【DRY-RUN】主 文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事 実 第一 当事者の求めた裁判 一 請求の趣旨 1 原告に対し、昭和四三年七月一〇日、被告がした三か月間俸給の月額
主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 第一当事者の求めた裁判一請求の趣旨 1 原告に対し、昭和四三年七月一〇日、被告がした三か月間俸給の月額の一〇分の一を減給する旨の懲戒処分を取消す。 2 訴訟費用は被告の負担とする。 二請求の趣旨に対する答弁主文同旨第二当事者の主張一請求原因 1 原告の地位原告は、昭和四三年四月当時、松本郵便局(以下、松本局という。)集配課に勤務し、全逓信労働組合(以下、全逓という。)長野地区中信支部松本分会の組合員であり、集配課職場委員長の地位にもあつたものである。 2 本件懲戒処分の存在被告(本件懲戒処分当時の名称は、長野郵政局長で、のち現名称である信越郵政局長に変更された。)は、昭和四三年七月一〇日付をもつて、原告に対し別紙記載の処分の理由をもつて減給三か月間俸給月額一〇分の一の懲戒処分(以下、本件処分という。)をした。 3 審査請求の存在これに対し、原告は昭和四三年七月二二日人事院に対し審査請求をしたが、いまだに人事院の裁決がなされていない。 4 結論本件処分は、違法であるから取消されるべきである。 二請求原因に対する認否 1 請求原因1のうち、原告が集配課職場委員長の地位にあつたことは不知、その余は認める。 2 同2、3は認める。 3 同4は争う。 三抗弁原告に対する本件処分の理由は次のとおりである。 1 昭和四三年四月一日関係原告は、同日午前九時ころ行なわれた松本局職員A(以下、Aという。)、B(以下、Bという。)、C、D、E(以下、Eという。 )、F(以下、Fという。)の局内配置換(以下、本件配置換という。)について、勤務時間中であつたにもかかわらず、同局集配課事務室において、(一) 午前九時二三分ころ、集配課主事席の近 下、Eという。 )、F(以下、Fという。)の局内配置換(以下、本件配置換という。)について、勤務時間中であつたにもかかわらず、同局集配課事務室において、(一) 午前九時二三分ころ、集配課主事席の近くに立つて同課の担務指定表を見ていた同局集配課長G(以下、G集配課長という。)につめより、「今回の人事についてどう思う。」などとなじるような口調で抗議し、(二) 午前九時二五分ころから同九時三〇分ころまでの間、同課職員約二〇名とともにその前面に立つて、G集配課長および同局庶務課長H(以下、H庶務課長という。)の再三にわたる就労命令を無視して、同局長I(以下I局長という。)の命により局内巡視のため同課事務室に来ていたH庶務課長に対し、「庶務課長が他課へ来て何を言うのだ。」、「仕事、仕事となんだ。」、「こんな状態で仕事ができるか。」、「われわれには集配課長がいる。よその課長が何をいう。」、「帰れ、この野郎。」などと激しく大声で暴言を浴びせ、執拗に集団抗議を行ない、(三) 午前九時三〇分ころから同九時四二分ころまでの間、同課職員一〇数名とともに、I局長およびG集配課長の再三にわたる就労命令を無視して、局内巡視のため同課事務室に来ていた同局長に対し、「この人事を局長はどう思つているか。」などと語気を強めて激しく抗議し、(四) この間午前九時二五分ころから同九時四二分ころまでの一七分間勤務を欠いた。 2 昭和四三年四月四日関係原告は、同日勤務時間中にもかかわらず松本局集配課事務室において、(一) 午後一時一三分ころから同一時一六分ころまでの間、同局集配課副課長J(以下、J副課長という。)に対し、J副課長がK課長代理(以下、K課長代理という。)に命じて市内通常配達区(以下、市内通配区という。)の道順組立棚から大口利用者あての郵便物を、配達の混雑を緩 課長J(以下、J副課長という。)に対し、J副課長がK課長代理(以下、K課長代理という。)に命じて市内通常配達区(以下、市内通配区という。)の道順組立棚から大口利用者あての郵便物を、配達の混雑を緩和するため昼の休憩時間中に抜き出させたことについて、「当務者に無断で郵便に手を触れるのはおかしい。」「そういうことなら、毎日大口は全部フアイバーに納めて課長席へ持つて行く。」などとつめよりながら抗議し、加えて抗議をやめて仕事をするよう命じたG集配課長に対し、その就労命令を無視して道順組立棚からフアイバーに郵便物を入れる真似をしながら空のフアイバーを持ち上げ、これを同課長の右大腿部付近にぐつと押し付けるという暴行を行なつた。 この間午後一時一三分ころから同一時一六分ころまでの三分間勤務を欠いた。 ちなみに、J副課長がK課長代理に指示して大口利用者あての郵便物を抜き出させたのは、J副課長が同日午後〇時四〇分ころ市内通配区各区の道順組立棚を点検したところ、一号便の持戻り郵便物等が相当多く、労働基準法三六条に基づく時間外労働に関する協定も締結されていないところから、二号便の完配は困難と判断し、郵便物配送の円滑化を図るために大口利用者あて郵便物約八〇〇通を午後〇時五五分ころまでの間に抜き出して集めさせたものであり、その旨は午後一時過ぎころJ副課長から職員に周知されていたものである。 (二) 午後一時一八分ころ、自席で前記(一)掲記の事実をメモしはじめたG集配課長に対し、突然「時間休をとる。」と言つて年次有給休暇(以下、年休という。)請求書を同課長に提出し、同課長が業務に支障があると判断して原告請求時間の年休は承認できない旨原告に伝えたところ、原告はいきなり同課長が机上のゴム板の下にはさんでおいた右メモ用紙五、六枚を取り上げ、同課長が返すよう要求したに 長が業務に支障があると判断して原告請求時間の年休は承認できない旨原告に伝えたところ、原告はいきなり同課長が机上のゴム板の下にはさんでおいた右メモ用紙五、六枚を取り上げ、同課長が返すよう要求したにもかかわらず書きかけのメモ用紙一枚を左手で握りつぶし、他の白紙のメモ用紙のみを同課長の机上に返し、該メモ用紙一枚を持ち去つて返還しなかつた。 3 処分根拠法令(一) 前記1(一)、2(二)の行為、1(二)のうち「激しく大声で暴言を浴びせ、執拗に集団抗議を行なつた行為」、1(三)のうち、「語気を強めて激しく抗議した行為」、2(一)のうち、「つめよりながら抗議した行為」、「空のフアイバーを持上げ課長の大腿部付近にぐつと押し付けた行為」は、国家公務員法(以下、国公法という。)九九条前段・後段に違反し、同法八二条一号前段、三号に該当する。 (二) 前記1(二)、(三)のうち、「再三にわたる就労命令を無視した行為」、2(一)のうち、「就労命令を無視した行為」は、同法九八条一項後段に違反し、同法八二条一号、二号の各前段、三号に該当する。 (三) 前記1(四)の「一七分間の欠務行為」、2(一)のうち、「三分間の欠務行為」は、同法一〇一条一項前段に違反し、同法八二条一号、二号の各前段、三号に該当する。 四抗弁に対する認否 1 抗弁1冒頭の事実中の昭和四三年四月一日午前九時ころ本件配置換が行なわれたこと、同午前九時二三分以降同九時四二分に至るまでの時間が原告の勤務時間であり、その間原告が集配課事務室内にいたことは認める。 2 同1(一)のうち、午前九時二三分ころ、原告が集配課主事席付近においてG集配課長に対し「今回の人事についてどう思う。」と尋ねたことは認め、その余は否認する。 原告は、同課長に対し、Aの本件配置換の理由を尋ねただけであり、なじるような発言を 集配課主事席付近においてG集配課長に対し「今回の人事についてどう思う。」と尋ねたことは認め、その余は否認する。 原告は、同課長に対し、Aの本件配置換の理由を尋ねただけであり、なじるような発言をしたこともなければ、また抗議もしていない。当日午前中は、集配課の職員は同課長に対しては何ら抗議を行なわず、質問および職場交渉が行なわれたに過ぎない。また原告はこの時、抗議が過熱することを恐れ、職場委員長の立場から、むしろこれを制止しようとしていたものである。 3 同1(二)は否認する。 H庶務課長が集配課事務室に入つてくると、Aは真先に同課長のところに行き、本件配置換の理由を問い質しはじめ、他の者も同課長が入つて来たのを知ると、次々と同課長の回りに集まり、それぞれその理由を問い質した。そこで原告もその場に赴き、これらの者の仲間入りをし、同課長と約一メートル位の間を置き、ちようど半円形を描くようにして同課長の回りに立つた。その際特に誰かが中心になつて同課長を取り囲んでいたとか、特に一部の者が同課長に特別接近していたということはなかつたのである。Aの本件配置換について最も多く発言したのはA自身であり、原告はAらが抗議する中で、これ以上騒ぎが大きくなつてはいけないと考え、同課長に対し、「我々には、G課長がいるんだから、この場から立ち去つてもらいたい。」と述べたに過ぎない。 4 同1(三)は否認する。 集配課事務室にI局長が現われたため、H庶務課長の囲りに集まつていた者は全員I局長の囲りに集まり、今度は同局長に対し、本件配置換の理由を問いはじめた、そして同局長の囲りには原告らが同局長と約一メートル間を置くようにして半円形を描いて集まり、この時もAが最も多くかつ強く発言しているのである。また原告が同局長に近寄つたのは、H庶務課長の場合と同じく、I局長と 長の囲りには原告らが同局長と約一メートル間を置くようにして半円形を描いて集まり、この時もAが最も多くかつ強く発言しているのである。また原告が同局長に近寄つたのは、H庶務課長の場合と同じく、I局長と組合員との無用な紛争を防止するためであり、いわんや原告が、被告が強調するような語気を強めた激しい発言をしたことなどは一切ない。 5 同1(四)は勤務を欠いたことは認め、その時間については争う。 6 同2冒頭の事実は、昭和四三年四月四日午後一時一三分ころ以降同一時一六分に至るまでの間が原告の勤務時間であり、その間、原告が集配課事務室にいたことは認めるが、その余は否認する。 7 同2(一)前段のうち、J副課長がK課長代理に命じて市内通配区の道順組立棚から大口利用者あての郵便物を、昼の休憩時間中に抜き出させたこと、原告がJ副課長に対し「当務者に無断で郵便に手をつけるのはおかしい。」と申し述べたことは認め、その余は否認する。 原告は、普通の状態で右申し入れをしたに過ぎず、同副課長に抗議したという事実はない。原告と同副課長のやりとりの間に、原告はその時点ですべき道順組立作業は終了していたが、そのころ、G集配課長が原告のそばに寄つて来たのである。 そこで原告は、同課長に対しても「大口を一方的に抜き取るのはやめて欲しい。」旨申し入れをしたが、同課長はこれに受け答えすることなく、ただ仕事をしろというだけであつたので、原告は同課長に対し、冗談のつもりで、「それでは以後我々が自主的に大口を抜く、これも大口だから持つて行つてもらいたい。」と言いながら、そばにあつた空のファイバーを持ち上げて、そこに大口が入つているかのようなジェスチャーをしたのである。従つて、原告は同課長に対し暴行を加えるなどという意思は毛頭なく、またファイバーを同課長に対し押し付けるということもなけ ーを持ち上げて、そこに大口が入つているかのようなジェスチャーをしたのである。従つて、原告は同課長に対し暴行を加えるなどという意思は毛頭なく、またファイバーを同課長に対し押し付けるということもなければ、事実ファイバーが、同課長に接触したこともない。 8 同2(一)中段は認める。但し、同日午後一時一五分から約一〇分間は原告の手空き時間であつた。 9 同2(一)後段(ちなみに以下の部分)は否認する。 10 同2(二)のうち、原告が午後一時一八分ころG集配課長に対し、時間休をとりたいとして年休請求書を提出したこと、同課長が休暇を承認しないと原告に伝えたこと、原告が同課長の机上にある卓上日記の用紙一枚を手に取つたことは認め、その余は否認する。 原告は大口郵便物の抜き取りについて、同課長と話をすべく同課長の席に行つたところ、同課長は話し合いに応ぜず、ただ仕事をしなさいというだけであつたので、原告は年休をとつて同課長と話し合いをしようと考え、同課長に対し年休請求用紙を差し出し、同課長に対し、「時間休をくれ。」と話しかけた。このとき同課長の机上の卓上日記の一番上の用紙に「L」という名が原告の目にとまつたので、原告はそこに何が書いてあるのかと思い、その一枚を左手でつかみ卓上日記を手許に引き寄せたところ、その一枚が破れ、結果的に原告がその一枚を取つたことになつてしまつたに過ぎない。まだ右用紙の記載内容はまさに同課長のメモ程度であり、特別業務上の秘密事項であるとか、あるいはそのメモは紛失によつて業務が著しく阻害されるようなものではなかつた。 11 同3は争う。 五原告の主張 1 G集配課長に対するファイバーの押し付け行為は処分理由となしえない。 被告は、原告が同課長に対し空のファイバーを押し付け同課長に暴力を加えたと主張し、この点をも本件処分の理由の一つと 原告の主張 1 G集配課長に対するファイバーの押し付け行為は処分理由となしえない。 被告は、原告が同課長に対し空のファイバーを押し付け同課長に暴力を加えたと主張し、この点をも本件処分の理由の一つとしてあげている。しかしながら、被告が本件処分に際して原告に交付した処分説明書には右の点については何ら記載がなく、従つて、右暴行の点は、本件処分の理由とはなつていなかつたのである。なるほど「…持ち去る等して」とあつて「等」の文字があることは事実であるけれども、右「等」のうちに「押し付け」行為が含まれていると解することはできない。 もともと処分理由書は、国公法八九条一項によつてその交付が処分庁に義務づけられているのであるが、法がかかる文書の交付を義務づけているゆえんは、懲戒権者において懲戒に該当する一定の具体的事実を確定し、これを文書化することによつて、いかなる理由で懲戒処分がなされたかを客観的に明らかにしてそこに懲戒権者の恣意の介入を防止するとともに、同文書を当該公務員に交付して不服申立を容易ならしめ、もつて処分の公正と公務員の身分保障を確保することにある。一方取消訴訟における争点は、当該処分が違法か否か、すなわち、当該公務員が処分理由書に記載されているような行為をしたか否かであり、処分当時のすべての事実から判断して当該公務員が当該処分に値する行為をしたか否かではないのである。従つて、本件訴訟において、処分理由書に記載のない事実を新たに処分理由の一つとして主張することは許されない。 2 本件処分の背景(一) 原告の経歴・組合活動歴について(1) 原告は、昭和三二年松本局にアルバイトとして雇用され、同三六年本採用となり、以後今日まで集配課に勤務している。 (2) 原告は昭和三五年八月全逓に加入し、以後同三七年に松本分会の青年部書記長、同三八年お は、昭和三二年松本局にアルバイトとして雇用され、同三六年本採用となり、以後今日まで集配課に勤務している。 (2) 原告は昭和三五年八月全逓に加入し、以後同三七年に松本分会の青年部書記長、同三八年および三九年に中信支部青年部部長、同四〇年に中信支部執行委員、同四一年ないし四三年に松本分会集配職場の職場委員長、同四三年および四四年に中信支部執行委員を歴任している組合活動家である。 (3) 原告は前記のとおり、昭和四一年ないし四三年に松本局集配職場の職場委員長をしていた。当時の松本局に勤務する組合員は、中信支部の一分会である松本分会を組織し、松本局内の各課職場は、組合活動面において集配職場、保険職場、貯金職場、共通職場(庶務・会計)と呼ばれており、各職場には職場委員と呼ばれる役員がおり、本件当時集配課には原告、M、Nの三名がおり、三名のトツプに原告が位置し、原告は職場委員長と呼ばれていた。 (4) そして職場から起こる具体的問題について集配課の組合役員(本件当時はA支部執行委員、O松本分会長および右職場委員)は、集配課長と課長席あるいは休憩室において話し合いをして問題の解決にあたつていた。そして時には、集配課長からの申し入れによつて話し合いがなされること、また勤務時間中になされることもあつた。 (二) A外三名の配置換に至る経緯についてA、B、E、Fに対する本件配置換は、同人らの組合活動を嫌悪してなされた不当労働行為である。 (1) 郵政省の労務政策について(イ) 郵便事業の主たる業務は、郵政省がこれを独占して運営している郵便物の集配業務である。この集配業務は、ポストから郵便物を集め、これを各戸に配達することであつて、現段階では機械化が不可能であるから、多数の郵便労働者の手によつて運営されなければならない性質のものである。そのために郵便業務の 集配業務は、ポストから郵便物を集め、これを各戸に配達することであつて、現段階では機械化が不可能であるから、多数の郵便労働者の手によつて運営されなければならない性質のものである。そのために郵便業務の円滑な運営は、正に現場で働く労働者の健全な精神・肉体に依存せざるを得ず、現場の労働条件の向上、職場における人間関係の尊重が郵政省の労務管理上の重大な施策とならざるを得ない。 ところが、郵政省は郵便業務の円滑な運営という大義名分を掲げ、口では労働条件の向上、人間関係の尊重を謳いながら、現実には労働者を個々に分断して弧立させ、互いに競争するように仕向けて、郵政業務の能率化を図るという恐るべき労務政策を行なつてきた。職場の秩序は命令と服従という権力支配のみによつて維持され、これに文句を言う者に対しては懲戒処分という制裁が待ち受けている。郵政省は労働者を機械の一部と同視し、一定の油(給与)を対価に黙つて働けといわんばかりである。しかしながら、郵政労働者は、油が不足と思つても文句(争議)を言うことは許されていない。さらに現場では、仲間との不和が職場を暗くし、上司の言葉一つがその日の作業能率に多大の影響を及ぼしている。にもかかわらず、郵政省はこうした現実に目をつぶり、おとなしい労働者には飴(昇任・昇格)を与え、権利を主張する労働者には鞭(昇任・昇格差別、わずかなことについての懲戒処分)を与えるといつた労務政策をとつているのである。 (ロ) 郵政省が右のような労務政策を打ち出してきたのは、昭和三七年ころからであり、そのねらいは、永年に亘つて職場に確立されてきた労働慣行ないし労働者の権利を一方的に剥奪すること、これら労働慣行を含め労働者の権利を擁護する全逓を破壊することにあつた。 (2) 松本局における労使関係について(イ) 松本局は信越郵政局管内にあつて 慣行ないし労働者の権利を一方的に剥奪すること、これら労働慣行を含め労働者の権利を擁護する全逓を破壊することにあつた。 (2) 松本局における労使関係について(イ) 松本局は信越郵政局管内にあつて従来から組合運動の活発な局であつた。 ところが同郵政局においても、前記郵政省の労務政策が浸透し始め、次第に全逓に対する攻撃が強くなつた。そのため昭和四一年八月から同四二年七月までの間、松本局組合員が所属する全逓中信支部の支部長P(以下、Pという。)は、組合専従となつて右攻撃に対処した。全逓において支部長が専従に就くことは希有なことであり、このような事実は、当時中信支部に対する攻撃がいかに激しかつたかを物語るものである。 (ロ) 昭和四二年五月一二日、一九名の職員によつて全郵政松本支部が結成された。 (ハ) 昭和四二年七月一二日I局長が、同年八月一〇日H庶務課長が相次いで松本局に赴任した。同局における同人らの主たる任務は、当時信越郵政局内においてまだ強力な組織を誇つていた松本局集配課の全逓組織を切り崩すこと、かつ全郵政松本支部の強化育成であつた。I局長は、松本局に赴任する前に信越郵政局から松本局集配課の「悪慣行」として、(a)出勤簿の押印の問題、(b)一斉出発の問題、(c)一三分の休憩時間の問題を指摘され、これらを是正するよう求められていた。I局長は右「悪慣行」がすべて組合の責任であり、組合を何とかしなければならないという態度を示していた。H庶務課長も組合に対し極めて挑発的な態度で臨んでいたものである。 (ニ) I局長は、松本局に赴任後、全逓または組合員に対し数々の不当労働行為をしたが、本件配置換前になされた不当労働行為の一端を示せば、次のとおりである。 (a) Q(以下、Qという。)に対する全逓脱退の強要昭和四二年一一月一日、松本局郵便課職員の 対し数々の不当労働行為をしたが、本件配置換前になされた不当労働行為の一端を示せば、次のとおりである。 (a) Q(以下、Qという。)に対する全逓脱退の強要昭和四二年一一月一日、松本局郵便課職員のQは、長野郵政局郵務部勤務の発令を受け、同郵政局に転勤した。これに先だち、転勤が内定した後、同人は数回I局長から呼ばれ、同局長から「Q君は、今年限りで郵政局の受験資格はなくなるが、(同僚の)Rさんはまだある。そこいらの事情を考えたらどうだろう。」「組合活動はしない方がよい。」等と言われ、また同席したH庶務課長から「全逓を脱退するように。」「郵務部という所は、殆んど全郵政の組合員ばかりだ。全郵政の中で一人全逓として残つていても、仕事に差支えるぞ。」と言われた。その後、Qは、同課長に対し、仲間の全逓組合員に対する配慮から、転勤後一ケ月位経つてから脱退したい旨伝えると、同課長は「松本局にいる間に脱退しなければ意味がない。もし、そんなことをするなら、また松本へ帰されることもあり得る。」と言つた。その結果、Qは、郵政局に赴任した一一月二日、全逓を脱退し、同時に全郵政に加入した。 (b) S(以下、Sという。)に対する差別人事昭和四二年一一月一日現在松本局保険課長代理のポストが欠員となり、その補充は保険課主席主事であるSが適任と看做されていた。ところが、Sは当時全逓組合員であり、過去において全逓長野地区本部執行委員等の経歴を有していたため、同年一二月に入り、保険課長から「郵政省人事部長の話によると、全逓に加入していては、課長代理に発令されないだろう。」と言われた。そのため、同人は同月二一日付で全逓を脱退した。 (c) T(以下、Tという。)の配置換人事昭和四二年一二月、松本局保険課のT事務官が会計課に配置換されたが、その約一週間前、U庶務課長代理は た。そのため、同人は同月二一日付で全逓を脱退した。 (c) T(以下、Tという。)の配置換人事昭和四二年一二月、松本局保険課のT事務官が会計課に配置換されたが、その約一週間前、U庶務課長代理は配置換内容を事前に職員の間に洩らし、同事務官に対し全逓から脱退すれば発令が円滑に行なわれるものであることを暗示した。 (d) 神田公民館の件昭和四三年一月一六日、神田公民館において、郵便課の主事、主任の大部分が集まり、全逓脱退の打合せを行なつていたが、同会合にV郵便課長が出席し、出席者に対し全逓から脱退を慫慂した。 (e) Pらに対する差別人事昭和四三年二月一九日、松本局において職員五名が、三級から二級へ昇格したが、当時庶務課の職員W(全逓松本支部執行委員)、保険課の職員X(全逓松本支部保険課職場委員長)、郵便課の職員P(全逓信越地方本部執行委員)は、いずれも三級二一号の職にあつて勤務成績優秀であり昇格の最適任者と思われていたにもかかわらず、これらの者を昇格させず、代わりにこれらの者より一年以上差のある三級二〇号の全郵政加盟の職員を昇格させた。 (f) 昭和四三年春闘に対する不当介入昭和四三年四月頃、全逓中央本部は郵政省との間で賃上げ交渉を行なう一方、万が一交渉が決裂した場合は、各職場に対しストライキ等の闘争を組むよう指令していた。これに対し、I局長は、松本局組合員の家族に対し、組合員がストライキに参加した場合は、懲戒処分を受け昇給等で一生不利益を受ける旨警告を発した。これは、組合員の家族に対してまで圧力をかけ全逓の組合運動を抑圧しようという卑劣な脅迫行為である。 (ホ) I局長は、松本局に全郵政が誕生した直後赴任し、前記のとおり種々の不当労働行為によつて全逓の切り崩しを図り、特に前記郵便課の大量脱退についてその「成果」を誇つていた。し 劣な脅迫行為である。 (ホ) I局長は、松本局に全郵政が誕生した直後赴任し、前記のとおり種々の不当労働行為によつて全逓の切り崩しを図り、特に前記郵便課の大量脱退についてその「成果」を誇つていた。しかし、肝心の集配課は相変わらず全逓の牙城であり、主事、主任の役職者の大部分が未だ全逓にとどまつていた。そこで同局長は、この集配課になんとか一撃を加えなければならないと考えていた。そこで同局長は、集配課のAを狙い撃ちし、併せて他課の活動家をも含めて四月一日の配置換におよんだものである。 (ヘ) I局長の松本局への赴任当時の全逓郵政組合員は約二〇名であつたのに対し、同局長が去る時は、約五〇名に増加していた。その後、全郵政組合員は最高時は七〇名位となつたものの現在は四〇名位である。この数字から判断しても、I局長当時の全逓敵視政策がいかに激しいものであつたかがわかる。 (3) 本件配置換の不当労働行為性について(イ) Aに対する本件配置換は、Aを集配課から排除し、集配課の組合活動の弱体化を狙つた不当労働行為である。この点は、前記松本局における労使関係の状況と以下に述べるとおり本件配置換には何ら合理的・合目的的理由が見い出されず却つて様々な不合理、不可解な点があるという事実から、容易に推認できる。 (a) 前例のない大量配置換であること松本局における昭和三八年から同四五年三月までの間の配置換人事において、一度に六名の配置換がなされたのは本件と同四〇年七月三〇日の二つの場合である。 しかし、後者の場合は、昇格人事、内勤者の配置換にとどまり、本件とは比較になり得ない。このような本件の場合の六名の外勤者の配置換といつたことは、同局において全く前例を見ないものであつた。 (b) 内示のない突然の配置換であること郵政事業のうちに含まれる業務は様々であり、業務には 。このような本件の場合の六名の外勤者の配置換といつたことは、同局において全く前例を見ないものであつた。 (b) 内示のない突然の配置換であること郵政事業のうちに含まれる業務は様々であり、業務にはそれぞれの特殊性がある。例えば郵便外務(集配)に従事する者には特に身体強健であることが必要であり、貯金、保険外務に従事する者にはある程度セールスマンの素質がなければならず、そのことがまた労働条件にも反映し、郵便外務にあつては定額の調整手当が支給されるのみであるのに対し、貯金、保険にあつては歩合制による奨励手当が支給されるのである。こうした業務の特殊性を考慮して、松本局においては従来右両業務間の配置換に際しては必ず事前に本人に内示があつたものである。 (c) 外勤の配置換は希望に基づく場合以外は行なわれていなかつたこと集配、貯金、保険各課には、内勤、外勤という勤務形態があり、外勤者は、集配にあつては外に出て郵便の集配業務に、貯金、保険にあつては貯金、保険の募集・集金業務にそれぞれ従事しているものであり、内勤と外勤間の配置換は殆んどなく、外勤はそれ自体固定した職場である。また外勤相互間の配置換は、まれに行なわれるが、いずれも本人の希望によつて為され、当局側の一方的命令による配置換はない。外勤者間の配置換、特に集配外勤と保険、貯金外勤間の配置換が希望に基づく以外に行なわれない理由は、(b)に述べたように両者の勤務形態・労働条件に著しい差異があるからである。 (d) 四月の繁忙期の配置換であること郵便の集配業務は、年間を通じ年末年始の年賀期、三月中旬から四月中旬にかけての入学、転勤時、七月中旬から八月上旬の中元セール、暑中見舞期が最も忙しい時期である。本人の希望による配置換をなすにしても、集配業務の配置換はこの時期を避けてなされてきたものである。 月中旬にかけての入学、転勤時、七月中旬から八月上旬の中元セール、暑中見舞期が最も忙しい時期である。本人の希望による配置換をなすにしても、集配業務の配置換はこの時期を避けてなされてきたものである。しかし、I局長はこの時期に集配課長に相談もせずに本件配置換を行なつたものである。 (ロ) 当時Aを集配課から貯金課へ配置換する必要は全くなかつた。 本件配置換の目的は、各課欠員の後補充とこの機に局内の配置換をして新しい気風を吹き込むためとされている。しかしながら、本件配置換によつても局全体からみると欠員が補充された訳でもなく、当時貯金課と同じく奨励部門であつた保険課は相変らず欠員が残つており、この点は説明し得ない。また局内に新風を吹き込むことは昇任等の人事に伴う配置換において十分になしうることであり、従来もそのようにされてきた。 (ハ) 本件配置換の辞令を留保した四人のうち、Bは松本分会副会長、Eは元支部書記長であり、Fは一般の活動家であつた。I局長はこうした事実を十分承知のうえ、本件配置換に及んだものである。 (ニ) 永年一つの業務に携つてきた者が従来と全く職種の異なる業務に配転されることとなると、新しい業務に対する不安、仕事に習熟するために要する時間あるいは緊張のため相当時間にわたり従来どおりの活動は不可能となり、そのため組合活動は弱体化する。のみならず組合活動を続けていると自己の好まない職場へ送り込まれてしまうということになれば、組合員一般の士気は低下し、組合活動を手控るという風潮が出てくるであろうことは火を見るよりも明らかである。被告はこの効果をねらつて本件配置換を行なつたものである。 (三) 昭和四三年四月一日の抗議の発端について前記のとおり集配課組合員は、H庶務課長およびI局長に対し、口々に本件配置換の不当性を質したが、もともとこ をねらつて本件配置換を行なつたものである。 (三) 昭和四三年四月一日の抗議の発端について前記のとおり集配課組合員は、H庶務課長およびI局長に対し、口々に本件配置換の不当性を質したが、もともとこうした事件の発端を作り出し、かつ事件を大きくしたのは管理者である。すなわち、原告ら集配課職員は、当日の朝Aの配置換を知り若干動揺したものの仕事をしていたが、そこへ「不穏な動きがあるかも知れない。」と勝手に想像してH庶務課長が来たため、まずAの配置換ばかりでなく、日頃の同課長に対する組合員の不満が爆発してしまつたのである。当日も、同課長はむしろ挑発的態度を示し、原告ら組合員が集配課から出るようにとの申入れを無視し、その場にとどまつたため、却つてそこで混乱が起きたものである。 (四) 大口郵便物の抜き取りについて四月四日の昼休み中にJ副課長がK課長代理に命じて大口郵便物を担当者に無断で抜き取らせた措置は、職場慣行に違反し、当時組合が実施していた業務規制闘争に対する挑戦であり、かつ担当者に余計な不安を抱かしめる不当なものであつた。 すなわち、通常大口郵便物とは、病院とか市役所といつた通信量の多いところを大口として決め、一般の郵便物とは別に区分け配達するものであるが、本件で問題になつた大口とは、各区の担当者が各家庭に配達する郵便物の中で特に数の多いところをその担当者の判断に基づいて抽出し、それだけを一束に把束して人によつて区分棚の上段あるいは下段等に置いて区分し処理する郵便物である。局は郵便量が多く、その日のうちに配達できないような場合は、まれにこの大口だけを除き、これを別配達にして郵便物の配達を促進させる方法をとつた。しかしながら、大口の抜き取りは作業手順の変更をもたらし、ひいては労働条件の変更につながるものであること、また担当者に無断で抜き取りを 除き、これを別配達にして郵便物の配達を促進させる方法をとつた。しかしながら、大口の抜き取りは作業手順の変更をもたらし、ひいては労働条件の変更につながるものであること、また担当者に無断で抜き取りを行なうと、担当者が配達途中で郵便物の盗難または紛失があつたのではないかと勘違いして余計な心配をしなければならないことから、従来から大口を抜く場合には組合と話し合いのうえなされてきたものである。 仮にJ副課長が職員に一部の大口を抜いた旨伝えていたとしても、どこの区を抜いたものであるか明確でないから、職員にとつては伝達がなかつたのと同様である。 3 原告は本件処分理由となつている行為を全く行なつていない。従つて、本件処分は、その対象事実を欠き違法である(詳細については、被告の抗弁に対する原告の認否において述べたとおりである。)。 4 仮に、原告が本件処分の理由となつている行為を行なつていたとしても、本件処分には、次のとおりの瑕疵があつて違法である。 (一) 被告が原告の僅かな欠務あるいは語調の強い発言等をもつて原告を処分することは、懲戒権の濫用である。 (二) 原告の行為は、管理者の不当な措置に対する抗議であつて、社会的に相当な行為または正当な組合活動の範囲内の行為であるから、原告の行為には違法性がなく、結局原告には国公法九八条、九九条、一〇一条の違反行為はない。 (三) 本件処分の程度は、原告の違法行為に比して重すぎると言わざるを得ず、それ故本件処分には裁量の範囲を逸脱した違法が存する。 (四) 被告は原告の組合活動を嫌悪し、かつそのことを唯一または主たる動機として本件処分に及んだものであるから、本件処分は労働組合法七条一項に該当する不当労働行為である。 六原告の主張に対する被告の反論 1 ファイバーの押し付け行為と処分理由処分説明書に記載すべ 機として本件処分に及んだものであるから、本件処分は労働組合法七条一項に該当する不当労働行為である。 六原告の主張に対する被告の反論 1 ファイバーの押し付け行為と処分理由処分説明書に記載すべき処分事由は、懲戒処分の基本事由たる事実をその同一性が識別できる程度に記載すれば足りるのであつて、その内容たる事実を細大漏らさず全て記載する必要はないのであり、昭和四三年四月四日における原告の行為については、職場の秩序をびん乱した一連の行為のうち、主たる事実を処分説明書に具体的に記載したものであつて、同一機会における右一連の行為のうち、G集配課長に対するファイバーの押し付け行為を具体的に記載しなかつたからといつて、この点を本訴において主張できないものではない。 2 昭和四三年四月一日関係(一) 本件非違行為の目的等について(1) 原告の本件非違行為は、A一人の配置換に対する抗議としてなされたものであるから、原告の本件非違行為の動機、目的いかんはAに対する配置換命令との関係でのみ論ずれば十分であり、原告が本件において違法理由として主張する本件配置換の対象者が従来になく大量であるとか、その内容が貯金、保険から集配課へなどと異種の仕事への配置換であるとか、A以外の被配置換者の組合活動歴、活動状況からみて組合弱体化のためになされたものであるとかの主張は、少なくとも本件にとつて何ら意味あるものではない。 (2) しかしながら、念のため本件配置換が不当労働行為でないことを以下に述べる。 (イ) そもそも郵政省職員に対する配置換命令は、任命権者がいわば当然の権限として行なうところの任命行為の一つでであり、任命権者にとつて職員の適正配置を図るうえで欠くことのできない本来的権限に属するものといわなければならない。そして、職員人事の適正な運用は任命権者が職務の適 して行なうところの任命行為の一つでであり、任命権者にとつて職員の適正配置を図るうえで欠くことのできない本来的権限に属するものといわなければならない。そして、職員人事の適正な運用は任命権者が職務の適正かつ能率的な遂行のため諸般の事情を考慮して、その技術的・専門的見地から自由裁量に委ねることによつて実現されるものであるので、国公法は、降任、免職、休職については特にその要件を定めているのに対し、配置換について何らその要件を定めていないのである。従つて、配置換命令をするに当たつては、何ら対象職員の承諾を要するものではなく、また内示を前置しなければならないというものでもない。 (ロ) 加えて、職員はもともと一定の課に限つてのみ勤務するという立場になく、郵政事業全般について任命権者の命ずるところに従い、そのいずれにも勤務すべき義務を負うものであるから、本件配置換が異種の職場への異動を内容とするものであるとか、職員の同意がないことなどを理由にその不当性を云々することはできない。 (ハ) 業務の特殊性にかんがみ、松本郵便局においては配置換に際して職員に対し事前にこれを内示し、あるいは当該公務員の同意を得るという原告主張のごとき労働慣行は存しない。 (ニ) 本件配置換は、欠員発生に伴う後補充、各課職員層の平均化、職員の適材適所の配置、人事の刷新等の業務上の必要性から、職員の資質や欠員人事を考慮しつつ、I局長がその人事裁量権の行使としてこれを実施したものであり、決して組合弱体化のため行なつたものではない。 (ホ) 配置換により業務に支障・混乱を来たすことは全て人事異動に附随する必要上やむを得ない一時的現象であり、それ故に配置換が不当とされる理由はないし、そのうえ本件配転に伴う若干の業務の支障は臨時補充員なり後任者の早期補充により旬日ならずして除去されている 動に附随する必要上やむを得ない一時的現象であり、それ故に配置換が不当とされる理由はないし、そのうえ本件配転に伴う若干の業務の支障は臨時補充員なり後任者の早期補充により旬日ならずして除去されているのであつて、本件配置換の正当性に何ら影響するものではない。 (ヘ) 本件配置換対象者の中に全逓組合員や組合役員がいたからといつて、それは右業務上の必要性に基づく配置計画の結果としてたまたまそうであつたに過ぎないものである。 (ト) A、Bの役員としての組合活動は、同人らが同じ松本局内にある組合支部ないし分会役員としての活動であり、そうだとすれば、同人らが同局に勤務する以上そのいずれの課に属するということは、もともと同人らの組合活動ないしは組合の団結との関係で問題となり得る余地のないはずのものである。 (チ) もともと組合活動は勤務時間外に行なうものであつて新業務と無関係にこれを行ない得るものであるから、新業務に習熟しなければ組合活動が不可能ないし困難となるという論理自体が誤つている。Aの新業務は、勤務中の実務経験を累積して習熟する以外ないのであつて、そのために勤務時間外の組合活動に影響するということ自体あり得ないのである。 (リ) 組合活動をしたが故に自己の意にそわない職場に配置換されたとなると組合活動の意思に影響する旨の原告の主張は、配置換が本人の意に沿うものでなければならないこと、あるいは全ての配置換が本人の意に沿わなければ全て不利益処分に当たることを前提とするものであつて失当である。 (3) してみれば、原告が本件配置換を不当としてなした本件抗議行動は正当であり、あるいはこれを正当な組合活動であるとみることはできない。 (4) 結局、原告の本件抗議は、組合活動のためというよりは、本件配置換に不満を述べたA個人に対する私的情誼と当局側管理者に対 は正当であり、あるいはこれを正当な組合活動であるとみることはできない。 (4) 結局、原告の本件抗議は、組合活動のためというよりは、本件配置換に不満を述べたA個人に対する私的情誼と当局側管理者に対するいやがらせの意図のみから出たものとみるべきである。しかも、本件非違行為は、原告の属する全逓中信支部松本分会の機関決定ないしは同意了解のもとに行なわれたものでなく、原告の個人的自発的行為に出たものであるから、本件抗議行動をもつて組合活動とは到底評価し得ないものといわなければならない。 (二) 本件非違行為の態様等について原告の本件非違行為は、(1)職務を放棄したこと、(2)抗議集団の先頭に立つて抗議、詰問を行ない事実上これを率先指導したこと、(3)言動は激烈であり、一方的であつて、つるし上げともいうべきものであること、(4)就労命令を無視して行なわれたものであること、(5)職場秩序を乱すこと著しく郵政業務に対する阻害も軽視できないこと、以上の点から、その方法、手段、態様において極めて悪質であり違法性の強いものである。 (三) 本件処分が不当労働行為に当たらないことについて(1) 本件行為は国公法九八条一項、九九条、一〇一条一項などにそれぞれ違反するものであるから、もはや正当な組合活動であるか否かを論ずる必要は存しない。また組合活動であるがゆえに右各条該当行為の違法性が阻却されることはない。 (2) 本件非違行為は原告がその勤務時間中であるにもかかわらず、何ら組合の機関決定ないしその承諾を得ることなく、もつぱらAに対する個人的な情誼ないし悲憤と上司に対するいやがらせの意図から、Aの配転に対する抗議に名を藉りて折から来合わせたG集配課長、H庶務課長、I局長に対し、無断で職務を放棄して、ほか多数の職員とともに罵言、雑言を吐いた事案であつて、原告 に対するいやがらせの意図から、Aの配転に対する抗議に名を藉りて折から来合わせたG集配課長、H庶務課長、I局長に対し、無断で職務を放棄して、ほか多数の職員とともに罵言、雑言を吐いた事案であつて、原告の右行為をもつて組合活動と評価すべきではない。のみならず本件非違行為はたとえこれが組合活動であるとしても、その目的・程度・態様から到底これをもつて正当な組合活動と認めるべき理由はないものである。 (3) 国家公務員には、職務遂行専念義務があつて、勤務時間中に組合活動を行なつてはならないのであり、話し合い、要求、抗議などその名目の如何を問わず、またその目的の如何に拘らず、職員ないし組合代表からの一方的な申出による勤務時間中におけるこれらの者の組合活動を適法視することはできない。 (4) まして、職務執行中の管理者に対し、当該管理者がこれを拒否し、あるいは就労を命じているのに、これに従わず組合役員や組合員らが一方的にこれに話し合いを求め、抗議を受け入れるよう要求したことが適法視される所以は全くないし、このような一方的な勤務時間中の要求なり抗議なりを容認する慣行など成立するはずのものでもない。 (5) 以上要するに、本件処分は原告の非違行為を理由としてなされたものである。 3 昭和四三年四月四日関係(一) 本件非違行為の目的等について(1) 業務規制闘争は法令により禁止された違法な争議行為であつて、これにより生じた業務阻害の解消を管理者であるJ副課長が右阻害を生ぜしめている組合員に無断で図り、かつ実行したとしても、これをもつて業務規制闘争に対する挑戦と非難するのは的はずれである。 (2) 作業手順に関する業務命令は何ら労働条件に関するものではなく、従つて、その変更は労働条件を変更するものではないし、業務指揮権者の裁量によつて自由にこれを決し得べきも するのは的はずれである。 (2) 作業手順に関する業務命令は何ら労働条件に関するものではなく、従つて、その変更は労働条件を変更するものではないし、業務指揮権者の裁量によつて自由にこれを決し得べきものであるから、当局側としては、これについて団体交渉を行なう義務もなければ行なつた事実もなく、ましてその決定、変更につき、組合員の協議を経て、その同意を得なければならないとされる筋合はなく、これを要するとする協約も慣行もかつて存在したこともないし、現に存在しないのである。 (3) そもそも大口郵便物の抜き出しは、集配課における郵便物ふくそう時においては、ままとられる郵便物の完配のための手段であつて、このことは長年配達業務に従事している原告ら集配課職員の十分熟知するところであるから、二号便を中止し、一号便持戻り分の配達にとどめるとの業務連絡がありさえすれば、そのこと自体で場合によつて大口郵便物の抜き出しのあり得ることは容易に推察し得る性格のものであるうえ、各組合員は、いずれも自己の持戻り郵便物のうち、大口郵便物が何であるかについては、持戻り時に道順組立棚に収納する際、再確認し、かなり明確な認識を持つているのであるから、午後の道順組立の作業においてその抜き出しに直ちに気づくはずのものであり、そこに保管上の何らの困惑・不安を生ずるおそれはないものというべきである。 (4) そのうえ、当日午後の打合せにおいて、J副課長が二回にわたり大声で右抜き出しの事実を連絡しており、右抜き出しに抗議したのは原告一人であり、また他に右抜き出しにつき何人からも困惑・不平の声が聞かれなかつたことからして、右連絡は十分職員に周知徹底されていたものということができる。 (5) 以上要するに、原告が本件抗議行為の動機として主張するところのものは、全て具体的かつ正当な理由を欠くもので なかつたことからして、右連絡は十分職員に周知徹底されていたものということができる。 (5) 以上要するに、原告が本件抗議行為の動機として主張するところのものは、全て具体的かつ正当な理由を欠くものである。してみれば、J副課長に対する抗議の真の目的は、四月一日の非違行為同様、その名を抗議に藉りた上司に対するいやがらせに出たものと断ずるほかはないのであり、かつ、右は原告単独の意思に出たものであつて何ら組合の指揮・指導のもとになされたものではないから、これをもつて、組合活動と評価することも許されない。 (二) 本件非違行為の態様等について本件非違行為は、(1)勤務時間中職務を中断、放棄してなされたこと、(2)執拗かつ悪質な方法態様でなされたこと、(3)就労命令を無視してなされたこと、(4)暴力を伴う攻撃を含むものであり、職場秩序を乱すこと甚だしかつたこと、からして厳にとがめられるべきものであつたことはいうまでもないことであり、処分に値するものである。 (三) 本件処分が不当労働行為に当らないことについて本件非違行為は、たまたまJ副課長によつて大口郵便物の抜き出しが行なわれた際、これに対する抗議の名のもとにJ副課長を攻撃し、かつ非難し、困惑させようとの意図のもとに、組合の指示、承諾とは無関係の私的行為として開始され、以後同様の意図のもとに、これをたしなめようとしたG集配課長に対してフアイバーを押しあて、あるいは同課長のメモ書きを奪うなどの行為に発展したものであつて、到底組合活動といい得るものでないこと前述のとおりであり、更に右一連の行為がその職務専念義務に違反して勤務時間中にその職務を無断放棄してなされたものであり、その目的も専ら上司に対するいやがらせにあり、その態様は器物をもつて上司に対し暴力を振るい、また同課長のメモ書きを奪取し、これを 念義務に違反して勤務時間中にその職務を無断放棄してなされたものであり、その目的も専ら上司に対するいやがらせにあり、その態様は器物をもつて上司に対し暴力を振るい、また同課長のメモ書きを奪取し、これを破棄するなどの刑事法にも牴触しうべきものであることにかんがみれば、これをもつて正当な組合活動と認める余地は全くないものといわなければならない。 本件処分は専ら本件非違行為なるが故になされたものである。 第三証拠(省略) 理由 第一原告の地位原告が昭和四三年当時松本局集配課に勤務し、全逓長野地区中信支部松本分会の組合員であつたことは当事者間に争いがなく、原告本人尋問の結果によれば、原告が昭和四三年四月当時集配課職場委員長の地位にあつたことが認められ、右認定を覆すに足りる証拠はない。 第二本件処分の存在被告が本件処分をしたことは当事者間に争いがない。 第三審査請求の存在原告が昭和四三年七月二二日人事院に対し審査請求をしたが、いまだに人事院の裁決がなされていないことは当事者間に争いがない。 第四本件処分の適法性一処分理由の有無 1 昭和四三年四月一日関係昭和四三年四月一日午前九時ころ本件配置換が行なわれたこと、同日午前九時二三分以降同九時四二分に至るまでの時間が原告の勤務時間であり、その間原告が集配課事務室内にいたこと、原告が一定時間欠務したこと、午前九時二三分ころ、原告が集配課主事席付近においてG集配課長に対し、「今回の人事についてどう思う。」と尋ねたことは当事者間に争いがなく、右事実に加えて成立に争いのない乙第八ないし第一〇号証、証人I(以下証人Iという。)の証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第三号証、証人H(以下証人Hという。)の証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第四号証 ないし第一〇号証、証人I(以下証人Iという。)の証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第三号証、証人H(以下証人Hという。)の証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第四号証、証人G(以下証人Gという。)の証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第五号証を総合すると、つぎのとおり認めることができる。 原告は、昭和四三年四月一日午前九時ころ行なわれた本件配置換について、勤務時間中であつたにもかかわらず、同局集配課事務室において、(一) 午前九時二三分ころ、集配課主事席の近くにいたつて同課の担務指定表を見ていたG集配課長につめより、「今回の人事についてどう思う。」などとなじるような口調で抗議し、(二) 午前九時二五分ころから同九時三〇分ころまでの間、同課職員約二〇名とともにその前面に立つて、G集配課長およびH庶務課長の再三にわたる就労命令を無視して、I局長の命により局内巡視のため同課事務室に来ていたH庶務課長に対し、「庶務課長が他課へ来て何をいうのだ。」、「仕事、仕事となんだ。」、「こんな状態で仕事ができるか。」、「われわれには集配課長がいる。よその課長が何を言う。」、「帰れ、この野郎。」などと激しく大声で暴言を浴びせ、執拗に集団抗議を行ない、(三) 午前九時三〇分ころから同九時四二分ころまでの間、同課職員一〇数名とともに、I局長およびG集配課長の再三にわたる就労命令を無視して、局内巡視のため同課事務室に来ていた同局長に対し、「局長、今回の人事をどう思うんだ。」などと語気を強めて激しく抗議し、(四) この間午前九時二五分ころから同九時四二分ころまでの一七分間勤務を欠いた。 以上のとおり認められ、原告本人尋問の結果中右認定に沿わない部分は採用し難く、他に右認定を動かすに足りる証拠はない(なお成立に争い 前九時二五分ころから同九時四二分ころまでの一七分間勤務を欠いた。 以上のとおり認められ、原告本人尋問の結果中右認定に沿わない部分は採用し難く、他に右認定を動かすに足りる証拠はない(なお成立に争いのない乙第一〇号証、証人Gの証言中には、G集配課長は原告の右(一)の行為を抗議ととらえないとの部分もうかがわれるけれども、右各証拠全体を子細に検討すれば、G集配課長は原告の右(一)の行為を全体としてやはり抗議とみていたと解することができる。)。 2 昭和四三年四月四日関係昭和四三年四月四日午後一時一三分ころ以降同一時一六分に至るまでの間が原告の勤務時間であり、その間、原告が集配課事務室にいたこと、J副課長がK課長代理に対して市内通配区の道順組立棚から大口利用者あての郵便物を昼の休憩時間中に抜き出させたこと、原告がJ副課長に対し「当務者に無断で郵便に手をつけるのはおかしい。」と申し述べたこと、原告が昭和四三年四月四日午後一時一三分ころから同一時一六分ころまでの三分間勤務を欠いたこと、原告が午後一時一八分ころG集配課長に対し、時間休をとりたいとして年休請求書を提出したこと、同課長が休暇を承認しないと原告に伝えたこと、原告が同課長の机上にある用紙一枚を手にとつたことは当事者間に争いがなく、右事実に加えて、成立に争いのない乙第一〇ないし第一二号証、証人Gの証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第五号証、証人J(以下証人Jという。)の証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第六号証、証人Uの証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第七号証を総合すると、次のとおり認めることができる。 原告は、昭和四三年四月四日、勤務時間中であるにもかかわらず、松本局集配課事務室において、(一) 午後一時一三分ころから同一時一六分ころ れる乙第七号証を総合すると、次のとおり認めることができる。 原告は、昭和四三年四月四日、勤務時間中であるにもかかわらず、松本局集配課事務室において、(一) 午後一時一三分ころから同一時一六分ころまでの間、同局集配課J副課長に対し、同人がK課長代理に命じて市内通配区の道順組立棚から大口利用者あての郵便物を、配達の混雑を緩和するため昼の休憩時間中に抜き出させたことについて、「当務者に無断で郵便に手をつけるのはおかしい。」「そういうことなら、毎日大口は全部フアイバーに納めて課長席へ持つて行く。」などとつめよりながら抗議し、加えて抗議をやめて仕事をするように命じたG集配課長に対し、その就労命令を無視して道順組立棚からフアイバーに郵便物を入れる真似をしながら空のフアイバーを持ち上げ、これを同課長の右大腿部付近にぐつと押し付けるという暴行を行なつた。この間午後一時一三分ころから同一時一六分ころまでの三分間勤務を欠いた。 (二) 午後一時一八分ころ、自席で、前記(一)掲記の事実をメモしはじめたG集配課長に対し、突然「これから時間休をとる。」と言つて年休請求書を同課長に提出した際、同課長が右メモ用紙を机上のゴム板の下にかくすようにしてはさみ、そして、原告の右年休は業務に支障があると判断して原告請求にかかる時間の年休では承認できない旨原告に伝えたところ、原告はいきなり右メモ用紙五、六枚を右ゴム板の下から取り上げ、同課長が返すよう要求したにもかかわらず、書きかけのメモ用紙一枚を左手でまるめて握りつぶし、他の白紙のメモ用紙のみを同課長の机上に返し、該メモ用紙一枚を持ち去つて返還しなかつた。 以上のとおり認められる。ところで原告本人尋問の結果によれば、原告はフアイバーを冗談のつもりで手にしたに過ぎない旨の供述部分があるけれども、成立に争いのない乙第一〇号 を持ち去つて返還しなかつた。 以上のとおり認められる。ところで原告本人尋問の結果によれば、原告はフアイバーを冗談のつもりで手にしたに過ぎない旨の供述部分があるけれども、成立に争いのない乙第一〇号証、証人Gの証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第五号証によれば、原告がフアイバーをG集配課長に対し押し付けた際、同課長は「現認しておく。」旨述べていることなどの状況からして、右時点における原告のG集配課長に対する右行為を冗談でしたものとみることはできないから原告の右供述部分は措信しがたい。その他証人Yの証言、原告本人尋問の結果中、右認定に沿わない部分は採用しがたく、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 なお原告は同日午後一時一五分から約一〇分間は原告の手空き時間であつた旨主張するが、手空き時間といえども勤務時間中であつて、所属長の許可、承認なしには、次の業務に対する待機以外の目的にこれを使用しえないことはいうまでもなく、のみならず証人J、同Gの各証言によると、当日は一号便の持戻り郵便物が多く、二号便の結束をせずに午後の配達をせざるを得ない状態であつて、そもそも手空き時間の生ずる余地がなかつたことがうかがわれ、そして原告本人尋問の結果、証人G、同Jの各証言によれば、現に原告は作業の手を休めてJ副課長に対して、本件抗議を行なつたものと考えられるのであるから、原告の右主張は理由がない。 また、原告はメモ用紙を取り上げた行為がG集配課長の業務を阻害するほどのものでないと主張するが、前記(二)の認定事実から考えると、右主張は支持できない。 3 ところで、原告はG集配課長に対するフアイバーの押し付け行為は処分理由説明書に記載がないから、この事実を処分理由として本訴において追加することはできない旨主張するので、判断する。 国公法八九条 3 ところで、原告はG集配課長に対するフアイバーの押し付け行為は処分理由説明書に記載がないから、この事実を処分理由として本訴において追加することはできない旨主張するので、判断する。 国公法八九条は「職員に対し、その意に反して、降給し、降任し、休職し、免職し、その他これに対しいちじるしく不利益な処分を行ない、又は懲戒処分を行なおうとするときは、その処分を行う者は、その職員に対し、その処分の際、処分の事由を記載した説明書を交付しなければならない。」(一項)と規定するとともに、その意に反していちじるしく不利益な処分を受けたとする職員に対し、その説明書の交付請求権を保障している(二項)。右規定の趣旨は、不利益処分の適正、公平を期するとともに、右処分を受けた職員に対して処分理由を知らしめ、人事院に対し不服申立をなすか否かの判断資料にさせて不服申立の機会を付与し、もつて職員の身分を保障しようとするところにあると考えられる。 右法条の趣旨に照らすと、懲戒権者が懲戒処分を行なうにあたつては、その処分理由説明書には、国公法八二条各号に該当する具体的事実をできる限り特定、明示して記載することが要求され、処分理由説明書記載の具体的事実と同一性のない別個の事実については、その後取消訴訟において追加主張することはできないものというべきである。 そこで本件についてみると、前認定のごとく、G集配課長に対するフアイバーの押し付け行為、J副課長に対する抗議、G集配課長からメモをとりあげた行為は、いずれも時間的に極めて密接し、場所もほぼ同一であり、相互に関連しているのであるから、G集配課長に対するフアイバーの押し付け行為は処分理由説明書の具体的事実と同一性があるというべきである。そうだとすれば、被告は、本訴において処分理由としてG集配課長に対するフアイバーの押し付け から、G集配課長に対するフアイバーの押し付け行為は処分理由説明書の具体的事実と同一性があるというべきである。そうだとすれば、被告は、本訴において処分理由としてG集配課長に対するフアイバーの押し付け行為を追加して主張することが許されると解するのが相当であるから、原告の主張は理由がない。 二非違行為該当性 1 右一の認定事実によれば、処分理由1(一)、2(二)の各行為、1(二)のうち「H庶務課長に対し、激しく大声で暴言を浴びせ、執拗に集団抗議を行なつた行為」、1(三)のうち、「I局長に対し、語気を強めて激しく抗議した行為」、2(一)のうち、「J副課長に対し、つめよりながら抗議した行為」、「空のフアイバーを持ち上げG集配課長の大腿部付近にぐつと押し付けた行為」は国公法九九条前段、後段に違反し、同法八二条一号前段、三号に該当し、1(二)、(三)のうち「再三にわたる就労命令を無視した行為」、2(一)のうち、「就労命令を無視した行為」は、同法九八条一項後段に違反し、同法八二条一号、二号の各前段、三号に該当し、1(四)の「一七分間の欠務行為」、2(一)のうち「三分間の欠務行為」は、同法一〇一条一項前段に違反し、同法八二条一号、二号の各前段、三号に該当するものと解すべきである。 2 ところで原告は前記一の各行為について、次のとおりその非違行為性を争うので、判断する。 (一) 原告は、昭和四三年四月一日関係の行為は、いずれも管理者側の不当労働行為に対する抗議であつて、社会的に相当な行為または正当な組合活動の範囲内の行為であるから違法性がない旨、また管理者側の挑発的態度こそがむしろ責められるべきであるから、右各行為は処分の対象とされるべきでない旨主張する。 そこで検討するに、原告本人尋問の結果によれば、原告の右抗議は、Aの配置換に対するものであることが認 的態度こそがむしろ責められるべきであるから、右各行為は処分の対象とされるべきでない旨主張する。 そこで検討するに、原告本人尋問の結果によれば、原告の右抗議は、Aの配置換に対するものであることが認められるので、原告の抗議の動機、目的としては専らAの配置換との関係において考慮すれば足りるものである。 ところで証人O(以下証人Oという。)、同Z(以下証人Zという。)、同Pの各証言、原告本人尋問の結果および弁論の全趣旨を総合すれば、I局長は昭和四二年松本局に着任以来終始組合対策に力を入れ、全逓松本支部にとつて不当労働行為と受けとられる数々の行為をなし、組合側からの少なからぬ反発をかつていたことがうかがわれる。 右のような状況のもとで、原告はAの配置換に接したものであるが、原告本人尋問の結果によれば、原告はAの配置換を知り、この繁忙時にベテランを配置換することはおかしい、またAは集配課における組合活動の中心的指導者であつて、集配課職員の信望も厚く、かつ他課への転出を望んでいなかつたことからして、右配置換が組合の弱体化を意図した不当労働行為ではないかと考え、他の組合員とともに抗議したものであることが認められる。そうだとすれば、原告の右抗議は、組合員として組合または組合員の利益を守るための活動であるから、組合の機関決定ないし、その承認のもとの行為でなかつたとしても、組合活動ということができ、かつ前示のような当時の労使間の状況に照らせば、原告が右配置換を不当労働行為ととらえたのも無理からぬところというべきであり、また証人A(以下証人Aという。)、同Gの各証言を総合すれば、原告ら集配課職員らが、Aの配置換を知りながらも、ほぼ平静に勤務についていたところへ、H庶務課長、I局長が、不穏な動きを予想して集配課に入いつて来たため、混乱が生じたという側面も見 証言を総合すれば、原告ら集配課職員らが、Aの配置換を知りながらも、ほぼ平静に勤務についていたところへ、H庶務課長、I局長が、不穏な動きを予想して集配課に入いつて来たため、混乱が生じたという側面も見逃すことはできない。 しかしながら、以上の諸事情が存する場合には、管理者の不当な措置に対して勤務時間中に抗議をすることが禁止されるべきでないとしても、前記一1のごとく、原告の行なつた抗議の方法、態様は再三の就労命令を無視した執拗なものであつて、かつ、その言動も激しいものであり、職場秩序を乱すことが少なくなかつたというべきであるから原告の右抗議は、社会的に相当な行為であると評価することはできず、また正当な組合活動の範囲内にとどまるものと解することもできない。従つて、処分の対象とされることはいうまでもない。 (二) 原告は、大口郵便物を担当者に無断で抜き取ることは、職場慣行に違反し、当時組合が実施していた業務規制斗争に対する挑戦であり、かつ担当者に余計な不安をいだかしめるものであるから不当であり、原告の昭和四三年四月四日関係の行為は、これらに対して抗議したものであつて、社会的に相当な行為または正当な組合活動の範囲内の行為である旨主張する。以下これについて検討する。 (1) J副課長がK課長代理をして、事前に管理者から集配課職員に対して連絡することなく、昼の休憩時間中に担当者の組立棚から大口郵便物を抜き出させたことは当事者間に争いがない。 そして、証人Oの証言、原告本人尋問の結果によれば、本件でいわゆる大口郵便物とは、官公署などに配達される本来の大口郵便物ではなく、各担当者の判断で区分けした商店などの大口郵便物であり、組立棚のどの位置に組立てるかも区々であり、かつ大口郵便物だけ別個に組立てる者もあれば、通常の家庭に配達される郵便物と一緒に組立てる ではなく、各担当者の判断で区分けした商店などの大口郵便物であり、組立棚のどの位置に組立てるかも区々であり、かつ大口郵便物だけ別個に組立てる者もあれば、通常の家庭に配達される郵便物と一緒に組立てる者もある関係で、万一無断で抜き取られた場合には、道順が不合理となることと配達の際に盗難や紛失と思い誤るおそれもあることから、大口郵便物の抜き取りの回数は少なかつたけれども、従来は一応事前に管理者から一般職員に対して連絡されていたことが認められ、これに反する証人G、同Jの各証言は採用できず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。 しかしながら、かような事実が若干あつたからといつて、昼の休憩時間中などに、突然業務上の必要から大口郵便物を抜き取る場合には、あらかじめ管理者と一般職員との間で話し合いをすることが職場慣行として確立されていたとする証拠はいまだ存しない。なお朝の大口郵便物の抜き取りの際には、慣行として事前に話し合いが行なわれていたことは、成立に争いのない乙第一〇号証、証人Gの証言により認めることができるけれども、これをもつて、原告主張のような職場慣行が確立されているとみることもできない。 ところで本件においては、成立に争いのない乙第一〇、一一号証、証人G、同Oの各証言、同Jの証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第六号証を総合すれば、当日午後一時から集配課休憩室において集配課職員に対しG集配課長より当日は二号便を結束しない旨の周知があつた後、さらにJ副課長から当日の昼の休憩時間中に大口郵便物の一部を抜き取つた旨を二回大声で(二号便を結束しないことにつき一般職員の不満があつて、休憩室が騒然としたため)周知したことが認められ、原告本人尋問の結果中右に反する部分は信用できず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。そしてさらに、 結束しないことにつき一般職員の不満があつて、休憩室が騒然としたため)周知したことが認められ、原告本人尋問の結果中右に反する部分は信用できず、他に右認定を左右するに足りる証拠はない。そしてさらに、成立に争いのない乙第一〇、一一号証、証人O、同J、同Gの各証言を総合すれば、大口の個数は各担当者においてそれほど多くなく、一号便郵便物を持ち戻つて組立棚に戻す際、各担当者は、どの大口郵便物が未配達であるかについてはかなり明確に認識しており、大口郵便物の一部が抜き取つてあるとの告知があれば、自己の組立棚から抜き取られているか否かについては、容易に了知しうることが認められ、原告本人尋問の結果中これに反する部分は措信できず、他に右認定を動かすに足りる証拠はない。 そうだとすれば、担当者にとつては前認定のような不都合は生じないというべきであり、なお、全証拠によつても、当時原告以外の一般職員が大口郵便物の抜き取りについてこれといつた不満の意思を表明したことは認められない。 (2) 次に証人Zの証言及び弁論の全趣旨によれば、昭和四三年四月四日当時、同月一日に行なわれた本件配置換に対して、労働基準法三六条に基づく時間外労働に関する協定(以下三六協定という。)拒否の斗争とあわせて業務規制斗争を行なつていたことが認められ、他にこれを覆すに足りる証拠はない。しかしながら、成立に争いのない乙第一〇、一一号証、証人Gの証言、証人Jの証言、同証言により真正に成立したものと認められる乙第六号証を総合すれば、J副課長が昭和四三年四月四日午後〇時四〇分ころ、市内通配区各区の道順組立棚を点検したところ、一号便の持ち戻り郵便物が相当量あり、しかも当時三六協定も締結されていないところから、二号便の完配が困難であると判断し、郵便物の完配に近づけるためにK課長代理をして大口郵便物約八 を点検したところ、一号便の持ち戻り郵便物が相当量あり、しかも当時三六協定も締結されていないところから、二号便の完配が困難であると判断し、郵便物の完配に近づけるためにK課長代理をして大口郵便物約八〇〇通を午後〇時五五分ころまでの間に抜き出して集めさせ、その後G集配課長に報告したものであり、しかも、事後にせよ、前記(1)で認定したように、その旨の周知をしているものであるから、J副課長のとつた措置が、ことさらに組合の業務規制斗争を意識し、これに挑戦してなされたものであつたということはできず、他にこれを認めるに足りる証拠はない。 (3) なお、原告の当日の行為のうち、G集配課長の机上からメモ用紙をとり上げた行為の動機、目的に関連して、原告は年休の請求の目的は、大口郵便物の抜き取りの問題について、同課長とさらに話し合うためであつた旨供述する。しかしながら、証人Gの証言によれば、原告の年休の請求は突然であつて、補充要員を確保することも困難であつたから、業務に支障を生ずるものとして承認されえない状況にあり、かつ、原告自身は年休の請求が承認されえないことを十分予想しえたものであることが認められ、原告本人尋問の結果中これに反する供述部分は採用できず、他に右認定を覆すに足りる証拠はなく、しかも、原告は、年休を請求する直前に、前記一2(一)のごとく、G集配課長に対してフアイバーを押し付けるという暴力を伴なつた行為をしているのであるから、果たして原告がG集配課長と大口郵便物の抜き取りの問題についてさらに話し合う意図から年休を請求しようとしたものであるのか、はなはだ疑わしいといわなければならない。 そうだとすれば、原告の年休の請求は理解に苦しむところであるので、原告がG集配課長の机上からメモ用紙を取り上げた行為は、原告の主張する動機、目的とは無関係であると解 わしいといわなければならない。 そうだとすれば、原告の年休の請求は理解に苦しむところであるので、原告がG集配課長の机上からメモ用紙を取り上げた行為は、原告の主張する動機、目的とは無関係であると解さなければならず、むしろ原告は前記一2(二)にみられるように、単純にG集配課長のなした不承認の措置に対する反発ないしはらいせとして右行為を行なつたものとみるべきであり、右行為の動機、目的には正当な理由がないものといわなければならない。 (4) 以上によれば、原告の抗議の動機、目的とするところは、そもそもその正当な理由を欠くのみならず、前記一2のごとく、その方法、態様は就労命令を無視した執拗なものであり、とくにフアイバーの押し付け行為、メモ用紙を取り上げた行為に至つては、有形力の行使を伴うものであつて、職場秩序を乱すこと甚だしいものというべきであり、原告の抗議はとうてい社会的に相当な行為かつ正当な組合活動の範囲内の行為ということもできないから、原告の主張は認めることができない。 三懲戒権の濫用、裁量の逸脱原告は、原告の僅かな欠務あるいは語調の強い発言等をもつて原告を処分することは懲戒権の濫用であり、また本件処分が、原告の違反行為に対して重すぎるから、本件処分は裁量を誤まつたものである旨主張する。 なるほど、欠務時間は、それほど多くないかもしれないが、本件処分においては欠務行為に対する責任のみを問うているものではなく、欠務行為とともに、その間に行なわれた様々の行為に対する責任をも問うているものであり、また、本件行為の方法、態様も、フアイバーの押し行け行為、メモ用紙を取り上げた行為など悪質なものをも含んでいて許容すべからざるものであるから、これらの行為を理由に本件処分をしたからといつて、これが懲戒権の濫用に当るものとすることはできず、かつ、本 行為、メモ用紙を取り上げた行為など悪質なものをも含んでいて許容すべからざるものであるから、これらの行為を理由に本件処分をしたからといつて、これが懲戒権の濫用に当るものとすることはできず、かつ、本件行為の動機、目的、方法態様、その他の諸事情を考量すれば、本件処分が原告の非違行為に対して重すぎるということはできず、いまだ裁量の範囲内にあるものと思料される。よつて、原告の主張はこれを裏付ける事実関係を認めるに足りる証拠がないから、右主張は理由がない。 四不当労働行為原告は、被告が原告の組合活動を嫌悪し、かつそのことを唯一または主たる動機として本件処分に及んだものであり、本件処分は不当労働行為である旨主張する。 なるほど原告の地位が前記第一のとおりであり、証人Aの証言によれば、原告は当時集配課における中心的な組合活動家の一人であつたことがうかがわれるけれども、本件処分は、前記一の国公法八二条各号該当の行為を理由としてなされたものであり、右行為が正当な組合活動ということができず、また処分の量定も相当であることは、いずれもすでに説示したとおりであつて、他に本件処分が、原告の組合活動を嫌悪し、かつそのことを唯一または主たる動機としてなされたものであることを認めるに足りる証拠はない。従つて、本件処分が不当労働行為であるとする原告の主張は採用できない。 第五結論以上のとおりであるから、被告が原告に対してなした本件処分は適法であつて、これには原告主張のような違法が存しないから、その取消を求める原告の本訴請求は失当としてこれを棄却することとし、訴訟費用の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官川名秀雄山下和明川島利夫)(別紙)処分の理由貴職は松本郵便局勤務のものであるが、昭和四三年四月一日同局職員某の配 の負担につき民事訴訟法八九条を適用して、主文のとおり判決する。 (裁判官川名秀雄山下和明川島利夫)(別紙)処分の理由貴職は松本郵便局勤務のものであるが、昭和四三年四月一日同局職員某の配置換について、就労命令を無視して管理者に対し激しく抗議し暴言を浴せ、また、同月四日同局集配課副課長がとつた配達業務運行上の措置について同副課長に対し抗議を行なつたばかりでなく、この所為を同局集配課長がメモした用紙を同課長の机上から取りあげ、これを握りつぶし持ちさる等して、職場の秩序をびん乱したものである。 よつて上記のとおり処分する。
▼ クリックして全文を表示