令和6(わ)645 承諾殺人

裁判年月日・裁判所
令和7年3月10日 大津地方裁判所
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判決文本文1,262 文字)

令和7年3月10日宣告大津地方裁判所刑事部判決令和6年(わ)第645号承諾殺人被告事件 主文 被告人を懲役3年に処する。 この裁判が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、令和6年12月7日午前5時頃、滋賀県野洲市(住所省略)被告人方において、長男であるA(当時50歳)に対し、その承諾を得て、殺意をもって、その頸部を結束バンドで締め付け、その頭部にポリ袋をかぶせた上、その頸部を両手で圧迫し、よって、同日午前9時28分頃、同県栗東市(住所省略)a病院において、同人を窒息により死亡させて殺害した。 (量刑の理由)被告人は、長男である被害者が、高校生の頃に交通事故に遭い、重い後遺症の影響により、日常生活において全介助が必要な状態になって以降、30年以上にわたり献身的に被害者を介護してきた。もっとも、被告人自身が高齢となって病気を患うようになり(本件当時は82歳)、本件当日も発作等に苦しみ、自身で被害者を介護することに限界を感じて今後に不安を覚えるなどしたことから、被害者の殺害を決意し、「一緒に死のうか。」などと声を掛け、承諾を得た上で本件犯行に及んだ。 犯行後、被告人も自殺を図ったが、駆けつけた家族に止められた。 承諾があったとはいえ、人の命を奪う行為は許されるものではないし、被害者の死亡という結果は重大というほかない。被告人の負担を軽減し得る選択肢もあった中で、被告人の希望により週末だけ施設から被害者を連れて帰り自宅介護をし、また、父親としての責任感から近隣に住む子らに頼るわけにはいかないと決めつけ、介護の負担を自ら抱え込み思い詰めた結果、本件犯行に至ってしまったことや、強固な犯意に基づき、寝たきりの状態の被害者の首を締め付けるなどして重大 感から近隣に住む子らに頼るわけにはいかないと決めつけ、介護の負担を自ら抱え込み思い詰めた結果、本件犯行に至ってしまったことや、強固な犯意に基づき、寝たきりの状態の被害者の首を締め付けるなどして重大な結果 をもたらしたことは、非難されなければならない。しかしながら、被告人の長年の介護の献身ぶりは周囲も認めるところであり、被害者の回復を強く願っていた被告人が、先に述べたような経緯から突発的に本件犯行に及んでしまった点については、刑事責任を検討するにあたっても相応に斟酌すべきである。 そして、被告人は、本件について自責の念を抱くとともに深く反省し、日々被害者の供養をしている。また、被告人の親族は、被害者の死を悲しむとともに、より積極的に介護のサポートを申し出ればよかったと後悔しているが、被告人に対しては寛大な処罰を望んでいる。加えて、近隣に住む息子が出廷して被告人の監督を約束したことや、被告人に量刑上考慮すべき前科がないこと等、酌むべき事情もあるので、被告人に対しては、主文の刑を科した上で、その刑の執行を猶予することとした。 (求刑懲役4年)令和7年3月13日大津地方裁判所刑事部裁判官大嶋 真理子

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