主文 原告らの被告らに対する請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1請求本件は,岡山県吉備郡a地区(以下「a地区」という)集落に居住する原。 告らが,甲事件被告及び乙事件被告Aと甲事件被告及び乙事件被告Bに対し, 被告Aにおいては,b山の頂上付近にある別紙物件目録(一)記載1ないし4の土地(以下「本件土地」と総称する。ただし,平成8年3月までは,同物件目録記載1ないし3の土地を「本件土地」と総称する。個々の土地については,同物件目録記載1の土地を「本件1の土地」と表示し,以下の土地も同様に表示する。別紙省略)内において,平成2年ころ以降現在に至るまで,長年にわたり継続して,ア廃タイヤ,建築廃材,食品汚泥,廃プラスチック,シュレッダーダスト(自動車内装破砕くず等)といった産業廃棄物を本件土地内に次々に搬入しては堆積させた結果,重金属等の有害物質や腐敗性有機物を雨水とともに地中に浸透させることにより土壌汚染及び水質汚濁を引き起こすとともに,地下水脈を通じ,b山北側低地に位置するa地区集落まで重金属等の有害物質を到達させ,イ本件土地内で搬入した前記産業廃棄物(ただし,食品汚泥は除く)を。 野焼きし,及び焼却炉で不完全燃焼させることによって発生させたダイオキシン等の有害物質を空中に飛散させ,大気等を通じ,b山北側低地に位置するa地区集落までダイオキシン等の有害物質を到達させ,ウまた,本件土地内に前記産業廃棄物を大量に堆積することによってこれが降雨時に土砂とともに土石流となって流れ出し,a地区集落まで到達しかねない危険な状態を作出し,その結果,a地区集落に居住する原告らの生命及び健康を維持し,快適な生活を営むことを内容とする人格権を現に侵害しているだけでなく,将来にわたり し,a地区集落まで到達しかねない危険な状態を作出し,その結果,a地区集落に居住する原告らの生命及び健康を維持し,快適な生活を営むことを内容とする人格権を現に侵害しているだけでなく,将来にわたり侵害する危険が高いとして,人格権による妨害排除請求権及び妨害予防請求権に基づき,(1)本件土地内から建築廃材及び廃プラスチック約1万0000トンを搬出することを,(2)本件土地内へ廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号(以下「法」という(昭和46年9月24日施行)2)。)条4項1号に定める事業活動に伴って生じた燃え殻,汚泥,廃油,廃酸,廃アルカリ,廃プラスチック類等の産業廃棄物一切を搬入することを差し止めることを被告Aの前記行為によってそれぞれ人格権を侵害され,著しい精神的苦痛を被ったとして(被告Bの黙認・放置した行為との関係で共同不法行為に該当するとする)。 (3)被告Bと連帯して原告らに対し各慰謝料200万0000円あて支払うことを 被告Bにおいては,被告Aが被告Bの保有する本件3の土地を含む本件土地内において前記1アないしウのとおり建築廃材,食品汚泥,廃プラスチック,シュレッダーダスト等の産業廃棄物を次々に搬入しては大量に堆積させるとともに,前記廃棄物を野焼きし,及び焼却炉で不完全燃焼させることにより,重金属等を地下水脈を通じ,また,ダイオキシン等を大気等を通じ,原告らの居住するa地区集落まで到達させる一方,大量に堆積した産業廃棄物が本件土地から流出して同集落まで到達する危険を生じさせ,原告らの生命及び健康を維持し,快適な生活を営むことを内容とする人格権を現に侵害することを黙認・放置したことが被告Aとの共同不法行為に当たるとして,被告Aと連帯して原告らに対し各慰謝料200万0000円あて支払う び健康を維持し,快適な生活を営むことを内容とする人格権を現に侵害することを黙認・放置したことが被告Aとの共同不法行為に当たるとして,被告Aと連帯して原告らに対し各慰謝料200万0000円あて支払うことをそれぞれ求める請求である。 第2事案の内容 争いのない事実等(証拠により容易に認められる事実を含む)。 (1)当事者等ア原告ら原告らは,いずれも倉敷市玉島地区と吉備郡c町の行政境界付近に頂上のあるb山の北側に扇状に広がる台地の扇央に位置するa地区集落内に居住する住民である。原告らは,原告Cを除き,いずれも世帯主であり,原告Cは,世帯主Dの妻である。 イ被告A被告Aは,A組の名称で解体業を営む者であるが,組合員の取り扱う食肉(鶏肉)の共同購入・販売等を目的とするE協同組合(以下「E」という(平成3年5月8日岡山県知事の解散命令により解散)の代表者で。)あった者でもある。 Eは,本件1及び2の土地を所有している。また,被告Aは,訴訟係属中の平成8年3月26日付けで,Fから本件4の土地を,また,平成10年10月29日付けで,被告Bから,本件3の土地をそれぞれ買い受けて所有している。 被告Aは,平成8年3月7日,岡山県知事から新規に産業廃棄物処分業の許可(許可番号等省略)を受けた。その内容は,①事業の範囲が,事業区分中間処理(焼却,産業廃棄物の種類が木くずであり,②許可の条件)が,設置場所本件4の土地,用地面積330平方メートルである。また,被告Aは,同年6月20日,本件4の土地内における産業廃棄物処理施設の設置許可(許可番号・第3-8-3号)を受け(施設の種類は廃プラスチック類の焼却施設,処理する産業廃棄物の種類は廃プラスチック類,木くず,ゴム屑,処理能力は1日8時間1.6トンである,同年9月4。)日,更に変更 ・第3-8-3号)を受け(施設の種類は廃プラスチック類の焼却施設,処理する産業廃棄物の種類は廃プラスチック類,木くず,ゴム屑,処理能力は1日8時間1.6トンである,同年9月4。)日,更に変更許可を受け,前記産業廃棄物の種類に廃プラスチック類,ゴム屑が加わった。被告Aは,産業廃棄物処分場として,焼却炉建設前は,本件1ないし3の土地を,焼却炉建設後は,本件1ないし4の土地を使用している。 (証拠省略以下同)ウ被告B被告Bは,本件3の土地を所有していた者であるが,前記のとおり,被告Aに対し,平成10年10月29日付けでこれを売却した。 (2)b山及びa地区の位置関係等本件土地のある標高約307メートルのb山の頂上付近と原告らの居住するa地区集落とは,直線距離で少なくとも約900メートル以上の距離があり,また,約200メートルの高低差がある。本件土地は,倉敷市の行政区域に属し,a地区は,c町の行政区域に属する。本件土地付近からa地区集落に向かいb山の北斜面を下る谷川がある(川水が常時どの程度流れているのか,証拠上必ずしも明らかでないが,上流では沢水程度であるとみられる。この谷川筋は,土石流の発生危険があるとされ,前記集落の南端に。)至る北側傾斜面の途中には砂防堤が設けられている。この谷川は,a地区集落内に入ってからは大きく湾曲している。谷川の水は,a谷川を通じ,ため池であるa池に流れ込み,その水は,同地区の農業用水として使用されている。 なお本件土地に隣接して別紙物件目録(二)記載1及び2の土地以下隣,(「接土地と総称する個々の土地については同物件目録記載1の土地を隣」。 ,「」,「」。)接1の土地といい同物件目録記載2の土地を隣接2の土地というは,隣接1の土地がGの,隣接2の土地が登記 個々の土地については同物件目録記載1の土地を隣」。 ,「」,「」。)接1の土地といい同物件目録記載2の土地を隣接2の土地というは,隣接1の土地がGの,隣接2の土地が登記簿上,H及び訴外I(各持分2分の1)の所有名義であるが,相続人である原告J及び原告Kの所有とされている。 (3)主な環境汚染物質アカドミウム,鉛,水銀,砒素の重金属類及び腐敗性有機物環境汚染の原因物質は,無機物であるカドミウム,鉛,水銀,砒素といった重金属等と有機物である腐敗性物質に大別される。このうち,重金属等は,主に土壌汚染及び水質汚濁を通じ,人の健康に対し直接悪影響を与える有害物質である。また,腐敗性有機物は,それ自体は必ずしも有害ではないが,水に濁りや臭気をもたらし,汚染された水が河川・湖沼や海に排出されると,水中の酸素を消費し,魚やその他の生物を殺してしまう汚染を引き起こす。その指標としては,生物化学酸素要求量(BOD)や化学的酸素要求量(COD)等があり,BODは,微生物の反応であり,CODは,化学薬剤の反応であり,それぞれ消費される酸素量によって水質の汚濁状況を表すところの代表的な水質指標とされている。 イダイオキシン類ダイオキシンは,塩素化合物が燃焼して発生する有機性ガスと塩化水素との化学反応によって生成される物質であり,野焼きや焼却炉での燃焼であっても不完全燃焼の場合に発生しやすく,大気汚染や土壌汚染を通じ,健康に被害を与える。ダイオキシンは,猛毒(青酸カリウムの1000倍の毒性を有するといわれる)であり,油には親和性があるものの,水に。 は溶けないため,人体等の生物の体内に蓄積する傾向の強い化学物質である。また,近年は,ホルモン攪乱の疑いがある物質であると指摘されている(フタル酸ジエチルヘキシルも同様にホルモン るものの,水に。 は溶けないため,人体等の生物の体内に蓄積する傾向の強い化学物質である。また,近年は,ホルモン攪乱の疑いがある物質であると指摘されている(フタル酸ジエチルヘキシルも同様にホルモン攪乱の疑いがある物質とされている。ダイオキシン類には,様々な同族体(四塩素化物,五塩。)素化物,六塩素化物,七塩素化物,八塩素化物)に加え,同族体内にも異性体が存在するが,それらの人体に対する毒性は大きく異なる。そこで,ダイオキシン類の濃度の表示には,実測値の外,酸素12%で補正した値や,毒性等量などがある。ここでいう毒性等量とは,同族体や異性体について毒性等価係数を用いてダイオキシン類の毒性を計る単位であり,ngTEQ/立方メートルNとの単位で表記されるものである(基準は最も毒性の強い2,3,7,8T4CCDである。 。) 争点 (1)被告Aが本件土地内に産業廃棄物を大量堆積させることによって重金属類や腐敗性有機物による土壌汚染及び水質汚濁を引き起こし,原告らの居住地区における生活環境を悪化させたか否か。原告らの居住地区における生活環境を悪化させている場合,それが原告らの人格権を侵害するものであるか否か。 a原告らの主張(ア)侵害行為,,,,被告Aは平成2年ころから本件土地に大量の廃タイヤ建築廃材食品汚泥,廃プラスチック,シュレッダーダスト等を継続的に搬入し,これらの産業廃棄物(その焼却灰を含む)を堆積して野ざらしにした。 り,土中に埋めたりすることによって,雨水により,これらの産業廃棄物が含有する有害物質を地下に直接溶け出させ,及び,腐敗性有機物を地中で腐敗させるに当たり大量の酸素を消費させることで土壌の還元反(),(,応脱酸素反応を通じ土壌内部で酸化物として存在する重金属鉛カドミウム 直接溶け出させ,及び,腐敗性有機物を地中で腐敗させるに当たり大量の酸素を消費させることで土壌の還元反(),(,応脱酸素反応を通じ土壌内部で酸化物として存在する重金属鉛カドミウム等)をイオン化させて水に溶けやすくすることにより,有害物質を地下水に混入させた。すなわち,腐敗性有機物の場合,これが川水に多量に含まれると(BOD,COD,全窒素が指標となる,微。)生物が分解するため,その際水中の酸素を大量に消費し(ひどいときには無酸素状態になる,その結果魚類等の成育に影響を及ぼし,また,。),,農業用水に多量に含まれるときは作物に過剰の栄養が与えられる結果青枯れ等の成育障害を引き起こし,生活環境を悪化させる原因となる。 また,重金属,特に,鉛の場合は,その摂取量が多くなると,遅発性の知育障害を起こし,カドミウムの場合は,経口又は経気道的に生体内に取り込まれると,排泄に長期間を要するため,慢性中毒症状すなわち主に呼吸困難,肺気腫,腎機能障害を引き起こすものであり,いずれも人体に対する直接的な悪影響が極めて強いものである。 このような有害物資は,人体に直接悪影響を及ぼし,又は生活環境に重大な悪影響を及ぼすものであるが,第2の1記載のとおり,本件土地とa地区集落は,直線距離にして約900メートルの距離にあり,標高差が約200メートルであり,原告らが居住するa地区集落がb山の北側低地に広がる扇状地形の扇央部分に位置し,かつ,谷川筋によってほぼ一直線につながっているため,本件土地からの雨水が北斜面の谷川を流下し,a地区集落まで直接到達する位置関係にあるほか,本件土地からa地区集落にかけては地下水脈が存在し,本件土地で地下に浸透した雨水等は,この地下水脈を通じてa地区集落に到達し,井戸水や谷川水として湧出する状況にある。 接到達する位置関係にあるほか,本件土地からa地区集落にかけては地下水脈が存在し,本件土地で地下に浸透した雨水等は,この地下水脈を通じてa地区集落に到達し,井戸水や谷川水として湧出する状況にある。 ところで,被告Aは,有機腐敗物や重金属類等の有害物質の本件土地における発生さらにはそれらの有害物質のa地区集落までの到達につき十分に立証されておらず,特に地下水脈の存在は推測の域を出るものではない旨主張するが,しかしながら,原告らは,平成10年3月から平成11年9月にかけて別紙図面記載①地点(本件土地の北側土留め堰堤の直下付近である)及び同図面④地点(a地区集落から100メート。 ルくらい上流の谷川である)において合計5回の水質検査を独自に実。 施したところ,その結果は,別紙検査目録記載7ないし9,11,13のとおりであり,これによれば,本件土地北側土留め堰堤直下にある別紙図面記載①地点における検査結果では,有機腐敗物の検査指標であるCOD及び全窒素の値が高く,かつ,重金属である鉛は5回,カドミウムは3回環境基準値(なお,鉛の環境基準値は0.01mg/l以下,カドミウムの環境基準値は0.01mg/l以下である)を超える量。 が検出されており,周辺の地形・状況等から,これらの有害物質の発生源が本件土地であることは十分に立証されているといえるし,また,a地区集落の南端に近い別紙図面記載④地点における検査結果では,有機腐敗物の検査指標であるCOD及び全窒素の値が高く,かつ,重金属である鉛は4回,カドミウムは1回環境基準値を上回る量が検出されており,本件土地で発生した有害物質がa地区集落に到達していることは十分に立証されているというべきである。 そうすると,本件土地内で発生した前記有機腐敗物や鉛,カドミウム等の重金属類は,降雨時に雨水とともにb 件土地で発生した有害物質がa地区集落に到達していることは十分に立証されているというべきである。 そうすると,本件土地内で発生した前記有機腐敗物や鉛,カドミウム等の重金属類は,降雨時に雨水とともにb山の北斜面における谷川を流下してa谷川に流入し,及び雨水とともに地下に浸透し,地下水脈を通じて谷川水及び井戸水として湧出することによって原告らの居住するa地区集落まで到達していることは明らかである。 (イ)権利侵害原告らの被侵害利益は,生命,健康を維持し,快適な生活を営むこと,,を内容とする人格権であるところ原告大崎温を除くその余の原告らはいずれもその住居に井戸を保有しており,c町から井戸水を使用しないようにとの勧告を平成8年に受けるまでは飲用水に用いるほか,日常生活に用いていたものであるが,環境基準(なお,有機腐敗物による水質汚濁についても,人の健康に関する環境基準については,水道水質基準とほぼ同じに設定されている)を超える有害物質が検出され,汚染が。 明らかになったことにより,飲用水として使用することができなくなるなどその生活の利便を著しく害されるに至った。また,a谷川水及び地下水脈が汚染されたことにより農業用水として使用することが不適当な,,状況となり今後も農業用水として利用するならば下流の水田を汚染し稲などの作物を汚染するのみならず,これらの汚染物質がa地区内に年々蓄積されることとなる。 したがって,原告らの人格権が著しい侵害を受けていることは明らかというべきである。 b被告Aの反論(ア)侵害行為について原告らは,被告Aが搬入した産業廃棄物が原因となって,有機腐敗物と重金属による土壌汚染及び水質汚濁が発生している旨主張するが,このような事実関係がそもそも存在せず,また,本件土地に降った雨水が地下水脈等を経てa地区 搬入した産業廃棄物が原因となって,有機腐敗物と重金属による土壌汚染及び水質汚濁が発生している旨主張するが,このような事実関係がそもそも存在せず,また,本件土地に降った雨水が地下水脈等を経てa地区集落に到達するということも,地下水脈の存在自体推測の域を出ないものであるため,立証がなされているとはいえないものである。 すなわち,別紙検査目録によれば,別紙図面記載①地点及び同図面記載④地点のいずれにおける検査値も,有機腐敗物に係る汚染指標であるBOD,COD,全窒素等及びカドミウム,鉛,水銀,砒素,ニッケル等の重金属等の各検査値は,a谷川の下流にあるa地区集落に近づくに従って漸次低減しており,このうち,鉛,水銀,砒素,ニッケルについては平成11年9月の検査では測定されておらず,その他の有害物質についても環境基準を超えていない。また,本件土地内で原告ら主張の汚染物質が発生しているとしても(なお,有機腐敗物については,農薬,化学肥料等でも生じるものである,これらの汚染物質が地下水等を。)通じてa地区集落に到達している事実が立証されていない(なお,別紙図面記載④地点はa地区集落内の地点ではない。 。)なお,原告ら主張の環境基準値を超える有害物質が原告らによって検出された事実まで争うものではないが,岡山県が実施した水質検査ではそのすべてにおいて異常がないとの検査結果が発表されており,水稲の影響調査でも,新聞報道によれば,影響がなかったとされており,これらの事実は,すべて被告Aの主張を裏付けるものといえる。 (イ)権利侵害について仮に,被告Aが本件土地内に搬入した産業廃棄物が原因となり,有機腐敗物による水質汚染及び重金属による水質汚染が発生しているとしても,その事実によって直ちに原告らの人格権を侵害したということはできない。けだし,原 本件土地内に搬入した産業廃棄物が原因となり,有機腐敗物による水質汚染及び重金属による水質汚染が発生しているとしても,その事実によって直ちに原告らの人格権を侵害したということはできない。けだし,原告らが従前実際に井戸水を使用していたか否か,特にそれを飲用水として使用していたか否かの点に関する立証が十分であるとはいえず(a地区には上水道が敷設されており,原告らが井戸水を飲用水に使用していたとは認められない,仮に原告らにおいて井戸。)水を使用していたとしても,その水質検査の結果や原告らの健康被害調査の結果異常が認められた事実がないからである。 原告らは,被告Aにおいて産業廃棄物を投棄している本件土地がその居住地区からそれほど遠くない場所にあることから生じる不安感をもって(もっとも,決して近隣にあるということはできない,人格権が。)侵害される旨主張するものであるところ,この不安感は,不法行為の保護法益たりうるものではない。 したがって,被告Aの行為が不法行為を構成するということはできないから,不法行為を原因とする原告らの主張はすべて理由がない。 (2)被告Aが本件土地内における産業廃棄物の野焼き等によって発生したダイオキシン等の有害物質によって大気汚染を引き起こし,原告らの集落における生活環境を悪化させたか否か。仮に原告らの集落における生活環境を悪化させたとしても,それが原告らの人格権を侵害する程度のものであるか否か。 a原告らの主張(ア)侵害行為被告Aは,平成2年ころから平成8年3月ころ焼却炉を設置するまでの間,本件土地内において,自家処分と称し,実際には他の産廃処分業者等から廃タイヤを有償で受け入れ,何千本となく野焼きにより焼却してその後に土砂を被せることによって埋設しただけでなく,建築廃材等の産業廃棄物を連日にわたり ,自家処分と称し,実際には他の産廃処分業者等から廃タイヤを有償で受け入れ,何千本となく野焼きにより焼却してその後に土砂を被せることによって埋設しただけでなく,建築廃材等の産業廃棄物を連日にわたり野焼きにより大量に焼却した。そして,この野焼き行為によって刺激臭のある煙を大量に発生させただけでなく,これとともにダイオキシンを発生させた。原告らは,当初被告Aとの話し合いさらには岡山県等による行政指導等で問題を解決できると思っていたことから(岡山県では平成5年9月ころから本格的指導を開始した,写真という形で証拠の保存をしておらず,この期間内における。)野焼き行為で,原告らが写真等によって確実に立証することのできるのは,平成5年3月10日,平成6年3月19日,平成8年1月30日,同年2月1日にすぎないが,平成2年ころから本件土地では,山火事と見間違える野焼き行為が行われており,消防車が出動する騒ぎが2度,3度とあったことからも,本件土地で野焼き行為が断続的に行われてきたことは明らかである。 また,被告Aは,平成8年3月ころ焼却炉の設置許可を受け,それを稼働させた後も,自家処分と称して他の業者等から建築廃材,廃プラスチック,シュレッダーダスト等の産業廃棄物を大量に受け入れ(本件土地内における産業廃棄物の種類は平成8年末ころから従前とは大きく変化した,焼却炉で焼却してきたが,それのみでは全量焼却すること。)ができないことから,その後も野焼きにより焼却するようになった。このため,野焼き行為は,それ以前と変わらず,ほぼ毎日のように繰り返された。原告らが写真等の証拠によって具体的に特定することができる野焼き行為だけでも,平成8年6月27日,同年6月29日,同年7月23日,同年7月24日,同年7月30日,同年8月31日,同年12月15日,同 告らが写真等の証拠によって具体的に特定することができる野焼き行為だけでも,平成8年6月27日,同年6月29日,同年7月23日,同年7月24日,同年7月30日,同年8月31日,同年12月15日,同年12月16日,同年12月17日,同年12月20日,平成9年2月21日,同年2月26日,同年2月28日,同年11月4日,平成10年2月7日,同年4月26日,同年5月31日,同年6月1日に及んでいる。この事実のみからも,被告Aがほぼ連日にわたり野焼き行為を常習的に繰り返してきたことが明らかであり,これによってダイオキシン類を発生させた。 なお,被告Aは,野焼き行為の一部につきシュレッダーダストによる自然発火によるものが含まれている旨主張するが,平成9年12月末ころからは,岡山県の行政指導を逃れるために早朝及び深夜に野焼きを行っており,この点からも,野焼きでなく,自然発火によるものであるというのははなはだ疑問であり,仮にそれが事実であったとしても,自然発火による燃焼は,被告Aが搬入した多種多量の産業廃棄物の中でも発火しやすいシュレッダーダストに限定されるものであり(この点は,被告Aも否定しない,自然発火したからといってその燃焼によるダイ。)オキシンの発生につき被告Aの責任がないといえないことは明らかである。 ところで,原告らは,被告Aの野焼き行為によってダイオキシン等の発生があったとの直接的な証拠を有しないところ,被告Aは,この点を強調して,原告ら主張の事実関係は証拠関係上認められない旨主張するが,ダイオキシン類を始めとして一酸化炭素,窒素酸化物などの有害物質がいずれも廃棄物等の不完全燃焼及びそれに伴う燃焼温度の低下によって発生することは一般常識であり,そうであるからこそ,近年,焼却施設は,高温度による燃焼を確保するために酸素を送り込んだ どの有害物質がいずれも廃棄物等の不完全燃焼及びそれに伴う燃焼温度の低下によって発生することは一般常識であり,そうであるからこそ,近年,焼却施設は,高温度による燃焼を確保するために酸素を送り込んだり,燃焼,,を促進する物質を加えることなどによって高温での燃焼状態を維持し有害物質の発生を抑制する焼却炉の設置を義務づけられているものであるが,被告Aの行った野焼きという方法によっては産業廃棄物等の焼却を行う場合に必要な高温での燃焼状態を維持することが極めて困難であり,不完全燃焼,燃焼温度の低下が生じやすいことは自明であり(そうであるからこそ,各自治体は,早い時期から野焼き禁止を内容とする条例を制定しており,岡山県においても,いわゆる野焼き禁止が平成5年4月から公害防止条例25条1項として施行されているものである,。)しかも,野焼きの対象がダイオキシン等を発生させやすい廃タイヤ,廃プラスチック,シュレッダーダストであることからすると,その発生は確実であったといってよく,しかも,その発生量が相当多量に上ったことは容易に推認することができるといってよい。 また,被告Aは,野焼き行為だけでなく,焼却炉における焼却によってもダイオキシン類を発生させているものである。すなわち,被告Aが岡山県知事に対して行った廃棄物処理設備設置許可申請の際における焼却炉の排気ガス検査によれば,0.52ngTEQ/立方メートルNのダイオキシン類が発生するとの検査結果が報告されており,焼却炉で性能上予定された通常の焼却をした場合にもダイオキシン類が発生するものであり,しかも,同許可申請書に記載された焼却炉による平均的な産業廃棄物焼却量をみると,0.9トンが廃プラスチック・廃タイヤとされていることから,特にダイオキシン等有害物質が発生しやすい産業廃棄物を焼却する かも,同許可申請書に記載された焼却炉による平均的な産業廃棄物焼却量をみると,0.9トンが廃プラスチック・廃タイヤとされていることから,特にダイオキシン等有害物質が発生しやすい産業廃棄物を焼却することが予定されていることが明らかであり,この事実のみでも焼却炉の能力不足によるダイオキシン類等の有害物質の発生は明らかというべきである。被告Aは,前記のとおり,焼却炉のみでは焼却しきれない大量の産業廃棄物を本件土地内に搬入しており,野焼きによる焼却だけでなく,焼却炉における焼却においても,燃焼温度を高温に保つことのできる量を超えて産業廃棄物を投入し,このため,旧焼却炉から黒煙等が上がる状態にあったため,岡山県知事からは,燃焼を適正に行うための投入量の制限や焼却炉そのものの整備に関し,改善のための勧告平成9年3月7日付け及び同年6月24日付けや改善命令平()(成9年10月3日付け)を受けているものであり,ダイオキシン類等の有害物質が大量に発生していることは,ダイオキシン類の発生機序からすれば明らかというべきである。 この点に関し,被告Aが依頼して作成された焼却炉の排気ガスに関する分析結果(平成11年12月10日付け)によれば,排出されるダイオキシン類の量につき0.20ngTEQ/立方メートルNという検査結果が報告されているが,その測定方法については,旧厚生省が基準とした標準測定マニュアルどおりにはされておらず(具体的には,①ダイオキシン類の採取部を冷却してないこと,②ダイオキシン類の補修方法が適正でないこと,③一酸化炭素の測定値から人為的操作がされたと疑われること,その信頼性は極めて低いものであり,この検査結果をも)ってダイオキシン類の発生が極めて少ないということはできない。 なお,被告Aが行った野焼きや焼却炉の能力不足・過剰焼却によ されたと疑われること,その信頼性は極めて低いものであり,この検査結果をも)ってダイオキシン類の発生が極めて少ないということはできない。 なお,被告Aが行った野焼きや焼却炉の能力不足・過剰焼却によってダイオキシン類等の有害物質が発生した事実は,本件土地内に入り,焼却灰や土壌からサンプルを採取してそれを鑑定することで始めて具体的に立証できるものであるが,被告Aにおいては,原告らが本件土地へ立ち入ることはもちろんその周辺部分に接近することに対しても暴力を振,,,るい危害を加えようとするため前記サンプルの採取が不可能でありまた,裁判所においても,原告らによる再三の現地の検証の申し出や鑑定の申し出を採用しなかったのであるから,原告らに対しダイオキシン類等の発生につきその詳細な立証を求めることは原告らに不可能を強いるものであるといってよく,そうであれば,この点の立証が不十分であるとの結論は極めて不公平であり,絶対に容認できない。 (イ)権利侵害原告らの被侵害利益は,生命,健康を維持し,快適な生活を営むこと内容とする人格権であるところ,ダイオキシン類の人体への有害性は明らかである。すなわち,ダイオキシンは,青酸カリウムの1000倍に相当する毒性を有するほか,油に溶けやすく,水に溶けにくいという特性から,いったん体内に摂取されると排出されにくく,人体に蓄積して肝臓障害,ホルモン異常,心筋障害,各種の悪性腫瘍を高率で発生させる原因となり,特に女性の場合は,子宮内膜症などの原因となり,妊娠率の低下を招くものである。更に,近時は,直接の毒性のみではなく,()ダイオキシン類が人体において内分泌攪乱物質いわゆる環境ホルモンとして作用することによる人体への悪影響も明らかとなっている。したがって,ダイオキシンを排出する行為は,原告らの人格権を侵 く,()ダイオキシン類が人体において内分泌攪乱物質いわゆる環境ホルモンとして作用することによる人体への悪影響も明らかとなっている。したがって,ダイオキシンを排出する行為は,原告らの人格権を侵害する違法な侵害行為というべきである。 ところで,本件土地は,a地区集落の南端から直線距離で約900メートル,高低差約200メートルの位置にあり,その間b山の北斜面が形成され,谷川筋でつながっている関係にある(ただし,谷川筋は,完全な直線状でなく,砂防堤の付近で屈曲している。このような地形。)の場合,本件土地内で発生した煙は,谷川筋を伝わってa地区集落に全て流れ込むことが明らかである。実際,原告ら提出の写真(甲第40号証の1,第72号証)には,本件土地で発生した煙が谷間を伝いながら流れ出て,裾野に至った煙がa地区集落を広く覆っている状態が撮影されている。そして,前述した煙には,本件土地内で被告Aが発生させたダイオキシン類等の有害物質が含まれているのであるから,野焼きや焼却炉での焼却で生じたダイオキシン等の有害物質が原告らの居住するa地区集落に到達していることは明白である。 なお,ダイオキシン類は,①直接人がダイオキシン類を含む空気を呼吸によって取り入れることにより,②野菜などに付着した後その野菜を人が食することにより,③野菜などに付着した後乳牛などがこれを摂取した後に牛乳や牛肉を通して人体に摂取されることにより,人体に摂取されるものであり,ダイオキシン等の有害物質がa地区集落に到達している以上,原告らはダイオキシン類の中で生活しているといっても過言ではないのであるから,日々刻々原告らの体内に摂取されるに至っているといえる。そして,体内にどんどんと蓄積され,一定量に達したときにホルモンかく乱などの害悪を引き起こすこととなるものである。原 過言ではないのであるから,日々刻々原告らの体内に摂取されるに至っているといえる。そして,体内にどんどんと蓄積され,一定量に達したときにホルモンかく乱などの害悪を引き起こすこととなるものである。原告らとその家族は,本件土地から排出された煙に含有されるダイオキシン類等によって日々人格権(健康等)を害されているというべきである。 ダイオキシン類以外の有害物質もこれと同様の経過によって原告らの健康に被害を及ぼしているものである。 b被告Aの反論(ア)ダイオキシン類が人体に有害な物質であること,一般的に野焼き行為によってダイオキシン類が発生しやすいということまで争うものではないが,被告Aがしたとする野焼き行為(なお,一部には自然発火によるものも含まれ,すべてが被告Aの野焼き行為であることは否認する)によってダイオキシン類が発生した事実は否認する。原告ら。 の立証によっては,ダイオキシン類の発生が立証されていないというべきであり,また,燃焼によるその他の有害物質の発生については有害物質の種類すら特定されておらず,何ら立証もなされておらず,原告らの主張は理由がない。 また,焼却炉から0.52ngTEQ/立方メートルNのダイオキシンが発生することまで否認するものではないが,この値は,環境基準値を超えるものではないから,その排出がされたことをもって侵害行為に該当するということはできない。原告らは,被告Aがした焼却炉に関する検査結果(0.20ngTEQ/立方メートルN)につき報告にごまかしがあると主張するが,仮に被告Aがした検査結果について不適切な方法が混在していたとしても,それをもって,ダイオキシン類が高い濃度で発生していることの立証が十分であるということはできない。 仮に,本件土地で環境基準を大きく上回るようなダイオキシン類が過去に発生し が混在していたとしても,それをもって,ダイオキシン類が高い濃度で発生していることの立証が十分であるということはできない。 仮に,本件土地で環境基準を大きく上回るようなダイオキシン類が過去に発生した事実があるとしても,本件土地とa地区集落とは直線距離にしても約900メートル以上離れている上,本件土地の方がa地区よりも200メートル以上高いため,本件土地で空気中に放出されたダイオキシン類は,大気中に拡散するのであるから,あくまである特定の気象条件がそろえば,その一部がa地区集落上空に到達するにすぎないものであり,本件土地で発生したと思われる煙が同集落方向に流れているからといって,ダイオキシン類が常に同集落上空に到達しているということはできない。原告らが人格権を有することは当然といえるが,被告Aによる産業廃棄物の焼却処理に伴って発生したダイオキシン類等の有害物質が到達した事実が立証されていない以上,ダイオキシン類等が到達していることを前提とした原告らの主張は失当であるというほかない。原告らは,産業廃棄物処理場の存在による環境悪化に対する漠然とした危惧感を損害賠償の根拠としているにすぎないものであり,人格権侵害など存在しないものである。原告らの主張は,あまりにも大雑把な主張であって,失当であるといわざるをえない。 なお,原告らは,本件土地の検証や土砂等の鑑定ができない以上,原告らが本件訴訟に提出した証拠をもってその立証は十分であるとし,あたかも被告Aが立証妨害をしているかのように主張するものであるが,後述するように,a地区集落内においては,ダイオキシンが微量であっても到達している事実さえ立証されていないのであり,被害が発生していることすら立証しないでおきながら,原告らが勝手に発生源と思いこんでいる本件土地の検証及び土砂等の鑑定を求め, オキシンが微量であっても到達している事実さえ立証されていないのであり,被害が発生していることすら立証しないでおきながら,原告らが勝手に発生源と思いこんでいる本件土地の検証及び土砂等の鑑定を求め,これが実施されないことをもって立証妨害のようにいう原告らの主張は暴論であるというべきである。 (3)被告Aが本件土地上に産業廃棄物を大量堆積することによって産業廃棄物を本件土地から原告らの居住するa地区集落まで土石流として崩落流下させる危険を発生させたか否か。それが原告らの人格権を侵害する程度のものであるか否か。 a原告らの主張(ア)被告Aは,本件土地内に,産業廃棄物(平成2年ころの廃タイヤ,建築廃材等に始まり,食品汚泥,廃プラスチック,シュレッダーダスト等)を次々と搬入しては,大量に堆積させ,現在に至るまで,その産業廃棄物の内容に違いはあるものの,常に産業廃棄物がa地区集落方向に崩落して流出する危険のある状態を維持し続け,特に,現在,1万0000トンにも及ぶ廃プラスチック類等を本件土地上に放置しているものである。そして,実際に,平成5年10月初旬には,本件土地から産業廃棄物が長さ約110メートル,幅約20メートルないし30メートル,厚さ約2メートルにわたり流出した事実がある。 なお,被告Aは,本件土地と隣接土地との境界線上に岡山県の指導に,,従って土留め堰堤を築造したから安全性が高い旨主張するけれども現場の写真から明らかなように,土留め堰堤が現在まで内容を変えながら存在し続ける大量の産業廃棄物の流出を防止するに十分な規模を有する設備であるということができないから,被告Aの主張は,理由がない。 (イ)そして,ひとたび産業廃棄物が本件土地から流出するならば,産業廃棄物は高低差が約200メートルある谷川筋を一気に下って間違いなく あるということができないから,被告Aの主張は,理由がない。 (イ)そして,ひとたび産業廃棄物が本件土地から流出するならば,産業廃棄物は高低差が約200メートルある谷川筋を一気に下って間違いなくa地区集落を直撃することになるものである。しかも,この谷川筋が土石流の発生する危険性が高い場所であることは岡山県の指定によって明らかであるから,産業廃棄物の流出にとどまらず,土石流をも誘発し,a地区に到達するものであるところ,原告らは,土石流が到達する危険性があるだけでもその生命が常に危険にさらされているものであり,ましてや土石流とともに産業廃棄物が多量に流下してくるのであるから,原告らの生命,健康に及ぼす危険性は極めて高いものというべきであり,この点で,人格権の侵害は明らかであるといえる。 b被告Aの反論(ア)確かに,原告らが主張するように,平成5年10月初旬ころ,本件土地からa地区集落の方向に向かい建築廃材等の一部が流出したことは事実であるが,その規模は,原告らが主張する程のものではなく,もう少し規模の小さいものであり,しかも,この時に流出した産業廃棄物は,原告らにおいて大量であると主張する量にもかかわらず,原告らが居住するa地区から遠く離れた地点で停止したものである。そもそも,本件土地とa地区集落とは直線距離にしても約900メートル以上離れており,高低差が約200メートルあるとはいっても,流出した産業廃棄物がa地区集落まで簡単に到達するような距離関係にはない。しかも,原告が問題としている谷川筋は,完全な直線ではなく,その途中には砂防堤も設置されているため,仮に産業廃棄物が本件土地から周囲に流出するとしても,a地区集落にまで到達する危険性があるとは到底認められない。 しかも,被告Aは,岡山県の行政指導に従い,平成5年10月の産業 も設置されているため,仮に産業廃棄物が本件土地から周囲に流出するとしても,a地区集落にまで到達する危険性があるとは到底認められない。 しかも,被告Aは,岡山県の行政指導に従い,平成5年10月の産業廃棄物流出事故の発生を教訓として,岡山県とも綿密な協議の上,本件土地と隣接土地との間に産業廃棄物の流出を防止する目的で土留め堰堤を築造しており,その結果本件土地の周囲に産業廃棄物が流出する危険性は著しく減少したものであるから,原告らの安全はより強固に図られているというべきである。 なお,原告らは,土留め堰堤が極めて貧弱で不十分な設備であるとして,原告らの危険を除去するためには,厚さ2メートル,高さ50メートルのものが必要であるかのごとく主張するものであるが,その主張の科学的根拠は何もないものである。 (イ)原告らに人格権があることは当然であるが,前記のとおり,土留め堰堤築造前においても,とりわけ,その築造後にあっては,本件土地から産業廃棄物が流出する危険性はなきに等しいものであり,仮に本件土地から流出したとしても,本件土地の周囲に限られ,産業廃棄物がa地区集落まで到達するものでないから,原告らの快適な生活環境を侵害したとはいえないことが明らかである。 (4)前記争点(1)ないし(3)の関係で,被告Aの行為が原告らの人格権を侵害する不法行為に該当するとしても,原告らは,被告Aに対して現に搬入されている建築廃材及び廃プラスチックの搬出撤去を求めることができるか否か。また,原告らは,被告Aに対して,産業廃棄物一般の搬入差止めを求めることができるか否か。 a原告らの主張被告Aが本件土地に搬入した廃プラスチック類は,本件口頭弁論終結時に約1万0000トン存在しているところ,被告Aは,廃プラスチック類について,自家処分であるかのごとき主張をして 。 a原告らの主張被告Aが本件土地に搬入した廃プラスチック類は,本件口頭弁論終結時に約1万0000トン存在しているところ,被告Aは,廃プラスチック類について,自家処分であるかのごとき主張をしているが,A組が受けている許可内容と対比すれば,それらが自家処分であろうはずもなく,このような状態を許容すべき法的根拠は何もないというべきである。被告Aは,原告ら住民の再三再四にわたる改善要求を無視し続けるばかりか,原告らに対して暴行を働き,岡山県が実施する行政指導を無視し,遵法精神のかけらもない。特に,被告Aは,岡山県の指導で土留め堰堤を築造し,食品汚泥等を撤去するに当たり,岡山県の指導に従ったのであるから,原告らに文句を言われる筋合いではない,土留め堰堤の築造で多大の出費をしたので,これを償うため産業廃棄物を更に搬入する旨発言し,実際にもそれまでに倍する産業廃棄物を持ち込み,そのうちシュレッダーダストについては岡山県始まって以来の行政代執行という強制手続きによってようやく撤去されたものの,廃プラスチック類については,岡山県の指導を無視して焼却炉の処理能力に見合わない量を放置し続け,その大半を本件土地内で野焼きし,しかも,適正に処理しているかのように偽装するため,一部を処理能力の十分でない焼却炉で焼却しているものである。被告Aには,遵法精神のかけらも見あたらず,もはや法的手段をもって人格権侵害の原因を取り除かなくては今後も原告らの人格権侵害が強度にかつ継続的に行われる危険性が極めて高いというべきである。 以上のとおり,原告らは,廃プラスチック類が直接的には水質汚染の原因となるだけでなく,本件土地から流出してa地区集落に到達する危険性を有すること,また,被告Aがこれらを焼却することでダイオキシン等の有害物質が発生し,大気汚染の原因となってい 接的には水質汚染の原因となるだけでなく,本件土地から流出してa地区集落に到達する危険性を有すること,また,被告Aがこれらを焼却することでダイオキシン等の有害物質が発生し,大気汚染の原因となっているが,人格権侵害の原因である廃プラスチック類を本件土地から取り除かない限り,今後も原告らの人格権侵害が強度にかつ継続的に行われる危険性が極めて高いため,その。 ,,撤去を求めるものであるまた被告Aに廃プラスチック撤去をさせても被告Aは,その費用を取り返すため,同種の産業廃棄物又は別種の産業廃棄物を自家処分と偽って本件土地内に搬入し,焼却処分をするなど,さらなる原告らの人格権侵害を引き起こすことは確実であるというべきであるから,産業廃棄物一般につきその搬入差止めを併せて求める必要があるものである。 b被告Aの反論(ア)前述したとおり,本件土地内の産業廃棄物の存在による水質汚染の事実,野焼き行為や焼却炉での焼却によってダイオキシン等の有害物質が発生した事実及び本件土地から産業廃棄物が流出し,a地区集落に到達する危険のある事実については,いずれも損害賠償請求の対象とすらなりえないものであるから,被告Aにとって損害賠償義務よりも更に大きな不利益となる撤去さらには搬入差止めを命じることができないことは明らかである。特に産業廃棄物の流出については,そもそも産業廃棄物の量についての原告の主張が極めて過大である。平成5年10月に実際に流出した時にもa地区集落には遠く及ばず,しかも,当時の流出物はすべて撤去されている上,流出防止のため土留め堰堤が築造されているため,現在においては流出する危険性が全くないということができるから(なお,原告らは,本件訴訟当初から,被告Aが築造した土留め堰堤が不十分であるかのごとく繰り返し主張しているが,その主張には ているため,現在においては流出する危険性が全くないということができるから(なお,原告らは,本件訴訟当初から,被告Aが築造した土留め堰堤が不十分であるかのごとく繰り返し主張しているが,その主張には具体的な根拠がないことは,前述したとおりである,撤去義務を課されるべき理由はない。したがって,原告。)らが被告Aに対し産業廃棄物の撤去及び搬入差止めを求めることはできないというべきである。 (イ)仮に,重金属類で汚染された水やダイオキシン類等がa地区集落に到達している事実及び産業廃棄物の流出の危険性があるというのであれば,原告らは,被告Aに対し,当該危険性を除くために必要かつ最小限度の行為を求めるべきであり(具体的には,野焼きの禁止や汚染物質流出の防止のための措置等,廃プラスチック類の撤去及び産業)廃棄物一般の搬入差止めのような請求は,本件土地の利用権を著しく制限する過大な請求であるから,失当というべきである。 (5)前記争点(1)ないし(3)の関係で,被告Aの行為が原告らの人格権を侵害する不法行為によって,原告らがいずれも慰藉料200万0000円を相当とする精神的苦痛を受けたといえるか否か。 a原告らの主張原告らが,被告Aの不法行為によって人格権を侵害され,これによって受けた精神的苦痛は甚大であり,慰藉料は,各原告につき一律200万0000円をもって相当とする。 b被告Aの反論原告らの主張の損害額を否認する。 (6)前記争点(1)ないし(3)の関係で,被告Aの行為が原告らの人格権を侵害する不法行為に該当する場合,被告Bは,原告らに対し,被告Aと共同して不法行為責任を負うか否か。 a原告らの主張(ア)被告Bは,自己の所有する本件3の土地に被告Aが産業廃棄物を次々に搬入し,大量に堆積することにより産業廃棄物に含まれる重金属 し,被告Aと共同して不法行為責任を負うか否か。 a原告らの主張(ア)被告Bは,自己の所有する本件3の土地に被告Aが産業廃棄物を次々に搬入し,大量に堆積することにより産業廃棄物に含まれる重金属類で土壌及び谷川水を汚染・汚濁する一方,産業廃棄物を大量に焼却し,これによってダイオキシン類等の有害物質を発生させていることを知りながら,被告Aに対し,これらの行為を中止するように求めることなく,長期間にわたり黙認放置してきたものであるから,被告Aの不法行為につき被告Aと共謀しているといってよく,共同不法行為責任を免れることができないというべきである。 なお,被告Bは,被告Aとの共謀の事実を強く否認するけれども,被,,告Aと被告Bが以前から食肉を扱う関係で既知の間柄でありしかも被告Bにおいては,自己の所有土地に産業廃棄物が搬入放置され,大きな穴まで掘られて産業廃棄物を埋められているにもかかわらず,原告らとともに訴訟を提起しようとしないなど,被告Aに対し何ら行動を起こそうとはしないことからすると,被告Aと被告B間には何らかの利益供与が存在があるものと推認することができ,共謀の事実は明らかというべきである。 (イ)仮に,被告Bと被告A間に共謀の事実が存在しないとしても,被告Bは,自己の所有土地に有害な産業廃棄物が搬入され,大量に堆積され,及び野焼き行為等によってa地区集落を始めとする周囲に対し様々な危険をもたらしているのであるから,土地の所有者としてはその原因を除去すべき義務があるにもかかわらず,漫然とこれを放置・黙認し,これによって原告らの人格権を侵害するものであるから,被告Bは,客観的に被告Aと共同して原告らの人格権を侵害したものといってよく,共同不法行為責任を問われるべきである。 なお,被告Bは,被告Aに対し,平成10年10月29 格権を侵害するものであるから,被告Bは,客観的に被告Aと共同して原告らの人格権を侵害したものといってよく,共同不法行為責任を問われるべきである。 なお,被告Bは,被告Aに対し,平成10年10月29日付けで本件3の土地を売却し,本件口頭弁論終結時点でその所有者でなくなっているが,そうであるからといって,それまでの共同不法行為責任まで消滅するわけではない。 b被告Bの反論(ア)被告Bが被告Aと共謀した事実は全くない。原告らは,被告Aと被告Bが食肉関係で以前からの顔見知りであったことや被告Bが原告らとともに訴訟を提起しなかったことをことさらに強調し,その間に利益提供の関係があるため,被告Aとの間に共謀の事実がある旨主張するが,訴訟をするか否かは個人の自由意思に任されるべきものであるし,被告Aとは従前から知り合いではあるが,同じ食肉業界で働いていたことから顔を見知っていたという程度にすぎないから,これらの事実をもって共謀関係の存在が推認されるとは到底いえない。 なお,被告Bは,独自に被告Aと交渉して,本件3の土地から産業廃棄物を撤去させるために行動していたものであって,原告らと行動を共にしなかったことを非難されるいわれはない。 (イ)原告らは,被告Bが本件3の土地にある産業廃棄物の存在を知りつつ,これを漫然と放置してきたことから,所有者として不法行為責任を負うかのごとく主張するが,被告Bは,その撤去を求めて被告Aと,,幾度となく交渉し被告Aから申し入れた買い取りにも当初は応じず更に撤去を求めてねばり強く交渉していたものであって,漫然と放置した事実はないのみならず,産業廃棄物を放置され,最大の被害を受けたのはほかならぬ所有者である被告Bであり,しかも,被告B所有地に堆積されている産業廃棄物の量は膨大であるため,一個人にすぎない被 した事実はないのみならず,産業廃棄物を放置され,最大の被害を受けたのはほかならぬ所有者である被告Bであり,しかも,被告B所有地に堆積されている産業廃棄物の量は膨大であるため,一個人にすぎない被告Bに撤去義務を負わせるならば,被告Bに不可能を強いることになることからすると,被告Bの行為が共同不法行為を構成するとは到底いえない。 第3当裁判所の判断 本件土地における産業廃棄物の処分状況等について(1)平成3,4年の状況書証及び尋問(省略)の結果によると(いずれも後記認定に反する部分を除く,以下の事実が認められる。なお,争いのない事実を一部含む。 。)ア被告Aは,遅くとも平成3年5月ころまでには,原告らの居住するa地区集落から直線距離で約900メートルのb山頂上にある本件土地に,多量の廃タイヤや建築廃材を搬入し,これを燃やすようになった。そして,,,,このころまでには本件土地は頂上付近のすり鉢状の谷が埋め立てられ平坦になるなど,地形も変化するまでになった。原告らは,そのころ,b山方向の空が赤く染まり,時には火柱が上がるように見え,風向き・風速によっては刺激臭のある異臭がa地区付近まで漂ってくることから,野焼きの事実に気づき,その状況を確認した上,地区行政連絡員会議等で地元c町役場に投棄行為の中止,投棄物の撤去,水質検査の実施などの対策を講じるように申し入れをした。しかし,c町役場では,本件土地が市町村区分上倉敷市域に属するため,町としての対応ができないとの理由で,申し入れの内容は受け入れられず,前記状況に変化はなかった。同年12月には,岡山県倉敷環境保健所(以下「倉敷保健所」という)でも,被告。 Aによる廃タイヤや建築廃材(残土を含む)の搬入に違法な点はないと。 して,格別の措置は講じなかった。自ら営む解体業から発 12月には,岡山県倉敷環境保健所(以下「倉敷保健所」という)でも,被告。 Aによる廃タイヤや建築廃材(残土を含む)の搬入に違法な点はないと。 して,格別の措置は講じなかった。自ら営む解体業から発生する建築廃材(建設残土を含む)の自家処理であり,法に抵触しないことがその理由。 であった。 イ被告Aは,その後平成4年5月ころまでには,廃タイヤや建築廃材だけでなく,カバヤ食品株式会社等から排出された食品汚泥や廃プラスチック等を久米興産によって本件土地内に継続的に搬入させるようになった。このうち,食品汚泥等は,本件土地内に掘られた直径7,8メートル,深さ10メートルといった大きな穴の中に投棄された。ちなみに,平成4年7月から同年10月までの間に搬入された食品汚泥や廃プラスチック等は,同年7月18日から同年10月17日までの間におけるカバヤ食品株式会,(「」社排出分汚泥類44トン廃プラスチック類244立方メートル玉島分が本件土地内に投棄されたものと認める,同年7月18日から同年。)10月21日までの間におけるオハヨー乳業株式会社排出分汚泥類68トン(玉島」分が本件土地内に投棄されたものと認める,同年8月5日「。)から同年8月28日までの間における飛龍株式会社分汚泥類8.5トン(玉島」分が本件土地内に投棄されたものと認める,同年9月4日か「。)ら同年10月26日までの間における大建工業株式会社分1471.85トン(b山」とされているペイントカスやスラッジが本件土地内に投棄「されたものと認める)総量1583.8トンと244立方メートルであ。 った。原告は,この時点で産業廃棄物処理に必要な許可を何も受けていなかった。 ウ原告らは,平成4年3月,岡山県倉敷地方振興局(以下「倉敷振興局」という)及び倉敷保健所に改めて 立方メートルであ。 った。原告は,この時点で産業廃棄物処理に必要な許可を何も受けていなかった。 ウ原告らは,平成4年3月,岡山県倉敷地方振興局(以下「倉敷振興局」という)及び倉敷保健所に改めて地元c町役場に対する申し入れと同様。 の申し入れをし,その回答を求める一方,原告ら数名が,同年5月になって本件土地内に立ち入ったところ,前記のとおり本件土地内に大きな穴が掘られ,緑色の液状物質であり,異臭を放っている食品汚泥等が投棄されているのを発見した。原告ら数名がこれを採取しようとしたが,被告Aとの間で,無断立ち入りを巡って口論となったため,その隙に同行していた町議会議員Nが縦穴周辺の土砂(なお,N町議によると,この土砂そのも。)。 のもひどい異臭を放っていたというをわずかに持ち帰るにとどまった原告らは,翌5月21日,a公会堂に集合し,被告Aが本件土地に投棄した建築廃材等の一部が隣地である,原告Jら所有の隣接土地内に一部流出しているとの報告をし,原告Mらは,持ち帰った前記土砂の分析を倉敷保健所に依頼した。しかし,その結果が同年7月5日判明したが,岡山県環境保健センターの分析によると,検査結果は,別紙検査目録記載1のとおりであり,岡山県の定める基準値の範囲内であった。また,原告らは,同年6月7日に再度会合した際には,c町に対し,原告らのうち,井戸水を生活に供している3戸の井戸の水質検査を求めることを決定した。倉敷振興局でも,原告らの求めに応じ,同年8月20日,原告Jらの立会いの下で別紙図面記載①の地点及び同図面記載②の地点における谷川水の水質検査(及び要求されたa地区集落内の井戸水の水質検査を実施したが,9月23日までに谷川水については,別紙検査目録記載2の検査結果のとおりであり,異常は認められず,また,井戸水についても,同様にその 検査(及び要求されたa地区集落内の井戸水の水質検査を実施したが,9月23日までに谷川水については,別紙検査目録記載2の検査結果のとおりであり,異常は認められず,また,井戸水についても,同様にその水質に問題がないとされた。このころまでに,倉敷保健所では,原告らの情報等から,被告Aが食品汚泥を本件土地内に搬入している疑いを抱き,現地に赴き,食品汚泥が搬入されている事実を確認した。 (2)平成5,6年の状況書証及び尋問(省略)の結果によると(いずれも後記認定に反する部分を除く,以下の事実が認められる。なお,争いのない事実を一部含む。 。)ア原告らの被告Aの行動に対する苦情の申し入れは,平成5年になると一段と激しくなり,同年2月25日,本件土地において,倉敷保健所課長補佐(当時)L(以下「L課長補佐」という,原告Mら及び被告。)。 ,,,Aが集まって話合いが行われたその際被告Aは久米興産を通じてカバヤ食品株式会社及び飛龍株式会社から対価(頭金100万0000円,ダンプ1台当たり1万8000円)を得て,食品汚泥等を搬入したことを認めた(この点は,L課長補佐と原告M間の平成5年3月3日付確認書で確認されている。また,原告らの所属するa町内会では,。)倉敷保健所に対し,平成5年2月2日付け文書でb山における被告Aの開発行為につき改善措置を講じるように求め,これを受け,倉敷保健所は,原告Mに対し,同年3月5日付けで,①本件土地は,産業廃棄物の処分と残土類の処分が混在している状況にあること,②主に本件土地に搬入されているものは,食品汚泥,建築廃材であること,③産業廃棄物処理に用いられている土地の面積が増加していること,④原告らから苦情があって以降,被告Aに対し口頭であるが警告を4,5回した旨回答した。そして,倉敷保健所 食品汚泥,建築廃材であること,③産業廃棄物処理に用いられている土地の面積が増加していること,④原告らから苦情があって以降,被告Aに対し口頭であるが警告を4,5回した旨回答した。そして,倉敷保健所は,平成5年3月24日,別紙図面記載②の地点の水を分析のために取水し,分析したが,その結果は,別紙検査目録記載3のとおりであり,検査値には異常が認められなかった。 イ岡山県は,平成5年5月6日に開催された原告らとの話し合いにおいて,①食品汚泥等の排出業者は,把握できた範囲では,大建工業株式会社及びカバヤ食品株式会社であり,廃棄物の処理を被告Aに直接委託したのは,広島県にある久米産業株式会社である(ただし,実際に運搬をしたのは久米興産株式会社である,②水質検査の結果有毒物質は検。),,出されなかったが今後も継続して水質検査を実施していく方針である③本件土地内への建築廃材の投棄はあくまでA組の自家処分である,旨回答した。また,c町長は,同年6月29日付け書面をもって,①原告らに対し,隣接土地を含め,本件土地における食品汚泥等の産業廃棄物の堆積状況を明らかにする現地測量を同年6月18日に完了した,②原告らが求める食品汚泥等の撤去も同年6月25日以降1か月程度をめどに実施がされる旨報告した。原告Mらは,同年7月18日,c町長から報告があった事項である汚泥撤去の進捗状況を確認するために本件土地に赴いたが,重機,ダンプ各1台が本件土地内に展開していることは確認することができたものの,実際の作業をしている様子が認められず,かえって,搬入されている産業廃棄物の量は以前にもまして増加しているように思われる状況にあった。原告らは,同年7月24日及び同年8月16日にも本件土地に撤去作業の進捗状況の確認に赴いたが,同様の結果であった(なお,同年7月24 棄物の量は以前にもまして増加しているように思われる状況にあった。原告らは,同年7月24日及び同年8月16日にも本件土地に撤去作業の進捗状況の確認に赴いたが,同様の結果であった(なお,同年7月24日には,原告Jによって本件3の土地内に依然として大きな縦穴が掘られ,廃棄物様のものが溜まっている状態であることが写真撮影されている。岡山県側で,同年6月16。)日から同年6月30日にかけて実施した測量の結果,被告Aが産業廃棄物を搬入している本件土地の開発面積は4189平方メートルであり,今後の開発が予測される部分2057平方メートルを含めても合計6246平方メートルであり,岡山県条例による開発規制対象となる1万0000平方メートルには及ばなかった。岡山県は,被告Aに対し,本件土地に搬入した食品汚泥等を撤去するように指導し,同年8月末日までに,うち約750トン分が搬出され(搬出後の穴は真砂土で埋められた,うち約200トン分が現場でセメント固化剤を注入する処理が。)なされた。なお,食品汚泥には有害物質が含有されていなかった。 ウ原告らが,平成5年10月12日,本件土地の周囲の巡回を行ったところ,産業投棄物の一部(主に建築廃材)が本件土地内からa地区集落の方向に向けて谷川筋を流出している状況を発見した(同年10月14日,原告Sによって,隣接土地に大量のコンクリート殻等が流出している状況が撮影されている。原告らは,この産業廃棄物の流出に関し,。)内容証明郵便で岡山県知事及びc町長にあて,同年10月12日に幅約20メートル,長さ約200メートル,厚さ2,3メートルにわたって流出したと訴えているが,現地で実際に計測したところ,この流出の規模は,長さ約85メートル,幅平均約15メートル,深さ平均約2メートル,総流出量約3000立方メートル ,厚さ2,3メートルにわたって流出したと訴えているが,現地で実際に計測したところ,この流出の規模は,長さ約85メートル,幅平均約15メートル,深さ平均約2メートル,総流出量約3000立方メートルであった(なお,流出の全長については,本件土地と隣接土地との境界は明確でないが,合意による境界線を前提とするものである。この事態を踏まえ,岡山県は,同年。)10月14日,別紙図面記載①地点及び同図面記載②地点で採水して水,,質検査を実施したがその結果は別紙検査目録記載4のとおりであって異常は認められなかった。しかし,倉敷保健所長は,同年11月8日,書面をもって,被告Aに対し,本件土地で実施している産業廃棄物の埋め立て処分が法12条1項の規定に基づく産業廃棄物処理基準に違反していることを理由に,法19条の3の規定に基づき,①建築廃材等が飛散,流出しない構造,強度を有する適切な流出防止装置を設置する,②既に飛散,流出している堆積物を撤去する,③①及び②が完了するまでの間,産業廃棄物の埋め立て処分を中止する,④①及び②の完了期限を平成6年2月10日とする改善命令(第1次分)を発した。また,倉敷保健所長は,同日付けの書面をもって,①建築廃材等安定型産業廃棄物の埋め立て処分の用に供する面積が3000立方メートル以上の場合は法15条1項の規定に基づき,産業廃棄物処理施設の設置の許可が必要となることを警告するとともに,②設備を用いず,解体物等の産業廃棄物を焼却(野焼き)する行為は法律で禁止されているため,適正処理の,,措置を講ずることを求める行政指導をするとともに法18条に基づき過去1年間における①搬入年月日②搬入物の種類③搬入物の重量容,,(量,④工事(解体)の元請業者名,⑤工事(解体)の実施者名,⑥工)事(解体)現場の所在地及 導をするとともに法18条に基づき過去1年間における①搬入年月日②搬入物の種類③搬入物の重量容,,(量,④工事(解体)の元請業者名,⑤工事(解体)の実施者名,⑥工)事(解体)現場の所在地及び⑦埋立地への搬入業者の名前を報告するように要求した(平成5年12月10日提出期限。被告Aは,倉敷保健)所長から報告を求められた事項について,報告期限である同年12月10日には間に合わなかったものの,同年12月15日,要求された事項にかかる報告をした。その報告の内容は,建築廃材のみが,平成5年8月6日から同年11月8日まで16件合計137トンがA組によって搬入されたというものであった。 エ原告らは,平成5年11月10日から同月12日までの3日間,いずれも夕方から夜半にかけて,b山の一部をまっ赤に染める程の規模の野焼きを認めた。また,原告らは,同年11月14日及び同年12月18日に本件土地の周辺を巡回していたところ,大型ダンプによって建築廃材が搬入されている状況を目撃した(建築廃材等があふれ出るような状態で捨てられている状況が原告Jらによって撮影されている。倉敷。)保健所長は,被告Aが産業廃棄物の野焼きを行っている現状を把握したため,平成6年2月24日付け書面をもって,被告Aに対し,法12条1項,19条の3に基づき,法に定める設備を用いず,産業廃棄物を焼却(野焼き)しないことを内容とする改善命令(第2次分)を発した。 また,倉敷保健所長は,平成6年3月30日付け書面をもって,被告Aに対し,①A組がした同年3月19日の野焼き行為は,改善命令に違反するおそれがある,②改善命令の措置履行まで建築廃材の搬入中止命令違反と疑われるような行為をしないように警告すると同時に,第1改善命令及び第2改善命令のうち該当事項につきこれを遵守するようにとの するおそれがある,②改善命令の措置履行まで建築廃材の搬入中止命令違反と疑われるような行為をしないように警告すると同時に,第1改善命令及び第2改善命令のうち該当事項につきこれを遵守するようにとの警告をした。 オ被告Aは,第1次分の改善命令のうち「建築廃材等が飛散,流出し,ない構造,強度を有する適切な流出防止措置」として,本件土地と隣接土地との間に土留め堰堤を築造するに当たり,土地境界につき所有者間で争いがあるため,平成6年2月7日,上申書(措置期限延期願い)をもって,改善命令で要求された事項を実施するためには,周辺地権者との境界を定める必要があるが,境界線が同年1月21日になって合意されたこと,この境界確定の結果が公簿に記載されるのに時間を要すること,確定された土地境界線を前提に土留め堰堤の設計図を書き直していることを理由に,履行期限を同年2月10日から同年6月30日に変更することを求め,倉敷保健所長は,土留め堰堤工事の完了期限を同年6月10日まで延長することを認めた。土留め堰堤は,被告A側で設計したものであるが,岡山県の指導を受けており,この設計図に従って土留め堰堤が築造され,同年5月30日完成した(なお,被告Aは,改善命令の履行のため合計1000万0000円近くの費用を負担したという。岡山県は,同年5月30日被告Aが第1次改善命令に係る措置。)事項の履行として築造した土留め堰堤工事を完了したことを確認したが,流出した建築廃材等の産業廃棄物の全面撤去は履行期限である同年,,6月10日までに履行していないため地域振興部廃棄物対策室長名で被告Aに対し,改めて同年8月10日までに第1改善命令で命じた本件土地から流出した建築廃材等を完全撤去するように警告し,引き続き指導を続けたところ,同年7月30日にこれを完了し,同年8月 策室長名で被告Aに対し,改めて同年8月10日までに第1改善命令で命じた本件土地から流出した建築廃材等を完全撤去するように警告し,引き続き指導を続けたところ,同年7月30日にこれを完了し,同年8月2日,その事実が確認された。 ,,カ平成6年8月26日本件土地及びその周辺で和解期日が開かれたがその際,本件土地には,建築廃材が人の背丈よりも高く積まれ,また,隣接土地には岡山県が撤去を確認したとする流出産業廃棄物の一部と思われるコンクリート殻等がわずかに残存していた。なお,原告Pは,その際被告Aから脚蹴りによる暴行を受け,全治3日間を要する両大腿部打撲の傷害を負った。 (3)平成7,8年の状況書証及び尋問(省略)の結果によれば(以下の認定に反する部分を除く,以下の事実が認められる。なお,争いのない事実を一部含む。 。),,,ア平成7年になっても被告Aは本件土地内で継続して野焼きを行い春には,山火事と消防署が見誤るほどの火柱が上がった。岡山県が平成8年1月30日に本件土地内に対する立入検査を行ったところ,産業廃棄物である木くずの野焼きが認められた。そこで,倉敷振興局長は,平成8年2月6日付け書面をもって,被告Aに対し,前記立入調査の結果野焼きを認めたとして,産業廃棄物の野焼き行為を直ちに中止するように勧告する行政指導を行った。被告Aは,その後も,同年6月29日に野焼きを行い,原告らによって確認されている。岡山県が実施した本件土地に対する立入調査の結果でも,同年7月22日,同年7月24日及び同年7月26日のいずれにおいても野焼きをした痕跡が認められた。 そこで,倉敷振興局振興部環境対策室長名義の書面(同年7月23日付け,同年7月24日付け及び同年7月26日付け)で,その都度,被告Aに対し,野焼きを中止するように勧告する行政 した痕跡が認められた。 そこで,倉敷振興局振興部環境対策室長名義の書面(同年7月23日付け,同年7月24日付け及び同年7月26日付け)で,その都度,被告Aに対し,野焼きを中止するように勧告する行政指導を実施した。しかし,Aは,その後も,同年8月31日,同年11月17日,同年12月16日,同年12月20日に野焼きを行い,原告らによってその事実が。 ,,,,確認された原告M原告J原告R及び原告Oは同年12月24日岡山県職員及びc町職員と協議会をもち,そこで,①野焼き行為が続行,,,,され黒煙と臭いがひどいこと②夏場ほどではないが水が臭うこと③土留め堰堤の規模が被告Aが搬入している産業廃棄物の規模と比較して貧弱であること,④本件土地が事実上最終処分地化していることについて,岡山県の回答を求め,これに対し,岡山県は,①野焼き行為については被告Aに停止の勧告及び警告を行っているが,現時点では告発するまでの証拠が不十分であること,②被告A自身,野焼き行為の実行を否定しないものの,他業者もしているのであるから,自分がして何が悪いという態度であること,③岡山県では,従前の水質検査の結果等に照らし,a谷川の水の臭いは鉱泉によるものと判断していること,④土留め堰堤の規模は,裁判での対応いかんに関わるものであること,⑤本件土地はあくまでA組の自社処分場であるとの回答をした。その後,岡山県知事は,平成8年12月27日付け書面をもって,被告Aに対し,①廃棄物の処理及び清掃に関する法律施行令に定める焼却設備を用いない産業廃棄物の焼却(野焼き)をしないこと,②安定型産業廃棄物の埋立処分の用に供している場所にあっては,安定型産業廃棄物以外の廃棄物を混入させないことを内容とする改善命令(第3次分)を発した。 イその間,被告Aは,岡山 焼き)をしないこと,②安定型産業廃棄物の埋立処分の用に供している場所にあっては,安定型産業廃棄物以外の廃棄物を混入させないことを内容とする改善命令(第3次分)を発した。 イその間,被告Aは,岡山県知事から,平成8年3月7日,産業廃棄物処分業の新規許可(木くずの焼却)を受けるとともに,同年6月20日に①処理施設に関する事項として,処理能力1日8時間で1.6トン,,,設備設置場所を本件4の土地処理する廃棄物の範囲を廃プラスチック廃タイヤ,ゴム屑及び木くず,処理設備を上部乾留式焼却炉(型式・TAK-2000)とし,②保管施設に関する事項として,施設設置場所を本件4の土地,保管能力を木くず(面積46平方メートル・容量46立方メートル)及び廃プラスチック類(面積63平方メートル・容量31立方メートル,③処理量に関する事項として,廃プラスチック類及)び廃タイヤが1日0.9トン,ゴム屑が0.1トン,木くずが2トンとし,④1日に出る焼却灰(0.3トン)の処分を財団法人岡山県環境保全事業団の最終埋め立て処分を予定しているとの内容により産業廃棄物処理施設(焼却炉)設置許可を受けた。また,被告Aは,同年9月4日には,前記産業廃棄物処分業の内容変更の許可を受け,取り扱う産業廃棄物として,木くずの焼却に加え,廃プラスチック類,ゴム屑等の焼却も許可された。 ウ倉敷振興局では,平成8年8月9日及び同月12日に別紙図面記載②及び同図面記載③の地点(砂防堤よりも更に下流の地点である)で,。 同年8月22日に別紙図面記載①の地点,同図面記載②の地点及び同図面記載④の地点で,それぞれ水質検査をするため水を採取し,岡山環境保健センターにその分析を依頼した。岡山環境保健センターでの分析結果は,同年8月9日採取分が別紙検査目録記載5のとおりであり,同年8月22日 の地点で,それぞれ水質検査をするため水を採取し,岡山環境保健センターにその分析を依頼した。岡山環境保健センターでの分析結果は,同年8月9日採取分が別紙検査目録記載5のとおりであり,同年8月22日採取分が別紙検査目録記載6のとおりであり,いずれにおいても検査結果に異常は認められなかった(なお,岡山県では,地域振興部環境保全局廃棄物対策室名義の書面でこの検査結果を原告ら訴訟代理人に通知している。その後,原告らは,同年9月11日,a地区に。)あるa池から服部用水に注ぐ部分で,その組成物は何であるかは不明であるが,白色の物質を発見した。 (4)平成9,10年の状況書証及び尋問(省略)の結果によれば(以下の認定に反する部分を除く,以下の事実が認められる。なお,争いのない事実を一部含む。 。)ア岡山県では,平成9年2月26日及び同月28日に実施した本件土地の現地調査で焼却炉から黒煙が発生している事実を認めた。そこで,倉敷振興局長は,被告Aに対し,平成9年3月7日付け書面をもって,同年2月26日及び同月28日現地調査で焼却炉から黒煙の発生が認められたのに伴い,産業廃棄物の処分に当たっては焼却施設の能力に見合っ,,た適正な焼却処分を行うとともに施設の点検等十分な維持管理を行い黒煙の発生防止に努めること,焼却後の物質の保管についても飛散,流出することがないように管理することを求める勧告をした。また,倉敷振興局長は,同年6月24日付け書面をもって,被告Aに対し,岡山県が同年6月13日にした本件土地に対する立入検査の結果,産業廃棄物の処理について問題のあることが判明したとして,①本件土地内の廃プラスチック類とみられる産業廃棄物につき,焼却炉の焼却能力と比べて量が膨大であり,適正な処理が困難であるため,焼却炉の処理能力に見合った適正な焼 て問題のあることが判明したとして,①本件土地内の廃プラスチック類とみられる産業廃棄物につき,焼却炉の焼却能力と比べて量が膨大であり,適正な処理が困難であるため,焼却炉の処理能力に見合った適正な焼却処分が可能となるように産業廃棄物の搬入を中止すること,②焼却炉の使用に当たり,その処理能力に見合った適正な量の投入を行うとともに,炉内の燃焼温度について適切な管理を行うこと,③事務所東側の穴に堆積している焼却灰及び焼却施設周辺に置いている焼却灰を直ちに搬出し,適正に処理すること,④その後生じる焼却灰についても,適切な貯留設備を設け,飛散・流出・悪臭の発散を防止するための措置をとることを求める勧告をした。なお,本件土地は,平成9年6月1日現在,ビニール類を含む大量の廃棄物,建築廃材様の廃棄物,燃え殻等が大量に積み上げられている状態であり,その様子は,原告らによって確認されている。 ,,,イ岡山県知事は被告Aに対し平成9年10月3日付け書面をもって①処分のために事業所に搬入した産業廃棄物のうち,平成8年8月22日付け法14条の2第1項の規定による産業廃棄物処理業の事業範囲変更許可申請記載の保管場所(本件4の土地)と異なる場所に保管した産業廃棄物を平成9年11月22日までに申請書記載の保管場所に移動させ,又は,これを撤去すること,②産業廃棄物の処分により生じた燃え殻が保管場所から飛散・流出し,地下に浸透し,及び悪臭が発生したりしないように,同年10月24日までに搬出するまで一次的に保管するための適切な貯留設備を設ける等必要な措置をとることを命じる改善命令(第4次分)を発し,また,同年10月3日付け書面をもって,法施行規則12条4号及び12条の6第5号の規定により,産業廃棄物の飛散流出悪臭が発生しないように必要な構造となるよう焼却 る改善命令(第4次分)を発し,また,同年10月3日付け書面をもって,法施行規則12条4号及び12条の6第5号の規定により,産業廃棄物の飛散流出悪臭が発生しないように必要な構造となるよう焼却設備焼,,,(却炉)の破損個所を同年10月24日までに補修することを命じる改善命令(第5次分)を発した。しかし,被告Aは,改善命令(第5次分)の履行期限である同年10月24日になっても焼却炉の補修をせず(このことは,新聞報道された,また,改善命令(第4次分)の履行期。)限である同年11月9日になっても大量のシュレッダーダストや焼却後の燃え殻様のものを本件土地内に野ざらしのまま堆積した状態であり,この様子は同日に原告らによって確認された。 なお,被告Aは,前記改善命令(第5次分)の対象である焼却炉とは別に新たに焼却炉(以下「新焼却炉」という)の建造を開始し,平成。 9年12月12日には完成した。 ウ被告Aは,平成10年になってからも,明確に確認できるものだけでも,同年1月15日,同年2月27日,同年4月26日,同年5月31日及び同年6月1日の6回にわたり,本件土地内で野焼きを行った。こ,,。 ,れらの状況は原告らによって確認され写真に撮影されているまた被告Aは,同年3月8日になっても,改善命令(第4次分)の内容である建築廃材やシュレッダーダストの撤去をせず,引き続き重機の高さを大きく超えて積み上げたままにしており,その状況は,原告らによって確認され,写真に撮影されている。平成10年3月ころの本件土地の状況は,別紙平成10年現況図記載のとおりであり,特に同現況図記載1の場所にはシュレッダーダストが,同現況図記載6の場所には廃プラスチック類が放置されていた(被告Aは,廃プラスチック類はないかのごとく供述するが,そのよ 現況図記載のとおりであり,特に同現況図記載1の場所にはシュレッダーダストが,同現況図記載6の場所には廃プラスチック類が放置されていた(被告Aは,廃プラスチック類はないかのごとく供述するが,そのような事実は認められない。 。)エ原告らは,平成10年3月4日,b山麓に近い谷川に白い泡様のものが浮いているのを発見し,同年3月6日にも,白い泡様の付着物を発見した。倉敷振興局は,白い泡様の付着物の発生原因等を調べるために3箇所で谷川水を採取したが,原告らも,自ら水質分析を行うために同年3月9日別紙図面記載①地点及び同図面記載④地点の水を採取した。原告らは,採取した水を,医療法人南労会環境監視研究所(以下「環境監視研究所」という)に分析を依頼し,中地環境計量士の分析結果によ。 ると,別紙検査目録記載7のとおりであった。原告らは,同年6月1日ころ,別紙図面記載①地点及び同図面記載④地点の水を採取し,その分析を環境監視研究所に依頼したところ,別紙検査目録記載8のとおりの検査結果であった。倉敷市及びc町もa谷川水について水質検査を実施しており,新聞報道では,倉敷市が同年3月17日にa地区集落から300メートル南の地点で採取した谷川水から環境ホルモンの一種とされるフタル酸ジエチルヘキシルが旧環境庁の指針(1リットル当たり0. 06mg)の約3倍(1リットル当たり0.16mg)検出されたとされており,同年4月27日に砂防堰堤付近(別紙図面記載②地点を指すものと推認される)で採取した水の分析検査の結果では,環境基準を。 超える有毒物質は検出されなかったものの,水素イオン濃度,化学的酸素要求量(COD,電気伝導度が環境基準に定める農業用水基準を超)過したとされた(その内容は,水素イオン濃度が7.7(農業用水基準6以上7.5以下,COD6.4mg/l ,水素イオン濃度,化学的酸素要求量(COD,電気伝導度が環境基準に定める農業用水基準を超)過したとされた(その内容は,水素イオン濃度が7.7(農業用水基準6以上7.5以下,COD6.4mg/l(農業用水基準6mg/l)以下,電気伝導度0.843ミリジーメンス(農業用水基準0.3ミ)リジーメンス以下)であった。c町が同年3月12日採取したサン。)プリング水(a谷川の中流域)では,八塩化ダイオキシンが1リットル中0.023ng検出されたとするが,もっとも毒性の強い四塩化ダイオキシンに換算した場合の濃度は0.000023ngTEQ/立方メートルNであり,岡山大学資源生物科学研究室によれば,環境に影響が出ているとはいえないとされている(ちなみに,旧環境庁が平成8年3月に測定した東京湾,伊勢湾,瀬戸内海の海域で実施したダイオキシン類調査では,毒性等価濃度は0から0.0003ngTEQであったとされている。原告らは,独自に水質検査を行うため,別紙図面記載。)①地点及び同図面記載④地点において採取し,同年9月30日,その分析を環境監視研究所に依頼したところ,別紙検査目録記載9のとおりの検査結果であった(なお,正確な採取日及び採取条件等については不明である。 。)なお,岡山県が同年3月及び9月に実施したa谷川と農業用ため池における水質検査では,有毒物質(重金属類)はすべて環境基準以下であったものの,3カ所ともCODは11mgから16mgであり,農業用水基準(1リットル当たり6mg以下)を上回ったが,水稲の生育に影響はなかったと報告し,異臭等の原因物質は特定できなかったが,調査は終了するとした。 オc町では,a谷川の水質を維持するために,平成10年8月下旬頃までにb山の麓に広さ約40平方メートルの流水濾過槽設備を設置した。 こ 異臭等の原因物質は特定できなかったが,調査は終了するとした。 オc町では,a谷川の水質を維持するために,平成10年8月下旬頃までにb山の麓に広さ約40平方メートルの流水濾過槽設備を設置した。 この設備は,谷川の水を引き込んで木炭,石灰石,ホテイアオイなどの入った水槽(長さ約44メートル)を通過させることにより流水を浄化,。 ,,するシステムであり以来現在も使用されているまた岡山県知事は平成10年5月7日,被告Aに対し,改善命令(第4次分)で撤去するように求めていたシュレッダーダストについて,1か月以内に約6000トンを撤去するように命じる措置命令を発し,同年6月8日に行政代,,執行手続のため戒告書を交付し同年6月30日を履行期限と定めたが被告Aにおいて同日までに約3000トンは撤去したものの,全量撤去しないまま,措置命令で定めた撤去期間が満了したため,同年7月1日に立入検査をし,シュレッダーダストの残存量を確認した上,代執行令,,。 ,書を作成し着手日を7月8日と定め代執行した岡山県側によると最終的に搬出されていないシュレッダーダストの総量は1500トンから2000トンであった。また,倉敷振興局は,同年7月2日,A組から出ていた新焼却炉の設置を不許可とする行政処分をし(新焼却炉そのものは建設済みである,A組は,この処分を不服として,旧厚生大。)臣に対し,審査請求を行った。 カ被告Aは,焼却炉の安全性につき検査して報告するために,排出ガス調査を株式会社エクスラン・テクニカル・センター(濃度計量証明事業岡山県登録第6-14)に依頼した。同社では,平成10年10月13日に焼却炉の排気ガスからサンプルを採取し,排ガス中のダイオキシン類の調査,分析を東京テクニカル・サービス株式会社(環境計量士増子勉,測定 登録第6-14)に依頼した。同社では,平成10年10月13日に焼却炉の排気ガスからサンプルを採取し,排ガス中のダイオキシン類の調査,分析を東京テクニカル・サービス株式会社(環境計量士増子勉,測定担当守松昭男)に委託する一方,ダスト濃度,硫黄酸化物,窒素酸化物,塩化水素を計量し(環境計量士清須浩光,別紙焼却炉排出)ガス検査目録記載1のとおり検査結果を報告した。この検査結果からすると,いずれの指標でも焼却施設として必要な基準を充足しているが,原告らは,その検査方法に誤りがある旨指摘している。 (5)平成11年以降の状況()(。),書証及び尋問結果省略によれば以下の認定に反する部分を除く以下の事実が認められる。なお,争いのない事実を一部含む。 ア被告Aは,平成11年になっても,依然として大量の廃プラスチック様の産業廃棄物を本件土地内に大量に野ざらしで放置しており,その状態は,同年5月30日と同年8月9日原告らによって,確認され,写真撮影されている。しかし,野焼きは確認されていない。 イ岡山県は,平成11年3月11日,別紙図面記載①地点,同図面記載②地点及び同図面記載④地点で水を採取し,水質分析を岡山県環境保健センターに依頼したが,その検査結果は,別紙検査目録記載10のとおりであり,異常は認められなかった。これに対し,原告らが同時に別紙図面記載①地点及び同図面記載④地点で採取したサンプル(ただし,正規の採取方法によったものではなく,一度一升瓶で集められている)。 につき,環境監視研究所に平成11年3月12日に分析を依頼し,中地測量士がした検査の結果は,別紙検査目録記載11のとおりであり,別紙図面記載①地点から環境基準を超える鉛が検出された。岡山県は,同年9月7日には,別紙図面記載①の地点,同図面記載②地点及び同図面記 測量士がした検査の結果は,別紙検査目録記載11のとおりであり,別紙図面記載①地点から環境基準を超える鉛が検出された。岡山県は,同年9月7日には,別紙図面記載①の地点,同図面記載②地点及び同図面記載④地点を含む合計11カ所の水を分析のために採取し,岡山県環境保健センターにその分析を依頼したが,検査結果は,別紙検査目録記載,。 ,,12のとおりであり異常は認められなかったこれに対し原告らがこの調査と同時に別紙図面記載①地点及び同図面記載④地点で水を採取し,同年9月8日に環境監視研究所に検査を依頼したところ,その検査結果は,別紙検査目録記載13のとおりであり,前回同様別紙図面記載①地点から環境基準を超える鉛が検出された。 ウ被告Aは,焼却炉の排ガスの状況が規制を順守していることを証明するために,平成10年と同様に,排出ガス検査を前記エクスラン・テクニカル・センターに依頼した。同社は,同年11月2日,ダイオキシン検査については,三浦工業株式会社三浦環境科学研究所(環境計量士・U)にその検査を委託し,その余の検査事項については,自らがこれを実施した。その検査結果は,別紙焼却炉排出ガス検査目録記載2のとおりであり,環境基準値以下であった。 争点(1)について(1)まず,原告らは,被告Aが本件土地内に産業廃棄物(焼却灰を含む)。 を大量に堆積することによって,重金属類や腐敗性有機物による土壌汚染及び水質汚濁を引き起こし,原告らの居住集落における生活環境を悪化させたものであり,原告らの快適な生活を営むことを内容とする人格権を侵害する不法行為が成立する旨主張するところ,有害物質等の排出による土壌,地上水・地下水,大気の汚染による生活環境の侵害を内容する不法行為の成否については,単に汚染原因物質の排出が法令に定める行政規制に違反 法行為が成立する旨主張するところ,有害物質等の排出による土壌,地上水・地下水,大気の汚染による生活環境の侵害を内容する不法行為の成否については,単に汚染原因物質の排出が法令に定める行政規制に違反するというだけでは足りず,当該規制違反行為の態様,これによって侵害を受ける権利その他の法的利益の性質及び内容,その侵害の程度,とりわけ,侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況,その間に採られた被害防止に関する措置の有無及びその内容,効果等諸般の事情を総合的に考察して,権利その他の法的利益が侵害されているといえるか否か,これが肯定されるとしても,当該被害が一般社会生活上受忍すべき限度を超えているといえるか否かを判断することが必要であり(なお,最高裁判所平成元年(オ)第1682号平成6年3月24日第1小法廷判決・判例時報1501号96頁参照,この見地から,前記不法行為の成立を肯定する)ためには,原告らの生活空間における当該有害物質による汚染の状況等からみて本件土地における汚染原因物質の排出が原告らに対し現に何らかの健康被害を与えているか,そうでないとしても,生活環境の顕著な悪化をもたらしているため原告らにおいて健康被害を受ける危険が差し迫っている状態にあることを要するというべきである。 ところで,前記認定のとおり,被告Aは,本件土地内に遅くとも平成3年5月ころから本件口頭弁論終結時までの間本件土地に廃タイヤ,建築廃材等を搬入し,当初は野焼きによってその後は焼却炉によって焼却するほか,産業廃棄物(焼却灰を含む)を大量に堆積するようになったもので。 あり,後には,その種類も,食品汚泥等のほか,廃プラスチック類,シュ,,ッレッダーダストを搬入し及び焼却するようになったものであるところその期間内における産業廃棄物の搬入総量及び焼却総量は証拠 あり,後には,その種類も,食品汚泥等のほか,廃プラスチック類,シュ,,ッレッダーダストを搬入し及び焼却するようになったものであるところその期間内における産業廃棄物の搬入総量及び焼却総量は証拠上明らかでないが,平成5年10月には野ざらしにした産業廃棄物の一部が本件土地から流出する事態が生じ,その後平成10年3月になるとa谷川に至る谷川のわき水では夏場に水が異臭を放つようになっただけでなく,同じ谷川の流水が白く泡立つような状態になったというのであるから,原告らの生活空間といえる住居内及びその付近における井戸水・河川水や土壌から,あるいは,原告らが日常生活上直接影響を受ける耕作農地及びその周辺の農業用水や土壌から「水質汚濁に係る環境基準について(昭和46年1」2月28日号外旧環境庁告示第59号)及び「地下水の水質汚濁に係る環境基準について(平成9年旧環境庁告示第10号)や「土壌の汚染に係」る環境基準について(平成3年旧環境庁告示第46号)に定める基準値」を著しく上回る量の重金属等が相当期間反復して検出され,あるいは「排水基準を定める総理府令(昭和46年総理府令第35号)に定める基準」値を明らかに上回る腐敗性有機物による水素イオン濃度,生物化学的酸素要求量(BOD,化学的酸素要求量(COD)等の悪化が相当期間反復)して認められるならば,本件土地内における大量堆積及び大量焼却等の前記状況からみて,反証のない限り,重金属等の検出及び腐敗性有機物による汚染は被告Aの前記行為に起因するものと推認するのが相当であり,かつ,その汚染被害によって現に原告らにおいて健康被害を受けるまでに至っていないとしても,その蓋然性が存在するためにいわゆる受忍限度を超えるものといってよく,被告Aの前記行為は,原告らの日常生活の平穏を現に侵害し,及び将 て現に原告らにおいて健康被害を受けるまでに至っていないとしても,その蓋然性が存在するためにいわゆる受忍限度を超えるものといってよく,被告Aの前記行為は,原告らの日常生活の平穏を現に侵害し,及び将来にわたり侵害するものとして,不法行為を構成するものと解するのが相当である。けだし,旧公害対策基本法(昭和42年法律第132号(昭和42年8月3日施行)9条1項及び同法を廃止して)新たに制定された環境基本法(平成5年法律第91条(平成5年11月)19日施行)16条1項によると,政府は,大気の汚染,水質の汚濁,土壌の汚染及び騒音に係る環境上の条件について,それぞれ,人の健康を保護し,及び生活環境を保全する上で維持することが望ましい基準を定めるものとする旨規定され,これを受け,政府においては,前記環境基準を定めるほか,水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)1条に基づき排水基準を定め,環境汚染の原因行為自体を規制しているところ,環境基準の性格は,あくまで行政上の政策目標であって,規制のための基準値としての意味を有するものではないため,これを上回る量の有害物質が検出されたからといって,不法行為を構成するものではないけれども,個人の生活空間においてこれを著しく上回る量の重金属等が検出される事態が相当,,期間継続している場合にあっては健康被害が発生する蓋然性があるため人の健康を保護するために必要な生活環境という法益が現に侵害されているということができ,また,前記排水基準にあっては,それ自体,人の健康を保護し,生活環境を保全するための規制値であり,個人の生活空間でこの基準値を明らかに上回る重金属等が検出される事態が出現している場合にあっては,人の健康被害の蓋然性が存在し,人の健康を保護するために必要な生活環境という法益が現に侵害されている 個人の生活空間でこの基準値を明らかに上回る重金属等が検出される事態が出現している場合にあっては,人の健康被害の蓋然性が存在し,人の健康を保護するために必要な生活環境という法益が現に侵害されているということができるからである。 (2)しかしながら,原告らは,本件において,住居内の井戸水については飲,,用水として谷川水については農業用水として使用していることを理由にその汚染によって原告らの日常生活の平穏を現に侵害され,及び将来にわたり侵害されると主張するもののようであるけれども,井戸水からは,水質検査の結果,これまでに環境基準を超える重金属等が検出された事実がなく(なお,原告Mの尋問結果によると,原告らのうち数名しか井戸水を飲用に使用していなかったが,それらの者も,現在ではc町の勧告に従い飲用に使用していないというのであり,もともとa地区では町営の上水道が敷設されていることからすると,原告らのうち井戸を保有している者において日常的に井戸水を飲料水として使用していたとはたやすく認めることができず,そうであれば,井戸を保有していない原告らはもちろんのこと,井戸を保有している原告らも健康被害を受ける蓋然性がないということができる,また,原告らのうち農業を営む者においては農業用水とし。)て川水又はこれが流れ込むa池水を使用しているものと認めることができるけれども(原告Jの尋問結果によると,少なくとも原告らのうち3名は農業を営んでいないというのであるから,農業を営んでいないものにあっては,この点で,理由のないことが明白である,原告らの保有農地の取。)水口付近における農業用水から,水質検査の結果,これまでに環境基準を超える重金属等が検出された事実もないのであるから(なお,腐敗性有機物による水素イオン濃度,生物化学的酸素要求量(B 農地の取。)水口付近における農業用水から,水質検査の結果,これまでに環境基準を超える重金属等が検出された事実もないのであるから(なお,腐敗性有機物による水素イオン濃度,生物化学的酸素要求量(BOD,化学的酸素)要求量(COD)等の排出基準を上回る悪化が指摘された事実もない,。)原告らの重金属等による水質汚濁を内容とする不法行為の主張は理由がないというべきである。 なお,原告らは,生命,健康を維持し,快適な生活を営むことを内容とする人格権の侵害による不法行為の成立を主張するものであるが,そうであれば,人格権が個人の生命,自由及び尊厳を担保するための権利であるだけに,個人の生活が営まれる住居その他の日常生活が日頃営まれる空間において生命及び健康を保持しえない程度に生活環境が重金属等によって濃厚に汚染され,あるいは汚染に至る危険が切迫していることを主張立証すべきところ(原告らは,現行法制上環境権といった権利を個人的又は集団的に保有するものではないから,原告らの居住するa地区全体の環境悪化自体を問題とする余地はない,原告らは,b山北斜面における重金属。)等の検出にみられる地区周辺の環境の悪化は主張するけれども,原告らの日常生活が営まれている住居内の井戸や耕作農地に生じている被害の有無及び程度につき,これを具体的に明らかにしようとはしないのであるから(井戸の保有状況や農地の保有状況すら明らかでない,原告らの人格権。)侵害による不法行為の主張自体失当であるか,そうでないとしても,具体的な立証がないというべきである。 (3)ところで,本件土地及びその周辺における土壌検査及び水質検査に関しては,別紙検査目録記載のとおり,岡山県及び原告らによって,原告らの住居付近及び原告らの耕作農地付近ではなく,b山北斜面の谷川筋を中心に別紙図 本件土地及びその周辺における土壌検査及び水質検査に関しては,別紙検査目録記載のとおり,岡山県及び原告らによって,原告らの住居付近及び原告らの耕作農地付近ではなく,b山北斜面の谷川筋を中心に別紙図面記載①地点から同図面記載④地点までの各地点で平成4年5月から平成11年3月までの間13回にわたり実施されており,このうち,岡山県が実施した検査では,いずれも重金属等が検出されないか,検出さ,,れてもその量が環境基準以下であるのに対し原告らが実施した検査では別紙図面記載①地点で採取した水から環境基準を大きく上回る量のカドミウム,鉛,砒素が検出されており(前記「水質汚濁に係る環境基準について」によると,人の健康の保護に関する環境基準値は,カドミウム0.01mg/l以下,鉛0.01mg/l以下,砒素0.01mg/l以下である,また,別紙図面記載④地点から採取した水からも環境基準を上回。)る量の鉛が検出されているけれども(もっとも,岡山県と原告らとで同一時刻に同一場所で検査対象を採取したと思われるにもかかわらず検査結果が大きく乖離しており,原告による検査対象の採取方法が証拠上必ずしも,。),明らかでないことからすると検査結果の信用性に問題がないではない別紙図面記載①地点は,本件土地に極めて近いだけに原告らの日常生活が,営まれる住居その他の生活空間とは全く隔絶した場所であるといってよくまた,同図面記載④地点は,鉛以外の重金属等は検出されておらず,しかも平成11年3月と同年9月の検査結果では何ら異常がないことからして濃厚な重金属等による汚染状態にあるとは認められない上,a地区集落に比較的近いものの,原告らの住居及び農地からは相当に距離があるとみられ(最も近い位置にあるとみられる原告Tらからみても相当に距離があるのみならず,他の原告 状態にあるとは認められない上,a地区集落に比較的近いものの,原告らの住居及び農地からは相当に距離があるとみられ(最も近い位置にあるとみられる原告Tらからみても相当に距離があるのみならず,他の原告らに至っては,その住居及び農地までさらに遠距離にあるとみられるが,原告ごとの距離関係は証拠上何ら明確でない,当。)該場所が原告らの日常生活が営まれる住居その他の生活空間に含まれるとは到底いえないから,原告らの検査結果が信頼するに足りるものであると,,しても前記重金属検出の事実から原告らの日常生活の平穏が現に害され又は害される危険が切迫しているということはできない(なお,平成10年8月には,c町によってb山の麓の谷川には流水濾過槽が設置され,汚染された水が原告らの居住する集落内に流れ込むのを防止していることが認められる。また,a池の水質検査でも,化学的酸素要求量(COD)。)につき農業用水基準を上回ったものの,農作物の生長に影響を与えるものではないとされているものであり,同様に原告らの生活空間が重金属等の有害物質以外の有機腐敗物によって汚染されているということも認められない。 この点に関し,原告らは,被告Aが本件土地から排出した有毒物質が地下に浸透し,地下水脈を汚染することを通じ,有毒物質が原告らの居住するa地区集落まで到達する旨主張するけれども,同集落内における地下水の汚染状況の調査が実施されておらず,原告らの主張は,推測の域を出ないものというほかなく,採用することができない。 争点(2)について(1)原告らの日常生活の場所及び生活環境上密接な関連のある生活空間からダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号(平成12)年1月15日施行)7条に基づく環境基準である「ダイオキシン類による大気の汚染,水質の汚濁 生活環境上密接な関連のある生活空間からダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号(平成12)年1月15日施行)7条に基づく環境基準である「ダイオキシン類による大気の汚染,水質の汚濁及び土壌の汚染に係る環境基準について(平成」11年環境庁告示第68号)に定める基準値を著しく超えるダイオキシン類が相当期間内に反復して検出されるならば,本件土地内における大量堆積及び焼却の状況からみて,反証のない限り,ダイオキシン類は,被告Aの前記行為に起因して発生したものが検出されるに至ったものと推認するのが相当であり,かつ,いわゆる受忍限度を超えるものといってよく,被告Aの前記大量堆積及び大量焼却行為は,原告らの日常生活の平穏を現に侵害し,又は将来にわたり侵害するものとして,不法行為を構成するものと解するのが相当である。その理由は,先に2において重金属類等による水質の汚濁及び土壌の汚染につき述べたところと同様である。 (2)ところで,被告Aは,遅くとも平成3年5月ころから本件口頭弁論終結時まで廃タイヤ,建築廃材等を次々に搬入し,本件土地内で野焼きによってこれを焼却しただけでなく,その後廃プラスチック類及びシュッレッダーダストを搬入し,これを野焼きにより焼却するようになり,焼却炉を設置して焼却するようになった後も焼却炉による焼却のほか,これによっては処分できないものについては引き続き野焼きによる焼却を繰り返してきたものであり(平成8年6月には焼却炉による焼却を始めたものの,焼却能力を超える量の焼却をしていただけでなく,行政当局の勧告及び命令を無視し,反復継続的に野焼きを実施し,その焼却灰を堆積放置した,そ。)の間,b山頂上付近では,野焼きによる黒煙が上がり,夜間には火柱とも見まがう火炎が上がり,風向き・風速によっては刺激臭のある異 無視し,反復継続的に野焼きを実施し,その焼却灰を堆積放置した,そ。)の間,b山頂上付近では,野焼きによる黒煙が上がり,夜間には火柱とも見まがう火炎が上がり,風向き・風速によっては刺激臭のある異臭が漂ってくるといった状態であったため,原告らの通報等を受けた岡山県等からの野焼き禁止の指導を再三にわたり受けたが,これに従わずに野焼きを継続してきたものであるところ(野焼き行為に対する岡山県の行政指導が厳しくなると,その監視の目を逃れるため,夜間や早朝に野焼きを実施するようになった。なお,野焼きの一部については,シュレッダーダストの自然発火によるものも含まれることが強く推認されるが,自然発火のためには条件が必要であり,夜間や早朝における野焼きの多くは,被告Aの野焼きによるものと認められる,ダイオキシン類は,塩素化合物が燃焼して。)発生する有機性ガスと塩化水素との化学反応によって生成される有毒物質であり,野焼きや焼却炉での燃焼であっても不完全燃焼の場合に発生しやすいが,本件土地内に搬入された産業廃棄物の種類が廃タイヤ,廃プラス,,チック類といった塩素化合物を含むものであることからすると被告Aは平成3年5月ころから本件口頭弁論終結時まで産業廃棄物の焼却処分によ(。 ってその量はともかく継続的にダイオキシン類他の大気汚染物質も含む以下同じ)を発生させていたものと推認することができるというべきで。 ある(なお,被告Aが平成10年及び平成11年にした焼却炉の排気ガス検査によれば,焼却炉の使用によって発生するダイオキシン類の量は環境基準未満の量であるかのごとくであるが,特に平成11年実施のもの(ダイオキシン類の毒性等量が0.20ngTEQ/立方メートルNとされたもの)については,旧厚生省が定めるダイオキシン類測定方法であるダ。 イオ 量であるかのごとくであるが,特に平成11年実施のもの(ダイオキシン類の毒性等量が0.20ngTEQ/立方メートルNとされたもの)については,旧厚生省が定めるダイオキシン類測定方法であるダ。 イオキシン類の採取部の冷却や適切なダイオキシン類の補修方法が履行されていないため,これをもって焼却炉から微量のダイオキシン類しか排出していないということはできない。 。)(3)しかしながら,被告Aが野焼き及び焼却炉による焼却によって排出したダイオキシン類によって原告らの主張する人格権が侵害されているというためには,前述のとおり,原告の日常生活の場及び生活環境上密接な関連のある生活空間が生命,健康を保持しえない程度にダイオキシン類によって濃厚に汚染され,あるいは汚染に至る危険が切迫していることを主張立証すべきところ,原告らは,その住居及び農地のあるa地区の大気中又は地上におけるダイオキシン類の存在につき,何ら具体的に明らかにしようとはしないのである。すなわち,原告らは,このダイオキシン類は,本件土地のあるb山頂上で発生した後,焼却煤煙とともにその北斜面に沿って麓の居住地区まで至ると主張し,確かに甲第72号証及び原告Jの尋問結果によれば,本件土地内における野焼きによって発生したとみられる煙が,原告らの居住するa地区上空まで到達することがあることが認められるがこのように,煙が到達する頻度・回数については,これを認めるに足りる証拠が何らないだけでなく(原告Jも,本人尋問において,このような現象は夕凪のときに生じるにすぎない旨供述する,およそ季節及び時刻に。)よって大きく変化する風向及び風速いかんにかかわらず本件土地で発生した煙が常時原告らの居住地区の上空に到達しているとは到底認め難いところであり,仮にその一部が到達しているとしても,本件土地 に。)よって大きく変化する風向及び風速いかんにかかわらず本件土地で発生した煙が常時原告らの居住地区の上空に到達しているとは到底認め難いところであり,仮にその一部が到達しているとしても,本件土地がb山頂上付近にあって,原告らの居住するa地区よりも約200メートル高所にあることからすると,焼却煙とともに排出されたダイオキシン類も気流によって約900メートル離れたa地区上空に到達するまでに大きく拡散・希釈されるものと推測することが可能であるから,原告らにおいてダイオキシン類による汚染を主張するのであれば,原告らは,a地区の大気中又は原告らの住居及び農地における環境基準値を大幅に超えるダイオキシン類の,,,,存在を立証すべきところ原告らは本件土地の検証の申し出をしかつ本件土地内の土壌の含む有害物質の鑑定の申し出はしても,前記事実につき何ら立証しようとしないのである。 そうすると,被告Aの野焼き行為等は,回数,態様,継続期間のいずれの点からみても,原告らに多大な不安感を与えるものであるが,そうであるからといって,原告らの生活環境の保全上具体的な支障が生じているわけではないから,いわゆるダイオキシン類による大気汚染等について受忍限度を超えるものであるか否かを論じるまでもなく,原告らの人格権侵害による不法行為の主張は主張自体失当であるか,そうでないとしても,立証が何らなされていないため,採用することができない。 争点(3)について(1)前記認定事実によれば,被告Aは,遅くとも平成3年5月ころまでには本件土地内に大量の建築廃材等の産業廃棄物を搬入し,これを堆積することによって従来すり鉢状であった本件土地の地形を平坦な地形に変えるまでに至らしめたものであり,その後も,周辺土地への流出を防止するため,,擁壁を設けるといった 業廃棄物を搬入し,これを堆積することによって従来すり鉢状であった本件土地の地形を平坦な地形に変えるまでに至らしめたものであり,その後も,周辺土地への流出を防止するため,,擁壁を設けるといった措置を講じることなく大量に産業廃棄物を搬入しこれを堆積し続けた結果,平成5年10月ころ,本件土地内から南北約85メートル,東西約15メートル,深さ約2メートルにわたり建築廃材等の産業廃棄物を流出させるに至ったため,岡山県から行政指導を受け,よ,うやく平成6年6月ころにまでに流出した産業廃棄物を撤去するとともに本件土地と隣接地との北側境界線沿いに土留め堰堤を築造したものであるところ(この土留め堰堤は,岡山県の土留め堰堤工事の仕様に従い設計されたものである,この土留め堰堤が築造される以前にあっては,本件土。)地からa地区集落の南端まで約900メートルの距離がある上,谷川筋の途中に砂防堤が設置されていることからして,同集落まで産業廃棄物が到達する否かはともかく,本件土地と麓のa地区との間に高低差が200メートルあることからすると,前記流出事故にみられるように,堆積された産業廃棄物が本件土地から流出し,北側斜面の谷川筋沿いにa地区に向かい相当程度の距離を流下する危険性があったことは否定することができないが,前記のとおり土留め堰堤が築造されたことによってそれ以後その危険は解消されたものということができるものである。被告Aは,土留め堰堤築造後も本件口頭弁論終結時まで,引き続き建築廃材及び廃プラスチック類やシュレッダーダストの搬入堆積を続けたものであり,このうちシュレッダーダストが行政代執行によって平成10年7月ころに撤去されたものの,建築廃材及び廃プラスチック類は,その量が原告主張の約1万0000トンであるか否かはともかく,依然大量に本件土地 このうちシュレッダーダストが行政代執行によって平成10年7月ころに撤去されたものの,建築廃材及び廃プラスチック類は,その量が原告主張の約1万0000トンであるか否かはともかく,依然大量に本件土地に堆積されているところ,原告らは,この建築廃材及び廃プラスチック類が流出する危険性,,があるため本件土地から搬出することを求めるというのであるけれども既に6年以上の長期間にわたり同様の流出事故が発生していないことからすると,原告ら主張の危険性があるということはできない。 (2)以上のとおり,被告Aにおいては,b山頂上付近という原告らの居住地からすると約900以上南方に位置し,かつ,約200メートル高所に位置する本件土地に大量の産業廃棄物を搬入し続けたものであり,原告らが大雨時には堆積した産業廃棄物が頂上から北斜面を流れ下ってa地区まで到達するのではないかという危惧の念を抱いたとしても,それが全くの杞憂であるというのは相当でないが,その危惧は,あくまで漠然たるものにとどまるものであるといってよく,原告らの生命,身体及び財産に対し被害をもたらす差し迫った危険が存在しているということはできないから,,そのために原告らの生活の平穏が著しく害されているということはできず原告ら主張の不法行為が成立する余地はないというべきである。 なお,本件土地から原告らの居住するa地区集落付近までは高低差約200メートルの急斜面であるため産業廃棄物が谷川筋を流下し,同集落の南端付近まで到達するとしても,同南端付近からさらに原告ら所有の住居及び農地まで到達し,原告らの生命,身体及び財産に対し具体的な被害をもたらす差し迫った危険が存在するというためには,原告ら所有の住居及び農地まで到達すると推測される産業廃棄物の総量のほか,同南端付近か,ら原告ら所有の住居及び 命,身体及び財産に対し具体的な被害をもたらす差し迫った危険が存在するというためには,原告ら所有の住居及び農地まで到達すると推測される産業廃棄物の総量のほか,同南端付近か,ら原告ら所有の住居及び農地に至る地形及び距離を明らかにすべきところこの点は,証拠上何ら明確ではなく,少なくとも原告ら全員が到達する産業廃棄物によって被害を受ける位置にあることの立証は何らなされていないものである。 原告らの主張は理由がなく,採用することができない。 その余の争点について(1)既に,争点(1)ないし(3)の関係で検討したように,被告Aは,長期間にわたり本件土地に建築廃材を始めとする多種多様の産業廃棄物を搬入し続け,その処分のため野焼き等を繰り返し,岡山県知事及び倉敷保健所からは再三再四勧告や命令を受けながら,このうち,土留め堰堤の築造や食品汚泥等の撤去は実施したものの,その余の勧告や命令は,ほとんど無視して野焼き等を継続し,かつ,許可条件に違反して産業廃棄物を搬入・堆積してきたものであり,遵法精神に乏しいことは顕著であるといってよいため,原告らが被告Aの前記行為に対し強い不安感を抱き続けてきたとしても無理からぬものがあるということができるけれども,原告らが,被告Aに対し,既に搬入された産業廃棄物の本件土地からの搬出を求め,かつ,将来にわたり産業廃棄物一般の搬入差し止めを求めることが許されるためには,その結果被告Aの受ける不利益に著しいものがあるため,行政取締法規違反があるというだけでは足りず,産業廃棄物等から排出される有害物質が原告らの住居等を中心とする日常生活の場まで到達し,その結果,,,,個々の生活空間における大気土壌地上水及び地下水が濃厚に汚染され又は汚染されるに至ることが確実であることが明確に立証されることが必要であるとこ する日常生活の場まで到達し,その結果,,,,個々の生活空間における大気土壌地上水及び地下水が濃厚に汚染され又は汚染されるに至ることが確実であることが明確に立証されることが必要であるところ,原告らが主張し,立証するところによっては,原告らの居住するa地区集落の比較的周辺で環境基準を大きく上回る重金属による水質汚濁が一部認められるというに過ぎず,前記生活空間において有害物質による濃厚な土壌汚染,水質汚濁及び大気汚染のため原告らが健康被害を受ける危険が切迫していることは何ら明確になっていないから,原告らの人格権を侵害することを内容とする不法行為の主張は,それ自体失当であるか,そうでないとしても,立証がないというべきであり(原告らが居住するa地区周辺で有害物質が検出されたからといって,その場所が原告らの日常生活の場である,そうでないとしても日常生活と密接な関連のある生活空間であるということができない以上,原告らの健康被害が具体的に懸念される事態にないことは極めて明白である,そうであれば,原告。)らが被告Aに対し,不法行為を理由に,既に搬入された産業廃棄物の本件土地からの搬出を求め,かつ,将来にわたり産業廃棄物一般の搬入差止めを求めることは,被告Aの土地所有権その他の法的利益を著しく損なうものであって,許されないというべきである。また,原告らの日常生活の場が有害物質によって濃厚に汚染され,このため健康被害が懸念される事態が出現しているわけではないのに,快適な生活を営むことを内容とする人格権が侵害されたということはできないから,原告らがこのために精神的苦痛を受けたということができないことも明白であって,損害賠償請求は失当である。 付言すると,被告Aは,本件土地で野焼き等といった行政取締法規違反を繰り返しているものであるが,そう このために精神的苦痛を受けたということができないことも明白であって,損害賠償請求は失当である。 付言すると,被告Aは,本件土地で野焼き等といった行政取締法規違反を繰り返しているものであるが,そうであるからといって,それが一般私人である原告らの権利その他の正当な生活利益の侵害を意味するものでないことは自明の事柄であり,この行政取締法規違反行為のゆえに原告らが被告Aに対し当該行為の差止めを求めることができないことはむろんであり,原告らとしては,あくまで自己の権利その他の法的利益が侵害され,又はその危険が差し迫っている事実を主張立証すべきであるのに,この点を明確にしようとはしないものである。 (2)被告Aの不法行為責任を肯定しえない以上,被告Bの共同不法行為責任を問題にする余地はないけれども,この点に関する原告らの主張につき念のため触れておくと,被告Bが被告Aと共同して不法行為をしたというためには,主観的共同又は客観的行為の関連性が必要であるところ,前記認定したとおり,被告Aと被告Bが既知の間柄であり,被告Bがにおいては被告Aによる土地所有権侵害行為に対してその差止めを求めるなどの毅然たる対応をしていないことが明白であるが,そうであるからといって被告Bと被告A間に共謀があると推認するには十分といえないから,主観的共謀の事実は認められない。また,客観的行為の関連による共同不法行為にしても,被告Bの行為は,被告Aによる産業廃棄物の搬入堆積及び焼却行為の黙認放置という不作為であるため,被告Bに対し単独で産業廃棄物を撤去させるという作為義務を課するのを相当する特段の事情が存在しない限り共同不法行為の成立を肯定することはできないというべきところ,原告らの日常生活の場が有毒物質によって濃厚に汚染され,このため健康被害が懸念される事態が出現したわ を相当する特段の事情が存在しない限り共同不法行為の成立を肯定することはできないというべきところ,原告らの日常生活の場が有毒物質によって濃厚に汚染され,このため健康被害が懸念される事態が出現したわけではないことからすると,この意味の特段の事情が存在するということはできない。 第4 結論 よって,原告らの被告らに対する請求はいずれも理由がないから,これを棄却し,訴訟費用の負担につき,民事訴訟法61条,65条1項を適用して,主文のとおり判決する。 岡山地方裁判所第1民事部裁判長裁判官渡邉温裁判官酒井良介及び裁判官竹尾信道は,転任につき署名押印することができない。 裁判長裁判官渡邉温(別紙図面,別紙検査目録省略)
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