平成28(行ケ)10229 審決取消請求事件

裁判年月日・裁判所
平成29年5月17日 知的財産高等裁判所 3部 判決 請求棄却
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判決文本文37,171 文字)

平成29年5月17日判決言渡平成28年(行ケ)第10229号審決取消請求事件口頭弁論終結の日平成29年3月27日判決 原告渡邊機開工業株式会社 原告ニチモウ株式会社 同訴訟代理人弁護士沖田哲義同道山智成同神邊健司同玉岡範久原告ら訴訟代理人弁理士中尾俊輔同伊藤高英 被告フルタ電機株式会社 同訴訟代理人弁護士小南明也 主文 1 原告らの請求をいずれも棄却する。 2 訴訟費用は原告らの負担とする。 事実 及び理由第1 請求特許庁が無効2015-800211号事件について平成28年9月14日 にした審決を取り消す。 第2 前提事実(いずれも当事者間に争いがないか,弁論の全趣旨により容易に認められる。) 1 特許庁における手続の経緯等被告は,発明の名称を「生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置」とする特許第3966527号(平成10年6月12日出願,平成19年6月8日設定登録。以下「本件特許」という。)の特許権者である。なお,本件特許については,平成22年2月25日訂正審判がされ(訂正2010-390006号),同年3月9日,これが確定した。 原告らは,平成27年11月17日,特許庁に対し,本件特許を無効とすることを求めて審判請求をした。これに対し,特許庁は,当該請求を無効2015-800211号事件として審理をした上,平成28年9月14日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をした(以下「本件審決 を求めて審判請求をした。これに対し,特許庁は,当該請求を無効2015-800211号事件として審理をした上,平成28年9月14日,「本件審判の請求は,成り立たない。」との審決をした(以下「本件審決」という。)。その謄本は,同月27日,原告らに送達された。 原告らは,同年10月27日,本件訴えを提起した。 2 特許請求の範囲本件特許の請求項1~5(上記訂正後のもの。以下同じ。)に係る発明(以下「本件発明1」のようにいい,また,これらを一括して「本件発明」という。)は,明細書及び図面(いずれも別紙特許審決公報の特許訂正明細書部分参照。以下,併せて「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1~5に記載された次のとおりのものと認められる。 【請求項1】生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において, 前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置。 【請求項2】生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記生海苔混合液槽の内底面に設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置。 【請求項3】生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る 前記生海苔混合液槽の内底面に設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置。 【請求項3】生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置。 【請求項4】生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした生海苔異物分離除 去装置における生海苔の共回り防止装置。 【請求項5】請求項1~請求項4に記載の生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置において,前記突起・板体の突起物を,回転板の回転方向に傾斜する構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置。 3 本件審決の理由の要旨本件審決の理由は,別紙審決書(写し)記載のとおりである。要するに,原告らが,本件発明は特許法(以下「法」という。)29条の2(無効理由1)により特許を受けることができないものであり,また,本件発明1,3及び4は法29条2項(無効理由2)により特許を受けることができないものであって,本件特許は,法123条1項2号に該当し,無効とすべきである旨主張したのに対し,以 いものであり,また,本件発明1,3及び4は法29条2項(無効理由2)により特許を受けることができないものであって,本件特許は,法123条1項2号に該当し,無効とすべきである旨主張したのに対し,以下のとおり,本件発明は法29条の2に違反して特許されたものではなく,また,本件発明1,3及び4は法29条2項に違反して特許されたものではなく,いずれも法123条1項2号に該当しないから,本件発明に係る特許を無効とすることはできない,としたものである。 (1) 無効理由1についてア甲1考案実願平10-3304号(登録実用新案第3053035号。甲1。 以下「甲1文献」という。)には,以下の考案(以下「甲1考案」という。)が記載されていると認められる。 「混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内側に回転板を設置するとともにこの回転板と前記環状枠板部との間にクリアランスを形成し,前記回転板を軸心を中心として適宜回転駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底部に異物排出口を設けた生海苔の異物分離除去装置において,前記環状枠板部の内 周縁に所要数の凹部を形成するとともにこの凹部における前記クリアランスを他の部分よりも広幅とすることによって,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が前記回転板によって引きずられ上記凹部の位置に達した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができる,生海苔の異物分離除去装置。」イ本件発明1と甲1考案との対比及び判断(ア) 一致点「生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置」に関わるものである点。 (イ) 相違点 苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置」に関わるものである点。 (イ) 相違点本件発明1は,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」であるのに対し,甲1考案は,「前記環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成するとともにこの凹部における」「回転板と前記環状枠板部との間」の「クリアランスを他の部分よりも広幅とすることによって,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が前記回転板によって引きずられ上記凹部の位置に達した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができる」ようにしたものである点。 (ウ) 相違点についての検討本件発明1の「生海苔の共回り防止装置」は,突起・板体の突起物が選別ケーシングの円周端面に設けられた構成によって,該突起物が,生海苔混合液がクリアランスに導かれる際に発生した生海苔の共回りを解消すると共に(防止効果),生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く(矯正効果)ことによって,共回りの発生をなくし,クリア ランスの目詰まりをなくすものである。 これに対し,甲1考案は,環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成すると共にこの凹部におけるクリアランスを他の部分よりも広幅とすることによって,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が前記回転板によって引きずられ,上記凹部の位置に達した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができるようにして,クリアランスの目詰まりを解消するというものである。 そうすると,上 いる生海苔が前記回転板によって引きずられ,上記凹部の位置に達した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができるようにして,クリアランスの目詰まりを解消するというものである。 そうすると,上記相違点に関し,甲1考案の上記機能が本件発明1の機能(共回りの発生をなくし,かつクリアランスの目詰まりをなくすこと)に当たるとしても,当該機能を果たす具体的な構成が,甲1考案では,回転板と環状枠板部との間のクリアランスを他の部分よりも広幅とする「凹部」であるのに対し,本件発明1では「突起・板体の突起物」である点で,その形状・構造は異なる。また,当該機能を果たすメカニズムについても,甲1考案は,当該凹部により広幅なクリアランスから生海苔異物の大部分を占める茎部の付いた生海苔を通過させるものであるのに対し,本件発明1は,異物をクリアランスに通過させることによるものではない点で異なる。 このように,上記相違点における両者の具体的な構成とそれによるメカニズムが異なる以上,上記相違点は,設計上の微差又は単なる設計変更ではなく,実質的に同一であるともいえない。 よって,甲1考案は,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点で本件発明1と相違するから,本件発明1は,甲1考案と同一であるとはいえない。 ウ本件発明2~5と甲1考案との対比・判断 上記イを踏まえれば,甲1考案は,本件発明2とは「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記生海苔混合液槽の内底面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点において,本件発 転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記生海苔混合液槽の内底面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点において,本件発明3とは「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点において,本件発明4とは「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点において,本件発明5とは「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,前記突起・板体の突起物を,回転板の回転方向に傾斜する構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点において,それぞれ相違する。 よって,本件発明2~5は,甲1考案と同一であるとはいえない。 エ原告らの主張について原告らは,本件発明における防止手段である突起・板体の突起物に凹凸が含まれることを前提として,甲1文献に開示されている「凹部231,331」(単数及び所要数を含む。)が前記突起物に含まれる凹凸に相当すると主張する。 本件明細書の記載によれば,本件発明の「防止手段」の実施例として,「突起・板体・ナイフ等の突起物」及び「切り溝,凹凸,ローレット等の突起物」が例示されているところ,本件発明において,生海苔混合液がクリアランスに導かれる際に発生した生海苔の共回りを解消すると共に(防止効果),生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く (矯正効果)ことによって,共回りの において,生海苔混合液がクリアランスに導かれる際に発生した生海苔の共回りを解消すると共に(防止効果),生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く (矯正効果)ことによって,共回りの発生をなくし,クリアランスの目詰まりをなくすという機能を果たす構成は「突起・板体の突起物」であることを踏まえれば,本件発明には,上記例示のうち,「ナイフ等の突起物」及び「切り溝,凹凸,ローレット等の突起物」は含まれないと解される。もっとも,上記「…凹凸…の突起物」の「凸」部分が,円周端面等の所定の面から,又はクリアランスに突き出たものであって,上記防止効果及び矯正効果により,共回りの発生をなくし,クリアランスの目詰まりをなくすという機能を果たす場合には,上記「…凹凸…の突起物」の「凸」部分は,本件発明の「突起・板体の突起物」に該当するものといえる。 一方,甲1考案においては,目詰まりを解消する機能を果たすのは専ら回転板と環状枠板部との間のクリアランスを他の部分よりも広幅とする「凹部」であるところ,当該「凹部」自体が「突起・板体の突起物」に該当するものとはいえない。また,複数の凹部の間に凸部と見なされる形状が存在するとしても,当該凸部は目詰まりを解消する機能を果たすものではなく,本件発明の「突起・板体の突起物」の上記機能を果たすものでもない。 したがって,甲1考案の回転板と環状枠板部との間のクリアランスを他の部分よりも広幅とする「凹部」が本件発明の「突起・板体の突起物」に該当するということはできない。 (2) 無効理由2についてア甲4発明特開平8-140637号公報(甲4。以下「甲4文献」という。)には,以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。 「混合液主タンク(90)の底部周端縁に環状枠板部(73,74)の 特開平8-140637号公報(甲4。以下「甲4文献」という。)には,以下の発明(以下「甲4発明」という。)が記載されている。 「混合液主タンク(90)の底部周端縁に環状枠板部(73,74)の外周縁を連設し,この環状枠板部(73,74)の内周縁内に第一回転 板(81)を略面一の状態で僅かなクリアランス(S)を介して内嵌めし,この第一回転板(81)を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンク(90)の底隅部に異物排出口(75,76)を設けた生海苔の異物分離除去装置における第一分離除去具(70)であって,前記第一分離除去具(70)は,第一回転板(81),第一回転板(81)との間にクリアランス(S)を形成する環状固定板(74)と環状枠板(73)で構成される環状枠板部,環状枠板(73)を連設するための周筒部(72),異物を排出するための管状の排出路(75)及びそれに続く排出管(76),及び,クリアランス(S)を通過した海苔混合液を混合液連設タンク(61)に排出するガイド筒(77)とで構成されている,生海苔の異物分離除去装置における第一分離除去具。」イ本件発明1,3及び4と甲4発明との対比(ア) 一致点「生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置」に関わるものである点。 (イ) 本件発明1と甲4発明との相違点A本件発明1は,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」であるのに対し,甲4発明は「生海苔の異物分離除去装置における 防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」であるのに対し,甲4発明は「生海苔の異物分離除去装置における第一 分離除去具」であって,かかる防止装置でない点。 (ウ) 本件発明3と甲4発明との相違点B本件発明3は,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」であるのに対し,甲4発明は「生海苔の異物分離除去装置における第一分離除去具」であって,かかる防止装置でない点。 (エ) 本件発明4と甲4発明との相違点C本件発明4は,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」であるのに対し,甲4発明は「生海苔の異物分離除去装置における第一分離除去具」であって,かかる防止装置でない点。 ウ相違点についての検討(ア) 甲2文献記載の技術的事項登録実用新案第3017060号公報(甲2。以下「甲2文献」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。 「生海苔の異物(ごみ,エビ,アミ糸等)分離装置に関し,生海苔調合液(生海苔と塩水又は真水とを適宜濃度に調合したもの)から異物を分離する際に使用されるものに関するものであって,従来におけるこの種の異物分離装置は,所要数のローラーをスリットを介して並列に配置し,これらのスリットに,生海苔調合液を通過させることによって,生海苔調合液中の異物を分離除去していたが,かかる従来の異物分離装置にあっては,スリットの 所要数のローラーをスリットを介して並列に配置し,これらのスリットに,生海苔調合液を通過させることによって,生海苔調合液中の異物を分離除去していたが,かかる従来の異物分離装置にあっては,スリットの上流側に分離除去された異物が詰まりやすく,その結果,異物の分離除去の作業能率を向上させにくいという不都合を有していたため,かかる不都合を解消するために, 所要数の回転ローラーをスリットを介して並列に配置し,これらのスリットに生海苔調合液を通過させることによって,生海苔調合液中の異物を分離する生海苔の異物分離装置において,回転ローラーの外周面にらせん溝を形成した。 これにより,分離除去されてスリットの上流側にとどまった異物は,らせん溝の回転に従ってローラーの軸方向に沿って移動してスリットから除去され,当該スリットは常時空間を確保することができるという作用効果を奏する。」(イ) 甲3文献記載の技術的事項特開平8-112091号公報(甲3。以下「甲3文献」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。 「生海苔のゴミ取り装置に関するものであって,従来,乾燥海苔の製造に当たり,乾燥海苔には,生海苔に混入しているゴミが付着している可能性があるため,ゴミ検出装置によりゴミの検出を行い,ゴミが検出されたものはゴミ取り作業工程に回すようにしていたが,同工程で,乾燥海苔に付着したゴミを手作業により取り除いていたために,手間と労力を要して,作業効率が悪いという問題があったため,所要の大きさに切断した生海苔と塩水とを一定の重量割合で調合する調合部と,同調合部により調合された生海苔と塩水との調合液を吸い込む吸込流路部と,同吸込流路部に設けて調合液中のゴミをろ過するろ過部を具備し,ろ過部には一定の細幅のろ過用スリットを形成した。 そして 合部と,同調合部により調合された生海苔と塩水との調合液を吸い込む吸込流路部と,同吸込流路部に設けて調合液中のゴミをろ過するろ過部を具備し,ろ過部には一定の細幅のろ過用スリットを形成した。 そして,所要の大きさに切断した生海苔と塩水とを,生海苔がろ過用スリット中を通過しやすい程度の重量割合で調合して,同調合液を吸込流路部に吸い込むことにより,その途中でろ過部のろ過用スリットにより調合液中のゴミを確実にろ過することができ,付着ゴミの検出や,手作業によるごみ取り作業の手間を省くことができるという作用効果を奏 する。」(ウ) 甲16文献記載の技術的事項特開平8-280362号公報(甲16。以下「甲16文献」という。)には,以下の技術的事項が記載されている。 「採取した生海苔中に混入された小動物,網繊維,合成樹脂フィルム,甲殻類の殻その他の固形異物を分離除去することを目的とした生海苔の異物除去方法及び装置に関するものであって,従来生海苔中に混入された固形異物を除去する為の並列回転ローラの細隙から生海苔を吸い出す装置においては,ローラ細隙が線状に形成されている為に,その調節がむつかしく,しかもローラの撓みなどを考慮すれば,細隙が変化しやすく分離効率の向上がむつかしく,かつ生海苔の特性の変化(例えば初期採取葉と,終期採取葉又は海上の風波の有無,強弱による海苔葉の硬軟など)に追随してローラ細隙を調節することがむつかしい問題点があり,また固定細隙の場合には,前記生海苔の特性に応じて,これを調節することが不可能であり,細隙を広くすると分離効率が悪く,細隙を狭くすると分離能率が悪くなるなどの問題点があったため,複数の円盤軸が円盤を交叉して並列横架されて分離部を構成して,円盤軸の円盤の交叉面細隙から生海苔を吸引し,固形異物と分離で 効率が悪く,細隙を狭くすると分離能率が悪くなるなどの問題点があったため,複数の円盤軸が円盤を交叉して並列横架されて分離部を構成して,円盤軸の円盤の交叉面細隙から生海苔を吸引し,固形異物と分離できるようにした。 そして,円盤軸の円盤の交叉面細隙から生海苔を吸引し,固形異物と分離できるように構成したので,生海苔と固形物は比較的広い面積の面細隙で分離され分離効率を向上し,能率を増大する効果がある。」(エ) 本件発明1,3及び4の進歩性について甲4発明は,環状枠板部と内周縁内に内嵌めされた第一回転板との間のクリアランスに生海苔を導入しつつ,第一回転板の回転による遠心力によって,クリアランスよりも環状枠板部側のタンク底隅部に異物を集 積させ,生海苔のみを水と共にクリアランスを通過させるようにしたもの(以下「回転板方式」という。)であるところ,この回転板方式を前提とする発明である点で本件発明1,3及び4と共通するものであるが,甲4文献自体には,本件発明1,3及び4の課題である共回りについての記載はない。また,広告中に単に「目詰まり防止付」との記載があることからは,回転板方式を採用した異物分離除去装置において,上記「共回り」の現象が生じることまでもが自明であって課題とされていたとは認められない。 よって,甲4文献に接した当業者において,回転板方式による異物分離除去装置である甲4発明に上記「共回り」の課題が存在することを認識し得たとは認められない。 また,甲4発明は,本件発明1,3及び4と同じく,環状枠板部と回転板との間のクリアランスに生海苔を導入しつつ,異物を回転部材の遠心力により円周方向に追いやり,生海苔のみがクリアランスを通過するようにした回転板方式を前提とするものであるのに対し,甲2,3及び16文献にそれぞれ記載さ スに生海苔を導入しつつ,異物を回転部材の遠心力により円周方向に追いやり,生海苔のみがクリアランスを通過するようにした回転板方式を前提とするものであるのに対し,甲2,3及び16文献にそれぞれ記載された異物分離除去装置は,回転板方式とは異なる分離方式を採用するものであるから,甲4発明と甲2,3及び16文献に各記載の技術的事項とは,前提とする異物分離除去の解決方式に係る技術的思想が異なるところ,甲4文献に接した当業者において,甲4発明につき,クリアランスに異物や生海苔の詰まりが生じるという問題があるとの課題を想起し得たとしても,前提とする異物分離除去の解決方式の異なる甲2,3及び16文献に各記載の技術的事項を甲4発明に適用しようとする動機付けが生じるとはいえない。 仮に,当業者が甲4発明に甲2,3及び16文献に各記載の技術的事項を適用し得たとしても,これらの技術的事項は本件発明1,3及び4の「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を 「突起・板体の突起物」とした「生海苔の共回り防止装置」に相当する構成ではないから,本件発明1,3及び4の構成を想到することはできない。 以上より,甲4発明において,本件発明1,3及び4に係る相違点A~Cの構成を得ることは,当業者にとって容易であるとはいえない。 第3 当事者の主張 1 原告らの主張(1) 取消事由1(無効理由1についての判断の誤り)ア(ア) 本件審決によれば,複数の凹部の間に凸部と見なされる形状が存在し,当該凸部が目詰まりを解消する機能を果たす場合には,当該凹部及び凸部自体が「突起・板体の突起物」に該当するということができることになる。 (イ) 被告は,甲1考案において固定リング側に設けられている凹部を回転円板側に設けたものに相当する,鉛直溝を回転 部及び凸部自体が「突起・板体の突起物」に該当するということができることになる。 (イ) 被告は,甲1考案において固定リング側に設けられている凹部を回転円板側に設けたものに相当する,鉛直溝を回転円板の外周面に形成した装置を製造しているところ,この鉛直溝につき生海苔の共回りを防止する機能を発揮していると認めていると思料される。 また,原告渡邊機開工業株式会社製造に係る生海苔異物除去装置においては,被告製造に係る上記装置と同一構成の鉛直溝が設けられていると共に,固定リング内周面にも複数の鉛直溝が回転円板と同様に設けられているところ,これらの鉛直溝は,その円周方向のエッジ部分にヘタリが発生するとクリアランスに目詰まりが発生し,ヘタリを解消するとクリアランスの目詰まりが解消し,良好な異物除去機能を発揮する。このことから,甲1考案の固定リング側に設けられている凹部に相当する鉛直溝は,共回りを防止する作用効果,特にエッジ部分による共回りを防止する作用効果を発揮するということができる。 そうすると,被告は,鉛直溝は生海苔異物除去装置としては不可欠な 共回りを防止する機能を有しており,ひいては甲1考案の凹部も共回りを防止する機能を有していることを認めていると思料される。 (ウ) 現在の海苔生産技術に基づき甲1考案を評価すると,その凹部は共回り防止機能を果たしていると認定し得る。 このことに鑑みると,甲1考案の凹部については,これを周方向に複数形成すると凹部の間にクリアランスに向かう凸部と見なされる形状が存在し,当該凸部と凹部が一体となって共回り防止機能を果たすことから,当該凹部及び凸部自体が「突起・板体の突起物」に該当することとなる。 (エ) 本件特許の出願時においては,甲1考案につき,根の付いた生海苔よりも大きさが小さい茎の付 回り防止機能を果たすことから,当該凹部及び凸部自体が「突起・板体の突起物」に該当することとなる。 (エ) 本件特許の出願時においては,甲1考案につき,根の付いた生海苔よりも大きさが小さい茎の付いた生海苔をも通過させ,板海苔の品質を低下させる不都合が存在するとの評価はされておらず,茎部の付いている生海苔を海苔製品の原料として使用することも行われていたことから,このような使用を可能とすると共にクリアランスの目詰まりを防止する凹部を設けることは有用な考案と思料されるところ,甲1考案の凹部は,クリアランスの目詰まりを防止する機能があることから,共回り防止機能を果たしていると認定し得る。 このことに鑑みると,甲1考案の凹部については,これを周方向に複数形成すると凹部の間にクリアランスに向かう凸部と見なされる形状が存在し,当該凸部と凹部とが一体となって目詰まりを解消する機能を果たすことから,当該凹部及び凸部自体が「突起・板体の突起物」に該当することとなる。 イ甲1考案の構成の認定の誤り上記のとおり,鉛直溝及び隣接する鉛直溝間に形成される凸部は本件発明の「突起・板体の突起物」に該当することから,この鉛直溝に相当する甲1考案の凹部及び隣接する凹部間に形成される凸部も,当然に本 件発明の「突起・板体の突起物」に該当することとなる。すなわち,甲1考案と本件発明は実質的に同一であり,相違点は存在しない。 これに対し,本件審決は,甲1考案の凹部につき,当該凹部のみを認定し,凹部間に形成されている凸部の存在を認めていない点で,認定に誤りがある。 ウ甲1考案の機能の認定の誤り上記のとおり,鉛直溝及び隣接する鉛直溝間に形成される凸部は,生海苔の共回りを防止する機能を発揮していることから,鉛直溝に相当する甲1考案の凹部及び隣接する凹 。 ウ甲1考案の機能の認定の誤り上記のとおり,鉛直溝及び隣接する鉛直溝間に形成される凸部は,生海苔の共回りを防止する機能を発揮していることから,鉛直溝に相当する甲1考案の凹部及び隣接する凹部間に形成される凸部も,当然に生海苔の共回りを防止する機能を発揮することとなる。 これに対し,本件審決は,凹部間に形成されている凸部の存在を認めていないことから,上記機能を果たすメカニズムにつき本件発明1の「突起・板体の突起物」と異なるとした点で,認定に誤りがある。 エ以上のとおり,本件審決は,甲1考案の認定につき重大な誤りのあるものであり,取り消されるべきである。 (2) 取消事由2(無効理由2についての判断の誤り)ア本件発明の認定の誤り原告らが主張する無効理由の対象としての本件発明における突起物の構成は,本件発明の実施例として記載されている「クリアランスに開口(対面)している凹部(凹凸部や切り溝)を突起物としている構成」であるところ,本件審決は,この構成を無効理由の対象とする判断をしていない点で,誤りである。 すなわち,本件明細書(段落【0026】)においては,突起物は突起・板体のみに限定されることはなく,それ以外の切り溝,凹凸,ローレットからなる構成物を含むことが開示されているところ,前記凹凸には,凸部を複数設けてその間に凹部を設けた凹凸と,凹部を複数設けて その間に凸部を設けた凹凸とがあり,後者を本件発明の選別ケーシングの内周面及び回転円板の外周面に適用した構成と,前記切り溝(切り溝は,凹部を形成することのみで設けられる。)を本件発明の選別ケーシングの内周面及び回転円板の外周面に適用した構成とがある。これらの構成に係る凹部ないし切り溝は,前記(1)で述べた鉛直溝と同一構成を備えるものであるから,前記鉛直溝と れる。)を本件発明の選別ケーシングの内周面及び回転円板の外周面に適用した構成とがある。これらの構成に係る凹部ないし切り溝は,前記(1)で述べた鉛直溝と同一構成を備えるものであるから,前記鉛直溝と同様に,「凹部及び隣接する凹部間に形成される凸部」及び「切り溝及び隣接する切り溝間に形成される凸部」は,いずれも本件発明の「突起・板体の突起物」に該当する。 したがって,上記各構成に係る「凹部及び隣接する凹部間に形成される凸部」ないし「切り溝及び隣接する切り溝間に形成される凸部」を備えた本件発明(以下「切り溝型本件発明」という。)につき,無効理由2を論じることには妥当性があるが,本件審決はこの点につき判断をしていない。 イ相違点の認定及び容易想到性の判断の誤り(ア) 本件発明1,3及び4の「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」につき,本件審決の定義するとおり所定面から突出している突起物からなる「突起・板体の突起物」として文字通り認定した場合に,本件発明1,3及び4に進歩性があることは,原告らも認める。 しかし,本件審決は,本件発明1,3及び4につき切り溝型本件発明として甲4発明と比較していない点で誤りがある。 (イ) 甲4発明においては,環状のクリアランスを形成する選別ケーシングの内周面及び回転板の外周面は共に平坦に形成されており,本件発明の「突起・板体の突起物」に相当する構造はない。しかし,切り溝型本件発明においては,環状のクリアランスを形成する選別ケーシングの内周面及び回転板の外周面の少なくとも一方には,周方向に複数 の凹部又は切り溝が形成されている。 (ウ) 本件特許の出願時において,従来例である甲4発明においては,クリアランスに発生する生海苔の目詰まりを防止することが課題であったところ, 複数 の凹部又は切り溝が形成されている。 (ウ) 本件特許の出願時において,従来例である甲4発明においては,クリアランスに発生する生海苔の目詰まりを防止することが課題であったところ,この課題は,クリアランスに発生する生海苔の共回りを防止することと実質的に同一である。切り溝型本件発明はその解決を目的(課題)とするものである。 切り溝型本件発明においてこれを実現(解決)する構成は,環状のクリアランスを形成する選別ケーシングの内周面及び回転板の外周面の少なくとも一方に,周方向に複数の凹部又は切り溝を形成することであり,凹部又は切り溝の大きさは,有用な生海苔は通過可能であり,除去すべき異物は通過不可能な大きさに形成される。また,選別ケーシングの内周面及び回転板の外周面は,周方向に互いに相対移動する。 さらに,切り溝型本件発明においては,クリアランスを広幅とする凹部又は切り溝部分を有用な生海苔が通過することにより,クリアランスの目詰まりを防止することができ,クリアランスにおける生海苔の共回りを防止することができる。 (エ) 甲2及び3文献に各記載の技術的事項は,いずれも,切り溝型本件発明と同様に生海苔中の異物を除去する装置であって,技術分野が同一であると共に,その構成や作用効果も複数の点で切り溝型本件発明と同一であることから,甲4発明に容易に適用し得る。 したがって,甲4発明のクリアランス部分に甲2文献記載の技術的事項(らせん溝からなる凹部)及び甲3文献記載の技術的事項(ろ過用スリットの幅を部分的に広げる半円弧状の拡幅部32aからなる凹部)を適用し,クリアランス部を広幅にする凹部又は切り溝を形成することは,当業者が容易に想到し得ることである。 ウ以上より,切り溝型本件発明は,当業者が甲4発明に甲2及び3文献に る凹部)を適用し,クリアランス部を広幅にする凹部又は切り溝を形成することは,当業者が容易に想到し得ることである。 ウ以上より,切り溝型本件発明は,当業者が甲4発明に甲2及び3文献に 各記載の技術的事項を適用して容易に発明し得たものであるから,無効とされるべきものである。 2 被告の主張(1) 取消事由1(無効理由1についての判断の誤り)についてア甲1考案の構成につき,本件審決の認定・判断に誤りはない。したがって,その判断の誤りを前提とした相違点の認定及びその点に関する判断の誤りに関する原告らの主張は失当である。 イ原告らは,本件審決は,甲1考案の凹部につき,当該凹部のみを認定し,凹部間に形成されている凸部の存在を認めていない点で誤りである旨主張するところ,原告らのいう凸部とは第一回転板26(又は第二回転板36)との間でクリアランスCを形成する固定側(環状枠板部を形成する第一環状固定板23又は第二環状固定板33)の壁面における凹部231(凹部331)以外の部分を指すものと理解されるが,当該部分は,生海苔混合液が通過し,分離対象となる異物は通過できない部分であって,クリアランスを形成する壁の片側に過ぎない。本件審決の認定・判断も,その趣旨に基づくものである。 また,原告らは,本件審決に至る審判手続の審理経過において,甲1考案につき本件審決の認定と大差のない内容の発明が記載されている旨主張していたのであって,このような原告らの主張は,審理経過での自らの主張に反するものであり,失当である。 (2) 取消事由2(無効理由2についての判断の誤り)についてア原告らは,本件発明1,3及び4の「突起・板体の突起物」というクレームの記載に基づいて判断した場合は,本件発明1,3及び4には進歩性がある旨認めていることから 2についての判断の誤り)についてア原告らは,本件発明1,3及び4の「突起・板体の突起物」というクレームの記載に基づいて判断した場合は,本件発明1,3及び4には進歩性がある旨認めていることから,その余の点を論ずるまでもなく,取消事由2に関する原告らの主張は失当である。 イ原告らは,本件審決が本件発明の実施例に基づく判断をしていないとし, 「切り溝型本件発明」につきるる主張するけれども,本件発明1,3及び4のクレームの記載において「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」は「突起・板体の突起物」であり,原告ら主張のような「凹部(凹凸部や切り溝)を突起物としている構成」ではない。この点に関する原告らの主張はクレームの記載に基づかない主張であり,失当である。 また,原告らは,本件審決に至る審判手続の審理経過において,審判体から示された甲4発明の内容や本件発明1,3及び4と甲4発明との対比に関する暫定的見解を認めていたところ,この暫定的見解は本件審決の判断と実質的に全く同じであることに鑑みると,本件審決が原告らの当審における主張と同様の認定・判断をしなかったことはむしろ当然のことであって,このような原告らの主張は,審理経過での自らの主張に反するものであり,失当である。 第4 当裁判所の判断 1 本件発明(1) 本件発明は,前記(第2の2)のとおりである。 (2) 本件明細書の記載本件明細書には,別紙特許審決公報のとおり,以下の記載がある(甲28)。 ア発明の属する技術分野「本発明は,生海苔・海水混合液(生海苔混合液)から異物を分離除去する生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置に関する。」(【0001】)イ従来の技術「この異物分離機構を備えた生海苔異物分離除去装置と 混合液(生海苔混合液)から異物を分離除去する生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置に関する。」(【0001】)イ従来の技術「この異物分離機構を備えた生海苔異物分離除去装置としては,特開平8-140637号の生海苔の異物分離除去装置がある。その構成は, 筒状混合液タンクの環状枠板部の内周縁内に回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスを介して内嵌めし,この回転板を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに,前記筒状混合液タンクに異物排出口を設けたことにある。この発明は,比重差と遠心力を利用して効率よく異物を分離除去できること,回転板が常時回転するので目詰まりが少ないこと,又は仮りに目詰まりしても,当該目詰まりの解消を簡易に行えること,等の特徴があると開示されている。」(【0002】)ウ発明が解決しようとする課題「前記生海苔の異物分離除去装置,又は回転板とクリアランスを利用する生海苔異物分離除去装置においては,この回転板を高速回転することから,生海苔及び異物が,回転板とともに回り(回転し),クリアランスに吸い込まれない現象,又は生海苔等が,クリアランスに喰込んだ状態で回転板とともに回転し,クリアランスに吸い込まれない現象であり,究極的には,クリアランスの目詰まり(クリアランスの閉塞)が発生する状況等である。この状況を共回りとする。この共回りが発生すると,回転板の停止,又は作業の停止となって,結果的に異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の如く,最悪の状況となることも考えられる。」(【0003】)「前記共回りの発生のメカニズムは,本発明者の経験則では,1.生海苔(原藻)に根,スケール等の原藻異物が存在し,生海苔の厚みが不均等のとき,2.生海苔が束 なることも考えられる。」(【0003】)「前記共回りの発生のメカニズムは,本発明者の経験則では,1.生海苔(原藻)に根,スケール等の原藻異物が存在し,生海苔の厚みが不均等のとき,2.生海苔が束状,捩じれ,絡み付き等の異常な状態で,生海苔が展開した状態でない,所謂,生海苔の動きが正常でないとき,3. 生海苔が異物を取り込んでいる状態,生海苔に異物が付着する等の状態であって,生海苔の厚みが不均等であるとき,等の生海苔の状態と考えられる。」(【0004】) エ課題を解決するための手段「請求項1の発明は,共回りの発生を無くし,かつクリアランスの目詰まりを無くすこと,又は効率的・連続的な異物分離(異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の回避)を図ることにある。またこの防止手段を,簡易かつ確実に適切な場所に設置することを意図する。」(【0005】)「請求項1は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。」(【0006】)「請求項2の発明は,請求項1の目的を達成することと,またこの防止手段を,適切な場所に設置することを意図する。」(【0007】)「請求項2は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有 は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記生海苔混合液槽の内底面に設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。」(【0008】)「請求項3の発明は,請求項1の目的を達成することと,またこの防止手段を,簡易かつ確実に適切な場所に設置することを意図する。」(【0009】)「請求項3は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,こ の回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。」(【0010】)「請求項4の発明は,請求項1の目的を達成することと,またこの防止手段を,クリアランスへの容易な設置を図ることを意図する。」(【0011】)「請求項4は,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置であ 離除去装置において,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。」(【0012】)「請求項5の発明は,請求項1~4の目的を達成することと,またこの防止手段のクリアランスへの簡易・容易な設置を図ることを意図する。」(【0013】)「請求項5は,請求項1~請求項4に記載の生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置において前記突起・板体の突起物を,回転板の回転方向に傾斜する構成とした生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置である。」(【0014】)オ発明の実施の形態 「本発明の生海苔混合液槽には,生海苔タンクから順次生海苔混合液が導入される。この導入された生海苔混合液の生海苔は,回転板とともに回転しつつ,順次吸込用ポンプにより回転板と選別ケーシングで形成される異物分離機構のクリアランスに導かれる。この生海苔は,このクリアランスを通過して分離処理される。この分離処理された生海苔及び海水は,選別ケーシングのケーシング内底面より連結口を経由して良質タンクに導かれる。」(【0019】)「このクリアランスに導かれる際に,生海苔の共回りが発生しても,本発明では,防止手段に達した段階で解消される(防止効果)。尚,前記防止手段は,単なる解消に留まらず,生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く働きも備えている(矯正効果)。」(【0020】)「以上のような操作により,生海苔の分離が,極めて効率的にかつトラブルもなく行われることと,当該回転板,又は当該装置の停止等は未然に防止できる特徴がある。」(【0021】)カ実施例「…この異物分離除去装置1は,生海 生海苔の分離が,極めて効率的にかつトラブルもなく行われることと,当該回転板,又は当該装置の停止等は未然に防止できる特徴がある。」(【0021】)カ実施例「…この異物分離除去装置1は,生海苔混合液をプールする生海苔混合液槽2と,この生海苔混合液槽2の内底面21に設けた異物分離機構3と,異物排出口4と,前記異物分離機構3の回転板34を回転する駆動装置5と,防止手段6を主構成要素とする。」(【0023】)「生海苔混合液槽2には,生海苔・海水を溜める生海苔タンク10と連通する生海苔供給管11が開口しており,この生海苔供給管11には供給用のポンプ12が設けられている。また分離処理された生海苔・海水をプールする良質タンク13を設ける。」(【0024】)「異物分離機構3は,分離した生海苔・海水を吸い込む連結口31,及び逆洗用の噴射口32を有する選別ケーシング33と,この選別ケーシング33に寸法差部Aを設けるにようにして当該選別ケーシング33の 噴射口32の上方に設けられた回転板34と,この回転板34の円周面34aと前記選別ケーシング33の円周面33aとで形成されるクリアランスSと,で構成されている。前記寸法差部Aは,選別ケーシング33の円周端面33bと回転板34の円周端面34bとの間で形成する。」(【0025】)「防止手段6は,一例として寸法差部Aに設ける。図3,図4の例では,選別ケーシング33の円周端面33bに突起・板体・ナイフ等の突起物を1ケ所又は数ヶ所設ける。また図5の例は,生海苔混合液槽2の内底面21に1ケ所又は数ヶ所設ける。さらに他の図6の例は,回転板34の円周面34a及び/又は選別ケーシング33の円周面33a(一点鎖線で示す。)に切り溝,凹凸,ローレット等の突起物を1ケ所又は数ヶ所,或いは全周に設ける。 所設ける。さらに他の図6の例は,回転板34の円周面34a及び/又は選別ケーシング33の円周面33a(一点鎖線で示す。)に切り溝,凹凸,ローレット等の突起物を1ケ所又は数ヶ所,或いは全周に設ける。また図7の例は,選別ケーシング33(枠板)の円周面33a(内周端面)に回転板34の円周端面34bが内嵌めされた構成のクリアランスSでは,このクリアランスSに突起・板体・ナイフ等の突起物の防止手段6を設ける。また図8の例では,回転板34の回転方向に傾斜した突起・板体・ナイフ等の突起物の防止手段6を1ケ所又は数ヶ所設ける。」(【0026】)キ発明の効果「請求項1の発明は,…共回りの発生を無くし,かつクリアランスの目詰まりを無くすこと,又は効率的・連続的な異物分離(異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の回避)が図れること,またこの防止手段を,簡易かつ確実に適切な場所に設置できること等の特徴がある。」(【0029】)「請求項2の発明は,…請求項1の目的を達成できることと,またこの防止手段を,適切な場所に設置できること等の特徴を有する。」(【0030】) 「請求項3の発明は,…請求項1の目的を達成できることと,またこの防止手段を,簡易かつ確実に適切な場所に設置できること等の特徴を有する。」(【0031】)「請求項4の発明は,…請求項1の目的を達成できることと,またこの防止手段を,クリアランスへの容易な設置が図れること等の特徴を有する。」(【0032】)「請求項5の発明は,…請求項1~4の目的を達成できることと,またこの防止手段のクリアランスへの簡易・容易な設置できること等の特徴を有する。」(【0033】)(3) 上記(1)及び(2)によれば,本件発明の概要は,以下のとおりであると認め 成できることと,またこの防止手段のクリアランスへの簡易・容易な設置できること等の特徴を有する。」(【0033】)(3) 上記(1)及び(2)によれば,本件発明の概要は,以下のとおりであると認められる。 ア本件発明は,生海苔・海水混合液(生海苔混合液)から異物を分離除去する生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置に関する(【0001】)。 従来,筒状混合液タンクの環状枠板部の内周縁内に回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスを介して内嵌めし,この回転板につき軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とすると共に,前記筒状混合液タンクに異物排出口を設けた生海苔異物分離除去装置(甲4発明)がある。この発明は,比重差と遠心力を利用して効率よく異物を分離除去できること,回転板が常時回転するので目詰まりが少ないこと,又は仮に目詰まりしてもその解消を簡易に行い得ることなどの特徴があると開示されている(【0002】)。 しかし,この生海苔異物分離除去装置(又は回転板とクリアランスを利用する生海苔異物分離除去装置)においては,この回転板を高速回転することから,生海苔及び異物が回転板と共に回転し,クリアランスに吸い込まれない現象,又は生海苔等がクリアランスに喰い込んだ状態で 回転板とともに回転し,クリアランスに吸い込まれない現象が生じ,究極的には,クリアランスの目詰まり(クリアランスの閉塞)が発生する(共回り)。この共回りが発生すると,回転板の停止又は作業の停止につながり,結果的に異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等のような最悪の状況に至ることも考えられる(【0003】)。 イ本件発明は,従来の生海苔異物分離除去装置(甲4発明)の有する上記問題点に鑑み,共回りの発生をなくし,かつ 加工システム全体の停止等のような最悪の状況に至ることも考えられる(【0003】)。 イ本件発明は,従来の生海苔異物分離除去装置(甲4発明)の有する上記問題点に鑑み,共回りの発生をなくし,かつクリアランスの目詰まりをなくすこと,又は効率的・連続的な異物分離を図ることなどを目的として(【0005】,【0007】,【0009】,【0011】,【0013】),「生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置」において(【0006】,【0008】,【0010】,【0012】),本件発明1では,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,これを前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とし(【0006】),本件発明2では,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,この突起物を,生海苔混合液槽の内底面に設ける構成とし(【0008】),本件発明3では,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,これを回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とし(【0010】),本件発明4では,前記防止手段を,突起・板体の突起物とし,これを選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とする(【0012】)。また,本件発明5では,本件発明1~4の生海苔異物分離除去装置における生海苔の共回り防止装置において,突起・板体の突起物を,回転板の回転方向に傾斜する構成としたものである(【0014】)。 ウ本件発明によれば,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,回転板の回転と共に回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が 。 ウ本件発明によれば,生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,回転板の回転と共に回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置において,共回りの発生をなくし,かつクリアランスの目詰まりをなくすこと,又は効率的・連続的な異物分離(異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の回避)を図ることができること,この防止手段を簡易かつ確実に適切な場所に設置し得ること,この防止手段につきクリアランスへの簡易・容易な設置ができること等の効果を奏する(【0029】~【0033】)。 2 取消事由1(無効理由1についての判断の誤り)について(1) 甲1考案ア甲1文献には,以下の記載がある。 (ア) 実用新案登録請求の範囲「混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内側に回転板を設置するとともにこの回転板と前記環状枠板部との間にクリアランスを形成し,前記回転板を軸心を中心として適宜回転駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底部に異物排出口を設けた生海苔の異物分離除去装置において,前記環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成するとともにこの凹部における前記クリアランスを他の部分よりも広幅としたことを特徴とする生海苔の異物分離除去装置。」(【請求項1】)(イ) 産業上の利用分野「この考案は生海苔の異物(ゴミ,エビ,アミ糸等,以下同じ)分離除去装置に関し,生海苔混合液(生海苔と塩水とを適宜濃度に調合したもの)から異物を分離する際に使用されるものである。」(【0001】) (ウ) 従来の技術「従来におけるこの種の異物分離除去装置にあっては, 混合液(生海苔と塩水とを適宜濃度に調合したもの)から異物を分離する際に使用されるものである。」(【0001】) (ウ) 従来の技術「従来におけるこの種の異物分離除去装置にあっては,混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内側に回転板を設置するとともにこの回転板と前記環状枠板部との間にクリアランスを形成し,前記回転板を軸心を中心として適宜回転駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底部に異物排出口を設けた,回転板を回転させることによって,生海苔よりも比重の大きい異物を遠心力によって前記クリアランスよりも環状枠板部側,即ち,タンクの底部に集積し,生海苔のみを水とともに前記クリアランスを通過して下方に流している結果,前記クリアランスには異物が詰まりにくく,よって,洗浄装置等を別途に設ける必要がなく,装置の維持がしやすいとともに取扱いが簡易になり,生海苔の異物分離除去作業の作業能率を向上させることができるものであった(特開平8-140637号)。」(【0002】)(エ) 考案が解決しようとする課題「しかしながら,かかる従来の異物分離除去装置にあっても,前記クリアランスに異物の詰まる場合が稀に生じ,よって,この詰まった異物を除去しなければならないという不都合を有した。」(【0003】)「この考案の課題はかかる不都合を解消することである。 考案者は,前記クリアランスに詰まった異物は,茎部の付いている生海苔…が大部分であること,および,このような生海苔異物も海苔製品の原料として使用不可能でないということに着目し,鋭意研究した結果,本考案を完成した。」(【0004】)(オ) 課題を解決するための手段「この考案に係る生海苔の異物分離除去装置においては,混合液タンクの底部周端縁 でないということに着目し,鋭意研究した結果,本考案を完成した。」(【0004】)(オ) 課題を解決するための手段「この考案に係る生海苔の異物分離除去装置においては,混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内側に 回転板を設置するとともにこの回転板と前記環状枠板部との間にクリアランスを形成し,前記回転板を軸心を中心として適宜回転駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底部に異物排出口を設けた生海苔の異物分離除去装置において,前記環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成するとともにこの凹部における前記クリアランスを他の部分よりも広幅としたため,前記クリアランスに詰まった生海苔異物は前記回転板によって引きずられ前記凹部の位置に達した際に,前記凹部におけるクリアランスを通過することができるものである。」(【0005】)(カ) 考案の効果「この考案に係る生海苔の異物分離除去装置は,混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内側に回転板を設置するとともにこの回転板と前記環状枠板部との間にクリアランスを形成し,前記回転板を軸心を中心として適宜回転駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底部に異物排出口を設けた生海苔の異物分離除去装置において,前記環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成するとともにこの凹部における前記クリアランスを他の部分よりも広幅としたため,前記クリアランスに詰まった生海苔異物は前記回転板によって引きずられ前記凹部の位置に達した際に,前記凹部におけるクリアランスを通過することができるものである。」(【0023】)「よって,この異物分離除去装置を使用すれば,前記生海苔異物は前記クリアランスに詰まることはないため生海苔の異物分離除 凹部におけるクリアランスを通過することができるものである。」(【0023】)「よって,この異物分離除去装置を使用すれば,前記生海苔異物は前記クリアランスに詰まることはないため生海苔の異物分離除去作業の作業能率を向上させることができるとともに従来不要としていた所謂生海苔異物を海苔製品の原料として使用できるため海苔製品の歩留りを従来よりも向上させることができる。」(【0024】)イ上記各記載によれば,甲1文献には,以下のとおりの甲1考案が記載さ れていると認められ,この点で,本件審決の認定に誤りはない。 「混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内側に回転板を設置するとともにこの回転板と前記環状枠板部との間にクリアランスを形成し,前記回転板を軸心を中心として適宜回転駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底部に異物排出口を設けた生海苔の異物分離除去装置において,前記環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成するとともにこの凹部における前記クリアランスを他の部分よりも広幅とすることによって,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が前記回転板によって引きずられ上記凹部の位置に達した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができる,生海苔の異物分離除去装置。」(2) 本件発明1と甲1考案との対比及び判断ア(ア) 前記第2の2,第4の1及び2(1)に基づき,本件発明1と甲1考案とを対比すると,甲1考案の「混合液タンク」及び「生海苔の異物分離除去装置」は,その機能からみて,本件発明1の「生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽」及び「生海苔異物分離除去装置」に相当する。また,甲1考案の「環状枠板部」は,混合液タンクの底板と環状固定板を含む構成であり,生 らみて,本件発明1の「生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽」及び「生海苔異物分離除去装置」に相当する。また,甲1考案の「環状枠板部」は,混合液タンクの底板と環状固定板を含む構成であり,生海苔を排出する開口が設けられることがその構造上明らかであるところ,これは,本件発明1の「生海苔排出口を有する選別ケーシング」に相当する。 (イ) そうすると,本件発明1と甲1考案とは,以下の点で一致及び相違するものといってよく,この点で,本件審決の認定に誤りはない。 [一致点]生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置に関わるものである点。 [相違点]本件発明1は,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」であるのに対し,甲1考案は,「前記環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成するとともにこの凹部における」「回転板と前記環状枠板部との間」の「クリアランスを他の部分よりも広幅とすることによって,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が前記回転板によって引きずられ前記凹部の位置に達した際に同凹部におけるクリアランスを通過することができる」ようにしたものである点。 イ相違点について(ア) 前記のとおり,本件発明1は,従来の生海苔異物分離除去装置(甲4発明)の問題,すなわち,「回転板を高速回転することから,生海苔及び異物が回転板とともに回り(回転し),クリアランスに吸い込まれない現象,又は,生海苔等がクリアランスに喰込んだ状態で回転板とともに回転し,クリ ,すなわち,「回転板を高速回転することから,生海苔及び異物が回転板とともに回り(回転し),クリアランスに吸い込まれない現象,又は,生海苔等がクリアランスに喰込んだ状態で回転板とともに回転し,クリアランスに吸い込まれない現象が生じ,究極的には,クリアランスの目詰まり(クリアランスの閉塞)が発生する」状況等である「共回り」が発生すると,「回転板の停止又は作業の停止となって,結果的に異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等のごとく,最悪の状況となることも考えられる」という問題に鑑み,共回りの発生をなくし,かつクリアランスの目詰まりをなくすこと,又は効率的・連続的な異物分離を図ること等を目的として,「生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,この回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置」において, 防止手段を突起・板体の突起物とし,これを選別ケーシングの円周端面に設ける構成としたものである。そして,本件発明1は,このような構成により,共回りの発生をなくし,かつクリアランスの目詰まりをなくすこと,又は,効率的・連続的な異物分離(異物分離作業の能率低下,当該装置の停止,海苔加工システム全体の停止等の回避)を実現し得ること,この防止手段を簡易かつ確実に適切な場所に設置できること等の効果を奏する,というものである。 そうすると,本件発明1の「生海苔の共回り防止装置」は,突起・板体の突起物を選別ケーシングの円周端面に設ける構成とすることにより,該突起物が,生海苔混合液がクリアランスに導かれる際に発生した生海苔の共回りを解消する(防止効果)と共に,生海苔の動きを矯正し,効率的にク 物を選別ケーシングの円周端面に設ける構成とすることにより,該突起物が,生海苔混合液がクリアランスに導かれる際に発生した生海苔の共回りを解消する(防止効果)と共に,生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く(矯正効果)効果をもたらし,これによって,共回りの発生をなくし,クリアランスの目詰まりをなくすものであるということができる。 (イ) これに対し,甲1考案は,環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成すると共にこの凹部におけるクリアランスを他の部分よりも広幅とし,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔が,回転板によって引きずられて上記凹部の位置に達した際に,同凹部におけるクリアランスを通過することができるようにすることによって,クリアランスの目詰まりを解消するというものである。 (ウ) 前記相違点に係る甲1考案の機能については,本件発明1における「共回り」と共通する状況が念頭に置かれているものと見ることはできる。 しかし,その機能を果たす具体的な構成及びメカニズムは,両者において異なる。すなわち,甲1考案は,環状枠板部の内周縁に所要数の凹部を形成し,この凹部におけるクリアランスを他の部分よりも広幅とす る構成とし,クリアランスに詰まる異物の大部分を占める茎部の付いている生海苔がこのクリアランスを通過し得るようにすることで,クリアランスの目詰まりを解消するものである。他方,本件発明1は,「共回り」の防止手段を突起・板体の突起物とする構成とすることにより,「クリアランスに導かれる際に,生海苔の共回りが発生しても,本発明では,防止手段に達した段階で解消される(防止効果)。尚,前記防止手段は,単なる解消に留まらず,生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く働きも備えている(矯正効果)」(本件 生しても,本発明では,防止手段に達した段階で解消される(防止効果)。尚,前記防止手段は,単なる解消に留まらず,生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く働きも備えている(矯正効果)」(本件明細書段落【0020】)ようにしたものであるところ,甲1考案はこのような防止手段を備えるものではない。 ウしたがって,本件発明1は,甲1考案と同一であるとはいえない。 (3) 本件発明2~5と甲1考案との対比・判断ア上記(2)と同様に,甲1考案は,以下の点で,本件発明2~5とそれぞれ相違する。 (ア) 本件発明2とは,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記生海苔混合液槽の内底面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点。 (イ) 本件発明3とは,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点。 (ウ) 本件発明4とは,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点。 (エ) 本件発明5とは,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,前記突起・板体の突起物を,回転板の回転方向に傾斜する構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点。 イ上記(2)と同様に,本件発明2~5は,いずれも,「生海苔の共回りを防止する」防止手段を突起・板体の突起物とすることで,「クリアラン る構成とした」「生海苔の共回り防止装置」を備えていない点。 イ上記(2)と同様に,本件発明2~5は,いずれも,「生海苔の共回りを防止する」防止手段を突起・板体の突起物とすることで,「クリアランスに導かれる際に,生海苔の共回りが発生しても,本発明では,防止手段に達した段階で解消される(防止効果)。尚,前記防止手段は,単なる解消に留まらず,生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く働きも備えている(矯正効果)」(本件明細書段落【0020】)ようにしたものであるが,甲1考案はこのような防止手段を備えるものではない。 ウしたがって,本件発明2~5は,甲1考案と同一であるとはいえない。 (4) 小括以上より,本件発明は,甲1考案と同一であるということはできないから,法29条の2の規定に違反して特許されたものではなく,本件特許は法123条1項2号に該当しない。 したがって,無効理由1に関する本件審決の判断に誤りはなく,取消事由1は理由がない。 (5) 原告らの主張についてア原告らは,鉛直溝及び隣接する鉛直溝間に形成される凸部は本件発明の「突起・板体の突起物」に該当するところ,甲1考案の凹部(鉛直溝)及び隣接する凹部(鉛直溝)間に形成される凸部は,本件発明の「突起・板体の突起物」と同一の構成及び機能を有し,これに該当する旨主張する。この原告らの主張は,本件審決の「甲1考案において…複数の凹部の間に凸部とみなされる形状が存在するとしても,当該凸部は目づ まりを解消する機能を果たすものでもない」との判断部分を受け,複数の凹部間の凸部が目詰まりを解消する機能を果たす場合には,当該凹部及び凸部自体が本件発明の「突起・板状の突起物」に該当することになるとの理解を前提とする。 イ(ア) しかし,本件審決の上記判断の記載 凹部間の凸部が目詰まりを解消する機能を果たす場合には,当該凹部及び凸部自体が本件発明の「突起・板状の突起物」に該当することになるとの理解を前提とする。 イ(ア) しかし,本件審決の上記判断の記載部分は,本件発明における「…凹凸…の突起物」の凸部との対比の文脈において,仮に甲1考案の複数の凹部の間に凸部と見なされる形状が存在するとしても,当該凸部が目詰まりを解消する機能を果たすものではなく,本件発明の「突起・板体の突起物」の機能を果たすものでもないとして,当該凸部が本件発明の「突起・板体の突起物」に当たらないことを確認的に記載したに過ぎず,これをもって原告らの主張が前提とする上記理解を示したものとはいえない。 (イ) また,甲1考案は,第一又は第二環状固定板の凹部以外の箇所(原告ら主張に係る複数の凹部の間の凸部と見なされる形状の箇所)では,対向する壁である第一又は第二回転板の外周縁との間にクリアランスの幅狭部を形成することで,異物を含んだ生海苔混合液から,異物を含まない生海苔のみを水と共に通過させるようにしつつ,このクリアランスの幅狭部に生海苔異物が詰まった場合は,この詰まった生海苔異物が回転板に引きずられてクリアランス内を移動し,前記凹部の位置に達した際に,当該凹部とこれに対向する第一又は第二回転板の外周縁との間に形成される広幅のクリアランスを通過させることで(段落【0020】),目詰まりを解消しようとするものである。すなわち,甲1考案の凹部の間の凸部と見なされる形状の箇所は,対向する壁である第一又は第二回転板の外周縁との間にクリアランスの幅狭部を形成することにより,本件発明が従来技術とする回転板方式の生海苔異物分離除去装置(甲4発明)の異物除去の機能と同じく,異物を 含まない生海苔のみを通過させる機能を果たす部位 ンスの幅狭部を形成することにより,本件発明が従来技術とする回転板方式の生海苔異物分離除去装置(甲4発明)の異物除去の機能と同じく,異物を 含まない生海苔のみを通過させる機能を果たす部位と見られる。 そうすると,甲1考案における複数の凹部の間の凸部と見なされる形状の箇所は,突起・板体の突起物からなる防止手段ではなく,本件発明4及び本件明細書における「クリアランス」を形成する一方の壁に相当するものである。甲1考案において,生海苔異物による目詰まりが生じることがないようにする機能は,専ら環状枠板部の内周縁の凹部において対向する壁との間の隙間が他の部分よりも広幅となっていることにより生じるものである。 このように,甲1考案の凹部の間の凸部と見なされる形状の箇所は,目詰まりを解消する機能を果たすものではないから,本件発明の「突起・板体の突起物」に該当するということはできない。 その他原告らがるる指摘する点を考慮しても,この点に関する原告らの主張は失当である。 3 取消事由2(無効理由2についての判断の誤り)について(1) 本件発明についてア本件発明は,前記1のとおりである。 イこれに対し,原告らは,取消事由2(無効理由2についての判断の誤り)の主張の前提として,「凹部及び隣接する凹部間に形成される凸部」ないし「切り溝及び隣接する切り溝間に形成される凸部」は,本件発明の「突起・板体の突起物」にいずれも該当するもの(「切り溝型本件発明」)である旨主張する。 しかし,甲1考案の場合(前記2(5))と同様に,「凹部及び隣接する凹部間に形成される凸部」ないし「切り溝及び隣接する切り溝間に形成される凸部」は,対向する壁との間にクリアランスの幅狭部を形成することにより,本件発明が従来技術とする回転板方式の生海苔異物分離除去装 部間に形成される凸部」ないし「切り溝及び隣接する切り溝間に形成される凸部」は,対向する壁との間にクリアランスの幅狭部を形成することにより,本件発明が従来技術とする回転板方式の生海苔異物分離除去装置(甲4発明)の異物除去の機能と同じく,異物を含まない生海苔 のみを通過させる機能を果たす部位と見られるのであり,本件発明の「突起・板体の突起物」に該当するということはできない。 そもそも,本件発明では,防止手段を「突起・板体の突起物」とする旨規定され,「突起・板体の突起物」以外のものが防止手段に含まれないことが明確に理解されるところ,「突起」とは,「ある部分が周囲より高く突き出ていること。また,そのもの。でっぱり」を意味する語であるから,「突起・板体の突起物」とは,所定の面もしくはクリアランスに突き出たもの,又は所定の面もしくはクリアランスに突き出たものであって,板状のものであると解される。これに対し,単なる「凹部」又は「切り溝」は,所定の面もしくはクリアランスに突き出たもの,又は所定の面もしくはクリアランスに突き出たものであって,板状のもののいずれにも当たらないことは明らかである。 そうすると,上記の「凹部」又は「切り溝」自体を防止手段と考えようとしたとしても,これらは突起・板体の突起物に該当しないから,結局,本件発明の「防止手段」に含まれない。 したがって,原告らの主張する「切り溝型本件発明」は,本件発明に含まれるということはできないことから,これが本件発明に含まれることを前提として無効理由2があるとする原告らの主張は,そもそもその前提において失当である。 (2)ア甲4文献には,以下の記載がある。 (ア) 特許請求の範囲「【請求項1】筒状混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内周縁 の前提において失当である。 (2)ア甲4文献には,以下の記載がある。 (ア) 特許請求の範囲「【請求項1】筒状混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内周縁内に第一回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスを介して内嵌めし,この第一回転板を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底隅部に異物排出口を設けたことを特徴とする生海苔の異物分離除去装置。 【請求項2】前記第一回転板の表面を回転中心から周縁に向かうに従って下がり傾斜にしたことを特徴とする請求項1の生海苔の異物分離除去装置。 【請求項3】筒状混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内周縁内に第一回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスを介して内嵌めし,この第一回転板を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底隅部に異物排出口を設け,更に,前記第一回転板の下方に第二回転板を軸心を同じくして回転可能に設置し,この第二回転板の周縁部を前記第一回転板と前記環状枠板部内周縁との間のクリアランスの下方に配置し,この第二回転板を前記クリアランスを通過する生海苔と水との混合液の通過速度以上の周速度で回転させることを特徴とする生海苔の異物分離除去装置。 【請求項4】前記第一回転板の表面を回転中心から周縁に向かうに従って下がり傾斜にさせるとともに前記第二回転板の周縁部の表面を回転中心から周縁に向かうに従って下がり傾斜にしたことを特徴とする請求項3の生海苔の異物分離除去装置。」(イ) 産業上の利用分野「この発明は生海苔の異物(ゴミ,エビ,アミ糸等,以下同じ)分離除去装置に関し,生海苔混合液(生海苔と塩水とを適宜濃度に調合したもの)から異物を分離する際 除去装置。」(イ) 産業上の利用分野「この発明は生海苔の異物(ゴミ,エビ,アミ糸等,以下同じ)分離除去装置に関し,生海苔混合液(生海苔と塩水とを適宜濃度に調合したもの)から異物を分離する際に使用されるものである。」(【0001】)(ウ) 従来の技術「従来におけるこの種の異物分離除去装置は,分離ドラムの周壁に所要数の分離孔を設け,前記分離ドラムを軸心を中心として回転させながらこのドラム内に生海苔混合液を供給し,前記分離孔を通過させることによって,前記生海苔混合液中の異物を分離除去していた(特開平6-121660号)。」(【0002】) (エ) 発明が解決しようとする課題「…かかる従来の異物分離除去装置にあっては,生海苔混合液中の異物をこの分離孔の周縁に引っ掛けて排出口に流れるのを防止するものであるため,当該分離孔の周縁に異物が蓄積し,目詰まりが発生する結果,当該分離除去を能率良く行うためには,目詰まり噴射水によって洗浄するという洗浄装置を別途に設けなければならないという不都合を有した(特開平6-121660号)。」(【0003】)(オ) 課題を解決するための手段「前記課題を達成するために,この発明に係る生海苔の異物分離除去装置においては,筒状混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内周縁内に第一回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスを介して内嵌めし,この第一回転板を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底隅部に異物排出口を設けたものである。」(【0005】)(カ) 作用「この発明に係る生海苔の異物分離除去装置は上記のように構成されているため,第一回転板を回転させると混合液に渦が形成されるため生海苔よりも比重の大きい異物は遠心力に 【0005】)(カ) 作用「この発明に係る生海苔の異物分離除去装置は上記のように構成されているため,第一回転板を回転させると混合液に渦が形成されるため生海苔よりも比重の大きい異物は遠心力によって第一回転板と前記環状枠板部とのクリアランスよりも環状枠板部側,即ち,タンクの底隅部に集積する結果,生海苔のみが水とともに前記クリアランスを通過して下方に流れるものである。このとき,第一回転板は回転しているため,前記クリアランスには生海苔が詰まりにくいものである。」(【0009】)(キ) 発明の効果「この発明に係る生海苔の異物分離除去装置においては,筒状混合液タンクの底部周端縁に環状枠板部の外周縁を連設し,この環状枠板部の内周縁内に第一回転板を略面一の状態で僅かなクリアランスを介して内嵌 めし,この第一回転板を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンクの底隅部に異物排出口を設けたため,第一回転板を回転させると混合液に渦が形成されるため生海苔よりも比重の大きい異物は遠心力によって第一回転板と前記環状枠板部とのクリアランスよりも環状枠板部側,即ち,タンクの底隅部に集積する結果,生海苔のみが水とともに前記クリアランスを通過して下方に流れるものである。このとき,第一回転板は回転しているため,前記クリアランスには生海苔が詰まりにくいものである。」(【0028】)「よって,この異物分離除去装置を使用すれば,異物が前記クリアランスに詰まりにくいため,従来のように目詰まり洗浄装置等を別途に設ける必要がない結果,装置の維持がしやすいとともに取扱いが簡易になり,この結果,生海苔の異物分離除去作業の作業能率を向上させることができる。」(【0029】)イ上記各記載によれば,甲4文献には,以下のとおりの甲4発明 の維持がしやすいとともに取扱いが簡易になり,この結果,生海苔の異物分離除去作業の作業能率を向上させることができる。」(【0029】)イ上記各記載によれば,甲4文献には,以下のとおりの甲4発明が記載されていると認められるところ,これは,本件審決の認定と異ならない。 「混合液主タンク(90)の底部周端縁に環状枠板部(73,74)の外周縁を連設し,この環状枠板部(73,74)の内周縁内に第一回転板(81)を略面一の状態で僅かなクリアランス(S)を介して内嵌めし,この第一回転板(81)を軸心を中心として適宜駆動手段によって回転可能とするとともに前記タンク(90)の底隅部に異物排出口(75,76)を設けた生海苔の異物分離除去装置における第一分離除去具(70)であって,前記第一分離除去具(70)は,第一回転板(81),第一回転板(81)との間にクリアランス(S)を形成する環状固定板(74)と環状枠板(73)で構成される環状枠板部, 環状枠板(73)を連設するための周筒部(72),異物を排出するための管状の排出路(75)及びそれに続く排出管(76),及び,クリアランス(S)を通過した海苔混合液を混合液連設タンク(61)に排出するガイド筒(77)とで構成されている,生海苔の異物分離除去装置における第一分離除去具。」ウ本件発明1,3及び4と甲4発明との対比上記ア及びイ並びに前記1によれば,本件発明1,3及び4と甲4発明とは,以下の点で一致及び相違するものといってよく,この点で本件審決の認定に誤りはない。 [一致点]生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置に関わるものである点。 [相 一致点]生海苔排出口を有する選別ケーシング,及び回転板,並びに異物排出口をそれぞれ設けた生海苔・海水混合液が供給される生海苔混合液槽を有する生海苔異物分離除去装置に関わるものである点。 [相違点A](本件発明1につき)本件発明1は,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を,前記選別ケーシングの円周端面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」であるのに対して,甲4発明は「生海苔の異物分離除去装置における第一分離除去具」であって,かかる防止装置でない点。 [相違点B](本件発明3につき)本件発明3は,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を回転板及び/又は選別ケーシングの円周面に設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」であるのに対して,甲4発明は「生海苔の異物分離除去装置に おける第一分離除去具」であって,かかる防止装置でない点。 [相違点C](本件発明4につき)本件発明4は,「回転板の回転とともに回る生海苔の共回りを防止する防止手段」を「突起・板体の突起物とし,この突起物を選別ケーシングと回転板で形成されるクリアランスに設ける構成とした」「生海苔の共回り防止装置」であるのに対して,甲4発明は「生海苔の異物分離除去装置における第一分離除去具」であって,かかる防止装置でない点。 エ相違点A~Cについて(ア) 上記ア及びイのとおり,甲4発明は,従来の異物分離除去装置(特開平6-121660号)が,分離ドラムの周壁に所要数の分離孔を設け,生海苔混合液を回転する分離ドラム内に供給し,分離孔を通過させることによって,生海苔混合液中の異物を分離ドラムの分離孔の周縁に引っ掛けて排出口に流れ 号)が,分離ドラムの周壁に所要数の分離孔を設け,生海苔混合液を回転する分離ドラム内に供給し,分離孔を通過させることによって,生海苔混合液中の異物を分離ドラムの分離孔の周縁に引っ掛けて排出口に流れるのを防止するという方式(以下「従来方式」という。)であったため,分離孔の周縁に異物が蓄積し,目詰まりが発生するという課題を有するものであったことから,かかる課題を解決するために,環状枠板部とその内周縁内に内嵌めされた第一回転板との間のクリアランスに生海苔を導入しつつ,第一回転板の回転による遠心力によって,クリアランスよりも環状枠板部側のタンク底隅部に異物を集積させ,生海苔のみを水とともにクリアランスを通過させるようにしたもの(回転板方式)であり,この回転板方式を採用することで,異物がクリアランスに詰まりにくく,従来の異物分離除去装置のように,目詰まり洗浄装置等を別途設けることを不要としたものである。 これに対し,本件発明1,3及び4は,甲4発明を従来技術と位置づけ(本件明細書段落【0002】),回転板方式による異物分離除去装置である甲4発明に「共回り」の課題があることを見いだし,その課題 を解決するために,回転板方式による異物分離除去装置において,回転板の回転と共に回る生海苔の共回りを防止する防止手段を設けたものである。 このように,甲4発明は,回転板方式を前提とする発明である点で本件発明1,3及び4と共通するものであるが,甲4自体には,本件発明1,3及び4の課題である「共回り」についての記載はない。なお,甲4発明を利用した装置に係る「海苔タイムス」掲載の広告(甲9~14)には,「シンワ式原草海苔異物除去洗浄機 CFW-36型」との記載と共に,「特長」欄に「⑦目づまり防止付。」との記載があるが,その目詰まりの原因をうか 係る「海苔タイムス」掲載の広告(甲9~14)には,「シンワ式原草海苔異物除去洗浄機 CFW-36型」との記載と共に,「特長」欄に「⑦目づまり防止付。」との記載があるが,その目詰まりの原因をうかがわせる記載はなく,回転板方式を採用した異物分離除去装置において共回りの現象を生じることは記載されていない。 そして,回転板方式による異物分離除去装置に「共回り」の課題が存在することが技術常識であったと認めるに足りる証拠もないから,甲4文献に接した当業者において,共回りの課題が存在することを認識し得たとは認められない。 (イ) また,甲4発明は,本件発明1,3及び4と同じく回転板方式を前提とするものであるのに対し,甲2,3及び16文献にそれぞれ記載された異物分離除去装置(なお,各文献記載の技術的事項は,本件審決の認定するとおりといってよい。)は,回転板方式とは異なる分離方式を採用するものである。 このように,甲4発明と甲2,3及び16文献に各記載の技術的事項とは,前提とする異物分離除去の解決方式に係る技術的思想が異なるため,甲4文献に接した当業者において,甲2,3及び16文献に各記載の技術的事項を甲4発明に適用しようとする動機付けが生じるとはいえず,また,これらの技術的事項を甲4発明にいかに適用するのかを想起することも困難であるから,仮にこれらを適用しようとしたとしても, 本件発明1,3及び4の構成を想到することはできないと見られる。 そうすると,甲4発明において,本件発明1,3及び4に係る相違点A~Cの構成を得ることは,当業者にとって容易であるということはできない。 (ウ) さらに,本件発明1,3及び4は,「防止手段」を突起・板体の突起物とすることで,「このクリアランスに導かれる際に,生海苔の共回りが発生しても,本発明で て容易であるということはできない。 (ウ) さらに,本件発明1,3及び4は,「防止手段」を突起・板体の突起物とすることで,「このクリアランスに導かれる際に,生海苔の共回りが発生しても,本発明では,防止手段に達した段階で解消される(防止効果)。尚,前記防止手段は,単なる解消に留まらず,生海苔の動きを矯正し,効率的にクリアランスに導く働きも備えている(矯正効果)」(本件明細書段落【0020】)ようにしたという顕著な作用効果を奏するものである。 オ小括以上より,本件発明1,3及び4は,甲4発明並びに甲2,甲3及び甲16文献に各記載の技術的事項等に基づき,本件特許の出願前に当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。 (3) よって,本件発明1,3及び4は,法29条2項の規定に違反して特許されたものではなく,その特許は法123条1項2号に該当しないから,本件発明1,3及び4についての特許は,無効理由2により無効とすることはできない。この点に関する本件審決の認定・判断に誤りはない。 4 結論よって,原告らの請求はいずれも理由がないからこれを棄却することとし,主文のとおり判決する。 知的財産高等裁判所第3部 裁判長裁判官鶴岡稔彦 裁判官杉浦正樹 裁判官寺田利彦

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