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主文 一原告の請求を棄却する。二訴訟費用は原告の負担とする。事実及び理由 第一請求被告が原告に対して平成六年一〇月一四日付けでした、株式会社アズマの滞納国税に係る譲渡担保権者に対する国税徴収法二四条二項に基づく告知処分を取り消す。第二事案の概要一本件は、伊那税務署長が、株式会社アズマ(以下「滞納会社」という。)の滞納国税債権を徴収するため、滞納会社が第三債務者である株式会社三協精機製作所(以下「三協精機」という。)に対して有する売掛債権を国税徴収法(以下「徴収法」という。)六二条一項の規定に基づき差し押さえる手続をとり、その後、右滞納国税債権の徴収の引継ぎを受けた被告が、滞納会社の財産について滞納処分を執行してもなお右国税債権に不足すると認められるとし、滞納会社及び三協精機との間で締結されたいわゆるいわゆる一括支払システム契約(譲渡担保契約及び停止条件付き代物弁済契約)に基づき右売掛債権を譲渡担保として滞納会社に当座貸越をしている原告を相手方として、徴収法二四条一項の規定に基づき譲渡担保財産である右売掛債権から本件租税債権を徴収する旨の告知処分を同条四項後段及び同条二項の規定に基づき行ったのに対し、原告が、右告知処分は違法であるとしてその取消しを求めている事案である。二前提となる事実関係(証拠により認定した事実は、その末尾に証拠を掲げた。その余の事実は、当事者間に争いがない。)。1 本件一括支払システム契約等の締結(一) 原告は、平成二年四月二日、滞納会社及び三協精機との間で、次の内容の譲渡担保契約及び停止条件付き代物弁済契約(以下、この契約を一般的に「一括支払システム契約」といい、本件の契約を「本件一括支払システム契約」という。)を締結した(甲三)。(1) 滞納会社は、原告に対し、原告の 及び停止条件付き代物弁済契約(以下、この契約を一般的に「一括支払システム契約」といい、本件の契約を「本件一括支払システム契約」という。 平成二年四月二日、滞納会社及び三協精機との間で、次の内容の譲渡担保契約及び停止条件付き代物弁済契約(以下、この契約を一般的に「一括支払システム契約」といい、本件の契約を「本件一括支払システム契約」という。)を締結した(甲三)。(1) 滞納会社は、原告に対し、原告の 及び停止条件付き代物弁済契約(以下、この契約を一般的に「一括支払システム契約」といい、本件の契約を「本件一括支払システム契約」という。)を締結した(甲三)。(1) 滞納会社は、原告に対し、原告の滞納会社に対する当座貸越契約に基づく債権を担保するため、滞納会社の三協精機に対する売掛債権を、三協精機が所定の譲渡代金債権明細書兼承諾書(以下「明細書兼承諾書」という。)を原告に交付した時に譲渡する。(2) 右により譲渡された滞納会社の三協精機に対する売掛債権に対して徴収法二四条及びこれと同旨の規定に基づく譲渡担保権者に対する告知が発せられた時は、右売掛債権を担保とする原告の滞納会社に対する当座貸越債権は当然にその弁済期が到来したものとし、担保のために譲渡された滞納会社の三協精機に対する右売掛債権は原告の滞納会社に対する右当座貸越債権の代物弁済に充当される。(二) 原告は、平成二年四月二日、滞納会社との間で、本件一括支払システムにかかわる当座貸越契約(以下、この契約を「一括支払システム当座貸越契約」といい、本件の契約を「本件一括支払システム当座貸越契約」という。)を締結した(甲四)。右当座貸越契約には、本件一括支払システム契約所定の代物弁済事由(前記の(一)(2))が生じた場合には、原告の滞納会社に対する当座貸越債権は前記の停止条件付き代物弁済条項により消滅する旨が定められている(以下、一括支払システム契約及び一括支払システム当座貸越契約が定める停止条件付き代物弁済特約を「本件代物弁済条項」という。)。2 債権譲渡契約と当座貸越の実行(一) 原告は、本件一括支払システム契約に基づき、次のとおり三回にわたって三協精機から明細書兼承諾書の交付を受けて、本件一括支払システム当座貸越契約に基づく原告の滞納会社に対する債権を担保するため、滞納 原告は、本件一括支払システム契約に基づき、次のとおり三回にわたって三協精機から明細書兼承諾書の交付を受けて、本件一括支払システム当座貸越契約に基づく原告の滞納会社に対する債権を担保するため、滞納会社から合計五九三万六一一六円の三協精機に対する売掛債権の譲渡を受け、その都度三協精機から確定日付ある証書による譲渡の承諾を受けた(以下、この債権譲渡に係る売掛債権全体を「本件売掛債権等」という。 め、滞納 原告は、本件一括支払システム契約に基づき、次のとおり三回にわたって三協精機から明細書兼承諾書の交付を受けて、本件一括支払システム当座貸越契約に基づく原告の滞納会社に対する債権を担保するため、滞納会社から合計五九三万六一一六円の三協精機に対する売掛債権の譲渡を受け、その都度三協精機から確定日付ある証書による譲渡の承諾を受けた(以下、この債権譲渡に係る売掛債権全体を「本件売掛債権等」という。)。(1) 平成六年六月二〇日、三協精機から同日付け明細書兼承諾書の交付を受けて、滞納会社の三協精機に対する売掛債権一一六万八四四三円(取引期間同年四月二一日から同年五月二〇日、同年五月締め分)の譲渡を受け、右明細書兼承諾書に同年六月二〇日付けの確定日付を受けた。(2) 平成六年七月一九日、三協精機から同日付け明細書兼承諾書の交付を受けて、滞納会社の三協精機に対する売掛債権二三〇万六〇五一円(取引期間同年五月二一日から同年六月二〇日、同年六月締め分)の譲渡を受け、右明細書兼承諾書に同年七月一九日付けの確定日付を受けた。(3) 平成六年八月一八日、三協精機から同日付け明細書兼承諾書の交付を受けて、滞納会社の三協精機に対する売掛債権二四六万一六二二円(取引期間同年六月二一日から同年七月二〇日、同年七月締め分)の譲渡を受け、右明細書兼承諾書に同年八月一八日付けの確定日付を受けた。(二) 原告(辰野支店)は、本件一括支払システム当座貸越契約に基づき、滞納会社に対し、右譲受けに係る本件売掛債権等を担保として、次のとおり三回にわたって合計金五九三万六一一六円を当座貸越の方法により貸し渡した(甲九、乙一の6ないし8)。(1) 平成六年七月一日、弁済期同年一○月二〇日の約定で、金一一六万八四四三円(2) 平成六年七月二〇日、弁済期同年一一月二一日の約定で、金 貸越の方法により貸し渡した(甲九、乙一の6ないし8)。(1) 平成六年七月一日、弁済期同年一○月二〇日の約定で、金一一六万八四四三円(2) 平成六年七月二〇日、弁済期同年一一月二一日の約定で、金二三〇万六〇五一円(3) 平成六年八月一九日、弁済期同年一二月二〇日の約定で、金二四六万一六二二円 3 本件処分に至る経緯(一) 国は、平成六年九月二八日現在、滞納会社に対して、別紙租税債権目録記載のとおり、既に納期限を経過した本税、加算税及び延滞税(同日付けで仮に算出した未確定の延滞税を含む。 一○月二〇日の約定で、金一一六万八四四三円(2) 平成六年七月二〇日、弁済期同年一一月二一日の約定で、金二三〇万六〇五一円(3) 平成六年八月一九日、弁済期同年一二月二〇日の約定で、金二四六万一六二二円 3 本件処分に至る経緯(一) 国は、平成六年九月二八日現在、滞納会社に対して、別紙租税債権目録記載のとおり、既に納期限を経過した本税、加算税及び延滞税(同日付けで仮に算出した未確定の延滞税を含む。)の合計一六六一万九八九一円の租税債権(以下「本件租税債権」という。)を有していた(甲一、二、弁論の全趣旨)。(二) 伊那税務署長は、平成六年九月二八日、本件租税債権を徴収するため、滞納会社が第三債務者である三協精機に対して有する本件売掛債権等を徴収法六二条一項の規定に基づき差し押さえ(以下、この差押えを「本件差押え」という。)、同日、同債権差押通知書を三協精機に送達した。(1) 債権者滞納会社債務者三協精機債権の表示平成六年五月締め分の売掛金金額一一六万八四四三円(2) 債権者滞納会社債務者三協精機債権の表示平成六年六月締め分の売掛金金額二三〇万六〇五一円(3) 債権者滞納会社債務者三協精機債権の表示平成六年七月締め分の売掛金金額二四六万一六二二円(三) 被告は、平成六年一〇月一三日、伊那税務署長から、国税通則法四三条三項の規定に基づき本件租税債権の徴収の引継ぎを受けた(乙一の1、二の1)。(四) 被告は、滞納会社の財産について滞納処分を執行してもなお本件租税債権に不足すると認められるとし、平成六 通則法四三条三項の規定に基づき本件租税債権の徴収の引継ぎを受けた(乙一の1、二の1)。(四) 被告は、滞納会社の財産について滞納処分を執行してもなお本件租税債権に不足すると認められるとし、平成六年一〇月一四日、原告に対して、徴収法二四条一項の規定に基づき譲渡担保財産である本件売掛債権等から本件租税債権を徴収する旨の告知(以下「本件告知処分」という。)を同条四項後段及び同条二項の規定に基づき行い、同月一七日、右告知に係る告知書は、原告に送達された。三本件の争点本件の争点は、本件告知処分の適否であり、具体的には、① 本件告知処分の前提となる本件差押えが、本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを知りながら、あるいは容易に知ることができたのに知らずにされたものとして違法であるか否か(争点1)、② 本件告知処分がなされた時点で本件売掛債権等が本件一括支払システム契約の本件代物弁済条項により消滅したことを国に対抗することができるか否か(争点2)であり、これらの点に関する当事者の主張は、次のとおりである。 体的には、① 本件告知処分の前提となる本件差押えが、本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを知りながら、あるいは容易に知ることができたのに知らずにされたものとして違法であるか否か(争点1)、② 本件告知処分がなされた時点で本件売掛債権等が本件一括支払システム契約の本件代物弁済条項により消滅したことを国に対抗することができるか否か(争点2)であり、これらの点に関する当事者の主張は、次のとおりである。1 争点1(本件告知処分の前提となる本件差押えが、本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを知りながら、あるいは容易に知ることができたのに知らずにされたものとして違法であるか否か)(被告の主張)本件告知処分に先立つ伊那税務署長による本件差押えに違法がないことは次に述べるとおりであるから、右差押えを前提とする本件告知処分は適法である。(一) 徴収法二四条の趣旨(1) 徴収法二四条の基本原則徴収法は、「国税の滞納処分その他の徴収に関する手続の執行について必要な事項を定め、私法秩序との調整を図りつつ、国民の納税義務の適正な実現を通じて国税収入を図ることを目的」(一条)とし、国税が通常の手続によって完納されない場合の強制執行の方法である滞 行について必要な事項を定め、私法秩序との調整を図りつつ、国民の納税義務の適正な実現を通じて国税収入を図ることを目的」(一条)とし、国税が通常の手続によって完納されない場合の強制執行の方法である滞納処分手続を中心とする国税徴収の手続を定めている。そして、徴収法は、国税債権の強制的実現の過程において他の公課又は債権と競合した場合には、国税の徴収を確保することが重要な公益であることを考慮し、一定の限度で国税に優先的地位を認めている。すなわち、国税と他の債権の調整については、「国税は、納税者の総財産について、この章に別段の定めがある場合を除き、すべての公課その他の債権に先立って徴収する」(徴収法八条)という国税優先の原則を前提として、徴収法の第二章に、地方税との調整規定(第二節)、質権及び抵当権等の被担保債権との調整規定(第三節)を設けており、特に、私人間の合意によって設定される質権、抵当権、仮登記担保権及び譲渡担保権の約定担保物権に係る被担保債権の関係でみると、基本的には、国税と右被担保債権との優先関係を、納税者の財産上に担保権を設定した時期と、担保権を取得する第三者等がそれと競合するおそれのある租税の存在を具体的に知ることができる時期である法定納期限等との先後によって決することとしている(徴収法一五条一項、一六条、二三条一項、二四条六項)。 人間の合意によって設定される質権、抵当権、仮登記担保権及び譲渡担保権の約定担保物権に係る被担保債権の関係でみると、基本的には、国税と右被担保債権との優先関係を、納税者の財産上に担保権を設定した時期と、担保権を取得する第三者等がそれと競合するおそれのある租税の存在を具体的に知ることができる時期である法定納期限等との先後によって決することとしている(徴収法一五条一項、一六条、二三条一項、二四条六項)。譲渡担保との関係についても、徴収法二四条六項が、国税の法定納期限等と担保の目的とされた譲渡に係る権利の移転登記の時期等の譲渡担保設定の時期との先後関係によることを明らかにしている。(2) 徴収法二四条五項の趣旨一般の担保権の場合には、担保権の実行は執行裁判所又は執行官を通じてなされるので、優先する国税が法定の順位に従って配当を受ける地位が制度的に保証されているが、譲渡担保権は私的に実行され 五項の趣旨一般の担保権の場合には、担保権の実行は執行裁判所又は執行官を通じてなされるので、優先する国税が法定の順位に従って配当を受ける地位が制度的に保証されているが、譲渡担保権は私的に実行されるものであるから、譲渡担保権設定よりも国税の法定納期限等の方が早く、国税が優先するとしても、担保権実行手続において優先する国税が配当を受ける機会は保証されていない。その上、徴収法二四条三項は、同条二項の告知書を発した日から一〇日を経過した日までに国税が完納されていないときは、譲渡担保財産に対して滞納処分を執行することができる旨を規定しているから、右告知書を発してから同条三項の差押えをするまでには、原則として一〇日間の余裕があり、その間に、譲渡担保権が実行されて譲渡担保財産が確定的に担保権者に帰属し、同条三項の差押えが不能となってしまう可能性がある。そこで、徴収法二四条五項は、右のような不都合を防止し、譲渡担保財産からの滞納国税の徴収を確保するために、同条二項の告知書を発してから同条三項の差押えをするまでの間に譲渡担保権の実行が完了し差押えの目的財産が既に譲渡担保財産でなくなっていたとしても、なお譲渡担保財産として存続するものとみなすこととして、滞納処分をすることを認めたのである。そして、譲渡担保権と国税債権との優劣関係は、本来、前述のとおり、徴収法二四条六項により決せられ、譲渡担保権者は、告知の有無にかかわらず、譲渡担保権を取得した時点で、国税債権に優先されるか否かが既に決せられているのであり、かつ、譲渡担保財産から滞納国税を徴収されることを受忍しなければならない立場にあるのである。 なお譲渡担保財産として存続するものとみなすこととして、滞納処分をすることを認めたのである。そして、譲渡担保権と国税債権との優劣関係は、本来、前述のとおり、徴収法二四条六項により決せられ、譲渡担保権者は、告知の有無にかかわらず、譲渡担保権を取得した時点で、国税債権に優先されるか否かが既に決せられているのであり、かつ、譲渡担保財産から滞納国税を徴収されることを受忍しなければならない立場にあるのである。原告は、「譲渡担保設定者の財産としての差押えがなされたことを知らずに担保権の実行をした場合でも、その効力を後に否定される不利益を受ける地位に置かれることにな なければならない立場にあるのである。原告は、「譲渡担保設定者の財産としての差押えがなされたことを知らずに担保権の実行をした場合でも、その効力を後に否定される不利益を受ける地位に置かれることになる」と主張するが、右のとおり、そもそも原告が有する譲渡担保権は、本件租税債権に劣後するものであるから、譲渡担保権者に何ら新たな不利益を課すものではなく、原告の主張には理由がない。(3) 徴収法二四条四項等の趣旨滞納処分としての差押えは、滞納者の財産についてなされるべきところ、譲渡担保に付されている財産については、第三者たる徴収機関はその事実を容易に認識することができないから、右財産を滞納者の財産として差し押さえることがあり得る。そのような場合、本来、右差押えは、瑕疵あるものであるから、格別の規定がなければ、国は譲渡担保権者に対して右差押えの効力を主張することができないはずであり、譲渡担保権者に対して差押えの効力を主張するためにはあらためて徴収法二四条二項、三項の手続により譲渡担保権者(第二次納税義務者とみなした場合)の財産として再び差し押さえるべきこととなる。しかし、そのような手続をとることは煩瑣であるばかりでなく、その手続を必要とすると、それを契機として、新たな差押えがなされるまでの間、その時間的な間隙を利用し、譲渡担保権を実行し、徴収機関が差押えをした段階では、目的物たる譲渡担保財産が存在しない状態にして差押えを無効ならしめ、徴収法二四条六項の原則からすれば、右譲渡担保債権者は、租税債権に劣後すべきこととなるにもかかわらず、優先的な地位を確保しようとすることが考えられる。このような事態の発生を防止するため、徴収法二四条は、右のような瑕疵ある差押えを契機として、前記(1)記載の基本原則を意図的に回避するために譲渡担保権の実行がなされる 押えをした段階では、目的物たる譲渡担保財産が存在しない状態にして差押えを無効ならしめ、徴収法二四条六項の原則からすれば、右譲渡担保債権者は、租税債権に劣後すべきこととなるにもかかわらず、優先的な地位を確保しようとすることが考えられる。このような事態の発生を防止するため、徴収法二四条は、右のような瑕疵ある差押えを契機として、前記(1)記載の基本原則を意図的に回避するために譲渡担保権の実行がなされる しようとすることが考えられる。このような事態の発生を防止するため、徴収法二四条は、右のような瑕疵ある差押えを契機として、前記(1)記載の基本原則を意図的に回避するために譲渡担保権の実行がなされることを防止すべく、滞納者に対する瑕疵ある差押えを譲渡担保権者に対する「差押として滞納処分を続行することができる。」と規定し(徴収法二四条四項)、滞納処分としての差押えの基本原則を修正して前記(1)記載の基本原則の維持を図っているのである。また、徴収法二四条五項は、同条四項の規定の適用を受ける差押えが存在する場合には、右差押え後同項の手続がとられるまでの間に、納税者の財産の譲渡により担保される債権が債務不履行その他弁済以外の理由により消滅したときにおいても、なお当該財産が譲渡担保財産として存続するものとみなして、滞納処分を執行することができる旨定めているが、右規定の趣旨も、右の期間中における譲渡担保権の実行により、本来的に当該譲渡担保の被担保債権に優先する国税の徴収が阻害されるのを防止するところにあると解される。(二) 徴収法二四条四項にいう「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」の意義及び譲渡担保財産であることの確知の意義について(1) 徴収法二四条四項前段は、「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押は、同項の要件に該当する場合に限り、前項の規定による差押として滞納処分を続行することができる。」と規定している。このうち、「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」の意義は、差し押さえようとした財産について、当該財産が既に担保のために譲渡された事実を確知し得ず、または、担保のために譲渡された事実を確認できないために、当該財産が未だ納税者に帰属する財産としてした差押えの意であると解すべきである。ところで、差 既に担保のために譲渡された事実を確知し得ず、または、担保のために譲渡された事実を確認できないために、当該財産が未だ納税者に帰属する財産としてした差押えの意であると解すべきである。 とした財産について、当該財産が既に担保のために譲渡された事実を確知し得ず、または、担保のために譲渡された事実を確認できないために、当該財産が未だ納税者に帰属する財産としてした差押えの意であると解すべきである。ところで、差 既に担保のために譲渡された事実を確知し得ず、または、担保のために譲渡された事実を確認できないために、当該財産が未だ納税者に帰属する財産としてした差押えの意であると解すべきである。ところで、差押え前に、ある財産が譲渡担保財産であることを確知した場合には、徴収法二四条二項による告知をし、その後譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして同人に帰属する譲渡担保財産に対して滞納処分を執行することになるが、その場合に、譲渡担保契約に基づき譲渡担保財産の帰属は譲渡担保権者に移転しているが第三者対抗要件を備えていないときには、徴収法二四条三項による譲渡担保権者の財産としてした差押えは担保提供者その他の第三者に対してその差押えの効力を主張できないのであるから、譲渡担保契約の存在が確認されていることのみをもってその譲渡担保財産が当該譲渡担保契約の目的物となっていることを確認できたとすることはできない。したがって、ある財産が譲渡担保財産であることを確知するということは、有効に成立した譲渡担保契約に基づいて、譲渡担保財産の帰属が譲渡担保権者に移転し、かつ、第三者対抗要件を備えていることを現実に確認することにほかならない。そして、第三者対抗要件として登記登録等の公示制度を有する不動産、船舶などの財産と異なり、動産、債権などの公示制度の不完全な財産について右確認が容易ならざることであることはいうまでもない。しかして、民法四六七条は、指名債権の譲渡の方式について規定しているところ、同条一項は、「指名債権ノ譲渡ハ譲渡人力之ヲ債務者ニ通知シ又ハ債務者力之ヲ承諾スルニ非サレハ之ヲ以テ債務者其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」と規定し、同条二項は、「前項ノ通知又ハ承諾ハ確定日附アル証書ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ以テ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」と規定している。レハ之ヲ以テ債務者其他ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」と規定し、同条二項は、「前項ノ通知又ハ承諾ハ確定日附アル証書ヲ以テスルニ非サレハ之ヲ以テ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」と規定している。そして、国税徴収法基本通達は、これを受けて、その六二条関係の一〇において、「指名債権の譲渡は、確定日付のある証書(民法施行法五条)により譲渡人がこれを債務者に通知し又は債務者がこれを承諾しなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない(民法四六七条)ので、この要件を欠いている場合には、譲渡人の債権として差し押さえることができる。 之ヲ以テ債務者以外ノ第三者ニ対抗スルコトヲ得ス」と規定している。そして、国税徴収法基本通達は、これを受けて、その六二条関係の一〇において、「指名債権の譲渡は、確定日付のある証書(民法施行法五条)により譲渡人がこれを債務者に通知し又は債務者がこれを承諾しなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない(民法四六七条)ので、この要件を欠いている場合には、譲渡人の債権として差し押さえることができる。」と定めているところである。(2) 原告は、徴収法二四条四項は、強力な質問等の権限を有する徴収職員がその権限に基づく調査を行ったにもかかわらず譲渡担保財産であることを知ることができずに譲渡担保設定者の財産として差し押さえた場合には、特にその差押えの効力を譲渡担保権者に対して及ぼすことを認めるという、租税の徴収にかかわる救済規定であり、したがって、同項の「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」には、徴収職員が譲渡担保財産であることを知りながら、または、譲渡担保財産であることを容易に知り得たにもかかわらず調査を怠った結果それを知らずにした、譲渡担保設定者の財産としての差押えは含まれないとした上、本件差押えは、徴収職員が譲渡担保財産であることを知りながら、または、譲渡担保財産であることを容易に知り得たにもかかわらず調査を怠った結果それを知らずにした差押えであるから、徴収法二四条四項が適用されない違法な差押えである旨主張する。しかしながら、徴収法二四条四項前段は、「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押は、同項の要件に該当する場合に限り、前項の規定による差押として滞納処分を続行することができる。主張する。しかしながら、徴収法二四条四項前段は、「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押は、同項の要件に該当する場合に限り、前項の規定による差押として滞納処分を続行することができる。」と規定しているところ、その趣旨は、既に前記(一)(3)において詳述したとおりであり、右規定は、原告が主張するがごとき「譲渡担保財産をそれと知らずに譲渡担保設定者の財産として差し押さえた場合」の単なる「救済規定」などではない。徴収法二四条四項にいう「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」の意義については、右(1)記載のとおりに解すべきであり、原告の主張は理由がない。(三)(1) これを本件についてみると、伊那税務署の徴収職員は、本件差押えに先立つ平成六年九月一三日から本件差押えを執行した同月二八日にかけて、第三債務者である三協精機の事務所及び原告の辰野支店に赴いて調査を行い、本件売掛債権等に関して、本件一括支払システム契約に基づく債権譲渡の合意が存することを確認したが、確定日付のある書面による右売掛債権等に係る譲渡の通知又は譲渡の承諾についてはその存否を確認することができなかったのであるから、本件差押えは適法になされたものということができる。 六年九月一三日から本件差押えを執行した同月二八日にかけて、第三債務者である三協精機の事務所及び原告の辰野支店に赴いて調査を行い、本件売掛債権等に関して、本件一括支払システム契約に基づく債権譲渡の合意が存することを確認したが、確定日付のある書面による右売掛債権等に係る譲渡の通知又は譲渡の承諾についてはその存否を確認することができなかったのであるから、本件差押えは適法になされたものということができる。(2) 原告は、伊那税務署の徴収職員は、①一括支払システム契約においては常に確定日付のある書面による債務者の譲渡承諾がなされることを熟知しており、②本件では同様の一括支払システム契約に基づいて債権譲渡の合意がなされたことを確認していたとし、③伊那税務署の徴収職員が平成六年九月二七日以前にその写しを取得していた本件一括支払システム契約に係る契約書によれば、明細書兼承諾書が三協精機から原告に交付された時に債権が譲渡され(それ故、明細書兼承諾書が具体的債権譲渡契約の直接的裏付文書である。)、明細 取得していた本件一括支払システム契約に係る契約書によれば、明細書兼承諾書が三協精機から原告に交付された時に債権が譲渡され(それ故、明細書兼承諾書が具体的債権譲渡契約の直接的裏付文書である。)、明細書兼承諾書の交付により債務者である三協精機が債権譲渡を異議なく承諾する旨が定められており、この明細書兼承諾書に確定日付が付されているのであるから、④伊那税務署の徴収職員が「一括支払システム契約に基づく債権譲渡の合意が存することを確認した」ということは、当然に本件に関する明細書兼承諾書を確認していたことにほかならないはずであり、それは、とりもなおさず、伊那税務署の徴収職員が本件において確定日付けのある書面による債務者の譲渡承諾がなされていることを知っていたことにほかならないと主張する。しかし、これは、譲渡担保契約の存在と同契約の内容を知っていたことを前提として、本件一括支払システム契約に基づく債権譲渡の合意が存することを確認したということは当然に本件に関する明細書兼承諾書を確認していたことにほかならないはずであるという仮定から導き出された、事実を踏まえない誤った推論であり、譲渡担保契約の存在とその内容を知っていることのみでは確定日付ある明細書兼承諾書を確認したことにならないことは当然である。(3) 原告は、前記(二)(2)記載のとおり、本件差押えは、本件差押えに際して伊那税務署の徴収職員が本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを容易に知り得たにもかかわらずそれを知らずに行った差押えであるから、徴収法二四条四項の規定によっても滞納処分の続行はできない旨主張する。 あり、譲渡担保契約の存在とその内容を知っていることのみでは確定日付ある明細書兼承諾書を確認したことにならないことは当然である。(3) 原告は、前記(二)(2)記載のとおり、本件差押えは、本件差押えに際して伊那税務署の徴収職員が本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを容易に知り得たにもかかわらずそれを知らずに行った差押えであるから、徴収法二四条四項の規定によっても滞納処分の続行はできない旨主張する。そして、その根拠として、徴収職員は徴収法一四一条や同法一四二条によって強大な調査権限を付与されているのであるから、同権限を十分に行使すれば本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを容易 旨主張する。そして、その根拠として、徴収職員は徴収法一四一条や同法一四二条によって強大な調査権限を付与されているのであるから、同権限を十分に行使すれば本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを容易に知り得たはずだと主張する。しかしながら、前記(一)記載の徴収法二四条の趣旨に照らせば、徴収職員がある財産について譲渡担保財産であることを確知できずに差押えを行った場合に、その不確知の原因が、たとえ徴収職員の誤認等によるものであったとしても、同条一項の要件に該当する場合には、その後同条二項の告知をすることで、当初より譲渡担保権者の財産に対してなされた差押えとみなされると解すべきなのであり、故意又は懈怠により敢えて調査を怠った場合を除き、徴収法二四条四項が適用される「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」については、徴収法上何らの制限も設けられていないと解される。したがって、本件差押えには何ら違法な点はないというべきである。仮に、調査が不十分ゆえに知り得たはずのものを知り得ず、「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」が違法となることがあり得るとしても、本件差押え前において、伊那税務署の徴収職員が行った本件売掛債権等の調査及び本件一括支払システム契約に関する調査は、徴収職員が行使し得る質問検査権を十分に尽くして行ったものであり、それにもかかわらず本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを確知し得なかったのであるから、何ら責められるべき事由はない。なお、徴収法一四一条は、徴収職員の質問検査権が滞納者に対して債権若しくは債務がある者についても及ぶことを定めているが、右質問検査権に基づく質問又は検査は強制力を持たない任意調査であるから、相手方が質問に答えない場合又は検査を拒否した場合には行うことができない。 して行ったものであり、それにもかかわらず本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを確知し得なかったのであるから、何ら責められるべき事由はない。なお、徴収法一四一条は、徴収職員の質問検査権が滞納者に対して債権若しくは債務がある者についても及ぶことを定めているが、右質問検査権に基づく質問又は検査は強制力を持たない任意調査であるから、相手方が質問に答えない場合又は検査を拒否した場合には行うことができない。また、同法一四二 る者についても及ぶことを定めているが、右質問検査権に基づく質問又は検査は強制力を持たない任意調査であるから、相手方が質問に答えない場合又は検査を拒否した場合には行うことができない。また、同法一四二条が定める捜索は、滞納者以外の第三者が対象の場合には、①滞納者の財産を所持する第三者がその引き渡しをしないとき及び②滞納者の親族その他の特殊関係者が滞納者の財産を所持すると認めるに足りる相当の理由がある場合において、その引き渡しをしないときに限られるのであり、本件のような調査において原告又は第三債務者について捜索することはできないのである。(原告の主張)本件告知処分に先立つ伊那税務署長による本件差押えは、次のとおり違法であるから、右差押えを前提とする本件告知処分も違法である。(一) 徴収法二四条四項の趣旨及び適用範囲について(1) 徴収法二四条六項が国税債権と譲渡担保権の被担保債権の優先関係を定めていること、その優先関係の内容は被告主張のとおりであるが、譲渡担保権の実行が完了するまでに適法な告知等がなされなければ、優先する国税債権であっても当該譲渡担保目的物から譲渡担保権の被担保債権に優先して徴収することはできないのである。したがって、特定の譲渡担保目的物から国税債権を優先して徴収するためには、譲渡担保権の実行完了前に適法な告知等がなされることが必要である。他方、譲渡担保権者にとっては、譲渡担保権実行の要件が具備されればその実行をなし得ることは当然であり、仮に、譲渡担保権者が自己の有する被担保債権に優先する譲渡担保設定者に対する国税債権の存在を知っていたとしても、そのことをもって直ちに譲渡担保権の実行が制限されるわけではない。したがって、譲渡担保目的物が国税債権に基づき譲渡担保設定者の財産として差押えられても(これは違法な差押えである を知っていたとしても、そのことをもって直ちに譲渡担保権の実行が制限されるわけではない。 をなし得ることは当然であり、仮に、譲渡担保権者が自己の有する被担保債権に優先する譲渡担保設定者に対する国税債権の存在を知っていたとしても、そのことをもって直ちに譲渡担保権の実行が制限されるわけではない。したがって、譲渡担保目的物が国税債権に基づき譲渡担保設定者の財産として差押えられても(これは違法な差押えである を知っていたとしても、そのことをもって直ちに譲渡担保権の実行が制限されるわけではない。したがって、譲渡担保目的物が国税債権に基づき譲渡担保設定者の財産として差押えられても(これは違法な差押えである)、譲渡担保権者が譲渡担保権の実行を制限されるわけではなく、その実行完了までに適法な告知がなされない限り、国税債権といえども当該譲渡担保目的物から優先して徴収することはできなくなるのが本則である。(2) 徴収法二四条四項は、譲渡担保財産を譲渡担保設定者たる納税者の財産としてした差押えについて、一定の場合に同条三項の規定による差押えとして滞納処分の続行を認める。その趣旨は、譲渡担保設定後も譲渡担保財産が譲渡担保設定者の占有に引き続きとどまることが少なくなく、外形的には譲渡担保設定の有無が必ずしも明らかでない場合が多いことにかんがみ、譲渡担保財産をそれと知らずに譲渡担保設定者の財産として差し押さえた場合でも、本来譲渡担保権者に対して有効性を主張できない当該差押えの解除、徴収法二四条二項による告知を省略することを許容し、客観的には誤った処分である譲渡担保設定者の財産としての差押えの効力の維持を認めようというものである。右から明らかなとおり、徴収法二四条四項の規定は、譲渡担保財産と知らないで行われた差押えの効力を維持する救済規定であるにとどまるものである。ところで、徴収職員は、滞納処分のため、滞納者、その財産を占有する第三者又は滞納者から財産を取得したと認められる者等に対して、滞納者の財産を調査するために必要な質問、書類等の検査をすることができ(徴収法一四一条)、さらに、滞納者又は一定の第三者の物や住居等を捜索することができる(同法一四二条)という強力な権限を有している。右のような徴収法の定めに照らせば、質問等の強力な権限を有する徴収職員がその 四一条)、さらに、滞納者又は一定の第三者の物や住居等を捜索することができる(同法一四二条)という強力な権限を有している。右のような徴収法の定めに照らせば、質問等の強力な権限を有する徴収職員がその権限に基づく調査を行ったにもかかわらず、譲渡担保財産をそれと知ることができずに譲渡担保設定者の財産として差し押さえた場合の救済規定が前記の徴収法二四条四項であるということができる。 限を有する徴収職員がその 四一条)、さらに、滞納者又は一定の第三者の物や住居等を捜索することができる(同法一四二条)という強力な権限を有している。右のような徴収法の定めに照らせば、質問等の強力な権限を有する徴収職員がその権限に基づく調査を行ったにもかかわらず、譲渡担保財産をそれと知ることができずに譲渡担保設定者の財産として差し押さえた場合の救済規定が前記の徴収法二四条四項であるということができる。他方、譲渡担保権者は、同項が適用される結果、本来であれば同条二項の告知書の送達を受けて初めて同条五項により譲渡担保権の実行による被担保債権の消滅の効力を否定される制約を受けるに至るはずであるのに、事後的に告知書の送達を受けることはできるものの、譲渡担保設定者の財産としての差押えによって何らの告知、通知を受けることなく同条五項による右の制約を受けることになる。すなわち、譲渡担保設定者の財産としての差押えがなされたことを知らずに譲渡担保権の実行をした場合でも、その効力を後に否定される不利益を受ける地位に置かれることになるのである。(3) 右のように、徴収法二四条四項が強力な権限を有する徴収職員による客観的に誤った処分の効力を維持する救済規定であり、同条五項によって譲渡担保権者に対する告知、通知なしにその権利行使を否定する重大な影響をもたらすことにかんがみれば、同条四項の「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」とは、徴収職員が譲渡担保財産であることを知りながら、または、譲渡担保財産であることを容易に知り得たにもかかわらずそれを知ることができずにした、譲渡担保設定者の財産としての差押えは含まれないといわなければならない。このことは、徴収職員が納税者等に対する調査の結果、納税者所有の不動産を他に譲渡担保に供する合意がなされたことを確認しながら、所有権移転登記の 財産としての差押えは含まれないといわなければならない。このことは、徴収職員が納税者等に対する調査の結果、納税者所有の不動産を他に譲渡担保に供する合意がなされたことを確認しながら、所有権移転登記の有無を調査しないまま登記の有無が確認できなかったとしてこれを納税者の財産として差押えた事態を考えれば明らかであると思われる。(二)(1) 本件についてみれば、伊那税務署長その他の徴収職員は、平成六年九月二八日当時、①一括支払システム契約においては常に確定日付のある書面による債務者の譲渡承諾がなされることを熟知しており、②本件では同様の一括支払システム契約に基づいて債権譲渡の合意がなされたことを確認していたのである。 ま登記の有無が確認できなかったとしてこれを納税者の財産として差押えた事態を考えれば明らかであると思われる。(二)(1) 本件についてみれば、伊那税務署長その他の徴収職員は、平成六年九月二八日当時、①一括支払システム契約においては常に確定日付のある書面による債務者の譲渡承諾がなされることを熟知しており、②本件では同様の一括支払システム契約に基づいて債権譲渡の合意がなされたことを確認していたのである。そして、伊那税務署の徴収職員が平成六年九月二七日以前にその写しを取得していた本件一括支払システム契約に係る契約書によれば、明細書兼承諾書が三協精機から原告に交付された時に債権が譲渡され、明細書兼承諾書の交付により債務者である三協精機が債権譲渡を異議なく承諾する旨が定められており、この明細書兼承諾書に確定日付が付されているのである。したがって、本件において、伊那税務署の徴収職員が「一括支払システム契約に基づく債権譲渡の合意が存することを確認した」ということは、当然に本件に関する明細書兼承諾書を確認していたことにほかならないはずであり、それはとりもなおさず、右徴収職員が本件において確定日付のある書面による債務者の譲渡承諾がなされていることを知っていたことにほかならないのである。(2) 仮に、百歩譲って、被告主張のとおり、平成六年九月二八日当時伊那税務署の徴収職員が確定日付ある書面による債権譲渡の承諾の存在を具体的に確認していなかったとすれば、それは右徴収職員が本件に関する明細書兼承諾書を確認していなかったということである。前述の 伊那税務署の徴収職員が確定日付ある書面による債権譲渡の承諾の存在を具体的に確認していなかったとすれば、それは右徴収職員が本件に関する明細書兼承諾書を確認していなかったということである。前述のように、伊那税務署の徴収職員は、平成六年九月当時、一括支払システム契約においては常に確定日付のある書面による債務者の譲渡承諾がなされることを熟知しており、同月二七日以前には本件一括支払システム契約に係る契約書の写しの提出を受けていた。同契約書の3条には、個別の債権譲渡契約の締結方法、同契約の成立時期及び債務者対抗要件である承諾に関して明細書兼承諾書によることが明定されているのであるから、一括支払システム契約に基づく個別の債権譲渡契約の存否及びその第三者対抗要件の有無の確認のためには、具体的な債権譲渡の直接的裏付け文書であると同時に対債務者に対する対抗要件の裏付けとなる明細書兼承諾書の調査を当然に行うべきであり、同時に、あたかも不動産に係る譲渡担保の場合には当然に登記の調査を考えるべきであるように、明細書兼承諾書に確定日付がなされているか否かの調査のために、その提示又は写しの提出を三協精機又は原告に対して求めなければならないことは当然である。 三者対抗要件の有無の確認のためには、具体的な債権譲渡の直接的裏付け文書であると同時に対債務者に対する対抗要件の裏付けとなる明細書兼承諾書の調査を当然に行うべきであり、同時に、あたかも不動産に係る譲渡担保の場合には当然に登記の調査を考えるべきであるように、明細書兼承諾書に確定日付がなされているか否かの調査のために、その提示又は写しの提出を三協精機又は原告に対して求めなければならないことは当然である。そして、伊那税務署の徴収職員にとって、それは極めて容易であったはずである(現に、右徴収職員が再度三協精機を訪問した平成六年一〇月六日には、三協精機は、確定日付ある書面による債権譲渡を説明する文書を即刻交付している。)。右の事情に照らせば、仮に平成六年九月二八日当時伊那税務署の徴収職員が確定日付ある書面による債権譲渡の承諾の存在を具体的に確認していなかったとしても、右徴収職員は容易にその存在を確認し得たのであり、容易に本件債権等が譲渡担保財産であることを知り得たのである。それにもかかわらず、本件に関する明細 渡の承諾の存在を具体的に確認していなかったとしても、右徴収職員は容易にその存在を確認し得たのであり、容易に本件債権等が譲渡担保財産であることを知り得たのである。それにもかかわらず、本件に関する明細書兼承諾書の調査をしないまま、安易に確定日付ある書面による債権譲渡の承諾の存在を確認できなかったとして債権譲渡の存在を否定し、滞納会社の財産として本件売掛債権等を差押えることは許されないといわなければならない。(三) 以上のとおり、伊那税務署長が行った本件差押えは、本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを知りながら、または、譲渡担保財産であることを容易に知り得たにもかかわらずその調査を怠った結果それを知り得ずに、滞納会社の財産として行った差押えであり、違法であることは疑う余地がない。2 争点2(本件告知処分がなされた時点で本件売掛債権等が本件一括支払システム契約の本件代物弁済条項により消滅したことを国に対抗することができるか否か)(被告の主張)(一) 本件代物弁済条項の前段は、「貴行の担保のために譲渡した代金債権に対して徴収法二四条、地方税法一四条の一八およびこれと同旨の規定に基づく譲渡担保権者に対する告知が発せられたときは、これを担保とした貴行の当座貸越債権は何らの手続きを要せず弁済期が到来するものとし、同時に担保のため譲渡した代金債権は当座貸越債権の代物弁済に充当されるものとします。 とを国に対抗することができるか否か)(被告の主張)(一) 本件代物弁済条項の前段は、「貴行の担保のために譲渡した代金債権に対して徴収法二四条、地方税法一四条の一八およびこれと同旨の規定に基づく譲渡担保権者に対する告知が発せられたときは、これを担保とした貴行の当座貸越債権は何らの手続きを要せず弁済期が到来するものとし、同時に担保のため譲渡した代金債権は当座貸越債権の代物弁済に充当されるものとします。」と規定していることから、原告と三脇精機及び滞納者の間では、被告が本件告知処分に係る告知書を発した平成六年一○月一四日に本件売掛債権等は確定的に原告に帰属することになる。(二) しかしながら、前記1(被告の主張)の(一)で述べたとおり、徴収法二四条五項は、譲渡担保財産からの滞納国税の徴収を確保するために、同条二項の告知書を発してから同条三項の差押えをす になる。(二) しかしながら、前記1(被告の主張)の(一)で述べたとおり、徴収法二四条五項は、譲渡担保財産からの滞納国税の徴収を確保するために、同条二項の告知書を発してから同条三項の差押えをするまでの間に、あるいは、同条四項の規定の適用を受ける差押え後、同項所定の手続を行う間に、譲渡担保権の実行が完了し、差押えの目的財産が既に譲渡担保財産でなくなっていたとしても、なお譲渡担保財産として存続するものとみなすこととして、滞納処分をすることを認めたのである。そして、本件差押えは、徴収法二四条四項の規定する差押えに該当するから、仮に、同条二項の告知書が原告に到達する前に原告が譲渡担保権を実行したとしても、同条五項の規定により、本件売掛債権等はなお譲渡担保財産として存続するものとみなされるのである。(三) 右(二)の主張が認められないとしても、次ぎに述べるとおり、国税債権者である国に対する関係では、本件告知処分が原告に到達して時点で本件売掛債権等はなお譲渡担保財産として存続していたものというべきである。すなわち、国税の徴収に関する規定は、その性質上、納税者に公平、平等に適用されるべきものであり、国税と譲渡担保権との調整に関する規定も、私人の意思によってこれを左右することは許されないと解すべきであるところ、本件代物弁済条項は、本件一括支払システム契約による譲渡担保の目的である売掛債権について、およそ法二四条に基づく国税の徴収ができないという実質的な効果を持つもので、法二四条の実効性を損なうものであることは明らかであり、そのような私人間の合意を徴収法が許容しているということはできず、本件代物弁済条項は徴収法二四条に違反し、国税債権に対する関係では国に対し効力を有しないというべきである。 きであるところ、本件代物弁済条項は、本件一括支払システム契約による譲渡担保の目的である売掛債権について、およそ法二四条に基づく国税の徴収ができないという実質的な効果を持つもので、法二四条の実効性を損なうものであることは明らかであり、そのような私人間の合意を徴収法が許容しているということはできず、本件代物弁済条項は徴収法二四条に違反し、国税債権に対する関係では国に対し効力を有しないというべきである。また、徴収法二四条五項の趣旨は、前記1(被告の主張) 収法が許容しているということはできず、本件代物弁済条項は徴収法二四条に違反し、国税債権に対する関係では国に対し効力を有しないというべきである。また、徴収法二四条五項の趣旨は、前記1(被告の主張)の(一)(3)記載のとおり、本件のように滞納者に対する滞納処分が先行する場合には、譲渡担保財産を設定者(滞納者)の財産としてした差押えの後、当該差押えの目的物が譲渡担保権の実行等により譲渡担保財産でなくなり、滞納処分としての差押えの効力が失われることを回避する点にある。したがって、同項で「弁済以外の理由により消滅した場合」と規定し、弁済を除外したのは、設定者(滞納者)が別途資金を調達して譲渡担保の被担保債権を弁済した場合には、譲渡担保に供されていた財産は設定者(滞納者)に戻り設定者の財産として滞納処分の対象とすることができるからであると解される。しかるに、本件代物弁済条項による代物弁済は、譲渡担保財産である本件売掛債権等を確定的に原告に帰属させることになるもので、実質的には譲渡担保権の実行というべきであり、徴収法二四条が除外している「弁済」に該当しないことは明らかである。したがって、原告は、本件代物弁済条項の効力を国税債権者であるき国に対して主張し得ないものであり、そうすると、被告が本件告知処分を行った平成六年一〇月一四日において、本件売掛債権等はいまだ譲渡担保財産として存在していたことになるから、被告がした本件告知処分は適法になされたものというべきである。(原告の主張)(一) 次に述べるとおり、本件売掛債権等は、伊那税務署長が本件告知処分に係る告知書を発した時点において、本件代物弁済条項に基づき代物弁済により消滅し、同告知書が原告に到達した時点では、滞納会社が提供した譲渡担保財産は既に存在しなかったのであるから、本件告知処分は、存在 等はいまだ譲渡担保財産として存在していたことになるから、被告がした本件告知処分は適法になされたものというべきである。(原告の主張)(一) 次に述べるとおり、本件売掛債権等は、伊那税務署長が本件告知処分に係る告知書を発した時点において、本件代物弁済条項に基づき代物弁済により消滅し、同告知書が原告に到達した時点では、滞納会社が提供した譲渡担保財産は既に存在しなかったのであるから、本件告知処分は、存在 る告知書を発した時点において、本件代物弁済条項に基づき代物弁済により消滅し、同告知書が原告に到達した時点では、滞納会社が提供した譲渡担保財産は既に存在しなかったのであるから、本件告知処分は、存在しない譲渡担保財産に対するものであって違法というべきである。(1) 原告は、三協精機及び滞納会社との間において本件一括支払システム契約を締結し、原告の滞納会社に対する当座貸越債権を担保するため本件売掛債権等を原告に譲渡して確定日付ある証書による第三者対抗要件を具備した上、滞納会社に対して本件一括支払システム当座貸越契約に基づいて当座貸越を行った。本件一括支払システム契約及び本件一括支払システム当座貸越契約中の本件代物弁済条項においては、本件売掛債権等に対して徴収法二四条に基づく譲渡担保権者に対する告知が発せられた時は、本件売掛債権等は原告の滞納会社に対する右当座貸越債権の代物弁済に充当される旨が規定されている。(2) 伊那税務署長は、平成六年一〇月一四日、本件告知処分に係る告知書を発し、同告知書は、同年同月一七日に原告に到達したが、本件代物弁済条項に基づき、本件売掛債権等は平成六年一○月一四日に代物弁済に供されて消滅したので、右告知書が原告に到達した時点では既に存在しなかった。(二) 本件代物弁済特約の有効性本件代物弁済条項は、被告に対する関係でも効力を有する。その理由は、以下のとおりである。(1) 徴収法二四条の規定との関係徴収法二四条は、国税債権と譲渡担保権との関係について、一定範囲で国税債権が譲渡担保権に優先する旨を規定しているが、租税法律主義の原則に照らして、国税債権の優先は、徴収法が明定している範囲に限られるものというべきである。そして、徴収法二四条によれば、国税の法定納期限等が譲渡担保権設定に先行し(同条六項)、納税 租税法律主義の原則に照らして、国税債権の優先は、徴収法が明定している範囲に限られるものというべきである。 、国税債権と譲渡担保権との関係について、一定範囲で国税債権が譲渡担保権に優先する旨を規定しているが、租税法律主義の原則に照らして、国税債権の優先は、徴収法が明定している範囲に限られるものというべきである。そして、徴収法二四条によれば、国税の法定納期限等が譲渡担保権設定に先行し(同条六項)、納税 租税法律主義の原則に照らして、国税債権の優先は、徴収法が明定している範囲に限られるものというべきである。そして、徴収法二四条によれば、国税の法定納期限等が譲渡担保権設定に先行し(同条六項)、納税者の財産に滞納処分を執行しても徴収すべき国税に不足する場合には、譲渡担保権者に告知をした上で、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができ(同条一項、二項)、この告知をした後に譲渡担保権の被担保債権が弁済以外の理由で消滅した場合であってもなお譲渡担保財産として存続するものとみなして滞納処分を続行することができる(同条第五項)とされている。右によれば、譲渡担保権の設定時期が国税の法定納期限の前後のいずれかであるかによって国税債権と譲渡担保権の被担保債権との優先関係が定まるとともに、告知処分と譲渡担保権の実行など弁済以外の理由による被担保債権の消滅との先後関係も国税債権と譲渡担保権の被担保債権との優先関係に影響することを徴収法自体が認めていると解される。この点に関し、徴収法二四条は、告知処分と弁済以外の理由による被担保債権の消滅との先後関係について、告知処分が先行している場合には国税債権が優先する旨を明文で定めている(同条五項)が、弁済以外の理由による被担保債権の消滅が先行又は同時である場合に関する直接的な規定は存在しない。しかし、徴収法二四条五項が、告知処分が先行する場合には被担保債権消滅後もなお譲渡担保財産として存続するものとみなして滞納処分を執行することができると規定する文言に照らしてみれば、徴収法は、弁済以外の理由による被担保債権の消滅が同時又は先行する場合には、譲渡担保財産として存続するものとはみなさない、すなわち、被担保債権の消滅が優先することを認めていると解される。そして、徴収法二四条の文言に照らして、法定納期限等の後に設定さ 時又は先行する場合には、譲渡担保財産として存続するものとはみなさない、すなわち、被担保債権の消滅が優先することを認めていると解される。そして、徴収法二四条の文言に照らして、法定納期限等の後に設定された譲渡担保権についてその被担保債権が告知処分以前に弁済以外の理由で消滅することを徴収法が制限しようとしていることは全くうかがわれない。 る。そして、徴収法二四条の文言に照らして、法定納期限等の後に設定さ 時又は先行する場合には、譲渡担保財産として存続するものとはみなさない、すなわち、被担保債権の消滅が優先することを認めていると解される。そして、徴収法二四条の文言に照らして、法定納期限等の後に設定された譲渡担保権についてその被担保債権が告知処分以前に弁済以外の理由で消滅することを徴収法が制限しようとしていることは全くうかがわれない。そうすると、国税の法定納期限等の後に設定された譲渡担保権であっても、告知処分以前に当該譲渡担保権が実行されるなどしてその被担保債権が消滅した場合については、当該被担保債権の消滅は国税債権者である国に対抗できることが明らかである。(2) 契約自由の原則との関係ア本件代物弁済条項は、譲渡担保権の実行時期と実行方法に関する約定であるが、譲渡担保権の実行時期、実行方法をどのように定めるかは当事者の契約により自由に定めることができるのが原則である。したがって、本件代物弁済条項のように、譲渡担保権の実行時期、方法について、譲渡担保権者に対する告知が発せられた時に代物弁済の方法により実行する旨を定めることも当然に許されるところである。イ他方、前述のとおり、国税の法定納期限等の後に設定された譲渡担保権であっても、告知処分以前に当該譲渡担保権の実行により被担保債権が消滅した場合に、当該被担保債権の消滅が国税債権者に対抗できることは、徴収法二四条の規定自体から明らかであり、また、国税の法定納期限等の後に設定された譲渡担保権であっても、告知処分以前に当該譲渡担保権が実行されることを同法が制限しようとしていることは全くうかがわれないのである。したがって、本件代物弁済条項により譲渡担保権者に対する告知が発せられた時に代物弁済の方法により譲渡担保権を実行する旨を当事者間で合意し、当該合意に基づいて譲渡担保権が実行され れないのである。したがって、本件代物弁済条項により譲渡担保権者に対する告知が発せられた時に代物弁済の方法により譲渡担保権を実行する旨を当事者間で合意し、当該合意に基づいて譲渡担保権が実行された結果として被担保債権が消滅したことを国税債権者に対抗できることは徴収法自体が許容するところというべきである。(三) 租税法律主義との関係徴収法二四条の規定自体から、法定納期限等の後に設定された譲渡担保であっても告知処分以前に当該譲渡担保権の実行により被担保債権が消滅した場合にその効果を国税債権者に対抗できることは明らかで、そのような譲渡担保権の実行を同法が制限しようとしていることは全くうかがわれない。 として被担保債権が消滅したことを国税債権者に対抗できることは徴収法自体が許容するところというべきである。(三) 租税法律主義との関係徴収法二四条の規定自体から、法定納期限等の後に設定された譲渡担保であっても告知処分以前に当該譲渡担保権の実行により被担保債権が消滅した場合にその効果を国税債権者に対抗できることは明らかで、そのような譲渡担保権の実行を同法が制限しようとしていることは全くうかがわれない。租税法は、租税徴収の限界を定めているのであるから、租税徴収の必要を理由として法律の規定を超えて租税の徴収ができないことはいうまでもない。そして、右のとおり、徴収法には、告知処分時点(告知の到達時)で譲渡担保財産が存在しない場合に、かつて譲渡担保財産であった財産から譲渡担保設定者の租税を徴収できるとする規定は全く存在しないのである。一括支払システム契約はこの徴収法の規定がない事項に関する契約であり、国税徴収の必要性を理由として、同契約の効力を否定し国税徴収を優先させることは、租税法律主義の観点からも許されないところである。第三争点についての判断一争点1(本件告知処分の前提となる本件差押えが、本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを知りながら、あるいは容易に知ることができたのに知らずにされたものとして違法であるか否か)について 1 徴収法は、国税と他の債権との徴収・強制執行上の関係に関して国税が優先することを原則とし(八条)た上、国税と譲渡担保権の被担保債権との優劣関係については、国税の法定納期限等と譲渡担保権設定との先後関係で決するこ 税と他の債権との徴収・強制執行上の関係に関して国税が優先することを原則とし(八条)た上、国税と譲渡担保権の被担保債権との優劣関係については、国税の法定納期限等と譲渡担保権設定との先後関係で決することとし(二四条六項)、国税が優先する場合で、納税者の財産につき滞納処分をしてもなお徴収すべき国税に不足すると認められるときは、譲渡担保財産から納税者の国税を徴収することができる旨定めている(二四条一項)。したがって、徴収法二四条六項により国税に劣後することになる譲渡担保権者は、同条一項所定の要件が満たされる限り、譲渡担保財産から国税を徴収されることを受忍すべき地位にあるものである。徴収法二四条二項は、譲渡担保財産から国税を徴収するに当たっては、譲渡担保権者に予告することが妥当であるという趣旨により、税務署長等が滞納処分に先だって譲渡担保権者に対しその旨の告知を行うべきものとし、他方、同条五項は、税務署長等は、右の告知をした後に、債務不履行その他弁済以外の理由により被担保債権が消滅した場合においても、なお譲渡担保財産が存続するものとみなして滞納処分ができる旨規定し、譲渡担保権者が、告知を契機として、滞納処分までの間に譲渡担保権の実行を完了して国税の徴収を回避するのを防止しようとしているものと解される。 等が滞納処分に先だって譲渡担保権者に対しその旨の告知を行うべきものとし、他方、同条五項は、税務署長等は、右の告知をした後に、債務不履行その他弁済以外の理由により被担保債権が消滅した場合においても、なお譲渡担保財産が存続するものとみなして滞納処分ができる旨規定し、譲渡担保権者が、告知を契機として、滞納処分までの間に譲渡担保権の実行を完了して国税の徴収を回避するのを防止しようとしているものと解される。そして、明文の規定はないが、右規定の趣旨からすれば、法は、税務署長等が右の告知をする前に、譲渡担保権者が譲渡担保財産を確定的に取得した場合には、その利益を保護し、当該財産から国税の徴収をしないこととしているものと解され、このようにして、国税収入の確保と譲渡担保権者の利益を調整しているものと解される。ところで、滞納処分としての差押えは、滞納者の財産についてなされるべきところ、譲渡担保に付されている財産については、第三者たる徴収機関はその事実を と譲渡担保権者の利益を調整しているものと解される。ところで、滞納処分としての差押えは、滞納者の財産についてなされるべきところ、譲渡担保に付されている財産については、第三者たる徴収機関はその事実を容易に認識することができないから、右財産を滞納者の財産として差し押さえることがあり得る。そのような場合、本来、右差押えは瑕疵あるものであるから、譲渡担保権者に対して差押えの効力を主張するためにはあらためて徴収法二四条二項、三項の手続により譲渡担保権者(第二次納税義務者とみなした場合)の財産として再び差し押さえるべきこととなる。しかし、そのような手続をとることが必要となれば、新たな差押えがなされるまでの間の時間的な間隙を利用し、譲渡担保権を実行し、徴収機関が差押えをした段階では、目的物たる譲渡担保財産が存在しない状態にして差押えを無効ならしめ、譲渡担保権者が優先的な地位を確保しようとすることが考えられる。徴収法二四条は、滞納者に対する瑕疵ある差押えを譲渡担保権者に対する「差押として」滞納処分を続行することができる旨規定して(徴収法二四条四項)、右のような差押え手続をやり直す手数を省略できるものとし、さらに、同条四項の規定の適用を受ける差押え後、債務不履行その他弁済以外の理由により被担保債権が消滅した場合においても、なお譲渡担保財産が存続するものとみなして滞納処分ができる旨規定して(同条五項)、譲渡担保権者が、右差押え後同条四項の手続をとっている間に譲渡担保権の実行を完了して国税の徴収を回避するのを防止し、これらによって、本来的に譲渡担保権者に優先する租税債権について、譲渡担保財産からの徴収ができなくなるという不都合を回避しようとしたものと解される。 の他弁済以外の理由により被担保債権が消滅した場合においても、なお譲渡担保財産が存続するものとみなして滞納処分ができる旨規定して(同条五項)、譲渡担保権者が、右差押え後同条四項の手続をとっている間に譲渡担保権の実行を完了して国税の徴収を回避するのを防止し、これらによって、本来的に譲渡担保権者に優先する租税債権について、譲渡担保財産からの徴収ができなくなるという不都合を回避しようとしたものと解される。2 徴収法二四条四項前段は、「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押は、同項の要件に 租税債権について、譲渡担保財産からの徴収ができなくなるという不都合を回避しようとしたものと解される。2 徴収法二四条四項前段は、「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押は、同項の要件に該当する場合に限り、前項の規定による差押として滞納処分を続行することができる。」と規定しているが、右1に説示したところを前提にすると、右規定にいう「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」とは、差し押さえようとした財産について、当該財産が既に担保のために譲渡された事実を確知し得ず、または、担保のために譲渡された事実をこれを裏付ける資料等をもって確認し得ないために、当該財産が未だ納税者に帰属する財産としてした差押えを意味するものと解するのが相当である。そして、差押え前に、ある財産が譲渡担保財産であることを確知した場合には、徴収法二四条二項による告知をし、その後譲渡担保権者を第二次納税義務者とみなして同人に帰属する譲渡担保財産に対して滞納処分を執行することになるが、その場合に、譲渡担保契約に基づき譲渡担保財産の帰属は譲渡担保権者に移転しているが第三者対抗要件を備えていないときには徴収法二四条三項による譲渡担保権者の財産としてした差押えは担保提供者その他の第三者に対してその差押えの効力を主張できないのであるから、譲渡担保契約の存在が確認されていることのみをもってその譲渡担保財産が当該譲渡担保契約の目的物となっていることを確認できたとすることはできず、ある財産が譲渡担保財産であることを確知したといえるためには、有効に成立した譲渡担保契約に基づいて、譲渡担保財産の帰属が譲渡担保権者に移転し、かつ、第三者対抗要件を備えていることを現実に確認したということが必要であるというべきである。しかして、民法四六七条によれば、指名債権の譲渡については、譲 ことのみをもってその譲渡担保財産が当該譲渡担保契約の目的物となっていることを確認できたとすることはできず、ある財産が譲渡担保財産であることを確知したといえるためには、有効に成立した譲渡担保契約に基づいて、譲渡担保財産の帰属が譲渡担保権者に移転し、かつ、第三者対抗要件を備えていることを現実に確認したということが必要であるというべきである。しかして、民法四六七条によれば、指名債権の譲渡については、譲 譲渡担保財産の帰属が譲渡担保権者に移転し、かつ、第三者対抗要件を備えていることを現実に確認したということが必要であるというべきである。しかして、民法四六七条によれば、指名債権の譲渡については、譲渡人が債務者に通知し又は債務者がこれを承諾しなければ、これをもって債務者その他の第三者に対抗することができず、また、右通知又は承諾は確定日付ある証書をもってしなければ、これをもって債務者以外の第三者に対抗することができない旨定められているから、本件売掛債権等が担保として原告に移転したことを確知したといえるためには、右売掛債権等の移転につき確定日付ある証書による第三債務者の通知又は承諾があることを現実に確認したことを要するものというべきである。3(一) これを本件についてみると、前記第二の一の事実に証拠(甲一、三、五の1ないし3、九、一〇、乙一の1ないし11、二の1ないし11、証人A、同B)及び弁論の全趣旨を併せると、次の事実が認められる。(1) 平成六年当時、被告所部の管理徴収部門統括国税徴収官であったC(以下「C統括官」という。)及びその部下であるA国税徴収官(以下「A徴収官」という。)は、同年七月から同年一○月ころまでの間、滞納会社の滞納整理を担当していた。(2) 滞納会社は、平成六年九月五日ころ従業員を全員解雇し、会社整理に入った。A徴収官からその旨の報告を受けたC統括官は、A徴収官に対し滞納会社の滞納税の徴収に関する調査を行い、必要な措置を講ずるよう命じた。(3) A徴収官は、平成六年九月九日、滞納会社の取引銀行である原告での預金の有無及び滞納会社名義の不動産に設定された原告を権利者とする根抵当権により担保される原告の滞納会社に対する貸付金等の債権額等について調査し、差し押さえるべきものがあれば差押えの手続をとるべく、原告の辰野 及び滞納会社名義の不動産に設定された原告を権利者とする根抵当権により担保される原告の滞納会社に対する貸付金等の債権額等について調査し、差し押さえるべきものがあれば差押えの手続をとるべく、原告の辰野支店に臨場し、同支店の支店長及びB次長に面接し、右の調査への協力を依頼した。 保される原告の滞納会社に対する貸付金等の債権額等について調査し、差し押さえるべきものがあれば差押えの手続をとるべく、原告の辰野 及び滞納会社名義の不動産に設定された原告を権利者とする根抵当権により担保される原告の滞納会社に対する貸付金等の債権額等について調査し、差し押さえるべきものがあれば差押えの手続をとるべく、原告の辰野支店に臨場し、同支店の支店長及びB次長に面接し、右の調査への協力を依頼した。しかし、その日は、他の官公庁の調査と重なっており、細部にわたる調査には対応し切れないと言われ、同徴収官は、滞納会社の同支店での預金残高及び借入金残高の確認しか行うことができなかった。右調査の結果、滞納会社が原告に対して有する預金の払戻請求権と原告が滞納会社に対して有する債権とは相殺適状にあり、預金の差押えは無益であること、滞納会社名義の不動産に設定された根抵当権により担保される原告の滞納会社に対する債権の残額が多額であり、右不動産の差押えも無益であることが判明した。なお、右調査の際には、B次長その他の職員から、本件一括支払システム契約により本件売掛債権等が滞納会社から原告に対し譲渡担保として提供されていることについての話は出なかった。(4) A徴収官は、平成六年九月一三日、滞納会社が三協精機に対して売掛債権を有しているらしいとの情報を得たことから、C統括官の指示を受けて、右売掛債権の存否を確認し、それがあれば差押え手続をとる目的で、三協精機の下諏訪工場に臨場した。そして、同社の経理課のD氏及び資材グループのE氏に面接して、右の点の調査を行った結果、滞納会社が三協精機に対し本件売掛債権等を有していることを確認した。A徴収官は、右調査の過程で、滞納会社及び三協精機が原告との間で一括支払システム契約を締結しているとの情報を得たため、同契約に係る契約書ほか関係書類の提出を求めたところ、Dらからは、本件に係る一括支払システム契約申込書、「一括支払システムに関する契約 との間で一括支払システム契約を締結しているとの情報を得たため、同契約に係る契約書ほか関係書類の提出を求めたところ、Dらからは、本件に係る一括支払システム契約申込書、「一括支払システムに関する契約書」のひな形並びに「「一括支払システム」のご案内」という書類の写しの提示がなされ、そこで、同徴収官はそれらについて説明を受けた。 からは、本件に係る一括支払システム契約申込書、「一括支払システムに関する契約 との間で一括支払システム契約を締結しているとの情報を得たため、同契約に係る契約書ほか関係書類の提出を求めたところ、Dらからは、本件に係る一括支払システム契約申込書、「一括支払システムに関する契約書」のひな形並びに「「一括支払システム」のご案内」という書類の写しの提示がなされ、そこで、同徴収官はそれらについて説明を受けた。A徴収官は、本件一括支払システム契約に係る契約書そのものを見ていないため、現実に滞納会社が一括支払システム契約を締結していることの確認はとれなかったが、本件売掛債権等が譲渡担保財産になっている可能性があると判断し、同日は、本件売掛債権等の差押え手続をとらずに帰署した。(5) A徴収官は、平成六年九月一四日、原告の辰野支店に電話をかけ、応答に出たB次長に対し、平成六年九月一三日の三協精機下諏訪工場に対する臨場調査において同社の担当者から入手していた一括支払システム契約書のひな型に基づいて当該契約の存否等について確認し、原告が滞納会社及び三協精機との間で本件一括支払システム契約を締結していること、原告は、右契約により、本件売掛債権等を譲渡担保として滞納会社に対し当座貸越契約に基づく当座貸越をしていること、現在、当座貸越残高である五九三万六一一六円が右契約による譲渡担保の被担保債権となっている旨の説明を受けた。同徴収官は、その際、同次長に対し、右契約にかかわる詳細事実を確認するため、近日中に同支店に臨場し、詳細な調査を行う旨を告げた。A徴収官は、同月二〇日、本件一括支払システム契約に係る契約書の存否、及び本件売掛債権等が原告の譲渡担保の対象となっているのか否か等について確認するため、原告の辰野支店に臨場した。A徴収官は、応対に出た原告の辰野支店融資課のF課長に対し、本件一括支払システム契約に係る契約書、右契約に 告の譲渡担保の対象となっているのか否か等について確認するため、原告の辰野支店に臨場した。A徴収官は、応対に出た原告の辰野支店融資課のF課長に対し、本件一括支払システム契約に係る契約書、右契約に係る「明細書」等の関係書類の提示を求めたが、F課長は、右各書面は原告の辰野支店には存在しない旨回答したため、F課長から後日提出することの確約を得て、同日の調査を終えた。(6) F課長は、A徴収官の要求事項についてメモを作成し、平成六年九月二一日、調査日に不在であった上司のB次長に対し、右メモに基づき報告を行った。 出た原告の辰野支店融資課のF課長に対し、本件一括支払システム契約に係る契約書、右契約に係る「明細書」等の関係書類の提示を求めたが、F課長は、右各書面は原告の辰野支店には存在しない旨回答したため、F課長から後日提出することの確約を得て、同日の調査を終えた。(6) F課長は、A徴収官の要求事項についてメモを作成し、平成六年九月二一日、調査日に不在であった上司のB次長に対し、右メモに基づき報告を行った。右報告を受けたB次長は、本件差押えの前日である同月二七日までに、原告の伊那支店を通じて本件一括支払システム契約に係る契約書及び一括支払明細リスト(譲渡代金債権明細表)を伊那税務署に届けさせた。なお、右の一括支払明細リストは、原告の本店が三協精機からオンラインで送信される買掛金明細データに基づいて作成し、定期的に辰野支店に送付するものであり、辰野支店は右リストに基づいてそれに記載の金額の範囲内で滞納会社に対する当座貸越に応じていたものであり、右リストは辰野支店に保管されていた。右の届けられた書類の中には本件一括支払システム契約に係る明細書兼承諾書はなく、したがって、C統括官らにおいては、滞納会社と原告の間で本件一括支払システム契約の締結がなされていることは確認できたものの、本件売掛債権等が右契約に係る契約書3条(2)でいう譲渡担保債権に含まれているか否か、また、本件売掛債権等が譲渡担保として譲渡されているとして、当該譲渡が第三者対抗要件を具備しているか否かについては確認することができなかった。そのようなことから、同月二八日C統括官は、三協精機の下諏訪工場に再度臨場し、D及びEの両名に面接し、本件一括支払システム契約により本件売掛 具備しているか否かについては確認することができなかった。そのようなことから、同月二八日C統括官は、三協精機の下諏訪工場に再度臨場し、D及びEの両名に面接し、本件一括支払システム契約により本件売掛債権等が譲渡担保の対象となっているか否かを重ねて調査したが、同月一三日にA徴収官が収集した資料以外に新たな資料の提出はなく、右契約に係る明細書兼承諾書の提出もなかった。そこで、C統括官は、本件売掛債権等は滞納者に帰属するものと判断し、本件差押えの手続をとった。なお、D及びEの両名は、本件一括支払システム契約に係る契約書等の原本を保管してある部署等については知らない旨答え、C統括官においてその保管場所を把握することもできなかった。 るか否かを重ねて調査したが、同月一三日にA徴収官が収集した資料以外に新たな資料の提出はなく、右契約に係る明細書兼承諾書の提出もなかった。そこで、C統括官は、本件売掛債権等は滞納者に帰属するものと判断し、本件差押えの手続をとった。なお、D及びEの両名は、本件一括支払システム契約に係る契約書等の原本を保管してある部署等については知らない旨答え、C統括官においてその保管場所を把握することもできなかった。(7) A徴収官は、同年一〇月五日、C統括官の指示を受け、本件売掛債権等の取立てのため、三協精機の下諏訪工場に臨場した。その際、応対に出たD及びEの両名は、同徴収官に対し、本件一括支払システム契約による譲渡担保設定の事務的な手続を詳細に説明した。その説明では、右契約に係る明細書兼承諾書は、三協精機が原告に提出する資料を基に原告が作成し、三協精機が当該債権譲渡を異議なく承諾する旨記載した右明細書兼承諾書に代表者による記名・押印をして原告に返戻し、その後、原告が確定日付けを得るという取扱いになっているということであり、また、三協精機は、右契約に係る明細書兼承諾書に確定日付けが付されたかどうかは確認していないということであった。A徴収官は、右説明を受けて、その場で本件売掛債権等の取立てをすることはできないと判断し、Dらから提示を受けた「一括支払システムに関する覚書」の写しと明細書兼承諾書のひな形を受領して帰署し、右事情聴取の結果をC統括官に報告した。(8) C統括官は、平成六年一〇月六日、原告の辰野支店に電話をかけ 示を受けた「一括支払システムに関する覚書」の写しと明細書兼承諾書のひな形を受領して帰署し、右事情聴取の結果をC統括官に報告した。(8) C統括官は、平成六年一〇月六日、原告の辰野支店に電話をかけ、本件一括支払システム契約に係る明細書兼承諾書の提出を求めたところ、その直後に、伊那税務署のファクシミリに同年年六月二〇日、同年七月一九日及び同年八月二〇日の各日付の公証人Gによる確定日付が押印されている各明細書兼承諾書の写しが三通送信されてきたが、右各明細書兼承諾書と一体となるべき譲渡対象の売掛債権の明細書の写しは送信されなかった。しかし、同統括官等は、これまでの調査経緯から、本件売掛債権等の譲渡に係る明細書兼承諾書には間違いなく確定日付が付されているであろうと推認した。なお、同年一〇月七日、三協精機から「確認書」が伊那税務署長あてに提出されたが、C統括官らは、それにより、明細書兼承諾書に添付される売掛債権の明細は、三協精機が原告の本店の電子計算センターに送信していること、明細書兼承諾書は、原告の本店が作成して三協精機の東京本社が内容を確認の上、原告の東京支店が確定日付を得ていることを知った。 る明細書兼承諾書には間違いなく確定日付が付されているであろうと推認した。なお、同年一〇月七日、三協精機から「確認書」が伊那税務署長あてに提出されたが、C統括官らは、それにより、明細書兼承諾書に添付される売掛債権の明細は、三協精機が原告の本店の電子計算センターに送信していること、明細書兼承諾書は、原告の本店が作成して三協精機の東京本社が内容を確認の上、原告の東京支店が確定日付を得ていることを知った。(9) 被告は、その後、本件一括支払システム契約に基づき、本件売掛債権等が確定日付ある書面により、譲渡担保として原告に譲渡されている事実を確認した。しかし、滞納会社の財産について滞納処分を執行してもなお本件租税債権に不足する状況にあったことから、被告は、平成六年一○月一四日付けで、原告に対し、徴収法二四条四項後段及び同条二項の規定に基づき、本件告知処分を行った。(二) 右事実によれば、A徴収官は、本件差押え前における本件一括支払システム契約及び右契約による譲渡担保対象の債権に関する調査において、徴収法一四一条が定める質問検査権に基づき調査をしたも った。(二) 右事実によれば、A徴収官は、本件差押え前における本件一括支払システム契約及び右契約による譲渡担保対象の債権に関する調査において、徴収法一四一条が定める質問検査権に基づき調査をしたものの、原告から本件一括支払システム契約により譲渡担保の対象となっている本件売掛債権等について、その譲渡担保としての譲渡を異議なく承諾する旨の三協精機の意思表示が付された明細書兼承諾書が提出されなかったため、右譲渡が第三者対抗要件を備えているものかどうかを確知できなかったものであり、したがって、伊那税務署長は、本件売掛債権等が本件一括支払システム契約に基づき譲渡担保財産となっていることを確知できなかったものというべきである。(三) 原告は、一括支払システム契約の仕組み(同契約によれば、同契約に係る明細書兼承諾書が第三債務者から債権者に交付された時に債権が譲渡され、明細書兼承諾書の交付により第三債務者が債権譲渡を異議なく承諾する旨が定められており、この明細書兼承諾書に確定日付が付されるものである。)からすれば、伊那税務署の徴収職員が「一括支払システム契約に基づく債権譲渡の合意が存することを確認した」ということは、当然に本件一括支払システム契約に係る明細書兼承諾書を確認していたことにほかならないはずであり、それは、とりもなおさず、伊那税務署の徴収職員が本件において確定日付けのある書面による三協精機の譲渡承諾がなされていることを知っていたことにほかならないと主張する。 日付が付されるものである。)からすれば、伊那税務署の徴収職員が「一括支払システム契約に基づく債権譲渡の合意が存することを確認した」ということは、当然に本件一括支払システム契約に係る明細書兼承諾書を確認していたことにほかならないはずであり、それは、とりもなおさず、伊那税務署の徴収職員が本件において確定日付けのある書面による三協精機の譲渡承諾がなされていることを知っていたことにほかならないと主張する。しかし、本件一括支払システム契約の存在と同契約の内容を知っていたからといって、直ちに、本件売掛債権等の譲渡担保としての譲渡につき、三協精機の確定日付のある承諾があることを知ったということにはならないというべきであって、原告の右主張は採用できない。4 原告は、本件差押えは、本件差押え 件売掛債権等の譲渡担保としての譲渡につき、三協精機の確定日付のある承諾があることを知ったということにはならないというべきであって、原告の右主張は採用できない。4 原告は、本件差押えは、本件差押えに際して伊那税務署の徴収職員が本件売掛債権等が譲渡担保財産であることを容易に知り得たにもかかわらず、調査を怠った結果それを知らずに行った差押えであるから、徴収法二四条四項の規定により滞納処分を続行することは許されない旨主張する。しかしながら、前記1記載の徴収法二四条の趣旨に照らし、また、徴収法二四条四項が適用される「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」の範囲について、徴収法上明示的にこれを制限する規定は設けられていないことからすれば、徴収職員において納税者が譲渡担保に供した特定の財産について譲渡担保財産であることを確知できずにこれを納税者の財産として差押えを行った場合については、その不確知の原因が、調査により得られた資料から譲渡担保財産であることが明らかであるのに、故意又は過失によりこれを看過し、あるいは調査をすれば、関係者の任意の協力を得て容易に判明したのに殊更に調査を懈怠したことによるためであるなどの特段の事情がなく、また、右差押えが同条一項の要件を満たすものである限り、徴収法二四条四項の適用があるというべきであり、右差押えは、当初から譲渡担保権者の財産に対してなされた差押えとみなされるべきものと解するのが相当である。本件についてみるに、A徴収官は、本件差押えに係る調査をするまで、一括支払システム契約というシステム自体を一切知らなかったものであり、そのため三協精機下諏訪工場において受領した一括支払システム契約書のひな型を頼りに一括支払システムの理解に努めていたこと(証人A)、前記3(一)に認定したとおり、A徴収官は、 、当初から譲渡担保権者の財産に対してなされた差押えとみなされるべきものと解するのが相当である。本件についてみるに、A徴収官は、本件差押えに係る調査をするまで、一括支払システム契約というシステム自体を一切知らなかったものであり、そのため三協精機下諏訪工場において受領した一括支払システム契約書のひな型を頼りに一括支払システムの理解に努めていたこと(証人A)、前記3(一)に認定したとおり、A徴収官は、 らなかったものであり、そのため三協精機下諏訪工場において受領した一括支払システム契約書のひな型を頼りに一括支払システムの理解に努めていたこと(証人A)、前記3(一)に認定したとおり、A徴収官は、F課長と面会した際、本件一括支払システム契約に係る契約書、右契約に係る「明細書」等の関係書類の提示を求めているが、その当時、同徴収官は、一括支払明細リストなるものが存在することを知らなかったのであり(弁論の全趣旨)、一括支払システム契約書(甲三、乙一、二)3条(2)に「甲は、乙が第5条に定める譲渡代金債権明細書兼承諾書(以下「明細書」という。)を貴行に交付した時に、明細書記載の債権を貴行に譲渡したものとします。」と、5条に「乙が元受銀行に交付する明細書は各代金債権毎に記載するものとし、次の事項を含むものとします。」と記載されていることを併せ考慮すれば、同徴収官がF課長に提出を求めた「明細書」は本件一括支払システム契約に係る明細書兼承諾書であったと認めるのが相当である。そして、F課長は、同徴収官から提出を求められた書類については、それらは原告の辰野支店には存在しない書類であって、右書類を保管している原告の東京支店から平成六年九月二〇日に行内メールで辰野支店に送付させる必要のある書類であると理解していたものであり(甲九、一〇、証人B)、一括支払明細リストの提出を求められたとは考えていなかったものと推認される。また、B次長も、同徴収官が一括支払システム契約書のひな形の記載事項に基づいて調査を進めていることを十分認識していたのであり、本件一括支払システム契約における明細書兼承諾書の重要性を考えれば、F課長から同徴収官の要求事項につき引継ぎを受けた同次長としては、被告所部に対して本件一括支払システム契約に係る契約書及び右契約に係る各明細書兼承諾書の写し おける明細書兼承諾書の重要性を考えれば、F課長から同徴収官の要求事項につき引継ぎを受けた同次長としては、被告所部に対して本件一括支払システム契約に係る契約書及び右契約に係る各明細書兼承諾書の写しを送付してしかるべきであると考えられる。 考えれば、F課長から同徴収官の要求事項につき引継ぎを受けた同次長としては、被告所部に対して本件一括支払システム契約に係る契約書及び右契約に係る各明細書兼承諾書の写し おける明細書兼承諾書の重要性を考えれば、F課長から同徴収官の要求事項につき引継ぎを受けた同次長としては、被告所部に対して本件一括支払システム契約に係る契約書及び右契約に係る各明細書兼承諾書の写しを送付してしかるべきであると考えられる。しかるに、実際には、B次長が伊那税務署長に対し、右契約書と一括支払明細リスト(譲渡代金債権明細表)の写ししか送付しなかったことは前記3(一)に認定したとおりである。右の経過からすれば、C統括官及びA徴収官は、本件差押え前における本件売掛債権等及び本件一括支払システム契約に関する調査において、徴収法一四一条が定める質問検査権を行使してそれなりの調査を行ったにもかかわらず、なお、本件売掛債権等が一括支払システム契約に基づき担保のために確定日付ある書面により原告に譲渡された事実を確認できなかったものと認めるのが相当であり、本件において、伊那税務署の徴収職員が、原告らから提示された資料により本件売掛債権等の譲渡担保としての譲渡について三協精機が異議なく承諾していることを知り得たのに、故意又は過失によりこれを看過し、あるいは調査をすれば、関係者の任意の協力を得て容易に右事実を把握し得たのに殊更に調査を懈怠したなどの特別の事情があることをうかがわせる証拠はない。5 そうすると、伊那税務署長が、本件売掛債権等を滞納会社に帰属するものとしてした本件差押えに違法はないというべきであり、本件差押えが徴収法二四条四項により続行が認められる「譲渡担保財産を第一項の納税者の財産としてした差押」に該当することは明らかである。二争点2(本件告知処分がなされた時点で本件売掛債権等が本件一括支払システム契約の本件代物弁済条項により消滅したことを国に対抗することができるか否か)について 1 徴収法二四条二項によれば、同条一項により 2(本件告知処分がなされた時点で本件売掛債権等が本件一括支払システム契約の本件代物弁済条項により消滅したことを国に対抗することができるか否か)について 1 徴収法二四条二項によれば、同条一項により譲渡担保財産から納税者が滞納した国税を徴収しようとするときは、譲渡担保権者に対して、所定の事項を記載した書面により告知しなければならないとされているところ、右告知が適法といえるためには、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められることのほかに、告知が相手方に到達した時点において、当該相手方が譲渡担保権者であること、すなわち譲渡担保財産が存在していることを要するものと解される。 から納税者が滞納した国税を徴収しようとするときは、譲渡担保権者に対して、所定の事項を記載した書面により告知しなければならないとされているところ、右告知が適法といえるためには、納税者の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき国税に不足すると認められることのほかに、告知が相手方に到達した時点において、当該相手方が譲渡担保権者であること、すなわち譲渡担保財産が存在していることを要するものと解される。ところで、本件代物弁済条項の前段は、「貴行の担保のために譲渡した代金債権に対して徴収法二四条、地方税法一四条の一八およびこれと同旨の規定に基づく譲渡担保権者に対する告知が発せられたときは、これを担保とした貴行の当座貸越債権は何らの手続きを要せず弁済期が到来するものとし、同時に担保のため譲渡した代金債権は当座貸越債権の代物弁済に充当されるものとします。」と規定していることから、原告と三協精機及び滞納者の間では、被告が本件告知処分に係る告知書を発した平成六年一〇月一四日に本件売掛債権等は確定的に原告に帰属したことになる。したがって、本件では、国税債権者である国に対する関係で、本件告知処分が原告に到達した時点において、本件売掛債権等が譲渡担保財産として消滅せずに存在していたかどうかが問題になる。2 そこで、検討するに、前記一1記載のとおり、徴収法二四条五項は、譲渡担保財産からの滞納国税の徴収を確保すべく、同条二項の告知をした後同条三項の差押えをするまでの間に、又は同条四項の規定の適用を受ける差押え後同項所定の手続がとられるまでの間に、 法二四条五項は、譲渡担保財産からの滞納国税の徴収を確保すべく、同条二項の告知をした後同条三項の差押えをするまでの間に、又は同条四項の規定の適用を受ける差押え後同項所定の手続がとられるまでの間に、債務不履行その他弁済以外の理由により被担保債権が消滅した場合においても、なお譲渡担保財産が存続するものとみなすこととして、滞納処分をすることを認めたものと解される。なお、同条五項にいう「前項の規定の適用を受ける差押」とは、譲渡担保財産を納税者の財産としてした差押えであって、かつ、同条一項の要件に該当する差押えをいうものであり、同条四項後段の規定に基づく同条二項の告知及び通知をしていることは、右の「差押」に該当することの要件ではないと解される。しかして、本件差押えが徴収法二四条四項の規定の適用を受ける差押えに該当することは前記一で説示したとおりであるところ、本件一括支払システム契約の当事者間において、同条四項後段及び同条二項の告知に係る告知書が原告に対し発せられたときに本件代物弁済条項により譲渡担保財産である本件売掛債権等が消滅したものとしても、本件差押えがされたのはそれより前の平成六年九月二八日である(前記第二の二13(二))から、同条五項の規定により、被告は、本件売掛債権等はなお譲渡担保財産として存続するものとみなして、原告に対し滞納処分の執行をすることができるものというべきである。 いて、同条四項後段及び同条二項の告知に係る告知書が原告に対し発せられたときに本件代物弁済条項により譲渡担保財産である本件売掛債権等が消滅したものとしても、本件差押えがされたのはそれより前の平成六年九月二八日である(前記第二の二13(二))から、同条五項の規定により、被告は、本件売掛債権等はなお譲渡担保財産として存続するものとみなして、原告に対し滞納処分の執行をすることができるものというべきである。前記第二の三2(原告の主張)は、徴収法二四条五項の規定の趣旨を正解しないものであって、採用することができない。3 そうすると、原告は、本件告知処分がなされた時点で本件売掛債権等が本件一括支払システム契約の本件代物弁済条項により消滅したことを国に対抗することはできないといわなければならない。三前記一に説示したとおり、本件告知処分の前提となる本件差押えに違 本件売掛債権等が本件一括支払システム契約の本件代物弁済条項により消滅したことを国に対抗することはできないといわなければならない。三前記一に説示したとおり、本件告知処分の前提となる本件差押えに違法な点はない。そして、滞納会社の財産につき滞納処分を執行してもなお徴収すべき本件滞納国税に不足する状況にあることは前記一3(一)(9)で認定したとおりであり、また、国税債権者である国は、本件告知処分が原告に到達した時点において、本件売掛債権等がなお譲渡担保財産として存続するものとみなすことができるというべきことは、前記二に説示したとおりである。したがって、本件告知処分に違法はないといわなければならない。第四結語以上の次第で、本件告知処分に違法はなく、原告の本件請求は理由がないから、これを棄却することとし、訴訟費用の負担について、行政事件訴訟法七条、民訴法六一条を適用して、主文のとおり判決する。東京地方裁判所民事第三部裁判長裁判官青柳馨裁判官谷口豊裁判官加藤聡
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