【DRY-RUN】主 文 本件上告を棄却する。 理 由 弁護人原野一美上告趣意は末尾に添えた別紙記載の通りである。 (一) 上告論旨第一点は、被告人は品物を犯罪の現場から持ち
主文 本件上告を棄却する。 理由 弁護人原野一美上告趣意は末尾に添えた別紙記載の通りである。 (一) 上告論旨第一点は、被告人は品物を犯罪の現場から持ち出さず、すなわち自己の支配下に置いたと言い得ない状態で逮捕されたのであつて、まだ他人の財物を強取したと言いえない強盗未遂であるのに、原判決がそれを既遂として処断したのは、法律の適用を誤つたものだ、というのである。しかし原審が証拠によつて認定した事実を記録に当つて見ると、被告人は共犯者等と共に被害会社の事務所に押入り、居合わせた男女事務員の全部を縛つて全然抵抗し得ず奪われた物を取返し得ない状態に置き洋服類は着込み、その他の物は荷造りして持ち出すばかりにしたところを、警察隊に踏み込まれて捕縛されたのであつて、上告論旨が通説なりとするいわゆる「取得説」から言つて、既に物の支配を取得したと言い得るのであり、竊盗罪についてではあるが、盗品が犯行の場所から持出される前に既遂を認定した判例が大審院以来繰返されているのであつて(大正一二年(れ)三六一号同年四月九日大審院第二刑事部判決、大正一二年(れ)九二四号同年七月三日大審院第一刑事部判決、昭和二三年(れ)六七五号同年一〇月二三日最高裁判所第二小法廷判決、昭和二三年(れ)八三〇号同年一二月四日同第二小法廷判決、昭和二三年(れ)一一三二号同年一二月二七日同第一小法廷判決、昭和二三年(れ)一五一三号同二四年二月八日同第二小法廷判決)、強盗罪についてもこの点は同様であり、論旨は理由がない。 (二) 上告論旨第二点は、第一審判決が物的証拠として庖丁二挺、花鋏一挺、布切二枚、荒縄若干を挙げたのに、原判決が庖丁二挺のみを挙げたのは、旧刑事訴訟法第一九〇丁の「理由不備」である、と主張する。しかし、原判決が挙げた証拠- 一審判決が物的証拠として庖丁二挺、花鋏一挺、布切二枚、荒縄若干を挙げたのに、原判決が庖丁二挺のみを挙げたのは、旧刑事訴訟法第一九〇丁の「理由不備」である、と主張する。しかし、原判決が挙げた証拠- 1 -だけで暴行の証拠は充分であつて、論旨は理由がない。 よつて旧刑事訴訟法第四四六条に従い主文のとおり判決する。 以上は裁判官全員一致の意見である。 検察官柳川真文関与昭和二四年六月七日最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官長谷川太一郎裁判官井上登裁判官島保裁判官河村又介裁判官穂積重遠- 2 -
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