平成17年1月27日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成15年(行ウ)第61号審査決定取消請求事件口頭弁論終結の日平成16年11月22日判決 主文 1 原告の請求を棄却する。 2 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 原告の請求被告が,別紙物件目録記載の建物の平成15年度固定資産課税台帳の登録価格について,平成15年4月25日付けでした審査申出を棄却する旨の決定のうち7億0890万円を超える部分を取り消す。 第2 事案の概要本件は,原告所有に係る別紙物件目録記載の建物(以下「本件建物」という。)について,半田市長が平成15年度固定資産税の課税標準となる価格を42億4795万1657円と決定し,同価格を固定資産課税台帳に登録した(以下,同価格を「本件登録価格」という。)ことから,同価格が過大であると主張する原告が,被告に対して審査の申出をしたところ,被告が同申出を棄却するとの決定(以下「本件決定」という。)をしたため,原告が,地方税法434条1項に基づき,同決定のうち原告が自認する金額を超える部分の取消しを求めた抗告訴訟である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実,証拠によって容易に認定できる事実)(1) 本件建物の概要原告は,平成2年8月31日,本件建物を新築してその所有権を取得したが,その概要は,次のとおりである(甲2,6)。 ア名称パワードーム半田イ種類店舗,駐車場,スポーツ施設ウ構造鉄骨造陸屋根一部亜鉛メッキ鋼板葺地下1階付5階建エ床面積 1階 1万2155.93平方メートル2階 1万1395.29平方メートル3階 7800.37平方メート ウ構造鉄骨造陸屋根一部亜鉛メッキ鋼板葺地下1階付5階建エ床面積 1階 1万2155.93平方メートル2階 1万1395.29平方メートル3階 7800.37平方メートル4階 7645.42平方メートル5階 481.35平方メートル地下1階 1万3042.09平方メートル合計 5万2520.45平方メートルオ主要施設センターコート及びドームエスカレーター4セットエレベーター 4台P&S及びカルチャー設備電気設備(自動管制) 防災設備,空調設備衣料品,飲食店,スーパー等各種店舗プール,トレーニングジム,アスレチックジム,エアロビクススタジオ,ロッカー室,浴室等スポーツクラブ関連施設カ駐車場地下駐車場 69台3階駐車場 167台4階駐車場 181台屋上駐車場 209台1階周辺 123台合計 749台(2) 半田市長による本件登録価格の決定と被告による本件決定半田市長は,本件登録価格を42億4795万1657円と決定し,同価格を固定資産課税台帳に登録した。 これに対し,原告は,平成15年4月25日,被告に対し,本件登録価格について審査を申し出たところ,被告は,同年8月7日付けで同申出を棄却する旨の本件決定をし,原告は,同月12日,同決定の通知を受けた(甲1の1,1の10)。 (3) 固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第158号。ただし,平成14年12月6日総務省告示第656号による一部改正後のもの。以下「本件評価基準」という。) 甲1の1,1の10)。 (3) 固定資産評価基準(昭和38年12月25日自治省告示第158号。ただし,平成14年12月6日総務省告示第656号による一部改正後のもの。以下「本件評価基準」という。)の抜粋第2章家屋第1節通則一家屋の評価家屋の評価は,木造家屋及び木造家屋以外の家屋(以下「非木造家屋」という。)の区分に従い,各個の家屋について評点数を付設し,当該評点数に評点1点当たりの価額を乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとする。 二評点数の付設各個の家屋の評点数は,当該家屋の再建築費評点数を基礎とし,これに家屋の損耗の状況による減点を行つて付設するものとする。この場合において,家屋の状況に応じ必要があるものについては,さらに家屋の需給事情による減点を行うものとする。 三評点1点当たりの価額の決定及び提示平均価額の算定 1 評点1点当たりの価額の決定評点1点当たりの価額は,木造家屋又は非木造家屋の提示平均価額に木造家屋又は非木造家屋の総床面積を乗じ,これをその付設総評点数(第2節又は第3節によつて付設した各個の木造家屋又は非木造家屋の評点数を合計した総評点数をいう。)で除して得た額に基づいて市町村長が決定するものとする。この場合において,提示平均価額は,道府県庁所在の市及び東京都特別区(以下本章において「指定市」という。)にあつては,総務大臣が算定し,都道府県知事及び指定市の長に通知するものによるものとし,指定市以外の市町村にあつては,指定市の提示平均価額を参考として都道府県知事が算定し,市町村長に通知するものによるものとする。 (中略)七建築設備の評価家屋の所有者が所有する電気設備,ガス設備,給水設備,排水設備,衛生設備,冷暖房設備,空調設備,防災設備,運搬設備,清掃設備 長に通知するものによるものとする。 (中略)七建築設備の評価家屋の所有者が所有する電気設備,ガス設備,給水設備,排水設備,衛生設備,冷暖房設備,空調設備,防災設備,運搬設備,清掃設備等の建築設備で,家屋に取り付けられ,家屋と構造上一体となつて,家屋の効用を高めるものについては,家屋に含めて評価するものとする。 (中略)第3節非木造家屋一評点数の算出方法 1 非木造家屋の評点数は,当該非木造家屋の再建築費評点数を基礎として,これに損耗の状況による減点補正率を乗じて付設するものとし,次の算式によつて求めるものとする。この場合において,当該非木造家屋について需給事情による減点を行う必要があると認めるときは,当該非木造家屋の評点数は,次の算式によつて求めた評点数に需給事情による減点補正率を乗じて求めるものとする。 〔算式〕評点数=再建築費評点数×経過年数に応ずる減点補正率(経過年数に応ずる減点補正率によることが,天災,火災その他の事由により当該非木造家屋の状況からみて適当でないと認められる場合にあつては,評点数=(部分別再建築費評点数×損耗の程度に応ずる減点補正率)の合計) 2 市町村長は,当該市町村に所在する非木造家屋の状況に応じ,「二部分別による再建築費評点数の算出方法」又は「三比準による再建築費評点数の算出方法」のいずれかにより再建築費評点数を求めるものとする。ただし,在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数は「四在来分の非木造家屋に係る再建築費評点数の算出方法」により求めるものとする。 二部分別による再建築費評点数の算出方法部分別による再建築費評点数の算出方法によつて非木造家屋の再建築費評点数を求める場合は,当該非木造家屋の構造の 評点数の算出方法」により求めるものとする。 二部分別による再建築費評点数の算出方法部分別による再建築費評点数の算出方法によつて非木造家屋の再建築費評点数を求める場合は,当該非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表によつて求めるものとする。 非木造家屋評点基準表によつて非木造家屋の再建築費評点数を求める場合においては,各個の非木造家屋の構造の区分に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表によつて当該非木造家屋の各部分別に標準評点数を求め,これに補正項目について定められている補正係数を乗じて得た数値に計算単位の数値を乗じて算出した部分別再建築費評点数を合計して求めるものとする。 非木造家屋の再建築費評点数は,次の「非木造家屋再建築費評点数の算出要領」によつて算出するものとする。 〔非木造家屋再建築費評点数の算出要領〕 1 非木造家屋評点基準表の適用非木造家屋評点基準表の適用に当たつては,次によつて,各個の非木造家屋に適用すべき非木造家屋評点基準表を定めるものとする。 (1) 各個の非木造家屋の構造の相違に応じ,当該非木造家屋について適用すべき非木造家屋評点基準表を定める場合においては,その使用状況のいかんにかかわらず,当該非木造家屋の本来の構造によりその適用すべき非木造家屋評点基準表を定めるものとする。 (中略) 3 非木造家屋評点基準表の部分別区分非木造家屋評点基準表の部分別区分の内容は,次のとおりである。 (掲記の表は省略するが,左欄の「部分別」欄には,(1)主体構造部,(2)基礎工事,(3)外周壁骨組,(4)間仕切骨組,(5)外部仕上,(6)内部仕上,(7)床仕上,(8)天井仕上,(9)屋根仕上,(10)建具,(11)特殊設備,(12)建築設 (1)主体構造部,(2)基礎工事,(3)外周壁骨組,(4)間仕切骨組,(5)外部仕上,(6)内部仕上,(7)床仕上,(8)天井仕上,(9)屋根仕上,(10)建具,(11)特殊設備,(12)建築設備,(13)仮設工事,(14)その他の工事の合計14の部分別区分が掲げられ,右欄にその具体的内容が摘示されている。) 4 評点項目及び標準評点数(1) 「評点項目」は,非木造家屋の構造に応じ,非木造家屋評点基準表の各部分ごとに一般に使用されている資材の種別及び品等,施工の態様等の区分によつて標準評点数を付設するための項目として設けられているものであり,「標準評点数」は,評点項目の区分に従い,「標準量」(略)に対する工事費を基礎として算出した評点数である。再建築費評点数の付設に当たつては,非木造家屋の各部分を調査し,各部分の使用資材の種別,品等,施工の態様等に応じ,該当する評点項目について定められている標準評点数を求めるものとする。 (2) 標準評点数は,基準年度の賦課期日の属する年の2年前の1月現在の東京都(特別区の区域)における物価水準により算定した工事原価に相当する費用に基づいて,その費用の1円を1点として表しているものである。 (中略) 6 再建築費評点数再建築費評点数は,各部分別の標準評点数に当該部分の補正係数を乗じて得た数値に,その計算単位の数値を乗じて求めた各部分別の再建築費評点数を合計して求めるものとする。 (中略)五損耗の状況による減点補正率の算出方法非木造家屋の損耗の状況による減点補正率は,経過年数に応ずる減点補正率によるものとする。ただし,天災,火災その他の事由により当該非木造家屋の状況からみて経過年数に応ずる減点補正率によることが適当でないと認められる場合 況による減点補正率は,経過年数に応ずる減点補正率によるものとする。ただし,天災,火災その他の事由により当該非木造家屋の状況からみて経過年数に応ずる減点補正率によることが適当でないと認められる場合においては,損耗の程度に応ずる減点補正率によるものとする。 非木造家屋の損耗の状況による減点補正率は,次の「損耗の状況による減点補正率の算出要領」によつて算出するものとする。 〔損耗の状況による減点補正率の算出要領〕 1 経過年数に応ずる減点補正率(1) 経過年数に応ずる減点補正率(略)は,通常の維持管理を行うものとした場合において,その年数の経過に応じて通常生ずる減価を基礎として定めたものであつて,非木造家屋の構造区分に従い,「非木造家屋経年減点補正率基準表」(別表第13)に示されている当該非木造家屋の経年減点補正率によつて求めるものとする。 (中略) 2 損耗の程度に応ずる減点補正率(1) 損耗の程度に応ずる減点補正率(略)は,部分別損耗減点補正率基準表によつて各部分別に求めた損耗残価率に,当該非木造家屋について非木造家屋経年減点補正率基準表によつて求めた経年減点補正率を乗じて各部分別に求めるものとする。損耗残価率は,各部分別の損耗の現況を通常の維持管理を行うものとした場合において,その年数の経過に応じて通常生ずる損耗の状態に修復するものとした場合に要する費用を基礎として定めたものであり,当該非木造家屋の各部分別の損耗の程度に応じ,部分別損耗減点補正率基準表により求めるものとする。 (中略)(2) 損耗減点補正率は,非木造家屋の各部分別ごとに,当該部分別を通じた損耗の状況に応じて一の損耗減点補正率を求めるものとする。 より求めるものとする。 (中略)(2) 損耗減点補正率は,非木造家屋の各部分別ごとに,当該部分別を通じた損耗の状況に応じて一の損耗減点補正率を求めるものとする。 六需給事情による減点補正率の算出方法需給事情による減点補正率は,建築様式が著しく旧式となつている非木造家屋,所在地域の状況によりその価額が減少すると認められる非木造家屋等について,その減少する価額の範囲において求めるものとする。 第4節経過措置一固定資産税に係る平成15年度における在来分の家屋の評価に係る再建築費評点補正率は,次のとおりとする。 (中略) 2 第3節四に定める再建築費評点補正率(非木造家屋)0.96二固定資産税に係る平成15年度から平成17年度までの各年度における家屋の評価に限り,評点1点当たりの価額は,第1節三にかかわらず,1円に1に定める「物価水準による補正率」と2に定める「設計管理費等による補正率」とを相乗した率を乗じて得た額(小数点以下2位未満は,切り捨てるものとする。)を基礎として市町村長が定めるものとする。 1 物価水準による補正率(中略)(2) 非木造家屋全市町村を通じて1.00とする。 (中略)別表第13 非木造家屋経年減点補正率基準表(「4 百貨店,ホテル,劇場及び娯楽場用建物」は別表のとおりであるが,その余は省略する。)(4) 半田市長による本件登録価格の算定方法ア半田市長は,平成2年9月19日,本件建物の評価額算定のための調査を実施し,本件建物について,以下のとおり,単位面積当たり部分別の再建築費評点数を付設し,これを合計した単位面積(平方メートル)当たりの再建築費評点数を10万4133点とし,これに延床面積5万2520.45平方メートルを乗じ,さらに,経年減 位面積当たり部分別の再建築費評点数を付設し,これを合計した単位面積(平方メートル)当たりの再建築費評点数を10万4133点とし,これに延床面積5万2520.45平方メートルを乗じ,さらに,経年減点補正率0.98,評点1点当たりの価額1.1円をそれぞれ乗じて,平成3年度の評価額を58億9570万2755円と算定した(乙1)。 主体構造部 4万8524点基礎 5823点外周壁骨組 2032点間仕切骨組 2294点外部仕上 1061点内部仕上 2797点床仕上 6664点天井仕上 4857点屋根仕上 1990点建具 5349点建築設備 1万3892点仮設工事 6000点その他工事 2850点イ半田市長は,本件建物について,平成12年評価替えまでは,平成14年7月9日付け総務省告示第409号による改正前の固定資産評価基準に基づき,乗率比準方式(評価替えの際に各市町村ごとに在来分の家屋を構造,用途,規模などの別に区分し,それぞれの分野ごとに標準とすべき在来分の家屋を標準家屋として定め,新旧再建築費評点数の変動割合を求め,これを基礎とした乗率による時点修正を行う方法)に従って,各市町村ごとに在来分の家屋を構造,用途,規模などの別に区分し,それぞれの区分ごとに標準とすべき在来分の家屋を標準家屋として定め,これについての1平方メートル当たりの評点数の上昇率(乗率)を求めることにより,時点修正を行った。 具体的には,平成3年度の単位面積当たりの再建築費評点数10万4133点に再建築費評点補正率(平成6年度1.16,平成9年度0.93,平成12年度0.97)を順次乗じた上で,経年減点補正率(平成6年度0.9086,平成9年度0.8400,平成12年度0.7714) 点に再建築費評点補正率(平成6年度1.16,平成9年度0.93,平成12年度0.97)を順次乗じた上で,経年減点補正率(平成6年度0.9086,平成9年度0.8400,平成12年度0.7714)を乗じ(なお,平成6年度においては,経年減点補正率が見直されたため,自治大臣が別に定める特別補正率として3パーセントの減価措置がなされている。),さらに床面積(5万2520. 45平方メートル)及び評点1点当たりの価額(1.1円)を乗じて,それぞれの年度の評価額(平成6年度57億1883万1672円,平成9年度54億5163万9096円,平成12年度48億5619万0918円)を算出した。 そして,平成14年度においては,損耗減点補正率を適用して評価額を45億3267万5956円に減額した。 さらに,平成15年度においては,本件建物が改装され,営業が再開されたため,損耗減点補正率を適用せず,平成12年度の単位面積当たりの再建築費評点数10万8967点に,上記改正後の本件評価基準に基づく再建築費評点補正率(非木造住宅)0.96を乗じて同再建築費評点数を10万4608点とし,これに床面積(前同),経年減点補正率0.7029,評点1点当たりの価額1.1円を順次乗じて平成15年度の評価額42億4795万1657円を算出した(甲1の2,乙2ないし6)。 (5) 原告提出に係る本件建物の鑑定評価額ア不動産鑑定士Aによる鑑定(以下「A鑑定」という。)の概要(甲6)(ア) 原価法による試算新築工事費59億6478万1000円に,平成7年度基準の建設工事費デフレーターによる時点修正率96.8/97.2を乗じて,評価時点(平成15年1月1日)の再調達原価を59億4023万4000円(躯体部分40億9455万9000円,附帯部分18億4567万5000円)と求め, による時点修正率96.8/97.2を乗じて,評価時点(平成15年1月1日)の再調達原価を59億4023万4000円(躯体部分40億9455万9000円,附帯部分18億4567万5000円)と求め,ここから,経済的残存耐用年数(躯体部分27年,附帯部分7年)に基づく経年(13年)減価と観察減価(機能的要因等による影響をマイナス45パーセントと評価)を合わせた減価額52億0350万円(減価率約87.6パーセント。うち躯体部分の減価率は77.5パーセントであるが,附帯部分のそれは,110パーセントとされ,その価値はマイナスとなっている。)を控除した7億3673万4000円と算出した。 (イ) 収益還元法による試算平成15年1月現在における実際の総収入額1億9810万7999円(家賃収入1億8505万5840円,敷金運用益(年5パーセントとして)263万2525円及び建設協力金の運用益1041万9634円の合計額),総費用1億2118万6743円(修繕費(総収入の5パーセント)990万5400円,維持管理費(共益費収入と支出の差額)150万円,公租公課8206万3629円(土地984万8452円,建物7221万5177円),損害保険料526万8480円,空室等による損失相当額(総収入の12分の1)1650万9000円及び建物等の取壊し費用の積立金594万0234円(評価時点における再調達原価の1000分の1)の合計額),純収益7692万1256円を前提とし,土地価格11億4520万円,本件建物価格7億3673万4000円として,土地還元利回り5パーセント,建物還元利回り7パーセントを当てはめて,本件建物の収益価格を1億8480万円と算出した。 他方,空室が全て賃貸されていると仮定し,これについて堅めな賃料及び賃貸条件を査定して,同様に収益価 セント,建物還元利回り7パーセントを当てはめて,本件建物の収益価格を1億8480万円と算出した。 他方,空室が全て賃貸されていると仮定し,これについて堅めな賃料及び賃貸条件を査定して,同様に収益価格を算出すると6億2680万円となる。 その上で,前者を1,後者を2の割合で加重平均した標準的収益価格を4億7950万円と算出した。 (ウ) 鑑定評価額の決定(ア)と(イ)とを比較し,規範性に優れる(イ)をもって鑑定評価額とした。 イ不動産鑑定士Bによる鑑定(以下「B鑑定」という。)の概要(甲2)(ア) 積算価格A鑑定と同様,評価時点(平成15年1月1日)の再調達原価を59億4023万4000円(躯体部分40億9455万9000円,附帯部分18億4567万5000円)と求めた上,経済的残存耐用年数(躯体部分26年,附帯部分7年)に基づく経年(13年)減価後の価格を定額法で求めると33億7569万2000円となり,他方,観察減価法による減価率79パーセント(大規模建物による減価率20パーセント,4年半の未使用による減価率15パーセント,高額物件による減価率25パーセント,最有効使用からの乖離による減価率10パーセント,改装による増加率6パーセント,他のショッピング店舗による売上減による減価率15パーセントの合計)を考慮した積算価格を7億0890万円(土地価格15億4950万円を合わせた積算価格は22億5840万円)と算出した。 (イ) 収益価格A鑑定とほぼ同様の手法を用いているが,建設協力金返済月額562万8300円を収入から控除して標準的総収入を1億6490万4965円とし,他方,修繕費を総収入の5パーセント,維持管理費を年間収入の3パーセント,損害保険料を再調達原価の0.15パーセント,空室等による損失相当額を総収入の1割とするなどし 1億6490万4965円とし,他方,修繕費を総収入の5パーセント,維持管理費を年間収入の3パーセント,損害保険料を再調達原価の0.15パーセント,空室等による損失相当額を総収入の1割とするなどした結果,総費用を1億2350万4860円とし,純収益を4140万0105円とした。その上で,土地の還元利回り5パーセント,建物の還元利回り8パーセントを当てはめて,標準的収入による収益価格(ただし,土地と本件建物を加えた価格)を6億9700万円と算出した。 また,現況の総収入1億3729万0765円に基づき,現況収入による収益価格を3億2400万円と算出し,前者を3,後者を1の割合で加重平均して,収益価格(前同)を6億0430万円と算出した。 (ウ) 鑑定評価額(イ)の価格は,土地価格を控除するとマイナスとなるので,(ア)の積算価格7億0890万円をもって鑑定評価額とした。 2 本件における争点(1) 本件建物の適正な時価を算出するに当たり,収益還元法を適用すべき特段の事情があるか。 (2) 地方税法341条3号の「家屋」(建物)には,電気設備,衛生設備,防災設備等の建築設備及び建具を含むか。 (3) 本件における固定資産評価の基準時及び評点補正率について合理性が認められるか。 (4) その他の補正において,収益力等を考慮すべき特段の事情があるか。 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(本件建物の適正な時価を算出するに当たり,収益還元法を適用すべき特段の事情があるか)についてア原告(ア) 地方税法341条5号の「価格」とは「適正な時価をいう」とされているところ,これは名目的なものではなく,一般経済社会において客観的な交換価値として把握し得る価額でなければならない。したがって,本件評価基準は課税処分の基礎となる「適正な時価」を をいう」とされているところ,これは名目的なものではなく,一般経済社会において客観的な交換価値として把握し得る価額でなければならない。したがって,本件評価基準は課税処分の基礎となる「適正な時価」を求めるための手法にすぎず,それが地方税法により市町村長を拘束することがあるとしても,それ以上に拘束力を持ち得ず,評価基準に準拠した価額が個別の特殊事情を考慮した適正な時価を超える場合には違法である。 (イ) 本件評価基準が採用している再建築価格法(再建築評点法,再建築費基準法)は,非木造家屋については,構造用途別に13種類に区分し,その区分別に屋根,基礎,外壁,内壁等の25の部分ごとに再建築評点数を定めるものであるが,その評点数の合理性,算出根拠は明らかにされていない。また,建築設備や建具の耐用年数についても家屋本体と同じ35年という期間が適用され,残存価格を20パーセントと設定するなど,実際の耐用年数の実態から大きくかけ離れている。さらに,再建築評点補正率や経年減点補正率の根拠も不明であり,いわばお手盛りの評価と異なることがないので,合理性を有していない。 (ウ) そもそも,固定資産税の性格については,その担税力を所有という観点から見るか,あるいは収益という観点から見るか,その双方かという議論があるが,収益に関しては,所得税,法人税等において不動産所得として捕捉されるのであるから,純粋に収益だけに着目することは収益に対する二重の課税となり,課税の根拠を失わせかねない。しかし,固定資産税の性格が財産税であるとしても,自由経済社会において,「価格」は,経済的見地から決定されるものであるから,当該固定資産の収益力が無関係であるとはいえない。 この点,土地については,その評価の際に,形状,面積,立地条件,用途制限,交通の利便性,水道ガス等の設備 ,経済的見地から決定されるものであるから,当該固定資産の収益力が無関係であるとはいえない。 この点,土地については,その評価の際に,形状,面積,立地条件,用途制限,交通の利便性,水道ガス等の設備の利便性等が考慮されているから,土地の収益力が内在的理由としてその時価に影響し,また,取引事例における時価が意識されていることは明らかである。 ところが,建物についての評価基準は,再建築価格法を厳然として採用しているため,それによってなされた評価は,取引予想価格と大きな違いが生ずる。このような評価方法は,例えば,平均的な住宅であれば大きな差を生じないかもしれないが,本件建物のような商業施設については大きな差が生じ得る。そもそも,時価は,社会的取引において形成されるものであるから,商業施設の評価はその収益力,資本効率,運用益から形成されるのは自明である。いかに高額の建築費をかけた商業施設であってもそこから生じる収益すなわち賃料収入が一定限度に止まるのであれば,その運用率から取引価格が決定されることになる。 したがって,再建築価格法はすべての建物について通用し得る基準とはなり得ず,商業施設においては,収益還元方式が適切である。 (エ) 最高裁判所平成15年7月18日第二小法廷判決・集民210号283頁(以下「最高裁平成15年7月18日判決」という。)は,「固定資産評価基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定することができない特別の事情……の存しない限り」,これによる評価額が適切な時価であると推認するのが相当と判示しているところ,本件建物については,上記の特別の事情がある。すなわち,a 本件建物は,もともと倒産したヤオハンが独自のコンセプトに基づき,かつ,同社が単独で本件建物の全体を利用することを目的として建築したものであり,その形状 は,上記の特別の事情がある。すなわち,a 本件建物は,もともと倒産したヤオハンが独自のコンセプトに基づき,かつ,同社が単独で本件建物の全体を利用することを目的として建築したものであり,その形状はドーム方式という極めて特殊なものであって,利用効率よりもデザインを重視している。その施設,設備も贅沢ともいえるものであって,一定の商業コンセプトの下で利用されなければ,その効用を発揮することができない形状である。現に,原告は,ヤオハンが撤退した後,新たな利用者を捜したが,1社で全体を借り受ける者は現れず,小規模な区画ごとに分けて賃貸せざるを得ないものであった。このように,本件建物は,その形状から汎用性のない特殊なものであり,特別な事情に当たる。 b しかも,平成2年ないし平成3年をピークとする経済状況は,その後大きく落ち込み,未だ回復を見ない状況にあって,個人消費は伸び悩んでいることから,流通業界においては大手の倒産を含め,深刻な状況にある。さらにデフレ現象によって商品価格の破壊が進んだため,流通業界の利益率の低下を来し,賃借料相場の低下につながっている。本件建物は,ショッピングセンターを主たる利用目的とする商業施設であるため,このような経済状況の影響を正面から受けている。仮に,現時点で同規模のショッピングセンターが建築されるのであれば,費用効率の観点から,建築費の安い建物が考えられるところであり,本件建物のような建物を建築することはあり得ない。このような経済状況の大幅な変化は,評価に当たって特別な事情に当たる。 c 固定資産税は,本来課税客体である家屋等の所有を継続しながら納税することが予定されている税目であり,固定資産税の負担故に当該物件の保有が不可能となるときは,税の趣旨から見て本末転倒の結果となるところ,本件建物においては,本 である家屋等の所有を継続しながら納税することが予定されている税目であり,固定資産税の負担故に当該物件の保有が不可能となるときは,税の趣旨から見て本末転倒の結果となるところ,本件建物においては,本件登録価格を前提とする固定資産税を納税すれば,原告において保有が不可能になるという事情が存する。 (オ) しかるところ,B鑑定によれば,収益還元法を適用して算出すると,現況収入による収益価格(ただし,土地及び本件建物を一体とみたもの)は3億2400万円であり,標準的収益を仮定したとしても,6億9700万円にしかならず,本件建物の存在がかえって収益力を低下させている状況にあるので,最終的に積算価格7億0890万円をもって適正な価格としている。本件登録価格はこれを超えているから,原告による審査申出を棄却した本件決定のうち,少なくとも,原告主張額を超える部分は違法である。 イ被告原告の主張は争う。 (ア) 建物についての固定資産税は,建物の有する価格に着目して課税されており,本件評価基準は,個別の事情による偏差を取り除き,家屋の資産価値を客観的に把握すべく再建築価格法を採用しているところ,最高裁平成15年7月18日判決は,固定資産評価基準が定める評価の方法によっては価格を適切に算定することができないなどの特別の事情がなければ,同基準に従って決定された家屋の価格評価は適法である旨判示している。 (イ) 本件建物は,テナントビルとして十分汎用性のあるものであり,実際に,原告の自認している事実を前提としても9割近くの面積が利用されており,上記の特別事情は存しない。 したがって,本件評価基準の示す再建築価格法を適用して算出された本件登録価格は適正なものである。 (2) 争点(2)(地方税法341条3号の「家屋」(建物)には,電気設備,衛生設備,防災設備等 い。 したがって,本件評価基準の示す再建築価格法を適用して算出された本件登録価格は適正なものである。 (2) 争点(2)(地方税法341条3号の「家屋」(建物)には,電気設備,衛生設備,防災設備等の建築設備及び建具を含むか)についてア被告建物は,その本体部分だけでは建物としての機能を十分に発揮することはできず,建物と構造及び機能の点において一体となって建物の効用を発揮させる性質を有する附帯設備は,建物の一部として取り扱うのが相当である。したがって,建具及び建築設備についても建物の一部として取り扱われる。このことは,裁判例によっても是認されている。 イ原告被告の主張は争う。 地方税法は,評価の対象である「家屋」の意義・範囲を明確に定めていないにもかかわらず,本件評価基準は,家屋本体のほか,「家屋に取り付けられ,家屋と構造上一体となって,家屋の効用を高めるものについては,家屋に含めて評価する」としており(第2章第1節七),これでは家屋所有者が設置したほとんど全ての造作が含まれることになりかねない。 しかし,「構造上一体」の具体的基準は明らかではないから,家屋と一体とされるか否かによって,大きな差異が生ずる。すなわち,家屋の評価においては,経年減点補正率が用いられ,耐用年数は35年,残存率は20パーセントとされているから,経年による減価は極めて緩慢であるのに対し,家屋とは別個の償却資産とされれば,取得価格及び耐用年数等は税務会計における取扱いに従う結果,例えば,給排水,衛生及びガス設備の耐用年数は15年,残存率は5パーセントとされて,大きな差異が生ずる。 そもそも,建築設備や建具の耐用年数について家屋本体と同じ35年という耐用年数を適用し,残存価格を20パーセントと設定するのは,実態から大きくかけ離れており,合理性がない。しかも,同 差異が生ずる。 そもそも,建築設備や建具の耐用年数について家屋本体と同じ35年という耐用年数を適用し,残存価格を20パーセントと設定するのは,実態から大きくかけ離れており,合理性がない。しかも,同じ建築設備等でありながら,家屋と建築設備等で所有者が異なり,かつ建築設備が家屋の一部となって独立性を失っている場合には,納税者に選択の余地が残されており,償却資産として課税されることも可能である。 そうすると,「構造上一体」の具体的基準が明確ではないにもかかわらず,同じ固定資産について,評価に大きな差異が生ずるのは税の公平性を害し,合理性がない。 (3) 争点(3)(本件における固定資産評価の基準時及び評点補正率について合理性が認められるか)についてア被告(ア) 市町村によって行われる賦課期日における新・増築家屋の評価については,評価対象が膨大な数に上ることから,平成14年中に再建築費評点基準表が告示される必要があり,また,総務省における再建築費評点基準表の作成に当たっては膨大かつ詳細な作業のために相当な期間を要することから,標準評点数の積算は,最短でも基準年度の賦課期日の2年前の物価水準に基づいて行われざるを得ない。 (イ) そして,再建築費には,資材費,労務費及び建設工事に直接必要とされる諸経費等を内容とする直接工事費(工事原価)と一般管理費,利潤,設計管理費等を内容とする間接工事費が含まれているところ,非木造家屋の評価においては,間接工事費を算定するものとして,設計管理費等による補正率1.10が設けられており,間接工事費の直接工事費に対する割合は10パーセントとされている。しかしながら,実際の建築工事における間接工事費の直接工事費に対する標準的な割合を,公共資料として唯一示されている基準等に基づいて算定すると25パーセ 事費に対する割合は10パーセントとされている。しかしながら,実際の建築工事における間接工事費の直接工事費に対する標準的な割合を,公共資料として唯一示されている基準等に基づいて算定すると25パーセント程度であることから,本件評価基準における間接工事費の割合は,実際の工事における割合より15パーセントほど低率に設定されている。 このように,評価基準による評価は,堅めに評価する仕組みとなっていることから,平成13年1月現在における物価水準を基準に作成された平成15年度の評価基準により平成15年1月1日(賦課期日)現在における建物の評価をすることは,その間における建築費の下落を勘案しても合理性がある。 (ウ) そして,上記のとおり,再建築費評点数の基礎となるのは,資材費,労務費及び建築工事に直接必要とされる諸経費等の工事原価に相当する費用であるところ,このような費用の動向について示されている指標として広く一般に使用されているものとしては「標準建築費指数」(建設工業経営研究会),「建設工事費デフレーター」(国土交通省)及び「建設物価・建築費指数」(建設物価調査会)がある。これらの指数は,ラスパイレス型の理論的指数であって,多数の建物種類の価格変動を毎月計測発表している我が国の代表的な建築費指数である。 しかるところ,これらの指数を用いて,平成10年1月から平成13年1月まで3年間の非木造家屋に係る建築費の動向を把握し,その変動に基づいて算定した再建築費評点補正率の0.96は合理性がある。 イ原告被告の主張は争う。 (ア) 本件建物についての評価基準日(賦課期日)は,平成15年1月1日であるが,本件建物の評点計算においては,2年前の平成13年1月当時の東京都における物価水準が基準にされている。しかし,現在の経済情勢において,その2 の評価基準日(賦課期日)は,平成15年1月1日であるが,本件建物の評点計算においては,2年前の平成13年1月当時の東京都における物価水準が基準にされている。しかし,現在の経済情勢において,その2年間の時差を考慮しない本件登録価格は,適正な時価といえない。 少なくとも,本件決定で用いられた再建築費評点補正率0.96は,平成13年度の賦課期日に用いられるものであり,これを平成15年度の評価に用いることは不合理である。 (イ) また,この評点補正率は,結果的に2年前の東京都しかもその中心部である特別区の区域における物価変動率をいうものであるが,評点1点当たりの価額算定における物価水準による補正を,非木造家屋については全国一律に1.00と定めて地域格差を考慮しておらず,適正とはいえない。 しかも,各市町村の標準家屋に用いられる一般的な乗数比準方式は,平均値を使って一律評価替えが行われるため,部分別の損耗や陳腐化が考慮されず,構造様式等の特殊な家屋のように特別な事情がある場合には,適正な評価替えとならない。 (ウ) 本来,建築費は,地域,建物の態様,工期,発注者等により,一概にこれを定めることが困難なものであり,このような変動性の高い数値を用いなければならないところに,そもそも評点方式の限界がある。このことは,本件建物につき,平成6年度の評価替えにおいては,自治大臣が別途定めた3パーセントの特別補正率を適用しなければ,評価額は経年減点補正率を加味した後もなお建築時の評価を上回る結果となり,一般常識にも反していることからも裏付けられる。 また,補正率を乗じて数値を求めることは,課税側の恣意的な評価を許すことになり,租税法律主義の根幹に関わる問題である。 (4) 争点(4)(その他の補正において,収益力等を考慮すべき特段の事情があるか)について じて数値を求めることは,課税側の恣意的な評価を許すことになり,租税法律主義の根幹に関わる問題である。 (4) 争点(4)(その他の補正において,収益力等を考慮すべき特段の事情があるか)についてア原告(ア) 経年減点補正について経年減点補正率は,年数の経過による資産の損耗の状況を乗率で表そうとするものであるが,この数値についても合理的根拠が薄弱であり,恣意的評価のおそれがあるところ,本件登録価格についても,12年間の経過で建物の評価を28パーセント減価したにすぎず,年平均2.3パーセントの減価にすぎないから,社会的実在としての建物評価としてはあまりにゆるやかな減価というほかない。 本件建物については,前記(1)ア(エ)のとおり,特別の事情があるため,基本的な価額を再調達原価に求めつつ,収益力や経済的要因を考慮して,適正な時価を算定すべきところ,この見地からすると,建物本体についての耐用年数を39年,付帯設備についてのそれを20年とし(一部改修のため),その残存率をゼロとすべきであり,さらに,経年の減価を定額法によって行うべきである。 (イ) 需給事情による補正(観察減価法による減点補正)について前記のとおり,商業施設の場合には需給事情が建物の価格に大きな影響を与え,さらには建築費そのものに影響を与えることは自明である。このような減価は,具体的な経済的環境的要因を考慮したものであるが,同様の趣旨の減価は,本件評価基準にも存在する。それは,「需給事情による減点補正」であるが,この補正は,本件では行われていないばかりか,行われた例はほとんどないようである。この事実こそが,本件決定が,個別的要因(収益力の要因を含む。)について一顧だにすることなく行われていることの明白な証左であり,適正な時価を求めようとしていないことの現れであ とんどないようである。この事実こそが,本件決定が,個別的要因(収益力の要因を含む。)について一顧だにすることなく行われていることの明白な証左であり,適正な時価を求めようとしていないことの現れである。 本件建物については,特にその影響が大きいため,そのような経済的要素を考慮するために,観察減価法を取り入れ,B鑑定が示すとおり,全体で79パーセントの減価を行うことが相当である。すなわち,a 大規模建物による減価本件建物は,延床面積約5万2500平方メートルを有する建物であり,その構造も中央部にドームを持つという特殊な形状であるため,総合的な利用意図なくしては有効な利用を図り得ないものである。また,通路その他の部分が占める割合は44.9パーセントに達しているところ,この面積分については賃料を収受できず,一方で管理維持費の増大を招いている。また,このような特殊な形状と面積を有するため,これを使用し得るテナントには大きな制限がある。これらの理由から,建物評価については20パーセントの減価が相当である。 b 4年半不使用による減価ヤオハンが撤退した後,営業が再開されるまでの4年半の間使用されなかったことにより,本件建物の内部は荒れ放題となっていた。このような管理不能の状態の継続による減価を15パーセントと評価するのが相当である。 c 高額物件による市場性の欠如による減価一般の不動産市場での価格形成に当たっては,利回り(収益)が投資額(価格)の8パーセント以上でないと購入誘因とはならないが,本件建物にそのような利回りを期待することは不可能であるので,市場性は大きく低下する。この減価率は25パーセントが相当である。 d 最有効利用からの乖離に基づく減価本件建物に付属する駐車場は,749台分しか存在しない。しかし,近隣の大規模店舗であるアピタ 市場性は大きく低下する。この減価率は25パーセントが相当である。 d 最有効利用からの乖離に基づく減価本件建物に付属する駐車場は,749台分しか存在しない。しかし,近隣の大規模店舗であるアピタ阿久比店(床面積は本件建物とほぼ同程度の5万7600平方メートル)においては2500台分の駐車場が設置されており,同じく近隣のイオン東浦ショッピングセンター(床面積10万1700平方メートル)においては3000台分の駐車場が用意されている。さらに,上記各商業施設には,誘引施設として映画館が設けられている。 このような利用についての環境面から見ると,本件建物については最有効利用を行い得る環境が整備されているとはいえず,このための減価は10パーセントが相当である。 e 改装による価格増本件建物については,再開場時に大規模な改装が加えられた。改装費は建築費の7パーセント相当であったが,取壊費用,現行利用分を考慮して,これによる増価を6パーセントと判断できる。 f イオン東浦ショッピングセンター及びアピタ阿久比店による売上低下を原因とする減価イオン東浦ショッピングセンターは平成13年7月,アピタ阿久比店は平成10年10月にそれぞれ開店した商業施設であるが,いずれも本件建物の所在地の近隣にあって,商圏が重なり合っている上,上記のとおり,両施設には顧客誘引施設が設置されており,本件建物における売上げに与える影響は大きい。これによる減価は15パーセントが相当である。 イ被告原告の主張は争う。 (ア) 経年減点補正について本件評価基準における経年減点補正率基準表に定められた経過年数は,通常考えられる維持管理が行われる状態において家屋として効用を発揮し得る最低限に達するまでの年数である。また,減価率は,通常考えられる維持管理が行われる状態において,家屋 表に定められた経過年数は,通常考えられる維持管理が行われる状態において家屋として効用を発揮し得る最低限に達するまでの年数である。また,減価率は,通常考えられる維持管理が行われる状態において,家屋の効用を発揮し得る最低限の状態を想定した場合,経過年数による損耗度合いから見て家屋としての残価は20パーセント程度が限度と判断されている。 この経年減点補正率基準表は,社団法人日本建築学会の専門的な知見による調査報告に基づいて作成された適正なものであり,したがって,本件建物(骨格材の肉厚が4ミリメートルを超える鉄骨造りで経過年数13年)の経年減点補正率を0.7029としたことは合理的である。 (イ) 需給事情による減点補正についてa この補正率は,建築様式が著しく旧式となっている非木造家屋,所在地域の状況によりその価額が減少すると認められる非木造家屋等について,その減少する価額の範囲において求めるものであり,具体的には,以下のような家屋について適用するものである。 ① 草葺の家屋,旧式の煉瓦造りの家屋その他間取り,通風,採光,設備の施工等の状況からみて最近の建築様式又は生活様式に適応しない家屋で,その価額が減少すると認められるもの② 不良住宅地域,低湿地域,環境不良地域その他当該地域の事情により当該地域に所在する家屋の価額が減少すると認められる地域に所在する家屋③ 交通の便否,人口密度,宅地価格の状況等を総合的に考慮した場合において,当該地域に所在する家屋の価額が減少すると認められる地域に所在する家屋b これを本件建物について検討すると,以下のとおりであり,需給事情による減点補正率を適用することはできない。 ① 本件建物は,中央部に大型ドーム(内部は吹抜け)を持つ商業施設であり,建築技術や建築資材,デザイン等において,最近の建築様式に とおりであり,需給事情による減点補正率を適用することはできない。 ① 本件建物は,中央部に大型ドーム(内部は吹抜け)を持つ商業施設であり,建築技術や建築資材,デザイン等において,最近の建築様式に適用しない建物とはいえない。 ② 本件建物の所在地域は,古くからの住宅街であり,不良住宅地域,低湿地域ではない。また,現在は公害や騒音の影響を受ける環境不良地域でもない。 ③ 本件建物は,JR武豊線「乙川」駅から約480メートル(道路距離),徒歩約6分に所在し,敷地西側は県道碧南半田常滑線,北東側は市道一色祢宜線に接しており,交通機関,道路事情は良好である。半田市の人口についても,平成14年1月1日現在11万1779人,平成15年1月1日現在11万2442人,平成16年1月1日現在11万2892人と増加傾向にある。また,本件建物の敷地の評価額は,下落傾向にあるが,半田市内の類似土地と同様の下落率となっており,著しい下落格差は存在しない。 c 原告は,建物再調達価格を基礎としつつ,これを定額法及び観察原価法を用いることによって,個別具体的な事情を大幅に加味して減額を行うべき旨主張するが,このような評価は,流通過程における評価であれば格別,個別の事情による偏差を排除して資産の価値を把握しようとする固定資産税の趣旨を没却する。したがって,このような個別事情は,特別事情には当たらない。なお,本件建物についての不使用期間が存在した点については,平成14年度に損耗減点補正率を適用し,一定の減額を行ったが,平成15年度は,本件建物が改修されたことにより,それを適用していない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(収益還元法を適用すべき特段の事情の有無)について(1) 固定資産税は,固定資産(土地,家屋,償却資産)を課税客体とする税であり,固定資産の 適用していない。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(収益還元法を適用すべき特段の事情の有無)について(1) 固定資産税は,固定資産(土地,家屋,償却資産)を課税客体とする税であり,固定資産の所有者に対して(地方税法343条1項),その価格を課税標準として課するものである(同法349条,349条の2)から,その性質は,資産の価値に着目し,その所有という事実に担税力を認めて課する財産税であって,個々の固定資産の収益性の有無にかかわらず,課せられるものである(最高裁判所昭和47年1月25日第三小法廷判決・民集26巻1号1頁,同裁判所昭和59年12月7日第二小法廷判決・民集38巻12号1287頁,同裁判所平成15年6月26日第一小法廷判決・民集57巻6号723頁参照)。 ところで,地方税法349条1項は,基準年度の固定資産税の課税標準について,当該固定資産の基準年度に係る賦課期日における価格で土地又は家屋についての課税台帳(又は補充課税台帳)に登録されたものとすると定め,さらに,同法341条5号は,そこでいう価格は適正な時価をいうと規定する。そうすると,家屋における「適正な時価」とは,正常な条件の下に成立する当該家屋の客観的な再取得原価をいうものと解される。 この点につき,同法403条は,市町村長は,原則として同法388条1項の固定資産評価基準によって固定資産の価格を決定しなければならないと定めているところ,同項は,総務大臣は固定資産の評価の基準並びに評価の実施の方法及び手続を定め,これを告示しなければならないことを規定し,さらに,同条は,総務大臣が固定資産評価基準を定めるに当たっては,地方財政審議会の意見を聴かねばならないこと(2項),総務大臣は,市町村長に対し,市町村の固定資産評価員が固定資産の評価をするために必要な評価の手引その他の 臣が固定資産評価基準を定めるに当たっては,地方財政審議会の意見を聴かねばならないこと(2項),総務大臣は,市町村長に対し,市町村の固定資産評価員が固定資産の評価をするために必要な評価の手引その他の資料を作成したり,市町村長から助言を求められたときはこれを与えるなどの技術的援助を与えなければならないこと(4項)などを規定している。その趣旨は,全国一律の統一的な評価基準による評価によって,各市町村全体の評価の均衡を図り,評価に関与する者の個人差に基づく評価の不均衡を解消することにあると解される。 そして,同法388条1項に基づいて定められた本件評価基準は,前記前提事実(3)記載のとおり,家屋の評価につき,木造家屋及び木造家屋以外の区分に従い,各個の家屋について評点数を付設し,当該評点数を評点1点当たりの価格に乗じて各個の家屋の価額を求める方法によるものとし,各個の家屋の評点数は,適用すべき家屋評点基準表に基づいて算出された当該家屋の再建築費評点数を基礎とし,これに当該家屋の損耗の状況による減点等を行って付設するなど,再建築価格法による評価方法を定めている。そして,家屋評点基準表や各種減点補正率等は,専門家の団体である社団法人日本建築学会による実態調査・報告等を踏まえて設定されていることから,これらの基礎資料についても,信頼性を認めることができる。 (2) 再建築価格法は,評価の対象となった家屋と全く同一のものを,評価時点にその場所に建築するものとした場合に必要とされる(再)建築費を求めた上,当該家屋の時の経過によって生ずる損耗の状況による減価等をして評価時点の現状に適合するよう調整するものであるところ,家屋の評価方法には,このような方法以外に,取得原価を基準として評価する方法,賃料等の収益を基準として評価する方法,売買実例価格を基準とし して評価時点の現状に適合するよう調整するものであるところ,家屋の評価方法には,このような方法以外に,取得原価を基準として評価する方法,賃料等の収益を基準として評価する方法,売買実例価格を基準として評価する方法などが考えられる。 しかしながら,これらの評価方法の出発点となる現実の取得原価,実際の賃料,売買実例価格などは,当事者の思惑やその時点における経済力などの主観的事情,個別的事情による影響を受けやすく,偏差の発生を免れ難いという難点が存在するのに対し,再建築価格法は,その具体的算定方式が比較的簡明である上,家屋の資産としての客観的価格を算出するものとして基本的・普遍的なものと考えられるから,上記のような偏差を生ずることはなく,より客観性を有する評価を可能ならしめると解される。そうすると,家屋の価格の評価方法としての再建築価格法は,財産税としての性格を有する固定資産税の課税標準の算出方法に最もふさわしいものであり,かつこのような手法を採用することによって,正常な条件の下における取引価格を基礎とした土地の評価と共通の基盤を見出すことができるというべきである。 したがって,家屋の価格の評価につき,再建築価格法を内容とする本件評価基準は,一般的な合理性を有しているというべきであるから,評価基準が定める評価の方法によっては再建築費を適切に算定できない特別の事情又は評価基準が定める減点補正を超える減価を要する特別の事情がない限り,評価基準に従って計算した登録価格は適正な時価であると推認すべきである(最高裁平成15年7月18判決参照)。 (3) この点について,原告は,①本件評価基準の定める再建築評点数や,各種の補正率の根拠が不明であること,②商業施設の評価はその収益力,資本効率,運用益から形成されることから,収益還元法を適用すべきであり,特に本 ついて,原告は,①本件評価基準の定める再建築評点数や,各種の補正率の根拠が不明であること,②商業施設の評価はその収益力,資本効率,運用益から形成されることから,収益還元法を適用すべきであり,特に本件建物については,ⅰその保有の経緯及び形状(デザインを重視したドーム方式)において特異であって,一般的な交換価値の把握は著しく困難であり,しかも,ⅱ本件登録価格を前提とする固定資産税を納税すれば,原告において保有が不可能となるという特別の事情が存在するなどと主張する。 しかしながら,①については,上記のとおり,専門的知見を有する社団法人日本建築学会による実態調査・報告等を踏まえて家屋評点基準表や各種減点補正率等が設定されていることに照らすと,これらの基礎資料の信頼性を疑う根拠はないこと,②についても,家屋に対する固定資産税は,家屋の資産価値に着目し,その所有という事実に担税力を認めて課する財産税の性格を有するところ,法は,居住用建物と収益を目的とする商業用建物を区別していないのであるから,その評価方法は両者について妥当するものであるべきであるが,居住用建物において標準的収益額を算出することは困難であること,収益還元法は,その具体的利用状況によって甚だしい格差が生じ得る評価方法である上,将来の収益力を正確に予測することは困難であること,標準的収益額によってこれを算出するとしても,どのような使用形態が標準的かについても偏差が入り込む可能性が大きいこと,そのため,評価担当者の主観が入り込みやすく,不公平な課税がなされる危険性があること(現に,原告提出に係るA鑑定とB鑑定の両鑑定において,収益還元法を適用した結果が大きく異なっていることは,前記前提事実(6)記載のとおりである。),これらを考慮すれば,商業用建物についても本件評価基準に従って評価すべ A鑑定とB鑑定の両鑑定において,収益還元法を適用した結果が大きく異なっていることは,前記前提事実(6)記載のとおりである。),これらを考慮すれば,商業用建物についても本件評価基準に従って評価すべきである。 また,原告の主張するⅰ,ⅱの事情についても,つまるところ,その後の経済情勢の変化によって当初目論んでいた収益(賃料)の獲得が困難になったというものにすぎず,固定資産税の上記性質に照らせば,これらをもって再建築費を適切に算定することができないなどの特別の事情に当たるとは考え難いから,上記判断を覆すものとはいえない(なお,保有が困難であるかは固定資産の評価だけで決せられるものではなく,税率によっても左右されることはいうまでもない。)。 よって,本件建物に対して収益還元法を適用すべき旨の原告の上記主張は採用できない。 2 争点(2)(家屋に建築設備及び建具を含むか)について(1) 地方税法は,固定資産税の課税客体となる家屋とは,住家,店舗,工場,倉庫その他の建物をいう(341条3号)と定め,それ以上の定義規定を置いていないため,建築設備,建具が家屋に含まれるか否かは,法文上は一義的に明確とはいえない。しかしながら,本件評価基準は,前提事実(3)記載のとおり,家屋の所有者が所有する電気設備,ガス設備,給水設備,排水設備,衛生設備,冷暖房設備,空調設備,防災設備,運搬設備,清掃設備等の建築設備で,家屋に取り付けられ,家屋と構造上一体となって,家屋の効用を高めるものについては,家屋に含めて評価するものとするとし(第2章第1節七),現に非木造家屋評点基準表の部分別区分においては,(10)建具,(11)特殊設備,(12)建築設備を挙げている(第2章第3節二3)。 (2) この点について,原告は,構造上一体の具体的基準は明らかでないにもかかわら 基準表の部分別区分においては,(10)建具,(11)特殊設備,(12)建築設備を挙げている(第2章第3節二3)。 (2) この点について,原告は,構造上一体の具体的基準は明らかでないにもかかわらず,①残存率及び耐用年数が家屋の場合と償却資産とで大きく異なり,②所有の形態によって評価に大きな差異が生ずるのは税の公平性を害し,合理性がない旨主張する。 しかしながら,機能上の観点からは,もともと家屋は,その本体部分だけでは建物としての効用を十分に得ることができず,通常は,それぞれの目的に適した各種設備等が付属せしめられることにより,家屋としての効果を発揮し,資産としての価値を高めているのであるから,これらの建築設備及び建具については,家屋と一体なものとして評価するのが相当というべきである。また,構造上の観点からも,家屋本体と一体であるかどうかは,個々の建築設備や建具ごとに,社会通念上,毀損しなければ取り外せない程度に固定されているなど,分離が事実上ないし社会経済上著しく困難な状態にあるか否かによって判断されるべきであることは,民法の附合の規定(242条,243条)に照らしても明らかであって,本件評価基準が不明確であるとはいえない。 そして,①については,このように家屋本体と機能上も構造上も一体化した建築設備等は,別の場所に設置,利用されることが想定できず,家屋全体として維持管理されるのが通常であるから,その残価率及び耐用年数も,原則として家屋本体と一体のものとして評価するのが相当であり,仮に建築設備等が家屋本体よりも早く損耗したとしても,本件評価基準においては,経年減点補正率以外に,別途,損耗減点補正率が定められていて,調整が可能である。また,②についても,建築設備等の所有の形態(建物本体への附合によりその所有権に包含されるか,附合するこ 準においては,経年減点補正率以外に,別途,損耗減点補正率が定められていて,調整が可能である。また,②についても,建築設備等の所有の形態(建物本体への附合によりその所有権に包含されるか,附合することなく設置者の所有にとどまるか)によって,その物に対する維持管理の態様や価値が異なると考えられるから,そのことによって評価上の差異が生じたとしても何ら不当とはいえず,結局,同基準が不合理なものであるとの原告の主張は採用できない。 (3) そして,証拠(乙1)によると,本件決定においては,部分別建具については,鋼製及び木製シャッター,襖,ガラス等が,部分別建築設備については,電気設備として動力配線,電灯,コンセント及び配線が,衛生設備としては,給水設備,排水設備,衛生器具設備,ユニットバス及びガス設備が,防災設備としては,火災報知設備,避雷突針設備及びスプリンクラー設備が,それぞれ家屋の一部として評価されているところ,これらは,いずれも,家屋と構造上及び機能上一体となって本件建物の効用を発揮させる性質を有していると認められるから,これらを本件建物と一体のものとして取り扱い,その評価に当たって,部分別建具,部分別建築設備として考慮することは何ら違法とはいえない。 3 争点(3)(固定資産評価の基準時及び評点補正率の合理性の有無)について(1) 地方税法359条は,固定資産税の賦課期日を当該年度の初日の属する年の1月1日とする旨定めていることから,本件登録価格についての評価基準日(賦課期日)は,平成15年1月1日となる。そして,同法410条は,市町村長が,毎年3月31日までに固定資産の価格等を決定しなければならないと規定するが,大量に存する固定資産の評価事務を考慮すれば,平成14年中に総務省において再建築費評点基準表が告示される必要があり,また, 毎年3月31日までに固定資産の価格等を決定しなければならないと規定するが,大量に存する固定資産の評価事務を考慮すれば,平成14年中に総務省において再建築費評点基準表が告示される必要があり,また,再建築費評点基準表の作成に当たり,膨大かつ詳細な作業のために相当な期間を要することは容易に推測できるから,逆算すると,標準評点数の積算は,最短でも基準年度の賦課期日の2年前の物価水準に基づいて行われざるを得ない。これらを考慮すれば,法は,賦課期日から2年前の時点における資料に基づいて再調達原価を算定することを許容しているというべきである。 (2) もっとも,同法349条1項の文言からすれば,同項所定の固定資産税の課税標準である固定資産の価格が,基準年度に係る賦課期日における適正な時価を意味することは明らかであるから,上記時点における資料に基づいて算出された価格が賦課決定期日における適正な時価を超える場合には,その部分は違法といわざるを得ない(前掲最高裁判所平成15年6月26日判決参照)ところ,原告は,本件建物の再建築費を算出する際に,2年前の平成13年1月当時の東京都における物価水準が基準にされており,現在の経済情勢においては,その2年間の時差があることから,適正ではない旨主張する。 確かに,証拠(甲2,6)によれば,平成13年1月1日から平成14年1月1日までの名古屋圏の住宅地の地価は4.7パーセント,商業地のそれは8.1パーセント,平成14年1月1日から平成15年1月1日までの名古屋圏の住宅地の地価は5.9パーセント,商業地のそれは8.0パーセント,それぞれ下落していることが認められる。 しかしながら,上記のように土地,特に商業地の時価が大幅に下落しているからといって,建物の建築費も同様の下落傾向を示すとは限らないところ,証拠(甲1の2, ,それぞれ下落していることが認められる。 しかしながら,上記のように土地,特に商業地の時価が大幅に下落しているからといって,建物の建築費も同様の下落傾向を示すとは限らないところ,証拠(甲1の2,2,乙2ないし8)によれば,①鉄骨造りの事務所,店舗又は百貨店を用途とする標準家屋の再建築費を基にした標準上昇率は,昭和63年度から平成3年度にかけてプラス6パーセント,平成3年度から平成6年度にかけてプラス16パーセント,平成6年度から平成9年度にかけてマイナス7パーセント,平成9年度から平成12年度にかけてマイナス3パーセントであって,かなりのマイナス傾向を示した時期があったものの,その後は鈍化していること,②平成13年1月現在までの3年間の鉄鋼系構造建物の標準建築費指数は0.947,同建設工事費デフレーターは0.978,同建設物価・建築費指数は0.949であること,③消費者物価指数の平成9年から平成12年までの変動率が0.994であること,④建設材料の卸売物価指数の平成10年1月から平成13年1月までの変動率が0.971であること,⑤経済産業省が公表している商業販売統計によると,平成15年1月の愛知県内における百貨店,スーパー,家電及び外食等の消費関連売上高(既存店)は,百貨店が前年同月比プラス0.6パーセントであるが,スーパーはマイナス1.9パーセントであること,以上の事実が認められる。これらによれば,建築費の下落率は地価のそれよりかなり小幅なものにとどまっており,平成12年から平成15年の間の各種指標は0.96を上回っているものが多いから,平成12年1月1日時点と対比した平成15年1月1日時点の建築費が0.96を下回る(下落率が大きい)と推認することはできない。 加えて,本件評価基準においては,再建築費における設計管理費等を内容とす 平成12年1月1日時点と対比した平成15年1月1日時点の建築費が0.96を下回る(下落率が大きい)と推認することはできない。 加えて,本件評価基準においては,再建築費における設計管理費等を内容とする間接工事費の割合を直接工事費の1割として再建築費を算出しているところ,実際の工事においては,1割を超える間接工事費が計上されることが経験則上明らかであって,再建築費は堅実に評価されているということができるから,仮に平成13年1月現在における物価水準に基づいて算定した再建築費評点補正率が賦課期日の実態よりも大きい(下落率が不足している)としても,その差を十分に補っていると考えられる。 そうすると,本件において適用すべき再建築費評点補正率を0.96としたことが不合理であるとはいえない。 (3) 次に,原告は,①再建築費評点補正率によれば,部分別の損耗や陳腐化が考慮されず,構造様式等の特殊な家屋のように特別な事情がある場合には,適正な評価替えとならないこと,②建築費は,地域,建物の態様,工期,発注者等によって変動するものであって,これを基礎とする評点方式には限界があり,このことは平成6年度の評価替えにおいて特別補正率が適用されたことからも明らかであり,また,このような補正率を乗じて数値を求めることは,課税庁側の恣意的な評価を許すことになり,租税法律主義の趣旨に反する旨主張する。 しかしながら,①については,再建築費評点補正率は,基準年度の賦課期日において,評価の対象となった家屋と全く同一のものを,その場所に新築するとした場合に必要とされる建築費を求めるための補正を行うものであり,その上で,本件評価基準は,当該再建築費に時の経過によって生ずる当該家屋の損耗の状況による減価を考慮し,さらに必要に応じて需給事情による減価等を考慮して,当該家屋の価格を求め 補正を行うものであり,その上で,本件評価基準は,当該再建築費に時の経過によって生ずる当該家屋の損耗の状況による減価を考慮し,さらに必要に応じて需給事情による減価等を考慮して,当該家屋の価格を求めるものであるから,部分別の減価要因が評点補正率において考慮されないことをもって,本件評価基準が適正さを欠くとはいえない。原告の上記主張は,つまるところ,本件家屋の構造の特殊性を強調し,これが再建築価格法になじまないというものであるが,これが採用できないことは争点(1)における判断において示したとおりである。 また,②については,確かに,現実の再建築費は諸々の諸要素によって影響を受けることは否定できないが,正常な条件の下で形成されるであろう標準的な再建築費を算出し,これを基礎として価格を評価する評点方式の偏差は,前記のとおり,他の収益価格を基礎とする方法や取得価格を基礎とする方法に比べて,より小さく,客観性に優れていると考えられるし,再建築費評点補正率は,上記のとおり,全国的な建築原価についての調査によって得られた指数を総合して求められているから,課税庁による恣意的な評価を許容するものとはいえない。 なお,平成6年度の評価替えは,従前の標準評点数が,平成元年1月現在における東京都(特別区)の建築物価水準によって積算されていたものを,平成4年1月現在のものに改めて積算換えされたことによって生ずる不均衡を是正するため,在来家屋については,評価基準本則によって求めた価額が平成5年度の家屋の価額に自治大臣が定める特別補正率を乗じた額を超えるものは,平成5年度の家屋の価額に自治大臣が定める特別補正率を乗じることとされたものであり,原告の上記主張を裏付けるものとはいえない。 (4) さらに,原告は,評点1点当たりの価額算定における物価水準による補正率を,非 家屋の価額に自治大臣が定める特別補正率を乗じることとされたものであり,原告の上記主張を裏付けるものとはいえない。 (4) さらに,原告は,評点1点当たりの価額算定における物価水準による補正率を,非木造家屋については全国一律に1.00と定めて地域格差を考慮していないから,本件登録価格は適正な時価といえない旨主張する。 しかしながら,半田市における再調達原価が東京都のそれを下回ることを裏付ける証拠はなく,かえって,証拠(乙4)によれば,平成9年度の乗率を求めるための資料においては,鉄骨造りの標準家屋についての再建築費の上昇率は大都市のそれが半田市のそれを上回るものではないことが認められる。そうすると,物価水準による補正率を1.00としたからといって,地域格差を考慮しない違法な評価方法であるとはいえない。 4 争点(4)(その他の補正において,収益力を考慮すべき特段の事情があるか。)について(1) 経年減点補正について原告は,本件評価基準における経年減点補正が緩やかにすぎ,特殊な構造を有する本件建物の経年減価の方法として適当でない旨主張するところ,前記前提事実(3),(6)記載のとおり,本件評価基準では,非木造家屋(4 百貨店,ホテル,劇場及び娯楽場用建物)のうち骨格材の肉厚が4ミリメートルを超える鉄骨造の建物については,減価期間を35年とし,それ以上の年数を有する建物の残価率を20パーセント(1年当たりの平均減価率は2.286パーセント)とした経年減点補正率基準表を採用していること,A鑑定及びB鑑定は,積算価格を求めるに当たり,本件建物本体については本件評価基準より長い経済的耐用年数を前提としつつ,残価率をゼロとした経年減価を行っている(その上で,(2)による観察減価を行っている。)こと,以上の事実が認められる。 しかしながら,前記の ついては本件評価基準より長い経済的耐用年数を前提としつつ,残価率をゼロとした経年減価を行っている(その上で,(2)による観察減価を行っている。)こと,以上の事実が認められる。 しかしながら,前記のとおり,上記の減価率は,建築の専門家から成る社団法人日本建築学会による調査,検討を経て定められたものであると認められるから,それが実態と乖離していることを疑う根拠はなく,また,原告の主張する本件建物の特殊性を考慮しても,上記経年減点補正率基準表の適用が不適切であると認めることはできない。 (2) 需給事情による補正(観察減価法による減点補正)について次に,原告は,本件建物の規模・形状,不使用期間の存在,高額物件であること,最有効利用からの乖離,近隣同種施設の存在等の個別的,経済的要因を反映すべく,需給事情(又は観察減価法)による減価をすべきである旨主張するので,これについて検討する。 ア前記前提事実(1)のとおり,本件建物は,地下1階,地上5階建ての鉄骨造陸屋根一部亜鉛メッキ鋼板葺であり,その延べ床面積が5万2520.45平方メートルに及ぶ大型建物であり,地下1階には,食料品と家庭用品等の売り場,飲食店及び駐車場があり,1階には,その中央部分に5階までの吹き抜けとなっていて上部をドーム状にした円形のセンターコートがあり,その周辺等に服飾雑貨の店舗があり,2階には,プール,アスレチックジム,エアロビクススタジオとこれらの付属施設及び子供用又は紳士用等の服飾雑貨等の店舗があり,3階に167台の駐車場,4階に181台の駐車場,屋上に209台の駐車場を設け,さらに,1階周辺に123台分の駐車場(合計749台)が設けられていること,附属設備として,エスカレーター4セット,エレベーター4台が設置されていること,以上の事実が認められる。 また,証拠(甲2 ,さらに,1階周辺に123台分の駐車場(合計749台)が設けられていること,附属設備として,エスカレーター4セット,エレベーター4台が設置されていること,以上の事実が認められる。 また,証拠(甲2ないし7,原告代表者)によると,以下の事実も認められる。 (ア) 原告は,もともと,綿等を原料とする紡績業を営んでいたが,長期間にわたる繊維不況のため,採算性が悪化し,平成元年当時,経常赤字の状態に陥っていたところ,同年秋ころ,大規模小売業を展開していたヤオハンから,所有していた遊休土地上に,ショッピングセンターを出店したいとの申出を受けた。 そこで,原告は,ヤオハンと交渉した結果,建築費用はヤオハンが保証金名目で負担すること,建物の建築はヤオハンによる設計,施工に基づくこと,ヤオハンは完成した本件建物及びその敷地を月額約7000万円(年間8億円。ただし,3年ごとに1割ずつ増額する。)の賃料で,20年間賃貸すること,保証金の返済には11年目からの賃料増額分を充てること,以上の内容の合意を成立させた。 (イ) ヤオハンは,平成2年8月31日ころに完成した本件建物全体を借り受け,「ネクステージ半田」という名称で自営スーパーほか多数のテナントを入居させて事業を展開し,その修繕管理費もヤオハンが負担していたが,平成9年夏ころから,業績不振に陥り,同年末,会社更生手続開始の申立てを行い,「ネクステージ半田」の営業を平成10年1月末日限り停止した。 原告は,ヤオハンの大部分のテナントを譲り受けたジャスコ(イオン)に対し,本件建物の賃貸借契約の締結を申し入れたが,本件建物がドーム型をしていることから客の動線が良くないこと,食料品売り場が地下にあることが良くないこと,建物が贅沢すぎることなどを理由に断られ,同様の理由で,他の流通業者との契約も成立しなかった。そ 建物がドーム型をしていることから客の動線が良くないこと,食料品売り場が地下にあることが良くないこと,建物が贅沢すぎることなどを理由に断られ,同様の理由で,他の流通業者との契約も成立しなかった。その間,原告は,ヤオハンから受け取っていた金額を上回る賃料が見込まれた公営ギャンブルの場外券売場として賃貸することを試みたこともあったが,地元の反対があり,議会の承認を得られる見込みが立たなかったため,契約成立に至らなかった。 その後,原告は,平成14年5月27日から同年9月5日ころまで,テナントの変更に伴って1階で食料品を扱えるように改修工事を行った上,その完了後,地下1階を株式会社大創産業,1階を株式会社バロー,2階を株式会社ミドリ電化及び株式会社アクトスに賃貸することとし,これらを核として店舗の再開にこぎつけた。ただし,現在でも,地下1階の6区画(521.12坪)及び3階の2区画(316坪)が空室となっており,合計11.8パーセントの面積が使用されていない。 (ウ) 半田市の西北にある知多郡阿久比町において,平成10年10月,アピタ阿久比店が開店している。同店は,鉄骨造3階建延床面積約5万7600平方メートルの大型ショッピングセンターであり,鉄骨造1階延床面積約4000平方メートルのシネマ8館が併設されている。 さらに,半田市の北にある知多郡東浦町において,平成13年7月,イオン東浦ショッピングセンターが開店している。同店は,鉄骨造3階建延床面積約10万1700平方メートルの規模で,スーパーイオン,トイザらス,メガマート,ユニクロ等を核とする超大型ショッピングセンターであり,シネマ9館が併設されている。 (エ) 平成16年8月における賃料収入は,合計月額約1494万円であり,そこから,改修工事に伴う建築保証金を毎月約384万円返済すると, 型ショッピングセンターであり,シネマ9館が併設されている。 (エ) 平成16年8月における賃料収入は,合計月額約1494万円であり,そこから,改修工事に伴う建築保証金を毎月約384万円返済すると,共益費及び管理費の不足額は年間3576万円であり,敷地を含む固定資産税及び都市計画税の合計額約8208万円,改修工事請負代金の支払額年間8833万円を控除すると,年間7297万円の赤字となっている。 イそこで検討するに,固定資産税の性格や,その課税標準を定めるに当たって用いられる再建築価格法の基本的な考え方を考慮すると,需給事情による減価とは,所有者の意図した利用目的やその時々における利用方法の巧拙といった主観的事情を離れ,通常の条件の下ではその価値の低減を招くことが一般的に承認されるような客観的事情を指すと解するのが相当である。 以下,このような見地から,本件建物について,需給事情による減価がなされるべきか否かについて判断する。 (ア) 規模・形状について前記認定事実によれば,確かに,本件建物は商業施設としては大型の部類に属するといえようが,近隣のアピタ阿久比店やイオン東浦ショッピングセンターと比較しても,スーパーマーケット等の商業施設として特に過大であるとまではいえず,また,中央部にドームを有し,その部分が5階まで吹き抜けとなっているなどの構造も,これによって利用者が開放感や豪華な雰囲気を味わうことができるなど,好印象をもたらすと考えられるから,本件建物の客観的な価値を高めるものではあり得ても,それを低めるものとは認め難い。 もっとも,現状は,区画ごとに分けて賃貸しているため,本件建物の持つ利点を十分に生かしているとはいい難いが,経済状況の変化や利用方法いかんによっては,その利点を生かし得る可能性を否定できないことを考慮すれば,客観的 区画ごとに分けて賃貸しているため,本件建物の持つ利点を十分に生かしているとはいい難いが,経済状況の変化や利用方法いかんによっては,その利点を生かし得る可能性を否定できないことを考慮すれば,客観的な見地からは,最近の建築様式に適応しない建物でないことはもとより,その価額を減少させる事由に当たるとはいえないから,これらを理由に減価補正をしなかったことが,違法であるとはいえない。 (イ) 不使用の事実について前記認定事実のとおり,本件建物は,平成10年2月から平成14年9月まで,店舗として利用されない状況が継続したことが認められるから,その間は十分な管理が行われなかったと推認し得るが,その後,改修工事が実施され,新たなテナントが入居した結果,賦課期日においては通常の状態で使用されているのであるから,本件建物の客観的な時価が過去の一定期間の不使用によって減価しているとは認め難い。 (ウ) 高額物件による市場性の欠如について原告は,本件建物に8パーセントの利回りを期待することは困難であるから,市場性が大きく低下する旨主張し,A鑑定及びB鑑定には,これに沿う記載が存在する。 しかしながら,8パーセント(A鑑定は7パーセント)というかなり高率の利回りを期待できないことをもって減価要因とすることは,固定資産税の財産税としての性格や,一般的妥当性を有すると考えられる再建築価格法の手法と矛盾すると考えられるのみならず,本件建物の標準的使用をどのように設定するかによって,その標準的総収入は大きく影響を受ける(最有効利用を前提とすれば,本件建物を一体として利用することによる賃料,すなわちヤオハンや公営ギャンブルの場外売場としての賃料収入が標準的総収入ということにもなりかねない。)から,現状においても一概に市場性が劣るとは判断できず,結局,本件建物の評価額 ことによる賃料,すなわちヤオハンや公営ギャンブルの場外売場としての賃料収入が標準的総収入ということにもなりかねない。)から,現状においても一概に市場性が劣るとは判断できず,結局,本件建物の評価額を減少させる客観的事情とはいえないから,需給事情による減点補正率を適用すべき場合に当たらない。 (エ) 最有効利用からの乖離について証拠(甲2,3,6)によれば,以下の事実が認められる。 a 半田市は,名古屋市の略南方に伸びる知多半島の東側ほぼ中央部に位置し,東は衣浦湾,西は常滑市,南は武豊市,北は東浦町及び阿久比町に接していて,その臨海部には多くの企業が進出し,知多半島の中心都市として発展している。 半田市には,JR武豊線及び名鉄河和線の各鉄道が乗り入れており,前者については,北東から南へ順に「亀崎」,「乙川」,「半田」,「東成岩」の各駅があり,朝晩の通勤時間帯には名古屋市への直通電車が運行されている。後者についても,「半田口」,「知多半田」,「成岩」及び「南成岩」の各駅があり,「半田口」駅を除いて急行電車の停車駅となっている。また,知多半島道路,国道247号,同366号,県道名古屋半田線等の道路網の利用が可能であり,名古屋市中心部から自動車で40分ないし50分程度の距離にある。 半田市の平成15年4月1日現在における人口及び世帯数は,それぞれ11万4268人,4万1373世帯であり,前年同月比でそれぞれ0.6パーセント,1.7パーセントの増加と増加傾向を続けている。これは,交通の便利が比較的良いため,市内各所で宅地開発が盛んに行われ,人口及び世帯数の増加となって現れているためである。 b 本件建物は,JR武豊線の「乙川」駅の北西約480メートル(道路距離),徒歩約6分の距離に所在する。本件建物の敷地は,西側で阿久比川東岸を南北に走る名古 帯数の増加となって現れているためである。 b 本件建物は,JR武豊線の「乙川」駅の北西約480メートル(道路距離),徒歩約6分の距離に所在する。本件建物の敷地は,西側で阿久比川東岸を南北に走る名古屋半田線に接し,南側は原告の工場群跡地が,北側は岩滑南浜町の農地と集落が広がっている。 c 半田市の西北にある知多郡阿久比町において,平成10年10月に開店したアピタ阿久比店は,鉄骨造3階建延床面積約5万7600平方メートルの大型ショッピングセンターであり,鉄骨造1階延床面積約4000平方メートルのシネマ8館が併設されており,2500台分の駐車場を有する。 さらに,半田市の北にある知多郡東浦町において,平成13年7月に開店したイオン東浦ショッピングセンターは,鉄骨造3階建延床面積約10万1700平方メートルの規模で,スーパーイオン,トイザらス,メガマート,ユニクロ等を核とする超大型ショッピングセンターであり,シネマ9館が併設されており,3053台分の駐車場を有する。 以上の認定事実によれば,確かに,本件建物に付属する駐車場の駐車可能台数は,近隣の商業施設に比べると少ないといえるが,本件建物の通常の使用の支障となる程度にまで少ないとまでは認められない上,本件建物の敷地の南には原告所有の遊休地が,同じく北には農地が広がっており,必要に応じて駐車場を拡充することは困難でないと考えられること,また,近隣の2つの商業施設にはそれぞれシネマ館が併設されているが,本件建物にも,スポーツ施設という顧客誘引施設が併設されていること,交通の便は比較的優れているといえること,これらによれば,本件建物を巡る環境面において,その評価額の減少をもたらす客観的要因の存在を認めることは困難である。 (オ) 近隣同種施設の存在について前記認定のとおり,確かに,本件建物の近郊 ,これらによれば,本件建物を巡る環境面において,その評価額の減少をもたらす客観的要因の存在を認めることは困難である。 (オ) 近隣同種施設の存在について前記認定のとおり,確かに,本件建物の近郊には,イオン東浦ショッピングセンターとアピタ阿久比店が存在し,いずれも本件建物と商圏が重なっていると認められるが,他方,本件建物の交通の便は比較的良好であること,半田市が知多半島の中心地として人口が増加傾向にあること,住宅地が開発されている状況にあることに照らせば,上記のような商圏の競合の状況があるからといって,本件建物の客観的評価額が影響を受けると判断することはできない。 ウよって,本件建物の規模・形状,不使用期間の存在,高額物件であること,最有効利用からの乖離,近隣同種施設の存在等を理由とする需給事情(又は観察減価法)による減価を認めることはできず(A鑑定及びB鑑定は,その内容に照らすと,一定の意図・目的を前提としていることが明らかであり,それが適正であることを示す客観的な根拠を見いだすことができないので,いずれも採用できない。),本件登録価格は適正なものと判断するのが相当である。 5 結論以上の次第で,原告の本訴請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行訴法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部 裁判長裁判官加藤幸雄裁判官舟橋恭子裁判官尾河吉久 (別紙)物件目録所在半田市乙川吉野町30番地1,12番地1,13番地1,15番地,16番地1,17 裁判官尾河吉久 (別紙)物件目録所在半田市乙川吉野町30番地1,12番地1,13番地1,15番地,16番地1,17番地1,18番地,19番地,20番地1,23番地,24番地2,24番地1,25番地,26番地,27番地1,28番地1,29番地1,31番地,32番地,33番地,34番地,35番地1,36番地1,37番地,38番地家屋番号 30番1種類店舗・駐車場・スポーツ施設構造鉄骨造陸屋根一部亜鉛メッキ鋼板葺地下1階付5階建床面積 1階 1万2155.93平方メートル2階 1万1395.29平方メートル3階 7800.37平方メートル4階 7645.42平方メートル5階 481.35平方メートル地下1階 1万3042.09平方メートル延床面積 5万2520.45平方メートル
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