令和7(わ)1677 職業安定法違反、所在国外移送誘拐

裁判年月日・裁判所
令和7年11月19日 名古屋地方裁判所
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判決文本文3,146 文字)

主文 被告人を懲役4年に処する。 未決勾留日数中70日をその刑に算入する。 理由 (罪となるべき事実)被告人は、第1 海外でいわゆる特殊詐欺を行っている氏名不詳者らから求人の依頼を受けていたものであるが、氏名不詳者らと共謀の上、犯罪の実行役をさせる目的で、令和6年11月18日頃から同年12月2日頃までの間、日本国内のいずれかの場所において、前記特殊詐欺を行っている氏名不詳者らに対し、求職の申込みを受けたA(当時16歳)から顔写真等のデータを提供させた上、同年12月2日、同人を中部国際空港からタイ王国向け航空機に搭乗させて出国させるなどして、前記特殊詐欺を行っている氏名不詳者らにAをいわゆるかけ子を行う詐欺の実行役として紹介して雇用させ、もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行った。 第2 海外でいわゆる特殊詐欺を行っている氏名不詳者らから求人の依頼を受けていたものであるが、氏名不詳者らと共謀の上、犯罪の実行役をさせる目的で、同年11月26日頃から同年12月2日頃までの間、日本国内のいずれかの場所において、前記特殊詐欺を行っている氏名不詳者らに対し、求職の申込みを受けたB(当時31歳)から顔写真等のデータを提供させた上、同年12月2日、同人を成田国際空港からタイ王国向け航空機に搭乗させて出国させるなどして、前記特殊詐欺を行っている氏名不詳者らに前記Bをいわゆるかけ子を行う詐欺の実行役として紹介して雇用させ、もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行った。 第3 海外でいわゆる特殊詐欺を行っている氏名不詳者らから求人の依頼を受けていたものであるが、氏名不詳者らと共謀の上、犯罪の実行役をさせる目的で、同年12月3日頃から同月9日頃までの間、日本国内のいずれかの場所に ゆる特殊詐欺を行っている氏名不詳者らから求人の依頼を受けていたものであるが、氏名不詳者らと共謀の上、犯罪の実行役をさせる目的で、同年12月3日頃から同月9日頃までの間、日本国内のいずれかの場所において、前記特殊詐欺を行っている氏名不詳者らに対し、求職の申込みを受けたC(当時21歳)から顔写真等のデータを提供させた上、同月9日、同人を中部国際空港からタイ王国向け航空機に搭乗させて出国させるなどして、前記特殊詐欺を行っている氏名不詳者らに前記Cをいわゆるかけ子を行う詐欺の実行役として紹介して雇用させ、もって公衆道徳上有害な業務に就かせる目的で職業紹介を行った。 第4 Aを日本からタイ王国に移送する目的で、氏名不詳者らと共謀の上、同年10月頃から同年11月11日までの間、名古屋市内又はその周辺において、Aに対し、「海外行かない」「連れてってやるよ」「半年とりあえず行ってもらって、気に入ったら永住してもらっていいよ」「ホテルから仕事場へ通う」「大麻とか自由に吸えるよ」「君ならある程度稼げるんじゃない」などと言ってAを誘惑し、同年12月2日午前8時頃、名古屋市瑞穂区a町b丁目c番地のd付近路上において、Aと合流した上、Aを被告人運転の自動車に乗車させ、その頃から同日午前9時40分頃までの間、Aを同所から愛知県常滑市ef丁目g番地D駐車場まで移動させて自己の支配下に置き、もって所在国外に移送する目的でAを誘拐した。 (量刑の理由) 1 本件は、被告人が、氏名不詳の多数の共犯者らとともに、テレグラムで接触したAら3名を、海外の特殊詐欺グループの拠点に特殊詐欺のかけ子として紹介して雇用させ(判示第1ないし第3)、また、それに際し、当時16歳のAを誘惑して海外に移送する目的で誘拐した(判示第4)事案である。日本の捜査権が及びにくく、かつ被紹介 に特殊詐欺のかけ子として紹介して雇用させ(判示第1ないし第3)、また、それに際し、当時16歳のAを誘惑して海外に移送する目的で誘拐した(判示第4)事案である。日本の捜査権が及びにくく、かつ被紹介者が脱出しにくい海外で 特殊詐欺を行わせることを企図し、海外の特殊詐欺グループと被告人らリクルーターグループが連携して行った組織的・職業的・常習的犯行で、犯情は甚だ悪い。 被告人は、Aらに対し、高額な報酬を短期間で稼げる旨伝えるなどして、特殊詐欺組織のかけ子となるように勧誘し、Aらと直接接触し、あるいは連絡を取り合いながらAらに海外渡航を決意させ、その後は、パスポートの申請費用や旅券を用意するなど、Aらがかけ子として海外に円滑に渡航できるように手配を行った。その際には、被告人は、Aらを、共犯者4人ほどが参加するグループチャットに紹介し、そのグループチャットで、Aらが実際に渡航するまで、海外でやることになる仕事の説明をしたり、個人情報の送信を指示したりしていた。特に当時16歳で未熟なAに対しては、家族関係の悩みなどから海外渡航の希望があることに付け込んで、言葉巧みに海外で大金を稼ぐことができると信じさせ、海外渡航を決意させた上、Aの旅券申請同意書にAの父の名前を記入したり、渡航の際には空港まで車に乗せて送り届けたりもするなど、Aが一人でも確実に渡航するように入念にサポートした。被告人は、自身が特殊詐欺グループの中枢にいたわけではなく、上位者の指示で動く比較的末端の立場であって、報酬も決して多額ではなかった旨供述するが、以上で述べた被告人の行為を見ると、被告人が果たした役割自体は、いずれも特殊詐欺組織の人員確保にとって必要不可欠で重要なものであり、かつ、被告人が主導的に犯行を進めていたといえる。 本件各犯行により、現に日本に向 為を見ると、被告人が果たした役割自体は、いずれも特殊詐欺組織の人員確保にとって必要不可欠で重要なものであり、かつ、被告人が主導的に犯行を進めていたといえる。 本件各犯行により、現に日本に向けて特殊詐欺を行っている犯罪組織へ人材が供給された。また、Aについては、自宅から空港まで被告人の車に乗せられてそのまま出国させられ、帰国することが極めて困難な状況において、犯罪行為を行うという極めて有害な業務に就かされたのであり、Aの身体の自由を侵害した程度は非常に大きく、若年であるAに与えた悪影 響も見過ごせない。 被告人は、闇金業者に脅されて本件各犯行に及ぶようになったと述べる。 他方、捜査段階においては、自らの報酬目当てで口座売買の紹介をするようになり、その業務を続ける中でかけ子の紹介もするようになった、かけ子の紹介についても報酬を得られる予定であったと述べている。このように、被告人は利欲的な面もあって犯行に及んだものといえるから、闇金業者に脅されたという事情を被告人に特に有利に考慮するのは相当でない。 2 他方で、被告人は、事実を認め、法廷では反省の言葉を述べた。被告人の姉は、犯罪更生施設への被告人の入所手続を既に済ませており、今後被告人を厳しく監督することを誓約すると記載した書面も提出した。被告人に前科はない。 3 上記1で見たように、本件各犯行の悪質性、重大性、被告人が果たした役割の重さ等の犯罪事実に関する事情を踏まえれば、被告人の刑事責任は重く、上記2のような被告人に有利な事情を考慮しても、執行猶予を付すべき事案であるとはいえない。被告人に対しては主文の刑を科すのが相当であると判断した。 令和7年11月19日名古屋地方裁判所刑事第4部 裁判長裁判官久禮博一 はいえない。被告人に対しては主文の刑を科すのが相当であると判断した。 主文 令和7年11月19日名古屋地方裁判所刑事第4部 裁判長裁判官久禮博一 裁判官藤根桃世 裁判官佐竹優哉

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