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昭和40(う)363 不法監禁被告事件

裁判所

昭和40年6月25日 東京高等裁判所

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1,555 文字

主文 本件控訴を棄却する。当審における未決勾留日数中八〇日を原判決の本刑に算入する。理由 本件控訴の趣意は、被告人及び弁護人岡良賢作成名義の各控訴趣意書(右弁護人は、弁護人の控訴趣意第二点及び第三点は撤回すると述べた)に記載されたとおりであるから、これを引用し、これに対し当裁判所は次のとおり判断する。被告人の控訴趣意中事実誤認の主張について論旨は、ひつきよう、被告人には不法監禁の事実がなく、これをあるものと認定した原判決には判決に影響を及ぼすことの明らかな事実の誤認があり、破棄を免れないというに帰する。<要旨>よつて、原判決挙示の各証拠を検討するに、原判決の挙示する証拠により、被告人は、原判示のような経緯</要旨>から嫌がり渋るAを原判示の被告人居室に同行したうえ、同女に対し、原判決の摘示するとおり、同女の変心を執拗に難詰し、軽便カミソリを突きつけて脅し文句をいい、その挙句には同女の頭髪を切断したほか、なお、「俺は刑務所に入つてもこの気持は変らない。どこにかくれても必ず探し出してやつてやる」、「俺はてめえの顔を切るといつたら必ず切るからな」などと言い、更に、折りたたみの果物ナイフを突きつけて、「俺はこのように用意してあるんだ」といつて、脅迫し、同女をして被告人の余りにも激しい言動により、後難を恐れるの余り、その場を脱出しようにもできなくさせて、原判示の時間同女の行動の自由を拘束したことが認められる。所論は、被告人が居室の扉や窓に施錠したといつても、室内からは錠をはずして自由に出られたもので、また、被告人は、その間暫らく眠つたり短時間ではあるが外出しており、同女を終始監視したものではなく、従つて当時被告人に同女を監禁する意思はなかつたものであると陳弁し、被告人の居室の扉及 れたもので、また、被告人は、その間暫らく眠つたり短時間ではあるが外出しており、同女を終始監視したものではなく、従つて当時被告人に同女を監禁する意思はなかつたものであると陳弁し、被告人の居室の扉及び窓における施錠の状況が所論のとおりであり、また、被告人がその間眠つたり外出したりしたことがあつたことも所論のとおりであるが、当時における被告人の同女に対する言動が前叙のようなものであつたことに想いを到せば、所論の情況から直ちに同女の脱出が可能であつたと即断するのは早計であり、却つて、被告人の同女に対する仕打が前記のように苛烈なものであつたため、敢て施錠や監視を必要としなかつたものとさえ言えないことはないのであつて、以上のような情況の下において当時被告人に監禁の意思がなかつたものとする所論は到底採用することができない。 、当時における被告人の同女に対する言動が前叙のようなものであつたことに想いを到せば、所論の情況から直ちに同女の脱出が可能であつたと即断するのは早計であり、却つて、被告人の同女に対する仕打が前記のように苛烈なものであつたため、敢て施錠や監視を必要としなかつたものとさえ言えないことはないのであつて、以上のような情況の下において当時被告人に監禁の意思がなかつたものとする所論は到底採用することができない。もつとも原判決は、判文で明らかなとおり、被告人が終始同女の行動を監視していたことをも掲げて、同女の脱出を不能にさせた旨判示しており、この点は、叙上の事実に徴し、いささか事実に副わない憾みがあるが、右は、被告人が脅迫手段をもつて同女の行動の自由を拘束し、その脱出を不能にさせて、同女を不法に監禁した旨の原判示に影響を及ぼすものとはなし難く、未だもつて原判決を破棄する事由とするには足りない。されば、論旨は理由がない。(その余の判決理由は省略する。)(裁判長判事松本勝夫判事海部安昌判事石渡吉夫)

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