昭和42(く)5 刑訴訴訟法第二六二条の請求棄却決定に対する抗告の申立事件

裁判年月日・裁判所
昭和42年2月20日 東京高等裁判所
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【DRY-RUN】主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  本件抗告の理由は、記録に編綴してある申立人作成の昭和四一年一二月二七日付 抗告(控訴準用)と題した書面記載のとおりである

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判決文本文3,062 文字)

主    文      本件抗告を棄却する。          理    由  本件抗告の理由は、記録に編綴してある申立人作成の昭和四一年一二月二七日付 抗告(控訴準用)と題した書面記載のとおりであるので、ここにこれを引用する。  まず、原裁判所は前記付審判の請求が東京地方検察庁に受理された日が昭和四一 年一一月三〇日であるから、申立人が同検察庁から不起訴処分の通知を受けた日か ら起算して法定の七日の期間を経過し請求権消滅後の請求であると認め、刑事訴訟 法二六六条一号を適用して請求棄却の決定をしたのは、法令の適用を誤つたもので ある。すなわち、在監者について本件請求のような書面は、その法定期間内に監獄 の長またはその代理者にこれを差し出したときは適式な請求をしたものとして取り 扱わるべきものであるところ、申立人は昭和四一年一一月二二日に前記不起訴処分 通知書を受け取り、同月二七日在監中の府中刑務所の長に前記請求書を差し出し受 理されているから、この請求は法定の期間内に適式な請求をしたものとして取り扱 わるべき筋合である、という主張の当否について判断を加えることとする。  記録を精査し、これに当審てした事実取調の結果を参酌検討するに、東京地方検 察庁検事前野定次郎は、昭和四一年四月三〇日申立人の告訴にかかる被疑者A他一 二名に対する私文書毀棄等の被疑事件について、嫌疑不十分等の理由で不起訴の処 分をなし、また同庁検察官事務取扱副検事西山良夫は、昭和四〇年一一月二九日前 同様申立人の告訴にかかる被疑者Bに対する暴行被疑事件について、罪とならずと して不起訴の処分をした。そこで申立人は、右各処分をした右両検察官につき各刑 法一九三条所定の公務員職権濫用の罪にあたる嫌疑があるとして東京地方検察庁に 告訴したが、同庁検事川島興は、昭和四一年一一月一八日いずれもその嫌疑なしと の不起訴 は、右各処分をした右両検察官につき各刑 法一九三条所定の公務員職権濫用の罪にあたる嫌疑があるとして東京地方検察庁に 告訴したが、同庁検事川島興は、昭和四一年一一月一八日いずれもその嫌疑なしと の不起訴裁定をして、その旨を通常葉書をもつて郵便により申立人に通知した。こ の通知書は、同月二二日申立人の在監する府中刑務所に到達し、即日申立人に交付 された。そこで申立人は右両検察官に対しいずれも刑事訴訟法二六二条一項に基く 付審判請求をする趣旨の審判請求と題する昭和四一年一一月二五日付書面二通を作 成し封書とし係官に差し出した。係官は同月二八日午前九時四五分これを受理し、 即日郵便ポストに投函し、この封書が東京地方検察庁に同月三〇日到着係官におい て、これを受理していることが認められる。それ故、このような請求は到達主義が 原則であるから、右検察庁に到達した一一月三〇日を基準として考えれば、申立人 が不起訴処分通知を受けた同月二二日から数えて刑事訴訟法二六二条二項所定の七 日の期間を経過し請求権消滅後の請求ということになり、原決定の結論は止むを得 ないこととなるけれども、同法五六条刑事訴訟規則六六条の二の定むるところに従 つて、不変期間の延長のあつた場合、或いはこの請求について刑事訴訟法三六六条 一項の上訴に関し在監被告人の便宜を図つた規定の準用ないし類推適用があるとい う解釈が可能であれは、申立人主張の如く府中刑務所の係官に差し出し受理された ときに適式の請求があつたことになるわけである。本件において前記法条に基く不 変期間の延長の手続がなされた事跡は存しないから、専ら前記刑事訴訟法三六六条 が準用または類推適用される場合であるかどうかを以下検討することとする。  まず、刑事訴訟法及び刑事訴訟規則において明文をもつて同法三六六条一項(こ れを受けた同規則二二七条二二八条等)を準用し 六六条 が準用または類推適用される場合であるかどうかを以下検討することとする。  まず、刑事訴訟法及び刑事訴訟規則において明文をもつて同法三六六条一項(こ れを受けた同規則二二七条二二八条等)を準用している場合は、上訴の拠棄、取下 及び上訴権回復の請求(同法三六七条)、再審の請求及びその取下(同法四四四 条)、訴訟費用執行免除の申立、裁判の解釈の申立、執行に関する異議の申立並び に右三申立の取下(同法五〇三条二項)、正式裁判の請求、その取下または正式裁 判請求権回復の請求(同規則二九四条)があり、また最高裁判所第三小法廷の昭和 四一年四月二七日決定(最高裁判所判例集二〇巻四号刑事三三三頁)は、同法四一 五条二項の上告裁判所の判決訂正の申立に関して前記法条の準用を認めている。こ れらの各場合を通じて明らかなことは、これらはある事件につき被告人たる身分を 有する在監者、かつてその身分を有した在監者が、当該事件について裁判所の告知 した裁判に関連した上訴的性格を有する不服の申立の期間に関するものということ ができる。これに対し同法二六二条二項の付審判請求の場合は検察官の不起訴処分 に関するものであつて、裁判所の告知した裁判に関連するものとはその性質を異に し、等しく不服の申立であつても必ずしも直ちに上訴的性格を有するものとは断じ 難く、請求を受けた検察官の再考を促し相当な措置を求める性格をも多分に包含し ており(同法二六四条)請求書の差出先は検察官であり、その請求人はある事件の 被告人または被告人であつた者がその事件に関連して自己の権利を確保しようとす るものではなく一定の罪について告訴または告発をした者であり(同法二六二条一 項)、また不起訴処分の通知は裁判の告知とは異つてその方式が法定されていない ので適当な方法によつてすれば差し支えないのであるが、本請求はこの通知が前提 と 告訴または告発をした者であり(同法二六二条一 項)、また不起訴処分の通知は裁判の告知とは異つてその方式が法定されていない ので適当な方法によつてすれば差し支えないのであるが、本請求はこの通知が前提 となつて<要旨>いる。これらの相異点を勘案して前記法規並びに判例によつて準用 ある場合と対照して検討するに、法令に明</要旨>文があれば兎も角解釈によつて直 ちに前記在監人の上訴に関する同法三六六条一項の規定を付審判請求に関する同法 二六六条二項の場合に準用ないし類推適用することは許されないと解するのが相当 と思料される。  従つて、以上述べたところにより、本件付審判の請求が、たとえ同法二六六条二 項所定の期間内に監獄の長またはその代理者に差し出しその者において受理したと しても、適法に差し出す相手方たる検察官に到達したのがその法定期間を経過した 後であることが明らかな以上、この請求は不適式な右請求権消滅後のものと認める のが相当であるのみならず、検察官前野定次郎、同西山良夫の前掲告訴事件の捜査 並びに不起訴処分については右両検察官の職務上忠実に行つた当然の行為であつ て、所論のような職権濫用の事実は窺われないから、右両検察官にその犯罪の嫌疑 はないとしなければならない。従つて、いずれにするも原決定は正当であつて、申 立人の請求は、排斥を免れない。  よつて刑事訴訟法四二六条一項により本件抗告を棄却することとし、主文のとお り決定する。  (裁判長判事 三宅富士郎 判事 江碕太郎 判事 石田一郎)

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