- 1 -主文 原告の請求をいずれも棄却する。 訴訟費用は,原告の負担とする。 事実 及び理由第1請求 処分行政庁が原告に対し平成19年4月25日付けでした原告の平成15年4月1日から平成16年3月31日までの事業年度(以下「平成15年度」という)の法人税の更正処分のうち,原告が平成17年5月30日付けでした。 更正の請求に基づいて処分行政庁が同年6月29日付けでした更正処分に係る翌期へ繰り越す欠損金額32億1715万8417円を下回る部分(ただし,平成20年2月4日付け再更正処分により一部取り消された後のもの)を取り消す。 処分行政庁が原告に対し平成19年4月25日付けでした原告の平成16年4月1日から平成17年3月31日までの事業年度(以下「平成16年度」という)の法人税の更正処分のうち,所得金額0円を超える部分及び翌期へ繰。 り越す欠損金額4億8472万6722円を下回る部分(ただし,平成20年2月4日付け再更正処分により一部取り消された後のもの)並びに同事業年度の法人税に係る平成19年4月25日付け過少申告加算税賦課決定処分(ただし,平成20年2月4日付け変更賦課決定処分により一部取り消された後のもの)を取り消す。 処分行政庁が原告に対し平成19年4月25日付けでした原告の平成17年4月1日から平成18年3月31日までの事業年度(以下「平成17年度」という)の法人税の更正処分のうち,所得金額0円を超える部分及び翌期へ繰。 り越す欠損金額7325万8133円を下回る部分(ただし,平成20年2月4日付け再更正処分により一部取り消された後のもの)並びに同事業年度の法人税に係る平成19年4月25日付け過少申告加算税賦課決定処分(ただし,- 2 -平成20年2月4日付け変更賦課決定処分により一部取り消 更正処分により一部取り消された後のもの)並びに同事業年度の法人税に係る平成19年4月25日付け過少申告加算税賦課決定処分(ただし,- 2 -平成20年2月4日付け変更賦課決定処分により一部取り消された後のもの)を取り消す。 第2事案の概要本件は,処分行政庁が,有料老人ホーム(老人福祉法29条1項所定のもの)を運営する原告に対し原告の平成15年度平成16年度及び平成17年度以,,(下「本件各事業年度」という)の各確定申告(ただし,更正の請求による一部。 更正後のもの(後記2(3)アの本件各確定申告)において,入居者から入居又)は入居契約の更新に際して受領する金員(以下「入居一時金」という)の税務。 処理に誤りがあり,所得の金額が過少に又は欠損金額が過大に申告されているとして,本件各事業年度の法人税の各更正処分並びに平成16年度及び平成17年度の過少申告加算税の各賦課決定処分(同イの本件各当初更正処分等)をしたところ,原告が,原告の税務処理に誤りはなく,上記各処分(ただし,いずれも再更正処分又は変更賦課決定処分(同ウの本件各再更正処分等)による一部取消し後のもの)には処分行政庁の税務処理の誤り及び理由付記の不備の違法があると主張して,当該各処分(同ウの本件各更正処分等)の取消しを求めている事案である。 関係法令の定め(1)各事業年度の所得の金額の計算(法人税法22条)ア内国法人の各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額とする(1項。 )イ上記アの計算上,当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資産の販売,有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引(法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる 額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資産の販売,有償又は無償による資産の譲渡又は役務の提供,無償による資産の譲受けその他の取引で資本等取引(法人の資本金等の額の増加又は減少を生ずる取引及び法人が行う利益又は剰余金の分配をいう。以下同じ)以外のものに係る当該事業年度の収益の額と。 する(2項。 )- 3 -ウ上記アの計算上,当該事業年度の損金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,①当該事業年度の収益に係る売上原価,完成工事原価その他これらに準ずる原価の額,②上記①のほか,当該事業年度の販売費,一般管理費その他の費用(償却費以外の費用で当該事業年度終了の日までに債務の確定しないものを除く)の額及び③当該事業年度の損。 失の額で資本等取引以外の取引に係るものとする(3項。 )エ上記イの額及び同ウ①ないし③の額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算されるものとする(4項。 )(2)青色申告書に係る更正(法人税法130条)ア税務署長は,内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には,その内国法人の帳簿書類を調査し,その調査により当該青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の計算,。 ,に誤りがあると認められる場合に限りこれをすることができるただし当該青色申告書及びこれに添付された書類に記載された事項によって,当該課税標準又は欠損金額の計算が法人税法の規定に従っていないことその他その計算に誤りがあることが明らかである場合は,その帳簿書類を調査しないでその更正をすることを妨げない(1項。 )イ税務署長は,内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には,その更正に係る国税通則法28条2項(更正通知書の記載 でその更正をすることを妨げない(1項。 )イ税務署長は,内国法人の提出した青色申告書に係る法人税の課税標準又は欠損金額の更正をする場合には,その更正に係る国税通則法28条2項(更正通知書の記載事項)に規定する更正通知書にその更正の理由を付記しなければならない(2項。 ) 前提事実(争いのない事実,顕著な事実並びに掲記の証拠及び弁論の全趣旨により容易に認められる事実等)(1)当事者ア原告は,昭和48年12月1日,厚生大臣の許可を得て設立された財団法人であり(甲2,全国7か所で有料老人ホーム(老人福祉法29条1)- 4 -項所定のもの)を運営している。 イ原告は,本件各事業年度の法人税に関して,青色申告の承認(法人税法122条参照)を受けた内国法人(同法2条3号)に該当する。 (2)入居契約の内容原告が,原告の運営する有料老人ホームの入居者との間で交わす入居契約(以下「本件各入居契約」という)には,以下の3種類がある。 。 ア終身の入居を予定する契約(以下「本件終身入居契約」という。乙1),,,,,同契約は以下のとおり入居者が原告に対し入居一時金を支払い原告が,入居者に対し,原則として入居者の死亡まで,施設を利用させ,介護等の役務を提供することを主たる内容とする契約である。 (ア)入居者は,入居一時金として「会員費(以下「本件終身入居金」,」という)を支払って(16条,17条,終身にわたり専用住居及び。 )共用利用施設を利用する権利を取得し(7条,原告は,入居者の介護)(9条1項,健康相談及び健康診査(8条,生活全般の相談・助言))(10条)を行うなどの役務を提供する。 (イ)入居者は,毎月「管理費」を支払い(18条,また,食事に関,)する一切の費用並びに専用住居内における水道,電 査(8条,生活全般の相談・助言))(10条)を行うなどの役務を提供する。 (イ)入居者は,毎月「管理費」を支払い(18条,また,食事に関,)する一切の費用並びに専用住居内における水道,電気,給湯,冷暖房の使用料及び電話料を負担する(19条。 )(ウ)本件終身入居契約は,①入居者が死亡したとき,②入居者が解約を申し出たとき,又は③入居者が同契約の条項に違反したときなど一定の事由に基づき原告が契約を解除したときに,終了する(2条,6条。 )(エ)上記(ウ)により,本件終身入居契約が入居日から5年以内に終了したときは,原告は,入居者に対し,本件終身入居金の一部の「返済」として,契約書別表に定める額(月単位で計算した入居期間に応じて逓減する額)を返金する(23条1項及び別表。以下,この条項を「中途終了返済条項」という。 。)- 5 -(オ)本件終身入居契約が,入居日から3か月以内に,入居者の解約の申出又は入居者の死亡により終了した場合であって,専用住居が明け渡されたときは,上記(エ)にかかわらず,原告は,入居者に対し,本件終身入居金の一部の「返済」として,本件終身入居金から,①専用住居の明渡しまでの日割りの施設利用料相当額,②日割り計算に基づく前記(イ)の費用及び③専用住居の原状回復のための費用を除いた全額を無利息で(。 ,「」。)返金する23条2項以下この条項を短期解約返済条項という(カ)ただし,本件終身入居契約の中には,中途終了返済条項に基づき本件終身入居金の一部額が返金される入居後「5年」の期間(以下「返済保証期間」という)を「10年」と定めるものがあり(以下,この場。 合を含めて,当該条項を「中途終了返済条項」といい,当該期間を「返済保証期間」という,また,短期解約返済条項の定めがない 下「返済保証期間」という)を「10年」と定めるものがあり(以下,この場。 合を含めて,当該条項を「中途終了返済条項」といい,当該期間を「返済保証期間」という,また,短期解約返済条項の定めがないものも。)ある(乙2の23条参照。 )イ契約期間を1年とする契約のうち後記ウ以外の契約(以下「本件短期入居契約」という。乙3),,,,,同契約は以下のとおり入居者が原告に対し入居一時金を支払い原告は,入居者に対し,原則として1年間,施設を利用させ,介護等の役務を提供することを主たる内容とする契約である。 (ア)入居者は,入居一時金として「施設利用料(以下「本件短期入,」居金」という。ただし,乙第4号証のように,これを「年間入居金」と称する契約書もある)を支払って(10条,1年間,専用住居及び。 )共用利用施設を利用する権利を取得し(5条,原告は,入居者の介護)(14条1項,健康相談及び健康診査(6条,生活全般の相談・助))言(7条)を行うなどの役務を提供する。 (イ)入居者は,毎月「管理費」を支払い(11条,また,食事に関,)する一切の費用並びに専用住居内における水道,電気,暖房,給湯の使- 6 -用料及び電話料を負担する(12条。 )(ウ)本件短期入居契約の有効期間は,契約締結後1年間である(2条1項本文。ただし,本件短期入居契約の中には,入居者が「年間入居),金(乙4の10条3項)を支払うことにより,契約を更新することが」できることを定める契約もある(乙4の2条3項。 )。)(エ)上記(ウ)にかかわらず,本件短期入居契約は,①入居者が死亡したとき,②入居者が解約を申し出たとき,又は③入居者が同契約の条項に違反したときなど一定の事由に基づき原告が契約を解除したときに,終了する(2 ウ)にかかわらず,本件短期入居契約は,①入居者が死亡したとき,②入居者が解約を申し出たとき,又は③入居者が同契約の条項に違反したときなど一定の事由に基づき原告が契約を解除したときに,終了する(2条1項ただし書,3条。 )(オ)上記(エ)により,本件短期入居契約が有効期間内に終了した場合であっても原告は入居者に対し本件短期入居金を一切返済しない ,,,(5条。 )(カ)ただし,本件短期入居契約の中には,本件短期入居契約が,入居日から3か月以内に入居者による解約の申出又は入居者の死亡により終了した場合で,専用住居が明け渡されたときは,上記(オ)にかかわらず,原告は,本件終身入居金から,①専用住居の明渡しまでの日割りの施設利用料相当額,②日割り計算に基づく前記(イ)の費用,③専用住居の原状回復のための費用及び④その他当該入居者の負う債務を除いた全額を無利息で返済する旨の定めがあるものもある(乙4の16条2項参照。 以下,この場合を含めて,当該条項を「短期解約返済条項」という。 。)ウ契約期間を1年とする契約のうち「A」と称する施設に係る契約(以下「本件A入居契約」という。乙5),,,,,同契約は以下のとおり入居者が原告に対し入居一時金を支払い原告が,入居者に対し,原則として1年間「A」と称する施設を利用さ,せ,介護等の役務を提供することを主たる内容とする契約であり,入居者は,1年後,改めて入居一時金のうち「施設利用料」を支払い,契約を更- 7 -新することができる。 (ア)入居者は,入居一時金として「施設利用料」及び「介護に対する,費用(以下,それぞれ「本件A施設利用料」及び「本件A介護費用」」といい,これらを併せて「本件A入居金」という)を支払って(11条。 1項,12条,1年間, て「施設利用料」及び「介護に対する,費用(以下,それぞれ「本件A施設利用料」及び「本件A介護費用」」といい,これらを併せて「本件A入居金」という)を支払って(11条。 1項,12条,1年間,専用住居及び共用利用施設を使用する権利を)取得し(6条,原告は,入居者の介護(16条1項,健康相談及び))健康診査(7条,生活全般の相談・助言(8条)を行うなどの役務を)提供する。 (イ)入居者は,毎月の費用として「管理費」を支払い(13条,ま,)た,食事に関する一切の費用並びに専用住居内における水道,電気,暖房,給湯の使用料及び電話料を負担する(14条。 )(ウ)本件短期入居契約の有効期間は,契約締結後1年間であるが(2条1項本文,入居者は,本件A施設利用料を支払うことにより,同契約)を更新することができる(同条3項,11条3項。 )(エ)上記(ウ)にかかわらず,本件短期入居契約は,入居者が死亡したとき,入居者が解約を申し出たとき,又は入居者が他の者と生活と健康に重大な影響を及ぼすようなことがあるときなど一定の事由に基づき(3条,原告が契約を解除したときに終了する(2条1項ただし書。 ))(オ)上記(エ)により,本件A入居契約が有効期間内に終了した場合であっても,原告は,本件A施設利用料を返済しないが(11条2項,本)件A介護費用については,契約締結日から5年以内に契約が終了したときであれば,その一部の「返済」として,契約書別表に定める額(月単位で計算した入居期間に応じて逓減する額)を返金する(18条1項及び別表。以下,この場合を含めて,当該条項を「中途終了返済条項」といい,当該期間を「返済保証期間」という。 。)(カ)本件A入居契約が,契約締結日から3か月以内に,入居者の解約の- 8 -申出又は入居者 ,この場合を含めて,当該条項を「中途終了返済条項」といい,当該期間を「返済保証期間」という。 。)(カ)本件A入居契約が,契約締結日から3か月以内に,入居者の解約の- 8 -申出又は入居者の死亡により終了した場合であって,専用住居が明け渡されたときは,上記(オ)にかかわらず,原告は,本件A入居金の一部の「返済」として,同入居金から,①専用住居の明渡しまでの日割りの施設利用料相当額,②日割り計算に基づく前記(イ)の費用,③専用住居の原状回復のための費用を除いた全額を無利息で返金する(18条2項。 以下,この場合を含めて,当該条項を「短期解約返済条項」という)。 (キ)ただし,本件A入居契約の中には,中途終了返済条項に基づき本件A介護費用の一部額が返金される「5年」の期間を「10年」と定めるものがあり(以下,この場合を含めて,当該期間を「返済保証期間」という,また,短期解約返済条項の定めがないものもある(乙6の1。)8条参照。 )(3)更正処分等の経緯ア原告は,本件各入居契約に基づき受領した入居一時金について,(ア)本件終身入居金及び本件A介護費用のうち,①原告主張の「返済保証金」相当額及び「入居者基金」相当額は,原告の益金に当たらず,②それ以外の部分は,一定の計算に基づき分割した額が,入居者の平均居住年数,平均(「」。)余命等を勘案して原告の定める一定の年限以下想定入居期間という内の各事業年度の益金として計上されるべきであり,他方,(イ)本件短期入居金及び本件A施設利用料は,①その全額が,原告の益金であり,②当該契約の日の属する事業年度の益金として計上されるべきであるとの見解に基づき,本件各事業年度の法人税の各確定申告をし,また,平成15年度の確定申告については,更正の請求をし,当該更正の請求の内容のとお 約の日の属する事業年度の益金として計上されるべきであるとの見解に基づき,本件各事業年度の法人税の各確定申告をし,また,平成15年度の確定申告については,更正の請求をし,当該更正の請求の内容のとおりの平成17年6月29日付け減額更正処分(別紙1において「平成15年度減額更正処分」という)を得た(以下,同更正処分による一部更正。 後の上記各確定申告を「本件各確定申告」という。 。),,,イ処分行政庁は平成19年4月25日付けで本件各確定申告について- 9 -①収入すべき金額は,入居一時金全額であり,②その入居一時金のうち,返金しないことが確定した額が,その返金しないことが確定した時期の属する事業年度の収入すべき金額になるとすべきであるとして,本件各事業年度に属する入居一時金に係る収入を再計算し,その結果を踏まえ,③当該事業年度の課税売上割合及び特定収入割合が変動することに伴う繰延消費税額等の再計算,④前事業年度の法人税額等が変動することに伴う次事業年度に繰り越される欠損金額の再計算等を行い,これらの再計算の結果に基づき,法人税の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各当初更正処分等」という)をするとともに(甲3ないし5,。 ),(「」。)上記①ないし③により消費税及び地方消費税以下消費税等というの額も変動するとして,同日付で,本件各事業年度に係る消費税等の各更正処分及び過少申告加算税の各賦課決定処分(以下「本件各消費税当初更正処分等」という)をした(甲12ないし甲14。 。 )ウ処分行政庁は,平成19年11月20日付けで,本件各消費税当初更正処分等による消費税等の増額部分及びそれに伴い賦課された過少申告加算税の額をそれぞれ0とする消費税等の各更正処分並びに過少申告加算税の各変更賦課決定 成19年11月20日付けで,本件各消費税当初更正処分等による消費税等の増額部分及びそれに伴い賦課された過少申告加算税の額をそれぞれ0とする消費税等の各更正処分並びに過少申告加算税の各変更賦課決定処分(以下「本件各消費税再更正処分等」という)をす。 るとともに(甲15ないし17,法人税についても,平成20年2月4)日付けで,本件各確定申告の額を上記イ③の再計算に係る額と更正するほか,本件各当初更正処分等の違算等を減額修正するなどする各再更正処分及び過少申告加算税の各変更賦課決定処分(以下「本件各再更正処分等」といい,本件各再更正処分等により一部取り消された後の本件各当初更正処分等を「本件各更正処分等」という)をした(甲19ないし21。 。 )(4)不服申立て及び本件訴訟ア原告は,本件各再更正処分等に先立つ平成19年6月12日,本件各当初更正処分等について,国税不服審判所に審査請求をし(甲6の1,そ)- 10 -の翌日から3月を経過しても裁決がされなかったため,同年10月4日,本件訴訟を提起した(顕著な事実。 )イ国税不服審判所は,本件各再更正処分等を経た後,平成21年12月9日,上記審査請求のうち,本件各当初更正処分等のうち本件各再更正処分等により一部取り消された部分に係る審査請求を却下するとともに,その余の審査請求を棄却し,国税通則法115条2項に基づき,当該裁決書の謄本を当裁判所に送付した(顕著な事実。 )ウ本件訴訟において被告が主張する課税の根拠及び計算は,別紙1「課税の根拠及び計算」のとおりであり,本件各更正処分等に関する経緯は,別紙2「本件各事業年度の法人税に関する経緯」のとおりである。 争点 (1)原告の益金となるべき金員の範囲(2)入居一時金の収益の帰属すべき事業年度(3)理由付記の不備の違 関する経緯は,別紙2「本件各事業年度の法人税に関する経緯」のとおりである。 争点 (1)原告の益金となるべき金員の範囲(2)入居一時金の収益の帰属すべき事業年度(3)理由付記の不備の違法の有無 争点に関する当事者の主張の要旨(1)争点(1)(原告の益金となるべき金員の範囲)について(原告の主張の要旨)ア返済保証金部分について(ア)入居一時金(本件終身入居金及び本件A介護費用)のうち,返済保証金相当額は益金とならない。すなわち,入居者が返済保証期間内に退去し又は死亡した場合,中途終了返済条項に基づき,本件終身入居金又は本件A介護費用の一部額が返金されるところ,原告は,本件終身入居金及び本件A介護費用の一部を返済保証金勘定にプールし,その返金の原資とするという制度設計を採っていたのであり,当該勘定は,負債勘定に相当するものであるからである。 (イ)なお,契約上,結果として長命となった入居者であっても,本件終- 11 -身入居金及び本件A介護費用については,追加負担を求められないのであるから,結果として短命であった入居者に対して,その一部を返金しなければならないとする制度上の必然性はない。中途終了返済条項は,想定外に短命であった入居者を例外的に救済するためのものとして設定されたものであり,その意味で,返済保証金は「掛け捨ての保険料」,に近い性質を有するものである。 イ入居者基金部分について(ア)入居一時金(本件終身入居金)のうち,入居者基金に対する拠出金相当額は益金とならない。すなわち,原告は,本件終身入居金の返金債務の保全措置として,社団法人B(以下「B」という)の入居者基金。 制度を利用しており,本件終身入居金の額も,その拠出金を支出することを勘案して決定されているところ,当該拠出金相当額は,短期暫 金債務の保全措置として,社団法人B(以下「B」という)の入居者基金。 制度を利用しており,本件終身入居金の額も,その拠出金を支出することを勘案して決定されているところ,当該拠出金相当額は,短期暫定的に受領するにすぎないとみるべきであるから,仮受金という負債勘定で処理するのが妥当であるからである。 (イ)被告は,入居者基金制度において,入居者に当該拠出金を賦課することは許されないとされている以上,仮受金勘定のような預り金勘定で処理することは許されないと主張する。しかし,原告は,短期解約返済条項に基づき,当該拠出金相当額を含め,本件終身入居金の全額を返金しなければならなくなる場合に備え,当該条項が適用される3か月間の暫定的な勘定という意味で,仮受金勘定という流動負債勘定を利用しているにすぎず,入居者から当該金員を預かっているわけではないから,被告の上記主張は失当である。 ウ仮受消費税部分について(ア)仮に,入居一時金の収益計上時期について,被告主張の見解を採るとしても,処分行政庁が本件各更正処分等において本件各確定申告より増額した収益(以下「本件増額収益部分」という)には,仮受消費税。 - 12 -部分も含まれているところ,当該部分は益金に当たらない。 ,,,(イ)被告は本件各消費税再更正等処分により当該仮受消費税部分は消費税等として徴収されないことになったのであるから,当該部分は原告の雑益になると主張する。しかし,課税庁は,消費税等について,何度でも更正処分をすることができるのであるから,その主張の前提自体が疑問であり,また,消費税法と法人税法の体系上,そのような処理が許されるとも考え難い。 (ウ)実際,本件増額収益部分が,消費税等の課税対象であるか否かは,原告の課税売上割合に影響し,それによって,本件各事業年度に ,消費税法と法人税法の体系上,そのような処理が許されるとも考え難い。 (ウ)実際,本件増額収益部分が,消費税等の課税対象であるか否かは,原告の課税売上割合に影響し,それによって,本件各事業年度における原告の法人税の額も増減するはずである。 エ前事業年度分として申告済みの益金部分について(ア) また,平成15年度に係る本件増額収益部分の中には,原告が,平成14年度の法人税の確定申告において,当該事業年度における益金として申告した部分が含まれている。平成14年度の法人税については,期間の徒過により,改めて更正処分をすることができないところ,このような重複課税は許されないというべきである。 ,,,(イ)被告は所得の計算は事業年度ごとにすれば足りる旨主張するが更正処分とは,納税義務の確認行為であるところ,当該重複部分の所得について,原告は,既に納税義務を果たしているのであるから,当該重複部分について,更に納税義務が生ずる余地はないというべきであり,本件各再更正等処分は,少なくとも当該部分について,違法であるといわざるを得ない。 (被告の主張の要旨)ア返済保証金部分について入居一時金は,原告のいう返済保証金相当額を含め,中途終了返済条項及び短期解約返済条項の適用がない限り,それを返金する必要がないもの- 13 -なのであるから,中途終了返済条項及び短期解約返済条項の適用がなくなった時点で,益金として計上すべきである。 イ入居者基金部分について入居者基金の拠出金は,その負担を利用者に賦課してはならないものであり,当該拠出は原告の費用を構成するのであるから,原告が,その拠出のため受領する金員は,原告の収益を構成し,したがって,それを仮受金勘定のような預り金勘定で処理することは許されない。原告は,入居一時金の一部を独自に区分し を構成するのであるから,原告が,その拠出のため受領する金員は,原告の収益を構成し,したがって,それを仮受金勘定のような預り金勘定で処理することは許されない。原告は,入居一時金の一部を独自に区分し,入居者基金の拠出金とするための勘定としているにすぎないといわざるを得ないのであって,当該部分も,原告の益金を構成する。 ウ仮受消費税部分について処分行政庁は,本件増額収益部分について,消費税等の課税対象となる部分を特定することができなかったため,本件増額収益部分に対応する仮受消費税については,本件各消費税再更正処分等によって,これを消費税等として徴収しないこととした。そうすると,当該仮受消費税部分は,もはや負債ではなく,したがって,原告の益金を構成するとみなさざるを得ない。また,そのように解しても,課税上,原告に不利益は生じない。 エ前事業年度分として申告済みの益金部分について所得の計算は,事業年度ごとにすべきところ,平成15年度の所得を計算するに当たり,平成14年度の法人税の計算過程は考慮されるべきものではないから,平成14年度の法人税の計算過程において,益金とされた部分であっても,平成15年度の益金となることが妨げられるものではない。 (2)争点(2)(入居一時金の収益の帰属すべき事業年度)について(原告の主張の要旨)ア入居一時金の収益のうち,原告が契約の属する日の事業年度の益金とし- 14 -て計上していなかった部分(以下「本件終身前受金」という)は,終身。 にわたる役務の提供義務等に対応する収益であるから,収益の計上時期に関する以下の会計・税務上の諸原則に照らし,その収益を想定入居期間で按分した各部分が,その想定入居期間内の各事業年度に帰属する益金になると考えるべきである。 (ア)実現主義企業会計では,収益の計上時 る以下の会計・税務上の諸原則に照らし,その収益を想定入居期間で按分した各部分が,その想定入居期間内の各事業年度に帰属する益金になると考えるべきである。 (ア)実現主義企業会計では,収益の計上時期について,実現主義によることが正当であるとされているところ,本件終身前受金の収益が実現するのは,それに対応する役務を完了した時である。しかるところ,本件終身前受金,(,に対応する役務は入居者が生存する限り提供しなければならずなお入居者は,本件終身前受金以外にも,毎月の管理費等を支払うが,それに対応する役務は限定されたものである,その役務の不履行に対し。)ては,損害賠償義務が発生するのであるから,本件終身前受金については,その役務を提供すべき期間を擬制した想定入居期間ごとに,その期間で按分した額が収益として実現していくと考えるのが,実現主義に照らし,妥当な会計処理というべきである。 (イ)権利確定主義税法上は,収益の計上時期について,権利確定主義の観点が用いられることがあるが,権利の確定とは,権利の発生と同義ではなく,権利実現の可能性が増大したことをいうところ,権利が確定したというには,反対給付である資産の譲渡や役務の提供が必要である。この点,被告がいうように,返済保証期間が経過すれば,契約上,本件終身前受金を返金する必要はなくなるが,原告が反対給付である役務の提供を怠れば,これに対する損害賠償債務が発生するのであるから,返済保証期間の経過だけでは,権利実現の可能性が増大したという意味での権利の確定はないといわざるを得ない。本件終身前受金の収益が確定するのは,反対- 15 -給付である役務を完了した時というべきであるから,権利確定主義の観点からみても,想定入居期間に基づく原告の主張する会計処理は適切である。 (ウ)費用収 受金の収益が確定するのは,反対- 15 -給付である役務を完了した時というべきであるから,権利確定主義の観点からみても,想定入居期間に基づく原告の主張する会計処理は適切である。 (ウ)費用収益対応の原則企業会計上,費用収益対応の原則という観点も重要である。本件終身前受金は前受収益であるから,この原則によれば,当該収益と役務を提供すべき期間に生じた費用とを対応させて収益計上しなければならない,,ところ当該収益を想定入居期間で按分する原告の主張する会計処理は同原則に照らしても適当である。被告の主張によれば,当該収益の全額を返済保証期間内に収益計上しなければならないところ,返済保証期間は,入居者の入居期間,すなわち役務の提供期間より短いのが通常であるから,それでは費用と収益とが対応せず,その対応の原則に照らして。 ,,,不適当である被告は費用収益対応の原則とは収益を先に確定させそれに費用を対応させる原則であるというが,独自の見解であるといわざるを得ず,また,いずれにせよ,被告の主張する会計処理は,収益と費用が対応しておらず,原告の主張する会計処理は,収益と費用が対応するのであるから,被告の主張は失当である。被告のいうように,返済保証金期間内に収益を計上するのであれば,その収益に対応する将来の費用をあらかじめ見積り計上しなければ(法人税法基本通達(昭和44)),年5月1日付け直資(法)25(例規)国税庁長官通達2-2-1参照費用収益対応の原則に反する。 (エ)管理支配基準被告は,管理支配基準を援用し,返済保証期間の経過をもって,入居一時金収益の全額に対する管理支配が生じ,したがって,同期間内に収益を計上すべきであるとするが,同基準は,権利確定主義によると著しい不都合が生じてしまう場合の例外的な基準であり,本 過をもって,入居一時金収益の全額に対する管理支配が生じ,したがって,同期間内に収益を計上すべきであるとするが,同基準は,権利確定主義によると著しい不都合が生じてしまう場合の例外的な基準であり,本件に適用すべき- 16 -ものではない。また,その点を措くとしても,管理支配の認定に当たっては,反対給付の履行の有無という観点が重要であるところ,これまで述べてきたとおり,本件終身前受金の反対給付は,想定入居期間内の役務であり,それより短い返済保証期間の経過をもって,すべての収益に対する管理支配を認定することはできないのであるから,被告の主張は失当である。 イそもそも,原告の上記会計・税務処理基準は,主務官庁の通知が,有料老人ホームの「損益計画」について「一時金の…償却期間は平均余命を,勘案し決められていること」とするのに準拠し,監査法人からも監査適正意見を受けているのであるから,法人税法22条4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に該当することが明らかである。しかも,原告は,昭和58年に京橋税務署の担当官からこれを許容する旨の意見も確認した上で,当該会計・税務処理を30年以上にわたり続けてきたのであり「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に求められる継続,性の原則も満たしている。被告は,原告の会計・税務処理につき,客観的規範性を欠くなどとして種々の指摘をするが,想定入居期間の計算は恣意性を排除した合理的・科学的なものである。むしろ,被告が基準とする返済保証期間こそ,入居契約の本質的な事項ではなく,私人間の契約によって恣意的に設定することができるものであって,監査法人も,被告の主張する会計処理では,適正監査証明を出すことができないとしている。 ウまた,仮に,被告のいうように,入居一時金の収益が,返還しないことが 意的に設定することができるものであって,監査法人も,被告の主張する会計処理では,適正監査証明を出すことができないとしている。 ウまた,仮に,被告のいうように,入居一時金の収益が,返還しないことが確定した部分ごとに,当該返還しないことが確定した事業年度に収益計,,,上すべきものであるとすればその考え方は中途終了返済条項に限らず短期解約返済条項に関しても適用されるべきところ,処分行政庁は,短期解約返済条項の定めがある入居契約について,入居後3か月以内に事業年度が変わった場合でも,当該条項によって返還しないことが確定した部分- 17 -(日割りの施設利用料や原状回復費用等相当額)を前事業年度の収益に計上しておらず,明らかに「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」から逸脱している。被告は,短期解約返済条項は,中途終了返済条項とは異なり,実際に当該条項が適用された場合にのみ考慮すれば足りる性質の,,特約であると主張するが短期解約返済条項と中途終了返済条項との間に被告のいうような性質の相違があるとは解し難い。 (被告の主張の要旨)ア収益の計上時期に関する以下の会計・税務上の諸原則に照らせば,入居一時金の収益は,返還しないことが確定した部分ごとに,当該返還しないことが確定した事業年度の益金となると考えるべきである。 (ア)権利確定主義法人税法22条4項にいう「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」とは,必ずしも企業会計原則などの会計上の原則とは一致しないところ,収益の計上時期については,権利確定主義が「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」であるとされる。そして,権利確定主義にいう権利確定の時期は,私法上の法律関係に即して判断されるべきものであり,本件各入居契約については,原告が役務を提供すべき期間が不確定である一 会計処理の基準」であるとされる。そして,権利確定主義にいう権利確定の時期は,私法上の法律関係に即して判断されるべきものであり,本件各入居契約については,原告が役務を提供すべき期間が不確定である一方,入居者が個々の役務ごとに個別に費用を負担する場合もあるという特殊性を有するため,入居一時金を役務提供期間に按分等する方法によって権利確定の時期を決めるのは不可能である。他方,契約等において,受領した金員の返還を要しなくなった場合に,当該金員について,権利確定主義にいう権利の確定があったとする考え方もあるところ,中途終了返済条項は,一定の期間の経過にとともに,入居一時金のうち一定の部分の返還を要しなくなると定めるものである。したがって,入居一時金については,その返還されないことが確定した事業年度において,その返還されないことが確定した部分ごとに,権利確定- 18 -主義にいう権利の確定があると考えるのが相当である。原告は,反対債,,務の不履行等があった場合に損害賠償義務が生ずる余地があるとして返済保証期間の経過のみでは権利が確定したということはできないと主張するが,損害賠償義務の金額は,それが実際に発生するまで不確定であり,それを基礎に収益計上すべき額を計算することは不可能なのであるから,そのような事情を考慮することはできない。 (イ)管理支配基準また,収益の計上時期の認定には,権利確定主義ではなく,管理支配基準が用いられる場合もあるが(ただし,両者は必ずしも別の概念ではない,本件各入居契約の入居一時金は,その返還されないことが確。),,,定したときにその返還されないことが確定した部分について原告が自由に事業資金に充てる等することができ,したがって,管理支配して,。 いるということができるから前記の基準は管理支配基準 ,,,定したときにその返還されないことが確定した部分について原告が自由に事業資金に充てる等することができ,したがって,管理支配して,。 いるということができるから前記の基準は管理支配基準にも適合する原告は,管理支配しているというためには,反対給付の履行が必要であるというが,収益を有効に取得している以上,反対給付の履行までは不要であると考えるのが相当である。 (ウ)実現主義確かに,企業会計原則では,収益の計上時期について,実現主義が採られている。しかし,本件各入居契約は,役務の履行にかかわらず,返済保証期間を過ぎれば,入居一時金の返還を要しなくなるという特徴がある契約であるから,原告のいうような通常の実現主義の基準によることは不適当である。なお,原告は,原告の主張する会計処理が,権利確定主義にも適合するとも主張するが,同主張は,結局のところ,原告の主張する会計処理が,実現主義に合致するというに異ならないというべきところ,本件各入居契約について,実現主義によることができないことは,上記のとおりである。 - 19 -(エ)費用収益対応の原則原告は,費用収益対応の原則を援用し,想定入居期間内に発生する費用に入居一時金の収益を対応させなければならないと主張するが,同原則は,確定した収益に費用を対応させるものであって,その逆ではないのであるから,失当である。また,この点を措くとしても,本件各入居契約において,入居者の退去時期は不確定であり,原告の主張する会計処理によっても,費用と収益とは対応しない。もとより,被告の主張する会計処理によっても,収益と費用とは必ずしも対応しないが,本件各入居契約の特性上,収益と費用とが対応しない会計処理となるのもいたし方がないというべきである。 イ原告は,原告の主張する会計処理が,主務官庁の通 よっても,収益と費用とは必ずしも対応しないが,本件各入居契約の特性上,収益と費用とが対応しない会計処理となるのもいたし方がないというべきである。 イ原告は,原告の主張する会計処理が,主務官庁の通知に準拠したものであるとして,法人税法22条4項にいう「一般に公正妥当と認められる会」,,「」計処理の基準に合致するとも主張するが原告は同通知の償却年数という語の解釈を誤っている上,そもそも,同通知は会計処理について定めたものではないのであるから,失当である。そして,想定入居期間の算定が,その計算の性質上,恣意性を排除し得ないものであることからすれば,原告の主張する会計処理は,客観的規範性を欠き「一般に公正妥当,と認められる会計処理の基準」に合致するということはできないものといわざるを得ない。なお,監査法人の適正意見があるからといって当然に公正妥当な会計処理ということはできないのは論を待たず,継続性の原則が誤った会計処理を継続することを認めるものではないことも当然である。 他方,被告の主張する会計処理は,Bが発行する「C」においても採用されている会計方式であり,しかも,契約条項どおりの税務処理をするものなのであるから,被告の主張する会計処理こそが「一般に公正妥当と認,められる会計処理の基準」に合致するものであるというべきである。 ウ原告は,被告の主張する会計処理について,中途終了返済条項の取扱い- 20 -と短期解約返済条項の取扱いとが一貫していないと主張するが,中途終了返済条項において,原告は,入居者の死亡等を停止条件とする入居一時金の一部額の返還債務を負い,その返還額は,一定期間の経過ごとに逓減するから,当該一定期間の経過ごとに,当該逓減部分の返還債務が消滅し,その都度,当該部分を収益計上する必要があるのに対し, 入居一時金の一部額の返還債務を負い,その返還額は,一定期間の経過ごとに逓減するから,当該一定期間の経過ごとに,当該逓減部分の返還債務が消滅し,その都度,当該部分を収益計上する必要があるのに対し,短期解約返済条項は,中途終了返済条項の特約として,入居者の死亡等の事由が契約後3か月以内に発生した場合に,入居一時金の全額を返済するというものであって,一定期間の経過ごとに一定部分の返還債務が消滅するという性質のものではないから,当該事由が発生せずに当該期間が経過し,当該特約の不適用が確定した場合に初めて,当該特約の不適用によって返還を免れた額を収益計上すれば足りるものである。確かに,短期解約返済条項が適用された場合,原告は,入居金一時金を返還する一方,日割りの施設利用料等の実費相当額を受け取ることになるが,当該実費相当額の債権は,短期解約返済条項が実際に適用された場合に初めて発生するものであり,日々の経過によって発生が確定していくものではないから,日々の経過ごとに当該債権を収益計上することはできない。そして,本件各更正等処分は,短期解約返済条項が実際に適用された場合について,当該実費相当額を正しく収益計上しているのであって,この点に,一貫性を欠くとされるような事情はなく,原告の主張は失当である。 (3)争点(3)(理由付記の不備の違法の有無)について(原告の主張の要旨)本件各更正処分等は,青色申告の承認を受けた者に対し,帳簿書類の記載の否認を伴わない更正をするものであるから,その理由付記においては,処分庁の判断過程が省略されることなく具体的に記載される必要があるところ,当該各処分の更正通知書には,本件各入居契約の内容に関する事実(当,,該事業年度において当該部分が入居者に返済されないことが確定すること- 21 -あるいは返済が 記載される必要があるところ,当該各処分の更正通知書には,本件各入居契約の内容に関する事実(当,,該事業年度において当該部分が入居者に返済されないことが確定すること- 21 -あるいは返済が不要になること)が記載され,それによって受領した入居一時金の一部が収益に当たるという結論が記載されているのみで,その事実から結論に至る理由付けが記載されていないのであるから,上記の基準を満た,。 す理由付記はされておらず取り消されるべき違法があるというべきである(被告の主張の要旨)本件各更正処分等は,青色申告の承認を受けた者に対し,帳簿書類の記載の否認を伴わない更正をするものであるから,その理由付記においては,処分行政庁の判断過程が省略されることなく具体的に記載されていれば足りるところ,同処分の更正通知書には,本件各入居契約の入居一時金は,その返済されないことが確定すること,あるいは返済が不要になることにより,当,,該事業年度の益金の額になるということが記載されておりその計算明細も当該通知書の別紙として添付されていたのであるから,上記基準に照らし,また,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨・目的に照らしても,十分な理由付記というべく,この点について,何ら取り消されるべき違法はない。 第3当裁判所の判断 争点(1)(原告の益金となるべき金員の範囲)について(1)返済保証金部分についてア原告は,入居一時金のうち,中途終了返済条項の適用がある部分(本件終身入居金及び本件A介護費用)の一部は,いわば「掛け捨ての保険料」として,中途終了返済条項の適用があった際の返済金の財源としてプールするものであるから,原告の益金の範囲に含まれないと主張する。 イしかしながら,入居契約における中途終了返済条項の定めは,前 険料」として,中途終了返済条項の適用があった際の返済金の財源としてプールするものであるから,原告の益金の範囲に含まれないと主張する。 イしかしながら,入居契約における中途終了返済条項の定めは,前記前提事実(2)のとおり,返済保証期間内に解約した入居者に対し,当該入居者から受領した入居一時金の一部額を返還すると定めているのであり,原告が主張するような内容,すなわち,原告が,個々の入居者から返済保証金- 22 -相当額を預かり,返済保証期間内に解約する入居者が発生した場合に,その預り金全体から返済保証金相当額の支出事務を代行するなどといった内容の定めとはなっていない。そして,中途終了返済条項の定めによれば,原告は,少なくとも返済保証期間の経過後は,個々の入居者に対し,原告のいう返済保証金勘定に対応した債務を負っているわけではないのであるから,返済保証期間の経過後も,それを負債として処理することは許されず,当該勘定部分も含め,益金として計上すべきものというべきである。 ウもとより,有料老人ホームの資金計画を立てる上では,入居一時金として受領した金員のうち,中途終了返済条項の対象となる額を返還する可能性のある金員として考えるのではなく,実際に中途終了返済条項が適用されて返還しなければならなくなるであろう額を見積もり,その額に相当する割合部分を当該返還義務の引当てとして考えることにも一応の合理性があるということはできようが,税務上,そのような引当てをしたことをもって,当該部分を負債勘定として処理することは,実質的に,税法に定めのない引当金の損金算入を認めるに等しく,許されないといわざるを得な(,,「」,いなお原告は当該部分が掛け捨ての保険料に相当するというが保険期間を経過した保険料収入は,税法上,租税特別措置法57 算入を認めるに等しく,許されないといわざるを得な(,,「」,いなお原告は当該部分が掛け捨ての保険料に相当するというが保険期間を経過した保険料収入は,税法上,租税特別措置法57条の5などの特別の規定が定める限度においてのみ,将来の保険金支払債務の引当てとして,損金算入が認められるにとどまる)。 エ以上のとおり,原告が入居一時金として受領した金員は,原告が返済保証金勘定に区分した部分を含め,少なくとも返済保証期間の経過後は,原告の益金の範囲に含まれるとするのが相当である。 (2)入居者基金部分についてア原告は,入居者基金制度が適用される入居契約(本件終身入居契約)に係る入居一時金(本件終身入居金)には,当該基金に拠出する拠出金相当額が含まれているところ,当該拠出金相当額は,短期暫定的に受領するも- 23 -のにすぎないから,原告の益金の範囲に含まれないと主張する。 イしかしながら,短期暫定的に受領する金員であるからといって,それを負債勘定に計上すべき論理必然性はなく,所論は,売上金を直ちに仕入れに用いるから当該売上金が益金を構成しないというに等しいものといわざるを得ず,失当である。実際,乙第1,第2号証(本件終身入居契約の契約書)によっても,本件終身入居契約上,本件終身入居金のうち,入居者基金の拠出金部分を区別するような定めがあったとは認められず,他方,乙第13号証(入居者基金制度の説明書類)によれば,原告が当該拠出金の負担を入居者に賦課することは禁じられていることが認められるところ,原告自身,当該拠出金相当額を入居者から預かっているわけではないことは認めているのであるから,それは原告の売上げの一部を構成するものであり,したがって,益金の範囲に含まれるべきものである。 ウ原告は,短期解約返済条項に基づき 入居者から預かっているわけではないことは認めているのであるから,それは原告の売上げの一部を構成するものであり,したがって,益金の範囲に含まれるべきものである。 ウ原告は,短期解約返済条項に基づき本件終身入居金の全額を返金する場合に備え,当該拠出金相当額を含め,本件終身入居金を負債として取り扱う必要があると主張する。しかしながら,短期解約返済条項によって,当該金員を返金する可能性があるのであれば,本件各更正処分等の処理のように,当該条項が適用される可能性のある期間(契約後3か月経過前)に限り,当該金員を負債として処理すれば足り,その適用可能性がなくなった時点(契約後3か月経過後)以降,当該金員のうち返金する可能性のなくなった部分を収益計上すべきことに変わりはないのであるから(なお,当該拠出金相当額が実際にBに入居者基金として拠出されれば,その時点で当該拠出金を改めて損金算入することになる,原告主張の点は,益。)金の計上時期に係る問題にすぎず,益金の範囲に関する上記イの判断を左右するものではない。 エ以上のとおり,原告の主張はいずれも理由がなく,原告が入居一時金として受領した金員は,原告が返済保証金勘定に区分した部分を含め,原告- 24 -の益金の範囲に含まれるものと解するのが相当である。 (3)仮受消費税部分についてア原告は,本件増額収益部分には,これに対応する仮受消費税部分も含まれているところ,当該部分は,原告の益金を構成しないと主張する。 ,,,イ(ア)しかしながら仮受消費税とは資産の譲渡等の対価の額について「消費税等の額」と「当該消費税等に係る取引の対価の額」とを区分して経理する方式(税抜経理方式。平成元年3月1日付け直法2-1国税庁長官通達1(7))による場合に(原告はこの方式を採用していた,資。)産 の額」と「当該消費税等に係る取引の対価の額」とを区分して経理する方式(税抜経理方式。平成元年3月1日付け直法2-1国税庁長官通達1(7))による場合に(原告はこの方式を採用していた,資。)産の譲渡等の対価の額のうち,消費税等として課税されることになる部分(消費税等の額)を区分するための勘定にすぎず,本件のように,「」「消費税等の額」に当たるとして,仮受消費税勘定に区分した額が,後に消費税として課税されないことになったのであれば,結果として,その区分を誤ったことになるから,当該課税されないことになった額は,単なる資産の譲渡等の対価の額として,仮受消費税勘定から収益勘定に振り替えられるべきものであり,したがって,益金を構成するといわざるを得ない。このことは,消費税等の額と当該消費税等に係る取引の対価の額とを区分しないで経理する方式(税込経理方式。同通達1(8))によるのであれば,資産の譲渡等の対価の額の全額が収益勘定に区分され,そのうち実際に消費税等として課税された額が,公租公課として損金算入されることと対比しても明らかである。 (イ)確かに,本件において,当該仮受消費税に係る収益が,消費税等の非課税対象となり得るか否かは必ずしも明らかではないが,法人税額の計算において,損金として算入されるべき消費税等の額(あるいは,仮受消費税として法人税の課税標準から除かれるべき額)は,現に申告・決定等のされた消費税等の額であるというべきであるから,現に当該収益が,消費税等として課税されない以上,法人税額の計算においては,- 25 -収益として扱えば足りることになる(原告は,処分行政庁が,将来,再度の消費税等更正処分により,当該仮受消費税部分につき,消費税等として課税する可能性を指摘するが,現時点において実際に消費税等として課税されて 扱えば足りることになる(原告は,処分行政庁が,将来,再度の消費税等更正処分により,当該仮受消費税部分につき,消費税等として課税する可能性を指摘するが,現時点において実際に消費税等として課税されていない以上,上記の結論が左右されるものではない。 。)ウ(ア)なお,原告は,本件増額収益部分のうち,消費税等の課税対象である部分の範囲は「課税売上割合」の値を通じて,法人税の課税標準に,影響を与えるとも指摘する。確かに,甲第3ないし第5号証(本件各当初更正処分等)及び第19ないし第21号証(本件各再更正処分等)によれば,本件各再更正処分等は「課税売上割合」の値について,本件,各確定申告の値を用い,本件増額収益部分が新たな売上げとして計上されたことを考慮していないことが認められるところ「課税売上割合」,が正確に計算されないことは,①公租公課として損金算入される消費税等の額の算定(消費税法30条2項等)の際の一基準となる「課税売上割合(同条2項,6項)及び②仕入代金の一部として損金算入される」控除対象外消費税等の損金算入限度額の算定(法人税法施行令139条の4)の際の一基準となる「課税売上割合に準ずる割合(同条1項,」同法施行規則28条1項なおこの概念は消費税法30条3項の課。 ,,「税売上割合に準ずる割合」の概念とは異なる)の値の変動を通じて,。 法人税の課税標準に影響を与える可能性があるから,その点を検討する余地はあり得るといえる。 (イ)しかしながら,上記(ア)①について,消費税法は,事業者が,消費税等の課税対象である売上げのために要する仕入れについて,仕入れ先に消費税等相当額(仮払消費税)を支払った場合に,当該消費税等相当額が,当該事業者が納付すべき当該売上げに係る消費税等と重複することから,当該支払済み る売上げのために要する仕入れについて,仕入れ先に消費税等相当額(仮払消費税)を支払った場合に,当該消費税等相当額が,当該事業者が納付すべき当該売上げに係る消費税等と重複することから,当該支払済みの消費税等相当額を当該事業者が納付すべき消費税等の額から控除し得ること(仕入税額控除)を前提として,その控除- 26 -する額を計算する際の基準として(同法30条2項等,当該事業者が)当該課税期間中に国内において行った資産の譲渡等の対価の額の合計額のうちに課税資産の譲渡等の対価の額の合計額の占める割合として政令で定めるところにより計算した割合を「課税売上割合」として用いているところ(同条6項,本件増額収益部分を収益漏れとして計上する場)合において,①原告が納付すべき消費税等の額を計算するのであれば,当該部分は,現に消費税等の課税対象とされていない以上,上記の重複を排除する趣旨からすれば,それを消費税の課税対象ではない売上げとして扱い「課税売上割合」を再計算すべきであるが,②法人税の額を,計算するにすぎないときは,前記イ(イ)のとおり,現に消費税等として課税された税額を前提とすれば足り,改めて前記の控除額を計算し,原告が納付すべき消費税等の額を計算する必要はないのであるから,この点について「課税売上割合」の値を再計算して考慮する必要はないと,いうべきである。 (ウ)また,前記(ア)②について,上記(イ)の仮受消費税のうち,消費税等の課税対象でない売上げのために要する仕入れに係る消費税等相当額であるなどとされ,上記(イ)の仕入税額控除をすることができない部分(控除対象外消費税等)は,もともと仕入代金の一部であるから,当該仕入れの性質ごとにそれぞれ税務処理されるべきものである((a)資産に係るものは,償却費として,(b)たな卸資産に ことができない部分(控除対象外消費税等)は,もともと仕入代金の一部であるから,当該仕入れの性質ごとにそれぞれ税務処理されるべきものである((a)資産に係るものは,償却費として,(b)たな卸資産に係るものは,売上原価として,(c)経費に係るものは,損金として,それぞれ処理される)。 ところ,法人税法施行令は,上記(a)の簡易な処理として,資産に係る控除対象外消費税等については一括して5年以上の期間で償却処理することを認め(同令139条の4第3項,第4項,さらに,同条1項の)「課税売上割合に準ずる割合」が80%以上である場合などには,当該事業年度に当該控除対象外消費税等の全額を損金処理することを認めるも- 27 -のである(同条1項,同法施行規則28条1項,消費税法施行令48条1項。そして「課税売上割合に準ずる割合」が80%以上である場),合に,当該控除対象外消費税等の全額を損金算入することができるとされる趣旨は,そのように消費税等の課税対象でない売上げの割合が20%未満と小さい場合には控除対象外消費税等の額も相対的に少額であると考えられることにあると解されるから,①当該「課税売上割合に準ずる割合」の計算の基礎は,その控除対象外消費税等の額を算定する際に用いた「課税売上割合」の計算の基礎と同様に解するのが相当であり,したがって,上記(イ)において「課税売上割合」の再計算を要しない以上「課税売上割合に準ずる割合」を再計算する必要はないものといえ,るし,②また,仮に,当該「課税売上割合に準ずる割合」を再計算するとしても,上記(イ)①のとおり,その「課税売上割合」の計算は,本件増額収益部分を消費税等の課税対象ではないものとして算定すべきである以上「課税売上割合に準ずる割合」も,これと同様に解するのが相,当であり,その場合に, とおり,その「課税売上割合」の計算は,本件増額収益部分を消費税等の課税対象ではないものとして算定すべきである以上「課税売上割合に準ずる割合」も,これと同様に解するのが相,当であり,その場合に,その値が本件各確定申告における値よりも低くなることは明らかであって,そのことは,控除対象外消費税等の損金算入限度額を低下させる方向にしか働かないから,これを再計算しなくても,原告に不利益はないものといえるので,原告が指摘する点は,いずれにしても,本件各更正処分等の違法を基礎付けるものではないというべきである。 エ以上のとおりであるから,原告の主張はいずれも理由がなく,本件増額収益部分に含まれる仮受消費税相当額は,原告の益金の範囲に含まれるものと解するのが相当である。 (4)前事業年度分に計上した益金部分についてア原告は,本件増額収益部分のうち,平成15年度に係るものの中には,原告が,平成14年度の法人税の確定申告において,当該事業年度の益金- 28 -として申告したものが含まれているところ,当該益金は,本件事業年度の益金の範囲に含まれないと主張する。 イしかしながら,法人税の課税標準は,各事業年度の所得の金額であり,各事業年度の所得の金額は,当該事業年度の益金の額から当該事業年度の損金の額を控除した金額なのであるから(法人税法22条1項),平成15年度の益金となるべき額である以上,当該益金に相当する額が,誤って平成14年度の法人税の課税標準に加算されていたとしても,当該益金に相当する額を本来の事業年度である平成15年度の益金に加算することは妨げられないといわざるを得ず,このことは,同法80条の2が,法人税額等の更正等に伴い当該事業年度以降の事業年度の所得額等が変動する場合等における更正の請求について,それを特例として認めていること 妨げられないといわざるを得ず,このことは,同法80条の2が,法人税額等の更正等に伴い当該事業年度以降の事業年度の所得額等が変動する場合等における更正の請求について,それを特例として認めていることなどからも明らかであるということができる。 ウ原告は,更正処分が納税義務の確認行為にすぎない以上,平成14年度の法人税の納付により,既に納税義務を果たした部分について,重複して納税義務を確認することは許されないと主張する。しかしながら,法人税の納税義務は,何ら特別な行為がされなくても,各事業年度ごとに成立す(),,るものであるが国税通則法15条2項3号その義務の具体的内容は申告・更正等の公法上の確認行為によって確定するものであるところ(同条1項,原告の確定申告によって,平成14年度の法人税の納税義務の)具体的内容は,原告のいう重複部分の益金に係る法人税額を含めて確定し,,,たというべきであるから原告が当該納税義務を果たしたからといって平成15年度の法人税の納税義務の消長に何ら影響するものではなく,原告の主張は前提を欠いており,理由がない。 エ以上のとおりであるから,原告の主張は理由がなく,平成14年度の確定申告において,益金として計上された部分であっても,本件各事業年度に帰属すべき益金である以上,本件各事業年度における原告の益金の範囲- 29 -に含まれると解するのが相当である。 (5)小括以上によれば処分行政庁が原告の入居一時金に係る収益のうち上記(1),,ないし(4)の各部分を本件各事業年度の原告の益金に含まれるものとして本件各更正処分等をしたことについて,違法はないというべきである(原告のその余の主張も,この判断を左右するに足りるものとは認められない。 。) 争点(2)(入居一時金の収益の帰属すべ ものとして本件各更正処分等をしたことについて,違法はないというべきである(原告のその余の主張も,この判断を左右するに足りるものとは認められない。 。) 争点(2)(入居一時金の収益の帰属すべき事業年度)について(1)収益計上時期の一般的基準法人税法上,内国法人の各事業年度の所得の金額の計算上当該事業年度の益金の額に算入すべき金額は,別段の定めがあるものを除き,資本等取引以外の取引に係る収益の額とするものとされ(同法22条2項,当該事業年)度の収益の額は,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従って計算すべきものとされている(同条4項。したがって,ある収益をどの事業年)度に計上すべきかは,一般に公正妥当と認められる会計処理の基準に従うべきであり,これによれば,収益は,その実現があった時,すなわち,その収入の原因となる権利(収入すべき権利と同義。以下同じ)が確定したとき。 の属する年度の益金に計上すべきであり(最高裁平成4年(行ツ)第45号同5年11月25日第一小法廷判決・民集47巻9号5278頁参照,ま)た,その収入の原因となる権利が確定する時期は,それぞれの権利の特質を考慮し決定されるべきである(最高裁昭和50年(行ツ)第123号同53年2月24日第二小法廷判決・民集32巻1号43頁参照。 )(2)本件終身入居金の収益計上時期ア本件終身入居金は,月々の管理費,食費,水道光熱費等に係る部分を除き,入居者に対し,終身にわたり,原告の施設を利用させ,介護を提供すること等の役務に対する対価としての機能を有する一方,当該役務を提供すべき期間は,入居者の死亡,当事者の解約の申出等の不確定な事情によ- 30 -って定まり,また,当該契約がこれらの事情によって中途で終了し,当該役務を提供すべき義務が将来に向かって消滅した 提供すべき期間は,入居者の死亡,当事者の解約の申出等の不確定な事情によ- 30 -って定まり,また,当該契約がこれらの事情によって中途で終了し,当該役務を提供すべき義務が将来に向かって消滅した場合でも,短期解約返済条項の適用があるときを除き,中途終了返済条項の定める額以外の額は,その返還を要しないという点に特徴がある。そうすると,本件終身入居金は,一定期間の役務の提供ごとに,それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものではなく,上記役務を終身にわたって受け得る地位に対応する対価であり,いわば賃貸借契約における返還を要しない保証金等に類するというべきである(法人税法基本通達2-1-41(乙9参照)は,当該保証金等は,返還を要しないこととなった日の属する事業年度の益金の額に算入されるとする。また,最高裁昭和55年(行ツ)第26号同56年10月8日第一小法廷判決・訟務月報28巻1号163頁も,賃貸借契約の保証金のうち,契約上,契約終了時に返還を要しないこととされる「償却費」は,その預託を受けた時の属する年の収入となるとする。 。)もとより,返済保証期間内に解約された場合には,中途終了返済条項の定めにより,本件終身入居金の一部額の返還を要することになるが,その額は,上記役務を提供すべき期間の残存期間に対応するものではなく,この観点からも,本件終身入居金が,役務の一定期間の提供ごとに,それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものとみることはできない。 イこのような本件終身入居金に係る権利の特質に照らせば,本件終身入居金の収入の原因となる権利が確定する時期は,上記役務の提供の有無等にかかわりなく決せられるべきところ,本件終身入居契約の定めによれば,本件終身入居金は,返済保証期間内に解約されたときは,中途終了返済条 収入の原因となる権利が確定する時期は,上記役務の提供の有無等にかかわりなく決せられるべきところ,本件終身入居契約の定めによれば,本件終身入居金は,返済保証期間内に解約されたときは,中途終了返済条項の定めに基づき,当該期間内で逓減する一部額の返還を要し(ただし,短期解約返済条項の定めがある契約が,契約後3か月以内に解約されたときは,日割りの施設利用料等の精算を要するものの,その全額の返還を要- 31 -する,返済保証期間の経過後に解約されたときは,その全額の返還を。)要しないことになるのであるから,その収入の原因となる権利は,期間の経過により,その返還を要しないことが確定した額ごとに,その返還を要しないことが確定した時に実現し,権利として確定するものと解するのが相当である。 ウ具体的には,返済保証期間を含む各事業年度において,当該事業年度末に解約等があったと仮定した場合の本件終身入居金の返金額(ただし,当該事業年度内に実際に解約等がされた場合には,実際の返金額とする)。 と当該事業年度の前の事業年度末に解約等があったと仮定した場合の本件終身入居金の返金額(ただし,当該事業年度の前の事業年度末に契約が未締結の場合には,本件終身入居金の全額とする)との差額が,当該事業。 年度において返還を要しないことが確定した額であるから,当該額を当該(,,事業年度の益金として計上すべきことになるなお上記の計算において短期解約返済条項の適用がある場合には,本件終身入居金の返金額は,後記(6)にも説示するとおり,その全額であると考えるべきことになる。 。)(3)本件短期入居金の収益計上時期ア本件短期入居金は,月々の管理費,食費,水道光熱費等に係る部分を除き,入居者に対し,1年間,原告の施設を利用させる等の役務の対価としての機能を有す 。 。)(3)本件短期入居金の収益計上時期ア本件短期入居金は,月々の管理費,食費,水道光熱費等に係る部分を除き,入居者に対し,1年間,原告の施設を利用させる等の役務の対価としての機能を有する一方,当該契約は,入居者の死亡,当事者の解約の申出等の不確定な事情によっても終了するから,実際に当該1年間の役務提供,,がされるかは定かでなく当該契約がこれらの事情によって中途で終了し当該役務を提供すべき義務が将来に向かって消滅した場合でも,短期解約返済条項の適用があるときを除き,その返還を要しないという点に特徴がある。そうすると,本件短期入居金は,一定期間の役務の提供ごとに,それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものではなく,1年間,施設の利用及び介護の提供を受け得る等の地位に対応する対価であっ- 32 -て,本件終身入居金と同様の性質を有するものであるというべきである。 イこのような本件短期入居金に係る権利の特質に照らせば,本件短期入居金の収入の原因となる権利が確定する時期は,上記役務の提供の有無等にかかわりなく決せられるべきところ,本件短期入居契約の定めによれば,本件短期入居金は,短期解約返済条項の定めがあり,契約後3か月以内に解約された場合には,短期解約返済条項の定めに基づき,日割りの施設利用料等の精算を要するものの,その全額の返還を要し,短期解約返済条項の適用がない場合には,その全額の返還を要しないことになるものであるから,その収入の原因となる権利は,期間の経過により,その返還を要しないことが確定した時に実現し,権利として確定すると解するのが相当である。 ウ具体的には,本件短期入居金は,①短期解約返済条項の定めがある契約の場合には,契約後3か月を経過したときに,その返還をしないことが確定するから,契約後3か して確定すると解するのが相当である。 ウ具体的には,本件短期入居金は,①短期解約返済条項の定めがある契約の場合には,契約後3か月を経過したときに,その返還をしないことが確定するから,契約後3か月を経過した日の属する事業年度に,その全額を益金として計上すべきことになり,②短期解約返済条項の定めがない契約の場合には,契約時に,その返還をしないことが確定するから,契約の日の属する事業年度に,その全額を益金として計上すべきことになる。 (4)本件A入居金の収益計上時期,,ア本件A入居金は本件A施設利用料及び本件A介護費用からなるところ①本件A施設利用料については,月々の管理費,食費,水道光熱費等に係る部分及び後述の介護に係る部分を除き,入居者に対し,1年間,原告の施設を利用させること等の対価としての機能を有し,入居者が,追加で本件A施設利用料を支払えば,1年間,当該契約を更新することができる一方,当該契約は,入居者の死亡,当事者の解約の申出等の不確定な事情によっても終了するから,実際に当該1年間の施設利用がされるかは定かでなく,当該契約がこれらの事情によって中途で終了し,当該役務を提供す- 33 -べき義務が将来に向かって消滅した場合でも,短期解約返済条項の適用があるときを除き,その返還を要しないという点に特徴があり,②本件A介護費用については,入居者に対し,介護の提供等をする役務に対する対価としての機能を有する一方,当該役務を提供すべき期間は,追加の費用の支払を要することなく,入居者の申出によって延長され,また,入居者の死亡,当事者の解約の申出等の不確定な事情によって終了し,当該役務を提供すべき義務が将来に向かって消滅した場合でも,短期解約返済条項の適用があるときを除き,中途終了返済条項の定める額以外の額は,その返還を要し の解約の申出等の不確定な事情によって終了し,当該役務を提供すべき義務が将来に向かって消滅した場合でも,短期解約返済条項の適用があるときを除き,中途終了返済条項の定める額以外の額は,その返還を要しないという点に特徴がある。そうすると,本件A短期入居金は,本件A施設利用料及び本件A介護費用のいずれも,一定期間の役務の提供ごとに,それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものではなく,上記①及び②の各条件の下に,施設の利用及び介護の提供を受け得る等の地位に対応する対価であって,結局,本件終身入居金と同様の性質を有するものであるというべきである。 イこのような本件A入居金に係る権利の特質に照らせば,本件A入居金の収入の原因となる権利が確定する時期は,上記役務の提供の有無等にかかわりなく決せられるべきところ,本件A入居契約は,個々の契約の具体的な定めに従い,本件A入居金のうち施設利用料については,契約後3か月以内に解約されたときは,短期解約返済条項の定めにより,その全額の返還を要し,当該条項の適用がない場合は,その全額の返還を要しないことになり,本件A介護費用については,契約後3か月以内に解約されたときは,短期解約返済条項の定めにより,その全額の返還を要し,当該条項の適用がない場合で,返済保証期間内に解約されたときは,中途終了返済条項の定めにより,当該期間内で逓減する一部額の返還を要し,そのいずれでもない場合は,その全額の返還を要しないことになるとするものであるから,その収入の原因となる権利は,期間の経過により,個々の契約の具- 34 -体的な定めにより,その返還を要しないことが確定した額ごとに,その返還を要しないことが確定した時に実現し,権利として確定すると解するのが相当である。 ウ具体的には,本件A入居金のうち,①本件A施 体的な定めにより,その返還を要しないことが確定した額ごとに,その返還を要しないことが確定した時に実現し,権利として確定すると解するのが相当である。 ウ具体的には,本件A入居金のうち,①本件A施設利用料は,本件短期入居金と同様に考えられるから,それと同様(前記(2)ウ参照)に処理し,②本件A介護費用は,本件終身入居金と同様に考えられるから,それと同様(前記(1)ウ参照)に処理すべきことになる。 (5)本件終身前受金に関する原告の主張についてア(ア)原告は,入居一時金のうち,本件終身前受金(ただし,争点(1)に関する前記1の判断を踏まえ,以下,前記1において原告の益金に含まれるとした部分のうち,終身にわたる役務に対する対価に相当する部分を含むものを指すものとする)の収益計上時期について,返済保証期。 間の経過までの間に全額を収益計上する前記(2)及び(4)の基準以下返(「済保証期間基準」という)を採ることを争い,返済保証期間の経過後。 であっても,原告は,入居者が生存する限り役務を提供しなければならず,当該役務の提供を怠れば損害賠償義務を負うから,実現主義の観点から,本件終身前受金の収益は当該役務の提供義務を履行するまで実現しないとして,想定入居期間内の一定期間の経過ごとに,本件終身前受金のうち当該一定期間に対応する額を収益計上すべきであると主張する(以下,この主張に係る基準を「想定入居期間基準」という。 。)(イ)しかしながら,前記(2)及び(4)で説示したところによれば,入居一時金のうち,本件終身前受金部分についても,その返還を要しないことが確定した額ごとに,その返還を要しないことが確定した時に,その収入の原因となる権利が実現すると考えられるのであるから,返済保証期間基準は,企業会計原則にいう実現主義と何ら矛盾する 還を要しないことが確定した額ごとに,その返還を要しないことが確定した時に,その収入の原因となる権利が実現すると考えられるのであるから,返済保証期間基準は,企業会計原則にいう実現主義と何ら矛盾するものではなく,これに適合するものということができる。これに対し,想定入居期間基- 35 -準は,一定の役務の提供ごとに,それに対応する対価が,収入の原因となる権利として実現するという考え方によるものと解されるが前記(2),及び(4)で説示したとおり,本件終身前受金は,一定期間の役務の提供ごとに,それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるもので,,。 はないのであるからその前提を欠いており採用することができない(ウ)もとより,返済保証期間の経過後であっても,役務提供義務の不履行によって,原告が損害賠償義務を負うことはあり得ると考えられるが,そのような場合には,本件終身前受金の全部又は一部が返還されるのではなく,入居者に生じた損害の額が賠償されることになるのであり,また,仮に,その場合において,本件終身前受金相当額の賠償を要することがあるとしても,そのような事態は,原告の債務不履行という新たな事由の発生によるものであるから,原告が損害賠償義務を負うことがあり得ることをもって,本件終身前受金等が,収入の原因となる権利として確定していないということはできないというべ(,,きであるなお前掲最高裁昭和56年10月8日第一小法廷判決は前記のとおり,賃貸借契約の保証金のうち,契約上,契約終了時に返還を要しないこととされる「償却費」は,その預託を受けた時の属す,,,る年の収入となるとしたものであるが同判決は当該賃貸借契約に賃貸人が,賃借人の債務不履行以外の理由によって賃貸借契約を解除した場合には,保証金の全額を返還す その預託を受けた時の属す,,,る年の収入となるとしたものであるが同判決は当該賃貸借契約に賃貸人が,賃借人の債務不履行以外の理由によって賃貸借契約を解除した場合には,保証金の全額を返還する必要があるとの定めが付されており,賃貸人の債務不履行等に基づく契約の解除がされた場合には償却費相当額の返還債務が新たに発生することが予定されている事案(その原審・東京高裁昭和54年12月11日判決・訟務月報28巻1号167頁参照)において,上記の結論を判示したものである。 。)イ(ア)また,原告は,いわゆる費用収益対応の原則の観点からも,想定入居期間基準は根拠付けられ,役務を提供すべき期間に生ずる費用と本件- 36 -終身前受金による収益とを対応させるには,当該収益を想定入居期間に按分等して計上する必要があると主張する。 (イ)しかしながら,本件終身前受金は,一定期間の役務の提供ごとに,それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものでないことは既に説示したとおりであって,原告の上記主張は前提を欠くといわざるを得ない。そもそも,費用収益対応の原則といっても,法人税額の計算においては,法人税法22条4項の公正妥当と認められる会計基準として,同条2項及び3項の文言を前提に考慮され得るものにすぎないところ,同項は,売上原価等のように,収益との対応関係が明確な類型の費用については,当該収益と同じ事業年度の損金として計上するものとして,当該収益に対し,当該費用を対応させる一方(1号,一般管理)費等のように,収益との対応関係が不明確な類型の費用については,当該費用の発生した事業年度の損金として計上するものとして,その発生し又は確定した時期に対し,その計上する時期を対応させ(2号,そ)の限度において,費用収益対応の原則を具体化してい 用については,当該費用の発生した事業年度の損金として計上するものとして,その発生し又は確定した時期に対し,その計上する時期を対応させ(2号,そ)の限度において,費用収益対応の原則を具体化しているものと解されるところ,これらの定めによれば,一定の事業年度に費用が発生するからといって,当該費用に対し,それ以前の事業年度に確定すべき収益を繰り延べて対応させることは,当該各号のいずれの規定にも適合せず,許されないものというべきである。 (ウ)原告は,返済保証期間基準の下で収益と費用とを対応させるためには,その計上した収益について,当該収益に対応する将来の役務提供費用を見積り計上すべきことになるはずであるとも指摘する。しかしながら,この指摘が前提を欠くことは,上記(イ)と同様であり,また,そもそも,原告も認めるように,本件各入居契約は,その契約の性質上,本件終身前受金に対応する役務の提供期間が不確定であり,収益に対応する役務原価の額を適正に見越すことはできないといわざるを得ないか- 37 -ら,この点からも,原告の当該主張を採用することはできない。 ウ(ア)原告は,被告の主張する権利確定主義の観点について,権利確定主義によるとしても,原告が,返済保証期間の経過後も,反対給付である役務の不履行によって,損害賠償債務を負う可能性がある以上,本件終身前受金に係る権利が確定したということはできず,その権利が確定するのは,それに対応する役務を完了したときであるとして,想定入居期間基準を採るべきであると主張する。 (イ)しかしながら,本件終身前受金が,その返還を要しないことが確定した額ごとに,その返還を要しないことが確定した時に実現し,権利として確定すると解されることは,前記(2)及び(4)並びに前記ア(イ)において既に説示したとおりであり, その返還を要しないことが確定した額ごとに,その返還を要しないことが確定した時に実現し,権利として確定すると解されることは,前記(2)及び(4)並びに前記ア(イ)において既に説示したとおりであり,原告の上記主張は,原告が,役務提供義務の不履行により損害賠償債務を負う可能性があることを理由に,本件終身前受金が,一定期間の当該役務と具体的な対応関係を有することを前提とするものであるところ,その主張が前提を欠くことも,前記ア(ウ)において既に説示したとおりである。 エ(ア)また,原告は,被告の主張する管理支配基準の観点について,①管理支配基準は,権利確定主義によると著しい不都合が生じてしまう場合の例外的な基準であるから,本件に用いるべきではなく,②また,仮に同基準によるとしても,収益を管理支配したというには,反対給付の履行等を前提にすべきところ,返済保証期間の経過後も,原告は,反対給付である役務を履行していないとして,想定入居期間基準を採るべきであると主張する。 (イ)しかしながら,(a)返済保証期間基準は,前記(1)のとおり,収入の原因となる権利が確定する時期を基準として収益を計上するものであり,権利確定主義に合致するというべきであって,殊更に権利確定主義によらずに管理支配基準を用いたものではないから,上記(ア)①の主張- 38 -,,,,はその前提を欠き(b)また管理支配という側面からみても原告は返済保証期間の経過後,その返還を要しなくなった金員について,何らの拘束なく自らの事業に使用することができ,当該金員を管理支配しているというべきであるから,返済保証基準は,管理支配基準にも合致するということができるのであって,同②の主張もこれを採用することはできない。この点に関する原告の主張は,本件終身前受金が,一定期間の いるというべきであるから,返済保証基準は,管理支配基準にも合致するということができるのであって,同②の主張もこれを採用することはできない。この点に関する原告の主張は,本件終身前受金が,一定期間の役務の提供ごとに,それと具体的な対応関係をもって発生する対価からなるものであり,役務の提供が,反対給付の履行等に当たることを前提とするものであるところ,既に説示したとおり,その所論は採用することができず,その主張は前提を欠くものである。 オ(ア)さらに,原告は,想定入居期間基準は,主務官庁の通知に準拠したものであるなどとして,法人税法22条4項の「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」に該当すると主張する。 確かに,甲第22及び第36号証並びに乙第8号証によれば,平成14年7月18日付け厚生労働省老人保健局長通知「有料老人ホームの設置運営標準指導指針について」及び6府県の同様の指針が「一時金…,の償却年数は平均余命を勘案し決め」るべきなどと定めており(以下,この指針を「償却期間指針」という,その趣旨が,本件終身入居金。)「」,のような一時金を複数の事業年度に配分して収益計上するに当たりその複数の事業年度にわたる期間(償却期間)の長さは,入居者の平均余命を勘案して決めるべきことを求めたものであることは認めることができる。しかし,①償却期間指針は,平均余命を基準に償却期間を決めることを求めるものにとどまり,その償却期間が,本件でいう返済保証期間と一致する必要がないことまでをいうものではないところ,②甲第36号証及び乙第8号証によれば,上記通知は,同時に,上記の「一時金」について「一定期間内に死亡又は退去したときの入居月数に応じ,- 39 -た返還金の算定方式を明らかにするよう求めていることが認められ以」(下,この指針を 記通知は,同時に,上記の「一時金」について「一定期間内に死亡又は退去したときの入居月数に応じ,- 39 -た返還金の算定方式を明らかにするよう求めていることが認められ以」(下,この指針を「返済金指針」という「償却期間」と上記「一定期。),間」との概念の関係について検討を要するが,乙第8号証によれば,償却期間指針は,資金収支計画及び損益計画に係る項目に記載されているのに対し,返却金指針は,入居者の支払う利用料等の取扱いに係る項目に記載されていることが認められ,その文脈に徴すれば,前者は,資金収支計画及び損益計画の観点から,償却期間の経過後,収入がないのに支出が生ずる期間が長期にわたるなどして資金繰りが困難になることのないようにすることを目的にしたものであるのに対し,後者は,入居者保護の観点から,中途解約の場合の返済額を「明らか」にすること,その返済額の計算は「入居月数」に応じた月割計算にすべきことに重点,を置いたものであると解するのが自然であり,このことによれば,同通知において「償却期間」と上記「一定期間」とが異なる概念を指す意図,,,で用いられているとはにわかに解し難く③現に乙第9号証によればBが発行する「C」には「受入れた入居金のうち返還を要しなくなっ,た部分をその年の収益額として計上する」として,上記通知にいう「償却期間」を返済保証期間と一致させるべきである旨の記載がされていることが認められること,④想定入居期間基準を採用する原告以外の有料老人ホームの存在をうかがわせる証拠もないことなどからすれば,想定入居期間基準が,法人税法22条4項の「一般に公正妥当と認められる」。 会計処理の基準に適合するとみることはできないといわざるを得ないまた,甲第23及び第24号証によれば,原告が想定入居期間基準を採用し 基準が,法人税法22条4項の「一般に公正妥当と認められる」。 会計処理の基準に適合するとみることはできないといわざるを得ないまた,甲第23及び第24号証によれば,原告が想定入居期間基準を採用していることが,厚生労働省及び各府県の検査においては問題とされていなかったことは認められるが,厚生労働省の指導指針については,その趣旨が上記のようなものであり,各府県の指導指針については,本件全証拠(特に甲第22号証)によっても,返済金指針に相当する指針- 40 -が定められていたのか否かが明らかでないところ,その余の主張立証を考慮しても,厚生労働省及び各府県の検査が,返済保証期間と「償却期間」との不一致に着目した上であえて当該取扱いを是認したものであったとまでは認め難く,この点の事情も,上記の結論を左右するものではないというべきである。 (イ)原告は,想定入居期間基準による会計処理について,原告が,監査法人から適正意見を受けており,また,これを税務上の会計処理として用いることにつき,税務署の担当官からこれを許容する意見を確認した上,それを30年以上にわたり続けてきたという事情も主張するが,そのことのみをもって,当該会計処理が税務上の会計処理として税法上適法であるということはできず,上記のとおり客観的には税法上違法と評価される税務上の会計処理を継続していたからといって(また,それが税務署によってそれまで看過されていたからといって,企業会計原則)にいう継続性の原則を満たすということもできない。原告は,返済保証期間基準によると,中途終了返済条項の定めによって,返済保証期間が変わり,恣意的な収益計上時期を定めることができるとも主張するが,恣意的な会計処理をするための仮装の契約である等の事情のない限り,税務上の会計処理をするに当たり,私法上の めによって,返済保証期間が変わり,恣意的な収益計上時期を定めることができるとも主張するが,恣意的な会計処理をするための仮装の契約である等の事情のない限り,税務上の会計処理をするに当たり,私法上の契約内容に沿うべきことは当然であって,この点の主張も採用することができない(なお,仮に,本件終身前受金が想定入居期間における役務の単純な対価であるとすれば,当該役務の提供期間よりも短い返済保証期間を定める本件終身入居契約等は,消費者契約法の観点から,その適法性・有効性に疑義の生ずるところであり,これを同法との関係で瑕疵のない適法かつ有効な契約と解する以上,本件終身前受金が想定入居期間における役務の単純な対価であるとは解し難いというべきである。 。)カ以上のとおり,原告の主張を考慮しても,本件終身前受金の収益計上時- 41 -期については,返済保証期間基準を採るのが相当であって,想定入居期間基準を採用することはできない。原告が,本件終身前受金につき,想定入居期間基準によって費用と収益とを可及的に対応させようとするのであれば,想定入居期間と返済保証期間とを一致させるように契約条項を定めれば足りるのであり,そのような定めをしないまま収益の繰延べをすることが許容されるべき理由はないというべきである。 (6)短期解約返済条項に関する原告の主張についてア原告は,仮に,返済保証期間基準を採るとしても,短期解約返済条項の適用がある契約の場合,入居一時金から日割りの施設利用料等を控除した額が返還されるのであるから,短期解約返済条項の定めがある契約においては,契約後3か月間,日々,当該日割りの施設利用料等が,その返還を要しない額として確定するものとして,これを収益計上すべきであると主張する。 イしかしながら,中途終了返済条項は,返済保証期間内の解 は,契約後3か月間,日々,当該日割りの施設利用料等が,その返還を要しない額として確定するものとして,これを収益計上すべきであると主張する。 イしかしながら,中途終了返済条項は,返済保証期間内の解約に際し,原告が返金すべき入居一時金の額を定めるものであり,その額が,期間の経過によって逓減することから,当該条項によって,収益として確定する額,,が決まると解することができる規定であるのに対し短期解約返済条項は当該条項の定めがなければ,たとえ契約の日に解約がされた場合であっても,入居一時金の一部又は全部が返還されなくなるところ,契約後3か月内という短期で解約された場合には,その全額を返還するものとして(乙8の5枚目・9(1)ウの第2段落参照,いわば一種のクーリング・オフ)(原告準備書面(第6回)の別紙冒頭参照)を定めた規定と解すべきものである。確かに,短期解約返済条項の定めに基づく実際の返金額は,当該全額から,日割りの施設利用料相当額等を控除した額となるが,既に説示したとおり,そもそも,本件各入居契約による入居一時金は,日々の施設利用等と具体的な対応関係を有する対価ではないこと,また,短期解約返- 42 -済条項の定めによれば,日割りの施設利用料相当額の控除と同時に,日割りの管理費など,本来,入居一時金によって補てんされるものではないことが明らかな費目も控除されることになることに照らせば,当該控除に係る定めは,中途終了返済条項のように,入居一時金の一定額を返還しないという趣旨ではなく解約がされた場合に一定の他の債権債務を精算相,,(殺)するという趣旨に解すべきものであり,原告が日割りの施設利用料相当額等の債権を取得するとか,現に解約されなかった場合にまで入居一時金のうち日割りの施設利用料相当額等が返還されなくなるというもの 殺)するという趣旨に解すべきものであり,原告が日割りの施設利用料相当額等の債権を取得するとか,現に解約されなかった場合にまで入居一時金のうち日割りの施設利用料相当額等が返還されなくなるというものではないというべきであるから,短期解約返済条項によって,当該日割りの施設利用料相当額等が,日々,確定しているとみることはできない。 ウしたがって,入居一時金のうち,返還しないことが確定する額の計算においては,前記(2)ウ,(3)ウ及び(4)ウのとおり,短期解約返済条項の適用がある場合には,解約に伴う入居一時金の返金額は全額であるとして,その額を算定すれば足り,実際に短期解約返済条項に基づく解約がされた場合には,当該解約の日の属する事業年度に,当該条項に基づく日割りの施設利用料等を収益計上することになる。 (7)小括以上によれば,上記(2)ないし(4)に説示した各種の入居一時金に係る収益計上時期に関する基準は,いずれも被告主張の基準と一致するものであるところ,処分行政庁が,それらの入居一時金につき,当該基準を適用して,本件各事業年度にそれぞれ計上すべき収益の額を認定し,これに基づき,本件各更正処分等をしたことについて,違法はないというべきである(原告のその余の主張も,この判断を左右するに足りるものとは認められない。 。) 争点(3)(理由付記の不備の違法の有無)について(1)原告は,青色申告の承認を受けた者であったところ,法人税法130条2項が青色申告に係る法人税について更正をする場合には更正通知書に更正- 43 -の理由を付記すべきものとしているのは,法が,青色申告制度を採用し,青色申告に係る所得の計算については,それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上,その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税 としているのは,法が,青色申告制度を採用し,青色申告に係る所得の計算については,それが法定の帳簿組織による正当な記載に基づくものである以上,その帳簿の記載を無視して更正されることがないことを納税者に保障した趣旨にかんがみ,処分行政庁の判断の慎重,合理性を担保してその恣意を抑制するとともに,更正の理由を相手方に知らせて不服申立ての便宜を与える趣旨に出たものというべきであり,したがって,帳簿書類の記載自体を否認して更正をする場合において更正通知書に付記す,,べき理由としては単に更正に係る勘定科目とその金額を示すだけではなくそのような更正をした根拠を帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示することによって具体的に明示することを要するが,帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合においては,当該更正は納税者による帳簿の記載を覆すものではないから,更正通知書記載の更正の理由が,そのような更正をした根拠について帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示するものでないとしても,更正の根拠を前記の処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨・目的を充足する程度に具体的に明示するものである限り,法の要求する更正理由の付記として欠けるところはないと解するのが相当である(最高裁昭和56年(行ツ)第36号同60年4月23日第三小法廷判決・民集39巻3号850頁参照。 )(2)これを本件についてみるに,本件各当初更正処分等が,帳簿書類の記載自体を否認することなしに更正をする場合に当たることに争いはなく,甲第3ないし第5号証によれば,本件各事業年度に収益計上されるべき入居一時金の額について,本件各当初更正処分等の更正通知書には,入居一時金のうち,①「返済保証金」及び「入居者基金」は,契約から3か月を経過した日に入居者に返済 ,本件各事業年度に収益計上されるべき入居一時金の額について,本件各当初更正処分等の更正通知書には,入居一時金のうち,①「返済保証金」及び「入居者基金」は,契約から3か月を経過した日に入居者に返済されないことが確定するため,当該事業年度内に契約から3か月を経過した日が含まれる契約に係る部分が,当該事業年度の益金に含まれる旨,②「終身契約の会員費」及び「短期契約の介護費」のうち上記①以- 44 -外の部分は,期間の経過に応じて入居者への返済金額が逓減することから,当該事業年度に入居者への返済が不要となる部分が,当該事業年度の益金になる旨,③「短期契約を更新する場合の施設利用料」は,契約更新の時に入居者に返済されないことが確定するため,当該事業年度に更新された契約に係る部分が,当該事業年度の益金に含まれる旨が記載されていることが認められるところ,これらの記載からは,返金しないことが確定した金員は,その返金しないことが確定したときの収益となるとの基準の下に,処分行政庁がその基準を本件各入居契約の入居一時金の各部分に当てはめていることが,当該記載自体によって了知し得るものというべきである。そうすると,当該記載は,当該更正における処分行政庁の判断過程を,その判断の基準及び方法を了知し得る程度に記載したものということができ,処分行政庁は,上記のような内容の理由を記載することによって,本件の各更正における自らの判断過程(益金を計上すべき事業年度の判断基準及び当該基準を本件各入居契約の入居一時金に適用する方法・結果等)を逐一検証することができるのであるから,その判断の慎重,合理性の担保による処分行政庁の恣意抑制という理由付記制度の趣旨・目的との関係において欠けるところはないというべきであり,また,不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨・目的と ら,その判断の慎重,合理性の担保による処分行政庁の恣意抑制という理由付記制度の趣旨・目的との関係において欠けるところはないというべきであり,また,不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨・目的との関係においても,原告において処分行政庁の判断の当否(前記基準及び当該基準の適用の方法・結果等の当否)を検討するのに必要な処分行政庁の当該判断過程を了知し得るものということができるのであって,上記①ないし③の各事項を内容とする更正通知書の記載は,法人税法130条2項の要求する更正理由の付記として欠けるところはなく,この点に違法はないというべきである。 (3)原告は,前記各更正通知書の記載につき,入居一時金のうち一定の部分の返還しないことが確定する旨の摘示は,契約内容を単に事実として記載しただけであり,当該部分が当該事業年度の益金となるという結論に対する理- 45 -由付けにはならないと主張する。しかしながら,契約内容のうち特定の事項を摘示し,それを一定の事実に適用した場合の契約上の効果(返還しないことの確定)をもって当該部分が益金となる理由として記載する以上,処分行政庁が,当該部分を返還しないことが確定するという契約上の効果を益金となることのメルクマールと考えていることは容易に看取されるのであり,しかも,複数の部分について,いずれも同様の契約上の効果を招来する事実関係が理由として記載されているのであるから,それらの事実関係に共通の契約上の効果としての一般的な要件(返還しないことの確定)が,処分行政庁の判断の根拠となる理由付けであることは容易に了知し得る事柄であったというべきであって,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨・目的に照らせば,上記(2)①ないし③の事項を内容とする各更生通知書の記載をもって,当該趣旨 し得る事柄であったというべきであって,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という理由付記制度の趣旨・目的に照らせば,上記(2)①ないし③の事項を内容とする各更生通知書の記載をもって,当該趣旨・目的の達成のために必要な更正理由の付記として欠けるところはないと解するのが相当であり,原告の上記主張は採用することができない。 (4)甲第7,第8号証並びに第9号証の1及び2(原告の税務当局に対する嘆願書)によれば,本件当初各更正処分等に先立ち,原告と税務当局との間で半年以上にわたる折衝があり,原告が,税務当局担当官の「調査結果の税法通達及び判例に基づく説明」等に納得せず,前記厚生労働省老人保健局長通知に基づく会計処理をしていると反論するなど,両者の議論は平行線をたどっていたことが認められ,この経緯からすれば,処分行政庁としても,上記(2)①ないし③の事項を内容とする理由の記載によって,直ちに原告が納得するものではないことは予見し得たということはできるものの,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という前記理由付記制度の趣旨・目的に照らせば,更正処分における理由の記載は,それ自体において処分行政庁の判断過程が理解され得るものであれば足り,それ以上に相手方を納得させるものであるまでの必要はないというべきであり,まして,本件のように,事- 46 -前の折衝でも約半年余にわたり議論の対立が続いていた状況の下では,直ちに相手方を納得させる理由を記載することは困難というべきであるから,上記事情を勘案しても,前記理由付記の適法性が左右されるものではないというべきである。 (5)なお,本件各更正処分等が,帳簿書類の記載自体を否認して更正をする場合に当たるとみるとしても,上記(3)に説示したとおり具体的な契約内容を摘示した各更正通知書の記載によれ いうべきである。 (5)なお,本件各更正処分等が,帳簿書類の記載自体を否認して更正をする場合に当たるとみるとしても,上記(3)に説示したとおり具体的な契約内容を摘示した各更正通知書の記載によれば,事案の性質上,当該各処分が,本件各入居契約の契約書の内容に基づいて上記の更正等をしたものであることは客観的に明らかであったというべきであるから,当該各処分は,その理由付記において,更正の根拠となる帳簿記載以上に信ぴょう力のある資料を摘示したものということができ,処分行政庁の恣意抑制及び不服申立ての便宜という前記理由付記制度の趣旨・目的に照らし,法人税法130条2項の要求する更正理由の付記として欠けるところはないものと解するのが相当である。 (6)以上によれば,本件各更正処分等の理由付記に所論の理由不備はなく,この点に違法はないというべきである。 本件各更正処分等の適法性(1)そして,甲第3ないし第5号証(本件各当初更正処分等の更正通知書)及び第19ないし第21号証(本件各再更正処分等の更正通知書)並びに弁論の全趣旨によれば争点(2)について前記2で説示した基準に従い争点(1),,について前記1で説示した益金を含む原告の益金を本件各事業年度の収益として計上し,原告の法人税に係る計算をすると,①その所得金額は,別紙1「課税の根拠及び計算」の第1の1(1),2(1)及び3(1)記載の各金額を下回らず,その翌期に繰り越す欠損金の額は,同1(2)記載の金額を超えないこと,また,②その納付すべき税額は,同2(3)及び同3(3)記載の各金額を超えないこと,③その過少申告加算税の額は,同別紙1の第2の1及び2記- 47 -載の各金額を超えないことがそれぞれ認められ,同別紙1の第1及び第2の上記各項記載の各金額は,別紙2「本件各事業年度の法 ないこと,③その過少申告加算税の額は,同別紙1の第2の1及び2記- 47 -載の各金額を超えないことがそれぞれ認められ,同別紙1の第1及び第2の上記各項記載の各金額は,別紙2「本件各事業年度の法人税に関する経緯」の第1ないし第3の各表の本件各更正処分等に対応する欄(本件各再更正「処分等」欄及び「審査裁決」欄)記載の各金額とそれぞれ一致するから,争点(3)について前記3で説示したとおり,本件各更正処分等に所論の手続上の違法もない以上,本件各更正処分等は,いずれも適法というべきである。 (2)なお,原告は,その準備書面(第6回)において,本件各更正処分等における法人税額の計算が,被告主張の計算方法によって一貫されていないこと等を指摘し,本件各更正処分等がずさんであると主張するところ,同主張は,上記(1)の認定を争うものと解する余地もあるので,念のため,この点について付言するに,以下のとおり,同主張は,上記(1)の認定を妨げず,本件各更正処分等の適法性を左右するものではないというべきである。 ア原告は,被告がその準備書面(6)において実際に短期解約返済条項の適用がされたと主張する入居者以外にも,本件各更正処分等において,同条項の適用があったとして処理されている入居者(原告準備書面(第6回)別紙の2)がいることを指摘する。しかしながら,乙第21号証(原告が部屋番号等を特定して指摘する入居者の入居契約書)によれば,当該入居者に係る入居契約について,短期解約返済条項は付されていなかったことが認められるところ,確かに,甲第19号証及び弁論の全趣旨によれば,当該入居者は,入居契約の解約に伴い,短期解約返済条項の定めがあったのと同様の計算による返還金を受領していることが認められるものの,甲第19号証及び乙第21号証によれば,当該契約に係る入居一 れば,当該入居者は,入居契約の解約に伴い,短期解約返済条項の定めがあったのと同様の計算による返還金を受領していることが認められるものの,甲第19号証及び乙第21号証によれば,当該契約に係る入居一時金については,本件各更正処分等において,その返還金を除いた残額のみが,その入居時及び解約時を含む事業年度の収益として計上されていることが認められるのであるから,この点は,上記(1)の判断を妨げるものではなく,本件各更正処分等の適法性を左右するものではない。 - 48 -イ原告は,本件各更正処分等において短期解約返済条項の適用があったとされる入居者以外にも,実際には短期解約返済条項の適用がされていた入居者(原告準備書面(第6回)別紙の3)がいるとも指摘する。しかしながら,甲第19及び第21号証(当該入居者に係る収益が計上されるべき各事業年度の本件再更正処分等の更正通知書)によれば,当該入居者に係る収益は,そもそも,本件各更正処分等の基礎とされていないことが認められ,その収益が当該各事業年度の収益として計上されていないことについて,原告に不利はないと認めるべきであるから,この点も,上記(1)の判断を妨げるものではなく,本件各更正処分等の適法性を左右するものではない。 ウ原告は,短期解約返済条項に関する被告の主張によれば,契約後3か月を経過した日の属する平成15年度に計上されるべき収益が,平成14年度に計上されており,被告の課税の計算に誤りがあると主張する。原告の当該主張は,平成15年度の収益が,本来よりも少なく計上されているというものであり,他方で,その結果,本来よりも多額の収益が計上されたものとされる平成14年度は,本件各更正処分等の対象事業年度に含まれていない以上,当該主張は,本件各更正処分等の違法を基礎付けるものではないというべ 方で,その結果,本来よりも多額の収益が計上されたものとされる平成14年度は,本件各更正処分等の対象事業年度に含まれていない以上,当該主張は,本件各更正処分等の違法を基礎付けるものではないというべきであるところ,その点を措くとしても,甲第19号証及び第34号証の2によれば,当該収益に係る入居者の入居契約には,短期解約返済条項の定めがなかったことが認められるのであって,原告の当該主張は,いずれにしても,その前提を欠き,採用することができない。 (3)原告のその余の主張も,本件各更正処分等の適法性に関する前示の認定・判断を左右するに足りるものとは認められない。 結論 よって,原告の請求はいずれも理由がないから棄却することとし,訴訟費用の負担について,行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文の- 49 -とおり判決する。 東京地方裁判所民事第2部裁判長裁判官岩井伸晃裁判官小海隆則裁判官吉野俊太郎- 50 -(別紙1)課税の根拠及び計算第1法人税 平成15年度(1)課税所得金額0円上記金額は,次のアの金額にイの金額を加算し,ウの金額を控除した金額である。 ア当初の確定申告(減額更正後のもの)における課税所得金額0円上記金額は,日本橋税務署長がした平成15年度減額更正処分における更正通知書に記載された課税所得金額である。 イ所得金額に加算すべき収益の金額10億2873万9752円上記金額は,原告が入居一時金として受領した金員のうち,平成16年年度に返還を要しないこととなった金額の合計40億7610万7652円(消費税及び地方消費税3533万9396円を除く)と,原告が平。 成16年6月29日に日本橋税務署長に対し提出した平成15年度の法人税の確定申告書添付の課税事業損益計算書 0億7610万7652円(消費税及び地方消費税3533万9396円を除く)と,原告が平。 成16年6月29日に日本橋税務署長に対し提出した平成15年度の法人税の確定申告書添付の課税事業損益計算書に記載された入居金収益の金額30億4736万7900円との差額である。 ウ所得金額から減算すべき収益の金額10億2873万9752円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の各金額の合計額である。 (ア)有料老人ホーム入居者基金制度加入料3860万円,,(「」。)「」上記金額は原告が社団法人B以下BというのD制度に加入するため,平成15年度にBに対して支払った金員の合計額である。 (イ)損金の額に算入される繰越欠損金9億9013万9752円上記金額は,当期の損金の額に算入される前期から繰り越された欠損金額である。 - 51 -(2)翌期へ繰り越す欠損金額22億3911万4841円上記金額は,翌期以降の事業年度において損金の額に算入される欠損金額である。 平成16年度(1)課税所得金額15億3881万4317円上記金額は,次のアの金額にイの金額を加算し,ウの金額を控除した金額である。 ア当初の確定申告における課税所得金0円上記金額は,原告が平成17年6月27日に日本橋税務署長に提出した平成16年度の法人税の確定申告書(以下「平成16年度確定申告書」という)に記載された課税所得金額である。 。 イ所得金額に加算すべき収益の金額15億7985万4317円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の各金額の合計額である。 (ア)入居一時金収益の計上漏れ10億8653万7463円上記金額は,原告が入居一時金として受領した金員のうち,平成16年度に返還を要しないこととなった金額の合計45億1542万( である。 (ア)入居一時金収益の計上漏れ10億8653万7463円上記金額は,原告が入居一時金として受領した金員のうち,平成16年度に返還を要しないこととなった金額の合計45億1542万(。),5032円消費税及び地方消費税3922万0001円を除くと平成16年度確定申告書添付の課税事業損益計算書に記載された入居金収益の金額34億2888万7569円との差額である。 (イ)欠損金額の当期控除額過大4億9331万6854円上記金額は,当期の損金の額に算入される前期から繰り越された欠損金額22億3911万4841円と,平成16年度確定申告書において原告が損金の額に算入した欠損金額27億3243万1695円との差額である。 ウ所得金額から減算すべき収益の金額4104万円上記金額は,原告が,前記「D制度」に加入するため,平成16年度に- 52 -Bに対して支払った金員の合計額である。 (2)課税所得金額に対する法人税額3億3853万9080円上記金額は,前記(1)の課税所得金額について,国税通則法(ただし,平成18年法律第10号による改正前のもの。以下同じ)118条1項の規。 定により千円未満の端数金額を切り捨て,法人税法66条3項(ただし,同改正前のもの)及び同廃止前の経済社会の変化等に対応して早急に講ずべき所得税及び法人税の負担軽減措置に関する法律(平成11年法律第8号。ただし,平成18年法律第10号による廃止前のもの)16条1項の規定による税率22%を乗じて計算した金額である(3)納付すべき法人税額3億3853万9000円上記金額は,上記(2)の法人税額について,国税通則法119条1項の規定により百円未満の端数金額を切り捨てた後のものである。 (4)既に納付の確定した本税額0円,。 上記金額は平 万9000円上記金額は,上記(2)の法人税額について,国税通則法119条1項の規定により百円未満の端数金額を切り捨てた後のものである。 (4)既に納付の確定した本税額0円,。 上記金額は平成16年度確定申告書における納付すべき法人税額である(5)差引納付すべき法人税額3億3853万9000円上記金額は,前記(3)の金額から上記(4)の金額を差し引いた金額である。 平成17年度(1)課税所得金額17億1438万0566円上記金額は,次のアの金額にイの金額を加算し,ウの金額を控除した金額である。 ア当初の確定申告における課税所得金額0円上記金額は,原告が平成18年6月23日に日本橋税務署長に提出した平成17年度の法人税の確定申告書(以下「平成17年度確定申告書」という)に記載された課税所得金額である。 。 イ所得金額に加算すべき収益の金額19億4363万5866円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の各金額の合計額である。 - 53 -(ア)入居一時金収益の計上漏れ15億3216万7277円上記金額は,原告が入居一時金として受領した金員のうち,平成17年度に返還を要しないこととなった金額の合計48億3094万(。),3525円消費税及び地方消費税3151万7387円を除くと平成17年度確定申告書添付の課税事業損益計算書に記載された入居金収益の金額32億9877万6248円との差額である。 (イ)欠損金額の当期控除額過大4億1146万8589円上記金額は,平成17年度確定申告書において原告が損金の額に算入した欠損金額である。 ウ所得金額から減算すべき収益の金額2億2925万5300円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の各金額の合計額である。 (ア)D制度加入料4171万円上記金額は,原告が, した欠損金額である。 ウ所得金額から減算すべき収益の金額2億2925万5300円上記金額は,次の(ア)及び(イ)の各金額の合計額である。 (ア)D制度加入料4171万円上記金額は,原告が,前記「D制度」に加入するため,平成17年度にBに対して支払った金員の合計額である。 (イ)事業税相当額1億8754万5300円上記金額は,本件当初更正等処分により増額した平成16年度の所得額19億5359万7814円について,地方税法20条の4の2第1項に基づき千円未満の端数を切り捨て,同法72条の24の7に規定する標準税率9.6%を乗じ,同法20条の4の2第3項に基づき百円未満の端数を切り捨てた額である(なお,上記金額は,当該所得のうち,800万円以下の部分に適用される税率を考慮せず,また,本件再更正処分等による所得額の減額を考慮していないため,本来の額より過大に算定されているが,損金に算入する額なので,そのことによって課税処分の適法性は左右されないというべきである。 。)(2)課税所得金額に対する法人税額3億7716万3600円上記金額は,前記(1)の課税所得金額について,前記2(2)と同様の計算を- 54 -して得た額である(3)納付すべき法人税額3億7716万3600円上記金額は,上記(2)の金額である。 (4)既に納付の確定した本税額0円,。 上記金額は平成17年度確定申告書における納付すべき法人税額である(5)差引納付すべき法人税額3億7716万3600円上記金額は,前記(3)の金額から上記(4)の金額を差し引いた金額である。 第2過少申告加算税 平成16年度5075万4500円上記金額は,次の(1)及び(2)の各金額の合計額である。 (1)国税通則法65条1項による算定額3385万3000 引いた金額である。 第2過少申告加算税 平成16年度5075万4500円上記金額は,次の(1)及び(2)の各金額の合計額である。 (1)国税通則法65条1項による算定額3385万3000円上記金額は,前記2(5)の金額について,国税通則法118条3項に基づき1万円未満の端数金額を切り捨て,同法65条1項に規定する割合10%を乗じて得た額である。 (2)国税通則法65条2項による加算額1690万1500円上記金額は,国税通則法65条2項の規定に基づき,前記2(5)の金額のうち,50万円を超える部分の額について,同法118条3項に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた額3億3803万円に対し,同法65条2項に規定する5%の割合を乗じて得た額である。 平成17年度5654万9000円上記金額は,次の(1)及び(2)の各金額の合計額である。 (1)国税通則法65条1項による算定額3771万6000円上記金額は,前記3(5)の金額について,国税通則法118条3項に基づき1万円未満の端数金額を切り捨て,同法65条1項に規定する割合10%を乗じて得た額である。 (2)国税通則法65条2項による加算額1883万3000円- 55 -上記金額は,国税通則法65条2項の規定に基づき,前記3(5)の金額のうち,50万円を超える部分の額について,同法118条3項に基づき1万円未満の端数金額を切り捨てた額3億7666万円に対し,同法65条2項に規定する5%の割合を乗じて得た額である。 以上- 56 -(別紙2)本件各事業年度の法人税に関する経緯第1平成15年度の法人税に関する経緯区分年月日所得金額納付すべき翌期へ繰り越す過少申告加算法人税額欠損金額税本件各確定申告平成16年6月29日0円0円19億 に関する経緯第1平成15年度の法人税に関する経緯区分年月日所得金額納付すべき翌期へ繰り越す過少申告加算法人税額欠損金額税本件各確定申告平成16年6月29日0円0円19億3729万7799円更正の請求平成17年5月30日0円0円32億1715万8417円平成15年度更正処分平成17年6月29日0円0円32億1715万8417円本件各当初更正処分等平成19年4月25日0円0円20億2896万5657円審査請求平成19年6月12日0円0円32億1715万8417円本件各再更正処分等平成20年2月4日0円0円22億3911万4841円審査裁決平成21年12月9日0円0円22億3911万4841円第2平成16年度の法人税に関する経緯区分年月日所得金額納付すべき翌期へ繰り越す過少申告加算税法人税額欠損金額本件各確定申告平成17年6月27日0円0円4億8472万6722円本件各当初更正処分等平成19年4月25日19億5359万7814円4億2979万1300円0円6444万3500円審査請求平成19年6月12日0円0円4億8472万6722円0円本件各再更正処分等平成20年2月4日15億3881万4317円3億3853万9000円0円5075万4500円審査裁決平成21年12月9日15億3881万4317円3億3853万9000円0円5075万4500円第3平成17年度の法人税に関する経緯区分年月日所得金額納付すべき翌期へ繰り越す過少申告加算税法人税額欠損金額本件各確定申告平成18年6月23日0円0円7325万8133円本件各当初更正処分等平成19年4月25日18億3336万6089円 べき翌期へ繰り越す過少申告加算税法人税額欠損金額本件各確定申告平成18年6月23日0円0円7325万8133円本件各当初更正処分等平成19年4月25日18億3336万6089円4億0334万0500円0円6047万6000円審査請求平成19年6月12日0円0円7325万8133円0円本件各再更正処分等平成20年2月4日17億1438万0566円3億7716万3600円0円5654万9000円審査裁決平成21年12月9日17億1438万0566円3億7716万3600円0円5654万9000円
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