平成17年12月21日判決言渡同日原本領収裁判所書記官平成16年(行ウ)第59号ないし第61号所得税更正処分等取消請求各事件(以下,個別にはそれぞれの事件番号に即して「59号事件」のように表記する。)口頭弁論終結の日平成17年8月25日判決 主文 1(59号事件)(1) 59号事件被告が,平成14年3月13日付けでした59号事件原告の平成10年分所得税の更正処分(ただし,所得金額を6550万1256円として計算した額を超える部分)及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 (2) 59号事件被告が,平成14年3月13日付けでした59号事件原告の平成11年分所得税の更正処分(ただし,所得金額を5722万7466円として計算した額を超える部分)及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 (3) 59号事件被告が,平成14年3月13日付けでした59号事件原告の平成12年分所得税の更正処分(ただし,所得金額を5323万4938円として計算した額を超える部分)及び過少申告加算税賦課決定処分を取り消す。 2(60号事件)60号事件被告が,平成14年3月13日付けでした60号事件原告の平成12年分所得税の更正処分(ただし,所得金額を1675万6976円として計算した額を超える部分)及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし,いずれも裁決によって一部取り消された後のもの)を取り消す。 3(61号事件)61号事件被告が,平成14年3月13日付けでした61号事件原告の平成12年分所得税の更正処分(ただし,所得金額を941万0661円として計算した額を超える部分)及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし,いずれも裁決によって一部取り消された後のもの)を取り消す。 4 訴訟費用は被告らの負 (ただし,所得金額を941万0661円として計算した額を超える部分)及び過少申告加算税賦課決定処分(ただし,いずれも裁決によって一部取り消された後のもの)を取り消す。 4 訴訟費用は被告らの負担とする。 事実及び理由 第1 原告らの請求主文同旨第2 事案の概要本件は,原告らが,それぞれ組合員となっている民法上の組合として行った船舶賃貸事業に係る収益が不動産所得(所得税法26条1項)に当たることを前提に,その減価償却費等を損益通算して所得税の確定申告を行ったのに対し,被告らが,原告らの締結した組合参加契約は民法上の組合契約ではなく,利益配当契約にすぎないことを理由に,同収益は雑所得(同法35条1項)であって損益通算は許されないとして,原告らに対し,主文掲記の各更正処分及び各過少申告加算税賦課決定処分(以下,これらを「本件各処分」と総称する。)をしたことから,原告らが,本件各処分(ただし,更正処分については,原告らが自認する総所得金額を前提として計算された額を超える部分。また,60号事件及び61号事件については,裁決で一部取り消された後のもの)の取消しを求めた抗告訴訟である。 1 前提事実(当事者間に争いのない事実,証拠から容易に認定できる事実等)(1) 課税の経緯ア原告らが,前記各年分の所得税についてした確定申告及び修正申告(59号事件原告及び61号事件原告)並びに被告らが平成14年1月18日付けでした上記修正申告に伴う過少申告加算税賦課決定処分及び同年3月13日付けでした本件各処分の経緯は,別表1の1ないし3の当該欄に記載のとおりである。 イ被告らによる本件各処分(ただし,裁決による一部取消し後のもの)の根拠となった認定に係る原告らの総所得金額は,それぞれ別表2の1ないし3記載 は,別表1の1ないし3の当該欄に記載のとおりである。 イ被告らによる本件各処分(ただし,裁決による一部取消し後のもの)の根拠となった認定に係る原告らの総所得金額は,それぞれ別表2の1ないし3記載のとおりであり,不動産所得に係る収入金額及び必要経費の内訳は,それぞれ別表3の1ないし3記載のとおりである。 (2) 原告らによる不服申立てと本訴提起原告らは,それぞれ,平成14年5月1日,本件各処分を不服として,被告らに対し異議を申し立てたところ,被告らは,同年8月1日,上記異議をいずれも棄却した。さらに,原告らは,それぞれ,同月29日,審査請求をしたところ,国税不服審判所長は,平成16年7月8日,59号事件原告については棄却する旨の裁決,60号事件原告及び61号事件原告については雑所得の金額をゼロとすることに伴う一部認容の裁決をし,そのころ,原告らに通知した。以上の経緯は,別表1の1ないし3の当該欄に記載のとおりである。 そこで,原告らは,同年10月8日,本件各処分(ただし,更正処分については,原告らが自認する総所得金額を前提として計算された額を超える部分。また,60号事件及び61号事件については,裁決で一部取り消された後のもの)の取消しを求めて,本訴を提起した。 (3) 船舶賃貸事業等の概要ア船舶賃貸事業の企画,勧誘住商リース株式会社(以下「住商リース」という。)は,平成6年ころ,個人を対象として,民法上の組合形式で行う船舶賃貸事業(以下「本件賃貸事業」と総称する。)を企画・研究し,平成7年ころから,「船舶用船事業のご案内」と題するパンフレット(以下「ご案内」という。甲B17,甲C16,乙A1,乙B6,乙C4)等を示して,本件賃貸事業への参加の勧誘を開始した。 イ本件賃貸事業の基本的な仕組み住商リースが企画し,勧誘した本件賃貸事業 ット(以下「ご案内」という。甲B17,甲C16,乙A1,乙B6,乙C4)等を示して,本件賃貸事業への参加の勧誘を開始した。 イ本件賃貸事業の基本的な仕組み住商リースが企画し,勧誘した本件賃貸事業の基本的な仕組みは,以下のとおりである。 まず,住商リース及び同社の100パーセント子会社であるエスシーエル・マリタイム株式会社(以下「SCLマリタイム」という。)は,大型船舶の共有持分権を出資し,これを利用して賃貸事業を行うことを目的とする民法上の組合を設立し,その組合員を募集する。 上記組合に参加を希望する個人は,SCLマリタイムが取得した大型船舶の共有持分権を購入する(1口5000万円)と同時に,これを出資して,上記組合に参加する旨の契約を締結する。組合参加希望者が上記共有持分権を購入するに際しては,住商リースないしSCLマリタイムから購入金額の70パーセントないし68パーセント相当の金額の融資(セットローン)を受けることができ,その場合には,購入した上記共有持分権に譲渡担保権を設定する。 そして,上記民法上の組合は,英国領ケイマン諸島(以下「ケイマン」という。)において,住商リースの現地法人と共に,同現地法人がゼネラル・パートナー,上記組合がリミテッド・パートナーとなり,双方が最初に100円ずつ出資し,更に上記組合が上記船舶を出資して,リミテッド・パートナーシップ(以下「LPS」という。)を成立させる。 その上で,上記LPSは,事業者と裸傭船契約を締結して上記船舶をリースし,約定に従ったリース料を受領すると,これを出資口数に応じて上記組合の組合員に配分する(ただし,セットローンを利用した者については,まずその返済債務に充当される。)。そして,10年間経過後は,その時点における経済情勢により,上記船舶を売却し,売却代金を同様に配分する。 員に配分する(ただし,セットローンを利用した者については,まずその返済債務に充当される。)。そして,10年間経過後は,その時点における経済情勢により,上記船舶を売却し,売却代金を同様に配分する。 ウ住商リースによる本件賃貸事業と59号事件原告の参加イの構想に従い,住商リース及びSCLマリタイムは,本件賃貸事業を共同して行うことを目的として,民法上の組合であるプロキオン・メンバーシップ組合,ディライト・メンバーシップ組合及びイースタン・メンバーシップ組合(以下,それぞれ「プロキオン組合」,「ディライト組合」及び「イースタン組合」といい,これらの組合を総称して「本件各組合」という。)を設立する(以下,これらの設立契約を「本件各組合設立契約」と,その各契約書を「本件各組合設立契約書」と総称する。甲A1,甲B1,甲C1)とともに,SCLマリタイムは,住商リースのケイマンにおける現地法人(プロキオン組合については,SCLPROCYONLIMITED(以下「SCLプロキオン」という。),ディライト組合及びイースタン組合についてはSCLDELIGHTLIMITED(以下「SCLディライト」といい,SCLプロキオンと併せて「本件各船舶購入元②」という。))から,大型船舶のNYKPROCYON(コンテナ運搬船。以下「プロキオン号」という。),HOKUETSUDELIGHT(チップ運搬船。以下「ディライト号」という。)及びGASEASTERN(LPG運搬船。以下「イースタン号」といい,これらの船舶を「本件各船舶」と総称する。)の各購入契約を締結した(以下「本件各船舶売買契約②」と総称する。乙A7の1,甲B7,甲C7)。 また,本件各組合は,ケイマンにおいて,本件各船舶購入元②と共に,LPS(プロキオン組合は,プロキオンLPS,ディライト組合は 以下「本件各船舶売買契約②」と総称する。乙A7の1,甲B7,甲C7)。 また,本件各組合は,ケイマンにおいて,本件各船舶購入元②と共に,LPS(プロキオン組合は,プロキオンLPS,ディライト組合はディライトLPS,イースタン組合は,イースタンLPS。以下,これらを総称して「本件各LPS」という。)を成立させる旨の契約をそれぞれ締結した(以下「本件各パートナーシップ契約」と総称する。甲A3,甲B3,甲C3)。 他方,本件賃貸事業の勧誘を受けた59号事件原告は,SCLマリタイムから本件各船舶の共有持分権を購入する旨の契約を締結する(以下,この契約を「本件各船舶共有持分権売買契約」と総称する。甲イ5,7,9)と同時に,上記各共有持分権を出資して(プロキオン組合につき2口,ディライト組合につき1口,イースタン組合につき2口),本件各組合に参加する旨の契約を締結した(以下「本件各組合参加契約」と総称する。甲A2,甲B2,甲C2,甲イ6,8,10)。その際,59号事件原告は,住商リース(プロキオン組合及びディライト組合について)及びSCLマリタイム(イースタン組合について)との間で「金銭消費貸借および譲渡担保契約」証書を作成して同契約を締結した(以下「本件各セットローン契約」と総称するが,そのうちの譲渡担保契約の部分を特に「本件各譲渡担保契約」ということがある。甲イ12,乙A8,乙C2)。 そして,本件各LPSは,COSMOSHIPHOLDINGS.A.(プロキオンLPSについて),CYGNETBULKCARRIERSS.A.(ディライトLPSについて)及びADMIRALNAVIGATIONCORPORATION(イースタンLPSについて)を傭船者とする裸傭船契約を締結して本件各船舶を賃貸した(以下,各傭船者を「本件各裸傭船先」,その いて)及びADMIRALNAVIGATIONCORPORATION(イースタンLPSについて)を傭船者とする裸傭船契約を締結して本件各船舶を賃貸した(以下,各傭船者を「本件各裸傭船先」,その各契約を「本件各裸傭船契約」と総称する。甲A4,甲B4,甲C4)。なお,本件各傭船先は,更に海運業者との間で,本件各船舶についての定期傭船契約を締結している(以下,これらの海運業者を「本件各定期傭船先」という。)。 以上の各契約の当事者及び契約関係を図示すると,別表4の1ないし3記載のとおりであり,その締結年月日は別表5,本件各組合の概要は別表6にそれぞれ記載されたとおりである(後記のとおり,本件における主たる争点は,本件各組合参加契約が民法上の組合契約として有効に成立したかどうかであり,それとの関連で,本件各船舶共有持分権売買契約,本件各セットローン契約の成否や有効性も,付随的な争点となっている。)。 (4) 60号事件原告及び61号事件原告による出資持分の譲受け60号事件原告及び61号事件原告は,平成11年12月8日,プロキオン組合理事会の承認を得て,59号事件原告から,プロキオン組合の出資持分各1口の譲渡を受ける(同月31日付け)とともに,同出資持分に係る住商リースに対する債務を引き受け,プロキオン組合の理事長あてに,その旨通知し,同組合規約を遵守する旨の確認書を差し入れた(甲ロ4,5,7,甲ハ4,5,7,乙A4)。 (5) 関連法令及び通達の抜粋ア不動産所得税関係(ア) 所得税法26条1項不動産所得とは,不動産,不動産の上に存する権利,船舶又は航空機(以下この項において「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く 権利,船舶又は航空機(以下この項において「不動産等」という。)の貸付け(地上権又は永小作権の設定その他他人に不動産等を使用させることを含む。)による所得(事業所得又は譲渡所得に該当するものを除く。)をいう。 (イ) 所得税基本通達26-3(よう船契約に係る所得)いわゆる裸よう船契約に係る所得は,法第26条第1項に規定する船舶の貸付けによる所得に該当し,船員とともに利用させるいわゆる定期よう船契約又は航海よう船契約に係る所得は,事業所得又は雑所得に該当する。 航空機の貸付けに係る所得についても,これに準ずる。 イ組合の所得計算について(ア) 所得税基本通達36・37共-19(任意組合の事業に係る利益等の帰属の時期等)任意組合(民法第667条《組合契約》の規定による組合をいう。以下36・37共-20において同じ。)の組合員の当該組合の事業に係る利益の額又は損失の額は,当該組合の計算期間を基として計算し,当該計算期間の終了する日の属する年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。ただし,当該組合が毎年1回以上一定の時期において組合事業の損益を計算しない場合には,その年中における当該組合の事業に係る利益の額又は損失の額を,その年分の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する。 (イ) 所得税基本通達36・37共-20(任意組合の事業に係る利益等の額の計算)36・37共-19により任意組合の組合員の各種所得の金額の計算上総収入金額又は必要経費に算入する利益の額又は損失の額は,次の(1)の方法により計算する。ただし,その者が継続して次の(2)又は(3)の方法により計算している場合には,その計算を認めるものとする。 (1) 当該組合の収入金額,支出金額,資産,負債等を,組合契約又は民法第674条《損益分配の割合 その者が継続して次の(2)又は(3)の方法により計算している場合には,その計算を認めるものとする。 (1) 当該組合の収入金額,支出金額,資産,負債等を,組合契約又は民法第674条《損益分配の割合》の規定による損益分配の割合(以下この項において「分配割合」という。)に応じて各組合員のこれらの金額として計算する方法(以下略)(ウ) 所得税基本通達36・37共-21(匿名組合の組合員等の所得)匿名組合の組合員が当該組合の営業者から受ける利益の分配は,当該営業者の営業の内容に従い,事業所得又はその他の各種所得とする。ただし,営業の利益の有無にかかわらず一定額又は出資額に対する一定割合により分配を受けるものは,貸金の利子として事業所得又は雑所得とする。 (以下略) 2 本件の争点本件各組合における一般組合員とされた原告らが,本件賃貸事業における減価償却費等を他の所得と損益通算することができるか。 その前提として,本件各組合参加契約は,民法上の組合契約としては不成立ないし無効であり,利益配当契約に該当するから,本件賃貸事業による収益は雑所得に区分される(被告らの主張)か,それとも,民法上の組合契約として有効に成立しているから,上記収益は不動産所得に区分される(原告らの主張)かが争点とされている(本件各組合における業務執行組合員とされたSCLマリタイムの得た収益が不動産所得に区分されることは,被告らの自認するところである。)。 具体的には,以下の項目が争われている。 (1) 課税要件についての事実認定の在り方(2) 本件各組合参加契約の契約類型ア本件賃貸事業における経済的合理性の有無イ民法上の組合契約という法形式の異常性の有無ウ民法上の組合契約の成否と利益配当契約該当性の有無(3) 本件各組合参加契約の無効性 3 争点に関する ア本件賃貸事業における経済的合理性の有無イ民法上の組合契約という法形式の異常性の有無ウ民法上の組合契約の成否と利益配当契約該当性の有無(3) 本件各組合参加契約の無効性 3 争点に関する当事者の主張(1) 争点(1)(課税要件についての事実認定の在り方)について(被告ら)ア租税法律主義と事実認定について所得に対する課税は,私法上の行為によって現実に発生している経済効果に即して行われるものであるから,第一義的には私法の適用を受ける経済取引の存在を前提として行われるが,その経済取引の意義内容については,当事者の合意の単なる表面的,形式的な意味によって判断するのは相当ではなく,私法上の真実の法律関係に立ち入って判断すべきであって,その結果,納税者側の主張と異なる課税要件該当事実を認定し,課税が行われることは,私法上の真実の法律関係に即した課税として当然のことである。 契約等において,当事者の選択した法形式と契約当事者間における合意の実質が異なる場合(あるいは,租税回避を目的とする場合のように,意図的に,真に意図している経済関係とは異なる法形式を選択した場合)には,取引の経済実体を考慮した実質的な合意内容に従って契約等を解釈し,その真に意図している私法上の法律関係を前提として課税要件への当てはめを行うべきであり,かかる解釈も,租税法律主義が要請する法的安定性,予測可能性を損なうものではない。 また,法律行為の解釈については,いわゆる意思主義と表示主義の対立があるが,どちらであっても,第1に表示行為の内心的効果意思を検討すべきものであるから,本件においても,まず,契約当事者が真に意図した実質的な合意内容(法的実質)がどのようなものであったかを探求しなければならない。そのためには,当事者が用いた言語・文字に必ずしも拘泥することなく から,本件においても,まず,契約当事者が真に意図した実質的な合意内容(法的実質)がどのようなものであったかを探求しなければならない。そのためには,当事者が用いた言語・文字に必ずしも拘泥することなく,当事者が企図した趣旨を察知し,この趣旨を合理的に実現させるべく,当事者の目的,慣習,任意法規,信義誠実の原則ないし条理を基準として解釈しなければならない。そして,契約当事者の内心的効果意思の認定に当たっては,それに資する諸般の事情を総合的に考慮しなければならない。 ところで,探求すべき当事者の意図や合意内容は,内心に係る主観的な事実であるため,間接事実による事実認定という手法によらざるを得ないところ,間接事実となり得る事実の範囲は,主要事実の存在に資するものであれば足りるから,理論上限定されるものではない。具体的には,まず,契約成立時における四囲の事情が考慮されるべきことは当然であるところ,これは解釈の対象となる契約に直接関連する事項に限られることはないし,契約締結後に契約当事者がどのような行動を取ったかに関する事実も,かかる行動から契約締結時における当事者の意思を推認し得るから,考慮すべき事情となる。 また,当事者の動機ないし目的は,他の事情と結びついて,契約解釈における重要な間接事実となり得るものである。無論,一口に動機ないし目的といってもその概念は広く,それが事実認定及び契約解釈に与える影響の程度も一様ではないが,当該契約の経済的実質ないし目的は,当該契約の法的性質を決定づけるような重要な間接事実であるし,狭義の動機も,契約解釈の一つの指針となり,また他の間接事実と結びついて契約解釈を左右し得ることは同様である。 イ処分証書の法理について本件においては,本件各組合参加契約,本件各船舶共有持分権売買契約等の各契約について,それぞれ となり,また他の間接事実と結びついて契約解釈を左右し得ることは同様である。 イ処分証書の法理について本件においては,本件各組合参加契約,本件各船舶共有持分権売買契約等の各契約について,それぞれ契約書が存在する。これらは,処分証書であるかのようにみえるところ,処分証書については,その成立が認められれば,特段の事情がない限り,一応その記載どおりの事実を認めるべきである。しかし,契約書等の外形的資料は絶対的なものではないから,かかる外形に現れない当事者の真の合意内容が認められる場合には,当該契約書は処分証書たり得ず,特段の事情があるとして,契約書等とは異なる認定をすることがあり得るし,契約書等によって契約の成立が認められるとしても,意思表示が虚偽表示であるかなどの契約の効力の点は,これとは別の問題であるから,かかる契約書等から推認される効果意思と内心的効果意思が一致するかどうかの検討は,いずれにしても行わなければならない。 ウ複合的契約の解釈についてさらに,本件においては,本件賃貸事業に関連する各契約(本件各船舶の各売買契約,組合契約,組合参加契約,金銭消費貸借契約,譲渡担保契約,パートナーシップ契約,裸傭船契約等)の大部分が,時間的に近接して締結されているだけでなく,内容的にも相互に密接に関連しており,当初から各契約の全体が一体のものとして成立することが予定されていて,その一つでも欠ければ所期の目的を達し得ない構造(以下,これらの仕組みを「本件スキーム」という。)を有している。そして,これら契約の大半は,本件各組合参加契約の当事者の一方であり,本件各組合を構成する住商リース又はその子会社であるSCLマリタイムによって締結されている。 したがって,本件各組合参加契約の実体ないし実質を判断するに当たっては,かかるスキームの全体がどのよ あり,本件各組合を構成する住商リース又はその子会社であるSCLマリタイムによって締結されている。 したがって,本件各組合参加契約の実体ないし実質を判断するに当たっては,かかるスキームの全体がどのようなもので,各当事者にとっていかなる意味を持つか,他の契約がどうなっているかも検討する必要がある。 エ類似事案における先例について以上のような契約解釈の在り方ないし事実認定の手法は,本件と類似する大阪高裁平成12年1月18日判決・訟務月報47巻12号3767頁,東京高裁平成17年2月8日判決・公刊物未登載及び東京地裁平成15年5月22日判決・公刊物未登載(以下,これらを「映画フィルム判決」という。)においても,承認されている。 (原告ら)ア租税法律主義と事実認定について租税は,公共サービスの資金を調達するために,国民の富の一部を国家の手に移すものであるから,その賦課・徴収は必ず法律の根拠に基づいて行われなければならない(租税法律主義。憲法84条)。そして,租税法律主義については,今日の複雑な経済社会においては,各種の経済上の取引や事実の租税効果について十分な法的安定性と予測可能性とを保障し得るような意味内容が与えられなければならないから,租税法規の解釈及び事実認定も,租税法律主義に則り,納税者に対して十分な法的安定性と予測可能性とを保障し得るようになされなければならない。 ところで,国民が一定の経済的目的を達成しようとする場合,私法上は,複数の手段,形式が考えられる場合があるが,私的自治の原則ないし契約自由の原則が存在する以上,当該国民は,どのような法的手段,法的形式を用いるかについて,選択の自由を有する。もっとも,特段の合理的理由がないのに,通常は用いられることのない法的手段,形式を選択することによって,所期の経済的効果を達成しつつ ような法的手段,法的形式を用いるかについて,選択の自由を有する。もっとも,特段の合理的理由がないのに,通常は用いられることのない法的手段,形式を選択することによって,所期の経済的効果を達成しつつ,通常用いられる法律行為に対応する課税要件の充足を免れる等の場合には,租税回避行為としてその有効性が問題となるが,租税法律主義の観点からは,このような場合であっても,当該法的手段,形式が私法上は有効であることを前提としつつ,租税法上はこれを有効と扱わないためには,これを許容する法律上の根拠を要すると解すべきである。 そして,課税は,私法上の行為によって現実に発生している経済効果に即してなされるものであり,それらの効果は第一次的には私法によって規律されるから,租税法規が課税要件として私法上におけると同じ概念を用いている場合,租税法律主義の要請たる法的安定性と予測可能性の観点から,特に別意に解すべきことが租税法規の明文又はその趣旨から明らかな場合を除き,当該課税要件の意義は私法上におけると同一の意義に解釈すべきである。 また,当該行為の課税要件への該当性を判断する場合にも,その事実認定は私法上におけるそれと同一でなければならず,当事者が選択した法形式が私法上有効に成立しているにもかかわらず,課税庁が「事実認定」の名の下にこれを否認し,その経済的目的なりに即して他の法形式に引き直して課税することは,明文規定のない租税回避行為の否認を行うものとして許されない。 イ処分証書の法理について契約書等の法律行為が記載されている文書が存在する場合,特段の事情がない限り,その記載を尊重して事実認定をしなければならない(最高裁昭和32年10月31日判決・民集11巻10号1779頁ほか多数)という法理(処分証書の法理)が確立されている。 被告らは,私法上の事 ない限り,その記載を尊重して事実認定をしなければならない(最高裁昭和32年10月31日判決・民集11巻10号1779頁ほか多数)という法理(処分証書の法理)が確立されている。 被告らは,私法上の事実認定の手法と称して,何らの基準を定立することなく,「当事者が締結したとする契約の形式にとらわれすぎることなく,法的実質の探求がなされるべきである」などと主張するが,「法的実質」とは何を意味するか不明であり,事実認定の手法として,上記の処分証書の法理を一顧だにしない暴論であることは明らかである。 ウ 「複合的契約」の解釈について被告らは,形式的に理解すれば成立している本件各組合参加契約を含む多数の契約を,その実質に従って認定すべき根拠として,①多数の契約が,時間的に極めて近接した範囲内で締結されていること,②多数の契約が相互に密接し,当初から各契約の全体が一体のものとして成立することが予定され,一つでも欠ければ所期の目的を達し得ないこと,③各契約の当事者は多数にわたっているが,その実態は,住商リース又はSCLマリタイムがその主体となって締結していることなどを挙げている。 しかしながら,①実際の取引社会において,複数の当事者間で,複数の契約が時間的に極めて近接する範囲内で締結されている場面は多数存在するが,かかる場合に複数の当事者間における複数の契約を,その選択された法形式にとらわれず,その実質に従って認定するなどという特別な解釈論は,私法上そもそも存在せず,②「相互に密接」,「一体のもの」,「一つでも欠ければ所期の目的を達し得ない」等が法的にいかなる意味を有するか,いかなる効果が生じることになるかは何ら明らかにされておらず,③「その実態」,「その主体」の意味も不明である。 エ映画フィルム判決について被告らは,映画フィルム判決が本件において 意味を有するか,いかなる効果が生じることになるかは何ら明らかにされておらず,③「その実態」,「その主体」の意味も不明である。 エ映画フィルム判決について被告らは,映画フィルム判決が本件において参照されるべき旨主張するが,映画事業は,フィルムに化体された映画を上映し,あるいは映画を複製して頒布することで収益を上げる事業であるから,事業遂行に必要なものは,映画を上映等するための著作権であり,有体物としてのフィルムの所有権の価値は,著作権と比べてゼロに等しい。そのため,映画フィルム判決は,配給会社に著作権のすべてを付与し,著作権が帰属しない抜け殻の所有権を取得するにすぎない内容の契約を,実体の伴わない単なる形式であると認定し,しかも,借入金が関係当事者間で循環しているという事実を認定して,出資金は,組合員が組合を通じて映画製作会社に融資されたものと判断している。 他方,本件においては,原告ら一般組合員は,本件各船舶の共有持分権を売買によって取得し,その後,本件各船舶は,本件各組合員から本件各組合に,本件各組合から本件各LPSに,それぞれ出資されたのであって,本件各組合から本件各船舶購入元②に所有権が移転して循環した事実はないし,資金の循環もなく,しかも,本件各船舶は,映画フィルム判決における著作権のような所有権とは別個の「船舶に係る権利」などは存在しないので,事案が全く異なる。 (2) 争点(2)(本件各組合参加契約の契約類型)について(被告ら)本件各組合参加契約は,以下のとおり,民法上の組合契約としては成立しておらず,原告ら一般組合員は,本件各組合の組合員としての資格を有効に取得していない。残る実体は,原告ら一般組合員の参加していない本件各組合(住商リース及びSCLマリタイムのみが組合員である組合)が本件各LPSを通じて本 員は,本件各組合の組合員としての資格を有効に取得していない。残る実体は,原告ら一般組合員の参加していない本件各組合(住商リース及びSCLマリタイムのみが組合員である組合)が本件各LPSを通じて本件各船舶を本件各裸傭船先に賃貸するという事業を行い,この事業に対して原告らが出資し,事業発足後6年目以降に傭船料分配金を受領しているという事実のみであるから,これらの事実を法的に構成すれば,利益配当契約に当たる。 ア本件賃貸事業における経済的合理性の欠如(ア) 原告ら一般組合員にとっての投資効果a ご案内に掲載されている損益予想表によれば,10年目の購入オプションが行使された場合の終了時収支見込みは3805万3000円とされているが,このうち損益通算による課税額減少効果(1441万6000円)から譲渡所得に対する税額(737万円)を差し引いたトータルでの課税額減少効果である704万6000円を除く,いわゆるキャッシュ・フロー・ベースでの収支見込みは3100万7000円である。そうすると,投資金額は3000万円であるから,キャッシュ・フロー・ベースでの利益は100万7000円にすぎないところ,これを年利換算すると,10年複利で0.33パーセントにしかならない。 このように,本件賃貸事業においては,投資することによって得られる収入は皆無に等しく,船舶の売却による収入を加えてもキャッシュ・フロー・ベースでの利益は極めて少ないものであり,得られる利益の大部分(上記の場合,約87パーセント)が損益通算による課税額減少の利益に基づいている。 なお,本件各裸傭船契約の付加条項などによれば,本件賃貸事業においては,同契約において定められた見直日に本件各船舶の購入オプションが行使され,契約を終了させることが予定されていると考えられるところ,大きな現金収入 船契約の付加条項などによれば,本件賃貸事業においては,同契約において定められた見直日に本件各船舶の購入オプションが行使され,契約を終了させることが予定されていると考えられるところ,大きな現金収入が得られるのは事業開始から11年目以降であるから,傭船料収入が主目的であるならば,11年目以降も傭船契約を継続するはずであるにもかかわらず,これが全く想定されていないというのは,課税額減少効果を主目的としていることを示すものである。 b また,「ウィンズの譲渡に関するシュミレーション」(乙A3)によれば,3000万円を出資して得た船舶共有持分権2口を事業開始後5年で簿価で譲渡した場合においては,譲渡者及び被譲渡者合計の利益においては,なお贈与税608万6637円を回避することが可能とされている。これは,二次取得者(被譲渡者)の所得税率が65パーセントであることを前提としているが,この税率がこれよりも低い相手(子又は孫若しくは所得の少ない配偶者等)に譲渡する場合においては,「損が生じている期間は高税率の親の損として損益通算により租税負担を回避し,収益が生じ始めたところから低税率の子の所得として所得税を負担する」ことにより,トータルとして一層の租税回避が図り得るのである。 c さらに,ご案内では,「メリット」の第一に「当初の6年間で投下資金(自己資金)とほぼ同額の所得圧縮効果があります。」と記載され,課税額減少効果を本件賃貸事業のメリットの中心として紹介しており,また,Dなる人物から59号事件原告にあてた手紙(乙イ1)も,本件賃貸事業のメリットを「最初の5,6年間は収入のある私が節税に利用し,節税メリットがなくなり,収益が生まれそうになった頃に収入のない(又は少ない)子供に贈与できる。」と紹介し,本件賃貸事業が損益通算等による課税額減少自体を目 5,6年間は収入のある私が節税に利用し,節税メリットがなくなり,収益が生まれそうになった頃に収入のない(又は少ない)子供に贈与できる。」と紹介し,本件賃貸事業が損益通算等による課税額減少自体を目的としていることを明らかにしている。 d 以上のとおり,投資家の立場から見れば,本件賃貸事業は,まず事業それ自体についての利益があり,これに付随して節税効果もあるというものではなく,課税額減少効果それ自体が目的であり,本件賃貸事業はかかる効果を得るために存在すればよいだけのものとなっている。 (イ) 住商リースグループが得る利益a 本件賃貸事業によって住商リースグループが得る利益住商リース,SCLマリタイム及びSCLプロキオンは,キャッシュ・フロー・ベースで以下の利益を得る。 (a) 住商リース約2億8342万円① 傭船料分配金約1880万円② 船舶売却代金分配金約1042万円③ 販売委託手数料約2億5420万円(b) SCLマリタイム約1億6861万円① 傭船料分配金約4022万円② 船舶売却代金分配金約2230万円③ 業務執行報酬約4964万円④ 船舶の売買差益約4825万円⑤ 組合設立費用等 820万円(c) SCLプロキオン約4964万円b 住商リースグループが利益 約4825万円⑤ 組合設立費用等 820万円(c) SCLプロキオン約4964万円b 住商リースグループが利益を得る仕組み住商リースグループは,大きな負担なしに本件賃貸事業から総額約5億0167万円の利益を得ている。ところで,同グループとしては,自ら船舶を購入して,これを賃貸事業に供することも考えられるが,それでは巨額の船舶購入代金を自ら負担しなければならず,借入資金をこれに充てる場合には借入利息も負担しなければならない。しかし,本件のように,投資家らに船舶の共有持分権を購入させ,これを組合に現物出資させれば,住商リースグループとしては購入代金の自己負担を免れることができるのみならず,共有持分権の販売や組合における業務執行の報酬を得ることができ,さらに,共有持分権の購入代金の一部を貸し付ける形式(セットローン)を用いることで,金利も得られるのである。 また,住商リース及びSCLマリタイムにおいては,本件各組合に出資するための船舶共有持分権取得のための資金が必要となるはずであるが,SCLマリタイムは,プロキオン号をSCLプロキオンから79億0575万円で購入し,これを一般組合員に82億円で販売して売買差益2億9425万円を得ている(このことは,原告ら投資家の利益に反する。)のであるから,SCLマリタイムが有する持分1口を無償で入手したこととなり,住商リースが負担する現金出資2336万7375円も販売委託手数料により賄うことができるのである。 このように,住商リースグループが一方的に利益を得ることができるのは,一般投資家らのキャッシュ・フロー・ベースによる利益を低く抑えつつ,税額減少効果によりこれを補っているためである。 (ウ) 経済的合理性に係る主張 リースグループが一方的に利益を得ることができるのは,一般投資家らのキャッシュ・フロー・ベースによる利益を低く抑えつつ,税額減少効果によりこれを補っているためである。 (ウ) 経済的合理性に係る主張の位置づけ以上のとおり,本件賃貸事業は,租税負担が軽減される点を考慮しない限り,原告ら投資家にとって利益となる点は見られず,むしろ,その利益に反する点が多々見られるなど,経済的合理性からの検討結果と一致ないし符合する実態が見られる。 また,本件スキームは,住商リースグループにとっては少ない出資で大きな利益を生み出すものといえるが,これはあくまで,すべてSCLマリタイムが業務執行者となり,本件各船舶の購入や賃貸,売却等を住商リースグループが主体的に行うなど,住商リースが事業の遂行をその支配下においてこそ成り立つものである。そうすると,民法上の組合契約という法形式は,得られる利益も共通のものでなければならないし,場合によっては業務執行者が解任されることもあり得るものであるから,法形式どおりであれば,住商リースグループにとってその望むところを実現するものではないといえる。かかる観点から本件の実態を見ると,住商リースグループと一般組合員らとの利益を共通にしておらず,現実的には解任権を行使できないようにしているとの事実が見られ,上記の経済的分析からうかがわれる経済的実質と一致ないし符合している。 被告らの経済的合理性に関する主張は,上記のとおり,事業の経済的合理性についての内容が本件スキームの経済的実質を示す一面であり,被告らの認定ないし契約解釈を裏付ける一つの間接事実であるとの趣旨である。 イ民法上の組合契約という法形式の異常性契約自由の原則の下,当事者に法形式の選択の自由があることは一般論としてそのとおりであるが,選択することができるのは双方 つの間接事実であるとの趣旨である。 イ民法上の組合契約という法形式の異常性契約自由の原則の下,当事者に法形式の選択の自由があることは一般論としてそのとおりであるが,選択することができるのは双方の法形式をいずれも有効に成立させ得ることが前提である。それゆえ,後記のとおり,本件各組合参加契約が民法上の組合契約としての成立要件を欠いている本件は,法形式の選択の自由が働く場面ではないから,法形式の選択の自由があることを理由として,本件各組合参加契約が民法上の組合であるなどといえるものではない。 更に付言すれば,民法上の組合契約は,業務執行者に善管注意義務が課されるという点だけを取ってみれば,一見,投資家の利益に配慮できる法形式のようにも見えるが,投資家が自ら事業に参加することを求められ,また原則として対外的に無限責任を負わなければならないこととなるなど,投資とそこから得られる経済的利益の獲得のみを求める投資家にとってはかえってリスクないしデメリットの高い法形式であるともいえる。投資家が当該事業についての素人であった場合は特にそうであり,共同事業者としての判断などなし得るはずもないにもかかわらず,当該賃貸事業についての専門的判断を求められ,事業者の一員としての責任をも負わなければならないこととなるため,事業の円滑な遂行にも支障となり得るし,投資家のニーズにも合致しない。それゆえ,当該事業ないし取引の性質によっては,民法上の組合という法形式はそもそも投資家の利益にはならない法形式といえるのである。実際,船舶賃貸事業においては,個人投資家を対象とする民法上の組合という法形式は,賃貸業界の実態ないし常識として用いられておらず,むしろ民法上の組合という法形式の方が異例であるとすらいえるのである。 したがって,当該取引の性質等を考慮せずに,単に法的 民法上の組合という法形式は,賃貸業界の実態ないし常識として用いられておらず,むしろ民法上の組合という法形式の方が異例であるとすらいえるのである。 したがって,当該取引の性質等を考慮せずに,単に法的効果等の面から法形式の(表面上の)合理性を検討し,法形式の選択の自由の問題として実体面の検討を行わずとも外形上の法律関係どおりの成立及び効力を認めるなどとすれば,まさしく事の本質を見誤ることになる。本件における事業も,船舶賃貸事業という,専門的知識・ノウハウ等が強く求められる事業なのであるから,全くの素人である投資家らを事業主体の一員とするにはそもそもなじまない取引類型といえるのであり,にもかかわらずあえて民法上の組合(に参加させる)という法形式を用いている理由はどこにあるのか,検討がなされなければならないし,かかる観点から本件各契約の実体を総合的に検討すれば,後記のとおり,利益配当契約ともいうべき非典型契約とみるほかはない。 ウ民法上の組合契約の不成立と利益配当契約の該当性(ア) 民法上の組合契約の成立要件本件各組合参加契約のように,既に成立している組合に参加する契約について,民法上の定めはないが,可能と解されている。その場合,組合への加入は,加入しようとする者と組合員全員との合意のほかは,通常の組合契約とおよそ同様の要件が必要である。 ところで,民法上の組合の成立要件は,民法(以下,平成16年法律第147号による改正前の民法で表記する。)667条1項が,「組合契約ハ各当事者カ出資ヲ為シテ共同ノ事業ヲ営ムコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス」と定めていることからすれば,①2人以上の当事者の存在,②出資の合意,③共同事業目的の合意が必要となる。 そして,③の共同事業目的の合意といえるためには,組合の目的たる事業は,すべての当事者にとって共通の ていることからすれば,①2人以上の当事者の存在,②出資の合意,③共同事業目的の合意が必要となる。 そして,③の共同事業目的の合意といえるためには,組合の目的たる事業は,すべての当事者にとって共通のものでなければならないから,各当事者が,事業の執行に関与する権利を持ち,しかも,事業の成功に利害関係を有することを要する。また,共同事業目的の合意が認められるには,検査権や解任権が各組合員に保障されていることを要するが,検査権や解任権は,共同事業目的の存在を示す一つの外部的徴表であり,共同事業目的を実現するための手段でしかないから,「共同事業」という要件を,検査権,解任権,事業の成功に利害関係を有していることなどの要件に分解することなく,端的に「共同事業」の要件を備えていることを要すると解すべきである。 しかるところ,共同事業目的は,あくまでそれが組合員全員の共同の事業であって,そこから得られる利益も共通であることに本質があると考えられ,検査権及び解任権の存在が共同事業目的の存することを示し,共同事業であることを具現化する手段足り得るのも,事業が組合員全員にとって共同のものであり,得られる利益も共通のものであることが前提であると解されるから,利益が共通でない場合には,共同事業性は認められず,共同事業目的についての合意は認められない。 しかも,組合は,目的団体の一種であり,各組合員が何らかの事業を共同の目的とすることが必要であるとされており,組合の目的たる事業は,すべての当事者にとって共通のものでなければならないから,各当事者の利益の性質が異なったものでもよいとしても,ある当事者は利益を得,別の当事者は損をするというように,「利」と「害」が不一致であってはならない。のみならず,営利事業を目的としながら,利益を一部の者だけに配当し,他の者は全 のでもよいとしても,ある当事者は利益を得,別の当事者は損をするというように,「利」と「害」が不一致であってはならない。のみならず,営利事業を目的としながら,利益を一部の者だけに配当し,他の者は全くそれに与らない,いわゆる獅子組合は民法上の組合ではないとされているから,本件賃貸事業のように営利事業を目的とする組合においては,利益の配分を受けること,すなわち経済的利益の享受についても共通でなければならない。 (イ) 民法上の組合契約の不成立を推認させる間接事実a 組合員名簿の不整備本件においては,原告ら一般組合員に組合員名簿が配布されていない。そして,本件各組合の規約(以下「本件各組合規約」という。)において,一般組合員も組合員名簿を閲覧することができるとされているが,この名簿には,組合員の氏名,口数,持分しか記載されておらず,住所等の記載がないから,組合員名簿を閲覧しても,他の組合員に連絡することはまず不可能であり,総出資口数の過半数を有する組合員を組合員総会に出席させ(本件各組合規約13条7項),更に総出資口数の3分の2以上による決議を必要とする解任権の行使(同規約12条4項)どころか,総出資口数の10分の1以上の賛同を必要とする組合員総会の開催要求(同規約13条2項)さえ全く現実的でない。 これは,本件各組合を設立した住商リース及びSCLマリタイムが,一般組合員に他の組合員の住所・氏名等を知らせる意図がなかったことを示すものであり,原告ら一般組合員が組合員総会の決議事項を除く各事項については,その意思を反映させ得る状況にないことも考慮すれば,本件各組合がそもそも一般組合員が解任権を行使することを予定していない組合であり,本件各組合参加契約の一方当事者である発起人(住商リース及びSCLマリタイム)が,一般組合員に解任権を認めな すれば,本件各組合がそもそも一般組合員が解任権を行使することを予定していない組合であり,本件各組合参加契約の一方当事者である発起人(住商リース及びSCLマリタイム)が,一般組合員に解任権を認めない意図の下に本件各組合参加契約を締結したことを示すものである。 また,共同事業目的の合意には,その事業を共同で営むことの合意を含むものであるところ,「共同」する相手の存在を知らず,また知り得ずして「共同」することなどできるはずもないのであるから,本件において,他の組合員の住所・氏名等が一般組合員に知らせない仕組みとなっていること自体が,共同事業目的の合意を欠いていることを示すものである。 bSCLマリタイムによる販売価格のかさ上げSCLマリタイムは,前記のとおり,プロキオン号の売買によって差益2億9425万円を得ているところ,内金約2億5420万円は,販売委託契約6条に基づいて住商リースが販売手数料として取得している。しかし,SCLマリタイムが上記船舶を購入したのは,住商リースのケイマン法人であるSCLプロキオンからであり,かつ上記購入契約(船舶売買契約②)の締結日は平成7年3月23日,船舶共有持分権売買契約の締結日は同月22日であって,後者が前者に先行するという不合理性はさておいても,この間に高額の費用を要することは考え難いから,価格のかさ上げが行われていることは明らかである。 このことは,キャッシュ・フロー・ベースで見る限り,住商リースらの利益を増加させるばかりで投資家らの利益の減少にしかならないため,住商リースグループは一般個人投資家の利益を減少させてその分を利得するという,両者の利益が相反する行為を行っていることを示している。ところで,上記のとおり,民法上の組合における共同事業目的は,あくまでそれが組合員全員の共同の事業であって, 減少させてその分を利得するという,両者の利益が相反する行為を行っていることを示している。ところで,上記のとおり,民法上の組合における共同事業目的は,あくまでそれが組合員全員の共同の事業であって,そこから得られる利益も共通であることにその本質があると考えられる。しかるに,SCLマリタイムは,船舶共有持分権の売買に当たって,価格のかさ上げを行い,原告ら一般個人投資家の利益を減少させ,住商リースらはその分を利得して自己の利益としているのであるから,両者の間には利益相反関係が存し,共同事業目的についての合意が欠けていることを如実に示している。 また,SCLマリタイムらは,上記の価格のかさ上げについて,本件各組合に参加しようとする投資家らに知らせることもなく,ただ組成したとおりのスキームに参加するかどうかを選択させているにすぎない。SCLマリタイムのこのような行為は,業務執行者の善管注意義務に反すると考えられるが,これが当初より本件スキームに組み込まれている。このような一般組合員の利益に反する行為は,業務執行者としてのSCLマリタイムに対する解任の正当な事由になり得るにもかかわらず,これを一般組合員に知らせていないことからすると,解任権は有名無実のものであり,真にその存在について合意があったとは認められない。 cSCLマリタイムによる「理事長」僭称SCLマリタイムが本件各組合の理事長に就任するのは,創立総会においてであるところ,その前に締結されている本件各パートナーシップ契約(書)においては,SCLマリタイム(の代表取締役)が本件各組合の「理事長」の肩書で署名している(甲AないしCの各3,乙A9,乙B2,乙C3)。 そうすると,本件各パートナーシップ契約(書)における本件各組合の代理ないし代表権限を示す記載が,本件各組合設立契約及び本件各 」の肩書で署名している(甲AないしCの各3,乙A9,乙B2,乙C3)。 そうすると,本件各パートナーシップ契約(書)における本件各組合の代理ないし代表権限を示す記載が,本件各組合設立契約及び本件各組合規約に反することになるから,本件各パートナーシップ契約の効力について疑問を呈さざるを得ない(それゆえ,本件各パートナーシップ契約書は処分証書たり得ないものとなる)。また,このように,原告ら一般組合員の関与し得ない形で本件各パートナーシップ契約が締結されていることは,住商リースないしSCLマリタイムが,原告ら一般組合員の議決権を認めていないこと,ひいては原告ら一般組合員を組合員として扱っていないことを如実に示すものである。 したがって,本件各組合規約9条で「組合員総会の決議で理事を選任する」,同規約10条で「理事会の決議により理事長を選任する」と定めているのは,原告ら一般組合員を「組合員」として扱う外形を整えるためにすぎないというべきである。 d 出資履行前の創立総会開催本件各組合設立契約12条によれば,発起人(住商リース及びSCLマリタイム)は,総出資口数の出資の完了を確認した後,理事の選任のため創立総会を招集することとされている。しかるに,ディライト組合及びイースタン組合においては,59号事件原告らが自己資金を出捐する前に創立総会が開催されており,原告ら一般組合員が共有持分権を取得して出資した後に創立総会が招集されたとはいえない。 この点について,原告らは,創立総会の開催は,自己資金の出捐や送金を条件としていないし,自己資金出捐前に持分権が引き渡されていることについては,本件各船舶共有持分権売買契約7条に,「本契約に基づく売主の引渡義務は,引渡時において,以下の条件が全て満たされているか売主に放棄される」場合にも成立するから何らの違 き渡されていることについては,本件各船舶共有持分権売買契約7条に,「本契約に基づく売主の引渡義務は,引渡時において,以下の条件が全て満たされているか売主に放棄される」場合にも成立するから何らの違反もないと反論するが,放棄される条件は,「引渡時までに,債務者が,本契約に従い,売買代金の支払を完了したこと」だけでなく,「住商リースとの間で金銭消費貸借契約及び譲渡担保設定契約が締結されているときは,同契約により期限の利益を喪失し又は喪失するおそれがあると認められる事情が生じていないこと」も放棄の条件とされているところ,期限の利益喪失の事情は除名事由ともなっているから,このような事由に該当する事項まで放棄するなどという主張が真実のものとは考えられず,これらによっても,創立総会を原告らに組合員としての地位を与えた上で行ったとの形式を作出したにすぎないことに変わりはない。 また,プロキオン組合においても,原告らは,プロキオン号の共有持分権を取得した日(平成7年3月24日。甲イ5)以前に,同持分権を出資する旨の契約を交わしており(同月22日。甲イ6),上記2組合とは異なり,出資日という点では整合することになるが,逆に契約書作成時点で取得していない権利を出資する契約を締結したことになり,やはり不自然な契約が締結されたことになるから,原告らが上記共有持分権を取得して出資したとはいえない。 e 一般組合員の本件各船舶処分権限の欠如原告ら一般組合員が本件各船舶の共同所有者であり,本件各組合の構成員であれば,組合財産となった本件各船舶の処分権限を有するはずであるが,原告ら一般組合員はこれも有していない。 すなわち,本件各裸傭船契約上の見直日までは,同契約33条は,「本件各パートナーシップは,傭船主の事前の書面による許可なく傭船主以外の者に当該船舶を売却 るが,原告ら一般組合員はこれも有していない。 すなわち,本件各裸傭船契約上の見直日までは,同契約33条は,「本件各パートナーシップは,傭船主の事前の書面による許可なく傭船主以外の者に当該船舶を売却してはならない。」と定め,見直日以降は,本件各組合規約32条が,「本件各組合の理事長は,理事会の同意を得てパートナーシップに本船を処分させることができる。」と定めている。そのため,原告ら一般組合員の処分権限は,裸傭船期間全般を通じて制限されており,現実的にはこれに関与することは全くできないことになる。 この点,原告らは,本件各裸傭船契約が終了した場合,本件各組合は,本件各船舶を売却し,その売却収入を分配して,解散することについて,ご案内やリファレンス・ブックで説明され,これに同意して参加したのであるから,売却時期や売却方法についても関与しており,その意思を反映させている旨反論するが,これは,理事長が自由にできることに同意して参加したのであるから,あとは理事長が何をしようとも,それは関与し,意思を反映させているとの主張に等しいものである。出資の目的物であり,組合員の共有財産でもあるはずの本件各船舶の処分という最も重大な局面において,原告ら一般組合員を関与させずに処分が可能であるということは,いかにその概念が広い民法上の組合契約といえども不自然というほかない。したがって,「関与し,意思を反映させることができない」ものへの参加を目的とする本件各組合参加契約は,民法上の組合への参加契約ではあり得ない。 また,ディライト組合においては,裸傭船契約の締結日(平成9年12月10日。甲B4)が,59号事件原告に係る船舶共有持分権売買契約の日付(同月12日。乙イ14)及び譲渡証の日付(同月12日。乙イ7)の前となっており,59号事件原告らが船舶共有持分権を取 9年12月10日。甲B4)が,59号事件原告に係る船舶共有持分権売買契約の日付(同月12日。乙イ14)及び譲渡証の日付(同月12日。乙イ7)の前となっており,59号事件原告らが船舶共有持分権を取得する前,すなわち組合に参加できる状態になる前に裸傭船契約が締結されているのであって,裸傭船契約締結についても,原告ら一般組合員が,これに全く関与できない状態となっている。 f 59号事件原告の意思59号事件原告の質問てん末書(乙全4)によれば,59号事件原告は被告らの調査担当者に,「(船舶賃貸事業の)ノウハウはありません。」,「(他の組合員は)興味がありません。知る必要もありません。運用についてもすべて住商リース㈱にまかせています。」,「(組合が締結した契約書などを見たことが)ない。契約の内容など考えたこともない。」,「(船の所有権について)そういうところまで考えてなかった。」,「(商品について)株ではないが損はないだろうということです。」旨供述している。また,59号事件原告は,組合に出資するための自己資金分3000万円を東海銀行(現UFJ銀行)から借り入れているが,その融資申込書(乙イ13)の資金の使途欄に「船舶投資商品購入」と記載している。 このように,原告ら一般組合員は,具体的な契約内容など承知せず,ただ住商リースを信頼して損をしない商品だと思ったから投資したにすぎず,本件各船舶の共有持分権を取得することになることや組合員になることなど何も認識していないから,船舶の共有持分権を購入してこれを現物出資することにより本件各組合に参加するという,本件各組合参加契約に対応する内心的効果意思など有していない。 g 本件各船舶の所有権の循環(a) 他人物売買SCLマリタイムは,SCLプロキオンからプロキオン号を購入する旨の船舶売買契約②の締 本件各組合参加契約に対応する内心的効果意思など有していない。 g 本件各船舶の所有権の循環(a) 他人物売買SCLマリタイムは,SCLプロキオンからプロキオン号を購入する旨の船舶売買契約②の締結(平成7年3月23日。乙A7)以前に,同船の共有持分権を原告ら一般組合員に販売する旨の契約を締結している(同月22日。乙イ2)。したがって,同船の共有持分権を販売した時点では,他人物売買であったことになり,不自然な契約といわざるを得ない。 (b) 船舶譲渡証本件各船舶の売買に当たって作成された譲渡証(以下,これらを「本件各譲渡証」という。乙A6,乙B1,乙C1)によれば,本件各船舶は,以下のように譲渡されている。 ① プロキオン号1995年(平成7年)3月24日に,シルヴァナス・シップホールディングからプロキオンLPSに,直接譲渡されている。 ② ディライト号1997年(平成9年)12月12日に,SCLディライトからディライトLPSに,直接譲渡されている。 ③ イースタン号1999年(平成11年)6月9日に,SCLディライトからイースタンLPSに,直接譲渡されている。 この点について,原告らは,本件各譲渡証が交付される理由は,中間省略登記登録の目的を達成させるためである旨主張するが,仮にそうであったとしても,不自然であることに変わりなく,中間者である原告ら及び本件各組合の登録が省略されることについて,これらの者が承諾したとの事実はうかがわれないから,原告らの存在が軽視されていることを示すものといえる。 また,中間省略登記登録の目的であったとすれば,本件各LPSへの本件各譲渡証の日付は,本件各組合が本件各LPSに本件各船舶を出資した後のはずであるが,パイオニア組合(岐阜地裁に係属中の別件事件に係る組合)においては,船舶の譲渡証の日付が共 ば,本件各LPSへの本件各譲渡証の日付は,本件各組合が本件各LPSに本件各船舶を出資した後のはずであるが,パイオニア組合(岐阜地裁に係属中の別件事件に係る組合)においては,船舶の譲渡証の日付が共有持分権の譲渡の日付より早く,不合理である。 本件各船舶の所有権は,SCLマリタイムへの売主である本件各船舶購入元②(SCLプロキオン,SCLディライト)を起点として,わずか数日のうちに転々譲渡され,途中で共有持分権に分解されながらすぐに本件各組合においてすべてが集合し,これが出資されて本件各LPSの財産となっているのであって,いわば循環している構造となっている。そうであれば,端的に,本件各船舶購入元②が,その所有財産である本件各船舶を本件各LPSに譲渡(出資)し,本件各LPSにおいて賃貸事業を行えばよいだけのことであるし,実際にもその場合とさして変わらない内容になっているところ,本件各譲渡証の内容はかかる経済的実質に見事に符合しているのである(更にいえば,本件各船舶購入元②とSCLマリタイムとの間における本件各船舶売買契約②において,裸傭船契約が締結されていることが先行条件とされていることも,同様である)。 したがって,本件各船舶の所有権移転関係は循環しているだけの実体の伴わないものであり,本件各譲渡証はこれを端的に示す文書であり,原告ら一般組合員に対する船舶共有持分権の譲渡契約書が,組合参加契約の外形を整えるために作出されたものであることを裏付けている。 h 本件各セットローン契約の実体の欠如以下のとおり,一般組合員がSCLマリタイムからの借入れを行うことについては,その必要性も合理的理由も存在しない。にもかかわらず,借入れがなされた理由は,①不要な借入れによる借入金利息を必要経費に算入し,②減価償却費をかさ上げすることにより,不動 入れを行うことについては,その必要性も合理的理由も存在しない。にもかかわらず,借入れがなされた理由は,①不要な借入れによる借入金利息を必要経費に算入し,②減価償却費をかさ上げすることにより,不動産所得に係る損失を増加させて,損益通算による課税額減少効果を生み出すためであって,本件各セットローン契約そのものも有効に成立したものではなく,その借入れを前提としてされた本件各船舶共有持分権売買契約も有効に成立したものとはいえない。 (a) 本件各セットローン契約について本件各セットローン契約は,その返済に傭船料が充てられるから,59号事件原告らは自ら弁済する必要もない反面,これを現実的に取得してもいない。 また,同契約による融資は,59号事件原告らが本件各船舶の共有持分権を購入するためのものとされているところ,その目的物である共有持分権の取得自体が,何ら実益も実体もない循環するだけのものであり,その取得したはずの共有持分権も,本件各譲渡担保契約により,そのすべてを手放してしまい,しかも,返済期を待たずして処分がされ得るというのであるから,本件各セットローン契約自体も実体がない。 しかも,59号事件原告は,高額所得者であって,資金繰りの必要性はなく,しかも,都市銀行の貸出平均金利4.186パーセントを上回る年利5.2パーセントで借り入れる必要などない。 (b) イースタン組合におけるセットローンについて① イースタン組合においては,59号事件原告らは,イースタン号の共有持分権購入資金の68パーセントをSCLマリタイムから借り入れ,SCLマリタイムは,その資金を得るために日本興業銀行(以下「興銀」という。)から借り入れることとされている(同組合規約38条1項,2項①,同組合設立契約書添付「本事業の概要」8項)ところ,59号事件原告らは,興 は,その資金を得るために日本興業銀行(以下「興銀」という。)から借り入れることとされている(同組合規約38条1項,2項①,同組合設立契約書添付「本事業の概要」8項)ところ,59号事件原告らは,興銀からの上記借入れの担保として,イースタンLPSがイースタン号についての抵当権等を担保に供することについて承認させられている(同組合規約38条2項②)。 しかしながら,①SCLマリタイムと興銀との間で締結された融資契約(乙C7)及びイースタンLPSと興銀との間で締結された第一順位船舶モーゲージ契約(乙C8)によれば,SCLマリタイムが興銀から調達した資金は,一般組合員の共有持分権購入資金とは何らの関わりもなく,専らSCLマリタイムがイースタン号をSCLディライトから購入するための資金とされていること,②興銀による上記融資は,SCLマリタイムの興銀本店の普通預金口座に実行されている(乙C9)が,同口座は,平成11年6月9日に開設され,同日に上記融資10億5125万1678円が振り込まれ,また,同日同口座に住商リースから4億9470万6672円が振り込まれており,合計15億4595万8350円から,同日に船舶購入金額と同額の15億1554万5550円が出金されていること,③SCLマリタイムとSCLディライトとの船舶売買契約②における購入代金の支払日は平成11年6月9日とされており(同契約の特約A及び16項。乙C10),上記出金が船舶購入代金の支払であること,これらからすれば,イースタンLPSによる本件船舶に係る抵当権等の担保提供も,真実は,SCLマリタイムによるイースタン号の購入資金貸付けについてのものであり,この担保提供についての59号事件原告らの上記承認は,錯誤に基づくものである。 また,原告ら一般組合員が共有持分権を取得する前提となるの タイムによるイースタン号の購入資金貸付けについてのものであり,この担保提供についての59号事件原告らの上記承認は,錯誤に基づくものである。 また,原告ら一般組合員が共有持分権を取得する前提となるのは,SCLマリタイムがイースタン号を購入することであるが,この段階では,59号事件原告らは同船に係る権利関係を何ら有していないのであるから,SCLマリタイムの債務についての担保の提供にも何ら関与することはあり得ず,59号事件原告ら一般組合員は自己の債務ではない債務についての担保提供につき,自己の債務であることを前提として承認させられていることになるという,法形式と合致しないものとなっている。 さらに,原告ら一般組合員は,既にSCLマリタイムの債務の担保となっているイースタン号の共有持分権をいわば担保の負担付きで購入させられた上,更にその共有持分権に基づく組合員としての権利を自己の借入れの担保として提供することを余儀なくされるという,いわば二重の担保の負担を強いられている。したがって,原告ら一般組合員による上記担保提供は不合理なものであり,そのような承認の意思表示は,SCLマリタイムによる詐欺に基づくものか,錯誤に基づくものである。 よって,上記承認を前提とする本件金銭消費貸借契約及び譲渡担保契約は,有効に成立したものとはいえない。 ② 加えて,59号事件原告らとしては,かかる借入れを行う必要性もなければ,合理性もない。 すなわち,資産の買主に資金が不足する場合,売主がこれを調達して買主に貸し付ける必要はなく,買主に調達させるか,代金額を減額するか,分割払を採用するかの方法を取ればよいだけであるから,SCLマリタイムは,共有持分権購入資金の68パーセントについて,わざわざ興銀から資金手当をしてまで,原告ら一般組合員に貸し付ける必要はなく, ,分割払を採用するかの方法を取ればよいだけであるから,SCLマリタイムは,共有持分権購入資金の68パーセントについて,わざわざ興銀から資金手当をしてまで,原告ら一般組合員に貸し付ける必要はなく,1口5000万円の購入代金の32パーセントのみ出資させ,残部は単にSCLマリタイムからの貸付けとするだけで足りる。現実にも,上記のとおり興銀による融資はSCLマリタイムによるイースタン号購入のための融資であり,そのように実行されているのである。 ③ 更にいえば,そもそも本件において59号事件原告らが共有持分権購入のために借入れをすること自体に合理性がない。すなわち,イースタン号の共有持分権取得の際のセットローンの借入利率は年利1.9パーセントとされている(1条6項。乙C2)が,イースタン号の賃貸事業に投資することよる59号事件原告ら一般組合員の利回り(キャッシュ・フロー・ベース)は,「ご案内」(乙C4)記載の「損益予想表」によれば,1億円の出資で8年目の「購入オプション」が行使された場合には66万5000円であり,これを年利に換算するとわずか0.08288パーセントにすぎないのであり,このような出資をすべき合理的理由など全くないというべきである。 以上のことは,イースタン組合のみならず,プロキオン組合(本件金銭消費貸借契約上の利率5.2パーセント,本件賃貸事業による年利回り0.10035パーセント。乙A8)及びディライト組合(本件金銭消費貸借契約上の利率3.1パーセント,本件賃貸事業による年利回り0.04650パーセント。乙B5)においても同様に当てはまる。 i 本件各譲渡担保契約の実体の欠如本件各船舶の共有持分権の取得に当たっては,本件各セットローン契約による借入れと併せて,本件各譲渡担保契約が締結されている。しかしながら,本件各譲渡 てはまる。 i 本件各譲渡担保契約の実体の欠如本件各船舶の共有持分権の取得に当たっては,本件各セットローン契約による借入れと併せて,本件各譲渡担保契約が締結されている。しかしながら,本件各譲渡担保契約は,名称は譲渡担保であっても,弁済期到来前に債務不履行がなくとも担保目的物の処分を可能とする条項が明記されており(5条,7条),担保の本質に反している。しかも,担保目的物復帰についての定めもないことも考慮すれば,本来の譲渡担保設定契約ではあり得ず,単なる譲渡と処分実行後の充当関係等について定めたものと解するほかない。そのため,仮に原告ら一般組合員が本件各船舶の共有持分権をいったんは取得し,これを現物出資して本件各組合の組合員としての地位及び権利を取得したものであるとしても,本件各譲渡担保契約によりこの一切を直ちに住商リース(又はSCLマリタイム)に譲渡したことになるため,これにより既に組合員ではなくなったと評価できる。 そうすると,本件各譲渡担保契約によって,組合員としての地位及び組合員としての一切の権利を譲渡することは,ほぼ同日にほぼ同じ当事者によって締結された本件各組合参加契約と相反するものといえるから,本件各組合参加契約は,外形上,原告ら一般個人投資家を組合員として扱うかのごとく装うものにすぎず,実体としては組合員としての地位や権利を与えず,その意思もなかったことを示すものである。 j 一般組合員の負担すべきリスクの欠如民法上の組合においては,民法675条により,組合員各人が,その持分割合に応じて組合の債権者に対して,人的無限責任を負うのが原則であるところ,以下のとおり,原告ら一般組合員は,実質的には本件各船舶の共同所有者としてのリスク,本件各組合の組合員としてのリスクを負っていない。 まず,本件各パートナーシップ契約及びそ うのが原則であるところ,以下のとおり,原告ら一般組合員は,実質的には本件各船舶の共同所有者としてのリスク,本件各組合の組合員としてのリスクを負っていない。 まず,本件各パートナーシップ契約及びその準拠法によれば,本件各組合は,本件各LPSにおいてリミテッド(有限責任)・パートナーとされ,出資の範囲内でしか責任を負わない。 次に,ご案内によれば,本件各セットローン契約に基づく返済等は,傭船料収入から負担するので,本件各組合の組合員には,傭船期間中に新たな資金負担が発生しない。なお,ご案内によれば,本件各船舶の売却価格によっては,投下資本の全額回収が図れず,本件各組合の組合員は出資の範囲内で損害を被ることがあるとされているが,セットローンは,本件各裸傭船契約満了後の船舶の売却を待たずに購入オプションが行使されることにより,その返済ができるように設計されており,上記損害を被る可能性はない。 また,船舶事故のリスクについては,傭船先が加入している船舶保険から傭船契約に基づく傭船先からの損害請求額の回収を行い,本件各組合を通じてその組合員に配分することとされている。 さらに,本件各裸傭船契約に定める約定損失補償額は,セットローンの残額及び自己資金の額を本件各組合の組合員に払い戻し,管理手数料を支払うために必要な額を回収できるよう約定されている。ちなみに,本件各裸傭船先は,約定損失補償額の105パーセントの金額の保険を付することとされている。 最後に,本件各定期傭船先(プロキオン組合の場合は日本郵船)は,本件各裸傭船先(同じくコスモ・シップホールディング)が本件各裸傭船契約に従い本件各LPS(同じくプロキオンLPS)に対して負うあらゆる義務の履行を保証(撤回不能とされている。)し,本件各裸傭船先の債務を連帯して負っている。 以上のとおり,本件 グ)が本件各裸傭船契約に従い本件各LPS(同じくプロキオンLPS)に対して負うあらゆる義務の履行を保証(撤回不能とされている。)し,本件各裸傭船先の債務を連帯して負っている。 以上のとおり,本件各組合にあって原告ら一般組合員は,外形上は組合員としての責任を負っているかに見えるが,その負担する責任の範囲は制限されており,実質的には,当初の出資(一口当たり5000万円)をすること以外の責任を負っていない。そして,上記hのとおり,当初の出資のうち,その約7割に当たるセットローン相当部分が実質的には一般組合員の投資とはいえないことからすれば,原告ら一般組合員は自己資金相当額である一口当たり1500万円の投資以外には何も行っていない。 このように,外形上の法形式が有効に成立すれば当然生じるはずの法的効果について否定されるかのような仕組みとなっていることは,そもそも当事者はかかる法的効果を発生させる意思がなく,内心的効果意思自体を欠いていることをうかがわせるから,民法上の組合契約の成立要件を欠いていることについての一つの間接事実となる。 (ウ) 民法上の組合契約の成立要件非充足a 出資の合意とその履行の欠如上記のとおり,出資の目的物である本件各船舶の共有持分権は,何ら実体を伴わず循環しているだけであって,原告らが共有持分権を取得してこれを出資するとの外形と整合しない事実が多々見られるほか,取得したはずの組合員としての権利等の一切は出資と同時に譲渡担保と称して移転してしまうという,かかる外形と矛盾する契約すら存する。そして,住商リースグループの一員であるSCLマリタイムは,当然これらの事実を認識していたものと認められるし,原告らもこれらの事実のすべては知らないと思料されるものの,本件各船舶の共有持分権を有しているとの意識を全く欠いている。 であるSCLマリタイムは,当然これらの事実を認識していたものと認められるし,原告らもこれらの事実のすべては知らないと思料されるものの,本件各船舶の共有持分権を有しているとの意識を全く欠いている。 これらによれば,まず,SCLマリタイムと原告らは,本件各船舶の共有持分権を真に売買する意図があったものとは到底認められないから,本件各船舶持分権売買契約書についてはその真正な成立を妨げる特段の事情があり,処分証書たり得ず,同各契約が成立したものとは認められない。あるいは,少なくとも表示から推察される「売主において本件各船舶の共有持分権を譲渡し,買主においてその代金を支払う」との効果意思を欠き,虚偽表示として無効である。したがって,本件各船舶の共有持分権を出資するとの合意があったとは認め難いから,「一口5000万円相当の本件各船舶の共有持分権を出資する」との合意もその履行も認められない。 b 共同事業目的の合意の不存在一般組合員が解任権を行使することは現実的には不可能であり,住商リースとしても同様の認識であることに加え,本件では業務執行組合員であるSCLマリタイムにおいて価格のかさ上げという善管注意義務違反ともなり得る事実が当初より組み込まれていながら,この事実は一般組合員らの知るところではない。そうすると,本件においては原告ら一般組合員に解任権があるとは認められないから,その意味で事業を共同で営むとはいえず,共同事業目的についての合意を欠くといわざるを得ない。 また,検査権及び解任権は共同事業目的が存することを示す外部的徴表の一つにすぎないから,その前提となる共同事業目的が当事者間で全く異なっており,あるいはそこから得られる利益が共通でないなど,前提となる本質部分に相違がある場合には,共同事業性は認められず,共同事業目的についての合 ら,その前提となる共同事業目的が当事者間で全く異なっており,あるいはそこから得られる利益が共通でないなど,前提となる本質部分に相違がある場合には,共同事業性は認められず,共同事業目的についての合意の存在は否定されると考えられる。本件においては,SCLマリタイムは本件各船舶の価格をつり上げた上で共有持分権の売却を行っており,その分の損失は本件各原告らに跳ね返ってくることとなっているにもかかわらず,その分の利益をSCLマリタイム及び住商リースで取得することとされており,ここに住商リースらと原告らとの間に利害相反関係が存する。このほか,本件各セットローン契約を始め,住商リースらにとっては利益となるが一般組合員の立場では何らの利益とならない定めの存在も見られる。加えて,原告らは(課税額減少効果を考慮しない限り)大した利益を得られないのに対し,住商リースらは本件賃貸事業を利用して大きな利益を上げるものであり,共同であるはずの事業から得られる利益には大きな差異があって,この事業を行う経済的目的も異なる。そして,当然のことながら,住商リースらはこの点は百も承知である。 これらを総合的に考慮すれば,住商リースらと原告ら一般組合員との間では,事業が共同のものであるとはいえないし,「利」と「害」も一致していないという,上記の前提となる本質部分について相違があると認められるから,共同事業性は認められず,共同事業目的についての合意は認められないというほかない。 (エ) 利益配当契約の成立要件利益配当契約の成立要件は,当事者の一方が相手方のために金銭を交付することの合意の存在,出資を受けた当事者が,交付された金銭を運用し,その運用利益を金銭交付者に分配するとともに,運用終了時には,残った金銭を金銭交付者に返還する旨の合意の存在であると考えられる。 すなわ との合意の存在,出資を受けた当事者が,交付された金銭を運用し,その運用利益を金銭交付者に分配するとともに,運用終了時には,残った金銭を金銭交付者に返還する旨の合意の存在であると考えられる。 すなわち,①当事者の存在と②出資の合意,そして③利益の分配及び清算の合意である。この要件は,民法上の組合契約の成立要件と一部共通していることから,業務執行者を選任する形態の民法上の組合と,事業を行う者に対して投資するにすぎない利益配当契約の区別が問題となるが,利益配当契約は,民法上の組合契約その他の典型契約に該当しない非典型契約であり,民法上の組合契約等の典型契約に該当しない場合に成立するものと考えられる。 この点に関し,原告らは,被告らの主張する利益配当契約の具体的内容が匿名組合のそれにほかならないなどと主張するが,失当である。すなわち,判例においては,所得税法上の匿名組合契約等に当たるためには,三つの要件(出資,利益の分配,10人以上の出資者)のほかに,出資者が隠れた事業者として事業に参加しその利益の配当を受ける意思を有することを必要とし(最高裁昭和36年10月27日第二小法廷判決・民集15巻9号2357頁,最高裁昭和37年10月2日第三小法廷判決・税務訴訟資料36号938頁),また,学説においては,匿名組合は,他人の営業のために元本の利用を許す契約である点で,消費貸借契約と類似しているが,匿名組合は営業の成績によって定まる不確定な利益の分配をなすことを要素とするのに対し,消費貸借においては,営業の成績と無関係に確定の利息の支払を受け,弁済期には元本の返還を受けるとともに,借主の元本の利用については全く関与する権利を有しない点において異なっているとされ,具体的には,①営業者が営業遂行の義務を負うか,②相手がその営業につき監視権(商法542条 の返還を受けるとともに,借主の元本の利用については全く関与する権利を有しない点において異なっているとされ,具体的には,①営業者が営業遂行の義務を負うか,②相手がその営業につき監視権(商法542条,153条)を有するかが,重要な判断の基準となると解されているところ,これらの要件は,利益配当契約の要件とは異なるから,本件各組合は,匿名組合にも当たらない。 さらに,原告らは,被告らが60号事件原告及び61号事件原告の平成12年分の雑所得を0円としていることと利益配当契約を主張することとは矛盾しており,裁決の拘束力にも反するなどと主張する。しかしながら,被告らの主張は,あくまで本件各組合参加契約が民法上の組合契約の要件を欠き,利益配当契約であるというものであり,一貫しているものであるし,上記雑所得を0円としているのは,分配金について課税した分について裁決により取り消されたがために主張しない趣旨にすぎず,裁決の拘束力に従った主張をしているにすぎないから,原告らの上記主張は失当である。 (オ) 利益配当契約の該当性本件スキームにおいては,本件各船舶は,住商リースグループ外の本件各船舶購入元①から本件各船舶購入元②に譲渡され,次いでSCLマリタイムに譲渡され,共有持分権に分割された上で,原告らに売却され,原告らがこの共有持分権を本件各組合に出資することで,共有持分権のすべてが集結し,その後,本件各組合が本件各船舶を本件各LPSに現物出資している。これらの行為は,ほぼ同日のうちに行われており,極めて回りくどい経路をたどった上で,本件各船舶購入元②であるゼネラル・パートナーの支配下に置かれることになる。 このように一見無意味な方法であったとしても,これが実体を伴うものであり,かかる方法によることによる合理的な理由があれば直ちに否定されるべきものではな ラル・パートナーの支配下に置かれることになる。 このように一見無意味な方法であったとしても,これが実体を伴うものであり,かかる方法によることによる合理的な理由があれば直ちに否定されるべきものではないが,本件スキームにおいては,所有権移転の外形上も,他人物売買であったり,原告ら一般組合員が代金を支払わず出資をしないうちに組合の創立総会が開かれたり,更には取得したはずの本件各船舶の共有持分権及びこれを出資して得られるはずの組合員としての権利等を譲渡担保と称して失ってしまうことになるなど,かかる所有権移転に関する外形上の法形式と整合しない事実が多々見られる。 加えて,かかる方法によってまで共有持分権を取得するために,原告らは,不必要であり利益にならない借入れを行わなければならない。さらに,共有持分権及びこれに基づく組合員としての権利等は,通常の業務執行の場面において行使できないのみならず,本件各船舶の売却という最も重要な場面においてすら,何ら行使できないのである。これに併せて,本件各船舶の共有持分権者であり,組合員であれば負うはずの責任,リスクも,現実的には負うことはない。 このような組合員としての権利等は,利益の配当を受けるという利益配当契約によっても実現可能な点を除けば,ほぼ有していないに等しい。そうすると,本件各船舶は本件各船舶購入元②が第三者から取得してこれを本件各LPSに現物出資したものと理解するのが自然であるし,本件各船舶の処分等の権能の所在はそのように理解しても全く同様であり,本件各譲渡証の内容や本件各船舶売買契約②における「先行条件」の記載は,本件各船舶購入元②が本件各船舶を本件各LPSに譲渡するものとなっていることからすれば,本件各船舶の所有権は,外形上の法形式上,実体を伴わずに,本件各船舶購入元②→SCLマリタイム→原 」の記載は,本件各船舶購入元②が本件各船舶を本件各LPSに譲渡するものとなっていることからすれば,本件各船舶の所有権は,外形上の法形式上,実体を伴わずに,本件各船舶購入元②→SCLマリタイム→原告ら一般組合員→本件各組合→本件各船舶購入元②と,いわば循環している構造となっており,原告ら一般組合員は本件各船舶について何らの権利も有しないといえるから,本件は映画フィルム事件とまさに類似する事件といい得る。 このような実体にかんがみれば,本件スキームの経済的実質は,住商リースグループが,本件各定期傭船先から本件各船舶を取得し,これを貸し戻すという,いわゆる「セール・アンド・リースバック」を行うものであって,原告らにおいても,住商リース及びSCLマリタイムにおいても,本件各原告らが本件各船舶の共有持分権を取得し,これを出資して本件各組合に参加するという外形上の法形式どおりの真意は到底認められず,原告らは,かかる事業に対して船舶購入資金を投資したにすぎないものと認定すべきである。 (カ) 利益配当契約の内容上記のとおり,本件各組合参加契約は,民法上の組合契約としては有効に成立しておらず,いわば住商リースグループが行うセール・アンド・リースバック取引に対して資金を出資したに等しいものとなっており,利益配当契約にすぎないというべきところ,この内容は,原告ら一般組合員が,住商リースとSCLマリタイムが組成した本件各組合が行う船舶賃貸事業に対して出資を行い,同組合から出資額に応じた相応の現金分配金の配当を受けるというものであるから,以下のようになる。 a 契約当事者原告ら一般組合員は本件各組合の発起人であって理事長予定者であったSCLマリタイムに出資をし,その配当を受け取るという関係にあるから,利益配当契約は,原告ら一般組合員とSCLマリタイムと 契約当事者原告ら一般組合員は本件各組合の発起人であって理事長予定者であったSCLマリタイムに出資をし,その配当を受け取るという関係にあるから,利益配当契約は,原告ら一般組合員とSCLマリタイムとの二当事者間で各別に締結されたと見るのが相当である。 b 配当利益の内容(a) 本件各船舶売却前の配当プロキオン組合における組合規約(甲A2)17条(組合の収益)4項は,「理事長は,本規約第5章に定めるところに従い,各組合員に組合利益を分配する。」旨規定し,同22条(組合利益の分配方法)1項は,「理事長は,傭船者とパートナーシップとの間で締結された裸傭船契約に基づき傭船料がパートナーシップに支払われ,かつ,リミテッド・パートナーシップ契約に基づき分配金が本組合に支払われたことを条件として,傭船料がパートナーシップに支払われる日の属する各月の翌月15日までに,組合員に現金の分配を行う。」旨規定している。また,本件各セットローン契約(乙A8)7条(直接取立)1項には,「債務者は,貴社が本契約により譲渡を受けた本件担保は,貴社がその判断によりその都度全部又は一部を直接取立て,取り立てた日又は貴社が相当と認めるその他の日に,本件債務の元利金の弁済に任意の順序で充当することに同意します。」との約定がある。 さらに,ご案内の「損益予想表」の「現金収支」欄には,一般組合員の出資金額に応じて,一般組合員が各事業年度に取得できる見込みの現金分配額が記載されている。 以上によれば,本件各船舶売却前の,利益配当契約に基づく配当金額は,ご案内の「損益予想表」の「現金収支」欄記載の各事業年度ごとの配当見込額を基準としつつ,事情に応じて相応の増減をした金額であると認められる。 (b) 本件各船舶売却時の配当本件各船舶売却時には,売却代金等を原資として一般組合員に 支」欄記載の各事業年度ごとの配当見込額を基準としつつ,事情に応じて相応の増減をした金額であると認められる。 (b) 本件各船舶売却時の配当本件各船舶売却時には,売却代金等を原資として一般組合員に対する利益配当が行われるが,その売却によって,本件賃貸事業は終了するため,本件各船舶売却時の現金分配金(船舶売却代金分配金)には,一般組合員が利益配当契約締結時に出資した出資金の返還分が含まれている。 したがって,本件各船舶売却時に一般組合員に支払われる金額のうち,出資金額に充つるまでの分は,出資金の返還であり,それを超える分は,利益配当契約に基づく現金分配金である。 (原告ら)被告らの主張は争う。 本件各組合参加契約は,以下のとおり,経済的合理性を有し,通常用いられることのない契約でもなく,民法上の組合契約の成立要件を充足している。ア本件賃貸事業における経済的合理性以下のとおり,本件賃貸事業は,傭船料の観点からも,船舶売却収入の観点からも,傭船事業としての収支は十分に合理性があり,かつ,被告らの課税額減少効果についての主張は失当であるから,本件賃貸事業はそれ自体で経済的合理性があり,この点を否定する被告らの主張は誤りである。 (ア) 本件賃貸事業の有用性,必要性船舶の賃貸事業は,社会的,経済的なニーズを受け,長年にわたって世界で広く行われている有用な事業である。すなわち,日本に欠かせないインフラである海運を支える船舶は,日本国の会社が自社で所有する船舶ではなく,リースによる傭船(それも便宜置籍による外国傭船)が中心であり,かかる状況は,イギリス,アメリカ,ギリシャ等の海運先進国でも同様とされている。 また,大型コンテナ船,チップ運搬船及びLPG専用船を含む輸送用船舶は,外航海上運送の要として世界中で社会的かつ経済的な需要があ は,イギリス,アメリカ,ギリシャ等の海運先進国でも同様とされている。 また,大型コンテナ船,チップ運搬船及びLPG専用船を含む輸送用船舶は,外航海上運送の要として世界中で社会的かつ経済的な需要があるところ,これらは1隻が数十億円から数百億円に及ぶものであり,外航海運企業がこれを自ら購入し,長期にわたって保有し続けるためには,莫大な資金力を必要とする。加えて,船舶も不動産と同様に(又はそれ以上に)市場価格の変動があり,特に借入金等によって船舶購入資金を調達している場合には,その船舶の市場価格の下落により,資産価格が借入額を下回り,不良債権化することとなる。 したがって,世界有数の外航海運企業であっても,自己資金や銀行融資ですべての使用船舶を購入し,保有を継続することは事実上不可能であり,相当程度の割合でリース船を導入しているのが実情である。 かかる需要がある一方,傭船事業を行うリース会社の数が限られているため,必然的に本件賃貸事業のように複数人で船舶を買い付け,組合を結成して共同出資し,これを海運会社に賃貸するという事業形態が,以前から世界中で行われてきたものであり,これは極めて有用かつ一般的な事業である。かかる賃貸事業がなければ,海運・輸送業界は全く成り立たなくなり,物流に支障を来し,経済社会及び一般市民等に与える影響は計り知れないこととなる。 このように,本件賃貸事業の有用性及び必要性は明らかである。 (イ) 経済的合理性の判断の在り方本件賃貸事業は,外航海運の運航の用に供される船舶を購入し,裸傭船として賃貸し,かつ,賃貸期間終了等により船舶を売却するという傭船事業であるから,その経済的合理性を検討する場合には,賃貸期間中の傭船料収入と船舶売却時の売却収入に基づく経済分析をしなければならないことは自明の理である。しかしながら,被告 舶を売却するという傭船事業であるから,その経済的合理性を検討する場合には,賃貸期間中の傭船料収入と船舶売却時の売却収入に基づく経済分析をしなければならないことは自明の理である。しかしながら,被告らはあえてこの点を無視し,プロキオン組合の購入オプションが行使された場合という限定的な場合のみを例として取り上げ,かつ,キャッシュ・フロー・ベースという被告ら独自の計算方法を用いて「利益は極めて少ない」などと断定する。 そもそも被告らは,事業の経済効果を「キャッシュ・フロー・ベースでの利益」と「課税額減少効果での利益」に区別して立論するが,そのように分けてとらえる必然性はなく,むしろ,租税の問題は,多くの経済取引において,考慮すべき最も重要なファクターであり,合理的経済人であるならば,その意思決定の中に租税の問題を組み込むはずであるから,租税効果は,事業の選択や経済効果を判断する他の諸要素と同列に,一体として考慮されるべきものである。 また,「キャッシュ・フロー・ベースでの利益」が少なければ「経済的に不合理」であるなどとする被告らの結論自体も誤りであることは,説明を要しない。 (ウ) 傭船料収入の合理性59号事件原告の本件賃貸事業における傭船料収入は,プロキオン組合で年812万7568円(甲イ18の1,2),ディライト組合で年365万0204円(甲イ19の1ないし3),イースタン組合で年962万8848円(甲イ20の1,2)であり,本件各組合における59号事件原告の共有持分権の購入価額で賃貸料率を計算すると年7.3パーセントから9.629パーセントにも上る。この数値は,都市部における商業ビル等の賃貸料率と比較しても倍以上の高い数値であり,加えて,裸傭船では船舶の維持・管理費等は賃借人負担のため,それらを賃貸人が負担する不動産と比較すると,利 も上る。この数値は,都市部における商業ビル等の賃貸料率と比較しても倍以上の高い数値であり,加えて,裸傭船では船舶の維持・管理費等は賃借人負担のため,それらを賃貸人が負担する不動産と比較すると,利回り計算では更に高い数値となる。したがって,本件賃貸事業は,傭船料の点からは極めて収益性の高い事業であるといえる。 被告らは,意図的にこの分析をせず,「キャッシュ・フロー・ベース」などと称して10年複利で0.33パーセントという低い数字を導き出しているが,いずれにせよ上記商業ビル等のリース料率から支払利息と維持・管理の諸費用を控除した数値と比較すれば,本件賃貸事業の収益性ははるかに高く,かつ,安定していることは明らかで,経済的合理性があることも明白である。 (エ) 船舶売却収入の合理性本件各裸傭船契約には,見直日における傭船者の購入オプションが規定されているところ,被告らは「見直日に購入オプションが行使され,傭船契約を終了させることが予定されている」ことを前提に,かつ,プロキオン組合の場合のみの収支計算をして,「船舶の売却による収入を加えてもキャッシュ・フロー・ベースでの利益は極めて少ない」などと断定する。 しかしながら,見直日に購入オプションが行使されることが予定されているわけではないこと,本件賃貸事業は,損も出る場合もあるが益が出る場合もあること,これらからすれば,船舶売却収入についても,十分に経済的合理性があるというべきである。 (オ) 課税減少効果被告らは,事業の経済的合理性を判断するに当たり,租税負担の観点をも加味した検討を基本的に行わないとしているが,減価償却の計上や損益通算による所得の減少は,国民の行う事業の経済的合理性に当然に影響するものである。 そもそも,本件各船舶が賃貸され,継続的に使用される場合,その資産価値が次第 ないとしているが,減価償却の計上や損益通算による所得の減少は,国民の行う事業の経済的合理性に当然に影響するものである。 そもそも,本件各船舶が賃貸され,継続的に使用される場合,その資産価値が次第に減少していくから,将来の転売の際に現実化する損失を所有する期間に応じて各年度の費用として計上して,減価償却をする必要があることは会計上当然であり,このような経費の計上が許されないのであれば,傭船事業自体が経済的合理性ある事業として実施できなくなる。そして,損益通算についても,所得の性質上不相当と考えられるものを除き,総合所得課税の建前を具体化したものであるから,これも個々の事業者の経済的合理性に影響するものであることは明らかである。 イ民法上の組合契約という法形式の合理性(ア) 個人による船舶賃貸事業の合理性個人が船舶賃貸事業を営むことは,所得税法26条も明文で規定しているとおり,自由であり,かつ何ら不自然でもない。にもかかわらず,被告らは,本件賃貸事業が「住商リースと本件各裸傭船先との間のセール・アンド・リースバック取引に近い」から,「端的に,かかるセール・アンド・リースバック取引を行えばよいものであって」,本件スキームは「迂遠極まりない方法」であると主張する。 しかしながら,個人が事業を営むことは,法によって一般に広く認められているのであるから,個人が事業を営む法形式を選択するか,他の法主体の行う事業に資本を投下し,利益の配分を得る法形式(この場合には,事業経営の監督や意思決定への参加ができない場合が多く,個々の権利義務や損益も他の法主体に帰属する。)のどちらを選択するかは,当該個人の自由に任されている。しかるところ,後記のとおり,本件賃貸事業は,個人が事業を営む場合の通常の特徴を有しており,その合理性が否定される理由はない。 ( 帰属する。)のどちらを選択するかは,当該個人の自由に任されている。しかるところ,後記のとおり,本件賃貸事業は,個人が事業を営む場合の通常の特徴を有しており,その合理性が否定される理由はない。 (イ) 民法上の組合契約の合理性a 個人が自ら船舶賃貸事業を営むことを選択したとしても,外航海運に用いられる船舶を対象とする場合,①莫大な購入資金を要すること,②賃借人が債務を不履行した場合,賃借人が第三者に損害を与えた場合,船舶が破損した場合,船舶売却時における価格変動等のリスクが大きいことなどから,単独で行うことは事実上困難であり,リスクの分散を図る必要がある。 したがって,これらのリスクを分散し又は補完することが可能となる共同事業の形態で船舶賃貸事業を行うことは合理的である。 b 多人数で事業を行う場合,①民法上の組合,②共有,③匿名組合等の法形式が考えられる。 しかし,②については,保存行為については単独で,処分行為については全員の一致で,それ以外の行為については持分の過半数でなし得るという規律(民法251条,252条,商法693条)以外,組織の目的,意思決定及び事業の執行方法に関する規律が存在せず,円滑な事業遂行は期待し難いし,③については,業務に関する意思決定や対外的な責任は営業者のみが行い,事業用資産も営業者に帰属するので,匿名組合員には意思決定への関与や権利義務の帰属が認められないことになる。 したがって,経営の監督や意思決定に参加し,事業に関する権利義務を自ら保有又は負担して,当該事業による利益を享受し,損失を負担する法形式としては,①が合理的である。 c 民法上の組合によって船舶賃貸事業を行うには,①船舶の共有持分権を組合員個人が自ら購入して,これを組合に出資する方法,②組合員個人が現金を出資して,組合が船舶を購入する方法 ,①が合理的である。 c 民法上の組合によって船舶賃貸事業を行うには,①船舶の共有持分権を組合員個人が自ら購入して,これを組合に出資する方法,②組合員個人が現金を出資して,組合が船舶を購入する方法,③既に設立済みの船舶を保有する組合の組合員たる地位を譲り受ける方法が考えられるところ,①と②はいずれも通常の方法であり,一方が「迂遠」というべきものではない。 そして,①の方法による場合,本件のように共有持分権売買契約と組合参加契約を締結することになるのは当然である。 (ウ) ケイマン法上のパートナーシップ契約の合理性a 便宜置籍には,①海運収入に対して課税されず,年税そのほかの一定のわずかな税金しか課税されない,②船舶に適用される安全基準が厳格でない,③運航費を低額に抑えられる,④国家による規制が厳格でないなどの利点があり,さらに,その代表とされるパナマ(共和国)で船舶登記登録を行うことには,⑤米ドルが通用性を有するため,為替管理が容易である,⑥企業秘密が確保できる,⑦政治経済が安定している,⑧情報収集が容易である,⑨船舶の登記登録が簡便であるなどの利点もある。中でも,便宜置籍船では,船員についての規制が緩和されており,賃金を低額に抑えることができる。 その結果,我が国の商船隊(2000総トン以上)のうち,便宜置籍船は約95パーセントを占め,そのうちでもパナマ籍船舶が全体の約70パーセントを占めている。このように,船舶賃貸事業を行う上で競争力を保つためには,便宜置籍を行うことはもはや必須のことである。 b 本件賃貸事業は,本件各パートナーシップ契約を通じて行われているが,これは本件各組合が,船舶の運航費を低減し,賃貸事業をより効率的に行うべく便宜置籍を利用するためである。 すなわち,パナマでは,当時,民法上の組合又はその組合員を所有名義 約を通じて行われているが,これは本件各組合が,船舶の運航費を低減し,賃貸事業をより効率的に行うべく便宜置籍を利用するためである。 すなわち,パナマでは,当時,民法上の組合又はその組合員を所有名義人とする登記登録が行い得ない可能性があったため,日本における渉外取引で頻繁に用いられ,パナマで船舶登記登録が可能とされているケイマンのLPS名義で登記登録することとした。 このような合理的な目的のために,本件各パートナーシップ契約を用いたのであり,被告らの主張するように,「迂遠極まりない方法」などと論難されるべきものではない。 (エ) セール・アンド・リースバック取引の非該当性被告らは,本件賃貸事業の実体が住商リースグループと本件各裸傭船先との間のセール・アンド・リースバック取引に近いなどと主張するが,これは,本件賃貸事業が原告ら組合員の事業であることを殊更に無視し,住商リースグループが賃貸事業主でなければならないとの誤った前提に基づく議論である。 また,セール・アンド・リースバック取引とは,一般に同一当事者間における売買及び賃貸借を指すところ,本件は,SCLマリタイムから本件各船舶(の共有持分権)を取得した本件各組合の組合員が,本件各組合及び本件各LPSを通じて,本件各傭船先に賃貸しているのであるから,これに該当するものではない。そもそも,本件各契約には,多数の独立した当事者が関与しており,税法上の明文の規定なくして,売買契約の当事者と賃貸借契約の当事者を全体的に考察する根拠などない。 ウ民法上の組合契約の成立要件充足(ア) 民法上の組合契約の成立要件a 所得税基本通達36・37共-19及び同20にいう「任意組合」とは,民法第667条の規定により組成された組合をいうところ,民法667条1項は「組合契約ハ各当事者カ出資ヲ為シテ共同ノ事業 成立要件a 所得税基本通達36・37共-19及び同20にいう「任意組合」とは,民法第667条の規定により組成された組合をいうところ,民法667条1項は「組合契約ハ各当事者カ出資ヲ為シテ共同ノ事業ヲ営ムコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス」と規定する。これによれば,民法上の組合が成立するためには,2人以上の当事者が,①出資すること及び②共同事業を営むことについて合意することが必要であり,かつ,これだけで足りる。 そして,ある事業が組合員の共同事業であると認められるためには,各当事者が組合の目的たる事業の遂行に関与する権利を持つ場合でなければならないが,各組合員が,1人又は数人の組合員に業務の執行を委任するときは,各組合員が,組合の業務及び組合財産の状況を検査することができる検査権(監視権。民法673条)と,業務執行組合員を一定の条件の下に解任する権限とを保有していることで足りる。 以上は,民法上の組合契約に関する私法上の確定した解釈である。 b この点につき,被告らは,利益配当契約と民法上の組合契約の区別は,共同事業目的の合意の有無にあるとし,その合意の本質は,組合員が共同の事業から得られる「利益が共通」である旨主張する。 しかしながら,事業の共通性の指標については,「すべての当事者が事業の成功に利害関係を有することに表れる。ただし,その利害関係は経済的なものでも精神的なものでもよく,当事者間で異なった性質の利害関係でもよい」とされており,利益の共通性を要件とするものではない。したがって,利益が共通でないものを利益配当契約と解する被告らの主張は,その前提とする民法上の組合契約の成立要件自体が根拠のないものであるので,それ自体失当である。 (イ) 本件各組合参加契約における民法上の組合契約の成立要件充足以下のとおり,本件各組合における一般組合 の前提とする民法上の組合契約の成立要件自体が根拠のないものであるので,それ自体失当である。 (イ) 本件各組合参加契約における民法上の組合契約の成立要件充足以下のとおり,本件各組合における一般組合員は,業務執行の検査権及び業務執行者の解任権を共に有しており,本件各組合の組合員が,民法上の組合の成立要件のうち「②共同事業を営むこと」について合意していることも明白である。 したがって,本件各組合は民法上の組合として有効に成立しており,原告らは,いずれも有効にその組合員となっている。 a 出資の合意本件各組合においては,まず住商リースとSCLマリタイムが発起人として本件各組合設立契約を締結して,民法上の組合を成立させており,その後,59号事件原告は,本件各組合参加契約を締結しているところ,同契約1条によれば,原告らは本件各組合参加契約記載の出資口数に相当する本件各船舶の共有持分権を出資することについて合意していることは明らかである。 b 検査権の存在原告らが本件各組合参加契約を締結することにより参加した本件各組合は,本件各組合設立契約及び本件各組合規約に定める契約内容を有するところ,同規約14条は,組合員の検査権と題して,「各組合員は,その必要がある場合,事前に理事長に書面により通知して,相当な場所及び時間並びに方法において,本組合の業務及び組合財産の状況を検査することができる。」と明文で定めている。 したがって,原告ら一般組合員が民法に定める検査権を有していることは明白である。 c 解任権の存在本件各組合においては,理事長は理事の中から選任されるとされているところ(本件各組合規約10条1項),同規約12条3項及び4項は理事の解任権を定め,正当な理由のある場合で,総出資口数の過半数を有する組合員の出席した組合員総会における総出資口数の れるとされているところ(本件各組合規約10条1項),同規約12条3項及び4項は理事の解任権を定め,正当な理由のある場合で,総出資口数の過半数を有する組合員の出席した組合員総会における総出資口数の3分の2以上の解任決議と,後任理事の選任決議を要件として,解任できるとしている。民法672条1項及び2項は,業務執行組合員の解任権について,正当な理由のある場合のみ,かつ,他の組合員の全員一致によってのみ行使することができると定めるので,同規約の要件は,後任理事の選任を除けば,これを更に緩和するものである。また,後任理事は,多数存在する組合員の中からこれを選任すればよいので,何ら解任権の制限とはならず,この要件を加えることは理事会の運営からも合理性がある。 この点について,被告らは,本件各組合の組合員が理事長の解任権を有してないと主張し,その根拠として,組合員名簿が組合員に配布されていないことを指摘する。しかしながら,そもそも組合員全員が住所や連絡先まで含めた組合員名簿を有していることは民法上の組合の成立要件でも有効要件でもない。組合員のプライバシー等を考慮すれば,業務執行者が管理するのが適切である場合も多く,あらかじめ開示されていない場合もある。本件において,理事長は,組合員の氏名,住所等を記載した組合員名簿を作成・保管しているところ,もし組合員が解任権を行使するために組合員名簿の閲覧を請求すれば,理事長は個別の住所・連絡先を含め開示する義務があることは,組合員が検査権を有していることからも,また,理事長に善管注意義務があることからも当然である。 したがって,本件各組合の一般組合員が,民法672条2項に定める業務執行組合員の解任権を有していることもまた明白である。 (ウ) 民法上の組合契約不成立との被告らの主張に対する反論上記で反論した以 したがって,本件各組合の一般組合員が,民法672条2項に定める業務執行組合員の解任権を有していることもまた明白である。 (ウ) 民法上の組合契約不成立との被告らの主張に対する反論上記で反論した以外の被告らの主張は,いずれも,民法上の組合契約の要件ではなく,本来は反論を要しない。しかし,被告らは,裁判所に対し,本件賃貸事業を殊更に問題視させたり,悪印象を持たせる目的で誤った主張を展開していることから,その主張が誤っていることについて指摘する。 aSCLマリタイムによる「理事長」の署名(a) 被告らは,本件各組合の創立総会の前に,SCLマリタイムが本件各組合の理事長との肩書で本件各パートナーシップ契約に署名していることは,本件各組合設立契約7条と本件各組合規約9条及び10条に違反する旨主張する。 しかしながら,本件各組合設立契約7条1項によれば,創立総会終了時までは,本件各組合の運営は発起人間の協議で行うことができるところ,本件各組合においては,その業務執行の必要上から本件各パートナーシップ契約の締結を先に行ったのであり,そのため発起人である住商リースとSCLマリタイムは協議の上,発起人であり理事長予定者であるSCLマリタイムが本件各パートナーシップ契約書に署名したにすぎず,本件各組合の業務執行方法として本件各組合設立契約に則した適法な行為である。被告らは,理事長という肩書が使われているのを問題視しているようであるが,SCLマリタイムは創立総会と理事会で理事長に就任することが予定されていたので,本件各パートナーシップ契約の署名の際に肩書として使ったにすぎない。 (b) また,被告らは,原告ら一般組合員の本件各組合参加契約の締結前に本件各パートナーシップ契約が締結されたため,原告ら一般組合員は本件各パートナーシップ契約の締結に何ら関与 て使ったにすぎない。 (b) また,被告らは,原告ら一般組合員の本件各組合参加契約の締結前に本件各パートナーシップ契約が締結されたため,原告ら一般組合員は本件各パートナーシップ契約の締結に何ら関与していない,住商リース及びSCLマリタイムは,原告ら一般組合員の「組合員としての議決権」を認めていない,「組合員として扱っていない」などと主張する。 しかしながら,ご案内及びリファレンス・ブックには,本件各組合がケイマンにパートナーシップを設立し,本件各船舶を現物出資して本件賃貸事業を行うことや,SCLマリタイムが業務執行組合員(理事長)に就任することは,明確に記載され,本件各組合参加契約書に添付される本件各組合設立契約と本件各組合規約の別紙1「本事業の概要」にも,本件各パートナーシップ契約が締結されることが明示されているところ,原告らは,これらを検討し,承認して本件賃貸事業に参加する意思決定をしているのであるから,被告らの上記主張は誤りである。 b 原告ら一般組合員による出資被告らは,①ディライト組合及びイースタン組合について,原告らが自己資金を出捐する前に創立総会が開催されているのは,本件各組合設立契約12条1項の手続に反していること,②プロキオン組合,ディライト組合及びイースタン組合について,59号事件原告がSCLマリタイムに本件各船舶の共有持分権の売買代金のうち自己資金部分を支払う前に本件各船舶の共有持分権が譲渡されているが,これは本件各共有持分権売買契約7条に反すること,③59号事件原告がプロキオン組合にプロキオン号の共有持分権を現物出資したのは平成7年3月22日であり,共有持分権取得日の同年3月24日の前であること,これらを理由に原告ら一般組合員が本件各組合に出資した事実を否定する。 しかしながら,まず①については,本件各組合 資したのは平成7年3月22日であり,共有持分権取得日の同年3月24日の前であること,これらを理由に原告ら一般組合員が本件各組合に出資した事実を否定する。 しかしながら,まず①については,本件各組合設立契約12条1項は,「発起人は,総出資口数の出資の完了を確認した後,……創立総会を招集する」と定めており,船舶共有持分権を取得するための自己資金の出捐や送金を条件としていない。したがって,契約違反はなく,ましてや原告らを含む全組合員は出資を完了しており,出資の外形作出などではない。②についても,本件各共有持分権売買契約7条1項では,売買代金の支払という条件が「売主に放棄され」る場合は,引き渡すことができることが明示されている(甲イ5,甲イ7,甲イ9)から,買主である59号事件原告の自己資金部分の振込みが遅れた場合でも,売主であるSCLマリタイムは,条件を放棄して共有持分権を引き渡すことが契約条項の明文で認められており,何ら違反でもなければ,「考え難い」ものでもない。 また,③についても,被告らは平成7年3月22日に59号事件原告が現物出資をしたと主張するが,その根拠は組合参加契約書(甲イ6)の日付と考えられるところ,それは契約書の作成日付であり,出資日ではない。 出資日は組合参加契約の第1条に明示されている平成7年3月24日であり,これは,59号事件原告がプロキオン号の共有持分権を取得した日(乙イ11)と一致する。 以上のとおり,被告らの主張はいずれも誤っている。 c 一般組合員の本件各船舶処分権限(a) 被告らは,①本件各裸傭船契約中に,船舶所有者は,見直日までは,賃借人の同意ない限り本件各船舶を売却できないとの条項があること,②傭船契約が終了したとき又は見直日以降について,理事長は理事会の同意のみで各パートナーシップに本件各船舶を処分さ は,見直日までは,賃借人の同意ない限り本件各船舶を売却できないとの条項があること,②傭船契約が終了したとき又は見直日以降について,理事長は理事会の同意のみで各パートナーシップに本件各船舶を処分させることができることを根拠に,一般組合員に本件各船舶の処分権限がない旨主張する。 しかしながら,①については,そもそも,所有者が,賃貸借契約で,契約期間中又は一定期間は賃借人の同意なき限り賃貸物を処分しないと約することは,よく見られることであり,「売買は賃貸を破る」という法原則が支配する取引領域では,合理性もある。②についても,ご案内やリファレンス・ブック,「本事業の概要」でも明示されているとおり,本件賃貸事業は,本件各裸傭船契約が終了した場合,本件各船舶を売却し,売却収入を一般組合員に分配し,本件各組合は解散することを予定しているところ,原告ら一般組合員はこれに同意して参加したのであるから,その意思を反映させているのである。 (b) また,被告らは,原告ら一般組合員が本件各組合に参加する以前に本件各船舶の賃貸先や賃貸料等の条件が決定されていることを根拠に,原告ら一般組合員が本件各裸傭船契約の締結についても関与できない旨主張する。 しかしながら,原告ら一般組合員は,本件各組合参加契約の締結を通じ,本件各組合の組成時の本件各船舶の賃貸先や賃料等の条件を承認して本件賃貸事業に参加しているのであるから,上記主張は失当であるし,賃貸先や賃貸料等の条件が既に決まっている賃貸事業を行う民法上の組合に参加する場合にも,出資と共同事業の合意さえあれば同組合契約は有効に成立するのであるから,この点は組合参加契約の有効性判断において何ら問題となることではない。 d 59号事件原告の意思被告らは,59号事件原告を始めとする一般組合員に組合参加意思がない旨主張 有効に成立するのであるから,この点は組合参加契約の有効性判断において何ら問題となることではない。 d 59号事件原告の意思被告らは,59号事件原告を始めとする一般組合員に組合参加意思がない旨主張するが,そもそも契約解釈(意思表示の解釈)とは,当事者の契約書に表示された意思を明らかにすることが任務であり,隠れた内心的意思を探求することはあくまで例外的な場合に限定されるべきである。 しかも,「事業」に「投資」を伴うことは通常であるところ,本件各組合参加契約とは別の契約書に「投資商品の購入」と記載した一事をもって,本件各組合参加契約の効果意思を論ずることは,暴論というほかない。 e 本件各船舶の所有権移転の経緯被告らは,①本件各船舶については,本件各譲渡証に対応した所有権の移転があり,SCLマリタイムから一般組合員への共有持分権の移転は認められないこと,②SCLマリタイムがSCLプロキオンからプロキオン号を購入した日付(平成7年3月23日)以前である同月22日に同船の共有持分権を組合員に販売していることを理由に,本件各船舶の譲渡経緯が不自然であり,本件各船舶共有持分権売買契約は有効に成立していない旨主張する。 しかしながら,59号事件原告に本件各船舶の共有持分権が帰属していることは,本件各組合参加契約の要件ではないから,仮に,これを有していなかったとしても,本件各組合参加契約の不成立又は虚偽表示による無効を来すものではない。しかも,本件各船舶共有持分権売買契約が有効に成立していることは,各契約書から明らかであるところ,①については,本件各譲渡証は,船舶登記登録のための書類にすぎないから,売買の意思を表示したものではなく,また,②についても,そもそも,他人物売買が有効であることをおいても,被告らは,SCLマリタイムと59号事件原告との間の ,船舶登記登録のための書類にすぎないから,売買の意思を表示したものではなく,また,②についても,そもそも,他人物売買が有効であることをおいても,被告らは,SCLマリタイムと59号事件原告との間の共有持分権売買契約締結日(平成7年3月22日)と同契約上の譲渡日(同月24日)とを混同しているにすぎず,所有権移転の経緯に何ら不自然はなく,上記主張は失当である。 f 本件各セットローン契約の実体(a) 被告らは,原告らが金員を借りる必要がないこと,実体がないことなどを理由に,本件各セットローン契約は不成立又は無効である旨主張する。 しかしながら,民法上の組合契約の成立要件と金銭消費貸借契約の成立要件は別であるから,仮に,後者が無効であったとしても,前者が無効になることはないところ,なに故に上記の事情が本件各組合参加契約の不成立又は無効の原因になるのか,明らかでない。また,被告らは,融資金が,原告らの代理受領承諾依頼に基づき,原告らの銀行口座を経由していないことを問題とするが,借入金の交付は,借主の指示する第三者に交付しても有効であるから,何ら問題でない。なお,SCLマリタイムが組合員に購入資金の一部を融資するか否かは,SCLマリタイムの事業のやり方の問題であり,一般組合員がどの程度自己資金を投入するかも一般組合員が決めるべき事項であるから,買主に資金調達させればいいとか,代金額を減額すればいいとか,自己資金があれば借りる必要がないとか,評価すべき事柄ではない。 (b) さらに,被告らは,SCLマリタイムと興銀間の融資契約(乙C7)及びイースタンLPSと興銀間の第1順位船舶モーゲージ契約(乙C8)の前文の記載などをとらえて,SCLマリタイムは興銀からの融資金を前所有者へのイースタン号購入費として使用し,組合員への貸付金の資金とはしなかった PSと興銀間の第1順位船舶モーゲージ契約(乙C8)の前文の記載などをとらえて,SCLマリタイムは興銀からの融資金を前所有者へのイースタン号購入費として使用し,組合員への貸付金の資金とはしなかったので,イースタン組合におけるセットローン契約における原告ら組合員の意思表示は,「SCLマリタイムによる詐欺」又は「主債務についての表示と真意の不一致という錯誤」に基づくものであり,同契約は有効に成立していない旨主張する。 しかしながら,SCLマリタイムが興銀から借り入れた資金は,組合員に対するセットローンの原資となっているのであって,セットローン契約及び譲渡担保契約に関し,詐欺又は錯誤が成立する余地は一切なく,同各契約は有効に成立している。 このことは,①SCLマリタイムに対して興銀による貸付けが行われたのと同日である平成11年6月9日のSCLマリタイムの長期貸付金の総勘定元帳に,SCLマリタイムによる上記各組合員に対する長期貸付金6億1200万円(共有持分権1口の売買代金5000万円のうちセットローン分3400万円の18口分)が計上されていること(甲全8),②興銀からSCLマリタイムへのローン条件とセットローンの条件も,金利は同じ1.9パーセントであり,元利金の支払期間や支払日も同一であること(乙C2, 乙C7),③セットローンの返済についても,裸傭船先からイースタンLPSに支払われた傭船料はイースタン組合に分配され,上記セットローンの貸主であるSCLマリタイムは,セットローン契約の定める直接取立権を行使して,各組合員より返済を受け,この返済資金をもって,興銀に対する自己の借入債務の返済を行っていること,以上から明らかである。 (c) したがって,イースタン組合におけるセットローン契約については何ら法的に問題とされるべきことはなく,組合規 をもって,興銀に対する自己の借入債務の返済を行っていること,以上から明らかである。 (c) したがって,イースタン組合におけるセットローン契約については何ら法的に問題とされるべきことはなく,組合規約に基づく原告ら組合員による担保提供承認も有効になされている。 g 本件各譲渡担保契約の実体被告らは,本件各セットローン契約に含まれる本件各譲渡担保契約は,①弁済期到来前に債務不履行がなくとも処分を可能とする条項があり,②担保物復帰の定めもないから,譲渡担保設定契約ではなく,単に譲渡と処分実行後の充当関係等について定めたものであって,上記契約により59号事件原告は本件各組合の組合員ではなくなり,住商リース(イースタン組合に係る事業については,SCLマリタイム)が組合員となるから,本件各譲渡担保契約と本件各組合参加契約とは,「矛盾する」あるいは「相反する」旨主張している。 しかしながら,本件各譲渡担保契約を単なる譲渡契約ととらえようと譲渡担保設定契約ととらえようと,これは59号事件原告が少なくとも本件各譲渡担保契約の締結時点において本件各組合の組合員であることを大前提とするものであるところ,59号事件原告が本件各組合の組合員となるためには,59号事件原告と本件各組合との間の本件各組合参加契約が成立し,かつ有効であることで足りる。したがって,両契約の間に何ら矛盾はなく,被告らによる本件各組合参加契約の不成立又は無効の主張の根拠とはなり得ない。 しかも,①本件各セットローン契約5条は,59号事件原告が,住商リース(イースタン組合に係る事業については,SCLマリタイム)に対し,借入金債務の履行を「担保するため」に本件各組合の組合員としての地位等を譲渡することとされており,譲渡担保が担保目的でなされることが明確に示されていること,②仮に,被告らの主 Lマリタイム)に対し,借入金債務の履行を「担保するため」に本件各組合の組合員としての地位等を譲渡することとされており,譲渡担保が担保目的でなされることが明確に示されていること,②仮に,被告らの主張するように単なる譲渡契約だとすれば,組合員としての地位の処分について制約されたり,その処分によって得る金員や組合員として得る収入について,借入金債務に弁済充当する余地は全くないにもかかわらず,同契約書には,住商リース(イースタン組合に係る事業については,SCLマリタイム)に対し,組合員としての地位の処分は「一般に適当と認められる方法,時期,価格等」で行わなければならない旨の制約があり(5条3項),その処分によって得る金員や組合員として得る収入について弁済充当の定めが規定されていること(5条3項,7条),③単なる譲渡契約であれば,通常,譲渡代金が規定されるはずである(そうでなければ,低廉譲渡の問題が生じ得る。)が,本件各セットローン契約にはそのような規定もないこと,④組合員名簿に59号事件原告が組合員として登録されており,組合決算報告書が59号事件原告に送付されており,組合員総会における意思表明も59号事件原告が行っていることなどによれば,本件各セットローン契約後も59号事件原告が組合員として扱われていること,⑤譲渡担保設定契約であることが明らかである以上,59号事件原告と住商リース(イースタン組合に係る事業については,SCLマリタイム)との間において,借入金債務の弁済後に組合員としての地位の復帰を定める必要性はないこと,これらによれば,本件各譲渡担保契約は,明らかに譲渡担保設定契約であり,この結論は,弁済期到来前の担保目的物の処分が認められていても,変わらない。 h 原告ら一般組合員の負うリスク被告らは,原告ら一般組合員は,実質的には 渡担保契約は,明らかに譲渡担保設定契約であり,この結論は,弁済期到来前の担保目的物の処分が認められていても,変わらない。 h 原告ら一般組合員の負うリスク被告らは,原告ら一般組合員は,実質的には①本件各船舶の共同所有者としてのリスク,②本件各組合の組合員としてのリスク(自己資金相当額を超えるリスク)を負ってない旨主張するが,そもそも,このような独自の価値判断に基づく要件は,民法上の組合の成立要件でなければ,有効要件でもない。その上,個々の主張も,以下のとおり,誤っている。 (a) まず,本件各組合は,本件各LPSのリミテッド(有限責任)・パートナーであり,ケイマン法上その出資の範囲でしか責任を負わない。しかし,これはあくまで原則であり,リミテッド・パートナーも,特例リミテッド・パートナーシップ法7条の場合などはゼネラル(無限責任)・パートナーと同様に本件各LPSの債務につき無限責任を負うことになっている(甲全3)。しかも,本件各組合の出資は何ら担保権等の負担のない本件各船舶の全所有権であり,その出資時の評価額は,プロキオン組合で8685万9500米ドル,その他の組合でも極めて高額な財産の現物出資であるから,本件各組合の責任が原則として出資の範囲内での責任であるとしても,出資自体が高額なため,責任は極めて重く,それは裸傭船事業のみを行う本件各LPSに通常予想されるリスク要因と比較しても,はるかに重い責任を負担している。 (b) 次に,ご案内の記載によれば,船舶売却収入により原告らによる住商リース又はSCLマリタイムからの借入金の残債が返済されるから,原告らには本件各船舶の所有権者としてのリスクがない旨の被告らの主張は,セットローンの元利金返済が傭船料収入によって賄えない場合が存在するから,これも誤りである。また,本件各船舶の売却価格 るから,原告らには本件各船舶の所有権者としてのリスクがない旨の被告らの主張は,セットローンの元利金返済が傭船料収入によって賄えない場合が存在するから,これも誤りである。また,本件各船舶の売却価格いかんによって本件各組合の組合員が損失を被る可能性はないとの被告らの主張は,本件において,見直日に購入オプションが行使されることが予定されていることを前提にした推論であるところ,その前提がそもそも誤りであるから,その推論自体も砂上の楼閣として誤りであることは明白である。 (c) また,船舶事故のリスクがないとの被告らの主張は,本件各船舶に保険が付されていることを前提とする議論であるところ,現代において,いかなる事業であっても,事業主が保険に加入して不測の損害を補填しようとするのは当然かつ通常である。所有者が保険に加入したからといって,所有者ではなくなるとの暴論が誤りであることも,説明の要がない程明らかである。また,保険会社も倒産することを考慮すれば,所有者としてのリスクがなくなるなどとの推論も誤りである。 (d) さらに,本件各定期傭船先が本件各裸傭船先の債務を連帯保証しているとの被告らの主張については,貸主が,信用力のない子会社を借主として,船舶等の高額物件を貸す場合は,信用力のある親会社の保証を取得することは一般的であり,かつ,合理的な取引行為である。また,親会社でさえも倒産することがあり,特に本件各裸傭船契約の期間が9年から15年にわたる長期であれば,なおさらのことである。したがって,親会社の保証を取得したため,所有者でなくなったり,所有権者のリスクがなくなるとの主張自体失当である。 (エ) 被告ら主張の「利益配当契約」の不当性被告らは,原告らが締結した契約は,一口当たり1500万円の金銭を出資する利益配当契約である旨主張するが,上 者のリスクがなくなるとの主張自体失当である。 (エ) 被告ら主張の「利益配当契約」の不当性被告らは,原告らが締結した契約は,一口当たり1500万円の金銭を出資する利益配当契約である旨主張するが,上記のとおり,原告らは民法上の組合である本件各組合に参加する契約を締結し,その組合員となっていることが明らかであるから,上記主張はおよそ法的に失当である。また,被告らの主張は,下記の点からも不当である。 a 民法上の組合契約との区別の不明確性被告らは,民法上の組合契約における共同事業目的の本質は,組合員が共同の事業から得られる「利益が共通」であることにあると主張し,この点で利益配当契約と区別している。しかしながら,前記ウ(ア)のとおり,民法上の組合契約における共同事業目的の本質として,「利益の共通性」なるものがあるとは解されておらず,かえって,民法上の組合契約における当事者の利害関係は,当事者間で異なったものであってもよいとされている。 このように,趣旨不明かつ根拠のない「利益の共通性」なるものは,民法上の組合契約の要件事実になり得ないから,被告らの上記主張は,それ自体失当である。 b 匿名組合契約との区別の不明確性被告らは「利益配当契約」の具体的内容として,原告ら一般組合員が,①住商リースとSCLマリタイムが組成した任意組合が行う船舶賃貸事業に対して出資を行い,②同事業から(同組合から)出資額に応じた相応の現金分配の配当を受けることである旨主張する。 しかしながら,上記内容は,まさに匿名組合契約のそれにほかならない。すなわち,匿名組合契約の成立要件は,①当事者の一方が相手方の営業のために出資することと,②営業から生ずる利益を分配することを合意することであり(商法535条),まさに,被告ら主張に係る「利益配当契約」そのものである。 被告らは は,①当事者の一方が相手方の営業のために出資することと,②営業から生ずる利益を分配することを合意することであり(商法535条),まさに,被告ら主張に係る「利益配当契約」そのものである。 被告らは,その主張する利益配当契約が匿名組合契約と異なる理由も,また,利益配当契約からの分配金が雑所得になる理由も明らかにできないのであって,かかる被告らの主張は,不完全であり,失当である。 c 被告ら主張の自己矛盾被告らは,本件各組合参加契約が利益配当契約である旨主張する一方で,本訴において,60号事件原告及び61号事件原告の平成12年分における雑所得の金額を0円として主張しており,主張自体矛盾している。 この点について,被告らは,裁決において,平成12年分の60号事件原告及び61号事件原告の雑所得が発生していないと認定されていることについて拘束力が生じていることを理由としている。しかしながら,審査請求に対する裁決については,関係行政庁に対する拘束力が認められており(国税通則法102条1項),かかる裁決の拘束力は,裁決の主文及び主文と不可分一体となる理由について生ずるのであるから,被告らが,本件各組合参加契約は利益配当契約であり,このような契約に基づいて事業発足後6年目以降に原告らが受ける傭船料分配金が雑所得を構成する旨主張することはできず,それ自体失当である。 d 本件各組合参加契約の各条項との抵触本件各組合参加契約に添付されている本件各組合規約の13条(組合員総会),第6章(組合員の地位の変動),第8章(解散及び清算)などの諸条項は,被告ら主張に係る利益配当契約からはおよそ説明し得ないものであって,かかる点からも被告らの主張が失当であることが明らかである。 (3) 争点(3)(本件各組合参加契約の無効性)について(被告ら)仮に,本件各組合 利益配当契約からはおよそ説明し得ないものであって,かかる点からも被告らの主張が失当であることが明らかである。 (3) 争点(3)(本件各組合参加契約の無効性)について(被告ら)仮に,本件各組合参加契約の契約当事者間において,外形上,民法上の組合に参加する契約としての意思の合致があったとしても,上記の諸事情を考慮すると,原告ら一般組合員はそれに対応する真意を欠いており,かつこの点を契約当事者のいずれも認識していたといえるから,民法94条の通謀虚偽表示に基づくものとして,同各契約は無効である。 (原告ら)被告らの主張は争う。 上記のとおり,本件各組合参加契約は,民法上の組合契約の成立要件をすべて満たしており,当事者がこれに対応する内心的効果意思を有していることは明らかである。 第3 当裁判所の判断 1 争点(1)(課税要件についての事実認定の在り方)について(1) 我が国の憲法84条は,「あらたに租税を課し,又は現行の租税を変更するには,法律又は法律の定める条件によることを必要とする。」と規定し,他の近代憲法と同様,国民は法律の根拠に基づくことなく租税を賦課されることはないとの租税法律主義の原則を宣明しているが,その重要な機能は,国民に対して経済活動における法的安定性と予測可能性を与えることにあることはいうまでもない。 その観点からすれば,租税賦課の根拠となるべき法令すなわち租税法は,国法秩序の一部を構成するものであるから,そこで用いられている概念は,基本的には他の国法のそれと整合する意味内容が与えられるべきであり,租税法における目的論的解釈の名の下に,一般法の概念と矛盾・抵触するものであってはならないというべきである。 そうすると,租税法は国民の私的経済活動ないし経済現象を課税対象とするものであり,これらについては,第一次的に私法に の名の下に,一般法の概念と矛盾・抵触するものであってはならないというべきである。 そうすると,租税法は国民の私的経済活動ないし経済現象を課税対象とするものであり,これらについては,第一次的に私法によって規律されているのであるから,租税法において特別の定義等がなされていない限り,その意味内容も,まず私法によって解釈されなければならない。 (2) ところで,国民が一定の経済的目的を達成しようとする場合,私法上は複数の手段,形式が考えられる場合があるが,私的自治の原則ないし契約自由の原則が存在する以上,当該国民は,どのような法的手段,法的形式を用いるかについて,選択の自由を有するというべきである。このことは,他の法的手段,形式を選択すれば税負担を求められるのに,選択の結果,これを免れる場合であっても基本的には同様というべきである。 もっとも,特段の合理的理由がないのに,通常は用いられることのない法的手段,形式を選択することによって,所期の経済的効果を達成しつつ,通常用いられる法律行為に対応する課税要件の充足を免れ,税負担を減少させあるいは排除する場合には,租税回避行為としてその有効性が問題となり得るが,前記の租税法律主義の観点からは,このような場合であっても,当該法的手段,形式が私法上は有効であることを前提としつつ,租税法上はこれを有効と扱わず,同一の経済目的を達成するために通常用いられる法的手段,形式に対応する課税要件が充足したものとして扱うためには,これを許容する法律上の根拠を要すると解すべきである。 (3) 以上の理は,原告ら及び被告らの双方共,格別異論を唱えるものではないと考えられるが,本件において問題となるのは,①当事者の締結した契約解釈の在り方,②契約書等の外形的資料から離れた「真意」の認定の可否などである。 一般論としては,法律 ,格別異論を唱えるものではないと考えられるが,本件において問題となるのは,①当事者の締結した契約解釈の在り方,②契約書等の外形的資料から離れた「真意」の認定の可否などである。 一般論としては,法律行為の解釈とは当事者の合理的意思の所在を探求するものであるから,通常は用いられることのない契約類型の内容を把握するに当たっては,契約条項を個々的に検討するだけでなく,他の条項と関連づけて検討しなければ,契約全体としての意味を正確に理解することができない場合が稀ではなく,そのような場合には,明示的な文言にもかかわらず,これを制限的に解釈し,あるいは逆に条項と条項の「行間」に明示されていない合意内容を読み込む必要が生ずることもあり得るというべきである。また,契約書等の外形的資料は,それらが唯一絶対的な判断材料というわけではないから,隠された当事者の合意内容がどのようなものであるか(この場合,被告らの主張するとおり,契約書は処分証書としての性格を有しないことになる。),あるいは表示行為から推測される効果意思と真の内心的効果意思との異同を明らかにする必要を生ずる場合もあり得るというべきである。以上のような作業は,被告らの主張するとおり,当事者の真意の所在を明らかにするという事実認定の問題であり,これに即して課税要件の充足を検討する場合には,租税法律主義に反するものでないことは明らかである。 しかしながら,このことは,動機,意図などの主観的事情によって,通常は用いられることのない契約類型であるか否かを判断することを相当とするものではなく,まして,税負担を伴わないあるいは税負担が軽減されること(本件各組合参加契約がこのような場合に該当するかについては,後に検討するとおりである。)を根拠に,直ちに通常は用いられることのない契約類型と判断した上,税負担を伴 いあるいは税負担が軽減されること(本件各組合参加契約がこのような場合に該当するかについては,後に検討するとおりである。)を根拠に,直ちに通常は用いられることのない契約類型と判断した上,税負担を伴うあるいは税負担が重い契約類型こそが当事者の真意であると認定することを許すものでもない。なぜなら,現代社会における合理的経済人にとって,税負担を考慮することなく法的手段,形式を選択することこそ経済原則に反するものであり,何らかの意味で税負担を考慮するのがむしろ通常であると考えられるから,このような検討結果を経て選択した契約類型が真意に反するものと認定されるのであれば,それは事実認定の名の下に,法的根拠のない法律行為の否認を行うのと異ならないとの非難を免れ難いからである。 したがって,選択された契約類型における「当事者の真意の探求」は,当該契約類型や契約内容自体に着目し,それが当事者が達成しようとした法的・経済的目的を達成する上で,社会通念上著しく複雑,迂遠なものであって,到底その合理性を肯認できないものであるか否かの客観的な見地から判断した上で,行われるべきものである。 (4) この点について,被告らは,複合的契約においては,全体を一体のものとして判断されるべきである旨主張する。 被告らの主張する「複合的契約」の意義や,「その法的実質に即して,全体を一体のものとして判断する」が具体的にどのような作業を指すのかは必ずしも明らかでなく,比喩以上の法的な意味があるのか疑問といわざるを得ないが,一般論としては,複数の契約が締結された場合に,これらが全体として共通の法的・経済的目的の実現に向けられていることがあり,その場合には,個々の契約の内容や効力を確定するに際し,他の契約の内容,目的,機能などから,当該契約の動機がどのようなものであるかを斟酌すべき 通の法的・経済的目的の実現に向けられていることがあり,その場合には,個々の契約の内容や効力を確定するに際し,他の契約の内容,目的,機能などから,当該契約の動機がどのようなものであるかを斟酌すべき場合があることは否定できない。また,そのうちの中心的な契約が,意図した目的を達成する上で異常な法形式と判断される場合には,他の契約の成否,効力にも影響を与えることがあると考えられる。 しかしながら,それぞれが契約の成立要件を満たす以上,個々の契約の成否,有効性は,原則として個別的に吟味されるべきであり,例えば,ある契約の条項によって,他の契約の条項の機能する余地が事実上小さい(あるいは事実上ほとんど考えられない)からといって,当該契約,条項について合意がないとか,効果意思がなかったと即断すべきものではなく,まして,それぞれの契約当事者が異なる場合には,かかる判断が慎重になされるべきことは,法律行為論に照らしても明らかというべきである。 (5) 本件において,59号事件原告は,本件各組合の発起人であるSCLマリタイム及び住商リースとの間で,「組合参加契約書」と題する文書に,組合員として署名し,しかも,その第1項において,組合員は,本契約の締結により,別紙として添付された組合設立契約の当事者となり,本件各組合の組合員として,出資し,出資後は,同組合の組合規約を遵守することを約している(甲イ6,8,10)ところ,原告らの達成しようとする法的・経済的目的に照らして,そのような契約類型を選択することが著しく不合理といえるか,それらの契約が,真実は民法上の組合契約の性質を有するものではなく,利益配当契約に該当すると解し得るかなどが争点となっているので,以下,順次判断する。 2 本件の争点を判断する上で,必要となる事実関係前記前提事実(3)に証拠(後掲)及 約の性質を有するものではなく,利益配当契約に該当すると解し得るかなどが争点となっているので,以下,順次判断する。 2 本件の争点を判断する上で,必要となる事実関係前記前提事実(3)に証拠(後掲)及び弁論の全趣旨を総合すれば,以下の事実が認められる(なお,本件各組合に係る契約内容は,ほとんど同様の内容であるため,以下においては,特に断りのない限り,プロキオン組合に係る契約をもって代表させる。なお,原文が外国語によるものについては,基本的に当事者の提出に係る訳文によった。また,契約①等の表示は,別表4の1ないし3及び同5の契約番号を指す。)。 (1) 本件各組合設立契約(契約①)の抜粋(甲A1)「前文住商リース株式会社(以下「住商リース」という)及びエスシーエル・マリタイム株式会社(以下「マリタイム」という)(以下,両者を併せて「発起人」という)は,本契約書別紙1記載の事業(以下「本事業」という)を行うことを目的として,本組合を設立し,組合員を募集するために,本日付で本契約を締結する。 第1章総則第1条(名称)本契約によって設立される組合(以下「本組合」という)は,民法677条に定める組合であり,「プロキオン・メンバーシップ組合」と称する。 第3条(目的)本組合は,本事業を行うため,組合員が出資する本契約書別紙2記載の船舶(以下「本船」という)の共有持分権(以下「共有持分権」という)を一体的に管理運用及び処分し,組合員相互の経済的利益を図ることを目的とする。 第5条(組合規約)本組合に関する細則は,別途定める組合規約による。 第6条(存続期間)本組合の存続期間は,本事業に必要な期間とする。 第7条(運営) 1 創立総会終了時までの本組合の運営は,発起人間の協議により行われる。 2 創立総会終了後の本組合の運営は,次の機関により行わ 期間)本組合の存続期間は,本事業に必要な期間とする。 第7条(運営) 1 創立総会終了時までの本組合の運営は,発起人間の協議により行われる。 2 創立総会終了後の本組合の運営は,次の機関により行われる。 理事会 理事長 組合員総会 3 最初の理事は,創立総会で組合員の中から選任され,最初の理事長は,最初の理事会で理事の中から選任される。 4 運営に関する細則は,組合規約により定められる。 第2章出資 第8条(出資の単位及び総出資口数) 1 本組合の出資の単位及び総出資口数は,以下のとおりとする。 1口 5,000万円相当の本船の共有持分権 総出資口数 本船の価額を5,000万円で除した数(略) 2 本船の価額は,為替予約で確定される出資日における86,859,500米ドルの円相当額とする。 第9条(出資の方法) 1 出資日は,1995年3月24日又は発起人が協議の上定めるその他の日とする。 2 本組合に対する出資は,出資日に,各々の出資口数に相当する共有持分権を本組合に現物出資することにより行われる。 3 前項にかかわらず,本契約第8条の総出資口数の計算により生じる5,000万円に満たない金額分については,労務による出資と併せて1口とする。 4 1人の組合員により出資される出資口数は1口以上とする。 第10条(発起人による出資) 1 発起人は,組合員として,本組合に出資する。 2 本契約第9条2項により労務による出資と併せて1口とされた分は,住商リースが出資する。 第11条(組合員の募集) 1 発起人は,本事業に参加する者を募集することができる。 2 前項の募集に対する申込があった場合,発起人は,申込人の資産等審査の上相当と判断するときは,当該申込人との間で本契約書別紙 組合員の募集) 1 発起人は,本事業に参加する者を募集することができる。 2 前項の募集に対する申込があった場合,発起人は,申込人の資産等審査の上相当と判断するときは,当該申込人との間で本契約書別紙3の様式の組合参加契約を締結する。他の組合員は,発起人が他の組合員を代理して組合参加契約を締結することに同意する。組合参加契約の締結により,当該申込人は,本契約の当事者となり,出資日に出資口数に相当する共有持分権を出資する義務を負う。 (以下略)第12条(創立総会) 1 発起人は,総出資口数の出資の完了を確認した後,理事の選任のため,速やかに本組合の創立総会を招集する。 (以下略)別紙1 本事業の概要(本件各組合共通の部分) 1 本組合は,本船をパナマ船籍の船舶として登録するため,エスシーエル・プロキオン・リミテッドとの間で,エスシーエル・プロキオン・リミテッドをジェネラル・パートナー,本組合をリミテッド・パートナーとするリミテッド・パートナーシップ契約を締結し,ケイマン諸島にリミテッド・パートナーシップ(名称:「プロキオン・リミテッド・パートナーシップ」)を設立する。 2 本船の共有持分権を,出資日に本組合の組合員が各々購入して本組合に出資することにより,本組合は本船の所有者となる。 3 本組合は,本船をプロキオン・リミテッド・パートナーシップに現物出資する。 4 プロキオン・リミテッド・パートナーシップは,本船を,同パートナーシップ名義のパナマ船籍の船舶として登録する。 5 プロキオン・リミテッド・パートナーシップは,本船をコスモ・シップホールディング・エス・エー(以下「傭船者」という)に裸傭船させるため傭船者と裸傭船契約(以下「裸傭船契約」という)を締結する。 6 プロキオン・リミテッド・パートナーシップは,傭船者から傭船料 ップホールディング・エス・エー(以下「傭船者」という)に裸傭船させるため傭船者と裸傭船契約(以下「裸傭船契約」という)を締結する。 6 プロキオン・リミテッド・パートナーシップは,傭船者から傭船料等を受領してこれを本組合に分配し,本組合はこれを各組合員に分配する。 7 本船は,裸傭船契約が終了する場合又は必要に応じて処分され,その対価から債務費用等を控除した残金が残余財産として組合員に分配されて本組合は清算される。 (イースタン組合固有の部分。甲C1) 8 組合員借入金は,以下のとおり行われる。①貸主が組合員借入金のための資金調達(金額1,051,251,678円)を日本興業銀行から行う。 ②日本興業銀行からの資金調達の担保のためイースタン・リミテッド・パートナーシップが第9項の担保提供を行う。③第22条又はその他の規定に従い行われる組合員に対する分配金等は,組合員借入金の返済に優先的に充当され,残余金がある場合だけ組合員に分配される。 9 イースタン・リミテッド・パートナーシップは,①本船の抵当権,②傭船契約に基づく傭船料及びその他の金員の譲渡担保,③保険契約の譲渡担保等を,貸主の日本興業銀行からの資金調達の担保に提供する。」(2) 本件各組合規約の抜粋(甲A2)(本件各組合共通の部分)「第1章総則第3条(目的)本組合は,本契約書別紙1記載の事業(以下「本事業」という)を行うため,組合員が出資する本契約書別紙2記載の船舶(以下「本船」という)の共有持分権(以下「共有持分権」という)を一体的に管理運用及び処分し,組合員相互の経済的利益を図ることを目的とする。 第4条(出資)本組合の出資は,次のとおりとする。 出資の単位 1口5000万円相当の本船の共有持分権(但し,住商リースは1口のうち26, 図ることを目的とする。 第4条(出資)本組合の出資は,次のとおりとする。 出資の単位 1口5000万円相当の本船の共有持分権(但し,住商リースは1口のうち26,632,625円相当分を労務により出資し,労務出資分は,利益及び損失の分配を受けず,業務執行報酬も支払われないものとする)総出資口数 166口第6条(組合員名簿)理事長は,本組合に対する総出資口数の出資の履行完了を確認した後遅滞なく,本組合の組合員名簿を作成し,これを本組合の所在地に備え付けて組合員の閲覧に供する。 第3章組合の業務の執行第8条(本組合の機関)本組合には次の機関をおく。 理事会理事長組合員総会第9条(理事) 1 組合員総会の決議により,組合員の中から理事3名を選任する。理事は,理事会を構成し,本組合の業務執行の意思決定を行う。 2 理事会は,本規約上組合員総会の決議事項とされている事項を除き,本組合運営のために必要な全ての事項を決定する権限を有する。 (以下略)第10条(理事長) 1 理事会の決議により,理事の中から理事長1名を選任する。 2 理事長は,本組合の業務執行組合員となり,本規約及び理事会の決議に従い,本組合の業務を行う。 (以下略)第11条(業務執行報酬)理事長は,本組合の業務執行を決定又は遂行する対価として,出資持分1口あたり月額2,500円の業務執行報酬を得る。業務執行報酬が不十分であると合理的に判断される場合は,理事長は,理事会の承認を得て,組合員に増額の承認を求めることができる。増額の承認を求める通知を発送してから1か月以内に組合員の過半数の書面による反対の意思表示がなければ,増額は承認されたものとみなされる。 第12条( を得て,組合員に増額の承認を求めることができる。増額の承認を求める通知を発送してから1か月以内に組合員の過半数の書面による反対の意思表示がなければ,増額は承認されたものとみなされる。 第12条(理事及び理事長の辞任及び解任) 1 理事及び理事長の任期は本組合存続期間中とする。 2 理事及び理事長は,正当な理由がなければ,その地位を辞任できない。 3 理事は,正当な理由がなければ解任されない。 4 理事を解任するためには,総出資口数の過半数を有する組合員が出席した組合員総会における総出資口数の3分の2以上による解任の決議及び後任理事の選任の決議を必要とする。 第13条(組合員総会) 1 組合員総会は,総組合員により構成される。 2 組合員総会は,理事会が必要と認めるとき又は総出資口数の10分の1以上を有する組合員が理事長に開催を請求したときに開催される。 3 組合員総会の招集は,理事長が会日の2週間前までに,各組合員にその目的を定めた書面で通知して行う。但し,組合員全員の同意があるときは召(招)集期間を短縮し又は召(招)集手続きを省略することができる。 4 組合員総会には,委任状により代理人が出席することもできるが,代理人は他の組合員に限られるものとする。 5 前項までの規定にかかわらず,組合員総会は,本規約に特段の定めがない限り,理事長が議決事項を記載した書面を各組合員に個別に送付し,その書面に賛否を記入させる方法により代替することができる。 6 各組合員は,出資持分1口につき1個の議決権を有する。 7 組合員総会の定足数は,本規約に特段の定めがあるときを除き,総議決権の過半数を有する組合員の出席とする。組合員総会の議決は,本規約に特段の定めがあるときを除き,出席組合員の議決権の過半数の賛成により議決して行う。この場合,組合員が2個以上の議 ときを除き,総議決権の過半数を有する組合員の出席とする。組合員総会の議決は,本規約に特段の定めがあるときを除き,出席組合員の議決権の過半数の賛成により議決して行う。この場合,組合員が2個以上の議決権を有する場合であっても,これを統一して行使しなければならない。 (以下略)第14条(組合員の検査権)各組合員は,その必要がある場合,事前に理事長に書面により通知して,相当な場所及び時間並びに方法において,本組合の業務及び組合財産の状況を検査することができる。 第4章組合財産の管理運用第15条(組合財産の帰属) 1 組合財産は全組合員の共有とする。 2 本組合の事業の結果として生ずる組合財産の増減は,全て各組合員にその出資持分割合に応じて帰属する。 (以下略)第16条(組合財産の運用) 1 本組合は,本船を,プロキオン・リミテッド・パートナーシップ(本組合が,本船をパナマ船籍の船舶として登録するため,エスシーエル・プロキオン・リミテッドとの間で,エスシーエル・プロキオン・リミテッドをジェネラル・パートナー,本組合をリミテッド・パートナーとするリミテッド・パートナーシップ契約(以下「リミテッド・パートナーシップ契約」という)を締結し,ケイマン諸島に設立したリミテッド・パートナーシップ,以下「パートナーシップ」という)に出資する。 2 理事長は,リミテッド・パートナーシップ契約に従い,本船を管理運用し,リミテッド・パートナーシップ契約書並びにパートナーシップの登録証及び出資証券その他パートナーシップの設立及び運営に必要な証書及び証券類を適切に保管し又は保管させる。 (以下略)第17条(組合の収益) 1 本組合の収入は,パートナーシップからの分配金及びその他の組合財産の運用から生ずる収入とす な証書及び証券類を適切に保管し又は保管させる。 (以下略)第17条(組合の収益) 1 本組合の収入は,パートナーシップからの分配金及びその他の組合財産の運用から生ずる収入とする。 2 本組合の支出は,組合の業務執行に要する費用とし,以下のものを含むがこれに限られない。 理事長が本組合業務執行に関して,本組合の負担すべき費用を支出した場合の本組合に対する求償金本規約第10条4項に規定される補助者に対する費用報酬本規約第11条に定める理事長の業務執行報酬 3 組合収入から組合支出を控除したものを組合利益とする。 4 理事長は,本規約第5章に定めるところに従い,各組合員に組合利益を分配する。 第18条(組合員の損失負担)組合員は,本組合が負担する債務について,その出資持分割合に応じてその責任を負担する。 第19条(公租公課の負担)各出資持分に対する公租公課その他の賦課金は,すべて各組合員の負担とする。 第5章組合利益の分配第20条(会計年度)本組合の会計年度は,毎年1月1日から12月31日までとする。 第21条(会計報告) 1 理事長は,毎会計年度終了後,理事会の承認を得て運営報告書及び収支計算書から成る決算報告書を作成し,1か月以内に各組合員に送付する。 (以下略)第22条(組合利益の分配方法) 1 理事長は,コスモ・シップホールディング・エス・エー(略)とパートナーシップとの間で締結された裸傭船契約(略)に基づき傭船料がパートナーシップに支払われ,かつリミテッド・パートナーシップ契約に基づき分配金が本組合に支払われたことを条件として,傭船料がパートナーシップに支払われる日(略)の属する各月の翌月15日までに,組合員に現金の分配を行う。 (以下略)第6章組合員の地位の変動第23条 支払われたことを条件として,傭船料がパートナーシップに支払われる日(略)の属する各月の翌月15日までに,組合員に現金の分配を行う。 (以下略)第6章組合員の地位の変動第23条(出資持分及び権利義務の処分の禁止) 1 組合員は,本規約に特別の規定がある場合を除き,組合員としての地位,出資持分並びに本規約に基づき現在又は将来において有する権利及び義務について,その一部又は全部にかかわらず,第三者に対し譲渡,移転,担保供与その他の処分をすることができない。 2 前項に反してなされた処分は,本組合との関係では効力を有しない。 3 前二項の規定にかかわらず,組合員が,共有持分権又は出資持分の購入資金の調達のため住商リースとの間で締結した金銭消費貸借契約および譲渡担保契約(以下「金消契約」という)の元利金弁済義務の履行の担保として,組合員としての地位,出資持分並びに/又は組合員として現在及び将来において有する一切の権利(略)の上に,住商リースのために設定する担保についてはこれを有効とする。 (以下略)第24条(脱退禁止)組合員は,本組合存続期間中,理事会によりやむを得ない事由があると認められた場合を除き,本組合を脱退できない。 第7章組合財産の処分第32条(本船の処分) 1 理事長は,傭船契約が終了したとき又は2005年4月1日以降において,本船の処分を相当と判断するときは,理事会の同意を得てパートナーシップに本船を処分させパートナーシップを解散及び清算させることができる。 2 前項の規定にかかわらず,本組合設立後,経済情勢の変化,法令の改廃又は組合員の多数の脱退等の組合存続に重大な影響が生ずる事由その他相当の事由により本組合の目的の達成又は組合業務の遂行が不可能又は著しく困難となり,理事長が本船の 設立後,経済情勢の変化,法令の改廃又は組合員の多数の脱退等の組合存続に重大な影響が生ずる事由その他相当の事由により本組合の目的の達成又は組合業務の遂行が不可能又は著しく困難となり,理事長が本船の処分を相当と判断するときは,理事長は,理事会の同意及び組合員総会の承認を得て,パートナーシップに本船を処分させ,パートナーシップを解散及び清算させることができる。 (イースタン組合規約固有の部分。甲C2)第9章組合員借入金第38条(組合員借入金) 1 各組合員は,本船の共有持分権を購入するに際しては,自己資金約32%の外,マリタイム(以下「貸主」という)が提供する借入金約68%(以下「組合員借入金」という)を利用する。 2 各組合員は,組合員借入金に関し以下のことを承認する。 ① 貸主が,組合員借入金のための資金調達(金額1,051,251,678円)を日本興業銀行から行うこと。 ② 日本興業銀行からの資金調達の担保のため,パートナーシップが,別紙1第9項の担保提供を行うこと。 ③ 第22条又はその他の規定に従い行われる組合員に対する分配金等は,組合員借入金の返済に優先的に充当され,残余金がある場合だけ組合員に分配されること。」(3) 本件各セットローン契約及びその一部である本件各譲渡担保契約(契約②及び③)の抜粋(甲イ12,乙A8,乙C2)ア 59号事件原告は,住商リース(イースタン号についてはSCLマリタイム)から,本件各組合に出資する本件各船舶の共有持分権を取得するための資金の70パーセント(イースタン号については6800万円)を借り入れるために,住商リース(前同)と,以下の内容の本件各セットローン契約を締結している。 「第2条(貸付の実行) 1 債務者は,本契約締結と同時に,本契約書別紙2の代理受領承諾依頼書を,エスシーエル・マリタ めに,住商リース(前同)と,以下の内容の本件各セットローン契約を締結している。 「第2条(貸付の実行) 1 債務者は,本契約締結と同時に,本契約書別紙2の代理受領承諾依頼書を,エスシーエル・マリタイム株式会社の連署を得て,貴社に提出します。 (以下略)第5条(担保) 1 債務者は,本件債務の履行を担保するため,債務者の本組合の組合員としての地位並びに本組合の組合員として債務者が現在及び将来において有する一切の権利(組合利益分配請求権,持分払戻請求権,残余財産分配請求権を含む。以下「本件担保」といいます)を,貸付実行日付けで,貴社に譲渡します。 (中略) 3 貴社は,本契約に基づく担保を,必ずしも法定の手続によらず一般に適当と認められる方法,時期,価格等により貴社において任意に処分(第三者に対する処分及び貴社による取得を含む)のうえ,その処分価格から諸費用を差し引いた残額を,法定の順序にかかわらず,本件債務及び債務者が貴社に対し負担するその他の債務の弁済に充当することができます。この場合剰余額があれば貴社により清算されますが,なお不足額がある場合には,債務者は直ちに弁済します。 4 貴社が債権保全を必要とする相当の事由が生じたと判断したときは,貴社の請求により,直ちに貴社の承認する増し担保を差し入れ,保証人を追加します。 第6条(事前承認)債務者は,貴社の事前の書面による承諾なく,本件担保について譲渡,変更,払戻請求,担保設定その他一切の処分をしません。 第7条(直接取立) 1 債務者は,貴社が本契約により譲渡を受けた本件担保は,貴社がその判断によりその都度全部又は一部を直接取立て,取り立てた日又は貴社が相当と認めるその他の日に,本件債務の元利金の弁済に任意の順序で充当することに合意します。 2 債務者は,貴社が,弁済期末到来の本件債 断によりその都度全部又は一部を直接取立て,取り立てた日又は貴社が相当と認めるその他の日に,本件債務の元利金の弁済に任意の順序で充当することに合意します。 2 債務者は,貴社が,弁済期末到来の本件債務又は債務者の貴社に対する他の債務の履行の保全のために必要と判断するときは,前項の充当によって生じる差額を留保し,任意の時期,方法,順序によって当該債務と相殺され又は当該債務に充当されても異議はありません。」イ 59号事件原告は,上記契約第2条に基づき,住商リース(前同)に対し,以下のようなSCLマリタイムを代理受領権者とする代理受領承諾依頼書を差し入れている(乙全8)。 「1 委任者は,委任者と貴社との間で1997年6月23日付で締結された金銭消費貸借および譲渡担保設定契約に基づく借入金の全額を受領する権限を代理受領権者に授与し,同借入金の受領方法を下記銀行振込みに定めましたので,同契約に基づく貸付の実行は下記銀行口座に送金して行われたく,代理受領権者と連署をもって依頼致します。」(4) 株式会社東海銀行(当時)との金銭消費貸借契約(甲イ13ないし15)59号事件原告は,本件各船舶の共有持分購入のための自己資金として,①平成7年3月31日付けで,株式会社東海銀行から3000万円を年3.5パーセントの利息で借り入れる旨の,②平成9年12月22日付けで,同銀行から1500万円を年2.125パーセントの利息で借り入れる旨の,③平成11年6月30日付けで,同銀行から2200万円を年1.875パーセントの利息で借り入れる旨の,それぞれ金銭消費貸借契約を締結し,各金員を借り入れているが,その使途欄には,「船舶購入資金」(②),「船舶小口化商品購入資金」(③)と記載されている。 (5) 本件各船舶の所有権移転の経緯アプロキオン号について(ア) 結し,各金員を借り入れているが,その使途欄には,「船舶購入資金」(②),「船舶小口化商品購入資金」(③)と記載されている。 (5) 本件各船舶の所有権移転の経緯アプロキオン号について(ア) 船舶売買契約①(契約⑨。甲A6)売主シルヴァナス・シップホールディング・エス・エー買主 SCLプロキオン締結日付平成7年3月23日売買代金現金8300万米ドル(1.1)支払方法買主は,引渡日(後記)に,日本興業銀行本店の売主の口座又は売主が指定する他の銀行口座に電信送金により売買代金を支払う。(2.1)引渡し造船契約に基づき,売主は,1995年3月24日又はその前後に,買主に対する引渡しの準備ができると見込んでいるが,本契約の目的のための引渡日は,本船が実際に造船会社から売主に引き渡される日をいう。(4.1)売主は,造船契約に基づく造船会社から売主への本船引渡し完了の時に,本契約に基づき,本船に対する権利,権原及び利益のすべてを買主に引き渡し,移転したとみなされる。 (4.2)なお,上記契約に基づいて,シルヴァナス・シップホールディング・エス・エーは,SCLプロキオンに対し,平成7年3月24日,プロキオン号を引き渡す(甲A14)とともに,その売買代金を請求し(甲A7),SCLプロキオンは,同代金を支払っている(甲A10,11)。 (イ) 船舶売買契約②(契約⑩。乙A7の1・2)売主 SCLプロキオン買主 SCLマリタイム締結日付平成7年3月23日売買代金 79億0575万円(1.1)支払方法買主は,引渡日(後記)に,株式会社住友信託銀行東京本店の売主の口座又は売主が指定する他の銀行口座に,電信送金により売買代金を支払う。(2.1)引渡 79億0575万円(1.1)支払方法買主は,引渡日(後記)に,株式会社住友信託銀行東京本店の売主の口座又は売主が指定する他の銀行口座に,電信送金により売買代金を支払う。(2.1)引渡し造船契約に基づき,売主は,1995年3月24日又はその頃に,買主に対する引渡しの準備ができると見込んでいるが,本契約の目的のための引渡日は,本船が実際に造船会社から売主に引き渡される日をいう。(4.1)売主は,造船契約に基づく造船会社から売主への本船引渡し完了の時に,本契約に基づき,本船に対する権利,権原及び利益のすべてを買主に引き渡し,移転したとみなされる。 (4.2)なお,上記契約に基づいて,SCLプロキオンは,SCLマリタイムに対し,プロキオン号を引き渡す(甲A15)とともに,その売買代金を請求し(甲A8),SCLマリタイムは,同代金を支払っている(甲A9,10)。 (ウ) 船舶共有持分権売買契約(契約④。甲イ5)売主 SCLマリタイム買主 59号事件原告締結日付平成7年3月22日売買目的物プロキオン号の82億7336万7375分の1億(2条)売買代金 1億円(3条1項)支払方法買主は,平成7年3月22日又は売主が買主に事前に通知するその他の日までに,株式会社住友信託銀行東京営業部の売主名義の普通預金口座又は売主が買主に事前に通知するその他の銀行口座に送金して支払う。(3条2項)引渡し売主は,買主に対し,平成7年3月24日又は売主が買主に事前に通知するその他の日に,石川島播磨重工業株式会社呉第1工場構内において,本件共有持分権を引き渡す。(4条1項)なお,上記契約に基づいて,SCLマリタイムは,59号事件原告に対し,プロキオン号の共有持分権売買代金を請求し(甲A12),59号事件 呉第1工場構内において,本件共有持分権を引き渡す。(4条1項)なお,上記契約に基づいて,SCLマリタイムは,59号事件原告に対し,プロキオン号の共有持分権売買代金を請求し(甲A12),59号事件原告は,同代金を支払っている(甲A13)。 イディライト号について(ア) 船舶売買契約①(契約⑨。甲B6)売主シグネット・バルク・キャリアーズ・エス・エー(以下「シグネット・バルク・キャリアーズ」という。)買主 SCLディライト締結日付平成9年12月10日売買代金 30億2000万円支払方法買主は,売買代金を,住友銀行東京本店の売主名義の当座預金口座又は売主が書面により指定するその他の銀行口座に,引渡日(後記)の午前11時までに電信送金する。(2条)引渡し売主は,平成9年12月12日又は売主と買主が別途合意する,東京にある銀行が営業を行っているその他の日に,香川県丸亀市において,現状有姿で引き渡す。(4条,5条)なお,上記契約に基づいて,シグネット・バルク・キャリアーズは,SCLディライトに対し,平成9年12月,ディライト号を引き渡す(甲B15)とともに,その売買代金を請求し(甲B8),SCLディライトは,同代金を支払っている(甲B11)。 (イ) 船舶売買契約②(契約⑩。甲B7)売主 SCLディライト買主 SCLマリタイム締結日付平成9年12月10日売買代金 30億2000万円支払方法買主は,売買代金を,住友銀行東京本店の売主名義の当座預金口座又は売主が書面により指定するその他の銀行口座に,引渡日(後記)の午前11時までに電信送金する。(2条)引渡し売主は,平成9年12月12日又は売主と買主が別途合意する,東京にあ 座預金口座又は売主が書面により指定するその他の銀行口座に,引渡日(後記)の午前11時までに電信送金する。(2条)引渡し売主は,平成9年12月12日又は売主と買主が別途合意する,東京にある銀行が営業を行っているその他の日に,香川県丸亀市において,現状有姿で引き渡す。(4条,5条)なお,上記契約に基づいて,SCLディライトは,SCLマリタイムに対し,平成9年12月,ディライト号を引き渡す(甲B16)とともに,その売買代金を請求し(甲B9),SCLマリタイムは,同代金を支払っている(甲B10,11)。 (ウ) 船舶共有持分権売買契約(契約④。甲イ7)売主 SCLマリタイム買主 59号事件原告締結日付平成9年12月12日売買目的物ディライト号の31億0691万0104分の5000万(2条)売買代金 5000万円(3条1項)支払方法買主は,平成9年12月9日又は売主が買主に事前に通知するその他の日までに,株式会社住友銀行東京営業部の売主名義の普通預金口座又は売主が買主に事前に通知するその他の銀行口座に送金して支払う。(3条2項)引渡し売主は,買主に対し,平成9年12月12日又は売主が買主に事前に通知するその他の日に,今治造船株式会社丸亀事業所において,本件共有持分権を引き渡す。(4条1項)なお,上記契約に基づいて,SCLマリタイムは,59号事件原告に対し,ディライト号の共有持分権売買代金を請求し(甲B12),59号事件原告は,同代金を支払っている(甲B14)。 ウイースタン号について(ア) 船舶売買契約①(契約⑨。甲C6)売主ニュー・シーガル・シッピング・エス・エー買主 SCLディライト締結日付平成11年6月4日売買代金 15億1554万5550円 舶売買契約①(契約⑨。甲C6)売主ニュー・シーガル・シッピング・エス・エー買主 SCLディライト締結日付平成11年6月4日売買代金 15億1554万5550円支払方法買主は,売買代金を,日本興業銀行本店にある売主の当座預金口座又は売主が書面により指定するその他の銀行口座に,引渡日(後記)の午前11時までに電信送金する(2条)。 引渡し売主は,平成11年6月9日又は売主と買主が別途合意する,東京にある銀行が営業を行っているその他の日に,太平洋又はインド洋の港湾又は海上において,現状有姿で引き渡す。(4条,5条)なお,上記契約に基づいて,ニュー・シーガル・シッピング・エス・エーは,SCLディライトに対し,平成11年6月9日,イースタン号を引き渡す(甲C14)とともに,その売買代金を請求し(甲C8),SCLディライトは,同代金を支払っている(甲C11)。 (イ) 船舶売買契約②(契約⑩。甲C7)売主 SCLディライト買主 SCLマリタイム締結日付平成11年6月4日売買代金 15億1554万5550円支払方法買主は,売買代金を,日本興業銀行本店にある売主の当座預金口座又は売主が書面により指定するその他の銀行口座に,引渡日(後記)の午前11時までに電信送金する(2条)。 引渡し売主は,平成11年6月9日又は売主と買主が別途合意する,東京にある銀行が営業を行っているその他の日に,太平洋又はインド洋の港湾又は海上において,現状有姿で引き渡す。(4条,5条)なお,上記契約に基づいて,SCLディライトは,SCLマリタイムに対し,平成11年6月9日,イースタン号を引き渡す(甲C15)とともに,その売買代金を請求し(甲C9),SCLマリ す。(4条,5条)なお,上記契約に基づいて,SCLディライトは,SCLマリタイムに対し,平成11年6月9日,イースタン号を引き渡す(甲C15)とともに,その売買代金を請求し(甲C9),SCLマリタイムは,同代金を支払っている(甲C10,11)。 (ウ) 船舶共有持分権売買契約(契約④。甲イ9)売主 SCLマリタイム買主 59号事件原告締結日付平成11年6月9日売買目的物イースタン号の15億4595万8350分の1億(2条)売買代金 1億円(3条1項)支払方法買主は,平成11年6月8日又は売主が買主に事前に通知するその他の日までに,日本興業銀行本店の売主名義の普通預金口座又は売主が買主に事前に通知するその他の銀行口座に送金して支払う。(3条2項)引渡し売主は,買主に対し,平成11年6月9日又は売主が買主に事前に通知するその他の日に,太平洋上又はインド洋上又はその海域における港湾において,本件共有持分権を引き渡す。(4条1項)なお,上記契約に基づいて,SCLマリタイムは,59号事件原告に対し,イースタン号の共有持分権売買代金を請求し(甲C12),59号事件原告は,同代金を支払っている(甲C13)。 (6) 本件各組合参加契約(契約⑤)(甲イ6,8,10)59号事件原告は,別表5の組合参加契約欄及び別表6の現物出資額欄記載のとおり,本件各組合の発起人であるSCLマリタイム及び住商リースとの間で,本件各組合参加契約を締結した(締結日付は,①プロキオン組合については平成7年3月22日,②ディライト組合については平成9年12月12日,③イースタン組合については平成11年6月9日)が,その内容は,以下のとおりである(②,③については,異なる部分のみを注記する。)。 「1 組合員は,本契約の締結により, いては平成9年12月12日,③イースタン組合については平成11年6月9日)が,その内容は,以下のとおりである(②,③については,異なる部分のみを注記する。)。 「1 組合員は,本契約の締結により,1995年2月10日(②は1997年11月17日,③は1999年5月25日)付組合設立契約(別紙1として写しを添付。以下「設立契約」という)の当事者となり,同契約に基づき設立されたプロキオン・メンバーシップ(②についてはディライト・メンバーシップ,③についてはイースタン・メンバーシップ)組合の組合員として,同契約に従い次のとおり出資するとともに,出資後は,同組合の組合規約(別紙2として添付)を遵守することを確約します。 出資口数 2口(100,000,000円相当)(②については1口(50,000,000円相当))総出資口数 166口(②については63口,③については31口)出資日 1995年3月24日(②については1997年12月12日,③については1999年6月9日)又は発起人が協議の上決定したその他の日 2 組合員が設立契約に従って本組合に出資を行わなかったときは,本契約は自動的に効力を失い,発起人に損害が生じたときは,組合員はこれを賠償します。」(7) 本件各パートナーシップ契約(契約⑥)(甲A3,甲B3,甲C3)本件各組合は,別表5及び同6の各パートナーシップ欄のとおり,住商リースのケイマン現地法人とともに,ケイマンにLPSを組成するため,本件各パートナーシップ契約を締結した(締結日付は,①プロキオン組合については平成7年2月14日,②ディライト組合については平成9年11月17日,③イースタン組合については平成11年5月25日)が,その抜粋は,以下のとおりである(②,③については,異なる部分のみを注記する。)。 「本リ 4日,②ディライト組合については平成9年11月17日,③イースタン組合については平成11年5月25日)が,その抜粋は,以下のとおりである(②,③については,異なる部分のみを注記する。)。 「本リミテッド・パートナーシップ契約は,(中略)以下の当事者により作成され,締結された。 (1) ゼネラル・パートナーとして,ケイマン諸島の法に基づき設立され,かつ存在する(中略)SCLPROCYONLIMITED(②及び③についてはSCLDELIGHTLIMITED)(以下「本ゼネラル・パートナー」という。)(2) リミテッド・パートナーとして,日本国の法に基づいて組織され,かつ存在する(中略)プロキオン組合(②についてはディライト組合,③についてはイースタン組合)(以下「本リミテッド・パートナー」という。)本ゼネラル・パートナー及び本リミテッド・パートナーは,本契約書によって,ケイマン諸島の1991年(②及び③については1997年改正)特例パートナーシップ法(以下「本法」という。)に従ってリミテッド・パートナーシップを結成し,以下のとおり合意する。 2 目的本パートナーシップは,本法の下でリミテッド・パートナーシップがなし得るとされる一切の適法な事業,特に,パナマにおいて登録された,又は登録される船名「プロキオン(②についてはディライト,③についてはイースタン)」の船舶(略)を保有し,裸傭船契約(略)に基づいて,日本郵船株式会社又はその子会社,特にそのパナマの子会社コスモ・シップホールディング・エス・エー(②については大阪商船三井船舶株式会社又はそのパナマの子会社シグネット・バルク・キャリアーズ・エス・エー,③については株式会社商船三井又はそのリベリアの子会社アドミラル・ナビゲーション・コーポレーション・エス・エー)に対して賃貸する事 はそのパナマの子会社シグネット・バルク・キャリアーズ・エス・エー,③については株式会社商船三井又はそのリベリアの子会社アドミラル・ナビゲーション・コーポレーション・エス・エー)に対して賃貸する事業を行うために結成される(②及び③については,賃貸し,かつ,本船舶を売却又はその他の方法によって処分することを含むがこれに限られない)。 8 本船舶の出資1995年3月27日(②については1997年12月12日,③については1999年6月11日)又は両当事者間で別途合意される日付で,本リミテッド・パートナーは,以下のとおり評価される以下の財産を出資する(②については約3,000,000,000円,③については約1,450,000,000円の価値の本船舶を出資するものとする,)。 86,859,500米ドルの価値の本船舶。但し,その評価額は関係する先物取引により指定される出資日における,上記金額に相当する日本円とする。」なお,同各契約に基づいて,本件各組合は,本件各LPSに対し,本件各船舶を出資している(甲A3,甲B3,甲C3)。 (8) 本件各裸傭船契約(契約⑦)の抜粋(甲A4,甲B4,甲C4,乙A10の1・2,乙B4の1・2,乙C6の1・2)アプロキオン号について 2 契約締結場所及び日付東京/1995年3月23日 3 船主プロキオンLPS 4 裸傭船者コスモ・シップホールディング・エス・エー 14 引渡時 1995年3月15日傭船期間引渡日から2010年3月31日まで 21 傭船料第10条に従い,傭船料支払期間(3ケ月)ごとに168,105,974円なお,住商リースは,同日付けで,コスモ・シップホールディング・エス・エーに対し,プロキオン まで 21 傭船料第10条に従い,傭船料支払期間(3ケ月)ごとに168,105,974円なお,住商リースは,同日付けで,コスモ・シップホールディング・エス・エーに対し,プロキオンLPSのゼネラル・パートナにして子会社のSCLプロキオンが負担するあらゆる債務の履行を保証して(撤回不能),連帯して支払うとともに,この債務がすべて履行されるまで,SCLプロキオンの全株式を保有し続けることを約している(乙A5の1・2)。 イディライト号について 2 契約締結場所及び日付東京/1997年12月10日 3 船主ディライトLPS 4 裸傭船者シグネット・バルク・キャリアーズ・エス・エー 14 引渡時 1997年12月12日傭船期間引渡日から2009年12月31日まで 21 傭船料第10条に従い,傭船料支払期間(3ケ月)ごとに56,704,297円ウイースタン号について 2 契約締結場所及び日付東京/1999年6月9日 3 船主イースタンLPS 4 裸傭船者アドミラル・ナビゲーション・コーポレーション 14 引渡時 1999年6月9日傭船期間引渡日から2008年6月30日まで 21 傭船料第10条に従い,傭船料支払期間(3ケ月)ごとに37,214,481円なお,上記各4に記載された本件各裸傭船先は,本件各パートナーシップ契約の「2 目的」に記載されているとおり,日本郵船,大阪商船三井船舶,商船三井の本件各定期傭船先と本件各定期傭船契約(契約⑧)を締結している。 (9) 販売委託契約(契約⑪)の概要SCLマリタイムは,住商リースとの間で,本 ているとおり,日本郵船,大阪商船三井船舶,商船三井の本件各定期傭船先と本件各定期傭船契約(契約⑧)を締結している。 (9) 販売委託契約(契約⑪)の概要SCLマリタイムは,住商リースとの間で,本件各船舶に係る共有持分権販売の斡旋や顧客に対する共有持分権の購入資金の融資等を委託する販売委託契約(契約⑪)を締結している。 3 争点(2)ア(本件賃貸事業における経済的合理性の有無)について(1) 主張の位置づけ被告らは,本件各組合が民法上の組合の体裁をとり,本件各船舶の所有権を転々譲渡することにより,原告ら一般投資家や住商リースグループのすべてが利益を得ているが,①本件賃貸事業は,キャッシュ・フロー・ベースでは極めて少ない利益しか上げることができず,上記利益の大部分は損益通算による課税額減少効果からもたらされる上,②住商リースグループの得る利益は,原告ら一般投資家の利益を低く抑えることにも起因しているなど,本件スキームは経済的合理性を欠くと主張する。 これらの主張は,民法上の組合契約としての本件各組合参加契約の不成立ないし無効を基礎づける間接事実の主張に位置づけるのが相当であるから,原告らが本件賃貸事業から得た収益がいかなる所得区分とされるべきかを判断する前提として,①の主張の適否について検討する(②の主張は,船舶賃貸事業そのものに内在するものではなく,その具体的内容は,争点(2)ウにおいて主張されているから,同所で検討することとする。)。 ただし,被告らが主張する経済的不合理性は,民法上の組合契約のみならず,被告らが真の合意内容と主張する利益配当契約にもそのまま(むしろ,それ以上に)当てはまることが明らかであるから,仮にそれによって民法上の組合契約の不成立ないし無効がもたらされるのであれば,利益配当契約についてはなおさらといわざるを得 当契約にもそのまま(むしろ,それ以上に)当てはまることが明らかであるから,仮にそれによって民法上の組合契約の不成立ないし無効がもたらされるのであれば,利益配当契約についてはなおさらといわざるを得ず,したがって,上記主張は,本件各処分の適法性を基礎づけるものとしては,それ自体失当であることに留意すべきである。 (2) 本件賃貸事業の経済的合理性についてア被告らは,ご案内(乙A1)に記載されている損益予想表を基に,プロキオン組合による本件賃貸事業では,10年目の購入オプションが行使された場合における「キャッシュ・フロー・ベース」での収支見込みを年利換算(複利)すると,0.33パーセントにしかならず,しかも,本件各裸傭船契約で定められた見直日に購入オプションが行使され,大きな現金収入が得られる11年目以降の傭船契約を終了させることが予定されているから,課税額減少効果を主目的としていると主張する。 しかしながら,被告らの主張する「キャッシュ・フロー・ベース」は,観念的な経費項目である減価償却費を考慮に入れたものであるから,これを斟酌しない純粋なキャッシュ・フロー・ベースで計算するには,損益予想表の「用船収入」の累計と「船舶売却収入」を加えたものから,「支払利息」の累計と「その他経費」の累計を控除した金額を基準とすべきところ,その金額は292万2000円となって,出資額3000万円を基にした1年当たりの収益率(単利)は1パーセント近くなる上,7000万円のセットローンを利用しなければ,支払利息は生じないから,その収益率は更に高くなることが明らかである。したがって,被告らの上記立論自体が合理性を欠くといわざるを得ない。 また,証拠(甲A4,甲B4,甲C4,甲イ12,乙A8,乙C2)によると,本件各裸傭船契約では,見直日に傭船料等の傭船条件が見直 。したがって,被告らの上記立論自体が合理性を欠くといわざるを得ない。 また,証拠(甲A4,甲B4,甲C4,甲イ12,乙A8,乙C2)によると,本件各裸傭船契約では,見直日に傭船料等の傭船条件が見直されること,裸傭船先が購入オプションを行使しない場合は,新たに定められる傭船料等の条件を基に,新たな損失額が定められることになっていること,本件各セットローン契約では,返済額は,見直日以降,元利均等払とされていること(1条(7)),以上の事実が認められ,これによれば,本件賃貸事業においては,本件各船舶の購入オプションが行使されることが予定されているものではなく,その時点での船舶の傭船マーケットの状況等によって,その行使不行使が選択されると考えられる。さらに,上記のとおり,11年目以降の傭船料は新たに定められ,しかも,売却価格がどの程度下落するかについての予想がますます困難となると考えられ,単純に11年目以降も本件賃貸事業を継続することが有利だとはいえないから,この点においても,被告らの主張は採用できない。 かえって,証拠(甲全30,31の1・2,甲イ18の1・2,19の1ないし3,20の1・2,甲B17,甲C16,乙A1)によれば,日本の商船隊は,近年,海運業界における国際競争力を維持すべく,外国に船籍を置く便宜置籍船をリースして使用しているものが主流となり,その割合は,年々高まっているところ,この傾向は,日本だけでなく,アメリカ,イギリス,ギリシャのような海外の海運国であっても同様であること,59号事件原告の本件賃貸事業からの傭船料収入は,プロキオン組合で年額812万7568円,ディライト組合で同365万0204円,イースタン組合で同962万8848円であり,購入価格で除した収益率は,年7.3パーセントから9.629パーセントであって,都市 ン組合で年額812万7568円,ディライト組合で同365万0204円,イースタン組合で同962万8848円であり,購入価格で除した収益率は,年7.3パーセントから9.629パーセントであって,都市部における商業用建物の収益率と比較して,格段に高いこと,最終的な収益率は,船舶売却価格によっても変動し,これが高く売却されればされるほど,収益率は向上すること,以上の事実が認められ,これらによれば,船舶を取得し,これを傭船して賃料を得,最終的に処分して終了するという船舶賃貸事業は,普遍的なものであって,それ自体でも収益を上げる可能性が相当程度存在すると判断できる。 イこの点に関し,被告らは,事業を行うに当たり,他の所得の存在による課税額の減少効果を織り込むことが当該事業の経済的合理性を損なうとの前提に立って,本件賃貸事業の主目的は,課税額の減少効果にあると主張する。 しかしながら,減価償却の点については,そもそも,本件各船舶のような船舶は,傭船事業者にリースされ,継続的に使用されることによって,その資産価値が次第に減少していく性質を有しているから,その所有者としては,将来の転売の際に現実化する損失を見込んで,所有する期間に対応した各年度に費用としての減価償却を行う必要があることは会計理論に照らしても疑いを容れない。実際にも,本件各船舶は1隻十数億円から数十億円という高額の代金で購入されているところ,その市場価格は,世界情勢などの要因によって大きく影響を受け,購入オプションが行使されるか否か,予想価格以上の価格で売却できるか否かは不透明であることから,船舶の所有者が減価償却費を経費として計上し,それによる税額の減少を見込むことが許されないのであれば,世界における船舶の主要な供給源の一つであるリース事業を展開することは著しく困難になることが容 ,船舶の所有者が減価償却費を経費として計上し,それによる税額の減少を見込むことが許されないのであれば,世界における船舶の主要な供給源の一つであるリース事業を展開することは著しく困難になることが容易に予想される。 また,他の所得との損益通算の点について,所得税法69条は,ある所得(資産性所得に属する不動産所得,山林所得及び譲渡所得並びに資産勤労結合所得の性質を有する事業所得)の金額の計算上生じた損失を,他の所得から控除する旨定めているところ,これは,所得の性質上不相当と考えられるものを除き,総合所得税の建前を具体化したものと考えられ,税制の在り方として何ら不当なものとはいえない。 そうすると,合理的経済人が,減価償却費と損益通算による所得の減少を考慮して,事業計画を策定することは,ごく自然なことと考えられる上,現実の納税額の総額が減少するのは,所得税法が採っている累進課税制度,長期譲渡所得の優遇措置などを適用した結果であり,税法自体が容認している範囲内のものにすぎないというべきである。 ウしたがって,本件賃貸事業が経済的合理性を欠く旨の被告らの主張は採用できない。 4 争点(2)イ(民法上の組合契約という法形式の異常性の有無)について(1) 前記認定事実(2(1),(2)及び(6))並びに弁論の全趣旨によれば,原告ら一般組合員が本件賃貸事業に参加した主目的は,本件各船舶の賃貸料や売却益を出資持分に応じて取得し,さらに,本件各船舶の減価償却費等の費用を他の所得と損益通算することによる課税上の利益を得ることにあると推認することができるところ,後者の点を除けば,同様の経済的効果は,原告らがSCLマリタイムないし住商リースに出資し,同社が船舶賃貸事業を展開して,これによって得られた利益を出資の割合に応じて配当する旨の利益配当契約によって達成す の点を除けば,同様の経済的効果は,原告らがSCLマリタイムないし住商リースに出資し,同社が船舶賃貸事業を展開して,これによって得られた利益を出資の割合に応じて配当する旨の利益配当契約によって達成することが可能と考えられる。 また,法形式だけに着目するのであれば,利益配当契約を採用した場合,本件各セットローン契約,本件各船舶共有持分権売買契約などは不要となり,本件各パートナーシップ契約は,SCLマリタイムないし住商リースの単独名義で締結することができ,出資者も,同社に対する債権者としての地位を有するのみであるから,仮に事業によって出資額を超える損失を被ったとしても,出資者の個人責任が問題となる余地はなく,契約形式,契約条項は,本件の場合に比較して,簡明になることは確実である。そうすると,民法上の組合契約の法形式は,利益配当契約と比較して,やや迂遠ないし複雑であるとの印象を受けることは否定できない。 (2) しかしながら,前記のとおり,一定の法的・経済的目的を達成する上で,複数の法形式が考えられる場合に,税制上のメリットを考慮してその選択を行うこと自体は,何ら異常,不当なことではないというべきである。 加えて,単なる利益配当契約にあっては,その内容にもよるが,一般には,出資者に対する事業者の善管注意義務を肯認することは困難であるから,事業者の判断に軽率な点があったとしても,出資者は,これによって生じた損失について,事業者の責任を追及することはできず,まして,本件各組合参加契約のように,重要事項の決定に出資者の意見を反映させる手続を設けることは通常考えられない。そうすると,民法上の組合契約の形式をとることによって,単なる利益配当契約よりも出資者の利益に配慮することが可能となり,事業者としても出資者を募ることが容易となるから,このような効果を えられない。そうすると,民法上の組合契約の形式をとることによって,単なる利益配当契約よりも出資者の利益に配慮することが可能となり,事業者としても出資者を募ることが容易となるから,このような効果を考慮すれば,多少の迂遠さ,複雑さを考慮しても,民法上の組合契約が通常用いられることのない法形式であるということはできない(被告らの主張に従い,キャッシュ・フロー・ベースで見た場合,本件賃貸事業によってはほとんど利益を上げることができないと仮定すると,被告らの主張する利益配当契約では,その上に,法的にも出資者の利益に配慮する必要がなくなるから,出資者側の観点からは,当該取引はほとんど自殺的な行為といわざるを得ない。)。 (3) この点について,被告らは,①民法上の組合契約の形式では,当該賃貸事業についての専門的判断を求められ,事業者の一員として無限責任をも負わなければならないリスクが存在すること,②実際の船舶賃貸事業において,個人投資家を対象として,民法上の組合という法形式は用いられていない旨主張するところ,②については,これに沿うかのごとき内容の証拠(乙全15,16)もある。 しかしながら,①のうち,専門的判断を要する点については,その能力を有する者を業務執行組合員に選任すれば足り,無限責任についても,保険制度などを利用することで,実際にその履行が現実化する可能性を低くすることが可能であり(現に,このような仕組みが採用されることによって,原告らが実質的に本件各組合の組合員としてのリスクを負っていないと主張しているのは,まさに被告ら自身である。),②については,争点(1)で判断したとおり,法形式の異常性の有無は,当該契約類型や契約内容自体に着目し,それが当事者が意図した法的・経済的目的を達成する上で,社会通念上著しく複雑,迂遠なものであって,到 いては,争点(1)で判断したとおり,法形式の異常性の有無は,当該契約類型や契約内容自体に着目し,それが当事者が意図した法的・経済的目的を達成する上で,社会通念上著しく複雑,迂遠なものであって,到底その合理性を肯認できないものであるか否かの客観的な見地から判断されるべきものであって,実際にどの程度の頻度でもって行われているかによって確定されるべきものではない。 かえって,被告ら提出に係る前掲各証拠によれば,三井リース事業株式会社や三菱商事株式会社も,匿名組合形式ではあるものの,一般投資家に対し,船舶賃貸事業に参加するよう勧誘をしている事実が認められるところ,民法上の組合と匿名組合とで,法形式の異常性についての判断が大きく異なるとは考え難い。 (4) そうすると,本件賃貸事業を遂行する上で,民法上の組合契約の法形式は通常用いられないものであるとは到底いえない(むしろ,通常の合理的経済人にとっては,利益配当契約よりもはるかに合理性を有するといえる。)から,本件各組合参加契約等の内容を検討するに当たっては,使用された文言に即した文理解釈を中心として行うのが相当である。 5 争点(2)ウ(民法上の組合契約の成否と利益配当契約該当性の有無)について(1) 民法上の組合契約の成立要件について民法667条1項は,「組合契約ハ各当事者カ出資ヲ為シテ共同ノ事業ヲ営ムコトヲ約スルニ因リテ其効力ヲ生ス」と定めているから,組合契約が有効に成立するためには,①2人以上の当事者の存在,②各当事者が出資をすることを合意したこと,③各当事者が共同の事業を営むことについて合意したことの各要件が必要である。このうち,本件各組合が①と②の要件を満たしていることは,前記前提事実(3)並びに前記認定事実(2(1),(2)及び(6))のとおり,原告らを含む本件各組合員らが,共 したことの各要件が必要である。このうち,本件各組合が①と②の要件を満たしていることは,前記前提事実(3)並びに前記認定事実(2(1),(2)及び(6))のとおり,原告らを含む本件各組合員らが,共同で出資することを合意していることから,明らかである。 ところで,③の合意が認められるためには,a共同で営む事業の内容(組合の目的)についての合意と,bその事業を共同で営むことについての合意とを要するところ,aの事業内容の合意については,前記認定事実(2(1),(6))のとおり,本件各組合設立契約3条及び同契約をその内容とする本件各組合参加契約によってその存在を認めることができるが,b「事業を共同で営む」というためには,まず,(ⅰ)各当事者が当該組合の事業の遂行に関与し得る権利を持つことが必要というべきであるから,自ら業務執行を担当することまで不可欠というわけではないが,同法673条に基づいて組合の業務や財産状況を検査する権利と,業務執行を1人又は数人の組合員に委任したときに,正当の事由がある場合には同法672条1項に基づいて業務執行組合員を解任する権利を有している必要があると解されるし,次に,(ⅱ)各当事者が事業の成功に何らかの利害関係を有することが必要であるから,例えば,営利事業を目的とする団体が,これによる利益を特定の者だけで配分し,他の者が全くこれに関与しない場合(いわゆる獅子組合)は,共同事業性が否定されるから,民法上の組合としての性格を有しないといわざるを得ない。これに反し,内部的に出資額以上の損失を負担しない当事者がいたとしても,共同事業性に反するものとはいえないし,利益の性質が,財産的な利益と精神的な利益というように異なる場合や,その利益の内容が共通でない場合も共同事業性に反するものとはいえない。 したがって,本件各組合参加契約 性に反するものとはいえないし,利益の性質が,財産的な利益と精神的な利益というように異なる場合や,その利益の内容が共通でない場合も共同事業性に反するものとはいえない。 したがって,本件各組合参加契約が民法上の組合契約の性質を有するか否かは,原告らを含む一般組合員らが上記の検査権及び解任権を有するか,並びに事業の成功に利害関係を有するかに懸かるというべきところ,被告らは共同事業性を否定しているので,次項以下において,この点を判断する(なお,被告らは,共同事業性につき,上記のような要件に分解することなく,端的にその具備の有無を判断すべきである旨主張するが,その意味内容は明確でなく,仮に,上記以外の要件をも共同事業性に付加しようとする趣旨であるならば,独自の解釈に基づくものとして採用できない。)。 (2) 民法上の組合契約としての成否についてア検査権について民法673条は,「各組合員ハ組合ノ業務ヲ執行スル権利ヲ有セサルトキト雖モ其業務及ヒ組合財産ノ状況ヲ検査スルコトヲ得」と定める。これは,組合契約によって業務執行組合員を定めたときは,各組合員は具体的な業務執行に関与することができないものの,組合の事業は各組合員全体の事業であるとの性質を失うものではなく,またその事業の成否は各組合員の利害に影響するところが大であることから,業務執行組合員による業務執行を監督するために,少なくとも,検査権を有する必要があると考えられたことによる。 しかるところ,前記認定事実(2(2))のとおり,本件各組合規約14条は,「各組合員は,その必要がある場合,事前に理事長に書面により通知して,相当な場所及び時間並びに方法において,本組合の業務及び組合財産の状況を検査することができる。」と定めており,原告ら一般組合員は,検査権を有していると認められる。 イ解任権につ 面により通知して,相当な場所及び時間並びに方法において,本組合の業務及び組合財産の状況を検査することができる。」と定めており,原告ら一般組合員は,検査権を有していると認められる。 イ解任権について(ア) 民法672条1項は,「組合契約ヲ以テ1人又ハ数人ノ組合員ニ業務ノ執行ヲ委任シタルトキハ其組合員ハ正当ノ事由アルニ非サレハ辞任ヲ為スコトヲ得ス又解任セラルルコトナシ」と,同条2項は,「正当ノ事由ニ因リテ解任ヲ為スニハ他ノ組合員ノ一致アルコトヲ要ス」とそれぞれ定めている。これは,組合契約によって業務執行を一部の組合員に委任したときは,業務執行組合員と一般組合員との関係は委任類似の関係に立つので,基本的には委任に関する規定を準用しつつ(民法671条),組合の共同事業遂行のために業務執行が任せられた以上,みだりにその辞任や解任を認めると,その地位が不安定となってかえって事業の達成の支障となることが予想されるので,民法651条については準用せず,委任の特則として辞任及び解任の事由を制限するとともに,他方で,どのような事由が生じても一般組合員が業務執行組合員を解任することができないとすれば,業務執行組合員の専横を抑止することができず,業務執行に対する監督権が無に帰する事態も想定されることから,両者の要請を調整し,正当な事由の存在と他の組合員の一致という厳格な制限を設けた上で,一般組合員に解任権を保障することにしたものと解される。 しかるところ,前記認定事実(2(1),(2))のとおり,本件各組合は,組合員の中から選任された理事3名によって構成される理事会によって業務執行の意思決定がなされ,理事の中から選任された理事長が業務執行組合員として組合の業務執行を行うこととしている(本件各組合設立契約7条,本件各組合規約9条,10条)ところ,同規約 理事会によって業務執行の意思決定がなされ,理事の中から選任された理事長が業務執行組合員として組合の業務執行を行うこととしている(本件各組合設立契約7条,本件各組合規約9条,10条)ところ,同規約12条(理事及び理事長の辞任及び解任)3項は,「理事は,正当な理由がなければ解任されない。」と,同条4項は,「理事を解任するためには,総出資口数の過半数を有する組合員が出席した組合員総会における総出資口数の3分の2以上による解任の決議及び後任理事の選任の決議を必要とする。」と,同規約10条(理事長)1項は,「理事会の決議により,理事の中から理事長1名を選任する。」とそれぞれ定めているから,組合員は,組合員総会において,上記の要件を満たすことにより,理事及びこの地位を前提とする理事長を解任することができることが明らかであり,したがって,本件各組合においては上記解任権が保障されていると認められる(なお,解任決議の際,後任の理事を選任する必要があるが,同規約9条1項によれば,理事の資格は組合員であれば足りるから,上記要件は解任権の行使を制約するものとはいえない。)。 (イ) この点について,被告らは,原告ら一般組合員に組合員名簿が配布されておらず,組合員が閲覧できる組合員名簿にも組合員の氏名,口数,持分しか記載されておらず,他の組合員の住所等が不明であるから,総出資口数の10分の1を要する組合員総会の開催要求や総出資口数の過半数を有する組合員を総会に出席させることは現実的でなく,本件各組合は一般組合員が解任権を行使することを予定していない旨主張する。 上記「予定していない」旨の主張の法的意味内容が不明確であることはさておき,確かに,他の組合員の住所を知らない場合には,組合員総会の開催を要求し,そこで理事長を解任する決議を行うことに相当の困難が伴う 記「予定していない」旨の主張の法的意味内容が不明確であることはさておき,確かに,他の組合員の住所を知らない場合には,組合員総会の開催を要求し,そこで理事長を解任する決議を行うことに相当の困難が伴うことは否定できない。しかしながら,解任権の行使は,自ら開催要求したものでなく,理事会が開催を必要と認めて招集した組合員総会において,所定の賛同者を獲得すれば可能であるから,上記の困難性は事実上の障害にとどまるといわざるを得ない。 そもそも,証拠(甲A5の1ないし3,甲B5,甲C5の1・2)によれば,本件各組合は,組合員の番号,氏名,口数,持分,郵便番号,住所及び電話番号を記載した組合員名簿を作成,保管していることが認められるところ,前記の検査権を行使して,上記組合員名簿を開示させることは十分に可能というべきであるし,前記認定事実(2(2))のとおり,本件各組合規約6条は,理事長は組合員名簿を作成し,これを組合員の閲覧に供する旨定めているところ,同条の定める組合員名簿とは,その趣旨に照らせば,住所等,組合員の特定に必要な事項が記載されたものを指すと解されるから,一般組合員は,本件各組合参加契約に基づいて,その閲覧を求めることもできると解すべきである。 この点,証拠(乙全3)には,住所等の記載のない組合員名簿を巡る名古屋国税局担当者と住商リース担当者とのやりとりが記載されているが,本件賃貸事業の遂行上,これらが記載された名簿が整備されていることは当然であり,住商リースとしては,組合員が特定され,課税庁から税務調査を受けたり課税処分を受けたりすることを避けるべく,上記のような名簿を示したにすぎないと推測されるところ,同時に,住商リース担当者が,組合員からの請求があれば開示すると回答した旨の記載があるから,上記の判断に何らの影響を与えるものでもな けるべく,上記のような名簿を示したにすぎないと推測されるところ,同時に,住商リース担当者が,組合員からの請求があれば開示すると回答した旨の記載があるから,上記の判断に何らの影響を与えるものでもない。 もっとも,本件賃貸事業が通常予想される範囲内で遂行される限り,本件各組合において,業務執行組合員であるSCLマリタイムに対する解任権が行使される事態は想定し難いが,これは,同社と一般組合員とでは,船舶賃貸事業のノウハウの蓄積において隔絶しており,他の一般組合員は自らこれを展開するだけの能力を有しないという事実を反映しているにすぎないと考えられるから,そのこと故に,本件各組合において解任権が排除されていると解することはできない。 したがって,被告らの上記主張は採用できない。 (ウ) さらに,被告らは,本件各組合において,他の組合員の住所や連絡先を知らせない仕組みになっていること自体,共同事業目的の合意を欠いていることを示すとも主張するが,上記のとおり,原告ら一般組合員は,欲すれば住所等が記載された組合員名簿の閲覧を求めることができると解される上,船舶賃貸事業についてのノウハウを有する業務執行組合員に業務執行を委任する本件各組合においては,原告ら一般組合員は,組合員総会において所定の決議を行う以外,とりたてて役務を提供することもないから,他の組合員の住所等を知らないとしても,共同事業を営む上で格別支障となるとは考え難く,被告らの上記主張も採用できない。 ウ本件賃貸事業の成功についての利害関係について(ア) 前記認定事実(2(1),(2))のとおり,本件各組合においては,本件賃貸事業から生ずる利益及び運用から生ずる収入は,組合員の出資口数に応じて分配され,その債務についても,出資割合に応じてその責任を負担するとされているから,原告らを含む ,本件各組合においては,本件賃貸事業から生ずる利益及び運用から生ずる収入は,組合員の出資口数に応じて分配され,その債務についても,出資割合に応じてその責任を負担するとされているから,原告らを含む組合員全員が,本件賃貸事業の成功について利害関係を有していることは明らかである。 (イ) この点について,被告らは,SCLマリタイムが本件各船舶の共有持分権を売却するに当たり,価格のかさ上げを行い,原告ら一般組合員の利益を減少させ,住商リースらはその分の利益を得ているとして,共同事業目的についての合意の存在を否定し,また,解任権が有名無実のものである旨主張するところ,なるほど,前記認定事実(2(5)アないしウ,別表6)のとおり,SCLマリタイムは,本件各船舶の共有持分権を,その購入価額に2.0パーセントないし4.65パーセントを上乗せした価格(総額)で59号事件原告らに売却している。 しかしながら,前記のとおり,獅子組合のような場合は別として,組合員に分配される利益の性質や内容が共通でなくとも,共同事業性に反するものとはいえない上,上記の共有持分権売却は,本件各組合の発起人ないし理事長の資格で,その業務執行として行ったものでないことは明らかであるから,本件各組合による事業遂行や利益分配の過程で,原告ら一般組合員が損失を被り,住商リースらが利益を得ているとはいえない。 しかも,証拠(甲全8,甲A5の1ないし3,甲B5,甲C1,5の1・2,乙C9)によれば,SCLマリタイムは,本件各船舶を31口ないし166口の共有持分に分けて売却しているところ,その事務のために相当額の諸費用を要したであろうことは容易に推認することができ,しかも,その譲渡代金の支払が完了するまでに相当期間(イースタン組合で少なくとも半年程度)を要していることをも考慮すれば,上記程 ために相当額の諸費用を要したであろうことは容易に推認することができ,しかも,その譲渡代金の支払が完了するまでに相当期間(イースタン組合で少なくとも半年程度)を要していることをも考慮すれば,上記程度の金額を売却価格に上乗せすることが不当であるとはいえない。 したがって,いずれにしても,被告らの上記主張は採用できない。 エ小括以上のとおり,本件各組合参加契約は,民法上の組合契約の要件を充足していると判断することができる。 (3) 被告ら主張に係る民法上の組合契約の不成立を推認させる間接事実について上記のほか,被告らは,民法上の組合契約の不成立を推認させる間接事実として,るる主張するので,以下において検討する。 ア本件各パートナーシップ契約におけるSCLマリタイムの「理事長」僭称について(ア) 被告らは,本件各組合の創立総会開催前に,SCLマリタイムが理事長の肩書をもって本件各パートナーシップ契約を締結したことから,本件各パートナーシップ契約の効力に疑問を投げかけるとともに,原告ら一般組合員の議決権を認めず,ひいては組合員として扱っていない旨主張するところ,前記認定事実(2(1))及び証拠(甲A3,甲B3,甲C3,乙A9,乙B2,乙C3)並びに弁論の全趣旨を総合すれば,本件各パートナーシップ契約は,いずれも,本件各組合の創立総会の開催前に締結されているところ,その際には,SCLマリタイムが本件各組合の理事長として署名していること,本件各組合設立契約7条3項は,「最初の理事は,創立総会で組合員の中から選任され,最初の理事長は,最初の理事会で理事の中から選任される。」と定めており,創立総会開催前に理事長が選任されることはないこと,以上の各事実が認められ,これらによれば,SCLマリタイムの上記肩書は,表示として適切でなかったと考えられる 事の中から選任される。」と定めており,創立総会開催前に理事長が選任されることはないこと,以上の各事実が認められ,これらによれば,SCLマリタイムの上記肩書は,表示として適切でなかったと考えられる。 (イ) しかしながら,上記表示は,本件各パートナーシップ契約を締結するに当たり,本件各組合を代表する権限を保有していることを明らかにする趣旨のものであるところ,前掲各証拠及び弁論の全趣旨によれば,本件各組合契約7条1項には,創立総会終了時までの組合の運営は,発起人の協議によって行うことが定められていること,本件各組合の発起人である住商リースとSCLマリタイムとは,後者が本件各組合を代表して本件各パートナーシップ契約を締結する旨の協議を行ったこと,その後に開催された本件各組合の創立総会において,SCLマリタイム及び住商リース他1名が理事に選任され,理事会において,SCLマリタイムが理事長に選任されたこと,ご案内及びリファレンスにおいて,本件各組合の理事長としてSCLマリタイムが就任する予定であることや,ケイマンにおいてパートナーシップを設立する予定であることが記載されており,本件各組合参加契約に添付された本件各組合設立契約と本件各組合規約の別紙1「本事業の概要」にも,本件各パートナーシップ契約が締結されることが説明されていること,以上の各事実が認められ,これらによれば,SCLマリタイムが本件各組合を代表して本件各パートナーシップ契約を締結する権限を有していたことは明らかであって,法律行為としての効力に問題はないし,原告ら一般組合員の議決権を否定するものでもないから,被告らの上記主張は採用できない。 イ出資履行前の創立総会開催について(ア) 被告らは,①ディライト組合及びイースタン組合においては,原告らが自己資金を出捐する前に創立総会が開 るものでもないから,被告らの上記主張は採用できない。 イ出資履行前の創立総会開催について(ア) 被告らは,①ディライト組合及びイースタン組合においては,原告らが自己資金を出捐する前に創立総会が開催されており,原告らが共有持分権を取得して出資したとはいえない,②プロキオン組合においては,原告らは,共有持分権を取得した日(平成7年3月24日。甲イ5)以前に,同持分権を出資する旨の契約を交わしていて(同月22日。甲イ6),不自然であり,結局,創立総会は組合員としての資格を与えたとの形式を作出したにすぎない旨主張する。 (イ) 被告らの上記主張の法的意味内容は明確でないが,前記のとおり,民法上の組合契約は,当事者が出資を約することを成立要件とするものの,出資を行ったことまで必要とするものではないから,被告らの上記主張をもって,本件各組合参加契約が民法上の組合契約としての性質を有することを否定することはできない。 (ウ) また,①について判断するに,前記前提事実(3),前記認定事実(2(1))及び証拠(甲イ7,乙B2,乙C3,乙イ6ないし9)を総合すれば,以下の事実が認められる。 a 本件各組合設立契約9条2項は,「本組合に対する出資は,出資日に,各々の出資口数に相当する共有持分権を本組合に現物出資することにより行われる。」と,同契約12条1項は,「発起人は,総出資口数の出資の完了を確認した後,理事の選任のため,速やかに本組合の創立総会を招集する。」と,それぞれ定めている。 また,本件各共有持分権売買契約7条1項は,売買代金の支払という条件が「売主に放棄され」る場合には,引き渡すことができる旨定めている。 b 59号事件原告は,ディライト組合の創立総会の開催日である平成9年12月12日付けで,ディライト号の共有持分権1口を5000万円で買い受 放棄され」る場合には,引き渡すことができる旨定めている。 b 59号事件原告は,ディライト組合の創立総会の開催日である平成9年12月12日付けで,ディライト号の共有持分権1口を5000万円で買い受ける旨の契約と,ディライト組合に参加する旨の契約をそれぞれ締結し,同月22日,上記共有持分権の売買代金のうち自己資金分をSCLマリタイムに送金している。 c また,59号事件原告は,イースタン組合の創立総会の開催日である平成11年6月9日付けで,イースタン号の共有持分権2口を1億円で買い受ける旨の契約と,イースタン組合に参加する旨の契約をそれぞれ締結し,同月30日,上記共有持分権の売買代金のうち自己資金分をSCLマリタイムに送金している。 上記認定事実によれば,59号事件原告は,ディライト組合及びイースタン組合の各創立総会の開催日には,ディライト号及びイースタン号の共有持分権を取得して,これを出資したと認めることができる。共有持分権の取得代金が後払となっている点についても,本件各共有持分権売買契約7条1項によるものと推測できる(かかる規定がなくとも,売主は,代金支払義務との同時履行の抗弁権を一方的に放棄することによって,売買目的物の引渡義務を先履行することができることはいうまでもない。)から,そのことによって,出資が欠如するとか,創立総会が形式を作出したにすぎないなどと評価すべきものとはいえない。 (エ) 次に,②について判断するに,証拠(甲イ6)によれば,59号事件原告は,平成7年3月22日付けでプロキオン組合に参加する旨の契約を締結しているところ,同契約1条は,原則として同月24日に出資する旨定められていることが認められる。被告らは,出資の対象物であるプロキオン号の共有持分権を取得する以前に上記契約を締結することが不自然である旨主張す ろ,同契約1条は,原則として同月24日に出資する旨定められていることが認められる。被告らは,出資の対象物であるプロキオン号の共有持分権を取得する以前に上記契約を締結することが不自然である旨主張するが,出資の対象物を取得する見込み・予定がある状況で,出資を約して民法上の組合契約を締結することは何ら不自然ではなく,現に,証拠(甲イ5)によれば,59号事件原告は,出資日とされた同月24日付けでプロキオン号の共有持分権を取得していることが認められるから,被告らの上記主張も採用できない。 ウ一般組合員の本件各船舶処分権限について(ア) 被告らは,①本件各裸傭船契約上の見直日までは,本件各裸傭船契約33条が,「本件各パートナーシップは,傭船主の事前の書面による許可なく傭船主以外の者に当該船舶を売却してはならない。」と定めていること,②見直日以降は,本件各組合規約32条が,「本件各組合の理事長は,理事会の同意を得てパートナーシップに本船を処分させることができる。」と定めていることにより,現実的には裸傭船期間全般を通じて,原告ら一般組合員は本件各船舶の処分権限を制限されており,③ディライト組合においては,裸傭船契約が59号事件原告らの共有持分権取得前に締結されていて,これに関与できない状態となっている旨主張する。 (イ) しかしながら,民法上の組合において,組合員が組合財産に対してどのような権限を有するかは,民法上の組合としての本質を害さない限り,契約等によって自由に定めることができるものであり(むしろ,組合の目的を達成するために,個々の権利について種々の制約を受けることから,組合財産は狭義の共有ではなく,合有状態にあるとされる。),上記のような事情が存するからといって,直ちに本件各組合が民法上の組合であることを否定することはできない。 (ウ) の制約を受けることから,組合財産は狭義の共有ではなく,合有状態にあるとされる。),上記のような事情が存するからといって,直ちに本件各組合が民法上の組合であることを否定することはできない。 (ウ) また,①について判断するに,一般に,不動産の賃貸借契約において,契約期間中又は一定期間は,賃借人の同意のない限り賃貸人が賃貸物を処分しない旨の合意をすることは,決して稀ではなく,合理性も十分に存在する(賃借権が対抗力を有していないのであれば,賃借人としては,その地位を維持すべく,上記のような合意を契約上の債務として定めたいと考えるのは自然であり,仮に対抗力を有しているとしても,賃貸借が信頼関係を基盤とする以上,同様に考えることは不自然ではない。)から,そのような合意をしているからといって,組合員としての基本的な権限を侵害するものとはいえない。 (エ) 次に,②について判断するに,前記認定事実(2(2))のとおり,本件各組合規約32条1項は,「理事長は,傭船契約が終了したとき又は平成17年4月1日(見直し日)以降において,本船の処分を相当と判断するときは,理事会の同意を得てパートナーシップに本船を処分させパートナーシップを解散及び清算させることができる。」と,同条2項は,「前項の規定にかかわらず,本組合設立後,経済情勢の変化,法令の改廃又は組合員の多数の脱退等の組合存続に重大な影響が生ずる事由その他相当の事由により本組合の目的の達成又は組合業務の遂行が不可能又は著しく困難となり,理事長が本船の処分を相当と判断するときは,理事長は,理事会の同意及び組合員総会の承認を得て,パートナーシップに本船を処分させ,パートナーシップを解散及び清算させることができる。」と,同規約の別紙「本事業の概要」7項は,「本船は,傭船契約が終了する場合又は必要に応じて 合員総会の承認を得て,パートナーシップに本船を処分させ,パートナーシップを解散及び清算させることができる。」と,同規約の別紙「本事業の概要」7項は,「本船は,傭船契約が終了する場合又は必要に応じて処分され,その対価から債務費用等を控除した残金が残余財産として組合員に分配されて本組合は清算される。」とそれぞれ定め,ご案内(乙A1,3,乙イ12)においても,上記規約と同内容の説明がある。 しかしながら,そもそも,民法上の組合契約において,業務執行組合員が定められた場合,業務執行については,基本的に当該業務執行組合員にゆだねられ,ただ,その専横を防止するために,一般組合員に解任権や検査権が保障されているのであるから,上記のように,業務執行組合員たる理事長の権限が定められているとしても,民法上の組合としての本質に反するものではなく,また,限定された場面とはいえ,組合員総会の承認をも処分の要件としていることからすれば,組合員の基本的な権限を侵害しているとは到底いえない。 (オ) 最後に,③について判断するに,なるほど,裸傭船契約の内容の決定に原告ら一般組合員が実質的に関与できないことは,指摘のとおりと考えられる。 しかしながら,原告ら一般組合員は,本件各船舶の傭船先や賃貸条件等を検討の上,その内容を了承して本件各組合参加契約を締結しているのであるから,このことをもって,民法上の組合契約の成立が否定されたり,無効になるものではない。このことは,不動産特定共同事業法が,不動産の賃貸事業を共同事業として行うために,各当事者が賃貸予定不動産(通常は賃貸条件等は交渉済みである。)の持分を出資し,そのうちの1人にその業務の執行を委任し,それによって生ずる収益の分配を行うことを約する契約が民法上の組合契約であることを認めている(同法2条3項1号)ことから は交渉済みである。)の持分を出資し,そのうちの1人にその業務の執行を委任し,それによって生ずる収益の分配を行うことを約する契約が民法上の組合契約であることを認めている(同法2条3項1号)ことからも明らかである(このように,当事者が,個々の契約内容の決定について関与せず,あらかじめ定められた内容を一括して承諾するか否かの選択権しか有しない契約締結形態は,現代社会において広範囲に見られるところであり,特に本件のような専門的,技術的なノウハウを要する事業を遂行するためには,必然的とすらいい得る。)。 エ 59号事件原告の意思について(ア) 被告らは,①59号事件原告が具体的な契約内容などを承知せず,ただ住商リースを信頼して投資したにすぎず,本件各船舶の共有持分権を購入してこれを現物出資することにより本件各組合に参加するという,本件各組合参加契約に対応する意思など有していない,②実際にも,同原告は,東海銀行から船舶の共有持分権を購入する資金を借り受ける際,「船舶投資商品購入」と記載している旨主張し,これに沿うものとして59号事件原告に対する質問てん末書(乙全4)と融資申込書(乙イ13)を提出する。 (イ) 確かに,59号事件原告ら一般組合員は,本件賃貸事業の具体的在り方について深い関心を持たず,その主目的は,リース料や本件各船舶の売却益を出資持分に応じて取得し,さらに,本件各船舶の減価償却費等の費用を損益通算することによる利益を得ることにあることは容易に推認できる(これに対して,理事長であるSCLマリタイムの主目的は,業務執行に対する報酬を受け取ることにあると推認することができる。)。 しかしながら,前記のとおり,民法上の組合契約における共同事業性が認められるためには,契約において,組合員に検査権及び解任権が保障され,事業の成功に利害関 取ることにあると推認することができる。)。 しかしながら,前記のとおり,民法上の組合契約における共同事業性が認められるためには,契約において,組合員に検査権及び解任権が保障され,事業の成功に利害関係を有すると認められることで足りるのであり,しかも,本件賃貸事業においては,大型船舶について裸傭船契約を締結して賃料を受け取り,傭船契約の終了日又は見直日以降には,原則として,その船舶を処分することが予定されているから,事業の状況について,日々関心を払う必要があるとは解されない。そうすると,59号事件原告ら一般組合員が,本件各組合参加契約の詳細について認識しておらず,専ら住商リースを信頼して契約を締結したとしても,そのことをもって,組合に参加する旨の内心的効果意思がないとはいえない。 (ウ) また,上記①の質問てん末書については,被質問者である59号事件原告の拒絶により,読みきけや確認が行われておらず,署名も得られていないなどの点をさておくとしても,その内容に照らすと,効果意思の存否の判断に有用なものとはいえない。 すなわち,同質問てん末書には,「投資」に対する「利回り」の低さ,節税効果,他の組合員の認識の有無,本件各組合が締結した船舶賃貸契約書を見たことの有無,リスクの有無,親族への持分譲渡,船舶の「所有権」の認識の有無などについての質問と回答が記載されている(本訴における被告らの主張と符合している。)が,59号事件原告に対して本件各組合参加契約の契約書やその内容を構成する組合規約が交付されたのか否か,同原告はその内容を是認して上記契約書に署名捺印したのか否かという,契約の成否を判断するに当たり最も基本的な質問とこれに対する応答は何ら記載されていない。 かえって,本件各組合参加契約の契約書(甲イ6,8,10)には,59号事件原告の署名捺印 したのか否かという,契約の成否を判断するに当たり最も基本的な質問とこれに対する応答は何ら記載されていない。 かえって,本件各組合参加契約の契約書(甲イ6,8,10)には,59号事件原告の署名捺印があり,かつ同契約書,本件各組合設立契約書及び組合規約書に組合契約に係る内容が記載されていることは,一見して明らかであるから,59号事件原告には組合参加の効果意思がない旨の被告らの上記主張は,採用の余地がない。 (エ) 次に,②について判断するに,そもそも,一口に民法上の組合といっても,その実態において,構成員相互間における人的結合の色彩の強い団体から,構成員から独立した社団的色彩を帯びる団体に至るまで幅広く存在し,その事業形態も多様なものがあり得るところ,本件のように,専門的なノウハウを有する業務執行組合員に業務の執行を委ねる形態においては,その出資は経済学,経営学でいう投資としての性格を有すると考えられるから,このような記載があるからといって,59号事件原告に組合参加意思がなかったとはいえない。 オ本件各船舶の所有権移転の経緯について(ア) 被告らは,①SCLマリタイムは,SCLプロキオンからプロキオン号を購入する契約締結日(平成7年3月23日。乙A7)以前に,その共有持分権を販売する契約を締結しており(同年3月22日。乙イ2),他人物売買に当たるから,不自然である,②本件各譲渡証(乙A6,B1,C1)によれば,本件各組合の組合員を介さずに直接本件各LPSに譲渡されており,原告ら一般組合員の存在が軽視されている,③本件各船舶の所有権は,本件各船舶購入元②から,わずか数日で,共有持分に分割されたものが本件各組合においてすべて集合し,これが出資されて本件各パートナーシップの財産となるなど,いわば循環している構造となっているところ,端的に, 舶購入元②から,わずか数日で,共有持分に分割されたものが本件各組合においてすべて集合し,これが出資されて本件各パートナーシップの財産となるなど,いわば循環している構造となっているところ,端的に,本件各船舶購入元②が本件各LPSに本件各船舶を譲渡ないし出資すればよく,実際にもその場合とさして変わらない内容となっており,本件各譲渡証はそのような経済的実質と符合している旨主張する。 (イ) まず,①について判断するに,その法的意味内容が明確でないことはさておくとしても,前記前提事実(3)(別表5)によれば,SCLマリタイムは,平成7年3月23日付けで,SCLプロキオンとの間で,プロキオン号の売買契約を締結しているところ,その前日である同月22日付けで,59号事件原告らとの間で,その共有持分権売買契約を締結しているから,被告らの主張するとおり,後者は,いまだ売主が売買目的物の所有権を有していない状態でなされた他人物売買であったと認められる。 しかしながら,証拠(甲イ5)によれば,後者の売買目的物であるプロキオン号の共有持分権の引渡日は,原則として同月24日とされている(4条1項)から,SCLマリタイムが約定の引渡日以前にプロキオン号の所有権を取得していることは明らかである。 そもそも,前記前提事実(3)及び証拠(乙A1,3,乙イ12)によれば,SCLプロキオン及びSCLマリタイムは,いずれも住商リースの100パーセント子会社であり,本件各組合規約の別紙「本事業の概要」,ご案内,リファレンス・ブックにおいて,SCLマリタイムが原告ら一般組合員に本件各船舶の持分権を譲渡し,それを原告ら一般組合員が出資して,住商リース及びSCLマリタイムが発起人である本件各組合に参加し,本件各組合とケイマン現地法人であるSCLプロキオンがプロキオンLPSを設立す 舶の持分権を譲渡し,それを原告ら一般組合員が出資して,住商リース及びSCLマリタイムが発起人である本件各組合に参加し,本件各組合とケイマン現地法人であるSCLプロキオンがプロキオンLPSを設立することが予定されていたことが認められ,これに照らせば,少なくとも,SCLマリタイムが59号事件原告らに対してプロキオン号の共有持分権を譲渡する旨の売買契約を締結した際には,SCLプロキオンがSCLマリタイムにプロキオン号を売却することが確実であったというべきであるから,SCLマリタイムが,SCLプロキオンから取得する予定であったプロキオン号の共有持分権の(他人物)売買契約を締結することは,何ら不自然とはいえない。 (ウ) 次に,②について判断するに,確かに,証拠(乙A6,乙B1,乙C1)によれば,本件各譲渡証には,それぞれ,本件各船舶購入元①から本件各LPSに本件各船舶が譲渡された旨の記載があることが認められる。 しかしながら,証拠(甲全5,6,乙A6,乙B1,乙C1)によれば,譲渡証は,パナマにおける本国籍証書(船籍)を取得するために必要な書類であって,売主が作成することを要するが,他方,売買承諾証(AcceptanceofSale)は,譲渡証と同一の書面でも別の書面でもよく,売買代金として真実の金額を記載しても1ドルと記載しても受理され,後者の場合には,送り状(CommercialInvoice)の添付を要求されることがあること,実際,本件各譲渡証には,本件各船舶購入元①から,本件各LPSに本件各船舶が1ドルで譲渡されたこと及び売主が船についていかなる負債や開示先取特権その他の債務がないことを約束する旨記載されているが,それ以外の条項はなく,公証人は,売主である本件各船舶購入元①が本件各船舶を売却する権限を有していることを確認するに ていかなる負債や開示先取特権その他の債務がないことを約束する旨記載されているが,それ以外の条項はなく,公証人は,売主である本件各船舶購入元①が本件各船舶を売却する権限を有していることを確認するにとどまっていること,これに対し,本件各船舶に係る本件各船舶売買契約書①,②及び本件各船舶共有持分権売買契約書には,売主及び買主の署名,売買代金額,支払方法,引渡方法等の詳細な条項が定められていること,以上の事実が認められ,これらによれば,本件各譲渡証は,パナマ船籍を取得するために便宜的に作成された文書であるにすぎず,その記載内容のとおりの権利移転の効果が生じたわけではないと認められる。 この点について,被告らは,このような本件各譲渡証が存在することは,中間者である「原告らの存在が軽視されている」表れである旨も主張する。 その法的な意味内容は明確ではないものの,いわゆる中間省略登記における中間者保護の問題は,専ら反対給付の履行確保の観点から論ぜられているものであって,本件各組合参加契約のように,共同事業のために出資義務を先履行する内容の契約においては,登記登録と引換にその反対給付の履行を確保するといったことは想定できないから,およそ無意味な主張というほかない。 さらに,被告らは,岐阜地裁に係属中の別件事件において,譲渡証の日付が共有持分権の売買契約締結日付より前のものがあり,不合理である旨主張するが,上記のとおり,譲渡証は,パナマ船籍を得るため便宜的に作成される書面にすぎないから,その日付が不正確であったとしても,船舶の権利移転が不合理であることを示すものといえないことは明らかである。 (エ) 最後に,③について判断するに,本件各船舶の所有権は「いわば循環している構造である」との主張は,あいまいであってその意味内容は不明確というほかないが,それ ものといえないことは明らかである。 (エ) 最後に,③について判断するに,本件各船舶の所有権は「いわば循環している構造である」との主張は,あいまいであってその意味内容は不明確というほかないが,それはさておき,本件各船舶購入元②を起点として上記のような循環構造が成立していると判断するためには,少なくとも本件各船舶購入元②と本件各組合(ないし本件各LPS)とを同一視する必要がある(別表4の1ないし3参照)。しかしながら,両者を同一視し得る根拠については何ら明らかにされていない(本件各船舶購入元②が本件各組合と本件各パートナーシップ契約を締結し,本件各LPSのゼネラル・パートナーに就任しているからといって,直ちに両者を同一視することはできない。)から,本件各船舶の所有権が循環しているとの事実は認められない上,本件各船舶購入元②が,その投下資本を回収する手段として,直接,本件各LPSに本件各船舶を出資する方法があるからといって,何故にSCLマリタイムに売却する(更にSCLマリタイムは原告ら一般組合員に対しての共有持分権を売却する)方法が許されないのか,不明というほかない(両者の方法が,法的,経済的効果を大いに異にすることはいうまでもない。)。 よって,被告らの上記主張は採用できない。 カ本件各セットローン契約の実体について(ア) 被告らは,①59号事件原告が高額所得者であることから,本件各セットローン契約によって借り入れる必要性がないこと,②原告ら一般組合員が共有持分権を取得したという実体はないから,本件各セットローン契約も実体がないこと,③イースタン組合において,原告ら一般組合員は,SCLマリタイムが原告ら一般組合員に対するセットローンの資金として興銀から借り入れた融資金債務を担保するため,イースタン号についての抵当権等を担保に供する スタン組合において,原告ら一般組合員は,SCLマリタイムが原告ら一般組合員に対するセットローンの資金として興銀から借り入れた融資金債務を担保するため,イースタン号についての抵当権等を担保に供することを承認させられているが,この意思表示は,SCLマリタイムの詐欺又は錯誤に基づくものであること,さらに,原告ら一般組合員は,イースタン号の共有持分権をいわば担保の負担付きで購入させられた上,更に自己の借入金債務の担保として提供させられるという二重の負担を強いられていること,④買主に資金が不足したとしても,売主が融資を受けてまで,買主に貸し付ける必要はなく,買主としても,本件賃貸事業における利回りの低さ(キャッシュ・フロー・ベース)を考慮すると,共有持分権取得のために借入れを行うことに経済的合理性がないことなどを理由に,本件各セットローン契約(及びその一部である本件各譲渡担保契約)は有効に成立しておらず,したがって,その借入れを前提としてされた本件各船舶共有持分権売買契約も有効に成立したとはいえない旨主張する。 (イ) しかしながら,ある財産権を取得する内容の売買契約と,その代金を借り入れるための金銭消費貸借契約とは,基本的に別個,独立の契約であるから,仮に本件各セットローン契約が成立せず,また無効であったとしても,そのことによって,直ちに本件各船舶共有持分権売買契約の不成立・無効をもたらすものでないことは明らかであり,まして,これによって本件各組合参加契約が不成立・無効となるものでない。 したがって,被告らの上記主張は,それ自体失当といわざるを得ない上,以下のとおり,本件各セットローン契約が有効に成立していないとの主張も採用の余地がない。 (ウ) まず,①について判断するに,金銭消費貸借契約の借主の資力いかんによって,同契約の成否,有効性が 上,以下のとおり,本件各セットローン契約が有効に成立していないとの主張も採用の余地がない。 (ウ) まず,①について判断するに,金銭消費貸借契約の借主の資力いかんによって,同契約の成否,有効性が左右されるものでないことは明らかであるから,主張自体失当というほかない。このことは,貸付金利が都市銀行の貸出平均金利を若干上回っていたとしても,同様である。 (エ) 次に,②について判断するに,被告らの主張する「実体」なるものの法的意味内容は明確でないが,前記認定事実(2(5))のとおり,本件各船舶の所有権は,本件各船舶売買契約①,同②及び本件各船舶共有持分権売買契約がそれぞれ締結され,代金も支払われたことによって,本件各船舶購入元①から同②へ,更にSCLマリタイム,原告ら一般組合員に順次移転されたと認められるから,被告らの上記主張は,その前提を欠くものとして採用できない。 (オ) さらに,③について判断するに,証拠(乙C7ないし10)によれば,なるほど,SCLマリタイムが興銀から融資を受けた借入金10億5125万1678円は,とりあえず,住商リースからの振込金4億9470万6672円と合算されて,平成11年6月9日,SCLディライトへの代金支払に充てられたと認められるから,上記融資金が直接的に原告ら一般組合員へのセットローンのために使用されたわけではないといい得る。 しかしながら,SCLマリタイムが,興銀から融資を受けず,借入金をSCLディライトへの代金支払に充てないのであれば,イースタン号の共有持分権を購入した原告ら一般組合員に対して,その代金全額の支払を求めざるを得ない関係にあるから,上記のセットローンを組むことができたのは,興銀からの融資を受けたことに起因することが明らかである(SCLマリタイムの口座に入金された興銀からの融資金が,原 の支払を求めざるを得ない関係にあるから,上記のセットローンを組むことができたのは,興銀からの融資を受けたことに起因することが明らかである(SCLマリタイムの口座に入金された興銀からの融資金が,原告ら一般組合員に貸し付けられ,次にSCLマリタイムへの売買代金支払として戻され,最後にSCLディライトへの売買代金に充てられるという経路のうち,中間が省略されたことになる。)。その意味で,興銀からの融資金は,上記セットローンの原資として使用されたと評価することができるから,イースタン号に係る抵当権等を担保に供することについての原告ら一般組合員による承認が,詐欺ないし錯誤に基づくものとはいえない。 さらに,被告らは,原告ら一般組合員は二重の担保提供を強いられている旨主張するが,上記のとおり,興銀からの融資金は自己に対するセットローンとして使用されていると評価できるから,実質的に二重の負担といえないことも明らかである。 そもそも,ある法律行為に向けられた意思表示に錯誤ないし詐欺による取消事由が存したとしても,当該表意者自身が無効を主張し,あるいは取消しの意思表示をしない限り,当該法律行為が有効に成立していることはいうまでもないから,被告らの上記主張がそれ自体失当であることは明らかである。 (カ) 最後に,④について判断するに,被告らは,独自の必要性,合理性を設定した上,これらを欠くことを理由に,本件各セットローン契約などの有効性を否定するが,かかる主張が採用できないことは,何ら説明を要しない。 キ本件各譲渡担保契約の実体について(ア) 被告らは,本件各譲渡担保契約には,①弁済期到来前に債務不履行がなくとも処分を可能とする条項(5条,7条)が明記されており,担保の本質に反していること,②担保物復帰の定めがないことなどから,本来の譲渡担保設定契約 譲渡担保契約には,①弁済期到来前に債務不履行がなくとも処分を可能とする条項(5条,7条)が明記されており,担保の本質に反していること,②担保物復帰の定めがないことなどから,本来の譲渡担保設定契約ではなく,単なる譲渡と処分実行後の充当関係について合意したものにすぎず,これにより,原告ら一般組合員はその地位,権利を失ったと評価できる旨主張する。 (イ) しかしながら,①の主張の根拠として被告らが指摘する本件各セットローン契約5条3項は,その文言に照らせば,いわゆる譲渡担保権の私的実行を認めたものにすぎず,同7条2項も,「弁済期未到来の……債務の履行の保全のために……前項の充当によって生ずる(債務者の有する利益分配請求権等の)差額(の支払)を留保」することを認めたにすぎないから,同契約は,債権者であるSCLマリタイムに対し,債務不履行がなくとも,譲渡担保の目的物を終局的に処分する権限を付与するものではなく,上記債務が履行されないと考える相当な根拠がある場合は,組合員に分配すべき利益等の支払を留保することを認めたもの,すなわち講学上の不安の抗弁権を規定したものと理解するのが相当であるから,同契約が担保の本質に反する内容を含んでいるとはいえない。 また,②の主張のとおり,本件各譲渡担保契約には,弁済による担保物の復帰についての条項が明記されていないが,譲渡担保設定契約である以上,債務が弁済された場合にその目的物が復帰するのは当然の法理であるから,そのこと故に,本件各譲渡担保契約が,単なる譲渡と処分実行後の充当関係について合意したものにすぎないとはいえない。 かえって,前記認定事実(2(3))のとおり,本件各セットローン契約5条1項は,59号事件原告が,住商リース(イースタン組合に係る事業については,SCLマリタイム)に対し,借入金債務の履行を ない。 かえって,前記認定事実(2(3))のとおり,本件各セットローン契約5条1項は,59号事件原告が,住商リース(イースタン組合に係る事業については,SCLマリタイム)に対し,借入金債務の履行を「担保するため」に本件各組合の組合員としての地位等を譲渡することと定めており,譲渡が担保目的でなされることが明確に記載されていること,仮に,被告らの主張するように単なる譲渡契約だとすれば,債権者が目的物の処分について制約されたり,その処分によって得られる金員を借入金債務に弁済充当する余地は全くないにもかかわらず,同契約には,住商リース(上同)に対し,組合員としての地位の処分は「一般に適当と認められる方法,時期,価格等」で行わなければならない旨の制約があり,その処分によって得る金員や組合員として得る収入について弁済充当の定めが規定されている(5条3項)こと,譲渡契約であれば,通常,譲渡の対価について規定されるはずである(さもなければ,贈与契約になってしまう。)が,本件各セットローン契約にはそのような定めがないこと,契約締結後も,金銭消費貸借に基づく債務は存続し,傭船料等がこれに優先して充当されることが合意されていること(5条3項及びこれによって引用される別紙3)などを総合すれば,本件各譲渡担保契約が,その名称どおり,譲渡担保設定契約の性格を有することが明らかというべきであり,被告らの上記主張は,その前提を欠くものとして採用できない。 ク一般組合員らの負担するリスクについて(ア) 被告らは,民法上の組合の組合員であれば,人的無限責任を負担するのが原則であるところ,①本件各パートナーシップにおいて,本件各組合は,有限責任パートナーとされていること,②ご案内によれば,本件各セットローン契約に基づく債務の返済には傭船料が充てられ,新たな負担は存 原則であるところ,①本件各パートナーシップにおいて,本件各組合は,有限責任パートナーとされていること,②ご案内によれば,本件各セットローン契約に基づく債務の返済には傭船料が充てられ,新たな負担は存在しないこと(裸傭船契約が終了する際にも,購入オプションの行使によって,返済されるよう設計されていること),③傭船先による船舶事故やその債務不履行の場合は,船舶保険や親会社の本件各定期傭船先による保証によってカバーされていることなどを理由に,原告ら一般組合員は,実質的には当初の出資(一口当たり1500万円)以外,船舶の共同所有者としてのリスク,本件各組合の組合員としてのリスクを負っていない旨主張する。 (イ) そこで判断するに,民法675条は,「組合ノ債権者ハ其債権発生ノ当時組合員ノ損失分担ノ割合ヲ知ラサリシトキハ各組合員ニ対シ均一部分ニ付キ其権利ヲ行フコトヲ得」と定め,組合債務について各組合員が一定の割合で個人的に責任を負うことを定めている。これは,民法上の組合においては,組合員全員が共同して事業を行うものとされ,その業務執行権限も本来各組合員の固有の権利であって,組合員は自ら出資した財産を運用して共同事業を遂行し,それによって生じた収益を享受することや,組合財産の独立性が極めて不完全で,組合員によって自由に処分し得ることなどから,各組合員に無限の人的責任を負担させることが相当と考えられたことによる。 もっとも,組合の債務は,組合財産を引き当てとし,これと並んで,各組合員の個人財産を引き当てとする人的責任を負担するのであるが,前記のとおり,一口に民法上の組合といっても,その実態において,構成員相互間における人的結合の色彩の強い団体から,構成員から独立した社団的色彩を帯びる団体に至るまで幅広く存在し,後者の場合には,実際に組合の運営に当た 民法上の組合といっても,その実態において,構成員相互間における人的結合の色彩の強い団体から,構成員から独立した社団的色彩を帯びる団体に至るまで幅広く存在し,後者の場合には,実際に組合の運営に当たっている業務執行組合員だけに人的無限責任を負担させるのが妥当な場合もあり得る。そのため,民法は,組合契約等をもって組合員の損失分担割合を定めることを許容している(民法674条,675条)から,例えば,一部の組合員については出資した額を超えて損失を負担しない旨の合意がなされていることをもって,その契約が民法上の組合契約としての性質を有しないと解することはできない。 (ウ) また,個別の主張も,以下のとおり,採用する余地はない。 まず,①については,なるほど,前記認定事実(2(7))のとおり,本件各組合は,本件各LPSのリミテッド・パートナーとなっているところ,証拠(甲全3)によれば,ケイマンの特例リミテッド・パートナーシップ法上,リミテッド・パートナーは,業務執行行為を行うことができない反面,原則として出資の範囲でしか責任を負わないとされている(4条2項,7条1項)。 しかしながら,上記の有限責任の効果はケイマンの法律に基づくものであって,原告ら一般組合員だけでなく,これらと共に本件各組合を構成する住商リースやSCLマリタイムにも等しく妥当することが明らかである上,上記のとおり,出資額を超えて損失を負担しない合意も組合契約において認められているから,これをもって,本件各組合参加契約が民法上の組合契約の本質に反するとはいえない。 加えて,上記の法律によれば,リミテッド・パートナーが業務執行行為を行った場合において,LPSが支払不能の場合,リミテッド・パートナーがあたかもゼネラル・パートナーであるかのように業務執行行為を行った期間にLPSが負担したす リミテッド・パートナーが業務執行行為を行った場合において,LPSが支払不能の場合,リミテッド・パートナーがあたかもゼネラル・パートナーであるかのように業務執行行為を行った期間にLPSが負担したすべての負債及び義務について責任を負うとされている(7条)から,例外的な場合ではあるものの,本件各組合ひいては原告ら一般組合員が出資額を超えて責任を負担することがあることは否定できず,被告らの上記主張は,その前提を欠くというほかない。 次に,②について判断するに,本件各セットローン契約に基づく債務は,本件各組合の業務遂行過程で生じたものではないから,その返済のために原告ら一般組合員が新たな資金負担を要すると要しまいと,組合員としての資格で負担する責任の限定の問題でないことが明らかであり,被告らの上記主張は,それ自体失当というべきである。 最後に,③について判断するに,同主張の内容は,傭船先による船舶事故や債務不履行の場合に生じ得る本件各組合ひいてはその組合員の損失が,船舶保険や親会社の保証によってカバーされているというものであるが,このような場合には,本件各組合が損害賠償請求権を取得することは十分にあり得るものの,逆に本件各組合の債務や責任の負担が問題となることは原則として考え難い(船舶事故によって第三者に損害を与えた場合,本件各LPSが所有者としての責任を追及され,ひいては本件各組合の組合員らが責任を負担することがあり得るのは別論である。)。また,上記の損失がカバーされる効果は,保険契約や保証契約に基づいて生ずるものである上,原告ら一般組合員だけでなく,これらと共に本件各組合を構成する住商リースやSCLマリタイムにも等しく妥当することが明らかである上,リース料等の額は保険契約等の締結を前提に算出されるのが通常であるから,これをもって,本件各 く,これらと共に本件各組合を構成する住商リースやSCLマリタイムにも等しく妥当することが明らかである上,リース料等の額は保険契約等の締結を前提に算出されるのが通常であるから,これをもって,本件各組合参加契約が民法上の組合契約の本質に反するとはいえない。 (4) 小括以上を総合すれば,本件各組合参加契約は,民法上の組合契約として成立していると認められ,これを否定した上で,利益配当契約に該当するとの被告らの主張は採用できない。そうすると,本件各組合が行う本件賃貸事業による収益が,原告ら一般組合員についても,不動産所得として区分されるべきことは明らかである(所得税法26条1項,所得税基本通達36・37共-20)。 6 争点(3)(本件各組合参加契約の無効性)について(1) 被告らは,仮に,外形上,本件各組合参加契約が民法上の組合契約として成立したとしても,民法94条の通謀虚偽表示に基づくものとして,同各契約は無効である旨主張する。 (2) しかしながら,民法94条1項に基づいて当該意思表示が無効とされるためには,表示上の(表示行為から推測される)効果意思と内心的効果意思とが一致しないことを要するところ,前記判断のとおり,民法上の組合契約の成立において必要とされる効果意思は,①共同出資を行うことについての意思と,②共同の事業を営むことについての意思であり,②については,業務執行組合員を選任した場合には,解任権及び検査権を有すること並びに共同で行う事業によって当事者が利害関係を有することについての認識・合意で足りると解すべきである。そして,原告らを始めとする本件各組合の組合員らが,このような意思を有していると認められることは,既に5で判示したところである。 ひっきょう,被告らの上記主張は,「動機等の主観的要素と効果意思とを混同し,本件各組合 始めとする本件各組合の組合員らが,このような意思を有していると認められることは,既に5で判示したところである。 ひっきょう,被告らの上記主張は,「動機等の主観的要素と効果意思とを混同し,本件各組合(参加)契約は,課税減少効果を目的とする契約であるとして,当事者の認識等をその動機等や経済的側面のみに着目してこれを理解し,動機等とは別の効果意思の検討を放棄するもの」といわざるを得ない(名古屋高等裁判所平成17年10月27日判決・同裁判所平成16年(行コ)第48号参照)。 7 結論以上の次第で,被告らの本件各処分はいずれも違法であって取消しを免れないから,原告らの本訴各請求は理由があるものとして認容することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条,65条1項本文を適用して,主文のとおり,判決する。 名古屋地方裁判所民事第9部裁判長裁判官加藤幸雄裁判官舟橋恭子裁判官片山博仁(別紙及び別表省略)
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