平成25(行ケ)70等 各選挙無効請求事件

裁判年月日・裁判所
平成25年12月20日 東京高等裁判所 選挙
ファイル
hanrei-pdf-84409.txt

判決文本文17,047 文字)

-1-平成25年12月20日判決言渡平成25年(行ケ)第70号,同第71号,同第72号,同第73号,同第74号,同第75号,同第76号,同第77号,同第78号,同第79号,同第80号各選挙無効請求事件 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は,原告らの負担とする。 事実及び理由 第1 請求 挙区,茨城県選挙区,栃木県選挙区,群馬県選挙区,埼玉県選挙区,千葉県選挙区,神奈川県選挙区,新潟県選挙区,山梨県選挙区,長野県選挙区及び静岡県選挙区(以下「本件各選挙区」という。)における各選挙を無効とする。 2 訴訟費用は,被告らの負担とする。 第2 事案の概要 1 本件は,平成25年7月21日に施行された参議院議員通常選挙(以下「本件選挙」という。)について,本件各選挙区の選挙人である原告らが,平成24年11月26日に施行された公職選挙法の一部を改正する法律による改正(以下「本件改正」という。)後の公職選挙法14条1項,別表第3による選挙区及び議員数の規定(以下「本件定数配分規定」という。また,数次の改正の前後を通じ,平成6年法律第2号による改正前の別表第2を含めた同規定を「参議院議員定数配分規定」という。)が,憲法の保障する人口比例選挙に反し,投票価値の平等に反して無効であるから,これに基づき施行された本件選挙も無効であると主張して,公職選挙法204条に基づき,本件各選挙区における選挙の無効を求める選挙無効訴訟である。 2 前提となる事実(当事者間に争いがないか,公知の事実又は後掲証拠及び弁-2-論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 本件選挙において,第70号事件原告Aは東京都選挙区の,第71号事件原告Bは茨城県選挙区の,第72号事件原告Cは栃木県選挙区の, び弁-2-論の全趣旨により容易に認定できる事実)(1) 本件選挙において,第70号事件原告Aは東京都選挙区の,第71号事件原告Bは茨城県選挙区の,第72号事件原告Cは栃木県選挙区の,第73号事件原告Dは群馬県選挙区の,第74号事件原告Eは埼玉県選挙区の,第75号事件原告Fは千葉県選挙区の,第76号事件原告Gは神奈川県選挙区の,第77号事件原告Hは新潟県選挙区の,第78号事件原告Iは山梨県選挙区の,第79号事件原告Jは長野県選挙区の,第80号事件原告Kは静岡県選挙区の,各選挙人である。 (2) 本件選挙施行日において,参議院議員の定数は242人で,そのうち146人が選挙区選出議員,96人が比例代表選出議員であり(公職選挙法4条2項),本件選挙はそれらの半数を改選するものであった。 (3) 参議院議員の選挙制度及びその改正の経緯並びに投票価値の最大較差(以下,議員1人当たりの登録有権者を基準とした選挙区間の較差を「較差」と,この最大較差を「最大較差」といい,人口を基準とした最大較差を「最大較差(人口)」という。数値は概数である。)ア参議院議員選挙法制定時における仕組みと方針昭和22年に制定された参議院議員選挙法(昭和22年法律第11号)は,参議院議員250人を全国選出議員100人と地方選出議員150人とに区分して,前者については全都道府県の区域を通じ,後者については都道府県を単位とする選挙区において選出する仕組みを採用した上,各選挙区の議員定数については,半数改選制(憲法46条)を踏まえて,これを偶数とし,その最小限を2人とする方針の下に,その当時の人口に基づき,各選挙区の人口数に比例する形で2人ないし8人の偶数の議員数を配分した。全国選出議員と地方選出議員とに分けた趣旨は,前者において,全国的 ,その最小限を2人とする方針の下に,その当時の人口に基づき,各選挙区の人口数に比例する形で2人ないし8人の偶数の議員数を配分した。全国選出議員と地方選出議員とに分けた趣旨は,前者において,全国的視野に立って国政を判断する知識や学識経験の豊かな有為な人材を選出しようとする一方,後者において,地域代表的性格を有する者を選-3-出しようとするものであるとされていた。(乙2)イ本件選挙までの公職選挙法の改正と投票価値の最大較差(ア) 平成22年施行の参議院議員通常選挙まで昭和25年に制定された公職選挙法の参議院議員定数配分規定は,前記参議院議員選挙法の仕組みをそのまま引き継いだものであった。その後,沖縄返還に伴って沖縄県選挙区(議員定数2人)が付加されたほかは,平成6年法律第47号による公職選挙法の改正(以下「平成6年改正」という。)まで,参議院議員定数配分規定に変更はなかった。なお,昭和57年法律第81号による公職選挙法の改正により,参議院議員選挙について,全国選出議員が各政党等の得票に比例して選出される,いわゆる拘束名簿式比例代表制が導入され,比例代表選出議員100人と都道府県を単位とする選挙区ごとに選出される選挙区選出議員152人とに区分されることになったが,選挙区選出議員は従来の地方選出議員の名称が変更しただけで,選挙制度の仕組み自体に変更はなかった。 参議院議員選挙制度発足当時,選挙区間における議員1人当たりの人口の最大較差(人口)は1対2.62であったが,その後次第に拡大し,昭和52年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「昭和52年選挙」という。)の最大較差は1対5.26となり,平成4年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成4年選挙」という。)の最大較差は1対6.59 に施行された参議院議員通常選挙(以下「昭和52年選挙」という。)の最大較差は1対5.26となり,平成4年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成4年選挙」という。)の最大較差は1対6.59にまで達した。 その後,平成6年改正により,参議院議員の総定数(252人)及び選挙区選出議員の定数(152人)を増減しないまま,7選挙区で定数が8増8減された結果,平成7年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成7年選挙」という。)の最大較差は1対4.97,平成10年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成10年選挙」という。)の最大較差は1対4.98となった。 -4-平成12年法律第118号による公職選挙法の改正(以下「平成12年改正」という。)により,比例代表選出議員の選挙制度がいわゆる非拘束名簿式比例代表制に改められるとともに,比例代表選出議員の定数が4人削減されて96人とされ,選挙区選出議員の定数は6人削減されて146人とされた。しかしながら,平成12年改正後の平成13年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成13年選挙」という。)の最大較差は1対5.06であり,平成16年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成16年選挙」という。)の最大較差は1対5. 13であった。 平成16年12月1日,参議院議長の諮問機関である参議院改革協議会の下に選挙制度に係る専門委員会が設置され,選挙制度の見直しが協議されて,平成17年10月に参議院改革協議会に結果が報告されたが,その報告では,現行の選挙制度の仕組みを維持する限り較差を1対4以内に抑えることは相当に困難である旨が指摘されている。もっとも,同協議会では意見の一致が見られず,当面の是正措置として平成18年法律第52号による公職選挙法の改正(以下「平成18 限り較差を1対4以内に抑えることは相当に困難である旨が指摘されている。もっとも,同協議会では意見の一致が見られず,当面の是正措置として平成18年法律第52号による公職選挙法の改正(以下「平成18年改正」という。)が成立し,選挙区選出議員の定数が4選挙区で4増4減された結果,平成19年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成19年選挙」という。)の最大較差は1対4.86であった。 平成20年6月9日,改めて参議院改革協議会の下に選挙制度に係る専門委員会(以下「平成20年専門委員会」という。)が設置され,同委員会では,学識経験者から最高裁判決の動向を踏まえた意見を聴取するなどして,参議院の在り方を含めた参議院の選挙制度の見直しについて,6回にわたり協議された。その結果,平成22年の参議院議員通常選挙に関する定数較差是正の合意は見送られたものの,選挙制度の仕組みの見直しの必要性については各会派が共通に理解し,見直しのための-5-「今後の大まかな工程表(案)」が了承されて,平成25年の本件選挙に向けて選挙制度の見直しを行うことになった。同工程表(案)には,参議院議員選挙制度改革のための公職選挙法改正案を平成23年内に提出することが示されていた(しかし,同改正案の提出はされなかった。)。(甲22,乙2)平成22年7月に施行された参議院議員通常選挙(以下「平成22年選挙」という。)の最大較差は1対5.00であった。 (イ) 平成22年選挙後本件選挙まで平成22年選挙の後,参議院で,正副議長及び各会派の代表により構成される「選挙制度の改革に関する検討会」(以下「選挙制度改革検討会」という。)及びその検討会の下に選挙制度協議会(以下「選挙制度協議会」という。)が設置され,平成24年7月までの間に計11回,平成25年の本 挙制度の改革に関する検討会」(以下「選挙制度改革検討会」という。)及びその検討会の下に選挙制度協議会(以下「選挙制度協議会」という。)が設置され,平成24年7月までの間に計11回,平成25年の本件選挙に向けた選挙制度の見直しに関する協議が重ねられたが,成案を得ることはできなかった。 そこで,当面の是正措置として,本件選挙における最大較差を5倍以内とするために,選挙区選出議員の定数について4選挙区で4増4減する内容の,参議院議員定数配分規定を改正する公職選挙法の一部を改正する法律案(同法律案によれば,平成22年実施の国勢調査の結果に基づく最大較差(人口)は1対4.75となる。)が,平成24年8月に国会に提出され,同法律案は同年11月16日に可決されて,同月26日に公布,施行された(本件改正)。同法律の附則3条には,「平成28年に行われる参議院議員の通常選挙に向けて,参議院の在り方,選挙区間における議員一人当たりの人口の較差の是正等を考慮しつつ選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得るものとする。」と明記された(以下「本件改正附則」という。)。 選挙制度協議会は,平成24年11月,平成25年3月,同年5月と-6-継続して開かれ,同年6月19日に開催された選挙制度改革検討会(第7回)において,民主党から各会派に対し,平成26年中に選挙制度の見直し案を取りまとめた上で,平成27年に見直し法案を提出し,周知期間を置いて,平成28年の参議院議員通常選挙(以下「平成28年選挙」という。)から新選挙制度を適用することを前提とした工程表(乙11の2。以下「本件工程表」という。)が示され,各会派は抜本的な見直しに向けた協議を行い,早急に結論を得ることが確認された。(以上,甲2,21ないし23,42,乙2ないし5,10, した工程表(乙11の2。以下「本件工程表」という。)が示され,各会派は抜本的な見直しに向けた協議を行い,早急に結論を得ることが確認された。(以上,甲2,21ないし23,42,乙2ないし5,10,11の1,2)ウ本件選挙における選挙区間の較差本件選挙における選挙区間の最大較差は,登録有権者数最少の鳥取県選挙区(議員1人当たりの登録有権者数24万1096人)と同最多の北海道選挙区(同114万9739人)との間では1対4.77である。 鳥取県選挙区と東京都選挙区(同107万7733人)との較差は1対4.47,茨城県選挙区(同60万4564人)の較差は1対2.51,栃木県選挙区(同81万2684人)との較差は1対3.37,群馬県選挙区(同81万0842人)との較差は1対3.36,埼玉県選挙区(同98万0428人)との較差は1対4.07,千葉県選挙区(同84万3781人)のと較差は1対3.50,神奈川県選挙区(同92万0634人)との較差は1対3.82,新潟県選挙区(同48万8006人)との較差は1対2.02,山梨県選挙区(同34万8426人)との較差は1対1.45,長野県選挙区(同43万6619人)との較差は1対1.81,静岡県選挙区(同76万6609人)との較差は1対3.18であった。(乙1)エ本件選挙後の公職選挙法改正の動向本件選挙後に就任した参議院議長は,平成25年8月7日,参議院本会議の終了に当たり,参議院議員の選挙制度改革は喫緊の課題であり,各会-7-派には,精力的に検討するように希望すると発言し,同年9月12日にはが設置された。その後,同検討会やその下に設置された選挙制度協議会において,本件工程表を基本にした検討が進められている。(乙7,12の1ないし4,13ないし1 に希望すると発言し,同年9月12日にはが設置された。その後,同検討会やその下に設置された選挙制度協議会において,本件工程表を基本にした検討が進められている。(乙7,12の1ないし4,13ないし17,18の1,2)(4) 参議院議員選挙無効訴訟における最高裁判決の動向ア最高裁昭和58年4月27日大法廷判決・民集37巻3号345頁(以下「昭和58年判決」という。)は,最大較差1対5.26の昭和52年選挙について,いまだ違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたとするには足りない旨判示した。 イ最高裁平成8年9月11日大法廷判決・民集50巻8号2283頁(以下「平成8年判決」という。)は,最大較差1対6.59の平成4年選挙について,結論として同選挙当時における参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえないとしたものの,同選挙当時の較差は違憲の問題が生ずる程度の投票価値の著しい不平等状態が生じていたものといわざるを得ない旨判示し,裁判官7名が違憲の意見を述べた。 ウ最高裁平成10年9月2日大法廷判決・民集52巻6号1373頁は,平成6年改正により,最大較差1対4.97となった平成7年選挙について,上記較差が示す選挙区間における投票価値の不平等は,投票価値の平等の有すべき重要性に照らして到底看過することができないと認められる程度に達しているとはいえず,上記改正をもって立法裁量の限界を超えるものとはいえないとして,当該選挙当時における参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない旨判示した。平成12年9月6日大法廷判決・民集54巻7号1997頁も,最大較差1対4.98の平成10年選挙について,同様の判示をした。 エ最高裁平成16年1月14日大法廷判決・民集58巻1号 旨判示した。平成12年9月6日大法廷判決・民集54巻7号1997頁も,最大較差1対4.98の平成10年選挙について,同様の判示をした。 エ最高裁平成16年1月14日大法廷判決・民集58巻1号56頁は,平-8-成12年改正により最大較差1対5.06となった平成13年選挙について,結論として同選挙当時における参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至っていたものとすることはできない旨判示したが,裁判官6名が違憲の反対意見を述べ,漫然と同様の状況が維持されるならば違憲判断がされる余地がある旨を指摘する裁判官4名による補足意見も付された。 オ最高裁平成18年10月4日大法廷判決・民集60巻8号2696頁は,最大較差1対5.13となった平成16年選挙について,結論として同選挙当時における参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至っていたものとすることはできない旨判示したが,投票価値の平等の重要性を考慮すると,制度の枠組みの見直しも含めて投票価値の較差をより縮小するための検討を継続することが憲法の趣旨に沿う旨の指摘がされた。 カ最高裁平成21年9月30日大法廷判決・民集63巻7号1520頁(以下「平成21年判決」という。)は,平成18年改正によって最大較差1対4.86となった平成19年選挙について,結論として同選挙当時における参議院議員定数配分規定が憲法に違反するに至っていたものとすることはできない旨判示したが,同判決においては,上記の較差は投票価値の平等という観点からはなお大きな不平等が存する状態であって,選挙区間における投票価値の較差の縮小を図ることが求められる状況にあり,最大較差の大幅な縮小を図るためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要になる旨の指摘がされた。 キ最高裁平成24年10月17日大法廷判決・民集6 較差の縮小を図ることが求められる状況にあり,最大較差の大幅な縮小を図るためには現行の選挙制度の仕組み自体の見直しが必要になる旨の指摘がされた。 キ最高裁平成24年10月17日大法廷判決・民集66巻10号3357頁(以下「平成24年判決」という。)は,最大較差1対5.00と拡大した平成22年選挙について,二院制を定めた憲法の趣旨や参議院の役割,それまでの選挙制度の変遷,都道府県単位の人口較差の拡大,それに伴う投票価値の不平等の拡大とその継続,累次にわたる最高裁判決の説示や指摘の状況,参議院内での検討状況等を詳細に考察した上で,前記の較差が-9-示す選挙区間における投票価値の不均衡は,投票価値の平等の重要性に照らしてもはや看過し得ない程度に達しており,これを正当化すべき特別の理由も見いだせない以上,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたというほかないとしながらも,平成21年判決が参議院議員の選挙制度の構造的問題及びその仕組み自体の見直しの必要性を指摘したのが平成22年選挙の約9か月前であること,選挙制度の仕組み自体の見直しに当たっては参議院の在り方をも踏まえた高度に政治的な判断が求められ,事柄の性質上課題も多いためその検討に相応の時間を要すること,参議院において,平成21年判決の趣旨を踏まえて,参議院議員の選挙制度の仕組み自体の見直しを含む制度改革に向けた検討が行われていたこと(平成22年選挙後のことであるとしながらも,なお書きで,本件改正附則の法律案についても触れている。)などを考慮して,平成22年選挙までの間に参議院議員定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,その定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない旨判示した。また,同判決においては,「参議院議員の 議員定数配分規定を改正しなかったことが国会の裁量権の限界を超えるものとはいえず,その定数配分規定が憲法に違反するに至っていたということはできない旨判示した。また,同判決においては,「参議院議員の選挙であること自体から直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難い」,「都道府県を選挙区の単位として固定する結果,その間の人口較差に起因して投票価値の大きな不平等状態が長期にわたって継続していると認められる状況の下では,上記の仕組み自体を見直すことが必要になる」,「都道府県を各選挙区の単位とする仕組みを維持しながら投票価値の平等の実現を図るという要求に応えていくことは,もはや著しく困難に至っている」と判示されている。 3 争点本件定数配分規定が憲法に違反するか。 4 原告らの主張(1) 「主権者の多数決」論-10-憲法は,主権が国民に存すると宣言しているところ,国民主権とは,主権者(国民)が,その多数意見(過半数の意見)で,国家権力(立法,行政,司法)を支配することを意味する。憲法は,代議制民主主義を採用し,立法作用は,主権者である国民による正当な選挙によって選ばれた代表者(国会議員)の多数決によって行われるものとするから,「国会議員の多数決」が「主権者(国民)の多数決」と等価でなければならないし,憲法が採用する議院内閣制においても,「主権者(国民)の多数意見が行政の長を選出する」という国民主権の「根幹」が担保されなければならず,これらの要請を充たすためには,人口比例選挙(投票価値の平等)の保障が必須である。 したがって,憲法は,可能な限り,人口比例に基づいた選挙制度を要求し,国民に対して人口比例選挙を保障していると解するべきである。 (2) 本件定数配分規定による本件選挙 必須である。 したがって,憲法は,可能な限り,人口比例に基づいた選挙制度を要求し,国民に対して人口比例選挙を保障していると解するべきである。 (2) 本件定数配分規定による本件選挙ところが,本件定数配分規定では,本件選挙当時の議員1人あたりの有権者数において最多の選挙区(北海道選挙区)と最少の選挙区(鳥取県選挙区)とで極めて大きな差があり,人口比例選挙からの著しい乖離があって,人口比例選挙(投票価値の平等)の保障を侵害している。 (3) 人口比例選挙からの乖離に関する合理性の立証責任選挙区割りにおいて人口比例選挙からの乖離がある場合には,選挙管理委員会(被告ら)がその乖離に合理性のあることの立証責任を負わなければならない。 最高裁昭和51年4月14日大法廷判決・民集30巻3号223頁で示された「選挙権に関しては,国民はすべて政治的価値において平等であるべきとする徹底した平等化を志向するものであり」「選挙権の内容,すなわち各選挙人の投票価値の平等もまた憲法の要求するところである」という強い文言に照らし,また,最高裁平成17年9月14日大法廷判決・民集59巻7号2087頁で示された「国民の選挙権又はその行使を制限するためには,-11-そのような制限をすることがやむを得ないと認められる事由がなければならないというべきである。そして,そのような制限をすることなしには選挙の公正を確保しつつ選挙権の行使を認めることが事実上不能ないし著しく困難であると認められる場合でない限り,上記のやむを得ない事由があるとはいえ」ないとする厳格さに照らせば,上記の合理性の立証責任は選挙管理委員会(被告ら)にある上,その判断基準は厳格でなければならない。 (4) 合理的期間の法理の憲法98条1項違反当該選挙日の時点で,参議院 格さに照らせば,上記の合理性の立証責任は選挙管理委員会(被告ら)にある上,その判断基準は厳格でなければならない。 (4) 合理的期間の法理の憲法98条1項違反当該選挙日の時点で,参議院議員定数配分規定が投票価値の平等に違反する違憲状態であっても,選挙区割りを合憲とするよう見直すための立法に必要な合理的期間が当該選挙日までに未経過であれば,上記配分規定は合憲であり,徒過していれば違憲とする合理的期間の法理は,当該選挙制度が違憲状態であるのに選挙を有効とするものであって,合理的期間の法理を憲法に優先させることになるから,憲法98条1項に違反する。 仮にそうでないとしても,本件選挙日において合理的期間が経過していないことを被告らが立証する責任がある。 (5) 選挙制度を見直すために必要な合理的期間の徒過国会は,違憲の問題が生じている本件定数配分規定を,①都道府県単位の選挙区割りを見直すこと及び②衆議院と同様に投票価値の平等性の要求に沿うものであることという枠内で改正をするのに必要な合理的期間を,本件選挙日までに徒過している。具体的な合理的期間としては,平成24年に実施された衆議院議員総選挙に関して多くの高裁判決が合理的期間とした1年9か月弱とみるのが相当であり,起算日は,平成21年判決の言渡日(平成21年9月30日)であるから,本件選挙日においては合理的期間を経過していた。実際の参議院における選挙制度見直しの審議状況を見ても,選挙区割りについて,平成21年判決を踏まえての実質的な審議をしておらず,平成20年専門委員会において全会派が「平成23年度中に,選挙制度の見-12-直しをする公職選挙法改正案を国会に提出すること」を同意したのに,平成23年度末を過ぎても法律案が提出されず。むしろ,選挙制度の見直しの立改正の 全会派が「平成23年度中に,選挙制度の見-12-直しをする公職選挙法改正案を国会に提出すること」を同意したのに,平成23年度末を過ぎても法律案が提出されず。むしろ,選挙制度の見直しの立改正のように,選挙区の見直しをせず,各選挙区の定数を偶数とするとしても,「10増10減」すれば,最大較差を1対4.431とすることができたのであり,最大較差が1対4.75である本件改正は投票価値の平等を否定するものであって,本件改正をした時点において合理的期間を経過したものというべきである。 なお,本件改正附則は,平成28年選挙までに,選挙制度の抜本的見直しについて国会が引き続き検討を行う義務を課しているにすぎず,抜本的見直しをする義務まで課してはいないのであるから,合理的期間の判断において意味のある規定ではない。 そもそも,違憲状態の選挙で当選した議員は正当に選挙された代表者ではなく,裁量権を合理的に行使して具体的に選挙区割りを定める権利を有しない。 (6) 事情判決の法理の憲法98条1項違反ア事情判決の法理は,事情判決の制度(行政事件訴訟法31条1項)の基礎に存する一般的な法の基本原則でしかないから,憲法の下位に位置づけられるべき法理である。事情判決の法理を選挙無効訴訟に適用すると,憲法に違反して無効となるはずの選挙(国務行為)が有効になってしまうから,選挙無効訴訟判決において事情判決の法理を適用すること自体,憲法98条1項に違反する。 仮にそうでないとしても,事情判決の法理を適用するために必要な事由が存在することの立証責任は被告らにある。 イ加えて,本件選挙のすべての選挙区選挙について選挙無効訴訟が提起されているから,一部の選挙のみが無効となる事態はありえないし,最高裁-13-が本件選挙全選挙区の選挙をすべて 被告らにある。 イ加えて,本件選挙のすべての選挙区選挙について選挙無効訴訟が提起されているから,一部の選挙のみが無効となる事態はありえないし,最高裁-13-が本件選挙全選挙区の選挙をすべて無効とする判決をしても,参議院は比例代表選出議員(96人)と非改選の選挙区選出議員(73人)の合計169人によって,定足数を超えるから,参議院の立法作用に支障はなく,本件選挙を違憲無効とした場合に公共の福祉を損なうことは一切ない。 ウそもそも,違憲とされた選挙により選出された違憲国会議員が,その後6年間立法行為等を行うことは憲法秩序を根本から破壊するものであり,あってはならないことである。 (7) 以上によれば,本件定数配分規定は憲法が要求する人口比例の原則に反し違憲である。国会に裁量権が認められるとしても,本件選挙までの間に,本件定数配分規定を改正すべき合理的期間は徒過しているから,国会の立法不作為はその裁量権の限界を超えている。したがって,本件定数配分規定は無効であり,同規定に基づいて施行された本件選挙は無効である。 5 被告らの主張(1) 参議院議員の選出方法は国会に委ねられた裁量行為である憲法は,代表民主制の下における選挙制度の決定について,論理的に要請される一定不変の形態が存在するわけではないことを前提として,衆議院及び参議院がそれぞれの構成を異なるものとし,異なる特色を持った議院として機能することを当然に予定した上で,国会において,投票価値の平等以外にも,参議院の独自性など,国民各自・各層の様々な利害や意見を公正かつ効果的に反映させるという目的を達成するために合理的と認められる政策的目的ないし理由をも考慮して,その裁量により適切な選挙制度を定めることができるものとしていると解するのが相当であり,憲法は, かつ効果的に反映させるという目的を達成するために合理的と認められる政策的目的ないし理由をも考慮して,その裁量により適切な選挙制度を定めることができるものとしていると解するのが相当であり,憲法は,二院制の趣旨を両議院の組織や選出方法にどのように反映させ,参議院独自の性格をいかに創出するかについては,法律事項として国会に委ねている。 公正かつ効果的な代表制とすべく,選挙制度を設計するに当たっては,投票価値の平等を可及的に実現するという観点から,都道府県を各選挙区の単-14-位として定数を設定する現行の方式を改める方法がある一方で,それとは矛盾相克するところがある,参議院の独自性,地域代表的な性格を重視する意見等,幅広い国民的議論が存するのであって,両者の間には無数の選択肢があり得る。参議院議員選挙制度創設以来60年余り不変であった都道府県を選挙区の単位とする現行の選挙制度の仕組みは,国民の間に深く浸透し,近年まで合理的なものとして定着してきたのであるから,その適否をめぐっては,相応の慎重さをもって検討すべきであり,近時,投票価値の平等がより厳格に要請されるようになったという事情を重視しつつも,総合的かつ高度に政策的な考慮と判断の下,より憲法に適合的な代表制の在り方を模索する合理的な過程を経る必要がある。 (2) 本件選挙での改善は正当に評価されるべきである本件選挙の最大較差は1対4.77であり,前回選挙である平成22年選挙の最大較差1対5.00と比べて縮小し,その最大較差は,昭和22年の参議院議員の選挙制度発足後に施行された参議院議員通常選挙の中で,昭和40年施行の参議院議員通常選挙の最大較差1対4.58以来の水準にまで縮小されている。しかも,有権者の少ない選挙区により多い議員定数が配分されるという,いわゆる逆転現象もな 議員通常選挙の中で,昭和40年施行の参議院議員通常選挙の最大較差1対4.58以来の水準にまで縮小されている。しかも,有権者の少ない選挙区により多い議員定数が配分されるという,いわゆる逆転現象もなくなった。 (3) 本件選挙までに議員定数の不均衡を是正する更なる立法措置が講じられなかったことは立法裁量権の限界を超えるものとはいえない平成24年判決において指摘された現行の選挙制度の仕組みの見直しを内容とする立法措置を講ずるためには,同判決も指摘するように,参議院の在り方をも踏まえた高度に政治的な判断が求められるなど,事柄の性質上課題も多いためその検討に相応の時間を要する。都道府県を単位として各選挙区の定数を設定する方式の見直しを含め,制度創設以来合理性を有するとされてきた現行の選挙制度の仕組み自体の見直しを内容とする立法的措置を求めるものであるから,国民的な議論を重ねるとともに専門的・多角的な検討-15-が不可欠である。 平成21年判決等において,選挙制度の見直しについての付言はあったものの,昭和58年判決の基本的な枠組みは変更する必要はないとされていたのであり,平成24年判決において初めて,その点について大きく異なる判断がされた。本件選挙は,平成24年判決から9か月余り後に施行されたものであるから,国民各自・各層に激しい利害・意見の対立がある中,専門的・多角的検討を踏まえてこれらを調整し,同判決を踏まえた抜本的な改革を内容とする立法措置を講じる期間としてはあまりに短いといわざるを得ない。 加えて,本件改正附則においては,平成28年選挙に向けて,選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得る旨が定められている。また,選挙制度改革検討会及び選挙制度協議会において現に協議が重ねられ 改正附則においては,平成28年選挙に向けて,選挙制度の抜本的な見直しについて引き続き検討を行い,結論を得る旨が定められている。また,選挙制度改革検討会及び選挙制度協議会において現に協議が重ねられている上,本件工程表が示され,今後,国会において,参議院議員の選挙制度の抜本的な改革に向けた議論が加速してゆくことが十分見込まれる状況にある。 (4) 以上の事情を総合すれば,本件選挙までの間に,本件定数配分規定を更に改正しなかったことが,国会の裁量権の限界を超えるものとはいえないから,本件定数配分規定に基づいて施行された本件選挙は憲法に違反せず有効である。 第3 当裁判所の判断 1 憲法は,国民の代表である両議院議員の選挙における投票価値の平等を要求しているが(憲法14条1項等),他方で,どのような選挙制度が,複雑で多様な国民の利害や意見を公正かつ効果的,網羅的に国政に反映させることになるかの決定を国会の裁量に委ねており(憲法43条2項,47条),投票価値の平等は,選挙制度の仕組みを決定する唯一,絶対の基準ではなく,国会が正当に考慮することができる他の政策的目的ないし理由との関連において調和的に実現されるものであり,国会が具体的に定めた選挙制度が,その裁量権の-16-行使として合理性を有するものである限り,それによって投票価値の平等が一定の限度で譲歩を求められることになっても憲法に違反するとはいえない。投票価値の著しい不平等状態が生じ,かつ,それが相当期間継続しているにもかかわらずこれを是正する措置を講じないことが国会の裁量権の限界を超えると判断される場合に,その定数配分規定が憲法に違反するに至るものと解される(前記の累次の最高裁判決参照)。 原告らは,国民主権,代議制民主主義の在り方等の見地から人口比例選挙であるべ 超えると判断される場合に,その定数配分規定が憲法に違反するに至るものと解される(前記の累次の最高裁判決参照)。 原告らは,国民主権,代議制民主主義の在り方等の見地から人口比例選挙であるべきと主張するところ,当裁判所は,上記のような見地からも憲法が投票価値の平等を要求しているとは解するものの,その場合でも,憲法の解釈上,前記のような国会の裁量権を否定することはできないから,原告らの主張が,国会の裁量権を原則として否定し,厳格な人口比例選挙であるべきというのであれば,これを採用することはできない。 2 そこで,前記認定事実に基づき,本件定数配分規定に関する国会の裁量の合理性を検討するに,前回選挙である平成22年選挙について,平成24年判決は,二院制を定めた憲法の趣旨や参議院の役割,それまでの選挙制度の変遷,都道府県単位の人口較差の拡大,それに伴う投票価値の不平等の拡大とその継続,累次にわたる最高裁判決の説示や指摘の状況,参議院内での検討状況等を踏まえた上で,投票価値の大きな不平等を解消するために選挙制度の枠組み自体の見直し(特に,都道府県を選挙区の単位とする仕組みの見直し)も含めた改革が求められていたのに,そのような制度改正を行わずに最大較差1対5. 00のままで行われたなどの事情を考慮して,投票価値の不均衡が投票価値の平等の重要性に照らして看過し得ない程度に達しており,これを正当化すべき特別の事情もないので,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態に至っていたと判示した。 しかるに,平成24年判決後も,単に4増4減の改正が行われて最大較差が1対4.77とされたのみで,客観的には平成22年選挙時とほとんど変わら-17-ない状況の下で本件選挙が実施されたのであるから,平成24年判決が判示するところと同様に,本件選挙に れて最大較差が1対4.77とされたのみで,客観的には平成22年選挙時とほとんど変わら-17-ない状況の下で本件選挙が実施されたのであるから,平成24年判決が判示するところと同様に,本件選挙においても,投票価値の不均衡が投票価値の平等の重要性に照らして看過し得ない程度に達していることが明らかであり,これを正当化すべき合理的理由も認められないから,違憲の問題が生ずる程度の著しい不平等状態にあったというべきである(最大較差の上記程度の縮小が平成24年判決の趣旨に沿う改正とは到底いえない。)。 3 もっとも,本件選挙時までに,国会において選挙制度の枠組みの見直しなどの不平等状態解消策を講じるために必要な合理的期間が経過していないときは,かかる策を講じなかったことが国会の裁量の限界を超えるものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するものとはいえないので,以下,上記の合理的期間が経過していないといえるかについて検討する。 この点につき,原告らは,不平等状態の大幅な縮小を図るためには選挙制度の仕組み自体の見直しが必要とした平成21年判決の言渡日を起算日とし,その時点から1年9か月弱が合理的期間であるとした上,本件選挙までの3年10か月もの間,国会は実質的な審議をしていないから合理的期間を徒過していると主張する。 しかしながら,選挙制度の枠組みの見直しに関しては,国民の間にも様々な利害や意見があり,参議院ひいては二院制の在り方をも踏まえた高度に政治的判断が求められるなど課題が多く,その検討には相応の時間を要することに加え,前記認定によると,平成21年判決は結論において最大較差1対4.86であった平成19年選挙を合憲とし,違憲状態との説示もしていないこと,平成8年判決以降最高裁が参議院議員選挙に関して違憲状態を指摘したのは平 によると,平成21年判決は結論において最大較差1対4.86であった平成19年選挙を合憲とし,違憲状態との説示もしていないこと,平成8年判決以降最高裁が参議院議員選挙に関して違憲状態を指摘したのは平成24年判決が初めてであったこと,参議院議員の選挙であること自体から直ちに投票価値の平等の要請が後退してよいと解すべき理由は見いだし難いとしたたのも平成24年判決が初めてであること,平成24年判決から本件選挙まで-18-は約9か月しかなかったこと,国会での検討状況は遅々として進まない感は否めないものの,参議院改革協議会や選挙制度改革検討会等を通じて選挙制度の仕組み自体の見直しも含めた検討が継続的に進められ,平成22年選挙後も選挙制度改革検討会の下に設けられた選挙制度協議会において平成24年7月まで計11回にわたって協議されたこと(ただし,成案を得るには至らなかった。),平成24年8月に国会に提出された参議院議員定数配分規定の改正案では,本件選挙での定数配分を4増4減の改正にとどめるものの,平成28年選挙に向けて選挙制度の抜本的見直しを検討し,結論を得ることが附則として明記され(本件改正附則),その改正案が平成24年11月に可決されたこと(本件改正),選挙制度の抜本的見直しについて結論を得る具体的な時期が法律に明記されたのはこれが初めてであること,その後も選挙制度改革検討会での協議が進められ,平成25年6月には,民主党から,「平成26年中に選挙制度の見直し案を取りまとめた上で,平成27年に見直し法案を提出し,平成28年選挙から新制度を適用する」旨の本件工程表が示され,各会派がこれについて早急に結論を得ることが確認されたこと(本件選挙後も,参議院議長が各会派に対し選挙制度改革のために精力的な検討を希望する旨言明し,選挙制度改革検討会等にお の本件工程表が示され,各会派がこれについて早急に結論を得ることが確認されたこと(本件選挙後も,参議院議長が各会派に対し選挙制度改革のために精力的な検討を希望する旨言明し,選挙制度改革検討会等において,本件工程表を基本にした検討が進められている。),平成24年判決は,上記改正案の附則(本件改正附則)の規定をも考慮して平成22年選挙を違憲としなかったことなどが認められ,これらを総合考慮すると,平成21年判決から約3年10か月後,平成24年判決から約9か月後の本件選挙の時点において,都道府県を単位とする選挙区の点も含めた選挙制度の枠組み自体を見直すのに必要な合理的期間は未だ経過していないというべきである。したがって,本件選挙までの間に本件定数配分規定を改正しなかったことが,国会の裁量の限界を超えるものとはいえず,本件定数配分規定が憲法に違反するに至っていたとはいえない。 原告らは,上記のように是正すべき合理的期間を考慮して違憲状態にある選挙-19-を有効にするのは憲法98条1項に違反する旨主張するが,前記のとおり憲法自体が国会に合理的な範囲の裁量を与えているのであるから,原告らの上記主張は採用できない。 また,原告らは,違憲状態の選挙で当選した議員は,裁量権を合理的に行使して具体的に選挙区割りを定める権利を有しないと主張するが,前記のとおり,平成22年選挙は違憲状態とはいえ有効とされたのであるから,原告らの上記主張も採用できない。 第4 結論よって,原告らの請求は理由がないのでいずれも棄却することとし,主文のとおり判決する。 なお,上記判断は,本件改正附則において,平成28年選挙に向けて選挙制度の抜本的見直しを検討し,結論を得ることが明記され,国会としての明確な意思表明がされたことを重視したものであるか する。 なお,上記判断は,本件改正附則において,平成28年選挙に向けて選挙制度の抜本的見直しを検討し,結論を得ることが明記され,国会としての明確な意思表明がされたことを重視したものであるから,平成28年選挙までには,累次の最高裁判決を踏まえ,憲法の要請に沿った抜本的見直しがされることを強く期待するものである。 東京高等裁判所第4民事部 裁判長裁判官田村幸一 裁判官髙橋光雄 -20-裁判官浅見宣義

▼ クリックして全文を表示

🔍 類似判例を検索𝕏 でシェア← 一覧に戻る