平成13年(行ケ)第580号審決取消請求事件口頭弁論終結日平成15年3月25日判決原告(選定当事者) A選定者 B同 C同 D同 E訴訟代理人弁理士児玉喜博同長谷部善太郎被告シャープ株式会社訴訟代理人弁護士高坂敬三同夏住要一郎同間石成人同鳥山半六同田辺陽一同小林京子同小宮山展隆同小田大輔訴訟代理人弁理士深見久郎同森田俊雄同酒井將行同清水敏 主文 1 特許庁が無効2000-35697号事件について平成13年11月30日にした審決を取り消す。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1) 主文1項と同旨(2) 訴訟費用 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 原告(1) 主文1項と同旨(2) 訴訟費用は被告の負担とする。 2 被告(1) 原告の請求を棄却する。 (2) 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 当事者間に争いのない事実 1 特許庁における手続の経緯原告及び選定者らは,発明の名称を「単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置」とする特許(特許第2691973号,昭和58年6月24日出願,平成9年9月5日設定登録,以下「本件特許」といい,その発明を「本件発明」という。本件発明における発明の数は1である。)の特許権者である。 被告は,平成12年12月21日,本件特許を無効とすることにつき審判の請求をした。特許庁は,これを無効2000-35697号事件として審理した。 原告らは,同審理の段階で,平成13年4月14日付けで本件特許の出願の願書に添付された明細書の訂正の請求をした。特許庁は,平成13年11月30日,この訂正(以下「本件第1訂正」という。)を認めた上で,「特許第2691973号発明の特許を無効とする。」との審決をし,同年12月11日に,その謄本を原告に送達した。 2 審決の理由審決の理由は,要するに,本件発明は,本訴甲第3号証(特開昭57-10558号の公開特許公報)に基づき,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,本件特許は,特許法29条2項に違反してなされたものである,とするものである。 3 訂正審決の確定原告は,本訴係属中,平成14年5月10日付けで,本件特許の願書に添付された明細書(甲第2号証は,その内容が記載された特許公報である。以下「本 る,とするものである。 3 訂正審決の確定原告は,本訴係属中,平成14年5月10日付けで,本件特許の願書に添付された明細書(甲第2号証は,その内容が記載された特許公報である。以下「本件明細書」という。)につき,特許請求の範囲の訂正を含む訂正の審判を請求した。 特許庁は,これを訂正2002-39116号事件として審理し,その結果,平成14年11月28日に上記訂正(以下「本件第2訂正」という。)をすることを認める旨の審決(以下「本件訂正審決」という。)をし,これが確定した。 4 本件第1訂正前の本件特許の特許請求の範囲(甲第2号証・特許公報に記載のもの)「1 符号長nの単一誤り訂正/1+1,1+2,・・,1+k誤り検出BCH符号(またはリード・ソロモン符号)の復号器を採用した情報伝送システムにおけるエラー訂正処理装置において,下記の(1)ないし(6)の手段を含むことを特徴とする単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 (1) 符号長n,符号の最小距離d=2×1+k+1の符号語に,誤りを付加された受信語を保持する手段。 (2) 前記受信語からシンドロームSj(r≦j≦r+2×1+k-1)のみを算出する手段。ただし,rは任意の整数。 (3) 前記シンドロームSjが全て零のとき,誤り無しと判定する手段。 (4) 前記シンドロームSj(r≦j≦r+2×1+k-1)と誤り位置多項式の係数σiとの関係式,Siσt+Sj+1σt-1+・・・+Sj+t-1σ1+Sj+t=0において,t=1,r≦j≦r+1+k-1とした,1+k個の連立方程式のうちから適当な1個の方程式より,それぞれのσiを求め,それらを等しいとおいた式をもとにして求めることができる判定式であって =0において,t=1,r≦j≦r+1+k-1とした,1+k個の連立方程式のうちから適当な1個の方程式より,それぞれのσiを求め,それらを等しいとおいた式をもとにして求めることができる判定式であって,かつ,前記判定式は前記シンドロームSj(r≦j≦r+2×1+k-1)を全て用いた関係式からなり,かつ,前記判定式は前記受信語における誤りの数を,前記判定式が零(真)のとき単一誤りと判定し,また,前記判定式が非零(偽)のとき,1+1個以上1+k個以下の誤りと判定し,かつ,前記判定式は1+k個以内の誤りに対して100%正しい判定を行う,この前記判定式を用い,誤りの数が,単一誤りか,または,1+1個以上1+k個以下の誤りかを判定し,それぞれの判定信号を送出する誤り判別手段。 (5) 上記(4)項において単一誤りがあると判定したとき,あるいは,上記(4)項と並列に,単一の誤り位置(リードソロモン符号のときは,さらに,誤りの大きさ)を算出する単一誤り訂正手段。 (6) 誤り数が単一の判定信号を受け取ったときは,受信語の誤りの訂正を実行し,1+1個以上1+k個以下の誤りの判定信号を受け取ったときは誤りの検出に止める,誤り訂正実行/検出手段。 2 単一誤り訂正2,3ビット誤り検出BCH符号(最小距離d=5)に対し判定式はZ=(S13+S3)を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正及び多重誤り検出BCH符号の復号装置。 3 単一誤り訂正2,3,4ビット誤り検出BCH符号(d=6)に対し判定式はZ=((S13+S3=0) AND (S0S13+S3=0))を用い,Zが 誤り検出BCH符号の復号装置。 3 単一誤り訂正2,3,4ビット誤り検出BCH符号(d=6)に対し判定式はZ=((S13+S3=0) AND (S0S13+S3=0))を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3,4ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 4 単一誤り訂正2,3,4,5ビット誤り検出BCH符号(d=7)に対し判定式はZ=((S13+S3=0) AND (S15+S5=0))を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3,4,5ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 5 単一誤り訂正2ディジット誤り検出リード・ソロモン符号(d=4)に対し判定式はZ=S12+S0S2を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2ディジットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。」(甲第2号証・特許公報) 5 本件第1訂正後の本件特許の特許請求の範囲「1 符号長nの単一誤り訂正/1+1,1+2,・・,1+k誤り検出BCH符号(またはリード・ソロモン符号)の復号器を採用した情報伝送システムにおけるエラー訂正処理装置において,下記の(1)ないし(6)の手段を含むことを特徴とする単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 (1) 符号長n,符号の最小距離d=2×1+k+1の符号 正処理装置において,下記の(1)ないし(6)の手段を含むことを特徴とする単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 (1) 符号長n,符号の最小距離d=2×1+k+1の符号語に,誤りを付加された受信語を保持する手段。 (2) 前記受信語からシンドロームSj(r≦j≦r+2×1+k-1)のみを算出する手段。ただし,rは任意の整数。 (3) 前記シンドロームSjが全て零のとき,誤り無しと判定する手段。 (4) 前記シンドロームSj(r≦j≦r+2×1+k-1)と誤り位置多項式の係数σiとの関係式,Siσt+Sj+1σt-1+・・・+Sj+t-1σ1+Sj+t=0において,t=1,r≦j≦r+1+k-1とした,1+k個の連立方程式のうちから適当な1個の方程式より,それぞれのσiを求め,それらを等しいとおいた式をもとにして求めることができる判定式であって,かつ,前記判定式は除算を用いない形式であって,かつ,前記判定式は前記シンドロームSj(r≦j≦r+2×1+k-1)を全て用いた関係式からなり,かつ,前記判定式は,上記(3)項において前記シンドロームが全ては零でないとき,前記受信語における誤りの数を,前記判定式が零(真)のとき単一誤りと判定し,また,前記判定式が非零(偽)のとき,1+1個以上1+k個以下の誤りと判定し,かつ,前記判定式は1+k個以内の誤りに対して100%正しい判定を行う,この前記判定式を用い,誤りの数が,単一誤りか,または,1+1個以上1+k個以下の誤りかを判定し,それぞれの判定信号を送出する誤り判別手段。 (5) 上記(4)項において単一誤りがあると判定したとき,あるいは,上記(4)項と並列に,単一の誤り位置(リードソロモン符号のときは,さらに れぞれの判定信号を送出する誤り判別手段。 (5) 上記(4)項において単一誤りがあると判定したとき,あるいは,上記(4)項と並列に,単一の誤り位置(リードソロモン符号のときは,さらに,誤りの大きさ)を算出する単一誤り訂正手段。 (6) 誤り数が単一の判定信号を受け取ったときは,受信語の誤りの訂正を実行し,1+1個以上1+k個以下の誤りの判定信号を受け取ったときは誤りの検出に止める,誤り訂正実行/検出手段。 2 単一誤り訂正2,3ビット誤り検出BCH符号(最小距離d=5)に対し判定式はZ=(S13+S3)を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正及び多重誤り検出BCH符号の復号装置。 3 単一誤り訂正2,3,4ビット誤り検出BCH符号(d=6)に対し判定式はZ=((S13+S3=0) AND (S0S13+S3=0))を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3,4ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 4 単一誤り訂正2,3,4,5ビット誤り検出BCH符号(d=7)に対し判定式はZ=((S13+S3=0) AND (S15+S5=0))を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3,4,5ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 5 単一誤り訂正2ディジット誤り検 のとき,2,3,4,5ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 5 単一誤り訂正2ディジット誤り検出リード・ソロモン符号(d=4)に対し判定式はZ=S12+S0S2=0を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2ディジットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。」(判決注・下線部が訂正部分である。) 6 本件第2訂正後の本件特許の特許請求の範囲「1 符号長nの単一誤り訂正/1+1,1+2,・・,1+k誤り検出BCH符号(またはリード・ソロモン符号)の復号器を採用した情報伝送システムにおけるエラー訂正処理装置において,下記の(1)ないし(6)の手段を含むことを特徴とする単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 (1) 符号長n,符号の最小距離d=2×1+k+1の符号語に,誤りを付加された受信語を保持する手段。 (2) 前記受信語からシンドロームSj(r≦j≦r+2×1+k-1)のみを算出する手段。ただし,rは任意の整数。 (3) 前記シンドロームSjが全て零のとき,誤り無しと判定する手段。 (4) 前記シンドロームSj(r≦j≦r+2×1+k-1)と誤り位置多項式の係数σiとの関係式,Siσt+Sj+1σt-1+・・・+Sj+t-1σ1+Sj+t=0において,t=1,r≦j≦r+1+k+-1とした,1+k個の連立方程式のうちから適当な1個の方程式より,それぞれのσiを求め,それらを等しいとおいた式をもとにして求めることができる +Sj+t=0において,t=1,r≦j≦r+1+k+-1とした,1+k個の連立方程式のうちから適当な1個の方程式より,それぞれのσiを求め,それらを等しいとおいた式をもとにして求めることができる判定式であって,かつ,前記判定式はシンドロームが非零の条件を除き,さらに,誤り位置を用いず,さらに,除算を用いない形式であって,かつ,前記判定式は前記シンドロームSj(r≦j≦r+2×1+k-1)を全て用いた関係式からなり,かつ,前記判定式は,上記(3)項において前記シンドロームが全ては零でないとき,前記受信語における誤りの数を,前記判定式が零(真)のとき単一誤りと判定し,また,前記判定式が非零(偽)のとき,1+1個以上1+k個以下の誤りと判定し,かつ,前記判定式は1+k個以内の誤りに対して100%正しい判定を行う,この前記判定式を用い,誤りの数が,単一誤りか,または,1+1個以上1+k個以下の誤りかを判定し,それぞれの判定信号を送出する誤り判別手段。 (5) 上記(4)項において単一誤りがあると判定したとき,あるいは,上記(4)項と並列に,単一の誤り位置(リードソロモン符号のときは,さらに,誤りの大きさ)を算出する単一誤り訂正手段。 (6) 誤り数が単一の判定信号を受け取ったときは,受信語の誤りの訂正を実行し,1+1個以上1+k個以下の誤りの判定信号を受け取ったときは誤りの検出に止める,誤り訂正実行/検出手段。」 2 単一誤り訂正2,3ビット誤り検出BCH符号(最小距離d=5)に対し判定式はZ=(S13+S3)を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正及び多重誤り検出 3)を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正及び多重誤り検出BCH符号の復号装置。 3 単一誤り訂正2,3,4ビット誤り検出BCH符号(d=6)に対し判定式はZ=((S13+S3=0) AND (S0S13+S3=0))を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3,4ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 4 単一誤り訂正2,3,4,5ビット誤り検出BCH符号(d=7)に対し判定式はZ=((S13+S3=0) AND (S15+S5=0))を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2,3,4,5ビットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。 5 単一誤り訂正2ディジット誤り検出リード・ソロモン符号(d=4)に対し判定式はZ=S12+S0S2=0を用い,Zが零(真)のとき,受信語における誤りが単一と判定し,Zが非零(偽)のとき,2ディジットの誤りと判定する誤り判別手段を具備することを特徴とする請求項1記載の単一誤り訂正および多重誤り検出BCH符号の復号装置。」(判決注・下線部が,本件第1訂正に付加して訂正された部分である。)第3 当裁判所の判断上記当事者間に争いのない事実の下では,本件第2訂正前の本件特許の請求の範囲の記載に基づき,本件発明を認定し,これを前提に,特許法29条2項に違反し れた部分である。)第3 当裁判所の判断上記当事者間に争いのない事実の下では,本件第2訂正前の本件特許の請求の範囲の記載に基づき,本件発明を認定し,これを前提に,特許法29条2項に違反して登録された特許であることを理由に,本件特許を無効にした審決(以下「本件無効審決」という。)の取消しを求める訴訟の係属中に,特許請求の範囲の文言を,本件無効審決が本件発明認定の根拠にしたものとは異なるものとすることを含む訂正の審判の請求がなされ,特許庁は,これを認める審決(本件訂正審決)をし,これが確定したということができる。 本件無効審決は,これにより,結果として,本件特許につき,判断の対象となるべき発明を特定すべき特許請求の範囲の文言の認定を誤ったことになり,この誤りが本件無効審決の結論に影響を及ぼすことは明らかである。したがって,本件無効審決は,取消しを免れない。 以上によれば,本訴請求は理由がある。そこで,これを認容し,訴訟費用の負担については,原告に負担させるのを相当と認め,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法62条を適用して,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第6民事部 裁判長裁判官山下和明 裁判官設樂隆一 裁判官高瀬順久 裁判官 高瀬順久
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