【DRY-RUN】主 文 原判決中上告会社の被上告人B1に対する請求を排斥した部分を破棄し、 右部分につき本件を大阪高等裁判所に差し戻す。 上告会社の被上告人B2に対する上告を棄却する。
主文 原判決中上告会社の被上告人B1に対する請求を排斥した部分を破棄し、右部分につき本件を大阪高等裁判所に差し戻す。 上告会社の被上告人B2に対する上告を棄却する。 前項に関する上告費用は上告会社の負担とする。 理由 上告代理人木戸徹夫の上告理由Aの一について所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。 同Aの二について原審が確定した事実の要旨は、被上告人B1は、D(第一審被告)が代表取締役を勤めていた訴外E株式会社(以下「訴外会社」という。)の取引先であるF株式会社の代表取締役であつたが、Dの要請によつて、訴外会社が新株一万株(一株五〇〇円)を発行した際(これによりその資本の額は一〇〇〇万円となる。)、そのうち四〇〇〇株(二〇〇万円)を引き受けるとともに、訴外会社の取締役に就任したものの、右就任は、同被上告人において訴外会社に常勤せずその経営内容にも深く関与しないことを前提とするいわゆる社外重役として名目的にしたものであり、実際にも同被上告人は訴外会社に一度も出社したことがなく、その業務の執行はDの独断専行に任せこれにつき何ら監視することもなく、Dに対し取締役会を招集することを求めたり、自らそれを招集したりしたこともなかつたところ、その間、Dは、代金支払の見込みもないのに訴外会社を代表して上告会社から液体アルゴン等を買い受け、その代金を支払うことができなかつたため、上告会社に損害を与えた、というのである。 - 1 -ところで、株式会社の取締役は、会社に対し、取締役会に上程された事項についてのみならず、代表取締役の業務執行の全般についてこれを監視し、必要があ 告会社に損害を与えた、というのである。 - 1 -ところで、株式会社の取締役は、会社に対し、取締役会に上程された事項についてのみならず、代表取締役の業務執行の全般についてこれを監視し、必要があれば代表取締役に対し取締役会を招集することを求め、又は自らそれを招集し、取締役会を通じて業務の執行が適正に行われるようにするべき職責を有するものである(最高裁昭和四六年(オ)第六七三号同四八年五月二二日第三小法廷判決・民集二七巻五号六五五頁)が、このことは、前記被上告人B1につき原審が認定したような会社の内部的事情ないし経緯によつていわゆる社外重役として名目的に就任した取締役についても同様であると解するのが相当である。そうすると、前記のように同被上告人が取締役として訴外会社の業務執行を監視するにつき何らなすところがなかつたことはその職責を尽くさなかつたものといわなければならないから、これと見解を異にし、同被上告人にはDの業務の執行につきこれを監視する義務はないとしたものと解される原判決は、法令の解釈適用を誤つたものであり、その誤りは判決に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨はこの点において理由がある。もつとも原判決は、Dが被上告人B2以外の者の要求によつて取締役会を招集したことがないことや取締役会が開かれた際にもDに出席取締役の意見を尊重する態度が全く見られなかつたとの認定事実に基づいて、被上告人B1においてDが前記のような上告会社からの買入れをすることを事前に阻止すべきであるといつてもそれはいうべくして実際上は不可能であつたから、同被上告人は上告人の被つた前記損害につき責任を負わないことをも付加して判示するのであるが、前記のように、同被上告人が訴外会社の取引先の会社の代表者であり、Dの要請によつて、訴外会社の資本の五分の一に当たる株式 告人の被つた前記損害につき責任を負わないことをも付加して判示するのであるが、前記のように、同被上告人が訴外会社の取引先の会社の代表者であり、Dの要請によつて、訴外会社の資本の五分の一に当たる株式を保有する株主となり、かつ、その取締役に就任した事情・経緯にかんがみると、同被上告人のDに対する影響力は少なくなかつたものと考えられるから、右のような事実があつたからといつて直ちに同被上告人が前記職責を尽くすことが不可能であつたとすることは、たやすく肯認しがたいところと- 2 -いわなければならない。そうすると、結局、原判決中上告会社の同被上告人に対する請求を排斥した部分は破棄を免れず、本件は、以上の点について更に審理を尽くさせるのを相当とするから、右部分につきこれを原審に差し戻すこととする。 同Bについて所論の点に関する原審の認定判断は、原判決挙示の証拠関係に照らし、正当として是認することができ、原判決に所論の違法はない。論旨は、採用することができない。 よつて、民訴法四〇七条一項、三九六条、三八六条、三八四条、九五条、八九条に従い、裁判官全員一致の意見で、主文のとおり判決する。 最高裁判所第三小法廷裁判長裁判官環昌一裁判官江里口清雄裁判官横井大三裁判官伊藤正己- 3 -
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