主 文 本件抗告を棄却する。 理 由 本件抗告の趣意は、憲法違反をいうが、実質は単なる法令違反の主張であって、 刑訴法四三三条の抗告理由に当たらない。 なお、所論にかんがみ、職権により判断する。 本件は、自動車登録ファイルに自動車の使用の本拠地について不実の記録をさせ、 これを備え付けさせたという電磁的公正証書原本不実記録、同供用被疑事実に関し て発付された捜索差押許可状に基づき、司法警察職員が申立人からパソコン一台、 フロッピーディスク合計一〇八枚等を差し押さえた処分等の取消しが求められてい る事案である。原決定の認定及び記録によれば、右許可状には、差し押さえるべき 物を「組織的犯行であることを明らかにするための磁気記録テープ、光磁気ディス ク、フロッピーディスク、パソコン一式」等とする旨の記載があるところ、差し押 さえられたパソコン、フロッピーディスク等は、本件の組織的背景及び組織的関与 を裏付ける情報が記録されている蓋然性が高いと認められた上、申立人らが記録さ れた情報を瞬時に消去するコンピュータソフトを開発しているとの情報もあったこ とから、捜索差押えの現場で内容を確認することなく差し押さえられたものである。 令状により差し押さえようとするパソコン、フロッピーディスク等の中に被疑事 実に関する情報が記録されている蓋然性が認められる場合において、そのような情 報が実際に記録されているかをその場で確認していたのでは記録された情報を損壊 される危険があるときは、内容を確認することなしに右パソコン、フロッピーディ スク等を差し押さえることが許されるものと解される。したがって、前記のような 事実関係の認められる本件において、差押え処分を是認した原決定は正当である。 よって、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意 えることが許されるものと解される。したがって、前記のような 事実関係の認められる本件において、差押え処分を是認した原決定は正当である。 よって、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で、主文 - 1 - のとおり決定する。 平成一〇年五月一日 最高裁判所第二小法廷 裁判長裁判官 福 田 博 裁判官 大 西 勝 也 裁判官 根 岸 重 治 裁判官 河 合 伸 一 - 2 -
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