平成31(行コ)90 消費税更正処分等取消請求控訴事件

裁判年月日・裁判所
令和元年9月26日 東京高等裁判所
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判決文本文6,474 文字)

令和元年9月26日判決言渡平成31年(行コ)第90号消費税更正処分等取消請求控訴事件(原審・東京地方裁判所平成29年(行ウ)第143号) 主文 1 本件控訴を棄却する。 2 控訴費用は控訴人の負担とする。 事実及び理由 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 処分行政庁が平成28年3月28日付けで控訴人に対してした平成25年6 月10日から同月30日までの事業年度分の法人税の更正処分のうち所得金額につきマイナス49万6724円を超える部分及び翌期へ繰り越す欠損金49万6724円を下回る部分をいずれも取り消す。 3 処分行政庁が平成28年3月28日付けで控訴人に対してした平成25年7月1日から平成26年6月30日までの事業年度分の法人税の更正処分のうち 翌期へ繰り越す欠損金98万6237円を下回る部分を取り消す。 4 処分行政庁が平成28年3月28日付けで控訴人に対してした平成26年7月1日から平成27年6月30日までの事業年度分の法人税の更正処分のうち翌期へ繰り越す欠損金238万2039円を下回る部分を取り消す。 5 処分行政庁が平成28年3月28日付けで控訴人に対してした平成25年6 月10日から同月30日までの課税期間分の消費税及び地方消費税の更正処分のうち消費税の納付すべき税額につきマイナス273万8526円を超える部分及び地方消費税の納付すべき税額につきマイナス68万4631円を超える部分並びに過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,控訴人が,東京都世田谷区所在の共同住宅(原判決別紙物件目録記 載3のとおり。以下「本件建物」という。)を取得したこと及び当該取得に関し も取り消す。 第2 事案の概要 1 本件は,控訴人が,東京都世田谷区所在の共同住宅(原判決別紙物件目録記 載3のとおり。以下「本件建物」という。)を取得したこと及び当該取得に関して司法書士から登記申請に係る役務の提供を受けたことをそれぞれ課税仕入れとし,本件建物の売買契約の締結日である平成25年6月28日がこれらの課税仕入れを行った日であるとして,本件建物の取得に係る対価の額及び当該司法書士に対する報酬の額を同月10日から同月30日までの課税期間(以下「本 件課税期間」という。)における課税仕入れに係る支払対価の額に含めて,本件課税期間の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」という。)の確定申告をし,また,同月10日から同月30日までの事業年度(以下「平成25年6月期」という。),同年7月1日から平成26年6月30日までの事業年度(以下「平成26年6月期」という。)及び同年7月1日から平成27年6月30日までの 事業年度(以下「平成27年6月期」という。)の各法人税の確定申告をしたところ,処分行政庁が,本件建物の取得に係る課税仕入れを行った日は,控訴人が本件建物の引渡しを受けた平成25年7月31日であって,本件課税期間の課税標準額に対する消費税額から当該課税仕入れに係る消費税額を控除することはできないとして,平成28年3月28日付けで,控訴人に対し,本件課税 期間の消費税等の更正処分(以下「本件消費税等更正処分」という。)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件賦課決定処分」という。)を行い,これに伴い,平成25年6月期,平成26年6月期及び平成27年6月期の各法人税の更正処分(以下「本件法人税各更正処分」といい,本件消費税等更正処分と併せて「本件各更正処分」という。)をしたことから,控訴人が, ,平成25年6月期,平成26年6月期及び平成27年6月期の各法人税の更正処分(以下「本件法人税各更正処分」といい,本件消費税等更正処分と併せて「本件各更正処分」という。)をしたことから,控訴人が,本件各更正 処分及び本件賦課決定処分(以下,併せて「本件各更正処分等」という。)の違法を主張して,これらの各処分(ただし,本件各更正処分については,申告額よりも控訴人に不利な部分に限る。)の取消しを求める事案である。 原審は,本件建物の取得に係る課税仕入れを行った日は,控訴人が本件建物の引渡しを受けた平成25年7月31日であって,本件課税期間に属するとは 認められないと判断して,控訴人の請求を棄却したところ,控訴人が控訴した。 2 関係法令等の定め,前提となる事実,争点及び当事者の主張は,次のとおり加除訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」の「第2 事案の概要」1から4まで(原判決3頁16行目から25頁2行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 原判決3頁26行目の「当該課税仕入れに係る消費税額」を「当該課税期 間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額」に改める。 ⑵ 原判決6頁1行目の「甲2の2」を「甲2の2・3」に,14行目の「甲2の1」を「甲2の1・4」にそれぞれ改める。 ⑶ 原判決11頁21行目の「消費税課税の対象となる「資産の譲渡等」」を「取引の相手方において課税資産の譲渡として消費税の課税対象となる場合にお ける当該資産の譲渡」に改める。 ⑷ 原判決15頁5行目及び20頁25行目の「本件売買契約」をいずれも「売買契約」に改める。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとお り加除訂正するほかは,原判決の「 5行目の「本件売買契約」をいずれも「売買契約」に改める。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所も,控訴人の請求は理由がないと判断する。その理由は,次のとお り加除訂正するほかは,原判決の「事実及び理由」の「第3 争点に対する判断」1から6まで(原判決25頁4行目から36頁13行目まで)に記載のとおりであるから,これを引用する。 ⑴ 原判決25頁6行目から28頁15行目までを次のとおりに改める。 「⑴ア消費税法30条1項1号は,事業者が国内において課税仕入れを行っ た場合,当該「課税仕入れを行った日」が属する課税期間の課税標準額に対する消費税額から,当該課税期間中に国内において行った課税仕入れに係る消費税額を控除する旨規定している。そして,同法2条1項12号は,「課税仕入れ」とは,事業者が,事業として他の者から資産を譲り受け,若しくは借り受け,又は役務の提供を受けること(当該他の者 が事業として当該資産を譲り渡し,若しくは貸し付け,又は当該役務の 提供をしたとした場合に課税資産の譲渡等に該当することとなるものに限る。)をいうと規定している。 これらが定めているいわゆる仕入税額控除の制度は,そもそも消費税が各取引段階における付加価値を捉えて課税の対象とするものであることに鑑み,取引段階の進展に伴う税負担の累積を防止するために,仕入 れに含まれている消費税等の額を控除するものであるところ,同法2条1項12号は,「課税仕入れ」の定義を,事業者が資産の譲受け等をした場合のうち,相手方がそれを事業として行ったとすれば課税資産の譲渡等に該当するものに限定していることからすると,課税仕入れと仕入れの相手方による資産の譲渡は課税上表裏の関係にあり,同法30条1項 1号にいう「課税仕入れを行った日」 たとすれば課税資産の譲渡等に該当するものに限定していることからすると,課税仕入れと仕入れの相手方による資産の譲渡は課税上表裏の関係にあり,同法30条1項 1号にいう「課税仕入れを行った日」とは,仕入れの相手方において当該資産の譲渡を行った日と時点を同じくするものと解するのが相当である。 イそして,通則法15条2項7号は,消費税等の納税義務は,課税資産の譲渡等をした時に成立する旨定めているところ,そもそも消費税は, 対価を得て資産の譲渡等が行われた場合に,その消費支出に担税力を認めて課税するものであり,さらに,消費税法28条1項本文が,課税資産の譲渡等に係る消費税の課税標準について,課税資産の譲渡等の対価の額(対価として収受し,又は収受すべき一切の金銭又は金銭以外の物若しくは権利その他経済的な利益の額とし,課税資産の譲渡等につき課 されるべき消費税等相当額を含まないものとする。)としており,現実に収受した金銭等のみならず,収受すべき金銭等もこれに含めていることからすると,資産の譲渡等について,その対価が現実に収受されるに至らなくても,これを収受すべき権利が確定したとき,すなわち,行うべき消費支出について同時履行の抗弁などの法的障害がなくなり,収受す べき権利が確定したと法的に評価されるときに消費税の課税対象とされ ると解するのが相当である。したがって,資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定した時点で,当該資産の譲渡等があったと解するのが,消費税と仕入税額制度の趣旨・目的を踏まえた文言解釈として最も適切である。そして,上記のように,資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定したといえるか否かについて,客観的に認識可能な事情 を基礎として判断することは,納税者の恣意を許さず,課税の公 も適切である。そして,上記のように,資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定したといえるか否かについて,客観的に認識可能な事情 を基礎として判断することは,納税者の恣意を許さず,課税の公平を期するという観点にも合致する。この意味において,消費税についても,いわゆる権利確定主義が妥当する。 ウそうすると,消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行った日」とは,仕入れの相手方において,当該資産の譲渡等について,同時履行 の抗弁などの法的障害がなくなり,対価を収受すべき権利が確定した日をいうものと解するのが相当であり,このように解することが,取引段階の進展に伴う税負担の累積を防止するという仕入税額控除の制度趣旨に合致するものである。」⑵ 原判決28頁16行目の「原告が本件建物に係る権利(所有権)を取得 した日」を「本件建物の売買契約による対価を収受すべき権利が確定したのがいつであるか」に改め,29頁14行目から19行目までを次のとおりに改める。 「 上記のとおり,本件建物の売買契約においては,売買代金全額の支払と建物の引渡し及び所有権移転登記手続が同時履行とされ,実際に平成25 年7月31日にこれらの履行がされており,固定資産税の負担及び収益の帰属も同日の経過をもって売主から買主に移転するものとされているのであって,売買契約の締結日である同年6月28日の時点では,売買代金支払請求権が発生したものの,売主であるAにおいてこれを行使することが法律上可能な状態にはなかったことからすると,本件建物の売買契約によ る対価を収受すべき権利が確定したのは,同日の時点ではなく,同年7月 31日の時点であると認められる。 したがって,本件資産の譲受けに係る「課税仕入れを行った日」は,平 によ る対価を収受すべき権利が確定したのは,同日の時点ではなく,同年7月 31日の時点であると認められる。 したがって,本件資産の譲受けに係る「課税仕入れを行った日」は,平成25年7月31日であって,本件課税期間に属するとは認められない。」⑶ 原判決29頁20行目から30頁8行目までを次のとおりに改める。 「⑶ これに対し,控訴人は,基本通達11-3-1が準用する同通達9-1 -13の規定等を根拠として,固定資産の譲受けに係る「課税仕入れを行った日」について,引渡しがあった日と契約の効力発生の日のいずれとするかを納税者において選択することが認められていると主張し,これを前提として,本件資産の譲受けに係る「課税仕入れを行った日」は売買契約の締結日である平成25年6月28日であると主張する。 しかし,消費税法30条1項1号にいう「課税仕入れを行った日」とは,仕入れの相手方において当該資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定した日をいうものと解するのが相当であることは,前記のとおりである。基本通達の上記規定は,そのことを当然の前提とした上で,固定資産の譲渡等については,通常,その引渡しの事実があれば,その対価の支払 を受けるのに法的障害がなくなり,当該資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定したといえることから,引渡日をもって「課税仕入れを行った日」とすることを原則としつつ,契約内容によっては,契約の効力発生日の時点で,当該資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定したといえる場合もあることから,そのような場合には契約の効力発生日をも って「課税仕入れを行った日」とすることを認める趣旨であると解される。 本件資産の譲受けのように,売買契約の効力発生日(締結日)の時点 場合もあることから,そのような場合には契約の効力発生日をも って「課税仕入れを行った日」とすることを認める趣旨であると解される。 本件資産の譲受けのように,売買契約の効力発生日(締結日)の時点では売買契約による対価を収受すべき権利が確定したというべき実態が存しない場合にまで,納税者の恣意により,売買契約の効力発生日をもって「課税仕入れを行った日」とすることは,消費税法30条1項1号の規定に反 し,許されるものではなく,控訴人の上記主張を採用することはできない。」 ⑷ 原判決30頁12行目から13行目にかけての「役務の提供を受けるなどの課税仕入れが現実に行われた日」を「仕入れの相手方において当該役務の提供等による対価を収受すべき権利が確定した日」に改め,21行目の末尾に「そして,これらの役務の提供に関する契約の性質は準委任であると解されるから,本件司法書士において報酬を請求することができるのは,委任事 務の履行が完了した平成25年7月31日以降であるところ(民法656条,648条2項),実際に控訴人から本件司法書士に対して報酬の支払がされたのも同日である。」を加え,22行目から23行目にかけての「原告が本件司法書士から当該役務の提供を現実に受けた」を「本件司法書士において当該役務の提供による対価を収受すべき権利が確定した」に,31頁4行目の「当 該役務の提供を現実に受けた日」を「当該役務の提供による対価を収受すべき権利が確定した日」にそれぞれ改める。 ⑸ 原判決35頁16行目の「事業者が,」から19行目の「認めるものである」までを「当該契約の内容に照らし,契約の効力発生日の時点で,当該資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定したといえる場合には,契約の効 力発生日をもって「課税仕入れを行っ めるものである」までを「当該契約の内容に照らし,契約の効力発生日の時点で,当該資産の譲渡等による対価を収受すべき権利が確定したといえる場合には,契約の効 力発生日をもって「課税仕入れを行った日」とすることを認めるものである」に改め,20行目の「本件建物の」から21行目の「認められない」までを「本件建物の売買契約の効力発生日(締結日)の時点では売買契約による対価を収受すべき権利が確定したとは認められない」に改める。 ⑹ 原判決36頁4行目の「以上によれば」を「以上に加えて,本件全証拠及 び弁論の全趣旨によれば」に改め,12行目の「(弁論の全趣旨)」を削る。 2 以上によれば,控訴人の請求は理由がないから棄却すべきであり,これと同旨の原判決は相当であって,本件控訴は理由がないから,これを棄却することとして,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第21民事部 裁判長裁判官定塚誠 裁判官谷口園恵 裁判官倉澤守春

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