平成14年2月14日判決言渡平成13年(行コ)第6号損害賠償代位請求控訴事件(原審・仙台地方裁判所平成10年(行ウ)第19号平成13年1月30日判決言渡) 主文 本件各控訴をいずれも棄却する。 控訴費用は控訴人らの負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 被控訴人らは,仙台市に対し,各自3000万円及びこれに対する平成11年1月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 訴訟費用は第1,2審とも被控訴人らの負担とする。 4 仮執行の宣言第2 事案の概要事案の概要,前提となる事実,争点及び当事者双方の主張は,原判決の「事実及び理由」第2に記載のとおりであるから,これを引用する。ただし,原判決2頁11行目及び8頁25・26行目の「支出命令権者」をいずれも「支出命令者」と改める。 第3 判断 1 当裁判所も,控訴人らの被控訴人らに対する請求はいずれも理由がないのでこれを棄却すべきものと判断する。その理由は,次のとおり付加し訂正するほか,原判決の理由説示(「事実及び理由」第3の1及び2)と同一であるから,これを引用する。 (1) 原判決12頁12行目の「10,」の次に「11,」を,同じ行の「D,」の次に「当審証人I,」をそれぞれ加え,15頁25行目末尾に改行の上,次のとおり加える。 「調整課が特に参考としたのは佐賀市の例であり,平成9年11月18日,I次長及びD主査らは佐賀市で開催された熱気球世界選手権大会の会場を視 次のとおり加える。 「調整課が特に参考としたのは佐賀市の例であり,平成9年11月18日,I次長及びD主査らは佐賀市で開催された熱気球世界選手権大会の会場を視察し,佐賀市当局から大会運営の実情等について事情を聴取した。なお,本件の証拠として提出されている調整課作成の報告書等には,上記大会につき佐賀市が支出した補助金の額についての調査結果の記載はないが,控訴人らの住民監査請求に対する仙台市監査委員の監査の結果(甲1)によれば,その額は1億4900万円であり,当審証人Iの証言等に照らすと,調整課は上記支出額を認識していたものと推認される。」(2) 同18頁15行目の「趣旨」を「主旨」と,次行の「協議運営計画」を「競技運営計画」とそれぞれ改め,19頁6行目の「インターナショナル」の次に「バルーン」を加える。 (3) 同23頁22行目末尾に改行の上,次のとおり加える。 「さらに,控訴人らは,本件大会は「得体の知れない企画」であったとして,① 発案者側が提示した予算額は5億円,3億2200万円,1億1900万円と推移し,自前で調達し得る協賛金はわずか6000万円という杜撰な企画であったこと,② 仙台市が交付した補助金は実際の支出額(9600万円)の3分の1に近い比重を占めるものであったから,本件大会は仙台市からの補助金を当てにしなければ成り立ち得ない粗末な企画であったこと,③ 仙台市の担当者は,本件大会が経費の3分の1に当たる補助金を交付するに足りる社会的意義があるかどうか等について綿密 てにしなければ成り立ち得ない粗末な企画であったこと,③ 仙台市の担当者は,本件大会が経費の3分の1に当たる補助金を交付するに足りる社会的意義があるかどうか等について綿密な調査と分析を行う義務があったところ,そのような義務を懈怠し,一部有力者や助役ら上層部の指令に盲従したことなどを挙げる。 ①及び②の点については,前記認定事実によれば,発案者側が当初(平成9年10月)に提示した予算計画案は,関連イベントを含めた予算総額が約5億円,このうち本件大会分は約3億2000万円であったところ,その後,調整課との打合せを重ね,調整課からは予算規模の縮小の要望が伝えられ,平成10年1月下旬から2月初旬ころ,調整課は,仙台市が本件大会につき支出できる補助金の上限を3000万円と設定し,同額について予算案に計上することを内部的に決定した上,そのころ,その旨を発案者側に通知し,また,調整課長は同年1月27日の打合せにおいて,現実的な事業計画及び収支計画の提示を求め,発案者側はこれを受けて,2月16日に行われた打合せにおいて,支出及び収入総額を各1億1900万円,収入内訳に仙台市からの補助金3000万円,企業協賛金8200万円等を計上した大会予算概算目論見等を提示したことなどが認められる。そして,本件大会の収支決算書(甲7〔51頁〕)によれば,本件大会の収入は本件補助金を除き合計6048万円余,支出合計は9602万円余であったが,収入のうち各種協賛金は合計5457万円余,熱気球グランプリ運営機構から によれば,本件大会の収入は本件補助金を除き合計6048万円余,支出合計は9602万円余であったが,収入のうち各種協賛金は合計5457万円余,熱気球グランプリ運営機構からの補助金が500万円であったことが認められる。 控訴人らは,発案者側の提示した予算額が推移したこと,自前で調達し得る協賛金が6000万円にすぎなかったこと,実際の支出額の約3分の1が仙台市からの補助金であったことなどから,本件大会の企画が杜撰で粗末なものであった旨主張する。しかしながら,発案者側が予算規模を縮小するに至った経緯は上記のとおりであって,上記事実によれば,発案者側は,調整課から本件大会につき支出できる補助金の上限が3000万円であると通知されたため,当初の計画を修正して予算規模を縮小したことがうかがわれるが,そうであるからといって,その企画が直ちに杜撰であったということにはならない。もっとも,上記のとおり,調整課は打合せの過程において,発案者側に予算規模の縮小を要望し,現実的な事業計画及び収支計画の提示を求めたりもしたところ,当審証人Iの陳述書(乙11)によれば,同証人としては,発案者側が当初に提示した計画は熟度の高いものではないと感じ,発案者側は公共団体と協動でのイベントを協議していくことに不慣れだということもわかったというのであるから,調整課がした上記のような要望・要求はこのような見地からされたものと推認されるが,それ自体は補助金を支出する側として当然の対応と考えられるのであって,そのことから直 から,調整課がした上記のような要望・要求はこのような見地からされたものと推認されるが,それ自体は補助金を支出する側として当然の対応と考えられるのであって,そのことから直ちに発案者側の企画が杜撰であったというべきものではない。また,上記事実によれば,本件大会は,収入として企業協賛金8200万円を見込んで企画されたものであるところ,協賛金等の収入は約6000万円にとどまり,約500万円の赤字となったことが認められるが,当初の見込みと異なるにせよ,相応の協賛金等の収入を確保することができたのであるから,企画が杜撰であったということにはならず,実際の支出額の約3分の1が本件補助金であったからといって,企画が杜撰で粗末なものであったというべきものでもない。そして,前記認定のとおり(原判決20頁(4)),調整課は本件大会終了後,本件大会の実施内容の確認,支出及び収入内容の確認,本件補助金の目的外流用の有無等の調査をしたが,特に問題点はないという調査結果を得ているから,この観点からも,本件大会の企画が杜撰なものであったということはできない。 ③の点については,前記認定事実(原判決13頁 (2))によれば,本件大会の発案者側と調整課との最初の会合には仙台市議会議員なども同席し,本件大会の開催の支援につき一部政治家からの口添えがあったことがうかがわれるが,調整課ではその後,発案者側と打合せを重ね,提示された計画案等を検討した上,本件大会を支援することを決定したものであることは前記認 あったことがうかがわれるが,調整課ではその後,発案者側と打合せを重ね,提示された計画案等を検討した上,本件大会を支援することを決定したものであることは前記認定のとおりであって,控訴人らが主張するように,担当者が一部有力者やH助役ら上層部の指令に盲従して本件大会への支援を決定したものと認めるべき証拠はない。 以上のとおりであり,本件大会が「得体の知れない企画」であったなどということはできず,前記説示のとおり,仙台市が本件大会の開催を支援しようとした目的自体は正当であったというべきである。そうすると,控訴人らの主張は,結局において,仙台市が本件補助金を支出して本件大会の開催を支援しようとした政策判断の不当をいい,これを非難することに帰するというべきであるから,採用することができない。」(4) 同24頁11行目末尾に次のとおり加える。 「すなわち,前記認定のとおり(原判決16頁オ),仙台市は,「光のページェント」については総事業費約1億円に対して3000万円,「七夕祭り」については総事業費約1億2000万円に対して3500万円の補助金を支出しているところ,控訴人らは,本件補助金はこれらと比較して多額に過ぎ,また,これらの補助金が段階的に増額されていることと比較して異例である旨主張する。しかしながら,本件大会と上記のようなイベントでは,事業の性質・規模・実施方法等が異なるから,単純に補助金の額のみを比較してその多寡をいうことはできない。そして,前記認定事実及び当審証人Iの証 と上記のようなイベントでは,事業の性質・規模・実施方法等が異なるから,単純に補助金の額のみを比較してその多寡をいうことはできない。そして,前記認定事実及び当審証人Iの証言によれば,調整課は,他の都市における類似のイベントに対する補助の状況及び仙台市における上記各イベントに対する補助の実績を勘案して本件大会に対する補助金(予算額)の上限を3000万円と決定したことが認められるところ,このような決定方法が裁量権の範囲を逸脱した違法なものということはできない。控訴人らは,本件補助金の額が過大であるとするが,適正とすべき額については何ら主張しないので,その主張は結局において,本件補助金を支出したこと自体の違法をいうものと解されるところ,これは,仙台市が本件大会の開催を支援しようとした政策判断を非難することに帰するというべきであるから,採用することができない。」 2 そうすると,原判決は相当であって,本件各控訴はいずれも理由がないので棄却することとし,主文のとおり判決する。 仙台高等裁判所第二民事部裁判長裁判官大内俊身裁判官栗栖勲裁判官比佐和枝仙台地方裁判所平成13年1月30日判決言渡平成10年(行ウ)第19号損害賠償代位請求事件判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 判決 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告らは,仙台市に対し,各自3000万円及びこれに対する平成11年1月9日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,オクトーバー仙台実行委員会(以下「本件実行委員会」という。)が主催して開催した熱気球大会の仙台インターナショナルバルーンチャンピオンシップ’98(以下「本件大会」という。)について,仙台市が,平成10年10月23日及び同年11月30日,同実行委員会に対し合計3000万円の補助金を支出した(以下,「本件補助金」といい,また,本件補助金の交付決定,同支出命令及び同支出行為を総称して「本件支出」という。)ことに関し,仙台市民である原告らが,本件支出は地方自治法(以下「法」という。)232条の2所定の「公益上必要がある場合」に該当しない違法な公金の支出であるとして,法242条の2第1項4号に基づく損害賠償請求として,仙台市に代位して,仙台市長及び仙台市職員として本件支出に関与した被告らに対し,その支出額相当額及びこれに対する訴状送達の日の翌日からの遅延損害金の支払を求めた住民訴訟である。 1 前提となる事実(争いのない事実並びに証拠(甲3,7,8,11,乙4の1・2,5,10,証人D )及び弁論の全趣旨によって容易に認められる-1- 事実)(1) 当事者等ア原告らは,いずれも,仙台市の住民である。 1・2,5,10,証人D )及び弁論の全趣旨によって容易に認められる-1- 事実)(1) 当事者等ア原告らは,いずれも,仙台市の住民である。 イ被告藤井黎は(以下「被告藤井」という。)は,平成10年当時,仙台市長であった者である。 ウ被告A は,同年当時,仙台市の企画局長であり,仙台市事務決裁規程6条1号ノの規定により,本件補助金の交付に関する専決権者であった者である。 エ被告B は,本件支出当時,仙台市の企画局企画調整課長であり,仙台市会計規則55条により,本件補助金に関する支出行為担当者兼支出命令権者であった者である。 (2) 本件支出に至る経緯ア本件大会の発案者らは,平成9年9月ころ,仙台市に対し,本件大会への補助金交付等の支援を依頼した。仙台市においては,企画局調整課(以下「調整課」という。なお,同課は,平成10年度以降,企画局企画調整課に名称を変更しているが,その場合も単に「調整課」ということとする。)が担当となり,同課のE 主幹,D 主査(以下「D 主査」という。)が,同月以降,発案者らと打合せを重ねた。 イ仙台市は,平成10年2月17日,同年仙台市議会第1回定例会に対し,「熱気球大会開催支援に要する経費」として3000万円の補助金を交付する内容を含む同年度一般会計予算案を提出し,同市議会は,同年3月18日,同予算案を賛成多数により可決した。 ウ本件実行委員会は,同年10月1 助金を交付する内容を含む同年度一般会計予算案を提出し,同市議会は,同年3月18日,同予算案を賛成多数により可決した。 ウ本件実行委員会は,同年10月14日,仙台市に対し,総事業費9800万円,補助金申請額を3000万円とする補助金交付申請を行った。 エこれを受け,被告A は,同年10月15日,仙台市が概算3000万円の補助金を交付することを決定し,その旨を同委員会に通知した。 -2-オ被告B は,同年10月16日,本件補助金について1000万円の支出命令を出して,同月23日,概算払の方法により同額を支出し,また,同年11月26日,同様に2000万円の支出命令を出して,同月30日,同額を概算払の方法により支出した。 (3) 本件大会の開催ア本件実行委員会は,平成10年10月21日から同月25日の間,宮城県黒川郡大和町(以下「大和町」という。)所在の北部中核工業団地を会場として,本件大会を開催した。 イ本件大会は,熱気球日本グランプリ運営機構及び熱気球ワールドグランプリ運営機構が主催する「1998熱気球ワールドホンダグランプリ最終戦」及び「1998熱気球ホンダグランプリ第4戦」を兼ねるものであった。 ホンダグランプリは平成5年から始まった競技会で,平成10年度は,全5戦の総合成績を競う形で行われ,「1998熱気球ホンダグランプリ第4戦」は,その4戦目であった。 ワールドホンダグランプリは,ホンダグランプリをベース 全5戦の総合成績を競う形で行われ,「1998熱気球ホンダグランプリ第4戦」は,その4戦目であった。 ワールドホンダグランプリは,ホンダグランプリをベースとして平成10年から始まった競技会で,本田技研工業株式会社及びパイオニア株式会社が特別協賛し,同年は全3戦の総合成績を競う形で行われ,その第1戦はアメリカ合衆国において,また,第2戦はルクセンブルクにおいてそれぞれ開催され,「1998熱気球ワールドホンダグランプリ最終戦」は,その最終戦であった。 ウなお,平成11年には,仙台市ないしその周辺地域において,本件大会と同種の熱気球大会は開催されなかった。 (4) 監査請求ア原告らは,平成10年9月29日,仙台市監査委員に対し,本件支出を事前に差し止めるなど必要な措置を講ずるよう住民監査請求を行った。 -3-イ仙台市監査委員は,同年11月25日,上記監査請求を棄却し,そのころ,原告らに対し,同監査結果を通知した。 (5) 補助金交付に関する規定仙台市補助金等交付規則(昭和55年3月31日仙台市規則第30号,以下「交付規則」という。)は,仙台市における補助金等(補助金,利子補給金その他の反対給付を受けない給付金)の交付の申請,決定等に関する基本的事項について,以下のように規定している。 ア補助金等の交付を受けようとする者は,補助金等の交付申請書に次の各号に掲げる書類を添付して,市長にその定める期日までに提出しなければならない( いる。 ア補助金等の交付を受けようとする者は,補助金等の交付申請書に次の各号に掲げる書類を添付して,市長にその定める期日までに提出しなければならない(3条1項)。 ①補助事業等の目的,内容等を記載した書類②補助事業等の経費の内訳等を記載した書類③前2号に掲げるもののほか,市長が必要と認める書類イ市長は,補助金等の交付の申請があった場合において当該申請に係る書類等の審査及び必要に応じて行う調査等により補助金等を交付すべきものと認めるときは,速やかに交付の決定をするものとする(4条)。 ウ補助事業者等は,補助事業等を完了し,中止し,又は廃止したときは,速やかに補助事業等の成果を記載した実績報告書に市長が必要と認める書類を添えて市長に提出しなければならない。補助金等に係る会計年度が終了したときも,同様とする(12条)。 エ市長は,前条(12条)の実績報告書の提出があった場合において,当該補助事業等の成果が補助金等の交付の決定の内容及びこれに付した条件に適合すると認めるときは,交付すべき補助金等の額を確定し,当該補助事業者等に通知するものとする(13条)オ市長は,第13条の規定により補助金等の額を確定した後に補助金等を交付するものとする。ただし,市長は,補助事業等の遂行上必要があると-4-認めるときは,補助金等を概算払又は前金払により交付することができる(15条)。 2 争点(1) 本件支出は,法232条の2所 行上必要があると-4-認めるときは,補助金等を概算払又は前金払により交付することができる(15条)。 2 争点(1) 本件支出は,法232条の2所定の「公益上必要がある場合」に該当しない違法な公金の支出であるか否か。 (2) 本件支出が違法な公金の支出である場合,被告らが仙台市に対して損害賠償義務を負うか否か。 3 当事者の主張(1) 原告らの主張ア争点(1)について地方公共団体がなす補助金の支出につき,法232条の2にいう「公益上必要がある場合」に当たるか否かを判断するに当たっては,恣意的な補助によって地方公共団体の財政秩序を乱すことを防止するという同規定の趣旨からも,その基準を客観化する必要がある。すなわち,①当該地方公共団体に当該補助金を支出し得るに足る財産上の余裕があるか否か,②当該補助金交付の趣旨,目的に公共性が存するか否か,③当該補助金の支出と,それによって得られる住民の利益との間に因果関係が存するか否か,④当該地方公共団体が当該補助金の交付を受ける対象者の性格及び活動状況の吟味・検討を行ったか否か,⑤当該補助金の支出額が対象者の性格及び活動状況からして相当なものであるか否か,⑥当該補助金の交付手続が公正公平になされているか否か及び他の補助金支出と均衡がとれているか否か,⑦交付した補助金の使途等を事後的に検査する体制が当該地方公共団体に整備されているか否かなどの基準により判断すべきである。 と均衡がとれているか否か,⑦交付した補助金の使途等を事後的に検査する体制が当該地方公共団体に整備されているか否かなどの基準により判断すべきである。 そして,上記の基準に照らすと,以下のとおり,本件支出は,その裁量権を逸脱又は濫用して,公益上必要がない事業に対して支出された違法な公金の支出であるというべきである。 -5-(ア) 仙台市の財政が緊迫していることや自治体としての規模からすれば,同市には3000万円もの補助金を支出し得る財政上の余裕はなく,前記①の基準に反する。 (イ) 本件大会は,熱気球の国際大会とは名ばかりで,本件以前には,その開催実績もない小さい規模の大会で,国内外の注目度は皆無であり,スポーツ振興効果,全国的な宣伝効果や観光イベントによる経済効果は得られないものであった。そして,そもそも,本件大会は,ホンダグランプリとワールドグランプリのために開催されたようなものであり,本来,両大会の主催団体である熱気球日本グランプリ運営機構及び熱気球ワールドグランプリ運営機構が自前の大会として開催,運営すべきものである。 また,本件大会は,開催地が大和町である上,仙台市内はおろか宮城県内の熱気球愛好者は本件大会の開催さえ知らず,本件大会に参加していないなど,仙台市民の本件大会への関わりは極めて薄かった。 そして,被告らのいう本件大会への補助による諸効果は,単年の開催では達成できず,継続開催が前提となるものであるが, 市民の本件大会への関わりは極めて薄かった。 そして,被告らのいう本件大会への補助による諸効果は,単年の開催では達成できず,継続開催が前提となるものであるが,本件大会は,仙台市独自の事業ではなく,民間企業である株式会社ジャパンバルーンサービス(代表取締役G ,以下「ジャパンバルーンサービス」という。)が実質的な実行主体であり,継続開催をするか否かは同社の判断,すなわち同社が利益を確保できるか否かの判断にかかっていたというべきであり,本件においては,翌年以降の継続開催の保証はなかったものである。なお,現実にも平成11年の大会は開催されなかった。 このように,本件大会はお祭り的要素の強いイベントであったのであり,そのようなイベントに補助をなすには,仙台市民のコンセンサスが必要であるのに,そのような合意形成は期待できる状況には当初からなかった。 -6-以上によれば,本件補助金の交付の趣旨,目的に公共性は存在せず,また,本件支出とそれによって得られる住民の利益との間に何らの因果関係も存在しないというべきであり,前記②及び③の基準に反する。 (ウ) 本件実行委員会は,その実体や性格は不明であり,構成員の中心は県外者で,本件大会開催以前には主要構成員も定まらず,何らの活動実績もなかった上,本件大会に向けた活動内容においても,企画を次々に縮小するなど程度の低いものであったが,仙 件大会開催以前には主要構成員も定まらず,何らの活動実績もなかった上,本件大会に向けた活動内容においても,企画を次々に縮小するなど程度の低いものであったが,仙台市は,予算案上程の時期に至っても,補助金を交付する事業者の性格,活動状況の吟味・検討をしなかった。 また,この点からすれば,本件実行委員会に3000万円もの多額の補助金を交付することは,相当でない。 以上によれば,前記④及び⑤の基準に反する。 (エ) 本件補助金については,有力政治家の口利きにより,当初から3000万円もの多額の補助金交付が事実上内部的に決定されていたものであり,その後の補助金交付決定手続は不明朗,不公正なものであった。 すなわち,仙台市は,発案者から提出された現実離れした約5億円の予算書のほかには具体的な資料を得ないまま,補助金支出の要件も設定せずに,平成10年1月ころには早々と3000万円の補助金を支出することを内部決定し,また,その後,大会予算が当初の約5億円から約9800万円まで縮小されたにもかかわらず,本件補助金の額をこれに応じて下方修正するなどせずに3000万円を支出したのであって,極めて不明朗,不公正な過程によって本件支出をなしたものというべきである。 また,仙台市は,「光のページェント」事業に対する補助に関しては,同事業の実績や市民のコンセンサスの成熟度に合わせ のというべきである。 また,仙台市は,「光のページェント」事業に対する補助に関しては,同事業の実績や市民のコンセンサスの成熟度に合わせて,その補助金額を昭和61年度の1000万円から段階的に増額し,平成10年度には-7-3000万円の補助金を支出している。しかるに,仙台市は,本件支出に関しては,かかる基本的姿勢を無視し,当該事業について補助すべき公益性や市民の合意があるか否かを見極めることなく,当初から3000万円もの補助を決定するという異例の取り扱いを行ったものであり,きわめて不明朗,不公正な支出である。なお,仙台市は,その他にも仙台市内で真摯な公益活動を続けている団体からの補助金申請にほとんど応えていない。 以上によれば,前記⑥の基準に反する。 (オ) 仙台市には,補助対象者から詳細な資料を提出させて補助金の使途等を事後的に精査する検査体制が整備されておらず,本件支出についても,支出内容も不明朗,過大な費目があるにもかかわらず,仙台市においてはおざなりな検査しか行われなかったのであり,前記⑦の基準に反する。 (カ) 以上のように,本件支出は,前記の各基準に反しており,「公益上必要がある場合」に該当しない違法な公金の支出であるというべきであるが,このような支出がなされたのは,有力政治家の圧力により,一部熱気球の関係者とイベント関連の特定の業者を利す 該当しない違法な公金の支出であるというべきであるが,このような支出がなされたのは,有力政治家の圧力により,一部熱気球の関係者とイベント関連の特定の業者を利するため,当初から多額の補助金の支出が恣意的に決められていたからにほかならない。 イ争点(2)についておよそ公務員たるものは,補助金交付に当たってはその内訳及び金額の妥当性等を慎重に精査すべき義務があるところ,被告らは,以下のとおり,この注意義務に違反し,本件大会の正確な予算内容さえ把握せず,また,原告らの住民監査請求を無視して,漫然と本件支出を行って仙台市に本件支出額相当額の損害を与えたものであって,仙台市に対し,その損害を賠償する責任を負う。 (ア) 被告A は専決権者として,被告B は支出行為担当者兼支出命令権者として,補助金の交付に当たっては,その公益上の必要性,補助金額-8-の合理性等を慎重に精査し,不必要な支出を抑制すべき注意義務があるにもかかわらず,いずれも,本件予算が計上された時点で,本件大会に対し補助金を支出することに困難があることを知りながら,あえて予算計上に同意した上で,本件補助金交付申請に対し,公益性や補助金額の合理性等についての点検・判断を行うことを回避したものであり,故意又は重過失により,補助金支出に関する裁量権を逸脱して,仙台市に本件補助金を支出させ,同額の損害を被らせた。 (イ) 被告藤井は,仙台 り,故意又は重過失により,補助金支出に関する裁量権を逸脱して,仙台市に本件補助金を支出させ,同額の損害を被らせた。 (イ) 被告藤井は,仙台市長として,公益性がない不必要な支出を抑制すべく被告A 及び被告B を指揮監督する注意義務があったにもかかわらず,これを漫然と怠り,また,自ら本件補助金支出を容認する行動に出て被告A らの違法な権限行使を容易ならしめる等,上記指揮監督上の義務に違反し,故意又は過失により,仙台市に本件補助金を支出させ,同額の損害を被らせた。 (2) 被告らの主張ア争点(1)について地方公共団体がなす補助につき,法232条の2にいう「公益上必要がある場合」に当たるか否かは,住民全体の福祉の向上という理念に照らして,当該補助の目的が正当であるか,その態様,程度が相当であるかなど,諸般の事情を考慮して判断されるべきであるが,その判断は当該地方公共団体の合理的な裁量に委ねられており,それが著しく不合理で,裁量権を逸脱又は濫用していると認められる場合にのみ違法となると解すべきである。 被告らは,本件補助金に関し,その公益上の必要性を認めてその交付を決定し支出を行ったものであって,以下の事情に照らせば,その判断に裁量権の逸脱又は濫用はない。 (ア) 本件補助金の額は,平成10年度における歳入及び歳出を総合的に計-9-上した予算において収支の均衡に配慮しながら 量権の逸脱又は濫用はない。 (ア) 本件補助金の額は,平成10年度における歳入及び歳出を総合的に計-9-上した予算において収支の均衡に配慮しながら,歳出の1項目として計上されたものであり,同年度においては支出可能と見込まれたものである。 (イ) 仙台市は,本件大会の開催により,市政運営の基本である基本構想や基本計画の理念や方針を具体化する種々の効果が期待できるもの,すなわち,①仙台市が基本計画に掲げる「市民と行政の協働のまちづくりの推進」に資する,②大会名称及びキャッチフレーズ等により,仙台の名が広く国内外に発信され,大きなシティセールス効果が期待できる,③大規模イベント開催における様々なノウハウが,市民,企業,行政に蓄積されるほか,ボランティア活動に対する将来のすそ野の広がりが期待できる,④今後,仙台市及び仙台都市圏の新たな秋のイベントとして定着することにより,仙台市においては四季を通じて安定した観光客の確保が期待でき,仙台都市圏においては,新たな国際的イベント創設による観光・コンベンション機能の強化に資することが期待できる,⑤仙台市のゲートウェイ機能,コンベンション機能との連携等,仙台都市圏の広域的な観光・コンベンション機能の強化に資することが期待できるといった諸点にかんがみ,本件大会の実現を支援する必要性を認め,積極的にこれを支援することとして,予算措置 光・コンベンション機能の強化に資することが期待できるといった諸点にかんがみ,本件大会の実現を支援する必要性を認め,積極的にこれを支援することとして,予算措置を行い,かつ,本件補助金の申請書類の審査等を行った上で本件補助金の支出を決定し,これを交付したものであり,交付の目的において公益性を有する。 そして,本件大会が実際に開催されたところ,世界レベルの熱気球競技が行われ,3万人を越える市民がこれを観戦したこと,市民主体の本件実行委員会とボランティアによる運営が行われたこと,各種マスコミ等を通じて市内外に報道されたことなどの本件大会の成果を総合的に判断すれば一定の成果はあったというべきであり,それらは究極的には市民の利益となるものである。 -10-なお,仙台市は,本件大会について補助金を支出したのであって,「1998熱気球ワールドホンダグランプリ最終戦」及び「1998熱気球ホンダグランプリ第4戦」について補助金を支出したのではない。 (ウ) 仙台市は,本件支出の対象となる事業について十分な検討・吟味を行っており,かつ,その経過の中において,主催者である本件実行委員会についても検討・吟味を行い,本件実行委員会が私企業ではなく,本件大会の実現を目指す市民主体の団体であり,本件大会の開催,運営について十分な能力を有することを認めた。 そして,本件補助金交付申請時において,約9 大会の実現を目指す市民主体の団体であり,本件大会の開催,運営について十分な能力を有することを認めた。 そして,本件補助金交付申請時において,約9800万円の経費が見込まれ,それに対する収入は約6800万円と見込まれたが,財政的に他に依存することのできない団体が所期の大会を実施するためには,その差額である3000万円を補助することが必要であると判断して,本件支出をしたのであって,補助金額としても相当である。 また,本件補助金の支出は,長期間にわたるものではなく,金額の点においても,本件大会実現のため,収支差の不足分の範囲内の額を補助したものであり,他の地方公共団体が同種ないし類似のイベントに対して支出している補助金に比して極めて高額であるとはいえない。 (エ) 本件補助金については,仙台市議会に提案する一般会計予算説明書に明示的に計上され,被告藤井が同市議会において本件補助金支出に当たっての考え方を提示した上で,市民の代表である議会の議決を経て執行されたものであって,一部政治家の圧力等は何ら受けていない。 そして,被告A は,本件実行委員会が平成10年10月14日付けで補助金交付申請をしたため,確定的かつ具体的な事業計画及び事業予算等の資料を審査した結果,前記補助目的に合致するものであり,補助金交付の必要性があると判断して,本件補助金の交付を決定した。 また, 予算等の資料を審査した結果,前記補助目的に合致するものであり,補助金交付の必要性があると判断して,本件補助金の交付を決定した。 また,被告A は,本件補助金の交付に当たっては,一方では事業の-11-円滑な推進に資すること,他方ではこれまでの大会開催実績がないことにかんがみ,概算払により交付し,事業完了後に精算を行うこととして,2回の交付申請を個別に精査・確認の上で概算額を支出し,事後においても実績報告書及び帳票類の審査を行い,本件補助金支出の適正を確認した上でその金額を確定しており,その手続には何らの違法も存しない。 イ争点(2)についてアに述べたところからすれば,被告A 及び同B において,法243条の2第1項所定の故意又は重大な過失があったとはいえず,また,被告藤井においてもその指揮監督上の責任はないというべきである。 第3 争点に対する判断 1 前記前提となる事実及び証拠(甲1,3ないし8,11,12,15,16,乙1ないし3,4の1・2,5,10,証人D ,オクトーバー仙台実行委員会に対する調査嘱託の結果,仙台市企画局企画調整課に対する調査嘱託の結果)並びに弁論の全趣旨を総合すると,以下の事実が認められ,これを覆すに足りる証拠はない。 (1) 仙台市における基本計画の策定等仙台市は,平成9年3月ころ,21世紀に向けた都市づくりの指針として「仙台市基本構想」を策定し,さらに,これを受けて平成22年度までの施策の基本計画を策定する 仙台市は,平成9年3月ころ,21世紀に向けた都市づくりの指針として「仙台市基本構想」を策定し,さらに,これを受けて平成22年度までの施策の基本計画を策定することとし,市長が仙台市総合計画審議会に諮問したところ,同審議会は,同年9月ころ,基本計画に関する中間報告を行い,平成10年2月ころ,その答申をした。そして,仙台市は,同審議会の答申を受け,同月ころ,仙台市議会の議決を経て,基本計画を決定した。 これらにおいては,目指すべき都市像として,①やさしさと健やかさに満ちた市民のまち,②地球環境時代を先導する悠久の杜の都,③地球的交流の要となる新しい中枢都市,④未来を創造する世界の学都が掲げられるとともに,これらの都市づくりの手法として,(ア)主体的・創造的な都市経営の推進,-12-(イ)市民と行政の協働によるまちづくりの推進,(ウ)効率的な行財政運営の推進などが挙げられている。 そして,上記③の都市像を目指した基本的施策の中には,「音楽堂の建設などの芸術・文化施設の整備やワールドカップサッカーなどの国際的スポーツ大会の誘致を図り,芸術やスポーツのイベント開催を促進する。」「海や山にも恵まれた仙台の条件を生かした海水浴,スキーなどのレクリエーション,まつりやイベント,食文化の創造,自然や田園の暮らしを体験するグリーンツーリズムなど,地域の多様な資源を生かした観光・レクリエーションの魅力の開発や多彩なプログラムづくりを促進する。」「国際的な会議やイベントの誘致を図る。そのため,広域的な連携による誘致活動 地域の多様な資源を生かした観光・レクリエーションの魅力の開発や多彩なプログラムづくりを促進する。」「国際的な会議やイベントの誘致を図る。そのため,広域的な連携による誘致活動を促進するとともに,来訪者が楽しめる都市の魅力づくりにも配慮し,コンベンション施設や国際化に対応した案内板の整備の促進,コンベンションを支援する産業やボランティアの育成,心のこもったもてなしの意識の形成などを図る。」などの施策が盛り込まれ,また,上記④の都市像を目指した基本的施策の中には,「ワールドカップサッカー,国民体育大会,仙台ハーフマラソンの開催,Jリーグチーム推進など,規模の大小にかかわらず,市民が国際的な水準や全国水準の競技スポーツに触れ,生の感動を味わう機会を拡大するため,市民・企業・行政が連携して,多彩なスポーツ大会の開催や誘致を図る。」などの施策が盛り込まれている。 (2) 本件支出に至る経緯等仙台市は,平成9年9月ころ,本件大会の発案者らから,本件大会開催への支援を依頼され,同月26日,仙台市役所内において,H 助役,I 企画局次長(以下「I 次長」という。),D 主査等と,発案者側との会合が開かれ,発案者側は,本件大会についての当時の計画の概要を説明し,仙台市側の出席者からの質問に答えるなどした。そして,その席上,H 助役は,「お話はJ議員からも伺っている。」「できるだけ仙台で開催-13-できるよう検討したい。」などと述べ,I 次長は,大会予算や組織体制等についての参考資料の提出を求めた。 J議員からも伺っている。」「できるだけ仙台で開催-13-できるよう検討したい。」などと述べ,I 次長は,大会予算や組織体制等についての参考資料の提出を求めた。 なお,上記会合には,K 衆議院議員の夫人,仙台市議会議員のL,熱気球日本グランプリ運営機構委員長のG 等も同席していた。 その後,仙台市においては,調整課が本件大会についての担当課となって,E 主幹,D 主査が中心となり,調査や発案者側と打合せを重ねた。その打合せ等の主な経過は以下のとおりである。 ア同年10月30日の打合せでは,発案者側は,予算計画案を提示し,本件大会の基本方針として,市民主体の地球的視野に立ったイベントとし,熱気球競技のみならず音楽祭,シンポジウム等の関連イベントを同時開催し,また今後も継続的に開催していきたいなどと述べ,また,仙台市内では熱気球競技に適した場所が見つからず,大和町が候補地であるなどと報告した。 この予算計画案は,関連イベントを含めた予算総額5億0595万円,うち本件大会分3億1995万円というものであったが,支出内訳は大まかな概算によるものであった上,収入財源も示されていなかった。 なお,E 主幹は,その際,収入の見込みを尋ねたが,まだはっきりしていないとの回答であった。 イ以上のように,本件大会に関する予算計画が現実性の薄いものであったため,調整課では,本件大会に関する議論を進めるため,同年11月12日付けの「世界熱気球グ イ以上のように,本件大会に関する予算計画が現実性の薄いものであったため,調整課では,本件大会に関する議論を進めるため,同年11月12日付けの「世界熱気球グランプリ開催に向けて」と題する文書を作成し,同月14日に行われた打合せにおいて,これを発案者側に提示して検討を求めた。上記文書には,まず,事業の目的及び基本方針を整理すべきであるとして,事業の目的を「仙台から世界への情報発信」とすること,基本方針として,「中期的な視点に立った大会運営を行う」こと,「初年度は世界GP(グランプリ)実施を最大の眼目とする」こと,「大会規模等に-14-ついては無理のない内容とする」こと,「2年目以降は大会の定着,拡充に順次取り組む」ことなどが記載されていた。 また,同文書には,地元の愛好者や経済界などと打ち合わせて地元合意を形成すべきこと,予算規模を7000万円程度とすること,協賛金,参加料等の収入見込みを明らかにすること,赤字の発生しない大会運営を図ること,大会規模,運営組織等の事業の枠組みをつくるべきことなどが記載されていた。 ウ調整課は,国内における類似の熱気球大会について調査を行うこととし,宮城県玉造郡岩出山町に対する電話調査,佐賀市の佐賀熱気球世界選手権会場における現地調査,長野県佐久市に対する文書照会,栃木県小山市に対する調査などを行った。 その調査の結果は以下のとおりであった。 (ア) 宮城県玉造郡岩出山町の大会について 佐久市に対する文書照会,栃木県小山市に対する調査などを行った。 その調査の結果は以下のとおりであった。 (ア) 宮城県玉造郡岩出山町の大会について熱気球愛好者が中心となって開始されたもので,約30基が参加する大会である。その予算総額は540万円で,町が助成金として300万円を支出している。商工会やイベントに出店する組合の人が委員となっている実行委員会が主催し,同町の商工観光課の職員が事務局を担当している。 (イ) 佐賀市の大会について同市の市政100周年事業として開始されたもので,現在では,世界各国から一流選手が参加する大規模な国際イベントとなっており,約100万人の観客が訪れるとともに,全国各地から大会運営支援のボランティアが集っている。 その予算総額は,約2億5000万円であり,同市は補助金を支出している。 (ウ) 長野県佐久市の大会について-15-大会期間中の同市の観光客が10万人で,かつ,延べ200名を超えるボランティアの参加がある。同市は,400万円の事業資金を補助している。 (エ) 栃木県小山市の大会について大会期間中の来場者が10数万人で,延べ150名を超えるボランティアの参加があった。同市は,事業資金につき,補助金を支出している。 エ以上の調査結果等を踏まえ,調整課では,本件大会を開催する 数万人で,延べ150名を超えるボランティアの参加があった。同市は,事業資金につき,補助金を支出している。 エ以上の調査結果等を踏まえ,調整課では,本件大会を開催することにより,地域活性化,観光振興,ボランティア活動のすそ野が広がるなどのメリットがあり,かつ,本件大会の開催を支援することが,市民と行政の協働,都市圏レベルの観光・コンベンション機能の強化等の仙台市の基本構想,基本計画に沿うものとして,本件大会の開催を積極的に支援していく意向を固めた。 オそして,調整課では,平成10年1月下旬から2月初旬ころ,国際的な規模での熱気球大会に対する地方公共団体の関わり方について,前記の佐賀市の例を参考にし,また,仙台市が関わっている他のイベントに対する金銭的な関わり方について,「光のページェント」及び「七夕祭り」の例を参考にし(なお,仙台市は,平成9年度に,「光のページェント」に関しては,総事業費約1億円に対し3000万円を,「七夕祭り」に関しては,総事業費約1億2000万円に対し3500万円の補助金を支出している。),仙台市が本件大会につき補助金として支出できる上限を3000万円と設定し,同額について予算案に計上することを内部的に決定した。 また,調整課は,そのころ,その旨を発案者側に通知した。 カもっとも,上記のように仙台市が補助金として支出できる上限を3000万円とする旨を伝えた前後である同年1月27日に行われた打合せ時点でも,発案者 た。 カもっとも,上記のように仙台市が補助金として支出できる上限を3000万円とする旨を伝えた前後である同年1月27日に行われた打合せ時点でも,発案者側が提示していたのは事業資金概算を3億6500万円とする事業資金概要及び協賛企業候補を未定などとする非常におおまかな資金-16-調達計画案のみであったため,調整課長は,同日,発案者側に対し,現実的な事業計画及び収支計画の提示を求めた。 そして,発案者側は,これを受け,2月16日に行われた打合せにおいて,支出及び収入総額を各1億1900万円,収入内訳に仙台市からの補助金3000万円,企業協賛金8200万円等を計上した大会予算概算目論見を提示して,それに基づき,調整課の担当職員に対し,大会の位置づけ,会場計画,管理・運営計画,交通計画,資金調達計画,事業計画の概要,組織体制について説明した。 これに対し,調整課側では,資金調達のめどが立っているのか否か,本件大会が世界大会として開催できるのか否か等について質問したところ,発案者側は,資金調達については最重要課題として取り組んでいること,本件大会を世界大会として開催できる予定であることなどを回答した。 キ仙台市は,平成10年2月17日,同年の仙台市議会第1回定例会に対し,前記大会予算概算目論見書に基づき,「熱気球大会開催支援に要する経費」として3000万円の補助金を交付する内容を含む同年度一般会計予算案を提出した。被告藤井は,同月23日 大会予算概算目論見書に基づき,「熱気球大会開催支援に要する経費」として3000万円の補助金を交付する内容を含む同年度一般会計予算案を提出した。被告藤井は,同月23日の同市議会における代表質疑において,本件大会につき,「市民主体によって世界的な観光イベントの創出を図る試みであり,大会開催に当たってのノウハウの蓄積や本市のゲートウェイ機能,コンベンション機能との連携など,仙台都市圏の広域的な観光・コンベンション機能の強化に大きく貢献するものと考えられますので,21世紀に向けた新しいまちづくりのモデルケースとして,積極的にこれを支援してまいる所存でございます。」と述べた。その後,本件大会へ補助金を支出することについては,具体的な反対意見もなく,同市議会は,同年3月18日,同予算案を賛成多数により可決した。 ク以上のようにして予算が成立した後も,調整課と発案者側は,計画の具体化に向けて打合せを重ねた。 -17-なお,本件実行委員会は,同年5月ころ結成され,事務局長にN ,名誉顧問に被告藤井がそれぞれ就任した(発足当時の実行委員長の氏名は不明であるが,その後,同年8月27日,O が実行委員長に就任した。)。 ケ本件実行委員会は,同月10日の打合せにおいて,本件補助金を前払の方法で支払うことを要請したところ,E 主幹が,補助金の交付決定をするためには本件大会の全体の資金計画の確認等,大会の円滑な実施について一定の確信を得な 方法で支払うことを要請したところ,E 主幹が,補助金の交付決定をするためには本件大会の全体の資金計画の確認等,大会の円滑な実施について一定の確信を得なければならないとして,資料の提示を求めたため,本件実行委員会は,同年9月30日付けの収支予算計画書(「S・I・A・B全体制作実行予算」及び「S・I・A・B収入計画」)を作成し,同年10月14日,仙台市に対し,交付規則に基づき,同規則上要求されている書類として前記収支予算計画書を含む実施計画書を添付して,本件補助金3000万円を概算払の方法によって交付することを求める旨の補助金交付申請書を提出した。 上記実施計画書には,本件大会の趣旨,開催概要,全体スケジュール,会場計画,交通計画,運営・管理計画,協議運営計画,出場予定選手等が詳細に記載されていた。 なお,本件実行委員会は,同年8月15日,ジャパンバルーンサービスとの間で,本件大会の競技運営等に関する業務を3355万円の報酬で委託する旨の契約を締結した(なお,その報酬額は,後に2970万4500円に減額された。)。 コ前記の補助金交付申請書が提出されたことを受け,被告A は,同年10月15日,概算交付決定額を3000万円とし,本件大会の開催期間中(同月20日から26日までの間)に1000万円を,大会終了後,事業に係る概算の収支決算の提出を受けた後に2000万円を,いずれも概算払の方法によって交付することを決定(専決 0日から26日までの間)に1000万円を,大会終了後,事業に係る概算の収支決算の提出を受けた後に2000万円を,いずれも概算払の方法によって交付することを決定(専決)し,その旨を本件実行委員-18-会に対し通知した。 そして,被告B は,同月16日,本件実行委員会から同日付けの補助金交付請求書が提出されたことを受け,本件補助金について1000万円の支出命令を出して,同月23日,概算払の方法により同額を支出し,また,同年11月26日,本件実行委員会から同月18日付けの補助金交付請求書及びその添付資料としての「仙台インターナショナルチャンピオンシップ98仮決算書」が提出されたことを受け,本件補助金について2000万円の支出命令を出して,同月30日,同額を概算払の方法により支出した。 (3) 本件大会についてア本件大会の競技は,平成10年10月21日から25日までの期間にわたって行われ,そこには,仙台市内愛好家による1チームを含む38チームが出場し,海外から選手又は役員等として13か国75名が参加し,また,延べ3万3000人の観客が訪れた(主催者である本件実行委員会の発表。なお,その数字は,本件実行委員会が,午前と午後に,大会会場にいた者の数を概算によって把握した数の合計である。)。また,大会期間中には,大会会場において,熱気球教室及び熱気球の係留が行われた。 さらに,本件大会に付随して,同年8月29日には,仙台市内の小学校 る。)。また,大会期間中には,大会会場において,熱気球教室及び熱気球の係留が行われた。 さらに,本件大会に付随して,同年8月29日には,仙台市内の小学校において,熱気球教室が,同年10月18日には,仙台市泉区七北田公園において熱気球教室,ライブ演奏,夜間係留等のプレイベントが,同月26日には,仙台市青葉区内のホテルにおいて閉会式がそれぞれ開催された。 なお,「1998熱気球ワールドホンダグランプリ最終戦」には25チームが,「1998熱気球ホンダグランプリ第4戦」には21チームがそれぞれ参加したが,本件大会に参加したチームのすべては,上記両大会のいずれかにも登録して,参加した。 イ本件大会については,東北熱気球協議会の会報,日本気球連盟の機関誌,-19-熱気球日本グランプリ運営機構のエントリー案内等により,それぞれ,その全会員又は日本気球連盟に加盟する全パイロットに周知され,また,本件大会については,仙台市の広報誌である仙台市政だより,大和町,宮城県黒川郡大郷町及び同郡大衡町の各広報誌,本件実行委員会が開設したホームページ,並びに,本件実行委員会が作成し,仙台市内各地に掲示したポスター等により,仙台市内外の住民に周知された。 また,本件大会前後を通じて,テレビ,ラジオ,各新聞紙上において,本件大会に関する報道がなされた。 ウ本件大会の運営は,運営本部役員45名,競技運営委員36名(うち海外からの参加9名),競技運営委員の補助員と おいて,本件大会に関する報道がなされた。 ウ本件大会の運営は,運営本部役員45名,競技運営委員36名(うち海外からの参加9名),競技運営委員の補助員としてのオブザーバー39名(同32名),公募によるボランティア153名(仙台市内の者108名,それ以外の宮城県内の者20名,宮城県外の者25名)の合計273名の者によって行われた。 (4) 精算手続本件実行委員会は,平成11年3月29日,交付規則12条に基づき,仙台市に対し,本件大会に関する実績報告書及び収支決算書を提出した。 調整課では,E 主幹及びD 主査が,先に提出されていた実施計画書及び仮決算書,並びに,本件実行委員会が持参した領収書等帳票類を参照しながら,本件大会の実施内容の確認,支出及び収入内容の確認,収支決算書との金額の照合,本件補助金の目的外流用の有無等の調査をしたが,仮決算書との若干の不整合,計算ミス等はあるものの,特に問題点はないという調査結果を得た。 そして,その収支決算書によれば,本件大会に関する収入が,本件補助金を除き合計6048万0836円であったのに対し,その支出が9602万4648円であったことから,仙台市は,同月31日付けで,2回にわたって概算払の方式で交付された本件補助金につき,返還すべき額はないものと-20-して,精算を完了した。 なお,仙台市では,補助金支出に際し,個々の支出について事実を確認することまではしていないのが一般的であるが,本件は初めての補助であった して,精算を完了した。 なお,仙台市では,補助金支出に際し,個々の支出について事実を確認することまではしていないのが一般的であるが,本件は初めての補助であったこと,収支不足額を補助する性格のものであったこと,概算払で支出したことなどから,収支決算書記載の支出について,請求書,領収書等との照合により確認した。ただし,仙台市は,実行委員会に対して,それらの控えを提出させ,あるいは,その写しをとっておくなどの措置はとらなかった。 (5) その他ア本件実行委員会は,実行委員長O のほか,26名により構成され,名誉実行委員長(被告藤井),顧問6名(宮城県知事,宮城県黒川郡4町村長及び宮城大学長)を除く19名中14名が仙台市民であった。 なお,2名の監事のうちの1人は,ジャパンバルーンサービスの代表者G であり,また,同人のほか6名は,本件大会に関する経費の支出先の企業の関係者であり,本件実行委員会は,ジャパンバルーンサービスに対し,競技管理運営委託費及びオフィシャルピンバッチ制作費等として2990万4000円を支払ったのをはじめとして,その所属する各企業に対し,食事費,会場・輸送警備費,パンフレット印刷費等として,総額4384万8625円を支払った(なお,その額は不明であるが,平成12年1月時点において,一部未払金がある。)。 イ平成11年5月,仙台市は,本件実行委員会が同年に計画していた本件大会と同様の大会に関して財政的支援をすることは困難である旨を 1月時点において,一部未払金がある。)。 イ平成11年5月,仙台市は,本件実行委員会が同年に計画していた本件大会と同様の大会に関して財政的支援をすることは困難である旨を本件実行委員会に伝えた。本件実行委員会は,同年6月ころ,運営資金を確保することが困難なことなどを理由として,同年の大会は開催しないことを決定した。 2 以上の認定事実を基に検討する。 (1) 法232条の2は,普通地方公共団体は「公益上必要がある場合」に補助-21-をすることができる旨定めているところ,そこにいう「公益上必要がある場合」に当たるか否かは,住民全体の福祉の向上という理念に照らして,当該補助の目的の正当性,その態様及び程度の相当性等諸般の事情を考慮して判断されるべきものであるが,その当否の判断については,当該地方公共団体の合理的な裁量に委ねられているものと解するのが相当であるから,その判断が著しく不合理であるなど,当該地方公共団体ないしその担当職員が裁量権を逸脱又は濫用しているということができるだけの事情がある場合にのみ,当該補助金の支出は違法となるというべきである。 (2) そこで,本件において,上記の事情が存するか否かにつき検討する。 ア前記1に認定した事実及び弁論の全趣旨を総合すると,仙台市は,本件大会につき,①「市民と行政の協働のまちづくり」の推進に資する,②シティセールス効果が期待できる,③大規模イベント開催のノウハウの蓄積とボランティア活動のすそ野の拡がりが期待できる,④観光・コンベンシ 進に資する,②シティセールス効果が期待できる,③大規模イベント開催のノウハウの蓄積とボランティア活動のすそ野の拡がりが期待できる,④観光・コンベンション機能の強化に資するなどの効用があるものと判断して本件支出をしたということができるところ,本件大会のような熱気球大会は,国内及び海外のチームが多数参加して熱気球競技を行い,かつ,観客の来集を呼びかけて一般人が熱気球競技を観戦する機会となるものであり,実際にも,本件大会では予定どおり国内外のチームによる熱気球競技が行われ,相当数の観客を動員するなどの成果を上げたこと,本件大会開催による諸効果は,前記の仙台市の基本構想や基本計画にも掲げられた施政方針等に沿うものであることなどからすれば,仙台市が,本件大会の開催を支援しようとした目的自体は正当なものであったというべきである。 この点に関し,原告らは,上記の①ないし④の諸効果は,本件大会が継続的に開催されることによってもたらされるものであり,本件大会が継続的に開催される保証のない状況で本件大会の開催を支援しようとした目的に正当性はない旨主張するところ,本件大会が継続的に開催されることが-22-望ましいことは,原告らの主張するとおりであるが,継続開催の保証がなければその開催を支援すべきではないとまではいうことができないこと,並びに,前記1に認定した事実からすると,調整課では,打合せの過程において,発案者及び本件実行委員会の者に継続開催を望む旨の要 ではないとまではいうことができないこと,並びに,前記1に認定した事実からすると,調整課では,打合せの過程において,発案者及び本件実行委員会の者に継続開催を望む旨の要望を示し,かつ,そのために初年度は適正な規模で行い,順次拡大していく方向を示し,実際にも,それに近い形で本件大会が開催されたものということができることからすれば,前記の原告らの主張は採用できない。 また,原告らは,本件大会は,ホンダグランプリ又はワールドホンダグランプリのために開催されたようなものであり,本来,両大会の主催団体である熱気球日本グランプリ運営機構及び熱気球ワールドグランプリ運営機構が自前の大会として運営,開催すべきものであった旨主張するところ,前記1に認定した事実によれば,本件実行委員会は実際に大会運営に当たり,また,本件大会は全く形式的なものであったわけではなくその実質も伴っていたということができるのであって,これに加え,先に述べたような本件補助金を支出することによって得られる諸効果は,本件大会がホンダグランプリ及びワールドグランプリを兼ねる形で開催されたことによって減殺されるものではないこと,並びに,前記1に認定した事実によれば本件大会が本件実行委員会の主催によって開催されたことによって,本件大会に多数のボランティアが参加することが容易となり,あるいは,関連イベント等を相当程度開催することができたともいうことができることなどの事情も考慮すれば,本件大会を本件大 多数のボランティアが参加することが容易となり,あるいは,関連イベント等を相当程度開催することができたともいうことができることなどの事情も考慮すれば,本件大会を本件大会として開催した意義はあるものというべきである。したがって,前記の原告らの主張も採用できない。 なお,本件大会の開催を支援する目的の正当性に関するその余の原告らの主張は,仙台市の政策判断に属する事項についての当否をいうものにすぎず,採用できない。 イまた,仙台市は,本件大会について,最高3000万円の補助金を支出-23-するための予算措置をとり,その後,同額を交付したことが認められるところ,前記のような本件大会の性質や規模,佐賀市など他の地方公共団体の同種イベントに対する補助金等の支出額,仙台市の他のイベントに対する補助金の支出額,仙台市の予算規模,財政状況等の事情を総合的に考慮すると,本件支出が過大であったということはできないというべきである。 この点に関し,原告らは,仙台市の他の事業に対する補助金の支出における態度等に言及しながら,それとの均衡を欠く旨主張するところ,補助金額の相当性について判断するに当たっては,補助対象事業の性質や規模を捨象することはできないものと解され,本件大会の性質や規模を考慮すれば,本件支出が過大であったとまではいうことはできないというべきである。 ウそして,仙台市が本件大会の開催を支援するという意向を固めたことについて,一部政治家及びH が過大であったとまではいうことはできないというべきである。 ウそして,仙台市が本件大会の開催を支援するという意向を固めたことについて,一部政治家及びH 助役の影響があったことは否定できないものの,一方では,前記1に認定した事実経過全般からすれば,原告らが主張するような調整課の担当者等が有力政治家の圧力を受けあるいは特定の業者を利するために,恣意的に本件支出を決定したなど,本件支出がなされた手続過程において,著しく公正を欠くような点があったとまではいうことができないというべきであり,ほかにこれを認めるに足りる証拠はない。 なお,本件支出は,交付規則所定の手続を遵守して,その交付及び事業完了後の精算手続がなされたものということができる。 この点に関し,原告らは,これまでに検討した諸点のほか,本件補助金が不公正な手続を経て支出されたことを示す事情として,本件実行委員会が実績のない団体であったこと,予算措置が講じられた時点における資料が不十分であったこと等を主張している。しかしながら,このような事実は,本件大会が第1回目の大会であったこと,仙台市において本件大会のようなイベントの開催を支援することが初めてであったこと,本件大会の-24-おおよその日程があらかじめ決まっており,予算措置後大会開催までの間に具体的な準備をすることが予定されていたことなどの事情から派生的に生じる問題である。そして,前示のとおり,仙台市が本件大会の開催を支 大会開催までの間に具体的な準備をすることが予定されていたことなどの事情から派生的に生じる問題である。そして,前示のとおり,仙台市が本件大会の開催を支援するということ自体が不当であるということはできないこと,及び,前記1に認定したとおり,実際にも,仙台市は,予算措置を講じる段階において,発案者側から大会予算概算目論見の提出を受け,また,計画の概要の説明を受け,その後,本件補助金を交付することを決定するまでの間に,発案者側ないし本件実行委員会との間で本件大会の計画について細部を詰め,最終的には,その計画が詳細に記載された実施計画書の提出を受けて,本件補助金を交付することを決定したことからすれば,前記のような事実があることをもって,本件補助金が不公正な手続きを経て支出されたということはできないというべきである。また,本件実行委員会のメンバーの中に,本件大会が開催されることにより利益を受ける者がいたことは前示のとおりであるが,そのことによって,経費が過大なものとなったことを認めるに足りる証拠はないから,前記のような事実があることをもって,本件補助金が不公正な手続を経て支出されたということはできないというべきである。なお,原告らのその余の主張は,要するに,仙台市の政策判断に属する事項についての当否をいうものにすぎないというべきである。 したがって,この点に関する原告らの主張も採用できない。 エ以上に検討したところからすると,本件において,仙台市ないし調 いての当否をいうものにすぎないというべきである。 したがって,この点に関する原告らの主張も採用できない。 エ以上に検討したところからすると,本件において,仙台市ないし調整課の担当職員が,その裁量権を逸脱又は濫用して本件支出をしたと認めることはできず,ほかにこれを認めるに足りる証拠はない。 (3) したがって,その余の点について判断するまでもなく,原告らの請求はいずれも理由がない。 4 以上によれば,原告らの請求はいずれも理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。 -25-(口頭弁論終結の日平成12年10月17日)仙台地方裁判所第1民事部 -26-
▼ クリックして全文を表示