- 1 -主文 原告らの請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求被告がAことBに対して平成15年3月31日付けでした平成14年1月1日から同年12月31日までの課税期間の消費税及び地方消費税の更正処分(ただし,審査裁決により一部取り消された後のもの)及び過少申告加算税の賦課決定処分をいずれも取り消す。 第2事案の概要本件は,AことB(以下「亡A」という)の共同相続人である原告らが,。 亡Aに係る平成14年1月1日から同年12月31日までの課税期間(以下「本件課税期間」という)分の消費税及び地方消費税(以下「消費税等」と。 いう)の課税仕入れに係る控除不足還付税額及び譲渡割額に係る還付額(以。 下「控除不足還付税額等」という)があるとして同年9月24日付けでした。 消費税等の確定申告(以下「本件還付申告」という)について,被告が控除。 不足還付税額等はないとして平成15年3月31日付けでした更正処分(以下「本件更正処分」という)及び過少申告加算税の賦課決定処分(以下「本件。 賦課決定処分」といい,本件更正処分と併せて「本件各処分」という)は,。 いずれも消費税法及び国税通則法等の法令の解釈を誤った違法な処分であると主張して,被告に対し,本件各処分の取消しを求めたものである。 争いのない事実等(証拠により認定した事実は括弧内に掲記した)。 ( )当事者等 ア亡Aは,平成○年○月○日に死亡した。 イ原告Cは,亡Aの妻であり,原告DことE,同F,同GことH及び同IことJは,いずれも亡Aの子である(甲1,5,乙1。 )- 2 -( )事実経過 ア北海道は,平成12年9月14日,その施行する都市計画事業である「3・3・211α1種改築工事(通常」のために必要な いずれも亡Aの子である(甲1,5,乙1。 )- 2 -( )事実経過 ア北海道は,平成12年9月14日,その施行する都市計画事業である「3・3・211α1種改築工事(通常」のために必要な土地として,)亡Aから北海道室蘭市β31番10所在の宅地(以下「本件土地」という)のうち,11.50平方メートルを代金193万6600円で買い。 受けた(以下「本件売買契約」という。 。)また,北海道は,同日,亡Aとの間で,同人に対し,上記都市計画事業のために必要な土地である北海道室蘭市β31番5ないし10所在の居宅(以下「本件建物」という)を区域外に移転し,物件の移転料及びその。 他通常受ける損失の補償として,建物等移転補償費,動産移転料及び移転雑費の名目で,合計2億0798万5550円(以下「本件補償金」という)を支払う旨の契約(以下「本件物件移転契約」という)を締結し。 。 た(甲9の1。 )イ亡Aは,本件物件移転契約に基づき,北海道から本件補償金の支払を受けたが,平成12年11月20日,本件建物を区域外に移転せずに取り壊した(甲6。 )ウ原告らは,平成14年9月24日,被告に対し,本件補償金の取得により亡Aの本件課税期間に係る基準期間(平成12年1月1日から同年12月31日までの期間。以下「本件基準期間」という)における課税売上。 高が3000万円を超えることとなったとして,消費税法45条3項,地方税法72条の88第2項の規定により,亡Aに係る本件課税期間分の消費税等につき,別表の「確定申告」欄記載のとおり本件還付申告をし,控除不足還付税額等995万4040円の還付を求めた(乙1。 )エ被告は,本件還付申告の可否を調査したところ,本件補償金が移転補償金であり,課税売上高には含まれず,その結果,亡Aが,本件基準期間に 除不足還付税額等995万4040円の還付を求めた(乙1。 )エ被告は,本件還付申告の可否を調査したところ,本件補償金が移転補償金であり,課税売上高には含まれず,その結果,亡Aが,本件基準期間における課税売上高が3000万円以下であり,平成15年法律第8号によ- 3 -る改正前の消費税法(以下「改正前の消費税法」という)9条1項本文。 に規定する「消費税を納める義務を免除」される事業者(以下「免税事業者」という)に該当するから,消費税法30条1項に規定する課税仕入。 れに係る消費税額の控除の規定の適用はないと判断して(甲6,平成1)5年3月31日,原告らに対し,別表の「更正等処分」欄記載のとおり,控除不足還付税額等を0円,納付すべき税額を995万4040円とする本件更正処分をし,併せて,過少申告加算税の額を146万7500円とする本件賦課決定処分をした。 オ原告らは,平成15年5月21日,被告に対し,本件各処分について異議申立てをしたが,被告は,同年7月9日付けで,これらをいずれも棄却する旨の決定した。 さらに,原告らは,同年8月4日,国税不服審判所長に対し,審査請求をしたところ,同所長は,平成16年5月10日付けで,別表の「裁決欄」記載のとおり,本件更正処分の一部を取り消し,その余の審査請求を棄却する旨の裁決を行った。 ( )関係法令 ア国税通則法(以下「通則法」という)の規定。 (ア)通則法65条1項は,期限内申告書(還付請求申告書を含む)が。 提出された場合において,更正があったときは,当該納税者に対し,その更正に基づき,同法35条2項の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する旨を規定しており,また,同法65条2項は,前項の規定に該当する場合において, き,同法35条2項の規定により納付すべき税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する過少申告加算税を課する旨を規定しており,また,同法65条2項は,前項の規定に該当する場合において,同項に規定する納付すべき税額がその国税に係る期限内申告税額に相当する金額と50万円とのいずれか多い金額を超えるときは,同項の過少申告加算税の額は,同項の規定により計算した金額に,当該超える部分に相当する税額に100分の5の割合を乗じて計算した- 4 -金額を加算した金額とする旨を規定する。 (イ)前記(ア)の通則法35条2項の規定により納付すべき税額とは,「更正通知書に記載された同法28条2項3号イからハまで(更正により納付すべき税額)に掲げる金額」とされており(同法35条2項2号,同法28条2項は,更正通知書には,更正前の課税標準等及び税)額等並びに更正後の課税標準等及び税額等と共に「その更正前の還付,金の額に相当する税額がその更正により減少するときは,その減少する部分の税額」を記載しなければならない旨を規定する(同項3号ロ。 )(ウ)なお,通則法24条は,税務署長は,納税申告書の提出があった場合において,その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律に従っていなかったとき,その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは,その調査により,当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する旨を規定する。 イ消費税法等の規定(ア)消費税法30条1項によれば,消費税の納付税額は,課税期間中の課税標準額に対する消費税額から,その期間中の事業者(同法9条1項本文の規定による免税事業者を除く)が国内において行う課税仕入れ。 (同法2条1項12号)に係る消費税額等を控除して計算するものとされているが に対する消費税額から,その期間中の事業者(同法9条1項本文の規定による免税事業者を除く)が国内において行う課税仕入れ。 (同法2条1項12号)に係る消費税額等を控除して計算するものとされているが,それが当該課税期間の課税資産の譲渡等(同項9号)に係る消費税額を超える場合には,事業者(同法9条1項本文の規定による免税事業者を除く)の申告(同法45条1項)によりその控除不足額。 に相当する消費税を還付するものとされている(同法52条1項。 )(イ)改正前の消費税法9条1項本文は,事業者のうち,その課税期間に係る基準期間における課税売上高(消費税法9条2項)が3000万円以下である者について,免税事業者として消費税を納める義務を免除する旨を規定する。 - 5 -(ウ)前記(ア)の消費税法2条1項9号に規定する「課税資産の譲渡等」とは「資産の譲渡等のうち,同法6条1項の規定により消費税を課さ,ないこととされるもの以外のもの」をいうものとされ,この「資産の譲渡等」とは「事業として対価を得て行われる資産の譲渡及び貸付け並,びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む」をいうものとされている(同条1項8号。 。))さらに,消費税法施行令(以下「施行令」という)2条2項は,。 「事業者が,土地収用法その他の法律の規定に基づいてその所有権その他の権利を収用され,かつ,当該権利を取得する者から当該権利の消滅に係る補償金を取得した場合には,対価を得て資産の譲渡を行ったものとする」旨を規定する。 。 争点 ( )本件更正処分は適法か(具体的には,亡Aは本件課税期間において免税 事業者に当たるか否か)。 (原告らの主張)ア収用土地上 資産の譲渡を行ったものとする」旨を規定する。 。 争点 ( )本件更正処分は適法か(具体的には,亡Aは本件課税期間において免税 事業者に当たるか否か)。 (原告らの主張)ア収用土地上の建物については,起業者がそのまま事業の用に供することはほとんどないため,原則として移転補償金の名目で被収用者に補償金が支払われているが,現実には被収用者が曳家して当該建物を区域外に移転することはなく,当該建物を取り壊して他に代替建物を求めているのが通常である。そうすると,移転補償金の実態は買取代金であり,実質的には当該建物の所有権の消滅に係る対価補償金と差異はなく,それにもかかわらず,単に対価補償金か移転補償金かという形式的な違いにより,その扱いに大きく差異をつけるのは極めて不公平,不均衡である。この点について,法人税では租税特別措置法関係通達・法人税関係の64( )-8によ り,移転補償金であっても当該建物を取り壊したときは当該建物の当該補- 6 -償金は対価補償金として扱われており,消費税においても同様に扱われるべきである。 したがって,収用土地上の建物を取り壊した場合,施行令2条2項に規定する「補償金」には,移転補償金も含まれると解すべきである。 イまた,亡Aは,本件建物を区域外に移転することなく明渡期限までに全て取り壊し,本件補償金を取得していること,そして,本件土地の売却代金と本件補償金を原資にして訴外株式会社ケイティ大阪商事(以下「ケイティ大阪商事」という)から代替事業資産として立体駐車場を購入して。 いることに照らせば,本件補償金は,名目は移転補償金であるとしても,その実態は対価補償金というべきである。 ウさらに,土地収用法の観点から検討すると,施行令2条2項が例外的に補償金の取得を「対価を得て資産の譲渡を行ったものと 金は,名目は移転補償金であるとしても,その実態は対価補償金というべきである。 ウさらに,土地収用法の観点から検討すると,施行令2条2項が例外的に補償金の取得を「対価を得て資産の譲渡を行ったものとする」と定めたのは,土地収用法に基づいて支払われた補償金が収用により被った損失を回復するための取引に支出され,それに伴って消費税が発生するような場合に,かかる例外規定があった方がより適切な損失の補償になると考えたからである。そして,起業者である北海道は,その作成した「公共事業用資産の買取り等の証明書(甲9の2)において消費税等相当額約900万」円余りを補償金額の一部として記載しているから,本件補償金は,その補償の根幹をなす金額の算定において,既に消費税の課税対象取引,すなわち,収用対象の建物を他の場所に新築するという建物の建築を前提に行われており,本件補償金の取得も「対価を得て資産の譲渡を行ったもの」としなければ,損失の補償は達成できない。 エ以上によれば,本件補償金は,施行令2条2項に規定する「補償金」に当たるというべきである。そうすると,本件補償金は,消費税法上の資産の譲渡等の対価の額に当たり,亡Aの本件基準期間における課税売上高は2億0798万5550円(うち消費税相当額986万6550円)とな- 7 -り,課税売上高は3000万円を超えるから,亡Aは,本件課税期間において免税事業者には当たらず,消費税法30条1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の控除の適用を受けられると解すべきである。 したがって,本件更正処分は,違法である。 (被告の主張)ア施行令2条2項に規定する「補償金」の意義施行令2条2項は,その文言から,収用の目的となった権利の消滅による損失を補償するための対価たる補償金(対価補償金)を規定する条文であることは の主張)ア施行令2条2項に規定する「補償金」の意義施行令2条2項は,その文言から,収用の目的となった権利の消滅による損失を補償するための対価たる補償金(対価補償金)を規定する条文であることは明らかである。 また,消費税法2条1項8号に規定する「資産の譲渡」とは,資産につきその同一性を保持しつつ,他人に移転することをいうところ,土地収用法上,起業者は,収用によってその目的物を原始取得すると解されるため,土地収用法による収用が行われる場合には,当然には上記「資産の譲渡」には当たらないが,その経済実態は,承継取得と同様に扱うのが適当と考えられることから,施行令2条2項は,資産の収用等に際して,その資産の所有権等の権利を取得する者(収用者)から,原権利者(被収用者)の権利が消滅することの対価として支払われる補償金に限り,例外的に「資産の譲渡に類する行為」として課税対象としたものである。したがって,同項の「補償金」の意義については,厳密に解釈されるべきであり,安易な拡張解釈は許されない。 なお,消費税法基本通達5-2-10も,上記法令の趣旨を踏まえ,施行令2条2項に規定する「補償金」とは,対価補償金をいい,資産の移転に要する費用の補てんに充てんするものとして交付を受ける補償金やその他対価補償金たる実質を有しない補償金は,対価補償金には該当しない旨規定している。 したがって,施行令2条2項に規定する「補償金」は,対価補償金に限- 8 -られると解すべきである。 イ本件補償金の性格本件物件移転契約の契約書には,本件補償金が北海道が施行する事業のために必要な土地に存する本件建物についての「建物等移転補償費,」「動産移転料」及び「移転雑費」の補償であることが明記されていること,また,本件売買契約及び本件物件移転契約によれば,北海道が事業の ために必要な土地に存する本件建物についての「建物等移転補償費,」「動産移転料」及び「移転雑費」の補償であることが明記されていること,また,本件売買契約及び本件物件移転契約によれば,北海道が事業の用に供する必要のあるものとして亡Aから権利を取得したのは本件土地であるのに対し,収用土地上に存する本件建物及び本件建物内の動産は,北海道の事業の用に供する必要のない物件であることからすれば,本件物件移転契約において北海道が本件建物及び本件建物内の動産の権利を取得して,その対価を補償したといえないことは明らかである。 したがって,本件補償金は,移転補償金又は狭義の通損補償金としての性格を有するものであって,形式的にも実質的にも対価補償金としての性格を有するものとはいえない。 ウ原告らの主張に対する反論(ア)本件補償金の取得が施行令2条2項に該当するか否かは,消費税の課税対象に含まれるか否かの問題であるから,租税法律主義(課税要件法定主義)の要請から,法律又は法律の具体的個別的委任を受けた政令・省令に定めがない限り,安易に拡張解釈して法律又は政令・省令に定めがない取引を消費税の課税対象に含まれるものと解釈することは許されない。原告らの主張するところは,結局,法人税・所得税の通達を根拠として,消費税の課税対象の範囲を定めるに等しいものであって,そのような解釈は租税法律主義(課税要件法定主義)に明らかに反するものであって,失当である。 また,所得税法・法人税法に関する租税特別措置法関係通達は,いずれも納税者に有利な優遇措置を認める租税特別措置法の解釈規定であり,- 9 -かつ,租税特別措置法の要件を納税者に有利に緩和した規定であるから,通達の制定に正当な目的があり,通達の内容に合理性があるなどの要件を満たす限り,通達により法の要件を緩和して 定であり,- 9 -かつ,租税特別措置法の要件を納税者に有利に緩和した規定であるから,通達の制定に正当な目的があり,通達の内容に合理性があるなどの要件を満たす限り,通達により法の要件を緩和して解釈することも許される。 これに対し,施行令2条2項は,消費税の課税対象を定める規定であるから,厳格な解釈によらざるを得ず,それぞれの税目及び規定の趣旨が異なる以上,移転補償金の解釈及びその取扱いが異なることは当然である。 (イ)北海道が補償の対象となる損失の中に本件建物の移転に要する費用(建物の曳家工事費等)に係る消費税等相当額を含めたところで本件補償金を算定することと,亡Aが受領した本件補償金の消費税法上の取扱いとは,それぞれその意義を全く異にするものであって,本件補償金の消費税法上の取扱いが,あたかも補償金額の算定方法によって決まるかのような原告らの主張は失当である。 エ以上によれば,本件補償金は,施行令2条2項に規定する「補償金」に当たらないというべきである。そうすると,本件補償金は,消費税法上の資産の譲渡等の対価の額に当たらず,亡Aの本件基準期間における課税売上高は0円となり,課税売上高は3000万円以下となるから,亡Aは,本件課税期間において免税事業者に当たり,消費税法30条1項に規定する課税仕入れに係る消費税額の控除の適用は受けられない。 したがって,本件更正処分は適法である。 ( )本件賦課決定処分は適法か。 (原告らの主張)ア争点( )に関する原告らの主張のとおり,亡Aは,消費税法上の免税事 業者には当たらず,本件更正処分は違法であるから,本件賦課決定処分も当然に違法となる。 イ仮に亡Aが消費税法上の免税事業者に当たるとしても,次のとおり,原- 10 -告らは「納税者(通則法2条5号「当該納税者(同法65条 分は違法であるから,本件賦課決定処分も当然に違法となる。 イ仮に亡Aが消費税法上の免税事業者に当たるとしても,次のとおり,原- 10 -告らは「納税者(通則法2条5号「当該納税者(同法65条1項),」),」には当たらないから,本件賦課決定処分は違法である。 (ア)申告納税方式において,申告行為に租税債権関係に関する何らかの効力が与えられるとしても,申告後に,税務署長による処分があれば,申告行為いかんを問わず,その税務署長の処分により,租税債権関係は確定すると解すべきである。そして,当該処分により,課税要件事実の発生が認められなければ,当該申告者は納税義務者ではない。被告が本件更正処分において原告らの納税義務を否定しつつ,本件更正処分においてはその納税義務の存在を前提とすることは理論的に矛盾している。 したがって,亡Aは,消費税法上の課税事業者ではないとする被告の主張が正当であるならば,同法上の納税者とはいえないはずである。 (イ)通則法35条2項は「国税の納税者は」と規定していることから,明らかなとおり,既に成立している納税義務についての納期限を定めたものにすぎず,納税義務を賦課する規定ではない。 また,同法56条1項所定の還付金の法的性質は,国が保有すべき正当な理由がないため還付を要する利得,すなわち,不当利得であるが,還付金の額が更正によって減少する場合には,申告者の納税義務の増加したことが判明したことを原因として不当利得関係を調整する必要が生じる場合もあるが,たとえば,申告者が消費税の課税事業者ではないので還付は認められないとするときのように申告者の納税義務には無関係に不当利得を調整しなければならない場合もあるところ,後者の場合,還付金の減額部分に対応する申告者側の納税義務は,そもそもいかなる意味でもあり得な れないとするときのように申告者の納税義務には無関係に不当利得を調整しなければならない場合もあるところ,後者の場合,還付金の減額部分に対応する申告者側の納税義務は,そもそもいかなる意味でもあり得ないことになるから,このようなときも前者の場合に適用される通則法28条2項3号ロ,35条2項,65条1項の場合に含まれると解釈したのでは,これらの各文言の意味は全く不可解というほかなく,同法35条2項を適用する前提を欠く。 - 11 -したがって,亡Aは,消費税法上の課税事業ではないとする被告の主張が正当であるならば,通則法上の納税者にも当たらない。 (ウ)被告は本件還付申告に基づき現実に還付しておらず,亡Aが還付金を一度も保有したことがなく,既に被告が保有している金員について,亡Aに「納税義務」を課して同人を「納税者」とすることは,過少申告加算税の賦課を正当化するためだけの極めていびつで不自然な理論である。 (被告の主張)ア本件賦課決定処分の根拠原告らは,亡Aの本件課税期間に係る消費税等について,還付金の額を過大に記載した本件還付申告書を被告に提出したものであり,また,還付金の額を過大に申告したことについて通則法64条4項に規定する正当な理由は存在しない。したがって,原告らの負担する過少申告加算税の金額は,地方税法附則9条の9第1項及び3項の規定により,本件更正処分によって原告らが新たに納付すべきこととなった消費税額及び譲渡割額の合計額995万円に,100分の10(通則法65条1項)を乗じて得た金額99万5000円と,上記995万円から50万円を控除した金額945万円に100分の5(同条2項)を乗じて得た金額47万2500円の合計額である146万7500円となる。 イ本件賦課決定処分の適法性(ア)申告納税方式の場合,いったん私人 円を控除した金額945万円に100分の5(同条2項)を乗じて得た金額47万2500円の合計額である146万7500円となる。 イ本件賦課決定処分の適法性(ア)申告納税方式の場合,いったん私人が自ら納税義務を負担するとして納税申告したならば,実体上の課税要件の充足を必要な前提条件とすることなく,同申告行為に租税債権関係に関する形成的効力が与えられ,税額の確定された具体的納税義務が成立する。そして,原告らは,亡Aが課税事業者であったとして,本件還付申告に及んだのであるから,本件還付申告に伴う租税債権関係に関する形成的効力により,課税標準額- 12 -に対する消費税額が0円,控除不足還付税額等が995万4040円という納税義務を負担し(通則法16条1項1号,その結果,被告は,)原告らに対し,控除不足還付税額995万4040円に相当する消費税を還付する義務を負担した(消費税法52条1項。 )(イ)通則法35条2項は,更正等により納付すべき税額等が確定した場合において,直接納税者にその確定した納付すべき税額の納付を命ずるとともに,その下命の内容である納付すべき税額及び納期限を規定したものである。そして,被告は,控除不足還付税額等を0円とする本件更正処分を行い,その結果,原告らは,被告に対し「その更正前の還付,金の額に相当する税額がその更正により減少するときは,その減少する部分の税額(同法28条2項3号ロ)である995万4040円の納」税義務を新たに負担した(同法35条2項2号。 )(ウ)原告らは本件還付申告に伴う形成的効力によりいったん被告に対し還付金請求権を取得するという前提に立つ以上,本件更正処分により還付金の額に相当する税額が減少する場合の当該減少部分の税額の返還義務は,まさに原告らが負担する納税義務(還付金返還義 ったん被告に対し還付金請求権を取得するという前提に立つ以上,本件更正処分により還付金の額に相当する税額が減少する場合の当該減少部分の税額の返還義務は,まさに原告らが負担する納税義務(還付金返還義務)なのであるから,還付金請求権と還付金返還義務を充当関係により処理しようとすることは何ら不合理なことではなく,納税義務は還付金が授受されたか否かによって左右されるものではない。 (エ)そうすると,原告らは「国税に関する法律の規定」である通則法,35条2項により「国税」995万4040円を納める義務を負担し,たのであるから「納税者(同法2条5号)ひいては「当該納税者」,」(同法65条1項)に当たる。 したがって,被告がした本件賦課決定処分は,適法である。 ウ原告らの主張に対する反論(ア)申告納税制度の下では,納税者たる私人の行う納税申告には課税標- 13 -準等や税額等を確定する公法上の法律効果が付与されているから,仮に,本来個別税法の納税義務のない者が,虚偽の申告をした場合であっても,当該申告書に記載された納付すべき税額ないし還付金の額に相当する税額については,税務署長又は税関長が更正又は再更正を行わない限り確定することとなる。そうすると,申告納税方式の下では,本来個別税法の納税義務のない者が納税義務を負う,あるいは,本来個別税法の納税義務のない者に対して,国が還付する場合もあり得る。したがって,原告らの主張は,通則法の採用した申告納税方式の意義を正解しないものであって,失当である。 (イ)通則法の条文の構造からすると,納税申告並びに更正又は決定に関する同法17条ないし30条は「申告納税方式による国税に係る税額,等の確定手続」について定めているにすぎず,納税者は「国税の納,付」に関する規定(同法34条ないし35条)に びに更正又は決定に関する同法17条ないし30条は「申告納税方式による国税に係る税額,等の確定手続」について定めているにすぎず,納税者は「国税の納,付」に関する規定(同法34条ないし35条)により,初めて具体的な納税義務を負担することになるから,同法35条1項ないし3項の「国に納付しなければならない」という文言は,まさに具体的な納税義務の発生を根拠付ける条文である。このことは,同法35条2項と同趣旨と考えられる同条1項及び3項において「期限内申告書を提出した納税,者「賦課決定通知書を付けた納税者」という表現ではなく「期限内」,,申告書を提出した者(同条1項「賦課決定通知書を受けた者(同」),」条3項)という表現が用いられていることからも明らかである。したがって,原告らの主張は,同法35条2項の解釈を誤ったものであり,失当である。 また,国が確定申告の形成的効力により申告者に対して還付金を還付すべき義務を負う場合において,申告者が消費税の課税事業者ではないので還付は認められないとするときは,国は更正処分により申告者に納税義務を新たに負担させることによって実質的に不当利得を調整する- 14 -ものである。したがって,原告らの主張は,申告者が消費税の課税事業者でないので還付は認められないとするときは申告者に納税義務には無関係に不当利得を調整しなければならない場合に当たるという前提において誤りがあり,失当である。 (ウ)原告らは本件還付申告に伴う形成的効力によりいったん被告に対し還付金請求権を取得するという前提に立つ以上,本件更正処分により還付金の額に相当する税額が減少した場合の当該減少部分の税額の返還義務は,原告が新たに負担する納税義務(還付金返還義務)なのであるから,還付金請求権と還付金返還義務を充当関係により 件更正処分により還付金の額に相当する税額が減少した場合の当該減少部分の税額の返還義務は,原告が新たに負担する納税義務(還付金返還義務)なのであるから,還付金請求権と還付金返還義務を充当関係により処理しようとすることは何ら不合理なことではなく,納税義務は還付金が授受されたか否かによって左右されるものではない。 第3当裁判所の判断 本件更正処分の適法性(争点( )について) ( )問題の所在 消費税法30条1項の課税仕入れに係る消費税額の控除の規定を適用して控除不足税額の還付(同法52条1項)を受けることができる者は「事業,者(同法9条1項本文の規定により消費税を納める義務が免除される事業者を除く(同法30条1項,45条1項)に限られ,免税事業者はそれか。)」ら除外されている。したがって,本件更正処分の適法性については,亡Aが免税事業者に該当するか否かにより決まることになる。なお,免税事業者であっても,同法9条4項に規定する同条1項本文の規定の適用を受けない旨を記載した届出書を提出した場合には,その翌課税期間以後の課税期間中において国内において行う課税資産の譲渡等については,改正前の消費税法9条1項本文の規定は適用されず(同条4項,その結果,消費税法30条1)項,45項1項の規定の適用を受けることができるが,本件では,亡Aが上記届出書を提出していないことは当事者間に争いはない。 - 15 -( )ア改正前の消費税法9条1項によれば,免税事業者とは「事業者のう ,ち,その課税期間に係る基準期間における課税売上高が3000万円以下である者」であるところ,この「課税売上高」とは,当該事業者が個人事業者の場合,基準期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から,その基準期間中の売上げに係る対価の返 0万円以下である者」であるところ,この「課税売上高」とは,当該事業者が個人事業者の場合,基準期間中に国内において行った課税資産の譲渡等の対価の額の合計額から,その基準期間中の売上げに係る対価の返還等の金額の合計額を控除した残額をいうものとされている(同条2項1号。そして,)上記の「課税資産の譲渡等」とは「資産の譲渡等のうち,消費税法6条,1項の規定により消費税を課さないこととされるもの以外のもの」をいい(同法2条1項9号,また「資産の譲渡等」とは「事業として対価を),,得て行われる資産の譲渡及び貸付け並びに役務の提供(代物弁済による資産の譲渡その他対価を得て行われる資産の譲渡若しくは貸付け又は役務の提供に類する行為として政令で定めるものを含む」をいうものとされ。)ている(同法2条1項8号。 )さらに,施行令2条2項は,消費税法2条1項8号の委任を受けて,「事業者が,土地収用法その他の法律の規定に基づいてその所有権その他の権利を収用され,かつ,当該権利を取得する者から当該権利の消滅に係る補償金を取得した場合には,対価を得て資産の譲渡を行ったものとする」と規定する。 。 イところで,消費税は,各取引段階において移転,付与される付加価値に着目して課される付加価値税の性質を有する多段階一般消費税であって,各取引において付加価値の移転等がある場合には課税の問題が生じるが,付加価値の移転等が生じない場合には理論上は課税の問題は生じないこととなる。これを国内取引についてみると,消費税法は,権利等の資産の譲渡により譲渡人の下で生じた付加価値が移転することをとらえ,消費税の課税対象としているのであり,他方,単に権利等の資産が消滅する場合には,当該資産を有する者の下で発生した付加価値が移転すると観念するこ- 16 -とはできない 価値が移転することをとらえ,消費税の課税対象としているのであり,他方,単に権利等の資産が消滅する場合には,当該資産を有する者の下で発生した付加価値が移転すると観念するこ- 16 -とはできないから,理論上は課税の問題は生じないものとしている。したがって「資産の譲渡(消費税法2条1項8号)とは,資産につきその,」同一性を保持しつつ他人に移転することをいい,単に資産が消滅したという場合はこれに含まれないものと解するのが相当であり,これと同旨の消費税法基本通達5-2-1は合理性を有するものということができる。 ウそして,起業者が事業のために必要があるとして土地収用法等に基づき資産を収用する場合,当該資産の所有権その他の権利はいったん消滅し,起業者(収用者)が当該権利を原始取得するものと解されるから,当該資産につきその同一性を保持しつつ他人に移転することとみることはできず,当該収用する行為は,本来,前記の「資産の譲渡」には当たらないということになる。しかし,起業者が当該権利を取得し,当該資産をそのまま使用するという実態に着目すれば,実質的には資産の譲渡と変わらないことから,施行令2条2項は,例外的に同項に規定する「補償金」を取得した場合に限り「対価を得て資産の譲渡」を行ったものと扱うこととしたの,である。 したがって,施行令2条2項に規定する「補償金」とは,収用の目的となった資産の所有権その他の権利を取得する者から,原権利者の権利が収用によって消滅することの対価として支払われる補償金(対価補償金)に限られると解すべきであって,当該資産の移転に要する費用の補てんに充てるために支払われる補償金(移転補償金)はこれに含まれないものと解するのが相当である。 エこれに対し,原告らは,土地の収用等に伴い,起業者から支払われる当該土地上にあ 転に要する費用の補てんに充てるために支払われる補償金(移転補償金)はこれに含まれないものと解するのが相当である。 エこれに対し,原告らは,土地の収用等に伴い,起業者から支払われる当該土地上にある建物の移転補償金であっても,当該建物を取り壊した場合には,当該建物の所有権その他の権利の消滅に対する補償金といえるから,施行令2条2項に規定する「補償金」に該当すると解すべきであると主張する。 - 17 -しかし,この場合,当該建物の所有権その他の権利は,被収用者が当該建物を移転することはせず,取り壊すことによって消滅するのであって,収用によって消滅するものではなく,また,起業者(収用者)が当該建物につき所有権その他の権利を取得して使用するという実態もないから,前記の資産の譲渡とみることはできない。したがって,原告らの主張は採用できない。 オまた,原告らは,法人税法上,土地の収用等に伴い,起業者から支払われる当該土地上にある建物の移転補償金であっても,当該建物を取り壊したときは当該補償金を当該建物の対価補償金として扱われるところ(租税特別措置法関係通達64( )-8,消費税法上も同様に扱われるべきで )あると主張する。 しかし,租税特別措置法関係通達64( )-8は,建物を移転させて再 度これを使用することが事実上困難な場合,被収用者は,収用等に伴い代替資産の取得を余儀なくされることから,対価補償金の支払を受けた場合と同様に,法人税に関する措置法64条の解釈通達として,代替資産の帳簿価額の圧縮記帳等の特例の適用を認めたものである。これに対し,前記説示のとおり,施行令2条2項は,消費税の課税対象の範囲を定める規定であって,租税法律主義(課税要件法定主義)の観点から厳格な解釈によるべきであり,移転補償金の解釈や取扱いに前記のとおり差 し,前記説示のとおり,施行令2条2項は,消費税の課税対象の範囲を定める規定であって,租税法律主義(課税要件法定主義)の観点から厳格な解釈によるべきであり,移転補償金の解釈や取扱いに前記のとおり差異を設けることは,法人税課税と消費税課税の趣旨や税目等が異なる以上,何ら不合理ではない。原告らの主張は,法人税の通達を根拠として,消費税の課税対象の範囲を定めることに帰着するものであって,採用できない。 ( )以上を前提にして,本件補償金が施行令2条2項に規定する「補償金」 に該当するか否かを検討する。 この点について,原告らは,本件建物を移転せずに全て取り壊した上,その後,代替事業資産としてケイティ大阪商事から立体駐車場を購入している- 18 -ものであり,本件補償金は実質的には対価補償金であり,施行令2条2項に規定する「補償金」に該当すると主張する。 しかしながら,前記第2の1で認定したとおり,起業者である北海道が事業のために必要であるとして亡Aから取得したものは本件土地の所有権であって本件建物の所有権ではなく,北海道が本件建物をそのまま使用するという実態もないこと,本件物件移転契約の契約書(甲9の1)には,本件補償金が本件建物の移転料及びその他通常受ける損失の補償であり,具体的には「建物等移転補償費「動産移転料」及び「移転雑費」であることが明記」,されていること,また「公共事業用資産の買取り等の申出証明書(甲8,」の2)の「摘要」欄には「建物等移転補償住宅1棟」と記載され,さら,に「公共事業用資産の買取り等の証明書(甲9の2)の「摘要」欄には,,」「建物等移転補償196,728,065円(消費税相当額9,836,354円「動産移転料360,400円(消費税相当額18,02)」0円「移転雑費1,03 の「摘要」欄には,,」「建物等移転補償196,728,065円(消費税相当額9,836,354円「動産移転料360,400円(消費税相当額18,02)」0円「移転雑費1,031,004円(消費税相当額12,176)」円」と記載されていることに照らせば,本件補償金は,本件建物の対価補)償金とは認められず,亡Aが本件建物を移転するのに要する費用を補填するために支払われた補償金(移転補償金)であることは明らかである。 したがって,本件補償金は,施行令2条2項に規定する「補償金」に該当しないものというべきである。 ( )以上によれば,本件補償金は,消費税法2条1項8号に規定する資産の 譲渡の対価とは認められず,亡Aの本件基準期間における課税資産の譲渡等の対価は存在しないことになり,上記期間における課税売上高は0円となるから,亡Aは,本件課税期間における免税事業者に該当する。そうすると,亡Aの本件課税期間に係る消費税の課税標準額,消費税額,控除仕入税額及び控除不足還付税額並びに地方消費税の課税標準となる消費税額(控除不足還付税額,譲渡割額(還付額)及び消費税等の合計(還付)税額は,いず)- 19 -れも0円となるから,差引納付すべき税額は,通則法35条2項2号,28条2項3号,119条1項に基づいて,995万4000円となり,本件更正処分(ただし,審査裁決により一部取り消された後のもの)における差引納付すべき税額と同額となる。 したがって,本件更正処分(ただし,審査裁決により一部取り消された後のもの)は適法というべきである。 本件賦課決定処分の適法性(争点( )について) ( )過少申告加算税を定めた通則法65条1項は,期限内申告書(還付請求 申告書を含む)が提出され,その後更正があった場合において,そ る。 本件賦課決定処分の適法性(争点( )について) ( )過少申告加算税を定めた通則法65条1項は,期限内申告書(還付請求 申告書を含む)が提出され,その後更正があった場合において,その更正。 に基づき同法35条2項の規定により納付すべき税額を基礎として過少申告加算税を賦課すると規定し,同項2号は,更正通知書に記載された同法28条2項3号イからハまでに掲げる金額を「更正により納付すべき税額」とし,さらに,同号ロは,更正通知書には「その更正前の還付金の額に相当する税額がその更正により減少するときは,その減少する部分の税額」を記載しなければならないと規定している。 そうすると,上記各規定の文言に照らせば,通則法は,単に納付すべき税額が増加する場合に限らず,還付金の額に相当する税額が更正により減少する場合についても,その減少する部分の税額について過少申告加算税賦課の対象としていることは明らかであり,このことは,同法65条4項が,更正前の税額の括弧書として「還付金の額に相当する税額を含む」と規定し,(。)更正によって減少する還付金の額に相当する税額に対しても,過少申告加算税が賦課されることを当然の前提としていることからも裏付けられるところである。 ( )ところで,原告らは,①仮に亡Aが消費税法上の課税事業者ではないと した場合,同人は同法上の納税義務者ではなくなること,また,②過少申告加算税を賦課することができるのは,納付すべき税額が増加する場合に限ら- 20 -れ,通則法28条2項3号ロもその限度で意味を有するにすぎず,更正によって申告者の納税義務には無関係に不当利得を調整しなければならない場合には,還付金の減額部分に対応する申告者の納税義務はいかなる意味でもあり得ないことから,亡Aは,同法2条5号に規定する「納税 によって申告者の納税義務には無関係に不当利得を調整しなければならない場合には,還付金の減額部分に対応する申告者の納税義務はいかなる意味でもあり得ないことから,亡Aは,同法2条5号に規定する「納税者,同法65」条1項に規定する「当該納税者」には当たらないので,過少申告加算税を課すことは許されないと主張する。 しかし,消費税法は,納付すべき税額の確定の方式について申告納税方式を採用している(消費税法45条等)から「納付すべき税額が納税者のす,る申告により確定することを原則とし,その申告がない場合又はその申告に係る税額の計算が国税に関する法律の規定に従っていなかった場合その他当該税額が税務署長又は税関長の調査したところと異なる場合に限り,税務署」。 長又は税関長の処分により確定する(通則法16条1項1号)こととなるそして,申告納税方式の場合,いったん私人が自ら納税義務を負担するとして納税申告をしたならば,実体上の課税要件の充足を必要的な前提条件とすることなく,同申告行為に租税債権関係に関する形成的効力が与えられ,税額の確定された具体的義務が成立すると解すべきであるから,納税申告行為が無効ではなく,有効に成立している以上,結果的に実体上の課税要件事実が発生しなかったというだけで,形成された納税義務者としての地位が否定されるものではないと解するのが相当である。 前記認定のとおり,原告らは,亡Aが本件課税期間において免税事業者に当たらず課税事業者であるとして,本件還付申告をしたものであるから,本件還付申告の時点で,課税標準額に対する消費税額が0円,控除不足還付税額等が995万4040円の納税義務を負担し,その結果,被告は,原告らに対し,控除不足還付税額等995万4040円に相当する還付金を還付すべき義務を負担したことになる(消費税法52 ,控除不足還付税額等が995万4040円の納税義務を負担し,その結果,被告は,原告らに対し,控除不足還付税額等995万4040円に相当する還付金を還付すべき義務を負担したことになる(消費税法52条。そして,通則法28条)2項3号ロ,35条2項2号の規定は,還付請求者が現実に納税義務を負っ- 21 -ているか否かを区別していないから,被告は,本件還付申告に基づいて,必要な更正処分をなし得るのであって,本件の場合,亡Aが本件課税期間において免税事業者に当たり,課税事業者でないことが判明したことにより,本件更正処分により,控除不足還付税額等が0円とされて,原告らは,被告に対し,減少した還付金の返還義務を負うこととされたものである(同法28条2項3号ロ,35条2項2号。 )このような原告らの還付金の返還義務は,一般の納税義務の性質と異なるものではなく,先に還付金を受領していたか否かによって本来の性質が変わるものでもなく,理論的には被告が本件還付申告による還付金を還付する一方,原告らが本件更正処分により減少した部分の還付金を納税することが想定されているが,還付金がまだ還付されていない場合には,被告によって原告らの還付金返還義務に上記の還付すべき還付金が充当され得る関係に立つというべきである。そうすると,原告らは,本件更正処分によって本件還付申告時から減少した部分の還付金を返還する義務を負ったものであり,通則法2条5号に規定する「納税者」及び同法65条1項に規定する「当該納税者」に当たるものと解するのが相当である。 したがって,原告らの主張は採用できない。 ( )また,原告らは,被告が本件還付申告に基づき現実に還付しておらず, 亡Aは還付金を一度も保有したことがないので,過少申告加算税を賦課すべきでない旨主張する。 しかし,過少申告加 できない。 ( )また,原告らは,被告が本件還付申告に基づき現実に還付しておらず, 亡Aは還付金を一度も保有したことがないので,過少申告加算税を賦課すべきでない旨主張する。 しかし,過少申告加算税の制度は,申告納税方式の下において,納税者の申告は納税義務を確定する上で重要であり,適正な申告をしない納税者に対して一定の制裁を加え,その申告秩序の維持を図ることを目的としたものであるから,過大な還付金を申告した場合には,その還付金が現実に納税者に還付されているかどうかにかかわらず,同申告によって過少申告加算税が賦課されるのは当然のことである。このことは,過少申告加算税を定めた通則- 22 -法65条1項が現実に還付請求申告書のとおりの還付がなされたか否かを区別していないことからも明らかである。 したがって,原告らの主張は採用できない。 ( )以上によれば,本件に係る過少申告加算税の金額は,地方税法附則9条 の9第1項及び3項の規定により,本件更正処分により原告らが新たに納付すべきこととなった消費税額及び還付割額の合計額995万円(ただし,通則法118条3項の規定により1万円未満の端数を切り捨てた後の金額)を基に,①これに100分の10(同法65条1項)を乗じて得た金額99万5000円と,②上記995万円から50万円を控除した金額945万円に100分の5(同条2項)を乗じて得た金額47万2500円を加算した合計146万7500円となり,本件賦課決定処分における過少申告加算税額(別表の「更正等処分」欄記載のとおり)と同額になる。 したがって,本件賦課決定処分は適法というべきである。 第4 結論 以上によれば,原告らの本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条 件賦課決定処分は適法というべきである。 第4 結論 以上によれば,原告らの本訴請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,訴訟費用の負担について行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり判決する。 札幌地方裁判所民事第3部裁判長裁判官生野考司裁判官宮島文邦- 23 -裁判官蔵本匡成
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