平成30(ワ)290 災害共済給付金支払請求事件

裁判年月日・裁判所
令和2年2月27日 名古屋地方裁判所
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判決文本文17,202 文字)

令和2年2月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官災害共済給付金支払請求事件口頭弁論終結日令和元年11月15日判決主文 1 原告らの請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求被告は,原告らに対し,2800万円及びこれに対する平成29年7月27日か ら支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要本件は,亡Cが在学していたD中学校を運営する学校法人Eと被告との間で災害共済給付契約(以下「本件契約」という。)が締結されていたところ,亡Cの父母である原告らが,亡Cが同中学校の実施したアメリカでの研修旅行中の平成28年 10月29日,ホームステイ先の案内によりハイキングをしていた際に,崖から滑落して死亡し(以下「本件事故」という。),本件事故は本件契約の給付対象である学校の管理下における児童生徒等の災害(負傷,疾病,障害又は死亡をいう。以下同じ。)に該当すると主張して,被告に対し,本件契約に基づき,死亡見舞金2800万円及びこれに対する催告から相当期間経過後(被告による不支給決定日の翌 日)である平成29年7月27日から支払済みまで民法所定の年5分の割合による遅延損害金の支払を求める事案である。 これに対し,被告は,中学生の海外研修,海外実習等はそもそも本件契約の給付対象に該当せず,仮に該当するとしても本件事故は学校の管理下における災害には該当しないと主張している。 1 前提事実(争いのない事実,証拠及び弁論の全趣旨から容易に認められる事 実)⑴ 当事者等ア原告Aは,亡Cの父であり,原告Bは,亡Cの母である。(甲1の各枝番)亡Cは,本件事故当時,D中学校に在学する中学3年生であった 全趣旨から容易に認められる事 実)⑴ 当事者等ア原告Aは,亡Cの父であり,原告Bは,亡Cの母である。(甲1の各枝番)亡Cは,本件事故当時,D中学校に在学する中学3年生であった。 イ被告は,独立行政法人日本スポーツ振興センター法(以下「法」という。) に基づき設立され,学校の管理下における児童生徒等の災害に関する必要な給付等を行うことを目的とする独立行政法人である。(法2条,3条)⑵ 災害共済給付制度の概要(以下,独立行政法人日本スポーツ振興センター法施行令を「施行令」,独立行政法人日本スポーツ振興センターに関する省令を「省令」という。また,法,施行令及び省令を併せて「関係法令」という。) ア制度一般被告における災害共済給付制度は,法に基づき,学校の管理下における児童生徒等の災害について,学校の設置者が,児童生徒等の保護者の同意を得て,当該児童生徒等について被告との間で締結する災害共済給付契約に基づき共済給付が行われる制度である(法16条1項)。 この災害共済給付制度は,学校災害については教員又は生徒のいずれの過失に基づくものか判然としない偶発的な事故が多いことから,学校の設置者と保護者が掛金を分担して互助共済を図るとの目的で,昭和35年に創設された制度であり,平成28年当時は,全国の学校(義務教育諸学校,高等学校,高等専門学校及び幼稚園等)で,児童生徒等の総数の約96%に当たる約1683万人が加入していた。 (乙3,4)イ共済掛金共済掛金の額は,学校の種別ごとに施行令で定める額であり,学校の設置者が加入する児童生徒等の掛金を取りまとめて,一括して被告に対し支払うものとされている(法17条1項,3項,施行令7条)。 平成28年当時の中学校の一般生徒の共済掛 める額であり,学校の設置者が加入する児童生徒等の掛金を取りまとめて,一括して被告に対し支払うものとされている(法17条1項,3項,施行令7条)。 平成28年当時の中学校の一般生徒の共済掛金の額は,1人当たり年間920円 であり(施行令7条1号),保護者負担額が460円,学校負担額が460円であった。(以上につき甲7の1,乙4)ウ共済給付に係る災害学校の管理下における児童生徒等の災害の範囲に関する本件事故当時の関係法令の定めは以下のとおりである。 法16条2項前項の災害共済給付契約に係る災害共済給付の給付基準,給付金の支払の請求及びその支払並びに学校の管理下における児童生徒等の災害の範囲については,施行令で定める。 施行令5条1項 災害共済給付に係る災害は,次に掲げるものとする。 1号ないし3号(省略)4号児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち,文部科学省令で定めるもの5号前号に掲げるもののほか,これに準ずるものとして文部科学省令で定める もの施行令5条2項前項1号,2号及び4号において「学校の管理下」とは,次に掲げる場合をいう。 1号児童生徒等が,法令の規定により学校が編成した教育課程に基づく授業を 受けている場合2号児童生徒等が学校の教育計画に基づいて行われる課外指導を受けている場合3号前2号に掲げる場合のほか,児童生徒等が休憩時間中に学校にある場合その他校長の指示又は承認に基づいて学校にある場合 4号児童生徒等が通常の経路及び方法により通学する場合 5号前各号に掲げる場合のほか,これらの場合に準ずる場合として文部科学省令で定める場合省令24条施行令5条1項4号の児童生徒 号児童生徒等が通常の経路及び方法により通学する場合 5号前各号に掲げる場合のほか,これらの場合に準ずる場合として文部科学省令で定める場合省令24条施行令5条1項4号の児童生徒等の死亡でその原因である事由が学校の管理下において生じたもののうち文部科学省令で定めるものは,次に掲げるものとする。 1号学校給食に起因することが明らかであると認められる死亡2号 22条に掲げる疾病に直接起因する死亡3号前2号に掲げるもののほか,学校の管理下において発生した事件に起因する死亡省令26条 施行令5条2項5号の文部科学省令で定める場合は,次に掲げる場合とする。 1号学校の寄宿舎に居住する児童生徒等が,当該寄宿舎にあるとき。 2号児童生徒等が,学校以外の場所であって施行令5条2項1号の授業若しくは同項2号の課外指導が行われる場所(当該場所以外の場所において集合し,又は解散するときは,その場所を含む。)又は前号に規定する寄宿舎と住居との間を, 合理的な経路及び方法により往復するとき。 3号 (省略)エ共済給付金(死亡見舞金)上記ウの災害により児童生徒等が死亡した場合には,その父母に死亡見舞金が支給される(法15条7号,施行令2条2項)。 平成28年当時の死亡見舞金の額は,2800万円であった。(乙4)オ給付金の支払手続災害共済給付の給付金の支払の請求は,災害共済給付契約に係る学校の設置者が行うものとされているが,児童生徒等の保護者も,学校の設置者を経由して,自ら請求をすることができる(施行令4条1項,2項)。 被告は,給付金の支払の請求があったときは,当該請求の内容が適正であるかど うかを審査し,給付基準に従ってその支払額を決定し,速やかに給付金の支払を行 できる(施行令4条1項,2項)。 被告は,給付金の支払の請求があったときは,当該請求の内容が適正であるかど うかを審査し,給付基準に従ってその支払額を決定し,速やかに給付金の支払を行う(施行令4条4項,5項)。 カ損害賠償との調整被告は,災害共済給付と同一の事由について,当該災害共済給付に係る児童生徒等が国家賠償法,民法その他の法律による損害賠償を受けたときは,その価額の限 度において,災害共済給付を行わないことができる(施行令3条3項,法31条1項)。 ⑶ 高校生等の海外研修等に関する通知被告理事長は,平成15年10月1日付けで,被告の各都道府県支部長に対し,高等学校生及び高等専門学校生(以下「高校生等」という。)の海外研修,海外実 習等(以下「海外研修等」という。)について,学校が編成した教育課程又は学校の教育計画に基づき当該校の教師の適切な監督指導の下に実施される海外研修等については,「学校の管理下」とするとの通知(以下「本件通知」という。)を発出した。(乙7の1)ただし,被告の健康安全部長が平成16年2月2日付けで発出した本件通知の解 説では,ここでいう「高校生等」は,義務教育諸学校の児童生徒は対象とならないとされている。(乙7の2)⑷ 災害共済給付契約の締結等ア Eは,昭和61年4月11日,被告の前身である日本体育・学校健康センターとの間で,災害共済給付契約(本件契約)を締結した。 本件契約は,当時の日本体育・学校健康センター法の規定に基づき,「免責の特約を付した災害共済給付契約約款」(以下「本件約款」という。)の条項に従うとされており,本件約款には,以下の定めがある。(以上につき,乙12,13)本件契約は,Eの設置する学校の管理下における生徒の災害につき,当該 付契約約款」(以下「本件約款」という。)の条項に従うとされており,本件約款には,以下の定めがある。(以上につき,乙12,13)本件契約は,Eの設置する学校の管理下における生徒の災害につき,当該生徒の保護者等に対し,日本体育・学校健康センターが災害共済給付を行うこと等を 目的とする(本件約款2条)。 Eの日本体育・学校健康センターに対する給付金の支払請求の手続,共済掛金の支払手続及び共済掛金の額並びに同センターのEに対する給付金の支払手続,支払額等の災害共済給付に係る給付金の支払及び共済掛金に関する事項については,法又はこれに基づき若しくはこれを実施するために制定された命令及び業務方法書の定めるところによる(本件約款4条)。 法又はこれに基づき若しくはこれを実施するために制定された命令及び業務方法書に改正があった場合においては,改正後のそれらの規定の定めるところによる(本件約款10条)。 イ Eは,平成28年5月に,亡Cの保護者である原告Aの同意を得た上で,亡Cを含むD中学校の在校生の平成28年度分の共済掛金を振り込んで,亡Cについ て本件契約に基づく災害共済給付制度への加入手続をとった。(甲7及び17の各枝番)⑷ 本件事故についてア D中学校は,平成28年10月及び11月に,「F研修旅行」と称して,同校の教員の引率の下で,中学3年生237名全員を対象とする研修旅行(以下「本 件研修」という。)を2班に分けて実施し,亡Cは,以下の行程で本件研修に参加した。(甲2,6,8,21の各枝番) 日程平成28年10月26日から同年11月5日まで(11日間) 目的地アメリカ合衆国ロサンゼルス,ユタ州G,サンフランシスコ等 ホームステイ同年10月28日から同年11月3日ま 日程平成28年10月26日から同年11月5日まで(11日間) 目的地アメリカ合衆国ロサンゼルス,ユタ州G,サンフランシスコ等 ホームステイ同年10月28日から同年11月3日まで(7日間),ユタ 州Gにおいて,現地のホストファミリーの元で滞在する。 イ亡Cは,平成28年10月29日(土曜日)に,ホストファーザーであるHと共にハイキングに行き,同日午後5時から6時頃までの間に,ホームステイ先から15.5マイル(約25キロメートル)離れたI滝を,徒歩で降りる途中に崖から滑落し,これにより死亡した(本件事故)。(甲1の各枝番,甲3) ⑸ 被告の不支給決定 ア Eは,平成29年4月13日付けで,亡Cが本件事故により死亡したことについて,本件契約に基づき,死亡見舞金の支払請求をした。(甲11,乙2)イ被告は,同月26日付けで,Eに対し,上記アの請求について,本件通知に沿って,高校生の海外研修等は学校の管理下として認めているが,中学生の海外研修等は学校の管理下とは認められず,施行令5条2項各号には該当しないとして, 死亡見舞金を支給しないとの決定をした。(甲13)ウ原告Aは,同年9月19日付けで,被告に対し,上記不支給決定について不服審査請求をしたが,被告は,同年11月6日付けで,原告Aに対し,外部有識者を含む不服審査会において審議を行ったが,上記不支給決定を変更すべき事由がないとして,同決定を変更しない旨を通知した。(甲14,15) ⑹ 原告らの本件事故による保険金の受領原告らは,本件事故を支払事由として,保険会社等から以下の各保険金(以下「本件各保険金」という。)を受領した。 ア東京海上日動火災保険株式会社(甲27,33,34,弁論の全趣旨)任意海外旅 原告らは,本件事故を支払事由として,保険会社等から以下の各保険金(以下「本件各保険金」という。)を受領した。 ア東京海上日動火災保険株式会社(甲27,33,34,弁論の全趣旨)任意海外旅行保険に基づく死亡保険金 3000万円 学校旅行保険に基づく死亡保険金 3000万円イ株式会社阪急交通社(甲35,弁論の全趣旨)旅行特別補償保険に基づく傷害死亡の特別補償 2500万円ウ三井住友海上火災保険株式会社(甲29,32,弁論の全趣旨)新こども総合保険に基づく死亡保険金 219万円 2 争点⑴ 中学生の海外研修等における事故は,本件契約に基づく給付対象災害から一律に除外されているか(争点⑴)⑵ 本件事故は,学校の管理下において生じた災害といえるか(争点⑵)⑶ 本件各保険金が,本件契約に基づく給付金と調整されるべき損害賠償の性質 を有するか(争点⑶) ⑷ 本件請求に係る遅延損害金の起算点はいつか(争点⑷) 3 争点に対する当事者の主張⑴ 争点⑴(中学生の海外研修等の支給対象該当性)についてア被告の主張本件契約で引用する本件約款(前記前提事実⑷)では,災害共済給付につい て,法,命令及び業務方法書の定めによるとされているところ,この業務方法書には,センターの業務運営及び組織運営に関し必要な事項については,センターが別に定めるとの規定が設けられており,同規定に基づき本件通知が定められたものである。また,本件通知が被告のウェブページ上で公開及び周知されている災害共済給付関係法令集に掲載されていることからも,本件通知は,本件契約の内容の一部 になっているというべきである。 被告は,災害共済給付制度について,時代ごとの学校 公開及び周知されている災害共済給付関係法令集に掲載されていることからも,本件通知は,本件契約の内容の一部 になっているというべきである。 被告は,災害共済給付制度について,時代ごとの学校の実状や財源の状況等を前提としつつ,互助共済という目的を達成するため,また,公平の見地等から,法令の趣旨に反しない範囲で規則,規程及び通知等を定めており,本件通知もその一つである。他の事例との不平等,差別的な取扱いを回避するためにも,本件通知 の定めは,十分尊重されるべきである。 被告の災害共済給付制度は,昭和35年の発足当初は,高等学校の水産・商船課程の実習船による実習について特別の定めを置いたのみで,国内の学校教育活動のみを対象としていたが,海外での学校教育活動の増加傾向に鑑み,昭和61年4月から高校生等の修学旅行を,平成15年10月から本件通知により高校生等の海外 研修等を,平成29年4月から専修学校生(高等課程)の海外研修等を対象に含める運用をしている。中学生の海外研修等については,ごく一部の中学校が実施していたにすぎず,互助共済という制度趣旨を考慮すると,公平の見地等から,給付の対象とするのは適切ではないと判断したもので,本件通知は,「学校の管理下」の解釈としても,制度趣旨に合致した合理的なものである。 したがって,中学生の海外研修等における事故は,本件契約に基づく給付対 象災害から一律に除外されているというべきである。 イ原告の主張 本件契約は,学校の管理下における生徒の災害について給付を行うことを内容としており,中学生の海外研修等を除外していない。給付要件である「学校の管理下」の解釈において,高等生等と中学生を区別することには合理的理由がなく, 共済制度の趣旨目的にも合致しないから, 内容としており,中学生の海外研修等を除外していない。給付要件である「学校の管理下」の解釈において,高等生等と中学生を区別することには合理的理由がなく, 共済制度の趣旨目的にも合致しないから,本件通知が本件契約の内容になっているとはいえない。 仮に,被告の主張するように,本件通知に何らかの効力があるとしても,本件通知は,高校生等の海外研修等について定めたもので,中学生には言及がなく,文理上,中学生の海外研修等を災害共済給付制度の対象外とする趣旨とは解されない。 近年,高校生等のみならず,それ以外の学校の生徒も海外研修等に参加する例が増加しており,現に,被告も,平成29年には高校生等に加えて,専修学校生の海外研修等における事故も給付対象に含める運用を開始している。そうすると,中学生の海外研修等を一律に対象外とする運用は,情勢に見合った互助共済の実現を図るという制度趣旨にも合致しないのであって,学校の種別により区別すること なく,当該事案の具体的な状況の下で「学校の管理下」に該当するか否かを判断すれば足りる。 したがって,中学生の海外研修等における事故が,本件契約に基づく給付対象災害から一律に除外されることはないというべきである。 ⑵ 争点⑵(学校の管理下の該当性)について ア原告の主張 海外でのホームステイについては,生徒が外国の一般家庭に寄宿して異なる言語圏及び文化圏の家庭生活を実体験するという性質上,学校の教員の引率等による直接の監督指導は適切でなく,学校とホームステイ先との委託関係に基づく安全管理体制が整備されていれば,「学校の管理下」に該当するというべきである。 本件研修のホームステイ先は,Eの委託業者による事前審査及びマッチング 作業により適切と判断された家庭 全管理体制が整備されていれば,「学校の管理下」に該当するというべきである。 本件研修のホームステイ先は,Eの委託業者による事前審査及びマッチング 作業により適切と判断された家庭が選定され,ホームステイ先との契約及び委託業者による指示により適切な安全管理がされている。参加した生徒は,ホストファミリーと終日行動を共にしており,何らかの不測の事態が生じた場合には,委託業者を通じてホームステイ先との間で相互に連絡調整をする態勢がとられていた。さらに,D中学校の教員も,生徒が訪れる現地のスーパーマーケットの巡視及び適宜の 助言等を行っていた。 そうすると,本件研修でのホームステイは,実質的にはD中学校の教員による適切な監督指導が実施されていたと認められ,被告も給付の対象として認めている修学旅行の班別自由行動と比較しても,それと同等以上の安全管理体制が整備されていたというべきである。 したがって,本件事故は,学校の管理下において生じた災害であると認められる。 イ被告の主張学校教育活動に関連して生じた災害のすべてが,施行令5条2項各号所定の「学校の管理下」に該当するわけではない。 研修旅行について,「学校の管理下」にあると認められるためには,学校が編成した教育課程又は学校の教育計画に基づき当該校の教師の適切な監督指導の下に実施されることが必要である。この意味で監督指導をする立場にあるのは,当該学校の教員にほかならず,学校の教育計画に基づくとは解されない外部のホストファミリーによる監督指導をもって,学校の管理下にあると認めることはできない。 また,海外研修等の実施に当たっては,国内と同様の安全管理体制が整備されていること,具体的には,旅行経路,交通機関,現地の状況等についての実地調査 の管理下にあると認めることはできない。 また,海外研修等の実施に当たっては,国内と同様の安全管理体制が整備されていること,具体的には,旅行経路,交通機関,現地の状況等についての実地調査の実施,引率体制等の充実,万一の事故発生等緊急時の連絡体制及び医療体制等の点検等がなされ,安全に十分配慮されていることが必要である。 本件研修のホームステイの実施中,D中学校の教員は,生徒の行動予定を全く把 握しておらず,定期連絡及び訪問も控えていて,ホストファミリーに生徒の行動の 把握を完全に委ねていた。本件事故についても,亡Cが滝の周辺の崖を訪れることを把握しておらず,事前の実地調査もされていない。 本件事故は,亡Cが滝の周辺の崖から滑落したというもので,現場自体が生命身体の危険を伴う場所であり,十分な準備及び装備もされていなかった。本件研修のホームステイ先に対しては,スカイダイビング,ボートでの川下り等の過激なスポ ーツを行うことを禁止する指示書が交付されており,滑落の危険を伴う滝の周囲の崖の上り下りは,この禁止事項に含まれる内容であって,ホストファミリーによる指示書に反した恣意的な活動であり,D中学校の教員の適切な監督指導が及んでいなかった。 したがって,本件事故は,学校の管理下において生じた災害とは認められな い。 ⑶ 争点⑶(原告らの受領した保険金の損害賠償該当性)についてア被告の主張被告は,災害共済給付の給付事由と同一の事由について,当該災害共済給付に係る児童生徒等が国家賠償法等により損害賠償を受けたときは,その価額の限度にお いて,災害共済給付を行わないことができる(前記前提事実⑵カ)。 原告らの受領した本件各保険金(合計8719万円)は,本件事故に基づく損害賠償金を填補する性 けたときは,その価額の限度にお いて,災害共済給付を行わないことができる(前記前提事実⑵カ)。 原告らの受領した本件各保険金(合計8719万円)は,本件事故に基づく損害賠償金を填補する性質を有するものであるから,被告は,本件事故による災害共済給付金の支払義務を免れるというべきである。 イ原告らの主張 被告の主張は,否認ないし争う。本件各保険金は,保険契約に基づく,被保険者である亡Cに対する補償であって,保険会社への損害賠償請求権の代位も生じないから,損害賠償の填補の性質を有するものではない。 ⑷ 争点⑷(遅延損害金の起算点)についてア原告の主張 被告の災害共済給付金は,法の要件の充足により当然に発生するものであり,被 告が支払請求を受けて,当該請求の審査に必要とされる相当期間の経過をもって,遅滞に陥るというべきである。本件では,Eによる本件事故に係る給付金の支払請求に対し,被告は,平成29年7月26日に不支給決定をしており,遅くとも同日には,支払請求の審査に必要とされる相当期間を経過したといえ,その翌日である同月27日から遅延損害金が生じると解される。 判決の確定日をもって給付金の支払債務が遅滞に陥るとする被告の主張は,被告の不支給の判断が誤っていた場合に遅延損害金の起算点を遅らせることになり,相当でない。 イ被告の主張原告の主張は,争う。被告の災害共済給付制度では,被告が支給決定をすること により,初めて具体的な給付金の支払請求権が生じるから,被告により不支給決定がされ,後の訴訟でその当否が争われた場合には,被告に対し給付金の支払を命ずる判決が確定して具体的な支払債務が生じるといえ,それまでは遅滞に陥ることはない。また,営利目的ではない共済制度の性質上, がされ,後の訴訟でその当否が争われた場合には,被告に対し給付金の支払を命ずる判決が確定して具体的な支払債務が生じるといえ,それまでは遅滞に陥ることはない。また,営利目的ではない共済制度の性質上,遅延損害金を付すことは抑制的に解すべきであるし,被告の災害共済給付制度では,請求権者による支払請求後に 所要の調査を実施して,給付金の支給の可否を判断し,不支給決定に対しては再審査請求が制度上予定されており,被告には強制調査権限がないこと等からも,判断が困難な事案において,不支給決定後直ちに遅延損害金が生じるのは相当でない。 したがって,災害共済給付金の支払債務が遅滞に陥るのは,その支払を命ずる判決の確定日と解すべきである。 第3 当裁判所の判断 1 争点⑴(中学生の海外研修等の支給対象該当性)について⑴ ア被告は,法によって定められた災害共済給付を行うことを目的としてお付の給付基準,給付金の支払の請求及びその支払並びに学校の管理下における児童 生徒等の災害の範囲については,施行令で定めるとされている。したがって,本件 契約は,法が定める災害共済給付制度を実施するために学校の設置者と被告との間で締結することが予定されている災害共済給付契約であり,本件契約は被告とEとの契約ではあるものの,契約内容が当事者間の合意によって自由に定めることができるものではなく,基本的には関係法令に従って定まるものであると解される。そうすると,本件契約に基づく災害共済給付の実体上の支給要件は,関係法令の定め に準拠することが契約上予定されているといえる。 イ共済給付に係る災害に関する本件事故当時のウ記載のとおりである。本件契約の対象は,学校の管理下における児童生徒等の災害であり,その範囲に関して法は,施行令で定めるとし,こ されているといえる。 イ共済給付に係る災害に関する本件事故当時のウ記載のとおりである。本件契約の対象は,学校の管理下における児童生徒等の災害であり,その範囲に関して法は,施行令で定めるとし,これを受けて施行令は5条2項各号で学校の管理下の範囲を定め,同項5号では前各号に掲げる場合のほ か,これらの場合に準ずる場合として文部科学省令で定める場合と規定し,準ずる場合の範囲も規定している。このような規定の体裁からして,施行令の定めは,学校の管理下に該当する場合を限定列挙したものと解され,施行令5条2項各号に該当しないものを災害共済給付金の支給対象とすることはできない(したがって,仮に,施行令5条2項各号が給付対象となる災害の発生場所を国内に限定した趣旨の 規定であると解するのであれば,被告の判断によって,海外研修等において発生した災害を災害共済給付金の支給対象とすることは,高校生等に限定しても許されないことになる。)。関係法令は,災害共済給付金の支給対象を学校の管理下における災害か否かによって限定しており,学校の管理下に関する限定列挙においても,災害の発生場所について省令26条2号において児童生徒等が学校以外の場所であっ て施行令5条2項1号の授業若しくは同項2号の課外指導が行われる場所を含むとはしているが,その場所を国内に限定する旨の規定は存在しないことからすれば,関係法令の趣旨は,災害の発生場所が国内であるか海外であるかを問わず,当該災害が施行令5条2項各号に該当するか否かで支給対象を限定しているものと解される。 ウまた,関係法令には,高校生等と義務教育諸学校の児童生徒とで学校の管理 下に該当するか否かを区別した規定も存在しない。具体的事例について,学校が編成した教育課程又は学校の教育計画に基づ ウまた,関係法令には,高校生等と義務教育諸学校の児童生徒とで学校の管理 下に該当するか否かを区別した規定も存在しない。具体的事例について,学校が編成した教育課程又は学校の教育計画に基づき当該校の教師の適切な監督指導の下に実施されているか否かを判断するについては,児童生徒の発達段階等を考慮することが必要であり,その結果,高校生等と義務教育諸学校の児童生徒とでは判断が異なることはあり得ると言えるものの,個別事情を考慮せず,高校生等であるか義務 教育諸学校の児童生徒であるかによって一律的な区別をすることを法が予定しているとは解されない。 エ上記検討からすれば,関係法令は,義務教育諸学校の児童生徒の海外研修等については,具体的な事情によらず,一律に学校の管理下には該当しないとはしておらず,当該海外研修等において発生した災害についても,個別的に学校の管理下 といえるか否かを判断することを予定していると解され,したがって,本件契約も,関係法令の趣旨を踏まえ,D中学校の生徒の海外研修等における災害について当該災害の個別事情から学校の管理下における災害か否かを判断することを内容とする契約であると解される。 アこの点について被告は,前記第2の3⑴アのとおり,中学生の海外研修等 における事故は,本件契約に基づく給付対象となる災害から一律に除外されると主張する。 しかし,本件契約は,関係法令に従った災害共済給付制度に関する契約であり,法の定める内容に従って災害共済給付を行うことを契約当事者双方が目的としている契約であるから,関係法令上,災害共済給付の対象となる災害を,当事者間の合 意によって,給付対象から除外することなどは想定されていない。関係法令が,中学生の海外研修等における災害を一律に除外する扱いをしていないと 法令上,災害共済給付の対象となる災害を,当事者間の合 意によって,給付対象から除外することなどは想定されていない。関係法令が,中学生の海外研修等における災害を一律に除外する扱いをしていないと解される以上,被告の上記主張は採用することはできない。 また,そもそも,本件通知は,その宛先及び体裁からして,被告内部の通知にすぎず,本件契約で準拠している法令そのものではないから,当然には本件契約の一 方当事者であるEを拘束するわけではない。被告は,本件通知の根拠について,被 告の業務方法書の委任規定に基づき定められたと主張する。しかし,証拠(乙14)によれば,被告の業務方法書は,被告の業務方法の要領であり,災害共済給付に関しても,その実施のための手続を規定したにすぎないと認められ,災害共済給付の実体上の支給要件を定めた趣旨とは解されない。そうすると,本件通知は,上記業務方法書の委任規定に基づく定めであるとは認められず,この委任規定を根拠 として,本件契約の内容を構成するということはできない。 イ被告は,「学校の管理下」の解釈適用に関して,他の事例との不平等,差別的な取扱いを回避するために,被告が法令の趣旨に反しない範囲で制定した本件通知が十分尊重されるべきである,中学生の海外研修等の実施例はごくわずかであり,互助共済という制度趣旨からすると,これを給付の対象とすることは適切でな く,本件通知は,制度趣旨に合致した合理的なものであると主張する。 確かに,災害共済給付制度の公正な運用を図るためには,共済金の支給又は不支給の判断において,個々の事案ごとの不均衡が生じるのは望ましくなく,給付金の支給要件である「学校の管理下」の解釈適用に関して,被告において一定の基準を定めることに合理性があることは否定し難い。 判断において,個々の事案ごとの不均衡が生じるのは望ましくなく,給付金の支給要件である「学校の管理下」の解釈適用に関して,被告において一定の基準を定めることに合理性があることは否定し難い。 しかしながら,先に指摘したように,本件契約において,関係法令上,一律除外扱いはされていない中学生の海外研修等における災害を,災害共済給付制度の給付の対象から一律に除外することは予定されておらず,本件通知が関係法令の趣旨に合致したものとは認められない。また,海外研修等の実施例の多寡についてまで,「学校の管理下」の文言に取り込んで解釈することは相当ではない。 ウ以上によれば,関係法令が,中学生の海外研修等における災害を一律に除外する扱いをしていないと解される以上,一律に,本件契約に基づく給付対象となる災害から中学生の海外研修等における事故を除外される旨の被告の主張は採用することはできないというべきである。 2 争点⑵(学校の管理下の該当性)について ⑴ 認定事実 前記前提事実に加え,当該認定箇所に掲げる証拠及び弁論の全趣旨によれば,以下の事実が認められる。 ア本件研修の具体的な日程本件研修では,平成28年10月26日(以下,特記ない限り,日時はいずれも現地時間を指す。)にロサンゼルスに到着して,現地の遊戯施設やEの関連校を訪 問した後,同月28日にユタ州Gへ移動し,ホストファミリーと対面して,それぞれのホストファミリー宅に移動した。 同月29日及び30日の土日は,ホストファミリー宅に滞在し,ホストファミリーと週末を過ごす計画であった。同月31日は現地の大学での講義の受講等,同年11月1日は現地の中学校との交流会,同月2日はソルトレイクシティでの活動体 験を行う予定であり,これらの活動の終了後は,ホ 末を過ごす計画であった。同月31日は現地の大学での講義の受講等,同年11月1日は現地の中学校との交流会,同月2日はソルトレイクシティでの活動体 験を行う予定であり,これらの活動の終了後は,ホストファミリー宅に帰宅することになっていた。 同月3日にホストファミリーと別れて,サンフランシスコに移動して観光する等し,同月4日に同地を出発して,帰国する予定であった。(以上につき甲2,8)イホームステイの実施機関等 本件研修におけるホームステイは,Eから株式会社阪急交通社,E海外教育センター(Eの現地系列団体),現地業者であるJを順次経て,最終的には現地業者であるKが企画運営業務を受託した。Kは,ホストファミリーの候補者の事前審査及び選定を行い,生徒とのマッチング作業も行った。 亡CのホストファミリーであるH及びその家族についても,Kのマッチング責任 者が自宅を訪問して審査を実施しており,受入れに当たって特に問題は見当たらなかった。なお,Hは,ハイキングを趣味としており,ハイキング経験は豊富であったとされている。(以上につき,甲3,24及び31の各枝番)Kは,Hとの間で亡Cの受入れに関する契約を締結した。Kは,その際,Hに対し,本件研修のホームステイに関するマニュアルを交付しており,同マニュア ルには,禁止されている活動として,スカイダイビング,ボートでの川下り,パラ グライダー乗り等の過激なスポーツが挙げられている。(以上につき,甲18及び26の各枝番)ウホームステイ中の生徒に対する監督指導生徒の病気等の緊急事態が生じたときには,ホストファミリーがKの担当者に連絡がされ,同担当者が直接又はE海外教育センターを通じて,D中学校の引率 教員に連絡をすることになっていた。(甲26の 生徒の病気等の緊急事態が生じたときには,ホストファミリーがKの担当者に連絡がされ,同担当者が直接又はE海外教育センターを通じて,D中学校の引率 教員に連絡をすることになっていた。(甲26の各枝番,調査嘱託の結果) D中学校の引率教員は,平成28年10月29日及び同月30日の土日のホームステイ実施中,終日,Kの担当者と共に2班に分かれて,ホストファミリーが生徒をよく連れていくスーパーマーケット等を巡視していた。もっとも,ホストファミリーが休日に学校関係者が訪問することを敬遠する風潮があること,生徒の自 力によるコミュニケーション能力向上のため,敢えてホストファミリーとの定期連絡は控えていた。(調査嘱託の結果)エ本件事故の状況及びその後の連絡等 平成28年10月29日(土曜日)の午後2時から午後3時頃,亡Cは,Hと共に,スケートボードに行くと言って,ホストファミリーの自宅を出発した。 Hは,同日午後4時40分頃,同人の妻に対し,自宅から15.5マイル(約25キロメートル)離れたI滝付近の山頂で,亡Cと共に撮影した写真をメールで送信した。(以上につき甲3) Hは,同日午後5時から6時頃,I滝を徒歩で下りる途中に滑落した。その後,亡Cは,独力で滝を降りる途中に崖から滑落し,同日午後7時頃,第一発見者 に発見されたが,死亡が確認された。Hも,同月30日の朝に,捜索隊により発見されて死亡が確認された。(甲1の各枝番,3,4) 現地の警察は,同月29日午後7時過ぎに,亡Cの死亡をHの家族に伝え,同日午後10時30分にKの担当者に,同日午後11時30分頃にD中学校の引率教員にそれぞれ伝えられ,同月30日午前1時18分に,原告Bに亡Cの死亡が伝 えられた。 ⑵ 判断ア 同日午後10時30分にKの担当者に,同日午後11時30分頃にD中学校の引率教員にそれぞれ伝えられ,同月30日午前1時18分に,原告Bに亡Cの死亡が伝 えられた。 ⑵ 判断ア本件契約は,法に基づき締結されており,本件契約に基づく給付金の支給要件である「学校の管理下」とは,法16条1項の「学校の管理下」と同義であると解される。この要件に該当するには,施行令5条2項1号の「法令の規定により学校が編成した教育課程に基づく授業を受けている場合」など,同項各号の事由に該 当する必要があるといえるところ,本件研修のように,当該学校の在校生のほとんどが参加する研修旅行についても,上記の教育課程に基づく授業に一応該当するということができる。 もっとも,災害共済給付金の支給が認められるためには,単に研修旅行中に生じた事故であるというのみでは足りず,「学校の管理下」という文言や,保護者のみ ならず,当該学校の設置者も分担する共済掛金を原資として救済を図るという災害共済制度の趣旨(前記前提事実⑵ア)からして,当該学校の教員による監督指導とは無関係に生じた事故を補償対象とみることができないことに照らせば,「学校の管理下」と認められるには,教員の直接の監督指導がされているか,直接の監督指導がされていないとしても,教員の協力の下で安全管理体制の整備がされている 等,教員の直接の監督指導がある場合と同視し得る状況下で発生した事故であることを要するというべきである。なお,被告も,上記と同趣旨から,災害共済給付の基準に関する規程を定め,施行令5条2項各号について具体的な判断基準を定めている(乙15)が,ホームステイ中の災害に関する基準は定められていない。 上記アを踏まえて本件事故について検討するに,本件事故の当時,D中学 施行令5条2項各号について具体的な判断基準を定めている(乙15)が,ホームステイ中の災害に関する基準は定められていない。 上記アを踏まえて本件事故について検討するに,本件事故の当時,D中学 校の教員は,市内を巡視したり,問題が生じた時点でホストファミリーから連絡を受けたりする態勢をとっていたのみで,生徒側には定期的に連絡を取らず,当日の生徒の行動も把握していなかったのであり,亡Cについても,Hと共にI滝を訪れることを認識しておらず,同所への実地調査もされていなかった(前記⑴ウ)。 H (甲3)から認められる本件事故の現場は,急峻な崖地であり,歩行に適していた か,滑りやすい状況にあったか等具体的な状況は明らかではないものの,亡Cが上り下りするのに適した経路であったかについては疑問がある。また,亡C及びH険防止のための十分な装備を備えていたかについても疑問がある。 KがHに対し交付したマニュアルには,スカイダイビング,ボートでの川下 り,パラグライダー乗り等の過激なスポーツを禁止するとの記載があるところ(前I滝へのハイキングは,急峻な崖地の上り下りというかなり危険な行動を伴うもので,マニュアルで禁止された活動に該当した可能性があるといえる。 以上によれば,本件事故の原因となったハイキングは,D中学校の教員が予定を認識しておらず,実地調査もされていない現場を訪れたものである上,本件事 故の現場は,急峻な崖地であり,十分な装備もなく歩行するのは危険な場所であった可能性もあり,このような場所でのハイキングは,ホストファミリーに交付されたマニュアルでも禁止された活動に該当する可能性が高く,D中学校の引率教員の協力の下で安全管理体制が整備されていたと認めることはできない。 したがって,本件事故は,「学 ,ホストファミリーに交付されたマニュアルでも禁止された活動に該当する可能性が高く,D中学校の引率教員の協力の下で安全管理体制が整備されていたと認めることはできない。 したがって,本件事故は,「学校の管理下」で生じた事故に当たると認めること はできない。 ウこの点について,原告は,ホームステイの性質上,学校とホームステイ先との委託関係に基づく安全管理体制が整備されていれば,「学校の管理下」に該当するというべきであると主張する。 確かに,近年,教育において国際的視点の涵養の重要性が強調されるようになっ ており,異なる言語圏,文化圏の生活を実体験するというホームステイの意義にかんがみると,画一的な対応ではなくホストファミリーごとの個別的な対応をしてもらう必要もあり,海外研修中のホームステイにおける事故について,いかなる場合に「学校の管理下」に該当するかといえるかについては,なお議論が必要なところであろう。しかしながら,本件事故については,上記イで説示したとおり,本件研 修のホームステイで予定された行動に基づくとは認め難く,原告らの主張を踏まえ ても,「学校の管理下」で生じた事故に該当するとは認めることはできないとした前記判断を左右しない。 第4 結論以上の次第で,その余の争点について判断するまでもなく,原告らの請求は,理由がないからこれを棄却することとして,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第5部 裁判長裁判官唐木浩之 裁判官片山健 裁判官髙橋祐二 裁判官 片山健 裁判官 髙橋祐二

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