【DRY-RUN】主 文 原判決を破棄する。 本件を大阪地方裁判所に差し戻す。 理 由 検事藤田太郎の控訴趣意について、 原判決は、被告人が本件麻薬注射液を覚せい剤
主文 原判決を破棄する。 本件を大阪地方裁判所に差し戻す。 理由 検事藤田太郎の控訴趣意について、原判決は、被告人が本件麻薬注射液を覚せい剤であると誤信して所持していたものであるから麻薬所持の故<要旨>意を欠き罪とならない、というのである。しかしながら、軽い甲罪の犯意を以て重い乙罪の事実を実現した場</要旨>合において、両者その罪質を同じうするときは、甲罪の既遂を以てこれに問擬すべきものと解するを相当とするところ、右覚せい剤の所持は覚せい剤取締法第四一条第一項第二号に該当し、その刑は五年以下の懲役又は十万円以下の罰金であり、麻薬の所持は麻薬取締法第六四条第一項に該当し、その刑は七年以下の懲役であつて、この二つの法条について罪質の異同を検討すると、両者は共にその中毒性習慣性のため個人並に社会の保健衛生に危害を及ぼすことの多い薬剤について濫用を取締ろうとするものでその目的を同じうし(覚せい剤取締法第一条麻薬取締法第一条参照)、且つ、その取締方式においても極めて相似たものがあるのであつて、両者別異の法律を以てこれを規定したのは単に沿革的理由によるにすぎないのであり、また、その刑に軽重あるのはその毒性の程度の差によるものというべく、両者がその罪質を異にするものと解することができない。従つて、原審認定の前記事実に対しては軽い覚せい剤取締法第四一条第一項第二号を以て処断すべきものといわねばならない。しかるに、原審が卒然これを以て罪とならないものとしたのは法令の適用を誤つたものというの外なく、この誤は判決に影響を及ぼすことが明かであつて、論旨はその理由があるから、刑事訴訟法第三九七条第三八〇条第四〇〇条に則り原判決を破棄し、訴因等についてもなお適当な調整を試み被告人のため十分な防禦の機会を与え 判決に影響を及ぼすことが明かであつて、論旨はその理由があるから、刑事訴訟法第三九七条第三八〇条第四〇〇条に則り原判決を破棄し、訴因等についてもなお適当な調整を試み被告人のため十分な防禦の機会を与えるため、これを原審に差し戻すを相当と認め主文のように判決をする。 (裁判長判事万歳規矩楼判事梶田幸治判事井関照夫)
▼ クリックして全文を表示