平成7(ワ)8008等 住友化学工業男女昇格差別

裁判年月日・裁判所
平成13年3月28日 大阪地方裁判所
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判決文本文75,896 文字)

主文 一原告らの請求をいずれも棄却する。 二訴訟費用は原告らの負担とする。 事実及び理由 第一請求一主位的請求 1 被告は、原告らに対し、別紙請求金一覧表一の「請求金合計」欄記載の各金員及び別紙遅延損害金一覧表の「請求金内金」欄記載の各金員ごとに同表「起算日」欄記載の日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 2 被告は、原告らに対し、平成一二年四月以降毎月二五日限り、別紙請求金一覧表一の「差額賃金」欄記載の各金員及びこれに対する各支払日の翌日から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 二予備的請求その1被告は、原告らに対し、別紙請求金一覧表二の「請求金合計」欄記載の各金員及び右金員に対する訴状送達の日の翌日(平成七年九月一五日)から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 三訴え変更後の予備的請求その2被告は、原告らに対し、各五五〇万円及び右金員に対する訴状送達の日の翌日(右同)から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 四訴え変更前の予備的請求その2被告は、原告らに対し、別紙請求金一覧表三の「請求金合計」欄記載の各金員及び右金員に対する訴状送達の日の翌日(右同)から支払済みに至るまで年五分の割合による金員を支払え。 第二事案の概要本件は、被告の社員である原告らが、被告に対し、主位的に、同時期入社の同学歴男子との間で昇進、昇給等において不利益な処遇を受けたが、これは違法な男女差別であり債務不履行及び不法行為に該当すると主張して賃金格差相当額等の損害賠償の支払を求め、予備的に、被告には違法な差別の是正義務があるところ、系列転換審査制度を男女差別的に運用したことによって原告ら女子は系列転換を果たすことができなかったが、これは是正義務の不履行であり、 の支払を求め、予備的に、被告には違法な差別の是正義務があるところ、系列転換審査制度を男女差別的に運用したことによって原告ら女子は系列転換を果たすことができなかったが、これは是正義務の不履行であり、違法な男女差別であると主張して同様の損害賠償の支払を求め(予備的請求その1。なお、債務不履行及び不法行為を主張するものと解される。)、さらに、予備的に、是正義務の不履行によって男女平等に取り扱われるという期待権、人格権を侵害され精神的苦痛を被ったと主張して慰藉料等の支払を求めた(変更後の予備的請求その2。なお、債務不履行及び不法行為を主張するものと解される。)事案である。 一前提事実(争いのない事実及び証拠上明らかな事実等) 1 当事者被告は、大正二年に創立され、基礎化学品、石油化学品、精密化学品、農業化学品等の製造、販売及び研究開発等を主な事業内容とする会社であり、平成七年三月末日現在、資本金は八一五億円であり、社員数七一八四人(うち女子九四八人)を擁し、東京、大阪に本社を置くほか、主要な事業所として、大阪、東京、名古屋、福岡に各支店、愛媛、千葉、大阪、大分及び三沢に各工場、愛媛及び大阪に各研究所を有している。 原告らは、いずれも被告の社員である。 2 被告の人事制度の概要被告は、昭和三六年から社員を数等級に格付けし、これと処遇とを結びつける職分制度を実施したが、その後、これに数度にわたる改定を加え現在に至っている。 その制度内容と主要な変遷の概要は以下のとおりである。 (一) 昭和三六年四月一日実施の職分制度(以下「三六年制度」という。)(1) 職務分類と職分の導入職務が、その複雑さと責任の度合とを基準にして、一般職務、専門職務、監督職務及び管理職務に分類され、他方、管理職務に従事する管理社員を除き、一般社員を職務と職務掌理能力 1) 職務分類と職分の導入職務が、その複雑さと責任の度合とを基準にして、一般職務、専門職務、監督職務及び管理職務に分類され、他方、管理職務に従事する管理社員を除き、一般社員を職務と職務掌理能力を基準に一級から五級に段階区分する職分が導入された。 右の各職務の定義と被告が社員を各職分に任用する際の任用基準は別紙三六年制度任用基準記載のとおりであった。 (2) 職分と賃金との関係基本給昇給額に社員各自の従事職務と職務処理能力が反映される仕組みであり、職分任用時の初任基本給は上位の職分ほど高く設定され、また、毎年の定期昇給額も職分ごとに基準額と最高額が設定されたが、上位の職分ほど高額とされていた。 (3) 社員の採用社員の採用は、第一種ないし第四種採用試験及び特別採用試験に分けられ、第一種採用試験は各事業所において中卒を採用選考する試験、第二種採用試験は各事業所において高卒を採用選考する試験、第三種採用試験は、本社において高校新卒を採用選考する試験、第四種採用試験は本社において大学以上の新卒を採用選考する試験(これらの採用試験による採用を「一ないし四種採用」という。)、特別採用試験は本社または事業所において業務上の必要による特殊技術者またはこれに準ずるものを採用選考する試験とされた。 二種及び三種採用の者の雇入基本給は同額であったが、一種及び二種採用の者は三か月間の社員補期間(業務見習または教育期間)を経て職分一級の社員に任用されたのに対し、三種及び四種採用の者は一年間の社員補期間を経て、三種採用者は職分二級に、また、四種採用者は職分三級にそれぞれ任用され、三種採用者の社員任用時の基本給は、二種採用者のそれより高額に設定されていた。 (4) 昇任上位職分への昇任は、右三六年制度任用基準に照らして選考されるが、その際、職分各級に それぞれ任用され、三種採用者の社員任用時の基本給は、二種採用者のそれより高額に設定されていた。 (4) 昇任上位職分への昇任は、右三六年制度任用基準に照らして選考されるが、その際、職分各級に設けられた職分選考基準点を考慮するものとされ、これを満たすか否かの社員各自の能力点は以下の算式で算出するものとされた。 (年齢点+学歴点+勤続点)×係数=能力点このうち、係数は毎年一回定期に行われる成績評定によって定められる。 (5) 第二種採用試験と第三種採用試験の採用対象者制度上は各採用試験の募集対象に男女の限定はなかったが、運用上、被告は、二種採用の募集対象を昭和四二年までは女子のみとし、昭和四三年から男子も採用するようになつた。他方、三種採用の募集対象は男子のみとしていた。その結果、三六年制度の下で、高卒女子は、特別採用試験による採用者を除き、すべて二種採用であった。 (二) 昭和四五年四月一日実施の職分制度(以下「四五年制度」という。)(1) 職掌及び職分系列の導入職務がその機能によって事務技術職掌、専門事務技術職掌及び監督指導職掌に三分類され、それぞれの職掌ごとに職分を数等級に段階区分した職分系列(事務技術職系列、専門事務技術職系列、監督指導職系列)が設置された。 ア職掌の分類基準① 事務技術職掌は、「一般的な基礎知識と業務に関連して習得した技能および実務知識をもとに製造および製造工程に直接関連する動力供給、設備保全等、または一般事務および一般技術等を行う比較的標準化されやすい職務群」と定義され、さらに、これに属する職務はH、S、Lに段階区分するものとされた。 ② 専門事務技術職掌は、「科学的理論知識と業務に関連して習得した体系的理論をもとに調査、研究、企画、立案、設計、開発、対外折衝等を行う職務で、複雑困難な特例事項がほと に段階区分するものとされた。 ② 専門事務技術職掌は、「科学的理論知識と業務に関連して習得した体系的理論をもとに調査、研究、企画、立案、設計、開発、対外折衝等を行う職務で、複雑困難な特例事項がほとんどを占める職務群、および事務技術職掌に含まれる職務のうち、複雑困難で標準化しにくくかつ高度の基礎知識、技能、実務知識を必要とする職務群」と定義された。 ③ 監督指導職掌は、「高度の基礎知識と業務に関連して習得した高度の技能、業務知識をもとに部下を指導監督し、または自らも事務技術職掌に含まれる業務を行いながら部下を指導監督する職務群」と定義され、さらに、これに属する職務はFH、FS、FLに段階区分するものとされた。 イ職分系列事務技術職系列の職分は、初級事務技術職、事務技術職一級、同二級、上級事務技術職一級ないし三級及び同特級に、専門事務技術職系列の職分は、専門事務技術職一級ないし三級に、監督指導職系列の職分は、監督指導職一級、同二級、上級監督指導職一級、同二級及び統括監督指導職に、それぞれ区分された。 各職分への任用基準は別紙四五年制度任用基準記載のとおりであった。 (2) 職分と賃金との関係職分本給が導入され、賃金はより職分の影響を受けるものとなった。 職分本給は「基礎額+単価×職分係数」で計算される賃金であり、基礎額及び単価はいずれの職分でも同額であったが、職分係数は、同じ職分系列では上位の職分ほど高く設定され、また、事務技術職系列は他の職分系列より低めに設定された。 また、基本給昇給においても、職分ごとに基準と最高が設定されたが、事務技術職系列は他の職分系列より低めに設定された。 (3) 社員の採用社員の採用は、採用後に従事する職務に対応して事務技術職要員採用試験、専門事務技術職要員採用試験(これらの採用試験による採用を「事 術職系列は他の職分系列より低めに設定された。 (3) 社員の採用社員の採用は、採用後に従事する職務に対応して事務技術職要員採用試験、専門事務技術職要員採用試験(これらの採用試験による採用を「事務技術職採用」「専門事務技術職採用」という。)及び特別採用試験の三種類とされた。 事務技術職要員採用試験は、事務技術職掌の職務に配置する要員を採用選考する試験であり、その合格者は、三か月の実務実習期間を経て初級事務技術職に職分任用するものとされた。学歴要件はなかったが、原則として大卒は採用しないとの運用がなされた。 専門事務技術要員採用試験は、専門事務技術職掌の職務に配置する要員を採用選考する試験であり、試験の程度により「一類(大学卒業程度)」「二類(高等専門学校卒業程度)」に分けられ、その合格者は、一年の実務実習期間を経て、一類試験合格者は専門事務技術職一級に、二類試験合格者は上級事務技術職二級にそれぞれ任用するが、さらに、二類試験合格者は、右職分任用二年経過後原則として専門事務技術職一級に任用するものとされた。 特別採用試験は、業務上の必要性に基づいて個別に採用選考する試験であり、その合格者は、その都度定められる実務実習期間を経て、その都度定められる職分に任用されることとされた(なおこの試験による採用は、後述の現行制度まで変更がない。)。 (4) 昇任上位職分への昇任は、各社員の従事職務と毎年一回定期に行われる成績評定に基づき、右四五年制度任用基準に照らして選考される。 (5) 系列転換審査制度の新設ア職分系列の転換を可能とする系列転換審査制度が新設された。 同制度における審査は専門事務技術職系列転換審査A(昭和四九年に「専門事務技術職系列転換審査」に名称変更)、同B(昭和四九年に「監督指導職・専門事務技術職系列転換審査」に名称 査制度が新設された。 同制度における審査は専門事務技術職系列転換審査A(昭和四九年に「専門事務技術職系列転換審査」に名称変更)、同B(昭和四九年に「監督指導職・専門事務技術職系列転換審査」に名称変更)、監督指導職系列転換審査の三種類であり、毎年一回定期に行われ、これらの審査に合格した者は、専門事務技術職掌または監督指導職掌の職務に従事する能力があるものと認められ、それらの職務に従事した場合に系列転換するものとされた。受験資格及び審査内容は次のとおりであった。 ① 専門事務技術職系列転換審査Aは、「上級事務技術職二級以上または監督指導職二級以上に任用されている者で、所属長の推薦を受けた者」を受験資格者とし、審査内容はレポート審査と面接審査であった。 ② 専門事務技術職系列転換審査Bの審査内容は、基礎知識に関する学科試験(英語、数学、国語、理科、時事)、専門的知識に関する学科試験(事務系専門科目三科目、技術系専門科目一〇科目のいずれかから一科目)、レポート審査及び、面接審査であり、受験資格者は、基礎知識に関する学科試験が「上級事務技術職二級以下または監督指導職二級以下に任用されている者」、専門的知識に関する学科試験が基礎知識に関する学科試験合格者、レポート及び面接審査が専門的知識に関する学科試験に合格し、「上級事務技術職一級以上または監督指導職一級以上に任用されている者で所属長の推薦を受けた者」とされた。 ③ 監督指導職系列転換審査は、「事務技術職二級以上または専門事務技術職一級以上に任用されている者で、所属長の推薦を受けた者」を受験資格者とし、審査内容はレポート審査と面接審査であった。 イ三種採用者は、専門事務技術職系列転換審査Bにおいて、基礎知識に関する学科試験を免除され、昭和四九年からは専門的知識に関する学科試験も免除された。 (6) 内容はレポート審査と面接審査であった。 イ三種採用者は、専門事務技術職系列転換審査Bにおいて、基礎知識に関する学科試験を免除され、昭和四九年からは専門的知識に関する学科試験も免除された。 (6) 三六年制度からの移行在職者の新職分への任用は、右四五年制度任用基準に照らして行うものとされたが、その原則的な移行基準は、職分三級に任用されている者は、上級事務技術職三級、専門事務技術職一級または上級監督指導職一級に、職分二級に任用されている者で昭和四四年四月一日付の昇給額が九〇〇円以上一〇〇〇円以下の者は上級事務技術職二級または監督指導職二級、同昇給額が七五〇円以上八九〇円以下の者は上級事務技術職一級または監督指導職一級に、職分一級に任用されている者で昭和四四年四月一日付の昇給額が六〇〇円以上七〇〇円以下の者は事務技術職二級に、同昇給額が五〇〇円以上五九〇円以下の者は事務技術職一級に、同昇給額が四九〇円以下の者は初級事務技術職に任用されるというものであった。 (三) 昭和五九年七月一日実施の職分制度(以下「五九年制度」という)(1) 職掌、職系列及び職分の改定職掌は執務職掌、企画開発職掌、監督職掌に三分類され、これらに対応する職分系列も、それぞれ執務職系列及び主務職系列(執務職系列から主務職系列へと昇進する。)、企画開発職系列、監督職系列とされた。右職掌は、それぞれ、四五年制度の事務技術職掌、専門事務技術職掌、監督指導職掌に対応するものであって、その名称を変更したものであった。 ア職掌分類の基準① 執務職掌は、「一般的な基礎知識と業務に関連して習得した技能および実務知識をもとに、創意を発揮して、製造および製造工程に関連する動力供給、設備保全等、または一般事務および一般技術等を行う比較的標準化されやすい職務群」と定義され、さらに同職掌 て習得した技能および実務知識をもとに、創意を発揮して、製造および製造工程に関連する動力供給、設備保全等、または一般事務および一般技術等を行う比較的標準化されやすい職務群」と定義され、さらに同職掌の職務が、四五年制度同様、上位からH、S、Lの三段階に区分された。 ② 企画開発職掌は、「科学的理論知識と業務に関連して習得した体系的理論をもとに、独創性と先見性を発揮して、調査、研究、企画、立案、設計、開発、対外折衝等を行う職務で、複雑困難な特例事項がほとんどを占める職務群、および執務職掌に含まれる職務のうち、非定型的で標準化しにくく、かつ高度の基礎知識、技能および実務知識を必要とする職務群」と定義された。 ③ 監督職掌は、「高度の基礎知識と業務に関連して習得した高度の技能および業務知識をもとに、創造性を発揮して、部下を指導監督し、または自らも執務職掌に含まれる業務を行いながら部下を指導監督する職務群」と定義され、四五年制度の職務段階区分は廃止された。 イ執務職系列の職分は、初級、中級、上級に、主務職系列、企画開発職系列及び監督職系列の各職分は、一級ないし五級及び主査にそれぞれ段階区分された。 各職分の任用基準は別紙五九年制度任用基準記載のとおりであった。 (2) 職分と賃金との関係職務本給に、成績と執務経験による加算を行う改定がなされた。その算式は次のとおりである。 基礎額+単価×職分係数(一+成績加算率+執務経験加算率)(3) 社員の採用社員の採用試験は、事務技術職要員採用試験が執務職要員採用試験に、専門事務技術職要員採用試験が企画開発職要員採用試験に、それぞれ名称変更された以外に変更はない。 ただし、執務職要員採用試験については、運用上、従来事務技術職要員採用試験の対象とされてこなかった大卒や高専卒もその募集対象となった。 (4) 採用試験に、それぞれ名称変更された以外に変更はない。 ただし、執務職要員採用試験については、運用上、従来事務技術職要員採用試験の対象とされてこなかった大卒や高専卒もその募集対象となった。 (4) 昇任及び昇進ア上位職分への昇任は、各社員の従事する職務と毎年一回定期に行われる成績評定に基づき、右五九年制度任用基準に照らして選考される。 イ各職分系列ごとに上位に管理職がおかれ、社員はその職分系列から管理職(副参事一級)へ昇進するものとされた。 (5) 系列転換審査制度の改定監督職・企画開発職系列転換審査、企画開発職系列転換審査、監督職系列転換審査の三種類とされた。これらは、それぞれ、四五年制度の専門事務技術職系列転換審査B、同A、監督指導職系列転換審査に対応するものであったが、このうち、監督職・企画開発職系列転換審査は、「上級執務職、主務職一級、同二級、監督職一級、同二級に任用されている者で、推薦基準に基づく所属長の推薦を受けた者」が受験資格者とされた。その審査内容も、学科試験が廃されて、レポート審査と面接審査のみとなった。 その推薦基準は次のとおりであった(以下「推薦基準」という。)。 「① 担当業務について、業務達成能力ならびに業務貢献度が高く、勤務成績優秀な者を推薦する。 ② その際、さらに次の各号の一以上に該当するかどうかを考慮して推薦する。 ⅰ ポイントを上位者にチェック・指導・カバーされているが、監督職掌または企画開発職掌に属する職務に従事しており、上位者のチェック・指導・カバーがなくても担当業務を処理し得る能力があると認められる者ⅱ 業務に関連した高度な国家資格等を取得している者ⅲ 技術表彰ならびに提案奨励賞において顕著な受賞実績のある者ⅳ 社内外で実施する各種研修等を優秀な成績で修了した者ⅴ 積極的に自己啓発に取組 者ⅱ 業務に関連した高度な国家資格等を取得している者ⅲ 技術表彰ならびに提案奨励賞において顕著な受賞実績のある者ⅳ 社内外で実施する各種研修等を優秀な成績で修了した者ⅴ 積極的に自己啓発に取組み、その成果が顕著で、業務遂行面に大いに反映されている者」(6) 四五年制度からの移行新設された「主査」「主務職五級」「主務職四級」以外の新職分は、四五年制度の職分の名称変更及び任用基準の一部改定であったため、社員は、原則として四五年制度で任用されていた職分に対応する新職分に移行した。 (四) 平成八年四月一日実施の職分制度(以下「現行制度」という)(1) 職掌、職分系列及び職分の改定職掌は基幹職掌及び専門職掌の二分類とされ、さらに、同一職掌内の職務が、職務の困難度に着目した職務グレード区分基準に基づき、下位から順に、基幹職掌がグレードⅠからⅢの三段階、専門職がグレードA、Bの二段階に区分された。 ア基幹職掌は、「日常的な事業運営の基幹である業務を、必要に応じて他のメンバーを指導しながら、円滑に推進し、改善する職務のグループ。なお、この職掌の職務の遂行にあたっては、必要な基礎知識と主として業務遂行を通じて習得した実務知識、技能をもとに、的確な判断力と応用力ならびに創意・創造性を発揮することが求められる。」と定義されており、五九年制度の執務職掌及び監督職掌に対応している。 基幹職掌の職分はグレードごとに細分され、一○段階の職分系列とされた。 イ専門職掌は、「新技術の研究開発、新事業の企画、業務の改革等の専門的な事項について、定められた方針のもとで、自ら課題を設定し、必要に応じて他のメンバーを指導しながら、企画立案、折衝、推進する職務のグループ。なお、この職掌の職務の遂行にあたっては、科学的理論・技術と業務に関連する専門知識・技術をも とで、自ら課題を設定し、必要に応じて他のメンバーを指導しながら、企画立案、折衝、推進する職務のグループ。なお、この職掌の職務の遂行にあたっては、科学的理論・技術と業務に関連する専門知識・技術をもとに、体系的な思考力と的確な判断力、先見性ならびに独創性を発揮することが求められる。」と定義されており、五九年制度の企画開発職掌に対応している。 専門職掌の職分はグレードごとに細分され、五段階の職分系列とされた。 各職分の任用基準は別紙現行制度任用基準記載のとおりである。 (2) 職分と賃金との関係職分本給が廃され、「職分給」が新設された。職分給は、職分ごとに定額が設定されており、当該職分になった年は右定額が支給されるが、その後は成績評定に基づき加算を重ねてゆくものとされている。 また、五九年制度の監督職掌の職務が基幹職掌に包含されたことに伴い、「職階給」が新設された。職階給は製造ラインに設定されている監督職階(職長、担任、主任)にある者に対し、その職階の種類によって定額を支給するものである。 (3) 社員の採用五九年制度の執務職要員採用試験が基幹職要員採用試験に、企画開発職要員採用試験が専門職要員採用試験にそれぞれ名称変更され、専門職要員採用試験については一類、二類の区分が廃され、高専卒は基幹職要員採用試験を受験することになった。 (4) 昇任及び昇進ア上位職分への昇任は、各社員の従事する職務の職掌及び職務グレードと毎年一回定期に行われる成績評定に基づき、右五九年制度任用基準に照らして選考される。 イ各職分系列ごとに上位に管理職がおかれ、社員はその職分系列から管理職(副参事)へ昇進するものとされた。 (5) 系列転換審査制度の改定系列転換審査は、基幹職分系列から専門職分系列へ転換する専門職分系列転換審査のみとなり、推薦制は廃され 員はその職分系列から管理職(副参事)へ昇進するものとされた。 (5) 系列転換審査制度の改定系列転換審査は、基幹職分系列から専門職分系列へ転換する専門職分系列転換審査のみとなり、推薦制は廃されて希望者が任意に受験するものとされた。 右審査は、一次及び二次試験からなり、一次試験は「基幹職分系列に任用している者」を受験資格者とし、専門知識に関する筆記試験(定められた科目の中から二科目を選択して受験することが原則であるが、所定の国家資格等を取得している場合には一科目の受験が免除される。)によるものとされ、二次試験は一次試験合格者を受験資格者とし、審査内容はレポート審査と面接・発表審査である。 3 被告の賃金制度(一) 基準内賃金基準内賃金は、昭和六一年以降、基本給、職務本給、厚生給によって構成されるものとなった。さらに、平成八年制度で、職務本給が廃され、職分給及び職階給が導入された。このうち、職務本給、職分給及び職階給は前記のとおりであり、その余の賃金項目の内容は次のとおりである。 (1) 基本給は、任用される職分及び年齢によって入社時の額が定められており、その後は毎年の昇給の積み重ねによって増額して行く。昇給は各職分ごとに基準額(基準と最高)が定められており、各社員の昇給額は右基準額の範囲内で成績評定の結果に基づき決定されるが、右基準額は上位の職分に行くほど高額に設定されている。 (2) 厚生給は、年齢要素、扶養家族分及び住宅要素によって構成されている。 ア年齢要素は年齢別定額である。 イ扶養家族分は、世帯主である社員に対し扶養家族(配偶者及び子)の区分に応じて定額が支給される。 平成一二年一二月現在の支給月額は、配偶者または配偶者のない場合の第一子につき一万九〇〇〇円、子二人までは一人につき七八〇〇円、子四人までは一人につき二 及び子)の区分に応じて定額が支給される。 平成一二年一二月現在の支給月額は、配偶者または配偶者のない場合の第一子につき一万九〇〇〇円、子二人までは一人につき七八〇〇円、子四人までは一人につき二二〇〇円、その他の扶養家族一人につき月額一〇〇〇円である。 ウ住宅要素は、社宅、寮等会社施設居住者以外の世帯主である社員に対し、扶養家族の有無と居住区分に応じて定額が支給される。 平成一二年一二月現在の支給月額は、扶養家族のない社員につき一律一万二〇〇〇円、扶養家族のある社員のうち、自宅居住者につき一万三六〇〇円、借家、借間居住者につき一万五七〇〇円である。 (二) 夏季、年末手当夏季手当は毎年六月、年末手当は毎年一二月に支給される。 支給基準はその都度労働組合と交渉のうえ決定される。 (三) 賞与夏季、年末手当とともに支給される。 支給額は、その都度労働組合と交渉のうえ決定される基準により、計算期間中の成績評定の結果に基づいて決定される。 4 原告らの任用職分歴等(一) 原告P1原告P1は、昭和三八年三月に二種採用で被告に雇用され、社員任用時職分等級一級に任用された。四五年制度実施に伴い事務技術職一級に移行し、昭和四八年四月(勤続一〇年目)に同二級、そして昭和五三年四月(勤続一五年目)に上級事務技術職一級に各任用され、五九年制度実施に伴い主務職一級に移行し、昭和六一年四月(勤続二三年目)に主務職二級、平成六年四月(勤続三一年目)に主務職三級に各任用され、現行制度実施に伴い基幹職Ⅲの1級に移行し、平成一二年四月(勤続三七年目)に基幹職Ⅲの2級に任用された。 (二) 原告P2原告P2は、昭和四三年四月に二種採用で被告に雇用され、社員任用時職分等級一級に任用された。四五年制度実施に伴い事務技術職一級に移行し、昭和五五年四月(勤続一 2級に任用された。 (二) 原告P2原告P2は、昭和四三年四月に二種採用で被告に雇用され、社員任用時職分等級一級に任用された。四五年制度実施に伴い事務技術職一級に移行し、昭和五五年四月(勤続一二年目)に事務技術職二級、昭和五九年四月(勤続一六年目)に上級事務技術職一級に各任用され、五九年制度実施に伴い主務職一級に移行し、平成四年四月(勤続二四年目)に主務職二級に任用され、現行制度実施に伴い基幹職Ⅲの1級に移行し、現在もそのままである。 なお、原告P2は平成一○年八月から株式会社住化物流西日本に出向している。 (三) 原告P3原告P3は、昭和三七年三月に二種採用で被告に雇用され、社員任用時職分等級一級に任用された。四五年制度実施に伴い事務技術職一級に移行し、昭和五一年四月(勤続一四年目)に事務技術職二級、昭和五五年四月(勤続一八年目)に上級事務技術職一級に各任用され、五九年制度実施に伴い主務職一級に移行し、平成二年四月(勤続二八年目)に主務職二級に任用され、現行制度実施に伴い基幹職Ⅲの1級に移行し、現在もそのままである。 原告P3は、昭和五八年一〇月二〇日から平成五年一月一八日まで、被告の関連会社であり、愛媛工場物流部門の下請会社である日新運輸株式会社(以下「日新運輸」という。)に出向した。 男女間格差(一) 四五年制度以降の専門事務技術職系列転換審査B(監督指導職・専門事務技術職系列転換審査)、五九年制度の監督職・企画開発職系列転換審査、現行制度の専門職分系列転換審査の年別男女別合格者の推移(昭和四六年から平成一一年まで)は別表1記載のとおりである。 (二) 昭和四三年から昭和五〇年までに二種採用または事務技術職採用で被告に入社した高卒社員の平成一一年一一月現在における採用年別男女別職分分布状況は別表2のとおりであり、これを原 のとおりである。 (二) 昭和四三年から昭和五〇年までに二種採用または事務技術職採用で被告に入社した高卒社員の平成一一年一一月現在における採用年別男女別職分分布状況は別表2のとおりであり、これを原告らが主張する事務系社員とそれ以外の社員とに区分した場合の同分布状況は別表3のとおりである。 (三) 平成一一年二月に支給された昭和三七年から昭和四五年までの二種採用男女の採用年別基準内賃金の平均、最高及び最低額、原告らと同年採用の三種男子の基準内賃金の平均、最高及び最低額は別表4のとおりである。 6 原告らが申請した調停とその不開始昭和六一年四月から「雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保等女子労働者の福祉の増進に関する法律」(平成九年法第九二号による改正前のもの。 以下「均等法」という。)が施行された。 原告P1と同P2は、ほか一名とともに、均等法一五条に基づき、平成六年三月二三日、大阪婦人少年室に対し、被告を被申請人として管理職一級への昇格を求める調停申請を行ったが、被告が調停開始に同意しなかったため右調停は不開始となった。 また、原告P1は、均等法一五条に基づき、平成九年一一月二八日、大阪婦人少年室長に対し、被告を被申請人として営業等の仕事配置を求める調停申請を行ったが、被告が調停開始に同意しなかったため右調停も不開始となった。 二本件の争点 1 主位的請求(一) 被告が、三六年制度の二種及び三種採用で募集対象を男女別としたこと及びこれに基づき男女間で異なる処遇をしたことが違法な男女差別になるか(二) 被告の厚生給支給に男女差別があるか(三) 原告P1及び同P2の申請した調停の開始に被告が同意しなかったことが、違法か 2 予備的請求その1五九年制度における系列転換審査制度の運用に男女差別があるか 3 予備的請求その2 あるか(三) 原告P1及び同P2の申請した調停の開始に被告が同意しなかったことが、違法か 2 予備的請求その1五九年制度における系列転換審査制度の運用に男女差別があるか 3 予備的請求その2原告らの精神的損害の有無第三争点に関する当事者の主張一争点1(主位的請求-男女別採用とそれに基づく処遇等の違法性)について 1 原告らの主張被告は、三六年制度のもとで、同じ高卒でありながら、男子は三種採用、女子は二種採用という男女別採用と男女別雇用管理を行い、その後の制度改定においても右の採用区分の違いを理由とする男女別処遇を承継してきた。その結果、二種採用の原告ら高卒女子と同期ないし同時期に入社した三種採用の高卒男子との間には賃金その他の処遇において著しい格差が生じているが、このような男女別採用とその採用区分に基づく男女別処遇等は債務不履行及び不法行為に該当する違法な男女差別である。 (一) 男女別雇用管理制度による男女差別(1) 三六年制度における男女別採用とその承継ア三六年制度は学歴別の採用制度であったが、被告は、昭和四三年まで、高卒男子を三種採用で採用して職分二級に任用しながら、高卒女子を三種採用から排除し、二種採用で採用して職分一級に任用した。社員任用時の基本給も男女間で格差があった。 イ四五年制度の事務技術職掌、専門事務技術職掌、監督指導職掌は三六年制度の一般職務、専門職務、監督職務の分類に対応するもであり、専門事務技術職の社員には、将来の管理職育成が主眼とされて段階的に裁量の幅のある責任ある職務が配置されたが、事務技術職の社員には、定型的補助的職務が配置された。 制度移行時、三種採用で採用された事務系高卒男子は大部分が職分三級以上であったため専門事務技術職系列に移行した。 これに対し、原告ら二種採用の女子は、ご の社員には、定型的補助的職務が配置された。 制度移行時、三種採用で採用された事務系高卒男子は大部分が職分三級以上であったため専門事務技術職系列に移行した。 これに対し、原告ら二種採用の女子は、ごく一部の例外を除いてほぼ全員が職分一級であったため事務技術職一級に移行した。 その結果、三種採用から排除された二種採用の女子は、四五年制度のもとでも三種採用に相当する専門事務技術職から排除された。 ウ五九年制度は、職掌の名称を変更したものであり、四五年制度の専門事務技術職掌と事務技術職掌との区分による男女別雇用管理が、企画開発職掌と執務職掌によるそれに置き換わったにすぎず、二種採用の高卒女子は、ほぼ全員が執務職に移行した。 その結果、二種採用の高卒女子は、昭和五九年制度の下でも、引き続き第三種採用に相当する企画開発職から排除された。 エ現行制度でも、五九年制度の執務職掌の職務は基幹職掌に、企画開発職掌の職務は専門職に分類され、社員もその従事する職務の分類及び職分によって、基幹職または専門職に移行した。 その結果、三六年制度の男女別採用とこれに基づく男女別処遇は現在に至るまで承継されてきている。 (2) 被告の職分制度における性差別性三六年制度が、採用後の男女別処遇を予定した男女別採用であったことは明らかであり、原告ら高卒女子には三種採用を選択する余地はなかった。 四五年制度以降の事務技術職掌や執務職掌と専門事務技術職掌や企画開発職掌の分類の定義からして、これらの職掌に属する職務の明確な区別は現実には困難であるにもかかわらず、あえて、被告がこれらの職掌区分を設けてきたのは、二種採用の高卒女子を事務技術職掌あるいは執務職掌に、三種採用の男子を原則として専門事務技術職掌あるいは企画開発職掌に配置し、男女別採用を職掌別に置き換えることによ れらの職掌区分を設けてきたのは、二種採用の高卒女子を事務技術職掌あるいは執務職掌に、三種採用の男子を原則として専門事務技術職掌あるいは企画開発職掌に配置し、男女別採用を職掌別に置き換えることによって、男女別の労務管理の継続を目的としていたものであった。 四五年制度から系列転換審査制度が実施されたが、これも男女別採用区分の是正を目的としたものではなく、制度としての是正措置は設けられていない。 被告の職分制度では、上位職分への昇任は、担当職務の内容と成績評定の結果に基づき行われるところ、事務技術職や執務職、主務職は、女子に定型的補助的職務を主たる職務として配置することをねらいとしていることから、執務職、主務職の女子に上位の職分任用につながるような仕事の配置が行われにくく、女子は、職分昇任や管理職昇進においても不利益に扱われることになる。 (3) 男女間格差事務系の職務に従事する高卒女子のほとんどが五九年制度の執務職、主務職であり、主務職女子のほとんどは主務職三級以下にとどめ置かれた。現行制度でも女子は基幹職Ⅲの2級以下である。大阪本社の事務部門においては、二種採用又は事務技術職要員採用の女子で管理職となったものはいない。 これに対し、三種採用の男子は、採用から一年経過後には職分二級に任用され、四五年制度実施にあたっては、そのほとんどが専門事務技術職系列へ移行し、入社間もないために事務技術職系列へ移行した者も、学科試験を免除されるなどして、その後全員が専門事務技術職系列へ転換した。そして、五九年制度への移行により企画開発職へ移行し、さらに管理職に昇進した。 (4) 男女別雇用管理制度の違法性ア憲法一四条一項は、男女差別を禁じ、労働基準法四条も賃金について男女の差別的取扱いを禁止し、わが国が昭和四六年に批准した「国際人権規約」や昭和六〇 に昇進した。 (4) 男女別雇用管理制度の違法性ア憲法一四条一項は、男女差別を禁じ、労働基準法四条も賃金について男女の差別的取扱いを禁止し、わが国が昭和四六年に批准した「国際人権規約」や昭和六〇年に批准した「女子に対するあらゆる形態の差別の撤廃条約」等も男女同一の労働の権利や同一の雇用機会の権利等を定めており、この差別撤廃条約の批准に伴って昭和六一年には均等法が施行された。さらに、裁判実務のうえでも、昭和四〇年代から女子の結婚退職制、若年定年制等について、女子に対する合理的な理由のない差別を公序良俗違反とする裁判例が相次いだことなどによって、今日では、労働関係全般における公序として男女差別禁止の法理が確立している。この男女差別の禁止には、制度自体は性中立的であっても、その適用結果が一方の性の多くに不利益をもたらすいわゆる間接差別の禁止も含まれるというべきである。 男女差別禁止の法理により、使用者には、労働契約における信義則上の義務として、労働者を平等に取り扱うべき義務がある。 イしかるに、被告が三六年制度の下で男女別採用をした結果、原告ら高卒女子は、なんらの説明も受けられないまま三種採用から排除された。しかも、この採用区分は、男子を専門職務や監督職務に従事させ、女子を定型的で補助的業務に従事させるという基準によるものであったが、女子を専門職務や監督職務から排除しなければならない合理的な理由はない。いわゆるコース別雇用管理においても、恣意的な雇用管理区分を設定することは許されず、それが公序違反とならないようにするためには、そのコース設定が、職種や職務内容等の客観的で合理的な基準に基づいていることが必要であり、同種の職務でありながら、使用者があえて処遇や労働条件を異にする複数のコースを設定し、採用や配置に当たって一方のコースから女子 職種や職務内容等の客観的で合理的な基準に基づいていることが必要であり、同種の職務でありながら、使用者があえて処遇や労働条件を異にする複数のコースを設定し、採用や配置に当たって一方のコースから女子のみを排除することは違法というべきである。 被告の男女別採用は三六年制度当時においても違法な男女差別に該当するものであった。被告は、その後の処遇においても、三六年制度の趣旨を継承する職分制度の下で、採用区分の違いを理由に、仕事の配置、転換、昇任等さまざまの場面で原告ら高卒女子の平等および公正処遇を求める権利を侵害し、その結果、原告らは、後述のとおりの賃金格差相当額の損害や精神的苦痛を被った。このような被告の雇用管理は、労働契約の債務不履行に該当するとともに、憲法一四条、民法九〇条にも違反しているから民法七〇九条の不法行為にも該当する。 したがって、被告は、その男女差別の処遇によって原告らが被った損害を賠償すべきである。 ウ被告の主張に対する反論① 被告は、募集、採用の自由を理由に男女別採用を正当化し、原告らは二種採用に応募してその処遇を受けているものであるから違法はないと主張するが、合理的な理由なく、募集、採用という雇用関係成立の出発点において男女差別を行うことは、特定の雇用関係から女子を閉め出すことになり、差別を受ける女子労働者にとって極めて深刻な打撃を与えることになるのであって、募集、採用が全くの使用者の自由裁量に委ねられていると解することは到底できないことである。 ② 被告は、原告ら採用当時の男女の役割分担意識や女子の勤続年数の短さなどを理由に、被告の男女別採用が違法ではなかった旨主張する。 しかし、これは、女子を非能率、無能とする露骨な性差別意思に基づく労務政策である。 公序良俗に違反するかどうかという法的な判断基準は、あくまで 由に、被告の男女別採用が違法ではなかった旨主張する。 しかし、これは、女子を非能率、無能とする露骨な性差別意思に基づく労務政策である。 公序良俗に違反するかどうかという法的な判断基準は、あくまで憲法の平等原則に求められなければならず、原告らが採用された当時のいわば多数者の意識である社会通念だけを根拠として、憲法には違反するが当時の公序には違友しないとすることは許されるべきことではない。 しかも、原告らが入社した当時の社会意識としても長期勤続を希望する未婚既婚の女子は多数存在したし、現に長期勤続している女子も少なくなかったのであって、被告の女子労働者に対する見方は、極めて偏見に満ちている。転勤の有無についても、被告においてすべての三種採用者が転勤しているわけではなく、その違いを持って男女別採用を合理化することはできない。 仮に、被告が主張するような男女間の役割分担意識や女子の勤続年数の短さなどといった事実があったとしても、それは、あくまでも社会あるいは被告内における一般的な傾向ないし統計的数字に過ぎず、現に長期勤続を続けてきた原告らに対しては妥当しない。 ③ 被告は、高卒女子を第三種試験で採用することは、転勤や長期勤続に対する意識改革など被告が種々、多大なコストを負担することになる旨主張する。 しかし、この点でも、個々の労働者の個性に着目することなく、女子を集団的に一律評価して能率が悪いなどとすることは、いわゆる統計的差別であって許されるものではない。当時の一般的な女子の勤続年数や一般的な性役割分担意識がいかなるものであれ、本件で判断すべき観点は、原告ら具体的な個々人についての判断でなければならない。 (二) 厚生給における男女差別被告の賃金制度のうち、厚生給の住宅要素や扶養家族分は世帯主でないと支給されない。厚生給が基準内賃金 観点は、原告ら具体的な個々人についての判断でなければならない。 (二) 厚生給における男女差別被告の賃金制度のうち、厚生給の住宅要素や扶養家族分は世帯主でないと支給されない。厚生給が基準内賃金に占める割合は三割を超えており、世帯主か否かによって無視できない賃金格差が生ずる。 そして、この厚生給における世帯主とは「一つの世帯を主宰する者」をいうとされているが、運用上は、住民票上の世帯主であることが厚生給における世帯主認定の要件とされている。 しかし、婚姻によって男女が世帯を構成する場合、男子が世帯主になる場合が圧倒的に多く、したがって、世帯主かどうかによって支給額に差を設けることは、結果的に女子を不利益に扱うことになる。 したがって、これもまた違法な男女差別(間接差別)であり債務不履行及び不法行為に該当する。 (三) 原告らが受けた男女差別等(1) 採用、昇格、昇任の男女差別と賃金格差原告らは、いずれも、二種採用で採用されたことを理由に被告から定型的補助的業務、あるいは被告が定型的補助的業務としか評価しない業務に長期間にわたって従事させられた結果、現行制度になった現在も基幹職Ⅲ級に据え置かれている。 他方、原告らと同期入社の三種採用の高卒男子は、勤続二一年目または二二年目までにその八割以上が管理職一級へ昇進し、原告P1の同期男子の場合は本件提起時すべて管理職となっていた。 このような昇格、昇進等の男女の異なる取扱いによって、原告らと同期入社の三種採用の高卒男子との賃金格差は、別表4のとおり、平成一一年二月現在、基準内賃金だけで、原告P3、同P1とは平均で月額約二〇万円、原告P2とは月額約一五万円に達している。 (2) 厚生給における差別ア原告P1は、昭和四二年に結婚したが、夫を世帯主とする住民登録を行っているため、非世 告P3、同P1とは平均で月額約二〇万円、原告P2とは月額約一五万円に達している。 (2) 厚生給における差別ア原告P1は、昭和四二年に結婚したが、夫を世帯主とする住民登録を行っているため、非世帯主としての厚生級しか支給されなかった。 イ原告P2は、昭和四九年に結婚し、昭和六二年に、同原告を住民票上の世帯主とし昭和六三年八月から同原告を世帯主とする厚生給の支給を受けるようになったが、それまでは夫を世帯主とする住民登録を行っていたため非世帯主としての厚生給しか支給されなかった。 ウ原告P3は、昭和四三年に結婚し、平成一○年ころ同原告を住民票上の世帯主とし同年八月から同原告を世帯主とする厚生給の支給を受けるようになったが、それまでは夫を世帯主とする住民登録を行っていたため非世帯主としての厚生給しか支給されなかった。 (3) 調停開始不同意の違法性均等法一五条に基づく調停申請に対し、事業主が調停開始に同意しないことが許されるのは、正当な理由がある場合に限られると解すべきである。 しかるに、被告は、平成六年に原告P1及び同P2が申請し、平成九年に原告P1が申請した各調停に対し、正当な理由なくその開始に同意しなかった。これは同意権の濫用である。 原告P1及び同P2は、被告の右同意権の濫用によって調停を受ける利益を奪われ、精神的苦痛を被った。 (四) 原告らの損害(1) 賃金格差相当の損害原告らは、被告の男女差別処遇により長期間にわたって低い職分に据え置かれてきた結果、原告らと同期入社の三種採用高卒男子との間には著しい賃金格差が生じている。原告らは、男女差別を受けなければ、同期入社の三種採用男子の平均的給与と同等の賃金の支給を受けることができたものである。 ところで、P4は昭和三七年に、P5は昭和四一年に、それぞれ三種採用で被告に 原告らは、男女差別を受けなければ、同期入社の三種採用男子の平均的給与と同等の賃金の支給を受けることができたものである。 ところで、P4は昭和三七年に、P5は昭和四一年に、それぞれ三種採用で被告に雇用された高卒男子社員であるが、両名とも同期の高卒男子の中では昇格が遅れている。 原告P1と同P3は、P4と同期ないし近時期の入社であるが、右原告らとP4との昭和六〇年度から平成一一年度(年度は四月から三月まで)までの基準内賃金、賞与、夏期手当、年末手当の差額(ただし、P4のほうが原告P1より入社が一年早いので、P4の各前年度の賃金と比較する。)の合計は別紙請求金一覧表一「過去の差額賃金相当損害金」欄記載のとおりであり、平成一一年度の差額賃金の平均月額は同一覧表「差額賃金(月額)」欄記載のとおりである。 原告P2は、P5と近時期入社であり、右同様に原告P2とP5との昭和六〇年度から平成一一年度までの賃金差額(右同様に入社年度の相違を調整して比較する。)を算定すると、その合計は右一覧表「過去の差額賃金相当損害金」欄記載のとおりであり、平成一一年度の差額賃金の平均月額は同一発表「差額賃金(月額)」欄記載のとおりである。 原告らとP4またはP5との右賃金差額合計や平均月額が、原告らと同期入社の三種採用男子のそれを上回るものでないことは明らかであり、したがって、少なくとも原告らはそれぞれ右一覧表「過去の差額賃金相当損害金」欄記載の損害を被ったものであるし、将来にわたっても同一覧表「差額賃金(月額)」欄記載の損害を被るものと見込まれる。 (2) 慰藉料ア原告らは、被告の男女差別処遇によって多大な精神的苦痛を被ったが、これを慰謝するには、原告P1が一九八二万〇五六四円、原告P2が一五一八万五一六二円、原告P3が二三九〇万〇五七〇円(以上は、本訴提起 原告らは、被告の男女差別処遇によって多大な精神的苦痛を被ったが、これを慰謝するには、原告P1が一九八二万〇五六四円、原告P2が一五一八万五一六二円、原告P3が二三九〇万〇五七〇円(以上は、本訴提起時において、原告らが過去の差額賃金相当の損害して主張していた額と同額である。)の慰藉料をもってするのが相当である。 イ原告P1及び同P2が、被告の調停開始不同意により被った精神的苦痛を慰謝するには右原告ら各自につき一○○万円が相当である。 ウ弁護士費用は、原告ら各自につき、それぞれ別紙請求金一覧表一「弁護士費用」欄記載の金額が相当である。 (3) よって、原告らは、それぞれ、過去の差額賃金相当損害金、慰藉料、及び弁護士費用の合計として別紙請求金一覧表一「請求金合計」欄記載の金員及び平成一二年四月以降毎月二五日限り同一覧表「差額賃金(月額)」欄記載の金員とこれらに対する支払済みまでの遅延損害金の支払を求める(なお、弁論の全趣旨からして、原告らが請求を拡張した部分については、遅延損害金の請求も拡張する趣旨であることは明らかである)。 2 被告の主張被告は、職務と職務処理能力と処遇の有機的関連により人事制度の近代的適正化を図る目的から三六年制度において職分制度を導入し、その後、業績貢献主義を強化、推進する観点から数度にわたる職分制度の改定を行ってきた。原告らは、三六年制度の下で、女子であることを理由に三種採用から排除され、その後も現行制度に至るまで系列転換していないことをもって男女差別であると主張するが、採用時の区分に従った処遇を受けているし、三六年制度における採用方法は当時としては合理的なものであって公序に反するものではなく、したがって、原告らに対する処遇は男女差別に該当するものではない。 (一) 三六年制度における採用区分とその合理性(1 度における採用方法は当時としては合理的なものであって公序に反するものではなく、したがって、原告らに対する処遇は男女差別に該当するものではない。 (一) 三六年制度における採用区分とその合理性(1) 全社採用と事業所採用同じく高卒を募集対象とするとはいえ、三種採用は本社において高校新卒を採用選考するいわゆる全社採用であったのに対し、二種採用は事業所において高卒を採用選考するいわゆる事業所採用であって、それぞれが採用を意図する人材や予定する採用後の取扱いは全く相違していた。 ア各種採用が予定する従事職務の相違一種及び二種採用は、各事業所における一般職務従事者を確保するためのものであり、三種及び四種採用は、全国各地または海外の被告の事業所における専門職務従事者を確保するためのものであった。二種採用者と三種採用者とでは、期待した役割や予定する職務が質的に異なっていた。 ① 三種採用は、製造関連部門の技術者を確保することに主眼があり、三種採用者の多くは工業高校の卒業者であった。 わずかながら普通高校または商業高校の卒業者も三種採用されたが、これらの者は、主として総務、人事、会計等の分野に配属され、将来、右分野における専門職務に従事することが予定されており、その業務最適化の改善を行なっていく要となることが期待されていた。そこで入社後数年のうちに日常の業務処理に精通するとともに、その背景となっている専門的な理論等を習得し、より広い観点からの判断を行うことが要請され、さらに、一種及び二種採用者の指導、育成も求められた。 これらの業務は、質量ともに膨大で労働負荷が非常に高く、深夜や休日に勤務せざるを得ないことも多々あった。 ② これに対し、二種採用者に求められたのは、三種採用者が検討し確立した業務遂行方法に則った確実な日常的業務の遂行であった。 で労働負荷が非常に高く、深夜や休日に勤務せざるを得ないことも多々あった。 ② これに対し、二種採用者に求められたのは、三種採用者が検討し確立した業務遂行方法に則った確実な日常的業務の遂行であった。 イ採用後の処遇の相違二種採用者は、採用された事業所に勤務するものとし、原則として転居を伴う転勤は予定されなかったが、三種採用者は、全国の事業所に配属されるものとして転居を伴う配転が予定された。 採用後の従事職務の相違を反映して、二種採用者は三か月の社員補期間経過後、職分一級に任用されたのに対し、三種採用者は一年間の社員補期間経過後、職分二級に任用された。職分任用時の基本給は三種採用者が高額であったほか、その後の職分昇進、賃金水準においても三種採用者の方が二種採用者より高くなることが予定されていた。採用後の研修も、二種採用者と三種採用者とでは全く別個に行われていたのであり、その内容や期間も当然異なっていた。 二種採用者は、後述のとおり、事業所周辺から採用された者であるため、被告の寮や社宅の貸与もなかった。 ウ募集及び採用手続の相違① 二種、三種いずれの採用も一般公募ではなく、被告が指定した高校に推薦を依頼し、推薦を受けた者の中から、学科試験や面接を実施して採用者を決定していた。三種採用の場合、指定校は全国に及んでおり、各県数校の指定校より推薦を受けた最優秀層の中からさらに少数の合格者を選抜していたのに対し、二種採用の場合、指定校は事業所周辺の高校であり、地域との関係から縁故採用の者も存した。 ② 二種、三種いずれの採用でも、採用者数については本社の決裁が必要であったが、採用試験の日程や場所、採用試験の内容、合格者の決定等については、二種採用の場合、全て事業所に決定権があったのに対し、三種採用の場合、全て本社に決定権があった。 このた 社の決裁が必要であったが、採用試験の日程や場所、採用試験の内容、合格者の決定等については、二種採用の場合、全て事業所に決定権があったのに対し、三種採用の場合、全て本社に決定権があった。 このため、二種採用の試験は各事業所または同一事業地合同で行なわれたが、三種採用の試験は本社あるいは被告の特定の事業地で行われていた。入社日、入社式の場所や内容も異なっていた。 エ三六年制度の処遇の実情三六年制度では、事業所採用者でも職分三級に任用されれば専門職務に従事することができたが、事業所採用者が職分三級に任用されるためには、昭和三九年に設けられた職分三級登用審査に合格するなど全社採用者と同等の能力を有すると認められることが必要であり、職分三級任用は非常に困難であった。 そのため、三六年制度の実情としては、事業所採用者は職分二級までに対応する一般職務または監督職務に従事し、全社採用者は専門職務に従事していくことが基本であった。 (2) 三種採用の募集対象を男子に限定した理由ア三種採用は技術者確保を主眼にしていたが、当時、工業高校で化学工学等を専攻する女子は極めて少なく、女子は必要な人材の安定的な供給源とはなり得なかった。 イ三種採用者には、労働負荷の高い専門職務への従事や全国転勤が予定されたほか、化学工業においては技術の蓄積が容易ではないという事情もあって長期勤続が期待されていた。 しかるに、昭和三〇年代ころは、性別による役割分担意識が女子も含めて社会全体に根強く残っていたため、女子については家事、育児の責任が重く、女子雇用者の平均勤続年数は極端に短く、一般的に女子に長期継続勤務を期待し得る状況ではなかった。そして、この状況は被告においても同様であり、労働負荷の高さや転居を伴う配転が予定されていることもあって、女子に対し、三種採用が予 極端に短く、一般的に女子に長期継続勤務を期待し得る状況ではなかった。そして、この状況は被告においても同様であり、労働負荷の高さや転居を伴う配転が予定されていることもあって、女子に対し、三種採用が予定する職務に従事することや長期勤続を期待することはできず、必要な人材の安定的な供給源とはなり得なかった。 ウ操業に関連する専門職務には、連続操業に伴う交替勤務、危険物の取扱い等が必要になるが、三六年制度当時の労働基準法による女子の危険有害物の取扱いや深夜業の制限との関係上、かかる業務に女子を活用することは不可能であった。また、業務分野を問わず、女子に対しては、時間外労働や休日労働についての労働基準法の制限が障害となり、三種採用者が予定する労働負荷の高い職務を男子と同様に果たすことが期待できなかった。 エ昭和三〇年代から昭和四〇年代後半ころまでは、被告が積極的な設備投資による規模拡大等に取り組み、安定操業体制の確立が大きな課題となっていた時期であり、技術分野以外の専門職務従事者でも製造現場に足を踏み入れることが頻繁であったが、そうした業務に女子を活用することには、当時の一般的な社会認識からして極めて困難であった。 オこうした中で、被告が高卒女子を三種採用で採用するには、社会一般の性的役割分担意識の解消のためなど種々のコスト負担が予想され、合理的な企業行動であるとはいえなかった。 (3) 二種採用の募集対象を昭和四二年まで女子とした理由三六年制度当時、高卒男子の需要は高く、一般職務従事要員の応募者は限られていたが、他方で、結婚や出産までの一時的就業という職業意識から高卒女子が一般職務従事要員の供給源となっていたため、二種採用は女子だけを募集対象とした。 しかるに、進学率の高まりの中で、従来、交替勤務要員として確保していた中卒の人材不足が 業という職業意識から高卒女子が一般職務従事要員の供給源となっていたため、二種採用は女子だけを募集対象とした。 しかるに、進学率の高まりの中で、従来、交替勤務要員として確保していた中卒の人材不足が顕著になるとともに、技術革新の展開により三種採用の想定する能力水準に達しない高卒男子が増加したことから、昭和四三年以降高卒男子も二種採用の募集対象とするようになった。 (4) 三六年制度における採用区分の合理性以上のとおり、二種採用と三種採用とでは、その採用目的が明確に異なり、被告は、全く別個の手続により、それぞれ必要な人材を確保してきたのであって、三種採用の募集対象を男子に限定したことは、当時の社会常識からすれば何ら不合理なところはなく、公序良俗に反するものではなかった。 また、原告らは、二種採用に自らの意思に基づいて応募し、採用されたのであり、原告らが三種採用に応募する機会を持たなかったことと二種採用で採用されたこととは何ら関係がない。仮に、当時女子に対して三種採用に応募する機会が与えられていたとしても、原告らが、それを希望したか否かは疑問であるうえ、希望したとしても、三種採用の合格水準からするとこれに合格し得た可能性は極めて低い。 (二) その後の制度改定(1) 四五年制度四五年制度は、職務及び職務遂行能力と処遇との関連をより強くすること等を目的とした改定であった。 専門事務技術職要員採用の一類、二類は、それぞれ三六年制度の四種採用、三種採用に対応するもので、いずれも全社採用としての位置付けであり、事務技術職採用は事業所採用の位置付けであって、制度的には連続性のある取扱いであった。 四五年制度では、社員は採用区分に対応する職分系列で職分昇任して行くのが原則であったが、上位職掌の職務に従事し得る能力と意欲のある者には、その能力を あって、制度的には連続性のある取扱いであった。 四五年制度では、社員は採用区分に対応する職分系列で職分昇任して行くのが原則であったが、上位職掌の職務に従事し得る能力と意欲のある者には、その能力を発揮する機会を与えるという考え方に立って、被告は系列転換審査制度を設置した。このうち、専門事務技術職系列転換審査Bは、将来にわたって広く専門事務技術職掌の職務を遂行していく能力を有しているか否かを審査するものであり、そのため審査内容には学科試験を課すこととし、人材活用や育成の観点から早期合格が望ましく、受験資格は一定の職分以下の者とした。 三種採用者に対して、基礎知識に関する学科試験を免除したのは採用段階ですでにその能力を審査していたからであり、また、後に専門的知識に関する学科試験を免除することにしたのも、将来の専門職務に従事し得る人材として選抜した三種採用者に対する制度運用上の硬直さを解消するためであって、男女差別によるものではない。 (2) 五九年制度及び現行制度五九年制度及び現行制度は、業績貢献度主義の強化、推進を目的とした改定であり、従来の採用試験の名称を変更したが、全社採用、事業所採用の採用区分やその区分による採用後の処遇の相違は基本的に従前の制度を承継するものであった。 (3) 原告らは、四五年制度以降の職分制度における事務技術職掌や執務職掌の職務と専門事務技術職掌や企画開発職掌の職務との区別は明確でないとして、これが男女別雇用管理を目的としたものであったと主張するが、被告の職務が非常に多岐に亘っているため、区分が必ずしも明確ではない職務が一部に存在することは否定できないものの、全体としてみれば明確に区分することができたのであって、原告らの右主張は理由がない。 (三) 違法な格差の不存在(1) 現時点における原告ら二種採用者と 務が一部に存在することは否定できないものの、全体としてみれば明確に区分することができたのであって、原告らの右主張は理由がない。 (三) 違法な格差の不存在(1) 現時点における原告ら二種採用者と三種採用者間の賃金、職分等における格差は、制度上予定されていたものであり、入社後に積み重ねられてきた従事職務の相違、その結果たる職務遂行能力の程度や業績成果の相違に基づくものにほかならず、男女差別の処遇の結果によるものではない。 (2) 二種採用の男女間には、差別というべき賃金格差はないし、別表2からも明らかなとおり、事業所採用された高卒男女間では系列転換審査の合格比率を除けば、職分に差別というべき格差はない。 (四) 債務不履行及び不法行為の主張に対する反論(1) 原告らが主張する労働者に対する平等取扱義務は、極めて抽象的なものでありその具体的内容が不明であって、かかる抽象的な義務の主張をもって債務不履行を論じること自体失当というべきである。 仮に、そのような義務が認められるとしても、他方で被告には企業経営の自由があり、いかなる者を採用し、いかに処遇するかは被告が自由に決し得るところである。原告らを採用した当時の社会的な背景等に照らすと、採用後の従事職務とその処遇を想定して、二種採用で採用する者を事実上女子のみとし、三種採用で採用する者を男子としたうえ、採用後、予定した職務配置と所定の処遇を行うことには合理性が存した。 なお、これに関連して、原告らは採用区分やその後の処遇についての説明がなかったと主張するが、入社希望者は、被告が学校に提出した求人票で業務内容や勤務地を確認できたし、学校から入社条件等の説明を受けることも可能であり、また、説明を受けたはずである。さらに、被告も、応募者に対しては採用条件等の説明はしていた。 (2) 原告らが確 で業務内容や勤務地を確認できたし、学校から入社条件等の説明を受けることも可能であり、また、説明を受けたはずである。さらに、被告も、応募者に対しては採用条件等の説明はしていた。 (2) 原告らが確立した公序であると主張する労使関係における男女差別取扱禁止や不公正処遇の禁止から、被告にいかなる作為、不作為の義務が生じるというのか、原告らのいかなる具体的権利を侵害したというのか、その具体的な内容は不明確である。また、被告が原告らを採用した時点で原告らの主張するような公序が確立していたとは考えられない。 被告の取扱いに不法行為に該当する違法はない。 (五) 厚生給における男女差別の主張に対する反論厚生給のうちの住宅要素及び扶養家族分は、生活の実情に応じた補填を行う趣旨のものであり、同一の事情に対して、配偶者が支給を受けているものと重複して支給することが不合理であるため、これを避けるべく、世帯主、すなわち、「一つの世帯を主宰する者」「主として生計を維持する者」を基準として支給することとし、運用上は住民票上の世帯主がこれに該当することが多いことから便宜上、住民票上の世帯主に支給してきた。 このような取扱いは厚生給の趣旨からして合理性を有するものであり、世帯主が男子であるか女子であるかを問わないものであるから、男女差別的な要素は一切ない。 したがって、厚生給に係る原告らの主張も失当である(六) 調停開始不同意について原告P1及び同P2が申請した調停の開始に被告が同意しなかった事実は認めるが、その余は争う。 (七) 原告らの損害についてすべて争う。 二争点2(系列転換における男女差別)について 1 原告らの主張仮に、三六年制度の三種採用からの女子の排除が差別とはいえないとしても、女子を女子であることのゆえに三種採用が予定する職務か 争う。 二争点2(系列転換における男女差別)について 1 原告らの主張仮に、三六年制度の三種採用からの女子の排除が差別とはいえないとしても、女子を女子であることのゆえに三種採用が予定する職務から排除することは、少なくとも均等法が施行された昭和六一年の時点においては違法であり、被告には右職務から排除された女子に系列転換の実質的な機会を与えて男女間の異なった取扱いを是正する義務が生じていた。しかるに、被告は右是正義務に反し、系列転換制度を男女差別的に運用することによって、原告ら二種採用の高卒女子に系列転換の実質的な機会を与えることがなかった。その結果、原告らは、五九年制度の下で企画開発職系列への転換をすることができず、「入社以来一貫して事務系の職務に従事し、転換審査に合格した二種採用または事務技術職採用の高卒男子」(比較対象男子)で原告らと入社年度が近い者との間で著しい賃金格差が生じている。被告の系列転換審査制度の運用は違法な男女差別である。 なお、右のとおり比較対象男子を事務系に限定するのは、入社以来一貫して事務系の職務に従事してきた原告らとの比較において、その対象者には類似性が要求されるべきだからである。そして、事務系とは、平成七年七月の人事制度改定においてなされた管理職の職務分類であるM職務群(マーケティングアンドセールス専門職)、S職務群(スタッフ専門職)、E職務群(生産技術専門職)、R職務群(研究開発専門職)のうち、M職務群及びS職務群をあわせたものであり、管理社員が事務系である場合にはその管理下に属する社員の職務も事務系に分類できる。 (一) 被告の是正義務の発生根拠及びその内容三六年制度の二種、三種の男女別採用が、仮に当時の公序からして違法とはいえないとしても、男女の区別に基づくものであることは明らかである。 ところ る。 (一) 被告の是正義務の発生根拠及びその内容三六年制度の二種、三種の男女別採用が、仮に当時の公序からして違法とはいえないとしても、男女の区別に基づくものであることは明らかである。 ところで、違法性の評価基準は歴史的に変遷するものであり、わが国でも、女子の社会進出が進展する中、結婚退職制や若年退職制などで女子を不利益に扱う事業主の措置を違法とする裁判例が相次いだこと、昭和六〇年に女子差別撤廃条約が批准され、これを受けて均等法が施行されたことなどによって、遅くとも右均等法が施行された昭和六一年ころには、女子を特定の職務コースから排除することが公序違反となることはすでに確立していた。 このような公序の変化に照らすと、遅くとも昭和六一年時点では三六年制度における男女別採用とこれに基づく処遇が違法な男女差別であることは明らかであるから、その処遇によっで生じていた男女間格差もまた違法というべきである。 使用者には、労働契約上の信義則に基づき、労働者に対する平等取扱義務があることは前記のとおりであり、使用者がこれに違反し、労働者を男女で不合理に差別扱いをした結果、男女間に違法な格差が生じている場合、使用者には、平等取扱義務の具体化としてその格差を是正すべき義務があるというべきである。 したがって、被告は、昭和六一年ころには、右男女間格差を是正するため、原告ら高卒女子に対し、その採用区分を理由として排除してきた職務やコースに転換できる機会を、男子が与えられてきたと同等に付与すべきであった。被告は、男女別採用の是正措置という位置付けではないが、系列転換審査制度を設け異なる職分系列間の系列転換を可能としてきたが、右系列転換審査制度は男女平等に設計されるべきであり、これを原告ら二種採用の高卒女子ないしは類似した採用区分である事務技術職要員採用 転換審査制度を設け異なる職分系列間の系列転換を可能としてきたが、右系列転換審査制度は男女平等に設計されるべきであり、これを原告ら二種採用の高卒女子ないしは類似した採用区分である事務技術職要員採用試験で採用された女子に適用するに当たっては、その運用を男女で平等に行うべきであった。 (二) 被告の是正義務違反(1) 四五年制度と現行制度における系列転換審査の実態(背景事情)ア四五年制度の専門事務技術職系列転換審査Bの新設は、全社採用の募集対象からはずまれた高卒男子のうちの優秀者に専門事務技術職掌の職務に従事する機会を与えることを目的としたものであったし、事務技術職系列に移行した三種採用の高卒男子は学科試験も免除されたが、三六年制度における二種採用高卒女子の位置付けは四五年制度でも基本的には変わらなかった。 結局、四五年制度の系列転換審査制度は、四五年制度移行後も事務技術職に残存していた三種採用の高卒男子、事務技術職要員採用試験で採用した事業所採用の高卒男子の転換を主眼としたものであって、設計動機が性中立的なものではなかった。 被告には、事務系の職場(勤労課や査業課)にはより高い意欲と業務遂行能力を持つ高卒男子を意識的に配置した反面、女子にはそのような配慮をしないなどの男女間での人材育成方針の違いがあり、また、系列転換審査には業務と関連性のない不合理な学科試験が課されていることで高卒後長期間経過している二種採用の女子の不利益は大きかったし、系列転換審査の存在が社内に周知されることはなく、女子にも受験資格があるとは考えられておらず、上司が受験を進める場合でも男子だけであり、受験する男子には職場における組織的な援助、指導がなされた。 被告は、試験日程を管理職にしか知らせないという措置を通じて、審査対象を高卒男子とする制度設計の意図を実質 進める場合でも男子だけであり、受験する男子には職場における組織的な援助、指導がなされた。 被告は、試験日程を管理職にしか知らせないという措置を通じて、審査対象を高卒男子とする制度設計の意図を実質的に達成できた。 右のような運用の結果別表1のとおり、四五年制度の下で、専門事務技術職転換審査Bによって系列転換した女子は、二名のみであるのに対し、男子は二四六名が系列転換した。 イ現行制度の専門職分系列転換審査では、業務に関連する科目の中から二科目を受験することとなったが、一科目は高度の国家試験取得をもって代替できるというものであり、科目の合格水準は高く設定されていて、原告ら昭和三〇年代後半に高卒で入社した女子にとっては極めて合格困難なものとなっている。他方、三六年制度の二種採用男子や四五年制度の事務技術職採用男子で、系列転換の意思のある者は現行制度前にほとんど転換を終えた。 (2) 五九年制度における監督職・企画開発職系列転換審査の問題点と実態ア制度自体の性差別制監督職・企画開発職系列転換審査は学科試験が廃止されて受験は推薦制となったが、これは、早期転換が望ましいとされていたにもかかわらず、四五年制度の下で学科試験に合格できない者への配慮からというものであった。 しかし、もともと専門事務技術職転換審査Bが事業所採用のみとなった高卒男子の人材活用を主たる目的としていたことや四五年制度の下での女子受験者が極めて少数だったことからして、監督職・企画開発職系列転換審査の対象としては未転換の高卒男子集団が想定されていたことは明らかであり、五九年制度の系列転換審査制度も、設計動機において性中立的なものではなかった。 また、受験が推薦制とされた結果、上司による職務配置や評価が重要な意味を持つこととなったが、これには次のような問題がある。 ① の系列転換審査制度も、設計動機において性中立的なものではなかった。 また、受験が推薦制とされた結果、上司による職務配置や評価が重要な意味を持つこととなったが、これには次のような問題がある。 ① 推薦基準②について推薦基準②ⅰは、監督職または企画開発職掌の職務に従事していることを前提としているが、企画開発職系列からの高卒女子排除の方針を有する被告が、高卒女子に企画開発職掌の職務を配置するとは考えられず、現に、被告は、女子には転換につながるような職務配置を行ってこなかったし、女子に企画開発職掌に属する職務を配置したとしても、職務区分の曖昧さから被告がその職務を企画開発職掌に属する職務と評価しないことも十分考えられる。日常業務のなかでの企画開発職要員としての能力判定基準も不明確であり、結局、上司の主観的な裁量の余地が大きく、高卒女子がその能力を有すると評価されることはなかった。 推薦基準②ⅰやⅲは男女とも適用がほとんど考え難い。 推薦基準②ⅳも、被告は、二種採用の女子をこのような研修に派遣していないのであるから、女子には適用されようがない。 推薦基準②ⅴも、「積極的」「顕著」「大いに」等上司の主観的な判断が相当に反映されうる基準であり、上司に性的偏見がある被告において、女子がこのような主観条項で推薦を得られる可能性はない。 ② 推薦基準①について推薦基準①についても、成績優秀者の判断基準は設定されておらず、執務職掌の職務についての成績評定をさすのか、企画開発職掌の職務についての能力評価をさすのかも定かでなく、上司の裁量の幅の広い曖昧な基準というほかない。 また、被告では、成績評定とは別に、推薦について上司が人事と話し合いを行うという運用であり、そうすると、成績優秀者か否かは、成績評定制度と切り離された総合的な判断ということになり というほかない。 また、被告では、成績評定とは別に、推薦について上司が人事と話し合いを行うという運用であり、そうすると、成績優秀者か否かは、成績評定制度と切り離された総合的な判断ということになり、人事と上司の主観に左右されることになる。 イ運用実態平成一一年一一月現在での、昭和四五年から昭和五〇年に入社した高卒社員の職分系列区分は別表3のとおりであり、事務系男子は七六名中五三名(約七〇パーセント)が系列転換しているのに対し、同時期入社の事務系女子で系列転換したのは一四名中わずか一名(約七パーセント)にすぎない。 また、右同時点での、右同時期入社高卒社員の男女別職分分布は別表2のとおりであり、男子が、管理社員の参事から基幹職Ⅱ-2級までの幅広く分布しているのに対して、事務系女子はⅢ-1級に集中しており、男子については、能力等による評価と職分任用がなされているのに対して、女子については、ほぼ均一な処遇がなされている。 昭和六〇年から平成八年までの系列転換審査合格者は、別表1のとおりであり、男子は二〇八名であるのに対して、女子一四名にとどまったが、これについても被告から合理的な説明はない。昭和六〇年に八二人、昭和六一年に二五人という多数の男子合格者が出ているが、これは、上司による男子社員の大量の推薦がなされたことによる。その後、男子の転換試験合格者が減少しているのは、未転換で残存している高卒男子(特に事務系)がごく少数となったためである。平成五年以降に事務系部門で女子合格者が増加しているのは、原告らが、女子の処遇の低さを問題にして上司や労働組合に申し入れをしたり、大阪婦人少年室へ調停申請を行ったりしたことの影響である。しかも、女子合格者の多くは大卒であった。 (3) 原告らの個別事情ア原告P1① 担当業務原告P1は、入社以 組合に申し入れをしたり、大阪婦人少年室へ調停申請を行ったりしたことの影響である。しかも、女子合格者の多くは大卒であった。 (3) 原告らの個別事情ア原告P1① 担当業務原告P1は、入社以来デリバリー業務担当とされ、昭和四〇年から現在まで一貫してアクリルシートのデリバリー業務に従事してきた。 この間、原告P1は、その希望により、昭和六一年から大阪販区の生産担当の仕事を与えられ、キャストシートの生産調整、在庫管理を担当し、さらに平成七年四月から代理店の営業担当(ルート販売)等が実現した。しかるに、平成九年早々、デリバリー担当者二名が退職すると、原告P1は営業担当をはずされて同年二月からデリバリー専任に戻された。原告P1は、早期の営業復帰を希望し続けたが、被告は原告P1の希望をいれず、原告P1が改正均等法(調停開始に相手方の同意を要しなくなった。)の下で、平成一一年四月一日に調停申請に踏み切ったところ、同年六月から原告P1を営業担当に復帰させた。 アクリルシートのデリバリー業務は、取扱品種が約五〇〇〇種あり、顧客からの受注や問い合わせに迅速かつ正確な判断を求められ、一日の受注件数も多い業務であるが、原告P1は豊富な知識で的確に対応しており、上司の指導や判断を仰ぐ必要は生じていない。また、原告P1は、企画開発職の職務とされるバックセーリングを実現させたこともあるし、合理化のために名古屋のデリバリー業務を大阪で対応することの提案をして採用され、顧客に送付する商品の色見本の入出荷のオンライン化を提案し採用されたこともある。 キャストシート製品の生産調整、在庫管理の業務では、管理職である各工場の代表が出席して毎月一回の会議を持っているが、原告P1は、大阪販区代表としてこの会議に出席しており、また、大阪販区の製品の生産依頼や納期調整もやり の生産調整、在庫管理の業務では、管理職である各工場の代表が出席して毎月一回の会議を持っているが、原告P1は、大阪販区代表としてこの会議に出席しており、また、大阪販区の製品の生産依頼や納期調整もやり、中継地への製品の送り込み計画も立てた。 営業に関しても、原告P1は担当初年度以来販売目標を達成し続け、順調に業績を伸ばしてきており、担当先からも高評価を得ており、社内会議にも出席するようになった。 ② 系列転換審査との関わり原告P1は、五九年制度の下で、企画開発職への転換希望を平成四年以後のチャレンジカードに書き続け、平成六年及び平成八年には上司に推薦を要請したが、上司からは、実績がない、定年まで会社の礎になれなどと発言され、推薦を受けることはできなかった。 イ原告P2① 担当業務原告P2は、入社後当時の計数課に配属され、キーパンチャーとして勤務したが、昭和四七年に物流管理部(当時は運輸課)に異動となり、以後、物流業務に従事している。その主要な業務は、倉庫の保管料、運賃等の支払業務と倉庫の品物の受払管理である。支払業務において、原告P2は、協定以外の運賃や倉庫料が発生したり、スポット的な輸送が始まる時には料金の試算をして伺いを書くが、工場では伺いを書くのは専門職の仕事である。また、受払管理においても、原告P2は実地棚卸の際、会社代表として公認会計士らに計算方法等の説明をするなどしてきた。 そのほかにも、原告P2は、長期滞留品の整理や、平成六年ころからは、企画開発職ないし専門職の仕事とされている物流予算の作成、平成九年ころからは、従前男子の企画関発職、専門職が作成していた物流期報等の作成も担当している。 原告P2は、料金改定のために毎年一回行われる輸送会社との会議への出席を要請しているが、未だ許されたことはない。 ② 系列転換審 子の企画関発職、専門職が作成していた物流期報等の作成も担当している。 原告P2は、料金改定のために毎年一回行われる輸送会社との会議への出席を要請しているが、未だ許されたことはない。 ② 系列転換審査との関わり五九年制度の下、原告P2は、平成三年ころ、上司に、異動した男子がしていた仕事をしたいとの希望を述べたが、上司からは、女子は銃後の守りに徹せよなどと言われて拒否された。その後も、原告P2は、そのころ、導入されたチャレンジ面談の機会を利用して、仕事の配置や会議への出席、転換審査受験の推薦を受けたい旨の希望などを出し続けたが、上司の対応は、実績がない、会議に出ずとも男子の電話を聞いているだけで物流の方向はわかる、男子は実績の出る仕事をしている、採用区分が違うのだから女子にそのような仕事をしてもらおうとは考えていないなどといったもので、原告P2の希望が聞き入れられることはなかった。 上司は、推薦のための実績として、平成五年ころ、物流の実務マニュアル作成を、平成六年ころ、危険物乙種第四類の消防法の受験を、さらに、平成七年ころ、物流の通信講座受験を指示した。原告P2は、リーダーとなってほか二名の女子とともに物流マニュアルを完成させ、右消防法の試験にも合格し、物流の通信講座も受講し終えた。 しかるに、系列転換審査受験の推薦は受けられず、推薦できない理由についての上司の説明も、平成八年ころからは、残業しないとか協働力が足りないなどいういわれのない非難に変わった。 ウ原告P3① 担当業務原告P3は、入社後当時の倉庫課に配属され、掃除、灰皿洗いなどの雑務に従事させられ、その後配属が変わっても、庶務事務など補助的業務という点では職務にほとんど変わりはなかった。 原告P3は、昭和五八年一〇月から日進運輸に出向し、顧客からの受注、トラブル調整、 雑務に従事させられ、その後配属が変わっても、庶務事務など補助的業務という点では職務にほとんど変わりはなかった。 原告P3は、昭和五八年一〇月から日進運輸に出向し、顧客からの受注、トラブル調整、出荷の手配などの需給業務に従事した。この業務は、正確かつ迅速な判断や確実性が要求されるもので、三種採用者や専門事務技術職要員採用の男子も従事している業務であったし、需給業務に従事していた原告P3の後輩男子で、出向期間中に系列転換した者も存した。その業務を処理する中で、原告P3は、出荷準備を正確かつ効率的に行うため、品名ごとの顧客名、住所、所要時間、納入条件等を表にした「需要家一覧表」を完成させ、また、昭和六三年には、衛生管理者受験の通信教育も受講した。 平成五年一月、原告P3は、出向を解除されて被告の業務部に配属されたが、再び、お茶汲み等を含む補助的業務に従事させられた。 業務部復帰後、原告P3は、汎用運賃実績報告の計上の正誤照合を行う中で出てきた問題点を自ら抽出し、検討してまとめた汎用運賃実績報告改善提案を行い、会計事務処理の仕事をする中で、業務内容を処理順序にしたがって整理した債権計上業務処理マニュアル等の手順書を自発的に作成した。また、平成六年一二月ころ、上司から企画開発職へのステップとして、操作マニュアルと手順書の作成を命じられ、これも自力で完成させた。さらに、原告P3は、四国ヤマト宅急便を利用した際の社員の費用立替払や輸送料金の一部が総務の費用とされている問題点を指摘して、その改善提案を行い、製造課のアルミナサンプルの郵パック費用も総務の費用として支払われていることに気づき、その改善提案も行った。 原告P3がしたこれらの改善提案のうち、「汎用運賃計上システムの改善(共同提案)」、「アルミナサンプルの郵パック輸送費用計上システムの改 用として支払われていることに気づき、その改善提案も行った。 原告P3がしたこれらの改善提案のうち、「汎用運賃計上システムの改善(共同提案)」、「アルミナサンプルの郵パック輸送費用計上システムの改善」及び「四国ヤマト運輸宅急便の利用方法および支払方法の改善」は部長賞を受賞した。 ② 系列転換審査との関わり五九年制度の下で、出向解除後の平成六年一月二〇日、原告P3は、上司に対し、文書で、企画的な仕事の配置と系列転換審査受験の希望を申し出たが、応対した上司は、系列転換については原告P3にその能力がないと述べ、また、仕事については運賃管理の解析を予定していると述べたが、その後その仕事は与えられなかった。 原告P3が上司から企画開発職へのステップとして命じられた操作マニュアルと手順書を完成させても推薦は得られなかった。 エ原告らが推薦を受けられなかった原因原告らの従事職務の内容や勤務状況、実績からすると原告らは、いずれも五九年制度の下で、監督職・企画開発職系列転換審査受験への推薦を受け、企画開発職へ転換されるにふさわしい状態であったというべきであるが、それにもかかわらず推薦を受けられなかったのは、被告の一貫した女子差別の方針によるものというほかない。 このことは、原告P2が所属する物流管理部では男子はすべて転換を終えているため人事部からの推薦検討依頼すらきていなかったこと、上司の原告P2に対する成績評定も、原告P2のチャレンジカードの上司記載欄が欠落していたり、原告P2自身に代行して書かせるなど真摯なものではなかったこと、原告P2が昭和六三年に住民票上の世帯主を夫から原告P2に変更し世帯主としての厚生給支給を申請した際、細かく事情を聞くなど女子が世帯主になる場合だけになされる不公平な取扱いをしたこと、原告P3の、物流業務の基本を学びた に住民票上の世帯主を夫から原告P2に変更し世帯主としての厚生給支給を申請した際、細かく事情を聞くなど女子が世帯主になる場合だけになされる不公平な取扱いをしたこと、原告P3の、物流業務の基本を学びたいという要望で実現した学習会でも、他の部から転入してきた男子には物流業務全体がまとめられた「物流管理の実践」という教本が渡されたが、原告P3ら女子には渡されなかったこと、部内で回覧する書類にも女子の欄は斜線が引かれ、回覧の対象から外されていたこと、さらに、被告では、自己都合退職者には退職金を減額支給するが、結婚退職の時は減額支給をしないとの扱いをしていること、忌引休暇でも、就業規則上は、実父母死亡時には七日間、配偶者の父母死亡時には五日間の忌引休暇を取得できるとされているのに、既婚女子の場合は配偶者の父母を実父母とする扱いで、原告P2が実母を失った平成六年九月、五日間の忌引休暇しか取得できなかったことなどからも裏付けられる。 (三) 原告らの損害昭和四三年から昭和五〇年までの間に第二種採用試験または事務技術職要員採用試験で採用された高卒男子で原告らが主張する事務系に属する在職者七六名について、平成一一年一一月時点での基準内賃金の平均、同年夏期手当及び賞与の平均から、同年の平均年収を推定する(年末手当及び賞与は夏季同額と仮定)と六五九万五〇一九円となる。そして、これらの者の年収が、昭和六〇年の平均において、原告ら各自とそれぞれ賃金水準において格差がなく、かつ、毎年均等に昇給してきたと仮定して、昭和六一年から平成一〇年までの各年収の平均を算出し、これと原告ら各自の年収との差額を算定して合計すると、原告ら各自につき別紙請求金一覧表二「過去の差額賃金相当損害金」欄記載のとおりとなる。 原告らには右額を下らない賃金格差相当の損害が生じでいるという と原告ら各自の年収との差額を算定して合計すると、原告ら各自につき別紙請求金一覧表二「過去の差額賃金相当損害金」欄記載のとおりとなる。 原告らには右額を下らない賃金格差相当の損害が生じでいるというべきである(なお、厚生給差別損害を含む。)。 また、主位的請求同様、原告ら各自が被告の系列転換審査制度の差別的運用によって被った精神的苦痛に対する慰藉料は右差額賃金相当損害金と同額とすべきであり、さらに原告P1及び同P2については被告が調停開始に同意しなかったことによる慰藉料各一○○万円が加算されるべきであり、結局、賠償されるべき原告ら各自の慰藉料は右一覧表「慰藉料」欄記載の額とするのが相当である。 さらに、弁護士費用は、原告ら各自につき、右一覧表「弁護士費用」欄記載の額とするのが相当である。 よって、原告らは、被告に対し右一覧表「請求金合計」欄記載の金員とこれに対する支払済みまでの遅延損害金の支払を求める。 2 被告の主張(一) 原告らが主張する是正義務について(1) 公序の変化によって是正義務が生じたとはいえないこと均等法は、事業主に募集、採用、配置及び昇進について女子を男子と均等に取扱う努力義務(七条、八条)を課したにすぎないし、昭和六一年ころの社会の意識ないし認識としても、均等法に反する制度ないし処遇を直ちに違法とするものではなかった。 したがって、昭和六一年の時点において原告らの主張するような是正義務を被告に認めることはできない。 (2) 是正義務の内容仮に、昭和六一年の時点で、使用者は女子を特定の職務やコースから排除したりしてはならない等という公序が確立していたとしても、その場合に使用者に生じる義務は、その時点以降将来に向かって、職場で男女を均等に取り扱わなければならないというものに止まる。採用方法と採用後の人事上の諸 はならない等という公序が確立していたとしても、その場合に使用者に生じる義務は、その時点以降将来に向かって、職場で男女を均等に取り扱わなければならないというものに止まる。採用方法と採用後の人事上の諸取扱いに基づく処遇上の差異は不可分の関係にあり、ある採用方法がある時点まで適法と評価されるということは、その採用方法が予定した人事上の諸取扱いに基づいてなされてきた処遇も適法と評価すべきことまで意味するのであって、これをも違法とすることは法的安定性に欠けることになる。 また、原告らは、是正義務の内容を機会を与える義務としながら、原告らの系列転換審査合格という結果を当然のこととしているが、被告の監督職・企画開発職系列転換審査は、希望すれば合格するようなものではなく、合格を当然の前提とすることは相当でない。 (二) 原告らの比較対象者について原告らとの比較対象者を、事務系の系列転換審査合格者に限定する理由はなく、原告らと比較すべきは、事業所採用の男子全体であり、また系列転換をしていない者でなければならない。 (1) 被告は平成七年七月の人事制度改定において、管理職の職務をM、R、E及びSの四区分に分類したが、これは職務の目的や機能等の相違により、職務遂行者を評価する際の着眼点も変えるべきであるとの考えによるのであって、従事職務の相違によって異なる処遇を行うためではなかった。基幹職要員は、その属する組織に関わらず同様の職務に従事しており、このため、現行制度実施の際にも被告は基幹職の職務は基幹職掌として細分化することなく一つのものと定義した。 系列転換審査の運用においても、従事する職務内容によって取扱いを違える理由は全くなく、全社的に同一の基準でもって行われていた。 (2) 系列転換を果たした者とそうでない者とでは処遇に大きな格差が生じる。 原告 査の運用においても、従事する職務内容によって取扱いを違える理由は全くなく、全社的に同一の基準でもって行われていた。 (2) 系列転換を果たした者とそうでない者とでは処遇に大きな格差が生じる。 原告らが被告に男女差別の処遇があるという以上、その比較は原告ら同様系列転換していない男子でなければならず、系列転換を果たした者との賃金等の格差を問題にすることは相当でない。 (三) 系列転換審査の運用(1) 系列転換審査制度の性差別性に対する反論ア四五年制度専門事務技術職系列転換審査Bは、学科試験で実施されており試験内容は男女共通であるから、その運用において男女差別を行うことは不可能であった。 被告は、男女の差なく十分な周知を行っていたし、男子にのみ指導、援助を行っていたとの事実もない。また、家庭責任の問題はそれぞれの家庭において解決されるべき問題であり、昭和四五年当時の社会意識等に鑑みた場合、被告に家庭責任を考慮した制度設計を行う義務が存したとは到底認められない。 イ五九年制度① 推薦基準、手続の合理性推薦基準自体は、その文言から明らかなとおり、担当業務について業積達成能力及び業務貢献度が高いことを前提に、企画開発職掌の職務従事能力の存在を要求するものであって、合理的なものである。推薦の前提となる成績評定や具体的な推薦者決定の過程では、上司の判断が恣意に流れることがないよう、また、職場間の公平が保たれるよう人事部門が密接に関与していたのであって、制度の客観性公平性は保たれるものとなっていた。 ② 職務配置の点では、社員は、本来、その職分に応じた職務に従事することとされているのであり、監督職・企画開発職系列転換審査への推薦のプロセスとしても、まず執務職社員が日常の職務遂行の中で着実に成果を上げることにより上司の評価と信頼を得てより難易 た職務に従事することとされているのであり、監督職・企画開発職系列転換審査への推薦のプロセスとしても、まず執務職社員が日常の職務遂行の中で着実に成果を上げることにより上司の評価と信頼を得てより難易度の高い職務が付与されるといったことの積み重ねが必要であり、そのような積み重ねの後に試みに企画開発職掌の職務に従事させてみて最終的に推薦の可否が判断されることとなる。したがって、単に執務職要員として期待されている水準で職務を遂行している限り、企画開発職掌の職務への従事は問題となりようがない。 職務の評価の点でも、企画開発職掌の職務と執務職掌の職務とは基本的処理方法の確立している定型的業務か否かによって、多くの場合明確に区別し得るのであり、その区別が困難な場合が存するとしてもそれはごく一部のことである。原告らは、同じ職務でも女子が従事する場合は低評価されるなどと主張するが、企画開発職要員であっても、職場の人員構成等により執務職掌の職務に属する業務に従事する場合があるし、企画開発職掌に属する職務でも反復継続されることによって基本的な処理方法が確立し定型的業務となって、執務職掌の職務に分類されることもある。したがって、企画開発職系列の者が従事していたからといって、その職務のすべてが企画開発職掌の職務に属するというものではない。 被告には職務配置や職務評価の点で男女差別はない。 (2) 系列転換合格実績に男女間で差違が生じた理由平成一一年度に至るまでの女子の系列転換審査合格者は一八名おり(別表1)、被告が女子に門戸を閉ざしていなかったことは明らかである。 男女間での系列転換審査合格実績の差違は結果に過ぎず、以下の諸点が考慮されるべきであって、被告の男女差別によるものではない。 ア男女の職業観、人生観の相違や男女の役割分担意識を反映して、執務職女子 男女間での系列転換審査合格実績の差違は結果に過ぎず、以下の諸点が考慮されるべきであって、被告の男女差別によるものではない。 ア男女の職業観、人生観の相違や男女の役割分担意識を反映して、執務職女子の職務遂行振りは、概して、付与された仕事を定型的に処理することで終わり、担当職務の付加価値を高めようという意識で仕事をする者が少なく、系列転換審査への推薦に足りるものではなかった。 イ系列転換後の業務負荷の増大や転居を伴う転勤の負担などから、女子は、概して系列転換審査について消極的姿勢であり、現に五九年制度の下で上司の推薦を断った女子が複数存した。 (三) 原告らが五九年制度で推薦を受けられなかった理由(1) 原告P1ア原告P1が従事していた業務はいずれも主務職掌の職務であった。 また、原告P1が出席していた生産会議は、東京の業務グループが主催していたものであり、原告P1はヒアリングに応じていたにすぎず、他の販区でも執務職要員であるデリバリー担当者が交代で出席していたのであって、これをもって企画開発職の職務または管理職務に従事したということにはならない。また、外部からの問合せに対する回答も、技術データ小ブックを見て対応できるもので、格別高度なものではなかった。 イ右のとおり、原告P1は、執務職掌に属する職務のみに従事していたし、自発的な合理化提案等を行うこともなく、上司からも標準的な評価を受け、人事部門でも最優秀との評価はなく、それゆえ、企画開発職掌の職務を付与されることもなかったのであって、監督職・企画開発職系列転換審査の推薦対象となるべき者ではなかった。 原告P1が推薦を受けることができなかったのは以上の理由による。 (2) 原告P2ア原告P2が従事していた業務はいずれも執務職掌の職務であった。 原告P2は物流予算の作成という ではなかった。 原告P1が推薦を受けることができなかったのは以上の理由による。 (2) 原告P2ア原告P2が従事していた業務はいずれも執務職掌の職務であった。 原告P2は物流予算の作成という企画開発職掌に属する職務に関わったが、その職務も補助的な範囲においてであって、最も重要な業務部との折衝を主体的に遂行するものではなく、折衝に同席した際でも有意な発言はなかった。また、原告P2は物流マニュアルを作成しているが、これも、執務職の典型的な日常業務を文書化したものにすぎず、しかも、上司の指示によるものであるうえ、他の二名の執務職女子も従事した。 原告P2が取得した危険物乙種第四類の資格は、工業高校出身者が在学中に取得する初歩的な資格であり、物流通信講座の受講も、原告P2が物流についての基本的知識に欠ける点があったことから上司が受講を勧めたものであって、これらは推薦に結びつくものではない。 イ右のとおり、原告P2が従事した業務の多くは執務職掌に属する職務であり、上司の評価も標準を下回るというものであって、人事部でも優秀者との評価はなく、それゆえ、主として執務職掌に属する職務が付与されていたのであって、監督職・企画開発職系列転換審査の推薦対象となるべき者ではなかった。 原告P2が推薦を受けることができなかったのは以上の理由による。 (3) 原告P3ア原告P3が日新運輸から復帰後業務部で従事していた業務はいずれも執務職掌の職務であった。 原告P3が、日新運輸出向中に従事した業務も、いずれも手順や判断基準が定められたものであったし、原告P3が主張するトラブル調整という点も、原告P3に任されていたのは関係部署に事態を連絡すれば足るような軽微な場合であり、執務職掌の職務と比較して質的に高度というものはなかった。 原告P3には、上司から、 主張するトラブル調整という点も、原告P3に任されていたのは関係部署に事態を連絡すれば足るような軽微な場合であり、執務職掌の職務と比較して質的に高度というものはなかった。 原告P3には、上司から、物流操作マニュアルの作成にあたってはシステムの不備の指摘等の指示が、また、運賃データの解析業務に関しては合理化提案の指示がなされていたが、原告P3からはこれらに関する報告や提案はなかった。 原告P3が受賞した改善提案部長賞は執務職を対象とし、しかも、全社的に年間延べ数万件の受賞者があるものであって、原告P3の受賞から直ちに推薦相当とはいえない。 イ右のとおり、原告P3が従事した業務は執務職掌の職務またはこれと同等の職務のみであり、上司の評価も標準もしくはそれを下回るというものであり、人事部でも優秀者との評価はなく、それゆえ、実際にも、原告P3には執務職掌に属する職務のみが付与されていたのであって、監督職・企画開発職系列転換審査の推薦対象となるべき者ではなかった。 原告P3が推薦を受けることができなかったのは以上の理由による。 (4) 原告らが主張するその他の事情原告P3が「物流管理の実践」なる冊子を渡されず、書類回覧の対象ともされなかったことなどは、原告P3が執務職であるためその必要がないと判断されたことによるのであって、女子であることを理由とするものではなかった。 被告は、自己都合退職であっても、結婚退職や病気退職の場合は特例として退職金の減額支給はしていないが、これも男女共通の取扱いである。 忌引休暇については、家単位で弔事が行われる地方の実情を踏まえたものであったが、既に改定しているし、その時期もたまたま原告P2の実母死亡時と重なったにすぎない。 (四) 結論以上のとおりであり、被告は、五九年制度の下でも系列転換審査を男女差別 情を踏まえたものであったが、既に改定しているし、その時期もたまたま原告P2の実母死亡時と重なったにすぎない。 (四) 結論以上のとおりであり、被告は、五九年制度の下でも系列転換審査を男女差別的に運用した事実はなく、原告らが系列転換審査受験の推薦を受けられなかったのは、原告らの従事職務やその遂行状況からして推薦基準を満たさないと判断されたことによるものであり、その判断は相当であった。 三争点3(予備的請求その2-原告らの精神的損害の有無)について 1 原告らの主張三六年制度における被告の男女別採用とそれに基づく処遇は、統計的差別の理論と性的偏見に基づくものであったこと、したがって、当時としてはそれが違法でなかったとしても、その後、被告にはこれを是正する義務が生じていたこと、それにもかかわらず、被告は、三種採用から高卒女子を排除した三六年制度の趣旨を四五年制度、五九年制度を経て現行制度に至るまで承継し、系列転換審査を男女差別的に運用して是正義務を履行しなかったこと、その中で原告らも、上司の差別的な言動や教育、研修、職務配置、会議出席等における男子との差別的な処遇にさらされてきたこと、被告は、原告P1らの二度にわたる調停申請に対しても、合理的理由なく調停開始に同意しなかったことは予備的請求その1の請求原因として主張したとおりである。 仮に、原告らが五九年制度の下で、推薦を受けて企画開発職への転換を果たすことが可能であったと認定されない場合でも、被告の是正義務の不履行によって、原告らは平等に取り扱われるべき期待権を侵害され、ひいてはその人格権を著しく侵害され精神的苦痛を被った。 原告らの右精神的苦痛を金銭で慰謝するとすれば、原告ら各自につき五〇〇万円をもって相当とする。 また、弁護士費用は原告ら各自につき金五〇万円が相当である。 を著しく侵害され精神的苦痛を被った。 原告らの右精神的苦痛を金銭で慰謝するとすれば、原告ら各自につき五〇〇万円をもって相当とする。 また、弁護士費用は原告ら各自につき金五〇万円が相当である。 よって、原告らは、被告に対し、各自五五〇万円とこれに対する遅延損害金の支払を求める。 2 被告の主張(一) 原告らの訴えの変更は許されるべきではない。 変更前の請求原因は、男女差別に起因する賃金格差を損害として、その賠償を求めるものであったのに、変更後の請求原因は原告らの期待権ないし人格権侵害に基づく精神的苦痛に対する賠償を求めるものであって、請求の基礎に変更があり、時機に後れたものでもある。 (二) 請求原因に対する反論被告が、女子を女子であるという理由だけで、男子より不利益に処遇したという事実はない。被告は被告の人事制度に基づき、男女を問わずその能力に応じて公平に処遇してきた。 原告らが、男女差別であると主張する取扱いは、既に主張したとおりいずれも相応の根拠に基づくものであって差別に基づくものではない。 よって、原告らの請求は理由がない。 第四当裁判所の判断一主位的請求-争点1(男女別採用とそれに基づく処遇等の違法性)について 1 男女別採用とそれに基づく処遇の違法性(一) 格差の存在(1) 証拠(甲一六、三一、三九、証人P8及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 三種採用の高卒男子と二種採用の高卒女子との間には、採用後の処遇において、次のような格差が生じている。 ア職分昇任等の格差① 住友化学労働組合の組合員を対象とする昭和四一年における調査では、高卒男子の場合には勤続五年から職分三級に任用される者(二名)が出てきており、それ以上の勤続者には職分三級以上から管理職にまで任用されている者が多数存するのに対し とする昭和四一年における調査では、高卒男子の場合には勤続五年から職分三級に任用される者(二名)が出てきており、それ以上の勤続者には職分三級以上から管理職にまで任用されている者が多数存するのに対し、高卒女子の場合には職分三級に任用されているのは、勤続一六年及び一八年の者の中に各一名存するのみで、それ以上の職分に任用されている者はいない。 ② 二種採用の高卒女子は平成八年四月一日時点で三一名在籍したが、その職分の内訳は執務職一名、主務職二九名、企画開発職一名であり、管理職はいない。これに対し、普通高校または商業高校出身の三種採用の高卒男子は、概ね勤続二一年で約八割が管理職に昇進しており、その後に管理職になった者も含めると平成八年四月一日時点における在職者約一四八名のうち、約一四六名が管理職に昇進していた(なお、この数値はP8の調査結果である甲三一によるものであるが、被告の主張では、昭和三八年における普通または商業高校出身者の採用数は七名としているところ、右調査結果では同年入社者が八名存するとしており、また、普通及び商業高校出身者のすべてを網羅できているかにも疑問があってその正確性に問題がなくはないが、全体的な傾向を示す概数としては右調査結果どおりと認める。)。 また、別表2のとおり、昭和四三年以降二種採用で採用された高卒女子は平成一一年一一月現在六名在職するが、同時点でもその職分は基幹職Ⅲの1級が四名、同2級が二名である。 イ賃金格差(平成一一年二月の基準内賃金-別表4)① 原告P3と同期(昭和三七年)入社の二種採用高卒女子四名の平均は三三万一三五三円であったのに対し、三種採用高卒卒男子一二八名の平均は五三万一四六一円であった。 ② 原告P1と同期(昭和三八年)入社の二種採用高卒女子三名の平均は三二万四五三三円であったのに対し、三種採用 三五三円であったのに対し、三種採用高卒卒男子一二八名の平均は五三万一四六一円であった。 ② 原告P1と同期(昭和三八年)入社の二種採用高卒女子三名の平均は三二万四五三三円であったのに対し、三種採用高卒男子二五名の平均は五三万二二四四円であった。 ③ 原告P2と同期(昭和四三年)入社の二種採用高卒女子二名の平均は三二万七六二五円であったのに対し、三種採用高卒男子六九名の平均は四八万一六五六円であった。 ④ 昭和三七年から昭和四五年までに二種採用で採用された高卒女子は右の時点で二九名在職するが、これらの高卒女子の採用年別の各平均額には大差はなく、概ね同水準であった。 (2) 以上によれば、二種採用で採用された原告ら高卒女子と三種採用で採用された高卒男子との間では、職分昇任や管理職昇進及び賃金において著しい格差が生じているということができる(賃金格差に関しては、各年別の高卒女子の在職者が極めて少数であるため、その統計的な価値に疑問がないではないが、右(1)イ④に認定の二種採用高卒女子二九名というある程度の集団と比較しても同様であるから、右の二種採用高卒女子と三種採用高卒男子との間には賃金水準でも著しい格差があると認められる。)。 (二) 男女間格差の原因(1) 証拠(甲八ないし一四、乙一の1及び2、二の1及び2、三の1及び2、四、五、三九、四〇、証人P9、同P10、同P8、原告P1、同P2、同P3)及び弁論の全趣旨によれば、以下の事実が認められる。 ア三六年制度の内容被告は、三六年制度実施前から、社員の採用について本社が主管する全社採用と各事業所が主管する事業所採用の二種類の採用方法をとっており、社員の処遇は、この採用区分と資格試験制度によって運営することとしていたが、実情は勤続年数や学歴の相違といった要素が重視される傾向が強かった。 所が主管する事業所採用の二種類の採用方法をとっており、社員の処遇は、この採用区分と資格試験制度によって運営することとしていたが、実情は勤続年数や学歴の相違といった要素が重視される傾向が強かった。 しかるに、昭和三〇年代になって右のような人事処遇の実情は事業拡大や技術革新といった時代の要請にあわなくなってきたことから、被告は、職務と職務処理能力と処遇とを有機的に関連させることを目的として職分制度を導入し、三六年制度(その概要は前提事実記載のとおり)を実施することとしたが、その際、採用方法も、採用後に従事させることを予定する職務や任用を予定する職分、それに期待される能力水準等を前提にして一種ないし四種採用及び特別採用試験による採用に区分し、全社採用と事業所採用の別や学歴要件等を制度上明確にした。 ① 全社採用と事業所採用三六年制度では、一種及び二種採用は各事業所において採用選考を行う事業所採用であり、三種及び四種採用は本社において採用選考を行う全社採用であった。事業所採用と全社採用との採用方法の主要な差異は次のとおりであった。 a 採用権限、採用手続、募集対象等事業所採用とされた一種及び二種採用でも、採用者数自体は、本社の決済を必要としたが、募集採用の時期設定、試験問題の作成、合格者決定の権限は各事業所に委ねられた。このため、実際にも各事業所が独自に募集要領や試験問題を作成し、各事業所毎に採用試験を実施して採用者を決定した。 募集対象者も原則として各事業地周辺の居住者とされた。 これに対し、全社採用とされた三種及び四種採用は、採用者数の決定のみならず、募集採用の時期設定、試験問題の作成、合格者決定の権限はすべて本社が有し、実際にも本社がこれらを実施した。 募集対象者も全国の大学、高校が対象となった。 また、事業所採用者と全社採用 のみならず、募集採用の時期設定、試験問題の作成、合格者決定の権限はすべて本社が有し、実際にも本社がこれらを実施した。 募集対象者も全国の大学、高校が対象となった。 また、事業所採用者と全社採用者とでは、入社日、入社式の場所、内容も相違していた。 採用後同じく本社に配属される場合でも、事業所採用で事業所としての本社に配属される者と全社採用で本社に配属される者とでは、右のとおりの相違があった。 b 二種採用と三種採用同じく高卒者を募集対象としていたが、三種採用は新卒者が対象であり、二種採用者には中途採用者もいた。いずれの採用でも公募ではなく、被告が指定した指定校に担当者が求人票を持参するなどして募集内容の説明に赴き、成績優秀者の推薦を依頼して被推薦者を対象に学科試験や採用面接を実施していたが、二種採用が各事業所周辺の高校を対象としていたのに対し、三種採用は全国各県数校の指定校に推薦を依頼していた。学科試験や採用面接も、二種採用が各事業所あるいは同一事業地合同で実施していたのに対し、三種採用は本社または本社の指定する事業地で行われた。学科試験の内容も三種採用の方が高度であった。また、二種採用では地域との関係から縁故採用ということもあった。 三種採用は、製造部門の技術者となるべき者の採用を主眼としていたため指定校は工業高校が中心で、普通高校や商業高校の出身者で三種採用により採用される者は概ね三種採用者の一割五分ないし二割程度であった。 なお、募集対象に関しては、二種は昭和四三年まで女子のみを対象としており、三種は男子のみを対象とする運用をしていたため、高校への推薦依頼に当たっては、担当者がその旨各指定校に口頭で説明していた。 ② 各種採用が予定した採用後の処遇の相違一種及び二種の採用者は、同じく事業所採用者として社員任用時職分一級 いたため、高校への推薦依頼に当たっては、担当者がその旨各指定校に口頭で説明していた。 ② 各種採用が予定した採用後の処遇の相違一種及び二種の採用者は、同じく事業所採用者として社員任用時職分一級に任用され、各事業所における一般職務に従事することが予定されていた。一種採用男子の多くは、連続操業の交替勤務要員として製造現場に配属された。また、一種及び二種の採用者は採用された事業所に勤務することが原則であり、転居を伴う配転は予定されなかった。 三種採用者は、社員任用時職分二級に任用され、一般職務(ただし、技能経験を必要とする複雑困難なもの)、監督職務または専門職務に従事することが予定されており、四種採用者は、社員任用時職分三級に任用され、専門職務に従事することが予定されていた。三種及び四種の採用者は、同じく全社採用者として全国各地または海外の事業所に配属されるものとされ、転居を伴う配転が当然に予定された。 三種採用者のうち、工業高校出身者は、主として製造関係部門に配属されたが、普通高校または商業高校出身者は、主として総務、人事、会計、システム、物流、購買及び営業等の分野に配属された。 このような採用後の従事職務の相違のため、一種及び二種の採用者の社員補期間は三か月とされたのに対し、三種及び四種の採用者の社員補期間は一年とされ、研修も別個に行われた。 また、被告の寮や社宅も、三種及び四種の採用者には貸与されたが、各事業所周辺居住者である一種及び二種の採用者には貸与されなかった。 二種採用者と三種採用者とでは、採用時の雇入基本給に差はなかったが、社員任用時の初任基本給やその後の基本給昇給額では三種採用者の方が二種採用者より高額に設定された。 ③ 職分昇任制度上は、下位職分に任用された社員でも、職分昇進することによって上位職分に昇任し 社員任用時の初任基本給やその後の基本給昇給額では三種採用者の方が二種採用者より高額に設定された。 ③ 職分昇任制度上は、下位職分に任用された社員でも、職分昇進することによって上位職分に昇任し、専門職務等に従事しうるものとされていたが、職分昇任のための能力点は成績評定によって判定するものとされ、職分任用の適正を期するため毎年一回定期に実施されていた基礎能力検定試験(受験資格者は職分一級に任用され、一年以上たった者)の合格者は能力点算定上有利に扱われるものとされていた。基礎能力検定試験は、専門的知識保有の程度を審査するための学科試験とされ、その審査内容は高校卒業程度の知識の有無を問う学科試験と面接審査であり、全社統一で実施された。そして、三種及び四種採用者は基礎能力検定試験の合格者と扱われた。 昭和三九年から職分三級登用審査制度が導入され、職分三級に昇任するためにはこの審査に合格することが必要とされたが、基礎能力検定試験合格者は、職分三級登用審査を免除された。 事業所採用者が、これらの審査や試験に合格するなどして職分三級に昇任することはかなり困難であり、多くの者は職分二級以下で定年を迎えていた。 ④ 三種採用の募集対象を男子に限定した理由被告が、三種採用の募集対象を男子に限定したのは、概ね以下の理由からであった。 a 当時、工業高校で化学工学等を専攻する女子は極めて少なく、女子は三種採用が主眼とする技術者確保の安定的な人材供給源とはなりえなかったことb 製造関連部門以外でも、当時の女子の勤続年数は極端に短く、女子には、三種採用が予定する労働負荷が高く、技術や知識の蓄積が必要で、かつ、全国転勤をも伴う専門職務への従事や長期勤続が期待できなかったことc 当時の労働基準法の制限のため、操業関連分野では、女子を交替勤務や危険物取扱いを 労働負荷が高く、技術や知識の蓄積が必要で、かつ、全国転勤をも伴う専門職務への従事や長期勤続が期待できなかったことc 当時の労働基準法の制限のため、操業関連分野では、女子を交替勤務や危険物取扱いを伴う業務に活用することは不可能であったし、それ以外の業務分野でも、時間外労働、休日労働の制限から、三種採用が予定する労働負荷の高い職務において、女子が男子と同様の役割を果すことを期待できなかったことd 昭和三〇年代から昭和四〇年代後半ころの被告は、積極的な設備拡大等に取り組み、安定操業体制の確立が大きな課題となっていた時期であり、技術分野以外の専門職務従事者でも製造現場において勤務することが頻繁であったが、当時の一般的な社会認識からして、そうした製造現場に直結する業務に女子を活用することは、極めて困難であったこと⑤ 昭和四三年まで二種採用の募集対象を女子のみとした理由被告が二種採用の募集対象を高卒女子に限定したのは、高卒男子の需要の高さから一般職務従事要員への応募が限られていた反面、結婚や出産までの一時的就業という職業意識から高卒女子がその供給源となっていたという理由からであった。しかるに、その後の進学率の高まりの中で、製造現場等における交替勤務要員として確保していた中卒の人材不足が顕在化するとともに、技術革新の展開により三種採用の想定する能力水準に達しない高卒男子が増加したため、被告は、昭和四三年から高卒男子も二種採用で採用するようになった。 イその後の改定制度① 四五年制度四五年制度(その概要は前提事実記載のとおり)は、三六年制度の趣旨をより強くすること等を目的としたものであり、職務分類による職掌と職掌ごとに設定された職分系列が導入され、採用試験の名称変更等とあいまって、社員は、原則として、採用区分に従い職掌ごとに設定された職分 をより強くすること等を目的としたものであり、職務分類による職掌と職掌ごとに設定された職分系列が導入され、採用試験の名称変更等とあいまって、社員は、原則として、採用区分に従い職掌ごとに設定された職分系列の中で職分昇任して行くことが制度上明確にされた。また、各職分系列ごとに上位に管理職がおかれ、社員は各職分系列のなかで管理職へ昇進するものとされた。 専門事務技術職系列、事務技術職系列、監督指導職系列は、それぞれ三六年制度の職務分類である専門職務、一般職務、監督職務に対応するものであった。採用の関係でも、専門事務技術職採用一類、二類は、それぞれ三六年制度の四種採用、三種採用に対応するものであって、いずれも全社採用であったが、事務技術職採用は三六年制度の一種、二種採用に対応するもので事業所採用であった。 各採用試験とも、男女別の採用はなくなり、高卒男子も事務技術職要員として採用されるようになった。 右のとおり、三六年制度と四五年制度とは連続性のあるものであったため、四五年制度への社員の職分移行は、移行基準に基づいて機械的に行われた。その結果、三種採用者でも職分二級に止まっていた者は事務技術職に任用されたが、事業所採用の女子の中にはわずかながら専門事務技術職に任用された者もいた。 ただし、被告は、三種採用者はもともと専門職務従事要員として採用した者であるとの観点から、三種採用者に対しては四五年制度実施の当初から、基礎知識の有無は採用段階で審査済みであるとして専門事務技術職系列転換審査Bの学科試験を免除し、さらに、昭和四九年からは専門事務技術職系列に下位の職分を設定し、専門的知識に関する学科試験も免除するなどして、三種採用者の専門事務技術職系列への転換を促進した。 ② 五九年制度五九年制度(その概要は前提事実記載のとおり)は、三六年制度の趣 位の職分を設定し、専門的知識に関する学科試験も免除するなどして、三種採用者の専門事務技術職系列への転換を促進した。 ② 五九年制度五九年制度(その概要は前提事実記載のとおり)は、三六年制度の趣旨を踏まえ、さらに業績貢献度主義の強化を目的としたものであった。 職掌や職分系列、採用試験は基本的には四五年制度を踏襲した名称変更であったし、採用の関係でも企画開発職要員採用試験を全社採用、執務職要員採用試験を事業所採用とする区別が踏襲された。 ③ 現行制度現行制度は、五九年制度の業績貢献主義の推進を目的として実施されたものであり、職種分類が大きく変更されたものの、基本的には基幹職掌が執務職掌及び監督職掌に、専門職掌が企画開発職掌に対応するもので、従前の制度とは連続性を有するものであった。 (2) 以上認定の事実によって判断する。 ア三六年制度の下では、三種採用と二種採用とでは、同じく高卒を募集対象とし、雇入基本給は同額とされてはいても、全社採用と事業所採用という採用方法の違いによって区分され、配置される事業所、社員任用時の任用職分、初任基本給、従事職務、配転の有無など予定された処遇は全く異なっており、このため入社試験も三種採用ではより高度の学科試験が実施され、三種採用者には能力水準においても二種採用より高いものが要求されていたのであって、三種採用者と二種採用者とでは、採用後の社内の位置付けが全く異なっていたことは明らかである。 三種採用者は社員任用時には職分二級に任用されたとはいえ、基礎能力検定試験合格者とされて、職分昇任において有利に扱われたうえ、職分三級登用審査制度導入後は、基礎能力検定試験合格者とされることによって同審査を免除されたのであり、早期に職分三級に昇任し、大卒同様、専門職務に従事すること、さらには将来の管理職社員となる うえ、職分三級登用審査制度導入後は、基礎能力検定試験合格者とされることによって同審査を免除されたのであり、早期に職分三級に昇任し、大卒同様、専門職務に従事すること、さらには将来の管理職社員となることが期待されていたものと認められる。 これに対し、職分一級に任用されて一般職務に従事するものとされた一種、二種採用の事業所採用者も職分二級または三級に昇任すれば専門職務に専従することが可能ではあったが、そのためには基礎能力検定試験や職分三級登用審査に合格することなどが要求され、単に配置された一般職務に従事、精励するだけで職分三級にまで昇任してゆくものとはされていなかった。基礎能力検定試験の学力試験は、高校卒業程度の知識の有無を問うものであったとはいえ、その合格者には職分三級登用審査が免除されるというのであるから、その合格水準は少なくとも第三種採用試験の合格水準より低いものではなく、改めて全社採用者と同水準の能力の有無が審査されたものと考えられる。そうすると、制度上、明示されてはいなかったが、事業所採用者は原則として採用された当該事業所において一般職務に従事する者との位置付けであり、専門職務や監督職務に従事することがあるとしても職分二級どまりであって、職分三級にまで昇任することは予定されていなかったというべきである。 以上のとおり、三六年制度では、全社採用の三種採用者と事業所採用の二種採用者とでは、採用の当初から社内の位置付けが全く異なるものであったのであり、全社採用か事業所採用かは、その違いによって採用後の処遇を異にすることを予定した一種の採用区分であり、職種区分であったと認められる。 その後の四五年制度では、職分を導入することによって、社員は原則として任用された職分系列の中で職分昇任してゆくことが明確にされたが、これは、右のとおりす 区分であり、職種区分であったと認められる。 その後の四五年制度では、職分を導入することによって、社員は原則として任用された職分系列の中で職分昇任してゆくことが明確にされたが、これは、右のとおりすでに三六年制度が予定していた全社採用と事業所採用という採用区分を承継し、より明確にしたものというべきであって事業所採用者に予定された処遇を根本的に変更するものではなかったし、五九年制度及び現行制度もこの四五年制度を基本的には承継したものであったから、三六年制度の採用区分は現行制度まで承継されてきている。 イ現時点において、原告ら二種採用者と三種採用者との間に任用職分や賃金において著しい格差が生じていることは前記のとおりであるが、被告の賃金制度では、任用職分によって、社員任用時の初任基本給やその後の基本給昇給額が異なるものとされたり(三六年制度)、職分系列や任用職分の違いによって職分本給が相違するものとされたり(四五年制度、五九年制度)、さらには職分ごとに職分給が定められたり(現行制度)してきているから、社員間の賃金格差は、基本的にはいかなる職分系列のいかなる職分に任用されるかによって生じるものと考えられる。 しかるに、原告らが比較対象とする三種採用者は、専門職務に従事することを予定して全社採用された者であり、そのため、三六年制度の下では基礎能力検定試験合格者とみなされて多くの者が職分三級に職分昇任したうえ、四五年制度の専門事務技術職系列に移行し、事務技術職に移行した三種採用者も専門事務技術職系列転換審査Bの学科試験が免除されるなどした結果、その多くが専門事務技術職系列に系列転換し、その後はこれを承継した企画開発職系列ないし専門職系列で職分昇任していったものと認められ、これは専門職務従事要員として全社採用された三種採用者に採用当初から予定され 専門事務技術職系列に系列転換し、その後はこれを承継した企画開発職系列ないし専門職系列で職分昇任していったものと認められ、これは専門職務従事要員として全社採用された三種採用者に採用当初から予定されていたことというべきであるし、他方、原告ら二種採用者は、その多くが現在でも三六年制度の一般職務に対応する基幹職掌の職務に従事する者として基幹職に任用されているが、このこともまた一般職務従事要員として事業所採用された二種採用者に当初から予定されていたものというべきである。 右のとおり、三種採用者と二種採用者とでは、全社採用か事業所採用か、したがって専門職務従事要員か一般職務従事要員かという社員としての位置付けの違いからくる採用区分が存するのであるから、その処遇の結果を同列に比較することは相当とはいえず、したがって、その間に存する現在の任用職分の格差やこれに起因するとみられる賃金格差を直ちに男女差別の労務管理の結果ということはできない。 ウ① 以上に関し、原告らは、右のような採用区分については何らの説明を受けておらず、そのような差別処遇を受けることを容認して採用されたものではない旨主張する。 しかしながら、被告の採用方法は二種採用であっても指定校からの推薦制であり、前記認定のとおり、指定校には担当者が求人票を持参して募集内容を説明するなどしていたから、応募者は被告が提出した求人票をみるなり、学校側担当者に尋ねるなりすれば被告の提示する労働条件を確認することは容易であったし、原告らが、その内容を全く知らずに募集に応じたとは考えられない。そして、募集、採用の際、被告が応募者に説明義務を負うのは、その募集にかかる労働契約の労働条件であって、他にも募集対象となっていない採用方法があることやその異なる採用方法により異なる処遇を受ける社員が存することなどま の際、被告が応募者に説明義務を負うのは、その募集にかかる労働契約の労働条件であって、他にも募集対象となっていない採用方法があることやその異なる採用方法により異なる処遇を受ける社員が存することなどまでの説明義務は一般的には存しない。原告らは、勤務地限定のある事業所採用の二種採用に応募して採用され、その後現行制度に至るまで二種採用が予定した処遇を受けているのであるから、その処遇には原告らが締結した労働契約との齟齬はない。 ② 次に、原告らは、全社採用者でも全員が転居を伴う配転を経験しているわけではないことなどを主張して、その採用区分の合理性を問題とする。 なるほど、全社採用者にも転居を伴う配転を経験しない者が存することや工場の閉鎖、移転等に伴い事業所採用者に転居を伴う配転をしたことがあることは被告も認めるところではあるが、全社採用者がある時点で転居を伴う配転を経験していないとしても、在職する限り業務上の必要に基づく配転の命令があれば転居を伴う場合でもこれに応じなければならないとの負担を負っている点では、かかる転勤を予定していない事業所採用者の労働条件とは質的に異なっているというべきであるし、証拠(乙四〇)によれば、事業所採用者の配転がなされたのは、工場移転の統廃合等の場合であり、しかも当該労働者の意向を聴取しその意思を尊重してなされたと認められるから、これを全社採用者の転勤負担と同列に論じることはできない。 ③ さらに、原告らは、コース別雇用管理には職種や職務内容等の客観的で合理的な基準に基づくコース設定が必要であるとし、事務技術職掌の職務と専門事務技術職掌の職務等の職種区分は不明確であるにもかかわらず、被告が敢えてこれを行っているのは男女差別の労務管理を企図したものである旨主張する。 確かに、被告の職務が多岐にわたることから、一般職務と 務技術職掌の職務等の職種区分は不明確であるにもかかわらず、被告が敢えてこれを行っているのは男女差別の労務管理を企図したものである旨主張する。 確かに、被告の職務が多岐にわたることから、一般職務と専門職務との区別が困難なものが生じることは予想できるし、その限りでは被告もこれを認めているが、それは境界付近の一部の職務についていえるにすぎず、多くの職務については、基本的な職務処理方法の確立した定型的業務か否かの基準によってその区別をすることは可能と考えられ、各社員の担当する職務が全体としていずれの職掌に属するかを判定することもさほど困難を伴うものとは考えられない。 したがって、原告らの右の主張は職種区分が不明確であるという前提においてすでに採用できないし、右区分をもって不合理とまでいえず、これをもって違法な雇用管理ということはできない。 エ三種採用から女子を排除したことの適否原告らが主張する三種採用の高卒男子と二種採用の高卒女子の処遇の格差が、全社採用の専門職務従事要員、事業所採用の一般職務従事要員という社員の区分に基づくものと認められることは右のとおりであるが、被告は、三六年制度の下で、三種採用はすべて男子から募集し、女子を採用することはなかった。被告の三六年制度のもとにおいては、基礎能力検定試験があり、また、昭和三九年以降は職分三級登用審査制度があり、これらの試験から女子が排除されていたものではないから、女子が恒久的に日常定型業務要員と位置付けられていたわけではないが、採用の段階では日常定型業務要員としてのほか採用されることがなかったのであるから、結局、高卒女子は、採用については、個々の意向を聴取されたり、能力を審査されたりすることなく、女子であることを理由に日常定型業務である一般職務従事要員と位置付けられていたものといわざるを あるから、結局、高卒女子は、採用については、個々の意向を聴取されたり、能力を審査されたりすることなく、女子であることを理由に日常定型業務である一般職務従事要員と位置付けられていたものといわざるを得ない。 企業には、いかなる労働者をいかなる条件で雇用するかについての採用の自由があり、その要員確保の目的に応じて、あらかじめ、採用後に従事させる職務等による社員の区分を行い、その区分毎に異なる募集条件や採用後の処遇を設定して社員の募集、採用を行い、採用後その区分に応じた処遇を行うことは原則として企業が自由になしうることであるが、かかる採用の自由も、法律上の制限がある場合はもちろん、そうでない場合でも基本的人権の諸原理や公共の福祉、公序良俗による制約を受けることは当然であり、不合理な採用区分の設定は違法になることもあるというべきである。 しかしながら、被告においては、三六年制度実施当時から、事業所採用によって採用され、原則として一般職務に従事するものとされた社員でも、男女を問わず、基礎能力検定試験や職分三級登用審査に合格することによって職分二級に任用され、さらには職分三級に昇任することが可能とされて専門職務に従事する機会は与えられていたし、その後の制度改定においても、男女差別の是正という位置付けではないが系列転換審査制度が設けられ、二種採用者を含む事業所採用の社員でも、男女を問わず、専門事務技術職掌、企画開発職掌、専門職掌といった専門職的職種の職系列に転換する機会は保障されていたもので、一般職務従事要員としての女子社員の位置付けは必ずしも固定的なものではなかった。 二種採用で採用された原告ら高卒女子も、三種採用者と同等の処遇を求めるのであれば、これらの試験や審査に合格するなどして三種採用と同等の能力を有することを自ら示すべきであったのであ のではなかった。 二種採用で採用された原告ら高卒女子も、三種採用者と同等の処遇を求めるのであれば、これらの試験や審査に合格するなどして三種採用と同等の能力を有することを自ら示すべきであったのであり、そして、その機会はすでに三六年制度当時から与えられていたのである。 以上のとおり、三六年制度の二種、三種の採用区分が女子であることを理由としていた点では問題があるとしても、その代わりに高卒女子は、高卒男子ほど高い能力水準を要求されることなく、場合によっては縁故採用ということで被告に入社することができたし、入社後には職分三級登用審査に合格するなどして専門職務に従事することもできたのであって、三種採用の予定する処遇から確定的に排除されていたのではなく、三種採用の処遇を受ける機会は保障されていたというべきである。 また、憲法一四条は、これが直接私人に適用されるものではなく、私人に対しては、その趣旨が民法一条一項の公共の福祉や同法九〇条の公序良俗の判断を通じて反映されるものであり、雇用の分野においても不合理な男女差別が禁止されるという法理は既に確立しているというべきであるが、他方では、企業にも憲法の経済活動の自由(憲法二二条)や財産権保障(憲法二九条)に根拠付けられる採用の自由が認められているのであるから、不合理な差別に該当するか否かの判断に当たって、これらの諸権利間の調和が図られなければならない。 ところで、証拠(乙七ないし三四)及び弁論の全趣旨によれば、昭和三〇年代から昭和四〇年代ころは、未だ、男子は経済的に家庭を支え、女子は結婚して家庭に入り、家事育児に専念するという役割分担意識が強かったこと、女子が企業に雇用されて労働に従事する場合でも、働くのは結婚又は出産までと考えて短期間で退職する傾向にあったこと、このような役割分担意識や女子の 、家事育児に専念するという役割分担意識が強かったこと、女子が企業に雇用されて労働に従事する場合でも、働くのは結婚又は出産までと考えて短期間で退職する傾向にあったこと、このような役割分担意識や女子の勤務年数の短さなどから、わが国の企業の多くにおいては、男子に対しては定年までの長期雇用を前提に、雇用後、企業内での訓練などを通じて能力を向上させ、労働生産性を高めようとするが、短期間で退職する可能性の高い女子に対しては、コストをかけて訓練の機会を与えることをせず、女子を定型的補助的な単純労働に従事する要員としてのみ雇用することが少なくなかったこと、女子に深夜労働などの制限があることや出産に伴う休業の可能性があることなども女子を単純労働の要員としてのみ雇用する一要因となっていたこと、社会一般の意識としても女子を危険有害業務やこれに隣接する業務に配置することへの抵抗が強かったことなどが認められる。 原告らは、長期勤続を希望する女子も少なくなかった旨主張するところ、確かに、昭和三〇年代から昭和四〇年代にかけては、いわゆる高度経済成長期にあって、女子の就業意識やその就業構造も変化した時期であり、長期勤続者も次第に増加していたとはいいうるが、我が国全体としての意識構造としては前述のとおりであって、企業においてもこれを無視できる状況にはなかった。 むろん、このような男女の役割分担意識等は現在では克服されつつあり、もはや一般化できなくなってきているし、女子の労働に対する考え方も多様化して女子の勤続年数も次第に長期化してきているから、現時点では、被告が三六年制度の前提とした女子労働者一般に対する認識やそれに基づく男女別の採用方法が受け入れられる余地はないが、原告らが採用された昭和四〇年前後ころの時点でみると、被告としては、その当時の社会意識や女子の一般的な 提とした女子労働者一般に対する認識やそれに基づく男女別の採用方法が受け入れられる余地はないが、原告らが採用された昭和四〇年前後ころの時点でみると、被告としては、その当時の社会意識や女子の一般的な勤務年数等を前提にして最も効率のよい労務管理を行わざるをえないのであるから、前記認定のような判断から高卒女子を日常定型業務である一般職務にのみ従事する社員として採用したことをもって、当時の公序良俗に違反するとまでいうことはできない。 以上のとおりであるから、被告が原告ら高卒女子を一般職務従事要員と位置付けて事業所採用による二種採用で採用し、その後、現在までの制度改定の中で右の位置付けを承継する処遇をしてきたことに違法な点はないというべきである。 2 厚生給について被告の厚生給の仕組みは前提事実のとおりであり、扶養家族分及び住宅要素は世帯主にしか支給されない。証拠(甲一五)によれば、右のような厚生給の支給及び支給基準は社員賃金規定に定められていることが認められ、被告によれば、この世帯主とは、「一つの世帯を主催する者」あるいは「主として生計を維持する者」をいうものであるというのであるが、運用上は、住民票上の世帯主に支給されてきたことに争いがない。 右のとおり、被告の厚生給の扶養家族分及び住宅要素は、社員賃金規定に支給基準等が定められ、支給要件を備えた社員に一律に支給することが約されているのであるから、これが労働基準法一一条の賃金に該当することは明らかであり、同法四条により、被告はその支給において男女を平等に扱わなければならない。 ところで、被告の厚生給の扶養家族分や住宅要素は社員一律に定額が支給されるものとされている場合とは異なり、その家族状況や住宅事情に応じて支給額が異なるものとされていることからすると、労働の対価というよりは生活補助費的 生給の扶養家族分や住宅要素は社員一律に定額が支給されるものとされている場合とは異なり、その家族状況や住宅事情に応じて支給額が異なるものとされていることからすると、労働の対価というよりは生活補助費的性格が強いというべきである。そして、そのような性格のものである以上、いわゆる共稼ぎ夫婦の場合、そのいずれにも扶養家族分や住宅要素を支給することとすると、同一の事情に対し二重の支給をすることになって社員間の公平を失することになるから、実質的な生計の主催者にのみこれを支給するとすることも著しく不合理なものとすることはできない。 原告らは、それが運用上住民票上の世帯主とされることによって、実質的には男女差別になるというのであるが、確かに原告らが主張するとおり男女が世帯を構成する場合男子が住民票上の世帯主になる場合が圧倒的に多いであろうが、他方で、住民票上の世帯主を男子としている場合は、男子が主として一家の生計を維持しているとみられる場合が多いと考えられる。そうすると、一般的には住民票上の世帯主と主としてその家庭の生計を維持している者とは一致している場合が多いと考えられ、実質的な世帯主認定に要する支給事務の繁雑さ等を併せ考えると、住民票上の世帯主をもって厚生給支給の対象たる世帯主とするとの被告の運用にも理由がないことではない。そして、被告の運用において、女子の場合は住民票上の世帯主になったとしても世帯主厚生給が支給されないなどの男女での差別運用があると認めるに足る証拠はない。 以上によれば、厚生給のうち扶養家族分及び住宅要素を、便宜上、住民票上の世帯主に対して支給するという被告の運用が違法な男女差別に該当するものとは認められない。 3 調停開始に被告が同意しなかったことについて均等法一五条に基づき原告P1及び同P2の申請した二度の調停申請に対 に対して支給するという被告の運用が違法な男女差別に該当するものとは認められない。 3 調停開始に被告が同意しなかったことについて均等法一五条に基づき原告P1及び同P2の申請した二度の調停申請に対し、被告が同意しなかったことから調停開始に至らなかったことは前提事実のとおりである。 均等法一五条が、当事者の一方のみからの調停申請の場合に、相手方当事者の同意を調停開始の要件としたのは、調停がもともと任意の話し合いによる互譲によって紛争解決を図ることを目的とした制度であることによるものと解される。相手方当事者が調停開始に応じるか否かは全くの任意であって、均等法が相手方当事者に同意義務を課すものでないことは明らかであるし、原告らがいう調停を受ける利益なるものも、国が調停制度を設営していることによって事実上生じている反射的利益に過ぎず、相手方当事者との関係で法的権利性を有するものとは解されない。 したがって、被告が原告らの申請した調停開始に同意しなかったことがいかなる理由からであったにせよ、これによって、原告らの何らかの権利が侵害されたと認めることはできない。 4 結論よって、被告に男女別採用に基づく女子差別の処遇があることや厚生給支給における女子差別があること、被告が調停開始に同意しなかったことをもって債務不履行及び不法行為に該当すると主張し損害賠償を求める原告らの主位的請求は、その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がない。 二争点2(被告会社に対する予備的請求その1-是正義務違反)について 1 原告ら主張の是正義務原告らは、遅くとも昭和六一年ころには、被告に三六年制度の男女別採用を是正し、当時の五九年制度の下で、執務職掌の職務にとどめ置かれている二種採用の高卒女子に開発企画職への系列転換の実質的な機会を与えるべき義務が生じ も昭和六一年ころには、被告に三六年制度の男女別採用を是正し、当時の五九年制度の下で、執務職掌の職務にとどめ置かれている二種採用の高卒女子に開発企画職への系列転換の実質的な機会を与えるべき義務が生じていたと主張する。 しかしながら、原告らが主張するような是正義務の履行としてではないけれども、被告ではすでに四五年制度以降、系列転換審査を実施しており、これらの系列転換審査において制度上は女子を排除していなかったから、二種採用の女子にも系列転換の機会は付与されていた。被告がかかる系列転換審査を実施する以上、それが実質的にも男女平等に系列転換の機会を与えるものでなければならず、またその運用も男女平等になされなければならないことは是正義務を持ち出すまでもなく当然のことである。 そうすると、原告らの主張は、結局のところ、これらの制度自体の性差別性とその運用の男女差別(とりわけ、請求原因との関係では五九年制度の下での推薦制の恣意的運用)を問題にしていることに帰着する。そこで、以下では、これらの制度が実質的に女子を系列転換から排除するものであったか、また、その運用に男女差別があったかを検討することとする。 2 被告の系列転換審査制度の男女差別(一) 四五年制度原告らは、四五年制度の専門事務技術職系列転換審査Bについて、業務と関連性のない学科試験を課したこと、三種採用者には学科試験を免除したこと、男子社員にのみ組織的な指導、援助をしたこと、系列転換審査の試験日程を周知しなかったこと等において女子は不利に扱われたと主張する。 (1) しかしながら、専門事務技術職系列転換審査Bが専門事務技術職掌の職務遂行能力を判定するための審査である以上、その合格に一定の能力水準が要求されることは当然であり、その判定方法として基礎知識等に関する学科試験を用いたことが 術職系列転換審査Bが専門事務技術職掌の職務遂行能力を判定するための審査である以上、その合格に一定の能力水準が要求されることは当然であり、その判定方法として基礎知識等に関する学科試験を用いたことが男女平等の観点から直ちに不当であったということはできない。受験資格者はなにも原告ら二種採用の高卒女子のみに限られているわけではなく、学業を離れて久しいとの不利益は受験資格を有する男女に共通していえることであり、その際の家事負担の問題などは各家庭で対処すべきことである。 原告らは、被告が五九年制度で系列転換審査から学科試験を廃したのは、その不当性を自認したものであると主張するが、被告が五九年制度実施時に社員に配布した社内報(甲一二)によれば、学科試験の廃止理由は、「基礎科目の合格能力と日常の業務達成能力とは必ずしも一致しない面があると考えられるため、日常の業務に精励しながら、学科試験に取組むことの困難さもふまえ、業績達成能力や業績貢献度がより細かく反映できる方向で」学科試験を廃止したというものであって、業績貢献主義の強化を主たる理由とするものであり、男女平等の問題とは関係がない。 また、三種採用者に学科試験が免除されたのも、前記のとおり、全社採用である三種採用者と事業所採用である一種及び二種採用者との社員としての位置付けの相違に基づくものであり、三六年制度の一種採用男子はもとより、二種採用の高卒男子や四五年制度での事務技術職採用の高卒男子(いずれも事業所採用)にも同様に学科試験が課されたのであるから、これもまた、男女平等に反するものとはいえない。 原告らは、四五年制度の系列転換審査は全社採用から排除されることになった高卒男子を念頭においたもので設計動機が性中立的でなかったとか、被告には職場への配置に関し男子にのみ意欲ある優秀者を選別するなど 原告らは、四五年制度の系列転換審査は全社採用から排除されることになった高卒男子を念頭においたもので設計動機が性中立的でなかったとか、被告には職場への配置に関し男子にのみ意欲ある優秀者を選別するなどの配慮をする男女間での人材育成方針の違いがあったなどとも主張する。 確かに、四五年制度の専門事務技術職系列転換審査Bの新設が高卒男子を事業所採用するようになったことと関連性を有することは認められるものの、前記のとおり、被告にはすでに三六年制度当時から職分三級登用審査等事業所採用者でも、男女を問わず職分昇任して専門職務従事者となることができる制度が存したのであり、これらの旧制度との連続性をもあわせ考えると、四五年制度の専門事務技術職系列転換審査Bが男女間での人材育成方針の違いを背景に高卒男子のみを念頭においたものであったと認めることはできないし、制度化された系列転換審査は、右のとおり、格別男女平等に反するような要素を含むものでもなかった。 したがって、四五年制度の専門事務技術職系列転換審査Bが、制度上実質的にみて女子に系列転換の機会を付与しないものであったとはいえない。 (2) 専門事務技術職系列転換審査Bの運用についてみると、別表1のとおり、その実施期間(昭和四六年から昭和五九年まで)中の合格者は、男子が合計二四六名であるのに対し女子は二名であり、その合格実績には著しい格差があると認められる。 そして、証拠(甲三九、四〇の1、四一の1、四二の1、証人P9、同P8)によれば、職場の一部では、勤務時間外に先輩男子社員らによる受験指導が行われていたこと、被告からの試験日程の通知は現場の管理職までであり、職場によっては末端の社員にまで周知されない部署もあったことが認められる。 しかし、男子社員への職場の受験指導を、被告が組織的に行っていたとか、その 被告からの試験日程の通知は現場の管理職までであり、職場によっては末端の社員にまで周知されない部署もあったことが認められる。 しかし、男子社員への職場の受験指導を、被告が組織的に行っていたとか、その際、女子は受験指導を希望しても受け入れられなかったなどという事実を認めるに足る証拠はないから、職場での受験指導といっても、それは各職場における先輩後輩あるいは上司部下といった個人的な関係から、受験を希望していた男子社員にそのような受験指導がなされていたと考えられるし、受験日程の周知が徹底されてはいなかったとしても、それはその職場の男女に共通していえることであって、むしろ、証拠(甲九ないし一一、四二の1、乙二の1及び2、三九)によれば、被告は四五年制度実施に当たって系列転換審査を含む制度の詳細を社内報によって社員各自に周知したほか、住友化学労働組合も組合ニュースなどで制度化以前の交渉段階から系列転換審査を含む四五年制度の情報を組合員に周知させていたこと、系列転換審査の制度が存することは被告が社員各自に配布する社員手帳にも記載されていたことが認められ、これらによれば系列転換審査制度の存在自体は社員間に周知されていたのであって、系列転換に関心のある者は、男女を問わず自ら上司や所管部署に訪ねるなりすれば、容易に試験日程等を知ることはできたというべきである。 受験は任意であったから、合格実績の格差については、男女間の受験者総数との比率も問題とされるべきであるが、この点では原告らも女子受験者が極めて少数であったことを認めている。しかも、審査内容は基本的には学科試験であり、恣意的な運用がなされる余地は少ない。 以上のとおりであるから、合格実績には著しい男女間格差はあるが、これが系列転換審査制度の男女差別的運用の結果であるとは認められない。 (二) 現行 試験であり、恣意的な運用がなされる余地は少ない。 以上のとおりであるから、合格実績には著しい男女間格差はあるが、これが系列転換審査制度の男女差別的運用の結果であるとは認められない。 (二) 現行制度現行制度に関して、原告らは、専門職分系列転換審査の合格水準が高度化され、昭和三〇年代に採用された原告ら二種採用の高卒女子には合格困難になっており、他方、転換意思のある男子はすでに転換を終えているなどとして、同制度も原告ら二種採用の女子を排除する設計となっている旨主張する。 しかし、同制度の専門職分系列転換審査では学科試験が復活したとはいえ、原告らが四五年制度で問題としていた基礎知識に関する学科試験は課されていないし、業務関連資格の取得によって受験科目を一部免除されるからといって、合格水準が高度化されているというのも根拠のあることとはいえず、試験内容も男女共通である。また、現行制度で転換対象者として残存しているのはなにも原告ら女子だけではなく、四五年制度の事務技術職採用や五九年の執務職採用要員試験、さらに現行制度での基幹職要員試験で採用されて転換していない男子も多数存するのであるから、強いて原告ら二種採用者等特定の女子集団を専門職から排除するための制度設計がなされていると認めることはできない。 (三) 五九年制度(1) 制度自体の性差別性五九年制度の監督職・企画開発職系列転換審査に関して、原告らは、まず、学科試験を廃止し、受験を上司の推薦制としたのは、四五年制度で学科試験に合格できない高卒男子の意欲に配慮したもので設計動機が性中立的でないと主張するが、被告はこれを否定しているし、学科試験廃止の理由も、社員には前記のとおり説明されていたのであって、被告の真意が果たして原告らの主張するようなものであったか否かは制度の運用から推認するしかな するが、被告はこれを否定しているし、学科試験廃止の理由も、社員には前記のとおり説明されていたのであって、被告の真意が果たして原告らの主張するようなものであったか否かは制度の運用から推認するしかない。 また、原告らは推薦基準の恣意性をも問題とするが、推薦性とする以上、いかに厳密に基準を定めても、主観的要素が混入することは免れず、だからといって推薦制とすること自体を不当とすることもできない(被告の推薦制は一種の人事考課と考えられるが、人事考課には考課者の主観的な判断が混入することは避けられないし、主観的要素が混入するからといってすべて恣意的なものとなるものではない。)。被告の推薦基準のうち推薦基準①や同②のⅰ及びⅴには評価的な要素が多いことは原告ら主張のとおりであるが、少なくともその文言上は格別女子を不利益に取り扱うものはないし、被告によれば、推薦基準の実際の運用においては、多くの場合、執務職要員として優秀な成績を上げている者に対し、試しに企画開発職掌の職務に従事させてみてその過程で発揮される能力や成果を踏まえ推薦の可否を決することになるというのであり、現実にそのような運用がなされるならば推薦基準①及び②のⅰの文言にも適合するものであるから、右のような推薦基準を定めて推薦制としたこと自体を性差別的ということばできない。 (二) そこで、監督職・企画開発職系列転換審査の運用状況について検討する。 アまず、五九年制度の右系列転換審査が実施されたのは昭和六〇年から平成八年までであるが、その間の合格者は別表1のとおり、男子が合計二〇八名であるのに対し、女子は合計一四名に過ぎず、しかも女子から継続的に合格者が出るようになったのは平成五年以降である。 この合格者数の対比のみからすると、男女間の格差は圧倒的というほかない。 また、昭和四三年から昭 女子は合計一四名に過ぎず、しかも女子から継続的に合格者が出るようになったのは平成五年以降である。 この合格者数の対比のみからすると、男女間の格差は圧倒的というほかない。 また、昭和四三年から昭和五〇年までに二種採用または事務技術職採用試験で被告に入社した高卒男女の平成一一年一一月現在の職分分布状況は別表2のとおりであるが、これによれば、高卒男子一三二六名のうち、管理社員及び専門職は合計二七九名であり、それが高卒男子全体に占める比率は約二一パーセントである。他方、高卒女子二一名のうち、専門職は一名であり、それが高卒女子全体に占める比率は約四・七パーセントでしかない。 さらに、これを原告らが主張する事務系の社員とそれ以外の社員とに分別して対比してみると、別表3のとおり、事務系部門に入社以来一貫して所属している者のうち、管理職または専門職の高卒男子は七六名中五三名(約七〇パーセント)であるのに対し、高卒女子は専門職が一六名中一名(約六パーセント)に過ぎない。 イしかしながら、まず、合格者の対比についてであるが、昭和六〇年及び昭和六一年に多数の男子合格者が出ているのは、五九年制度実施直後であることからして、四五年制度の学科試験に合格できずにいた多数の男子が上司の推薦を受けて監督職・企画開発職転換審査を受験することになったことによるものと推認され、この両年の合格者の増加はまさに五九年制度が予定していたものというべきところ、右両年には男子に比べ少数とはいえ女子からも合計三名が同審査に合格しており、四五年制度の下での専門事務技術職系列転換審査Bの女子合格者がわずか二名に過ぎなかったことをも併せ考えると、五九年制度の監督職、企画開発職系列転換審査が専ら男子のみを念頭においていたと推認することはできない。 また、その後は、男子の同審査合格者も少数 格者がわずか二名に過ぎなかったことをも併せ考えると、五九年制度の監督職、企画開発職系列転換審査が専ら男子のみを念頭においていたと推認することはできない。 また、その後は、男子の同審査合格者も少数となっている。しかも、合格者の学歴や勤続年数、推薦母体である受験資格者と対比した合格比率も不明であり、右合格者数の格差から男女差別の推薦運用があると推認するには未だ足りない。 次に、高卒男女の職分分布状況の対比についてであるが、別表2や別表3では、管理職や専門職に就いている者の系列転換審査合格時期が考慮されておらず、五九年制度の監督職・企画開発職系列転換審査の高卒男子合格者がどれほどを占めているかは不明である。前記のとおり、四五年制度や現行制度の系列転換審査は基本的に学科試験で運用されているからこれに恣意が入る余地は少ないが、四五年制度の下でも男子は相当数が専門事務技術職転換審査Bに合格していたのに対し、女子合格者は極端に少なかった。しかも四五年制度以降の人事制度では、事務技術職系列等に配置された社員もその職分系列のなかで昇進して行くことによりその職分系列の管理職に昇進するものとされているから、右の高卒男子の管理職のなかには、系列転換を経由することなく、管理職に昇進した者も含まれている可能性があり、五九年制度での高卒男子の合格者やその比率をみるにはこれらの要素も考慮されなければならない。 他方、高卒女子の場合は、専門職任用者がわずか一名であるとはいえ、在職者全体の数も二一名と極めて少数であり(弁論の全趣旨によれば、もともと採用者数が少数であったというのではなく、中途退職のため勤続者が少数となったものと認められる。)、これをもって統計的に意味のある数字とすることは躊躇されるところである。 また、原告らは、原告らとの比較対象者を、従事職務の いうのではなく、中途退職のため勤続者が少数となったものと認められる。)、これをもって統計的に意味のある数字とすることは躊躇されるところである。 また、原告らは、原告らとの比較対象者を、従事職務の類似性から事務系の者に限定すべきであると主張し、その系列転換審査合格者の比率の高さをもって男女差別的運用の根拠としているのであるが、被告が、M、S、R、Eの職種分類をしたのは平成七年になってのことであり、それ以前にかかる分類はなされていなかったし、その分類も管理職の職務遂行評価の着眼点を相違させるべきであるという観点からであったというのであって、非管理職社員の職務遂行評価や処遇にも意味を持たせるための分類であったと認めるに足る証拠はない。同じ採用区分で採用した同学歴の男女である以上、被告が女子差別の処遇を行っているというのであるならば、事務系以外の男子との間にも格差がなければならないはずで、事務系に配置した男子社員のみを、女子はもとより事務系以外に配置した男子とも区別して格別の処遇をしているというのであれば、もはや男女差別の問題ではないというべきである。 さらに、原告らは、別表2の職分分布状況から、基幹職間でみても男子は広範に職分が分布しているのに対し、女子は均一な取扱いしか受けていないと主張するが、男子も全体の約七三パーセントにあたる九六五名が基幹職の女子と同じⅡの3級ないしⅢの2級に任用されているから、大多数の男子が均一の扱いを受けているといえばいえるし、もともと、右に述べたとおり、高卒女子はその母数自体が極めて少数であり、その職分分布状況から有意の結論を引き出すのは困難というべきである。 結局、右職分分布状況の高卒男女間の比較から被告の五九年制度における監督職・企画開発職系列転換審査の運用状況を推認するには無理があり、これらから男 有意の結論を引き出すのは困難というべきである。 結局、右職分分布状況の高卒男女間の比較から被告の五九年制度における監督職・企画開発職系列転換審査の運用状況を推認するには無理があり、これらから男女差別の運用があったと推認できるものではない。 ウ以上のとおりであり、五九年制度の監督職・企画開発職系列転換審査が性差別的に設計、運用されていたと認められることはできない。 (四) 五九年制度の下における原告らの企画開発職への転換の可否(1) 原告P1ア証拠(甲四一の1ないし3、四四の3ないし5、六五、証人P11、原告P1本人)によれば、次の①、②の事実を認めることができる。 ① 原告P1は、入社後、合成樹脂部新製品課に配属されデリバリー業務を担当させられ、昭和四〇年から現在まで一貫してアクリルシートのデリバリー業務に従事してきた。アクリルシートのデリバリー業務は取扱品種が約五〇〇〇種にものぼり、一日の受注件数も多いが、原告P1はこれに対処するとともに、顧客からの商品の問い合わせなどにも自ら文献をみるなどして概ね対応できている。 五九年制度の下では、原告P1の希望で、昭和六一年から大阪販区の生産担当の仕事を与えられ、キャストシートの生産調整(生産依頼と納期調整)及び在庫管理を担当するようになり、これに伴い、東京、大阪、名古屋、愛媛工場の販区代表者が出席する生産会議にも出張するなどして出席するようになった。同会議の東京及び名古屋販区の代表者は管理職である。また、原告P1は、自発的に電話会議での販売会議にも出席するようになった。平成七年四月からは代理店である高田商店の営業担当としてルート販売(代理店を介在させて営業を進めて行く方式)にも従事するようになり、担当以来販売目標を達成し、上司や取引先からもその実績を評価されていた。この間、バックセーリ ある高田商店の営業担当としてルート販売(代理店を介在させて営業を進めて行く方式)にも従事するようになり、担当以来販売目標を達成し、上司や取引先からもその実績を評価されていた。この間、バックセーリング(末端の需要家と直接交渉して商談をまとめ販売する営業活動)一件を実現させたこともあったし、平成七年ころには名古屋支店のデリバリー担当者故障に際し同支店の業務を大阪で対応するとの提案をして採用されたことや手作業でなされていた商品見本の入出荷処理のオンライン化を提案して採用されたこともあった。また、そのころから輸出関連の書類作成や通関業者と交渉して日程調整をする業務なども担当するようになった(ただし、平成七年ころは年三、四回程度)。 しかるに、現行制度になった平成九年二月、デリバリー担当者二名が退職したため、原告P1は、デリバリー専任に戻されたが、その後も、営業担当を希望し続け、平成一一年六月から再び高田商店の営業担当となり、平成一二年一月からはさらにもう一軒の代理店のルート販売をも担当するようになった。 ② 他方、平成八年ころに作成されたアクリルシート部の職務分類表(甲四一の3)に照らすと、原告P1が担当していたアクリルシートのデリバリー業務、キャストシートの生産調整及び在庫管理、ルート販売、輸出関連業務はいずれも基幹職の職務に分類される。キャストシートに関する生産会議には他の販区からも執務職社員が出席していた。営業に関しては原告P1以上の顧客を担当し、上司から最優秀との評価を得ている基幹職(五九年制度時の任用職分は不明だが主務職か執務職)の男子社員がいたが、同人も監督職・企画開発職系列転換審査の推薦対象とはなっていなかった。平成五年以来アクリルシート部担当部長であり、原告P1の上司であったP11の原告P1に対する評価は概ね標準程度という 社員がいたが、同人も監督職・企画開発職系列転換審査の推薦対象とはなっていなかった。平成五年以来アクリルシート部担当部長であり、原告P1の上司であったP11の原告P1に対する評価は概ね標準程度というものであり、人事部でも原告P1を成績優秀者としては把握していなかった。 イ右認定の事実によって判断するに、原告P1が、五九年制度の下で主として従事していた業務は、いずれも現行制度の基幹職の職務に相当する職務であるから、五九年制度では執務職掌の職務に分類されるべき職務であったと認められる。原告P1は、とりわけアクリルシートのデリバリー業務に関しては熟練者として相当の職務処理能力を発揮していたし、いくつかの事務合理化等の実績も認められるが、これらも執務職掌の職務範囲内での熟練ないし改善提案と解される。原告P1に対する上司の評価は主務職として標準的というものであり、前記(前提事実)のとおり、五九年制度の下での原告P1の格付も主務職六段階のうち主務職一級ないし三級であって、右上司の評価と相応しているが、この評価は、原告P1の勤続年数、従事職務の内容、勤務状況、他の男子社員との比較等に照らすと、適正な評価を大きく逸脱するものであったとまでは認めがたい。 そして、五九年制度では、社員は任用された職分系列の職務に従事し、その職分系列で職分昇任して行くのが原則であったから、右のような原告P1の従事職務やその勤務内容、上司の評価等からすると原告P1が推薦に結びつくような企画開発職の職務付与を受けられず、その結果、監督職・企画開発職系列転換審査受験の推薦を受けることができなかったことも著しく不当なものであったとは認められず、したがって、それが女子であるが故の処遇であったと認めることもできない。 (2) 原告P2ア証拠(甲四二の1及び6ないし13、四六の1な できなかったことも著しく不当なものであったとは認められず、したがって、それが女子であるが故の処遇であったと認めることもできない。 (2) 原告P2ア証拠(甲四二の1及び6ないし13、四六の1ないし6、六四、乙四四、証人P6、原告P2本人)によれば、次の①及び②の事実が認められる。 ① 原告P2は入社後、当時の計数課でキーパンチャーとして勤務した後、昭和四七年に現在の物流管理部に異動となり、以後、同部で物流関係業務に従事している。 原告P2の従事業務の中心は、支払業務と受払管理業務である。原告P2は、右支払業務においては、倉庫の保管料や運賃等の物流費の日常的な支払業務のみならず、保管中または輸送中に生じた物流事故の弁金処理等の事故処理に当たるほか、協定外料金や臨時輸送が生じたとき(スポット輸送)の料金試算と伺い作成も行い、さらに、輸送費及び輸送量の統計表作成や事業部からの物流費の問合せ回答をもしている。また、右受払管理においては、倉庫の品物の入出庫という日常業務の他、実地棚卸しの際、公認会計士らに数量計算の方法を説明するなどもしているし、長期滞留品の整理では自発的に保管料のコスト計算をしたうえで処理方法の指示を受けるといった工夫もしている。さらに、平成六年ころからは物流予算案の作成にかかわりその一部については事業部との折衝まで行っている。この間の平成五年ころには上司の指示で、原告P2が中心となりほか二名の女子社員とともに物流マニュアル(物流部門における執務職掌の職務の処理手順をまとめたもの)を作成し、上司から十分活用しうるとの評価を得た。また、平成六年ころには危険物乙種第四類の消防法の試験に合格し、平成七年ころには物流の通信講座も受講し終えた。 現行制度になった平成九年ころからは、従前専門職がしていた物流期報の作成をも担当してい た、平成六年ころには危険物乙種第四類の消防法の試験に合格し、平成七年ころには物流の通信講座も受講し終えた。 現行制度になった平成九年ころからは、従前専門職がしていた物流期報の作成をも担当している。 ② 他方、平成八年五月ころ作成された物流管理部の職務分類表(甲四二の7)に照らすと、原告P2が担当していた物流費の支払業務、弁金処理等の事故処理、スポット料金の見積や伺い作成、輸送費及び輸送量の統計表作成、倉庫の受払業務、実地棚卸、物流期報の作成はいずれも基幹職の職務に分類される。物流予算の策定は専門職掌の職務に分類されているが、原告P2が主として従事していたのは予算案の作成であり、これは、基幹職の職務に分類されている。危険物乙種四類の資格は、被告では基幹職要員が入社後すぐに取得する資格であり、平成一二年ころで社員中約五〇〇〇人が取得している。現行制度になってからではあるが、原告P2に対しては、平成八年ころ以降のチャレンジ面談で、上司から、努力を要する点やアドバイス等として、書く練習をすること、ムラのない業務対応(基礎関係への取組)、共通業務への積極的関与、合理化提案、業務知識の自己啓発等が指摘され、さらに「基幹職としての足元も固めるように」との指導もなされていた。平成五年一月から平成一〇年七月まで部長補佐等として原告P2の上司であったP6の原告P12に対する評価は標準を下回るというものであり、人事部でも原告P2を成績優秀者としては把握していなかった。 イ右認定に事実によって判断するに、原告P2が、五九年制度の下で主として従事していた業務はいずれも現行制度の基幹職の職務に相当する職務であるから、五九年制度では執務職掌の職務に分類されるべき職務であったと認められる。原告P2が長期滞留品の処理に関して工夫をしていたこと、一部とはいえ専門職 ずれも現行制度の基幹職の職務に相当する職務であるから、五九年制度では執務職掌の職務に分類されるべき職務であったと認められる。原告P2が長期滞留品の処理に関して工夫をしていたこと、一部とはいえ専門職の職務に分類される予算作成(事業部との折衝等も含む。)にも従事していたこと、消防法の資格を取得したり物流講座を受講したりして自己啓発に努めたこと、物流マニュアルの作成を主導したことなどは評価されるべきではあるが、これらも予算作成にかかわる部分を除き執務職掌の職務範囲内での工夫や自己啓発に止まると解される。原告P2に対する上司の評価は標準を下回るというものであり、前記(前提事実)のとおり、五九年制度の下での原告P2の格付も主務職六段階のうち主務職一級ないし二級であって、右上司の評価と相応しているが、この評価は、原告P2の勤続年数、従事職務の内容、勤務状況、現行制度になっても原告P2が執務の基本的なことに関して上司の指導を受けていたことなどに照らすと、適正な評価から大きく逸脱するものであったとまでは認めがたい。 そして、五九年制度では社員は任用された職分系列の職務に従事し、その職分系列で職分昇任して行くのが原則であったから、右のような原告P2の従事職務やその勤務内容、上司の評価等からすると原告P2が推薦に結びつくような企画開発職の職務付与を受けられず、その結果、監督職・企画開発職系列転換審査受験の推薦を受けることができなかったことも著しく不当なものであったとは認められず、したがって、それが女子であるが故の処遇であったと認めることもできない。 (3) 原告P3ア証拠(甲四〇の1ないし3、5ないし7、9ないし13及び15、四五の1ないし9(ただし四五の7はさらに7の1及び2を含む。)、四七の1ないし4、六二の1ないし12、六三の1ないし4、乙四 告P3ア証拠(甲四〇の1ないし3、5ないし7、9ないし13及び15、四五の1ないし9(ただし四五の7はさらに7の1及び2を含む。)、四七の1ないし4、六二の1ないし12、六三の1ないし4、乙四一、四五ないし四七、証人P7、原告P3本人)によれば①及び②の事実を認めることができる。 ① 原告P3は、入社後当時の倉庫課に配属され庶務事務や会計処理業務等に従事した後、昭和五八年一〇月から日新運輸に出向となった。 原告P3は、日新運輸では顧客からの受注、出荷の手配をする受給業務(デリバリー)に従事したが、その際、連絡ミスや転記ミスなどによって生じたトラブル等の調整にも当たった。この間に、原告P3は商品ごとに顧客名、住所、輸送ロット、輸送の所要時間、納入条件等を表にした「需要家一覧表」を完成させ、また、昭和六三年には衛生管理者受験の通信語座も受講し終えた。 平成五年一月、原告P3は、出向を解除され、業務部配属となったが、業務部では、お茶汲み等を含む庶務事務のほか主として運賃、委託費支払、債権収納及び債務支払の業務に従事し、汎用運賃実績報告の計上正誤照合、予算実績管理等にも従事した。これらの業務に従事する傍ら、原告P3は、汎用運賃実績報告の計上正誤照合を行う上で出てきた問題点を抽出し、検討してまとめ、「汎用運賃計上システムの改善(共同提案)」という改善提案を行い、会計事務処理の業務内容を処理順序にしたがって整理した債権計上業務処理マニュアル等の手順書や会計事務処理のための操作マニュアル等の手順書の作成を行った。また、臨時に四国ヤマト宅急便を利用した際の費用を社員が立替払していることやその費用が総務の費用とされていることを問題として指摘した改善提案や製造課のアルミナサンプルの郵パック費用が総務の費用として支払われていることを問題として指摘した改 の費用を社員が立替払していることやその費用が総務の費用とされていることを問題として指摘した改善提案や製造課のアルミナサンプルの郵パック費用が総務の費用として支払われていることを問題として指摘した改善提案なども行った。また、平成六年ころには物流管理の通信教育を受講し終えた。 原告P3がしたこれらの改善提案のうち、「汎用運賃計上システムの改善(共同提案)」、「アルミナサンプルの郵パック輸送費用計上システムの改善」及び「四国ヤマト運輸宅急便の利用方法および支払方法の改善」は改善提案部長賞を受賞した。 ② 他方、原告P3が、日新運輸から被告の業務部へ復帰した当時、業務部内で執務職掌の職分に任用されていたのは原告P3のみであり、原告P3に庶務事務が割り当てられたのは、庶務事務が執務職掌の職務に分類されることによるものであった。業務部で原告P3が従事していた汎用運賃実績報告の計上正誤照合の職務は資料をつきあわせてその誤計上がないかを確認する作業であり、予算実績管理も実績として上がってきた数字を決められた項目ごとに集計して表にし、予算との差異の有無を確認する作業であった。また、原告P3が作成した債権計上処理マニュアルは手順の確立していた業務処理を文書化したものであり、操作マニュアル等の手順書もコンピューター画面の処理の流れを文書化したものであった。なお、改善提案部長賞は執務職掌の職務従事社員を対象とするものであり、年間延べ数万件(平成一一年では五万六四三四件)の受賞がある。平成六年一月から平成七年六まで愛媛工場業務部部長として原告P3の上司であったP7の原告P2に対する評価は標準ないしはそれを下回るというものであり、人事部でも原告P3を成績優秀者としては把握していなかった。 イ右認定の事実によって判断するに、原告P3が、五九年制度の下で主として 原告P2に対する評価は標準ないしはそれを下回るというものであり、人事部でも原告P3を成績優秀者としては把握していなかった。 イ右認定の事実によって判断するに、原告P3が、五九年制度の下で主として従事した職務のうち、日新運輸出向時の受給業務は、日々の受注から出荷までの手配やその間に生じるトラブルの処理というものであるから、日常定型的な範囲内での業務であり、執務職掌の職務に分類されるべき職務であったと考えられる。業務部復帰後に従事した職務のうち、庶務事務はもとより、汎用運賃実績報告の計上正誤照合や予算実績の管理もその業務内容からして定型的業務であることは明らかであり、執務職掌の職務に分類されるべき職務であり、また、原告P3が行った需要家一覧表、債権計上処理マニュアル及び操作マニュアルその他の手順書の作成も比較的に単純な作業であるから、執務職掌の職務内に分類されるべき実績であると考えられる。原告P3が、物流管理の通信講座を受講して自己啓発に勤めたこと、いくつかの改善提案を行い、そのうちの三提案が改善提案部長賞を受賞したことは評価されるべきではあるが、改善提案部長賞の受賞対象者や年間受賞者数などに照らすと、これらも執務職掌の水準内での評価をこえるものではないと解される。原告P3に対する上司の評価は標準ないしこれを下回るというものであり、前記(前提事実)のとおり、五九年制度の下での原告P3の格付も主務職六段階のうち主務職一級ないし二級であって、右上司の評価と相応しているが、この評価は、原告P3の勤続年数、従事職務の内容、勤務状況などに照らすと、適正な評価から大きく逸脱するものであったとまでは認めがたい。 そして、五九年制度では社員は任用された職分系列の職務に従事し、その職分系列で職分昇任して行くのが原則であったから、右のような原告P3の従事 評価から大きく逸脱するものであったとまでは認めがたい。 そして、五九年制度では社員は任用された職分系列の職務に従事し、その職分系列で職分昇任して行くのが原則であったから、右のような原告P3の従事職務やその勤務内容、上司の評価等からすると原告P3が推薦に結びつくような企画開発職の職務付与を受けられず、その結果、監督職・企画開発職系列転換審査受験の推薦を受けることができなかったことも著しく不当なものであったとは認められず、したがって、それが女子であるが故の処遇であったと認めることもできない。 (五) 結論以上のとおりであり、五九年制度の監督職・企画開発職転換審査受験の推薦が男女差別的に運用されたことや、原告らがその推薦を受けられなかったことがそのような男女差別的運用によるものであったとは認められず、したがって、原告らが右転換審査の実施されていた平成八年までのいずれかの時点で、企画開発職に転換できたと認めることはできないから、原告らの予備的請求その1は、その余の点について判断するまでもなく、いずれも理由がない。 三争点3(予備的請求その2-原告らの精神的損害の有無)について 1 請求の趣旨変更の適法性被告は、請求の基礎が異なること、時機に後れたものであることを理由に原告らの請求の趣旨の変更を不適法と主張するところ、右変更が時機に後れたものであることは被告主張のとおりであるが、変更前の予備的請求その2は、原告らと同時期に同一採用区分で採用された同学歴男子との昇進、昇格、転換における男女差別を請求原因として賃金格差相当の経済的損失や精神的苦痛に対する損害賠償を請求するものであったから、変更後の予備的請求その2とは請求の基礎は異ならないというべきであるし、その損害の発生根拠として主張されている事実は、原告らが予備的請求その1の請求原因また する損害賠償を請求するものであったから、変更後の予備的請求その2とは請求の基礎は異ならないというべきであるし、その損害の発生根拠として主張されている事実は、原告らが予備的請求その1の請求原因またはそれを裏付ける主要な間接事実として主張してきたことと同一であり、その変更によって裁判の完結を遅延させることにはならない。 よって、右変更は不適法とはいえない。 2(一) そこで、請求の当否について判断するに、原告らの主張する是正義務違反が認められないことは前述のとおりであり、これを前提とする変更後の予備的請求その2も理由がないものというべきである。ただ、原告らは、上司の差別的な言動や原告らが、教育、研修、職務配置、会議出席等で差別的な処遇をされた等縷々主張しており、それら独自の違法性を主張する節もあるので、蛇足ではあるが、以下、これらについて検討する。 (1) まず職務配置の点では、原告らから採用区分の同じ男女間で配置職務が異なるとの具体的な主張、立証はない。また、すでに述べたとおり、原告ら事業所採用者と採用区分の異なる三種採用者やこれを承継した専門事務技術職、企画開発職、専門職等全社採用の社員とは、社内における社員としての位置付けの違いがあり、特に四五年制度以降は、社員は原則として任用された職分系列の中で昇任して行くものであることが制度上も明確にされているのであるから、これらの者との間で配置される職務が相違するのは当然である。 (2) 数育、研修の点でも、原告らから採用区分の同じ事業所採用の男女間で教育、研修内容が異なるとの具体的な主張はない。 これに関して、原告P3は、業務部において希望しても社内教育を受けられず、ようやく実現した教育の機会にも男子には配布される冊子が女子には配布されないし、部内の回覧文書も女子は回覧の対象にされないなど これに関して、原告P3は、業務部において希望しても社内教育を受けられず、ようやく実現した教育の機会にも男子には配布される冊子が女子には配布されないし、部内の回覧文書も女子は回覧の対象にされないなどと主張し、陳述書(甲四〇の1)にも同旨を記載しているが、他方、原告P3の本人尋問の結果によれば、原告P3が配属されていた業務部の執務職社員は原告P3と他一名の女子のみで他はすべて企画関発職社員か管理職社員であったというのであるから、この職種の相違を抜きにして、原告P3のいう事情のみから男女差別の処遇があるということはできない。 (3) 会議出席の点でも、原告らから採用区分の同じ事業所採用の男女間で取扱いが異なるとの具体的な主張はない。原告P3は、女子のみ業務連絡会から排除された旨右陳述書に記載しているが、同時にその業務連絡会は管理職社員及び専門職社員が召集されていたというのであるから、職種の違いを抜きにして男女差別ということはできないし、事業所採用であっても原告P1のように、生産会議に出張して出席したり、販売会議に出席したりしている者もいるのであるから、むしろ、女子であるという理由のみで被告が一律に会議出席等を制限しているとは認められない。 (4) 原告らは一様に、上可の男女差別的言動にさらされたと主張して、それぞれその陳述書にも同旨を記載しているところ、たしかに、原告らが問題とする上司の発言中には、「女性は銃後の守りに徹せよ」だとか「男性の電話を聞いているだけでも物流がどういうことになっているか判るはずだ」「男性は結果の出る仕事をしてる」(原告P2の陳述書。甲四二の1)など女子差別的発言と目されるものも含まれていることは認められる(他は、必ずしも女性であるが故になされたとも女子差別的ともは一概に断定できないものである。)が、果たして、右の の陳述書。甲四二の1)など女子差別的発言と目されるものも含まれていることは認められる(他は、必ずしも女性であるが故になされたとも女子差別的ともは一概に断定できないものである。)が、果たして、右のような文言どおりの発言があったかについてはその裏付けもなく確実性に乏しいし、仮に一部の上司にそのような発言をした者がいたとしても、それは当該上司の問題であって、それによって当然に被告が男女差別をしているとの非難を受けなければならないというものではない。 (5) そのほか、ア原告P2は、被告が、自己都合退職であっても結婚退職の場合には退職金の減額支給をしていないことや忌引休暇に関しても既婚女子の場合配偶者の父母を実父母扱いとしていること、男子はすべて転換を終えている物流管理部に人事部からの推薦検討依頼が来ていなかったこと、上司がチャレンジカードの記載に真摯ではなかったこと、住民票上の世帯主を変更して厚生給支給の申請した際、詳細な事情聴取を受けたことなどを男女差別の問題とする。 このうち、退職金や忌引休暇の点の点については、被告によれば、結婚退職の場合のみならず病気退職の場合も特例として男女を問わず退職金の減額支給をしていないし、忌引休暇は地方の実情を踏まえたものであったというのであり、男女差別の問題ではない(退職金全額支給が、女子の早期退職を促進するとは考えられないし、忌引休暇の扱いは男女差別の問題というより旧来の家族制度の名残というべきである。)。 また、物流管理部に推薦検討依頼が来ていなかったと認めるに足る証拠はなく、上司の真摯さ不足も女子に対してのみそうであったかは明らかでないうえ、当該上司個人の問題である。 さらに、世帯主変更による厚生給支給の申請がなされた場合、被告がある程度詳細に事情を聴取しようとするのは当然であり、そこに男女 してのみそうであったかは明らかでないうえ、当該上司個人の問題である。 さらに、世帯主変更による厚生給支給の申請がなされた場合、被告がある程度詳細に事情を聴取しようとするのは当然であり、そこに男女間差別があるかは証拠上明らかでない。 以上のとおり、原告P2が男女差別と主張するところは、いずれも男女差別の問題ではないか、証拠上明らかとはいえないものである。 イ原告P3は、陳述書(甲四〇の1)において、男子の転入者には直ちに名刺が準備されるのに、女子には名刺の準備はないことを男女差別の問題とするが、原告P3が名刺の準備がなされたという男子は企画開発職であり、原告P3とは職種も職務も異なるし、被告が職務遂行上の必要性に関わらず、女子には名刺を用意しない取扱いをしていると認めるに足る証拠もない。 (二) 結論以上のとおりであり、原告らが平等に取り扱われるべき期待権、人格権を侵害されたと認めることはできず、原告らの予備的請求その2は、その余の点について判断するまでもなくいずれも理由がない。 四よって、主文のとおり判決する大阪地方裁判所第五民事部裁判長裁判官松本哲泓裁判官松尾嘉倫裁判官西森みゆき

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