○ 主文一原告らの請求を棄却する。二訴訟費用は原告らの負担とする。○ 事実(当事者の求めた裁判)一原告ら(一) 被告が昭和四七年一一月二八日に四国電力株式会社に対してなした、伊方発電所の原子炉設置許可処分を取り消す。(二) 訴訟費用は被告の負担とする。二被告 1 本案前の申立て(一) 本件訴えを却下する。(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。2 本案の申立(一) 原告らの請求を棄却する。(二) 訴訟費用は原告らの負担とする。原告らの請求の原因、被告の答弁及び主張、被告の主張に対する原告らの答弁及び反論、証拠(省略。ただし、理由中の引用部分については、参考として理由の後に摘記した。│編注)○ 理由第一本件許可処分の存在及び原告適格について(被告の本案前の申立についての判断)一本件許可処分の存在及び本件許可処分と原告らとの関係(一) 四国電力の申請を受けて被告が昭和四七年一一月二八日本件原子炉の設置許可処分をしたこと、原告らが右許可処分に対して、行政不服審査法所定の異議申立をなし、被告が昭和四八年五月三一日右異議申立を棄却する旨の決定をなしたことについてはいずれも当事者間に争いがなく、原告らが昭和四八年八月二七日当裁判所に対し、右許可処分取消訴訟を提起したことは本件記録により明らかである。(二) 原告らが、いずれも右許可にかかる本件原子炉の設置場所である愛媛県西宇和郡内の別紙一当事者の表示記載の肩書地に居住することについては当事者間に争いがなく、弁論の全趣旨により書き入れ部分は原告ら代理人が作成したものと認められ、その余の部分については成立に争いのない甲第三九五号証によれば、本件原子炉と原告らの右居住地との地理的な関係は別紙2記載のとおりであることが認められる。ところで、本件原子炉の運転によつて多量の れ、その余の部分については成立に争いのない甲第三九五号証によれば、本件原子炉と原告らの右居住地との地理的な関係は別紙2記載のとおりであることが認められる。 り書き入れ部分は原告ら代理人が作成したものと認められ、その余の部分については成立に争いのない甲第三九五号証によれば、本件原子炉と原告らの右居住地との地理的な関係は別紙2記載のとおりであることが認められる。ところで、本件原子炉の運転によつて多量の れ、その余の部分については成立に争いのない甲第三九五号証によれば、本件原子炉と原告らの右居住地との地理的な関係は別紙2記載のとおりであることが認められる。ところで、本件原子炉の運転によつて多量の核分裂生成物等が産出され、一年後には、約一〇億キユリーもの放射能を含む核分裂生成物等が原子炉内に蓄積されるものと見られること、右核分裂生成物等より放出する放射線は人身に重大な障害を与えるものであること、なお、本件原子炉はすでに営業運転を行つていることは、いずれも後記のとおりである。そして、前掲事実と成立に争いのない甲第六一号証、第二六四号証、第二六六号証及び証人a、同bの各証言並びに弁論の全趣旨を総合すると、本件原子炉の平常運転時において、放射性物質を告示所定の規制値(〇・五レム)以上に多量に放出する事態が発生すれば、気象、退避その他の諸条件に伴い、原告らのうち、本件原子炉の近辺に居住する者は、放射線障害により発病する蓋然性があること、また、本件原子炉で炉心溶融等の事故が発生して、格納容器の破損が生ずると、原子炉内に蓄積している核分裂生成物の多くが、環境中に放出され、前記諸条件に伴い、原告らは、いずれも、核分裂生成物からの放射線に被ばくし、急性放射線障害により、死亡又は発病する蓋然性を有する者らであることが認められる。二原告適格について(一」行訴法九条所定の「法律上の利益を有する者」とは、法律上保護されている利益を当該行政処分によつて侵害された者をいい、右行政処分の名宛人でない第三者も含まれる。そして、右の法律上保護されている利益の存否は、当該行政処分の根拠となつた実体法規(本件では規制法二四条二項)が右利益の保護を図る趣旨を含むか否かによつて決せられる。(二) ところで規制法一条によれば、同法律の目的は、「核原料物質、核燃料物質及び 政処分の根拠となつた実体法規(本件では規制法二四条二項)が右利益の保護を図る趣旨を含むか否かによつて決せられる。(二) ところで規制法一条によれば、同法律の目的は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用による災害を防止して公共の安全を図るために必要な規制を行う」というものであり、同法二四条一項四号の規定も「原子炉等による災害(ここにいう「災害」とは、多数人の生命、身体、財産に損害を及ぼすことをいうものと解される。 た実体法規(本件では規制法二四条二項)が右利益の保護を図る趣旨を含むか否かによつて決せられる。(二) ところで規制法一条によれば、同法律の目的は、「核原料物質、核燃料物質及び原子炉の利用による災害を防止して公共の安全を図るために必要な規制を行う」というものであり、同法二四条一項四号の規定も「原子炉等による災害(ここにいう「災害」とは、多数人の生命、身体、財産に損害を及ぼすことをいうものと解される。)の防止」を目的としていることが明らかである。しかし、右の点から、規制法、特にその二四条が、公共の利益のみを保護の目的としていると解するのは相当でない。すなわち、規制法二四条一項四号は、原子炉の施設の位置等が、原子炉等による災害の防止上支障のないものであることを要する旨を定めること、規制法の付属法規である規則一条七号、一条の二第二項六、七号、一〇号、告示二条、九条及び規制法二四条一項四号の解釈について、事実上重大な意義を有する安全設計審査指針、原子炉立地審査指針、気象手引は、いずれも原子炉施設周辺における放射線被ばくを軽減し、かつ、原子炉施設周辺住民が原子炉事故による災害を被ることを防止することを重要な目的としていると解されること、なお、仮に、原子炉等の災害が発生した場合、公共の安全が害される結果が生ずるのはもちろんであるが、同時に、多くの場合前記のとおり原子炉施設周辺の住民の生命、身体、財産等が侵害される虞れが生ずること、しかも、前顕甲第六一号証、第二六四号証、第二六六号証及び証人b、同aの各証言によれば、原子炉施設に近接する場所に居住する者程、被害を受ける蓋然性が多いことが認められることに鑑み、規制法、特にその二四条一項四号は、公共の安全を図ると同時に、原子炉施設周辺住民の生命、身体、財産を保護することを目的としてい 所に居住する者程、被害を受ける蓋然性が多いことが認められることに鑑み、規制法、特にその二四条一項四号は、公共の安全を図ると同時に、原子炉施設周辺住民の生命、身体、財産を保護することを目的としていると解さなければならない。もし、そうでないとするならば、原子炉の災害によつて生命、身体及び財産を侵害される蓋然性のある原子炉施設周辺に居住する住民は、現実に損害を受けない限り、原子炉施設許可処分の違法性を追及することができないという不都合な結果を招くことにもなる。しかるところ、前記のとおり、原告らは本件原子炉施設の周辺に居住し、原子炉事故が発生した場合等には、その生命、身体等を侵害される蓋然性のある者である。 ればならない。もし、そうでないとするならば、原子炉の災害によつて生命、身体及び財産を侵害される蓋然性のある原子炉施設周辺に居住する住民は、現実に損害を受けない限り、原子炉施設許可処分の違法性を追及することができないという不都合な結果を招くことにもなる。しかるところ、前記のとおり、原告らは本件原子炉施設の周辺に居住し、原子炉事故が発生した場合等には、その生命、身体等を侵害される蓋然性のある者である。したがつて、以上のことから考察すれば、原告らは本件訴の原告適格を有するものというべきである。(三) なお、付言するに規制法二四条一項三号(ただし経理的基礎についての規制部分を除く。以下同じ。)についても、その所定の要件の存否の判断に過誤、欠落があり、その結果なされた行政処分によつて原告らの利益が侵害される蓋然性がある限り、前叙の同条一項四号の場合と同様と解されるが、同条一項一、二号の規定は原子炉施設周辺住民の利益保護を目的とするものではなく、国家の原子力についての基本政策の規定及び広く公共の安全を図る趣旨の規定であることが、その文理上からも明らかであるから、原告らが主張する如く右一、二号違反を理由として原子炉設置許可処分の取消を求めることはできない。(四) 被告は、原告らの主張する原子炉の平常運転時における微量放射線の被ばくによる人身の損傷や、原子炉の炉心溶融を引き起こすような原子炉事故は、いずれも発生することがあり得ないところであるから、原告らの主張は論理的、経験的な根拠を欠き、具体性のない仮定的なものである旨主張する。しかし、証人 、原子炉の炉心溶融を引き起こすような原子炉事故は、いずれも発生することがあり得ないところであるから、原告らの主張は論理的、経験的な根拠を欠き、具体性のない仮定的なものである旨主張する。しかし、証人c、同d、同b、同aの各証言に照らせば、原子炉の平常運転時における微量放射線の被ばくによる障害の発生の危険性の存在や、原子炉の炉心溶融に至る事故の発生することを指摘する専門家の見解があることが認められ、したがつて、原告らの主張が直ちに、論理性、経験性、具体性を欠いた仮定的な見解であると即断することはできない。そして、前顕各証拠によれば、原告らが主張するところの平常運転時における微量放射線の被ばくによる危険性の存在、原子炉の炉心溶融事故の発生により、原告らの生命、身体等が損傷される蓋然性の存在は、いずれも明らかに否定されるが如きものではないから、原告らの本件訴の利益が否定されることはない。 められ、したがつて、原告らの主張が直ちに、論理性、経験性、具体性を欠いた仮定的な見解であると即断することはできない。そして、前顕各証拠によれば、原告らが主張するところの平常運転時における微量放射線の被ばくによる危険性の存在、原子炉の炉心溶融事故の発生により、原告らの生命、身体等が損傷される蓋然性の存在は、いずれも明らかに否定されるが如きものではないから、原告らの本件訴の利益が否定されることはない。(五) 被告は、原子炉設置許可処分は原子炉の設置許可のみを目的とする処分であるところ、原子炉の運転に至るまでには各種の認可、検査等、後続の処分がなされる。したがつて、これら後続する各種の処分の後になされる原子炉の運転によつて、原告らが被害を受けるとしても、それは本件許可処分の効果に関係のないところであるから、右被害を受けることを理由として本件許可処分の取消を求めるための原告適格を基礎づけることはできない旨主張するが、原告らの主張の趣旨は、本件許可処分に際しなされる原子炉の安全審査に過誤、欠落があることから、それによつて原告等が本件原子炉により被害を受けるというものであると解される。したがつて、本件許可処分に後続する各種の処分があり、かつ、原告らの主張する被害は、原子炉の運転という事実行為より発生するものであるからといつて、原告ら主張の被害が本件許可処分によ あると解される。したがつて、本件許可処分に後続する各種の処分があり、かつ、原告らの主張する被害は、原子炉の運転という事実行為より発生するものであるからといつて、原告ら主張の被害が本件許可処分によるものでないとすることはできない。(六) 原告らが、本件訴訟において主張する権利・利益が侵害されることを理由として、本件原子炉の設置者である四国電力を相手として、妨害予防の訴など民事訴訟提起の可能性は否定しえない(それが理由ありとして認容されるか否かはもちろん別問題である。)としても、このことから直ちに、原告らに本件許可処分の取消を求める利益が存在しないとする理由は見い出し難い。(七) 以上の次第で、原告らは、本件訴を提起すべき利益を有するものであり、したがつて、本件訴訟の原告適格があるというべきである。よつて、被告の本案前の申立は理由がない。第二本件許可処分における手続の違法性の主張について一原子炉設置許可処分手続の概略被告が原子炉の設置許可処分をするには、被告において規制法二三条所定の設置許可申請を受けることを必要とすること、右申請を受けると被告は原子力委員会の意見を聞かなければならないこと、意見を求められた原子力委員会は設置法一四条の二によつて設けられ、科学専門家によつて構成されている安全審査会に原子炉の安全性に関する調査を指示し、その調査結果を得たうえで、原子力委員会の意見を確定して被告に答申するという手続がとられていること、本件原子炉設置許可に当たつても、右諸手続が経由されたこと、なお、原子力委員会は専門の事項を調査審議させるために専門部会を設けることができ、本件原子炉の安全審査に当たつては、第八六部会を設けて調査審議させたこと、原子力委員会の意見を受けた被告はこれを尊重しなければならないことについては、いずれも当事者間に争 査結果を得たうえで、原子力委員会の意見を確定して被告に答申するという手続がとられていること、本件原子炉設置許可に当たつても、右諸手続が経由されたこと、なお、原子力委員会は専門の事項を調査審議させるために専門部会を設けることができ、本件原子炉の安全審査に当たつては、第八六部会を設けて調査審議させたこと、原子力委員会の意見を受けた被告はこれを尊重しなければならないことについては、いずれも当事者間に争 専門部会を設けることができ、本件原子炉の安全審査に当たつては、第八六部会を設けて調査審議させたこと、原子力委員会の意見を受けた被告はこれを尊重しなければならないことについては、いずれも当事者間に争いがない。なお、右安全審査においては、設置法二条五号の規定及び同法一四条の三第三項において、審査委員は非常勤とされていることから、主として当該原子炉の基本設計の審査がなされることと解され、かつ、その審査の対象事項は、原子炉設置許可処分が申請による許可主義をとつていること六規制法二三条一項)及び規制法二三条二項、規則一条の二に、申請書及びにその添付書類への記載事項が定められていることから推して同各条項により定まるものと解すべきである。二基本法二条違反の主張について基本法は、その名の示すように原子力の研究、開発及び利用全般にわたる法規範として機能しているものの、それぞれの法的規制の具体的内容については、ほとんどすべて他の法律にこれを委ねている。したがつて、基本法が他の法律を通さずに、直接国民の権利、義務に影響を及ぼしたり、国民と国家との間の具体的な法律関係を形成することはないと解される。また、基本法二条所定のいわゆる原子力三原則中「民主の原則」は、主として原子力における平和利用を担保するために、我が国における原子力の研究、開発及び利用は民主的な運営の下に進めなければならないとしているものであり、また、いわゆる「自主の原則」は、我が国における原子力の研究、開発、利用が自主的に進められるべく留意しているものであり、いわゆる「公開の原則」は、平和利用に限られるべき原子力の研究、開発及び利用の推進が、右以外の方向に向けられることを、原子力の研究等に関する成果の公開によつて抑制しようとするものである。換言すれば、いわゆる原子力三原則は原子力の平和利用 れるべき原子力の研究、開発及び利用の推進が、右以外の方向に向けられることを、原子力の研究等に関する成果の公開によつて抑制しようとするものである。 しているものであり、いわゆる「公開の原則」は、平和利用に限られるべき原子力の研究、開発及び利用の推進が、右以外の方向に向けられることを、原子力の研究等に関する成果の公開によつて抑制しようとするものである。換言すれば、いわゆる原子力三原則は原子力の平和利用 れるべき原子力の研究、開発及び利用の推進が、右以外の方向に向けられることを、原子力の研究等に関する成果の公開によつて抑制しようとするものである。換言すれば、いわゆる原子力三原則は原子力の平和利用を担保しようとする原則であるから、この三原則が、原子力の平和利用方法である発電用原子炉の設置許可処分手続を直接規制するものと解することはできない。したがつて、右と異なる見地に立ち、基本法二条に基づき、原子炉設置許可手続においては、原告ら周辺住民に対し、原子炉の安全性に関わる資料を事前にすべて公開すべきこと、原告ら周辺住民に原子炉設置許可手続に参加し得る機会を確保し、かつ、究極的には周辺の全住民の同意を得ること、設置許否の判断は、原子力委員会又は安全審査会の自らの調査、研究あるいは検証に基づく資料等を基礎としてなすべきこと等が原子力委員会に義務づけられているのに、原子力委員会はこれを怠たり違法な手続に基づいて本件原子炉設置許可処分をなした旨の原告らの主張は理由がない。三基本法及び規制法の憲法違反の主張について原告らは、国民の権利を制限し、又は国民に義務を課する法規は国会によつて制定された法律であることが必要であるところ、原子炉はその事故発生の際はもちろんのこと、平常運転時においても多量の放射性物質を周辺環境に放出し、周辺住民の生命、身体、財産等に甚大な損害を与え、もつて国民の権利を侵害するものであるにもかかわらず、原子炉設置許可の要件を定める規制法二四条一項、特にその四号は白地規定に等しいものであり、更に、告示、安全設計審査指針、原子炉立地審査指針、気象手引等の原子炉設置許可処分に際し、審査の基準となるものはいずれもその法的根拠を欠くものであり、したがつて、右規制法等は憲法三一条、四一条、七三条一号に違反する。このような違憲の法規に基づい 針、気象手引等の原子炉設置許可処分に際し、審査の基準となるものはいずれもその法的根拠を欠くものであり、したがつて、右規制法等は憲法三一条、四一条、七三条一号に違反する。このような違憲の法規に基づいてなされた本件許可処分は無効である。 処分に際し、審査の基準となるものはいずれもその法的根拠を欠くものであり、したがつて、右規制法等は憲法三一条、四一条、七三条一号に違反する。このような違憲の法規に基づい 針、気象手引等の原子炉設置許可処分に際し、審査の基準となるものはいずれもその法的根拠を欠くものであり、したがつて、右規制法等は憲法三一条、四一条、七三条一号に違反する。このような違憲の法規に基づいてなされた本件許可処分は無効である。また、原子炉は事故時はもちろん平常運転時においても、その放出する放射性物質によつて原告らの生命、身体、財産等を損傷し、刑事手続における基本的人権の侵害とは比較にならないほどの大量、深刻に基本的人権を否定するものであるから、その設置許可手続については憲法三一条に従い、適正手続を保障し(1)処分庁が当核根拠法規自体においてはもちろん、他の法規との関係でも公正であること(2)原子炉設置予定場所周辺住民の同意を得ること(3)公聴会の開催(4)周辺住民に対する告知、聴聞の機会の設定(5)周辺住民に対し安全審査に関する全資料を公開することが要求されていると考えなければならないのに、基本法及び規制法のどこにもこのような事項が規定されていないから、基本法及び規制法は憲法の要求する適正手続条項に違反する旨主張する。しかしながら、第一に、第三者に危害を及ぼす危険性のある施設等の設置、製造を許可するに当たつて、法律又はその委任する命令に明確な基準を設け、その基準適合性を少数の、しかも必ずしも高度の専門家とはいえないものに判断させる方法をとるか、右のような基準を設けることなく、多数の高度の専門家の判断に委ねる方法をとるかは、当該施設等に基準を定立できるだけの定型性があるか否か、基準を定立することと多数の専門家の判断に委ねるのとでは、いずれが安全性確保の見地から妥当であるか等を総合的に考慮したうえで、立法機関が判断すべき事柄である。したがつて、原子炉設置許可における安全審査のために規制法二四条一項四号掲記のように抽象的な基準が定め が安全性確保の見地から妥当であるか等を総合的に考慮したうえで、立法機関が判断すべき事柄である。したがつて、原子炉設置許可における安全審査のために規制法二四条一項四号掲記のように抽象的な基準が定められているに過ぎなくても、原子炉の安全性審査に右後記の方法をとつた立法機関の判断に特に不合理性の認められない本件では、本件許可処分の根拠となつた右規定等をとらえて、それが憲法三一条、四一条に違反するものとはいえない。 保の見地から妥当であるか等を総合的に考慮したうえで、立法機関が判断すべき事柄である。したがつて、原子炉設置許可における安全審査のために規制法二四条一項四号掲記のように抽象的な基準が定められているに過ぎなくても、原子炉の安全性審査に右後記の方法をとつた立法機関の判断に特に不合理性の認められない本件では、本件許可処分の根拠となつた右規定等をとらえて、それが憲法三一条、四一条に違反するものとはいえない。第二に、第三者に危害を及ぼす危険性のある施設等の設置許可処分手続に、当該施設により被害を受けるかもしれない第三者を関与させるか否か、関与させるとしてどの程度の関与をなさしめるかは、当該行政処分の性質、当該施設の危険性の程度、第三者を手続に関与させることの必要性の程度等を総合的に考慮したうえで、これまた立法機関が判断すべき事柄である。そして、基本法、規制法が原子炉設置許可手続に周辺住民を関与させるべき規定を設けていなくても、右立法機関の判断に特に不合理性の認められない本件では、右規定がないことをもつて、右各法規が憲法三一条に違反するとはいえない。第三に、告示所定の許容被ばく線量が危険なものとはみられないことは後記のとおりである。そして、告示は規則に、規則は規制法及び同法施行令にとそれぞれ根拠を置くものであり、規則は規制法のいわゆる執行命令としての性格を有するものとみられる(告示、規則、規制法施行令の各前文参照)から、告示が法的根拠のないものであるとはいえない。第四に、安全設計審査指針、原子炉立地審査指針、気象手引は、いずれも法規範性をもたないものであることは、その各形式に照らし明らかであり、これらの指針、手引は、原子炉設置許可処分における安全審査に際し、その判断にできる限り安定性と確実性とを持たせようとするものであるに過ぎず、そ たないものであることは、その各形式に照らし明らかであり、これらの指針、手引は、原子炉設置許可処分における安全審査に際し、その判断にできる限り安定性と確実性とを持たせようとするものであるに過ぎず、その法規範性の存在しないことは前記第一の原子炉の安全審査の方法に照らし、憲法三一条、四一条、七三条一号違反の問題の生ずる余地はない。以上の次第で原告らの前記主張はいずれも理由がない。四本件許可処分が規制法に違反するとの主張について 1 原子炉設置許可手続の特殊性から一定の手続が必要である旨の主張について原告らは、原子炉は極めて危険性が多く、原告らの基本的人権を侵害する可能性の多いものであるから、その設置許可処分をなすには、規制法に何らの明文がなくとも、憲法三一条及び基本法の趣旨に照らし(1)原子炉設置予定場所周辺住民の同意を得ること(2)当該原子炉の安全審査に関する全資料を公開すること(3)公聴会を開催すること(4)周辺住民に対する告知、聴聞の機会を設定すること(5)原子力委員会の自主性ある審査(5)他事考慮の排除が解釈上認められるのに、本件原子力発電所の設置許可手続においては、こうした手続が全くなされなかつた違法がある旨主張する。 がなくとも、憲法三一条及び基本法の趣旨に照らし(1)原子炉設置予定場所周辺住民の同意を得ること(2)当該原子炉の安全審査に関する全資料を公開すること(3)公聴会を開催すること(4)周辺住民に対する告知、聴聞の機会を設定すること(5)原子力委員会の自主性ある審査(5)他事考慮の排除が解釈上認められるのに、本件原子力発電所の設置許可手続においては、こうした手続が全くなされなかつた違法がある旨主張する。しかし、規制法の解釈上原告ら主張の(1)ないし(4)の如き手続が原子炉設置許非処分手続上要求されているとみることはできないところである。また、原告は右(5)について、更に、請求の原因第二章の四の2掲記の如く主張するが、右主張がいずれも理由のないことは後記のとおりであり、右(6)については、更に、エネルギーの必要性の見地から安全審査をしているとして、請求の原因の右同項掲記のとおり主張する。しかし、原子炉の安全審査が適正になされる限り、原子炉設置許可処分をなす際に、エネルギー事情を考慮することは何ら差し支えなく、安全 ら安全審査をしているとして、請求の原因の右同項掲記のとおり主張する。しかし、原子炉の安全審査が適正になされる限り、原子炉設置許可処分をなす際に、エネルギー事情を考慮することは何ら差し支えなく、安全審査そのものがエネルギー事情を考慮してずさんになされたことを認めるに足る証拠はないから、原告らの右主張はいずれも理由がない。なお、付言するに、行政処分をなす場合において、当該行政法規が行政処分をなす手続の全部又は一部を定めていない場合に、右手続の規定のない点においていかなる手続をとるかは、行政庁の裁量に委ねられているものと解される。そして、その行政庁である被告において、本件許可処分に当たり、公聴会等を開催する必要を認めなかつたと主張するのであるから、本件許可処分をなすに当たり、被告が原告ら主張の(1)ないし(4)の手続をとらなかつたことについては当事者間に争いがないが、本件原子炉設置許可処分手続には原告ら主張の違法性は存在しない(なお、原子炉の安全性については、本件訴訟記録上明らかなとおり、学界にも意見の対立があり、その結果、原子炉設置予定場所周辺住民の間でも、賛否の意見が鋭く対立することは十分予想されるところである。したがつて、原子炉を設置するに当たつては、その安全性に関する資料をできる限り公開し、公聴会を開催したうえ、憲法、地方自治法等の定めるところに従つて、住民の意見を集約することが望ましい。 張の違法性は存在しない(なお、原子炉の安全性については、本件訴訟記録上明らかなとおり、学界にも意見の対立があり、その結果、原子炉設置予定場所周辺住民の間でも、賛否の意見が鋭く対立することは十分予想されるところである。したがつて、原子炉を設置するに当たつては、その安全性に関する資料をできる限り公開し、公聴会を開催したうえ、憲法、地方自治法等の定めるところに従つて、住民の意見を集約することが望ましい。しかし、本件原子炉の設置に当たつては、公聴会の開催等がなされなかつたことについては当事者間に争いがなく、かつ、原告本人e、同f、同g、同hの各尋問の結果に照らすと、住民の意見を集約すべぎ機関が十分その機能を果たしていたかについて疑問なしとしない。しかしながら、このことは本件許可処分を違法ならしめる理由にはならない。)。したがつて、原告らの右主張は に照らすと、住民の意見を集約すべぎ機関が十分その機能を果たしていたかについて疑問なしとしない。しかしながら、このことは本件許可処分を違法ならしめる理由にはならない。)。したがつて、原告らの右主張は理由がない。2 本件原子炉設置許可手続における個別的瑕疵について(一) 請求の原因第二章の四の3の(一)の、被告から原子力委員会に対する諮問、原子力委員会における事務局からの説明聴取、原子力委員長から安全審査会宛に安全性の検討をなすべき旨の指示がなされたこと、同(二)のうち、安全審査会は原子力委員長よりの指示を受けて、第一〇一回審査会において、本件原子炉の安全性を審査するために第八六部会を設置し、その部会員を選任したこと、その後安全審査会は第一〇七回審査会において、本件安全審査報告書を了承し、原子力委員会に対する右報告書同旨の報告をすることを審議決定するまで約六か月の間に合計七回審査会を開いたこと、右安全審査会の第一〇六回会合(昭和四七年一〇月一一日開催)において、第八六部会から中間報告を受け、第一〇七回会合(同年一一月一七日開催)において、第八六部会からの報告書を審査して了承したこと、審査会には、ほぼ毎回審査委員の代理が出席したこと、第一〇五回審査会では二名の審査委員の代理が出席し、これと会長を除く委員の出席者は一三名であつたこと、第八六部会選任に当たつた第一〇一回審査会における同出席委員は一四名であつたこと、i、j両調査委員の追加指名が第一〇六回会合において了承されたこと、右同(三)のうち、昭和四七年五月一七日付第一回第八六部会における確認内容として、施設関係の審査を担当するAグループ六名(k、l、m、n、o、p)と環境関係の審査を担当するBグループ八名(k、m、q、r、s、t、u、v)とに分かれて調査審議することとし、各委員の特定専門 当たつた第一〇一回審査会における同出席委員は一四名であつたこと、i、j両調査委員の追加指名が第一〇六回会合において了承されたこと、右同(三)のうち、昭和四七年五月一七日付第一回第八六部会における確認内容として、施設関係の審査を担当するAグループ六名(k、l、m、n、o、p)と環境関係の審査を担当するBグループ八名(k、m、q、r、s、t、u、v)とに分かれて調査審議することとし、各委員の特定専門 して、施設関係の審査を担当するAグループ六名(k、l、m、n、o、p)と環境関係の審査を担当するBグループ八名(k、m、q、r、s、t、u、v)とに分かれて調査審議することとし、各委員の特定専門分野についての調査審議、分担を定めたうえ、その各担当委員による調査審議を適宜行うこととされた(なお、k委員は部会長となつた関係で、m委員は耐震工学分野の担当委員となつた関係で、各A・B両グループに属することとされた。)こと、第一回第八六部会には部会員一二名中七名の出席を得たのみであるうえ、q委員においてはその代理としてwを出席させたこと、同部会は爾後の審査について先行炉の審査を参考として調査、審議を進めることを確認したこと、現地調査を除く第八六部会は、昭和四七年五月一七日の第一回第八六部会以降、同年一〇月末日の第七回第八六部会までの毎月一回(同年一〇月のみ二回)の会合が開かれたこと、第一四部会に欠席したq委員は同部会のその後の全会合にも欠席しており、第二、第五及び第六回の各会合においては、wを代理として出席させたがこれが黙過されたこと、その余の委員でも、例えばm委員が計六回、p委員が計五回の欠席をしたこと、Aグループの第三回会合はn委員、Bグループの第一、第四及び第六回会合はいずれもm委員の、各々ただ一名の委員が出席して開かれたこと、各グループ会合のうち一応二名以上の出席が認められるのはAグループの第一回会合(ただし六名中二名欠席)、同第二回会合(同上)の二回と、Bグループの第二回会合(八名中四名欠席)、同第三回会合(同じく二名欠席)、同第五回会合(同上)の三回のみであつたこと、Bグループの一員であるq委員などは右グループ会合にもすべて欠席し、第三回及び第五回Bグループ会合には、代理としてwを出席させ、これが黙過されたこと、第八六部会の議事 同上)の三回のみであつたこと、Bグループの一員であるq委員などは右グループ会合にもすべて欠席し、第三回及び第五回Bグループ会合には、代理としてwを出席させ、これが黙過されたこと、第八六部会の議事録が存在しないことについてはいずれも当事者間に争いがない。 あるq委員などは右グループ会合にもすべて欠席し、第三回及び第五回Bグループ会合には、代理としてwを出席させ、これが黙過されたこと、第八六部会の議事 同上)の三回のみであつたこと、Bグループの一員であるq委員などは右グループ会合にもすべて欠席し、第三回及び第五回Bグループ会合には、代理としてwを出席させ、これが黙過されたこと、第八六部会の議事録が存在しないことについてはいずれも当事者間に争いがない。(二) (1)原告らは、部会については、議事運営上の手続的規定が全く存しないため、部会の審査は恣意的審査がなされやすい状況を生ぜしめ、特に部会員をA・Bグループに分けたうえ、各グループ内の特定専門分野につき、担当委員による個別的審査を適宜行うという個別的分担審議の方法をとつたことは、合議制の長所を失なわせ、委員相互間による審査上の恣意や誤謬の発見、抑制を不充分にさせ、審査をずさんに流れさせる原因を生ぜしめた旨、また、先行炉の審査を参考として調査審議を進めることは、本件原子炉の審査を手抜きにし、形骸化させた旨主張するが、右各主張事実を認めるに足る証拠はなく、却つて、原本の存在並びに成立に争いのない甲第四七号証及び証人x、同n、同oの各証言を総合すれば、部会員間には適宜接触があり、更にA及びBグループの各会合を開いて関連事項を審査、検討し、部会によつて関連事項を審査したこと、先行炉の審査は参考にされたが、その審査後に明らかになつた事項について検討がなされるなど、先行炉の審査結果をそのまま流用したものではないことが認められる。(2) 次に、部会員の代理が許されていないことは、後記審査委員の代理の場合と同様に考えられるが(なお、原子力委員会専門部会運営規程参照)、前顕甲第四七号証によれば、最終報告書の決定の際には、部会員の代理出席者はいなかつたことが認められ右認定に反する証拠はないから、本件部会の最終決議には、部会員の代理が参加した違法はない。なお、右決議に至る過程において、部会員の代理が出 決定の際には、部会員の代理出席者はいなかつたことが認められ右認定に反する証拠はないから、本件部会の最終決議には、部会員の代理が参加した違法はない。なお、右決議に至る過程において、部会員の代理が出席したとしても、原子力委員会専門部会運営規程八条の趣旨及び証人yの証言によれば他の部会員から何ら異議は出なかつたものと認められ、右認定に反する証拠はないことに照らし、右代理出席があつたことが右部会の最終決議を違法ならしめるものとは即断し難い。 なかつたことが認められ右認定に反する証拠はないから、本件部会の最終決議には、部会員の代理が参加した違法はない。なお、右決議に至る過程において、部会員の代理が出席したとしても、原子力委員会専門部会運営規程八条の趣旨及び証人yの証言によれば他の部会員から何ら異議は出なかつたものと認められ、右認定に反する証拠はないことに照らし、右代理出席があつたことが右部会の最終決議を違法ならしめるものとは即断し難い。(3) なお、A・B各グループは部会の調査を効率的に行うための手段として作られたもので、決議機関としての性質をもつものではないから、そのグループ会合における出欠席者の多寡は、その調査審議の手続的違法を構成するものとは必ずしもいえず、これが直ちに調査審議のずさんさを示すものともみられない。これに対し、部会は決議機関としての性格を保持するものの(原子力委員会専門部会運営規程四条参照)、その主たる目的は、やはり専門事項を調査審議することであり(設置法施行令三条一項参照)、その出欠席者の多寡は、議事を開き決議をなす場合を除いては、その手続の違法性の問題とはならないものというべきである(原子力委員会専門部会運営規程参照)。しかして、前顕甲第四七号証によれば、部会において、議事を開き、議決をした場合においては、前記運営規程所定の定足数が確保されていることが認められ、右認定に反する証拠はない。そうすると、前示部会出席者数の点から本件審査手続の瑕疵をいう原告らの主張は理由がない。(4) 前示、第八六部会にA・Bグループが作られた理由から考えて、AグループがECCS検討会と合同して審査会を開いたことは何ら違法不当とはいえ、ないものであり、原子力委員会専門部会運営規程八条の趣旨及び前示i、j両調査委員の後記委嘱行為の効 れた理由から考えて、AグループがECCS検討会と合同して審査会を開いたことは何ら違法不当とはいえ、ないものであり、原子力委員会専門部会運営規程八条の趣旨及び前示i、j両調査委員の後記委嘱行為の効力から考えて、Bグループの第六回会合に、当時まだ正式に調査委員に委嘱されていなかつたi、j両名が参加していたことをもつて、右グループ会合が違法であるということもできない。なお、i調査委員が担当した中央構造線の問題の審査の点については、その調査に重大な違法が存したとの原告らの主張は理由がないものであることは後記(第四の三の2の(二)の(7))のとおりである。 及び前示i、j両調査委員の後記委嘱行為の効力から考えて、Bグループの第六回会合に、当時まだ正式に調査委員に委嘱されていなかつたi、j両名が参加していたことをもつて、右グループ会合が違法であるということもできない。なお、i調査委員が担当した中央構造線の問題の審査の点については、その調査に重大な違法が存したとの原告らの主張は理由がないものであることは後記(第四の三の2の(二)の(7))のとおりである。(5) 第八六部会の議事録が存在しないことをもつて、第八六部会の手続に違法があつたということはできない。けだし、原子力委員会議事運営規則六条が安全審査会の会合に類推される根拠として、安全審査会運営規程一条があるのに対し、原子力委員会専門部会運営規程には同旨の規定が存在しない。このことは、その反対解釈として部会については議事録の作成を不要とする趣旨とみられるからである。(三) (1)次に、審査委員の代理出席の点について検討するに、証人yの証言によれば、代理出席のなされた審査委員は、官公庁の職員であり、代理出席をした者はその部下職員であつて、従来からこのような代理出席は許される慣行となつていたことが認められ、右認定に反する証拠はない。しかしながら、設置法及び原子炉安全専門審査会運営規程(以下安全審査会運営規程という)には、いずれも審査委員の代理を認める趣旨の規定はないこと、原子炉の安全性という高度に専門的な事項の審査には、審査委員の学識経験が重要な要素をなしているものであつて(このことは、審査委員の任命資格の根拠が関係行政機関の職員である場合でも、安全審査に政策的要素を加味すべきでないことから 的な事項の審査には、審査委員の学識経験が重要な要素をなしているものであつて(このことは、審査委員の任命資格の根拠が関係行政機関の職員である場合でも、安全審査に政策的要素を加味すべきでないことから考えれば、別異に解すべき理由はない。)、行政庁内の地位の上下関係をもつて代替することができるとすることの合理性はないことに鑑みると、右代理出席は法の許容するものとはみられない。しかしながら、審査委員の代理出席等があつたことから、直ちに当該審査会の決議が違法となるものとはいえない。すなわち、前記第八六部会を選任した第一〇一回審査会、第八六部会の報告書を了承し、かつ、原子力委員会への報告を決定した第一〇七回審査会に、いずれも審査委員の代理が出席したことは、前記のとおりであるが、いずれも原本の存在並びに成立に争いのない甲第三八号証、第四四号証、証人x、同yの各証言に照らすと、右各審査会は、代理出席者を除いても、いずれも法定の定足数を割ることなく(安全審査会長も審査委員としての資格を有することは、設置法一四条の四により明らかであり、したがつて当然定足数中に含まれると解される。 への報告を決定した第一〇七回審査会に、いずれも審査委員の代理が出席したことは、前記のとおりであるが、いずれも原本の存在並びに成立に争いのない甲第三八号証、第四四号証、証人x、同yの各証言に照らすと、右各審査会は、代理出席者を除いても、いずれも法定の定足数を割ることなく(安全審査会長も審査委員としての資格を有することは、設置法一四条の四により明らかであり、したがつて当然定足数中に含まれると解される。)、かつ、前記各決議をなすについて、異議、反対者はいなかつたことが認められ、右認定を左右するに足る証拠はないから、代理出席者が右決議に参加したことが、右決議の結果に影響を与えたとは認め難く、ひいては右各決議が違法となるものではない。なお、右認定の審査会を除くその余の定足数割れ又は代理出席者の参加の下になされた審査会の会合は、後記認定事実によれば、いずれも、審査経過の報告等がなされたに過ぎず、これが第一〇七回審査会の決議の結果に影響を与えたものとは認め難い。(2) 原告らは、審査会における審査手続は極めて形式的になされ、本件安全審査は第八六部会委員によつてなされたに等しい旨、また ず、これが第一〇七回審査会の決議の結果に影響を与えたものとは認め難い。(2) 原告らは、審査会における審査手続は極めて形式的になされ、本件安全審査は第八六部会委員によつてなされたに等しい旨、また、審査会から同部会への格別な指示等はなされず、すべて部会任せの審査がなされた旨主張する。なる程、いずれも原本の存在並びに成立に争いのない甲第四三、四四号証によれば、第一〇六、一〇七回審査会においては比較的短時間のうちに多数の案件が処理されていることは認められるが、このことから右各審査会の審議が形式的になされ、本件原子炉の安全審査は第八六部会委員によつてなされたに等しいとは認め難いのみならず、却つて右同証拠によれば、右各審査会における審議は、安全審査委員によつて必要と認められる審査がなされたことが推認され、また、前顕甲第四七号証、いずれも原本の存在並びに成立に争いのない同第四〇号証、第四二号証によれば、第八六部会から第一〇三回、第一〇五回等の各審査会に対して、適宜審査経過の報告がなされたことが認められる。(3) 証人yの証言によれば、i、j両調査委員の委嘱について、審査会に図つた趣旨は、右両名を委嘱するために、安全審査会運営規程八条による審査会の諮問が必要であつたためであること、右両名の調査委員委嘱辞令は、右両名が事実上調査委員として執務する以前の昭和四七年八月に準備されていたが、事務上のミスで決済が遅れたこと、そして、同年九月一八日頃委嘱手続がとられたことがいずれも認められ、右認定に反する証拠はない。 証人yの証言によれば、i、j両調査委員の委嘱について、審査会に図つた趣旨は、右両名を委嘱するために、安全審査会運営規程八条による審査会の諮問が必要であつたためであること、右両名の調査委員委嘱辞令は、右両名が事実上調査委員として執務する以前の昭和四七年八月に準備されていたが、事務上のミスで決済が遅れたこと、そして、同年九月一八日頃委嘱手続がとられたことがいずれも認められ、右認定に反する証拠はない。そうだとすると、i、j両名を調査委員に委嘱するに当たり、審査会の諮問を得ることは、両名の委嘱行為の重要な部会を構成するものでなく、したがつて、右諮問がなされる前に右両名がなした行為は、瑕疵あるものとはみられないのみならず、右両名の追加指名を了承 当たり、審査会の諮問を得ることは、両名の委嘱行為の重要な部会を構成するものでなく、したがつて、右諮問がなされる前に右両名がなした行為は、瑕疵あるものとはみられないのみならず、右両名の追加指名を了承することが審査会において決定された以上、右両名の委嘱については何等違法はないものというべきである。(4) 原告らは、本件原子炉の立地条件審査上、早期に最も重点的、かつ、慎重に、取り組まれねばならなかつた地盤、地震関係分野の審査手続については、当初これを専任担当すべく選任されたq審査委員が、全く審査に関与しなかつたため、ようやく部会審査終了の一か月前に、i、j両委員をその公正に多大の疑義ある選任手続の下に追加指名したところ、その後はなんらの現地調査もなされず、右両名のうち、i委員のみが二回の部会審査に参加したのみで、わずか一か月後に部会報告がまとめられ、最終決定をしたものであつて、右手続的瑕疵は極めて重大である。しかも、q委員に、選任当初から部会審査活動をなし得ない特段の事情が存したというのであれば、第一〇一回審査会における委員選任手続上の不注意として責められるべきものであり、他方、かかる不都合が判明した段階において、直ちに同委員を解任した上、新らたな審査委員ないしは調査委員を早期に選定すべきであり、また、i、j両調査委員についても、審査会において正式に選任手続をした上で、慎重、かつ、責任ある現地調査を実施せしめ、部会審査の適正を期すべきである。しかるにこれをしないで前記主張の如く恣意的な手続を進めたのは、審査会ひいては原子力委員会自体が本件原子炉設置許可基準適合性の意見答申をなすべきことに強い先入観をもち、答申を急いだことによるものである旨主張する。 ないしは調査委員を早期に選定すべきであり、また、i、j両調査委員についても、審査会において正式に選任手続をした上で、慎重、かつ、責任ある現地調査を実施せしめ、部会審査の適正を期すべきである。しかるにこれをしないで前記主張の如く恣意的な手続を進めたのは、審査会ひいては原子力委員会自体が本件原子炉設置許可基準適合性の意見答申をなすべきことに強い先入観をもち、答申を急いだことによるものである旨主張する。確かに、前記q委員の審査会への出席状況、i、j両名を調査委員に選任した時期、その選任手続等 置許可基準適合性の意見答申をなすべきことに強い先入観をもち、答申を急いだことによるものである旨主張する。確かに、前記q委員の審査会への出席状況、i、j両名を調査委員に選任した時期、その選任手続等を総合すると、原告ら主張の如く審査会において答申を急いだ点がうかがえなくもないが、このことが安全審査会ひいては原子力委員会が本件原子炉の設置許可基準適合性の意見答申をなすことについて強い先入観を持つていたことによるものであるとは即断できず、他に右主張事実を認めるに足る的確な証拠はない。(5) 証人xの証言によれば、本件原子炉の安全審査の段階では、美浜一号炉の蒸気発生器細管の漏洩の原因はまだ十分判明していなかつたこと、しかしながら細管の構造上、蒸気泡の発生離脱が適切でないということと、水処理の問題が適正でないということの二つが主記原因であることの判断はなされていたこと、そして、本件安全審査においては、右二つの原因を考慮して審査がなされたこと、審査会としては、美浜一号炉の蒸気発生器細管の欠陥の問題は大きな原子炉事故に結びつくものではないと判断したこと、基本設計を審査する安全審査会としては右の判断で足りると考え、将来の建設までの段階に十分に調査して慎重を期すべきことを工事計画等の認可をする通産省に申し送つたことがいずれも認められる。一方、当事者間に争いのない美浜一号炉における蒸気発生器細管事故の発生の事実及び前顕甲第四七号証により、第八六部会が一次冷却系統について審議したのは、美浜一号炉の事故発生後一三日目であることが推認されること、なお、本訴における文書提出命令の結果によれば、参考資料、報告資料中には美浜一号炉の事故についての資料が存在しなかつたことは当裁判所に職務上明らかなところであるが、以上をもつても前示認定を左右するに足らず、他に前示認定 い美浜一号炉における蒸気発生器細管事故の発生の事実及び前顕甲第四七号証により、第八六部会が一次冷却系統について審議したのは、美浜一号炉の事故発生後一三日目であることが推認されること、なお、本訴における文書提出命令の結果によれば、参考資料、報告資料中には美浜一号炉の事故についての資料が存在しなかつたことは当裁判所に職務上明らかなところであるが、以上をもつても前示認定を左右するに足らず、他に前示認定 書提出命令の結果によれば、参考資料、報告資料中には美浜一号炉の事故についての資料が存在しなかつたことは当裁判所に職務上明らかなところであるが、以上をもつても前示認定を左右するに足らず、他に前示認定を左右するに足る証拠はない。しかして、美浜一号炉で発生したのと同種の蒸気発生器細管事故により、原子力発電所周辺住民に未だかつて被害を及ぼしたことのないことについては、当事者間に争いがない。したがつて、本件原子炉の基本設計を審査すべき安全審査会において、美浜一号炉の蒸気発生器細管事故を、前記認定の程度にしか参考としなかつたことをもつて、原告ら主張の如くそれが違法であるとはいえない。(6) 本件原子炉用淡水を<地名略>から取水するということで本件許可申請がなされ、本件安全審査においてもこの点についても相当とする判断がなされたこと、その後右計画は変更され、<地名略>からの取水は取り止めになつたことは、いずれも当事者間に争いがない。したがつて、仮に右<地名略>からの取水を認めた点に手続的瑕疵があつたとしても右瑕疵は治癒したものとみられる。(7) 前顕甲第三八号証、第四〇号証、第四二ないし第四四号証、いずれも原本の存在並びに成立に争いのない同第三九号証、第四一号証によれば、審査会の議事録には議事の概要が記載されているのみで、具体的な審査の状況、経過は記載されていないことが認められ、右認定に反する証拠はない。しかしながら、右議事録作成について類推される原子力委員会議事運営規則六条一項にも、議事経過の要点を摘録して作成すべきことが規定されているにすぎないから、右審査会議事録は、原告らの主張するが如き違法又は不当なものとはみられない。(四) 原子力委員会の事務局でもある科学技術庁原子力局が原告ら地元住民の原子炉設置反対意見を聴取し、更に、その主張す ら、右審査会議事録は、原告らの主張するが如き違法又は不当なものとはみられない。 作成について類推される原子力委員会議事運営規則六条一項にも、議事経過の要点を摘録して作成すべきことが規定されているにすぎないから、右審査会議事録は、原告らの主張するが如き違法又は不当なものとはみられない。(四) 原子力委員会の事務局でもある科学技術庁原子力局が原告ら地元住民の原子炉設置反対意見を聴取し、更に、その主張す ら、右審査会議事録は、原告らの主張するが如き違法又は不当なものとはみられない。(四) 原子力委員会の事務局でもある科学技術庁原子力局が原告ら地元住民の原子炉設置反対意見を聴取し、更に、その主張する用地問題、漁業問題、関係地方公共団体の決議の当否についての事情調査をしなかつたことについては当事者間に争いがないが、原子力委員会事務局には、原告ら地元住民の原子炉設置反対意見を聴取すべき義務及び原告らのいう不当性があるとの.問題について、これを調査し、原子力委員会に報告しなければならない義務はいずれも存在しないから、原子力委員会事務局において、右所為に及ばなかつたことは、何ら本件許可処分手続の違法事由にはならない。また、原子力委員会事務局が、原子力委員会に対し、本件原子炉設置反対運動等についての一般的事情に関する一面的な報告をし、同委員会の判断に、不当な影響を与えた旨の原告らの主張事実は、これを認めるに足る証拠がない。(五) 昭和四七年二月、被告において電源開発調整審議会の議を経て、伊方原子力発電所一号機の建設を電源開発基本計画に組み入れることを決定済であること、第八六部会の調査審議は、昭和四七年五月一日の第一〇一回審査会の決定に基づくとして、すべて通産省技術顧問会と合同で実施され、右合同審査がなされなかつたのは、同年九月二九日の会合だけであつたこと、第八六部会委員中、審査委員九名全員が右顧問会委員を兼任していること、原子力委員会及び安全審査会が、独自の事務局を持たず、原子力行政の実施担当機関である科学技術庁原子力局がすべてその事務を統轄していることについてはいずれも当事者間に争いがない。(1) 原告らは、電源すなわち原子力発電所を含めた発電所の設置を促進することを図る電源開発促進法に基づき、電源開発調整審議会の長となつて、伊方原子力発 ことについてはいずれも当事者間に争いがない。(1) 原告らは、電源すなわち原子力発電所を含めた発電所の設置を促進することを図る電源開発促進法に基づき、電源開発調整審議会の長となつて、伊方原子力発電所を設置するとの計画を承認した被告が、その計画に基づいて申請された本件許可申請の処分庁として、否と答えるはずがない。 促進することを図る電源開発促進法に基づき、電源開発調整審議会の長となつて、伊方原子力発 ことについてはいずれも当事者間に争いがない。(1) 原告らは、電源すなわち原子力発電所を含めた発電所の設置を促進することを図る電源開発促進法に基づき、電源開発調整審議会の長となつて、伊方原子力発電所を設置するとの計画を承認した被告が、その計画に基づいて申請された本件許可申請の処分庁として、否と答えるはずがない。このことは、規制法二四条二項において、被告が原子炉の設置許可をする場合に、原子力委員会の意見を聞き、これを尊重しなければならないと規定していても、原子力委員会も被告機関であるから変わるものではない。電源開発促進法により原子力発電所の設置を促進する立場にある被告が、規制法により原子炉の設置許可を与える行政庁となつていることは誰が考えても不公正、不合理である旨主張する。しかしながら、法律制度上、発電用原子炉を設置するには、水力、火力発電所と同様、まず電源開発促進法に基づいて、内閣総理大臣の策定する電源開発基本計画に組み入れることが必要とされている。この電源開発基本計画は、内閣総理大臣が、国土の総合的な開発、利用及び保全、電力の需給その他電源開発の円滑な実施を図るという広い観点から自然的及び社会的諸条件を総合的に考慮して立案し、決定されることとなつている(電源開発促進法三条一項参照)。そして、発電所の設置は右の基本計画に組み入れられても、更に、これとは異なる観点からの、各種の関係法令に基づく審査を経なければ、具体的な設置は許されない。発電用原子炉についていえば、原子炉施設としては、規制法に基づく規制を受け、他方、発電用施設としては電気事業法による規制を受ける。しかも、電源開発基本計画の策定と個々の原子炉の具体的な設置許可とは、それぞれ全く異なる目的と、異なる法令上の根拠、要件とをもち、それぞれ別個の観点から決定されるものである。による規制を受ける。しかも、電源開発基本計画の策定と個々の原子炉の具体的な設置許可とは、それぞれ全く異なる目的と、異なる法令上の根拠、要件とをもち、それぞれ別個の観点から決定されるものである。更に、被告に対し意見を答申する原子力委員会の委員の任免及びその服務については、厳格な規制がなされており(設置法八条ないし一〇条、一三、一四条)、また、安全審査会委員、部会員の資格も法定されている。 ものである。による規制を受ける。しかも、電源開発基本計画の策定と個々の原子炉の具体的な設置許可とは、それぞれ全く異なる目的と、異なる法令上の根拠、要件とをもち、それぞれ別個の観点から決定されるものである。更に、被告に対し意見を答申する原子力委員会の委員の任免及びその服務については、厳格な規制がなされており(設置法八条ないし一〇条、一三、一四条)、また、安全審査会委員、部会員の資格も法定されている。したがつて、被告が、電源開発調整審議会の長となつて、本件原子力発電所の設置計画を承認したことと、規制法二四条二項に基づいて本件原子炉の設置許可をしたことは、必ずしも不公正、不合理であるとはみられず、問題は原子炉の安全性を確保できるか否かの審査が、真に公正になされたか否かということのみにかかる。原告らの前記主張は理由がないというほかはない。なお、右に関連して、原告らは、原子力委員会は、単に原子炉設置許可処分について権威づけのためだけの存在に過ぎず、安全審査会も、第八六部会の委員も、すべて原子炉の安全性の審査を片手間にしているもので、実質は科学技術庁の役人が主導権をもつた官僚による審査である旨主張するけれども、右主張事実を認めるに足る証拠はない。(2) 次に、原告らは、安全審査会委員には、内閣総理大臣と立場を同じくする通産省の技術顧問会委員との兼任者が多数を占め、また第八六部会が、右顧問会と合同審査をしたことは、審査会、、第八六部会の中立性、独立性を失わしめるものであつて、かかる合同審査を許容する法的根拠及び合理性は皆無であり、かつ、第一〇一回審査会において、右合同審査をするについての決議はなされていないし、また、かかる決議自体が違法である旨主張する。しかしながら、証人xの証言及び弁論の全趣旨によれば次の事実を認めることができる。すなわち、通産大臣は 右合同審査をするについての決議はなされていないし、また、かかる決議自体が違法である旨主張する。しかしながら、証人xの証言及び弁論の全趣旨によれば次の事実を認めることができる。すなわち、通産大臣は、原子力発電に係る電気工作物の変更許可をなすに当たり、その設備の安全性について、必要に応じ、右顧問会の意見を聴いて審査する。内閣総理大臣は規制法に基づき、通産大臣は電気事業法に基づき、それぞれ発電用原子炉に関する各々の行政事務を行う。この場合、内閣総理大臣は原子炉の「規制」のみを行い、通産大臣はその開発の「促進」のみを行つているというように、両者の立場に全く共通するするところがないということではなく、通産大臣の審査事項のうち、発電用原子炉の設備の安全性に係るものは、原子炉の安全性と密接不可分のものであるから(例えば、発電用原子力設備に関する技術基準参照)、本来、両者の判断が区々になることは考えられない。 る各々の行政事務を行う。この場合、内閣総理大臣は原子炉の「規制」のみを行い、通産大臣はその開発の「促進」のみを行つているというように、両者の立場に全く共通するするところがないということではなく、通産大臣の審査事項のうち、発電用原子炉の設備の安全性に係るものは、原子炉の安全性と密接不可分のものであるから(例えば、発電用原子力設備に関する技術基準参照)、本来、両者の判断が区々になることは考えられない。したがつて、安全審査会又は第八六部会と通通産省技術顧問会とが、合同審査を行い、又は委員の兼任を認めることは、むしろ審査を効率的ならしめるのであり、しかも両者の判断が不当に影響し合うというようなことはない。以上のとおり認められ、右認定に反する証拠はない。したがつて、前記委員の兼任又は合同審査が安全審査の主体性、独立性を損なう違法なものとは認められない。なお、証人yの証言によれば、第八六部会と通産省技術顧問会とが合同審査をすることについては、従来から暗黙の了解があつたことが認められるので、前顕甲第三八号証には、右合同審査をなすことについて、決議がなされた旨の記載はないが、このことは本件審査手続を違法ならしめる瑕疵とはならない。(3) 原告らは、更に、、原子力委員会及び安全審査会が独自の事務局を持たず、原子力行政の実施担当機関である科学技術庁原子力 の記載はないが、このことは本件審査手続を違法ならしめる瑕疵とはならない。(3) 原告らは、更に、、原子力委員会及び安全審査会が独自の事務局を持たず、原子力行政の実施担当機関である科学技術庁原子力局がすべてその事務を統轄しているため、審査の全過程において、事実上、同庁行政官僚の強い影響を受ける体制となつている。特に、科学技術庁が一貫して原子炉設置推進の考えを有してきたこと、及び科学技術庁長官が原子力委員長でもある事情とあいまつて、同庁が原子力委員に対しても、事実上の強い影響力を与えてきたことが看取される。こうした欠陥ある体制の下でなされた本件安全審査は、主体性、独立性(ないし中立性)を喪失しているものとみられる旨主張する。しかしながら、事務局の独自性のないことから、原子力委員会ないしは安全審査会、部会が他機関等から不当な影響を受けたと即断はできない。もちろん、このことは基本法二条所定の自主の原則とも直接関係しない。更に、現在の法律制度上においては、例えば原子力委員会及び安全審査会がすべて原子力の積極的利用に賛意を有する者から構成されていても、そのことが原子炉設置許可手続の不公正につながるということもできない。 する。しかしながら、事務局の独自性のないことから、原子力委員会ないしは安全審査会、部会が他機関等から不当な影響を受けたと即断はできない。もちろん、このことは基本法二条所定の自主の原則とも直接関係しない。更に、現在の法律制度上においては、例えば原子力委員会及び安全審査会がすべて原子力の積極的利用に賛意を有する者から構成されていても、そのことが原子炉設置許可手続の不公正につながるということもできない。けだし、原子炉設置許可という制度自体、原子力の利用を前提とするものであるからである。要は、前記のとおり正当な判断が担保される手続がとられているかどうかの問題である。したがつて、原告らの右各主張も理由がない。(六) その他請求の原因第二章の四の3掲記の如く原告らは本件許可処分に違法不当ありとして種々の主張をするけれども、これらの主張は、いずれも本件許可処分手続の違法事由に当たらないものである。また、原告らの前記(一)ないし(四)の主張事実及び右の原告らのその余の主張事実が仮に存在するとし、かつ、これらの事実を総合しても、原子力委 ずれも本件許可処分手続の違法事由に当たらないものである。また、原告らの前記(一)ないし(四)の主張事実及び右の原告らのその余の主張事実が仮に存在するとし、かつ、これらの事実を総合しても、原子力委員会、安全審査会及び第八六部会において、基本法二条に反してその自主性を失い、本件原子炉を設置することを当然のことと前提し、形式的な審査をなしたものと認めることはできないし、また、前記原告ら主張事実が設置法に違反しているとみることもできない。したがつて、本件設置許可手続が、基本法二条、設置法に違反し、規制法二四条二項の原子力委員会の意見答申が、適法に行われなかつた旨の原告らの主張は理由がない。五手続的実質審理上の違法││安全評価過程における適正手続保障義務違反の主張について(一)原告らは、規制法一条の目的規定と、これに応じた必要な規制を具体的に実現すべき権限が、設置法二条、五条により、原子力委員会に与えられていることに照らし、原子力委員会は、原子炉による重大な災害の危険から国民の基本的人権を護るために、原子炉設置許可手続においては、右設置法で与えられた権限を積極的に行使し、公正かつ適正な安全審査を尽くすべき義務があるとし、右義務の具体的内容として請求の原因第二章の五の1の(一)掲記のとおり主張する。 定と、これに応じた必要な規制を具体的に実現すべき権限が、設置法二条、五条により、原子力委員会に与えられていることに照らし、原子力委員会は、原子炉による重大な災害の危険から国民の基本的人権を護るために、原子炉設置許可手続においては、右設置法で与えられた権限を積極的に行使し、公正かつ適正な安全審査を尽くすべき義務があるとし、右義務の具体的内容として請求の原因第二章の五の1の(一)掲記のとおり主張する。(二) よつて按ずるに、まず、原子炉の安全性の問題は、すべて原子炉設置許可処分の際に判断されるものではなく、細部にわたる具体的ないし実際上の技術的事項については、後続する原子炉施設に関する設計及び工事の方法についての認可(規制法二七条、電気事業法四一条)、原子炉施設の工事及び性能についての使用前検査(規制法二八条、電気事業法四三条)等の一連の規制手段があり、原子炉設置許可処分における安全性に関する審査は当該原子炉の基本的設計方針ないしは基本計画に 原子炉施設の工事及び性能についての使用前検査(規制法二八条、電気事業法四三条)等の一連の規制手段があり、原子炉設置許可処分における安全性に関する審査は当該原子炉の基本的設計方針ないしは基本計画において、十分安全性が確保されるものかどうかを確認すれば足りると解される。そして、原子炉の実際の面における安全性の確保は、直接原子炉を設置、運転する原子炉設置者が、第一次的にその責を果すべきものであるから、審査会の安全審査は、申請者の提出する資料に基づいて、当該原子炉の安全性確保のための申請者の設計及び考え方につき、それらが適切であるか否かを確認するという形のものになる。したがつて、原子炉の安全審査において、原子力委員会又は審査会自らが資料を収集し、調査研究した上で、その安全性を確認しなければならないものではない。(三) 安全審査は、右のような形で行われるのであるから、当然それは原子力発電等に関する既存の知識、知見を基本として行われる。なお、証人yの証言によれば、申請者が過去の技術でとらえられない全く新しい技術に基づく原子炉について申請した場合には、通常、その技術の安全性がほかの場において確認ないし実証されない限り、審査会が申請者の提出する資料のみに基づいてその安全性に対する結論を示すことはないことが認められ、右認定に反する証拠はない。そうだとすると、審査会は原子炉の技術に関して自らが研究ないし実験をする必要はなく、また、設置法の解釈上も審査会にそのような任務は与えられていないものとみられる。 新しい技術に基づく原子炉について申請した場合には、通常、その技術の安全性がほかの場において確認ないし実証されない限り、審査会が申請者の提出する資料のみに基づいてその安全性に対する結論を示すことはないことが認められ、右認定に反する証拠はない。そうだとすると、審査会は原子炉の技術に関して自らが研究ないし実験をする必要はなく、また、設置法の解釈上も審査会にそのような任務は与えられていないものとみられる。(四) なお、我が国において設置されるほとんどの原子炉が、燃料として濃縮ウランを使用し、冷却材及び減速材として軽水を使用する、いわゆる「アメリカ型」といわれるものであること、その結果、その安全性を判断する資料・データの多くをアメリカに求めることはやむ 、燃料として濃縮ウランを使用し、冷却材及び減速材として軽水を使用する、いわゆる「アメリカ型」といわれるものであること、その結果、その安全性を判断する資料・データの多くをアメリカに求めることはやむを得ないことについては、当事者間に争いがない。しかし、アメリカの資料・データに基づいて安全審査がなされていることの一事によつて、安全審査の自主性を損なつたり、形骸化をもたらしたりしているとは即断できないところであり、審査会の各委員が自らの意見と判断に基づかず、アメリカの資料を鵜呑みにして安全審査をしていることを認めるに足る証拠はない。のみならず、証人x、同n、同oの各証言によれば、我が国の安全審査はアメリカの資料・データのみに依存しているわけではなく、同国以外の外国及び我が国自身における経験や研究成果も活用されていること、アメリカのものを含め、これらの資料・データについて、各委員が自らの専門的な知識経験に基づき、これを評価するばかりではなく、必要に応じてその解析のやり直しを行うなどしていることが認められ、右認定を覆えすに足る証拠はない。したがつて、アメリカの資料・データを安全審査に活用していても、その判断の自主性は確保されているものということができる。(五) 安全審査に当たり、原子炉設置に反対する原告ら地元住民や、右設置に批判的な技術者、研究者等の反対意見を十分調査は握し、これを採用せぬ場合には科学的、合理的理由と実験的根拠を明示すべきである旨の原告らの主張にはその法的根拠がない。なお、請求の原因第二章の五の2掲記の<地名略>からの取水、事務局からの事情聴取、電源開発基本計画の先行が、本件安全審査手続の瑕疵となるものでないことは前記のとおりである。 ) 安全審査に当たり、原子炉設置に反対する原告ら地元住民や、右設置に批判的な技術者、研究者等の反対意見を十分調査は握し、これを採用せぬ場合には科学的、合理的理由と実験的根拠を明示すべきである旨の原告らの主張にはその法的根拠がない。なお、請求の原因第二章の五の2掲記の<地名略>からの取水、事務局からの事情聴取、電源開発基本計画の先行が、本件安全審査手続の瑕疵となるものでないことは前記のとおりである。その他本件安全審査において恣意的評価がなされ、また過誤があつた旨の主張事実を認めるに足る証拠 の事情聴取、電源開発基本計画の先行が、本件安全審査手続の瑕疵となるものでないことは前記のとおりである。その他本件安全審査において恣意的評価がなされ、また過誤があつた旨の主張事実を認めるに足る証拠はない。(六) 以上により、原子力委員会は本件安全審査において、規制法一条、設置法二条、五条に違反し、その結果、本件安全評価過程には実質審査上の瑕疵がある旨の原告らの主張は理由がない。六本件許可処分が裁量行為である旨の主張について原子炉の安全審査については、高度の専門的知識を必要とすること、他方、原子炉に事故が発生した場合には周辺住民の生命、身体等が損傷されることから、原子炉設置許可処分が、周辺住民との関係で、被告の裁量処分であるか否かが問題となる。よつて按ずるに、原子炉の事故等から周辺住民の安全を確保するために、その安全保護施設のすべてについて、完全ともいうべき実験、実証を経たうえ、危険が全く存在しないとみられるに至つた段階で、はじめて原子炉の建設を認めるべきだとする見解は、後記原子炉の最悪の事故発生の際における被害の甚大性に鑑み、望ましい方法ではあるが、規制法二三条、二四条、設置法二条五号、一四条の二以下の規定によれば、右各法規所定の手続によつて、規制法二四条一項の要件が充たされるとの判断が得られたならば、原子炉の設置を許可する趣旨であることは明らかであり、なお、右各法条、更に規制法二七条以下の諸規定の趣旨と、弁論の全趣旨を併せ考えるならば、原子炉の安全保護施設の効力について、現在の科学的見地から相当と認められる程度の実験、実証を経て、周辺住民等に被害を及ぼすことはないとの結論を得た段階で、原子炉の設置を許し、ただ、その建設、運転について厳重な規制を加え、異常な状態が発見された場合には、直ちにその運転停止等所要の措置を構するという とは明らかであり、なお、右各法条、更に規制法二七条以下の諸規定の趣旨と、弁論の全趣旨を併せ考えるならば、原子炉の安全保護施設の効力について、現在の科学的見地から相当と認められる程度の実験、実証を経て、周辺住民等に被害を及ぼすことはないとの結論を得た段階で、原子炉の設置を許し、ただ、その建設、運転について厳重な規制を加え、異常な状態が発見された場合には、直ちにその運転停止等所要の措置を構するという 住民等に被害を及ぼすことはないとの結論を得た段階で、原子炉の設置を許し、ただ、その建設、運転について厳重な規制を加え、異常な状態が発見された場合には、直ちにその運転停止等所要の措置を構するという方法が許されているものと解される。原告らは、原子炉のような危険性の大きい、かつ未知の部分の多い技術については、右後者の如き方法をとることは、原告らの周辺住民の生命、身体等を侵害する蓋然性が極めて高いから許されない旨主張し、証人c、同z、同p1も右主張に添う証言をするけれども、証人x、同nの各証言及び弁論の全趣旨によれば、現在の原子炉はその安全性が十分確保されているとする専門学者、持術者も多数存在することが認められるから、右原告らの主張に添う証拠は直ちに採用できない。なお、右原告らの主張は設置法、規制法の解釈と相容れないものであることは明らかであり、したがつて、当裁判所のとり得ないところである。これを要するに、規制法二四条は、原子炉設置許可処分は、周辺住民との関係においても、その安全性の判断に特に高度の科学的、専門的知識を要するとの観点及び被告の高度の政策的判断に密接に関連するところから、これを被告の裁量処分とするとともに、慎重な専門的、技術的審査によつて、一定の基準に適合していると認めるときでなければ、その設置許可をすることができないとして、被告の裁量権の行使に制約を加えているものと解すべきである。なお、付言するに、以上のことは、当然に右許可処分の違法を主張する者が、当該原子炉の危険性、換言すれば、その安全に関する判断の不相当性を立証すべきであるとの結論を導くものではない。けだし、被告は当該原子炉の安全審査資料をすべて保持しており、かつ、安全審査に関わつた多数の専門家を擁しているが、右許可処分の違法性を主張する原告らは、安全審査資料のすべて の結論を導くものではない。けだし、被告は当該原子炉の安全審査資料をすべて保持しており、かつ、安全審査に関わつた多数の専門家を擁しているが、右許可処分の違法性を主張する原告らは、安全審査資料のすべてを入手できることの保証はなく、また、その専門的知識においても、被告側に比べてはるかに劣る場合が普通である。 に関わつた多数の専門家を擁しているが、右許可処分の違法性を主張する原告らは、安全審査資料のすべて の結論を導くものではない。けだし、被告は当該原子炉の安全審査資料をすべて保持しており、かつ、安全審査に関わつた多数の専門家を擁しているが、右許可処分の違法性を主張する原告らは、安全審査資料のすべてを入手できることの保証はなく、また、その専門的知識においても、被告側に比べてはるかに劣る場合が普通である。したがつて、公平の見地から、当該原子炉が安全であると判断したことに相当性のあることは、原則として、被告の立証すべき事項であると考える。第三平常時被ばくの危険性について一許容被ばく線量の危険性の主張について(一) 放射線が与える障害と放射線量との関係について、昭和三五年(一九六〇年)ころまでは「一〇〇レムを超えると人体に影響を及ぼす」と考えるのが通説であつたこと、昭和三〇年(一九五〇年)代にマウスを用いた実験により、数十ラドから数百ラド程度までの放射線量と遺伝的効果との間に、また、昭和三六年(一九六一年)にシヨウジヨウバエを用いた実験により、五ラドから数千ラド程度までの放射線量と遺伝的効果との間に、いずれもほぼ直線関係が成立するとの報告がなされたこと、また、ムラサキツユクサのおしべの毛に対する二五〇ミリラドのエツクス線や一〇ミリラドの中性子線の人口照射によつて、その体細胞における突然変異が有意に増加するという報告が公表されていることについては、いずれも当事者間に争いがなく、成立に争いのない甲第三五号証、第六四号証、第六六号証、第一〇一号証、第一〇四号証、第一〇七号証、第二六六号証、証人aの証言により真正に成立したものと認める同第六五号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第六七号証並びに同証人の証言及び弁論の全趣旨を総合すれば、(1)放射線が体細胞(生殖細胞又はその原基細胞以外の細胞)に与える障害に起因する身体的障害に 論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第六七号証並びに同証人の証言及び弁論の全趣旨を総合すれば、(1)放射線が体細胞(生殖細胞又はその原基細胞以外の細胞)に与える障害に起因する身体的障害には、放射線被ばく後短時間で現われる急性障害と、数か月ないし数十年を経過して現われる晩発性障害とがあること、人類を含む哺乳動物で見られる急性障害には、(7)けいれん、運動失調等の神経系の障害、(イ)骨髄の新生能力喪失、白血球減少等の造血系の障害、(ウ)食欲不振、消化不良、下痢、腸内出血等の消化器系の障害、(エ)脱毛、紅紫斑、皮膚剥離、水疱、皮膚炎、色素沈着等の皮膚の障害、(オ)結膜や鼻腔粘膜等の粘膜の炎症、(カ)血管内膜損傷並びに出血、(キ)放射線肺炎、(ク)精子減少、排卵異常、流産等の生殖器障害等があること、晩発性障害としては、(ア)慢性白血球減少症、(イ)白血病、(ウ)さまざまな悪性ガン(エ)白内障、(オ)寿命短縮等があること(急性障害として、下痢、白血球減少、脱毛、水疱等を生じ、多量に被ばくしたときには死亡に至ること、晩発性障害として、白血病その他のガン、白内障等があることについては当事者間に争いがない。 膜損傷並びに出血、(キ)放射線肺炎、(ク)精子減少、排卵異常、流産等の生殖器障害等があること、晩発性障害としては、(ア)慢性白血球減少症、(イ)白血病、(ウ)さまざまな悪性ガン(エ)白内障、(オ)寿命短縮等があること(急性障害として、下痢、白血球減少、脱毛、水疱等を生じ、多量に被ばくしたときには死亡に至ること、晩発性障害として、白血病その他のガン、白内障等があることについては当事者間に争いがない。)、遺伝的障害としては、(ア)胎内致死(死産)、(イ)幼児期致死、(ウ)異常形態(いわゆる奇形)、(エ)機能障害、(オ)不妊、(カ)精神病、(キ)生命や健康維持に直接関係しない形態、色、数量等の変化をもたらす突然変異等があること、(2)ムラサキツユクサのおしべの毛を実験材料に用いると、個々の細胞に与えられた放射線の影響を、それぞれの細胞家系(一連の子孫細胞)において、直接的にしかも隠されることなく検出でき、また、障害の発生時期も知ることができるが、特に花色(おしべの毛色も同じ)について遺伝子型がヘテロ(青/ピンク、青が優性形質)のものを用 の子孫細胞)において、直接的にしかも隠されることなく検出でき、また、障害の発生時期も知ることができるが、特に花色(おしべの毛色も同じ)について遺伝子型がヘテロ(青/ピンク、青が優性形質)のものを用いると、その優性遺伝子の突然変異の生起が、通常は青色であるおしべの毛細胞の間に現われるピンク色細胞によつて、容易かつ確実に検出され、突然変異の誘発時期も知り得るし、しかも膨大な数の標本について調査することが容易であるから、この実験材料から得られる突然変異率の知見は精度の高いもので、この精度の高さは、多数の標本を取り扱うことが困難であつたり、他細胞によつて突然変異の大部分が隠されたり、調査に長時間を要し、そのため他の要因の影響を受けやすい他の実験動植物の場合とは、比肩できない程のものであり、ちなみに、一個の突然変異の結果を検出するのに、数年ないし数十年を要する人類や、同じく数か月ないし数年を要するマウス等に比べて、ムラサキツユクサの場合は、一〇日ないし一四日位で検出でき、しかも人類や哺乳動物等では、突然変異の一部分しか検出されないのに対し、ムラサキツユクサでは漏れなく検出できるので、これらムラサキツユクサのおしべの毛の特徴は、この実験材料による微量放射線の影響の検出を可能にし、アメリカではスパロー博士らによつて、エツクス線、中性子線照射によつて前記のとおり突然変異の増加が検出され、線量と突然変異率との関係も正確に決定されたこと、我が国ではaによつてガンマ線やその散乱放射線に関して、ほぼ〇・七レム程度まで同様な結果が得られたこと、また、スパロー博士らは、昭和四二年(一九六七年)、ウイルス、バクテリア、カビ、藻類、シダ類、高等植物、両棲動物、鳥類、哺乳動物等の放射線感受性を、細胞レベル若しくは核酸レベルで比較した研究結果を発表し、その中で、ムラサ おり突然変異の増加が検出され、線量と突然変異率との関係も正確に決定されたこと、我が国ではaによつてガンマ線やその散乱放射線に関して、ほぼ〇・七レム程度まで同様な結果が得られたこと、また、スパロー博士らは、昭和四二年(一九六七年)、ウイルス、バクテリア、カビ、藻類、シダ類、高等植物、両棲動物、鳥類、哺乳動物等の放射線感受性を、細胞レベル若しくは核酸レベルで比較した研究結果を発表し、その中で、ムラサ 昭和四二年(一九六七年)、ウイルス、バクテリア、カビ、藻類、シダ類、高等植物、両棲動物、鳥類、哺乳動物等の放射線感受性を、細胞レベル若しくは核酸レベルで比較した研究結果を発表し、その中で、ムラサキツユクサのおしべの毛細胞と哺乳動物の細胞の放射線感受性が類似していること、すなわち、人類、ハムスター、モルモツト等哺乳動物の細胞の生存率を三七パーセントに低下せしめる線量が一〇〇レムないし一八〇レムであるのに対し、ムラサキツユクサのおしべの毛細胞の同様な線量は一七〇レム(二倍性、同一染色体を一対ずつ有するもの)又は一九〇レムないし三〇〇レム(四倍性、同一染色体を二対ずつ有するもの)であつて、二倍性ムラサキツユクサと哺乳動物とはほぼ同程度の放射線感受性、四倍性ムラサキツユクサでは哺乳動物と同程度若しくは若干抵抗性ですらあつたことを示したこと、遺伝子の可変性に関する比較も、スパロー博士らによつて昭和五一年(一九七六年)に行われたが、それによれば、特定遺伝子の自然突然変異率を一〇万個の細胞当たりの突然変異数で求めると、ハムスターの細胞では〇・四ないし二六であり、一方ムラサキツユクサのおしべの毛細胞では三・七ないし二三(標準株)であつて、両者の遺伝子の可変性もほぼ同程度と結論されたことがいずれも認められ、右認定を覆えすに足る証拠はない。そして、原告らは(1)右ムラサキツユクサ等の実験結果に照らし、人類の場合にも放射線の被ばく線量が、これ以下では障害が起こらないという、いわゆる「しきい値」の存在は極めて否定的となる。(2)スタングラス博士により、アメリカのイリノイ州のドレスデン原子力発電所周辺地域で幼児死亡率等が右原子力発電所からの放射性気体廃棄物の廃棄と平行関係を示すという結果が報告された。(3)昭和三〇年代(一九五〇年代後半)、イギリスのスチユワ リノイ州のドレスデン原子力発電所周辺地域で幼児死亡率等が右原子力発電所からの放射性気体廃棄物の廃棄と平行関係を示すという結果が報告された。 は極めて否定的となる。(2)スタングラス博士により、アメリカのイリノイ州のドレスデン原子力発電所周辺地域で幼児死亡率等が右原子力発電所からの放射性気体廃棄物の廃棄と平行関係を示すという結果が報告された。(3)昭和三〇年代(一九五〇年代後半)、イギリスのスチユワ リノイ州のドレスデン原子力発電所周辺地域で幼児死亡率等が右原子力発電所からの放射性気体廃棄物の廃棄と平行関係を示すという結果が報告された。(3)昭和三〇年代(一九五〇年代後半)、イギリスのスチユワート博士らが妊娠中に下腹部若しくは骨盤部に診断用照射を受けた母親から出生した幼児が、対照群に比して高い白血病死亡率を示すと報告し、続いてアメリカのフオード博士も同様な調査結果を発表した。(4)更に、アメリカのマクマホン博士は昭和三七年(一九六二年)にアメリカの北東部の大きな病院における計約七〇万組の母子(うち約七万組が医療用放射線を妊娠中の下腹部に数レム以内の被ばくをした。)についての記録を統計的に調査した結果、被ばくと白血病発生率とに関連性がある旨発表した。(5)広島、長崎に投下された原子爆弾による晩発性障害についても、昭和四六年(一九七一年)までに低線量被ばくの影響に関する新しい知見が得られた。すなわち、石丸博士らの調査によれば、被爆者における白血病の発生率と推定被ばく線量との関係がほぼ直線的であり、両市の結果を合わせると、いわゆる「しきい値」が認め難いことを示した。(6)千葉県市原市で起こつたイリジウム被ばく事故では一〇ラドないし二五ラド程度の被ばく者に造血機能異常、染色体異常、精子減少症、皮膚炎等の障害が発生した。(7)以上の事実に照らせば、人類には「しきい値」は存在しないと考えねばならない旨主張し、証人aも右主張に添う証言をする。なお、前顕甲第六四、六五号証、第六七号証、第二六六号証、成立に争いのない同第九八、九九号証は右主張に添うものである。しかしながら、前顕甲第六四号証、第九八号証、第一〇一号証、第二六六号証、成立に争いのない乙第九三、九四号証、第一三四号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第一〇四号証、第一三二 る。しかしながら、前顕甲第六四号証、第九八号証、第一〇一号証、第二六六号証、成立に争いのない乙第九三、九四号証、第一三四号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第一〇四号証、第一三二号証、並びに証人p2の証言及び弁論の全趣旨によると、(1)前記動物実験の場合は、いずれも照射線量が自然放射線の量に比べて極めて高いものであり、また、植物実験の場合も、最も照射線量が少ないものでも、自然放射線の数倍程度の線量を極めて短時間に照射したものであること、なお、前記人類とムラサキツユクサとの放射線の感受性の同一性を示した実験も微量放射線に対する感受性ではなく、一〇〇レムを超える線量に対する感受性であること、そして、植物の細胞と人間の細胞とでは代謝条件や反応条件も異なり、遺伝機構の回復及び淘汰能力も異なること、したがつて、動植物での実験のデータをそのまま人間に適用することはできないこと、現在のところ、どの程度の放射線を被ばくした場合に人類に障害が発生する可能性があるかは必ずしも詳らかではなく、動物についての実験データを参考として人の障害について推論がなされているのが一般であること、(2)スタングラス博士の報告については、データの取り方等に問題があり、必ずしも信頼できるものではないこと、(3)スチユワート博士、フオード博士、マクマホン博士の各調査報告は、いずれも胎児、乳幼児の放射線被ばくについてのものであるが、これらの被ばく者の放射線感受性は、成人の場合と同視できないし、更に、これらの被ばく者が受けた放射線量も正確には握したものとはみられないので、右各調査結果を直ちに微量放射線の被ばくの場合に適用できるとはいえないこと、(4)石丸博士らの原子爆弾被爆者の調査については、同一資料の解析の結果、広島においては二〇ラドないし五〇ラドの被ばく者に 告は、いずれも胎児、乳幼児の放射線被ばくについてのものであるが、これらの被ばく者の放射線感受性は、成人の場合と同視できないし、更に、これらの被ばく者が受けた放射線量も正確には握したものとはみられないので、右各調査結果を直ちに微量放射線の被ばくの場合に適用できるとはいえないこと、(4)石丸博士らの原子爆弾被爆者の調査については、同一資料の解析の結果、広島においては二〇ラドないし五〇ラドの被ばく者に 右各調査結果を直ちに微量放射線の被ばくの場合に適用できるとはいえないこと、(4)石丸博士らの原子爆弾被爆者の調査については、同一資料の解析の結果、広島においては二〇ラドないし五〇ラドの被ばく者において白血病が有意に上昇し、長崎では一〇〇ラド(ほとんどすべてがガンマ線)にしきい値があるとする見解が同じ研究グループによつて発表されていること、しかるに原告ら主張の如き異なる解析の結果がでたことについての理由の説明がなされていないこと、(5)千葉県でのイリジウム事故は一点のイリジウム線源の至近場所で起居して、被ばくした事例であり、被ばく者の被ばく線量も平均全身線量を推定したものであるに過ぎないもので、特定の組織や臓器だけが多量の被ばくをした、いわゆる不均等照射であつた蓋然性の強い状況にあつたこと、したがつて、右事故において、被ばく線量と障害との関連に多大な意味をもたせることはできないことがいずれも認められる。したがつて、前記原告らの主張に添う証拠は直ちに採用できず、他に原告らの前記主張を肯認できる証拠はない。(二) 人類の突然変異の倍加線量の推定値について、昭和三三年(一九五八年)の国連科学委員会報告では三〇レム、昭和三七年(一九六二年)の同報告では、一五レムとされていること、昭和三一年(一九五六年)のイギリス医学会議は一五レムないし二〇レムとしたことについては、いずれも当事者間に争いがない。また、前顕甲第三五号証、第六四号証、第一〇七号証、第二六六号証及び証人aの証言によれば、ムラサキツユクサのおしべの毛の突然変異倍加線量は多くの場合数レム程度であり、最小の値はスパロー博士が得たほぼ一レムにすぎず、最高値でも十数レムであること、シヨウジヨウバエの精原細胞の場合の八レムという値があることが認められる。右認定に反する証拠はない。原告らは、更 あり、最小の値はスパロー博士が得たほぼ一レムにすぎず、最高値でも十数レムであること、シヨウジヨウバエの精原細胞の場合の八レムという値があることが認められる。 べの毛の突然変異倍加線量は多くの場合数レム程度であり、最小の値はスパロー博士が得たほぼ一レムにすぎず、最高値でも十数レムであること、シヨウジヨウバエの精原細胞の場合の八レムという値があることが認められる。右認定に反する証拠はない。原告らは、更 あり、最小の値はスパロー博士が得たほぼ一レムにすぎず、最高値でも十数レムであること、シヨウジヨウバエの精原細胞の場合の八レムという値があることが認められる。右認定に反する証拠はない。原告らは、更に、広島、長崎における原子爆弾被爆者の白血病の発生に関する石丸博士らのデータに、数学的に最適な直線を求めると、ほぼ九・五レムの白血病倍加線量が計算され、ヘソペルマン博士の一九六八年の報告によれば、二〇ラド程度が甲状腺瘤の倍加線量とされている旨主張し、証人aが右主張に添う証言をする。なお、前顕甲第六四号証、第九九号証、第二六六号証、成立に争いのない同第一〇六号証は右主張に添うものである。しかしながら、前記のとおり広島、長崎における原子爆弾被爆者の白血病発生については、同じ研究グループの解析の結果、広島では二〇ラドないし五〇ラド、長崎では一〇〇ラドにしきい値があるとする報告がなされていることに照らし、広島、長崎の原子爆弾被爆者の白血病の発生に関する倍加線量についての原告らの主張に添う証拠は、直ちに採用できない。また、前顕甲第一〇六号証によれば、ヘンペルマン博士が報告した事例は、胸腺肥大症のエツクス線治療の際の散乱線によつて、甲状腺が二次的に被ばくしたものであり、その被ばく線量は右治療に際して実測されたものではなく、種々の仮定に基づく計算により、求めたものであることかうかがわれるから、ヘンペルマン博士の示す甲状腺瘤の倍加線量の正確性を直ちに認めることは困難である。その他原告らの右主張事実を認めるに足る証拠はない。ところで、原告らは、右倍加線量の考え方に基づき、遺伝的障害や晩発性障害の発生が一〇レム前後の放射線被ばくにより倍加し、また、倍加線量以下でもその線量に応じた遺伝的障害や晩発性障害が発生するから、許容被ばく線量等は極めて危険である旨主張する き、遺伝的障害や晩発性障害の発生が一〇レム前後の放射線被ばくにより倍加し、また、倍加線量以下でもその線量に応じた遺伝的障害や晩発性障害が発生するから、許容被ばく線量等は極めて危険である旨主張する。そして、前頭甲第三五号証、成立に争いのない乙第七二号証によれば、当事者間に争いのない昭和四五年(一九七〇年)にアメリカのゴフマン、タンプリン両博士が発表したアメリカ国民の放射線被ばくによるガン死亡者数の推定及びアメリカ原子力委員会(AEC)から委託されたアメリカ科学アカデミー(NAS)の電離放射線の生物効果に関する諮問委員会(BEIR委員会)が、昭和四七年(一九七二年)一一月に発表した「低線量電離放射線被ばく集団に対する影響」と題する報告(BEIR報告)も、右原告らの考え方と同じ立場でなされたものであることが認められる。 ン、タンプリン両博士が発表したアメリカ国民の放射線被ばくによるガン死亡者数の推定及びアメリカ原子力委員会(AEC)から委託されたアメリカ科学アカデミー(NAS)の電離放射線の生物効果に関する諮問委員会(BEIR委員会)が、昭和四七年(一九七二年)一一月に発表した「低線量電離放射線被ばく集団に対する影響」と題する報告(BEIR報告)も、右原告らの考え方と同じ立場でなされたものであることが認められる。しかしながら、倍加線量の考え方は、放射線障害の発生率が自然発生率に対して二倍になる放射線被ばく線量をもとにして、ある被ばく線量での障害の発生率を算定できるとするものであり、これが適用されるためには、右のある被ばく線量を含む線量域において、線量と障害との発生率の関係が、直線性を示すことを前提とするものであることについては当事者間に争いがない。しかるところ、前示のとおり人類については、まだ「しきい値」の不存在が確認されていないから、ひいては低線量域においては、右の直線性の存在が確認されず、したがつて、人類について低線量域における放射線障害発生率を倍加線量の考え方によつて算出することは困難である。そして、前顕甲第三五号証、乙第七二号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第一〇六号証並びに証人p2の証言及び弁論の全趣旨によると、アメリカ原子力委員会は、右ゴフマン、タンプリン説はアメリカ、国民の全部が年間〇・一七レムの 弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第一〇六号証並びに証人p2の証言及び弁論の全趣旨によると、アメリカ原子力委員会は、右ゴフマン、タンプリン説はアメリカ、国民の全部が年間〇・一七レムの放射線の被ばくを受けるという仮定に立つばかりでなく、低線量の放射線の影響をも過大に評価しているとして、年間平均線量限度の引き下げは必要でないものとしていること、また、アメリカ放射線防護測定審議会(NCRP)も、BEIR報告のリスクの推定値は、実際のリスクより過大な値になつているものとして、年間平均線量限度の引き下げは必要でないとしていることが認められ、これに前記人類についての低線量被ばくによる障害の発生について、線量と障害発生の関係とが明らかでないことを考えるならば、右ゴフマン、タンプリン説、BEIR報告のとつた立場が、いずれも実際の放射線障害発生を推定したものであるとの前提に立ち、更に、これと同じ見地に立つ倍加線量の考え方から、後記のICRPの勧告値や、我が国の許容被ばく線量が極めて危険なものであるとする原告らの主張は採用しがたい。 認められ、これに前記人類についての低線量被ばくによる障害の発生について、線量と障害発生の関係とが明らかでないことを考えるならば、右ゴフマン、タンプリン説、BEIR報告のとつた立場が、いずれも実際の放射線障害発生を推定したものであるとの前提に立ち、更に、これと同じ見地に立つ倍加線量の考え方から、後記のICRPの勧告値や、我が国の許容被ばく線量が極めて危険なものであるとする原告らの主張は採用しがたい。しかしながら、人類について低線量、微量線量域における放射線被ばくによる影響が判明せず、しかも、動植物において低線量、微量線量域における放射線被ばくの影響が判明している以上、人類の安全のためには「しきい値」が存在しないとし、倍加線量の考え方に立つて、できる限り放射線による被ばくを防止し、もつて放射線による障害からの防護を図るのが望ましいことであり、成立に争いのない乙第二三号証により認められるICRPの勧告もその趣旨に基づくものであるが、立法又は行政機関において、電力の供給その他の公共の必要があることから、その危険性の証明があつた線量の最低値よりも更に数十分の一の低い線量の限度を、許容被ばく線量として定めることは、 ものであるが、立法又は行政機関において、電力の供給その他の公共の必要があることから、その危険性の証明があつた線量の最低値よりも更に数十分の一の低い線量の限度を、許容被ばく線量として定めることは、望ましくはないとしても、違法の問題は生じない。(三) 我が国における一般人に対する許容被ばく線量は、告示二条により一年間につき〇・五レム(五〇〇ミリレム)と定められていることについては当事者間に争いがなく、右許容被ばく線量は前記(一)、(二)により人類に対する危険性の証明のない線量であることは明らかであり、成立に争いのない乙第二四号証、第六七号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第八二号証によれば、電力需要者に対する安定した電力供給のためには本件原子炉が必要であることが認められる。右認定に反する証拠は採用しない。原告らは、我が国の許容被ばく線量は、公的機関でないICRPの勧告した線量限度を採用したものであるが(右については当事者間に争いがない)、ICRPは昭和四〇年(一九六五年)以来生物学的、医学的見地に基づき線量限度を勧告する姿勢を放棄し、原子力産業の要請に合致する方向へと変質して、現在では原子力産業が経済的に成り立つ範囲で許容基準を定め、被ばくを不当に正当化している旨、しかも、我が国の許容基準はICRPの勧告よりも緩やかである旨、アメリカでは一九七七年一月六日環境保護局(EPA)によつて新しい基準が設定され、この基準は一般人の年間被ばく線量を全身〇・〇二五レム、甲状腺〇・〇七五レムに抑えようとするもので、違反者には法的制裁を加えうるものとしている旨、したがつて、我が国の許容被ばく線量は高基準であり、不当、違法である旨主張し、証人aが右主張に添う証言をする。 る旨、しかも、我が国の許容基準はICRPの勧告よりも緩やかである旨、アメリカでは一九七七年一月六日環境保護局(EPA)によつて新しい基準が設定され、この基準は一般人の年間被ばく線量を全身〇・〇二五レム、甲状腺〇・〇七五レムに抑えようとするもので、違反者には法的制裁を加えうるものとしている旨、したがつて、我が国の許容被ばく線量は高基準であり、不当、違法である旨主張し、証人aが右主張に添う証言をする。なお、前顕甲第六四、六五号証も右主張に添うものである。なお、また、ア ものとしている旨、したがつて、我が国の許容被ばく線量は高基準であり、不当、違法である旨主張し、証人aが右主張に添う証言をする。なお、前顕甲第六四、六五号証も右主張に添うものである。なお、また、アメリカの環境保護局(EPA)が新しい基準を設定したとの点については当事者間に争いがない。しかし、前顕乙第二三号証、成立に争いのない同第二五号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第一〇七号証並びに証人p2の証言によれば、ICRPは昭和三年(一九二八年)に発足したもので、放射線医学、物理学、生物学、遺伝学等放射線防護に関する権威者によつて構成されており、科学的立場から放射線防護に関する勧告を行つている機関であること、ICRPは公衆に対する線量限度を勧告するに当たつては、放射線による障害について、しきい値があるかもしれないことを認めながらも、どんなに低い線量でも障害が発生するかも知れないという仮定の下に、原子力の利用によつて得られる利益からみて、社会が容認できる程度の放射線量を線量限度とし、具体的には、エツクス線やラジウムその他の放射性物質の使用経験、人類その他の生物の放射線障害に関する知識に照らして、身体的障害、遺伝的障害の発生する確率が無視し得る程小さい線量を社会的に容認できる線量限度として勧告していること、そしてこれと同時に、ICRPは、いかなる不必要な被ばくも避けるべきであること、及び経済的、社会的な考慮を計算に入れた上、すべての線量を、容易に達成できる限り低く保つべきである旨を併せて勧告していること、ICRPが定めた許容基準は、アメリカ、カナダ、ソ連、西ドイツ、イギリス等の諸国において採用されていること、アメリカの環境保護局(EPA)が定めた基準は、ウラン燃料サイクルからの放射性排出物によつて生ずる虞れのある一般公衆の被ば 、いかなる不必要な被ばくも避けるべきであること、及び経済的、社会的な考慮を計算に入れた上、すべての線量を、容易に達成できる限り低く保つべきである旨を併せて勧告していること、ICRPが定めた許容基準は、アメリカ、カナダ、ソ連、西ドイツ、イギリス等の諸国において採用されていること、アメリカの環境保護局(EPA)が定めた基準は、ウラン燃料サイクルからの放射性排出物によつて生ずる虞れのある一般公衆の被ば リカ、カナダ、ソ連、西ドイツ、イギリス等の諸国において採用されていること、アメリカの環境保護局(EPA)が定めた基準は、ウラン燃料サイクルからの放射性排出物によつて生ずる虞れのある一般公衆の被ばくの防護規準を明確に規定することによつて、現行の連邦放射線防護指針を補うもので、数値的には右指針より低い値であるが、右指針の改正を求めているものでないことがいずれも認められる。また、前記争いのない事実によれば、ICRPは一般公衆に対する基準について「線量限度」という概念を使用し、我が国の告示は、「許容線量」という概念を使用していることが認められるが、しかし、我が国の告示の解釈としては、許容線量を超える被ばくを与えることは違法とし、しかもその線量内での被ばくもできる限り少なく抑える趣旨と理解すべきであるから、我が国の基準がICRPの勧告より緩やかであるとはいえない。以上により前記原告らの主張に添う証拠は採用できず、他に右主張事実を認めるに足る証拠はない。したがつて、原告らの前記主張は理由がない。二本件原子炉の平常運転時における放射性物質管理 1 平常運転時における被ばく評価値とその危険性について(一) 本件原子炉の設置許可処分に当たりなされた安全審査において、本件原子炉から平常運転時に放出する気体廃棄物による被ばく評価は、周辺監視区域(予定)外において、ガンマ線被ばくが最大となるのは、原子炉から南約七五〇メートルの地点であり、年間の被ばく線量は、約〇・六ミリレム(ベータ線被ばく線量約一・五ミリレム)であり、また、液体廃棄物については、全身被ばく年間約〇・〇一ミリレムとされたことについては当事者間に争いがない。(二) 原告らは、右について、全身被ばく線量を評価する場合には、ガンマ線による被ばくと、ベータ線による被ばくとは区別すべきではなく、こ 〇・〇一ミリレムとされたことについては当事者間に争いがない。 トルの地点であり、年間の被ばく線量は、約〇・六ミリレム(ベータ線被ばく線量約一・五ミリレム)であり、また、液体廃棄物については、全身被ばく年間約〇・〇一ミリレムとされたことについては当事者間に争いがない。(二) 原告らは、右について、全身被ばく線量を評価する場合には、ガンマ線による被ばくと、ベータ線による被ばくとは区別すべきではなく、こ 〇・〇一ミリレムとされたことについては当事者間に争いがない。(二) 原告らは、右について、全身被ばく線量を評価する場合には、ガンマ線による被ばくと、ベータ線による被ばくとは区別すべきではなく、これらの被ばくは合算すべきであり、ICRPもそのように勧告している旨及び右平常時被ばく評価値程度の被ばくでも、倍加線量の考え方からして周辺住民にとつて極めて危険な線量である旨主張するが、ICRPが体外被ばくについて、原告ら主張の如き勧告をなしたことを認めるに足る証拠はないのみならず、証人p2の証言によると、原子力発電所から放出される気体廃棄物に含まれる放射性物質から放出されるベータ線のほとんどは、低エネルギーのものであり、透過力が小さいために、右ベータ線によつて被ばくするのは皮膚のみであるから、右ベータ線による被ばくと透過力の大きいガンマ線による全身被ばくとは、区別して評価すべきであつて、これを合計したものを全身の被ばく線量と考える必要はないことが認められ、右認定を左右すべき証拠はない。なお、前記本件原子炉の平常運転時における被ばく評価値は、現在の知見の下では、人類に対して何らかの障害を与えると考えられる放射線量ではないこと、したがつて、倍加線量の考え方に立つてその危険性を評価すべき数値に当たらないことは前記一での認定に照らし明らかである。以上のとおりとすると、本件安全審査において右評価値をもつて安全と評価したことは相当であると認められる。2 気体廃棄物の放出過程、被ばく評価について(一) 本件許可処分に際しての安全審査の結果、本件原子炉の平常運転時における気体廃棄物の放出量、放出過程、被ばく評価方法、被ばく値が、被告の主張第三章の第二の一、本件原子力発電所の平常運転時における放射性物質の放出管理における安全性の確保の(三)の(1)記載の における気体廃棄物の放出量、放出過程、被ばく評価方法、被ばく値が、被告の主張第三章の第二の一、本件原子力発電所の平常運転時における放射性物質の放出管理における安全性の確保の(三)の(1)記載のとおりに評価されたことについては当事者間に争いがない。 ばく評価方法、被ばく値が、被告の主張第三章の第二の一、本件原子力発電所の平常運転時における放射性物質の放出管理における安全性の確保の(三)の(1)記載の における気体廃棄物の放出量、放出過程、被ばく評価方法、被ばく値が、被告の主張第三章の第二の一、本件原子力発電所の平常運転時における放射性物質の放出管理における安全性の確保の(三)の(1)記載のとおりに評価されたことについては当事者間に争いがない。(二) (1)一次冷却水中に放射性物質が現われる原因としては、燃料の燃焼に伴つて、燃料棒中に生成される放射性物質(主として、クリプトン、キセノン等の希ガス)が、燃料被覆管に生じたビンホール等から一次冷却水中に漏洩することによるものと、一次冷却水中に含まれている空気や、容器、パルブ等の材料の腐食生成物(コバルト、マンガン等)が、中性子の照射を受けて放射化され、放射性物質になるものとの二つがあること(2)燃料の燃焼に伴つて生成する放射性物質が、一次冷却水中へ漏洩することを防止するため、燃料の二酸化ウランの粉末を小さな円柱状に成型したうえ、高温で焼き固めて燃料ペレツトにしたうえ、これをジルコニウム合金製の燃料被覆管中に挿入し、右燃料被覆管は溶接によつて端栓されること(3)本件原子炉から放出することとなる放射性物質には、放射性希ガス、放射性ヨー素、粒子状放射性物質があること(4)補助建家からの気体廃棄物の放出による被ばく評価については気象手引に定める簡便法を用いたこと(5)本件被ばく評価に当たり気象等をは握するための現地実験はしていないこと(6)本件被ばく評価で利用した風洞実験は、縮尺一〇〇〇分の一のものであつて、その風洞に毎秒一メートルの風速で風を送つて実験がなされ、高森、平碆、伊方変電所の三地点の風向、風速特性の相関関係をみたが、右実験の結果排気口出口の風速が高森地点の〇・六倍となつたこと(7)大気安定度はD型として本件被ばく評価がなされたこと(8)微粒子状放射性物質による被ばく評価はなされ 向、風速特性の相関関係をみたが、右実験の結果排気口出口の風速が高森地点の〇・六倍となつたこと(7)大気安定度はD型として本件被ばく評価がなされたこと(8)微粒子状放射性物質による被ばく評価はなされなかつたことについてはいずれも当事者間に争いがなく、いずれも成立に争いのない甲第一号証、第一一二号証、乙第一号証の一、二、第四、五号証、第一五号証、第三二号証、第三四号証、第三六号証、第八八、八九号証、第一〇二号証、第一三七ないし第一三九号証、原本の存在並びに成立に争いのない甲第八九号証、第二一七号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める乙第八七号証、証人x、同n、同o、同t一郎の各証言並びに検証(第一、二回)の結果及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)燃料ペレツトは二酸化ウランを千数百度C以上の高温で焼き固め、物理的にも化学的にも安定している一種の磁器であること、燃料被覆管の材料である、ジルコニウム合金は機械的強度、耐熱、耐放射線性、耐食性に優れたものであること、したがつて、燃料の燃焼に伴つて生じた放射性物質は燃料ペレツトの中に保持され、更には燃料被覆管内に閉じ込められているので、放射性物質の一次冷却水中への漏洩は防止されるようになつていること、(2)一次冷却水中で放射性物質を生ずる原因となる一次冷却水中の不純物は、主として一次冷却水が接する機器や、配管の内面等が腐食することによつて生ずるものであるから、本件原子炉においては、一次冷却水に触れる原子炉圧力容器内面や、配管類は、すべて耐食性の強いステンレス鋼、インコネル、ジルコニウム合金等を使用するとともに、一次冷却水の水質を管理して、腐食の生じ難い状態を保つことによつて、一次冷却水中の不純物の発生を抑制していること、(3)本件被ばく評価に当たつては、燃料被覆管の破損率を、年平均一パー 機器や、配管の内面等が腐食することによつて生ずるものであるから、本件原子炉においては、一次冷却水に触れる原子炉圧力容器内面や、配管類は、すべて耐食性の強いステンレス鋼、インコネル、ジルコニウム合金等を使用するとともに、一次冷却水の水質を管理して、腐食の生じ難い状態を保つことによつて、一次冷却水中の不純物の発生を抑制していること、(3)本件被ばく評価に当たつては、燃料被覆管の破損率を、年平均一パー するとともに、一次冷却水の水質を管理して、腐食の生じ難い状態を保つことによつて、一次冷却水中の不純物の発生を抑制していること、(3)本件被ばく評価に当たつては、燃料被覆管の破損率を、年平均一パーセントと仮定したこと、これは、当時本件原子炉と同型の原子炉(ゾリータ炉、ギネ炉、ベズナウ一号炉、ポイントビーチ一号炉、美浜一号炉等)における右破損率の実積値が、年平均約〇・二五パーセントであつたことを踏まえて検討した結果、平常運転時における右破損率は、年平均一パーセントとすれば十分であると判断したためであること、右破損率は、近年の同型炉の実績からみても、実際の破損率以下になると考えられていること、(4)加圧水型である本件原子炉においては、一次冷却水は、原子炉圧力容器、蒸気発生器、一次冷却材ポンプ及びこれらを連結する配管からなる閉回路内を循環しており、蒸気発生器二次側から、タービン、復水器、給水器を経て蒸気発生器二次側へと循環する二次冷却水とは隔離されているため、一次冷却水中に現われた放射性物質は、一次冷却水とともに一次冷却系内に保持されること、また、右閉回路には化学体積制御設備が設けられているため、一次冷却水中に現われた放射性物質は、右閉回路を循環する過程において、化学体積制御設備のもつ脱気機能(気体状のものを分離する機能)、脱塩機能(冷却水中のイオン状不純物を分離する機能)によつて、一次冷却水から分離、抽出されること、右化学体積制御設備において一次冷却水から分離、抽出された放射性物質は、水質検査のため一次冷却水とともに抽出した放射性物質や一次冷却系のポンプ、バルブ等から一次冷却水とともに漏洩した放射性物質等とともに、その性状に応じて、気体、液体及び固体廃棄物として処理されること、(5)一次冷却系閉回路の施設は、円筒部の厚さ約三・五センチメー ポンプ、バルブ等から一次冷却水とともに漏洩した放射性物質等とともに、その性状に応じて、気体、液体及び固体廃棄物として処理されること、(5)一次冷却系閉回路の施設は、円筒部の厚さ約三・五センチメートルの鋼鉄製の容器の、更に、その外周に鉄筋コンクリート製の外周コンクリート壁が設置された格納容器の中に納められていること、右格納容器は、貫通するパイプに隔離弁を設けるなどして気密性を保持する(設計漏洩率〇・一パーセント/日)ようになつていること、右漏洩率は定期的及び必要に応じて検査できるようになつていること、(6)本件原子炉において発生する気体廃棄物は、前記化学体積制御設備において、一次冷却水から分離、抽出したものや、余剰となつた各種タンクのカバーガス及びポンプやバルブ等からの漏洩水から発生するもの等であること、この気体廃棄物中に含まれる放射性物質は、その大部分がキセノン一三三、同一三五、同一三八、クリプトン八五、同八七等の希ガスであり、そのうちのほとんどはキセノン一三三であること、(7)燃料被覆管の破損率を前記のように仮定して評価した結果、ガス減衰ダンクからの排気される放射性物質は年間約九二四〇キユリー、格納容器からの換気によるもの年間約三一〇〇キユリー、補助建家からの換気によるもの年間約八二二〇キユリー、合計年間約二万〇六〇〇キユリーとなつたこと、(8)本件原子炉においては、右気体廃棄物のうち、化学体積制御設備において一次冷却水から分離抽出したもの及び各種タンクのカバーガスは、いずれも補助建家内にあるガス減衰タンクに導き貯留すること、そして一次冷却水から分離、抽出したものは、三〇日間以上貯留し、これに含まれる放射能を十分減衰させた、後(ガス減衰タンクにおける三〇日間の貯留によつてキセノン一三三は約五〇分の一に減衰し、同一三三及びクリプト 、(8)本件原子炉においては、右気体廃棄物のうち、化学体積制御設備において一次冷却水から分離抽出したもの及び各種タンクのカバーガスは、いずれも補助建家内にあるガス減衰タンクに導き貯留すること、そして一次冷却水から分離、抽出したものは、三〇日間以上貯留し、これに含まれる放射能を十分減衰させた、後(ガス減衰タンクにおける三〇日間の貯留によつてキセノン一三三は約五〇分の一に減衰し、同一三三及びクリプト 却水から分離、抽出したものは、三〇日間以上貯留し、これに含まれる放射能を十分減衰させた、後(ガス減衰タンクにおける三〇日間の貯留によつてキセノン一三三は約五〇分の一に減衰し、同一三三及びクリプトン八五以外の放射性希ガスはほとんど零となるため全体としては約四〇分の一にまで減衰する)、一五日以内に風向きが海側であつて、かつ、風速が毎秒五メートル以上の時を選んで、放射線モニタで監視しながら、原子炉補助建家排気筒から放出することとし、気象条件が悪く一五日以内に海側に放出することかできない場合には、一五日貯留後、すなわち四五日減衰後海側、陸側を問わず右同様の方法で放出することとしていること、しかしながら、被ばく評価に当たつては、四五日減衰後の気体廃棄物はすべて陸側に放出されるものと仮定して被ばく評価したこと、なお、ガス減衰タンクからの放出回数は年間二〇回とし、そのうち陸側へ風の吹く確率は四回であり、更に、そのうち着目方向(風向き北)への風向きがでるひん度は三回としたこと(右については当事者間に争いがない)、これは、現地の気象条件について、気象観測データから任意に摘出したところの引き続いた一五日間に、風が海側へ向かつて吹き、その風速が伊方発電所で毎秒五メートル以上であることの各条件を同時に充たさない状態の出現する確率が一〇パーセント以下であつたので、評価上の安全率を考慮して、その確率を二〇パーセントとし、最多生起度数を考慮して、右評価をなしたものであること、(9)また、各種タンクのカバーガスは、原則として再使用されることになつているが、余剰となつて放出される場合には、右の一次冷却水から分離抽出したものと同様に処理されることとなつていること、また、被ばく評価に当たつては原則として再使用されることを考慮せず、すべて放出されるものと仮定して被ばく評価 れる場合には、右の一次冷却水から分離抽出したものと同様に処理されることとなつていること、また、被ばく評価に当たつては原則として再使用されることを考慮せず、すべて放出されるものと仮定して被ばく評価したこと、(10)本件原子炉には気体廃棄物の四五日分の発生量約六〇立方メートルを十分収容し得るガス減衰タンク四基(他に予備二基)を保有していること、(11)気体廃棄物中格納容器内及び補助建家内のポンプやバルブ等からの漏洩水から発生するもののうち、格納容器内に漏洩したものについては換気時に、補助建家内に漏洩したものについては連続的に、それぞれ排気筒から、いずれもフイルターを通過させた後、放射線モニタで監視しながら放出することとされていること、(12)格納容器から放出される排気については、格納容器からの放出回数を補修作業や燃料取替作業及び格納容器の減圧操作の回数を考慮したうえ、年間一〇回と仮定するとともに、放出に当たつては、原則として海側に放出することとしているが、安全側に立つて海側、陸側を問わず無差別に放出するものと仮定して被ばく評価をしたこと、なお、右年間一〇回の放出のうち、着目方向へ向かうのは五回を超えないとして被ばく評価したが(右については当事者間に争いがない)、右は前記ガス減衰タンクからの放出についての風向、風速についての確率から考えて、不合理ではないこと、(13)補助建家の換気に伴う排気については、補助建家内のポンプ、バルブ等からの漏洩水はすべて放射性物質濃度の高い一次冷却水とみなし、時間による放射能の減衰効果も無視することとして被ばく評価したこと、なお、補助建家からの気体廃棄物の放出による被ばく評価については、前記のとおり簡便法により行われたが、簡便法は、気象手引の定める方法であり、しかも気象手引の定める通常の方法によつた場合にほぼ はないこと、(13)補助建家の換気に伴う排気については、補助建家内のポンプ、バルブ等からの漏洩水はすべて放射性物質濃度の高い一次冷却水とみなし、時間による放射能の減衰効果も無視することとして被ばく評価したこと、なお、補助建家からの気体廃棄物の放出による被ばく評価については、前記のとおり簡便法により行われたが、簡便法は、気象手引の定める方法であり、しかも気象手引の定める通常の方法によつた場合にほぼ たこと、なお、補助建家からの気体廃棄物の放出による被ばく評価については、前記のとおり簡便法により行われたが、簡便法は、気象手引の定める方法であり、しかも気象手引の定める通常の方法によつた場合にほぼ近い結果が得られるものであること、(14)本件原子炉から環境へ放出されることとなる気体廃棄物の拡散及び希釈については、その放出の高さや現地における気象観測データ等から求めた風速、大気安定度を基に、パスキルの拡散式を用いて評価したこと、なお、右拡散式は原則として周囲が平坦地の場合に適用される式であるが、排ガスが遠方の独立峰に直接当たるような特殊な地形でない限り、排気筒の高さを適切に補正することによつて平坦地でない場合にも適用できるものであり、本件敷地はパスキルの拡散式の適用できない地形ではなく、本件被ばく評価に当たつては、風洞実験の結果によつて気体廃棄物の放出の高さの補正を行つたこと、(15)右風洞実験は本件原子炉施設を中心とする地形を模擬した直径二・八メートルの模型によつてなされたもので、その結果、本件原子炉から放出される気体排気物の敷地境界における濃度パスキルの拡散式によつて求めるためには、右拡散式に用いる放出の高さを実際の放出の高さの〇・六倍すればよく、かつ、敷地境界以遠でもこの放出の高さを用いれば被ばく評価として安全側であることが判明したこと、そのため本件被ばく評価に当たつては、放出の高さを排気筒の高さ約七〇メートルに約一〇メートルの吹き上げ高さを加えた約八〇メートルを〇・六倍した四七メートルと仮定したこと、なお、風洞実験には、東洞技術の確立、相似性の追求、模型実験の精度の向上等の研究課題が残されているが、風洞実験に右のような研究課題が残されているからといつて、直ちに風洞実験の手法が確立していないとか、実用に供し得ないというものではな 相似性の追求、模型実験の精度の向上等の研究課題が残されているが、風洞実験に右のような研究課題が残されているからといつて、直ちに風洞実験の手法が確立していないとか、実用に供し得ないというものではないこと、本件風洞実験と現実の風向及び風速の観測データとはよく一致し、被ばく評価に必要な大気の拡散、希釈の状況をは握するうえから妥当なものであつたこと、なお、前記風洞実験の結果の報告書中には「排出ガスの上昇の高さは、相似則の制約上縮尺率一〇〇〇分の一の模型では実験できないため、あらかじめ上昇の高さをホランドの式によつて算出し、上昇の高さを排気筒の高さで補つた」との記載があるが、これは本件原子炉から放出される気体廃棄物による被ばく評価をする上で必要な本件原子炉の周辺環境をは握するためには、排出ガスの吹き上げの高さについてまで正確に模擬した模型を使用して風洞実験を行わなくとも、排気筒の高さを模擬し、右吹き上げの高さをホランドの式によつて求めることによつて補足すれば十分であるところ、右は排気ガスの吹き上げの高さについて、妥当な補正が行われたことを示すものであること、風洞実験は、被ばく評価に必要な大気の拡散、希釈の状況をは握するためのものであるから、本件敷地とその付近である高森、平碆及び伊方変電所の三地点について卓越風が南向きの風であることを踏まえ、高森は伊方周辺の風向、風速を代表する地点として、平碆は排気筒に近い地点として、また、伊方変電所は地形の影響を大きく受けるおそれのある地点として、いずれも選定されたものであり、右三地点についてのデータを得れば足ること、被ばく評価上着目すべき方位は、上空風向北の場合であるから、上空風向西の場合は多少相関関係が悪くも問題がないこと、本件風洞実験においては、現地の、実際に気象観測用風向風速計を設置した地点(高森、伊 辺の風向、風速を代表する地点として、平碆は排気筒に近い地点として、また、伊方変電所は地形の影響を大きく受けるおそれのある地点として、いずれも選定されたものであり、右三地点についてのデータを得れば足ること、被ばく評価上着目すべき方位は、上空風向北の場合であるから、上空風向西の場合は多少相関関係が悪くも問題がないこと、本件風洞実験においては、現地の、実際に気象観測用風向風速計を設置した地点(高森、伊 、被ばく評価上着目すべき方位は、上空風向北の場合であるから、上空風向西の場合は多少相関関係が悪くも問題がないこと、本件風洞実験においては、現地の、実際に気象観測用風向風速計を設置した地点(高森、伊方変電所、平碆)及び排気筒出口予定地点にそれぞれ相当する模型上の位置の風向き及び風向きの振れ幅を読み取り、右各地点相互の風向特性を調べた結果、特に問題となる陸地方向の風については、排気筒出口における風向と高森地点における風向との相関がよいことが分かつたため、気体廃棄物の濃度分布を求めるに当たつては、高森地点の風向きひん度を使用することが妥当であると判断されたこと、本件風洞実験において、風速特性を調査するに当たり、前記風向特性を調べた場所と同じ測定点に、定温度式熱線風速計プローブを設置して風速を測定し、右各測定点間の風速相関を調べた結果、いかなる風向きの場合でも、排気筒上方の風速は前記のとおり高森地点の六〇パーセント以上であることが判明したこと、本件風洞実験の結果の合理性について格別な疑義は存在しないこと、(16)現地における気象観測データでは大気安定度D型の出現する割合が全体の約七〇パーセントに達している上、大気安定度E型及びF型の出現する割合は、大気安定度A、B、C各型の出現する割合の四分の一程度とみられるので、年間の被ばく評価に当たつては、D型で代表させて評価を行つた方が、各大気安定度の出現ひん度に応じて評価する場合よりも安全側の評価となること、(17)現地における気象観測データでは、気象手引による静穏時、すなわち、在来計器による風速の観測値が毎秒〇・四メートル以下のときも、同時に測定していた精度の高い微風向微風速計によれば、実際にはほとんど毎秒〇・五メートル以上の風速であり、真の静穏時の出現ひん度は極めて少ないこと、右静穏時の存在は年 秒〇・四メートル以下のときも、同時に測定していた精度の高い微風向微風速計によれば、実際にはほとんど毎秒〇・五メートル以上の風速であり、真の静穏時の出現ひん度は極めて少ないこと、右静穏時の存在は年間の被ばく評価には事実上影響がないと判断されたこと、(18)気象手引の解説「III観測、調査事項」には、原子炉設置前の拡散気象に関する観測、調査項目の一つとして、局地性の調査をあげ、その調査方法として、発煙実験、測風気球及び模型実験の三つを例示するとともに、右発煙実験についての注記において「拡散実験をすることが望ましい」としているが、右は拡散気象に関する局地性の調査について、常に拡散実験をすることを要求しているものとはみられないこと、本件敷地においては特に現地実験を行う必要性は存在しなかつたこと、(19)前記のように、本件原子炉から放出することとなる放射性物質には放射性希ガス、放射性ヨー素及び粒子状放射性物質があるが、これらの量及び構成比は原子炉の運転方法等により多少の差異はあるものの、同型の原子炉についてはほぼ一定であり、前記放射性物質のうちで放出量が最も多く、かつ、全身被ばく線量に最も寄与するものは希ガスであつて、この希ガスの放出量に比べればヨー素及び粒子状放射性物質の各放出量はいずれも無視できる程度に少なく(いずれも一万分の一以下)、かつ、全身被ばく線量への寄与も少ないことから、放射性希ガスによる被ばく線量を求めることによつて許容被ばく線量を下回るかどうか確認できると考えられていること、このため、安全審査における被ばく評価に際しては、放出される放射性物質の種類及び量が同型の原子炉の場合と比較して差異がないことを確認した上、放射性希ガスによる周辺公衆の被ばく線量を求めればよく、その他の放射性物質による被ばく線量自体を細かい数値に至るまで、 ばく線量への寄与も少ないことから、放射性希ガスによる被ばく線量を求めることによつて許容被ばく線量を下回るかどうか確認できると考えられていること、このため、安全審査における被ばく評価に際しては、放出される放射性物質の種類及び量が同型の原子炉の場合と比較して差異がないことを確認した上、放射性希ガスによる周辺公衆の被ばく線量を求めればよく、その他の放射性物質による被ばく線量自体を細かい数値に至るまで、 放射性物質の種類及び量が同型の原子炉の場合と比較して差異がないことを確認した上、放射性希ガスによる周辺公衆の被ばく線量を求めればよく、その他の放射性物質による被ばく線量自体を細かい数値に至るまで、計算する必要はないと考えられていること、右の考え方が妥当であることはICRPの勧告の中にも述べられていること、本件安全審査においても、右の被ばく評価の考え方に従つて、先行炉の実積等を検討したうえ、前記のとおり、放射性希ガスによる周辺公衆の被ばく線量を求め、その他の放射性物質による被ばくはその放出量が極めて少ないこと等から無視し得る程度と評価したこと、なお、ヨー素による被ばく線量については念のため、みかん摂取による場合について評価したが、人が一日当たり四〇〇グラムのみかんを皮のまま摂取するなどの仮定の下で被ばく評価を行つた結果は、甲状腺被ばく線量が年間〇・〇七ミリレムと評価されたこと、なお、本件原子炉から放出されるヨー素による被ばくについては、昭和五〇年に定められた発電所用軽水型原子炉周辺の線量目標値に関する指針に基づき、伊方二号炉の増設に係る安全審査の際に評価されたが、右評価によれば、本件原子炉から放出されるヨー素の年間放出量は、本件原子炉と同型、同出力の伊方二号炉の安全審査における評価値と同じく約一キユリーであり、これによる甲状腺の被ばく線量は一、二号炉合計でも年間最大約一〇ミリレムと評価されたこと、(20)以上により計算した結果、本件原子炉の気体廃棄物による周辺監視区域外における最大全身被ばく線量は前記1のとおりとなることがいずれも認められる。もつとも(1)本件原子炉と同型、同出力である九州電力玄海一号炉(右については当事者間に争いがない)の場合には、燃料被覆管の破損率を五パーセントと仮定し、また、本件原子炉でも、蒸気発生細管事故におけ もつとも(1)本件原子炉と同型、同出力である九州電力玄海一号炉(右については当事者間に争いがない)の場合には、燃料被覆管の破損率を五パーセントと仮定し、また、本件原子炉でも、蒸気発生細管事故における被ばく評価に際しては、右破損率を五パーセントと評価していること(2)九州電力玄海二号炉では格納容器の減圧操作に伴う換気は間けつ放出としていること(3)本件許可処分では四国電力が財団法人電力中央研究所に依頼してなした風洞実験の結果を利用したこと、財団法人電力中央研究所は四国電力等九電力の財政援助によつて設立、運営されているものであること(4)右風洞実験では海象、空気の濃度、湿度等の気象条件を模擬しでいなかつたこと(5)中部電力浜岡原子炉周辺の環境放射線の測定値が請求の原因第三章の第二の六の2掲記のとおり上昇していること(6)東京電力福島原子炉、日本原電敦賀原子炉等の周辺の松の葉等からコバルト六〇、マンガン五四等が検出されたことについてはいずれも当事者間に争いがないが、証人tの証言によれば、玄海一号炉の審査当時は本件原子炉の審査に用いられた先行炉の燃料被覆管破損の実績等が十分得られていなかつたため、右破損率として、運転管理上の上限値とされている五パーセントとしたこと、また、本件原子炉の燃料被覆管の破損率が、平常運転時における被ばく評価の場合と、蒸気発生器細管破損事故時の災害評価の場合とで異つているのは、平常運転時には年間を通じて累積される被ばく線量を評価するという観点から、年間の破損率の平均値を採つたが、事故時については、事故発生時における被ばく線量を評価するという観点から、年間の破損率の最大値を採つたものであることが認められるので、右(1)の事実は何ら前記認定を左右するものではない。 管の破損率が、平常運転時における被ばく評価の場合と、蒸気発生器細管破損事故時の災害評価の場合とで異つているのは、平常運転時には年間を通じて累積される被ばく線量を評価するという観点から、年間の破損率の平均値を採つたが、事故時については、事故発生時における被ばく線量を評価するという観点から、年間の破損率の最大値を採つたものであることが認められるので、右(1)の事実は何ら前記認定を左右するものではない。また、右(2)(3)の事実は前記認定を左右するに足らず、( 評価するという観点から、年間の破損率の最大値を採つたものであることが認められるので、右(1)の事実は何ら前記認定を左右するものではない。また、右(2)(3)の事実は前記認定を左右するに足らず、(4)の事実も、前示風洞実験に残されている研究課題の一つではあるとみられるものの、前記認定を左右するものではない。次に、右(5)の事実については、成立に争いのない乙第七五号証及び弁論の全趣旨によれば、自然放射線量は場所や季節、更には降雨等の気象条件によつてかなりの変動があること、しかるに、右環境放射線の上昇は、右の数値の変動を考慮していないので、その上昇値がすべて中部電カ浜岡原子炉の運転によるものとは即断できないものであることがいずれも認められ、右(6)の事実に、ついては、証人tの証言によれば、前記コバルト六〇、マンガン五四等の検出例は、いずれも、その放射能濃度が低く、たとえ、これらの放射能を含む植物を長時間摂取しても、人体に影響を及ぼさない程度のものであることが認められるから、右(5)(6)の事実はいずれも前記認定を左右するものではない。なお、証人bは、被告がみかんを対象として、ヨー素による被ばく線量を評価した方式を用いて葉菜類についての評価をすると、小児の甲状腺被ばくは年間一・四レムにも達する旨証言するけれども、前記認定に照し右証拠は採用できない。次に証人aは、浜岡原子炉周辺におけるムラサキツユクサの実験の結果によれば、同原子炉から放出された放射性物質による被ばく線量は、一五〇ミリレム相当と考えられること、その原因は放射性物質中のヨー素一三一がムラサキツユクサに付着して濃縮したことによるものと考えられる趣旨の証言をし、前顕甲第六四ないし甲第六七号証、第二二六号証も同旨のものである。しかし、前顕同第六四、六五号証、第二六六号証、乙第七五号証 次に証人aは、浜岡原子炉周辺におけるムラサキツユクサの実験の結果によれば、同原子炉から放出された放射性物質による被ばく線量は、一五〇ミリレム相当と考えられること、その原因は放射性物質中のヨー素一三一がムラサキツユクサに付着して濃縮したことによるものと考えられる趣旨の証言をし、前顕甲第六四ないし甲第六七号証、第二二六号証も同旨のものである。しかし、前顕同第六四、六五号証、第二六六号証、乙第七五号証 サキツユクサに付着して濃縮したことによるものと考えられる趣旨の証言をし、前顕甲第六四ないし甲第六七号証、第二二六号証も同旨のものである。しかし、前顕同第六四、六五号証、第二六六号証、乙第七五号証、成立に争いのない同第一〇八号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第一〇九号証及び証人aの証言によれば、ムラサキツユクサのおしべの毛は放射線のみならず、温度、湿度、日照、化学物質等に対しても感受性が強いものであるのに、右のムラサキツユクサの実験では放射線以外の要因の定量的分析はなされていないこと、ムラサキツユクサの実験で数ミリレム程度の微量放射線の影響を調査するのに必要だとされている数のムラサキツユクサのおしべの毛の観察は右実験ではなされていないこと、なお、静岡県衛生研究所等が同原子炉周辺で実施した環境試験測定の結果によつても、ヨー素一三一は検出されなかつたこと、右ムラサキツユクサの実験者も前記一五〇ミリレムがヨー素による被ばくの結果であることの確認を行つていないことがいずれも認められるので、前記証人aの証言及びこれと同旨の各証拠は直ちに採用できない。原告らは、更に、近時のように、原子炉の事故その他がひん発すれば、補修作業の回数が増加し、格納容器換気回数もそれだけ増加するので、格納容器からの予定放出回数を年間一〇回とすることは根拠がない旨、また、本件原子炉の炉心核設計、同熱設計が不確かであり、更に、請求の原因第四章の第二の二の4掲記の燃料損傷事故発生の現状に照し、本件原子炉でも、炉心設計、燃料に起因する事故の発生は免れず、その結果、平常運転時における放射線の放出量は増大し、ひいては、周辺住民の被ばく線量は本件安全審査における評価値を超すことは避けられない旨、なお、本件原子炉における蒸気発生器細管損傷は免れ難いところであり、その 常運転時における放射線の放出量は増大し、ひいては、周辺住民の被ばく線量は本件安全審査における評価値を超すことは避けられない旨、なお、本件原子炉における蒸気発生器細管損傷は免れ難いところであり、その結果、周辺環境へ放出される放射性物質の量が増大し、ひいては、周辺住民の被ばく線量も本件安全審査における評価値を超すことは避けられない旨主張する。 子炉における蒸気発生器細管損傷は免れ難いところであり、その 常運転時における放射線の放出量は増大し、ひいては、周辺住民の被ばく線量は本件安全審査における評価値を超すことは避けられない旨、なお、本件原子炉における蒸気発生器細管損傷は免れ難いところであり、その結果、周辺環境へ放出される放射性物質の量が増大し、ひいては、周辺住民の被ばく線量も本件安全審査における評価値を超すことは避けられない旨主張する。しかし、まず、格納容器からの放出回数は、事故による補修作業をも考慮して決められたものであるのは前記のとおりであり、原子炉において、過去に機器の補修を要する事故が発生していることについては当事者間に争いがないが、本件原子炉の右放出回数では事故による補修作業のため不足であると認めるに足る証拠はない。また、本件原子炉における炉心設計、燃料及び蒸気発生器細管については、いずれもその健全性が保持できるとした本件安全審査における判断は相当であると認められることは後記(第四の二の2、3)のとおりである。したがつて、右原告らの主張はいずれも理由がない。その他、前記本件原子炉の平常運転時における気体廃棄物の放出、拡散、被ばく評価等についての認定を左右するに足る証拠はない。(三) そして、前記争いのない事実及び認定事実に照らせば、本件安全審査における気体廃棄物による被ばく評価は相当であると認められる。(四) なお、原告らは、本件許可処分に際し、気体廃棄物の処理設備の構造、機能等についての審査がなされていない旨主張する。しかし、本件安全審査において、気体廃棄物の処理設備として、前記のようにガス減衰タンク六基があるほか、ガス圧縮装置二台等があり、安全であると評価されたことについては当事者間に争いがなく、前顕乙第一号証の一、二、第五号証及び証人x、同n、同tの各証言を総合すれば、右についての気体廃棄物の処理設備の基本設計 装置二台等があり、安全であると評価されたことについては当事者間に争いがなく、前顕乙第一号証の一、二、第五号証及び証人x、同n、同tの各証言を総合すれば、右についての気体廃棄物の処理設備の基本設計の審査はなされたこと、その結果は、右安全審査のとおりであることが認められ、右認定に反する証拠はない。そうだとすると、原告らの右主張は理由がないというべきである。3 液体廃棄物の放出過程、被ばく評価について(一) 本件許可処分に際しての安全審査の結果、本件原子炉の平常運転時における液体廃棄物の放出量、放出過程、被ばく評価方法、被ばく値が被告の主張第三章の第二の一、本件原子力発電所の平常運転における放射性物質の放出管理における安全性の確保の(三)の(2)記載のとおりに評価されたことについては当事者間に争いがない。 、原告らの右主張は理由がないというべきである。3 液体廃棄物の放出過程、被ばく評価について(一) 本件許可処分に際しての安全審査の結果、本件原子炉の平常運転時における液体廃棄物の放出量、放出過程、被ばく評価方法、被ばく値が被告の主張第三章の第二の一、本件原子力発電所の平常運転における放射性物質の放出管理における安全性の確保の(三)の(2)記載のとおりに評価されたことについては当事者間に争いがない。(二) 前顕乙第一号証の一、二、第五号証、第三二号証、第七五号証、いずれも成立に争いのない甲第一〇九号証、乙第八六号証並びに証人x、同n、同tの各証言及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)本件原子炉において発生する液体廃棄物としては、化学体積制御設備において抽出した抽出水、ポンプ、バルブ等からの漏洩水、イオン交換樹脂の再生廃液、実験室での分析廃液、床ドレン、従業員の衣類等の洗濯排水があること、これらの液体廃棄物のうち、化学体積制御設備において抽出した抽出水やポンプやバルブ等からの漏洩水等は、放射性物質の濃度は高いが水質は良好なものであるため、いつたんタンクに導き、その後、フイルターによつて固形物を取り除き、蒸発装置で蒸留した上、脱塩器によつてイオン状物質を取り除くなどの浄化処理を行つた後、一次冷却水として原則として再処理すること、イオン交換樹脂の再生廃液や実験室において発生した分析廃液等は、放射性物質の濃度は低いが水質が悪いため、いつた ン状物質を取り除くなどの浄化処理を行つた後、一次冷却水として原則として再処理すること、イオン交換樹脂の再生廃液や実験室において発生した分析廃液等は、放射性物質の濃度は低いが水質が悪いため、いつたん廃液貯蔵タンクに導き、その後フイルターによつて固形物を取り除き、蒸発装置で蒸留したものについては、更に、脱塩器によつて放射性物質を取り除いた後、廃液タンクに入れて、放射能測定装置によつて放射性物質の濃度が低いことを確認した上、放出配管に設置されている放射線モニタによつて監視しながら、復水器冷却用海水に混合希釈して排出すること、洗濯排水等については、通常は、放射性物質をほとんど含んでいないため、洗浄排水タンクに導き、その後、放射能測定装置によつて放射性物質の濃度が十分低いことを確認した上、フイルターによつて固形物を取り除いた後、放出配管に設置されている放射線モニタによつて監視しながら、復水器冷却用海水に混合希釈して排出すること、なお、右の洗濯排水等に含まれている放射性物質の濃度が高い場合には、右のイオン交換樹脂の再生廃液や実験室において発生した分析廃液等を処理する蒸発装置に送り、右イオン交換樹脂の再生廃液と同様の処理を行うことにしていること、(2)本件原子炉において発生する液体廃棄物のうち、外部に放出されるものは右の如く、一部の廃液と洗濯排水に過ぎず、しかも、右廃液等は、いずれもいつたんそれぞれのタンクに導いた後、放射能測定装置によつて、放射性物質の濃度が低いことを確認した上、放射線モニタによつて監視しながら排出することとしていること、(3)右液体廃棄物の年間排出量は、先行炉の実績を考慮して、トリチウム以外のもの年間約一キユリー、トリチウム年間約五〇〇キユリーを超えることはないと評価されたこと、(4)右外部に放出される液体廃棄物は、いずれも復 しかも、右廃液等は、いずれもいつたんそれぞれのタンクに導いた後、放射能測定装置によつて、放射性物質の濃度が低いことを確認した上、放射線モニタによつて監視しながら排出することとしていること、(3)右液体廃棄物の年間排出量は、先行炉の実績を考慮して、トリチウム以外のもの年間約一キユリー、トリチウム年間約五〇〇キユリーを超えることはないと評価されたこと、(4)右外部に放出される液体廃棄物は、いずれも復 棄物の年間排出量は、先行炉の実績を考慮して、トリチウム以外のもの年間約一キユリー、トリチウム年間約五〇〇キユリーを超えることはないと評価されたこと、(4)右外部に放出される液体廃棄物は、いずれも復水器冷御用海水に混合希釈した後、放水口から発電所前面海域に放出されること、(5)本件被ばく評価に当つては、複合モデルにより放水口より四八メートルの海域の放射性物質濃度を採用し、また、参考のため他のモデルによる計算結果からも被ばく線量を算出していること、そして、後記((6))のとおり、濃縮係数については、放水口に住んでいる魚について放射能の濃縮係数として飽和値を使用していること、本件原子力発電所の液体廃棄物による被ばく評価については外部被ばくを考慮する必要がないことから、海水中における放射性物質の拡散のは握が右の程度にしかできなくても、これをもつて不当とはみられないこと、(6)被ばく評価における一般住民の毎日の海産物摂取量は、東海村の漁業従事者の一日当たりの摂取量を基にして、財団法人原子力安全研究協会の海洋放出特別委員会において検討された摂取量を参考として、魚二〇〇グラム、海藻一〇グラム、無せきつい動物二〇グラムと仮定したこと、一般住民が摂取する右の魚等の海産物については、これらのものがいずれも一年中放射性物質濃度の高い放水口近傍に生息し続けているものと仮定したこと、右海産物には世界各国のデータを参考として設定した高い濃縮係数(飽和値)をもつて放射性物質が濃縮されるものと仮定したこと、(7)船舶や漁網等に付着した放射性物質による外部被ばくは、内部被ばくに比べて著しく小さいものと予想され、あえて評価するまでもなかつたこと、(8)以上により計算した結果、液体廃棄物による周辺公衆の被ばく線量は前記1のとおりとなること、(9)なお、液体廃棄物中、トリ に比べて著しく小さいものと予想され、あえて評価するまでもなかつたこと、(8)以上により計算した結果、液体廃棄物による周辺公衆の被ばく線量は前記1のとおりとなること、(9)なお、液体廃棄物中、トリチウム及びヨー素による被ばく評価値は極めて小さく、具体的な数字をあげるまでもなかつたことから、これによる被ばく線量は無視できる程度であると判断したことがいずれも認められる。 、(9)なお、液体廃棄物中、トリ に比べて著しく小さいものと予想され、あえて評価するまでもなかつたこと、(8)以上により計算した結果、液体廃棄物による周辺公衆の被ばく線量は前記1のとおりとなること、(9)なお、液体廃棄物中、トリチウム及びヨー素による被ばく評価値は極めて小さく、具体的な数字をあげるまでもなかつたことから、これによる被ばく線量は無視できる程度であると判断したことがいずれも認められる。次に(1)本件原子炉と同型の先行炉であるアメリカのサンオノフレ発電所及びコネチカツトヤンキー発電所の液体廃棄物の放出実績が別紙三記載のとおりであること(2)本件原子炉の液体廃棄物による被ばく評価に際して参考とした核種構成比はアメリカのオコニー発電所の報告書によつていること、しかし、本件許可処分時には右発電所はまだ稼動していなかつたこと(3)被告が液体廃棄物による外部被ばく評価をしていないこと(4)美浜原子炉前面海域(いずれも原本の存在並びに成立に争いのない甲第一〇二号証、第一四四号証によれば、放水口の直近付近であると認められる)で採れたホンダワラから一グラム当たり〇・二ピコキユリーに及ぶコバルト六〇が検出されたことについてはいずれも当事者間に争いがない。しかし(1)の事実については、前顕乙第七五号証並びに証人x、同o、同tの各証言及び弁論の全趣旨を総合すると、右両発電所においては液体廃棄物の処理(例えば蒸発濃縮装置)が我が国の場合に比べて劣るものであること、我が国と異なり、アメリカでは、蒸気発生器細管から放射性物質が多少漏洩した場合でも運転することが認められていること、右両発電所の燃料被覆管はジルカロイに比べてトリチウムが漏洩しやすいステンレス鋼を用いていること等のために、放出実績が大きくなつていることが認められるので、右は前示認定を左右するものではない。次に右(2)の事 燃料被覆管はジルカロイに比べてトリチウムが漏洩しやすいステンレス鋼を用いていること等のために、放出実績が大きくなつていることが認められるので、右は前示認定を左右するものではない。次に右(2)の事実については、弁論の全趣旨及びこれにより真正に成立したものと認める乙第一四〇号証によれば、被告が本件安全審査において使用したオコニー発電所の報告書とは、アメリカ原子力委員会が作成した同発電所についての最終環境報告書であること、したがつて、右アメリカ原子力委員会によつて十分審議され、当時の実績からみても妥当なものとされたことが推認されるので、右(2)の事実は、前示認定を左右するに足りない。 (2)の事実については、弁論の全趣旨及びこれにより真正に成立したものと認める乙第一四〇号証によれば、被告が本件安全審査において使用したオコニー発電所の報告書とは、アメリカ原子力委員会が作成した同発電所についての最終環境報告書であること、したがつて、右アメリカ原子力委員会によつて十分審議され、当時の実績からみても妥当なものとされたことが推認されるので、右(2)の事実は、前示認定を左右するに足りない。次に右(3)の事実につき証人bは液体廃棄物による外部被ばくは、内部被ばくの一〇倍にもなる旨証言するが、右証言は、再処理工場より海水中に放出される液体廃棄物による被ばく評価に基づいているものであることが右証言自体により明らかである。そして、原本の存在並びに成立に争いのない甲第一四五号証によれば、再処理工場から海水中に放出される廃液中に含まれる放射能による外部被ばくは、内部被ばくの約六倍とも予想されていることが認められる。しかし、右同証並びに証人tの証言及び弁論の全趣旨によれば、再処理工場から海水中に放出される廃液中に含まれる放射能が、最大の場合を想定すると、三か月当たり六五キユリーとなり、例えば、砂からのトリチウム被ばくは、東海村周辺の阿字が浦についての放射能濃度を評価し、その被ばく時間を年間五〇〇時間とし、また、漁網からの被ばくについては、漁網操作海域の放射能濃度として放出口周辺の直径一キロメートルの円内の廃液による放射能濃度を用い、更に、漁網の大きさも考慮するなど、種々の仮定をした上で外部被ばく年間(全身)八・三ミリレムとしていること、このようにして計算され 放出口周辺の直径一キロメートルの円内の廃液による放射能濃度を用い、更に、漁網の大きさも考慮するなど、種々の仮定をした上で外部被ばく年間(全身)八・三ミリレムとしていること、このようにして計算された結果算出された多部被ばく評価値は、本件原子炉の温排水により被害を受けるとして主張している本件原告らの主張の内容(原告らは液体廃棄物により被害をうける態様を別に主張していない)から考えられるところの、外部被ばくを推定すべき事情と比較してみると、その事情に格段の相違があり、しかも、前記のとおり本件原子炉と再処理工場とでは、海水中に排出する液体廃棄物に含まれる放射能量にも格段の違いがあることに鑑み、右再処理工場による外部被ばくを、本件原子炉の外部被ばくの評価の参考とすることはできないものであることがいずれも認められる。 は液体廃棄物により被害をうける態様を別に主張していない)から考えられるところの、外部被ばくを推定すべき事情と比較してみると、その事情に格段の相違があり、しかも、前記のとおり本件原子炉と再処理工場とでは、海水中に排出する液体廃棄物に含まれる放射能量にも格段の違いがあることに鑑み、右再処理工場による外部被ばくを、本件原子炉の外部被ばくの評価の参考とすることはできないものであることがいずれも認められる。よつて、前記証人bの証言は採用しない。そして、外部被ばくの評価をしなかつたことの理由は、前示のとおりであり、右(3)の事実は前示認定を左右するものではない。次に右(4)の事実については、証人tの証言によると、当時の美浜一号炉等の運転状態等が明らかでないうえ、右原子炉と本件原子炉とでは、その前面海域の状況も異なるので、右(4)の事実をもつて直ちに前示認定を左右することはできない。なお、原告らは、本件原子炉から放出される液体廃棄物による被ばく評価は、美浜原子炉前面海域におけるホンダワラ中のコバルト六〇の濃度、サンオノフレ、コネチカツトヤンキー両発電所の液体廃棄物の実績に照らすと、年間全身二・六四レムにもなり、外部被ばくを考慮すると、更に、多量になる旨主張し、証人bは右主張に添う証言をする。しかし、サンオノフレ、コネチカツトヤンキー両発電所における液体廃棄物の放出実績が、本件原子炉の被ばく評価の参考にならないこと、美浜原子炉前面海域で採 なる旨主張し、証人bは右主張に添う証言をする。しかし、サンオノフレ、コネチカツトヤンキー両発電所における液体廃棄物の放出実績が、本件原子炉の被ばく評価の参考にならないこと、美浜原子炉前面海域で採れたホンダワラ中の放射性物質濃度についても、それを直ちに本件原子炉の液体廃棄物による被ばく計算の参考とすることはできないこと、本件原子炉では液体廃棄物による外部被ばくを無視しうることは、前叙のとおりである。したがつて、原告らの右主張に添う証拠は採用できない。なお、本件原子炉の液体放射性物質排出量を左右する燃料、炉心及び蒸気発生器細管の健全性の点については前記2の(二)で述べたとおりである。他に前示認定を左右するに足る証拠は存在しない。(三) 以上の認定に照らせば、本件安全審査における液体廃棄物による被ばく評価は相当であると認められる。4 固体廃棄物の貯蔵、保管等について(一) 本件安全審査において、蒸発装置濃縮液のうち、一次冷却系で再使用されないもの及び雑固体廃棄物は、いずれもドラム缶詰めにして固体廃棄物貯蔵所に貯蔵、保管されること、使用済樹脂については、当面使用済樹脂タンクに貯蔵されること、したがつて、固体廃棄物の貯蔵、保管は安全になされるものと評価したことについては、いずれも当事者間に争いがない。 は相当であると認められる。4 固体廃棄物の貯蔵、保管等について(一) 本件安全審査において、蒸発装置濃縮液のうち、一次冷却系で再使用されないもの及び雑固体廃棄物は、いずれもドラム缶詰めにして固体廃棄物貯蔵所に貯蔵、保管されること、使用済樹脂については、当面使用済樹脂タンクに貯蔵されること、したがつて、固体廃棄物の貯蔵、保管は安全になされるものと評価したことについては、いずれも当事者間に争いがない。(二) 前顕乙第一号証の二、第五号証、第三二号証、証人x、同n、同tの各証言及び検証(第二回)の結果を総合すると、(1)本件原子炉において固体廃棄物として処理されるものとしては、液体廃棄物処理設備の蒸発装置において処理した結果生じた濃縮廃液、機器の点検や修理等に使用した布きれや紙屑等の雑固体廃棄物、化学体積制御設備及び液体廃棄物処理設備からの使用済イオン交換樹脂があること、(2)これらの廃棄物のうち濃縮廃液はドラム缶内にセメント固化し、雑固 検や修理等に使用した布きれや紙屑等の雑固体廃棄物、化学体積制御設備及び液体廃棄物処理設備からの使用済イオン交換樹脂があること、(2)これらの廃棄物のうち濃縮廃液はドラム缶内にセメント固化し、雑固体廃棄物は、圧縮減容した上、ドラム缶詰めにし、また、使用済イオン交換樹脂は、使用済樹脂貯蔵タンクに貯蔵し、それぞれ施設内に保管すること、(3)固体廃棄物の廃棄設備としては、雑固体廃棄物を圧縮するためのベイラ一基、ドラム缶詰めの装置一基、運搬装置一式、使用済樹脂貯蔵タンク六基等があること、使用済樹脂貯蔵タンクは発生する使用済樹脂の約五年分の貯蔵能力があること、固体廃棄物貯蔵所は発生する固体廃棄物を詰めたドラム缶を数年分貯蔵する能力があること、(4)前記濃縮廃液をセメント固化したドラム缶や雑固体廃棄物を詰めたドラム缶は、いずれも本件原子炉の敷地内に設けられた固体廃棄物貯蔵所に貯蔵、保管されるので、右ドラム缶中の放射性物質が漏出することによつて、周辺公衆に放射線障害を及ぼすような危険性はないこと、また、右使用済樹脂貯蔵タンクは、腐食しにくいステンレス鋼を使用するとともに、コンクリート建家内に設置されているので、使用済イオン交換樹脂中の放射性物質が原子炉敷地周辺に漏出する危険性はないことがいずれも認められる。右認定を覆えすに足る証拠はない。なお、原告らは、固体廃棄物の廃棄設備並びに貯蔵保管設備の構造及び貯蔵等の能力、固体廃棄物処理操作の審査がなされていない旨主張するけれども、本件許可処分における安全審査では、基本設計の審査で足りるものであることは前記のとおりである。 コンクリート建家内に設置されているので、使用済イオン交換樹脂中の放射性物質が原子炉敷地周辺に漏出する危険性はないことがいずれも認められる。右認定を覆えすに足る証拠はない。なお、原告らは、固体廃棄物の廃棄設備並びに貯蔵保管設備の構造及び貯蔵等の能力、固体廃棄物処理操作の審査がなされていない旨主張するけれども、本件許可処分における安全審査では、基本設計の審査で足りるものであることは前記のとおりである。したがつて、右原告らの主張は失当である。そして、前示認定に照らすと、本件安全審査において、固体廃棄物の貯蔵、保管方法は安全であるとした判断は、相当と認められる。(三) 本件許可処分に当た である。したがつて、右原告らの主張は失当である。そして、前示認定に照らすと、本件安全審査において、固体廃棄物の貯蔵、保管方法は安全であるとした判断は、相当と認められる。(三) 本件許可処分に当たり、固体廃棄物の最終処分方法について審査がなされていないことについては当事者間に争いがない。右について、被告は、固体廃棄物の最終処分は、規制法二三条二項五号、規則一条の二第一項二号ト(ハ)により、原子炉設置許可処分に際しては、その審査の必要がないとし、固体廃棄物の最終処分は、規制法三五条、三七条に別途規制される旨主張する。しかしながら、右規則一条の二第一項二号ト(ハ)が同(イ)、(ロ)の如く排気口、排水口に該当するものを固体廃棄物の廃棄設備に掲げなかつたのは、廃棄物の性質に由来するものであると解されるから、右の点から、原子炉設置許可処分に当たり、固体廃棄物の最終処分について審査するのが法の趣旨であるとは断じ難く、また、規制法三五条、三七条の規定があるからといつて、固体廃棄物の最終処分が原子炉の基本設計に関わらないとすることはできない。のみならず、廃棄物という概念は最終処分を予定していること、気体廃棄物、液体廃棄物の最終処理が安全審査の対象となつていることの関連比較、更には、規則一条の二第二項九号に照らせば、固体廃棄物の最終処分も本件安全審査の対象であると考えられる。したがつて、その審査をしなかつた本件安全審査には違法があるといわねばならない。しかしながら、前記のとおり固体廃棄物の貯蔵、保管の審査が行われて、その安全であることが確認されたこと、なお、証人yの証言によれば、我が国の原子力発電所における固体廃棄物の最終処分については、現在、国として検討中であることが認められ、右認定を左右するに足る証拠はないから、本件原子炉の固体廃棄物の最終処分 あると考えられる。したがつて、その審査をしなかつた本件安全審査には違法があるといわねばならない。しかしながら、前記のとおり固体廃棄物の貯蔵、保管の審査が行われて、その安全であることが確認されたこと、なお、証人yの証言によれば、我が国の原子力発電所における固体廃棄物の最終処分については、現在、国として検討中であることが認められ、右認定を左右するに足る証拠はないから、本件原子炉の固体廃棄物の最終処分 証人yの証言によれば、我が国の原子力発電所における固体廃棄物の最終処分については、現在、国として検討中であることが認められ、右認定を左右するに足る証拠はないから、本件原子炉の固体廃棄物の最終処分についての審査がなされていないことをもつて、直ちに原告らが危険にさらされるとはみられない。したがつて、右固体廃棄物の最終処分の審査の欠如は、本件許可処分を取り消すべき瑕疵とはいえない。5 放射線管理システムについて(一) 本件安全審査において、本件原子炉の放射線管理システムは、気体廃棄物の一部については放射線モニタにより監視しながら、排気筒から放出し、液体廃棄物については、放射性物質の濃度計算をして、排水モニタを通して排水口から放出し、更に、原子炉敷地内外の各所に設けられているモニタリング施設によつて、環境放射線を常時監視し、また、周辺環境の土壌、動植物、海産物を定期的にサンプリングし、環境における放射性物質を監視することになつていることから、右は安全保護上適当であると判断されたことについては当事者間に争いがない。(二) 気体廃棄物を排気筒から放出する場合及び液体廃棄物を排水口から放出する場合において、右(一)掲記のとおりの方法がとられていることは前記(2の(二)の(8)、(11)、3の(二)の(1)、(2))のとおりである。そして、前顕乙第一号証の二、第五号証、第三二号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第九〇号証、証入n、同tの各証言並びに検証(第二回)の結果及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)本件原子炉は、周辺環境における放射線の変動を監視するため、周辺監視区域の四箇所にはモニタリングポストを、本件原子炉から南方約一キロメートル離れた峠にはモニタリングステーシヨンをそれぞれ設置し、右各設備によつてそれぞれ測定された空間 線の変動を監視するため、周辺監視区域の四箇所にはモニタリングポストを、本件原子炉から南方約一キロメートル離れた峠にはモニタリングステーシヨンをそれぞれ設置し、右各設備によつてそれぞれ測定された空間ガンマ線量率は、原子炉の中央制御室に表示され記録されること、また、敷地周辺の二一箇所にはモニタリングポイントを設置し、三か月間の累積ガンマ線量の測定が行われること、なお、周辺の主要な居住地六箇所にもモニタリングポストを設置し、測定された空間ガンマ線量率の表示及び記録が行われること、(2)右モニタリングポストは、それぞれの設置点における空間ガンマ線量率を測定していること、なお、周辺監視区域境界に設けられているモニタリングポストの右測定値は、原子炉の中央制御室に設けられている指示計器に表示され、同時に、記録計器に記録されるとともに、空間ガンマ線量率が異常に高い値を示した場合には警報が発せられ、運転員に対し気体廃棄物の放出管理上の措置等を求めることとなつていること、モニタリングステーシヨンには、空間ガンマ線量計が設けられているほか、空間ベータ線量計、塵埃モニタ及びヨー素モニタが設けられており、常時又は必要に応じ、空気中の放射性物質の変動を測定していて、右空間ガンマ線量率の測定値は、モニタリングポストと同様に、原子炉の中央制御室に表示記録されること、モニタリングポイントは、通常三か月間に受けるガンマ線の累積線量を測定するものであること、(3)右の環境モニタリング設備によつて測定されたガンマ線等は、その大部分が自然放射線によるものであり、自然放射線による線量は、測定地点によつて異なるほか、降雨等の気象条件によつても、更には時間的にも、かなりの変動が見られる一方、原子炉から放出される気体廃棄物によるガンマ線量はわずかであるため、これによる寄与分を自然放 ングポイントは、通常三か月間に受けるガンマ線の累積線量を測定するものであること、(3)右の環境モニタリング設備によつて測定されたガンマ線等は、その大部分が自然放射線によるものであり、自然放射線による線量は、測定地点によつて異なるほか、降雨等の気象条件によつても、更には時間的にも、かなりの変動が見られる一方、原子炉から放出される気体廃棄物によるガンマ線量はわずかであるため、これによる寄与分を自然放 、測定地点によつて異なるほか、降雨等の気象条件によつても、更には時間的にも、かなりの変動が見られる一方、原子炉から放出される気体廃棄物によるガンマ線量はわずかであるため、これによる寄与分を自然放射線から分離して読みとることは一般に困難であるが(上記については当事者間に争いがない)、原子炉の運転開始前に得られた自然放射線に関するデータと運転開始後に測定されたデータとを比較すること等によつて、少なくとも気体廃棄物によるガンマ線量の寄与分が自然放射線の変動幅に隠れてしまうほど小さいものであることの確認はできること、(4)本件原子炉においては、そこから排出されることとなる気体廃棄物中の放射性物質は、その大部分が不活性な希ガスであるため、周辺環境の土壌、水、動植物に付着したり、吸収されたりすることはないこと、しかし、希ガスとともに放出される可能性のある微量のヨー素や粒子状放射性物質、更には液体廃棄物中に含まれている放射性物質は、周辺環境の土壌や動植物等ないし海産物や海底土にそれぞれ付着したり吸収されたりすることがあること、このため、放射性物質の吸着や濃縮の度合いが大きいなどの特性をもち(右のヨー素、粒子状放射性物質、液体廃棄物中に含まれる放射性物質の特性については当事者間に争いがない)、環境中の放射性物質量の変動の指標となる試料(陸上、海底土、指標生物等)を定め、これを定期的に採取し、分析することによつて、放射性物質の測定を行うこととなつていること、この放射性物質を検知するための分析は、通常の化学分析等に比べて、その検出感度が高いため、微量の放射性物質の存在も検知することができること、(5)なお、本件原子炉の排気筒には、放射性ヨー素を捕集するためのサンプラー及び粒子状放射性物質を測定するための塵埃モニタが設置されており、本件原子炉から放出され の存在も検知することができること、(5)なお、本件原子炉の排気筒には、放射性ヨー素を捕集するためのサンプラー及び粒子状放射性物質を測定するための塵埃モニタが設置されており、本件原子炉から放出される放射性ヨー素及び粒子状放射性物質の監視が可能であること、(6)モニタリングポスト等による放射線の管理及び記録は自動的になされ、ねつ造の余地はないこと、なお、地方公共団体においても原子炉設置者と同様の方法で監視していること、以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。 性ヨー素を捕集するためのサンプラー及び粒子状放射性物質を測定するための塵埃モニタが設置されており、本件原子炉から放出される放射性ヨー素及び粒子状放射性物質の監視が可能であること、(6)モニタリングポスト等による放射線の管理及び記録は自動的になされ、ねつ造の余地はないこと、なお、地方公共団体においても原子炉設置者と同様の方法で監視していること、以上の事実が認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。原告らは、本件原子炉に設置される放射線管理設備については、何ら審査がなされていないばかりでなく、右設備は実際には機能しないものである旨主張する。しかし、前顕乙第一号証の二、第五号証及び証人tの証言に照らし、本件原子炉の放射線管理設備の基本設計の安全審査がなされていることが認められるから、原告らの右主張は理由がない。なお、放射線管理設備の機能が、本件安全審査において判断した如きものであるか否か等や、更に、その具体的な事項は、原子炉の基本設計の審査のみを担当する本件安全審査の対象とはみられない。また、原告らは、本件原子炉の場合、中部電力浜岡原子炉の場合に比べて、モニタリングポスト等の設置箇所が少ないことから、本件原子炉における放射線監視設備であるが不備である旨主張するが、放射線監視設備の設置場所、個数は、原子炉の設置される場所の気象条件、地形、周辺公衆の居住区域の分布等により異なるのは当然とみられるから、原告らの右主張は失当というほかはない。更に、原告らは、現在の放射線監視体制は、放射性物質の放出主体及びその追随者である地方公共団体にさせる不備がある旨主張する。しかし、前記のとおり、主要な放射線測定結果は、自動的に記録されることになつているのであり、かつ、原告らの放射 は、放射性物質の放出主体及びその追随者である地方公共団体にさせる不備がある旨主張する。しかし、前記のとおり、主要な放射線測定結果は、自動的に記録されることになつているのであり、かつ、原告らの放射線放出主体、地方公共団体が放射線監視をすることが不当であるとの主張を肯認するに足る資料はない。(三) 以上の認定に照らし、本件安全審査において、放射線監視システムを前記(一)のとおり評価したことは相当と認められる。6 原子力発電所内の作業者被ばくの問題について原告らは、本件安全審査において、本件原子力発電所内の作業者被ばくの審査がなされていない旨主張する。 とになつているのであり、かつ、原告らの放射線放出主体、地方公共団体が放射線監視をすることが不当であるとの主張を肯認するに足る資料はない。(三) 以上の認定に照らし、本件安全審査において、放射線監視システムを前記(一)のとおり評価したことは相当と認められる。6 原子力発電所内の作業者被ばくの問題について原告らは、本件安全審査において、本件原子力発電所内の作業者被ばくの審査がなされていない旨主張する。しかし、原告らは、自らが本件原子力発電所内に作業者として立ち入ることの蓋然性がある旨の主張をしていない。したがつて、右作業者被ばくの問題は、原告らの具体的利益に関わらないから、原告らは本件許可処分に際し、作業者被ばくについての安全審査が欠如している旨を主張すべき利益を有しない。三使用済燃料の再処理について(一) 本件安全審査において、使用済燃料ピツトは、約四分の三炉心相当分の貯蔵容量を有し、使用済燃料を垂直に保持して水中に貯蔵するようになつていること等から使用済燃料は、安全にピツト内に貯蔵されると判断したことについては当事者間に争いがない。(二) 前顕乙第一号証の一、二、第三二号証、証人yの証言及び検証(第二回)の結果によれば、本件原子炉における使用済燃料は、右(一)掲記のとおり(ただし、その後ビツトの大きさを変えることなく、三分の九炉心分が貯蔵可能になるように変更された。)に貯蔵できるものとなつていること、使用済燃料ピツトは、貯蔵する使用済燃料の崩壊熱を除去するのに十分な容量を有するピツト水浄化冷却設備を設けていることがいずれも認められ、右認定を覆えずに足る証拠はない。原告らは、 となつていること、使用済燃料ピツトは、貯蔵する使用済燃料の崩壊熱を除去するのに十分な容量を有するピツト水浄化冷却設備を設けていることがいずれも認められ、右認定を覆えずに足る証拠はない。原告らは、使用済燃料の貯蔵設備の安全性が十分審査されていない旨主張するけれども、前記のとおり、安全審査において審査されるのは基本設計であるから、前記の審査で足りるものというべく、更に、具体的な審査をなすべき必要は認められない。(三) 右認定に照らし、本件安全審査において本件原子炉の使用済燃料は安全に貯蔵されるとした判断は相当と認められる。(四) 証人yの証言によると、本件許可処分当時においては、本件原子炉における使用済燃料は、動力炉・核燃料開発事業団又はイギリス、フランス等の欧米諸国の施設で再処理をしてもらう見込みを立てていたところ、その後、欧米諸国における使用済燃料再処理事業についての政策の変更等で、右の見込みどおり本件原子炉の使用済燃料処理ができないものとなつたこと、しかし、現在では、動力炉・核燃料開発事業団等で再処理できる見込みが立つていることが認められる。 許可処分当時においては、本件原子炉における使用済燃料は、動力炉・核燃料開発事業団又はイギリス、フランス等の欧米諸国の施設で再処理をしてもらう見込みを立てていたところ、その後、欧米諸国における使用済燃料再処理事業についての政策の変更等で、右の見込みどおり本件原子炉の使用済燃料処理ができないものとなつたこと、しかし、現在では、動力炉・核燃料開発事業団等で再処理できる見込みが立つていることが認められる。右認定を左右すべき証拠はない。ところで、被告は、原子炉設置許可処分に当たつては、使用済燃料が平和の目的以外に利用されるおそれがあるか否か(規制法二三条一項八号、二四条一項一号、規則一条の二第一項五号)及び使用済燃料の原子炉敷地内における貯蔵設備が災害の防止上支障がないものであるかどうかを審査する(同法二三条二項五号、二四条一項四号、規則一条の二第一項二号二)こととしているのであつて、使用済燃料の再処理の安全性については、規制法四四条以下によつて、また、その輸送の安全性については同法三五条、五九条等によつて規制される旨主張する。使用済燃料の貯蔵、保管の審査が必要である旨、使用済燃料の再処理、 処理の安全性については、規制法四四条以下によつて、また、その輸送の安全性については同法三五条、五九条等によつて規制される旨主張する。使用済燃料の貯蔵、保管の審査が必要である旨、使用済燃料の再処理、輸送の安全性については別途規制される旨の被告の右見解はいずれも相当とみられるが、しかし、規制法二三条一項八号、規則一条の二第一項五号による審査が、規制法二四条一項一号のみの審査であるとすることは、たとえ使用済燃料の貯蔵、保管の安全についての審査がなされていても、その期間が長期にわたるときには、周辺住民等に対する災害の防止に支障を生ずるような事態が発生しないとは限らないこと、更に、規則一条の二第一項五号は使用済燃料の処分等の相手方について規定するだけでなく、処分の方法又は廃棄の方法の記載まで規定していることからしても、被告の右の点についての見解には、にわかに左袒できないところであり、使用済燃料の最終処分については、本件許可処分に当たり審査がなされるべきであると解するのを相当とする。しかるところ、前記のとおり、本件許可処分当時、使用済燃料は動力炉・核燃料開発事業団等の再処理施設で処理できる見込みであつたことが認められる。 手方について規定するだけでなく、処分の方法又は廃棄の方法の記載まで規定していることからしても、被告の右の点についての見解には、にわかに左袒できないところであり、使用済燃料の最終処分については、本件許可処分に当たり審査がなされるべきであると解するのを相当とする。しかるところ、前記のとおり、本件許可処分当時、使用済燃料は動力炉・核燃料開発事業団等の再処理施設で処理できる見込みであつたことが認められる。しかして、使用済燃料の処理については、被告の政策的判断が強く働く(規制法四四条参照)ところであるから、右の程度の判断がなされたことが相当性を逸脱するとは断じ難く、本件許可処分は使用済燃料の最終処分の審査について違法ありとはみられないものである。四原子炉の使用を廃止した後の措置について原告らは原子炉の使用を廃止した後の措置をも、本件許可処分の際に審査しておかなければならない旨主張するけれども、規制法二三条二項、規則一条の二の解釈に照らし、原告らの右主張は理由がない。五温排水について原告らは、温排水の影響は規制法二四条一項四 処分の際に審査しておかなければならない旨主張するけれども、規制法二三条二項、規則一条の二の解釈に照らし、原告らの右主張は理由がない。五温排水について原告らは、温排水の影響は規制法二四条一項四号の原子炉による災害に当たるから、本件許可処分に当たり審査しなければならない旨主張する。しかし、右同様規制法二三条二項、規則一条の二に照らし、右は本件許可処分における審査の対象とはならないものと解するのを相当とする。もつとも、゛右規則一条の二第二項六号には、原子炉を設置しようとする場所に関する社会環境等の状況に関する説明書を設置許可申請書に添付すべきことが要請されているが、右の社会環境等とは、人口分布、交通等、人の社会活動に関する事象を指すのみならず、右は原子炉を設置しようとする場所に関してのことであつて、原子炉設置後の事象にまでは触れていない。したがつて、原告らの前記主張は理由がない。第四事故防止対策一原子炉における事故の危険性とその発生の可能性について 1 原子炉における事故の危険性(一) 原子炉における核分裂反応は、熱エネルギーを発生させる際に、同時に極めて毒性の強い核分裂生成物やプルトニウム等の放射性物質を大量に産出すること、原子炉より産出されるプルトニウムは極めて危険な存在であり、その半減期は二万四〇〇〇年という極めて長いものであること、ICRPによるプルトニウムの最大負荷量の勧告値、本件原子炉を一年間運転することによつて、約一五〇キログラムのプルトニウムが産出されること、コクラン、タンプリン博士がホツトパーテイクル説を発表して、現在のICRPのプルトニウムの最大許容負荷量の勧告値が、高すぎるとして、論争を起こしていること、また、放射性物質の毒性の特質は、これまでの石油コンビナート等に関する公害紛争で問題にされてきた、いわゆ と、ICRPによるプルトニウムの最大負荷量の勧告値、本件原子炉を一年間運転することによつて、約一五〇キログラムのプルトニウムが産出されること、コクラン、タンプリン博士がホツトパーテイクル説を発表して、現在のICRPのプルトニウムの最大許容負荷量の勧告値が、高すぎるとして、論争を起こしていること、また、放射性物質の毒性の特質は、これまでの石油コンビナート等に関する公害紛争で問題にされてきた、いわゆ 在のICRPのプルトニウムの最大許容負荷量の勧告値が、高すぎるとして、論争を起こしていること、また、放射性物質の毒性の特質は、これまでの石油コンビナート等に関する公害紛争で問題にされてきた、いわゆる化学的物質とは全く異質性を有する点にあること、すなわち(1)放射性物質が発する放射線は、人体に与えるその作用力の大きさにもかかわらず、たとえ、致死量の放射性物質にさらされていても、人間の五感によつてそれを感得し得ず、特別の検知装置によつてしかその存在を確知し得ないやつかいな性質を有すること(2)現在の科学水準では、放射性物質の毒性を無毒化することは不可能であり、したがつて、いつたん生産された以上、自然の法則に従つて放射性物質が放射線を出しつつ漸次崩壊し、放射能を減衰してゆくのを待つ以外には対策がないことについてはいずれも当事者間に争いがない。そして、証人bの証言によると、本件原子炉の場合、一年間の操業によつて、ヨー素約八〇〇〇万キユリー、セシウム約二〇〇万キユリー、ストロンチウム約一〇〇万キユリー、その他プルトニウム等、すべてを合わせると約一〇億キユリーという膨大な放射能を含む核分裂生成物等が蓄積されることが認められる。右認定を覆えずに足る証拠はない。(二) 原子力発電所の原子炉は、原子爆弾とは構造が異なるので、たとえ原子炉が制御不能に陥つたとしても、TNT火薬換算数万トン相当といつた爆発を起こすことはないこと、しかし、原子炉の中に蓄積した大量の放射性物質が原子炉の事故等により広く環境に放出されれば、人や農作物、魚貝類等に与える災害は、他のいかなる種類の産業による災害とも比較できない程に甚大になるのはもちろん、放射性物質によつて汚染された土地や海は長期にわたつてその利用を制限されざるを得なくなること、アメリカで昭和三二年(一九五七年)に なる種類の産業による災害とも比較できない程に甚大になるのはもちろん、放射性物質によつて汚染された土地や海は長期にわたつてその利用を制限されざるを得なくなること、アメリカで昭和三二年(一九五七年)に行われたブルツクヘブン国立研究所の報告(WASH-七四〇)によると、当時はまだ大型の商業用原子炉は稼動していなかつた時代であつたので、電気出力約一六万キロワツト(本件伊方原子力発電所はその三・五倍に当たる)の原子炉を例に事故評価を行つたところ、事故が発生して炉心に溜つている高レベルの放射性廃棄物の五〇パーセントが大気中に放出され、更に、大気の逆転層が存在するなどの悪条件が重なると、三四〇〇人が即死し、四万三〇〇〇人が急性病で倒れ、損害は当時の金額で約七〇億ドル(二兆一〇〇〇億円)にのぼると推定されたこと、また、昭和三五年に科学技術庁が日本原子力産業会議に委託した結果「大型原子炉の事故の理論的可能性及び公衆損害額に関する試算」が作成されたが、それによると伊方原子炉の三分の一弱の熱出力五〇万キロワツトの原子炉において、大事故の場合には、例えば、揮発性の放射性物質がすべて放出され、最悪の気象条件下であるとしたときには、七二〇人の急性障害死者、五〇〇〇人の障害者及び一三〇万人にも及ぶ要観察者が生じ、経済的な損害も当時の価格で一一四〇億円に達すると推定されたことについてはいずれも当事者間に争いがない。 び公衆損害額に関する試算」が作成されたが、それによると伊方原子炉の三分の一弱の熱出力五〇万キロワツトの原子炉において、大事故の場合には、例えば、揮発性の放射性物質がすべて放出され、最悪の気象条件下であるとしたときには、七二〇人の急性障害死者、五〇〇〇人の障害者及び一三〇万人にも及ぶ要観察者が生じ、経済的な損害も当時の価格で一一四〇億円に達すると推定されたことについてはいずれも当事者間に争いがない。2 原子炉における事故発生の可能性アメリカのアイダホ国立原子炉試験場でのSL-I原子炉は、熱出力三〇〇〇キロワツトの小型の原子炉であつたが、その事故によつて三名の死者、復旧作業に従事した数百人の被ばく、及び一三億〇五〇〇万円の損害を出したこと、その被害の程度については、事故が広大な敷地内で発生したため、被害を極めて小さいものにしたという幸運が指摘され 名の死者、復旧作業に従事した数百人の被ばく、及び一三億〇五〇〇万円の損害を出したこと、その被害の程度については、事故が広大な敷地内で発生したため、被害を極めて小さいものにしたという幸運が指摘されていること、また、イギリスのウインズケール原子炉は、熱出力一万キロワツトと推測される原子炉であつたが、その事故は、死者が全く出ない比較的軽度の事故であつたにもかかわらず、長さ約五〇キロメートル、幅約一六キロメートルにわたる広汎な地域から生産される牛乳が一か月半もの間使用禁止になつたこと、この時、大気中へ放出された放射性物質の量はヨー素二万キユリー、セシウム六〇〇キユリー、ストロンチウム九〇キユリー等であつたと推定されていること、熱出力一六五万キロワツトの伊方炉のように、スケールアツプされた原子炉のもつ潜在的危険性は巨大なものであり、したがつて、原子力発電に伴つて原子炉の中に発生する放射性物質は確実に管理することが絶対的な要請となること、なお、放射性物質の毒性からの被害の発生を防ぐには、放射性物質をできる限り人体等に影響を与えない形態で隔離し、これを完全に制御し、保管するという方法しかないこと、特に放射性物質を大量に環境に放出する原子炉事故は絶対に起こしてはならず、仮に何らかの原因で原子炉事故が発生しても、放射性物質を環境へ放出することは未然に防止しなければならないこと、目下、原子炉の大型化が進められていること、被告が安全だとして出航させた原子力船「むつ」に中性子漏れ事故が発生したこと、被告が原子力損害の賠償に関する法律を制定する手続をとり、これを成立させたこと並びに、ラスムツセン教授によつて行われた、発電用原子炉の安全性研究(WASH-一四〇〇、アメリカ原子力規制委員会、昭和五〇年(一九七五年)、いわゆるラスムツセン報告)では、原子炉における ればならないこと、目下、原子炉の大型化が進められていること、被告が安全だとして出航させた原子力船「むつ」に中性子漏れ事故が発生したこと、被告が原子力損害の賠償に関する法律を制定する手続をとり、これを成立させたこと並びに、ラスムツセン教授によつて行われた、発電用原子炉の安全性研究(WASH-一四〇〇、アメリカ原子力規制委員会、昭和五〇年(一九七五年)、いわゆるラスムツセン報告)では、原子炉における させたこと並びに、ラスムツセン教授によつて行われた、発電用原子炉の安全性研究(WASH-一四〇〇、アメリカ原子力規制委員会、昭和五〇年(一九七五年)、いわゆるラスムツセン報告)では、原子炉における設備機器の故障確率等を技術分野全般における調査から算出し、いろいろな規模の事故、災害の起こりやすさを推定し、原子力発電における事故、災害の発生の確率は他の産業に用いられている施設、設備機器における同じ規模の事故災害の発生確率に比べて約一〇〇〇分の一程度であり、ほぼいん石の落下による事故の発生確率と同等程度のものであることを明らかにしていること、についてはいずれも当事者間に争いがない。ところで、証人xの証言によると、前記の事故を起こしたSL-I、ウインズケールの各原子炉は、いずれも特殊な目的の下に建設されたプルトニウム生産炉(ウインズケール原子炉)や、可搬型軍用原子炉(SL-I原子炉)であり、今日の発電用原子炉が何重もの防護措置を講じられ、何らかの異常が起こつても、事故に至るはるか事前の段階で防止されるようになつているのに比べると、右のウインズケール原子炉やSL-I原子炉においては、何ら安全対策が講じられていなかつたのに等しいものであることが認められ、右認定を覆えすに足る証拠はない。なお、原告らは、今日の高出力の原子炉の方が右各原子炉よりもはるかに危険である旨主張するけれども、原子炉事故の発生した場合における被害の規模の点を別とすれば、右原告らの主張を認めるに足る確たる証拠はない。なお、証人xは、右ラスムツセン報告は、極めて信用度の高いものであり、しかも、その一〇〇万年に一回という事故発生確率は、現実に起こるという事故をいうものでなく、その可能性を示すものにすぎない旨述べ、更に、現在までに運転されてきた原子力発電所の運転経験を通算すると、一千 も、その一〇〇万年に一回という事故発生確率は、現実に起こるという事故をいうものでなく、その可能性を示すものにすぎない旨述べ、更に、現在までに運転されてきた原子力発電所の運転経験を通算すると、一千炉年になるが、その間事故がなかつた旨証言する。 生確率は、現実に起こるという事故をいうものでなく、その可能性を示すものにすぎない旨述べ、更に、現在までに運転されてきた原子力発電所の運転経験を通算すると、一千 も、その一〇〇万年に一回という事故発生確率は、現実に起こるという事故をいうものでなく、その可能性を示すものにすぎない旨述べ、更に、現在までに運転されてきた原子力発電所の運転経験を通算すると、一千炉年になるが、その間事故がなかつた旨証言する。しかし、成立に争いのない甲第二〇四号証の二並びに証人p3、同cの各証言及び弁論の全趣旨によれば、ラスムツセン報告について、すでにアメリカ国内でも(1)それは原子炉自体の検討にとどまり、トラツク、鉄道、荷船による放射性物質の輸送、放射性廃棄物の処理、サボタージユ、窃盗あるいはテロ行為の危険、核燃料再処理工場、ウラン採鉱過程、廃棄物などの現実に機能する原子力発電の全過程を問題にしていないのはもちろん(2)確率評価の方法が他から借用してきたものであり、原子力発電独自のものとしての妥当性は疑わしいこと(3)事故の影響を軽減する唯一、最大の要因として、避難に頼つているが、同報告が予定しているような住民の急速な避難は現実には不可能であること(4)ラスムソセン報告を前提としても、同じ量の放射性物質が放出されるとしての死者数に誤算があり、正しく計算すれば死者の数は桁違いに上昇すること等の問題点が指摘されていること、また、一千炉年無事故説については、原子炉の規模の大小、型式の違い、運転期間の長短を無視して各原子炉の運転期間を単純に合算したうえで一千炉年の経験になるとして、その間無事故であるというもので、科学的推論の方法とはいえないこと、なお、、原子炉の運転経験がまだそれ程多くない現状では、原子炉特有の物性が十分には握されているものとはみられず、ましてや人為的な事故については、もともと確率計算をするのに適当な程の多数の経験が現在までの原子炉の運転等によつて得られているとはみられないこと、したがつて、原子炉の事故発生 ているものとはみられず、ましてや人為的な事故については、もともと確率計算をするのに適当な程の多数の経験が現在までの原子炉の運転等によつて得られているとはみられないこと、したがつて、原子炉の事故発生を確率的に評価することの妥当性には疑問があることがいずれも認められる。したがつて、前示、ラスムツセン報告や証人xの証言する一干炉年無事故説から、直ちに本件原子炉には事故発生の危険がないと認めることはできない。 るものとはみられず、ましてや人為的な事故については、もともと確率計算をするのに適当な程の多数の経験が現在までの原子炉の運転等によつて得られているとはみられないこと、したがつて、原子炉の事故発生を確率的に評価することの妥当性には疑問があることがいずれも認められる。したがつて、前示、ラスムツセン報告や証人xの証言する一干炉年無事故説から、直ちに本件原子炉には事故発生の危険がないと認めることはできない。しかし、また、他方前記争いのない事実である原子炉の大型化が進められていること、原子力船「むつ」の事故、原子力損害の賠償に関する法律が制定されたことはいずれもこれのみて本件原子炉において原子炉事故が発生することを推認できるものではない。3 原子炉の安全確保の技術について前記のとおり本件原子炉と同型の原子炉はもちろん、その他の商業用原子力発電所において、周辺公衆に被害を及ぼすべき事故は過去に一度も発生していない。また、いずれも成立に争いのない乙第八三、八四号証、第一一六、一一七号証及び弁論の全趣旨によれば、玄海一・号炉は、本件原子炉の設計者である三菱重工が設計したもので、本件原子炉と同じ構造及び熱出力を有する加圧水型原子炉であるが(右については当事者間に争いがない)、昭和五〇年一月にその運転を開始して以来、二件の軽微な故障が起きたことを除き、順調に運転されており、その稼動率は九九・四パーセント(昭和五一年一月から同年一〇月までの間)に達していること、本件原子炉についても、昭和五二年一月二九日臨界に達した後、二〇パーセント、三五パーセント、五〇パーセント、七五パーセントの各出カ段階の下において、必要に応じて各種試験が行われ、原子炉及び発電設備ともすべて所定の機能を有していることが順次確認され、発電を開始してから昭和五二年五月二七日までの発電 ント、七五パーセントの各出カ段階の下において、必要に応じて各種試験が行われ、原子炉及び発電設備ともすべて所定の機能を有していることが順次確認され、発電を開始してから昭和五二年五月二七日までの発電量は四億四七〇〇万キロワツトに達し、更にその後、総発電量約五億八〇〇〇万キロワツトに達した段階で、そのうちの約八九パーセントが実際に外部へ送電されたことがいずれも認められ、右認定に反する証拠はない。次に、前顕乙第一号証の一、二、第四、五号証、第二五号証並びに証人x、同n、同yの各証言によれば、(1)原子炉が他の各種産業設備と同様に、本来危険性を有するものであること、また、一般論として機械に故障がつきものであるということも肯定し得ること、発電用原子炉の開発、利用にたずさわる者はすべて右の事実を認識しており、それ故に、発電用原子炉の開発に当たつては、この危険性をいかにして顕在化させないかの科学技術の検討が積み重ねられたこと、その結果現在の原子炉が実現されたこと、すなわち、発電用原子炉は、他の産業設備の場合には見られない程慎重に、安全確保に関する諸々の配慮がなされるべきであるとの基本的な考え方に立つうえで、現在の社会において広く利用されている科学技術と、これまでの原子力等に関する膨大な研究、開発により得られた科学技術とを駆使して作り上げられた、他の産業設備の場合には稀な信頼性の高い工学技術体系を導入していること、(2)その技術的観点から見た特徴は、後記二の1の(二)の(2)ないし(7)掲記の如きものであること、(3)しかし、施設、設備、機器の基本的設計方針が十分であつても、それらが実際に右方針に沿うように製作、建設され、また、保守、管理されなければその目的を達成することができないので、規制法等において更に、設置許可段階、設置段階、運転の段階に応じて 場合には稀な信頼性の高い工学技術体系を導入していること、(2)その技術的観点から見た特徴は、後記二の1の(二)の(2)ないし(7)掲記の如きものであること、(3)しかし、施設、設備、機器の基本的設計方針が十分であつても、それらが実際に右方針に沿うように製作、建設され、また、保守、管理されなければその目的を達成することができないので、規制法等において更に、設置許可段階、設置段階、運転の段階に応じて が十分であつても、それらが実際に右方針に沿うように製作、建設され、また、保守、管理されなければその目的を達成することができないので、規制法等において更に、設置許可段階、設置段階、運転の段階に応じて必要な規制が行われるようになつていることがいずれも認められる。原告らは、原子炉の安全防護技術は未完成であり、その規制も不完全にしか行われていない旨主張し、証人cは右原告らの主張に添う証言をする。なお、前顕甲第三五号証、第二六四号証、第二六六号証、成立に争いのない同第二六五号証、第二六七号証も右主張に添うものである。しかし、右各証拠は前示各認定事実に照らし直ちに採用できず、他に前記各認定を覆えずに足る証拠はない。なお、原告らは我が国では、ただ外国の技術にのみ頼つて原子炉を開発している旨主張するが、右主張事実を認めるに足る証拠はなく、また、仮に右主張事実が存在するとしても、このことから直ちに、原子炉の安全技術が未完成であると認めることはできない。二本件原子炉の安全性確保に対する配慮について 1 本件原子炉の安全性確保に対する配慮(一) 本件安全審査において、本件原子炉についての安全保護のために、(1)設備、機器は、その健全性を維持するために、材料の選択、製作の段階における管理を重視することとしている。(2)設計に際しては、それぞれ所要の安全余裕をもたせるとともに、安全上特に重要な設備、機器については、更に苛酷な使用条件等を前提として、それに対しても安全余裕をもたせ、また、部分的な異常に対しても、これが故障につながらないように重複性をもたせている。(3)万一の機器の誤動作や、運転員の誤操作があつた場合でも、原子炉の安全に関わるような異常状態が発生することを防止するため、原子炉各部の状態をは握する計測装置及び計測装置によつて得られた計測値に基づ )万一の機器の誤動作や、運転員の誤操作があつた場合でも、原子炉の安全に関わるような異常状態が発生することを防止するため、原子炉各部の状態をは握する計測装置及び計測装置によつて得られた計測値に基づき各機器を制御する制御装置のうち、安全上重要な計測制御装置については、計測装置の検出回路、論理回路等に重複性、独立性をもたせ、制御装置に故障が起こつた場合に安全サイドに働く、いわゆるフエイル・セイフや所定の条件が整わなければ作動しないインターロツク等種々の配慮がなされている。 関わるような異常状態が発生することを防止するため、原子炉各部の状態をは握する計測装置及び計測装置によつて得られた計測値に基づき各機器を制御する制御装置のうち、安全上重要な計測制御装置については、計測装置の検出回路、論理回路等に重複性、独立性をもたせ、制御装置に故障が起こつた場合に安全サイドに働く、いわゆるフエイル・セイフや所定の条件が整わなければ作動しないインターロツク等種々の配慮がなされている。例えば、原子炉出力の制御のために、制御棒クラスタを炉心に出し入れするのを制御する際の基準として使用する一次冷却材平均温度は、それぞれ独立に測定して求めた四つの平均値のうちの最高温度をあてるようになつており、また、制御棒クラスタ駆動装置については、その駆動電源が失われた場合には、すべての制御棒クラスタが自動的に炉心に落下して原子炉を停止することになつている。また、制御棒は、原子炉内の中性子量が定められた量に達した場合には引き抜きが阻止されるようになつている。(4)本件原子炉の安全上重要な設備、機器、原子炉の運転が開始された後においても、その性能が引き続き確保されていることを確認するための試験ができるような構造となつている。(5)本件原子炉では各種の制御信号を正確かつ速やかに処理して、その運転を安全に継続するため、自動調整装置が備えられている。例えば、原子炉の圧力が、その規制値を上下した場合には、圧力制御装置が作動して、加圧器のスプレイ流量の増加又は電熱ヒーターの発熱量の増加によつて、規制値に戻され、自動的に一定に保たれる。なお、一次冷却材圧カバウンダリ内の圧力が異常に上昇するような事態に備え、加圧器に設置された圧力逃し弁及び安全弁の自動開放により過圧による一次冷却材圧カバウ 、規制値に戻され、自動的に一定に保たれる。なお、一次冷却材圧カバウンダリ内の圧力が異常に上昇するような事態に備え、加圧器に設置された圧力逃し弁及び安全弁の自動開放により過圧による一次冷却材圧カバウンダリの損傷を防止する機構となつている。更に、一次冷却水の温度は、原子炉の出力が全出力の一五パーセント以上に達した場合に、制御棒を自動的に上下させることによつてタービン、発電機の出力に見合つた温度になるよう自動調整される。(6)運転中、原子炉施設内外において、異常状態が発生した場合、これを、すばやく、かつ、確実に検知するため、原子炉圧力容器周辺、原子炉施設内外の所要の箇所に、その箇所に応じた機能を発揮するような、計測監視装置が設けられており、異常を検知した場合には警報を発することとなつている。 ント以上に達した場合に、制御棒を自動的に上下させることによつてタービン、発電機の出力に見合つた温度になるよう自動調整される。(6)運転中、原子炉施設内外において、異常状態が発生した場合、これを、すばやく、かつ、確実に検知するため、原子炉圧力容器周辺、原子炉施設内外の所要の箇所に、その箇所に応じた機能を発揮するような、計測監視装置が設けられており、異常を検知した場合には警報を発することとなつている。(7)右の計測、監視装置によつて異常状慾を検知した場合には、運転員の操作を待つことなく、自動的に原子炉を緊急停止させるなど、異常状態の拡大を防止するための所要の措置を講ずることのできる重複性、試験可能性を有する信頼性の高い安全保護装置を備えている。例えば、中性子量の異常な増加、一次冷却系内の圧力の異常な変動、電源の喪失等原子炉の運転を継続した場合に安全上支障が生ずるおそれのあるような異常な状態が発生した場合には、自動的に全制御棒を緊急に挿入し、燃料を損傷することなく、原子炉が停止し得るような原子炉停止系を備えるとともに、右制御棒が作動しない場合の備えとして、中性子を吸収するボロン溶液を急速に注入する装置を備えている。(8)運転開始後の原子炉においては、毎年一回、定期的に原子炉を停止し、原子炉各部の詳細な試験、検査を実施することとなつており、運転中に検知し得ないような異常のきざしの現われも検知し、所要の対策が講じられるようになつている。(9)更に、後記の 定期的に原子炉を停止し、原子炉各部の詳細な試験、検査を実施することとなつており、運転中に検知し得ないような異常のきざしの現われも検知し、所要の対策が講じられるようになつている。(9)更に、後記のように、工学的安全防護施設を具備していることから、本件原子炉の安全性に対する配慮は十分なされているものと判断したことについては、いずれも当事者間に争いがない。(二) 前顕乙第一号証の一、二、第四号証、第三二号証、成立に争いのない同第三〇号証及び証人x、同n、同o、同tの各証言を総合すると、(1)本件原子炉の設備、機器は、材料の選択、製作の段階における管理を重視するようにしていること、(2)設計に際しては、それぞれ所要の安全余裕をもたせるとともに、安全上特に重要な設備、機器については、更に苛酷な使用条件等を仮定し、それに対しても耐え得るような安全余裕をもたせるとか、あるいは部分的な異常に対しては、これが故障につながらないように、それらに重複性をもたせることにしていること、例えば、原子炉圧力容器については、一次冷却系の異常な圧力上昇に耐え得るような設計がなされていること、また、予想される種々の異常な圧力上昇の発生ひん度を大きく見積り、こうした事態が繰り返し発生したとしても、耐えられるような構造を有していること、また、補機冷却系統設備、非常用電源設備等は、これを構成するポンプやデイーゼル発電機に予備機を有しており、これらの一つに異常が生じた場合にも、予備のものが作動し、設備全体としては所定の機能を発揮できるように重複性をもたせていること、(3)本件原子炉においては、機器の誤動作や運転員の誤操作を防止するために、機器が信頼性あるものであることとする配慮がなされているほか、更に、万一、機器の誤動作や運転員の誤操作があつた場合でも、原子炉の安全に関わる これを構成するポンプやデイーゼル発電機に予備機を有しており、これらの一つに異常が生じた場合にも、予備のものが作動し、設備全体としては所定の機能を発揮できるように重複性をもたせていること、(3)本件原子炉においては、機器の誤動作や運転員の誤操作を防止するために、機器が信頼性あるものであることとする配慮がなされているほか、更に、万一、機器の誤動作や運転員の誤操作があつた場合でも、原子炉の安全に関わる おいては、機器の誤動作や運転員の誤操作を防止するために、機器が信頼性あるものであることとする配慮がなされているほか、更に、万一、機器の誤動作や運転員の誤操作があつた場合でも、原子炉の安全に関わるような異常状態が発生することを防止するための設計上の配慮として、原子炉各部の状態をは握する計測装置によつて得られた計測値に基づき、各機器等を制御する制御装置のうち、安全上重要な計測制御装置については、計測装置の検出回路、論理回路等に重複性、独立性をもたせるとか、制御装置において故障が起こつた場合に安全サイドに働くいわゆるフエイル・セイフや所定の条件が整わなければ作動しないインターロツク等、種々の配慮がなされていること、例えば、安全上重要な計測制御装置の一つである制御棒クラスタ制御系は、原子炉出力の制御のために、制御棒クラスタを炉心に出し入れするのを制御する装置であり、出力に対して、一次冷却材平均温度が低い場合には制御棒を引き抜き、逆に高い場合には制御棒を挿入するものであるが、その際に使用する一次冷却材平均温度は、それぞれ独立に測定して求めた四つの平均温度のうち、最高温度をあてるようになつており、検出器が故障するなどして平均温度を実際よりも過小評価し、誤つて制御棒が引き抜かれることのないような構造となつていること、更に制御棒クラスタ駆動装置についても、その駆動電源が失われた場合には、すべての制御棒クラスタが自動的に落下して原子炉を停止することとなつていること、また、誤操作等により、制御棒が誤つて引き抜かれ、原子炉の中性子量が異常に増大し、あらかじめ定められた量に達した場合には、それ以上の引き抜きは自動的に阻止されることとなつていること、(4)本件原子炉の安全上重要な設備、機器、その信頼性を常に保持するため、その性能が引き続き確保されることを確認 られた量に達した場合には、それ以上の引き抜きは自動的に阻止されることとなつていること、(4)本件原子炉の安全上重要な設備、機器、その信頼性を常に保持するため、その性能が引き続き確保されることを確認するための試験ができるような構造となつていること、例えば、安全保護系は、原子炉の運転中においても、検出器の出力信号の測定によつてその健全性を確認できるほか、テスト用の模擬出力信号によつて原子炉の停止用遮断器が設計どおり作動することかできることまで確認できること、非常用炉心冷却設備の高圧注入系及び低圧注入系は、試験用配管が別途設置されており、運転中においても、ポンプを中心とする作動試験を定期的に実施することができること、また、原子炉格納施設は、必要に応じてその内部を加圧し、また、配管等の貫通部については、それぞれの内部を加圧することによつて気密性を確認することができることになつているほか、格納容器スプレイ系は別途に設置されている試験用配管を用いて作動試験を実施することができ、アニユラス空気再循環設備は、必要に応じて運転してみることによつてその性能を確認することができることになつていること、(5)本件原子炉では、各種の制御信号を正確かつ迅速に処理してその運転を安全に継続するため、自動調整装置を備えていること、例えば、原子炉の状態を左右する原子炉の圧力は、圧力制御装置によつて、これが規定値を下回つた場合には、加圧器の電熱ヒーターの発熱量を増加させることによつて、また、上回つた場合には、加圧器スプレイ流量を増加させることによつて、いずれも規定値に戻され、自動的に一定に保たれるようになつていること、なお、一次冷却材圧カバウンダリ内の圧力が異常に上昇するような事態に備え、加圧器には圧力逃し弁及び安全弁を設置しており、これらの弁の自動開放により、過圧によ 圧力制御装置によつて、これが規定値を下回つた場合には、加圧器の電熱ヒーターの発熱量を増加させることによつて、また、上回つた場合には、加圧器スプレイ流量を増加させることによつて、いずれも規定値に戻され、自動的に一定に保たれるようになつていること、なお、一次冷却材圧カバウンダリ内の圧力が異常に上昇するような事態に備え、加圧器には圧力逃し弁及び安全弁を設置しており、これらの弁の自動開放により、過圧によ 的に一定に保たれるようになつていること、なお、一次冷却材圧カバウンダリ内の圧力が異常に上昇するような事態に備え、加圧器には圧力逃し弁及び安全弁を設置しており、これらの弁の自動開放により、過圧による一次冷却材圧カバウンダリの損傷を防止する機構となつていること、また、加圧器の水位は、化学体積制御設備によつて原子炉出力に見合つた水位となるように一次冷却系への給水量が自動的に制御されること、更に、一次冷却系の温度は、原子炉の出力が全出力の一五パーセント以上に達した場合には、制御棒を自動的に上下させることによつてタービン発電機の出力に見合つた温度になるよう自動調整されること、(6)本件原子炉は、以上のような配慮にもかかわらず、万一運転中に何らかの異常が発生した場合には、その異常状態が更に拡大することを防止するため、異常状態を検知する計測監視装置及びその異常状態の拡大を防止する安全保護装置が設けられ、これらの装置によつて所要の措置がなされるようになつていること、すなわち(1)本件原子炉には、運転中原子炉施設内外において発生した異常状態を検知するために、原子炉圧力容器周辺、原子炉施設内外の所要の箇所に次のような計測監視装置が設けられており、異常を検知した場合には警報を発することとなつていること、すなわち、その第一は、炉心各部における核分裂反応の変化や異常の有無を監視するため、原子炉圧力容器の外周には、炉心の中性子量を監視する計測装置があり、第二に、原子炉施設内の主要箇所における異常の有無を監視するため、一次冷却系、化学体積制御系、廃棄物処理系等の所要の箇所にはそれぞれ原子炉施設内における温度、圧力、流量等を監視する計測装置が設けられ、第三に、原子炉施設内外における異常な放射能の有無を監視するため、化学体積制御系、二次冷却系、廃棄物処理系、格納容器 にはそれぞれ原子炉施設内における温度、圧力、流量等を監視する計測装置が設けられ、第三に、原子炉施設内外における異常な放射能の有無を監視するため、化学体積制御系、二次冷却系、廃棄物処理系、格納容器、補助建家等の所要の箇所や、前記のとおり、放射性物質の大気又は海水への排出口、屋外の周辺監視区域境界付近等安全確保上必要な箇所には、それぞれ放射線量を監視する放射線監視装置が設けられている。 理系、格納容器 にはそれぞれ原子炉施設内における温度、圧力、流量等を監視する計測装置が設けられ、第三に、原子炉施設内外における異常な放射能の有無を監視するため、化学体積制御系、二次冷却系、廃棄物処理系、格納容器、補助建家等の所要の箇所や、前記のとおり、放射性物質の大気又は海水への排出口、屋外の周辺監視区域境界付近等安全確保上必要な箇所には、それぞれ放射線量を監視する放射線監視装置が設けられている。このように本件原子炉においては、右各種計測監視装置によつて、運転中における異常状態の発生が検知できるようになつていること(2)なお、本件原子炉においては、燃料の異常状態を検知するため、一次冷却水の浄化を行う化学体積制御系の配管の途中に設置された放射線モニタにより、一次冷却水中の放射性物質濃度の変化を常時監視し、更に、定期的あるいは適時に一次冷却水をサンプリングし、放射性物質濃度を測定して、燃料棒からの放射性物質の漏洩を検知できるようになつていること、また、燃料集合体内に挿入できる可動小型中性子東検出器により出力分布を測定し、出力分布に異常を与えるような燃料棒の異常の発生を検知できるようになつていること(3)本件原子炉においては、原子炉圧力容器や配管等からの一次冷却水漏洩という異常状態を検知するため、格納容器内に各種モニタ等からなる一次冷却材圧カバウンダリ漏洩検知設備を設け、右異常状態を検知できるようになつていること、すなわち、本件原子炉の一次冷却系においては、これを構成する機器、配管の接合部より冷却水が漏洩しないように配慮されているが、ポンプや弁の駆動軸のすき間からの冷却水の漏洩は完全には防ぐことができないので、更にここからの漏洩水を配管を通してタンクへ集めるような構造としており、この結果、一次冷却水から格納容器雰囲気中への漏洩をわずかな量に抑えることが らの冷却水の漏洩は完全には防ぐことができないので、更にここからの漏洩水を配管を通してタンクへ集めるような構造としており、この結果、一次冷却水から格納容器雰囲気中への漏洩をわずかな量に抑えることができること、このため原子炉圧力容器や配管等から一次冷却水の漏洩が生じた場合には、格納容器内に設けられた格納容器塵埃モニタ及びガスモニタによつて検知され、また、格納容器内に漏洩してくる水を貯蔵する装置の水位量の変化によつても検知できること、なお、一次冷却材圧カバウンダリからの一次冷却水の漏洩があれば、充てんポンプ流量が増加することになるので、右充てん流量の監視及び警報等によつても、漏洩を検知することができること、右の各種装置によつて、漏洩は検知され、更に検知された後は、充てんポンプ流量の自動増加や予備機の起動によつて、一次冷却材圧力バウンダリ内の冷却水量の減少を防止するとともに、原子炉の停止等の所要の対策を講ずることになつていること(4)本件原子炉においては、蒸気発生器細管の異常状態を検知するため、復水器空気抽出器排ガス系及び蒸気発生器ブローダウン系にそれぞれ放射線モニタを設置し、蒸気発生器二次側の放射性物質濃度の高まりを検知すること、検知後は直ちに原子炉の運転を停止するとともに、空気抽出器排ガス系をチヤコールフイルターを設置した回路に切り換え、また蒸気発生器ブローダウン系を閉鎖し、ブローダウンタンクの中の水を廃棄物処理設備へ導くなど、放射性物質の環境への放出を防止する一方、損傷した細管に盲栓工事をするなど所要の措置を講ずることになつていること、(7)本件原子炉には、前記の計測監視装置によつて異常状態を検知した場合には、運転員の操作を待つことなく、自動的に原子炉を緊急停止させるなど、異常状態の拡大を防止するための安全保護設備を備えていること、例 発生器ブローダウン系を閉鎖し、ブローダウンタンクの中の水を廃棄物処理設備へ導くなど、放射性物質の環境への放出を防止する一方、損傷した細管に盲栓工事をするなど所要の措置を講ずることになつていること、(7)本件原子炉には、前記の計測監視装置によつて異常状態を検知した場合には、運転員の操作を待つことなく、自動的に原子炉を緊急停止させるなど、異常状態の拡大を防止するための安全保護設備を備えていること、例 件原子炉には、前記の計測監視装置によつて異常状態を検知した場合には、運転員の操作を待つことなく、自動的に原子炉を緊急停止させるなど、異常状態の拡大を防止するための安全保護設備を備えていること、例えば、本件原子炉には、中性子量の異常な増加、一次冷却系内の圧力の異常な変動、加圧器水位の異常な上昇及び蒸気発生器の水位の異常な低下、電源の喪失等、原子炉の運転を継続した場合には安全上支障が生ずるおそれのあるような異常状態が発生した場合には、自動的に全制御棒を緊急に挿入し、原子炉を停止し得るような原子炉停止系を備えるとともに、右制御棒が作動しない場合の備えとして、中性子を吸収するボロン溶液を急速に注入する装置を備えていること、(8)なお、以上のほかに毎年一回定期的に原子炉を停止し、原子炉各部の試験、検査をすることになつていること、そして、運転中に検知し得ないような事実を検知したときは、直ちに所要の対策を講ずることがいずれも認められる。原告らは、右につき被告の主張に対する原告らの反論第七の二の(二)掲記のとおり主張する。なお、従来各地の原子炉において各種の事故(トラブル)が発生したこと、そのため我が国の原子力発電所の平均利用率が昭和四九年、昭和五〇年ころ極端に悪かつたこと、本件原子炉への燃料装荷中に原告ら主張の如き事故を惹起したこと、その事故の原因についてはいずれも当事者間に争いがない。そして、証人c、同p3、同b、同z、同p4、同p5において右原告らの主張に添う証言をするほか、前顕甲第二六四、二六五号証、成立に争いのない同第五八号証、第六三号証、第一四三号証、第一七七号証、原本の存在並びに成立に争いのない同第六二号証、第一七九号証も右主張に添うものである。しかし、本件原子炉の燃料、蒸気発生器、原子炉圧力容器、ECCSの健全性、本件原子炉敷地 四三号証、第一七七号証、原本の存在並びに成立に争いのない同第六二号証、第一七九号証も右主張に添うものである。 に添う証言をするほか、前顕甲第二六四、二六五号証、成立に争いのない同第五八号証、第六三号証、第一四三号証、第一七七号証、原本の存在並びに成立に争いのない同第六二号証、第一七九号証も右主張に添うものである。しかし、本件原子炉の燃料、蒸気発生器、原子炉圧力容器、ECCSの健全性、本件原子炉敷地 四三号証、第一七七号証、原本の存在並びに成立に争いのない同第六二号証、第一七九号証も右主張に添うものである。しかし、本件原子炉の燃料、蒸気発生器、原子炉圧力容器、ECCSの健全性、本件原子炉敷地の適合性、耐震設計の問題については後記(第四の二の2ないし4、同三)のとおりであり、なお、ポイントビーチ一号炉における蒸気発生器細管事故、美浜一号炉における燃料棒折損事故等について、本件原子力発電所においては、これらの事故防止対策がとられていることも後記(第四の二の3の(二)の(8)、同二の2の(二)の(10))のとおりである。また、成立に争いのない乙第一六七号証及び弁論の全趣旨によれば、我が国の原子力発電所においては、アメリカのブラウンズフエリー原子力発電所の火災事故の原因となつた、ろうそくでシールの具合をみるというようなことは考えられないこと、したがつて、不必要な発火源はないこと、また、同発電所のように可燃性の高いポリウレタン材料は使用されていないこと等の事故の発生、拡大の要因が少ないうえに、右事故に鑑み、安全上重要なケーブルは、難燃性のものに延焼防止塗料を厚く塗布したものを使用するうえ、物理的にも分離して設置するなどし、かつ、防火対策及び多重性維持のための対策が講じられたこと、したがつて我が国ではブラウンズフエリー発電所における火災事故の如き事故が発生する可能性は少ないものとみられることがいずれも認められ、右認定を左右するに足る証拠はない。そして、前顕乙第一号証の二及び証人x、同nの各証言によれば、その他従来各地の原子炉で発生した事象についても検討して相応の対策を施していること、圧力容器等には重複性がないとしても、ECCS、アニユラス空気再循環設備、格納容器スブレイ等の重要な安全防護施設には、重複性があることがいずれも認められる。なお 検討して相応の対策を施していること、圧力容器等には重複性がないとしても、ECCS、アニユラス空気再循環設備、格納容器スブレイ等の重要な安全防護施設には、重複性があることがいずれも認められる。 事象についても検討して相応の対策を施していること、圧力容器等には重複性がないとしても、ECCS、アニユラス空気再循環設備、格納容器スブレイ等の重要な安全防護施設には、重複性があることがいずれも認められる。なお 検討して相応の対策を施していること、圧力容器等には重複性がないとしても、ECCS、アニユラス空気再循環設備、格納容器スブレイ等の重要な安全防護施設には、重複性があることがいずれも認められる。なお、燃料棒装荷ミスの問題が本件原子炉の安全性に多大な影響を与えるものであると認めるべき証拠はない。なお、周辺住民の生命、身体に影響を及ぼすような事故が商業用発電所では過去に起こつていないことは前記のとおりである。そして、これらの諸点に照らし、前記争いのない事実及び前記原告らの主張に添う証拠は、前示認定を左右するに足らないものであり、他に前示認定を左右するに足る証拠はない。(三) 以上の認定に照らすと、本件安全審査において、本件原子炉はその安全性確保のための配慮が十分になされているとした前記判断は相当と認められる。2 燃料及び炉心の健全性について(一) 木袢安全審査において、本件原子炉の炉心は、バーナブル・ポイズン等により出力分布の平坦化が図られていること、また、炉心の熱設計は燃料ペレツトの中心溶融を起こさないこと及びDNB比が一・三を下回らないことを基準としていて、設計過出力(一一二パーセント)時でも燃料ペレツトの最高中心温度は、溶融点よりかなり低く保たれ、DNB比もかなり余裕があること、燃料棒は冷却材の流動による振動、回転などを防止し、被覆材と支持格子の相互作用を防ぎ、軸方向には自由な膨張を許し、熱膨張による変形を防止する設計となつていること、被覆管は水素吸収率の小さいジルカロイ四が使用され、燃料棒は過渡状態を含め運転中に健全性を損なわないよう、かつ、予想される熱及び機械的荷重に対して十分余裕のある設計がなされていること、また、管内の自由体積は燃料ペレツトの最高燃焼度に応じ得るよう配慮されていること、更に前記のとおり中性子東検出器によつて中 つ、予想される熱及び機械的荷重に対して十分余裕のある設計がなされていること、また、管内の自由体積は燃料ペレツトの最高燃焼度に応じ得るよう配慮されていること、更に前記のとおり中性子東検出器によつて中性子束を直接測定し、炉心の状態を監視し、これに基づいて出力の制御等がなされることになつていること等から、本件原子炉の炉心設計及び燃料の設計は安全性を確保できるものと判断したことについてはいずれも当事者間に争いがない。 る熱及び機械的荷重に対して十分余裕のある設計がなされていること、また、管内の自由体積は燃料ペレツトの最高燃焼度に応じ得るよう配慮されていること、更に前記のとおり中性子東検出器によつて中性子束を直接測定し、炉心の状態を監視し、これに基づいて出力の制御等がなされることになつていること等から、本件原子炉の炉心設計及び燃料の設計は安全性を確保できるものと判断したことについてはいずれも当事者間に争いがない。(二) (1)本件原子炉の燃料及び炉心の構造、機能は、燃料ペレツトの焼結温度、同焼結密度、炉心の不安定により危険があるとの点を除いて、請求の原因第四章の第二の一のとおりであること(2)本件原子炉の炉心核設計において、ホツトチヤンネル係数Fqが二・六七となつていること(3)燃料は熱的条件によつて損傷することがあり得ること、その第一は、燃料被覆管表面が局部的に温度の上昇した蒸気で覆われ、その結果、燃料被覆管を通しての熱除去が不十分になつた場合で、被覆管が焼損する場合であり(4)その第二は、燃料ペレツトの中心温度が、その設計で予想した温度よりも上昇し、ひいては燃料ペレツトが、その体積を増すことによつて、燃料被覆管を圧迫する場合が考えられること(5)燃料ペレソトの温度は、それが挿入されている燃料棒の原子炉内の位置によつても、また、燃料棒内の位置によつても異なること(5)燃料被覆管は、原子炉運転時には、燃料ペレツトから浸出した主としてガス状の核分裂生成物による内圧、百数十気圧という一次冷却水による外圧、一次冷却水の流動による繰り返し応力等各種の応力を受けており、また、長時間これらの応力を受けることにより変形(歪み)及び疲労を生ずること(7)一般に加圧木型原子炉の燃料は、使用期間中、燃料棒内圧を一次冷却水の外圧以下に保つことによつて、内圧に を受けており、また、長時間これらの応力を受けることにより変形(歪み)及び疲労を生ずること(7)一般に加圧木型原子炉の燃料は、使用期間中、燃料棒内圧を一次冷却水の外圧以下に保つことによつて、内圧による燃料被覆管の円周方向引張り変形(径を膨張させる方向への歪み)が発生することを抑制しているが、そのため、前記応力を長期間受けること、加圧水型原子炉の使用温度との関係で、長い間にはクリープ変形が生じ、燃料被覆管の径を縮めることとなること(8)一方、燃料ペレツトは、初期には焼きしまりにより収縮するが、燃焼が進むと後記のスエリング現象により体積を増し、そのため使用期後半には燃料被覆管と接触して、これを外に向かつて押し返す可能性があり、この押し返す変形が極端な場合には被覆管に破損の生ずる可能性があること、また、燃料被覆管には、原子炉の出力変化、運転とその停止に伴う外圧と内圧との差の逆転等による繰り返し応力がかかること(9)燃料被覆管は、その外側が一次冷却水によつて酸化され、また、被覆管内側は、水分がある場合には水素化されるなど、化学的に腐食することがあり、右化学的腐食が集中した場合には、局部的に損傷し、放射性物質を漏洩する可能性があること、また、被覆管内側で発生するヨー素等の核分裂生成物は、燃料被覆管と燃料ペレツトとの間の局部的な接触による強い応力と相乗した場合には、局部的な腐食(応力腐食)の原因となり、被覆管を損傷し、放射性物質の漏洩を起こす可能性があること(10)燃料被覆管に中性子が当ることによつて、その材料中に空孔ができたり、あるいは不純物の発生により材料が硬化し、強度が増すが、脆くなり(照射損傷)、この照射損傷により燃料被覆管の延性が著しく低下した状態において、燃料被覆管に異常な荷重が加わつた場合には被覆管の破損する可能性があるとと(1 した場合には、局部的な腐食(応力腐食)の原因となり、被覆管を損傷し、放射性物質の漏洩を起こす可能性があること(10)燃料被覆管に中性子が当ることによつて、その材料中に空孔ができたり、あるいは不純物の発生により材料が硬化し、強度が増すが、脆くなり(照射損傷)、この照射損傷により燃料被覆管の延性が著しく低下した状態において、燃料被覆管に異常な荷重が加わつた場合には被覆管の破損する可能性があるとと(1 り材料が硬化し、強度が増すが、脆くなり(照射損傷)、この照射損傷により燃料被覆管の延性が著しく低下した状態において、燃料被覆管に異常な荷重が加わつた場合には被覆管の破損する可能性があるとと(11)燃料棒とその支持格子バネ部との周期的接触により、燃料被覆管の腐食が促進されることがあり(フレツテング腐食)、フレツテイング腐食により燃料棒被覆管が局所的に薄くなつた場合には、燃料棒の破損に至る可能性があること(12)燃料棒の曲がり現象の発生が完全に防止できないこと(13)燃料被覆管にひび割れやピンホール現象が発生すること(14)燃料棒の折損の現象が発生したこと(15)燃料ペレツトの焼きしまりが生ずると、燃料ペレツトの軸方向長さの短縮により、通常の場合は、各燃料ペレツトが燃料被覆管内において順次燃料棒下方に移動する結果、プレナム部の体積が増大することとなるが、何らかの原因が重なつて、右の円滑な移動が妨げられ、燃料棒中の燃料ペレツトと燃料ペレツトとの間に空間が生じた場合には、内圧と外圧との大きな差によつて、右空間部分の燃料被覆管が偏平になることがあり(16)また、焼きしまりによつて燃料ペレツトの直径が減少することにより、燃料ペレツトと燃料被覆管との間隙が広がつて、この間の熱伝達度(率)が悪くなり、この結果、燃料中心温度が高くなる可能性があること(17)原子炉の運転中には、燃料ペレツトの中心部と外周部との間に大きな温度ができるため、熱膨張差による熱応力が生ずる。そして、この熱応力が燃料ペレツトの破壊強度を超えた場合には、ひび割れが生ずる。なお、燃料ペレツトの温度が一四〇〇度C以上になると、ペレツト片同士がゆ着するため、原子炉の出力の変動により、燃料ペレツトのひび割れの状態は複雑になるし、また、このひび割れにより生じた燃料ペレツト片は、燃料ペレツト の温度が一四〇〇度C以上になると、ペレツト片同士がゆ着するため、原子炉の出力の変動により、燃料ペレツトのひび割れの状態は複雑になるし、また、このひび割れにより生じた燃料ペレツト片は、燃料ペレツトと燃料被覆管との間隙を埋める方向、すなわち外側方向に移動する傾向があるため、燃料ペレツトと燃料被覆管との間隙は、燃料ペレツトの熱膨張だけを考えた場合よりも狭くなること(18)燃料ペレツトが核分裂生成物の蓄積に伴つて膨張し、その体積が増加する現象をスエリングと呼んでおり、円柱形の燃料ペレツトは熱膨による変形と相まつて、このスエリングのために、つづみ形になつて燃料ペレツト上下端面がふくれることがある。 と燃料被覆管との間隙を埋める方向、すなわち外側方向に移動する傾向があるため、燃料ペレツトと燃料被覆管との間隙は、燃料ペレツトの熱膨張だけを考えた場合よりも狭くなること(18)燃料ペレツトが核分裂生成物の蓄積に伴つて膨張し、その体積が増加する現象をスエリングと呼んでおり、円柱形の燃料ペレツトは熱膨による変形と相まつて、このスエリングのために、つづみ形になつて燃料ペレツト上下端面がふくれることがある。そして、このスエリング現象が著しくなると、つづみ形変形の両端面において、つば形にはり出した部分が、燃料被覆管の内部から食い込んで、これを外に押し、局部的に、大きな円周方向引張り変形を生じさせ、燃料被覆管を破損する可能性が出てくること(19)燃料ペレツトは、燃焼に伴つて核分裂生成物を発生するが、気体状の核分裂生成物の一部は反跳によつて直接燃料ベレツトから放出されるか、あるいは燃料ペレツト内の温度勾配によつて移動し、燃料ペレツト表面又はき裂面に出て燃料ペレツトから遊離することによつて、燃料ペレツトと燃料被覆管との間隙に蓄積されることとなる。その結果、燃料棒の内圧が高くなるとともに、右間隙部の熱伝達度が低下し、燃料ベレツトの中心温度が上昇することが考えられること(20)燃料ベレツトの融点は、燃焼が進むにつれてその内部の核分裂生成物等の量が増加するため、次第に低くなり、最も燃焼が進んだ段階においては、約二六五〇度Cまで下がることが知られていること(21)本件原子炉で、燃料棒の損傷を避けるために、原子炉の起動、停止をゆつくりとしたことについてはいずれも当事者間 り、最も燃焼が進んだ段階においては、約二六五〇度Cまで下がることが知られていること(21)本件原子炉で、燃料棒の損傷を避けるために、原子炉の起動、停止をゆつくりとしたことについてはいずれも当事者間に争いがない。そして、前顕乙第一号証の一、二、第三二号証、第三四号証、第三六号証、第八四号証、被告主張の写真であることに争いのない同第三五号証の一ないし四、いずれも成立に争いのない同第四一ないし第四四号証、第四七号証、第七九号証、第九七号証、第一四六号証、第一四八号証、いずれも原本の存在並びに成立に争いのない甲第七七号証、第一七六号証、証人dの証言に照らし真正に成立したものと認める乙第四五号証、弁論の全趣旨により原本の存在並びにその成立が真正なものと認める同第四九号証、並びに証人x、同n、同oの各証言及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)本件原子炉の炉心核設計について、炉心全体の出力の平坦化の程度を示すホツトチヤンネル係数Fqを二・六七としたことの相当性を按ずるに、本件原子炉と同じ原子炉メーカーによつて作られた同型炉であり、したがつて、ホツトチヤンネル係数を使用した解析は、本件原子炉と同じ手法をとつたものと推認されるアメリカのサンオノフレ(SCE)発電所及び関西電力美浜一号炉における各出力分布の設計値と実測値との比較、同サンオノフレ(SCE)発電所及びセル二発電所における各炉心のほう素濃度の設計値と実測値との比較、同コネチカツトヤンキー発電所の原子炉における温度係数の設計値と実測値との比較をみると、いずれも設計値と実際の炉心における測定値がよく合致していること、また、本件原子炉と同じ原子炉メーカーによる同型、同出力炉である九州電力玄海一号(右については当事者間に争いがない)における運転実績によれば、臨界ほう素濃度及び核的熱流束熱水路係数Fq びセル二発電所における各炉心のほう素濃度の設計値と実測値との比較、同コネチカツトヤンキー発電所の原子炉における温度係数の設計値と実測値との比較をみると、いずれも設計値と実際の炉心における測定値がよく合致していること、また、本件原子炉と同じ原子炉メーカーによる同型、同出力炉である九州電力玄海一号(右については当事者間に争いがない)における運転実績によれば、臨界ほう素濃度及び核的熱流束熱水路係数Fq ていること、また、本件原子炉と同じ原子炉メーカーによる同型、同出力炉である九州電力玄海一号(右については当事者間に争いがない)における運転実績によれば、臨界ほう素濃度及び核的熱流束熱水路係数Fqの実測値は、設計計算値と一致が得られており、更にFqは約二・二以下となつて設計基準と推認される二・六七を下回つていることに鑑み、本件原子炉の炉心核設計でホツトチヤンネル係数Fqを二・七六としたことは相当であるとみられること、(2)炉心熱設計については、燃料被覆管の壁を通つての熱の流れがどの程度の量になれば被覆管の表面で一次冷却水の沸騰が起こり、被覆管表面が蒸気で覆われることによつて、被覆管を通しての熱除去が十分に行われなくなるかということを調べた実験の結果により、原子炉内で起こることが予想される熱流束が、被覆管表面が蒸気で覆われる状態を生ずるようになる熱流束に対して、三割の余裕をもつていれば、右の実験の精度、データのばらつきといつたものを考慮しても、燃料被覆管は焼損しないことが確かめられていることから、本件原子炉の炉心熱設計に際しては、過出力(一一二パーセント出力)の場合において、DNB比(限界熱流束比)が一・三を下回らないことを設計基準としたこと、したがつて、本件原子炉における燃料被覆管は焼損に対しても余裕のあるものとなつていること、(3)また、炉心熱設計に当たつては、燃料ペレツトの中心温度が燃料ペレツトの融点を超えないようになつていること、すなわち、解析の結果では、本件原子炉の燃料ペレツトの最高温度は全出力運転において約二四四〇度C、前記過出力運転時において約二六四〇度Cと評価されており、燃料ペレツトの融点約二八〇〇度Cを超えるものは存在しないこと、なお、前記のとおり、燃料ペレツトの融点は燃焼が進むにつれて、その内部の核分裂生成物等の量が 転時において約二六四〇度Cと評価されており、燃料ペレツトの融点約二八〇〇度Cを超えるものは存在しないこと、なお、前記のとおり、燃料ペレツトの融点は燃焼が進むにつれて、その内部の核分裂生成物等の量が増大するため次第に低くなるが、次の理由で燃料ペレツトが溶融するとはみられないこと、すなわち、本件原子炉において使用される燃料については、ペレツト中心温度評価に大きな影響を及ぼすペレツトと被覆管の熱伝達率((ギヤツプ熱伝達率(Btu/h.ft2. 、燃料ペレツトの融点約二八〇〇度Cを超えるものは存在しないこと、なお、前記のとおり、燃料ペレツトの融点は燃焼が進むにつれて、その内部の核分裂生成物等の量が増大するため次第に低くなるが、次の理由で燃料ペレツトが溶融するとはみられないこと、すなわち、本件原子炉において使用される燃料については、ペレツト中心温度評価に大きな影響を及ぼすペレツトと被覆管の熱伝達率((ギヤツプ熱伝達率(Btu/h.ft2. F゜)))について、実際に予想される値三六〇〇を安全側にした値一〇〇〇を採用して、燃料ペレツトの中心温度を実際に予測される中心温度より高くしていること、これによる評価の中心温度でも、燃料ペレツトが溶融することはないこと、したがつて、前記の程度の燃料ペレツトの融点の低下により、燃料ぺレツトが溶融することはないと考えられること、(4)次に、本件原子炉には前記のとおりその運転中の燃料集合体の軸方向出力分布を測定するために、燃料集合体内に挿入できる可動小型中性束検出器四個を設置し、中央制御室からの遠隔操作により、右の出力分布を測定する構造となづているので、出力分布に影響を与えるような燃料棒の異常が発生した場合には、これを検出できること、(5)なお、炉中照射材の実験データ(アイヘンベルグ一九五八年)によれば、燃料ペレツトの熱伝導度(率)が、他の実験の場合に比べて約半分となつていることに照らすと、本件原子炉の燃料ペレツトの中心温度は低く見すぎていることになるが、右実験データは温度範囲が約五〇〇度Cまでであり、五〇〇C以上では焼きなまし効果により、熱伝導度の低下はほとんど起こらないことが明らかにされていること、(6)本件原子炉の燃料については前記の各種応力、変形及び疲労に対して余裕のある設計となつていること、すなわ は焼きなまし効果により、熱伝導度の低下はほとんど起こらないことが明らかにされていること、(6)本件原子炉の燃料については前記の各種応力、変形及び疲労に対して余裕のある設計となつていること、すなわち、本件原子炉の燃料被覆管に加わる一次冷却水による外圧と、燃料被覆管内の内圧と内面との差により生ずる応力、燃料の使用期間後半に生ずる燃料被覆管とべレツトの相互作用による応力、燃料被覆管の表面と内面との温度差により生ずる熱応力、一次冷却水の流れによつて生ずる応力、地震によつて生ずる応力、更には右各種の応力等を組み合わせた総合的な応力に対しても、耐え得るように設計されていること、(7)本件原子炉で使用される燃料は前記燃料被覆管のクリープ変形と燃料ペレツトのスエリング現象に備えるため、燃料ペレツトの上、下面にくぼみ(デイシユ)を付けたものを使用するとともに、燃料ペレツトの密度及び燃料ペレツトと被覆管との間隔が、いずれも適切になるように配慮し、円周方向引張変形の程度を、弾性変形を含めて径の一パーセント以下に保ち、燃料の健全性を維持するよう設計されていること、(8)前記燃料被覆管に対する繰返し応力に対しても、本件原子炉の燃料被覆管については、右応力による累積疲労を考慮することによつて、その使用期間中、これを原因として破損することのないよう設計されていること、(9)本件原子炉においては、前記燃料被覆管の化学的腐食及び応力腐食に対して、燃料被覆管の材料に耐食性に優れたジルカロイを使用するとともに、一次冷却水も化学的に高純度に管理することにしているため、燃料被覆管が外側の化学的腐食によつて損傷し、放射性物質の漏洩が生ずる可能性は少ないこと、また、燃料被覆管の内側が水素化し腐食することは、燃料ペレツトの製作時に水分や水素が混入することを厳しく制限することによつ )本件原子炉においては、前記燃料被覆管の化学的腐食及び応力腐食に対して、燃料被覆管の材料に耐食性に優れたジルカロイを使用するとともに、一次冷却水も化学的に高純度に管理することにしているため、燃料被覆管が外側の化学的腐食によつて損傷し、放射性物質の漏洩が生ずる可能性は少ないこと、また、燃料被覆管の内側が水素化し腐食することは、燃料ペレツトの製作時に水分や水素が混入することを厳しく制限することによつ 側の化学的腐食によつて損傷し、放射性物質の漏洩が生ずる可能性は少ないこと、また、燃料被覆管の内側が水素化し腐食することは、燃料ペレツトの製作時に水分や水素が混入することを厳しく制限することによつて、また、ヨー素等による応力腐食現象の発生は、原子炉の起動に当たつて出力を緩やかに上げること等によつて、それぞれ対処できるものであるため、これらによつて燃料被覆管が損傷し、漏洩を生ずる可能性は少ないこと、(10)従前発生した燃料棒の折損又は燃材支持格子の損傷は、いずれもその主たる原因がバツフル・プレート接合部の間隙が過大であつたために生じた一次冷却水の激しい横流れによるものと推認されており、本件原子炉においては、そのためバツフル・プレート組立て時の寸法測定により右間隙が適正であることを確認し、右の現象の防止を図つていること、(11)燃料ペレツトの焼きしまりの原因は、実験の結果によれば、燃料製造時にできた微小の空孔が中性子及び核分裂片による照射を受けることによつて移動し、燃料ペレツトの密度が上がるためであるとみられていること、燃料ペレツトの焼きしまりの程度は、燃料ペレツトの製造方法によつて異なるものであり、本件原子炉において使用される燃料ペレツトは初期の密度が九五パーセントと高いことから、焼きしまりの程度は極めて小さいこと、また、焼きしまりにくい組織とするために、燃料ペレツトの焼結温度は千数百度C以上としていること、なお、燃料棒の内部にはヘリウムガスを封入し、内圧と外圧との差を減じるようにしてあるので、たとえ燃料ペレツト間にすき間が生じても燃料棒の偏平化は防止されること、更に、燃料ペレツトの直径の減少による燃料ベレツトの中心温度の上昇については、本件原子炉の場合、中心温度の評価について、前記のように燃料ペレツトと燃料被覆管との間隙の熱伝達度を 化は防止されること、更に、燃料ペレツトの直径の減少による燃料ベレツトの中心温度の上昇については、本件原子炉の場合、中心温度の評価について、前記のように燃料ペレツトと燃料被覆管との間隙の熱伝達度を低く仮定しているので、燃料の中心温度が過大に上昇することはないこと、(12)本件原子炉においては、燃料のひび割れを生ぜしめないように、原子炉の起動、停止方法に配慮するとともに、ひび割れ等によつて発生する気体が燃料棒の中のプレナム部に逃れられるようにし、更に、ペレツトをコイルバネで押えるなどしているので、燃料ペレツトのひび割れが原因で被覆管の破損が生じることはほとんどないこと、なお、ペレツトのひび割れによる熱伝導度の変化は、むしろ安全側にあると推認されること、(13)燃料被覆管は炉内温度に近い六五〇度F(約三五〇度C)において、中性子照射をした場合その全伸び量は、未照射のそれに比べれば半分以下であり、著しく延性が低下するが、この照射による延性の低下を考慮しても、弾性的な変形(歪み)限界として一パーセントを採れば安全であること、そして前記のように本件原子炉における燃料被覆管はクリープ変形を付加した円周方向引張変形量として、使用期間を通じて一パーセント以下に保つように設計されているため、健全性が損なわれることはないこと、(14)本件原子炉で使用される燃料棒のバネ圧は燃料棒と同支持格子とを常時接触させ、燃料棒に一次冷却水の水流による振動の影響が及ばないように配慮されていること、なお、従前発生した燃料棒の折損は、一次冷却材により燃料棒が振動し、燃料棒と支持格子バネ部との周期的接触により、燃料被覆管の腐食が進行するいわゆるフレツテイング腐食によるものではないことが調査の結果明らかにされたこと、(15)燃料集合体の設計に当たつては、一次冷却水の種々の流動条 バネ圧は燃料棒と同支持格子とを常時接触させ、燃料棒に一次冷却水の水流による振動の影響が及ばないように配慮されていること、なお、従前発生した燃料棒の折損は、一次冷却材により燃料棒が振動し、燃料棒と支持格子バネ部との周期的接触により、燃料被覆管の腐食が進行するいわゆるフレツテイング腐食によるものではないことが調査の結果明らかにされたこと、(15)燃料集合体の設計に当たつては、一次冷却水の種々の流動条 ネ部との周期的接触により、燃料被覆管の腐食が進行するいわゆるフレツテイング腐食によるものではないことが調査の結果明らかにされたこと、(15)燃料集合体の設計に当たつては、一次冷却水の種々の流動条件による流動実験が行われ、右流動条件下においても異常が生ずることのない設計であることが確かめられていること、(16)燃料被覆管の材料であるジルカロイは、原子炉内で中性子の照射を受けると、主として軸方向に伸びる性質がみられ、他方、燃料集合体中に挿入される制御棒案内管も同じジルカロイ製なので、中性子照射を受けると燃料被覆管同様に伸びるが、燃料被覆管と制御棒案内管との製造時の熱処理の相違及び燃料棒の方が原子炉内では発熱により温度が高くなることから、燃料被覆管の伸びは制御棒案内管の伸びよりも大きくなること、燃料棒の支持格子は、制御棒案内管に固定されているので、この支持格子の間隔は制御棒案内管の伸びに同調して大きくなるに過ぎないこと、燃料集合体を構成する各燃料棒は、横方向には支持格子によつて一定の間隔に位置づけられているが、軸方向には、この伸び差を調整するために、自由に伸びること部できる構造となつていること、しかし、支持格子のバネ圧が強すぎるなどの原因によつて、右の軸方向の伸びが妨げられた場合には、支持格子と支持格子との間で燃料棒の曲がり現象が生じ、曲がつた燃料棒は隣の燃料棒に接近する可能性を生ずること、アメリカのコロンビア大学において、燃料棒が曲がつて燃料棒同士が接触するまで近づいた場合の、燃料棒表面の焼損余裕を確かめる熱水力学的実験の結果によると、原子炉内での膜沸騰の発生に対しては、たとえ燃料棒同士が接触したとしても、なお、十分な余裕があるとの結論を得たこと、なお、本件原子炉において使用される燃料については、燃料集合体において燃料棒を軸方向に支持す での膜沸騰の発生に対しては、たとえ燃料棒同士が接触したとしても、なお、十分な余裕があるとの結論を得たこと、なお、本件原子炉において使用される燃料については、燃料集合体において燃料棒を軸方向に支持する支持格子のバネ圧を減ずるとともに、各バネ圧の強さのばらつきを小さくし、更に、軸方向の伸びを吸収するように燃料棒の上方だけでなく、その下方にも十分な間隙を確保することとしているので、燃料棒の曲がり現象が起こる可能性は減少するとみられること、しかしながら、未だ、燃料棒の曲がり現象が生ずることを完全に防止するまでには至つておらず、また、曲がり現象による燃料棒同士が接触した場合の燃料棒の健全性についての知見も十分とはいえないため、我が国においては、曲がりの程度がひどく、次の定期検査まで継続使用した場合には接触する可能性がある燃料棒はこれを取り出すこととしていること、(17)原子炉を構成する他の主要な設備、機器と異なり、一つの原子炉にある数万本の燃料棒の一本なりともリークを起こさせないとすることは工学的にも非現実的であるとされていることから、本件原子炉においては、燃料棒の設計及び製作では、リークを起こさせないものにするように努めるが、現実には、ある程度のリークの発生を覚悟して、ナークが発生し、これを検知してから措置をとつても、周辺環境へは放射性物質による影響がないよう、原子炉の所定の設備、機器を設計することとしていること、これまで発生したリーク燃料からの放射性物質の漏洩は、放射性廃棄物処理施設によつて安全に処理されてきており、これによつて周辺公衆に何らかの影響を与えたこともないうえ、燃料からのリークに対しては種々の対策が講じられた結果、現在では、リークを起こす燃料はわずかなものとなつていること、(18)本件原子炉においては、燃料の異常状態を検知する がないよう、原子炉の所定の設備、機器を設計することとしていること、これまで発生したリーク燃料からの放射性物質の漏洩は、放射性廃棄物処理施設によつて安全に処理されてきており、これによつて周辺公衆に何らかの影響を与えたこともないうえ、燃料からのリークに対しては種々の対策が講じられた結果、現在では、リークを起こす燃料はわずかなものとなつていること、(18)本件原子炉においては、燃料の異常状態を検知する 響を与えたこともないうえ、燃料からのリークに対しては種々の対策が講じられた結果、現在では、リークを起こす燃料はわずかなものとなつていること、(18)本件原子炉においては、燃料の異常状態を検知するため、一次冷却水の浄化等を行う化学体積制御系の配管の途中に設置された放射線モニタにより、一次冷却水中の放射性物質の濃度の変化を常時監視するようになつていること、更に、定期的あるいは適時に、一次冷却水をサンプリングし、精密に放射性物質濃度を測定するようになつていること、したがつて、燃料棒からの放射性物質の漏洩はごくわずかの漏洩の段階において検知されるものとみられること、なお、前記可動小型中性子束検出器により、出力分布に影響を与えるような燃料棒の異常が発生した場合に検出できること、なお、本件原子炉において使用されている燃料は、定期検査時に炉内から取り出し、使用済燃料ピツトに移して外観検査及び漏洩検査を行い、その健全性を確認することとされていること、右の外観検査は、使用済燃料ピツト内で水中テレビ及び水中ボアスコープを用いて、燃料集合体外観に異常がないかどうかを検査するものであり、水中テレビにより燃料棒の曲がり、歪み等の異常の有無及びその状態を観察し、更に、被覆管及び支持格子の変形、変色、腐食状態を観察、検査することができること、漏洩検査は、燃料集合体をシツピングキヤンと呼ばれる容器に入れて密封隔離した上、破損燃料棒から出たガスを同容器に装置されたガスサンプリング系内で循環させ、その途中に備えられている放射性ガス測定装置によつて、放射性ガスの濃度を測定するものであり、ガス中の放射性物質の有無及び連続測定中の放射性物質濃度の増加現象の有無によつて破損燃料を発見できるようになつていること、また、容器中の水をサンプリング検査することにより、破損燃料から漏洩 のであり、ガス中の放射性物質の有無及び連続測定中の放射性物質濃度の増加現象の有無によつて破損燃料を発見できるようになつていること、また、容器中の水をサンプリング検査することにより、破損燃料から漏洩する水溶性の放射性核分裂生成物(ヨー素、セシウム等)の測定もすることができることがいずれも認められる。 を発見できるようになつていること、また、容器中の水をサンプリング検査することにより、破損燃料から漏洩 のであり、ガス中の放射性物質の有無及び連続測定中の放射性物質濃度の増加現象の有無によつて破損燃料を発見できるようになつていること、また、容器中の水をサンプリング検査することにより、破損燃料から漏洩する水溶性の放射性核分裂生成物(ヨー素、セシウム等)の測定もすることができることがいずれも認められる。右認定に反する証人dの証言及び前顕甲第二六五号証、成立に争いのない同第七六号証はいずれも採用できない。なお、請求の原因第四章の第一一の二の4の(一)掲記の燃料損傷事故が発生したことについては当事者間に争いがないが、右の事実は、未だ右認定を左右するに足りない。なお、原告らは、被告は本件原子炉で使用する燃料被覆管は、クリープを考慮しても歪みは一パーセント以内になるように設計してあるから大丈夫である旨主張しているが、被告がその主張の根拠としている中性子照射による被覆管の脆化の実験の結果は、外傷のない被覆管材料を実験の試料としたものであり、実際の被覆管のようにペレツトの作用等で傷つけられたものではなく、その傷ついた部分には応力が集中的に働くから、右の実験結果は応力集中が生じない領域でのことで、実際の原子炉内の状況とは異なる結果を示している。したがつて、クリープも考慮した変形を一パーセントに押えるようにした設計条件では、実際の使用状態での健全性は保証されない旨主張する。しかしながら、前記のとおり、本件原子炉においては、ペレツトの作用等により被覆管に損傷を起こさせないように配慮していることが認められるから、前記中性子照射の実験の試料が原告ら主張のとおりであつても、このことから直ちに前示認定を左右することはできない。また、原告らは、被告は本件原子炉では、バツフルプレートのすき間を小さくしたから、燃料棒の折損事故は起こらない旨主張しているが、美浜一号炉の経 、このことから直ちに前示認定を左右することはできない。また、原告らは、被告は本件原子炉では、バツフルプレートのすき間を小さくしたから、燃料棒の折損事故は起こらない旨主張しているが、美浜一号炉の経験を生かしたはずの高浜二号炉で、美浜一号炉の事故から約三年後の昭和五一年に、再び同種の事故が発生している旨主張する。しかしながら、前顕乙第一四六号証、第一四八号証によれば、美浜一号炉の事故原因が究明されたのは昭和五二年はじめころと認められるところ、原告らの主張によれば高浜二号炉の右事故は、右美浜一号炉の事故原因解明前であり、したがつて、右事故は、高浜二号炉の燃料棒支持格子の改良前の事故であつたものと推認される。 ずの高浜二号炉で、美浜一号炉の事故から約三年後の昭和五一年に、再び同種の事故が発生している旨主張する。しかしながら、前顕乙第一四六号証、第一四八号証によれば、美浜一号炉の事故原因が究明されたのは昭和五二年はじめころと認められるところ、原告らの主張によれば高浜二号炉の右事故は、右美浜一号炉の事故原因解明前であり、したがつて、右事故は、高浜二号炉の燃料棒支持格子の改良前の事故であつたものと推認される。よつて、原告らの右主張は理由がない。更に、また、原告らは、燃料棒の曲がりにより、曲がつた燃料棒が隣接する制御棒案内管を押し曲げ、制御棒操作を不能にする旨主張し、証人dも右主張に添う証言をするが、右は実例又は実験の結果によるものとは認め難いから、右証拠により右主張事実は認め難く、他に右事実を認めるに足る証拠はない。その他前示認定を左右するに足る証拠はない。(三) 前記争いのない事実及び前記認定事実に照らすと、本件安全審査において、本件原子炉の平常運転時における炉心設計及び燃料について安全性を確保できるとした判断は相当であると認められる。3 蒸気発生器細管の健全性について(一) 蒸気発生器細管が一次冷却系圧カバウンダリを形成する一部であること、本件安全審査において、本件原子炉の一次冷却系圧カバウンダリを形成する系は、急激な反応度事故が生じた場合でも破損することのないように設計されていること、また、供用期間中、検査を実施してその健全性が確認されることとなつていること、したがつて、蒸気発生器細管の設計は相当であり、安全性を確保できるものと でも破損することのないように設計されていること、また、供用期間中、検査を実施してその健全性が確認されることとなつていること、したがつて、蒸気発生器細管の設計は相当であり、安全性を確保できるものと判断したことについてはいずれも当事者間に争いがない。(二) (1)本件原子炉において使用される蒸気発生器の機能及び構造が被告の主張第四章の第三の一の(二)掲記のとおりであること(2)原子炉の運転時には、蒸気発生器細管に一次冷却水による百数十気圧の内圧、二次冷却水による数十気圧の外圧、蒸気発生器細管の表面と内面との温度差により生ずる熱応力、二次冷却水の流れによる応力、運転中の地震による応力等の各種の応力を受けること(3)蒸気発生器細管は、その内部が一次冷却水によつて酸化されることがあり、また外側は細管表面にホツトスポツトが生じやすく、このため二次冷却水中の不純物の局部的な濃縮によつて腐食が生ずることがあること(4)本件原子炉では二次冷却水の水処理法としてAVT法を採用していること(5)タービンを作動させた蒸気は復水器に入り、ここで復水器細管内部を通る海水によつて冷却され、再び二次冷却水となつて蒸気発生器に戻されるため復水器細管に漏洩が生じた場合には、海水が二次冷却水に混入し、二次冷却水の水質を劣化させること(6)請求の原因第四章の第三の二の2掲記のごとき蒸気発生器細管事故が発生したこと(ただしポイントビーチ一号炉の事故原因、事故の程度を除く)、なお、右蒸気発生器細管に損傷を起こした美浜一、二号炉は二次冷却水の水処理法としてりん酸ソーダを使用していたものであり、ポイントビーチ一号炉でも同りん酸ソーダを使用していたことがあつたことについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕乙第一号証の一、二、第三二号証、第三六号証、第八四号証、いずれも成立に争いの 蒸気発生器細管事故が発生したこと(ただしポイントビーチ一号炉の事故原因、事故の程度を除く)、なお、右蒸気発生器細管に損傷を起こした美浜一、二号炉は二次冷却水の水処理法としてりん酸ソーダを使用していたものであり、ポイントビーチ一号炉でも同りん酸ソーダを使用していたことがあつたことについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕乙第一号証の一、二、第三二号証、第三六号証、第八四号証、いずれも成立に争いの であり、ポイントビーチ一号炉でも同りん酸ソーダを使用していたことがあつたことについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕乙第一号証の一、二、第三二号証、第三六号証、第八四号証、いずれも成立に争いのない同第八号証の二、第一二号証、第六九号証、第一五三号証、弁論の全趣旨によりいずれも真正に成立したものと認める同第一〇〇号′証、第一五〇ないし第一五二号証、証人xの証言及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)本件原子力発電所における蒸気発生器細管については、振れ止め金具によつて水流及び地震動による振動等を防止するとともに、前記各種の応力はもちろんのこと、右各種の応力を組み合わせた総合的な応力に、更に原子炉の過渡状態における衝撃荷重が加わつた場合にも、これに耐え得るように設計され(例えば、微小な凹凸のある九五パーセント以下の減肉のあるインコネル製細管を使用した試験でも、運転時の内外差圧一〇〇気圧で細管の破裂は生じない。)、また、その使用期間中の累積疲労に対しても耐え得るように設計されていること、(2)本件原子炉の蒸気発生器細管は前記腐食及びホツトスポツトに対して、一次冷却水及び二次冷却水の水質管理によつて対処しうるとみられること、すなわち、本件蒸気発生器細管については、その健全性を維持するために、一次冷却水の水質を化学的に高純度の状態に管理することによつて、畑管内部の酸化を防止していること、また、二次冷却水の水質を腐食を生じ難い弱アルカリ性とし、溶存酸素及び塩素等不純物を低濃度に保つために、必要な水処理設備(空気抽出器、脱気器、純水装置、薬注装置、ブローダウン設備、復水脱塩装置等)を設け、水質管理を行うこと、したがつて、蒸気発生器細管の表面が化学的に腐食する可能性は少ないこと、(3)本件蒸気発生器細管は、前記のように、耐食性のよいインコネルを使用 ウン設備、復水脱塩装置等)を設け、水質管理を行うこと、したがつて、蒸気発生器細管の表面が化学的に腐食する可能性は少ないこと、(3)本件蒸気発生器細管は、前記のように、耐食性のよいインコネルを使用していること、(4)前記海水が混入して二次冷却水の水質を劣化させるのを防止するため、本件原子炉の復水器細管は、海水に対し耐食性のよい材料で製作するとともに、万一、その使用中に復水器細管に漏洩が生じた場合には、復水の塩分濃度を監視する電導度計によつて右漏洩が検知され、漏洩の生じた復水器を隔離して漏洩が止められるとともに、それまでに漏洩したものについては、復水脱塩装置により除去されるほか、必要に応じ、蒸気発生器のブローダウン量を増加させるなど、海水混入の結果が蒸気発生器細管に影響を及ぼさないようにするための措置が講じられるようになつていること、(5)なお、蒸気発生器細管の腐食にとつて問題となるのは、不純物の化学的性質及びその量であり、本件原子炉のように海水冷却の場合には、復水器からの漏洩によつて混入した不純物により蒸気発生器細管の腐食上問題となる苛性アルカリが生ずることはないこと、右不純物の量も復水脱塩塔を通したり、あるいはブローダウンの量を増加することによつて十分取り除き得ること、また、ナトリウムイオンは、復水脱塩塔出口においては微量しか存在しないし、右ナトリウムイオンが細管損傷の原因となることはないこと、(6)蒸気発生器細管が振れ止め金具との間で生ずる磨耗によつて損傷する事象は、アメリカのサンオノフレ発電所等ウエスチングハウス社製の初期の蒸気発生器を使用している発電所で発生したものであること、本件原子炉において使用される一辺長約一センチメートルの四角形断面をもつインコネル製の角棒で作られた振れ止め金具は、細管との接触面積の拡大によつて接触圧の ナトリウムイオンが細管損傷の原因となることはないこと、(6)蒸気発生器細管が振れ止め金具との間で生ずる磨耗によつて損傷する事象は、アメリカのサンオノフレ発電所等ウエスチングハウス社製の初期の蒸気発生器を使用している発電所で発生したものであること、本件原子炉において使用される一辺長約一センチメートルの四角形断面をもつインコネル製の角棒で作られた振れ止め金具は、細管との接触面積の拡大によつて接触圧の 使用している発電所で発生したものであること、本件原子炉において使用される一辺長約一センチメートルの四角形断面をもつインコネル製の角棒で作られた振れ止め金具は、細管との接触面積の拡大によつて接触圧の軽減を図つていること、(7)前記のように、二次冷却水の水処理法としてりん酸ソーダを使用していた原子炉で、蒸気発生器細管事故が発生したのは、二次冷却水の流れが妨げられやすい箇所の細管表面に生じた蒸気泡が、ホツトスポツトを形成し、右ホツトスポツトに二次冷却水中のりん酸ソーダやりん酸ソーダと不純物との反応等によつて生じた苛性アルカリが濃縮し、化学的腐食を起こしたことによるものとみられること、本件原子炉において二次冷却水の水処理法として採用している前記AVT方式では、ヒドラジンやアンモニアを使用するものであること、なお、本件原子炉はそのうえ水質管理を行つていること、(8)アメリカのポイントビーチ一号炉等においては、水処理法を、りん酸ソーダを使用する方式から右のAVT方式に切り替えたにもかかわらず、細管に損傷が発生したが、この原因は、水処理法の切り替えに際し、細管その他に付着したりん酸ソーダや不純物を十分に除去しなかつたため、残存したりん酸ソーダや、りん酸ソーダと不純物との反応等によつて細管に腐食を生じたことによるものと見られていること、本件原子炉においては、水処理法として最初からAVT方式を採用しているので、りん酸ソーダに起因する右のような事象が生ずるおそれはないこと、なお、最初から水処理法としてAVT方式を採用している前記九州電力玄海一号炉は、昭和五一年一〇月から昭和五二年一月にわたつて定期検査を行つたが、その際に実施した蒸気発生器細管の全数検査の結果では、約一年半前の検査時以降、減肉等の発生を示す徴候は認められていないこと、(9)スイスのベズナ 〇月から昭和五二年一月にわたつて定期検査を行つたが、その際に実施した蒸気発生器細管の全数検査の結果では、約一年半前の検査時以降、減肉等の発生を示す徴候は認められていないこと、(9)スイスのベズナウ一号炉等復水器冷却水に河川水を使用している原子炉において、蒸気発生器細管が損傷する事例が発生したが、この原因は、復水器細管の損傷によつて、河川水が二次冷却水中に混入し、この河川水に含まれていた不純物が、熱分解して苛性アルカリを生じ、この苛性アルカリが蒸気発生器細管と管板との間隙等で局部的に濃縮し、細管に化学的腐食を生じさせたものであると見られていること、なお、本件原子炉の復水器冷却水には、海水が使用され河川水は使用されていないので、かかる事象の発生することはないと見られていること、(10)ポイントビーチ一号炉、ベズナウ一号炉、玄海一号炉の蒸気発生器内で、腐食生成物(スランジ)が見付かつたこと(ポイントピーチ一号炉については当事者間に争いがない)、ポイントビーチ一号炉のスラツジの大部分は、蒸気発生器本体の腐食の進行を意味するものではないこと、ベズウム一号炉のスラツジは、前記のとおり河川水が二次冷却水中に混入し、その不純物が熱分解して苛性アルカリを生じ、これが細管と管板との間隙等に局部的に濃縮したものであること、玄海一号炉におけるスラツジは、二次冷却系の機器や配管等の表面が腐食して生じたスラツジであり、その大部分は鉄の酸化物(Fe3 O4)であつて、これ自体は蒸気発生器細管を腐食させるものではないこと、すなわち、蒸気発生器内のスラツジの存在と、蒸気発生器細管の損傷とは必ずしも関係がないと見られること、なお、本件原子炉においては、前記のとおり水質管理を厳重に実施するなどの措置をとることによつて、スラツジの原因となる二次冷却系統の腐食生成物の発生を 機器や配管等の表面が腐食して生じたスラツジであり、その大部分は鉄の酸化物(Fe3 O4)であつて、これ自体は蒸気発生器細管を腐食させるものではないこと、すなわち、蒸気発生器内のスラツジの存在と、蒸気発生器細管の損傷とは必ずしも関係がないと見られること、なお、本件原子炉においては、前記のとおり水質管理を厳重に実施するなどの措置をとることによつて、スラツジの原因となる二次冷却系統の腐食生成物の発生を 器細管の損傷とは必ずしも関係がないと見られること、なお、本件原子炉においては、前記のとおり水質管理を厳重に実施するなどの措置をとることによつて、スラツジの原因となる二次冷却系統の腐食生成物の発生を抑制する方策をとつていること、(11)本件原子炉においては、蒸気発生器細管の異常状態を検知するため、前記のように復水器空気抽出器排ガス系及び蒸気発生器ブローダウン系にそれぞれ放射線モニタを設置し、蒸気発生器二次側の放射性物質濃度の高まりを早期に、かつ微少な漏洩の段階で検知できるようにしていること、そして検知後、直ちに原子炉の運転を停止するとともに、空気抽出器排ガス系をチヤコールフイルターを設置した回路に切り替え、また、蒸気発生器ブローダウン系を閉鎖し、ブローダウンタンク中の水を廃棄物処理設備へ導くなどの放射性物質の環境への放出を防止する一方、損傷した細管に盲栓工事を実施するなど所要の措置を講ずることとしていること、(12)ポイントビーチ一号炉の前記蒸気発生器細管事故においては、復水器の空気抽出器排ガス系に設けられた放射線モニタは、窒息現象のため警報が中断され、また、ブローダウン系に設けられた放射線モニタは、そこを通過する蒸気発生器二次冷却水の流量が不足していたため警報を発せず、このため放射線モニタによる細管漏洩の検知はあつたものの、その確認に手間取り、一次冷却水の二次冷却水への漏洩率が多くなつたものと見られており、本件原子炉においては、右のような放射線モニタの窒息現象による警報の中断や、水量不足によつて検知が手間取ることのないよう、それぞれの防止措置が講じられていて、細管漏洩の検知は確実に行われるようになつていること、(13)前記のように運転開始後の原子炉においては、毎年一回、定期的に原子炉を停止し、原子炉各部の試験、検査を行うことになつて が講じられていて、細管漏洩の検知は確実に行われるようになつていること、(13)前記のように運転開始後の原子炉においては、毎年一回、定期的に原子炉を停止し、原子炉各部の試験、検査を行うことになつており、それによつて運転中には検知し得ないような異常状態の現われを検知し、所要の対策が講じられることになつていること、本件原子炉において使用される蒸気発生器細管は、定期検査時に、渦電流探傷試験を実施し、更に、必要に応じて漏洩試験によつてその健全性が維持されているかどうかを確認することになつていること、そして右試験の結果、異常が発見された場合には、盲栓な施するなどの措置を行うこととなつていることがいずれも認められる。 て運転中には検知し得ないような異常状態の現われを検知し、所要の対策が講じられることになつていること、本件原子炉において使用される蒸気発生器細管は、定期検査時に、渦電流探傷試験を実施し、更に、必要に応じて漏洩試験によつてその健全性が維持されているかどうかを確認することになつていること、そして右試験の結果、異常が発見された場合には、盲栓な施するなどの措置を行うこととなつていることがいずれも認められる。原告らは、水処理をAVT方式に改めることのみによつて、蒸気発生器細管損傷は防げるものではないとし、請求の原因第四章の第三の三の4の(三)掲記のとおり主張し、証人z、同p4、同bも右主張に添う証言をする。なお、前顕甲第六三号証、第二六五号証、成立に争いのない同第一四一号証も右主張に添うものであり、蒸気発生器細管損傷事故が多数発生していることについて当事者間に争いのないことは前記のとおりである。しかしながら、前顕乙第八号証の二、第一二号証、第八四号証、第一〇〇号証、第一五一号証、第一五三号証、いずれも成立に争いのない同第一一号証、第一五四号証、並びに証人xの証言及び弁論の全趣旨により認められるところの、外国における蒸気発生器細管の損傷事例は、ベズナウ一号炉やポイントビーチ一号炉等のように、復水器によるリークを放置したまま運転を継続するなど、その多くが水質管理を厳重に行つていないものであること、このことと、前記のとおり、りん酸ソーダ及びりん酸ソーダと不純物との反応又は不純物が熱分解して生じた苛性アルカリがポイントビーチ一号炉、ベズナウ一号 くが水質管理を厳重に行つていないものであること、このことと、前記のとおり、りん酸ソーダ及びりん酸ソーダと不純物との反応又は不純物が熱分解して生じた苛性アルカリがポイントビーチ一号炉、ベズナウ一号炉の蒸気発生器細管損傷の原因と見られていること、また、水処理にりん酸ソーダを使用した後に、AVT法に変更した原子炉で、蒸気発生器細管事故が発生したのは、りん酸ソーダ又はその反応物の除去が十分行われていなかつたためであると見られていること、我が国の美浜一、二号炉においては厳重な水質管理をしていたが、水処理にりん酸ソーダを用いたために細管損傷が生じたと推定されていること、水質管理を厳重にし、水処理にAVT方式を採用している九州電力玄海一号炉では細管損傷は発生していないこと、なお、同様な方法をとつている高浜二号炉でも、製造時に生じた傷に起因する細管損傷が発生したのみであること等を合わせ考えると、前記原告らの主張に添う証拠は採用し得ない。 我が国の美浜一、二号炉においては厳重な水質管理をしていたが、水処理にりん酸ソーダを用いたために細管損傷が生じたと推定されていること、水質管理を厳重にし、水処理にAVT方式を採用している九州電力玄海一号炉では細管損傷は発生していないこと、なお、同様な方法をとつている高浜二号炉でも、製造時に生じた傷に起因する細管損傷が発生したのみであること等を合わせ考えると、前記原告らの主張に添う証拠は採用し得ない。また、本件原子炉の蒸気発生器細管については水処理方法、構造等について所要の対策がとられていることに照らし、前記当事者間に争いのないところの蒸気発生器細管事故が各地の原子炉で多発したとの事実は、前記認定を左右するものではない。また、証人p4は、渦電流深傷装置の精度は悪く、二〇パーセント以下の減肉は検知できず、しかも右装置による点検は、原子炉の定期検査時にしか行われないから、運転中に進行する蒸気発生器細管の減肉その他の損傷の進行状態は、右装置によつては検知できない。したがつて、運転中に進行する装気発生器細管の減肉その他の損傷が減肉やピンホールの段階で止つているか、それとも大穴があき、更にはギロチン破断まで行くかは起こつてみなければ分からない。したがつて、右装置は細管のギロチン破断防止に役立たないし、また、細管の減肉やピ 減肉やピンホールの段階で止つているか、それとも大穴があき、更にはギロチン破断まで行くかは起こつてみなければ分からない。したがつて、右装置は細管のギロチン破断防止に役立たないし、また、細管の減肉やピンホールを前提としないギロチン破断については、全く検知の方法がない旨証言する。しかし、前記のように、本件原子炉の蒸気発生器細管は、化学的腐食、各種の応力に対する配慮、構造上の配慮がなされていて、蒸気発生器細管の健全性が維持されるように設計上の余裕が置かれていること、かつ、弁論の全趣旨に照らすと、蒸気発生器細管のギロチン破断が発生したことは、未だかつてないことが認められること、更には前示認定の蒸気発生器細管の検知システムから見て、本件原子炉の右検知システムが蒸気発生器細管のギロチン破断防止に役立たないとはみられないことを併せ考えるならば、右証人p4の証言は、前示認定を左右するに足りない。その他前記認定を左右するに足る証拠はない。(三) 以上の争いのない事実及び認定事実に照らすと、本件安全審査において、本件原子炉の蒸気発生細管については安全性が確保されるとした判断は相当と認められる。 定の蒸気発生器細管の検知システムから見て、本件原子炉の右検知システムが蒸気発生器細管のギロチン破断防止に役立たないとはみられないことを併せ考えるならば、右証人p4の証言は、前示認定を左右するに足りない。その他前記認定を左右するに足る証拠はない。(三) 以上の争いのない事実及び認定事実に照らすと、本件安全審査において、本件原子炉の蒸気発生細管については安全性が確保されるとした判断は相当と認められる。4 原子炉圧力容器及び一次冷却系配管の健全性について(一) 前顕乙第五号証及び証人nの証言によれば、本件安全審査において、一次冷却圧力バウンダリを形成する系のフエライト系鋼材を使用する部分は、脆性破壊を防止するために最低使用温度を脆性遷移温度より三三度C以上高くするようにしていること、これと次の争いのない事実とを併せ考えてフエライト系鋼材使用部分が脆性破壊をすることはなく、その安全性は確保されると判断したことがいずれも認められ、右認定に反する証拠はない。(二) 本件安全審査において、本件原子炉の原子炉容器、一次冷却系配管等一次冷却系圧力バウンダリを形成する系では 、その安全性は確保されると判断したことがいずれも認められ、右認定に反する証拠はない。(二) 本件安全審査において、本件原子炉の原子炉容器、一次冷却系配管等一次冷却系圧力バウンダリを形成する系では、急激な反応度事故が生じた場合でも破損することのないように設計されていること、中性子照射が原子炉容器材料に及ぼす影響については、監視試験片を炉心周囲に挿入し、定期的に取り出して試験を行い、安全性を確認することにしていること、また、原子炉圧力容器、配管等の耐圧部等は供用期間中検査を実施し、その安全性を確認することになつていること、したがつて、本件原子炉の原子炉圧力容器、一次冷却系配管等の設計は相当であり、安全性は確保されるものと判断したことについてはいずれも当事者間に争いがない。(三) (1)本件原子炉の原子炉圧力容器及び一次冷却系配管の構造、機能は、被告の主張第四章の第四の一の(一)掲記のとおりであること(2)原子炉圧力容器は中性子照射を受けることによつて、使用されている鋼材が脆化する可能性があること(3)中性子照射による脆化の問題は原子炉ではじめて問題となるものであり、従来の経験を基にして中性子照射による圧力容器の脆化の程度を予測することはできないので、圧力容器内に監視用試験片を入れ、これをある期間毎に取り出して、脆化の程度を調べるほかはないこと(4)本件原子炉圧力容器と同一の材料であるA五三三鋼を使つた中性子照射実験によれば、中性子照射後の脆性遷移温度は二九度C又は九三度Cとなつたこと(前顕甲第六一号証、第二六四号証)(5)原子炉圧力容器及び一次冷却系配管は、一次冷却水の熱による応力、一次冷却系の内圧、自重及び運転中に起こる地震による応力等の各種の応力を受けること(6)疲労き裂は一定以上の応力がなければ発生せず、また、応力が緩和されると 4)本件原子炉圧力容器と同一の材料であるA五三三鋼を使つた中性子照射実験によれば、中性子照射後の脆性遷移温度は二九度C又は九三度Cとなつたこと(前顕甲第六一号証、第二六四号証)(5)原子炉圧力容器及び一次冷却系配管は、一次冷却水の熱による応力、一次冷却系の内圧、自重及び運転中に起こる地震による応力等の各種の応力を受けること(6)疲労き裂は一定以上の応力がなければ発生せず、また、応力が緩和されると 次冷却系配管は、一次冷却水の熱による応力、一次冷却系の内圧、自重及び運転中に起こる地震による応力等の各種の応力を受けること(6)疲労き裂は一定以上の応力がなければ発生せず、また、応力が緩和されると途中で停留することもあるが、き裂の形が拡がりをもつて進行する特徴があること(7)本件原子炉のような加圧水型原子炉においては、現在までのところ、原子炉圧力容器及び一次冷却系配管に関しひび割れ、局部的減耗等問題となるような事象は起こつていないことについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕甲第六二号証、乙第一号証の一、二、第四号証、第八号証の二、第一二号証、第三〇号証、第三二号証、第三六号証、第八三号証、いずれも成立に争いのない甲第三四八号証、乙第一五五、一五六号証、第一五八号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める同第一五七号証並びに証人x、同nの各証言及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)本件原子炉の原子炉圧力容器については、鋼材の耐放射線性をもたせるため、原子炉圧力容器の材料の選択、製造に十分留意するとともに、中性子照射を受けやすい原子炉圧力容器側壁について、炉心と右側壁との間に遮へい壁を設けるなどして、できるだけ中性子照射量を軽減するような設計となつていること、(2)本件原子炉においては、中性子照射により脆性遷移温度が変化することに対して、余裕のある設計とするとともに、原子炉圧力容器と同一の素材から採取した監視試験片を、原子炉圧力容器内の遮へい壁外面に配置することにしており、運転開始後これを計画的に取り出し、破壊試験を行うことにより、脆化の程度を示す脆性遷移温度の実際をは握し、その温度に三三度C以上を加えた温度以上で、原子炉圧力容器を使用することになつていること、なお、前記実際の脆性遷移温度をは握した上、設計時に予測した中性子照射 程度を示す脆性遷移温度の実際をは握し、その温度に三三度C以上を加えた温度以上で、原子炉圧力容器を使用することになつていること、なお、前記実際の脆性遷移温度をは握した上、設計時に予測した中性子照射による材料の予想脆化曲線の妥当性を確認し、又は、これを修正することにしていること、したがつて、実際に脆性破壊の問題が生ずることはないとみられること、(3)本件原子炉圧力容器及び一次冷却系配管は前記の各応力及びこれを組み合わせた応力に、更に、原子炉の過渡状態における衝撃荷重が加わつた場合にもこれに耐え得るように設計され、また、使用期間中の疲労解析を行い、それに対しても十分耐え得るようなものとなつていること、(4)また、本件原子炉圧力容器及び一次冷却系配管については、局部的な応力が生じないように単純な形状とするとともに、製作に際しては局部的な切り欠き等が生じないように、厳重な品質管理を行つていること、なお、応力腐食割れが生ずるためには、その材料の局部に塑性歪みを起ごすような応力がなければならず、応力がほとんど作用していない場合には応力腐食割れは生じないとと、(5)なお、原子炉の圧力容器は、原子炉以外の圧力容器の破壊の可能性の一〇倍の健全性を有するように設計されており、破壊確率も10/数数年以下と考えられていること、(6)原子力発電所における圧力や温度条件は一般の火力発電所のそれよりも低く、高温、高圧の状態は原子力発電所においてはじめて経験するものではないこと、原子力発電所においては、そこで使用される材料についても経年変化を考慮しているとともに、温度、圧力等の設計条件等についても、出力の大小にほとんど関係なくほぼ一定になるように設計されていること、(7)本件原子炉の原子炉圧力容器及び一次冷却系配管は、腐食を防止するため、原子炉圧力容器と一次冷却水と 一般の火力発電所のそれよりも低く、高温、高圧の状態は原子力発電所においてはじめて経験するものではないこと、原子力発電所においては、そこで使用される材料についても経年変化を考慮しているとともに、温度、圧力等の設計条件等についても、出力の大小にほとんど関係なくほぼ一定になるように設計されていること、(7)本件原子炉の原子炉圧力容器及び一次冷却系配管は、腐食を防止するため、原子炉圧力容器と一次冷却水と 等の設計条件等についても、出力の大小にほとんど関係なくほぼ一定になるように設計されていること、(7)本件原子炉の原子炉圧力容器及び一次冷却系配管は、腐食を防止するため、原子炉圧力容器と一次冷却水との接する箇所には耐食性の優れたステンレス鋼を内張りするとともに、一次冷却系配管についても前記のようにステンレス鋼を使用する一方、腐食の要因となる一次冷却水中に含まれる塩素等の不純物濃度及び溶存酸素の量を抑制するなど一次冷却水に対する水質管理を行うこととなつていること、すなわち、一次冷却系の外部から一次冷却水中にこれらの不純物が入り込むことを防ぐために、補給水には純水装置及び真空脱気塔によつて処理された水を用いること、更に、原子炉内において水が放射線を受けることによつて分解し発生する酸素については、水素ガスを一次冷却水中に溶解させ、これと再結合させて水に戻すことによつて溶存酸素濃度を低く保つことにしていること、また、塩素イオンは原子炉内で発生することはないが、一次冷却水中に含まれる塩素イオンについても、化学体積制御系の混床式脱塩塔に一次冷却水を通すことによつて常に低い濃度に維持することとしていること、(8)本件原子炉の原子炉圧力容器及び一次冷却系配管は、定期検査時に全燃料を炉内から取り出した後、水を満たしたままの状態で外観検査及び超音波探傷検査により計画的に原子炉圧力容器の健全性を確認するほか、運転再開前に漏洩検査を行うことにしていること、また、前記のとおり計画的に取り出して行う試験片を用いた検査により、原子炉圧力容器の中性子照射による脆化に対する健全性を確認することとしていること、すなわち(1)原子炉圧力容器は、いつたん運転に入ると放射能を帯び、検査員の接近が困難となるため、その外観検査はすべて遠隔操作の可能な機器により行われることになつて 性を確認することとしていること、すなわち(1)原子炉圧力容器は、いつたん運転に入ると放射能を帯び、検査員の接近が困難となるため、その外観検査はすべて遠隔操作の可能な機器により行われることになつており、水中テレビカメラ及び拡大視するための水中ボアスコープにより、原子炉圧力容器壁内面の外観等を、それぞれ検査し、これにより、内面の溶接部及び母材における異常の有無を確認できること、また、一次冷却系配管は、その保温材を取りはずし、溶接部については肉眼観察又は液体浸透探傷検査等を行うことによつて、その異常の有無を確認し、微小なき裂の段階ではこれを検知し得ること(2)超音波探傷検査は、鋼材表面に置いた探傷子から超音波を発射し、鋼材内部からの反射波を見て、その乱れによつて鋼材内部に生じたきず等の異常を検知するものであり、原子炉圧力容器内面については、水中において遠隔自動操作による超音波探傷検査を行い、表面に現われていない鋼材内部の欠陥等を検知することができること(3)原子炉圧力容器の一次冷却系機器及び一次冷却系配管については、原子炉の運転を再開する前に、運転時と同じ圧力をかけて、漏洩等の異常がないことを確認することになつていること(4)また、定期検査において劣化の程度が設計時点における予測よりも安全側であるかどうかを確認し、経年変化をは握できるようになつていることがいずれも認められる。 を行い、表面に現われていない鋼材内部の欠陥等を検知することができること(3)原子炉圧力容器の一次冷却系機器及び一次冷却系配管については、原子炉の運転を再開する前に、運転時と同じ圧力をかけて、漏洩等の異常がないことを確認することになつていること(4)また、定期検査において劣化の程度が設計時点における予測よりも安全側であるかどうかを確認し、経年変化をは握できるようになつていることがいずれも認められる。ところで原告らは、監視試験片による脆化のは握は困難だとして、請求の原因第四章の第四の二の(二)掲記のとおり主張し、更に、原子炉の高出力化に伴い、中性子密度も大きくなり、したがつて、中性子照射による脆化の問題はより一層深刻になる旨主張し、証人p3において右各主張に添う証言をする。また、前頭甲第六一、六二号証、第二六四号証も右各主張に添うものである。しかし、前顕甲第六二 つて、中性子照射による脆化の問題はより一層深刻になる旨主張し、証人p3において右各主張に添う証言をする。また、前頭甲第六一、六二号証、第二六四号証も右各主張に添うものである。しかし、前顕甲第六二号証、乙第一号証の二、第三〇号証、第一五七号証並びに証人nの証言及び弁論の全趣旨を総合し、なお、前顕甲第六一号証、第二六四号証を仔細に検討すると、本件原子炉の場合には、原子炉圧力容器側壁も、監視試験片も、ともに原子炉圧力容器側壁と炉心槽との間を下向きに流れる一次冷却水に接しており、したがつて、どちらも一次冷却水温度とほぼ同じ温度であること、更に、原子炉圧力容器外側を保温材で囲んでいるため、原子炉圧力容器外側の外面温度が内面温度に比べて低くなることはほとんどないと見られること、以上により、温度の違いによつて監視用試験片による脆化が、原子炉圧力容器側壁の脆化よりも過小に評価されることはあり得ないと見られること、前顕甲第六一号証、第二六四号証掲記の試験結果(温度の点については当事者間に争いのないところである)によれば、大きな試験片は、小さな試験片に比べて、脆性遷移温度が急速に高くなつており、更に、試験のデータはばらついているが、右の試験結果は、鋼材板の厚さの大小と、これら鋼材から同じ大きさの試験片を切り出し照射した後の脆性遷移温度の上昇の大きさとの関係を示したものであつて、試験片の大小と脆化との関係を示しているものではない疑いがあること、そして、右試験結果に示されたばらつきは、鋼材の熱処理等の製造履歴及び板厚等によりその内部の性質が異なることによるものであることがうかがわれること、したがつて、同じA五三三鋼であつても、試験片を取り出した鋼材の製造履歴、板厚及び試験片の採取位置が異なれば、脆化の程度が異なるものとは見られるが、本件原子炉の場合は、右の たものであつて、試験片の大小と脆化との関係を示しているものではない疑いがあること、そして、右試験結果に示されたばらつきは、鋼材の熱処理等の製造履歴及び板厚等によりその内部の性質が異なることによるものであることがうかがわれること、したがつて、同じA五三三鋼であつても、試験片を取り出した鋼材の製造履歴、板厚及び試験片の採取位置が異なれば、脆化の程度が異なるものとは見られるが、本件原子炉の場合は、右の ることがうかがわれること、したがつて、同じA五三三鋼であつても、試験片を取り出した鋼材の製造履歴、板厚及び試験片の採取位置が異なれば、脆化の程度が異なるものとは見られるが、本件原子炉の場合は、右の事情を考慮し、前記のとおり原子炉圧力容器を製造するに際し、用いられる鋼材のあらかじめ定められた採取位置から切り取つたものを監視試験片として使用していること、本件原子炉は、原子炉圧力容器中の中性子照射量が、プラントの高出力化とは関係なく、同程度になるように設計されていること、したがつて、高出力化に伴い中性子照射による脆化の問題が特に深刻になるとは見られないことがいずれも認められることに照らし、前記原告らの主張に添う証拠はいずれも採用しがたい。なお、原告らは、一次冷却材圧力バウンダリを構成する機器が、疲労き裂や、中性子照射により脆化しているところに、何らかの衝撃力が作用するなどすると、いきなり大きな割れ目ができたり、破断したりする可能性があるが、こうした事態の発生することを、漏洩検査によつて事前にチエツクすることができないことは、東京電力福島原子力発電所一号炉の例でも明らかである旨主張し、証人p3が右主張に添う証言をする。なお、前顕甲第五八号証も右主張に添うものである。しかし、成立に争いのない乙第九九号証に照らし、東京電力福島原子力発電所一号炉における漏洩事故についての右証拠は、直ちに採用できない。また、前頭乙第一号証の一、二、第四号証、第三〇号証及び証人nの証言によれば、前記のように、疲労き裂が問題となる部分については、その設計に当たつて、疲労解析を行うことにより、疲労破壊の起こらないことを、製造時には材料にきずのないことを、使用に当たつては、きずが急速に拡大するおそれのある脆性破壊を防止するため脆性遷移温度が使用温度より高いことを、いずれも うことにより、疲労破壊の起こらないことを、製造時には材料にきずのないことを、使用に当たつては、きずが急速に拡大するおそれのある脆性破壊を防止するため脆性遷移温度が使用温度より高いことを、いずれも確認し、更に、運転開始後に行われる定期検査においても、材料の健全性を確認することとしていること、したがつて、仮に、きずが発生したとしても、脆性遷移温度より高い温度で運転しているため、き裂がいきなり拡大して破断することはないと見られ、したがつて、小さなきずのうちに発見して所要の措置が講じられること、なお、本件原子炉の一次冷却系配管に使用されているステンレス鋼は、その特性からして脆化はほとんど問題とならず、原子炉圧力容器や蒸気発生器の材料であるマンガン・モリブデン・ニツケル鋼や、マンガン・モリブデン鋼についても、その脆性遷移温度が比較的低いことを確認しているので、脆化による破壊はほとんど問題とならないこと、ただ、原子炉圧力容器側壁の中性子照射による脆化が問題となるが、この点については前記のとおり、運転開始後は監視試験片により脆化の程度を検査し、その結果を考慮して原子炉圧力容器の最低使用温度を定めるなど、適切な配慮をすることになつていることがいずれも認められることに照らし、前記原告らの主張に添う証拠は採用しがたい。 遷移温度が比較的低いことを確認しているので、脆化による破壊はほとんど問題とならないこと、ただ、原子炉圧力容器側壁の中性子照射による脆化が問題となるが、この点については前記のとおり、運転開始後は監視試験片により脆化の程度を検査し、その結果を考慮して原子炉圧力容器の最低使用温度を定めるなど、適切な配慮をすることになつていることがいずれも認められることに照らし、前記原告らの主張に添う証拠は採用しがたい。更に、原告らは、現存するアスメの規格や発電用原子炉設備に関する技術基準は、いずれもボイラーや高圧ガス用圧力容器として従来から積み重ねられた技術を集大成したものに過ぎず、中性子照射による脆化や応力腐食割れ等、放射線を扱う際に、新たな問題になるものについては何ら有効な基準たり得るものでないため、本件原子炉において使用される原子炉圧力容器や、一次冷却系配管が、右基準に従つているからといつて、右の脆化や応力腐食割れを防ぎ得るものではない旨主張し については何ら有効な基準たり得るものでないため、本件原子炉において使用される原子炉圧力容器や、一次冷却系配管が、右基準に従つているからといつて、右の脆化や応力腐食割れを防ぎ得るものではない旨主張し、証人p3が右主張に添う証言をする。しかし、前顕乙第三〇号証並びに証人n、同p3の各証言及び弁論の全趣旨によれば、中性子照射による脆化や応力腐食割れ等については、既に数多くの研究や実験の成果が得られているばかりでなく、原子炉開発以来の経験の蓄積もあること、右のアスメの規格や技術基準は、右の研究や実験、長年の運転経験の成果を集大成したものであり、特に、中性子照射による脆化に対しては、その防止に必要な事項が十分もり込まれていること、なお、応力腐食割れについては、一般の圧力容器等にも見られる現象であり、放射線との関連で新たに問題となつたものではなく、また、本件原子炉と同型の加圧水型原子炉においては、従来発生した事例はないことがいずれも認められる。したがつて、原告らの前記主張は理由がない。その他前示認定を左右するに足る証拠はない。(四) 前示争いのない事実及び認定事実に照らし、本件安全審査において、前示のように本件原子炉圧力容器及び一次冷却系配管について、安全性が確保されていると判断したことは相当と認められる。三本件原子炉の立地選定及び耐震設計について 1 原子炉の設置と自然的立地条件立地審査指針中の原則的立地条件と、安全設計審査指針の関係については(1)当該敷地に係る事象が、当該原子炉における大きな事故の誘因とならないこと(2)右事象がどのようなものであるかを安全側に立つて慎重に検討すること(3)右検討の結果に対して、現代の工学技術からして当該原子炉につき十分余裕のある安全な設計を講じ得るかどうかを検討するということにあると解される。 について 1 原子炉の設置と自然的立地条件立地審査指針中の原則的立地条件と、安全設計審査指針の関係については(1)当該敷地に係る事象が、当該原子炉における大きな事故の誘因とならないこと(2)右事象がどのようなものであるかを安全側に立つて慎重に検討すること(3)右検討の結果に対して、現代の工学技術からして当該原子炉につき十分余裕のある安全な設計を講じ得るかどうかを検討するということにあると解される。しかる であるかを安全側に立つて慎重に検討すること(3)右検討の結果に対して、現代の工学技術からして当該原子炉につき十分余裕のある安全な設計を講じ得るかどうかを検討するということにあると解される。しかるところ、証人mの証言によれば、本件安全審査においても、右の考え方のもとに耐震設計等の審査がなされたことが認められる。右認定に反する証人xの証言は採用せず、他に右認定に反する証拠はない。2 地盤について(一) 本件安全審査においては、本件敷地は、地質分類学上、西日本外帯三波川変成岩帯に属し、原子炉基盤を構成する岩石は緑色片岩であること、緑色片岩の走行傾斜は比較的一様であること、原子炉格納施設などの主要構造物の基盤については、ボーリング及び試掘坑調査を行つた結果、岩盤コアの圧縮強度は一平方メートル当たり一万一〇〇〇ないし一万九〇〇〇トン(乾燥状態)であり、また、現地基盤の弾性波速度は、縦波で毎秒約五・六キロメートル、横波で毎秒約二・六キロメートルと大きく、基盤は一様で堅硬な状態にあること、この基盤は載荷試験によると一平方メートル当たり一四〇〇トン以上の支持力を有しており、原子炉施設の基盤への常時の荷重が一平方メートル当たり六〇トンであるのに対し、十分な地耐力を有していること、また、原子炉施設の基礎として問題となるような規模の断層及び破砕帯はないこと、なお、敷地は地形及び地質構造上地すベり、山津波の発生することはないこと、以上により、本件敷地は本件原子炉敷地として安全確保上問題がないと判断したことはいずれも当事者間に争いがない。(二) (1)中央構造線は、日本列島の骨格が形成される約七〇〇〇万年あるいはそれ以前に形成されたといわれる西南日本を縦断する大断層であつて、四国地方においては三波川帯と和泉砂岩層との境界の断層とされていること、そして、四国 、日本列島の骨格が形成される約七〇〇〇万年あるいはそれ以前に形成されたといわれる西南日本を縦断する大断層であつて、四国地方においては三波川帯と和泉砂岩層との境界の断層とされていること、そして、四国地方においては、中央構造線は四国山地をほぼ東西に縦断し、四国西部の桜樹付近で南へ曲がり、湾曲しながら松山市の南南西約二〇キロメートルの上灘付近から海中に没し、大分県臼杵付近において再びその存在が推定されるに至ること(2)右桜樹から上灘間の中央構造線の北側三キロメートルないし五キロメートルの位置に存在する川上断層や、伊予断層は、活動性が認められるものの、その活動性や連続性は桜樹以東の中東構造線に比べると、いずれも小さくなつていること(3)敷地における弾性波速度の値は、コアサンプルの値とほぼ同じ値を示していることについてはいずれも当事者間に争いがない。 し、大分県臼杵付近において再びその存在が推定されるに至ること(2)右桜樹から上灘間の中央構造線の北側三キロメートルないし五キロメートルの位置に存在する川上断層や、伊予断層は、活動性が認められるものの、その活動性や連続性は桜樹以東の中東構造線に比べると、いずれも小さくなつていること(3)敷地における弾性波速度の値は、コアサンプルの値とほぼ同じ値を示していることについてはいずれも当事者間に争いがない。そして、前顕乙第1一号証の一、二、いずれも成立に争いのない甲第一一四号証、第一一九号証、乙第六〇号証、第六六号証、第一一〇号証、第一一二号証、第一五九号証、いずれも原本の存在並びに成立に争いのない甲第一二九ないし第一三三号証、乙第六一号証並びに証人p6、同i、同m順彦の各証言、同p7、同p5の各証言の一部及び鑑定人p6、同p8の鑑定の結果を総合すると、(1)本件原子炉の敷地周辺における地質図、地質関係文献、国土地理院及び四国電力撮影の空中写真の判読、現地踏査、敷地前面海域における音波探査の結果等により、本件原子炉の敷地周辺の地盤は、地質的に安定していること、近い将来に、大きな地変や火山活動等の事象が発生する可能性のうかがえないことがいずれも判明したこと、(2)本件原子炉の敷地は四国の佐田岬半島の付け根付近に位置し、瀬戸内海の伊予灘に面していること、同半島地域は地質構造上中央構造線の南側の三波川帯( る可能性のうかがえないことがいずれも判明したこと、(2)本件原子炉の敷地は四国の佐田岬半島の付け根付近に位置し、瀬戸内海の伊予灘に面していること、同半島地域は地質構造上中央構造線の南側の三波川帯(主として緑色片岩で、一部では更にわずかの黒色片岩からなる)に属していること、なお、有史以来敷地周辺においては、大きな地変や火山活動は認められておらず、その痕跡を示す地形も存しないこと、(3)本件原子炉の敷地がある佐田岬半島は、上記のとおりその地盤全体が中央構造線の南側で一般にみられる三波川変成岩のみによつて形成されていること、並びに中央構造線及びこれに伴う断層活動の存在を示すような露頭その他の地形的な特徴は発見されていないこと、また、後記(5)のとおり当該敷地前面の海域で行われた音波探査の結果によれば、もし中央構造線が敷地前面の海域の比較的敷地に近い所を通つているとしても、それは本件敷地の沖合五キロメートルないし八キロメートルの範囲であつて、これより敷地寄りのところを通つている可能性は少ないものとみられること、(4)本件敷地の岩盤に見られるいわゆるレンズ状せん断は、三波川変成岩帯のように古い地層からなる岩盤においては、中央構造線の付近に限らずどこでも見られるものであること、したがつて、本件敷地にレンズ状せん断が見られるからといつて、直ちに中央構造線が本件敷地直近を通つているとはいえないこと、(5)四国電力が実施した本件敷地前面の音波探査の記録を、陸上における地質構造上の資料を基に解析した報告書(前顕甲第一一九号証)によれば、本件敷地の沖合数百メートルの海底の下方数十メートルで、三波川変成岩の音波反射パターンは第四紀層におおわれるため不明瞭となるが、その位置においては、右三波川変成岩と第四紀層との境界は北側へ緩傾斜しており、断層は存在しないと 本件敷地直近を通つているとはいえないこと、(5)四国電力が実施した本件敷地前面の音波探査の記録を、陸上における地質構造上の資料を基に解析した報告書(前顕甲第一一九号証)によれば、本件敷地の沖合数百メートルの海底の下方数十メートルで、三波川変成岩の音波反射パターンは第四紀層におおわれるため不明瞭となるが、その位置においては、右三波川変成岩と第四紀層との境界は北側へ緩傾斜しており、断層は存在しないと の海底の下方数十メートルで、三波川変成岩の音波反射パターンは第四紀層におおわれるため不明瞭となるが、その位置においては、右三波川変成岩と第四紀層との境界は北側へ緩傾斜しており、断層は存在しないと見られること、一方敷地前面海域五キロメートルないし八キロメートルに認められる第三紀に生成されたとみられる小堆積盆地の中及びその北端部に、断層又は地形の変化による音波のパターンの乱れがみられること、かつ、三波川帯の幅と連続性とから判断して、中央構造線が敷地前面海域の比較的敷地に近いところを通つていると考えても、それは本件敷地の沖合五キロメートルないし八キロメートルの範囲であることがうかがわれること、したがつて、前記音波探査により三波川変成岩の確認できた限界地点をもつて直ちに中央構造線の位置であるとは推定できないこと、(6)中央構造線はその活動性や活動時期は、全域にわたつて一様なものではなく、第四紀における活動性は、四国地方でも前記の桜樹付近より東方においては活動的であるが、同所より西方においては上灘において海中に没するに至るまでの範囲では新第三紀の後期(約一〇〇〇万年前)から以降は、活動した痕跡は発見されていないこと、前記川上断層や、伊予断層より更に西方に当たる本件原子炉の沖合五キロメートルないし八キロメートルの範囲に見られる地質構造の乱れが中央構造線を反映しているとしても、その活動性、連続性は川上、伊予両断層よりは小さい可能性が少なくないこと、なお、中央構造線の活動に起因したことが確認できる地震は過去において日本全土のどこにもその例がないこと、更に、現在の地震活動の特徴や震源分布が右断層と調和する事実もうかがえないこと、(7)本件安全審査においては、中央構造線の問題はi、j両調査委員において専門的な立場から審査し、特に本件原子炉の設置に関し、 現在の地震活動の特徴や震源分布が右断層と調和する事実もうかがえないこと、(7)本件安全審査においては、中央構造線の問題はi、j両調査委員において専門的な立場から審査し、特に本件原子炉の設置に関し、安全上問題がない旨の結論を出したものであること、(8)三波川帯に属する地盤は脆弱で、しばしば地すベりが見られるといわれており、佐田岬半島においても地すベりの発生する地域が多いが、それは黒色片岩や絹雲母片岩の比較的多く分布する地区や片岩の片理の傾きと地山の斜面の傾きとが同じような急傾斜地においては見られるものの、本件原子炉敷地のように急傾斜地が少なく、主として塊状の緑泥石片岩からなる地域では、地すベりはごく局部的な小規模のものを除けば見られていないこと、本件敷地には地すベりの原因となりやすいとされる黒色片岩や急な傾斜の片理を有する岩盤は存在しないこと、また、大規模な地すベりや山津波は、それを起こす大量の風化生成物を必要とするが、本件原子炉の東部に位置する丘陵の西南の斜面は、その頂部近くまで原形をとどめない程に削り取られているために、地すベりや土石流の原因となる風化生成物はすべて取り去られていること、更に、その風化生成物や岩盤を削り取つた後の斜面は、鉄筋コンクリート造りのよう壁等により保存工事がされているため、小規模な崩落はみられても、原子炉その他の重要建造物に被害を与えるような地すベり又は土石流が発生する可能性はほとんどないこと、なお、本件敷地東方の山地には片理面が存し、また、敷地には地下水流が実測されているが、しかし、これらを直ちに地すベりに関連させることはできないこと、なお、切取工事開始後四ミリメートルの地山の移動があつたが、これは切り取つた上載地盤の重量の軽減に見合う計算どおりの変形と見られ、予想外の変形は観測されていないこと、したがつ 建造物に被害を与えるような地すベり又は土石流が発生する可能性はほとんどないこと、なお、本件敷地東方の山地には片理面が存し、また、敷地には地下水流が実測されているが、しかし、これらを直ちに地すベりに関連させることはできないこと、なお、切取工事開始後四ミリメートルの地山の移動があつたが、これは切り取つた上載地盤の重量の軽減に見合う計算どおりの変形と見られ、予想外の変形は観測されていないこと、したがつ ることはできないこと、なお、切取工事開始後四ミリメートルの地山の移動があつたが、これは切り取つた上載地盤の重量の軽減に見合う計算どおりの変形と見られ、予想外の変形は観測されていないこと、したがつて、その崩壊の危険性はないこと、(9)本件敷地内や周辺地区には活断層があるとはみられないこと、なお、原子炉主要施設の基礎岩盤付近には小さな破砕帯等が一〇本程度あるが、これら破砕帯等の分布密度並びにその規模や性状は本件敷地のごとく古生代ないし中生代に生成した古い地層からなる岩盤では普通観察されるところであること、敷地内にある断層は現在地表に現われている岩石がまだ地下数千メートルの深所にあつた数千万年前の時代に生じた可能性の多いものであること、しかも断層は地下数十メートルの深所では現在もまだ堅く固結しているものとみられること、また、敷地内にある前記破砕帯の中には、やや規模の大きい、やや軟弱な破砕部をもつものがいくつか存在するが、右破砕部は幅がおおむね五センチメートル以内の小さなものであつて、破砕部をはさむ両側の岩盤はいずれも堅硬であること、したがつて、右破砕帯の存在は地耐力をほとんど減少させないこと、敷地内では最も大きい規模をもつ丸断層は、幅一センチメートルないし二センチメートルの粘土をはさむ破砕幅約一〇センチメートルの断層であつて、右断層についても、工事着手前の空中写真では活断層地形が認められないこと、右断層内の粘土は、粘土の鉱物組成、粒度分布によれば五〇〇〇万年ほど前に地表近くに位置するに至つた後、いつたん固結した破砕部が地下水の影響を受けて風化してできたものであること、及び粘土物質のエツクス線透過写真による組織の解析によれば、粘土化が始まつた以降には顕微鏡的ずれ以上のずれがみられないこと、したがつて、右断層は活断層でないとみられること、また できたものであること、及び粘土物質のエツクス線透過写真による組織の解析によれば、粘土化が始まつた以降には顕微鏡的ずれ以上のずれがみられないこと、したがつて、右断層は活断層でないとみられること、また、当該敷地の地盤が中央構造線の破砕作用を受けているとはみられないこと、仮に中央構造線に沿つた活動が起こつたとしても、右断層が受動的に動く可能性はほとんどないとみられること、なお、本件敷地試掘坑内地質調査報告書(甲第一三三号証)を作成したp9が活動性の存否を判定した断層はS3断層の推定地表露頭線上の断層であつたところ、右推定が間違つていたとの事実は未だ明らかにされないこと、(10)本件原子炉敷地において実施された踏査、予備ボーリング調査、地表弾性波調査、試掘横坑調査、岩石の強度試験等の各結果により、本件原子炉の敷地の地盤は、原子炉を設置する上で必要な岩盤が十分な広さで得られるとともに、その表土層は四メートル程度と薄く、ボーリソグコアの採取率が平均で九五パーセントと大きく、また、地表約一五メートル以深の岩盤における縦波速度が一様に毎秒四キロメートル以上であること等から、一様に堅硬な岩盤が広い範囲に分布しているものとみられること、また、敷地の地盤が片理の発達の少ない塊状の緑泥石片岩で構成されており、その岩質は新鮮、かつ、堅硬であるとみられること、原子炉の主要施設設置予定地において実施された長さ三〇〇メートル以上に及ぶ試掘横坑調査、炉心基盤直下一〇〇メートルに及ぶボーリング調査、物理探査、岩石の強度試験等の結果により、本件原子炉の主要施設設置予定地の地盤は、原子炉施設を支持するのに十分な地耐力を有する岩盤であつて、地震等による地盤破壊や不等沈下を起こす虞れはないこと、すなわち、本件原子炉の基礎岩盤の緑色片岩には多少片理は発達しているものの、その片理 要施設設置予定地において実施された長さ三〇〇メートル以上に及ぶ試掘横坑調査、炉心基盤直下一〇〇メートルに及ぶボーリング調査、物理探査、岩石の強度試験等の結果により、本件原子炉の主要施設設置予定地の地盤は、原子炉施設を支持するのに十分な地耐力を有する岩盤であつて、地震等による地盤破壊や不等沈下を起こす虞れはないこと、すなわち、本件原子炉の基礎岩盤の緑色片岩には多少片理は発達しているものの、その片理 原子炉施設を支持するのに十分な地耐力を有する岩盤であつて、地震等による地盤破壊や不等沈下を起こす虞れはないこと、すなわち、本件原子炉の基礎岩盤の緑色片岩には多少片理は発達しているものの、その片理の走向、傾斜は緩やかなものであつて、はく離性は著しくなく、片理の存在による岩盤のゆるみもないこと、また、原子炉主要施設の設置予定場所付近から採取した岩盤コアの圧縮強度は、乾燥状態において一平方メートル当たり一万一〇〇〇トンないし一万八〇〇〇トンであり、湿潤状態においても三〇パーセントないし三五パーセント小さくなる程度であること、また、岩盤は、試掘横坑内において行われたジヤツキによる一平方メートル当たり一四〇〇トンまでの繰り返し荷重試験においても十分弾性的な挙動を示していること、以上のことから、本件原子炉主要施設の基礎岩盤は、原子炉格納施設の常時荷重である前記のとおりの一平方メートル当たり約六〇トンの荷重に対しても、また、せいぜいその数倍を出ない地震時の荷重に対しても地耐力を有するとみられること、(11)敷地の基盤を構成する岩石自体の性質は、原子炉施設を設置する敷地の基盤を論ずるに当たつて調査すべき基本的要素の一つであつて、これは、ボーリング等によつて採取されたコアから節理等の存在しない部分をサンプルとして切り出し、右サンプルの岩石強度試験等の結果からは握されるものであり、一方、敷地の基盤の性質は、実際にそこに存在する断層、節理等をすべて含む敷地基盤そのものについて直接に測定される弾性波速度、岩盤のジヤツキ試験等の結果からは握されるものであつて、岩石の力学的性質のばらつきのみに着目して、この点から直ちに敷地の基盤もまた一様に堅硬でないとすることはできないこと、本件原子炉敷地の基礎岩盤については、それを構成するボーリングコア等のサンプルによる岩石 力学的性質のばらつきのみに着目して、この点から直ちに敷地の基盤もまた一様に堅硬でないとすることはできないこと、本件原子炉敷地の基礎岩盤については、それを構成するボーリングコア等のサンプルによる岩石試験、断層や節理の存在したままの状態において広い範囲にわたる弾性波探査や試掘横坑内における岩盤のジヤツキ試験等を実施し、右試験の場所、サンプルによるばらつきの程度を勘案して、本件原子炉施設が一定の広さと厚さとをもつ鉄筋コンクリートの基礎を介してその基礎岩盤に荷重を伝えるに際し、果たして一様な反力を右基礎岩盤が示すかどうかを検討した結果、一様に堅硬な岩盤を必要な範囲において確保することができると判断したものであること、なお、ボーリング孔による縦方向の岩質を見ると、B級の更に下方にC級が出現したりしても、深さ方向においてこの程度のばらつきがあることは、この分野における学問上の常識であるといわれていること、なお、本件原子炉設置場所の岩石の試験の結果、その測定数値は新鮮な緑色片岩とした測定値に対応すると判断されたこと、また、ボーリングの観察結果からも、地下深部に及ぶような風化は報告されていないこと、したがつて、岩石良好度のばらつきは片理あるいは節理等の影響であり、風化によるものではないこと、(12)本件原子炉は伊予灘に面した岬の先端に位置するが、本件原子炉敷地は数千トンに及ぶ大量の岩盤を削り取つた上に建設されたこと、本件原子炉の原子炉格納施設の常時荷重は前記のとおり一平方メートル当たり約六〇トンであることから、地山の安定性にとつては載荷量の軽減となつて安全側に評価されることがいずれも認められる。 がつて、岩石良好度のばらつきは片理あるいは節理等の影響であり、風化によるものではないこと、(12)本件原子炉は伊予灘に面した岬の先端に位置するが、本件原子炉敷地は数千トンに及ぶ大量の岩盤を削り取つた上に建設されたこと、本件原子炉の原子炉格納施設の常時荷重は前記のとおり一平方メートル当たり約六〇トンであることから、地山の安定性にとつては載荷量の軽減となつて安全側に評価されることがいずれも認められる。なお(1)本件安全審査報告書には中央構造線について全く触れていないこと、文書提出命令により被告が裁判所に提出した書類中にも中央構造線に関するものは存在しな に評価されることがいずれも認められる。なお(1)本件安全審査報告書には中央構造線について全く触れていないこと、文書提出命令により被告が裁判所に提出した書類中にも中央構造線に関するものは存在しないこと(2)被告は敷地前面海域の断層についてボーリング調査を行つていないこと(3)鑑定人p6、同p8の鑑定の結果によれば、敷地内の新鮮な岩盤コアの強度は乾燥時一平方センチメートル当たり六二〇キログラム、吸水時同四四三キログラムであるとされているものがあるのに対して、四国電力による試験結果では乾燥時、吸水時ともその三倍程度の値が示されていること(4)本件基礎岩盤には一一本の断層、破砕帯が存在すること、また右岩盤を鉛直方向に観察すると、ほとんど五メートルごとに岩盤良好度が上下し、しかも地下一〇〇メートルに至つても向上していないこと、ボーリング孔では一〇メートルから五六メートルまでの岩質はC級であるが、五七メートルではD級が出現したりしており、ところどころB級が見出されているが大体においてC級であること、電力中央研究所の岩質分類法ではC級の特徴として、「かなり風化し、節理と節理に囲まれた岩塊の内部は比較的新鮮であつても、節理の間には泥又は粘土を含んでいるか、あるいは多少の空げきを持して水滴が落下する。岩塊は硬い場合がある」とされていること、トレンチ坑等では水滴が漏れ出ており、また、節理がぼろぼろになつている場所も存在していることについてはいずれも当事者間に争いがないが、右(1)(4)の事実は前示認定を左右するに足らず、また、右(2)の事実については、証人p6の証言によれば、海底の地質のボーリング調査は極めて困難なものであるため、現時点では海底の地質調査は、一般に、音波探査の方法で行われていることが認められるので、右(2)の事実も前示認定を左右するに 滴が漏れ出ており、また、節理がぼろぼろになつている場所も存在していることについてはいずれも当事者間に争いがないが、右(1)(4)の事実は前示認定を左右するに足らず、また、右(2)の事実については、証人p6の証言によれば、海底の地質のボーリング調査は極めて困難なものであるため、現時点では海底の地質調査は、一般に、音波探査の方法で行われていることが認められるので、右(2)の事実も前示認定を左右するに の証言によれば、海底の地質のボーリング調査は極めて困難なものであるため、現時点では海底の地質調査は、一般に、音波探査の方法で行われていることが認められるので、右(2)の事実も前示認定を左右するに足らない。また、右(3)の事実についてみるに、鑑定人p6、同p8の鑑定の結果に見られるボーリングコアの岩石圧縮強度と、四国電力がなしたボーリングコアの岩石圧縮強度との右相違は、鑑定調査ボーリング・カー1号孔のコアの試験結果のみを既往の試験結果と比較したものであること、右鑑定調査における岩石試験はボーリングA2孔、A5孔のコアを用いての試験、岩石ブロツクせん断試験、位置の試料を用いての試験、物探用ボーリング・カー3号孔、カー4号孔のコアを用いての試験でも実施されていること、したからで、その中の一つの試験試料のみを取り上げて、既往の試験結果と比較してみても、特別な意義は見出せないこと、なお、右のボーリングA2孔、A5孔のコアを用いた試験結果は、乾燥状態、吸水状態で(それぞれ平均一平方センチメートル当たり一二五八キログラム、同一〇二四キログラムとなつており、既往の試験結果との間に大きな差はないこと、また、鑑定調査における岩石試験の結果は、片理面や節理面で破壊したものまで含んでいること、したがつて、その試験状態の異なる既往試験結果と表面上の数値のみを比較することは妥当でないことが、前顕乙第一五九号証、右同鑑定の結果及び弁論の全趣旨により認められるので、右(3)の事実も前示認定を左右するに足らない。なお、本件調査委員jが、四国における中央構造線が活動的であるとしていることについては、当事者間に争いがなく、証人iは、jが四国中東部の中央構造線に活動性があると述べた旨証言し、前顕甲第一三四号証の二、成立に争いのない同第一二〇号証によれば、jは中央構造線の活 していることについては、当事者間に争いがなく、証人iは、jが四国中東部の中央構造線に活動性があると述べた旨証言し、前顕甲第一三四号証の二、成立に争いのない同第一二〇号証によれば、jは中央構造線の活動性についての論文を発表していること、また、中央構造線の存在を推定させる趣旨の破線を佐田岬沿いに書いた図面を発表していることがいずれも認められる。 立に争いのない同第一二〇号証によれば、jは中央構造線の活 していることについては、当事者間に争いがなく、証人iは、jが四国中東部の中央構造線に活動性があると述べた旨証言し、前顕甲第一三四号証の二、成立に争いのない同第一二〇号証によれば、jは中央構造線の活動性についての論文を発表していること、また、中央構造線の存在を推定させる趣旨の破線を佐田岬沿いに書いた図面を発表していることがいずれも認められる。しかし、本件安全審査においては前記のとおり、i、j両調査委員が中央構造線の問題についても慎重に審査した結果、本件敷地が原子炉敷地として適当であると認める判断をしたものであるから、右は前示認定を左右するに足らない。次に、「伊方地点緑色片岩の物理的諸性質について」と題する報告書(前顕乙第一五九号証)を見ると、ボーリングコアサンプルの測定値欄に空欄があり、かつ、湿潤状態において一平方センチメートル当たり一七五キログラムの小さなデータがあるが、鑑定人p6、同p8の鑑定の結果及び弁論の全趣旨を総合すると、右報告書の測定値に空欄があるのは、圧縮試験が破壊試験であつて、一度試験したものは再使用できないことによるものであること、更に、一平方センチメートル当たり一七五キログラムの測定値をあげなかつたのは、その備考欄に「節理に沿う破壊」と掲記されていることからみても、岩石の圧縮破壊試験をするに適さない資料であり、したがつて、岩石強度の面からみて、本件敷地の適性の判断の参考資料とすることに不適当なものであつたからであることがいずれも推認できる。したがつて、右報告書に前記のような点があるからといつて、右は前示認定を左右するものではない。なお、前顕甲第一三四号証の一、二、第二六六号証及び証人p5の証言によれば、アメリカのカリフオルニヤ州におけるボドガ、マリブ等の原子力発電所の設置が、敷地内及び敷地周辺に断層があることを最大 ない。なお、前顕甲第一三四号証の一、二、第二六六号証及び証人p5の証言によれば、アメリカのカリフオルニヤ州におけるボドガ、マリブ等の原子力発電所の設置が、敷地内及び敷地周辺に断層があることを最大の理由として中止されたことが認められるが、本件敷地及びその周辺における断層等と右アメリカの各発電所敷地内及びその周辺にある断層の規模、性質等を比較してみない限り、右の事実は、前示認定を左右するに足らないものである。 お、前顕甲第一三四号証の一、二、第二六六号証及び証人p5の証言によれば、アメリカのカリフオルニヤ州におけるボドガ、マリブ等の原子力発電所の設置が、敷地内及び敷地周辺に断層があることを最大の理由として中止されたことが認められるが、本件敷地及びその周辺における断層等と右アメリカの各発電所敷地内及びその周辺にある断層の規模、性質等を比較してみない限り、右の事実は、前示認定を左右するに足らないものである。その他前示認定を左右するに足る証拠はない。(三) 前示争いのない事実及び認定事実に照らすと、本件安全審査において、本件敷地が原子炉敷地として安全確保上問題がないと判断したことは相当と認められる。3 地震について(一) 本件安全審査において、本件原子炉敷地に影響を及ぼす地震は、豊後水道及び伊予灘を震源とするタイプAの地震と日向灘沖及び安芸灘を震源とするタイプBの地震とに大別されること、これらの地震により敷地周辺で建物に被害のあつた記録はほとんどないこと、敷地周辺に比較的大きな地震動を与えたと思われるA・B二つのタイプの地震について推定したところによれば、基盤加速度でそれぞれ約一六五ガル及び約四五ガルであり、地震の卓越周期はそれぞれ約〇・三秒及び約〇・五秒であること、これらの地震力が原子炉施設に与える影響は極めて小さいものと推定されること、したがつて、本件原子炉敷地は地震との関係でも、その安全確保上問題がないと判断したことについてはいずれも当事者間に争いがない。(二) (1)被告は、敷地に影響を与える地震を伊予灘、豊後水道、宇和海を震源とするタイプAと、安芸灘、日向灘を震源とするタイプBの地震に分類し、タイプAの地震はマグニチユード六から七で、震源の深さは四〇キロメートル、タイプBの地震のうち安芸灘の地震はマグニチユード七・一で、 するタイプAと、安芸灘、日向灘を震源とするタイプBの地震に分類し、タイプAの地震はマグニチユード六から七で、震源の深さは四〇キロメートル、タイプBの地震のうち安芸灘の地震はマグニチユード七・一で、震源の深さは三〇キロメートル、日向灘で起こる地震はマグニチユード六・六から七・五、その震源の深さは二〇キロメートルから四〇キロメートルと考えていること(2)地震予知連絡会は、地震予測のため大地震を経験した地域や東京等の重要な地域を「特定観測地域」に指定し、異常が発見された場合には「観測強化地域」に指定して観測を強化し、異常が確認され、それが大地震と関連があると判断された場合には「観測集中地域」に指定してあらゆる種類の観測を集中していることについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕乙第一号証の二、いずれも成立に争いのない同第一一三号証、第一六二号証並びに証人iの証言及び弁論の全趣旨によれば、(1)本件原子炉敷地周辺における過去の地震の記録や、地震による被害記録から震央分布や震源の深さ等の資料を収集し、この資料を近年の器械観測による地震記録及び地震の発生機構に関する近年の学説並びに研究業績に基づいて検討した結果、本件原子炉周辺において将来起こると考えるべき地震は、前記のとおり分類され、その規模も前記のとおりと考えられること、なお、タイプAの地震は上部マントルの地震であつて、その発生機構については、日向灘付近で地殻の下にもぐり込んだフイリピン海プレートが、この地域で約五〇キロメートル以深に至り、そこで地震を起こすと考えられていること、タイプBの安芸灘地域で起こる地震はその数が比較的少ない上、その発生機構が必ずしも明らかでないこと、タイプBの日向灘で起こる地震は、フイリピン海プレートが日向灘付近で陸の地殻の下にもぐり込むため起こるものと考えられて ントルの地震であつて、その発生機構については、日向灘付近で地殻の下にもぐり込んだフイリピン海プレートが、この地域で約五〇キロメートル以深に至り、そこで地震を起こすと考えられていること、タイプBの安芸灘地域で起こる地震はその数が比較的少ない上、その発生機構が必ずしも明らかでないこと、タイプBの日向灘で起こる地震は、フイリピン海プレートが日向灘付近で陸の地殻の下にもぐり込むため起こるものと考えられて で起こる地震はその数が比較的少ない上、その発生機構が必ずしも明らかでないこと、タイプBの日向灘で起こる地震は、フイリピン海プレートが日向灘付近で陸の地殻の下にもぐり込むため起こるものと考えられていること、(2)有史以来の地震被害記録を基に作成された日本各地の強震以上の地震回数及び平均再来年数の等値線等によれば、本件原子炉敷地を含む愛媛県西部地域においては、強震以上の震度の地震一一回、烈震以上の震度の地震六回、激震以上の震度の地震二回がそれぞれ起こつているが、全国的に見れば、右地域が、特に地震活動の盛んな地域であるとは考えられないこと、本件原子炉敷地近傍の村落については、過去、地震によつて建物被害が生じたとする記録は皆無に等しいこと、(3)理科年表(昭和四七年版)に掲載されている有史以来の主な被害地震のうち、本件原子炉敷地を中心に半径二〇〇キロメートルの範囲内で起こつたマグニチユード六以上の地震について、その震央分布図を描いてみると、(A)伊予灘、豊後水道及び宇和海の地域においてはマグニチユード六から七程度の地震が数回、(B)安芸灘を中心とする半径三〇キロメートルの範囲においてマグニチユード六から七程度が数回、(C)日向灘を中心とする半径約五〇キロメートルの範囲内においてマグニチユード六から七・五程度の地震が一〇回程度それぞれ起こつていること、並びに、敷地周辺の過去の主な被害地震は右の三つの地域に分布していること、(4)地震予知に関する情報の交換とそれについての専門的な判断を行うための連絡組織である地震予知連絡会は、地震予測を効率的に行う方策の一つとして前記のとおり地域指定をすることとしているところ、伊予灘、安芸灘は特定観測地域に指定されている(右については当事者間に争いがない)が、その指定された理由は、当該地域において過去数回、マグ の一つとして前記のとおり地域指定をすることとしているところ、伊予灘、安芸灘は特定観測地域に指定されている(右については当事者間に争いがない)が、その指定された理由は、当該地域において過去数回、マグニチユード七前後と推定される地震が数十年ごとの比較的一様な間隔で起こつているため、他の地域より地震のデータの得られる可能性が高いという点に着目したことによるものであること、したがつて、特定観測地域に指定されたことをもつて直ちに地震の多発地帯であるとか、近く大地震が発生するとかの理由にはならないこと、(5)いわゆる檀原説によれば、伊予灘、安芸灘地域では五二年周期でマグニチユード七程度の地震が発生するとされているが(右については当事者間に争いがない)右檀原説の周期性にのみ着目するならば、明治三八年の芸予地震(M七・一)以後、その周期に当たる昭和四三年に豊後水道地震(M六・六)が起こつているので、少なくとも本件原子炉の耐用年数(約三〇年)中には右周期にのつた地震が起こる可能性はないことになること、前記のように伊予灘、安芸灘は特定観測地域に指定されて、特別な観測も行われているので、何らかの異常が観測された場合には前記のように観測強化区域、更には観測集中地域になるはずであるが、いまだそのような事実は存在しないこと、檀原説による地震エネルギーの年間平均流量は、本件原子炉の敷地を含む東経一三二度ないし一三三度、北緯三三度ないし三四度地域においては2×10の20乗エルグであり、日本の陸地部のみに着目してその量を比較しても中間付近に位置するに過ぎず、本件敷地付近が地震の多発地帯であるとはいえないことがいずれも認められる。 ように観測強化区域、更には観測集中地域になるはずであるが、いまだそのような事実は存在しないこと、檀原説による地震エネルギーの年間平均流量は、本件原子炉の敷地を含む東経一三二度ないし一三三度、北緯三三度ないし三四度地域においては2×10の20乗エルグであり、日本の陸地部のみに着目してその量を比較しても中間付近に位置するに過ぎず、本件敷地付近が地震の多発地帯であるとはいえないことがいずれも認められる。なお、原告らは本件敷地付近が地震の多発地帯であることを示すものとして、重力異常、地磁気の分布図、今村博士の示した地震帯、震央分布図、河角、後 の多発地帯であるとはいえないことがいずれも認められる。なお、原告らは本件敷地付近が地震の多発地帯であることを示すものとして、重力異常、地磁気の分布図、今村博士の示した地震帯、震央分布図、河角、後藤マツプをあげ前顕甲第一三四号証の一、二、第二六六号証は右主張に添うものであるが、右証拠によるも、これらの事実の信頼度、その地震との関連性の程度、特にそれが本件敷地付近で発生すると原告らが主張する大地震とどのような結び付き方をしているかが明らかでなく、他に右の点について確たる立証はない。なお、また、原本の存在並びに成立に争いのない甲第二一六号証によれば、地震の繰り返し性に着目して、各地域に発生する大中地震を予測でき、それによると、四国西部等は地震活動の初期に相当していて、近い将来にマグニチユード七・五程度の地震が発生する傾向が見られる趣旨の報告がなされていることが認められるが、右は弁論の全趣旨によつて真正に成立したものと認める乙第一六三号証に照らし、直ちに採用できない。伊予灘、安芸灘地域が地震予知連絡会によつて特定観測地域に指定されたこと及び前記壇原説により、前示認定を左右することができないのは前叙のとおりである。その他前示認定を左右するに足る証拠はない。(三) 前示当事者間に争いのない事実及び認定事実によれば、本件安全審査において、本件敷地が地震の関係でも、安全性の見地からみて原子炉敷地として問題がないと判断したことは相当と認められる。4 耐震設計について(一) 本件安全審査において、本件原子炉の耐震設計は被告の主張第五章の第二の三の(四)本件原子炉における耐震設計掲記の如く評価され、本件原子炉の耐震設計は安全確保ができるものと判断したことについては、いずれも当事者間に争いがない。 及び認定事実によれば、本件安全審査において、本件敷地が地震の関係でも、安全性の見地からみて原子炉敷地として問題がないと判断したことは相当と認められる。4 耐震設計について(一) 本件安全審査において、本件原子炉の耐震設計は被告の主張第五章の第二の三の(四)本件原子炉における耐震設計掲記の如く評価され、本件原子炉の耐震設計は安全確保ができるものと判断したことについては、いずれも当事者間に争いがない。(二) (1)本件原子炉の耐震設計において、施設の安 件原子炉における耐震設計掲記の如く評価され、本件原子炉の耐震設計は安全確保ができるものと判断したことについては、いずれも当事者間に争いがない。(二) (1)本件原子炉の耐震設計において、施設の安全上の重要度に応じてA、B、Cの各クラスに分類した耐震設計をしていること、右A、B、Cの各クラスに分類される施設の種類が被告の主張第五章の第二の三の(四)の(2)のア、イ、ウの各(ア)掲記のとおりであること(2)本件耐震設計において四国沖、南海トラフで発生する巨大地震は耐震設計上考慮する必要がないとしていること(3)理科年表に記載されている明治七年(一八七四年)ないし大正一四年(一九二五年)の間に発生した地震のマグニチユードに、ついて、そのマグニチユードの表示の下の括弧内に〇・五を差し引いた値が示されているところ、本件耐震設計ではその括弧内の地震の規模によつたこと(4)木件耐震設計においては、前記タイプAの地震の最大加速度は一六五ガルと評価し、同夕イプBの地震の最大加速度を四五ガルと評価したこと(5)右加速度を計算するに当たり使用した金井式はAR=10B/TGB=0.61M-(1.66+3.6/R)logR+(0.167-1.83/R)の式であること(6)被告は本件敷地に対し過去に最も大きな地震動を及ぼした地震として、寛延二年(一七四九年)に発生した伊予宇和島沖地震であると考えていること、また、右地震のマグニチユードは七、震央距離一四キロメートル、推定震源の深さは三〇キロメートルと考えていること(7)被告は右の地震から前記最大加速度を求めるに際し、シードの図を適用するに当たつては震源距離を用いたことについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕甲節一三四号証の一、乙第一号証の二、第四号証、第三二号証、第六〇、六一号証、第六七号証、いずれも成 た伊予宇和島沖地震であると考えていること、また、右地震のマグニチユードは七、震央距離一四キロメートル、推定震源の深さは三〇キロメートルと考えていること(7)被告は右の地震から前記最大加速度を求めるに際し、シードの図を適用するに当たつては震源距離を用いたことについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕甲節一三四号証の一、乙第一号証の二、第四号証、第三二号証、第六〇、六一号証、第六七号証、いずれも成 シードの図を適用するに当たつては震源距離を用いたことについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕甲節一三四号証の一、乙第一号証の二、第四号証、第三二号証、第六〇、六一号証、第六七号証、いずれも成立に争いのない甲第一二四、一二五号証、第二一三号証、乙第五二号証、第五六号証、第五八、五九号証、第六二、六三号証、第一一一号証、第一一四、一一五号証、第一六〇、一六一号証、第一六四号証、第一六六号証、第一六八号証、原本の存在並びに成立に争いのない甲第二四八号証、第三二三号証、第三二八号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認める乙第二五七号証、証人m、同i、同p5の各証言及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)原子炉の耐震設計の役割は、一般建築物に適用されてきたこれまでの耐震設計の思想と異なるもので、両者の耐震設計において用いられる手法にも重要な相違点があること、耐震設計という技術分野は現実の地震を経験しながら前進し、より確実なものとなつていること、そして信頼性のある既知の技術の蓄積の上に、更に原子炉については厳しい設計思想が採用されていること、なお、新潟地震で昭和大橋が被害を受けた原因とされているのは砂質地盤における砂の流動化現象であつて、基礎の設計が十分であつた構造物には右地震による被害はほとんど見られなかつたこと、十勝沖地震における函館大学のような鉄筋コンクリート造りの建物における被害は壁が少なく、かつ、極端な偏心配置の建物に集中していること、したがつて、これらの事例は、直接堅硬な岩盤上に設置され、また、その構造計画においても配慮がなされている本件原子炉の耐震設計の信頼性を左右する資料とはなりがたいこと、(2)本件原子炉を設計するに際しては、敷地周辺において将来起こると考えるべき地震の敷地基盤に及ぼす影響を明確には握することが必要である 本件原子炉の耐震設計の信頼性を左右する資料とはなりがたいこと、(2)本件原子炉を設計するに際しては、敷地周辺において将来起こると考えるべき地震の敷地基盤に及ぼす影響を明確には握することが必要であるところ、本件敷地に対する影響という観点から、敷地周辺の有史以来の主な被害地震のうち、原子炉敷地を中心に半径二〇〇キロメートルの範囲内で起こつたマグニチユード六・〇以上のものについて、それぞれの地震の敷地基盤における最大加速度や卓越周期等における類似性に着目すると、耐震設計上、次の二つのタイプ(タイプA及びタイプB)の地震に分類すること、すなわち、(5)タイプAの地震による敷地基盤での地震動は、最大加速度が大きく、卓越周期が短いという特性をもち、このタイプの地震は前記3の(二)の伊予灘、宇和海及び豊後水道地域の地震に相当する。 内で起こつたマグニチユード六・〇以上のものについて、それぞれの地震の敷地基盤における最大加速度や卓越周期等における類似性に着目すると、耐震設計上、次の二つのタイプ(タイプA及びタイプB)の地震に分類すること、すなわち、(5)タイプAの地震による敷地基盤での地震動は、最大加速度が大きく、卓越周期が短いという特性をもち、このタイプの地震は前記3の(二)の伊予灘、宇和海及び豊後水道地域の地震に相当する。右の地震のうち、過去に最も大きな地震動を敷地基盤に及ぼしたと考えられるものは前記寛延二年(一七四九年)に発生したマグニチユード七、震央距離一四キロメートル、推定される震源の深さは三〇キロメートルの伊予宇和島地震であつて、これによる敷地基盤での地震動の最大加速度は一六五ガル、地震動の卓越周期は〇・三秒と評価されていること、(B)タイプBの地震による敷地基盤での地震動は、タイプAの地震に比べて最大加速度が小さく、卓越周期が長いという特性をもち、このタイプの地震は前記3の(二)の安芸灘、日向灘の地域の地震に相当する。右地震のうち、過去に最も大きな地震動を敷地基盤に及ぼしたと考えられるものは昭和一六年に発生したマグニチユード七・四、震央距離一〇一キロメートル、震源の深さは二〇キロメートルの日向灘地震であつて、これによる敷地基盤での地震動の最大加速度は四五ガル、地震動の卓越周期は〇・五秒と評価されていること、(3)なお、原子炉の耐 離一〇一キロメートル、震源の深さは二〇キロメートルの日向灘地震であつて、これによる敷地基盤での地震動の最大加速度は四五ガル、地震動の卓越周期は〇・五秒と評価されていること、(3)なお、原子炉の耐震設計を考慮するに当たつては、どの地域でどの程度の地震が起こつているかということだけでなく、右地震の発生機構や深さ等について詳細な検討をした上、右地震が原子炉主要施設に及ぼす影響をは握することが必要であること、本件原子炉の場合においては、右のような観点から前記のように敷地近傍で発生する地震を地震の発生機構等の類似性に着目して、三分類した上、これらの地震の特徴を検討し、次に耐震設計への適用という観点から、それぞれの地域の地震による敷地基盤での最大加速度及び卓越周期の類似性を検討した結果、これを前記のとおりタイプA、タイプBに分類したこと、南海沖、土佐沖の地震は、次のとおり設計上これを考慮する必要がないと判断されたこと、なお、前記分類は地震の発生地域に着目した分類ではないこと、また、安芸灘で発生する地震は、その原因は必ずしも判然としないが、伊予灘、豊後水道及び宇和海の地震と異なり、上部マントルの地震活動とはみられず、かつ、地震の主圧力軸が東西性のものが多いこと、したがつて、安芸灘地域で発生する地震は、内陸で一般的な地殻内地震が主である可能性が多く、安芸灘の地震と伊予灘の地震とを分離して考えることは合理性があること、(4)四国太平洋沖合で発生する巨大地震については、その卓越周期が約一秒程度と長いこと、震源距離と予想される地震の規模から推認される地震動は、前記タイプBの地震における設計加速度よりも小さいと考えられること、本件原子炉敷地基盤の卓越周期を判定するために実施された常時微動測定結果によれば、二秒ないし五秒にピークがあり、しかも、これらのピーク 地震と伊予灘の地震とを分離して考えることは合理性があること、(4)四国太平洋沖合で発生する巨大地震については、その卓越周期が約一秒程度と長いこと、震源距離と予想される地震の規模から推認される地震動は、前記タイプBの地震における設計加速度よりも小さいと考えられること、本件原子炉敷地基盤の卓越周期を判定するために実施された常時微動測定結果によれば、二秒ないし五秒にピークがあり、しかも、これらのピーク タイプBの地震における設計加速度よりも小さいと考えられること、本件原子炉敷地基盤の卓越周期を判定するために実施された常時微動測定結果によれば、二秒ないし五秒にピークがあり、しかも、これらのピークは場所により、測定時間によりばらついていること、また、これらのピークは通常の地盤の卓越周期とは異なり、更に岩盤の卓越周期は通常の地盤の卓越周期よりも短周期にあると考えられるので、右の観測結果は本件原子炉敷地゛地盤の卓越周期を現わすものとはみられないこと、したがつて、これらの長周期のピークは本件原子炉敷地地盤の振動特性を現わしているものではなく、脈動と考えられるものであること、すなわち、本件原子炉敷地の基盤は、地震動に対し、ある特定の周期の波を大きくする性質はみられないこと、本件原子炉の主要な施設の固有周期の範囲は同型先行炉の実績からみれば、〇・一秒から〇・三秒であると考えられるので、右巨大地震による敷地基盤の地震動と本件原子炉主要施設とが共振することはないこと、なお、排気筒の固有周期が〇・九秒ある原子炉もあるが、右排気筒は沸騰水型原子炉用のものであること、本件原子炉の如き加圧水型の発電所に関しては、沸騰水型原子炉のような排気筒は存在しないこと、したがつて、前記巨大地震が本件原子炉に影響を及ぼすものとは考えられないこと、<地名略>法通寺の客殿や庫裡の被害は嘉永七年一一月五日(一八五四年一二月二四日)の南海沖地震によるものとはみられず、安政元年一一月七日(一八五四年一二月二六日)の伊予西部地震によるものである蓋然性が強いこと、嘉永七年の南海沖地震等が、安全審査の資料より欠落していることは、右のとおり、本件敷地に右地震による被害が及ばなかつたとの判断によるものとみられること、なお、土佐沖の巨大地震を耐震設計において考慮した本四連絡橋と本件原子炉の 全審査の資料より欠落していることは、右のとおり、本件敷地に右地震による被害が及ばなかつたとの判断によるものとみられること、なお、土佐沖の巨大地震を耐震設計において考慮した本四連絡橋と本件原子炉の設計応答曲線を比較すると、本件原子炉の主要施設の応答加速度の方が、主要周期の範囲で三倍以上の大きな比率をもつていること、この比率は、各周期における応答速度、応答変異についても不変であるので、これらすべてについて本件原子炉の設計地震動の方が本四連絡橋を上回つていること、(5)敷地前面海域の伊予灘にその存在が推認される中央構造線による断層活動に起因して、万一、地震が起こつたと仮定しても、右断層の連続性から判断すれば、その地震の規模は、この地域に発生した過去の地震と同程度(マグニチユード七程度)のものであろうと考えられること、(6)本件原子炉は、地震における安全性を考慮して、地盤の破壊や不等沈下を避けるとともに、地震動がより明確な形で施設に伝わるように、その施設全体を堅硬な岩盤に直接設置すること、また、その施設や施設中の機器、配管等の歪み等をできる限り押えるために、その主要施設は剛構造となつていること、(7)本件原子炉については、その施設を安全上の重要度に応じ、A、B及びCのクラスに分類し、各クラスに応じた耐震設計が採用されていること、すなわち、Aクラスに分類された施設については建築基準法に定められている水平震度を三倍にした上、鉛直震度をも同時に考慮して静的解析を行い、更に、敷地で起こるものと考えるべき最大の地震動を基に設定した設計地震動を用いた動的解析を行い、右静的解析及び動的解析からそれぞれ求められたいずれの地震力に対しても、余裕のある耐震設計が講じられてあること、本件原子炉施設のうち、Bクラスに分類された施設については、建築基準法に定める水平 類された施設については建築基準法に定められている水平震度を三倍にした上、鉛直震度をも同時に考慮して静的解析を行い、更に、敷地で起こるものと考えるべき最大の地震動を基に設定した設計地震動を用いた動的解析を行い、右静的解析及び動的解析からそれぞれ求められたいずれの地震力に対しても、余裕のある耐震設計が講じられてあること、本件原子炉施設のうち、Bクラスに分類された施設については、建築基準法に定める水平 い、右静的解析及び動的解析からそれぞれ求められたいずれの地震力に対しても、余裕のある耐震設計が講じられてあること、本件原子炉施設のうち、Bクラスに分類された施設については、建築基準法に定める水平震度の一・五倍の水平震度に対して、余裕のある耐震設計が講じられていること、右Bクラスの施設のうち、支持構造物の振動と共振するおそれのある機器、配管類については、動的解析から求められた地震力も考慮していること、本件原子炉施設のうち、Cクラスに分類された施設については、建築基準法によつて定められている水平震度を用いた静的解析から求められた地震力に対して、余裕のある耐震設計が講じられていること、なお、更に、右重要度に応じて分類された施設相互の間では、下位の分類に属する施設の破損によつて、上位の分類に属する施設に波及的事故が起こらないことが確かめられていること、(8)本件原子炉の敷地周辺において考慮すべき地震は、前記のタイプA及びタイプBの地震であるが、設計地震波の最大加速度については、タイプAの地震に関しては二〇〇ガル、タイプBの地震に関しては八〇ガルとそれぞれ余裕をもつて設定したこと、すなわち、タイプAの地震に関しては、前記のとおり過去の地震で、本件原子炉の敷地基盤に対し最も大きな地震動を及ぼしたものの最大加速度は、大きく算出しても、一六五ガルであるが、設計地震動の設定に際して用いる最大加速度の決定に当たつては、右の一六五ガルに対して余裕をもたせて、これを二〇〇ガルと決定したこと、なお、右の最大加速度二〇〇ガルというのは、将来、本件原子炉敷地周辺で起こるやもしれないと考えられるタイプAの地震の最大規模を、マグニチユード七、震源の深さを三〇キロメートルと仮定し、これに発生機構等を考慮して、震央距離を零メートルとした場合における敷地基盤の最大加速度一 やもしれないと考えられるタイプAの地震の最大規模を、マグニチユード七、震源の深さを三〇キロメートルと仮定し、これに発生機構等を考慮して、震央距離を零メートルとした場合における敷地基盤の最大加速度一八六ガルを上回ること、タイプBの地震に関しては、前記のとおり、過去の地震で敷地基盤に対し最も大きな地震動を及ぼしたものの最大加速度は、四五ガルであるが、将来、本件原子炉敷地周辺で起こり得るものと考えるべきタイプBの地震による設計地震波の最大加速度としては、右の四五ガルに対して余裕をもたせて、これを八〇ガルと定めること、(9)「設計加速度の決め方」と題する本件審査の参考資料である書面掲記のグラフ(第二図)には昭和一四年(一九三九年)三月二〇日及び昭和一六年(一九四一年)一一月一九日に、日向灘方面で発生したいずれもマグニチユード六・六を超える地震が欠落しているが、右は敷地周辺で発生する地震の中でも比較的規模が大きく、深さ等についても現在の精度で求められる唯一のデータである昭和四三年八月六日の宇和島沖地震のマグニチユードと震源の深さとの関係を示したものであり、日向灘における地震は参考としてあげられていたに過ぎないものであることがうかがわれること、また、右の資料から欠落している地震は、南海沖地震を除いて本件設置許可申請書添付の書類中に記載されていること、南海沖地震は前記のとおり本件敷地に対する影響がほとんどないことから資料よりはずしたものと推認され、その他本件敷地に影響を及ぼした地震が資料から欠落しているとはみられないこと、(10)河角マツプ及び河角マツプの最大地震動加速度の確率分布を修正した後藤マツプにおける最大地震動の加速度は、本件敷地付近では二〇〇ガルと表示されていること、これを卓越周期〇・三秒で計算しなおすと三九〇ガルになるが、河角、後藤マ 沖地震は前記のとおり本件敷地に対する影響がほとんどないことから資料よりはずしたものと推認され、その他本件敷地に影響を及ぼした地震が資料から欠落しているとはみられないこと、(10)河角マツプ及び河角マツプの最大地震動加速度の確率分布を修正した後藤マツプにおける最大地震動の加速度は、本件敷地付近では二〇〇ガルと表示されていること、これを卓越周期〇・三秒で計算しなおすと三九〇ガルになるが、河角、後藤マ 最大地震動加速度の確率分布を修正した後藤マツプにおける最大地震動の加速度は、本件敷地付近では二〇〇ガルと表示されていること、これを卓越周期〇・三秒で計算しなおすと三九〇ガルになるが、河角、後藤マツプは、標準的な地盤の最大加速度であつて、右の最大加速度がそのまま本件敷地の岩盤にも適用できるとは考え難いこと、また、右三九〇ガルを出した計算式も、本件敷地に適用できるものとは考え灘いこと、(11)本件原子炉における耐震設計において、地震の規模を理科年表に記載されている括孤内のマグニチユードが〇・五小さいものを使用した(右については当事者間に争いがない)のは、次の如き事情によるものであること、すなわち、右括弧内に示された数値が、耐震設計を含む理学、工学分野では妥当と考えられていること、これは器械観測が行われていなかつた大正一四年(一九二五年)より以前の時期の地震のマグニチユードは、被害記録や震度階報告に基づいて、震央距離一〇〇キロメートルの地点における平均震度の値を示した河角のマグニチユードを、河角の換算式を用いて、現在の器械観測で定められている気象庁のマグニチユードに換算して求めた値であるため、器械観測によつて求められた気象庁のマグニチユードよりは〇・五程度大きくなつていることによるものであること、なお、関東大地震のマグニチユード七・八という値は、現在の気象庁の方法と同様の方法によつて求めたマグニチユードである七・九が、再度検討された結果七・八になつたものであること、したがつで、この場合に両者の差がほとんどないことをもつて河角によるマグニチユードと気象庁のそれとの差が〇・五はないといえないこと、理科年表は、五〇有余年にわたる長い歴史を有し、理学分野における基礎データを収録したもので、その記載事項については、学界において一般的に認められた後に 気象庁のそれとの差が〇・五はないといえないこと、理科年表は、五〇有余年にわたる長い歴史を有し、理学分野における基礎データを収録したもので、その記載事項については、学界において一般的に認められた後に記載されるものであること、過去の被害地震のマグニチユードについても、器械観測の精度の向上とデータの蓄積に伴つて河角によるマグニチユードが見直され、右マグニチユードは過大評価であると指摘されることがあつたこと、これが昭和四六年に至つて理科年表の記載に反映されたこと、中部電力浜岡一号炉の安全審査では、河角のマグニチユードが使用されたが(右については当事者間に争いがない)、右原子炉の設置許可申請がなされた昭和四五年においては、まだ理科年表の前記改訂がなされておらず、そのため改訂前の理科年表によつて審査せざるを得なかつたもので、右審査に当たつては河角のマグニチユードが用いられたのはやむを得ないものであつたこと、なお、「図説日本の地震」によれば明治三八年(一九〇五年)の芸予地震のマグニチユードは七・六とされているが、右「図説日本の地震」は明治五年(一八七二年)から昭和四七年(一九七二年)にかけての一〇〇年間の地震の資料をとりまとめたものであるところ、その資料と理科年表とを対比し、更に、同表における右芸予地震と関東大地震の各記載欄を比較して見ると、右芸予地震は理科年表の河角のマグニチユードを単純に引用した疑いが強いこと、また、気象庁の勝又護はマグニチユード七付近では河角のマグニチユードと気象庁のマグニチユードとは、ほとんど同じであるとしているが、勝又が河角のマグニチユードと気象庁のマグニチユードとを比較検討したのは、関東地方を中心とする地域に発生した地震のみを対象としたに過ぎないことがうかがわれること、したがつて、勝又の使用した資料のみをもつて日本全国 科年表の河角のマグニチユードを単純に引用した疑いが強いこと、また、気象庁の勝又護はマグニチユード七付近では河角のマグニチユードと気象庁のマグニチユードとは、ほとんど同じであるとしているが、勝又が河角のマグニチユードと気象庁のマグニチユードとを比較検討したのは、関東地方を中心とする地域に発生した地震のみを対象としたに過ぎないことがうかがわれること、したがつて、勝又の使用した資料のみをもつて日本全国 ニチユードと気象庁のマグニチユードとを比較検討したのは、関東地方を中心とする地域に発生した地震のみを対象としたに過ぎないことがうかがわれること、したがつて、勝又の使用した資料のみをもつて日本全国で発生する地震がすべて勝又説のとおりであると即断することはできないこと、また、建設省建築研究所のp10は伊予灘で発生する地震のマグニチユードは七ないし八であるとしているが、p10の右報告は、地域による地震の発生機構を十分吟味し、地域の地震の最大規模を予測したものとは即断できないこと、また、p11らが日本電気協会設計地震策定委員会に提出した試案には、伊予灘ではマグニチユード七・七五の地震が上限であるとしているが、右p11らの試案では本件原子炉の近傍において発生する地震の上限値がどの程度と想定されるかは明らかにされていないこと、(12)本件審査に関与したm、j、iらが加わつた「原子力発電所における設計地震の策定に関する研究」 (甲第一二四号証)の結果(右については当事者間に争いがない)は、本件原子力発電所の耐震設計に際して詳細に検討した震源の深さの推定とは精度が異なるものとみられること、(13)本件原子炉敷地近傍の伊予灘、豊後水道及び宇和海の地域において発生する地震の発生機構は、日向灘付近にもぐり込んだフイリピン海プレートが、伊予灘や宇和海の付近では約五〇キロメートル以深に至り、その付近で地震を起こしているものと考えられること、また、当該地域の震源の深さは、昭和二六年から昭和四四年の平均で約三六キロメートル、同期間におけるマグニチユード五・〇以上の地震について、その震源の深さを見ると、最も浅いもので四〇キロメートル、当該地域で発生した地震のうち、最もマグニチユードの大きい宇和島沖の地震の震源の深さは四〇キロメートルであること、これらの理由から、本 ついて、その震源の深さを見ると、最も浅いもので四〇キロメートル、当該地域で発生した地震のうち、最もマグニチユードの大きい宇和島沖の地震の震源の深さは四〇キロメートルであること、これらの理由から、本件原子炉の耐震設計上考慮すべき震源の深さは三〇キロメートルとしたこと、我が国において、地震の器械観測により信頼できるデータが得られるようになつたのは昭和二六年(一九五一年)以降とされており、また、器械観測が開始された初期のデータのうち、震源の深さに関するデータの精度は疑問とされていたこと、気象庁のp12が大正一五年から昭和四三年の地震の発生機構を再評価した結果では、本件敷地近傍地域における地震は、すべて南北方向の圧縮軸を有する発生機構として表わされており、それらは、いずれもフイリピン海プレートによる上部マントル地震であることを示すものと考えられるから、昭和二五年以前の地震についても、それらの地震が地殻内のような浅いところで発生したとは考えにくいこと、(14)金井式はもともと基盤における地震動の最高速度振幅と震源距離との関係を表わした経験式であつて、内外の強震記録によつてその妥当性は十分確かめられていること、したがつて、地殻内の浅い地震か、遠い地震とかであればともかく、本件原子炉の耐震設計に際して考慮しているような上部マントルで起こる地震に対しては、震央距離を使用すべき意味はないこと、また、耐震設計における最大加速度は、個個の発電所設置場所の地盤、地震活動性等の立地条件及び耐震設計法を総合的に考慮して決めるものであること、本件原子炉における耐震設計で設計加速度を決めるに当たつては、前記のとおりシードのグラフが使用されたが、もともと震源断層距離と加速度との関係を表わしたシードのグラフの震源断層距離を、震央距離と続み替えることは本件敷地近傍の伊予 央距離を使用すべき意味はないこと、また、耐震設計における最大加速度は、個個の発電所設置場所の地盤、地震活動性等の立地条件及び耐震設計法を総合的に考慮して決めるものであること、本件原子炉における耐震設計で設計加速度を決めるに当たつては、前記のとおりシードのグラフが使用されたが、もともと震源断層距離と加速度との関係を表わしたシードのグラフの震源断層距離を、震央距離と続み替えることは本件敷地近傍の伊予 計加速度を決めるに当たつては、前記のとおりシードのグラフが使用されたが、もともと震源断層距離と加速度との関係を表わしたシードのグラフの震源断層距離を、震央距離と続み替えることは本件敷地近傍の伊予灘、豊後水道及び宇和海の地震のように上部マントルで起こる深い地震の場合には適当でなく、むしろ震源距離を用いる方が妥当であり、過大に最も大きな地震動を敷地基盤に及ぼしたと考えられる寛延二年に発生した伊予宇和島沖地震は、敷地近傍の上部マントルで起こつた深い地震であると考えられるので、この地震の場合にはシードの図の適用に当たつては震源距離を用いる方が妥当であること、前記金井式に対して、AmaX=5/●TG×10 0.61M-(1.66+3.60/X)logX+(0.167-1.83/X)の金井式もあるが、この式を使用するのは軟弱地盤の場合であること、しかしながら、前記のとおり本件敷地の地盤は軟弱地盤とはいえないから、本件耐震設計に当たつて右の式を使用せず前記の金井式を使用したのは治理性があること、(15)本件原子炉における主要施設の耐震設計に際して用いた設計応答曲線の作成に当たつては、前記のタイプA、タイプBの地震の特性をもち、かつ余裕のある最大加速度をもつ数種の設計地震波を受けた場合の応答を求め、それらを包絡するような設計応答曲線を作成していること、もつとも、右応答曲線は地震波の一部を包絡していない(右については当事者間に争いがない)が、応答曲線という耐震設計の手法を使用するという観点からみて、設計応答曲線が設計地震波の加速度応答曲線を完全に包絡する必要はなく、局所的な尖鋭なピークについては、エネルギー的にも施設に与える影響という観点から問題とならないものであること、なお、右設計応答曲線を適用する施設については、右ピークの位置する固有周期 る必要はなく、局所的な尖鋭なピークについては、エネルギー的にも施設に与える影響という観点から問題とならないものであること、なお、右設計応答曲線を適用する施設については、右ピークの位置する固有周期を有するものはないこと、(16)なお、配管類の加速度応答倍率は一六六倍になるとの記述がある報告もあるが、右報告書の記載は誤植の疑いもあり、したがつて、右報告書により本件原子力発電所の応答曲線が不当であるとは即断できないこと、(17)本件原子炉については、その主要施設に常時加わつている力に前記地震力が加えられた場合にも、右施設の応力や歪みが、その弾性の範囲内にとどまるように配慮することにより、外力に多少の変動があつても施設に損傷が生ずることのないよう、また、地震力を受けた後には元の状態に復することができるよう設計されていること、本件原子炉の各施設については、施設に常時作用している自重及び原子炉の過渡状態も含め、運転時に加わる内圧等のほか、施設の重要度に応じてそれぞれ求められた地震力を加えた場合にも、それによつて生ずる応力又は変形がそれぞれの施設について定められた許容の範囲内に収まることを確認することにより、施設の耐震安全性が確保されることになつていること、安全上特に重要な原子炉格納容器及び原子炉非常停止装置については、施設に常時作用している自重及び原子炉の過渡状態も含め、運転中の圧力等のほか、前記の動的解析によつて求められた地震力の値の一・五倍(三〇〇ガル)に相当する地震力が加わつたとしても、右施設に課せられている機能が十分保持されるものであることを確認することによつて、設計余裕が確保されることとなつていることがいずれも認められる。 なつていること、安全上特に重要な原子炉格納容器及び原子炉非常停止装置については、施設に常時作用している自重及び原子炉の過渡状態も含め、運転中の圧力等のほか、前記の動的解析によつて求められた地震力の値の一・五倍(三〇〇ガル)に相当する地震力が加わつたとしても、右施設に課せられている機能が十分保持されるものであることを確認することによつて、設計余裕が確保されることとなつていることがいずれも認められる。原告らは、被告は二つ続いて起こる地震の影響、その他それぞれの地震の特性からくる影響を考慮していない旨主張するとこ 認することによつて、設計余裕が確保されることとなつていることがいずれも認められる。原告らは、被告は二つ続いて起こる地震の影響、その他それぞれの地震の特性からくる影響を考慮していない旨主張するところ、前顕甲第一三四号証の一、二、第二一三号証、第二六六号証によれば、前記のとおり嘉永七年一一月五日、安政元年一一月七日と続いて地震が発生した例が認められるが、しかし、右の続いて発生した地震が、本件敷地に影響を及ぼしたことを認めるべき証拠はないし、また、本件原子炉の耐震設計が一つの地震には耐えられるが、続いて発生した地震には耐えられないとする証拠はない。また、地震の特性からくる影響というものは、結局本件敷地に及ぼす地震動に帰すると考えられるところ、本件耐震設計については、この点の配慮がなされていることは前示のとおりである。したがつて、原告らの右主張は理由がない。なお、原告らは、一六八五年一二月二九日及び一九一六年(大正五年)八月六日に松山市周辺で発生した地震が、本件安全審査資料から欠落している旨主張するけれども、右各地震が本件敷地に影響を及ぼしたものと認めるべき資料はない。したがつて、右資料の欠落があつても何ら本件安全審査を違法、不当ならしめるものではない。更に、原告らは、本件原子炉の敷地よりも地盤がよく、かつ、地震の少ないアメリカのサンオノフレ原子力発電所の設計加速度の六六〇ガルと比べても、本件原子炉の設計加速度は低すぎる旨主張し、前顕甲第一三四号証の一、二、第二六六号証は右主張に添うものであるが、右各証拠によるもサンオノフレ発電所の地盤が具体的にいかなるものかを示す資料は見出せない。したがつて、右原告らの主張に添う証拠は直ちに採用できない。また、原告らは、アメリカの耐震設計に関する基準では、鉛直震度と水平震度とが同じ比率になつている旨 子力発電所の設計加速度の六六〇ガルと比べても、本件原子炉の設計加速度は低すぎる旨主張し、前顕甲第一三四号証の一、二、第二六六号証は右主張に添うものであるが、右各証拠によるもサンオノフレ発電所の地盤が具体的にいかなるものかを示す資料は見出せない。したがつて、右原告らの主張に添う証拠は直ちに採用できない。また、原告らは、アメリカの耐震設計に関する基準では、鉛直震度と水平震度とが同じ比率になつている旨 にいかなるものかを示す資料は見出せない。したがつて、右原告らの主張に添う証拠は直ちに採用できない。また、原告らは、アメリカの耐震設計に関する基準では、鉛直震度と水平震度とが同じ比率になつている旨主張するが、右主張事実を認めるに足る証拠はない。その他前示認定を左右するに足る証拠はない。(三) 前記争いのない事実及び認定事実に照らすと、本件安全審査において本件原子炉の耐震設計は有効で安全であると判断したことは相当と認められる。四社会的立地条件について 1 発電所用淡水の取水について本件原子炉用淡水を当初<地名略>喜木川等から取水するとしての設置許可申請がなされ、本件安全審査において、この申請を相当と判断したこと、その後右申請は変更され、<地名略>からの取水は取り止めになり、海水の淡水化によつて発電所用淡水を賄うこととし、その点について安全審査がなされ、これが相当とされたことについては、いずれも当事者間に争いがない。したがつて、仮に、当初の<地名略>からの取水を相当とした安全審査に瑕疵があつたとしても、左瑕疵は右取水の方法の変更によつて治癒したものとみられる。2 社会的条件の不備について原告らは、<地名略>及びその周辺町村の人口密度、農漁業等の産業の保護、住民意識等から考えて、本件敷地に原子炉を建設することは許されない旨主張する。しかしながら、右主張のうち、原告らの生命、身体、財産等が本件原子炉の設置によつて損傷されるとの主張に当たる部分(以上は第三ないし第五記載のとおり)を除いたその余は、原告らの具体的利益に直接関係しないことであり、右原告らの具体的利益に直接関係しない点について、原告らは本訴でこれが違法を主張すべき利益を有しない。3 本件原子力発電所が瀬戸内海沿岸に設置される点について原告らは、瀬戸内海は、産業、交通その他我が らの具体的利益に直接関係しない点について、原告らは本訴でこれが違法を主張すべき利益を有しない。 る部分(以上は第三ないし第五記載のとおり)を除いたその余は、原告らの具体的利益に直接関係しないことであり、右原告らの具体的利益に直接関係しない点について、原告らは本訴でこれが違法を主張すべき利益を有しない。3 本件原子力発電所が瀬戸内海沿岸に設置される点について原告らは、瀬戸内海は、産業、交通その他我が らの具体的利益に直接関係しない点について、原告らは本訴でこれが違法を主張すべき利益を有しない。3 本件原子力発電所が瀬戸内海沿岸に設置される点について原告らは、瀬戸内海は、産業、交通その他我が国の文化、経済のうえから見て、極めて重要な海であり、この沿岸に原子炉を設置した場合、いつたん事故が発生すると、瀬戸内海は放射能で汚染され、その沿岸住民の生命、身体等を損傷するばかりでなく、我が国の産業、交通、文化、経済に対して取り返しのつかない被害を与えるものであるから、瀬戸内海に面した本件敷地に本件原子炉を設置することは許されない旨主張する。しかし、右主張のうち、原子炉事故の場合、沿岸海域の放射能汚染を介して、原告らの生命、身体、財産等を損傷するとの主張に当たる部分(以上は第三ないし第五記載のとおり)を除いたその余は原告らの具体的利益に直接関係しないものであり、右原告らの具体的利益に直接関係しない部分につき、本訴において原告らはその違法を主張すべき利益を有しない。五四国電力の技術的能力について原子炉設置者の技術的能力は、原子炉の安全性に密接に関係し、ひいては、原告ら周辺住民の安全に関わる問題である。しかしながら、規制法二四条一項三号はこの点について極めて抽象的にしか規定していないから、同条文の合理的な解釈によつてその基準を定め、その基準適合性を判断しなければならない。そうだとすると、原子炉の建設要員はその担当建設工事開始までに、運転要員はその運転開始までに、いずれも揃つている必要があり、その技術的能力の程度は、少なくとも現在稼動している我が国の原子炉における技術者の能力に匹敵することを要し、その能力の存否は、その技術の質や経験を併せ考慮して判断する必要があり、更に、原子炉が多数の技術者によつて建設、運転されるものである以上、組織上の 国の原子炉における技術者の能力に匹敵することを要し、その能力の存否は、その技術の質や経験を併せ考慮して判断する必要があり、更に、原子炉が多数の技術者によつて建設、運転されるものである以上、組織上の面も重視しなげればならないと解される。 匹敵することを要し、その能力の存否は、その技術の質や経験を併せ考慮して判断する必要があり、更に、原子炉が多数の技術者によつて建設、運転されるものである以上、組織上の 国の原子炉における技術者の能力に匹敵することを要し、その能力の存否は、その技術の質や経験を併せ考慮して判断する必要があり、更に、原子炉が多数の技術者によつて建設、運転されるものである以上、組織上の面も重視しなげればならないと解される。ところで、本件安全審査において、四国電力に技術的能力があると判断したことについては当事者間に争いがなく、前記規制法二四条一項三号の趣旨及び前顕乙第一号証の二及び証人yの証言により認められるところの、四国電力が本件原子炉の設置、運営に充てるべく予定している技術者の人数、社内での地位、学歴、法定の有資格者数及び原子炉運転等の経験を踏むための技術者の養成計画等からみて、本件安全審査における前記判断は相当と認められる。なお、前記認定を左右するに足る証拠はない。なお、原告らは、四国電力から提出された「一次冷却材喪失事故時の燃料被覆材の健全性について」と題する資料の記載内容、本件原子炉の設置許可申請に当たり、中央構造線を重視しなかつたこと、昭和五一年一〇月二三日の燃料装荷ミス等は、いずれも四国電力に技術的能力がないことを示すものである旨主張する。しかしながら、右の申請書、参考資料の記載内容に原告ら主張の如き点があるからといつて、これをもつて直ちに四国電力に技術的能力があるとの判断を左右する程のものとはみられない。また、燃料装荷時のミスについては、弁論の全趣旨によれば右の一事を除いて他に大きなミスの存在はないものと認められるので、右ミスをとらえて、直ちに四国電力に技術的能力があるとの判断を左右するに足りない。第五事故対策一工学的安全防護設備について 1 事故対策と工学的安全防護設備の健全性について(一) 本件安全審査において、本件原子炉には、一次冷却材喪失事故等を想定した場合に、燃料被覆管の大破損や放射性物質 一工学的安全防護設備について 1 事故対策と工学的安全防護設備の健全性について(一) 本件安全審査において、本件原子炉には、一次冷却材喪失事故等を想定した場合に、燃料被覆管の大破損や放射性物質の拡散を防止し、若しくは抑制するために、非常用炉心冷却系(ECCS)、原子炉格納容器、アニユラス空気再循環設備、格納容器スプレイの四つの工学的安全防護施設が設置されていること、ECCSは事故時にほう酸水を原子炉容器等に注入することによつて燃料温度の上昇を防止し、燃料の損傷、溶融等を防止すること、原子炉格納容器は事故時に放射性物質が外部に漏洩しないように設計されていること、アニユラス空気再循環設備は格納容器内に放射性物質が放出されたとき、アニユラス部の空気をフイルターでろ過すること、格納容器スプレイは事故時に原子炉格納容器の内圧を減少させ、かつ、浮遊する核分裂生成物(特にヨー素)の除去を行うようになつていること、なお、格納容器以外は重複性を有すること、また、これら工学的安全設備は運転中あるいは停止中に点検又は試験ができるようになつていること、これらの各設備の設計は相当であり、したがつて、一次冷却材喪失事故等が発生しても周辺公衆の安全は確保されると判断したことについてはいずれも当事者間に争いがない。 時に原子炉格納容器の内圧を減少させ、かつ、浮遊する核分裂生成物(特にヨー素)の除去を行うようになつていること、なお、格納容器以外は重複性を有すること、また、これら工学的安全設備は運転中あるいは停止中に点検又は試験ができるようになつていること、これらの各設備の設計は相当であり、したがつて、一次冷却材喪失事故等が発生しても周辺公衆の安全は確保されると判断したことについてはいずれも当事者間に争いがない。(二) 本件原子炉には、ECCS、原子炉格納容器、アニユラス空気再循環設備、格納容器スプレイの四つの工学的安全防護施設があること、一次冷却系の配管の破断等の一次冷却材圧力バウンダリの破損によつて一次冷却材が多量に流出する事態が生じた場合には、炉心における冷却機能が低下し、燃料被覆管が破損することになるため、一次冷却水中に含まれている放射性物質のみならず、燃料棒の中に閉じ込められている放射性物質が、格納容器内に放出されるいわゆる一次冷却材喪失事故となる 能が低下し、燃料被覆管が破損することになるため、一次冷却水中に含まれている放射性物質のみならず、燃料棒の中に閉じ込められている放射性物質が、格納容器内に放出されるいわゆる一次冷却材喪失事故となることについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕乙第一号証の一、二、第四号証、第三〇号証、第三二号証、証人xの証言により真正に成立したものと認める同第一八号証並びに証人x、同nの各証言及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)本件原子炉は、前記第四の一ないし三掲記のとおり、事故を発生、拡大させないように防護策が講じられているが、更に、万一の事故の場合にも、原子炉の安全性についての多重防護の考え方に基づき、特定の事故を想定し、そのような事故の場合にも周辺公衆が放射線障害を受けることがないよう、安全確保のために前記の工学的安全防護施設を装備しており、かつ、これらの装備は格納容器を除いて重複性を備えているため、現実に周辺住民に放射線障害を与えるおそれは考えられないこと、(2)本件原子炉のような加圧水型原子炉においては、一次冷却系配管が破断した場合、放射性物質を含んだ一次冷却水が格納容器内へ流出し、前記争いのない事実のような事態に至り、かつ、炉心にも大きな影響を及ぼす可能性があり、最悪の場合には炉心溶融という事態が発生する可能性も考えられるが、後記とおり、ECCS、原子炉格納容器、アニユラス空気再循環設備、格納容器スプレイの機能によつて、炉心溶融を未然に防止するとともに、放射性物質の外部への放出を抑制又は防止することとなつているので、右のような事故が仮に発生したとしても(右のような事故の発生する可能性はほとんど考えられないが)、周辺住民に放射線障害を与える可能性はほとんど考えられないこと、すなわち、(3)本件原子炉においては、右一次冷却材圧力バウンダリの健 原子炉格納容器、アニユラス空気再循環設備、格納容器スプレイの機能によつて、炉心溶融を未然に防止するとともに、放射性物質の外部への放出を抑制又は防止することとなつているので、右のような事故が仮に発生したとしても(右のような事故の発生する可能性はほとんど考えられないが)、周辺住民に放射線障害を与える可能性はほとんど考えられないこと、すなわち、(3)本件原子炉においては、右一次冷却材圧力バウンダリの健 ても(右のような事故の発生する可能性はほとんど考えられないが)、周辺住民に放射線障害を与える可能性はほとんど考えられないこと、すなわち、(3)本件原子炉においては、右一次冷却材圧力バウンダリの健全性を確保するため、一次冷却材圧力バウンダリを構成する機器及び配管は、いずれも耐食性及び機械的強度を有する材料を使用し、余裕のある強度設計を行うとともに、運転開始後もその健全性を確認できる構造及び配置等になるような対策が講じられており、(4)万一、右一次冷却材圧力バウンダリから一次冷却水が漏洩しても、右漏洩は、格納容器内の放射性物質濃度、ドレン発生量及び体積制御系の充てんポンプ流量をそれぞれ常時監視している各監視装置によつて、少量の漏洩の段階で検知され、右充てんポンプ流量が自動的に増加して、一次冷却材圧力バウンダリ内の冷却水量の減少を防止するとともに、原子炉の停止等所要の対策が講じられることになつていること、(6)本件原子炉の格納施設内には前記格納容器、格納容器スプレイ及びアニユラス空気再循環設備が設置されており、更に、格納容器外周には鉄筋コンクリート製の外周コンクリート壁が設置されていること、これらの設備によつて、本件原子炉は、平常運転時はもとより、事故時においても、放射性物質を格納施設内に閉じ込め、外部への放出を抑制又は防止するとともに、格納施設内に閉じ込められた放射性物質から出る放射線を遮断し、これが施設外に出るのを極力防止できる構造となつていること、(6)格納容器の構造は前記(第三の二の2の(二))のとおりであり、事故時の圧力や温度に対しても耐え得るような強度上の条件を備えていること、(7)格納容器スプレイ設備は事故時において、燃料取替用水タンクに貯えられている水にヨー素除去剤を混入し、格納容器上部から雨状に散布することによつて、格 耐え得るような強度上の条件を備えていること、(7)格納容器スプレイ設備は事故時において、燃料取替用水タンクに貯えられている水にヨー素除去剤を混入し、格納容器上部から雨状に散布することによつて、格納容器内の温度や圧力を下げて、格納容器の健全性を保持するとともに、格納容器内に拡散した放射性物質、特に無機ヨー素を洗い落とすことによつて、格納容器から外部への漏洩を抑制する機能を有するものであること、本件原子炉において使用される格納容器スプレイ設備は、一系統の作動によつても冷却に必要な水を散布できるものが二系統設置されていること、また、格納容器スプレイポンプは試験用配管を用いて作動試験を行うことにより、その健全性を確認できる構造となつていること、(8)一次冷却材圧力バウンダリの破損等によつて、格納容器内に放出された放射性物質は、格納容器内に保持されるが、格納容器の電線ケーブルや配管の貫通部から、わずかづつではあるが漏洩する可能性があるので、右配管等の貫通部のある格納容器円筒部とこれを取り巻くコンクリート壁との間を閉空間(アニユラス部)とし、放射性物質が直接外部へ漏洩するのを防止するようになつていること、アニユラス空気再循環設備は、再循環フアンによつてアニユラス部の空気を再循環させ、この再循環過程に設けた放射性物質を捕捉する機能を有する非常用フイルターによつて、放射性物質を捕捉するとともに、アニユラス部の圧力を大気圧より低く保つことにより、アニユラス部に漏洩した放射性物質が右の非常用フイルターを経ずに外部に漏洩することを防止する機能を有していること、本件原子炉において使用されるアニユラス空気再循環設備は、一系統の作動によつても、機能を発揮できるものが二系統設置されているとともに、右設備を構成する配管やフイルター等は目視検査や性能検査等によつてそ よつて、放射性物質を捕捉するとともに、アニユラス部の圧力を大気圧より低く保つことにより、アニユラス部に漏洩した放射性物質が右の非常用フイルターを経ずに外部に漏洩することを防止する機能を有していること、本件原子炉において使用されるアニユラス空気再循環設備は、一系統の作動によつても、機能を発揮できるものが二系統設置されているとともに、右設備を構成する配管やフイルター等は目視検査や性能検査等によつてそ 原子炉において使用されるアニユラス空気再循環設備は、一系統の作動によつても、機能を発揮できるものが二系統設置されているとともに、右設備を構成する配管やフイルター等は目視検査や性能検査等によつてその健全性が確認できる構造になつていることがいずれも認められる。原告らは、被告は本件原子炉については念には念を入れるという考えの下に、仮に、外部に異常な放射性物質の放出をもたらすおそれがある事態が発生したとしても、原子炉周辺公衆の安全を確保できるようにするため十分な安全防護設備が設けられているというが、右の安全防護施設には信頼性がない旨、すなわち、格納容器スプレイとアニユラス空気再循環系とは、格納容器内に放射性物質が閉じ込められているということを前提として、換言すれば、格納容器の健全性が保たれている限りで、はじめてその有効性が発揮されるところ、格納容器力健全性は、炉心が溶融しないことを前提にして保障されているものであり、したがつて、炉心が溶融すれば、格納容器の放射性物質を閉じ込めるという機能が破壊され、ひいては、格納容器スプレイもアニユラス空気再循環系もその機能を発揮し得ない。そして、炉心が溶融しないためには、事故時において緊急炉心冷却装置(ECCS)が作動し、かつ、その期待された性能が発揮されることが必要である。しかるに、本件原子炉に設けられているECCSは、一次冷却材喪失事故時に炉心の溶融を防ぐという機能に関しては極めて信頼性の低いものであると主張する。しかしながら、本件安全審査においてECCSが有効であると判断されたこと及び右判断は相当とみられることは後記のとおりである。したがつて、右は前記認定を左右するものではなく、他に右認定を左右するに足る証拠はない。(三) 前示争いのない事実及び認定事実に照らせば、本件安全審査において、本件原子 ることは後記のとおりである。したがつて、右は前記認定を左右するものではなく、他に右認定を左右するに足る証拠はない。 しながら、本件安全審査においてECCSが有効であると判断されたこと及び右判断は相当とみられることは後記のとおりである。したがつて、右は前記認定を左右するものではなく、他に右認定を左右するに足る証拠はない。(三) 前示争いのない事実及び認定事実に照らせば、本件安全審査において、本件原子 ることは後記のとおりである。したがつて、右は前記認定を左右するものではなく、他に右認定を左右するに足る証拠はない。(三) 前示争いのない事実及び認定事実に照らせば、本件安全審査において、本件原子炉における工学的安全防護施設(ただし、ECCSについては後記のとおり)によつて安全性確保ができると判断したことは相当と認められる。2 ECCSについて(一) 本件ECCSの審査に当たつては暫定指針(いわゆる三項目指針)が使用されたこと、更に、右指針を具体化するものとして請求の原因第四章の第五の三の2掲記の三条件が守られているかどうかを審査する方法がとられたことについては当事者間に争いがない。ところで、原告らは右暫定指針は判断基準として非常にあいまいであり、不十分なものであるため、右指針に適合したからといつて、ECCSは何ら炉心溶融を防ぐ保証にはならない旨、その他請求の原因第四章の第五の三の3掲記のとおり主張し、更に、右三項目指針を具体化する基準はo委員が恣意的に作成したものである旨主張する。しかし、前顕乙第一号証の二、成立に争いのない同第一〇一号証、証人oの証言及び弁論の全趣旨を総合すれば、(1)ECCSの役割は、一次冷却材喪失事故時において、燃料の適切な冷却を維持することにより、燃料被覆管の大破損を防止することにあること、すなわち、万一、燃料被覆管が酸化による脆化のため大きく損なわれるようになると、炉心の冷却可能な形状が維持できず、ひいては、炉心が溶融する可能性も出てくるため、ECCSの働きによつて、燃料被覆管が多少損なわれることはあつても、大きく損なわれることのないように配慮しているものであること、右指針(1)はかかる趣旨の下に定められたものであること、(2)いわゆる三項目指針の(2)はLOCA時に被覆材の脆化部分の割合を小さく制限す きく損なわれることのないように配慮しているものであること、右指針(1)はかかる趣旨の下に定められたものであること、(2)いわゆる三項目指針の(2)はLOCA時に被覆材の脆化部分の割合を小さく制限すること、すなわち、最高温度を制限することとによつて、燃料被覆管の酸化による脆化を抑制し、右被覆管がそれに加わる加重に対して十分耐えることを保証しようとしているものであること、したがつて、右指針(2)が温度のことを規定しているからといつて、指針そのものが温度の点のみに着目して炉心の冷却可能形状が維持できることを保証しようとしているものではないこと、(3)水素が空気中に含まれる酸素と反応するためには、水素の濃度が四パーセント以上存することが必要であるが(右については当事者間に争いがない)、本件原子炉の場合には、その格納容器の体積が極めて大きく、その自由空間は約四万立方メートルもあるため、例え、ジルコニウム・水反応が、全被覆材の一パーセントに生じたとしても右格納容器内の水素濃度は空気中の酸素と反応する濃度にならないし、また、一次冷却材喪失事故時には、破断口から吹き出す高温の蒸気が格納容器内で急激に上昇するとみられること及びそれが格納容器頂部に設けられたスプレイ設備から散布される冷却水によつて、かくはんされるため、水素が格納容器上部にたまる事態は起こり得ないことがいずれも認められ、右認定を左右するに足る確たる証拠はない。 の一パーセントに生じたとしても右格納容器内の水素濃度は空気中の酸素と反応する濃度にならないし、また、一次冷却材喪失事故時には、破断口から吹き出す高温の蒸気が格納容器内で急激に上昇するとみられること及びそれが格納容器頂部に設けられたスプレイ設備から散布される冷却水によつて、かくはんされるため、水素が格納容器上部にたまる事態は起こり得ないことがいずれも認められ、右認定を左右するに足る確たる証拠はない。また、三項目指針を具体化する基準をo委員が恣意的に作成したとの主張事実については、これを認めるに足る証拠はない。したがつて、前記原告らの主張は理由がない。(二) 本件原子炉のECCSの構造が被告の主張第四章の第五の一の4の(二)の(2)のア掲記のとおりであること、ECCSの有効性のテストは実物はもちろん小型化したものでも世界のどこ 張は理由がない。(二) 本件原子炉のECCSの構造が被告の主張第四章の第五の一の4の(二)の(2)のア掲記のとおりであること、ECCSの有効性のテストは実物はもちろん小型化したものでも世界のどこでも確かめられないこと、本件安全審査においては、部分的な実験データを取り込んだ計算によつてECCSの有効性を判断するという方法がとられていること、未知の要素を計算によつて解明することはできないことについてはいずれも当事者間に争いがなく、前顕甲第六一号証、乙第一号証の一、二、第一八号証、第三〇号証、第三二号証、第四九号証、第一〇一号証、第一三九号証、いずれも成立に争いのない甲第八〇号証、第一三六号証、第一三八号証、第二七八号証、乙第三一号証、第三九号証、第四六号証、第四八号証、第五〇号証、原本の存在並びに成立に争いのない同第三八号証、弁論の全趣旨により原本の存在並びにその成立の真正が認められる同第五一号証、並びに証人x、同n、同oの各証言及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)本件原子炉では、前記のように多量の一次冷却水が格納容器内へ流出する事態が生じた場合を仮想し、このような場合においても燃料被覆管の大破損に至るのを防止することができるようにECCSが設置されているものであること、(2)本件原子炉において使用される蓄圧注入系、高圧注入系及び低圧注入系は、それぞれ二系統ずつ、いずれも独立の系統をもつて設置され、右三種類の注入系のうちのそれぞれ一系統だけの作動により、炉心冷却に必要な冷却水が注入できるものとなつていること、また、高圧注入系及び低圧注入系は外部電源が喪失した場合においても、少なくとも各二次系統のうち、各一系統は作動するように、二台の非常用デイーゼル発電機によつて、それぞれ電源が確保されていること、(3)本件原子炉において使用されるECC れぞれ二系統ずつ、いずれも独立の系統をもつて設置され、右三種類の注入系のうちのそれぞれ一系統だけの作動により、炉心冷却に必要な冷却水が注入できるものとなつていること、また、高圧注入系及び低圧注入系は外部電源が喪失した場合においても、少なくとも各二次系統のうち、各一系統は作動するように、二台の非常用デイーゼル発電機によつて、それぞれ電源が確保されていること、(3)本件原子炉において使用されるECC 電源が喪失した場合においても、少なくとも各二次系統のうち、各一系統は作動するように、二台の非常用デイーゼル発電機によつて、それぞれ電源が確保されていること、(3)本件原子炉において使用されるECCSは、運転開始後も、その健全性が確認できるように、テスト配管によるポンプの起動試験、非常用デイーゼル発電機の起動試験、信号系統の作動試験等の各種の試験及び検査ができる構造となつていること、(4)本件原子炉において使用されるECCSについては、現実にはほとんど起こり得ないような一次冷却材喪失事故を想定した場合においても、その性能を発揮するものであることが昭和四七年一〇月に安全審査において定められた「非常用炉心冷却設備(ECCS)の安全評価指針について」を参考の上確認されていること、(5)アメリカのLOFT八〇〇番シリーズ実験で、ECCSの蓄圧注入系が模擬炉心の中に予期されていたように水を送ることができないという結果が出た(右については当事者間に争いがない)が、右実験については、その目的がもともとブローダウン現象の解析のための計算コードを検証することにあり、ECCSの有効性を確認するためのものではなかつたもので、実験装置力形状も実際の加圧水型原子炉と異なつていたため、注入水が炉心に到達せず、脇を流れて破断口から流出してしまつたものとも考えられていること、したがつて、この実験結果が実用炉にそのままあてはまるかどうかについては多くの疑問が提起されていること、しかし、現段階では、この実験結果を実用炉に適用すべきだとの考え方を全く否定し得る知見もないので、本件原子炉におけるECCSの性能評価に際しては、あくまで安全を守るという考えのもとに、ブローダウン過程では蓄圧注入系の冷却効果はないものと仮定して計算したこと、(6)LOCA時における熱水力学的現象は 子炉におけるECCSの性能評価に際しては、あくまで安全を守るという考えのもとに、ブローダウン過程では蓄圧注入系の冷却効果はないものと仮定して計算したこと、(6)LOCA時における熱水力学的現象は多くの実験によつて確認し得るいくつかの部分的現象に分けることができるから、まず、個々の部分的な現象についての多くの実験、経験によつて裏付けされた個々のモデルを作成し、次に個々のモデルを基に、更に、実験、経験により、かつ、不確実な点は厳しい条件を設定することによつて、個々のモデルの間の関係付け、総合化を行い、一方、諸数値についても、個々のモデルと同様に、実験等によつて確認した上で設定することにより、現実を総合的に評価し得る解析コードが作成され、妥当性があるとの評価を得ていること、そしてこのような方法をとることは、実際に事故状態を発生させて実験することのできない原子力発電所については、安全上有効なものであること、本件原子炉のLOCAの際におけるECCSに関する解析は、ブローダウン時の現象解析、再浸水及び再冠水時の現象解析、燃料被覆材温度解析等からなつており、ブローダウン時の解析及び諸数値については、アメリカ原子力委員会によるLOFT計画の中で多数の実験が行われ、また、ブローダウン後の再浸水及び再冠水時の炉心冷却についての解析モデル及び熱伝達等に関する諸数値は、実物大の燃料模型を用いた一連のFLECHT実験等により裏付けられている上、これらの解析の結果に基づく燃料被覆材温度の解析に当たつても、試験結果等によつて裏付けられた数値が用いられていること、(7)ECCSの作動を解析するに際しては、実際に事故が発生したときに、どのような現象が生ずるかを忠実に知ろうとする最適推定モデルと、右事故時において、ECCSが炉心を冷却するに十分な性能を有するかどうかを は、実物大の燃料模型を用いた一連のFLECHT実験等により裏付けられている上、これらの解析の結果に基づく燃料被覆材温度の解析に当たつても、試験結果等によつて裏付けられた数値が用いられていること、(7)ECCSの作動を解析するに際しては、実際に事故が発生したときに、どのような現象が生ずるかを忠実に知ろうとする最適推定モデルと、右事故時において、ECCSが炉心を冷却するに十分な性能を有するかどうかを CCSの作動を解析するに際しては、実際に事故が発生したときに、どのような現象が生ずるかを忠実に知ろうとする最適推定モデルと、右事故時において、ECCSが炉心を冷却するに十分な性能を有するかどうかを確かめる評価モデルとがあり、この解析目的の違いから、解析に使用されるモデルも異なること、評価モデルによる解析結果が現実の値に対して、定量的にどれだけ保守的なものとなつているかを明らかにするためには、最適推定モデルの完成を待ち、これと評価モデルとを比較することが必要となるが、安全評価上は、評価モデルにおける解析結果の保守性が確保されていることが確認されれば十分であり、右保守性を定性的に評価することは専門的知識によつて十分可能であること、アメリカのLOFT計画によつて改訂されているのは右の最適推定モデルであり、本件原子炉ECCS解析に用いられたのは評価モデルであり、その保守性は確認されていること、(8)本件原子炉のECCSの性能を解析するため、アメリカのウエスチングハウス社が開発した解析モデルが使用されているが、この解析モデルは破断口からの一次冷却水の流出状況や蓄圧注入系の注入状態等を解析するために行われた各種の実験、一次冷却水が流出し、ECCSからの注入水によつて再び炉心の水位が回復するまでの間に、燃料の冷却はどのようになるかを解析するために行われた各種の実験の結果に基づいているとともに、実験によつては確認され難い各種の複合的現象については、厳しい条件を設定した上で作成されたものであること、(9)ECCSの性能を評価するための一次冷却材喪失事故の想定としては、まず、一次冷却系配管の破断の態様として、破断の形態、破断の面積、破断の場所の三者を組み合わせたもの数種が使用されていること、(10)次に、一次冷却材喪失事故時における炉心の状態として、原 しては、まず、一次冷却系配管の破断の態様として、破断の形態、破断の面積、破断の場所の三者を組み合わせたもの数種が使用されていること、(10)次に、一次冷却材喪失事故時における炉心の状態として、原子炉出力は定格出力の二パーセント増し、被覆材温度に重要な影響を与える出力密度は設計で考慮している最大値、核分裂生成物の崩壊熱は無限時間運転時の値の二〇パーセント増しとするなどの条件が設定されていること、更に、一次冷却材喪失事故時に、外部電源がすべて喪失し、かつ、非常用デイーゼル発電機二台のうち、一台しか起動しないものと仮定している。 と、(10)次に、一次冷却材喪失事故時における炉心の状態として、原子炉出力は定格出力の二パーセント増し、被覆材温度に重要な影響を与える出力密度は設計で考慮している最大値、核分裂生成物の崩壊熱は無限時間運転時の値の二〇パーセント増しとするなどの条件が設定されていること、更に、一次冷却材喪失事故時に、外部電源がすべて喪失し、かつ、非常用デイーゼル発電機二台のうち、一台しか起動しないものと仮定している。すなわち、高圧注入系及び低圧注入系は、それぞれ一系統しか動かないものと仮定していること、(11)本件原子炉ECCSの解析によれば、燃料被覆管の酸化による脆化その他いずれの観点からみても、前記一次冷却系配管の破断の態様として最も厳しいものは、低温側配管が瞬時にギロチン破断する場合であること、すなわち、ECCSの性能評価を行うに際して、一次冷却材喪失事故を想定するに当たつては、一次冷却系配管の破断の態様の一つとして、「破断の面積」を大はギロチン破断(DEB)に相当する約〇・八平方ムートルから、小は約〇・〇五平方メートル(〇・五平方フイート)まで数種想定した上解析したこと、右解析結果から、〇・五平方フイートでは燃料被覆管の最高温度は低下する傾向にあること、最高温度自体も八三八度Cであつて、右解析結果のうちで最も厳しい〇・六DEB(BEBの〇・六倍)の場合の一一四六度Cに比べて低いこと、なお、〇・五平方フイート以下の小さな破断面積で燃料被覆管温度が高くなるという理由は考えられないことから、本件原子炉で使用するECCSは、一次冷却系配管のいかなる寸法の配管破断に対しても有効であると判断したこと、なお、小破断の場合には、大破断 で燃料被覆管温度が高くなるという理由は考えられないことから、本件原子炉で使用するECCSは、一次冷却系配管のいかなる寸法の配管破断に対しても有効であると判断したこと、なお、小破断の場合には、大破断の場合に比べて、一次冷却水の流出流量が少なく、したがつて、右一次冷却水の炉心からの流出に伴つて十分炉心の崩壊熱を除去することができ、また、一次冷却系圧力がECCS注入可能圧力以下に低下した後には、大破断の場合におけると同様にECCSが働くこと、そして、本件原子炉のECCSと全く同設計の伊方二号炉の安全審査に際し、念のため行われた配管の口径約一五センチメートル(破断面積約〇・〇二平方メートル)の場合の解析によれば、被覆管の最高温度は七五八度Cにしかならなかつたこと、蒸気発生器細管破断事故は、破断場所及び流出流量からみて、炉心にとつて大口径一次冷却系配管破断のように厳しいものではないこと、破断による一次冷却水流出期間中も燃料の冷却は十分確保され、燃料被覆材の損傷は生じないこと、また、ECCSも有効に作用することがいずれも確認されたこと、(12)本件原子炉ECCSの性能の評価のための右解析の結果によれば、前記のように燃料被覆管の最高温度は一一四六度Cにとどまり、その最も酸化の進んだ部分においても、その厚さの九〇パーセント以上は右の酸化の影響を受けず、その延性は保たれ、その健全性が大きく損なわれることはないと評価されたこと、そのため、燃料被覆管はブローダウン時はもちろんのこと、再冠水時においても冷却可能な形状を維持できること、なお、LOCA時において燃料被覆管がふくれて穴があき、その穴から蒸気が流入して燃料被覆管の内面から酸化する現象に関し、内面の酸化量の割合を二五パーセントと仮定した場合においても、酸化の影響を受けていない部分の割合はふくれによる 性は保たれ、その健全性が大きく損なわれることはないと評価されたこと、そのため、燃料被覆管はブローダウン時はもちろんのこと、再冠水時においても冷却可能な形状を維持できること、なお、LOCA時において燃料被覆管がふくれて穴があき、その穴から蒸気が流入して燃料被覆管の内面から酸化する現象に関し、内面の酸化量の割合を二五パーセントと仮定した場合においても、酸化の影響を受けていない部分の割合はふくれによる 管がふくれて穴があき、その穴から蒸気が流入して燃料被覆管の内面から酸化する現象に関し、内面の酸化量の割合を二五パーセントと仮定した場合においても、酸化の影響を受けていない部分の割合はふくれによる肉厚減少を一〇パーセントと仮定しても、その減少した肉厚の八四パーセント程度であつて、燃料被覆管が大きく損なわれることはないと評価されたこと、(13)「被覆材温度Fwのパラメータサーべイ」(乙第四六号証)の第一図によると、Fwが八〇パーセント以上の燃料棒一三本は完全に隣接しており、そのうえFwが八〇パーセントないし八五パーセンーのものが右一三本を取り囲む形態で存在しているが、右「被覆材温度Fwのパラメータサーベイ」の第三図をみると、前顕第一図のようなFwの分布となる燃料集合体は、炉心全体でみれば全一二一体のうち八体に過ぎず、しかも完全にばらばらに離れて存在していること、右資料の第一表のケース六の肉厚減少二〇パーセントの例によれば、Fwの最小値は七・六パーセントで、八五パーセント未満の燃料棒は全体で一・三パーセントであること、右の燃料集合体八体以外はすべてFwが八五パーセント以上であること、更に、炉心の横方向から見れば、右資料のB-三図により中心付近のごく一部のもののみが制限値に近づくこと、なお、オークリツジ国立研究所のホプソン等の研究で、一次冷却材喪失事故が終息する温度条件では、Fwが七〇パーセント以上であれば、被覆管を半径方向に約三・八ミリメートル瞬間的に圧縮しても多少ひび割れができるものがある程度の状態であり、更に、Fwが七五パーセント以上であれば、ひび割れもできないという実験結果が報告されていること、したがつて、本件原子炉の場合冷却可能形状は維持されるとみられること、(14)本件原子炉の場合、前記のように被覆管の内面酸化を適切に考慮した場 ひび割れもできないという実験結果が報告されていること、したがつて、本件原子炉の場合冷却可能形状は維持されるとみられること、(14)本件原子炉の場合、前記のように被覆管の内面酸化を適切に考慮した場合において、その最高温度は基準値の一二〇〇度Cを下回つたこと、なお、日本原子力研究所の実験の結果(甲第八〇号証)では、内面酸化割合が外面のそれに比べて平均二倍の酸化量を示したが、右実験の結果は燃料被覆管の内外面の酸化量を示しているのではなく、、酸化膜の厚さの比を示しているに過ぎないこと、内面酸化については、外面酸化に比べて被覆管内外面の温度条件はほとんど同じであるにもかかわらず、酸化に必要な蒸気が十分に供給されないため、酸化の割合を一より小さいものと考えるのが妥当であること、なお、内面酸化の計算は外面酸化の計算と同様にベイカージヤストの式が用いられており、この式は反応量を多めに見積もるものであることが知られていること、なお、伊方二号炉においては、内面酸化割合を「一」として計算したが、被覆材最高温度は基準値の一二〇〇度Cを超えなかつたこと、(15)PWR-FLECHT実験によれば、燃料被覆管がふくれを生じた場合には、蒸気流がかくはんされること及び蒸気流に含まれている水滴が細粒化されること等からかえつて冷却効果がよくなること、FLECHT実験においては、再冠水速度が実際の原子炉において予測される毎秒当たり一インチの値であつても、流路閉鎖による冷却効果の増大が確認されていること、ふくれによる流路閉鎖を忠実に模擬した場合とFLECHT実験のように平板で模擬した場合とでは、冷却効果の点において大きな差異がないことが確認されていること、したがつて、ふくれによる流路閉鎖はECCSの性能の減少をもたらすものではないと考えられていること、(16)前記のように 再冠水速度が実際の原子炉において予測される毎秒当たり一インチの値であつても、流路閉鎖による冷却効果の増大が確認されていること、ふくれによる流路閉鎖を忠実に模擬した場合とFLECHT実験のように平板で模擬した場合とでは、冷却効果の点において大きな差異がないことが確認されていること、したがつて、ふくれによる流路閉鎖はECCSの性能の減少をもたらすものではないと考えられていること、(16)前記のように た場合とでは、冷却効果の点において大きな差異がないことが確認されていること、したがつて、ふくれによる流路閉鎖はECCSの性能の減少をもたらすものではないと考えられていること、(16)前記のように、本件原子炉のECCS評価の結果、一次冷却材喪失事故期間を通して燃料被覆管が延性を維持することによつて、炉心の冷却可能形状の喪失をもたらすような大破損を起こすことはないと評価されていること、被覆管は相変態が起こるような高温では円周方向に数十パーセント伸びる程の延性を有していること、被覆管の相変態による破断の実例又は実験の結果を示す資料は提出されていないことから、被覆管の相変態により、その破断が生じて、ECCSの性能が発揮できなくなると即断し難いこと、(17)p13らが蒸気発生器の細管の内径、炉心の流路断面積、圧力容器の入口配管と炉心底部との高低差及びK値について、いずれも必要な数値を確知し得ないまま計算した結果、本件ECCSの再冠水速度は最大値として、ACC注水中毎秒当たり〇・五三インチ、ACC注水後は、同一・一インチとなつたが、本件原子炉ECCS評価においては、再冠水速度は毎秒当たり〇・六インチないし一・二インチとされていること、したがつて、本件ECCS評価における再冠水速度の方が若干多いが、ほぼ対応した数値であること、他方、p13らの計算は前記のとおり不確実要素に基づくものであること、したがつて、本件ECCS評価における再冠水速度が特に過大とはみられないこと、(18)本件ECCS評価に際し、ブローダウン時の解析に用いられた計算コード(SATAN-V)は、一次系を六五の小領域に区分し、右小領域においては、温度条件が同一(熱平衡)であり、かつ、蒸気と水の流れの方向及び速度が同一(均質)であるとして、ブローダウン時の熱水力計算を行うものであるが )は、一次系を六五の小領域に区分し、右小領域においては、温度条件が同一(熱平衡)であり、かつ、蒸気と水の流れの方向及び速度が同一(均質)であるとして、ブローダウン時の熱水力計算を行うものであるが、セミスケールブローダウン実験についての右計算コードによる計算値とその実験値とは合致しており、右熱平衡、均質モデルは不当なものでないこと、(19)原子炉において使用されるECCSの性能評価においては、ブローダウン期間中に蓄圧注入系から注入された冷却水は炉心を全く通つていない評価になつていることは解析結果から明らかであり、下部プレナムに一部残存するものとしている冷却水が直接的な炉心冷却に寄与することは考慮されていないこと、また、右ブローダウン実験結果を踏まえ、ブローダウン終了時には、改めて蓄圧注入系からの注入水の全量を差し引き、炉心下端にまで水位が回復する時間を遅らせ、炉心が露出して冷却されない期間を長くすることとし、炉心バイパスの現象に関するブローダウン時の取り扱いとしては、厳しい評価をしていること、(20)LOCA時における破断口からの流出量は、ムーデイの式から求める値に放出係数と破断面積とを乗じて求めるものであること、ムーデイの式は理論的に考えられる最大流量を求める式であるため、現実的な流量を求める際には、補正係数として一・〇より小さい放出係数を用いる必要があること、ギロチン破断の形態は、一次冷却系ループの主配管についてのみ考えればよく、主配管に接続している小配管が破断した場合は、主配管の側面に穴があいた場合に相当し、これは、ギロチン破断といわず、スプリツト破断として別に取り扱つていること、本件原子炉のECCS評価におけるギロチン破断の解析で、放出係数が一・〇、破断面積がギロチン破断面積の一・〇倍及び〇・六倍としているのは、破断面積が〇・ いる必要があること、ギロチン破断の形態は、一次冷却系ループの主配管についてのみ考えればよく、主配管に接続している小配管が破断した場合は、主配管の側面に穴があいた場合に相当し、これは、ギロチン破断といわず、スプリツト破断として別に取り扱つていること、本件原子炉のECCS評価におけるギロチン破断の解析で、放出係数が一・〇、破断面積がギロチン破断面積の一・〇倍及び〇・六倍としているのは、破断面積が〇・ 、スプリツト破断として別に取り扱つていること、本件原子炉のECCS評価におけるギロチン破断の解析で、放出係数が一・〇、破断面積がギロチン破断面積の一・〇倍及び〇・六倍としているのは、破断面積が〇・六より小さい場合を見落しているのではなく、物理的にはギロチン破断は一義的に定まるもので、放出係数を一・〇及び〇・六として解析したものであること、また、破断面積〇・六以下の解析を行つていなくても、ギロチン破断の場合には、〇・六というのは放出係数と同じことを意味するものであり、数多くの実験から放出係数は〇・七ないし〇・六程度であることが確かめられていること、前記のとおり本件ECCS評価は最悪のケースを見落しているとはみられないこと、(21)本件原子炉において使用されたECCS評価に当たつて求められた被覆材温度はモード1実験の結果による燃料被覆材温度より低い値となつているが、計算コードで解析したその実験についての計算結果と実験結果とを比較するのと異なり、種々の条件の異なる実験によつて求められた値と、本件原子炉において使用されるECCSの性能評価に当たつての解析結果から求められた値とを直接比較してみても、両者の間では多くの条件が異なるため、比較の意義は少ないものというべく、また、レラツブ四計算コードによる計算結果とモード1実験の解析の結果とを比較すると、計算の結果が危険側にでたが、右計算コードは、現象を現実的に解析する最適モデルであること、本件原子炉をはじめとする実用炉のECCS評価に用いられる計算コード(評価モデル)は、最適モデルに比べ各種の安全余裕を有していて、燃料被覆管温度も高めに計算されるように作られていること、したがつて、右の計算と実験の結果に若干の違いがあつたことは、本件解析が危険な側を示すものであるとは即断できないこと、(22)本件E ていて、燃料被覆管温度も高めに計算されるように作られていること、したがつて、右の計算と実験の結果に若干の違いがあつたことは、本件解析が危険な側を示すものであるとは即断できないこと、(22)本件ECCS評価によれば、全燃料被覆管について、金属と水との反応割合は、〇・一パーセント以下であり、水素の生成量も小さいと評価されたこと、なお、ジルカロイは滞留水蒸気にさらされると水素を吸収してその延性を著しく低下させるという実験結果があるが(甲第一三八号証)、日本原子力研究所で行つた右実験結果は、一一五〇度C及び一二〇〇度Cに加熱したジルカロイ被覆管を滞留水蒸気にさらしたところ、その時間が三分以内であれば急速に延性を回復する傾向を示すのに対して、三分を超えると急速に脆化することを示したものであり、LOC期間Aに燃料被覆管の温度が上昇し、右実験値付近にとどまるのはごく短時間に過ぎないこと、したがつて、右実験結果をもつて直ちに本件原子炉のLOCA時における燃料被覆管の強度が低下するとはいえないことがいずれも認められる。 Cに加熱したジルカロイ被覆管を滞留水蒸気にさらしたところ、その時間が三分以内であれば急速に延性を回復する傾向を示すのに対して、三分を超えると急速に脆化することを示したものであり、LOC期間Aに燃料被覆管の温度が上昇し、右実験値付近にとどまるのはごく短時間に過ぎないこと、したがつて、右実験結果をもつて直ちに本件原子炉のLOCA時における燃料被覆管の強度が低下するとはいえないことがいずれも認められる。原本の存在並びに成立に争いのない甲第一三七号証及び証人dの証言によれば、アメリカの原子炉メーカーのバブコツクス・ウイルコツクス社がアメリカ原子力委員会に提出した資料では、加圧水型原子炉の燃料棒については、被覆管の破裂は低温側配管破断のわずか一・三秒後に炉心の七〇パーセント以上に及ぶと予測していることが認められ、また、証人oは被覆管のLOCA時における破裂は多くて四割ぐらいである旨証言するが、前示認定に照らし右証拠はいずれも採用しがたい。また、原告らはLOCA時に燃料被覆管の健全性を維持するための計算根拠となつた熱衝撃荷重及びアセンブリ拘束等の数値が妥当でない旨、請求の原因第四章の第二の三の3の(三)の(1)、(2)掲記のとおり主張する。告らはLOCA時に燃料被覆管の健全性を維持するための計算根拠となつた熱衝撃荷重及びアセンブリ拘束等の数値が妥当でない旨、請求の原因第四章の第二の三の3の(三)の(1)、(2)掲記のとおり主張する。しかし、原本の存在並びに成立に争いのない甲第七八号証及び証大oの証言によると、LOCA時における燃料被覆管の健全性を維持する方法としては(1)燃料被覆管にかかる応力と、破裂や、酸化の生じた燃料被覆管が耐え得る応力とを比較する方法(ウエスチングハウス社が提案している方法)と(2)燃料被覆管の最高温度と酸化による脆化から燃料被覆管が十分な延性を有しているかどうかを判断する方法(オークリツジ国立研究所のホプソンらが提案した方法)との二つがあるが、本件原子炉の安全審査では(1)の方法については、右応力計算の方法等が、まだ必ずしも確立されているとはいえないので、単に判断の際に参考とするにとどめ、(2)の方法によつてLOCA時における燃料被覆管等の健全性が保持されると判断したこと、したがつて、熱衝撃荷重、アセンブリ拘束値は、いずれも本件安全審査におけるLOCA時の燃料被覆管の健全性の判断に使用しなかつたものであることがいずれも認められる。 るが、本件原子炉の安全審査では(1)の方法については、右応力計算の方法等が、まだ必ずしも確立されているとはいえないので、単に判断の際に参考とするにとどめ、(2)の方法によつてLOCA時における燃料被覆管等の健全性が保持されると判断したこと、したがつて、熱衝撃荷重、アセンブリ拘束値は、いずれも本件安全審査におけるLOCA時の燃料被覆管の健全性の判断に使用しなかつたものであることがいずれも認められる。したがつて、原告らの前記主張は理由がない。また、原告らは、装気発生器細管が減肉、腐食等の損傷を受けている状態で、一次冷却材喪失事故が発生した場合には、右事故に際して生ずる外圧により、右損傷を受けている蒸気発生器細管は容易に圧潰や破断を起こし、二次冷却水が高圧蒸気となつて右細管破断部に入り、更に、蒸気発生器を経て圧力の低下した炉心部へ逆流するため炉心が高圧となり、ECCSによる炉心の注水が妨げられて炉心溶融に至る旨、その他請求の原因第四章の第三の二の1の(三)のとおり主張し、証人zは右主張に添う証言をする。また、前顕甲第 部へ逆流するため炉心が高圧となり、ECCSによる炉心の注水が妨げられて炉心溶融に至る旨、その他請求の原因第四章の第三の二の1の(三)のとおり主張し、証人zは右主張に添う証言をする。また、前顕甲第六一号証、第六三号証、第二六四、二六五号証も右主張に添うものである。しかし、前記のとおり本件原子炉において使用される一次冷却系配管は本件安全審査において安全性を保持できると判断されていること、そして、右判断は相当と認められることに加えて、本件原子炉において使用される蒸気発生器細管は、一次冷却系配管が破損するが如き事態においても、その健全性を保持できるように配慮されていることは前記認定のとおりである。したがつて、原告らの右主張は理由がない。その他前示認定を左右するに足る証拠はない。(三) 前示争いのない事実及び認定事実に照らし、本件安全審査において、本件原子炉のECCSは一次冷却系配管破断による一次冷却材喪失事故時において、安全性を保持できると判断したことは相当と認められる。(四) (1)原告らは、LOCAの原因となる一次冷却系圧力バウンダリの破損には、配管類の破断の他に、原子力圧力容器のき裂、割れ等の破壊があり、圧力容器が破壊すると原子炉内に炉心冷却水を保持することが不可能になるので、注入方式の現在のECCSは全く役に立たない。 査において、本件原子炉のECCSは一次冷却系配管破断による一次冷却材喪失事故時において、安全性を保持できると判断したことは相当と認められる。(四) (1)原告らは、LOCAの原因となる一次冷却系圧力バウンダリの破損には、配管類の破断の他に、原子力圧力容器のき裂、割れ等の破壊があり、圧力容器が破壊すると原子炉内に炉心冷却水を保持することが不可能になるので、注入方式の現在のECCSは全く役に立たない。更に、ECCSを全く無効にする一次冷却材喪失事故は、圧力容器と連結している一次冷却系配管の破断によつてもひき起こされる。すなわち、一次冷却系配管の破断によつて噴出する大量の蒸気の衝撃で、圧力容器の破壊や回転が誘発されるという場合である。圧力容器が回転すれば、それに連結しているECCS配管も破損し、圧力容器の破壊の場合と同様に、本件ECCSは全く無効となる。すなわち、本件原子炉にとつては、圧力容器の破壊によつて起こる 場合である。圧力容器が回転すれば、それに連結しているECCS配管も破損し、圧力容器の破壊の場合と同様に、本件ECCSは全く無効となる。すなわち、本件原子炉にとつては、圧力容器の破壊によつて起こるLOCAに対する防護設備は何一つない旨主張する。なお、本件原子炉に設けられているECCSは圧力容器破壊によつて発生するLOCAに対しては効力がなく、本件原子炉には圧力容器破壊によつて起こるLOCAに対する防護設備がないことについては当事者間に争いがない。しかし、前記のとおり本件原子炉において使用される圧力容器等は本件安全審査において安全性を維持される旨判断され、右判断が相当と認められることは前示のとおりである。したがつて、原告らの右主張は理由がない。(2) 原告らは、更に、本件ECCSの効果がないLOCAとして、二次冷却系の故障によるものがある旨主張する。すなわち、一次系の熱除去は正常な時には蒸気発生器二次側の水の蒸発によつて行われているが、しかし、主給水系と補助給水系からなる二次側給水系が故障し、給水が止まると、原子炉の停止が行われても、放射性物質の崩壊熱による発熱があり、蒸気発生器二次側の水は右発熱によつて蒸発し、およそ三〇分で空になるので、蒸気発生器による一次系の冷却は行われなくなるため、一次系の温度は上昇し、一次系の圧力は高くなる。そして、一次系が過圧状態になると、加圧器にある蒸気逃し弁及び安全弁が作動して一次系の蒸気を放出することとなるが、蒸気逃し弁が開かれると、それは極小破断LOCAに相当して、一次冷却材は失われるに至る。 射性物質の崩壊熱による発熱があり、蒸気発生器二次側の水は右発熱によつて蒸発し、およそ三〇分で空になるので、蒸気発生器による一次系の冷却は行われなくなるため、一次系の温度は上昇し、一次系の圧力は高くなる。そして、一次系が過圧状態になると、加圧器にある蒸気逃し弁及び安全弁が作動して一次系の蒸気を放出することとなるが、蒸気逃し弁が開かれると、それは極小破断LOCAに相当して、一次冷却材は失われるに至る。この場合には、ECCSからの注入水が蒸発することによつて炉心を冷却することになるが、しかし、原子炉内は蒸気のため高圧(一六〇気圧以上)であるため、炉心への注水は充填ポンプによつてしかできない。しかし、充填ポンプ CCSからの注入水が蒸発することによつて炉心を冷却することになるが、しかし、原子炉内は蒸気のため高圧(一六〇気圧以上)であるため、炉心への注水は充填ポンプによつてしかできない。しかし、充填ポンプによる注水量だけでは前記崩壊熱の除去には不十分であり、注入水も蒸発してしまうために、炉心内温度は上昇し、蒸気発生器の二次側の水が空になつてからおよそ三〇分から一時間以内に炉心は溶融する。右のように、二次給水系の故障によるLOCAに対しては、本件ECCSはたとえ作動しても炉心溶融を防ぐことはできないというものであり、前顕甲第六一号証、第二六四号証は右主張に添うものである。しかし、前顕乙第一号証の二及び弁論の全趣旨によれば、本件原子炉には、二次給水系の給水設備として、主給水ポンプ三台と電動の補助給水ポンプ二台及びタービン駆動の補助給水ポンプ一台とがそれぞれ設けられていること、そして、たとえ、右の主給水ポンプ三台のうち一台が故障したとしても、他の二台によつて運転を継続することができ、また、外部電源がすべて喪失して主給水ポンプのすべてが作動できなくなつたとしても、それぞれの非常用デイーゼル発電機を電源とする補助給水ポンプ二台のうちの一台あるいは蒸気発生器で発生した蒸気の一部を主蒸気管から抽気することによつて駆動することができるタービン駆動補助給水ポンプによつて、いずれも二次冷却水を蒸気発生器に給水できるようになつていること、したがつて、二次冷却水の給水が全く停止する可能性は考えられないことがいずれも認められる。したがつて、前記原告らの主張に添う証拠は採用し難く、他に右認定を左右するに足る証拠はない。 補助給水ポンプ二台のうちの一台あるいは蒸気発生器で発生した蒸気の一部を主蒸気管から抽気することによつて駆動することができるタービン駆動補助給水ポンプによつて、いずれも二次冷却水を蒸気発生器に給水できるようになつていること、したがつて、二次冷却水の給水が全く停止する可能性は考えられないことがいずれも認められる。したがつて、前記原告らの主張に添う証拠は採用し難く、他に右認定を左右するに足る証拠はない。二万一の事故に備えての立地条件 1 災害評価に基づく立地条件について(1) 本件原子炉の安全審査において、万一の事故に備えての立地審査のための災害評価 く、他に右認定を左右するに足る証拠はない。二万一の事故に備えての立地条件 1 災害評価に基づく立地条件について(1) 本件原子炉の安全審査において、万一の事故に備えての立地審査のための災害評価として、被告の主張第五章の第四の三の2、3のとおりの想定災害の評価を行い(ただし、厳しい条件をとつたとの点を除く)、本件原子炉の立地条件が立地審査指針に適合し、周辺公衆の安全を維持できると判断したことについては当事者間に争いがない。(二) (1)前顕乙第五号証、成立に争いのない甲第五五号証、第一四二号証並びに証人xの証言及び弁論の全趣旨を総合すれば、「原子炉立地審査指針の目的の一つは行政判断の一貫性を図る」という点にあること、また、「仮想事故の際は重大事故を想定した際に期待した安全防護施設のうち、そのいくつかが作動しないと仮定して、これに相当する放射性物質の放散を仮定する。しかし、この場合、どの安全防護施設がどの程度不動作と仮定するかの判断の基準は、原子炉の型式及びその設計方針により差異がある」とするのが、立地審査指針の制定者の解釈であつたこと、なお、本件原子力発電所と同型の原子炉を備えた先行炉である美浜一号炉、同二号炉、高浜一号炉、同二号炉における各安全審査の立地審査においても「仮想事故としては重大事故と同じ事故について、安全注入系の効果を無視し、炉心内の全燃料が溶融したと仮想する」とされた(以上については当事者間に争いがない)にもかかわらず、いずれも格納容器の健全性は維持されることを前提としていることがいずれも認められる。当事者間に争いのないoの著書「核燃料工学」の仮想事故の内容についての記述も右認定を左右するものではなく、他に右認定を左右するに足る証拠はない。 いても「仮想事故としては重大事故と同じ事故について、安全注入系の効果を無視し、炉心内の全燃料が溶融したと仮想する」とされた(以上については当事者間に争いがない)にもかかわらず、いずれも格納容器の健全性は維持されることを前提としていることがいずれも認められる。当事者間に争いのないoの著書「核燃料工学」の仮想事故の内容についての記述も右認定を左右するものではなく、他に右認定を左右するに足る証拠はない。そうすると、立地審査指針制定者の解釈では、仮想事故としての一次冷却材喪失事 著書「核燃料工学」の仮想事故の内容についての記述も右認定を左右するものではなく、他に右認定を左右するに足る証拠はない。そうすると、立地審査指針制定者の解釈では、仮想事故としての一次冷却材喪失事故の場合には、炉心溶融に至ることまでの想定はしているが、更に、格納容器その他の原子炉の安全防護施設がすべて健全性を失う事能までは想定事故の内容、経過として予定しておらず、従来の原子炉設置許可処分に際しての立地審査においても、右立地審査指針制定者の解釈によることが定着していたものと認められる。そこで、立地審査指針の目的から右の解釈ないし審査実務の妥当性を按ずるに、立地審査指針は原子炉の危険性に鑑み、原子炉と周辺環境との間に適切な離隔を置くこととし、右適切な離隔を置くために想定事故という手法をとつているのであるから、想定事故の内容、経過等については原子炉における事故発生の可能性とその規模、安全防護施設の機能等を総合して慎重に検討して決めるべきことであると解され、原告ら主張の如く、想定事故の内容、経過等として安全防護施設の機能を無視した場合には事故はどのような結果になるか、又は、炉心が溶融した場合にはどのような事態に立ち至るかを推論し、その結果生ずるであろう災害の評価をし、これによつて原子炉の立地条件の可否を決めることを立地審査指針が予定しているものとは解されない。のみならず、前記のとおり本件安全審査において、本件原子炉の一次冷却系配管、蒸気発生器細管及びECCSその他の安全防護施設は、いずれも安全性の確保ができるものと判断され、右判断は相当と認められること、前記のとおり、本件原子炉と同型、同出力の原子炉はもちろん、その他の商業用原子力発電所においては、未だかつて一次冷却系配管破断事故又は蒸気発生器細管破断事故が発生したことはないこと、そして、本件 れない。のみならず、前記のとおり本件安全審査において、本件原子炉の一次冷却系配管、蒸気発生器細管及びECCSその他の安全防護施設は、いずれも安全性の確保ができるものと判断され、右判断は相当と認められること、前記のとおり、本件原子炉と同型、同出力の原子炉はもちろん、その他の商業用原子力発電所においては、未だかつて一次冷却系配管破断事故又は蒸気発生器細管破断事故が発生したことはないこと、そして、本件 、前記のとおり、本件原子炉と同型、同出力の原子炉はもちろん、その他の商業用原子力発電所においては、未だかつて一次冷却系配管破断事故又は蒸気発生器細管破断事故が発生したことはないこと、そして、本件原子炉において特に前記立地審査指針の解釈、実務の取り扱いを変更すべき事情が存在することを認めるに足る資料のないことに鑑み、本件災害評価において、右解釈、取り扱いを不当として改めるべき必要性は見出せない。したがつて、前記解釈及び実務の取り扱いは本件災害評価においてその妥当性が認められるものである。(2) 前記のとおり、立地審査指針における想定事故の意義が考えられる以上、その事故原因までも考慮すべき必要性は認め難い。もつとも、立地審査指針一の一-二基本目標によれば、想定事故が及ぼす結果を判断する要素として、「敷地周辺の事象」を考慮すべきことが掲記されているが、このことは、災害評価に敷地周辺の人口分布、地形、気象等を考慮すべきことの趣旨で、敷地周辺の地震現象をも考慮すべき趣旨とは解されず、かつ、前記のとおり、本件安全審査において、地震現象との関係でも、本件原子炉の立地選定は問題がなく、かつ、本件原子炉の耐震設計は安全性を確保できるものと判断され、右各判断は相当と認められるものであるから、本件原子炉における立地審査において、地震を原因とする事故を想定しなかつたことは、立地審査指針に違反するものではない。(三) 本件安全審査において、本件原子炉の一次冷却系配管、蒸気発生器細管は健全であり、その安全性が確保されると判断されたこと及び本件原子炉格納容器、アニユラス空気再循環設備、格納容器スプレイ、ECCSの各構造、機能はいずれも健全であり、安全性を保持するものと判断されたこと、右各判断はいずれも相当と認められること、なお、右各機器の構造はいずれも前記の ラス空気再循環設備、格納容器スプレイ、ECCSの各構造、機能はいずれも健全であり、安全性を保持するものと判断されたこと、右各判断はいずれも相当と認められること、なお、右各機器の構造はいずれも前記のとおりである。 再循環設備、格納容器スプレイ、ECCSの各構造、機能はいずれも健全であり、安全性を保持するものと判断されたこと、右各判断はいずれも相当と認められること、なお、右各機器の構造はいずれも前記の ラス空気再循環設備、格納容器スプレイ、ECCSの各構造、機能はいずれも健全であり、安全性を保持するものと判断されたこと、右各判断はいずれも相当と認められること、なお、右各機器の構造はいずれも前記のとおりである。そして、これらの事実と前顕甲第三六号証、乙第一号証の一、二、第四、五号証、第一八号証、第二五号証、第三〇号証、成立に争いのない同第七一号証、証人x、同tの各証言及び弁論の全趣旨を総合すると、(1)本件原子炉の炉心から敷地境界までの最短距離は約七〇〇メートルであり、(2)本件敷地周辺の人口(ただし昭和四六年当時)は、原子炉から半径一・四キロメートル以内には人家はなく、半径三キロメートル以内には約三六五〇人、半径五キロメートル以内には約八〇〇〇人が居住し、また、本件敷地周辺の比較的大きな都市は炉心から約一二キロメートルの八幡浜市(人口約四万六九〇〇人)、ほかに大洲市(人口約三万七三〇〇人)、宇和島市(人口約六万四三〇〇人)があること、(3)本件想定事故の一つに、一次冷却系の大口径配管破断を選んだのは、従前から立地審査に当たり採られていたところを踏襲したものであること、及び右事故の発生を仮想した解析結果によれば、右は原子炉に最も苛酷な結果をもたらす事故の一つであり、ひいては周辺住民の安全確保の見地から無視できないものであるからであり、また、想定事故の一つに蒸気発生器破断事故を選んだのも、従前から立地審査に当たり採られていたところを踏襲したものであること、及びこの事故の発生を想定した場合、放射性物質が格納容器を通さずに直接環境へ放出され、ひいては周辺住民に多大な放射線被ばくを与えることとなるため、安全確保の見地から無視できない事故であるからであり、(4)重大事故及び仮想事故における一次冷却材喪失事故の際、炉心に内蔵されている放射性物質 は周辺住民に多大な放射線被ばくを与えることとなるため、安全確保の見地から無視できない事故であるからであり、(4)重大事故及び仮想事故における一次冷却材喪失事故の際、炉心に内蔵されている放射性物質が、格納容器内へ放出されるとする量は、美浜二号炉、高浜一、二号炉、大飯一、二号炉と比較しても同一か、多少の差があるに過ぎないこと、(5)一次冷却材喪失事故時において、格納容器、アニユラス空気再循環設備、格納容器スブレイが、事故時に特に厳しい物理的、化学的状態にさらされることはないと見られること、また、故障等によりアニユラス空気再循環設備、格納容器スプレイが作動しないという事態が起こる可能性は少ないと見られること、しかし、本件災害評価においては、これらの設備はそれぞれ二系統のうち一系統しか作動しないとし、また、アニユラス空気再循環設備についてはフイルターの効率を設計より低く仮定していること、(6)右同事故においては、放射性物質はすべていつたん格納容器に閉じ込められ、その後、気体状の放射性物質はアニユラス部を経て前掲排気筒から放出されたものと見られること、(7)格納容器内に放出された放射性物質中半減期の短いものは短期間に減衰するが、キセノン一三三、クリプトン八五、ヨー素一三一等はほとんど減衰しないこと、そして格納容器内で浮遊している放射性物質の一部は格納容器スプレイによつて洗い落とされること、しかし、格納容器スプレイによつて洗い落とされにくい有機ヨー素の存在割合は一〇パーセントとし、右ヨー素についてはスプレイ効果を全く無視していること、なお、右有機ヨー素の存在割合等は前顕各原子炉の災害評価と変わらないこと、(3)右同事故の場合の格納容器からの漏洩率は事故発生後二四時間は格納容器の設計漏洩率の三倍に、その後三日間は一日当たり一・三五倍とそれぞれ仮定 器スプレイによつて洗い落とされること、しかし、格納容器スプレイによつて洗い落とされにくい有機ヨー素の存在割合は一〇パーセントとし、右ヨー素についてはスプレイ効果を全く無視していること、なお、右有機ヨー素の存在割合等は前顕各原子炉の災害評価と変わらないこと、(3)右同事故の場合の格納容器からの漏洩率は事故発生後二四時間は格納容器の設計漏洩率の三倍に、その後三日間は一日当たり一・三五倍とそれぞれ仮定 の存在割合等は前顕各原子炉の災害評価と変わらないこと、(3)右同事故の場合の格納容器からの漏洩率は事故発生後二四時間は格納容器の設計漏洩率の三倍に、その後三日間は一日当たり一・三五倍とそれぞれ仮定し、また、気密構造の格納容器ドーム部からも、格納容器内にある放射性物質の三パーセントが直接大気中へ漏洩するものと仮定していること、(9)右同事故時において大気圧よりも高くなつたアニユラス部の内圧を大気圧以下に低下させるために要する時間(負圧達成時間)は、アニユラス空気再循環設備が一系統しか働かないものと仮定しても、本件災害評価で仮定した一〇分間よりは少ないものと見られること、(10)右負圧達成時間中は、格納容器からその設計漏洩率の三倍の量の放射性物質がアニユラス部に漏洩するものとし、かつ、その放射性物質はすべてフイルターを通らず外部へ出るものと仮定し、また、負圧達成後も二〇分間は全量排気を継続し、その後も負圧維持のため必要な量以上の排気量があるものと仮定していること、(11)固体状放射性物質は、アニユラス空気再循環設備の除去率九九パーセント以上のフイルターによつて除去されるため、外部への放出は極めて微量なものであり、無視することができること、なお、格納容器に閉じ込められている放射性物質から出る放射線が、格納容器を貫通して直接的に、あるいは関接的に人体に達することによる被ばく評価には、格納容器内に浮遊している固体放射性物質による寄与分を考慮していること、(12)重大事故及び仮想事故における蒸気発生器細管破断事故においては、右事故が、一次冷却水中の放射性物質量が、燃料被覆管の破損率が五パーセント(平常運転時の破損率の評価の五倍に当たる)の状態で原子炉を運転しているときの量にあるときに発生するものと仮定していること、(13)同右事故の場合には、蒸 物質量が、燃料被覆管の破損率が五パーセント(平常運転時の破損率の評価の五倍に当たる)の状態で原子炉を運転しているときの量にあるときに発生するものと仮定していること、(13)同右事故の場合には、蒸気発生器細管の破断部から一次冷却水が流出し、原子炉停止系によつて、原子炉の停止がなされた後、原子炉内の放射性物質から出る崩壊熱は二次系の安全弁から放出される蒸気によつてその熱が除去され、更に、ECCSのうちの高圧注入系が作動してこれを冷却する。 ント(平常運転時の破損率の評価の五倍に当たる)の状態で原子炉を運転しているときの量にあるときに発生するものと仮定していること、(13)同右事故の場合には、蒸気発生器細管の破断部から一次冷却水が流出し、原子炉停止系によつて、原子炉の停止がなされた後、原子炉内の放射性物質から出る崩壊熱は二次系の安全弁から放出される蒸気によつてその熱が除去され、更に、ECCSのうちの高圧注入系が作動してこれを冷却する。その結果、一次系の圧力は減少し、約三〇分後には主蒸気安全弁の設計圧力以下となり、その閉鎖が可能になること、(14)右同事故において、外部へ放出される有機ヨー素は一次冷却系から二次冷却系へ放出された有機ヨー素の一〇分の一と仮定されている(右については当事者間に争いがない)が、有機ヨー素は熱的に極めて不安定なものであり、高温条件では加水分解する性質を有しているため、加圧水型原子炉の一次冷却水等の温度である三〇〇度C又はそれ以上では急速に分解し、その量を減少するが、短時間のうちに生成と分解との反応が平衡状態に達し、有機ヨー素の量は一定となる。そして、有機ヨー素の量は全ヨー素に対する比率で見て、当初でも〇・二パーセント以下であり、平衛状態に達したときは〇・一パーセント以下に過ぎなくなること、(15)右同事故で外部へ放出される無機ヨー素は一〇〇分の一と仮定している(右については当事者間に争いがない)が、右事故が発生した場合、無機ヨー素はまず一次冷却水とともに右破断部から蒸気発生器二次側の液相部に流出した後、右液相部から蒸気発生器の気相部に移行する。この事故時の温度条件では、無機ヨー素はそのすべてが水に溶けており、直接揮発して気相部へ移行するものはほとんどない。このため無機ヨー素は液相部から気相部へ移行する場合には 発生器の気相部に移行する。この事故時の温度条件では、無機ヨー素はそのすべてが水に溶けており、直接揮発して気相部へ移行するものはほとんどない。このため無機ヨー素は液相部から気相部へ移行する場合には、蒸気に巻き込まれた微細な水滴に溶けたままの形態で移行するが、気相部に移行した無機ヨー素は、更に、蒸気発生器出口を通り、主蒸気管に設けられている大気放出弁へと移行していく。そして、右蒸気発生器出口付近には気水分離器が設置されていて、蒸気の湿分調節がなされるため、水滴に溶けたままの形態で気相部へ移行した無機ヨー素が外部へ出る割合は、蒸気発生器出口の湿分含有率によつて決まることになり、本件原子炉の場合、右湿分の合有率は〇・二五パーセント以下に保持されるので、最大の場合でも四〇〇分の一になること、(16)本件災害評価においては、本件敷地の地形等を考慮すると地表四〇メートルの高度に逆転層が存在し、四〇メートル以下のみ放射性雲が均一に分布するとするヒユーミゲーシヨンによる評価よりも、事故時に放出される放射性雲の中心に人がいるとの仮定を用いるパスキル式による評価の方が厳しい評価結果となること、そのため本件原子炉設置許可申請書添付書類の記載を訂正し、申請当初のヒユーミゲーシヨンによる評価をパスキル式に変更したこと、(17)本件災害評価における大気安定度は一番厳しい評価となるFとし、風速は現地で年間に観測された風速の九七パーセントの所にある二・五メートルとし、その他拡散条件を現地での観測より厳しく設定したことがいずれも認められる。 を用いるパスキル式による評価の方が厳しい評価結果となること、そのため本件原子炉設置許可申請書添付書類の記載を訂正し、申請当初のヒユーミゲーシヨンによる評価をパスキル式に変更したこと、(17)本件災害評価における大気安定度は一番厳しい評価となるFとし、風速は現地で年間に観測された風速の九七パーセントの所にある二・五メートルとし、その他拡散条件を現地での観測より厳しく設定したことがいずれも認められる。次に、蒸気発生器細管破断事故の想定において、一次冷却材中の希ガスの初期放射能濃度及び事故後に追加放出される希ガスの放射能の量が、本件原子炉の場合と玄海一、二号炉、美浜一、二号炉、高浜一号炉等の場合とでは異なり、また、一次冷却材中の おいて、一次冷却材中の希ガスの初期放射能濃度及び事故後に追加放出される希ガスの放射能の量が、本件原子炉の場合と玄海一、二号炉、美浜一、二号炉、高浜一号炉等の場合とでは異なり、また、一次冷却材中のヨー素濃度については、本件原子炉の場合と玄海一号炉の場合は等しいが、高浜一号炉の場合は異なることはいずれも当事者間に争いがない。右につき、被告は、希ガスについて、本件原子炉の場合と九州電力玄海一号炉の場合とで差があるのは、安全審査会が昭和四六年七月六日付で最近の知見をまとめて作成した「被ばく計算に用いるエネルギー計算について」と題する資料のデータを本件原子炉で用いたからであり、本件原子炉の場合と玄海二号炉の場合とで差があるのは、玄海二号炉の場合には従来被ばく評価に際し、被ばく線量がごく小さいから考慮する必要がないとされていた核種まで考慮したためである旨、また、ヨー素については、原子力委員会月報一四巻、一二号に掲載された高浜一号炉の安全審査報告書において、同報告書中のヨー素の濃度を、印刷ミスにより、八・五とすべきところ誤つて八五と記載したものであり、実際には本件原子炉の場合と同様である旨主張するが、右主張事実を直接認めるに足る証拠はない。しかし、一次冷却材中のヨー素の濃度が本件原子炉と玄海一号炉とで違わないことについては当事者間に争いがなく、右事実及び前顕乙第二五号証に照らすと、高浜一号炉の一次冷却水中のヨー素濃度に問題があることがうかがわれる。次に、前顕乙第二五号証によれば、希ガスの追加放出放射能量は、発電所の出力にほぼ比例するものでること、美浜二号炉、高浜一号炉等でもこの放出は考慮されていること、昭和四六年七月六日にエネルギーの計算方法を計算の結果が小量になる方法に変更したことがいずれも認められ、右事実及び特に本件原子炉で希ガスの初期及び 前顕乙第二五号証に照らすと、高浜一号炉の一次冷却水中のヨー素濃度に問題があることがうかがわれる。次に、前顕乙第二五号証によれば、希ガスの追加放出放射能量は、発電所の出力にほぼ比例するものでること、美浜二号炉、高浜一号炉等でもこの放出は考慮されていること、昭和四六年七月六日にエネルギーの計算方法を計算の結果が小量になる方法に変更したことがいずれも認められ、右事実及び特に本件原子炉で希ガスの初期及び 炉、高浜一号炉等でもこの放出は考慮されていること、昭和四六年七月六日にエネルギーの計算方法を計算の結果が小量になる方法に変更したことがいずれも認められ、右事実及び特に本件原子炉で希ガスの初期及び追加放出濃度を恣意的に又は誤つて評価したことを認めるに足る資料のないことに照らせば、本件原子炉においては、他の原子炉と異なるデー夕を用いて評価したものと推認される。右認定を左右するに足る証拠はない。したがつて、前示争いのない事実は前示認定を左右するものではない。そして、前記各認定事実と前顕甲第三六号証を総合すると、本件災害評価における被ばく線量は相当と認められる。ところで、原告らは、蒸気発生器細管の複数本破断及びそれによる炉心溶融を考慮して災害評価をなす必要がある旨主張する。しかし、本件安全審査において蒸気発生器細管は健全であり、安全性は維持されると判断されたこと、右判断は相当と認められることは前記のとおりであり、これと前記立地審査指針の目的とを併せ考えれば、蒸気発生器細管の複数本破断まで考慮して災害評価をなすべき必要性は見出し難い。のみならず、前記のとおり、蒸気発生器細管破断事故が発生しても、炉心の状態は一次冷却系の大口径配管破断の場合に比べて厳しいものでないと評価されていること、前顕乙第一号証の二及び弁論の全趣旨によれば、蒸気発生器細管破断の場合には高圧注入ポンプ(定格作動圧力約七六気圧)によつて、七六気圧以上の圧力にも対抗して炉心内に注水することができるものと認められることに照らし、蒸気発生器細管の破断により炉心溶融に至ることはないと認められる。右認定を左右するに足る証拠はない。したがつて、前記原告らの主張は理由がない。また、原告らは、今までの原子炉の安全審査における災害評価において、格納容器の漏洩率、大気中への放射能の拡散条件がまち 。右認定を左右するに足る証拠はない。したがつて、前記原告らの主張は理由がない。 抗して炉心内に注水することができるものと認められることに照らし、蒸気発生器細管の破断により炉心溶融に至ることはないと認められる。右認定を左右するに足る証拠はない。したがつて、前記原告らの主張は理由がない。また、原告らは、今までの原子炉の安全審査における災害評価において、格納容器の漏洩率、大気中への放射能の拡散条件がまち 。右認定を左右するに足る証拠はない。したがつて、前記原告らの主張は理由がない。また、原告らは、今までの原子炉の安全審査における災害評価において、格納容器の漏洩率、大気中への放射能の拡散条件がまちまちであり、安全審査のずさんさを示す旨主張する。右原告ら主張の如く各安全審査における格納容器の漏洩率、大気中への放射能の拡散条件が各発電所で異なることについては当事者間に争いがないが、しかし、格納容器の漏洩率や気象条件、放射性物質の放出高さ等は各発電所で異なることは、各発電所の設計、気象等に差異がある以上、各発電所によつて右の点について相違するのが通常であり、かつ、原子炉立地審査指針一の一-二の右の定めも、このことを予想している趣旨と解される。のみならず、原告らの右主張事実は直ちに前示認定を左右するものではない。更に、原告らは、本件災害評価において、食物連鎖による被ばく評価をしていない(右については当事者間に争いがない)のは不当である旨主張する。たしかに前記指針二の二-一は「人がいつづけた」場合の居住者の被ばく線量によつて、非居住区域の範囲を定め、同二-二には「何らの措置も講じない」場合の居住者の被ばく線量によつて低人口地帯の範囲を定めているが、右指針の定めるところが、居住者が通常の生活をしている場合をいう趣旨であると解すると、個々の居住者によつて被ばく線量が異なることとなり、ひいては、地域により、画一的に右離隔を図ろうとする立地審査指針の目的を達することができなくなる。したがつて、右指針二-一の「人がいつづけた」場合とは単に人がそこにとどまつていることをいう趣旨と解すべきであり、右指針二-二の「何らの措置も講じない」場合とは積極的に事故に対する防災対策を採らない場合をいう趣旨とのみ解すべきで、いずれの場合も食物連鎖による被ばくまで考慮する ことをいう趣旨と解すべきであり、右指針二-二の「何らの措置も講じない」場合とは積極的に事故に対する防災対策を採らない場合をいう趣旨とのみ解すべきで、いずれの場合も食物連鎖による被ばくまで考慮することを要求する趣旨と解することはできない。 右指針二-二の「何らの措置も講じない」場合とは積極的に事故に対する防災対策を採らない場合をいう趣旨とのみ解すべきで、いずれの場合も食物連鎖による被ばくまで考慮する ことをいう趣旨と解すべきであり、右指針二-二の「何らの措置も講じない」場合とは積極的に事故に対する防災対策を採らない場合をいう趣旨とのみ解すべきで、いずれの場合も食物連鎖による被ばくまで考慮することを要求する趣旨と解することはできない。以上により前記原告らの主張は理由がない。なお、原告らは、本件安全審査における想定事故の内容、経過の仮定が不合理であるとして、請求の原因第五章の第四の四の3掲記のとおり主張する。しかしながら、原告らの右主張は前記立地審査指針の解釈と異なる見地に立つものであり、かつ、原告らの主張する想定事故の内容、経過についての仮定が、本件災害評価における仮定と比べて合理性があることを裏付ける事実を認めるに足る資料はない。したがつて原告らの右主張は理由がない。その他前示各認定を左右するに足る証拠はない。(四) 以上により、本件安全審査において、前記のとおり災害評価をなしたこと、右災害評価に基づき木件原子炉の敷地は万一の事故の場合にも、周辺公衆の安全を確保できるものであると判断したことは、相当と認められる。2 推定事故について原告らは、本件敷地については、後藤マツプの七五年期待値により、卓越周期を〇・三秒とする三九〇ガルという高い地震動が予想され、四国沖、南海トラフを震源地とする巨大地震では、三七一ガルないし一〇六三ガルという巨大な地震動が予想され、また、中央構造線の活断層部分の長さを一〇〇キロメートルとすると、マグニチユード八・二の巨大地震の発生が予想され、その震源地が本件敷地から五〇キロメートル離れていても卓越周期〇・五秒とすると三一〇ガルの地震動が推定され、また、被告が採用している一七四九年(寛延二年)五月二五日の伊予宇和島沖地震において、飯田式により震源の深さを求めると約一〇キロメートルとなり、金井式によつて とすると三一〇ガルの地震動が推定され、また、被告が採用している一七四九年(寛延二年)五月二五日の伊予宇和島沖地震において、飯田式により震源の深さを求めると約一〇キロメートルとなり、金井式によつて本件敷地の地震動を求めると約三四〇ガルとなり、更に、震央距離を用いた金井式によると、約四二八ガルの地震動となる。 和島沖地震において、飯田式により震源の深さを求めると約一〇キロメートルとなり、金井式によつて とすると三一〇ガルの地震動が推定され、また、被告が採用している一七四九年(寛延二年)五月二五日の伊予宇和島沖地震において、飯田式により震源の深さを求めると約一〇キロメートルとなり、金井式によつて本件敷地の地震動を求めると約三四〇ガルとなり、更に、震央距離を用いた金井式によると、約四二八ガルの地震動となる。したがつて、本件原子炉の主要施設の耐震設計では右いずれの地震動にも耐えられず、破滅的な大災害に至る旨請求の原因第五章の第四の五掲記のとおり主張する。しかし、後藤マツプの地震の規模は、本件敷地に適用し難いものであること、四国沖、南海トラフを震源地とする巨大地震が本件敷地に影響を及ぼす程度は小さいものであること、中央構造線による地震の規模も、仮にあつたとしてもマグニチユード七程度であること、右原告ら主張の地震について金井式で震央距離により計算し、又は軟弱地盤に適用すべき方式の金井式で計算し、本件敷地における地震動を求めることはいずれも妥当でないことは、すでに認定したとおりであり、前顕乙第六一号証及び証人iの証言によれば、原告らのいう「飯田の式」は原告らが主張する地震の震源の深さを求めるための公式ではないことが認められる。前示「原子力発電所における設計地震の策定に関する研究」で、この公式により震源の深さを定めることは右認定を左右するものではなく、他に右認定を覆すに足る証拠はない。そうすると、その余の点について判断するまでもなく原告らの右主張は理由がない。第六本件許可処分の違法性の問題について 1 手続上の違法性の問題について前顕第二掲記のとおり本件原子炉の設置許可処分手続には、これを取り消すべき違法は見出し難い。2 本件許可処分の内容上の違法性の問題について(一) 本件安全審査において、本件原子炉施設の位置、構造及び設備が、安全設 り本件原子炉の設置許可処分手続には、これを取り消すべき違法は見出し難い。2 本件許可処分の内容上の違法性の問題について(一) 本件安全審査において、本件原子炉施設の位置、構造及び設備が、安全設計審査指針、立地審査指針等の審査の基準に適合すると判断されたことについては当事者間に争いがなく、前示第三ないし第六の認定、判断及び弁論の全趣旨に照らすと、本件安全審査において、本件原子炉の基本設計が安全設計審査指針、立地審査指針その他の原子力発電所設置における審査の基準に適合するとした右判断は相当と認められ、ひいては本件原子炉施設は規制法二四条一項四号に適合するものとした被告の判断及び四国電力の技術的能力が同条一項三号に適合するとした被告の判断はいずれも相当と認められる。 事者間に争いがなく、前示第三ないし第六の認定、判断及び弁論の全趣旨に照らすと、本件安全審査において、本件原子炉の基本設計が安全設計審査指針、立地審査指針その他の原子力発電所設置における審査の基準に適合するとした右判断は相当と認められ、ひいては本件原子炉施設は規制法二四条一項四号に適合するものとした被告の判断及び四国電力の技術的能力が同条一項三号に適合するとした被告の判断はいずれも相当と認められる。(二) いわゆる「めやす線量」については、すでに述べた立地審査指針における想定事故が、原子炉と周辺環境との離隔を図るための手法として利用されているものに過ぎず、当該原子炉の規模、型式、周辺環境等具体的な事実を判断の要素として取り込むものの、事故の原因、経過等は仮定的なものであつて、現実に原子炉事故が発生した場合の現象を想定するものではないことはもちろん、事故そのものの発生を想定するものでもないから、想定事故が現実に発生した場合を考えて、その被ばくをうんぬんすることは意味がない。そして、立地審査指針に定める「めやす線量」の意義は、上記の各条件を基として、原子炉と周辺環境との距離関係を定める因子でしかなく、現実に周辺住民がこの線量の被ばくをすることは全く予定されていないものであるから、その危険性を理由として違法性を判断すべき筋合のものではない。(三) 以上認定のとおりとすると、更にその余の点について判断するまでもなく、本件原子炉の設置を認めることは原告らの基本的人権を侵害するか の危険性を理由として違法性を判断すべき筋合のものではない。(三) 以上認定のとおりとすると、更にその余の点について判断するまでもなく、本件原子炉の設置を認めることは原告らの基本的人権を侵害するから、基本法及び規制法は憲法一三条、一四条、二五条、二九条に違反するとの原告らの主張は理由がないものというべきである。第七結語よつて、本件許可処分は、これを取り消すべき違法は認め難いから、同処分の取り消しを求める原告らの請求は理由なきものとしてこれを棄却し、訴訟費用の負担については民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用し、主文のとおり判決する。(裁判官柏木賢吉金子與岡部信也)別紙一当事者の表示(省略)別紙四-七(省略)参考(理由中の当事者の主張等からの引用部分を摘記する。-編注)(原告らの請求の原因)第二章本件許可処分の手続の違法性四本件許可処分手続の規制法等違反 は認め難いから、同処分の取り消しを求める原告らの請求は理由なきものとしてこれを棄却し、訴訟費用の負担については民事訴訟法八九条、九三条一項本文を適用し、主文のとおり判決する。(裁判官柏木賢吉金子與岡部信也)別紙一当事者の表示(省略)別紙四-七(省略)参考(理由中の当事者の主張等からの引用部分を摘記する。-編注)(原告らの請求の原因)第二章本件許可処分の手続の違法性四本件許可処分手続の規制法等違反 2 本件許可処分は法的手続を履践していないそこで右1の各手続が本件許可処分で守られたか否かについて検討する。まず(1)の周辺住民の同意はまつたくなされていない。逆に国、県及び町は一私企業たる四国電力と一体となつて、あるときは金をバラまき、あるときは恫喝し、また、あるときは嘘言を用いる等して、金と力での種々の不当な方法で反対住民を切り崩していつたもので、住民の同意をとるなどとはほど遠い状況にあつた。すなわち国、県、町及び四国電カは一体となつて、金で住民の命を買収し、力で住民の命を奪つた。(2) の伊方原子力発電所の全資料を提出する点についても、まつたく履行されていないどころか、本件訴訟で裁判所から提出命令が出された後である現時点でも、違法に資料の提出を拒む有様である。また、(3)の公聴会の開催も、まつたく行なわれていない。単に安全審査会の会長xをはじめと ないどころか、本件訴訟で裁判所から提出命令が出された後である現時点でも、違法に資料の提出を拒む有様である。また、(3)の公聴会の開催も、まつたく行なわれていない。単に安全審査会の会長xをはじめとして政府委員会のメンバーが<地名略>町民らに対し、「原子力発電所は安全だ」、「そこから放射能が放出されることはない」、「原子力エネルギーはクリーンエネルルギーだ」と虚偽の宣伝を四国電力とともに一方的に行つていたにすぎない。そして原告ら住民が、原子方発電所についての知識を得るために講師を呼んで集会をしようとすると、これを妨害するという不当な対応に出てきたのが、愛媛県、伊方町、保内町及び四国電力である。(4) の周辺住民に対する伊方原子力発電所の設置についての告知、聴聞の手続という極めて簡単に住民の声を聞くことができる手続も行なわれていない。伊方原子力発電所が周辺住民の生命、身体等に何らかの被害なり、影響を及ぼすであろうことは、規制法二三条、二四条の規定の体裁、安全設計審査指針、立地審査指針の内容そして告示二条の〇・五レムの定めから直ちに理解できるところである。 伊方町、保内町及び四国電力である。(4) の周辺住民に対する伊方原子力発電所の設置についての告知、聴聞の手続という極めて簡単に住民の声を聞くことができる手続も行なわれていない。伊方原子力発電所が周辺住民の生命、身体等に何らかの被害なり、影響を及ぼすであろうことは、規制法二三条、二四条の規定の体裁、安全設計審査指針、立地審査指針の内容そして告示二条の〇・五レムの定めから直ちに理解できるところである。そうすると、前掲「第三者の所有物没収事件」における最高裁の判断及びその他の適正手続の判例、更に道路運送法一〇三条、一二に条の二、一項、二項に告知、聴聞等の手続が定められていること等に鑑みると、原子力発電所の設置手続においてはどのように緩く考えたとしても、告知、聴聞の機会が周辺住民に与えられなければならないことは云うまでもない。このような手続も本件ではなされていないということは手続的にはどうにも救いようがない審査であるといわざるをえない。(5) の原子力委員会の自主性ある審査もまつたく守られていない。それは規制すべき安全審査会と本来推進する立場にある通産省技術顧問会との合同会議の開催であ いようがない審査であるといわざるをえない。(5) の原子力委員会の自主性ある審査もまつたく守られていない。それは規制すべき安全審査会と本来推進する立場にある通産省技術顧問会との合同会議の開催であり、また原子力委員会、安全審査会には独自の調査研究設備がなく、単に設置許可申請書を書面上チエツクするだけのものであり、それも安全審査会の委員すべてが非常勤という無責任体制のために実質的な仕事は全部科学技術庁の役人がこれを行つたということになる。これでは、審査結果は審査前から明らかである。最後に、(6)の他事考慮の排除という行政行為をするについて守らなければならない原則に対しても、被告は違反している。被告はエネルギーが要るから伊方原子力発電所の設置も許されるべきだと主張する。しかし、法二四条一項各号の許可基準のどこにエネルギーが要る場合には原子力発電所を許可してもよいと規定しているのであろうか。法二四条一項各号は安全でなければ許可をしてはならないと明記している。被告の主張は余りにも明らかな他事考慮である。右のように、本件許可処分手続はまつたくずさんで、なきに等しいが、そのずさんの証左を一次冷却水取水問題にみてとることができる。 力発電所の設置も許されるべきだと主張する。しかし、法二四条一項各号の許可基準のどこにエネルギーが要る場合には原子力発電所を許可してもよいと規定しているのであろうか。法二四条一項各号は安全でなければ許可をしてはならないと明記している。被告の主張は余りにも明らかな他事考慮である。右のように、本件許可処分手続はまつたくずさんで、なきに等しいが、そのずさんの証左を一次冷却水取水問題にみてとることができる。当初、四国電力は伊方原子力発電所の運転し必須の淡水を<地名略>の地下水から一日三〇〇〇トンづつとることを計画し、本件許可申請をした。四国電力は右許可申請書において、<地名略>には伊方原子力発電所の淡水を取水しても十分な地下水がある。また<地名略>から取水するについての同意を得ていると記載した。しかし、四国電力の右各記載はすべて事実に反するもので、四国電力が何者かと図つて捏造したものである。このため、原告らは、<地名略>の地下水にはすでに塩分が上つてきてその利用は飽和状態を通り超しつつあることを愛媛県、愛媛大学及び自らの足 に反するもので、四国電力が何者かと図つて捏造したものである。このため、原告らは、<地名略>の地下水にはすでに塩分が上つてきてその利用は飽和状態を通り超しつつあることを愛媛県、愛媛大学及び自らの足で集めたそれぞれの科学的資料を持つて、本件審査中に科学技術庁に訴えた。原告らの「<地名略>には水はない」との訴えが正しいか否か、すなわち<地名略>の地下水から毎日三〇〇〇トンの伊方原子力発電所の取水が可能か否かは、原子力委員会なり安全審査会の委員が愛媛県を訪れ、<地名略>を訪れて資料にあたり、かつ素人の原告らにもできる程度の現地調査で容易に確認することができる。それにもかかわらず、被告は本件許可処分をなし、伊方原子力発電所の淡水を<地名略>の地下水から取得することを認めた。ところが、流石に被告も<地名略>の地下水には伊方原子力発電所の淡水の余裕がないことを無視できずに、本件許可処分後直ちに四国電力をして淡水取水方法について変更申請を提出させて、淡水を世界にも例のないかつ不安定な海水淡水化装置から大量に取水するという異例の許可をせざるをえなかつたのである。すなわち、淡水確保の適否の有無は、本件審査の対象となつている他の事項とは異なり伊方原子力発電所を運転すれば直ちに明らかに判明することであつて、被告としては何としてもいい逃れできない事項であるから、問題となる以前に手を打つておかなければならないことだつたのである。 いて変更申請を提出させて、淡水を世界にも例のないかつ不安定な海水淡水化装置から大量に取水するという異例の許可をせざるをえなかつたのである。すなわち、淡水確保の適否の有無は、本件審査の対象となつている他の事項とは異なり伊方原子力発電所を運転すれば直ちに明らかに判明することであつて、被告としては何としてもいい逃れできない事項であるから、問題となる以前に手を打つておかなければならないことだつたのである。右の淡水の経緯は、本件審査における二つの問題を鋭く指摘する。一つは、四国電力の本件許可申請が全体にわたつて事実の捏造ないしは歪曲に基づくものと考えざるをえないことであり、いま一つは、被告の安全審査はまつたく名ばかりで、申請者たる四国電力の申請を鵜呑にしているものであつて、安全についての審査というものではないということである。本件 ものと考えざるをえないことであり、いま一つは、被告の安全審査はまつたく名ばかりで、申請者たる四国電力の申請を鵜呑にしているものであつて、安全についての審査というものではないということである。本件審査には、右各重大な手続の欠落、違反があることからして、本件許可処分は違法として取消されなければならない。3 本件審査手続の概要と個別的瑕疵(一) 四国電力から伊方原子力発電所設置許可申請を受けた被告から、原子力委員会に対する諮問は、昭和四七年五月一一日第一八回原子力委員会定例会議に他の案件とともに付議された。そして原子力委員会は、事務局から同炉の安全性について簡単な説明聴取を受けた上、これを安全審査会に検討させることを委員長から安全審査会宛に指示する旨決定した。(二) 安全審査会における審査手続の瑕疵(1) 右の指示により安全審査会は同年五月一二日付地第一〇一回審査会において、伊方炉の安全性を実質的に審査するため、第八六部会を設置し、同部会委員九名をその各専門分野に応じて選任した。その後、安全審査会は、同年一一月一七日付第一〇七回審査会において「四国電力(株)伊方発電所の原子炉の設置に係る安全性について」と題する最終報告書(以下、本件安全審査報告書と略称する)を審議決定するまで約六か月の間に、合計七回審査会が開催されているが、右審査会における安全審査には、次のような瑕疵があつた。すなわち、(2) 右審査会における審査手続は、総体として、いずれも極めて形式的になされ他の多数案件とともに、短時間で終了せられており、そして右審査は、すべて第一〇一回会合(昭和四七年五月一二日開催)において指名された第八六部会委員によつてなされたに等しく、審査会においては、第一〇六回会合(同年一〇月一一日開催)において第八六部会からの中間報告を受け、第一〇七回 全審査には、次のような瑕疵があつた。すなわち、(2) 右審査会における審査手続は、総体として、いずれも極めて形式的になされ他の多数案件とともに、短時間で終了せられており、そして右審査は、すべて第一〇一回会合(昭和四七年五月一二日開催)において指名された第八六部会委員によつてなされたに等しく、審査会においては、第一〇六回会合(同年一〇月一一日開催)において第八六部会からの中間報告を受け、第一〇七回 会合(昭和四七年五月一二日開催)において指名された第八六部会委員によつてなされたに等しく、審査会においては、第一〇六回会合(同年一〇月一一日開催)において第八六部会からの中間報告を受け、第一〇七回会合(同年一一月一七日開催)において第八六部会からの報告書案を形式的審査で了承したに過ぎない。(3) 第一〇二回から第一〇五回会合においては、第八六部会からの見るべき協議事項や、審査会から同部会への格別の指示事項などは全くなく、すべて部会まかせとなつていた。(4) 審査会には、ほぼ毎回、審査会運営規程には認められていない代理出席の審査委員が存するという瑕疵がある。(5) 殊に第一〇五回審査会では、これを認める規定がないにもかかわらず、代理出席者二名が存し、これと会長を除く委員出席者数はわずか一三各に過ぎず、委員定員三〇名の半数に満たない定足数割れの無効な会合となつている。(6) 同様に、第八六部会選任に当つた第一〇一回審査会においてすら一四名の出席数しかない定足数割れの会合となつている。(7) 加えて部会報告案提出のわずか一か月前である同年一〇月の第一〇六回審査会において、第八六部会へのi、jの各調査委員の追加指名が了承されている。(8) 右審査会の議事録は、極めてずさんなものであつて、国民・住民の生命と安全にかかわる重大な本件審査手続において、その審査対象たる軽水型導入炉に多岐にわたる根本的な技術的問題点、疑問点の数々があるにもかかわらず、このような問題点につき、およそ何らかの実質的審査がなされたとはとうてい認め難い形式的かつ無内容なものである。(三) 第八六部会における審査手続の瑕疵安全審査会から全面的に伊方原子力発電所の安全審査についての実質的判断を委ねられることとなつた第八六部会における審査手続が、これまた極めて形式的でずさ る。(三) 第八六部会における審査手続の瑕疵安全審査会から全面的に伊方原子力発電所の安全審査についての実質的判断を委ねられることとなつた第八六部会における審査手続が、これまた極めて形式的でずさんかつ恣意的なものであつた。 八六部会における審査手続の瑕疵安全審査会から全面的に伊方原子力発電所の安全審査についての実質的判断を委ねられることとなつた第八六部会における審査手続が、これまた極めて形式的でずさ る。(三) 第八六部会における審査手続の瑕疵安全審査会から全面的に伊方原子力発電所の安全審査についての実質的判断を委ねられることとなつた第八六部会における審査手続が、これまた極めて形式的でずさんかつ恣意的なものであつた。すなわち、同部会の審査手続には次のような多くの瑕疵がある。(1) まず、昭和四七年五月一七日付第一回第八六部会における確認内容として、施設関係を担当するAグループ(k、l、m、n、o、p)六名と、環境関係を担当するBグループ(k、m、q、r、s、t、u、v)八名とに分かれ調査審議することとし、各委員の前記特定専門分野についての調査審議分担を定めたうえ、その各担当委員による調査審議を適宜行うこととされた(なお、k委員は部会長となつた関係で、m委員は耐震工学分野の担当委員となつた関係で各A・B両グループに属することとされた)。すなわち、伊方原子力発電所に係る多岐にわたる分野の安全審査は結局のところ、その各分野につき、例えば核燃料関係はo委員、耐震設計関係はm委員、地震関係はq委員、計測及び制御系統施設、安全防護施設の機能等についてはn委員というように、特定分野についていずれも非常勤の特定の担当委員一名が各グループ内審査遂行の事実上の担当者上なり、同グループ内においても、一分野の担当者は、他分野の調査審議の個別的過程についてまでは互いに関与せず、また判断能力も有しない状況であり、せいぜいその調査審議の抽象的な結果のみを互いに報告し合う程度の個別的分担審査がなされたにすぎない。例えば伊方炉の核燃料関係についてはo委員唯一人の実質的判断に基づいて、その安全性が結論付けられるという手続が採られており、他委員の担当分野についてもこの点は事実上同様なのである。しかも、原子力委員会あるいは安全審査会については、その組織や議事運営 的判断に基づいて、その安全性が結論付けられるという手続が採られており、他委員の担当分野についてもこの点は事実上同様なのである。しかも、原子力委員会あるいは安全審査会については、その組織や議事運営上の手続的規制が一応あるものの、部会についてはかかる規定が全く存在しないため、部会まかせの審査は、事実上かかる手続的規制を無意味とする如き瑕疵と恣意的審査がなされやすい状況を生ぜしめた。 その組織や議事運営 的判断に基づいて、その安全性が結論付けられるという手続が採られており、他委員の担当分野についてもこの点は事実上同様なのである。しかも、原子力委員会あるいは安全審査会については、その組織や議事運営上の手続的規制が一応あるものの、部会についてはかかる規定が全く存在しないため、部会まかせの審査は、事実上かかる手続的規制を無意味とする如き瑕疵と恣意的審査がなされやすい状況を生ぜしめた。特に部会員をA、Bグループに分けた上、各グループ内の特定専門分野については、担当委員による個別的審査を適宜行うというような前記の個別的分担審査は、合議制の長所を失なわせ、委員相互間による審査上の恣意や誤謬の発見、抑制を不充分にさせ、ますます、審査が形式的ずさんに流れる原因を生ぜしめた。したがつて右決議は違法のものとみられる。加えて、右第一回八六部会は、部会員一二名中、わずか七名の出席を得たのみであるうえ、かかる専門的審査は代理出席になじまないものであるにもかかわらず、q委員においては、その代理としてwを出席させ、かかる違法を黙過したまま審議が進められている。しかも同部会は爾後の審査について、先行炉の審査を参考として調査審議を進めるという、これ又、伊方原子力発電所の審査を手抜きし、形骸化する重大な事項を決定確認しているのであつて、いずれも瑕疵ある手続に他ならない。以下に述べる如きおよそ安全審査の名に値するとは解し得ない形式的審査はこのような不当な審査体制の下で可能となつたのである。(2) 現地調査を除く第八六部会の調査・審議のその後の概要は、昭和四七年五月一七日の第一回第八六部会以降、同年一〇月末日の第七回第八六部会まで毎月一回(同年一〇月のみ二回)の会合が、せいぜい各数時間程度宛開かれたに過ぎない。また、第一回部会に欠席したq委員は、同部会のその後の全会 一回第八六部会以降、同年一〇月末日の第七回第八六部会まで毎月一回(同年一〇月のみ二回)の会合が、せいぜい各数時間程度宛開かれたに過ぎない。また、第一回部会に欠席したq委員は、同部会のその後の全会合にも欠席しており、第二、第五、第六回の各会合においては前記wを再三代理出席させているのに、かかる違法が黙過されており、その余の委員についても例えばm委員が計六回、p委員は計五回の欠席を繰り返すなどの状態の下で審査が進められた。そして、右期間中のA・Bグループの会合については、Aグループは、わずか三回の会合をもつたにすぎず、Bグループはわずか五回(後述(5)の同年九月一四日付第六回Bグループ会合は、未だ部会員でもないi、j両名が参加している瑕疵があるため除くべきものとなる。 せているのに、かかる違法が黙過されており、その余の委員についても例えばm委員が計六回、p委員は計五回の欠席を繰り返すなどの状態の下で審査が進められた。そして、右期間中のA・Bグループの会合については、Aグループは、わずか三回の会合をもつたにすぎず、Bグループはわずか五回(後述(5)の同年九月一四日付第六回Bグループ会合は、未だ部会員でもないi、j両名が参加している瑕疵があるため除くべきものとなる。)会合を開いたにすぎず、その各会合の開催時間もせいぜい数時間に過ぎない。加えて、Aグループの三回の会合のうち、第三回会合はn委員、同様にBグループの六回の会合のうち第一、第四、第六回会合は、いずれもm委員の各々たつた一名の委員のみの出席で開催されたものである。各グループ会合のうち、一応二名以上の出席が認められるのは、Aグループの第一回会合(但し六名中二名欠席)、同第二回会合(同じく二名欠席)の二回と、Bグループの第二回会合(八名中四名欠席)、同第三回会合(同じく二名欠席)、同第五回会合(同じく二名欠席)の三回のみである。しかも、Bグループの一員であるq委員などは、右グループ会合にもすべて欠席したのみか第三回、第五回のBグループ会合に代理として前記wを出席させておりかかる違法の黙過は、具体的な個別分担分野の内容的審査段階における瑕疵であるだけに、重大性があるといえる。なお、このように、部会内における具体的審査を担当したはずのA、Bグループでの審査すら極めて短時間の、四国電 は、具体的な個別分担分野の内容的審査段階における瑕疵であるだけに、重大性があるといえる。なお、このように、部会内における具体的審査を担当したはずのA、Bグループでの審査すら極めて短時間の、四国電力からの申請資料の説明等事情聴取中心の、形式的なものにすぎなかつた。ちなみに右部会及びA、Bグループ計一五回の会合時間を累計しても、頭記約四か月半の第八六部会審査期間当りどんなに多く見積つても四五時間(各会合一回当り三時間として算定)ないし六〇時間(同一回当り四時間として算定)となるに過ぎないもので、仮にこれを併行集中して行なうなら、せいぜい一週間もあれば終了し得る程度のものである。しかも四国電力からの説明等事情聴取のみに止まる形式的審査が長々と引延ばされていたのである。(3) 次に、立地条件(気象、海象、地形、地質、地盤、地震、水利、その他の社会・産業環境条件など)延いては平常時被ばくや温排水公害を含む災害評価等の調査・検討に欠かせない現地調査について述べる。 て算定)となるに過ぎないもので、仮にこれを併行集中して行なうなら、せいぜい一週間もあれば終了し得る程度のものである。しかも四国電力からの説明等事情聴取のみに止まる形式的審査が長々と引延ばされていたのである。(3) 次に、立地条件(気象、海象、地形、地質、地盤、地震、水利、その他の社会・産業環境条件など)延いては平常時被ばくや温排水公害を含む災害評価等の調査・検討に欠かせない現地調査について述べる。昭和四七年五月から同年一〇月にかけ、当初第一〇一回審査会において指名された委員一二名中、一〇名がそれぞれ適宜一回、各わずか一日宛六回に分れて現地に出向いた。しかし、例えばu調査委員においては、Bグループに属し、気象、海象、放射線管理、災害評価部門の調査・検討を担当していたにもかかわらず、現地調査をなした形跡すら認められないこと、殊に、これまたBグループに属するq審査委員などは、現地調査も同年六月、右wにより代行させるという、明らかに重大な瑕疵ある審査がなされた。(4) 現地調査の形式的ずさんさを示す例はこれに止らない。同年八月四日にはr審査委員が自己の専任担当分野である水利、放射線管理(廃棄物処理)の調査に関連して現地に赴いたが、肝心の<地名略>からの取水の余地なきことを見落し さんさを示す例はこれに止らない。同年八月四日にはr審査委員が自己の専任担当分野である水利、放射線管理(廃棄物処理)の調査に関連して現地に赴いたが、肝心の<地名略>からの取水の余地なきことを見落して帰つており、一体何のために選任され、調査に出向いたのかすら疑われざるを得ない事情がある。更に、m審査委員がA、Bグループの一員として、その専任担当分野である耐震設計関係の審査に関連して現地調査をなしたのは、部会中間報告検討過程に入つた同年九月一四日であり、同じく、Aグループの一員として、炉心燃料棒分野とこれに関連した各種事故、災害評価を専任担当したo審査委員が現地調査をなしたのは、中間報告がなされた同年一〇月一一日付第一〇六回審査会のわずか約一週間前である同年一〇月三日という、いずれも極めて遅い時点に過ぎず、最も優先させねばならない現地調査の実施を、このように遅い時点まで怠つていた問題がある。いずれも現地調査がまさに形式的にずさんになされた瑕疵を示すものという他ない。(5) 加えて、右A、Bグループに属するm委員が、科学技術庁原子力局において勝手に委嘱したところの、当時未だ委員ですらなかつたi及びj両名を同行して右九月一四日の現地調査をなし、かつ同時に、同地で、第六回Bグループ会合が右三名により開かれたこととなつているが、これは、第八六部会における著しい恣意的審査の瑕疵を示すものとして極めて重要である。 まさに形式的にずさんになされた瑕疵を示すものという他ない。(5) 加えて、右A、Bグループに属するm委員が、科学技術庁原子力局において勝手に委嘱したところの、当時未だ委員ですらなかつたi及びj両名を同行して右九月一四日の現地調査をなし、かつ同時に、同地で、第六回Bグループ会合が右三名により開かれたこととなつているが、これは、第八六部会における著しい恣意的審査の瑕疵を示すものとして極めて重要である。右i、j両名を、まがりなりにも調査委員として事後的に指名することが了承されたのは、右現地調査から一か月余り後である昭和四七年一〇月一一日の第一〇六回審査会に過ぎないから、両名が現にかかる調査及び審査に関与した事実は、とりもなおさず当時、両名においで、部会外の無責任な私的立場から本件安全審査にかかわり、これに影響を与えたことを示すものにほか 回審査会に過ぎないから、両名が現にかかる調査及び審査に関与した事実は、とりもなおさず当時、両名においで、部会外の無責任な私的立場から本件安全審査にかかわり、これに影響を与えたことを示すものにほかならない。しかも右jは、前記現地調査以降、全く本件安全審査手続に関与していないし、事後的指名の了承された第一〇六回審査会にすら出席していない(それ故、同審査会が何を検討して同人の追加指名を了承したのか、また同人らの現地調査や私的会合自体まで追認する趣旨かが疑問となり、これまた、審査会の著しい不公正さを示す事情ともなる。)。また、i調査委員は、右一〇月一一日付の追加指名後、同月末日までのわずか半月余の間、最終報告検討のため開かれた第六、七回第八六部会に一度ずつ参加したに過ぎない。そして、また同委員の分担審査分野である地質、地盤についての安全評価過程には中央構造線の位置に関する審査が欠落している(音波探査資料すら審査会に提出されていない)という、極めて重要な手続的実質審理上の違法が存した点も付言しておきたい。(6) そうすると、伊方原子力発電所の立地条件審査上、早期に最も重点的かつ慎重に取り組まなければならなかつた地盤、地震関係分野の審査手続については、当初これを専任担当すべく選任されたq審査委員が全く審査に関与しなかつたため、ようやく部会審査終了の一か月前に、右i、j両委員をその公正に多大の疑義ある選任手続の下に追加指名したところ、その後はなんらの現地調査もなされず、右両名のうち、i委員のみが二回の部会審査に参加したのみで、わずか一か月後の部会報告がまとめられ、最終決定をみたこととなるのであつて、右手続的瑕疵も非常に重大である。 手続については、当初これを専任担当すべく選任されたq審査委員が全く審査に関与しなかつたため、ようやく部会審査終了の一か月前に、右i、j両委員をその公正に多大の疑義ある選任手続の下に追加指名したところ、その後はなんらの現地調査もなされず、右両名のうち、i委員のみが二回の部会審査に参加したのみで、わずか一か月後の部会報告がまとめられ、最終決定をみたこととなるのであつて、右手続的瑕疵も非常に重大である。仮に、右q委員に、その選任当初からこのように部会審査活動をなし得ない特段の事情が存したというのであれば、第一〇一 がまとめられ、最終決定をみたこととなるのであつて、右手続的瑕疵も非常に重大である。仮に、右q委員に、その選任当初からこのように部会審査活動をなし得ない特段の事情が存したというのであれば、第一〇一回審査会における委員選任手続上の不注意自体責められるべきものであり、他方、かかる不都合が判明した段階において、直ちに同委員を解任した上、新しい審査委員ないしは調査委員を早期に選定すべきものであろう。また、i、j両調査委員についてもこれを審査会において正式に選任してから慎重かつ責任ある現地調査を実施せしめ、部会審査の適正を期すべきは常識なのであつて、かかる恣意的手続がなされたこと自体、審査会延いては原子力委員会が伊方原子力発電所の設置許可基準適合性の意見答申をなすべきことにつき、強い先入観を持ち、やみくもに右答申を急いだ事情をも示すものである。(7) 以上のような簡略な形ばかりの審査を可能とした原因の一つに、既述のとおり、先行炉審査を参考とする旨の第一回第八六部会における確認が存した点にも求められる。しかし、右理由がまさに体のいい口実にしかすぎないこそは、例えば昭和四七年六月、本件部会グループ審査の初期段階において、先行同型炉である関西電力美浜一号炉において安全確保上、極めて重大な多数の蒸気発生器細管損傷事故が生じたことが明らかとなつたにもかかわらず、その原因究明及び伊方炉における十分な対策について何らの審査もなさないまま、部会報告が急がれた事情からしても明らかである(この点についても右部会報告を頭からうのみにした審査会報告及び原子力委員会答申において何らこれにふれるところがなかつたのは当然であつた)。右確認は、第一回第八六部会出席者全員が、先行炉と同型であるから、これと異なる事情なき限り許可をなすべきであるという不当な予断、先入観の下に、本 その原因究明及び伊方炉における十分な対策について何らの審査もなさないまま、部会報告が急がれた事情からしても明らかである(この点についても右部会報告を頭からうのみにした審査会報告及び原子力委員会答申において何らこれにふれるところがなかつたのは当然であつた)。右確認は、第一回第八六部会出席者全員が、先行炉と同型であるから、これと異なる事情なき限り許可をなすべきであるという不当な予断、先入観の下に、本 て何らこれにふれるところがなかつたのは当然であつた)。右確認は、第一回第八六部会出席者全員が、先行炉と同型であるから、これと異なる事情なき限り許可をなすべきであるという不当な予断、先入観の下に、本件審査に当たつたことを示している。本件審査が恣意的形式的に流れたのも、けだし当然というべきであろう。(8) 右部会審査が何らの独自性すらなく、申請者四国電力の形ばかりの申請内容をすべてうのみにして、既定かつ机上の安全性報告を急いだことの有力な事情として、伊方原子力発電所安全運転上不可欠の淡水確保の可否についての初歩的審査が欠如していた点が看過できないので、更に述べれば次のとおりである。前述のように伊方原子力発電所の日常運転上不可欠の淡水取水の可否につき申請者四国電力は実地調査すらなさず、事実は分水余力が皆無であつた<地名略>隣接の<地名略>において、あたかも分水が可能であるかの如き虚偽の申請をした上、設置許可を得ていたものであるが、右虚構に対する地元住民の追及により四国電力は、昭和四八年三月、同取水計画を急拠淡水化装置の付設による給水計画に変更して右設置変更許可申請をなし、昭和四八年四月、これが原子炉の安全性にかかわるものと判断した原子力委員長の指示により、同審査会が右給水装置の安全性を審査したうえ、同年五月二八日右申請が許可された。しかし右安全審査手続においても、先行した伊方原子力発電所安全審査と同様の形式的な、部会(第九七部会)任せの審査がなされた。加えて、第一一三回審査会においては第九七部会委員としてp14某委員(名は不詳)が追加指名されたのに、現実にはなんら具体的審査に関与していない。右は第九七部会審査のずさんさを示している。このような審査会自体及びその部会審査手続を通じて示された以上の如き審査の恣意的、形式的ずさんさは決して偶発 のに、現実にはなんら具体的審査に関与していない。 査と同様の形式的な、部会(第九七部会)任せの審査がなされた。加えて、第一一三回審査会においては第九七部会委員としてp14某委員(名は不詳)が追加指名されたのに、現実にはなんら具体的審査に関与していない。右は第九七部会審査のずさんさを示している。このような審査会自体及びその部会審査手続を通じて示された以上の如き審査の恣意的、形式的ずさんさは決して偶発 のに、現実にはなんら具体的審査に関与していない。右は第九七部会審査のずさんさを示している。このような審査会自体及びその部会審査手続を通じて示された以上の如き審査の恣意的、形式的ずさんさは決して偶発的なものではなく、後述のとおりまさに安全審査体制自体の不備欠陥に由来するものといつても過言ではなく、かかる不備な体制下でなされたこと自体、本件安全審査の瑕疵をもたらすものというべきである。(四) 以上の経緯によつて作成された昭和四七年一一月一七日付第一〇七回審査会の本件安全審査報告書は、事務局作成にかかる答申案とともに、同月二一日、第四六回原子力委員会定例会議に、他案件とともに付議され、右原案どおり被告宛答申することが決定された。なお、右審議に際しては、事務局の説明下に、既述の淡水取水計画についてのみ「地域住民の生活と密接に結びついている問題であり、かつ、一部住民からの要望もあつたので、地元関係者及び申請者において十分の措置を講じられるよう要請」することが決められたが、他には見るべき審議もなされず、疑義と欠陥に満ちた右審査会報告内容がそのまま右答申の基礎とされたのである。(五) なお、原子力委員会は、右答申までに伊方原子力発電所設置許可に関し、事務局である科学技術庁原子力局からの事情聴取をなしている。これは前記(一)の第一八回定例会及び前項の第四六回定例会の二回においてであると思われるが、いずれも議事録上はその内容が不明である。しかも、右原子力局はその際申請者四国電力及びこれと一体となつて伊方原子力発電所設置を促進させて来た愛媛県からの片面的意見聴取をなしたにもかかわらず、原告ら地元住民の設置反対意見について公平な意見聴取に基づく的確な事情調査をなさないまま、数々の不当ある用地問題・漁業問題・関係地方公共団体の決議、あるいは右設置反対運動 聴取をなしたにもかかわらず、原告ら地元住民の設置反対意見について公平な意見聴取に基づく的確な事情調査をなさないまま、数々の不当ある用地問題・漁業問題・関係地方公共団体の決議、あるいは右設置反対運動等についての一般的事情に関する一面的な報告を、原子力委員会になしてその判断に不当な影響を与えたのである。 査をなさないまま、数々の不当ある用地問題・漁業問題・関係地方公共団体の決議、あるいは右設置反対運動 聴取をなしたにもかかわらず、原告ら地元住民の設置反対意見について公平な意見聴取に基づく的確な事情調査をなさないまま、数々の不当ある用地問題・漁業問題・関係地方公共団体の決議、あるいは右設置反対運動等についての一般的事情に関する一面的な報告を、原子力委員会になしてその判断に不当な影響を与えたのである。(六) 第八六部会(第九七部会も同じ)の審査手続における最も重要な手続的瑕疵の一つであり、かつ審査の体制的欠陥の典型を示すものとして、部会議事録の不存在がある。同部会の審査手続が仮に技術的、専門的実質を有し、部会委員の合同審査による独自の慎重な手続でなされたのであれば、その部会議事録が存在しないということはおよそ考えられないものである。すなわち、審査会ひいては原子力委員会には、安全審査資料を公開しないという違法をあえて継続してきた欠陥原子力行政体制の下で、本件審査手続においてもまた、その中心をなす第八六部会における審議期間中、伊方炉の安全性についての多岐にわたる技術的・専門的審査の公正・適正並びに継続性を担保する上に不可欠な、右審査経過及び結果の記録文書作成とその保管を、当初より怠つていた重大な瑕疵が存した。これは原子炉安全規制行政における、、情報公開義務違反の一形態をなすのみか、手続的民主性及び、手終的自主性の欠如を、ことごとく推認せしめる有力な事情ともなるといえる。仮に原告らが、右安全審査手続当時、かかる部会審査記録をも含む安全審査資料一切の公開を受け得ていれば、原告らはその不利益を受ける立場からの真剣さでもつて、手続の公正な遂行を見守るとともに、当然本訴におけるごとき数々の安全性欠如にかかわる問題点を、より早期の段階から指摘して手続の適正を図り、もつて自己の受けた著しい不利益及び不公平を大幅に軽減させ得たはずなのである。(七) とともに、当然本訴におけるごとき数々の安全性欠如にかかわる問題点を、より早期の段階から指摘して手続の適正を図り、もつて自己の受けた著しい不利益及び不公平を大幅に軽減させ得たはずなのである。(七) 審査機関の主体性欠如の違法以上の審査体制欠陥につながる最も基本的な瑕疵としては、次の諸点がある。すなわち、基本法二条の自主的運営規定はその内容の一として、すでに述べたように、原子力委員会が国民の信託に基づく広範な権限下に安全審査をなすに際し、かかる権限なき他者から、審査判断の独立性・自主性にかかわる影響を受けるごとき疑いある手続をとつてはならない旨の規制を定めるものと解される。 なのである。(七) 審査機関の主体性欠如の違法以上の審査体制欠陥につながる最も基本的な瑕疵としては、次の諸点がある。すなわち、基本法二条の自主的運営規定はその内容の一として、すでに述べたように、原子力委員会が国民の信託に基づく広範な権限下に安全審査をなすに際し、かかる権限なき他者から、審査判断の独立性・自主性にかかわる影響を受けるごとき疑いある手続をとつてはならない旨の規制を定めるものと解される。この点問題となるのは、第一に、昭和四七年二月、すでに被告において、電源開発調整審議会(以下電調審という)の議を経て、伊方原子力発電所一号機の建設を電源開発基本計画に組み入れることを決定済であつたことと、第二に、第八六部会の調査審議は、昭和四七年五月一一日の第一〇一回審査会の決定に基づき(ただし、議事録にはかかる決議のなされた記録はないので、はたして、真にかかる決議がなされていたか疑問である。)全て通産省技術顧問会(以下顧問会という)と合同で実施され、右合同審査がなされなかつた会合は、同年九月二九日、同部会がECCS検討会と合同審査をなした一回だけであつた事情の認められること、第三に、原子力委員会及び審査会が独自の事務局を持たず、原子力行政の実施担当機関たる科学技術庁原子力局がすべてその事務を統轄しているため、審査の全過程において、事実上、同庁行政官僚の強い影響を受けざるを得ない体制となつていることの三点であり、第一の点については、原子力委員会が、第二の点については第八六部会が、各々本件設置許可にかかる審査手続に際し、他機関からの影響下で審査をなした瑕疵があるとみられ い体制となつていることの三点であり、第一の点については、原子力委員会が、第二の点については第八六部会が、各々本件設置許可にかかる審査手続に際し、他機関からの影響下で審査をなした瑕疵があるとみられる。右審査における影響を示す事情として、第一の点については、原子力委員会、電調審とも被告機関であつて、前者は後者の先行決定の影響を受けやすかつたと思われるし、殊に、前者の内部機関である審査会委員には、後者と立場を同じくする通産省(電源開発促進法一〇条三項によつて、通産大臣も後者の委員の一員となつている)の内部機関たる顧問会委員との兼任者が多数を占めていることからも、相互間の影響あることは推察される上、原子力委員会が伊方炉設置許可について審査したのは、昭和四七年五月一日、及び同年一一月二一日のわずか二回の定例会議においてであり、他案件とともになしたこの短時間の審議において、同委員会が独自に、規制法二四条一項一ないし四号の許可基準につき、慎重な審査をなしたとは思われず、殊に、同項二号の判断については、いまだ核燃料サイクルすら確立の目途を立たない現状であるにもかかわらず、右電調審の決定に影響されて、同号への適合性を認めた疑いが濃いといいうるのである。 和四七年五月一日、及び同年一一月二一日のわずか二回の定例会議においてであり、他案件とともになしたこの短時間の審議において、同委員会が独自に、規制法二四条一項一ないし四号の許可基準につき、慎重な審査をなしたとは思われず、殊に、同項二号の判断については、いまだ核燃料サイクルすら確立の目途を立たない現状であるにもかかわらず、右電調審の決定に影響されて、同号への適合性を認めた疑いが濃いといいうるのである。また、第二の点については、まずかかる合同審査を許容させる法的根拠、及び合理的理由が皆無である。第一〇一回審査会において合同審査についての決議がなされたとされるが、審査会議事録にはかかる決議の記録はないし、また、かかる決議自体が違法事由となる。顧問会による審査の目的、性格及び手続内容は、電気事業許可及び需給面からの規制にかかる電気事業法との関係で定められた規制法七一条の通産大臣の同意に際し、通産大臣が法定外の手続として、同顧問会の意見を求めるべくなされているもので、その手続的規制もなく、およそ規制法二四 らの規制にかかる電気事業法との関係で定められた規制法七一条の通産大臣の同意に際し、通産大臣が法定外の手続として、同顧問会の意見を求めるべくなされているもので、その手続的規制もなく、およそ規制法二四条による安全規制手続のそれとは、すべて異質のものである。かかる異質の機関が合同審査をなすこと自体、審査会及び第八六部会の中立性、独立性に多大の影響を及ぼすものであるが、まして本件の場合、第八六部会委員一二名(昭和四七年一〇月、追加指名されたi、jを除く、当初からの委員)中、調査委員三名を除いた、いわゆる審査委員九名全員が、この顧問会委員を兼任しており、右審査委員の参加した第八六部会ないしそのグループ会合は、すべて自動的に顧問会との合同審査となり、たとえ審査委員のうち一名しか出席しなかつた場合(グループ会合及び現地調査につき、各四回宛存する)であつても合同審査になるという審査体制が採られている。このように不自然かつ不当な影響が、通産省機関たる立場自体から右各審査委員に生ずること明らかな、主体性・独立性を欠く手続が採られているのである。右審査には重大な瑕疵あることは明らかであつて、これはまさに恣意的手続であると断じてよい。最後に、右第三の点も重要である。これについては、前述のとおり、原子力局の不当な一般的事情の説明が、原子力委員会の審査上、影響を与えたこと明らかな事情があるし、また、前述((三)の(5))のとおり、同局が部会員の選任に不当な影響を与えていた事情も明らかである。 かな、主体性・独立性を欠く手続が採られているのである。右審査には重大な瑕疵あることは明らかであつて、これはまさに恣意的手続であると断じてよい。最後に、右第三の点も重要である。これについては、前述のとおり、原子力局の不当な一般的事情の説明が、原子力委員会の審査上、影響を与えたこと明らかな事情があるし、また、前述((三)の(5))のとおり、同局が部会員の選任に不当な影響を与えていた事情も明らかである。加えて、科学技術庁が一貫して原子炉設置推進の考え方を有してきたこと、及び科学技術庁長官が原子力委員長でもある事情もあいまつて、同庁が企業や原子力委員に対しても、事実上の強い影響力を与え続けてきたことが看取される。また、審査会会長であるxが、自ら四国電力等の要請を受けて、各 術庁長官が原子力委員長でもある事情もあいまつて、同庁が企業や原子力委員に対しても、事実上の強い影響力を与え続けてきたことが看取される。また、審査会会長であるxが、自ら四国電力等の要請を受けて、各地で原子力発電所設置推進講演活動を行つていることも、安全審査会自体が安全規制における主体性・独立性(ないし中立性)を喪失している瑕疵を示す。このような欠陥ある体制の中で、事実上も本件審査に影響を及ぼすがごとき、右恣意的手続が存したことは、同審査の違法事由をなすものという他ないのである。五手続的実質審理上の違法││安全評価過程における適正手続保障義務違反 1 手続的実質審理の違法(一) 一般に国民の生命、身体、財産等、基本権の侵害にかかわる手続において、適正手続保障の理念が重視せられねばならぬことはいうまでもない。それ故、原子力委員会(その内部機構たる安全審査会を含む)は規制法二四条一項四号の適合性にかかる審査手続に際し、設置法二条各号、五条(同一四条の二)等に定められた包括的権限を、規制法一条の「災害を防止して公共の安全を図る」ために「必要な規制」を行うとの目的に則し積極的に行使して、公正かつ適正な安全審査を尽くすべき義務を負う。右義務は、安全規制の目的、内容及び権限を定めた右各法条の合理的解釈により導びかれたものに他ならず、適正手続保障の理念によつて裏付けられるのである。(したがつて右義務違反の主張は、規制法二四条一項四号の基準違反の主張とは法律構成を異にしている。)この様な、いわば適正手続保障義務の違反の瑕疵には、前述四に示した審査手続上の個別的瑕疵、及び審査体制的欠陥にかかる瑕疵も含まれるが、むしろ安全性評価過程における恣意、専断、他事考慮など、いわゆる手続的実質審理上の瑕疵が重要である。 びかれたものに他ならず、適正手続保障の理念によつて裏付けられるのである。(したがつて右義務違反の主張は、規制法二四条一項四号の基準違反の主張とは法律構成を異にしている。)この様な、いわば適正手続保障義務の違反の瑕疵には、前述四に示した審査手続上の個別的瑕疵、及び審査体制的欠陥にかかる瑕疵も含まれるが、むしろ安全性評価過程における恣意、専断、他事考慮など、いわゆる手続的実質審理上の瑕疵が重要である。すなわち、本件設置規制手続において原子力 個別的瑕疵、及び審査体制的欠陥にかかる瑕疵も含まれるが、むしろ安全性評価過程における恣意、専断、他事考慮など、いわゆる手続的実質審理上の瑕疵が重要である。すなわち、本件設置規制手続において原子力委員会は、これにより重大な災厄の危険から公共の安全を守るという規制法一条の規定とその目的に対応し、右安全審査に際し(1)各検討項目につき実証性あるデータの有無、程度、内容を慎重に調査、検討しデータに不備不足ある場合は更に必要なデータを収集することにより許可判断過程の科学的合理性を確保せねばならず(安全評価資料の実証性確保)(2)安全にかかわる重要な機器、装置について合理的な特段の事情により、機器装置自体の安全実験がなされていない場合、一応は模擬実験等によるデータが示されていても殊に、適切ないし十二分な安全余裕を確保、検証することが必要であり、また安全に関するデータのばらつきや評価上の合理的な見解が対立する場合はより慎重な、安全側の数値や見解を採用することが必要であり、(安全評価の充分な保守性確保)、また(3)原子炉施設、機器及びその付属設備並びに核燃料、使用済燃料ないし放射性核分裂生成物質やこれにより汚染された物あるいは温排水や淡水などの個別的規制がそれぞれ全体としての原子炉の安全性に如何なる影響を及ぼすか(安全評価の一体性、包括性確保)平常時及び事故時に放射性核分裂生成物やこれにより汚染された物がどのような経路で、どのような直接、間接の影響を及ぼすか(環境分析)などにかかわる安全性判断過程に必要な判断事項に欠落や重要性評価上の恣意が疑われるものであつてはならず、(審査の欠如と重要性評価の恣意排除)、(4)安全性判断が原子力発電の経済性、必要性、設置準備における既成事実化や設置計画の先行など、安全性に関わりのない諸事情や技術的科学的合理性の 故時に放射性核分裂生成物やこれにより汚染された物がどのような経路で、どのような直接、間接の影響を及ぼすか(環境分析)などにかかわる安全性判断過程に必要な判断事項に欠落や重要性評価上の恣意が疑われるものであつてはならず、(審査の欠如と重要性評価の恣意排除)、(4)安全性判断が原子力発電の経済性、必要性、設置準備における既成事実化や設置計画の先行など、安全性に関わりのない諸事情や技術的科学的合理性の つてはならず、(審査の欠如と重要性評価の恣意排除)、(4)安全性判断が原子力発電の経済性、必要性、設置準備における既成事実化や設置計画の先行など、安全性に関わりのない諸事情や技術的科学的合理性のない予断偏見等によつて左右される疑いがあつてもならず(他事考慮予断偏見の排除)、加えて、(5)安全評価をなすについて、申請者企業を始め原子炉設置促進者の一元的意見のみならず、これとは別に反対の利害をもつ原告ら地元住民や、設置に批判的な技術者、研究者などの職能利害関係人の反対意見を十分に調査、把握してこれを積極的に審査に反映させ、取入れ、又は、これを採用せぬ場合には科学的合理的理由と実験的根拠を明示するという慎重な判断過程を取らなければならない。そして右(1)~(5)に欠ける本件安全評価には、いわば安全評価過程における実質審査上の瑕疵が存することになる。第三章本件許可処分の内容の違法性(その一)第二平常運転時の危険性六原子力発電所周辺における被ばくの実態 2 線量目標値を大幅に上回る環境放射線増加実測値浜岡原子力発電所周辺の環境放射線については、静岡県衛生研究所と中部電力が<地名略>、<地名略>及び<地名略>の三町にわたる四三地点において積算線量を測定しており、六地点における連続線量率測定も中部電力によつて行われている。積算線量の測定には熱ルミネツセンス線量計、線量率の測定にはシンチレーシヨンカウンターが使用されており、ともにガンマ線のみを測定している。これら測定結果は、三か月ごとにまとめられ、静岡県環境放射能測定技術会によつて定期的に発表されている。これら測定値(昭和四七年度から五〇年度)を検討すれば、浜岡原子力発電所の試運転開始前に比べて、試運転開始後に環境放射線の線量が増加していることが判明する。すなわち、昭和四七年度から五〇年 ている。これら測定値(昭和四七年度から五〇年度)を検討すれば、浜岡原子力発電所の試運転開始前に比べて、試運転開始後に環境放射線の線量が増加していることが判明する。 境放射能測定技術会によつて定期的に発表されている。これら測定値(昭和四七年度から五〇年度)を検討すれば、浜岡原子力発電所の試運転開始前に比べて、試運転開始後に環境放射線の線量が増加していることが判明する。すなわち、昭和四七年度から五〇年 ている。これら測定値(昭和四七年度から五〇年度)を検討すれば、浜岡原子力発電所の試運転開始前に比べて、試運転開始後に環境放射線の線量が増加していることが判明する。すなわち、昭和四七年度から五〇年度までの全期間について測定値が取られている三二地点についてのみ、その平均積算線量を、試運転開始前と開始後について求めると、試運転開始時を境として、環境放射線が昭和四九年には年当り平均七・五ミリレム、五〇年には同八・七ミリレム増加していることが判明したのである。かかる浜岡原子力発電所周辺における環境放射線の実測値は、線量目標値なるものが単なる机上の計算期待値にすぎず、とうてい達成されていないものであることを示している。第四章本件許可処分の内容の違法性(その二)││本件原子炉の構造の欠陥││第二伊方原子力発電所に使用される燃料の危険性一炉心の構造と役割(一) 燃料棒燃料棒は低濃縮のウラン二三五を含む二酸化ウランの粉末を一四五〇度C~一七〇〇度Cで直径九・三ミリメートル、高さ約一五・二ミリメートルの円筒状に焼き固めたペレツト約二四〇個を、長さ約三・八メートル、外径約一〇・七ミリメートル、肉厚〇・六二ミリメートルのジルカロイ四製の燃料被覆管に挿入し、炭素鋼コイルバネで押えて上下に端栓をして溶接して作られている。ペレツトは再焼結による焼きしまりの対策として密度九四パーセントに焼結されており、また、被覆管には圧力を高めるため約三〇気圧のヘリウムガスが封入されている。(二) 燃料集合体燃料集合体は、右燃料棒一七九本と一六本の制御棒案内管、一本の計測用モニター管が七個のバネ付支持格子で支えられ、縦横一四本の配列による一辺二〇センチメートル四方の断面積と長さ約四・二メートル、重量六〇〇キログラム弱のほぼ正方形柱となつている。バネ付きの支持格子は モニター管が七個のバネ付支持格子で支えられ、縦横一四本の配列による一辺二〇センチメートル四方の断面積と長さ約四・二メートル、重量六〇〇キログラム弱のほぼ正方形柱となつている。バネ付きの支持格子はインコネルで作られており、燃料棒はバネ力により支持されてはいるが、設計上は軸方向に伸びが許容されることとなつている。 約四・二メートル、重量六〇〇キログラム弱のほぼ正方形柱となつている。バネ付きの支持格子は モニター管が七個のバネ付支持格子で支えられ、縦横一四本の配列による一辺二〇センチメートル四方の断面積と長さ約四・二メートル、重量六〇〇キログラム弱のほぼ正方形柱となつている。バネ付きの支持格子はインコネルで作られており、燃料棒はバネ力により支持されてはいるが、設計上は軸方向に伸びが許容されることとなつている。隣接する燃料棒中心点間隔(ピツチ)は約一四・一ミリメートル、隣接被覆管相互の間隔は約三・四メートルとされているが、組立てのバラつきにより初装荷時においても二・二ミリメートルまで接近しているものがある。肉厚〇・四三ミリメートルの制御棒案内管は、燃料棒よりやや大きい外径を有し、上部で約一三・七ミリメートル、下部で約一二・二ミリメートルとなつているため、制御棒と燃料棒との間隔は燃料棒相互のそれよりやや狭く、二・六ミリメートルから一・七ミリメートル程度となつており、組立のバラつきを考慮するとさらに間隔の小さい場合もありうる。(三) 炉心配置炉心は一二一体の燃料集合体によつて構成され、上部及び下部炉心板により固定され、プレナム部分を除いたウラン燃料の存在する炉心の有効高さは約三・七メートル、等価直径は約二・五メートルのほぼ円柱形状となつている。炉心燃料集合体は非均一多領域燃料装荷法によりほぼ等容積の三領域に分けられ、初装荷時には外周部にウラン二三五を約三・四〇パーセントを含む濃縮度の燃料集合体が、第二領域には約三・〇パーセント、中心部の第一領域には約二・二七パーセントの燃料集合体が用いられ、約一年の運転後三分の一の燃料を中心部から取り出すとともに、新たに外周部に濃縮度約三・四〇パーセントのものを加え、三年以後は平衡炉心を形成する。(四) 炉心の役割炉心の役割は、「ウランの核分裂に伴つて発生する熱エネルギーを一次冷却水に伝達すること に、新たに外周部に濃縮度約三・四〇パーセントのものを加え、三年以後は平衡炉心を形成する。(四) 炉心の役割炉心の役割は、「ウランの核分裂に伴つて発生する熱エネルギーを一次冷却水に伝達すること」にあり、この目的のために燃料被覆管の材料として、機械的にも化学的にも安定であるが中性子吸収率の大きいステンレス鋼を使用せず、ジルカロイ四を使用しており、その肉厚を〇・六二ミリメートルと安全性の観点からはぎりぎりの限界まで薄くしている。 三・四〇パーセントのものを加え、三年以後は平衡炉心を形成する。(四) 炉心の役割炉心の役割は、「ウランの核分裂に伴つて発生する熱エネルギーを一次冷却水に伝達すること」にあり、この目的のために燃料被覆管の材料として、機械的にも化学的にも安定であるが中性子吸収率の大きいステンレス鋼を使用せず、ジルカロイ四を使用しており、その肉厚を〇・六二ミリメートルと安全性の観点からはぎりぎりの限界まで薄くしている。一方原子炉の運転中、燃料被覆管の内部には高出力灼熱のウランがあり、被覆管は内部から高密度の放射線照射を受けており、外部には二八〇度C~三四〇度C、圧力一五七kg/cm2の一次冷却材が毎秒三~五メートルの高速で流れているため、燃料被覆管は極めて苛酷条件にさらされている。このような炉心の技術的不安定からくる危険性は、伊方炉のようにスケールアツプされた原子炉に共通の問題となつている。(五) 本件原子炉も含めた軽水炉の設計にあたつては、使用する燃料の健全性を、過渡状態(原子炉の起動、停止、緊急停止など定常運転時と異つた状態のこと)を含めた平常運転時に保ち得ることだけが要求されており、事故時には、安全防護設備(ECCS)によつてその健全性が保たれれば良いことになつている。したがつて、燃料の安全性を審査する基準として定められている安全設計審査指針中の規定も平常運転時に限られており、事故時の健全性は安全防護設備の有効性の審査の中で保証されるという建前になつている。しかし、平常運転時の燃料の危険は主として燃料体の劣化によつてもたらされ、事故時にはその劣化した燃料体がより苛酷な状態に置かれるのであるから、平常運転時の燃料の健全性と事故時のそれとは分ち難く結びついている。ここでは、一応、平常運転時と事故時とに分けて扱い、両者の関 、事故時にはその劣化した燃料体がより苛酷な状態に置かれるのであるから、平常運転時の燃料の健全性と事故時のそれとは分ち難く結びついている。ここでは、一応、平常運転時と事故時とに分けて扱い、両者の関連については、事故時の危険の際に論じる。二平常運転時の危険 4 続発している燃料棒事故の危険性(一) 事故の種類現在の軽水炉核燃料に関する技術が、いかに未解決で不明な問題をかかえているかということは、国内、外の軽水炉で現在までにひん発している様々な事故が示している。すなわち、(1) 放射性物質に対する第一、第二の障壁といわれている燃料ペレツト、燃料被覆管には、これまで多数の事故が報告されており、原子炉メーカーあるいは電力会社の主張とは裏腹に、炉心部の技術上の不安はますます現実のものとなりつつある。 事故の種類現在の軽水炉核燃料に関する技術が、いかに未解決で不明な問題をかかえているかということは、国内、外の軽水炉で現在までにひん発している様々な事故が示している。すなわち、(1) 放射性物質に対する第一、第二の障壁といわれている燃料ペレツト、燃料被覆管には、これまで多数の事故が報告されており、原子炉メーカーあるいは電力会社の主張とは裏腹に、炉心部の技術上の不安はますます現実のものとなりつつある。事故の内容は燃料棒のつぶれ、曲り、ピンホールの発生、折損である。(2) 燃料棒のつぶれ事故(ア) 外国の事例一九七一年六月、ベズナウ一号炉(スイス)で第二領域の二・三パーセントの燃料棒に長さ一~六センチメートルのつぶれが発見されたが、原因は不明のままである。一九七二年四月、ギネー炉(アメリカ、PWR電気出力五二万キロワツト)で、第一領域に二パーセント、第二領域に七パーセント、第三領域に三・五パーセントのつぶれが発見されている。その他、ポイントビーチ一号炉、H・B・ロビンソン炉でも発見が報告されている。(イ) 日本の事例一九七三年三月、美浜一号炉で第一領域の二〇体につぶれが発見された。(ウ) 原因と対策右つぶれ事故の原因は、ペレツトの再焼結によるペレツト体積の収縮(いわゆるやきしまり)により燃料棒内に生じる空隙が燃料棒内外圧差によつて圧縮されるために生じると考えられている。その対策として、燃料ペレツトの密度を高くし、再焼結の進行を抑え、 ペレツト体積の収縮(いわゆるやきしまり)により燃料棒内に生じる空隙が燃料棒内外圧差によつて圧縮されるために生じると考えられている。その対策として、燃料ペレツトの密度を高くし、再焼結の進行を抑え、被覆管の内圧を高めるために、約三〇気圧のヘリウムガスを封入するようになつた。右対策がとられたことにより、一応つぶれの現象はみられなくなつている。しかし、この対策がとられた結果燃料棒は新たな問題を抱えたことが指摘できる。それは封入されたヘリウムガスが一次冷却材喪失事故((LOCA)の際には燃料棒の内圧を著しく高め、被覆管のふくれ、破裂の可能性を非常に大きくした点である。(3) 燃料棒の曲り事故(ア) 外国の事例一九七二年末、ポイントビーチ一号炉で一一体、一九七三年春H・B・ロビンソン二号炉で七体の燃料集合体の曲り事故が報告されており、一九七二年春、ギネー炉でも同様の曲り事故が報告されている。 えたことが指摘できる。それは封入されたヘリウムガスが一次冷却材喪失事故((LOCA)の際には燃料棒の内圧を著しく高め、被覆管のふくれ、破裂の可能性を非常に大きくした点である。(3) 燃料棒の曲り事故(ア) 外国の事例一九七二年末、ポイントビーチ一号炉で一一体、一九七三年春H・B・ロビンソン二号炉で七体の燃料集合体の曲り事故が報告されており、一九七二年春、ギネー炉でも同様の曲り事故が報告されている。(イ) 日本の事例一九七三年九月、関西電力美浜原子力発電所二号機で燃料集合体に曲りが発見された。この曲りにより、隣接する燃料棒の間隔が一ミリメートル以下になつているもの八体、一・五ミリメートル以下になつているもの八体が確認された。曲りの程度の軽い燃料集合体の数字は発表されていないので不明であるが、相当数にのぼることは明らかである。更に、一九七五年一月、同じ美浜二号機に一二一の燃料集合体のうち半数に近い五一体が一・七ミリメートル以下の間隔に狭まつている、一層拡大された曲り事故が発見された。このうち、継続使用燃料については第一領域で二三体、第二領域で一四体、第三領域一二体の曲りが発見された上、新規装荷された第四領域(第一回定期検査時の第三領域空間)においても二体に曲り事故が生じている。(ウ) 原因と対策曲りり事故の原因は未だ明確になつておらず、したがつ 域一二体の曲りが発見された上、新規装荷された第四領域(第一回定期検査時の第三領域空間)においても二体に曲り事故が生じている。(ウ) 原因と対策曲りり事故の原因は未だ明確になつておらず、したがつて、その対策も確立していないというのが実情である。アメリカで最初に曲り事故が発見された時、ウニスチングハウス社及びアメリカ原子力委員会は、その原因と対策を次のように発表した。「燃料棒に使用されているジルカロイ四と制御棒案内管の材質であるステンレス鋼では熱膨張係数に三倍の違いがある。原子炉運転時にジルカロイ被覆管は熱膨張と照射成長により軸方向に伸びるが、ステンレス鋼製の案内管も膨張しており燃料被覆管と上部ノズル底面にはすき間が残つている。しかし運転停止により温度が下降すると熱膨張係数の大きいステンレス鋼製の案内管が大きく縮み、ノズル底部が被覆管と強く接触し被覆管を曲げてしまう。したがつて上部ノズル底面と燃料棒上端との間隔を十分取つておくか又は制御棒案内管を被覆管と同質のジルカロイにすれば曲りは生じないであろう。 張と照射成長により軸方向に伸びるが、ステンレス鋼製の案内管も膨張しており燃料被覆管と上部ノズル底面にはすき間が残つている。しかし運転停止により温度が下降すると熱膨張係数の大きいステンレス鋼製の案内管が大きく縮み、ノズル底部が被覆管と強く接触し被覆管を曲げてしまう。したがつて上部ノズル底面と燃料棒上端との間隔を十分取つておくか又は制御棒案内管を被覆管と同質のジルカロイにすれば曲りは生じないであろう。」と。美浜二号炉は設置許可申請時にはステンレス鋼製案内管を使用するとされていたが、一九七〇年八月提出された原子炉設置変更許可申請書でジルカロイ製制御棒案内管の使用に変更されている。これらをふまえて、一九七三年夏ウエスチングハウス社は曲り事故について、制御棒案内管にもジルカロイを使用することにしたので問題はすべて解決したと表明した。ところが、美浜二号炉の第一回の曲り事故は、その声明の直後に発見された。その後、美浜二号炉の第一回目の曲り事故について、科学技術庁原子力局は次のような趣旨の見解を発表した。「燃料被覆管と制御棒案内管はともにジルカロイ製ではあるが、両者の熱処理法は異つているため燃料の燃焼に伴い燃料棒と制御棒案内管の間に中性子照射 て、科学技術庁原子力局は次のような趣旨の見解を発表した。「燃料被覆管と制御棒案内管はともにジルカロイ製ではあるが、両者の熱処理法は異つているため燃料の燃焼に伴い燃料棒と制御棒案内管の間に中性子照射による照射成長が生じる。燃料棒は軸方向に伸びるよう設計されているが、支持格子の拘束力に製造時の品質のバラツキに起因する差があり、このため一部の燃料棒の伸びが妨げられることが主な原因であると推定される。問題のある燃料集合体を取り替え、すべての燃料棒が健全であることを確認した。また、支持格子の拘束力は使用に伴い弱まる傾向にあるので、現在照射成長のギヤツプにより変化が生じていない燃料棒はこれからもギヤツプ変化を起す可能性はまずない。したがつて、運転再開については十分安全であると判断した。」と。一九七五年一月に発生した美浜二号炉の第二回目の曲り事故は、右の判断が根拠を欠いた単なる願望にすぎなかつたことを冷酷に示すとともに原子力工学技術の底の浅さを如実に示した。美浜二号炉の第一回曲り事故以後に装荷された新規燃料は、上下ノズル底面との間隔(クリアランス)を大きくとり、第一回曲り事故の点検時にギヤツプ変化を殆んど生じていない燃料棒に比較し、更に伸びやすいものとした。 安全であると判断した。」と。一九七五年一月に発生した美浜二号炉の第二回目の曲り事故は、右の判断が根拠を欠いた単なる願望にすぎなかつたことを冷酷に示すとともに原子力工学技術の底の浅さを如実に示した。美浜二号炉の第一回曲り事故以後に装荷された新規燃料は、上下ノズル底面との間隔(クリアランス)を大きくとり、第一回曲り事故の点検時にギヤツプ変化を殆んど生じていない燃料棒に比較し、更に伸びやすいものとした。にもかかわらず、二四体の新規装荷燃料のうち二体に曲りが発生しており、自慢の対策であつたいわゆる“ボトム・オフ”も曲り事故の解決には何ら有効ではなかつたことを実証した。“ボトム・オフ”対策が有効でないことはその後に生じた高浜一号炉の事故でも明らかにされた。一九七四年一月三〇日、科学技術庁原子力局は、「高浜一号炉の初装荷燃料について」と題する発表項目の中で、「昭和四九年二月から装荷をはじめる高浜一号炉の燃料は全部で一五七体であるが、これらは今回美浜二号炉で新規に装荷されたものと同じく、上下に十分の 浜一号炉の初装荷燃料について」と題する発表項目の中で、「昭和四九年二月から装荷をはじめる高浜一号炉の燃料は全部で一五七体であるが、これらは今回美浜二号炉で新規に装荷されたものと同じく、上下に十分のクリアランスを取つたものであり、使用期間を通じて健全性を失わず、安全性は十分確保し得るものである。」と述べていた。しかし一九七五年一一月の第一回定期検査において、この自信は裏切られ、燃料棒の曲り事故が発見されており、安全確保の期待はやはり単なる願望にすぎなかつたことをあらわしたのである。高浜一号炉の燃料棒の曲り事故の詳細は公表されているデータがまつたくないので不明である。美浜二号炉の二回目の事故では、燃料被覆管の間隔が〇・五ミリメートル以下になつているものが五体、一ミリメートル以下のものは二〇体にものぼつており、一回目の事故にくらべその程度ははるかに危険な方向に進行している。(4) 放射能漏洩事故(ア) 外国の事故例一九六九年ベズナウ一号炉で、また、一九七〇年三月ギネー炉で放射能漏洩が発見された。(イ) 日本の事故例一九六九年一月二八日、日本原子力研究所、研究用第三号原子炉(JRR13)で燃料が破損し、炉内が核分裂生成物及びウランでひどく汚染され、その結果、所員五名に内部被ばく事故が発生した。 ぼつており、一回目の事故にくらべその程度ははるかに危険な方向に進行している。(4) 放射能漏洩事故(ア) 外国の事故例一九六九年ベズナウ一号炉で、また、一九七〇年三月ギネー炉で放射能漏洩が発見された。(イ) 日本の事故例一九六九年一月二八日、日本原子力研究所、研究用第三号原子炉(JRR13)で燃料が破損し、炉内が核分裂生成物及びウランでひどく汚染され、その結果、所員五名に内部被ばく事故が発生した。その後美浜一号炉、二号炉なども、リーク燃料が続いている。(ウ) 原因と対策ギネー炉などのリークの原因は、被覆管内面に水素化物ができ、被覆管を破損したためであると伝えられている。水素化物はペレツトの水分によると考えられたため、事故対策としてベレツトの乾燥とペレツト密度を高める措置がとられた。この結果、燃料破損はほぼ完全に防止されたといわれていたが、現実にはその後もリーク燃料の発生は続いている。美浜炉のリークの原因としては燃料ペレツトと被覆 の乾燥とペレツト密度を高める措置がとられた。この結果、燃料破損はほぼ完全に防止されたといわれていたが、現実にはその後もリーク燃料の発生は続いている。美浜炉のリークの原因としては燃料ペレツトと被覆管との間に働らく力学的相互作用の他、多くのものが考えられているが、明確には判明されておらず、したがつて、その対策も被覆管製造時の品質管理に全力を傾注するとか、原子炉起動時に過度の負担がかからないよう慎重を期すといつたことしかなく、最終的には、ある程度のリークの発生は避けられないと割り切り、リークによる原子炉冷却材中の放射能量の増大に絶えず気を配り、一定の値まで上昇した場合、その段階で炉を停止し、破損している燃料集合体を捜し出して新しいものと取り替えるという方法しか考えられていない。リークの原因究明が困難なことの理由の一つには、燃料棒が放射能で強く汚染されていて、検査の方法としては水中カメラやペリスコープ(逆潜望鏡)によるしかないが、しかしそれらによつてもリークの箇所や傷口の態様を究明することは、よほど大きい破損の場合を除いてはまず不可能であり、また、水中テレビによつてもリークのような損傷は観測不可能であること、したがつて、漏洩燃料の発見は検査する燃料集合体をまるごと容器(シツピング・キヤン)の中に収納し、キヤツプをかぶせて窒素ガスを循環させ、循環窒素ガスの中に混入した核分裂生成ガス(キセノン一三三)の放射能を測定してリークの存否を判定する、いわゆる「シツピング法」に頼らざるを得ないということにもある。 損の場合を除いてはまず不可能であり、また、水中テレビによつてもリークのような損傷は観測不可能であること、したがつて、漏洩燃料の発見は検査する燃料集合体をまるごと容器(シツピング・キヤン)の中に収納し、キヤツプをかぶせて窒素ガスを循環させ、循環窒素ガスの中に混入した核分裂生成ガス(キセノン一三三)の放射能を測定してリークの存否を判定する、いわゆる「シツピング法」に頼らざるを得ないということにもある。また、シツピング法にしたところでシツピングキヤンが汚染されるなどのいわゆる「バツクグラウンド、ノイズ」の発生が避けられず、測定精度に制限があり、したがつて、破損程度さえもそれ程明確にできないものである。(5) 燃料棒折損事故一九七三年三月、関 汚染されるなどのいわゆる「バツクグラウンド、ノイズ」の発生が避けられず、測定精度に制限があり、したがつて、破損程度さえもそれ程明確にできないものである。(5) 燃料棒折損事故一九七三年三月、関西電力美浜一号炉(加圧水型軽水炉、出力三四万キロワツト)の定期検査時に、炉心第三領域の燃料集合体(C三四)中の燃料棒二本の上部が約七〇センチメートル欠損し、中のウランペレツト共々、炉内に崩れ落ちている事態が発見された。関西電力の説明では、炉心冷却材中に落ちていた被覆管の破片及びウランペレツトは、真空吸引器を用いて回収したとされているが、放射能汚染されている炉心からどのように回収したかの具体的作業方法は依然として不明のままである。右事故がどれ程重大な意味と深刻さを含むものであるかは後で主張するが、ここでは事故発生から今日に至るまでに関西電力や関係行政庁の恐るべく悪質な真相隠ぺいと真相を追及される中で見せた電力会社の周章狼狽ぶりや、唖然とさせる猛猛しい居直りをした原子力発電所推進者たちは、国民の安全を軽視し蹂りんするものであることを厳しく指摘しておきたい。(二) ウランペレツトの挙動(1) 焼きしまり燃料ペレツトは、焼結温度一四五〇度C~一七〇〇度Cにおいて製造されているため、運転中のペレツト中心温度が右焼結温度以上の高温になつてくると、焼結が更に進み、ペレツトの密度が高まつて体積が縮むという現象があり、これを焼きしまり現象と表現している。体積の収縮の仕方は均質ではなく、したがつて、ペレツト毎での収縮の態様もそれぞれ異つており、ピーク線出力密度に対するペレツト密度の変化の仕方を示す実験にしても、ペレツト体積変化に対するペレツト長の変化を示す実験にしても、いずれも実験結果には大きいばらつきが見られる。 結温度以上の高温になつてくると、焼結が更に進み、ペレツトの密度が高まつて体積が縮むという現象があり、これを焼きしまり現象と表現している。体積の収縮の仕方は均質ではなく、したがつて、ペレツト毎での収縮の態様もそれぞれ異つており、ピーク線出力密度に対するペレツト密度の変化の仕方を示す実験にしても、ペレツト体積変化に対するペレツト長の変化を示す実験にしても、いずれも実験結果には大きいばらつきが見られる。ウラン粉末の活性(焼結の難易性)、プレスの るペレツト密度の変化の仕方を示す実験にしても、ペレツト体積変化に対するペレツト長の変化を示す実験にしても、いずれも実験結果には大きいばらつきが見られる。ウラン粉末の活性(焼結の難易性)、プレスの仕方、焼結温度等によつて右のばらつきが生じるのである。このばらつきが燃料設計を著しくむつかしいものにしている。焼きしまりは、燃料被覆管とペレツトのギヤツプ、ペレツトとペレツトとのギヤツプを大きくし、ギヤツプ間の熱伝導度を低下せしめる。このことはベレツトに発生した熱が冷却材に伝わることを妨げる方向に働くため、ウランペレツトの中心温度を上昇させ、中心溶融の可能性を高めるとともに、蓄積熱の増大の方向に作用して、重大事故時の燃料溶融を準備するものである。したがつて、軽視できない現象である。(2) ひび割れ燃料ペレツトは、燃焼の進行により中心部の温度が二千数百度Cとなり、外周都は約五~六〇〇度Cとなる。二酸化ウランの熱膨張率を考慮して計算するとペレツト中心部と表面部には、三パーセント程度の熱膨張の差が生じ、中心部は大きく膨張して、圧縮力が生じ、外部には引張りの熱応力が生じる。右応力は焼き物であるペレツトに苛酷に働くため、運転開始後間もなく、ペレツトに放射状のひび割れを生ぜしめる。ペレツトの焼きしまり現象が相乗的に加わるため、ペレツトは「つづみ型」にひび割れると考えられている。このように、ひび割れは、起動、停止のくり返しや、ペレツト破片がひび割れに入つて、くさび作用を支えることなどにより、複雑に進行し、拡大する。なお、燃料ペレツトの熱伝導度は、実験の結果によれば、約半分と低く、したがつて、本件安全審査では中心温度が低くみすぎられているが、燃料ペレツトに生じたひび割れは、ペレツト内の熱伝導度を更に著しく低下せしめ、ペレツト中心温度を上昇させる作用を有 れば、約半分と低く、したがつて、本件安全審査では中心温度が低くみすぎられているが、燃料ペレツトに生じたひび割れは、ペレツト内の熱伝導度を更に著しく低下せしめ、ペレツト中心温度を上昇させる作用を有する。 によれば、約半分と低く、したがつて、本件安全審査では中心温度が低くみすぎられているが、燃料ペレツトに生じたひび割れは、ペレツト内の熱伝導度を更に著しく低下せしめ、ペレツト中心温度を上昇させる作用を有 れば、約半分と低く、したがつて、本件安全審査では中心温度が低くみすぎられているが、燃料ペレツトに生じたひび割れは、ペレツト内の熱伝導度を更に著しく低下せしめ、ペレツト中心温度を上昇させる作用を有する。この意味でも、ひび割りペレツトの熱伝導度をは握しておくことは重要なことであるが、その測定は極めて困難であり、現在のところ、炉心で照射されたひび割れしたペレツトのそれはもちろん、未照射のひび割れペレツトの熱伝導の測定資料さえできていない。(3) スエリング燃焼の進行に伴い、ウランペレツトの内部には核分裂生成物(FP)が発生し、増加してくる。FPは燃焼の初期には、二酸化ウランの結晶格子の間におさまつているが、燃焼がある程度以上進行すると、そのうちのキセノンやクリプトン等気体状になりやすいものが結晶格子間を遊動して一か所に集まり(析出)、気泡を作る現象が生じてくる。気泡は体積を増し、ペレツト内部からふくらませる力として作用する。この作用によりペレツトが膨張する現象をスエリングという。燃焼の末期には約三パーセントの体積増をもたらすことが知られている。スエリングの発生はペレツトと被覆管の接触を強める作用を持つとともに、ペレツト内の気泡はペレツト内熱伝導度の低下に寄与する。(4) 核分裂生成物の放出ペレツト内部に生成した気泡の一部は、ペレツト・被覆管ギヤツプに放出され、ヘリウムガスと混合し、ペレツト・被覆管ギヤツプの熱伝達度を低下させる。ヘリウムガスが被覆管内圧を高めるのに使われた理由の一つには、熱伝達度の高い性質があげられるが、この中にキセノンとかクリプトンが混入すると、熱伝達度が低下する。(5) ウランペレツトの融点の低下ウランペレツトは燃焼にしたがつてプルトニウムを発生し蓄積してゆく。これに伴いウランペレツトの融点は低下してゆくこ クリプトンが混入すると、熱伝達度が低下する。(5) ウランペレツトの融点の低下ウランペレツトは燃焼にしたがつてプルトニウムを発生し蓄積してゆく。これに伴いウランペレツトの融点は低下してゆくことが知られている。四八、〇〇〇メガ・ワツト・デー/トン(本件伊方炉での最高燃焼度)で融点は、約二、六五〇度Cとなる。 にしたがつてプルトニウムを発生し蓄積してゆく。これに伴いウランペレツトの融点は低下してゆくこ クリプトンが混入すると、熱伝達度が低下する。(5) ウランペレツトの融点の低下ウランペレツトは燃焼にしたがつてプルトニウムを発生し蓄積してゆく。これに伴いウランペレツトの融点は低下してゆくことが知られている。四八、〇〇〇メガ・ワツト・デー/トン(本件伊方炉での最高燃焼度)で融点は、約二、六五〇度Cとなる。(三) 燃料被覆管劣化の要因(1) 外圧によるクリープ変形燃料被覆管は、燃焼の進行とともに、冷却材の外圧を受けて徐々に直径を縮小するいわゆるクリープ現象を起こす。クリープとは、ある物体に応力がかかつたままの状態で長時間経過した場合、物体が、その応力に応じて、応力を緩和するよう塑性変形することで、ミクロに見れば、原子の移動を伴う現象である。なお、中性子照射は、クリープを加速させる作用がある。その他冷却材による流体力学的作用力も、クリープ現象に一定の影響力を持つとされる。クリープにより被覆管は損傷する。(2) 中性子照射による照射損傷被覆管は炉内にあつては高速中性子の照射を受け、非照射材と異つた性質を有するに至る。その原因の一つと考えられているものに照射損傷があり、例えば、中性子照射を受けると、ニユートロン・アルフア反応で、ヘリウムが被覆管内にたまり、被覆管を脆くするという現象が知られている。燃料被覆管は照射損傷により延性を著しく低下させる。(3) 化学的腐食被覆管は、冷却材や燃料棒内部環境における化学的腐食を受ける。まず、冷却水により腐食され、ジルカロイ表面に微密な酸化被膜が生成し、それに伴つて発生した水素の一部は、ジルカロイ中に約七〇PPMまで固溶するが、炉が停止し、ジルカロイの温度が低下するに従い、固溶していた水素はジルカロイ被覆管に水素化物として析出する。水素化物の析出が生じると被覆管は延性、靭性な著しく失ない脆化 に約七〇PPMまで固溶するが、炉が停止し、ジルカロイの温度が低下するに従い、固溶していた水素はジルカロイ被覆管に水素化物として析出する。水素化物の析出が生じると被覆管は延性、靭性な著しく失ない脆化する。また被覆管はペレツトに含まれていた湿分により内側からも水素化される。その他、ペレツトの燃焼により発生したFPのいくつかが、化学的作用を及ぼすことが知られており、特に、ヨー素による応力腐食の発生は有名である。 PPMまで固溶するが、炉が停止し、ジルカロイの温度が低下するに従い、固溶していた水素はジルカロイ被覆管に水素化物として析出する。水素化物の析出が生じると被覆管は延性、靭性な著しく失ない脆化する。また被覆管はペレツトに含まれていた湿分により内側からも水素化される。その他、ペレツトの燃焼により発生したFPのいくつかが、化学的作用を及ぼすことが知られており、特に、ヨー素による応力腐食の発生は有名である。これらの応力腐食により、被覆管は著しく変質し、脆化する。(4) フレツテイング腐食の発生わずか三ミリメートルの間隔しかない燃料被覆管の間を、圧力一五七kg/cm3の一次冷却材が毎秒約三~五メートルの高速で、流れているため、被覆管は流体力学的力にさらされ、常に振動している。この繰り返しの振動によるフレツテイング腐食により被覆管は切損の因子を蓄積する。(5) 冷却材の水圧・水流一次冷却材の高圧、高速流水は、被覆管に衝撃的力を加えることとなる。被覆管が他の要因で脆化し、つぶれ、曲り、切損などを生じた場合には、水圧、水流の被覆管欠陥部に支える作用力は、想像以上に苛酷なものとなる。(四) 燃料棒に発生する欠陥(1) 燃料棒の曲がりア燃料棒の曲がりの原因は、照射成長の差のほか、焼きしまり、ひび割れ、スエリングなどにより複雑に変形したペレツトと被覆管との接触により発生する強い力学的相互作用や冷却材の流体力学的力等の諸力の複合作用による可能性が強い。ところが、ウランペレツトの挙動の定量的は握はほとんどできていないし、また、冷却材の流体についてもほとんど何もわかつていないのである。したがつて曲りに対する対策は当分確立しないと見るべきである。イ燃料棒の曲りは、当然燃料棒の間隔を縮め、冷却材の通りを悪くし、その結果、その部分の熱除去が阻害さ とんど何もわかつていないのである。したがつて曲りに対する対策は当分確立しないと見るべきである。イ燃料棒の曲りは、当然燃料棒の間隔を縮め、冷却材の通りを悪くし、その結果、その部分の熱除去が阻害される。 燃料被覆管の温度は上昇し、冷却材の核沸騰が発生する。燃料被覆管相互の間隔が狭いので水蒸気の泡は容易につながり被覆管表面を膜としておおう可能性が大きい(膜沸騰の発生)。一たん、高温の水蒸気膜でおおわれた被覆管は、温度がますます上昇するため、膜沸騰から正常な状態に戻すには、原子力の出力を大幅に低下させるか停止するしかない。 棒の間隔を縮め、冷却材の通りを悪くし、その結果、その部分の熱除去が阻害される。 燃料被覆管の温度は上昇し、冷却材の核沸騰が発生する。燃料被覆管相互の間隔が狭いので水蒸気の泡は容易につながり被覆管表面を膜としておおう可能性が大きい(膜沸騰の発生)。一たん、高温の水蒸気膜でおおわれた被覆管は、温度がますます上昇するため、膜沸騰から正常な状態に戻すには、原子力の出力を大幅に低下させるか停止するしかない。この間、ジルカロイ被覆管が、高温状態で、長時間水蒸気にさらされると、ジルカロイ│水蒸気反応が進み、被覆管表面には酸化物ができる(焼損)。焼損により発生した酸化物は、機械的強度が弱いため、水圧、水流に抗しきれず、折損する可能性は充分存在する。燃料棒の曲りにより、隣接燃料棒が接触した場合、熱除去は全く不可能となる。したがつて、その部分は急激に温度が上昇し、一〇〇〇度Cを超えるとジルコニウムは水蒸気と激しく発熱反応をはじめ、やがて溶融する。同時に被覆管内部の放射性物質が冷却材中に逸出し、放射能汚染の原因となる。ウ制御棒案内管と燃料棒との間隔は、燃料棒相互のそれよりも小さい。しかも制御棒案内管の肉厚は、わずかに〇・四三ミリメートルという華奢なものである。一方、燃料棒の一年間の曲りの程度は、初装荷時のバラつきを考慮して計算すると、最大三・四ミリメートルから二ミリメートルとなる。したがつて、燃料棒が接触し、案内管を押し曲げる可能性は否定できない。制御棒案内管は、わずか七〇センチメートル弱を距てて固定されており、これを燃料被覆管と制御棒案内管との間隔二・六ミリメートル~一・七ミリメートルに、制御棒案内管の内径と制御棒との間隔の〇 できない。制御棒案内管は、わずか七〇センチメートル弱を距てて固定されており、これを燃料被覆管と制御棒案内管との間隔二・六ミリメートル~一・七ミリメートルに、制御棒案内管の内径と制御棒との間隔の〇・九ミリメートルを加算した三・五ミリメートル~二・六ミリメートル程度曲げるに必要な力は、極めてわずかなものであり、これに対し、被覆管を押し曲げてくる力は変位こそ少ないが、有無を言わさない作用力によるものである。したがつて、ジヤツキと類似の力を生むものであり、案内管自身の弾性的力などと比較にならないものである。制御棒操作に支障をきたすことになつた場合、原子炉の基本的停止装置の機能の喪失であるから、原子炉の安全性の見地からは重大な事態が発生するといわざるを得ない。 程度曲げるに必要な力は、極めてわずかなものであり、これに対し、被覆管を押し曲げてくる力は変位こそ少ないが、有無を言わさない作用力によるものである。したがつて、ジヤツキと類似の力を生むものであり、案内管自身の弾性的力などと比較にならないものである。制御棒操作に支障をきたすことになつた場合、原子炉の基本的停止装置の機能の喪失であるから、原子炉の安全性の見地からは重大な事態が発生するといわざるを得ない。(2) ピンホール・ひび割れ被覆管燃料被覆管劣化の原因として述べた照射損傷、応力腐食、フレツテイング腐食などの作用により、劣化して延性を失ない、極めて脆ろくなつている被覆管が外圧によるクリープ変形によつて、ひび割れやスエリング、あるいは熱膨張しているウランペレツトと触れ合い、力学的相互作用を受け合うことにより、容易に被覆管にひび割れやピンホールを発生せしめる。とくに、被覆管内部の水素化物の付近は著しく脆化しているので、その部位にペレツトの割れ目が当たり、出力変動に伴つて、割れ目の開閉が起こると、その部位の被覆管にはひび割れが確実に発生する。これらの事態は、燃料棒の機械的強度を著しく低下せしめるとともに、平常運転時における放射能洩れの大きな原因となつている。(3) 燃料棒の折損右(2)に述べたのと同じ被覆管の劣化要因により脆化している被覆管に強い水流圧とか、その他の衝撃力的力が加わると、燃料棒は容易に折損する。折損によつて、燃料被覆管中の旅射性物質が冷却材中に逸失するので、平常運転時 たのと同じ被覆管の劣化要因により脆化している被覆管に強い水流圧とか、その他の衝撃力的力が加わると、燃料棒は容易に折損する。折損によつて、燃料被覆管中の旅射性物質が冷却材中に逸失するので、平常運転時における被ばくの被害を著しく高めるものとなる。(五) 以上に述べた、燃料ペレツトのひび割れ、スエリング等による燃料ペレツトの熱伝導度の低下、燃料ペレツトからの放射性物質の放出によるギヤツプ熱伝達率の低下、燃料ペレツトの融点低下によつて燃料ペレツトは溶融する危険を蓄積し、また、これらの燃料ペレツトの挙動と燃料被覆管の応力による劣化、クリープ変形、中性子照射による照射損傷、水素化、フレツテイング腐食、冷却材の水流・水圧によるつぶれや曲がり、その他の燃料ペレツト又は燃料棒の挙動に原因する燃料棒の損傷と、それによるその内部からの放射能の漏洩事故も相変らず各地の原子力発電所で発生し、環境に廃棄される気体状放射性廃棄物の源泉となつている。 燃料ペレツトは溶融する危険を蓄積し、また、これらの燃料ペレツトの挙動と燃料被覆管の応力による劣化、クリープ変形、中性子照射による照射損傷、水素化、フレツテイング腐食、冷却材の水流・水圧によるつぶれや曲がり、その他の燃料ペレツト又は燃料棒の挙動に原因する燃料棒の損傷と、それによるその内部からの放射能の漏洩事故も相変らず各地の原子力発電所で発生し、環境に廃棄される気体状放射性廃棄物の源泉となつている。そして本件伊方発電所の燃料ペレツト、燃料棒がその別外であることの保障はない。試運転をしていた間の本件伊方原子力発電所でも、燃料棒の損傷を避ける丸めに、原子炉の起動、停止をゆつくりと行わざるを得なかつたが、このことが試運転期間を二か月間延期したことの理由の一つとなつている。この事実は、運転上の過渡状態における燃料棒の損傷が不可避な現状であることを何よりもよく物語つている。右のように、既知又は未知の原因による、そして防止対策が明らかにされていない燃料棒の損傷を防ぎ得ない本件原子炉の炉心設計は、「指針」の要件を満すものとはとうてい云い難いことは明らかである。三事故時における危険 3 LOCA時の燃料挙動(三) LOCA荷重と燃料被覆管の機械的強度(1) LOCA時の荷重LOCA時には、さまざまの原因で燃料棒に強い荷重が い難いことは明らかである。三事故時における危険 3 LOCA時の燃料挙動(三) LOCA荷重と燃料被覆管の機械的強度(1) LOCA時の荷重LOCA時には、さまざまの原因で燃料棒に強い荷重が加わる。もし燃料被覆管の機械的強度がその荷重に耐ええない場合には、被覆管は折損あるいは座屈し、炉心の崩壊をもたらすこととなる。したがつてLOCA時の炉心に関する安全審査では、燃料被覆管の機械的強度とLOCA時最大荷重についての比較検討が十分になされなければならない。LOCA時に問題となる荷重としては、(ア)相変態に基づく荷重、(イ)再冠水時の熱衝撃荷重、(ウ)再冠水時の燃料被覆管と制御棒案内管との温度差により燃料棒にかかる圧縮荷重があけられる。まず(ア)の相変態に基づく荷重とは、次のような事実をいう。ジルカロイは、八五〇度Cから九〇〇度Cのあたりで、α相(六方稠密構造)からβ相(体心立方構造)へと結晶構造が変化する。この二相共存状態では、引張り強度は著しく低下する性質がある。相変態にともなつて、ジルカロイは、約〇・八パーセントの体積収縮が生じる。 (ウ)再冠水時の燃料被覆管と制御棒案内管との温度差により燃料棒にかかる圧縮荷重があけられる。まず(ア)の相変態に基づく荷重とは、次のような事実をいう。ジルカロイは、八五〇度Cから九〇〇度Cのあたりで、α相(六方稠密構造)からβ相(体心立方構造)へと結晶構造が変化する。この二相共存状態では、引張り強度は著しく低下する性質がある。相変態にともなつて、ジルカロイは、約〇・八パーセントの体積収縮が生じる。長さの変化にして約〇・三パーセントの縮となる。被覆管が再冠水時まで崩壊しないと仮定して作成されている高温点被覆管温度グラフ上で予想される相変態か所は四か所である。すなわち(1)第一ピーク上昇過程、(2)第一ピーク降下過程、(3)第二ピーク上昇過程、(4)第二ビーク降下過程である。(1) 燃料被覆管は、LOCA発生後数秒にして膨張し始め、支持格子に、がつちりと食い込む現象が生じる。燃料棒は、蓄積熱により急上昇し、八五〇度C付近で相変態を生じ、支持格子間で約二ミリメートル縮小する。これに対し、発熱のない制御棒案内管は、温度上昇が遅れるため、相変態の時期が被覆管のそれより後となる。このため燃料被覆管は 昇し、八五〇度C付近で相変態を生じ、支持格子間で約二ミリメートル縮小する。これに対し、発熱のない制御棒案内管は、温度上昇が遅れるため、相変態の時期が被覆管のそれより後となる。このため燃料被覆管は、二万プシイの引張応力を受ける。(2)例え右の第一ピーク上昇過程で破断を免れたとしても、降下過程では、逆に、燃料被覆管がβ相からα相に変わる際、圧縮応力を受け、(3)更に、再びα相からβ相に変る際に、引張応力を受けることとなる。したがつて、第一ピークから第二ビークに至る過程で、二万ブシイの応力を三度も受けることとなる。(4)第二ピークの降下過程まで、燃料棒が、崩壊しないまま維持されることは、まずあり得ないが、仮りに有つたとすると、内面酸化と水素化で、ボロボロに脆化した被覆管に再び二万プシイが襲いかかる状態となる。二万プシイを一平方センチメートル当りの荷重に換算すると約一三九五キログラムとなる。その荷重の大きさが理解できるであろう。(4) の再冠水時の熱衝撃荷重とは、崩壊熱により高温となつた燃料被覆が再冠水時に水と接した時、生じた温度勾配によつて被覆材内に衝撃的にもたらされる歪による荷重であるが、四国電力が安全審査の参考資料として提出した「一次冷却材喪失事故時の燃料被覆材の健全性について」と題する資料の中でも、LOCA時の燃料被覆に加わる最大荷重として計算されているものである。 ムとなる。その荷重の大きさが理解できるであろう。(4) の再冠水時の熱衝撃荷重とは、崩壊熱により高温となつた燃料被覆が再冠水時に水と接した時、生じた温度勾配によつて被覆材内に衝撃的にもたらされる歪による荷重であるが、四国電力が安全審査の参考資料として提出した「一次冷却材喪失事故時の燃料被覆材の健全性について」と題する資料の中でも、LOCA時の燃料被覆に加わる最大荷重として計算されているものである。この熱衝撃荷重について、四国電力の提出している参考資料は、約二九〇〇プシイという数値を掲げている。しかし、右数値が非常に過小であることは、明らかである。この資料はアメリカ原子力委員会が発行したところの「規制作成のための公聴会の件に関して軽水炉の非常用炉心冷却系に対する最終指針」と題する資料の抜粋であるが、これによると、熱衝撃による応力のピーク値として、コンバツシヨン・ 力委員会が発行したところの「規制作成のための公聴会の件に関して軽水炉の非常用炉心冷却系に対する最終指針」と題する資料の抜粋であるが、これによると、熱衝撃による応力のピーク値として、コンバツシヨン・エンジニアリング社は、一インチ平方当り二万四六〇〇ポンド(一万一〇七〇キログラム)という証拠書類をアメリカ原子力委員会に提出している。ゼネラル・エレクトリツク社は三万三〇〇〇ポンド(一万四八五〇キログラム)、バブコツクス・ウイルコツクス社は二万三〇〇〇ポンド(一万〇三五〇キログラム)であるという証拠書類を提出している。これに対し、伊方炉と同型炉の輸出メーカーであるウエスチングハウス社は、最初に提出した証拠書類「一〇七八」では、熱衝撃による応力のピーク値を三万六〇〇〇ポンド(一万六二〇〇キログラム)としておきながら、後に提出した証拠書類「一一五一」により、三五〇〇ポンド(一五七五キログラム)に訂正している。訂正後のウエスチングハウスの数値のみが異常に小さい値である。アメリカの他の原子カメーカーの計算では、いずれも一インチ平方当り二万ポンド以上となつているのに比して一桁小さくなつているのである。熱衝撃荷重の計算が非常に難しいものであることは明らかである。しかしながら、他メーカー三社がいずれも二万プシイ以上の値を算出しているのに対し、ウエスチングハウス社のみが三五〇〇プシイという場合、いずれを信頼すべきかは自ずと明らかであろう。 の数値のみが異常に小さい値である。アメリカの他の原子カメーカーの計算では、いずれも一インチ平方当り二万ポンド以上となつているのに比して一桁小さくなつているのである。熱衝撃荷重の計算が非常に難しいものであることは明らかである。しかしながら、他メーカー三社がいずれも二万プシイ以上の値を算出しているのに対し、ウエスチングハウス社のみが三五〇〇プシイという場合、いずれを信頼すべきかは自ずと明らかであろう。ましてこの数値が、原子炉施設の安全設計の為の基礎資料となるものであつて見れば、より安全側に数値を選択すべきは自明の理である。ウエスチングハウス社の計算値には、無理な仮定が入つていると考えざるを得ないのである。四国電力の提出した参考資料の二九〇〇プシイというのは、右ウエスチングハウス社のアメリカ原子力委員会への報告値よりな スチングハウス社の計算値には、無理な仮定が入つていると考えざるを得ないのである。四国電力の提出した参考資料の二九〇〇プシイというのは、右ウエスチングハウス社のアメリカ原子力委員会への報告値よりなお小さい値となつており、その数値の信頼性は極めて低いと云わざるを得ない。安全側に数値を選択するならば、熱衝撃による応力ピーク値は少くとも三万ブシイを採用すべきである。(ウ) の再冠水時の燃料被覆管と制御棒案内管との温度差により燃料棒にかかる圧縮荷重とは、アセンブリ拘束のことである。燃料棒が再冠水過程に入ると、内部に高温のペレツトを抱える被覆管と、制御棒案内管との間には、数百度の温度差がつく。燃料被覆管は支持格子に食い込んでいる為、軸方向にすべり動くことができない。この為急冷されて急激に収縮する制御棒案内管により燃料被覆管は上下に強力な圧縮応力を受けることとなる。これをアセンブリ拘束といつている。四国電力の提出した参考資料では、アセンブリ拘束を一〇〇〇プシイとしているが、これも非常に過小な数値となつている。少くとも数万プシイと考えなければならない数値である。再冠水時には、燃料被覆管は、熱衝撃荷重とアセンブリ拘束荷重の両応力を受けることになり、その値は、どのように少く見積つても四万ブシイを軽く超えることが予測される。(2) LOCA時の機械的強度一方、LOCA時の燃料被覆管の機械的強度については、どうであろうか。四国電力が提出した参考資料には、未照射の燃料被覆管で、破裂やふくれのない(変形のない)ものについての機械的強度テストの二つの結果が示されている。 冠水時には、燃料被覆管は、熱衝撃荷重とアセンブリ拘束荷重の両応力を受けることになり、その値は、どのように少く見積つても四万ブシイを軽く超えることが予測される。(2) LOCA時の機械的強度一方、LOCA時の燃料被覆管の機械的強度については、どうであろうか。四国電力が提出した参考資料には、未照射の燃料被覆管で、破裂やふくれのない(変形のない)ものについての機械的強度テストの二つの結果が示されている。メザベイのテストによると、ジルコニウム・水反応が約一七パーセント(被覆管の酸化の状態)の場合被覆管の機械的強度は一万六〇〇〇プシイとなつている。グレイバーのテストによると、ジルコニウム・水反応 。メザベイのテストによると、ジルコニウム・水反応が約一七パーセント(被覆管の酸化の状態)の場合被覆管の機械的強度は一万六〇〇〇プシイとなつている。グレイバーのテストによると、ジルコニウム・水反応が一一パーセントの場合、被覆管の機械的強度は一〇万プシイとなつている。右数値は破裂やふくれのない被覆管についてのテスト結果であるが同じ参考資料には、蒸気中で破裂させた被覆管の圧縮テスト、曲げテストによる機械的強度の結果も引用されている。LOCA時の燃料被覆管はほとんど破裂しているであろうし、破裂していないまでもふくれによつて変形していると思われるので、LOCA時に被覆管が耐えうる機械的強度は、変形被覆管によつてテストされた結果が、より実際に近いものとなるのである。したがつて、変形被覆管(バースト・ロツド)の機械的強度こそ我々の求めるべき数値である。ところが、四国電力の提出した参考資料を見てわかるとおり、肝心のバースト・ロツドの機械的強度の数値を示しているはずの部分は、企業秘の名目で、提出を拒否して空白のままである。これは恐らく、バースト・ロツドの試験結果が、右資料の中でLOCA時に予想される最大応力として算定されている五五〇〇プシイに接近した数値が出ているためであろう。右参考資料は審査会に出されているものであるが、その時点では勿論バースト・ロツドの試験結果の部分も空白などになつているわけではなく、安全審査委員のoも右数値を見ている訳である。したがつて、ウエスチングハウスも、四国電力も、右テスト結果が場合によつては、公表されることは覚悟の上で、安全審査の為の参考資料として提出している訳である。にもかかわらず、被告は、文書提出命令を無視するという裁判所の権威をまるで無視した暴挙を犯してまで、企業秘の名で、必死にその提出を拒んだ。 ースト・ロツドの試験結果の部分も空白などになつているわけではなく、安全審査委員のoも右数値を見ている訳である。したがつて、ウエスチングハウスも、四国電力も、右テスト結果が場合によつては、公表されることは覚悟の上で、安全審査の為の参考資料として提出している訳である。にもかかわらず、被告は、文書提出命令を無視するという裁判所の権威をまるで無視した暴挙を犯してまで、企業秘の名で、必死にその提出を拒んだ。ところで、今まで の為の参考資料として提出している訳である。にもかかわらず、被告は、文書提出命令を無視するという裁判所の権威をまるで無視した暴挙を犯してまで、企業秘の名で、必死にその提出を拒んだ。ところで、今まで見て来た各テストは、LOCA時の燃料被覆管の強度を求めるテストとしては、実は致命的欠陥がある。すなわち、実際の燃料被覆管は前述のように苛酷な炉内条件の下で、中性子照射を受けて、新品のものと全く異つた性質と欠陥を有するものに変質している。したがつて、実際の燃料被覆管の機械的強度を計測する為には、できるだけ実際の炉心に近い状態でテストがされなければ、本当の機械的強度は出てこないのである。少くとも、中性子照射済みの燃料について実験が行われるべきである。しかるに、先にのべたテストは、バースト・ロツドのものを含めて、いずれも未照射被覆材の機械的強度テストにすぎない。中性子照射によつて劣化した燃料被覆材は、未照射燃料被覆材に対し、はるかに脆くなつているものであることは、学界の常識である。ジルカロイ被覆は研究に研究を重ねて選ばれた金属であるにもかかわらず、原子炉で照射された後は、三〇センチの高さからベニヤ板の台の上に落しただけでくだける。しかも、現実の燃料棒は単に中性子照射による脆化のみでなく、先程のべたように、水素やヨー素によつても脆化しており、ひび割れやピンホールも生じているのであるから、応力集中効果も働く。したがつて、中性子照射済の燃料被覆材の機械的強度は、バースト・ロツドのテスト結果よりはるかに低いものとなるであろうことは、疑う余地のない事実である。しかし、それらのデータは、安全審査会には一切提出されていない。照射済み燃料被覆材の機械的強度テストは、アメリカの原子炉メーカーでも、まだ実験段階にあり、データはほとんどないといつてよい現状である。先程 し、それらのデータは、安全審査会には一切提出されていない。 て、中性子照射済の燃料被覆材の機械的強度は、バースト・ロツドのテスト結果よりはるかに低いものとなるであろうことは、疑う余地のない事実である。しかし、それらのデータは、安全審査会には一切提出されていない。照射済み燃料被覆材の機械的強度テストは、アメリカの原子炉メーカーでも、まだ実験段階にあり、データはほとんどないといつてよい現状である。先程 し、それらのデータは、安全審査会には一切提出されていない。照射済み燃料被覆材の機械的強度テストは、アメリカの原子炉メーカーでも、まだ実験段階にあり、データはほとんどないといつてよい現状である。先程ものべたとおり、現実にLOCAが生じた場合、燃料被覆はほとんど破裂しており、したがつて応力集中効果をまともに受ける状況にあるから、その時の燃料被覆材の機械的強度は、おそらく非常に低いものであろう。したがつて、LOCA時にかかると予想される先の(1)の(ア)(イ)(ウ)の荷重のような万単位の応力に対しては、全然耐えられないのである。第三蒸気発生器細管事故二問題の所在││蒸気発生器細管事故の重大性と現実性││ 1 蒸気発生器細管事故の重大性(三) ECCSを無効にする恐ろしさ蒸気発生器細管は、それが一たん破断すれば前述の如き重大なる事態に至ることになるだけでなく、破断に至らなくとも、減肉、腐食時の損耗を受けている段階で、実は容易ならざる事態である。一次系大口径配管が破断し、一次冷却材喪失事故(大LOCAと略す)が起ると、一次系の圧力は、瞬間的に減圧され、蒸気発生器細管は大きな衝撃力を受ける。このとき、細管に損傷があれば、細管は圧潰や破断をきたす。細管は、内圧よりも外圧による方が、容易に破壊される。例えば、半径一〇ミリメートル、厚さ一・四ミリメートルのインコネル製の細管の場合、厚さが三〇パーセントにまで減少すると、内圧が二九四気圧で破裂するのに対して、外圧は四二・四気圧でも圧潰する。つまり、原子炉運転時の一次系と二次系との圧力差(一〇〇気圧)には耐えるが、大LOCA時に生じると思える外圧五〇気圧には耐えられない。損傷を受けた細管の表面は、凹凸しており、何らかの切欠き効果(凹凸した面では、平滑な面より応力の集中する部分が生じる効果)があり 耐えるが、大LOCA時に生じると思える外圧五〇気圧には耐えられない。損傷を受けた細管の表面は、凹凸しており、何らかの切欠き効果(凹凸した面では、平滑な面より応力の集中する部分が生じる効果)があり、更に小さな圧力でも圧潰が起る可能性がある。 える外圧五〇気圧には耐えられない。損傷を受けた細管の表面は、凹凸しており、何らかの切欠き効果(凹凸した面では、平滑な面より応力の集中する部分が生じる効果)があり 耐えるが、大LOCA時に生じると思える外圧五〇気圧には耐えられない。損傷を受けた細管の表面は、凹凸しており、何らかの切欠き効果(凹凸した面では、平滑な面より応力の集中する部分が生じる効果)があり、更に小さな圧力でも圧潰が起る可能性がある。そして、後に示すように、美浜一号炉・二号炉、ポイントビーチ一号炉の場合のような細管損傷がひん発している現実を考えるならば、大LOCA時の衝撃力を受けて、細管は破断する。一たん、圧潰や破断が起れば、二次冷却水は、減圧された炉心部へ高圧蒸気となつて吹き込み、炉心部を高圧蒸気で充満する。一方、大LOCA時には、炉心の空だき状態を防ぐため、ECCSが働き、炉心は水びたしにされることになつている。しかし、二次側から吹き込んだ炉心部の高圧蒸気のため、炉心への注水は妨げられる。すなわち、ECCSの機能は大幅に低下するのである。アメリカ物理学会の軽水炉の安全性に関する報告書には、蒸気発生器細管の破損面積についてわずか〇・〇〇三平方フイート(約一本の細管の断面積)の破損で再冠水速度(炉心を水びたしにする速さ)が一七パーセント減少すると推定されていると報告されている。もともと、大LOCA時にECCSが期待通りに機能を発揮するという実規模の実験はなく、小規模の実験さえ、炉心注水に失敗しているのが現状なのに、右で述べたように、細管の破断が重なれば、炉心は必ず溶融するであろう。つまり、細管損傷の現実が根本的に解決されない限り、PWRは最も重要な安全装置であるECCSなしで運転されていると同様なのである。2 多発する細管事故右の如き安全上重要な部分であるにもかかわらず、蒸気発生器細管における減肉、ひび割れ、穴あき等の損傷事故は、国内で営業運転中の五基のPWRのすべてで発生し、国外においても同様に、枚挙にいとまのない程多 の如き安全上重要な部分であるにもかかわらず、蒸気発生器細管における減肉、ひび割れ、穴あき等の損傷事故は、国内で営業運転中の五基のPWRのすべてで発生し、国外においても同様に、枚挙にいとまのない程多数の事故例が報告されている。恐るべきことに、この事態は、原因も正しく握めず的確な対策もたてられないまま進行しているのであり、まさに大規模な蒸気発生器細管破損事故の寸前というべき重大な事態である。 ない程多 の如き安全上重要な部分であるにもかかわらず、蒸気発生器細管における減肉、ひび割れ、穴あき等の損傷事故は、国内で営業運転中の五基のPWRのすべてで発生し、国外においても同様に、枚挙にいとまのない程多数の事故例が報告されている。恐るべきことに、この事態は、原因も正しく握めず的確な対策もたてられないまま進行しているのであり、まさに大規模な蒸気発生器細管破損事故の寸前というべき重大な事態である。以下、従来の細管損傷事故例をいくつか挙げて細管損傷事故の状況を見てみる。(一) 美浜一号炉我が国最初の発電用PWRである美浜一号炉は、昭和四五年一一月二八日に運転を開始したもので、電気出力三四万キロワツト、コンパツシヨン・エンジニアリング社製の蒸気発生器二基を装備している。この原子力発電所で昭和四七年六月一三日、放射能漏れが発生した。調査の結果、細管一本に穴があいており、同時に、約一〇〇本に減肉が生じていた。これらの細管については、栓止めを実施した後、昭和四七年一二月九日、運転を再開した。その際、通常は一年ごとの定期点検を、半年ごとに実施することにし、更に、出力を七〇パーセントに下げて、運転することとした。しかし、昭和四八年三月十五日からの定期検査で、約一〇〇〇本の細管に減肉が発生していることが発見された。これらの減肉細管及びその周辺の健全細管も合せて、約一九〇〇本について栓止めを実施し、同年八月一九日、運転を再開した。運転再開にあたつては、半年ごとの定期検査を実施するとともに、出力を更に下げて、六〇パーセントの出力で運転することとした。しかし、また昭和四九年二月一二日からの定期検査の際に、四本の細管に減肉が発生した。この四本について栓止めを実施した後、同年六月四日、前記と同じ条件で運転を再開した。昭和四九年七月一七日、再度放射能漏れを起こし 和四九年二月一二日からの定期検査の際に、四本の細管に減肉が発生した。この四本について栓止めを実施した後、同年六月四日、前記と同じ条件で運転を再開した。昭和四九年七月一七日、再度放射能漏れを起こした。調査の結果、二本の細管に穴があいており、その二本を含めて、一五八本の細管に減肉が発見された。右の事故経過において、被告は初期には、この蒸気発生器の熱交換器としての性能が劣るせいではないかとして、出力を下げて、運転を続けさせたのである。そしてやがて、減肉は細管の曲管部(曲がつた部分)で、振れ止め板に押えられた部分に発生しており、この部分が強く影響を受けて腐食されたと、減肉の原因を考えるようになつた。 調査の結果、二本の細管に穴があいており、その二本を含めて、一五八本の細管に減肉が発見された。右の事故経過において、被告は初期には、この蒸気発生器の熱交換器としての性能が劣るせいではないかとして、出力を下げて、運転を続けさせたのである。そしてやがて、減肉は細管の曲管部(曲がつた部分)で、振れ止め板に押えられた部分に発生しており、この部分が強く影響を受けて腐食されたと、減肉の原因を考えるようになつた。しかし、その後、細管減肉は曲管部だけでなく、直管部にも発生し始めたのである。右の経過から分るように、事故の対策としてとられたのは、損傷細管及びその可能性のある細管を栓止めして、出力を下げることだけであつた。この場合細管損傷の原因を究明し、その結果を待つて根本的な対策を実施した後、運転再開すべきであつた。しかし実際は、根本的な対策より、その場のがれの対策がとられて、運転再開が優先され、その結果、一〇〇〇億円もの高価な装置を、まつたく動かせないような状態までにしてしまつたのである。(二) 美浜二号炉この原子力発電所は、昭和四七年七月二五日に運転を開始したもので、電気出力五〇万キロワツト、ウエスチングハウス社製の蒸気発生器二基を備えている。この原子力発電所で昭和五〇年一月八日、放射能漏れが発生した。調査の結果、微少な漏れのある細管一本を含めて、細管二六六本が減肉を受けていた。ほぼ一年後の同年十二月に、損傷細管に栓止めをし、二次冷却水の水処理法をリン酸塩法から、揮発性物質法(以下AVTとも略す)へ変更して、運転再開され、現在に至つている。この減肉 が減肉を受けていた。ほぼ一年後の同年十二月に、損傷細管に栓止めをし、二次冷却水の水処理法をリン酸塩法から、揮発性物質法(以下AVTとも略す)へ変更して、運転再開され、現在に至つている。この減肉は美浜一号炉の場合と異なり、パンフルプレート付近の直管部に発生し、しかも一本の細管の数箇所に同時に発生しており、局部的腐食とは言えない状態であつた。被告は細管減肉の原因をバツフルプレート付近など、構造的に二次冷却水の流れが妨げられた部分に、水処理に使用したリン酸ソーダが濃縮されて生じたものと推定している。この事故は、美浜一号に設けられていたコンバツシヨン・エンジニアリング社製の蒸気発生器と異なり、ウエスチングハウス社製の蒸気発生器では、細管の曲管部と振れ止め板の構造が異なるため、減肉は起さないと考えていたのである。 食とは言えない状態であつた。被告は細管減肉の原因をバツフルプレート付近など、構造的に二次冷却水の流れが妨げられた部分に、水処理に使用したリン酸ソーダが濃縮されて生じたものと推定している。この事故は、美浜一号に設けられていたコンバツシヨン・エンジニアリング社製の蒸気発生器と異なり、ウエスチングハウス社製の蒸気発生器では、細管の曲管部と振れ止め板の構造が異なるため、減肉は起さないと考えていたのである。蒸気発生器内での蒸気と液体の激しい二相流の中で、熱的、機械的作用による損傷を防ぎ、しつかりと細管を保持する技術がいかに困難であるかを示した一つの例である。(三) ベズナウ一号炉スイスのベズナウ一号炉は電気出力三五万キロワツトのPWRで、運転開始は一九六九年六月である。当初より、二次冷却水の処理は、リン酸ソーダを使わない揮発性物質法を採用していた。しかし、多量の腐食生成物が蒸気発生器内に蓄積し、それによる腐食作用のために細管が破損したと判断されたために、腐食生成物を防ぐということで、再び、水処理法はリン酸塩法へ変更されたのである。そして、リン酸塩法へ変更後も、粒界割れや、減肉により放射能漏れを起しているのである。この例は、水処理法の変更が、蒸気発生畳細管からの放射能漏れを防ぐ決定的な対策にはなり得ないことを示している。(四) ポイントビーチ一号炉本事故例は、細管事故の例として特に重大な意味を持つ。この原子炉は電気出力四九万七 が、蒸気発生畳細管からの放射能漏れを防ぐ決定的な対策にはなり得ないことを示している。(四) ポイントビーチ一号炉本事故例は、細管事故の例として特に重大な意味を持つ。この原子炉は電気出力四九万七〇〇〇キロワツトで、ウエスチングハウス社製の蒸気発生器を有し、本件伊方原子炉と全く同型であり、一九七〇年一月に運転開始している。一九七一年までには、細管を溶接してある管板が破損を起し、放射能を漏洩させた。更に一九七二年の終りまでには、一九三本の細管で応力腐力腐食及び減肉を起している。そして一九七四年九月に二次冷却水処理法を、それまでリン酸塩法であつたのを、揮発性物質法に変更した。ところが翌年の一九七五年二月末に、蒸気発生器細管の大破損が生じたのである。すなわち、二月二六日の深夜、全出力運転中に、突然一次冷却材圧力が減少し、充填ポンプの回転数が最大になつた。このとき一次冷却材の減少が毎分五〇〇リツトルも生じていたのに、ブロ-ダウン系モニターや、空気抽出器系のモニターは有効に働かず、事故発生初期には、以前に、充填ポンプから一次冷却材が漏れたことがあつたため、今回も、充填ポンプのシールが破れたと判断して、一台の充填ポンプを隔離した。 が生じたのである。すなわち、二月二六日の深夜、全出力運転中に、突然一次冷却材圧力が減少し、充填ポンプの回転数が最大になつた。このとき一次冷却材の減少が毎分五〇〇リツトルも生じていたのに、ブロ-ダウン系モニターや、空気抽出器系のモニターは有効に働かず、事故発生初期には、以前に、充填ポンプから一次冷却材が漏れたことがあつたため、今回も、充填ポンプのシールが破れたと判断して、一台の充填ポンプを隔離した。しかし、一次冷却材の流出は止まらないので、運転員が、携帯用モニターをもつて空気抽出器のフイルタの所と、ブローダウン配管の所で、直接放射線線量を測定し、それぞれ、一レム、五〇ミリレムの放射線があることが分つたのである。この時点で、A、B二つあるうちのB蒸気発生器で、一次冷却材が漏れていると判断して、ブ口ーダウン系を閉鎖し、原子炉も出力を停止した。その後、B蒸気発生器の主蒸気停止弁を閉じた後、健全なA蒸気発生器を使つて、一次系の冷却と減圧を実施した。この間、流出した一次冷却水を補給するため、充填ポンプだけでは追いつかず高 も出力を停止した。その後、B蒸気発生器の主蒸気停止弁を閉じた後、健全なA蒸気発生器を使つて、一次系の冷却と減圧を実施した。この間、流出した一次冷却水を補給するため、充填ポンプだけでは追いつかず高圧注入ポンプも使用して、原子炉内の一次冷却水の水位を確保した。そして、B蒸気発生器を隔離した後、残留熱のため、その内圧が上昇し大気放出弁が開いて、直接汚染した蒸気が、外部へ放出されるのを防ぐため、復水器に通じるバイパス弁を開き、汚染蒸気を復水器に送つて冷却すると同時に放射能を捕集する措置をとつた。しかしこうした措置によつても、もちろん、希ガス放射能の除去は不可能で、約二二六〇キユリーもの放射能が大気に流出した。この事故で最終的な措置が完了したのは、事故発生後七時間後であつた。その後の調査の結果によると、一本の細管で二箇所に、約五ミリ×一〇ミリ、及び四ミリ×二〇ミリの大穴が生じていた。これと同時に九〇パーセント以上の減肉細管がそのほかにも二〇本も存在していた。細管の破断面積は完全なギロチン破断に比べて1/4から1/5と思われるが、それでも冷却材の流出量は四〇~五〇トンに達している。もし充填ポンプが一台でも作動しなかつたとすれば、原子炉内の一次冷却材の水位の低下は著しく、更に、外部電源が喪失されるという事態が重なれば、蒸気発生器による一次冷却材の冷却も著しく阻害され、原子炉内圧力の低下が遅れて、炉心溶融も不可避であつたろう。 ほかにも二〇本も存在していた。細管の破断面積は完全なギロチン破断に比べて1/4から1/5と思われるが、それでも冷却材の流出量は四〇~五〇トンに達している。もし充填ポンプが一台でも作動しなかつたとすれば、原子炉内の一次冷却材の水位の低下は著しく、更に、外部電源が喪失されるという事態が重なれば、蒸気発生器による一次冷却材の冷却も著しく阻害され、原子炉内圧力の低下が遅れて、炉心溶融も不可避であつたろう。この事故では、一本の細管の二箇所に同時に、大穴があいたのであるが、このことは、二本の細管に一箇所ずつ大穴があいたことに相当する。つまり、同時複数本の細管の破断の現実性を示している。更に、細管腐食の原因は、リン酸ソーダを二次冷却水処理に使つていたときの残留腐食生成物のためとされているが、二次冷却水の処理法をリン酸塩法から、揮 まり、同時複数本の細管の破断の現実性を示している。更に、細管腐食の原因は、リン酸ソーダを二次冷却水処理に使つていたときの残留腐食生成物のためとされているが、二次冷却水の処理法をリン酸塩法から、揮発性物質法に変更してから、僅か半年で細管の大破損が発生したということは、揮発性物質法の有効性に疑問を投げかけることになつた。(五) 右にあげた例のほか、高浜一号、西ドイツのKWO(オブリヒハイム)、アメリカのロビンソン二号、インデイアン・ポイント一号などで、細管の材料がステンレス、インコネルの如何を問わず、また、二次冷却水の処理もリン酸法によるか、AVT法によるかを問わず、多発していることは周知の事実である。右にあげた諸事例が示すように、本件伊方原子炉と同型のPWRについては、蒸気発生器細管破損事故は、いまや、国内、外の先行原子力発電所で多発し、それらの欠陥蒸気発生器は、PWRの信頼性を損う最大の原因となつている。三ずさんな安全管理 4 妥当性を欠いた「設計上の配慮」(三) 水処理がすべてではない揮発性物質法に期待がかけられている最大のよりどころは、美浜など、国内、外各地で発生している減肉腐食は、化学作用によるものであり、その要因はリン酸塩である、との推定である。しかし、すでに明らかにしたように、蒸気発生器細管の損傷要因は、化学作用による減肉のみではない。減肉腐食についても、化学的な作用によるのみではなく、蒸気発生器内の二次冷却材の激しい流れによる削り取り作用、あるいは、その流れの中で発生する泡がもたらす、いわゆるキヤビテーシヨン腐食なども、減肉の原因として考えられている。 いる減肉腐食は、化学作用によるものであり、その要因はリン酸塩である、との推定である。しかし、すでに明らかにしたように、蒸気発生器細管の損傷要因は、化学作用による減肉のみではない。減肉腐食についても、化学的な作用によるのみではなく、蒸気発生器内の二次冷却材の激しい流れによる削り取り作用、あるいは、その流れの中で発生する泡がもたらす、いわゆるキヤビテーシヨン腐食なども、減肉の原因として考えられている。美浜などに発生した減肉も、リン酸塩などの化学物質のみによる腐食作用であるとは、まだ決して証明されていないのである。更に減肉以外の、主としてヒビ割れや、一挙破断という 肉の原因として考えられている。美浜などに発生した減肉も、リン酸塩などの化学物質のみによる腐食作用であるとは、まだ決して証明されていないのである。更に減肉以外の、主としてヒビ割れや、一挙破断という型で発生すると予想される、応力腐食や疲労破壊も、細管のギロチン破断をもたらす有力な原因となつている。右にあげた種々の損傷要因は、本件原子炉ないしはそれと同型のものに設備された蒸気発生器の作動条件、すなわち、その内部を流れる、大なり小なり腐食的な雰囲気を持つた二次系の二相流がもたらす、苛酷な熱的ないしは機械的な作用によつて生み出されるものである。したがつて、細管損傷の発生は、現在の蒸気発生器の構造や作動条件を抜本的に変更しない限り、不可避である。水処理の方法を手直しすることによつて、腐食の形態や出現の模様に多少の変化が見られたとしても、それは抜本的解決からほど遠いものである。第四原子炉圧力容器及び一次冷却系配管の危険性二圧力容器の中性子照射による脆化(二) 脆化の状態をは握することの困難性材料の脆化は、中性子照射時の温度によつてその度合が異なるところ、圧力容器壁と監視試験片ではその位置により温度差が存し、その温度差は監視試験片の脆化の程度を圧力容器壁の脆化より相当下まわつたものにしている。また、寸法効果を考慮すると、監視試験片の脆化によつて炉壁の脆化を評価することは一般的には過小評価となる。また監視試験片の脆性遷移温度の試験結果でも、ばらつきが多い。したがつて、監視試験片の脆化を調べても、これをもつて圧力容器壁の脆化とみなすことはできず、また、監視試験片の脆化の程度を何倍かに見積つて圧力容器壁の脆化の程度を推測するにしても、その見積りのための計算式は何ら実証性もなく、正確性も確認されていない。 果を考慮すると、監視試験片の脆化によつて炉壁の脆化を評価することは一般的には過小評価となる。また監視試験片の脆性遷移温度の試験結果でも、ばらつきが多い。したがつて、監視試験片の脆化を調べても、これをもつて圧力容器壁の脆化とみなすことはできず、また、監視試験片の脆化の程度を何倍かに見積つて圧力容器壁の脆化の程度を推測するにしても、その見積りのための計算式は何ら実証性もなく、正確性も確認されていない。結局、圧力容器の中性子照射による脆化の た、監視試験片の脆化の程度を何倍かに見積つて圧力容器壁の脆化の程度を推測するにしても、その見積りのための計算式は何ら実証性もなく、正確性も確認されていない。結局、圧力容器の中性子照射による脆化の程度をは握する唯一の方法である監視試験片による検査には、何らの正確性もなく、これによつて脆化の程度をは握することはできない。したがつて、前記(3)の基準にいう「健全性を評価するための試験および検査ができるような設計であること」なる要件を充足していないことは明らかである。第五緊急炉心冷却装置(ECCS)││安全装置が働かない││三本件ECCS審査基準 2 三項目基準右審査指針の「燃料被覆の溶融を防止できるような設計であること」なる基準だけでは、抽象的にすぎ、更にその内容を補充する細則たる具体的な基準がなければ、ECCSの機能と有効性を判断することは不可能である。本件審査当時には、未だ右の具体的なECCS基準は公式に定められていなかつたが、被告によれば、次の三項目が基準とされた(それは昭和四七年一〇月、審査会において内部的に定められたもののようである。)。(1) 燃料被覆が著しく破損しないこと。(2) 事故の全期間にわたり炉心の適切な冷却が確保されること。(3) 著しい金属││水反応を起さないこと。そしてその具体的内容としては、(1) 核分裂生成物流出に寄与する破損燃料被覆の全燃料被覆に占める割合が十分小さいこと。(2) 炉心内の燃料体の被覆管の最高温度はいずれも摂氏一二〇〇度を上まわらないこと。(3) 金属││水反応が炉心の全燃料の被覆管の一パーセント以下にとどまること。である。なお、注意すべきことは、右三項目基準に類似するものとして、次の基準が存するが、右三項目基準と区別すべきことである。(イ) 昭和五〇年五月、原子力委員 の一パーセント以下にとどまること。 被覆の全燃料被覆に占める割合が十分小さいこと。(2) 炉心内の燃料体の被覆管の最高温度はいずれも摂氏一二〇〇度を上まわらないこと。(3) 金属││水反応が炉心の全燃料の被覆管の一パーセント以下にとどまること。である。なお、注意すべきことは、右三項目基準に類似するものとして、次の基準が存するが、右三項目基準と区別すべきことである。(イ) 昭和五〇年五月、原子力委員 の一パーセント以下にとどまること。である。なお、注意すべきことは、右三項目基準に類似するものとして、次の基準が存するが、右三項目基準と区別すべきことである。(イ) 昭和五〇年五月、原子力委員会で公式に定められた「軽水型動力炉の非常用炉心冷却系の安全評価指針」(ロ) アメリカECCS暫定基準(一九七二年(昭和四七年)六月制定)被告は、本件審査に用いられた基準につき、初めて「暫定指針」なる名称を使つてきており、一見、右(イ)(ロ)の基準にまぎらわしいが、右「暫定指針」なるものの内容は、前記三項目基準であると解する外はないので、以下では、「三項目基準」の名称を使い、その内容に従つて検討を進める。3 本件原子炉ECCS審査基準の不当性(一) 不明確な燃料被覆破損基準本件ECCS安全評価の審査に採用された基準項目(1)は、「燃料被覆が著しく破損しないこと」、具体的には、「破損燃料被覆の全燃料被覆に占める割合が十分小さいこと」を要求している。しかし、項目(1)の「具体的」要求さえ「割合が十分小さい」としか規制していないため、それは定量性を欠き、恣意的な解釈の余地を残すことによつて、項目の字面が与える厳しさを、その適用に当つて骨抜きにすることを可能にしているのである。(二) 炉心の冷却は確保されない本件安全審査に用いられた、ECCSの安全評価の基準の(2)は、「事故の全期間にわたり炉心の適切な冷却が確保されること」、具体的には、「炉心内の燃料体の被覆管の最高温度はいずれも摂氏約一二〇〇度を上まわらないこと」を要求している。しかし、たとえ被覆管の温度がある時点まで、一二〇〇度C以下に保たれていたとしても、一たん燃料棒が破壊されれば、炉心の形状が崩れ、その冷却は不可能になり、被覆管温度も上昇して、炉心溶融に至る。したがつて、被覆管の温度の 温度がある時点まで、一二〇〇度C以下に保たれていたとしても、一たん燃料棒が破壊されれば、炉心の形状が崩れ、その冷却は不可能になり、被覆管温度も上昇して、炉心溶融に至る。 要求している。しかし、たとえ被覆管の温度がある時点まで、一二〇〇度C以下に保たれていたとしても、一たん燃料棒が破壊されれば、炉心の形状が崩れ、その冷却は不可能になり、被覆管温度も上昇して、炉心溶融に至る。したがつて、被覆管の温度の 温度がある時点まで、一二〇〇度C以下に保たれていたとしても、一たん燃料棒が破壊されれば、炉心の形状が崩れ、その冷却は不可能になり、被覆管温度も上昇して、炉心溶融に至る。したがつて、被覆管の温度の規制だけでは、ECCSの有効性の判断基準としてはまつたく不十分であり、炉心に作用する力の大きさ、及び被覆管の脆化や酸化に伴う劣化の程度などについても、明確な基準が必要である。(三) 水素の爆発は防げない本件安全審査におけるECCSの安全評価の審査に当つて採用された基準項目(3)は、「著しい金属││水反応を起こさないこと」を求め、具体的には、「金属││水反応が炉心の全燃料の被覆管の一パーセント以下」に押えることを指示している。ところが、水素は、空気と混合して約四パーセント以上の混合比になると爆発を起こすようになる。こうした爆発条件が、ジルコニウム││水反応の割合を一パーセントとしておけば起こらないという保証はなく、特に、軽い水素が集まると予想される格納容器上部では、爆発の可能性は大きい。(四) 本件ECCS審査基準として用いられた前記三項目基準は以上の次第で、炉心溶融を防ぐ保証とならず、安全設計審査指針III六・二の「燃料被覆の溶融を防止」するための基準としては、違法不当なものである。このような違法な基準を用いてなされた本件審査は、本件ECCSの安全設計審査指針適合性判断を誤らしめ、結局規制法二四条一項四号適合性の判断を誤らしめたものとして、本件審査自体を違法ならしめるものである。第五章本件許可処分の内容の違法性(その三)││立地選定の誤り││第四本件原子炉事故による災害の過小評価四本件災害評価の具体的誤り 3 本件安全審査における推定災害の不当性(一) 右に指摘した様々の恣意的な前提や仮定を採用することによつて、当然ではあるが、 第四本件原子炉事故による災害の過小評価四本件災害評価の具体的誤り 3 本件安全審査における推定災害の不当性(一) 右に指摘した様々の恣意的な前提や仮定を採用することによつて、当然ではあるが、本件安全審査が認めた推定災害は、極めて低く、設置者である四国電力本位のものとなつている。 本件安全審査における推定災害の不当性(一) 右に指摘した様々の恣意的な前提や仮定を採用することによつて、当然ではあるが、 第四本件原子炉事故による災害の過小評価四本件災害評価の具体的誤り 3 本件安全審査における推定災害の不当性(一) 右に指摘した様々の恣意的な前提や仮定を採用することによつて、当然ではあるが、本件安全審査が認めた推定災害は、極めて低く、設置者である四国電力本位のものとなつている。立地審査のための災害評価が、もし、原告ら周辺住民の立場からなされるのであれば、それは、被告が採用した前提や仮定と、全く違つたものになつたであろう。その一例として、本件立地条件も考慮した想定事故における災害評価の過程と結果とを、後述(五)する。しかし、その前に、ここでは、本件安全審査における想定事故による災害の評価に際して採用された諸仮定が、いかにご都合主義なものであり、不当な推定災害をもたらしているかを明らかにするために、できるだけ、本件安全審査の想定事故と類似した事故経過を選び、前記2で指摘した恣意的な諸仮定を改めることによつて、どのような結果が得られるかを示す。(二) 一次冷却材喪失事故一次冷却材喪失事故の発生原因を不問に付し、一次冷却材大口径配管だけが、その低温側で破断するという全く恣意的で本件安全審査におけると同様の事故を仮りに想定する。右の4・(二)・(1)で明らかにしたように、この想定で、しかも、本件安全審査で採用した条件で、ECCSが作動したとしても、炉心の溶融は「技術的に起り得る」ものとして想定する必要がある。その条件を共通にした上で、「重大事故」と「仮想事故」とを、本件安全審査に類似した事故経過によつて想定し、そのそれぞれについて、仮りに災害を評価する。(1) 「重大事故」炉心溶融が起こると、格納容器は必らず何らかの損傷を受ける。ここでは、本件災害評価と比較できるように、敢えて最も甘い仮定を用いることにし、圧力容器、格納容器の底部 を評価する。(1) 「重大事故」炉心溶融が起こると、格納容器は必らず何らかの損傷を受ける。ここでは、本件災害評価と比較できるように、敢えて最も甘い仮定を用いることにし、圧力容器、格納容器の底部が、溶融した炉心によつて貫通されるだけで格納容器上部は大きな破損を受けないし、種々の工学的安全装置は、機械的にも熱的にも損傷を受けないと仮定する。 敢えて最も甘い仮定を用いることにし、圧力容器、格納容器の底部 を評価する。(1) 「重大事故」炉心溶融が起こると、格納容器は必らず何らかの損傷を受ける。ここでは、本件災害評価と比較できるように、敢えて最も甘い仮定を用いることにし、圧力容器、格納容器の底部が、溶融した炉心によつて貫通されるだけで格納容器上部は大きな破損を受けないし、種々の工学的安全装置は、機械的にも熱的にも損傷を受けないと仮定する。ただし、炉心溶融によつて、本件「重大事故」時の五〇倍の放射能は格納容器内に放出されるとする。こうした事故経路について、環境へ放出される放射能量な計算するが、計算に用いる種々の仮定についても、現行災害評価で与えられている仮定の本質的な非科学性はここでは問わないこととし、先に示した我が国の同型炉の災害評価に用いられている仮定のうちで一応一番厳しくなつている値を採用することにする。すなわちここで使用する仮定は次のようなものである。格納容器漏洩率¨〇・五パーセント(事故後一日)(本件の場合〇・三パーセント)〇・・二五パーセント(二~四日)(本件の場合〇・一三五パーセント)ドームから直接漏洩する割合¨ 一〇パーセント(本件の場合三パーセント)この他の仮定については、格納容器スプレイや、アニユラス空気再循環設備等は皆、本件災害評価で期待されている通りの性能を持つことにする。以上のような仮定の下に、環境へ放出されるヨー素の量を計算してみると、三八〇〇キユリーとなり、本件災害評価で「重大事故」時に放出されると評価されている二〇キユリーに比べて、およそ二〇〇倍もの放出量となる。更に、これによる周辺住民の被ばく線量を評価するに当たつても、基本的には本件災害評価で用いられているやり方をそのまま用いることにするが、放出に当たつては地上放出(本件災害評価では地上高さ六八メートルの点からの放出)を仮定し、風速も一・五メートル に当たつても、基本的には本件災害評価で用いられているやり方をそのまま用いることにするが、放出に当たつては地上放出(本件災害評価では地上高さ六八メートルの点からの放出)を仮定し、風速も一・五メートル毎秒(本件災害評価では二・五メートル毎秒)という値に修正する。以上の条件の下で得られる敷地境界での小児甲状腺被ばく線量は、一二〇〇レムとなり、非居住区域に対する「めやす線量」 一五〇レムをはるかに超えた致死線量となる。 基本的には本件災害評価で用いられているやり方をそのまま用いることにするが、放出に当たつては地上放出(本件災害評価では地上高さ六八メートルの点からの放出)を仮定し、風速も一・五メートル毎秒(本件災害評価では二・五メートル毎秒)という値に修正する。以上の条件の下で得られる敷地境界での小児甲状腺被ばく線量は、一二〇〇レムとなり、非居住区域に対する「めやす線量」 一五〇レムをはるかに超えた致死線量となる。更に、先に述べた食物連鎖から受ける被ばく線量を考えると、固体状放射性物質の粒度が大きい場合、小児の受ける被ばく線量は、吸入によるもののおよそ一〇倍になる。したがつて、敷地境界の小児甲状腺線量は、吸入によるものから一二〇〇レム、食物連鎖によるものから一万二〇〇〇レム、合計一万三二〇〇レムという、実にばく大な大きさになつてしまうのである。このように、あくまでも本件災害評価と同じような事故経路を考え、工学的安全装置の作動を考えたとしても、一次冷却材喪失事故の発生を考える限り、「めやす線量」 は全く満たされないのであり、本件災害評価がいかにずさんなものであつたかが解るのである。(2) 「仮想事故」「仮想事故」の想定に当たつても、「重大事故」を想定した場合と同じ考え方で行う。すなわち、原因として地震など、共通モード故障が問題となる事象は考えない。更に、本件災害評価で作動が仮定された工学的安全装置は、すべて同じように働くと仮定する。「重大事故」の場合には、炉心溶融はしたものの格納容器が貫通されただけで、格納容器上部等は損傷を受けないと仮定した。そのため格納容器の漏洩率については、現行の安全審査の災害評価で実際に用いられたことのある値を用いた。しかし「仮想事故」では、溶融炉心による格納容器の地上部分の破損をつぎのように考慮する。炉心 た。そのため格納容器の漏洩率については、現行の安全審査の災害評価で実際に用いられたことのある値を用いた。しかし「仮想事故」では、溶融炉心による格納容器の地上部分の破損をつぎのように考慮する。炉心はほぼ一時間程度で全て溶け、ばく大な量の水素と蒸気が発生する。このうち蒸気については、格納容器スプレイや格納容器熱除去系が作動していれば、それは凝縮してさほど問題とならないと思われる。しかし、水素については、それが充分な漏洩率でもつて環境へ放出されない限り水素爆発を惹き起こす。 用いられたことのある値を用いた。しかし「仮想事故」では、溶融炉心による格納容器の地上部分の破損をつぎのように考慮する。炉心はほぼ一時間程度で全て溶け、ばく大な量の水素と蒸気が発生する。このうち蒸気については、格納容器スプレイや格納容器熱除去系が作動していれば、それは凝縮してさほど問題とならないと思われる。しかし、水素については、それが充分な漏洩率でもつて環境へ放出されない限り水素爆発を惹き起こす。それを防ぐために必要な漏洩率は二〇〇パーセント/日と考えられている。水素爆発が起きると仮定すると、余りにも大量の放射性物質が環境に放出されることになるので、ここではそうした大事故を想定することを避けるため炉心が溶け終わる頃である事故後一時間たつた時に、格納容器が小破損し、以後は格納容器の漏洩率を二〇〇パーセント/日と仮定する。それまでの漏洩率は平常運転時と同じと考えて〇・一パーセント/日とする。また、ドーム部からの漏洩割合は重大事故と同様に一〇パーセントとする。格納容器スプレイについては、本件災害評価と同じように有効に働くとするが、アニユラス空気再循環系については、アニユラスに漏洩してきたものの全量をそのまま排気すると仮定する。ただし事故後最初の一〇分間以外はフイルターの効果を考慮し、ヨー素に対する除去効率を本件災害評価と同じく九〇パーセントとする。以上の仮定は、原因に関係する「共通モード故障」を考えない点、すべての工学的安全装置が全て作動すると考える点、水素爆発をおこさないように考えた点等、どの点をとつても非常に甘い仮定であると言える。ところが、このような仮定を用いても、ヨー素の放出量は五〇万キユリーとなり、重大事故を想定した時と同じ気象条件を用いても、敷地境界の成 うに考えた点等、どの点をとつても非常に甘い仮定であると言える。ところが、このような仮定を用いても、ヨー素の放出量は五〇万キユリーとなり、重大事故を想定した時と同じ気象条件を用いても、敷地境界の成人甲状腺被ばく線量は三万一〇〇〇レムとなるし、食物連鎖からによるものをこれと等しいとする上、更に四万レムの被ばくが加わつて合計六万二〇〇〇レムもの成人甲状腺被ばく線量になり、「めやす線量」三〇〇レムをはるかに超え、生存はもちろん覚つかなくなるのである。このように、一次冷却系配管のギロチン破断が起つた場合、たとえECCSやその他の工学的安全設備が全て作動したとしても、炉心の溶融は避けられず、その結果周辺住民が受ける被ばく線量はばく大なものとなるのである。 らによるものをこれと等しいとする上、更に四万レムの被ばくが加わつて合計六万二〇〇〇レムもの成人甲状腺被ばく線量になり、「めやす線量」三〇〇レムをはるかに超え、生存はもちろん覚つかなくなるのである。このように、一次冷却系配管のギロチン破断が起つた場合、たとえECCSやその他の工学的安全設備が全て作動したとしても、炉心の溶融は避けられず、その結果周辺住民が受ける被ばく線量はばく大なものとなるのである。本件安全審査における被ばく評価との著しい差は、本件審査の不当性を示すものにほかならない。(三) 蒸気発生器細管破損事故(1) 重大事故先にも述べた通り、「重大事故」を「原子炉立地審査指針」の規定に従つて「技術的見地からみて、起こりうると考えられる重大な事故」として定義するならば、蒸気発生器細管破損事故として想定すべきものは、まさに多数の細管が同時に破断するという事故であろう。しかし、そうした事故をここでは敢えて考えず、本件安全審査で仮定されているようにわずか一本の細管だけが破断するという事故を想定する。更に、こうしたたつた一本の細管しか破断しないとしても、この事故経過は、極小破断LOCAに進展する可能性があるが、そうした可能性もここでは敢えて無視する。したがつて、ここで想定する「重大事故」は極めて大きな過小評価になつている。事故経路における具体的仮定についても、本件災害評価で用いられている仮定をそのまま用いるが、但し、有機ヨー素の低減率と、無機ヨー素のReleaseFactorについては な過小評価になつている。事故経路における具体的仮定についても、本件災害評価で用いられている仮定をそのまま用いるが、但し、有機ヨー素の低減率と、無機ヨー素のReleaseFactorについては、全く根拠がないので、いずれの数値も一とする。こうした仮定の下でヨー素についての環境への放出量を評価すると、二八〇〇キユリーとなり、本件災害評価の六一キユリーという値に比べれば五〇倍近い値になる。更に、被ばく線量の評価に当たつては、本件災害評価では風速二メートル毎秒という値が用いられているのを一・五メートル毎秒に修正する。そうした場合、敷地境界での小児甲状腺被ばく線量は、二〇〇〇レムとなり、これに、先に述べた食物連鎖からの被ばくを一〇倍として加えれば、二万二〇〇〇レムもの小児甲状腺被ばく線量になり、この場合も「めやす線量」をまつたく満たさない。 キユリーという値に比べれば五〇倍近い値になる。更に、被ばく線量の評価に当たつては、本件災害評価では風速二メートル毎秒という値が用いられているのを一・五メートル毎秒に修正する。そうした場合、敷地境界での小児甲状腺被ばく線量は、二〇〇〇レムとなり、これに、先に述べた食物連鎖からの被ばくを一〇倍として加えれば、二万二〇〇〇レムもの小児甲状腺被ばく線量になり、この場合も「めやす線量」をまつたく満たさない。(2) 仮想事故仮想事故についても、重大事故を想定した場合と同じように、細管同時多数破断や極小LOCAについては考えず、本件災害評価で想定された仮想事故と同じ事故を仮想事故として想定する。事故経路で用いる仮定も、本件災害評価で用いられているものをほぼそのまま用いるが重大事故の場合と同じように、有機ヨー素の低減率と無機ヨー素のReleaseFactorについてはいずれも一とする。以上のような仮定の下で、環境へ放出されるヨー素量を計算すると一万一〇〇〇キユリーとなり、本件災害評価で得られている三五九キユリーという値と比べれば、この場合も三〇倍もの値になつている。更に、このような仮定をする場合、ヨー素は三〇分以内にすべて放出されることになるので、大気拡散については三〇分以後の条件を考えず、三〇分までの拡散条件についても、風速二メートル毎秒という値を一・五メートル毎秒に修正する。こうして計算すると、敷 以内にすべて放出されることになるので、大気拡散については三〇分以後の条件を考えず、三〇分までの拡散条件についても、風速二メートル毎秒という値を一・五メートル毎秒に修正する。こうして計算すると、敷地境界における成人甲状腺被ばく線量は、実に二〇〇〇レムにもなり、更に食物連鎖からによるものを同量二〇〇〇レムとして加えると成人甲状腺被ばく線量は四〇〇〇レムとなり「めやす線量」の三〇〇レムをはるかに超え、致死傷害をもたらす。以上のように蒸気発生器細管破損事故についても、本件災害評価の本質的な不充分性を全く問題にせず、あくまでも本件災害評価に沿つた評価法をとつたとしても、やはり「めやす線量」すらまつたく満たされず、本件伊方炉の設置はとうてい許されないのである。五予想し得る災害の評価右に詳述にしてきたように、本件安全審査における立地審査のために、四国電力より提出された「重大事故」及び「仮想事故」の想定、並びに、それらの事故が周辺住民にもたらすと推定される災害の評価は、本件伊方発電所の設置を前提として、きわめて恣意的になされたものであるにもかかわらず、審査に当つた安全審査会は、それらを無批判的に承認したといわざるを得ない。 設置はとうてい許されないのである。五予想し得る災害の評価右に詳述にしてきたように、本件安全審査における立地審査のために、四国電力より提出された「重大事故」及び「仮想事故」の想定、並びに、それらの事故が周辺住民にもたらすと推定される災害の評価は、本件伊方発電所の設置を前提として、きわめて恣意的になされたものであるにもかかわらず、審査に当つた安全審査会は、それらを無批判的に承認したといわざるを得ない。それらの審査に当つては、本件伊方原子力発電所と同型の先行原子力発電所で明らかになつた、蒸気発生器の重大な欠陥を示す諸事実を全く考慮せず、また、一次冷却材喪失事故時における炉心溶融の経過と結果とを不当に評価するなどして、恣意的な事故想定と事故経過とを承認した。更に、想定事故による災害の評価に当たつては、放射能の環境への散逸を防ぐために設けられている安全防護設備が、いかなる事故にあつても、その有効性を安全に保つている、といつたご都合主義的な仮定を設けたり、安全審査に当たつた委員すら答えられないような、わけのわからない数値を持ち込 設けられている安全防護設備が、いかなる事故にあつても、その有効性を安全に保つている、といつたご都合主義的な仮定を設けたり、安全審査に当たつた委員すら答えられないような、わけのわからない数値を持ち込んで環境への放射能放出量を桁違いに引き下げるといつた、周辺住民の放射線被ばく推定量を「めやす線量」以下に抑えるための作為的な操作も、全く問題にされなかつたのである。こうした、国民を欺き審査の名に値しない審査は、主として原子力委員会の怠慢に由来する、現行の「立地審査指針」の曖昧さをいいことにしてなされたものであり、事故による災害を蒙る立場にある原告らにとつては到底承服し難いものである。現行の「立地審査指針」は、それを原子力委員会に答申した原子炉基準安全専門部会も認めているように、きわめて定性的であり、本件安全審査におけるように恣意的に運用される余地を残していることは明らかである。しかし「立地審査指針」は、他の産業に類を見ないような原子力発電所に特有な危険性を考慮して、「万一の事故に備え、公衆の安全を確保するため」に設けられたものであることも疑いない事実である。したがつて、たとえ「立地審査指針」が不備であつても、それを適正に運用していたならば、当然、本件伊方原子力発電所の設置は不可能であるとの結論に導かれたであろう。 うに恣意的に運用される余地を残していることは明らかである。しかし「立地審査指針」は、他の産業に類を見ないような原子力発電所に特有な危険性を考慮して、「万一の事故に備え、公衆の安全を確保するため」に設けられたものであることも疑いない事実である。したがつて、たとえ「立地審査指針」が不備であつても、それを適正に運用していたならば、当然、本件伊方原子力発電所の設置は不可能であるとの結論に導かれたであろう。以下にこのことを証する。1 本件安全審査における事故想定の誤つた前提右に述べたように、本件伊方発電所の設置は、「原子炉立地審査指針」に規定された「原則的立地条件」を充たしていなないために、当然不許可になるべきであつた。にもかかわらず本件安全審査では、「原則的立地条件」の適否の判断がなされないままに、「立地審査の指針」に適合しているかどうかを判断するためと称して、「重大事故」及び「仮想事故」を想定し、それらの事故による周辺住民の被ば 全審査では、「原則的立地条件」の適否の判断がなされないままに、「立地審査の指針」に適合しているかどうかを判断するためと称して、「重大事故」及び「仮想事故」を想定し、それらの事故による周辺住民の被ばく線量を推定し、それらが「原子炉立地審査指針」にとり入れられている被ばく線量の基準、すなわち、「めやす線量」を上回らないかどうかの審査が行なわれた。「原則的立地条件」をないがしろにした、このような審査過程は、重大な誤りを含んだ不当なものである。しかし、かりに百歩譲つてこのような審査の進め方を認めるとしても、事故想定の前提となるべき条件の設定について、本件安全審査は更に重大な誤りを犯している。それは、本件伊方原子力発電所の立地条件に由来する危険を全く評価していないということである。安全審査会は「地震面からみた原子炉の立地条件の適否の判断は、予想される地震と、これに対する技術的工学的対応度の総合的検討に基づいてなされる」との、ご都合主義的な見解で「原則的立地条件」の規定を無視した。しかし、現在の科学技術水準の限界に由来する「総合的検討」の不正確さが、とり返しのつかない災害を周辺住民にもたらすことを防ぐためにこそ、「原則的立地条件」が設けられているのである。したがつて、もし「原則的立地条件」の判断を避け、想定した事故による災害評価を審査する際には「総合的検討」の不正確さを反映した、何らかの条件を設定することは最低限必要なことである。 な見解で「原則的立地条件」の規定を無視した。しかし、現在の科学技術水準の限界に由来する「総合的検討」の不正確さが、とり返しのつかない災害を周辺住民にもたらすことを防ぐためにこそ、「原則的立地条件」が設けられているのである。したがつて、もし「原則的立地条件」の判断を避け、想定した事故による災害評価を審査する際には「総合的検討」の不正確さを反映した、何らかの条件を設定することは最低限必要なことである。しかるに本件安全審査においては、「予想される地震」の過小評価に基づいた「総合的検討」を行うことによつて、本件伊方原子力発電所の危険な立地条件を、事故の想定に際して無視するという許し難い不当な方法が採用されたのである。本件安全審査においてなされたという「総合的検討」とは何か。それはつぎのような内容である。「過去の地震歴 の危険な立地条件を、事故の想定に際して無視するという許し難い不当な方法が採用されたのである。本件安全審査においてなされたという「総合的検討」とは何か。それはつぎのような内容である。「過去の地震歴等からみて、当該敷地に最大の地震動をもたらした地震の、原子炉施設の基礎岩盤における加速度は一六五ガルと推定され、また、地盤については、新鮮かつ堅硬な岩石で構成されており、地震が発生した場合に基礎岩盤の破壊を招くような断層はみられなかつた。このような検討結果等を踏まえ、本件伊方発電所の耐震設計に当たつては、安全上重要な施設について設計加速度二〇〇ガルを採用しており、更に、その中でも特に重要な格納容器及び原子炉停止機構については、三〇〇ガルの場合でもその機能を保持できるような設計を行なうこととしているのである」。すなわち、過去に発生した地震がもたらした地震動の最高のものは、本件敷地の基礎岩盤に対して一六五ガルの加速度を与えたものであつたと推定し、「安全上重要な施設」については二〇〇ガルを、更に「格納容器及び原子炉停止機構」については三〇〇ガルを設計加速度として、それに耐える設計をすることになつているので、「予想される地震と、これに対する技術的工学的対応度」は完全であると判断されている。したがつて、本件立地条件にとつて特に重要な地震の影響については、「重大事故」や「仮想事故」の想定の際にも考慮する必要はないとされているのである。本件安全審査における事故想定の、右に述べるような大前提、すなわち、本件敷地岩盤については、過去に、一六五ガル以上の地震動はあり得なかつたし、二〇〇ガル、一部は三〇〇ガル、の地震動に耐える耐震設計が施されているから、地震による事故の想定は不必要との断定が、いかに誤つたものであるかを次項に示そう。 要な地震の影響については、「重大事故」や「仮想事故」の想定の際にも考慮する必要はないとされているのである。本件安全審査における事故想定の、右に述べるような大前提、すなわち、本件敷地岩盤については、過去に、一六五ガル以上の地震動はあり得なかつたし、二〇〇ガル、一部は三〇〇ガル、の地震動に耐える耐震設計が施されているから、地震による事故の想定は不必要との断定が、いかに誤つたものであるかを次項に示そう。2 本件安全審査における「予想 かつたし、二〇〇ガル、一部は三〇〇ガル、の地震動に耐える耐震設計が施されているから、地震による事故の想定は不必要との断定が、いかに誤つたものであるかを次項に示そう。2 本件安全審査における「予想最大地震動」の不当性安全審査会が「本件敷地に最大の地震動をもたらした地震の原子炉施設の基礎岩盤における加速度は一六五ガル」と推定した根拠は、「これら(過去)の地震の中で当該敷地に最も大きな地震動をもたらしたものは、伊予宇和島地震(一七四九年五月二五日、マグニチユード七・〇、震源距離三三キロメートル)と推定され、右伊予宇和島地震の際の当該敷地内の基礎岩盤における加速度は、金井式(近距離の地震については同種の計算式の中で最も大きな加速度値が示される計算式)によつて計算した結果」であるとみられる。しかしこの推定に、第二の二の1で論証したように、安全を優先する立場からは、明らかな過小評価と判断できるものである。その理由はつぎの二点に要約できる。その一つは、震源距離の恣意的な推定である。これまでのところ、過去の地震の震源の深さの推定にはよい方法がないが、最近ではマグニチユードと深さを対比させる方法がとられ、マグニチユードと深さとの関係をあらわす曲線が用いられている。この曲線から、いま問題となつている伊予宇和島地震のマグニチユード七・〇の値に対応する震源の深さを求めると、約一〇キロメートルという値が得られる。本件のように、安全確保を何よりも優先させなければならない場合には、当然に、よりきびしい地震動を与える震源の深さをすなわち、右に述べた約一〇キロメートルの値を採用しなければならないことはいうまでもない。震源の深さを一〇キロメートルととると、震源距離は約一七キロメートルとなり、金井式によつても、推定される地震動は約三四〇ガルとなり、安全審査会の推定値 を採用しなければならないことはいうまでもない。 る。本件のように、安全確保を何よりも優先させなければならない場合には、当然に、よりきびしい地震動を与える震源の深さをすなわち、右に述べた約一〇キロメートルの値を採用しなければならないことはいうまでもない。震源の深さを一〇キロメートルととると、震源距離は約一七キロメートルとなり、金井式によつても、推定される地震動は約三四〇ガルとなり、安全審査会の推定値 を採用しなければならないことはいうまでもない。震源の深さを一〇キロメートルととると、震源距離は約一七キロメートルとなり、金井式によつても、推定される地震動は約三四〇ガルとなり、安全審査会の推定値一六五ガルの二倍以上となるのである。地震動による本件敷地基礎岩盤の加速度についてのもう一つの誤りは、採用した金井式の不確かさである。すなわち、金井式は電源距離を用いて地震による加速度を推定するのであるが、最近の研究が示すように、地震の原因となつた断層との距離が重要であり、歴史上の地震で断層の位置が不明確なものでは、むしろ震央までの距離を用いた金井式によつて、岩盤加速度を推定すべきである。したがつて、いま問題となつている伊予宇和島地震についても、その震央距離一四キロメートルを用いて岩盤加速度を推定する方が、震源距離を用いるより、より合理的であり、安全優先の立場から見ても、より妥当であるといえる。震央距離で置き換えた金井式によつて、本件敷地岩盤に対する伊予宇和島地震による加速度を計算すると、約四二八ガルの値が得られる。この値は、被告の推定値一六五ガルの二・五倍以上にもなつているのである。右に述べたように、本件敷地における過去の最大地震動についての安全審査会の推定値一六五ガルは、伊予宇和島地震を最大地震として採用しても、明らかに過小評価であるといわねばならない。(1) 我が国における過去の地震歴からの推定我が国における地震動の分布は、ある一定期間中に発生し得る期待値図として、いくつかのものが発表されている。その中で、採用データの点で正確度が高いとされている「後藤マツプ」と呼ばれている七五年期待値図によると、本件敷地周辺では、卓越周期を〇・三秒ととると、三九〇ガルという高い値が予測されている。(2) 巨大地震による地震動の推定四国沖・南海トラ いる「後藤マツプ」と呼ばれている七五年期待値図によると、本件敷地周辺では、卓越周期を〇・三秒ととると、三九〇ガルという高い値が予測されている。 が発表されている。その中で、採用データの点で正確度が高いとされている「後藤マツプ」と呼ばれている七五年期待値図によると、本件敷地周辺では、卓越周期を〇・三秒ととると、三九〇ガルという高い値が予測されている。(2) 巨大地震による地震動の推定四国沖・南海トラ いる「後藤マツプ」と呼ばれている七五年期待値図によると、本件敷地周辺では、卓越周期を〇・三秒ととると、三九〇ガルという高い値が予測されている。(2) 巨大地震による地震動の推定四国沖・南海トラフを震源地とするこれまでの最大規模の地震は、六八四年に発生した土佐沖地震である。この地震は本件敷地から約一九〇キロメートルの地点で発生し、マグニチユード八・四という巨大な地震であつたと推定されている。安全審査会はこの地震については、本件敷地に対して最大加速度四五ガルを与えただけとの四国電力の評価を認めて、全く問題にもしていない。右加速度の推定は、金井式によつて行われたが、よく知られているように、金井式は遠距離地震に対しても加速度推定の精度が悪い。同じ土佐沖地震について、金井式でなく、「本四架橋設計指針」で想定された方法に従つて、本件敷地に与えたと考えられる地震動を推定すると、震源距離推定の不確かを考慮して、三七一~一〇六三ガルという巨大な値が得られている。(3) 中央構造線地震による地震動の推定中央構造線は、巨大地震の震源地となり得る大活断層である。中央構造線の部分の有効な長さは確定されていないので、これまでに提案されているその最小値、一〇〇キロメートルを採用するとしても、マグニチユード八・二の巨大地震の発生が予想され、震源地点が、たとえ本件敷地から五〇キロメートルも離れていたとしても、卓越周期〇・五秒に対して、その地震による加速度は三一〇ガルにも達すると推定される。右に示したように、本件敷地については、過去の最大地震動として安全審査会が推定した一六五ガルはもちろん、余裕をみて採用したという設計加速度の二〇〇ガルあるいは三〇〇ガルさえも上回る地震動を予想しなければならないことは明らかである。したがつて、設計加速度に基づいた耐震設計が施され 一六五ガルはもちろん、余裕をみて採用したという設計加速度の二〇〇ガルあるいは三〇〇ガルさえも上回る地震動を予想しなければならないことは明らかである。したがつて、設計加速度に基づいた耐震設計が施されているから、本件伊方発電所では、地震による事故は発生しないし、その耐震設計が大丈夫だとし、事故の解析は必要ないと判断した本件安全審査は、地震及びそれによる岩盤加速度の推定に、まだ未解明の不正確さが残されていることを利用した恣意的なものである。 たという設計加速度の二〇〇ガルあるいは三〇〇ガルさえも上回る地震動を予想しなければならないことは明らかである。したがつて、設計加速度に基づいた耐震設計が施されているから、本件伊方発電所では、地震による事故は発生しないし、その耐震設計が大丈夫だとし、事故の解析は必要ないと判断した本件安全審査は、地震及びそれによる岩盤加速度の推定に、まだ未解明の不正確さが残されていることを利用した恣意的なものである。3 想定すべき事故と災害の評価現在の原子力発電技術の段階では、本件伊方発電所について、原告ら周辺住民に最大の被害を与えるものとして、想定しなければならない事故は、炉心溶融をひき起こす一次冷却材喪失事故である。後述するように、それに至る経路はいくつか予想されるが、本件敷地に関して最も重大な自然条件となつている地震の影響についての被告の評価が、右に述べてきたように、きわめて恣意的かつずさんなものであることを考慮すると、地震の発生によつてひき起こされる一次冷却材喪失事故を想定して、本件立地条件の可否を検討することが、もつとも正当な方法である。過去の地震から推定され、しかも、今後も本件伊方発電所の予想される耐用年数(二〇~三〇年)と比較し得る期間内で起こり得ると予測される地震動を想定し、本件安全審査によつて認められた本件原子炉及び関連諸設備・機器に対する耐震設計の条件下で一次冷却材喪失事故が、どのように発生し、進展し、そして、どのような災害を原告ら周辺住民に与えるかを評価することは、けつして架空の想定ではなく、まさに、現行の「立地審査指針」に指示されている、「敷地周辺の事象、原子炉の特性、安全防護施設等を考慮し、技術的見地からみて、最悪の場合には起こるかもしれないと考えられる重大な事故」とその災害の評価にほかな 現行の「立地審査指針」に指示されている、「敷地周辺の事象、原子炉の特性、安全防護施設等を考慮し、技術的見地からみて、最悪の場合には起こるかもしれないと考えられる重大な事故」とその災害の評価にほかならない。以下に、原告らからみて、本件伊方原子力発電所について最低限想定すべきであると考えている想定事故と、それによる災害の評価について詳述する。(一) 想定すべき地震動前記2で示したように、本件安全審査において、本件敷地の基礎岩盤に対する最大加速度を一六五ガルであると推定したことは、原告ら周辺住民の安全を確保する立場からはまつたく不当なものである。 いと考えられる重大な事故」とその災害の評価にほかならない。以下に、原告らからみて、本件伊方原子力発電所について最低限想定すべきであると考えている想定事故と、それによる災害の評価について詳述する。(一) 想定すべき地震動前記2で示したように、本件安全審査において、本件敷地の基礎岩盤に対する最大加速度を一六五ガルであると推定したことは、原告ら周辺住民の安全を確保する立場からはまつたく不当なものである。過去に本件敷地の岩盤に最大の加速度を与えた地震として、被告が採用した伊予宇和島地震をとるとしても、さきに明らかにしたように、それが与えた加速度を、王五〇~四三〇ガル程度と推定することが、現在の地震動に関する研究の成果な取り入れた、より合理的で妥当なものである。伊予宇和島地震はマグニチユード七・〇と推定されていて、本件敷地周辺で発生している大地震の平均的な大きさである。更に、地震発生の周期の研究結果からは、本件敷地周辺では、約五二年の周期で、平均マグニチユード七・一程度の地震は発生し続けており、しかも現在は、そうした地震発生のためのエネルギーが、十分に蓄えられていると推定されている。右に述べたように、マグニチユード七程度の地震が、本件伊方発電所の耐用年数内に発生する危険が、現実的なものとなつていることと、そのクラスの過去の地震による岩盤加速度の推定の妥当性と安全余裕とを考慮して、ここでは四五〇ガルの基礎岩盤加速度を、本件敷地に対して最低限想定すべき地震動とし、それによつて、本件伊方発電所の設備・機器がどのような影響を受け、どのような事故と災害を、原告ら周辺住民にもたらすかを、以下に検討することにす 盤加速度を、本件敷地に対して最低限想定すべき地震動とし、それによつて、本件伊方発電所の設備・機器がどのような影響を受け、どのような事故と災害を、原告ら周辺住民にもたらすかを、以下に検討することにする。(二) 本件耐震設計の有効性本件原子炉施設の耐震設計に関しては、「原子炉特有の慎重かつ厳しい設計方針が講ぜられている」 ので、耐震設計上考慮すべき「地震が施設に及ぼす地震力によつても、その施設が破損され公衆に放射線障害を及ぼすことがない」とされる。そしてこのことは、「主要施設は基礎岩盤に二〇〇ガルの加速度を受けても何ら損傷せず、また、格納容器等特に重要な施設は、基礎岩盤に三〇〇ガルの加速度を受けても、当該施設に課されている機能は十分果たされるという意味」であるとされている。 慎重かつ厳しい設計方針が講ぜられている」 ので、耐震設計上考慮すべき「地震が施設に及ぼす地震力によつても、その施設が破損され公衆に放射線障害を及ぼすことがない」とされる。そしてこのことは、「主要施設は基礎岩盤に二〇〇ガルの加速度を受けても何ら損傷せず、また、格納容器等特に重要な施設は、基礎岩盤に三〇〇ガルの加速度を受けても、当該施設に課されている機能は十分果たされるという意味」であるとされている。要するに、第一に、現在の建築基準法を上回る静的解析と、第二に、設計地震動を用いた動的解析とによつて、本件原子炉施設のうちの「重要な施設」の耐震設計は保証されているというのである。しかし、本件安全審査に用いられた資料によつては、「主要施設は基礎岩盤に二〇〇ガルの加速度を受けても何ら損傷せず」との保証の確かさも、更に、二〇〇ガルを越える地震動に対して、「主要施設」の機能がどの程度維持されるかも、全く不明である。本件原子炉施設の耐震設計についての第二の保証である動的解析の余裕性についても、その確かさは不明である。その解析の余裕さを保証するものとして、「設計地震波の最大加速度」の余裕のある設定と、「設計応答曲線の作成に当たつての余裕」の二つがあげられている。しかし、前者の保証条件については、すでに、前記2で明らかにしたように、安全審査会が恣意的に評価した結果にすぎない。後者の「設計応答曲線」の余裕性についても、「数種の設計地震波を受けた場合の応答曲線を求め、それらを包絡す ついては、すでに、前記2で明らかにしたように、安全審査会が恣意的に評価した結果にすぎない。後者の「設計応答曲線」の余裕性についても、「数種の設計地震波を受けた場合の応答曲線を求め、それらを包絡するような設計応答曲線を作成している」とされるだけで、二〇〇ガルの設計地震動に対して、本件原子炉の「主要施設」が、具体的にどのような状態になり、どの程度まで、それらの機能を維持できるのかについては全く不明なままである。まして、二〇〇ガルを超す岩盤加速度に対して、本件耐震設計がどの程度有効であるかについては評価のしようもない。右に検討してきたように、被告が過小評価した最大地震動による岩盤加速度二〇〇ガルに対しても、本件原子炉の「主要施設」の耐震設計の有効性は定かでない。したがつて、原告らが前項で想定した、四五〇ガルの岩盤加速度に対しては、安全審査会が分類し、左に示した本件原子炉の「主要施設」は、ほとんど、あるいは完全に、それらの機能を喪失すると考えざるを得ない。 震設計がどの程度有効であるかについては評価のしようもない。右に検討してきたように、被告が過小評価した最大地震動による岩盤加速度二〇〇ガルに対しても、本件原子炉の「主要施設」の耐震設計の有効性は定かでない。したがつて、原告らが前項で想定した、四五〇ガルの岩盤加速度に対しては、安全審査会が分類し、左に示した本件原子炉の「主要施設」は、ほとんど、あるいは完全に、それらの機能を喪失すると考えざるを得ない。建家及び構築物原子炉格納容器使用済燃料ピツト中央制御室デイーゼル発電機室機器、配管類原子炉非常停止装置ほう素制御系一次冷却系アニユラス空気再循環系非常用炉心冷却系非常用電源系右機器の制御装置右の設備・機器のうち、原子炉格納施設と原子炉非常停止装置については、右に示したように、安全審査会は「特に重要な施設」として指定し、三〇〇ガルの岩盤加速度に対しても、それらの「機能は十分果たされる」としているが、その有効性については、他の「重要施設」同様に、定かでないので、四五〇ガルの加速度に対しては、その機能の保証はあり得ないと考えるべきであろう。(三) 一次冷却材喪失事故(LOCA)の態様前項で述べたように、本件敷地の基礎岩盤に対して予想される四五〇ガルの加速度が地震によつて に対しては、その機能の保証はあり得ないと考えるべきであろう。(三) 一次冷却材喪失事故(LOCA)の態様前項で述べたように、本件敷地の基礎岩盤に対して予想される四五〇ガルの加速度が地震によつて生じた場合には、原子炉設備とその安全防護設備の機能は、ほとんど、あるいは完全に失なわれるであろう。ただ、このような地震動に対しても、右の諸設備のいくらかのものが生き残る確率は、わずかでも、あるかもしれない。しかし、そのような場合でも、全炉心が溶融し、格納容器が破損して、大量の放射能が環境に放出されるような事故経路は、多数存在している。つまり、このような大事故を引き起こすには、原子炉設備や安全防護設備のすべてが機能を喪失する必要はないのである。このことの理解のために、炉心溶融に至る一次冷却材喪失事故(LOCA)の態様の概要を示しておこう。LOCAの直接的な原因である、一次冷却材圧力バウンダリの破損または開放の態様によつて、ふつう、LOCAをつぎの六種に分類している。(1) 大破断LOCA口径六インチ(一五・二センチメートル)以上の一次冷却材配管の破断により発生し、緊急炉心冷却装置(以下ECCSと略)のうち、蓄圧注入系、または、低圧注入系のどちらかの、すべてが作動しない場合には炉心溶融に至る。 (LOCA)の態様の概要を示しておこう。LOCAの直接的な原因である、一次冷却材圧力バウンダリの破損または開放の態様によつて、ふつう、LOCAをつぎの六種に分類している。(1) 大破断LOCA口径六インチ(一五・二センチメートル)以上の一次冷却材配管の破断により発生し、緊急炉心冷却装置(以下ECCSと略)のうち、蓄圧注入系、または、低圧注入系のどちらかの、すべてが作動しない場合には炉心溶融に至る。(2) 小破断LOCA口径二~六インチ(五・一~一五・二センチメートル)の一次冷却材配管の破断により発生し、ECCSのうち、蓄圧注入系、または、低圧注入系のどちらかの、すべてが作動しない場合には炉心溶融に至る。(3) 極小破断LOCA口径〇・五~二インチ(一・三~五・一センチメートル)の一次冷却材配管が破断し、ECCSのうち高圧注入系が全く作動しない場合には炉心溶融に至る。(4) 圧力容器破損圧力容器そのものが破損した場合で、すべてのECCSが無効と 三~五・一センチメートル)の一次冷却材配管が破断し、ECCSのうち高圧注入系が全く作動しない場合には炉心溶融に至る。(4) 圧力容器破損圧力容器そのものが破損した場合で、すべてのECCSが無効となり、無条件に炉心溶融に至る。(5) 過渡的な変化による一次系の異常原子炉運転中に、発電所内の熱エネルギーの流れに急激な変化が発生したことによつて、一次冷却材の状態に変化が起こり、それが原因でLOCAに至る場合で、最も典型的な例としては、二次冷却水を送るポンプが故障し、蒸気発生器での一次冷却材の冷却が不能となり、圧力過剰になつた一次冷却材が蒸気逃し弁から流出する事故がある。この事故の場合には無条件に炉心溶融に至る。(6) 接続系での圧力バウンダリ破損たとえば、接続系の一つである、一次系とECCSの低圧注入系との間のバルブが破損したとすると、低圧注入系に一次系と同じ高圧がかかる。低圧注入系には、それに耐える耐圧性が無いから、たちまち破壊され、(1)の大口径LOCAに相当した事故に至る。右のように、せつかくのECCSが全く役立たない場合もあるし、そうでない時もECCSの一部が作動しなければ炉心溶融に至る。また、右にあげたLOCAでは、ポンプ系の不作動が炉心溶融を導く場合が多いが、ポンプ系の不作動は、ポンプ自身の故障による場合と、それらの電源が喪失する場合とがあり、設備や機器の故障とともに、電源系統の故障も決定的な要因となる。 ち破壊され、(1)の大口径LOCAに相当した事故に至る。右のように、せつかくのECCSが全く役立たない場合もあるし、そうでない時もECCSの一部が作動しなければ炉心溶融に至る。また、右にあげたLOCAでは、ポンプ系の不作動が炉心溶融を導く場合が多いが、ポンプ系の不作動は、ポンプ自身の故障による場合と、それらの電源が喪失する場合とがあり、設備や機器の故障とともに、電源系統の故障も決定的な要因となる。ポンプなどの重要設備と電源の種類はつぎのようになつている。外部電源のみに依存しているもの循環ポンプ給水ポンプ復水ポンプ非常用電源で作動可能なもの非常用注水系ポンプ補助給水ポンプ補機冷却系ポンプバルブ等開閉モーター非常用電源及びバツテリーで作動可能なものスイツチ開閉用電源計測、制御等の電源右のような電源 非常用電源で作動可能なもの非常用注水系ポンプ補助給水ポンプ補機冷却系ポンプバルブ等開閉モーター非常用電源及びバツテリーで作動可能なものスイツチ開閉用電源計測、制御等の電源右のような電源関係となつているので、地震によつて、たとえば、外部電源と非常用電源とが共に使用不能になると、配管や圧力容器の破断が無くとも、炉心溶融がもたらされることになる。電源と同様に、電源と諸設備を結んでいる電線類の損傷も、重大な結果をもたらす。電線類の損傷は、機械的な破損とか、火災によつてひき起こされるが、それらを併う地震の際には、その可能性はきわめて大きくなる。右に述べたLOCAの経過の概要が示すように、全炉心溶融に至る経路は複雑多岐にわたつており、二〇〇ガルの耐震設計加速度で作られている右にあげたすべての設備が、四五〇ガルの想定加速度の発生によつて、ほぼその全能力を失なうときには、全炉心溶融を免れる確率は、きわめて小さいと言うことができる。ところで、安全防護設備の中で、放射能の環境流出を減少させる点で、最も重要な役割を持つている格納容器は、さきにも述べたように、「特に重要な施設」として、本件でも、三〇〇ガルの加速度に対する耐震設計が施されることになつている。したがつて、四五〇ガルの想定加速度に対しても、生き残る確率は、他の「重要施設」より、いく分大きいかも知れない。しかしながら、たとえ格納容器がかろうじて耐え得たとしても、その内部に存在する溶融炉心のために、最終的に破損してしまう。その破損経路には、つぎのようなものが考えられている。 さきにも述べたように、「特に重要な施設」として、本件でも、三〇〇ガルの加速度に対する耐震設計が施されることになつている。したがつて、四五〇ガルの想定加速度に対しても、生き残る確率は、他の「重要施設」より、いく分大きいかも知れない。しかしながら、たとえ格納容器がかろうじて耐え得たとしても、その内部に存在する溶融炉心のために、最終的に破損してしまう。その破損経路には、つぎのようなものが考えられている。(1) 地震による直接破損(2) 蒸気爆発による破損炉心が溶融して一つの塊りとなつて圧力容器の底部に落下した場合、もし底部に大量の水があれば、爆発的な水蒸気の発生が起こり、圧力容器のふたを吹きとばし、それが格納容器 破損(2) 蒸気爆発による破損炉心が溶融して一つの塊りとなつて圧力容器の底部に落下した場合、もし底部に大量の水があれば、爆発的な水蒸気の発生が起こり、圧力容器のふたを吹きとばし、それが格納容器の頂上部に激突して破損させる。(3) 水素爆発による破損溶融炉心と水との化学反応によつて生じた多量の水素ガスが、空気と混合して爆発を起こし、そのために格納容器が破損する。(4) 格納容器内の気体の圧力の増加による破損炉心溶融によつて発生する大量のガスと、その加熱とによつて、格納容器内の圧力は急上昇し、格納容器内を冷却する機能を持つたスプレー系が作動しない場合には、その圧力は一時間以内で、格納容器の耐圧限度である、七~八気圧を突破し、格納容器は破裂する。すなわち、二〇〇ガルの耐震設計で作られている格納容器スプレー系が機能を失つている時には、格納容器も、実質的には、三〇〇ガルではなく二〇〇ガルの設計加速度で作られていることになつてしまう。結局、伊予宇和島地震と、強さと位置について同等の地震が発生すれば、四五〇ガルにも達する加速度が、本件敷地の基礎岩盤にもたらされ、一次冷却材喪失事故がひき起こされて、遂には炉心溶融に至ることは、不可避であると言える。(四) 想定すべき事故の具体的経路と放出放射能量前節で炉心溶融と格納容器破損の態様について述べたが、環境への放射能放出量を具体的に評価するためには、詳しく事故の経過を時間的に追跡する必要がある。まず原子炉が約一年間全出力運転をした段階で放射能がどのような状態で、どれ位の量存在しているかを検討する。電気出力が五六万キロワツトの場合は蓄積放射能量はおよそ次のようになつている。 は、不可避であると言える。(四) 想定すべき事故の具体的経路と放出放射能量前節で炉心溶融と格納容器破損の態様について述べたが、環境への放射能放出量を具体的に評価するためには、詳しく事故の経過を時間的に追跡する必要がある。まず原子炉が約一年間全出力運転をした段階で放射能がどのような状態で、どれ位の量存在しているかを検討する。電気出力が五六万キロワツトの場合は蓄積放射能量はおよそ次のようになつている。希ガスクリプトン八七〇〇万キユリーキセノン一億一〇〇〇万キユリーハロゲンヨー素四億〇六〇〇万キユリーアルカリ金属 五六万キロワツトの場合は蓄積放射能量はおよそ次のようになつている。希ガスクリプトン八七〇〇万キユリーキセノン一億一〇〇〇万キユリーハロゲンヨー素四億〇六〇〇万キユリーアルカリ金属セシウム七六〇万キユリーテルル九七〇〇万キユリーアルカリ土類ストロンチウム一億三八〇〇万キユリーバリウム九〇〇〇万キユリー貴金属他モリブデン九〇〇〇万キユリーテクネチウム七八〇〇万キユリールテニウム九九〇〇万キユリーロジウム三二〇〇万キユリー希土類他イツトリウム八一〇〇万キユリーランタン九〇〇〇万キユリーセリウム二億三六〇〇万キユリープラセオジウム八四〇〇万キユリーネオジム三四〇〇万キユリープロメチウム三二〇〇万キユリープルトニウム六二〇〇〇キユリージルコニウム一億八〇〇〇万キユリー二オブ九〇〇〇万キユリーこれらの放射能は、健全な燃料棒の中では、大部分がウランペレツトの中に固定されているが、一部は拡散により、ウランペレツトの外へしみだし、被覆管とペレツトの間にあるギヤツプに充満している。拡散方程式などを解いてその量を概算すると、希ガスで三パーセント、ハロゲンで五パーセント、アルカリ金属で一五パーセント、アルカリ土類で一パーセント、テルルで一〇パーセント、その他は無視できる。これらは小規模の燃料棒破損事故の時、その一部が燃料棒の外へ逃げる。地震が起こり、設計加速度以上の地震加速度を受けて、一次系バウンダリが破れると、一五〇気圧、三〇〇度Cの一次冷却水は、瞬時に圧力容器から失われ、格納容器内にはき出される。この状態で原子炉の運転は停止されるが、炉心内は冷却材が無いため、燃料棒内の蓄積熱と膨大な放射能による崩壊熱のため、燃料棒の温度は急激な速度で上昇を始める。この崩壊熱の量は「炉停止直後で 出される。 の時、その一部が燃料棒の外へ逃げる。地震が起こり、設計加速度以上の地震加速度を受けて、一次系バウンダリが破れると、一五〇気圧、三〇〇度Cの一次冷却水は、瞬時に圧力容器から失われ、格納容器内にはき出される。この状態で原子炉の運転は停止されるが、炉心内は冷却材が無いため、燃料棒内の蓄積熱と膨大な放射能による崩壊熱のため、燃料棒の温度は急激な速度で上昇を始める。この崩壊熱の量は「炉停止直後で 出される。この状態で原子炉の運転は停止されるが、炉心内は冷却材が無いため、燃料棒内の蓄積熱と膨大な放射能による崩壊熱のため、燃料棒の温度は急激な速度で上昇を始める。この崩壊熱の量は「炉停止直後で平常運転時の熱出力の七パーセント、(炉停止後)一〇秒後で五・六パーセント、 一〇分後で二・六パーセント、二・二五時間後には一・三パーセントになる。」。伊方一号炉の場合は電気出力五六万キロワツト(したがつて、熱出力はその三倍の一六五万キμワツト)であるから、炉停止直後で一一万六〇〇〇キロワツト、一〇秒後で九万二〇〇〇キロワツト、一〇分後で四万三〇〇〇キロワツト、二・二五時間後で二万二〇〇〇キロワツトの崩壊熱による発熱が持続していることになる。もう少しわかりやすく言うと、一キロワツトの家庭用電気ストーブ二万二〇〇〇台分の発熱が、二時間後でも持続していることになる。このような大量の発熱を除去すべきECCSが地震のために作動しなくなつていた場合、燃料棒の表面温度は「一秒間に一一度C」の速度で上昇し、「三〇~五〇秒」で一一〇〇度Cに達する。「被覆材のジルカロイは一一〇〇度Cを超えると水蒸気との化学反応が活発となり、温度上昇は加速される。」こうして「約一分で燃料棒の一部が溶け始め(一八五〇度C)、その後数分で二酸化ウラン(UO2)ペレツトの溶融が始まる。」。被覆管の破損が始まつた段階で、被覆管と二酸化ウラン(UO2)ペレツトのすきまに蓄積されていた放射性物質は、圧力容器の中に放出される。「こうして〇・五~二時間で炉心の大部分が溶け(二〇〇〇~三〇〇〇度C)、圧力容器の底部に落下する。」。この場合、燃料棒が溶けたところから、ポタポタと滴下するのか、全体が溶けるまで支持物に支えられ全体が一体となつて落下するのかは、実験がないので何とも言えない。全体が一度に 力容器の底部に落下する。」。この場合、燃料棒が溶けたところから、ポタポタと滴下するのか、全体が溶けるまで支持物に支えられ全体が一体となつて落下するのかは、実験がないので何とも言えない。 三〇〇〇度C)、圧力容器の底部に落下する。」。この場合、燃料棒が溶けたところから、ポタポタと滴下するのか、全体が溶けるまで支持物に支えられ全体が一体となつて落下するのかは、実験がないので何とも言えない。全体が一度に 力容器の底部に落下する。」。この場合、燃料棒が溶けたところから、ポタポタと滴下するのか、全体が溶けるまで支持物に支えられ全体が一体となつて落下するのかは、実験がないので何とも言えない。全体が一度に落ちる場合には、圧力容器底部に水が残つていた場合、大規模な蒸気爆発を引き起こす可能性があり、最悪の場合は圧力容器の上ぶたを吹き飛ばし、この上ぶたが格納容器に激突して、これを破壊する。この場合には格納容器破損までの所要時間が短く、かつ大口径破損であるために、環境へ放出される放射能量は最大になる。さて蒸気爆発が起こらなければ、落下した溶融体はなお高出力(二万三〇〇〇キロワツトぐらい)であるため、厚い鉄で作られた圧力容器の溶融貫通が起こる。「これの起こる時間は配管破断から〇・五~三時間と推定されている。」。こうして圧力容器内に一応封じられていた放射能(もちろん一次系の破断箇所からの漏洩もある程度はあるが)はほとんど裸の状態で格納容器の床面に放り出されるのである。この溶融体はなお有り余る発熱量を維持しているので床面のコンクリートを分解し溶かしていく。この時の溶融体の状態は、二酸化ウラン(UO2)、ジルカロイ、鉄、コンクリートの分解生成物より成り、その中に大量の核分裂生成物と超ウラン元素を含んでおり、その重量は一〇〇トン以上と推定される。溶融体内は激しい対流を起こしており、二〇〇〇~三〇〇〇度Cの高温のため、クリプトン、キセノン等の希ガスをはじめ、ヨー素の大部分、テルル、セシウム、、バリウム、ストロンチウム等の揮発性の酸化物は、どんどん溶融体から蒸発し、格納容器内に充満していく。この内比較的沸点あるいは融点の高いものは、凝縮あるいは凝固して格納容器内に霧のような煙霧戴微粒子となつて浮遊し、一部は格納容器内壁に付着する。溶融体から放出される放射性物質は 器内に充満していく。この内比較的沸点あるいは融点の高いものは、凝縮あるいは凝固して格納容器内に霧のような煙霧戴微粒子となつて浮遊し、一部は格納容器内壁に付着する。溶融体から放出される放射性物質は、およそ七億キユリーと推定される。 内比較的沸点あるいは融点の高いものは、凝縮あるいは凝固して格納容器内に霧のような煙霧戴微粒子となつて浮遊し、一部は格納容器内壁に付着する。溶融体から放出される放射性物質は 器内に充満していく。この内比較的沸点あるいは融点の高いものは、凝縮あるいは凝固して格納容器内に霧のような煙霧戴微粒子となつて浮遊し、一部は格納容器内壁に付着する。溶融体から放出される放射性物質は、およそ七億キユリーと推定される。その内訳は、希ガス、ハロゲン、アルカリ金属、テルルはいずれも一〇〇パーセント、アルカリ土類は一一パーセント、貴金属及びその同類は八パーセント、希土類その他は一・三パーセントと評価される。右記の数値には放射性崩壊による減衰が考慮されていないから、実際には全体量は時間経過に応じていくらかは少ない。この段階でもし格納容器スプレイ系が作動すれば、格納容器内に浮遊している煙霧状の放射性物質のかなりの量が、スプレイの水滴と共に格納容器の底に落下する。この段階で環境への放射能漏洩を防いでいる唯一の壁は格納容器のみとなつている。もし地震で格納容器が倒壊しないまでも、ひび割れがどこかに生じていれば、格納容器内は高温高圧のため、激しい勢いで格納容器内の空気は環境に噴き出し、これと共に放射ガス、煙霧状放射能が外に出て行く。もし奇跡的に格納容器が地震に耐えて健全に生き残つていた場合は、大量の放射能の環境噴出はかろうじておさえられている。そして格納容器スプレイが健全に作動し、全熱除去系が有効に機能したならば、格納容器内の温度上昇は押えられ、圧力上昇を格納容器の耐圧限度以内に押えることができる。この場合は格納容器のコンクリートベースに落ちた容融炉心によるコンクリートの分解が進行し、一~数日でコンクリートベースを溶融貫通する。溶融炉心と鉄とコンクリートの分解生成物からなる膨大な溶融体は、かくして格納容器から土中へ沈んで行く。この段階で格納容器の気密が地面との接触面で破れ、土中のすきまを通じて格納容器内の煙霧状微粒子は外の空気中に逃げる クリートの分解生成物からなる膨大な溶融体は、かくして格納容器から土中へ沈んで行く。この段階で格納容器の気密が地面との接触面で破れ、土中のすきまを通じて格納容器内の煙霧状微粒子は外の空気中に逃げる。この時の放射能漏洩量は、例えば土の厚さを〇・三~一メートルとすると、土による濾過作用のため九九パーセント以上の煙霧状微粒子が除かれるとラスムツセン報告では評価されているが、この除去率は過大評価と考えられる。 リートの分解生成物からなる膨大な溶融体は、かくして格納容器から土中へ沈んで行く。この段階で格納容器の気密が地面との接触面で破れ、土中のすきまを通じて格納容器内の煙霧状微粒子は外の空気中に逃げる。この時の放射能漏洩量は、例えば土の厚さを〇・三~一メートルとすると、土による濾過作用のため九九パーセント以上の煙霧状微粒子が除かれるとラスムツセン報告では評価されているが、この除去率は過大評価と考えられる。なぜなら、溶融体が土中に沈降して行く過程で、非常な高温のため急激に土が乾燥し、大きなひび割れが各所に生じるであろうと思われる。このため外部へ通じるガスの通路はかなり広いものになると思われ、したがつて、期待されるような高能率の濾過作用はないと考えるのが合理的である。いずれにせよ、溶融体が格納容器のコンクリートベースを溶融貫通するまで、格納容器が健全性を維持すれば、格納容器内の放射性微粒子はかなり除去された後環境へ放出されることになる。一方溶融体はなおも高出力を維持しているため、土を分解し、溶かし、ひたすら下へ下へと沈んでいく。これが「チヤイナアクシデント」と呼ばれているもので、アメリカで起つた場合、地球を貫通し、中国にまで到るという冗談から出た名前をもつ事故である。この溶融体は実際には熱バランスからどこまでも沈むことはできずどこかで止まる。地中に停止した溶融体はなおもかなりの放射能を含んでおり、地下水を汚染する。伊方炉の場合は、五〇メートル先にすぐ海岸が迫つているから、短時間(一年以内)に瀬戸内海にばく大な放射能が流れ出すことになる。以上が全炉心溶融が起こつた場合の最も幸運な場合、つまり奇跡的に格納容器が最後まで健全性を維持した場合の事故経路であるが、もつと可能性の大きい経路は、格納容器がもう少し前の段階で破損するような以下に述べるような 溶融が起こつた場合の最も幸運な場合、つまり奇跡的に格納容器が最後まで健全性を維持した場合の事故経路であるが、もつと可能性の大きい経路は、格納容器がもう少し前の段階で破損するような以下に述べるような事故経路である。格納容器が地震に耐え、圧力容器の爆発による頂部破壊も起こらないという点は前と同様である。しかし二〇〇ガルの設計の格納容器余熱除去系がこわれてしまう確率は非常に高い。これが作動しなければ格納容器の冷却は全く不可能となり、格納容器の内圧は溶融炉心の発生する熱のため急激な速度で上昇し、数十分で設計圧力二・五気圧を突破する。 路は、格納容器がもう少し前の段階で破損するような以下に述べるような事故経路である。格納容器が地震に耐え、圧力容器の爆発による頂部破壊も起こらないという点は前と同様である。しかし二〇〇ガルの設計の格納容器余熱除去系がこわれてしまう確率は非常に高い。これが作動しなければ格納容器の冷却は全く不可能となり、格納容器の内圧は溶融炉心の発生する熱のため急激な速度で上昇し、数十分で設計圧力二・五気圧を突破する。圧力は尚も上昇を続け、一~二時間で耐圧限度七~八気圧を超えて、ついには格納容器は破裂する。こうして格納容器内に充満していた揮発性の放射能の大部分が一挙に格納容器の外へ放出されるのである。この場合格納容器に充満している放射能の量は、スプレイ系が作動するかしないかでかなり異なり、スプレイ系の故障の場合が最悪の事態を招来する。一方溶融体の挙動は、前に説明したのと同じ「チヤイナアクシデント」の経過をたどつて地下水、海洋の汚染に到るのである。以上あげたいくつかの事故経路のそれぞれについて、本件原子炉炉心に蓄えられることになつている放射能のうち、環境に放出される割合が計算できる。その結果を整理すると、つぎの四種の事故経路に分類できる。(1) 全炉心溶融が起こり、圧力容器内で大規模な蒸気爆発が発生し、圧力容器ふたのミサイルが格納容器の天井を吹き飛ばす。この場合は大規模な蒸気爆発によつて二酸化ウラン(UO2)の酸化が著しく起こり、貴金属とその同類の放出が他と比べて多くなつている。(2) 全炉心溶融が起こり、圧力容器溶融貫通が起こり、格納容器スプレイ系が働かないため、格納容器の冷却ができず、内圧が耐圧限度を超え、格納容器が破裂 属とその同類の放出が他と比べて多くなつている。(2) 全炉心溶融が起こり、圧力容器溶融貫通が起こり、格納容器スプレイ系が働かないため、格納容器の冷却ができず、内圧が耐圧限度を超え、格納容器が破裂する。(3) 全炉心溶融が起こり、圧力容器溶融貫通が起こる。しかしスプレイ系が働いて煙霧状微粒子の放射能除去が行われ、その後格納容器破損が起こる。右の(1)、(2)と比べて固体の放射能(煙霧状微粒子)の除去が著しく効いているのがわかる。(4) 全炉心溶融が起こり、圧力容器溶融貫通か起こるが、格納容器余熱除去系が働いて、格納容器底の溶融貫通が起こるまで格納容器は破損しない。格納容器内の放射能は、地中から外へ出るので放射能のてい減効果は著しい。 融貫通が起こる。しかしスプレイ系が働いて煙霧状微粒子の放射能除去が行われ、その後格納容器破損が起こる。右の(1)、(2)と比べて固体の放射能(煙霧状微粒子)の除去が著しく効いているのがわかる。(4) 全炉心溶融が起こり、圧力容器溶融貫通か起こるが、格納容器余熱除去系が働いて、格納容器底の溶融貫通が起こるまで格納容器は破損しない。格納容器内の放射能は、地中から外へ出るので放射能のてい減効果は著しい。(五) 想定すべき災害評価右に述べたように、いくつかの考え得る事故経路について、環境に放出される放射能の量が計算される。次にこれらの放射能が周辺住民にもたらす災害の規模を評価する。ここでは、特に事故(2)についての具体的計算の経過を示す。まず比較的重要な要素として、(1)地震が起こつてから炉心溶融が起こり格納容器から放射能が漏洩するまでの時間、(2)原子炉の責任者が炉心溶融に気付いてから放射能の環境放出までの時間、(3)放射能の放出が始まつてからほぼ終るまでの、時間等である。(1)は二時間半、(2)は一時間半、(3)は半時間とみられる。これらの量は放出放射能の崩壊減衰の程度、住民の退避が効果的に行われるかどうか等にかかわつて最終的に被害規模を左右する。当然のことながらこれら三つの時間はいずれも短い程、被害規模が大きくなる。中でも(1)と(3)は比較的人為的要素が入りにくいのに比べ、(2)は全面的に原子炉の責任者の判断に支配されている。特に技術者は科学技術を過信する傾向があるから、最後まで炉心溶融など が大きくなる。中でも(1)と(3)は比較的人為的要素が入りにくいのに比べ、(2)は全面的に原子炉の責任者の判断に支配されている。特に技術者は科学技術を過信する傾向があるから、最後まで炉心溶融などの破局的事態を認めようとはしない可能性がある。したがつて、関係当局への通報退避の指令などは大幅に遅れることが考えられる。さて右のように(1)、(3)の時間を仮定した場合、環境に放出される放射能の量を元素別にまとめて示すと次のようになる。クリプトン三三九一万キユリーストロンチウム七四五万キユリーイツトリウム三二万キユリージルコニウム六八万キユリーニオブ三六万キユリーモリブデン一七四万キユリーテクネチウム一一四万キユリールテニウム一七五万キユリーロジウム六二万キユリーテルル二四六一万キユリーヨー素一億六八〇三万キユリーキセノン九五〇四万キユリーセシウム三七七万キユリーバリウム五三四万キユリーランタン三四万キユリーセリウム九二万キユリープラセオジウム三三万キユリーネオジム一三万キユリープロメチウム一二万キユリープルトニウム二五〇キユリー格納容器が破裂した段階でこれだけの放射能が約三〇分間を費して環境に放出される。 ールテニウム一七五万キユリーロジウム六二万キユリーテルル二四六一万キユリーヨー素一億六八〇三万キユリーキセノン九五〇四万キユリーセシウム三七七万キユリーバリウム五三四万キユリーランタン三四万キユリーセリウム九二万キユリープラセオジウム三三万キユリーネオジム一三万キユリープロメチウム一二万キユリープルトニウム二五〇キユリー格納容器が破裂した段階でこれだけの放射能が約三〇分間を費して環境に放出される。放出された放射能は、風に運ばれて風下に移動し周辺住民に被害をもたらす。この被害の規模には次に述べるいくつかの要素が関係している。(1) 気象条件風速、風向、雨が降つているかいないかなどであるが、風速については一般に風速が大きい程早期の死者は少ない。これは放射能煙霧の通過し終るまでの時間が減るためである。その代わり放射能が減衰するまでに長距離まで運ばれるので国民線量(人レム単位で表示)が増大し、汚染地域が拡大する。国民線量の増大は晩発性障害(ガン、遺伝障害)の増大をもたらす 時間が減るためである。その代わり放射能が減衰するまでに長距離まで運ばれるので国民線量(人レム単位で表示)が増大し、汚染地域が拡大する。国民線量の増大は晩発性障害(ガン、遺伝障害)の増大をもたらす。風向については、人口密集地の方角へ放射能が向かうか、過疎地へ向かうかによつて災害規模の大小にかかわる。伊方の場合は八幡浜市へ向かう場合が最も早期死者は多い。松山市や広島市へ向かつた場合は、人口密集地へ到達するまでに放射能煙霧の濃度が減衰するので、早期死者はそれ程多くなく、反対に国民線量が飛躍的に増大する。天候については、雨が降つている場合は、これがスプレイ除去系と同じ働きをするので、放射能の拡散は他の場合と比較して最小になり、したがつて早期死者、国民線量は少なくなる。その他気象条件としては大気安定度等があるが一般に安定度が高い程早期死者は増える傾向にある。(2) 格納容器からの放出高さと煙霧の上昇格納容器から放射能が漏出する際に、どの高さのところに破損が生じるかによつて、以後風に乗つて流される時の煙霧の中心の高さに影響する。また放射性煙霧は高温のために上昇するが、どこまで上昇するかということも前と同様、放射性煙霧の中心の高さに効いてくる。放射性煙霧の高さは、周辺住民の受ける被ばくの量に直接効いてくると共に、地上沈着量の大小を通じてどれだけ遠方まで放射性煙霧が運ばれるかに影響する。 煙霧の上昇格納容器から放射能が漏出する際に、どの高さのところに破損が生じるかによつて、以後風に乗つて流される時の煙霧の中心の高さに影響する。また放射性煙霧は高温のために上昇するが、どこまで上昇するかということも前と同様、放射性煙霧の中心の高さに効いてくる。放射性煙霧の高さは、周辺住民の受ける被ばくの量に直接効いてくると共に、地上沈着量の大小を通じてどれだけ遠方まで放射性煙霧が運ばれるかに影響する。(3) 退避及び応急措置周辺住民がどれだけ迅速かつ有効に退避できるかは、被害規模算定上決定的な重要性を持つている。また被ばく者を救護する緊急医療体制の有無は死者の多少に直接影響する。以上三つの条件を考慮しつつ以下に具体的に災害評価を行うが、放射線被害に限つて言えば、原子爆弾と比較してこの種の原子炉事故の場合の方が桁違いに恐しいということを強調しておく必要があ 直接影響する。以上三つの条件を考慮しつつ以下に具体的に災害評価を行うが、放射線被害に限つて言えば、原子爆弾と比較してこの種の原子炉事故の場合の方が桁違いに恐しいということを強調しておく必要がある。その訳は例えば伊方炉一年分の放射能量が、広島型原爆の六〇〇発分に相当するということの他に、放射能放出の形態が全然違うということによるのである。原爆の場合は超高温の発生に伴なう強烈な上昇気流のために、生成放射能のかなりの部分が上空高く吹き上げられ、なかなか地上に落ちて来ないのに比べ、原子炉事故の場合はほとんどの放射能が地上近くを漂うのである。原爆の場合九〇パーセントが上空に吹き上げられると考えると、この種の原子炉事故による放出放射能量は実質的に広島型原爆の実に六〇〇〇発分に相当するのである。さて以下に、災害評価に基づく具体的な災害の展開と被害の状況を示す。地震が発生してから約二時間半で格納容器が破損し放射能の環境放出が始まる。約三〇分間で、さきに示しただけの放射能が環境に放出される。気象条件は風速が秒速一メートルで、大気安定度F型とする。格納容器から放出された放射能は白い煙霧状となつてゆつくり風下に向かつて移動する。移動するに従つて放射能煙霧は上下、左右(進行方向に直角)方向に広がつてゆくが、左右方向の広がり角度は、格納容器を中心として七・六度ぐらいである。放射能煙霧が通過した地域には、その濃度に応じただけの放射能が地面に沈着し、汚染して行く。 だけの放射能が環境に放出される。気象条件は風速が秒速一メートルで、大気安定度F型とする。格納容器から放出された放射能は白い煙霧状となつてゆつくり風下に向かつて移動する。移動するに従つて放射能煙霧は上下、左右(進行方向に直角)方向に広がつてゆくが、左右方向の広がり角度は、格納容器を中心として七・六度ぐらいである。放射能煙霧が通過した地域には、その濃度に応じただけの放射能が地面に沈着し、汚染して行く。この沈着速度は気体で〇、ヨー素で〇・〇〇五メートル/秒、その他の微粒子で〇・〇〇二メートル/秒とする。風下の住民が浴びる放射線はこの地面汚染の放射能からのものと、放射能煙霧からのものの他、直接放射能煙霧を吸い込むことによつて体内に取り込まれた放射能からのものがある。パスキルの式を用いた放射能濃度及 下の住民が浴びる放射線はこの地面汚染の放射能からのものと、放射能煙霧からのものの他、直接放射能煙霧を吸い込むことによつて体内に取り込まれた放射能からのものがある。パスキルの式を用いた放射能濃度及びそれらによる被ばく線量の計算結果は、格納容器から一〇キロメートルの地点では、体内吸入量は〇・三六キユリー、放射能煙霧の濃度は一六〇〇キユリー秒/立方メートル、地面汚染濃度は一平方メートル当り一・一キユリーとなつている。一〇キロメートルの距離には八幡浜市がある。松山市の場合は距離が六〇キロメートルであるから、体内吸入量は二二ミリキユリー、放射能煙霧の濃度は一〇〇キユリー秒/立方メートル、地面汚染濃度は一平方メートル当り一六ミリキユリーとなる。物理学の実験者でさえミリキユリー(千分の一キユリー)の放射能に近づくのに恐怖を感じることから考えると、これらのばく大な数値はまさに戦慄すべきものであろう。風下の住民がこれらの災難から免れるためには逃げるしかないのである。逃げてできるだけ放射能煙霧から離れたところに身を置かなければならない。ひとたび放射能煙霧に巻き込まれれば、呼吸によつて右に述べたような量の放射能を確実に体内に取り込まざるを得ないのである。取り込んでから逃げたのでは手遅れなのである。ところで放射能が格納容器から環境に放出されたことを住民はどうやつて知らされるのであろうか。原子炉の責任者が関係当局へ通報するのは、前述したような理由によつて最大限遅れるであろう。場合によつては全く手遅れの時期に通報が行われるかも知れない。 ひとたび放射能煙霧に巻き込まれれば、呼吸によつて右に述べたような量の放射能を確実に体内に取り込まざるを得ないのである。取り込んでから逃げたのでは手遅れなのである。ところで放射能が格納容器から環境に放出されたことを住民はどうやつて知らされるのであろうか。原子炉の責任者が関係当局へ通報するのは、前述したような理由によつて最大限遅れるであろう。場合によつては全く手遅れの時期に通報が行われるかも知れない。今考えている状況は大地震の後であるから、通信システムが混乱していることも十分考えられる。更に、送電線の故障等により広域に及ぶ停電が発生するかも知れない。この場合にはテレビ・ラジオ等による住民への退避勧告の方途が閉ざされ迅速な住 るから、通信システムが混乱していることも十分考えられる。更に、送電線の故障等により広域に及ぶ停電が発生するかも知れない。この場合にはテレビ・ラジオ等による住民への退避勧告の方途が閉ざされ迅速な住民退避の実現はまつたく絶望的となるであろう。住民の退避がどのように行われるかを判断する基準は不明であるし、また数学的な取扱いも複雑になるので、以下では退避が一日間は全く行われないとし、その後全員が退避すると仮定すると、次のような結果になる。まず、格納容器から六キロメートル以内(六〇〇レム以上の全身被ばく)の人は一〇〇パーセントが死亡、七・三キロメートルの地点(四〇〇レムの全身被ばく)の人は五〇パーセントが死亡、九・五キロメートルの地点(二五〇レムの全身被ばく)の人は五パーセントが死亡する。一〇キロメートルの地点(二二五レムの全身被ばく)の人は、一〇〇パーセントが病気になり、一三キロメートルの地点(一五〇レムの全身被ばく)の人でも五〇パーセントが発病する。これらの数値に人口分布を考え合わせると実際に被害を受ける人の総数が出てくる。死者の数が最も多くなるのは、格納容器からの放射能放出高さが一〇メートルの場合である。更に、放射能煙霧がまつすぐに八幡浜市に向かつた場合が最も死者が多くなり、およそ四〇〇〇人が短時日の間に死亡する。放射能煙霧がまつすぐ松山市に向かつた場合は二五〇〇人が短期間に死亡する。更に、一万人レムにつきガン、遺伝障害が一件あると仮定すると、放射能煙霧が松山市に向かつた場合は、ガン発生数、遺伝障害発生数はそれぞれ五七六件という数字が出てくる。さてこれらの数字は、これだけで十分この種の事故の凄惨さを表わして余りあるが、実はこれらの数字にはいろんな点で大幅な過小評価の可能性が含まれているのである。 に死亡する。放射能煙霧がまつすぐ松山市に向かつた場合は二五〇〇人が短期間に死亡する。更に、一万人レムにつきガン、遺伝障害が一件あると仮定すると、放射能煙霧が松山市に向かつた場合は、ガン発生数、遺伝障害発生数はそれぞれ五七六件という数字が出てくる。さてこれらの数字は、これだけで十分この種の事故の凄惨さを表わして余りあるが、実はこれらの数字にはいろんな点で大幅な過小評価の可能性が含まれているのである。例えば線量効果の評価を、ある諮問委員会 。さてこれらの数字は、これだけで十分この種の事故の凄惨さを表わして余りあるが、実はこれらの数字にはいろんな点で大幅な過小評価の可能性が含まれているのである。例えば線量効果の評価を、ある諮問委員会がスウエーデン政府に対して提出した報告書(SOUと呼ばれている)と同じようにとると(この場合は全身線量一〇〇~三〇〇レムで二〇パーセントが死亡、三〇〇~一〇〇〇レムで八〇パーセントが死亡、一〇〇〇レム以上で一〇〇パーセントが死亡する。)、放射能煙霧が八幡浜市へ向かつた場合は死者が一〇〇〇人も増えて五〇〇〇人となる。前の線量効果は、被ばくを受けた人が適切な医療処置を施された場合の数値であり、実際に今のような大混乱の状況では、むしろ劣悪な状態で放置されることを考え合わせると、SOUの方が適当であり、更に、もつと実際には死者が多くなる可能性がある。更に、過小評価は被ばく線量の計算そのものの中にある。右に述べた計算はラスムツセン報告のやり方を踏襲しているので、同報告に対するアメリカの憂慮する科学者同盟(UCS)やアメリカ物理学会の軽水炉の安全性研究グループ(APS)の批判がそのままあてはまるのである。すなわち体内に吸入された放射能の線量計算については、「胃腸に対する換算係数には、食物や粘膜状のじゆう毛、粘液によるエネルギー吸収のため、ベータ線に対して1/2、アルフア線に対して1/100の減少効果が考慮されているが、これに対してUCS、APS共にその根拠の薄弱性を指摘している。また、被ばく時間に対して一八~三六時間で排泄するというあやしげな仮定をして、著しく被ばく線量を過小評価しているため、早期死者を三~四倍低く見積つており(UCS)、また、プルトニウムのホツトパーテイクルとしての特殊性を無視している(UCS)。」と批判されている。これをすなおに受け 被ばく線量を過小評価しているため、早期死者を三~四倍低く見積つており(UCS)、また、プルトニウムのホツトパーテイクルとしての特殊性を無視している(UCS)。 で排泄するというあやしげな仮定をして、著しく被ばく線量を過小評価しているため、早期死者を三~四倍低く見積つており(UCS)、また、プルトニウムのホツトパーテイクルとしての特殊性を無視している(UCS)。」と批判されている。これをすなおに受け 被ばく線量を過小評価しているため、早期死者を三~四倍低く見積つており(UCS)、また、プルトニウムのホツトパーテイクルとしての特殊性を無視している(UCS)。」と批判されている。これをすなおに受け取ると、八幡浜市に向かつて放射能煙霧が運ばれた場合は、一万五〇〇〇~二万人の早期死者が出ることになる。晩発性障害の場合はさらに過小評価はひどい。そのために次のような訂正が必要であると提案されている。「(1)ガン‥ガン発生数一〇〇件/百万人レムという値はBEIR委員会の報告から採用したことになつているが、これはUCSによると1/2の過小評価となる。これに対しAPSでは一三〇件/百万人レムを採用している。これに更に地面からの被ばく時間一日という制限を除くと驚くほどガン発生数が増え、もとの三一〇人から一挙に一万人となる。また、『草案』(ラスムツセン報告)では肺被ばくによる肺ガン発生を無視しているが、APSの評価によると(二〇~五〇件/百万肺レムを採用すれば)、六〇〇~一六〇〇人のガン発生が追加されることになる。更に、プルトニウムの線量換算係数を、ホツトパーテイクルの特殊性を考慮して一〇~一〇〇倍大きく見積もればこの肺ガン発生数は一〇倍近くまで増加する可能性がある(UCS)。その上『草案』で考慮されていない甲状腺ガンを考慮すると新たに五〇〇~四〇〇〇人のガン発生が追加されることになる(APS)。(2) 甲状腺瘤‥UCSによれば子供に対する飽和線量は一〇〇〇ラドを用いるべきであるのに、『草案』では三〇〇〇レムを用いることにより、発病数を1/4に過小評価している。APSではこれに対して不確定要素をそのまま表現して発病数二万二五〇〇~三〇万件としている。(3) 遺伝的障害‥UCSによれば『草案』の用いている一〇〇遺伝障害/百万人レムは不当で、これは いる。APSではこれに対して不確定要素をそのまま表現して発病数二万二五〇〇~三〇万件としている。(3) 遺伝的障害‥UCSによれば『草案』の用いている一〇〇遺伝障害/百万人レムは不当で、これは二倍にすべきであると言われている。 に対して不確定要素をそのまま表現して発病数二万二五〇〇~三〇万件としている。(3) 遺伝的障害‥UCSによれば『草案』の用いている一〇〇遺伝障害/百万人レムは不当で、これは いる。APSではこれに対して不確定要素をそのまま表現して発病数二万二五〇〇~三〇万件としている。(3) 遺伝的障害‥UCSによれば『草案』の用いている一〇〇遺伝障害/百万人レムは不当で、これは二倍にすべきであると言われている。APSでは百万人(全身)レム当り五世代にわたる障害が二五~二五〇、一代限りのもの一二・五、一〇世代にわたるもの〇~五〇〇、流産四二を考慮し、更に、右に述べた地面からの被ばく時間延長により、遺伝的障害数を『草案』より三〇〇〇~二万件多くはじき出している。」提案されているこれらの訂正率を仮定すると、放射能煙霧が松山市に向かつた場合のガン及び遺伝障害発生数各五七六件という数値は、一挙に増加して、ガン発生数一万九〇〇〇件肺ガン(追加)一万一〇〇〇~三万件甲状腺ガン(追加)九〇〇~七四〇〇件甲状腺瘤四万二〇〇〇~五五万七〇〇〇件遺伝障害五六〇〇~三万七〇〇〇件というすさまじい数字になるのである。放射線被ばくを受けた人たちは、急性発病を免れても、事故以後死ぬまでガンと遺伝障害の恐怖にさいなまれる運命を負わされるのである。以上は人的な面に限つた場合の被害状況である。当然のことながら物的被害の面でもばく大な量になることが想像される。これらを定量化するのは、種々困難な要素があるためここでは示さないで、被害の内容を分類するに留める。地面汚染濃度が一〇〇マイクロキユリー/平方メートルの住民は退避しなければならないと仮定すると、退避すべき距離は原子炉から実に二五〇キロメートルにも達する。面積に直すと四一四五平方メートルになり、平均人口密度を一平方キロメートルあたり一〇〇人とすれば、退避しなければならない人の総数は四〇万人以上にも及ぶ。以上の点を考慮して物的損害の内容を分類すると次のようになる。(1) 退避した人の失職の問題 口密度を一平方キロメートルあたり一〇〇人とすれば、退避しなければならない人の総数は四〇万人以上にも及ぶ。以上の点を考慮して物的損害の内容を分類すると次のようになる。(1) 退避した人の失職の問題(2) 退避した人の住居の問題(3) 汚染地区にあつたすべての農産物、畜産物、海産物は廃棄せねばならない。 も及ぶ。以上の点を考慮して物的損害の内容を分類すると次のようになる。(1) 退避した人の失職の問題 口密度を一平方キロメートルあたり一〇〇人とすれば、退避しなければならない人の総数は四〇万人以上にも及ぶ。以上の点を考慮して物的損害の内容を分類すると次のようになる。(1) 退避した人の失職の問題(2) 退避した人の住居の問題(3) 汚染地区にあつたすべての農産物、畜産物、海産物は廃棄せねばならない。(4) 長期間にわたる土地使用不能。土地汚染は放射能自身の放射崩壊によるほか、雨などに流い流されて、汚染の軽いところでは数年で使用可能にはなるが、汚染がなくなつたと言つても、ここでとれる農産物、畜産物は商品価値をもたない、つまり売れない。(5) 瀬戸内海汚染は広域、長期間にわたる。瀬戸内海の水は停滞しており三〇年でも全部入れ替らないと言われていることを考えると、非常な長期間にわたつて、瀬戸内海全域、及びこれに接する外海における漁業は全滅する。その上、瀬戸内海に面する工場の取水不能、船舶の航行不能などを考えると損害は測り知れない。(六) 本件安全審査における災害評価との比較前項で示してきたように、原告らが、本件安全審査において最低限なされるべきであつたと主張している想定事故が、まさに破滅的な災害を、原告ら周辺住民にもたらすことは明らかである。そのことは、被告が認めた、本件安全審査における災害評価と比較するとき、更に際立つたものとなる。本件安全審査では、放射性ヨー素の吸入による甲状腺被ばくと、放出放射能からのガンマ線による全身照射とが災害評価の対象とされている。これらの二つの被ばく線量値を、原告らが提示している想定事故について求めると、本件原子炉から一キロメートルの地点で、甲状腺被ばく線量は約二百万レム、全身被ばく線量は、流れ出した放射性雲からの照射だけで約一〇〇〇レム、体内にとりこまれた放射能による照射も含めた被ばく線量では、約二 子炉から一キロメートルの地点で、甲状腺被ばく線量は約二百万レム、全身被ばく線量は、流れ出した放射性雲からの照射だけで約一〇〇〇レム、体内にとりこまれた放射能による照射も含めた被ばく線量では、約二万レムにも達する。これにくらべて、本件安全審査が認められた災害評価では、前述のとおり甲状腺に対する被ばく線量は、「重大事故」で、一・九レム(小児)、「仮想事故」でも三八レム(成人)にすぎない。 量では、約二 子炉から一キロメートルの地点で、甲状腺被ばく線量は約二百万レム、全身被ばく線量は、流れ出した放射性雲からの照射だけで約一〇〇〇レム、体内にとりこまれた放射能による照射も含めた被ばく線量では、約二万レムにも達する。これにくらべて、本件安全審査が認められた災害評価では、前述のとおり甲状腺に対する被ばく線量は、「重大事故」で、一・九レム(小児)、「仮想事故」でも三八レム(成人)にすぎない。また、全身被ばく線量は、「重大事故」に対して〇・一一レム、「仮想事故」でも〇・三レムにすぎないのである。これらの値は、原告らが、最低限なされるべきであると考えている災害評価とくらべると、文字通り桁違いに低く、一〇〇万分の一~一〇万分の一にすぎない。この差のひどさもさることながら、同じ伊予宇和島地震を、被告は、その震源距離な三三キロメートルと推定し、一方、原告らは、それないし、それと等価な距離として、一七~一四キロメートルを推定することによつて、まさに、「絶対安全」 の“天国”と、破滅的な“地獄”とにわかれることの意味することは重大である。“地震の巣”と目されている本件原子炉の敷地にあつては、地震発生の態様の推定における現在の不確かさが、かくもすさまじい差をもたらしたのである。このことは、被告が、本件災害評価の際に持ち込んだ恣意的な操作の重大さを示すとともに、かかる事態を防ぐためにこそ、原告らが「原則的立地条件」を重視することを主張し、そうすることによつて、本件伊方発電所の設置の不当性も容易に判断できたであろうと主張してきたことの正しさを鮮明に描き出しているのである。(被告の答弁及び主張)第三章本件許可処分の内容の適法性(その一)第二平常運転時の安全性一本件原子力発電所の平常運転時における放射性物質の放出管理における安全性の確保(三) 周辺公 る。(被告の答弁及び主張)第三章本件許可処分の内容の適法性(その一)第二平常運転時の安全性一本件原子力発電所の平常運転時における放射性物質の放出管理における安全性の確保(三) 周辺公衆に対する被ばく線量の評価(1) 気体廃棄物による被ばく線量本件原子炉の場合、気体廃棄物による周辺監視区域外における最大全身被ばく線量は、以下に詳述するように、前記気体廃棄物中に含まれる放射性物質の総排出量年間約二万六〇〇キユリーを前提とした上、「気象手引」に基づいて、現地における一年間の気象観測データ等から求めた風速、大気安定度及び風向出現ひん度、放出高さ、放出ひん度等を考慮して計算した結果、年間約〇・〇〇〇六レムと評価した。 気体廃棄物による被ばく線量本件原子炉の場合、気体廃棄物による周辺監視区域外における最大全身被ばく線量は、以下に詳述するように、前記気体廃棄物中に含まれる放射性物質の総排出量年間約二万六〇〇キユリーを前提とした上、「気象手引」に基づいて、現地における一年間の気象観測データ等から求めた風速、大気安定度及び風向出現ひん度、放出高さ、放出ひん度等を考慮して計算した結果、年間約〇・〇〇〇六レムと評価した。右評価値は、前記許容被ばく線量等を定める件に定める許容被ばく線量年間〇・五レムをはるかに下回ることはもちろんのこと、昭和五〇年五月一三日に原子力委員会が決定した「発電用軽水型原子炉施設周辺の線量目標値に関する指針」に定める線量目標値年間〇・〇〇五レムをも大幅に下回るものであるとともに、右評価値は、自然放射線の変動幅にも完全に埋没する程度の極めて微量な線量であつて、十分安全である。しかも、我が国のこれまでの加圧水型原子炉における気体廃棄物の放出実績からみると、本件原子炉の平常運転に伴つて実際に放出されるであろう放射性物質による被ばく線量は、右評価値よりも更に低いものとなることが確実である。ア被ばく評価において考慮した放射性物質本件原子炉から放出することとなる放射性物質には、放射性希ガス(以下「希ガス」という。)、放射性ヨー素(以下「ヨー素」という。)及び塵埃状の放射性物質(以下「粒子状放射性物質」という。)があるが、これらの放射性物質のうちで、放出量が最も多く、かつ、全身被ばく線量に最も寄与するものは希ガスであつ ー素(以下「ヨー素」という。)及び塵埃状の放射性物質(以下「粒子状放射性物質」という。)があるが、これらの放射性物質のうちで、放出量が最も多く、かつ、全身被ばく線量に最も寄与するものは希ガスであつて、この希ガスの放出量に比べれば、ヨー素及び粒子状放射性物質の各放出量はいずれも無視できる程度に少なく(ヨー素については希ガスの約一万分の一、粒子状放射性物質についてはそれ以上に少ない。)、かつ、全身被ばく線量への寄与も十分小さいので、気体廃棄物による被ばく線量の評価は、右希ガスに着目してこれを行つた。イ放出源及び放出放射能量右希ガスの放出源としては、前記(二)の(2)において述べたように、ガス減衰タンクからの排気並びに格納容器及び補助建家における換気に伴う排気がある(なお、ガス減衰タンクからの排気及び格納容器からの排気は間けつ的に、また、補助建家からの排気は連続的に行われる。 。)、かつ、全身被ばく線量への寄与も十分小さいので、気体廃棄物による被ばく線量の評価は、右希ガスに着目してこれを行つた。イ放出源及び放出放射能量右希ガスの放出源としては、前記(二)の(2)において述べたように、ガス減衰タンクからの排気並びに格納容器及び補助建家における換気に伴う排気がある(なお、ガス減衰タンクからの排気及び格納容器からの排気は間けつ的に、また、補助建家からの排気は連続的に行われる。)。これらの放出源から放出される希ガスの量は、燃料被覆管にピンホール程度の損傷が年平均一パーセント生じた状態で運転を継続するという厳しい条件を仮定(本件原子炉における燃料被覆管の破損率は、近年の同型先行炉の実績からみて、実際は年平均〇・一パーセント以下になる)して評価した結果、ガス減衰タンクからの排気によるもの年間約九二四〇キユリー、格納容器からの換気によるもの年間約三一〇〇キユリー、補助建家からの換気によるもの年間約八二二〇キユリー、合計年間約二万六〇〇キユリーと評価された。ウ放出方法等(ア) ガス減衰タンクからの排気ガス減衰タンクからの気体廃棄物の放出は、右気体廃棄物をガス減衰タンクに三〇日間貯留して放射能を十分減衰させた後、一五日以内に風向が海側であつて、かつ、風速が毎秒五メートル以上ある時を選んで行うこととしている。しかしながら、右気象条件が悪く一 廃棄物をガス減衰タンクに三〇日間貯留して放射能を十分減衰させた後、一五日以内に風向が海側であつて、かつ、風速が毎秒五メートル以上ある時を選んで行うこととしている。しかしながら、右気象条件が悪く一五日以内に海側に放出することができない場合には、一五日間貯留後、すなわち四五日減衰後海側、陸側を問わず放出することとしている。しかしながら、被ばく評価に当たつては、安全側に立つて、四五日減衰後の気体廃棄物は、すべて陸側に放出されるものとするだけでなく、前述のように((二)の(2)のイ)、ガス減衰タンクに貯留された各種タンクのカバーガスは原則として再使用されるにもかかわらず、これを考慮しないこととして、すべて放出されるものと仮定したのである。また、放出回数は、ガス減衰タンクに導かれるガスの量やガス減衰タンクの運用方法を考慮して年間二〇回とした。(イ) 格納容器の換気に伴う排気格納容器から放出される排気には、保修作業や燃料取替作業に先立つて行われる換気によるものと格納容器の減圧操作に伴うものとがある。 留された各種タンクのカバーガスは原則として再使用されるにもかかわらず、これを考慮しないこととして、すべて放出されるものと仮定したのである。また、放出回数は、ガス減衰タンクに導かれるガスの量やガス減衰タンクの運用方法を考慮して年間二〇回とした。(イ) 格納容器の換気に伴う排気格納容器から放出される排気には、保修作業や燃料取替作業に先立つて行われる換気によるものと格納容器の減圧操作に伴うものとがある。被ばく評価に当たつては、格納容器からの放出回数は、右作業及び減圧操作の回数を十分考慮した上、年間一〇回(うち三回は減圧操作による)とするとともに、放出に当たつては、原則として海側に放出することとしているが、安全側に立つて、海側、陸側を問わず無差別に放出するものと仮定した。(ウ) 補助建家の換気に伴う排気補助建家内の空気には、補助建家内のポンプ、バルブ等からの漏洩水からの放射性物質が含まれているため、常時換気を行うこととしているので、被ばく評価に当たつては、安全側に立つて、補助建家内のポンプ、バルブ等からの漏洩水はすべて放射性物質の濃度の高い一次冷却水とみなし、時間による放射能の減衰効果についてもこれを無視することとしている。エ気体廃棄物の拡散 、安全側に立つて、補助建家内のポンプ、バルブ等からの漏洩水はすべて放射性物質の濃度の高い一次冷却水とみなし、時間による放射能の減衰効果についてもこれを無視することとしている。エ気体廃棄物の拡散及び希釈本件原子炉から環境へ放出されることとなる気体廃棄物の拡散及び希釈については、その放出高さや現地における気象観測データ等から求めた風速、大気安定度を基に、パスキルの拡散式を用いて評価した。なお、右パスキルの拡散式は、多くの実験結果を参考に作られたものであつて、我が国の茨城県東海地区における実験結果からもその妥当性が実証されている。そして、右拡散式は、原則として、周囲が平垣地の場合に適用される式であるが、周囲が平垣地でない場合であつても、適切な補正を行えばこれを適用することができるので、本件原子炉における被ばく評価に当たつては、次に述べるような風洞実験を行い、その結果に基づき、気体廃棄物の放出高さについての適切な補正を行つている。すなわち、本件原子炉施設を中心とする直径二・八メートルの地形を模擬した模型を作つて風洞実験を行つた結果、本件原子炉から放出される気体廃棄物の敷地境界における濃度をパスキルの拡散式によつて求めるためには、右拡散式に用いる放出高さを実際の放出高さの〇・六倍にすればよく、かつ、敷地境界以遠でもこの放出高さを用いれば被ばく評価として安全側であるということが判明したため、本件原子炉の被ばく評価に当たつては、放出高さを、排気筒の高さ約七〇メートルに約一〇メートルの吹き上げ高さを加えた約八〇メートルを右〇・六倍した四七メートルとしている。 体廃棄物の敷地境界における濃度をパスキルの拡散式によつて求めるためには、右拡散式に用いる放出高さを実際の放出高さの〇・六倍にすればよく、かつ、敷地境界以遠でもこの放出高さを用いれば被ばく評価として安全側であるということが判明したため、本件原子炉の被ばく評価に当たつては、放出高さを、排気筒の高さ約七〇メートルに約一〇メートルの吹き上げ高さを加えた約八〇メートルを右〇・六倍した四七メートルとしている。(2) 液体廃棄物による被ばく線量本件原子炉の場合、液体廃棄物による周辺公衆の全身被ばく線量は、前記液体廃棄物中に含まれる放射性物質の総排出量を、トリチウム以外のもの年間一キユリー及びト いる。(2) 液体廃棄物による被ばく線量本件原子炉の場合、液体廃棄物による周辺公衆の全身被ばく線量は、前記液体廃棄物中に含まれる放射性物質の総排出量を、トリチウム以外のもの年間一キユリー及びトリチウム年間五〇〇キユリーとし、放水口近傍海域の魚を二〇〇グラム、海藻を一〇グラム及び無せきつい動物を二〇グラムずつ毎日摂取するとの前提を置いた上、これら海産物が高い濃縮係数をもつて放射性物質を蓄積しているものと計算した結果、年間約〇・〇〇〇〇一レムと評価された。右評価値は、前記許容被ばく線量年間〇・五レムをはるかに下回ることはもちろんのこと、前記線量目標値年間〇・〇〇五レムをも大幅に下回るものであり、十分安全である。しかも、我が国のこれまでの軽水型原子炉における液体廃棄物の放出実績からみると、本件原子炉の平常運転に伴つて実際に放出されるであろう放射性物質による被ばく線量は、右評価値よりも更に低いものとなることが確実である。ア放出源及び放出放射能量本件原子炉において発生する液体廃棄物のうち、外部に放出されるものは、前述したように、ごく一部の廃液と洗濯排水にすぎず、しかも、右廃液等は、いずれも一たんそれぞれのタンクに導いた後、放射能測定装置によつて、放射性物質の濃度が十分低いことを確認した上、放射線モニタによつて監視しながら排出するため、その年間排出量は、十分安全側に見積もつても、トリチウム以外のもの年間一キユリー、トリチウム年間五〇〇キユリーを超えることはないと評価された。イ放出方法右外部に放出される液体廃棄物は、いずれも復水器冷却用海水に混合希釈した後、放水口から発電所前面海域に放出される。ウ海産物摂取量と放射性物質の濃縮(ア) 一般住民の毎日の海産物の摂取量は、東海村の漁業従事者の一日当たりの摂取量を基に、財団法人原子力安全 の年間排出量は、十分安全側に見積もつても、トリチウム以外のもの年間一キユリー、トリチウム年間五〇〇キユリーを超えることはないと評価された。イ放出方法右外部に放出される液体廃棄物は、いずれも復水器冷却用海水に混合希釈した後、放水口から発電所前面海域に放出される。ウ海産物摂取量と放射性物質の濃縮(ア) 一般住民の毎日の海産物の摂取量は、東海村の漁業従事者の一日当たりの摂取量を基に、財団法人原子力安全 合希釈した後、放水口から発電所前面海域に放出される。ウ海産物摂取量と放射性物質の濃縮(ア) 一般住民の毎日の海産物の摂取量は、東海村の漁業従事者の一日当たりの摂取量を基に、財団法人原子力安全研究協会の海洋放出特別委員会において検討された摂取量を参考とし、魚二〇〇グラム、海藻一〇グラム及び無せきつい動物(イカ、タコ、エビ、ウニ等)二〇グラムと仮定している。(イ) 一般住民が摂取する右の魚等の海産物については、魚等がいずれも一年中放射性物質濃度の高い放水口近傍に棲息し続けているものと仮定するとともに、右海産物には、放射性物質が世界各国のデータを参考として設定した高い濃縮係数をもつて濃縮されているものと仮定している。第四章本件許可処分の内容の適法性(その二)││本件原子炉の構造の安全性第三蒸気発生器細管の健全性について一本件原子炉において使用される蒸気発生器細管の健全性に対する配慮(二) 本件原子炉において使用される蒸気発生器の機能とその構造(別紙12参照)(1) 蒸気発生器の機能本件原子炉は加圧水型であつて、原子炉容器において核分裂反応によつて加熱された一次冷却水は、蒸気発生器に送られ、蒸気発生器細管を介して二次冷却水に熱を伝達した後、一次冷却材ポンプで再び原子炉容器に戻る閉回路を循環しており、二次冷却水とは完全に分離されている。右閉回路(一次冷却材圧力バウンダリ)の一部を構成している蒸気発生器は、一次冷却系から二次冷却系へ核分裂によつて生じた熱を伝達し、二次冷却水を蒸気に変える役割を果すとともに一次冷却系と二次冷却系とを分離することにより一次冷却水中に混入している放射性物質が二次冷却系まで拡がるのを防ぐ役割を果している。(2) 蒸気発生器の構造本件原子炉において使用される蒸気発生器二器は、いずれもアメリカのウエスチン ることにより一次冷却水中に混入している放射性物質が二次冷却系まで拡がるのを防ぐ役割を果している。 へ核分裂によつて生じた熱を伝達し、二次冷却水を蒸気に変える役割を果すとともに一次冷却系と二次冷却系とを分離することにより一次冷却水中に混入している放射性物質が二次冷却系まで拡がるのを防ぐ役割を果している。(2) 蒸気発生器の構造本件原子炉において使用される蒸気発生器二器は、いずれもアメリカのウエスチン ることにより一次冷却水中に混入している放射性物質が二次冷却系まで拡がるのを防ぐ役割を果している。(2) 蒸気発生器の構造本件原子炉において使用される蒸気発生器二器は、いずれもアメリカのウエスチングハウス社型のものであつて、たて置U字管式熱交換器型と呼ばれ、上部の直径約四・四メートル、下部の直径約三・四メートル、高さ約二一メートルの円筒形鋼製容器の内部にインコネル製の細管(外径約二・二センチメートル)約三四〇〇本を逆U字形に納めたものである。U字形の細管の両端は、厚さ約五五センチメートルの管板に取りつけられ、それぞれ、管板の下部に設けられている高温側氷室と低温側氷室とに開口している。細管上部の曲管部には、一辺長約一センチメートルの四角形断面をもつインコネル製の角棒で作られた振止め金具が組み込まれ、また、垂直に配置された直管部には、水平な支持板(バツフルプレート)七段があつて、細管を定位置に支持している。原子炉容器を出た一次冷却水は、蒸気発生器下部の高温側氷室に入り、U字形細管の中を上昇・下降して低温側氷室に出、一次冷却材ポンプにより原子炉容器に戻される。二次冷却水は、細管の上端付近の高さの位置する給水ノズルから給水され、外部胴と内部胴との間の円環状水路を下降した後、方向を中心向きに転じ、細管群の間を上昇しながら、一次冷却水からの熱によつて加熱され、その一部は蒸気となる。上昇した蒸気と水との混合物は、セパレータに入り、渦巻型水切り羽根によつて蒸気と水とに分離される。高温水は円環状水路に戻り、給水とともに下方に流れる。一方、蒸気はドライヤを通過して更に湿分を除かれた後、主蒸気管を経てタービンへ送り出される。蒸気発生器胴部の上下及び各氷室にはマンホール又はハンドホールが設けてあり、内部機構の点検保守、細管の検査等が行えるようになつて 通過して更に湿分を除かれた後、主蒸気管を経てタービンへ送り出される。蒸気発生器胴部の上下及び各氷室にはマンホール又はハンドホールが設けてあり、内部機構の点検保守、細管の検査等が行えるようになつている。 ヤを通過して更に湿分を除かれた後、主蒸気管を経てタービンへ送り出される。蒸気発生器胴部の上下及び各氷室にはマンホール又はハンドホールが設けてあり、内部機構の点検保守、細管の検査等が行えるようになつて 通過して更に湿分を除かれた後、主蒸気管を経てタービンへ送り出される。蒸気発生器胴部の上下及び各氷室にはマンホール又はハンドホールが設けてあり、内部機構の点検保守、細管の検査等が行えるようになつている。また、管坂上にはブロダウン管があり、二次冷却水の水質管理上の必要に応じて、二次冷却水の一部を抜き出すことができるようになつている。第四原子炉圧力容器及び一次冷却系配管の健全性一本件原子炉において使用される原子炉圧力容器及び一次冷却系配管の健全性(一) 機能とその構造(1) 機能原子炉圧力容器は、蒸気発生器、一次冷却材ポンプ及びこれらを連絡する一次冷却系配管とともに、一次冷却水が循環する閉回路を構成している。そして、この閉回路を、通常一次冷却材圧力バウンダリと呼んでおり、炉心部において燃料から熱エネルギーを受け取り蒸気発生器において熱エネルギーを二次系へ伝達する一次冷却水を強制的に循環させることをその本来の機能としているが、同時に、一次冷却系の圧力条件を維持するとともに、一次冷却水中に現われた放射性物質を右閉回路内に閉じ込める機能をも有している。(2) 構造本件原子炉の原子炉圧力容器は、全高約一一・五メートル、胴内径約三・三メートル、肉厚約〇・一七~〇・二四メートルの上、底部が半円球の縦置円筒形の炭素鋼製容器であつて、上部には上ぶたを有し、内部には炉心等を保持する炉心槽が、また、上ぶたには制御棒クラスタ駆動装置が取り付けられている。そして、容器胴の上部に一次冷却材出入口ノズルが設けられ、入口ノズルから入つた一次冷却水は、容器胴と炉心槽間を下降し、容器底部において上向きの流れとなり、炉心槽内炉心部の燃料棒を冷却した後出口ノズルから蒸発発生器へ送られる。また、一次冷却系配管は内径約七〇〇~七八七ミリメートル、肉厚約六五~七三ミリ 間を下降し、容器底部において上向きの流れとなり、炉心槽内炉心部の燃料棒を冷却した後出口ノズルから蒸発発生器へ送られる。また、一次冷却系配管は内径約七〇〇~七八七ミリメートル、肉厚約六五~七三ミリメートルのステンレス鋼製の配管であつて、原子炉圧力容器の右出入口ノズルと蒸気発生器、一次冷却材ポンプ及びこれらの機器を連絡し、一次冷却水の通路を構成している。 〇〇~七八七ミリメートル、肉厚約六五~七三ミリ 間を下降し、容器底部において上向きの流れとなり、炉心槽内炉心部の燃料棒を冷却した後出口ノズルから蒸発発生器へ送られる。また、一次冷却系配管は内径約七〇〇~七八七ミリメートル、肉厚約六五~七三ミリメートルのステンレス鋼製の配管であつて、原子炉圧力容器の右出入口ノズルと蒸気発生器、一次冷却材ポンプ及びこれらの機器を連絡し、一次冷却水の通路を構成している。なお、一次冷却系配管と各機器との接合部は漏洩のない溶接構造となつている。第五本件原子炉における安全防護設備一安全性確保に対する配慮と事故対策 4 四つの安全防護設備(二) ECCS(2) ECCSの構造ア構造本件原子炉において使用されるECCSは、蓄圧注入系二糸統、高圧注入系二系統及び低圧注入系二系統から構成されており、一次冷却水の漏洩の程度に応じ冷却水を一次冷却系に注入するとともに、炉心における長期間にわたる崩壊熱(放射性物質が崩壊することにより生ずる熱)の発生を考慮して、長期間にわたり冷却水を注入し続けることが可能な構造となつている。すなわち、蓄圧注入系は、蓄圧タンク(容量約五七立方メートル)内に加圧したボロン溶液を保持しており、一次冷却水の流出によつて一次冷却材圧力バウンダリの圧力が右タンクの圧力より低下した場合に、自動的に逆止弁が開き、一次冷却系配管の低温側へ注水を開始する。高圧注入系及び低圧注入系は、いずれも格納容器内の圧力の増加又は原子炉内の圧力の低下と加圧器の水位の低下との信号によつて、自動的に作動を開始し、一次冷却材圧力バウンダリ内の圧力に応じて、燃料取替用水タンク(容量約一二〇〇立方メートル)の水を原子炉容器及び一次冷却系配管の低温側へ注入する。更に、燃料取替用水タンクの水が残り少なくなると、今度は格納容器の底部に溜つた水を冷却器で冷却して再び原子炉圧力容 (容量約一二〇〇立方メートル)の水を原子炉容器及び一次冷却系配管の低温側へ注入する。更に、燃料取替用水タンクの水が残り少なくなると、今度は格納容器の底部に溜つた水を冷却器で冷却して再び原子炉圧力容器及び一次冷却系配管へ注入する再循環冷却に移行し、長期間にわたる炉心冷却を継続する。第五章本件許可処分の内容の適法性(その三)――立地の適法性第二立地の適合性と耐震設計三地震及び耐震設計四本件原子炉における耐震設計本件原子炉については、地震時においてもその安全性を確保するため、前記耐震設計上考慮すべき地震によつても、その施設が破損されて、公衆に放射線障害を及ぼすことが絶対にないよう、以下に詳述するように、原子炉特有の慎重かつ厳しい設計方針が採られている。 わたる炉心冷却を継続する。第五章本件許可処分の内容の適法性(その三)――立地の適法性第二立地の適合性と耐震設計三地震及び耐震設計四本件原子炉における耐震設計本件原子炉については、地震時においてもその安全性を確保するため、前記耐震設計上考慮すべき地震によつても、その施設が破損されて、公衆に放射線障害を及ぼすことが絶対にないよう、以下に詳述するように、原子炉特有の慎重かつ厳しい設計方針が採られている。(1) 岩盤設置並びに剛構造本件原子炉は、地震時における安全性を考慮して、その主要施設を剛構造とした上、地質や地盤の調査等に基づき確認された堅硬な岩盤に直接設置される。すなわち、本件原子炉については、地盤の破壊や不等沈下を避けるとともに、地震動がより明確な形で施設に伝わるように、その施設全体が堅硬な岩盤に直接設置される。また、その施設や施設中の機器、配管等の歪等をできる限り押さえるために、その主要施設は剛構造となつている。(2) 原子炉施設の重要度に応じた耐震設計本件原子炉については、以下に詳述するように、その設計を安全上の重要度に応じ、A、B及びCのクラスに分類し、各クラスに応じた耐震設計が採用されている。ア Aクラス(ア) 本件原子炉施設のうち、Aクラスに分類されるものは、原子炉格納施設、原子炉緊急停止装置等、その施設の機能喪失が原子炉事故をひき起こす可能性のある施設や周辺公衆への放射線障害を防止するために緊要な施設がこれに該当する。(イ) Aクラスに分類された施設に 炉格納施設、原子炉緊急停止装置等、その施設の機能喪失が原子炉事故をひき起こす可能性のある施設や周辺公衆への放射線障害を防止するために緊要な施設がこれに該当する。(イ) Aクラスに分類された施設については、建築基準法によつて定められている水平震度を三倍した上、鉛直震度をも同時に考慮して静的解析を行い、更に敷地で起こるものと考えるべき最大の地震動を基に設定した設計地震動を用いた動的解析を行い、右静的解析及び動的解析からそれぞれ求められたいずれの地震力に対しても十分余裕のある耐震設計が講じられている。イ Bクラス(ア) 本件原子炉施設のうち、Bクラスに分類されるものは、原子炉補助建家、化学体積制御系、廃棄物処理系等高放射性物質に係る施設のうち、右Aクラス以外の施設がこれに該当する。(イ) Bクラスに分類された施設については、建築基準法によつて定められている水平震度の一・五倍の水平震度に対して、十分余裕のある耐震設計が講じられているとともに、右Bクラスの施設のうち、支持構造物の振動と共振するおそれのある機器・配管類については、動的解析から求められる地震力も考慮している。 補助建家、化学体積制御系、廃棄物処理系等高放射性物質に係る施設のうち、右Aクラス以外の施設がこれに該当する。(イ) Bクラスに分類された施設については、建築基準法によつて定められている水平震度の一・五倍の水平震度に対して、十分余裕のある耐震設計が講じられているとともに、右Bクラスの施設のうち、支持構造物の振動と共振するおそれのある機器・配管類については、動的解析から求められる地震力も考慮している。ウ Cクラス(ア) 本件原子炉施設のうち、Cクラスに分類されるものは、耐震設計上一般の建物や機器と同じように取り扱うことができるタービン建家、タービン、発電機等、右Aクラス及びBクラス以外の施設がこれに該当する。(イ) Cクラスに分類された施設については、建築基準法によつて定められている水平震度を用いる静的解析から求められた地震力に対して十分余裕のある耐震設計が講じられている。エ更に、右重要度に応じ分類された施設相互の間では、下位の分類に属する施設の破損によつて上位の分類に属する施設に波及的事故が起こらないことを確かめている。(3) 具体的な地震力の決定本件原子 エ更に、右重要度に応じ分類された施設相互の間では、下位の分類に属する施設の破損によつて上位の分類に属する施設に波及的事故が起こらないことを確かめている。(3) 具体的な地震力の決定本件原子炉の各施設に加わると予想される地震力は、以下述べるような手法によつて、これを求めた。ア静的解析静的解析とは、原子炉施設の設計においては、建築基準法に定められた地震力の算定方法にならつて、地震力を一律に決めるものである。すなわち、建築基準法施行令八八条及び建設省告示一〇七四号によれば、水平方向の地震力については、基準震度を〇・二(約二〇〇ガルに相当する。)とし、それに高さ方向の割り増しを加えて求めることとされているが、地盤の種別と構造種別による低減系数(岩盤の上に鉄筋コンクリートの建物を設置する場合には、右地震力に〇・八を乗ずる。)を考慮することとされている。例えば、本件原子炉のAクラスの施設については、右の方法によつて算出された〇・一六を三倍した〇・四八を基礎底面の震度とし高さ方向の割り増しを行つて水平方向の地震力を求めた上、右基礎底面での震度の二分の一を鉛直方向に同時に作用する地震力として与え、全体としての地震力を定めたものである。 低減系数(岩盤の上に鉄筋コンクリートの建物を設置する場合には、右地震力に〇・八を乗ずる。)を考慮することとされている。例えば、本件原子炉のAクラスの施設については、右の方法によつて算出された〇・一六を三倍した〇・四八を基礎底面の震度とし高さ方向の割り増しを行つて水平方向の地震力を求めた上、右基礎底面での震度の二分の一を鉛直方向に同時に作用する地震力として与え、全体としての地震力を定めたものである。イ動的解析動的解析とは、構造物及びそれを構成する物は、すべてその形状、構造、材料、地盤の状況等により固有の振動特性をもつており、地震動を受けるとその振動特性に見合つた応答を示すことにかんがみ、構造物の固有の振動特性を求め、設計応答曲線を用い、構造物等に作用する地震力を求めるものである。すなわち、まず、いろいろな固有の振動周期をもつ振動モデルが、敷地で考慮すべき設計地震波(最大加速度のほか波形及び継続時間で表わされる。)を受けた場合に、どのように応答するかを同モデルの固有の振動周期を横軸にとり、同モデルが 固有の振動周期をもつ振動モデルが、敷地で考慮すべき設計地震波(最大加速度のほか波形及び継続時間で表わされる。)を受けた場合に、どのように応答するかを同モデルの固有の振動周期を横軸にとり、同モデルが設計地震波を受けた場合の最大の応答加速度を縦軸にプロツトして表わす。そして、これを基に設計上の余裕等を配慮した滑らかな曲線で表わした設計応答曲線を作成する。次に、実際の構造物等を模擬した振動モデルを作成し、数値解析により構造物の固有の振動特性を求め、右振動特性に設計応答曲線をあてはめて構造物等の各部に作用する地震力を求めるものである。本件原子炉の各施設の動的解析に当たつては、右動的解析に用いる設計地震波の設定及び設計応答曲線の作成に際し十分な余裕を与えることによつて、敷地周辺で起こり得るものと考えるべき地震による最大の地震動に対し一層余裕をもたせることとしている。(ア) 設計地震波の最大加速度における余裕本件原子炉の敷地周辺において考慮すべき地震は、前述のタイプA及びタイプBの地震であるが、設計地震波の最大加速度については、タイプAの地震に関しては二〇〇ガル、タイプBの地震に関しては八〇ガルとそれぞれ十分な余裕をもつて設定した。すなわち、タイプAの地震に関しては、過去の地震で本件原子炉の敷地基盤に対し最も大きな地震動を及ぼしたものの最大加速度は、最も大きく算出しても、一六五ガルであるが、設計地震動の設定に際して用いる最大加速度の決定に当たつては、右一六五ガルに対して十分余裕をもたせて、これを二〇〇ガルと決定したものである。 Aの地震に関しては二〇〇ガル、タイプBの地震に関しては八〇ガルとそれぞれ十分な余裕をもつて設定した。すなわち、タイプAの地震に関しては、過去の地震で本件原子炉の敷地基盤に対し最も大きな地震動を及ぼしたものの最大加速度は、最も大きく算出しても、一六五ガルであるが、設計地震動の設定に際して用いる最大加速度の決定に当たつては、右一六五ガルに対して十分余裕をもたせて、これを二〇〇ガルと決定したものである。なお、右の最大加速度二〇〇ガルというのは、将来本件原子炉敷地周辺で起こり得るものと考えるべきタイプAの地震の最大規模をマグニチユード七、また震源の深さを三〇キロメートルと仮定し、これに発生機構等を考慮して震央距離を極 二〇〇ガルというのは、将来本件原子炉敷地周辺で起こり得るものと考えるべきタイプAの地震の最大規模をマグニチユード七、また震源の深さを三〇キロメートルと仮定し、これに発生機構等を考慮して震央距離を極端に〇キロメートルとした場合における敷地基盤の最大加速度である一八六ガルをも上回るものである。同様に、タイプBの地震に関しては、過去の地震で敷地基盤に対し最も大きな地震動を及ぼしたものの最大加速度は四五ガルであるが、将来本件原子炉敷地周辺で起こり得るものと考えるべきタイプBの地震による設計地震波の最大加速度としては、右四五ガルに対して十分余裕をもたせて、これを八〇ガルと定めたものである。(イ) 設計応答曲線の作成に当たつての余裕本件原子炉における主要施設の耐震設計に用いる設計応答曲線の作成に当たつては、前述のタイプA及びタイプBの地震の特性をもち、かつ前述のように十分余裕のある最大加速度をもつ数種の設計地震波を受けた場合の応答を求め、それらを包絡するような設計応答曲線を作成している。したがつて、本件原子炉の主要施設については、その耐震設計を行うに際し右の設計応答曲線を使用しているので、敷地周辺において起こり得るものと考えるべきいかなる地震に対しても十分余裕のあるものとなつている。(4) 設計余裕の確認本件原子炉については、その主要施設に常時加わつている力に前記地震力が加えられた場合にも、右施設の応力や歪がその弾性の範囲内に止まるように配慮することにより、外力に多少の変動があつても施設に損傷が生ずることのないよう、また、地震力を受けた後には元の状態に復することができるよう設計されている。 において起こり得るものと考えるべきいかなる地震に対しても十分余裕のあるものとなつている。(4) 設計余裕の確認本件原子炉については、その主要施設に常時加わつている力に前記地震力が加えられた場合にも、右施設の応力や歪がその弾性の範囲内に止まるように配慮することにより、外力に多少の変動があつても施設に損傷が生ずることのないよう、また、地震力を受けた後には元の状態に復することができるよう設計されている。すなわち、本件原子炉の各施設については、施設に常時作用している自重及び原子炉の過渡状態も含め、運転時に加わる内圧等のほか、施設の重要度に応じてそれぞれ 状態に復することができるよう設計されている。すなわち、本件原子炉の各施設については、施設に常時作用している自重及び原子炉の過渡状態も含め、運転時に加わる内圧等のほか、施設の重要度に応じてそれぞれ求められた地震力を加えた場合にも、それによつて生ずる応力又は変形がそれぞれの施設について定められた許容の範囲内に収まることを確認することにより、施設の耐震安全性が十分確保されることとなつている。その上、安全上特に重要な原子炉格納容器及び原子炉非常停止装置については施設に常時作用している自重及び原子炉の過渡状態も含め、運転中に加わる圧力等のほか、前述の動的解析によつて求められた地震力の値の一・五倍に相当する地震力が加わつたとしても、右施設に課せられている機能が十分保持されるものであることを確認することによつて、設計余裕が確保されることとなつている。第四想定事故について三万一の事故に備えての立地条件 2 重大事故を想定した災害評価重大事故を想定した災書評価は、本件原子炉の立地条件が前記1の(一)の第一の立地条件に適合しているかどうかを審査するものである。すなわち、本件原子炉の立地条件が、想定に係る重大事故の場合に、そこに人がい続けるならばその人に放射線障害を与えるかもしれないと判断される範囲が原則として公衆が居住しない「非居住区域」となつているかどうかを確認するものである。加圧水型原子炉である本件原子炉については、重大事故として、次の二つの事故を想定した。(一) 一次冷却材喪失事故(1) 事故の想定一次冷却材喪失事故とは、原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する一次冷却系配管等の損傷によつて一次冷却水が喪失する事故(その結果、炉心における冷却機能が低下し、それによつて燃料に損傷が生じた場合には、炉心の放射性物質が一次冷却水とともに格納容 るかどうかを確認するものである。加圧水型原子炉である本件原子炉については、重大事故として、次の二つの事故を想定した。(一) 一次冷却材喪失事故(1) 事故の想定一次冷却材喪失事故とは、原子炉冷却材圧力バウンダリを構成する一次冷却系配管等の損傷によつて一次冷却水が喪失する事故(その結果、炉心における冷却機能が低下し、それによつて燃料に損傷が生じた場合には、炉心の放射性物質が一次冷却水とともに格納容 ンダリを構成する一次冷却系配管等の損傷によつて一次冷却水が喪失する事故(その結果、炉心における冷却機能が低下し、それによつて燃料に損傷が生じた場合には、炉心の放射性物質が一次冷却水とともに格納容器内に放出されることとなる。)をいうが、重大事故として想定している一次冷却材喪失事故は、右一次冷却系配管のうち最大の内径約七〇センチメートル、肉厚約七センチメートルのステンレス鋼製配管の瞬時のギロチン破断が、外部電源の喪失によりECCSの作動が遅れ、かつ、ECCSの一部が作動しないという悪条件のもとに、発生するとするものである。右のような事態においても、ECCS全体としては所要の冷却効果が発揮されるため、被覆管に損傷は生じても、その健全性が大きく損われることはないのであるが、重大事故としての災害評価に当たつては、右損傷が全部の被覆管に生じるものとし、炉心に内蔵されている放射性物質のうち、希ガス二パーセント、ヨー素一パーセント、固体状放射性物質〇・〇二パーセントが格納容器内へ放出されるものとして解析を行うのである。(2) 放射性物質の外部への放出過程とその放出量ア右事故想定によつて格納容器内に放出されるとする放射性物質は、一たん、極めて堅牢かつ気密性の高い鋼鉄製の右格納容器内に保持され、ここで半減期の短いクリプトン八七(半減期約〇・〇五日)やヨー素一三二(同約〇・一日)等は短期間の間に減衰するが、半減期の長いキセノン一三三(同約五・三日)、クリプトン八五(同約一一年)、ヨー素一三一(同約八・一日)等は、ほとんど減衰しない。そして、浮遊している放射性物質のうちヨー素の一部は格納容器スプレイによつて洗い落とされるが、その他は電源用ケーブルや配管等の貫通部に通つて長時間にわたつてわずかずつアニユラス部に漏洩し、右アニユラス部に漏洩した放射性物質 物質のうちヨー素の一部は格納容器スプレイによつて洗い落とされるが、その他は電源用ケーブルや配管等の貫通部に通つて長時間にわたつてわずかずつアニユラス部に漏洩し、右アニユラス部に漏洩した放射性物質は、非常用フイルターを通つた後、排気筒から外部へ放出されることとなる。 るが、その他は電源用ケーブルや配管等の貫通部に通つて長時間にわたつてわずかずつアニユラス部に漏洩し、右アニユラス部に漏洩した放射性物質 物質のうちヨー素の一部は格納容器スプレイによつて洗い落とされるが、その他は電源用ケーブルや配管等の貫通部に通つて長時間にわたつてわずかずつアニユラス部に漏洩し、右アニユラス部に漏洩した放射性物質は、非常用フイルターを通つた後、排気筒から外部へ放出されることとなる。イ本件原子炉の場合には、放射性物質の外部への放出量の計算に当たつて、格納容器からアニユラス部への漏洩率やアニユラス部から外部へ放出される過程における非常用フイルターのヨー素除去率等について、以下に述べるような厳しい条件を仮定している。(ア) 格納容器内へ放出されるとする放射性物質のうち、ヨー素については、格納容器スプレイによつて洗い落とされにくい有機ヨー素の存在割合を全ヨー素の一〇パーセントと多目に見積もるとともに、右有機ヨー素に対しては、右スプレイ効果を全く無視することとする。(イ) 格納容器からの漏洩率については、事故時に予想される格納容器内の圧力上昇等を考慮して、事故発生後二四時間は格納容器の設計漏洩率の三倍に当たる〇・三パーセントを、その後三日間は一日当たり〇・一三五パーセントをそれぞれ仮定した上、右漏洩の九七パーセントは配管等の貫通部があるアニユラス部へ、残り三パーセントは格納容器ドーム部から直接大気へ漏洩するものと仮定することとする。なお、格納容器ドーム部からの漏洩については、そもそも気密構造の格納容器ドーム部から放射性物質が漏洩することはないのであるが評価を厳しくするために、アニユラス部を通らず直接大気へ漏洩すると仮定したものであつて、本件原子炉の場合には、先行同型炉である九州電力玄海原子力発電所一号炉と同じ値を使用している。(ウ) アニユラス部については、事故の発生が検知されると直ちにアニユラス部の空気再循環フアンが起動し、アニユラス部の空気を非常用 同型炉である九州電力玄海原子力発電所一号炉と同じ値を使用している。(ウ) アニユラス部については、事故の発生が検知されると直ちにアニユラス部の空気再循環フアンが起動し、アニユラス部の空気を非常用フイルターを通して排気することによつてその圧力が大気圧より低く保たれることとなつているが、事故直後はアニユラス部の内圧が大気圧以上となり、右経路以外からも外部へ漏れる可能性も考えられるため、評価に当たつては、負圧達成時間(事故時において大気圧よりも高くなつたアニユラス部の内圧を大気圧以下に低下させるために要する時間)を、一〇分と厳しく仮定する(実際上の負圧達成時間は、二系統あるアニユラス空気再循環設備の一系統しか働かず、かつ、アニユラス部の内圧上昇の原因となる格納容器からアニユラス部への熱伝達量を大きく見積もつて評価しても一〇分を下回る。 以外からも外部へ漏れる可能性も考えられるため、評価に当たつては、負圧達成時間(事故時において大気圧よりも高くなつたアニユラス部の内圧を大気圧以下に低下させるために要する時間)を、一〇分と厳しく仮定する(実際上の負圧達成時間は、二系統あるアニユラス空気再循環設備の一系統しか働かず、かつ、アニユラス部の内圧上昇の原因となる格納容器からアニユラス部への熱伝達量を大きく見積もつて評価しても一〇分を下回る。)とともに、この時間内は、格納容器からその設計漏洩率の三倍でアニユラス部に漏洩してきた放射性物質がすべて非常用フイルターを通らずに外部へ出るものと仮定することとする。(エ) 非常用フイルターについては、ヨー素に対し、その九五パーセント以上を除去できるように設計されているが、これを厳しく九〇パーセントと仮定することとする(なお、西ドイツにおいては、この非常用フイルターのヨー素除去率を九九・九パーセントとしている。)。(オ) アニユラス部から外部への排気量については、放射性物質の放出量を大きく見積もるため、負圧達成後も二〇分間は全量排気を継続するものとするとともに、その後も負圧維持のために必要な量以上の排気量があるものと仮定することとする。ウ本件原子炉において、前記重大事故に際し外部に放出されるとする放射性物質の量は、右に述べたような極めて厳しい条件の下で評価した結果、ヨー素約二〇キユリー及び希ガス約三二 と仮定することとする。ウ本件原子炉において、前記重大事故に際し外部に放出されるとする放射性物質の量は、右に述べたような極めて厳しい条件の下で評価した結果、ヨー素約二〇キユリー及び希ガス約三二九〇キユリーとなる。(3) 被ばく線量の評価本件原子炉における前記重大事故に際しての被ばく線量は、右放出量を前提とした上、更に、大気安定度や風速等について厳しい条件を設定して評価した結果、本件原子炉から約七〇〇メートル離れた敷地境界における被ばく線量は、甲状腺(小児)に対し約一・九レム、全身に対し約〇・一一レムをそれぞれ超えることはないと評価されている。(二) 蒸気発生器細管破損事故(1) 事故の想定蒸気発生器細管破損事故とは、蒸気発生器の細管(外径約二・二センチメートル、インコネル製)の損傷によつて一次冷却水が二次系に流出する事故をいうが、重大事故として想定している蒸気発生器細管破損事故は、蒸気発生器細管の一本が瞬時にギロチン破断し、かつ外部電源が喪失し、このため復水器へ蒸気を逃がすことができなくなつて二次系の圧力が上昇する結果、二次系の大気放出弁又は安全弁が開き、そこから蒸気が大気中へ放出されることとなるがその際蒸気発生器細管が破れたために一次冷却水に混入して一次系から二次系に移行した放射性物質が蒸気に混入して大気中へ放出されると仮定するものである。 ている蒸気発生器細管破損事故は、蒸気発生器細管の一本が瞬時にギロチン破断し、かつ外部電源が喪失し、このため復水器へ蒸気を逃がすことができなくなつて二次系の圧力が上昇する結果、二次系の大気放出弁又は安全弁が開き、そこから蒸気が大気中へ放出されることとなるがその際蒸気発生器細管が破れたために一次冷却水に混入して一次系から二次系に移行した放射性物質が蒸気に混入して大気中へ放出されると仮定するものである。(2) 放射性物質の外部への放出過程とその放出量ア本件原子炉の場合には、放射性物質の外部への放出過程やその放出量などについて、以下に述べるような厳しい条件を仮定している。(ア) 蒸気発生器細管破損事故時における一次冷却水中の放射性物質の量については、右事故が、燃料被覆管の破損率五パーセントの状態で原子炉を運転しているときに発生したものとし、一次冷却水中には右破損率に対応した放射性物質 管破損事故時における一次冷却水中の放射性物質の量については、右事故が、燃料被覆管の破損率五パーセントの状態で原子炉を運転しているときに発生したものとし、一次冷却水中には右破損率に対応した放射性物質が存在しているものと仮定することとする(この五パーセントという値は、現在までの外国をも含めた加圧水型原子炉の被覆管の破損率の実績をみても、そのような状態で運転を継続していることはあり得ない程の高い値である。)。(イ) 一次冷却水中の放射性物質の量については、蒸気発生器細管の破損によつて一次冷却水が二次系へ流出するに伴い、一次系の圧力が低下し、このため破損した燃料棒中にある放射性物質が新たに一次冷却水中に出てくることをも考慮した上、一次系の圧力が二次系の圧力にまで低下するには事故後三〇分間かかるものとするとともに、この間は一次冷却水中の放射性物質濃度は増加の一途をたどるものと仮定することとする。(ウ) 一次系から一次冷却水に混入して二次系に流出する放射性物質の量については、一次冷却水が二次系に流出する量を、事故期間を通じて、全量の三〇パーセントと仮定することとする。イ本件原子炉において前記重大事故に際し外部へ放出されるとする放射性物質の量は、右に述べるような極めて厳しい条件の下で評価した結果、ヨー素約六一キユリー及び希ガス約一万九四〇〇キユリーとなる。(3) 被ばく線量の評価本件原子炉における前記重大事故に際しての被ばく線量は、右放出量を前提とした上、更に、大気安定度や風速等について厳しい条件を設定して評価した結果、本件原子炉から約七〇〇メートル離れた敷地境界における被ばく線量は甲状腺(小児)に対し約三三レム、全身に対し約〇・一レムをそれぞれ超えることはないと評価されている。 した結果、ヨー素約六一キユリー及び希ガス約一万九四〇〇キユリーとなる。(3) 被ばく線量の評価本件原子炉における前記重大事故に際しての被ばく線量は、右放出量を前提とした上、更に、大気安定度や風速等について厳しい条件を設定して評価した結果、本件原子炉から約七〇〇メートル離れた敷地境界における被ばく線量は甲状腺(小児)に対し約三三レム、全身に対し約〇・一レムをそれぞれ超えることはないと評価されている。(三) 立地審査指針への適合性本件原子炉は、右二つの重大事 ル離れた敷地境界における被ばく線量は甲状腺(小児)に対し約三三レム、全身に対し約〇・一レムをそれぞれ超えることはないと評価されている。(三) 立地審査指針への適合性本件原子炉は、右二つの重大事故のいずれの場合においても、敷地境界における被ばく線量は、前記立地審査指針に定めるめやす線量、甲状腺(小児)一五〇レム及び全身二五レムに比べて十分に小さく、立地審査指針に定める「非居住区域」であるべき範囲はその敷地内に含まれる。したがつて、本件原子炉は、前記立地審査指針の条件を十分満足するものである。3 仮想事故を想定した災害評価仮想事故を想定した災害評価は、本件原子炉の立地条件が前記1の(一)の第二及び第三の立地条件に適合しているかどうかを審査するものである。すなわち、本件原子炉の立地条件が、想定に係る仮想事故の場合に、非居住区域の外側の地帯が著しい放射線災害を与えないために適切な措置を講じ得る環境にある「低人口地帯」になつているかどうか及び全身被ばく線量の積算値が国民遺伝線量の見地から十分受け入られる程度に小さい値になるよう人口密集地帯から離れているかどうかをそれぞれ確認するものである。本件原子炉については、仮想事故として、次の二つの事故を想定した。(一) 一次冷却材喪失事故(1) 事故の想定仮想事故は、前記重大事故と同じ事故について、ECCSによる炉心の冷却効果を無視し炉心内の全燃料が溶融したと仮定した場合に放出される放射性物質の量に相当する量が格納容器内に放出されるとするものである。すなわち、炉心に内蔵されている放射性物質のうち、希ガス一〇〇パーセント、ヨー素五〇パーセント、固体状放射性物質一パーセントが格納容器内に放出されるものと仮定するものである。(2) 放射性物質の外部への放出過程とその放出量本件原子炉において前記仮想事 CSによる炉心の冷却効果を無視し炉心内の全燃料が溶融したと仮定した場合に放出される放射性物質の量に相当する量が格納容器内に放出されるとするものである。すなわち、炉心に内蔵されている放射性物質のうち、希ガス一〇〇パーセント、ヨー素五〇パーセント、固体状放射性物質一パーセントが格納容器内に放出されるものと仮定するものである。(2) 放射性物質の外部への放出過程とその放出量本件原子炉において前記仮想事 一〇〇パーセント、ヨー素五〇パーセント、固体状放射性物質一パーセントが格納容器内に放出されるものと仮定するものである。(2) 放射性物質の外部への放出過程とその放出量本件原子炉において前記仮想事故に際し外部に放出されるとする放射性物質の量は、放出過程やその放出量について前記重大事故と同様の極めて厳しい条件の下で評価した結果、ヨー素約九九四キユリー、希ガス約一六万四五〇〇キユリーとなる。(3) 被ばく線量の評価本件原子炉における前記仮想事故に際しての被ばく線量は、右放出量を前提とした上、更に、大気安定度や風速等について厳しい条件を設定して評価した結果、本件原子炉から約七〇〇メートル離れた敷地境界における被ばく線量は、甲状腺(成人)に対し約二三レム、全身に対し約五・七レムをそれぞれ超えることはないと評価され、また全身被ばく線量の積算値は、風速について一・五メートル、しかも風が放出期間中常に最も人口密度の高い方向に吹いているという更に厳しい条件の下で約六・七万人レムと評価されている。(二) 蒸気発生器細管破損事故(1) 事故の想定仮想事故は、前記重大事故と同じ事故について、事故後の減圧過程で燃料棒から一次冷却水中に徐々に現われる放射性物質が、事故直後に一度に全量現われるものとし、更に、大気放出弁等からの漏洩が無限時間続くもめと仮定し、重大事故を上回る放射性物質の放出を仮定するものである。(2) 放射性物質の外部への放出過程とその放出量本件原子炉において前記仮想事故に際し外部に放出されるとする放射性物質の量は、その放出過程について前記重大事故と同様の極めて厳しい条件の下で評価した結果、ヨー素約三六〇キユリー、希ガス約五万八二〇〇キユリーとなる。(3) 被ばく線量の評価本件原子炉における前記仮想事故に際しての被ばく線量は、右放出量を 故と同様の極めて厳しい条件の下で評価した結果、ヨー素約三六〇キユリー、希ガス約五万八二〇〇キユリーとなる。 炉において前記仮想事故に際し外部に放出されるとする放射性物質の量は、その放出過程について前記重大事故と同様の極めて厳しい条件の下で評価した結果、ヨー素約三六〇キユリー、希ガス約五万八二〇〇キユリーとなる。(3) 被ばく線量の評価本件原子炉における前記仮想事故に際しての被ばく線量は、右放出量を 故と同様の極めて厳しい条件の下で評価した結果、ヨー素約三六〇キユリー、希ガス約五万八二〇〇キユリーとなる。(3) 被ばく線量の評価本件原子炉における前記仮想事故に際しての被ばく線量は、右放出量を前提とした上、更に、大気安定度や風速等について厳しい条件を設定して評価した結果、本件原子炉から約七〇〇メートル離れた敷地境界における被ばく線量は、甲状腺(成人)に対し約三八レム、全身に対し約〇・三レムをそれぞれ超えることはないと評価され、また、全身被ばく線量の積算値は一次冷却材喪失事故の場合と同じ厳しい条件の下で約二万四〇〇〇人レムと評価されている。(三) 立地審査指針への適合性本件原子炉は、右二つの仮想事故のいずれの場合においても、敷地境界における被ばく線量は、前記立地審査指針に定めるめやす線量、甲状腺(成人)三〇〇レム及び全身二五レムに比べて十分小さく、立地審査指針で定める「低人口地帯」であるべき範囲は敷地内に含まれ、また、全身被ばく線量の積算値も立地審査指針に定めるめやす線量値である二〇〇万人レムに比べて十分小さい。したがつて、本件原子炉は、前記立地審査指針の条件を十分満足するものである。(被告の主張に対する原告らの答弁及び反論)第七必ず起こる破滅的な大事故二本件原子炉がその事故によつて、周辺住民に災害を与えることはない、との被告の主張の誤りと不当性(二) 信頼性のない本件「多重防護」被告が、本件伊方発電所の安全性を保障するものとしてあげた、四項目の多重防護策の各々について、それらが信頼性を欠いた、見かけ倒しのものであるかを以下に示す。(1) 「自然条件に対する配慮」の不当性被告は、「本件原子炉の主要施設については、当該地域に関する過去の記録等をもとに予測される最も苛酷な自然力に対しても耐え得るように所要の設計条件を設定 す。(1) 「自然条件に対する配慮」の不当性被告は、「本件原子炉の主要施設については、当該地域に関する過去の記録等をもとに予測される最も苛酷な自然力に対しても耐え得るように所要の設計条件を設定している」とし、本件原子炉の立地条件にとつて最も危険な要因と原告らが指摘している地震の対策については、「本件原子炉建屋を堅硬な岩盤に直接支持させるとともに、過去の地震等から当該敷地において考えられる最大の地震動を推定し、これを上回る設計地震動を設定することによつて、原子炉施設が、右最大地震動に耐え、安全を確保し得るよう十分余裕のある耐震設計がなされることとなつている」と主張している。 設計条件を設定している」とし、本件原子炉の立地条件にとつて最も危険な要因と原告らが指摘している地震の対策については、「本件原子炉建屋を堅硬な岩盤に直接支持させるとともに、過去の地震等から当該敷地において考えられる最大の地震動を推定し、これを上回る設計地震動を設定することによつて、原子炉施設が、右最大地震動に耐え、安全を確保し得るよう十分余裕のある耐震設計がなされることとなつている」と主張している。まず何よりも指摘しなければならないことは、右のように主張することによつて、本件原子炉についての、被告の「自然条件に対する配慮」に重大な欠落のあることを隠ぺいしようとしていることである。すでに「立地選定の誤り」で明らかにしたように、本件伊方発電所の敷地は、堅硬だが脆弱な岩質から成り、真近くを走る中央構造線による破砕作用を強く受け、地すベりを起こし易い構造を持つた地盤である。更に、本件敷地は地震の活動帯の中にあり、約五十年周期で発生しているマグニチユード七以上の大地震を引き起こすだけのエネルギーを蓄えているが故に、地震予知連絡会によつて「特定観測地域」に指定されている地域に属している。更にまた、巨大な活断層である中央構造線を震源とした、より大規模な地震の発生も予想される危険地帯でもある。したがつて、本件敷地は、「原子炉立地審査指針」が、その「一、基本的考え方、一-一原則的立地条件」の(1)項で規定した、つぎの条件を欠き、本件原子炉の設置に不適当であることは明らかである。すなわち、「大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかつたことはもちろんであるが、将来にお 条件」の(1)項で規定した、つぎの条件を欠き、本件原子炉の設置に不適当であることは明らかである。すなわち、「大きな事故の誘因となるような事象が過去においてなかつたことはもちろんであるが、将来においてもあるとは考えられないこと。また、災害を拡大するような事象も少ないこと。」。原告らは、「原子炉からの大量の放射性毒物の流出を防ぎ、その安全性を支える最終的保障は、原子炉格納容器・圧力容器及び各種配管類が破損しないということにある。そして地震・地すべり・断層等は、これら原子炉施設の大規模かつ同時的な破壊をもたらす最も重要な原因であり、地震国の我が国では特に立地の最重要条件である」との立場から、「本件処分の基礎になつた安全審査では、この指針さえも無視した重大な誤りが存在する」と指摘した。 原子炉からの大量の放射性毒物の流出を防ぎ、その安全性を支える最終的保障は、原子炉格納容器・圧力容器及び各種配管類が破損しないということにある。そして地震・地すべり・断層等は、これら原子炉施設の大規模かつ同時的な破壊をもたらす最も重要な原因であり、地震国の我が国では特に立地の最重要条件である」との立場から、「本件処分の基礎になつた安全審査では、この指針さえも無視した重大な誤りが存在する」と指摘した。これに対し被告はつぎのように述べて、原告らの主張を否認した。「地震面からみた原子炉の立地条件の適否の判断は、予想される地震とこれに対する技術的工学的対応度の総合的検討に基づいてなされるのである。すなわち、地震について過去の地震歴等から予想される地震の規模、特性を推定し、また、地質調査等により設置場所の地盤が堅固かどうか、地震に対して十分安定かどうかを把握し、これらの条件を踏まえて、十分な耐震設計が技術的、工学的に可能か、また、現にこれがなされるかを検討するのである。本件伊方発電所についてみると、敷地附近における地震歴、敷地の地盤の特性等について詳細な調査、検討を行なつた上、予想される最大地震にも耐え得るような十分な耐震設計が講ぜられることになつている」。すなわち被告は、本件安全審査に当つては、「原則的立地条件」の要求をゆがめ、「予想される地震とこれに対する技術的工学的対応度の総合的検討に基づいて」立地条件の適否の判断をやればいい、との態度をとり、地盤・地震 告は、本件安全審査に当つては、「原則的立地条件」の要求をゆがめ、「予想される地震とこれに対する技術的工学的対応度の総合的検討に基づいて」立地条件の適否の判断をやればいい、との態度をとり、地盤・地震の危険地帯である本件敷地への原子炉設置を許可したのである。こうした被告のやり方は、「原子炉立地審査指針」が強調している「原則的立地条件」の必要性を否定したものである。原則的立地条件には、「原子炉は、どこに設置されるにしても、事故を起こさないように設計建設運転及び保守を行なわなければならないことは当然のことではあるが、なお万一の事故に備え、公衆の安全を確保するためには、原則的に次のような立地条件が必要である」と規定しているのである。この「原則的立地条件」には、技術的、工学的な面とまた別に、立地のことは立地のこととして考えねばならないということが定められているのである。 立地条件には、「原子炉は、どこに設置されるにしても、事故を起こさないように設計建設運転及び保守を行なわなければならないことは当然のことではあるが、なお万一の事故に備え、公衆の安全を確保するためには、原則的に次のような立地条件が必要である」と規定しているのである。この「原則的立地条件」には、技術的、工学的な面とまた別に、立地のことは立地のこととして考えねばならないということが定められているのである。被告のいう「予想される地震」を正確に推定することの困難さ、及び、その地震に対する「技術的工学的対応度」の評価の不確かさの故に、「総合的判断」ではなしに、「原則的条件」が求められているのである。本件敷地については、「原則的立地条件」の有無で判断すれば、その不適格性は明らかである。しかるに被告は、「立地審査指針のうち、原告らが引用している「一-一原則的立地条件」は、「一-二基本的目標」とともに、原子炉の設置に際しての基本的な考え方を示したものであつて、具体的な判断の際に用いられるものではない。原子炉の立地条件の適否を具体的に判断する際に用いられるのは「二立地審査の指針」なのであり、右立地審査の指針に適合している場合には右の基本的考え方に沿つているものと考えることができるのである。したがつて、右立地条件に適合しているか否かを、立地審査指針の「一-一原則的立地条件」のみに着目して考えるこ の指針に適合している場合には右の基本的考え方に沿つているものと考えることができるのである。したがつて、右立地条件に適合しているか否かを、立地審査指針の「一-一原則的立地条件」のみに着目して考えることは誤りである」と、「原則的立地条件」を無用の長物化する詭弁をもてあそんで、自らの非を隠ぺいしようとしているのである。本件原子炉敷地が、「原則的立地条件」を欠き、危険な原子力発電所の敷地として不適当であることは、原子力推進の立場に立つ人たちでさえ、候補地にしかねていたというつぎの二つの事実によつても明らかである。その一つは、これまでに得られている地質関係などのデータをもとに、通産省が昭和三八年から四二年にかけて行なつてきていた原子力発電所用敷地の予備調査の対象にも、本件敷地は含まれていなかつたという事実である。四国では、<地名略>に先立つて、四国電力が原子力発電所の候補地としていた、徳島県海部郡<地名略>と愛媛県北宇和郡<地名略>とは、右調査の対象となり、すでに調査を終えていたのである。 ても明らかである。その一つは、これまでに得られている地質関係などのデータをもとに、通産省が昭和三八年から四二年にかけて行なつてきていた原子力発電所用敷地の予備調査の対象にも、本件敷地は含まれていなかつたという事実である。四国では、<地名略>に先立つて、四国電力が原子力発電所の候補地としていた、徳島県海部郡<地名略>と愛媛県北宇和郡<地名略>とは、右調査の対象となり、すでに調査を終えていたのである。他の事実は、右にのべた事実の反映であるが、伊方町の誘致によつて、本件敷地が予定地として四国電力によつて買収された昭和四四年七月に、四国電力の当時のp15副社長(現在社長)がつぎのような談話を発表していたということである。すなわち、右談話は、「<地名略>は悪いが、地元の要望が強いため一応予備調査をすることにした。同地区はあくまで建設予定地の一つであり、同地区に建設を決めたわけではない」という内容のものであり、当時四国電力も、本件敷地が、瀬戸内海に面しており、地盤・地震等の立地条件も良くないとの認識を持つていて、それほど乗り気でなかつたことを示している。このような劣悪な条件の地点にもかかわらず、被告は、「原則的立地条件」についての判断を欠落させたままで、「立地 等の立地条件も良くないとの認識を持つていて、それほど乗り気でなかつたことを示している。このような劣悪な条件の地点にもかかわらず、被告は、「原則的立地条件」についての判断を欠落させたままで、「立地審査の指針」に適しているとの誤つた判断の下に、本件敷地を適地として認めたのである。「原則的」な視点を欠いた判断が、いかに誤つたものであるかは、すでに地盤・地震の項で詳述した通りである、。被告が「自然条件に対する配慮」の内容として、得々としてあげている設計諸条件は、全くご都合主義的な判断に基づいたものにすぎない。被告は、さきに引用したように「本件原子炉建家を堅硬な岩盤に直接支持させる」と主張しているが、当該岩盤は、決して一様に堅硬なものではなく、多くの割れ目や断層を含んだ脆弱な特性を示し、地すベりの危険性も多い構造を持つていることは、すでに述べた通りである。また被告は、「過去の地震歴等から当該敷地において考えられる最大の地震動を推定し、これを上回る設計地震動を設定する」と主張しているが、この前提もきわめて恣意的である。被告が採用したデータでも、本件敷地からわずか一四キロメートルしか離れていない地点で、マグニチユード七程食の大地震が過去に発生しているという事実は明らかである。 を示し、地すベりの危険性も多い構造を持つていることは、すでに述べた通りである。また被告は、「過去の地震歴等から当該敷地において考えられる最大の地震動を推定し、これを上回る設計地震動を設定する」と主張しているが、この前提もきわめて恣意的である。被告が採用したデータでも、本件敷地からわずか一四キロメートルしか離れていない地点で、マグニチユード七程食の大地震が過去に発生しているという事実は明らかである。にもかかわらず、震源深さを三〇キロメートルと恣意的に設定し、しかも、地震動を推測するに際しては多くの不確定さを含んだ推定式を採用するなどの操作によつて、一六五ガルという値の「最大地震動」を推定し、これを上回るものとして、二〇〇ガルの設計地震動を設定しているのである。同じ地震のデータを用い、より合理的な推定を行なうことによつて、一六五ガルではなく、四〇〇ガル以上の地震動が推定されるにもかかわらずである。更に、被告は、本件原子炉敷地の真近くを通る大活断層、中央構造線が大地震の震源 用い、より合理的な推定を行なうことによつて、一六五ガルではなく、四〇〇ガル以上の地震動が推定されるにもかかわらずである。更に、被告は、本件原子炉敷地の真近くを通る大活断層、中央構造線が大地震の震源となることについての評価を全く欠落させているのである。被告のいう「最大の地震動」が、全くご都合主義的なものであることは明らかである。更に、被告は、「原子炉施設が、右最大地震動に耐え安全を確保し得るよう十分な余裕のある耐震設計がなされることとなつている」と主張しているが、右に述べたように、「最大地震動」の過小評価に基づいた設計でつくられる原子炉施設は、文字通り砂上の桜閣と言うべきものである。更に、耐震設計なるものについても、被告は、たとえば、二〇〇ガルの地震動に耐える耐震設計が施されていると主張するだけであり、実際にその耐震設計によつてどの程度にまで、対象とする原子炉設備や機器の性能を保証し得るのかについての、実証的なデータは存しないのである。右に述べたように、被告のいう「自然条件に対する配慮」は、本件敷地の実態を無視した全く見当ちがいの設置者本位のものであり、「周辺公衆の安全を確保できるような設計がなされることとなつている」との被告の主張を裏付けるものでないことは明らかである。(2) 「異常状態の発生防止のための配慮」の破たん被告は、従来、「事故を発生させないための措置」などと述べていたにもかかわらず、後にはそれを、「異常状態の発生防止」と言い換えるなど、「事故」という言葉を意識的に避けようと努力しているように見える。 当ちがいの設置者本位のものであり、「周辺公衆の安全を確保できるような設計がなされることとなつている」との被告の主張を裏付けるものでないことは明らかである。(2) 「異常状態の発生防止のための配慮」の破たん被告は、従来、「事故を発生させないための措置」などと述べていたにもかかわらず、後にはそれを、「異常状態の発生防止」と言い換えるなど、「事故」という言葉を意識的に避けようと努力しているように見える。しかし、いくら表現を変えてみても、現在の原子力発電技術のお粗末さを隠ぺいすることは不可能である。被告は、「本件原子炉は、原子炉の運転に際し異常が発生することを防止するために、次のような配慮がなされることとなつている」として、 ても、現在の原子力発電技術のお粗末さを隠ぺいすることは不可能である。被告は、「本件原子炉は、原子炉の運転に際し異常が発生することを防止するために、次のような配慮がなされることとなつている」として、(一)安全余裕及び重複性、(二)誤動作、誤操作等に対する防護、(三)試験可能性、(四)安全運転継続のための自動調整、の四項目の対策で万全を期していると主張している。しかし、そこに述べられていることは、現在すでに営業運転に入つている先行の軽水型原子力発電所でとられている対策と同じことを繰り返しているに過ぎない。先行原子力発電所においても、同種の、「異常状態の発生防止」のための対策がとられていたにもかかわらず、その甲斐もなく、「異常」は多発し、長期にわたつて運転を停止しなければならないという「事故」をもたらしていることは周知の事実である。この種の事故は、アメリカ生れの軽水炉における二つの型、すなわち、加圧水型及び沸騰水型の区別を問わず多発し、そのために、我が国の原子力発電所の平均利用効率は、昭和四九年度には四八・二パーセント、さらに昭和五〇年度には四一・九パーセントという、惨たんたる状態を呈している。これらの事故は、長期にわたる原子力発電所の運転停止を余儀なくさせていることに端的に示されているように、いずれも、原子炉の安全確保にとつて重要な部分で発生しており、大事故の引き金としての性格を帯びた事故である。しかも、後続の同型原子力発電所でも依然として同種の事故が繰り返されている事実に示されているように、これらの事故の原因がいまだに解明されておらず、したがつて、その対策もなし得ていないままに今後も引き続き事故の発生が予測されるという状況を呈しているのである。 せていることに端的に示されているように、いずれも、原子炉の安全確保にとつて重要な部分で発生しており、大事故の引き金としての性格を帯びた事故である。しかも、後続の同型原子力発電所でも依然として同種の事故が繰り返されている事実に示されているように、これらの事故の原因がいまだに解明されておらず、したがつて、その対策もなし得ていないままに今後も引き続き事故の発生が予測されるという状況を呈しているのである。右に述べた現状は、被告が主張する事故防止のための「配慮」の根拠のなさを証するに十分であるが て、その対策もなし得ていないままに今後も引き続き事故の発生が予測されるという状況を呈しているのである。右に述べた現状は、被告が主張する事故防止のための「配慮」の根拠のなさを証するに十分であるが、なお、被告のあげている四項目の「配慮」が、現実を反映しない空虚なものであることを以下に各項目ごとに指摘しておこう。ア 「安全余裕及び重複性」についての空虚な主張被告は、「本件原子炉の設備・機器は、その信頼性を高度に維持するため、材料の選択、製作等の段階における管理を重視するほか、設計に際しては、それぞれ所要の安全余裕をもたせるとともに、安全上特に重要な設備、機器については、更に、極めて苛酷な使用条件等を前提とし、それに対しても十分耐え得るような安全余裕をもたせるとか、あるいは部分的な異常に対してもこれが故障につながらないように重複性をもたせることとしている」と主張している。しかし、これらの主張は、どのように具体化されているのであろうか。たとえば、本件原子炉と同型の加圧水型原子力発電所にとつて、現在のところ、もつともその欠陥をさらけ出している蒸気発生器についてはどうか。損傷事故を繰り返している細管の材料には、応力腐食を起こし易いことが判明したステンレス鋼に替つて、腐食に強いニツケル合金のインコネルが採用され、しかも厳重な品質管理が行なわれていたにもかかわらず、予期しない短期間に、減肉腐食やひび割れを発生させているのである。また、細管の腐食は、蒸気発生器内の細管の支持部分の附近で発生しているらしいことが判明しても、現在の蒸気発生器の構造を根本的に設計変更しない限り、その原因の除去は不可能である。通常、どのボイラーについてもなされているボイラー水(本件の場合は二次冷却水)の水処理に必要な薬剤が存在しているだけで、原子炉の安全確保にとつて、最も重 かわらず、予期しない短期間に、減肉腐食やひび割れを発生させているのである。また、細管の腐食は、蒸気発生器内の細管の支持部分の附近で発生しているらしいことが判明しても、現在の蒸気発生器の構造を根本的に設計変更しない限り、その原因の除去は不可能である。通常、どのボイラーについてもなされているボイラー水(本件の場合は二次冷却水)の水処理に必要な薬剤が存在しているだけで、原子炉の安全確保にとつて、最も重 変更しない限り、その原因の除去は不可能である。通常、どのボイラーについてもなされているボイラー水(本件の場合は二次冷却水)の水処理に必要な薬剤が存在しているだけで、原子炉の安全確保にとつて、最も重要な一次冷却材圧力バウンダリーの一部である蒸気発生器細管が、短期間に損傷を起こすそいう事故を防止できないで、どうして、「安全上特に重要な設備・機器については、更に、極めて苛酷な使用条件等を前提としそれに対しても十分耐え得るような安全余裕をもたせる」などと主張できるであろうか。原子炉の炉心で、苛酷な条件にさらされながら、多量の放射性毒物の散逸を防止する役目を担つている燃料棒についても、被告の「配慮」はその実をあげていない。被告は、「設計に際しては、それぞれ所要の安全余裕をもたせる」などと主張しているが、原告らが、解明されていない燃料棒の欠陥として重視している、燃料棒の曲がり事故ではどうか。被告は、「本件原子炉において使用される燃料については、燃料集合体において燃料棒を横方向に支持する支持格子のバネ圧を減ずるとともに、各バネ圧の強さのばらつきを小さくし、更に、軸方向の伸びを吸収するよう燃料棒の上方だけでなくその下方にも十分な間隙を確保することとしている」などと主張しているが、そうした「配慮」の下に製作されたはずの燃料集合体においても、依然として、曲がり事故が発生し続けているではないか。また、「美浜一号炉燃料棒折損事故」も、三年もの間、隠ぺいされ続けてきていたが、一つの燃料集合体の中の二本の燃料棒の上部七〇センチメートルが、折損するというすさまじい事故であつたことが発表されたのである。しかも、これと同種の事故は、高浜二号炉でも見出されているし、更に、スペインのゾリタ原子力発電所や米国のポイントビーチ原子力発電所においても、同種の事故が発生していた あつたことが発表されたのである。しかも、これと同種の事故は、高浜二号炉でも見出されているし、更に、スペインのゾリタ原子力発電所や米国のポイントビーチ原子力発電所においても、同種の事故が発生していたことも明らかになつている。 たのである。しかも、これと同種の事故は、高浜二号炉でも見出されているし、更に、スペインのゾリタ原子力発電所や米国のポイントビーチ原子力発電所においても、同種の事故が発生していた あつたことが発表されたのである。しかも、これと同種の事故は、高浜二号炉でも見出されているし、更に、スペインのゾリタ原子力発電所や米国のポイントビーチ原子力発電所においても、同種の事故が発生していたことも明らかになつている。いずれも、本件伊方発電所と同型の加圧水型原子炉である。被告は、「異常状態発生の防止」のための「配慮」の例として、「燃料被覆管自体も運転中に予想される熱的、力学的条件及び化学的条件に対して十分余裕のある設計になつているので、燃料被覆管の健全性が損なわれることはない」と主張しているが、燃料棒の曲がりや折損が続いている今日では、何とうつろな期待であることか。被告が、「予想される」として想定していた諸条件が、いかに現実の炉心の状況とかけ離れたものであつたかを、曲がつたり、折損した燃料棒は教えているのである。つぎに、被告が例としてあげている圧力容器についてはどうか。被告は、「原子炉圧力容器については、一次冷却系の異常な圧力上昇に十分耐えるよう設計することはもちろんのこと、予想される種々の異常な圧力上昇の発生頻度を過大に見積り、このような事態が繰り返し発生したとしても十分耐え得るような構造を有することとしている」と主張している。しかし、その根拠となつた実験は、「疲労割れのモデル実験」にすぎず、現実の圧力容器の健全性を保証するものではない。圧力容器の健全性で問題になるのは「構造」よりも、その材質及び製作工程である。本件圧力容器においても、それは多くの鋼板の溶接によつてつくりあげられるが、その鋼板の、炉心からの中性子によつてひき起こされる脆化は不可避であり、溶接部なども含めた圧力容器全体にわたつて、その使用中に、脆化がどのように進むかを予測することは、少なくとも現在の技術的段階では不可能である。更に圧力容器の、そしてまた、圧力 る脆化は不可避であり、溶接部なども含めた圧力容器全体にわたつて、その使用中に、脆化がどのように進むかを予測することは、少なくとも現在の技術的段階では不可能である。更に圧力容器の、そしてまた、圧力容器と配管とのつなぎ目の溶接部分で発生し易い応力腐食についても、現在の技術では、完全に抑止することは不可能である。 測することは、少なくとも現在の技術的段階では不可能である。更に圧力容器の、そしてまた、圧力 る脆化は不可避であり、溶接部なども含めた圧力容器全体にわたつて、その使用中に、脆化がどのように進むかを予測することは、少なくとも現在の技術的段階では不可能である。更に圧力容器の、そしてまた、圧力容器と配管とのつなぎ目の溶接部分で発生し易い応力腐食についても、現在の技術では、完全に抑止することは不可能である。そうした現状を知つてか知らずにか、「設計」によつて、「極めて苛酷な使用条件等を前提としそれに対しても十分耐え得るような安全余裕をもたせる」ことができるなどと主張する被告の無神経さには驚くよりほかない。更に被告は、「本件原子炉の設備・機器はその信頼性を高度に維持するため、材料の選択・製作等の段階における管理を重視する」と主張しているが、最近本件原子炉で起つた事故は、その実態の一端を、はしなくも暴露したのである。それは、昭和五一年一〇月一四日未明に、本件原子炉への燃料装荷中に発生した、集合体の一部がへし曲がるという前代未聞の事故である。原子炉にとつて何よりも重要な燃料体の出し入れに使う設備である燃料移送台上のとめ金具の位置が、集合体の長さに適合していなかつたという、全く信じられないしろものが製作されていたのである。更に、そのような欠陥設備を、事前に燃料装荷の模擬テストまで行ないながら、発見し得ず、燃料集合体をへし曲げてから始めて気付くという、これまた信じられないことが起こつているのである。本件原子炉で早くも発生したこの事故は、被告が頼りにしている、「信頼性を高度に維持するための管理」なるものが、実際の現場では、どのように実施されているかを我々に教えてくれた。最後に、被告の主張する「重複性」について、その内容を明らかにしておこう。被告は「(本件原子炉の)特に重要な設備・機器については、・・・・・・あるいは部分的な異常に対してもこれが故 に教えてくれた。最後に、被告の主張する「重複性」について、その内容を明らかにしておこう。被告は「(本件原子炉の)特に重要な設備・機器については、・・・・・・あるいは部分的な異常に対してもこれが故障につながらないように重複性をもたせることとしている」と述べ、あたかも、原子炉の重要な機能に直接関連した設備・機器が重複性を持つているかのごとき印象を与えようとしている。 いは部分的な異常に対してもこれが故 に教えてくれた。最後に、被告の主張する「重複性」について、その内容を明らかにしておこう。被告は「(本件原子炉の)特に重要な設備・機器については、・・・・・・あるいは部分的な異常に対してもこれが故障につながらないように重複性をもたせることとしている」と述べ、あたかも、原子炉の重要な機能に直接関連した設備・機器が重複性を持つているかのごとき印象を与えようとしている。しかし、原子炉の炉心にある燃料体や炉心構造物、一次冷却材圧力バウンダリを構成する圧力容器、配管、及び蒸気発生器、更には一次冷却材を循環させるためのポンプなどの主要設備・機器は、全く重複性を持たず、それぞれかけがえのないものである。被告は重複性の例として、「補機冷却系統設備、非常用電源設備等は、これを構成するポンプやデイゼル発電機に予備機」のあることをあげているが、これらの設備は重要ではあつても原子炉の補助設備にすぎず、これらが予備を備えていることは当然であつて、麗麗しく持ち出すほどの事例ではない。イ 「誤動作、誤操作等に対する防護」についての机上の空論被告は、制御棒駆動装置や原子炉圧力制御装置等を例にあげて、誤動作による異常の発生を防止するようにしてあると主張している。これらの防護対策の信頼性も問題ではあるが、何よりも見のがしてならないことは、被告が例示している誤動作や誤操作は、あらかじめ予測し得る種類のものにすぎないということである。危険な大量の放射性毒物を内蔵し、『綱渡り技術』によつて支えられている原子力発電所にとつて、問題とされている誤動作・誤操作とは、まさに予期し得ない人的ミスなのである。現在すでに営業運転中のわが国の各地の原子分発電所においても、数々の人的ミスによる事故が発生しているが、いつの場合にも、責任者から聞かされる言葉は、「予想もしなかつた」ということで スなのである。現在すでに営業運転中のわが国の各地の原子分発電所においても、数々の人的ミスによる事故が発生しているが、いつの場合にも、責任者から聞かされる言葉は、「予想もしなかつた」ということである。右に述べた本件原子炉への燃料装荷中に発生した燃料集合体損傷事故に際しても、本件伊方発電所の所長は、「作業は十分注意してやつていたのだが、思いがけないトラブルを起こして申し訳ない」と語つている。また、本件原子炉と同型で、すでに営業運転中の玄海原子力発電所において、その試運転中に発生した、バルブ操作ミスによる放射能漏洩事故も一つの典型である。 から聞かされる言葉は、「予想もしなかつた」ということである。右に述べた本件原子炉への燃料装荷中に発生した燃料集合体損傷事故に際しても、本件伊方発電所の所長は、「作業は十分注意してやつていたのだが、思いがけないトラブルを起こして申し訳ない」と語つている。また、本件原子炉と同型で、すでに営業運転中の玄海原子力発電所において、その試運転中に発生した、バルブ操作ミスによる放射能漏洩事故も一つの典型である。すなわち、昭和五一年三月九日に、九州電力玄海原子力発電所の一号機(電気出力約五六万キロワツト)で一次冷却水の充てんポンプの弁の誤操作によつて、五分間にわたつて〇・五キユリーの放射能を含んだ加圧用水素ガスが流れ出るという事故が発生した。同原子力発電所では、昭和五〇年六月に、蒸気発生器内に巻尺を置き忘れて放射能洩れ事故を起こしたばかりであつた。二度にわたる放射能漏れ事故について、九州電力のp16社長は記者会見で、つぎのように語つたと報道されている。すなわち、「もう二度と事故を起こしません││といつても、前回もそういつてきたんだから・・・。言葉でなくて事実で示していく以外にない。しかし、送電線の補修工事も、絶対に事故が起きないような作業の仕組みになつているはずなんだが、やはり感電死はでる。卒直に言えば泣きたい気持ちだよ」と。このp16社長の苦悩に充ちた発言は、本来不可避の人的ミスと、絶対無事故を建前とした原子力発電所との矛盾に苦しむ管理責任者の姿を端的に示している。人的ミスが、原子力発電所を危険な状態に追いやつた典型は、昭和五〇年三月二二日にアメリカのブラウンズフエリー発電所で発生した事故である。その事故 所との矛盾に苦しむ管理責任者の姿を端的に示している。人的ミスが、原子力発電所を危険な状態に追いやつた典型は、昭和五〇年三月二二日にアメリカのブラウンズフエリー発電所で発生した事故である。その事故は、原子炉建家の空気漏れを点検するために、一人の技術者が手にしていたロ-ソクの火が電線の被覆に燃え移つたために発生した火災事故である。この火災と、同時に発生した設備の故障とによつて、ほとんどすべての安全装置が作動しなくなり、炉心の水位の低下による炉心の露出、溶融という最悪事態を、技術者たちの必死の努力により辛うじて直前で食い止めることができたのである。誰がこのような事態を予想できたであろうか。 事故は、原子炉建家の空気漏れを点検するために、一人の技術者が手にしていたロ-ソクの火が電線の被覆に燃え移つたために発生した火災事故である。この火災と、同時に発生した設備の故障とによつて、ほとんどすべての安全装置が作動しなくなり、炉心の水位の低下による炉心の露出、溶融という最悪事態を、技術者たちの必死の努力により辛うじて直前で食い止めることができたのである。誰がこのような事態を予想できたであろうか。他の人的ミスの場合と同様に、アメリカ原子力規制委員会の責任者は、「全く予期せぬ事故」と述べ、また同委員会の特別調査グループをして、「プラントの設計基本である多重性と独立性という観点から見て、この結果は驚くべきものである」と嘆かせているのである。人間の手によつて原子力発電所が運転され管理される限り、誤動作・誤操作は不可避であり、それは予期しない事態を招くであろう。そしてそのことは本件の場合も例外ではあり得ない。にもかかわらず、あたかも、それらを防止し得るかのごとくに強弁する被告の主張は机上の空論にすぎない。ウ有効性を欠いた「試験可能性」被告は、「本件原子炉の安全上主要な設備・機器は、その信頼性を常に保持するため、原子炉の運転が開始された後においてもその性能が引き続き確保されていることを試験、検査、監視することができるような構造となつている」と主張している。しかし、被告のいう「試験、検査、監視」の妥当性については、ほとんど明らかにされないままとなつている。本件原子炉の安全確保上重要な部分、例えば炉心の燃料体、原子炉圧力容器、あるいは蒸気発生器細管など かし、被告のいう「試験、検査、監視」の妥当性については、ほとんど明らかにされないままとなつている。本件原子炉の安全確保上重要な部分、例えば炉心の燃料体、原子炉圧力容器、あるいは蒸気発生器細管などについては原子炉運転中に検査する手段が存在していないことが重要な特徴である。それらの状態を点検し得るのは、原子炉の運転を停止して行なわれる定期検査時だけである。したがつて、定期検査の間の運転期間中に、事故が発生して、はじめて損傷を知るといつた事態もしばしば起こつている。本件原子炉と同型の先行発電所でしばしば発生した蒸気発生器細管事故はその典型である。また、燃料棒の曲がりや折損事故も、定期検査の時に、はじめてその発生を知るといつた事態が続いている。 いことが重要な特徴である。それらの状態を点検し得るのは、原子炉の運転を停止して行なわれる定期検査時だけである。したがつて、定期検査の間の運転期間中に、事故が発生して、はじめて損傷を知るといつた事態もしばしば起こつている。本件原子炉と同型の先行発電所でしばしば発生した蒸気発生器細管事故はその典型である。また、燃料棒の曲がりや折損事故も、定期検査の時に、はじめてその発生を知るといつた事態が続いている。定期検査時の試験、検査、監視が有効であるためには、次の検査時までに、設備や機器の正常な状態が維持できることが保証されていなければならない。しかし、原子力発電技術の未熟さの故に、問題となる種々の事故の原因とその進行過程に不明な点が多く、いまだに、右に述べた意味で有効な定期検査の間隔を定め得ない場合が多い。したがつて、主として燃料の取替え周期と、経済的な理由とから決められている、現行の約一年ごとの定期検査間隔では、その途中で事故が発生するのは当然といわねばならず、被告の主張する「試験、検査、監視」の有効性は、著しく減殺されたものとなつている。更に、現行の「試験、検査、監視」の方法の信頼性にも問題が多い。その典型は、実施不可能な原子炉圧力容器の中性子による脆化の進行の測定に替つて、現在実施され本件原子炉でも採用が予定されている試験片を用いた試験法に見ることができる。この試験では、原子炉圧力容器の材料と同一の鋼板から切り出したいくつかの試験片を、原子炉内につり下げ、定期検査ごとに、次々ととり出してその脆化の 予定されている試験片を用いた試験法に見ることができる。この試験では、原子炉圧力容器の材料と同一の鋼板から切り出したいくつかの試験片を、原子炉内につり下げ、定期検査ごとに、次々ととり出してその脆化の程度を測定し、その結果から、実際の圧力容器の脆化度を推定するという方法が採用されている。この試験法にはつぎのような欠陥が含まれていることは明らかである。すなわち、一つには、試験片の大きさはせいぜい数センチメートルの素材であり、その脆化から、圧力容器を構成する全ての鋼板の脆化を、しかも脆化の程度の異なる溶接部の存在を無視して推定することは極めて不十分であるということ。他の一つは、原子炉圧力容器内への試験片の挿入場所は、原子炉圧力容器の内面に設けられた「熱遮へい板」中であり、低い温度ほど脆化が進行し易いことを考慮すると、原子炉容器の平均温度よりかなり高いと思われる挿入場所での試験は、脆化程度について過小評価をもたらすということである。 、圧力容器を構成する全ての鋼板の脆化を、しかも脆化の程度の異なる溶接部の存在を無視して推定することは極めて不十分であるということ。他の一つは、原子炉圧力容器内への試験片の挿入場所は、原子炉圧力容器の内面に設けられた「熱遮へい板」中であり、低い温度ほど脆化が進行し易いことを考慮すると、原子炉容器の平均温度よりかなり高いと思われる挿入場所での試験は、脆化程度について過小評価をもたらすということである。右に示した事例は、このような欠陥のある試験法によつて、本件原子力発電所の安全確保上最も重要な原子炉圧力容器の健全性が保障されているという、現在の原子力発電技術の危なつかしさを示すとともに、被告の主張する「試験、検査、監視」の信頼性の欠如を示す典型となつている。最後に、被告が例示している緊急炉心冷却装置の作動試験についても同様のことを指摘しておかなければならない。被告は、「非常用炉心冷却設備の高圧注入系及び低圧注入系は、試験用配管が別途設置されており、運転中においてもポンプを中心とする作動試験を定期的に実施することかできるようになつている」と主張している。しかしこの「作動試験」とは、ポンプによる給水が予定通りに行なわれるかどうかを調べるものにすぎない。いうまでもないことであるが、緊急炉心冷却装置にとつて重要なこと ようになつている」と主張している。しかしこの「作動試験」とは、ポンプによる給水が予定通りに行なわれるかどうかを調べるものにすぎない。いうまでもないことであるが、緊急炉心冷却装置にとつて重要なことは、ポンプから水が送られるかどうかよりも、その送られた水が、一次冷却材喪失事故時に有効に炉心を冷却するかどうかということである。しかし、後述するように、この点に関しては、依然として不明なままである。右に述べたことで明らかなように、本件原子炉の設備・機器が、「試験、検査、監視することができるような構造になつている」ということのみが重要ではなく、更に重要なのはそれらの方法が妥当で、信頼性があるということなのである。エ信頼性の低い「安全運転継続のための自動調整」被告は、「本件原子炉では、その運転を安全に継続するため、原子炉の状態を左右する原子炉の圧力等を自動的に一定に保つように調整するための装置が備えられることとなつている」と主張している。運転状態にある装置の諸特性を一定に自動的に保つことが行なわれているのは、何も原子炉に限つたことではない。 に重要なのはそれらの方法が妥当で、信頼性があるということなのである。エ信頼性の低い「安全運転継続のための自動調整」被告は、「本件原子炉では、その運転を安全に継続するため、原子炉の状態を左右する原子炉の圧力等を自動的に一定に保つように調整するための装置が備えられることとなつている」と主張している。運転状態にある装置の諸特性を一定に自動的に保つことが行なわれているのは、何も原子炉に限つたことではない。しかも被告が例示している原子炉圧力を一定に保つ制御装置も、ありふれた種類のもので、とくにとり立てて云うほどのものではない。ここでも問題なのは、そうした自動制御装置の信頼性なのである。アメリカでは、一六の原子炉で二九回も、原子炉圧力が安全規制値を、かなり超して高くなつたということである。そして、このような『過圧力』によつて、実際にはめつたに起こらないにしても、原子炉の圧力容器が破損し、一次冷却材を吹き出すという事故も起こり得る、すなわち原子炉圧力容器の破損の可能性を考えねばならないのである。アメリカのそれと全く同型の、我が国の加圧水型原子力発電所でも、当然、この種の『過圧力』は発生しているに違いない。アメリ も起こり得る、すなわち原子炉圧力容器の破損の可能性を考えねばならないのである。アメリカのそれと全く同型の、我が国の加圧水型原子力発電所でも、当然、この種の『過圧力』は発生しているに違いない。アメリカでも、内部告発によつて、はじめて事態が明るみに出たという事実や、我が国では、何の発表も行なわれていないという事実は、この『過圧力』の重大さを物語つているように思われる。本件伊方原子炉と同型のアメリカの原子力発電所における『過圧力』発生の事実は、被告が述べている原子炉圧力制御系が、予期せぬ圧力増加を制御し切れず、原子炉の安全性を損つている実態を示す。原子炉の安全を保つための設備にとつて必要なのは、その効能書きでは無くて、その信頼性である。右に指摘してきたように、被告のいう「異常状態の発生防止」のための「配慮」なるものは、いずれも見かけ倒しであり、被告の主張する「多重防護」の第一段の防護策としては、その妥当性も信頼性も極めて低い。そしてそのことは、すでに営業運転に入つている先行原子力発電所での事故の多発によつても実証されているのである。したがつて、これらの「配慮」が、原告ら周辺住民に重大な災害を与える事故の要因を防止するための万全の対策となつている、との被告の主張は虚偽であり、不当なものと言わざるを得ない。 ものは、いずれも見かけ倒しであり、被告の主張する「多重防護」の第一段の防護策としては、その妥当性も信頼性も極めて低い。そしてそのことは、すでに営業運転に入つている先行原子力発電所での事故の多発によつても実証されているのである。したがつて、これらの「配慮」が、原告ら周辺住民に重大な災害を与える事故の要因を防止するための万全の対策となつている、との被告の主張は虚偽であり、不当なものと言わざるを得ない。(3) 「異常状態の拡大防止のための配慮」の低い有効性被告は、「本件原子炉は、右に述べたような配慮にもかかわらず、たとえ運転中になんらかの異常な状態が発生したとしても、その異常状態が更に拡大することを確実に防止するため、次のような配慮がなされている」として、「異常状態の検知」と「異常状態の拡大を防止するための安全保護装置」の二つをあげている。まずはじめに指摘しておかなければならないことは、被告は「異常状態の拡大防止」というとき、事故には る」として、「異常状態の検知」と「異常状態の拡大を防止するための安全保護装置」の二つをあげている。まずはじめに指摘しておかなければならないことは、被告は「異常状態の拡大防止」というとき、事故には必ず前兆現象があり、事故の拡大の経過はゆるやかに進行する、との前提を暗黙のうちに持ち込んでいるということである。後述するように、被告が事故の拡大防止に有効であると主張している「検知」の方法や「安全保護装置」による対策の妥当性と信頼性の無さも問題ではあるが、事態が「検知」され、「安全保護装置」が働いた時には、すでに事故が発生したあと、といつたことの有無の判断こそ、最も重要なことである。現在の原子力技術の段階では、環境に放射性物質を流出させる最も重大な事故は、原子炉圧力容器、一次冷却材配管、あるいは、蒸気発生器細管など、いわゆる一次冷却材圧力バウンダリに属する系の破損によつてひき起こされる。一次冷却材圧力バウンダリの破損には、小破損からゆるやかに進行して大破損に至る経過をたどるものも含まれてはいるが、突然に一挙に大破損に至る可能性も大きい。突然の大破損の典型例は、前述した、アメリカのポイントビーチ原子力発電所における蒸気発生器細管破損事故である。この事故では、一次冷却材の二次系への異常な漏出が検出された時には、すでに毎分約〇・五トンという大量の一次冷却材の流出をもたらした、蒸気発生器細管の大破損が起こつていたのである。 小破損からゆるやかに進行して大破損に至る経過をたどるものも含まれてはいるが、突然に一挙に大破損に至る可能性も大きい。突然の大破損の典型例は、前述した、アメリカのポイントビーチ原子力発電所における蒸気発生器細管破損事故である。この事故では、一次冷却材の二次系への異常な漏出が検出された時には、すでに毎分約〇・五トンという大量の一次冷却材の流出をもたらした、蒸気発生器細管の大破損が起こつていたのである。すなわち、被告が「異常状態の拡大防止」のために期待している「検知」は全く役立たなかつたのである。本件原子炉におけると同型の蒸気発生器に特有の欠陥のために、運転経験の短い間にも、右に述べたような大破損が実際にすでに発生しているのであるが、原子炉圧力容器や一次冷却材配管についても、こうした突然の大破損は、十分に予測されるのである。特有の欠陥のために、運転経験の短い間にも、右に述べたような大破損が実際にすでに発生しているのであるが、原子炉圧力容器や一次冷却材配管についても、こうした突然の大破損は、十分に予測されるのである。すなわち、これらの一次冷却材圧力バウンダリの破損の、最も可能性の大きい要因と見られている、脆性破壊や疲労亀裂、あるいは、これらと応力腐食割れとの協同作用による破壊は、突然に発生する可能性が極めて大きいためである。右に述べた、一次冷却材圧力バウンダリにおける突然の大破損の事実と可能性に示されているような、予測不能な経過で発生する事故については全く言及しないで、「異常状態の拡大防止」策によつて、事故の防止が万全であるかのような被告の主張は、人を欺くものといわざるを得ない。それだけではなく、被告が述べている「異常状態の検知」や「異常状態の拡大を防止するための安全保護装置」の妥当性と信頼性についても疑問が多い。例えば被告が「検知」の具体策としてあげている諸装置のうち、すでに国内、外の先行炉において、その信頼性の無さを示しているいくつかの例をあげると次のようなものがある。被告は「原子炉施設内における温度、圧力、流量等を監視する計測装置」が「所要の箇所に設けられる」と述べているが、これらの装置は、一次冷却材圧力バウンダリ系の破損箇所からの一次冷却材の漏洩を、早期に発見できる能力を欠いているといわねばならない。伊方発電所は、一ガロン(三・八リツトル)毎分漏洩したら検出できるようになつている、といわれているが、すでに営業運転に入つている福島原子力発電所の一号機で、昭和五〇年二月に発見された、原子炉容器と緊急炉心冷却装置とを結ぶ配管の破損事故では、毎分一六リツトル程度の一次冷却材の漏洩があつたと推定されるのに、その破損は、設けられていた漏洩検出装置では検知で に発見できる能力を欠いているといわねばならない。伊方発電所は、一ガロン(三・八リツトル)毎分漏洩したら検出できるようになつている、といわれているが、すでに営業運転に入つている福島原子力発電所の一号機で、昭和五〇年二月に発見された、原子炉容器と緊急炉心冷却装置とを結ぶ配管の破損事故では、毎分一六リツトル程度の一次冷却材の漏洩があつたと推定されるのに、その破損は、設けられていた漏洩検出装置では検知で 和五〇年二月に発見された、原子炉容器と緊急炉心冷却装置とを結ぶ配管の破損事故では、毎分一六リツトル程度の一次冷却材の漏洩があつたと推定されるのに、その破損は、設けられていた漏洩検出装置では検知できなかつたのである。つぎに被告があげている「原子炉施設内外における放射線量を監視する放射線監視装置」が、肝心の時に役立たなかつた例をあげておこう。その一つは、本件伊方原子力発電所と同型の美浜原子力発電所一号機で、昭和四八年四月に発見され、昭和五一年一二月まで隠されていた、燃料棒の折損事故である。この事故では、炉心の燃料棒が、少なくとも二本は折損するという、ひどい事態が発生していたが、昭和五一年一二月一六日に同発電所を訪れた社会党国会議員調査団に対し、同発電所の担当責任者は、当該損傷部から漏洩していた放射能を運転中には検知できなかつたと答えている。更に、「放射線監視装置」の信頼性の無さを示す例は、前にも述べたアメリカのポイントビーチ原子力発電所での、蒸気発生器細管の大破損事故である。この時には、毎分約〇・五トンもの一次冷却材が、その中に含まれた放射能を含んで二次系に流出したのであるが、この種の事故の発生をまず第一に知らせることになつている「放射線監視装置」が役立たなかつたのである。一次冷却材が二次系に流出したことを知らせる装置には、復水器の「空気抽出器」に取りつけられているものと、蒸気発生器の二次冷却水を吹き出させる「ブローダウン配管」に取りつけられているものとの二種類がある。ところが、ポイントビーチの事故の際には、前者の「空気抽出器」の監視装置は、メーターの針がよく振れるというので、その感度が下げられていたために役立たず、また、後者の「ブローダウン配管」に設けられていた監視装置も、検査用の試料をとり出す配管の方法がまずかつたために、警報を出 メーターの針がよく振れるというので、その感度が下げられていたために役立たず、また、後者の「ブローダウン配管」に設けられていた監視装置も、検査用の試料をとり出す配管の方法がまずかつたために、警報を出さなかつた、と報告されている。 というので、その感度が下げられていたために役立たず、また、後者の「ブローダウン配管」に設けられていた監視装置も、検査用の試料をとり出す配管の方法がまずかつたために、警報を出 メーターの針がよく振れるというので、その感度が下げられていたために役立たず、また、後者の「ブローダウン配管」に設けられていた監視装置も、検査用の試料をとり出す配管の方法がまずかつたために、警報を出さなかつた、と報告されている。ポイントビーチ原子力発電所ではこの事故の以前にも小規模な漏洩が発生したことがあるのに、なおこうした検知漏れが起こつたということはすぐれて教訓的である。最後に、被告のいう「異常状態の拡大を防止するための安全保護装置」も見かけ倒しであることを指摘しておこう。被告は「計測監視装置によつて異常状態を検知した場合には、直ちに警報が発せられ、直ちに異常を生じた機器の停止・予備機の起動等所要の措置が講ぜられる設備とされる」と極めて一般的に述べている。しかし、これまでにもよく引き合いに出してきた、最も重要な一次冷却材圧力バウンダリの破損事故については、たとえそれが検知できたとしても、「異常を生じた」当該圧力バウンダリ系に対する「所要の措置」によつて、「直ちに」その 「異常」を抑止したりすることは不可能である。検知された破損の進行については、文字通り、「運を天に任せて」、ともかく原子炉を停止するという措置をとることしかないのである。被告が、「安全保護装置」の具体例として、「自動的に全制御棒を緊急に挿入して燃料を損傷することなく原子炉を停止し得るような機能」しかあげていないのも、重大な「異常」に対しては、まず原子炉を停めることが、「直ちに」とり得る唯一の対策であるからである。しかし、よく知られているように、一次冷却材の喪失をもたらす事故にあつては、たとえ原子炉の停止が首尾よくいつても、それは炉心溶融を食い止めるキメ手にはならないのである。更に被告が主張している「燃料を損傷することなく」という条件も、事実をいつわるものである。急 故にあつては、たとえ原子炉の停止が首尾よくいつても、それは炉心溶融を食い止めるキメ手にはならないのである。更に被告が主張している「燃料を損傷することなく」という条件も、事実をいつわるものである。急速な原子炉の停止によつて、燃料棒の被覆管は損傷を受ける。したがつて「燃料を損傷することなく原子炉を停止し得るような機能」などは無く、燃料の損傷を省みず、緊急に原子炉を停止し得る機能しか備えていないのである。 にあつては、たとえ原子炉の停止が首尾よくいつても、それは炉心溶融を食い止めるキメ手にはならないのである。更に被告が主張している「燃料を損傷することなく」という条件も、事実をいつわるものである。急速な原子炉の停止によつて、燃料棒の被覆管は損傷を受ける。したがつて「燃料を損傷することなく原子炉を停止し得るような機能」などは無く、燃料の損傷を省みず、緊急に原子炉を停止し得る機能しか備えていないのである。右に指摘してきたように、被告のいう「異常状態の拡大防止」の「配慮」なるものは、重大事態に至る多くの事故経路の、ごく一部に対してだけ備えられた対策にしかすぎず、しかも、それらの対策の妥当性と信頼性も極めて低い。したがつて、これらの「配慮」が、原告ら周辺住民に重大な災害を与える事故を防ぐための万全の対策となつている、との被告の主張は虚偽であり、不当なものであると言わざるを得ない。(4) 「安全防護設備」の低い信頼性被告は前提として、「本件原子炉は、前述したように、異常状態の発生防止及び異常状態の拡大防止にそれぞれ万全のの対策が講じられることとなつているため、外部に異常な放射性物質の放出をもたらすおそれのある事態が発生することはない」と主張しているが、このことが虚偽であり不当であることについては、すでに前項までに詳述してきた。このような誤つた前提の上に立つて被告は、いわゆる「安全防護設備」が設けられている理由を次のように述べている。すなわち、「しかしながら、本件原子炉については、念には念を入れるという考え方の下に、かりに外部に異常な放射性物質の放出をもたらすおそれのある事態が発生したと仮定しても周辺公衆の安全を確保できるようにするため」であると。ここには、原告ら周辺住民に重大な災害をもたらす事故に対する、被告の一貫して誤つた考え方が端的にあ もたらすおそれのある事態が発生したと仮定しても周辺公衆の安全を確保できるようにするため」であると。ここには、原告ら周辺住民に重大な災害をもたらす事故に対する、被告の一貫して誤つた考え方が端的にあらわれている。被告にあつては、本件原子炉が周辺住民に重大な災害を与えるような事故を起こすはずはなく、「安全防護設備」も、「かりに・・・・・・事態が発生したと仮定」した時のために設けられていることになつているのである。こうした被告の考え方は、「他の産業にはみられない念の入つた防護策」を具体化する保障とはならず、むしろ、「他の産業にはみられない」傲慢な考え方と言わなければならない。 つた考え方が端的にあらわれている。被告にあつては、本件原子炉が周辺住民に重大な災害を与えるような事故を起こすはずはなく、「安全防護設備」も、「かりに・・・・・・事態が発生したと仮定」した時のために設けられていることになつているのである。こうした被告の考え方は、「他の産業にはみられない念の入つた防護策」を具体化する保障とはならず、むしろ、「他の産業にはみられない」傲慢な考え方と言わなければならない。他の産業では、装置の大型化・自動化と並行して設けられる安全装置が、かえつて安全性を低下させるのではないかと案じられ、また、経験の少ない施設では大きな事故も不可避であると考えられているのである。被告にとつては、「安全防護設備」は、不可避の事故に対する不可欠なものではなく、「念には念を入れて」余分につけ加えられた設備にすぎないのである。すでに原告らが指摘し、更に後述するような、被告の本件「安全防護設備」に対する根拠のない過信と、重大な事故によつて原告ら周辺住民にもたらされる災害についての驚くべき過小評価も、事故と「安全防護設備」に対する被告の誤つた考え方がもたらしたものといえる。本件原子炉に設けられている「安全防護設備」は、緊急炉心冷却装置、原子炉格納容器、格納容器スプレー系、及びアニユラス空気再循環系の四種である。このうち、緊急炉心冷却装置は、一次冷却材喪失事故時に、炉心にある燃料の溶融を防止するための設備であり、他の三者は、燃料の破損、溶融によつて、原子炉内から格納容器内に流出した放射性物質が、環境に漏出するのを防止するための設備である。格納容器スプレー系とアニユラス 料の溶融を防止するための設備であり、他の三者は、燃料の破損、溶融によつて、原子炉内から格納容器内に流出した放射性物質が、環境に漏出するのを防止するための設備である。格納容器スプレー系とアニユラス空気再循環系とは、格納容器内に放射性物質が閉じ込められているということを前提にして、すなわち、格納容器の健全性が保たれている限りで、はじめてその有効性が発揮される。そして、その格納容器の健全性は、炉心が溶融しないことを前提にして保障されている。すなわち、炉心が溶融すれば、格納容器の放射性物質を閉じこめるという機能は破壊される。「炉心が溶融した後のシーケンス(経過)としては、例えば、その一〇〇パーセント溶融をすると、格納容器を貫らぬいて地下に入つて行くという考え方もあるし、それから、例えば大きく蒸気が発生して爆発し、格納容器部壊れることも考えられている。 れる。そして、その格納容器の健全性は、炉心が溶融しないことを前提にして保障されている。すなわち、炉心が溶融すれば、格納容器の放射性物質を閉じこめるという機能は破壊される。「炉心が溶融した後のシーケンス(経過)としては、例えば、その一〇〇パーセント溶融をすると、格納容器を貫らぬいて地下に入つて行くという考え方もあるし、それから、例えば大きく蒸気が発生して爆発し、格納容器部壊れることも考えられている。また、格納容器が爆発するまでもないけれども、圧力によつて壊れるということも考えられている」のである。右に述べたことから明らかなように、もし緊急炉心冷却装置が作動しなかつたり、あるいは、作動してもその期待された性能を発揮しなかつたりして、炉心溶融に至つた場合には、他の三つの安全防護設備も、ほとんど役立たなくなる。すなわち、四種の「安全防護設備」は、それぞれが独立に機能するのではなく、結局は、緊急炉心冷却装置が有効に働くという前提の下に、はじめて、それぞれが意味を持つという工学系となつているのである。したがつて、本件原子炉の「安全防護設備」の信頼性の判断は、緊急炉心冷却装置のそれを検討すれば足りるということになる。本件原子炉に設けられている緊急炉心冷却装置が、一次冷却材喪失事故時に炉心の溶融を防ぐという機能に関して、極めて信頼性の低いものであるということについては、すでに「緊急炉心冷却装置」で十分 になる。本件原子炉に設けられている緊急炉心冷却装置が、一次冷却材喪失事故時に炉心の溶融を防ぐという機能に関して、極めて信頼性の低いものであるということについては、すでに「緊急炉心冷却装置」で十分に指摘してきた通りである。その根拠は、次の四点に要約することができる。(1) 本件原子炉に設けられている緊急炉心冷却装置の性能は、実際の原子炉については勿論のこと、実験直な設備においても、いまだに実証されていない。(2) 本件緊急炉心冷却装置が作動したとした時の、炉心における一次冷却材の態様や挙動については、計算機を用いた計算によつて推測されているが、その計算のための模型と、その計算に用いられるパラメータとには、多くの重要な不確定さが含まれており、被告によつて主張されているその計算結果の保守性は、模擬実験によつても実証されていない。(3) 本件緊急炉心冷却装置が作動したとした時の、炉心にある燃料棒の状態についても、実験的に未知の要素が多く、計算機による燃料棒被覆管の温度の推定の信頼性は低い。 ついては、計算機を用いた計算によつて推測されているが、その計算のための模型と、その計算に用いられるパラメータとには、多くの重要な不確定さが含まれており、被告によつて主張されているその計算結果の保守性は、模擬実験によつても実証されていない。(3) 本件緊急炉心冷却装置が作動したとした時の、炉心にある燃料棒の状態についても、実験的に未知の要素が多く、計算機による燃料棒被覆管の温度の推定の信頼性は低い。またその計算に当たつて、被告が、被覆管の内面酸化の程度や被覆管に作用する種々の応力などについて採用したパラメータは、全く恣意的なものであり、それらの正当な値を適用すれば、本件緊急炉心冷却装置の安全評価の審査に当たつて安全専門審査会が確認したという諸条件も充たし得ない。(4) 本件緊急炉心冷却装置は、二〇〇ガルの地震動に対して耐えられるよう耐震設計が施されている旨被告は主張しているが、本件建設地点についての地震の正当な評価を行えば、二〇〇ガル以上の地震動も十分に予測でき、本件緊急炉心冷却装置の作動の保障も十分でない。右に述べたことから明らかなように、被告が、本件原子炉の多重防護の最後の頼みとする「安全防護設備」の信頼性も低く、「想定された事故の場合におい 測でき、本件緊急炉心冷却装置の作動の保障も十分でない。右に述べたことから明らかなように、被告が、本件原子炉の多重防護の最後の頼みとする「安全防護設備」の信頼性も低く、「想定された事故の場合においても放射線障害を発生させないための万全の措置がとられている」との被告の主張も根拠を欠いた不当なものである。(5) 結語被告が、「原子炉の安全確保に関しては、いわゆる多重防護の考え方が採用され、これに基づいて他の産業にはみられない念の入つた防護策が講じられている」として、具体的に主張している四つの対策、すなわち(1)「自然条件に対する配慮」、(2)「異常状態の発生防止」、(3)「異常状態の拡大防止」、及び(4)「安全防護設備の設置」のそれぞれについて、詳細に右に検討を加えてきた。その結果、これらの対策は、いずれもその妥当性において欠けるところがあり、またそれらの信頼性も極めて低いことが明らかとなつた。したがつて、「現実問題として周辺住民に放射線障害を与えるおそれはない」との被告の主張はその根拠を欠き、原告ら周辺住民にとつては、本件原子炉の事故によつて、重大な災害を受けることは現実的な問題となつているのである。
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