主文 1 原告ら所有の別紙物件目録1記載の土地と被告所有の同目録3記載の土地との境界は別紙図面のK22,K5の各点を直線で結ぶ線であること,および,原告ら所有の別紙物件目録2記載の土地と被告所有の同目録3記載の土地との境界は別紙図面のK5,A8の各点を直線で結ぶ線であることを確定する。 2 被告は原告らに対し,別紙図面のK22,K5,K21ー1,K22の各点を順次直線で結ぶ線で囲まれた土地,および,同図面のK5,A8,A8ー1,K5の各点を順次直線で結ぶ線で囲まれた土地が,原告らの所有であることを確認する。 3 原告らのその余の請求を棄却する。 4 訴訟費用は被告の負担とする。 事実及び理由 1 請求(1) 原告ら① 主文1,2,4項同旨② 被告は原告らに対し,別紙図面のK22,K5,K21ー1,K22の各点を順次直線で結ぶ線で囲まれた土地,および,同図面のK5,A8,A8ー1,K5の各点を順次直線で結ぶ線で囲まれた土地を明け渡せ。 ③ 訴訟費用は被告の負担とする。 ④ 上記②につき仮執行宣言(2) 被告① 原告らの請求を棄却する。 ② 訴訟費用は原告らの負担とする。 2 事案の概要本件は,原告らが所有する別紙物件目録1,2記載の土地(以下同目録記載1の土地を「本件1土地」と,同2の土地を「本件2土地」という。)と,被告が所有する別紙物件目録3記載の土地(以下「本件3土地」という。)との境界を巡る訴訟であって,原告らは,本件1土地と本件3土地との境界線(以下「北側境界線」という。)は別紙図面のK22,K5の各点を直線で結ぶ線,本件2土地と本件3土地との境界線(以下「東側境界線」という。)は別紙図面のK5,A8の各点を直線で結ぶ線であると主張し,被告は,北側境界線は別紙図面のK21ー1,K 22,K5の各点を直線で結ぶ線,本件2土地と本件3土地との境界線(以下「東側境界線」という。)は別紙図面のK5,A8の各点を直線で結ぶ線であると主張し,被告は,北側境界線は別紙図面のK21ー1,K5の各点を直線で結ぶ線,東側境界線は別紙図面のK5,A8ー1の各点を直線で結ぶ線であると主張しており,原告らは,上記境界確定と原告ら主張の境界線と被告主張の境界線とに挟まれた紛争地(別紙図面の①,②の部分)が原告らの所有に属することの確認及び同紛争地の明渡しを求めている。 3 争いのない事実亡甲(以下「甲」という。)は,本件1,2土地を所有していたが,甲は平成10年11月8日死亡し,妻であった原告Aが持ち分2分の1,子であったその余の原告らが各6分の1ずつ本件1,2の土地を相続した。 被告は,本件3土地を所有している。 本件1,2土地と本件3土地は境界を接し,境界線につき争いがある。 4 当裁判所の判断(1) 認定事実(証拠は各項の末尾に記載)① 本件1ないし3土地の位置関係は別紙図面のとおりであって,本件1土地は字「ア」に,本件2,3土地は字「イ」に属しており,公図(字図)は別紙公図1,2記載のとおり別々に作成されている。なお,公図上「ア」と「イ」の字境は比較的附合している(上記公図を合成したものが別紙公図3である。)。公図上,本件1土地と本件3土地との境界線,本件2土地及び同土地の南側に接続する字イc番fの土地(以下土地の表記は「字イc番fの土地」等と字名以下で表示する。)の本件2土地と接する付近と本件3土地の境界はいずれも直線であって,原告ら及び被告の間では,上記境界につき,別紙図面K5点が本件1ないし3土地の境界の接する点であるとの共通認識がある。(甲16ないし18,25,証人G,同F,原告A)② 本件1土 あって,原告ら及び被告の間では,上記境界につき,別紙図面K5点が本件1ないし3土地の境界の接する点であるとの共通認識がある。(甲16ないし18,25,証人G,同F,原告A)② 本件1土地は,明治時代388坪(1反2畝28歩)の畑(外に2坪の畦畔と18坪の悪水路を伴っていた。)として登記され,平成6年に字アa番k,同4,同5が分筆されて(その間に悪水路が字ア157番2として分筆されたがその後合筆された。),現在登記簿上の面積は822.48平方メートルと記載されている。本件2土地は,昭和29年に字イ82番の1の土地(宅地)から分筆されたものであって,登記簿上386平方メートルと記載されている。なお,本件1土地と本件2土地は一体的に使用されており,両土地の登記簿上の面積は合計1208.48平方メートルであるが,被告主張の境界線を前提にすると,本件1土地と同2土地の面積の合計は1199.45平方メートルとなり,原告ら主張の境界線を前提にすると,同面積は1260.31平方メートルとなる。本件1土地の縄延びは,被告主張の境界線を前提にすると3.75平方メートルであって,分筆される前の本件1土地の面積388坪に対する縄延び率は約0.2パーセントであり,原告ら主張の境界線を前提にすると,63.02平方メートルとなり,その縄延び率は約5パーセントである。(甲1の①,②,7ないし13,19,20,25,証人G)③ 本件3土地は,明治時代に279坪の宅地として登記され,現在被告が所有する字イg番h,同2の土地とともに宅地として一体的に使用されている(上記一体的に使用されている3筆の土地を「被告土地」という。)。これらの土地の登記簿上の面積は合計1596.68平メートルと記載されているが,現に境界を巡って係争中の字イ82番の1の土地(所 いる(上記一体的に使用されている3筆の土地を「被告土地」という。)。これらの土地の登記簿上の面積は合計1596.68平メートルと記載されているが,現に境界を巡って係争中の字イ82番の1の土地(所有者H)及び本件1,2土地との境界に関し被告が主張している境界線を前提にすると,被告土地の合計面積は1821.35平方メートルとなり,その縄延び率は約14パーセントであり,原告ら及びHが主張している境界線を前提にすると,被告土地の合計面積は1751.77平方メートルとなり,その縄延び率は約9パーセントである。(乙1ないし5,16ないし19,25,証人G)④ 字イ82番の1の土地は,明治時代478坪(1反5畝28歩)の宅地として登記され,昭和29年から昭和34年までの間に字イc番d,同3,同4,同5,同6の各土地が分筆されて,現在登記簿上の面積は386平方メートルと記載されている。なお,字イc番fの土地はHが所有者として同5の土地とともに一体的に使用しており,字イc番fと同5の土地の登記簿上の面積は合計714.04平方メートルであるが,被告主張の境界線を前提にすると,字イc番fと同5の土地の面積は812.44平方メートルとなり,分筆される前の字イc番fの土地の面積478坪に対する縄延び率は約6.2パーセントであり,H主張の境界線を前提にすると,同面積は821.64平方メートルとなり,上記478坪に対するその縄延び率は約6.8パーセントである。(甲25,乙7ないし12,20ないし30,証人G)⑤ 本件係争地周辺は,昭和30年代,竹と雑木が生えており,同所には境界を示す境界杭等はなかった。昭和39年ころ,字ア154番1で醸造業を行っていたBが,醸造所と倉庫を結ぶホースを本件3土地と本件1,2土地及び字イi番jの土地の境界付近に各土地所有 おり,同所には境界を示す境界杭等はなかった。昭和39年ころ,字ア154番1で醸造業を行っていたBが,醸造所と倉庫を結ぶホースを本件3土地と本件1,2土地及び字イi番jの土地の境界付近に各土地所有者の承諾を得て設置したが,現在その支柱となっていた鉄柱又は鉄柱の基礎部分が残存している。本件係争地のうち北側部分には椿の木が3本あるが,その位置関係は,原告ら及び被告間に本件1ないし3土地の境界点として争いのない別紙図面K5点から順次直線で結ぶと蛇行し,直線とはならない。(甲24,25,証人G,同F,原告A,検証)⑥ 甲は,昭和40年に分筆する前の字アa番bの土地の北部(現在の字アa番k,同l,同m付近)に借家を建築し,昭和48年にも北側係争地周辺の竹林を切り開いて借家を建設して他に賃貸していたが,被告から苦情を言われることはなかった。借家人は,鉄柱で支持されたホース周辺(場所によって同ホースより西側に入り込んでいた。)を借家の庭として使用していたが,被告から境界を越えていると苦情を言われたことはなかった。養豚業を営んでいた被告は,昭和42年ころ,北側係争地より東側に柵を作って豚舎を建設した。なお,昭和48年に建設された借家は,被告が主張する境界線との関係では一部被告所有地内にあることになる。(甲23ないし26,証人G,同F,原告A,検証)⑦ Hは,昭和53年9月,その所有地である字イc番f,同5の土地に住居を建設し,甲から本件2土地の一部を通路として分筆譲渡を受けるに当たり,字イc番f,同5の土地の範囲を確認すべく,本件3土地の所有者である被告に隣接地所有者として立ち会って欲しい旨の連絡をし,同月7日,字イc番f,同nの土地及び本件2土地が測量され,図面が作成された。同測量の際,本件3土地との境界を示すものとして,3本のプラスチッ 被告に隣接地所有者として立ち会って欲しい旨の連絡をし,同月7日,字イc番f,同nの土地及び本件2土地が測量され,図面が作成された。同測量の際,本件3土地との境界を示すものとして,3本のプラスチック杭が設置され,別紙図面A8点より南側の2本の杭(A5, 322)は現存しているが,別紙図面A8点に設置されたプラスチック杭は被告が引き抜き現存しない。なお,昭和53年9月7日に測量されて作成された図面には,別紙図面A8点とその南側に設置されたプラスチック杭の間には鉄柱(前記Bが設置したものである。)があって,別紙図面A6,A7の2本の鉄柱が境界を示すものとして記載されており,現在2本とも残存している。(甲21,25,証人G,同F,検証)⑧ 原告らは,甲死亡に伴う相続登記のために,本件1,2土地の範囲を確定すべく,平成11年6月,B及び被告に境界に関する立会を求め,被告も一旦は北側境界線が別紙図面K22,K5点を結ぶ直線が境界であることを認めていたが,南側境界線として同K5,A8点を結ぶ直線が境界であるとの点につき,被告の承認を得られず,まもなく,被告は,公図からすると,北側境界線としてはK21ー1点,K5点を結ぶ直線が境界線であると主張するようになった(なお,被告主張の根拠は別紙公図3の(イ)点と(ロ)点の公図上の寸法を600倍すると22メートルであるというものであるが,被告土地北側のV字状になった境界線の公図上の寸法(2.5センチメートルないし2.6センチメートル)を600倍すると15メートルないし15.6メートルとなるが,被告主張のK21ー1点を境界点であるとすると,被告土地北側の境界線はV字状にはならず,またその距離は21.357メートルとなる。)。(甲25,証人G,同F,原告A)(2) 判断(境界確定について) ー1点を境界点であるとすると,被告土地北側の境界線はV字状にはならず,またその距離は21.357メートルとなる。)。(甲25,証人G,同F,原告A)(2) 判断(境界確定について)① 被告は,本件1ないし3土地の境界線のうち北側境界線として,別紙図面K21ー1点,K5点を結ぶ直線が境界であると主張するところ,その根拠は,公図3の(イ)点から(ロ)点の寸法を縮尺に基づき600倍した距離が22メートルになるというものである。 本件1ないし3土地は宅地又は宅地に隣接する畑地であって,公図が比較的正確であるとはいえ,縄延びがあること及び被告土地の公図上のV字状になっている北側の境界線の距離(公図上の寸法は2.5センチメートルないし2.6センチメートルでこれを600倍すると15メートルないし15.6メートルとなる。)と被告主張のK21ー1点を採用した場合の別紙図面305点からの境界線の距離(21.357メートル)の相違からすると,公図上の寸法を基礎に,別紙図面K21ー1,K5点を結ぶ直線が境界であると認めることはできない。 一般的に明治時代に作成された公図は,その土地の形状や方位.方角についてはある程度信用できるが,その面積や距離.角度等については信用性が薄いといわれており,公図に表された各土地の形状や土地の利用状況,境界木の存在や各土地の縄延び率等をも参考に境界を決めるべきところ,北側境界線付近に存在する椿の木を結ぶ線が直線とならないことからすると,これを境界木であるとみることもできない。 甲及び被告の本件北側紛争地周辺の土地の利用状況及びBの鉄柱設置の事情からすると,右鉄柱を結ぶ線付近が境界であることは否定できないところ,別紙図面K5点が本件1ないし3土地の境界点を示すことは,原告ら及び被告との間で争いがなく,右境界点が 状況及びBの鉄柱設置の事情からすると,右鉄柱を結ぶ線付近が境界であることは否定できないところ,別紙図面K5点が本件1ないし3土地の境界点を示すことは,原告ら及び被告との間で争いがなく,右境界点が昭和53年9月に本件2土地からHへの通路を分筆する際に測量した図面上の同境界点と一致していることは甲25号証及び証人Gの証言からも認められるところである。 一方,別紙図面K22点は,被告土地の北側のV字形となる境界線の始発点に当たり(被告が主張する別紙図面K21ー1点が境界点であるとすると被告土地の北側の境界線は公図上の形状と異なる。),公図において信頼できる形状的な特徴と一致しており,しかも前記公図上の寸法からも矛盾しないというものであって,被告自身原告らから要請された境界の立会において,境界点であるとして一旦承諾していたことからすると,本件1ないし3土地の北側境界線としては,別紙図面K22点とK5点を直線で結ぶ線であると認めるのが相当である。 ② 被告は,本件1ないし3土地の境界線のうち東側境界線として,別紙図面K5点とA8ー1点を結ぶ直線が境界であると主張するところ,A8ー1点は現在Hが設置したブロック塀の北東端であるが,昭和53年9月に測量された図面(甲21)に同ブロック塀の記載がないことからすると,同点が境界点であるとする根拠は特に無い。同図面A8点に昭和53年9月7日設置されたプラスチック杭につき,被告の子であるFは,その証人尋問において,被告はHから境界立会を求められたが用事があって立ち会えず,翌日境界と異なるところにプラスチック杭が設置してあったのでこれを抜き,Hに抗議をしたと被告から聞かされた旨証言するところ,同日測量された本件2土地の測量図上,別紙図面K5と同一境界点に関しては被告も争いがなく,また,同日測量されて作成 設置してあったのでこれを抜き,Hに抗議をしたと被告から聞かされた旨証言するところ,同日測量された本件2土地の測量図上,別紙図面K5と同一境界点に関しては被告も争いがなく,また,同日測量されて作成された字イc番f,同nの土地の図面上のA5点及び322点上に設置されたプラスチック杭が境界点であることは被告も争っていないことが甲21号証によれば認められ,このような事実からすると,同日の測量には被告も立ち会って境界を指示したと認めるのが相当であって,被告土地と字イc番f,同nの土地の縄延び率及び公図の地形的特徴(被告主張の境界線であると直線とならない。)からしても,本件1ないし3土地の東側境界線としては,別紙図面K5点とA8点を直線で結ぶ線であると認めるのが相当である。 (所有権確認について)前記認定の事実によれば,別紙図面のK22,K5,K21ー1,K22の各点を順次直線で結ぶ線で囲まれた土地,および,同図面のK5,A8,A8ー1,K5の各点を順次直線で結ぶ線で囲まれた土地は,原告らが所有する土地であることが認められ,上記各土地が原告ら所有地であることを確認する原告らの請求は理由がある。 (土地明渡しについて)原告らは,被告に対し,別紙図面のK22,K5,K21ー1,K22の各点を順次直線で結ぶ線で囲まれた土地,および,同図面のK5,A8,A8ー1,K5の各点を順次直線で結ぶ線で囲まれた土地の明渡しを求めているが,被告が同土地を自己所有地であると主張していることは認められるが,本件全証拠によるも,被告が同土地を使用する等同土地を占有していると認めることはできず,原告らの同請求は理由がない。 5 結論以上のとおりであって,民訴法に従い,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所民事第2部 土地を占有していると認めることはできず,原告らの同請求は理由がない。 5 結論以上のとおりであって,民訴法に従い,主文のとおり判決する。 福岡地方裁判所民事第2部裁判官横山秀憲(別紙)物件目録 1 土地所在粕屋郡粕屋町大字イ町字ア地番 a番b地目宅地地積 822.48平方メートル 2 土地所在粕屋郡粕屋町大字イ町字イ地番 c番d地目宅地地積 386平方メートル 3 土地所在粕屋郡粕屋町大字イ町字イ地番 e番地目宅地地積 922.31平方メートル
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