令和5刑(わ)3005 有印私文書偽造・同行使、電磁的公正証書原本不実記録・同供用、詐欺、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律違反、免状不実記載

裁判年月日・裁判所
令和6年5月28日 東京地方裁判所
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判決文本文4,209 文字)

令和6年5月28日東京地方裁判所刑事第17部宣告令和5年刑(わ)第3005号、第3219号、令和6年刑(わ)第386号、第848号有印私文書偽造・同行使、電磁的公正証書原本不実記録・同供用、詐欺、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律違反、免状不実記載被告事件 主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。 東京地方検察庁で保管中の就籍届(令和6年東地領第1080号符号1)、家事事件記録(同号符号2)、住民異動届(令和6年東地領 第1081号符号1)、国民健康保険被保険者証の交付申請書(同号符号2)、運転免許申請書(令和6年東地領第1082号符号1)及び学科試験答案用紙(同号符号2)の各偽造部分を没収する。 理由 (罪となるべき事実) 被告人は、第1 架空人であるAになりすまし、住民基本台帳ファイルに同人に係る不実の記録をさせた上、同人を被保険者とする国民健康保険被保険者証をだまし取ろうと考え、 1 行使の目的で、情を知らない弁護士Bをして、令和3年10月14日頃から 同年11月1日頃までの間に、東京都豊島区(住所省略)C法律事務所において、同事務所に設置されたパーソナルコンピューター等を使用して、「家事審判申立書事件名(就籍)」と題し、その申立人の氏名欄に「A」、申立ての趣旨欄に「申立人は無籍につき、本籍東京都品川区ab丁目c番、筆頭者A、生年月日昭和▲年▲月▲日、父母の氏名不詳、父母との続柄不詳として就籍するこ とを許可するとの審判を求めます。」などと記載した書面を作成させ、もって前 記A作成名義の家事審判申立書1通(令和6年東地領第1080号符号2の一 不詳、父母との続柄不詳として就籍するこ とを許可するとの審判を求めます。」などと記載した書面を作成させ、もって前 記A作成名義の家事審判申立書1通(令和6年東地領第1080号符号2の一部)を偽造した上、情を知らない前記弁護士らをして、令和3年11月1日頃、前記家事審判申立書事件名(就籍)1通が真正に成立したものであるかのように装わせ、東京都豊島区(住所省略)付近に設置された郵便ポストから東京都千代田区霞が関1丁目1番2号東京家庭裁判所宛てに郵送させ、同月2日頃、 同裁判所職員に受理させて行使し、2⑴ 同月24日、東京都大田区蒲田5丁目13番14号大田区役所1階戸籍住民課において、行使の目的で、同区役所備付けの住民異動届及びこれと複写式で一体となった国民健康保険被保険者証の交付申請書の窓口に来た方欄に「A」、新住所欄に「大田区(住所省略)」、備考欄に「現在、就籍許可手続き 中であり、就籍の届出に至っていないため、住民票の作成を求める」などと各記入し、もって前記A作成名義の住民異動届等合計2通(令和6年東地領第1081号符号1及び2)を偽造した上、その頃、同所において、同課係員に対し、前記偽造の住民異動届1通が真正に成立したもののように装い提出して行使するなどし、その頃、同所において、情を知らない同課係員らを して、権利義務に関する公正証書の原本として用いられる電磁的記録である住民基本台帳ファイルにその旨不実の記載をさせ、これを同区役所に備え付けさせて公正証書の原本としての用に供し、⑵ 同日、同区役所4階国保年金課において、同課係員に対し、偽造した前記国民健康保険被保険者証の交付申請書1通が真正に成立したもののように装 い提出して行使し、前記Aを被保険者とする国民健康保険被保険者証の交付を申 保年金課において、同課係員に対し、偽造した前記国民健康保険被保険者証の交付申請書1通が真正に成立したもののように装 い提出して行使し、前記Aを被保険者とする国民健康保険被保険者証の交付を申請し、同課係員らに、前記Aから国民健康保険被保険者証の交付の申請がなされたものと誤信させ、よって、同月26日頃、東京都大田区(住所省略)被告人方において、郵送で前記A名義の国民健康保険被保険者証1通の交付を受け、もって人を欺いて財物を交付させ、 第2 架空人であるAになりすまし、同人名義の個人番号カードの交付を受けよう と考え、令和3年12月10日頃、前記被告人方において、行使の目的で、個人番号カード交付申請書兼電子証明書発行/更新申請書の申請日欄に「令和3 12 10」、申請者氏名欄に「A」などと各記入するとともに、同申請書に被告人の顔写真を貼付し、もって前記A作成名義の個人番号カード交付申請書兼電子証明書発行/更新申請書1通を偽造した上、その頃、同区(住所省略)先 に設置された郵便ポストに投函して、川崎市(住所省略)所在のD株式会社E局に開設された郵便私書箱第d号地方公共団体情報システム機構個人番号カード交付申請書受付センター宛てに郵送し、同月13日頃、これを同機構職員に受領させ、同機構職員に対し、前記偽造の個人番号カード交付申請書兼電子証明書発行/更新申請書1通を真正に成立したもののように装い提出して行使し て、個人番号カードの交付を申請し、令和4年6月1日、前記大田区役所1階マイナンバーカード交付窓口において、情を知らない同区役所職員から被告人の顔写真が印刷された前記A名義の個人番号カードの交付を受け、もって不正の手段により個人番号カードの交付を受け、第3 架空人であるAになりすまし、戸籍情報システムのデータ い同区役所職員から被告人の顔写真が印刷された前記A名義の個人番号カードの交付を受け、もって不正の手段により個人番号カードの交付を受け、第3 架空人であるAになりすまし、戸籍情報システムのデータ記録に同人に係る 不実の記録をさせようと考え、令和4年9月16日、前記大田区役所1階戸籍住民課において、行使の目的をもって、同区役所備付けの就籍届の就籍する人の氏名欄に「A」、就籍するところの欄に「東京都品川区ab丁目c番」などと各記入し、もって前記A作成名義の就籍届1通(令和6年東地領第1080号符号1の一部)を偽造した上、その頃、同所において、同課係員に対し、前記 偽造の就籍届1通が真正に成立したもののように装い、不正に入手したF裁判官名義のAの就籍を許可する旨の就籍許可申立事件の審判書とともに提出して行使し、同月20日、情を知らない同課係員をして、前記偽造の就籍届等を、東京都品川区広町2丁目1番36号品川区役所に郵送させ、同月28日、同区役所において、情を知らない同区役所職員らをして、権利義務に関する公正証 書の原本として用いられる電磁的記録である戸籍情報システムのデータ記録に その旨不実の記録をさせ、これを同区役所に備え付けさせて公正証書の原本としての用に供し、第4 架空人であるAになりすまし、同人名義の運転免許証を不正に入手しようと考え、令和5年7月26日、東京都府中市多磨町3丁目1番地の1警視庁府中運転免許試験場において、行使の目的で、東京都公安委員会宛ての運転免許申 請書に被告人の顔写真を貼付し、同申請書及び学科試験答案用紙の各氏名欄にそれぞれ「A」と記入するなどし、もって前記A名義の運転免許申請書1通(令和6年東地領第1082号符号1)及び学科試験答案用紙1通(同号符号2)を偽造した上、その頃、 び学科試験答案用紙の各氏名欄にそれぞれ「A」と記入するなどし、もって前記A名義の運転免許申請書1通(令和6年東地領第1082号符号1)及び学科試験答案用紙1通(同号符号2)を偽造した上、その頃、同所において、同試験場係員に対し、前記Aになりすまし、前記偽造に係る運転免許申請書1通及び学科試験答案用紙1通をあたか も真正に成立したかのように装って提出して行使するとともに、虚偽の申立てをして前記A名義の運転免許証の交付を申請し、情を知らない同試験場係員に免状である同公安委員会作成名義の運転免許証に被告人の顔写真を印画させるとともに、氏名欄に「A」などと不実の記載をさせ、もって公務員に対し、虚偽の申立てをして免状である運転免許証に不実の記載をさせた。 (量刑の理由)本件各犯行は、被告人が、Aという架空の妹になりすますため、同人の戸籍等を得ようと考え、弁護士や各関係機関職員らに対してAが存在するかのように振る舞い、同人名義の就籍許可の家事審判申立書から始まり、各申請書類等を偽造し、住民基本台帳ファイルや戸籍情報システムのデータ記録に同人に係る不実の記録をさ せた上、同人名義の国民健康保険被保険者証、個人番号カード及び運転免許証を入手するなどした事案である。 被告人は、Aの就籍許可を得るために、Aの詳細な生い立ちを設定して「被告人」と「A」とを使い分けながら弁護士や家庭裁判所職員らに対応し、内容虚偽の書面を資料として示すこともしており、大胆な一方で周到さもある。無戸籍者が就籍す るために設けられた制度を悪用し、戸籍や住民基本台帳といった社会の根幹に関わ るシステム上に架空人を作り出した上、社会生活上でも実際にAとして就労し、同人名義の国民健康保険被保険者証、個人番号カード、運転免許証といった社会的信用性 住民基本台帳といった社会の根幹に関わ るシステム上に架空人を作り出した上、社会生活上でも実際にAとして就労し、同人名義の国民健康保険被保険者証、個人番号カード、運転免許証といった社会的信用性の高い各種の公的証明書の取得までしたのであり、身分証明制度の根幹を揺るがす悪質な犯行である。犯行動機は、自分の生年月日よりも25歳遅く生まれた架空の妹になりすますことで、年齢で不当な扱いを受けることなく働きたかったとい うものであり、犯罪の隠ぺい等の違法な目的の達成にあったわけではないが、そのことを踏まえても、被告人の刑事責任は軽いものではない。 以上の事情に加えて、被告人に前科前歴はないこと、被告人が、事の重大さを自覚し、反省の態度を示していることなども勘案して、今回は、その刑の執行を猶予することとした。 (求刑-懲役3年、主文同旨の没収)令和6年5月28日東京地方裁判所刑事第17部 裁判官薄井真由子

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