平成25(行ウ)250 遺族厚生年金不支給処分取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成26年11月14日 東京地方裁判所 その他
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判決文本文26,298 文字)

- 1 -平成26年11月14日判決言渡平成25年(行ウ)第250号遺族厚生年金不支給処分取消請求事件 主文 1 原告の請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1 請求厚生労働大臣が平成24年1月5日付けで原告に対してした遺族基礎年金及び遺族厚生年金を支給しない旨の各処分(以下これらの処分を併せて「本件処分」という。)を取り消す。 第2 事案の概要本件は,国民年金及び厚生年金保険の被保険者であったA(平成20年▲月▲日死亡。)及びAの当時の妻の養子となる旨の養子縁組(以下「本件養子縁組」という。)の届出をし,Aといわゆる内縁の関係(以下「本件内縁関係」という。)にあった原告が,平成23月10月8日付けで,厚生労働大臣に対し,Aの妻(配偶者)として,国民年金法(以下「国年法」という。)の規定に基づく遺族基礎年金及び厚生年金保険法(以下「厚年法」といい,国年法と併せて「国年法等」という。)の規定に基づく遺族厚生年金(以下遺族基礎年金と併せて「遺族年金」という。)の各裁定の請求(以下これらの裁定を併せて「本件裁定請求」という。)をしたところ,本件内縁関係は民法の定める養親子の間の婚姻の禁止の規定に反するものであるため原告は遺族年金を受けることができる遺族である被保険者の妻(配偶者)には該当しないとして,遺族年金を支給しない旨の本件処分を受けたことに関し,Aと原告との間の本件養子縁組は無効又は無効と同視すべき事情があるものであり,本件内縁関係については,近親者間における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の - 同視すべき事情があるものであり,本件内縁関係については,近親者間における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の - 2 -事情があるなどと主張して,本件処分の取消しを求める事案である。 1 関係法令の定め関係法令の定めは別紙2「関係法令の定め」に記載のとおりである(同別紙で定める略称等は,以下においても用いることとする。)。 2 前提事実(証拠等を掲げたもの以外は,当事者間に争いがないか,当事者において争うことを明らかにしない事実である。以下「前提事実」という。)(1) 本件内縁関係及び本件養子縁組の経緯等ア Aは,昭和20年 ▲ 月 ▲ 日生まれの男性であり,昭和41年 ▲ 月▲日,Bと婚姻をし,昭和42年▲月▲日,同人との間に長男であるCが出生した。 イ原告は,昭和42年▲月▲日生まれの女性である。原告は,昭和62年▲月▲日,A及びBの養子となる旨の本件養子縁組の届出をした。 ウ Aは,昭和61年6月7日付けで栃木県α市(平成17年3月28日の名称変更前の名称は栃木県β郡。以下名称変更の前後を問わず「α市」という。)(以下住所省略)に住所を定めたとして届出をした。 エ AとBは,平成2年▲月▲日,協議上の離婚をした。 オ原告は,平成3年1月30日付けで前記ウのAの住所である栃木県α市(以下住所省略)に住所を定めたとして届出をした。 カ原告とAとの間には,平成3年▲月▲日に第1子であるDが,平成5年▲月▲日に第2子であるE(以下Dと併せて「子どもら」という。)が出生し,子どもらについては,いずれも出生の際に住所を前記ウ及びオのA及び原告の住所である栃木県α市(以下住所省略)とする旨の届出がされ,Aは,Dについては平成4年▲月▲ て「子どもら」という。)が出生し,子どもらについては,いずれも出生の際に住所を前記ウ及びオのA及び原告の住所である栃木県α市(以下住所省略)とする旨の届出がされ,Aは,Dについては平成4年▲月▲日に,Eについては平成19年 ▲ 月▲日に,それぞれ認知をした(各認知の日につき甲4)。 キ Aは,国民年金及び厚生年金保険の被保険者であったが,平成20年▲月▲日,栃木県γ市所在のF病院において,食道静脈瘤破裂の疑いによ - 3 -る消化管出血により死亡した。Aの死亡時における原告,D及びEの住所地は,Aの住所地と同一である栃木県α市(以下住所省略)であり,原告がAの死亡の届出をした。 (2) 本件裁定請求及び本件処分原告は,平成23年10月8日付けで,厚生労働大臣に対し,Aとの続柄を「妻」として本件裁定請求をしたところ,厚生労働大臣は,平成24年1月5日付けで,原告に対し,原告とAとは民法736条(養親子関係者間の婚姻禁止)の規定に違反する内縁関係にあるため厚年法59条に該当しないことを理由として,遺族年金を不支給とする旨の本件処分をした(本件処分の理由につき甲1)。 (3) 本件処分についての不服申立てア原告は,平成24年1月20日,本件処分を不服として,日本年金機構δ 東年金事務所を経由し,関東信越厚生局社会保険審査官(以下「審査官」という。)に対し,審査請求(以下「本件審査請求」という。)をしたが,審査官は,平成24年6月5日付けで,本件審査請求を棄却する旨の決定(以下「本件決定」という。)をした。 イ原告は,平成24年6月18日,本件決定を不服として,社会保険審査会(以下「審査会」という。)に対し,再審査請求(以下「本件再審査請求」という。)をしたが,審査会は,同年11月30日付けで,本件再審査請求を棄却す 年6月18日,本件決定を不服として,社会保険審査会(以下「審査会」という。)に対し,再審査請求(以下「本件再審査請求」という。)をしたが,審査会は,同年11月30日付けで,本件再審査請求を棄却する旨の裁決をした。 (4) 本件訴えの提起原告は,平成25年5月2日,本件訴えを提起した(当裁判所に顕著な事実)。 3 争点及びこれに関する当事者の主張本件の争点は,原告が,国年法5条8項及び厚年法3条2項(以下「国年法5条8項等」という。)の「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同 - 4 -様の事情にある者」に該当し,国年法37条の2第1項及び厚年法59条1項の被保険者の妻(配偶者)として遺族年金を受けることができる遺族に該当するか否かである。 (原告の主張の要点)本件内縁関係には,近親者間における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情があるから,原告は,国年法等により保護されるべき被保険者の妻(配偶者)として,遺族年金の受給権者に該当する。 (1) 本件内縁関係及び本件養子縁組の経緯原告は,昭和60年頃,東京においてAと知り合い,昭和61年暮れ頃,Aが δ 市に借りたアパートで,Aとの同居を開始した。当時,原告は働いておらず,Aから生活費を渡されており,この頃,本件内縁関係が成立したといえる。 同居開始から8か月ほど経った頃,Aが □ □ □ 法違反の被疑事実で逮捕,勾留された。Aは,収容中,原告が刑務所に面会に来ることを希望し,服役中のAとの面会は家族しか許されていなかったことから,当時の妻であるBの承諾を得ているとした上で,原告に対し,A及びBの養子となることを依頼し,原告はこれを承諾した。そして,Aから言われたと ,服役中のAとの面会は家族しか許されていなかったことから,当時の妻であるBの承諾を得ているとした上で,原告に対し,A及びBの養子となることを依頼し,原告はこれを承諾した。そして,Aから言われたとおり,弁護士(以下「G弁護士」という。)の事務所を訪れ,同弁護士から指示されるままに昭和62年 ▲ 月 ▲ 日付けの念書(甲5の1。以下「本件念書」という。)等の書類を作成した。 本件念書には,「1.右養子縁組は,Aの今回服役終了次第,解消する。 よって,出所の時は,一方的に离縁の届出をしても異議がない,尚,服役中途で私が無断で行方を変更或は,不明としたときも同様とします。2.右養子縁組に関して財産的要求,その他法律的要求は,一切しないことを確約します。」等の記載がある。 - 5 -原告は,Aから,出所したら結婚しようと言われていたもので,原告もAも,本件養子縁組をした当時,養親子の間においては婚姻が禁止されていることについては知らなかった。 Aは,平成2年 ▲ 月に釈放され,再び原告と同居し,また,同月 ▲ 日,Bと協議離婚した。以後,原告は,Aが亡くなるまで夫婦として同居し,Aとの間に子どもらをもうけた。 (2) 本件内縁関係には,近親者間における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情があることア本件養子縁組は無効又は無効と同視すべきものであること(ア) 原告がAと内縁関係にありながら本件養子縁組をした事情は,前記のとおりであるところ,最高裁平成19年3月8日平成17年(行ヒ)第354号同19年3月8日第一小法廷判決・民集61巻2号518頁(以下「平成19年判決」という。)は,「法(厚生年金保険法をいう。 以下(ア)において同じ。)は,遺族厚 年3月8日平成17年(行ヒ)第354号同19年3月8日第一小法廷判決・民集61巻2号518頁(以下「平成19年判決」という。)は,「法(厚生年金保険法をいう。 以下(ア)において同じ。)は,遺族厚生年金の支給を受けることができる遺族の範囲について,被保険者又は被保険者であった者(以下(ア)において「被保険者等」いう。)の配偶者であって,被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していたものとし(59条1項本文),上記配偶者について,「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者」を含むものと規定している(3条2項)。」が,「他方,厚生年金保険制度が政府の管掌する公的年金制度であり(法1条,2条),被保険者及び事業主の意思にかかわりなく強制的に徴収される保険料に国車負担を加えた財源によって賄われていること(法80条,82条)を考慮すると,民法の定める婚姻法秩序に反するような内縁関係にある者まで,一般的に遺族厚生年金の支給を受けることができる配偶者に当たると解することはできない。(中略)民法734条1項 - 6 -によって婚姻が禁止される近親者間の内縁関係は,時の経過ないし事情の変化によって婚姻障害事由が消滅ないし減退することがあり得ない性質のものである。しかも,上記近親者間で婚姻が禁止されるのは,社会倫理的配慮及び優生学的配慮という公益的要請を理由とするものであるから,上記近親者間における内縁関係は,一般的に反倫理性,反公益性の大きい関係というべきである。殊に,直系血族間,2親等の傍糸血族間の内縁関係は,我が国の現在の婚姻法秩序又は社会通念を前提とする限り,反倫理性,反公益性が極めて大きいと考えられるのであって,いかにその当事者が社会通念上夫婦としての共同生活を営んでいたとしても,法3条2項によって保護さ 在の婚姻法秩序又は社会通念を前提とする限り,反倫理性,反公益性が極めて大きいと考えられるのであって,いかにその当事者が社会通念上夫婦としての共同生活を営んでいたとしても,法3条2項によって保護される配偶者には当たらないものと解される。」と判示している。 (イ) しかし,養子縁組は,当事者間に届出意思があるとしても,真に養親子関係の設定を欲する効果的意思,習俗的標準に照らして親子として認められるような関係を創設しようとする意思,民法上の親子関係の定型に向けられた効果意思というような,実際に養親子関係を形成する意思(実態的意思・実質的意思)がなければ無効である。 そして,本件養子縁組は,まさに,刑務所に収容中のAと面会するための便宜的手段としてされたものであり,その届出をするに当たり,原告の念頭にあったのはAと面会することだけであって,養子に係る法的な意義,意味などは全く念頭になく,養子としての身分による法的効果を欲したことも全くなかったことは,前記(1)において述べた本件念書の内容や本件養子縁組の経緯等からも明らかである。 以上のとおり,本件養子縁組は,原告もAも,真に養親子関係の設定を欲する効果意思を有していなかったのであるから,無効又は無効と同視すべきものである。 なお,原告がAの収容中に面会をしていたことは,何ら本件養子縁組 - 7 -を無効とすることの妨げにはならないし,原告とAの養親子関係は戸籍上有効に存続しているとしても,養子縁組の無効は,訴訟における前提問題として主張することができる。 イその他の事情養子及びその縁組後の直系卑属と養親及びその血族との間の血族関係終了後も血族間の婚姻を禁止する理由は,かつて直系血族関係特に親子関係にあった者の間の婚姻を認めると,親子秩序の権威を損なうからであるとされて その縁組後の直系卑属と養親及びその血族との間の血族関係終了後も血族間の婚姻を禁止する理由は,かつて直系血族関係特に親子関係にあった者の間の婚姻を認めると,親子秩序の権威を損なうからであるとされている。しかし,離縁による直系血族関係終了後の婚姻禁止については,離縁によって直系血族関係が終了した後まで親子関係を形式的に強調することは慎むべきである。立法論としては,法定直系血族関係終了後の婚姻禁止は廃止するのが望ましいと指摘されている。 加えて,原告とAは,一親等の法定血族関係にあった者が内縁の関係になったわけではない。原告とAとは,上記のとおり,昭和60年頃からAの死亡に至るまで,ずっと内縁の関係にあった。そして,Aの出所後の本件内縁関係については,①本件養子縁組をした当時,原告もAも養親子の間において婚姻が禁止されていることは知らなかったこと,②Aの健康保険証にも妻として原告の名前が記されていること,③原告の職場でもAと夫婦として通っていること,④葬儀の際,新聞のお侮やみ欄に原告を喪主・妻として載せたこと,⑤20年以上夫婦として生活し,子どもらの学校書類も夫婦として届出をしていること,⑥子どもらの小学校,中学校と部活動の保護者会会長,地域の育成会会長も務め,地域では夫婦として遇されて約20年が経過し,その間,婚姻関係と同視できる安定した関係が継続していたものであることは,本件再審査請求の裁決書(甲3)においても認められている。 (3) まとめ以上の事実に照らせば,本件内縁関係には,近親者間における婚姻を禁止 - 8 -すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情があるものというべきであって,原告は,Aの内縁の妻として,国年法等のいう「婚姻の届出をしていな き公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情があるものというべきであって,原告は,Aの内縁の妻として,国年法等のいう「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に該当し,遺族年金の受給権を有する。したがって,本件処分は違法であり,取り消されるべきである。 (被告の主張の要点)本件内縁関係には,近親者間における婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情はなく,原告は,国年法等により保護されるべき被保険者の妻(配偶者)には該当せず,遺族年金の受給権者に該当しない。 (1) 国年法等における「配偶者」又は「妻」の意義ア国年法等の規定(ア) 国年法等における「配偶者」,「夫」及び「妻」の概念は,民法第4編第2章にいう「婚姻」を念頭に置いたものである。ここでいう「婚姻」は,実質的要件(一定の男女間の性的結合が特に婚姻として国家法的保護を受けるための結合関係それ自体に関する法定の基準)と形式的要件(法定された実質的要件を具備した両性結合であるかどうかを確認し,併せて婚姻関係の時機を明確にして,それを第三者に公示する手続)を満たしたものである。民法は,731条から738条までにおいて,実質的要件に関する規定を置いている(なお,742条及び747条も実質的要件に関する規定と解し得る。)ほか,739条から741条までにおいて,形式的要件として,届出に関する規定を置いている。我が国の民法は,婚姻は届出によって成立するとの法律婚主義(届出婚主義)を採っていることから(民法739条),社会通念上は夫婦としての実態を有する共同生活を営んでいても,届出を欠くことによって法律上の夫婦とはいえない関 届出によって成立するとの法律婚主義(届出婚主義)を採っていることから(民法739条),社会通念上は夫婦としての実態を有する共同生活を営んでいても,届出を欠くことによって法律上の夫婦とはいえない関係(内縁)にある当事者は,婚姻関係にあることに - 9 -よって得られる様々な効果(夫婦同姓,子の嫡出推定,相続権等)を享受することができないのが原則である。 (イ) しかし,内縁の当事者が婚姻の届出をしないことには様々な理由が考えられ,それをあながち非難することができないこともあり得るし,何より夫婦としての共同生活の実態がありながら,一切の法的保護を与えないことが,かえって正義に反する事態もあり得る。 また,遺族年金は,被保険者又は被保険者であった者が死亡した場合にその家族の生活を保障する目的で給付されるものであって,これにより遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする社会保障的性格を有する公的給付であることから,婚姻の実態を有しながら届出がない者をも保護する必要がある。 そこで,年金保険法を含む社会保障法の領域では,一般に,個人の現実の生活実態を尊重し,それを保護する観点から,内縁の配偶者に対しても法律上の配偶者と同一の保護を与えることとし,この観点から,国年法5条8項等は,「配偶者」,「夫」及び「妻」の意義につき,「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者」を含むものとしている。 もっとも,法が予定している内縁関係とは,社会的には夫婦としての生活関係にありながら,婚姻の届出を欠いており,届出さえあれば戸籍上の配偶関係が成立し得る場合,つまり,実質的要件は満たされるものの,形式的要件を欠く場合といい得る。そうすると,国年法5条8項等にいう「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻と同様の事情にある 戸籍上の配偶関係が成立し得る場合,つまり,実質的要件は満たされるものの,形式的要件を欠く場合といい得る。そうすると,国年法5条8項等にいう「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻と同様の事情にある者」と認められるためには,社会的には夫婦としての生活関係があること,すなわち,①婚姻意思を持った(主観的要件),②社会的事実としての夫婦共同生活関係(客観的要件)が必要となるのであり,平成23年3月23日付け年発0323第1号通達「生計維持関係等の認定基準及び - 10 -認定の取扱いについて」(以下「平成23年通達」という。)別添「生計維持・生計同一関係等に係る認定基準及びその取扱いについて」(以下「認定基準」という。)5(1)(乙1・6及び7丁目)も,同項等にいう「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻と同様の事情にある者」とは,「いわゆる内縁関係にある者をいう」として,内縁関係にあるか否かの認定について,上記と同旨の要件を掲げている。 イ民法が婚姻を禁止している反倫理的な関係は原則として含まれないこと前記アに述べたことからすれば,民法が実質的要件として婚姻を禁止している反倫理的な関係,すなわち,民法734条(近親婚の制限),735条(直系姻族間の婚姻禁止)又は736条(養親子関係者間の婚姻禁止)の規定のいずれかに抵触することとなるような内縁関係にある者(以下「近親婚者」という。)は,ここにいう「事実上婚姻と同様の事情にある者」には含まれないというべきである(平成19年判決参照)。 すなわち,遺族年金は,公的給付であり,被保険者及び事業主の意思に関わりなく強制的に徴収される保険料に国庫負担を加えた財源によって保険給付が賄われていることを考慮すると,法が反倫理的な関係として婚姻を禁止している関係にある者にその給付をすることは, 業主の意思に関わりなく強制的に徴収される保険料に国庫負担を加えた財源によって保険給付が賄われていることを考慮すると,法が反倫理的な関係として婚姻を禁止している関係にある者にその給付をすることは,法が反倫理的な関係として禁止している婚姻を公的に追認することになり,相当とはいえないし,法体系の統一性の観点からしても妥当ではない。 我が国の民法が734条ないし736条において近親婚を禁止している趣旨については,①両親が共通の劣性遺伝子を有している場合に,その劣性遺伝子が子に伝わって発現することを避けるという優生学的配慮,②近親者間の婚姻が普遍的な倫理に反するという社会倫理的考慮の2点を理由とするものであり,その禁止の目的及び範囲については,現在の我が国における社会通念等を前提とする限り,なお十分な合理性を肯定することができる。よって,公的負担を全部又は一部の財源とする公的年金を近親内 - 11 -縁の配偶者に一般的に付与する場合には,民法の定める婚姻法秩序との抵触が生じざるを得ず,このような内縁関係にある当事者が一般的に遺族年金の支給を受けることができる妻(配偶者)に当たると解することはできない(平成19年判決参照)。 また,反倫理的な関係といえる重婚的内縁関係については,国年法5条8項等にいう「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻と同様の事情にある者」であると認められる場合もあるが(最高裁昭和54年(行ツ)第109号同58年4月14日第一小法廷判決・民集37巻3号270頁参照),これについても,平成19年判決によれば,内縁関係の反倫理性,反公益性が,婚姻法秩序維持等の観点から問題とする必要がない程度に著しく低い場合,すなわち,一方の法律婚の関係の方が破綻している場合に,例外的に内縁の妻に公的年金の受給権を認めているにすぎない 性,反公益性が,婚姻法秩序維持等の観点から問題とする必要がない程度に著しく低い場合,すなわち,一方の法律婚の関係の方が破綻している場合に,例外的に内縁の妻に公的年金の受給権を認めているにすぎないといえる。 認定基準5(2)(乙1・7丁目)も,上記で述べたことを踏まえて,当該内縁関係が反倫理的な内縁関係である場合については,事実婚関係にある者とは認定されないことを原則とした上で,「厚生年金保険法,国民年金法,船員保険法による死亡を支給事由とする給付(未支給の保険給付及び未支給年金を含む。)及び加給年金額並びに振替加算の生計維持認定対象者及び生計同一認定対象者に係る生計維持関係等の認定において,次に掲げるすべての要件に該当する近親婚者については,過去の判例を踏まえ,日本年金機構本部及び厚生労働省年金局に対し,その取扱いについて協議を行うものとすること。」と規定し,①三親等の傍系血族間の内縁関係にあること,②内縁関係が形成されるに至った経緯が,内縁関係が開始された当時の社会的,時代的背景に照らして不当ではないこと,③地域社会や周囲に抵抗感なく受け入れられてきた内縁関係であること,④内縁関係が長期間(おおむね40年程度以上)にわたって安定的に継続されてきたものであること,という要件を規定している(なお,この点は,平成19年 - 12 -判決の趣旨を踏まえて改正がされたものである。)。 ウ養親子関係者の間における婚姻の禁止に実質的に抵触する関係も「事実上婚姻関係と同様の事情にある者」とはいえないこと養子といわゆる養親は,民法734条の「直系血族」に当たる(民法727条)から,婚姻することはできず,また,離縁した後であっても婚姻することはできない(民法736条)ところ,こうした養親子関係者の間の婚姻の禁止を定めた民法の規定も合理 直系血族」に当たる(民法727条)から,婚姻することはできず,また,離縁した後であっても婚姻することはできない(民法736条)ところ,こうした養親子関係者の間の婚姻の禁止を定めた民法の規定も合理性を有する。 すなわち,民法734条は,優生学的な配慮と社会倫理的な考量すなわち性愛の秩序と親子の秩序の混同防止という趣旨であるところ,養親子関係であっても,性愛の秩序と親子の秩序の混同防止という趣旨は同様に妥当するから,養子と養親にある者につき婚姻を禁止することには合理性がある。 また,民法736条の規定は,養子縁組によって直系血族又は直系姻族の関係となった一定の者の間では,離縁によってその関係が終了した後でも,親子秩序の維持という社会倫理的考量から,婚姻を禁止するものであり,合理性を有している。 そして,平成23年通達による認定基準5(2)は,上記に述べた民法の趣旨をも踏まえ,養親子関係者間の婚姻禁止の規定に抵触する関係にある者についても,社会通念上,夫婦としての共同生活と認められる事実関係が存在したとしても,遺族年金の受給権が認められないとしたものであって,合理性がある。 以上に述べたことからすれば,養親子関係者の間の婚姻禁止(民法734条,736条)に抵触する関係にある者も,国年法5条8項等にいう「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻と同様の事情にある者」には含まれない。 (2) 本件養子縁組は無効ではないこと - 13 -ア養子縁組が無効である場合についてそもそも本件養子縁組の無効は公的に確認されたものではないが,その点をおくとしても,養子縁組は,「1 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。」,「2 当事者が縁組の届出をしないとき。(以下略)」の場合に限り,無効とするとされている( その点をおくとしても,養子縁組は,「1 人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき。」,「2 当事者が縁組の届出をしないとき。(以下略)」の場合に限り,無効とするとされている(民法802条)。そして,「縁組をする意思」(以下「縁組意思」という。)とは,養親になるべき者と養子になるべき者との間において,社会習俗観念からみて,真に親子と認められるような身分関係の設定を欲する効果意思であると解されている。具体的場合における縁組意思の認定には,親子関係から生じる法律的又は社会的な効果の全部又は一部を目的としているか否かを標識とすべく,それとは別個の目的を達するための手段としてのみ縁組の形式を利用するにすぎないときは,縁組意思を欠くとされている。なお,裁判例においては,男性が情交関係にある女性を養子とする縁組も,必ずしも無効とはされていない(最高裁昭和45年(オ)第975号同46年10月22日第二小法廷判決・民集第25巻7号985頁等参照)。 イ本件養子縁組が無効であるとは認められないこと(ア) 本件養子縁組の届出当時,本件内縁関係が成立していたとは認められないことa 本件内縁関係については,原告が(原告の主張の要点)(1)で主張する事実のほか,原告の本人尋問における供述等の証拠によれば,①Aは,昭和61年6月7日,栃木県α市(以下住所省略)の実家(以下「Aの実家」という。)に住民票を移し,昭和61年当時,Aの実家には,B,Aの両親並びにBの両親及びBの弟が居住し(甲4・Aの住民票除票,原告本人),②Bは,Aの収容中,Aの両親の面倒を見ており(甲4・「生計維持関係の申立書」2項),③Aは,Bと離婚した平成2年 ▲ 月 ▲ 日頃,組内(町内会)及び親戚等の周囲の人たちに - 14 -対し,原告のことを「妻 Aの両親の面倒を見ており(甲4・「生計維持関係の申立書」2項),③Aは,Bと離婚した平成2年 ▲ 月 ▲ 日頃,組内(町内会)及び親戚等の周囲の人たちに - 14 -対し,原告のことを「妻」であると紹介して挨拶回りをした(甲6・3頁,原告本人・5頁から8頁まで)というのであって,これらの事実関係からは,Aは,昭和61年及び昭和62年当時,住民票をAの実家に置き,B及びその両親をAの実家に住まわせていたのであり,そのようなAがこの頃にBとの婚姻関係の継続を全く望んでいなかったとまではいえない。また,Bも,本件養子縁組をした同年▲月▲日時点で,Aとの婚姻関係の継続を望んでいなかったのであれば,本件養子縁組などせず,Aと離婚していたと考える方が自然である。 しかし,実際には,Bは,両親とともにAの実家に居住し,Aの両親の面倒まで見て,Aとの婚姻関係を維持した上で,既にAと交際していたと思われる原告を養子に迎え入れることを受け入れたのであるから,BがAとの婚姻関係の継続を全く望んでいなかったとまではいえない。 以上によれば,同日時点において,AとBの婚姻関係が破綻していたとはいえない。 b 他方で,原告は,昭和61年頃からAと交際していたことがうかがわれるものの,Aが逮捕,勾留されたため,昭和62年 ▲ 月 ▲ 日までにAと同居していた期間は数か月から8か月間にすぎない。また,原告は,本件念書(甲5の1)において,「尚,服役中途で私が無断で行方を変更或は,不明としたときも同様とします。」と記載しており,少なくとも,同記載の文章を考えたG弁護士からすれば,原告がAの収容中に音信不通となる可能性があると考えられる状況,あるいは,原告とAの関係は希薄であると考えられる状況があったものと考えられる。しかも,原告は,平成2年▲月頃になっ 弁護士からすれば,原告がAの収容中に音信不通となる可能性があると考えられる状況,あるいは,原告とAの関係は希薄であると考えられる状況があったものと考えられる。しかも,原告は,平成2年▲月頃になってから,Aから,Aの組内や親戚等に「妻」として紹介されたのであり,このことは,本件養子縁組がされた昭和62年 ▲ 月 ▲ 日時点では,Aの周囲の - 15 -人たちに対してそのような紹介がされていなかったことをうかがわせる。 さらに,原告自身も,Aから「出所したら結婚しよう」と言われた時と,本件念書(甲5の1)を作成した時とでは,どちらが先であったのかとの質問に対し,記憶が曖昧であるとしながらも,「(引用者注:Aから出所したら結婚しようと言われたのは)念書を書いた後かもしれません。」(原告本人・19頁)と述べている。 その他,原告が本件養子縁組をした当時,原告がAと単なる交際関係を有していたという以上に,社会的・習俗的に夫婦と認められる事実状態が形成されていた,本件内縁関係が成立していたと認めるに足りる証拠はない。 以上のように,本件養子縁組をした時点では,AはBと婚姻関係にあり,その婚姻は破綻しておらず,他方,原告とAとの関係はいまだ希薄なものであった状況等に鑑みれば,本件内縁関係が成立していたとはいえないのであって,同日当時の原告とAとの関係は,両者における縁組意思の不存在を推認させるようなものではなかったといえる。 (イ) 本件養子縁組の届出の経緯等に照らしても,原告,A及びBには縁組意思があったといえること本件養子縁組については,原告は,(原告の主張の要点)(1)で主張する事実のほか,本人尋問において,①原告は,本件養子縁組の届出について,1人で δ 市役所に行ったような気がする(原告本人・10頁),②養子縁組 いては,原告は,(原告の主張の要点)(1)で主張する事実のほか,本人尋問において,①原告は,本件養子縁組の届出について,1人で δ 市役所に行ったような気がする(原告本人・10頁),②養子縁組届の「養親になる人」の記載欄を記載してもらうために,Bとやり取りをしたかもしれない(原告本人・10頁及び11頁),③原告は,Aが収容中,面会可能な回数分だけAの面会に行き,下着,本及び現金等を差し入れ(原告本人・4,15及び16 - 16 -頁),③Aと面会する際, ○ 刑務所職員から,Aとの関係を質問され,「養女です。」と返答し,Aも,面会する者として,「養女,H」などと記載していたと思う(原告本人・5頁及び15頁)などと述べているのであって,これらの本件養子縁組の経緯等をみるに,いわゆる養親となる者と養子となる者が話し合って縁組の手続が進められており,原告,A及びBの3人の当事者のうちの1人でも知らないところで勝手に養子縁組がなされたものではない。 また,原告は, ○ 刑務所において,養子としてAと面会し,下着,本及び現金等を差し入れていたことは,養子である原告が養親であるAを扶養していた(民法877条1項参照)ともみることもできる。 更にいえば,上記の扶養に加えて,A及びBと原告の間の相続についても,養子縁組の目的から除外されていない。すなわち,本件念書(甲5の1)の第2項にある財産的要求等をしない旨の記載は,Bが知らない面会中に,原告がAに対して財産的要求等をしないことを約する趣旨のものであり,それ以上に,Aと原告の間の相続を除外する趣旨であったとはいえない。 さらに,①本件養子縁組には弁護士が関与しており,少なくとも,同弁護士においては,昭和62年 ▲ 月 ▲ 日当時,縁組意思のない偽装養子縁組とは考えていなかったもの る趣旨であったとはいえない。 さらに,①本件養子縁組には弁護士が関与しており,少なくとも,同弁護士においては,昭和62年 ▲ 月 ▲ 日当時,縁組意思のない偽装養子縁組とは考えていなかったものと考えられ,②本件養子縁組については,同日から現在に至るまで,25年以上にわたって戸籍上有効に存続しており,本件訴えの提起に至るまで,原告,A及びBのうちの誰1人として,その無効を主張したことはない。 以上の事情を併せ考えれば,本件養子縁組は,親子関係から本来生じる法律的又は社会的な効果を排除して,それとは別個の目的を達するための手段としてのみ縁組の形式を利用したとまでは認められず,有効な縁組意思がなかったとはいえない。 - 17 -また,原告がAの収容中に同人に面会していたとするならば,その面会は,養親子関係に基づくものであったといえるのであって,原告とAの養親子関係が戸籍上有効に存続していたことも併せ考慮すれば,原告とAは,社会において一般に養親子関係にあると認知されていたものといえる。そうだとすると,原告とAの内心の意思にかかわらず,原告とAの関係は,婚姻法秩序に抵触することに変わりはない。 ウ以上のとおり,本件養子縁組は有効に成立しており,原告は,昭和62年 ▲ 月 ▲ 日,本件養子縁組をして以後,原告は,Aの養女という身分のまま夫婦としての生活をしていたものであって,その関係は,民法734条(及び736条)が規定する養親子の間の婚姻の禁止に実質的に抵触するから,原告は,国年法5条8項等にいう「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻と同様の事情にある者」には当たらない。 (3) 原告が主張するような特段の事情があるとはいえないことア原告が主張するような特段の事情を検討すべき事案ではないこと既に述べたとおり,本件内 婚姻と同様の事情にある者」には当たらない。 (3) 原告が主張するような特段の事情があるとはいえないことア原告が主張するような特段の事情を検討すべき事案ではないこと既に述べたとおり,本件内縁関係は,養親子の間の婚姻の禁止(民法736条)に抵触し,婚姻秩序との抵触が大きい直系血族間の内縁関係となっていたのであり,このような内縁関係は,反倫理性,反公益性が極めて高く,平成19年判決において判示された前記の特段の事情の有無を検討するまでもなく,国年法5条8項等の「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻と同様の事情にある者」には当たらない。 イ原告の主張するような特段の事情があるとはいえないこと前記アの点をおくとしても,本件内縁関係は,養親子間の婚姻禁止(民法736条)に抵触し,婚姻秩序との抵触が大きい直系血族間の内縁関係となっていただけではなく,原告がBの養子となる旨の養子縁組の届出もしていたことからすれば,Bとの関係においては,直系姻族間の婚姻禁止(民法735条)にも抵触する反倫理性,反公益性の極めて大きいもので - 18 -あった。 加えて,Aが,平成2年▲月当時,組内(町内会)及び親戚等の周囲の人たちに対し原告のことを「妻」であると紹介して挨拶回りをした際には,Aは,原告のことを「養子」でもあるとは告げていなかったとうかがえ,親戚間で承認され,地域社会等においても受け入れられた原告とAの関係は,原告がAの養子であることを前提としたものであったとは認められない。この点をおくとしても,原告とAが養親子間で内縁関係となったのは,地方的慣習に基づいたものではないし,原告が○刑務所に収容中のAと面会を重ねて親密さを増していた時期は,AとBが婚姻関係にあった時期であり,原告とAの関係は重婚的関係であった。 以上のとおり, は,地方的慣習に基づいたものではないし,原告が○刑務所に収容中のAと面会を重ねて親密さを増していた時期は,AとBが婚姻関係にあった時期であり,原告とAの関係は重婚的関係であった。 以上のとおり,本件内縁関係が婚姻秩序との抵触が大きい直系血族間の内縁関係であったことや,本件内縁関係が形成されるに至った経緯等に鑑みると,本件内縁関係の反倫理性,反公益性が婚姻法秩序維持等の観点から問題とする必要がない程度に著しく低いものであったとは認められず,原告が主張するような特段の事情があるとはいえない。 (4) まとめ以上のとおり,本件養子縁組が無効であるとは認められず,本件は,原告が主張する「特段の事情」の有無を考慮すべき事案ではない上,「特段の事情」の有無を検討したとしても,そのような事情があるとはいえない(なお,遺族年金の給付は,一定の事由が生じた場合に請求権を有する者の請求に基づいて行われるいわゆる授益処分であり,その給付を受けようとする者が自己に受給資格があることを証明する責任があるというべきであるから,支給要件に係る事実の主張立証責任については,これを争う原告にある。)。 以上によれば,原告は,Aとの関係において,国年法5条8項等の「事実上婚姻と同様の事情にある者」に該当せず,遺族年金の受給資格を有しない。 よって,本件処分は適法である。 - 19 -第3 当裁判所の判断 1 認定事実前提事実,証拠(甲4,5の1,5の2,6,原告本人)及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実(以下「認定事実」という。)が認められる。 (1) Aは,昭和41年 ▲ 月 ▲ 日,Bと婚姻をしたが,昭和60年冬頃,東京において原告と知り合い,昭和61年暮れ頃,Aが δ 市に借りたアパートで原告と同居を開始した。当時,原告は,働いておら Aは,昭和41年 ▲ 月 ▲ 日,Bと婚姻をしたが,昭和60年冬頃,東京において原告と知り合い,昭和61年暮れ頃,Aが δ 市に借りたアパートで原告と同居を開始した。当時,原告は,働いておらず,Aから生活費を渡されていた。 一方で,Aは,同年6月7日付けで栃木県α市(以下住所省略)のAの実家に住所を定めたとして届出をした。当時,同所には,B,Aの両親並びにBの両親及び弟が同居していた。(前提事実(1)ア及びウ,甲4,6,原告本人)(2) 原告とAが同居を開始してから8か月ほど経った頃,Aは, □ □ □ 法違反の罪に係る被疑者として逮捕され,○刑務所に勾留された。原告は,同刑務所に面会に行った際,Aから,刑務所に収容されたら面会に来てほしいが,刑務所では家族以外の人とは面会できないのでA及びBと養子の縁組をしてほしい,原告と縁組するということはBから承諾をもらっているなどと申し向けられ,本件養子縁組をすることを承諾した。(甲4,6,原告本人)(3) 原告は,昭和62年 ▲ 月 ▲ 日,Aの指示に従い, δ 市所在のG弁護士の事務所を訪れ,同弁護士が口頭で述べた内容を原告が筆記して本件念書(甲5の1)を作成し,同日,本件養子縁組に係る届出をした。 本件念書は,A及びBに宛てたものであり,「一,今般Aと,同Bと養子縁組をしましたがこれについて左記事項を,約束します。1.右養子縁組は,Aの今回服役終了次第,解消する。よって,出所の時は,一方的に离縁の届出をしても異議がない,尚,服役中途で私が無断で行方を変更或は,不明としたときも同様とします。2.右養子縁組に関して,財産的要求,その他法律的要求は,一切しないことを確約します。」との記載がある。 - 20 -本件念書の写しは,後日,G弁護士から原告に郵送され,原告はこ とします。2.右養子縁組に関して,財産的要求,その他法律的要求は,一切しないことを確約します。」との記載がある。 - 20 -本件念書の写しは,後日,G弁護士から原告に郵送され,原告はこれを受領した。 原告とAは,本件養子縁組をした当時,養親子の間の婚姻の禁止の規定について知らなかった。(前提事実(1)イ,甲4,5の1,5の2,6,原告本人)(4) Aは,前記(2)の刑事事件について有罪を言い渡す判決の宣告を受け,同判決の確定により,平成2年▲月頃までの約3年間,○刑務所に収容された。 原告は,Aが同刑務所に収容されている間, δ 市内に居住し続け,アルバイトをして生計を立てる傍ら,定期的に○刑務所を訪れ(当初は毎月行けるかどうかという程度であったが,収容期間の最後の頃は,1か月に1回,最終的には2週間に1回程度),Aと面会した。Aは,同刑務所に原告を養女であるとして面会に係る申出をし,また,原告は,同刑務所の職員からAとの関係を尋ねられた際は,養女と答えていた。原告は,Aとの面会の際,下着,本,現金等を差し入れたこともあったが,その費用は原告や原告の両親等が負担していた。 一方,Bは,Aが同刑務所に収容されている間もAの実家に居住し,Aの両親の面倒を見るなどしていた。(甲4,原告本人)(5) Aは,平成2年 ▲ 月, ○ 刑務所から釈放され,同月 ▲ 日,Bと協議上の離婚をし,その後,Aの実家で原告及びAの母と同居を開始した(もっとも,原告がAの実家に住所を定めたとする届出をしたのは,平成3年1月30日である。)。原告は,Aとの同居を開始した頃,Aから,一度縁組をして養親子となった者の間では,離縁をした後も婚姻をすることができないことを聞かされ,養親子間の婚姻が禁止されていることを知った。 Aは,原告とAの実家で Aとの同居を開始した頃,Aから,一度縁組をして養親子となった者の間では,離縁をした後も婚姻をすることができないことを聞かされ,養親子間の婚姻が禁止されていることを知った。 Aは,原告とAの実家で同居を開始した後,Aの親族(Aの母の兄の妻)に,原告の紹介を依頼し,上記の親族は,他の親族や組内(町内会に相当するもの)に原告をAの妻として紹介し,また,A及びその母も,周りの者に原告を紹介するときは,Aの妻として紹介した。(前提事実(1)オ,甲6,原告本人)(6) 原告は,Aが平成20年▲月▲日に死亡するまで,Aの実家で同人と同居し, - 21 -その間,①原告とAとの間には,平成3年 ▲月 ▲日にDが,平成5年 ▲月 ▲日にEが出生し,いずれについても出生の際にAの実家を住所とする旨の届出がされ,Aは,Dについては平成4年 ▲ 月 ▲ 日に,Eについては平成19年▲月▲日に,それぞれ認知をし,原告は,②葬式や地域の行事の際には,Aの妻として手伝い等に参加し,③子どもらの学校の書類等においても,Aと夫婦であるとして届け出,行事や部活動についてもAと共に夫婦として参加していた。 また,④Aは,その勤務先にも同人の妻として原告を届け出るなどし,⑤Aが死亡した際には,原告が死亡の届出をし,妻である喪主として葬儀を主催した。 原告は,Aの死亡後,親族等に,Aと養親子関係にあり,婚姻をしていないことを明らかにしたが,現在に至るまで,Aの実家に居住し,親族やAの友人等とはAの妻としての付き合いをしている。(前提事実(1)カ,甲3,4,6,原告本人) 2 遺族年金を受けることができる遺族である「被保険者又は被保険者であった者の妻(配偶者)」(国年法37条の2第1項,厚年法59条1項)について(1) 国年法等は,遺族年金を受けることができる遺族 2 遺族年金を受けることができる遺族である「被保険者又は被保険者であった者の妻(配偶者)」(国年法37条の2第1項,厚年法59条1項)について(1) 国年法等は,遺族年金を受けることができる遺族の範囲について,被保険者等の妻(配偶者)等であって,被保険者等の死亡の当時その者によって生計を維持していたもの等の要件を満たすものとし,上記の妻(配偶者)について,「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者」を含むと規定している(国年法5条8項等)。国年法等が,このように,遺族年金を受けることができる地位を内縁の配偶者にも認めることとしたのは,被保険者等の死亡について保険給付を行い,その遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的に鑑み,遺族年金を受けることのできる妻(配偶者)について,必ずしも民法上の配偶者の概念と同一のものとしなければならないものではなく,被保険者等との関係において,互いに協力して社会通念上夫婦としての共同生活を現実に営んでいた者にこれを支給することが,遺族年金の社会保障的な性格や国年法等の上記目的にも適合すると考えられたことによるものと解される。他方, - 22 -国民年金制度及び厚生年金保険制度が政府の管掌する公的年金制度であり(国年法1条及び3条1項,厚年法1条及び2条),被保険者(及び厚年法においては事業主)の意思に関わりなく強制的に徴収される保険料に国庫負担を加えた財源によって賄われていること(国年法85条,厚年法80条及び82条)を考慮すると,民法の定める婚姻秩序に反するような内縁関係にある者まで,一般的に遺族年金の支給を受けることができる妻(配偶者)に当たると解することはできない(平成19年判決参照)。 (2) ところで,民法734条が養親子の関係にある者を含む近親者 縁関係にある者まで,一般的に遺族年金の支給を受けることができる妻(配偶者)に当たると解することはできない(平成19年判決参照)。 (2) ところで,民法734条が養親子の関係にある者を含む近親者等の間の婚姻を禁止しているのは,社会倫理的配慮及び優生学的配慮という公益的要請を理由とするものであるところ,養親子の間の婚姻については,当然には優生学的な弊害は生じないものの,民法は,養子縁組について,①養子と養親及びその血族との間においては,養子縁組の日から,血族間におけるのと同一の親族関係を生じ(同法727条),②養子は,縁組の日から,養親の嫡出子の身分を取得し(同法809条),③養子は,養親の氏を称する(同法810条本文)等の効果が生じるものとしていることからすれば,養親子の間についても,実親子と同様の身分法上の秩序が維持されるべきであるとの社会倫理的配慮から,実親子の間の婚姻についてと同様にその婚姻を禁止することとしたものと解され,このような理由により養親子の間の婚姻を禁止することについては,少なくとも我が国の現在の婚姻法秩序及び社会通念を前提とする限り,合理性を有するというべきである。 以上のとおり,養親子の間で婚姻が禁止されるのは,社会倫理的配慮という公益的要請を理由とするものであって,養親子の間の婚姻は,時の経過ないし事情の変化によって婚姻障害事由が消滅ないし減退をすることがあり得ない性質のものであり,殊に,養親子の間における内縁関係は,一般的に反倫理性,反公益性が極めて大きい関係というべきであるから,いかにその当事者が社会通念上夫婦としての共同生活を営んでいたとしても,国年法等により保護される妻又は夫(配偶者)には当たらないものと解される(平成19年判決参照)。 - 23 - 3 原告が遺族年金を受けることができる「被 としての共同生活を営んでいたとしても,国年法等により保護される妻又は夫(配偶者)には当たらないものと解される(平成19年判決参照)。 - 23 - 3 原告が遺族年金を受けることができる「被保険者又は被保険者であった者の妻(配偶者)」に該当するかについて本件において,原告は,本件養子縁組の効力を争うとともに,養親子の間の内縁関係については,平成19年判決が養親以外の一定の近親者等の間の内縁関係について判示するところに沿って,それが形成されるに至った経緯,周囲や社会の受け止め方,共同生活期間の長短,子の有無,夫婦生活の安定性等に照らし,反倫理性,反公益性が婚姻法秩序維持等の観点から問題とする必要がない程度に著しく低いと認められる場合には,上記養親子の間の婚姻を禁止すべき公益的要請よりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情があるというべきことがあるとの前提に立って,原告についての各般の事情を主張するものと解されるので,以下に検討する。 (1) 本件養子縁組の有効性について原告は,昭和62年 ▲ 月 ▲ 日,A及びBを養親とし,原告を養子とする本件養子縁組の届出をしたものであるところ(認定事実(3)),原告は,本件養子縁組は,無効又は無効と同視すべきものであると主張するので,以下に検討する。 ア民法802条は,縁組は,①人違いその他の事由によって当事者間に縁組をする意思がないとき(同条1号)及び②当事者が縁組の届出をしないとき(同条2号本文)に限り,無効とする旨を定めているところ,上記①の意思とは,真に社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をいい,たとえ縁組の届出をすること自体について当事者間に意思の合致があった場合でも,縁組が単に他の目的を達成する便法として仮 の意思とは,真に社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をいい,たとえ縁組の届出をすること自体について当事者間に意思の合致があった場合でも,縁組が単に他の目的を達成する便法として仮託され,既に述べたような関係の設定に係る意思がなかったときには,当該養子縁組は効力を生じないというべきである(最高裁昭和23年(オ)第85号同年12月23日第一小法廷判決・民集2巻14号493頁参照)。 そして,そのような意思の存否の判断に際しては,縁組の届出をするに当たって,親子関係から本来生ずる法律的又は社会的な効果の全部又は一部を目的 - 24 -としているか否かを考慮するのが相当である。 イ(ア) これを本件について見ると,原告が本件養子縁組の届出をした経緯及びAが○刑務所に収容された後に原告が実際に同人の養女として面会していたことからすれば(認定事実(2)から(4)まで),本件養子縁組は,Aが刑務所に収容されることとなった場合に,原告が同人の養女として面会することを主要な目的としてされたものであり,本件養子縁組の当事者である原告,A及びBのいずれにおいてもそのような認識に欠けることはなかったことが認められる。 そして,本件養子縁組がされた昭和62年当時,受刑者については,法律上,親族以外の者とは,特に必要があると認められる場合でなければ,接見をさせてはならないものとされており(監獄法45条2項),受刑者と面会することができることは,親族であるという身分関係それ自体を基礎とするものであったものというべきである。 そうすると,本件養子縁組は,その届出をするに当たって,少なくとも,親子関係から本来生じる法律的又は社会的効果の一部を目的としていたものといえ,社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をおよそ欠くもの 子縁組は,その届出をするに当たって,少なくとも,親子関係から本来生じる法律的又は社会的効果の一部を目的としていたものといえ,社会通念上親子であると認められる関係の設定を欲する意思をおよそ欠くものであったとまでは認められない。 (イ) もっとも,本件養子縁組については,①原告とAは,本件養子縁組の届出の以前から交際し同居していたものであり(なお,本件内縁関係の成立の時期については,後記(2)に述べるとおり,Aの釈放後である平成2年▲月頃と認めるのが相当である。),Aは,そのような交際関係の延長として,原告が刑務所に面会に来ることを望んでいたものと推認することができ(認定事実(1)及び(2)),また,②本件念書(甲5の1)の内容に照らすと,原告は,Aの釈放後,離縁をすることを了承していたことが認められ(認定事実(3)),その意味で,本件養子縁組は,Aの刑務所への収容という事態に際し,Aと原告との交際関係を維持するための便宜的又は一時的な側面をも - 25 -有していたことは否めない。 しかし,そもそも,養子縁組がされるに至る態様は多様であり得るのであって,前記(ア)に説示したとおり,本件養子縁組が,親子関係から本来生ずる法律的又は社会的な効果の一部を目的としているものであると認められる以上,上記のような側面があるからといって,直ちに前記(ア)の認定判断が左右されるものではないというべきである。 これに反する原告の主張はいずれも採用することができない。 (2) 養親子の間の婚姻を禁止すべき公益的要請によりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情の有無についてア原告とAとの間には,Aが○刑務所から釈放されBと離婚をした後の平成2年▲月頃から本件内縁関係が成立したものと認められると 寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情の有無についてア原告とAとの間には,Aが○刑務所から釈放されBと離婚をした後の平成2年▲月頃から本件内縁関係が成立したものと認められるところ(認定事実(5)。なお,原告は,本件内縁関係は昭和60年頃には成立していた旨の主張をするが,Aが平成2年▲月に釈放される以前は,①Aは,Bとの婚姻を継続しており,B及びAの両親等が居住するAの実家をその住所として届出をしていたこと(前提事実(1)ウ,認定事実(1)),②Bは,Aが○刑務所に収容された後も,Aの実家に居住して,Aの両親の面倒を見るなどし,Aの妻の地位にある者として,原告との間の本件養子縁組の届出をすることを承諾したこと(認定事実(3)及び(4))などからすれば,同月以前に本件内縁関係が成立していたとまでは認められない。),前記(1)に述べたとおり,本件養子縁組は有効であるというべきであるから,本件内縁関係は,養親子の間の婚姻を禁止する民法734条に抵触するものであり,同法の婚姻法秩序に違反したものであったといわざるを得ない。 イそこで,本件内縁関係については,養親子の間の婚姻を禁止すべき公益的要請によりも遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与するという国年法等の目的を優先させるべき特段の事情があるかについて検討する。 - 26 -前提事実及び認定事実によれば,本件内縁関係については,原告は,昭和61年暮れ頃から,Aが○刑務所に収容されていた約3年間を除き,同人が死亡する平成20年▲月▲日まで同居し,その間に子どもらも出生し,Aが○刑務所から出所した平成2年▲月頃以降は,親族や地域社会,Aの職場などでも,Aの妻として紹介され,原告自身もそのように振る舞い,Aの妻として認知されていたことが認められる。 しかし,①本件 Aが○刑務所から出所した平成2年▲月頃以降は,親族や地域社会,Aの職場などでも,Aの妻として紹介され,原告自身もそのように振る舞い,Aの妻として認知されていたことが認められる。 しかし,①本件内縁関係は,養親子の間の婚姻の禁止(民法734条)に抵触し,婚姻秩序との抵触が大きい直系血族間の内縁関係であったこと,②原告とAの交際が開始された当時,AはBと婚姻中であり,平成2年 ▲ 月 ▲ 日にAとBが離婚をするまで,原告とAとの関係はいわゆる不貞関係にあったこと(認定事実(1)から(5)まで),③原告とAは,Aの出所後も離縁をすることがなかったこと,④本件全証拠を見ても,Aの死亡前において,原告がAの養子であることがAの親族,地域の住民,Aの職場の関係者などに認知されていたことをうかがうに足りる証拠はなく,原告について,Aの養子でありながら,同時にAの内縁の妻であることが社会的に受け入れられていたとは認められないことからすれば,本件内縁関係については,原告の主張するような特段の事情があるとはいえない。 (3) 以上によれば,原告は,国年法等の「婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者」に該当するとはいえず,被保険者の妻(配偶者)として遺族年金を受けることができる遺族に該当するとはいえない。したがって,本件処分は適法であるというべきである。 4 結論よって,本件請求はいずれも理由がないからこれらを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第3部 - 27 - 裁判官川嶋知正 裁判官髙畑桂花 裁判長裁判官八木一洋は,差し支えのため,署名押印をすることができない。 裁判官 裁判官川嶋知正 裁判官髙畑桂花 裁判長裁判官八木一洋は,差し支えのため,署名押印をすることができない。 裁判官川嶋知正 - 28 -(別紙2)関係法令の定め第1 国年法の定め 1 国年法1条(国民年金制度の目的)は,国民年金制度は,日本国憲法25条2項に規定する理念に基づき,老齢,障害又は死亡によって国民生活の安定が損なわれることを国民の共同連帯によって防止し,もって健全な国民生活の維持及び向上に寄与することを目的とする旨を定めている。 2 国年法5条(用語の定義)8項(平成24年法律第63号による改正前のもの。以下同項について同じ。)は,同法において,「配偶者」,「夫」及び「妻」には,婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする旨を定めている。 3 国年法15条(給付の種類)は,同法による給付は,①老齢基礎年金(同条1号),②障害基礎年金(同条2号),③遺族基礎年金(同条3号)並びに④付加年金,寡婦年金及び死亡一時金(同条4号)とする旨を定めている。 4 国年法16条(裁定)は,給付を受ける権利は,その権利を有する者の請求に基づいて,厚生労働大臣が裁定する旨を定めている。 5 国年法37条(支給要件)本文(平成24年法律第62号による改正前のもの)は,遺族基礎年金は,被保険者又は被保険者であった者が死亡したとき(同条1号)等,同条各号のいずれかに該当する場合に,その者の妻又は子に支給する旨を定めている。 6 国年法37条の2(遺族の範囲)第1項(平成24年法律第62号による改正前のもの。以下同項について同じ。)は,遺族基礎年金を受けることができる妻又は子は,被保険者又は被保険 る旨を定めている。 6 国年法37条の2(遺族の範囲)第1項(平成24年法律第62号による改正前のもの。以下同項について同じ。)は,遺族基礎年金を受けることができる妻又は子は,被保険者又は被保険者であった者の妻又は子であって,被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し,かつ,①妻については,被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時その者によって生計を維持し,かつ,同項2号に掲げる要件に該当する子と生計を同じくす - 29 -ること(同項1号),②子については,18歳に達する日以後の最初の3月31日までの間にあるか又は20歳未満であって障害等級に該当する障害の状態にあり,かつ,現に婚姻をしていないこと(同項2号)に該当したものとする旨を定めている。 7 国年法37条の2第3項は,同条1項の規定の適用上,被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していたことの認定に関し必要な事項は,政令で定める旨を定めている。 第2 厚年法の定め 1 厚年法1条(同法の目的)(平成25年法律第63号による改正前のもの。 以下同条において同じ。)は,同法は,労働者の老齢,障害又は死亡について保険給付を行い,労働者及びその遺族の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし,併せて厚生年金基金がその加入員に対して行う給付に関して必要な事項を定めるものとする旨を定めている。 2 厚年法3条(用語の定義)2項は,同法において,「配偶者」,「夫」及び「妻」には,婚姻の届出をしていないが,事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする旨を定めている。 3 厚年法32条(保険給付の種類)(平成24年法律第63号による改正前のもの)は,同法による保険給付は①老齢厚生年金(同条1号),②障害厚生年金及び障害手当金(同条2 ものとする旨を定めている。 3 厚年法32条(保険給付の種類)(平成24年法律第63号による改正前のもの)は,同法による保険給付は①老齢厚生年金(同条1号),②障害厚生年金及び障害手当金(同条2号)並びに③遺族厚生年金(同条3号)とする旨を定めている。 4 厚年法33条(裁定)(平成24年8月法律第63号による改正前のもの)は,保険給付を受ける権利は,その権利を有する者(受給権者)の請求に基づいて,厚生労働大臣が裁定する旨を定めている。 5 厚年法58条(受給権者)1項本文(平成24年法律第62号による改正前のもの。以下同項において同じ。)は,遺族厚生年金は,被保険者(失踪の宣告を受けた被保険者であった者であって,行方不明となった当時被保険者であ - 30 -ったものを含む。)が死亡したとき(同項1号)等,同項各号のいずれかに該当する場合に,その者の遺族に支給する旨を定めている。 6 厚年法59条(遺族)1項は,遺族厚生年金を受けることができる遺族は,被保険者又は被保険者であった者の配偶者,子,父母,孫又は祖父母であって,被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であった者にあっては,行方不明となった当時。以下同条において同じ。)その者によって生計を維持したものとする旨を定めている。 7 厚年法59条4項は,同条1項の規定の適用上,被保険者又は被保険者であった者によって生計を維持していたことの認定に関し必要な事項は,政令で定める旨を定めている。 第3 刑事施設ニ於ケル刑事被告人ノ収容等ニ関スル法律(平成17年法律第50号による改正前の名称は監獄法。以下改正の前後を問わず,「監獄法」という。)の定め監獄法45条1項は,在監者に接見することを請う者があるときはこれを許す旨を,同条2項は,受刑 17年法律第50号による改正前の名称は監獄法。以下改正の前後を問わず,「監獄法」という。)の定め監獄法45条1項は,在監者に接見することを請う者があるときはこれを許す旨を,同条2項は,受刑者及び監置に処せられた者はその親族でない者と接見をさせることができないが(本文),特に必要があると認める場合にはこの限りではない(ただし書)旨を定めている。

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