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昭和35(オ)618 土地建物明渡及び損害金請求

裁判所

昭和38年12月5日 最高裁判所第一小法廷 判決 棄却 福岡高等裁判所

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2,586 文字

主文 本件上告を棄却する。上告費用は上告人の負担とする。理由 上告代理人清瀬一郎、同内山弘の上告理由第一点ないし第三点および同後藤久馬一、同斎藤孝知の上告理由第一点について。原判決は、昭和二二年九月一七日国と控訴人(上告人)との間に本件土地建物につき期間を一年とする一時使用目的の賃貸借契約が締結され、その後期間の延長が認められて来たが、昭和二四年三月三一日右両者間において賃貸借期限を同年六月三〇日までとし、右期限後は直ちにこれを返還する旨を約したところ、右賃貸借契約は右期限の到来により終了した旨を判示しているのであつて、右契約が一時使用目的の賃貸借契約として借地法、借家法の適用のないものと解すべきことは、原判決認定の諸事情に照し、当裁判所もこれを正当として是認する。それ故原判決に所論の借地法、借家法の解釈に関する誤り等の違法がない。されば、原判決中、所論の指摘する国と控訴人との間の本件土地建物の使用関係が行政処分によるものである旨の判示部分の当否は、何ら判決に影響を及ぼさないものというべく、この点の違法をいう所論もまた採用することができない。論旨はすべて理由がない。同清瀬一郎、同内山弘の上告理由第四点および同後藤久馬一、同斎藤孝知の上告理由第三点について。上告人は、第一審および原審において、被上告人の主張に対し、上告人の本件土地建物の使用関係は国より賃貸を受けたことによるものであつて、借地法および借家法の規定により被上告人に対する関係においてもその使用を保護せらるべきであるのみならず、かりに上告人の本件土地建物の使用関係が国の行政処分によるものであつて、もはや被上告人に対しその使用権限を有しないとしても、被上告人が国- 1 -より本件土地建物の所有権を取得したことを楯 ならず、かりに上告人の本件土地建物の使用関係が国の行政処分によるものであつて、もはや被上告人に対しその使用権限を有しないとしても、被上告人が国- 1 -より本件土地建物の所有権を取得したことを楯にとつて上告人に対しその明渡を求めることは権利の濫用である旨を強調し、そして、一審および原審においては、専ら国が上告人に対し本件土地建物の使用を許したことが行政処分であるか賃貸借であるか、賃貸借であるとすればそれが一時使用目的の賃貸借であるか否かおよび国よりその所有権を取得した被上告人が上告人に対しその明渡を求めることが権利の濫用に当るか否かを争点として審理が重ねられて来たものであることは本件記録上明らかである。 対しその明渡を求めることは権利の濫用である旨を強調し、そして、一審および原審においては、専ら国が上告人に対し本件土地建物の使用を許したことが行政処分であるか賃貸借であるか、賃貸借であるとすればそれが一時使用目的の賃貸借であるか否かおよび国よりその所有権を取得した被上告人が上告人に対しその明渡を求めることが権利の濫用に当るか否かを争点として審理が重ねられて来たものであることは本件記録上明らかである。もつとも、上告人は原審に至り、被上告人が国に対し本件土地建物の払下申請を行つたことを立証するために提出した書証につき、その様式を争い、原判決中その証拠力について判断するところがあるけれども、これとても被上告人の本件土地建物に関する所有権取得を全面的に争い、この点を本件における争点として特に審理判断を求める趣旨に出でたものとは解せられない。すなわち、上告人は、本件土地建物の所有権が被上告人に属するものであることを前提としてその主張をしているものであることが記録上窺われるのであつて、被上告人は、原審の弁論において、被上告人が国より本件土地建物の所有権を取得した旨の登記を経由したことについては、とくに明示的に主張をせず、上告人もその点にふれるところがなかつたのである。それ故、原判決が、被上告人名義の所有権登記につき上告人が明らかに争わないものと判断したことは、失当とは認められず、原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。同清瀬一郎、同内山弘の上告理由第五点および同後藤久馬一、同斎藤孝知の上告理由第二点について。原判決認定の事実 したことは、失当とは認められず、原判決には所論の違法はない。論旨は採用できない。同清瀬一郎、同内山弘の上告理由第五点および同後藤久馬一、同斎藤孝知の上告理由第二点について。原判決認定の事実関係の下においては、被上告人が上告人に対し本件土地建物の明渡を求めることが権利の濫用に当らないとする原判決の判断は、正当として肯認できる。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。同清瀬一郎、同内山弘の上告理由第六点について。- 2 -原判決は、上告人が本件土地建物を不法占有することにより被上告人の使用収益を妨げ、被上告人がこれを他に賃貸すれば得べかりし利益に相当する損害を与えた旨を判示したものであることは判文上明らかである。されば、被上告人が右物件を他に賃貸しえない事情にあつたこと、その他損害額の算定について所論の指摘する事実は、いずれも本件の損害額算定についての特段の事情であつて、その主張立証のない本件において、原判決がこれを斟酌しなかつたのは当然である。 不法占有することにより被上告人の使用収益を妨げ、被上告人がこれを他に賃貸すれば得べかりし利益に相当する損害を与えた旨を判示したものであることは判文上明らかである。されば、被上告人が右物件を他に賃貸しえない事情にあつたこと、その他損害額の算定について所論の指摘する事実は、いずれも本件の損害額算定についての特段の事情であつて、その主張立証のない本件において、原判決がこれを斟酌しなかつたのは当然である。原判決に所論の違法はなく、論旨は採用できない。同後藤久馬一、同斎藤孝知の上告理由第四点について。原判決挙示の証拠によれば、所論の点についての原判決の事実認定は肯認できるから、原判決に所論の採証法則の違反はない。論旨は採用できない。よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。最高裁判所第一小法廷裁判長裁判官入江俊郎裁判官下飯坂潤夫裁判官斎藤朔郎裁判官長部謹吾- 3 - 裁判官 斎藤朔郎 裁判官長 部謹吾

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