- 1 -平成28年1月21日判決名古屋高等裁判所平成26年(ネ)第779号三井金属神岡鉱山じん肺損害賠償請求控訴事件(原審・岐阜地方裁判所平成21年(ワ)第585号〔甲事件,平成22年(ワ)第1075〕号〔乙事件)〕主文 1審原告A1,同A2,同A3,同A4,同A5,同A6,同A7,同A8,同A9,同A10,同A11及び同A12の控訴に基づき,原判決のうち同1審原告らに関する部分ただし下記(3)の1審原告らの(,1審被告神岡鉱業に対する請求部分を除く)を次のとおり変更する。 。 ,,,,(1)1審被告らは1審原告A1同A2同A7及び同A12に対し連帯して,本判決別紙1「認容額等一覧表」の「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する同表「遅延損害金起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2)上記(1)の1審原告らの1審被告らに対するその余の請求をいずれも棄却する。 (3)1審被告三井金属は1審原告A3同A4同A5同A6同,,,,,A8,同A9,同A10及び同A11に対し,本判決別紙1「認容額等一覧表」の「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する同表「遅延損害金起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4)上記(3)の1審原告らの1審被告三井金属に対するその余の請求をいずれも棄却する。 上記第1項(3)の1審原告らの1審被告神岡鉱業に対する控訴をいずれも棄却する。 上記第1項の1審原告らを除く1審原告らの控訴及び1審被告らの控訴をいずれも棄却する。 - 2 - 1審原告A13,同A14,同A15及び同A16の当審における追加請求をいずれも棄却する。 原判決主文第2項中亡B1に関する部分を1審原告A17の訴訟承 控訴をいずれも棄却する。 - 2 - 1審原告A13,同A14,同A15及び同A16の当審における追加請求をいずれも棄却する。 原判決主文第2項中亡B1に関する部分を1審原告A17の訴訟承継により1審被告三井金属は1審原告A17に対し1430万円及,「,,びこれに対する平成21年6月20日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え」と変更する。 。 6(1)1審原告A1同A2同A7及び同A12と1審被告らとの間の,,訴訟費用は,第1,2審を通じ,これを5分し,その3を同1審原告らの負担とし,その余を1審被告らの負担とする。 (2)1審原告A3同A4同A5同A6同A8同A9同A1,,,,,,0及び同A11と1審被告三井金属との間の訴訟費用は,第1,2審を通じ,これを5分し,その3を同1審原告らの負担とし,その余を1審被告三井金属の負担とし,同1審原告らの1審被告神岡鉱業に対する控訴費用は,同1審原告らの負担とする。 (3)1審原告A13同A14同A15及び同A16の当審における,,訴訟費用は,全て同1審原告らの負担とする。 (4)1審原告A18同A19同A20同A21同A17同A,,,,,22,同A23及び同A24,同A25の控訴費用は,同1審原告らの負担とし,同1審原告らに対する1審被告三井金属の控訴費用は,同1審被告の負担とする。 (5)上記(1)ないし(4)の1審原告らを除く1審原告らの控訴費用は同,1審原告らの負担とし,同1審原告らに対する1審被告らの控訴費用は,1審被告らの負担とする。 この判決は,第1項(1)及び(3)に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判- 3 - 1審原告らの控訴 らの控訴費用は,1審被告らの負担とする。 この判決は,第1項(1)及び(3)に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1当事者の求めた裁判- 3 - 1審原告らの控訴関係(1)控訴の趣旨ア原判決を次のとおり変更する。 イ1審被告らは,本判決別紙2「控訴審請求額一覧表」の「1審原告」欄記載の各1審原告に対し,連帯して,同表「請求額」の「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同表「遅延損害金起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 ウ1審被告らは,1審原告A13,同A14,同A15及び同A16に対し,連帯して,本判決別紙2「控訴審請求額一覧表」の「請求額」の「合計」欄記載の各金員及びこれに対する同表「遅延損害金起算日」欄記載の(,各日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え1審原告A13同A14,同A15及び同A16は,当審において,1審被告らの不法行為に基づく損害賠償請求を追加した。 。)エ訴訟費用は,第1,2審とも,1審被告らの負担とする。 オ仮執行宣言(2)控訴の趣旨に対する答弁ア1審原告らの本件控訴をいずれも棄却する。 イ控訴費用は1審原告らの負担とする。 1審被告らの控訴関係(1)控訴の趣旨ア原判決中,1審被告ら敗訴部分を取り消す。 イ上記取消しに係る1審原告らの請求をいずれも棄却する。 ウ訴訟費用は,第1,2審とも,1審原告らの負担とする。 (2)控訴の趣旨に対する答弁ア1審被告らの本件控訴をいずれも棄却する。 イ控訴費用は1審被告らの負担とする。 - 4 -第2事案の概要 本件は,昭和61年6月30日まで1審被告三井金属が所有管理し,それ以降現在まで1審被告神岡鉱業が所有管理している神岡鉱山において,1審被告ら又は らの負担とする。 - 4 -第2事案の概要 本件は,昭和61年6月30日まで1審被告三井金属が所有管理し,それ以降現在まで1審被告神岡鉱業が所有管理している神岡鉱山において,1審被告ら又はその下請会社との間の雇用契約に基づいて稼働した従業員又はその遺族が,1審被告らの安全配慮義務違反によりじん肺に罹患したと主張して,1審被告らに対し,債務不履行に基づく損害賠償(包括的一律請求)として,原判決別紙「請求額一覧表」の「請求額」の「合計」欄記載の各金員及びこれに対する訴状送達の日である同表「遅延損害金起算日」欄記載の各日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求めた事案である。 原判決は,原判決別紙「認容額等一覧表」記載のとおり,消滅時効の完成を理由に1審原告A13,同A14,同A15及び同A16の請求をいずれも棄却し,その余の1審原告らについては請求の一部を認容したところ,双方が控訴した。 1審原告A13,同A14,同A15及び同A16は,当審において,1審被告らによる不法行為に基づく損害賠償請求を追加した。 また,1審原告B1は当審に至って死亡したため,妻である1審原告A17が訴訟を承継した。 なお,略語は,特に断りのない限り,原判決の例による。 前提事実次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第2」「」,。 事案の概要の 前提事実に記載のとおりであるからこれを引用する(原判決の補正)(1)原判決2頁13行目の「被告三井金属鉱業株式会社」から同行目から14行目にかけての「被告三井金属」という」までを「1審被告三井金属「。)(旧商号は神岡鉱業株式会社」に改める。 )- 5 -(2)原判決2頁17行目の「被告神岡鉱業株式会社(以下「被告神岡鉱業」という の「被告三井金属」という」までを「1審被告三井金属「。)(旧商号は神岡鉱業株式会社」に改める。 )- 5 -(2)原判決2頁17行目の「被告神岡鉱業株式会社(以下「被告神岡鉱業」という」を「1審被告神岡鉱業」に改める。 。)(3)原判決2頁20行目の別紙1管理区分等一覧表を本判決別紙3管「」「「理区分等一覧表」に改め(以下,原判決中の「別紙1管理区分等一覧表」」を「本判決別紙3「管理区分等一覧表」と読み替える,同行目の「原」。)「告等」欄」を「1審原告等」欄」に改める。 「(4)原判決2頁24行目の「亡B2」の次に「,亡B1」を加える。 (5)原判決3頁3行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「,,(ウ)1審原告A17は亡B1の死亡時の妻であり他の相続人との間で1審原告A17が亡B1の1審被告らに対する損害賠償請求権全額を相続する旨の遺産分割協議が成立した」。 「」「」,「」「」,(6)原判決3頁4行目の(ウ)を(エ)に7行目の(エ)を(オ)に10行目の「(オ)」を「(カ)」にそれぞれ改める。 (7)原判決3頁17行目の「栃洞,円山」を「栃洞坑,円山坑」に改める。 (8)原判決4頁4行目の「として」の次に「後述するじん肺管理区分が管,,理2又は3と決定された者に係る」を加える。 (9)原判決4頁6行目の「同法2条1項2号」の次に「,同条2項」を加,える。 「」,「,,」(10)原判決4頁9行目の同条3項の次に同法施行規則2条別表を加える。 (11)原判決4頁10行目の「72」の次に「,86,116」を加える。 (12)原判決4頁11行目冒頭から5頁3行目までを次のとおり改める。 「(ア)通常,体内に吸入された 条別表を加える。 (11)原判決4頁10行目の「72」の次に「,86,116」を加える。 (12)原判決4頁11行目冒頭から5頁3行目までを次のとおり改める。 「(ア)通常,体内に吸入された粉じんは,気管支腺や杯細胞が分泌する粘,。 ,液と線毛の働きによってその多くは痰として体外に排出されるまた粉じんが対外に排出されずに肺胞まで進んだ場合でも,呼気に乗って体外に排出されるが,残ったものについては,防御反応として,粉じんを- 6 -探し当てたマクロファージ(貪食細胞)がこれを取り込み,そのまま気管支系に運ばれて体外に排出されるものもあるが,肺胞の毛細血管と空気の部分の間に網の目のように張り巡らされたリンパ管に入り,リンパ内での免疫防御機構の働きと共にリンパ節(腺)に貯められる(なお,肺のリンパは,外側に近い場所では胸膜(肋膜)に沿って上方に流れ,深部では中央(肺門)に向かって流れている。 。)人体には,このような粉じん除去機能や防御機能があり,通常,人間が生活する場所における粉じん程度では,人間の体内に害を及ぼすことはない。 (イ)ところが,粉じん除去機能や防御機能の限界を超えた多量の粉じんが体内に吸入されると,吸入された粉じんは,肺胞腔内に蓄積して肺胞,,,壁を破壊しそこから線維芽細胞が出現し肺胞腔内に線維が形成され結節ができる。結節が形成されるということは,その領域の肺胞壁が閉,。 塞するということであり肺胞でのガス交換機能が失われることになるまた,マクロファージによって貪食されリンパ管に入った粉じんは,リンパ節に運ばれ蓄積されるが,リンパ節に溜まった粉じんはリンパ節の細胞を増殖させ,その結果細胞が破壊されて膠原線維(線維上の一種のタンパク質で固い)が増加し,その部分の細胞を破壊してリンパ節。 を閉塞さ に運ばれ蓄積されるが,リンパ節に溜まった粉じんはリンパ節の細胞を増殖させ,その結果細胞が破壊されて膠原線維(線維上の一種のタンパク質で固い)が増加し,その部分の細胞を破壊してリンパ節。 を閉塞させてしまう。そうなると,その後に吸入された粉じんは,肺胞腔内に蓄積され,肺胞壁の破壊と線維の形成は更に加速され,肺胞のガス交換機能は更に失われる。このようなじん肺の病変を線維増殖性変化という。 そのほか,じん肺の基本的病変として,気道の慢性炎症性変化,肺の気腫性変化(正常よりも気腔の大きさが異常に拡張している場合と肺胞が破壊されている場合とがあるが,じん肺の場合には後者である)も。 生じる。 - 7 -じん肺の症状は,咳,痰,労作時の息切れ,呼吸困難,動悸等が中心となる」。 (13)原判決5頁6行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「一般に,以下のように説かれている」。 (14)原判決5頁10行目の「職場を離れた後においても」の次に「,粉じん暴露の量や罹患したじん肺の程度に応じて」を加える。 (15)原判決5頁11行目の「進行性」の次に「さらに」を,14行目()。 ,の「全身性」の次に「ことを指摘する見解もある」を加える。 ()(16)原判決6頁3行目から4行目にかけての「同法4条2号」の次に「平(。 ,)」成16年法律第94号による改正前改正後は5条1項2号及び8条1号を,6行目の「同法4条」の次に「平成16年法律第94号による改正後(は,同法5条及び8条」をそれぞれ加える。 )(17)原判決6頁7行目末尾に次のとおり加える。 「,(),なお平成6年に鉱山保安規則同年通商産業省令第13号が制定され平成7年4月1日から施行されたことにより,保安規則及び石炭鉱山保安規則は,いずれも廃止された。 とおり加える。 「,(),なお平成6年に鉱山保安規則同年通商産業省令第13号が制定され平成7年4月1日から施行されたことにより,保安規則及び石炭鉱山保安規則は,いずれも廃止された。その後,平成16年に鉱山保安法施行規則(同年経済産業省令第96号)が制定され,平成17年4月1日から施行されたことにより,鉱山保安規則は廃止された」。 (18)原判決6頁13行目の「エックス線写真画像」から同行目の「従って」までを次のとおり改める。 「エックス線写真画像の区分(じん肺法4条1項。後記のとおり,粒状影又は不整形陰影の多寡及び大陰影の有無により,第1型から第4型までに区分される)と著しい肺機能障害の有無の組合せに従って」。 (19)原判決6頁24行目(管理4」の「じん肺健康診断の結果」欄の1行「目)の「1肺野」を「1側の肺野」に改める。 (20)原判決7頁3行目の「政令」の次に「昭和53年政令第33号」を()- 8 -加える。 (21)原判決7頁9行目の「従事する」の次に「管理区分が」を加える。 (22)原判決7頁20行目から21行目にかけての「以下「基発第250号通達というの次に甲A84を22行目から23行目にかけてのじ」。」「」,「「ん肺診査ハンドブック」という」の次に「甲A9」をそれぞれ加える。 。 ,(23)原判決8頁23行目の「既往症」を「既往歴」に改める。 (24)原判決9頁1行目から2行目にかけての「水疱音」を「水泡音」に,同行目の「複雑音」を「副雑音」にそれぞれ改める。 (25)原判決9頁18行目の「診断又は診査」を「診断又は審査」に改める。 (26)原判決9頁24行目の末尾に「」を加える。 。 (27)原判決10頁14行目の「従事しているときには」の次に「,地方じん肺診 判決9頁18行目の「診断又は診査」を「診断又は審査」に改める。 (26)原判決9頁24行目の末尾に「」を加える。 。 (27)原判決10頁14行目の「従事しているときには」の次に「,地方じん肺診査医の意見により,当該労働者の健康を保持するため必要があると認めるときは」を加える。 第3 争点 安全配慮義務の有無(1)1審被告らの従業員であった1審原告等に対する1審被告らの責任の有無(2)下請会社の従業員であった1審原告等に対する1審被告らの責任の有無 損害の発生及び損害額(1)じん肺罹患の有無及びその程度(2)じん肺による健康被害・合併症等の有無(3)減額要素の有無(4)損害額 1審被告らが連帯責任を負うか 過失相殺の有無(1)喫煙による過失相殺の有無- 9 -(2)防じんマスク不着用による過失相殺の有無 消滅時効の成否(1)消滅時効の起算点ア安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の起算点イ不法行為に基づく損害賠償請求権の起算点(当審における新争点)(2)1審被告らの消滅時効の援用が権利の濫用に該当するか第4争点に関する当事者の主張次のとおり原判決を補正し,当審における当事者の主張を付加するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第4争点に関する当事者の主張」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正) 原判決15頁15行目の「昭和60年1月から同年10月まで」を「昭和60年2月から昭和61年4月まで」に改める。 原判決15頁16行目から17行目にかけての「G1株式会社」から同行目末尾までを「G1株式会社(後にG2株式会社に社名変更。なお,同社を定年退職した後も,平成20年3月まで同社のアルバイトとして働いた」に改。)める。 「,」,「」 原 社」から同行目末尾までを「G1株式会社(後にG2株式会社に社名変更。なお,同社を定年退職した後も,平成20年3月まで同社のアルバイトとして働いた」に改。)める。 「,」,「」 原判決16頁20行目の原告A18を削除し21行目の原告B1を「亡B1」に改め,22行目の「及び亡B3」を削除する。 原判決17頁19行目の「意見書」の次に「甲A72及び76〔甲A81(及び90の訂正書を含む」を加える。 。〕) 原判決17頁20行目から21行目にかけての同医師の意見の次に以「」「(下「C1医師の鑑定意見」という」を,同行目の「記載のとおりである」。)の次に「なお,C1医師の鑑定意見の一部の要旨は,本判決別紙4「1審原(告等(CT関係)個別意見一覧表」の「C1医師の鑑定意見」欄に記載のとおりである」をそれぞれ加える。 。)- 10 - 原判決17頁21行目の「別紙7C1医師の鑑定意見(原判決121頁か」ら146頁部分)の内容を次のとおり改める(以下,原判決中の「別紙7C1医師の鑑定意見」は,補正後のそれを指す。なお,以下の行数には空白行を含まない。 。)(1)原判決123頁20行目(2箇所)の「p」をいずれも「P」に改める。 (2)原判決124頁10行目(2箇所)及び11行目の「sp」をいずれも「SP」に改める。 (3)原判決124頁25行目,126頁12行目及び14行目の「p」をいずれも「P」に改める。 (4)原判決126頁末行の「昭和53年」を「昭和63年」に改める。 (5)原判決127頁3行目の「乙B12の1の2」を「乙B13の1の2」に改める。 (6)原判決131頁10行目の「乙B19の7」を「甲B19の7」に改める。 「」「()」(7)原判決132頁9行目の 27頁3行目の「乙B12の1の2」を「乙B13の1の2」に改める。 (6)原判決131頁10行目の「乙B19の7」を「甲B19の7」に改める。 「」「()」(7)原判決132頁9行目の胸部CT写真の次に乙B20の1の2を加える。 (8)原判決133頁8行目の「乙21の1の2」を「乙B21の1の2」に改める。 (9)原判決133頁21行目の「平成22年1月22日撮影の胸部エックス線写真」を「平成22年1月12日撮影の胸部エックス線写真(乙B23の1の2」に改める。 )(10)原判決134頁1行目の「平成22年1月22日撮影の胸部CT写真」を「平成22年1月12日撮影の胸部CT写真(乙B23の1の3」に改)める。 (11)原判決135頁7行目末尾,139頁22行目末尾及び140頁16行目末尾にいずれも「」を加える。 。 - 11 -(12)原判決136頁22行目の「見えにくくなっためか」を「見えにくくなったためか」に改める。 「」「(「」。)」, 原判決17頁末行のC2医師の次に以下C2医師というを同行から18頁1行目にかけての「C3医師」の次に「以下「C3医師」と(いう」をそれぞれ加える。 。) 原判決18頁1行目の「以下」を「以下「C4医師」といい」に改める。 原判決18頁1行目から2行目にかけての「鑑定意見等」の次に「乙15(3,203,210及び285。乙165及び204の正誤表を含む。なお,意見書〔乙285〕の作成にC3医師は関与していないが,鑑定意見書〔乙153,203及び210〕と併せ,その内容を以下「C5医師らの鑑定意見」という」を加える。 。) 原判決18頁13行目の「FDR」を「FPD」に改める。 原判決19頁23行目の「別紙8C5医師ら 03及び210〕と併せ,その内容を以下「C5医師らの鑑定意見」という」を加える。 。) 原判決18頁13行目の「FDR」を「FPD」に改める。 原判決19頁23行目の「別紙8C5医師らの鑑定意見(原判決147頁」から173頁部分)の内容を次のとおり改める(以下,原判決中の「別紙8C5医師らの鑑定意見」は,補正後のそれを指す。なお,以下の行数には空白行を含まない。 。)(1)原判決153頁22行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「(2)初回じん肺有所見(管理区分決定)時の胸部エックス線写真(平成9年9月1日撮影。乙B12の1の3)の読影結果PR2/1。両側上肺野を中心に多数の粒状影が認められる。 右側肺尖部に第4型A相当の大陰影が認められる」。 「」「」,「」(2)原判決153頁23行目の(2)を(3)に154頁3行目の(3)を「(4)」にそれぞれ改める。 (3)原判決160頁12行目の「乙B19の1の」を「乙B19の1の2」に改める。 (4)原判決160頁末行の「開示を受けた資料のうち最も新しい」を「初回- 12 -じん肺有所見(管理区分決定)時の」に改める。 (5)原判決162頁24行目の「,後述のとおり」を削除する。 原判決19頁23行目の「記載のとおりである」の次に「なお,C5医師(らの鑑定意見の一部の要旨は,本判決別紙4「1審原告等(CT関係)個別意見一覧表」の「C5医師らの鑑定意見」欄に記載のとおりである」を加え。)る。 原判決21頁8行目の「不適切であるととともに」を「不適切であるとともに」に改める。 原判決22頁4行目及び9行目の「法」を「法令」にいずれも改める。 原判決23頁21行目及び25頁24行目の「オージキンリンパ腫」をいずれも ともに」を「不適切であるとともに」に改める。 原判決22頁4行目及び9行目の「法」を「法令」にいずれも改める。 原判決23頁21行目及び25頁24行目の「オージキンリンパ腫」をいずれも「ホジキンリンパ腫」に改める。 原判決28頁5行目の「亡B4」を「亡B4」に改める。 原判決28頁21行目の「マスク」を「防じんマスク」に改める。 原判決29頁11行目を次のとおり改める。 「(1)安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点はいつか」 原判決29頁17行目の「本件各事件の第1回口頭弁論期日」を「甲事件及び乙事件(以下「本件各事件」という)の原審第1回口頭弁論期日」に改め。 る。 原判決30頁2行目の「亡B2」を「亡B2,亡B1」に改める。 原判決30頁3行目の「継続」を「係属」に改め,同行目末尾に「」を加。 える。 (当審における当事者の主張) 争点1(1)(安全配慮義務違反の有無)について(1審被告らの従業員であった1審原告等に対して)(1審被告らの主張)- 13 -(1)作業環境の管理に関する安全配慮義務についてア湿式さく岩機の使用,散水・噴霧について原判決は,湿式さく岩機の使用方法や散水・噴霧に関する保安係員の指導が徹底しておらず,粉じん対策としては不十分であった旨認定するが,そのような事実はない。1審被告らは,各職種において各種の対策を実施して粉じんの発生を防いでおり,坑内作業によって坑内に飛散した粉じん,,,があるとしてもほぼ沈着しておりまれに粉じんが流れてきたとしても防じんマスクの着用により粉じんの吸入は防ぐことができた。 また,1審被告らは,他の鉱山に先駆けてウォータースプレーを考案して実験を重ね,管理者の適切な指導の下でこれを使用してきたことは多言 しても防じんマスクの着用により粉じんの吸入は防ぐことができた。 また,1審被告らは,他の鉱山に先駆けてウォータースプレーを考案して実験を重ね,管理者の適切な指導の下でこれを使用してきたことは多言を要しないし,設置場所,使用するノズルの口径や個数,散水時間等はウォータースプレーの仕様であるから,保安規程にそのような仕様が記載されていないことが,安全配慮義務違反を理由付けることにはならない。 坑外作業(選鉱工場や亜鉛製錬工場)において,清掃に水を使用することは基本であり,設備の状況や作業内容により水をまくことが危険な場合でも,ポータブルの電気掃除機やほうきなどの代替方法により,日頃から作業者に清掃を義務付けていたから,水を使えないような場所でも粉じんの堆積はほとんどなく,清掃時に粉じんやほこりが舞い上がったとしても極めて微量であり,防じんマスクの着用により粉じん等の吸入は防ぐことができた。 イ通気測定・集じん装置について神岡鉱山は,坑口の数も多く高低差も大きいから,十分な自然通気がある。また,1審被告らは,所管行政庁から,通気測定結果(乙96)について指導・指摘を受けたこともないし,トラックレスマイニング導入により坑内を大型内燃機関が稼働するようになってからは,内燃機関の排ガスの希釈・排除のため大量の通気が必要となり,各所の内燃機関運転箇所に- 14 -は局部扇風機も設置して十分な通気量を確保しており,これらの通気設備は,発破後の後ガスや粉じんの除去にも使用された。そもそも,通気の役割は,粉じん対策という観点からはあくまでも補完的なものであり,これを1審被告らの安全配慮義務違反とすることはできない。 また,集じん装置は,製錬工場のように発じん箇所が限定され,かつ固定されている場合には有効な粉じん対策となるが,坑内作業場では,発破の り,これを1審被告らの安全配慮義務違反とすることはできない。 また,集じん装置は,製錬工場のように発じん箇所が限定され,かつ固定されている場合には有効な粉じん対策となるが,坑内作業場では,発破の爆風に対する耐久性があり,漏洩のない密封状態の集じんフードを構築し,集じん機に吸引させることは物理的に不可能であるし,広範囲に散在し,時々刻々と移動する坑内作業場という特殊な環境では,そもそも有効な集じん装置の設置は不可能である。したがって,坑内作業場に集じん装置が設置されていなかったことが,1審被告らの安全配慮義務違反を理由付けるものではないし,選鉱工場や亜鉛製錬工場では,集じん機が適切に設置されており,亜鉛製錬工場でいくらかの粉じんが生じるとしても,防じんマスクの着用により粉じんの吸入は防ぐことができた。 ウ粉じん測定について平成16年当時の技術水準でも,坑内作業場における粉じん測定には限界があり(乙207,平成2年から平成15年までの測定値(乙35))は,ミストの影響による誤差が含まれていたと評価せざるを得ない。測定値全般をみれば目標値に近い低い値となっており,このことは,1審被告らが粉じん防止対策を積極的に取り入れ,改良に努めてきたことを示している。上記数値から,1審被告らが粉じん濃度の改善に努めていないなどと評価することはできない。 (2)作業条件の管理に関する安全配慮義務についてア1審被告らは,通気が良好で,採掘活動の影響を受けにくい箇所を十分検討した上で,坑内における食堂,休憩所を設置しており,たばこの煙対策として空気清浄装置が設置される前の粉じん測定では,食堂内に粉じん- 15 -がないことが明らかになっていた。 イまた,坑内能率給は「無駄「無理「ムラ」をできるだけ少なくし,,」」仕事を決められたとおりに順 が設置される前の粉じん測定では,食堂内に粉じん- 15 -がないことが明らかになっていた。 イまた,坑内能率給は「無駄「無理「ムラ」をできるだけ少なくし,,」」仕事を決められたとおりに順調に行うことを目的として設定されたものである。標準工程も,進さくであれば月に何m,採鉱であれば月に何tといった積算量ではなく,進さく作業であれば「m/工,採鉱作業であれば」「m/工「t/工」という能率で設定し(工」とは,1人工=1人×8」,「時間分の労働を指す,標準的な作業者を原則とし,それに作業環境(岩。)盤状況や使用する機械の種類等)等を加味し,作業者に不利にならないよう設定するものである。月初めに定めた標準工程と実績工程との乖離が大きい場合には,標準工程自体を引き下げるなどの調整も行っていた。しかも,坑内作業者の賃金水準は,他に比較して相当程度高いから,坑内作業者が十分な休憩も取らずに作業に従事したり,安全を無視して長時間労働をせざるを得ない状況にはなかった。したがって,坑内能率給の設定ないしその見直しがなかったことが,じん肺罹患に対する安全配慮義務違反を理由付けることにはならない。 ウ防じんマスクの着用についても,1審被告らはじん肺防止のため,様々な機会を捉えてその重要性・必要性を教育し,管理職・監督者は,作業者に防じんマスク着用を厳しく指導した。また,作業者間で声をかけ合いながら行う作業の場合,事前に手順の確認を行った上で着手するのが常道であるから,打合せや合図のために防じんマスクを外して作業を行うことはない。以上のことは,坑内作業のみならず,選鉱工場や亜鉛製錬工場でも同様である。 (3)健康の管理に関する安全配慮義務について1審被告らは,就業時教育のほか,日常的に保安常会や監督者等(保安衛生管理を専門に扱う保安 坑内作業のみならず,選鉱工場や亜鉛製錬工場でも同様である。 (3)健康の管理に関する安全配慮義務について1審被告らは,就業時教育のほか,日常的に保安常会や監督者等(保安衛生管理を専門に扱う保安係員を含む)の日常巡視による機会教育,現場係。 員の基礎教育,作業者の有資格取得教育,新入者教育などの教育や,保安週- 16 -間及び衛生週間におけるじん肺教育等を日常的に行い,じん肺の問題を重要なテーマとして扱ってきた。したがって,作業者自身がじん肺発生のメカニズムや有害性等を十分に認識していないとか,1審被告らがじん肺の予防措置等に対する意識を高めなかったとの事実はない。 (4)そもそも,1審被告らは,各時代の水準や社会的状況等に応じた粉じん対策を実施しており,1審原告らの主張によっても,安全配慮義務違反が認められるための前提である,当時の水準や社会的状況等に照らした予見可能性及び結果回避可能性が何であるのか全く判然としない。 (1審原告らの主張)1審被告らが負う安全配慮義務が対象としている価値・利益は,労働者の生命・身体・健康という絶対的価値であるから,1審被告らは,常に最高度の知,。 ,識や技術等により労働者の生命や健康を保持することが求められるそして1審被告らも,例えば,穿孔作業や発破作業で発生した粉じんの拡散を防止するために十分かつ厳格な湿式作業を行ったり,十分な散水を行ったり,ウォータースプレーやウォーターカーテンで粉じんを除去したり,それでも飛散する粉じんを集じん装置で捕捉したりすることは,当時の科学技術ではおよそ実現不可能であったとの主張立証はしていないし,通気についても,自然通気だけに任せるしかなく,強制排気は物理的に不可能であったなどとの主張立証もしていない。また,1審被告らは,1審原告等が労働に従事した個々の現 あったとの主張立証はしていないし,通気についても,自然通気だけに任せるしかなく,強制排気は物理的に不可能であったなどとの主張立証もしていない。また,1審被告らは,1審原告等が労働に従事した個々の現場において,定期的に適切な粉じん測定を行ない,その結果に基づいて,粉じん発生の抑制策や粉じん拡散の防止策を講じたり,労働者が粉じんに暴露しないよう労働時間を管理したり,賃金体系を見直したり,十分なじん肺教育を行ったりなどしておらず,これらは決して不可能なことではない。1審被告らの上記各主張は,いずれも理由がない。 争点1(2)(安全配慮義務違反の有無)について(下請会社の従業員であった1審原告等に対して)- 17 -(1審被告らの主張)作業中の下請作業員に対する指揮命令は下請会社の保安係員が行い,1審被告らの保安係員が下請作業員に対し直接指揮命令することはなかったし,下請作業員が使用する重機等や燃料を1審被告らが用意し,作業内容も本工とほとんど同じであることが,特別な社会的接触関係を認定する根拠にはならないから,1審被告らは,下請作業員に対し安全配慮義務を負わない。 なお,1審被告らは,下請作業員に対しても保安指導を徹底していたから,安全配慮義務違反は認められない。 (1審原告らの主張)作業中の下請作業員に対する指揮命令は下請会社の保安係員が行うとしても,1審被告らの担当者が下請会社の保安係員(担当者)に指示している内容は,1審被告らの作業計画に組み込まれた作業の遂行であるし,下請作業員の作業内容は1審被告らの従業員とほとんど同じであったから,1審被告らの主張は失当である。なお,1審被告らが下請作業員に対しても保安指導を徹底していた事実はない。 争点2(損害の発生及び損害額)について(1審被告らの主張)安全配慮義務違反を理由と ,1審被告らの主張は失当である。なお,1審被告らが下請作業員に対しても保安指導を徹底していた事実はない。 争点2(損害の発生及び損害額)について(1審被告らの主張)安全配慮義務違反を理由とする損害賠償請求が認められるためには,損害の発生及び損害額の認定が必要であり,1審原告らがその立証責任を負うことは明らかである。そして,じん肺に関連する損害の立証の程度は,過去に管理2以上の決定やじん肺の法定合併症の労災認定を受けた事実だけでは不十分である。本件においては,1審原告らが損害であると主張するじん肺罹患及び法定合併症罹患の事実を立証する証拠は1審原告らの下にあり,証拠の偏在も立証の困難性も存在しないから,過去に管理2以上の決定やじん肺の法定合併症の労災認定を受けた事実を立証しさえすれば立証に一応成功したとする認定手法は,事実上の立証責任の転換を認めたことに等しく妥当でない。 - 18 -(1審原告らの主張)管理区分制度の目的,決定手続の内容及び運用状況並びに労災保険給付の支給決定手続に照らせば,管理2以上の決定や労災保険給付の支給決定の事実によって,1審原告等のじん肺罹患及び法定合併症罹患の事実が推認されるとの判断は,1審原告らが立証責任を負う請求原因事実に関する心証形成過程を示すものにすぎず,立証責任を転換したものではないから,1審被告らの主張は失当である。 争点2(1)(じん肺罹患の有無及びその程度)について(1)管理区分決定の証拠としての評価並びにじん肺罹患の有無及び程度を判断するに当たっての胸部CT写真の評価について(1審原告らの主張)ア原判決は,管理区分決定に高度の信用性と強い推認力を認めながら,1審原告等の胸部CT写真が上記決定に対する反証となり得ることを認め,C5医師らの鑑定意見を採用して19名の1審原 審原告らの主張)ア原判決は,管理区分決定に高度の信用性と強い推認力を認めながら,1審原告等の胸部CT写真が上記決定に対する反証となり得ることを認め,C5医師らの鑑定意見を採用して19名の1審原告等について「管理2に相当するじん肺に罹患していると認めることはできない」とする。 。 イしかしながら,管理区分決定制度では,じん肺に罹患しているかどうかの診断は,粉じん作業の従事歴を踏まえ,胸部エックス線写真を標準写真と比較読影することによって行われているのに対し,胸部CT写真によってじん肺罹患の有無を診断する技法も基準もいまだ確立されておらず,政府機関の検討状況でも研究途上にある。管理区分決定手続においては参考にすぎない胸部CT写真に,管理区分決定を覆すほどの証拠価値は認められない。 ウしかも,胸部CT写真によるじん肺診断には,①病理解剖との対比が少数のため,胸部CT写真が果たして肺の病変を忠実に表現しているかについての裏付けに乏しく,②胸部CT写真はコンピュータによって構成されたものであり,使用機種や撮影条件によってはその表現を異にするので,- 19 -標準的な画像を作成するにしても,胸部エックス線写真のように広く適用されるまでには至っていないなどの問題点がある上,③胸部CT写真については,じん肺罹患を判断する際に適した装置,撮影条件(スライス厚の設定など,保存方法,モニターの性能及び条件などについて,いまだ統)一的なルールは策定されていない現状にある。そして,胸部CT写真にお,,(),いても血管影かじん肺による粒状影かの区別は当該粒状影の色濃度形及び出現箇所などを基に,読影する各医師の評価的な判断によるところが多分にあるから,仮に胸部CT写真では粒状影等が見当たらないとしても,それは胸部CT写真ではじん肺罹患が確認で 当該粒状影の色濃度形及び出現箇所などを基に,読影する各医師の評価的な判断によるところが多分にあるから,仮に胸部CT写真では粒状影等が見当たらないとしても,それは胸部CT写真ではじん肺罹患が確認できないことを意味するにすぎず,当該患者が管理2以上のじん肺に罹患していないと断言することはできない。 胸部CT写真の限界については,これを裏付ける相当数の研究報告がされており(甲A138ないし140,胸部エックス線写真ではじん肺所)見が確認できない症例について,CTないしHRCTによってこれを検出できるとの報告がされている一方で,CT(HRCT)が肺内の病変を正確に描出するとは限らないことも示しており,C1医師も同様の指摘をしている(甲A134。そして,1審原告等の多くは,遊離けい酸含有率)が低い粉じんを吸入した場合のじん肺(混合粉じん性じん肺あるいは非典型けい肺)であり,1審原告等に認められる粒状影は比較的薄く淡いものが多いという特徴がある上,非典型けい肺はじん肺法制上では「その他のじん肺」に分類され,1.0ないし1.5mmの大きさの小結節が形成されるという病態を示すから,胸部エックス線写真における粒状影は線維化が弱いため濃度の低い極めて小さな陰影となる(甲A9「じん肺診査ハンド」)。 ,()ブック17頁そして上記研究報告やC1医師の意見甲A134によれば,胸部CT写真は,相当の確率で肺内に存在するじん肺所見を検出できないことがあり,その傾向は,微細な結節の場合において顕著であ- 20 -る。 しかも,1審被告らが提出する医師の意見書においても,胸部CT写真の診断で問題となる陰影の直径を「2~3mm」としているし(乙359,370,1審被告らが教科書的文献であるとする「胸部のCT(乙3)」60)が,けい肺のHR 師の意見書においても,胸部CT写真の診断で問題となる陰影の直径を「2~3mm」としているし(乙359,370,1審被告らが教科書的文献であるとする「胸部のCT(乙3)」60)が,けい肺のHRCT所見は「数mm台の粒状影」と記載していることを踏まえれば,胸部CT写真では,それ以下の直径のpタイプの微細な結節を検出することはできないし,1審被告らが指摘するCTの有用性はHRCTに関するものであるから,1審原告等に実施された通常CT検査には妥当しない。 したがって,原判決が管理2相当のじん肺罹患を否定した1審原告等の肺内の結節は微細なものである可能性が高く,仮に,胸部CT写真によって粒状影が確認できなくても,それはCTが粒状影を検出できなかったにすぎない可能性が高い。 エそもそも,管理区分制度においては,胸部CT写真で検出し得る程度の大きさ,濃度を備えた結節が存在することは管理2の要件ではない。ごく微細で胸部CT写真でも検出できないような結節であっても,胸部エックス線写真における重複像等によって粒状影の存在を確認することができ,その程度が対応する標準フィルムに相当する程度に達していれば,管理2。 ,,,と判定し得るのであるしかも管理区分制度においては上記のとおり胸部CT写真は参考にされるにすぎない。 オよって,高度の信用性を有する管理区分決定に対し,胸部CT写真を反証に用いることはできないというべきである。 (1審被告らの主張)ア1審原告らは,胸部CT写真によるじん肺診断の問題点や限界をるる主張するが,胸部CT写真が病変を正しく反映していることは多く指摘されているし(乙359,366の1・2,367の1・2,撮影条件等に)- 21 -ついても,各撮影機器メーカーは,機種や撮影部位によって最適な推奨撮影条件を決めてい 反映していることは多く指摘されているし(乙359,366の1・2,367の1・2,撮影条件等に)- 21 -ついても,各撮影機器メーカーは,機種や撮影部位によって最適な推奨撮影条件を決めている上,じん肺を始めとした肺野病変を観察するための表示条件は「ウィンドウレベル(WL):-500~-700HU,ウィンドウ幅(WW):1200~1800HU程度」が現在の標準として教科書に記載され(乙360,これらの条件はほぼ標準化されて通常CT写真(ヘリカルCT写真)を含む)及び高分解能CT(HRCT)に共通の「肺野を見る条件」と。 して臨床医学上広く用いられている。そして,原判決においてじん肺罹患が否定された19名の1審原告等並びに亡B5及び亡B1のCT写真は,いずれも上記表示条件を満たしている。 したがって,1審原告らの主張は理由がない。 イまた,1審原告らがCTの限界を示す研究報告と指摘するものは,CTがどこまで病変を検出できるかを明らかにしたものであるけれども,CTで検出できないじん肺結節を胸部エックス線写真が検出できることの根拠にはならない。CTで検出できない微細な小結節を胸部エックス線写真で再現性をもって検出できたとする論文は認められず,原理的にも不可能であるし,CTの有用性を基礎付ける論文は多数ある(乙362,363及び368の各1・2等。そして,胸部エックス線写真も胸部CT写真も)「」,エックス線吸収値の違いを画像にするという同じ原理に基づいており低倍率の病理組織像をほぼ忠実に表現できる胸部CT写真で粒状影が認められないということは,CT写真の基本となる微小な正方形の単位である「ピクセル」以下の大きさの極めて微細な粒状影が存在することは必ずしも否定できないものの,胸部CT写真上で検出可能な粒状影が存在しないことを いうことは,CT写真の基本となる微小な正方形の単位である「ピクセル」以下の大きさの極めて微細な粒状影が存在することは必ずしも否定できないものの,胸部CT写真上で検出可能な粒状影が存在しないことを意味するから,胸部CT写真上で粒状影が認められない患者について,CT写真と同じ原理に基づいている胸部エックス線写真上で突然粒状影が現れることは通常あり得ない。 ウそもそも,1審被告神岡鉱業の従業員・退職者だけでなく,全国的に見- 22 -ても,管理区分が低位に変更された例が多くあり,管理区分が低位に変更決定されることを念頭においた通達(乙315)も出されているから,行政上の決定である管理区分決定に高度の信用性を認めることはできない。 エしたがって,1審原告等のじん肺所見の有無及びその程度の認定は,胸部エックス線写真の読影結果に基づく管理区分決定に基づいてされるべきではなく,胸部エックス線写真に比べて極めて高い病理反映能力を有し,異なる読影者間の不一致の度合いが胸部エックス線写真と比べて圧倒的に少ないという現在の胸部CT写真に関する医学的知見を踏まえれば,じん肺に関して国内最高の知見を有する専門医であるC5医師らの鑑定意見に基づいてされるべきである。 (2)原判決が「管理2に至らない線維結節性変化」が認められると認定した1審原告等について(1審原告らの主張)上記のとおり,高度の信用性を有する管理区分決定に対し,胸部CT写真を反証に用いることはできない。また,C5医師らの鑑定意見は,原判決が撮影条件不良と判断した胸部CT写真について何ら言及していないし,胸部CT写真の読影において,胸部エックス線写真の粒状影を全て血管と言い切,。 ることは無理があるなどC5医師らの鑑定意見には信用性が認められないむしろ,信用性が認められるC6医師作成の ないし,胸部CT写真の読影において,胸部エックス線写真の粒状影を全て血管と言い切,。 ることは無理があるなどC5医師らの鑑定意見には信用性が認められないむしろ,信用性が認められるC6医師作成の「神岡じん肺訴訟に関する意見書(甲A153。以下「C6意見書」といい,その内容を「C6意見」」という)及びC7医師作成の「意見書(甲A172。以下「C7意見書」。 」といい,その内容を「C7意見」という)によれば,原判決が「管理2に。 至らない線維結節性変化」が認められると認定した1審原告等については,管理区分決定による強い推認が覆ることはないというべきである。 (1審被告らの主張)アC5医師らの鑑定意見は,あくまでも原則として,開示を受けた資料の- 23 -うち最新の胸部エックス線写真の読影結果を主体とし,胸部エックス線写真の読影結果の正確性をより担保するために,開示を受けた最新の胸部CT写真の読影結果を考慮に入れてじん肺所見の有無及びその程度を総合的に判断したものであり,現在医学上一般に認められているCT写真の病理反映能力からすると,胸部エックス線写真のみで診断する場合に比べ,一層病理所見と相応するものと考えられる。したがって,C5医師らによりじん肺所見の有無及びその程度が「第0型(PR0/0(じん肺所見)」が認められない)と診断された1審原告等については,そもそも「線維結節性変化」は認められないし,病理学的見地からしても「管理2に至ら,ない線維結節性変化」は直接確認されていない。 イまた,C5医師らによりじん肺所見の有無及びその程度が「第0型(PR0/1(管理2に至らない管理1相当)と診断された1審原告等に)」ついては,医学上一般に,自覚症状(咳・痰)や肺機能障害はほとんど生じないとされており,これらの1審原告等に 程度が「第0型(PR0/1(管理2に至らない管理1相当)と診断された1審原告等に)」ついては,医学上一般に,自覚症状(咳・痰)や肺機能障害はほとんど生じないとされており,これらの1審原告等には,そもそも損害賠償に値する具体的な健康被害は生じていない。仮に,これらの1審原告等に自覚症状(咳・痰)があったとしても,喫煙の影響やその他の原因によるものと考えるのが妥当である。 ウしかも,C5医師らが「第0型」と診断した1審原告等については,今後じん肺が進行する可能性や顕在化する可能性は極めて低い。 (3)亡B5について(1審原告らの主張)亡B5のじん肺罹患を否定する1審被告らの主張は争う。C5医師らの胸部エックス線写真の読影結果が管理区分決定手続における読影結果と異なるというだけでは,管理区分決定の高度の信用性を合理的に疑わせるに足りないというべきである。 (1審被告らの主張)- 24 -亡B5の胸部CT写真(平成15年2月4日撮影・乙B4の1の2)は,じん肺の粒状影の有無及びその程度の判断に耐え得るものである(C5医師及びC4医師作成の鑑定意見書(4)・乙316。他方,C1医師による画)像診断の信用性には大いに疑義がある上,平成13年2月22日に撮影された胸部CT写真(乙B4の1の4)にもじん肺所見は認められない(上記鑑定意見書(4)・乙316。 )(4)1審原告A21について(1審原告らの主張)原判決が1審原告A21のじん肺罹患を認定したことは不当であるとの1審被告らの主張は争う。C5医師らの胸部エックス線写真の読影結果が管理区分決定手続における読影結果と異なるというだけでは,管理区分決定の高度の信用性を合理的に疑わせるに足りないというべきである。 (1審被告らの主張)上記のとおり,C5医師らは,あくまでも原則とし 理区分決定手続における読影結果と異なるというだけでは,管理区分決定の高度の信用性を合理的に疑わせるに足りないというべきである。 (1審被告らの主張)上記のとおり,C5医師らは,あくまでも原則として,開示を受けた資料のうち最新の胸部エックス線写真の読影結果を主体とし,胸部エックス線写真の読影結果の正確性をより担保するために,開示を受けた最新の胸部CT写真の読影結果を考慮に入れてじん肺所見の有無及びその程度を総合的に判断したものであり,開示を受けた最新の胸部エックス線写真(乙B18の1の1)に基づいても,1審原告A21のじん肺の有無及びその程度は,管理1相当と認定できるし,同人の胸部CT写真(乙B18の1の2)には,じん肺による粒状影がまず出現する上中肺野特に上肺野部位のスライスD()(11,D12)が含まれているところ,左側上肺野にごくわずかに粒状影が認められるとのC5医師らの読影結果は,上記胸部エックス線写真に対する読影結果の正確性を担保している。したがって,1審原告A21が管理2に相当するじん肺に罹患しているとの原判決の認定は誤りである。 (5)亡B1について- 25 -(1審原告らの主張)1審被告らは,亡B1の医療記録が開示されていないと非難するが,文書提出命令により必要な医療記録は開示済みであり,他に適当な医療記録は見受けられない。また,1審被告らは,C1医師の証言を論難するが,管理区分決定手続においては,粉じん暴露職歴のあることが判定の要件となっているから,C1医師の証言は同手続の枠組みに適合し正当である。 (1審被告らの主張)1審原告らは,C5医師らの鑑定意見が指摘した亡B1の症状についての数々の疑義に対し,亡B1の肺の状況の経過を示す事実や根拠資料を何ら明らかにしておらず,亡B1がじん肺ないし続発性気管支炎 の主張)1審原告らは,C5医師らの鑑定意見が指摘した亡B1の症状についての数々の疑義に対し,亡B1の肺の状況の経過を示す事実や根拠資料を何ら明らかにしておらず,亡B1がじん肺ないし続発性気管支炎に罹患している事実についての立証責任を果たしていない。 C1医師の証言は,亡B1の胸部エックス線写真上の不整形陰影がじん肺以外による場合があることを認めながら,客観的な医学的資料に基づいて合理的に鑑別することなく,単に亡B1に粉じん暴露の職歴があることを理由に,亡B1の画像上の所見がじん肺に起因するものと推測しているだけであり,C1医師の鑑定意見には合理的な根拠がなく,信用性に乏しい。したがって,亡B1がじん肺に罹患していたとは認められない。 争点2(2)(じん肺による健康被害・合併症等の有無)について(1)続発性気管支炎について(1審原告らの主張)ア1審原告等は,厳格な手続である管理区分決定によってじん肺に罹患していることが認定され,同様に厳格な手続により続発性気管支炎の診断基準を満たすとして合併症の罹患が認定されているのであるから,続発性気管支炎に罹患していると認定せず「続発性気管支炎に類する症状」が生,じていると認定した原判決は誤りである。 イ1審被告らは,損害賠償請求訴訟における損害の認定は,労災認定と比- 26 -べて厳密にされるべきである旨主張するが,労災保険給付を受けるためには,負傷又は疾病の存在とこれらが業務に起因することについて認定を受ける必要があるし,労災保険給付において,損害賠償請求訴訟に比べて労働者が保護されるのは,使用者が無過失責任を負うという点であり,本件では,1審被告らの過失ないし安全配慮義務違反を1審原告らが主張立証しているから,労災保険上の認定が損害賠償請求訴訟における損害の認定と比べて厳密 のは,使用者が無過失責任を負うという点であり,本件では,1審被告らの過失ないし安全配慮義務違反を1審原告らが主張立証しているから,労災保険上の認定が損害賠償請求訴訟における損害の認定と比べて厳密ではないとの1審被告らの主張は誤りである。 また,1審被告らは,続発性気管支炎の認定要件等をるる主張するが,じん肺診査ハンドブックに記載されていない独自の要件を主張しているにすぎず,失当である。 (1審被告らの主張)ア損害賠償請求訴訟における損害の認定は,労災認定と比べて厳密にされるべきであり,民事訴訟制度と趣旨を異にする労災保険給付の支給決定の事実は,続発性気管支炎の罹患の事実を基礎付けるものとはいえない。しかも,現在の続発性気管支炎の認定・審査方法は,主治医が提出した「じん肺健康診断結果証明書」等のみの書面審査であり,その審査方法には自ずから限界があるし,続発性気管支炎の労災認定後においても,地方じん肺診査医等は,主治医が毎年提出する「労働者災害補償保険診断書(じん肺用(年金通知様式第2号の1」のみの書面審査で,続発性気管支))炎認定者の続発性気管支炎罹患の有無や同症に相当する所見・症状を判断しているにすぎない。 イそもそも,続発性気管支炎に罹患したと診断されるためには,①画像診断結果においてじん肺法上のじん肺の所見が明らかで(第1型〔PR1〕以上,管理2相当又は管理3相当であること,②1年のうち3か月以上),,,毎日のように咳と痰があり痰の量は起床後約1時間で3ml以上かつ痰の性状が膿性痰(MillerとJonesの分類におけるP1からP3)である- 27 -ことが客観的に確認されていなければならないこと(これによって,1年のうち3か月以上毎日のように気道感染を伴っていることが客観的に認められなければならないこと) るP1からP3)である- 27 -ことが客観的に確認されていなければならないこと(これによって,1年のうち3か月以上毎日のように気道感染を伴っていることが客観的に認められなければならないこと)が必要である。 そして,1審原告等の各診療録等には,続発性気管支炎の継続的な罹患。 ,を示す継続的な喀痰検査等の客観的なデータは何ら示されていないまた「持続性のせき,たんの症状を呈する気道の慢性炎症性変化というじん肺の病変に細菌感染等が加わって生じた可逆性の気道感染(乙43,29」7)という続発性気管支炎の定義からすれば,続発性気管支炎の治療方法は「細菌感染」を念頭においた抗生剤の投与が中心となり,対症療法は治療の中心にはならないのに,1審原告等の診療録等の記載や1審原告等に対する治療内容からすれば,1審原告等が続発性気管支炎に罹患している事実を認めることはできず,これと異なる原判決の認定は誤りである。 ウまた,原判決は,管理2に至らない線維結節性変化を認める1審原告等には,続発性気管支炎に類する症状が生じているとする。 しかしながら,続発性気管支炎がじん肺の法定合併症とされた医学的意図や医学的配慮は,管理2以上の患者を前提としており,管理1相当の1審原告等について,そもそも続発性気管支炎や続発性気管支炎に類する症状なるものを検討する余地はないし,医学上一般に,標準フィルム1型程度(管理2相当程度)の画像所見が出現した労働者でも無症状であることが多く,標準フィルム2型程度(管理3相当程度)の画像所見を呈するじん肺症でも無症状の例はまれでないといわれており(乙216,管理1)相当の画像所見の場合,粉じん暴露の影響に起因する自覚症状は医学上一般的に認められないのは当然のことと考えられる。 したがって,1審原告等が日常の自覚症状として咳や痰が れており(乙216,管理1)相当の画像所見の場合,粉じん暴露の影響に起因する自覚症状は医学上一般的に認められないのは当然のことと考えられる。 したがって,1審原告等が日常の自覚症状として咳や痰があると訴えているからといって,じん肺に起因する症状とはいえず,喫煙の影響やその他の原因によるものと考えるのが妥当である。 - 28 -(2)じん肺死又は共同原因死についてア亡B5について(1審原告らの主張),,1審被告らは亡B5の死因はじん肺ではなく喫煙であると主張するが。 ,喫煙と死亡との因果関係については何ら具体的に立証されていないまたじん肺死の認定は,遺族の申請を受けた労働基準監督署が審査し,遺族補償給付の支給決定としてされるから,主治医の死亡診断書に「じん肺」の記載がないことをもって,上記支給決定が覆されるわけではない。 (1審被告らの主張)上記のとおり,亡B5にはじん肺所見が認められないから,同人が管理区分決定及び遺族補償給付の支給決定を受けている事実だけでは,同人がじん肺により死亡したと認定することはできない。亡B5の直接の死因である慢性閉塞性肺疾患に関する医学的知見(乙191,361)に加え,同人がブリンクマン指数が少なくとも960の重喫煙者(乙B4の2)であること,亡B5の主治医が診察当初から著しい閉塞性肺機能障害や最重症の肺気腫を主体とした慢性閉塞性肺疾患を認め,平成14年度(平成15年2月21日)及び平成15年度(平成16年1月27日)に,原因となった疾病・傷病名を肺気腫として身体障害者3級を申請する一方で,管理4に該当するとして管理4の管理区分決定申請をしていないことからす,,れば仮に亡B5に何らかのじん肺に起因する所見が認められるとしても喫煙がその死亡に大きく寄与したと判断される。 したがって,公 4に該当するとして管理4の管理区分決定申請をしていないことからす,,れば仮に亡B5に何らかのじん肺に起因する所見が認められるとしても喫煙がその死亡に大きく寄与したと判断される。 したがって,公平の観点からすれば,民法418条又は民法722条の適用又は類推適用により,損害額について相当程度の減額がされるべきであり,その割合は9割を下らない。 イ亡B1について(1審原告らの主張)- 29 -1審被告らの主張は争う。 (1審被告らの主張)上記4(5)のとおり,亡B1がじん肺に罹患しているとは認められないから,じん肺死にも共同原因死にも当たらない。 ウ亡B6について(1審原告らの主張)1審被告らは,亡B6の死亡とじん肺罹患との間には相当因果関係は認められないと主張するが,主治医に医療過誤があったという1審被告らの主張は単なる可能性を示すにすぎない。 仮に,亡B6の主治医に医療過誤に該当するような不適切な診断等があり,適切な診断及び治療をしていれば,亡B6に死亡の結果が生じなかったとしても,亡B6は,1審被告らの安全配慮義務違反によってじん肺に罹患し,じん肺が原因で肺がんに罹患し,肺がんが原因で死亡するに至ったのであり,このような経緯に因果関係が認められること自体は変わりはないから(最高裁平成13年3月13日第三小法廷判決・民集55巻2号328頁,1審被告らの責任を免責しないし減縮もしない。 )(1審被告らの主張)亡B6の主治医が肺がん検査の実施を怠り,肺がんの確定診断が平成20年2月まで遅れた結果,亡B6は死亡するに至ったのであるから,亡B6の原発性肺がんの罹患と死亡との間に相当因果関係は認められない。原判決は,同人の主治医に「過失を認めるに足りる証拠はない「亡B6。」,が罹患していた肺がんは同人を死に至らしめる危険性の ,亡B6の原発性肺がんの罹患と死亡との間に相当因果関係は認められない。原判決は,同人の主治医に「過失を認めるに足りる証拠はない「亡B6。」,が罹患していた肺がんは同人を死に至らしめる危険性の高い疾病であり,それが被告らの安全配慮義務違反及びそれを原因とするじん肺に起因して生じたものである以上,仮に被告らの主張するように当該病院の過失によ,。」って肺がんの発見が遅れたのだとしても相当因果関係は否定されない,。 との結論を示すのみで何ら合理的な理由がないからいずれも失当である- 30 -エ亡B3について(1審原告らの主張)(ア)亡B3は,じん肺のために肺がひどく悪化していたため,リンパ腫の治療薬の投与を十分に受けることができずに死に至ったのであるから,これを実質的に評価すれば「じん肺死」というべきであり,この点を考慮することなく「じん肺死」を否定した原判決は誤りである。 (イ)仮に,亡B3が「じん肺死」でないとしても,上記のとおり,じん肺の影響により十分な治療を受けることができずに死に至ったと認められるから「じん肺症のため,別の疾病の発見が遅れたり,適切な治療,を行うことが困難となり,それが死亡に対して重要な原因となったと認められる場合,すなわちじん肺死に準ずる「共同原因死」として評価」するのが相当である。 亡B3の直接の死因であるホジキンリンパ腫は悪性リンパ腫リ「」,(ンパ組織を作っている細胞が悪性化したがん)の一種であり,平成20年7月23日に実施されたリンパ節の生検の結果により診断された病期はⅣ期(病変がリンパ組織以外の部位に広汎に及んでいる場合)であった。したがって,四つの抗がん剤を組み合わせて投与する「ABVD療法」(ABVDは四つの抗がん剤の頭文字)を実施するのが標準的であるが,ブレオ 変がリンパ組織以外の部位に広汎に及んでいる場合)であった。したがって,四つの抗がん剤を組み合わせて投与する「ABVD療法」(ABVDは四つの抗がん剤の頭文字)を実施するのが標準的であるが,ブレオマイシンは,亡B3のようにじん肺に罹患している患者に使用することは禁忌であるとされているため「AVD療法」を行うし,かなかった(甲A146ないし152。 )Ⅳ期のホジキンリンパ腫の患者であっても「40~65パーセント,が治癒(甲A142「70~80%は完全寛解に達し,50%以上」),が10~15年の無病期間を維持している(甲A143「最近では」),70%以上の症例で寛解(一時的に正常な状態になること)となり,その半数以上が10年間再発することなく生存できる(甲A144)等」- 31 -,,の解説がされているが発病から4年も待たずに亡B3が死亡したのはじん肺に罹患していたために「ABVD療法」という適切な治療を行うことが困難であったからであり,じん肺症が死亡に対して重要な原因となったと認められる。したがって,亡B3がじん肺死に準ずる「共同原因死」に至ったことは明らかである。 (1審被告らの主張)(ア)亡B3は,平成12年に肝多発腫瘍を発症し,T細胞リンパ腫を疑われてCHOP療法による化学療法を受け,その後,無症状で経過したが,平成20年7月になってホジキンリンパ腫と診断された。亡B3を治療したD1病院の主治医が作成した死亡診断書には「死亡の原因,Ⅰ(ア)直接死因」欄に「ホジキンリンパ腫「発病(発症)又は受傷か」,ら死亡までの期間」欄に「約12年」と記載されているから,平成12年から亡B3を治療した上記主治医は,平成12年にT細胞リンパ腫と疑った肝多発腫瘍は,最終的にはホジキンリンパ腫であったと診断したことを 亡までの期間」欄に「約12年」と記載されているから,平成12年から亡B3を治療した上記主治医は,平成12年にT細胞リンパ腫と疑った肝多発腫瘍は,最終的にはホジキンリンパ腫であったと診断したことを示していると思われる。したがって,亡B3のホジキンリンパ腫の発症は,平成12年まで遡る可能性が高い。 (イ)また,1審原告らは,亡B3にはブレオマイシンを使用することができなかった旨主張するが,ブレオマイシンのインタビューフォームには,じん肺患者に対する投与を禁忌とする旨の具体的な記述は認められないし(なお,じん肺は,禁忌とされている「びまん性の線維化病変」には該当しない,亡B3の主治医は,じん肺ではなく間質性肺炎の。)既往を考慮してブレオマイシンを使用しなかったのであり(甲A146ないし149,じん肺と間質性肺炎は医学的に見て別の疾病であるか)ら,じん肺の罹患を理由にブレオマイシンの使用を避けたのであれば,そのように入院総括に記載するはずである。 したがって,亡B3にブレオマイシンが使用されなかったこととじん- 32 -肺の罹患とは関連がない。 (ウ)そもそも,亡B3には,少なくとも4個の予後不良因子があり,平成20年7月に再発したホジキンリンパ腫は,難治な状態に至っていたと考えられるから,亡B3の死亡とじん肺の罹患とは関連がない。 争点2(3)(減額要素の有無)について(1)肺機能障害の有無について(1審被告らの主張)管理区分や合併症の有無だけで,客観的に全ての損害の有無及びその程度を把握できるという合理的な理由はなく,原判決のように「損害額は,基,本は管理区分に応じて評価すべきである」とすると,その損害の程度が大きく異なる肺機能障害の有無が何ら考慮されないことになり妥当でない。 したがって,肺機能障害の有無は,1審原 ように「損害額は,基,本は管理区分に応じて評価すべきである」とすると,その損害の程度が大きく異なる肺機能障害の有無が何ら考慮されないことになり妥当でない。 したがって,肺機能障害の有無は,1審原告等の身体の損害の状況を示すものとして,損害額の認定において考慮されるべき要素であり,肺機能障害がない1審原告等については,相当程度の減額がされるべきである。 (1審原告らの主張)死に至る病であるじん肺に罹患した者は,慰謝料として一律に3000万円を下らない損害を被ったと認めるのが相当であるから,進行過程にある病態のどの段階で損害賠償請求をしたかによって損害額に差を認めるのは妥当でない。また,肺機能の低下に対する治療が一時的に功を奏して肺機能障害がない状態(F(-))と診断されることはあっても,肺機能の低下を完全に食い止めることはできない。 したがって,1審被告らの主張は理由がない。 (2)労災保険給付について(1審被告らの主張)原判決は,1審原告らが主張する包括的一律請求について「財産的損害,を被ったことも慰謝料の一事情としているのであるから,上記のように原告- 33 -等が被った財産的損害が労災保険給付等によって一定程度で填補されて減少している以上,その事実は慰謝料額を減額する一事情として斟酌するのが相当である」としながら,労災保険給付等の受給額の多寡にかかわらず,管。 理区分と合併症の有無によって損害額を算定している。 しかも,本判決別紙6「労災保険給付等一覧表」記載のとおり,控訴審の口頭弁論終結日までに,1審原告等(ただし,亡B2は平成24年10月11日まで,亡B1は平成26年12月22日まで,亡B3は平成24年3月2日まで。また,1審原告A14,同A15及び同A16を除く)のうち。 最も多い者1審原告A13は約7400万円を 24年10月11日まで,亡B1は平成26年12月22日まで,亡B3は平成24年3月2日まで。また,1審原告A14,同A15及び同A16を除く)のうち。 最も多い者1審原告A13は約7400万円を受給し最も少額の者 (),(審原告A9)でも約1500万円を受給すると試算されるから,1審原告等の損害額を認定するに当たっては,このような多額の労災保険給付等を受給している事実及び1審原告らの間における受給額の差異を具体的に考慮すべきである。 (1審原告らの主張)1審原告らは,1審原告等に様々な損害が発生し,今後も発生することを斟酌すべき事情に含ませた「慰謝料」の名目で,総額として損害賠償を包括的・一律に請求しているのであるから,1審原告らの個別の労災保険給付額を指摘することは不合理である。 争点2(4)(損害額)について(1)包括的一律請求について(1審原告らの主張)1審原告らは,じん肺の特性(不可逆性,進行性,全身性)を根拠に包括的一律請求をしており,じん肺患者に待っているのは苦しみ抜いた上でのじん肺死であるから,たとえ現時点での管理区分等が重篤な状況に至っていなくても,このような特性をもつ重大な疾病に罹患し,深刻な苦痛をもたらすことが明白な1審原告等の苦痛を慰謝するために必要な賠償額は各3000- 34 -万円を下回らない。じん肺の特性を認定しながら,1審原告らの包括的一律請求を認めなかった原判決は,1審原告等の損害評価を誤っている。 (1審被告らの主張)じん肺の進行性・全身疾患性を前提として1審原告等の損害を認定することが誤りであることは後述するとおりである。そもそも,1審原告等は,かつて見られたような重篤なじん肺症例とはその症状を全く異にしており,じん肺による健康障害や予後を論ずる上で,重篤なじん肺症例と同列 とが誤りであることは後述するとおりである。そもそも,1審原告等は,かつて見られたような重篤なじん肺症例とはその症状を全く異にしており,じん肺による健康障害や予後を論ずる上で,重篤なじん肺症例と同列に扱うことはできない。 (2)じん肺の進行性・全身疾患性と1審原告等の損害について(1審原告らの主張)じん肺が,不可逆性,進行性及び全身疾患性の疾患であることは明白であり,じん肺の進行性や全身疾患性に基づいて損害額を認定することはできないとする1審被告らの主張は誤りである。なお,じん肺の全身疾患性につい,。 ては体内における粉じんの堆積による免疫機能の低下も重要な内容である(1審被告らの主張),(),胸部エックス線写真上じん肺の所見が第1型PR1の者であってもほとんどの場合じん肺は進行せず,特に粉じん作業を離脱してから15年以上が経過している者については,今後じん肺管理区分が上位に変更される程度のじん肺が進行する可能性は極めて低いし,画像診断結果において直近におけるじん肺所見が第0型(PR0)の者が,今後じん肺が顕在化する可能性やじん肺が進行する可能性は,第1型(PR1)の者以上に低いことは当然である。また,じん肺の全身疾患性についても,そもそも,わが国では症例報告はあるものの,疫学的な検証はされていないため,確実な知見は得られていない(乙285。 )したがって,じん肺の進行性や全身疾患性に基づいて損害額を認定することはできない。 - 35 -(3)管理2に至らない1審原告等の損害について(1審原告らの主張)1審原告等のうち19名について管理2に至らないと認定した原判決は誤りであるから,1審被告らの主張は前提を欠く。 (1審被告らの主張)これまでのじん肺訴訟の裁判例では,管理1相当の場合,損害賠償に値する損害の発生 19名について管理2に至らないと認定した原判決は誤りであるから,1審被告らの主張は前提を欠く。 (1審被告らの主張)これまでのじん肺訴訟の裁判例では,管理1相当の場合,損害賠償に値する損害の発生は認められていない。そして,原判決が「管理2に至らない,線維結節性変化」が生じていると認めた1審原告等には,そもそもそのような所見は認められないか,今後,じん肺が顕在化する可能性は極めて低いことは上記のとおりであるから,損害賠償に値するじん肺に起因する人体への被害や具体的な健康被害は生じていない。 (4)原発性肺がんの罹患(1審原告A26)について(1審原告らの主張)1審被告らは,1審原告A26の肺がんは完治したから2300万円の損害額は高額にすぎる旨主張するが,肺がんという致死性の病に罹患したこと及び根治手術等のがん治療を余儀なくされたこと自体の精神的苦痛は多大であるし,肺がんの転移・再発率は高いから,再発リスクを過小評価する1審被告らの主張は妥当でない。 (1審被告らの主張)1審原告A26が罹患した肺がんは早期肺がんであった上,平成20年10月15日に根治切除すなわち根治手術(完治することが期待できる手術)ができている(乙B9の2の1。しかも,手術から既に5年以上が経過し)ているが,1審原告A26に肺がんが再発した事実はない。そうすると,1審原告A26が罹患した肺がんは完治したと考えられ(乙261) 「原発性,肺がんは,他の法定合併症に比して死に至る危険が高い」との原判決の判断は1審原告A26には妥当しないから,1審原告A26の損害額を2300- 36 -万円(過失相殺前)とすることは明らかに妥当でない。 (5)1審原告A8について(1審原告らの主張)1審原告A8の有限会社G3における就労期間は,昭和60年2月1日から昭 2300- 36 -万円(過失相殺前)とすることは明らかに妥当でない。 (5)1審原告A8について(1審原告らの主張)1審原告A8の有限会社G3における就労期間は,昭和60年2月1日から昭和61年4月3日までであり(甲B30の5。当審において主張を訂正する,1審被告三井金属での就労期間を合わせると,合計3年3か月に。)わたり坑内作業に従事したことになる。1審原告A8は,これ以外に粉じんに暴露するような仕事には従事しておらず,管理区分2に認定された昭和60年12月27日は,有限会社G3における就労期間中である。そして,粉じん暴露期間が5年未満ではじん肺に罹患しないとはいえないから,1審原告A8が粉じん暴露期間3年程度でじん肺に罹患したことは何ら不合理ではなく,1審被告らの責任を限定する理由は全くない。 (1審被告らの主張)1審原告A8は,昭和51年11月15日から昭和53年12月30日まで1審被告三井金属において神岡鉱山の坑内作業に従事し,当審における同人の主張を踏まえても,神岡鉱山の坑内作業に従事した期間合計はわずか3年3か月であって,かかる期間でじん肺に罹患する可能性は決して高くないから,1審被告らに何らかの安全配慮義務違反が認められるとしても,その行為とじん肺罹患についての因果関係の一部は存在しない。 したがって,どんなに多く見積もっても,1審被告らの1審原告A8についての損害の寄与の割合は3分の2を超えるものではない。 なお,1審原告A8は,昭和54年5月から昭和60年2月まで土木作業会社に勤め,昭和61年から昭和63年2月まで土木作業会社で「石積みやコンクリート打設などの仕事」を,昭和63年2月から平成元年3月まで石材店で「大理石の切断や加工の作業」をしたのであるから(甲B30の4・5,神岡鉱山以外にじん肺に罹患す で土木作業会社で「石積みやコンクリート打設などの仕事」を,昭和63年2月から平成元年3月まで石材店で「大理石の切断や加工の作業」をしたのであるから(甲B30の4・5,神岡鉱山以外にじん肺に罹患する粉じん職場はないとの1審原告らの)- 37 -主張は事実でない。 争点4(1)(喫煙による過失相殺の有無)について(1審被告らの主張)(1)喫煙が多くの疾病の罹患率を上げることは知られている(乙181,185,187,188。また,昭和47年以降,たばこの包装に喫煙の有)害性に関する注意表示がされている上,神岡鉱山では,少なくとも昭和52年4月から平成元年12月にかけて,社内報や労働組合報に喫煙の有害性に関する記事が掲載されていたから(乙197ないし200,1審原告等の)うち喫煙歴が認められる者については,少なくとも喫煙の身体に対する有害性を認識し又は認識することが可能でありながら,喫煙を開始・継続していたということができる。また,じん肺健康診断では,喫煙歴について詳細に問診することになっており,当然のことながら,1審被告らの産業医は,喫煙歴の聴取結果に基づいて禁煙指導をしていた。そして,たばこが代表的な嗜好品として許容されているとしても,そのことは,喫煙の開始・継続は個人の自由な意思に基づくものであって,喫煙による健康被害は喫煙者自身の責めに帰するものであることを意味する。 しかも,喫煙は,じん肺による線維化の進行や肺機能の低下に関与しており(乙115,肺機能障害や咳・痰などの自覚症状にも有害であるから,)喫煙歴が認められる1審原告等のうち,直近における肺機能の状態が「F(+)」相当以上の「閉塞性換気障害(閉塞性肺機能障害」や「強い閉塞性)換気障害を主体とした混合性換気障害(混合性肺機能障害」と認められる)者につい 原告等のうち,直近における肺機能の状態が「F(+)」相当以上の「閉塞性換気障害(閉塞性肺機能障害」や「強い閉塞性)換気障害を主体とした混合性換気障害(混合性肺機能障害」と認められる)者については,喫煙の影響の寄与割合がじん肺の寄与割合を上回っていることは明白であるし,仮に咳や痰といった自覚症状があったとしても,喫煙の影響が相当程度寄与していることは明らかである。 (2)一般に,非喫煙者の肺がんリスク(組織型を問わず肺がん全体を対象)を1とした場合の喫煙者の相対リスク(相対危険度)は男性で4ないし5倍- 38 -とされているし,1審原告A26が罹患した「扁平上皮がん」は,従来より喫煙と強い関連性があるといわれ,ブリンクマン指数600ないし800の重喫煙者である1審原告A26の場合は,相対危険率8.22倍と推定されている(乙231。亡B4が罹患した「腺がん(肺腺がん」は,ブリン))クマン指数の予測値が少なくとも715以上の重喫煙者である亡B4の場合,相対危険率は2.56倍以上になる(乙230,231。他方,じん)肺そのものが肺がんを引き起こすリスクは最大に見積もっても4倍程度である(乙218。そうすると,1審原告A26の場合,じん肺による肺がん)発生リスク:喫煙による肺がん発生リスク=4倍:8倍となり,どんなに少なくても6割について喫煙が寄与したものといえるし,亡B4の場合は,同様に4倍:2.5倍となり,どんなに少なくても4割について喫煙が寄与したものといえる。また,ブリンクマン指数が少なくとも約640以上の重喫煙者である亡B2についても,喫煙による肺がんの発生リスクは相当程度存在したから,その割合は1割を優に超える。 したがって「一律に損害額の1割を減額するのが相当である」とする,。 原判決の判断は,明らかに妥当でな についても,喫煙による肺がんの発生リスクは相当程度存在したから,その割合は1割を優に超える。 したがって「一律に損害額の1割を減額するのが相当である」とする,。 原判決の判断は,明らかに妥当でない。 なお,原判決は,亡B4には極めて長期間にわたる喫煙歴があることを認定しながら,同人が平成22年3月19日に管理2の決定を受けてから肺がん罹患までの喫煙期間が短いことを理由に損害額の減額を否定するが,亡B4は,1審被告三井金属を昭和53年11月30日付けで退職した後,随時申請(じん肺法15条1項)をした結果として上記の管理区分決定を受けているものの,退職後の約30年の間に同人にじん肺法上のじん肺所見が出ていた可能性は否定できない。原判決の判断では,随時申請の時期によって過失相殺が認められるか否かが左右されることになり,1審被告らが極めて不安定な立場に置かれるから,損害の公平な分担の判断が適切に行われているとは到底いい難い。 - 39 -(1審原告らの主張)(1)喫煙習慣が多くの疾病の罹患率を上げるという統計が示されても,1審原告等に生じた個別具体的な損害に対し,喫煙習慣がどの程度寄与したかを示すものではないし,健康に対する喫煙の影響は,喫煙感受性の有無や程度によって大きく左右される優れて個人的な結果であるから,1審原告等に生じた個別具体的な損害への悪影響を立証したことにはならない。 また,たばこは嗜好品として許容されているから,喫煙の危険性や依存性を十分理解せずに喫煙が開始されやすいし,その後の喫煙経験の中で,じん肺被害に関わる警告表示に接したとしても,依存性の高さからすれば,喫煙の継続が喫煙者の意思に基づく行為として過失相殺の対象とされるべきではない。 1審被告らは,社内報や労働組合報からも喫煙の有害性を認識できたと主張するが,こ たとしても,依存性の高さからすれば,喫煙の継続が喫煙者の意思に基づく行為として過失相殺の対象とされるべきではない。 1審被告らは,社内報や労働組合報からも喫煙の有害性を認識できたと主張するが,これらは喫煙の有害性を包括的に啓蒙するもので,じん肺被害を具体的に想起させるものではなかった。そもそも,神岡鉱山では,従業員が集まる事務所や食堂には灰皿が多数置かれていた上,坑内では作業の合間に日常的に喫煙が行われ,指導的な立場にある現場監督や労働環境に配慮すべき立場にある保安係員も同様であって,むしろ,喫煙習慣を助長するような社内の風潮が根強かったのであるから,社内報や労働組合報が喫煙の有害性の認識ないしその可能性の根拠とはならない。 (2)1審被告らが,公平の見地から過失相殺の類推適用を主張するのであれば「不法行為により傷害を被った被害者が平均的な体格ないし通常の体質,と異なる身体的特徴を有しており,これが,加害行為と競合して傷害を発生させ,又は損害の拡大に寄与したとしても,上記身体的特徴が疾患に当たらないときは,特段の事情がない限り,これを損害賠償の額を定めるに当たり斟酌することはできないから(最高裁平成8年10月29日第三小法廷判決・民集50巻9号2474頁参照,喫煙歴が疾病と同視できるような事情)- 40 -,。」がない限り民法722条2項の類推適用は許されないというべきであるとの規範が当てはまり,本件では,1審原告等の個別の損害に対する喫煙の影響は立証されておらず,1審原告等が1審被告らから禁煙教育を受けたという的確な証拠もないから,過失相殺の類推適用も認められない。 争点4(2)(防じんマスク不着用による過失相殺の有無)について(1審被告らの主張)(1)1審被告らが,1審原告等を含む作業員に対し,日頃から防じんマ から,過失相殺の類推適用も認められない。 争点4(2)(防じんマスク不着用による過失相殺の有無)について(1審被告らの主張)(1)1審被告らが,1審原告等を含む作業員に対し,日頃から防じんマスク着用の重要性の指導を徹底していたことは,上記のとおりである。そして,個々の粉じん作業者が自ら高い意識を持って防じんマスクの着用を励行し,自己保健義務を尽くさなければ,じん肺防止効果を期待することはできないから,この点を損害の減額要素として判断していない原判決は失当である。 (2)また,原判決は,保安を指導,監督すべき保安係員等であった者について,過失相殺を否定するが,じん肺罹患の可能性は,粉じん暴露量の増加によって高まることは当然の前提であり,少なくとも,高い保安意識を持つべき保安技術職員の資格を取得した以下の1審原告等が,資格取得後も漫然と防じんマスクの不着用を続けた結果,じん肺に罹患したとすれば,そのような行動は当然にじん肺の罹患や進行に寄与したといえるから,損害額の減額要素(過失相殺あるいは過失相殺類推適用)として考慮されるべきである。 管理区分決定日資格取得日A27昭和60年10月11日乙279昭和52年11月10日(乙27)()亡B5昭和56年9月30日乙273昭和48年11月1日(乙27)()A3昭和59年11月29日乙277昭和48年11月1日(乙27)()A20昭和51年10月12日乙268昭和48年11月1日(乙27)()A28昭和57年8月30日乙275昭和49年11月1日(乙237)()A7昭和55年2月13日乙272昭和48年11月1日(乙27)()- 41 -亡B3昭和54年3月7日乙270昭和45年11月16日(乙237)()(1審原 237)()A7昭和55年2月13日乙272昭和48年11月1日(乙27)()- 41 -亡B3昭和54年3月7日乙270昭和45年11月16日(乙237)()(1審原告らの主張),(1)1審被告らが防じんマスクの着用をほとんど重要視してこなかったこと日常的にも防じんマスク着用の指導を徹底していなかったことは,1審被告らが粉じん吸入防止策等について昭和55年のじん肺教育を実施した証拠を示すのみであること及び1審原告らの供述等から明らかである。 (2)そして,1審被告らは,保安技術職員の資格を持つ1審原告等に対し,坑内の危険排除や事故防止を重視した指導を徹底し,保安係員にさえノルマを課して防じんマスク着用を含む防じん対策を疎かにさせ,防じん対策に関する高い認識を維持させることを怠ってきたのであるから,保安技術職員の資格を持つ1審原告等とそうでない1審原告等とを区別すべきではない。 また,1審原告等は,粉じん発生対策が不十分であったため,基本的にはきちんと防じんマスクを着用しており,作業中に息苦しさを感じた場合や,危険を回避するために明確に会話する必要がある場合など,やむを得ない場合のみ防じんマスクを外していたのであって,漫然と防じんマスクを着用していなかったわけではないから,減額要素となるはずがない。 そもそも,粉じんをどの程度どのくらいの期間吸入すればじん肺に罹患するのか,防じんマスクをどの程度着用していなければじん肺発生率や進行率がどの程度上がるのかは解明されていない。単純に保安技術職員の資格取得時期と管理区分決定の時期を比較し,前者が後者よりも早ければ,損害の発生に寄与したと断じることは,根拠のない強弁にすぎない。 争点5(1)イ(不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点)について(当 分決定の時期を比較し,前者が後者よりも早ければ,損害の発生に寄与したと断じることは,根拠のない強弁にすぎない。 争点5(1)イ(不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点)について(当審における新たな争点)(1審原告A13らの主張)(1)1審被告らは,不法行為責任によっても,1審原告A13らが被った損害を賠償すべき義務があることは明らかである。 - 42 -そして,不法行為に基づく損害賠償請求権の短期(3年)消滅時効の起算点を定めた民法724条前段(損害及び加害者を知った時)は,被害者は,単に損害と加害者だけでなく,不法行為であること(違法性,因果関係)を,「」,知ることも必要であると解されており損害及び加害者を知った時とは1審原告A13らが1審被告らに対して損害賠償請求が可能であることを現実に認識した時である(認識可能性では足りない)と解すべきである。 (2)そして,1審原告A13らは,いずれも法律的知識をほとんど有しないといっても過言ではなく,管理区分決定を受けて自分がじん肺に罹患したことを知ったとしても,それが1審被告らの不法行為に起因し,1審被告らに対する損害賠償請求権があることを理解するのは極めて困難であるから,このような1審原告A13らが現実に1審被告らに対する損害賠償請求権を行使することができるためには,専門的知識を有し,一定の力量を有する弁護士や労働組合の専従職員から,この点に関する詳しい説明を受けることが必要不可欠であった。 したがって,1審原告A13については,河合良房弁護士から説明を受けた平成21年5月15日の時点に至って初めて,同A14,同A15及び同A16については,G4労働組合職員のEから説明を受けた平成22年8月12日の時点に至って初めて,1審被告らに対する損害賠償請求が可能で 21年5月15日の時点に至って初めて,同A14,同A15及び同A16については,G4労働組合職員のEから説明を受けた平成22年8月12日の時点に至って初めて,1審被告らに対する損害賠償請求が可能であることを現実に認識し「損害及び加害者を知った」というべきである。 ,そうすると,1審原告A13らの1審被告らに対する不法行為に基づく損害賠償請求権は,いまだ消滅時効期間は経過していない。 (1審被告らの主張)1審被告らは,1審原告等を含む入社した従業員らに対し,徹底したじん肺,,,教育を行いじん肺健康診断を実施し管理区分決定を個別に通知していたし1審原告等の多くが,健康診断を実施した医師からも管理区分決定を告げられている。1審原告A13らは,初回の管理区分決定を受けた時点で,その疾病- 43 -の原因が従事していた業務にあること,その疾病がどのようなものであるかを十分理解していた。そして「損害及び加害者を知った時」とは,訴訟を行う,ことの知識や勝訴の見込みの知識を現実に得ることまでを必要としないと解すべきであるから(最高裁平成23年4月22日第二小法廷判決・集民236号443頁,じん肺罹患の原因及び疾病の概要を知っていた以上,1審原告A)13らは,初回の管理区分決定を受けた時点で「損害及び加害者を知った」,というべきであり,既に3年の時効期間は経過している。仮に,法定合併症の認定を受けたときから再度消滅時効が進行するとの見解に依拠するとしても,1審原告A13については同様である。 したがって,1審被告らは,1審原告A13らに対し,じん肺罹患を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求及び法定合併症罹患を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求について,平成27年7月13日の当審第4回口頭弁論期日において,予備的に消滅時効を援用する 肺罹患を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求及び法定合併症罹患を理由とする不法行為に基づく損害賠償請求について,平成27年7月13日の当審第4回口頭弁論期日において,予備的に消滅時効を援用する旨の意思表示をした。 争点5(2)(1審被告らの消滅時効の援用が権利の濫用に該当するか否か)について(1審原告らの主張)(1)原判決は「損害賠償請求権の消滅時効の援用が権利の濫用に当たると,いうには,債権者が訴え提起その他権利行使や時効中断のための措置を講じることを債務者において妨害等し,又は,妨害する結果となる行為に出た場合など,債務者が消滅時効を援用することが社会的に許容された限界を逸脱するものとみられる場合に限られるものと解するのが相当である」と判示。 するが,特に「債権者が訴え提起その他権利行使や時効中断のための措置,を講じることを債務者において妨害等し,又は,妨害する結果となる行為に出た場合」を除いては権利の濫用に当たらない(以下「提訴妨害要件論」という)とすることは,何らの法的根拠もなしに権利の濫用に当たる場合を。 限定するもので明確に誤りである。 - 44 -債権者に債務者の訴え提起等を妨害する行為がなかったとしても,諸般の事実関係に照らし,消滅時効を援用することが著しく正義・公平・条理等に反し,かつ,援用権を行使させないことによって時効制度の目的に著しく反,。 する事情がない場合には広く権利の濫用に当たることを肯定すべきである(2)そして,1審原告A13らは,1審被告らが作出した劣悪な職場環境に,,,おいて長年にわたり一生懸命に働き1審被告らは莫大な利益を得ながら1審原告A13らが,粉じんが原因でじん肺となった償いを求めて損害賠償請求をした途端,たまたま最初の管理区分決定から10年以上が経過している 年にわたり一生懸命に働き1審被告らは莫大な利益を得ながら1審原告A13らが,粉じんが原因でじん肺となった償いを求めて損害賠償請求をした途端,たまたま最初の管理区分決定から10年以上が経過しているからといって,1審被告らが消滅時効を援用することは著しく正義に反する。また,1審被告らの安全配慮義務違反の態様は極めて悪質であり,1審被告らには損害賠償債務の発生について故意があったといっても過言ではないし,その結果,1審原告A13らがじん肺に罹患し,それによって被った著しい肉体的・精神的被害が救済されないことは,著しく正義に反する。そもそも,1審原告A13らには,1審被告らに対する損害賠償請求権を行使しなかったことについて,責めに帰すべき事情はないし,1審被告らの社会的・経済的地位や能力の高さに比べ,1審原告A13らのそれははるかに低い。 したがって,本件で,1審被告らが消滅時効を援用することは著しく正義に反し,権利濫用として許されない。 また,不法行為に基づく損害賠償請求に対し,1審被告らが消滅時効を援用することが権利濫用として許されないことは同様である。 (1審被告らの主張)消滅時効の援用が権利の濫用と判断される場合とは,債権者が権利を行使すること又は時効中断の手続をとることが債務者によって何らかの意味で妨げられたような事情があることが必要であり(最高裁平成19年2月6日第三小法廷判決・民集61巻1号122頁,1審被告らには,消滅時効の援用が権利)- 45 -の濫用とされる事情や事実は何ら存在しない。また,1審被告らが,悪質な安全配慮義務違反やじん肺教育を怠った事実もない。したがって,1審被告らの消滅時効の援用は権利の濫用に当たらない。 第5争点1(1)(1審被告らの従業員であった1審原告等に対する1審被告らの責任の有無)について 反やじん肺教育を怠った事実もない。したがって,1審被告らの消滅時効の援用は権利の濫用に当たらない。 第5争点1(1)(1審被告らの従業員であった1審原告等に対する1審被告らの責任の有無)についての当裁判所の判断 認定事実(前記認定事実に加え,後掲各証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実。以下同じ)。 次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第5争点1(1)(被告らの従業員であった原告等に対する被告らの責任の有無)についての当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1)原判決32頁7行目の「156」の次に「,157及び弁論の全趣旨」を加える。 (2)原判決34頁1行目の「別紙9原告等の個別事情(原判決174頁か」ら196頁部分)の内容を次のとおり改める(以下,原判決中の「別紙9原告等の個別事情」は,補正後のそれを指す。なお,以下の行数には空白行を含まない。 。)ア亡B5について原判決174頁22行目の「甲4の4・5」を「甲B4の4・5」に改める。 イ1審原告A18について(ア)原判決178頁22行目の「3」の次に「・16」を加える。 (イ)原判決178頁24行目の「同決定が最新の管理区分決定であ(る」を「。最新の管理区分決定は,平成27年8月4日付けで受け。)。 た管理3ロの決定である」に改める。 。 ウ1審原告A19について- 46 -原判決179頁12行目の「6月30日までの」を「6月30日まで」に改める。 エ1審原告A21について原判決182頁23行目の「甲18の6・9」を「甲B18の6・9」に改める。 オ亡B1について(ア)原判決184頁3行目,5行目,13行目,16行目及び19行目のの「原告B1」をいずれも「亡B1」に改める。 23行目の「甲18の6・9」を「甲B18の6・9」に改める。 オ亡B1について(ア)原判決184頁3行目,5行目,13行目,16行目及び19行目のの「原告B1」をいずれも「亡B1」に改める。 (イ)原判決184頁20行目の次に,行を改めて「(3)亡B1は,平,成26年12月22日に死亡した」を加える。 。 カ1審原告A13について原判決185頁17行目の「養成員」の次に「ただし,公傷による治(療及び自宅療養」を加える。 )キ1審原告A7について原判決186頁末行の「甲26の4・5・6」を「甲B26の4・5・6」に改める。 ク1審原告A8について原判決189頁18行目の昭和60年1月から同年10月までを昭「」「和60年2月1日から昭和61年4月2日まで」に改める。 ケ1審原告A9について原判決190頁20行目の「甲34の4・5・6」を「甲B34の4・5・6」に改める。 コ1審原告A16について(ア)原判決191頁13行目及び15行目の「製煉員」をいずれも「製錬員」に改める。 (イ)原判決191頁16行目の「下請会社」から同行目の「G2株式会- 47 -社」までを「子会社(下請会社)のG1株式会社(後にG2株式会社」に改める。 サ亡B4について「」「」。 原判決192頁16行目の甲37の4を甲B37の4に改めるシ1審原告A29について「」「」。 原判決193頁15行目の甲38の4を甲B38の4に改めるス1審原告A12について「」「」。 原判決195頁3行目の原告A12を1審原告A12に改めるセ亡B3について「」原判決196頁14行目から15行目にかけてのオージキンリンパ腫を「ホジキンリンパ腫」に改める。 (3)原判決34頁24行目の「71の2 を1審原告A12に改めるセ亡B3について「」原判決196頁14行目から15行目にかけてのオージキンリンパ腫を「ホジキンリンパ腫」に改める。 (3)原判決34頁24行目の「71の24」を「75」に改める。 (4)原判決35頁14行目の「合羽」から15行目末尾までを次のとおり改める。 「湿式化当初,合羽が十分に支給されていなかったことから,乾式で使用されることがあった」。 (5)原判決35頁20行目の「,時間と手間を要したため」を次のとおり改める。 「なお,1審被告らの保安規程(鉱山保安法によって,鉱業権者が,鉱山(における保安を確保するために定めることが義務付けられているもの)では「発破孔内部に岩粉その他の介在物があるときは,ブローパイプまた,はキューレン等によりこれを除き清掃すること。また節理多く,あるいはぜい弱な岩質の箇所のせん孔内部の清掃は特に入念に行うこと」と定め。 られていた〔47条2号。昭和55年8月変更認可版。甲A75,時〕。)間と手間を要したため,軟弱な岩質の場合に1審被告らが指示していた湿式でのVカット法(掘進長が短くなる)を採らないで」。 - 48 -(6)原判決36頁5行目の「もっとも」から7行目末尾までを次のとおり改める。 「もっとも,穿孔作業の内容によっては,湿式さく岩機が乾式で使用されることもあった(なお,取下げ前の1審原告A30は,昭和31年に湿式のレッグさく岩機が導入され紋取り作業がなくなっても,水に溶けない粉じんがあると聞いており,粉じんが発生した旨供述するが,定められたとお,,()り湿式で使用する限りは水溶性かどうかはともかく繰り粉削りくずはスラリー状になって孔から排出されるはずであるから,粉じんが飛散することはほとんどなくなった」。)。 (7)原 ,,()り湿式で使用する限りは水溶性かどうかはともかく繰り粉削りくずはスラリー状になって孔から排出されるはずであるから,粉じんが飛散することはほとんどなくなった」。)。 (7)原判決36頁15行目の「160」の次に「,162」を加える。 (8)原判決36頁17行目の「ずり取りをするための」を「鉱石やずりを運搬・移動させる際の」に改める。 (9)原判決37頁1行目の「鉱山保安法によって」から3行目の「義務付(けられているもの」までを削除する。 )(10)原判決37頁6行目の「保安係員の」の次に次のとおり加える。 「意識が事故の防止と標準工程の達成に傾き」,(11)原判決37頁11行目の「乙129,130,161」を「乙24,97,129,130,156,161,314,証人F1」に改める。 (12)原判決37頁22行目の「噴霧散水した場合」から末行末尾までを次のとおり改める。 「ノズル1個で5分間から15分間の噴霧散水した場合,坑道発破による発生粉じんの濃度を作業前の環境状態にまで低下させることができ,切羽発,,破による発生粉じんの濃度についても同様の条件でノズル3個を用いて発破源を包囲するようにして噴霧散水した場合及び発破源から排気側に約10mの間隔で発じん源に向けて噴霧散水を行った場合,ほぼ15分間から25分間程度の噴霧散水で,作業前の環境状態にまで低下させることが- 49 -できた旨の実験結果が報告されていた。 ,(。 )もっとも1審被告らの保安規程乙97昭和33年1月変更認可版には「坑道掘進,切上作業等,多量の火薬類を使用し,ガス沈滞のおそ,れある箇所で発破を行い,引続き作業するときは,発破後スプレーにより撒水したのちでなければ作業に就いてはならない」との定め(72条)。 はあるものの 作業等,多量の火薬類を使用し,ガス沈滞のおそ,れある箇所で発破を行い,引続き作業するときは,発破後スプレーにより撒水したのちでなければ作業に就いてはならない」との定め(72条)。 はあるものの,ウォータースプレーの設置場所,使用するノズルの型,口径,個数,散水時間等を具体的に定めていたとは認められず,1審被告らが作成した保安規則・規程・対策集の小冊子(乙24。昭和50年頃)でも「発破終了後の処置」の項の「規則」欄には「有害ガスの除去」等,,「対策」欄には「エアーを吹かし,有害ガスを除去する。出来るだけスプレーを使う」と記載されるにとどまり,必守項目集(作業標準(乙3。 )14。昭和60年頃)でも〔1〕発破作業,5結線の項で「発破後のス,プレーをセット,9発破終了後の処置の項で「スプレーを使って有害ガ」スを除去」との記載にとどまった。そして,上記保安規程,保安規則・規程・対策集及び必守項目集の記載からすると,発破後のウォータースプレ,。」ーは主として有害ガス対策の観点から規定されたことがうかがわれる(13)原判決38頁1行目の「156」の次に「,証人F2」を加える。 (14)原判決38頁3行目の「発破作業」から同行目の「によると」までを次のとおり改める。 「発破作業では,粉じんのみならず有害な後ガスも発生するため,保安規則・規程・対策集(乙24)では」(15)原判決38頁9行目の「意識が薄く」から10行目末尾までを「意識は薄かった」に改める。 。 (16)原判決38頁18行目の「状況であった」の次に「甲A54,証人,(F2,取下げ前の1審原告A30」を加える。 )(17)原判決39頁4行目の「甲A55,乙22,156」を「甲A55,7- 50 -1の11,乙22,25,156,証人F1」に改める。 (18 F2,取下げ前の1審原告A30」を加える。 )(17)原判決39頁4行目の「甲A55,乙22,156」を「甲A55,7- 50 -1の11,乙22,25,156,証人F1」に改める。 (18)原判決39頁11行目の「湿潤状態」から15行目末尾までを次のとおり改める。 「昭和38年に,立坑に地下水が流入し,立坑下部の鉱石と土砂の上に溜まり,漏斗口から鉱石を抜き出す際に,水圧で水と鉱石が一気に吹き出して死亡事故に至ったことがあったため,1審被告らは,立坑に多量の水が流れ込むことがないよう「立坑に水を入れるな」と従業員に指導したが,現場では,この指導を,立坑に投入する鉱石やずりに多量の散水をするなと理解していたことがうかがわれること,また「必守項目集(作業標準」,)(乙25)においては〔5〕ST運搬作業,3取込み作業の項で「取,,込み中も必要に応じ散水」と記載されていたにとどまっていたことなどから,十分な散水は行われておらず,十分に湿潤状態になっていない鉱石やずりが現れても,散水をしないことが多かった」。 (19)原判決39頁20行目の「甲A54,乙12」を「乙12,157,取下げ前の1審原告A30」に改める。 (20)原判決40頁1行目の「139」の次に「,157」を加える。 (21)原判決40頁7行目の「効果があった」を「効果があったが,投入後。 の風圧で生じるスチールベルトの隙間から粉じんが漏れることは避けられなかった」に改める。 。 (22)原判決40頁17行目の「甲A29の9,57」を「甲A56」に改める。 (23)原判決41頁1行目の全長がの次に約80cmとを同行目の近「」「」,「くなることから」の次に「防じんマスクの隙間から」をそれぞれ加える。 ,(24)原判決41頁5行目の「 原判決41頁1行目の全長がの次に約80cmとを同行目の近「」「」,「くなることから」の次に「防じんマスクの隙間から」をそれぞれ加える。 ,(24)原判決41頁5行目の「吹かしたため,その際に粉じんが発生した」。 を次のとおり改める。 「吹かしたことがあったため,その際に粉じんが舞い上がった。 - 51 -さらに,とめ付け作業(支保)は,天盤が落盤しやすかったり,崩落性だったりする箇所や崩落鉱において,天盤が落下しないよう,丸太や鋼材を用いて枠を作り,その後に矢板を大ハンマーで叩いて差し込んでいく必要があるところ,この差し込んでいく作業の際にも粉じんが発生したが,水を使用すると岩盤が崩れて坑道が崩落する危険性が高かったため,散水することができなかった」。 (25)原判決41頁8行目の「立坑に」から10行目末尾までを次のとおり改める。 「立坑に水を入れるな」との指導があったことから,立坑内での十分な散「水はされていなかった」。 (26)原判決41頁20行目の「時々」を「回数は少なかったものの」に改める。 (27)原判決42頁4行目の「作業であったが」の次に「,突発的な故障の場合は」を加える。 (28)原判決42頁10行目の「原告A15」の次に「,弁論の全趣旨」を加える。 (29)原判決42頁21行目の「破砕した鉱石」から22行目の「粉じんが発生した」までを次のとおり改める。 。 「鉱石は湿潤状態であるものの,砕かれて水のついていない断面が生じる際に粉じんが発生し,破砕した鉱石をクラッシャーからベルトコンベアーに落とす際に,その粉じんが飛散した」。 (30)原判決43頁13行目の「考慮して」の次に「機械付近では」を加え,る。 (31)原判決44頁5行目の「もっとも」から6行目末尾までを削除する ーに落とす際に,その粉じんが飛散した」。 (30)原判決43頁13行目の「考慮して」の次に「機械付近では」を加え,る。 (31)原判決44頁5行目の「もっとも」から6行目末尾までを削除する。 (32)原判決44頁12行目から13行目にかけての「箇所や,コンテナ内部に,それぞれ」を「箇所には」に改める。 - 52 -(33)原判決44頁14行目から15行目にかけての「減少することがあった」を「減少するため,定期的に清掃して集じん能力を維持する必要があ。 った」に改める。 。 1審被告らの安全配慮義務の有無について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第5争点1(1)(被告らの従業員であった原告等に対する被告らの責任の有無)についての当裁判所の判断」の「2被告らの安全配慮義務の有無について」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1)原判決45頁7行目の「原告等」から9行目の「置かれており」までを次のとおり改める。 「1審原告等が従事した各作業では,程度の差こそあれ粉じんが発生してこれに暴露したり,あるいは,作業自体により粉じんは発生しないか少量にとどまる場合であっても,発破等で発生し完全に除去されないまま粉じんが滞留する坑内で作業に従事したりして,いずれも粉じんに絶えずさらされる状況に置かれていたと認められ」(2)原判決45頁10行目の「指摘され」の次に「,その進行の程度によるとはいえ」を加える。 1審被告らの安全配慮義務違反の有無について(1)作業環境の管理に関する安全配慮義務次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第5()争点1(1) 被告らの従業員であった原告等に対する被告らの責任の有無についての当裁判所の判断」の「3被告らの 全配慮義務次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第5()争点1(1) 被告らの従業員であった原告等に対する被告らの責任の有無についての当裁判所の判断」の「3被告らの安全配慮義務違反の有無につ」「」,いての(1)作業環境の管理に関する義務に記載のとおりであるからこれを引用する。 (原判決の補正)- 53 -ア原判決46頁7行目の「その後も」の次に「,発破作業や運搬作業等において」を加える。 イ原判決46頁11行目の「ずり取りをするための」を「鉱石やずりを運搬・移動させる際の」に改める。 ウ原判決46頁22行目の「状況であった」の次に次のとおり加える。 「なお,1審被告らは,ウォータースプレーで使用するノズルの型,口(径,個数,散水時間等はウォータースプレーの仕様であるから,その記載が保安規程にないからといって,安全配慮義務違反を理由付けることにはならない旨主張する。なるほど,証拠(乙313)によれば,昭和60年頃のウォータースプレーの管の口径やソケットの仕様等が判明し,そのような仕様で使用されていたことは認められるものの,昭和53年に実施された実験条件(乙130)で使用され,実験で明らかになった効果が実際に得られていたのかについては判然としない上,設置場所,個数及び使用時間について何らかの指示がされていたかどうかについても,それを認めるに足りる証拠はないのであるから,効果的なウォータースプレーの使用方法が現場に浸透していたかどうかも明らかでない。したがって,1審被告らの主張を採用することはできない」。)エ原判決47頁9行目の「公示」を「告示」に改める。 オ原判決47頁20行目の「4」の次に「,157,証人F3」を,同行目の「取下げ前の原告A30」の次に「及び上記認定事実」 はできない」。)エ原判決47頁9行目の「公示」を「告示」に改める。 オ原判決47頁20行目の「4」の次に「,157,証人F3」を,同行目の「取下げ前の原告A30」の次に「及び上記認定事実」をそれぞれ)加える。 カ原判決47頁末行の「設けられたこと」の次に「や坑道自体の径が大きくなったこと」を加える。 キ原判決48頁1行目の「自然通気のみでは」の次に「粉じんの除去という観点からは」を加える。 ク原判決48頁3行目冒頭から8行目末尾までを次のとおり改める。 - 54 -「1審被告らは,自然通気が不十分であることを前提として,昭和20年代から局部扇風機(坑道の中に設置される小型扇風機で,風管により通気の必要な箇所に送風するもの)を,昭和40年代には主要扇風機(坑)(,,道全断面を塞ぐ定置式の大型扇風機を設置した甲A55乙157証人F3,取下げ前の1審原告A30」)。 ケ原判決48頁18行目の「通気の確保」を「粉じんの除去」に改める。 コ原判決48頁21行目の「現場において」の次に「粉じん除去の観点,から」を加える。 サ原判決48頁23行目末尾に次のとおり加える。 「1審被告らは,通気の役割は粉じん対策という観点からはあくまでも補完的なものであり,これを安全配慮義務違反とすることはできない旨主張するが,後述するとおり,粉じん測定結果の評価が作業環境の改善に必ずしもつながっていたとは認められないことに照らせば,強制通気という補完手段がある以上,不十分な通気状態が安全配慮義務違反を構成しないとする1審被告らの主張は採用することができない」。 シ原判決49頁5行目末尾に次のとおり加える。 「これに対し,1審被告らは,発破の爆風に対する耐久性や時々刻々と移動する坑内作業場という特殊性から,坑内作業場では有効な集 用することができない」。 シ原判決49頁5行目末尾に次のとおり加える。 「これに対し,1審被告らは,発破の爆風に対する耐久性や時々刻々と移動する坑内作業場という特殊性から,坑内作業場では有効な集じん装置を設置することが不可能である旨主張するが,穿孔・発破・運搬の各作業でトラックレスマイニング導入による自走化が可能であるならば,例えば,自走式の集じん装置の開発が不可能であるとは思われないし,仮に坑内作業場での設置が不可能であるならば,それに応じた更なる対策,。」を講ずるべきであって1審被告らの主張は採用することができないス原判決49頁17行目の「窺わせる」から18行目末尾までを次のとおり改める。 「認めるに足りる証拠はない上,仮に非定期的に粉じん測定を行っていた- 55 -としても,平成2年以降の測定結果も含めて,これが日々の作業の在り方を見直すためにどのように活用されたのかを認めるに足りる証拠もない」。 セ原判決49頁19行目から20行目にかけての「208」の次に「,弁論の全趣旨」を加える。 ソ原判決50頁5行目末尾に次のとおり加える。 「,,,この点1審被告らは平成2年以降の測定結果の誤差を指摘するほか全体的に見れば目標値に近い低い値になっているから,1審被告らが粉じん濃度の改善に努めてきたことを示している旨主張するが,何らかの(),環境改善が必要とされる第3管理区分乙157に至っている箇所は平成2年下期は6箇所,平成3年上期は15箇所,平成3年下期は16箇所,平成4年上期は20箇所,平成4年下期は14箇所を数える(乙205)のであるから,1審被告らが主張するほどの結果を示しているとはいえない」。 タ原判決50頁10行目冒頭から11行目の「争いはない」までを削除。 し,同行目の「同年度」を「昭和5 える(乙205)のであるから,1審被告らが主張するほどの結果を示しているとはいえない」。 タ原判決50頁10行目冒頭から11行目の「争いはない」までを削除。 し,同行目の「同年度」を「昭和53年度」に改める。 チ原判決50頁16行目の「証人F4」を「証人F4」に改める。 ツ原判決50頁20行目の「被告神岡鉱業」を「1審被告ら」に,同行目の「粉じん測定が行われた」を「粉じん測定を行った」に改める。 テ原判決51頁6行目の「定期的測定は行われておらず」を「定期的測定が行われたとは認められず」に改める。 (2)作業条件の管理に関する安全配慮義務次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第5()争点1(1) 被告らの従業員であった原告等に対する被告らの責任の有無についての当裁判所の判断」の「3被告らの安全配慮義務違反の有無についての(2)作業条件の管理に関する安全配慮義務に記載のとおりであ」「」- 56 -るから,これを引用する。 (原判決の補正)「」「,」。 ア原判決51頁18行目の乙99を乙99の1 に改めるイ原判決52頁3行目の「飛散しており」の次に次のとおり加える。 「,1審被告らが主張するように,通気が良好な箇所に食堂等の休憩室を設置したとしても,坑内には,粉じんが漂う状況にあったと認められ」ウ原判決52頁20行目から21行目にかけての「存在したことから」を次のとおり改める。 「存在したことに加え,標準工程をノルマと捉えていたことから」エ原判決53頁6行目末尾に次のとおり加える。 「これに対し,1審被告らは,標準工程は,進さく作業であれば月何m,採鉱作業であれば月何tといった積算量を示したものではないし,実績工程との乖離が大きければ標準工程自体を引き下げる のとおり加える。 「これに対し,1審被告らは,標準工程は,進さく作業であれば月何m,採鉱作業であれば月何tといった積算量を示したものではないし,実績工程との乖離が大きければ標準工程自体を引き下げるなどの調整をしていたし,坑内作業者の賃金水準は高かったから,能率給によって長時間労働等をもたらしたことはない旨主張するが,このことは,能率給に関する会社側の認識と現場の作業員の認識に齟齬があったことを示してお,,,りそうであればそのような齟齬を解消するための賃金体系を構築し作業員に示すべきであって,上記認定に照らせば,能率給の存在が,粉じん対策に対する現場の作業員の意識を低下させていたことは否定できないと認められる」。 オ原判決53頁10行目のaを(ア)に同行目の乙156を乙「」「」,「」「22,24,156」にそれぞれ改める。 カ原判決53頁13行目の「(a)」を「a」に改める。 キ原判決53頁15行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「,,(。 )そして1審被告らは保安規程昭和33年1月変更認可版乙22において,粉じん作業に従事中は,防じんマスクを着用することと定めて- 57 -いた」。 ク原判決53頁18行目の「(b)」を「b」に,54頁4行目の「(c)」を「c」にそれぞれ改める。 ケ原判決54頁6行目の「注意はしていた」の次に次のとおり加える。 。 「また,作業員は,後述する保安常会の場において,防じんマスク着用の重要性について話を聞く機会もあった」。 コ原判決54頁7行目から8行目にかけての含まれておりの次に乙「」「(24」を加える。 )サ原判決54頁11行目の「b」を「(イ)」に改める。 (3)健康の管理に関する安全配慮義務次のとおり原判決を補 から8行目にかけての含まれておりの次に乙「」「(24」を加える。 )サ原判決54頁11行目の「b」を「(イ)」に改める。 (3)健康の管理に関する安全配慮義務次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第5()争点1(1) 被告らの従業員であった原告等に対する被告らの責任の有無についての当裁判所の判断」の「3被告らの安全配慮義務違反の有無についての(3)健康の管理に関する安全配慮義務に記載のとおりであるか」「」ら,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決55頁3行目から4行目にかけての「保安常会」に」を「保安「「常会」が」に改める。 イ原判決55頁5行目の「開かれる」を「開かれた」に改める。 ウ原判決55頁23行目及び25行目の「従業員」をいずれも「作業員」に改める。 エ原判決56頁3行目を次のとおり改める。 「イ罹患者に対し健康指導等の個別対応をすること」オ原判決56頁7行目の「配置転換」から11行目末尾までを次のとおり改める。 「じん肺の理解を深めたり,それに対する健康指導をしたりする等の個別- 58 -の措置を特に設けた形跡は窺われない」。 (4)まとめ次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第5()争点1(1) 被告らの従業員であった原告等に対する被告らの責任の有無についての当裁判所の判断」の「3被告らの安全配慮義務違反の有無について」の「(4)まとめ」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決56頁13行目の「従業員」を「作業員」に改める。 イ原判決57頁8行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「これに対し,1審被告らは,1審原告らの主張では,結果回避可能性の内容が明らかでないし,作業員 3行目の「従業員」を「作業員」に改める。 イ原判決57頁8行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「これに対し,1審被告らは,1審原告らの主張では,結果回避可能性の内容が明らかでないし,作業員が保安規程に違反した責任を1審被告らが負う理由はない旨主張するが,じん肺罹患を防止するには,粉じん暴露量を減らすことが最善の方法であることは明らかであるから,そのために上記各措置を講ずることによる結果回避可能性は認められるというべきであるし,保安規程を作業員に遵守させることは1審被告らの責務であるというべきであり,単に保安規程等に防じんマスクの着用や発破後の退避時間等作業手順を記載し,あるいは,保安常会等の機会を通じてこれを話題にするだけでは足りず,じん肺罹患を防止するための実効性のある対応が求められていたというべきであるから,1審被告らの主張を採用することはできない」。 第6争点1(2)(下請会社の従業員であった1審原告等に対する1審被告らの責任の有無)についての当裁判所の判断次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第6争点1(2)(下請会社の従業員であった原告等に対する被告らの責任の有無)についての当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)- 59 - 原判決58頁11行目の「昭和60年1月から同年10月まで」を「昭和60年2月から昭和61年4月まで」に改める。 原判決58頁15行目の「下請会社」から同行目の「G2株式会社」までを「子会社(下請会社)のG1株式会社(後にG2株式会社」に改める。 原判決60頁5行目の「鉱山における人」を「鉱山における人」に改め「」る。 原判決60頁6行目から7行目にかけての「金属鉱山等保安規則」を「保安規則」に改める。 原判 社」に改める。 原判決60頁5行目の「鉱山における人」を「鉱山における人」に改め「」る。 原判決60頁6行目から7行目にかけての「金属鉱山等保安規則」を「保安規則」に改める。 原判決61頁13行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「61審被告らは,作業中の下請作業員に対する指揮命令は,下請会社の保安係員が行い,1審被告らの保安係員が下請作業員に対し直接指揮命令を行うことはなかったし,下請作業員が使用する重機等や燃料が1審被告らが用意し,作業内容も本工とほとんど同じであることが,特別な社会的接触関係を認定する根拠にはならない旨等を主張して,そもそも1審被告ら,。 ,は下請作業員に対し安全配慮義務を負わない旨主張するしかしながら下請作業員が本工とは別の事務所を利用し(平成3年頃まで,本工と共)同作業をすることなく,作業中の下請作業員に対する直接的な指揮命令をしていたのが下請会社の保安係員であったとしても,補正して引用した原判決が認定する事実に照らせば,下請作業員は,1審被告らが所有管理する神岡鉱山で,下請会社の保安係員を介していたとはいえ,1審被告らの下請会社担当係員からの指示事項や注意事項を聞いて作業に従事しており,1審被告らが策定した採掘計画に組み込まれ,1審被告らが用意した重機等を用い,1審被告らが定めた作業手順に従って,本工と同一の作業内容を遂行した上,その労働環境も1審被告らが主に設定することができたと認められるのであるから,1審被告らと下請作業員とは,特別な社会的接触関係に入ったことが優に認められるというべきである。そして,鉱- 60 -山保安法が下請作業員についても鉱業権者に保安義務を課していると解されることも踏まえれば,1審被告らは,1審原告等(下請)に対しても,労働契約に準ずる法律関係上 べきである。そして,鉱- 60 -山保安法が下請作業員についても鉱業権者に保安義務を課していると解されることも踏まえれば,1審被告らは,1審原告等(下請)に対しても,労働契約に準ずる法律関係上の債務として,安全配慮義務を負っていたというべきであるから,1審被告らの主張は採用することができない。 また,1審被告らは,下請作業員に対しても保安指導を徹底していたから,安全配慮義務違反は認められない旨も主張するが,上記第5の3の説示に照らし,採用することはできない」。 原判決61頁14行目の「原告(下請」を「1審原告等(下請」に改め))る。 第7争点2(損害の発生及び損害額)についての当裁判所の判断 認定事実(1)じん肺の種類及び胸部エックス線写真上の陰影の特徴次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第7争点2(損害の発生及び損害額)についての当裁判所の判断」の「1認定事実」の「(1)じん肺の種類及びエックス線写真上の陰影の特徴」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決61頁18行目の「289」の次に「,376」を加える。 イ原判決61頁25行目から末行にかけての「結晶質シリカ濃度が,肺内堆積全粉じんの約20%以上ある場合に生じる」を「結晶質シリカ濃度。 ()。」が粉じん中に高度肺内堆積全粉じんの約20%以上の場合に生じるに改める。 ウ原判決62頁2行目末尾に次のとおり加える。 「,。 このような場合には塊状巣の周辺に局所的な気腫化を伴うことが多い肺門リンパ節は線維化とともにリンパ節表面に石灰化が生じて胸部エックス線写真上卵殻状陰影を呈する」。 - 61 -エ原判決62頁4行目の「289」の次に「,376」を加える。 オ原判決62頁9行目の「場合 は線維化とともにリンパ節表面に石灰化が生じて胸部エックス線写真上卵殻状陰影を呈する」。 - 61 -エ原判決62頁4行目の「289」の次に「,376」を加える。 オ原判決62頁9行目の「場合が多い」の次に次のとおり加える。 「(,,,,なおじん肺診査ハンドブックでは非典型けい肺は線維化が弱く結節が小さいじん肺であると説明されている」。)カ原判決62頁14行目の「結晶質シリカ濃度が肺内堆積全粉じんの約20%未満である」を「結晶質シリカ濃度の低い(肺内堆積全粉じんの約20%未満」に改める。 )キ原判決62頁16行目の「100」の次に「,116」を,17行目の「293の2」の次に「,360,370,371,376」をそれぞれ加える。 ク原判決63頁7行目の「一般的には」から8行目の「低く淡い」まで。 を次のとおり改める。 「一般に,粒状ではあるがその形は種々であり,小さく,濃度が低い(なお,MDFについては,胸部エックス線写真上,けい肺の個々の結節影が境界鮮明であるのに比べ,濃度も薄く不鮮明な陰影として認められると指摘されている」。)。 (2)標準フィルム及び標準写真集の内容・取扱い次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第7争点2(損害の発生及び損害額)についての当裁判所の判断」の「1認定事実」の「(2)標準フィルム及び標準写真集の内容・取扱い」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決64頁11行目の「が収録されている」から12行目末尾までを次のとおり改める。 「21枚(ただし,12階尺度の全てに対応するフィルムが収録されているわけではない)及び第0型から第3型までの組合せフィルム(けい。 - 62 -肺,石綿肺各1枚)が収録されている」。 改める。 「21枚(ただし,12階尺度の全てに対応するフィルムが収録されているわけではない)及び第0型から第3型までの組合せフィルム(けい。 - 62 -肺,石綿肺各1枚)が収録されている」。 イ原判決64頁末行の「乙172」を「乙170,172」に改める。 ウ原判決65頁7行目末尾に次のとおり加える。 「なお,標準写真集は,平成23年10月1日以降にじん肺管理区分決定の申請について,用いられるようになった」。 エ原判決65頁13行目の「標準写真集検討会の報告書」の次に「甲A(128の2」を加える。 )オ原判決65頁21行目の「取扱いについて」の次に「甲A110」」()を加える。 カ原判決67頁1行目及び6行目の「FDR」をいずれも「FPD」に改める。 (3)じん肺の診断におけるCT写真の有用性・問題点(,,,,ア胸部CT写真の仕組み及び特徴甲A72乙359 弁論の全趣旨)胸部エックス線写真は,人体の背面から胸部へ向けてエックス線を照射し,その透過像をレントゲンフィルム上に二次元的(平面的)に映し出すもので,一方向からの撮影であるため,病変の重複像が形成されやすい。 他方,CTは,横臥した状態の患者に対し,薄いエックス線ビームを多方向から照射し,その透過エックス線強度を計測し,断層面のエックス線吸収値分布像を再構成する方法である。最も一般的なデータ取得方式は,扇状の広がりをもったエックス線を出す線源と,それに対向し数百素子からなる高感度の検出器が人体周囲を回転しながら走査するもので,扇状エックス線の厚みを調節することにより断層面の厚さを変える。最近では,患者テーブルを体軸方向に移動させながらエックス線管球と検出器が連続して回転し,人体をらせん状にスキャン(走査)するヘリカルスキャン ックス線の厚みを調節することにより断層面の厚さを変える。最近では,患者テーブルを体軸方向に移動させながらエックス線管球と検出器が連続して回転し,人体をらせん状にスキャン(走査)するヘリカルスキャンが主流となっている。 - 63 -CT画像は「ピクセル」という微小な画素である正方形の単位面積の,集合(マトリックス)上に再構成され,更に各ピクセルに断層厚を乗じた単位体積(ボクセル)に含まれる平均エックス線吸収値の大小に応じて,白黒濃淡をつけた画像として表示される「ボクセル」という直方体の組。 織の厚みを「スライス厚(断層厚」といい「スライス厚」の中心の位),置とそれに隣接する「スライス厚」の中心の位置との間の距離を「スライス間隔(スライスピッチ」という。 )画像表示に際しては,白黒濃淡の階調(グレースケール)を変えるウィンドウ機能(任意に選んだCT値を中心として,表示しようとする任意の幅のCT値を濃淡像として表示するもの)があり,中心のCT値をウィンドウレベル,CT値の表示範囲をウィンドウ幅といい,対象臓器と目的疾患のCT値により最適なウィンドウレベルとウィンドウ幅を設定するな,(お,CT値とは,ボクセル内のエックス線吸収値を表す単位であり,水を0,空気を-1000とした相対的な数値であり,CT値が高くなるにつれて白く表示され,空気は黒く表示される。 。)また,CTは,デジタルデータをコンピュータ処理しているため,エックス線撮影とは異なり,診察目的に合わせて同一のデータの一部を強調して出力することができ,胸部CT写真では「肺野条件「縦隔条件」の,」2種類で出力されるのが一般的である。じん肺の診断においては,肺野の空気と血管や病変のコントラストを中心に置いた肺を観察するのに適した「肺野条件」が用いられ,粒状影,不整形 件「縦隔条件」の,」2種類で出力されるのが一般的である。じん肺の診断においては,肺野の空気と血管や病変のコントラストを中心に置いた肺を観察するのに適した「肺野条件」が用いられ,粒状影,不整形陰影などの陰影は白色の変化として現れる。 CTは,エックス線撮影よりも,小さなものを解像する能力(空間分解能)では劣るが,マトリックス数を増し(ピクセル数を増し,スライス)厚を薄くし,局所的に拡大して画像再構成することにより,0.3~0. 。 。 4mm程度の分解能が得られる肺などの高コントラスト領域に有用である- 64 -イじん肺診断における胸部CT写真の有用性(乙58ないし61,92ないし94,153,285,290の2,292の2,293の2,359,360,364,365,証人C5医師,弁論の全趣旨)現在の臨床医学の現場では,じん肺は胸部CT写真の適応疾患となっており,従来,胸部エックス線写真で異常が認められた場合,肺内に異常影が存在するかどうか,病変の分布や概観を判断するためなどの目的で5~10mm厚程度の厚いスライス厚の通常CTが用いられ,問題領域に絞って肺野の結節や病変の質的推定を行う目的で2mm程度以下のスライス厚の薄層CT(HRCT〔HighResolution CT・高分解能CT〕など)が用いられてきた。 そして,じん肺は,肺内の線維化,気腫化(気腫性変化,胸膜変化な)ど多彩な変化を示す疾患であるところ,当事者双方がその一部を書証として提出している「産業保健ハンドブックⅣじん肺(平成20年5月2」7日第2版)は「CTは)胸部エックス線写真のような重複像が少な,(く,胸部X線写真と比較して解像力は低いがコントラスト分解能が高く,じん肺の陰影の表現に優れており,しかも陰影の病態が理解され易い画像を提供している は)胸部エックス線写真のような重複像が少な,(く,胸部X線写真と比較して解像力は低いがコントラスト分解能が高く,じん肺の陰影の表現に優れており,しかも陰影の病態が理解され易い画像を提供している。すなわち,胸部X線写真で表現されない微細な粒状影,淡い粒状影,粒状影の融合,間質性肺線維化影,気腫化,ブラ,ブレブ,蜂窩肺,胸膜斑,胸膜石灰化斑,大陰影の周辺の変化,空洞形成などにおいては優れた検出能を有している(乙93)と指摘し,同様の報告例。」が多く見受けられる。例えば,志田寿夫・塵肺のCT(平成4年・乙「」),「, はCT画像は胸部単純X線写真と比較して空間分解能は劣るが濃度分解能が高く,このため,肺内の線維化像および気腫化が鮮明に描出され,それらの病態が理解されやすい画像となる。さらに胸部単純X線写真のように重複像の形成が少なく,陰影そのものがより具体的に表現されるという利点があり,胸部単純X線写真において重複像のためで不明瞭な- 65 -塵肺陰影でも,CT画像では鮮明であり,とくに塵肺が存在するかしないかの境界領域の診断に威力を発揮する」と指摘している。同様に,C5。 医師も,CT写真は周囲の気腫化の影響をほとんど受けないので,胸部エックス線写真上では見えづらい淡い陰影でも,より具体的に再現されるという利点がある旨証言している(証人C5医師。 )また,じん肺患者の胸部エックス線写真と胸部CT写真によるじん肺所見の対比をした各種研究報告では,胸部CT写真を利用することにより実際の粒状影の有無・密度について確認することが可能であり,この点は,胸部エックス線写真に比べて胸部CT写真が役立つこと,また,初期のじん肺の有無を確認するためには胸部CT写真の方が胸部エックス線写真よりも優れていること,胸部エックス線写真 が可能であり,この点は,胸部エックス線写真に比べて胸部CT写真が役立つこと,また,初期のじん肺の有無を確認するためには胸部CT写真の方が胸部エックス線写真よりも優れていること,胸部エックス線写真では重複像が形成されるために不明瞭なじん肺陰影でも,胸部CT写真では微細な結節状陰影でも鮮明に表現されるため,特にじん肺法上のじん肺所見の有無の判断,すなわち12階尺度における0/1と1/0の境界領域の診断において威力を発揮し,胸部エックス線写真に比べて読影者間の判断のばらつきが少ないことを指摘するものが多い。例えば,以下の研究報告がある。 (ア)志田寿夫ら「じん肺管理区分決定における胸部CT画像の必要性と有用性の評価に関する研究(平成2年・乙60)」胸部エックス線写真上で分類される0/1から3/3の密度を有する93例の各種じん肺を対象に,胸部CT写真と胸部エックス線写真の所見を対比した論文である。 要旨では「特にじん肺においては胸部X線写真で観察不可能な気腫,化病変や極めて微細な線維化まで鮮明に表現され,画像所見自体理解し易いものとなった(中略)0/1および1/0の密度を示す症例では,胸部。 X線写真の画質の条件によって,一般に読影結果が大きく動揺しがちであるが,CT画像では重複像が少なく,微細な結節状陰影も鮮明に表現- 66 -されるため,じん肺の有無をより明らかに診断することができた」と。 報告している。また,以下のとおり,上記対比の結果を示し,胸部エックス線写真で0/1,1/0とされた群においては,胸部CT写真の方がじん肺結節の検出率は高いし,確実に表現されているとの結果を得たこと,下表の③の事例では,胸部CT写真の方が高密度かつじん肺結節の径も大きく表現される傾向にあり,胸部エックス線写真との不一致が生じている旨を指摘し 率は高いし,確実に表現されているとの結果を得たこと,下表の③の事例では,胸部CT写真の方が高密度かつじん肺結節の径も大きく表現される傾向にあり,胸部エックス線写真との不一致が生じている旨を指摘している。 エックス線写真の小円形陰影CT画像所見①0/1pと読影:6例正常:3例p1:2例q1:1例②1/0pと読影:7例p1:4例p2:1例q2:2例③1/1pと読影:11例p1:4例p2:5例p3:1例q2:1例④2/2以上と読影差は少ないなお,CT画像所見において小陰影の分布密度を,1,2,3に分類して記載した。 (イ)張幸ら「じん肺の胸部CTおよび高分解能CT(HRCT)像の検討(平成5年・乙94)」「じん肺の評価における胸部CT及び高分解能CT(HRCT)の有用性を調べる」目的で,胸部エックス線写真では右上肺野に直径約5cmの塊状影と全肺野に粒状影(タイプはq)が分布している区分1/2型の患者と,胸部エックス線写真では上中肺野優位に粒状影が分布しており,上肺野にqタイプの粒状影の融合傾向が認められ,不整形陰影も認められる区分2/1型の患者の通常CTとHRCTの所見を報告するものである。 胸部エックス線写真より胸部CT写真のほうが粒状影の分布と密度などがよく見られ,胸部エックス線写真では大陰影とはいえない粒状影の- 67 -融合像も,胸部CT写真では明瞭に径1cm以上の大陰影として認められること,連続的な5スライスのHRCT画像では,粒状影と血管断面の区別がつき,小陰影の密度の定量性評価に有用であろうと思われることを報告している。そして,肺内で多彩な変化を示すじん肺について,胸部エックス線写真でこれらの多くを表現するには限界があり,コントラスト分解能に優れる胸部CT写真では,横断面とはいえ3次元 われることを報告している。そして,肺内で多彩な変化を示すじん肺について,胸部エックス線写真でこれらの多くを表現するには限界があり,コントラスト分解能に優れる胸部CT写真では,横断面とはいえ3次元の情報は胸部エックス線写真の欠点を補い,じん肺の病変の性状や分布,じん肺の程度の詳細な評価に有用であると考えられ,特に連続的なHRCTを利用すれば,じん肺の定量的評価も可能であろうと考えられる旨の考察を示している。 (ウ)Béginら珪肺症の早期発見におけるコンピューター断層撮影法平「」(成3年・乙363の1・2)以下のように報告している。 「胸部CT検査のほうが標準的な胸部エックス線検査よりも著しく多くの陰影および集密を識別することができる。CT検査で検出された珪肺症例のうち90例(90%)は従来の胸部CT検査で検出されており,HRCTは10%の新たな症例と34%のより明確な異常の判定を追加した」。 「従来の胸部CT検査およびHRCTの解読者間の判定の一致度は高く,正常では完全に一致,また異常の判定も90%以上の症例(43),。」例中40例で一致し2つの手法間の一致度に有意差はなかった「結論として,我々は,珪肺症を示唆する肺実質の変化および肺の小陰影の初期集密を検出することにおいて,従来の胸部エックス線検査のILO分類よりもCT検査のほうが高感度であることを立証した。 CT画像上の異常は,訓練を積んだ観察者により,基準となるILO分類画像がなくてもより一貫した判定を下すことができ,解読者間の- 68 -ばらつきも,エックス線画像での評価のばらつきより小さい」。 (エ)Jardinら「炭鉱夫じん肺症:曝露労働者のCT評価およびX線所見との相関(平成2年・乙368の1・2)」石炭粉じんに暴露した労働者に対し, クス線画像での評価のばらつきより小さい」。 (エ)Jardinら「炭鉱夫じん肺症:曝露労働者のCT評価およびX線所見との相関(平成2年・乙368の1・2)」石炭粉じんに暴露した労働者に対し,胸部CT検査と胸部エックス線検査を実施し,胸部エックス線写真と胸部CT検査で得られた小陰影の陰影密度カテゴリーを比較した結果を,以下のとおり報告している。 胸部エックス線写真CT画像カテゴリー0:48名0:36名1:7名2:5名カテゴリー1:65名0:31名1:29名2:5名カテゴリー2:37名0:2名1:21名2:8名3:6名カテゴリー3:8名3:1名,,そして胸部エックス線写真に比べて胸部CT写真が優れているのは石炭粉じん暴露労働者における小陰影をより早期に発見できることのみならず,その濃度及び位置をより正確に評価できる(CTは肺実質の断面に焦点を当てるため,後前方向撮影のエックス線検査で生じる病変の重なりの影響が軽減されるため)こと,胸部CT写真で正常と認められた72例中36例で胸部エックス線写真上炭鉱夫じん肺症の所見を有すると判定されたが,胸部エックス線写真と胸部CT写真との不一致が生じるのは,エックス線陰影密度スコアが低い患者に見られ,解読者がエックス線所見を正常かあるいは少数の小陰影ありかで迷い,エックス線画像上の異常を過剰認識する可能性があるからであることを指摘している(なお,C8医師は「過剰認識」を「じん肺画像診断において,エ,ックス線写真で正常(第0型)か粒状影がある(第1型)のかを迷ったときに,実際には病変が無い(第0型の症例である)にもかかわらず,病変がある(第1型)と認識してしまうこと」と説明している〔乙35 。 〕。)- 69 -ウ胸部CT写真の限界等(甲A72,140,乙 実際には病変が無い(第0型の症例である)にもかかわらず,病変がある(第1型)と認識してしまうこと」と説明している〔乙35 。 〕。)- 69 -ウ胸部CT写真の限界等(甲A72,140,乙59,60,364,365,369の1・2,証人C1医師,証人C5医師,弁論の全趣旨)CT写真の表示は,ある厚みを有する横断像であり,肺の上下を走行する末梢肺血管は断面像としてじん肺による粒状影と見間違うおそれがあるため,じん肺の胸部CT写真の読影においても,血管影か粒状影か否かの区別は,胸部エックス線写真の場合と同様に,当該粒状影の色(濃度,)形及び出現箇所などを基に判断する必要がある(もっとも,けい肺結節はどちらかというと血管の間に分布する傾向にあり,末梢血管においては粒状に見えても血管特有の分岐が存在するので,ある程度の鑑別は可能である〔乙59,像の連続性を前後のスライス像で追跡することが重要であ〕る〔乙365〕と指摘されている。 。)また,上記のとおり,CT写真は,単位体積(ボクセル)に含まれる平均エックス線吸収値の大小に応じて白黒濃淡をつけた画像として表示されるため,1ボクセル内に異なった組織が存在しても,それらのCT値は平均化されて互いに識別できないから,画像上の病変組織濃度が本来のCT,()値と異なったり小構造が隠ぺいされたりする原因となる部分容積効果ことが指摘されており,この影響を減らすには,上記のとおり,薄いスラ。 ,,,イス厚を選択する必要があるただ肺は周囲の構造が空気であるためこのような場合でも小病変を認識することは可能で,具体的には10mmの()スライス厚であれば1mm程度の病変までは確認できるとも指摘乙365されている。 ,,()なお平成2年時点の指摘ではあるが上記志田寿夫らの研究 識することは可能で,具体的には10mmの()スライス厚であれば1mm程度の病変までは確認できるとも指摘乙365されている。 ,,()なお平成2年時点の指摘ではあるが上記志田寿夫らの研究乙60は「CT画像によるじん肺診断の問題点」として,スライス厚によって,は肺血管の断面像とじん肺結節陰影との鑑別が困難なこともあり,5mmないし10mmのスライス厚で撮像したものでは血管に分岐が見られることが多く,これを目処として区別する以外にないようであること,CT画像は- 70 -コンピュータによって構成されたものであり,使用機種や撮影条件によっては,その表現を異にするので,標準的な画像を作成するにしても胸部エックス線写真のように広く適用されるまでには至っていないことを指摘している。また「CT画像は,珪肺症と炭鉱夫じん肺症の初期徴候を診断,するための撮像手段としては,エックス線写真よりも優れていると考えられる」としつつ「CTとHRCTの主な欠点は,手法やスコア化が標準,化されていないことである」と指摘する海外の論文(平成25年・乙3。 69の1・2)もある。 次に,胸部CT写真の限界を指摘する箇所もある国内の研究報告(平方敬子「塵肺病変の病理像とHRCT像の対比」平成3年・甲A140。以下「平方論文」という)は,粉じん吸入歴を有する14剖検例(炭坑夫。 肺13,けい肺1)の病理組織学的所見とそれに対応するHRCT所見を同一断面で1対1で対比検討したものであるが,以下のとおり指摘している。 「細気管支・血管周囲に連続する線維化が軽度な領域は,HRCTでは異常を指摘できないかまたはごく淡いびまん性のdensity上昇域として,中等度の場合は微細な線状網状影として認められ,正常に比して分布が不規則な微小な粒状影が増加していた。高度 域は,HRCTでは異常を指摘できないかまたはごく淡いびまん性のdensity上昇域として,中等度の場合は微細な線状網状影として認められ,正常に比して分布が不規則な微小な粒状影が増加していた。高度の場合は,粗大で不規則な網状影として認められた」。 病理学的に肺気腫が認められた例のうち「拡張した気腔の径が1.5mm,以下のものはHRCTで描出できず,2.0~2.5mm以上のものが透亮像として認められた」。 炭粉斑とじん肺結節における考察では「大きさが1mm以下の炭粉斑の,多くはHRCTで結節影として指摘できず,微細粒状影の一部に相当すると考えられた「大きさが10mm未満の塵肺結節は肺標本上,9例に計25。」,6結節(大きさ1.5mm以下[p]83結節,1.6~3.0mm[q]118結節,3.1~10mm- 71 -未満[r]55結節)が認められた「標本で確認された10mm未満の塵肺結。」,節256個の中で,182個(71%)がHRCTで結節影と診断された。HRCTで同定できなかった結節は小さいp結節が大多数であったが,21結節は高度の線維性変化や肺水腫,気管支肺炎などの病巣内に位置しており,これらの陰影により修飾され同定不能であった」。 大きさ別のHRCTで同定された個数と割合は,大きさ1.5mm以下の結()(),(),節pは31/8337%大きさ1.6~3.0mmの結節(q)は98/11883%大きさ3.1~10mmの結節(r)は53/55(96%)であった。 そして,まとめの項では「71%(182/256)の塵肺結節がHRCTで,確認できたが,サイズの小さいpタイプの結節のうち63%(52/83)はHRCTで同定困難であった「HRCTは,病理学的に確認された塵肺。」,病変の有無やその程度な )の塵肺結節がHRCTで,確認できたが,サイズの小さいpタイプの結節のうち63%(52/83)はHRCTで同定困難であった「HRCTは,病理学的に確認された塵肺。」,病変の有無やその程度ならびに局在をよく反映していた」と報告してい。 る。 (4)1審原告等に対する管理区分の決定・労災保険給付の支給決定等次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第7争点2(損害の発生及び損害額)についての当裁判所の判断」の「1認定事実」の「(4)原告等に対する管理区分の決定・労災保険給付の支給決定等」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)原判決70頁13行目末尾に「原判決別紙9「原告等の個別事情」の各(1審原告等の「2管理区分決定及び合併症等の認定」欄の証拠及び弁論の全趣旨」を加える。 ) 争点2(1)(じん肺罹患の有無及びその程度)について(1)管理区分決定の証拠としての評価について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第7争点2(損害の発生及び損害額)についての当裁判所の判断」の「2争- 72 -点2(1)(じん肺罹患の有無及びその程度)について」の「(1)管理区分決定の証拠としての評価」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)原判決71頁13行目の「そして」から72頁4行目末尾までを次のとおり改める。 「そして,上記第2の2で補正して引用した前提事実(5)に記載のとおり,管理区分決定手続は,じん肺法及び同法施行規則並びにじん肺診査ハンドブックに定められたじん肺健康診断の実施方法及び判定方法に従ってじん肺所見があると認められた労働者に対し,地方じん肺診査医の診断又は審査を経て,当該労働者にじん肺管理区分決定をするという経過をたどると ックに定められたじん肺健康診断の実施方法及び判定方法に従ってじん肺所見があると認められた労働者に対し,地方じん肺診査医の診断又は審査を経て,当該労働者にじん肺管理区分決定をするという経過をたどるところ,じん肺健康診断の検査項目,手順及び方法等は,じん肺に関する医,,学的知見に基づいて細目が決められていると認められる上上記のとおりじん肺診査ハンドブックに記載された胸部エックス線写真の読影方法等によりじん肺所見の有無及び管理区分の判定が行われ,一般の医師によるじん肺健康診断に加え,相当な学識経験を有する医師の中から任命された地方じん肺診査医の診断又は審査を経ることとされている(なお,地方じん肺診査医が2名以上任命されている都道府県労働基準局にあっては,複数の診査医による診査を行うのが望ましいとの通達(基発第250号通達。 甲A43,84)が発出されており,通常は複数の診査医による合議によって管理区分が判定されていると推認される〔弁論の全趣旨。また,〕。)管理区分の判定に用いられるじん肺診査ハンドブックは数度の改訂を経ており(最終改訂は昭和62年10月,その時点でのじん肺に関する医学)的知見や研究成果を踏まえたものと認められる(甲A9,乙43,弁論の全趣旨。 )そうすると,このような管理区分制度の目的や運用状況に加え,じん肺健康診断医と地方じん肺診査医による二重の診断又は審査を受けるシステ- 73 -ムとなっている管理区分決定手続は,全体として,専門家による慎重な手続を経ているということができ,じん肺罹患の有無及びその程度を判断す,,る方法として一般的な合理性を有するものと評価することができるからこのような手続に従って決定された管理区分については,当該労働者のじん肺罹患の有無及びその程度を示すものとして,高度の信用性を認 ,る方法として一般的な合理性を有するものと評価することができるからこのような手続に従って決定された管理区分については,当該労働者のじん肺罹患の有無及びその程度を示すものとして,高度の信用性を認めることができるというべきである。したがって,粉じん作業に従事し又は従事していた労働者が管理2以上の管理区分決定を受けた場合には,当該労働者は当該管理区分に相当するじん肺に罹患している事実(当該管理区分に相当する健康被害を受けている事実)が強く推認され,この推認を動揺させるに足りる反証がされない限り,当該事実を認めるのが相当である。 これに対し,1審被告らは,一旦決定された管理区分が低位に変更された例があるから,管理区分決定に信用性は認められない旨主張する。なる,(,,),ほど 証拠 乙87ないし91 339ないし358によれば一旦決定された管理区分が低位に変更された例が全国的に認められるとともに,1審被告神岡鉱業の退職者6名についても低位に変更された例が認められる。しかしながら,平成18年から平成22年における全国のじん肺管理区分決定数に対する低位変更件数の割合は,約1.6%から約2. 4%の間で推移しており(乙176,そのような例外的な事例があるか)らといって,直ちに管理区分決定の信用性を否定することはできないというべきである。 もっとも,後述するとおり,今日では,じん肺の診断における胸部CT写真の有用性は肯定すべきであり,特に,じん肺法のじん肺所見の有無の判断,すなわち,胸部エックス線写真上,12階尺度で0/1と判断すべきか1/0と判断すべきかの境界領域では,胸部CT写真の読影結果を利,。 ,用することにより確度の高い診断が得られると認められるそうすると胸部CT写真を利用しなかった(できなかった)時期の管理区 きか1/0と判断すべきかの境界領域では,胸部CT写真の読影結果を利,。 ,用することにより確度の高い診断が得られると認められるそうすると胸部CT写真を利用しなかった(できなかった)時期の管理区分決定と,- 74 -胸部CT写真も参考にして導かれた管理区分決定との間には,その診断の確度において幾ばくかの差が生じていたとしても不自然ではないといえるから,本件において,1審原告等のじん肺罹患(健康被害)の有無及びそ,。 の程度を判断するに際してはこの点を考慮せざるを得ないものと考えるなお,1審被告らは,1審原告らが管理区分決定及びじん肺の法定合併症の労災認定を受けた事実を立証すれば,損害を立証したことになるとすることは,1審原告らにとって証拠の偏在も立証の困難性も認められない本件では,立証責任を転換したに等しく妥当でない旨主張するけれども,上記のとおり,もともと管理区分決定は,粉じん作業に従事し,あるいは従事した労働者がじん肺に罹患しているか否かを判定するものであるから,管理2以上の管理区分決定を受けている1審原告等については,1審原告らはその旨を主張すれば足りるというべきであるし,続発性気管支炎に罹患したとして労災給付決定を受けたことは,後述するとおり,給付決定を受けた1審原告等が細菌感染等に対し脆弱であることを示す事実といえ,そのことが当該1審原告等の健康被害を構成するということができるから,1審被告らの主張は採用することができない」。 (2)じん肺罹患の有無及びその程度を判断するに当たっての胸部CT写真の評価について,,,1審被告らは1審原告等の多くについて胸部CT写真を考慮した結果じん肺罹患の事実がない,あるいは,より軽度のじん肺に罹患しているにすぎない旨主張する。 そこで,1審被告らの主張の当否を検討する前提 1審被告らは1審原告等の多くについて胸部CT写真を考慮した結果じん肺罹患の事実がない,あるいは,より軽度のじん肺に罹患しているにすぎない旨主張する。 そこで,1審被告らの主張の当否を検討する前提として,じん肺罹患の有無及びその程度を判断するに当たっての胸部CT写真の位置付けについて検討する。 ア上記認定のとおり,胸部エックス線写真は,3次元的な胸部の構造を2次元に投影したものであるから,正面画像では前後方向に重なりあった画- 75 -像となり,肺野,血管,胸壁等,胸部の種々の構造物のエックス線吸収値を足し合わせた形で描出され(1(3)ア,濃度分解能(コントラスト分解))()。 ,,能には限界がある1(3)イということができるそのため従来から胸部エックス線写真が12階尺度における0/1と1/0の境界領域にあるものは,読影者間の診断にばらつきがあることが指摘され(乙60,92,363の1・2,368の1・2等,C8医師も「じん肺画像診断),に関する意見書乙359以下C8意見書というにおいてじ」(。 「」。),「ん肺があるか否かのPR0/0とPR0/1,PR0/1とPR1/0間の判定は,胸部エックス線写真のみで診断する限り,専門医であっても,ある程度のばらつきは避けられない」と指摘している。また,胸部エックス線写真上の病変を解釈するとき,撮影条件やフィルムの質にも影響を受けやすいと指摘されている(乙92。 )他方,胸部CT写真は,上記認定のとおり,胸部エックス線写真と比較して空間分解能は劣るものの,胸部エックス線写真のように前後方向の重なりがない上,濃度分解能が高いため,肺内の線維化及び気腫化が鮮明に描出され,それらの病態が理解されやすい画像となる旨の研究報告や文献での指摘が多数見受けられる 部エックス線写真のように前後方向の重なりがない上,濃度分解能が高いため,肺内の線維化及び気腫化が鮮明に描出され,それらの病態が理解されやすい画像となる旨の研究報告や文献での指摘が多数見受けられるとともに,胸部エックス線写真ではじん肺所見が認められない,あるいは,第1型には至らない場合であっても,胸部CT写真では肺内の異常を描出することができるとの報告や,胸部エックス線写真上,特に,12階尺度における0/1と1/0の境界領域の診断には胸部CT写真が有用であり,読影者間の診断のばらつきが胸部エックス線写真に比べて少ない旨の研究報告が多くされており「0/0,0/1,1/,0のいわゆる境界領域のじん肺症に対して診断の確度をあげるためにC,,。」(,Tの適用を積極的に活用することが望まれるとの指摘も甲A177乙93,このような医学的知見を踏まえてのものと認められる。 )- 76 -イもっとも,管理区分の決定手続及びその前提となるじん肺健康診断の内容及び手法等については,じん肺法及び同法施行規則並びにじん肺診査ハンドブックなどに詳細に定められており,そこでは,対象者の胸部エックス線写真(直接撮影による胸部全域のエックス線写真)の像を4段階の型,,に区分しその結果を踏まえて管理区分を決定すると定められている一方胸部CT写真については直接言及されていない。 しかしながら,厚生労働省は,じん肺に関する新たな医学的知見の集積を踏まえ,じん肺法におけるじん肺健康診断の在り方について有識者に検討を委嘱しじん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会による,「」平成22年5月13日付け報告書では胸部CT写真については検査の,「,普及が進んでおり,またじん肺にかかるCT写真の国際的なガイドラインが発刊されている一方 に関する検討会による,「」平成22年5月13日付け報告書では胸部CT写真については検査の,「,普及が進んでおり,またじん肺にかかるCT写真の国際的なガイドラインが発刊されている一方,放射線被曝量が単純エックス線写真に比べて高いこと,事業者がじん肺健康診断の費用を負担すること,読影技術の普及が必要であることから,現時点において,胸部CT写真の検査をじん肺健康診断における検査として位置付け,全ての対象者に対し一律に検査を行うのは妥当ではない中略しかしながらじん肺の所見を的確に把握する。(),ためには,胸部CT写真の画像所見も有用であることや,現行においてじん肺の合併症の検査の一つとして位置付けており,一部のじん肺健康診断の受診者において,肺がんに関する検査として胸部CT検査が実施されていることも踏まえ,引き続き,じん肺の所見の有無は胸部エックス線写真,,により判断することを基本とし既に撮影された胸部CT写真がある場合じん肺にかかる診断の参考にとどめることが適当であるとされた甲A。」(137の1・2。 )さらに,平成26年4月24日に開催された第14回労働政策審議会安全衛生分科会じん肺部会ではじん肺の診断基準及び手法に関する調査研,「- 77 -究について」との議題で,平成26年度から3年間の計画で,①じん肺及びその合併症(特に肺がん)に関する診断能を上げるため,過去の多数の症例を収集し,読影実験等を行ってCT画像とエックス線写真の診断能を比較すること,②エックス線写真で0/1と1/0の境界症例にある症例に関するCT画像における適切な基準を作成すること,③低線量CTで通常の線量に比べて画質や診断能が落ちないかを検証するとともにCT検査のコスト・ベネフィット解析をすることを目的として,じん肺 る症例に関するCT画像における適切な基準を作成すること,③低線量CTで通常の線量に比べて画質や診断能が落ちないかを検証するとともにCT検査のコスト・ベネフィット解析をすることを目的として,じん肺健康診断における適切な診断基準及び手法の確立を目指し,じん肺健康診断にCT検査を導入するかどうかを検討することが明らかにされている(甲A136。 )また,参考として同一患者の胸部CT写真が収録された標準写真集電子媒体版が,厚生労働省本省及び各都道府県労働局のみならず,じん肺健康診断等を実施する医療機関等の関係団体にも配布され,平成23年10月1日以降に申請されるじん肺管理区分決定手続に用いられるようになったこと,上記胸部CT写真は,症例の少ない型等,胸部エックス線写真のみでは医師間の判断のばらつきが大きくなる可能性が想定されるものについて参考とするために収録されたものであること標準写真集の附属書乙,,(286の2が写真番号3粒状影の第0型0/1について胸部),(〔〕),エックス線写真ではじん肺を疑う所見はほとんど認められないが,胸部CT写真では,両側の肺上葉に少数の粒状影が観察され,粒状影の密度と分布がごく限られているため,じん肺の型として第0型(0/1)に相当すると説明していることは上記認定のとおりであり,管理区分決定手続において,申請労働者の胸部CT写真の提出が求められている例も存在している(甲A134,138。 )ウ以上の事実を踏まえれば,臨床現場においても,管理区分決定手続にお- 78 -いても,じん肺罹患の有無及びその程度の診断ないし判定に胸部CT写真を利用することの有用性は,今日では一般に肯定されているということができるし,管理区分決定手続において,胸部CT検査が採用されるに至っていないの 罹患の有無及びその程度の診断ないし判定に胸部CT写真を利用することの有用性は,今日では一般に肯定されているということができるし,管理区分決定手続において,胸部CT検査が採用されるに至っていないのは,症例に関する適切な基準の作成に至っていないこともさることながら,放射線被曝量や費用負担の問題等,胸部CT検査をじん肺健康診断に採用するための検討課題が残されているという制度設計上の問題が大きく関与しているためであると認められる。 そうすると,厚生労働省のじん肺法におけるじん肺健康診断等に関する検討会の平成22年5月13日付け報告書において胸部CT写真を「じん。」,肺にかかる診断の参考にとどめることが適当であるとされているのも胸部CT写真の有用性を認めて診断の確度を上げることは必要であるが,このような制度設計上の制約に加え,あくまでも胸部エックス線写真の読影が基本となっている現在の管理区分制度の中では,既に撮影された胸部CT写真をじん肺診断の参考と位置付けるのが相当であるとの趣旨であると解される。 エ(ア)これに対し1審原告らは管理区分決定制度では胸部CT写真によ,,ってじん肺罹患の有無を診断する技法も基準も確立されていないから,参考にすぎない胸部CT写真に管理区分決定を覆すほどの証拠価値は認められない旨主張する。しかしながら,胸部CT写真の有用性を認めた上で参考の趣旨が上記のように解されることに加え標準写真集電,「」,子媒体版には,医師間の判断のばらつきを少なくする目的で,全ての症例ではないものの,相当数について同一患者の胸部CT写真が収録されていることに照らせば,胸部CT写真を利用しないでされた管理区分決定を絶対視すべき理由に乏しいというほかないから,1審原告らの主張は採用することができない。 - 79 - 者の胸部CT写真が収録されていることに照らせば,胸部CT写真を利用しないでされた管理区分決定を絶対視すべき理由に乏しいというほかないから,1審原告らの主張は採用することができない。 - 79 -(イ)また1審原告らは①胸部CT写真の限界を裏付ける相当数の研究,,報告があり甲A138ないし140CTHRCTが肺内の病変(),()を正確に描出するとは限らない,②じん肺診査ハンドブック(甲A9,乙43)ないしじん肺法制は,胸部エックス線写真上の粒状影のうち,1.5mm以下の径をpタイプとして読影することを医師に要求しているから,じん肺の画像診断で問題となるのは直径が2~3mm程度の大きさの陰影であることを前提としているC8医師及びC5医師の意見(乙3 や1審被告らが教科書的文献とする胸部のCT乙3,)「」(60)が,けい肺のHRCT所見は「数mm台の粒状影」と記載していることを踏まえれば,胸部CT写真ではpタイプの微小な結節を検出できないことは明らかであるし,1審被告らが指摘するCTの有用性はHRCTに関するものであって,1審原告等に実施された通常CT検査には妥当しない旨主張する。 しかしながら,①の主張については,胸部CT写真の限界を裏付ける相当数の研究報告であるとして1審原告らが主張するもののうち,C7医師が平成22年10月2日に行った講演(甲A138)で指摘するJardinらの研究報告(乙368の1・2)は,上記認定(1(3)イ(エ))のとおり,じん肺の画像診断における胸部CT写真の有用性や胸部エックス線写真の過剰認識を示す論文であって,胸部CT写真の限界を示したものとは認められないし,昭和62年に発表されたBéginらの研究報告は珪肺の早期発見において胸部レントゲン写真に対し 胸部エックス線写真の過剰認識を示す論文であって,胸部CT写真の限界を示したものとは認められないし,昭和62年に発表されたBéginらの研究報告は珪肺の早期発見において胸部レントゲン写真に対しCTの優位性,「,。」,(),はないと結論付けているものの上記認定1(3)イ(ウ)のとおりBéginらは平成3年に発表した研究報告乙363の1・2で従前の,()見解を改めたと認められる上昭和62年の研究報告に対しては微細,,「な線維化の描出困難の原因として,使用したCTの性能が不十分なこと- 80 -と肺実質病変表現用の適当なフィルター函数を使用しなかったためと考えられる(乙60「Beginらの研究では,画像のスキャン時間がCT」),像の診断品質に大きく影響を与えるものであった中略さらに肺全()。 ,。」(),体を調査していない乙368の1・2との疑問等が呈されており昭和62年のBéginらの研究報告が胸部CT写真の限界を裏付けているとは認められない。さらに,1審原告らが指摘する麦谷耕一らの「じん肺検診におけるヘリカルCTの有用性平成11年・甲A139は胸」(),「部単純エックス線撮影で指摘された粒状陰影<1.5mm 24例のうち()7例は胸部ヘリカルCT撮影では明らかには認められなかったじん。」,「肺の粒状陰影の検出にはヘリカルCTより胸部単純エックス線撮影が優れていると考えられたと報告しているがこの研究報告は客観的に。」,,存在する解剖所見が胸部エックス線写真と胸部CT写真とでどのように画像表示されるのかについての比較検討をしたものではない上,Jardinらが指摘する胸部エックス線写真の過剰認識の可能性を考慮したかどうかも不明であり, 部エックス線写真と胸部CT写真とでどのように画像表示されるのかについての比較検討をしたものではない上,Jardinらが指摘する胸部エックス線写真の過剰認識の可能性を考慮したかどうかも不明であり,むしろ,胸部エックス線写真の読影結果が正しいとの前提に立ったものと評価することができるから,胸部CT写真の限界を裏付ける研究報告ということはできない。 さらに,胸部CT写真ではpタイプの微小な結節を検出できないことは明らかであるとする上記②の主張については,以下のとおり指摘することができる。 まず,一般的に胸部CTにおける肺の小病変の確認可能性について,標準呼吸器病学平成12年・乙365はCT画像には部分容「」(),,積効果があるものの肺は周囲の構造が空気であるためこのような場合,「でも小病変を認識することは可能で,具体的には10mmのスライス厚であれば1mm程度の病変までは確認できる。肺病変の存在診断には10mm- 81 -のスライス厚で10mm間隔で撮影すれば全肺のスキャンとしては十分である」としている。そして,志田寿夫「塵肺のCT(平成4年・乙5。 」 は胸部エックス線写真所見では直径15mmの淡い粒状影が主),,「. として上肺野に比較的密に分布しており,1型qと2型の中間と考えられる症例に関し中下肺野のCT横断像では高吸収の粒状形がきわ」,,「めて密に均等に分布しており,胸部単純X線写真がみられたものよりもはるかに分布密度が高い。これはCTの濃度分解能が高いことにより,淡い陰影でも鮮明に描出することが可能という大きな利点があるからであると指摘しており胸部エックス線写真では検出できなかった中下。」,肺野の病変を胸部CT写真が明らかにした例と解されること,上記志田寿夫らの「じ 描出することが可能という大きな利点があるからであると指摘しており胸部エックス線写真では検出できなかった中下。」,肺野の病変を胸部CT写真が明らかにした例と解されること,上記志田寿夫らの「じん肺管理区分決定における胸部CT画像の必要性と有用性の評価に関する研究平成2年・乙60においても人体軟部組織を」(),仮定したアクリルと肺組織に近い吸収係数を有するスポンジを用いて作成したファントームにより実験を重ねたところ,CT画像の病変認識限界は,じん肺結節のように高吸収値を示す領域の変化では0.55mmで,()あったこと胸部エックス線写真で2/2pと分類される患者けい肺(。 。),の胸部CT写真スライス厚5mmから10mmの条件以下同じでは「直径1mmかそれ以下の高吸収値を示す微細な結節状陰影が,各横断面に密にかつ均等に分布している,胸部エックス線写真では微細な小円。」形陰影が主として両側上肺に散見される程度で,いわゆる境界領域の症例(けい肺)でも,胸部CT写真では「直径1.0~1.5mm大の結節状粒状影が両側上肺後面に分布しているのが明らかに観察され」る,胸部エックス線写真分類ではほぼ1/1pに近いと分類される患者(活性炭肺)の胸部CT写真では「全肺野に均等かつ極めて密に分布する直径1mm以下の微細な結節状陰影を示しており,じん肺としては軽度とはい- 82 -えない所見であると指摘している上胸部CT写真の方が高密度かつ。」,じん肺結節の径も大きく表現される傾向にあることを指摘しており,胸部CT写真では,胸部エックス線写真が示さなかった淡い陰影でも描出することが可能で,胸部CT写真上でも,直径1.5mm以下の結節状粒状影ないし陰影が描出されていること,上記平方論文(平成3年・甲A は は,胸部エックス線写真が示さなかった淡い陰影でも描出することが可能で,胸部CT写真上でも,直径1.5mm以下の結節状粒状影ないし陰影が描出されていること,上記平方論文(平成3年・甲A はHRCTにおいて 5mm以下のじん肺結節が37% ),,. (1/83)結節影として診断することができた旨を指摘していることに照らせば,1審原告らの主張は,上記医学的知見に整合しないといえる。そして,平方論文が,HRCTにおいて,1.6~3.0mmのじん肺結節が83%(98/118)結節影として診断することができた旨を指摘していることからすると,C8医師やC5医師が指摘する「2~3mm」や「胸部のCT(乙360)が指摘する「数mm台の粒状影(けい肺のHR」」CT所見)は,胸部CT写真においておおむね確実に診断することができる大きさを示したものであって,これ以下の大きさの結節影が胸部CT写真では全く検出されないことを意味するものではないと理解するのが合理的である。 また,解剖所見と対照して,胸部エックス線写真と胸部CT写真との画像上の違いや検出限界を明らかにした証拠は提出されていない(平方論文もそのような比較まではしていない。そうすると,胸部CT写真。)の濃度分解能の高さを踏まえれば,胸部CT写真では,pタイプの微小な結節をおよそ検出できないとする1審原告らの主張は採用することができないというべきである。 なお,1審原告らは,1審被告らが指摘するCTの有用性はHRCTに関するものであって,1審原告等に実施された通常CT検査には妥当しない旨も主張するが上記Béginらの珪肺症の早期発見におけるコン,「- 83 -ピューター断層撮影法乙363の1・2によればCT検査で検出」(),された珪肺症例のうち90例( しない旨も主張するが上記Béginらの珪肺症の早期発見におけるコン,「- 83 -ピューター断層撮影法乙363の1・2によればCT検査で検出」(),された珪肺症例のうち90例(90%)は従来のCT検査で検出されており,HRCTは10%の新たな症例と34%のより明確な異常の判定を追加したとし通常CT及びHRCTの解読者間の判定の一致度は高,「く,正常では完全に一致,また異常の判定も90%以上の症例(43例中40例で一致し2つの手法間の一致度に有意差はなかったこと),。」が報告されているから,通常CTが一定の範囲で濃度分解能がHRCTに及ばない面はあるとしても,その有用性は否定されないというべきである。 (ウ)また1審原告らは胸部CT写真の問題点ないし限界として③病,,,理解剖との対比が少数のため,胸部CT写真が肺の病変を忠実に表現しているかの裏付けに乏しいこと,④撮影条件等の統一的なルールが策定されていないことを指摘するが,③については,胸部CT写真が病変を正しく反映していることを指摘する論文は少なくないし(乙366の1・2,367の1・2。平方論文〔甲A140〕もその一つということができる,④についても,各撮影機器メーカーは,機種や撮影部位に。)よって最適な推奨撮影条件を定めており,肺野病変を観察するための表示条件としてウィンドウ幅1200HU ウィンドウレベル-650~,「,-750HUとかウィンドウ幅1200~1800HUウィンドウレ」,「,ベル-500~-700HU」程度とほぼ統一されている状況と認められるから甲A177乙93 臨床現場においてコ(,,,),,ンピュータの設定や表示条件について手さぐり状態で,適切な胸部C HU」程度とほぼ統一されている状況と認められるから甲A177乙93 臨床現場においてコ(,,,),,ンピュータの設定や表示条件について手さぐり状態で,適切な胸部CT写真を得るのが困難であるとは認められず,1審原告らの指摘は,胸部CT写真の有用性を否定するに至らないというべきである。 オもっとも,上記認定のとおり,空間分解能において,エックス線写真に- 84 -比べてCT写真が劣ること,部分容積効果により,画像上の病変組織濃度が本来のCT値と異なったり,小構造が隠ぺいされる場合があることが指摘されている上,平方論文は,HRCTであっても,解剖所見上,サイズの小さいpタイプの結節のうち63%は同定困難であったことを報告しており,C8意見書(乙359)においても,平方論文に対し「これは,,1.5mm以下の小結節が血管影に重なると粒状影として認識できない場合がしばしばあることを示しているだけであり,これがCTで描出できないじん肺結節であり,HRCTの描出限界と考えればよい。当然のことながら,このレベルのサイズの小結節はエックス線写真の検出限界をはるかに超えており,じん肺画像診断においてCT画像よりもエックス線写真の方が優位かつ有用であることを示す根拠にはならないと指摘していることに照。」らすと,胸部CT写真においても,実際に肺内に存在するじん肺所見が検出されない場合があること自体は否定できない。 なお,1審原告らは,胸部CT写真で検出されないじん肺病変であっても,胸部エックス線写真では検出可能であるとの前提に立った主張もするが,胸部エックス線写真では異常なしとされても,胸部CT写真では異常が認められた研究報告が少なからず存在することは上記認定のとおりであり産業保健ハンドブックⅣじん肺第2版が に立った主張もするが,胸部エックス線写真では異常なしとされても,胸部CT写真では異常が認められた研究報告が少なからず存在することは上記認定のとおりであり産業保健ハンドブックⅣじん肺第2版が胸部CT写真は胸,「」(),,「部X線写真で表現されない微細な粒状影,淡い粒状影,粒状影の融合,間,,,,,,,質性肺線維化影気腫化ブラブレブ蜂窩肺胸膜斑胸膜石灰化斑大陰影の周辺の変化,空洞形成などにおいては優れた検出能を有している」と指摘するのも(甲A177,乙62,これまでの医学的知見を踏。 )まえたものと認められるそうすると体内の部分部分の物質がエックス。 ,「線を吸収する程度を表現したCT画像上ですら粒状影が認められない場合,腹側から背側までの前後方向の肺野,血管,胸壁など種々の構造のエ- 85 -ックス線吸収値を足し合わせたエックス線写真上であれば余分なエックス線吸収を持つ粒状影が突然出現するということは医学的,学術的にみて論理的に考えてもあり得ない「CT画像で描出できないレベルの極めて微」,細な小結節を,エックス線写真で再現性をもって描出できたという国内外の論文は認められずまた原理的にも不可能であるとのC8意見書の指,。」摘(23頁,29頁)は,本件で問題となる混合粉じん性じん肺(非典型けい肺)では線維化の度合いが小さく,胸部エックス線写真では検出されにくいことも併せ考慮すれば説得的である(なお,C7医師編著〔甲A53・32頁〕においても,非典型けい肺の剖検例と胸部レントゲン写真を比較して後者においては肺内に高密度に形成された粉じん巣は認め難,,「い。レントゲン的にはじん肺と診断し難いにもかかわらず,剖検では高度のじん肺なのである。このような臨床と病理の解離は,典型珪 比較して後者においては肺内に高密度に形成された粉じん巣は認め難,,「い。レントゲン的にはじん肺と診断し難いにもかかわらず,剖検では高度のじん肺なのである。このような臨床と病理の解離は,典型珪肺を除き,。 ,,多くの種類のじん肺で生ずるその原因は粉じん巣の線維化が弱いためレントゲンに粒状影が出現しにくい上に,気腫性変化の進行により,じん肺所見がさらに不明化するためであるとの指摘をしており分解能の範。」,囲内の気腫性変化と粒状影を明確に分離描出できる胸部CT写真の優位性(C8意見書39頁)は,この点からも明らかであると思われる。 。)したがって,本件においては,胸部CT写真ではじん肺による粒状影や不整形陰影が認められない場合であっても,胸部エックス線写真ではこれらを認めることができるとする1審原告らの主張は採用することができない。 カ以上のとおり,胸部CT写真には,上記のような限界は認められるものの,胸部エックス線写真に勝る有用性が認められ,特に,胸部エックス線写真において12階尺度の0/0,0/1,1/0のいわゆる境界領域においては,胸部CT写真を利用することにより診断の確度が上がる場合が- 86 -多いと認められる。そして,1審原告等が最新の管理区分決定を受けたのは,本判決別紙3「管理区分等一覧表」の「最新管理区分決定日」欄に記載のとおりであり,1審原告A18を除き,平成23年3月に標準写真集が整備される前であるから,その管理区分決定の際には,1審原告A18を除く1審原告等については,胸部CT写真は利用されていなかったものと推認される。そうすると,1審原告A18を除く1審原告等の胸部CT写真は,肺野病変を観察するため,今日において標準的に用いられているウィンドウ幅やウィンドウレベル等の相当な条件等によって撮 たものと推認される。そうすると,1審原告A18を除く1審原告等の胸部CT写真は,肺野病変を観察するため,今日において標準的に用いられているウィンドウ幅やウィンドウレベル等の相当な条件等によって撮影されたものと認められる場合には,管理区分決定に対する反証として,相当程度の証明力を有するものと認められる。 もっとも,そのような胸部CT写真であっても,その読影という評価作業が必要であることは胸部エックス線写真と同様である。そして,本件では,当事者双方がそれぞれ依頼した医師らの意見は,後述するとおり,四者四様の状況であり,結局のところ,それぞれの医師らの意見に信用性が認められるか否かが問題となるから,個々の1審原告等のじん肺罹患の有無及びその程度の判断の中で,併せて検討する。 (3)じん肺罹患の有無及びその程度①-1審原告等(CT関係)についてア1審被告らは,C5医師らの鑑定意見(乙153,203,210,285)を根拠に,管理2(胸部エックス線写真の像が第1型)の管理区分決定を受けている1審原告等のうち,以下の1審原告等(CT関係)の胸部エックス線写真の像は第0型であり,じん肺に罹患しているとは認められない旨主張する。 (ア)最新の胸部エックス線写真の小陰影の区分が0/0である上,最新の胸部CT写真にじん肺に相応する陰影は認められないとして,じん肺()(「()」所見なし0/0と判断するもの以下1審原告等CT関係A- 87 -という。なお,(3)項において「1審原告」の表示は省略する),。 A19,A14,A23,A8,A15,A9,A16,A10,A (イ)最新の胸部エックス線写真の小陰影の区分が0/1であり,最新の胸部CT写真にじん肺に相応する陰影は認められないとして,じん肺所見なし(0/0)と判 8,A15,A9,A16,A10,A (イ)最新の胸部エックス線写真の小陰影の区分が0/1であり,最新の胸部CT写真にじん肺に相応する陰影は認められないとして,じん肺所見なし(0/0)と判断するもの(以下「1審原告等(CT関係B」)という)。 A27,亡B5,A31,A32,A22,A13,A28(ウ)最新の胸部エックス線写真の小陰影の区分が0/1であり,最新の胸部CT写真にわずかに又はごくわずかに粒状影が認められるが,第1型には至らないとして,第0型(0/1)と判断するもの(以下「1審原告等(CT関係C」という))。 A3,A4,A21,A6,A7イ他方,1審原告らは,C1医師の鑑定意見を根拠に,1審原告等(CT関係)の胸部エックス線写真の像は第1型ないし第2型(A32,A22及びA13に関し)であり,じん肺に罹患している旨主張するほか,当審において,亡B5及びA21を除く1審原告等(CT関係)について,C6意見書(甲A153)及びC7意見書(甲A172)を提出する。C1医師の鑑定意見の内容は,補正して引用した原判決別紙7「C1医師の鑑定意見」に記載のとおりであるほか,本判決別紙4「1審原告等(CT関)」「」,係個別意見一覧表のC1医師の鑑定意見欄に記載のとおりでありC6意見及びC7意見の内容は,同別紙の「C6医師の意見」欄及び「C7医師の意見」欄に記載のとおりである。 ウ(ア)そこで,1審原告等(CT関係)の最新の胸部CT写真が相当な条件等によって撮影されたものであり,管理区分決定に対する反証として用いることができるかどうかを先に検討するに,上記胸部CT写真のス- 88 -ライス厚,スライス間隔,ウィンドウレベル,ウィンドウ幅,撮影枚数(スライス数)は,本判決別紙5「1審原告等(CT関係) 用いることができるかどうかを先に検討するに,上記胸部CT写真のス- 88 -ライス厚,スライス間隔,ウィンドウレベル,ウィンドウ幅,撮影枚数(スライス数)は,本判決別紙5「1審原告等(CT関係)の胸部CT写真の撮影条件等」に記載のとおりであり,A21の胸部CT写真を除きいずれも今日ではほぼ統一されていると認められる撮影条件ウ,,(「ィンドウ幅1200HU,ウィンドウレベル-650~-750HU「ウ」,ィンドウ幅1200~1800HU,ウィンドウレベル-500~-700HU 〔甲A177,乙93,359,360)を満たすものと認め」〕られる上,スライス厚及びスライス間隔も通常CTの枠内であると認められる(なお,A10の胸部CT写真〔乙B36の1の2〕のスライス間隔は画像上不明であるが,C8医師の意見書〔乙359〕より,8mm間隔と認める。また,上記別紙5の「撮影年月日【該当証拠」欄記。)】載の証拠によれば,これらの胸部CT写真はいずれも「肺野条件」で撮影されており,本件証拠上,CT機器や撮影技術に問題があったことをうかがわせる事情も認められない。そうすると,A21を除く1審原告等(CT関係)の最新の胸部CT写真は,相当な条件等によって撮影されたものと認められる。 (イ)他方,A21の最新の胸部CT写真(乙B18の1の2)は4枚しかない1審被告らはC5医師及びC4医師作成の鑑定意見書(4)乙。 ,(316)に依拠して,上中肺野部位のスライスが2枚あるから,左側上肺野にごくわずかに粒状影が認められるとのC5医師らの読影結果を担保している旨主張するが,上記別紙5のとおり,例えばスライス厚を10mmとした場合に得られるスライス数は30枚前後であり,肺野をほぼ3等分(乙287)にした場合の上肺野ではおお 医師らの読影結果を担保している旨主張するが,上記別紙5のとおり,例えばスライス厚を10mmとした場合に得られるスライス数は30枚前後であり,肺野をほぼ3等分(乙287)にした場合の上肺野ではおおむね9ないし10枚のスライスが得られ,その中で粒状影の有無や程度が判断されて初めて,胸部エックス線写真での所見と併せ,診断の確度が上がると認められるから,A21の最新の胸部CT写真は,相当な条件等によって撮影され- 89 -た胸部CT写真であると認めることはできないというべきである。したがって,A21については,反証となり得る胸部CT写真を認めることはできない。 (ウ)次に,C1医師は,原判決別紙7「C1医師の鑑定意見」記載のとおり,亡B5の最新の胸部CT写真(平成15年2月4日撮影。乙B4),,,の1の2は気管支陰影が二重になっておりぶれて写っているから呼吸がしっかりと止まっておらず,粒状影のような微細な陰影について具体的に指摘するには適さないと指摘するのに対し,C5医師及びC4医師は「確かに,ごく一部のスライスにぶれているものがあるが,じ,ん肺の粒状影が典型的に特に現れやすい上肺野のスライス,具体的には肺の上部からスライス-44.50mmまでは十分にじん肺画像診断として読影可能であり,全体的には,じん肺の粒状影の有無・程度の判断に耐えうるものであって支障はない」と指摘する(乙316。 。 )C1医師の鑑定意見の信用性に疑問があることは後述するとおりであるけれども,C5医師及びC4医師もスライスの一部にぶれが存在することは認めており,ぶれを指摘するC1医師の鑑定意見は,その限りで信用性が認められる。そして,ぶれの原因が呼吸がしっかり止まっていないことによるのであれば,上肺野部位のスライスに何ら影響がないといえるのかという り,ぶれを指摘するC1医師の鑑定意見は,その限りで信用性が認められる。そして,ぶれの原因が呼吸がしっかり止まっていないことによるのであれば,上肺野部位のスライスに何ら影響がないといえるのかという疑問は払拭できず,C5医師及びC4医師が,単に-44.50mmまでのスライスは読影可能と指摘するにとどまっていることも踏まえれば,亡B5の上記胸部CT写真は,患者由来によるアーチファクト(甲A176,乙364)が生じている可能性も否定できない。 そうすると,亡B5の上記胸部CT写真が,管理区分決定に対する反証になり得るとは認められない。 なお,1審被告らは,平成13年2月22日に撮影された亡B5の胸部CT写真(乙B4の1の4)でもじん肺所見は認められない旨主張す- 90 -るが,そもそも最新の胸部CT写真でさえ,1審原告等の中にあって格段に古い上,C5医師及びC4医師も,平成15年に撮影された胸部CT写真上で気腫性変化が顕在化したものと考える旨を指摘していることからすると(乙316,平成13年の時点でじん肺所見が認められな)いからといって,平成15年の時点でもじん肺所見が認められないとはいえない。したがって,平成13年に撮影された胸部CT写真が,亡B5の管理区分決定に対する反証になり得るとは認められない。 (エ)C1医師は,本判決別紙4の3の「C1医師の鑑定意見」欄記載のとおり,A4の最新の胸部CT写真(乙B11の1の2)は,縦隔条件と肺野条件の中間のようなものになっており,肺野のコントラストがついていないため,粒状影が非常に見にくい条件になっていると指摘するが,上記CT写真の表示条件は,ウィンドウレベル:-550HU,ウィンドウ幅:1600HUであって,肺野条件で撮影されたものと認められる上,C1医師も読影に適さないとは指摘していない いると指摘するが,上記CT写真の表示条件は,ウィンドウレベル:-550HU,ウィンドウ幅:1600HUであって,肺野条件で撮影されたものと認められる上,C1医師も読影に適さないとは指摘していないから(実際に読影をしている,相当な条件等によって撮影された胸部CT写真である。)と認められる。 エところで,神岡鉱山が遊離けい酸含有率が比較的低い鉱山であることは上記第2の2で補正して引用した前提事実(2)のとおりであり,粉じん中に含まれる遊離けい酸の濃度が低い場合には,線維化の度合いの低い混合型粉じん性線維化巣(MDF)を主体とした混合粉じん性じん肺を生じることは,上記認定のとおりである。 そして,C5医師は,1審原告等の画像を見る限り,本件におけるじん肺は混合粉じん性じん肺であると思う旨証言し(証人C5医師,C1医)師も,C1医師の鑑定意見で「非典型けい肺」と分類するものは,混合粉じん性じん肺に「大分近い」と証言する(証人C1医師。また,C1医)師の鑑定意見は,典型けい肺と非典型けい肺とを区別する実益はない旨を- 91 -指摘し(甲A72・36頁,他の医学文献でも,けい肺と混合粉じん性)じん肺は,臨床的には同一の疾患群を形成すると指摘されている(乙360。そうすると,胸部エックス線写真及び胸部CT写真において,じん)肺所見がどのように現れるか(好発部位はどこか)については,混合粉じん性じん肺は典型けい肺と同様に考えることができると認められる。 そして,粒子状の粉じんにおけるじん肺の所見は,肺の動きが相対的に弱く淀みやすい両側上葉,右中葉後上方,下葉上方に現れやすい傾向があると指摘されており(甲A100,乙289。なお,甲A53及び140,,。),も解剖所見上上肺野中心に粉じん巣が形成される旨を指摘しているじん肺によ 右中葉後上方,下葉上方に現れやすい傾向があると指摘されており(甲A100,乙289。なお,甲A53及び140,,。),も解剖所見上上肺野中心に粉じん巣が形成される旨を指摘しているじん肺による粒状影(けい肺結節,混合型粉じん性線維化巣〔MDF,〕)塊状線維化巣(PMF)は,胸部エックス線写真上では,初期の場合は上肺野を中心に出現し,上肺野優位で左右ほぼ均等に出現するが,左右不均一な場合には右側優位に出現し,じん肺の進行とともに1型,2型,3型,,と粒状影の密度が増していき病変の範囲が中下肺にも拡がっていくことまた,胸部CT写真では,上肺の背中側(背側)に多く出現することが,医学上の一般的な知見となっていると認められる(乙61,290の1・2,292の1・2,293の1・2,368の1・2,371,372ないし374の各1・2。 )上記のとおり,C5医師らの鑑定意見,C1医師の鑑定意見,C6意見及びC7意見は,1審原告等(CT関係)の胸部エックス線写真及び胸部CT写真の読影について四者四様の状況にあるところ,まず,その信用性について,検討する。 オC5医師らの鑑定意見(ア)まず,C5医師らは,1審原告等(CT関係)について,上記のとおり最新の胸部エックス線写真の小陰影の区分を0/0又は0/1と読影しているところ,この読影結果が,管理区分決定手続における読影結- 92 -果と異なるというだけでは,上記のとおりの管理区分決定の高度の信用性にかんがみると,その信用性を合理的に疑わせるに足りるものとは認められない。 (イ)次に,C5医師らによる胸部CT写真の読影結果の信用性について,(,,,,)判断するに 証拠 乙153 証人C5医師によれば,C5医師らの鑑定意見書(乙153)は, ,C5医師らによる胸部CT写真の読影結果の信用性について,(,,,,)判断するに 証拠 乙153 証人C5医師によれば,C5医師らの鑑定意見書(乙153)は,それぞれの医師が他の医師と意見交換することなく,各自で鑑定資料を検討した後,その結果を持ち寄って4名全員による検討会を2日にわたって実施し,全員の意見の一致をみた上で作成されたこと,C5医師らの鑑定意見書(2)及び(3)(乙203,210)は,それぞれの医師が他の医師と意見交換することなく,各自で鑑定資料を検討した後,体調を崩した医師を除く3名の医師がその結果を持ち寄って1日かけて検討会を実施し,その結果を残る1名の医師が確認の上,持ち回りで全員の意見を検討し,意,,(,,見の一致をみたことC5医師らは呼吸器内科C5医師C3医師C4医師)あるいは産業医学・産業保健(C2医師)を専門分野とする豊富な臨床経験を有し,C5医師は「デジタル撮影によるじん肺標準,エックス線画像に関する検討会」の委員のほか,現在,中央じん肺診査医であり,地方じん肺診査医研修会の統括・講師を務めていること,C2医師も地方じん肺診査医を務めた後,現在,中央じん肺診査医を務めていること,C4医師も地方じん肺診査医を務めた経験があること,なお,C5医師らの鑑定意見は,じん肺所見の好発部位や胸部CT写真の有用性といった現在の医学的知見に沿ってまとめられたものと認められること,C5医師らの鑑定意見は,1審被告らの依頼に基づくものであるが,管理区分決定では管理2とされていたA33及び亡B6について第2型(PR2/1,同じく管理2とされていたA18及び亡B2に)ついては第4型Aであると結論付けており,C5医師らが医学的見地を- 93 -離れて殊更に1審被告 ていたA33及び亡B6について第2型(PR2/1,同じく管理2とされていたA18及び亡B2に)ついては第4型Aであると結論付けており,C5医師らが医学的見地を- 93 -離れて殊更に1審被告らに有利な意見をとりまとめたとは認められないこと,以上を指摘することができる。 そして,上記1(3)イのとおり,胸部CT写真の場合には,胸部エックス線写真に比べて読影者間の判断のばらつきが少ないことが指摘されていることも踏まえれば,C5医師らの胸部CT写真の読影結果(少なくとも,後述のとおり「じん肺に相応する陰影は認められない」との,読影結果)には,相応の信用性を認めることができる。 カ次に,C1医師の胸部CT写真の読影結果の信用性を判断するに,証拠(甲A72,76,証人C1医師)によれば,C1医師は,一般内科学,職業性呼吸器疾患全般(特に,職業性ぜん息,じん肺症)等を専門分野・主研究領域として,豊富な臨床経験を有することが認められるものの,地方じん肺診査医及び中央じん肺診査医の経験はないこと,C1医師の鑑定,,意見では粒状影の存在を示すとして胸部CT写真に赤丸を付けた箇所は(,肺の断面の中央部ないしほぼ全体にわたっているものが少なくないなお胸部エックス線写真の読影においても「中肺野」に粒状影の存在を認め,るものが多い)ことを指摘することができる。 。 また,C1医師は「神岡じん肺裁判に関する意見書(岐阜地裁判決を,受けて(甲A134)において,通常,胸部CT写真は肺がんの発見)」を第一目的としているので,じん肺の所見である粒状影が描出されやすい条件にはなっていないし,原判決の「胸部CT写真では微細な結節状陰影でも鮮明に表現される」との指摘に対して,画像情報の欠落があり得るCT写真の特徴を見落として過大評価するものとの批判 描出されやすい条件にはなっていないし,原判決の「胸部CT写真では微細な結節状陰影でも鮮明に表現される」との指摘に対して,画像情報の欠落があり得るCT写真の特徴を見落として過大評価するものとの批判をし「現時点にお,いて,胸部CT写真をじん肺診断の基準として用いることは困難である。 日本産業衛生学会でも,じん肺陰影を胸部CTで読影するための条件策定を試みた報告は毎年みられるが学会としての統一した見解が出されている,。」訳ではなくまだ実用に耐えるレベルにないと言うのが現状と思われる- 94 -,,との意見を述べた上標準写真集電子媒体版に添付された胸部CT写真は胸部エックス線写真とは異なり12区分全てに対応しておらず,胸部CT写真によってじん肺区分を正確に判断することは不可能である旨を記載するほか,原審の証人尋問において,胸部CT写真が必ずしもじん肺所見の有無・程度を十分に写し出すものとはいえないこと,胸部CT写真の標準化がされておらず,標準写真集電子媒体版には参考写真はあるが,まだ合,,意を得られたものではないのでそれを用いるのは時期尚早と考えることC1医師の鑑定意見をまとめるに当たっては,平成23年まではじん肺を判断する基準であった標準フィルムを用いるのが適切であって,現在の基準(標準写真集)を用いるのは不適切であると考えたことを証言している(証人C1医師。 )そうすると,C1医師は,じん肺患者の主治医として管理区分決定を申請する側の視点から,これまで管理区分制度と関わってきたことが推認されること,胸部CT写真の読影結果(なお,胸部エックス線写真についても同様である)は,じん肺所見の好発部位に関する上記医学的知見と必。 ずしも整合しているとはいえないこと,CTの撮影において,肺がんに特化した条件とか,じん肺に特化した ,胸部エックス線写真についても同様である)は,じん肺所見の好発部位に関する上記医学的知見と必。 ずしも整合しているとはいえないこと,CTの撮影において,肺がんに特化した条件とか,じん肺に特化した条件はなく,肺野条件として一様に条件設定されているのが通常である上,CT写真における情報の欠落についても,少なくとも,原判決においてじん肺の罹患が否定された19名,亡B5及び亡B1のCT画像については,情報の欠落は認められないのである(乙359)から,C1医師のCT写真に対する批判は必ずしも当を得たものとはいい難いこと,じん肺の有無を診断するに当たり,胸部CT写真の有用性を否定するかのような立場を取り,C1医師の鑑定意見をまとめるに際しても,標準写真集電子媒体版に収録された胸部CT写真を参考にしていないことに照らせば,C1医師の胸部CT写真の読影結果の信用性には疑問があることを否定することはできない。 - 95 -キまた,C6意見は,胸部CT写真の読影において,腹側に粒状影が存在する旨の指摘が圧倒的に多く,好発部位に関する医学的知見と整合していない。なお,後に訂正したものの(甲A175,C6意見書(甲A15)3)では,A19の平成21年2月4日撮影の胸部エックス線写真(乙B13の1の2)における粒状影の存在を指摘するに当たり(25頁,前)頁で検討した昭和63年2月17日撮影の胸部エックス線写真を掲載し,しかも,同じ胸部エックス線写真でありながら,異なる位置に粒状影を指摘していること,A9の平成22年8月10日撮影の胸部エックス線写真(乙B34の1の1)を指摘するに当たり,A23の昭和61年6月10日撮影の胸部エックス線写真(乙B29の1の3)を掲載し(90頁,)しかも,同じ胸部エックス線写真でありながら,異なる位置に粒状影を指摘 4の1の1)を指摘するに当たり,A23の昭和61年6月10日撮影の胸部エックス線写真(乙B29の1の3)を掲載し(90頁,)しかも,同じ胸部エックス線写真でありながら,異なる位置に粒状影を指摘していることも併せ勘案すれば,粒状影の存在に関するC6意見の信用性に疑問があることは否定できない。 クC7意見書(甲A172)によれば,C7医師は昭和43年に医学部を卒業し,本件訴訟においてもC7医師が関与したじん肺に関する研究報告や文献等が書証として多く提出されていることも踏まえれば,じん肺に関する豊富な臨床経験を有するものと認められる。 そして,C7医師は,上記意見書において「1型のじん肺,特に,シ,リカ濃度の低い「その他のじん肺」では,珪肺の2型,3型のそれと比較してじん肺結節の繊維化が軽微であるため結節が微小である。そのため単独の結節をレントゲン写真で検出するのは難しい。複数の小結節が重なり合うことで初めて陰影として認識できるようになるのである。初期のじん肺で粒状影は中下肺野から現れることが多いとされるのは,このためである。すなわち,実際の病変は上肺野から生じることが多いと思われるが,上肺野は体積が小さいため結節の陰影が重なり合うことが少ない。そのためレントゲン写真に粒状影が写りにくいのである。他方,より体積の大き- 96 -い中下肺野では,結節の影の重なり合いが起こりやすいため,レントゲン写真に粒状影が現れる確率が高くなるのである」と記載した上「肺内。 ,に結節があればCTに必ず写るはずだという考えは誤りである。特に第1型のじん肺は,結節が微小であるためCTに検出できないことが非常に多い」として,海外の研究報告を指摘している。また「第1型相当のじ。 ,ん肺については,CT画像では粒状影が消失してしまうなど見えにくくなるた ,結節が微小であるためCTに検出できないことが非常に多い」として,海外の研究報告を指摘している。また「第1型相当のじ。 ,ん肺については,CT画像では粒状影が消失してしまうなど見えにくくなるため,第1型相当の軽度のじん肺ではCT画像で評価すべきでない」。 とする。 なるほど,じん肺診査ハンドブック(甲A9,乙43)でも,けい肺の胸部エックス線写真における粒状影は「中下肺野に初発し(特に側方部,である)次第に上肺野に及んでくる」と記載されているが,好発部位。 。 に関する上記医学的知見と異なる内容であり,C5医師は,この記載は誤りである旨明確に証言する(証人C5医師。 )また,C7意見は,胸部CT写真では検出できない肺内の微小な結節であっても,結節の陰影が重なり合うことにより胸部エックス線写真では読影可能となるから,第1型のじん肺では,胸部エックス線写真の方が胸部CT写真よりも優れているとの見解であると理解することができる。しかしながら,1個では胸部エックス線写真上で粒状影として確認しにくい淡い結節が,読影者に認識可能な濃度の粒状影を形成するには,多くの結節がエックス線の方向と同一直線上に並ぶ必要があるのに,肺野において不均一に分布するじん肺結節の多くが,エックス線の方向と同一直線上に並ぶ確率は非常に低く,肺野全体として不均一な肺野濃度(肺野の白黒の濃淡)を形成する可能性が大きいと考えられるとするC8・C5両医師の指摘(乙375)は説得的である。また,C7医師が指摘する海外の研究報告が胸部CT写真の限界を指摘するものでないことは,既に見たとおりである。したがって,胸部CT写真の有用性を否定するC7意見は妥当とは- 97 -思われない。 なお,C7医師は,C7意見書を作成するに当たり,標準フィルムに収録された「その他のじん肺」 たとおりである。したがって,胸部CT写真の有用性を否定するC7意見は妥当とは- 97 -思われない。 なお,C7医師は,C7意見書を作成するに当たり,標準フィルムに収録された「その他のじん肺」の写真15ないし17のフィルムを用いて,亡B5及びA21を除く1審原告等(CT関係)の胸部エックス線写真の読影をしているが,写真15は炭素肺,同16及び17は溶接工肺であり(甲A88,126,乙375,けい肺とは種類を異にするじん肺であ)ると認められるし(甲A116,乙376,本件で問題となる遊離けい)酸含有率の低い混合粉じん性じん肺ないし非典型けい肺は,臨床的にはけい肺と同一の疾患群を形成する旨が指摘されていることは上記のとおりであるから,本件では「けい肺」の標準フィルムと対照するのが相当であ,り(乙375,この点においても,C7意見の信用性には疑問があると)いうほかない。また,標準写真集電子媒体版を利用していないことは,C1医師と同様の疑問が妥当する。 ケ以上を踏まえて,1審原告等(CT関係)のじん肺罹患の有無及びその程度を検討するに,1審被告らは,C5医師らの鑑定意見に基づいて,1審原告等(CT関係A)については,最新の胸部エックス線写真の小陰影の区分が0/0である上,最新の胸部CT写真にじん肺に相応する陰影は認められないとしてじん肺所見なし0/0と主張し1審原告等C,(),(T関係B)についても,最新の胸部エックス線写真の小陰影の区分は0/1であるが,最新の胸部CT写真にじん肺に相応する陰影は認められないとして,じん肺所見なし(0/0)と主張する。しかし,C5医師らの最新の胸部エックス線写真の読影結果が,管理区分決定手続における読影結果と異なるというだけでは,これらの1審原告等が管理2に相当するじん肺 ,じん肺所見なし(0/0)と主張する。しかし,C5医師らの最新の胸部エックス線写真の読影結果が,管理区分決定手続における読影結果と異なるというだけでは,これらの1審原告等が管理2に相当するじん肺に罹患しているとの推認を直ちに揺るがすものとはいえないことは,上記のとおりである。 他方,C5医師らの胸部CT写真の読影結果に相応の信用性が認められ- 98 -ることは上記のとおりである上,以下の1審原告については,最新の胸部CT写真を撮影した放射線科医師(いずれもD2病院)がじん肺所見を否定していることも踏まえれば,C5医師らの胸部CT写真の読影結果は,その信用性を高めているということができる。 ①A14(CT関係A)検査日:平成22年7月29日「塵肺を示すような変化は認め得ません。また気道の慢性炎症性変化も認め得ません(乙B28の2・16頁)。」②A23(CT関係A)検査日:平成22年10月5日「両肺とも細気管支の傷害を思わせる微細な結節性変化を認めます。 喫煙歴などによる非特異的な所見です。積極的に塵肺を思わせる所見は認めません(乙B29の2・60頁)。」③A8(CT関係A)検査日:平成22年1月19日「塵肺に特有の腫瘤形成や結節形成(小粒状)は認め得ませんが,気道の慢性的な炎症を示す肥厚像は認めます(乙B30の2・52。」頁)④A9(CT関係A)検査日:平成22年8月11日「左下葉に軽微な陳旧巣は認めますが,塵肺に特有な腫瘤・リンパ節の石灰化・小粒状結節等はCT画像上指摘できません(乙B34。」の2・16頁)⑤A16(CT関係A)検査日:平成22年9月10日「積極的にじん肺症を疑わせるような多発粒状影や腫瘤影,リンパ節- 99 -の石灰化像などは指摘できません(乙B35の2・21頁)。 頁)⑤A16(CT関係A)検査日:平成22年9月10日「積極的にじん肺症を疑わせるような多発粒状影や腫瘤影,リンパ節- 99 -の石灰化像などは指摘できません(乙B35の2・21頁)。」⑥A29(CT関係A)検査日:平成23年2月28日「両肺に気腫性変化と気管支壁の軽度肥厚,細気管支炎の既往を思わせる粒状影を認めます(乙B38の2・77頁)とするが,じん。」肺によるものとの指摘はない。 そうすると,上記のとおり,最新の胸部CT写真を反証として用いることができない亡B5を除く1審原告等(CT関係A及びB)については,胸部CT写真上でじん肺に相応する陰影は認められないとするC5医師らの読影結果は,もともと,胸部エックス線写真だけで0/0,0/1及び(),1/0の境界領域の分類をすることは困難であると指摘され乙359これらの1審原告等が最新の管理区分決定を受けた時点で胸部CT写真が利用されていなかったと推認されることも併せ考慮すれば,これらの1審原告等が管理2相当のじん肺に罹患しているとの推認を動揺させるに足りる証拠ということができる。 しかしながら,そのような反証は,これらの1審原告等は,管理区分制度の枠組みの中では管理2の管理区分決定の対象にはならないことを意味するにとどまり,上記のとおり,胸部CT写真でも検出限界があることに照らせば,これらの1審原告等の肺内に粉じん暴露に由来する病変が全く存在しないことまでを意味するとはいえないというべきである。 そして,これらの1審原告等は,A8を除き,補正して引用した原判決別紙9「原告等の個別事情」の「1職歴」に記載のとおり,いずれも長年粉じん作業に従事してきた上,時期や程度に違いはあるものの,いずれも咳痰症状や息切れ等の症状を訴えていると認められる(各陳述書ないし診 「原告等の個別事情」の「1職歴」に記載のとおり,いずれも長年粉じん作業に従事してきた上,時期や程度に違いはあるものの,いずれも咳痰症状や息切れ等の症状を訴えていると認められる(各陳述書ないし診療録)ことに照らすと,原判決の表現を借りるならば,A8を除くこれらの1審原告等は,粉じんを吸入したことによって一定程度の管理2に至- 100 -らない線維結節性変化が生じているものと推認するのが相当である。 なお,A8については,昭和51年11月15日から昭和53年12月30日まで1審被告三井金属で,昭和60年2月1日から昭和61年4月2日までは1審被告三井金属の下請け(有限会社G3)でいずれも坑内作業に従事したことが認められ(甲B30の4ないし6,弁論の全趣旨,)粉じん作業の従事歴は3年3か月ほどであるが,同人が管理区分決定を受けたのは,坑内作業に従事していた昭和60年12月27日であり,1審被告三井金属で坑内作業に従事する以前に粉じん作業に従事していたことを認めるに足りる証拠はないこと(同人が昭和54年5月から昭和60年2月まで土木作業会社に勤務したことが粉じん作業に従事していたかのようにいう1審被告らの主張は採用することができない,じん肺を起こ。)しても当然と考えられる期間の粉じん職歴は「多くは10年以上ではあ,,。」()るがまれに5年以内のこともあると指摘されていること甲A17に照らせば,A8についても,粉じんを吸入したことによって一定程度の管理2に至らない線維結節性変化が生じているものと推認するのが相当である。 以上を踏まえれば,1審原告等(CT関係A及びB)のうち,亡B5については,反証となり得る胸部CT写真が認められないから,管理2に相当するじん肺に罹患していると認めるのが相当である。 他方,それ以外の1 を踏まえれば,1審原告等(CT関係A及びB)のうち,亡B5については,反証となり得る胸部CT写真が認められないから,管理2に相当するじん肺に罹患していると認めるのが相当である。 他方,それ以外の1審原告等(CT関係A及びB)には,一定程度の管理2に至らない線維結節性変化が生じているものと推認するのが相当である。 なお,1審原告らは,A32,A22及びA13について,C1医師の鑑定意見に依拠して,管理区分決定を超える管理3イ相当のじん肺に罹患,,している旨主張しているものと解されるけれども上記検討を踏まえればこれを採用することはできない。 - 101 -コ次に,1審原告等(CT関係C)について検討するに,A21の最新の胸部CT写真を反証に用いることができないことは上記のとおりであるから,同人は,管理2に相当するじん肺に罹患していると認めるのが相当である。なお,1審原告らは,C1医師の鑑定意見に依拠して,A21は管理3イ相当のじん肺に罹患している旨主張するけれども,上記検討を踏まえれば,これを採用することはできない。 他方,その余の1審原告等(CT関係C〔A3,A4,A6,A7)〕に関するC5医師らの鑑定意見の内容は,別紙4の2,3,7及び11の「C5医師らの鑑定意見」欄に記載のとおりであるところ,C5医師らの最新の胸部エックス線写真の読影結果が,管理区分決定手続における読影結果と異なるというだけでは,直ちにこれらの1審原告等が管理2に相当するじん肺に罹患しているとの推認を揺るがすものではないことは上記のとおりである。 また,上記のとおり管理区分の決定には高度の信用性が認められる上,現在の管理区分制度の下では,胸部エックス線写真で得られた肺の正面画像から読影できる粒状影又は不整形陰影の密度や大陰影の有無によって,胸部エックス線 り管理区分の決定には高度の信用性が認められる上,現在の管理区分制度の下では,胸部エックス線写真で得られた肺の正面画像から読影できる粒状影又は不整形陰影の密度や大陰影の有無によって,胸部エックス線写真像が第1型から第4型に区分され,著しい肺機能障害の有無と組み合わされて管理区分が決定されるところ,標準写真集電子媒体版には,粒状影の第0型(0/1)及び第1型(1/0,1/1)においては5例中3例については参考として胸部CT写真が添付されているとはいえ,胸部エックス線写真で得られた肺の正面画像から読影できる粒状影等の密度と横断像である胸部CT写真で認められる粒状影等の密度との対応関係をどのように考えるかは必ずしも明確ではない。そして,管理2の管理区分決定を受けているじん肺患者の胸部CT写真において粒状影が認められれば,少なくとも,胸部エックス線写真の読影結果と明らかに矛盾する胸部CT所見は得られなかったということができる。さらに,胸部- 102 -CT写真上「じん肺に相応する陰影は認められない」との読影結果と,わずかではあっても粒状影が認められる読影結果とでは,肺内のじん肺病変の有無及び程度に質的・量的な違いがあると推認される。 そうすると,1審原告等(CT関係C)のC5医師らによる最新の胸部CT写真の読影結果はいずれもごくわずかに粒状影が認められるA,「」(3,A4,A6,あるいは「わずかに粒状影が認められる(A7)と)」いうものであり,C5医師らの鑑定意見で,第1型(1/0)と判断しているA20の胸部CT写真の読影では「ごく少数の粒状影」と表現し,第1型(1/1)と判断しているA26,A24及びA12の胸部CT写真の読影では「少数の粒状影」と表現していることからすると,C5医師らは,胸部CT写真上で認められる粒状影 少数の粒状影」と表現し,第1型(1/1)と判断しているA26,A24及びA12の胸部CT写真の読影では「少数の粒状影」と表現していることからすると,C5医師らは,胸部CT写真上で認められる粒状影の密度や分布の差を,以上のように区別して読影したことがうかがわれる(ただし「わずか」と「ごく少,数」との差がどれほどのものかは明確ではない。なお,標準写真集電子媒体版附属書(乙286の2)では,写真番号3(第0型〔0/1)の説〕明として,胸部CT写真では,両側の肺上葉に「少数」の粒状影が観察されるとしている)が,この点を踏まえても,上記検討に照らせば,胸部。 CT写真において粒状影が認められるA21を除く1審原告等(CT関係C〔A3,A4,A6,A7)については,C5医師らの胸部CT写真〕の読影結果は,これらの1審原告等(CT関係C)が管理2に相当するじん肺に罹患しているとの推認を動揺させるには足りないというべきである。 (4)じん肺罹患の有無及びその程度②-1審原告A331審原告A33は,管理2の管理区分決定を受けているが,C5医師らの鑑定意見及びC1医師の鑑定意見ともに,最新の胸部エックス線写真の区分は第2型で,最新の胸部CT写真の読影でも多数の粒状影を認めており,1審原告A33にじん肺による著しい肺機能障害がないことは当事者間に争い- 103 -がないから,管理3イ相当のじん肺に罹患していると認められる。 (5)じん肺罹患の有無及びその程度③-1審原告A261審原告A26は,管理3イ(胸部エックス線写真の像は第2型)の管理,,,区分決定を受けているが1審被告らはC5医師らの鑑定意見に依拠して1審原告A26の最新の胸部エックス線写真は第1型(1/1)であり,最新の胸部CT写真でも「両肺野に少数の粒状影が認められる」にと ,区分決定を受けているが1審被告らはC5医師らの鑑定意見に依拠して1審原告A26の最新の胸部エックス線写真は第1型(1/1)であり,最新の胸部CT写真でも「両肺野に少数の粒状影が認められる」にとどまる。 から,管理2相当のじん肺に罹患しているにすぎない旨主張する。 しかしながら,C5医師らの最新の胸部エックス線写真の読影結果が,管理区分決定手続における読影結果と異なるというだけでは,管理3イに相当するじん肺に罹患しているとの推認を揺るがすものではないこと,胸部CT写真においても粒状影が認められることからすれば,管理区分決定を動揺させるには足りないことは,上記のとおりであるから,1審被告らの主張を採用することはできない。 なお,後述するとおり,1審原告A26はじん肺の法定合併症である原発性肺がんに罹患した病歴があり,1審原告A26の損害賠償額は,原発性肺がんに罹患したことによる精神的苦痛を評価するのが相当である。 (6)じん肺罹患の有無及びその程度④-1審原告A181審原告A18は,平成27年8月4日に管理3ロの管理区分決定を受けているところ,C5医師らの鑑定意見においても,平成9年9月1日撮影及び最新(平成23年1月11日撮影)の胸部エックス線写真の分類は第2型(2/1)であり,右側肺尖部に第4型A相当の大陰影(陰影が一つの場合は,その最大径が1cmを超え,5cmまでのもの。数個の場合は,個々の陰影が1cm以上で,その最大径の和が5cmを超えないもの。ただし,大陰影の大きさが,1側肺野の3分の1を超えない)が認められるとしており,著し。 い肺機能障害がないことは当事者間に争いがないから,1審原告A18は,管理3ロ相当のじん肺に罹患しているものと認められる。 - 104 -(7)じん肺罹患の有無及びその程度⑤-1審原告A20,同A い肺機能障害がないことは当事者間に争いがないから,1審原告A18は,管理3ロ相当のじん肺に罹患しているものと認められる。 - 104 -(7)じん肺罹患の有無及びその程度⑤-1審原告A20,同A24,同A1 1審原告A20,同A24及び同A12は,いずれも管理2の管理区分決定を受けているところ,C5医師らの鑑定意見においても,直近におけるじん肺所見の有無及びその程度は第1型としているから,これらの1審原告等は,管理2相当のじん肺に罹患しているものと認められる。 もっとも,C1医師の鑑定意見は,1審原告A20は第2型のじん肺に罹患しているとするが,上記検討に照らし,採用することはできない。 (8)じん肺罹患の有無及びその程度⑥-亡B2亡B2は,管理2の管理区分決定を受けていたが,C5医師らの鑑定意見においても,右側上肺野に第4型A相当の大陰影が認められるとしており,著しい肺機能障害がないことは当事者間に争いがないから,亡B2は,管理3ロ相当のじん肺に罹患しているものと認められる。 (9)じん肺罹患の有無及びその程度⑦-亡B1亡B1は,管理2の管理区分決定を受けていたが,1審被告らは,最新の胸部エックス線写真及び胸部CT写真の読影の結果では,不整形陰影が全肺に多数認められるものの「じん肺の所見として典型的ではなく,じん肺の,進行経過としても早すぎる点で典型的ではない上,じん肺以外の疾患の関与が強く疑われるため,間質性肺炎を含めた他の疾患(自己免疫疾患等)との鑑別を要する」とするC5医師らの鑑定意見に依拠して,じん肺への罹患。 を否定する。また,C5医師らの鑑定意見(乙153,285)は,最新の胸部エックス線写真の読影として,上記所見に加え「右側に中等量の胸水,貯留が認められる。右側下肺野に無気肺が認められる。通常のじん肺の進行 。また,C5医師らの鑑定意見(乙153,285)は,最新の胸部エックス線写真の読影として,上記所見に加え「右側に中等量の胸水,貯留が認められる。右側下肺野に無気肺が認められる。通常のじん肺の進行。」,,経過では説明できないと指摘するほか最新の胸部CT写真についても冒頭所見に加え「右側に中等量の胸水貯留が認められる。右側下肺野に無,気肺が認められる。冠状動脈の石灰化が認められる」と指摘し,さらに,。 - 105 -「全肺野に気腫性変化が認められるが,これは喫煙の影響である可能性が大きい。粒状影が乏しく,不整形陰影が全肺野に認められ,間質性肺炎の変化と考えられる」と指摘している。 。 しかしながら,証拠(甲A82,甲B20の3,乙B20の2・3)によれば,亡B1は,昭和53年から昭和61年にかけて継続的にD3病院で検査を受け,昭和53年から昭和55年までは第0型(0/1)の判定を受けたが,昭和56年7月1日には第1型(1/0)と判定され,昭和58年6(),()月15日には第1型1/1昭和61年6月18日には第1型1/2と判定されていること,1審被告三井金属を退職した後も,平成17年7月20日,平成19年1月9日及び平成23年1月7日に撮影された胸部エックス線写真について,いずれも粒状影につき「1/1」との診断を受けていることが認められる。また,補正して引用した原判決別紙9「原告等の個別事情」の第15の1(職歴)に記載のとおり,亡B1は,坑外での臨時雇を経て,昭和33年3月に1審被告三井金属に入社した後,同月1日から昭和61年6月30日に退職するまで,採鉱員や進さく員等として,28年余りにわたって坑内作業に従事してきた上,平成22年3月から平成25年7月にかけて亡B1の様子を録画した甲A82によれば,同人が在 和61年6月30日に退職するまで,採鉱員や進さく員等として,28年余りにわたって坑内作業に従事してきた上,平成22年3月から平成25年7月にかけて亡B1の様子を録画した甲A82によれば,同人が在宅酸素療法を受け,咳・痰症状や呼吸困難を示して,徐々に衰弱していく様子が映し出されている。 そうすると,複数の医師によって繰り返し管理区分決定と同じ判定がされていること,亡B1の職歴がじん肺罹患と矛盾せず,同人に認められた症状もじん肺罹患と矛盾しないと認められることに照らせば,同人がじん肺に罹患していたかどうかについては,C5医師らの鑑定意見のみから直ちに管理2相当のじん肺に罹患しているとの推認を動揺させるに足りないというべきである。 したがって,亡B1は,管理2相当のじん肺に罹患していたと認めるのが- 106 -相当である。 なお,1審原告らは,C1医師の鑑定意見に依拠して,亡B1が管理3イ相当のじん肺に罹患していた旨主張するものと解されるが,同人の最新の管理区分決定が昭和61年8月30日とかなり以前であることを考慮しても,これまでの検討に照らし,採用することはできない。 (10)じん肺罹患の有無及びその程度⑧-亡B6亡B6は,管理2の管理区分決定を受けていたが,C5医師らの鑑定意見においても,生前におけるじん肺所見の有無及びその程度は,全肺野に多数の粒状影が認められるとして第2型(2/1)としており,著しい肺機能障害がないことは当事者間に争いがないから,亡B6は,管理3イ相当のじん肺に罹患していたと認められる。 もっとも,1審原告らは,C1医師の鑑定意見に依拠して,亡B6はじん肺第4型A(管理3ロ)相当のじん肺に罹患している旨主張するものと解されるが,同人の管理区分決定が平成3年12月17日とかなり以前であることを考慮しても,これま 師の鑑定意見に依拠して,亡B6はじん肺第4型A(管理3ロ)相当のじん肺に罹患している旨主張するものと解されるが,同人の管理区分決定が平成3年12月17日とかなり以前であることを考慮しても,これまでの検討に照らし,採用することはできない。 (11)じん肺罹患の有無及びその程度⑨-亡B4亡B4は,管理2の管理区分決定を受けていたところ,C5医師らの鑑定意見によっても,生前におけるじん肺所見の有無及びその程度は,右側上中肺野に少数の粒状影が認められるとして第1型(1/2)としており,亡B4は管理2相当のじん肺に罹患していたと認めるのが相当である。 なお,1審原告らは,C1医師の鑑定意見に依拠して,亡B4が管理3相当のじん肺に罹患していた旨主張するものと解されるが,これまでの検討に照らし,採用することはできない。 (12)じん肺罹患の有無及びその程度⑩-亡B3亡B3は,管理3イの管理区分決定を受けていたところ,C5医師らの鑑定意見によっても,直近におけるじん肺所見の有無及びその程度は,両側上- 107 -中肺野を中心に多数の粒状影が認められるとして第2型(2/3)としており,著しい肺機能障害がないことは当事者間に争いがないから,亡B3は,管理3イ相当のじん肺に罹患していたと認められる。 なお,1審原告らは,C1医師の鑑定意見に依拠して,亡B3が管理3ロ相当のじん肺に罹患していた旨主張するものと解されるが,これまでの検討に照らし,採用することはできない。 (13)まとめ以上によれば,1審原告等が罹患しているじん肺等の程度は,本判決別紙1「認容額等一覧表」の「じん肺等」欄に記載のとおりである。 争点2(2)(じん肺による健康被害・合併症等の有無)について(1)続発性気管支炎の罹患について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実 等一覧表」の「じん肺等」欄に記載のとおりである。 争点2(2)(じん肺による健康被害・合併症等の有無)について(1)続発性気管支炎の罹患について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第7争点2(損害の発生及び損害額)についての当裁判所の判断」の「3争点2(2)(じん肺による健康被害・合併症等の有無)について」の「(1)続」,。 発性気管支炎の罹患についてに記載のとおりであるからこれを引用する(原判決の補正)ア原判決87頁11行目の「強く」を削除する。 イ原判決87頁19行目から20行目にかけての「労働災害補償保険法施行規則」を「労災保険法施行規則」に改め,同行目の「中止された者はおらず」から22行目末尾までを次のとおり改める。 「中止された者はいない。そして,基発第250号通達を踏まえ,労働省労働基準局補償課長及び安全衛生部労働衛生課長から都道府県労働基準局長に宛てて発出された昭和53年6月1日付け事務連絡「じん肺の合併症に係る療養等の取扱いについて」の「4障害補償の取扱い」の項では「続発性気管支炎及び続発性気管支拡張症については,それらの,発症の原因となるじん肺病変が不可逆性であることから,一般に症状の- 108 -消長が繰り返されることが予測されるので,症状の出現期においては要療養とし,消退期においては療養の中断として取扱い,治ゆの判断には特に慎重を期すること」とされている(甲A99。そうすると,1。 )審原告等(続発性気管支炎)については,上記支給決定を受けた時点から現在に至るまで,継続的に続発性気管支炎に罹患している(少なくとも治癒に至っていない。なお,死亡した1審原告等については死亡時まで罹患していたか,少なくとも治癒に至っていなかった)ことが推認。 されるというべきであ 続的に続発性気管支炎に罹患している(少なくとも治癒に至っていない。なお,死亡した1審原告等については死亡時まで罹患していたか,少なくとも治癒に至っていなかった)ことが推認。 されるというべきである」。 ウ原判決88頁11行目の「定めておらず」の次に「精密検査の方法の(うち,痰の量の検査の項では「たんの量の測定は1回とするが,その判,断に当たっては経過に十分な注意を払う必要がある」としている」を。 。)加える。 エ原判決89頁16行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「(ウ)1審被告らは,上記第4の(当審における当事者の主張)の5(1)(1審被告らの主張)のとおり,現在の続発性気管支炎の認定や審査方法は書面審査にすぎないから,労災認定に比べて厳密にされるべき損害賠償請求訴訟における損害の認定の場面では,労災保険給付の支給決定は続発性気管支炎の罹患の事実を基礎付けるものではないし,続発性気管支炎の定義からすれば,1審原告等(続発性気管支炎)の診療録の記載や治療内容から,1審原告等(続発性気管支炎)が続発性気管支炎に罹患している事実を認めることはできない旨主張する。 なるほど,じん肺診査ハンドブック(甲A9,乙43)では,続発性気管支炎は「持続性のせき,たんの症状を呈する気道の慢性炎症性変化はじん肺の病変と考えられ,一般的には不可逆性の変化と考えられるが,このような病変に細菌感染等が加わった状態は一般に可逆性であり,このような場合には積極的な治療を加える必要がある。この- 109 -ような病態をじん肺法では「続発性気管支炎」と呼称し,合併症としている」と説明され(なお,細菌感染「等」とあるのは,ウイルス。 感染も含む趣旨であると認められる〔甲A101の2「要療養〕。),の認定の対象を細菌感染によって膿性痰を喀出 と呼称し,合併症としている」と説明され(なお,細菌感染「等」とあるのは,ウイルス。 感染も含む趣旨であると認められる〔甲A101の2「要療養〕。),の認定の対象を細菌感染によって膿性痰を喀出している期間に限定することとし,これによって細菌感染に原因する急性増悪や肺炎をすみやかに処理し,基礎にあるじん肺の経過に悪影響を及ぼすことを阻止しようと意図した」との医学的意図・配慮から,じん肺法は続発性気管支炎を法定合併症として規定したものと認められる(乙242,285。そして,可逆性のある気道感染であれば,純医学的見地から)すれば,起炎菌等を駆逐するなどして当該症状が治まれば,治癒したとの評価も可能であろう。 しかしながら,基発第250号通達を踏まえて労働省労働基準局補償課長及び安全衛生部労働衛生課長から発出された昭和53年6月1日付け事務連絡が,治癒の判断には慎重を期することを指示している上「産業保健ハンドブックⅣじん肺(甲A100)においても,,」「慢性炎症性変化に細菌感染等が加わった場合が想定されているが,実際には粘膿性痰が持続するため,治癒し難い合併症である「び。」まん性汎細気管支炎(DPB)に有効なマクロライドが使用され,奏功することもあるがそうでない場合もあり,一定した見解は得られていない。発熱等の自覚症状があり,炎症所見を認めた場合には一時的な起炎菌に応じた抗生物質が投与されるが,通常は対症療法としての去痰剤,気管支拡張剤,鎮咳剤,抗炎症剤などが投与される」と説。 明されており,続発性気管支炎に対する継続治療は,必ずしも臨床の場では異常とはされていないと認められること,じん肺は気道の慢性炎症性変化を伴い,細菌等に対する免疫機能が後退している病態と認められるから(甲A116,具体的な症状や治療経過を踏まえ,細 しも臨床の場では異常とはされていないと認められること,じん肺は気道の慢性炎症性変化を伴い,細菌等に対する免疫機能が後退している病態と認められるから(甲A116,具体的な症状や治療経過を踏まえ,細)- 110 -菌感染とそれによる炎症などに対して治療をしつつ経過観察をして臨床上患者と向き合うことが必ずしも医学上不当とは解されず(甲A77,80,平成22年1月22日に開催された中央環境審議会環境)保健部会石綿健康被害救済小委員会(第3回)において,続発性気管支炎等のじん肺の合併症の取扱いが議論された際にも「法律の制度,としてしばしば,これは治癒した,また数カ月後に発症したからまた認定するというふうにやることが,制度的に合理性があるかどうかという点には若干疑問があります」と委員長が発言していること(甲A101の2)も併せて指摘することができる。 そもそも,本件では,1審原告等の健康被害の有無及びその程度を判断する上で,管理区分決定及び続発性気管支炎による労災保険給付決定が推認の基礎となり得るかどうかが問題となっており,1審原告等(続発性気管支炎)が上記給付決定を受けたことは,細菌感染等に対する気道の脆弱性が具体的に表れたことを意味し,そのような脆弱性もまた1審原告等(続発性気管支炎)の健康被害の一部を構成するものということができ,管理2以上の管理区分決定を受けながら,続発性気管支炎の認定を受けていない1審原告等との間には,健康被害の程度に関し,質的に異なる評価が可能というべきである。そうすると,現在の続発性気管支炎の認定や審査方法が書面審査であるからといって,労災保険給付の支給決定は続発性気管支炎の罹患の事実を基礎付けるものではないとの1審被告らの主張は直ちに採用することはできない(なお,じん肺診査ハンドブックが定める要件を 面審査であるからといって,労災保険給付の支給決定は続発性気管支炎の罹患の事実を基礎付けるものではないとの1審被告らの主張は直ちに採用することはできない(なお,じん肺診査ハンドブックが定める要件を満たさないのに,労災申請の段階で主治医が患者の症状を偽ったじん肺健康診断結果を提出したと認められる事例が存するが〔乙72,73,106の1ないし3・6,そのような個別の悪質ケースの存在が,続発性〕気管支炎による労災保険給付の支給決定による推認力を減殺するとは- 111 -認められない」。)。 オ原判決89頁17行目の「(ウ)」を「(エ)」に改める。 カ原判決89頁18行目の「原告A26」の次に「,1審原告A3,1審原告A4」を,同行目から19行目にかけての「原告A21」の次に「,1審原告A6」をそれぞれ加える。 キ原判決89頁19行目の「原告B1」を「亡B1,1審原告A7」に改める。 ク原判決89頁21行目の「現在も罹患している」を「現在も罹患している(少なくとも治癒したとまではいえない。なお,亡B5,亡B1及び亡B3については,死亡時まで罹患していたか,少なくとも治癒したとまではいえない」に改める。 。)「,」「」ケ原判決89頁23行目の認められないための次にじん肺法上のを加える。 コ原判決89頁末行の「生じている」の次に「と推認されることに加え,咳・痰症状や労作時の息切れ等の症状を訴えている」を加える。 (2)原発性肺がんの罹患(1審原告A26,亡B2,亡B6及び亡B4)について原判決90頁3行目から10行目に記載のとおりであるから,これを引用する。 (3)じん肺死ないし共同原因死についてア亡B5について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決90頁13行目から19行目に記載のとおりであるから に記載のとおりであるから,これを引用する。 (3)じん肺死ないし共同原因死についてア亡B5について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決90頁13行目から19行目に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)原判決90頁17行目から19行目までを次のとおり改める。 「(イ)1審被告らは,亡B5はじん肺に罹患していないとして,同人がじ- 112 -ん肺死したとは認められない旨主張するが,同人が管理2相当のじん肺に罹患していたと認められることは上記のとおりであるから,1審被告らの主張は前提を誤るものである。 また,1審被告らは,48年間に及ぶ喫煙歴があった亡B5は,ブリンクマン指数が少なくとも960の重喫煙者であり,同人の主治医が,慢性閉塞性肺疾患を認めて肺気腫を原因疾病・傷病名として身体障害者3級を申請する一方,著しい肺機能障害を認めながら管理4の管理区分決定申請をしていないことからすれば,喫煙がその死亡に大きく寄与したと判断される旨主張する。 なるほど,慢性閉塞性肺疾患における最大の外因性危険因子はたばこ煙であり,慢性閉塞性肺疾患の死亡リスクは喫煙で高まることが認められるが(例えば,乙191,361,じん肺の基本的病変には肺の気)腫性変化があり(上記第2の2で補正して引用した前提事実(3)イ,)慢性閉塞性肺疾患の危険因子には職業性の粉じん暴露も重要因子として指摘されているから(乙361,上記のような疫学調査上の数値から)直ちに,複数の原因のうち他を排除することは困難というほかない。そうすると,亡B5の喫煙歴は,同人がじん肺を原因として死亡したとして遺族補償給付の支給決定がされていることの推認力を動揺させるに足りる事実とまではいえないから,1審被告らの主張を採用することはできない」。 イ亡B1につ ,同人がじん肺を原因として死亡したとして遺族補償給付の支給決定がされていることの推認力を動揺させるに足りる事実とまではいえないから,1審被告らの主張を採用することはできない」。 イ亡B1について亡B1が管理2に相当するじん肺に罹患していたと認められることは上記のとおりである。 しかしながら,証拠(乙B20の2・4・5)によれば,亡B1は,平成20年12月19日に急性心筋梗塞でD2病院に入院し,平成21年1,()月同年6月及び同年10月に冠状動脈形成術冠状動脈ステント留置術- 113 -が実施されたほか,同年2月21日には発作性心房細動によりD2病院に入院し,同月24日には間質性肺炎でD2病院に入院し,その後,在宅酸素療法が開始されたこと,平成22年2月10日以降,右に胸水の貯留が指摘されている(ただし,その原因は不明である)こと,カルテには,。 上記以外の循環器系の疾患として,狭心症,慢性心不全,高血圧症及び発作性心房性頻脈症が記載されていることが認められ,C5医師らの鑑定意見(乙153)は,亡B1に認められた著しい肺機能障害は,労作時に低酸素血症を呈する間質性肺炎(突発性肺線維症・自己免疫性疾患等による肺線維症等,循環器系の併存症,喫煙の影響その他の疾患の影響が強く)疑われると指摘するほか,同人の肺機能障害は,わずか5年7か月程度で急速に進展しており,じん肺の進行経過として典型的ではないと指摘している。また,平成25年1月9日の亡B1の様子を収めたDVD(甲A82)の中で,同人の妻は,亡B1が「こうなってから4年になる。急になった」旨発言している。 。 そうすると,亡B1が管理2に相当するじん肺に罹患していたと認められるとしても,循環器系の疾患によって同人が死亡するに至ったと考えられる余地がある上,当審において, になった」旨発言している。 。 そうすると,亡B1が管理2に相当するじん肺に罹患していたと認められるとしても,循環器系の疾患によって同人が死亡するに至ったと考えられる余地がある上,当審において,同人の死亡診断書や遺族補償給付決定書が提出されていないことも踏まえれば,同人がじん肺死したと認めることはできない。 ウ亡B2,亡B6及び亡B4について上記のとおり,亡B2,亡B6及び亡B4は,じん肺の法定合併症である原発性肺がんに罹患し,その後,じん肺を原因として死亡したとして遺族補償給付の支給決定がされているから,同人らは,じん肺による肺がんを原因として死亡したと認められる。 これに対し,1審被告らは,亡B6に関し,同人の主治医が肺がん検査の実施を怠り,肺がんの確定診断が遅れた結果,亡B6は死亡するに至っ- 114 -たのであるから,同人の原発性肺がんの罹患と死亡との間に相当因果関係は認められない旨主張する。しかしながら,仮に主治医の診療に不適切な面があったとしても,1審被告らの安全配慮義務違反により亡B6がじん肺に罹患し,それが原因で肺がんに罹患し,肺がんを原因として死亡するに至ったという経過に照らせば,相当因果関係そのものが否定されると解するのは相当ではないから(最高裁平成13年3月13日第三小法廷判決・民集55巻2号328頁参照,1審被告らの主張を採用することはで)きない。 エ亡B3について(ア)亡B3が管理3イ相当のじん肺に罹患していたと認められることは上記のとおりであり,同人がホジキンリンパ腫を直接の死因として死亡したこと及び同人の死亡に対して遺族補償給付の支給決定がされていないことは,当事者間に争いがない。 ,,,1審原告らは亡B3の死亡は実質的評価をすればじん肺死でありそうでないとしても,じん肺症のため,適 び同人の死亡に対して遺族補償給付の支給決定がされていないことは,当事者間に争いがない。 ,,,1審原告らは亡B3の死亡は実質的評価をすればじん肺死でありそうでないとしても,じん肺症のため,適切な治療を行うことが困難となり,それが死亡に対して重要な原因となったと認められるから「共同原因死」として評価するのが相当であると主張する。 (イ)そこで検討するに,証拠(甲A142ないし152,173,甲B43の10,乙330ないし333及び弁論の全趣旨)によれば,以下の事実が認められる。 a亡B3は,平成12年に肝多発腫瘍により開腹手術を受けるとともに,T細胞リンパ腫を疑われてCHOP療法(悪性リンパ腫に対する代表的化学療法)を受けた。その後,無症状で経過したが,平成20年7月(81歳時,左鼠径部の腫脹を自覚し,同月23日に施行さ)れたリンパ節生検の結果,病期Ⅳ期(病変がリンパ節以外の一つ以上の臓器にあり,これらの臓器周辺のリンパ節にもみられる可能性があ- 115 -る,あるいは,リンパ節以外の一つの臓器にみられ,その臓器から離れたリンパ節にまで病変が及んでいる場合)のホジキンリンパ腫と診断された。 亡B3は,平成20年8月18日から同年12月25日までD1病院に入院した。医師は,職業歴,病歴について,17歳から35年間,。 鉱山夫として稼働し50歳時にけい肺と診断されたと聴取している,.,. 入院時検査によれば血清アルブミン値31ヘモグロビン値103であった。主治医となったC9医師は,亡B3にAVD療法を行った。このAVD療法は,進行期ホジキンリンパ腫の標準的治療法であるABVD療法からブレオマイシンを除いたものであるところ,それは,亡B3は,間質性肺炎状態を呈するじん肺に罹患しているため,同人にブレオマイシンを投与す ,進行期ホジキンリンパ腫の標準的治療法であるABVD療法からブレオマイシンを除いたものであるところ,それは,亡B3は,間質性肺炎状態を呈するじん肺に罹患しているため,同人にブレオマイシンを投与すれば,薬剤性肺障害の発生リスクが高まると判断したためである。 亡B3は,退院後もAVD療法を受けて完全寛解の状態と診断されたが,平成22年9月に至りホジキンリンパ腫が再発し,放射線治療により一旦は完全寛解と診断されたものの,平成23年2月に実施されたPETで全身に無数の異常集積が認められて全身再発と診断されたため,同月14日に入院し,AVD療法を受けて同年4月20日に退院した。その後も,外来でAVD療法が実施されたが,平成23年10月に実施されたCT検査の結果,頸部リンパ節や腹腔内リンパ節の腫大,肝腫瘍等が認められ,同月27日に再び入院した。 C9医師は,これまでの化学療法の蓄積による骨髄抑制(白血球などの血液細胞が減少すること)のため,完全寛解を目指した化学療法は困難と判断し,別の抗がん剤を利用するICE療法を投薬量を減らして実施したが,CT上で軽度の改善を認めるのみであった。亡B3は,平成24年1月7日に退院したもののすぐに不調を訴えて同月2- 116 -7日に入院し,緩和ケアが行われたが,状態が次第に悪化して同年3月2日に死亡した。C9医師作成の死亡診断書には,直接死因は「ホジキンリンパ腫,その原因は「不詳,発病(発症)から死亡まで」」の期間は「約12年」と記載されている。 b進行期ホジキンリンパ腫の標準的な治療は,四つの抗がん剤を組み合わせて投与する「ABVD療法」であり(ABVDは抗がん剤の頭文字であり「B」がブレオマイシンである,病期がⅣ期であって。)も,患者の40ないし65%が治癒する(甲A142)とか,患者の 合わせて投与する「ABVD療法」であり(ABVDは抗がん剤の頭文字であり「B」がブレオマイシンである,病期がⅣ期であって。)も,患者の40ないし65%が治癒する(甲A142)とか,患者の70ないし80%は完全寛解に達し,50%以上が10ないし15年の無病期間を維持する(甲A143)とされている。進行期ホジキンリンパ腫では,七つの予後不良因子(①血清アルブミン値が4未満,②ヘモグロビン値が10.5未満,③男性,④病期がⅣ,⑤45歳以上,⑥白血球数が1万5000以上,⑦リンパ球数が600未満又は白血球数の8%未満)が判明しており(これを国際予後スコアという,病期がⅣ期で予後不良因子が3個以下の場合には進行期予後。)良好群に,予後不良因子が4個以上の場合には進行期予後不良群に分類されて治療方針が決定され,また,5年の予測無増悪割合は,予後不良因子がなければ84%であるが,4個であれば51%,5個以上であれば42%であると報告(甲A142,乙332)されている。 ブレオマイシンの医薬品インタビューフォーム(乙333)では,「警告」欄に「本剤の投与により間質性肺炎・肺線維症等の重篤な肺症状を呈することがあり,ときに致命的な経過をたどることがあるので(中略)特に60歳以上の高齢者及び肺に基礎疾患を有する患者,への投与に際しては,使用上の注意に十分留意すること」と記載さ。 れ「禁忌」欄には「重篤な肺機能障害,胸部レントゲン写真上び,,まん性の線維化病変及び著明な病変を呈する患者」には投与しないこ- 117 -とと記載されている。 (ウ)以上の事実によれば,亡B3にブレオマイシンが投与されなかったのは,亡B3のじん肺罹患を把握していたC9医師が,医薬品インタビューフォームに上記のとおり記載されたブレオマイシンを投与することに )以上の事実によれば,亡B3にブレオマイシンが投与されなかったのは,亡B3のじん肺罹患を把握していたC9医師が,医薬品インタビューフォームに上記のとおり記載されたブレオマイシンを投与することによる薬剤性肺障害の発生リスクを危惧したためであることは明らかであるから,亡B3に「ABVD療法」が実施されなかったのは,同人がじん肺に罹患していたためであると認められる(これと異なる1審被告らの主張は採用することができない。 。)しかしながら,C9医師は,亡B3の死亡診断書(甲B43の10)に,直接死因であるホジキンリンパ腫の「発病(発症)又は受傷から死亡までの期間」欄に「約12年」と記載しており,亡B3がホジキンリンパ腫を発症したのは,肝多発腫瘍を発症した平成12年であると判断したことがうかがわれる上,亡B3にホジキンリンパ腫が再発した平成,,22年9月以降の診療経過を踏まえれば亡B3のホジキンリンパ腫は。 ,,難治性が高い病変であったと考える余地があるそもそも亡B3には平成20年8月の入院時には,予後不良因子が5個(血清アルブミン値3.1,ヘモグロビン値10.3,男性,病期がⅣ期,45歳以上(当時81歳。なお,甲A146等のカルテには,国際予後スコアが4点)(アルブミン値,男性,年齢,病期が該当)と記載しているが,入院時所見によれば,ヘモグロビン値が10.3であるので,国際予後スコアは5点と認められる)認められるので,この場合の5年予測無増悪割。 合は42%と報告されているから,仮に,亡B3に「ABVD療法」が実施されたとしても,1審原告らが指摘するような高い完全寛解率を見込むことはできない。また「ABVD療法」と「AVD療法」との効,果の違いがどれほどのものであるかは証拠上明らかでない上「AVD,療法」によっても, 1審原告らが指摘するような高い完全寛解率を見込むことはできない。また「ABVD療法」と「AVD療法」との効,果の違いがどれほどのものであるかは証拠上明らかでない上「AVD,療法」によっても,骨髄抑制のため完全寛解を目指した化学療法の継続- 118 -は困難であると判断されたのであるから「ABVD療法」を実施した,としても,同様の判断に至る可能性は否定できない。 そうすると,亡B3が「ABVD療法」を受けることができなかっ,ため,発病から4年も待たずにホジキンリンパ腫で死亡するに至ったと,,する1審原告らの主張は必ずしも当たらないしその点をおくとしても「ABVD療法」を実施することができなかったことが,亡B3の死亡に対して重要な原因になったとまでは認めることができないというべきである。したがって,亡B3の死亡がじん肺死あるいは共同原因死であるとの1審原告らの主張を採用することはできない。 (4)まとめ次のとおり原判決を補正するほかは,原判決91頁19行目から92頁2行目に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)ア原判決91頁19行目の「(4)」を削除し,同行目の「別紙認容額等一覧表」を「本判決別紙1「認容額等一覧表」に改める。 」イ原判決91頁22行目の「(5)」を削除し,同行目の「平成26年1月30日の」の次に「原審」を加える。 ウ原判決91頁末行の「当裁判所に顕著な事実」を「記録上明らかな事実」に改める。 争点2(3)(減額要素の有無)について(1)肺機能障害の有無について1審被告らは,肺機能障害の有無は,1審原告等の身体の損害の状況を示すものであるから,肺機能障害がない1審原告等の損害については,相当程度の減額がされるべきである旨主張する。 しかしながら,管理区分制度においては,著 能障害の有無は,1審原告等の身体の損害の状況を示すものであるから,肺機能障害がない1審原告等の損害については,相当程度の減額がされるべきである旨主張する。 しかしながら,管理区分制度においては,著しい肺機能障害があると認められる場合には管理4とされるものの,単なる肺機能障害は管理区分を決定- 119 -する際には考慮されていない上,じん肺は,粉じん暴露の量や罹患したじん肺の程度に応じて進行性が認められる疾患とされているから,現時点において肺機能障害が認められないことが,じん肺に罹患していることを理由とする損害賠償額を左右すると考えるのは相当ではない。 したがって,1審被告らの主張を採用することはできない。 (2)労災保険給付等について1審原告等については,当審の口頭弁論終結日までに,本判決別紙6「労災保険給付等一覧表」のとおり,労災保険給付等が支給されたものと見込まれる(ただし,亡B2については平成24年10月11日まで,亡B1については平成26年12月22日まで,亡B3については平成24年3月2日まで。また,1審原告A14,同A15及び同A16を除く。 。)そして,1審原告等について上記のとおり労災保険給付等が支給された事実は,慰謝料額を算定する一事情として斟酌するのが相当であることは,原判決92頁9行目から19行目までに記載のとおり(ただし,原判決92頁18行目の「減額」を「算定」に改める)であるから,これを引用する。 。 1審被告らは,1審原告等ごとの支給額の多寡も,慰謝料額を認定する際に考慮すべきであると主張するが,その他葬祭料を除く労災保険給付は,じん肺に罹患し,あるいはじん肺を原因として死亡したことによる財産的逸失利益を塡補するために支給されるものと認められるし,支給合計額に多寡が生じるのは,労災保険給付等の支給期間 除く労災保険給付は,じん肺に罹患し,あるいはじん肺を原因として死亡したことによる財産的逸失利益を塡補するために支給されるものと認められるし,支給合計額に多寡が生じるのは,労災保険給付等の支給期間の長短によるものであり,その長短が財産的逸失利益の額の差を生むことは当然であるから,後述する慰謝料額の基準に加えて,受領した労災保険給付額の控除を求めていると解される1審被告らの主張を採用することはできない。 争点2(4)(損害額)について(1)1審原告らは,じん肺の特性(不可逆性,進行性,全身性)や,じん肺患者に待っているのは苦しみ抜いた上でのじん肺死であるから,たとえ現時- 120 -点での管理区分等が重篤な状況に至っていなくても,このような特性をもつ重大な疾病に罹患し,深刻な苦痛をもたらすことが明白な1審原告等の苦痛を慰謝するために必要な賠償額は,3000万円を下回らないとして,包括的一律請求をしている。 なるほど,上記第2の2で補正して引用した前提事実(3)(ウ)のとおり,一般に,じん肺の特性として,不可逆性,進行性及び全身性が指摘されるが,特に胸部エックス線写真で第1型(管理区分では管理2)に分類されるじん肺に関しては,その後進展が認められない例が少なくないことが報告されており(例えば,初回受診時に第1型であった者〔離職後年数「11.7±7.5」年のうち653%は第1型平均観察期間7.1±3.7年であった甲〕. 〔「」〕〔A20,53,離職時に第1型であった労働者の約92%は鉱山閉山から〕〔,〕〔〕,6年後ただし平均観察期間4年9月も進行していなかった甲A46初診(入院)時に胸部エックス線写真で第1型であった患者の半数は10年後もそのままであった〔乙114〕との報告がされている,C5医 〕,6年後ただし平均観察期間4年9月も進行していなかった甲A46初診(入院)時に胸部エックス線写真で第1型であった患者の半数は10年後もそのままであった〔乙114〕との報告がされている,C5医師ら。)の鑑定意見も考慮すれば,じん肺の進行性は一般論としては認められるものの,じん肺罹患の程度に応じて進行の有無や度合いは違うと認められる。 そうすると,管理区分制度の趣旨も踏まえれば,損害額は,管理区分に応じて評価するのを基本とし,法定合併症に罹患し,さらにはじん肺死した場合の損害は,管理区分相当のじん肺に罹患しているだけの場合とは質的に異なるといえるから,これを損害額に反映させるべきであると考える(なお,原発性肺がんは,他の法定合併症に比べて死に至る危険が高い疾患であるというべきであるから,他の合併症とは区別して考える。他方,上記のと。)おり,合併症に罹患したと認められる場合及びじん肺死した場合には労災保険給付等が支給されるからかかる事実も考慮して1審原告等の損害額慰,,(謝料)は,以下のとおり評価するのが相当と考える。 ア管理2で合併症がない場合900万円- 121 -イ管理2で合併症(原発性肺がんを除く。)がある場合1300万円ウ管理3で合併症がない場合1400万円エ管理3で合併症(原発性肺がんを除く)がある場合1800万円。 オ原発性肺がんの罹患2300万円カじん肺死2500万円(2)なお,上記のとおり,1審原告等(CT関係A及びB。ただし,亡B5を除く)については,管理2相当のじん肺に罹患しているとまでは認めら。 れないものの,吸入粉じんの影響により肺内に線維化が生じていると推認される上,一様に呼吸器症状を訴えていること,じん肺の進行性からすれば,今後じん肺症状が顕れる可能性が皆無であ るとまでは認めら。 れないものの,吸入粉じんの影響により肺内に線維化が生じていると推認される上,一様に呼吸器症状を訴えていること,じん肺の進行性からすれば,今後じん肺症状が顕れる可能性が皆無であるとまではいえないことに照らすと,このような人体への被害や具体的な健康被害については,損害が発生しているということができ,これを評価すると,続発性気管支炎に類する症状が生じていない者については350万円,同症状が生じている者については500万円と認めるのが相当である。 (3)1審被告らは,じん肺の「進行性「全身性」を考慮して損害額を算定」すべきでないと主張するが,じん肺の進行性については上記のとおりであるし,じん肺の全身性について疫学的検証はされていないとしても,1審被告らも症例報告の存在は認めていると解されるから(乙285,1審被告ら)の主張を採用することはできない。 また,1審被告らは,管理2に至らない1審原告等には,損害賠償に値するじん肺に起因する人体への被害や具体的な健康被害は生じていない旨主張するが,上記説示に照らし,採用することはできない。 さらに,1審被告らは,①1審原告A26の肺がんは完治したと考えられるから,同人の損害額を2300万円(過失相殺前)と評価することは過大である,②1審原告A8の坑内作業期間は,同人の主張を踏まえても3年3か月にすぎないから,多く見積もっても,1審被告らの1審原告A8に対す- 122 -る損害の寄与割合は,3分の2を超えない旨主張する。 しかしながら,①については,じん肺を原因とする肺がんに罹患し,その治療を経てきたことも,1審原告A26の精神的苦痛を構成するというべきであるし,5年間再発が認められないことから直ちに完全に再発しないとは言い切れないから,そのような不安も同人の精神的苦痛を構成 の治療を経てきたことも,1審原告A26の精神的苦痛を構成するというべきであるし,5年間再発が認められないことから直ちに完全に再発しないとは言い切れないから,そのような不安も同人の精神的苦痛を構成しているということができる。また,②については,粉じん作業従事歴が5年以内であってもじん肺に罹患する場合があること,1審原告A8が1審被告三井金属で坑内作業に従事する以前に他の粉じん職歴を有していたとは認められず,坑内作業に従事していた時期に管理区分決定を受けたことは上記のとおりであるから,1審被告らの寄与割合を検討すべき前提を欠くというべきである。 したがって,1審被告らの主張は,いずれも採用することができない。 第8争点3(1審被告らが連帯責任を負うか否か)についての当裁判所の判断次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第8争点3(被告らが連帯責任を負うか否か)についての当裁判所の判断」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正) 原判決94頁12行目から13行目にかけての「被告神岡鉱業」から同行目の「退職しているから」までを次のとおり改める。 「昭和61年7月1日より前に,1審被告三井金属又はその下請会社を退職しているから」 原判決95頁10行目の「契約上の付随義務」を「雇用契約上の付随義務である安全配慮義務」に改める。 原判決95頁22行目から23行目にかけての「じん肺への罹患」を「1審原告等が,じん肺に罹患したこと」に改める。 原判決95頁24行目の「合併症」を「合併症に罹患したこと」に改める。 原判決95頁25行目の「これらを原因とする死亡などの損害」を「これら- 123 -を原因として死亡したことに関する損害」に改める。 原判決96頁17行目の「被告神岡鉱業は」の次に「,1 。 原判決95頁25行目の「これらを原因とする死亡などの損害」を「これら- 123 -を原因として死亡したことに関する損害」に改める。 原判決96頁17行目の「被告神岡鉱業は」の次に「,1審原告等(三井金属勤務)に対し」を加える。 ,第9争点4(過失相殺の有無)についての当裁判所の判断 争点4(1)(喫煙による過失相殺の有無)について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第9争点4過失相殺の有無についての当裁判所の判断の 争点4(1)喫()」「(煙による過失相殺の有無)について」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1)原判決96頁20行目の「221の2」から22行目の「236の2」までを「221ないし228の各1・2,229ないし233,234の1・2,235,236の1・2」に改める。 (2)原判決98頁1行目の別紙12過失相殺一覧表を本判決別紙7過「」「「失相殺(喫煙)一覧表」に改める。 」(3)原判決98頁8行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「(4)1審被告らは,非喫煙者の肺がんリスクを1とした場合の喫煙者の相対リスク(相対危険度)を指摘して,1審原告A26が罹患した「扁平上皮がん」の相対危険率は8.22倍と推定されていること,亡B4が罹患した「腺がん(肺腺がん」の相対危険率は2.56倍以上となること,)じん肺そのものが肺がんを引き起こすリスクは最大に見積もっても4倍程度であること,したがって,重喫煙者である1審原告A26は,どんなに少なくても6割について喫煙が寄与したものといえるし,亡B4は,どんなに少なくても4割について喫煙が寄与したものといえること,また,重喫煙者である亡B2についても,喫煙による肺が A26は,どんなに少なくても6割について喫煙が寄与したものといえるし,亡B4は,どんなに少なくても4割について喫煙が寄与したものといえること,また,重喫煙者である亡B2についても,喫煙による肺がんの発生リスクは相当程度存在したから,その割合は1割を優に超える旨主張する。 - 124 -しかしながら,上記相対リスクは,疫学上得られた数値であって,1審原告A26,亡B2及び亡B4が合併した肺がんに対する喫煙の寄与の度合いを1審被告らが主張するように確定することは,喫煙の影響に個人差があることも踏まえれば困難というほかないし,喫煙自体は嗜好として許容されていることに加え,本件では,損害の拡大の場面で損害の公平な分担という過失相殺の趣旨が働くことからすれば,管理2以上の決定を受けた後も比較的長期間にわたって多量に喫煙し,その後原発性肺がんを発症した者について,一律に損害額の1割を減額するのが相当であることは,補正して引用した原判決が説示するとおりであるから,1審被告らの主張は採用することができない。 もっとも,1審被告らは,このように判断することは,随時申請(じん肺法15条1項)によって過失相殺が認められるか否かが左右され,1審被告らが極めて不安定な立場に置かれるから,損害の公平な分担が図れない旨主張するが,1審被告らの主張は,およそ喫煙自体を過失相殺事由とすることを前提とするものであって,上記説示に照らし,採用することはできない」。 争点4(2)(防じんマスク不着用による過失相殺の有無)について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第9争点4過失相殺の有無についての当裁判所の判断の 争点4(2)マ()」「(スク不着用による過失相殺の有無)について」に記載のとおりであるから,これを引用 実及び理由」中の「第9争点4過失相殺の有無についての当裁判所の判断の 争点4(2)マ()」「(スク不着用による過失相殺の有無)について」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)「」「」(1)原判決98頁13行目の十分認識しておらずをの意識が高くなくに改める。 (2)原判決99頁3行目の「確定することはできない」の次に次のとおり。 加える。 - 125 -「1審被告らは,1審原告A27,亡B5,1審原告A3,同A20,同A28,同A7及び亡B3について,保安技術職員の資格取得後から年月を経ているから過失相殺をすべきである旨主張するようであるが,資格取得前の坑内作業歴が最も短い1審原告A28にあっても5年近くの作業歴があるのであるから(乙27,補正して引用した原判決別紙9「原告等の個別事情,1審被告らの指摘は当たらない」」)。 まとめ以上によれば,1審原告等のうち,本判決別紙1「認容額等一覧表」の「過失相殺の有無」欄に「有(1割」と記載のある1審原告A26及び亡B2に)ついては,その損害額の1割を減額するのが相当である。 第10争点5(消滅時効の成否)についての当裁判所の判断 争点5(1)ア(安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の起算点)について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決99頁11行目から102頁11行目に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1)原判決100頁末行の「原告等(CT関係」を「1審原告等(CT関)係A及びB」に改める。 )(2)原判決101頁2行目の「生じている」の次に「と推認される」を加える。 (3)原判決102頁2行目の「平成21年12月7日」の次に「,1審原告A18については平成27年8月4 改める。 )(2)原判決101頁2行目の「生じている」の次に「と推認される」を加える。 (3)原判決102頁2行目の「平成21年12月7日」の次に「,1審原告A18については平成27年8月4日」を加える。 (4)原判決102頁5行目の「ただし」の次に「亡B1及び」を加える。 , 争点5(1)イ(不法行為に基づく損害賠償請求権の起算点)について(1)1審原告A13らは,1審原告A13らは1審被告らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権も取得しているところ,不法行為に基づく損害賠償- 126 -請求権の消滅時効の起算点は,損害賠償請求が可能であることを現実に認識(),,した時認識可能性では足りないであるから1審原告A13については河合良房弁護士から説明を受けた平成21年5月15日が,同A14,同A15及び同A16についてはG4職員のEから説明を受けた平成22年8月12日が,それぞれ「損害及び加害者を知った時」である旨主張する。 (2)本件においては,1審被告らの安全配慮義務違反は,1審原告A13らの生命身体に対する過失による加害行為と捉えることもできるから,1審原告A13らは,1審被告らに対し,不法行為に基づく損害賠償請求権も取得するということができる。 そして,不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効の起算点である,被害者が「損害及び加害者を知った時(民法724条)とは,被害者におい」て,加害者に対する賠償請求をすることが事実上可能な状況の下に,それが可能な程度に損害及び加害者を知った時を意味すると解するのが相当である(最高裁昭和48年11月16日第二小法廷判決・民集27巻10号1374頁参照。そして,被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の発生を)現実に認識した時をいう(最高裁平成14年1月29日第三小法 (最高裁昭和48年11月16日第二小法廷判決・民集27巻10号1374頁参照。そして,被害者が損害を知った時とは,被害者が損害の発生を)現実に認識した時をいう(最高裁平成14年1月29日第三小法廷判決・民集56巻1号218頁)ところ,加害行為の違法性の認識については,一般人であれば,当該加害行為が違法であると判断するに足りる事実を認識していれば足り,損害賠償請求が可能であることを現実に認識した時といった訴訟追行の可能性や,当該請求者の法的知識の有無等の個別事情は斟酌すべきでないと解するのが相当である(最高裁平成23年4月22日第二小法廷判決・集民236号443頁,最高裁昭和57年10月15日第二小法廷判決・集民137号333頁参照。 )そうすると「損害及び加害者を知った時」を損害賠償請求が可能である,ことを現実に認識した時(認識可能性では足りない)とする1審原告A13らの主張は採用することができない。 - 127 -(3)これを本件において検討するに,じん肺に罹患した旨の行政上の管理区分の決定を受けた者は,その時点において,雇用主の指揮命令に基づいて粉じん作業に従事したことにより肺内に病変が生じ,損害が発生したことを容易に知ることができるし,そのような者は,自らが粉じん作業に従事した職場において,過去あるいはその時点で粉じん作業に従事していたのであるから,雇用主による不十分な粉じん対策によって上記損害が発生したことも容易に知ることができ,加害行為の違法性を容易に認識することができるというべきである。そうすると,上記1で補正して引用した原判決が説示するとおり,重い管理区分決定に相当する病状に基づく損害は,その決定を受けた時に発生し,法定合併症に罹患したことによる損害は,その認定等を受けた時に発生するといえるから,不法行為によ た原判決が説示するとおり,重い管理区分決定に相当する病状に基づく損害は,その決定を受けた時に発生し,法定合併症に罹患したことによる損害は,その認定等を受けた時に発生するといえるから,不法行為によりじん肺に罹患したことを理由とする損害賠償請求権(じん肺死を理由とする場合を除く)は,最も重い管。 理区分決定を受けた時,あるいは,法定合併症の認定等を受けた時から,その消滅時効が進行するものと解すべきである。 そして,補正して引用した原判決別紙9「原告等の個別事情」に記載のとおり,1審原告A13は,昭和54年2月20日付けで初めて管理2の管理区分決定を受けた後,平成9年9月25日付けで続発性気管支炎により労災保険給付の支給決定を受けたこと,同A14は,昭和59年11月29日付けで初めて管理2の管理区分決定を受け,最新の管理区分決定(昭和61年8月30日付け)も管理2である上,法定合併症の認定等は受けていないこと,同A15は,昭和56年9月30日付けで初めて管理2の管理区分決定,,,を受けたままであり法定合併症の認定等は受けていないこと同A16は平成5年5月21日付けで初めて管理2の管理区分決定を受け,最新の管理区分決定(平成20年6月27日付け)も管理2である上,法定合併症の認定等は受けていないことが認められ,同A13が本件訴訟を提起したのが平成21年5月28日であり,同A14,同A15及び同A16が本件訴訟を- 128 -提起したのが平成22年9月9日であることが認められる。 そうすると,1審原告A13らの不法行為に基づく損害賠償請求権については,同人らが「損害及び加害者を知った時」から本件訴訟を提起するまで,。 3年以上が経過しているからいずれも消滅時効が完成していることになる 争点5(2)(1審被告らの消滅時効の援用が権利 いては,同人らが「損害及び加害者を知った時」から本件訴訟を提起するまで,。 3年以上が経過しているからいずれも消滅時効が完成していることになる 争点5(2)(1審被告らの消滅時効の援用が権利濫用に該当するか)について次のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第1 争点5(消滅時効の成否)について」の「2争点5(2)(被告らの消滅時効の援用が権利の濫用に該当するか否か)について」に記載のとおりであるから,これを引用する。 (原判決の補正)(1)原判決102頁14行目の「本件各事件の」から「消滅時効期間」までを「本件各事件の原審の第1回口頭弁論期日(甲事件については平成21年8月6日,乙事件については平成22年11月11日)において,安全配慮義務違反に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間」に改める。 (2)原判決102頁15行目から16行目にかけての「当裁判所に顕著な事実」を「記録上明らかな事実」に改める。 (3)原判決102頁16行目末尾に次のとおり加える。 「また,1審被告らは,平成27年7月13日の当審第4回口頭弁論期日において,不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間が経過している1審原告A13らに対し,上記消滅時効を援用する旨の意思表示をしている(当裁判所に顕著な事実」)。 (4)原判決103頁20行目の次に,行を改めて,次のとおり加える。 「(3)これに対し,1審原告らは「提訴妨害要件論」を採用して権利の,濫用に当たる場合を限定することは誤りである旨主張する。 一般に,消滅時効制度の機能ないし目的については,①長期間継続した事実状態を維持して尊重することが,法律関係の安定のため必要であ- 129 -ること,②権利の上に眠っている者(権利行使を怠った者)は法の保護に値しないこと,③ し目的については,①長期間継続した事実状態を維持して尊重することが,法律関係の安定のため必要であ- 129 -ること,②権利の上に眠っている者(権利行使を怠った者)は法の保護に値しないこと,③あまりにも古い過去の事実について立証することは困難であるから,一定期間の経過によって義務の不存在の主張を許す必要があること等と説明されているが,時効によって利益を受けることを欲しない場合にも,時効の効果を絶対的に生じさせることは適当でないともいえるから,民法は,永続した事実状態の保護と時効の利益を受ける者の意思の調和を図るべく,時効の援用を要するとしている(民法145条。もっとも,時効を援用して時効の利益を受けることについて)は,援用する意思表示を要件とするのみで,援用する理由や動機,債権の発生原因や性格等を要件として規定してはいない。そうすると,このような債権行使の保障と消滅時効の機能や援用の要件等に照らせば,時効の利益を受ける債務者は,債権者が訴え提起その他の権利行使や時効中断行為に出ることを妨害して債権者において権利行使や時効中断行為に出ることを事実上困難にしたなど,債権者が期間内に権利を行使しなかったことについて債務者に責むべき事由があり,債権者に債権行使を保障した趣旨を没却するような特段の事情があるのでない限り,消滅時効を援用することができるというべきである。したがって「提訴妨害,要件論」を採用して権利の濫用に当たる場合を限定することは誤りであるとの1審原告らの主張は採用することができない。 そして,安全配慮義務違反及び不法行為に基づく損害賠償請求権に対する1審被告らの消滅時効の援用が,権利の濫用に該当しないことは,補正して引用した原判決が説示するとおりである」。 (5)原判決103頁21行目の「損害賠償請求権」を「各損害 く損害賠償請求権に対する1審被告らの消滅時効の援用が,権利の濫用に該当しないことは,補正して引用した原判決が説示するとおりである」。 (5)原判決103頁21行目の「損害賠償請求権」を「各損害賠償請求権」に改める。 第11弁護士費用及び遅延損害金以下のとおり原判決を補正するほかは,原判決「事実及び理由」中の「第1- 130 -」,。 弁護士費用及び遅延損害金に記載のとおりであるからこれを引用する(原判決の補正) 原判決103頁末行から104頁1行目にかけての「別紙認容額等一覧表」を「本判決別紙1「認容額等一覧表」に改める。 」 原判決104頁7行目の「基本的には」を削除する。 原判決104頁9行目の「もっとも」から17行目末尾までを次のとおり改める。 「なお,1審原告等が,本件訴訟係属中に上位の管理区分決定を受けた場合,法定合併症の行政上の認定を受けた場合,あるいは,じん肺を原因として死,「」亡したものと認められる場合には補正して引用した原判決事実及び理由中の第10の1(1)のとおり,それぞれ,その時点において新たな損害が発生,,,したものと評価されるけれども1審原告らはじん肺の進行性等を踏まえこれらの損害も含めて包括一律請求をしていると解される上,請求額も認容額を超えることに照らせば,本件訴訟係属中に上記のような事実が生じた場,。」合でも各訴状送達の日の翌日から遅延損害金を起算するのが相当である第12まとめ以上によれば1審原告らの請求は本判決別紙1認容額等一覧表の ,,「」「審原告」欄記載の各1審原告のうち,同表「1審被告」欄の「1審被告ら」と記載のある者については,それぞれ1審被告らに対し,同表「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する同表「遅延損害金起算日」欄記載の 審原告」欄記載の各1審原告のうち,同表「1審被告」欄の「1審被告ら」と記載のある者については,それぞれ1審被告らに対し,同表「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する同表「遅延損害金起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の連帯支払を求める限度で,また,同表「1審被告」欄に「1審被告三井金属」と記載のある者については,それぞれ1審被告三井金属に対し,同表「認容額」欄記載の各金員及びこれに対する同表「遅延損害金起算日」欄記載の各日から支払済みまで年5分の割合による遅延損害金の支払を求める限度で理由があるが,その余の請求はいずれも理由がなく,1審原告A13らの請求はいずれも理由がない。 - 131 -第13 結論 ,,,,,,,,よって1審原告A1同A2同A3同A4同A5同A6同A7同A8,同A9,同A10,同A11及び同A12の控訴は一部理由があり,これと異なる原判決は相当ではないからこれを変更し,その余の1審原告ら及び1審被告らの控訴は理由がないからいずれも棄却するとともに,1審原告A13らの当審における追加請求をいずれも棄却し,亡B1については当審係属中に死亡し,訴訟承継がされたため,その旨を主文に明記することとして,主文のとおり判決する。 名古屋高等裁判所民事第3部裁判長裁判官揖斐潔裁判官池田信彦裁判官片山博仁(別紙1~7省略)
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