平成19(行ウ)344 公文書非開示決定取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成19年9月7日 東京地方裁判所 情報公開
ファイル
hanrei-pdf-36125.txt

判決文本文4,321 文字)

主文 原告の請求を棄却する。 訴訟費用は原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求東京都大島町長が原告に対してした平成19年5月16日付け情報非公開決定(19大総収第×××号×)を取り消す。 第2事案の概要本件は,東京都世田谷区の住民であり,東京都議会議員を務める原告が,平成19年5月7日,大島町情報公開条例に基づいて東京都大島町長(以下「大島町長」という。)の交際費及び東京都大島町議会議長(以下「大島町議会議長」という。)の交際費の出納簿及び領収書の情報公開請求をしたところ,大島町長が,原告が同条例5条に定める「情報の公開を請求できる者」に該当しないことを理由に情報非公開決定をしたため,同決定の取消しを求める事案である。 大島町情報公開条例の定め(1)1条(目的)この条例は,大島町の保有する情報を公開し,町政に関する町民の知る権利を保障することにより,町民の町政への参加をより一層推進するとともに,町政の公正な運営を確保し,もって福祉の増進に寄与することを目的とする。 (2)5条(情報の公開を請求できる者)次に掲げる者は,実施機関に対し情報の公開を請求することができる。 1号大島町(以下「町」という。)の区域内に住所を有する者2号町の区域内に事務所又は,事業所を有する個人及び法人その他の団体3号町の区域内に存する事務所又は,事業所に勤務する者4号町の区域内に存する学校に在学する者5号前各号に掲げるもののほか,実施機関が行う事務事業に利害関係を有する者。ただしこの場合の情報公開は,その者の有する利害関係に係るものに限る。 前提事実証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実は末尾に当該証拠を掲記した。 その余の事実は争いのない事実である。 (1)当事者等ア原告は,東京都世田谷区の る利害関係に係るものに限る。 前提事実証拠及び弁論の全趣旨により認められる事実は末尾に当該証拠を掲記した。 その余の事実は争いのない事実である。 (1)当事者等ア原告は,東京都世田谷区の住民であるが,東京都議会議員を務めており,東京都の予算の適正執行等を監視することを職務として活動している。 イ被告は,東京都に位置しており,東京都から総合交付金や各種補助金の交付を受けるなどして,事務事業を行っている。 ウ大島町長は,大島町情報公開条例2条に定める被告の実施機関である。 (2)本件訴えに至る経緯ア原告は,平成19年5月7日,大島町長に対し,大島町情報公開条例5条5号に基づき,同18年4月1日から同19年4月30日までの大島町長の交際費及び大島町議会議長の交際費の出納簿及び領収書の情報の公開を請求した。 イ大島町長は,平成19年5月16日付け情報非公開決定通知書をもって, 原告が大島町情報公開条例5条に規定する「情報の公開を請求できる者」に該当しないことを理由に,上記アの請求について公開しないことに決定した旨の通知をした(以下,同決定を「本件非公開決定」という。)。 (甲1)ウ原告は,平成19年5月29日,本件非公開決定の取消しを求めて本件訴えを提起した。(当裁判所に顕著な事実) 争点 原告が大島町情報公開条例5条5号に定める「実施機関が行う事務事業に利害関係を有する者」に該当するか否か。 争点に関する当事者の主張(1)原告の主張被告は,東京都に位置し,東京都から総合交付金や各種補助金の交付を受けるなどして,事務事業を行っているものであるところ,原告は,東京都議会議員を務め,東京都の予算の適正執行等を監視することを職務として活動しているものであるから,大島町情報公開条例5条5号に定める「実施機関が行う事務 業を行っているものであるところ,原告は,東京都議会議員を務め,東京都の予算の適正執行等を監視することを職務として活動しているものであるから,大島町情報公開条例5条5号に定める「実施機関が行う事務事業に利害関係を有する者」に該当する。 原告は,東京都新島村,東京都神津島村及び東京都八丈町に対しても,本件と同様に情報の公開請求をしたが,その際公開された文書等には,上記各町村の町長,村長,町議会議長及び村議会議長の各交際費を支出した相手方として,東京都知事を含む多くの東京都職員の職名及び氏名が記載されていた。大島町長が本件非公開決定により非公開にした文書にも,東京都職員が接待の相手方や土産の贈り先として記載されているものと推測され,そうで あるからこそ,官官接待を隠すために非公開にしたものと考えられる。 したがって,本件非公開決定は,大島町情報公開条例に反し違法である。 (2)被告の主張被告は,大島町情報公開条例を制定するに当たり「大島町情報公開制度事務手引き」を作成し,同手引きに基づき,同条例の解釈適用及び運用を行ってきた。 同手引きでは,大島町情報公開条例5条5号にいう「利害関係を有する者」として,①実施機関によって処分を受けた者が,自己の権利利益に影響を受け又は受けるおそれのある場合,②町の施設の利用者が,当該施設の使用に関して,自己の権利利益に影響を受け又は受けるおそれのある場合,③町の区域内に土地建物を有する者が町の事務事業によって当該土地建物に影響を受け又は受けるおそれがある場合,④町の区域内において,災害等の発生で被害を受けたことにより,一時的に町の行政に利害関係を有する場合という具体例を挙げているが,いずれも,同号ただし書が「この場合の情報公開は,その者の有する利害関係に係るものに限る。」としていることにかんがみ,この により,一時的に町の行政に利害関係を有する場合という具体例を挙げているが,いずれも,同号ただし書が「この場合の情報公開は,その者の有する利害関係に係るものに限る。」としていることにかんがみ,この「利害関係」は,請求者の権利利益に具体的な影響がある場合を想定しているものである。 そうすると,原告が原告と被告との間に大島町情報公開条例5条5号に定める具体的な利害関係が存在することを主張し,又は疎明していない以上,原告は,同号に定める情報公開を請求することができる者に該当しないといわざるを得ない。 したがって,本件非公開決定は適法である。 第3争点に対する判断 原告は,被告が東京都に位置し,東京都から総合交付金や各種補助金の交付を受けるなどして,事務事業を行っているものであるところ,自らが東京都議会議員を務め,東京都の予算の適正執行等を監視することを職務として活動している者であるから,その職務の一環として,大島町長及び大島町議会議長の各交際費の支出に関して適正な執行等がされているか否かを監視する利害関係を有するとして,大島町情報公開条例5条5号に定める「実施機関が行う事務事業に利害関係を有する者」に該当すると主張する。 そこで検討するに,大島町情報公開条例は,大島町の保有する情報を公開し,町政に関する町民の知る権利を保障することにより,町民の町政への参加をより一層推進するとともに,町政の公正な運営を確保し,もって福祉の増進に寄与することを目的とするものである(1条)。そして,地方自治体が定める情報公開条例において情報公開請求をすることができる者をどのように定めるかについては,当該地方自治体の立法政策として選択の余地があるところ,被告においては,大島町情報公開条例の定める上記目的に資するように,同条例5条において情報の公開を請求 できる者をどのように定めるかについては,当該地方自治体の立法政策として選択の余地があるところ,被告においては,大島町情報公開条例の定める上記目的に資するように,同条例5条において情報の公開を請求することができる者を規定し,具体的には,大島町の区域内に住所を有する者(1号),同区域内に事務所又は事業所を有する個人及び法人その他の団体(2号),同区域内に存する事務所又は事業所に勤務する者(3号),同区域内に存する学校に在学する者(4号)を列挙し,加えて,5号において,実施機関が行う事務事業に利害関係を有する者を前各号に準ずる者として規定している。他方,公開の対象となる情報は,実施機関の職員が職務上作成し,又は取得した文書,図画,写真,フィルム及び電磁的記 録その他これに類するものから出力又は採録されたものであるが(2条),同条例5条5号に基づく情報公開の請求である場合には,公開の対象となる情報は,上記のような情報のうち,情報の公開を請求した者の有する利害関係に係るものに限定されている(同号ただし書)。そうすると,同号にいう「利害関係を有する」とは,大島町の予算の適正な執行等を監視する職務を遂行するというような抽象的な関係性にとどまらず,その者に固有の具体的な権利ないし利益との関係性をいうものと解するのが相当である。 原告が東京都議会議員を務め,東京都の予算の適正執行等を監視することを職務として活動している者であり,他方,被告は,東京都に位置し,東京都から総合交付金や各種補助金の交付を受けるなどして,町政に関する事務事業を行っているものであることは争いのない事実であるが,大島町情報公開条例の目的は上記のとおりであり,住民自治の観点からその制度目的に資するように,大島町の住民等その他その情報に関わる具体的な権利ないし利益を有する者に当該 とは争いのない事実であるが,大島町情報公開条例の目的は上記のとおりであり,住民自治の観点からその制度目的に資するように,大島町の住民等その他その情報に関わる具体的な権利ないし利益を有する者に当該情報の公開を請求する権利を付与するにとどめているのであって,東京都議会議員であっても,大島町の外部の者が大島町の行政一般を監視するための制度として規定されているものではない以上,前記1の関係以上に大島町の町政に関し具体的な利害関係を有していることを主張立証していない原告が大島町情報公開条例5条5号に定める者に該当すると認めることはできないといわざるを得ない。 以上のとおりであるから,原告は,大島町情報公開条例5条各号に定める「情報の公開を請求できる者」に該当しないというべきである。 結論 よって,原告の請求は理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担につき,行政事件訴訟法7条,民訴法61条を適用して,主文のとおり判決する。 東京地方裁判所民事第38部裁判長裁判官杉原則彦裁判官小田靖子裁判官島村典男

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る