- 1 -平成25年6月26日判決言渡平成24年(行コ)第462号保険薬局指定拒否処分取消等請求控訴事件 主文 1 原判決を次のように変更する。 (1) 東北厚生局長が控訴人に対し平成23年3月4日付けでした控訴人の同年1月17日付け申請に係る薬局について保険薬局の指定をしない旨の処分を取り消す。 (2) 東北厚生局長は,控訴人に対し,控訴人の平成23年1月17日付け申請に係る薬局について保険薬局の指定をせよ。 (3) 控訴人のその余の請求を棄却する。 2 訴訟費用は,第1,2審を通じて2分し,その1を控訴人の負担とし,その余を被控訴人の負担とする。 事実及び理由 (前注)略称は,原判決の例による。 第1 控訴の趣旨 1 原判決を取り消す。 2 主文第1項(1)及び(2)と同旨 3 被控訴人は,控訴人に対し,平成23年3月4日から主文第1項(2)の処分がされるまで,各月末日限り315万円を支払え。 第2 事案の概要 1 本件は,調剤薬局の経営を業とする控訴人が,福島県郡山市α所在の建物に- 2 -おいて薬局を開設するに当たり,健康保険法65条1項の規定に基づいて,東北厚生局長(処分行政庁)に対し,平成23年1月17日付けで保険薬局の指定申請をしたところ,東北厚生局長から,上記薬局が同条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するとして,同年3月4日付けで本件指定拒否処分を受けたため,本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分であり,行政手続法8条1項 のであるとき」に該当するとして,同年3月4日付けで本件指定拒否処分を受けたため,本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分であり,行政手続法8条1項の理由の提示の規定にも違反すると主張し,処分行政庁の所属する被控訴人に対して,本件指定拒否処分の取消しを求めるとともに,行政事件訴訟法3条6項2号の申請型義務付けの訴えとして,東北厚生局長が上記申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべき旨を命ずることを求め,さらに,国家賠償法1条1項の規定に基づいて,違法な本件指定拒否処分により,上記薬局の開設を先延ばしにすることを強いられていることによる得べかりし営業利益相当額の損害賠償を求める事案である。 原審は,本件訴えのうち東北厚生局長が控訴人の申請に係る薬局につき保険薬局の指定を命ずることを求める訴え(申請型義務付けの訴え)を不適法却下し,控訴人のその余の請求をいずれも棄却した。これに対し,控訴人が控訴した。 2 法令の定め等,前提事実,争点及び当事者の主張の要旨次のように補正し,控訴人の当審における追加主張を加えるほかは,原判決の事実及び理由の第2の1ないし4に記載のとおりであるから,これを引用する。 (1) 補正- 3 -ア原判決9頁3行目の「制限となることからすると」を次のように改める。 「制限となることや,上記条項が単に「不適当」ではなく「著しく不適当」と表現しているのは保険薬局の指定等を行うことによる弊害が顕著な場合であることが誰の目にも明らかである場合を意味するものと考えられることからすると」イ原判決12頁4行目から5行目にかけての「ものではないこと」の次に「,しかも,本件において,保険薬局と医療機関との間で経営的独立性に問題がないことは当 るものと考えられることからすると」イ原判決12頁4行目から5行目にかけての「ものではないこと」の次に「,しかも,本件において,保険薬局と医療機関との間で経営的独立性に問題がないことは当事者間において争いがないのであるから,医薬分業の観点からしても問題がないことは明らかであること」を加える。 ウ原判決12頁6行目の「要件とし,」の次に「構造上の独立性以外の他の要素を考慮に入れることなく,」を加える。 エ原判決12頁12行目の「というべきであり,」を「ものであり,平等原則,比例原則にも違反するものであるから,」に改める。 (2) 控訴人の当審における追加主張本件規則2条の3第1項1号は,健康保険法70条1項の委任の範囲を逸脱している。 健康保険法70条1項は,保険薬局の指定を受けた後に生ずる療養の給付について省令に委任したものと考えられるところ,本件規則2条の3第1項1号は,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とすることを禁止するものであり,これは,健康保険法70条1項が委任した療養の担当方法とは全く別次元の構造上の独立基準を定めるものであるから,健康保険法70条1項の委任の範囲を超えていることが明らかであって違法であり,国家行政組織法12条3項に- 4 -違反し,無効である。 第3 当裁判所の判断 1 当裁判所は,控訴人の請求は主文第1項(1)及び(2)の限度で理由があるものと判断する。その理由は,次のとおりである。 (1) 本件指定拒否処分の適否について(取消しの訴えの関係)ア本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分であるか否か(争点1)について(ア) 健康保険法63条3項1号の保険薬局の指定,保険薬局の指定の要件,本件規 定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分であるか否か(争点1)について(ア) 健康保険法63条3項1号の保険薬局の指定,保険薬局の指定の要件,本件規則2条の3第1項1号の構造上の独立性について次のように補正するほかは,原判決の事実及び理由の第3,1(1)アないしウに記載のとおりであるから,これを引用する。 a 原判決37頁19行目の「こともできること」を「ことができ,その他医療機関が薬剤処方による薬価差益を得ることを抑制することができること」に改め,22行目の「当該保険薬局は,」から25行目の「こととなる」までを次のように改める。 「健康保険事業の健全な運営の確保ができなくなって,その結果,当該保険薬局は当該保険医療機関からの独立性を失い,上記医薬分業の趣旨をそこなうことになって医療の質の向上が図れなくなる」b 原判決38頁13行目の「そうであるとすれば」から15行目末尾までを次のように改める。 「このような観点からすると,保険薬局の保険医療機関からの経営上の独立性を確保するためにも,保険薬局の保険医療機関からの構造上の独立性- 5 -を確保しておく必要があるとはいえるが,構造上の独立性に関する本件規則2条の3第1項1号の規定については,医薬分業の目的達成という見地からすると,より間接的な要件といえるから,当該事案において,経営上の独立性が十分に確保されている場合には,構造上の独立性に関する規定は緩やかに解するのが相当である。そして,このように解してもなおこの要件を充足しないとして保険薬局指定拒否処分をするときにはじめて,健康保険法65条3項6号の「保険薬局として著しく不適当と認められるもの」に該当するとしてされたものと評価すべきであり,これに明らかに反して保険薬局指 して保険薬局指定拒否処分をするときにはじめて,健康保険法65条3項6号の「保険薬局として著しく不適当と認められるもの」に該当するとしてされたものと評価すべきであり,これに明らかに反して保険薬局指定拒否処分がされたときは,裁量権の範囲の逸脱又は濫用があるものというべきである。」c 原判決38頁23行目の「介さずに」の次に「専用通路等により」を加える。 (イ) 本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分であるか否かについてa 認定事実次のように補正するほかは,原判決の事実及び理由の第3,1(1)エ(ア)に記載のとおりであるから,これを引用する。 (a) 原判決39頁15行目の「甲7」を「甲4の1,5の1,7」に改める。 (b) 原判決39頁20行目の「(a)」の次に次のように加える。 「 本件医療機関と控訴人とは全く別の法人であり,資本的つながりはなく,役員等間の人的関係もうかがえず,控訴人は,経営上,本件医療機関と離れて独立している。 - 6 -また,控訴人は,薬局として入居予定の区分所有建物を所有しているが,この建物は,本件医療機関の所有する区分所有建物とは1階部分で隣接しているものの,当然別個の建物であり,互いに区切られており,建物内で相互に通行しあえる状況にはなく,それぞれの出入口から出入りする構造となっている。」(c) 原判決41頁15行目の「聴取調査をし(乙10)」を「聴き取り調査をした(乙10)結果」に改め,同行の「壁面後退線との間」の次に「の歩行者通行空間となっているところ」を加え,17行目の「本件建物との間」から18行目の「確認した」までを次のように改める。 「本件建物との間の空地にはフェンス等の柵を設けることは可能であるが,その場合には本件建物の管理 いるところ」を加え,17行目の「本件建物との間」から18行目の「確認した」までを次のように改める。 「本件建物との間の空地にはフェンス等の柵を設けることは可能であるが,その場合には本件建物の管理組合の承認が必要であるとともに,本件建物の前の公道は一方通行であり,本件医療機関の前にある身障者の駐車スペースに入るには,本件建物の敷地内を一方通行で通り抜ける必要があることから,通り抜けする通路部分までは柵等を設けることはできないということが判明した」(d) 原判決43頁1行目の「本件薬局の半分」を「本件薬局の床面積の半分」に改め,5行目の「乙5の3」の次に「,弁論の全趣旨」を加える。 (e) 原判決44頁20行目から21行目にかけての「不特定多数の人が」の次に「憩いの場として」を加え,45頁3行目から4行目にかけての「設置されている。」の次に「なお,本件医療機関の南に位置する医療機関の専用使用部分についても,不特定多数の人(一般市民)が通り抜けに使用することが当然に想定され,許容されることになっている。」を加え,4- 7 -行目の「22,」の次に「23の1 及び2,」を加える。 b 東北厚生局長の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるか否かについて(a) まず,本件薬局を経営しようとする控訴人は,本件医療機関を経営する財団法人とは無関係の株式会社であり,資本関係はもとより,役員等の人的つながりもあるとは認められず,本件薬局は,経営上,十分に本件医療機関からの独立性を備えているものと認められる。 (b) 次に,本件薬局の構造上の独立性について検討するに,確かに,先に引用した原判決の事実及び理由の第3,1(1)エ(ア)bのとおり,① 本件建物の南側前面の空地1のうち西側の部分の本件医療機関の前には本件医療 本件薬局の構造上の独立性について検討するに,確かに,先に引用した原判決の事実及び理由の第3,1(1)エ(ア)bのとおり,① 本件建物の南側前面の空地1のうち西側の部分の本件医療機関の前には本件医療機関の利用者のための大型のキャノピーが設置されているほか,その西端には本件医療機関の創設者の銅像とそれを取り巻く金属製の柵及び本件医療機関の利用者が主として利用するタクシー乗り場が設置されていること,② 本件建物の南側前面の空地2のうち東側の部分は本件医療機関の車寄せとして整備され,その東端に本件医療機関の利用者のための駐車場が,本件薬局及びスタンドカフェの前に本件医療機関の利用者のための身体障害者用駐車場が,その南西角に本件医療機関の看板及び診療案内がそれぞれ設置されているほかは,敷地西側から進入する車両が敷地南側に通り抜ける車路及び敷地南側から本件医療機関を訪れる利用者のための歩行者用通路となっていること,③ 本件建物の南側前面の空地2のうち西側の部分の北半分は本件医療機関の利用者又は業務用の駐車場となっており,南半分は敷地西側から本件医療機関の車寄せに進入する車両が通り抜- 8 -ける一方通行の車路となっていること,④ 本件建物の南側前面の空地を通行した人の中で本件医療機関を利用しなかった人の割合が低い数値にとどまっていることが認められる。したがって,その限りでは,本件建物の南側前面の空地は,主として本件医療機関関係者及び本件医療機関を利用する人によって利用されているといえる。しかし,他方,本件建物の南側前面の空地のうち敷地境界線と壁面後退線との4mの間は,本件都市計画に基づく本件建物の建築に伴って公共的な歩行者通行空間として整備され,また,本件建物の南側前面の空地1のうち東側の部分は提供公園として整備され,不特定多数の人の憩い 退線との4mの間は,本件都市計画に基づく本件建物の建築に伴って公共的な歩行者通行空間として整備され,また,本件建物の南側前面の空地1のうち東側の部分は提供公園として整備され,不特定多数の人の憩いの場,回遊の場として本件建物の区分所有者だけではなく不特定多数の人が利用することができるようになっていること,引用にかかる原判決の事実及び理由の第3,1(1)エ(ア)cに記載した往来調査結果は,当然のことながら,本件薬局が開店していない状況下でのものであり,本件薬局が開店した場合を想定すると,その調査結果以上に本件医療機関関係者及び本件医療機関利用者以外の者による本件建物の南側前面の空地の利用が増加するものと見込めることからすると,本件建物の南側前面の空地の利用者の多くが本件医療機関関係者及び本件医療機関の利用者であるとしても,それらではない者も自由に行き来することが予定されている以上,本件建物の南側前面の空地のうち壁面後退線と本件建物との間は,公道に準ずる道路であると評価するのが相当であり,このような認定判断は,健康保険法65条3項6号,本件規則2条の3第1項1号の趣旨に沿うものというべきである。 ところで,控訴人が,当初,東北厚生局福島事務所に本件薬局について- 9 -保険薬局の指定を受けることの可否について照会をした際の本件薬局の予定地は,本判決別紙1の図2のとおり壁面後退線の近くであった。そのために,東北厚生局福島事務所は,歩行者通行空間は公道に準じる扱いができるということから,本件薬局を保険薬局に指定できると回答した。ところが,その後,本件建物の設計が変更されたことにより(その事情は明らかではないが,少なくともその原因が控訴人にあることを認めるに足りる証拠はない。),本件薬局の予定地は,本判決別紙1の図1のように,壁面後退線 ,本件建物の設計が変更されたことにより(その事情は明らかではないが,少なくともその原因が控訴人にあることを認めるに足りる証拠はない。),本件薬局の予定地は,本判決別紙1の図1のように,壁面後退線からかなり後退した場所となり,本件医療機関の出入口と隣接することとなった。しかし,これは,上記のとおり,本件建物の設計変更によるものであり,控訴人にとっては不可抗力なことであったといえる。本件薬局の予定地が本判決別紙1の図1のようになったことから,東北厚生局福島事務所は,同別紙1の図3のように本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間に緑線上に沿ったフェンス等を設置すれば保険薬局の指定ができる旨の回答をした。確かに,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にフェンス等を設置すれば,医療機関との構造上の独立性が強くなるとはいえる。しかし,東北厚生局福島事務所の上記本件建物と壁面後退線の間に上記フェンス等を設置する提案は,ただ単に形式的に本件医療機関と本件薬局が独立している外観が作り出されればよいという観点からされたものであり,フェンス等の設置により,本件建物の南側前面の空地の一体的利用が阻害され(再開発事業により構想されている公共的な歩行者回遊回廊機能(甲5の1)の妨害等),また,郡山市中心市街地の活性化を図ることを目的とした再開発事業の趣旨等にも沿わないものであ- 10 -り,東北厚生局福島事務局の上記提案は非現実的といわざるを得ない。前記のとおり,もともと本件医療機関と本件薬局は本件建物内の別個の区分所有建物として併設されており,本件薬局と本件医療機関は本件建物の内部で行き来することはできない構造となっているのであるから,本件薬局は,フェンス等の設置がなくとも内部的に構造上の独立性をそなえており,フェンス等の設置によってはじめて と本件医療機関は本件建物の内部で行き来することはできない構造となっているのであるから,本件薬局は,フェンス等の設置がなくとも内部的に構造上の独立性をそなえており,フェンス等の設置によってはじめて本件薬局が本件医療機関からの構造上の独立性を取得するものではないというべきである。 (c) そうすると,本件薬局は,本件医療機関と敷地が同一(なお本件薬局の所有者である控訴人も本件建物の敷地の共有者である。)ではあるものの,上記のとおり本件薬局の出入口は公道に準ずる道路等に面していると評価するのが相当であるから,本件医療機関と一体的な構造にあるということはできない。そして,本件薬局は,本件医療機関との間で経営上の独立性が十分に確保されていることは前記のとおりであるから,東北厚生局長が,本件薬局は,本件医療機関からの構造上の独立性を欠き,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とすることを禁止する本件規則2条の3第1項1号に違反し,健康保険法70条1項の保険薬局の責務に反したものであるから,健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するとして本件指定拒否処分をしたのは,重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものであり,東北厚生局長に付与された裁量権の範囲を逸脱し又は濫用してされたものといわざるを得ない。 イ以上によれば,本件指定拒否処分は違法な処分であると認められるので,- 11 -その余の点を判断するまでもなく,控訴人の本件指定拒否処分の取消し請求は理由がある。 (2) 保険薬局の指定義務付けの訴えの適否(争点3)について(義務付けの訴え関係)本件訴えのうち東北厚生局長が本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべき旨を命ずることを求める る。 (2) 保険薬局の指定義務付けの訴えの適否(争点3)について(義務付けの訴え関係)本件訴えのうち東北厚生局長が本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべき旨を命ずることを求めるものは,行政事件訴訟法3条6項2号の申請型義務付けの訴えであり,その中でも,当該法令に基づく申請を棄却する旨の処分がされた場合であるから,同法37条の3第1項2号の規定により,当該処分が取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不存在であるときに限り,提起することができるところ,前記のとおり,本件指定拒否処分は,違法な処分であって取り消されるべきものであるから,東北厚生局長が本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべき旨を命ずる請求は理由があるというべきである。 (3) 本件指定拒否処分の国家賠償法上の違法の有無(争点4)について(国家賠償請求関係)前記のとおり,本件指定拒否処分は違法な処分であり,東北厚生局長には裁量権の逸脱又は濫用があったとはいえる。しかし,前記認定のとおり,控訴人と東北厚生局福島事務所は,本件薬局の予定地が変更になったことから,保険薬局指定のための要件を充たしているか否かについて何度も意見を交わしており,そのような中で,本件薬局の開設地が本件医療機関との関係で構造上の独立性を欠くとして,東北厚生局長が本件指定拒否処分をしたのではあるが,本件薬局が接する本件建物の南側前面空地を公道に準ずる道路等とは認めないと- 12 -いう東北厚生局長の判断も不合理とはいえず,現に原判決もこれを支持したものであるから,本件指定拒否処分をするに当たり,東北厚生局長に職務上の注意義務に違反した故意又は過失があったとまで認めることはできない。そして,その他にこれを認めるに足りる証拠はない。したがって,被控訴人に国家賠償法上の 否処分をするに当たり,東北厚生局長に職務上の注意義務に違反した故意又は過失があったとまで認めることはできない。そして,その他にこれを認めるに足りる証拠はない。したがって,被控訴人に国家賠償法上の責任はない。 2 以上によれば,控訴人の請求は,主文第1項(1)及び(2)の限度で理由があり,その余の請求は理由がないので棄却すべきであるところ,本件控訴は一部理由があるので,これと異なる原判決を上記の限度で変更することとし,主文のとおり判決する。 東京高等裁判所第20民事部 裁判長裁判官坂井満 裁判官太田武聖 裁判官内田博久- 13 - (原裁判等の表示) 主文 1 本件各訴えのうち,東北厚生局長が原告の申請に係る薬局につき保険薬局の指定をすべき旨を命ずることを求めるものを却下する。 2 原告のその余の訴えに係る請求をいずれも棄却する。 3 訴訟費用は原告の負担とする。 事実及び理由 第1 請求 1 東北厚生局長が原告に対し平成23年3月4日付けでした原告の同年1月17日付け申請に係る薬局について保険薬局の指定をしない旨の処分(以下「本件指定拒否処分」という。)を取り消す。 2 東北厚生局長は,原告に対し,原告の平成23年1月17日付け申請に係る薬局について保険薬局の指定をせよ。 3 被告は,原告に対し,平成23年3月4日から第2項の処分がされるまで,各月末日限り315万円を支払え。 第2 事案の概要本件は,調剤薬局の経営を業とする株式会社である原告が,福島県郡山市α所在の建物におい ,平成23年3月4日から第2項の処分がされるまで,各月末日限り315万円を支払え。 第2 事案の概要本件は,調剤薬局の経営を業とする株式会社である原告が,福島県郡山市α所在の建物において薬局を開設するに当たり,健康保険法65条1項の規定に- 14 -基づいて,東北厚生局長(処分行政庁)に対し,平成23年1月17日付けで保険薬局の指定申請をしたところ,東北厚生局長から,上記薬局が同条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当することを理由に,同年3月4日付けで本件指定拒否処分を受けたため,本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分であり,行政手続法8条1項の理由の提示の規定にも違反すると主張し,処分行政庁の所属する国を被告として,本件指定拒否処分の取消しを求めるとともに,行政事件訴訟法3条6項2号の申請型義務付けの訴えとして,東北厚生局長が上記申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべき旨を命ずることを求め,さらに,国家賠償法1条1項の規定に基づいて,本件指定拒否処分により上記薬局の開設を先延ばしにすることを強いられていることによる得べかりし営業利益相当額の損害賠償を求める事案である。 1 法令の定め等本件に関係する法令の定め等は別紙1(関係法令の定め等)のとおりである。 なお,別紙の中で定めた言葉の意味は,以下の本文及び別紙の中においても同一の意味であるものとする。 2 前提事実(顕著な事実,争いのない事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)当事者等ア原告は,「A薬局」,「B薬局」等の商号で調剤薬局を経営することを業とする株式会社である。(甲1,3)- 15 証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実)(1)当事者等ア原告は,「A薬局」,「B薬局」等の商号で調剤薬局を経営することを業とする株式会社である。(甲1,3)- 15 -イ東北厚生局長は,健康保険法205条1項及び健康保険法施行規則159条1項5号の2の規定に基づいて,厚生労働大臣から健康保険法63条3項1号の保険薬局の指定をする権限の委任を受けた地方厚生局長である(以下,厚生労働大臣と同大臣から上記権限の委任を受けた地方厚生局長とを併せて「厚生労働大臣等」という。)。 (2)市街地再開発事業に関する都市計画の決定郡山市は,平成18年3月31日,都市計画法19条1項の規定に基づいて,αβ地区第一種市街地再開発事業(以下「本件市街地再開発事業」という。)に関する都市計画(以下「本件都市計画」という。)の決定をし,その告示をした。(甲7)本件都市計画は,福島県郡山市α×番の土地に本件市街地再開発事業の施設建築物である「C」(鉄筋コンクリート造陸屋根地下1階付24階建。以下「本件建物」という。)を整備するというものであり,本件建物の建築敷地面積は約4300㎡,建築面積は約2200㎡,延べ面積は約2万9300㎡,主要用途は病院,店舗,住宅(戸数約80戸),駐車場(駐車台数約80台),高度利用地区の制限のうち壁面の位置の制限は敷地南側のγ通り面について4m,敷地西側のαδ○号線面そのほかの面について2m(敷地境界線と壁面後退線との4m(南側)又は2m(西側,北側,東側)の間を歩行者通行空間として整備する。)とされていた。 (3)薬局の開設計画原告は,本件市街地再開発事業の施行区域内の宅地について所有権を有していた(甲6の1及び2)ところ,遅くとも平成18年9月上旬頃ま として整備する。)とされていた。 (3)薬局の開設計画原告は,本件市街地再開発事業の施行区域内の宅地について所有権を有していた(甲6の1及び2)ところ,遅くとも平成18年9月上旬頃までには,- 16 -本件建物の1階において調剤薬局である「A薬局D店」(以下「本件薬局」という。)を開設することを計画した。 (4)市街地再開発組合の設立認可原告ほかのαβ地区市街地再開発組合(以下「本件組合」という。)の設立発起人は,平成19年2月20日,福島県知事に対し,市街地再開発組合の設立認可の申請をし,福島県知事は,同年6月22日,都市再開発法11条1項の規定に基づいて,本件組合の設立認可をし,その告示をした。(甲8)(5)保険薬局の指定申請本件建物の建築工事は平成22年9月27日に完了したところ,原告は,平成23年1月17日,健康保険法65条1項の規定に基づいて,東北厚生局長に対し,本件薬局についての保険薬局の指定申請(以下「本件指定申請」という。)をした。(甲13)本件指定申請に係る本件薬局の位置及び構造は別紙2(本件薬局の配置図及び平面図並びに本件建物の配置図及び周辺図)のとおりであるところ,本件薬局が入居する区画(別紙2の本件薬局の配置図中「計画地」とあり,本件建物の配置図中「薬局予定地」とある区画。94.64㎡)は本件建物の1階(2071.66㎡)南側に位置し,同区画の東側に接する区画(別紙2の本件建物の配置図中「マンション」とある区画)にはE株式会社の分譲マンションである「F」が,西側及び北側に接する区画(別紙2の本件建物の配置図中「病院」とある区画)には財団法人Gが開設するH病院(以下「本件医療機関」という。)がそれぞれ入居することとされていた。そして,本件薬局の出入口は本 及び北側に接する区画(別紙2の本件建物の配置図中「病院」とある区画)には財団法人Gが開設するH病院(以下「本件医療機関」という。)がそれぞれ入居することとされていた。そして,本件薬局の出入口は本件建物の1階南側の本件薬局の区画の中央(別紙2の本件薬- 17 -局の配置図中「計画地」とある区画の下に「▲」とある位置)に,本件医療機関の出入口は本件建物の1階南側の本件医療機関の区画の東端(本件薬局寄り。別紙2の本件建物の周辺図中「病院」とある区画の下に「△病院主入口」とある位置)にそれぞれ設けられるところ,本件薬局の区画の南西角(本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間)には店舗(別紙2の本件薬局の配置図及び平面図中「店舗」とある区画。約10㎡)が設けられ,原告において第三者に賃貸をした上で,スタンドカフェが営業されることとなっていた。 (6)弁明の機会の付与東北厚生局長は,本件薬局が保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号。以下「本件規則」という。)2条の3第1項1号に違反し,健康保険法65条3項6号に該当することを理由として,本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をしない旨の処分をすることとし,平成23年2月15日,同法83条の規定に基づいて,原告に対し,弁明の機会を付与した(甲14)ところ,原告は,同月25日,東北厚生局長に対し,弁明書(甲10の3)を提出した。 (7)本件指定拒否処分東北厚生局長は,健康保険法67条の規定に基づいて,東北地方社会保険医療協議会に対し,本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をしない旨の処分をすることを諮問し,平成23年3月1日に開催された同協議会の了承の議決を経て(乙12の1及び2),同月4日,原告に対し,本件指定拒否処分をした 申請に係る薬局について保険薬局の指定をしない旨の処分をすることを諮問し,平成23年3月1日に開催された同協議会の了承の議決を経て(乙12の1及び2),同月4日,原告に対し,本件指定拒否処分をした。(甲15)- 18 -本件指定拒否処分の理由は,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を欠き,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とすることを禁止する本件規則2条の3第1項1号に違反し,健康保険法70条1項の保険薬局の責務に反したものであるから,同法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するというものである(甲15,乙12の1)ところ,本件指定拒否処分に係る通知書には,本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をしない理由として「1 健康保険法67条の規定に基づく東北地方社会保険医療協議会の審議の結果,指定をしないこととされたこと。」,「2 健康保険法65条3項6号に該当すること。」,「3 本件規則2条の3第1項1号に該当すること。」という記載がされた上,その別添資料には,根拠法令等として健康保険法65条1項,同条3項6号,70条1項及び本件規則2条の3第1項1号の各規定が掲げられている。 (8)本件各訴えの提起原告は,平成23年8月30日に本件各訴えを提起した。(顕著な事実) 3 争点本件の争点は,① 本件指定拒否処分の適否,具体的には,本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分である否か(争点1-取消しの訴え関係),及び,本件指定拒否処分は行政手続法8条1項の理由の提示の規定に違反するか否か(争点2-取消しの訴え関係),② 保険薬局の指定義務付けの可否及び保険薬局の指定義務付けの訴え 1-取消しの訴え関係),及び,本件指定拒否処分は行政手続法8条1項の理由の提示の規定に違反するか否か(争点2-取消しの訴え関係),② 保険薬局の指定義務付けの可否及び保険薬局の指定義務付けの訴えの適否(争点3-義務付けの訴え関係),③ 本件指定拒否処分の国家賠償- 19 -法上の違法の有無(争点4-国家賠償請求関係)である。 4 当事者の主張の要旨(1)本件指定拒否処分の適否について(取消しの訴え関係)ア本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分である否か(争点1)について(原告の主張の要旨)本件の事実経過は別紙3(原告が主張する事実経過)のとおりであって,次のとおり,本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分である。 (ア)保険薬局の指定についてa 保険薬局の指定は原則としてしなければならないことについて薬局の開設者から保険薬局の指定申請を受けた厚生労働大臣等は,原則として保険薬局の指定をしなければならず,健康保険法65条3項各号所定の事由が認められる場合に限り,例外的に保険薬局の指定をしないことができるにすぎない。 b 保険薬局の指定の要件について保険薬局の指定の要件を定める規定は健康保険法65条3項のほかになく,政令又は省令への委任規定も存在しない。本件規則は,平成14年法律第102号による改正前の健康保険法43条の4第1項及び43条の6第1項の規定(現行の健康保険法70条1項及び72条1項の規定に相当する。)に基づいて保険薬局及び保険薬剤師の責務について定めるものであり,本件規則2条の3第1項は,健康保険- 20 -事業の健全 1項の規定(現行の健康保険法70条1項及び72条1項の規定に相当する。)に基づいて保険薬局及び保険薬剤師の責務について定めるものであり,本件規則2条の3第1項は,健康保険- 20 -事業の健全な運営の確保の観点から保険薬局の禁止事項を定めているが,保険薬局の指定をするか否かの判断は,実務上,この保険薬局の禁止事項に照らしてされ,申請に係る薬局が「保険医療機関と一体的な構造と」するもの(同項1号)ではないこと,すなわち構造上の独立性が保険薬局の指定の要件であるものとして取り扱われている。 c 構造上の独立性の意義について構造上の独立性の意義は,「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(平成8年3月8日付け保険発第22号。以下「本件規則の留意事項」という。)の第2の1(別紙1(関係法令の定め等)の7)に定められているところ,保険薬局の土地又は建物が保険医療機関の土地又は建物と分離していない場合については,構造上の独立性の有無は,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものであるか否かにより判断すべきであるとされ,総合的に判断して医療機関の調剤所と同様とみられるものは保険薬局としての適格性に欠けるとされている。 (イ)主位的主張東北厚生局長は,上記(ア)bの実務上の取扱いにより,本件規則2条の3第1項1号の構造上の独立性を保険薬局の指定の独立の要件とし,本件薬局が本件医療機関と一体的な構造とされ構造上の独立性を欠くものであることから,健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該- 21 -当するとして,本件指定拒否処分をしたが,次のとおり, ものであることから,健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該- 21 -当するとして,本件指定拒否処分をしたが,次のとおり,東北厚生局長が構造上の独立性を保険薬局の指定の独立の要件としたことはその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したもので違法であるから,本件指定拒否処分は違法な処分である。 a 厚生労働大臣等の裁量権の範囲について健康保険法65条3項6号は「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」という抽象的な定め方をしており,厚生労働大臣等はこの要件の該当性について裁量権を有すると解されるが,上記(ア)aのとおり,薬局の開設者から保険薬局の指定申請を受けた厚生労働大臣等は原則として保険薬局の指定をしなければならないこと,及び,我が国の国民皆保険制度の下では,薬局の開設許可を受けたとしても,保険薬局の指定を受けることができなければ,実際には薬局の開設自体を断念せざるを得ないのが実情であって,保険薬局の指定をしない旨の処分は,職業活動の内容や態様を制約するにとどまらず,職業選択の自由そのものを制約するものであり,営業の自由に対する強力な制限となることからすると,厚生労働大臣等が同号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの判断について有する裁量権の範囲は極めて限定されているというべきである。 b 構造上の独立性の位置付けについて本件規則2条の3第1項1号は,保険薬局が「保険医療機関と一体的な構造とし,又は保険医療機関と一体的な経営を行うこと」を禁止- 22 -することにより,医薬分業の趣旨を実現しようとするもの, 本件規則2条の3第1項1号は,保険薬局が「保険医療機関と一体的な構造とし,又は保険医療機関と一体的な経営を行うこと」を禁止- 22 -することにより,医薬分業の趣旨を実現しようとするもの,すなわち,保険薬局において,薬剤師に,医師から独立した立場で薬学に係る専門的知識に基づいて患者の薬歴管理を行わせ,それに従って服薬指導や同一医薬品の重複投与,医薬品間の相互作用のチェックをさせることにより,薬物療法の有効性と安全性を確保しようとするものであるところ,構造上の独立性は薬局の経営環境の問題にすぎないから,この要件が不十分であったとしても,医薬分業の趣旨を実現することはできるのであって,構造上の独立性は医薬分業の趣旨を実現する上で不可欠のものではない。例えば,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とされ構造上の独立性を欠くとしても,保険薬局の経営主体が保険医療機関の経営主体と実質的に異なり,保険薬局と保険医療機関との間に機能上のつながりも認められないなど,経営面及び機能面から保険薬局の独立性が確保されているのであれば,保険薬局において,薬剤師に,医師から独立した立場で薬学に係る専門的知識に基づいて患者の薬歴管理を行わせ,それに従って服薬指導等をさせることにより,薬物療法の有効性と安全性を確保し,医薬分業の趣旨を実現することはできるし,また,薬剤師は,薬剤師法の規定に基づいて,処方せんの内容を実質的に確認し,疑わしい点があるときは医師に問い合わせる義務を負っており,厚生労働大臣等は,健康保険法の規定に基づいて,保険薬局に対する監督や規制をすることができるのであるから,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とされ構造上の独立性を欠くとしても,厚生労働大臣等において保険薬局に対する監督や規制- 23 -をする権限を適切に行使するので することができるのであるから,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とされ構造上の独立性を欠くとしても,厚生労働大臣等において保険薬局に対する監督や規制- 23 -をする権限を適切に行使するのであれば,医薬分業の趣旨を実現することはできる。 被告の立場によれば構造上の独立性が否定される「医療機関と建物又は敷地が同一で,薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面していないもの」(「調剤薬局の取扱いについて」(昭和57年8月12日付け厚生省保険局医療課から都道府県保険課あて内翰。以下「本件内翰」という。)の1(別紙1(関係法令の定め等)の6)の(1)②)と,被告の立場によっても構造上の独立性が肯定される「医療機関と建物又は敷地が同一で,薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面しているもの」(本件内翰の1の(1)③。いわゆる門前薬局)とを比較しても,経営上及び機能上の独立性が確保されているのであれば,構造上の独立性の有無により保険薬局における薬剤師の薬歴管理や服薬指導等に何らかの差異が生ずるとは到底考えることができないのであり,構造上の独立性は医薬分業の趣旨を実現する上で不可欠のものではないことは明らかであって,構造上の独立性の有無にかかわらず医薬分業の趣旨を実現することはできるのに,構造上の独立性の有無により保険薬局の指定について差異を設ける合理的な理由はないというべきである。 また,本件内翰の1の(4)は,「いわゆる雑居ビル(ビル内に複数のテナントが入居し,廊下等を自由に第三者が通行できる構造となっているものをいう。)内に医療機関及び薬局が存在するもの」については,建物又は敷地が同一で薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路- 24 -等に面しているものとみなして取り扱うこととしつつ,「ビル内 いるものをいう。)内に医療機関及び薬局が存在するもの」については,建物又は敷地が同一で薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路- 24 -等に面しているものとみなして取り扱うこととしつつ,「ビル内のほとんどが特定の医療機関によって占められており,ビル内の薬局が実質的に調剤所と同一とみなせる場合」は,保険薬局の指定をしないこととし,雑居ビル内に保険医療機関と保険薬局のみが存在する場合に,保険医療機関が一つのときは構造上の独立性が否定され,保険医療機関が複数のときは構造上の独立性が肯定されるとしているが,保険医療機関が複数のときも,ビル内には保険医療機関と保険薬局しか存在しない以上,保険医療機関の利用者以外の第三者がビルに出入りするはずがなく,構造上の独立性を肯定することはできないのであって,経営上及び機能上の独立性が確保されているのであれば,医薬分業の趣旨が,ビル内の保険医療機関が複数のときは実現することができ,一つのときは実現することができないとは考えられない。このことからしても,構造上の独立性は医薬分業の趣旨を実現する上で不可欠のものではないことは明らかである。 c 医薬分業の趣旨の実現を考慮すべきことについて医薬分業の利点のうち,薬局の開設者の営業の自由の保障よりも重視すべき目的となり得るものとしては,薬局において,薬剤師が,医師から独立した立場で薬学に係る専門的知識に基づいて患者の薬歴管理を行い,それに従って服薬指導等をすることにより,薬物療法の有効性と安全性を確保することができることがある程度であるが,「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの判断においては,当該申請に係- 25 -る薬局がこの薬歴管理や服薬指導等を適切に実施することがで 「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの判断においては,当該申請に係- 25 -る薬局がこの薬歴管理や服薬指導等を適切に実施することができないものであるか否かを考慮すべきであって,この点について考慮しないまま薬局の経営環境にすぎない構造上の独立性が不十分であることのみを理由として「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するものとすることは全くの筋違いである。 d 主位的主張のまとめ保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とされ構造上の独立性を欠くものであるとしても,医薬分業の趣旨を実現することはできるのであって,構造上の独立性は医薬分業の趣旨を実現する上で不可欠のものではないことからすると,東北厚生局長が,構造上の独立性を保険薬局の指定の独立の要件とし,本件薬局が本件医療機関と一体的な構造とされ構造上の独立性を欠くものであることから,健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するとして,本件指定拒否処分をしたことは,構造上の独立性という本来考慮に容れるべきではない要素を考慮に容れ,又は本来過大に評価すべきではない要素を過大に評価したというべきであり,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したもので違法である。 (ウ)予備的主張仮に東北厚生局長が構造上の独立性を保険薬局の指定の独立の要件としたことが違法であるということができないとしても,次のとおり,本- 26 -件薬局は経営上及び機能上の独立性だけではなく構造上の独立性をも有するものであって,東北厚生局長が,本件薬局が本件医療機関と一体的な構造とされ構造上の独立 ないとしても,次のとおり,本- 26 -件薬局は経営上及び機能上の独立性だけではなく構造上の独立性をも有するものであって,東北厚生局長が,本件薬局が本件医療機関と一体的な構造とされ構造上の独立性を欠くものであることから,健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するとして,本件指定拒否処分をしたことは,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したもので違法であるから,本件指定拒否処分は違法な処分である。 a 本件薬局の経営上及び機能上の独立性について本件薬局の開設者である原告の役員は,本件医療機関の開設者である財団法人Gの理事又は理事と同居若しくは生計を同一にする近親者ではなく,原告の株主は上記財団法人の出資者ではない。また,本件薬局は,職員の勤務体制,医薬品の購入管理,調剤報酬の請求事務,患者の一部負担金の徴収に係る経理事務等が本件医療機関と明確に区分されており,本件医療機関との間でいわゆる約束処方や患者誘導等が行われることを前提とした取決め等を一切していない。このように,本件薬局は,本件医療機関と経営主体が明らかに異なるし,機能上も本件医療機関とのつながりはなく,本件医療機関からの経営上及び機能上の独立性を有することは明らかである。 b 構造上の独立性について(a)構造上の独立性の意義について前記(ア)cのとおり,保険薬局の土地又は建物が保険医療機関の土地又は建物と分離していない場合については,構造上の独立性の- 27 -有無は,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものであるか否かにより判断すべきであるとされるところ,公道に準ずる道路等の意義に 上の独立性の- 27 -有無は,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものであるか否かにより判断すべきであるとされるところ,公道に準ずる道路等の意義については,構造上の独立性が医薬分業の趣旨を実現する上で不可欠のものではないことからすると緩やかに解すべきであって,不特定多数の人が通行し又は利用することが予定されている場所であればこれに該当すると解するのが相当である。 (b)本件薬局の構造上の独立性について本件薬局の建物は本件医療機関の建物と分離していないところ,本件薬局は,本件医療機関と本件建物の内部を通って患者が行き来することができず,本件建物の南側前面の空地を介して患者が行き来するようになっている。そして,次のとおり,本件建物の南側前面の空地は,不特定多数の人が通行し又は利用することが予定されている場所であり,公道に準ずる道路等であるから,本件薬局は,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものではなく,本件医療機関からの構造上の独立性を有するというべきである。 ⅰ 不特定多数の人が通行する予定について本件都市計画は,本件建物の周辺の歩行者の動線に配慮し,敷地南側のγ通りから,本件建物の南側前面の空地を通って,敷地西側のαδ○号線に通り抜けをすることができるようにするものとしており,また,本件組合も,本件建物の南側前面の空地を- 28 -公開空地と位置付け,不特定多数の人が通り抜けのために通行することを認めているのであって,本件建物の南側前面の空地は,不特定多数の人が通行することが予定されている場所である。すなわち,本件建物の南側前面の空地のうち,敷地境界線と壁面後退線と ために通行することを認めているのであって,本件建物の南側前面の空地は,不特定多数の人が通行することが予定されている場所である。すなわち,本件建物の南側前面の空地のうち,敷地境界線と壁面後退線との間の部分については,本件都市計画において,遮蔽物の設置が禁止され,不特定多数の人が自由に通行することができる空間とすることが法律上義務付けられているから,公道に準ずる道路等であることが明らかであり,また,壁面後退線と本件建物との間の部分についても,本件組合において,敷地境界線と本件建物との間の距離を十分に確保し,不特定多数の人が自由に通行することができる空間を整備するため,あえて法律上義務付けられた範囲を拡張した空間であるから,その性格は敷地境界線と壁面後退線との間の部分と同一であって,公道に準ずる道路等であることが明らかである。 ⅱ 不特定多数の人が利用する予定についてそのほかに,本件建物の南側前面の空地には,本件建物の区分所有者と地域の一般市民の憩いの場であるポケットパーク及び公共交通機関であるタクシーの乗り場が設けられており,また,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間には,原告又は財団法人Gと人的関係又は資本関係のない第三者が原告から賃借した区画で営業するスタンドカフェが存在するのであって,いずれも不特定多数の人が利用することが予定されている場所で- 29 -あるということができる。 (被告の主張の要旨)本件の事実経過は別紙4(被告が主張する事実経過)のとおりであって,次のとおり,本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分ではない。 (ア)保険薬局の指定についてa 保険薬局の意義について のとおり,本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分ではない。 (ア)保険薬局の指定についてa 保険薬局の意義について薬局はその所在地の都道府県知事の許可を受けて開設される(薬事法4条1項)が,保険薬局としての業務を行うためには,健康保険法63条3項1号の規定に基づいて厚生労働大臣等から保険薬局の指定を受ける必要がある。保険薬局とは,厚生労働大臣等から保険薬局の指定を受けた薬局をいうところ,保険薬局は,健康保険の被保険者が疾病に罹り又は負傷したときに,できるだけ容易に,できるだけ速やかに,療養の給付を受けることができるように組織されていなければならず,そのためには,特定の被保険者のためのものではなく,健康保険の被保険者であれば誰でも自由に療養の給付を受けることができる薬局が,広範囲に設置されていなければならないという要請を満たすために設けられたものであり,同項2号及び3号の薬局とは根本的に異なる開放的性格を有する。 b 保険薬局の指定の要件について(a)健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」の意義について- 30 -ⅰ 健康保険法の目的及び基本的理念との関係について健康保険法65条3項が,1号ないし5号において保険薬局の指定をしない事由を具体的に定めた上,6号において「前各号のほか」当該申請に係る薬局が保険薬局として著しく不適当と認められるものであるときも保険薬局の指定をしないとしていることからすれば,同号が保険薬局の指定をしない典型的な事例には該当しないもののなお指定をすることが相当でない場合を取り込む包括的規定である められるものであるときも保険薬局の指定をしないとしていることからすれば,同号が保険薬局の指定をしない典型的な事例には該当しないもののなお指定をすることが相当でない場合を取り込む包括的規定であることは明らかである。 そして,健康保険法が,国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし(1条),健康保険制度については医療保険の運営の効率化,給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ実施しなければならないことを基本的理念としている(2条)ことによれば,「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの判断は,上記のような事情を総合してすべきであり,申請に係る薬局について保険薬局の指定をすれば健康保険法の目的又は基本的理念に反する事態が生ずることとなる場合は,同法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当すると解される。 ⅱ 保険薬局の責務との関係について保険薬局の指定は,本来,健康保険の保険者と保険薬局とが第- 31 -三者である被保険者のために締結するはずの契約を厚生労働大臣等が保険者に代わり締結する公法上の契約としての一面を有する行政行為であり,保険薬局は,保険薬局の指定を受けることにより,健康保険法が定める一定の責務を負担するところ,同法70条1項は,「保険薬局は,当該保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師に,72条1項の厚生労働省令で定めるところにより,調剤に当たらせるほか,厚生労働省令で定めるところにより,療養の給付を担当しなければならない。」と定め,この規定を受けた本件規則は,調剤に係る責務として調剤の一般方針, 働省令で定めるところにより,調剤に当たらせるほか,厚生労働省令で定めるところにより,療養の給付を担当しなければならない。」と定め,この規定を受けた本件規則は,調剤に係る責務として調剤の一般方針,使用医薬品,調剤録の記載等を定めるほか,療養の給付に係る責務として療養の給付の担当の範囲,療養の給付の担当方針,処方せんの確認等を定めている。 そして,保険薬局の指定の法的性格及びその効果がこのようなものであることを踏まえると,申請に係る薬局が健康保険法70条1項の規定及びこの規定を受けた本件規則が定める保険薬局の責務を遵守することが見込まれない場合に,当該薬局について保険薬局の指定をすれば健康保険法の目的又は基本的理念に反する事態が生ずることとなることは明らかであるから,このような場合は,同法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当すると解すべきである。 (b)本件規則2条の3第1項1号の「保険医療機関と一体的な構造と」- 32 -することが健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当することについてⅰ 医薬分業について本件規則2条の3第1項1号の規定は,保険医療機関からの独立性の確保を保険薬局の責務とすることにより,医薬分業の趣旨を実現しようとするものである。 医薬分業とは,医師が患者に処方せんを交付し,薬剤師がその処方せんに基づいて調剤を行い,医師と薬剤師が業務を分担することにより医療の質的な向上を図ろうとするものであって,①薬剤師が医師から独立した立場で処方のチェックを行うことができる,② 患者が複数の医療機関を づいて調剤を行い,医師と薬剤師が業務を分担することにより医療の質的な向上を図ろうとするものであって,①薬剤師が医師から独立した立場で処方のチェックを行うことができる,② 患者が複数の医療機関を受診しても,薬剤の重複投与の防止や相互作用の確認をすることができる,③ 病院の薬剤師が外来の調剤業務から離れ入院患者に対する服薬指導に重点を置くことができるなどの利点があるとされる。 我が国は,かねてから,医薬分業の趣旨の実現のため,保険薬局の保険医療機関からの独立性の確保を図っている。すなわち,厚生省薬務局長は,昭和50年1月24日付け「処方せんの受入れ体制の整備について」(別紙1(関係法令の定め等)の3)を発出し,調剤専門薬局の許可に当たっては同薬局が構造的,機能的,経済的に医療機関から独立した機関であることを本旨とすべきであるとし,同省薬務局長及び保険局長は昭和57年5月27日- 33 -付け「調剤薬局の取扱いについて」(同別紙の4)を,同省薬務局企画課長及び保険局医療課長は同日付け「調剤薬局の取扱いについて」(同別紙の5)をそれぞれ発出し,医療機関と同一の建物又は敷地にあり総合的に判断して医療機関の調剤所とみなされる調剤薬局については保険薬局の指定をしないこととした。そして,同省保険局医療課長補佐は,同年8月12日付けで本件内翰(同別紙の6)を発出し,上記取扱いの具体的な運用を明らかにし,同省保険局医療課長及び歯科医療管理官は,平成8年3月8日付けで本件規則の留意事項(同別紙の7)を発出し,本件規則の行政解釈及び運営の指針を示した。 ⅱ 本件規則2条の3第1項1号の趣旨について本件規則2条の3第1項1号の規定が保険医療機関からの構造上の独立性の確保を保険薬局の責務とする趣 営の指針を示した。 ⅱ 本件規則2条の3第1項1号の趣旨について本件規則2条の3第1項1号の規定が保険医療機関からの構造上の独立性の確保を保険薬局の責務とする趣旨は,保険薬局が保険医療機関からの構造上の独立性を有しない場合,当該保険薬局と構造上の一体性を有する保険医療機関を受診した患者は当該保険薬局に調剤を受けに行くことが容易に想定され,当該保険薬局は当該保険医療機関の調剤所と変わりがないこととなるが,そうなれば,たとえ両者の経営主体が形式的には異なっていたとしても,当該保険医療機関の受診患者が少なくなれば当該保険薬局を訪れる患者も少なくなるなど実質的には経営上の一体性を有するようになるからである。また,上記の場合,当該保険薬局は必然的に当該保険医療機関に従属するようになるため,当該保険- 34 -薬局に所属する保険薬剤師は当該保険医療機関の保険医の処方に対して客観的な立場からの確認等をすることができなくなると考えることができるし,さらに,保険医療機関からの構造上の独立性を有しない薬局を保険薬局として指定してしまうと,後に指導監督を行ったとしても,それだけでは構造上の一体性を排除することができない以上,経営上の一体性を実質的に是正することは極めて困難である。 ⅲ 本件規則2条の3第1項1号に違反することが健康保険法65条3項6号に該当することについて前記(a)ⅱのとおり,申請に係る薬局が健康保険法70条1項の規定及びこの規定を受けた本件規則が定める保険薬局の責務を遵守することが見込まれない場合は,健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当すると解すべきであるところ,上記ⅱによれば,保険 を遵守することが見込まれない場合は,健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当すると解すべきであるところ,上記ⅱによれば,保険医療機関からの構造上の独立性の確保を保険薬局の責務とする本件規則2条の3第1項1号の規定が医薬分業の趣旨を実現するために必要不可欠な要件を定めるものであることは明らかであって,申請に係る薬局が保険医療機関からの構造上の独立性を欠く場合,当該薬局は,医薬分業の趣旨の実現を阻害するものであり,健康保険法70条1項の規定及びこの規定を受けた本件規則が定める保険薬局の責務を遵守することが見込まれないということができるから,このような場合は,健- 35 -康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当すると解すべきである。 (c)本件規則2条の3第1項1号の「保険医療機関と一体的な構造と」することの意義について本件規則2条の3第1項1号の保険薬局が「保険医療機関と一体的な構造と」するとは,保険薬局の土地又は建物が保険医療機関の土地又は建物と分離しておらず,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものとすることをいうと解される。 そして,一般に,公道とは,私道に対置される概念であり,一般の交通の用に供され誰でも自由に通行し又は利用することができる道を意味するから,「公道に準ずる道路等」とは,国語的な意味においては,公道と同様に誰でも自由に通行し又は利用することができる道等を意味することとなるが,保険薬局の指定申請に係る薬局に対し保険医療機関からの構造上の独立性の確保が要求されるのは,医薬分業の趣旨 いては,公道と同様に誰でも自由に通行し又は利用することができる道等を意味することとなるが,保険薬局の指定申請に係る薬局に対し保険医療機関からの構造上の独立性の確保が要求されるのは,医薬分業の趣旨の実現や保険薬局の開放的性格の確保の観点からであることによれば,ここにいう「公道に準ずる道路等」であるというためには,単に公道と同様に誰でも自由に通行し又は利用することができるという可能性があるだけでは足りないのであって,「公道に準ずる道路等」とは,保険薬局及び保険医療機関の利用者の往来が主ではなく,常時,不特定多数の人が往来する可能性- 36 -のある道路等をいうと解すべきである。 (イ)厚生労働大臣等の裁量権等についてa 厚生労働大臣等の裁量権について健康保険法65条3項6号は,「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」と定めるのみで,いかなる場合に「保険薬局として著しく不適当」と認められるかについては具体的に定めておらず,厚生労働大臣等は保険薬局の指定について要件裁量を付与されている。また,同項柱書きは「厚生労働大臣は,1項の申請があった場合において,次の各号のいずれかに該当するときは,63条3項1号の指定をしないことができる。」と定めており,厚生労働大臣等は保険薬局の指定をするか否かについて効果裁量も付与されている。これを実質的にみても,健康保険制度の在り方に関わる判断は,国民の保健衛生の確保などの社会的,経済的な事情に薬局を開設しようとする私人の営業の自由との調整といった事情をも加えて総合的にしなければならないのであって,このような判断は,健康保険行政全般について責任を負う厚生労働大臣等の裁量に委ねるのが相当である。 b 厚生労働大臣等の裁量 といった事情をも加えて総合的にしなければならないのであって,このような判断は,健康保険行政全般について責任を負う厚生労働大臣等の裁量に委ねるのが相当である。 b 厚生労働大臣等の裁量判断に対する司法審査の在り方について保険薬局の指定については厚生労働大臣等に裁量が付与されていることによれば,その判断に対する司法審査の在り方としては,厚生労働大臣等と同一の立場に立って保険薬局の指定をすべきであったか否かを判断するのではなく,厚生労働大臣等の裁量判断が存在するこ- 37 -とを前提として,その判断が裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したと認められるか否かを判断すべきである。 (ウ)本件指定拒否処分の適法性について東北厚生局長は,本件薬局が本件医療機関からの構造上の独立性を欠き,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とすることを禁止する本件規則2条の3第1項1号に違反し,健康保険法70条1項の保険薬局の責務に反したものであることから,同法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するとして,本件指定拒否処分をしたものである。そして,前記(ア)b(b)ⅲのとおり,申請に係る薬局が保険医療機関からの構造上の独立性を欠く場合,当該薬局は,医薬分業の趣旨の実現を阻害するものであり,このような場合は,同号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当すると解すべきであるところ,次のとおり,本件建物の南側前面の空地は,本件薬局及び本件医療機関の利用者の往来が主であり,常時,不特定多数の人が往来する可能性のある道路等ではなく,公道に準ずる道路等であるということができないのであって,本件薬局は本件医療機関 空地は,本件薬局及び本件医療機関の利用者の往来が主であり,常時,不特定多数の人が往来する可能性のある道路等ではなく,公道に準ずる道路等であるということができないのであって,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を欠くということができるから,東北厚生局長が,本件薬局は本件規則2条の3第1項1号に違反し,健康保険法70条1項の保険薬局の責務に反したものであって,同法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するとして,本件指定拒否処分をしたことは,その裁量権の- 38 -範囲を逸脱し又はこれを濫用したものではなく,本件指定拒否処分は違法な処分ではない。 a 本件薬局と本件医療機関との間の患者の行き来について本件薬局の建物は本件医療機関の建物と分離していないところ,本件薬局は,本件医療機関と本件建物の内部を通って患者が行き来することができず,本件建物の南側前面の空地を介して患者が行き来するようになっている。 b 本件建物の南側前面の空地について本件建物の南側前面の空地のうち別紙2の本件薬局の配置図中「公園」とある部分並びに本件薬局及び本件医療機関の出入口(正面出入口)の前面部分(以下,これらの部分を併せて「本件建物の南側前面の空地1」という。別紙2の本件薬局の配置図中赤で着色した部分)は,本件医療機関及び本件薬局の利用者のみが本件医療機関又は本件薬局への出入りのために利用する通路スペースであるとみられる可能性が高く,また,別紙2の本件薬局の配置図中青で着色した部分(以下,この部分を「本件建物の南側前面の空地2」という。)は,本件医療機関の駐車場,タクシー乗り場及び本件医療機関の利用者の車両通行帯で占められている。 紙2の本件薬局の配置図中青で着色した部分(以下,この部分を「本件建物の南側前面の空地2」という。)は,本件医療機関の駐車場,タクシー乗り場及び本件医療機関の利用者の車両通行帯で占められている。 このように,立入りが一切禁止されているものではないという限度では,人の往来が想定されるところであるものの,公道と同様に不特定多数の人の往来が常時想定されるような構造にはなっていない状況に鑑みると,本件建物の南側前面の空地は,ほぼ本件薬局及び本件- 39 -医療機関の利用者の往来が主であり,常時,不特定多数の人が往来する可能性は低いから,公道又はこれに準ずる道路等であるということはできない。 c 本件薬局が本件医療機関からの構造上の独立性を欠くことについてそうすると,本件薬局は,その建物が本件医療機関の建物と分離しておらず,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものであり,本件医療機関からの構造上の独立性を欠くということができる。 (エ)原告の主張についてa 原告の主位的主張aについて憲法22条の営業の自由は,薬局の開設を自由に行うことができることで保障されているところ,健康保険制度は,憲法25条が定める生存権を保障するための一施策であり,薬局の経営を保障する制度ではないことに照らすと,憲法22条の営業の自由は,薬局の開設者に,保険薬局の指定を受ける地位までも保障しているものではないと解するのが相当である。 b 原告の主位的主張bについて(a)医薬分業の趣旨を実現するためには,保険医療機関からの構造上の独立性の確保を保険薬局の責務とすることが必須であるから,構造上の独立性を実質的に保険薬局の指定 の主位的主張bについて(a)医薬分業の趣旨を実現するためには,保険医療機関からの構造上の独立性の確保を保険薬局の責務とすることが必須であるから,構造上の独立性を実質的に保険薬局の指定の要件とすることは何ら不合理なことではない。 (b)門前薬局とは,特定の医療機関の近隣に開設し,専ら当該医療機- 40 -関からの処方せんのみを受け付ける薬局をいう。保険薬局の指定を受けるためには,構造上の独立性と経営上の独立性をいずれも有する必要があるところ,本件内翰の1の(1)②は明らかに構造上の一体性が認められることを理由に,本件内翰の1の(1)③は構造上の一体性は認められないものの経営上の一体性が認められる可能性があることを理由に,保険薬局の指定をしないものとされているのであって,いずれの事例も,医薬分業の趣旨の実現の観点から,構造上の独立性と経営上の独立性をそれぞれ有するか否かという点を保険薬局の指定をするか否かの判断において重視するものである。したがって,本件内翰の1の(1)②と③とを比較して,構造上の独立性は医薬分業の趣旨を実現する上で不可欠のものではないということはできない。 (c)原告は,雑居ビルの事例に関する本件内翰の1の(4)を誤って解釈している。原告が主張する事例は,いずれも建物又は敷地が同一で薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面しているものとみなして取り扱うことができず,実質的にビル内の医療機関の調剤所と同一であるとみなされる事例であり,原告の上記主張は前提を誤るものである。 イ本件指定拒否処分は行政手続法8条1項の理由の提示の規定に違反するか否か(争点2)について(原告の主張の要旨)本件指定拒否処分は,次のとおり,行政手続法8条1項の理由の提示の 本件指定拒否処分は行政手続法8条1項の理由の提示の規定に違反するか否か(争点2)について(原告の主張の要旨)本件指定拒否処分は,次のとおり,行政手続法8条1項の理由の提示の- 41 -規定に違反するものである。 (ア)弁明手続が適用される処分の理由の提示について行政手続法8条1項の規定によれば,行政庁は,申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は,申請者に対し,同時に,当該処分の理由を示さなければならないところ,弁明手続が適用される処分については,処分の相手方からの反論及び反証にもかかわらず当該処分がされなければならない理由を示す必要がある。 (イ)本件指定拒否処分の理由の提示について東北厚生局長は,本件指定拒否処分をするに当たり,少なくとも重要な争点について,どのような立場で判断したのかを明確に示す必要があったものであるが,本件指定拒否処分に係る通知書においては,原告の弁明書に記載された争点に関する具体的な判断は何ら示されていないのであって,本件指定拒否処分が行政手続法8条1項の規定に違反することは明らかである。そして,このように理由の提示に不備がある以上は,本件指定拒否処分が取り消されるべきであることは当然である。 (被告の主張の要旨)本件指定拒否処分は,次のとおり,行政手続法8条1項の理由の提示の規定に違反するものではない。 (ア)理由の提示の内容及び程度について法律が処分に理由の提示を要求する趣旨は,処分庁の判断の慎重及び合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与えるものであり,理由の提示に当たり,- 42 -どの程度の記載をすべきかは,処分の性質と の慎重及び合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を相手方に知らせて不服の申立てに便宜を与えるものであり,理由の提示に当たり,- 42 -どの程度の記載をすべきかは,処分の性質と理由の提示を命じた法の規定の趣旨,目的に照らして,これを決定すべきである。 (イ)本件指定拒否処分の理由の提示について行政手続法8条1項により求められる理由の提示の内容及び程度は,処分の相手方においてその根拠事実及び法規を通知書の記載自体から了知し得るものでなければならず,かつ,それで足りると解されるところ,本件指定拒否処分に係る通知書の理由欄には,「1 健康保険法67条の規定に基づく東北地方社会保険医療協議会の審議の結果,指定をしないこととされたこと。」,「2 健康保険法65条3項6号に該当すること。」,「3 本件規則2条の3第1項1号に該当すること。」という記載があるのであって,これらの記載と本件指定拒否処分に至った経過を併せれば,本件指定拒否処分の理由は明らかであり,本件指定拒否処分に理由の提示の違法はない。 (2)保険薬局の指定義務付けの可否及び保険薬局の指定義務付けの訴えの適否(争点3)について(義務付けの訴え関係)(原告の主張の要旨)上記(1)アの原告の主張の要旨のとおり,東北厚生局長が,本件薬局は本件規則2条の3第1項1号に違反し,健康保険法65条3項6号に該当するとして,本件指定拒否処分をしたことは,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したものであるから,本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべきであることは当然である。 (被告の主張の要旨)- 43 -行政事件訴訟法3条6項2号の申請型義務付けの訴えのうち「当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し 険薬局の指定をすべきであることは当然である。 (被告の主張の要旨)- 43 -行政事件訴訟法3条6項2号の申請型義務付けの訴えのうち「当該法令に基づく申請又は審査請求を却下し又は棄却する旨の処分又は裁決がされた場合」の類型については,当該処分又は裁決が「取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不存在である」ときに限り,提起することができるとされている(同法37条の3第1項2号)のであって,併合提起した処分又は裁決の取消請求又は無効等確認請求が認容されることが訴訟要件となるところ,上記(1)アの被告の主張の要旨のとおり,本件指定拒否処分は違法な処分ではなく,取り消されるべきものには当たらないのであるから,本件指定申請に係る薬局についての保険薬局の指定義務付けの訴えは,上記訴訟要件を欠く不適法なものである。 (3)本件指定拒否処分の国家賠償法上の違法の有無(争点4)について(国家賠償請求関係)(原告の主張の要旨)上記(1)ア及びイの各原告の主張の要旨のとおり,本件指定拒否処分は違法な処分であるから,東北厚生局長は,その職務を行うについて,少なくとも過失があったということができる。そして,原告は,本件指定拒否処分により,本件薬局において保険調剤業務を行うことができず,薬局の開設自体を先延ばしにすることを強いられていることによって,日々損害を被っている。仮に本件薬局についての保険薬局の指定を受けて薬局を開設していれば,原告は,本件医療機関ほかの複数の医療機関からの処方せん調剤等により,毎月平均317万9350円の利益を上げることができたのであって,被告は,国家賠償法1条1項の規定に基づいて,原告に対し,本件指定拒否処分- 44 -がされた平成23年3月4日から裁判所により義務付けられた本件 万9350円の利益を上げることができたのであって,被告は,国家賠償法1条1項の規定に基づいて,原告に対し,本件指定拒否処分- 44 -がされた平成23年3月4日から裁判所により義務付けられた本件指定申請に係る薬局についての保険薬局の指定がされるまで,少なくとも毎月315万円の損害を賠償する義務を負う。 (被告の主張の要旨)国家賠償法1条1項にいう違法とは,国又は公共団体の公権力の行使に当たる公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背することをいい,職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく,漫然と当該行為をしたと認められるような事情がある場合に限り,違法の評価を受けることとなるものと解するのが相当である。 上記(1)ア及びイの各被告の主張の要旨のとおり,本件指定拒否処分は違法な処分ではないから,国家賠償法上の違法を構成する余地はない。また,本件指定拒否処分に至った経過からみても,東北厚生局長は,保険薬局の指定に向けて幾度もやり取りを行い,原告から詳細に事実関係を調査した上で,本件指定申請が医薬分業に反する可能性が高いことをあらかじめ指摘し,フェンス等の遮蔽物を設けることにより客観的,外形的に本件医療機関と本件薬局との構造上の一体性を軽減させる措置が可能である旨の示唆までしたにもかかわらず,原告があえて本件指定申請に及んだことから本件指定拒否処分をしたものであって,本件指定拒否処分をするについて,東北厚生局長が職務上通常尽くすべき注意義務を尽くすことなく漫然と本件指定拒否処分をしたということはできないから,本件指定拒否処分に国家賠償法1条1項の違法はない。 第3 当裁判所の判断- 45 - 1 本件指定拒否処分の適否について(取消しの訴え関係)(1)本件指定拒否処分は東北厚生局 ないから,本件指定拒否処分に国家賠償法1条1項の違法はない。 第3 当裁判所の判断- 45 - 1 本件指定拒否処分の適否について(取消しの訴え関係)(1)本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分である否か(争点1)についてア健康保険法63条3項1号の保険薬局の指定について(ア)健康保険法の定め健康保険法は,労働者の業務外の事由による疾病等及びその被扶養者の疾病等に関して保険給付を行い,もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし(1条),健康保険制度については,これが医療保険制度の基本を成すものであることに鑑み,高齢化の進展,疾病構造の変化,社会経済情勢の変化等に対応し,その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ,その結果に基づき,医療保険の運営の効率化,給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ,実施されなければならないことを基本的理念とするものであって(2条),被保険者の疾病又は負傷に関しては,診察,薬剤又は治療材料の支給,処置,手術その他の治療ほかの療養の給付を行うものとする(63条1項)ところ,療養の給付を受けようとする者は,厚生労働省令で定めるところにより,厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所又は薬局(すなわち,保険医療機関又は保険薬局)(1号),特定の保険者が管掌する被保険者に対して診療又は調剤を行う病院若しくは診療所又は薬局であって,当該保険者が指定したもの(2号),健康保険組合である保険者が開設する病院若しくは診療- 46 -所又は薬局(3号)のうち,自己の選定するものから受けるもの 行う病院若しくは診療所又は薬局であって,当該保険者が指定したもの(2号),健康保険組合である保険者が開設する病院若しくは診療- 46 -所又は薬局(3号)のうち,自己の選定するものから受けるものとしている(同条3項)。 そして,健康保険法は,保険医療機関又は保険薬局の指定は,政令で定めるところにより,病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行うものとし(65条1項),厚生労働大臣は,申請があった場合において,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,その保険医療機関又は保険薬局に係る指定を取り消され,その取消しの日から5年を経過しないものであるとき等は,保険医療機関又は保険薬局の指定をしないことができる(同条3項1号ないし5号)ほか,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるときも,保険医療機関又は保険薬局の指定をしないことができるとする(同項6号)。 (イ)保険薬局の指定の性質についてa 保険薬局と保険者との間の被保険者に対する療養の給付に係る契約の大量性について上記(ア)のとおり,健康保険の被保険者は,療養の給付を,健康保険法63条3項各号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局のうち自己の選定するものから受けるものであるところ,療養の給付を担当する病院若しくは診療所又は薬局は,健康保険の被保険者が疾病に罹り又は負傷したときに,できるだけ容易に,できるだけ速やかに,療養の給付を受けることができるように組織されていなければならず,そのためには,特定の被保険者のためのものではなく,健康保険の被保- 47 -険者であれば誰でも自由に療養の給付を受けることができる病院若しくは診療所又は薬局が,広範囲に設置されてい ればならず,そのためには,特定の被保険者のためのものではなく,健康保険の被保- 47 -険者であれば誰でも自由に療養の給付を受けることができる病院若しくは診療所又は薬局が,広範囲に設置されていなければならない。 同項1号の保険医療機関及び保険薬局は,この要請を満たすために設けられたものであり,同項2号の特定の保険者が管掌する被保険者に対して診療又は調剤を行う病院若しくは診療所又は薬局であって当該保険者が指定したもの及び同項3号の健康保険組合である保険者が開設する病院若しくは診療所又は薬局とは異なり,健康保険の被保険者でさえあれば,いかなる保険者が管掌する被保険者に対しても診療又は調剤を行うものであって,他の療養の給付の担当機関とは異なる開放的性格を有するものであるということができる。そして,保険医療機関又は保険薬局は,健康保険の被保険者に対する療養の給付を,当該被保険者の保険を管掌する保険者との間で締結した契約に基づいて担当するものであり,この契約は,本来,保険医療機関又は保険薬局と保険者との間で個別的に締結されるべきものであるが,膨大な数に上る保険医療機関及び保険薬局と多数存在する保険者とが上記契約を個別的に締結することは実際には著しく困難であるため,保険医療機関又は保険薬局と保険者との間に上記契約関係を成立させる合理的な手段が必要となる。 b 保険薬局と保険者との間の被保険者に対する療養の給付に係る契約の定型性について健康保険法及びその関係法令等は,保険医療機関又は保険薬局は,当該保険医療機関において診療に従事する保険医又は当該保険薬局- 48 -において調剤に従事する保険薬剤師に,保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)並びに保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(本件 療に従事する保険医又は当該保険薬局- 48 -において調剤に従事する保険薬剤師に,保険医療機関及び保険医療養担当規則(昭和32年厚生省令第15号)並びに保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(本件規則。以下,これらの規則を併せて,単に「療養担当規則」という。)で定めるところにより,診療又は調剤に当たらせるほか,療養担当規則で定めるところにより,療養の給付を担当しなければならない責務を負うものとし(健康保険法70条1項),その一方で,保険者は,療養の給付に関する費用を保険医療機関又は保険薬局に支払うものとし,保険医療機関又は保険薬局が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は,療養の給付に要する費用の額から,当該療養の給付に関し被保険者が当該保険医療機関又は保険薬局に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とするものとする(同法76条1項)など,保険医療機関又は保険薬局と保険者(及び被保険者)との間の被保険者に対する療養の給付に係る法律関係についての具体的な定めを置いているのであり,保険医療機関又は保険薬局と保険者との間の被保険者に対する療養の給付に係る契約は,その内容に契約当事者の個別的な事情を反映させる余地がなく,必ずしも保険医療機関又は保険薬局と保険者との間で個別的に締結させる必要はない。 c 申請に係る薬局の保険薬局としての適格性を審査する必要について上記(ア)のとおり,健康保険法は,国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とし(1条),健康保険制度については,医療保険の運営の効率化,給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が- 49 -受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ,実施されなければならないことを基本的理念とするものである(2条)ことによれば 保険の運営の効率化,給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が- 49 -受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ,実施されなければならないことを基本的理念とするものである(2条)ことによれば,健康保険制度は国が指導監督しその発展を積極的に図るべき性格のものであるということができるのであって,保険医療機関又は保険薬局と保険者との間の被保険者に対する療養の給付に係る契約関係の成立に際しても,健康保険事業に関する事務を所掌する厚生労働省の長である厚生労働大臣が関与し,保険医療機関又は保険薬局となろうとする病院若しくは診療所又は薬局の保険医療機関又は保険薬局としての適格性を審査する必要がある。 d 保険薬局の指定の性質について上記(ア)のとおり,健康保険法は,厚生労働大臣は,病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により,保険医療機関又は保険薬局の指定をし(65条1項),当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるときは,保険医療機関又は保険薬局の指定をしないことができるとする(同条3項6号)ところ,この保険医療機関又は保険薬局の指定は,上記aないしcの見地から,健康保険の保険者において保険医療機関又は保険薬局との間で当該保険者が管掌する被保険者に対する療養の給付に係る契約を個別的に締結させるのに代えて,厚生労働大臣において保険医療機関又は保険薬局の指定をすることにより,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局(すなわち保険医療機関又は保険薬局となろうとするもの)と全ての保険者との間に被保険者に- 50 -対する療養の給付に係る契約関係を,健康保険法及びその関係法令等をいわば法定の約款として包括的に成立させ,併せて,その際に,当該申請に ろうとするもの)と全ての保険者との間に被保険者に- 50 -対する療養の給付に係る契約関係を,健康保険法及びその関係法令等をいわば法定の約款として包括的に成立させ,併せて,その際に,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の保険医療機関又は保険薬局としての適格性を審査するものであると解することができるのであって,保険医療機関又は保険薬局の指定は,厚生労働大臣が,病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局と全ての健康保険の保険者との間に当該保険者が管掌する被保険者に対する療養の給付に係る契約関係を包括的に成立させる形成的な行政行為であり,それに伴い,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局は,保険医療機関又は保険薬局として,療養の給付に関し,厚生労働大臣の指導を受けなければならないこととなり(同法73条1項),厚生労働大臣が療養の給付に関して必要があると認めるときは,報告又は診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示等を命ぜられることとなる(同法78条1項)。 イ保険薬局の指定の要件について(ア)被保険者に対する療養の給付に係る契約関係上の義務の遵守と健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」について上記ア(ア)のとおり,健康保険法は,厚生労働大臣は,病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請があった場合において,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,その保険医療機関又は保険薬局に係る指定を取り消され,その取消しの日から5年を経過しないものであると- 51 -き等,65条3項1号ないし5号に掲げるときのほか,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,保険医療機関又は保険薬局として著し され,その取消しの日から5年を経過しないものであると- 51 -き等,65条3項1号ないし5号に掲げるときのほか,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるときは,保険医療機関又は保険薬局の指定をしないことができるとする(同項6号)。この規定は,1号から5号までに掲げられた事由には該当しないものの,なお保険医療機関又は保険薬局としての適格性を欠くものを,保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものとして保険医療機関又は保険薬局の制度から排除しようとするものであるところ,上記ア(イ)dのとおり,厚生労働大臣が病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により保険医療機関又は保険薬局の指定をすると,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局と全ての健康保険の保険者との間に当該保険者が管掌する被保険者に対する療養の給付に係る契約関係が成立し,上記ア(イ)bのとおり,保険医療機関又は保険薬局は,同法70条1項の規定に基づいて,当該保険医療機関において診療に従事する保険医又は当該保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師に,療養担当規則で定めるところにより,診療又は調剤に当たらせるほか,療養担当規則で定めるところにより,療養の給付を担当しなければならない責務を負うなど,被保険者に対する療養の給付に係る契約関係上の義務を負う。そして,保険医療機関又は保険薬局が療養担当規則で定めるところにより療養の給付を担当するなど被保険者に対する療養の給付に係る契約関係上の義務を遵守することは,健康保険制度については医療保険の運営の効率化,給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向- 52 -上を総合的に図りつつ実施されなければならないという健康保険制度の基本 は,健康保険制度については医療保険の運営の効率化,給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向- 52 -上を総合的に図りつつ実施されなければならないという健康保険制度の基本的理念を実現し,国民の生活の安定と福祉の向上に寄与するという健康保険法の目的を達成する上で,極めて重要な意義を有するのであって,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,被保険者に対する療養の給付に係る契約関係上の義務を遵守することを期待することができないものである場合は,当該病院若しくは診療所又は薬局は,同法65条3項1号から5号までに掲げられた事由には該当しないものの,なお保険医療機関又は保険薬局としての適格性を欠くものであるということができるから,保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるというべきである。 (イ)保険薬局の指定に係る厚生労働大臣等の裁量について病院若しくは診療所又は薬局の開設者が,健康保険法65条1項の規定に基づいて,厚生労働大臣等に対し,保険医療機関又は保険薬局の指定申請をした場合において,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,同条3項6号の「保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの判断は,同法67条の規定に基づく地方社会保険医療協議会の議を経る前提の下で,厚生労働大臣等の合理的な裁量に委ねられていると解するのが相当である。 何故ならば,健康保険法65条3項6号は上記のように抽象的な処分要件を定めていることに加えて,上記ア(ア)のとおり,同法は,労働者の業務外の事由による疾病等及びその被扶養者の疾病等に関して保険給付を行い,もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目- 53 -的とし(1条),健康保険 (ア)のとおり,同法は,労働者の業務外の事由による疾病等及びその被扶養者の疾病等に関して保険給付を行い,もって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目- 53 -的とし(1条),健康保険制度については,これが医療保険制度の基本を成すものであることに鑑み,高齢化の進展,疾病構造の変化,社会経済情勢の変化等に対応し,その他の医療保険制度及び後期高齢者医療制度並びにこれらに密接に関連する制度と併せてその在り方に関して常に検討が加えられ,その結果に基づき,医療保険の運営の効率化,給付の内容及び費用の負担の適正化並びに国民が受ける医療の質の向上を総合的に図りつつ,実施されなければならないことを基本的理念とするものである(2条)ところ,保険医療機関又は保険薬局の指定申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,「保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの判断をするに当たっては,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局に対する指定取消処分の有無及びその時期,同法73条1項等の規定に基づく指導の有無及びその内容,回数,開設者又は管理者の前科前歴の有無及びその内容,社会保険各法の定めるところにより納付義務を負う保険料についての滞納処分の有無及び当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料の滞納状況(これらの事情が同法65条3項1号ないし5号に掲げる事由に該当するときは,同項6号該当性を判断する必要はないが,これらの事情が上記各事由に該当しないときは,そうではあっても他の事情と相俟って同号に該当することもあるから,同号該当性を判断することとなると解される。)のほか,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の療養の給付の担当に係る態勢(保険医又は保険薬剤師の数,担当診療科,常勤と非常勤の別,その もあるから,同号該当性を判断することとなると解される。)のほか,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の療養の給付の担当に係る態勢(保険医又は保険薬剤師の数,担当診療科,常勤と非常勤の別,そのほかの医師又は薬剤師の数,- 54 -常勤と非常勤の別,看護師,准看護師及び看護補助者のそれぞれの数,診療又は開局の曜日及び時間),保険薬局の指定申請の場合には,当該申請に係る薬局の位置及び構造並びに隣接する病院又は診療所があるときにはその建物及び敷地との関係,当該申請に係る薬局の経営主体の病院又は診療所の経営主体との実質的同一性の有無,当該申請に係る薬局の調剤受付,職員の勤務体制,医薬品の管理,経理等が病院又は診療所と区分されているか否か等の諸般の事情を十分に勘案し,健康保険法の上記目的の下で同法の上記基本的理念に即してその該当性の判断をしなければならないのであって,このような判断は,その性質上,健康保険事業に関する事務を所掌する厚生労働省の長である厚生労働大臣又は同大臣から同法63条3項1号の保険薬局の指定をする権限の委任を受けた地方厚生局長の裁量に委ねるのでなければ適切な結果を期待することができないからである。 (ウ)保険薬局の指定に係る厚生労働大臣等の裁量判断が違法となる場合について上記(イ)のとおり,保険医療機関又は保険薬局の指定申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,健康保険法65条3項6号の「保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの判断は,厚生労働大臣等の合理的な裁量に委ねられていると解するのが相当であることによれば,厚生労働大臣等がその裁量権の行使としてした,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,同号の「保険医療機関又は保険薬局として著しく不適 な裁量に委ねられていると解するのが相当であることによれば,厚生労働大臣等がその裁量権の行使としてした,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,同号の「保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるもの- 55 -であるとき」に該当する旨の判断は,それが重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くと認められるなど,厚生労働大臣等に与えられた裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用した場合に限り,違法となるというべきである。 ウ本件規則2条の3第1項1号の構造上の独立性について(ア)本件規則の定め本件規則は,健康保険事業の健全な運営の確保のため,保険薬局が,その担当する療養の給付に関し,保険医療機関と一体的な構造とし,又は保険医療機関と一体的な経営を行うこと(1号),保険医療機関又は保険医に対し,患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として,金品その他の財産上の利益を供与すること(2号)を禁止する(2条の3第1項)とともに,そのほか,保険薬局は,その担当する療養の給付に関し,健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならないとする(同条2項)。 (イ)本件規則2条の3第1項1号の趣旨について薬剤師法は,薬剤師は,調剤,医薬品の供給その他薬事衛生をつかさどることによって,公衆衛生の向上及び増進に寄与し,もって国民の健康な生活を確保することを任務とするとした(1条)上で,薬剤師は,病院又は診療所の調剤所において,その病院又は診療所で診療に従事する医師の処方せんによって調剤する場合等を除き,原則として,薬局以外の場所で,販売又は授与の目的で調剤してはならないとし(22条),また,薬剤師は,医師の処方せんによら 病院又は診療所で診療に従事する医師の処方せんによって調剤する場合等を除き,原則として,薬局以外の場所で,販売又は授与の目的で調剤してはならないとし(22条),また,薬剤師は,医師の処方せんによらなければ,販売又は授与の目的で- 56 -調剤してはならないとする(23条1項)一方で,医師の処方せん中に疑わしい点があるときは,その処方せんを交付した医師に問い合わせて,その疑わしい点を確かめた後でなければ,これによって調剤してはならないとする(24条)ところ,本件規則2条の3第1項1号の規定は,保険薬局の保険医療機関からの独立性をその構造面及び経営面から確保することにより,いわゆる医薬分業を推進し,もって保険薬局が担当する療養の給付に関し健康保険事業の健全な運営を確保しようとするものであると解される。すなわち,医薬分業とは,病院又は診療所の医師が患者を診察し,治療上投薬をする必要があると認めた場合には処方せんを交付し,薬局の薬剤師がその処方せんに基づいて調剤し,医師と薬剤師とがそれぞれの専門分野で業務を分担することにより,国民医療の質的向上を図ろうとするものであり,その利点としては,医師にとっては手持ちの薬剤に縛られずに最善の薬剤を処方することができること,薬剤師にとっては医師から独立した立場においてその処方を確認することが可能となること,患者にとっては,処方せんが交付されることにより処方内容の開示を受けることができるほか,複数の医療機関を受診した場合であっても,同一の薬剤を重複して投与されることを防止することができ,異なる薬剤の相互作用の確認を受けることもできること等が挙げられるところ,保険薬局が,その担当する療養の給付に関し,保険医療機関と一体的な構造とし,又は保険医療機関と一体的な経営を行うときには,当該保険薬局は保険医療機 確認を受けることもできること等が挙げられるところ,保険薬局が,その担当する療養の給付に関し,保険医療機関と一体的な構造とし,又は保険医療機関と一体的な経営を行うときには,当該保険薬局は保険医療機関からの独立性を失うこととなるのであって,そうなれば,当該保険薬局は当該保険医療機関の調剤所- 57 -であるのと実質的に異ならず,医薬分業の上記趣旨に反し,その利点は失われることとなる。本件規則2条の3第1項1号の規定は,このことに鑑みて,保険薬局の保険医療機関からの独立性をその構造面及び経営面から確保するために設けられたものであると解される。 そして,本件規則2条の3第1項1号の規定が定める保険薬局の責務のうち,保険医療機関からの構造上の独立性を確保する責務は,保険医療機関からの経営上の独立性を確保する責務と比べて,医薬分業の趣旨の実現との関係がより間接的なものにとどまるといわざるを得ないが,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とされている場合には,当該保険医療機関を受診する患者の大半が当該保険薬局に調剤を受けに行くこととなり,当該保険薬局が当該保険医療機関の調剤所としての役割を担うこととなる結果,実質的には経営上の一体性をも有することになることが予想され,また,当該保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は,専ら当該保険医療機関において診療に従事する保険医がその患者に交付した処方せんにより調剤の業務を行うこととなり,その結果,当該保険薬局が保険医療機関からの独立性を失うおそれがあるということができる。そうであるとすれば,保険医療機関からの構造上の独立性を確保するという保険薬局の責務は,医薬分業の趣旨の実現の見地からみて,なお重要性を有するものであるというべきである。 (ウ)本件規則2条の3第1項1号の構造上の独 療機関からの構造上の独立性を確保するという保険薬局の責務は,医薬分業の趣旨の実現の見地からみて,なお重要性を有するものであるというべきである。 (ウ)本件規則2条の3第1項1号の構造上の独立性について上記(イ)のとおり,本件規則2条の3第1項1号の趣旨が,保険薬局の保険医療機関からの独立性をその構造面及び経営面から確保するこ- 58 -とにより医薬分業を推進することにあり,同規定が,保険薬局が保険医療機関からの独立性を失うことを防止しようとするものであることによれば,同号の「保険医療機関と一体的な構造とし」とは,保険薬局の建物又はその敷地が保険医療機関の建物又はその敷地と分離しておらず,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに患者が行き来するような構造とすることをいうものであって,① 保険薬局の建物が保険医療機関の建物と分離しておらず,建物の出入口が共用であり,建物の内部を通って患者が行き来するものや,② 保険薬局の建物が保険医療機関の建物と分離しておらず,建物の出入口は専用であるが,保険薬局の建物の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面していないため,敷地の内部を通って患者が行き来するもの,③ 保険薬局の建物は保険医療機関の建物と分離しているが,保険薬局の建物の敷地が保険医療機関の建物の敷地と分離しておらず,保険薬局の建物の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面していないため,敷地の内部を通って患者が行き来するもの等が,これに該当するというべきである。 エ本件指定拒否処分は東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してした違法な処分である否かについてそこで,上記アないしウを前提として,本件薬局は健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認めら し又はこれを濫用してした違法な処分である否かについてそこで,上記アないしウを前提として,本件薬局は健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するとした東北厚生局長の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用してしたものであるか否かについて検討する。 - 59 -(ア)認定事実前提事実に加えて,証拠(甲7,9,甲10の1ないし3,甲11の2,甲12,13,21,22,甲23の1,甲34の1及び2,乙1,4,乙5の1ないし3,乙6ないし11,27)及び弁論の全趣旨によれば,次の事実を認めることができる。 a 本件指定拒否処分に至った経過について(a)原告は,平成18年9月7日,東北厚生局福島事務所に対し,本件建物の外構計画平面図(甲9)を提出し,本件薬局について保険薬局の指定を受けることの可否について照会した(乙4)。同事務所の職員は,上記平面図上,本件薬局が敷地南側のγ通り面の壁面後退線の近くまで突出していることから,本件薬局の出入口の前面の敷地境界線と壁面後退線との間に整備される歩行者通行空間を不特定多数の人が往来することが見込まれ,同歩行者通行空間は公道に準ずる道路等であると認めることができると考え,同年11月又は12月頃,原告に対し,上記平面図による限り,医療機関の開設者との資本関係及び患者誘導の面で問題がなければ,本件薬局について保険薬局の指定をすることができると考える旨の回答をした。 (乙5の1)(b)原告は,その後,本件建物の変更設計がされたことから,平成22年5月26日,東北厚生局福島事務所に対し,設計変更後の本件建物の外構計画平面図(乙1)を提出し,本件薬局について保険薬 (b)原告は,その後,本件建物の変更設計がされたことから,平成22年5月26日,東北厚生局福島事務所に対し,設計変更後の本件建物の外構計画平面図(乙1)を提出し,本件薬局について保険薬局の指定を受けることの可否について改めて照会した。同事務所の職- 60 -員は,上記平面図によれば,本件薬局は公道又はこれに準ずる道路等に面していないこととなるし,また,本件薬局の出入口が本件医療機関の出入口と隣接していることから,本件薬局はその構造上本件医療機関とのつながりが強くなると考え,原告に対し,本件薬局について保険薬局の指定をすることには疑義がある旨の回答をした(乙6)。原告は,同年6月3日,同事務所に対し,本件建物の設計変更の経過等について説明をしたが,同事務所の職員は,原告に対し,現状では本件薬局について保険薬局の指定をすることはできない旨の回答をした。(乙7)(c)原告は,平成22年8月5日,東北厚生局福島事務所に対し,本件建物の設計変更の経過等について改めて説明をするとともに,設計変更後も本件薬局の出入口の前面は公道に準ずる道路等であるという意見を述べたが,同事務所の職員は,原告に対し,本件薬局の出入口の前面には本件医療機関の創設者の銅像,身体障害者用駐車場及び車寄せが設置されており,あたかも本件医療機関の敷地であるかのようになっていることからすると,本件薬局の構造上の独立性には疑義があり,本件薬局について保険薬局の指定をすることはできない旨の回答をした。(乙5の2)(d)本件建物の建築工事は平成22年9月27日に完了したところ,原告は,東北厚生局福島事務所に対し,同年10月6日に,「図面変更における解説及び見解確認について」と題する書面(乙8)を提出し,本件薬局の出入口と本件医療機関の出 2年9月27日に完了したところ,原告は,東北厚生局福島事務所に対し,同年10月6日に,「図面変更における解説及び見解確認について」と題する書面(乙8)を提出し,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にスタンド- 61 -カフェを設置する場合の保険薬局の指定の可否について照会し,さらに,同月13日には,「見解書」と題する書面(甲10の1)を提出し,本件建物の南側前面の空地は一般市民が自由に通行し又は利用することができる公道に準ずる道路等であるという意見を述べた。東北厚生局福島事務所から本件薬局の事案の進達を受けた東北厚生局医療課の職員は,同年12月8日,原告に対し,スタンドカフェを設置する場合の保険薬局の指定の可否については明確な基準はないが,言い訳程度のものは認めることができない旨の回答をした。(乙5の3)(e)東北厚生局医療課の職員は,平成22年12月14日,本件建物の現況調査をする(乙9)とともに,郡山市まちなか整備課の担当者からの聴取調査をし(乙10),敷地境界線と壁面後退線との間についてはフェンス等の遮蔽物を設置することができないが,壁面後退線と本件建物との間については本件建物の管理組合の承認を受ければフェンス等の遮蔽物を設置することができることを確認した。 同課の職員は,原告に対し,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にフェンス等の遮蔽物を設置することにより本件薬局の構造上の独立性を確保することができることを示唆したが,原告は,同課の職員に対し,本件建物の管理組合の承認を受ければフェンス等の遮蔽物を設置することができることは承知しており,遮蔽物を設置することができないことからスタンドカフェを設置する案を示したのではないと回答した。(乙5の3)- 62 -(f)東北厚生局医療 を設置することができることは承知しており,遮蔽物を設置することができないことからスタンドカフェを設置する案を示したのではないと回答した。(乙5の3)- 62 -(f)東北厚生局医療課の職員は,平成22年12月17日,原告に対し,現状では本件薬局は本件医療機関と構造上一体であると認められるおそれがあることを告知するとともに,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にフェンス等の遮蔽物を設置することにより本件薬局の構造上の独立性を確保することを勧め,併せて,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間に設置されるフェンス等の遮蔽物が備えるべき形態,構造等に関する東北厚生局の見解を示した。(甲11の2)(g)原告は,平成22年12月28日,東北厚生局医療課に対し,フェンス等の遮蔽物は本件建物の区分所有者の合意を得なければ設置することができないことからすると,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にフェンス等の遮蔽物を設置する案は現実的ではないとして,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にスタンドカフェを設置する場合に本件薬局について保険薬局の指定を受けるために必要な条件を提示するよう求めたところ,同課の職員は,原告に対し,フェンス等の遮蔽物を設置することが可能である以上,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にフェンス等の遮蔽物を設置する案を検討するよう求めるとともに,スタンドカフェを設置する案については基準がないために判断が困難であり,スタンドカフェを一般的なカフェと同じ規模のものとすると本件薬局が入る部分がなくなってしまうのではないかという意見を述べた。(乙5の3)- 63 -(h)原告は,平成23年1月6日,東北厚生局医療課に対し,フェンス等の遮蔽物を設置する と本件薬局が入る部分がなくなってしまうのではないかという意見を述べた。(乙5の3)- 63 -(h)原告は,平成23年1月6日,東北厚生局医療課に対し,フェンス等の遮蔽物を設置するのは困難であるとして,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にスタンドカフェを設置する案について見解を示すよう求めたところ,同課の職員は,原告に対し,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にフェンス等の遮蔽物を設置する案を検討するよう求めるとともに,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にスタンドカフェを設置することにより本件薬局の構造上の独立性を確保するには本件薬局の半分以上をスタンドカフェとする必要があり,スタンドカフェの営業の継続性や本件医療機関の利用者ではない第三者の来店可能性も定かでないことからすると,スタンドカフェを設置する案は認めることができないと述べた。(乙5の3)(i)原告は,平成23年1月頃,福島県知事に対し,本件薬局について薬局の開設許可の申請をし,福島県知事は,同月7日,薬事法4条1項の規定に基づいて,原告に対し,本件薬局について薬局の開設許可をした。(甲12)(j)原告は,平成23年1月17日,本件指定申請をし,同月20日,東北厚生局医療課に対し,「見解書」と題する書面(甲10の2)を提出した。同書面には,本件規則のうち構造上の独立性を保険薬局の指定の要件とする部分は憲法22条1項に違反し違憲であり,健康保険法65条3項の規定にも違反するという意見のほか,念のために本件薬局の本件医療機関からの構造上の独立性についても- 64 -予備的に主張すると,本件建物の南側前面の空地は一般市民が自由に通行し又は利用することができる公道に準ずる道路等であり,本件薬局は本件医療機 本件医療機関からの構造上の独立性についても- 64 -予備的に主張すると,本件建物の南側前面の空地は一般市民が自由に通行し又は利用することができる公道に準ずる道路等であり,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を有するものであるから,本件薬局は保険薬局の指定の要件を満たしていることが明らかであるという意見が記載されていた。同課の職員は,同月31日,原告に対し,スタンドカフェがどのようなものであるかにかかわらず本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にスタンドカフェを設置する案は採用する余地がなく,本件薬局についての保険薬局の指定はフェンス等の遮蔽物を設置することを条件に可能である旨の回答をした。(乙11)(k)東北厚生局長は,本件薬局が本件規則2条の3第1項1号に違反し,健康保険法65条3項6号に該当することを理由として,本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をしない旨の処分をすることとし,平成23年2月15日,同法83条の規定に基づいて,原告に対し,その旨を通知して弁明の機会を付与したところ,原告は,同月25日,東北厚生局長に対し,弁明書(甲10の3)を提出した。同書面には,本件規則のうち構造上の独立性を保険薬局の指定の要件とする部分は憲法22条1項に違反し違憲であり,健康保険法65条3項の規定にも違反するという意見のほか,本件建物の南側前面の空地は一般市民が自由に通行し又は利用することができる公道に準ずる道路等であり,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を有するものであるから,本件薬局は保険薬局- 65 -の指定の要件を満たしていることが明らかであるという,原告の従前からの意見と同趣旨の予備的意見が記載されていた。 b 本件建物の南側前面の空地の整備状況について - 65 -の指定の要件を満たしていることが明らかであるという,原告の従前からの意見と同趣旨の予備的意見が記載されていた。 b 本件建物の南側前面の空地の整備状況について本件建物の南側前面の空地のうち敷地境界線と壁面後退線との4mの間(別紙2の本件薬局の配置図中黄で着色した部分)は,本件都市計画に基づいて,歩行者通行空間として整備されている。(甲7,21,乙27)本件建物の南側前面の空地1(別紙2の本件薬局の配置図中赤で着色した部分)のうち東側の部分は,いわゆる提供公園であるポケットパークとして整備され,本件建物の区分所有者だけではなく不特定多数の人が利用することができるようになっている。本件建物の南側前面の空地1のうち西側の部分は,東から順に,本件薬局(間口約9m),スタンドカフェ(間口約3.6m)及び本件医療機関の各出入口の前面スペースとなっており,本件医療機関の前(別紙2の本件建物の周辺図中「病院」とある区画の下に「△病院主入口」とある付近の上下)には本件医療機関の利用者のための大型のキャノピーが設置されているほか,その西端(別紙2の本件建物の周辺図中「病院」とある区画の下に「△病院主入口」とある付近の左上ないし左側)には本件医療機関の創設者の銅像とそれを取り巻く金属製の柵及び本件医療機関の利用者が主として利用するタクシー乗り場(1台分)が設置されている。(甲13,22,乙9,27)本件建物の南側前面の空地2(別紙2の本件薬局の配置図中青で着- 66 -色した部分)のうち東側の部分は,本件医療機関の車寄せとして整備され,その東端(別紙2の本件建物の周辺図中「店舗(薬局)」とある区画の下に「△店舗入口」とある付近の下,身体障害者用駐車場の左脇)に本件医療機関の うち東側の部分は,本件医療機関の車寄せとして整備され,その東端(別紙2の本件建物の周辺図中「店舗(薬局)」とある区画の下に「△店舗入口」とある付近の下,身体障害者用駐車場の左脇)に本件医療機関の利用者のための駐車場(1台分)が,本件薬局及びスタンドカフェの前(別紙2の本件建物の周辺図中「店舗(薬局)」とある区画及び「カフェ」とある区画の下)に本件医療機関の利用者のための身体障害者用駐車場(2台分)が,その南西角(別紙2の本件建物の周辺図中「Iビル」とある隣地との境界付近)に本件医療機関の看板1基及び診療案内(診療時間や診察科目の案内)1基がそれぞれ設置されているほかは,敷地西側のαδ○号線(別紙2の本件建物の配置図中の左側)から進入する車両が敷地南側のγ通り(別紙2の本件建物の配置図中の下側)に通り抜ける車路,及び,敷地南側のγ通りから本件医療機関を訪れる利用者のための歩行者用通路となっている。本件建物の南側前面の空地2のうち西側の部分は,東西約30m,南北約7mの細長い区画であり,その北半分(別紙2の本件建物の周辺図中「病院」とある区画の下)は本件医療機関の利用者又は業務用の駐車場(3台分)となっており,南半分は敷地西側のαδ○号線から本件医療機関の車寄せに進入する車両が通り抜ける一方通行の車路となっている。(甲13,22,乙9,27)c 本件建物の南側前面の空地の人の往来について本件組合は,本件医療機関の利用者ではないものが本件建物の南側前面の空地を通り抜けのために通行することを許容している(甲23- 67 -の1)ところ,原告側の依頼した有限会社Jによる調査によれば,本件建物の南側前面の空地を通行した人のうち本件医療機関の出入口(正面出入口)を利用しなかったものの数は,平成23年6月5日(日 67 -の1)ところ,原告側の依頼した有限会社Jによる調査によれば,本件建物の南側前面の空地を通行した人のうち本件医療機関の出入口(正面出入口)を利用しなかったものの数は,平成23年6月5日(日曜日)には200人,同月6日(月曜日)には41人,同月7日(火曜日)には54人であり(いずれも午前9時から午後5時までの調査結果。 甲34の1及び2),東北厚生局福島事務所の調査によれば,本件建物の南側前面の空地を通行した人の数は,平成24年5月13日(日曜日)には191人(そのうち本件医療機関を利用しなかったものは12人),同月14日(月曜日)には451人(そのうち本件医療機関を利用しなかったものは13人),同月15日(火曜日)には311人(そのうち本件医療機関を利用しなかったものは8人)であった(いずれも午前10時又は10時15分から午後2時又は午後2時15分までの調査結果)。(乙27)本件建物の西側前面には本件医療機関の救急用出入口(別紙2の本件建物の周辺図中「病院」とある区画の左側前面に「△救急入口」とある出入口)が設けられており,日曜日は,本件医療機関の休診日であるため,本件建物の南側前面の空地1に面した本件医療機関の出入口(正面出入口。別紙2の本件建物の周辺図中「病院」とある区画の下側前面に「△病院主入口」とある出入口)は閉鎖され,救急患者や見舞客等の本件医療機関を利用する者は救急用出入口を使用することになる。(乙27)(イ)東北厚生局長の判断が,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用し- 68 -てしたものであるか否かについて前提事実(7)のとおり,本件指定拒否処分は,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を欠き,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とすることを禁止する本件規則 のであるか否かについて前提事実(7)のとおり,本件指定拒否処分は,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を欠き,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とすることを禁止する本件規則2条の3第1項1号に違反し,健康保険法70条1項の保険薬局の責務に反したものであるから,同法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するという理由でされたものであるところ,上記(ア)bのとおり,① 本件建物の南側前面の空地1のうち西側の部分の本件医療機関の前には本件医療機関の利用者のための大型のキャノピーが設置されているほか,その西端には本件医療機関の創設者の銅像とそれを取り巻く金属製の柵及び本件医療機関の利用者が主として利用するタクシー乗り場が設置されていること,② 本件建物の南側前面の空地2のうち東側の部分は本件医療機関の車寄せとして整備され,その東端に本件医療機関の利用者のための駐車場が,本件薬局及びスタンドカフェの前に本件医療機関の利用者のための身体障害者用駐車場が,その南西角に本件医療機関の看板及び診療案内がそれぞれ設置されているほかは,敷地西側から進入する車両が敷地南側に通り抜ける車路及び敷地南側から本件医療機関を訪れる利用者のための歩行者用通路となっていること,③ 本件建物の南側前面の空地2のうち西側の部分の北半分は本件医療機関の利用者又は業務用の駐車場となっており,南半分は敷地西側から本件医療機関の車寄せに進入する車両が通り抜ける一方通行の車路となっていることに加えて,④ 上記(ア)c- 69 -のとおり,本件組合は本件医療機関の利用者ではないものが本件建物の南側前面の空地を通り抜けのために通行することを許容しているものの,本件建物の南側前面の空地を通行した人 上記(ア)c- 69 -のとおり,本件組合は本件医療機関の利用者ではないものが本件建物の南側前面の空地を通り抜けのために通行することを許容しているものの,本件建物の南側前面の空地を通行した人の中に占める本件医療機関を利用しなかったものの割合は,平成24年5月13日(日曜日)には6.28%(191人中12人),同月14日(月曜日)には2.88%(451人中13人),同月15日(火曜日)には2.57%(311人中8人)と非常に低い数値にとどまるのであり(上記(ア)cのとおり,本件建物の南側前面の空地を通行した人のうち本件医療機関の出入口(正面出入口)を利用しなかったものの数は,平成23年6月5日(日曜日)には200人,同月6日(月曜日)には41人,同月7日(火曜日)には54人であるが,本件建物の西側前面には本件医療機関の救急用出入口が設けられており,日曜日は,本件医療機関の休診日であるため,本件医療機関の出入口(正面出入口)は閉鎖され,救急患者や見舞客等の本件医療機関を利用する者は救急用出入口を使用することになることによれば,そのうちの相当数の者は,救急用出入口を使用して本件医療機関を利用した者であることがうかがわれる。),本件建物の南側前面の空地は本件医療機関の利用者ではないものが正当に通行し又は利用し得るものであると客観的には認識し難いものであるということができることをも考慮すると,上記(ア)bのとおり,⑤ 本件建物の南側前面の空地のうち敷地境界線と壁面後退線との4mの間は本件都市計画に基づいて歩行者通行空間として整備されていることや,⑥ 本件建物の南側前面の空地1のうち東側の部分はいわゆる提供公園として整備され,本件建物の区分- 70 -所有者だけではなく不特定多数の人が利用することができるようになっていることを斟酌し や,⑥ 本件建物の南側前面の空地1のうち東側の部分はいわゆる提供公園として整備され,本件建物の区分- 70 -所有者だけではなく不特定多数の人が利用することができるようになっていることを斟酌しても,本件建物の南側前面の空地のうち壁面後退線と本件建物との間は,本件医療機関の敷地であり,本件医療機関の利用者ではないものが自由に行き来することを本来予定し,又は実際にそのように利用されている場所ではないから,公道に準ずる道路等であると認めることはできないものというべきである。そうすると,東北厚生局長が,本件薬局は,その建物が本件医療機関の建物と分離しておらず,建物の出入口は専用であるが,その建物の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面していないため,敷地の内部を通って患者が行き来するものであり,本件医療機関と一体的な構造とされているものであるから,本件薬局は,本件医療機関からの構造上の独立性を欠き,保険薬局が保険医療機関と一体的な構造とすることを禁止する本件規則2条の3第1項1号に違反し,健康保険法70条1項の保険薬局の責務に反したものであるということになるとした上で,このような保険薬局の責務に反する行為をした本件薬局は,被保険者に対する療養の給付に係る契約関係上の義務を遵守することを期待することができないものであり,保険薬局としての適格性を欠くものであるということができるから,保険薬局として著しく不適当と認められ,健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当すると判断し,前提事実(7)のとおり,東北地方社会保険医療協議会の議を経て,本件指定拒否処分をしたことについて,それが重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠く- 71 -と認めることはできな 事実(7)のとおり,東北地方社会保険医療協議会の議を経て,本件指定拒否処分をしたことについて,それが重要な事実の基礎を欠き又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠く- 71 -と認めることはできないのであって,東北厚生局長がその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したということはできない。 オ原告の主張について(ア)原告は,保険薬局の指定をしない旨の処分は,職業活動の内容や態様を制約するにとどまらず,職業選択の自由そのものを制約するものであり,営業の自由に対する強力な制限となることからすると,厚生労働大臣等が健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの判断について有する裁量権の範囲は極めて限定されているというべきであると主張する。 しかしながら,確かに,我が国の国民皆保険制度の下では,薬局の開設許可を受けたとしても,保険薬局の指定を受けることができなければ,実際には薬局の開設自体を断念せざるを得ないのが実情であって,保険薬局の指定をしない旨の処分が職業活動の内容や態様に対する制約となることは否定することができないが,薬局は,薬事法4条1項の規定に基づいて,その所在地の都道府県知事の許可を受ければ,健康保険法63条3項1号の保険薬局の指定を受けなくても,開設することができるのであるから,保険薬局の指定をしない旨の処分ないし保険薬局の指定の制度は,職業選択の自由そのものを直接制約するものとまでいうことはできない。また,前記ア(イ)aのとおり,療養の給付を担当する病院若しくは診療所又は薬局は,健康保険の被保険者が疾病に罹り又は負傷したときに,できるだけ容易に,できるだけ速やかに,療養の給付を- 72 -受けることができるように組 り,療養の給付を担当する病院若しくは診療所又は薬局は,健康保険の被保険者が疾病に罹り又は負傷したときに,できるだけ容易に,できるだけ速やかに,療養の給付を- 72 -受けることができるように組織されていなければならず,そのためには,特定の被保険者のためのものではなく,健康保険の被保険者であれば誰でも自由に療養の給付を受けることができる病院若しくは診療所又は薬局が,広範囲に設置されていなければならないのであって,同号の保険医療機関及び保険薬局(の指定の制度)は,この要請を満たすために設けられたものであるところ,前記ア(ア)の健康保険制度の基本的理念を実現するために,同項2号及び3号に掲げる病院若しくは診療所又は薬局のほか,健康保険制度に基づく保険給付の一つである療養の給付の担当機関としての適格性を欠くとは認められない病院若しくは診療所又は薬局を保険医療機関又は保険薬局として指定し,療養の給付を担当させることとしたことは,薬局の開設者の職業活動の内容や態様に対する必要かつ合理的な制約であるということができるのであって,厚生労働大臣等が同法65条3項6号の該当性の判断について有する裁量権の範囲が,原告が主張するほどに極めて限定されていると解することはできないというべきである。 (イ)原告は,東北厚生局長が構造上の独立性を保険薬局の指定の独立の要件としたことはその裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したもので違法であると主張する。 原告の上記主張は,東北厚生局長が本件薬局が本件医療機関からの構造上の独立性を欠くことを健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの裁量判断の決定的に重要な考慮要素としたことの- 73 -違法をいうものであると 法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの裁量判断の決定的に重要な考慮要素としたことの- 73 -違法をいうものであると解されるが,保険医療機関からの構造上の独立性を確保するという保険薬局の責務が,医薬分業の趣旨の実現の見地からみて,なお重要性を有することは,上記ウ(イ)のとおりであり,東北厚生局長が,構造上の独立性の有無を裁量判断の重要な考慮要素とし,本件薬局が本件医療機関からの構造上の独立性を欠くことを決定的な事情として,本件薬局は同号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当すると判断したことについて,その裁量権の範囲を逸脱し又はこれを濫用したもので違法であるということはできない(なお,仮に原告の上記主張が,東北厚生局長が構造上の独立性を保険薬局の指定の独立の要件としたとするものであるとすれば,東北厚生局長は,構造上の独立性を保険薬局の指定の独立の要件としたものではなく,本件薬局が本件医療機関からの構造上の独立性を欠くことを同号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当するか否かの裁量判断の重要で決定的なものではあるが一つの考慮要素としたものであるにとどまるのであり,原告の上記主張はその前提を欠くものというべきである。)。 (ウ)原告は,本件建物の南側前面の空地は,不特定多数の人が通行し又は利用することが予定されている場所であり,公道に準ずる道路等であるから,本件薬局は,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものではなく,本件医療機関からの構造上の独立性を有するというべきであると主張する。 - 74 - 薬局は,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものではなく,本件医療機関からの構造上の独立性を有するというべきであると主張する。 - 74 -しかし,本件建物の南側前面の空地のうち壁面後退線と本件建物との間は,本件医療機関の敷地であり,本件医療機関の利用者ではないものが自由に行き来する場所ではないから,公道に準ずる道路等であると認めることはできないことは,上記エ(イ)のとおりであり,原告の上記主張は採用することができない。 (2)本件指定拒否処分は行政手続法8条1項の理由の提示の規定に違反するか否か(争点2)についてア行政手続法8条1項の理由の提示について行政手続法8条1項本文の規定が,行政庁は,申請により求められた許認可等を拒否する処分をする場合は,申請者に対し,同時に,当該処分の理由を示さなければならないと定めているのは,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,処分の理由を申請者に知らせて不服の申立てに便宜を与える趣旨に出たものであると解される。そして,同項本文に基づいてどの程度の理由を提示すべきかは,上記のような同項本文の趣旨に照らし,当該処分の根拠法令の規定内容,当該処分に係る審査基準の内容等,当該処分の性質及び内容,当該処分の原因となる事実関係の内容等を総合考慮してこれを決定すべきであるが,同項本文の上記のような趣旨にかんがみれば,処分通知書に記載する理由は,原則として,いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して当該拒否処分がされたかを申請者においてその記載自体から了知し得るものでなければならないと解すべきである(最高裁昭和57年(行ツ)第70号同60年1月22日第三小法廷判決・民集39巻1号1頁,不利益処分に 処分がされたかを申請者においてその記載自体から了知し得るものでなければならないと解すべきである(最高裁昭和57年(行ツ)第70号同60年1月22日第三小法廷判決・民集39巻1号1頁,不利益処分に関するもので- 75 -あるが,最高裁平成21年(行ヒ)第91号同23年6月7日第三小法廷判決・民集65巻4号327頁参照)。 イ本件指定拒否処分の理由の提示について前提事実(7)のとおり,本件指定拒否処分に係る通知書には,本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をしない理由として「1 健康保険法67条の規定に基づく東北地方社会保険医療協議会の審議の結果,指定をしないこととされたこと。」,「2 健康保険法65条3項6号に該当すること。」,「3 本件規則2条の3第1項1号に該当すること。」という記載がされた上,その別添資料には,根拠法令等として健康保険法65条1項,同条3項6号,70条1項及び本件規則2条の3第1項1号の各規定が掲げられている。健康保険法65条3項6号は前記のとおり抽象的な処分要件を定めている(東北厚生局長が定めた審査基準も,「健康保険法65条3項及び4項の規定のとおり」と定めるのみで,これを具体化するものではない。)ため,同号に該当すると記載するだけでは理由の提示として足りず,いかなる事実関係に基づき同号に該当すると判断したかを申請者において了知し得る程度に記載することを要するというべきであるが,本件指定拒否処分に係る通知書には,「本件規則2条の3第1項1号に該当すること。」という記載がされており,その規定が別添資料に掲げられていたため,申請者である原告において,保険医療機関と一体的な構造とし,又は一体的な経営を行うことになるため,保険薬局として著しく不適当と認められるという理由で指定が拒否され 定が別添資料に掲げられていたため,申請者である原告において,保険医療機関と一体的な構造とし,又は一体的な経営を行うことになるため,保険薬局として著しく不適当と認められるという理由で指定が拒否されたことは明らかということができる。もっとも,本件指定拒否処分に係る通知書には,本- 76 -件指定拒否処分をするに当たりこれらの法規の適用の前提とされた事実関係がいかなるものであるかについての記載が存在しないということは否定することができない。しかし,前記(1)エ(ア)aの事実によれば,原告は,本件指定拒否処分がされた平成23年3月4日までには,東北厚生局長が,設計変更後の本件薬局の出入口の前面は本件医療機関の敷地であり,本件薬局は公道又はこれに準ずる道路等に面しておらず本件医療機関からの構造上の独立性を欠くという理由で,保険薬局の指定をしないこととするものであることを認識していたと認めることができるだけはなく,同年2月には,健康保険法83条の規定に基づく弁明の機会の付与の手続を経て,その中で,東北厚生局長に対し,弁明書を提出し,本件規則のうち構造上の独立性を保険薬局の指定の要件とする部分は憲法22条1項に違反し違憲であり,健康保険法65条3項の規定にも違反するという意見のほか,本件建物の南側前面の空地は一般市民が自由に通行し又は利用することができる公道に準ずる道路等であり,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を有するものであるから,本件薬局は保険薬局の指定の要件を満たしていることが明らかであるという予備的意見を述べているのである。同法83条は,厚生労働大臣は保険薬局に係る同法63条3項1号の指定をしないこととするときは,当該薬局の開設者に対し弁明の機会を与えなければならず,この場合においては,あらかじめ,書面で,弁明をすべき日 3条は,厚生労働大臣は保険薬局に係る同法63条3項1号の指定をしないこととするときは,当該薬局の開設者に対し弁明の機会を与えなければならず,この場合においては,あらかじめ,書面で,弁明をすべき日時,場所及びその事由を通知しなければならないと定めており,この手続は,申請者の防御権を保障するとともに,行政庁の判断の慎重と合理性を担保してその恣意を抑制することや,申請者の将来の不服- 77 -の申立てに便宜を与える機能をも有しており,行政手続法8条1項の理由の提示とその機能を一部共通にするものということができる。そして,原告は,このような位置付けの手続の中で,東北厚生局長が,本件建物の南側前面の空地は公道に準ずる道路等であると認めることはできず,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を欠き,健康保険法65条3項6号の「当該申請に係る薬局が,保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき」に該当すると判断しているものであることを正確に理解し,その点について意見を述べていたのであるから,本件指定拒否処分に係る通知書に記載され又は掲げられた根拠法条を知っただけで,いかなる事実関係に基づいて本件指定拒否処分がされたかを了知することができたものであるということができる。そうすると,本件指定拒否処分に係る通知書に記載された上記理由は,それ自体を見れば必ずしも十分なものであるとまではいうことができないものの,本件においては,いかなる事実関係に基づきいかなる法規を適用して本件指定拒否処分がされたかを原告においてその記載自体から了知し得るものであったということができるのであるから,本件指定拒否処分は行政手続法8条1項の理由の提示の規定に違反するものであるとまではいうことができないものというべきである。 ウ原告の主張について ということができるのであるから,本件指定拒否処分は行政手続法8条1項の理由の提示の規定に違反するものであるとまではいうことができないものというべきである。 ウ原告の主張について原告は,弁明手続が適用される処分については,処分の相手方からの反論及び反証にもかかわらず当該処分がされなければならない理由を示す必要があるが,本件指定拒否処分に係る通知書においては,原告の弁明書- 78 -に記載された争点に関する具体的な判断は何ら示されていないのであって,本件指定拒否処分が行政手続法8条1項の規定に違反することは明らかであると主張する。 しかし,健康保険法83条の処分に対する弁明の機会の付与は,厚生労働大臣等が保険薬局に係る同法63条3項1号の指定をしないこととするとき等に,当該薬局の開設者等に対し,弁明書や証拠書類等を提出する機会を付与することにより,その防御権を保障することを目的とするものであって,弁明の機会が付与される処分であるということから,直ちに,厚生労働大臣等において弁明書に記載された当該薬局の開設者等の意見に対する具体的な判断を処分の理由として示さなければならないこととなると解することはできないものというべきである。 そして,前記(1)エ(ア)a(k)の事実によれば,原告が弁明の機会の付与の手続において平成23年2月25日に東北厚生局長に対して提出した弁明書には,本件規則のうち構造上の独立性を保険薬局の指定の要件とする部分は憲法22条1項に違反し違憲であり,健康保険法65条3項の規定にも違反するという意見のほかは,本件建物の南側前面の空地は一般市民が自由に通行し又は利用することができる公道に準ずる道路等であり,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を有するものであるから,本 違反するという意見のほかは,本件建物の南側前面の空地は一般市民が自由に通行し又は利用することができる公道に準ずる道路等であり,本件薬局は本件医療機関からの構造上の独立性を有するものであるから,本件薬局は保険薬局の指定の要件を満たしていることが明らかであるという,原告の従前からの意見と同趣旨の予備的意見が記載されていたにすぎないと認めることができるのであって,これらの意見を採用しないと判断したこと自体は本件指定拒否処分自体から明らかであるから,それ以- 79 -上に,東北厚生局長において上記各意見に対する具体的な判断を本件指定拒否処分の理由として示さなければならなかったということはできない。 (3)本件指定拒否処分の適法性原告は,上記(1)及び(2)で検討した点のほかには,本件指定拒否処分の違法を主張しておらず,その余の違法もうかがえないから,本件指定拒否処分は適法な処分であるということができる。 2 保険薬局の指定義務付けの訴えの適否(争点3)について(義務付けの訴え関係)本件各訴えのうち東北厚生局長が本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべき旨を命ずることを求めるものは,行政事件訴訟法3条6項2号の申請型義務付けの訴えであり,その中でも,当該法令に基づく申請を棄却する旨の処分がされた場合であるから,同法37条の3第1項2号の規定により,当該処分が取り消されるべきものであり,又は無効若しくは不存在であるときに限り,提起することができるところ,上記1(3)のとおり,本件指定拒否処分は,適法な処分であるということができ,取り消されるべきものであるとか又は無効若しくは不存在であるということはできないから,本件各訴えのうち東北厚生局長が本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべき旨を命ずること うことができ,取り消されるべきものであるとか又は無効若しくは不存在であるということはできないから,本件各訴えのうち東北厚生局長が本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべき旨を命ずることを求めるものは不適法なものというべきである。 3 本件指定拒否処分の国家賠償法上の違法の有無(争点4)について(国家賠償請求関係)原告は,本件指定拒否処分が違法な処分であることを前提として,東北厚生局長にはその職務上の注意義務違反があった旨主張するが,上記1(3)のとお- 80 -り,本件指定拒否処分は適法な処分であるということができるのであって,原告の上記主張は失当なものというべきである。 第4 結論よって,本件各訴えのうち,東北厚生局長が本件指定申請に係る薬局について保険薬局の指定をすべき旨を命ずることを求めるものは不適法であるからこれを却下し,原告のその余の訴えに係る請求はいずれも理由がないから,これらをいずれも棄却することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部 裁判長裁判官川神裕 裁判官内野俊夫 裁判官佐野義孝- 81 -(別紙1)関係法令の定め等 1 健康保険法 (1)63条(療養の給付)ア被保険者の疾病又は負傷に関しては,次に掲げる療養の給付を行う。(1項)(ア)診察(1号)(イ)薬剤又は治療材料の支給(2号)(ウ)処置,手術その他の治療(3号)(エ)(4号及び5号は省略)イ 1項の給付を 療養の給付を行う。(1項)(ア)診察(1号)(イ)薬剤又は治療材料の支給(2号)(ウ)処置,手術その他の治療(3号)(エ)(4号及び5号は省略)イ 1項の給付を受けようとする者は,厚生労働省令で定めるところにより,次に掲げる病院若しくは診療所又は薬局のうち,自己の選定するものから受けるものとする。(3項)(ア)厚生労働大臣の指定を受けた病院若しくは診療所(以下「保険医療機関」という。)又は薬局(以下「保険薬局」という。)(1号)(イ)特定の保険者が管掌する被保険者に対して診療又は調剤を行う病院若しくは診療所又は薬局であって,当該保険者が指定したもの(2号)(ウ)健康保険組合である保険者が開設する病院若しくは診療所又は薬局(3号)(2)65条(保険医療機関又は保険薬局の指定)ア 63条3項1号の指定は,政令で定めるところにより,病院若しくは診療所又は薬局の開設者の申請により行う。(1項)- 82 -イ厚生労働大臣は,1項の申請があった場合において,次の各号のいずれかに該当するときは,63条3項1号の指定をしないことができる。(3項)(ア)当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,この法律の規定により保険医療機関又は保険薬局に係る63条3項1号の指定を取り消され,その取消しの日から5年を経過しないものであるとき。(1号)(イ)当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,保険給付に関し診療又は調剤の内容の適切さを欠くおそれがあるとして重ねて73条1項の規定による指導を受けたものであるとき。(2号)(ウ)当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が,この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処 る指導を受けたものであるとき。(2号)(ウ)当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が,この法律その他国民の保健医療に関する法律で政令で定めるものの規定により罰金の刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。(3号)(エ)当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が,禁錮以上の刑に処せられ,その執行を終わり,又は執行を受けることがなくなるまでの者であるとき。(4号)(オ)当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局の開設者又は管理者が,この法律,船員保険法,国民健康保険法,高齢者の医療の確保に関する法律,地方公務員等共済組合法,私立学校教職員共済法,厚生年金保険法又は国民年金法(以下「社会保険各法」という。)の定めるところにより納付義務を負う保険料,負担金又は掛金(以下「社会保険料」という。)について,当該申請をした日の前日までに,これらの法律の規定に基づく滞納処分を受け,かつ,当該処分を受けた日から正当な理由なく3月以上の期間- 83 -にわたり,当該処分を受けた日以降に納期限の到来した社会保険料のすべてを引き続き滞納している者であるとき。(5号)(カ)前各号のほか,当該申請に係る病院若しくは診療所又は薬局が,保険医療機関又は保険薬局として著しく不適当と認められるものであるとき。 (6号)(3)67条(地方社会保険医療協議会への諮問)厚生労働大臣は,保険医療機関に係る63条3項1号の指定をしないこととするとき,若しくはその申請に係る病床の全部若しくは一部を除いて指定を行おうとするとき,又は保険薬局に係る同号の指定をしないこととするときは,地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。 (4)70条(保険医療機関又は保険薬 病床の全部若しくは一部を除いて指定を行おうとするとき,又は保険薬局に係る同号の指定をしないこととするときは,地方社会保険医療協議会の議を経なければならない。 (4)70条(保険医療機関又は保険薬局の責務)保険医療機関又は保険薬局は,当該保険医療機関において診療に従事する保険医又は当該保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師に,72条1項の厚生労働省令で定めるところにより,診療又は調剤に当たらせるほか,厚生労働省令で定めるところにより,療養の給付を担当しなければならない。(1項)(5)72条(保険医又は保険薬剤師の責務)保険医療機関において診療に従事する保険医又は保険薬局において調剤に従事する保険薬剤師は,厚生労働省令で定めるところにより,健康保険の診療又は調剤に当たらなければならない。(1項)(6)83条(処分に対する弁明の機会の付与)厚生労働大臣は,保険医療機関に係る63条3項1号の指定をしないこととするとき,若しくはその申請に係る病床の全部若しくは一部を除いて指定を行- 84 -おうとするとき,若しくは保険薬局に係る同号の指定をしないこととするとき,又は保険医若しくは保険薬剤師に係る64条の登録をしないこととするときは,当該医療機関若しくは薬局の開設者又は当該保険医若しくは保険薬剤師に対し,弁明の機会を与えなければならない。この場合においては,あらかじめ,書面で,弁明をすべき日時,場所及びその事由を通知しなければならない。 - 85 - 2 保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則(昭和32年厚生省令第16号)2条の3(健康保険事業の健全な運営の確保) (1)保険薬局は,その担当する療養の給付に関し,次の各号に掲げる行為を行ってはならない。(1項)ア保険医療機関と一体的な構造とし,又は保 2条の3(健康保険事業の健全な運営の確保) (1)保険薬局は,その担当する療養の給付に関し,次の各号に掲げる行為を行ってはならない。(1項)ア保険医療機関と一体的な構造とし,又は保険医療機関と一体的な経営を行うこと。(1号)イ保険医療機関又は保険医に対し,患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として,金品その他の財産上の利益を供与すること。(2号)(2)前項に規定するほか,保険薬局は,その担当する療養の給付に関し,健康保険事業の健全な運営を損なうことのないよう努めなければならない。(2項)- 86 - 3 「処方せんの受入れ体制の整備について」(昭和50年1月24日付け薬発第37号各都道府県知事宛厚生省薬務局長通知)の第2(調剤専門薬局の整備について)の2(乙17) 調剤専門薬局の許可に当たっては調剤専門薬局も薬事法に基づく薬局であり,構造的,機能的,経済的に,医療機関から独立した機関であることを本旨とすべきであり,この点につき,十分留意すること。 - 87 - 4 「調剤薬局の取扱いについて」(昭和57年5月27日付け薬発第506号,保発第34号各都道府県知事宛厚生省薬務局長及び保険局長通知)(乙2) (1)調剤薬局としての適格性調剤薬局の在り方について,構造的,機能的,経済的に,医療機関から独立していることを本旨とすべきことは,既に昭和50年1月24日薬発第37号薬務局長通知により通知されたところであるが,この点については,保険調剤を担当する保険薬局の在り方として特に要請される。 かかる観点から,総合的に判断して医療機関に従属し,医療機関の調剤所と同様とみられるものについては,保険薬局としての適格性に欠けるものであること。 (2) 局の在り方として特に要請される。 かかる観点から,総合的に判断して医療機関に従属し,医療機関の調剤所と同様とみられるものについては,保険薬局としての適格性に欠けるものであること。 (2)保険薬局の指定に当たっての指導等上記(1)の趣旨から,調剤薬局としての適格性に問題があると考えられる薬局の取扱いについては,以下によられたいこと。 ア医療機関と同一の建物又は敷地にあって,総合的に判断して医療機関の調剤所とみなされる調剤薬局については,保険薬局の指定を行わないこと等とされたいこと。 イ上記アに必ずしも該当しないが,調剤薬局としての適格性に問題があると考えられるものについては,保険薬局の指定に際して,必要な改善等指導の徹底を図られたいこと。 - 88 - 5 「調剤薬局の取扱いについて」(昭和57年5月27日付け薬企第25号,保険発第44号各都道府県衛生主管部(局)長等宛厚生省薬務局企画課長,厚生省保険局医療課長通知)の1(調剤薬局の適格性)(乙18) 昭和57年5月27日薬発第506号,保発第34号の趣旨に鑑み,調剤薬局の位置及び構造と医療機関の建物及び敷地との関係,受付窓口,職員の勤務体制,医薬品の管理,経理等について医療機関と明確に区分されているかどうか,経営主体が医療機関のそれと実質的に同一かどうか,更に特定の医療機関の処方せん以外の処方せんを受け入れているかどうか等につき,個別の事案に即して総合的に検討の上,調剤薬局の適格性を判断されたいこと。 - 89 - 6 「調剤薬局の取扱いについて」(昭和57年8月12日付け厚生省保険局医療課から都道府県保険課あて内翰)の1(新規の保険指定に関する取扱い)(甲16の2,乙19) (1)次の形態の薬局については,新規指定を行わないこととし,事 和57年8月12日付け厚生省保険局医療課から都道府県保険課あて内翰)の1(新規の保険指定に関する取扱い)(甲16の2,乙19) (1)次の形態の薬局については,新規指定を行わないこととし,事前に指導するとともに,指定申請があったものについては,地方社会保険医療協議会に諮り,保険指定を拒否すること。 ① 医療機関と建物が同一で,出入口も共通のもの② 医療機関と建物又は敷地が同一で,薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面していないもの③ 医療機関と建物又は敷地が同一で,薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面しているものであって,経営主体が実質的に同一で,かつ,機能上医療機関とのつながりが強いとみなされるもの④ 医療機関と建物又は敷地が同一であるか否かにかかわらず,特定医療機関と薬局が公道を通らず行き来できるもの(2)次の形態の薬局については,新規指定を行わない方向で事前に指導し,指定申請があったものについては,指定を留保しつつ,改善を指導すること。 ① 医療機関と建物又は敷地が同一で,薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面しているものであって,経営主体が実質的に同一のもの((1)③の場合を除く。)② 医療機関と建物又は敷地が同一で,薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面しているものであって,機能上医療機関とのつながりが強いとみ- 90 -なされるもの((1)③の場合を除く。)③ 医療機関と建物及び敷地は別であるが,経営主体が実質的に同一で,かつ,機能上医療機関とのつながりが強いとみなされるもの(3)上記(1)及び(2)以外の場合で構造面(例えば同一建物又は敷地内等),機能面(例えば医薬品の管理等),経済面(例えば経営主体の実質的同一性等)からの独立性に問題 がりが強いとみなされるもの(3)上記(1)及び(2)以外の場合で構造面(例えば同一建物又は敷地内等),機能面(例えば医薬品の管理等),経済面(例えば経営主体の実質的同一性等)からの独立性に問題がある場合には,その改善を指導すること。 (4)いわゆる雑居ビル(ビル内に複数のテナントが入居し,廊下等を自由に第三者が通行できる構造となっているものをいう。)内に医療機関及び薬局が存在するものについては,建物又は敷地が同一で薬局の出入口が公道又はこれに準ずる道路等に面しているものとみなして取り扱うこと。 ただし,ビル内のほとんどが特定の医療機関によって占められており,ビル内の薬局が実質的に調剤所と同一とみなせる場合は,(1)に準じて取り扱うこと。 注1 「経営主体が実質的に同一である場合」とは,薬局の開設者が特定医療機関の開設者,その配偶者,子,父母等の親族である等の人的関係,薬局開設者及び医療機関開設者の間の資本関係等から判断するものであること。 注2 「機能上医療機関とのつながりが強いとみなされるもの」とは,職員の勤務体制,医薬品の購入管理,調剤報酬の請求事務,約束処方,患者誘導等から判断するものであること。 - 91 - 7 「保険医療機関及び保険医療養担当規則の一部改正等に伴う実施上の留意事項について」(平成8年3月8日付け保険発第22号)の第2(保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正に関する事項)の1(健康保険事業の健全な運営の確保(2条の3)関係)(甲16の1) (1)平成6年の保険薬局及び保険薬剤師療養担当規則の一部改正において,「調剤薬局の取扱いについて」(昭和57年5月27日薬発第506号,保発第34号)に基づき行われていた保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いを明確化する観点から 当規則の一部改正において,「調剤薬局の取扱いについて」(昭和57年5月27日薬発第506号,保発第34号)に基づき行われていた保険薬局の保険医療機関からの独立性に関する取扱いを明確化する観点から必要な改正が行われたところであるが,その後も,保険薬局の保険医療機関からの独立性に関して問題のみられる事例が発生し,社会問題化している実情に鑑み,保険薬局は保険医療機関と一体的な構造とし,又は保険医療機関と一体的な経営を行ってはならないこと,及び,保険薬局は保険医又は保険医療機関に対し,患者に対して特定の保険薬局において調剤を受けるべき旨の指示等を行うことの対償として,金品その他財産上の利益を供与してはならないことを明確化するものであること。 (2)この場合において,保険医療機関と一体的な構造とは,保険薬局の土地又は建物が保険医療機関の土地又は建物と分離しておらず,公道又はこれに準ずる道路等を介さずに専用通路等により患者が行き来するような形態のものをいうものであること。また,保険薬局の独立性の確保の観点からは,いわゆる医療ビルのような形態は好ましくないが,このような場合にあっては,当該建物について,患者を含む一般人が自由に行き来できるような構造になっている旨を十分に確認すること。加えて,このような形態の場合には,患者誘導が行わ- 92 -れるような実態のないよう,併せて留意すること。 (3)保険医療機関と一体的な経営を行う場合とは,(2)の「また」以下に該当する場合等保険医療機関と保険薬局が一定の近接的な位置関係にあり,かつ,次のアからエまでに規定するような経営主体の実質的同一性が認められる場合又は機能上医療機関とのつながりが強いとみなされる場合を指すものであること。 ア保険薬局の開設者(中略)が当該保険医療機関の開設者(中略)又 定するような経営主体の実質的同一性が認められる場合又は機能上医療機関とのつながりが強いとみなされる場合を指すものであること。 ア保険薬局の開設者(中略)が当該保険医療機関の開設者(中略)又は開設者と同居又は開設者と生計を一にする近親者であるものイ保険薬局の開設者と保険医療機関の開設者の間の資本関係が実質的に同一であるもの(以下省略)ウ職員の勤務体制,医薬品の購入管理,調剤報酬の請求事務,患者の一部負担金の徴収に係る経理事務等が特定保険医療機関と明確に区分されていないものエ特定の保険医療機関との間で,いわゆる約束処方,患者誘導等が行われているもの(4)本条の規定に照らし,総合的に判断して医療機関の調剤所と同様とみられるものについては,保険薬局としての適格性に欠けるものであるから,地方社会保険医療協議会に諮った上,保険薬局の新規指定を行わないこと。(以下省略)- 93 -(別紙3)原告が主張する事実経過 1 本件薬局についての保険薬局の指定に関する事前相談(1)原告は,平成18年9月上旬頃,東北厚生局福島事務所(なお,同事務所の名称は平成20年9月末日まで「福島社会保険事務局」であった。)に対し,本件薬局についての保険薬局の指定に関する事前相談をし,同事務所の職員から,本件薬局について保険薬局の指定をすることに関し事実上の了解を得た。 (2)原告は,平成22年5月26日頃,東北厚生局福島事務所に対し,設計会社による本件建物の建ぺい率の計算に誤りがあったことが判明し,本件建物の設計変更が行われたことから,本件薬局も変更を余儀なくされたことを伝えたところ,同事務所の職員は,上記(1)と異なり,本件薬局が公道又はこれに準ずる道路等に面していないことを理由に,本件薬局について保険薬 更が行われたことから,本件薬局も変更を余儀なくされたことを伝えたところ,同事務所の職員は,上記(1)と異なり,本件薬局が公道又はこれに準ずる道路等に面していないことを理由に,本件薬局について保険薬局の指定をすることに関し疑義を述べた。本件薬局が公道に面していないことは,本件建物の設計変更の前後で異ならない。 (3)原告は,平成22年8月5日,東北厚生局福島事務所の職員と面談したところ,同事務所の職員は,原告に対し,本件建物の南側前面の空地について不特定多数の人の通行又は利用が予定されていることに一定の理解を示しつつ,本件薬局の前に設置される予定であった本件医療機関の創設者の銅像を移設すること及び本件薬局と本件医療機関との間に遮蔽物(フェンス)を設置することを打診した。 - 94 -(4)原告は,平成22年9月3日,東北厚生局福島事務所に対し,本件医療機関が上記銅像の移設に同意したこと及び本件薬局と本件医療機関との間に遮蔽物(フェンス)を設置することについては本件組合が一般市民の回遊を促進する観点から困難であるとしていることを伝えたところ,同事務所の職員は,原告に対し,本件薬局から一度公道に出なければ本件医療機関に行くことができない構造が採られていない限り本件薬局について保険薬局の指定をすることは困難であると説明した。 (5)原告は,平成22年10月6日,東北厚生局福島事務所に対し,本件建物のうち原告の専有部分の一部(別紙2の本件薬局の配置図及び平面図中「店舗」とある区画)を第三者に賃貸し,同部分でスタンドカフェを営業させることにより,本件建物の南側前面の空地について本件医療機関の利用者以外の者の通行又は利用を促進するとともに,本件薬局と本件医療機関との外見上の一体性を和らげる案を提示し,併せて,同年11月末までに本件薬局 より,本件建物の南側前面の空地について本件医療機関の利用者以外の者の通行又は利用を促進するとともに,本件薬局と本件医療機関との外見上の一体性を和らげる案を提示し,併せて,同年11月末までに本件薬局についての保険薬局の指定の内諾を得る必要があると伝えた。 (6)原告は,平成22年12月17日,東北厚生局医療課に対し,本件薬局と本件医療機関との間にスタンドカフェを設置する案についての検討結果を照会したところ,同課の職員は,本件薬局と本件医療機関との間に公道から4mの地点までの遮蔽物(フェンス)を設置することを求めた。 (7)原告は,平成22年12月28日,東北厚生局医療課に対し,本件薬局と本件医療機関との間に遮蔽物(フェンス)を設置する案を受け入れることはできないことを伝えるとともに,改めて本件薬局と本件医療機関との間にスタンドカフェを設置する案についての検討結果を照会した。 - 95 -(8)原告は,平成23年1月6日,東北厚生局医療課に対し,本件薬局と本件医療機関との間にスタンドカフェを設置する案についての検討結果を照会したところ,同課の職員は,原告に対し,仮に原告の案を採用するとしても少なくとも本件薬局の面積の半分ほどはスタンドカフェにする必要があると回答した。 2 本件薬局についての薬局の開設許可原告は,平成23年1月,福島県知事に対し,本件薬局について薬局の開設許可の申請をし,福島県知事は,同月7日,薬事法4条1項の規定に基づいて,本件薬局について薬局の開設許可をした。 3 本件指定申請後の経過(1)原告は,平成23年1月20日,東北厚生局医療課に対し,本件建物の南側前面の空地は公道に準ずる道路等であるという意見書を提出した。 (2)原告は,平成23年1月31日,東北厚生局医療課の職員と面談した は,平成23年1月20日,東北厚生局医療課に対し,本件建物の南側前面の空地は公道に準ずる道路等であるという意見書を提出した。 (2)原告は,平成23年1月31日,東北厚生局医療課の職員と面談したところ,同課の職員は,本件建物の南側前面の空地に遮蔽物(フェンス)の設置をすることが法的に許容されることが判明したとして,前言を翻し,原告に対し,スタンドカフェの面積がどのようなものであるかにかかわらず原告の案は採用する余地がないこと,及び,本件建物の南側前面の空地がパブリックスペースであるとしても本件薬局について保険薬局の指定はしないことを伝えた。 - 96 -(別紙4)被告が主張する事実経過 1 本件薬局についての保険薬局の指定に関する事前相談(1)原告は,平成18年9月7日,東北厚生局福島事務所に対し,本件薬局についての保険薬局の指定の可否について照会した。 (2)東北厚生局福島事務所の職員は,平成18年11月又は同年12月頃,原告に対し,原告が提出した資料による限り,本件薬局の前面の歩道には不特定多数の人の往来があり,公道に準ずる道路等であると認めることができるので,原告と医療機関の開設者との間の資本関係,患者誘導の面で問題がなければ,保険薬局の指定をすることができると回答した。 (3)原告は,平成22年5月26日,東北厚生局福島事務所に対し,本件建物に設計変更が生じたとして,設計変更後の図面を示し,本件薬局についての保険薬局の指定の可否について改めて照会したところ,同事務所の職員は,原告に対し,設計変更後の図面によれば,本件薬局は公道又はこれに準ずる道路等に面していないことになり,また,その出入口が本件医療機関の出入口と隣接していて,その構造上,本件医療機関とのつながりが強くなると考えられることから,本件 れば,本件薬局は公道又はこれに準ずる道路等に面していないことになり,また,その出入口が本件医療機関の出入口と隣接していて,その構造上,本件医療機関とのつながりが強くなると考えられることから,本件薬局について保険薬局の指定をすることには疑義が生ずると回答した。 (4)原告は,平成22年6月3日,東北厚生局福島事務所に対し,設計変更後の図面を踏まえ,説明を行ったが,同事務所の職員は,上記(3)と同様の理由により,現状では本件薬局について保険薬局の指定をすることはできない- 97 -と回答した。 (5)原告は,平成22年8月5日,東北厚生局福島事務所に対し,本件建物の設計変更に至った経過を説明するとともに,設計変更後も本件薬局の出入口及び本件医療機関の出入口の前面は公道に準ずる道路等である旨説明したが,同事務所の職員は,本件薬局の出入口の付近には本件医療機関の創設者の銅像,本件医療機関の身体障害者用駐車場及びロータリーが設置されるなど,第三者からみれば,あたかも本件医療機関の敷地であることを想起させる現況にあるから,本件薬局と本件医療機関の構造上の独立性には疑義がある旨回答した。 (6)原告は,東北厚生局福島事務所に対し,平成22年10月6日,「図面変更における開設及び見解確認について」と題する照会文書をファクシミリ送信し,本件薬局の出入口と本件医療機関の出入口との間にスタンドカフェを設置した場合の本件薬局についての保険薬局の指定の可否を照会し,さらに,同月13日,「見解書」と題する照会文書をファクシミリ送信し,本件建物の南側前面の空地が公道に準ずる道路等である法的根拠と公益性に関する見解等を述べた。 (7)東北厚生局福島事務所から事案の進達を受けた東北厚生局医療課の職員は,平成22年12月8日,原告に対し,スタンドカフ 空地が公道に準ずる道路等である法的根拠と公益性に関する見解等を述べた。 (7)東北厚生局福島事務所から事案の進達を受けた東北厚生局医療課の職員は,平成22年12月8日,原告に対し,スタンドカフェを設置した場合に本件薬局について保険薬局の指定をすることができるか否かについて明確な基準はないが,言い訳程度のものは認められないと回答した。 (8)東北厚生局医療課の職員は,平成22年12月14日,本件建物の視察を行うとともに,郡山市まちなか整備課の担当者から事情聴取を行い,本件建- 98 -物の南側の道路境界線から4mの場所にある壁面後退線と本件建物との間にフェンス等の遮蔽物を設置することは可能である旨の回答を得た上,原告に対し,上記場所にフェンス等の遮蔽物を設置することで本件薬局と本件医療機関とが相互に構造上別個の施設であることを客観的,外形的に区分することが可能ではないかという示唆をしたが,原告は,フェンス等の遮蔽物を設置することができることは承知しており,フェンス等の遮蔽物を設置することができないためにスタンドカフェを設置する案を示したわけではないと回答した。 (9)東北厚生局医療課の職員は,平成22年12月17日,原告に対し,現状においては本件薬局は本件医療機関と構造上一体であると認められるおそれがあると告げるとともに,フェンス等の遮蔽物を設置して外形的,客観的に構造上の独立性を持たせる方策について再度検討を願い,併せて,フェンス等の遮蔽物を設置するという選択をした場合の遮蔽物の設置位置,形態及び構造等に関する東北厚生局の見解を示した。 (10)原告は,平成22年12月28日,東北厚生局医療課に対し,フェンス等の遮蔽物の設置は難しいとして,スタンドカフェを設置することとした場合に本件薬局について保険薬局の指定を受ける 示した。 (10)原告は,平成22年12月28日,東北厚生局医療課に対し,フェンス等の遮蔽物の設置は難しいとして,スタンドカフェを設置することとした場合に本件薬局について保険薬局の指定を受けるために必要な条件を提示するよう求めた。これに対し,同課の職員は,フェンス等の遮蔽物の設置が可能である以上,その可否を検討してほしいこと,スタンドカフェを設置することで本件薬局について保険薬局の指定をすることができるか否かについては基準がないことから判断が困難であることを伝え,スタンドカフェを一般的なカフェと同規模とすると薬局部分がなくなってしまうのではないかと- 99 -いう意見を述べた。 (11)原告は,平成23年1月6日,東北厚生局医療課に対し,フェンス等の遮蔽物の設置は難しいとして,再度,スタンドカフェを設置する案についての見解を求めた。これに対し,同課の職員は,従前と同様に,フェンス等の遮蔽物の設置が可能である以上,その可否を検討してほしいことを伝えるとともに,スタンドカフェを設置することで本件薬局に構造上の独立性を確保するためには本件薬局の床面積の2分の1以上をスタンドカフェとする必要があるし,その営業の継続性や本件薬局及び本件医療機関の利用者以外の第三者の需要も定かでないため,スタンドカフェを設置する案は認め難いと回答した。 2 本件薬局についての薬局の開設許可原告は,平成23年1月,福島県知事に対し,本件薬局について薬局の開設許可の申請をし,福島県知事は,同月7日,薬事法4条1項の規定に基づいて,本件薬局について薬局の開設許可をした。 3 本件指定申請後の経過(1)原告は,平成23年1月20日,東北厚生局長に対し,「見解書」と題する書面を提出した。 (2)原告は,平成23年1月31日,東北厚生局医 の開設許可をした。 3 本件指定申請後の経過(1)原告は,平成23年1月20日,東北厚生局長に対し,「見解書」と題する書面を提出した。 (2)原告は,平成23年1月31日,東北厚生局医療課の職員と面談し,本件薬局についての保険薬局の指定申請について協議した。
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