場所を移ることであると考え,「自宅内などの慣れたところでの移乗はできる。」旨答えるとともに,「外出先等知らない所でベンチを探すことや列車の中で空席を見つけ ることができないので,困難を感じている。」旨の話をした。 (イ) 「移動」の調査項目b調査員が「移動で困っていることはないか。」と質問したのに対し,原告は,「全盲の視覚障害者で,左耳が全く聞こえないので,困難を感じている。白杖を用いて外出できるが,自宅近辺以外の所等には付添いがいないと困難である。」旨答えた。その際,原告は,①視覚障害者は,音響信号機のない横断歩道を渡る際,車の音で横断の可否を判断するが,自分は,片耳が聞こえないため,音の方向が分からず,横断の可否を判断できない,②視覚障害者は,ドアの開閉音で乗車口を確認して列車に乗るが,自分は,ドアの開閉音のする方向が分からないため,列車に乗るのが大変であるという例を挙げ,ヘルパーは利用していないなどと説明した。 (ウ) 「片足での立位保持」の で乗車口を確認して列車に乗るが,自分は,ドアの開閉音のする方向が分からないため,列車に乗るのが大変であるという例を挙げ,ヘルパーは利用していないなどと説明した。 (ウ) 「片足での立位保持」の調査項目b調査員が「片足での立位保持はできるか。」と質問したのに対し,原告は,「あまりうまくできない。」旨答えた。原告は,実際に試してみることはなかったものの,1秒くらいは片足で立つことができる。 (エ) 「食事摂取」の調査項目b調査員が「食事の摂取はどうか。」と質問したのに対し,原告は,「箸の使い方があまり上手ではないので,刺身を食べる時などは箸だけで一切れずつ挟み上げることが上手にできず,そのことで困ることがある。」,「バイキングには対応できない。」旨の話をした。 (オ) 「排尿」及び「排便」の各調査項目b調査員が「排尿排便はどうか。」と質問したのに対し,原告は,「外出先のトイレを使う時は,水洗ボタンやペーパーホルダー等の位置が分かりにくく,水洗の仕組み,場所,形もまちまちであり,困っている。」,「片方の耳が聞こえないので,水の流れる音で手洗いや個室の入り口の位置を自分で確認できず,この点で,他の全盲の人と比べて大変である。」旨の話をした。 なお,原告は,外出時にはトイレの個室の入り口まで案内をしてもらうが,自宅 では介助なしに自分で排尿排便を行っている。 (カ) 「上衣の着脱」及び「ズボン等の着脱」の各調査項目b調査員が「衣類の着脱はできるか。」と質問したのに対し,原告は,「衣類の着脱そのものはできるが,色,柄物と無地との別が分からないので,上下とも柄物を着たり,色が全く合わないものを着ていたりすることが多い。改まったところに出かける時には特に気を遣う。点字で書かれたシールを衣類に貼って,間違えない ,柄物と無地との別が分からないので,上下とも柄物を着たり,色が全く合わないものを着ていたりすることが多い。改まったところに出かける時には特に気を遣う。点字で書かれたシールを衣類に貼って,間違えないように工夫している。」旨の話をした。 (キ) 「薬の内服」の調査項目b調査員が「薬は自分で飲めるか。」と質問したのに対し,原告は,「普段常用している薬はない。もし困ることがあるとすれば,水薬,シロップ状の薬は,目盛りが見えないので自分で分量を確認することができないことから,飲むことが困難である。」旨の話をした。 (ク) 「金銭の管理」の調査項目b調査員が「金銭の管理は自分でできるか。」と質問したのに対し,原告は,「計算や使途の決定は自分でできるが,紙幣の識別が難しく困っている。特に,二千円札と五千円札は大きさがほぼ同じであり,識別に苦労している。」,「金融機関の通帳を自分で読むことができないので苦労している。」,「原告が単独で利用できる金融機関が少なく,現金自動預払機の利用が困難である。」等の話をした。 (ケ) 「聴力」の調査項目b調査員が「聴力はどうか。」,「耳は聞こえるか。」と質問したのに対し,原告は,「1つだけの音を聞けばよいときはそれほど困らないが,単に片方の耳が聞こえないだけではなく,聴覚の機能が低下して,複数の音の中から自分に必要な音を抽出する力が落ちており,複数の音があるところで自分にとって必要な音をより分けて聞き出さなければならない時が困る。」,「左耳が聞こえないので左側にいる人と会話をするのが大変である。」,「人から声を掛けられた時に相手がどこにいるのかが分からないので困っている。」等の話をした。b調査員は,原告の聴力 を確認するため,「このくらいの声で聞こえるか。」と質問したところ,「聞こえ 「人から声を掛けられた時に相手がどこにいるのかが分からないので困っている。」等の話をした。b調査員は,原告の聴力 を確認するため,「このくらいの声で聞こえるか。」と質問したところ,「聞こえる。」という回答を得たことから,原告が述べた上記困難を特記事項に記載することはなかった。 (コ) 「掃除」の調査項目b調査員が「掃除はどうしているか。」と質問したのに対し,原告は,「ヘルパーにお願いしている。」旨答えた。 (サ) 「入浴の準備片付け」の調査項目b調査員が「掃除を除く入浴の準備と片付けはできるか。」と質問したのに対し,原告は,「カビが心配であるが,そのチェックができない。」旨の話をした。 エ b調査員は,本件調査終了後,職場に戻り,原告から聞き取った内容を基にして,本件認定調査票及び本件概況調査票を作成した。その際,b調査員は,調査項目のうち,①第1群麻痺・拘縮に分類されている「麻痺」及び「拘縮」については「ない」を,②第2群移動に分類されている「寝返り」,「起き上がり」,「座位保持」,「両足での立位」,「歩行」及び「移乗」については「できる」を,「移動」については「見守り等」を,③第3群複雑動作に分類されている「立ち上がり」,「片足での立位」及び「洗身」については「できる」を,④第4群特別介護に分類されている「じょくそう」及び「皮膚疾患」については「ない」を,「えん下」については「できる」を,「食事摂取」については「見守り等」を,「飲水」,「排尿」及び「排便」については「できる」を,⑤第5群身の回りに分類されている「口腔清潔」,「洗顔」,「整髪」,「つめ切り」,「上衣の着脱」,「ズボン等の着脱」,「薬の内服」,「金銭の管理」,「電話の利用」及び「日常の意思決定」については「できる」を,⑥第6群意思疎通に分類 「口腔清潔」,「洗顔」,「整髪」,「つめ切り」,「上衣の着脱」,「ズボン等の着脱」,「薬の内服」,「金銭の管理」,「電話の利用」及び「日常の意思決定」については「できる」を,⑥第6群意思疎通に分類されている「視力」については「ほとんど見えず」を,「聴力」については「普通」を,「意思の伝達」については「できる」を,「独自の意思伝達」については「独自の方法によらずできる」を,「指示への反応」については「通じる」を,「説明の理解」については「言葉以外の方法を用いなくても理解できる」を,「毎日の日課を理解」, 「生年月日をいう」,「短期記憶」「自分の名前をいう」,「今の季節を理解」及び「場所の理解」については「できる」を,⑦第7群行動に分類されている「被害的」,「作話」,「幻視・幻聴」,「感情が不安定」,「昼夜逆転」,「暴言・暴行」,「同じ話をする」,「大声を出す」,「介護に抵抗」,「常時の徘徊」,「落ち着きなし」,「外出して戻れない」,「一人で出たがる」,「収集癖」,「火の不始末」,「物や衣類を壊す」,「不潔行動」,「異食行動」及び「ひどい物忘れ」については「ない」を,⑧第7群行動関連に分類されている「こだわり」,「多動・行動停止」,「不安定な行動」,「自ら叩く等の行動」,「他を叩く等の行動」,「興味等による行動」,「通常と違う声」,「突発的行動」及び「過食反すう等」については「ない」を,⑨第7群精神症状関連に分類されている「憂うつで悲観的」,「反復的行動」,「対人面の不安緊張」,「意欲が乏しい」,「話がまとまらない」,「集中力が続かない」,「自己の過大評価」及び「疑い深く拒否的」については「ない」を,⑩第8群医療に分類されている「点滴の管理」,「中心静脈栄養」,「透析」,「ストーマの処置」,「酸素療法」,「レスピレーター」,「気 ,「自己の過大評価」及び「疑い深く拒否的」については「ない」を,⑩第8群医療に分類されている「点滴の管理」,「中心静脈栄養」,「透析」,「ストーマの処置」,「酸素療法」,「レスピレーター」,「気管切開の処置」,「疼痛の看護」,「経管栄養」,「モニター測定」,「じょくそうの処置」及び「カテーテル」については「ない」を,⑪第9群生活関連に分類されている「調理」については「見守り,一部介助」を,「食事の配下膳」については「できる」を,「掃除」,「洗濯」,「入浴の準備片付け」,「買い物」及び「交通手段の利用」については「見守り,一部介助」を,「文字の視覚的認識」については「全介助」をそれぞれ選択し,本件認定調査票にその旨を記載した。 また,b調査員は,本件認定調査票に①「移動」の特記事項として「全盲で,白杖を用いて外出できるが,自宅近辺以外の所などには付き添いの方がいないと困難。」,②「食事摂取」の特記事項として「視覚障害者で器の高低により,ひっくり返すことがよくあり,見守りが行われている。」,③「衣服着脱」の特記事項として「色が分からなかったり柄が分からないのでチグハグな組み合わせをしている ことも多いが着ることはできる。」,④「視力」の特記事項として「全く見えない。」,⑤「調理」の特記事項として「食品が何かわからない,又,調理方法が書いてあっても読めず,調理できない。」,⑥「掃除」の特記事項として「ときどきチェックをしてもらわないと,どこが汚れているかわからない。」,⑦「洗濯」の特記事項として「シミがついていたりすることがわからず落とせない。」,⑧「入浴準備」の特記事項として「カビが出ていることなどがわからず,チェックが必要。」⑨「買物」の特記事項として「品物の選定に介助が必要。現在は生協を利用することも多い。」,⑩「交通手 せない。」,⑧「入浴準備」の特記事項として「カビが出ていることなどがわからず,チェックが必要。」⑨「買物」の特記事項として「品物の選定に介助が必要。現在は生協を利用することも多い。」,⑩「交通手段」の特記事項として「乗車降車などに介助が必要。」,⑪「文字の視覚的認識使用」の特記事項として「音声化しないと活用できない。」旨をそれぞれ記載した。 b調査員は,本件概況調査票についても,原告からの聴取内容を基に記入作業を行い,①「外出の頻度」欄には,過去1か月間の回数が10回程度であったことを,②「就労関連」欄には,自宅で長い間鍼灸マッサージを開業していることを,③「介護者の有無」欄には,介護者ありで,介護者の健康状況等特記すべきこととしては,夫が学校教師であり息子が京都で学生生活を送っていることを,④「サービスの利用状況票」には,サービスの利用は休止中であることをそれぞれ記載した。 (6) 本件処分に至る経緯ア処分行政庁は,平成21年8月11日,c医師から,本件医師意見書の提出を受けた。本件医師意見書は,c医師が同月3日に原告を診察した上で作成したものであり,①「傷病に関する意見」欄には,「生後以来全盲であり,平成17年頃に左の突発性難聴(左聾)を発症した。」旨が,②「症状としての安定性」欄には,「安定している。全盲,左聾があるが,心身共に,健康に過ごせている。」旨が,③「心身の状態に関する意見」欄には,「行動上の障害,精神・神経症状,専門医受診及びてんかんはいずれもない。」旨が,④「サービス利用に関する意見のうち介護サービス(ホームヘルプサービス等)の利用時に関する医学的観点からの 留意事項」欄には,「血圧,嚥下,摂食及び移動の各項目について,特にないものの,移動については『但し全盲』である。」旨が,⑤「その他特記 ムヘルプサービス等)の利用時に関する医学的観点からの 留意事項」欄には,「血圧,嚥下,摂食及び移動の各項目について,特にないものの,移動については『但し全盲』である。」旨が,⑤「その他特記すべき事項(障害程度区分認定やサービス利用計画作成に必要な医学的な意見)」欄には,「引き続き,生活面での必要なことの介助(買物,手紙の処理)をお願いしたい。」旨が,⑥「精神障害の機能評価のうち精神症状・能力障害二軸評価の項目」欄には,「精神症状及び能力障害はいずれも認めない。」旨がそれぞれ記載されていた。 イ処分行政庁は,平成21年9月1日,aから,本件認定調査票及び本件概況調査票の提出を受け,国から提供された一次判定用ソフトを用いて障害程度区分の一次判定を行った。その際,プロセスⅠでは,基準時間が23.8分となり,区分1の基準時間の下限である25分を下回ったため,非該当と判定された。これに続くプロセスⅡでは,IADLスコア等を用いたコンピューター判定の結果,1段階上の区分1に変更されたため,一次判定の結果を区分1とした。 ウ処分行政庁は,平成21年9月29日,障害保健福祉の学識経験を有する委員5名で構成される本件認定審査会に対し,原告の障害程度区分の認定に関する審査及び判定を求めた。本件認定審査会は,委員5名全員出席の下,一次判定の結果,本件調査の結果及び前回判定結果等が記載された「市町村審査会資料」と題する書面,本件概況調査票,本件認定調査票中の特記事項が記載された部分,本件医師意見書等を基に審査を行った。本件認定審査会は,まず最初に本件調査の結果と本件認定調査票中の特記事項及び本件医師意見書の内容との間に矛盾や不整合があるかどうかを確認し,矛盾等がなかったことから,本件調査の結果を一部修正すべき理由はないと判断し,一次判定の結 調査の結果と本件認定調査票中の特記事項及び本件医師意見書の内容との間に矛盾や不整合があるかどうかを確認し,矛盾等がなかったことから,本件調査の結果を一部修正すべき理由はないと判断し,一次判定の結果を確定した。次に,本件認定審査会は,確定した一次判定の結果を原案として,本件認定調査票中の特記事項,本件医師意見書及び一次判定において用いられなかった調査項目を検討した結果,区分1とする一次判定の結果を変更すべき理由はないと判断し,二次判定の結果を区分1と判定した。 エ処分行政庁は,平成21年9月30日,本件認定審査会の審査判定の結果に 基づき,原告の障害程度区分を区分1と認定する旨の本件処分をし,同年10月13日,原告に対してこれを通知した。 オなお,本件処分の過程で行われた一次判定は,前記イのとおり,一次判定用ソフトを用いて行われたが,改めて本件認定調査票の記載を基に基準等省令等の定めに従って基準時間の算定等を行った場合,①プロセスⅠでは,基準時間が23. 8分と算定されて非該当となり,②プロセスⅡでは,IADLスコアが2.57点と算定され,これについて回帰分析をした結果,得られる変数が1.27となるため,1段階上の区分1に該当することになり,実際に行われた一次判定の結果と同一の結果が得られる。 2 本件争点(本件処分の適法性)について(1) 障害程度区分の制度趣旨,目的等についてア支援法は,障害者等がその有する能力及び適性に応じ,自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう,必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い,もって障害者等の福祉の増進を図るとともに,障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的としており(支援法1 その他の支援を行い,もって障害者等の福祉の増進を図るとともに,障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的としており(支援法1条参照),市町村は,介護給付等の支給申請があったときは,障害程度区分の認定及び支給要否決定を行うため,厚生労働省令で定めるところにより,当該職員又は認定調査員をして,当該申請に係る障害者等に面接をさせ,その心身の状況,その置かれている環境その他厚生労働省令で定める事項について認定調査をさせた上(支援法20条2項,3項),政令で定めるところにより,市町村審査会が行う当該申請に係る障害者等の障害程度区分に関する審査及び判定の結果に基づき,障害程度区分の認定を行い(支援法21条1項),支給申請に係る障害者の障害程度区分,当該障害者等の介護を行う者の状況,当該申請に係る障害者等の障害福祉サービスの利用に関する意向その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して介護給付費等の支給の要否の決定を行うものとし(支援法22条1項),支給決定を行う場合には,障害福祉サービスの種類ごとに 月を単位として厚生労働省令で定める期間において介護給付費等を支給する障害福祉サービスの量を定めなければならないとしている(支援法22条4項)。そして,支援法4条4項は,障害程度区分とは,障害者等に対する障害福祉サービスの必要性を明らかにするため当該障害者等の心身の状態を総合的に示すものとして厚生労働省令で定める区分をいう旨を規定し,これを受けて,基準等省令は,障害程度区分の内容や具体的な判定基準等を定めている。 以上のような支援法の規定や趣旨,目的等に照らすと,障害程度区分は,障害者等が支援の必要度に応じて障害福祉サービスを公平に利用することができるようにするため,障害福 的な判定基準等を定めている。 以上のような支援法の規定や趣旨,目的等に照らすと,障害程度区分は,障害者等が支援の必要度に応じて障害福祉サービスを公平に利用することができるようにするため,障害福祉サービスの必要性という観点から障害者等の心身の状態を総合的に示す指標として設けられたものというべきであるが,支援法は,障害程度区分について抽象的な定めを置くにとどまり,その具体的な内容や判定基準,認定手続の詳細等を厚生労働省令や政令等の規定に委ねている。このような支援法の規定ぶりに加え,障害程度区分の認定は,事柄の性質上,専門技術的な知識が必要とされるものであり,そのため,市町村には,障害者等の保健又は福祉に関する学識経験者によって組織される市町村審査会が置かれ(支援法15条,16条),市町村は,市町村審査会が行う障害程度区分に関する審査及び判定の結果に基づき,障害程度区分の認定を行うものとされていること(支援法21条1項)をも考慮すると,障害程度区分の認定は,市町村審査会の審査判定の結果を踏まえた合理的な裁量に委ねられていると解するのが相当である。 そうすると,障害程度区分認定処分の取消訴訟における裁判所の審理,判断は,市町村審査会の専門技術的な審査判定を基にして行われた市町村の判断に不合理な点があるか否かという観点から行われるべきであり,市町村審査会の審査判定過程に看過し難い過誤,欠落があって,市町村の判断がこれに依拠してされたと認められる場合には,その判断は,裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるというべきである。 イところで,障害程度区分の認定については,支援法の委任を受けて施行令, 施行規則,基準等省令が定められており,さらに本件実施通知,本件運営通知及び本件手引き通知では,具体的な認定調査や審 イところで,障害程度区分の認定については,支援法の委任を受けて施行令, 施行規則,基準等省令が定められており,さらに本件実施通知,本件運営通知及び本件手引き通知では,具体的な認定調査や審査判定の方法,基準等が地方自治法245条の規定に基づく技術的な助言として定められ,被告においては,これらに準拠して本件審査会マニュアルや本件調査員マニュアルが策定されている。前記1で認定したとおり,支援法の制定に当たっては,介護保険の要介護認定基準の有効性に関する調査研究の成果や全国の障害者を対象とした障害程度区分判定等試行事業で得られたデータの分析結果,有識者等から得た意見を踏まえて,障害程度区分認定基準の策定作業が行われ,これを受けて基準等省令の制定や本件各通知の発令,本件各マニュアルの作成に至ったものである。そして,これらにおいて定められている障害程度区分の認定制度は,前記1で認定したとおり,支給決定手続の透明化・公平化を図る観点から,①身体障害,知的障害及び精神障害の各特性を反映できるよう配慮しつつ,上記3障害共通の基準とすること,②調査者や判定者の主観によって左右されにくい客観的な指標とすること,③判定プロセスと判定に当たっての考慮事項を明確化すること,という3点を基本として設計されたものであり,障害者の特性をよりきめ細かく把握するため,介護認定の調査項目のほかに日常生活面,行動面及び精神面に関する調査項目の追加が行われたというのである。 このような基準等省令や本件各通知,本件各マニュアルの策定に至る一連の経緯等に照らすと,これらは,支援法の定める障害程度区分の制度趣旨を具体化したものであって,障害程度区分に関して,その具体的な認定調査や審査判定の方法,基準等を定めたものとして合理性を有するものであり,その内容は支援法4条4項, 法の定める障害程度区分の制度趣旨を具体化したものであって,障害程度区分に関して,その具体的な認定調査や審査判定の方法,基準等を定めたものとして合理性を有するものであり,その内容は支援法4条4項,21条1項,22条1項等の障害程度区分に関する諸規定の趣旨,目的等に適うものというべきである。 以上によると,障害程度区分認定処分が市町村の裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものとして違法となるかどうかについては,市町村審査会の審査判定に至る過程において,基準等省令や本件各通知,本件各マニュアルの定める認定調査や審査判定の方法,基準等にそぐわず,不合理と目すべきところがあるかどうかと いう観点から,検討すべきである。 (2) 本件処分についてアそこで,このような見地から,本件処分について検討する。 (ア) 支援法や施行規則,施行令,基準等省令,本件各通知及び本件各マニュアルによると,障害程度区分の認定処分は,①認定調査員による認定調査,②コンピューターによる一次判定,③市町村審査会による二次判定,④市町村による障害程度区分認定という手続を踏んで行われるべきものとされている。 (イ) 本件処分に当たっては,前記1で認定したとおり,b調査員が原告の自宅を訪問し,本件調査員マニュアルの縮小コピーを見ながら,すべての調査項目について聞き取りを行い,その内容を逐一記録した上で,職場に戻ってから一,二時間かけてこれを整理して認定調査票や概況調査票を作成するという方法で認定調査が行われている。b調査員は,支援法の施行当初から認定調査に従事し,全盲の視覚障害者を担当した経験も有しており,原告が障害の状態に変化はないので前回と同じように判定してくれればよいと述べたのに対し,前回調査とは無関係に改めて認定調査を実施することになってい 事し,全盲の視覚障害者を担当した経験も有しており,原告が障害の状態に変化はないので前回と同じように判定してくれればよいと述べたのに対し,前回調査とは無関係に改めて認定調査を実施することになっている旨説明するなど,基準等省令や本件各通知,本件調査員マニュアル等に沿った適切な対応をしている。本件調査は,1時間弱程度の時間をかけて行われており,この間の原告とのやり取りや本件認定調査票の記載内容をみても,基準等省令や本件各通知,本件調査員マニュアル等に定められた認定調査の方法,基準等にそぐわない点や,不合理と目すべきところは見当たらない。 (ウ) また,本件処分に当たっては,前記1で認定したとおり,本件認定調査票の記載を基に一次判定用ソフトを用いて一次判定が行われている。その結果,プロセスⅠでは,基準時間が23.8分となり,区分1の基準時間の下限である25分を下回ったため,非該当と判定されたが,プロセスⅡでは,IADLスコア等を用いたコンピューター判定の結果,1段階上の区分1に変更されたため,一次判定は区分1とされた。この判定は,基準等省令等に定められた方法に沿って行われており,一次判定用ソフトを用いずに改めて本件認定調査票の記載を基に基準等省令等 の定めに従って基準時間の算定等を行ってみても,①プロセスⅠでは,基準時間が23.8分と算定されて非該当となり,②プロセスⅡでは,IADLスコアが2. 57点と算定され,これについて回帰分析をした結果,得られる変数が1.27となるため,1段階上の区分1に該当することになり,実際に行われた一次判定の結果と同一の結果となる。 (エ) さらに,本件処分に当たっては,前記1で認定したとおり,障害保健福祉の学識経験を有する委員5名で構成される本件認定審査会による二次判定が行われている。本件認定審 果と同一の結果となる。 (エ) さらに,本件処分に当たっては,前記1で認定したとおり,障害保健福祉の学識経験を有する委員5名で構成される本件認定審査会による二次判定が行われている。本件認定審査会は,①まず最初に本件調査の結果と本件認定調査票中の特記事項及び本件医師意見書の内容との間に矛盾や不整合があるかどうかを確認し,その結果,矛盾等はなく,本件調査の結果を一部修正すべき理由はないと判断して一次判定の結果を確定した上,②確定した一次判定の結果を原案として,本件認定調査票中の特記事項,本件医師意見書及び一次判定において用いられなかった調査項目を検討し,その結果,区分1とする一次判定の結果を変更すべき理由はないと判断して二次判定の結果を区分1と判定した。この判定は,基準等省令や本件各通知,本件審査会マニュアル等に定められた方法に従って行われており,前記1で認定した本件認定調査票や本件医師意見書の内容に照らして合理性を肯認することができるものであって,処分行政庁は,この判定結果に基づき,本件処分を行っている。 イ以上のとおり,本件認定審査会の審査判定は,支援法や施行令,施行規則,基準等省令,本件各通知及び本件各マニュアルによって定められた手続を履践して行われており,その過程において,これらの定める認定調査や審査判定の方法,基準等にそぐわない点や,不合理と目すべきところは見当たらないから,本件認定審査会の審査判定を基にして行われた本件処分に裁量権の逸脱,濫用があるということはできない。 (3) 本件調査の結果に関する原告の主張についてアこれに対し,原告は,調査項目のうちの「移乗」,「移動」,「片足での立 位保持」,「食事摂取」,「排尿」,「排便」,「上衣の着脱」,「ズボン等の着脱」,「薬の内服」,「金銭の管理」, アこれに対し,原告は,調査項目のうちの「移乗」,「移動」,「片足での立 位保持」,「食事摂取」,「排尿」,「排便」,「上衣の着脱」,「ズボン等の着脱」,「薬の内服」,「金銭の管理」,「聴力」,「掃除」及び「入浴の準備片付け」についての判定は,実際の原告の心身の状態を反映しておらず,本件概況調査票には原告の夫が視覚障害者であることが記載されていないから,本件処分は誤った本件調査の結果を基にして行われたものであり,違法である旨主張する。 イ前記(1)で説示したとおり,本件処分が違法かどうかについては,本件認定審査会の審査判定に至る過程において,基準等省令や本件各通知,本件各マニュアルの定める認定調査や審査判定の方法,基準等にそぐわない点や,不合理と目すべきところがあるかどうかという観点から,検討すべきものであるところ,前記1で認定した事実によると,本件手引き通知や本件調査員マニュアルには,認定調査の実施方法等のほか,全ての調査項目について,認定調査に当たっての着眼点や留意点,選択肢の判断基準等が詳細に定められており,これに従って認定調査が実施されているというのであるから,本件調査についても,本件手引き通知や本件調査員マニュアルの定める判断基準等にそぐわない点や,不合理と目すべきところがあるかどうかが審査されるべきである。 ウそこで,このような観点から,原告の指摘する調査項目等について個別に検討する。 (ア) 「移乗」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「移乗」とは,ベッド,車いす,いす,ポータブルトイレ,畳等の間を乗り移ることを評価するものであり,移乗の際に,実際に見守りや介助が行われているかどうかに基づいて判断し,移乗の種類(ベッドから車いす等)により,状況が異なる場合や状況に変動が見られる場合には, 間を乗り移ることを評価するものであり,移乗の際に,実際に見守りや介助が行われているかどうかに基づいて判断し,移乗の種類(ベッドから車いす等)により,状況が異なる場合や状況に変動が見られる場合には,対象者の移乗頻度の高い状況に基づいて判断するものとされている。 前記1で認定したとおり,原告は,本件調査の際,「自宅内などの慣れたところでの移乗はできる。」旨回答しており,本件全証拠によっても,原告が上記の意味における「移乗」を行う際に,実際に見守りや介助が行われていると認めることは できないから,「移乗」を「できる」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 この点について,原告は,飲食店や列車内等での空席探しができないから,「できる」には当たらない旨主張するけれども,原告の主張する支障があることは「移乗」の調査項目における評価の対象とはならないから,上記主張を採用することはできない。 (イ) 「移動」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「移動」とは,日常生活において,必要な場所への移動に当たり,実際に見守りや介助が行われているか否かに着目して評価するものであり,対象者の生活全体における移動行為が日常的かどうかで判断し,日常的に外出している場合はその外出行為も含まれるが,屋内と屋外で状況が異なる場合には,移動の頻度がより多い状況に基づいて判断するものとされている。また,本件調査員マニュアルによると,①「移動」の項目で「見守り等」を選択するのは,介助なしで移動できるが,しばしば転ぶなどで助言や見守りが必要な場合,又は介助なしで移動できるが,場面の変化等においての不適応行動や意欲のなさ等に対して,一時的な声かけや見守りが必要 選択するのは,介助なしで移動できるが,しばしば転ぶなどで助言や見守りが必要な場合,又は介助なしで移動できるが,場面の変化等においての不適応行動や意欲のなさ等に対して,一時的な声かけや見守りが必要である場合であり,②「一部介助」を選択するのは,自分1人では移動ができないため,部分的に介助が行われている場合,又は介助者が必要な場所へ移動するために手を添えたり,体幹を支えたり,敷居などの段差で車いすを押す等の介助が行われている場合,常に声かけをしなければならない場合や強い促し,助言が必要な場合であり,③「全介助」を選択するのは,自分では移動が全くできない場合,又は目的もなく屋内・屋外の徘徊や多動があり,日常生活における全場面で介助を必要とする場合,医療上の必要により移動を禁止されている場合であるとされている。 前記1で認定したとおり,本件調査当時における原告の外出頻度は月に10回程度であり,本件調査の際,原告は,「左耳が全く聞こえないので,横断や列車への 乗車の際に困難を感じている。」,「白杖を用いて外出できるが,自宅近辺以外の所等には付き添いがいないと困難である。」旨回答したのであるから,頻度がより多い自宅内における状況に基づいて「移動」を「見守り等」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 (ウ) 「片足での立位保持」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「片足での立位保持」とは,立ち上がるまでに介助が必要か否かにかかわりなく,平らな床の上で,自分で左右いずれかの片足を上げた状態のまま立位を保持できる(平衡を保てる)かどうかを評価するものであり,立位保持の目安は1秒程度であるとされている。また,本件調査員マニュアルによ 平らな床の上で,自分で左右いずれかの片足を上げた状態のまま立位を保持できる(平衡を保てる)かどうかを評価するものであり,立位保持の目安は1秒程度であるとされている。また,本件調査員マニュアルによると,①何にもつかまらないで,いずれかの片足で立っていることができる場合には「支えなしでできる」の選択肢を,②壁や手すり,いすの背など,何かにつかまると,いずれか片足で立っていることができる場合には「何か支えがあればできる」の選択肢を,③どのような状況であっても全く片足で立つことができない場合には「できない」の選択肢を選ぶものとされている。 前記1で認定したとおり,本件調査の際,原告は,片足での立位保持はあまりうまくできない旨回答し,実際に試してみることはなかったものの,1秒くらいは片足で立つことができるというのであるから,「片足での立位」を「できる」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 (エ) 「食事摂取」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「食事摂取」は,通常の食事の介助が行われているかどうかに着眼して評価するものであり,食事の介助とは,スプーンフィーディングや食卓上できざみながら口に運ぶ場合又は食べこぼしの掃除等を想定するものとされている。また,本件調査員マニュアルによると,①「食事摂取」の項目で「できる」を選択するのは,介助,見守り等なしに自分で食事が摂れている場合で あり,視覚障害者で,配膳の際におかずの種類や配列を知らせると自分で摂取できる場合もこれに含まれる,②「見守り等」を選択するのは,介助なしに自分で摂取しているが,見守り等が行われている場合であり,視覚障害者で,配膳の際のおかずの種類や配列を知らせても, ると自分で摂取できる場合もこれに含まれる,②「見守り等」を選択するのは,介助なしに自分で摂取しているが,見守り等が行われている場合であり,視覚障害者で,配膳の際のおかずの種類や配列を知らせても,器の高低により,ひっくり返す等がよくあり,見守り等が行われている場合もこれに含まれる,③「一部介助」を選択するのは,食事の際に,食卓上で小さく切る,ほぐす,皮をむく,魚の骨をとる等,食べやすくするために何らかの介助が行われている場合であり,視覚障害者で,配膳の際のおかずの種類や配列を知らせても理解しにくく,特定の食品を摂取するため,何らかの介助を必要とする場合も含まれるとされている。 前記1で認定したとおり,原告は,本件調査の際,箸の使い方があまり上手ではなく,刺身等の食品の種類によってはつかめず,困ることがある旨回答したというのであるから,「食事摂取」を「見守り等」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 この点について,原告は,バイキングや大皿料理を囲む複数人での食事が困難であるから,「できる」には当たらない旨主張するけれども,原告の主張する支障があることは「食事摂取」の調査項目における評価の対象とはならないから,上記主張を採用することはできない。 (オ) 「排尿」及び「排便」の各調査項目本件調査員マニュアルによると,「排尿」及び「排便」は,自分で排尿排便に係る一連の行為を行っているかどうかに着目して評価するものであり,一連の行為には,尿意・便意,トイレまでの移動又はポータブルトイレへの移乗,排尿・排便動作,排尿・排便後の後始末が含まれるが,時間帯や日によって受けている介助の状況が異なる場合は,対象者が最も頻度の高い排尿排便の状況 意・便意,トイレまでの移動又はポータブルトイレへの移乗,排尿・排便動作,排尿・排便後の後始末が含まれるが,時間帯や日によって受けている介助の状況が異なる場合は,対象者が最も頻度の高い排尿排便の状況により判断するものとされている。 前記1で認定したとおり,本件調査当時における原告の外出頻度は月に10回程 度であり,本件調査の際,原告は,外出先のトイレを使う場合にトイレの位置や水洗ボタン等の場所が分かりにくい旨回答し,実際,外出時にはトイレの個室の入り口まで案内をしてもらうものの,自宅では介助なしに自分で排尿排便を行っているというのであるから,頻度がより多い自宅内における状況に基づいて「排尿」及び「排便」を「できる」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 (カ) 「上衣の着脱」及び「ズボン等の着脱」の各調査項目本件調査員マニュアルによると,「上衣の着脱」及び「ズボン等の着脱」は,普段着用している衣服について,衣服の着脱を自分で行っているかどうかに着目して評価するものであり,衣服の種類や大小は問わず,時候に合った服装の準備等,着脱までの行為は含まれないものとされている。 前記1で認定したとおり,原告は,本件調査の際,衣類の着脱そのものはできる旨回答しているのであるから,「上衣の着脱」及び「ズボン等の着脱」を「できる」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 この点について,原告は,身だしなみに欠かすことのできない衣類の色や柄,汚れの有無等を確認することができないから,「できる」には当たらない旨主張するけれども,原告の主張する き点は見当たらない。 この点について,原告は,身だしなみに欠かすことのできない衣類の色や柄,汚れの有無等を確認することができないから,「できる」には当たらない旨主張するけれども,原告の主張する支障があることは「上衣の着脱」及び「ズボン等の着脱」の調査項目における評価の対象とはならないから,上記主張を採用することはできない。 (キ) 「薬の内服」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「薬の内服」は,薬の内服に係る一連の行為について自分で行っているかどうかに着目して評価するものであり,一連の行為とは,薬を飲む時間や飲む量を理解する,薬や水を手元に用意する,薬を口に入れる,飲み込むという行為をいい,現在の状況で介助を受けているか否かに基づいて 判断し,投薬を受けていない場合には,対象者の能力を総合的に勘案して判断するものとされている。 前記1で認定した事実によると,原告は,本件調査の際,普段常用している薬はないが,もし困ることがあるとすれば,水薬やシロップ状の薬は分量を確認することができないので困難である旨回答したというのであるから,視覚障害を有する原告に対して服用の可否を確認せずに水薬等が処方される事態が想定しにくいこと等を考慮すると,「薬の内服」を「できる」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 (ク) 「金銭の管理」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「金銭の管理」は,自分の所持金(預金通帳や小銭)の支出入の把握,管理,出し入れする金額の計算を自分で行っているかどうか及びそれが適切であるか否かに着目して評価するものであり,現在の状況で介助を受けているかどうかに基づいて判断し,実際に自分で金銭の出し入れ 把握,管理,出し入れする金額の計算を自分で行っているかどうか及びそれが適切であるか否かに着目して評価するものであり,現在の状況で介助を受けているかどうかに基づいて判断し,実際に自分で金銭の出し入れに関する行為を行っているかどうかは問わないものとされている。また,本件調査員マニュアルによると,「金銭の管理」で「できる」を選択するのは,自分の所持金の支出入の把握や管理を自分で行っている,出し入れする金額の計算を介助なしに自分で行っている場合であり,これには,銀行に行けなくとも,誰かに頼んで出し入れをしてもらっているが,金銭管理や金銭の計算ができる場合も含まれるものとされている。 前記1で認定したとおり,原告は,本件調査の際,計算や使途の決定は自分でできる旨回答しているのであるから,「金銭の管理」を「できる」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 この点について,原告は,紙幣の判別が困難であり,利用できない金融機関があるから,「できる」には該当しない旨主張するけれども,原告の主張する支障があ ることは「金銭の管理」の調査項目における評価の対象とはならないから,上記主張を採用することはできない。 (ケ) 「聴力」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「聴力」は,聞こえるかどうかのみに着目して評価するものであり,対象者の反応が確認できないような大きな雑音や,気が散るようなテレビ,音楽,他の人が存在するなど調査に適さない環境における調査は避けるものとされている。また,本件調査員マニュアルによると,①日常生活における会話において支障がなく,普通に聞き取れる場合には,「普通」の選択肢を,②普通の声で話すと聞き取りにくく,聞き間違 査は避けるものとされている。また,本件調査員マニュアルによると,①日常生活における会話において支障がなく,普通に聞き取れる場合には,「普通」の選択肢を,②普通の声で話すと聞き取りにくく,聞き間違えたりする場合には,「普通の声がやっと聞き取れる」の選択肢を,③ほとんど聞こえないことが確認できる場合には,「ほとんど聞こえない」の選択肢を選択するものとされている。 前記1で認定したとおり,原告は,本件調査の際,複数の音のある所で必要な音を抽出することや左側にいる人と会話をすることが困難である旨の回答をしたものの,b調査員との会話に格別支障はなく,b調査員が聴力を確認するために「このくらいの声で聞こえるか。」と質問したのに対しても,「聞こえる。」と答えているのであるから,「聴力」を「できる」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 (コ) 「掃除」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「掃除」は,掃除に関する一連の行為について評価するものであり,一連の行為とは,掃除機の準備,掃除機の操作,掃除する部屋の整理,掃除機の後片付けまでをいい,掃除機や箒を使って普段自分の使用している部屋等を掃除することと併せて,自分の持ち物の整理整頓の可否を見るものであり,普段行っていない場合は,本人の他の家事の状況等を勘案して総合的に判断するものとされている。また,本件調査員マニュアルによると,①「掃除」の調査項目で「できる」を選択するのは,1人でできる場合や,普段の家事全般について できており,居住環境も整理整頓されているなどの能力等を勘案したときに,掃除が一通り可能と判断できる場合であり,②「見守り,一部介助」を選択するのは,常に見守りや整理 段の家事全般について できており,居住環境も整理整頓されているなどの能力等を勘案したときに,掃除が一通り可能と判断できる場合であり,②「見守り,一部介助」を選択するのは,常に見守りや整理整頓で直接的な援助が部分的に必要な場合や,普段の家事全般について比較的できており,居住環境も不十分ではあるが比較的整理整頓されているなど,直接的な援助が部分的に行われれば,掃除が一通り可能と判断できる場合であり,③「全介助」を選択するのは,1人では一連の行為ができず,一連の行為を通じて直接的援助が必要な場合であるとされている。 そうすると,認定調査においては,現実に介助を受けているからといって,直ちに「全介助」となるわけではなく,評価者が普段掃除を行っていない場合には,本人の他の家事の状況等を勘案して総合的に判断すべきであるところ,前記1で認定した事実によると,原告は,本件調査の際,掃除をヘルパーに依頼している旨回答したのであるから,普段行っていない場合に当たり,原告の他の家事の状況等を勘案して総合的に判断することになる。そして,原告の他の家事の状況は,前記認定事実に係る本件調査時の原告とb調査員との会話内容や「掃除」以外の本件調査の結果から推知するほかないところ,これらを総合すると,原告は,普段の家事全般について一通りこなしている状況にあることがうかがえるら,「掃除」を「見守り,一部介助」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 (サ) 「入浴の準備片付け」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「入浴の準備片付け」は,入浴時の準備と後片付けに関する一連の行為について評価するものであり,一連の行為とは,浴槽に水を張る,お湯を沸かす,入 備片付け」の調査項目本件調査員マニュアルによると,「入浴の準備片付け」は,入浴時の準備と後片付けに関する一連の行為について評価するものであり,一連の行為とは,浴槽に水を張る,お湯を沸かす,入浴用品の準備をする,着替えを準備する,入浴用品や風呂場の後片付けをするまでをいい,普段行っていない場合は,本人の他の家事の状況等を勘案して総合的に判断するものとされている。また,本件調査員マニュアルによると,「入浴の準備片付け」の調査項目では,前記(コ)の「掃除」の調査項目 と同一の判断基準に従って「できる」,「見守り,一部介助」,「全介助」の選択肢のいずれかを選択するものとされている。 前記1で認定したとおり,原告は,本件調査の際,「入浴の準備片付け」に関する聞き取りに対し,カビのチェックができない旨回答したところ,前記(コ)で説示したとおり,原告は,普段の家事全般について一通りこなしている状況にあることがうかがえるから,「入浴の準備片付け」を「見守り,一部介助」とした本件調査の結果が本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点は見当たらない。 エ以上のとおり,原告の指摘する各調査項目に関する本件調査の結果は,いずれも本件調査員マニュアル等の定める判断基準等にそぐわないものということはできず,特に不合理と目すべき点も見当たらないから,この点に関する原告の主張は,採用することができない。 また,原告は,本件概況調査票に原告の夫が視覚障害者であることが記載されていないことを問題にするけれども,前記1で認定したとおり,概況調査票の内容は,障害程度区分の認定の後,支給決定等の段階において,サービスの種類,量などを決定する際に,障害程度区分とともに勘案されるものにすぎず,障害程度 るけれども,前記1で認定したとおり,概況調査票の内容は,障害程度区分の認定の後,支給決定等の段階において,サービスの種類,量などを決定する際に,障害程度区分とともに勘案されるものにすぎず,障害程度区分の認定に当たっては,一次判定ではこれを考慮する過程は存在しないし,二次判定においても,対象者の一般的な生活状態等を把握するための参照資料とし得るにとどまり,これを理由として二次判定を行うことは適当ではないとされているのであるから,概況調査票の記載が本件処分に影響を及ぼす余地はないというべきである。 したがって,この点に関する原告の前記主張は,採用することができない。 (4) 前回処分との比較に関する原告の主張についてア原告は,前回処分から本件処分の間に原告の心身の状態に変化はなかったのであるから,前回処分とは異なる区分を認定した本件処分は違法である旨主張する。 イしかしながら,前記1で認定した事実によれば,障害程度区分の認定は,支給申請の都度,①認定調査員による認定調査,②コンピューターによる一次判定,③市町村審査会による二次判定,④市町村による障害程度区分認定という手続を踏んで行われるものであり,その過程において,前回処分の結果等を考慮すべきものとはされておらず,むしろ過去の審査判定資料については,二次判定の際に,対象者の一般的な生活状態等を把握するための参照資料となし得るにとどまり,これを理由として二次判定を行うことは適当ではないとされているというのであるから,本件処分の内容が前回処分の結果と異なっているからといって,直ちに本件処分が違法であるということはできない。 ウまた,この点を暫く措くとしても,証拠(乙8,11,17,証人d)及び弁論の全趣旨によれば,①前回処分の際に行われた認定調査の結果は,「 て,直ちに本件処分が違法であるということはできない。 ウまた,この点を暫く措くとしても,証拠(乙8,11,17,証人d)及び弁論の全趣旨によれば,①前回処分の際に行われた認定調査の結果は,「移動」,「洗身」,「食事摂取」,「排尿」,「排便」,「口腔清潔」,「洗顔」,「整髪」,「上衣の着脱」,「ズボン等の着脱」,「薬の内服」,「金銭の管理」及び「電話の利用」が「一部介助」,「視力」が「普通」,「感情が不安定」が「ある」,「昼夜逆転」及び「暴言・暴行」が「ときどきある」,「大声を出す」が「ある」,「憂鬱で悲観的」が「ときどきある」,「食事の配下膳」が「見守り,一部介助」であり,その余の調査項目については,介助の必要がないことを意味する「できる」,「ない」,「普通」又は「通じる」であったこと,②前回調査が行われた当時,原告は,本件調査時よりもかなり頻繁に外出し,外出時には介護を利用するなど,本件調査時と必ずしも同様の生活状況にあったわけではなかったこと,③前回調査の結果では,「日常の意思決定」の調査項目が「できる」とされていたにもかかわらず,一次判定のプロセスⅠにおけるコンピューター入力の際,上記項目について,介助の必要性が高いことを意味する「日常的に困難」に該当するものとして入力されたこと,④前回処分では,上記入力ミスを前提として原告の障害程度区分を区分4とする認定が行われており,上記入力ミスがないことを前提に,改めて前回調査時の認定調査票の記載を基に基準等省令の定めに従って基準時 間の算定等を行うと,一次判定の結果は区分3となり,異なる区分が認定された可能性があること,⑤一方,前回調査の結果において「視力」が「普通」とされていたのは,認定調査票の明白な誤記であり,この誤りについては,市町村審査会における審査の段階で,「ほ 異なる区分が認定された可能性があること,⑤一方,前回調査の結果において「視力」が「普通」とされていたのは,認定調査票の明白な誤記であり,この誤りについては,市町村審査会における審査の段階で,「ほとんど見えず」に訂正され,これを前提として前回処分が行われたことが認められる。 上記認定事実によると,前回処分と本件処分とでは,その前提となる認定調査の結果が異なっている上,前回処分は,一次判定の段階で生じた入力ミスを前提にして行われたものであるから,本件処分の内容が前回処分と一致しないことはやむを得ないものというほかはない。 なお,前回調査については,その具体的な状況や,これを担当したb調査員と原告とのやりとりの内容等が必ずしも詳らかではないため,前回調査において,本件手引き通知や本件調査員マニュアルの定める判断基準等にそぐわない点や,不合理と目すべきところがあったかどうかは明らかではないが,上記認定のとおり,前回調査時における原告の状況は本件調査時と必ずしも同様ではなかったから,このような事情が調査結果の差違に影響している可能性がある。また,前回処分は,コンピューターへの入力ミスのため,前回調査の結果とは異なる内容を前提として処分がされたことは,既に認定したとおりであるから,この意味においても,前回処分が正当であることを前提として本件処分の適否を論ずることは当を得ないものといわざるを得ない。 エしたがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (5) 他事考慮に関する原告の主張について原告は,原告の障害程度区分を変更しようという不当な意図や,原告が被告のヘルパー派遣事業廃止の是非を問う訴訟を提起したことに対する報復の目的をもって行われたものであるから,本件処分は違法である旨主張する。 しかしながら,本件処分が原 という不当な意図や,原告が被告のヘルパー派遣事業廃止の是非を問う訴訟を提起したことに対する報復の目的をもって行われたものであるから,本件処分は違法である旨主張する。 しかしながら,本件処分が原告の主張するような不当な意図や目的をもって行われたものと認めるに足りる証拠はない。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 (6) 他の視覚障害者との比較に関する原告の主張について原告は,本件処分は他の視覚障害者に対して行われた障害程度区分認定処分と比して低きに失するから,平等原則に違反し,違法である旨主張する。 しかしながら,前記1,2で認定,説示したとおり,障害程度区分は,障害福祉サービスの必要性という観点から障害者等の心身の状態を総合的に示す指標として定められたものであり,支給申請をした障害者の特性をきめ細かく把握するために認定調査が実施され,その結果を踏まえて一次判定や市町村審査会による二次判定が行われた上で認定されるものであるから,単に原告と同じ視覚障害者であるとか,身体障害者障害程度等級が同一であるからといって,同一の障害程度区分と認定されるとは限らず,個々の障害者ごとにその障害程度区分が異なり得るのは当然というほかはない。 したがって,原告の上記主張は,採用することができない。 第4 結論以上の次第で,原告の請求は理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官福井章代 裁判官笹本哲朗 裁判官沖本尚紀 別紙1関係法令等の定め 第1 裁判官笹本哲朗 裁判官沖本尚紀 別紙1関係法令等の定め 第1 障害者自立支援法(ただし,平成22年法律第71号による改正前のもの。 以下「支援法」という。)1条この法律は,障害者基本法の基本的理念にのっとり,身体障害者福祉法,知的障害者福祉法,精神保健及び精神障害者福祉に関する法律,児童福祉法その他障害者及び障害児の福祉に関する法律と相まって,障害者及び障害児がその有する能力及び適性に応じ,自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう,必要な障害福祉サービスに係る給付その他の支援を行い,もって障害者及び障害児の福祉の増進を図るとともに,障害の有無にかかわらず国民が相互に人格と個性を尊重し安心して暮らすことのできる地域社会の実現に寄与することを目的とする。 4条1項この法律において「障害者」とは,身体障害者福祉法4条に規定する身体障害者,知的障害者福祉法にいう知的障害者のうち18歳以上である者及び精神保健及び精神障害者福祉に関する法律5条に規定する精神障害者(知的障害者福祉法にいう知的障害者を除く。以下「精神障害者」という。)のうち18歳以上である者をいう。 4条4項この法律において「障害程度区分」とは,障害者等に対する障害福祉サービスの必要性を明らかにするため当該障害者等の心身の状態を総合的に示すものとして厚生労働省令で定める区分をいう。 15条26条2項に規定する審査判定業務を行わせるため,市町村に19条1項に規定する介護給付費等の支給に関する審査会(以下「市町村審査会」という。)を置 く。 18条この法律に定めるもののほか,市町村審査会に関 判定業務を行わせるため,市町村に19条1項に規定する介護給付費等の支給に関する審査会(以下「市町村審査会」という。)を置 く。 18条この法律に定めるもののほか,市町村審査会に関し必要な事項は,政令で定める。 19条1項介護給付費,特例介護給付費,訓練等給付費又は特例訓練等給付費(以下「介護給付費等」という。)の支給を受けようとする障害者又は障害児の保護者は,市町村の介護給付費等を支給する旨の決定(以下「支給決定」という。)を受けなければならない。 20条1項支給決定を受けようとする障害者又は障害児の保護者は,厚生労働省令で定めるところにより,市町村に申請をしなければならない。 20条2項市町村は,前項の申請があったときは,21条1項及び22条1項の規定により障害程度区分の認定及び同項に規定する支給要否決定を行うため,厚生労働省令で定めるところにより,当該職員をして,当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者に面接をさせ,その心身の状況,その置かれている環境その他厚生労働省令で定める事項について調査をさせるものとする。この場合において,市町村は,当該調査を32条1項に規定する指定相談支援事業者その他の厚生労働省令で定める者(以下この条において「指定相談支援事業者等」という。)に委託することができる。 20条3項前項後段の規定により委託を受けた指定相談支援事業者等は,障害者等の保健又は福祉に関する専門的知識及び技術を有するものとして厚生労働省令で定める者に当該委託に係る調査を行わせるものとする。 21条1項 市町村は,20条1項の申請があったときは,政令で定めるところにより,市町村審査会が行う当該申請に係る障害者等の障害程度区分に関する審査及び判定の結果に基づき,障害 。 21条1項 市町村は,20条1項の申請があったときは,政令で定めるところにより,市町村審査会が行う当該申請に係る障害者等の障害程度区分に関する審査及び判定の結果に基づき,障害程度区分の認定を行うものとする。 21条2項市町村審査会は,前項の審査及び判定を行うに当たって必要があると認めるときは,当該審査及び判定に係る障害者等,その家族,医師その他の関係者の意見を聴くことができる。 22条1項市町村は,20条1項の申請に係る障害者等の障害程度区分,当該障害者等の介護を行う者の状況,当該申請に係る障害者等又は障害児の保護者の障害福祉サービスの利用に関する意向その他の厚生労働省令で定める事項を勘案して介護給付費等の支給の要否の決定(以下この条及び27条において「支給要否決定」という。)を行うものとする。 第2 障害者自立支援法施行令(平成18年政令第10号。以下「施行令」という。)8条1項市町村審査会は,委員のうちから会長が指名する者をもって構成する合議体(以下この条において「合議体」という。)で,審査判定業務(法(支援法を指す。以下同じ。)26条2項に規定する審査判定業務をいう。)を取り扱う。 8条6項市町村審査会において別段の定めをした場合のほかは,合議体の議決をもって市町村審査会の議決とする。 10条1項市町村は,介護給付費及び特例介護給付費の支給決定(法19条1項に規定する支給決定をいう。以下同じ。)を受けようとする障害者から法20条1項の申請が あったときは,同条2項の調査(同条6項の規定により嘱託された場合にあっては,当該嘱託に係る調査を含む。)の結果その他厚生労働省令で定める事項を市町村審査会に通知し,当該障害者について,その該当する障害程度区分に関 条2項の調査(同条6項の規定により嘱託された場合にあっては,当該嘱託に係る調査を含む。)の結果その他厚生労働省令で定める事項を市町村審査会に通知し,当該障害者について,その該当する障害程度区分に関し審査及び判定を求めるものとする。 10条2項市町村審査会は,前項の規定により審査及び判定を求められたときは,厚生労働大臣が定める基準に従い,当該審査及び判定に係る障害者について,障害程度区分に関する審査及び判定を行い,その結果を市町村に通知するものとする。 10条3項市町村は,前項の規定により通知された市町村審査会の審査及び判定の結果に基づき,障害程度区分の認定をしたときは,その結果を当該認定に係る障害者に通知しなければならない。 第3 障害者自立支援法施行規則(平成18年厚生労働省令第19号。ただし,平成24年厚生労働省令第40号による改正前のもの。以下「施行規則」という。)10条法(支援法を指す。)20条3項に規定する厚生労働省令で定める者は,厚生労働大臣が定める研修を修了した者とする。 11条令(施行令を指す。)10条1項に規定する厚生労働省令で定める事項は,介護給付費及び特例介護給付費の支給決定を受けようとする障害者に係る医師の診断の結果とする。 第4 障害程度区分に係る市町村審査会による審査及び判定の基準等に関する省令(平成18年厚生労働省令第40号。ただし,平成24年厚生労働省令第40号による改正前のもの。以下「基準等省令」という。) 1条1項この省令において「障害程度区分基準時間」とは,障害程度区分に関する審査及び判定に係る障害者につき,当該障害者に対する別表第1の調査票を用いた障害者自立支援法(以下「法」という。)20条2項(法24条3項において準用する場合を 基準時間」とは,障害程度区分に関する審査及び判定に係る障害者につき,当該障害者に対する別表第1の調査票を用いた障害者自立支援法(以下「法」という。)20条2項(法24条3項において準用する場合を含む。)の規定による調査(以下「障害程度区分認定調査」という。)の結果に基づき,別表第2から別表第9までの算定方法により算定される時間を合計した時間とする。 1条2項この省令において「行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目」とは,別表第1の調査票における調査項目中7のエ,カからサまで,ス,セ,タ,トからヒまで及びホ並びに9―1から9―7までの調査項目とする。 1条3項この省令において「その他の精神面等に関する調査項目」とは,別表第1の調査票における調査項目中6―3―イ,6―4―イ,7のフ,へ及びマからヤまで並びに9―8の調査項目とする。 2条法4条4項の厚生労働省令で定める区分は,次の各号に掲げる区分とし,障害者自立支援法施行令(以下「令」という。)10条2項(令13条において準用する場合を含む。)に規定する市町村審査会(法15条に規定する市町村審査会をいう。以下同じ。)が行う審査及び判定は,当該審査及び判定に係る障害者が当該区分に応じそれぞれ当該各号に掲げる状態のいずれかに該当するかについて行うものとする。 1号区分1 次のイからハまでのいずれかに掲げる状態イ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が25分以上32分未満である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)ロ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が25分未満であるが,当該障害者 に係る行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果を勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態 度区分基準時間が25分未満であるが,当該障害者 に係る行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果を勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態ハ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が25分未満又は32分以上であるが,行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目並びにその他の精神面等に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果,特記事項及び医師意見書を総合的に勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態(ロに掲げる状態を除く。)2号区分2 次のイからハまでのいずれかに掲げる状態イ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が32分以上50分未満である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)ロ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が32分未満であるが,当該障害者に係る行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果を勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態ハ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が32分未満又は50分以上であるが,行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目並びにその他の精神面等に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果,特記事項及び医師意見書を総合的に勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態(ロに掲げる状態を除く。)3号区分3 次のイからハまでのいずれかに掲げる状態イ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が50分以上70分未満である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)ロ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が50分未満であるが,当該障害者に係る行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果を勘案して,イに ないものを除く。)ロ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が50分未満であるが,当該障害者に係る行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果を勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態ハ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が50分未満又は70分以上であるが,行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目並びにその他の精神面等に 関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果,特記事項及び医師意見書を総合的に勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態(ロに掲げる状態を除く。)4号区分4 次のイからハまでのいずれかに掲げる状態イ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が70分以上90分未満である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)ロ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が70分未満であるが,当該障害者に係る行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果を勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態ハ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が70分未満又は90分以上であるが,行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目並びにその他の精神面等に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果,特記事項及び医師意見書を総合的に勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態(ロに掲げる状態を除く。)5号区分5 次のイからハまでのいずれかに掲げる状態イ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が90分以上110分未満である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)ロ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が90分未満であるが,当該障害者に係る行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項 10分未満である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)ロ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が90分未満であるが,当該障害者に係る行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果を勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態ハ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が90分未満又は110分以上であるが,行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目並びにその他の精神面等に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果,特記事項及び医師意見書を総合的に勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態(ロに掲げる状態を除く。)6号区分6 次のイからハまでのいずれかに掲げる状態 イ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が110分以上である状態(当該状態に相当すると認められないものを除く。)ロ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が110分未満であるが,当該障害者に係る行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果を勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態ハ当該障害者に係る障害程度区分基準時間が110分未満であるが,行動障害及び手段的日常生活動作に関する調査項目並びにその他の精神面等に関する調査項目に係る障害程度区分認定調査の結果,特記事項及び医師意見書を総合的に勘案して,イに掲げる状態に相当すると認められる状態(ロに掲げる状態を除く。) 別表第1(1条関係)から別表第9(1条関係)まで省略 別紙2本件調査員マニュアルの記載(抜粋) 第2群6「移乗」 1 着眼点実際に見守りや介助が行われているかに着目するもので,移乗とは「ベッドから車いす(いす)へ」,「車いすからいすへ」, 本件調査員マニュアルの記載(抜粋) 第2群6「移乗」 1 着眼点実際に見守りや介助が行われているかに着目するもので,移乗とは「ベッドから車いす(いす)へ」,「車いすからいすへ」,「ベッドからポータブルトイレへ」,「車いす(いす)からポータブルトイレへ」,「畳からポータブルトイレへ」等,乗り移ることを評価する。 2 留意点(1) 精神的な状況,対象者の意欲低下の理由から移乗に見守りや介助が必要な場合でも,移乗の際に実際に見守りや介助が行われているかどうかに基づいて判断する。 (2) 在宅で畳中心の生活である等により,ベッド,いす,車いすを使用していない場合は,這ったり,腰を浮かせて移動するなど,両手をついて布団からポータブルトイレや洋式トイレに移乗できる程度の腰を浮かせる行為ができるかを判断する。 (3) 義足や装具等を装着している場合は,装着時の状況に基づいて判断する。 (4) 移乗の種類(ベッドから車いす等)により,状況が異なる場合や状況に変動が見られる場合は,対象者の移乗頻度の高い状況に基づいて判断する。 (5) 知的障害者や精神障害者等の経過の中で,筋肉の随意的な運動機能の低下をきたしている場合も含まれる。この場合は,「意欲がない,または意欲が低下し,筋力及び運動能力がかなり低下している。」等,その詳細を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準「できる」 介助,見守りなしで移乗できる場合をいう。這ったり,腰を浮かせて移動するなどの動作で移乗できる場合も含まれる。 「見守り等」介助なしで移乗できるが,見守り等を行っている場合をいう。精神面の不安定等により,常に移乗についての見守りが必要な場合をいう。移乗する際に,対象者が安全に乗り移ることができるよう,一連 守り等」介助なしで移乗できるが,見守り等を行っている場合をいう。精神面の不安定等により,常に移乗についての見守りが必要な場合をいう。移乗する際に,対象者が安全に乗り移ることができるよう,一連の移乗動作に合わせて介護者が車いす等をでん部(お尻)の下に挿し入れるような場合も含まれる。 「一部介助」自分1人では移乗ができないが,介護者が手を添える,体を支えるなどの一部的な介助が行われればできる場合をいう。知的障害者や精神障害者等の経過の中で,筋肉の随意的な運動機能の低下をきたし,一部介助が行われている場合も含まれる。この場合は,その詳細を「特記事項」に記載する。 「全介助」自分では移乗がまったくできないため,介護者が抱える,運ぶ等の全面的な介助が行われている場合をいう。知的障害者や精神障害者等の経過の中で,筋肉の随意的な運動機能の低下をきたし,全面的な介助が行われている場合も含まれる。この場合は,その詳細を「特記事項」に記載する。 第2群7「移動」 1 着眼点日常生活(食事,排泄,着替え,洗面,入浴又は訓練等を含む。)において,必要な場所への移動にあたり,対象者の精神的な状況,意欲等の理由から移動に見守りや介助が必要な場合でも,移動に際して実際に見守りや介助が行われているかに着目して評価する。 2 留意点(1) 対象者の生活全体における移動行為が日常的かどうかで判断する。ただし, 通院等により日常的ではないが,定期的に外出する場合は,その頻度等を「特記事項」に記入する。 (2) 訓練や買い物,趣味等で日常的に外出している場合は,その外出行為も含まれる。 (3) 移動の手段は問わない。 (4) 移動に際して,義足や装具等を装着することにより移動が可能であるかどうかも判断する。 ,趣味等で日常的に外出している場合は,その外出行為も含まれる。 (3) 移動の手段は問わない。 (4) 移動に際して,義足や装具等を装着することにより移動が可能であるかどうかも判断する。 (5) 車いす等へ移乗した後及び義足・装具装着後の移動であり,移乗や装着に伴う行為や準備は含まれない。 (6) 屋内と屋外では状況が異なる場合,移動の頻度がより多い状況に基づいて判断する。 (7) 医療上の必要により制限が行われている場合は,制限されている内容により判断する。 (8) 移動手段により,状況が異なる場合や状況に変動がみられる場合は,対象者の移動の頻度の高い状況に基づいて判断する。 (9) 知的障害者や精神障害者等の経過の中で,筋肉の随意的な運動機能の低下をきたしている場合も含まれる。この場合は,「必要な場所への移動がわからない。」「意欲が低下し,筋力及び運動能力がかなり低下している。」等,その詳細を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準「できる」介助,見守り等なしで移動できる場合をいう。車いすや電動車いす及び義足・装具等,日頃使用している器具・器械を用いて,見守り等や介助を受けず,自分で移動できる場合も含まれる。声かけのみで日常的な移動ができる場合も含まれる(「ごはんですよう」で食堂に来る等。)。 「見守り等」 介助なしで移動できるが,しばしば転ぶなどで,助言や見守りが必要な場合をいう。介助なしで移動できるが,場面の変化等においての不適応行動や意欲のなさ等に対しての一時的な声かけや見守りが必要な場合も含まれる。 「一部介助」自分一人では移動ができないため,部分的に介助が行われている場合をいう。介助者が必要な場所へ移動するために手を添えたり,体幹を支えたり,敷居などの 見守りが必要な場合も含まれる。 「一部介助」自分一人では移動ができないため,部分的に介助が行われている場合をいう。介助者が必要な場所へ移動するために手を添えたり,体幹を支えたり,敷居などの段差で車いすを押す等の介助が行われている場合も含まれる。常に声かけをしなければならない場合や強い促し,助言が必要な場合も含まれる。 「全介助」自分では移動が全くできない場合をいう。目的もなく屋内・屋外の徘徊や多動があり,日常生活における全場面で介助を必要とする場合も含まれる。医療上の必要により移動を禁止されている場合も含まれる。 第3群2「片足での立位保持」 1 着眼点立ち上がるまでに介助が必要か否かにかかわりなく,平らな床な上で,自分で左右いずれの片足を上げた状態のまま立位を保持できる(平衡を保てる)かどうかを評価する。 2 留意点(1) ここでの立位保持の目安は1秒間程度とする。 (2) 義足や補装具等を装着している場合は,その状況に基づいて判断する。 (3) 知的障害者や精神障害者等の経過の中で,精神的な状況又は意欲低下等の理由から片足での立位保持に介助が必要な場合でも,実際に介助がなされているかどうかに基づいて判断する。この場合は,「声をかけても反応がない。」「意欲が低下し,筋力及び運動能力がかなり低下している。」等,その詳細を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準「支えなしでできる」何にもつかまらないで,いずれか一側の片足で立っていることができる場合をいう。下肢が欠損しているが,日頃から補装具等を装着しているためにできる場合も含まれる。 「何か支えがあればできる」壁や手すり,いすの背など,何かにつかまるといずれか一側の片足で立っていることができる場合をい いるが,日頃から補装具等を装着しているためにできる場合も含まれる。 「何か支えがあればできる」壁や手すり,いすの背など,何かにつかまるといずれか一側の片足で立っていることができる場合をいう。 「できない」どのような状況であってもまったく片足で立つことができない場合をいう。自分では片足を上げられない場合も含まれる。自分の手で支えるのではなく,介護者によって支えられた状態でなければ片足を上げられない場合も含まれる。下肢の欠損により補装具等も無く,片足での立位が不可能な場合も含まれる。 第4群3「食事摂取」 1 着眼点通常の食事の介助が行われているかどうかを着眼する評価である(自助具等の使用の有無,要する時間や対象者の能力にはかかわらない。)。 食事の介助とは,スプーンフィーディングや食卓上できざみながら口に運ぶ場合又は食べこぼしの掃除等を想定する。 2 留意点(1) 朝昼夕で状態が異なる場合は,対象者の食事摂取が頻回に行われる場面を想定して判断する。 (2) 時間がかかる場合,落ち着いて食事に集中しないなどの場合は,その状態を「特記事項」に記載する。 (3) 知的障害者や精神障害者等の経過の中で,精神的な状況又は意欲低下等の理 由から食事摂取の介助を受けている場合はその状況に基づき判断する。この場合は,「食事を促しても反応がなく,口に運ぶと口を開け食べる。」等,その詳細を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準「できる」介助,見守り等なしに自分で食事が摂れている場合をいう。箸やスプーンのほかに,自助具等を使用すれば自分で食事が摂れている場合も含まれる。視覚障害者で,配膳の際におかずの種類や配列を知らせると自分で摂取できる場合も含まれる。経管栄養(胃ろうを含む いう。箸やスプーンのほかに,自助具等を使用すれば自分で食事が摂れている場合も含まれる。視覚障害者で,配膳の際におかずの種類や配列を知らせると自分で摂取できる場合も含まれる。経管栄養(胃ろうを含む。)や中心静脈栄養(IVH)を行っているが,準備を含めて一連の行為を全て自分で行っている場合も含まれる。 「見守り等」介助なしに自分で摂取しているが,見守り等が行われている場合をいう。他人の食事を食べないようにするため見守り等をしている場合も含まれる。食事を摂るように促すなど,声かけ・見守り等をしている場合も含まれる。視覚障害者で,配膳の際のおかずの種類や配列を知らせても,器の高低により,ひっくり返す等がよくあり,見守り等が行われている場合も含まれる。 「一部介助」食事の際に,食卓上で小さく切る,ほぐす,皮をむく,魚の骨をとる等,食べやすくするために何らかの介助が行われている場合をいう。特定の食品を極端に摂取する等により,何らかの介助を必要とする場合も含まれる。視覚障害者で,配膳の際のおかずの種類や配列を知らせても理解しにくく,特定の食品を摂取するため,何らかの介助を必要とする場合も含まれる。 「全介助」能力があるかどうかにかかわらず,現在自分では全く摂取していない場合をいう。介助なしに自分で摂取できるが,早食い等で自分で摂取させると健康上の問題があるなどの判断で,全て介助している場合も含まれる。経管栄養(胃ろうを含 む。)や中心静脈栄養(IVH)で全て介助を受けている場合も含まれる。 第4群5「排尿」 1 着眼点自分で排尿にかかる一連の行為を行っているかどうかに着目して評価する。 一連の行為には,尿意,トイレまでの移動あるいは,ポータブルトイレへの移乗,排尿動作(ズボン・パンツの上げ下げ, 着眼点自分で排尿にかかる一連の行為を行っているかどうかに着目して評価する。 一連の行為には,尿意,トイレまでの移動あるいは,ポータブルトイレへの移乗,排尿動作(ズボン・パンツの上げ下げ,トイレ・尿器への排尿),排尿後の後始末が含まれる。排尿後の後始末には,ポータブルトイレや尿器等の掃除,抜去したカテーテルの後始末等も含まれる。 2 留意点(1) 時間帯や日によって受けている介助の状況が異なる場合は,対象者が最も頻度の高い排尿の状況により判断する。 (2) 集尿器を使用,蓄尿袋(ストマ)を使用,おむつを使用,尿カテーテルを留置している場合は,実際の介護を受けている状況により判断し,その内容を「特記事項」に記載する。 (3) 昼間は介助なく自分で排尿にかかる一連の行為を行っているが,夜間のみおむつを使用していたり,ポータブルトイレを使用している場合には,日頃の対象者が最も頻度の高い排尿の状況により判断し,その内容を「特記事項」に記載する。 (4) 人工透析を行っている場合は,介助を受けている状況により判断し,その内容を「特記事項」に記載する。 (5) 知的障害者や精神障害者等の経過の中で,精神的な状況又は意欲低下等の理由から排尿の介助を受けている場合は,その状況に基づき判断する。この場合は,「意欲の低下により,尿意の反応がなく,訴えることもない。」等,その詳細を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準「できる」 一連の行為を介助なしに自分で行っている場合をいう。集尿器の使用,蓄尿袋(ストマ)を使用,おむつ(尿とりパット等)を使用,尿カテーテルを留置している場合であって,自分で準備,後始末等できる場合も含まれる。尿意はないが,自分で時間を決めるなどして排尿にかかる一連の行為を行ってい )を使用,おむつ(尿とりパット等)を使用,尿カテーテルを留置している場合であって,自分で準備,後始末等できる場合も含まれる。尿意はないが,自分で時間を決めるなどして排尿にかかる一連の行為を行っている場合も含まれる。 人工透析を行っている場合で,排尿が全くない場合も含まれる。腹膜灌流の場合であって,自分で準備,後始末等ができる場合も含まれる。 「見守り等」一連の行為を介助なしに自分で行っているが,見守り等が行われている場合をいう。一連の行為を介助なしに自分で行っているが,集中性に欠けるなど声かけが必要な場合も含まれる。一連の行為を介助なしに自分で行っているが,声かけしないとトイレ以外の場所で排尿する場合も含まれる。 「一部介助」一連の行為のうち,トイレまでの移動又はポータブルトイレへの移乗に介助が必要,排尿動作に介助が必要,排尿後の後始末に介助が必要,のうち1項目のみに該当する場合をいう。 「全介助」一連の行為のうち,トイレまでの移動あるいはポータブルトイレへの移乗に介助が必要,排尿動作に介助が必要,排尿後の後始末に介助が必要,の2項目以上に該当する場合をいう。 なお,集尿器を使用している場合,おむつを使用している場合,介護者により間欠導尿が行われている場合,尿カテーテルを留置している場合,のいずれか1項目以上に該当する場合も含まれる。ただし,自分で準備,後始末等を行っている場合を除く。 第4群6「排便」 1 着眼点 自分で排便にかかる一連の行為を行っているかどうかに着目して評価する。 一連の行為には,便意,トイレまでの移動あるいは,ポータブルトイレへの移乗,排便動作(ズボン・パンツの上げ下げ,トイレ・便器への排便),排便後の後始末が含まれる。 排便後の後始末には,ポータブルトイ の行為には,便意,トイレまでの移動あるいは,ポータブルトイレへの移乗,排便動作(ズボン・パンツの上げ下げ,トイレ・便器への排便),排便後の後始末が含まれる。 排便後の後始末には,ポータブルトイレや便器等の掃除,人工肛門等の後始末も含まれる。 2 留意点(1) 時間帯や日によって受けている介助の状況が異なる場合は,対象者が最も頻度の高い排便の状況により判断し,その内容を「特記事項」に記載する。 (2) 蓄便袋(ストマ)を使用,おむつを使用,人工肛門を造設している場合は,実際の介護を受けている状況により判断し,その内容を「特記事項」に記載する。 (3) 知的障害者や精神障害者の経過の中で,精神的な状況又は意欲低下等の理由から排便の介助を受けている状況により判断する。この場合は,「意欲の低下により,便意の反応がなく,訴えることもない。」等,その詳細を「特記事項」に記載する。 (4) 知的障害者や精神障害者や自閉症者等の行動障害で「トイレ以外の特定の場所に固執して排便する。」等,障害特有の行動により,特別な介助が必要な場合は「全介助」とし,その詳細を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準「できる」一連の行為を介助なしに自分で行っている場合をいう。蓄便袋(ストマ)を使用,おむつ(尿とりパット等)を使用,人工肛門を造設している場合であって,自分で準備,後始末等を行っている場合も含まれる。便意はないが,自分で時間を決めるなどして排便にかかる一連の行為を行っている場合も含まれる。 「見守り等」一連の行為を介助なしに自分で行っているが,見守り等が行われている場合をい う。一連の行為を介助なしに自分で行っているが,集中性に欠けるなど声かけが必要な場合も含まれる。一連の行為を介助なしに自分で行ってい なしに自分で行っているが,見守り等が行われている場合をい う。一連の行為を介助なしに自分で行っているが,集中性に欠けるなど声かけが必要な場合も含まれる。一連の行為を介助なしに自分で行っているが,声かけしないとトイレ以外の場所で排便することがある場合も含まれる。 「一部介助」一連の行為のうち,トイレまでの移動あるいはポータブルトイレへの移乗に介助が必要,排便動作に介助が必要,排便後の後始末に介助が必要,のいずれか1項目のみ該当する場合をいう。 「全介助」一連の行為のうち,トイレまでの移動あるいはポータブルトイレへの移乗に介助が必要,排便動作に介助が必要,排便後の後始末に介助が必要,のいずれか2項目以上に該当する場合をいう。なお,おむつを使用している場合,介護者により浣腸,摘便が行われている場合,のいずれか1項目以上に該当する場合も含まれる。 ただし,自分で準備,後始末等を行っている場合を除く。 第5群2「衣服(上衣,ズボン等)の着脱」 1 着眼点普段着用している衣服について,衣服(上衣,ズボン・パンツ)の着脱を自分で行っているかどうかに着目して評価する。衣服の種類(ボタンの有無,ゴム付きのフリーサイズズボン等)や大小(短パン,7分ズボン,大きめサイズ等)は問わない。時候に合った服装の準備,必要な枚数だけ衣服を出すこと,衣服を手渡すこと,着脱を促すための声かけ等着脱までの行為は含まれない。 2 留意点(1) できたり,できなかったりする場合は,対象者のより頻回な状況により判断し,その内容を「特記事項」に記載する。 (2) 生活習慣,施設の方針,介護者の都合等によって,通常行っていない場合や,独居のために必要な介助が行われていない場合には,例外的に対象者の能力を 総合的に勘案して判断 に記載する。 (2) 生活習慣,施設の方針,介護者の都合等によって,通常行っていない場合や,独居のために必要な介助が行われていない場合には,例外的に対象者の能力を 総合的に勘案して判断し,その判断の理由を「特記事項」に記載する。 (3) 障害の状況により介助されている場合は,その介助されている障害の状況に応じて判断し,その判断の理由を「特記事項」に記載する。 (4) 日常的に頻回に着用している衣服の状況に基づいて判断する(例:トレーナーやTシャツなどボタンのない衣服を日常的に着用している場合等)。 (5) 時間がかかる場合は,その詳細を「特記事項」に記載する。 (6) 補装具等を使用して着脱を行っている場合は,使用の状況に基づいて判断し,その詳細を「特記事項」に記載する。 (7) 知的障害者や精神障害者の経過の中で,精神的な状況又は意欲低下等の理由から着脱の介助を受けている状況により判断する。この場合は,「意欲の低下により,着脱を促しても反応がなく,着替えようともしない。」等,その詳細を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準(1) 上衣の着脱「できる」介助,見守り等なしに自分で上衣を着脱している場合をいう。装具等を使って行っている場合も含まれる。 「見守り等」介助なしに自分で上衣の着脱をしているが,見守り等が行われている場合をいう(前後を時々間違えるために,見守りし声かけが必要な程度等)。 「一部介助」着脱に何らかの介助が行われている場合をいう。手を回せないために介護者が常に上衣を持っていなければならなかったり,麻痺側の腕のみ着せる場合等も含まれる。 「全介助」上衣の着脱の行為全てに介助が行われている場合をいう。 (2) ズボン,パンツ等の着脱 上衣を持っていなければならなかったり,麻痺側の腕のみ着せる場合等も含まれる。 「全介助」上衣の着脱の行為全てに介助が行われている場合をいう。 (2) ズボン,パンツ等の着脱「できる」介助,見守り等なしに自分でズボン・パンツを着脱している場合をいう。装具等を使って行っている場合も含まれる。 「見守り等」介助なしに自分でズボン・パンツの着脱をしているが,見守り等が行われている場合をいう(前後を時々間違えるために,見守りし声かけが必要な程度等)。 「一部介助」ズボン,パンツの着脱に何らかの介助が行われている場合をいう。麻痺側の足のみ着せる場合等も含まれる。自分で行っていても最後に介護者がシャツをズボン・パンツ等に入れ直す場合等も含まれる。 「全介助」ズボン・パンツの着脱の行為全てに介助が行われている場合をいう。 第5群3「薬の内服」 1 着眼点薬の内服にかかる一連の行為について自分で行っているかどうかに着目して評価するものであり,インスリン注射,塗り薬の塗布等,内服薬以外のものは含まれない。 一連の行為とは,薬を飲む時間や飲む量を理解する,薬や水を手元に用意する,薬を口に入れる,飲み込むという行為をいう。これらの行為は,現在の状況でその行為について介助を受けているか否かに基づいて判断する。 2 留意点(1) 投薬を受けていても,飲むことを忘れる,飲むことを避ける場合には,その対応に基づいて判断し,その対応について「特記事項」に記載する。 (2) 投薬を受けていない場合は,対象者の能力を総合的に勘案して判断し,その 判断について「特記事項」に記載する。 (3) 経管栄養(胃ろうを含む)などのチューブから内服薬を注入する場合の一連の行為も含まれる 場合は,対象者の能力を総合的に勘案して判断し,その 判断について「特記事項」に記載する。 (3) 経管栄養(胃ろうを含む)などのチューブから内服薬を注入する場合の一連の行為も含まれる。 (4) 施設入所者で施設によって一括して管理されているため,自己管理の機会がない場合は,本人が自己管理した場合を総合的に勘案して判断し,その判断について「特記事項」に記載する。 (5) 服薬の必要性を認識しない,あるいは副作用を過度に心配するといった状況のため服薬の介助が必要な場合も含まれる。 (6) 服薬の状況が判断できない場合は,家族や介護者等から聞き取った内容を踏まえて判断する。 (7) 知的障害者や精神障害者の経過の中で,精神的な状況又は意欲低下等の理由から服薬の介助を受けている状況により判断する。この場合は,「意欲がない,または意欲の低下により,服薬を促しても反応がなく,飲もうともしない。」等,その詳細を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準「できる」薬を飲む時間や飲む量を理解し,介助なしに自分で内服薬を服用している場合をいう。経管栄養(胃ろうを含む)の準備,後片付け等を自分で行っており,また薬の注入も全て自分で行っている場合も含まれる。 「一部介助」障害等の理由により,薬を飲む際の見守り,飲む量の指示や確認等が行われている,あるいは,飲む薬や水を手元に用意する,オブラートに包む,介護者が分包する等,何らかの介助が行われている場合をいう。予め薬局で分包されている場合は含まれない。重度の障害者で,薬の量や飲む時間は理解しており,介護者に指示して薬を用意してもらい,飲ませてもらっている場合も含まれる。薬の管理はできないが,手渡された後,水と共に服薬する行為を自分で行っている場合も含まれる。 ,薬の量や飲む時間は理解しており,介護者に指示して薬を用意してもらい,飲ませてもらっている場合も含まれる。薬の管理はできないが,手渡された後,水と共に服薬する行為を自分で行っている場合も含まれる。 経管栄養(胃ろうを含む)で,自分が介護者に指示して薬を注入してもらっている場合も含まれる。薬の量や飲む時間は理解しているが,介護者が指示しないと失念しがちな場合も含まれる。 「全介助」障害等の理由により,飲む時間を忘れたり,飲む量も分からない,あるいは,重度の障害により手指の麻痺・障害等により自分では飲めないために,薬の内服にかかわる行為全てに介助が行われている場合をいう。薬を飲む時間や飲む量を理解しておらず,介護者が薬を口の中に入れることにより,対象者は飲み込むのみの場合も含まれる。薬を飲む時間や飲む量を理解しているが,服薬に抵抗があり,服薬するように介護者が長時間の働きかけをする場合も含まれる。 第5群4「金銭の管理」 1 着眼点自分の所持金(預金通帳や小銭)の支出入の把握,管理,出し入れする金額の計算を自分で行っているかどうか及びそれが適切であるか否かに着目して評価するものであり,現在の状況で介助を受けているかどうかに基づいて判断する。 2 留意点(1) 実際に自分で金銭の出し入れに関する行為を行っているかどうかは問わない(例えば,金融機関等に行けなくても,誰かに頼んで出し入れを行ってもらっていても,金銭管理,金銭の計算ができる場合も含まれる。)。 (2) 基本的に施設や家族等が管理を行っている場合は,対象者の身の回りの物品の管理状況,計算能力に基づいて総合的に判断し,その判断について「特記事項」に記載する。 (3) 金銭管理の状況が判断できない場合は,家族や介護者等から聞き取った内容を ,対象者の身の回りの物品の管理状況,計算能力に基づいて総合的に判断し,その判断について「特記事項」に記載する。 (3) 金銭管理の状況が判断できない場合は,家族や介護者等から聞き取った内容を踏まえて判断する。この場合は,「収入と支出の理解,観念がなく,借金してでも使うため,金銭管理はできない。」等,その詳細を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準「できる」自分の所持金(預金通帳や小銭)の支出入の把握や管理を自分で行っている,出し入れする金額の計算を介助なしに自分で行っている場合をいう(例えば,銀行に行けなくても,誰かに頼んで出し入れを行ってもらっているが,金銭管理,金銭の計算ができる場合も含まれる。)。 「一部介助」金銭の管理に何らかの介助(小遣い使用についての助言や指導も含まれる。)が行われている,あるいは,小遣い銭として少額のみ自己管理している場合をいう。 「全介助」金銭の管理について全てに介助が行われている場合をいう。1日の必要額を家族が準備し,その必要額の管理も自分で行えない場合も含まれる。 第6群2「聴力」 1 着眼点聞こえるかどうかのみに着目して評価するものであり,耳で聞いた内容を理解しているかどうか等の知的能力を問うものではない。 2 留意点(1) 普通に話しても聞こえない対象者には,耳元で大声で話すなどで聴力を確認する。 (2) 日常補聴器等を使用している場合は,使用している状況で判断する。 (3) 失語症や構音障害,知的障害者等で音に対する反応に障害があっても,声や音が聞こえているかどうか,日頃対象者の反応に詳しい介護者の助言を求めて判断し,どういう反応であった等「特記事項」に記載する。 (4) 対象者の反応が確認できないような,大き 障害があっても,声や音が聞こえているかどうか,日頃対象者の反応に詳しい介護者の助言を求めて判断し,どういう反応であった等「特記事項」に記載する。 (4) 対象者の反応が確認できないような,大きな雑音や気が散るようなテレビや音楽,他の人などの調査に適さない環境での調査は避ける。 3 選択肢の判断基準「普通」日常生活における会話において支障がなく,普通に聞き取れる場合をいう。 「普通の声がやっと聞き取れる」普通の声で話すと聞き取りにくく,聞き間違えたりする場合をいう。 「かなり大きな声なら何とか聞き取れる」耳元で大きな声で話したり,耳元で大きな物音を立てると何とか聞こえる,あるいは,かなり大きな声や音でないと聞こえない場合をいう。 「ほとんど聞こえない」ほとんど聞こえないことが確認できる場合をいう。 「聞こえているのか判断不能」知的障害者や精神障害者の経過の中で,精神的な状況又は意欲低下等の理由により意思疎通ができず,聞こえているのか判断ができない場合をいう。 第9群3「掃除」 1 着眼点掃除に関する一連の行為について評価する。 ここにいう一連の行為とは,掃除機の準備,掃除機の操作,掃除する部屋の整理,掃除機の後片付けまでをいう。 2 留意点(1) 掃除機や箒を使って普段自分の使用している部屋等を掃除することを見るものである。また,併せて,自分の持ち物の整理整頓ができるかも見る。 (2) 普段行っていない場合は,日頃の生活状況を家族等から聞き取ったり,本人の他の家事の状況等を勘案し総合的に判断する。この場合,判断した状況を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準 「できる」一人でできる場合をいう。普段の家事全般についてできてお 家事の状況等を勘案し総合的に判断する。この場合,判断した状況を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準 「できる」一人でできる場合をいう。普段の家事全般についてできており,居住環境も整理整頓されているなどの能力等を勘案した場合,掃除が一通り可能と判断できる場合をいう。 「見守り,一部介助」常に見守りや整理整頓で直接的な援助が部分的に必要な場合をいう。普段の家事全般について比較的できており,居住環境も不十分ではあるが比較的整理整頓されているなど,直接的な援助が部分的におこなわれれば,掃除が一通り可能と判断できる場合をいう。 「全介助」1人では一連な行為ができず,一連の行為を通じて直接的援助が必要な場合をいう。 第9群5「入浴の準備片付け」 1 着眼点入浴時の準備と後片付けに関する一連の行為について評価する。 ここにいう一連の行為とは,浴槽に水を張る,お湯を沸かす,入浴用品の準備をする,着替えを準備する,風呂場の後片付けをするまでをいう。 2 留意点(1) 入浴時の入浴用品の準備・後片付けをいう。 (2) 浴槽に入ることや洗身は含まない。 (3) 普段行っていない場合は,日頃の生活状況を家族等から聞き取ったり,本人の他の家事の状況等を勘案し総合的に判断する。この場合,判断した状況を「特記事項」に記載する。 3 選択肢の判断基準「できる」 一人でできる場合をいう。普段の家事全般についてできており,居住環境も整理整頓されているなどの能力等を勘案した場合,入浴の準備が一通り可能と判断できる場合をいう。 「見守り,一部介助」常に見守りや水張り・お湯沸かし等で直接的な援助が部分的に必要な場合をいう。普段の家事全般について比較的できており,居 ,入浴の準備が一通り可能と判断できる場合をいう。 「見守り,一部介助」常に見守りや水張り・お湯沸かし等で直接的な援助が部分的に必要な場合をいう。普段の家事全般について比較的できており,居住環境も不十分ではあるが比較的整理整頓されているなど,直接的な援助が部分的に行われれば,入浴の準備が一通り可能と判断できる場合をいう。 「全介助」一人では一連な行為ができず,一連の行為を通じて直接的援助が必要な場合をいう。
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