主文 1 原告目録1記載の原告らの航空機の離発着の差止請求及び航空機騒音の到達の差止請求並びに平成31年2月1日以降に生ずべき損害賠償請求部分に係る控訴をいずれも棄却する。 2 原告目録2,4及び6記載の原告らの控訴をいずれも棄却する。 3 原告目録1,3及び5記載の原告ら並びに被告の各控訴に基づき,原判決中,平成31年1月31日までの損害賠償請求に関する部分を次のとおり変更する。 ⑴ 被告は,別紙「居住移転経過一覧表」の各「損害額合計」欄に記載のある原告らに対し,同欄記載の各金員及び同別紙の同原告らに対応する 「始期」欄記載の日から「終期」欄記載の日までの間,暦上の月ごとに,1月当たり各対応する「単位損害賠償額」欄記載の額の割合の金員に対する当該月の翌月1日から各支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ⑵ 原告目録1,3及び5記載の原告らの平成31年1月31日までの損 害賠償請求に係る主位的請求及びその余の予備的請求をいずれも棄却する。 4 訴訟費用は,第1,2審を通じてこれを4分し,その3を原告らの負担とし,その余を被告の負担とする。 5 この判決は,第3項⑴に限り,本判決が被告に送達された日から14日 を経過したときは,仮に執行することができる。 事実 及び理由 第1章当事者の求めた裁判第1 原告らの控訴の趣旨 1 原判決中原告ら敗訴部分(ただし,原告目録2及び3記載の原告らにつき差 止請求を棄却した部分及び原告ら全員につき後記3から5において支払を求め る金員以外の支払を求める部分を除く。)を取り消す。 2 被告は,原告目録1及び4記載の原告ら(以下「差止等請求原告ら」という。)のために, 全員につき後記3から5において支払を求め る金員以外の支払を求める部分を除く。)を取り消す。 2 被告は,原告目録1及び4記載の原告ら(以下「差止等請求原告ら」という。)のために, (主位的請求)アメリカ合衆国をして,嘉手納基地において,毎日午後7時から翌日午前 7時までの間,一切の航空機を離発着させてはならない。 (予備的請求)差止等請求原告らの居住地域に,毎日午前7時から午後7時までの間において,嘉手納基地の使用によって生じる40dBを超える一切の騒音を到達させてはならない。 差止等請求原告らの居住地域に,毎日午前7時から午後7時までの間において,嘉手納基地の使用によって生じる65dBを超える一切の騒音を到達させてはならない。 3 被告は,原判決別紙「居住移転経過一覧表」の「認容原告」欄に「○」の記載のある原告らに対し,同別紙の同原告らに対応する「始期」欄記載の日から 「終期」欄記載の日までの間,暦上の月ごとに,次の金員をそれぞれ支払え。 ⑴ 同表中「W値」欄に「95」とある期間については,1か月当たり5万7500円及びこれらに対する当該月の翌月1日から支払済みまで年5分の割合による金員⑵ 同表中「W値」欄に「90」,「85」,「80」又は「75」とある期 間については,各対応する「単位損害賠償額」欄記載の額の1.5倍の割合による金員及びこれらに対する当該月の翌月1日から支払済みまで年5分の割合による金員 4 被告は,原告目録3記載の原告らに対し,原判決別紙「居住移転経過一覧表」の同原告らに対応する「始期」欄記載の日から「終期」欄記載の日までの間,暦 上の月ごとに,1か月当たり5万7500円の割合による金員及びこれらに対 原判決別紙「居住移転経過一覧表」の同原告らに対応する「始期」欄記載の日から「終期」欄記載の日までの間,暦 上の月ごとに,1か月当たり5万7500円の割合による金員及びこれらに対 する当該月の翌月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 5 被告は,差止等請求原告らに対し,平成28年8月26日から第2項の各行為がなくなるまでの間,暦上の月ごとに,各月末日限り1か月当たり5万7500円の割合による金員及びこれらに対する当該月の翌月1日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 被告の控訴の趣旨 1 原判決中被告敗訴部分をいずれも取り消す。 2 上記取消部分に係る原告らの請求をいずれも棄却する。 第2章事案の概要(略称は特に記載したもののほかは原判決のものを用いる。)第1 本件訴訟の経過 1 請求の要旨本件は,本件飛行場の周辺に居住し若しくは居住していた者,又はその相続人である原告らが,本件飛行場に離着陸する合衆国軍隊の航空機の発する騒音により健康被害を受けていると主張して,日米安保条約及び日米地位協定に基づきアメリカ合衆国に本件飛行場を提供している被告に対し, ⑴ 原告らにおいて,人格権,環境権又は平和的生存権に基づき,①主位的には毎日午後7時から翌日午前7時までの時間帯の本件飛行場における航空機の離発着の禁止を,予備的には毎日同時間帯の原告らの居住地域に本件飛行場の使用によって生じる40dBを超える騒音到達禁止を,及び②毎日午前7時から午後7時までの時間帯において本件飛行場の使用によって生じる6 5dBを超える騒音到達禁止を求める差止(以下,航空機の離発着及び騒音到達の各差止請求を,単に「差止」又は「差止請求」ということもある。)を,⑵ 原告らに 件飛行場の使用によって生じる6 5dBを超える騒音到達禁止を求める差止(以下,航空機の離発着及び騒音到達の各差止請求を,単に「差止」又は「差止請求」ということもある。)を,⑵ 原告らにおいて,主位的に国賠法2条1項に基づき,予備的に民特法2条に基づき,原判決別紙「居住移転経過一覧表」の「原告種別」欄に「1」と記 載されている原告らについては平成20年10月2日(なお,同月1日は, 第二次嘉手納基地爆音訴訟における損害賠償の対象期間の終期であるため,本訴において同日を始期とする旨の訴状の記載は明らかな誤記と解する。)を,同欄に「0」と記載されている原告らについては平成20年5月1日を始期とし,原審口頭弁論終結の日である平成28年8月25日(ただし,原判決別紙「死亡原告ら」記載の者らについては各「死亡年月日」欄記載の日 とする。)を終期とする期間について暦上の月ごとに1か月当たり5万7500円の割合による損害賠償金及びこれに対する翌月1日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,⑶ 原告ら(ただし,原判決別紙「死亡原告ら」の「氏名」欄記載の者及びその承継人を除く。)において,原審口頭弁論終結の日の翌日である平成28 年8月26日から上記⑴の差止を求める行為がなくなるまでの間の暦上の月ごとに1か月5万7500円の割合による将来の損害賠償金及びこれに対する翌月1日から各支払済みまでの民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を,それぞれ請求した事案である。 2 原判決の要旨原審は,本件訴えのうち,⑴ 原判決別紙「提訴前死亡原告ら」の「氏名」欄記載の原告ら(原告目録5及び6記載の原告ら)の差止請求及び過去の損賠賠償請求に係る訴えをいずれも却下し, 旨原審は,本件訴えのうち,⑴ 原判決別紙「提訴前死亡原告ら」の「氏名」欄記載の原告ら(原告目録5及び6記載の原告ら)の差止請求及び過去の損賠賠償請求に係る訴えをいずれも却下し, ⑵ 原判決別紙「死亡原告ら」の「氏名」欄記載の者及びその承継人を除く原告ら(原告目録1,3及び4記載の原告ら)の前記1⑶の将来の損害賠償請求に係る訴えをいずれも却下し,⑶① 上記⑴の訴えを却下された原告らを除くその余の原告ら(原告目録1~4記載の原告ら)について,前記1⑴の差止請求及び前記1⑵のうち原審 口頭弁論終結の日である平成28年8月25日までに生じたとする過去 の損害賠償についての主位的請求をいずれも棄却し,② 原判決別紙「居住移転経過一覧表」の「認容原告」欄に「○」の記載のある原告ら(原告目録1~3記載の原告ら)について,上記過去の損害賠償に係る予備的請求に基づき,当該期間につき,本件コンターのW値ごとに分けて,W95以上の区域については1か月3万5000円,W90以 上の区域については1か月2万5000円,W85以上の区域については1か月1万9000円,W80以上の区域については1か月1万3000円,W75以上の区域については1か月7000円を基準として慰謝料額を認定して,これらを一部認容し,⑷ 上記⑶②の過去の損害賠償についての予備的請求(過去の損害賠償請求) につき,本件コンター外に居住する原告ら及びフィリピン国籍の原告ら(原告目録4記載の原告ら)については請求の全部,その余の原告ら(原告目録1~3記載の原告ら)については上記⑶②で認容された分を除く残りの請求をいずれも棄却した。 3 原判決に対する控訴 原判決別紙「提訴前死亡原告ら」の「氏名」欄記載の者らの表示訂正後の ~3記載の原告ら)については上記⑶②で認容された分を除く残りの請求をいずれも棄却した。 3 原判決に対する控訴 原判決別紙「提訴前死亡原告ら」の「氏名」欄記載の者らの表示訂正後の原告ら(原告目録5記載の原告ら)及び原告A2-874(原告目録6記載の原告)は,前記2⑴のうち過去の損害賠償請求に係る訴えを却下した部分について控訴し,原告目録2及び3記載の原告ら(承継人を含む。)は,前記2⑶の過去の損害賠償請求のうち主位的請求を棄却した部分及び同2⑷の その余の予備的請求を棄却した部分について控訴し,原告目録1及び4記載の原告ら(差止等請求原告ら)は,前記2⑵の将来の損賠賠償請求に係る訴えを却下した部分並びに同2⑶のうちの差止請求と過去の損害賠償請求のうち主位的請求を棄却した部分及び同2⑷のその余の予備的請求を棄却した部分について控訴した。 被告は,原判決中の被告の敗訴部分(前記2⑶②の一部)を不服として控 訴した。 したがって,当審における審判の対象は,次のとおりである。 ア差止等請求原告らにつき,前記1⑴①及び②の差止請求(第1章の第1の2)【原告目録1及び4記載の原告ら関係】イ前記1⑵のうち,原審で過去の損害賠償請求が一部認容されている原告 ら(原判決別紙「居住移転経過一覧表」の「認容原告」欄に「○」の記載のある原告ら)につき,同表の同原告らに対応する「始期」欄記載の日から「終期」欄記載の日までの間,暦上の月ごとに,同別紙中「W値」欄に「95」とある期間については1か月5万7500円,その余の「W値」欄に「90」,「85」,「80」又は「70」とある期間については, 各対応する同別紙「単位損害賠償額」欄記載の額の1.5倍の割合による過去の損害賠償請求(第1章の第1の3 ,その余の「W値」欄に「90」,「85」,「80」又は「70」とある期間については, 各対応する同別紙「単位損害賠償額」欄記載の額の1.5倍の割合による過去の損害賠償請求(第1章の第1の3)【原告目録1~3記載の原告ら関係】ウ前記1⑵のうち,原審で過去の損害賠償請求に係る訴えを却下されている原告ら及び原審で過去の損害賠償請求を全部棄却された原告らにつき, 原判決別紙「居住移転経過一覧表」の同原告らに対応する「始期」欄記載の日から「終期」欄記載の日までの間,暦上の月ごとに,1か月5万7500円の割合による過去の損害賠償請求(第1章の第1の4)【原告目録4~6記載の原告ら関係】エ差止等請求原告らの前記1⑵のうち,原審口頭弁論終結の日の翌日であ る平成28年8月26日から前記1⑴の差止請求の対象となっている各行為がなくなるまでの1か月5万7500円の割合による過去及び将来の損害賠償請求(第1章の第1の5)【原告目録1及び4記載の原告ら関係】 4 当裁判所の判断の要旨当裁判所は,本件訴えのうち,原告A2-874の訴え(前記3⑶ウの一部) 及び差止等請求原告らの当審口頭弁論終結の日の翌日である平成31年2月1 日以降に生ずべき損害の賠償請求(将来の損害賠償請求)に係る部分(前記3エの一部)は不適法であり,その余の原告らの請求のうち,差止等請求原告らの前記1⑴の各請求(前記3⑶ア)は理由がないから,これらに係る当該原告らの控訴はいずれも棄却すべきであると判断する。 また,前記1⑵(前記3⑶イ,ウ及びエの一部)につき,民特法2条に基づ き,同年1月31日までに生じたとする過去の損害賠償請求中,本件コンター区域内に居住し若しくは居住していた原告ら(ただし,フィリピン国籍の原告らを除く。)又 エの一部)につき,民特法2条に基づ き,同年1月31日までに生じたとする過去の損害賠償請求中,本件コンター区域内に居住し若しくは居住していた原告ら(ただし,フィリピン国籍の原告らを除く。)又は居住していた者の承継人である原告らについてのみ,当該期間につき,本件コンターのW値ごとに分けて,W95以上の区域については1か月2万2500円,W90以上の区域については1か月1万8000円,W 85以上の区域については1か月1万3500円,W80以上の区域については1か月9000円,W75以上の区域については1か月4500円を基準として慰謝料及び弁護士費用を認め,その余の原告らの請求はいずれも理由がないと判断する。 第2 前提となる事実,原告らの主張の要旨及び被告の主張の要旨等 次のとおり訂正し,後記第3のとおり当審における当事者の追加的・補充的主張の要旨を付加するほかは,原判決の「事実及び理由」第2章の第2から第4までのとおりであるから,これらを引用する(以下の頁・行数は原判決のものを指す。)。また,原判決の別紙のうち本判決に同名で添付された別紙(目録を除く。)は,本判決のとおり改める。 1 4頁22行目の「,3」の次に「,70」を加え,5頁10行目の「平成23」から同頁17行目の「などであるが」までを次のとおり改める。 「平成26年12月末日の本件飛行場の常駐機種は,F-15Cイーグル(戦闘機)約54機,KC-135Rストラトタンカー(空中給油機)約15機,E-3Bセントリー(空中早期警戒管制機)約2機,HH-60ぺイブ・ホーク(救 難機・ヘリ)約10機,P-3Cオライオン(対潜哨戒機)・EP-3Eアリー ズⅡ(電子偵察機)約8機,P-8Aポセイドン(対潜哨戒機)約6機,MC-130J(特 ぺイブ・ホーク(救 難機・ヘリ)約10機,P-3Cオライオン(対潜哨戒機)・EP-3Eアリー ズⅡ(電子偵察機)約8機,P-8Aポセイドン(対潜哨戒機)約6機,MC-130J(特殊作戦機)約10機,C-12ビーチクラフト(軽輸送機)約2機などであるが」 2 7頁9行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「 平成23年4月28日,本件飛行場周辺の住民合計2万2058名は,再度, 被告に爆音の差止及び損害賠償を請求する本件訴えを提起した。原審は,平成28年8月25日口頭弁論を終結し(終結時の原告数は2万2048名),平成29年2月23日前記第1の2のとおりの判決を言い渡した。」 3 11頁8行目の「456まで」を「556まで,563」と改める。 4 11頁13行目末尾に「下記15か所の測定局のうち,①から③,⑤,⑦, ⑨から⑬及び⑮は前記⑷の類型Ⅰ,④,⑥(後記のコザ測定局への移設前),⑧及び⑭は前記⑷の類型Ⅱに指定された地域内に存する。したがって,前記⑵及び⑶の航空機騒音に係る環境基準は,類型Ⅰ内に存する①から③,⑤,⑦,⑨から⑬及び⑮につき環境庁方式W値70(Ⅼden57dB)以下,類型Ⅱ内に存する④,⑥(同上),⑧及び⑭につき環境庁方式W値75(Lden62dB) 以下となる。なお,⑥の沖縄市八重島の測定局は平成26年8月11日に廃止され,平成27年2月1日に類型Ⅰ内に存するコザ(沖縄市中央,a小学校)に移設された。以下,平成27年度以降の沖縄市八重島の測定結果はコザ測定局のものを指す。」を加える。 5 12頁12行目の「468」の次に「,557から559まで」を加える。 6 12頁15行目の「いう。)。」の次に「同測定場所は前記⑷の類型Ⅰと指定された地域内に存し,航空機騒音に係 。 5 12頁12行目の「468」の次に「,557から559まで」を加える。 6 12頁15行目の「いう。)。」の次に「同測定場所は前記⑷の類型Ⅰと指定された地域内に存し,航空機騒音に係る環境基準は環境庁方式W値70(Lden57dB)となる。」を加える。 7 15頁6行目の「28まで」の次に「,枝番を全て含む。以下特に断らない限り同じ。」を加える。 8 16頁22行目及び17頁6行目の各「乙H1」の次に「,57」をそれぞ れ加える。 9 17頁6行目の「防音工事」の次に「及び補助金の交付」を,同行目の「13,」の次に「16,17,」をそれぞれ加える。 10 17頁10行目の「実施され」の次に「,同防音工事について相当額の補助金が交付され」を加え,同頁15行目冒頭から同頁18行目末尾までを削除 する。 11 17頁19行目の「65まで」の次に「,67,89から101まで,104から115まで」を加える。 12 18頁4行目末尾に「上記11か所のうち,③,⑤から⑦,⑨から⑫の各測定場所は前記4⑷の類型Ⅰと指定された地域内に,④,⑧及び⑭は前記4⑷ の類型Ⅱと指定された地域内に存する。したがって,前記4⑵及び⑶の航空機騒音に係る環境基準は,類型Ⅰ内に存する③,⑤から⑦,⑨から⑫につき環境庁方式W値70(Ⅼden57dB)以下,類型Ⅱ内に存する④,⑧及び⑭につき環境庁方式W値75(Lden62dB)以下となる。」を加える。 13 18頁19行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「9 原告らの相続関係別紙「居住移転経過一覧表」記載の原告のうち,各「死亡日」欄に記載があり承継人とされている原告は,各「死亡日」欄記載の日に死亡した被相続人の権利義務を,各「相続分」欄記載の らの相続関係別紙「居住移転経過一覧表」記載の原告のうち,各「死亡日」欄に記載があり承継人とされている原告は,各「死亡日」欄記載の日に死亡した被相続人の権利義務を,各「相続分」欄記載のとおり(同欄に記載のない者については全部)を相続した(弁論の全趣旨)。」 14 19頁21行目の「角周波数」を「各周波数」と改める。 15 28頁9行目冒頭から同頁13行目「であり」までを次のとおり改める。 「30年3月までの間の月ごとの環境庁方式W値(平均値)は58.5~68. 9の間,平成26年12月から平成29年3月までの間の月ごとの防衛施設庁方式近似W値は61.5~72.4の間,平成26年12月から平成30 年3月までの各月における環境庁方式による日ごとのW値の最大値の最大は 81.6(平成28年9月),同期間中の1日平均騒音発生回数は平均で25.4回,22時から翌6時までの間の平均騒音発生回数は平均で0.36回であり」と改める。 16 123頁21行目の「交付,」の次に「基地交付金及び調整交付金の交付,並びに本件飛行場周辺の住民らの一部を対象として」を加え,同行目の「減 免等」を「助成」と改める。 第3 当審における当事者の追加的・補充的主張の要旨 1 差止請求についての差止等請求原告らの追加的・補充的主張沖縄県の本土復帰当時,本件飛行場は,既に合衆国軍隊の東アジア地域における重要な基地として機能しており,爆音は社会問題化し,墜落事故も相 次いでいた。本件飛行場の欠陥は,合衆国軍隊の運用のみにあるのではなく,その用途に比して,面積が狭隘で,住宅に近すぎる点にあるところ,被告は,かかる欠陥を十分に承知しながら,合衆国軍隊に対し,飛行場を用途として,特に爆音を防止するための取決めを行わな あるのではなく,その用途に比して,面積が狭隘で,住宅に近すぎる点にあるところ,被告は,かかる欠陥を十分に承知しながら,合衆国軍隊に対し,飛行場を用途として,特に爆音を防止するための取決めを行わないまま,本件飛行場を提供し,費用を負担して賠償金を肩代わりしている。このように,本件飛行場の提供及 び提供の継続は合衆国軍隊による爆音被害の不可欠の前提となっており,被告は,差止等請求原告らの人格権を合衆国軍隊と共同して侵害する者に該当するから,当然に爆音の差止義務を負う。 差止等請求原告らは,単に主観的な健康に関する不安という精神的な被害を被っているにとどまらず,健康被害が現に発生し又は少なくとも現状を放 置すれば健康被害が発生するという状態に置かれているのであって,「健康を害されずに平穏に生活する権利」又は「身体権に接続する平穏生活権」が侵害されているといえる。したがって,生命身体に対する被害を防ぐという予防的見地からも差止請求が認められるべきである。 2 損害賠償請求についての当事者の追加的・補充的主張 騒音曝露状況について (原告らの主張)平成29年度の沖縄県等騒音測定及び読谷村騒音測定の各結果によれば,北谷町砂辺,北谷町桑江,うるま市昆布,沖縄市知花,沖縄市北美では,W値(防衛施設庁方式近似値及び環境省方式),年間ピークレベル最大値,一日のピークレベル90dB超の騒音発生回数,深夜早朝の騒音発生回数の各 指標でいずれも前年度を上回っている。同様に北谷町上勢,沖縄市八重島,沖縄市山内,北谷町北玉は,深夜早朝の騒音発生回数以外の上記各指標,うるま市美原は一日のピークレベル90dB超の騒音発生回数以外の上記各指標,北谷町宮城は年間ピークレベル最大値及び深夜早朝の騒音 ,沖縄市山内,北谷町北玉は,深夜早朝の騒音発生回数以外の上記各指標,うるま市美原は一日のピークレベル90dB超の騒音発生回数以外の上記各指標,北谷町宮城は年間ピークレベル最大値及び深夜早朝の騒音発生回数以外の上記各指標でいずれも前年度を上回っている。また,上記うるま市美原及 び北谷町宮城の年間ピークレベル最大値は100dBを超えている。さらに読谷村伊良皆は防衛施設庁方式近似W値及び防衛施設庁方式W値(推定,環境庁方式W値に4を加えた値)はいずれもW70を超えピークレベル最大値は99.0dBと極めて高い水準にあり,読谷村座喜味は,全ての指標で平成27年度を上回っている。平成29年度の各測定結果は,一部数値が下が った部分もあるが,それは軍基地特有の年毎のゆらぎであり,大きな変動とはいえず,騒音曝露状況は一審判決以降も全く改善されていない。 (被告の主張)沖縄県等騒音測定及び被告騒音測定の結果によれば,本件の損害賠償請求期間である平成20年度以降のW値は,本件コンター上のW値を大きく下回 って乖離しており,本件コンターに基づく区域指定がされた当時と比較して騒音は明らかに減少している。また,沖縄県健康影響調査後,騒音曝露量は個別に異なった傾向で減少しており,上記各測定結果による平成9年度又は平成10年度のW値と平成20年度以降のW値には大きな差があることからして,本件コンター上のW値を用いる沖縄県健康影響調査の結果をもって原 告らの騒音被害を認定することはできない。 ⑵ 生活妨害について(原告らの主張)原審が認定した生活妨害に係る被害のほかに,航空機騒音により生活満足感が低下したり,転居する人が増えたり積極的永住志向が低下するなど地域の共同体が破壊され,生活環境が悪化している。 の主張)原審が認定した生活妨害に係る被害のほかに,航空機騒音により生活満足感が低下したり,転居する人が増えたり積極的永住志向が低下するなど地域の共同体が破壊され,生活環境が悪化している。また,人間らしい生活を送 るといった人格形成の中核となる権利が侵害されている。 ⑶ 精神的被害について(被告の主張)うるささの反応は,個人に関係する種々の社会的及び心理的要因により大きく影響されるから,一般に音が騒音として感受されるきっかけについては 個人差が大きく,主観的なものであるだけに,それが認められたとしても,直ちに法的に保護されるべき利益の侵害に該当するとはいえない。また,航空機騒音を受容するか否か,すなわち,どの程度を受忍限度と捉えるかについては,個々人の意識に左右されるから,個々人の受容意識を排除して,一律に共通損害となるとはいえない。 ⑷ 睡眠妨害について(被告の主張)どの程度の騒音であれば人の睡眠を妨げるかを判定する確たる証拠は存在せず,特に屋外において発生した騒音が人の睡眠にいかなる影響を及ぼすかという点については,客観的な根拠が何ら存しないこと,一般に,音が騒音 として感受されるきっかけについては個人差が大きく,音の物量だけで説明できるものではない上,ストレス反応も個々人によって異なること,睡眠は,その時間や深さにおいて,本来的に個人差が顕著であることに加え,客観的には眠っているにもかかわらず不眠を訴える者がいたり,騒音への慣れによる影響の緩和も生じたりする反面,人によっては,時計の音や波の音等も慣 れない間は睡眠妨害の原因となり得ることからして,睡眠妨害は,その性質 上共通損害となり得ない。 また,住宅防音工事が実施されている住宅について っては,時計の音や波の音等も慣 れない間は睡眠妨害の原因となり得ることからして,睡眠妨害は,その性質 上共通損害となり得ない。 また,住宅防音工事が実施されている住宅については,その屋内においては,少なくとも20dB以上の遮音効果があり,少なくとも住宅防音工事が実施されている住民の大半が夜間に始終窓を開けて就寝しているとは考え難いことからしても,睡眠妨害が共通損害となるとはいえない。 ⑸ 睡眠障害に起因する各種の健康被害についてア高血圧症の罹患率の上昇等について(被告の主張)血圧は様々な要因で変動し,一時的な血圧上昇は,誰にでもあることから,血圧上昇のリスクのある環境に置かれることが賠償義務を負うべき共 通損害とはいえない。また,高血圧については,原因が様々であり,一般的にみられる症状であるから,仮に,航空機騒音に曝露された者の中に高血圧の症状を示す者がいるとしても,そのことによって,航空機騒音と高血圧の因果関係を認めることはできず,航空機騒音に曝される環境が,高血圧症のリスクがあるものと評価されるわけではない。さらに,成田国際 空港航空機騒音健康影響調査二次調査報告書[概要版]によれば,身体的影響と騒音曝露量との間に明確な関連性は認められず,「高血圧症」,「高脂血症」の治療歴・通院歴や血圧と騒音曝露量との間にも明確な関連性が認められなかったと結論付けられているし,この結論は運輸省航空局等の空港周辺住民健康調査からも裏付けられる。 したがって,血圧の上昇及び高血圧症の発症のリスクが高まっているということはできないし,原告らが当該リスクに対する不安感を抱いていることを裏付ける的確な証拠も存在しないから,当該リスクに対する心理的,精神的負担は共通損害となるとはい 発症のリスクが高まっているということはできないし,原告らが当該リスクに対する不安感を抱いていることを裏付ける的確な証拠も存在しないから,当該リスクに対する心理的,精神的負担は共通損害となるとはいえない。 イ虚血性心疾患のリスクの上昇について (原告らの主張) WHO騒音環境ガイドライン及び欧州夜間騒音ガイドラインのいずれにおいても,騒音曝露と心疾患との関連性があることは認められている。また,松井意見書,ヒースロー空港調査における疫学調査結果からも,原告らに虚血性心疾患発症のリスクがあることが裏付けられる。騒音による睡眠妨害を介して睡眠障害,高血圧,心疾患の発症リスクが高まることは一 般的な知見の集積によって裏付けられている。そうすると,航空機騒音による睡眠妨害から虚血性心疾患等の循環器疾病の発症リスクが具体的に高まることは明らかである。以上によれば,虚血性心疾患発症のリスクは,共通損害に当たる。 ⑹ 聴覚障害について (原告らの主張)騒音性聴力損失は長期にわたり大きな騒音に曝露されることにより進行するものであるところ,本件飛行場周辺の航空機騒音のピークレベルは平成20年度以降,本件コンターW80以上の区域ではいずれも100dBを超え,120dBに達する測定点も存する。本件コンターW75の区域であっても 100dBを若干下回るほどの高レベルの騒音が測定されている。WHO環境騒音ガイドラインの聴力障害の指針値(LAmaxで110dB(A))に照らせば,平成20年5月1日以降の騒音曝露によって,新たな騒音性聴力損失を発症させたり,既に発症している聴力低下症状を進行させたりする危険がある。これらの聴覚障害に係る危険性は共通損害に当たる。 ⑺ その他の身体的 以降の騒音曝露によって,新たな騒音性聴力損失を発症させたり,既に発症している聴力低下症状を進行させたりする危険がある。これらの聴覚障害に係る危険性は共通損害に当たる。 ⑺ その他の身体的被害について(原告らの主張)THI調査の結果によれば,本件飛行場周辺では自覚的健康感が低下しており,さらに心身症傾向,神経症傾向も存する。したがって,自覚的健康度と相関関係にある客観的健康度が低下又は低下する危険性が存することは明 らかである。原告らの身体的被害の存在とその危険性は共通損害に当たる。 なお,THI調査は,もともと騒音による健康影響を判断するために開発された調査方法ではないから,騒音による健康影響が認められない項目が存してもその信用性は損なわれないし,本件飛行場よりW値の区分が少なく,標本数も少ない普天間基地周辺の調査結果において統計上の有意差が認められないとしても本件飛行場周辺の調査結果の信用性は損なわれない。原判決の 指摘は失当である。 ⑻ 低出生体重児の出生率の増加について(原告らの主張)訴訟上の因果関係の立証は,一点の疑義も許されない自然科学的証明ではなく,経験上の高度の蓋然性が証明されれば足り,通常人が疑いを差し挟ま ない程度に真実性の確信を持ちうるものであることが必要であり,かつこれで足りるとされているところ,沖縄県健康影響調査の結果及び騒音曝露量と低出生体重児の出生率の増加の因果関係を肯定する文献等によれば,上記の意味での因果関係が立証されているというべきである。原判決は,因果関係の立証に当たり,自然科学的証明までを要求したことにより誤った結論を導 いている。 ⑼ 子どもの日常生活への影響(幼児問題行動の多発・児童の長期記憶力の低下)に ある。原判決は,因果関係の立証に当たり,自然科学的証明までを要求したことにより誤った結論を導 いている。 ⑼ 子どもの日常生活への影響(幼児問題行動の多発・児童の長期記憶力の低下)について(原告らの主張)ア航空機騒音による幼児問題行動の多発や児童の記憶力低下といった被害 は,子どもを有しない原告らや自らが子どもでない原告らにも共通に存在する被害というべきである。 イ沖縄県健康影響調査の結果によれば,本件飛行場付近に関し,関係項目別の検討における「身体体質的関係」「性格関係」「対騒音反応保有数」「保育領域・TV等」の4項目,クラスタ尺度別検討における「感冒症 状」「頭痛・腹痛」「食事課題」「消極的傾向」「情緒不安定」の5項目 についていずれも騒音曝露量との間に量反応関係が認められ,同結果はトレンド検定の有意確率が0.01より相当小さい値を示していること(通常は0.05(=5%)未満で統計上有意と判断される。)からも信用性は高い。このように,沖縄県健康影響調査において,慎重に統計的検定を経てデータ解析をした結果,航空機騒音と幼児問題行動の多発との間に有 意な関連が示されたのであるから,その科学的手法について特段の疑念が存在しない以上,法的な因果関係を否定することはできない。幼児問題行動の多発は共通損害に当たる。 ウまた,長期記憶力の低下は,騒音爆音等のストレスが記憶の形成に密接に関連する海馬に重大な悪影響を及ぼすことから生じる。すなわち,スト レスにより副腎からコルチゾールが分泌され,これが海馬のニューロンに神経毒性作用を及ぼし,海馬において錐体細胞の樹状突起に委縮を生じさせる。さらにストレスとコルチゾールによる神経毒性は海馬で過剰に放出されたグルタミン酸と関連 ルが分泌され,これが海馬のニューロンに神経毒性作用を及ぼし,海馬において錐体細胞の樹状突起に委縮を生じさせる。さらにストレスとコルチゾールによる神経毒性は海馬で過剰に放出されたグルタミン酸と関連することも明らかになっている。このように航空機騒音の曝露により身体の生理機能への影響,身体的被害というべき学 童の長期記憶力の低下が生じている。したがって,少なくとも違法性の判断要素として考慮すべきである。 ⑽ 違法性の判断について(原告らの主張)本件コンター外に居住する原告ら(2世帯)の住居は,本件コンターW7 5区域と区域外との境界線に近接した場所に存するから,少なくとも本件コンターW75の区域に居住する原告らと同等の騒音曝露及びこれに起因する被害を受けていることは明らかであり,違法である。沖縄県健康影響調査は,本件コンター区域に近接する地域を,米軍機騒音の影響を受けている(被害がある)可能性がある地域として,非騒音曝露群から除外している。 (被告の主張) ア本件飛行場周辺の騒音は,近年になるにつれて相当程度改善傾向にある上,実勢騒音を比較すれば,昭和56年及び昭和58年に告示されたW値より低減し,本件飛行場周辺に係る指定区域内でもW値が75に満たない地域や年度によっては航空機騒音環境基準を充足する地域も存する。 また,原告らの中には平日昼間には当該指定区域外にある勤務先に勤務 しており,より短時間しか本件航空機騒音に曝露していない者も相当数含まれているから,平日昼間に航空機騒音に曝露していない部分を控除すべきである。そうすると,原告ら全員につき受忍限度を超える違法な権利侵害又は法益侵害があるとはいえない。 さらに,平成20年度以降の読谷村座喜味の騒音状況は,平成29年度 いない部分を控除すべきである。そうすると,原告ら全員につき受忍限度を超える違法な権利侵害又は法益侵害があるとはいえない。 さらに,平成20年度以降の読谷村座喜味の騒音状況は,平成29年度 の読谷村騒音測定結果及び被告騒音測定結果を踏まえても,第二次嘉手納基地爆音訴訟の控訴審判決が判断の前提として認定した騒音状況(防衛施設庁方式近似W値65)と同程度で推移しており,指定区域のW値75が想定する騒音を大きく下回り著しく乖離している。加えて,座喜味以北に居住する原告A6-231の供述の信用性については全体として疑義があ る。座喜味以北に居住する原告らについて受忍限度を超える違法な騒音被害が発生していることは立証されていない。 イ窓を開けて生活するかどうかは住民の自由であって,その際に航空機騒音を受けたとしても,それは住宅防音工事の効果の問題ではないから,上記生活実態は住宅防音工事の評価を下げる理由にはならない。現在の沖縄 県の住宅事情は,従来の伝統的家屋である木造平家建て住宅ではなく,その約8割が鉄筋コンクリート住宅(RC住宅)であり,夏でも窓を開けて暮らすというのは単なる昔からのイメージにすぎないし,沖縄県のルームエアコンの普及率は81.6%であることからしても,窓を開けるという生活実態が住宅防音工事の効果を減殺する事情とはいえない。したがっ て,住宅防音工事の助成は,本件飛行場の供用の違法性を否定する事情と なる。 ⑾ 危険への接近法理について(被告の主張)ア原判決は,危険への接近の法理による免責及び減額を一切認めていないが,これは免責の法理としての同法理の要件解釈を誤っている上,減額の 法理としても原告らの過失の有無を一切検討しておらず不当である。 イ少なくとも の法理による免責及び減額を一切認めていないが,これは免責の法理としての同法理の要件解釈を誤っている上,減額の 法理としても原告らの過失の有無を一切検討しておらず不当である。 イ少なくとも,原告A1-377(原告番号1-377)については,以下のとおり,危険への接近の法理による免責又は減額が認められるべきである。 原告A1-377は,損害賠償請求期間のうち平成20年10月1日か ら平成21年9月30日までは本件コンター上のW85の区域に存するアパートに居住し,同年10月1日以降はW95の区域に存する肩書住所地(北谷町砂辺)に居住している。原告A1-377は,上記アパートに入居する際,本件飛行場を離発着する航空機の騒音を認識し,本件飛行場周辺以外の地域を選択することにより同騒音による損害を回避することが十 分可能であった。その上,原告A1-377は,同アパートに約12年間居住し,また,沖縄県を含む基地訴訟に関心を有していたことから,転居先である北谷町砂辺の航空機騒音の状況を十分に認識し,同所の方がよりW値の高い地域であることも認識していたはずである。 ⑿ 損害額について (原告らの主張)ア被告の違法行為が数十年継続し,原告らは第3次の訴訟にまで及んでいること,被告が合衆国軍隊に対して法的根拠のない高額のいわゆる思いやり予算を負担するのに対し,被害を受けている原告らに対し少額の金員のみを支払うことで足りるとするのは不条理であること,低額な慰謝料では 違法行為の抑止につながらないこと,本件飛行場に関する歴史的経緯,沖 縄本島中部地域において本件飛行場を使用する航空機騒音の影響を受けずに生活できる区域に住むことは事実上不可能であるとの地理的要因が存すること,静かな環境で生活すること 歴史的経緯,沖 縄本島中部地域において本件飛行場を使用する航空機騒音の影響を受けずに生活できる区域に住むことは事実上不可能であるとの地理的要因が存すること,静かな環境で生活すること自体への価値が一層高まっていることからして,原判決の慰謝料の認容額は低額にすぎる。原告らの損害額は,少なくとも,本件コンターのW95以上の区域に居住する者については月 額5万7500円,その余の区域に居住する者については原審認容額の1.5倍を下らない。 イ住宅防音工事の実施による減額を実施部屋数に応じて比例的に増加させ上限を30%とする原判決は,合理的根拠がなく,他の爆音訴訟事案と比べて原告らの被害を軽視しすぎているし,沖縄の生活習慣や気候風土を十 分に考慮しておらず不当である。 (被告の主張)原判決が認容した損害額は,他の同種騒音訴訟の事案と比較しても高額にすぎる。また,住宅防音工事による慰謝料減額は,防音工事を実施した居室の数に応じて行うのではなく,住宅の総居室数に占める防音工事が実施され た居室数の割合に応じて行うべきであり,また,最初の1室については10%の減額としながら,2室目以降については1室の半分である5%の減額としているのは合理性を欠く。 第3章当裁判所の判断【提訴前に死亡した原告の訴えに関する判断】 次のとおり訂正するほかは,原判決129頁18行目から同頁23行目までのとおりであるからこれを引用する。 1 129頁18行目の「別紙「提訴前死亡原告ら」」を「原告A2-874(平成22年12月21日死亡)」と,同頁19行目の「これらの原告ら」を「同原告」と,同頁21行目の「これらの原告らを原告とする」を「同原告の」とそれ ぞれ改める。 2 129頁23行 年12月21日死亡)」と,同頁19行目の「これらの原告ら」を「同原告」と,同頁21行目の「これらの原告らを原告とする」を「同原告の」とそれ ぞれ改める。 2 129頁23行目末尾に「なお,原審において,訴え提起前に死亡したとして訴え却下された原判決別紙「提訴前死亡原告ら」の「氏名」欄記載の者のうち原告A2-874を除く者らについては,当審において,それぞれの相続人から当事者の表示の訂正の申出がされたことにより,当初から,上記各相続人を原告とする訴えが提起されていたものと認められる。」を加える。 【差止請求に対する判断】次のとおり訂正するほかは,原判決129頁25行目から138頁15行目までのとおり(ただし,「原告ら」とあるのをいずれも「差止等請求原告ら」と改める。)であるから,これを引用する。 1 134頁15行目の「理由がない」の次に「(最高裁昭和62年(オ)第5 8号平成5年2月25日第一小法廷判決・民集47巻2号643頁参照)」を加える。 2 135頁4行目の「提供しており」から同頁6行目の「変わらない」までを「提供しているからといって,被告が上記権限を有していない以上,上記判断を左右するものではない」と改める。 3 135頁17行目の「しかしながら,」の次に「そもそも,上記の賃貸借契約に関する事例の場合において,賃貸人が用法違反を理由に賃貸借契約を解除する権限を有していることを根拠に,第三者が,妨害行為をしている賃借人ではなく賃貸人に対して,賃借人の妨害行為の排除請求をし得る余地があるとしても,その具体的事情のいかんにかかわらず当然にこれができると解するのに は疑問がある上に,」を加える。 4 136頁11行目の「見当たらない。そうすると」を「ない。加えて,本件飛行 るとしても,その具体的事情のいかんにかかわらず当然にこれができると解するのに は疑問がある上に,」を加える。 4 136頁11行目の「見当たらない。そうすると」を「ない。加えて,本件飛行場の上空空域での演習や訓練等に係る行為は,我が国の安全保障全般に直接影響し,かつ,国の存立の基礎に極めて重大な関係を持つ事柄であって,被告が直ちに上記行為を規制し得るということもできないことも併せ考えると」 と改める。 5 136頁15行目の「支配内にはないと考えざるを得ない」を「支配内にあるとは評価できない」と改める。 6 137頁21行目の「1657頁」及び同頁24行目から25行目にかけての「2964頁」の次にそれぞれ「参照」を加える。 【損害賠償請求に対する判断】 第1 損害賠償請求の根拠次のとおり訂正するほかは,原判決138頁18行目から153頁8行目までのとおりであるから,これを引用する。 1 143頁4行目の「及び」を「又は」と改める。 2 148頁15行目の「相互の保証」から同頁18行目の「ある」までを「相 互の保証があるとは,当該外国人の本国で,日本人が被害者として当該事案と同種の損害賠償請求をした場合に,我が国の国賠法所定の要件と重要な点で異ならない要件の下にその請求が認められることをいうものと解するべきである」と改める。 3 148頁25行目の「原告ら」の次に「(原告番号2-486,同2-16 43,同3-3255,同3-3261,同3-4565,同4-1025,同4-2366,同4-4455及び同4-5322)」を加える。 4 149頁6行目の「求めた場合」から同頁7行目の「考えられる」までを「求め得るものと解される」と,同頁9行目冒頭から同頁10行目の「反するとは 6,同4-4455及び同4-5322)」を加える。 4 149頁6行目の「求めた場合」から同頁7行目の「考えられる」までを「求め得るものと解される」と,同頁9行目冒頭から同頁10行目の「反するとはいえない」までを「そうすると,米国で,日本人が被害者として本件と同種の 損害賠償請求をした場合に,規定上,我が国の国賠法所定の要件と重要な点で異ならない要件の下にその請求が認められることになると解される」とそれぞれ改める。 5 149頁12行目の「原告ら」の次に「(原告番号3-2953,同5-126,同5-127及び同5-1201)」を加える。 6 149頁20行目の「求めた場合」から同行目の「考えられる」までを「求 め得るものと解される」と,同頁21行目冒頭から同頁22行目の「反するとはいえない」までを「そうすると,中国で,日本人が被害者として本件と同種の損害賠償請求をした場合,権利侵害責任法に基づく請求としては,規定上,我が国の国賠法所定の要件と重要な点で異ならない要件の下にその請求が認められることになると解される」とそれぞれ改める。 7 150頁11行目の「原告ら」の次に「(原告番号1-796及び同1-2561)」を加える。 8 150頁17行目の「求めた場合」から同頁18行目の「考えられる」までを「求め得るものと解される」と,同頁20行目冒頭から同頁21行目の「反するとはいえない」までを「そうすると,韓国で,日本人が被害者として本件 と同種の損害賠償請求をした場合,我が国の国賠法所定の要件と重要な点で異ならない要件の下にその請求が認められることになると解される」とそれぞれ改める。 9 150頁23行目の「原告ら」の次に「(原告番号1-3856及び同4-1954)」を加える。 で異ならない要件の下にその請求が認められることになると解される」とそれぞれ改める。 9 150頁23行目の「原告ら」の次に「(原告番号1-3856及び同4-1954)」を加える。 10 151頁7行目の「について」から同頁9行目末尾までを「にも,韓国の法制度が併せて適用される可能性が存する以上,韓国籍の原告らと同様,相互の保証があると解するのが相当である。」に改める。 11 151頁10行目の「原告ら」の次に「(原告番号2-1786,同3-2693,同4-2273,同4-3004及び同5-1098)」を加える。 12 152頁11行目「日本人が」から同頁14行目末尾までを「フィリピンで日本人が被害者として本件と同種の損害賠償請求をした場合,フィリピン国家に対して訴えを提起すること自体が否定される可能性が高く,我が国の国賠法所定の要件と重要な点で異ならない要件の下にその請求が認められることになると解することはできない。」と改める。 13 152頁17行目「原告ら」の次に「(原告番号3-1877,同3-1 878及び同4-4409)」を加える。 14 152頁24行目「求めた場合」から同行目から25行目にかけての「考えられる」までを「求め得るものと解される」と,153頁1行目冒頭から同頁2行目の「反するとはいえない」までを「そうすると,ペルーで,日本人が被害者として本件と同種の損害賠償請求をした場合,我が国の国賠法所定の要 件と重要な点で異ならない要件の下にその請求が認められることになると解される」とそれぞれ改める。 第2 事実関係 1 原告ら(ただし,原告A2-874及びフィリピン国籍の原告らを除く。以下,第6まで同じ。)の居住地 次のとおり訂正するほかは,原判 される」とそれぞれ改める。 第2 事実関係 1 原告ら(ただし,原告A2-874及びフィリピン国籍の原告らを除く。以下,第6まで同じ。)の居住地 次のとおり訂正するほかは,原判決153頁13行目から同頁23行目までのとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 153頁13行目冒頭から同頁16行目末尾までを「原告ら(損害賠償請求権を相続したと主張する者については被相続人を含む。)の平成20年5月1日又は同年10月1日から平成31年1月31日(当審口頭弁論終結日) までの居住経過は,別紙「居住移転経過一覧表」の「居住状況(古い順に記載)」欄(ただし,対応する「始期」欄に記載があるものに限る。)のとおりである(弁論の全趣旨)。」と改める。 ⑵ 153頁18行目の「,4-2366及び4-3004」を「及び4-2366」と改める。 2 原告らの騒音曝露状況次のとおり訂正するほかは,原判決153頁25行目から175頁19行目までのとおりであるから,これを引用する。 154頁1行目の「456まで,」の次に「473から556まで,563」を,同頁2行目の「70,」の次に「乙D43」をそれぞれ加える。 ⑵ 156頁15行目の「327,」の次に「525,529,530」を加 える。 ⑶ 157頁1行目の「測定する。」の次に「平成15年度以降の測定については,前記15か所の測定局のうちオンライン化されている12か所(⑬嘉手納町嘉手納,⑭嘉手納町兼久,⑮嘉手納町屋良B以外の測定局)に関して,単発騒音が発生した直前の300秒の間に生じた音のうち,上から並べて9 0パーセンタイル値に当たる音を暗騒音レベルとし,同暗騒音レベル(閾値)より10dB(A)以上の大きさの音が5秒以上継続したもの 騒音が発生した直前の300秒の間に生じた音のうち,上から並べて9 0パーセンタイル値に当たる音を暗騒音レベルとし,同暗騒音レベル(閾値)より10dB(A)以上の大きさの音が5秒以上継続したもののうち,トランスポンダ応答信号電波を受信したものを航空機騒音として識別するという測定条件になっている。」を加える。 ⑷ 157頁6行目末尾に「473から556まで,563,」を,同頁10 行目の「なお,」の次に「各測定局の本件コンター上のW値は,同別紙の各測定局の次に括弧内に示したとおりである。また,」をそれぞれ加える。 ⑸ 157頁20行目の「平成28年」を「平成30年」に改める。 ⑹ 157頁21行目の末尾に「読谷村騒音測定は,沖縄県等騒音測定と同様の測定条件により航空機騒音を識別している。」を加える。 ⑺ 157頁22行目の「第2の6」の次に「,乙D42,弁論の全趣旨」を加える。 ⑻ 157頁24行目の「そのうち,」を「被告騒音測定は,暗騒音レベルより10dB(A)以上大きく,かつ,ピーク騒音レベルが70dB(A)以上の音で継続時間が5秒以上のものを航空機騒音として識別している。」と 改める。 ⑼ 158頁2行目末尾に「なお,各測定地点の本件コンター上のW値は,同別紙の各測定地点の次に括弧内で示したとおりである。」を加える。 ⑽ 159頁19行目の「屋良」の次に「A」を加える。 ⑾ 162頁21行目の「測定点が」の次に「全12か所中」を,同頁22行 目の「桑江,」の次に「知花,」をそれぞれ加え,同行目の「,山内」を削除 し,同頁23行目の「伊良皆」を「山内」と改める。 ⑿ 163頁1行目の「平成28年」を「平成30年」に,同頁2行目の「66.4」を「68.9」にそれぞれ改める。 ⒀ 」を削除 し,同頁23行目の「伊良皆」を「山内」と改める。 ⑿ 163頁1行目の「平成28年」を「平成30年」に,同頁2行目の「66.4」を「68.9」にそれぞれ改める。 ⒀ 163頁3行目の「とは」を「との差は6.1~16.5となっており,」と改める。 ⒁ 163頁4行目の「同じ期間」の次に「(ただし,平成29年4月から平成30年3月までは年単位)」を加え,同行目の「69.3」を「72.4」と,同頁5行目の「かなり」を「相当程度」とそれぞれ改める。 ⒂ 163頁10行目の「いずれの」から同頁12行目末尾までを「月別のW値のパワー平均値の最大値が本件コンター上のW値より常に4以上低い地点 が11地点中9地点あり,このうち6地点は常に6以上低い値となっている。」と改める。 ⒃ 165頁2行目冒頭から同頁5行目末尾までを「さらに,前記で認定したとおり,被告騒音測定の結果と本件コンター上のW値との間に相当程度の差が存することも,同様に,上記推認を支持する事情といえる。」と改める。 ⒄ 168頁6行目の「から平成24」から同頁25行目の「ある。)」までを「以降の前記で認定した上記測定点の測定結果をそれぞれ比較すれば,被告騒音測定の結果のW値は,沖縄県等騒音測定の結果のW値を下回ってはいるものの,その差が大きいとまではいえず,全体として概ね整合的な数値が測定されていると評価できる」と改める。 ⒅ 171頁19行目の「ピークレベル」の次に「の最高値又は最大値」を加え,同頁20行目の「いずれにおいても」から同頁22行目「こと,」までを「いずれの測定点及び年度においても95dB(A)を超え,常に100dB(A)を超える測定点も多く存し,年度によっては115dB(A)以上に達する測定点も存すること から同頁22行目「こと,」までを「いずれの測定点及び年度においても95dB(A)を超え,常に100dB(A)を超える測定点も多く存し,年度によっては115dB(A)以上に達する測定点も存すること,」と改める。 ⒆ 172頁12行目及び同頁26行目の各「なお」をいずれも削除する。 ⒇ 173頁8行目の「平成26年度」を「平成29年度」と改め,同行目の「いずれの」から同頁11行目「できる」までを,次のとおり改める。 「比較可能な測定地点合計11か所(砂辺,屋良A,上勢,宮城,桑江,美原,昆布,北美,八重島,山内,伊良皆)のうち,3地点(砂辺,山内,伊良皆)では平成20年度以降のW値が平成9年度又は平成10年度のW値を5以上 下回る年度が複数存し,山内では最大で10.4減少している年度が存し,平均して7.6減少していることが認められる。他方で,山内以外の10地点の平成20年度以降のW値の平均値は,平成9年度又は平成10年度のW値の平均値を最大で4.6下回る程度であり,そのうちには差がない又は差が1以下の地点も少なからず存在する(屋良A,上勢,北美,八重島)。ま た,八重島,昆布,上勢,北美,屋良Aについては,平成20年度以降のW値が平成9年度又は平成10年度のW値を上回る年度が存在し,うち八重島では最大で5.1上回っている(平成9年度と平成20年度を比較した値)。 以上によれば,測定地点や年度によっては,平成9年度又は平成10年度の騒音曝露状況と平成20年度以降のそれとの間に少なくない差が存すると みる余地が全くないとはいえないものの,他方で,前記で示したW値の平均値の差の程度等を併せ考慮すれば,沖縄県等騒音測定の平成9年度及び平成10年度の環境庁方式W値と平成20年度以降の環境庁方式W値との る余地が全くないとはいえないものの,他方で,前記で示したW値の平均値の差の程度等を併せ考慮すれば,沖縄県等騒音測定の平成9年度及び平成10年度の環境庁方式W値と平成20年度以降の環境庁方式W値との間に,沖縄県健康影響調査の結果を平成20年度以降の原告らの被害状況を推認するための資料として用いることが許されないと評価し得る程度の有意な差は 存在しないというべきである。 なお,被告は,被告騒音測定の結果についても,平成9年度又は平成10年度のW値と平成20年度以降のW値には大きな差があるとして,沖縄県健康影響調査や本件コンター上のW値を原告らの騒音被害を認定する際の指標とすることの不当性を主張するが,被告騒音測定に係る平成9年度又は平成 10年度の測定結果については,年度ごとのW値を示す表(乙CⅢ101) が提出されているものの,月ごとの月間パワー平均値などを示す航空機騒音測定結果集計表は提出されておらず,同各年度と平成20年度以降の測定結果との適切な比較が可能かどうか疑問なしとしない。仮に,被告の主張に係る分析結果を前提としても,比較可能な6地点(③吉原,④嘉手納,⑥倉敷,⑧知花,⑨西原,⑩山城)の中には少なくない差が生じている地点や年度が 複数存することは否定できないものの,他方で,平成9年度又は平成10年度のW値を上回る地点や年度も複数存するところであって,かかる被告騒音測定の結果を全体としてみれば,沖縄県等騒音測定の結果と同様,沖縄県健康影響調査の結果を平成20年度以降の原告らの被害状況を推認するための資料として用いることが許されないと評価し得る程度の有意な差は存在しな いというべきである。被告の上記主張は前記認定,説示を左右するものとはいえない」174頁2行目末尾に改行の上,次のとお 料として用いることが許されないと評価し得る程度の有意な差は存在しな いというべきである。被告の上記主張は前記認定,説示を左右するものとはいえない」174頁2行目末尾に改行の上,次のとおり加える。 「 加えて,被告は,本件コンター上のW値を用いて騒音曝露量と被害との関連を認定する沖縄県健康影響調査の手法を批判し,これに基づいて被害を認 定することは不当である旨主張する。しかしながら,同主張が採用できないことは前記⑵カで説示したとおりであるし,被告自身,第二次嘉手納基地爆音訴訟において,周辺住民らの被害を認定する証拠として沖縄県健康影響調査の結果が採用されていることを認識しながら,その後も防衛施設庁方式に基づいて大規模かつ詳細な航空機騒音調査を行った事実はない(弁論の全趣 旨)。かかる被告の対応に照らせば,被告において本件コンター上のW値が実態と乖離して改訂しなければならない程度にまでは至っていないことを自認していたとも評価し得るのであって,上記被告の主張は理由がない。」174頁16行目の「しかし」から同頁26行目末尾までを,次のとおり改める。 「この点,原告らそれぞれの生活状況に応じて,原告らそれぞれが現に航空機 騒音に曝露される時間帯や態様が異なることはもとより明らかである。 しかし,本件コンター外への就業又は就学といった事情のみが航空機騒音に曝露される時間帯や態様を異にする要因となるものではないし,原告らの中には,本件コンター外へ就業又は就学している状況にない者,又は1日24時間を通じて本件コンター内で生活していることが通常である者も多数存 在するものと考えられる上,本件コンター外へ就業又は就学している者であっても,それが平日昼間の時間帯であるとは限らないし,休暇等により平 て本件コンター内で生活していることが通常である者も多数存 在するものと考えられる上,本件コンター外へ就業又は就学している者であっても,それが平日昼間の時間帯であるとは限らないし,休暇等により平日昼間に本件コンター内にとどまることも十分想定されるところである。そうである以上,本件コンター外への就業又は就学といった抽象的事象のみを捉えて全ての原告の航空機騒音の曝露状況を把握することに合理性があるもの とは解されず,むしろこの点については,本件コンター内に居住しているという観点から,最小限度等しく曝露している航空機騒音による侵害行為の程度及びこれによる被害の程度を考慮して,本件飛行場の供用の違法性及び損害の有無の判断をすれば足りるというべきである。 よって,この点に関する被告の主張は採用することができない。」 3 航空機騒音に関する行政上の基準原判決175頁21行目から177頁22行目までのとおりであるから,これを引用する。 4 騒音による身体に対する影響経路次のとおり訂正するほかは,原判決177頁23行目から179頁10行目 までのとおりであるから,これを引用する。 178頁16行目の「越すと,」を「超すと,ストレス反応として」と改める。 178頁20行目末尾に「身体的被害は,騒音以外の寒さ,痛み,けがなどの感覚でも起こる非特異的な間接的な影響である。」を加える。 5 生活妨害 次のとおり訂正するほかは,原判決179頁12行目から189頁7行目までのとおりであるから,これを引用する。 179頁13行目末尾に「甲G49から52まで,54から56まで,59,61,62,」を,同頁17行目の「A6-691」の次に「,原告A2-472(当審),原告A2-4418(当 れを引用する。 179頁13行目末尾に「甲G49から52まで,54から56まで,59,61,62,」を,同頁17行目の「A6-691」の次に「,原告A2-472(当審),原告A2-4418(当審),原告A5-1652(当 審),原告A5-904(当審),原告A3-2772(当審),原告A3-4455(当審),原告A1-163(当審),原告A1-3620(当審),原告A4-3757(当審),原告A6-231(当審),原告A6-373(当審)」をそれぞれ加える。 182頁6行目の「精神的被害」の次に「及び作業,学習への影響」を加 え,同頁7行目の「a及びb」を「aからcまで」と改める。 182頁18行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「c 作業,学習への影響主に労働者や小児に対して,騒音が認知作業の成績に悪影響を及ぼし得ることが明らかにされている。騒音によって集中力が賦活され,単純 作業の能率を短期間上昇させることもあるが,複雑な作業の場合,認知作業の成績は大幅に低下する。読解力,集中力,問題を解く力,記憶力等が騒音によって特に影響を受ける認知能力である。騒音は集中を妨げる刺激にもなり,衝撃音は驚愕反応によって破壊的な影響を及ぼす可能性がある。 騒音への曝露は,曝露終了後の成績にも悪影響が生ずると考えられる。 慢性的に航空機騒音に曝露されている空港周辺の学校の生徒は,詳細な読解力,難問に取り組む際の持続力,読解試験の成績,学習意欲が標準よりも低い。航空機騒音に順応しようと試みたり,作業成績を維持するのに必要な努力をするなど,相当の代償を払っていることを認識しなけ ればならない。騒音は作業中の障害やミスを増加させると考えられ,あ る種の事故は作業能率の低下を示す を維持するのに必要な努力をするなど,相当の代償を払っていることを認識しなけ ればならない。騒音は作業中の障害やミスを増加させると考えられ,あ る種の事故は作業能率の低下を示す指標になり得る。」187頁3行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「エ当審における原告らの供述原告A2-472,原告A5-1652,原告A5-904,原告A3-2772,原告A3-4455,原告A1-163,原告A4-3 757,原告A6-231はいずれも騒音により自宅や職場での会話が中断されるなどの会話妨害の存在を,原告A2-472,原告A5-1652,原告A5-904,原告A3-4455,原告A1-163,原告A4-3757,原告A6-231及び原告A2-4418はいずれも騒音により親族,先輩や友人等からの電話が聴き取れなくなるなど の電話聴取妨害の存在を,原告A2-472,原告A2-4418,原告A5-904,原告A3-4455,原告A1-163,原告A4-3757及び原告A6-373はいずれも騒音によりテレビやラジオの音が聞こえなくなるなどのテレビ等の視聴妨害の存在をそれぞれ供述している。」 187頁13行目の「旨を示していること」を「旨や,騒音が主に労働者や小児の認知作業の成績に悪影響を及ぼし得ること,作業中の障害やミスを増加させると考えられる旨を示していること」と改める。 187頁20行目の「読書」の後に「,趣味,仕事」を加え,同行目の「いること」を「いること,当審において原告A5-904,原告A3-445 5,原告A1-163,原告A1-3620,原告A6-231及び原告A6-373自身の体験として同趣旨の供述をしていること」と改める。 188頁1行目末尾に「な -904,原告A3-445 5,原告A1-163,原告A1-3620,原告A6-231及び原告A6-373自身の体験として同趣旨の供述をしていること」と改める。 188頁1行目末尾に「なお,原告らは,そのほか,航空機騒音により生活満足感が低下したり,地域の共同体が破壊されて生活環境が悪化したりしているとも主張し,当審原告ら本人尋問において同趣旨の供述をする原告も 存するが,これらが原告らに共通して等しく生じていることを認めるに足り る証拠はない。そのほかにも原告らが主張している人間らしい生活を送るといった人格の中核をなす権利が侵害されているとか,生活の質も低下しているとの点も,その主張内容からして,既に認定した被害に含まれるものというべきである。」を加える。 ⑻ 189頁7行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 被告は,航空機騒音が作業や学習に与える影響については,必ずしも明確な調査・研究結果がなく,その影響は体系的かつ具体的に解明されていない上,作業の性質等の個々的な要因のみならず,航空機騒音に対する慣れによっても左右される可能性があり,最低限共通する範囲を把握することはできないから,作業や学習に対する妨害は共通損害に当た らない旨主張する。 確かに,航空機騒音が作業や学習に与える影響について,明確な結果が得られ,その影響が体系的かつ具体的に明らかにされていることまでを認めるに足りる証拠はないが,そのことから直ちに航空機騒音が作業や学習に与える影響を共通損害として認めることができないとは解され ない。また,作業への妨害あるいは学習への妨害が,当該作業や学習の性質等の個々的な要因や航空機騒音に対する慣れによって左右される面があるとしても,そのことから直ち ることができないとは解され ない。また,作業への妨害あるいは学習への妨害が,当該作業や学習の性質等の個々的な要因や航空機騒音に対する慣れによって左右される面があるとしても,そのことから直ちに航空機騒音による作業妨害,学習妨害の被害がないということになるものでもない。被告の上記主張は採用することができない。」 6 精神的被害次のとおり訂正するほかは,原判決189頁9行目から195頁25行目までのとおりであるから,これを引用する。 189頁11行目の「甲E13,」の次に「甲G49から52まで,54から56まで,59,61,62,」を,同頁16行目の「A6-691」 の次に「,原告A2-472(当審),原告A2-4418(当審),原告 A5-1652(当審),原告A5-904(当審),原告A3-2772(当審),原告A3-4455(当審),原告A1-163(当審),原告A4-3757(当審),原告A6-231(当審),原告A6-373(当審)」をそれぞれ加える。 191頁8行目の「急増し」の次に「,60%を超え」を加える。 191頁16行目の「5,」の次に「甲G49から51まで,59,60,63」を,同頁17行目の「1814,」の次に「2772から2788まで,2818,」を,同頁19行目の「原告A3-1481,」の次に「原告A4-3757(当審),原告A4-2038(当審),原告A5-1652(当審),原告A2-472(当審),原告A2-4418(当審),」 をそれぞれ加える。 ⑷ 191頁22行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「 その後も,本件飛行場に関する航空機事故としては,平成29年11月30日,本件飛行場に暫定配備されていた最新鋭ステルス戦闘機F35Aが ⑷ 191頁22行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「 その後も,本件飛行場に関する航空機事故としては,平成29年11月30日,本件飛行場に暫定配備されていた最新鋭ステルス戦闘機F35Aが訓練飛行中に機体右側のパネルを落下させるという事故が,また,平成 30年2月27日,嘉手納基地所属のF15戦闘機が飛行中にアンテナのような部品(重さ約1.4キログラム)を落下させるという事件がそれぞれ発生した。 そのほか,普天間飛行場に関するものとしては,平成29年12月7日,普天間飛行場周辺に所在するb保育園の園舎上のトタン屋根に普天間基地 所属のCH-53E型ヘリの部品が発見されているし(これに対し,合衆国軍隊は,飛行中の機体から落下した可能性は低いとしている。),同月13日には,普天間飛行場付近に所在するc小学校の校庭に同型ヘリの窓枠が落下する事故が発生している。」⑸ 192頁8行目の「世帯のうち,」の次に「約8割強の世帯が「イライラ する」と回答した。また,原告ら7494世帯のうち,」を加える。 ⑹ 192頁15行目末尾に「なお,当審における原告ら本人尋問において,原告A2-472,原告A2-4418,原告A3-2772,原告A1-163,原告A1-3620,原告A4-3757,原告A6-231,原告A6-373はいずれも,騒音により不快感をもったり,イライラする旨を供述している。また,原告A2-4418,原告A4-3757,原告A 6-231,原告A6-373,原告A5-1652及び原告A4-2038は,航空機が墜落するのではないかとの不安や恐怖を抱いている旨を供述している。」を加える。 ⑺ 194頁4行目の「述べる者がいる。」を「述べる者がおり,原告A2-472及び原告A6-373も当 8は,航空機が墜落するのではないかとの不安や恐怖を抱いている旨を供述している。」を加える。 ⑺ 194頁4行目の「述べる者がいる。」を「述べる者がおり,原告A2-472及び原告A6-373も当審において同内容の供述をする。」と改め る。 ⑻ 195頁25行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 被告は,うるささの反応に個人差が大きく主観的なものであることや,どの程度の航空機騒音を受忍限度と捉えるかについては個々の意識に左右されるものであることなどから一律に共通損害に当たらないと主張す るが,本件飛行場付近における航空機騒音の状態や上記認定判断したところに照らせば,被告が指摘する点を考慮したとしても,なお原告らに共通してイライラ感等の精神的苦痛が生じていることが認められる。同主張は採用することができない。」 7 睡眠妨害 次のとおり訂正するほかは,原判決196頁1行目から201頁19行目までのとおりであるから,これを引用する。 196頁3行目の「14,」の次に「甲G49から52まで,54から57まで,59,61から63まで」を,同頁6行目の「A6-691」の次に「,原告A2-472(当審),原告A2-4418(当審),原告A5 -1652(当審),原告A5-904(当審),原告A3-2772(当 審),原告A3-4455(当審),原告A1-163(当審),原告A1-3620(当審),原告A4-3757(当審),原告A4-2038(当審),原告A6-231(当審),原告A6-373(当審)」をそれぞれ加える。 198頁15行目の「35」を「30」と改める。 ⑶ 200頁4行目末尾に,次のとおり加える。 「さらに,当審の原告ら本人尋問において,原告A2-472,原告 当審)」をそれぞれ加える。 198頁15行目の「35」を「30」と改める。 ⑶ 200頁4行目末尾に,次のとおり加える。 「さらに,当審の原告ら本人尋問において,原告A2-472,原告A2-4418,原告A5-1652,原告A5-904,原告A3-2772,原告A3-4455,原告A1-163,原告A1-3620,原告A4-3757,原告A4-2038,原告A6-231及び原告A6-37 3はいずれも,騒音により入眠困難や睡眠中の覚醒など睡眠が妨げられている旨を供述している。」⑷ 200頁18行目の「35」を「30」と改める。 ⑸ 201頁3行目の「回答している」から同頁4行目末尾までを「回答しており,上記⑴オの原告らも同内容の供述をしている。」と改め る。 ⑹ 201頁16行目の「睡眠妨害」を「睡眠障害」と改める。 ⑺ 201頁19行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 被告の主張について確かに,被告の主張するように,どの程度の騒音であれば人の睡眠を 妨げるかを判定する明確な資料はないし,音が騒音として感受されるか否かや実際の睡眠に及ぼす影響の程度についても個人差があるであろうことは否定し難いが,前記認定判断したところに照らすと,上記の点は,本件飛行場付近のW75以上の区域に居住する原告らにおいて睡眠妨害の被害が共通して等しく生じていること自体を認定することの妨げとな るということはできない。 また,住宅防音工事が実施されている住宅がある点についても,後記とおり,住宅防音工事の防音効果を得るために,常時窓や戸などの開口部を締め切った状態で生活することは現実的ではない上,沖縄県においては窓を開けたまま生活することが比較的多く,これは住宅防音工 後記とおり,住宅防音工事の防音効果を得るために,常時窓や戸などの開口部を締め切った状態で生活することは現実的ではない上,沖縄県においては窓を開けたまま生活することが比較的多く,これは住宅防音工事が実施されている住宅に居住する原告らに おいても同様であると推認できることからすれば,住宅防音工事が実施されていることをもって,睡眠妨害が原告らに共通する被害に当たらないということはできない。」 8 睡眠妨害に起因する各種の健康被害次のとおり訂正するほかは,原判決201頁21行目から213頁9行目ま でのとおりであるから,これを引用する。 206頁1行目の「過程」を「仮定」と改める。 206頁8行目の「乙」の次に「D」を加える。 ⑶ 207頁16行目の「このような」から同頁20行目末尾までを「したがって,単に何らかの疾病又は身体的な被害が発生する可能性があるという程 度では,ここでいう被害の認定としては不十分である。」と改める。 ⑷ 207頁24行目の「騒音曝露によって」を「騒音曝露それ自体又は騒音曝露による睡眠妨害をそれぞれ原因とするストレス反応によって」と改める。 ⑸ 208頁6行目冒頭から同頁15行目末尾までを次のとおり改める。 「原告らは,本件飛行場の航空機騒音による騒音曝露それ自体又は騒音曝露 による睡眠妨害をそれぞれ原因とするストレス反応により,血圧が上昇することがあり,ひいてはこれによる高血圧症状の発生をもたらす危険性がある状況で生活しなければならない状況にあるということができる。そして,そのような状況に置かれた者が血圧上昇等の発生に対する不安感等を抱くことは優に推認することができ,そうすると,血圧上昇等の発生に対 する不安感等の精神的苦痛は,原告ら全員が最小限度等しく受けていると な状況に置かれた者が血圧上昇等の発生に対する不安感等を抱くことは優に推認することができ,そうすると,血圧上昇等の発生に対 する不安感等の精神的苦痛は,原告ら全員が最小限度等しく受けていると いうことができる。 もっとも,原告らが共通して高血圧症に罹患していることを認めるに足りる証拠はない上に,航空機騒音に曝露等すれば血圧の上昇等が発生するというストレス反応による身体的被害は,騒音以外での感覚でも起こる非特異的な間接的な影響であるとされるなど,血圧の上昇をもたらすストレ ス反応の原因は各個人ごとに種々考えられるのであって,航空機騒音のみが原因となっているとは認め難いから,原告らが上記不安感等を共通して抱いているとしても,それを過大に評価することはできない。また,血圧上昇や高血圧症といった健康状態に関わることは,個人の年齢,体質,生活習慣,生活環境等によって大きく左右され,個人差も大きいものであっ て,健康状態の悪化やその原因についても同様であるし,そのような健康状態の悪化に対する不安感の有無や程度については,個人の性格や心理状態といった内面的な要因も加わることから,更に個人差が著しくなるものということができる。さらに,本件飛行場付近における航空機騒音がストレス反応として身体に対し及ぼす影響は,生活妨害や睡眠妨害に伴う精神 的苦痛等の被害とは異なり,間接的な影響とみるべきものにすぎない。 そうすると,上記のとおり,血圧上昇等の発生への不安感等の精神的苦痛による被害の程度は,上記の生活妨害や睡眠妨害に伴う精神的苦痛等の被害等に若干加味する程度のものにとどまるとみるのが相当である。」⑹ 209頁4行目の「といって,」の次に「それだけでは直ちに」を加える。 ⑺ 211頁10行目「仮説」を「仮定 的苦痛等の被害等に若干加味する程度のものにとどまるとみるのが相当である。」⑹ 209頁4行目の「といって,」の次に「それだけでは直ちに」を加える。 ⑺ 211頁10行目「仮説」を「仮定」と,同行目の「具体的に」から同頁11行目の「示すこと」までを「騒音曝露が原因と考えられる虚血性心疾患のリスクを計算すること」とそれぞれ改める。 ⑻ 211頁12行目から13行目にかけての「前提仮説が正しいかどうか」を「前提仮定が正しいかどうかやどの程度の騒音の曝露によりどの程度の影 響があるか」と改める。 ⑼ 213頁9行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「 その他,原告らは,前掲の各文献等によれば,原告らにおいて虚血性心疾患の発症リスクが高いことが認められる旨種々主張するが,前記認定判断したとおりであって,採用の限りではない。」 9 聴覚障害 次のとおり訂正するほかは,原判決213頁11行目から227頁4行目までのとおりであるから,これを引用する。 219頁11行目の「示しており」から同頁13行目の「期待されること」までを「示していること」と改める。 226頁15行目の「原告らは,」の次に「原審及び」を加える。 10 その他の身体的被害原判決227頁6行目から232頁18行目までのとおりであるから,これを引用する。ただし,同行目末尾に「原告らが当審において追加的・補充的に主張する点も,前記認定判断したとおり理由がないか,これらの認定判断を左右するものではない。」を加える。 11 低出生体重児の出生率の増加次のとおり訂正するほかは,原判決232頁20行目から245頁4行目までのとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 242頁22行目末尾に,改行の上,次の 11 低出生体重児の出生率の増加次のとおり訂正するほかは,原判決232頁20行目から245頁4行目までのとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 242頁22行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「 そもそも,低出生体重児の出生率の増加を被害ととらえた場合,これが 生じることによって法律上保護の対象とすべき精神的苦痛を被ると解し得るのは,その性質に照らし,これらの乳幼児自身か又はこのような乳幼児を持つ親であると考えられるところ(仮にこれらの者以外が低出生体重児の出生率の増加につき何らかの感情を抱いたとしても,これが法律上損害賠償の対象となる利益の侵害に当たるとはいい難い。),本件飛行場周辺 に居住する原告ら全てがそのような者らに当たると認めるに足りる証拠は ないのであるから(なお,本件全証拠によっても原告らのうちどの者が上記の者に該当するのかも明らかではない。),上記損害に関する主張は,それが仮に原告らの重大な関心事になっているとしても,原告らに共通する精神的苦痛を基礎付ける事実と主張する限りにおいては理由がないというべきである。その点を措くとしても,以下のとおり,本件飛行場の航空 機騒音と低出生体重児の出生率の増加との間に因果関係を認めるには足りない。原告らは,当審における追加的・補充的主張を含め,上記被害が共通の被害足り得るとか沖縄県健康影響調査の結果等から上記因果関係が認められるべきである旨種々主張するが,いずれも採用の限りではない。」⑵ 245頁2行目の「研究成果」を「調査結果」に改める。 12 子どもの日常生活等への影響(幼児問題行動の多発・学童の長期記憶力の低下)次のとおり訂正するほかは,原判決245頁7行目から256頁7行目までのとおりであるから,こ 改める。 12 子どもの日常生活等への影響(幼児問題行動の多発・学童の長期記憶力の低下)次のとおり訂正するほかは,原判決245頁7行目から256頁7行目までのとおりであるから,これを引用する。 245頁9行目の「13,」の次に「甲G49,51」を,同頁11行目 の「A6-691」の次に「,原告A2-472(当審),原告A5-1652(当審)」をそれぞれ加える。 252頁10行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「カ当審における原告らの供述原告A2-472は,嘉手納町で保育士等として稼働していたところ, 園庭で遊んでいた乳幼児が航空機騒音に驚いて怖がったり,部屋の中に逃げ込もうとすることがあったり,室内で睡眠中に騒音がして一人が泣き始めると連鎖して大騒ぎになったり,騒音により絵本の読み聞かせを中断すると子供たちは理解できず騒ぎ始めてしまう旨を,また自身の子についても,学童期に勉強がはかどらなくなり集中力に欠けたことがあ った旨を供述する。また,原告A5-1652は,沖縄市池原に保育園 や学童保育を設置しているところ,上記同様の子供たちの状況を供述しているほか,騒音で驚いて不安なのか保育士の方によってきたり布団で耳を押さえてみせたりする子供たちがいること,発達障害を抱える児童は騒音によりイライラして物にあたったり,支援者の声かけにも応じなかったり,宿題をせずに帰宅してしまうこともある旨を供述する。」 252頁11行目末尾に,改行の上,次のとおり加える。 「 そもそも,原告らの主張する被害が生じることによって法律上保護の対象とすべき精神的苦痛を被ると解し得るのは,その性質に照らし,これらの子ども自身か又はこのような子どもの親であると考えられるところ 「 そもそも,原告らの主張する被害が生じることによって法律上保護の対象とすべき精神的苦痛を被ると解し得るのは,その性質に照らし,これらの子ども自身か又はこのような子どもの親であると考えられるところ(仮にこれらの者以外が原告らの主張する被害が子どもに生じることによって 何らかの感情を抱いたとしても,これが法律上損害賠償の対象となる利益の侵害に当たるとはいい難い。),本件飛行場周辺に居住する原告ら全てがそのような者らに当たると認めるに足りる証拠はないのであるから,上記損害に関する主張は,それが仮に原告らの重大な関心事になっているとしても,原告らに共通する精神的苦痛を基礎付ける事実と主張する限りに おいては理由がないというほかはない。その点を措くとしても,以下のとおり,原告らの主張は採用することができない。原告らは,当審における追加的・補充的主張を含め,上記被害が共通の被害足り得るとか,沖縄県健康影響調査の結果等から航空機騒音と原告らの主張する被害との因果関係が認められるべきである旨種々主張するが,いずれも採用の限りではな い。」⑷ 253頁1行目「はじめとする」の次に「原審及び当審における」を加える。 13 被告による周辺対策次のとおり訂正するほかは,原判決256頁9行目から267頁23行目ま でのとおりであるから,これを引用する。 256頁11行目の「88,」の次に「103,」を,同行目の「7まで」の次に「,57,59から61まで」をそれぞれ加える。 ⑵ 257頁7行目,258頁17行目,259頁5行目,同頁18行目,同頁25行目,262頁25行目,263頁15行目,同頁24行目,264頁4行目及び同頁8行目の各「乙H1」の次にいずれも「,57」を,25 9頁10行目の「 目,259頁5行目,同頁18行目,同頁25行目,262頁25行目,263頁15行目,同頁24行目,264頁4行目及び同頁8行目の各「乙H1」の次にいずれも「,57」を,25 9頁10行目の「35,」の次に「乙H57,」をそれぞれ加える。 ⑶ 258頁15行目,同頁23行目,259頁3行目,同頁23行目,263頁10行目,同頁11行目から12行目にかけて,264頁2行目及び同頁12行目の各「22年」,263頁21行目及び264頁7行目の各「26年」をいずれも「28年」と改める。 ⑷ 258頁16行目の「約1413億6535万円」を「約1800億0192万円(ただし,後記の建替防音工事外郭防音工事の補助金額を含む。)」と改める。 ⑸ 258頁17行目の「乙I」を「乙C」と改める。 ⑹ 258頁23行目から24行目にかけての「約60億5074万円」を「約 98億4424万円」と,259頁4行目の「約7472万円」を「約8976万円」とそれぞれ改める。 ⑺ 259頁7行目の「しており」から同頁9行目末尾までを「している。」と改める。 ⑻ 259頁15行目冒頭から同頁17行目末尾までを削除する。 ⑼ 259頁24行目の「約54億5948万円」を「約161億5286万円」と改める。 ⑽ 260頁5行目から6行目にかけての「しており」から同頁7行目末尾までを「している。」と改める。 ⑾ 260頁8行目の「5,」の次に「57」を加える。 ⑿ 261頁12行目の「88」の次に「,103」を加える。 ⒀ 261頁13行目の「本件訴訟」の次に「の原審」を,同頁16行目末尾に改行の上「 また,当審で平成30年7月18日に行われた現地進行協議測定では,上記の工事が施工されている個人宅において,室内 ⒀ 261頁13行目の「本件訴訟」の次に「の原審」を,同頁16行目末尾に改行の上「 また,当審で平成30年7月18日に行われた現地進行協議測定では,上記の工事が施工されている個人宅において,室内外のピーク騒音レベルが測定されたところ,室内外の差は25.2dB(A)から29. 5dB(A)であった。」をそれぞれ加える。 ⒁ 262頁22行目冒頭から同頁24行目末尾までを,次のとおり改める。 「 原告ら居住宅の住宅防音工事(追加防音工事,外郭防音工事,防音区画改善工事を含む。)の施工の有無及び完了年月日は,別紙「居住移転経過一覧表」の「防音工事完了年月日」,「追加防音工事完了年月日」,「外郭防音工事完了年月日」及び「改善工事完了年月日」各欄に,各工事の実施室数は, 同別紙「室数」又は「追加室数」各欄にそれぞれ記載されたとおりである。 また,住宅防音工事の実施室数は,同別紙「実施室数合計」欄に記載されたとおりである。」⒂ 263頁11行目の「80億2834万円」を「90億1764万円」と,同頁12行目の「6億9067万円」を「7億8700万円」と,同頁22 行目の「418億1663万円」を「462億6548万円」と,264頁2行目の「135億9574万円」を「163億0859万円」と,同頁7行目の「66億3022万円」を「68億6809万円」と,同頁12行目の「97億7421万円」を「101億1631万円」とそれぞれ改める。 ⒃ 265頁13行目の「及び2」の次に「,乙H59から61まで」を加え, 266頁20行目の「現在」から同頁21行目の「行われている」までを「平成30年1月25日までに,同駐機場等の移転が完了した」と改める。 ⒄ 267頁11行目末尾に改行の上,次のとおり加える。 「⑸ テレビ受信料の助成 在」から同頁21行目の「行われている」までを「平成30年1月25日までに,同駐機場等の移転が完了した」と改める。 ⒄ 267頁11行目末尾に改行の上,次のとおり加える。 「⑸ テレビ受信料の助成(乙H57,弁論の全趣旨)被告は,本件飛行場周辺の一部の区域に居住する放送受信契約者を対象 に,テレビ受信料の助成を実施しており,昭和47年度から平成28年度 までに合計約18億9322万円の補助金を交付している。」⒅ 267頁12行目冒頭から同頁17行目末尾までを次のとおり改める。 「⑹ 被告が主張するその他の周辺対策被告は,以上の⑴から⑸までの騒音対策措置のほかに,民生安定施設の一般助成,特定防衛施設周辺整備調整交付金の交付,基地交付金及び調整 交付金の交付を違法性の判断要素として考慮すべきであると主張する。」⒆ 267頁19行目及び同頁22行目の各「防止」の後に「又は軽減」をそれぞれ加え,同頁21行目の「施策」を「対策」と改める。 ⒇ 267頁23行目末尾に「なお,上記⑸のテレビ受信料の助成については,原告らが被っている生活妨害のうちテレビの聴取妨害に係る被害を間接的に 填補する側面があることからすれば,違法性の判断に当たり考慮すべき事情に該当すると認められるが,上記被害自体を直接改善する対策とまでは言い難いことから,同判断に当たり考慮すべき程度が高いとはいえない。」を加える。 第3 違法性 1 受忍限度に関する検討次のとおり訂正するほかは,原判決267頁26行目から278頁13行目までのとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 268頁9行目冒頭から同頁24行目末尾までを次のとおり改める。 「 原告らの平成20年度以降の騒音曝露状況は,沖縄県等騒音測定,読谷村 行目までのとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 268頁9行目冒頭から同頁24行目末尾までを次のとおり改める。 「 原告らの平成20年度以降の騒音曝露状況は,沖縄県等騒音測定,読谷村 騒音測定及び被告騒音測定の結果によって把握することができ,その具体的な測定結果及び各騒音レベルの目安は,前記第2の2⑵オのとおりである。 以上に照らせば,本件コンター上のW75以上の区域に居住する原告らは,かなり激しい航空機騒音に曝されていると認めるのが相当である。」⑵ 269頁3行目の「睡眠妨害」から同頁4行目の「生じており」までを「睡 眠妨害及び血圧上昇等の発生への不安感等が生じており」と改める。 ⑶ 269頁7行目の「健康上」から同行目の「踏まえれば,」までを削除する。 ⑷ 269頁11行目の「原告ら」から同頁12行目末尾までを削除する。 ⑸ 272頁1行目の「26」,同頁5行目の「24」をいずれも「29」と,同頁6行目の「89.1から90.4」を「87.2から91.6」とそれぞれ改め,同頁7行目の「大きく」を削除する。 ⑹ 275頁14行目の「求める」の次に「実効的な」を加える。 ⑺ 276頁10行目の「なっていた」から同頁12行目の「採られずに」までを「なっていたほか,平成10年には,本件飛行場における航空機の運航等から生じる騒音によって周辺住民らに受忍限度を超える違法な被害が生じていることを認定して被告に損害賠償を命じた第一次嘉手納基地爆音訴訟の 判決が確定し,平成23年1月には,同様の被害を認定して被告に損害賠償を命じた第二次嘉手納基地爆音訴訟の判決が確定しているにもかかわらず」と改め,同頁15行目冒頭から同頁23行目末尾までを削除する。 ⑻ 277頁10行目冒頭から同頁11行目の「評価し得る に損害賠償を命じた第二次嘉手納基地爆音訴訟の判決が確定しているにもかかわらず」と改め,同頁15行目冒頭から同頁23行目末尾までを削除する。 ⑻ 277頁10行目冒頭から同頁11行目の「評価し得ること」までを「本件コンター上W75以上を超える区域に居住する原告らの利益を侵害する 状況が継続していること」と改める。 2 座喜味以北の地域(座喜味,波平,高志保,上地,喜名,儀間,渡慶次,長浜,宇座,瀬名波及び恩納村真栄田)に居住する原告らの被害について次のとおり訂正するほかは,原判決278頁15行目から280頁8行目までのとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 278頁22行目の「さらには,」から同行目の「リスク増大」までを「血圧上昇等の発生に対する不安感」に改める。 ⑵ 278頁24行目末尾に「また,前記認定のとおり,読谷村字瀬名波に居住し,同字座喜味に存する読谷村役場に勤務している原告A6-231が,当審において,航空機騒音により睡眠妨害や生活妨害などの被害を受けてい る旨を具体的に供述していることも,座喜味以北の地域について,その余の 地域と同様の騒音被害が生じていることをうかがわせる事情として評価し得る。なお,被告は上記供述の信用性を争うが,騒音被害を受けている者として,被害の状況を供述するに当たっては,被害感情などの主観的な事情に左右される部分が存することはやむを得ないと解されるところ,被告が指摘する点を考慮しても,同原告の供述全体の信用性を大きく減殺させるものとま では認められず,同原告の供述は上記認定の限度において採用することができる。」を加える。 ⑶ 279頁3行目末尾に改行の上,次のとおり加える。 「⑵ 加えて,環境基本法16条1項が定める騒音環境基準として定められた 告の供述は上記認定の限度において採用することができる。」を加える。 ⑶ 279頁3行目末尾に改行の上,次のとおり加える。 「⑵ 加えて,環境基本法16条1項が定める騒音環境基準として定められた航空機騒音環境基準に係る各地域類型(Ⅰ又はⅡ)を当てはめる地域につ いては,都道府県知事が指定するとされ,同指定に当たっては航空機騒音から通常の生活を保全する必要がある地域とすることなどの指定基準が定められているところ(第2章第2の4),沖縄県知事が昭和63年2月に指定した各地域類型を当てはめるエリアには,上記座喜味以北の地域も含まれており,その後,同座喜味以北の地域が同エリアの対象外とされた 事実は認められない(甲CⅢ327,弁論の全趣旨)。 また,被告は,本件飛行場の設置若しくは運用により生ずる障害を防止するための必要な措置として,本件コンター上のW値に依拠して指定された本件指定区域において,生活環境整備法に基づく住宅防音工事の助成措置を行っているところ,上記座喜味以北の地域に存する住宅についても他 の地域と同様に同助成を実施しており,被告において,座喜味以北の地域について,新たに防衛施設庁方式に基づいて大規模かつ詳細な調査を行うなどして本件コンター上のW値の改訂を行った事実は認められない(第2章第2の5⑵,第3章【損害賠償請求に関する判断】第2の13,弁論の全趣旨)。 以上のように,本件飛行場に係る騒音対策に関し,沖縄県や被告が,座 喜味以北の地域を本件コンター上の他の地域と異なる取扱をしていないことは,沖縄県や被告において,座喜味以北の地域の航空機騒音による被害について,その他の地域の被害とほぼ同様であるという認識を有していることをうかがわせる事情であるといえる。」⑷ 279頁4行目の「 は,沖縄県や被告において,座喜味以北の地域の航空機騒音による被害について,その他の地域の被害とほぼ同様であるという認識を有していることをうかがわせる事情であるといえる。」⑷ 279頁4行目の「⑵ また,」を「⑶ 次に,」と改め,同行目末尾に 「。」を加え,同頁6行目の「と,」を削除する。 ⑸ 279頁5行目の「24」を「29」と,同頁7行目の「60.9から64.4」を「59.1から64.5」と,同頁7行目から8行目にかけての「52.7から55.5」を「49.4から56.4」と,同頁10行目の「64.0から66.1」を「64.0から66.6」と,同行目から11行 目にかけての「56.3から60.9」を「54.2から60.9」とそれぞれ改める。 ⑹ 279頁17行目の「W値」の次に「(環境庁方式)」を加え,同行目「28」を「30」と,同頁18行目の「58.5から66.4」を「58.5から68.9」と,同頁21行目の「26」を「29」と,同行目から22行目 にかけての「61.5から65.0」を「61.5から65.9」と,同頁23行目の「64.9から67.0」を「64.9から68.1」とそれぞれ改める。 ⑺ 280頁5行目の「⑶」を「⑷」と改め,同行目の「被害状況」の次に「,騒音対策の実施状況」を加える。 ⑻ 280頁8行目末尾に改行の上,次のとおり加える。 「 なお,被告は,平成20年度以降の座喜味の騒音状況は,座喜味以北の騒音について受忍限度を超えていない旨を判断した第二次嘉手納基地爆音訴訟の控訴審判決が前提とした騒音状況と同程度で推移していると主張する。しかしながら,上記控訴審当時から実施されていた被告による騒音測定の結果 に加え,上記判決後に実施された読谷村による騒音測定の結果を併せ検討す た騒音状況と同程度で推移していると主張する。しかしながら,上記控訴審当時から実施されていた被告による騒音測定の結果 に加え,上記判決後に実施された読谷村による騒音測定の結果を併せ検討す れば,座喜味の騒音曝露状況が,本件コンター上W75以上80未満の地域に存する他の測定点(うるま市西原(被告測定点),沖縄市山内,読谷村伊良皆(以上沖縄県等測定点))の測定結果と比較して大きな差があるとは認められないことは前記説示のとおりであり,被告の上記主張を採用することはできない。」 3 本件コンター上W75未満の区域に居住する原告らの被害について原判決280頁10行目から281頁7行目までのとおりであるからこれを引用する。 4 地域類型の考慮の要否原判決281頁9行目から282頁10行目までのとおりであるからこれを 引用する。 第4 危険への接近の法理 1 次のとおり訂正し,後記2のとおり当審における判断を付加するほかは,原判決283頁15行目から285頁10行目までのとおりであるからこれを引用する。 ⑴ 283頁15行目冒頭から同行目の「法理とは,」までを次のとおり改める。 「1 原告A1-377を除く原告らに対する危険への接近の法理の適用について危険への接近の法理による免責とは,最高裁判所昭和51年(オ)第3 95号同56年12月16日大法廷判決(民集35巻10号1369頁),同昭和63年(オ)第611号平成5年2月25日第一小法廷判決(裁判集民事167号下359頁)が承認するところであって,これを本件飛行場の航空機騒音の被害を前提として検討すると,①」⑵ 283頁17行目冒頭に「②」を,同行目の「場合には,」の次に「③」 を,同頁18行目の「考慮し,」の するところであって,これを本件飛行場の航空機騒音の被害を前提として検討すると,①」⑵ 283頁17行目冒頭に「②」を,同行目の「場合には,」の次に「③」 を,同頁18行目の「考慮し,」の次に「④」をそれぞれ加える。 ⑶ 283頁21行目の「損害賠償」から同頁24行目末尾までを「慰謝料の請求をすることは許されないというものである。」⑷ 284頁10行目から11行目にかけての「大阪空港訴訟最高裁判決」を「前記の最高裁昭和56年12月16日大法廷判決」と改める。 ⑸ 285頁6行目の「本件飛行場」から同頁10行目末尾までを,次のとお り改める。 「 被告が危険への接近の法理が適用されるとする第一基準日又は第二基準日以降に本件飛行場周辺に転入し又は本件コンター内での居住経験を有しながら本件コンター内に転居した原告らが,本件飛行場の航空機騒音による被害があることを認識していたとしても,そのことから直ちに同被害を やむを得ないものとして認容していたと推定することはできない。したがって,そのような被害の認容の事実が推定されることを前提とする被告の上記主張は採用することができない。 そして,上記原告ら(ただし,当審において被告が個別に危険への接近の法理の適用につき主張立証する原告A1-377を除く。同原告につい ては後記2(当審における判断)において検討する。)について,本件飛行場の航空機騒音の存在について認識しながら,その被害をやむを得ないものとして認容して居住したことを認めるに足りる証拠はなく,同原告らについて危険への接近の法理を適用することはできない。 2 原告A1-377を除く原告らに対する危険への接近の法理による減額 について被告は,仮に危険への接近の法理による免責が認められないと ついて危険への接近の法理を適用することはできない。 2 原告A1-377を除く原告らに対する危険への接近の法理による減額 について被告は,仮に危険への接近の法理による免責が認められないとしても,上記原告らは,航空機騒音について被害の認識があるか,又は過失によりその認識を欠いていたから,危険への接近の法理を適用して損害賠償額が減額されると主張する。 一般に,被害者において航空機騒音による被害を容認していない場合で あっても,同騒音の存在を認識し,又は過失により認識していなかったときは,前記最高裁昭和56年12月16日大法廷判決に係る②から④の要件と同様の要件の下に,損害の公平な分担という損害賠償法の理念に照らして損害賠償額を減額することも相当な場合があると考えられる。 そこで,本件について被害者及び加害者双方の事情を検討するに,前記 1で認定したとおり,沖縄本島中部地域においては,本件飛行場の航空機騒音の影響を受けずに生活することができる地域が限られており,同騒音被害に係る損害を回避する可能性が乏しいと解され,上記原告ら(ただし,原告A1-377を除く。同原告については後記2(当審における判断)において検討する。)についても,同様の事情が存すると推認される。そ して,他方で,前記認定説示のとおり,本件飛行場の周辺地域は,非常に激しい航空機騒音が生じており,この地域に居住する者らの受ける生活妨害,睡眠妨害,精神的被害等の程度はかなり高いこと,嘉手納基地爆音訴訟において2度にわたり本件飛行場の航空機騒音等による被害が受忍限度を超えて違法であるとの司法判断がされているにもかかわらず,被告が 講じている対策はいずれも限定的なものにとどまり,抜本的な被害回復がされているとは到底いえないこと,特 等による被害が受忍限度を超えて違法であるとの司法判断がされているにもかかわらず,被告が 講じている対策はいずれも限定的なものにとどまり,抜本的な被害回復がされているとは到底いえないこと,特に本件コンター上W95以上の区域では航空機騒音対策緊急指針において緊急に対策を講じるべきとされた強度の騒音曝露状況が続いていることが認められる。 以上の事情に照らせば,上記原告らの中に本件飛行場の航空機騒音の存 在を認識し,又は過失によりその認識を欠いていた者がいるとしても,それらの者において特に非難されるべき事情があるとは認められないのに対し,本件飛行場に係る騒音被害が違法な状態に達しているとの司法判断が2度にわたって示されているにもかかわらず,被告において抜本的な対策を講じて違法状態を解消することができないまま,深刻な騒音被害が継 続している状況にあることなどの事情に照らせば,同原告らについては, 損害の公平な分担という損害賠償法の理念に照らして,前記④にいう特段の事情が存すると解するのが相当である。したがって,同原告らについて,危険への接近法理を適用して損害賠償額を減額することは相当でないというべきであり,上記被告の主張を採用することはできない。」 2 原告A1-377に対する危険への接近の法理の適用について(当審におけ る判断)原告A1-377については,当審において被告が個別の主張立証を行っていることなどに照らし,別途の検討を要する。 ⑴ 原告A1-377が本件コンター内に転居した経緯について証拠(甲G53,乙D63,64,原告A1-377(当審))及び弁論 の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア原告A1-377(昭和▲年▲月▲日生)は,昭和45年に都内の大学を卒業 拠(甲G53,乙D63,64,原告A1-377(当審))及び弁論 の全趣旨によれば,次の事実が認められる。 ア原告A1-377(昭和▲年▲月▲日生)は,昭和45年に都内の大学を卒業し,昭和55年からBの記者として稼働するようになった。 イ原告A1-377は,昭和62年,初めて沖縄県を訪問し,記者として,本件飛行場や北谷町砂辺(以下「砂辺」という。)を取材したが,その際, 第一次嘉手納基地爆音訴訟の原告2名と知り合い,本件飛行場の爆音がひどいために砂辺を離れる人が増えており地域が崩壊しているなどの話を聞いた。 原告A1-377は,上記の経験等から,沖縄県に基地負担を押し付けている日本の政治に矛盾や怒りを感じるようになり,以後平成9年まで, 年1,2回程度,沖縄県を訪れて本件飛行場に係る取材を続けた。その際に砂辺を訪ねることもあり,第一次嘉手納基地爆音訴訟の原告数名と交流した。 ウ原告A1-377は,本件飛行場の爆音被害を解消するために当事者として力を尽くしたいと考え,平成9年10月,Bを退職し,県外から沖縄 県中頭郡北谷町字桑江(以下「桑江」という。)428番地1所在の大城 アパートに転居し,以後月に1回程度,砂辺を訪れるようになった。原告A1-377は,上記転居の以前にも,沖縄での取材の機会等に,本件飛行場の航空機騒音を聴いたことはあったが,実際に転居して体感した騒音は予想を上回るものであった。 原告A1-377は,平成12年3月,第二次嘉手納基地爆音訴訟の原 告の一人として訴えを提起し,裁判期日に毎回出席した。また,同訴訟の原告団事務所を頻繁に訪ね,原告団の事務を手伝うなどしていたほか,自身が所属する北谷支部の原告らとも期日出席や集会への参加を通じて懇意になった。 訴えを提起し,裁判期日に毎回出席した。また,同訴訟の原告団事務所を頻繁に訪ね,原告団の事務を手伝うなどしていたほか,自身が所属する北谷支部の原告らとも期日出席や集会への参加を通じて懇意になった。 エ原告A1-377は,平成21年6月,A1-376(昭和▲年生)と 婚姻した。A1-376は,平成7年に,県外から沖縄県に移住し,当初は那覇市内に居住して,学校法人の非常勤講師として稼働するなどしていたが,平成16年頃北谷町に転居し,以後,宜野湾市等に存する教育機関において非常勤講師として稼働している。 オ原告A1-377は,上記婚姻後,本件飛行場の爆音被害を解消するた め今後も継続して当事者として関わっていきたいという思いもあって,A1-376の通勤の便宜,懇意になった砂辺に居住する原告らとの人間関係,自然環境の良さなどから,砂辺に住みたいと考えるようになり,現在の住所地の土地を購入して家を新築し,平成21年10月1日,A1-376とともに転居した(以下,新築した自宅を「原告A1-377宅」と いう。)。 原告A1-377は,砂辺に所在する原告A1-377宅が航空機の離発着コースのほぼ真下にあるため,原告A1-377宅で受ける騒音被害が桑江のそれを上回ることは認識しており,より多くの騒音被害を受けることを覚悟していたが,他方で,嘉手納基地爆音訴訟において2度にわた り航空機騒音が違法であるとの司法判断がされたことから,騒音被害が多 少軽減されるのではないかという期待も有していた。 ⑵ 免責の主張に対する判断被告は,原告A1-377が桑江に居住していた期間(平成9年10月から平成21年9月30日まで。以下「桑江居住期間」という。)及び原告A1-377宅に転居した以降の期間(平 免責の主張に対する判断被告は,原告A1-377が桑江に居住していた期間(平成9年10月から平成21年9月30日まで。以下「桑江居住期間」という。)及び原告A1-377宅に転居した以降の期間(平成21年10月1日以降。以下「砂 辺居住期間」という。)のいずれについても,危険への接近の法理の適用により被告の損害賠償債務は免責されると主張する。 確かに,前記⑴で認定した経緯に照らせば,原告A1-377は,本件飛行場の騒音被害を認識した上で,平成9年10月に岡山県から桑江に転居してきたところ,当時,本件飛行場周辺と血縁,地縁上の結び付きがあったわ けではなく,他に桑江に居住しなければならない生活上,職務上の必要性があったこともうかがえない。 他方で,原告A1-377としては,桑江居住期間については実際に体感した航空機騒音が当初の予想の程度を超えていたことが認められ,砂辺居住期間については従前から沖縄県内の教育機関等で非常勤講師として稼働して いたA1-376との婚姻生活上の必要性があったこともうかがえなくはない。加えて,原告A1-377は,本件飛行場の騒音被害を解消する目的で桑江や砂辺に転居した旨を供述するものの,ことさらに騒音問題を利用して固有の経済的利益を図ったり,何らかの代償を得ようとする意図を有しているという事情までは認めるに足りない。そして,本件飛行場の周辺地域,特 に桑江や砂辺といった本件飛行場に隣接した地域においては,非常に激しい航空機騒音が生じており,この地域に居住する者らの受ける生活妨害,睡眠妨害,精神的被害等の程度はかなり高いこと,嘉手納基地爆音訴訟において2度にわたり本件飛行場の航空機騒音等による被害が受忍限度を超えて違法であるとの判断がされているにもかかわらず,被告が講じている対策 害,精神的被害等の程度はかなり高いこと,嘉手納基地爆音訴訟において2度にわたり本件飛行場の航空機騒音等による被害が受忍限度を超えて違法であるとの判断がされているにもかかわらず,被告が講じている対策は現時 点ではいずれも限定的なものにとどまり,抜本的な被害回復がされていると は到底いえないこと,特に本件コンター上のW95以上の区域では航空機騒音対策緊急指針において緊急に対策を講じるべきとされた強度の騒音曝露状況が続いていることは前記認定説示のとおりである。 以上の原告A1-377及び被告の各事情によれば,原告A1-377について航空機騒音の被害を認容して居住していたと評価されるとしても,被 告においては,騒音被害が違法な状態に達しているとの司法判断が示されているにもかかわらず,抜本的な対策を講じて違法状態を解消することができないまま深刻な騒音被害が継続している状況にあるといえるのであって,かかる事情の下で,原告A1-377において本件飛行場の航空機騒音による被害を受忍すべきものとして,被告の損害賠償責任を免除させることは,危 険への接近の法理又は損害賠償法の基礎にある衡平の理念に反する特段の事情(④の要件)があると解するのが相当である。 したがって,原告A1-377については,桑江居住期間及び砂辺居住期間のいずれについても,危険への接近法理を適用して,被告の損害賠償債務を免除することはできない。この点に反する上記被告の主張は採用すること ができない。 ⑶ 減額の主張に対する判断被告は,仮に免責が認められないとしても,原告A1-377には航空機騒音について被害の認識があるか,又は過失によりその認識を欠いていたから,危険への接近の法理を適用し,損害賠償額を減額すべきであると主張 は,仮に免責が認められないとしても,原告A1-377には航空機騒音について被害の認識があるか,又は過失によりその認識を欠いていたから,危険への接近の法理を適用し,損害賠償額を減額すべきであると主張す る。 被害者において航空機騒音による被害を容認していない場合であっても,同騒音の存在を認識し,又は過失により認識していなかったときは,前記最高裁昭和56年12月16日大法廷判決に係る②から④の要件と同様の要件の下に,損害の公平な分担という損害賠償法の理念に照らし損害賠償額を減 額することも相当な場合があると考えられる。 そこで検討するに,前記⑴及び⑵の認定,説示によれば,原告A1-377は,本件飛行場の騒音被害をなくすために当事者として行動すること,すなわち,本件飛行場の爆音被害を受ける地域に居住し,嘉手納基地爆音訴訟の原告となることを目的として,県外から沖縄県に移住して桑江に居住し,その後も同様の目的で砂辺に転居したものであるから,桑江居住期間及び砂 辺居住期間のいずれについても,航空機騒音の被害を受けることを積極的に希望し,これを覚悟して居住を開始し,特に砂辺への転居については砂辺の騒音が桑江を上回ることを具体的に認識していたことに照らせば,前記⑵で示した被告の事情を考慮してもなお,損害賠償額の減額との関係では,④の「特段の事情」があるとは認められず,危険への接近法理を適用して,その 損害賠償額を減額するのが損害の公平な分配という損害賠償法の理念に適うものと解される。 そして,その減額割合については,前記⑵で検討した双方の事情の存在,とりわけ原告A1-377が,桑江を上回る騒音が生じることを認識した上で土地を購入して原告A1-377宅を新築した経緯を考慮すると,桑江居 住期間に いては,前記⑵で検討した双方の事情の存在,とりわけ原告A1-377が,桑江を上回る騒音が生じることを認識した上で土地を購入して原告A1-377宅を新築した経緯を考慮すると,桑江居 住期間については3割,砂辺居住期間については6割とするのが相当である。 第5 損害賠償額次のとおり訂正するほかは,原判決285頁18行目から288頁26行目までのとおりであるから,これを引用する。 1 285頁21行目から22行目にかけての「,さらには,高血圧症発症のリ スク増大」を「及び血圧上昇等の発生への不安感等」と改める。 2 285頁23行目の「被害」の次に「の程度」を加え,同行目から24行目にかけての「増加していく」を「増加するもの」に訂正する。 3 286頁14行目の「確定後のアメリカ合衆国及び被告の取組状況など」を「確定後も原告らの利益の侵害が継続している状況など」と改める。 4 286頁19行目冒頭から同頁26行目末尾までを次のとおり改める。 「 そうすると,1か月当たりの慰謝料の額は,次のとおりの金額となる。 ア W95以上の区域 2万2500円イ W90以上95未満の区域 1万8000円ウ W85以上90未満の区域 1万3500円エ W80以上85未満の区域 9000円 オ W75以上80未満の区域 4500円なお,損害賠償の請求期間中にW値の異なる区域に転居した原告らについては,それぞれの区域の居住期間ごとに該当区域のW値に応じた額を基本となる慰謝料額とする。また,死亡した者の損害賠償請求権を相続した原告らについては,上記慰謝料額を各原告の法定相続分に従って分割した額(1円未満切り 捨て)を基本となる慰謝料額とする。 本となる慰謝料額とする。また,死亡した者の損害賠償請求権を相続した原告らについては,上記慰謝料額を各原告の法定相続分に従って分割した額(1円未満切り 捨て)を基本となる慰謝料額とする。 また,原告ら及び被告は,当審における主張も含め上記基本となる慰謝料額の多寡について種々主張するが,いずれも上記認定において既に考慮済みのものか,又は採用の限りでないものであって,上記認定判断を左右するものとはいえない。」 5 287頁6行目末尾に「そして,防音工事を施工した室数が増加すれば,それだけ防音効果も高まる以上,施工した室数に応じて減額割合を増加させるべきである。」を加える。 6 287頁18行目末尾に「上記減額の上限を30%とするのは不当であるとの原告らの主張は,上記説示のとおり採用の限りではない。」を加える。 7 288頁22行目の「各原告」から同頁26行目末尾までを「これを前提に各原告らの損害額を算定すると,同表の「損害額合計」欄に記載のとおりとなる(1か月未満は日割計算による。請求が認められない原告らについては記載がない。)。したがって,被告は,各原告に対し,同欄記載の各金員及び同表の各原告に対応する「始期」欄記載の日から「終期」欄記載の日までの間,暦 上の月ごとに,1月当たり各対応する「単位損害賠償額」欄記載の額の割合の 金員に対する当該月の翌月1日から各支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金を支払う義務を負うこととなる。」と改める。 第6 将来の損害賠償請求の可否次のとおり訂正するほかは,原判決289頁2行目から291頁23行目までのとおりであるから,これを引用する。 1 289頁19行目の「1369頁」の次に「,同昭和62年(オ)第58号平成5年2月25日 訂正するほかは,原判決289頁2行目から291頁23行目までのとおりであるから,これを引用する。 1 289頁19行目の「1369頁」の次に「,同昭和62年(オ)第58号平成5年2月25日第一小法廷判決・民集47巻2号643頁,同昭和63年(オ)第611号平成5年2月25日第一小法廷判決・裁判集民事167号下359頁,同平成18年(受)第882号同19年5月29日第三小法廷判決・裁判集民事224号391頁,同平成27年(受)第2309号同28年12 月8日第一小法廷判決・裁判集民事254号35頁」を加える。 2 291頁23行目末尾に「その他,原告らが当審において種々主張する点も含め,いずれも上記判断を左右するものとはいえない。」を加える。 【結論】第1 原告A2-874の訴えについて【原告目録6記載の原告関係】 不適法な訴えであるから却下すべきである。 第2 差止等請求原告らの差止請求について【原告目録1及び4記載の原告ら関係】いずれも理由がないからこれを棄却すべきである。 第3 損害賠償請求について 1 差止等請求原告らの将来の損害賠償請求(第1章第1の5の請求のうち平成 31年2月1日以降のもの)に係る訴えはいずれも不適法であるから却下すべきである。【原告目録1及び4記載の原告ら関係】 2 原告らの過去の損害賠償請求(第1章第1の3及び4の請求並びに同5の請求のうち平成31年1月31日又は同日以前に死亡した原告らについてはその死亡日までのもの)のうち,国賠法2条1項に基づく主位的請求は理由がない からいずれも棄却すべきであり,民特法2条に基づく予備的請求は,主文3項 の限度で理由があるからこの限りで認容し,その余は理由がないからいずれも棄却すべきである。【原告目録1 からいずれも棄却すべきであり,民特法2条に基づく予備的請求は,主文3項 の限度で理由があるからこの限りで認容し,その余は理由がないからいずれも棄却すべきである。【原告目録1~5記載の原告ら関係】第4 結論よって,原告目録1記載の原告らの差止請求に係る控訴,同原告ら及び原告目録4記載の原告らの平成31年2月1日以降に生ずべき将来の損害賠償請 求部分に係る控訴並びに原告目録2記載の原告らの過去の損害賠償請求に係る控訴はいずれも理由がないからこれらを棄却し,原告目録1,3及び5記載の原告ら及び被告の同年1月31日又は同日以前に死亡した原告については死亡日までの過去の損害賠償請求部分に係る各控訴は一部理由があるから,前記第3の1の限度で原判決を変更することとして,主文のとおり判決する。 福岡高等裁判所那覇支部民事部 裁判長裁判官大久保正道 裁判官本多智子 裁判官神谷厚毅は,転補のため署名押印することができない。 裁判長裁判官大久保正道
▼ クリックして全文を表示