平成20(ワ)3842 解約金条項使用差止請求事件 解約金請求事件 解約金返還請求事件 不当利得返還請求事件

裁判年月日・裁判所
平成23年12月13日 京都地方裁判所 その他
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判決文本文29,249 文字)

主文 1 甲事件被告株式会社aは,消費者との間で,冠婚葬祭の互助会契約を締結するに際し,消費者が冠婚葬祭の施行を請求するまでに解約する場合,解約時に支払済金額から「所定の手数料」などの名目で,58円に第1回目を除く払込の回数を掛けた金額を超える解約金を差し引いて消費者に対し返金する旨を内容とする意思表示を行ってはならない。 2 甲事件被告株式会社aは,前項記載の内容の条項が記載された契約書雛形が印刷された契約書用紙を破棄せよ。 3 甲事件被告株式会社aは,その従業員らに対し,同被告が1項記載の意思表示を行うための事務を行わないこと及び前項記載の契約用紙を破棄すべきことを指示せよ。 4 甲事件被告株式会社bは,消費者との間で,b利用券取得加入申込契約を締結するに際し,解約時に支払済金額から「所定の手数料」などの名目で解約金を差し引いて消費者に対し返金する旨を内容とする意思表示を行ってはならない。 5 甲事件被告株式会社bは,前項記載の内容の条項が記載された契約書雛形が印刷された契約書用紙を破棄せよ。 6 甲事件被告株式会社bは,その従業員らに対し,同被告が4項記載の意思表示を行うための事務を行わないこと及び前項記載の契約書用紙を破棄すべきことを指示せよ。 7 乙事件被告は,乙事件原告cに対し,3万3252円及びこれに対する平成21年9月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 8 乙事件被告は,乙事件原告dに対し,3万4020円及びこれに対する平成21年9月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 9 丙事件被告は,丙事件原告eに対し,3万3252円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 10 丙事件被 年5分の割合による金員を支払え。 9 丙事件被告は,丙事件原告eに対し,3万3252円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 10 丙事件被告は,丙事件原告fに対し,6万5396円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 11 丙事件被告は,丙事件原告gに対し,4万5580円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 12 丙事件被告は,丙事件原告hに対し,3万6708円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 13 丙事件被告は,丙事件原告iに対し,4万1408円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 14 丙事件被告は,丙事件原告jに対し,2万9796円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 15 丁事件被告は,丁事件原告に対し,3万4496円及びこれに対する平成23年9月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 16 原告らのその余の請求を棄却する。 17 訴訟費用は被告らの負担とする。 18 この判決は,7項ないし15項に限り,仮に執行することができる。 事実 及び理由第1 請求 1 甲事件(1) 主位的請求ア甲事件被告株式会社aは,消費者との間で,冠婚葬祭の互助会契約を締結するに際し,解約時に支払済金額から「所定の手数料」などの名目で解約金を差し引いて消費者に対し返金する旨を内容とする意思表示を行ってはならない。 イ甲事件被告株式会社aは,前項記載の内容の条 るに際し,解約時に支払済金額から「所定の手数料」などの名目で解約金を差し引いて消費者に対し返金する旨を内容とする意思表示を行ってはならない。 イ甲事件被告株式会社aは,前項記載の内容の条項が記載された契約書雛形が印刷された契約書用紙を破棄せよ。 ウ甲事件被告株式会社aは,その従業員らに対し,同被告が上記ア記載の意思表示を行うための事務を行わないこと及び前項記載の契約用紙を破棄すべきことを指示せよ。 エ主文4項ないし6項同旨(2) 予備的請求ア甲事件被告株式会社aは,消費者との間で,冠婚葬祭の互助契約(Pコース又はRコース)を締結するに際し,別紙契約条項1記載の契約条項を内容とする意思表示を行ってはならない。 イ甲事件被告株式会社aは,消費者との間で,冠婚葬祭の互助契約(Tコース)を締結するに際し,別紙契約条項2記載の契約条項を内容とする意思表示を行ってはならない。 ウ甲事件被告株式会社aは,前2項記載の内容の条項が記載された契約書雛形が印刷された「互助契約約款」を破棄せよ。 エ甲事件被告株式会社aは,その従業員らに対し,同被告が上記ア及びイ記載の意思表示を行うための事務を行わないこと及び前項記載の契約書用紙を破棄すべきことを指示せよ。 オ甲事件被告株式会社aは,その従業員らに対し,別紙告知内容1の内容を記載した書面を配付せよ。 カ甲事件被告株式会社bは,消費者との間で,b利用券取得加入申込契約を締結するに際し,別紙契約条項3記載の契約条項を内容とする意思表示を行ってはならない。 キ甲事件被告株式会社bは,前項記載の内容の条項が記載された契約書雛形が印刷された契約書用紙を破棄せよ。 ク甲事件被告株式会社bは,その従業員らに対し 思表示を行ってはならない。 キ甲事件被告株式会社bは,前項記載の内容の条項が記載された契約書雛形が印刷された契約書用紙を破棄せよ。 ク甲事件被告株式会社bは,その従業員らに対し,同被告が上記カ記載の意思表示を行うための事務を行わないこと及び前項記載の契約書用紙を破棄すべきことを指示せよ。 ケ甲事件被告株式会社bは,その従業員らに対し,別紙告知内容2の内容を記載した書面を配付せよ。 2 乙事件(1) 乙事件被告は,乙事件原告cに対し,3万7950円及びこれに対する平成21年9月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 乙事件被告は,乙事件原告dに対し,3万8950円及びこれに対する平成21年9月27日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 3 丙事件(1) 丙事件被告は,丙事件原告eに対し,3万7950円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (2) 丙事件被告は,丙事件原告fに対し,6万8325円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (3) 丙事件被告は,丙事件原告gに対し,4万7175円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (4) 丙事件被告は,丙事件原告hに対し,4万2450円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (5) 丙事件被告は,丙事件原告iに対し,4万7150円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (6) 丙事件被告は,丙事件原告jに対し,3万3450円及びこれに対する平 事件原告iに対し,4万7150円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 (6) 丙事件被告は,丙事件原告jに対し,3万3450円及びこれに対する平成23年4月13日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 4 丁事件丁事件被告は,丁事件原告に対し,3万8150円及びこれに対する平成23年9月6日から支払済みまで年5分の割合による金員を支払え。 第2 事案の概要甲事件は,消費者契約法13条に基づき内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体である甲事件原告が,甲事件被告らが消費者との間で締結している互助契約又は積立契約において,それぞれ契約解約時に払戻金から所定の手数料が差し引かれるとの条項(解約金条項)を使用していることに関して,同条項は,同法9条1号に定める平均的な損害の額を超える違約金を定めるものであり,また,同法10条に定める信義則に反して消費者の利益を一方的に害するものであるとして,同法12条3項本文に基づき,主位的に,解約金を差し引くことを内容とする意思表示等の差止めを求め,予備的に,現実に使用している約款等に基づく意思表示等の差止めを求める事案である。 乙・丙・丁事件は,同事件原告らが同事件被告に対し,上記解約金条項が消費者契約法9条1号及び10条に反し無効であるとして,不当利得返還請求権に基づく同被告により差し引かれた解約手数料相当額の返還及び同額に対する各訴状送達日の翌日からの民法所定の遅延損害金の支払を求める事案である。 1 前提事実(争いのない事実並びに各項掲記の各書証及び弁論の全趣旨によって認められる事実)(1) 当事者ア甲事件原告は,消費者契約法13条に基づき内閣総理大臣の認定を受けた適 る。 1 前提事実(争いのない事実並びに各項掲記の各書証及び弁論の全趣旨によって認められる事実)(1) 当事者ア甲事件原告は,消費者契約法13条に基づき内閣総理大臣の認定を受けた適格消費者団体である。 イ甲・乙・丙・丁事件被告株式会社a(以下「被告a」という。)は,各個人団体を会員組織とし,その募集に関する冠婚葬祭の相互扶助をする業務や冠婚葬祭の儀式設備の提供及び儀式全般の請負等を業とする株式会社である。 ウ甲事件被告株式会社b(以下「被告b」という。)は,旅行業法に基づく旅行業や相互扶助的冠婚葬祭の儀式施行に関する個人及び団体を会員組織とする募集業務等を業とする株式会社である。 エ被告a及び被告bは,消費者契約法2条2項にいう「事業者」である。 オ乙・丙・丁事件原告らはいずれも,消費者契約法2条1項にいう「消費者」である。 (2) 被告らと消費者との間の契約ア被告aとの契約被告aは,不特定かつ多数の消費者との間で,消費者が将来行う冠婚葬祭に備え,所定の月掛金を前払いで積み立てることにより,当該消費者は,冠婚葬祭に係る役務サービス等の提供を受ける権利を取得し,被告aは,当該消費者の請求により,冠婚葬祭に係る役務サービス等を提供する義務を負うことを目的とする契約(以下「本件互助契約」という。)を締結している。ただし,被告aは月掛金を支払った会員以外に対しても,冠婚葬祭を施行している。 被告aは現在,本件互助契約を締結する際に,「互助契約約款」と題する約款(以下「本件約款」という。)を用いて意思表示をしている。 本件約款には,契約期間中に消費者が本件互助契約を解約した場合,当該消費者は,支払済み金額から所定の手数料(以下「a解約手数料」という。)を差し引いた解約払戻金を て意思表示をしている。 本件約款には,契約期間中に消費者が本件互助契約を解約した場合,当該消費者は,支払済み金額から所定の手数料(以下「a解約手数料」という。)を差し引いた解約払戻金を被告aに対して請求することができるとの条項があるところ(以下「a解約金条項」という。),本件互助契約におけるa解約手数料は以下のとおりである。なお,Pコースは1口の契約金額が50万円で毎月2500円を200回積み立てるものであり,Rコースは1口の契約金額が30万円で毎月1500円を200回積み立てるものであり,Tコースは1口の契約金額が10万円で毎月1000円を100回積み立てるものである。(甲4,5)(ア) Pコース払込済回数9回目までは全額,10回目は2万4650円が差し引かれ,11回目以上は払込済回数が1回増える毎に,差し引かれる金額が250円ずつ増える。 (イ) Rコース払込済回数13回までは全額,14回目は1万9650円が差し引かれ,15回目以上は払込回数が1回増える毎に,差し引かれる額が150円ずつ増える。 (ウ) Tコース払込済回数11回までは全額,12回目は1万1300円が差し引かれ,13回目以上は払込回数が1回増える毎に,差し引かれる額が100円ずつ増える。 Tコース2口同時加入,同時解約の場合は,払込済回数7回までは全額,8回目は1万5800円が差し引かれ,9回目以上は払込回数が1回増える毎に,差し引かれる額が200円ずつ増える。 Tコース3口同時加入,同時解約の場合は,払込済回数6回までは全額,7回目は1万9200円が差し引かれ,8回目以上は払込回数が1回増える毎に,差し引かれる額が250円ずつ増える。 Tコース3口同時加入,同時解約の場合は,払込済回数6回までは全額,7回目は1万9200円が差し引かれ,8回目以上は払込回数が1回増える毎に,差し引かれる額が250円ずつ増える。 Tコース4口同時加入,同時解約の場合は,払込済回数5回までは全額,6回目は2万0650円が差し引かれ,7回目以上は払込回数が1回増える毎に,差し引かれる額が250円ずつ増える。 Tコース5口同時加入,同時解約の場合は,払込済回数4回までは全額,5回目は2万3400円が差し引かれ,6回目以上は払込回数が1回増える毎に,差し引かれる額が250円ずつ増える。 Tコース6口同時加入,同時解約の場合は,払込済回数3回までは全額,4回目は2万3150円が差し引かれ,5回目以上は払込回数が1回増える毎に,差し引かれる額が250円ずつ増える。 Tコース7口の同時加入,同時解約場合は,払込済回数3回までは全額,4回目は2万3150円が差し引かれ,5回目以上は払込回数が1回増える毎に,差し引かれる額が250円ずつ増える。 イ被告bとの契約被告bは,不特定かつ多数の消費者との間で,代金分割前払方式によるb利用券取得契約(以下「本件積立契約」という。)を締結している。 被告bは現在,本件積立契約を締結する際に,「bクラブ会則」と題する会則(以下「本件会則」という。)を用いて意思表示をしている。 本件会則は,1口の契約金額が30万円で毎月1500円を200回積み立てるものであり,契約期間中に消費者が本件取得契約を解約した場合,当該消費者は,①支払済み金額相当の「b利用券」の交付を受けるか又は②支払済み金額から所定の手数料(以下「b解約手数料」という。)を差し引いた解約払戻金を受け に消費者が本件取得契約を解約した場合,当該消費者は,①支払済み金額相当の「b利用券」の交付を受けるか又は②支払済み金額から所定の手数料(以下「b解約手数料」という。)を差し引いた解約払戻金を受け取るか選択することができるとの条項が存するところ(このうち,上記②の条項を,以下「b解約金条項」という。),b解約金条項における解約手数料は,払込回数が13回目までは全額,14回目は1万9650円が差し引かれ,15回目以上は払込済回数が1回増える毎に,差し引かれる額が150円ずつ増えるとされている。 (3) 被告aと原告らとの間の契約ア乙事件原告c(以下「原告c」という。)は,平成13年11月25日,被告aとの間で,以下の内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 (ア) 種別 Tコース(ただし,3口同時加入,同時解約)(イ) 月掛金 3000円(ウ) 払込回数 100回(エ) 総払込額 30万円原告cは,上記契約に基づき,同日から平成20年8月26日まで,入会金500円のほかに,月掛金として合計24万6000円(82回分)を払い込んだ。 原告cは,契約期間中である平成20年9月12日ころ,被告aとの間の上記契約を解約した。 被告aは,原告cに対し,払込済み金額から解約手数料として3万7950円及び振込手数料630円を差し引いた20万7420円を返金した。 なお,原告cに対する上記解約返戻金の算定に際しては,本来ならば平成17年4月1日に改訂される前の約款が適用されるはずであったが,改訂後の約款が適用された(以下,乙・丙・丁事件原告らについて同じ。)。 イ乙事件原告d(以下「原告d」という。)は,平成13年12月10日,被告aとの間で,上記アと同じ内容の冠 あったが,改訂後の約款が適用された(以下,乙・丙・丁事件原告らについて同じ。)。 イ乙事件原告d(以下「原告d」という。)は,平成13年12月10日,被告aとの間で,上記アと同じ内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 原告dは,上記契約に基づき,同日から平成21年1月26日まで,入会金500円のほかに,月掛金として合計25万8000円(86回分)を払い込んだ。 原告dは,契約期間中である平成21年4月7日ころ,被告aとの間の上記契約を解約した。 被告aは,原告dに対し,払込済み金額から解約手数料として3万8950円及び振込手数料630円を差し引いた21万8420円を返金した。 ウ丙事件原告e(以下「原告e」という。)の実母であるkは,平成13年12月7日,被告aとの間で,上記アと同じ内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 kは,上記契約に基づき,同日から平成20年9月ころまで,月掛金として合計24万6000円(82回分)を払い込んだ。 kは,平成21年5月10日に死亡し,原告eは,kの上記契約上の権利を相続した。 原告eは,丙事件に係る訴えを提起するまでの間に,被告aとの間の上記契約を解約した。 被告aは,原告eに対し,払込済み金額から解約手数料として3万7950円及び振込手数料630円を差し引いた20万7420円を返金した。 エ(ア) 丙事件原告g(以下「原告g」という。)の夫であり同f(以下「原告f」という。)の実父であるlは,平成13年6月23日,被告aとの間で,上記アと同じ内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 (イ) また,原告fは,平成15年6月28日,被告aとの間で,以下の内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 月23日,被告aとの間で,上記アと同じ内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 (イ) また,原告fは,平成15年6月28日,被告aとの間で,以下の内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 a 種別 RKコースb 月掛金 1500円c 払込回数 100回d 総払込額 15万円(ウ) lは,上記(ア)の契約に基づき,平成13年6月28日から平成18年1月27日まで,月掛金として合計50万4000円(56回分)を払い込んだ。 (エ) 原告fは,上記(イ)の契約に基づき,平成15年6月28日から平成17年5月26日までに,月掛金として3万6000円(24回分)を払い込んだ。 (オ) lは,平成19年3月17日に死亡し,原告gと原告fは,lの上記(ア)の契約上の権利を各2分の1ずつ相続した。(甲D6)(カ) 丙事件に係る訴えを提起するまでの間に,原告gと原告fは,被告aとの間の上記(ア)の契約を解約し,原告fは,上記(イ)の契約を解約した。 被告aは,原告g及び原告fに対し,上記(ア)の契約に基づく払込済み金額から解約手数料として9万4350円及び振込手数料630円を差し引いた40万9020円を返金した。 また,被告aは,原告fに対し,上記(イ)の契約に基づく払込済み金額から解約手数料として2万1150円及び振込手数料630円を差し引いた1万4220円を返金した。 オ丙事件原告h(以下「原告h」という。)は,平成14年6月14日,被告aとの間で,上記アと同じ内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 原告hは,上記契約に基づき,同日から平成22年9月27日まで,月掛金として合計30万円(100回分)を払い込んだ。 との間で,上記アと同じ内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 原告hは,上記契約に基づき,同日から平成22年9月27日まで,月掛金として合計30万円(100回分)を払い込んだ。 原告hは,平成23年2月8日,被告aとの間の上記契約を解約した。 被告aは,原告hに対し,払込済み金額から解約手数料として4万2450円及び振込手数料630円を差し引いた25万6920円を返金した。 カ丙事件原告i(以下「原告i」という。)は,平成13年10月27日,被告aとの間で,以下の内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 (ア) 種別 Tコース(ただし,5口同時加入,同時解約)(イ) 月掛金 5000円(ウ) 払込回数 100回(エ) 総払込額 50万円原告iは,上記契約に基づき,同日から平成22年1月26日まで,入会金500円のほかに,月掛金として合計50万円(100回分)を払い込んだ。 原告iは,平成23年1月末ころ,被告aとの間の上記契約を解約した。 被告aは,原告iに対し,払込済み金額から解約手数料として4万7150円及び振込手数料630円を差し引いた45万2220円を返金した。 キ丙事件原告j(以下「原告j」という。)は,平成16年2月17日,被告aとの間で,上記アと同じ内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 原告jは,上記契約に基づき,同日から平成22年8月ころまで,入会金500円のほかに,月掛金として合計19万2000円(64回分)を払い込んだ。 原告jは,平成22年8月ころ,被告aとの間の上記契約を解約した。 被告aは,原告jに対し,払込済み金額から解約手数料として3万3450円及び振込手数料630円を差 い込んだ。 原告jは,平成22年8月ころ,被告aとの間の上記契約を解約した。 被告aは,原告jに対し,払込済み金額から解約手数料として3万3450円及び振込手数料630円を差し引いた15万7920円を返金した。 ク丁事件原告は,平成15年7月28日,被告aとの間で,上記カと同じ内容の冠婚葬祭互助契約を締結した。 丁事件原告は,上記契約に基づき,同日から平成20年11月26日まで,入会金500円のほかに,月掛金として合計32万円(64回分)を払い込んだ。 丁事件原告は,平成23年5月中旬ころ,被告aとの間の上記契約を解約した。 被告aは,丁事件原告に対し,払込済み金額から解約手数料として3万8150円及び振込手数料630円を差し引いた28万1220円を返金した。 (4) 消費者契約法41条の書面による事前の請求及び訴えの提起甲事件原告は,平成20年9月26日,被告aに対し,上記a解約手数料に関し,消費者契約法41条所定の事項を記載した書面による差止請求をした。 甲事件原告は,平成20年9月26日,被告bに対し,上記b解約手数料に関し,消費者契約法41条所定の事項を記載した書面による差止請求した。 甲事件原告は,平成20年12月3日,甲事件に係る訴えを提起した。 2 争点及び当事者の主張(1) 甲事件原告の被告aに対する差止請求の可否(同法12条3項ただし書)及び本件互助契約に対する消費者契約法適用の有無(同法11条2項)(被告aの主張)ア本件互助契約には割賦販売法6条1項3号が適用される。 イ仮に,本件互助契約に同号が直接適用されないとしても,以下の理由により類推適用される。 (ア) 損害賠償額の予定 ア本件互助契約には割賦販売法6条1項3号が適用される。 イ仮に,本件互助契約に同号が直接適用されないとしても,以下の理由により類推適用される。 (ア) 損害賠償額の予定につき,割賦販売法6条1項3号は,消費者契約法9条1号より厳しい基準を定めて消費者の保護を図っている。 すなわち,a解約金条項の効力が無効となるのは,割賦販売法6条1項3号によれば,契約締結及び履行のために通常要する費用の額を超える場合とされるのに対し,消費者契約法9条1号によれば,契約の締結及び履行の費用に加え,得べかりし利益を含む全損害を超える場合とされる。 よって,割賦販売法6条1項3号類推適用の必要性がある。 (イ) 本件互助契約は割賦販売法2条6の「前払式特定取引」にあたるところ,前払式特定取引には,損害賠償額の制限について割賦販売法6条1項3号に沿う形になるよう経済産業省の監督下にある。 すなわち,前払式特定取引業を行うには経済産業大臣の許可を受ける必要があるところ(同法35条の3の61),契約約款が経済産業省令で定める基準に適合していない場合にはこの許可が受けられない(同法35条の3の62,15条1項5号)。そして,この基準を定める同法施行規則123条1項2号表8欄は,同法6条1項3号と同一内容を規定する。また,契約約款を変更する際は経済産業大臣へ届出をする必要があるが(同法35条の3の62,19条2項),変更約款が上記基準に適合しない場合には,経済産業大臣はその変更を命ずることができる(同法35条の3の62,19条3項)。 よって,割賦販売法6条1項3号を類推適用する基礎がある。 ウそして,a解約手数料は,以下の理由により,割賦販売法6条1項3号の「契約の (同法35条の3の62,19条3項)。 よって,割賦販売法6条1項3号を類推適用する基礎がある。 ウそして,a解約手数料は,以下の理由により,割賦販売法6条1項3号の「契約の締結又は履行のために通常要する費用の額」を超えない。 割賦販売法6条1項3号の「通常要する費用」とは,現実にかかった費用ではなく,業界の平均費用が標準となるとされているところ,割賦販売法に基づく前払式特定取引の許可を受けた全国の冠婚葬祭互助会321社のうち253社(平成20年5月末現在)が加盟している全国団体である社団法人全日本冠婚葬祭互助協会(以下「全互協」という。)は,昭和59年に実態調査に基づいて標準約款を作成し,同約款は,同年2月13日,旧通商産業省から,現在の割賦販売法35条の3の62,15条1項5号及び同法施行規則123条1項2号表8欄の基準に沿うものとして認められた。 被告aは,上記標準約款の基準に従ってa解約金条項を定め,旧通商産業省及び経済産業省の監督の下,割賦販売法6条1項3号に沿う形で長年にわたり運用してきた。 したがって,a解約手数料は,割賦販売法6条1項3号の「契約締結又は履行のために通常要する費用の額」を超えない。 エ以上によれば,本件互助契約には割賦販売法6条1項3号が直接適用又は類推適用され,しかも割賦販売法6条1項3号により無効とならない場合であるから,消費者契約法12条3項ただし書により甲事件原告は被告aに対し差止めを請求することができない。 オ上述したとおり,本件互助契約には割賦販売法6条1項3号が直接適用又は類推適用されるのであるから,消費者契約法11条2項の「別段の定めがあるとき」にあたり,消費者契約法の適用はない。 (原告らの主張)ア割賦販売法6条1 賦販売法6条1項3号が直接適用又は類推適用されるのであるから,消費者契約法11条2項の「別段の定めがあるとき」にあたり,消費者契約法の適用はない。 (原告らの主張)ア割賦販売法6条1項3号は前払式割賦販売に適用され,前払式特定取引に適用はない。 イまた,前払式特定取引については,被告aが主張するように契約条項を行政が事前に審査する方式で規制しているのであるから,同法がこのような規制の構造をとっていることからも,同法6条1項3号の類推適用がされる余地はない。 ウ仮に割賦販売法6条1項3号が類推適用されるとしても,消費者契約法が差止対象について「消費者契約法8条ないし10条により無効とされる条項」と規定せずに同法12条3項本文のように規定している趣旨は,同法11条2項の「別段の定め」がある場合でも,同法8条ないし10条に規定する条項に該当すれば差止請求できるとするものであり,ただ,同法11条2項の「別段の定め」がある場合に,同法12条3項ただし書により当該別段の定めによれば当該条項が無効とされないときには差止請求できないとするものである。 よって,消費者契約法9条1号,10条に該当し,かつ,割賦販売法6条1項3号にも該当する条項であれば,差止請求の対象となる。 エ a解約金条項は,後記⑵のとおり,同法9条1号及び10条に該当する。 また,旧通商産業大臣の許可を受けているからといって割賦販売法に適合しているとは限らないうえ,全互協がどのような実態調査を行いどのような算出根拠で上記標準約款の基準を定めたのか明らかではないし,全互協自体業界団体であるから,解約手数料を高額に設定する動機がある団体なのであって,その信用性は極めて疑わしい。 よって,a解約金条項を含む契約の意思表 準を定めたのか明らかではないし,全互協自体業界団体であるから,解約手数料を高額に設定する動機がある団体なのであって,その信用性は極めて疑わしい。 よって,a解約金条項を含む契約の意思表示について,甲事件原告は差止請求をすることができる。 (2) a解約金条項の消費者契約法9条1号又は同法10条該当性(原告らの主張)ア本件互助契約に基づく役務提供は,結婚式挙行の予約や死亡という事情によってはじめて決定されるものであって,本件互助契約を締結した時点においては,役務提供の具体的日時が特定されていないばかりか,内容さえも特定されていないのであるから,被告aは個々の契約履行のためには何ら具体的な準備行為をしておらず,経済的出捐もしていないのであって,消費者契約法9条1号にいう平均的な損害は生じていない。 仮に被告aが何らかの費用を負担したとしても,会員募集費のうちの互助契約約款,加入申込書等の書面費や印紙代であり,解約までの間に受ける月掛金の運用益及び入会金500円でまかなわれている。会員管理費のうちの会費の口座振替にかかる費用が損害となるとしても,本件互助契約によって積立をさせて儀式を施行させる顧客を囲い込むという被告aの営業活動費用といえるし,1回約58円にすぎず,これだけでa解約金条項が無効であることへの影響はない。 イ本件互助契約は会員が限定されず,人数を区切らずに新会員の募集が随時行われており,会員が一人加入したとしてもそのために新たな顧客の獲得を断念するという関係になく,また,被告aの会員数は約80万人にも及ぶのであり,被告aはこのような不特定多数の顧客に対し,機械的・組織的に役務提供を行っているにすぎず,その人的物的設備は個々の会員ごとに準備される性質のものではない。また,被告aが主張 0万人にも及ぶのであり,被告aはこのような不特定多数の顧客に対し,機械的・組織的に役務提供を行っているにすぎず,その人的物的設備は個々の会員ごとに準備される性質のものではない。また,被告aが主張する会員募集費,会員管理費,物的設備準備費は,いずれも,冠婚葬祭業を行う業者としてあらかじめ備えておくべき営業用資産にかかる費用にすぎない。さらに,会員募集費には新規加入しなかった消費者に対する募集費用が含まれているが,これは互助会員の解約とは因果関係がない。 ウまた,本件互助契約においては,一人の会員が中途解約しても,それにより被告aは,中途解約をした者に対する役務を免れ,他の会員に対する役務提供が可能となるのであるから,それが当該会員による儀式施行の具体的内容の確定前であれば,他の加入者を勧誘して役務提供をすることにより利益が確保され,当該会員が解約したことによる逸失利益が生じたともいえない。 エ以上からすれば,本件互助契約において中途解約時に差し引かれる手数料は著しく高額であって,同手数料を定める条項は,事業者において中途解約により生ずべき平均的な損害の額を超える違約金を定めるものであり,また,信義則に反し消費者の利益を一方的に害する契約条項であるから,消費者契約法9条1号及び同法10条に基づき無効である。 (被告aの主張)ア本件互助契約は,被告aが冠婚葬祭の施行をする義務を負い,加入者が対価である月掛金を前払方式で支払う契約である。 被告aにおいては,月掛金を支払っていない非会員であっても冠婚葬祭の施行を受けることができるが,被告aの葬祭施行における会員施行と一般施行の比率は,88.356対11.644である。また,被告aの会員は,物価上昇にかかわらず加入時に契約した役務内容と同等のものを追 施行を受けることができるが,被告aの葬祭施行における会員施行と一般施行の比率は,88.356対11.644である。また,被告aの会員は,物価上昇にかかわらず加入時に契約した役務内容と同等のものを追加負担なく受けることができ,寝台車,控室,受付設備などのサービスをセット価格で受けたり,葬儀祭壇価格が約2割引になったりする付加サービスを受けることができるが,非会員の場合にはこのようなサービスはない。 イ(ア) 被告aは,費用をかけて会員を募集した後,第1回の月掛金の支払を受けたときから契約上の責任を負い,しかも契約金額完納前でも残額一括払により冠婚葬祭の施行を求められれば直ちにこれを行う義務を負っているのであるから,被告aは常時,会員一人一人を管理し,人的物的設備を整えて施行に備え続けなければならない。被告aが支出する1口あたりの費用は,会員の支払回数(支払期間)の増加につれて増えていくのである。 (イ) 冠婚葬祭は一生のうちに限られた事態に生じ,被告aは会員一人一人を管理してその事態に対処する義務を負うのであり,一人が抜ければ他の人を勧誘して役務提供をすればよいという軽々しいものではないから,被告aの本件互助契約上の募集,儀式施行のための支出費用には代替性はない。 (ウ) 最終的には,被告aは,儀式を施行することによって,月掛金総額とそれまでに増え続けた会員募集費,会員管理費及び物的設備準備費の合計との差額について利益を得る。 (エ) したがって,本件互助契約を中途解約した場合,以下のとおり,会員募集費,会員管理費,物的設備準備費及び逸失利益が被告aに生じた「平均的な損害」(消費者契約法9条1号)であり,a解約手数料はこれを超えるものではない。 a 会員募集費訪問販売員に 管理費,物的設備準備費及び逸失利益が被告aに生じた「平均的な損害」(消費者契約法9条1号)であり,a解約手数料はこれを超えるものではない。 a 会員募集費訪問販売員に対して支払う基本給及び契約ができたときの出来高給,約款印刷費,パンフレット印刷費,入会書類作成費等が会員募集費に当たるが,これを被告aの第42期損益計算書(平成19年8月1日から平成20年7月31日まで。乙23)でいうと,①給与手当4億0176万6593円,②歩合給2億6482万3504円,③賞与手当7016万9135円,④賞与引当金繰入額1999万1568円,⑤法定福利費5224万7254円,⑥通勤交通費1952万7160円,⑦車両費4456万0407円,⑧燃料費4151万0284円,⑨支払手数料33億0827万2141円のうち23億8995万8379円,⑩家賃・地代1億2016万0646円,⑪保険料1626万9828円,⑫水道光熱費4857万7679円,⑬消耗品費5893万4529円,⑭広告宣伝費2億5238万2016円の半分である1億2619万1008円,⑮販売促進費7873万9878円,⑯リース料724万8202円の合計額37億6067万6054円に当たる。この合計額を,上記期間の新規加入口数3万9655口で割った1口あたりの単価は,9万4835円である。 b 被告aは訪問販売員等を採用して消費者のもとに出向いて会員の募集等の活動をしているため,そのための人件費等も平均的な損害に含まれる。 被告aの新規契約口数の約9割は代理店による契約で,被告aは代理店に対し,歩合制による募集委託手数料を支払っている。1口あたりの手数料は,契約コースの種別,新規契約の態様,募集代理店の実績をもとに個別に設定され,その種 約9割は代理店による契約で,被告aは代理店に対し,歩合制による募集委託手数料を支払っている。1口あたりの手数料は,契約コースの種別,新規契約の態様,募集代理店の実績をもとに個別に設定され,その種類は数十種類にも及び,また,新規契約の全口数に対して,新規加入口数の割合は年度により異なり,その他の諸類型の口数の各割合も年度ごとに変化する。したがって,募集代理店に支払われる各募集委託手数料に着目して1口あたりの会員募集費を正確に算出することは困難である。 また,被告aは,各募集代理店に募集委託手数料を支払い,会員の中途解約が生じた場合には募集委託手数料の返金を受けている。しかし,被告aの募集代理店は2~3か月に1店舗のペースで廃業するため,被告aは,廃業した募集代理店からは返金は受けていない。しかも,存続している募集代理店に対しても,経営支援の目的で募集委託手数料の返金分以上の各種名目の手数料を支払っている。したがって,被告aが募集代理店から中途解約の場合に募集委託手数料の返金を受けていることは,上記募集費の計算に影響を及ぼさない。 c 会員管理費会員管理用コンピュータ導入費,同維持管理費,会員情報システム登録費,加入者証作成費,加入者証郵送費,口座振替依頼書郵送費,口座振替手数料,振替済みお知らせ作成費及び郵送費等が会員管理費に当たるが,上記損益計算書のうち,①業務委託手数料6億9123万9493円,②通信費1億3670万1291円,③修繕費2417万1355円,④支払手数料33億0827万2141円のうち9億1831万3762円,⑤減価償却費8105万1033円,⑥事務用品費1億1742万5150円,⑦維持管理費3673万8583円,⑧公租公課7億0198万5716円,⑨ソフトウエア償却 円のうち9億1831万3762円,⑤減価償却費8105万1033円,⑥事務用品費1億1742万5150円,⑦維持管理費3673万8583円,⑧公租公課7億0198万5716円,⑨ソフトウエア償却費1632万9872円の合計額27億2395万6255円に当たる。 この合計額を,平成21年8月13日現在の有効な契約口数71万5722口で割った1口あたりの単価は3806円であり,月掛金1回あたりでは317円となる。被告aの平均的な損害は払込1回あたり317円ずつ増加することになる。 d 物的設備準備費被告aは,本件互助契約に基づく義務を履行するため常に不動産及び動産類を所有しなければならないため,上記損益計算書のうち,①修繕費3億2245万3926円,②減価償却費13億4430万0439円,③維持管理費2億8982万0619円,④公租公課5億6413万7339円の合計額25億2071万2323円を,有効な契約口数約80万口(上記cとは齟齬)で割った1口あたりの年間の物的設備準備費は3150円であり,1月あたりでは262円となる。 e 逸失利益(準備書面での誤算を訂正済み)被告所有の会館でPコース又はRコースの葬儀を施行した場合に要する費用は,①寝台車1万2840円,②棺7300円,③祭壇Pコース3万2021円,Rコース1万3720円,④控室,⑤寺院控室,⑥受付設備,⑦後飾りセット4300円,⑧棺付樒3500円,⑨骨箱1000円,⑩献茶,儀式総合プロデュース,奉仕員,ホールサービス,火葬場手配,寺院紹介等の諸手続の委託手数料4万1571円,⑪音響照明設備,⑫スナップ写真7000円,⑬案内看板,⑭霊柩車2万3800円,⑮記帳類250円,⑯枕飾りセット8400円,⑰焼香所設備,⑱納棺具 配,寺院紹介等の諸手続の委託手数料4万1571円,⑪音響照明設備,⑫スナップ写真7000円,⑬案内看板,⑭霊柩車2万3800円,⑮記帳類250円,⑯枕飾りセット8400円,⑰焼香所設備,⑱納棺具1152円,⑲霊安室,⑳式場案内であり(金額記載のないものは,上記dの物的設備準備費に含まれるか,極めて軽微であるかなので,独立の金額としては計上しない。),その合計金額は,Pコースで14万3134円,Rコースで12万4833円となる。これに,上記aの9万4835円,cの317円,dの262円の各金額を加えたもの(c,dは199回分)を,月掛金合計額であるPコース50万円,Rコース30万円から控除すると,逸失利益はPコースが14万6810円,Rコースがマイナス3万4889円となる(Rコースの逸失利益マイナス分は,結果的に他コースの利益で補填されている。)。 (オ) 前記(1)のとおり,本件約款は旧通商産業省及び経済産業省の監督下で長年にわたり運用されてきた。このような事情は,a解約金条項の消費者契約法上の有効性を十分に基礎づける事情となる。 (カ) 原告の主張する入会金500円は,親睦会の1回限りの会費であり,親睦会員には冠婚葬祭の施行の500円分割引券や,冠婚葬祭の一般的な内容やマナー等を説明する資料を配布するために使用され,預かり金とは無関係である。 (キ) 被告aは,会員が支払った月掛金のうち半分は割賦販売法の定めにより儀式施行まで保全しなければならず,残り半分で儀式施行に備え,物的人的設備を充実することのみに利用するのであり,月掛金の運用というにはほど遠い。 ウ以上によれば,a解約金条項は,平均的な損害の額を超える部分がなく,消費者契約法9条1号によって無効とされない。 エ上記の冠婚葬 するのであり,月掛金の運用というにはほど遠い。 ウ以上によれば,a解約金条項は,平均的な損害の額を超える部分がなく,消費者契約法9条1号によって無効とされない。 エ上記の冠婚葬祭互助契約約款の性質及び内容に照らすと,消費者契約法9条1号によって無効とならない本件約款が,同法10条にいう「民法第1条第2項に規定する基本原則に反して消費者の利益を一方的に害するもの」に該当しないことは明らかである。 したがって,本件約款は,消費者契約法10条に反せず,有効である。 (3) b解約金条項の消費者契約法9条1号又は同法10条該当性(甲事件原告の主張)ア本件積立契約の目的はb利用券の取得とされているものの,b利用券は,被告bが企画した旅行及び被告b指定の冠婚葬祭施行時の送迎バス・タクシー・ハイヤーにのみ利用可能なのであるから,本件積立契約の実質は,被告bにおける旅行等サービスの提供にある。 そして,被告bにおける旅行等サービスの提供は,被告bが企画した旅行等に会員が申込みをした時点ではじめて決定されるものであり,積立契約を締結した時点では,役務提供の具体的日時及び内容は特定されておらず,被告bにおいて契約履行のための準備行為をする必要はなく,経済的出捐は生じていない。 仮に被告bが何らかの費用を負担しているとしても,会員から徴収した掛金の運用益や月額150円の事務手数料によってまかなわれている。 イ bクラブの会員は限定されておらず,定員を定めないで新会員の募集を随時行っているため,会員一人が加入したとしても,そのために新たな顧客の獲得を断念するという関係にない。 よって,一人の会員が本件積立契約を解約したとしても代替の契約を締結する可能性が高いので,損害が発 め,会員一人が加入したとしても,そのために新たな顧客の獲得を断念するという関係にない。 よって,一人の会員が本件積立契約を解約したとしても代替の契約を締結する可能性が高いので,損害が発生したとはいえない。 ウ bクラブの会員は相当多数であることが推察されるが,会員が多数であればあるほど,その管理に多額の費用がかかる一方,一人の解約によってその管理に必要な人的物的設備の内容が変わるとは考えられず,一人の解約が全体に及ぼす影響はないというべきである。 エ被告bが主張する正会員の者に対する旅行プラン等の案内や紹介については,顧客は旅行サービスの提供を受けるために本件積立契約をしているのであって,それらの案内や紹介を受けるために本件積立契約をしているのではなく,債務の内容となっていない。したがって,旅行プラン等の案内や紹介は,特典か又は被告bが参加者を募るための広告宣伝活動にすぎないのであって,これをもって本件積立契約における被告bの債務履行であるとするのは相当でない。 オ以上からすれば,本件積立契約において中途解約時に差し引かれる手数料は著しく高額であって,b解約金条項は消費者契約法9条1号に定める平均的な損害を超える違約金を定めるものであり,また,信義則に反し消費者の利益を一方的に害するものであるため,同法10条に基づき無効である。 (被告bの主張)ア本件積立契約は,被告bが企画した国内旅行及び特別企画旅行,被告bが指定する式場にて挙式・披露宴を申し込んだ場合の指定ハネムーン旅行及び指定の冠婚葬祭施行時の送迎バス・タクシー・ハイヤーに利用できるb利用券を代金分割払方式により取得する契約である。 被告bは,bクラブ加入の申込みを受けて,第1回支払金を受領した日から加入上の責 婚葬祭施行時の送迎バス・タクシー・ハイヤーに利用できるb利用券を代金分割払方式により取得する契約である。 被告bは,bクラブ加入の申込みを受けて,第1回支払金を受領した日から加入上の責任を持つ。また,加入者は,1年間継続して支払金を入金した場合に,「bクラブ正会員」になり,被告bが企画する旅行プラン及び人間ドックの案内,紹介を受けることができる。 イ被告bは,会員募集費,会員管理費として,訪問販売員に対して支払う基本給及び契約ができたときの出来高給,約款印刷費,パンフレット印刷費,入会書類作成費,会員管理用コンピュータ導入費,同維持管理費,会員情報システム登録費,加入者証作成費,加入者証郵送費,口座振替依頼書郵送費,口座振替手数料,振替済みお知らせ作成費及び郵送費等を負担している。 さらに,被告bは,bクラブ正会員に特別安価な旅行プラン及び人間ドックの案内,紹介するために,健康診断のパス維持費,健康診断における検査機器の管理費,検査員の人件費等を負担している。 このように,被告bには,募集,会員管理その他に多くのコストがかかっている。bクラブ入会にかかる費用の1口単位だけをみても,互助会募集給与,社員給与・雑給,外交員報酬及び代理店手数料の合計1億4235万4556円を,被告bの1年間の入会総本数6789本で割った,2万0994円となる。 ウよって,被告bが,中途解約時に解約返戻金から控除する募集費用の額として設定している1万7700円は,契約の類型ごとに合理的な算定根拠に基づき算定された平均値である2万0994円を下回り,明らかに合理的な金額である。 また,1回の支払につき解約返戻金から控除される150円は,上記会員管理用コンピュータ導入費及び維持管理費,会員情報システム登録 ある2万0994円を下回り,明らかに合理的な金額である。 また,1回の支払につき解約返戻金から控除される150円は,上記会員管理用コンピュータ導入費及び維持管理費,会員情報システム登録費,加入者証作成費,加入者証郵送費,口座振替依頼書郵送費,振替済みのお知らせ作成費及び郵送費等に照らせば,明らかに合理的な金額である。 エ以上より,本件取得契約の控除額が消費者契約法9条1号にいう平均的な損害の範囲内にあり,また,消費者の利益を一方的に害するものでもないため,消費者契約法10条にもあたらない。 第3 争点に対する判断 1 争点(1)について(1) 割賦販売法2条6項2号,同法施行令1条4項,別表第二によれば,被告aが取り扱う本件互助契約は,同法2条6項にいう「前払式特定取引」であるといえる。 契約の解除に伴う損害賠償等の制限について定める同法6条1項3号は,前払式割賦販売に適用されるものであり,前払式特定取引には適用されない。 また,割賦販売法35条の3の62,15条1項5号,割賦販売法施行規則123条1項2号表8欄,同法19条2項,3項は,経済産業大臣による解約金条項への規制を定めるものであるが,これらの規定は取締規定にすぎず,上記各条に違反した条項の効力を定めるものではない。割賦販売法が,前払式特定取引について同法6条1項3号のような規定を設けることが可能であったにもかかわらずそのような規制の仕方をしなかったことにかんがみると,同法は,前払式特定取引における損害賠償額等の請求につき,同法6条1項3号のような制限をあえて定めなかったものと解すべきであり,同号を類推適用する基礎を欠く。 (2) よって,a解約金条項について割賦販売法6条1項3号の直接適用及び類推適用はないのであるから,消 号のような制限をあえて定めなかったものと解すべきであり,同号を類推適用する基礎を欠く。 (2) よって,a解約金条項について割賦販売法6条1項3号の直接適用及び類推適用はないのであるから,消費者契約法11条2項及び12条3項ただし書は適用されず,甲事件原告は被告aに対し同法12条3項本文に基づく差止請求をすることができる。 2 争点(2)について(1) 消費者契約法9条1号にいう「平均的な損害」とは,契約の解除の事由,時期等により同一の区分に分類される複数の同種の契約の解除に伴い,当該事業者に生じる損害の額の平均値をいうと解される。 本件互助契約は,一人の消費者と被告aとの間で締結される消費者契約であるから,同号にいう平均的な損害の解釈にあたっても,一人の消費者が本件互助契約を解約することによって被告aに生じる損害を検討する必要がある。 (2) 本件互助契約は,消費者が将来行う冠婚葬祭に先立って,所定の月掛金を前払いで積み立てることにより,消費者は冠婚葬祭の施行を受ける権利を取得し,被告aは,消費者の請求により冠婚葬祭の施行をする義務を負うものである。そして,被告aは,会員が上記月掛金を所定の回数支払い終わるか又は契約金額から支払済み月掛金総額を除いた残額を一括払いすると,当該会員の請求によって直ちに冠婚葬祭を行う義務を負う。(甲4,5)そうすると,被告aは,本件互助契約の締結により冠婚葬祭にかかる抽象的な役務提供義務を負うものの,消費者から請求があってはじめて,当該消費者のために冠婚葬祭の施行に向けた具体的な施行準備を始めるものといえる。 (3) 被告aは,本件互助契約の解約により,①会員募集費,②会員管理費,③物的設備準備費,④逸失利益に相当する損害が生じたと主張する。 アま 具体的な施行準備を始めるものといえる。 (3) 被告aは,本件互助契約の解約により,①会員募集費,②会員管理費,③物的設備準備費,④逸失利益に相当する損害が生じたと主張する。 アまず,③物的設備準備費についてみると,被告aは本件互助契約を締結した会員以外の顧客との間でも冠婚葬祭にかかる役務提供契約を締結しており,被告aが主張する不動産や動産等は,本件互助契約を解約した一人の消費者のためのみならず,その他の会員や会員以外の顧客に対しても提供されるため,上記不動産等の管理等にかかる費用は上記消費者が解約したか否かにかかわらず生じるものであるといえそうである。 また,被告aの主張する①会員募集費及び②会員管理費のうち,訪問販売員に対して支払う基本給及び会員管理用コンピュータ導入費,同維持管理費についても,不特定多数の消費者との関係での被告aの業務維持及び販売促進のための費用であり,一人の消費者による契約の解約にかかわらず常に生じるものといえそうである。 よって,上記各費用が一人の消費者が解約したことによって生じるという個別的な因果関係があるとはいえないため,消費者契約法9条1項の平均的な損害には含まれないとも考えられる。 イ次に,④逸失利益については,上記⑵のとおり,被告aは会員の請求があってはじめて当該会員のための冠婚葬祭に向けた具体的準備を始めること,また,被告aの冠婚葬祭の施行を受けるのは月掛金を支払った会員に限定されないことからすれば,上記の具体的準備を始める前に本件互助契約を解約する会員がいても他の消費者を勧誘することで解約にかかる契約分の利益を図ることができるといえそうである。よって,当該消費者による冠婚葬祭の施行に関する収入は被告aが合理的に期待しうる収入ということはできず,消費者契約 消費者を勧誘することで解約にかかる契約分の利益を図ることができるといえそうである。よって,当該消費者による冠婚葬祭の施行に関する収入は被告aが合理的に期待しうる収入ということはできず,消費者契約法9条1号にいう平均的な損害には含まれないとも考えられる。 ウその他の費用については,一人の消費者が解約したことによって生じる個別的な損害であって,平均的な損害には含まれると考えられる。 また,会員による冠婚葬祭の施行の請求があった後については,他の消費者を勧誘することで解約にかかる契約分の利益を図ることができるとはいえず,現実に儀式を施行しなかったために免れた実費を除いて平均的な損害に当たるといえる。 (4) 被告aは,冠婚葬祭互助契約については,一人が抜ければ他の人を勧誘して役務提供をすればよいという軽々しいものではなく,本件互助契約上の募集,儀式施行のための支出費用に代替性はなく,上記⑶ア,イ記載の費用であっても,消費者契約法9条1号にいう平均的な損害に含まれる旨主張する。 ア葬儀場は,誰にでも1回だけ利用の必要があるが,同一人につき複数回利用されることはなく,また,高額の資金を要するといえるため,必要な資金を,個々人で負担するのではなく,多数人が少額ずつを,一括でなく延払いで積み立てていくというのは合理的であり,その仕組みを互助会という形式で運営することにも一定の合理性がある。 そして,契約締結に至った人にかかった費用も,勧誘はしたが契約締結に至らなった人にかかった費用も,最終的には,契約締結をしたうえ解約せずに最終的に儀式を施行した人から得られる事業収入から経費を控除した利益でまかなわなければ,企業経営として成り立たないはずである。そのような仕組みで,一部の者が月掛けを止めると,全体の資金が不足 せずに最終的に儀式を施行した人から得られる事業収入から経費を控除した利益でまかなわなければ,企業経営として成り立たないはずである。そのような仕組みで,一部の者が月掛けを止めると,全体の資金が不足し,運営ができなくなるから,月掛けを止めさせないのが望ましいが,そうでなくとも,月掛けを止める際には,その仕組みにマイナスとならないようにさせることにも一定の合理性があるといえる。 もとより,本件互助契約の会員は閉じられた会員ではなく,新規に獲得が可能であるという面はあるが,被告aの各コースの月掛金額からすると,資金に余裕のある層を顧客としているのではなく,資金に余裕のない層を顧客としているとみられ,葬儀用として積み立てておく方法をとらなければ,貯蓄として残らず他の用途に費消されてしまうとみるのが一般的であろう。すなわち,本件互助契約の会員は,月掛方式をとることを勧誘して漸く顧客となった者が多いものと思われる。月掛方式をとるには,かなりコストがかかり,結局は,最終的に儀式を施行した人から得られる事業収入によってまかなわれるところ,解約した人にかかったコストも,勧誘はしたが契約締結に至らなった人にかかったコストと同様,すべて最終的に儀式を施行した人から得られる事業収入から負担することとするなら,その分儀式を施行する代金が高額になるということになろう。営業というものが,一般的にそういう面を持つことは確かであるが,本件互助契約の会員層を考えたときの妥当性が問題である。 イまた,葬儀の場合,役務提供の具体的日時が決まるのは,会員が死亡した後であり,長期的には予定の立たないものである。したがって,会員の死亡よりも前の段階で解約しても,具体的に特定した会場や設備が使用できなくなる損害は発生しないといえるものの,特定しない分,一定の確率 後であり,長期的には予定の立たないものである。したがって,会員の死亡よりも前の段階で解約しても,具体的に特定した会場や設備が使用できなくなる損害は発生しないといえるものの,特定しない分,一定の確率で常に需要が生じるという関係にあるから,契約時に具体的な日時が特定する性質の会場や設備よりは,会員の死亡により特定した具体的な利用にかかるコストは割高になるはずである。また,葬儀の場合,具体的日時が決まったらすぐに寝台車,棺,枕飾り,霊安室といった設備が必要となり,葬儀自体も数日内に施行されるのが通常であるから,時間的余裕がないという特性がある。この点からも,本件互助契約を解約する人がいたときに,その人にかかったコストを最終的に儀式を施行した人から得られる事業収入によってまかなうことの妥当性が問題となる。 ウ以上のような本件互助契約の特殊性を考慮することが相当といえるなら,上記被告aの主張にも理由があるといえる。 (5) 上記⑷の点をふまえて,被告aが本件互助契約の解約により生ずると主張する損害の内容を検討する。 ア前記第2の2⑵における被告aの主張をみるに,会員募集費,会員管理費,物的設備準備費の積算を損益計算書記載の包括的な項目を根拠にしてしか主張できなかったり,PコースとRコースとでは20万円も月掛金総額が違うのに,葬儀施行原価の違いは祭壇についての1万8000円余の違いだけであるという結果であったり,その結果Rコースでは葬儀を施行した場合に赤字となる計算であったりなど,各コース別に十分な原価計算が行われていないか,行われているとすれば別の情報を開示していないかであることになる。したがって,被告aが主張する会員募集費,会員管理費,物的設備準備費,逸失利益の金額をそのまま採用するのは,必ずしも合理的とはいえない。 イ るとすれば別の情報を開示していないかであることになる。したがって,被告aが主張する会員募集費,会員管理費,物的設備準備費,逸失利益の金額をそのまま採用するのは,必ずしも合理的とはいえない。 イそこでさらに検討するに,証拠(乙20~23,32)によれば,第42期(平成19年8月1日から平成20年7月31日まで)の事業収入が381億6991万1000円で,葬儀の施行件数が会員の1万1701件と会員以外の1542件(自治体や警察の依頼による141件を除く。)を併せた1万3243件で,他に婚礼の施行もあるところ,平成21年8月1日から平成22年7月31日までの期間では,婚礼が966件で,葬儀は1万4259件(自治体や警察の依頼によるものを含む。)施行されたことが認められる。同期間の婚礼は葬儀の10分の1以下の件数であり,この割合が第42期も同程度であるとし,婚礼の方が葬儀よりも費用を要するとしても,第42期の事業収入中少なくとも300億円は葬儀によるものとみられ,それを施行件数である1万3243件で割ると1件当たり220万円以上となっていることがわかる。 これは,Rコースの30万円はもとより,Pコースの50万円やTコースの10~70万円という月掛金総額の何倍もの金額であり,1人で複数口積み立てている者がいることを考慮しても,被告aの葬儀が各コースのセット金額以外に何倍もの追加代金をとって収入としていることが強く窺われる。 第42期の施行費(乙23)でみても,260億2663万2760円のうち婚礼分を除いた葬儀の分が200億円として,1万3243件で割ると1件当たり150万円程度となり,被告a主張の葬儀施行の費用であるPコースの14万3134円,Rコースの12万4833円の何倍にもなっており,収入に対応してい 00億円として,1万3243件で割ると1件当たり150万円程度となり,被告a主張の葬儀施行の費用であるPコースの14万3134円,Rコースの12万4833円の何倍にもなっており,収入に対応しているといえる。 以上の点からすると,被告aの主たる収入源は,本件互助契約の月掛金総額ではなく,実際に葬儀が施行される際の追加代金によっていることが強く窺われる。そうすると,結局は本件互助契約の会員募集,会員管理,物的設備準備といった作業も,葬儀が施行される際の追加役務の注文獲得を主たる目的に行われる営業活動の一環と位置づけるのが合理的であるともいえる。 そうなると,a解約手数料の定めも,将来の葬儀施行時の注文を減らさないようにするためにできるだけ解約を阻止しようとする目的で,割高に定められている可能性が窺えてくるところである。 (6) 上記⑸の点からすると,上記⑷記載の本件互助契約の特殊性を考慮するのは相当とはいえず,上記⑶の観点から消費者契約法9条1号にいう平均的な損害について判断すれば足りるといえる。 ア消費者と契約を締結したことにより訪問販売員に対して支払われる出来高給については,一人の消費者による契約解約と個別の因果関係が認められるため,平均的な損害に含まれうる。そこで,前記第2の2⑵における被告aの主張イ(エ)bををふまえ,代理店に支払われた支払手数料からこれを算出することが考えられるが,本件互助契約の関係では,代理店に支払われた手数料は契約の中途解約により返金されることからすれば,上記手数料は平均的な損害の認定に際し算入することはできない。なお,被告aが主張する代理店廃業や経済的援助による不返還の点は,解約をした一人の消費者との間での損害であるとはいえない。 イ上記⑶ア,イ及び上記ア記載の 認定に際し算入することはできない。なお,被告aが主張する代理店廃業や経済的援助による不返還の点は,解約をした一人の消費者との間での損害であるとはいえない。 イ上記⑶ア,イ及び上記ア記載の各費用以外の費用については,一人の消費者が契約し解約することがなければ被告aが支出することがなかった費用といえるのであるから,平均的な損害に含まれうる。しかしながら,上記各費用の算定につき,被告aは,契約締結に至らなかった者に対する費用を含む損益計算書をもとに契約口数で割るという算定方法を採っており,契約締結に至らなかった者の数が想定できない以上,この算定方法をもって会員募集費,会員管理費を認定することはできない。 その他に被告aが具体的に主張するものとして,月掛金の振替費用額は約58円,自動振替システム利用料は月15円,外交員の集金手当は月80円から120円であるというものがあり,その仕組みは必ずしも明らかでないものの,本件互助契約締結時の支払を除き月掛金を1回支払う毎に一定の費用を被告aが負担するものと考えられ,原告もそのような費用が発生すること自体は積極的に争っておらず,また,被告aが会員から少額の月掛金を100回又は200回という多数回徴収していることからすれば,その月掛金を外交員の集金により徴収することが被告aにおいて通常の方法であるとは考えにくいため,月掛金の徴収に被告aが通常要する費用は,平均すると1回当たり58円の振替費用であるとみることができる。 その他にも,入会書類作成,会員情報システム登録,加入者証作成などの実費もかかると考えられるが,これらは本件互助契約毎に1回だけかかる費用であり,証拠(甲A4,甲B1,2,E1,F2,G2,H2)によれば,本件互助契約においては,入会金として500円が被告aに支払われて かると考えられるが,これらは本件互助契約毎に1回だけかかる費用であり,証拠(甲A4,甲B1,2,E1,F2,G2,H2)によれば,本件互助契約においては,入会金として500円が被告aに支払われていると推認でき,この入会金をもって上記実費程度はまかなわれているとみることができる。被告aは,この入会金を親睦会費等であると主張するが,上記各証拠に「入会金」と明記してあることからすれば,この費用を親睦会等のためだけに使用できる費用と解することは困難である。 そうすると,月掛金を1回振替える毎に被告aが負担した58円の振替費用をもって,消費者契約法9条1号の平均的な損害に当たるということができる。 ウ次に,会員により冠婚葬祭の施行の請求があった場合には,被告aは,冠婚葬祭に向けて当該会員のために会場を排他的に確保するなどの具体的な準備を始めることになり,特に会員による施行の請求と施行日との間隔が一般的に短いといえる葬儀の場合には,他の消費者の勧誘による代替利益の確保はほぼ不可能に近いといえるから,消費者が上記施行の請求をした後に解約する場合は,その施行を前提にした収入は被告aにとって合理的に期待しうる収入といえ,消費者契約法9条1号の平均的な損害に含まれ,その金額は,現実に儀式を施行しなかったために免れた実費を除いても,明らかにa解約手数料を超えているとみるのが合理的である(なお,婚礼については例外的な場合もあろうが,限られた場合であろうし,その場合を示す具体的な証拠もない。)。 (7) 被告aは,本件約款が全互協の標準約款に則っており,当該標準約款は監督官庁の監督下で長年にわたり適正なものとして運用されてきたことをもって,本件約款の適法性を主張する。 証拠(乙16)によれば,上記標準約款は,募集に関わる費 に則っており,当該標準約款は監督官庁の監督下で長年にわたり適正なものとして運用されてきたことをもって,本件約款の適法性を主張する。 証拠(乙16)によれば,上記標準約款は,募集に関わる費用のうち募集人件費,会員管理に関わる費用のうち集金・集金管理人人件費を考慮し,昭和58年当時の標準的な契約金額が12万円であるとの実態調査の結果を踏まえて行政機関と協議した結果決定したものと認められる。 業界団体が作成した標準約款については,その内容が合理的である場合には平均的損害の算定にあたって考慮する余地もあるものの,上記⑶アのとおり,人件費のうち,不特定多数の消費者との関係での費用で一人の消費者による契約の解約にかかわらず常に生じるものはそもそも平均的な損害に含まれないというべきであるし,契約金額から解約手数料を算定するに至った根拠について具体的に明らかとなっていない上記標準約款をもって直ちに合理的な規定として考慮することはできない。 よって,被告aの上記主張は認められない。 (8) 以上によれば,本件互助契約に関して消費者から冠婚葬祭の施行の請求があるまでにされた解約によって,月掛金を1回振替える毎に被告aが負担した58円の振替費用をもって被告aに損害が生じているというべきであり,上記の限度で,a解約手数料を定めるa解約金条項は,消費者契約法9条1号により無効である。 3 争点⑶について(1) 本件積立契約は,被告bが企画した国内旅行や特別企画旅行,被告bが指定した式場で挙式・披露宴を申し込んだ場合の指定ハネムーン旅行や指定の冠婚葬祭施行時の送迎バス・タクシー・ハイヤーに利用できるb利用券を代金分割払方式により取得する契約である(甲9)。 また,加入者は,本件積立契約に基づき1年間継続して支払 ーン旅行や指定の冠婚葬祭施行時の送迎バス・タクシー・ハイヤーに利用できるb利用券を代金分割払方式により取得する契約である(甲9)。 また,加入者は,本件積立契約に基づき1年間継続して支払金を入金した場合には,「bクラブ正会員」となり,被告bが企画する特別安価な旅行プラン及び人間ドックの案内,紹介を受けることができる(甲9)。 そうすると,本件積立契約は,被告aの互助契約と連携しているようにもみえるが,結局は旅行,交通,医療という一般的な役務の利用にすぎないといえる。 (2) 被告bが主張する,会員募集費,会員管理費のうち,訪問販売員に対して支払う基本給,会員管理用コンピュータ導入費,同維持管理費については,不特定多数の消費者との関係での被告bの業務維持及び販売促進のための費用であり,一人の消費者による契約の解約にかかわらず常に生じるものといえるため,平均的な損害には含まれない。 (3) また,「bクラブ正会員」により顧客が得ることのできる利益は必ずしも明らかではないが,仮に被告bが主張するような内容の案内,紹介であるとしても,それらに通常要する費用として考えられるのは,上記案内,紹介にかかる事務手数料であり,健康診断における管理費等は一人の会員が本件積立契約を解約するか否かにかかわらず生じるものであり,個別の消費者との関係で因果関係を有するものとはいえない。 (4) その他の費用については,当該一人の消費者が契約し,又は当該契約を解約することがなければ被告bが支出することがなかった費用といえるのであるから,平均的な損害に含まれうる。しかしながら,被告bは上記費用の算定につき,損益計算書記載の額をbクラブの1年間の入会総本数で割る算定方法を採っており,契約締結に至らなかった者の数が想定できない以上,こ 均的な損害に含まれうる。しかしながら,被告bは上記費用の算定につき,損益計算書記載の額をbクラブの1年間の入会総本数で割る算定方法を採っており,契約締結に至らなかった者の数が想定できない以上,この算定方法をもって会員募集費及び会員管理費を認定することはできない。 被告bは,積立金の振替費用額は約58円,自動振替システム利用料は月15円,外交員の集金手当は月80円から120円であると主張するが,証拠(甲9)によれば本件積立契約においては事務手数料として月額150円が被告bに支払われていることが認められ,上記事務手数料をもって上記費用はまかなわれているとみるべきである(甲9によれば,本件互助契約Pコース,Rコースの会員は事務手数料を免除されていると認められるが,その場合は前記2⑹イ記載の被告aの平均的損害でまかなわれているといえる)。 (5) 以上によれば,解約手数料を徴収すると定めるb解約金条項は,消費者契約法9条1号により無効である。 4 結論そうすると,甲事件原告の被告aに対する主位的及び予備的請求は,消費者が被告aに対し冠婚葬祭の施行を請求する前の解約の場合に,58円に第1回目を除く払込の回数を掛けた金額を超える解約金を差し引いて消費者に対し返金する旨を内容とする限度での差止めに理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却し,甲事件原告の被告bに対する主位的請求は理由があるから認容する。 また,乙・丙・丁事件原告らの請求は,同原告らが被告aに対し冠婚葬祭の施行を請求する前にしたものであり,58円に第1回目を除く払込の回数を掛けた金額を差し引いた金額及びこれに対する遅延損害金の支払を求める範囲で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却する。 京都地方裁判所第3民事部 主文 込の回数を掛けた金額を差し引いた金額及びこれに対する遅延損害金の支払を求める範囲で理由があるから認容し,その余は理由がないから棄却する。 理由 京都地方裁判所第3民事部 裁判長裁判官 瀧華聡之 裁判官 奥野寿則 裁判官 堀田喜公衣

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