平成25(行ウ)23

裁判年月日・裁判所
平成26年11月6日 奈良地方裁判所
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判決文本文5,527 文字)

平成26年11月6日判決言渡し平成25年(行ウ)第23号懲戒処分取消請求事件判決 主文 1 奈良市長が,平成25年7月30日付けで原告に対してした,平成25年7月31日から平成25年10月30日までの間(3か月間),原告の給料月額の10分の1を減給するとの懲戒処分を取り消す。 2 訴訟費用は,被告の負担とする。 事実及び理由 第1 当事者の求めた裁判 1 請求の趣旨主文同旨 2 請求の趣旨に対する答弁⑴ 原告の請求を棄却する。 ⑵ 訴訟費用は原告の負担とする。 第2 事案の概要 1 原告は,地方公共団体である被告に勤務する地方公務員であるが,奈良市長から,平成25年7月30日,地方公務員法29条1項1号及び3号並びに職員の懲戒の手続及び効果に関する奈良市条例5条の規定により,同月31日から同年10月30日までの間(3か月間),原告の給料月額の10分の1を減給するとの懲戒処分(以下「本件処分」という。)を受けた。 本件訴訟は,原告が,奈良市長の所属する地方公共団体である被告に対し,本件処分はその根拠を欠き違法であると主張して,本件処分の取消しを求めるものである。 2 本件における関係法令の定めは別紙のとおりである。(別紙は添付省略) 3 争いのない事実等 以下の事実は,当事者間に争いのない事実,当裁判所に顕著な事実又は証拠若しくは弁論の全趣旨によって認めることができる事実である。 被告は,地方公共団体である。奈良市長は,被告に所属している。 (争いのない事実)⑵ 原告は,被告に勤務する地方公務員である。原告は,平成24年4月以降,被告の環境清美センター(以下「本件職場」という。)収集課に勤務しており,主な職務内容は 属している。 (争いのない事実)⑵ 原告は,被告に勤務する地方公務員である。原告は,平成24年4月以降,被告の環境清美センター(以下「本件職場」という。)収集課に勤務しており,主な職務内容はゴミの収集・運搬作業である。 本件職場は,奈良市ab丁目に所在し,原告の自宅までは道路距離で約5キロメートルである。 原告は,自宅において,配偶者などのほか,長男であるAと生活している。 Aは奈良市内の大学に在籍している。 原告は,自宅から本件職場への通勤において,主としてワンボックスタイプの自動車(乙8。以下「本件車両」という。)を使用している。 (争いのない事実,甲12,23,乙8,弁論の全趣旨)⑶ 原告の本件職場における勤務時間は午前7時30分から午後4時までである。このうち,45分間が休憩時間とされており,休憩時間は通常,午前11時から午前11時45分にとることになっていたが,勤務の状況により午前11時から休憩時間を取得できないときは,午前中の作業が終了した後に45分間の休憩を取得することが許されており,休憩時間の間に外出することも認められている。 (争いのない事実,原告本人)⑷ 株式会社Bは,平成24年12月26日,テレビジョン放送のニュース番組において,本件職場の職員が,勤務時間中に,休憩時間を超えて自宅に帰宅する「中抜け」をたびたび行っていることを主な内容の一とする放送を行った(以下「本件放送」という。)。 (争いのない事実,乙1) ⑸ア被告のC法令遵守監察監及びD参与らは,本件放送において放映された所定の休憩時間を超える職場離脱を行っていたのが原告ではないかと疑い,平成24年12月27日,原告に対し上記職場離脱について事情聴取を行った。これに対し,原告は,所定の休憩時間を超える職場離脱を行った事実を否 間を超える職場離脱を行っていたのが原告ではないかと疑い,平成24年12月27日,原告に対し上記職場離脱について事情聴取を行った。これに対し,原告は,所定の休憩時間を超える職場離脱を行った事実を否定した。 (乙4の1・2)イ奈良市長は,平成25年1月16日,奈良市職員分限懲戒審査委員会に対し,原告の前記アの職場離脱に対する懲戒処分の審査を諮問した。同委員会は,同年1月25日,同年2月26日,同年3月27日及び同年7月19日に委員会を開催し,同年7月19日に,奈良市長に対し,勤務時間中に職場を離脱(中抜け)し,職務専念義務を怠り,職員服務規程に違反したことを理由に,「減給10分の1 3月」の懲戒処分を行うことを答申した。 (乙5)ウ奈良市長は,上記イ記載の答申に基づき,平成25年7月30日,原告に対し,本件処分を行った。 なお,被告は,本件処分の際に原告に交付した「処分説明書」(甲2。 以下「本件説明書」という。)において,本件処分の理由として,平成24年9月26日については少なくとも1時間29分,同年10月24日については少なくとも1時間40分,所定の休憩時間である45分間を超過して職場を離脱(以下「本件各職場離脱」という。)していたことを挙げた。 (争いのない事実,甲1,2)⑹ 原告は,平成25年8月22日,本件訴訟を提起した。 (顕著な事実) 4 争点及び当事者の主張 本件の争点は本件処分の適法性であるが,その実質は本件各職場離脱の有無である。これについての各当事者の主張は以下のとおりである。 (被告)原告は,以下のとおり本件各職場離脱を行った。 原告は,平成24年9月26日,午後0時36分頃から午後2時50分頃までの間,本件車両で自宅に帰宅し,所定の休憩時間である45分間を約1 告)原告は,以下のとおり本件各職場離脱を行った。 原告は,平成24年9月26日,午後0時36分頃から午後2時50分頃までの間,本件車両で自宅に帰宅し,所定の休憩時間である45分間を約1時間29分超過して職場を離脱した。 原告は,平成24年10月24日,午後0時26分頃から午後2時50分頃までの間,本件車両で自宅に帰宅し,所定の休憩時間である45分間を約1時間39分超過して職場を離脱した。 (原告)原告が本件各職場離脱をしたことは否認する。 原告が本件各職場離脱をしたとされている日はいずれも水曜日であり,水曜日の原告の勤務内容からすれば,原告が,午後0時30分頃に本件職場を離脱することは不可能である。仮に,これらの日の午後0時30分頃に,原告が自宅から本件職場への通勤に使用している本件車両が本件職場の駐車場から出庫された事実が存在したとしても,それは,Aが大学におけるサークル活動のために使用したものであり,原告が乗車していたことはない。 第3 当裁判所の判断 1 本件放送の内容について被告は,本件において,主として本件放送の内容を根拠として,原告が本件各職場離脱を行ったと主張している。 本件放送の主な内容(ただし,本件各職場離脱の認定に関係する部分に限る。)は,以下のとおりである(乙1。なお,日時はいずれも平成24年であると考えるのが相当である。)。 本件車両に似たワンボックスカー(以下において同様。)が路上を走行す る様子であり,「10月24日」とのキャプションが付けられている(甲4の写真㉑ないし㉓。ただし,画面がぼかされているため,車両のナンバーを認識することはできず,車種も完全には特定することができない。)。 職場を出た時間として,「9月26日午後0時36分,10月24日午後0時2 ただし,画面がぼかされているため,車両のナンバーを認識することはできず,車種も完全には特定することができない。)。 職場を出た時間として,「9月26日午後0時36分,10月24日午後0時26分」とのキャプションが表示される(甲4の写真㉔)。 「10月24日」のキャプションとともに,ワンボックスカーが駐車する様子が映され,「12時35分です」「職員が自宅に戻ってきました」との音声が流れ,同内容のキャプションが表示される(甲4の写真㉕及び㉖。なお,画面がぼかされているため,車両のナンバー及び詳細な車種は特定できない。人物は写っていない。)。 「10月24日」とのキャプションとともに,ワンボックスカーに人が乗り込んで走り出す様子が表示され,「本来の休憩時間は45分。しかし,2度とも,職員が自宅を出たのは2時間以上たった午後2時40分だった。そして,車でおよそ10分の職場に戻っていた。」との音声が流れ,「自宅を出た時間」として「9月26日午後2時40分,10月24日午後2時40分」とのキャプションが表示される(甲4の写真㉗及び㉘。なお,画面がぼかされているため,人物を特定することはできない。)。 「環境清美センター 10月24日」とのキャプションとともに,ワンボックスカーが走行する様子が写され,「午後2時50分です」「職員が車に乗って職場に戻ってきました」との音声が流れ,同内容のキャプションが表示される(甲4の写真㉙及び㉚。なお,画面がぼかされているため,車両のナンバー及び詳細な車種を特定することはできない。)。 「先月14日」(11月14日を意味すると考えられる。)とのキャプションとともに,「なぜ昼休憩を超える時間を自宅にいるのか,職員に直接聞くことにした。」との音声が流れ,取材者と男性の会話の様子が写される。 その 」(11月14日を意味すると考えられる。)とのキャプションとともに,「なぜ昼休憩を超える時間を自宅にいるのか,職員に直接聞くことにした。」との音声が流れ,取材者と男性の会話の様子が写される。 そのやりとりの様子は,概要,以下のとおりである。 取材者「Bなんですけども。休み時間2時間以上」男性「一切45分しかいません」取材者「僕,確認させてもらってて・・・」男性「あのね,おかしなこと言わんといてくれる?一切,45分以外休んでません」 2 本件各職場離脱の有無について本件放送については,キャプション等における日時等が正確であることを前提としたとしても,平成24年9月26日及び同年10月24日の午後0時30分前後に本件職場を出たとされるワンボックスカーが本件車両であることについては,前記1で判示したとおりワンボックスカーのナンバー及び車種を識別することができないから,これを認定することができないし,ほかにこれを認めるに足りる証拠も存在しない。 また,Aは,平成24年9月ないし10月に,在籍している大学のサークル活動で用いるため,本件職場の駐車場から本件車両を借用して用いたことが複数回あった旨を陳述書(甲11,12,25)において述べ,原告もこのようなことがあったことを陳述書(甲23)及び本人尋問において供述しており,他方,Aが平成24年9月ないし10月に本件職場の駐車場から本件車両を借用したことを否定すべき証拠も存在しないから,仮に,上記ワンボックスカーが本件車両であったとしても,これをAが運転していた可能性も存在するといわざるを得ず,原告が運転していたとは直ちに認めることができないし,ほかにこれを認めるに足りる証拠も存在しない(なお,被告は,Aの供述には不自然な変遷があるなどとしてその信用性を争い,確かに,Aが わざるを得ず,原告が運転していたとは直ちに認めることができないし,ほかにこれを認めるに足りる証拠も存在しない(なお,被告は,Aの供述には不自然な変遷があるなどとしてその信用性を争い,確かに,Aが本件車両を借用した理由についての陳述には若干の変遷が認められるが,その内容及び経緯を考慮すれば,かかる変遷を考慮しても,上記結論が左右されるものではない。)。 被告は,原告が,本件放送の直後に,本件職場の上司であるEに対し,「え らいことをしてしもたなあ。」「今からまじめにしても大丈夫かなあ。」と発言しており,かかる発言は原告が本件各職場離脱をしていたことを認めたものであると主張する。 確かに,本件処分に先立って行われたEに対する事情聴取の報告書(乙6)においては,Eが,本件放送の後,原告と話をした際,原告が上記のような発言をしていたと答えた旨が記載されている。しかし,Eは,陳述書(甲24)において,上記発言のうち,「えらいことをしてしもたなあ」については,原告以外の本件職場の同僚が発言したものであり,それを上記事情聴取において伝えたに過ぎないし,「今からまじめにしても大丈夫かなあ。」については,全く記憶がない旨供述しており,これらの証拠を勘案すれば,上記報告書の記載をもって,原告が上記のような供述をしたことを認定することはできないし,仮に,原告が本件放送の直後に上記のような発言をした事実が認められたとしても,これをもって直ちに原告が本件各職場離脱をした事実を認めることができるものでもない。 このほかにも,原告が本件各職場離脱をした事実を認めるに足る証拠はない。 そうすると,本件処分はその理由を欠くから違法であり,取り消されるべきである。 第4 結論以上のとおりであって,原告が被告に対し本件処分が違法であることを た事実を認めるに足る証拠はない。 そうすると,本件処分はその理由を欠くから違法であり,取り消されるべきである。 第4 結論以上のとおりであって,原告が被告に対し本件処分が違法であることを理由として本件処分の取消しを求める本件請求は理由があるから,これを認容することとし,訴訟費用の負担につき行政事件訴訟法7条,民事訴訟法61条を適用して,主文のとおり判決する。 奈良地方裁判所民事部裁判長裁判官牧賢二裁判官池上尚子裁判官瀬戸信吉

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